08/09/10 第2回審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会議事録 審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会  議事録 1.日時及び場所   平成20年9月10日(水) 16:00〜 厚生労働省 共用第7会議室 2.出席委員(6名)五十音順     神 山 美智子、 桐 野 高 明、 杉 浦 幸 雄、 花 井 十 伍、    ◎樋 口 範 雄、 日比野 守 男 (注) ◎座長 他 参考人2名   欠席委員(0名) 3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)   岸 田 修 一(大臣官房審議官)    川 尻 良 夫(総務課長)   中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備  考   本委員会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 まず、傍聴の皆様にお知らせいたしますが、傍聴に当たりましては、 既に御案内しております注意事項をお守りいただきますよう、よろしくお願い申し上げ ます。  また、本日はクールビズということで、事務局は軽装で出席させていただいてござい ますので、上着をお召しになられている方は適宜お脱ぎいただくなどして御対応いただ ければと思います。  それでは、ただ今から第2回「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会」を開 催させていただきます。本日、先生方におかれましては、御多忙のところ御出席いただ きまして誠にありがとうございます。  まず、事務局の異動がございましたので、幹部の紹介をさせていただきたいと思いま す。高井医薬食品局長でございます。岸田大臣官房審議官でございます。川尻医薬食品 局総務課長でございます。以上でございます。引き続きよろしくお願いいたします。  また、本日は、参考人といたしましてお二人の方にお越しいただいてございますので、 御紹介させていただきたいと思います。薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会委員であ られます守殿貞夫参考人でございます。日本製薬工業協会医薬品評価委員会副委員長で あられます花輪正明参考人でございます。参考人の方におかれましてはお忙しいところ お越しいただきまして誠にありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。 なお、守殿参考人におかれましては、所用のため、ヒアリング終了後に御退席されると いうことですのでよろしく御承知おきください。  それでは座長、議事の進行をお願い申し上げます。 ○樋口座長 本日は第2回の会議ということであります。前回は7月初めでしたが、前 回の議論を踏まえて、今日は、先ほど事務局から紹介があったように、守殿参考人と花 輪参考人、それぞれにお越しいただいて話を伺うことになっております。  まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○総務課長補佐 それでは資料の確認をさせていただきます。まず、別紙で座席表と委 員の一覧がございます。そのほか、議事次第の「○資料」に沿って確認させていただき ます。  まず議事次第がございまして、資料1は「ヒアリング資料」ということで、日本製薬 工業協会から提出されている資料、資料2は「薬事・食品衛生審議会の概要について」、 資料3は「米国FDAにおける最近の動向について」でございます。  以下、参考資料が1〜6までございまして、参考資料1は「審議参加に関する遵守事 項」、参考資料2は「審議参加に関する遵守事項」の参考資料でございます。参考資料 3は前回会議で御議論いただきました「検討すべき事項及びその検討方法(案)」という ことで、こちらは前回資料の6でございます。参考資料4は「日米欧の論点毎の対比表」 ということで、こちらは前回会議の参考資料1と同じものでございます。この参考資料 1〜4までは、前回の会議で配付させていただいたものと同じでございます。参考資料 5は「薬事・食品衛生審議会関係規程」、参考資料6は「利益相反とFDA諮問委員会 への参加の適格性を判断するための手順に関するガイダンス(仮訳)」といたしまして、 仮訳部分とFDAのホームページで公開されております原文を合わせて付けさせていた だいてございます。  不足等がございましたらお知らせいただければと思います。 ○樋口座長 よろしいですね。それでは議事に入ろうと思います。今、事務局から御紹 介のあった議事次第を見ると、議題1、2、3となっておりまして、まず、参考人のお 二人からお話を伺い、その後、前回指摘事項との関係で、資料を使いながら事務局から 御説明を伺う段取りになっております。  資料の中で、参考資料3をもう一度確認のために見ておこうということですが、この 検証・検討委員会の今回の役割は主として二つあって、その第一は、現行ルールの実地 検証です。とにもかくにも薬事審議会等の委員に関する利益相反等のルールが一つの形 となって作られました。しかし、これは我が国だけではなくて、どこの国でも苦労して いて、これが正解だというルールはない。とりあえずこれでやってみようということな のです。それが一応スタートしておりますので、本日の参考人の方にも後でお話を伺え ると思いますが、実際にスタートしてみてどうだったのだろうという実地検証、だから この会議の名称に「検証」という言葉が入っているのだと思います。  それから第二点として、前回のワーキンググループで必ずしもすべてのことがきちん と決まったわけでもなくて、宿題がありました。参考資料3に「残された課題」とあっ て、そこには三つ、「その他」を入れれば四つ書いてあります。利益相反の対象となる 寄附金・契約金等というものが、必ずしも明確な概念で割り切れるものでもない。とり わけ奨学寄附金というものが、大学によっても扱いが違ったり、識者によっても少し認 識が違っているようで、それをもう少し解明できる範囲で解明していこうではないかと いうのが一つです。それを含めて、対象とする寄附金・契約金等をもう少し絞り込める ものなのか、広げるものなのか、あるいはそれぞれについてどういう扱いをすべきかと いう点について、更にルールについて改善すべきところがあると委員が御判断されるよ うであれば、それを取り込んでいきたいというのが一つです。  それから、組織の取扱いとあるのは、個人ではなくて主としては大学だと思いますが、 大学等の組織へ産学連携という形で補助金、寄附金が出ている場合があります。それを 今回の各委員の利益相反の問題と絡めてとらえるべきかどうかということも宿題になっ ておりまして、本日の話も、そういうことに関係するようなお話も伺えるかもしれませ ん。  それから、三番目に、実際のルールとしては50万円/500万円ルールという、ある意 味では恣意的なルールを作ってあるわけですが、このような形で本当にいいのかについ ても更に検討していこうということであります。  それ以外のことを議論しないということではないと思いますが、限られた時間、限ら れた回数の検証・検討委員会で、少なくとも以上の二つの課題について、ある程度のめ どを付けたいということだと思います。それに関連して、本日、お二人の参考人の方に 御足労いただいておりますので、まず、その先生方に、私のメモでは10分程度となって おりますが、限られた時間で恐縮ですけれども、いろいろ参考になることを伺うことが できれば有り難いと思っております。  それでは、まず守殿参考人から、申合せを実際に運用されて何か月か経っております ので、どのような感じなのかということをお伺いできればと思っております。よろしく お願いいたします。 ○守殿参考人 余り深くと言いますか、意識してラジカルに考えることは余りなかった のですが、むしろ質問等をしていただいたら大変有り難いと思います。  2、3言いますと、過去3年をさかのぼってということですが、正確に申告するには、 どうだったかなというところが結構ありまして、その辺はメーカーに確認していいもの か、その辺のやり方など、確認しますと「どうしてですか」という話も出てきます。そ ういう意味では、多少、正確に申告したかなという不安感はあります。それが500万円 という金額であれば覚えていると思うのですが、高額でないような場合には、その辺の 確認に自信がないというのが一つの印象です。  金額につきましては、欧米との比較、そういう兼ね合いからこの辺が出てきていると いうことなので、そういう国際的な形での判断でよしとするなら、特にどういうことは ないと思いますが、500万円と300万円はどう違うのですかと言われると、説明のしよ うがないかなと思います。  細かいところで、参考資料2を読ませていただきまして、いろいろ感じるところがあ りますので、申し上げたいと思います。  本日の参考資料2の4枚目、「「審議参加に関する遵守事項」に関するQ&A(案)」 のQ4で、「学会長の立場で、当該学会に対する寄附金等を受け取った場合、どのよう に取り扱われるのか」ということですが、大きな学会等に対して、大薬協と東薬協では 指定学会という制度があります。その指定学会として寄附を頂く場合は各社資本金額に よる割当てです。その場合は利益相反に関係しないかもしれません。しかし、指定学会 以外は交渉は自由なのです。