08/07/24 安心と希望の介護ビジョン第1回議事録          「安心と希望の介護ビジョン」第1回会議議事録 ○ 日時及び場所    平成20年7月24日(木) 15時58分から17時52分まで    厚生労働省 共用第8会議室 ○ 出席委員    石川(誠)、石川(良)、太田、駒村、袖井、鳥羽、古川、堀田、前田(座長)、    村上、村田の各委員    中村委員は欠席 ○ 議題    安心と希望の介護ビジョンについて ○ 議事内容 ○大澤総務課長 定刻より若干早いわけですけれども、皆様方おそろいでございますので、ただ いまから第1回「安心と希望の介護ビジョン」を開催いたします。  本日は大変お暑いところ、また、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうござい ます。  私、事務局を担当しております、老健局総務課長の大澤と申します。どうぞよろしくお願い申 し上げます。  なお、舛添厚生労働大臣につきましては、公務によりまして1時間ほど遅れる見込みとのこと でございますので、あらかじめおわび申し上げたいと存じます。  本日は、第1回目の会合でございますので、まずは、出席されている方々を、僭越でございま すが、私の方から御紹介させていただきたいと存じます。  厚生労働省側でございますけれども、遅れてまいりますけれども、舛添要一厚生労働大臣でご ざいます。  本日は欠席をしておりますが、西川京子厚生労働副大臣、松浪健太厚生労働大臣政務官でござ います。  続きまして、有識者の方々を御紹介させていただきます。  まず、医療法人社団輝生会初台リハビリテーション病院理事長でいらっしゃる石川誠様でござ います。  続きまして、稲城市長、石川良一様でございます。  NPO法人パオッコ理事長、太田差惠子様でございます。  慶應義塾大学経済学部教授、駒村康平様でございます。  首都大学東京都市教養学部長、前田雅英様でございます。  御茶の水女子大学名誉教授、袖井孝子様でございます。  杏林大学医学部教授、鳥羽研二様でございます。  それから、本日、御欠席ですけれども、松下電器産業(株)代表取締役会長(社団法人シルバ ーサービス振興会会長)の中村邦夫様も委員として御参画される予定になっております。  続きまして、日本化薬メディカルケア(株)デイサービス部部長、古川静子様でございます。  東京大学社会科学研究所特任准教授、堀田聰子様でございます。  社会福祉法人慧誠会帯広けいせい苑施設長、村上勝彦様でございます。  福祉ジャーナリスト、村田幸子様でございます。  そのほか、事務局といたしまして、老健局長の宮島、担当審議官の坂本、関係課長等出席をさ せていただいているので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。  それでは、この会議の座長でございますけれども、誠に恐縮ですけれども、前田先生にお願い をしたいと存じますけれども、いかがでございましょうか。 (「異議なし」と声あり) ○大澤総務課長 それでは、前田座長、議事進行方、よろしくお願いを申し上げます。 ○前田座長 それでは座ったままで失礼いたしますけれども、座長を仰せつかりました前田でご ざいます。皆様の御協力を得まして、円滑な議事運営に努めてまいりたいと存じますので、何と ぞよろしくお願いいたします。  それでは早速ですけれども、議事に入らせていただきたいと思います。  まず、事務局から本会合の趣旨等につきまして御説明をいただいて、今日はそれを踏まえてフ リーディスカッションという形で御議論を賜りたいと思います。  それでは、課長の方からよろしくお願いいたします。 ○大澤総務課長 それでは、資料の説明に先立ちまして、お手元の資料を確認させていただきた いと存じます。  議事次第、座席表の次に資料の1といたしまして、本会議の開催要項。  資料の2といたしまして、介護を取り巻く状況。  それから、袋には入っておりませんけれども、社会保障国民会議中間報告並びに同会議第二分 科会中間とりまとめを手元にお配りしております。もし、足りないものがございましたら、事務 局の方に申し付けいただきたいと存じます。  よろしいでしょうか。  それでは、資料の1から順次御説明させていただきたいと存じます。  まず、資料の1でございます。本会議の開催要綱でございますけれども、本会議の目的にござ いますように、高齢化の進展によりまして介護費用が急増する中、今後、持続可能な介護保険の 構築に向けた方策が大きな課題となっているところでございます。  一方におきましては、認知症高齢者や一人暮らし高齢者の増加等に対応した地域ケアの構築で ありますとか、介護従事者の人材確保、施設入居者の重度化に伴う医療と介護の連携など、さま ざまな問題が指摘をされているところでございます。  こうしたことに関しまして、今後のあるべき介護の姿を示す安心と希望の介護ビジョンの策定 を進めるために、本会議を開催させていただいたところでございます。  具体的な検討事項は、2の(1)以降に挙げておりますような事項につきまして、今後、検討 をお願いしたいと思います。  今後のスケジュールでございますが、一番下にございますように、本日、第1回を開催させて いただきました後に、関係者からのヒアリングあるいは現場視察などを行いました上で、本年中 を目途にビジョンのとりまとめをいただければと考えております。  2枚目は御案内いたしました、皆様方の名簿でございます。  続きまして、資料の2、介護を取り巻く状況をごらんいただきたいと存じます。  この資料は、既に事前に郵送させていただきました資料と基本的には変わりはございませんの で、時間の関係がございますので、簡単にアウトラインのみ御説明をさせていただきたいと思い ます。  介護保険制度は、平成12年4月から導入をしてきているわけでございますけれども、4ページ をごらんいただきますと、介護保険が導入されました意義を整理させていただいております。 要介護高齢者の増加、介護期間の長期化といったニーズの増大。  また、核家族の進行、介護する家族の高齢化等といった家族をめぐる状況の変化の中で、高齢 者の介護を社会全体で支える仕組みといたしまして、介護保険は創設されたわけでございますけ れども、自立支援、利用者本位というような理念に基づきまして、社会保険方式としてこの制度 は始まったわけでございます。  飛ばしていただきまして、11ページ、平成12年4月から本制度が始まったわけでございますが、 昨年の11月あるいは9月までデータを載せておりますけれども、左側は第1号被保険者、65歳以 上の被保険者の方々あるいは要介護認定者数でございますが、この間、第1号被保険者数におき ましては、2,165万人から2,722万人へ、また、要介護認定者数については、218万人からほぼ倍 増ということになっております。  一方、サービスの受給者数は右にございますように、144パーセント増えておりますが、とり わけ黄色い部分の居宅サービス受給者が非常に伸びているところでございます。  こうしたことの反映とも言えると思いますけれども、次のページでございますが、介護保険財 政については、平成12年度の当初、総費用3.6兆円というところから始まりまして、今年度予算 では7.4兆円ということで、ほぼ倍増になっております。  また、1号保険料、65歳以上の保険料については、第1期は、2,911円が全国の加重平均でご ざいましたが、現在第3期におきましては4,090円という水準に至っておるところでございます。  一方、15ページまで飛んでいただけますでしょうか。全体としての高齢化の進行というものは 申し上げるまでもないわけでございますけれども、15ページに挙げておりますのは、その中でも 特に認知症高齢者の推移でございますけれども、下の欄、日常生活自立度II以上というところで、 2005年現在で、169万人、65歳人口全体に対しまして、6.7%となっておりますが、10年後の2015 年にはこれは250万に7.6%いうことに上昇する見通しでございます。  また、次の16ページには、高齢者の世帯形態の将来推計を載せておりますけれども、こちらの 方は2005年、65歳以上に占める単独世帯の割合が28.9%ですが、2015年の10年後には32.2%とい うことで、一人暮らしのお年寄りの割合が今後増加をする見込みとなっているところでございま す。  飛んでいただきまして、19ページをごらんいただきますと、前回の平成17年の介護保険制度改 革の基本的な視点と内容を整理しておりますが、ごらんいただきますように予防重視型システム への転換を始め5本の柱で平成17年に制度改革を行いました。  その中で、20ページ、予防重視型システムということで、軽度者の方の状態像を踏まえながら なるべく要支援・要介護状態にならない。あるいは重度化しないような介護予防を重視したシス テムの確立を目指しているところでございます。  一方、次の21ページには、地域包括ケア体制の整備について簡単にまとめておりますが、高齢 者の方々が住みなれた地域で、切れ目なく必要なサービスが提供されるサービス体制を整備する ということで、いわゆる地域包括支援センターを整備することといたしまして、全体のイメージ としては、次の22ページに挙げているような、3職種によるチームアプローチによる包括ケアシ ステムの構築を進めているところでございます。  飛んでいただきまして28ページ、一方、こういった介護サービスを支える介護職員の方々の状 況でございますけれども、右の上、平成17年、黄色い枠の一番下の欄でございますけれども、平 成17年時点で常勤、非常勤合わせまして、全国で約112万人の方々が介護職員としてお勤めいただ いているところでございます。  30ページ、介護労働者の賃金、それから、全産業との比較を載せておりますが、全産業と比較 いたしますと、施設介護員、ホームヘルパー等も決まって支給する給与等については低い水準に あるわけでございますけれども、他方におきまして勤続年数あるいは男女比等々、全産業とは異 なる特性もございますので、そういった点も考慮に入れる必要はあろうかと考えております。  34ページ、こちらは今申し上げました、介護労働者の処遇あるいは事業経営に影響を与える と考えられる要因でございますが、勿論、介護報酬の水準というものもありますけれども、(2)介 護サービス事業に係る基準や規制の在り方を始めとするさまざまな要因を解決してまいりません と、経営・処遇の問題というものは解決できないのではないかと考えております。  35ページにございますように、厚生労働省といたしましては、現在、さまざまな実態調査を踏 まえて、来年の介護報酬改定に向けた検討とともに介護報酬改定以外での対応についても幅広く 検討を進めているところでございます。  36ページは、地域ケア体制整備構想ということで、高齢化のさらなる進展に加えまして、療養 病床の再編成ということを踏まえて、各地域における将来的なニーズ、在宅資源の状況を踏まえ て、県ごとに整備構想を策定していただいているところでございます。  