08/09/03 第2回食品の安全性に関する情報提供のあり方懇談会議事録        第2回食品の安全性に関する情報提供のあり方懇談会議事録        日 時:平成20年9月3日(水)13:30〜15:30        場 所:経済産業省別館1014号会議室            ○唐木座長 それでは、時間になりましたので、ただいまから第2回食品の安全性に関 する情報提供のあり方懇談会を開会いたします。  本日は、ぶり返しの暑さの中、御多忙のところお集まりいただきまして本当にありが とうございます。  議事に入る前に、事務局より本日の委員の出欠状況の報告と、前回欠席の委員の紹介 をお願いします。 ○事務局 まず、本日の委員の皆様の出席状況でございますけれども、神田委員、仁科 委員が本日所用のため御欠席となってございます。  また、前回御欠席された委員の方がいらっしゃいますので、本日御紹介をさせていた だきます。配布資料の方に構成員名簿という名簿がございますので、そちらをご覧いた だきたいと思います。  最初に、東京都福祉保健局副参事の金谷委員が7月に異動されまして、その後任の新 井委員でございます。  続きまして、五十嵐めぐみ委員でございます。  日本放送協会解説委員の合瀬委員でございます。  帝塚山大学心理福祉学部教授の中谷内委員でございます。  社会法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事の古谷委員でござ います。  また、本日はテレビ報道についてお話いただくため、参考人として日本テレビの報道 局社会部で厚生労働省を御担当されています町様に御出席いただいております。  続きまして食品安全部の方ですが、前回欠席でございました監視安全課長の加地でご ざいます。  検疫所業務管理室長の坂本でございます。以上でございます。 ○唐木座長 それでは、続いて事務局から配布資料の確認をお願いします。 ○事務局 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。  まず議事次第がございます。議事次第の下の方に、配布資料というふうに記載してご ざいますので、それに従って御説明いたします。  まず資料1としまして、「第1回主な意見の整理」というペーパーでございます。  資料2といたしまして「メディアカバー調査の概要(案)」でございます。  その次が、参考資料といたしまして「安全を守る仕組みと市民感情」という唐木座長 の資料でございます。  その後ろに、構成員名簿と座席図を配布してございます。  不足等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。以上です。 ○唐木座長 資料はよろしいでしょうか。  それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は、議事のところに書いて ありますように、最初は「行政からの情報提供とメディアとの関係について」というこ とで、小島委員、町参考人からお話をいただいた後、意見交換をする。2番目が、「メ ディアカバー調査について」、3番目が「その他」ということでございます。  それでは、議事の1ですが、前回メディアからの情報の発信の在り方あるいは誤った 報道への対応というようなことについていろいろとディスカッションをしていただきま した。その第1回目の主な意見について、事務局の方でまとめていただいております。 まず、この意見の整理について事務局から紹介をしていただきます。 ○事務局 それでは、資料1をごらんいただきたいと思います。こちらは、前回の主な 意見というものを大ざっぱですが、取りまとめたものでございます。大きく5項目に分 類いたしまして整理をいたしたものになってございます。  まず1つ目といたしましては「行政からの情報提供のあり方」という分類にいたしま して、我々が情報提供する際に情報を正しく理解していただくためにはどのようにどう いった情報を出すことが必要かということに対する意見になってございます。情報を受 け取った消費者の行動でありますとか、情報提供の言葉ですとか、具体的な量などの情 報提供、記者に対する情報提供の方法といった御意見をいただいたところでございます。  2番目といたしまして「メディアからの情報発信のあり方」ということでございます が、本日こちらの議題について御議論等をいただきたいと思っているところでございま す。メディア報道に対する要望ですとか、誤った記事への対応といったお話が出たとこ ろでございます。  3番目といたしまして「リスク認知について」ということでございますが、一般の消 費者の意識とリスクとのギャップ、風評被害に対する御意見等があったところでござい ます。  続きまして、「国民が正確に情報を受け取るための方策」ということでございまして、 国民が正しく情報を受け取り、正しく理解するための方策に関することになってござい ます。消費者の方の基礎的な知識を得るための方策であるとか、学校の現場への情報提 供、食育といったことが掲げられてございます。  最後になりますけれども、「情報の媒体」ということでございまして、昔と違いまし て最近ではインターネットやブログ、コミュニティでの情報の広がりがあるという話で ありますとか、情報の入手の仕方に関するお話があったところでございます。以上です。 ○唐木座長 前回はこんなふうな議論があったということですが、このまとめ方がこの 会の大きな目的あるいは方向に沿った書き方というふうに私は思っています。  最初は行政から、この場合は厚労省が中心だと思いますが、どういう情報の提供をし たらいいのか。その厚労省の情報を報道する中心がメディアですので、そのメディアと の関係の問題が第2点。それで、それを見た国民、あるいは消費者の方がどういうふう なリスクの受け止め方をしたのかというのが3点目です。4番目が、それを検証してみ ると意図どおりの、あるいは正しい情報がきちんと伝わっているのかどうか。こういっ たことについて、前回の意見をまとめてあるということでございます。  それでは、今回は前回に引き続き御意見をいただきたいと思うんですが、御意見をい ただく前にお2人の方に関連した問題についての話題提供をしていただきたいと思いま す。  それでは、最初に小島委員から「メディアパトロールの現状について」という題でお 話をいただきたいと思います。20分程度ということでよろしくお願いします。 ○小島委員 毎日新聞社の小島と言います。御期待にそえるかどうかはわからないので すけれども、今日お配りしてあるメディアパトロールの話というものと、クマの写真の 出ている本と、あとは京都産業大学の申入れという、この3枚の資料を基にお話をした いと思います。  それで、メディアパトロールというのは私が勝手に付けている名前で、要するにメデ ィアをどうやってパトロールすればいい情報が出てくるのかということで私が付けたん ですけれども、基本的に読者もしくは企業、行政の人が記事なりニュースを見て、おか しいなと思ったときにどうするかということですね。どうするかということについて私 なりにまとめてあるんですけれども、その1つは読み手の側、読んだ人が本当にこれは 正しいのかどうかをどうやって知ればいいのかということです。もう一つ、今度は情報 を送る側の人たちは、ではおかしな記事が出たときにどうしたらいいかということです。  最初は情報を出す側から見てどういうようなやり方があるのかということでA、B、 Cと書いてあるんですけれども、Aがまずメディア、もしくは記者に的確な情報を流す。 どうやって的確な情報を流すか。Bが、間違いがあったときに間違いをチェックし、ま たは訂正を求める。何か意見を言う。Cは、間違いではないんだけれども、もっと正し い情報を適宜ニュースになるような形で流す。随時やっているわけですね。そういう3 つの方法があるんじゃないかということで、そういった動きは具体的にどういうものが あるかということを、私が関わっている範囲内でお話をしたいと思います。  最初は、例えばここの京都産業大学のものを見ていただくとわかるんですけれども、 実は昨年の3月3日の『週刊ゲンダイ』に、「こんなことで鶏肉と鶏卵を食べて安全な のか 鳥インフルエンザのヤミワクチン蔓延を警告する」という記事が出たんです。そ れを私は読みました。その『週刊ゲンダイ』の記事に対して、この京都産業大学の大槻 教授、鳥インフルエンザ研究センター長が、これは全く事実と違うと。私は取材を受け たんだけれども、こういう話はしていないということで大学の幹部の人たちが講談社に 行きました。それで、訂正を求めています。  訂正を求めた結果、いろいろやり取りをしているんですけれども、結局それに対して 講談社側は、記者はインフルエンザに関しての専門家ではないので、括弧の下の方で2 に書いてあるんですが、事実関係に対する専門的な指摘に関し、反論の余地は一切ない と言っています。要するに、申入れはほぼ正しいということで反論はしない。  こういうようなやり取りを実はしているんですけれども、一般の人はこういうやり取 りがあったことをほとんどの人は知らないんですね。これも、私はたまたま大槻先生に 会って聞いたからわかっただけなんです。だから、逆に知らない人は『週刊ゲンダイ』 に出た記事を正しいと思って今でも記憶しているとすると、間違った情報をずっと信じ ていることになるので、こういうようなことがあったときにはどうすべきかということ です。  これは1つには、要するに間違いで訂正を求めたということは情報の取材を受けた側 は当然して、それを京都産業大学のホームページには載せてあるんですけれども、一般 の人はここにたどり着くまでが大変なので、それが何かわかるような方法が必要なんじ ゃないかということです。そういう機関をどうやってつくるかというのが一つの課題か ということです。  もう一つの例で、アルミ協会というのは、これも間違えて訂正をするということなん ですけれども、例えばアルツハイマーとアルミニウムが関係しているというような記事 が出たときに、今の医学界ではアルミニウムは関係していないというのがほぼ定説にな りつつあるので、余りにも極端におかしい記事が出た場合は、新聞社なりテレビにアル ミ協会は必ず訂正を求めているんです。そのとき、アルミニウム協会は各マスコミにこ ういう間違い、訂正を求めましたというのを各メディア機関に送っているんです。自分 たちがこうしましたと。それで、向こうが答えてきた内容もアルミ協会は各メディア機 関に送っているということです。だから、アルミ協会は一応全部郵送しているので、ア ルミ協会とメディアのやり取りはすべてわかるようになっているんです。  さっきの京都産業大学でいえば、京都産業大学も各新聞社もしくはテレビに、『週刊 現代』にこういう申入れをしました。こういう回答がきましたというのを教えてくれれ ばいいんですけれども、京都産業大学はそこまではやっていないということです。アル ミ協会はやっている。  やった結果、これもかれこれ5年くらいやっているんですけれども、だんだん減って きたんです。訂正を申し入れる件数が昨年はたしか3件で、その前は10とか十幾つかあ ったんですけれども、だんだん減ってきている。私もそれを知ったときに、アルミ協会 はこういう訂正を求めているんだなと。それで、メディアはこういうふうに答えている んだなというふうなことがわかるので、記事を書くときに気をつけるんです。やはり科 学的な根拠をしっかり押さえて書かないといけないかなというふうに気をつけるので、 こういう間違いの訂正を求めることと、なおかつそれをメディアに知らせることが大事 かなと。それで、このチェックA、B、Cの場合、この場合は主にBということですね。 間違いをチェックして訂正する活動がBですから、Bに当たるということですね。  別の例は、記者を集めて的確な情報を流す。これは、記者に正しい情報を流すことを どうやってやるかということの例として金沢大学の竹原教授がやったものです。これも 10年くらい前の話なんですが、ステロイドバッシングが起きたときに金沢大学の竹原教 授が何をやったかというと、東京に記者を各社集めて、これは20人前後いつも集まって いましたけれども、毎月のように勉強会をやりました。それで、竹原教授はステロイド の使い方はこうやればうまくいくんだ、悪いことばかりではないんだということを手弁 当で2年くらいやりました。  