そういうときには、特に学会長の手腕というか、お願いが 通っての寄附という形になりますので、利益相反が関係してくるのではないかと思いま す。  奨学寄附金も同じように思います。大学が法人化されまして、私は神戸大学なのです が、法人化後の理事もしておりましたので、寄附金とか、基金等を募るときには、顔と いうものがある程度、それによっての寄附額の差等もあり得ます。個人名義で、個人の 収入にならないからといって、そう単純なものでもないような気がします。場合によっ ては恩義を感じる面があるかもしれません。  それから、参考資料2の中の参考資料7「パブリックコメントに寄せられた意見の概 要及び意見に対する考え方(案)」ですが、先ほど奨学寄附金に関することを言いました ので、この意見の中からこういうものはどうかなと思いましたのは、病院などでは薬剤 の購入においては薬剤部長、大学によっては教授職でもあるのですが、結構、寄附金な ども頂かれている場合があると思います。実際に審査部会では薬剤師さんがおられます ので、そういうことは余り問題になっていないのかなと思いました。薬剤の購入等に絡 んでですね。  頂いた資料等を見まして感じたのはその辺りですが、御質問があればお願いしたいと 思います。 ○樋口座長 それでは、各委員の方から、守殿先生に御質問いただきたいと思います。 ○杉浦委員 個人に入ってくる、例えば委任経理金などは非常に分かりやすいのですが、 講座あるいは大学、部局、そういうものに対して入ってくるものはどのようになってい るのですか。そういうことに関して、今の委員との関係と言いますか、例えばそういう ことは申告するとか、そういうことはあるのですか。 ○守殿参考人 金額的にはつかみにくいとは思いますが、大学は今、個人的な形での講 座の窓口はありませんので、すべて大学の事務を通じてになります。だからといって、 交渉段階にかかわっての結果ですので、交渉という形においての恩義と言いますか、お 世話になったという形のことはありますので、個人名義で使う、使わないからといって の利益相反の発生というよりも、頂くときに発生しているわけです。その方がいなかっ たら頂いていない、共同研究も成り立っていない、そういう形がありますので、それが かかわりとしてどう考えられるかということです。振り込まれたお金がどう使われて、 それが個人名だからどうのこうのではなしに、前段階です。その功績がなければ寄附金 は入らないのです。それがあるからこそ奨学寄附金が入るわけです。  研究テーマ等をメーカーに提出して、それがメーカーで承認され、研究費として下り るという寄附があります。それはその教授そのものの、トップの力量です。その辺をど う考えられるかということがあります。 ○総務課長補佐 杉浦先生の御質問につきまして、今の守殿先生の御発言に付け加えさ せていただきますが、現行の基準では、学部なり講座に入ってきて、直接その先生の名 義で来ていない奨学寄附金なり寄附金等については、申告の対象ではないという取扱い をしてございます。  今、守殿先生がおっしゃられたようなことにつきまして、実際にどういう形で認識で きるか、誰がどのくらいもらっているか、また、組織に対して奨学寄附金をもらったこ とに関して、今、恩義とおっしゃられましたが、どのように感じるかといった点につい ては、前回御相談させていただきました厚生労働科学研究の中でのアンケート調査も、 現在、並行してさせていただいている状況でございます。 ○神山委員 最後におっしゃられた薬剤の購入に関しての話ですが、よく分からなかっ たのですけれども、薬剤購入の部長個人への寄附ということなのでしょうか。誰から誰 にどういうお金が入ってくるということなのでしょうか。 ○守殿参考人 数年前、法人組織になりましたので、国立大学法人病院も、薬剤の購入 に当たっては問屋、メーカーと交渉いたしますので、そういう過程で何か発生しないか なと思ったわけです。 ○審査管理課長 恐らく守殿先生がおっしゃっているのは、お金のやり取りではなくて、 そこで発生する、「恩義」という言葉を使われていますが、例えば高血圧の薬ですと、 AメーカーとBメーカーと争っていて、Aメーカーのものを買う、Bメーカーのものに ついては買わないという負の恩義があるのかもしれませんが、そういった感情的な問題 であって、Aメーカーから、例えば1億円の薬剤を買うから、100万円の寄附が来ると いう問題ではないのだと考えています。 ○守殿参考人 そういうことです。極端に言いますと、病院の薬剤の仕入れの担当をし ている方はふさわしくないと思います。 ○花井委員 今おっしゃられた仕入れの担当はふさわしくないというのは、病院も今、 一部経済活動のようになっている部分が強調されており、薬価差というのは圧縮されつ つあるけれども、様々な営業活動と、それからMRが活動していて、そこにいろいろな 関係性ができていて、仕入れる段階で、例えば安く仕入れられるとか、若しくはある程 度便宜を図るとか、そういう有形、無形の利害関係が生じやすいという理解でよろしい のでしょうか。感覚的にはよく分かることです。そもそも利害関係が生じやすいポスト にいる人はふさわしくないという理解でよろしいのでしょうか。 ○守殿参考人 そうです。審査部会にも薬剤師さんはおられますので、その辺りについ ては、薬学関係が余り出ていなかったもので、その辺のことはどうなっているのかなと いうことでして、それほど深く考えたわけではないです。 ○花井委員 教えていただきたいのですが、講座の先生が立派な方で、メーカーの方も 非常に信頼していて、そのことでうまく寄附金が入ってくるという状況は、何となく私 も分かるのですが、例えば学長とか、本当に形式的に名前だけがあって、大きな国際学 会を日本でやりましょうとなって、お金集めをしなければならないときには、トップは 据えられるわけです。そして、単にその名前の下にお金を集めていくというのでは、少 しニュアンスが違うように思うのですが、そこのところは、先生の御意見としては、同 じように考えるべきということなのでしょうか。 ○守殿参考人 会長の名前の下で、例えば財務担当の方がお金を集めるという形ですが、 それと会長との絡みですか。 ○花井委員 実際にお金を集めているのは財務担当で、名前だけは先生の名前で集めて いる場合と、奨学寄附金でそういう形式があるか、私は大学にいたことがないので知り ませんが、ある講座の教授がメーカーの人と話をして、うちにメーカーとして協力して くれるのは有り難いという話はありそうだし、私も見聞きして知っています。そういう 場合に恩義を感じるというのはよく分かるのです。そこに人間的関係がありますし。  ところが、そうではなくて、実際にお金集めをしているのは組織の財務部門がやって いて、名前だけは学長とか学部長ということもあり得るのですか。それとも、そういう ことはほとんどないと考えたらいいのですか。 ○守殿参考人 財務の担当者というのは。 ○花井委員 私の経験ですと、国際学会をしたときに、学会長を決めて、私も財務、お 金集めをやったことがあるのですが、学会長の名前で、我々が汗をかいて、いろいろな ところに行っては、この学会を成功させたいのですといってお金集めをしたときに、名 前はその先生でやるというのが、経験としてあるのですが。 ○守殿参考人 その場合は、恐らく、その学会長がお力のある人で、寄附を頂けるとい う話に既になっていると思うのです。そのときは、その学会長は、寄附を頂いたことか らのいろいろな関係が。 ○花井委員 そういうことです。単なる名前だけということで。私の主観的な感覚から 言えば、前者はかなり利害関係が生じる、つまり個人的な恩義を感じているシーンだと 思いますが、後者はほとんどそれはないような感じがするのです。あるのかもしれませ んが、少し質が違うかなと思うのです。そういうことは分け得るのか、それとも、そう いうものは余りないのか、その辺の御認識はいかがでしょうか。 ○守殿参考人 あの方が学会長だからということはあると思います。だからこそという ことで。私は本質的には、この利益相反に関しては、人間を性悪説で考えていると感じ るわけで、性善説であれば、こういうことは要らない形になります。  それは別にしまして、裁判では弁護側の証人も検事側の証人も宣誓して、真実を語る という形があります。例えば審査部会においての利益相反についても、幾ら突き詰めて も、先ほど樋口先生が言われたように、極め付けのものができるということはあり得な いと思うので、就任等に際して宣誓書のようなものがあれば、それをよりどころにする とともに、それだけではあいまいだからある程度の基準は決めておこうと、そういう形 でされるのであればいいと思います。 ○桐野委員 これまでこの方法でおやりになっていて、実際に委員の方々がどの程度決 議に参加しない、審議そのものに参加しない状況になって、例えば常に2〜3割の方は 該当してしまうとか、10%くらいとか、半分くらいとか、いろいろあると思うのですが、 これまでの議論のように、個人のポケットに入るお金と、一種の大学の授業として行う ようなことを全部併せてやると、実際は厳しい状況になるのではないかと思うのですが、 その辺りはどのような感じなのでしょうか。 ○守殿参考人 今おっしゃったことは常に言われていることです。頻度については課長 が一番よく御存じですが、それほど頻繁でもないです。関係者が多いときで二人くらい 抜けることはあるようです。  余りいろいろなことでけじめを付けて難しいことを言うと、委員になられる方がいな いという形にもなります。また逆に、寄附を頂きたいから委員は辞退するという一般的 な傾向になっても困ります。