08/09/03 第2回麻しん対策推進会議議事録 第2回 麻しん対策推進会議 議 事 録 第2回 麻しん対策推進会議 議事次第   日  時  平成20年9月3日(水) 10:00〜12:05     場  所  厚生労働省 専用第21会議室(中央合同庁舎5号館17階) I 開  会 II 議  事   1 麻しんの発生状況について(麻しん対策技術支援チーム)   2 麻しんに関する意識調査結果について(麻しん対策技術支援チーム)   3 平成20年度麻しん風しん第3期・第4期予防接種率等全国調査結果及び都道府県     における「麻しん対策会議」の設置状況等の調査結果について                               (事務局:厚生労働省)   4 自治体の麻しん対策の状況について    (1)第2期麻しん風しん予防接種の接種率向上に向けた事例紹介(新潟市保健所)    (2)茨城県における麻しん排除に向けた対策の事例紹介(茨城県保健福祉部)   5 学校における麻しん対策ガイドラインの作成報告について(事務局:文部科学省)   6 ロゴマーク・ポスターの作成等報告について(事務局:厚生労働省)   7 普及啓発に関するCM等作成報告について(国立感染症研究所)   8 その他 III 閉  会 ○山田課長補佐 それでは、定刻になりましたので、これより第2回麻しん対策推進会議 を開会いたします。  本日は、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  最初に、出席者の紹介をさせていただきます。  まず、委員の方々より御紹介いたします。  飯沼雅朗様、社団法人日本医師会常任理事でございます。  今井達男様、武田薬品工業株式会社医薬営業本部ワクチングループマネージャーでござ います。  衞藤隆様、東京大学大学院教育学研究科教授でございます。  岡部信彦様、国立感染症研究所感染症情報センター長でございます。  荊尾玲子様、島根県奥出雲町立三沢小学校教頭でございます。  加藤達夫様、国立成育医療センター総長でございます。  蒲生真美様、ひよこくらぶ編集長でございます。  金城綾乃様、Kiroroのお一人でございます。  玉城千春様、Kiroroのお一人でございます。  佐藤恭信様、東京都島しょ保健所長でございます。  田代眞人様、国立感染症研究所ウイルス第三部長でございます。  寺島光一郎様、北海道乙部町長でございます。  畑秀二様、SSPE青空の会副会長でございます。  福田仁史様、財団法人阪大微生物病研究会東京事務所長でございます。  前田秀雄様、東京都健康安全研究センター所長でございます。  森谷一夫様、東京都公立高等学校PTA連合会会長でございます。  なお、西口様、三重県健康福祉部医療政策監におかれましては、御欠席の御連絡をいた だいております。  以上でございます。  続いて、今回地方自治体より新潟市及び茨城県に参考人として参加いただいております ので、御紹介させていただきます。  まず、石沢幸子様、新潟市保健所保健管理課健康危機管理室長でございます。  入江ふじこ様、茨城県保健福祉部保健予防課健康危機管理対策室長でございます。  永田紀子様、茨城県保健福祉部保健予防課健康危機管理対策室係長でございます。  以上でございます。  また、前回の会議で国が地域における麻しん対策を支援するために、麻しん対策技術支 援チームの設立が承認されました。当該支援チームのメンバーを紹介させていただきます。 メンバーの皆様、御起立をお願いいたします。 (多屋室長、多田室長、安井主任研究官、砂川主任研究官、山下主任研究官、山本研究員、 菅原研究員、山本技術補佐員 起立) ○山田課長補佐 御起立いただきました皆様が、麻しん対策技術支援チームの国立感染症 研究所の先生方でございます。ありがとうございました。  このメンバー以外に、厚生労働省、文部科学省も入っております。  また、本日関連機関にオブザーバーとして御参加いただいておりますので、御紹介させ ていただきます。総務省から参加いただいております。  以上でございます。  それでは、開会に当たり、上田健康局長よりあいさつを申し上げます。 ○上田健康局長 健康局長の上田でございます。  委員の皆様方には本会議の第2回目の開催に当たりまして、多用にもかかわらず御出席 をいただいております。ありがとうございます。  本会議につきましては、第1回が本年2月に開催され、我が国における麻しん対策の進 め方や麻しん対策の重要性について御議論をいただいたところでございまして、4月より 新たな麻しん対策が始まったところでございます。麻しん対策の根幹とも言うべき予防接 種でございますけれども、特に昨年の流行を踏まえて、若年層への流行防止のため導入さ れた第3期、第4期の接種につきましては、この4月から始まり新たな第一歩を踏み出し、 今後施策の効果が期待されているところでございます。  麻しん排除に向けての取り組みは、このように始まったばかりではございますが、本会 議の役割でございます当該施策の機能、成果についての評価・分析の実施、必要に応じた 修正など、麻しん対策の画一な推進に関して御議論いただくため、この会議では患者発生 状況や接種率などについて報告をさせていただくことになっております。我が国は平成24 年度までに麻しんを排除するという目標を掲げ、初年度の取り組みが半年を経過しようと しているところでございますが、国民の皆様方には国や各自治体等における当初の取り組 みや、接種の状況などを御理解いただきまして、麻しん排除に向けて必要な予防接種の、 いわゆる接種率95%達成に向けて御協力いただけるよう期待しているところでございます。  私たちは、この3月にカナダ政府と新型インフルエンザについての打ち合わせを少しし ましたけれども、その折にもカナダ政府の方から日本の麻しん対策についても少し指摘が あったところでございます。そういう点では、先進国の中の日本あるいはアジアの一員と しての日本という観点からも、この麻しん対策というのは非常に重要な課題だと思ってい るところでございます。  このようなことからも、我が国の麻しん排除に向けまして現在の取り組み状況に関して、 各委員の方々から活発な御議論をいただきますことをお願い申し上げまして、開催に当た りましてごあいさつと御礼に代えさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い 申し上げます。  なお、狭い部屋で皆さん暑いと思いますので、上着もとって涼しくして、ただし、活発 な熱い議論をしていただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。 ○山田課長補佐 局長にあっては所用のため、ここで退席させていただきます。御了承の ほどよろしくお願い申し上げます。  また、カメラ撮りにつきましても、ここまでとさせていただきます。よろしくお願い申 し上げます。 (上田健康局長 退室) ○山田課長補佐 続きまして、事務局を御紹介させていただきます。事務局は、厚生労働 省と文部科学省で構成されております。  最初に、厚生労働省でございますが、本年7月11日付で着任いたしました結核感染症課 長の梅田でございます。  感染症対策企画調整官の正林でございます。  本年9月1日に着任いたしました課長補佐の江浪でございます。  課長補佐の石塚でございます。  私、課長補佐の山田でございます。  予防接種担当主査の小林でございます。  続きまして文部科学省でございますが、スポーツ青少年局学校健康教育課専門官の高山 でございます。  この後の議事の進行につきましては、前回の会議で座長に選出されました加藤先生にお 願いいたしたいと思います。加藤先生よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 おはようございます。  それでは、本日の議事を進めさせていただきます。まず、事務局から資料の確認をお願 いいたします。 (配付資料確認) ○加藤座長 本日の麻しん対策推進会議は、参考資料3にございますが、昨年12月28日 に交付されました麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、平成24年度までに 麻しんを排除し、かつ、その後も排除状態を維持するということを目標といたしまして、 国・県・市町村が実施している各種の施策について、進捗状況を確認し、有効に機能して いるかなどの評価を行いまして、今後の施策に反映することを目的としている会でござい ます。  本日は盛りだくさんの内容となっております。最初に、前半の議題1〜5までを御報告 いただきまして、その段階でひとまとめといたしまして、議論をいただきます。その後、 後半の6〜8までについて御報告をいただきまして、まとめて御議論いただく予定といた しております。  それでは、まず、最初の議題となっております麻しんの発生状況につきまして、麻しん 対策技術支援チームより国立感染研情報センター、安井先生からの御説明をお願いいたし ます。 ○安井主任研究官 麻しん対策技術支援チーム及び感染症情報センターの安井でございま す。トップバッターとして、麻しんの発生状況について報告をさせていただきます。  麻しんの発生動向は、昨年までは定点からの報告疾患として報告されてきましたけれど も、本年1月1日より全数把握疾患に変わりまして、初めてそのデータがどうなっている かを取りまとめさせていただきましたので、2008年の麻しんの発生状況について御報告さ せていただきます。 (PP)  横軸が1週間、1年間、第1〜52週で最新のデータが第34週ということで、8月24日 までですが、週ごとの麻しんの報告数をプロットしたものです。これは見ていただいたら わかるとおり、今年は1〜2月にかけて麻しんの報告数は上昇しましたけれども、その後 は増減を繰り返して、落ちているのは春休みですが、春休み以降また増加しましたが、そ の後ゴールデンウィーク前を一つのピークとしてその後低下を示しております。そして、 夏休みに入って大きく低下して、第34週の報告数が26例ということで、かなり落ち着い てきている状況になっています。  麻しんはもともと春から夏にかけて流行する疾患であると言われていますけれども、今 年はどちらかというと4月まで流行していたけれども、5月以降はそれが終息傾向にある と思われます。 (PP)  ゴールデンウィーク直前の春の一つのピークである第17週の1週間の報告数を各都道府 県ごとにプロットしたものですけれども、神奈川県、北海道、東京都、千葉県、福岡県、 大阪府と大都市圏、特に南関東地域において今年は報告が目立ちました。 (PP)  次は、各都道府県の報告数をそれぞれ第1〜34週まで累積したものです。累積報告数は トータルで1万677例ありまして、神奈川県が突出して多いというのは見ていただいてわ かるかなと思います。次いで北海道、そして、東京都、千葉県、福岡県の順番となってお ります。  昨年と比べて多いのか少ないのかというのは、定点把握から全数把握になったので非常 に比較は難しいのですけれども、東京都などで定点医療機関からどの程度報告が上がって いるかを昨年と比較されたものを以前お聞きしましたが、それを見ると東京都においては 昨年よりは報告数は少ないようだとは言われております。ただ、神奈川県は恐らく昨年よ り多かったのではないかと思いますけれども、地域によっては差があるのではないかと思 います。 (PP)  次は、全体の報告数を臨床診断例、検査等をされていない場合、それから、検査によっ て診断されたもの。そして、修飾麻しんは臨床診断としてはクライテリアは満たさないけ れども、ワクチン等を以前接種されていて検査によって麻しんと診断されたものを含んで おりますけれども、これを見ると、まだまだ我が国においては臨床診断例が多いと。先進 国ではほとんどすべてが検査診断例となっておりますが、我が国においてはまだまだ麻し んの患者数が多いということを反映していると思われますが、臨床診断例が60%を超えて いる。そして、検査診断例が30%弱であると。修飾麻しんが8.9%となっています。 (PP)  次は、各年齢群別を円グラフにしたものです。