08/08/28 第7回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会議事録 第7回 ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する 労働者ばく露の予防的対策に関する検討会 日時 平成20年8月28日(木) 10:00〜 場所 九段第3合同庁舎共用第4会議室 ○化学物質対策課企画官 定刻になりましたので、ただいまから第7回「ヒトに対する 有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を 開催いたします。本日の検討会は公開で行います。本日は、菅野委員、小川康恭委員が 欠席です。  配付資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、資料1「ヒトに対する有 害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会におけ る検討課題及び検討結果(案)」、資料2「局所排気装置を設置すべき箇所」、資料3「ナ ノマテリアル製造・取扱い作業現場におけるばく露防止のための呼吸用保護具の使用に ついて」です。参考資料1「第6回検討会の概要」、参考資料2「ナノマテリアルに関す る労働安全衛生法上の取扱いについて」、参考資料3「通達」です。  本日の議事は、前回より積み残しとなっておりました、局所排気装置を設置すべき箇 所について、小川順委員のご協力により、資料2として提出しております。それから、 呼吸用保護具の要件について田中委員のご協力により、資料3として提出しております。 本日は、まず資料2と資料3についてご検討いただき、その後検討課題について前回に 引き続きご議論いただきたいと思います。検討課題については、資料1の10頁の(3) 「健康管理」とありますが、この健康管理の前のところまで前回ご議論いただいており ます。本日は「(3)健康管理」のところから議論いただきます。以降の議事進行は福島 座長にお願いいたします。 ○福島座長 本日は12時半までということで、資料1の検討課題を全て終了したいと 思います。活発な審議と、スムーズな進行にご協力いただきたいと思います。まず、資 料2「局所排気装置を設置すべき箇所」について、小川先生から説明をしていただき、 そして審議をしたいと思います。 ○小川(順)委員 資料2に基づいてご説明申し上げます。局所排気装置を設置すべき 箇所ということで、ナノテクノロジービジネス推進協議会に参加しているメーカーから ヒアリングした内容をまとめてあります。メーカーの中には、ナノマテリアルを製造し ているメーカー、そのナノマテリアルを入手して使用しているメーカーの2種類があり ます。それぞれ分けて書いてあります。  ナノマテリアルの製造メーカーについては、工程中にドライな状態になったナノマテ リアルを作業者が直接ハンドリングする工程で、局所排気装置を設置しているケースが 多い。ただ、製造設備については、自動化をどの程度進めているか、あるいは連続化を 進めているかという程度でメーカーごとに強弱がありますが、主に2つの工程というこ とでここに記載いたしました。  a)は合成したドライな状態のナノマテリアルを回収する工程です。b)は製品を出荷 するために秤量したり、梱包・袋詰めしたりする工程です。重複しますけれども、連続 化している場合、b)にある工程自体を自動化、あるいは隔離しているケースでは、局 所排気装置をそのまま用いているということではないケースもあります。  次は、ナノマテリアルの使用メーカー側です。入手したナノマテリアルを、以降の工 程で加工したり処理するために梱包を解く、開封する工程で局所排気装置を設置してい るということです。a)はビニールなり段ボールに入ってきたナノマテリアルを開封す る作業。b)は小分け・秤量ということで一定量を計り取る作業。c)は以降の加工工程、 例えばホッパーなどに投入する工程。ここではa)、b)、c)の3つの工程を挙げていま す。以上です。 ○福島座長 これは、前回、局所排気装置を設置すべき場所及び要件のところで宿題に なっていました。その宿題になっていた設置すべき箇所について小川先生にまとめても らいました。これについてご意見、ご質問をお願いいたします。 ○蒲生委員 一般的に粒子、粉じんの発生するようなものを扱うときというのは、こう いうプロセスであれば、こういう対応をとるというのは、ナノマテリアルでなくても一 般的なのではないかと思うのです。ナノマテリアルだからということでプラスになって いる、というような部分は何かあるのですか。 ○小川(順)委員 製造メーカー、使用メーカーとも共通して、一般的な粉じんの対策 と同じ考え方だろうと思います。ナノマテリアルであるからプラスしているというか、 局所排気装置については特にそこで区別はないのだろうと思います。 ○大前委員 連続工程でも、自動化された工程でも、トラブルは起きるわけです。そう いうトラブルが起きたときには、必ず局所排気等の設備に関して、今回のヒアリングの 結果はいかがでしたか。 ○小川(順)委員 トラブルを想定した形での回答はいただけませんでした。定常作業 の中でのヒアリングです。 ○福島座長 この検討会としては、「局所排気装置を設置すべき箇所」という小川先生に 作っていただいたものを基本として進めることにいたします。  次は資料3です。これも宿題になっていたもので、「ナノマテリアル製造・取扱い作 業現場におけるばく露防止のための呼吸用保護具の使用について」という資料を田中先 生に作っていただきました。田中先生から説明をお願いいたします。 ○田中委員 資料3に基づいてご説明いたします。1頁の真ん中の表は、呼吸用保護具 の種類です。その下の通達で、今回のナノマテリアルの使用としては防じんマスクが記 載されています。それ以外の呼吸用保護具として、ろ過式の防じんマスクの隣にある電 動ファン付き呼吸用保護具、それから給気式の送気マスク等の使用ができるように呼吸 用保護具の範囲を広げていただくことをご検討いただきたいということを挙げておりま す。  呼吸用保護具を選定するに当たっては、2番目の防護係数を考慮して検討することが 多く行われています。防護係数とは1頁の下に記載しておりますように、PF(防護係数) =Co/Ciということで、面体の内側に侵入する粉じん濃度に対して、面体の外側の粉じ ん濃度の割合という形で、呼吸用保護具の防護性能を表します。すなわち、防護係数が 高いほど、マスク内への粉じんの漏れ込みが少ないことを示しており、作業者のばく露 が少ない呼吸用保護具といえます。  また、その下の式で、防護係数は(1/全漏れ率)にも相当します。例えば、全漏れ率 が5%あるということは、(1÷0.05)から、防護係数は20に相当することになります。 防じんマスクでは、面体の漏れ率とともにフィルタの透過率を加えた形で防護係数を求 めます。式は1頁の一番下に記載のとおりです。  2頁で、もう1つ保護具の選定の際に濃度倍率が用いられます。作業環境中に存在す る有害物質の有害の程度で表示されます。濃度倍率=作業環境中の有害物質の濃度/有害 物質のばく露限界濃度です。ばく露限界濃度として許容濃度あるいは管理濃度等が使わ れます。防護係数が、濃度倍率より高い呼吸用保護具を選定する必要があります。  防護係数は、呼吸用保護具を装着してばく露限界濃度、あるいは管理濃度の基準値以 下のばく露になるには、何倍までの環境濃度の範囲で使用できるか、という解釈もでき ます。ところが、ナノマテリアルでは、上記の基準値及び作業環境濃度、ばく露濃度が わからないために、この計算をすることができないことになります。防護係数の高い呼 吸用保護具を適切に使用すれば、作業者のばく露防護に対しては安全側にあるというこ とが言えます。  環境改善をして、残留リスクを考慮し、呼吸用保護具を選定する際には防護係数と、 呼吸用保護具を装着したときの作業性を考慮して選定する形になります。防じんマスク は、他の呼吸用保護具に対して比較的小さい防護係数であるということを併せて考慮す る必要があります。  その一例として、最後に付けましたA3判の表です。呼吸用保護具の防護係数と、長 所、短所、先生方にご理解しやすいように写真及び図で保護具を紹介しております。こ の防護係数はアメリカやヨーロッパで、ナノマテリアルで使用する呼吸用保護具の選定 の際に、よく検討で使用されている表を添付しました。  2頁の表は、我が国のJIS T8150:2006に付表として記載されている呼吸用保護具の 選択、使用及び保守、管理方法に記載されている防護係数を併せて一覧として記載して おきました。先ほど紹介した防じんマスクは一番下、ろ過式の動力なしが防じんマスク に該当します。半面形の場合には3〜10という防護係数です。3〜10というのは先ほど 紹介したフィルタの透過率も考慮された形の中で記載されています。全面形の場合には 4〜50です。動力付きというのが、電動ファン付き呼吸用保護具に相当します。防じん マスクは比較的小さい防護係数であることを考慮して使用することが必要であると言え ようかと思います。  3頁の3に、石綿を取り扱う作業で使用する呼吸用保護具を選定する際に、防護係数 を参考にした上で、推奨されている保護具の例として表3を記載いたしました。  表3の一番下、より発じんの少ない場合に使用する呼吸用保護具としては、上位の保 護具とともに、半面形の取替え式防じんマスク、捕集効率が95%以上、これはRL2、 RS2というグレードのものです。これは、気中の石綿繊維濃度としては、管理濃度以下 で使用するマスクとして推奨しています。これより高い濃度、管理濃度の10倍以下ま ででしたら、半面形の取替え式防じんマスク、ただし捕集効率が99.9%以上のものを使 用するということ。それよりさらに高い50倍までのときに、全面形の取替え式防じん マスク、半面形では駄目ということを示唆しています。100倍まででは、面体形及びフ ード形の電動ファン付き呼吸用保護具及び送気マスクの使用。1,000倍までという際に は、プレッシャデマンド型のエアラインマスクということで、先ほどの防護係数を踏ま えた形の中で、呼吸用保護具の選定が推奨されているということです。  4番目に、防じんマスクで使用するフィルタの捕集効率ということで、ここでは日本 とアメリカの検定の比較の表を載せておきました。日本の防じんマスクの捕集効率に関 する検定試験条件及び性能分類と米国の表を記載しております。日本の規格は、アメリ カの規格を参考に作成されているということですが、全く同じではないわけですが、ほ ぼ類似しています。  4頁の5は、これを踏まえてナノマテリアルに対する防じんマスク用のフィルタの捕 集効率のランクの変更についてです。前回の本検討会の中で、Bauaが、94%以上の捕 集効率のマスクの使用ということが記載されているということを紹介いたしました。そ の後、本検討会及びマスク関係者にいろいろ情報をいただいた上で、ナノマテリアルに 対する防じんマスクのフィルタの捕集効率の実験結果が、今報告され始められていると いうことです。その意味で、現時点で判断するのはあまり適切ではなく、もう少しその データを見定めて判断するほうが望ましいのではないかと考えます。  そういう意味では、前回通達で示されている捕集効率がランク3、99.9%以上につい て変更しないことを提案します。この件についてご検討いただければと思います。  6番目に、マスク面体と顔面とのフィットネス、密着性の問題です。一般の粉じん職 場で防じんマスクの装着が不十分なために、マスクをしていてもばく露している事例を 多く見かけるというのが現状です。現場的には、フィルタの捕集効率より、マスク装着 による漏れ率のほうが大きく、また重要であると言われています。  さらに、ナノマテリアルに対するマスク面体と顔面との漏れ率、粒径が小さくなれば、 より漏れ率としては高くなることが危惧されるということで、こういう測定を行う必要 があるのではないかと思われます。防じんマスクを選定するときに、面体と顔面とのフ ィットチェックを行い、良好な面体をまず選ぶ。それで、毎回の装着時にも同様にフィ ットチェックを使用することが必要であると考えます。  これらマスク面体の顔面との密着に関する漏れ率の測定、及びフィットチェックの必 要性については、教育等で指導することを提案します。参考に密着性の試験方法、パワ ーポイントのいちばん下の左側に測定例の一例として、参加者24名での密着性による 漏れ率の結果を示しています。この表では、24名中13名が10%を超えるような漏れ率 を示しました。