委員になりたくない、そういうものにかかわりたくないと いう形になって、専門家がみんな辞退するようなことになったら、薬剤の審議ができな くなると思いますし、その辺の落としどころが難しいところです。 ○総務課長補佐 実態については後ほど資料2で御説明いたしますが、資料2の最後の ページですけれども、簡単に御説明いたしますと、議決に不参加だったり、審議に不参 加された委員の全分科会、部会を合わせた延べのパーセンテージでいきますと、3.6%で ございます。 ○樋口座長 ほかに守殿先生に何かございませんでしょうか。 ○日比野委員 先ほど500万円と300万円とどう違うかということをおっしゃったので すが、つまり、50万円と500万円は差があり過ぎるから、もう少し中間的なものがあっ たらいいのではないかという意味でおっしゃったのでしょうか。 ○守殿参考人 そういうことではないです。 ○日比野委員 これを実際にやってみて、どこをどのように直した方がいいとか、そう いう感想はおありでしょうか。 ○守殿参考人 経験してみまして、最初に申し上げましたように、果たして自分がこの 3年間についてすべてを正直に申し上げているのか、申告しているのかという不安感が あるということくらいです。 ○日比野委員 これでやってみて、不都合な点はなかったですか。 ○守殿参考人 特別には感じておりません。 ○神山委員 今おっしゃった、正直にやっているのか不安があるという点で、例えば私 どものような職業ですと、毎年確定申告をして、所得の内訳書を出しているものですか ら、何年前でも出てくるのですが、大学の医学部の先生などは、そういうことは一般的 にはなさっておられないのですか。 ○守殿参考人 一般的にはしていないと思います。自分で申告されたりしている方もお られるかと思います。調べれば分かるのですが、それをいちいち問い合わせるのも何で すし、その辺は、データを把握している方は少ないと思います。もらっていないかと、 そのメーカーに聞くのが一番近道かと思いますが、それはしてはいけないと思いますし、 その辺が問題です。 ○樋口座長 現在のルールは本日の参考資料1にあるのですが、ページ数にして8ペー ジあるのです。量としても大したことはないと言えば大したことはないのかもしれませ んが、きちんとできているという評価もあるのですけれども、複雑と言えば複雑なので す。それぞれの審議会等の委員の方が、まずこれを理解して、それに対応しないといけ ないということになっていますから、余り細かなルールを作ると、ルール自体は美しい のですが、実際にはやっていられないという感じがする場合もあるのです。しかも、細 かくなればなるほど、ピンポイントで一番重要なところ、つまり利益相反で何らかの弊 害が起こるところだけを追及すればいいのですが、そういうところでないところまでを 含めてという話になるので、どうしても裾野が広がって、ある意味ではポイントがぼけ ることも、一般論ではあり得るわけです。まず、ルールを、守殿先生を含めて、ほかの 方の代弁まではできないかもしれませんが、対象となる委員の方が理解できるようなも のだとお考えなのかどうかというのが一点です。  その中で、もう少し個別的には、利益相反の対象が、今の資料で言うと7ページの注 5ですが、寄附金・契約金等の中身というのが、何でも含むという、とりわけ、先ほど の話とも関係があると思いますが、教育研究の奨励を目的として大学等に寄附されるい わゆる奨学寄附金等、場合によっては大学の方へ行くようなものも含めて、これは定義 の問題が一つありますが、とにかく入れ込んで、それを金銭換算して届けることになっ ているのです。この対象の範囲等について、何かお考えがおありかどうか。この二点に ついて、いかがなものでしょうか。 ○守殿参考人 利益相反につきまして、審査部会等で問題になったのは数か月前ですが、 大学レベルでは一昨年くらいから利益相反のルールを作ることは始まっていましたの で、大学の方はある程度、利益相反につきましては意識はされていると思います。ルー ルの内容がどうのこうのということではなく、利益相反についてはいろいろとルールが あり、守らなければいけないということ。隅々まで行き渡っているかというと、それは どうかとは思いますが、大学によっては、法人化されてからは、利益相反のルール作り は少なくとも神戸大学ではやりましたので、そういう形の意識はある方が多いのではな いかと思います。  先ほども少し質問がありましたが、交渉の仕方によっていろいろなタイプがあります ので、コンペティション的とか、平等に声を掛けて、そこから上がってきたものをコン ペという形で集められたものである場合とか、あの人であればという形で、単に顔で集 まってきたものとか、寄附の方法、お願いなどによって違ってきますので、集まったお 金が教育に使われるからよしとするのも、不十分なところがあるのではないかというこ とが、少し気掛かりです。  その辺のことは難しいので、先ほど言いましたようなことで、ある程度シンプルなも のを作って、ベースには就任時の各委員の意識で、利益相反に関することを守っての委 員活動をするという形が前提にあれば、いいと思います。 ○樋口座長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、守殿参考 人、ありがとうございました。  引き続いて、花輪参考人から、持てる情報について、御紹介をいただきたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○花輪参考人 花輪でございます。本日は本検討委員会の目的に沿って、製薬企業から 大学等に対する寄附金というもの、特に奨学寄附金について日本と海外との違い、それ から、産学連携の在り方がどのような状況になっているかということ、この二点につい て、業界の立場を代表して御説明させていただきたいと思います。お手元の資料1に沿 ってお話させていただきたいと思います。  まず、「寄付金等の取り扱いについて」ということで、1.に記載しております。1) で、我が国の奨学寄附金の取扱いに触れてございますが、一つここでお話させていただ きたいのは、医学、薬学の研究振興若しくは教育振興のために、奨学寄附金というもの が我が国に存在しているのですが、非常に歴史が長いということでございます。  奨学寄附金の我が国における歴史は長く、その受入れにつきましては、昭和38年文部 省令訓令に奨学寄附金受入事務取扱規程が発出されまして、当時、戦後の復興社会も過 ぎて進歩発展していく中で、大学における研究等の資金も必要だということで、文部省 訓令として奨学寄附金取扱規程が規定されました。その規定に対して、翌年、昭和39 年には、経理をきちんとしなければいけないということで、「奨学寄附金経理事務取扱 規則」が整備されてまいりました。その後、さらにアカデミアに対するいろいろな研究 及び教育の多様性が叫ばれまして、奨学寄附金という形の受入れが多様化してまいりま した。それに対して「奨学寄附金等外部資金の受け入れについて」ということで、昭和 59年に、文部省学術国際局長及びその経理については、文部省大臣官房会計課長通知が 発せられて、奨学寄附金制度が現在に至っているわけでございます。  そういうことからすると、科学、教育の充実ということで、奨学寄附ということが、 長年日本の社会の中で受け入れられて、現在に至っているということは、一つ御理解い ただきたいと思います。  奨学寄附金について、欧米と比較してはどうかということで、調査をしました。2) に、「欧米の寄附金の取り扱い」という記載がございます。欧米におきましては、寄附 金というものはもともと存在いたします。しかし、日本で言う「奨学寄附金」と比較で きるものは見当たりません。もちろん、寄附金ということでdonation、特に医学、薬学 関係ですと「Grants and Donations」ということで、寄附ということはございますが、 教育とかその使途を具体的な学術研究に指定する目的で行われております。一方、臨床 研究を支援するということで、自社製品にかかわったり、そうではないものであっても、 臨床研究そのものを支援するという形では、「Clinical Grants」ということで、寄附が されていることがございます。ただ、このような寄附については、患者さんの安全性確 保やプライバシーポリシーの観点から、医療機関と契約を交わして、これらの寄附が支 払われているということがありますが、我が国の奨学寄附金と欧米の寄附制度を一概に 比較することは難しいところがございます。  (2)でございますが、そういう中で、欧米では、医学教育や慈善寄附、若しくは奨学 金の助成金の寄附においてはどのようなことが行われているかと言いますと、欧米は、 寄附そのものは個人が寄附するところから始まっております。「私はこれに対して寄附 をしたい」ということで、寄附金の使い道については自分の意図通りにやってほしいと いうことがございまして、プログラムの遂行を確かなものにするために、契約書を交わ して、後々その検証ができるようにするという習慣もあるようでございます。そういう 中で寄附が行われているので、我が国との文化の違いが大きく、直接的な奨学寄附とい うことの比較が難しいことを、ここで述べさせていただきたいと思います。  さらに、今度は製薬会社の立場から述べますと、この寄附の違いの背景には、我が国 と比べて、欧米では医薬品の基礎研究やトランスレーショナルリサーチを大学等の研究 室で多く行われまして、それを逆に企業に持ち込むということがありますので、これは 最後の図で少し説明させていただきますが、そのようなビジネス環境の違いもあって、 寄附制度そのものの在り方が大分違うということでございます。  