どの年齢層が多いかですけれども、昨年 からはっきりと流行形態が変わって、それまでは1歳児を中心に0歳児、それから、2〜 5歳までのお子さんたちが麻しん発生の中心でしたけれども、今回最も多いのは15〜19歳 で26.8%であると。次いで10〜14歳が16.9%ということで、10代が流行の中心であると。 両者合計すると40%を超えているいます。そして、0歳、1歳、4歳までの報告数という のが大体14%ぐらいとなっています。 (PP)  次は、各年齢ごとに今の報告数をプロットしたものですけれども、これを見ていただく とわかるとおり、我が国においては麻しんの流行、発生の中心は今は10代の真ん中、特に 14〜17歳と書いておりますが、それから、離れていますが0歳児、1歳児。以前我が国に おいては流行の中心は1歳が一番多かったんですが、現在は0歳児、1歳児となっていま す。これは恐らく以前に比べると1歳児でのワクチン接種率が上昇してきている、あるい は接種が早く済まされる傾向になってきているというのはあると思いますけれども、流行 が起こっているときに0歳児においてはまだまだワクチンを接種されていませんので、そ のお子さんたちにおいては、ウイルスに暴露して感染・発病しているというのが、特に10 代の流行に引っぱられて0歳児、1歳児も上がっているのではないかと解釈しております。 (PP)  そして、ワクチン接種歴別に発生報告数を分析したものですけれども、接種歴なしが 45.1%となっています。1回接種が26.1%ということで、1回接種も多いと思われますけ れども、ただ、非常に多いのが27.7%、接種歴不明でして、こちらは10代後半から20代、 30代と年齢が上がるごとに接種歴不明が増えてきていまして、これは接種歴がないのか、 あるいは1回接種したのかわかりませんけれども、特に年齢が高い人たちにおいては、接 種歴のない方々が結構多いのではないかと。実際は、ワクチン接種されていない方々が恐 らくは半数を超えているのではないかと。我が国においては、まだまだワクチン未接種が 流行の中心であると思われます。 (PP)  次は、第34週までに麻しんに罹患して脳炎を合併された方々です。麻しん罹患者のうち 500〜1,000例に1例が脳炎を合併すると言われていますけれども、今までに報告が8例あ りますので、それを表にまとめたものです。男性が4例、女性が4例と半々です。年齢層 を見ていただきたいんですけれども、10代が2人、20代が3人、30代が1人、40代が2 人となっておりまして、比較的年齢が高い方々で合併が多いと。そして、流行地域を反映 しているのか北海道、神奈川県、東京都からの報告ばかりであるというのも見ていただい たらわかるかと思います。  ワクチン接種歴については不明か問い合わせ中もありますけれども、あるいは接種歴が ない方々ばかりとなっています。 (PP)  まとめですが、2008年第1〜34週までで、報告数は27日現在で1万677例でした。年 齢群別に報告数を分類すると、15〜19歳、10代後半が26.8%で最も多く、次いで10代前 半が16.9%、0〜4歳が14.6%、20代前半が12.9%、後半が9.5%という順になっていま す。10〜20代前半の発生者の割合が半数以上を占めています。  累積報告数の年齢分布では、最多が15歳、次いで16歳、0歳、1歳、17歳、14歳の順 となっています。  麻しん含有ワクチンの接種歴別の発生者の分類では、接種歴なしが45.1%、1回接種が 26.1%、2回接種が1.1%、接種歴不明が27.7%となっております。 (PP)  脳炎ですけれども、麻しんの重篤な合併症である脳炎発生例は、これまでに8例報告が ありましたが、神奈川県、北海道、東京都からの報告でした。年齢群別では20代3例、10 代2例、30代1例、40代2例の順で、0〜9歳の報告は今までのところありませんでした。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  引き続きまして、2番目の議題でございます。麻しんに関する意識調査結果について、 多屋先生からお願いいたします。 ○多屋室長 麻しん対策技術支援チーム、感染症情報センターの多屋です。  今年4月から中1、高3相当年齢の方に麻しん・風しんの定期予防接種が始まりました けれども、特に高校生の世代ですと自分で行こうという意識がなければ、なかなか接種を 受けるという行動にはつながらないということから、昨年秋からいろいろな高等学校で麻 しん、はしかに関する意識調査をさせていただいております。今年は7月半ばに一番流行 規模が大きかった神奈川県横浜市内にある公立高等学校一校で高校3年生1学年全員の方 が、はしかに対する意識調査に御協力してくださいましたので、この結果を今後の対策に 生かせればと思っております。 (PP)  目的は今申し上げたとおりです。 (PP)  対象は、横浜市内にある公立高等学校一校の高校3年生を対象にいたしました。 (PP)  調査票の回収率は1学年277人中、83%でした。 (PP)  アンケート調査の回答者ですが、ほとんどの方が7月18日に調査していただいており、 中には生年月日との勘違いがありましたが、7月中旬の調査です。年齢は高3ですのでほ とんどが17歳、18歳となっています。男性が83人、女性が144人です。 (PP)  まず、はしかはどんな病気か知っていますかということについては、63%が知らないと 答えております。これは昨年実施した高校でもほぼ同様の結果で、まず、はしかを知らな ければ、恐らく予防接種を受けにいこうとは思っていただけないと感じました。 (PP)  どのようなイメージを持っていますかという問には、子どもだけがかかる、軽いといっ た思いを持っている生徒さんもいらっしゃるということがわかります。これはまた後でゆ っくりご覧いただければと存じます。 (PP)  どのようにすれば予防できるか知っていますかということについては、半分が知りませ ん、知っていると答えた生徒さんの中にも、うがい、手洗い、外に出ないや日々の生活を 改めるといった回答もございました。 (PP)  はしかにかかったことがありますか、これは今の高校生だとこのぐらいだと思いますが、 1割はいないという状況で、今まで流行が起こった高校でもほぼ同じような状況です。全 国大体これぐらいの状況ではないかと思っています。 (PP)  ワクチン接種歴につきましては、やはりこの年齢になると不明が多く、あると回答した のは半分少しということです。ワクチンを受けていないという30人のうち、かかったこと もないという人が24人おりまして、未接種、未罹患の方が7月半ば現在で24人、不明者 が70人弱いるという状況です。 (PP)  なぜ受けていなかったのかという理由は、ほとんどが何となく受けていなかったという 回答です。 (PP)  昨年随分流行いたしましたけれども、東京で流行したことを知っていましたかというこ とについては、知っているは8割ですけれども、逆に言えば20%弱はあれだけの流行があ っても、やはり知らないという状況のようです。 (PP)  同じようにはしかで休校になったことを知らない方もいる。 (PP)  更に、学年閉鎖等そういうことが行われていることも知らない。 (PP)  次に、予防接種の情報ですが、予防接種を受けた後に2割弱で熱が出て、1割弱で発疹 が出ることがあるということについては65%の人が知りません。一方、はしかにかかると 39〜40℃の熱が1週間以上続いて、4割が入院するかもしれないということについても7 割以上が知りませんでした。かかってしまうと治療法がないということについては58%が 知りません。 (PP)  これから2枚が、やはり知らせてあげないといけないと思った内容です。かかると1,000 人に1人の死亡、そして、1,000人に1人の脳炎発生ということを8割以上のお子さんが知 らないということで、脳炎になりますと致死率も高いですし、治っても重度の後遺症を残 すということをほとんどの方が知らない状況です。 (PP)  流行がたとえあってもワクチンを2回受けていれば、ほとんどの方がかからずに済むと いうことも知らないと。 (PP)  アメリカでは、2回求められているということも85%が知りません。 (PP)  ここがまた少し問題かなと感じたんですけれども、7月半ばの状況で、この4月から定期 の予防接種対象になって、公費負担で受けられることになったということを半分がまだ知 らないという状況ですので、情報を伝えるということの難しさと、まず伝えなければいけ ないと感じました。 (PP)  この調査をしている中で、やはりワクチンを受けていない、かかったことがないという 人がいれば、ワクチンを勧めてあげますかという問いに関しては、4分の3が勧めると答 えてくれています。中には思わないという方もいらっしゃいます。 (PP)  この辺は後でゆっくりごらんいただきたいんですが、こういうふうに高校3年生は今思 っています。やはりかかったら大変そうだということが、この調査でわかっていただけた かなという、一つの調査の目的は果たせたかなと感じています。 (PP)  次に、はしかの免疫があるかどうかということについて知る方法があるということを知 らない人が8割。 (PP)  そして、今2回目を勧めておりますけれども、2回目を勧めるあるいは免疫がなかった ら勧めるといったような意見について聞いてみましたが、8%は勧めないというお子さん もいらっしゃいました。 (PP)  ここも本当に高3生の忌憚ない意見なので、ぜひお読みいただければと思います。 (PP)  次に、あなたならどういう気持ちになったらワクチンを受けに行こうと思うか、これが 達成されなければ接種率95%以上はなかなか達成できないのではないかというところなん ですけれども、まずは、重症であるということを知ってびっくりしたということ、それか ら、学校でやらないといけない、学校でやってほしいという意見。それから、宣伝をもっ としっかりしてほしいという意見。接種しないと学校に入学できないようにするという意 見もありました。あとは、マスコミに是非伝えてほしいという高校生からの期待もありま すし、もっと病気について国民に知らせるべきだと、恐ろしさをもう少し明確にわかりや すく説明してほしい、もっと怖さを知らせてほしい、そして、麻しんに実際になった人の ドキュメンタリーみたいな番組を企画して放送してほしいというような意見もありました。  最後ですけれども、メディアの力を借りて是非知ってもらいたい、今回知らなかったの でもっと知るべきだというような意見が高校生から聞かれました。 (PP)  結果は今の数字をまとめたもので、4〜6月を重点的な接種勧奨期間として接種を勧奨 してきたわけですが、7月中旬時点でこういった状況です。最も流行が大きかった横浜市 内の公立学校での状況ですので、是非全国の高校生、中学生、1期、2期も勿論そうなん ですが、情報をしっかり伝えて受けに行っていただける環境づくり、そして、受けに行こ うと思ってもらえるような努力が必要ではないかと。それにはメディアの方々の力や、学 校の果たす役割というのはすごく大きいのかなと感じました。 (PP)  調査に協力してもらったメンバーです。 (PP)  最後に、昨年の高校生の調査を受けまして、とにかく中学生、高校生にはしかを知って もらおうということで、教育啓発ビデオをうちの部屋でつくりました。ホームページにも 公開しておりまして、DVDも配付しておりますので、是非学校で使っていただければ、 あるいはほかのところでも使っていただければと思います。後でまた砂川先生から少し紹 介してもらうことになっているんですけれども、御利用いただければと思っております。  以上です。ありがとうございました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  続きまして、3番目の議題でございまして、平成20年度麻しん風しん第3期、第4期予 防接種率全国調査結果及び都道府県における麻しん対策会議の設置状況等の調査結果につ いて、事務局から御説明をお願いします。 ○小林主査 厚生労働省結核感染症課の小林でございます。私からは第3期、第4期の予 防接種率の全国調査と都道府県における麻しん対策会議の設置状況の調査等について御報 告申し上げます。  