08/07/22 第11回障害児支援の見直しに関する検討会議事録 第11回障害児支援の見直しに関する検討会 日時 平成20年7月22日(火)15:00〜17:00 場所 航空会館501・502会議室 ○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから第11回障害児支援の見直しに関す る検討会を始めます。各委員の皆様方におかれましては本当に暑い中、またご多忙な中 お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは事務局のほうから今日 の進め方、資料についてのご説明をお願いしたいと思います。 ○障害福祉課長 皆様におかれましては、大変お忙しいところご出席いただきまして、 誠にありがとうございます。事務局からも重ねて御礼申し上げる次第でございます。  本日の会議ですが、坂本( 之輔)委員、田中委員、中島委員から欠席とのご連絡を いただいております。なお、坂本( 之輔)委員の代理として、林様のご出席をいただ いております。  本日の進め方ですが、議事次第をご覧ください。前回の議論を踏まえて修正した報告 書案の変更部分について、ご議論をお願いした後で、報告書の取りまとめをお願いした いと考えております。時間配分ですが、冒頭に事務局から25分程度説明をさせていた だいて、その後にご意見をいただこうと考えております。  次に配布資料をご確認いただければと存じます。資料については議事次第のほかに、 本日は報告書案のみを配布させていただいております。資料の不足がありましたら、事 務局のほうにお申しつけいただきますようお願いいたします。 ○柏女座長 それでは早速、議事に移ります。事務局のほうからお話がありましたよう に、できれば今日は報告書の取りまとめを進めたいと思っておりますので、よろしくご 協力をお願いしたいと思います。まずは報告書案について、事務局よりご説明をお願い いたします。 ○障害福祉課長補佐 それではお手元の資料の報告書案をご用意いただけますか。前回 ご議論いただいたものから変更になった点には、文中に下線を付しておりますので、今 日はこれについて読み上げたいと思います。                (報告書案読上げ) ○柏女座長 それでは報告書案について、ご意見を頂戴したいと思います。なお、報告 書案については、これまでもいろいろな議論がなされてまいりましたし、皆様方のご意 見もメール等でお送りして、お伺いしながら修正を進めてまいりました。それらを踏ま えて、できれば今日は最終的な取りまとめを行いたいと思っております。  そこで今日、皆様方にお諮りしたいのは、まずはこの報告書案についてのご意見、あ るいは関連したご意見を頂戴し、報告書取りまとめについての議論を30分程度行いた いと思っております。その結果、報告書がまとまるような合意が得られれば、今日は最 後でもありますので、私としては各委員から一言ずつ、ご意見を30分ほど頂戴したい と思います。そして、これは取りまとめるというものではありませんが、今後に向けて のこの検討会としてのご意見も出していただいて、次に引き継いでいただくという形に したいと思います。もちろん議論を切るつもりはありませんが、そのように30分、30 分という形で考えました。いかがでしょうか。それでよろしゅうございますか。                   (了承) ○柏女座長 ありがとうございます。では、そのような形で、まずは最終的な報告書案 についてのご意見、あるいはこれに関連したご意見を頂戴したいと思います。どなたか らでも挙手をお願いしたいと思います。 ○柴田委員 報告書案については、私を含めて各委員の発言を重視してまとめていただ き、座長ならびに事務局に感謝申し上げます。この報告書については、私はこれでよい と思います。ただ、お手元に配りましたように、今回はこれに触れられていない問題が いくつかあります。これは今後の課題として、検討の機会を持っていただけたらと思い ます。  1つ目が、就学前の支援策として、障害児通園施設・児童デイサービスの事業の経費 にかかる問題です。この基本部分を月額制にしていただきたい。特に児童デイサービス の経費の単価があまりにも低いというところから、特別支援学校との極端な経費の違い がありますので、抜本的に見直していただきたい。  2つ目が、学齢期・青年期の支援策の中で、特別支援学校の寄宿舎の問題です。