そうしたら、ステロイドのいい面も悪い面もありますよというのがだんだん記者の方 にわかっていったんです。それで、今度は民間療法でいかがわしい医療に引っ掛かると 余計悪化してしまうというような記事が逆に出てきたんです。だから、個人でも的確な 情報を記者に流す方法は手弁当ならばできますよということで、これはAの記者に正し い情報を流す。個人でもできますということで、Aの項目に入るということです。  それで、これは別に宣伝しているわけではないんですが、明後日発売になる本の中に 多少今のようなことが9章と11章に書いてありますので、後でお読みいただければ少し は御理解いただけるかと思います。これはただで差し上げますので、後で読んでいただ ければと思います。  それで、もう一つ、記者には正しい情報を知ってもらうということで非常にいいのは 国立がんセンターです。この間も少し言ったんですけれども、国立がんセンターは記者 を今四十数人集めて月1回くらいのペースで10回コースでセミナーをやっています。こ れは、がんの統計の見方、がんの例えば死亡率の見方、それから統計的な解析ですね。 コホート研究というのはどうやってやるのかとか、そういう細かい基本的な医学的な勉 強をそこでするわけです。そうすると、記者はがんの統計というのはこうやって見るん だということが非常によくわかって、これは非常に好評でした。私も参加しているんで すけれども、各社、例えば毎日新聞だけでも3人、朝日新聞だけでも5人とか、複数い ろいろな部から参加しているんです。要するに、科学部とか医療情報部だけではなくて、 社会部の人も経済部の人も参加している。だから、そういう勉強会をやるのは非常にい いということです。  がんセンターの場合は、特にがんセンターにいる人が全部講師陣なんてすけれども、 講師陣そのものが20人くらい来るんです。だから、すべて専門家の人たちで、記事に対 するチェックもします。例えば、こういうような記事は私たちはおかしいと思いますけ れども、あなたたちはどうしてこの記事を書いたんですかと、そういうやり取りもあり ますので、この場合はBも少しは入っている。間違いチェックも少しは入っている。こ れは非常にいい例で、こういうこともできるんだということです。  次のメディアドクターというのは、この前も少し話したんですけれども、記事の中身 を検証するということで、これはA、B、Cに全部該当するかと思うんですが、メディ アドクターというのはイギリス、オーストラリア、アメリカ、カナダなどで実際にある 活動なんですけれども、要するに医療、健康記事がどこまで正しいかということを記者 や医者、大学教授が集まって採点するということです。通知表のように採点する。私も 加わってはいるんですが、日本でも去年の1月から始まったんですけれども、まだ具体 的なフレームができていない。既に10回ぐらい会合は重ねているんですが、どうやるか ということはまだ模索の段階で、例えば一つの方法としては同じ記事、例えばイギリス に出たピルならばピルの記事、日本に出たピルの副作用の記事を比べて、どちらがより 正確なのかということを皆が一度、会議室に全部集まって採点するんです。それで平均 点を出して、どこがおかしいかということを議論するということです。  それで、これは項目も一応決めておいて、例えば医療記事だったら必ず幾らお金がか かってどれくらいベネフィットがあるかというコストパフォーマンスがちゃんと書いて あるかどうかとか、センセーショナルに書いてあるかどうか。その表現がセンセーショ ナルかどうか。科学論文として採用された話なのかどうかとか、一応10項目くらいを決 めているんです。その決めた項目に従って点数を付けている。  それで、これも結構面白いんですけれども、1つ問題なのは、そこでわかった問題点 をメディアにどうやって流すかということで今、暗中模索しているということです。メ ディアに言うべきかどうか。要するに、あなたの記事は40点しか取れなかったのでもう ちょっと気をつけてくださいよとだれがどうやって言うかというので今、模索している ところです。でも、なかなか論理としては面白くて、これも2か月に1回くらい集まっ てやっています。  もう一つ、場の議論というのは西澤真理子さんというドイツ、イギリスでリスク社会 学をずっと勉強してきた女性と私が協力してほぼ毎月1回のペースで開いている勉強会 ですね。これは毎日新聞で実はやっているんですが、これは各新聞記者、テレビの人も 含めて、記者と食品安全委員会の人、厚生労働省の人、昨日もやりましたけれども、昨 日はたまたま地球温暖化の問題をやったんですね。それで、そのときは内閣府の人も来 て勉強会をしたんですけれども、例えば昨日やった勉強会は、正しく知る地球温暖化と いうことで、シロクマが海の上で溶けつつある氷の上に乗っている写真があると思うん ですが、実は本当に温暖化の原因として二酸化炭素が大きいのかということです。これ は実は私も非常に疑問を持っていて、皆が一斉に二酸化炭素だと言って書いているだけ で、専門家の間では本当はそんなことはないんだよという議論が結構多いということで す。だけど、もう走ってしまったので今更どうにもならない。  それに対して赤祖父さんは、例えばシロクマが氷の上にいておぼれて死んでしまって いる。それで、地球温暖化は危ないというようなことを書くんですけれども、実は過去 に地球が今よりも暖かい時期が何回もあったんです。もちろん二酸化炭素などは今と比 べて全然増えていない状態です。例えば、縄文時代でもものすごく暖かかったんです。 1000年から1200年の中世の温暖化というときも暖かかったんです。そのときはグリー ンランドが暖かくて皆が移住したくらいです。今は氷の世界なんですけれども、そのと きに、二酸化炭素が増えていないのにどうしてあんなに暖かかったのかということです。  今の地球温暖化論はそういうことを無視しているので、実はただ単に自然に太陽の活 動の周期とか海流の動き、雲の動きなどで暖かくなっているだけで、1800年後半から二 酸化炭素はほとんど関係ないという議論もある。そういう議論を知るために、こういう 場の議論があるということです。  この場の議論はいろいろなテーマでやっていて、医療から今の電磁波から残留農薬か ら、あらゆる問題、C型肝炎もそうです。C型肝炎でも本当にあんな劇場型解決でよか ったのかどうかということもやりました。そうすると、C型肝炎でも現場の記者は、本 当は何かおかしさを感じているんです。ああいう解決の仕方というのは科学的ではない んだ、おかしいと思っているんだけれども、書けないというようなこともわかるんです。 記者が本音を語りますから。だから、そういうような場の議論というのは、私はあちこ ちで増えてほしいという気はあるのですが、そういうことをやっている。  これは勉強会をやっているだけなので、間違いがあっても別に報道機関に何か訂正を 求めるというようなことはやっていないです。これはあくまでも記者に対していろいろ な物の見方があるんだということを知ってもらう上で非常にいい機会だということです。  特に温暖化の話で申し訳ないんだけれども、温暖化で海にばっと氷が崩れていくよう な映像がよく出ますよね。あれも学者に言わせると、そんなことは日常茶飯事で当たり 前で、要するに氷河というのは氷の河という意味ですから、氷がざっと流れていって海 に落ちるのは当たり前だ。温暖化とは何の関係もないと言うんです。あんなものは1000 年前とか1万年前でもあった。でも、それを映像で見た人たちは、あれが落ちるだけで 温暖化で落ちているんだと錯覚してしまう。そういう物の見方も大事だと思います。  それでは、次に移ります。日本食品添加物協会と書いてあります。これはまた話が戻 ってしまうんですけれども、おかしい基準を見つけたら即訂正と説明を求めている活動 を食品添加物協会は行っているということです。これも結構、私は効果があると思って いて、例えば毎日新聞にもありました。毎日新聞で抗議がきたときには、記者も一応そ の説明を聞くと、やはり自分がちょっと簡単に書いてしまったなということに気が付く んです。それで、そのときに訂正まで求めるかどうかはそのときの状況いかんです。だ から、記者が反省しているようだったらいいでしょうということで、では次回からちゃ んと書いてくださいよということでいろいろこういう活動をやっている。これも非常に いい活動だと思います。  その次に、健康食品管理士認定協会という協会があります。これはお医者さんや薬剤 師、または栄養士の方が集まっている協会なんですけれども、ここは健康管理士という ことで今6,000人くらい会員がいるんですが、ここはメディア情報をチェックするとい う活動を目的にはしていないんですけれども、何かおかしい情報があったら一応本部に 通報してください。会員の中で、おかしい情報がありましたということで共有するとい うこともやっています。『あるある大事典』のときはここにすぐ気がいて、あんな変な 情報をどうして報道しているんだということで、ここの中ではおかしいということは前 から言われていたんです。後で、レタスで何か眠くなるということを告発した先生がこ こにいるということです。だから、ここの協会報を読んでいてもそういうおかしな情報 が結構わかります。  次が、製薬会社のセミナーです。製薬会社は実は外資系、日本も含めるとものすごく あって、セミナーが週に2、3回あります。もしこれにまじめに出ていると、ほかの取 材ができなくなるくらいセミナーがあります。今日も実はあります。これは、記者に正 しい情報を知ってもらうということと、自分たちの出している薬や医療器具をきちんと 知ってもらいたいということでやっているんですけれども、これも行けば一応勉強には なるということです。  バイテク情報普及会の活動は、これはバイテク関係に関するセミナーを専門の講師を 呼んできて記者に聞いてもらう。これも、Aの記者に的確な情報を流す活動としてやっ ているんですけれども、頻度がちょっと少ないかなと。1年に3回、4回くらいやって いるんですけれども、ちょっと頻度が少ない。  もう一つ、食品安全情報ネットワークというのは座長の唐木先生も少し絡んで、私も 絡んではいるんですが、要するに企業の人や消費生活コンサルタントの人、もしくはマ スコミの人が集まって、何かおかしな情報があったらやはりだれかに知らせなければい けない。企業にもメディアにもちゃんと何か言った方がいいんじゃないかということで、 これから何をやろうかということを今、考えているところということです。  それから、農水省も今は余り一生懸命やっていないのですが、おかしい記事を見つけ たときには農水省のホームページで、この記事はここがおかしいんですということをか つて流していたんです。だから、そういう動きもあるということです。  あとは電磁界情報センターですが、これは経済産業省が特別予算を組んで今年の7月 に電磁波に関する正しい情報を知ってもらおうということで電磁界情報センターが出来 ました。秋から本格的に活動するのですが、これは先の記者に的確な情報を流すという ことと、間違いがあったらチェックする。それで、随時ニュースの形で知ってもらわな ければいけない情報があったら流す。A、B、Cを一応3つまとめてやろうとなってい ます。これからどういう活動があるかは注目したいと思います。以上のようないろいろ な動きがあるということです。  もう一つ、読み手の側に必要なことということで、要するに読み手が本当にこの記事 が正しいかどうかをどうやって見つけるかというのは非常に難しいんですけれども、さ っきの電磁界情報センターだったら、例えば電磁波に関する記事を見つけたときにここ の情報センターに電話をして、この記事は正しいですかとか、何か申入れがありました かというようなことを聞けば、電磁波に関する限りは多分センターでわかるようになる んです。だから、これは私の個人的な意見なのですけれども、そういうリスク情報セン ターのようなものがやはり食の分野とか健康、医療の分野で必要かなということです。 そうすると、温暖化と二酸化炭素の話でも、さっきのシロクマの記事を見つけたときに、 これは本当にどこまで真実なんですかということが聞けるようなところがあるといいな ということです。  最後ですけれども、今の記者に正しい情報を流すという面では、ある程度いろいろな ところがやっているんです。それで、間違いをチェックするのも一部の機関がやってい るのですが、これはこれからもっとやってもいいかなということです。  