さらに装着の指導をすることにより、多くの作業者は漏れ率を10%未満 に下げることができました。  以上の結果を踏まえ、1頁の一番上にまとめてみました。それを作成するに当たって は、石綿障害予防規則の施行内容を参考にしながら作りました。  ナノマテリアル製造・取扱い作業現場に労働者を従事させる場合は、労働者に有効な 呼吸用保護具を使用させなければならない。有効な呼吸用保護具とは、送気マスク等給 気式の呼吸用保護具、粒子捕集効率99.9%以上の防じんマスク並びにJIS T8157に適合 した面体形及びフード形の粒子捕集効率99.9%以上の電動ファン付き粉じん用の呼吸 用保護具を言い、これらのうち防じんマスクについては国家検定に合格したものである こと。このような内容を案として提出させていただきました。以上です。 ○福島座長 詳細に検討していただいたものを田中先生から説明していただきましたが、 ご質問はございますか。 ○蒲生委員 私は、マスクのことは素人なので素朴な質問をさせていただきます。ここ に書かれている防護係数の数字から考えると、フィルタ自体が99.9%だろうと、95%だ ろうとあまり効いてこない。むしろ、漏れ率が支配的と思えるのですが、それは解釈が 間違っているのでしょうか。 ○田中委員 それも入ってくる、というふうに理解してください。 ○蒲生委員 漏れ率がある程度一定だとしたときに、99.9%と95%というマスクは、最 終的な防護係数としては相当違ってくるということなのでしょうか。確かに何十倍違う という計算になるとは思うのですが、防護係数としてはあまり違わないことになりはし ないかと思ったのです。理解としてはそれで正しいですか。 ○田中委員 100÷5、あるいは100÷1に相当する。例えば95%とした場合、5%漏れ ていますという形になります。 ○蒲生委員 透過している。 ○田中委員 透過しています。 ○蒲生委員 それに、漏れ率というのが結構大きい数字で入ってくると、結局フィルタ 自体それで1なのか5なのかというのはあまり効いてこないと思ったのです。 ○田中委員 95%で5で、防護係数としては20になります。1%ですと100になるとい うことです。それをどう解釈するかということだと思うのです。 ○明星委員 田中先生はその専門家なので話を取り上げてもなんなのですけれども、理 解としては、空気の流れとして、フィルタを通ってきて漏れているある粉じんの量と、 隙間を通って流れてきている粉じんの量と、それの和がトータルでいまは防護係数を決 めているわけです。  ですから、蒲生さんがおっしゃるように、漏れているほうの流れが多いと。それは、 捕集効率0%で漏れてきています。フィルタのほうは、流量は多いけれども、捕集効率 がかなりあるので、粉じんは減って入ってきています。その和がトータルでマスク面体 の中に来ている粉じんの量なのです。  その漏れている量をざっけなく防護係数が20ということは5%漏れていると決めて しまえばそれは非常に簡単なのですけれども、私とか田中先生が実際に測ってみると、 漏れている量にはかなり幅があります。ですから、ここで決めている値というのは、そ ういう幅のあるうちの、非常に危険側で見た場合に、例えば95%ぐらいがこれ以下の漏 れということを期待できるある値をここでざっくり決めています。  ですから、防護係数を見て捕集効率を見たら、「なんだこれは」というふうになるので すけれども、現実にはきっちり着ければもう少し防護係数は高くなります。だけど、測 らずにとか、実際に使っているとだんだんずれてきます。最初にきっちり入っていても、 だんだんずれてきます。これは、使ってみるとわかると思うのですが、30分ぐらいする とだんだんダラダラになってきて漏れてきます。そういうことも含めていくと、こうい うふうな値になってきます。  言いたいのは、現実的に使っているときの、非常に危険側をざっくりしたときに、防 護係数が10としています。きっちり管理すれば、もう少し期待できます。その場合は、 フィルタの能力の差が出ます。ただ、非常にだらしない使い方をすると、それぐらいし か期待できません。 ○蒲生委員 私が申し上げたかったのは、マスクをどれにするかというのは実際の事業 者は悩むと思うのです。それと同じぐらい、着け方に悩んでくれるのか、あるいは着け 方をきっちりすれば、マスク自体はあまり悩まなくてもいいということがあったりする のではないか。その両輪だということを一応確認させていただきたかったのです。 ○明星委員 それは正しいと思います。 ○甲田委員 前回の議論からこの話はずっと引きずっているので、こういう形で田中先 生が提案されたというのは、それなりにいろいろな情報を取られた結果だと思っていま す。この間、我々もいろいろな職場に入らせていただいて調査をして、先ほどの小川さ んの報告から、局所排気装置を設置すべき場所といういくつかの視点もありましたが、 全体的な流れとしては、たぶん粉じんがターゲットになってきているのだろうという感 じがします。  全体的な流れはそうなのだろうと思いますけれども、あまりにもナノマテリアル物質 の種類が多いのと、いろいろな所で生産されて使われているということ。例えば、法律 でいう粉じん職場に対応されていない職場がほとんどだろうと思っています。そういう 意味では認識がその職場にはないのだろうと思います。そういう所にマスクの基準が入 ってくると、それが支給されればよしという形になってしまうと非常に怖いということ を危惧しています。  前回の議論で、そういうのを補うのがいろいろな形での教育だろうという話がありま した。いや、教育は効果がないという意見もあったと思います。ある、ないは別にして、 検討会だとか行政の立場としては資料の提供というか、情報の提供はしないといけない のだろうと思っています。  ここからが本題なのですけれども、いくつかの現場に入ってみて思うのは、前回も話 があった電動ファン付きのマスクを使うのもいいのではないかという話がありました。 我々としてはこれもいいのではないかという提案なのですが、職場の中では防ばくの製 造設備が実際の問題からいってあります。そうなってくると、電動ファン付きのならこ れでいいのだなと。あれは涼しいから非常に楽なのですけれども、そういう知識がない と、そういう意味合いからいうと危険かもしれないです。  それから、一律の製造工程ではなくて、かなりタイトなと言ったらいいのでしょうか、 非常に暑い所もありますし、非常に狭い所もあったりいろいろします。もちろん実験室 で、クリーンルームみたいなものもあるのですけれども、非常に差が激しいです。そう いう所で、一律にこのマスクの基準・規格ということではなくて、先ほどの話にもあっ たように、そういうマスクをどうやって活用していくのか、利用するのかという知恵も 事業者にある程度与えられるような、+αの教育的な配慮といったものも付さないと、 保護具の使い方はかなり難しいのではないかと思っています。  その辺を一律に文章としてこういう形で練り上げるだけではなくて、その辺の提案も ここでするのか、また別の場でするのかは検討が必要だと思っています。 ○福島座長 甲田先生が言われる意味は、保護具についてこのように規定する。もう1 つは教育が必要だと。しかし、その間を埋める何かもう1つのものが要るのではないか ということですね。 ○甲田委員 はい、そう思います。先ほど漏れ率の話があったのですが、この前行った 所は暑い職場でした。99.9%だったのですけれども、暑いものですから作業者がしょっ ちゅう外したりしていました。調査に入ったときも、作業者が1人熱中症で倒れたのも 目の当たりにしたので、そういうことからいうと、やはり使い方というか、全般的な労 働衛生の中での保護具の考え方も知恵として現場に渡すようなことが必要なのかと思っ ています。 ○福島座長 今のところは、事務局のほうで全体を通してどうするかということを考え ていただきたいと思います。 ○大前委員 4頁のところで、現在ナノマテリアルに対して防じんマスクの捕集効率の 結果が報告され始めている、研究途上であるという紹介がありました。ここでいう捕集 効率等々は、粒子のサイズによる重み付けみたいなものは全然なくて、単純に重量だけ で計算している値になるのですか。 ○田中委員 現在、粒径を考慮した形の中での、個々の粒径に対する捕集効率の検討が されているという形です。 ○大前委員 そうすると、将来的にはトータルで99.9%とか95%ではなくて、この粒 径は99%とか、そういうスタイルの結果も出てくる可能性があるということですか。 ○田中委員 いまは国家検定、あるいはNIOSHの検定の基準でN95、あるいはN99 に相当するフィルタに対して、粒径の小さい所で何パーセントの結果が得られていると いう形での評価、議論をしているということです。 ○福島座長 1頁の一番上に書いてある案について、最後に文章をどうするかは別にし て、このことに関してはこういう内容でよろしいですか。 (異議なし) ○福島座長 先ほど甲田先生が言われたこと、教育のことについてはこれから健康管理 のところでディスカッションしてもらいたいと思います。 ○名古屋委員 前回も質問したと思うのですが、この規格は当然防じんマスクに対する 規格であって、ナノの規格ではないですよね。このままでいいのか、あるいはナノに対 する規格があっていいのか。これから出てくる報告というのは、あくまで防じんマスク に対してどういう防護率でいこうかということですから、対象にする粒径が全然違いま す。  そのときに、国家検定というのはこのままでいいのか、そうではなくてナノに対する 国家検定が必要なのかということはどうなのでしょうか。この前、明星先生にお伺いし たところ、今のところはたぶん大丈夫なのでしょうとは言われたのですけれども、それ はそのまま放っておいて、粉じんの粒子径だけで、ナノ防護という形のものでいいのか どうか。対象とする粒径が凝集しているからこれでいいとは思うのですけれども、これ で放っておいていいのかということなのです。その辺はどうなのかをお聞きします。 ○田中委員 先ほど、データが出始めているという話をさせていただきました。その中 では確かに捕集できているという結果と、必ずしも十分ではないという結果も出てきて いるものですから、そういうデータを基にしながらもう少し検討が、あるいはデータの 解釈が必要であろうと。その先に、今の検定を踏まえた形の基準が必要なのであろうと 思っています。 ○名古屋委員 その出てきているデータというのは、作業場で凝集している、普通に作 業している粉じんなのか、分散している状況での作業だと防じん率は全然違います。報 告では、どちらの状況が報告されているのですか。ただ単にマスクをしたときの漏れは どうだという話だけなのですか。それにによって、マスクに対する温度差は随分違いま すが、その辺はどうなのですか。 ○田中委員 まだまだデータは少ないのですが、今、報告されているのは実験室レベル で粒径を発じんさせた形の中での、個々の捕集効率での評価というところでいろいろ議 論されています。現場のほうはまだまだです。 ○名古屋委員 わかりました。そうすると、発生源がいろいろ分かれますよね。 ○田中委員 はい。 ○蒲生委員 基本的に、現状では濃度倍率がわからないという前提での議論なので、田 中先生も書かれているところにもありますけれども、作業性を阻害しない範囲でなるべ く良いものというのが基本的な考え方として書かれています。それが今の規格でいえば 99.9%に相当するのだ、というロジックが根底にあるのかと思いながら私はこの資料を 見ていました。実際に数字がこうでなければいけないという意味よりは、というのが私 の感想なのです。 ○田中委員 ハザードあるいは基準値がまだ明確でないものですから、防護係数を踏ま えて現場で残留リスクを考えながら選定する形になろうと思います。ただ、防じんマス クだけでなく、ほかの保護具、指定防護係数を踏まえながら呼吸用保護具を選定してい く。その際には先ほどの防爆の問題や作業性もあるということも踏まえて選定していく ことが必要だということです。それをお伝えしたかったのです。 ○福島座長 いずれにしても、捕集効率についての報告は先ほど言われましたように、 まだ報告が始まったばかりだという前提条件でこういうのを作ってもらったということ なので、今後いろいろな報告が出てくれば、また改定ということになってくると思いま すが、そのようなことでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○福島座長 これをまとめていただくことにいたします。それでは、資料1に基づいて 検討していきます。10頁の(3)「健康管理」から検討していきます。健康管理というこ とについて、Bauaと経産省の委託ガイドラインが書いてあります。