資料5をごらんください。スライドが2枚ということでパワーポイントは御用意してご ざいませんので、お手元の資料をごらんいただければと思います。  まず、資料5とは別に、お手元の資料の中の一番最後、参考資料3をお配りさせていた だいているんですが、こちらで平成20年6月27日付で幾つかの地方自治体の方に聞き取 り調査を行いましたところ、接種状況が非常に低かったということを受けて、まず、6月 27日付で接種促進を依頼しているところでございます。今回、全国的な接種率の調査を行 いましたので、参考資料3の後の状況まで含めまして資料5で御説明させていただければ と存じます。  まず、2枚スライドがあるんですけれども、上は第3期の麻しん風しんワクチンの接種 率になってございます。第3期は中学校1年相当の学年の方に該当するものですが、こち らの接種率につきましては、今年度4月1日から6月30日までの接種状況の評価というこ とになってございます。この第3期の接種率は全国平均では38.8%でした。地方によって ばらつきがございまして、一番高いところでは茨城県の71.2%、一番低いところが鹿児島 県で24.4%となってございます。  この接種率でございますが、平成19年12月に策定しました麻しんに関する特定感染症 予防指針という中で、目標が95%と定められてございますので、一番高い茨城県でもまだ この95%には到達していないということになります。  ただし、この調査は6月30日時点までの結果ということですので、この後、各自治体で 取り組みが進んでいるということ、また、夏休みに集中して接種を勧奨するというお話も 聞いてございますので、現時点ではもう少し上がっているのではないかと考えているとこ ろでございます。  また、下のスライドにつきましては第4期、高校3年生相当の学年の方々に対する麻し ん風しんワクチン接種率ということになってございます。こちらも同様に、6月30日まで の結果となってございますが、全国平均では第3期よりも低い29.6%になってございまし て、こちらにつきましても地域ごとにかなりばらつきがございまして、一番高いところが 佐賀県の52.1%、一番低いところは大阪府の17.5%でした。  お手元の資料の後ろに続いております表についてですが、こちらにつきましては都道府 県別の詳細なデータが出ております。後ほど御確認をいただければと思います。  また、4ページと5ページにつきましては、政令指定都市及び東京23区を取り出して個 別に書いてございますので、こちらにつきましても後ほどごらんいただければと思います。  6ページの表5につきましては、接種率とは別に個別に接種を受けるように通知をして いるかという率と、接種を受けていない方に関しまして接種を受けてくださいとお願いす るために必要な未接種者の把握ができているかということに関しまして、各都道府県別の 率を示しているものでございます。全国平均といたしまして97%、92%とそれぞれ非常に 高い率を示しているんですが、やはり最終的に麻しんの予防接種率95%を達成するために は、こちらの方も是非100%に近づけていただければと考えているところでございます。  7ページと8ページの表6及び表7は、6月30日時点でまだ予防接種を受けていない方 の人数のグラフになってございます。こちらにつきましては率のグラフではございません ので、ごらんのとおり人口の多い都道府県がどうしてもグラフの左側に寄ってしまうとい うことになってございまして、未接種率との乖離がございますので、この点については御 注意願えればと存じます。ただし、接種率95%を達成するためには、一番上のグラフから 下の点線のグラフまで人数を下げないと95%を達成できないということですので、今後、 予防接種を何人が受けなければならないかという観点から御参考にしていただければと考 えて提示させていただいたところでございます。  資料5につきましては、以上です。  続きまして、資料6に移りたいと思います。こちらに関してはスライドをごらんいただ きながらお話をお聞きいただければと存じます。 (PP)  都道府県における麻しん対策がどのように行われているかということにつきまして、先 ほどは6月30日時点だったんですが、こちらにつきましては日程がずれまして、7月14 日現在の状況ということになってございます。時間が限られてございますので、幾つか抜 粋して御説明させていただきます。 (PP)  まず、麻しん対策会議等の有無ということで、麻しん対策会議というのは先ほどもお話 に出てきました、麻しんに関する特定感染症予防指針の中で各都道府県に設置をお願いさ せていただいているところでございます。これは7月14日現在で設置をしているかどうか ということなんですけれども、47都道府県のうち現在33都道府県が設置しているというこ とでした。設置されていない県につきましては、引き続き御努力をいただきまして、接種 率が100%になるようにお願いさせていただければと考えているところでございます。 (PP)  また、設置はされているけれども、開催されていたかどうかということに関しては、設 置をされている33都道府県のうち7月14日までに会議が開催されている県が26都道府県 になってございます。開催につきましても、なるべく早めに開催していただきまして、各 都道府県の中で予防接種率を上げていただくような話し合いをしていただければと思って おります。 (PP)  3ページの右下、全市区町村での個別通知が行われているかということに関してでござ います。こちらにつきましては47都道府県のうち30都道府県につきまして、個別通知が 既に実施されているということでございました。先ほど説明した表5で都道府県別の個別 通知実施率というものがあったんですが、そちらと見比べていただきますと幾つか乖離が ある都道府県があるんですけれども、それにつきましては先ほどの表が6月30日までで、 これが7月14日と日程がずれていることに起因していると思われます。これにつきまして は個別通知をやはりすべての都道府県、すべての市町村で実施していただくことによりま して接種率が上がると考えてございますし、麻しんに限らず定期の予防接種実施要領にて、 特段の事情がない限りは個別通知をすることと定められてございますので、これにつきま しては御努力をいただきまして100%にしていただけるようにお願いさせていただければ と考えてございます。 (PP)  7ページの11番、全市区町村における接種率の迅速な把握の可否あるいはその体制の有 無ということで、接種率の把握が可能である、または体制が整えられているという都道府 県は47都道府県中37都道府県でございました。これにつきましても先ほど御説明させて いただきましたとおり、未接種者を把握することによって、より接種の勧奨がスムーズに 行えるということでございますので、これにつきましても御努力をいただければと考えて ございます。  続きまして、後ほど御説明がありますが、学校のガイドラインで接種率の把握をお願い しているんですが、その体制が整えられているかということにつきまして47都道府県中29 都道府県でございました。こちらにつきましても、学校を通じて接種の勧奨を行うという ことも先ほどの特定感染症予防指針に書かれてございますので、引き続き御努力をいただ ければ幸いです。 (PP)  13番の副反応事例の迅速な把握に向けた体制の有無につきましては、すべての都道府県 が体制が整えられているということで、御協力いただきありがとうございます。  14番、被接種者の血管迷走神経反射発生の可能性に関して、医療機関に対する情報提供、 注意喚起の実施ということで、これは少し難しい言葉が出てきているんですけれども、血 管迷走神経反射というのは、予防接種をすることによって失神のようなことが起こりやす くなると言われてございまして、それに関する注意喚起が行われているかどうかというこ とになっています。これにつきましては、特に血管迷走神経反射というのは年齢が高くな ると起こりやすいとも言われてございまして、今回、予防接種の対象が中1と高3相当に 広がったということで、今回この設問を設けさせていただいたところでございます。  注意喚起につきましては、47分の9で低いということなんですが、現在までに報告され ています副反応の中で、血管迷走神経反射は7例報告されているんですけれども、そのう ち6例は3期と4期に相当している年齢の方からの御報告ということで、やはり非常に起 こりやすい状況であるということを御理解いただいた上で、引き続き注意喚起を各都道府 県通じてお願いさせていただければと存じます。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  続きまして、前半最後になりますけれども、4番目の議題でございます自治体からの御 報告をいただきますが、先進的な取り組みをされております事例について御紹介していた だきたいと存じます。今回参考人としてお招きしてございます新潟市保健所の石沢室長か らお願いいたします。 ○石沢参考人 済みません、追加の資料がございまして今、配っていますのでお待ちくだ さい。  それでは、始めたいと思います。新潟市保健所保健管理健康危機管理室、石沢と申しま す。よろしくお願いいたします。新潟市における第2期です。今回は第3期、第4期がテ ーマかと思いますが、第2期の麻しん風しん予防接種率の向上に向けてということで説明 させていただきます。  資料を作成する時間がなく本当に申し訳なかったんですが、お手元の資料7に沿っては しょって説明させていただきたいと思います。これは感染症情報センターの方に2年目に して接種率95%を達成したということで投稿したという経緯がありまして、それを基に説 明させてください。  まず、新潟市は出生数が毎年6,500〜7,000人ぐらい生まれています。第2期のMR対象 者は平成18年が7,119名、平成19年が7,072名でした。MR個別接種の協力医療機関が 平成19年で184件です。平成20年度は第3期、第4期が追加されましたので、二百何件 ぐらいになっております。そういう背景の中で接種率向上に向けて取り組みましたので報 告します。  まず、新潟市における取り組みの背景について、(1)〜(4)にまとめてみました。  (1)ですが、小・中・高校の麻しんの集団発生と成人の死亡例についてということです。 これは非常にショッキングな事例でありまして、平成15年にさかのぼりますが、12月下旬 ごろから市内の小・中・高で麻しんの集団発生があったということで教育委員会から報告 を受け、教育委員会や保育園と連携をとりまして対策に講じたところでした。その終息間 近の20週、5月11日に、麻しん罹患後に急性脳炎で死亡した女性の報告がありました。 この方は、お子さんが2人いらっしゃいまして28歳の主婦でした。その方のお母さんにお 聞きしましたら、予防接種歴はなく罹患歴もなかったということで、多分、お子さんの小 児科通院で感染したんじゃないかということが示唆されまして、改めてスタッフ一同怖さ を再認識させられた事例でした。  (2)としまして、ちょっと時期は遅かったんですが、その事例を受けまして新潟市医師会 と保健所で連携をとりまして、沖縄県の事例を参考に麻しんの全数把握事業を開始いたし ました。一応、麻しんの怖さということを市民に知っていただこうということで、発生報 告を受けますと必ず疫学調査を実施し、その情報をホームページ等また関係機関に全部フ ィードバックし、情報を共有化し、必要時に予防接種を勧めてきた背景があります。  (3)として、これは非常に残念なことでしたが、平成18年度第2期の初年度ですが、目 標にしていた95%が達成できなかったということで、2回の予防接種法改正で市民の方が 混乱した中で、先ほどお手元に配付した予防接種スケジュールに沿って、関係機関一同接 種勧奨に努めましたが、最終的には87.2%ということで非常に残念で、この悔しさを次年 度に生かそうということで頑張っていたところ、(4)ですが、ただいまも麻しんの急性脳炎 の報告がありましたが、昨年度新潟市内で2例の麻しんによる急性脳炎の届出がありまし た。