それで、ニュースの形で適宜的確な情報を流す。これは、Cがないということです。 要するに、機動的に動いてすぐにこれはおかしいんだということを言わないとなかなか 気付かないので、二酸化炭素がいい例なんですけれども、ここまできてしまって今更二 酸化炭素がほとんど原因ではないというのは書きにくいんです。だから、もっと早く専 門家がこういう見方もあるんだということをぱっと言えば、多分こんなふうに二酸化炭 素一色にはならなかったんじゃないかと私は思うんです。だから、適宜情報を流すよう な活動もこれから必要だということです。  大体20分ですが、これはあくまでも私の考え方なので、少しでも参考になればという ことでお話をしました。 ○唐木座長 ありがとうございました。いろいろ御意見、質問があると思いますか、町 さんのお話を伺ってからまとめて御質問、御意見をいただくことにして、それでは次に 町さんよろしくお願いします。 ○町参考人 よろしくお願いします。日本テレビで現在、厚生労働省を担当しておりま す町亜聖と申します。  こんなちゃんとした場で話すという話ではなくて、担当の人とちょっと懇談だからと 言われて先輩にだまされて連れて来られた感じで、本当に専門家の皆さんの前でお話す るのはちょっと緊張しているのですが、小島さんはより具体的なメディアとの連携みた いな報告だったのですが、私が厚生労働を担当していまして実際に体験したというか、 見てきた食の安全のニュースをどういうふうに見てどう伝えてきたか、具体的な例を交 えてお話をできればと思っています。小島さんが大分率直に話をされていたので、私も テレビの裏側のぶっちゃけた話ができればと思っています。  実は、私は厚生労働を2002年のときに2年半ほど担当していましたが、2000年に入 ってから日本の食の安全が本当に大きく揺らいだと言っても過言ではないかと思うんで す。BSEがあったり、中国産の冷凍食品から次々と農薬が検出されて、過去の原稿を 調べてみたのですけれども、ホウレンソウ、シュンギク、マツタケ、エダマメ、セロリ、 カリフラワー、ピーマン、調べたものからはすべて農薬が出てくるという状況でした。  ただ、よくよく専門家に聞いてみますと、その検出されている量というのは、例えば ホウレンソウなどに関しては5トンぐらい食べないと命にかかわるようなものではない。 専門家の方にちゃんと聞くとそういうふうに具体的数字が出てくるんですけれども、と りあえず厚生労働省からリリースがでまして、その1枚の紙を見ますと、そこには〇・ 幾つppm検出されて基準値の2倍です、4倍です、10倍ですという書き方がされていま す。厚生労働省からそういうリリースをいただきまして、その第一報がまず私たちの貴 重な原稿の情報源になるわけです。  ただ、私たち記者はその紙だけを見て書くわけではなくて、担当課が記者会見なり、 レクチヤーなりを開いて、そこで細かい中身、〇・幾つppmがどういうものを意味する のかというようなことももちろん質問をして、その内容の裏付けというのは必ず取って 原稿化します。  だから、とても厚生労働省から出てくる公報文というのは公文書としてすごく大事だ なと思います。食品に関しては、私は厚生労働省が出す公報文の中でもかなりわかりや すい方だなと思っています。具体的には言いませんが、中には本当にわざとわかりにく く書いているんじゃないかというような紙を、しかも10枚くらい出してくる部署もあり まして、更に悪いことに悪い数字を先に書かないで終わりの方に小さく書いてある。  記者もそこは目ざとく見つけますので、結局その会見で担当の人が発表したことでは ないものか皆にわかって、これは何なんですかというふうになり、逆に大きなニュース になってしまうというところで、情報は悪いものもいいものも隠さず出すというのが一 番鉄則だと思いますし、私たち担当の記者もそれをちゃんと見極める目は持っていなけ ればいけないので、うのみにはしないで、その物事を的確にとらえるような努力は記者 もしています。  ストレートニュースというのは本当に厚生労働省から出た情報がかぎになるんですけ れども、テレビは本当に映像が命で、映像がなければなかなかニュースを伝えることが できません。小島さんの話の中の氷河の崩れ落ちるということがありましたが、厚生労 働省は映像的に派手なニュース、映像的にインパクトのあるニュースというのは実は本 当にそんなには多くないんですけれども、そのVTRをつくるためには電話一本では済 まず、本当に時間をかけて私たちは取材をしています。  専門家をまず探すところから始まりまして、専門家の方に詳しい話を聞く。残念なが らテレビは新聞とは違って本当に人数が少なくて、私もほぼ一人でマンモス官庁の厚生 労働省を担当しているような状況で、本当に食品だけではなく、薬もそうですし、介護 も年金も、そして舛添大臣の担当もしております。そういう意味で、そこはエクスキュ ーズというのではないんですけれども、全部の分野を本当に専門家の方と同レベルで知 識を入れることは不可能ですので、専門家の方に中身を確認するという作業は絶対して います。  それで、この間の中国ギョーザみたいな話があれば、事件性の高いものは本当に被害 者を探してきて、実際にその御家庭にあったメタミドホスが検出されたギョーザの袋を どうやって手に入れるかというようなことだけを命じられる若手の記者もいたりして、 何人もの記者を出して3分、4分なりのVTRをつくっています。  本当に食に関するニュースは本当に難しいなと思うのは、風評被害を起こしてはいけ ないなということは肝に命じているつもりではあります。ただ、どうしても見出しと言 うと何ですけれども、何々から何々検出という短いタイトルを付けてしまうと、そのタ イトルだけが一人歩きしてしまうということもありまして、そこも十分どういうふうな 書き方をするのかというのは、本当に担当がデスクと相談して考える、悩むところであ ります。  1つ、BSEのときに本当に私が思ったのは、安全と安心は違うんだなということを すごく感じました。私も本当に食の話は恥ずかしくて、コンビニのお弁当とか、そうい うものばかり食べているので皆さんに自慢してできる食生活ではないんですけれども、 本当の100%の安全というのはなかなか現代の社会で手に入れるのは難しいなと思いま す。BSEが起きたときに当時担当だったんですけれども、全頭検査ということで、や らなくてもいい若いウシも、国民の不安を解消するために全部を検査しています。  でも、全部を検査することは安全というよりは、国民を安心させるためにするのであ って、それは決して100%安全ではないということは取材している私たちもわかってお りました。だから、本当に安全だということを示すのはやはり科学的なデータに基づい たプリオンとか、そういう検出されない若いウシは大丈夫なんだということは、テレビ を見ている人たちには専門過ぎてなかなか伝わらなくて、ニュースはやはり全部検査し ているから安心だという方を国の対策というか、厚生労働はそうやらざるを得ないのか なというところはしようがないと思って受け止めています。  それで、完全な安全を手に入れるためにはやはり人も必要ですし、コストもすごくか かると思います。そこら辺はなかなか消費者の方には伝わりにくいかなと思うんですけ れども、中国ギョーザのときも横浜の検疫所の方に取材に行きましたが、本当に一つひ とつを手でつぶして細かい作業で異物というか、混入している細菌とかを検査していま して、輸入食品全部をやるということは不可能だなと実際に検疫所に行って思いました。  でも、やはり国民の人たちに安心を提供するには限りなく手間をかけなければいけな いのかなというのはすごく疑問に思うところで、全部やらなくても私はいいなと思って います。きちんとした情報を繰り返し伝えていくことで、テレビを見ている人たちにも 安心というか、安全なんだということを伝えられればと思っているんですけれども、目 まぐるしく毎日事件、事故が起こりますので、では実際に同じニュースを何日も放送で きるかというと、それはテレビの限界で、新聞みたいにキャンペーン報道という形で1 週間連続でやるとか、なかなかテレビはそういうことができにくい。問題が起きたとき だけわっと報道して、しかもテレビが過剰反応するからとか、よくテレビが不安をあお っているという厳しい御意見はいつもいただくんですけれども、テレビは24時間眠らな くなっておりまして、ニュースがワイドショー化して、ワイドショーがニュース化して います。  今まで、ワイドショーは芸能ニュースとか、そういうものを取り上げていればよかっ たはずが、今はワイドショーもよりニュースに近くなっておりまして、本当に朝から晩 まで同じニュースがテレビの各局から流れてくるんです。そういう意味で、もう聞いた のにと思うものが本当にずっと流されてしまうので、そういう意味では視聴者、消費者 の不安をあおる結果にはなってしまっているんだなということで、本当にテレビは反省 しなければいけないとは思っています。  ただ、私は報道に所属する人間ですので、報道の番組の中身はチェックすることはで きます。それで、私がすべて手掛けられないので、番組が長いVTRをつくったらその 原稿の中身をチェックして、ちょっとした言い回しでも間違いがないかということはで きる限りチェックしているつもりです。それで、小島さんがさっきおっしゃった大きな 意味でのチェックが働いているとか、いろいろ各所で試みが行われているんですけれど も、私も日本テレビの厚生労働省のチェック機能というものも、担当として原稿を書く だけではなくて、日本テレビが流す報道の食の問題に関しての中身がどれぐらい精度が 高いものかというのはできる限りチェックしているつもりなんですけれども、なかなか そこは限界があります。  朝の情報番組などが新聞コーナーと言って各紙の新聞を張り付けてやるコーナーがあ ると思うんですけれども、あれは本当に何々新聞によりますと、ということをやられる と一々その記事を検証することもできないので、テレビはそういう形で自分で取材をし ないのに、人の新聞を借りてとか、何々雑誌によりますと、という形をどうしてもとら ざるを得ない。とっている番組が実際に本当に多くあるのは現実だと思います。どこま で自社製作というか、自分たちが取材したものを、より多く面積を広く出せるかという のは、今テレビも経営的にすごく厳しい状況なので、人員削減の中、自社でどれぐらい 的確なものが出せるかというのは報道の中では今後大きな課題になってきております。  あとは、一つ思うのは、最初の方にも言ったのですけれども、国民の安心を得るため にすべてを禁止してしまったり回収してしまったりという対応はやはりどうかと思うと ころがありまして、マスコミの反応が過剰だからそうさせてしまっているのかもしれな いんですが、感染の可能性は極めて低いと見ているけれども、全部回収するというよう なことです。過去のケースを見ますと、危険性が極めて低いんだったら回収する必要が あるのかなと。でも、それは事実ですのでそういう対応を厚生労働省がとったというふ うに発表したらやはりそう書かざるを得ないし、そこの部分は必ず書かなければいけな いことです。  でも、見ている人、視聴者にすると、全部回収されてお店からざっとなくなってしま ったという現象を見ると、やはり中国産の物は危険なんだとか、肉もアメリカ産は危険 だというような状況になってしまうので、そこら辺の対応をどういうふうにしていった らいいのかなと思います。  食品ではないんですけれども、タミフルもそうです。先日、因果関係はないという結 果が後から出ましたが、なかなかそのデータの検証は時間がかかって、実際に問題が起 きて大分たってからそういう裏付けというのは出てくる。私は当初タミフルのときも担 当だったんですけれども、これはタミフルのせいではないだろうなということで、ほか の薬を飲んでも起きていますし、薬を飲んでいなくてもやはり起きている。だから、タ ミフルを10歳以上は飲んではだめだと、でも、これを書いたらタミフルのせいだと思う なと、本当に悩みました。  詳しくない社会部デスクも多いので、説明すると「町、危険じゃないのに何で10歳以 上は禁止するんだよ」、「それはですね」と、そこで社内に説明するのに、「でも、と りあえずの当面の措置として厚生労働はとったんです」と言ったら、「じゃ、やっぱり タミフルを飲むのは禁止だな。