前回申し上げまし たように、内容的にどうするのか、追加するのか。この検討結果としてどのようなこと を盛り込むのかについて、これからご議論いただきます。健康管理ということを見ると、 普通の粉じん職場の管理ということとの関連から何かありますか。 ○大前委員 健康管理を考える場合に、影響は何かということがわからないと健康管理 のしようがないところがあります。今の段階では、健康影響に関する情報がないので、 特定の健康管理項目といいますか、それを今どうのこうの言うことはできないと思いま す。とりあえず粉じんなので、粉じんに対する健康管理相当のことをやるぐらいが、現 段階では関の山かという気がいたします。 ○高田委員 基本的には粉じんと同じような健康管理になってくると思います。 ○蒲生委員 ナノマテリアルの場合は、特に研究段階などで言えば非常に少量で、従来 の粉じん職場に当たらないような場面も多分多いと思うのです。そういう所に関して言 えば、従来の粉じんに対する健康管理だったとしても、そういうところにとっては+α という形でかかってくる可能性があると思います。そういう意味では、これをやるべき とする範囲というのを、取扱い量といったような観点で多少整理することが要るのかと 思いました。 ○福島座長 対象者を広げる必要があるということですか。 ○蒲生委員 広げる必要があるのかないのかということです。通常の粉じんというレベ ルからすると、そんなレベルのナノマテリアルが舞っている状況というのは相当稀だと 思われます。それを、ナノマテリアルを扱うすべての方が、粉じん職場相当の健康管理 をしろという話になると、相当な負荷かなと思ったりもしました。どのぐらいの対象者 がいるものかわからないので、単なるイメージではあります。 ○福島座長 甲田先生、いままで研究されてきていかがでしょうか。 ○甲田委員 産総研と一緒にやったアンケートの結果で見ますと、基本的には健康管理 というか健康診断でやられているのが事業所の中で1割ぐらいだろうと思います。何を 想定しているかというと粉じんになるのだろうと思います。粉じんなのですけれども、 今、話になっているように、舞っているのがナノマテリアルサイズなのか、凝集してあ る程度の大きさになったとしても肺胞まで行くレベルというのは当然ありますので、そ ういうところも含めてなのかということになってくると、事業所は全くわからないので す。やはり、職場で立っているのがほこりだからという観点からの健康管理というか、 具体的に言うと粉じんを対象にした健康診断ということになると思います。  そうなってくると、今の粉じんを対象とした健康診断の項目がいいのかどうなのか、 その辺は検討する必要があるのかもしれません。変則的な健康管理といいますか、健康 相談的なものもある程度併せたりとか、何か違ったものも考えていく必要が多分あるの だろうと思います。  それから、当然1割程度ですので、やられている事業所は大きい所が主体になってい ます。アンケートで見ると大企業ということになってきます。大企業であれば、ラボレ ベルではなくて、その意味では取扱い量とか生産量もかなり大きい所ということなのだ ろうと思います。 ○福島座長 先ほどの、広げるかどうかということで、今の大企業から廃棄とかもっと 小さな所とか、いろいろなレベルの職場があるわけです。 ○蒲生委員 そういう点に関しての記述なりコメントがなければすべてということにな ってしまうのですけれども、本当に全てに必要かというと、必要なのかもしれないし、 そうでないのかもしれない。 ○唐沢委員 プリコーショナリ・プリンシプルというのがあります。大前先生のお話で も、健診項目はまだ確定できないということでした。粉じん職場で、これはじん肺健康 診断もそこまではおそらく期待しないでしょう。通常の場合、定期健康診断は1年に1 回ですけれども、それを6カ月に1回する、というようなことも配慮事項としてはあっ たほうがいいのかという気がいたします。 ○福島座長 いずれにしても、健康管理方法としては粉じんの管理方法を基本にすると いうことでいいわけですね。その辺りはどうなのですか。 ○小西委員 当面いいのではないかと思いますけれども。 ○名古屋委員 行政に聞きたいのですが、ナノの取扱いというのは、粉じん則に該当す るのですか。 ○化学物質対策課企画官 しないでしょう。 ○名古屋委員 そうすると、粉じんの健診は関係なくなってしまいますが、その辺はど うなのですか。粉じん則に該当すれば、別段健診は通常的にやるから問題ないけれども、 ナノはどうなのですか。  粉じん則に該当するのだったら毎年皆さんやられているから、項目の検討だけで結構 なのではないかと思うのですが、そこがよくわからないのです。 ○化学物質対策課企画官 粉じん職場は規則で規定されていますので、そこに該当しな いと粉じん職場になりません。ナノの職場は一般的には粉じん職場には該当してこない と思います。 ○名古屋委員 ということは、定期健診をすることが望ましいというのはそこなのです ね。 ○化学物質対策課企画官 そう思います。 ○甲田委員 経産省だから、定期健康診断という表現ではなくて、定期的な健康診断と いう表記なのです。一般的な話だと思うのです。 ○福島座長 唐沢先生が言われた、もう少しというのも入る。 ○甲田委員 配慮をどうするか。 ○蒲生委員 粉じん職場というのは、粉じんの種類で決まっているものなのですか、そ れとも量で決まっているのですか。不勉強ですみません。 ○唐沢委員 じん肺法施行規則の別表は作業列挙方式で書いてありますから、その作業 に該当すれば、物がナノであろうとなかろうと、常時粉じん作業に従事する労働者につ いては、じん肺健康診断の義務があることになります。 ○化学物質対策課企画官 粉じん職場は列挙されていて、これこれこういった作業の所 となっております。別表で決められているのですが、1番は、鉱物等を掘削する場所に おける作業。ただし、次に掲げる作業を除くということで、坑外の鉱物等を湿式により 試錐する場所における作業というような形で作業が列挙されています。その中に該当し ないと対象作業にならないことになります。ですから、先ほど申し上げましたような感 じなのです。  ただ、中には別表の第10号のように、粉状のアルミニウム又は酸化チタンを袋詰め する場所における作業という記述があります。その酸化チタンがナノ物質であっても、 酸化チタンを袋詰めする作業は粉じん作業になりますので、たまたま酸化チタンがナノ サイズであったとしても、粉じん作業に該当してくることになります。必ず全部適用除 外になるということではないのですけれども、粉じん職場として列挙されている中に該 当する場合は入ってくるけれども、大部分は該当していないのではないかということで す。 ○甲田委員 一部適用できる、という話が今、出てきたのだと思うのです。最初にNBCI から提出されている局所排気装置を必要とする作業をどういうふうに考えるのだと。そ のぐらいは追い込めるのかと思えるのです。ここで、今、持っている情報でいうと、ほ こりの立ちそうな職場をいくつか挙げて、そういう所の配慮は必要はないのではないか、 というようなところまでしかいかないのではないかと思っています。 ○福島座長 その辺りについて、大前先生はいかがですか。 ○大前委員 とにかく情報がないのが一番の問題なので、何らかの形でしっかりと健康 情報を取らないと推測になってしまって、とりあえずはこのぐらいということまでにし かいかないと思うのです。 ○甲田委員 大前先生がおっしゃるのは、健康情報を疫学的に追いかけていくというこ とですよね。 ○大前委員 ええ、疫学でも可能ですし、動物でも可能です。 ○甲田委員 そういう健康情報でいうと、何かこんなものというのはありますか。 ○大前委員 今、私はそれは全然持っていないものですからどうしようもないと思って います。  今おっしゃった成分で全然違うので、その成分ごとに、もし特殊な成分があればそれ またそれごとに項目ができると思います。それは、ナノであろうがナノでなかろうがに かかわらずです。 ○福島座長 経産省の、「定期的健康診断を行うことが望ましい」というのが一番いいと いうことになるのですか。その辺りはどうなのですか。 ○唐沢委員 1年に1回定期健康診断は義務づけられていますが、それだけで十分なの かどうかということです。せめて半年に1回ぐらいするかという感じもします。 ○甲田委員 書き方としては、後段の「産業医の指示により」ということなのですけれ ども、産業医が選任されていない事業所、小さい所への配慮はどのようにされますか。 そこが問題かと思います。 ○名古屋委員 定期的な健康診断の定期的というのは、定期健診ではなくて、何らかの 項目でということで解釈するのか、そこがよくわからないです。 ○甲田委員 でも、定期健康診断だったら、決まっているわけですからその後の検査項 目で出てこないですよね。じん肺健診でもそうですよね。 ○化学物質対策課企画官 唐沢先生が言われるように、通常の定期健康診断の期間を短 くして半年ごとにやっていただくようにするのか、あるいは通常の定期健康診断以外に、 じん肺の健康診断をやってもらうようにするのか。じん肺の健康診断をやってもらうと しても、定期健康診断をやってもらうにしても、その範囲を量で区切るのかどうか、そ の辺の話になるのかということをいま伺っていて思いました。 ○名古屋委員 リスクの考え方によって、もうちょっときちんとしたものが出てくると、 粉じんに対するよりリスクが高かったとしたら、それは定期健診も半年になるかもしれ ないけれども、そうでなかったら、現状それでイレギュラーしなかったら、現状の定期 的な健診で十分対応できるのではないか。そこは、ナノ粒子に対する健康影響が出てき てからで構わないのではないかと思うのです。逆に言うと、健診項目に加えていって、 イレギュラーしない形のものを項目に加えていくという形で現行はいいのかと思います。 ○甲田委員 項目として、じん肺の健康診断が挙がったのですが、じん肺の健康診断の 今のやり方ですと、管理区分を付けて、それに応じてレントゲンの撮影の頻度を変える ことになるのかもしれないです。ただ、フォーカスとして粒状影の発見にかなり焦点が 絞られるので、例えば、ここ数年学会などで報告されているのはそうではなくて、呼吸 器疾患でも、非特異的なものが出るのではないかという報告もあったりするので、そう すると、そういう疾患を落とす可能性があるのではないかという心配もあるので、項目 として、じん肺の健診でそういうやり方で、ざっとしていくのがいいかというのは疑問 なのです。 ○蒲生委員 健康管理の範囲かはわからないのですが、後ろのほうの「疫学」というと ころにキーワードとしては出ているのですが、作業記録をちゃんと付けましょう、健康 診断自体は定期健診の範囲で、気になる方は+αでと。少なくとも、作業記録は付けて おくほうが、今のいろいろな情報、有害性やばく露レベルもよくわからないという状況 においては、いいのかなと思いました。 ○福島座長 そうすると、予防原則ということを考えると、私は粉じん職場における管 理方法の定期健診については詳しく知らないのですが、それも考慮していく必要がある ということで、いかがなのでしょうか。  もう1つは唐沢先生が言われたように、回数をとにかく増やして、ということも入る と思うのです。 ○高田委員 今じん肺ということで話が出ていますが、必ずしもじん肺の形で呼吸器疾 患が発症してくるわけではなくて、慢性閉塞性肺疾患といった形でも出てくることがあ りますので、じん肺に特化した表現より、一般的に呼吸器疾患をきちんと見ていくとい う形で盛り込まれたほうがいいのではないかと思います。 ○福島座長 わかりました、確かにそうですね。そうしましたら、今出ました意見を整 理してみたいと思います。他に追加することはございますか。  4番にいきます。「労働(安全)衛生教育」ということで、教育のことです。いろいろ 書いてありますし、事前に先生方からいただいた意見なども入れています。○の2つ目、 3つ目は、委員の先生方からいただいた意見を入れています。ここについてはどうでし ょうか。  現在の通達では、○の1番目ですが、「教育訓練を行うこと」と。さらに○の2つ目、 3つ目となると、それをさらに詳細にという形になってきます。いかがでしょうか。 ○唐沢委員 (5)の上のBauaの、下から○の3つ目と2つ目で、「物理的特性」とな っていますが、物理的、化学的特性と2つありまして、「化学的特性」も入れたほうが いいように思います。 ○福島座長 今唐沢先生が言われたのは、上のほうと違って、ナノの物理的、化学的特 性についても教育するとしたほうがいいわけですね。 ○唐沢委員 はい。 ○福島座長 他にいかがでしょうか。 ○甲田委員 先ほど少し出た話ですが、11頁の「呼吸用保護具が仕事場で使われること が必要であるとき」で、選定のところです。そこの上の2つのところで、一番簡単なの は、フローチャート的に、どんな作業で、どんなもので、そのときは何を重視しなさい というような、何かできないのでしょうか。田中先生に対するお願いなのですが。 ○田中委員 ナノの取扱い現場の情報を整理していただければ。 ○甲田委員 整理して、こういうところでこういうものが重要になるので、こういうも のを選ぶときに重要な判断材料になりますから、そのためにこのような情報を取ってき なさいとか、作業者が自分でフローチャートとしてできるようなものがあれば、非常に いいと思うのです。文章で書かれると、サラッと終わってしまうような感じがするので す。 ○田中委員 フローチャートですね、はい。現場のほうを教えていただければと思いま す。 ○甲田委員 はい。 ○福島座長 他によろしいですか。教育訓練の内容というところですが、○の7つ目で すが、保護具の問題、保護具に対する教育、実際のナノマテリアルの物理的、化学的な 特性についての教育ということです。よろしいですね。  次は(5)の「非定常作業時の対応」となります。どこまで教育ができるのかとか、 いろいろな問題も入ってくると思います。 ○唐沢委員 警戒するようにという記述しかしていないのですが、非定常作業の場合に、 ばく露の可能性が高くなりますから、それなりのきちんとしたもの、この場合には個人 的な防護をとるのでしょうけれども、そういうことが必要だということまで(5)では。 NIOSHだけですと注意しろということだけですので、そこまで加えていったらどうか なと思います。 ○福島座長 前にディスカッションしましたが、防具に対する使い方の問題とか、防具 に対する教育が必要だということですね。(6)にいきますが、「爆発火災防止対策」で す。先ほどの議論で、爆発の危険性も出ましたが、ここを見ていただきたいと思います。 ここにはBauaとNIOSHのコメントがまとめてあります。検討結果として、どういう 対策をしたらいいかということにいまなっています。 ○唐沢委員 (6)の記述も、BauaにしてもNIOSHにしても、警戒するようにという ところまでしか書いていないのです。警戒するのは当然なのでしょうが、これは難しい ことになるかもしれませんが、爆発と火災のための対策というと、粉じん爆発のような 話とか、点火源を静電気も含めて除去するとか、書こうと思えばたくさんあるのです。 その中で(6)に書かれているような潜在的リスク要因を踏まえて、こういうことを例 示的に、名詞止めでもいいかもしれませんが、もし書ければ。そこまで検討するとか、 そこまで踏み込んで書けるかは難しい面はあると思いますが、そのような感じがします。 ○福島座長 いずれにしても、防止対策は必要であるという理解は、それはそれでよろ しいですか。さらに踏み込むと、どこまで踏み込むかということになりますが。 ○唐沢委員 他とのバランスもありますから、あまり詳しくは書けないと思います。 ○蒲生委員 これも基本的には、こういう配慮が必要なものもあるのは事実だと思うの ですが、ナノマテリアルだから一律にこれが必要ということは、決してないと思います。 特に、取り扱われ方その他もあると思うので。そういう意味では、ナノマテリアル全般 に、これが共通に書かれるというものでは必ずしもない。やはり個別。 ○福島座長 ナノマテリアルの種類によってですか。 ○蒲生委員 種類とか、プロセスとか、使われ方とか、そういうところが一緒くたな議 論にならないようにしていただければと思います。 ○名古屋委員 ただ爆発の場合は爆発のさせ方によっても違うのですが、表面粒子のエ ネルギーですから、粒子が小さくなってくると、同じものでも爆発性は上がってくるの です。そういうことから考えると、他のものよりナノは若干爆発性が高くなってくるこ とは、一般的な爆発の考え方からすると言えると思います。 ○蒲生委員 そういう傾向があるのは、おそらくそうかなと素人ながら思います。ただ、 表面積が大きいので、どちらかといえばそういう性質が増強される傾向にあるのではな いかという注意喚起ぐらいがせいぜいで、それを越えた議論は難しいのではないかと思 うのです。 ○名古屋委員 そう思います。例えば濃度と着火エネルギーですから、濃度がどのくら いかというと、大体粉体爆発というのはミリグラムオーダーでしか爆発しませんから、 それにかけるエネルギーです。多くの場合は、こういうところは着火源は静電気だと思 いますので、なかなか難しいので、そういうものに対しては注意しなさいと書くぐらい しかできないのではないかと思っています。 ○甲田委員 今の話でいうと、粉体爆発がそういう形で起こるのか、そこまで濃度が高 いのかどうか、という議論になるのか、その情報を取らなければならないとなるのかと 思うのですが、もう1つは、製造メーカー側でいうと、反応濃度など、使用するメーカ ーで、例えば開封して粉を開けてとか、そういうこととは別の部署での爆発の問題とい うのが、現にしてあるのかという感じはしているのです。  だから、その辺はメーカーサイドでいうと、作っているところは配慮されていると思 うので、ただそういうところに手が入ったり、機械を止めたりというときの注意事項は 必要なのではないかと思っています。 ○福島座長 そうすると、実際問題として、現実にメーカーはどのような対応している かがほしいわけですね。 ○甲田委員 そういう情報はいただければと思います。 ○福島座長 そこをご存じの先生はお見えですか。庄野委員はどうですか。 ○庄野委員 ちょっとそれは存じません。 ○福島座長 そうしましたら、そういうようなことを調べると同時に、起こり得る可能 性について対策をとる必要があるのですが、そこをどこまでにするかは調べていただい て、その範囲内で現状としては記載するとしたいと思います。  次は7番の「緊急事態への対応」です。これは応急処置で、眼に入った場合、吸入し た場合、飲み込んだ場合、皮膚に付着した場合、経産省委託ガイドラインですが、大前 先生いかがですか。 ○大前委員 そうかなと思います。 ○唐沢委員 ここに書いてあることは大変重要なことで、これはこれで構わないのだろ うと思います。緊急事態というのは、何をもって緊急事態が起きたと判断するかです。 庄野委員がいらっしゃるのですが、化学工業の場合はプラントの運転の管理限界があり ます。温度、圧力、流量、送給量、それを逸脱した場合は緊急事態だろうと、そのよう な判定基準が1つあるような気がします。  それから、もう1つは漏洩で、少量漏洩の場合と大量漏洩の場合があると思います。 ナノの物質が少量漏洩した場合と、大量漏洩した場合に、関係作業者はそれを認知して、 危ないぞとアラームを出す。その場合に、できるだけ作業者が漏洩したナノマテリアル にばく露しないような作業手順を決められると。ここに全部書けといっているわけでは ありませんが、緊急事態の対応というのは、そのようなエレメントが想定される。今回 のペーパーの中で、他とのバランスがありますからあまりたくさんのことは書けないと 思いますが、せめて判断基準とか、異常事態が生じた場合には、関係作業者とか、周り の人に、そういう事態が生じたことがわかるようにすることなどを書き込んでいただけ れば、ありがたいと思います。 ○福島座長 甲田委員、どうぞ。 ○甲田委員 MSDSの応急処置を想定して書かれているのかもしれませんが、粉体だと すると、工場に入っていると手に付くのです。そうすると、皮膚に付着した場合に該当 するのは応急処置か、それは日常的な対応なのではないかと思うのです。これを読んで いるとちょっと違和感があるのです。 ○福島座長 唐沢先生は応急処置以外にいろいろな、普通でいう緊急事態の対応につい てもう少し加えたほうがいいだろうと。それはそうだと思います。  甲田先生は、いまの応急処置のところで、皮膚に付着した場合については、通常いつ も付いていると。 ○甲田委員 作業者は粉じん、粉体であるとすると、それは汚れたりします。毒性があ るかないかは別にして、見ていると通常手に付いたりとかしています。そういうのは一 般的な指導としてで、応急処置ではないと思います。 ○福島座長 取扱い後か、取扱い時における、使った人への対応ということで、目に入 った場合はこうだとなるわけですね。応急処置ではないというのが、甲田先生のご意見 ですね。 ○甲田委員 はい。 ○福島座長 こういう処置をするということと、先ほど唐沢先生が言われた、緊急事態 の労働者への通報を考える必要があります。緊急事態の対応について他にありますか。 よろしいですか。  次は大きな4の「更なる研究・検討課題」です。まず、(1)の「情報の収集及び提供」 です。ばく露限界値が書いてありますが、現在通達で、労働安全衛生総合研究所のホー ムページに特設のページを設けて発信しているということです。他に情報発信、情報の 収集についてご意見はございますか。  甲田先生、現在の通達で書いているように、先生のところの労働安全衛生総合研究所 がやることについては。 ○甲田委員 引き続きということになると思うのですが、通達の出た2月の段階で、ま だこういう検討会ができていませんでしたので、情報発信する場が公には多くなかった のかもしれません。  うちの研究所のホームページで出していて、いろいろ文献の情報を流していたり、こ の前のアンケートの結果を出していると、それなりに企業から問合せがきます。逆にい うと情報が集まってきています。  そういうふうにいうと限界があったりするので、現在をいうと、この検討会のホーム ページを立ち上げていると思うので、それに直接情報が集まったりというものがあるの ですか。 ○化学物質対策課企画官 国のホームページには検討会の情報は全部上げていますが、 そこでいろいろ情報を出しているということではありません。 ○甲田委員 今までの議論でも、こういうことに関する情報が少ないというのが実感だ と思うので、それはNBCIに協力していただいたり、いろいろな研究機関とかNEDO のプロジェクトも開設されていると思いますので、どこかでそういう情報を集めてまと め、さらに検討して、これは流用、これはそうでもないとか、再加工して発信するよう な場があっていいのではないかと思っています。 ○福島座長 それとは別に気がついたのですが、甲田先生のところのホームページだけ でいいのか。国レベルでは、今回はナノですが、それ以外にもいろいろな情報をすべて たどっていくと、いろいろなことがわかるようになっているのですか。例えばここをた どっていくと、ナノマテリアルに関しては労働安全衛生をリンクすると出てきますとか。 ○化学物質対策課企画官 全体で入口が1つで、そこに入ると全部枝分かれしていける というのは作られていないのではないかと思います。 ○福島座長 厚生労働省としてのものですから、ここだけでどうこう言っても難しいと 思うのですが、どれだけ皆さんが実際にそれを引き出しやすいかと。それはまた技術的 な問題が入りますが、現在は労働安全衛生総合研究所のホームページに特設のページを 設けて発信しているということです。  通達では、さらに当該研究成果、各国の研究機関のガイドライン等の情報発信を行う 予定であるとありますが、実際にやっているのですか。 ○甲田委員 Bauaのほうは出していて、NIOSHでは、出されている検討結果です。あ とはEUです。英国などで今検討して、出す準備をしています。それなりにはやってい るのですが、今言われたようにこの検討会が立ち上がったわけですから、情報発信とし ては、うちも限度があると言ってしまえばそれまでなので、もう少し広いスタンスで、 そういう場を設けるとどうかを検討していただければと思います。 ○高田委員 この文書を読みますと、ホームページに限定されているように見えてしま います。インターネットでアクセスできない方も中小の事業者でいらっしゃると思うの で、ホームページに限定するよりは、もう少し広い発信源を含めたほうがいいのではな いでしょうか。 ○福島座長 厚生労働省としてそういう発信方法は何かあるのですか。 ○化学物質対策課企画官 インターネットを使わないで発信するとしましたら、そのと きどきの時点における情報を集めて、リーフレットを作って、関係事業場に配付すると か、そういったことは一般的に考えられます。あとは、例えば関係団体の機関紙に、特 集としてナノマテリアルの関係の情報を組んでいただくとか、そういったことが考えら れます。ホームページ以外の情報発信について、努めるようにするというのは必要かと 思っています。 ○福島座長 確かに、関係団体を通じてというのがキーかもしれませんね。 ○化学物質対策課企画官 ホームページの場合はリンクを張っていただければ、いろい ろなところに飛べるようにできますので、そういった方法をお願いしてやっていただく のも、1つの方法かと思います。研究機関もいくつもあるわけですので、各々のところ に飛べるようにと。 ○福島座長 今、高田先生の言われた意見を検討していただけますか。 ○化学物質対策課企画官 はい。この情報発信の関係ですが、関係機関あるいは国等で 集まってきた情報を提供するという面と、もう1つが、現在使われている使われ方、取 扱い量、そういった情報を事業所のほうから情報提供をいただくことも、一方の面とし てあるかと思うのですが、あまり義務を掛けるのも問題なのかもしれませんが、どの程 度まで考えられるのかなと思っております。 ○福島座長 今、篠崎さんの言われたことについて、何かございますか。我々としては そこも意識していきたいと思います。次に入ります。「有害性の調査」というところです。 これについてはいかがでしょうか。動物実験等の実施ということで。 ○庄野委員 これに関して、記載されている内容から今後の検討課題の具体的な内容、 有害性の調査の方向がよくわからないのです。  特に、作業者に対しての影響評価を中心に考えていくのか、もっとファンダメンタル な特質を考えていくのか。NIOSHとBauaは確かにこういうことを言っているのです が、だからどうしていくのだという部分が見えにくいのですが、その辺はご見解はお持 ちなのでしょうか。 ○福島座長 私の理解は、(3)で疫学調査等がありますので、(2)の有害性の調査とい うのは、あくまでもファンダメンタルのものという理解でいます。ですから、実際問題 として、例えば動物などを使った基礎実験、ここには「実施等」と書いてありますが、 動物実験の実施等ということで、動物実験で、どのような有害事象が出るか、それが発 がんのリスク評価に使えるようなデータが必要でしょうとなると思います。そういう理 解でいます。ヒトの有害事象となりますと、(3)の疫学調査のほうで検討するように思 っています。 ○庄野委員 確認ですが、例えばNIOSHの2つ目の「ナノ粒子が皮膚を透過するかも しれない」というような部分を反対にとれば、経皮等の毒性について、特にスペシフィ ックに考えるという意味ではないわけですね。 ○福島座長 ないわけです。ここでは、いろいろな毒性情報を調査する必要があるとい う、総論的な書き方になると思います。  実際問題として、どのような有害性を調べるか、そこまで踏み込むかどうかになって きますが、1つは、私は動物実験からやっている立場にしますと、吸入毒性は必要にな ってくるでしょうし、もっというと吸入毒性から発がん性という問題、そういうものを 各論的にいうと調査する必要が出てくるだろうと思います。  そういうところで、実際の実験の手法がまだ開発されていませんが、例えばばく露装 置の開発とか、キャラクタリゼーションの問題とか、いろいろあると思うのです。そう いうところについて我々は意識して、有害性調査のデータを出す必要が出てくることに なると思います。だから、この検討会としては、基本的にはできるだけ調査する、より 多く調査することが、ファンダメンタルのリサーチとして、より多くの有害事象を出す、 それがリスク評価に使えるような内容であることになってくると思います。  ここにNIOSHやBauaのことが書いてあるということですが、私はこう書いてある というような理解をしています。よろしいでしょうか。  次に(3)の「疫学調査」にいきます。ヒトの有害事象も含んでの話ですが、そこに は作業記録の保管等も書いてありますが、これもいろいろなことをすべきだろうという ことになると思います。いかがでしょうか。大前先生、どうでしょうか。 ○大前委員 まだ健康障害が未知のものに対しては疫学調査ができると、たしか法律の どこかにあったと思うのです。その条文を探していただいて、国のほうで疫学的な調査 をしたらどうかということを書いたらどうかと思います。おそらく大学の中ではこれは できないのです。各ナノマテリアルをつくっている会社の1カ所1カ所の作業者の人数 は、非常に少ないということがあるので、たくさんの会社のご協力を得なくてはいけな い形になってしまうと、ほとんど民間ではできないので、できれば国レベルで、法律に も引っ掛かりますのでやっていただけるといいのではないかと思います。 ○甲田委員 アンケート調査でやったときに、会社の規模は大きいのですが、プラント としては非常に少ないので、ばく露労働者というのはぐっと減ってきているようで、か なり大きな事業所でも、ばく露労働者は50人いるかいないか、10人とかもっと少ない かもしれません。だから、かなりの事業所の協力が得られないとできないと思います。 あと種類が多いことがネックになるかもしれません。  そういうことになってくると、特定した物質でポピレーションを確保して、追っかけ ていくというようなことを考えたほうがいいのかもしれないと思っています。その代わ り、ばく露を数百人とかを採るのであったら、ものすごく大きな数になると思います。 ○福島座長 大前先生、大きい小さいは別にしまして、疫学調査のプロジェクトチーム をつくってやる形になりますか。 ○大前委員 そうですね、どこが主体になるかはわかりませんが。 ○福島座長 高田先生、その辺りについてご意見はございますか。 ○高田委員 大前先生のおっしゃるようなことでよろしいかと思います。  ちょっと話がずれるのですが、「作業記録の保管等」というのは、疫学調査のところに 書くべき内容なのかどうか。むしろ作業管理のところに書くべきことだと思います。そ れから、先ほど健康管理のときに話が流れてしまいましたが、もし健康診断等をやるの であれば、その記録の保存ということもきちんと書いておかないと、後々こういう疫学 調査をやったときにデータが使用できないことがありますので、その点を考えていただ ければと思います。 ○福島座長 作業記録をどのようなところで有用に使うかということですね。  大前先生の言われたこと、具体的にはどうするかというのはこれからの検討だと思い ますが、基本的にはその方向性でいくことになると思います。他に追加はございますか、 よろしいですか。では「測定方法」に入ります。ここは前の宿題とも絡んでくるのでは ないかと思います。 ○化学物質対策課企画官 測定手法については、資料の4頁になりますが、「ばく露状 況の計測評価」というのがあります。ばく露状況の計測評価のときにご検討いただいて いるのですが、結果として、測定手法としてはどういう手法があるのかということとか、 測定対象物はどのようにするのか、根本的に事業場に測定をしていただく必要があるの か、といったことがありまして、ペンディングということで持ち越しになっているもの です。  ですから、13頁の測定手法のほうは今後の検討課題ということなので、測定手法につ いてこういったことを研究していかなければいけない、検討していかなければいけない、 そういう記述になってくると思います。  4頁のばく露状況の計測評価は、現時点の対応として通達に反映させていくことにな ってきますので、そういった観点から若干検討の内容は違ってくるかと思うのですが、 検討対象としては同じになると思います。 ○福島座長 そうしましたら、少し戻って4頁を見てください。(1)の作業環境管理、 ばく露状況の計測評価、基本方針。この基本方針のところでペンディングです。ただし、 先生方から前々回にここを検討していただいたときに出された意見を羅列しています。 このような羅列で終わっています。  基本方針として、いま篠崎さんが言われましたように、測定の必要性、もしそうとし たらその方法、その測定の対象、それを義務化するかどうか、というようなことになる わけですが、基本方針として、その辺りをどう考えるかということです。もう一度前回 いただいた意見をお読みいただきたいと思います。それでご意見をいただくことになり ます。 ○名古屋委員 甲田先生たちは現場にいて測定されているのですが、測定機が出ないと 手法は考えられないと思うのですが、測定機は何を使っているのですか。 ○甲田委員 最初はSMPSだとか、表面積を基に測定するとか、ナノに特化したものを 持って行ったのですが、ものによってというか、形状なのかもしれませんし、生産の工 程によっての温度の状態とか、いろいろなものによるのかもしれませんが、出たり出な かったりすることを数回経験して、これは両方やろうということで、通常の粉じんを計 測できる機械も併せて持ち込んで測定しています。  全部が全部ということではないのですが、ものによって、生産の環境だとか、職場の 温度だとか、濃度とか、それによって、通常の粉じんの機械ではある程度反応するけれ ども、SMPSではあまり出てこない。全くその逆になったりとか、いくつかあるようで、 どうしてそうなっているのかも検討しているのですが、測定する機械としては、粉じん プラスナノに特有な、いま言われているような機械を一式持ち込んで、測定しようとい う試みはしています。 ○名古屋委員 というのは、例えばパーティクルを使うのか、レーザーを使うのか、サ ーマルを使うのか、具体的に何を使われているのかを聞きたいのです。 ○甲田委員 計測の専門家が来ればと思うのですが、一般的に言われているものです。 それは明星先生のほうがカタログを持っていらっしゃるので。 ○名古屋委員 具体的にどのような機器を使って測定されているのですか。 ○明星委員 一般的な話をすると、粒形別に個数濃度を測るというSMPS、粒子の総個 数を測るCPC、場合によっては粒子の総表面積を測る機械、ナノに関してはそういうも のです。あとは一般的なパーティクルカウンターとしてのものと、粉じん計など、あと はフィルターで捕集して測定をする。そのぐらいだと思います。 ○甲田委員 最近、個人ばく露ができるのが可能なのかというのもやっていますので、 そういう意味でいうと、PM4とPM2.5というところでの、捕集と、シーオータスでの 粒形を階層化しての捕集もやっていて、逆にそれで採れる場合もあるのです。そういう ところから見ると、ナノで浮遊しているのか、もうちょっと大きな粒子まで凝集してい るのか。それがなぜなのかは、今チェックしている最中です。 ○名古屋委員 シーオータスで測ったときは、どのぐらいの時間で計測できるのですか。 大気中で測っていてシーオータスを使っていると24時間では検出できなくて、48時間 とらなければいけませんよね。そうなってくると。 ○甲田委員 もっと短いです。 ○名古屋委員 かなり濃度が高いのですね。 ○甲田委員 そういうものもあります。それは先ほど言ったように、作業の工程によっ て違ってくると思います。我々が考えているのはそこなのだろうと思っているのですが、 ここで発じんしている可能性があるのではないか。結果として、シーオータスでも測定 に引っかかってくるし、PM2.5でも秤量できるぐらいのものが出てくるということなの だと思います。そこがナノの難しさなのかと思っています。 ○名古屋委員 そうすると、現場を考えて測定する時というのは、ナノ用の装置は大型 で高価なものですよね。粉じん系のものでは到底対応できない部分があって、それに対 してナノ用のものといったときに、現場でばく露濃度を計ろうというときに、それの機 種は対応できるかはどうなのですか。 ○明星委員 それぞれの装置によると思います。先ほど言われた、粒形別に個数を測る というのは、確かに値段も高いし、そんなに耐久性があるとも思えないです、もともと 実験装置ですから。  そのほかの個数を測るとか、表面積を測るというのは、最近現場に持ち込もうとして つくられて、それなりに小さいとは思うのですが、どれぐらい耐久性があるかというの はよくわかりません。 ○名古屋委員 価格的にはどのくらいになりますか。 ○明星委員 一番高いものは1,000万円を超えますし、個数を測るのは100万円以下と いうことはないですね。 ○甲田委員 もっと高かったような気がするのですが、今、言われた耐久性の問題はか なりネックになってきていて、複数回いろいろな所に行っていると、本当に使えなくな ってきて、メンテナンスに時間をかけないと次の測定ができなくなってきていて、もっ と簡易で、あらかたがわかるものがないのかというのを検討している最中です。 ○小西委員 前回もこの議論をしたときに大前先生からも言われたように、計測すると きの目的に応じて機種は変わってきますし、何を測定するかによって選択する機種が違 うわけです。前に議論したときも、一般環境中に浮遊しているものと、装置や設備から 出てきたものかの区別が付かない。  