特別 支援学校の教育を受けるために、寄宿舎に約1万人もの障害児が暮らしているという実 態があるということでした。これらの児童が、家庭や地域社会から切り離されることの ないような支援策を検討していただきたいと思います。  3つ目が、ライフステージを通じた相談支援の方策の中で、児童相談所の強化の問題 です。都道府県・圏域における児童相談所の障害児療育相談機能を強化するとともに、 その設置箇所を増やしていただきたい。  4つ目が、家族支援の方策です。1つは移動支援についてです。知的障害児にとって の移動支援は、地域生活の上で非常に重要です。これが自立支援法の中では、国の負担 義務にはならなかったわけです。今後、児童福祉法の中に位置付けられる中で、もう一 度、国の負担義務による制度としていただきたい。それから利用者負担の問題です。児 童権利条約第23条に基づいて、障害児支援に関する施設や事業の保護者負担は、すべ て無償又は応能負担としていただきたい。特に障害児通園施設・児童デイサービスにつ いては、学校教育が無償であること、あるいは今、保育園・幼稚園の無償化が検討され ているということに関連して、無償としていただきたい。それから特別児童扶養手当に ついてです。入所している場合、特別児童扶養手当は支給されません。障害児(者)入 所施設を契約利用する場合にも、特別児童扶養手当を支給していただきたい。  次は行政の実施主体についてということで、入所施設の措置・契約と事業経費の問題 です。入所施設については措置を基本と考えますが、提案にありましたように、医療目 的による比較的短期間の利用など、契約利用も考えられます。事業経費について、措置 費は月額ですが、契約利用の場合も同様に月額としていただきたい。それから障害児特 有の養護性の問題です。入所施設への措置要件として、家庭での養育が困難となる水準 は、普通児と障害児では異なることに留意していただきたい。同じレベルの家庭の問題 があるときに、普通児なら家庭で養育が可能でも、障害児では不可能ということがあり ます。  最後に、法律上の位置付けです。障害児については今回、児童福祉法に位置付けると いうことにまとめていただきましたが、国の担当部署についても、社会・援護局から児 童家庭局に移すことも、併せてご検討いただきたいと思います。以上、よろしくお願い いたします。 ○柏女座長 柴田委員のほうから、この報告書案そのものについてはこの方向で、その 上でなお今後の検討課題ということで、いくつかご報告いただきました。今回のこのご 報告については、議事録が公表されることになっておりますので、しっかりと議事録に とどめさせていただきます。今後もなお検討が続けられていくことになると思いますか ら、是非、その際の参考にしていただきたいと思います。それでは宮田委員、お願いし ます。 ○宮田委員 通園施設のほうからも、今回の検討会の報告書案は、我々の願っている方 向性でまとめていただいたというように感謝しております。その上で3点ほど確認とお 願いをしたいと思います。  今回、いわゆる給付額や新規制度の部分については触れられていないのですが、1点 目は児童デイサービスについてです。児童デイサービスというのは、地域に密着した障 害児支援の場として、重要な位置にあることが確認されたと思います。この間、措置制 度、支援費制度、自立支援法の流れの中で、制度の中で非常に不安定な状況に置かれて いると思います。特に学童期の支援については、学童保育的な機能にとどまらず、ソー シャルスキルトレーニングなどの学齢期における療育的な支援においても、重要な役割 を担ってきていると考えております。この点については給付額の見直しも含めて、十分 に検討していただきたいと思います。  2点目は、給付額の施設間格差についてです。この点については議論が十分ではあり ませんでした。同じ子どもでも、支援を受ける施設が異なれば給付額が異なるというこ とでは、ケアマネージメントや個別支援計画の作成など、意味をなさなくなると思いま す。この点については新しい障害児支援の在り方を検討する中で、属人的というか、子 どもの状態に合わせた給付の在り方を考慮していただきたいと考えています。  3点目は、家庭訪問や保育所等への巡回による支援の重要性ということが示されまし たが、この点について我々障害児通園施設が大きな役割を果たすことが期待されている と思います。