因果関係がないとは言い切れないということになっちゃ うな」というような形になってしまう。  テレビで一つのことに3時間くらい説明できるのでしたら詳細もできるのですけれど も、やはり1分のニュース、下手をしたら25秒でそのことを伝えなければいけない。25 秒はニュースではないなと私は思っているんですけれども、でも、「じゃ、それを25秒 で書いておいて」みたいな形で言われて、これは25秒ではと思うんですが、その25秒 の中に今の因果関係が認められているわけではないということは必ず盛り込みつつ、厚 生労働がとった対応を盛り込みつつ、それだけ書いたらそれで25秒は終わりというふう な状況でして、本当に原稿を書く私もすごい苦労をしながら、敵は中にありみたいな感 じで、中の人間にその物事を理解させるということが本当に難しいと思っています。  ただ、中の人間にわかってもらえないものはテレビを見ている人にも伝わらないと思 いますので、原稿チェックをするデスクが持った疑問というのは解消した原稿にしない と、やはり出してはいけないなと思っております。  そういう中で、前回の議事録の中で安全宣言とことで、メディアははっきりと安全と 言うべきという御意見もあったようなのですけれども、メディアが安全と言い切るとい うことは役目がちょっと違うかなと思っております。報道の役目は、国民の命を守るよ うに厚生労働省がどういうことをやっているかということをちゃんと監視して見守るこ とだと思っていまして、だから私たちがいるというふうに思っておりますので、メディ アがやはり安全宣言というようなことはちょっと難しいなと思います。情報提供があっ て、それで私たちが伝えるというふうな形でないと、本当に越権かなと思いました。  先日も後期高齢者医療制度で、これもまたマスコミのPRが足りないとか言われたり もしたんですけれども、でもこれもだれかのせいにしていてはだめだなというふうに私 は若干思っていまして、では、ただ厚生労働のせいにすればいいのかというと、その報 道の仕方がどうなんだろうと思っている一人でありますので、やはりマスコミももう少 し事前にテレビでもやれればよかったのかなと思うんですけれども、はっきり言って役 所のPRのために記者クラブがあるのではないので、情報発信というか、そういう意味 でこういうふうに制度を広めたいと思っているからこういう試みをしようというような、 どれぐらい厚生労働省として周知徹底のための対策というか、事前にこういう情報提供 がどれぐらいあったのかというと、テレビもそうですけれども、情報提供する何かPR する連携という意味では、お互いにもうちょっと足りなかったところがあったんじゃな いかなと思っています。  次は介護の改正もありますので、そういう意味では後期高齢者の反省を踏まえ、もう ちょっと前からどれぐらいテレビもできるかということを考えながら、反省を次に生か す形でやっていければと思っております。  食の問題でニュースになるのはどうしても悪いことばかりになってしまうんですけれ ども、できればいいニュースも取り上げたいと思っています。前回も皆さんからそうい う御意見もたくさん出たと思うんですけれども、私は2年半担当して、今10か月くらい 担当しているんですが、テレビの中で数年厚生労働省を担当するというのは実は珍しい ケースで、大体1年か2年くらいでころころと担当が変わってしまっています。だから、 私はほかのテレビの記者よりも長く歴史というか、まだもっと長い歴史があるんですけ れども、見ている分、継続してほかの記者とは違う何か役目ができないかなと思ってい ます。  最近、舛添大臣になったということもあって、大きな広報だけではなくて各セクショ ンに広報担当とかができまして、勉強会の方も事前に会見室でやるレクチャーという形 ではなくて記者を集めた勉強会という形もぽつぽつと開かれるようになってきましたの で、何かニュースがあったときだけわっと行って、どうなんですかというのではない場 で情報共有みたいな形をもっとどんどんしたいと思います。  うちには厚生労働省内では嫌われている『特捜プロジェクト』という番組もあるんで すけれども、大体「厚生労働省は答えなかった…」と言って外観で終わるということで 厚生労働省の建物を振り上げて、そこに「コメントできない」と書く。  でも、その報道は古いですよということを私は実は言っていまして、役所の方にも答 えなければそうやられますよ、それでいいんですかと。やはり現段階でコメントできる 範囲でコメントした方が絶対いい。全部言えないのはわかっているんだけれども、視聴 者から見ると厚生労働は何もしてくれないんだという印象になってしまうので、それだ けは絶対避けたい。厚生労働省も役人の皆さんも人数が少ない中で本当に日本全国の一 つの問題を数人の担当でやっているということが中にいるとわかっていますので、そう いう意味でもテレビのインタビューだったりコメントが欲しいときに、もうちょっとア レルギーを感じないでコメントを一言でもいいので出していただけると、それはすごく 受け止めとしては、テレビに対してというよりはテレビの後ろにいるテレビを見る視聴 者に伝えるという意味で是非出していただければと感じております。  でも、本当に記者クラブにいますと本社からの突き上げといろいろなものの狭間に置 かれ、あとはいろいろなニュースを一人でやっておりますので、至らないところはあり ながら、本当に日々伝えるということの難しさと責任を感じながら取材をしております。  そういうくらいの感じなんですけれども、これがテレビの裏側で本当は10人、人が欲 しいくらいな中で取材していますので、是非そこら辺の事情をわかっていただければと 思っています。ただ、本当に真摯な姿勢で、食は生きる根幹というか、本当に大事な問 題だと思っておりますので、是非自分の目も磨きながら今後も担当としてニュースを出 していきたいと思っております。  参考になったかどうかわかりませんが、以上です。 ○唐木座長 大変ありがとうございました。  それでは、小島さん、町さんのお2人にお話をいただきましたけれども、質問あるい は御意見がありましたらあとは御自由にいただきたいと思います。 ○高橋委員 お2方、それぞれ活字メディアと映像メディアと両方伺えてなかなか面白 かったです。  小島委員の事実訂正だけ、まずさせてください。健康食品管理士認定協会というのは、 主な会員が臨床検査技師です。臨床検査技師と薬剤師が主体で、それに対していち早く テレビの問題をというのは、2006年のTBSが起こしたシロインゲンマメ事件です。納 豆は別に健康被害は起こっていませんので。訂正は、それだけです。  それで、小島さんに伺いたいことは、いろいろ勉強会があるということなのですが、 今、町さんのお話を聞いていて、活字媒体は活字媒体だけなんだろうか。それからまた、 厚労省のそういった勉強会も、またそれは映像メディアの人たちだけなのか。その辺で 私がいつも感じているのは、まだ活字は批判しやすい。証拠が残っていますから。でも、 ビデオ録画しておかない限り映像というのは批判のしようがないという困難性がいつも あって、ニュースなどを全部録画しておくなどということはできないので、ニュースに 対する問題提起というのは、よりテレビの方が難しいと思っているんですけれども、さ っきの小島委員の御発言でいろいろ教えてくださったことは活字だけに限られるのかど うかという質問です。以上です。 ○小島委員 確かに、新聞の方が多いです。後から検証しやすいですから。  でも、例えば食品添加物協会でも日本フードサービス協会でも、テレビでもやってい ます。例えば、みのもんたさんが何か言った発言に対しておかしければ、そのディレク ターに必ず申し入れたりはしています。  ただ、それもたまたま気が付いたときだけなんです。朝から晩まで見ている人はいな いので、そこが本当に大きな課題です。 ○町参考人 1人で担当ということですので、勉強会にも本当に足が運べるかというと、 なかなか体が、本当に忍者になって分身したいくらいなのですが、でも今はどちらかと いうと私は医療の取材をすることが多いので、勉強会には行けなかったとしても資料を 取り寄せるとか、がんセンターとか、そういうがんの話はがんセンターの先生に必ず取 材をして電話で聞くとか、そういう形はとっています。  それで、勉強会と言っても厚労省の担当課が、ちょっと先にこういうことがあるから 鳥インフルに関して勉強しようとか、原爆症に関して裁判はこういうふうになっていく というような感じで、それは新聞もテレビも一緒に、よりちゃんとした、その日に付け 焼き刃で書くんじゃなくて、そういう意味ではちゃんとどういう経過があってというこ とで資料をいただいたりして、そこで疑問もあったら担当課の人にぶつけて聞くという ような形です。  テレビは本当に私たち自身もチェックするのが本当に難しくて、それぞれの情報番組 だったらディレクター、プロデューサーがチェックするという形をとるしかないです。 お恥ずかしい話ですけれども、やはり起きてはいけないことが起きてしまったりとか、 日本テレビも週刊誌をにぎわせたり、本当にやってはいけない現象も起きてしまってい るので、いかに中でチェックを働かせるかというのは本当に自分たちで自分を律してい かないといけないと思っています。 ○宗林委員 お2方にも伺いたいと思いますし、私自身も普段感じているんですけれど も、情報発信側はいろいろな観点から比較的多くの情報を出すんですが、メディアにな るときには短くなるんですね。更に、リードというような目立ったところをどう打つの かというようなことが結構読み手側、受け手側の消費者ないしは関係者に対しての影響 が大きいだろうと思っています。  ですから、発信側は短くして、大事なところの要点であるこことここは落とさないで という3点セットではないですけれども、そういったものを出すべきなのかと最近思っ ています。記事全体を読めばいろいろなことも書いているけれども、リードだけ読んで 間違って受け取ってしまうというようなことがよくあると思うんです。  その辺のリードの打ち方というのは取材した記者さんが決めることができるのか、あ るいはディレクターやデスクに行ったときにぼっと変えられてしまったりということも あるように聞いているのですが、そこの重要さ、あるいは短い分量にするときの悩み、 そしてそれを短い量にした情報提供版があれば、正確な情報になるのかという辺りを少 し伺いたいんですけれども。 ○小島委員 ケース・バイ・ケースで、今のことはケースごとに見ないと非常に難しい ですね。要するに、発表したときにそのまま素直に書いてある記事の方が現実には私は 圧倒的に多いと思います。例えば、厚生労働省が発表したものを全く違う角度から記者 がすぐに書くだけの能力は実はないんじゃないかと思っているので、発表されたら大体 素直に書いているとは思うんですけれども、ただ、強調する度合いが記者によって多少 違うので、そこら辺が違ってくるかなと。  だから、発表するときには一番強調したいことはこれなんですよということをもし書 いて発表したとしても、記者がそれに共鳴しなければ別の観点から書くことも可能です が、でも書かないよりは書いた方がいいということです。何が一番強調したいかをしっ かり書いた上でポイントを発表した方がいいかと思うんですけれども、でも、それもケ ース・バイ・ケースです。  だから、やはり私は事後的なチェックがきちんとうまくフィードバックがあれば徐々 にわかっていくので、事前に何かやるというのは非常に難しいなと思っているんです。 ○町参考人 宗林さんには国民生活センターでお世話になっていて、リードということ がよくわかっていらっしゃるので、本当にリードというのは大体15秒です。それで、専 門家の方にインタビューをして使う音は大体15秒くらいです。その中に要点をまとめる という作業は本当に難しくて、小島さんもおっしゃっていましたが、それぞれのケース だと思います。  若干わかりやすいなと思うのは、社会保険庁なんですけれども、在職老齢年金の未払 いというのがありました。あれがまたわかりづらく書いてあって、配られた資料を私は 読み解くことができなくて、給付金が支給されていて、賃金もあって、それで年金が一 部停止されていて、その一部停止額を計算するための給付金の計算という資料なんです。 何が言いたいんだろうと。  