そういうことでいきますと、計測することによって何を管理しようとしているかを、 もう少し幅をせばめないと、計測機自体も、それに合ったものを開発していけないので はないかと思うのです。  ここに書いてあるとおりで、そこの装置、設備から出てきたものがそこに影響してい るのか、一般環境中のナノ粒子なのかになると、成分を調べないとわからないことにな るのです。何をもって計測するのか、計測の目的は何なのか。装置の漏れを調べるのか、 そこで働いている人たちが吸入している量について、管理をしていく目的の計測なのか、 そこを区別して、それぞれに合った装置が開発されるべきだろうと思うのです。  装置、設備の漏れを調べるのであれば、今の装置でも、100%完璧ではなくても、装 置、設備を排気装置に組み込んでいくということは、一番の近道だと思うのです。しか し、そこで働いている人たちの毒性の情報などについて調べていくことになりますと、 その毒性がどういう形で毒性が現れるのかによっても、計測法は違ってくるのではない かと思います。  もう1つは、先ほど動物実験をしてやっていくというときも、動物実験に対してのデ ータを、どういう状況のものをどれだけ連続で計っていくかに対して、みんな計測機は かかわってくるわけです。  そういうことは、もう少し目的とか、仕分けをしていかないと、最終的には計測はで きないですし、この状態で、計測そのものをナノマテリアル製造作業場についての義務 を課すというのは、とてもいまの現状では無理だろうという気がします。 ○甲田委員 まさにそのとおりで、原則論でそうだと思います。ただ、それであっても、 目的に応じたものが浮遊しているのか、浮遊していないのかさえもわかっていないとこ ろが一番問題なのかと思っています。実際にこの機械で測定できて、それが大気じんと どう違うのか。  手間暇かかることなのですが、実際に成分分析をしながら、いちいちチェックをしな がらやる。そんな作業をしないとできないだろうと思うのです。金属にターゲットを絞 っていくのか、カーボン系に絞っていくのか、その前提から始まって、どんな機械がう まく使えて、その弁別が何をもってできるのか、これはいま一つひとつやっている最中 で、その努力をしないと到達できないです。 ○名古屋委員 現状だと、例えばすべての装置を持っているところは測定現場に行って できるけれども、そういうものを持っていないところは何ができるかといったら、今の 現状では難しいということでしょうね。  そうすると、手法を考えることはできるのだけれども、現実味を帯びてきたときにど うなのかというと、こういうことをやりたいから、こういうことを開発してくださいと いうお願いはできると思うのですが、そこをどのように現場に落としていくかについて は、まだ時期が早いのではないかと思っています。 ○福島座長 そうでしょうね。ただ、先ほどどういう対象、例えば漏れを見るのか、ヒ トかと。基本的なこととして、労働者のばく露という前提は崩せないと思うのです。そ こでの測定、それに有用になるような測定ということになると思います。ここでの私の 理解としてはそうなります。ターゲットを絞った測定ということになります。測定が専 門の先生方はいかがでしょうか。 ○明星委員 現状は労働者のばく露を測っているわけではないのですが、作業環境管理 というのは、環境の改善のための計測をやっていて個人のばく露を測っているわけでは ないのです。日本の作業環境管理の認識としては。 ○福島座長 環境を測っているということは、結論的にもっと労働者のということにな りませんか。 ○明星委員 いや、そうではなくて、先ほど小西委員が言われた目的が何かといったと きに、作業環境をどうしたらよくできるかということを主に測っています。ですから、 ばく露を測るためとすれば、逆に言えば不完全かもしれないですね。これが一番大きく 網がかかっている測定法なのです。 ○福島座長 現状ですね。  ○明星委員 現状では。ですから、今後も何を目的とするかということがまず最初にこ ないと、その次にどうやって測るかという手法が決まってこないので、たぶんそれで小 西委員は聞かれたのだと思います。 ○福島座長 その大前提の何を注目。 ○明星委員 それが海外と日本と違うものだから、これを翻訳したものを入れていって も、何か。 ○福島座長 何か話がないということですね。 ○明星委員 いや、意味はないことはないですが、噛み合わない。ですから、逆にそれ はそうなのですが、その次の例えば屋外でする作業の測定の方法とか、カバーできない 部分でできているいろいろな話もありますので、現状としてはそれがすべてというわけ でもないですが、大きい前提はちょっと違っている。  ただ、どういうことが今後にとって必要かということを考えると、非常に狭い領域で、 少数でやっている現状で、よくわからない現状だとすれば、とにかく当面測れる方法で、 何か記録を残しておかないと、多分製造者が一番あとで困ることになる。これが何も記 録がないとすれば、非常に困ることになると。ですから、そのとき考えられる努力で測 った方法でなにがしか記録をして、それがあとから科学的にぴったりしていなかったと しても、何かのデータがあればトレースはできますから、例えば粉じん計で測るとかい うことでもいいですし、もう少し高価な方法でやるということもあり得るのですが、と にかく何も残していないということは、やはりまずかろうと思います。 ○福島座長 蒲生委員どうぞ。 ○蒲生委員 ナノマテリアルのばく露や作業環境での濃度というのを、どの水準で管理 したいかということにも関係しますし、バックグラウンド粒子濃度レベルとの兼ね合い というのも議論のあったところだと思うのですが、ひょっとするとほぼ原理的に測れな いというような領域で管理したいということになってしまう可能性があるのかなと思い ました。  私が言いたいのは、計測だけに依存するのではなくて、ある程度、予測というか、あ る種のシミュレーション的な要素というものの重要性が相対的に高まるのかなというこ とです。とにかく測るというのではなくて、ある程度計算というような側面が、今後の 研究開発の範疇かもしれないのですが、現場の管理としては、むしろ必要になってくる のかなと思いました。 ○福島座長 今後という、それもそうですが、現実問題としてここのタイトルに出てい ますように、作業環境の管理というところがむしろ。 ○蒲生委員 そういう目的のときに、測るというものに依存するという方法が、そもそ も適当でないケースも出てくるのかもしれない。そうすると、もっと予測するとか推定 するという側面が相対的に比重が上がるでしょうから、今後の検討すべき課題としては、 その場を測るというよりも、発生量とそのあとのある種のシミュレーションみたいな、 そういうようなアプローチも組み合わせていかないと、ちょっと難しいかもしれない。 ○明星委員 もう1つは、先ほどの何のために測るかということもあるのですが、どう いうモチベーションで測るかということですよね。自分の環境をどれぐらい良くするか ということを事業者が考えるために自分でやっているということであれば、いろいろな 形があると思うのです。逆に外から、ないしは客観的な測定ということになると、絶対 これがこうだというきっちりとしたものがないと、その推定要因があるということにな れば、常に対立が起きると思うのですよ。ですから、その測るモチベーション、どうい う理由で測るかによる。ここで今議論をするのは、どうしても規制に関係するような測 定になってくるとすると、ここですぐには決められないのです。けれども、自主的に管 理するとかいうことであれば、いろいろな方法は提言できるのですけど。 ○福島座長 ですから、そういう意味から、むしろ委員の今言われた2つの理由のうち 前者をむしろ考えていったほうが、現実的ではないかとなりませんか。 ○明星委員 自主的にという点は非常にいいことだと思います。どうしても粉じん則で どうなっているかとか、そういう話が片方で出てくると、皆さんがちょっと緊張します から、なるべく自主的にやる。  私がもう1つ思うのは、非定常作業というのが、ばく露の機会として多いと思うので す。今かなりの測定は定常作業で測っています。作業環境管理、場の管理もおおむねは 定常作業を管理するためにやる。非定常作業については、数カ月に1回とかのレベルで 起きる、例えば清掃とかそういったときにどうするかという問題は、特に事業者側はそ のばく露の量とか記録を取っておいたほうがいいかなと思います。その測定方法も大事 だと思います。 ○福島座長 甲田委員どうぞ。 ○甲田委員 同感なのですが、多分アンケートなどで見ると、やはり作業環境測定をや っているかというとわりと少ないのですが、やっているところは粉じんを対象にやって いるのです。ナノを対象にするというと、もうほとんどないというか、1社あるのです が、実際何をやっているのかわからないので、確認できない。そういうのは定常作業と してのチェックだけではなくて、話を聞いていてやられているところは非定常作業に非 常に重きを置いているというか、発じんするというか、そういう所にやっているので、 そこでだいぶいろいろ苦労をされています。  名古屋委員からお話があったように、いろいろな機械があるのですが、先ほどは言わ なかったのですが、SMPSだと製作工程などでは、LPだとか使えない機械だろうと思 っているので、やはりパーティクルカウンターみたいなものを使ってやっているという のが現実的に。総体的な増減を見て判断できるというか、そういう意味では非常に活用 というか、先ほどの自主的な管理というか、自主的な目標を立てて減らそうだとか、増 やしてはいけないだとかいうようなレベルでいいのですが、そういう意味では活用でき るのかなと思っているので、私は評価しているのです。 ○福島座長 そうしますと、自主的に測定ということ。これは次の測定手法のほうに出 てくるのですが、別に自主的ということで、あくまでそこの企業サイドでできる範囲の 方法というものを考えてやってもらうということだと思うのです。基本的にまだナノの ヒトへの有害性と評価ということ自体もはっきりわからない段階で、そこまで踏み込め ないと思うのです。名古屋委員、小西委員いかがでしょうか。 ○小西委員 今甲田委員が言われたとおりですね。例えば作業環境管理というのは、「ば く露」という言葉を使いますと、作業者自体のさらされた量、個人的なエリアの量を測 るというイメージが強いのです。ですけど、その作業場で働いている労働者の健康を守 るという意味では、その作業場の中で、その作業が開始したことによって前よりも濃度 が増えたとか減ったとかですね、それがいくつであるではなくて総体的に、その作業に よってこれだけ増えているとかいう傾向がつかめていくと、それでもう管理ができてい くのではないかなという気がするのです。当面の間はそういう計測機をうまく現場に応 用していくというのも、1つの方法ではないかなと思います。 ○福島座長 ですから、各企業が持っているツールででき得ることで定時的に測ってい くというようなことですね。 ○小西委員 また、そのときにやられた情報が集まってきて、そういうものをまた応用 していけるような、何かフィードバックされてきて全体的にやっていくときに、測定機 の開発などで重要な情報だと思うので、そういうものがうまく集められてくると、逆に いいのかなという気がしますけどね。 ○名古屋委員 自主的な管理ということになれば何をやってもいいわけですから、要す るに自分の目的に応じていろいろな機械を、情報として記録しておいて、それを提供し てもらったときに、それがどういうふうに使えるかということで検討していけばいいの かなという気がします。 ○福島座長 わかりました。それでは先ほどの何をとかになりますと、またこれ、非常 に難しい問題に入っていきますので、今ご議論をしていただいたことを基本方針として、 そして測定方法のディスカッションに入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。よ ろしければ、13頁の「測定手法」で皆さんのご意見をいただきたいと思います。ここに はBauaとNIOSHのことが書いてございます。こういうふうだという理解で、皆さん から今の基本方針に則ってご意見をいただきたいと思います。自主的に測定評価をする ためには、どういうような内容を盛り込んだらいいかということです。 ○明星委員 先ほどのように、いろいろなものを一応考えるという前提で、例えばこう いう機械はこれぐらいの濃度が、これぐらいの粒径で測れるというリストを作ったこと がありますので、また叩き台を出させてもらって、それでいろいろな、特質はあるので すが、それに少し加えて、できれば早目に送らせてもらえればと思っています。SMPS ならどうだとか。 ○福島座長 そういう資料をまず作ってくると。 ○明星委員 はい、作って。 ○福島座長 それをどうするかということについて、我々、こことしては、それぞれ自 主性に任せるということになるのですね。 ○明星委員 こういうものがありますという。ですから、すべての機械は完璧ではない ので、すべてを揃えると何か高いものになってきます。 ○福島座長 ……でできるかという問題。 ○明星委員 ただ、現実性とかそういったものも含めて考えてみる。前にそういう一覧 表を作ったことがありますので、そういうのでも送ります。 ○福島座長 これはどの辺りの委員に、明星委員ですか。明星委員、事務局と相談して 作っていただけますか、お願いします。 ○明星委員 はい、わかりました。 ○福島座長 ほかに何かこの測定手法のところでご意見がございますか。小西委員いか がですか。 ○小西委員 今の明星委員の意見に賛成です。そういう形である程度まとまったものを 何か示してあげないと、自主的に管理する目安がないので、それがあるとだいぶ違うと 思うのですけどね。 ○福島座長 わかりました。 ○明星委員 賛成です。 ○福島座長 では、それをまとめていただき作っていただくということにします。よろ しいですか。次14頁に入ります。(5)で、「HEPAフィルターの性能評価」ということ です。ここはどういうふうに性能を評価するかということです。ここの辺り専門家の明 星委員とか、甲田委員、実際に測ってみてどうなのですか。これは前の局所排気装置の ところでもHEPAフィルターの話が出てきていますけれども。  ○名古屋委員 番号はわからないけどHEPAは大丈夫だと思います。 ○福島座長 前に明星委員は、HEPAフィルターで捕集は可能であるというようなこと を、力説されていましたけれども、それはよろしいですね。 ○明星委員 はい、大丈夫だと思います。実際にはHEPAというのは一般的な名前で、 それのもっと性能の高いものとかいうのは、個別的にはあるのですが。 ○福島座長 どこまでするかという問題ですね。 ○明星委員 それはまた別にあります。 ○名古屋委員 もし、可能であれば、先ほどの粉じん系と同じで、HEPAとかバグフィ ルターを使っているメーカーさんに対して、どの粒子に対してどのぐらい取れるのだよ ということのデータが集まれば、それはできるのかなと。  要するにバグフィルターとか、高性能フィルターと言われているものに対してどの程 度。要するに99.9といわれていても、では、それは粒子に対するものではなくて濃度に 対すれば、いくらでも精度は上がっていくのだけれども、では、どの粒子に対してどの ぐらい取れるかなというデータはたぶんメーカーさんが持っています。それを出しても らえれば情報としては、我々はより評価できるのではないか。HEPAが取れればバグは 危ないねと言っているのではなくて、そのデータが出ていたほうがありがたいなと思い ます。 ○福島座長 そうですね。そのようなところでしょうか。いいですか。次には6番、「発 散、ばく露防止のための工学的対策」、ここには何も書かれてございませんが、何かご提 言ございますか。これは田中委員、先ほどマスクも含めてここのところは何かご提言す ることがありますか。検討課題のところです。 ○小西委員 一般にこういう粉じんの工学的対策というのは、どういう所ではどういう 形の排気装置というパターンがありますよね。ですからナノについてもそういう形で製 造設備の関連したところで、その工学的対策が必要な部分については、基礎的な何か形 ですね。そういったものを少し出してあげておいたらいいのかなという気もしますけど ね。 ○名古屋委員 資料2のところでありますように、何かこういう所には局所排気装置が 設置されています。では、どういう局所排気装置が設置されているか、具体的なものが 入ってくるとありがたいかなと思います。囲い式なのか、外付け式なのか、プッシュプ ル型なのかという形でも結構です。それがどういう形のものがあるのかなということに なってくると、それは応用の面が広くなってくるかなと思います。 ○福島座長 さらに種別の問題ですか。その辺、名古屋委員まとめていただけますか。 ○名古屋委員 ここは多分アンケートを取られているような所に、局所排気装置が設置 されていますと書いてありますが、では、どういう設備を設置されているかということ は簡単にわかると思います。ここでまとめたから、その後、もう一歩進んだところがま とめられていますよね。 ○福島座長 わかりますか、そうしましたら小川委員、ちょっと考えていただけません か、お願いします。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 7番、「呼吸用保護具の性能評価」です。ここのところはまたHEPAの話 も出てまいりますが、この性能評価についての検討課題ということですが、いかがでし ょうか。 ○田中委員 先ほどご紹介させていただいたように、少しデータが出はじめてきている ということで、そのデータを少しまとめた形で、あとこの紹介されているコメントを踏 まえてここで整理をして、現時点でどこまでわかって、どこがわからないということを 書いて提出するということでよろしいでしょうか。 ○福島座長 はい、わかりました。では起草的なものを作っていただいて、いずれにし てももう一度きちんと整理をされた段階でディスカッションに入りますので、そこのと ころで検討をしてもらうことにしたいと思います。では、お願いいたします。ほかの委 員の方よろしいですか。あと残りました15頁の8番、「労働安全衛生法上の取扱い」、 これは今日の資料にもありますが、篠崎さんのほうで何かここについてコメントがござ いますか。 ○化学物質対策課企画官 はい。参考資料の2番で出させていただいています検討の材 料ということで、安衛法上ではこういう取扱いになっているけれども、ナノマテリアル について、どういう対応を今後検討する必要があるかということをご議論いただきたい と思います。  参考資料2の2頁からで、労働安全衛生法で今どういう規定になっているかというこ とですが、まず1番の第2条ですが、この法律において、次の各号に掲げる用語の意義 は、このようになっているということで、化学物質については元素及び化合物をいうと いうことになっています。解釈例規で、「元素」とは、ということで、一種類の原子から なる物質のすべての状態をいい、単体を含むものである、ということです。  「化合物」とは、二種類以上の元素が互いに化学結合力によって結合することによっ て生じた、原則として一定の組成を有する物質を言うこと、ということでして、真ん中 の辺りからなお書きで、「化合物」とは通常単一の種類の物質をいうが、ここでいう化合 物には、次の各項に掲げるものを含むものとする、ということで、主成分は一定の組成 を有しているが、その主成分を製造する際に混入した不純物、副生物等が混在している もの。高分子化合物のごとく、単量体は一定の組成を有しているが、厳密な意味では、 その物の化学構造が完全な同一性を有するとは限らないもの。一部の染料、コールター ル状物質のごとく、製造する行為の結果、複数の化合物の集合体として得られ、個々の 化学物質の同定が困難であるが、全体として均一の性状を有し、個々の化学物質の分離 精製を行わないもの。それから、またとして、次に掲げるものは化合物として取り扱わ ないものとするということで、合金とか、固有の使用形状を有するもの及び混合物のう ち、混合することによってのみ製品となるものであって、当該製品は原則として最終の 用途に供されるものというのは、取り扱わないということになっています。  2番にまいりまして、これはMSDSのことなのですが、労働者に危険若しくは健康障 害が生ずるおそれのある物で政令で定められるものを譲渡したり提供したりする場合に は、文書の交付等によりまして、次に掲げる事項について、その相手方に通知しなけれ ばならないということになっていまして、名称とか成分及びその含有量、物理的及び化 学的性質、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意、流出その他の事故が発生した 場合において講ずべき応急の措置、こういった情報をデータシートとして記述して、相 手方に提供するということになります。  対象とする物質は、労働安全衛生法施行令の第18条の2で、別表9として掲げられ ています。全部で640物質が定められていまして、ナノマテリアルに関連する物質名と しましては、「カーボンブラック」とか、「銀及びその水溶性化合物」、「酸化亜鉛」、「酸 化チタン」などが掲げられております。これはナノ物質と限っているわけではありませ んで、この物質名が列挙されているという状況です。  3番になりますが、化学物質の有害性の調査です。これはある時点をもって既存化学 物質ということでリストアップしまして、それ以降、新規に製造された物質については、 厚生労働大臣の定める基準にしたがって、有害性の調査を行って、厚生労働大臣に届け 出ていただくことになっています。その政令で定める化学物質というのは次のとおりと するということで、3頁の下の所に書いてあります。政令で定める化学物質というのは、 今申し上げました有害性の調査の対象から除くというものです。1番が元素、2番が天 然に産出される化学物質、3番が放射性物質、4番が附則第9条の2の規定により厚生 労働大臣がその名称等を公表した化学物質。この4つについては新規化学物質ではあり ませんよということになっています。ですから、元素は新規化学物質からは除かれると いうことから、この有害性の調査は行われないことになります。  4頁です。有害性の調査は何を行うかということですが、変異原性試験あるいは化学 物質のがん原性に関して、変異原性試験と同等以上の知見を有することができる試験、 またはがん原性試験のいずれかの試験を行うことということになっています。実態とし ましては変異原性試験が行われています。  4番、これはがんその他の重度の健康障害が労働者に生ずるおそれのある物質につき ましては、その物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者に対して、有害性の調 査を行うことを指示しまして、その結果を報告すべきということの条文です。その下の ○のところに書いてありますように、政令で定める有害性の調査というのは、実験動物 を用いて吸入投与、経口投与等の方法により行うがん原性の調査とするということにな っています。解釈例規のところですが、本条は、がん原性が疑われているが、がん原性 物質と確定するには、いまだデータ不足である化学物質について、厚生労働大臣が事業 者にがん原性の試験の実施を指示することができる趣旨であることということになって いまして、この条文は既存化学物質、それから新規の物質にも適用されることになりま す。  5番ですが、国は、前2条の規定による有害性の調査の適切な実施に資するため、化 学物質について、有害性の調査を実施する施設の整備、資料の提供その他必要な援助に 努めるほか、自ら有害性の調査を実施するよう努めるものとするということで、国の事 業として有害性の調査、動物実験等を行うことができるという条文です。  いまご紹介した条文はMSDSの関係の条文と、それから新規化学物質の有害性の調査 の条文と、それから既存化学物質等も含めて、危険が疑われるものについては調査をお 願いすることができるという条文です。  1頁、表紙に戻りまして、「総論」のところですが、労働安全衛生法は、労働者の健康 障害を防止する観点から、化学物質に関する所要の規定を設けている。安衛法令や多く の法令では、化学物質は名称によって管理されており、大きさに着目した規制となって いないことから、法令上の取扱いについて検討することが必要であるということです。  「各論」のところですが、ナノマテリアルであることに着目した対応についてという ことで、ナノであることに着目した一律の規制が必要か、個々の物質ごとにナノマテリ アルについての対応を検討することになるか。2番目の○として、安衛法第2条の「化 学物質」とナノマテリアルについてということで、ナノマテリアルは同条の「元素」「化 合物」のいずれかに該当するという整理で問題ないか。通達で示されている「元素」「化 合物」の概念に照らして問題となる部分はないか。MSDSの対象物質については、現在、 MSDSの対象とされている化学物質は640物質あり、銀、カーボンブラック、酸化チタ ン等の物質が対象とされているということです。  次は、化学構造上は「元素」とされている物質の取扱いについて、どのように考える かということで、カーボンブラックとか、カーボンナノチューブ等が挙げられています。 