すべての施設が施設の外に出て、積極的に地域支援を担っていけるような 制度を、新設も含めて是非検討していただきたいと考えております。 ○柏女座長 宮田委員からは今後の課題ということで、3点のご提言をいただきました。 これについてもご提言ということで、内容を変更すべきということではありませんね。 ○宮田委員 はい。 ○柏女座長 いまの3つの点についても、今後踏まえていかなければならないというこ とでご意見を頂戴しました。それでは副島委員、お願いいたします。 ○副島委員 この取りまとめについては、私どもの意見を十分中に入れていただきまし て、ありがとうございました。この方向で進めていただきたいと思います。そこで少し 要望というか、これに対する希望があります。  1つ目は、14頁の家族支援の経済的負担について、やはりどうしても気になるところ があります。柴田委員からも言われた、特別児童扶養手当をもらうことへの親の期待と いうのがあります。折角もらって扶養していたのに、ある状況の中では入所施設を利用 することがベターであるとなったときに、その給付が止まって、さらに利用負担金が発 生するというのは、確かに障害児を抱える家族にとっては大きな負担になります。家庭 の家族と入所施設が連携しながら子育てをする状況を保障するためにも、その点につい ての改善が要るのではないかと思いますので、今後の検討に加えていただきたいと思い ます。  2つ目が、19頁の障害児の入所施設の在り方のところです。障害児の入所施設につい ては家族的な、家庭的な雰囲気でということで、文言でも謳われています。この年齢の 子どもであれば当然、家族に対する、親に対する愛情を求めている年齢ですので、その 愛情に応えられるような支援の在り方、支援体制というのが、体制整備の中で制度的に できていけば、子どもの心に対する不安がなくなるのではないかと思います。是非、そ ういうところも検討していただければと思います。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。副島委員からも、経済的支援と障害児の 入所施設のQOLの改善、心理的ケアの問題などについてのご意見がありました。では 末光委員、お願いいたします。 ○末光委員 重症心身障害児・者の対象人数というのは、必ずしも多くはないわけです が、重障児の特性に十分配慮した報告書にしていただいておりますことに、感謝申し上 げたいと思います。私のほうからは1点だけお願いできたらと思います。  すでにこの検討会の第5回と第9回の2回にわたって、私は最も重い重症心身障害児 の義務教育の充実ぶりの評価と、一方で残された課題の1つとして、在宅重障児の訪問 教育の課題について、是非一層の充実をお願いしたいと申し上げました。今回の報告書 案でも25頁のまとめの所で、今後の文部科学省との密接な連携ということを明記いた だいております。その上で是非、在宅重障児の訪問教育の一層の充実について、今後も 引き続きご検討・充実をいただけますよう、お願いしたいと思います。それだけです。 ○柏女座長 重症心身障害児の訪問教育の充実についてのご意見を頂戴しました。その ほかに、この報告書案についてのご意見は何かありますか。  よろしければ、いくつか貴重なご意見を頂戴いたしましたが、特に報告書案そのもの の文面や内容についての修正というご意見はなかったように思いますので、この報告書 案をもって、検討会の最終報告書という形にさせていただきたいと思います。いかがで しょうか。                  (異議なし) ○柏女座長 ありがとうございました。皆様のご協力により、今日、最終報告書の取り まとめを行うことができました。「○○回」の所に「11回」と入れていただくことのみ、 修正をお願いしたいと思います。  このように11回にわたって、それぞれのお立場で熱心なご議論をいただいたことに、 心より感謝申し上げたいと思います。残りの時間が30〜40分あります。この検討会は 今日で終わりますので、できれば今後に向けてのご遺言を、委員の皆様方から一言ずつ、 思いの丈をお願いしたいと思います。おそらくこの後はこれを引き継いで、社会保障審 議会障害者部会等で、検討がなされていくだろうと思います。そのご意見を賜りたいと 思っております。  なお、田中委員より一言いただいておりますので、それを配布させていただければと 思います。その上で五十音順ということで、市川委員から渡辺委員まで一言ずつ、ご意 見を賜ることができればと思います。