でも、要は何があったかというと、それは社会保険庁が計算ミスをして年金を12億円 未払いしていたというのがニュースで、それをひも解くというか、それはかなり悪いケ ースではあるんですけれども、そういう意味で資料がわかりやすく、これだけはという ふうに書いていただければこちらも余り悪意と言うと言い方はあれなんですが、また社 会保険庁はわかりづらく出してきたなという負の連鎖というか、それが初めてではない んです。今まで過去に何回もそういう資料の出し方をしてきて、こんなに具体例を言っ ていいのか、すみません。  でも、本当に具体例になりますが、後期高齢者医療制度の保険料にしても、8割の人 が下がっているというふうに資料を出してきたんです。ただ、資料をめくっていきます と、低所得者の中の6割の保険料が上がっていたんです。その資料は後ろの方に入って いたんです。これは何が大事な情報かといったら、高所得者ではなくて低所得者、困っ ている人たちがどうなっているのかが大事なのであって、やはりそれを先に出すべきだ と思うんです。それで、社会保険庁の場合は、また皆やってくれたなという形で、それ がニュースになってしまったんです。  具体例になるかどうかわかりませんが、でも、よりわかりやすくその事象は短くなっ てしまうという意味では、提供するときにちゃんと短く的を得た情報をいただければあ りがたいなというふうには思います。 ○小島委員 1つ、この間、ビスフェノールAと哺乳瓶の話がありましたね。あのとき も私はちょっと感じたんですけれども、テレビはお母さんたちに気をつけてください、 哺乳便は危ないですよと言って25秒とかで終わっていたんです。それで、聞いていて、 数字も出てこない、どういう根拠に基づいてそれが決まったのかも出てこなかったんで す。ただ危ないですよと言って終わってしまうんです。  でも、それはしようがないと僕は思うんです。短くわかりやすく書かなければいけな い必要性もあるのでしようがないんですけれども、厚生労働省が出すときにどういう言 葉になっていたかわからないんですけれども、そもそもああいうふうな表現で出したこ とがよかったのかどうかということです。厚生労働省がああいう発表をすれば、そうい うふうになるに決まっている。だから、情報を出す側の方が強いと私はいつも思ってい るんですけれども、報道する側が勝手につくり上げるということはないので、やはり情 報を出す側がいかに上手に出すかということが非常に重要かということです。 ○合瀬委員 ちょっと話が変わってあれですが、私も実はテレビで解説をしている人間 なのですが、今、小島さんのおっしゃっていることはよくわかるのですが、1つははっ きりと正しいものと正しくないものとわかれば、それは訂正のしようがあると思うんで す。問題なのは、いいのか悪いのかわからないグレーのところだと思うんです。  そこの部分についての考え方でいくと、もちろん新聞なりテレビも、解説で言うと事 実と自分の意見というものがあって、事実関係はなるべく間違えないようにしなければ いけない。だけど、明らかにこれはグレーだけれども、こちらの方の気がする。だから、 こういう対策をとった方がいいと、こういう解説をするわけです。  それで、さっきどなたかの話にありましたけれども、危機管理ですね。私は2000年に 解説員になったのですが、それまでは番組のプロデューサーをやっておりまして、実は こういう報道の現場というのはほとんど知らなかったのですが、2000年に解説員になっ てすぐに雪印乳業の集団食中毒事件が起こりました。このときはなかなか原因がわから なかったのですが、ただ、報道が遅れたというか、わかっていることが遅れたことで1 万5,000人近くの食中毒が出てきたわけです。そのときに、食に対する報道というのは とにかく迅速さが求められます。特に今のような大量生産大量流通の時代には、まずは やはり第一報として出さなければいけません。それで、私は解説の人間なので第一報を 出す立場ではありませんが、第一報の重要性というのはかなりあると思うんです。  当然危機管理の対策としても、まずはやはりどんと止める。とにかくわからないもの はすべて止める。それで、わかり始めたら徐々に緩めていくというのが危機対策だと思 うんですが、どんと止めた後に緩めるのがなかなか難しいんです。そこのところをどう するかというところが一つの論点であろうと思うんです。  もう一つは、さっきの記者が書いた記事が間違っている、間違えていないというのは 全く別の次元の話で、要するにここの検討会なりが一体どちらの方向を議論されようと しているのかが今はちょっとよくわからずにいるのですが、当然後者の方ですね。間違 えたものは当然直さなければいけませんし、勉強するのは当たり前の話で、それよりも グレーのところをどういうふうに出していくかとか、どういうふうにやっていくか。今 の現場の記者の人たちを見ていると、基本的にはクラブですね。NHKもそうですが、 いろいろなところを経験させるために大体記者が1年とか2年とかで変わっていくわけ です。そのときに、では本当に彼らが、例えば集団食中毒事件が起こったときに雪印の 牛乳工場を見せてもらいましたけれども、ぱっとこの工場を見て、これは管理がしっか りしているとか、しっかりしていないということはわからないわけです。ただ見せられ て、何となくしっかりしていますねと。これはやはりある程度、経験を積んだ人間でな いとなかなかそれはわからないんです。  そういう事情を踏まえて、もちろん私はいろいろな人に話を聞くわけですけれども、 当然人によって話が偏っていたり、さっきの小島さんの話ではありませんけれども、地 球温暖化でさえ全く地球温暖化なんてないという人もいますし、ダーウィンの進化論な んて関係なという人たちもまだいるくらいですから、これはすべての人が納得する答え なんかないわけです。そのグレーの部分を一体どういうふうに考えてどういうふうにや るかというところなんじゃないかと思いました。ちょっと私は議論がずれていますか。 ○唐木座長 ありがとうございました。今の合瀬さんの御意見ですが、リスク管理と危 機管理を分けろと、これはそのとおりだと思います。そして、この会で皆さんから御意 見を伺っておきたいのはいわゆるリスク管理の方であって、日常の食品安全に関する情 報、要するに規制値をオーバーしたものがあったかとか、何か新しいハザードが出てき たときにそれをどのように評価するのかといった日常的なリスク評価とリスク管理に関 する情報をどのように出していくのかということがこの会の中心だと私は理解していま す。  例えば、冷凍ギョーザの事件とか、それから今お話があったような大きな食中毒の事 件が起こったときには、これはもうすべての関連の商品を回収するとともに情報を出し てというような危機管理をやらなくてはいけない。それは厚労省としてのマニュアルを つくってやっていかなくてはいけないということがあるだろうと思います。それで、そ れに対するリスクコミュニケーションというものも出てくることで、そうなるとそこに はここは多少関係するかもしれませんが、第一義的な課題は日常のリスクコミュニケー ションというところに置くというふうに理解をしております。事務方の方はそれでよろ しいですか。 ○合瀬委員 危機管理とリスク管理というのはよくわかります。  ただ、その危機管理になる前に何らかのシグナルがあるわけですね。例えばBSEな どのときは、ヨーロッパでBSEが発生しました。そのときに、日本にも現れるかもし れませんねという報道をどちらに見るかだと思うんです。それは、海外でも起きている んだから日本でも起きるといって一生懸命やって、これは気をつけようねということが、 逆に牛肉業界の人から見ると、起こりもしないのにこういうふうにあおってどうするん だ。それは、今で言う間違いかもしれない。でも、それはやはり流さなければいけない わけですね。  ですから、リスク対応とその危機対応が全く違うものではなくて、危機対応の場合に 何らかのシグナルをどういうふうに見つけるかという話だと思うんですが、それもマス コミの仕事だと思うんです。私もヨーロッパでBSEが出たときに何度か取材しました けれども、当然行政は、日本でそんなことはあり得ないんだ、絶対出ないんだというふ うにそのときはほとんどおっしゃっていたんです。だけど、ヨーロッパである以上は、 これはあるかもしれないということで、いろいろなマスコミが流した。でも、それは一 方から見ると、全く世の中をあおっているとしか思えない。牛肉の消費が落ちたのはど うしてくれるんだと、そういう話になってくるわけですね。  ですから、物事を見るときには必ず両面からの見方があって、不確実性のものはある 程度報道するというのがやはり報道機関の一つの使命だと思うんです。以上です。 ○唐木座長 それはおっしゃるとおりだと思います。今のBSEの例ですと、BSEが 日本で発見された後は危機管理の問題ですね。それ以前はまさにリスク評価の問題で、 日本が大失敗をしたのはBSEに関するリスク評価をきちんと行わないまま日本にはな いというふうに言い続けた。それの大きな反省の上に立って食品安全基本法ができて、 食品安全委員会ができたということで、今BSEのような問題がもう一度起こったとし たら、これはすぐにリスク評価をしてきちんとした管理策ができる体制が今はできてい ると思います。  ですから、そういう意味では起こる前のものはここで取り上げるような一般的なリス ク評価がもし行われて結果が出れば、そのリスクコミュニケーションはきちんと行政が やらなくてはいけないということだろうと思いますし、それでも事件が起こってしまっ たら今度は危機管理の問題というふうに分けられるかと思います。そんなところでよろ しいでしょうか。  ほかに何かございますか。どうぞ。 ○古谷委員 小島さんに質問したいんですけれども、先ほどメディアが間違った場合、 いろいろな方々、あるいは機関が訂正を求めるということをされていると伺ったんです が、例えばこれらの機関の方々が消費者側にそういった間違いを訂正したとか、あるい は啓発的にそれを訂正するような情報発信ということをもし御存じであれば教えてほし いんですけれども。 ○小島委員 新聞だったら読者に対して……。 ○古谷委員 新聞がではなくて、各訂正を求めた側が、こういうことがありましたとい うことで訂正をしましたとか、正しい情報はこうですよといったようなことを積極的に されているのかどうかをもし御存じであれば教えてほしいと思います。 ○小島委員 どこの新聞社でも今やっているのは、読者から例えばこれはおかしいとか、 この問題のとらえ方はおかしいとか、例えば薬でありましたが、抗うつ薬の場合とか、 たくさんわっときたときには、一応開かれた新聞委員会という名前でうちは外部の人を 呼んで読者からきた問題点を全部読むんです。それを、新聞社としてはこういうふうに ここは反省していますということを月に1回やってはいるんです。だけど、やってはい るんですけれども、全部拾い上げているわけではないんです。 ○古谷委員 それはよくわかっていて、新聞社の側とかマスコミがそんなに一々全部訂 正とかはし切れないと思うので、それもお願いはしたいのですが、直接お聞きすること ではないのかもしれないんですが、こういうことを知っていらっしゃるので、逆に言う と本来の利害を強く持っている関係機関が何か消費者側にアクションを取って訂正を求 めたとか、これが正しい情報ですよというようなことを積極的にされている例があれば お聞きしたいと思ったんです。 ○小島委員 ほかのどこかの機関がやっているかということですね。 ○古谷委員 これらの機関が、例えば健康食品管理士認定協会とか、日本食品添加物協 会のいろいろな例を今、挙げられたと思うんですが、ここは積極的に動かれているわけ で、逆に消費者側にそれをもう一方で……。 ○小島委員 消費者側には伝えていないです。そこが問題ですね。 ○古谷委員 やはりそこはしないと、メディアだけでは難しいなと。  やはり余りしていないんですね。ありがとうございます。 ○唐木座長 今の御質問の一つの例は、たしか関西テレビだったと思いますが、遺伝子 組換えの大豆をネズミに食べさせたら流産が起こったというロシアの研究者の発表が日 本でありまして、実は私の関連の学会だったので反省しているのですが、それをメディ アも、それから消費者団体も非常に大きく取り上げた。特に関西テレビがそれの特集番 組みたいなものをやったんです。  それについては、実はそれは間違い実験だったということで、これはバイテク情報普 及会が中心になって関西テレビに意見を出しましたら、関西テレビが訂正番組をつくっ たんです。