38ページに、その基本的な構成を載せてございますけれども、左の下にございますように、30 年後の高齢者の生活を支える提供体制等の望ましい将来像を策定していただいた上で、右上にご ざいますように、当面、平成23年度までの各年度の介護サービス等の必要量の見込みなり、確保 方策、更には療養病床の転換の推進について各県ごとに整備構想をとりまとめていただいている ところでございます。  以上が資料2の説明でございますけれども、袋の外に置いております社会保障国民会議中間報 告第二分科会中間とりまとめについて、簡単に御紹介をさせていただきます。  こちらは、今年の6月にそれぞれとりまとめられたものでございます。社会保障国民会議の中 間報告、そして、その会議の下で開催をされました、医療・介護・福祉のサービス保障について 検討しております第二分科会の中間とりまとめでございます。  この会議につきましては、御案内かと思いますが、内閣総理大臣が開催をしておりまして、社 会保障のあるべき姿と、その中で政府にどのような役割を期待し、どのような負担を分かち合う かを国民が具体的に思い描くことができるような議論を行うために開催されているものでござい ます。  詳細な説明は、時間の関係上割愛させていただきますが、中間報告、厚い方の資料の12ページ をごらんいただけますでしょうか。  中ほど下より医療・介護・福祉サービスの改革ということで、(1)医療・介護に係る需要の 増大、次の13ページには不十分・非効率なサービス提供体制、そして、13ページの下ですけれど も、(3)といたしまして、サービス提供体制の構造改革と人的・物的資源の計画整備というこ とが書かれておりますが、14ページにやや具体的な内容を書いてございまして、まず、(1)のサー ビス提供体制の構造改革ということで、介護の関係でいきますと、3つ目のポツのところにござ います、地域における医療・介護・福祉の一体的提供、地域包括ケアの実現。更には医療・介護 を通じた専門職種間の機能・役割分担の見直しと協働体制の構築。  更には、(2)といたしましてサービスを支える人的・物的資源の計画的整備について記述されて いるところでございます。  また、その下の(4)では診療報酬体系・介護報酬体系の見直し、そして15ページの(5)で ございますけれども、医療・介護に関する将来試算の実施ということで、いろいろな改革を行っ ていくことを前提にした上で、あるべきサービスの姿はどのようなものかなどを明らかにしなが ら、それを実現、維持していくために、どれだけの費用が必要なのか推計する試算を早急に実施 する。これを踏まえて財源の確保方策について検討を行うこととされているところでございます。  今後、社会保障国民会議では、申し上げました将来費用の推計を行った上で、この秋を目途に 最終とりまとめを行う予定であると聞いております。  社会保障国民会議における今後の議論や検討状況も見ながら、この会議における介護ビジョン 策定に向けた御議論もお願いをしたいと考えておりますので、本日は参考までに資料を配付させ ていただいた次第でございます。  私の方からは、以上でございます。 ○前田座長 ありがとうございました。それでは、本日は第1回の会合でございますので、大変 恐縮でありますけれども、各委員から御発言を一当たりいただきたいと思います。先ほど申し上 げたような趣旨を踏まえてお願いしたいと思うんですが、時間の関係もありますので、これも本 当に恐縮なんですけれども、お一人3分をめどにお願いをしたい。絶対に超えてはいけないとい う趣旨ではないと思うんですが、発言も前もってお願いしてあるということなので、本当に申し 訳ないんですが、大丈夫かと思うんですが、あいうえお順にお願いするということで、ほかの委 員会とは少し違うかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、まず、石川委員から順にお願いしたいと思います。 ○石川(誠)委員 トップバッターになってしまいましたが、介護保険ができて8年半と少しが 経っているわけですけれども、ともかく介護保険ができる前とできた後に比べれば、数段にケア がよくなっていて、特に在宅ケアに関しては大変に前は不自由でしたけれども、大変にいい制度 ができていいと思いますけれども、やはり問題もまだまだたくさんございまして、私は医療の立 場であり、なおかつリハビリテーションを専門にしておりますので、そのことから少しお話をさ せていただきたいと思います。  自立支援が大きな介護保険のスローガンですので、自立支援ということに対しては、多分医学 的なリハビリテーションというのは相当貢献ができると思いますが、どうも制度上、介護保険が できるときには、たしかリハビリテーション前置という言葉が随分出回っていると思いますけれ ども、介護保険が制度化されてからは、どうもその言葉が消えかかっているような気がしており ます。  この前置というのは2つの意味がございまして、介護保険になる前、つまり医療保険の方で十 分なリハをやって、できるだけ要介護度を下げた状態で介護保険に移行と、これに関しては、多 分、医療保険の方で急ピッチで制度が充実してまいりますので、問題は介護保険に移行した後、 十分介護度を高めないような、そういうサービスが円滑にいくかというところが、まず、円滑に うまくいかない傾向があるということと、もう一つはリハビリテーションの維持期のリハビリの サービスが、かなり不十分な状態で制度がどんどん進んでいるということがあると思います。  維持期のリハビリテーションサービスには、主に3つあると思いますけれども、通所のリハビ リテーション、それから訪問リハビリテーション、短期入所・入院におけるリハビリテーション この3つがあると思いますが、まず、通所リハビリテーションは、どうも通所介護と区別化があ まり明確ではないと言われております。もう少し重点的なリハができる仕組みが必要なんではな いか。  それから、訪問リハビリテーションは圧倒的にサービス提供量が少なくて、それこそ保険あっ てサービスなしと言われかねない状況にある。  3つ目の短期入院・入所によるリハというのは、名前はあるんですけれども、ほとんど行われ ていないということで、早急にそこら辺の整備が必要なんではないかと考えております。  もう一つ、要介護認定に関してですけれども、煩雑な割に正確度に欠けるといったら言い過ぎ かもしれませんけれども、少し疑義があると、えっというケースがかなり頻繁に見られて、もう 少しそこら辺に厳しい目でいろんな取組みが必要なのかという印象を持っております。  3つ目は、ケアマネージャーとかかりつけ医でございます。主治医でございますけれども、ど うしてもまだ医療と福祉、もしくは医療と介護を一体化して包括的にやろうという意識改革がい まひとつ遅れているんではないか。制度の方は非常にいいスローガン、理念が訴えられておりま すけれども、ケアマネージャーも大変優秀な方と、ちょっとどうかなという方と随分玉石混交し ているような傾向もあって、もう少し医療と福祉が一緒にできるムードを是非ケアマネージャー とかかりつけ医、それが車の両輪となって行う、そういうムードが高まると、より介護保険は非 常にいい制度として行くんではないかと思います。  大体以上でございます。 ○前田座長 ありがとうございました。続きまして、石川委員にお願いします。 ○石川(良)委員 今回、「安心と希望の介護ビジョン」ということなんですけれども、これ自 体は否定するつもりはないんですけれども、私ども現場でやっていますと、安心というのは非常 に規定するのが難しいなということをいつも感じるわけです。  これは医療でも介護でもそうですけれども、人間最終的には死を迎える、死に対する恐怖です とか、あるいはそれに対する不安とかというものを、当然これは緩和をすることができるわけで すし、そのための努力は必要でしょうけども、解消するというのは人類永遠のテーマということ も言えるのではなかろうかと思います。  ですから、安心というのは解釈が常に幅が広いわけで、私ども現場にいると、こんな制度では とても安心できないよということはあらゆるところで言われるわけであって、それはどういうふ うに規定したらいいのかという、あまりにも幅が広過ぎるものを、行政施策の概念として使うの は、そろそろ見直す時期が来ているのかなと私自身は感じております。  そして、検討項目の(1)に自助・公助・共助というふうになっていますけれども、今日未明、 岩手県で大地震が起こっていますけれども、防災関係などでは、基本的には、自助・共助・公助 というふうに順番が、それは余り関係ないよということなのかもしれませんけれども、これは、 今、地域力の見直しということが非常に大きな課題になっておりまして、これは防犯もそうです し、例えばサミットなんかがありますと、私どもも地域の皆さんが出て1か月間パトロール行っ たりなんていうことで、結果としては刑法犯罪数などを抑制することができて成果も上がってお ります。  ですから、地域といかに連携をしていくのかというのが非常に大きな課題なわけでありまして、 確かに介護保険については自助の後に公助ということで、介護保険制度ができたわけですけれど も、やはりこの順番というものは地域力、共助というものをどう見直し、また再構築をしていく のかというのが非常に重要なんではないかと思います。  日本社会は非常に地域に基づくさまざまな活動なりあるいは地域パワーを潜在的に持っている わけであります。それで、今、非常に地域力が落ちてきていると言われても、教育もそうですし、 福祉もそうですし、勿論、防犯や防災は既にパワーを使われておりますけれども、福祉の部分で もこういう地域力を再構築していく、そういう時期に来ているのではないかと思っております。  そんなこともありまして、本市では、介護支援ボランティア制度というものを提案させていだ きまして、昨年から実施をしてきております。65歳以上の方で、言わば介護保険の1号被保険者 なんだけれども、実際には元気でやっている人たちに対して何の見返りもないではないか。元気 でやっているということをもっと高く評価をするような制度があってもいいんではないかという ことで、65歳以上の方でボランティアをやっていただければ、一定の要件を経れば、ポイントで 還元をしましょうという制度を昨年の9月からスタートさせまして、いよいよ今年から実際に還 元するということになっております。  稲城は、人口は8万人ちょっとの自治体なんですけれども、今、一応登録者数が268名で、こ れは昨年から始めていますけれども、これは最終的には補助というような形になりますけれども、 5,000円分の還元をする。これはもらっても、もらわなくてもどちらでもいいということで、あ るいは本当にボランティアという事でやられている方もおいでになられます。いろんな動機はあ りますけども、結果として多くの方が登録をしていただいて、そして元気であり続けたいと、そ して地域にも還元をしていきたいということで、非常にスムーズにスタートができております。 これも言わば共助の、お互いが助け合うというパワーを再構築していく一つの試金石になってい るんではないかと思っております。  