田中委員のご意見については特に読上げはいたし ませんが、田中委員の思いが述べられておりますので、ご拝読いただければと思います。 それでは早速、市川委員のほうからご意見をお願いできればと思います。 ○市川委員 スタートしたときはまとまるのかなと思っておりましたが、無事まとまっ たということで、ご配慮、どうもありがとうございました。私がいちばん言いたかった ことは、たぶん17頁に入れていただいたのだろうと思います。医療が必要な知的障害 児(者)への医療的対応が非常に不足しているということが、いちばん言いたかったの です。特に「強度行動障害と言われる方々について、この中では「検討が必要」という ことまで入れていただいたので、是非、これは今後も検討していっていただきたいと思 います。  あと、ずっとお話を伺っていて、今日も柴田委員が何回もおっしゃっていますが、私 も児童デイサービスの経済的裏づけは、何とかしないとと思っております。パンク寸前 だという話を、いろいろな所でよく伺っておりますので、これは是非考えていただきた いと思います。  3番目は、これも柴田委員がおっしゃったことと関係があるのかもしれませんが、経 済的な困窮がないのに、支払っていただけない入所の方が混じってきています。これは 経営の安定化ということを考えますと、非常にまずい方向に向かっています。真面目な 施設ほど一生懸命頑張るけれど、厳しい状況になるというのはまずいわけで、是非それ は指摘したいと思います。  今日が最後で、いま「遺言」と言われたので、これも言えばよかったなと思ったこと を言いたいと思います。実は、どこでもそうなのでしょうけれども、福祉施設などでも 職員の技術のレベルアップというのが非常に必要です。これについてはやはり何らかの 裏づけを付けていただかないと。かつての日本というのはほとんどが徒弟制度の中で、 盗んで勉強しろというようなところがあったのですが、もう医療ではそれが通じなくな ってきております。  どうもアメリカなどに比べますと日本というのは、福祉でも教育でも、「頑張ってくだ さい」の一言で終わるところがあります。これをシステム的にやっていっていただかな いと、いまの若い方に「先輩を見て盗みなさい」と言っても、それでは誰も動いてくれ ません。「ちっとも教えてくれない」という一言になってしまうので、この点は是非、今 後の遺言として、何とかしていただきたいと思います。もっと上がるというのが、いち ばんいい行き方かもしれませんが、是非レベルが下がらないようにしていっていただく ということを、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。 ○北浦委員 検討会の委員の皆様方から、それぞれのご意見を伺って、大変いい勉強に なりました。心から感謝申し上げます。重症心身障害児問題については、私どもの願い をご理解いただいて、児者一貫ということが認められました。これはもう全国の多くの 関係の先生方または親の方々が、どんなにか安心して喜ぶことかと、本当にありがたく 思っております。  重症児というのは、何も言葉がないわけです。言葉がないですから、これにかかわる 親や関係者がそれぞれ勝手な意見を言ったのでは、重症児を助けることはできないわけ です。そういう意味で私どもは、会の三原則というのを決めております。その三原則は、 まずは争わないということ。これは法律を作るときに、いろいろな角度から責められた 体験からできたものです。決して争ってはいけない。争いの中で、弱い者は守れません。 それから、親個人にいかなる主義主張があっても、重症児運動に参加する者は党派を越 えること。そして最も弱い者を、1人もれなく守ること。この三原則をみんなで守りな がら運動しています。  しかし国際障害者年のころになりますと、親が幸せになってきてしまったものですか ら、みんなが勝手なことを言うようになってしまって、行政からも批判を受けました。 そこで親がどう生きるべきか、親の務めとは何か、施設や社会とのつながりをどうした らいいかという親の憲章というのを作りました。この三原則と親の憲章を守りながら、 みんなで団結して運動をしております。ですから親である私たちが、重症心身障害児に 本当に心からの深い愛をかけて、重症児一人ひとりの可能性を引き出して、あの子たち が笑顔で過ごせるような、親とともに生きる運動を今後も続けていきたいと思います。 