そういう中にありまして、我が国における製薬企業の奨学寄附金はどうなっているか ということでございますが、もともと文部省の奨学寄附金規定ということを受けまして、 現在は、3)の(1)に記載しておりますように、奨学寄附金を提供できる医療機関は特定 されております。一つは、教育及び研究という目的が奨学寄附金でございますから、大 学の医学部若しくは法令上研究機能を有するということで、ナショナルセンターとか、 日赤の研究機関とか、そういう限られたところに対する寄附が行われている、それが奨 学寄附金というものでございます。  奨学寄附を製薬企業がさせていただくに当たっての要件と留意点が、大きく分けて三 点ございます。一つは、奨学寄附金は医療機関、研究機関における会計規定に基づいて 受け入れられるということで、後ほど少し説明させていただきますが、1対1、企業が 個人の先生に奨学寄附金を直接お渡しすることはございません。あくまでも機関管理と して、医療機関の会計に基づいて行われております。二番目としては、奨学寄附という ことですから、その使用目的は学術研究目的に指定するということで、目的性を求めて おります。三番目には、それによる研究成果について簡単な報告をいただくということ で、アメリカのように詳細な報告を求めるため、契約をした上で寄附をすることまでは しませんが、一応そういう目的でお使いいただいたという簡単な報告をいただきます。 こういうことで奨学寄附金が成り立っております。  2ページに移っていただきたいと思います。4)として、奨学寄附の受入手順というこ とで、国立大学の場合を書いてございます。ここで記載しているのは、先ほど申し上げ ましたように、奨学寄附金というのは、企業と先生個人との間で行われているのではな くて、大学等の機関を通しながら動いているということの流れを示しております。左側 が国立大学側の対応、あわせて、右側が「奨学寄附者側の対応」とありますが、これを 製薬企業の対応と見ていただければよいと思います。  順序が(1)から(10)の流れになっております。まず、大学の長又は大学関係者より奨学寄 附金の依頼等がございます。依頼等を受けまして、社内では営業関係やマーケティング とは別の、これは会社によっていろいろな呼び方がございますから「検討組織」と書い てありますが、奨学寄附が目的に合っているかについて社内検討をいたします。社内検 討の結果、可と判断した場合には大学の長に対して奨学寄附金の申込書を提出させてい ただきます。  国立大学では、この申込書を受けて再度、学内の審査機関の議を得た上で、受入れ可 否を決定し、納入通知書を寄附者に送付してまいります。要請をしておきながら、なぜ こういうことがあるかというのは、寄附者側からおかしな条件を付けられたら、これは おかしいということがあるので、大学で再度、申込書について可否を判断されると理解 しております。  大学側から納入通知書を受け取りましたら、奨学寄附金の金額を銀行振込みをもって 納入することにされております。大学側は奨学寄附金の納入を確認後、大学の長より、 寄附者への礼状を送付することになっておりまして、実際に我々も、大学の長より、奨 学寄附金に対する礼状を受け取っております。  一方、大学側としては、奨学寄附金を大学会計規定に基づき、機関経理による管理を 行っているということで、それをお使いになる先生方が、自分の会計処理でやっている のではないということを承っております。その中で、研究又は教育事業としての奨学寄 附金使用の成果報告について、簡単な報告書をお作りいただきまして、研究等の成果報 告書の受領を製薬企業としては受けまして、これで一連の奨学寄附の手順を終了すると いう形になっております。  ここでは、大学の長が動き、大学の中の審査機関があり、社内でもそのようなことを 検討して行われているということで、1対1取引による奨学寄附金ということは行われ ていないということを示させていただきました。以上が奨学寄附金に対する一連の流れ、 また御説明でございます。  3ページに移らせていただきます。2.として、産学連携について記載させていただき ました。1)ですが、はっきり申し上げなければならないのは、医薬品開発における産学 連携は必須不可欠でございます。と言いますのは、医薬品の製造販売承認申請をいたし ますには臨床試験のデータ、つまり有効性と安全性を確認するために臨床試験のデータ の添付が義務付けられております。これをなくして承認を受けることはありません。  臨床試験というのは、人を対象にした試験ですが、これは法律によりまして製薬企業 が直接行うことはできません。医師にしか許されておりません。そういうことで、大学 病院や研究機関、医療機関との産学連携は不可欠な状況にございます。  そういう中で、産学連携により生まれました研究成果を社会に還元していくことは、 我が国の国民が安心し、安全で快適な生活を行っていくために極めて重要だと考えてお りますし、これはこういうきれいな書き方をしておりますが、製薬企業が医薬品を発売 していくためには、産学連携が必要不可欠だということを記載させていただいておりま す。  では、製薬企業にとりまして不可欠な産学連携における利益相反の対応をどうするの かということでございますが、先ほど来、奨学寄附金の目的でも申し上げましたように、 医学・薬学の進歩には不可欠である、また、製薬企業が承認申請するためには不可欠な 産学連携がございますが、それが盛んになればなるほど、公的な存在である大学や研究 機関等の研究者が我々製薬企業と深くかかわることになってまいります。その結果、研 究成果にバイアスがかかるのではないかという御指摘をいただいているのは事実でござ います。そのために、最近よく議論されております「利益相反」ということが大事だと いうことは、業界としても真摯に受け止めているところでございます。  「利益相反」は、直接的には公的な大学、研究機関の医師及び研究者にかかわる事項 でございますが、裏返しに言いますと、利益相反起因の相手として製薬企業もかかわる ことになりますから、業界としても、その辺の対応については、慎重な対応が必要であ ることについては強く認識しているところでございます。  特に、私どもの認識としては、生命関連ということで国民の保健衛生に大きくかかわ る医薬品業においては、他の産業以上に個々の利益相反に対する配慮は、社会の目も厳 しいし、我々も自覚しなければいけないと考えている次第でございます。  そういう中にありまして、製薬企業としては、大学に対しては委託研究とか、奨学寄 附金も含めて、産学連携は不可欠であることから、日本製薬工業協会といたしましても 製薬企業における利益相反についての理解を深めるために、留意点について現在取りま とめの作業をしておりまして、会員各位に対して、利益相反に対しては今まで以上に認 識を持って対応していただこうと考えている次第でございます。  4ページでございます。もともと欧米と我が国との比較をできないかという命題がご ざいましたが、これは寄附金、委託研究、共同研究の我が国と欧米との比較でございま す。これはあくまでもイメージ図ですから、こういう割合できちんと行われているわけ ではございません。我が国の場合には、奨学寄附金がございまして、委託研究、つまり これは臨床研究ですが、治験と称するこの委託研究が非常に大きな部類を占めていると 考えております。あとは共同研究ということでございます。  欧米の場合は、まず、寄附というのは、個人を含めて入ってきますので、Grants & Donationsと称して、寄附はもう少し大きいポジションかと思います。ここで見ていた だきたいのは共同研究、Collaboration若しくはBusiness partneringと呼んでおりま すが、この共同研究が欧米では非常に多いのです。黄色で囲んだ委託研究、共同研究と いうのは、いわゆるContract Researchで、契約に基づいて行われているということを 示しております。特に共同研究の場では、先ほど1ページで申し上げましたように、日 本では、シーズ、有効成分をメーカーの方から大学に持ち込んで治験をしていただくケ ースが多いので、委託研究が多いのですが、欧米の場合には、むしろ研究者がかなり臨 床まで踏み込んで、それをメーカーに持ち込んで共同研究をするということで、ここに 非常に大きな金銭的な動きがございます。  我が国で利益相反というものが欧米ほど表面的に大きな問題にならなかったところは そういうところにあり、欧米との違いはここにあるのではないかと、製薬企業と研究者 の間では利益相反についてここに違いが起こっているのではないかと考えております。  奨学寄附金というのはそういう形で、私たちといたしましては、大学への学術研究や 教育の充実ということを目的として一義的にはさせていただいているということで、本 日の私からの説明とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○樋口座長 ありがとうございました。それでは、各委員から御質問等をお願いしたい と思います。 ○桐野委員 私の理解では、国立大学が国の機関だったころは、奨学寄附金というのは 国立学校特別会計法の中の委任経理金ということで、会計法の例外規定のようになって いて、単年度でない経理ができるようになっていたのです。それによって、非常に硬直 化した大学の研究費の財務が何とかやれたというところがあります。法人化後はそれを 引き継いだシステムになっていると思います。  ただ、国立大学以外の国の機関、例えば先ほどナショナルセンターと言われましたが、 高度専門医療センター特別会計の方は委任経理金という項目はありませんので、奨学寄 附金は受けられません。