ですから、介護保険制度そのものは非常に重要な制度で、これからも継続性をきちんと図らな ければいけないわけですけれども、しかし、それプラス地域力等々を、介護の分野あるいは福祉 の分野で再構築をしていくことが、結果としては負担と給付の問題等々からすると、これから非 常に難しい課題、特に負担の問題では医療を含めて、もう限界点に達しているということも言わ れているわけでありますから、そういうことに対して、いかに地域でフォローしていけるような 体制をつくっていくかということが求められているわけでありまして、やはりこの順番というの は、介護でもいよいよ自助・共助・公助というような並べ替えをしていく必要があるのではない か。そのような議論を今回また進めさせていただければ、将来に対するビジョンの一翼を担うこ とができるのではないかということで参画をさせていただきました。  ありがとうございました。 ○前田座長 どうもありがとうございました。それでは続きまして、太田委員お願いいたします。 ○太田委員 太田です。よろしくお願いいたします。私は、1996年に離れて暮らす親のケアを考 える会、パオッコというものを立ち上げまして、2005年に法人化いたしました。  ずっとこの間、今の50代、40代、親と離れている方が非常に多いわけなんですけれども、離れ て暮らす親をどのようにケアしていけば、うまく支援していくか、自立を促していくことができ るだろうかということを、市民の声を中心に情報交換をしておりました。  その前から高齢者の取材はずっと続けておりまして、この介護保険への移行の経緯もずっと見 ておりました。私も2000年に介護保険が始まったことによって、サービスを使うことがごく当た り前のことになったということは、非常に意識改革になったということで、よかったなと思って おります。  ただ、介護保険ができましたことで気になっていることといいますと、ほかにもいろんなサー ビスがあるわけですけれども、一般の方々はなかなか介護保険以外のことがあるということに気 がつかない。自分に必要なサービスが一体どこにあるのかがわからない。ましてや、この情報化 時代に生きている子世代は、別居していることもすごく増えておりますし、一緒に暮らしている 場合でもなかなか忙しくて、情報収集をしているような時間などがないというようなことがあり ます。  また、介護といいますと、どうしても身体的な食事介助とか、トイレ介助ということが中心に ぱっと思いつくんですけれども、ずっとたくさんの方々を見て思うことは、介護ということは人 の生き方をサポートすること。生きていることそのものだと、すごく思っております。  高齢者の方にとっては本当に自分が生きていること、介護されることは生きていることという ふうに考えますと、もっと多様化した生き方の中で、必要としているサービス、正しく使うには どうしたらいいかというふうに考えてくることが大切なんではないかと思うんですけれども、い かんせん情報が分散していまして、介護保険、自治体独自のサービス、ボランティアのサービス、 民間のサービスいろんなものがあるにはあるんですけれども、どこに何があるのか全然わからな くて、それにたどり着くのが大変過ぎるという状況があるかと思います。  ですので、私の方としては、本当に正しい情報が集約した環境があると、家族がみんなばらば らに暮らしている状態なんですから、情報の集約がされるといいなということと、また、その情 報の仲介役にもなるケアマネージャーさんが先ほども出ておりましたけれども、やはりいろんな 方がいらっしゃいます。でも本当に家族にとって、ケアマネージャーさんというのは頼りにした い存在です。ですから、ケアマネージャーさんが、どういうサービスをしてくれるのかというこ とについても、私たち利用者の側にはっきりとわかるように、内容がわかるように、そしてまた どういうふうに連携をとっていけばいいのかということがわかるようになればいいなと思います。  最後に一つだけなんですけども、遠方に暮らす子が、親と同居しようと思って呼び寄せなどを 考えることがあります。別居しているときは、介護保険は生活援助などのサービスを使いますけ れども、同居した途端に使えないと言われることが多々あります。そうすると結局、同居に踏み 切れないということもありますし、これも自治体などいろんなところによって判断がいろいろの ようですが、暮らす場所によってサービス内容が違っているということは、なかなか私たちにと って納得ができないことですので、こういうことについてもしっかりとした情報を提供していた だける環境づくりを整備していただけたらいいなと考えております。 ○前田座長 ありがとうございました。それでは、駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員 私は経済学専門でございますので、また違う角度からお話しさせていただきたいと 思いますけれども、経済学、お金の話、あるいは資源配分の話でちょっと毛色が違う議論になる かと思います。ただ、介護の話も資源の確保ができなければどうしようもない議論だろうと思い ます。  3つぐらいの視点からお話いたします。この議論、1つは、どういう時間軸からこの議論をし ていくのかということ。それから、ある理想の姿を目標に据えてあくまでも議論していくのか、 それとも現行からのベターなものを積み重ねていくという議論をしていくのかということも考え なければいけないと思います。  そして、ベターにしろ、ベストにしろ、今の介護システムを「ばらして」見てみますと、3つ に分けることができるだろうと思います。  1つは、本人、家族、地域というセクター、2つ目は財政及び給付セクター、三つ目はサービ スの提供あるいは労働サイドのセクター、この3つに分けることができるだろうと思います。  それぞれ考えるべき点を少し羅列的に挙げていきますと、最初の本人、家族、地域に関するセ クターでございますけれども、住宅政策との関連性というものも一つ大事だろうと。家族支援政 策、それから介護休業といったものを今後どう考えていくのかというのが一つポイントになって くる、こういったことも考えなければいけないと思います。  2つ目に、財政及び給付セクターについてですけれども、1つは財政の方で見れば被保険者の 範囲をどう考えていくか、あるいは公費50、保険料50というこのシステムをどう考えていくか。 更に50の公費のうちの25%が国負担ですけれども、そのうち更に5%が調整交付金で、地方間で の高齢化率と経済力に応じての再分配、調整を行っているわけですけれども、このルールを現行 のままあくまでも堅持していくのかどうかということ。あるいは介護報酬の仕組みがそのインセ ンティブ設計としては、よくできているのか、できていないのか、何が問題なのかということも 考えなければいけないだろうと思います。保険料もどういう刻みで保険料をつくるのか。応能性 を強めていくのか、応益性を強めていくのか、これも考えなければいけないだろうと思います。  財政全体としては、先ほどもありましたけれども、財政予測をどういう試算で、どのくらいま で見るのかということも考えなければいけないと思います。  給付面については、給付の範囲、利用者負担、それから低所得者に対する配慮、こういったも のをどうするか。こういった問題は介護単体で議論をできなくて、高齢者の主たる所得収入、収 入源である年金額が今後非常に厳しくなっていくということも踏まえた上で、どういう形で負担 できるような利用者負担と保険料負担に設計し直すかということも考えなければいけないだろう と思います。  最後に、サービス供給セクター、労働市場セクターでございますけれども、勿論、民間と社会 福祉法人、これは非常に重要な役割を果たしていくわけですけれども、そこについての経営的な 問題も考えなければいけないわけですし、特に労働市場、労働セクターについて見れば、短期、 中期、長期で考えなければいけない。  短期については、今、堀田先生とも別の会合で議論していますけれども、当面は労務管理をき ちんとしていく、人材育成をちゃんとできるのかということになっていくと思いますし、それは 介護報酬に跳ね返ってくると思います。  しかし、中期及び長期で考えていったときに、労働市場に占める介護労働者の割合というのは、 今の2倍まではいかないかもしれないですけれども、1.8倍ぐらいまで増えて行くと、どういう ふうに、具体的に中長期の介護労働者のスタッフ、人員を確保するのかと、極めて難しい問題に も突き当たるだろうと思います。  非常にいろいろなものを羅列しましたけれども、この介護保険システムを構成する3つのセク ターはそれぞれ大変重要な問題を抱えていると思いますので、経済学の視点から議論できればと 思います。  よろしくお願いします。 ○前田座長 どうもありがとうございます。あいうえお順と申し上げましたけれども、行ったり 来たりするのはちょっと不自然ですので、続けて私から簡単に一言申し述べさせていただきます。  私は、都市教養学部長というと何をやっているかわからないんですけれども、法律の人間でし て、この問題に関連するとすれば、厚労省で在宅の方の吸引の問題を検討する会議の座長させて いただいたというのがきっかけで、いろいろと医療の問題にもお手伝いするようになって、今、 中医協の中で、後期高齢者の問題なんかについても、若干お手伝いをさせていただいているとい うことなんですけれども、私がこの会に呼んでいただけた1つの大きな理由は、やはり介護の当 事者といいますか、もう過去になったんですけれども、20年間母親の介護をしてまいりまして、 本当に実感として、新しい介護保険法ができて助かったと。それができる前の1980年代から、ず っと在宅介護をやってまいったわけです。在宅といっても大変で、やはり大変なコストで、やは り家内の仕事、学校の教師ですけれども、辞めてもらって手伝ってもらうみたいなところがあっ たわけです。その間のバトルというのは大変なことでして、それはそれだけの負担も私も負うと いうことになるわけです。  ただ、客観的に言いまして、私はこの制度は大きな流れとしては、一事例と言いますけれども、 やはりケアの皆さんとお話しするような中で、いろいろ行きつ戻りつあるのですが、少しずつう まくいってきている。ただし問題はいっぱい抱えている。その中でどこをどう直していくか。  医療全体としても、御承知のように後期高齢者の問題にしても、いろんなネックがあるわけで す。システム全体としては、やはり合理的なものといいますか、やはり心の問題もある。そこの ところをやはりいろんなレベルから議論をしていただいて、全体としての総和としての資源をい かに合理的に配分するかということが第一ですけれども、それを超えて、先ほどの市長のお話に もありましたように、地域の力とか、それから職業についても、いろいろな特性に合わせた、教 育の問題も含めて人材の養成とか、社会の見方の問題。  あと、私は法務省の関係で、入国管理の審議会も少しやっておりまして、外国人の労働者を入 れることの問題性ということを嫌というほど考えさせられて、介護の問題もそこはつながってく ると思うんです。  やはり、私は今ある制度、法律屋というのは、革命はだめなんです。今、あるものをよりよく していく、一歩ずつよくしていく。