どうぞ、これからもよろしくお願い申し上げます。 ○君塚委員 このたびの報告書では、いろいろありがとうございました。報告書の最初 に、「子どもは国の宝である」という言葉が載っていることを、まず評価したいと思いま す。少子化社会において、障害児の福祉というものの位置付けを再認識して、我が国の 福祉が国際的にも新たに評価されるような形で、障害児予算のアップの下に、基本的に は、新たなよいものをつくるということ以上に、いままでのマイナスをカバーするとい う方針で、施策を進めていってもらえたらと思っております。  そういう中で、肢体不自由児施設の中では2点ほどあります。まず、福祉施設の経営、 特に民営施設においては大変経営が苦しいということ。もう1つは、医師や看護師の人 材確保が難しくなっているということです。こういう点がカバーできるような形で、今 後の施策を望んでいます。簡単ですが、終わります。 ○坂本委員 今回の検討会では、制度の在り方についてもそれぞれのお立場から、障害 のある子どもや家族の現状を踏まえて、多くの意見が出されたということは、大変意義 があったと思っております。今後もさらに検討していかなければならない点はたくさん あるわけですが、有効な支援策をつくっていくためには、客観的なデータに基づいて、 できるだけ多くの意見を集めて、多面的な検討をしていかなければならないと思います。 障害児支援を考えるときに、子どもという側面と障害という側面の2つから考えていく ことが大事です。どちらかに偏りすぎることなく、言い換えれば押しつけ合うことなく、 常にこの両面のバランスを取りながら、そういった視点を持って施策を進めていくこと が大切である、ということを改めて感じました。 ○林参考人 私は代理できているのですが、実は当市の市長は、『信楽から吹く風』とい う映画を見て感銘を受けて、障害の問題についてやってきました。障害児(者)それぞ れの個人に応じた対応になるわけですが、行く末は社会の中で、地域の中で生活してい けることが、より目的と言いますか、最終的に望んでいくことです。そのためには就労 も含めて、自立できるようにしていきたいし、そのための行政推進に心がけているとい うことになろうと思います。そのような形で仕事を進めているというように感じていま す。 ○柴田委員 何回も申し上げましたが、理想を語ることはとても大切ではあるけれど、 我が国の置かれている現実をしっかり踏まえて、次の一歩を踏み出さないと、実際には 障害児にしわ寄せが行ってしまうという視点から発言をさせていただきました。私は児 童施設で育った方たちを、成人の施設で支援しておりました。その経験から言いますと、 児童施設で親の愛情が不十分なままに大人になった方は、心の中にぽっかりと大きな穴 を開けたまま、一生を過ごしているという状態になることを、本当に切なく思いました。  そういう点で、これからの支援の在り方の基本は、できるだけ家庭から離さないとい うか、親が育ててその支援をする、どうしても親が育てられない場合は、やはり親に代 わって育ての親が育てる、そういう方向を行く行くは考えていかなければいけません。 ただ、それも現実に今ある施設等を十分に活用しながら、徐々にそういう仕組みに変え ていく必要があるだろうと思いました。その点だけは発言したかったのですが、できな かったので付け加えさせていただきました。 ○末光委員 私は、このような検討会に加えていただいたのが初めてです。そのために 緊張した4カ月だったように振り返っております。その上、日本重症児福祉協会の理事 会でも、「しっかり頑張ってやってこい」と言われて送り出されてまいりましたので、座 長の言われた、遺言ではないけれども、討死覚悟、決死の思いでこの会議に臨ませてい ただいたという思いがあります。そういうことからも、私は発言しますと、やや早口に なりますので、何人かの委員の方に対しては、必ずしもソフトな言動ではなかったので はないかという反省をいたしております。その点はお許しいただけたらと思っておりま す。  いずれにしても今日のこの報告書は、私ども委員の手を離れて、これから第三者の評 価を待つことになるわけです。そういう意味でこの報告書は、我々17人の委員の力を結 集したものです。17人の経験、力量、見識、品格の結果ですし、それを超えたものでは ないと言わざるを得ないのではないかと思っております。