どちらも同じ高校生で同じクラスの子でした。1人は後遺症もなく今も元気で学校に 通っておりますが、1人は重度の後遺症が残りまして、知的障害と車いす生活を余儀なく されております。改めて本当に怖さを再認識し、更に、平成19年に向けて95%の目標達成 に向けて更に頑張ろうということで、麻しんによる急性脳炎を出さないということをスロ ーガンに係員一同頑張ってきた経緯があります。  その接種スケジュールですが、平成13年に一応作成しまして、医師会、関係機関等で合 意を得ているスケジュールになっておりまして、随時法律が変わるときに更新してきたス ケジュールになっております。そのスケジュールに沿っていろいろ対策を講じてきました。 更に平成19年度は、いろいろな医師会等の話し合いの中でも、やはり就学前の健診の機会 を是非活用すべきだということで、就学前健康診断票に勧奨に必要な予防接種の欄を設け ていただきました。私どもは、これにより最後の接種率が上がるんじゃないかと楽観視し ておりましたが、思いのほか上がりませんで、接種スケジュールに沿って6月は上がりま したが、それが上がり続けると思っていたんですが、だんだん下がってきまして、下のグ ラフに書いてあるように11月は337人、12月は更に減りました。これは非常に危機感を 抱きまして、95%を目標にしていましたが達成できないんじゃないかということで、係員 一同どうしようということで個別通知に入ろうということで検討しまして、保健所システ ムを活用しまして未接種者の把握をしまして、二千何人かの個別通知を出しました。その 結果、更に接種率が上がりまして最終的には95%に達したという背景があります。  では、その95%を達成した要因は何だったのだろうということで(1)〜(3)でまとめまし たが、一応、個別案内を出したからといって、学校から連絡が行ったからといって、それ で楽観視しないで常に接種状況を把握し続けなければいけないということが大事だったん じゃないかと。その結果を基に、未接種者の個別通知を行ったということが一つの要因か なと思います。  (2)は、今のと重複しますが、継続的かつ多方面からということで、保健所だけではやは り限界があります。チームで支援していくことが大切であるということで、保育園、幼稚 園、公立・私立も含めてですが、小学校、中学校、医師会も大事な役員の一人になってお りますが、連携して行ってきたということが言えるかなと。  (3)関係機関の連携強化ということで、チームで支援すること、システム化していくこと が重要であったということで、新潟市においては平成4年から新潟市小児保健連絡会議を 立ち上げまして、年に1〜2回関係機関が全部集まりまして、その都度課題を出し合いま して検討していくと。その中で先ほど申しました接種勧奨の必要な予防接種を設けたり、 対策を講じているという背景があったということが言えるのかなと思います。  まとめとしましては、本当にいろいろな場面を通じて一つの機関だけではなくて連携を とってチームで働きかけていくことが非常に大事ではないかと思われます。また、今年も 頑張っていこうねと言っていた矢先なんですが、今日のテーマである第3期、第4期は新 潟市は非常に悪くて、何とかしなければということをまた話し合わなければいけないとい う段階になっていますが、今日も帰りますと早速、小児保健連絡会議で医師会等の会議が ありまして、そこでテーマの一つになっていますので、また頑張って対策を講じていきた いと思っていますが、その中ではやはり第1期、第2期、第3期、第4期とそれぞれの役 割分担を決めて、医師会からも提案があるんですが、第1期は誰々、第2期は保育園とか 小学校、第3期は教育委員会、第4期は県の教育委員会ということでお互いに役割を担っ てやっていったらどうかということを更に提案して、システム化していきたいと思ってお ります。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  続きまして、茨城県から永田係長、お願いします。 ○永田参考人 茨城県保健予防課の永田でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、茨城県における麻しん排除に向けた対策について説明いたします。 (PP)  初めに、茨城県の概要でございますけれども、茨城県は人口約300万人、世帯数も約100 万世帯、老年人口割合は約20%、医師数につきましては人口10万人に対して全国46位と いう状況でございます。  茨城県では平成17年8月につくばエクスプレスが開通いたしまして、秋葉原からつくば まで約45分ということで、首都圏に対してこのような県南地域は通勤圏内となっておりま す。  今年の茨城県の患者の発生状況を見ましても、つくば保健所管内、龍ヶ崎保健所管内、 土浦保健所管内、この3か所の保健所だけの発生数で全体の6割を占めております。 (PP)  次に、茨城県における対策の概要を御説明いたします。  まず初めに、平成20年2月1日に第1回目の麻しん対策会議を開催いたしました。ここ では、予防接種、全数把握サーベイランス、学校等における発生時の対応という3つの柱 を基に、麻しん排除に向けた対策を取りまとめ、それらを市町村、学校関係等に通知した ところでございます。  (2)としまして、6月に麻しん風しん予防接種実施状況調査ということで、各市町村、学 校等に予防接種状況の調査を実施いたしました。  (3)7月11日でございますけれども、予防接種実施状況調査を基に第2回麻しん対策会 議を開催いたしました。ここでは、調査結果を基に予防接種の促進のためにという提言を 対策会議からいただきまして、それらをまとめまして関係機関、市町村、学校等に通知し たところでございます。  (4)としまして、麻しん排除に向けたシンポジウムの開催でございますけれども、これは つい先日、8月29日に開催いたしました。調査結果の中で第3期、第4期の予防接種率の 向上が必要だということを踏まえて、それらの課題がありましたので、保健サイドと教育 長の共催で、養護の先生方が出やすい夏休みという機会をとらえまして、意識啓発を目的 としてシンポジウムを開催いたしましたので、後で報告します。 (PP)  まず初めに、茨城県における麻しん排除に向けた対策でございますけれども、これは国 がまとめた予防指針、ガイドラインに沿ってつくりました対策ですので、特別なものはご ざいませんけれども、県独自としましては(2)全数把握サーベイランスというところで医師 の協力をいただきまして、麻しん患者が発生した場合に、お医者さんから患者さんに保健 所が調査を行うことの説明と同意をいただくということを茨城県のシステムの中に加えま した。それによりまして、医療機関から保健所に届出がされるときには同意書も一緒に送 られてきますので、それを基に茨城県では保健所が麻しん患者全員に対して積極的疫学調 査を実施して、接触者を把握して蔓延防止に努めることに決めました。  (3)学校等における発生時の対応ということで、これは前から言われていることですけれ ども、施設等で1人出たらすぐ対応ということで、1人患者が出た場合には施設から保健 所に報告をいただきまして、関係機関が連携をとって蔓延防止施策をとっていくという対 応でございます。 (PP)  続きまして、麻しん風しん予防接種実施状況調査を行いましたので、その結果を報告い たします。市町村の接種方法を調べたところ、市町村数は茨城県は44でございますけれど も、第1期は省略してありますが、第2期、第3期、第4期すべて当然個別接種は実施し ておりますが、それに加えて第2期については集団接種を併用しているところが1市町村、 接種場所は保健センターでございます。第3期につきましては、30の市町村が集団接種を 併用しておりまして、各中学校で実施しておりました。第4期については、3市町村が集 団接種を保健センターで接種したという報告がありました。  通知方法については、先ほども報告がありましたように、全部の市町村で3〜4月にか けて個別通知を実施しておりました。  市町村における接種率でございますけれども、第2期につきましては4〜5月の約2か 月間で、県全体で24.6%ということで、これは予想していたよりもかなり低い数字でござ いました。最大が82.2%、最小が3.3%という結果です。  第3期につきましては、接種率が県全体で71.2%、最大が98.2%、最小が26.7%という ことで、市町村格差がここでも見られます。  第4期につきましては、県全体で36.5%、最大が85.5%、最小が18.2%、市町村格差が 見られます。 (PP)  次は、市町村別に見ました第3期の接種率でございますけれども、青で書いたグラフが 集団接種を併用している市町村でございます。黄色が個別接種のみの市町村でございます。 8つの市町村で95%を達成しておりますけれども、一番低いところでは二十数パーセント ということで、かなりの市町村格差が見られます。  集団接種を併用しているところと個別接種のみのところでは、明らかな差が見られまし た。 (PP)  次は、第4期の市町村別の接種率でございますけれども、同じように青のグラフが保健 センターでの集団接種を併用しているところでございます。これを見ましても、やはり集 団接種を併用しているところが高い接種率となっております。全体的には平均36.5%とい うことで、目標にはかなり遠い数字となっております。 (PP)  学校におきましての調査結果でございます。4〜5月の2か月間の調査結果でございま すけれども、中学校は公立で全体で57.5%、私立では45.6%でございます。右側に最大・ 最小を書いておりますが、やはり学校格差が見られます。  次に、高校でございますけれども、公立高校、私立高校ともに26%台ということで、か なり接種率は低いんですが、公立・私立に差は見られないという状況でございました。こ ちらも同様に最大・最小でかなりの接種率の差が見られます。 (PP)  考察でございますけれども、第2期の予防接種率につきましては、2か月間ということ ではありましたが、24.6%という数字は我々が考えていた数字よりもかなり低い数字でござ いました。やはり麻しんは春先に流行するということを考えますと、もう少し接種率があ ってもよかったのかなと思っております。  それから、第3期につきましては30市町村が学校での集団接種を併用しておりました。 集団接種を併用している市町村と個別接種のみの市町村では、接種率に明らかな差が見ら れました。  第4期につきましては、3市町村が保健センターでの集団接種を併用しておりました。 集団接種を併用している市町村は接種率が高い傾向がありました。  接種率につきましては、市町村格差、学校格差が大きいということがわかりました。 (PP)  (3)予防接種の促進のためという提言でございますが、先ほどの調査結果を基に第2回目 の麻しん対策会議を開催しまして、対策会議の中から出た提言でございます。  まず初めに、市町村においては、現時点で第1〜第4期の未接種者を把握して、個別の はがきや電話による丁寧な接種勧奨を行うということでございます。これにつきましては、 やはり不特定多数の方を目的とした接種勧奨ではなくて、個別通知が有効であるというこ とが議論されました。  学校におきましては、現時点で同じように未接種者を把握して個別に接種勧奨を行うと いうことで、やはり多方面からの接種勧奨が必要だということで、市町村だけではなく学 校サイドからもこのような接種勧奨が必要だということで提言とさせていただきました。  第2期の予防接種対象者につきましては、必ず就学時健康診断、これはこれから秋に向 けてあるんですけれども、その機会をとらえて確認調査を行いまして、未接種者に対して は接種勧奨を行うことを徹底するということでございます。  第3期の予防接種対象者につきましては、各中学校等における集団接種の実施を各市町 村で検討していただきたいということでございます。  第4期予防接種対象者についても、各市町村の保健センターを会場とした集団接種の実 施を検討していただきたいということでございます。これらの提言を取りまとめまして、 市町村、学校関係等に通知をさせていただきました。 (PP)  (4)麻しん排除に向けたシンポジウムの開催についてでございます。これは保健サイドが 初めて教育庁と共催で取り組んだシンポジウムでございますけれども、目的はやはり第3 期、第4期の予防接種の取り組みへの意識啓発ということで、夏休みに実施しまして養護 教諭の方々に意識の啓発を目的として行ったシンポジウムでございます。  対象者は市町村職員、保健所職員、教育関係者ということで、約250人が集まりました。  内容としましては、基調講演として東京都教育庁推進課長の寺西先生に、東京都教育委 員会における麻しん流行への対応について御説明いただいた後にパネルディスカッション を行いました。  1つは、龍ヶ崎市におけるMR予防接種の取り組みについてということで、医師会の先生 から先進的な龍ヶ崎市の取り組み、これは第4期の集団接種を保健センターで実施した取 り組みについて主に説明していただきました。これは春休みを利用した市町村保健センタ ーでの集団接種でございました。  次に、桜川市における第3期予防接種の取り組みについてということで、市町村の保健 師さんから御説明をいただきました。桜川市というのは人口約4万8,000人という小規模 な市ではありますけれども、第3期、第4期ともに茨城県内で2位の接種率を保っており ます。ここにつきましては、やはり学校と校医を中心とした医師会の連携が重要だという お話がありました。それから、それらと調整介入をまめに行いまして、それぞれの立場で の意識向上が重要であった。それから、情報の共有が非常に有効であったという説明があ りました。また、桜川市においては4〜6月を麻しんのキャンペーン期間と称して、接種 の個別通知の中にも6月末までにできるだけ接種をするようにということを織り込んでの 接種勧奨であったということも聞いております。  最後に、高等学校における予防接種の取り組みということで、高等学校の養護教諭の先 生からの報告でございましたけれども、これらにつきましては学校における麻しん対策ガ イドラインに沿った学校の取り組みを報告していただきまして、その中でこの学校につい ては接種率が高かったわけなんですけれども、その要因としては保護者の協力、それから、 一番大事なのは学校内での担任、学年主任との連携協力が十分にできていないとうまくい かないだろうというようなお話がありました。  以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  1〜4題目まではしかの発生状況、高校生の意識調査、接種率の状況、自治体の取り組 み等について御報告をいただきました。ありがとうございました。ここで一段落つけまし て、各委員、参考人等の御意見・御質問をちょうだいいたしたいと存じますが、その前に 最近、WHOの西太平洋地域の事務局ではしかの会議が開催されたと聞いておりますので、 簡単に岡部先生から御報告いただけますか。 ○岡部委員 情報センターの岡部です。  WHO西太平洋地域の予防接種に関する大きい会議は定期的に開かれており、私たち日 本が所属するのはマニラにあります西太平洋地域事務局(WPKO)というところがやっ ています。そこがはしかのエリミネーション(排除)ということを2012年までの目標に掲 げたわけですけれども、日本がなかなか明確に取り組んでこなかったことについて問題点 は指摘されていたわけですが、今回この7月に開かれた会議では、その中で日本がエリミ ネーションに向けて本格的に取り組み出したということがアナウンスされ、それについて 大きい評価が得られました。  1つは、やはり西太平洋地域でいろいろな国が取り組んでいる中でも、日本が今まで取 り組んでいないために、ほかの国に対して影響力が少なかったということがあったのが、 日本と中国が取り組んでいる、そこが動き出したということはアジア全体での大きい影響 として出てきました。  その会議は、日本側からは三宅前課長と感染研の宮村所長がメンバーなんですが、その ほかには田代部長、小林専門官と私等々が参加しました。西太平洋地域におけるはしかの 数というのは今年になってから急増しています。それは日本がきちんと報告するようにな ったからで、むしろちゃんとしたサーベイランスが出てきているということで、これは決 して悪い評価ではありません。ただ、WHOがやっているはしかのサーベイランスの仕方 というのは日本と大分違っていまして、日本は今のところ臨床の先生から臨床症状に基づ いてはしかの報告を得ているわけですけれども、WHOはラッシュ・アンド・フィーバー  サーベイランスと言って、発疹と発熱のある人の報告を集めて、その中から検査診断を行 ってはしかであるないということを診断して、最終的にはしかの集計をしています。これ はポリオの根絶のときに弛緩性麻痺例をすべて報告として上げて、その中におけるポリオ の割合をチェックするというのと同じ作戦をとっているわけですけれども、この辺が日本 のやり方と大分違うので相当議論があります。ただし、日本も現在、感染研あるいは地方 衛生研究所との間でいろいろなディスカッションをやっているんですけれども、前の会議 でもお話ししたように、近々日本も検査室診断ということを中心に据えて、はしかの状況 をとらえるという方向に行くということにはなっています。そのことについても、この委 員会では一応報告をしました。  全体としては、確かに我が国から1万例の報告をすることによって、西太平洋地域全体 のはしか報告数がヒュッと上がっちゃったんですけれども、それは今後の努力によって減 らしていくことが可能です。むしろそういうサーベイランスの重要性というようなことも 強調できたわけです。現在の状況についてはWHOの方に逐次報告するようになりました ので、従来WHOの報告をごらんになるとこれまで日本からはノーレポートとか、あるい はいろいろな地図の中で真っ白にポンと抜けているのが日本の状況であって、日本の様子 は余り知られていないというのがあったんですが、これについても定期的に報告がなされ るということになりましたので、一応そういう意味では現状を把握できるようになってき たと思います。ただ、それは把握しただけではなくて、これから次第に低下することに向 けて努力していかなければいけないわけで、逐次WHOとも協力してやっていく部分だと 思います。  ちなみに、現在日本の報告についてはMMWRというCDCがやっている感染症に関す るレポートがあるんですが、それに日本の状況を英文で報告するという予定で今、原稿を 書いているところです。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  今はそういう状況で、日本はそういう意味で少し評価されつつあるということでござい ます。今、岡部先生からMMWRのレポートということでお話になりましたが、最新のレ ポートでは日本からの輸入というのがやっと消えていまして、イタリアとかたしかスイス とか意外な国が悪者役になっておりまして、ジャパンは消えていたので少し安心している ところでございます。  今までの安井先生から始まりまして茨城県の永田係長までの御報告に関しまして、各委 員からの御質問・御討議がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでござい ますか。 ○田代委員 質問が幾つかありますけれども、まず、安井先生のプレゼンテーションにつ いて3ページの上のグラフですが、これはすべて麻しん疑い例をベースにしている数字な んでしょうか。 ○安井主任研究官 これはすべて医療機関から御報告をいただいたところで、既に検査で 診断されているもの、あるいは臨床診断されているものを保健所が受け付けていると。た だし、そこでクライテリアに当てはまらないものは、特に臨床診断例に多いんですけれど も、発疹がないとかそういったものは外されていると思っていただいたらいいと思います。 ○田代委員 検査を実施して麻しんだということが確認されなかったものは、この中に入 っていないということでしょうか。 ○安井主任研究官 そうですね。ただ、臨床診断例として報告されているけれども、実は 検査をしていますということで、後で検査結果がわかって、検査診断に変わるものもあり ます。 ○田代委員 こういう臨床診断だけの報告と現時点ではなっていますけれども、かなり問 題が多いという認識でよろしいんですか。 ○安井主任研究官 まさしくそのとおりだと思っておりますし、今は1万例を超えていま すので、これがもっと少なくなって、ほとんどが検査診断あるいは修飾麻しんというふう になっていかないと、本当のエリミネーション達成は難しいだろうなと思います。 ○田代委員 ありがとうございました。  それから、多屋先生に質問なんですけれども、資料4の1ページの下に、意識調査の目 的として「その結果から対策を構築すること」と書かれていますが、これは具体的にどう いうことを提言されたんでしょうか。 ○多屋室長 今回の調査では、やはりはしかのことを知らない高校生が多かったので、文 部科学省から全国の中学と高校にガイドラインとDVDを配ってくださっていますので、 それを見ていただいて、まずはしかを知ってもらうことをお願いしました。  それから、7月半ばの調査であったんですけれども、今回のアンケートというのは1〜 25番まで書くことで麻しんについての知識が増えるという調査になっておりますので、そ れも併せて9月末の学校での接種率を是非教えてほしいということで、9月末に向けて学 校で予防接種の勧奨をお願いしたところです。 ○田代委員 次は小林さんに質問なんですけれども、6月30日の時点で実際に接種が始ま って3か月ですが、これから接種率が上がってくることを期待しますが、スタートの時点 ではかなり低い状況だと。特に第4期は非常に低い。2012年に日本における麻しんの排除 ということを目標に掲げていますけれども、これは国としてもWHOの西太平洋地域の麻 しん排除のためのクライテリア、その条件を満たすということが現時点で目標になってい るかと思いますが、このままでいきますと例えば今年度に第3期、第4期の接種率が95% を超えなかった場合には、今年度が終わった時点で2012年の段階では達成できないという ことになってしまうように思うんですけれども、その点の見通しについてはどのように考 えておられますか。 ○小林主査 現時点ではやはり予防接種を受けた方の率が非常に低いということで、この まま経過してしまいますと、受けていない方々が後々に残ってしまって、感受性者と言う んですけれども、抗体を持っていない麻しんにかかる可能性のある方が多く残ってしまう という危険性を大変はらんでいると考えてございます。やはり予防接種率、先ほど多屋先 生からもあったように、高校生に自発的に受けてもらうというのは非常に難しいとは考え ているんですが、はしか病気の怖さ、たかがはしかという言葉はありますけれども、はし かはやはり危険な病気なんだということを十分御理解いただいた上で、予防接種率を高め ていくこと。  更に、都道府県におかれましては、もし今年受けられなかった方に対しても、何か強制 接種等を検討していただけるのであれば、そういうことも積極的に活用していただきなが ら、やはり予防接種を受けていない方に対して接種率を上げていくような取り組みをして いかなければならないと考えてございます。 ○加藤座長 今の田代先生の御質問は大変重要な御質問でございまして、そうならないよ うにするために本会議がございまして、この本会議を中心といたしまして全国の県・市町 村区の方々に、これから国からまた何らかの司令が行くというようなことになろうかと思 いますので、そういう意味で4〜6月までの経過でございますけれども、あえてこの時期 にこの会を開いているという理由がございます。ですから、先生がおっしゃっているとお り、その目的を完遂するために本日この会を開いて、情報発信するということにこの会の 意義があると思いますので、熱い議論をお願いいたしたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。 ○衞藤委員 新潟市の保健所の石沢さんに質問なんですけれども、資料7の3ページの(3) 関係機関の連携強化ですけれども、最後の方に、勧奨の必要な予防接種の欄を新たに設け たということで、ワクチン接種の勧奨が可能になったと、この辺りの仕組みがまだよくわ からないんです。