そのためにはどうしたらいいかという意識が働くもので、ど うしてもダサイ議論といいますか、格好がいい議論はできないんですね。ただ逆に言うと、安定 感はある。  その意味で、今あるものを少しずつ、ただしエビデンスに基づいた、科学的で合理的な制度設 計に基づいて一歩ずつ進むということは何より大事ですので、御専門の先生方の御意見を拝聴し て勉強させていただきたいというふうに思っています。初めのごあいさつとしては、そのぐらい させていただきたいと思います。  それでは、袖井先生お願いします。 ○袖井委員 まず初めに、この会議ができたのが、私ちょっとよくわからなくて、老健局の方が いらっしゃったときに、国民会議もあるし、社会保障審議会もあるし、その上何をするんですか なんて言ってしまったんです。介護保険だけを論ずるんだったら、あまり私は関心がないと言っ てしまったのですが、もう少しマクロな視点でということだったので参加させていただきました。  つまり「安心と希望の介護ビジョン」というふうに書いてあるので、やはりビジョンというの を出す必要がある。確かに負担と給付をどうするかとか、財源をどうするかとか、そういうお金 の話も非常に重要だと思うんですけれども、介護とは何だろうかという抽象的な話も必要ではな いかなと思っております。  私はもともと家族社会学が専門で、あと女性学などもやっていまして、特に介護における家族 介護の問題あるいは介護と女性の問題というのをずっと長年研究してきております。確かに介護 保険というのはすごいことで、介護保険が導入されたことによって、家族ってすごく変わりまし た。まず何よりも、それまでは外部サービスを使うということに対しての抵抗感がすごくあった んです。ですから、介護保険が導入される前に、いろんな世論調査を見ますと、他人を家に入れ るのが嫌だという方が非常に多かったです。  それからその前でも、例えば実際に措置の時代でも外部サービスを使うことができたんですけ れども、そうするとあそこの嫁はということが言われました。ですから、そういう気持ちを払拭 したということで、そういう意味で介護保険の与えた影響はすごく大きかったと思います。  家族の変化ということについて言いますと、確かに世帯構造の変化もすごく大きいですね。3 世代家族がすごく減っていったということ、一人暮らし、夫婦のみが増えたというのは非常に大 きいですが、3世代家族であっても、その世代の間で切れているような状況になってきています ので、3世代家族だから介護がうまくいくというものではないですね。  やはり介護保険ができて何が一番変わったかというと、やはり嫁介護が減ったということなん です。はっきり言って、何十年か前の調査を見ますと、ずっと家族介護者の一番は嫁だったんで すが、それが最近、国民生活基礎調査によりますと、配偶者介護が一番多くなってきて、だんだ んそうなるだろうと思います。  ですから、そういうふうに家族とか女性の意識が変わってきたということあるいはこれからも 変わるだろうということを前提にして考えていかないと、ただ単に家族形態だけの変化で見てい ても、うまくいかないだろうと思います。  もう一つ、介護保険について申しますと、介護保険はどこまでカバーすべきかということをき ちんと議論すべきだと思います。介護保険というのは走りながら考えると言われましたが、どん どんいろんなものを付け加えてしまったんですね。それは確かにニーズはあるのですが、私なん かが見て、これは何でここまで介護保険でやらなければならないのか、その本質的なものは何か ということをもう一度洗い直す必要があるのではないか。  例えば介護予防ということ、これは予防は非常に重要だと思いますし、やるべきだと思います が、なぜ体操したり、ああいうことを介護保険でカバーするのか、自分でやればいいのではない かとか思うんです。  ですから、介護保険はもう少しシンプルに設計し直して、わかりやすい制度にして、何もかも 取り込まない方がいいんではないか。そうしないと、ますます財政的に厳しくなってしまうと思 うんです。  もう一つは、やはり介護保険でどこまでカバーするかということですけれども、先ほど稲城の 市長さんがおっしゃったように、やはり地域の力が重要です。NPOとかボランティアとか、そう いうインフォーマルなケアを使っていかないと、実際には無理だと思いますので、やはり介護保 険というものはどうあるべきか、どこまでカバーするべきか、そして家族や意識の変化、特に女 性の意識の変化ということを踏まえた場合に、どこまでやるべきか、ある程度のところは、やは り痛み分けというんではないですけれども、国民の側も我慢すべきではないかと思うんです。や はり利用者本位とか、権利だというのがどんどん広がってくると、やはり歯止めが効かなくなる という面もあるかと思いますので、その辺も変わっていく必要があるし、そうかと思うと、逆に 実際に利用できる人が利用していないという面もあります。ときどき悲惨な事件、殺人とか心中 とかが起こりますね。ですから本当に必要な人に届いていなくて、余り必要ではない人が使って いる。そういう実情も考えると、やはりもう一度制度そのものを見直す必要があるのかなと思っ ております。  以上でございます。 ○前田座長 ありがとうございました。それでは、鳥羽委員、お願いいたします。 ○鳥羽委員 杏林大学の鳥羽です。私は病棟では、70%が高齢者の救急の重症で、そのうちの4 割ぐらいは、在宅に返せないといったところで働いております。  最近、老年医学、高齢医学でやってきたことは、認知症や動けない方の排尿誘導のおむつ外し、 褥瘡の治療、抑制の減少、認知症に対する非薬物療法といったことを専門にしております。今回、 医療と介護といった関係も話してもいいということでしたので参加させていただきました。  介護保険の5年、10年の節目ということですので、袖井先生がおっしゃられたように、まず、 今後の大きな理念をビジョンの中に立てるべきだと思います。自立支援といったものだけでは、 恐らく安心が得られないということが背景の資料から読めるわけです。  そうすると、どういうことが一番の不安要因なのか、何が希望を失わせている要因なのかとい うことを、もう少し厳しく具体的に見ていく必要がある。  その一つは、第1に、75歳以上あるいは85歳以上の方が増えてくる。そうしますと非常に重症 な介護あるいは病気をたくさん持った人の介護が増えてくる。その人たちをずっと家で御家族が 見ていけるのか、悪くなったときに病院は入れてくれるのか、病院から出されたときに次に行け るところはあるのか。療養型病床が減らされてもちゃんと見てくれるのか。あるいは特別養護老 人ホームのように最後まで家族が見られなくなったときに見てくれるところがちゃんと備わって いるのかといったような安心のネットワークを構築する。すなわち自立支援ではなくてセーフテ ィーネットの構築といった形で、今後、高齢者が急に増えるところに対処するといったビジョン、 理念の転換でいいのか。私はいいと思うんですけれども、皆様の御意見を是非伺いたいと思いま す。  もう一つは、希望や夢ということですけれども、ここ20年医療以外に介護のエビデンスという のが、現場の方で、事例研究が症例から臨床研究となって医療と匹敵するような介護技術がたく さん出てきております。そのような介護技術といったものに光を当てて、介護技術者が自信を持 って専門性を発揮できるようにするにはどうしたらいいか。お金の問題以上に希望を持てる職場 づくりといったものに対して、どのような制度的な担保を与えるかといったようなことを提案し たいと思います。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございます。それでは、古川委員お願いします。 ○古川委員 古川と申します。よろしくお願いいたします。弊社では、高齢者のデイサービス施 設が3種類ありまして、一般型のデイサービス、認知症対応型のデイサービス、介護予防専用型 のデイサービスと3種類ありまして、そこの統括管理を私の業務としているんですが、日々介護 の現場に非常に密接した中で動いておりまして、今回お声をかけていただいて、介護のビジョン を今後考えて行くという中で、私たち現場が、今一番不安なこと、心配なことは何だろうと考え たときに、やはり一番出てきたのは、今後の雇用の確保の問題かなと思っております。  弊社はスタートして6年目になるんですけれども、年々募集を出しても、応募の電話がかかっ てくる率がどんどん減っておりまして、今は問い合わせもほとんどかかってこないような状況で、 では時給を上げたら来るのかと言ったら、そうでもないという状況で、福祉系の学校の方に就職 課の先生の方にお話を伺うために、ぐるぐる回ったりもするんですけれども、どうですかという お話を伺うと、このところの報道の影響もあってということなんですけれども、親御さん自体が 福祉の仕事に進むということを止めているというお話です。  ですので、学校の先生方も福祉の仕事を進めないというお話をこの間も伺ってきたところで、 そんな中で、これから高齢者の方がどんどん増えていく中で、私たちの仕事はどうなっていくの かというのがやはり一番の心配ではあります。ですから、その辺りをきちんと賄える何かを考え て行ければというところで、現場の状況とかを今回はきちんと伝えさせていただければと思って おります。  もう一つ、現場で動いていて不安というか疑問というところで、介護予防がスタートしたかと 思うんですけれども、その介護予防というものがまだまだ不明確なところがありまして、対象も 不確定というか、対象もはっきりしていないようなところもありますし、サービスとして何を求 められているのかというところもはっきりしていないような部分があるかと思っております。  ですので、石川誠先生がおっしゃったように、認定でえっと思うようなところも多々ありまし て、一般のデイサービスと介護予防のデイサービスが並んでいるんですけれども、利用者像が逆 転してしまうようなことも現実としてはありますし、半年ごとの更新で介護の施設と予防の施設 を行ったりきたりで、サービスも変われば担当者も変わるという現状も起こっています。  あとは袖井先生がおっしゃっていたように、予防として何を求めているのかというところも、 私たち現場サイドとしては、きちんと理解できていない現状がありますので、その辺が明確にな った上で、こういったサービスがきちんと進められるような形になっていければと思います。多 分この中では現場に本当に一番近いところにいますので、現場の現状と高齢者の声というものを きちんとこの会を通じてお伝えできればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○前田座長 どうもありがとうございました。それでは、堀田委員、お願いいたします。 ○堀田委員 私は、人事管理専攻で、主に介護保険事業に従事する方々の働く実態や意識、介護 保険事業者の雇用管理の在り方を見ながら意欲と能力を伸ばす職場づくりを考えています。  皆さんがおっしゃったことと重なることもありますが、3点申し上げたいと思います。  1点目は、御説明もあり、古川さんもおっしゃいましたが、担い手の側への着目をしっかりし ていかないといけないということです。