安衛法施行令の第18条の3では「元素」は既存化学物質とされ、新規化学物質として の有害性調査の対象から除外されることとされているが、ナノの性質に照らし、どのよ うに取り扱うべきか。  既に既存化学物質とされている化学物質のナノマテリアルについて、どのように取り 扱うべきか。酸化亜鉛とか酸化チタンが例として挙げられています。以上、漠然とした 話になりますが、ナノマテリアルについての対応はどうしていったらいいかというよう な問題提起でございます。 ○福島座長 ありがとうございました。労働安全衛生法上との関連で、このナノマテリ アルをどう扱うかということですが、基本的にまだ有害事象も何もはっきりしません。 むしろどこまで我々意識していくかということになると思うのですが、これについてど うですか。 ○甲田委員 今日の議論でも少し出てきたように、物質の形態として粉じんという形で の話がだいぶあって、作業も境界をつけるとかつけないとか。要するに何が言いたいか というと、粉じんとしてナノであろうが、それを凝集したものであろうが、粉じんとし て認識するのか。先ほど出たように、いくつかの物質、酸化チタンだとかいうのは、も うそういう形でありますので、それに関しては現行の法律だけで粉じんで当てはまるの はそれでいっちゃうというスタンスにするのか、もうちょっとほかのものも含めて粉じ んにするのかどうなのかというのも安衛法上の扱いとしては重要な問題になってくるの だろうと思います。  それから、大前委員が言われたような、これは有害性の調査だけではなくて、疫学の 調査という話になるので、多分108条ではなかったですか。 ○唐沢委員 108条の2ですね。 ○甲田委員 それに該当すると思うので、そちらのほうも必要ではないかというのが、 今の検討会で出た意見だと思うのです。 ○福島座長 大前委員、何か追加がございますか。 ○大前委員 今の点はそのとおりです。別件ですが、この化学物質の元素と化合物の定 義、これ私は実は初めて見たのですが、例えば元素とは、「一種類の原子」と書いてあり ますが、これは要するに黒鉛もダイヤモンドも全部同じということ。この定義ですと酸 素もオゾンも同じということですか。 ○化学物質対策課企画官 そういうことです。 ○大前委員 基本的に化学的な元素というと、CとかOとかですよね。 ○化学物質対策課企画官 ですから、炭素カーボナノチューブも全部元素になります。 ○大前委員 そうですか。 ○化学物質対策課企画官 他の修飾されるものが付いていれば別ですけども。 ○大前委員 4頁目のところで、○の下から3つ目の化学構造上は「元素」とされる物 質の取扱い、これは今言ったようなことがあるので、整合性はないですね。別のものと いうふうにこの委員会では考えないといけないのではないですか。その辺は法律の問題 と分けて考えないとまずいのではないですか。 ○福島座長 他にご意見ございますか。いただいた意見を一遍事務局で整理してもらい ますが、今ここでどうのこうのというのは。 ○庄野委員 これは非常に一般論の議論だろうと思うのです。このナノに関しては OECDも含めて世界的な意味で、この物質の取扱いをどうするかということを、かなり 議論をしていると思います。ワーキンググループでもいろいろな結果が今後出てくると 思いますので、我々の考え方としては、やはり国際的な考え方に従って、化学物質をど う見るのか、どういうふうにこれを捉え管理していくのかということは、ベーシックな 議論がやはり必要ではないか。単に労働安全衛生法だけではなくて、ほかの化学物質に 関する規制も結構絡む問題だろうと思っています。我々はもともとこういう毒性実験な どでもそうなのですが、投与するときに、これの剤形が例えば非常にミクロナイズした 粒子か、あるいはミクロナイズしていない結晶形で投与するのかによって。毒性試験の 結果も違うわけでして、その辺のことも考えながらの検討も必要だと思います。我々は、 ナノテクというのは化学物質の一種のニューアプリケーションの形だろうと思っていま すので、そういう部分を踏まえた議論をベーシックにやっていく必要があるのではない かなと思っています。  ○福島座長 確かにそうだと思いますが、その辺の議論をどこでするのかということが 入ってきますけどね。ほかにございますか。この関連、取扱いについて事務局で最終的 に検討していただきますが、その検討をする前にこういうところについて注意してもら いたいというようなことがございましたら。 ○蒲生委員 そもそもの話になってしまうのですが、この労働安全衛生法のことも今回 の委員会での議論の範囲だということでしょうか。先ほど測定法のところで明星委員が 言われた自主的にというような話なのか、法律でという話であるかは、やはり議論もち ょっと違ってくるようなところもあって、我々が何回かこれまで議論をしてきた延長に この議論を置いてしまっていいかというのが、そもそも私としては違和感があります。 ○化学物質対策課企画官 今後の課題としての検討項目として、この項目を挙げさせて いただいたのは、法令上どうしていくかということについては、行政として考えなけれ ばいけないことなのですが、どの条文をどうするかとかいう話ではなくて、いわゆる元 素とか化学物質ということでいままで対応してきた考え方の中に、ナノマテリアルとい う考え方を反映していったほうがいいのか。いくとしたらどの程度反映したらいいのか と、そういう基本的な考え方について、ご意見をいただければよろしいかなと思いまし て、挙げさせてもらっています。ですから、例えばMSDSの対象物質として640物質 挙がっていまして、その中にはナノマテリアルの物質もあるわけですが、必ずしも現在 はMSDSでナノマテリアルの酸化チタンとナノマテリアルではない酸化チタンと分け て作っているわけではないと思いますので、そういった情報も反映させる必要があると か、そういうようなご議論なのかなと思っています。 ○福島座長 蒲生委員、どうなのでしょうか。いままでの議論とはここで別のテーマに ついて今ここで検討をしているという考え方でおりますが。 ○蒲生委員 必ずしも延長ではなくて、これはこれでということですね。 ○福島座長 これはこれでまた、将来的に化学物質対策課のほうで考えていただくに当 たって、ここでご意見をいただいたらというような考えかなと思いますが。  ○蒲生委員 庄野委員も言われたように、国際的な動向もありますし、この法律にとど まらない化学物質をどう捉えるかというように波及することを考えると、テーマとして は切り替わるにしても、この限られた回数の中での、例えば1回かその半分かを使うぐ らいの議論ではたぶん済まない議論なので、これはこれで、私の感覚としては仕切り直 していただいて、言われたようにかなりベーシックなところからの議論を、これとかほ かとの整合性も含めて積み上げていくべきではないかなというのが、私の個人的な感覚 なのですが。 ○福島座長 それでいいと思います。 ○庄野委員 私も蒲生委員と全く同じです。基本的には私が先ほど申し上げたかったと ころはそこでございます。この場とは別にかなりのロードをかけ時間をかけて慎重に議 論していったほうがいいのではないかと考えています。 ○福島座長 我々のこの委員会の考え方としては、いまディスカッションのありました ようなことでよろしいですね。  そうしましたら次、「関係府省、機関等の連携」ということです。現在この連携をとら れているようなことが何かありましたらお願いできますか。 ○化学物質対策課企画官 関係府省との連携につきましては、内閣府が中心になられて、 関係省庁の検討内容とか、そういったものにつきまして、情報交換、今後の計画等につ いて検討をしております。それから、関係機関としましては、先ほども出てまいりまし たが、労働安全衛生総合研究所のほうでホームページにデータを設けていただいている とか、あるいはビジネス推進協議会といろいろ調査のご協力をさせていただいていると か、そういったことがございます。  ○福島座長 いずれにしても連携なのですが、ここで連携に至って、さらにこういうと ころに注意していただきたいとかそういうことがございますか。いろいろなところに関 しまして、現在では研究段階のところでは確かに内閣府を中心として連携をとって議論 をしております。ほかに特別ないようでしたら、そこのところはもう少し事務局で考え ていただいて、今度提案していただくという形にしたいと思います。よろしいですね。 時間がきましたが、今、議論をしたところで、さらにこういうところを追加したほうが いいではないかということがございましたら、いかがでしょうか。 ○環境改善室長 環境改善室ですが、私は測定、あるいはマスク、工学的対策のところ の責任者でございますが、そういった立場から1つお願い申し上げたいことがあります。 特に業界団体の代表の委員の皆様に特にご意見をいただきたいところなのですが、それ は先ほど篠崎企画官も申し上げましたが、情報発信は役所の場合特に求められるのです が、逆に実際に現場でいろいろな作業をやっておられるお立場から情報を提供いただき たい。私は前々回から参加させていただいておりますが、承って感じますのは、何分に 科学的知見が集積されていない。ですから今どういう対策を作りましても、まあ、とり あえずのものにならざるを得ない。これは、新しい知見を踏まえてバージョンアップし ていくという作業が、絶えず必要になってくるわけです。そのためにも、そういった現 場での実際のいろいろな情報が寄せられて、それを活用して、より良いものに直してい くという作業が必要になってくるのだろうと思いますので、そういった情報提供、法令 で義務付け云々ではなくて、そういうことは置いておいてもよろしいので、さまざまな 情報を提供いただけるような枠組みがいただけないものかなと考える次第でございます。 ○福島座長 わかりました。先ほどの情報の収集及び提供、そこのところに関して、今 言われたことはもっともなことですので、その点皆さんが協力し、とにかくこれは全て の人が協力して、そしてより良い方向にもっていくというのが基本ですから、その点お 願いしたいと思います。私からですが、先ほど庄野委員からありました有害性調査のと ころでちょっと言いましたが、基本線としてこれは労働衛生の面から見て、労働者がば く露するという有害性調査というものが前提、基本であるというスタンスだということ です。ナノの全てのことをこれでやるということではありません。私はそういう意識で おります。ほかによろしいでしょうか。この検討課題は全部済みましたね。 ○化学物質対策課企画官 はい、全部済みました。 ○福島座長 宿題もみんな終わっていますね。 ○化学物質対策課企画官 終わっています。どうもありがとうございました。本日の議 事録ですが、毎回同じように委員にご確認いただきました上、後日公開させていただき たいと思いますので、よろしくお願いいたします。次回の開催日ですが、10月1日(水) 17時から19時に予定しております。会議室はまだ未定で調整中です。事務局からはそ れに加えまして。 ○化学物質対策課長 今後の予定です。論点については時間が十分あったかどうかとい うところもあるのですが、一応今日で終了したということですので、これを踏まえまし て私どもで一応その案を作りまして、次回ご検討いただきまして、大体次回以降2回く らいでまとめという形で終息させたいと思っています。  最後時間がなくて大変申し訳なかったのですが、(8)の労働安全衛生法上の取扱いに つきましては、確かにご意見いただきましたように、十分な時間が取れなかったという ことと、いろいろと検討すべき事項もあるだろうということで、はっきりした結論を出 すところも難しいとは思うのですが、一応の私どもの問題意識としては、こういうこと についても少し労働者のばく露防止という観点から、労働安全衛生法上どういうふうに 取り扱っていったらいいのかということで、今日いただきましたご意見を踏まえまして、 事務局で叩き台を作りまして、次回、そのほかの事項もそうですが、一応ご検討いただ ければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○福島座長 ありがとうございました。以上でよろしいですか。それでは本日の検討会 を終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先                                     厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課                電話03-5253-1111(内線5510・5514)