そこは少し違います。先ほどの説明が違っていたので。 ○花輪参考人 失礼いたしました。 ○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。 ○杉浦委員 確かにここ何年か、法人化後ですが、国立大学の委任経理に関しては非常 に透明性も高くなったし、客観性も高くなったと思います。我々が若いころはそれほど はっきりしたものはなかったですが、今はいろいろなところではっきりした規定があり ますから、それをクリアしないといけないということで、勝手に自分がどのようなもの にも使えるわけではないということで、多くの、特に国立大学などは、金額的なものは 少し問題としても、余り大きな問題はないだろうと思います。  ただ、一部の私立大学の医学部や薬学部などでは、必ずしもここまできちんとできて いないところがあると思うのです。そういうところはまだまだ問題を残しているという ことがあるので、やはりここの審査会などでも最低限の条件は設定しておかないといけ ないのだろうと思います。  もう一つは、最近、日本でもトランスレーショナルリサーチが非常に増えてきました。 そうすると、いわゆるClinical Grantsがこれから日本は増えてくると思うのです。そ うすると、この場合にはかなり金額も大きいと思うのです。これは個人などとは違った 面がありますから、こういうものをこれから先どのように見ていくか、これから先の問 題として少しあるのかなという気はします。 ○神山委員 2ページの表の(1)ですが、奨学寄附の依頼というのは、やみくもに誰にで も依頼するというわけではないと思うのです。ここが、先ほど守殿先生がおっしゃった、 依頼する人の人脈や力量というところにかかってくるということでよろしいのでしょう か。 ○花輪参考人 そのとおりでございます。ただ、誰でもかというと、やはりそれなりの 先生からでないと、こちらも受けられないことがございます。本来、寄附というのは、 出す方が申し出るものです。ですから、米国の場合は個人がというのは、そういうとこ ろがあるのです。逆に、我が国の場合には学会等から依頼され、依頼される場合には、 例えば大学では皆さんがそれなりの業績を残されているから、そこから出てきたものに 対しては、可能なものについては対応させていただきますし、そうでない場合について はお断りさせていただいております。 ○守殿参考人 先ほど申し上げたことは、今、先生がおっしゃったように寄附金を頂く 行為の最初の過程で教授の人脈や力量が関係するということで、寄附が決定されてから の手続はとても正確にやられております。 ○桐野委員 この審議会の問題とは別に、大学の学内の研究者の、学内における利益相 反に関する規定は、各大学が定めているわけですが、通常は、例えば委託研究や共同研 究などで、正規の委員会において審議を経たものを学内で行うことについては、大学の 職員としての利益相反とはみなさないというルールにしているところが多いと思いま す。もちろん、ここでのルールは全然違いますが、大学の学内の扱いはそのようになっ ています。奨学寄附金についても、2ページに書いてありますような国立大学の奨学寄 附金の扱い方は、私が知っている限りはかなり昔からこのようにやっています。そして、 私のいた大学では500万円以下と500万円を超える場合を区別して、500万円以下の場 合は教授会承認事項、500万円を超える場合は評議会承認事項になっていたと思います。 ○花輪参考人 先ほどの杉浦先生のお話の中で、国立大学ではないところで、ルールが ないところもあるというお話でしたが、これは各大学に任せられておりますので、杉浦 先生がおっしゃるようなことがないことはないと思います。ただ、今のお話のように、 利益相反ということが非常に問題になってきておりますので、どこの大学でもかなりそ ういうことの整備がなされております。例えばGoogleやYahoo!で「利益相反」を引い ていただくと分かりますが、いろいろな大学の利益相反に対する考え方、会計に関する 考え方、利益相反ガイドラインなど、そういうものがかなりできております。  私たちも製薬企業として、今、留意点をまとめているというお話をさせていただきま したが、その中では、やはりそういうことがきちんと整備されているところが奨学寄附 の対象になってくるのだろうと考えておりまして、現実的に受け入れていただく医療機 関、研究機関がかなりその辺を明確、さらに透明化していただいているということで、 必要なものについては奨学寄附に応じることができる体制が以前より更に進んできてい ると感じているところでございます。 ○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。 ○花井委員 いまだによく分からないのですが、奨学寄附金を使う目的というのは、例 えば大学で教育するために自由にお使いくださいということであれば、形式的にアウト プットは一応出してという話なのか、一定の奨学寄附金による研究の成果を利用したい 場合も奨学寄附金はあり得るのか、すなわち、委託研究との差は明確なものなのでしょ うか。 ○花輪参考人 それは明確でございます。奨学寄附金でやったものを使いたいというこ とは基本的にはございませんし、奨学寄附金の規定の中に、これは我々が決めているの ではなくて、文部省が当時、奨学寄附金等外部資金の受入れで決めたこのルールの中に あるのは、例えば奨学寄附金を研究目的に使って出た特許等は、無償で寄附者に譲渡す ることは禁止されております。その意味では、委託研究と奨学寄附金とはセパレートさ れていると認識して対応させていただいております。 ○花井委員 そうすると、奨学寄附金を出すか、出さないかと考えて、それなりの先生 とおっしゃいましたが、ある程度使い道はこうしてほしいという、企業側として強いも の、こういう研究をしてほしいという、そういう目的とは少し違うという理解でいいの でしょうか。また、全企業合わせて奨学寄附金というのはどのくらいのボリュームなの か、差し支えなければ教えていただきたいと思います。 ○花輪参考人 後者から言いますと、金額については実は統計などはございませんから、 各社が統計をとっているわけでもないので、正確な数字、漠然とした数字も実は分かり ません。ただ、私どもの企業の中からすると、ここにお示ししたように、寄附金の割合 はそれほど多くない。委託研究がやはり一番多いかなということでございます。もう一 つ御質問いただいたのは何でしたか。 ○花井委員 寄附の使われ方についてです。よく分からないのですが、先生が偉いから といって、こういう研究をしてほしいと思えば、施設内にそういうものが得意な講座が あって、だからこういう研究が進むというのは、寄附社会では本当は筋だと思うのです。 ところが、どういう研究がなされるかということに対して、企業としては期待がある程 度あるのであれば、その施設のポテンシャルというものを見ると思うのです。そういう 性質は違うのかどうかということです。 ○花輪参考人 その辺は、全部明確に答えるというといろいろなことがあるので、私も なかなか明確には分からないところがありますが、状況として、今、花井委員がおっし ゃったようなことになりますと、ある意味では委託研究や共同研究に指向していって、 寄附をもってそれをということは、余り主流ではないと認識しております。 ○桐野委員 かつて奨学寄附金は国庫金だったわけです。日本銀行に入れなければいけ ないお金で、そのお金を実際にどう使うかといっても、勝手気ままには使えないという、 どうしても国庫金から出すという縛りがありました。ですから、そういう処理ではない、 例えば個人の通帳管理をしているような場合は、またいろいろ問題が出てくる可能性は あると思いますが、国立大学の場合はそのようになっております。  実際は、法人化した以降は実態がどうなっているかというのは難しいですが、大体の 大学においては、10〜15%のオーバーヘッドを取って、それは管理経費、つまり本部の お金になって、残りの部分については、かなり幅の広い研究に使われますが、ある部分 は人件費に使われることが多いと思います。 ○花輪参考人 今、桐野委員がおっしゃったことは、私たちも全くそのとおりに理解し ております。その点については、独法化した場合でも、受入規定というものがございま して、それに基づいて行われているという認識を持っております。 ○樋口座長 時間的な制約もあるのですが、ほかにいかがでしょうか。 ○日比野委員 製薬企業が奨学寄附金を出すときに、相手に明確な受入規定がないとこ ろは出さないようにしているのですか。 ○花輪参考人 基本的にはその対応が望ましいとしておりますが、すべての企業がそう なっているということについては断言できません。 ○日比野委員 製薬協として統一しているということではないですか。 ○花輪参考人 そこはございません。その辺については、留意事項の中にそういうこと が必要であろうというようなことをまとめる必要もあるのかなということは、今、検討 している段階でございます。強制力をもってこうだということは、現時点においてはご ざいません。 ○神山委員 2ページの図ですが、これは国立大学の場合ですけれども、私立大学の場 合ですと、どこが一番違うのでしょうか。 ○花輪参考人 言葉としてこのようなことで国立大学として出しましたが、内容はこれ とほとんど変わりないと認識しております。もちろん、(1)の大学の長から。国立大学の 場合に、一つ一つ、通知や規約がありますもので、明示できますので、こういう書き方 をさせていただきましたが、私立大学でも流れはこれと同じだと思います。 ○杉浦委員 例えば、今の問題でいきますと、国立大学では(3)に書いてあるように「審 査機関」という、教授会や評議会ということによって表に出して、そこで承認している。 私立大学ではこういうものをやっていないところがありますから、私立の場合には、実 際上は大学によってかなり違うと思います。 ○日比野委員 製薬協の中というか、製薬企業同士で、例えばどこの大学、あるいは研 究室に幾ら奨学寄附金を出したということは、お互いにオープンにしているのですか。 ○花輪参考人 それはしておりません。 ○日比野委員 全くクローズですか。 ○花輪参考人 はい。 ○樋口座長 関連して二点、私の方からも質問させていただきたいのですが。まず、3 ページの産学連携の話で、利益相反に関しては製薬協としても、あるいは製薬会社とし ても当然いろいろな配慮が必要だということは認識していて、「当協会でも留意点につ いての取りまとめの作業をしている」とあるのは、一種、業界内ルールを明確にしよう という趣旨だと伺いましたが、これはどのような内容で、いつぐらいにということ、そ れから、取りまとめたときに、例えばこの会議にも出していただくようなことは可能な のか、これが第一点ですが、いかがですか。 ○花輪参考人 製薬協が取りまとめているのは、基本的にはここに書かせていただいた ように、もともと利益相反そのものは研究大学機関の問題で、そこで、例えばそのよう なルールが整備されているところに対応することが望ましいとか、そのようなことを現 時点では考えております。罰則規定とか、もしそれに従わなかった場合には委員会を脱 退してもらうとか、そこまでの強制的なルールは、現時点では少し難しいかと考えてお りまして、こういうところが大事ですというふうな留意点のまとめ方を、今している段 階でございます。 ○樋口座長 制裁があると形の上で決まっていても、実際に制裁を発動しなければ同じ ことなので、私はそれで結構だと思いますが、脅しの方は別として、行為規範として、 我々はこういう態度で、こういう問題についてはこういう形で対処していこうという、 そこの中の取決めがどの程度のものができるのかということなのです。 ○花輪参考人 今の内容については、基本的な利益相反ポリシーとか利益相反ガイドラ インがございますから、その遵守の仕方とか、少なくともここは大事にしようという論 点を中心にとらえて、いわゆる、たくさんある利益相反関連事項の中でここは注意しま しょうというところが、今まとめている中心になっています。 ○樋口座長 私は期限を切る権限はもちろんないのですが、それはいつぐらいまでにま とめられて、その内容については、こういうものをまとめましたということで、情報提 供をこちらにもしていただくことは可能ですか。 ○花輪参考人 現時点においては業界内のことということで、製薬協の会員に配るとい う形を想定して作業を進めております。今の座長からのお話につきましては、こういう 話がありましたということを製薬協に持ち帰りまして、その上で検討させていただきた いと思います。 ○樋口座長 ありがとうございます。私の質問の二つ目は、先ほどの日比野先生の御質 問に返るような話ですが、最後のページにイメージ図があって、それから、3ページに 産学官連携の意義、注意すべきところについてまとめていただいて有り難かったのです けれども、イメージ図で言うと、委託研究と共同研究は、とにかく、企業がスペシフィ ックに、ある医薬品か何か、ポイントを決めて、医師、医学部の先生かもしれません、 あるいは薬学部の先生と一緒になってやろうということですね。ですから、これらにつ いてはある種、企業秘密的なところが多分あると思うのですが、奨学寄附は、少しあい まいなところがあるかもしれないけれども、産学官連携などが声高に叫ばれるより以前 から、ずっと昔から、日本ではそういう形で製薬会社からの寄附も仰いで医学研究をや っていこうという、これは文部科学省の方針だったのだろうと思いますが、そういう伝 統があったという趣旨でしたね。それはそれでお聞きしている限りにおいては立派なこ とですね。欧米型の特定の委託研究である共同研究ももちろん大事だと思いますが、日 本的かもしれませんけれども、奨学寄附金もやはりあり続けてほしいような気がします。 私も大学に属しているものですから、大学の関係者であれば、こういう形の寄附を頂い ておくと、先ほど人件費みたいな話もありましたが、随分助かる。委任経理金という扱 いになれば、各年度ではなくて何年間にわたって自由な使い方が、実はやや自由なとい う程度で、そうはいってもなかなか厳しいのですけれども、そういうこともできて非常 に有り難い。ですから、両方あったらいいと思うのです。しかも、奨学寄附金というの は、2ページのところで、きちんとした手続をとっているということであれば、それは 製薬協、あるいは個々の製薬会社で公表してもいいではないかというのが、素人の単純 な考え方なのです。  つまり、ここで今問題になっているのは、例えばこれが薬事審議会だとして、ある製 薬会社から新薬の承認という形で一つ、何かの新薬の承認事項がここで議論されている わけです。そうすると、それを持ち出してきている製薬会社がある。委員はこの人と分 かっていますから、この人たちの属している機関、大学に今年度、あるいは昨年度だけ、 1年度だけでもいいと私は思いますが、それは過去3年なのかもしれませんけれども、 それは別として、こういう形で奨学寄附金を出していますということを堂々と公表する というのは、やはり素人の暴論でしょうか。 ○花輪参考人 医薬品は産学連携が必須だということで、臨床試験や委託研究が絶対必 要だというお話を先ほどさせていただきました。ここに一つ大きな要件がございまして、 研究開発に御協力いただける先生と、出来上がって売り出したときというか、今存在し 売り出されている薬をお使いいただける先生が同じなのです。普通は、研究者は研究者 として、ユーザーはユーザーとして分かれている場合は、奨学寄附金として出している ものについてのオープンは可能かもしれません。ところが、研究される先生と、それを 処方して使われる先生が同じというところに、オープンというものの難しさがございま す。例えば、ある大学のある教授、若しくはある大学にはこれだけ奨学寄附を行ってい るのに、私のところはこうだと単純に比較をされてしまいます。しかし、奨学寄附金の 目的や規模に応じて額が違ってくるわけです。ところが、そういう公表というのは、金 額だけが独り歩きして、何だ、あの会社は、と、この言い方はストレートですが、そう いうことがございまして、座長のおっしゃったような公表というのは、なかなか難しい 面があるところでございます。 ○樋口座長 例えば、こちら側の暫定ルールは、500万円なら500万円と決めて、上か 下かくらいの、非常に雑駁なルールなのですが、それくらいの粗い公表も、なかなか難 しいものですか。 ○花輪参考人 その段階がどうかということについて詳細な検討は今までしておりませ んので、この場でできる、できないということはお答えし兼ねるところがございますが、 今申し上げましたようにそういう状況がございまして、メーカーから一括した公表は差 し控えております。先生方が本委員会の目的である審議会参加において公表することに ついてはいささかも抵抗を示していませんで、そうしていただくことについては先生に お任せしているという状況ですから、メーカーからクローズにしてくれということは一 切申し上げておりません。それは明言させていただきます。 ○樋口座長 ありがとうございます。 ○桐野委員 前回、私は認識不足で、その問題について、例えばある大学のある教授の 寄附金の受領状況について、情報公開法に従って開示請求をした場合は出てくるのでは ないかと思ったのですが、私が前にいた大学に聞いてみましたら、多くの場合、企業が 同意しないので、企業名を伏せて出すことになるだろうと言っていました。それは各大 学によって違うかもしれませんが。 ○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。長時間にわたって、花輪参考 人、本当にありがとうございました。 ── 守殿参考人退席 ── ○樋口座長 議題2に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○総務課長補佐 時間が押していますので、簡単に資料2と参考資料5で御説明させて いただきますが、資料2を中心に説明させていただきます。  前回、神山委員から、薬事・食品衛生審議会がそもそもどういう構造になっていて、 何をしているのかというところについての説明をという御指摘がございましたので、御 説明いたします。  資料2の1ページ目を御覧ください。まず、薬事・食品衛生審議会でございますが、 委員は30名でございます。この審議会につきましては、厚生労働省の設置法において設 置されているものでございます。総会という形で、一番上の会が2年に一度開催されて、 委員の互選により会長を選出する。審議会につきましては、薬事法等の規定により、そ の権限に属された事項を処理する。法律で審議会が行うべき事項がすべて規定されてい るという状況になってございます。  一番上の審議会の下に、薬事分科会がございます。薬事分科会につきましては、審議 会令という、法律の一つ下のランクの政令で、薬事分科会を定めるという規定がござい まして、その中には、「審議会は分科会の議決をもって審議会の議決とすることができ る」ということで、この分科会で何か決めると一番上の審議会の議決とすることができ るという規定がございます。  