その中の1つは、仕事としてやっていらっしゃる方、介 護労働者の働きがいを伸ばす経営・雇用管理のあり方の議論、またそれを阻害するような制度や 規制になっていないかという見直しが必要だと思います。  担い手というときのもう1つは、地域包括ケアと言われていますが、介護だけではなく、近隣 職種も含めた専門職、ボランティアの方々、御家族、そして本人も含めて、地域の中でそれぞれ がどういう役割を担うのか、どうやってネットワークをつくっていくのか、それぞれのケアに対 するコミットメントを高め、参入を促しつつ、かつ今あまりうまくいってないような気がするの で、その相互理解を深めながら、それぞれがやるべきことをやっていく姿についての整理が必要 なのではないかと思っています。  2点目はサービスについて。袖井先生がおっしゃったこととも重なりますが、先ほどの御紹介 でもありましたが、地域の中で必要なサービス量をまず見積もって、それで人や物を整備しよう ということになっていると思いますが、そもそも介護を必要としていらっしゃる方々が、日常生 活上必要とする支援というのは、どういうもので、今、実際にどういう支援を使いながら生活し ていらっしゃるのか、トータルで見ることができていないように思います。介護保険のサービス にとらわれずにトータルでどういう支援が行われていて、何が足りないのかということを、改め て見つめ直す必要があるのではないかと思います。  3点目は、駒村先生おっしゃった時間軸ということとも関連しますし、袖井先生とも重なりま すが、今の枠組みにとらわれずに、比較的長期の議論をしっかりと続けることが重要だと思いま す。今日の御説明は、介護保険、高齢者中心だったと思いますが、介護ビジョンというときに、 世の中に介護を必要とする方々は高齢者だけではなくてたくさんいらっしゃいます。  これは社会保障国民会議でも言っていて、自分でも答えを持っていないのですが、地域で生ま れ、死んでいく上での介護ニーズの普遍性、介護というリスクの性格といったものについての議 論をまずする。その上で、どういう考えのもとに、だれがだれを支えていくのか。国とか地方自 治体、プライベートの役割とサービスの範囲という観点、財政の問題も担い手の問題も改めてよ り正しい情報のもとに、もっと広くやっていく必要があると思います。直近のこと、例えば次の 介護報酬改定等を議論する場はそれはそれでとても重要だけれども、この会議が比較的長期の、 もっと根本的な議論のスタートになるといいと思っています。  以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。それでは、村上委員、お願いいたします。 ○村上委員 私は現場にいる立場から、それから社団法人の全国老施協の研修担当もしておりま すので、そういう団体にいるという中からお話をしたいと思います。  まず最初に、資料2の4ページに、先ほど課長さんから御説明いただきましたけれども、介護 保険導入の経緯、意義の中で、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みが介護保険ということ なんですけれども、改めて高齢者の介護というウェートと、それから社会全体で支え合う仕組み というウエートと、どちらが大きいのかと、私は改めて今いるところでございます。  当然のことながら、私は、まずは高齢者の介護がウエート的には大きくならなければいけない んだろうと思っているところでございます。  まず、そういう介護保険が12年に導入されまして、15年、18年の報酬改定、それから制度見直 しによって、仕組みがどんどん複雑化してわかりづらくなったというのが実感ではないかと思い ます。加えて使いづらさも出てきたのではないかと思ったりしております。今まで各委員の方も お話しなさいましたけれども、要介護度が6段階から7段階だとか、あるいは要介護のケアプラ ンが居宅介護支援事業所で予防プランが、2元化体制というものも、大変わかりづらくなってき ていると思ってきているところでございます。  それから、今、前段で申し上げましたように、介護保険制度の持続可能性というのは、私は高 齢者の生活の持続可能性というものを主体に考えるべきかと思うわけでございます。  高齢者の生活というのは、先ほどお話がありましたように、高齢者がどうして生きていくかと いうことであるわけで、その辺のところを重点的に考えていかなければならない。  そういう意味では、高齢者の置かれている現状だとか、家族関係だとか、介護の状況だとか、 それから要介護のみならず、現在の生活状態だとか地域の実情だとか、こういうようなものを踏 まえて制度設計をしていくべきではないかと思いますし、また、高齢者世帯がますます増加する わけですから、そこに向けて、2015年以降、2020年以降に向けた制度設計を考えなければいけな いと思うんですけれども、地域ケアだとか包括ケアというものが打ち出されておりますけれども、 国民は最後のセーフティーネットを欲して要るんではないかと、私たちは思っておりまして、終 の住みかとしての施設サービスを、きちんと位置づける、それから機能強化もしていくというこ とが必要だと思っています。  それから、介護人材の問題なんですけれども、介護労働者というのは、単に高齢者の食事や入 浴、排泄をしているだけではなくて、高齢者の尊厳を尊重しながら、その生活背景だとか、ある いは性格だとか喜びや悲しみそういうようなもの把握しながら一人ひとりの人格に対してサービ スを提供しているわけでございます。  そういう中で、今、特養は平均介護度4に近くなっておりますし、経管栄養だとか、喀痰吸引 だとかがものすごくふえております。また、重度の認知症もたくさんいます。  ですから、そういう人たちに対して介護する人たちが、労働過重になって、モチベーションが 下がって、燃え尽き症候群になって、高い離職率につながっていくのかなと思いますので、ここ のところも社会投資として、人に対しての介護報酬等の増額が必要ではないかと思っております。  以上でございます。 ○前田座長 どうもありがとうございました。最後になって申し訳ありませんが村田委員、お願 いいたします。 ○村田委員 私は1990年からNHKの解説委員として、障害者や高齢者の介護の現場を歩いてきまし た。今は組織を離れておりますけれども、同じように番組を持っておりますので、取材し続けて おります。この会議では取材者という立場でお話ししていきたいと思っております。  私が取材を始めたころに一番感じたのは、福祉と言いながら、福祉の現場というのはいかに人 権とか、人としての権利を守るという意識が薄いところだというのを非常に強く感じたんです。 どのように人権・権利が侵害されているかという実態は、家庭とか施設という密室の中にしっか り閉じ込められてしまって、なかなか表に出てこない、そういう現状だったと思います。  介護保険ができたときに、自立支援ということを理念として高々と掲げられまして、この意味 が私は最初わかりませんでした。要介護高齢者のための制度でありながら、自立を支援する。自 立と言うと、普通、身体的な自立とすぐ思ってしまうものですから、何を言っているんだろうか と。いろいろ考えて取材をしているうちに、その自立という意味には、たとえ要介護であろうが 認知症であろうが自分の暮らしのありようは自分で決めていくんだという、そのことを応援して いこうという意味が非常に強いということを理解して、これは本当にすばらしい制度だと思いま した。  ところが実態は、8年経ちましてもなかなか自立を支援する制度にはなっていない。やはり裏 にはしっかりと家族という自立を決定する人が控えておりまして、その人たちの思惑に左右され てしまうという実態があると思います。  介護保険のときには措置から契約と声高に言われましたけれども、契約の実態もほとんどあり ませんし、家族という名の契約でよろしいという、そういう厚生労働省の考えの中、成年後見制 度と、介護保険は車の両輪と言われながらも、ほとんど成年後見制度は利用されていない。これ 物すごくおかしなことだと思います。  現場を歩いていて、今一番感じるのは、高齢者の虐待、それから悪徳業者による消費者被害、 虐待の中でも経済的な搾取、こういうものがあってときよりマスコミをにぎわしますけれども、 これはほんの氷山の一角で、地域の中にはいろんな制度の中で、どうしても救えない、後見人を 付けてきちんとその人の人権や権利を守っていく以外に、どうしようもない例というのが物すご くたくさんあるんですが、なかなかそれが進まない。こういう状況では、希望も安心もないと思 っています。一人暮らし、高齢者だけの世帯、認知症が増える、数が増加するというのがはっき り見えているわけですから、どうしたら本当に措置から契約へ、成年後見と介護保険を車の両輪 として支えていくことができるかということをもう少しこれからは踏み込む必要があると思いま す。  そのためには、厚労省だけではなく、関係省庁法務省などとの連携をもう少し強くして、どん な状態になっても、認知症になっても、要介護状態に置かれても大丈夫なんだと、自分の暮らし のありようは自分で決められるんだというような社会にしていく、そういうビジョンを出してい くのが望ましいと思っております。 ○前田座長 どうもありがとうございました。非常に多岐にわたる御意見をいただきまして、こ こから先は、大臣がお見えになるかもしれないので、そのときに切らせていただくということで、 今までの御議論をいただいたところで、自分の発言で足りなかったところもあるでしょうし、ほ かの委員の発言に触発されて、この点については是非加えて発言しておきたいというのがありま したらば、どなたからでもよろしいんですが、出していただければと思うんですが、いかがでし ょうか。今日はひと当たりというお約束で、お約束は果たしていただいたということなんですけ れども、ほかの委員の発言を聞かれまして、いかがでしょうか。  村上委員、お願いします。 ○村上委員 先ほど私が最初に発言した高齢者介護を社会全体で支え合う仕組み、これは私はそ のとおりだと思っておりまして、ここを否定するつもりはありません。ただこの文言の何を強調 するのか、何を重点するのかということでお話をさせていただきました。  今、介護保険の持続可能性というふうにいろいろ言われておりますけれども、このときに先に 財源の問題がいつも出てこざるを得なくなっているという状況があると私は思っております。  先ほど、駒村先生が幾つかに分けてお話しをなさいましたけれども、財源の問題は大変大きい 問題だと思うんですが、財源を先に固定して高齢者の介護ということを考えたときに、果たして 今、利用されている方々が本当に満足する、いわゆるここで言う安心や希望が持てる状況にある かどうかということを常々現場からも感じることがありまして、そういうところから、先ほどの 理念の中で、どちらを強調するのかという発言をさせていただきましたので、誤解があったらと いうことでお話しさせていただきました。 ○前田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  それでは、無理に御発言をいただくということではなくて、大臣が10分ぐらいで来られるとい うことなので、来られたら中断するということで、そういう状況ですので、どなたでもよろしい ですが、何かございますか。  どうぞ。 ○鳥羽委員 このタイトルなんですけれども、日本はどうしてもあいまいになるんですけれども、 主語がないんです。安心と介護というんですけれども、だれの安心と介護かということを決めて いただきたい。広く言えば、国民なんでしょうけれども、介護ということになりますと、現在、 介護を受けておられる方、近々に介護を必要とされる方、そしてそれを支える家族や介護者とい ったものが一義的な安心の希望にも対象になると考えて、それらの安心が得られたときに国民全 体に安心が得られる。  ですから、理念のところのタイトルの一番の目的のところをはっきりして議論をしないといけ ない。それを支える政策的なものの中に経済的な仕組みとかが入ってくるわけですから、理念の ビジョンとそれを支える政策とはっきり分けて議論していかないと、二つが錯綜して議論になっ ていかないと思いますので、今後の進め方の中で、何を焦点に置くかということを分けて議論を していただければ、議論がかみ合っていくのではないかと思いますので提案させていただきます。 ○前田座長 ありがとうございます。その点に関しては、事務局として、題に関して、何か御説 明いただくことありますか。 ○大澤総務課長 特に何かの意図をもって書いているタイトルではございません。今、皆さん方 の御意見を踏まえて、これから収斂をさせていただければと思いますので、特段何か意図があっ てということではございませんので、よろしくお願いいたします。 ○前田座長 どうぞ。 ○袖井委員 今、鳥羽先生が介護される人、介護をされるようになる人、あるいは家族と挙げら れましたけれども、やはり家族というのは本当にくせもので、先ほど村田さんの説明にもあった んですが、介護する人、その家族というのが、私は介護される人と家族とのジレンマとか葛藤と かということもいろいろ調べたりしたんですが、必ずしも一致しないですね。はっきり言って、 先ほど村田さんがおっしゃったように、家族の都合がかなり優先されてしまっている。ですから 私は、本当に本人をまず第一にしたい。安心と介護、要するに自分がこうなったときに、どうな りたいかということをメインにしていただきたいと思うんです。  はっきり言って、私も親の介護は施設にお願いしたんですが、本当のことを言うと、自分勝手 なところがありました。どっちを取るかというときに、要介護の人を優先させないで、やはり自 分あるいは自分の家族の方を優先させるというのはどうしても起こってしまうんですね。それは どうしようもないことなんですが、その辺の対立する葛藤とかジレンマとかを考えると、やはり 本人第一主義でいかないといけないかなと、これは私の全く個人的な考えでございます。 ○前田座長 どうぞ、お願いいたします。 ○堀田委員 今の鳥羽委員のご発言との関連ですが、介護する側というときに家族だけではなく て、介護の仕事する人たち、それから介護事業者についても広く含めた方がよいのではないかと 思います。サービスの提供体制整備が、利用者の安心と希望の前提になり、介護職や事業者が安 心・希望を持っていないとそこが覚束なくなるからです。  それから、皆さんのお話を聞いていると、介護とは何なのかといったことから、今、現場で起 きている具体的な問題点、例えば要介護認定、サービスの量、サービスの範囲といったこと、制 度の適用の問題、さらに、サービスの担い手、家族と利用者の関係、給付と負担、さらに情報の 流通の問題等幅広くあげられたと思います。どこに焦点を当てるのかということを、先に整理を した方がよいのではないかと思いました。  以上です。 ○前田座長 それはおっしゃるとおりで、今日は出していただくということなんですけれども、 やはり先ほども出ましたように、長期か短期かとか、それから理念か政策かとか、現状のものを 前提にするのか、理想像を描くのか、いろいろあると思うんです。勿論、今からお話をいただく 大臣の御意向も踏まえて、まず、現場をある意味で見て、ある部分の認識を共通にする、共有に するということは重要ですので、それを踏まえつつ、これは本当に事務局に申しわけないんです が論点を整理して、やはり何回かやると言いましても限られた回数ですので、総花的にしてしま いますと、結局、何も出てきませんので、そこはさっきも申し上げました、大臣の御意向も踏ま えて絞り込むという方向で準備をさせていただきたいと思います。そのときには、逐一御相談さ せていただいた上で進めてまいりたいと思いますので、今の指摘は重く受け止めて、その方向で 準備してまいりたいと思っております。  ほかにいかがでしょうか。  村田委員、お願いいたします。 ○村田委員 介護される側の人たちの様子を見ていますと、私は何々ができないんだから、何し てくれ、かにしてくれ、もっとサービスをください、あれもこれもという、まだできることがあ っても、暮らしにくさが増えてくるにつれて、要求度というのが高まってくるという実態がある と思うんです。  本当にできないところには最大限の支援をする。そのためにもできることは自分でやるんだと いう意識の醸成みたいなもの、そういう意識を本人が持つだけではなくて、周りがもっときちん と持つという、家族も含めて事業者も、地域の住民も、どうしても介護と言うと気の毒だから何 もしてあげましょう、かにもしてあげましょう、どちらかというと、そちらに流れる傾向がある んです。これはやはり本人だけの問題ではなくて周りの問題もすごくあるので、そういう意識を 高めていくということも非常に重要だということを思っております。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。どうぞ。 ○石川(良)委員 先ほど、駒村先生の方からお話が出たんですけれども、調整交付金の問題が 出まして、私ども保険者としては、国と保険者、分権時代と言われておりますけれども、それが 複雑に絡み合っているのが介護保険だと思っておりまして、その辺りを今後どういうふうにビジ ョンの中で整理をしていくのかというのが非常に大きな論点だと思っておりまして、具体的には 調整交付金5%の偏在等々の問題、非常に苦しんでいる自治体も一方でありまして、そういうこ とを含めて、国と地方の権限の在り方、設計上の問題を含めて是非この中で議論していただけれ ばありがたいということで、提案させていただきたいと思います。 ○前田座長 やはり現実の中では、かなり喫緊なというか、具体的に重みのある課題として、さ っき論点整理をさせていただくというときに、そこも踏まえて整理をさせていただきたいと思う んですが、ほかにいかがでしょうか。  お願いします。 ○駒村委員 先ほど前田先生がおっしゃったように、なかなか難しい議論があって、理想の制度 を議論していくという夢の話と、それから今ある政策をよりベターにしていくという話と、一番 素直なやり方というのは理想な制度を目指して、今ある制度をよりベターにしていくんだという ことしか多分ないと思うんです。  今、石川市長もおっしゃったように、あるいは先ほど堀田委員がおっしゃったように、この介 護システムを取り巻くシステムを、少しばらしていただくということ。どういうふうにつながっ ていって、どこがどう引っかかってくる部分、現状においてどうなのか。  その一方で、理想のシステムというものを見ながら、それに向かって徐々に直せるものから直 していくというのが、政策と理想というか、理念のハーモナイゼーションとか、そういうものし かないのかなと思っておりますので、そういうシステム整理みたいなものも必要なのかなと思っ ております。 ○前田座長 全くおっしゃるとおりだと思いますので、その方向で進めてまいりたいと思うんで すが、いかがでしょうか。ほかの委員の方で、どうぞ。 ○太田委員 袖井先生の方から先ほど出ておりましたけれども、介護とは何だろうかという辺り が、やはりすごくわかりにくいということを感じております。特に介護保険というものがあって、 介護保険が一体どこまで、何をやってくれるのかということが見えにくい。家族はどこからどこ までをする必要があるのか、笑顔だけでいいはずもなく、どうすればいいのかと戸惑ってしまい ます。ですので、やはり介護とは何なのか、介護保険とは何なのかというところから、まず考え ることが必要なんではないかと思いました。 ○前田座長 どうもありがとうございました。ほかにいかがですか。  私の仕切り方が悪くて中途半端で、もう大臣が来るような形で話を進めてしまったもので、何 となく収斂しなくなってしまって申し訳ないんですが、どうぞ。 ○鳥羽委員 私は駒村先生に、少し御意見をお伺いしたいんですけれども、医療とか介護は、ど うしても普通の見方からすると、税金と同じような形になるわけなんですけれども、確かに外貨 はかせがないとしても、税金や自己負担であるものが、介護労働者や産業という形になっていく 場合に、例えば介護費がどんどん増えていくということは、自動車の売り上げが増えるように、 負担やマイナスの部分が増えると考えるのか、それとも内需型の産業を生むような形で考えては いけないのかという経済学の観点から、負の要因としてしかとらえられないのかとについて教え ていただければと思います。 ○駒村委員 経済学の話になってしまうと、経済が成長するためには、基本的には資本と労働供 給と技術というのが必要なので、需要があれば経済は成長するというわけではなくて、やはりち ゃんと経済全体の供給力、生産性を上げていく必要があると思うんですけれども、一方ではそれ に対応した需要がなければ経済は成長しないわけです。  ですから介護とか医療みたいな性格のものを、完全にコスト分野として見ていくんではなくて、 やはり介護サービスというものを生産して、それは安心というものを国民に渡しているものだと いう位置づけが大事だと思います。  ただ、仕組みは公的なものでできていますので、そこがなかなかコントロールしにくいのは間 違いないと思います。ただ介護、医療はサービスという利益を、あるいは安心というものを生ん でいるわけです。  一つ難しいのは、介護報酬の問題も見ていて悩ましいのは、国民が労働市場なりで、必要だと 言っているものが、ちゃんと保険財政にきちんとフィードバックしていて、国民の大事な制度な んだと、これが欲しいんだという声が保険料を引き上げても構わないという形でフィードバック していけばよい。 ○前田座長 済みません。本当はもっときっちりとお話を伺いたかったんですが、大臣がお見え になったということなので、これは中断した方がよろしいということですね。ではここで中断さ せていただいて、時間によってまた後でつなげたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (厚生労働大臣入室) ○大澤総務課長 それでは、会議の途中でまことに恐縮でございますけれども、ただいま舛添厚 生労働大臣が到着いたしましたので、一言、ご挨拶をちょうだいしたいと思います。