というのは、就学時の健康診断というのは市町村が行うものでありまし て、一方、入学する学校の学校長あてに就学時の健康診断票が送られるということになっ ているんですけれども、その辺りどういうふうに活用しているのか、もう少し御説明いた だければありがたいんですが。 ○石沢参考人 説明不足で済みません。新潟市は昨年から先ほど説明があった小児保健連 絡会議でどうしたら上がるのだろうということで、就学前の健康診断については保護者に 10月ないしは11月に予診票が配られます。そのところに予防接種欄というのがあるわけな んですが、そこでチェックしまして受けていなかったということが健診会場でわかります と、今度は校医の先生から接種勧奨が必要だというところにチェックされまして、最終結 果が保護者と生徒さん含めて、担任の先生ないしは校医の先生から説明があると。入学す るまでに受けてきなさいよという指導がそこで持たれるということで、教育委員会の協力 によりまして予診票の中に新たにその項目を設けたということでございます。 ○衞藤委員 入学する前ですので、今、校医とおっしゃったのは幼稚園の園医ということ ですか。 ○石沢参考人 いえ、小学校の校医の先生、就学前健診でチェックされるわけです。 ○衞藤委員 ですから、その就学前の健診票が小学校にちゃんと送られて、それが活用さ れているという前提ですね。 ○石沢参考人 就学時の健診のときに親御さんが書いたものを持参するわけですね。事前 に配付されていますので。 ○衛藤委員 わかりました。 ○加藤座長 よろしいですか。  ほかにいかがでしょうか。 ○今井委員 茨城県について教えていただきたいんですが、資料4ページ目にございます 第4期で集団接種されている、これは接種率が高い左の方に来るのは当然だと思います。 ただ、接種が集団でありながら余り上がっていないというところは、何か原因があるのか この辺の仕組みについて教えていただければと思います。 ○永田参考人 先ほどはシンポジウムの中でも龍ヶ崎市が第4期の集団接種について説明 をしていただいたんですけれども、4月の春休みを利用した3日間とゴールデンウィーク の1日ということで4日間実施したという経緯はありますが、やはり集団接種のときに 56%の方が受けてしまって、その後5月、6月と個別接種になったわけですけれども伸び ませんで、1回目の集団接種でやった数字のまま今伸び悩んでいるという状況がございま す。やはり1度だけの集団接種では難しいので、また後半にもう一度くらい保健センター での機会を設けてやらないと高校生については難しいのではないかということと、やはり だんだん時期を追うごとに接種率が低くなるので、4月と5月にキャンペーン期間として 集中的にやるという方法がもしかするといいのかもしれないというような意見も出ました。 ○加藤座長 荊尾先生、学校側から見て集団接種についての御意見、中学生、高校生まで は無理かもしれませんけれども、学校サイドから見て集団接種の率がやはり高く見えるの で、その辺いかがですか。MRについては集団接種を行ってもいいことに一応なっている わけなので、その辺の御意見いかがでしょうか。 ○荊尾委員 私は、昨年度まで県の教育委員会におりまして、本年度4月から学校現場に 出ましたけれども、やはり麻しんのことにかかわっている者と学校現場あるいは保護者と の温度差というのは相当開きがあるなと感じました。  私の地域は、学校に通うのに7km、8km子どもたちが歩いてくる、あるいは高校に行 くにもバスに何時間も揺られ、また、そこから汽車に乗っていくというような環境ですの で、接種環境というのがなかなか整っていないなというのが現状です。都会ですと医療機 関がたくさんあると思うのですが、地方では医療機関へ受診するための時間がなかなかつ くれない状況があると思います。接種ができる環境づくりと、教職員も含め生徒の意識の 高揚という2つは学校でやっていかないといけないなということを強く感じます。  集団接種については、中学校は市町村立学校であれば可能かとは思います。ですけれど も、高校になりますとたくさんの市町村から集まってきていますので、市町村間でうまく 取り決めができて、会場は高校を使うけれども、経費の面とか後のフォロー等については 出身の市町村が行うということができれば、それもまた可能かもしれません。いずれにし ても実施主体は市町村であることを共通理解しておく必要があります。 ○加藤座長 3回、4回は接種特に中高生ですので、個別接種で平日に行くのはなかなか 難しい状況にあって、接種率はなかなか上がりにくいと思うんですけれども、例えば土曜 日の午後にやっていただくとか、それから、今お話が出たような学校というような、また は保健センターというような集団の場を借りて集団接種を行っていくという方法が今後予 防接種率を上げていく上において効果的ではなかろうかなというような気もしますけれど も、日本医師会を代表して飯沼先生、その辺のところはいかがお考えですか。 ○飯沼委員 多分当てられるだろうと思って今考えていましたけれども、なぜ今までのワ クチネーションを個別でやらねばならないかという歴史的な背景を考えていても、私の頭 の中では整理ができないんです。経緯がわからないのではっきり申し上げられませんけれ ども、個人的には集団をやるべきだと思っておりますし、費用とかそういうことは二の次 で、ます集団接種ありきということで議論を進められた方が、最終的に95%の目標達成に はいいんじゃないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。  集団接種でなくなりましたのは平成6年の予防接種法の改正で、できるところからすべ からく法における予防接種については個別接種に移行していくことということが決められ てございます。一つには、健康状況がわかっているかかりつけ医において個別接種を受け るという原則。もう一つは、病気が怖いか、または予防することが大切かというものは各 個人個人、保護者が決めることなのですよということが国策として出されました。各国民 が個人個人でどちらを識別するかということが平成6年度に決められたという経緯でござ いますが、はしかに関しましては、WPROの段階でエリミネーションするというのが約束 事になっておりますので、この際その議論でそのまま突き進んでいいのかどうかというこ とが問題になる。したがって、MRワクチンの場合には一定の条件を満たせば集団接種を 行ってもよろしいという状況になっているところでございますけれども、この件について は何かほかに御意見ございますか。 ○前田委員 集団接種から個別になった経緯については当時、東京都の予防接種の担当で おりましたので、かなり保護者の考え方が多様であるということがあったと思うんですが、 中高生になれば本人であるとか親の意識もかなり変わりますので、集団接種は可能かと思 います。  ただ、私立の方が低いとか高校の方が低いということについては、先ほどもお話があり ましたが、予防接種は市町村主体ですので、市町村が異なると予防接種単価も異なるし、 事務手続も煩雑だということで、当該の住所地の市町村でしか受けられないところがあり ます。ただ、幾つかの県ですとかあるいは東京の特別区は相互乗り入れ制度という、他の 市町村でも接種ができるシステムがあって、例えば、東京の特別区ですと接種単価も同一 ですし、接種票もすべて統一して行っている。そういうシステムがあれば、例えば私立の 学校に通われている方でも学校医のところで受けられる、あるいは私立学校で集団接種を 行っても多数の市町村の生徒が一緒に受けられるということがございますので、是非、相 互乗り入れ、非常に先進的な県は取り組まれているんですが、かなり温度差がございます ので、是非麻しんも含めて、少なくとも都道府県内での相互乗り入れを推進するというこ とが接種環境を整えるには大事ではないかと思っております。 ○岡部委員 かつての集団接種はインフルエンザのイメージが一番強かったわけですけれ ども、ある特定の日にほとんどの生徒を集めて、チェック等々を十分にしないで、次から 次へとやっていくところに大きい問題点があって現在個別接種に原則持っていったんだと いうことが一つの歴史的経緯だと思うんです。今回言っている、はしかに関する学校にお ける集団接種というのは、学校の責任においてかつてのような形で集団にオートマティッ クのように接種をやっていくということではなくて、学校というような集団を借りて個別 接種と同様の注意を払って行うというところだと思うので、言葉だけで集団・個別という ことだと誤解が生ずると思うので、そこのところははっきりしておいた方がいいと思いま す。 ○加藤座長 森谷委員は、どのようにお考えですか。 ○森谷委員 高校3年生といいますと受験・進学の関係でかなり忙しいと。大きな流れと しまして、大体夏ぐらいまでは部活動にかなり専念していまして、また、推薦入試などは 秋からどんどん始まってくるということで、かなり忙しい中でなかなか接種率も上がって いかないと思うんですけれども、私どもPTAの方ではいろいろ取り組まなければいけな いと思っておりまして、8月7日に都庁で行われました健康づくりフォーラムの中では当 初、食育が基調講演のテーマだったんですが、緊急性があるということで主張しまして麻 しんの講演を東京都医師会の方にしていただきました。  それから、幼・小・中・高で合同で取り組む体制ができておりますので、2月1日には やはり健康づくりをテーマにした合同リーダー研修会の中で、麻しんの問題も取り上げて いきたいと考えております。  やはりなかなか接種率が上がらないというところで、何かしらの集団接種というのがで きないものかという感想はあります。 ○加藤座長 衞藤先生、集団接種を仮にやるとすると学校の場になると思いますが、そう いうことで学校関係に詳しい立場からどういう感覚をお持ちですか。 ○衞藤委員 先ほど岡部先生もおっしゃいましたように、学校で行うにしても種々の調整 をした上で場を提供するというのが基本的に可能なことです。したがって、学校と自治体 との密接な連携協力のもとで、責任の主体がどこにあるかということをはっきりさせるこ とが大切で、学校関係者の側もそのことを十分理解した上で協力できると思います。。  もう一つは、学校では今、土曜日は休みですから大変時間がないんですね。どうやって 1年間の中で時間を生み出すかということは、年度が始まる前から計画的にとっておかな いと、なかなか難しいというところがあります。  やはり基本的には問題の内容を理解をして、お互いに調整をするという準備がとても大 事だと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。 ○岡部委員 これは何が何でも高校生あるいは中学1年生を集めて、とにかく予防接種を やるんだというよりは、本当はこれは中学、高校がそれぞれ大きいメリットを持つと思う んですね。それをやることによって、ここ数年で見られているような学校での集団発生が なくなるということが最大の目的ではないかと思います。  それから、高校3年生の場合は学校には直接の効果があらわれないという可能性はある んですけれども、これは大学が大きいメリットを持つということで、大学はこれに対して 大きい理解を示していただきたいと思います。今年度からは幾つかの大学が既に入学者に 対してできるだけ予防接種をやっておいてもらいたいというアナウンスがでています。こ れは予備校がむしろそれをとらえて、予備校生は定期接種外になる可能性が多いんですけ れども、その中の受験指導として受験者の予防接種の必要性を説明する予備校が増えてき ているようです。高校は自分のところから大学に行く人たちの健康を守るという意味でも、 高校にとって非常にメリットになる。ひいては個人の勿論メリットになっていくわけで、 その辺をよく理解していただくということが必要だと思います。その辺の啓発は我々がわ らにやらなくてはいけない部分だと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  それでは、お時間の都合もございますので、先に進めさせていただきます。