私が知っている限りでは、それが一般の人に対して非常にはっきりと間違い 番組だったということを知らせた唯一の例ではないかと思っております。 ○中野委員 大阪のテレビ局の方の朝日放送だったかもしれないですね。 ○唐木座長 朝日放送でしたか。私も出たんですけれども、テレビ局を忘れました。す みません。  先ほどの合瀬さんの御質問というか、御意見にも関連することですけれども、この会 の目的は何なのかというところをもう一度きちんとしておかなくちゃいけないというこ とです。ここの会は食品の安全性に関する情報提供の在り方ということで、厚労省が情 報提供をするときにどういうやり方をしたら一番誤解が少ない、あるいは正しい情報が 伝わるやり方ができるだろうか。それから、仮に意図しないような受け取り方あるいは 報道がされたときに、それをどのようにしたらいいのか。そこまで問題は広がっている だろうと思います。  資料1の前回のまとめが大体この会の目的に沿ったまとめであるということは先ほど 申し上げましたが、1番目が行政からの情報提供のあり方についてはどうしたらいいの か。2番目は、メディアからの情報発信を検証して、もし間違っていたらどうしたらい いのか。その結果、消費者、国民がそれをどうやって受け取っているのかということに ついても、できたらきちんと調査をして、情報提供のあり方の反省点にしたい。そのよ うな流れになったんだと思います。 ○合瀬委員 誠に申し訳ありません。前回出ていなかったものですから、具体的に言う と、これまでのどの発表でどういうケースでそういうことが起きたのですか。例えば、 厚労省が出した情報と、それからマスコミが出した情報とが違っていた。うまく伝わら ないというのは、何を指しているのか。その具体的なものがありましたら教えていただ きたいのですが。 ○唐木座長 それが次の話題のメディアカバーの調査のところで出てきますけれども、 具体的な例として前回出てきたのは、魚介類に含まれる水銀についてということで、平 成15年と17年に厚労省の発表がありましたが、15年のときには非常に慎重に発表した にもかかわらず、非常に大きな風評被害が起こったということがあります。それで、17 年にやはり同じような発表をしたときにはこれはほとんど風評被害がなかったというこ ともあるので、その辺はどういうふうに何が違ったのかをきちんと調査したらいいので はないかというような話もあります。一つの例としてはそういうことです。 ○合瀬委員 要するに、こういうことがかなり頻繁に起こっていると思っていいという ことですか。 ○唐木座長 具体的に大きな事件でアクリルアミドみたいなものが起こっているという ことももちろんありますけれども、むしろ皆さんが非常に感じているのは、例えば食品 添加物が非常に危険だから無添加にした方がいいというようなことが一般の方に信じら れているとか、無農薬の方がいいとか、その辺のところが厚労省の出している情報と随 分違うことを皆さんが信じている。その辺のところもひとつの大きな問題だろう思って います。 ○合瀬委員 ということは、メディアが出しているというよりは、一般の国民の人の認 識と、それから科学的な事実がかなり違うところがある。それを何とかするためにどう いうふうな情報の出し方がいいのかということですね。 ○唐木座長 そういうふうにも言えると思います。要するに、行政からの情報提供が一 般の方のリスク認知にどのように影響しているのか。その間に当然メディアも入るわけ ですが、メディアというのはテレビとか新聞だけではなくて、インターネットとか週刊 誌とかいろいろなものがあるんですけれども、そういうものも含めてですね。 ○小島委員 厚労省に限って言えば、私はそんなに難しいことではないと思うんです。 厚労省が出した情報がむしろおかしかったら記者を集めて、何でこんなことを書いてい るんだ、私たちはこう思っているんだということをずっと毎日のようにフィードバック しながらやっていけば、そのうちにだんだんわかるはずですね。  だから、具体的におかしいと思うんだったら、記者に言っているかもしれませんけれ ども、どこまで言っているかということですね。外でこそこそ言っていても意味がない ので、言えばいいんですよ。それを繰り返さないので変な報道になっていってしまうと いうことではないでしょうか。要するに、勇気がないんです。 ○唐木座長 まさにそういうことを御指摘いただくのがこの会ということだと思います。 ○中垣課長 勇気がないと言われたので、多少勇気を出してよろしいでしょうか。  今日、小島先生も町先生も、必ずしも食品のことに限らず全般についてお話をいただ いたので、私どももいろいろな部局にいきますので、そういうことからお伺いしたいの ですけれども、私どももどうやって国民に情報を伝えるかというところで、やはりマス コミにきちんと話をして理解していただくことが大事だということはずっと教えられて きてもいますし、常に感じていることですからやっているつもりなんですけれども、た まにいろいろな記者さんと話をしていて、やはりこれは違うんだと。  私たちから見て、確かに非常にマスコミが一面的に書くケースがありますね。役人と いうのは大体組織防衛で抵抗勢力とか書いていると、これは違うんだ。こうこうこうで こうなんだよという話をすると、そうですかと。でも、そう書いても記事にならないん ですよと言われることがあるんです。それは単に記者が逃げているのか、それとも本当 にそういうことがいわゆるデスクなどで行われているのかどうかということが1つ。  それから、特にテレビとかは大きいと思うんですけれども、画面になりやすいものと なりにくいものはありますね。やはり非常にある意味かわいそうなものなどが出てしま うと、ほとんどその反論はできない。それで、その対照的な図式で何となく逃げる役人 みたいなイメージで、一応そんなストーリーができているというようなことがある。そ ういうふうになってしまうと、どちらかというと我々も本件については幾ら言っても無 駄だなというようなケースが正直あるんです。これはどうやっても絶対こんなふうに既 に決まっているというのがあるんです。だから、そういうものをどうすれば回避できる のかというか、どうすれば我々は対処できるのかということをもし教えていただければ 非常に助かるのですが。 ○唐木座長 多分それもケース・バイ・ケースなので、例えばという例があると非常に 議論しやすいんですが。 ○中垣課長 例えば、規制改革などの問題でいろいろな事案があって、当然行政として ずっと続いてきていますから、最初のうちはいろいろな案件があるわけですね。ところ が、長年やってくるとだんだん大きなものはなくなってくる。非常に瑣末なものとか、 そういうものが非常に取り扱われることが結構あるんです。物事にはいろいろな二面性、 多面性がありますが、非常に一面的な議論をしてくる。でも、それに対して実際はこう であって全然よくならないんですよというような議論をしても、なかなかあれだとかで すね。  それから、もう少し具体的な話をすれば、平成10年くらいは医療事故とかの記事が非 常に多くて、当時は非常にマスコミは政治家、役人に次いで医師に対する風当たりが非 常に強かったと思うんです。そういう記事があると、例えば投書欄などでも、自分は病 院でこんなひどい目に遭いましたという記事があったり、人生相談みたいなところにも そんな記事があったりして、非常にあちこちに出てくるような状況があったと思うんで す。それが、ある時を境に非常に産科とかが不足して云々とかといったとき、全体の報 道が随分変わった気がするんです。やはりいわゆるモンスターペイシェントがどうこう みたいなことがたくさん出てきたりで、私が疑問に感じておりましたのはそういうとき には最初のころは新聞全体としてそういうふうにやろうというような感じのものがある のかどうかとか、あるいはそういうふうに何となく外から見て流れが変わったなと思う ようなものはどういうところで意思決定されているんだろうかということをもしお聞か せいただければと思うんですが。 ○唐木座長 意思決定はないと思いますが、何かお答えはありますか。 ○小島委員 私も解決策があるわけではなくて難しい問題ですが、自分もメディアにい ておかしいんですけれども、国が悪いと書いてしまうのは簡単なので確かに書いてしま うんです。  要するに、市民の側に立って書いてしまうんです。それがおかしいなと思っても、そ う書くのが当たり前だというルールみたいなものがずっとあって、そこはどうしたらい いか。本当に私も課題だなと思いつつ書いているんですけれども、そういう場合でも新 聞社にはいろいろな記者がいるので、もし厚生記者クラブがだめだったら別の記者たち に話してみるとか、そういうこともあり得るんです。  私の場合だったら、例えば中国産でも危なくないんだという記事も書いたりしますし、 論説が例えばBSE全頭検査が必要だと書いたときも、全頭検査なんか必要ないんだと 私も書いていましたから、別に社説に反することでも書けるんです。だから、いろいろ な記者にアタックするというか、アプローチするしかないのかなという気もしますけれ ども、市民側に立ってしまうというのはメディアの本質的な限界ですね。  ただ、それでも最終的に学者たちが何か結論を出せば、最初はわっと書いておいても、 やはりタミフルでも大きさは小さくても因果関係はなかったということを最終的には報 道しますので、そこのところが本当に私も難しいから逆に教えていただきたいくらいで す。  合瀬さんならば何かいい考えがありますか。 ○合瀬委員 実は、テレビ局というのは一つの意思で動いているようでほとんどばらば らなんです。それで、私も厚生記者クラブの記者の人たちと頻繁に連絡をとっているわ けでもありませんし、農水の記者クラブともとっていませんし、ほとんど個人商店の集 まりみたいなものなんです。その人たちが自分でどういうふうにこれは考えるべきなの かということをひたすらやっていますから、全体としてそういうふうに見えるかもしれ ませんが、そうではなくて実は一人ひとりの集まりなんです。ですから、小島さんみた いな人もいれば、私みたいな人もいて、町さんみたいな人もいる。  上がこういうふうに書けというのは、ニュースの現場ではあるかもしれません。でも、 それは書けではなくて、本当はどうなのかという議論をしている中で、ではこういうこ となんじゃないのというふうに収れんしていく作業なんです。ですから、最初からそう いうふうに思っているわけではない。  ただ、新聞も放送も基本的にはやはり権力と対峙するというのが大原則ですので、寄 り添うような記事は書かない。それから、政府のPRはやらないというのは染み込んだ 体質みたいなところがありますね。だけど、役人がいいか悪いかというのは、最近は政 治家も役人をたたけば点数になると思うのはいかがなものかというふうな論調も出てき ましたし、そういう感じでもないと思うんですが、どうですか。 ○町参考人 記者が、それではニュースにならないんだよなどというせりふをはいたと いうことがありましたが、私は今ドラッグ・ラグの取材をしているんですけれども、こ れは悪い意味ではなくて、どうこのドラッグ・ラグをニュースにして伝えようかという 観点なので、さっき一人ひとり個人商店という話があったんですが、本当に記者の熱意 なんです。  ドラッグ・ラグなどという言葉は、私は8年くらい前から取材をしているんですけれ ども、その当時は未承認薬の問題でドラッグ・ラグなんてだれも言っていなかった。そ ういうような形で、今はちょっと注目を浴びていますけれども、いかに皆が気付いてい ないものを発掘してニュースにしていこうかということを片や日常に追われながらやっ ています。  ちょうど医療事故の話が出ましたけれども、医療事故もずっと取材をしていたんです が、当初は病院の対応がひどかったんです。やはり情報を隠す、カルテを改ざんすると、 書かれて当たり前なことをやっている大きな病院が多かったというのは確かです。ただ、 やはりああやっていくと、事故があったら今では病院が、ありましたから会見を開きま すと先に発表するんですね。でも、その当時は被害者の訴えが新聞に届いて、新聞の投 書とかで取材して、それが記事になるとかで、やはりその出方としてその当時、紙面に 医療事故がわっとなってしまったときは、悪い情報を隠すという姿勢が私たちに火を付 けて、これは許せないというふうになったんですね。  