薬事分科会の下に、部会がございます。部会につきましては、これも審議会令で、こ の審議会には薬事分科会と食品衛生分科会という二つがあるわけでございますが、薬事 分科会の方においては、薬事分科会が各部会を置くことができるという形になってござ います。  部会の役目といたしましては、諮問のあった事項等に応じ開催するということで、右 上に厚生労働大臣が諮問をするというところがございますが、厚生労働大臣が薬事・食 品衛生審議会の意見を聞いて行政的な措置を講ずる。法律で決められた事項に係る判断 をする場合に大臣から審議会に諮問する。諮問した事柄について、審議会、分科会、部 会というところで、まずは部会で、諮問のあった事項等に応じて基本的には開催し、こ こで実質、審議を行っていただくというのが通常の流れでございます。  部会における決定事項のうち、分科会としてあらかじめ定めたものにつきましては、 分科会長の同意を得て、部会での議決がそのまま分科会の議決となるということが、規 定として置かれてございます。ですので、実際の審議は部会で行っていただくことが多 いという状況になってございます。  さらに、一番下に調査会が17あるわけでございますが、こちらは分科会の規定で、部 会は調査会を置くことができるとなってございます。部会で調査審議する事項の事前整 理等を含めた調査審議を行うために、部会長が調査会を置くことができるという規定が ございます。  全体の流れといたしましては、次のページを御覧ください。審査業務と安全対策業務 という二つの大きな薬事行政の流れについての絵でございますが、承認審査業務でいき ますと、まず、総合機構の方で行政庁の委託を受けての審査なり調査なりを行う。そし て、総合機構の審査の結果が厚生労働大臣あてに通知される。医薬品の承認や薬事法の 規定上、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて処理を行うとされているものにつきまし ては、その時点で厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会に諮問をするという形で、専門 的、外部の意見を聴取した上で、最終的に承認という行政合意に至るということになっ てございます。  安全対策業務に関しましても同じような流れで、総合機構から厚生労働大臣に通知報 告が来ます。安全対策業務の場合、特別に緊急の安全対策業務をする場合には総合機構 だけではなくて、厚生労働省本省でも実際に整理・調査を行うということもございまし て、そこが少し違いますが、基本的には厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会に意見 を聞いて、最終的に安全対策を決定するという流れは同じでございます。  3ページ目でございますが、これが全体の薬事・食品衛生審議会の組織図でございま す。四角で囲んだ分科会、部会、調査会がございます。薬事分科会が四角で囲んでござ いまして、その右隣に部会が幾つかございますが、11の部会が囲んでございます。その 右側に調査会が幾つかございまして、12の調査会が四角で囲んでございます。これが審 議参加に関する遵守事項の適用対象部会等で、これだけの部会等が現在の遵守事項の対 象となってございます。  次のページでございますが、薬事・食品衛生審議会の概要でございます。薬食審につ いては先ほど御説明させていただいたところでございますので、割愛させていただきま す。  次のページでございます。1)の日本薬局方部会からございますが、四角で囲んだ部分 が遵守事項の適用対象部会で、実際に各部会でどのような内容の審議をしているかにつ いて、簡単に御説明申し上げます。  まず、医薬品第一部会でございます。医薬品の承認、生物由来製品・特定生物由来製 品の指定、再審査、基準、毒薬・劇薬の指定と書いてございます。医薬品第一部会、そ の下に医薬品第二部会とございますが、どのような対象の薬を審査するか、効能・効果 からしてどのような対象かというところで、第一と第二に分かれてございます。医薬品 第一部会におきましては、主に中枢神経系の薬や、循環器系、高血圧、そのような薬に ついて審議をする。医薬品第二部会におきましては、医療用の医薬品として抗菌性物質 製剤、化学療法剤、抗悪性腫瘍剤と書いてございますが、抗がん剤や、感染症の抗生物 質、そのようなものについての審議を行っていただいてございます。これらについて、 新有効成分と呼ばれる新しい医薬品について承認申請が出てきた場合に、最終的な承認 を下ろす前に、厚生労働大臣から審議会に諮問を行って、それを実質、部会の方で審議 していただくということを行ってございます。  6)の血液事業部会でございますが、血液製剤の供給、安全性の確保、適正使用の推進 ということで、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」で定められている 事項について、献血の推進計画等について審議を行ってございます。  医療機器・体外診断薬部会につきましては、先ほどの医薬品の医療機器版とお考えい ただければと思います。新医療機器についての審議を行うということでございます。  8)の医薬品再評価部会につきましては、医薬品には再評価というシステムがございま すので、再評価をするときの部会でございます。  次のページでございますが、生物由来技術部会は、生物由来原料基準等を行う。また、 一般用医薬品部会、化粧品・医薬部外品部会は、それぞれの医薬品についての審議を行 う。12)医薬品等安全対策部会、13)医療機器安全対策部会は、安全性に関する事項につ いて審議をする。最後、17)は、動物用医薬品の部会でございます。駆け足になってしま いましたが、概要はそのような状況でございます。  次のページでございますが、これは平成19年度と平成20年度8月までの部会等の開 催状況でございます。まず、平成19年度でございますが、1、薬事分科会は、平成19 年度は5回開催されてございます。審議された議題が14ございまして、報告された議題 が130となってございます。  2、医薬品第一部会、3、医薬品第二部会でございますが、それぞれ開催回数が9回、 8回。大体、年8回程度となってございます。審議の議題数が47と21ということで、 少し幅がございますが、年間30〜40は審議をするという形になりますので、1回の部会 で4〜5つの議題が審議されるということでございます。その他、報告の議題がそれよ り少し少ない数があるということでございます。  血液事業部会については、開催回数が2回、審議議題が7。医療機器・体外診断薬部 会については、開催回数が5回、審議議題が10。  安全対策の部会につきましては開催回数が少なく、審議の議題も少ないのですが、副 作用の報告につきましては、まとめて御報告する分についてはすべて報告議題となって ございまして、危急に対応をとらなければいけないものについては、別途、調査会の方 で緊急的な対応を行うという形をとってございます。  平成20年度でございますが、薬事分科会は1回開催、審議議題が四つでございます。 医薬品第一部会、医薬品第二部会は上半期で開催回数がちょうど平成19年度の半分くら い、審議議題も半分くらいという状況で推移しているところでございます。  最後のページでございます。先ほど守殿先生からいろいろお話をお伺いしていたとき も御指摘がございましたが、5月〜8月開催分ということで、データが少ないわけでは ございますが、この3か月に開催されました審議会、分科会、部会等についての、今回 の遵守事項の適用状況についてまとめた表でございます。  まず、一番上に「薬事分科会(1回)」と書いてございますが、薬事分科会については 1回開催されてございまして、延べの出席人数が16人。審議数といたしましては、個別 品目は4品目ございました。申請企業数は4企業。それに係る競合企業として提出され たものが九つあるということでございます。各分科会の出席人員×(申請企業+競合企 業)の数が延べの検討人員という形で、208人と出してございます。  右のカラムにつきましては「審議不参加等の取扱」とさせていただいてございますが、 「申請企業」、「競合企業」の下にそれぞれ「議決不参加」と「退出」とございますけ れども、遵守事項の適用を受けまして、退出された委員が何人いらっしゃったか、また、 議決権を持たない委員が何人いらっしゃったかを示してございます。申請企業で議決不 参加になられた方が、分科会の場合は3人いらっしゃった。競合企業の方を御覧いただ きますと、競合企業の申告によって議決不参加の方が3人いらっしゃった。また、審議 不参加、退出された方が2人いらっしゃったということで、審議不参加等で、何らかの 形で遵守事項の規定上、不参加とされた方が、延べとして8人いらっしゃった。これが 延べ検討人員から見ますと3.8%というのが、この表の見方でございます。  以下、医薬品第一部会は3回、医薬品第二部会は3回、医療機器・体外診断薬部会は 2回開催されてございます。「他(7回)」というのは、それぞれ1回ずつくらいしか開 かれない部会についてまとめたものでございます。まず、医薬品第一部会を見ていただ きますと、延べ検討人員数は960人となりますが、申請企業の議決不参加、退出、競合 企業の議決不参加、退出、合わせまして53人の方、5.5%の方が対象になられています。 同様に、医薬品第二部会は、337人に対しまして、延べでの対象となられた方が14名、 4.2%。医療機器・体外診断薬部会については、どなたも対象にはならなかった。