後半の議題 5、学校における麻しん対策ガイドラインについて、文科省より御説明をいただきます。 ○高山専門官(文部科学省) 文部科学省の学校健康教育課の高山でございます。  昨年4月に学校における麻しん対策ガイドラインということでガイドラインを作成いた しまして、各都道府県の保健部局を初め、各都道府県の教育委員会に配付を周知したとこ ろでございます。  ガイドラインにつきましては資料9をごらんいただきたいと思います。昨年度来、感染 症情報センターの技術支援チームの先生方と文部科学省、厚生労働省と合同で作成してい きたものでございます。  内容なんですけれども、大きく3つから構成されています。1つが、平時の対応として 麻しんの発生を予防するということ。これは一言で言えば予防接種の勧奨ということでご ざいます。2番目として、学校において麻しんの患者が発生したときの対応法について記 載させていただいています。3番目として、都道府県の麻しん対策会議への協力について も記載させていただいております。  1つ目の予防接種の勧奨ということでございますけれども、ポイントとなりますのは4 ページの積極的勧奨のスケジュールの表をごらんいただきたいと思います。中学1年生、 高校3年生の年間の予防接種勧奨のスケジュールを示させていただいております。これは 年間3回接種状況の確認をとっていただいて、接種を行っていない児童・生徒に対しては 勧奨していただくということをこのスケジュールの中に入れております。  高校3年生については大学入試や就職等がありますので、1月以降については積極的な 働きかけというのはスケジュール上困難ということで、4〜12月いっぱいの間に3回ほど 接種の確認と勧奨を行っていただくということを示させていただきました。  児童・生徒のみならず、職員、学校の先生方におかれても、はしかの対策を先生自身が とっていただくということを求めております。詳しくは6ページをごらんいただきたいと 思います。学校の先生方におかれても、今まではしかの予防接種を1回以下しか受けてい ない先生だとか、はしかに今まで罹患したことがないという先生方におかれては、しっか りと予防接種を受けるなどの対応をとっていただくということをガイドラインで解説いた しました。  続いて、学校において麻しんの患者が発生したときの対応についてですが、まず発生し たときの対応方法として、学校の設置者や保健所、学校医の先生に連絡をしていただくと いうことを求めております。その次として、感染の拡大防止策を解説させていただきまし た。中身としては、麻しんを発症した児童・生徒の情報だとか、学校を欠席している児童・ 生徒の情報を集めていただくということ。次に、学校に在籍している児童・生徒、保護者 に学校において麻しんの患者が発生しましたということを情報提供していただくというこ と。3つ目として、状況に応じて児童・生徒の出席停止だとか学校閉鎖の決定を行ってい ただくということを解説させていただきました。  そのような対応策をとっていただいて、終息した場合にどのような目安で対策の終了を とるのかということについては、最後の麻しん患者との最終接触日から4週間新たな患者 が見られなければ、その対策を終了と見なしても大丈夫でしょうということを解説させて いただきました。  都道府県の麻しん対策会議の協力についてでございますが、昨年作成されました麻しん に関する特定感染症予防指針に学校ごとの予防接種率について、都道府県麻しん対策会議 に情報提供を依頼するということが記載されておりまして、それに基づいて学校において 予防接種率をどのように計算すればいいのかということを解説させていただきました。  以上が主な内容でございますけれども、参考としまして、はしかが学校で発生した場合 の学校を閉鎖する際に当たっての指標、どのような基準もしくは考え方で学校閉鎖を決め ればよいのかということを参考にさせていただいております。  そして、海外へ修学旅行に行く際の注意事項についても、参考の2番目としてつけ加え させていただいております。  内容については以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  続きまして議題6、ロゴマーク、ポスターの作成報告につきまして、事務局から御説明 をお願いいたします。 ○小林主査 まず、資料10につきまして御説明させていただきます。  こちらにつきましては本年2月12日に開催されました第1回の麻しん対策会議におきま して、ロゴマークを作成し普及啓発に努めるということで、国立感染症研究所感染症情報 センターの協力を得まして、3〜4ページに該当しますロゴマークを作成させていただき ました。このロゴマークは、子どもを中心に据え、周りを大人が包み込む様子をハート型 のシルエットで表し、社会全体が一体となって子どもを、そして、社会全体をはしかから 守る、そして、2012年までに日本国内における麻しんの排除を達成するという目標へエネ ルギーが向かう様子をイメージしたものでございます。今後、この作成しましたロゴマー クを使いまして、引き続き普及啓発に努めてまいりたいと考えております。  続きまして、資料11をごらんください。こちらにつきましては、本日も委員としてお越 しいただいておりますKiroroのお二人に全面的に御協力をいただきまして、麻しんの予防 接種に関する周知のためにポスターを作成させていただいたものでございます。Kiroroの お二人につきましては、お忙しい中御協力をいただきまして、本当にありがとうございま した。  こちらのポスターにつきましては、事務局であります厚生労働省や文部科学省のほか、 本日委員としてお越しいただいております飯沼委員にも御尽力をいただきまして、日本医 師会からも全面的な御協力いただきまして、地方自治体や学校だけでなく全国各地の病院 や診療所にお配りさせていただきました。  以上、ロゴマークとポスターにつきまして御報告いたします。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  それでは、最後の議題でございます、議題7、普及啓発に関するCM等作成報告につい て、感染研の砂川先生、お願いいたします。 ○砂川主任研究官 国立感染症研究所感染症情報センター及び麻しん対策技術支援チーム の砂川でございます。普及啓発に関するCM等作成報告ということで、私はCM等の作成 に至った経緯でありますとか、大きな考え方という辺りを述べさせていただきたいと思い ます。 (PP)  麻しんとかポリオというものは、国際的に排除や根絶などの対策が進む疾患なのですけ れども、それぞれの各国におきましては、対策の真ん中の方に大きく2つの考え方がある かなと考えられます。1つが、マイクロプランと英語では表現されますが、私はこれを国 内の麻しん排除活動における考え方といたしましては、都道府県や予防接種実施主体であ る市町村などが連携しまして、具体的な接種活動計画を策定、実施、評価、改善すること、 すなわちワクチンなどの準備でありますとか、接種体制の整備や個別の勧奨、いわゆる行 政が実施すべきことがこの辺りにまとめられるかなと思いました。  もう一つ、国際的なこのような活動をされる場合に必須であると言われるのが、英語で 言いますとソーシャルモビライゼーションと呼ばれる考え方でして、社会動員という言い 方をされることがありますが、ここではわかりやすく地域運動あるいは国民運動という言 葉に代えさせていただきました。いわゆる都道府県や国レベルでの麻しん排除に向けた社 会機運の盛り上げでありますとか、キーパーソン、キーグループなどを通しての情報の伝 達、啓発の促進ということになろうかと思われます。 (PP)  麻しん排除に向けての対策というところで、いわゆるマイクロプランに相当する3つの 柱で表しておりますところの感受性者対策、全数サーベイランス、麻しんが発生したとき の対応の強化、アウトブレイク対応と併せての麻しん対策の国民や地域住民への情報伝達 や機運の盛り上げということで、集中キャンペーンを同時に行うということが必要になっ てくるのかなと思われます。それは国レベルであることもありますし、この中に地域運動 と書きましたけれども、地域のレベルでも活動を是非行っていただきたいと考えているわ けです。 (PP)  いわゆる行政上の仕組みとか、いろいろな体制の整備というものの対応に加えまして、 麻しん排除への国全体としての機運の盛り上げや理解が必要であるということで、ここに 私が考えるいろいろな活動の例などを書かさせていただいておりますけれども、例えば全 国はしか"0"週間でありますとか、学生による地域〜全国はしかフォーラムであります とか、いろいろな媒体を用いた活動というものが考えられるということで、既に実施され ているのもといたしましては、文科省などからのリーフレットの配布であるとか、麻しん 風しんワクチン接種の必要性についてのCMの作成、これは後ほど紹介いたします。それ から、多屋先生から先ほど御紹介がありましたが、麻しん教育啓発DVDの作成でありま すとか、それから、活動を同期させた戦略的な啓発広報、ITなども使いまして今後こう いったものを行っていく必要があるかと思われます。 (PP)  そこで、普及CMの作成というところに至りますが、今日も委員としてお越しになって おりますKiroroのお二人、それから、所属されている会社、JVCの全面的な御協力を得 まして、ボランティアとして作成に参加をいただきました。沖縄県のはしか"0"プロジ ェクトというものがありますので、それとの共同で沖縄県におきまして試験的な放映を約 4か月間実施しております。今、沖縄県はしか"0"プロジェクトと共同で、その効果な どにいても評価に関する調査を実施しつつあるというところで、印象といたしましては、 特に同じお母さん世代であります第1期や第2期辺りに対しての非常に強いインパクトが あったのではないかと思っております。  CMですが、全国の自治体などでも使っていただくことが可能な媒体としてでき上がっ てきまして、厚生労働省、文部科学省、日本医師会のお墨付きをもらうという状況になり ました。紹介をさせていただきたいと思います。15秒間しかありませんので、皆さん集中 して聞いていただく必要があります。また、会議用のマイクの音声なので、ちょっと聞き づらいところがあるかと思うんですが、御了承いただきたいと思います。 (CM放映)  こういう短いCMではあるんですけれども、こういったCMをつくりまして、4か月間 にわたりまして放映をさせていただいて、今その効果を見ているところです。沖縄県で放 映させていただいたときには、沖縄県はしか"0"プロジェクトというロゴが入りました。 今回、全国共用可能なバージョンといたしましては、厚生労働省、文部科学省、日本医師 会と3つ入ったものとして用意しております。BGMが著作権の関係で少し変わってきま すけれども、基本的に同じものを御用意しておりますので、これも自治体の方々などで使 用が可能であるというところがあれば、是非相談させていただきたいと思っております。 (PP)  先ほど多屋先生がおっしゃっておりました麻しん教育啓発用ビデオで、多屋先生を中心 にしまして感染研の情報センター第三室が中心になってつくっております。大変平易なわ かりやすい言葉で、はしかの病気でありますとか、ワクチン接種が重要であるということ を説明しているということで、例えば、学校の授業などで用いられるような、教材として は非常に有用なツールなのではないかと考えております。既に、文科省によりまして全国 の中学校、高校に配布されているということ、それから、一般の方は国立感染症研究所感 染症情報センターのホームページより閲覧が可能であるということ。医療機関や公衆衛生 機関の方々は感染症情報センターのホームページ、または、FAXで申し込んでDVDが 入手可能であるということです。既に2,300枚ほどDVDが発注されて、全国に配布され ていると言われております。これも本当は15分なんですけれども、ごくごく触りだけ紹介 させていただきたいと思います。 (DVD放映)  全部流しますと15分ありますので会議時間を超過してしまいますので、多屋先生には申 し訳ないですが、早送りでやりたいと思います。