某大学病院で、質問を一切受け付けないという病院がありまして、大きな講堂に記者 を集めて、左から出てきて、経過をぱっとしゃべって、以上ですと頭を下げて右から出 て行ったという、質問もさせないんだというような大きな大学病院がありました。その 後、記者は籠城しましてもう一度会見を開けと言ってもう一回会見を開かせたんですけ れども、これはちょっと食とはあれなんですが、私たちは被害者の声なき声、被害者で 声が出せない人たちの声を伝えるというのが一つの仕事であるので、そちらにどうして も寄ってというか、そういう使命があるので医療事故などというのはそういうふうにな ってしまったわけです。  ただ、これからテレビも変えなければいけないのは、視聴者をばかにするというか、 そういうような報道ではない、ちょっと知識を提供していくではないですけれども、そ ういうものをどうやったらできるかなと一人で考えていまして、なかなかすぐに大きな 流れにはならないんですけれども、そういうふうに思っている人間はいますので、今日 私はこういう場に来させていただいて本当にありがたいと思うんですけれども、そうい う意味では是非そういう顔と顔がわかって本当にぶっちゃけみたいな感じで意見交換と かがちゃんとできるようになると、少しずつ改善していくのかと思います。 ○宗林委員 私どものところも記者発表しているのですが、そのときに本文全体の原稿 のほかに1枚紙というものをつくっているんです。それで、一つの発表にはかなりいろ いろな細かいことが書かれていて、見る人が見たらわかるように情報が詰め込まれてい ることも一方で大切だと思っています。ただし、エッセンスが例えば4つ5つあったと きに、そのバランス感覚というのもとても大切だと思います。それが先ほどの質問につ ながり、メディアに載せるのに非常に短くするときに何をリードにするのかということ です。発信側が大事だと思っている情報のバランスが崩れることなく報道されないと、 そこを消費者側が受け取ったときに、えっと思ったり、違う情報になったりということ になるんだろうと思います。  特に、そのエッセンスの1枚をつくって出すんですけれども、その後、各社のメディ アの人が、個々に取材をかけてみえるわけですね。同じペーパーを配っているんですが、 マスメディアとしての独自性を発揮しなくてはいけないこともあるのだと思うんですが、 エッセンスのバランスがすごく違ってきたり、あるいは逆に5つあったエッセンスが2 つになってほかのことが載っていたりというようなことがよくあるんです。  そうすると、逆に消費者からこの報道のもともとの発信場所にある私どものところに もたくさんの電話がくるという状況になってしまいます。  結局、私は短い文面にしたときに国民向けに必要なエッセンスをどんなバランスで発 信したいのか。そこを、メディア側もある程度はバランスを崩さないでする。ほかの社 と変わらなくなってしまうから面白くないという話もありますけれども、そういったと ころがとても大事だなと思っていますので、先ほどリードはだれがどういうふうに決め るんだろうということで御質問したんですが、一応御意見を申し上げます。 ○唐木座長 ありがとうございました。  それでは、そろそろ残り時間が25分になってしまいましたので、次の話題に移らせて いただきたいと思います。小島さん、町さん、どうもありがとうございました。  次は、メディアカバー調査ということです。これも前回ちょっと御相談をしましたが、 この内容については事務局からもう一度御説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。  今、御紹介いただきましたように、前回も御紹介いただきましたメディアカバー調査 の案につきまして御相談させていただきたいと思っております。繰り返しになるのです が、メディアカバー調査といいますのは厚生労働省が発信した情報につきましてどのよ うにメディアに取り上げられて、それを国民、消費者の方がどのように受け取っている かというものを把握したいということで調査を実施する予定にしているものでございま す。  資料の1、2の部分につきましては、前回お示しをしていたものに若干修正を加えた ものです。  3の題材のところでございますけれども、事前に委員の先生方に御相談させていただ いたところでありますが、こちらの案としましてはまず先ほどの議論の中でも少し出て きました「魚介類に含まれる水銀について」ということで、平成15年の例と、平成17 年の例、それから「アクリルアミド」ということで挙げてきてございます。前回は、5 件くらい題材を選んでというお話をさせていただいたんですけれども、少しじっくりや った方がいいのではないかということで件数は絞ってございます。  ただし、これらの事例につきましては平成15年、17年、アクリルアミドにつきまし ては2002年(平成14年)の事例でございまして、若干古い報道発表になりますので、 アンケート調査をした際に消費者の方の回答がどうかというような意見もございますの で、その点につきましてアンケートの方法でありますとか、アンケート以外で消費者の 動向でありますとか、意識といったものを客観的に測ることができる方法等があるとい うことであれば、是非御教示いただきたいと思っているところでございます。  あとは、2番の「調査の内容」の(3)のところと、次のページにまいりまして4番 の(3)のところに追加をさせていただいているんですけれども、水銀の事例等につき ましては過去に厚生労働省や関係府省の調査研究におきましても何度か取り上げている 事例がありますので、過去のそういった調査結果も含めまして分析を行うことを考えて いるところでございます。是非御意見をいただきたいと思いますのでよろしくお願いい たします。 ○唐木座長 そういうことで、メディアカバー調査の趣旨はおわかりいただけたと思い ます。  私の参考資料という図がありますけれども、これも説明資料の1つとして出させてい ただきました。一番上のところの横枠は、横軸でリスクがだんだん大きくなっていくと どこかで事故が起こるということで、昔は経験上、事故が起こらないところが安全域と いうことで経験主義でやっていた。しかし、事例がいろいろ集まってきて、あるいは食 品安全科学が発達してくると、この事故を統計学的に解析した結果、だんだんと危険性 が増していくというカーブが描けるようになる。  そうすると、危険性がゼロであるところ、あるいはほとんどゼロであるところ、この 真ん中の「ほぼ安全(不確実領域)」というものが先ほどの合瀬さんのおっしゃったグ レーゾーンだと思いますが、グレーゾーンまでカバーして、もっとリスクが小さいとこ ろは「科学的な安全域」というふうに科学的にこれを判定できるようにする。これが、 リスク評価ということです。  そうすると、このリスク評価結果をもって行政が規制をする。規制をするときには当 然この「科学的な安全域」のところで適合、それ以上では違反ということになるわけで す。そうすると、ここではっきりと法律的に適合するかしないかという白黒に分けられ るわけです。市民感情としては当然、白であれば安全で安心だと思う。それでも不安だ という人もいることもいますが、規制違反はすぐにこれですべてこれは不安、危険であ るというふうに思う。ここでも白黒判断が出てくるわけです。  しかし、科学のところで見ると、規制に多少違反したからと言ってすぐに健康に障害 が起こるわけではない。だから科学的には回収はしなくていいし、この辺の違反が出た からといって食の安全が特に脅かされたわけでもないというような説明をしても、なか なかこれは受け入れられないというところもあるわけです。ですから、この辺のところ も含めて行政がどのような情報を発信しているのか。それを一般の人がどのように受け 取っているのかというところを調査したいというところだと思います。  それで、一番問題になるのは国民の情報の受け取り方に関わる調査ということで、国 民がどう思ったのか、あるいはどう行動したのかをどうやって調査するのか。これは2 つ方法があって、1つはアンケート調査ですね。これが一番単純な調査です。ただ、こ れは食品安全委員会が過去5年間ずっとやっていますが、ハザードを上げて、あなたは このハザードについてどのぐらい不安に思いますか、恐ろしいと思いますかというと、 ほとんどの人が、すべてのハザーバに恐ろしいというところに丸を付けてしまうんです。 これは、知識の調査になってしまう。どこかで読んだからそこに丸を付けようという感 じの調査になってしまう。  では、具体的に消費者の本当の不安を知るにはどうしたらいいのか。1つは、消費行 動がどうなっているのか。例えば、キンメダイについてはその報道の前後でキンメダイ の売上げがどうなったのか。これは一つの大きなあれだと思います。ですから、もちろ んアンケート調査も大事ですけれども、消費行動というものも調査をしたらどうか。  そんなことも考えておりますが、そういうことも含めてまずどんな題材を取り上げた らいいのか。それから、それについてどのような点を留意して解析をしたらいいか。そ の辺で御意見をいただきたいと思います。  いかがでしょうか。調査の題材の3は、水銀については明らかな風評被害があった例 で、アクリルアミドについては報道がどのぐらいあったのか、余りなかったのか。だか ら被害もなかったという例だと思いますが、そんなことも含めて何かいい例があったら 是非御紹介いただきたいと思います。 ○高橋委員 私はこの件を誤解していました。もう古いことなので、そのときどういう ふうなことが行われたかということをここで再検証するのかと思ったんです。  アクリルアミドは2002年の10月の末日だったんですけれども、あのときの報道量と いうのは本当に少なかったわけですが、それをどうやって現時点で聞くのか。厚生労働 省も農林水産省もウェブサイトに出していました。ですけれども、現実にポテトチップ スの買い控えは全然起こらなかったわけですし、翌日に私が学生の反応を見ても本当に 皆、はあっ?という感じだったわけです。これだけ前のことを現時点でどうやって調査 できるのかという質問です。 ○唐木座長 その時点の新聞の記事からどんな報道がどのぐらいの量、行われているの かということと、それからその売上高がその前と後でどう変わったのか。それを比較す るというようなことが一つの方法だろうと思います。それでどれだけの分析の結果が出 てくるのか、ちょっとその辺も含めて御意見を伺いたいのですが。 ○田中委員 これがどうということではないので、議論に入れるかどうかわからないん ですけれども、この間、7月のときにアジサイの例が取り上げられましたが、アジサイ というのはほとんど報道されなかったんですね。テレビでちょっとやったくらいです。  私はその直後に10人くらい女性ばかりの会食があって2人の方が知っていて、やはり 会食の場ですので自然のものは危ないのよねという話になって、口コミが広がっていっ たような感じがしたんです。それで1か月たってからもう一回、「アジサイのことを知 っている?」と、20人ぐらいの会合のときに聞いたら、3人くらいしか知らなかったん です。それで、報道の量によって全然違うというか、人の受け止め方は全然違うんだな と思ったんですけれども、厚生労働省にもきちんとアジサイのことは書いてあったんで すが、なかなか皆さんが知っている情報にはなっていないなということをとても感じた んです。  もう一つがカンピロバクターのことですけれども、有名人がやっている焼き肉店で起 こったということで結構取り上げられていたと思うんです。ですけれども、それによっ て焼き肉店の生肉を食べないようになったのかどうかということをちょっと知りたいよ うな気がするんです。  個人的なことになって申し訳ないんですけれども、うちの息子が学校の合宿で食中毒 みたいになって、それは何ごとだろうといったとき、それがカンピロバクターが原因だ ということが後になってわかったんです。それはどうも息子たちに聞くと、バーベキュ ーのときに鶏肉を余り火を通さずに先を争って食べたと言うんです。普通の消費者とい うのはそういう状態なんです。だから、そういう部分がなかなかいいきっかけだなと思 ったんです。どうしても消費者の中には、自然のものが安心で科学的なものが危ないと いう意識がどうしてもあります。  