他を見 ますと1%の方が対象になったということで、全部をトータルいたしますと、2,192人 に対して80名の方が対象となったということで、3.6%という数字が出ているところで ございます。幾分、母集団が少ないということではございますが、傾向としてはこのよ うな形で、運用が進められているという御説明でございます。以上でございます。 ○樋口座長 ありがとうございました。資料2について何かコメント、あるいは御意見、 御質問を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○花井委員 最後の表で、調査会は「他」に含まれているという理解でよろしいのでし ょうか。 ○総務課長補佐 こちらは部会の方で取りまとめてございまして、調査会は含まれてご ざいません。 ○花井委員 実際に調査会でもこのルールを使ってはいるのですね。 ○総務課長補佐 同様に検討を進めてございます。 ○花井委員 調査会を入れるともっと多いということですか。 ○総務課長補佐 ほとんど適用はないという状況でございます。 ○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。 ○審査管理課長 事務局が出しておきながら事務局が言うのも変な話ですが、最後の表 で「延検討人員」というのは、一番下になお書きで書かれているように「出席委員数× 企業数」、企業数も「申請企業+競合企業」で書かれているわけでございます。したが って、例えば、競合企業は上限3社ということになっておりますので、競合企業がない という場合もありますが、平均2社あるとすると、出席委員×申請企業を含めて3とか 4という数字が影響度、例えば10人の審議委員がおられるときに、何人の委員がこのル ールに抵触しているかを示すわけでございます。そういう意味で申し上げますと、3.6 %という数字は10%とか15%の委員がこのルールに抵触している。  特に議論が出てまいりますのは、それが議題に応じて均等に出てくればいいのですが、 ある意味で申し上げますと、奨学寄附金、あるいは委託研究を盛んにやっておりますの は大きな企業、大きな研究開発をやっている企業でございますから、どうしても局部的 に出てくる。  例えば、新薬の承認審査は医薬品第一部会、第二部会に薬効の範囲に応じて分けてや っているわけでございますが、どちらも5.5%とか4.2%ですから、そういう意味で申し 上げますと、この3〜4倍、15%程度が何らかのルールに引っ掛かっている。それがま た、極度に引っ掛かる場合が出てくるというのが実態なのだろうと思います。具体的に 品目ごとに一番影響が大きかったのが、例えば15人の出席者のうちどういうものだった か、ある程度個別にお示しした方が分かりやすいかと思いますので、次回また資料をそ ろえさせていただきたいと思います。 ○樋口座長 少し関連して、今、課長がおっしゃってくださったのは、この表の見方、 読み方ですね。3.6%は非常に少ないと言うのでしょうか、この程度の影響であれば、ル ールを適用しても、何をもってルールがうまく適用されているかというのは、何とも言 えないところです。しかし、延べ人員の80という数字と、今おっしゃったのは、延べ検 討人員が2,192という数字だけでも、実は企業数を掛けているので、例えば3で割ると 700。700のうちの80なので、10%を超える程度に影響を与えているという御趣旨だと 思います。  私が分からなかったのは、一番左に「延出席委員数」がありますね。この80を204 で割ることはできないのですか。それですと40%になって、大きな影響度になりますが。 これは私の誤解なのでしょうか。私は数学的センスがなくて、文系にやってきているわ けですから。 ○総務課長補佐 延べ出席委員数でございますが、ここで3回開いたときに、全体とし て何人いらっしゃったかという数を示しているものになりますので、延べ検討人員とか、 後ろでお示ししているデータと、実は関連付けができないデータが入っているというこ とがございますので、そこで一概に比較ができない状態でございます。前回、こういう 形でお示しするということで御提案させていただいたのですが、先ほど課長からもあり ましたけれども、もう少し実態が分かる形にまとめ直して御提出させていただければと 思います。 ○樋口座長 例えば、一番上の薬事分科会は1回ですね。出席委員は16人いて、幾つか の議題があったと思いますが、品目が四つなら四つあったと思いますけれども、その会 議で、延べ人員で言うと8人が何らかの形で影響を受けているというのは、16人のうち の8人ですから、これを単純に割ってはいけないのかもしれませんが、50%に見えます よね。 ○総務課長補佐 見えますが、出席されている16人の方が四つの議題について検討され ていますので。 ○樋口座長 そうですね。8人が、同じ人が重なっている場合がたくさんあり得るから、 単純に5割と考えてはいけないですね。 ○総務課長 そこは分かりやすいようにもう一度資料を整理します。 ○審査管理課長 審査担当課長として申し上げるのですが、実態はもう少し詳しく分か るようにさせていただきますけれども、そういう意味で申し上げますと、一つ考えがご ざいます。競合企業を前回の御議論で入れていただいたと思いますが、競合企業を相手 にしているのは、申請品目に対する意地悪と申しますか、マイナスの利益相反と申しま すか、そういう観点からなのだろうと思うわけでございます。それは一つの懸念として 当然配慮しなければいけない事項なのですが、例えば別の代償措置、部会において否決 された場合に申請企業が異議申立てをできて、そのときには競合企業の利益相反もチェ ックするとか、そのような代償措置のようなものが考えられないか。  と申しますのも、例えば高血圧の薬を考えてみますと、大手企業はそれぞれ持ってい る。それだけ利益相反の幅も広がってくるという実態もございまして、現実問題として、 審議会の議題をやりくりして、遅れて来られる先生もございますので、あるいは今日の 守殿先生のように何時までという先生もございまして、利益相反のルールに合うように やり取りをしている実情もございますので、そこはもう少し生々しい資料を出させてい ただきたいと思います。 ○樋口座長 そうですね。時間の経過とともに、もう少し数も増えてくるでしょうし。  予定していた時間が来ているのですが、もう一つ資料がありますね。外国の状況とい うことですが、これは今日は頭出しだけしていただいて、主たる部分は次回に回すとい うことにしていただいてよろしいですか。お願いいたします。 ○総務課長補佐 今、座長からもございましたが、簡単に御説明させていただきます。 昨年の遵守事項を検討していただきましたワーキンググループにおきまして、アメリカ なり欧州なりの規定を参考にしつつ、我が国の実態を踏まえて検討を行ったところでご ざいます。  アメリカにおきましても、2007年にガイダンスの案が出てございまして、そういった ものを参考にしていたわけでございますが、パブリックコメント等を経まして、2008年 8月に正式な利益相反のガイダンスが発行されたところでございます。資料3はその要 約でございます。1ページに最近の経緯が書いてございまして、2ページの5.でござい ますが、以前、実際に使っていたガイダンスとの主要な変更点、6.が、どういう手順で 各諮問委員会委員の利益相反を決定していくかというフローチャートにつきまして、簡 単に要約したものでございます。原文と原文の仮訳については、参考資料6で内容を詳 細にお示ししているところでございます。 ○樋口座長 これは頭出しだけということなので、せっかく用意していただいたのに、 時間の関係で不十分な説明になってしまいましたが、とりあえず、今、御覧になった範 囲で何かあればお願いいたします。 ○神山委員 仮訳の方の3ページの下から4ページに、連邦食品医薬品化粧品法のセク ション712で会議への参加を禁じていると書いてありまして、このガイダンスは結局、 特例の適用に関するガイダンスで、禁止されているけれども参加していいということを 判断するためのガイダンスなのです。ですから、もともとの禁止は、これを見ると連邦 食品医薬品化粧品法のセクション712にあるようなので、これを見たいと思うのですが。 ○総務課長補佐 次回、御用意させていただきます。 ○樋口座長 そのほかにいかがでしょうか。それでは、ほとんど時間もなくなっていま すので、議事次第では最後に「その他」とありますが、事務局から御説明をお願いいた します。 ○総務課長補佐 その他でございますけれども、特段ございませんが、今回、参考人の 方から頂いた様々な御意見、各委員の方から頂いた御意見等を踏まえて、こちらでの資 料の準備等が不足している部分があり、申し訳ございませんが、次回、再度、取りまと めた形で、今回の議論を踏まえた上で、資料を御提示させていただき、議論していただ ければと考えてございます。  次回の委員会でございますが、10月15日、午前10時からの開催を予定させていただ いてございます。今回いろいろと頂きました宿題に加えまして、次回の委員会におきま しては、現在調査中でございます厚生労働科学研究のアンケートの調査結果も速報とし てまとめられると思いますので、そのようなものについても御報告させていただければ と考えてございます。以上です。 ○樋口座長 各委員の方、何かございますでしょうか。よろしいですか。それでは、次 回、第3回は10月15日ということで、またお会いしたいと思います。本日は長時間に わたりどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)