このように病気の状況でありますとか、 今のサーベイランスの状況、世界の状況、日本が各国に対してどのようなはしかの影響を 与えたか、予防接種の重要性という辺りが書かれておりまして、また新しい2008年の春か らの予防接種のスケジュールの意味合いといったものも解説がされております。非常にわ かりやすい言葉ですので、是非御活用いただきたいと思います。 (PP)  このようなツールなども麻しん対策技術支援チーム、国立感染症研究所などではいろい ろつくりつつあるんですけれども、全体的な麻しん排除という目標に向けての、いわゆる マイクロプラン、地域活動計画と地域運動・国民運動という2つの大きな動きを折り合わ せながら、排除に向かっていく流れをつくっていく必要があるだろうと思われます。 (PP)  特に、中学校1年生、高校3年生という情報伝達、それから、麻しんワクチンを受ける という行動に出ることの促進が非常に難しい人たちに、どういうふうに情報を伝えていく かという辺りが非常に重要になってくるかと思います。  麻しん排除活動の普及啓発には、多方面の方々のアイデアと協力が必要であるというと ころで、今回研究ベースということでこのような活動を行っていますが、是非今後は麻し ん排除という目標がありますので、事業ベースで資金面のバックアップをしながらやって いく必要があるのだろうと思われます。  我々が今取り組んでいる活動について紹介させていただきました。どうもありがとうご ざいました。 ○加藤座長 ありがとうございました。  議事の5番目からは2月に開催されました1回目以降における国のはしか対策の成果の 御報告でございましたが、御意見がございましたら承りますけれども、金城委員、玉城委 員、何か御感想なり、御意見はございますか。 ○金城委員 CMをやらせていただいて、本当に沖縄の皆さんがはしかについてすごく意 識を高めてくれたならと思っているんですけれども、まだまだ95%には足らないというこ とで、私たちが担う役割は大きいなというのをすごく感じました。私の周りの母親のお友 達でも、はしかに関する知識はすごく薄くて、私がお話をするとすごく驚くお母さん方が 多くおられます。なので、もっともっと、天気予報じゃないですけれども、毎日全国で接 種率が何パーセントになったみたいなことが定期的にできると、皆さんのはしかに対する 意識もすごく高まるし、高校生の意見じゃないですけど、世界はこういう活動をしている ということを知ることによって、日本人の私たちにもできるんじゃないかという意識も高 まったりとか、本当に高校生の意見というのは物すごく大切だなというのを今日感じまし た。これからも頑張っていきたいと思います。 ○玉城委員 こういう会議に参加しても、私たちもはしかについてちゃんと説明してほし いと友達とか母親のいろいろな方から言われても、ちゃんと言葉で伝えていけていないの が今の私の状況なんですけれども、多分CMとかを見て沖縄のお母さん方は、はしかにつ いて、接種についていろいろ考えてきていると思うんですが、現状は高校生、第4期の方々 になるべく受けてもらいたいという結果を今日見て、多感な時期なので痛い思いをしてわ ざわざ時間をつくってみたいなことが正直なところあると思うんですね。でも、何かわか りやすい方法で伝えていけたらなと思った中で、今日のDVDの作成はすごくいいと思い ますし、あと、さっきの高校生の意識調査の中でドキュメンタリーをつくったらどうかと いう意見がありましたが、そういうドキュメンタリーなどは私たちができるんじゃないか と思うので、できることがあればさせていただきたいなと思っているので、私たちは足ら ないところもあるかもしれませんが、是非これから力になれたらなと思っています。 ○加藤座長 ありがとうございました。  最後に、メディアの力もかなり大切だということから、蒲生委員、何かいいアイデアが ございましたら。 ○蒲生委員 今お二人のお話を伺っていて、私どものつくっております雑誌は0歳代のお 母様が対象ですが、周りのお母様が麻しんのことを知らないということで、それは私ども の責任だと非常に思いました。私どもの雑誌の読者はこれからのお子さんを育てるお母様 なので、きちんとやっていこうと思うんですけれども、アイデアとしては今の中高生向け に雑誌を活用してはどうかと思います。中高生は男性も女性も非常にファッション誌が好 きで、それぞれお気に入りの雑誌がありまして、かなり購読をされています。そこで、余 り長いページのものはつくれないと思うんですけれども、1ページでも2ページでも麻し んの記事を特集して頂けないかと。雑誌への共感とか信頼が非常に高いので、親に言われ たことは聞かないけれども、雑誌に書いてあることは信じるという世代の特徴もあります し。 是非雑誌の編集長、ファッション誌の編集長のところに、是非これを取り上げてほしいと いうお話をしたらどうかなと思います。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  今日の全体のお話で、やはり保健所だけでなく教育機関等もチームを組んで接種率を上 げる努力をしていかれたところが成功しているというお話がございましたけれども、そう いったような観点から、寺島委員御意見いただけますか。 ○寺島委員 前回は欠席させていただいたんですが、私どもの小さい町でも学校閉鎖とか ありますので、そういう意味では関係あるんですけれども、問題は先ほどの集団的にとい うが、誰がやるのかと。また、事故が起きた場合、責任はどうなのかという問題もある。、 授業が終わった12時からお医者さんが来てやるから、受ける人はどうぞと言えばほとんど の人が受けるだろうと思うんですが、その辺をきちんと詰めておかないと現場は少し混乱 する。ただ、全体としては大切なことですし、やはり学校閉鎖等の問題が出ますので、考 えてやりたいなということにはなるだろうと思います。  一番いいのは、ちょっと違いますけれども、インフルエンザはマスメディアで宣伝して いるせいか非常に受診率はいいんです。特にお年寄りは黙っていても病院に来て、1月、 2月大流行すると言ったら受けるのと同じで、これもそういう宣伝がある中で学校辺りで やった方がいいよということで、授業が12時で終わったあとお医者さんが来ますからと言 ったら、大半の人は受けるのかではないか。  ただ、田舎での問題はお医者さんの確保をどうするのかということが出てくるので、さ っきお話がありましたが、都会と地方では条件が違うので、地域地域でやっていくとかな り効果が出るのではないかと思います。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  時間は余りございませんが、何か一言ございますか。 ○畑委員 接種率が上がっていないということで、これが上がることが我々SSPE青空の会、 亜急性硬化性全脳炎を持っている親としては唯一の期待だったんですが、かなり厳しいな という感想を持ちました。今の患者の状態は、いろいろな治療技術が上がって延命率が上 がっているんですけれども、うちの子どもは気管食道分離とか胃瘻とか体じゅうに穴を開 けることよって何とか生きながらえてはおります。そのことによって逆に悲劇性といいま すか、この病気で親とか家族だとか本人が受ける悲劇の負担というのが長くなっていると いいますか、根本的な治療法がないわけですから、長く生き延びることはできるけれども、 治る見込みは全くないという状況が続いております。そういう状況の中で、唯一希望とい うのは根本原因である麻しんがなくなることしかないと考えていますので、接種率を是非 上げていただきたい。  そのためは、先ほどから議論が出ています社会的キャンペーンといった意味での啓蒙と いうか、教育・医療関係の方が一生懸命やっていただいているのはわかるんですが、世の 中の認知というのはまだまだ上がっていない。ここ1年ぐらいでマスメディアで報道され たものもほとんどない。学校で流行したときに閉鎖したということは新聞等で取り上げら れますが、今までテレビ等で出たものもほとんどが衛星放送とかです。医師会の方で「医 療最前線」とかいい番組をつくっていただきましたが、麻しん排除に向けてという非常に いい番組だったんですが、残念ながら衛星放送なんですね。地上波では放送されない。  それから、先日、北京オリンピックに関係してリバビリンという薬がないということで、 テレビ朝日でキャンペーンを打たれて中国政府が動いたということがありましたけれども、 それもそういうオリンピックに絡んだような動きがあったときに初めてはしかの病気が取 り上げられるという、非常に希有な例しかマスメディアでは取り上げられていない。もっ ともっと世の中全体の麻しんの深刻さというものを認識する方向といいますか、それに向 けた動きというものをもう一度お願いしたいなと思っております。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  本日は、いろいろな参考人または委員からの御意見をいただきまして、どうもありがと うございました。最後に、座長なりにまとめをさせていただきますが、本日御報告いただ きました状況を踏まえまして、国としては普及啓発のために作成された資料を積極的に活 用していただきまして、地方自治体に対して、より一層正確な情報の伝達に努めるととも に、接種を受けやすい環境を整備し、保護者の方や子どもたちが接種を受けようと思うよ うな働きかけや取り組みを行うことが必要ではなかろうかと私は考えました。  また、麻しん対策会議がいまだ設置されていない都道府県があるようでございますが、 これは直ちに同会議を設置すべきだろうと考えます。それと同時に、接種率向上に向けて 設置をするだけではいけないわけでございまして、設置した上でその機能を必ず発揮する こと。すなわち、会議の設置のみでは不十分であることは当然でございます。したがいま して、各都道府県の接種率について、国は適時何らかの方法で接種率の公表などもする必 要があるのではないかと座長は感じます。  2番目に、第3期、第4期の接種率を95%以上とするため、本日の報告も参考としてワ クチン接種を喚起する取り組みを必ず行うことが必要でございます。例えば今日御報告が ございましたように、未接種者への市町村、保健所、教育機関、学校等からの再三の個別 に対する接種勧奨と、また、学校での集団接種、できれば診療所等の土曜日等を使った午 後の接種なども考えていただきたいと思います。現在9月でございますので、今年度は前 述致しましたことを勘案いたしまして、是非とも年度内に、特に冬休み等を利用いたしま して接種率を上げるように強く国は働きかけをしていただきたいと考えます。  先ほど来御発表がございましたように、国はCM、DVDなどを作成されてございます が、これらを更に十分に働かせていただきまして、また、その他の方法も十分に考慮に入 れつつ、更なる啓発を考慮すべきだろうと考えます。  また、第2期の接種率が低い自治体もあるようでございますが、未接種者の把握に努め まして、個別の任意接種を推奨するなど、一層の努力を行っていただきまして、麻しん排 除に必要な接種率を達成していただきたいというのが私の感想でございますので、よろし くお願いいたしたいと存じます。  以上が、座長としての取りまとめとさせて戴きます。  最後に、事務局から何かございましたら、よろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 次回の会議でございますが、本年6月以降の取り組みと年末までの接種 率について調査を行い御報告させていただきたいと考えております。平成21年2月ごろの 開催を予定しております。詳細につきましては、後日お知らせをさせていただきたいと思 います。  それでは、本日は長時間にわたりまして御議論いただき、誠にありがとうございました。 これをもちまして終了させていただきます。 ○加藤座長 ありがとうございました。                           照会先                           健康局結核感染症課予防接種係                              (2383 2377)