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○舛添大臣 急に公務が入ったもので、済みません、冒頭から来れなくて大変失礼いたしました。 第1回会合、今日は皆様方お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。  医療とともに介護の問題というのは、今、非常に国民的な関心事となっておりますし、高齢化 率も20%を超えているわけであります。  そういう中で、まず医療については、先般、「安心と希望の医療確保ビジョン」というものを とりまとめいたしまして、象徴的には、お医者さんの不足を明言した上で医師数を増やすと。そ れから地域の医療ネットワークをきちんと構築する。更に国民にも参画していただくという、3 本柱で、今、具体化作業を進めているところです。  介護に関しましては、ずっと先般の国会でも介護に従事する、介護の現場で働く人たちの処遇、 これが大変問題となって、何とかこれをしないといけない。離職率が高いという問題もあります。 それから医療サービスと介護サービスが滞りなくつながっていく、こういうことも非常に大きな 問題です。  今日は、太田さんがお見えになっていますけれども、遠距離介護の問題があったりしますし、 それから認知症のケアについて取組みが十分ではないんではないかという話もございます。私自 身が、母親の介護を通じて政治の道に入ったものですから、勿論関心を持ち続け、何とかこれを 改善したいと思っておりますけれども、今まさに介護の現場が非常に危機的な状況にあるという 認識を持っております。  今日お集まりいただいた方々、医療や介護の現場に熟知しておられる方々であり、現場が大事 でありますので、私たちはどうしても霞が関にいる、国会にいる、そして現場の声が届かないと ころで作業をしている。そういうことがいろんな意味で問題を起こしているわけですから、現場 の視点、国民の視点から是非忌憚のない意見を賜わればと思っております。そして皆様方と一緒 に、できるだけ私も現地を視察して、現場を見て生の声をいただいて、そして政策に反映させて いきたいと思います。  年末には報酬の改定もあります。療養病床の転換の問題も大きな問題になっております。今日 ここに来るのが遅れましたのは、今まで福田総理と、5つの安心プランについて総理官邸でずっ と議論をしてきたためですが、医療の問題とともに介護の問題というのは非常に大きなテーマで ありまして、国民に安心を与えるそのプランの中の一つに、介護の問題をきちんとやろうという ことで、それは具体的には年末の報酬改定の中で生かしていく。基準の改定の中で生かしていく。 そのためにはどうしても皆様方の御意見を承って、現場の生の声をいただいてそれを具体化する、 その作業をしなければ、これは実現いたしませんので、本当にそういう大切な役目を皆様方にお 願いをしたいと思います。  そして、このビジョンをおまとめいただいて、それを国民が読み、または介護の現場で働く人 たちが読んで、これで私たちの未来に光が見えてきたと思えるような、いいビジョンをとりまと めていただいて、そして具体化作業をやり、きちんと年末の予算編成の中で、形になる形で予算 を付けて、そして実行していきたいと、そういう決意で臨みたいと思いますので、どうか皆さん よろしくお願いいたします。本当にありがとうございます。 ○大澤総務課長 それでは、引き続き、座長、進行をお願いいたします。 ○前田座長 大臣がいらっしゃる前に、皆さんの御意見をいただいております。ここでいろいろ 御意見が出て、ある程度は焦点を絞らなければいけないというお話があって、大臣の御意向も踏 まえて、それに合う形で論点を整理して、勿論、現場も見ながらということでやってまいりたい と思っているんですが、今のお話を伺うと、やはりある程度12月までにまとめて、それは現実に あるものをよくする、その意味で長期的な理想像を描くというよりは、現実の介護の現場の問題 点を出して、具体的に直しやすいものを直していく。それだけではないでしょうが、そういう方 向を主としてお考えになっていらっしゃると伺ってよろしいんでしょうか。 ○舛添大臣 座長、そうではなくて、実を言うと、医療の方のビジョンは、まさに長期ビジョン をやりました。長期ビジョンをやると、目の前で患者がたらい回しで緊急病院がないのに、何を 悠長なことをやっているのか。明日ここの産科が閉じられて分娩ができなくなるのに何を言って いるんだという意見があります。  しかし、そっちはそっちで緊急対策はいろいろ手を打ってやっていますし、それは例えば具体 的に言うと、女性医師が増えたら、院内に保育園をつくるとか、それから勤務のローテーション をどうするかとかいろんな施策をやります  ただ、例えば医療の現場について言うと、医者不足だと、では、文部科学大臣に御相談する、 防衛大臣に御相談して、それで何とかそこを埋めた、それだけやっていたのでは夢も希望もない。  では、大臣の命令で医療の現場に派遣させた、こんなの嫌だというに決まっている。だけど今 は我慢してやってください。10年後の未来像はこんな明るい未来像をつくりますという、その長 期ビジョンがあるから、今、非常に大変な緊急措置も生きてくる。ですから、片一方だけではだ めだと思うんです。  ですから、例えば介護の現場にしても、今、報酬が少ないんですね。年末の改定で上げますね。 それで終わりですか。そうではなくて、やはり、みんな希望を持って介護の現場に行く。その方 々が、みんなから尊敬されて、今は苦しいけれども、必ず明るい未来があるんだという長期的な ビジョンがそこにないといけない。  例えば認知症にしても、本当にこの認知症というのは不治の病なんだろうか。研究会をきちん とやることによって、例えば治癒するという方向ができるんだろうかと、そういうことも含めて、 それからだんだん世間でも、まさに認知症が国民的な課題になりましたけれども、しかしまだま だ無知な人たちもいる。そういうトータルの長期的な、できればですけれども、希望のビジョン をやった上で、しかし、目の前で苦しんでいることもやる、そういう二段構えというか、車の両 輪を考えておりますので、私の今の説明の仕方が、冒頭のごあいさつが、どうしても、今、総理 と話してきたばかりで予算編成の話が頭にあるので、どうしてお金を取ってこようかというのが あったので、そちらに流れがちだったんですけれども、実はそういうような考えを持っておりま す。 ○前田座長 大臣のおっしゃられたのを、私の受けとめ方が狭く切り過ぎたのであれなんですが、 ですから、やはりこの会議がなぜできたか、何を目指すかというところで、委員の方からも直接 大臣に質問していただいてお答えいただく方がいいと思うので、そういう趣旨でどなたか、御質 問いただくなり、御発言いただくなり、先ほどとダブっても構いませんので、どなたからでも御 発言をいただきたいと思います。 ○袖井委員 先ほど既に発言したことなんですけれども、国民会議があるし、社会保障審議会が あるし、更にこれを何でつくるのかというところをもう少し御説明いただきたいと思います。 ○舛添大臣 それは、まさに医療ビジョンの検討会を見ていただければわかるので、医療ビジョ ンの介護版だと。つまり、もし、私の直属の医療ビジョンの長期ビジョンの会議がなかったと仮 定してください。そうすると、医師の数は十分であります、偏在しているだけであります。ずっ とこの方針できたんです。それがひっくり返ったでしょうか。  私はやはり、あの議論があったからこそできた話であるんだと思うんです。審議会は山ほどあ ります。ところが、問題は審議会での議論がだれの責任でもないんですけれども、メディアの責 任というと、メディアに怒られますけれども、報道されない、知らない、ときどき小さな囲み記 事で出てくるぐらいである。密室とは申しません、議事録がある。だけれども、要するに発信力 がないわけです。そうすると、国民を参画させた形での議論ではなくて、そこでいろんないいこ とが決まっているんですけれども、例えば医者を増やしますという決定ができただろうか。でき てないはずなんです。  そうしますと、同じことが介護についても言えて、社会保障国民会議とかいっぱいあります。 いっぱいあってもいいんです。だけれども一番発信力を持つ会議にしたいということで、この問 題は医療もそうで、全国民が関心を持っている問題ですし、身近な問題ですし、すべての人が発 言できる問題であるわけなので、やはり国民の視点で皆さん方や、現場の視点で、まさに袖井さ んがそうなように、介護で苦労している女性の立場から見るとこうなんだということを、この場 ではっきりおっしゃるということが非常に大きな意味を持つとともに、私の立場から言うと、皆 さん方の力をお借りして、それで総理ともぶつかっていく、財務大臣と闘っていく。極端に言え ば、そういうことができると思いますので、私はそういう意味で、政策を実現するツールという と失礼に当たるかもしれませんが、そのツールとして、医療ビジョンの検討は非常に大きな意味 を持ったと思いますので、同じような形でやりたいと思っております。また、袖井さんも大変発 信力のあるお方でありますので、お助けいただければと思います。 ○前田座長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。  先ほど、大臣がいらっしゃる前にお話しなったことの重複も勿論構いませんけれども、どうぞ。 ○鳥羽委員 杏林大学の鳥羽です。救急医療から介護の在宅につなげるような医療現場にいまし て、救急が7割ということは重症で来るんですけれども、救急だけではなくて、うちのベッドで、 平均30日の間に在宅に頑張って5割しか返せなくて、あとは救急入院を機会に、療養型や一般病 院や介護施設をケースワーカーの人が探す。  1つには、ケースワーカーの人の地位などの問題はあるんですけれども、介護安心ビジョンの 中で、本当に今までの政策で、首都圏を中心とした療養型病床の削減と、特別養護老人ホームを 始めとする施設介護の数が、今後の高齢化のスピードに当面合っていく、需要とマッチしている のかということに対して、私は大変な危惧を抱いているんです。その辺の需要調査をしっかりと していただいた上で、在宅を中心としたケアの方がいいのはわかっているんですけれども、それ を支えるようなシステムや人材が、それに応じるように育っているのかということを見た上で、 決めていただきたいというのが意見及び質問です。 ○舛添大臣 その問題は、5つの安心プランの中でも取り上げておりまして、やはりベッドをち ゃんと確保するんだということが前提でないといけない。調査してみたら、15万床ではなくて、 21万床という数字も出てきておりますから、まさにそういう問題を御指摘いただいて、大変先生 も現場で御苦労なさると思います。では、どこに連れていくのか。とてもじゃないけれども、う ちに在宅をさせろと言ったって、我々は無理だよと家族でおっしゃる。特に大都会、首都圏なん かでは、その声はたくさん聞いており、それは喫緊の課題だと思いますので、是非この中で取り 上げてその問題についても御提言願えればと思います。 ○前田座長 石川市長。 ○石川(良)委員 意見なんですけれども、まず介護につきましては、医療は後期高齢者もそう ですし、また医師不足等を含めて、非常に喫緊の課題をたくさん抱えておりますけれども、介護 については、今の医療のようなせっぱ詰まった状況ではないだろうと思っております。  ただ、今年度報酬改定して来年度からまたスタートするわけですけれども、しかし私ども保険 者から見ますと、更に3年後、平成24年になりますと、財政的にもかなり厳しい状況になるとい うのは目に見えているわけです。ですから今からその事態を想定しながらどうここで次なるビジ ョンを打ち出していくのかという意味では、非常にすばらしいタイミングではないかと思ってお ります。  そこで、先ほど私がお話しさせていだきましたが、勿論、保険は保険としてやらなければいけ ないわけですけれども、ここでは自助・公助・共助と、介護保険というのは自分のことは自分で やりましょう、そして、公的な介護保険ができました。そして地域等が、それをフォローしてい きますという考え方なんですけれども、一般的には今、防災でも防犯でもそうですし、あるいは 地域の協力なんかもそうなんですけれども、自助・共助・公助ということで、共助というのは地 域が支えるということで、非常に大事な課題になっておりまして、特に今、予防事業というのが、 だんだんと重点化されておりますけれども、予防というのが先ほど来議論がありましたけれども、 まだ定義も不明確で、効果もまだ不明確です。  そういうものについては、むしろ保険の枠の中だけでやるよりも、むしろ地域力を活用しなが ら進めていくということの方が効果もあり、また、言わば負担の軽減にもつながっていくんでは ないかと、そういうような視点で、特に共助の部分を、もう一度地域力を介護の分野でどう再構 築するのかということが、私などは、今回、大臣が介護ビジョンの席をつくられたという意味で は、非常にいいタイミングで大事なことなんではないかと思っておりますけれども、もし御意見 等がございましたらお聞かせいただければと思います。 ○舛添大臣 地域包括支援センターというのは本当に動いているんですかと、こういう問題点も あると思うんです。医療のビジョンの場合も、要するに地域のネットワークをどうするかという ことで、これはハード、ソフトがある。ですからハコモノをつくったことで動くんですかと、例 えば周産期医療センターなんて、宮崎県なんて、最近やっとできたばかりだと、しかし、なくて もそこにいるお医者のリーダーたちがしっかりしていれば、問題なくもっとうまくいっている。 ハコモノがあっても動かないところは動かないということもあると思うので、今、石川市長がお っしゃった、地域のネットワークづくりをどうするか。あくまで、私は、国が旗振りして、国の 規格に合ったのを稲城市はこういうふうにつくっていなければ補助金は出さないからこういうふ うにやれというのは間違っていて、これはまさに介護も医療も地方自治そのものであって、その ときに必要な交付税の措置とか財源措置はいろいろ考えないといけないにしても、やはりイニシ アチブは、地方が取って、稲城は稲城に合った形での介護のネットワークづくりをやっていく。 その中で、補助できるものは何だろうか、アドバイザーとして国から送ることができる人はどう いうことであろうか。  それから、パオッコの太田さんがおられますけれども、こういうNPOの人たちの働きをどこで 入れていくかということがあると思いますので、市長さんがおっしゃった、地域のネットワーク づくりというのは、やはりもっと大きな一つのビジョンの柱になるだろうと思っておりますので、 是非、現場の御体験を生かして、御提言をいただければと思っております。 ○前田座長 お願いします。 ○村田委員 先ほど、認知症になったり要介護になったりすると、どうもその人の人権だとか権 利というものがあまりにもないがしろにされているということをお話しいたしました。  こういう資料だとか、厚労省が出す方針は、やはり利用者本位だとか尊厳を守るだとか、すば らしい考え方を打ち出されているんですが、それと現場の実態があまりにも乖離がある。そこに やはり安心も希望も持てない、高齢期になって要介護になったらおしまいだ、認知症になったら おしまいだ、高齢社会全体が暗いイメージを持ってとらえられるということが物すごくあると思 うんです。ここをいかに理想のビジョンとして出すものに現実を近づけていくか。この仕掛けと か、具体的な方法論というものをもう少し出していかないと、単に理想を掲げただけ、言葉だけ の状態になってしまうということを強く感じています。 ○舛添大臣 おっしゃるとおりで、実を言うと、医療ビジョンをやったときは全体の方向性をや り、それから、今、具体化作業をやっているんです。それには予算編成の最終段階まで時間があ るということもありました。  恐らくこの介護の方は、それだけのことが時間的に、つまりここで方向性を示して、今おっし ゃった具体化を肉づけするのは、また別の委員会を設けてという時間は、恐らくない可能性があ るので、できれば方向性づけとともにそれを出していただければと思います。  それで、今、村上さんに、今、お話をいただいた後に、私はちょっとまた公務で行かないとい けないので、どうぞ、おっしゃってください。できるだけお聞きします。 ○村上委員 ありがとうございます。人材確保の関係で大臣には御尽力をいただきましてありが とうございます。現実に、今、大都市を中心にして人材がいないという状況は、如実でございま して、私のいる帯広でも、60過ぎの方も、それから無資格の人も、来てもらわなければ、なかな か人が集まらない状況でございます。  我々の介護の仕事というのは、まさに人の力によってできることでございますので、是非この 人材確保に関しては、これからの介護報酬のことも含めてお願いしたいと思います。  もう一つは、地域ケア体制整備構想、これは将来の安心と希望ということなんでしょうけれど も、この資料の中にありますように、これから高齢化がどんどん進んでいきますし、それから一 人住まい、あるいは高齢者世帯も増えていきます。  一方で、少子化というのはどんどん進んでいきますので、こういう中で本当に、地域で住み続 けられる人は続けてほしいと私は思いますが、続けられない人に対してどういう拠点が必要なの かということをしっかり押さえておかないと、安心、希望というものがやはりないのかなと思っ ておりますので、そこのところについてもこれからしっかりと位置づけをしていっていただきた いと思います。 ○舛添大臣 後者の方は具体的に、イメージがよくわからないので。 ○村上委員 高齢者世帯の方で、例えば片方の方が、寝たきりになったとか、支えながら一緒に とも倒れをするという状況というのはいっぱい出てくるわけですね。  こういう中で、近くの家族が介護をすればいいじゃないかということになっても、近くに家族 がいないとか、支える人がいないという状況の中では、やはり安心できる拠点、生活の場が必要 だということであります。 ○舛添大臣 2番目の問題については、まさに地域のネットワークづくり、それから国がどうい う補助ができるか、そういう形でできると思います。  最初の人材確保ですけれども、これは是非また皆様方とともに議論したいと思いますが、イン ドネシアとEPAを結ぶ、やがてほかの国とも結ぶ、インドネシアの介護士さん、看護師、こういう 方々、つまり外国人の力を借りるのか、借りないのか、借りることのプラスマイナス、これは例 えば自民党の中でも分かれています。この問題もやはり長期ビジョンとしては考えていい話だと 思いますので、そういうことも議題に載せていただければと思います。  もっともっと私はここにいたいんですけれども、また官邸に戻らないといけないものですから、 これで失礼いたしますけれども、どうか皆さん、全く自由ですから、こっち側に座っている人の 顔は無視して構いません。宮島さんがにらみつけたなとか、だれからにらまれるとか、にらまれ ても構いませんから、私がにらみ返しますので、一切無視して構いません。厚労省がどう思うか らというのであれば、これをつくった意味がないので、全く御自由に、自分たちの体験、自分た ちの経験で、国民の目線で、現場の目線で、これはやらないとだめだということを率直に言って いただくことが一番助かりますので、どうかよろしくお願いしますということを申し上げて、失 礼いたします。 ○前田座長 時間を超過してどうもありがとうございました。 (厚生労働大臣退室) ○前田座長 ちょっと流れが、大臣がいらしたので、また元に戻して、時間があと10分ぐらいで すので、どうしても御発言があれば出していただいて、今日のところはこれで閉じさせていただ いて、先ほど御指摘いただきましたように、いろんな論点が出されましたので、それを体系的に というと少しオーバーなんですけれども、整理して、その中である程度選んで議論をしていく。 勿論どれを議論するかということは委員の皆さんの御意見を伺ってということになろうかと思い ますけれども、併せて施設の見学は、8月中に始めるということなんですね。御意見を伺うとい うよりは事務局からの今後の予定、日程等について御説明いただいて、閉じたいと思いますので よろしくお願いいたします。 ○大澤総務課長 次回の日程等についてはまた改めて御相談いたしますけれども、まずは大臣が 申し上げたように、現地へ視察をするということを先に、できればさせていただきたいと思って いまして、非常に日程調整が難しいですけれども、できれば8月中、9月かかりぐらいに、現地 視察をと考えておりますが、日程と場所も含めて少し検討させていただきまして御連絡させてい ただきたいと存じます。 ○前田座長 わかりました。本当に大臣の御都合がありますので、やや落ち着かない形になって 御発言いただいて申し訳なかったんですが、大臣のおっしゃったとおり、御自由に御発言いただ くということと、かなり現実の政策にもつながるような会になっていくんだと思いますので、是 非、現場での御経験を踏まえて忌憚のないところ、それから、これだけは直すべきだというよう なことを強く出していただければと思いますので、今後とも何とぞよろしくお願いいたします。 今日のところは不手際で時間が少し残ってしまいましたけれども、このところで閉じさせていた だきたいと思いますので、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○宮島老健局長 大臣の方の気持ちとしては、長期のビジョンという形で御議論はいただくけれ ども、やれるものはやっていきましょうと、そういうこともあるので、私どもとしては、先ほど 総務課長の方から年末までというようなことで御説明しましたが、年末といっても、やはり11月 ぐらいまでには、何か方向というか、御議論いただいたことを出していただいた方がいいのかな と思っています。またいろいろ御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○前田座長 どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 小野   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740