例えばにがり水が一時期すごいブームになったことがあるんですけれども、にがり水 を飲んでいて、にがり水を化粧水に使っているという人が私の知り合いで5、6人いま した。それでびっくりしたんです。こんなにいるのかなと私は思ったんですが、やはり メディアで取り上げられて、塩化マグネシウムと言うと危険なんだけれども、にがりと 言うと天然のものだから安心と思ってしまうんだなというような部分ですね。  だから、キンメダイとアクリルアミドというのは科学的なものと自然なものという部 分ではいいきっかけになるかなとは思うんですけれども、でもこれを今調査したときに 高橋先生もおっしゃったように、皆さんが知っていらっしゃるかどうかかすごく不安だ なと思うので、先ほど唐木先生がおっしゃったように報道がどうで、どういうふうな客 観的事実で見るんだったらいいんですけれども、今アンケートをしてこのことを知って いますかというときにどれだけの人が知っていると答えるかというのは大変不安に思う ところです。 ○唐木座長 ありがとうございます。それも一つの意義かもしれませんね。いつどれだ けの報道があった。現時点で、例えば水銀のことを知っている人が何人いるのか。アク リルアミドを知っている人が何人いるのか。そういうことを調査するのも面白いのかも しれません。  中野さん、どうぞ。 ○中野委員 私も似たような考えがあります。  まず、この取り上げたアクリルアミドは、やはりちょっと古いのかなと思います。そ の当時、ほとんど話題にならなかったような記憶があります。それで、ちょっと試しに 同僚の記者に聞いてみたんです。食品を取材していない別の分野の記者に聞くと、何そ れ? というような感じです。だから、調査をしても何か分析できるような有効な結果 というのはなかなか期待しにくいのではないかと思います。  多分、厚生労働省としては、厚生労働省がこのように発表した、これに対してどう報 道されて、国民はどう受け止めたかということを分析して結果を知りたいのでしょうし、 それは私たち皆も共有して議論しなければいけないと思います。しかし、食に関しての 世の中の誤解というのは、むしろ厚生労働省がきちんと発表しないような、例えば食品 添加物は食品衛生法にちゃんと規定されて、普通に使われている分には食べてもほぼ安 全ですということが伝わっていないところにあるのだと思います。厚生労働省としては、 毎日食べても平気ですよ、そんなに忌み嫌うことはありませんよとか、がんになりませ んよとは、正式には言わないじゃないですか。  それで、正式に言わないせいで、世の中の人は危ないと思って多目にリスク管理をし たり、口コミなりうわさなりで正しい情報がないままに不安に陥ったりするのではない でしょうか。食品添加物についてよく知らないマスコミも、世の中の人はこんなに不安 に思っています、食品添加物を食べるとがんになると思っている人はこんなにいます、 と報じるようになります。  そうしますと、もともと厚生労働省としてきちんと発表したことではないことを調査 するのはやりにくいのかもしれないのですが、その辺りに結構大きな問題があると思う ので、そういったことも検証できないかなと思います。以上、意見です。 ○唐木座長 ありがとうございます。本当にやりたいところはそこなんですが、なかな か難しい。何かいい方法があったら是非やりたいんですけれども。 ○加地課長 今の話題とは違うのですが、今の田中先生の御発言でアジサイの話と焼き 肉の話があったので、ここで情報をちゃんと出しておく必要があるかなと思います。  お陰様で、NHKでアジサイは食べないでくださいという報道をしていただいたので、 これは今、大分普及はしたと思うんですが、その原因がシアン配糖体ではないかという ことで当初は私どもも通知を出しました。これがまたマスコミと一緒で、私どものいろ いろな通知を見ていらっしゃる先生方がいて、そんな文献は見たことがないぞというこ とで、薬学会とかいろいろなところから御意見をいただいて、今その通知を廃止しまし た。  しかしながら、あれはやはりおう吐作用があるので、原因物質はいずれにいたしまし ても食べないようにということで、来年のシーズンまでにその原因物質がわかればいい んですけれども、そういう状況でございます。  それからもう一つは、先ほどの焼き肉店の話なのですが、あれもテレビ局から私は電 話がありまして、『朝ズバッ!』に声だけでの出演だったんですけれども、国内では生 食用のレバーを出荷していると畜場はありません。絶対に食べないでくださいというこ とは申し上げたのですが、ずっと私も食中毒の事例を見ていますと相変わらず出ており ます。特に埼玉県辺りで調べましたら9割以上の焼き肉店がまだ生食用として出してい るということなので、今ちょっと解析しているんですが、これで続くようであれば本当 に我々としてはどうしたらいいのか。厳しくすべきなのか。そこを今、検討中でござい ます。  国内で過去にと畜場で生食用のレバー、生食用の牛刺を出している施設はありまして、 今も登録はされているんですが、現在、実際に実績はありません。馬肉、馬のレバーに ついては特別なと畜場で今でも安心して食べられるものは出荷されているということで ございます。 ○中谷内委員 調査の題材なんですけれども、厚労省が発表した情報がどのような形で 報道されたのかを調べようと思えば、その報道がいわばデータになりますので、アクリ ルアミドが余り報道されていないのであれば、1つとか2つしかないような報道の傾向 がこうだったと言ってしまうと、それはデータとしての信頼性は非常に低い。不安定だ と思います。そういう意味では、かなりの報道量があったものを対象にしないと、得ら れた結果も信頼性がないんじゃないか。  もう一つは、国民がどのように受け止めたかという話です。対象者はインターネット を通じたアンケート調査になっているんですけれども、これは大分偏ってしまうのでは ないかという気がするんです。あと10年もすれば一般国民を代表するような形になるか もしれませんけれども、今のところやはり若い人が多いし、特定の物言いがある。そう いう中で、国民の年齢分布に応じた形でデータを取ると、かえって高齢者のデータがい びつなものになるということがありますので、時間とお金の問題があるとは思うんです けれども、もしできるんだったら一般的な社会調査をされた方がいいかと思います。  それから、どんなふうに受け止められたかということについて2つ方法がありまして、 実際にある報道があって、それがどういうふうな影響を与えて現在に至ったかというふ うなことでやれば、例えば平成15年のときの水銀の報道はいろいろありましたが、あな たはどう思いますか、恐ろしいですかということを聞けばいいんだけれども、それは報 道の影響だったのか、水銀に持っているリスク認知なのか、分離できないわけですね。 しかも、我々が思っているほど一般の人はそんなことがあったかなということになって しまう。  それに対する一つの方法は、実際にあった記事なり何なりを見てもらって、これに対 してどう思いますかという反応をその場で取る。ただ、これのデメリットは、その場で 調査員が来て、はい読んでくださいというと一生懸命読んで一生懸命答えてくれるんで す。我々が朝、新聞を読むとき、先ほど見出しやリードが重要だとおっしゃっていまし たけれども、見出しだけばっと見て終わって印象を受けて買ったり買わなかったりする のとは別なものを測ってしまう可能性があります。だから、一長一短でこれが最適とい うのはなかなかないんですけれども、そういう意見です。 ○唐木座長 ありがとうございます。非常に精密な調査をやるとするといろいろな問題 が出てくるので、どの程度までできるのかということがあるだろうと思いますが、先ほ どアクリルアミドの問題も報道が少なかったからだれも気にしなかったのか、あるいは かなりあったけれども、気にしなかったのか。その辺の量の問題もあるだろうと思うの で、それは一応調べてみる価値はあるのかなという気がしてはいるんですが、何かこの 題材あるいは報道についてもう少し御意見がございましたらどうぞ。ここが決まらない と次の調査ができないということので、どうぞ。 ○宗林委員 具体的にこれということではないんですが、やはり報道のされ方もそうで すし、厚生労働省の発信の仕方も年々変わってきているだろうと思いますので、余り古 いものを今この時点で題材に取り上げて、それをあれこれ言うというのは不適切ではな いかと私は思います。  ですから、なるべく直近のものを解析することによって今後につなげられるというよ うなこともあるでしょうから、やはり新しい題材でたくさんの報道があり、その報道の 違いがどうなのかということをきちんと検証できる題材を選んでいただきたい。そうし ないと、受け手側がどうそのときに見たのかというのが、私自身も感覚的にそのデータ を見たときに、こうだったなということが思い起こせないし、それが次につながらない と思いますので、そう言えばこういうことは確かにあったなと過去のことは思うけれど も、それを今更というようなものは今回のテーマには適さないのではないかと思ってい ます。 ○唐木座長 それもそのとおりなんですが、では最近そういう事例が何かあったかと言 われると、これが難しくなってしまうんですね。  小島さんどうぞ。 ○小島委員 具体的ではないかもしれませんが、何か比較するときに例えば厚生労働省 が、これがよい記事です、これは悪い記事ですと、AとBを挙げて、Aという情報が報 道で流れたときには国民はどう思った、Bというときにはどう思ったとか、比較するも のがないと、なかなか反応が難しいんじゃないですか。  私の経験から言うと、例えば中国産、台湾産のウナギのときに危ない、危ないと書い たんです。それで、私は危なくないと書いたんです。科学的に見たらものすごい微量な ので、これは全然危なくないし、品質はむしろ台湾産の方がいいと書いた。自分として はいい記事を書いたなと思ったら、返ってきた反応は、何でこんな記事を書くんだばか りなんです。10人に対して1人は、本当にこれは今まで知らなかったので勉強になりま したということがきたんですけれども、あとの9人は中国を擁護するのかとか、記者と してこんなことを書いていいのかとか、そういう反応になっちゃうんです。  だから、それと比較するためにも、では危ないという記事を読んだ人たちがどう思っ たのかという比較がないと、やはり本当のことは探れないんじゃないかという気もした んです。 ○唐木座長 ありがとうございます。最近の事件と言えばギョーザ事件ですけれども、 あれは多分犯罪事件ですから、これは少しこの趣旨とは違うのですが、ギョーザ事件の 後、非常に多量の中国食品を検査して、その規制値をちょっと超えたくらいのものが次 々に出てきて、また出た、また出たといったような記事が出て、それがまたパニックを 大きくした。そんなことも一つの事例になるのかもしれませんね。  わかりました。それでは、皆様の御意見を参考にしてちょっと事務局と相談をして、 少し題目については検討をしまして、またお集まりいただくのは大変なので、メールで でも御相談をさせていただくということでよろしいでしょうか。 ○小島委員 もう一つお願いしたいのは、次回までに厚生労働省が過去の報道を見て、 問題だと思ったものを教えてほしいんです。この記事は問題だと。それがわからないか ら、私たちが聞けば、それは記者の感覚がおかしいのか、ちゃんと報道したんだけれど も読者の反応がおかしいのかということがわからないので、やはり悪い例を挙げてもら わないとなかなか議論は進まないと思います。 ○唐木座長 わかりました。事務局はその宿題はよろしいですか。かなりこれは主観的 なものがあるかもしれませんが。  それでは、予定の時間をちょっと過ぎてしまいましたので、本日の懇談会はこれで終 了させていただきます。事務局の方から何かございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、このメディアカバーの題材については先ほどお話をしましたように皆さん にメールで御相談を更にさせていただくということ、それから事務局への宿題もいただ きました。  次回以降の日程ですけれども、調整をした上、改めて事務局から連絡をさせていただ きます。それでは、本日はお忙しいところお集まりいただきまして本当にありがとうご ざいました。これで終わらせていただきます。 照会先:食品安全部企画情報課     03-5253-1111(内線 2493,2452)