そのような中でおまとめいた だいた座長、事務局のご努力を多としたいと思います。  4カ月集中的に議論を進めていただいた上で、やはりいくつか不十分と言いますか、 残されたものがあります。いまもご指摘があったところですが、1つには私も先ほどの 柴田委員と、やや共通した思いを強く持っております。どんなに障害の重い人も、地域 の中でInclusiveで、その尊厳が守られるような地域社会つくりが必要だと思います。 一方、我々は大変厳しい中で、障害を持つ方々やご家族の身近で、施設現場で取り組ん でまいりました。その両者の特に前者については、先駆的にお取り組みいただいている、 いくつかの地方自治体での実践も聞かせていただいたわけですが、目標とする地域での Inclusiveな支援の道筋については、若干の立場の違い、意見の違いがあり、それを十分 意見交換し、1つの方向に持っていくことができなかったのではないかと思います。も ちろん困難ではあると思いますが、その努力が要るのではないかと思っております。  その点で私どもが反省すべき点と、先駆的に取り組んでいただいている自治体とそれ を支えておられる専門の方々に求めたいと思うのは、今回も限られた年齢層と、一定の 障害程度と、特定の人口規模での実践をすべて一般化しようとされすぎたのではないか という思いが少しします。どこまでというのをもう少し客観的に整理して、その上でよ り次のステップへという形にしていただけたらという思いがあります。それとともに「障 害だけを集めることはよくない」とか、「箱物」といった表現をときどきなさいます。そ れに対して我々現場の人間としては、正直なところ、引っかかる部分があったと言わざ るを得ません。その意味で是非、その辺りについても慎重な表現をしていただけたら、 ありがたいと思っております。  一方、我々施設現場の者にとっては、目の前におられる大変困難な厳しい状況にある 障害を持つ方々とご家族を守らなければならないという現実に、その方々を守る営みと、 将来10年先、20年先の施設の在るべき姿を展望し、提示するという2つの努力が同時 に要るだろうと思いますが、後者の努力が十分にできなかったと思っております。これ はやはりこの検討会の中で、この国の在るべき姿、特に障害者福祉の望ましい姿の夢の 部分を十分語ることが、いま一歩不十分だったのではないかと思います。また、目の前 のお金のことにまつわる議論に、エネルギーをかなり取られたという部分もなきにしも あらずだったと思います。それらについては今後、この成果を足掛かりにして、次の展 望を開いていただくような検討会に、是非発展させていただけたらという風に、夢を託 したいと思っております。よろしくお願いします。 ○副島委員 この4カ月間、本当にいい勉強をさせていただきました。方向的には我々 も、一応こういうようになればいいなという方向性がまとまったことは、すごく感謝し ております。特に私どもは親として、自分の子どもの発達が気になった段階から、一人 ひとりが我が子と正面から対応できるような周りの支援が具体的になり、ライフステー ジに合った切れ目のないサービスが、我が子の取組に対して安心した子育てができる、 そういうところにつながっていきます。行く行くは障害があろうがなかろうが、どんな 子どもでも犠牲にすることなく、成長が保障される、そういう社会の実現がこれで期待 できるのかなと思います。クエスチョンマークは付けていますが、それに期待したいと 思いますので、是非、これが具体的に進むことを期待しております。 ○橋本委員 約4カ月、各委員の皆さん方のご協力で立派な報告書を作っていただいて、 感謝いたしております。私どもは親の立場であり、約50年前に私どものこの会ができ ました。もう50年も運動しているのです。昔は軽度、中度、重度という形で障害者が いました。私の子どもはもう45、46歳になりますが、かなり軽度のほうです。ところ が今の障害児というのは、ほとんどが重度です。医療が進んできたので、大体が軽度か 重度で、最近は中度がいないのです。ですから今の児は、ほとんどが重度だと思います。 したがって重度の子どもたちのためには、この報告書にあったようなことで、これから は行かざるを得ないと思いますし、そういう意味では大変によかったと思っています。  ただ、これからこの報告書が行って、施策としてどういう形になってくるのか、これ を期待したいと思います。報告書ですから、これがどう施策になってくるかが大変だと 思います。そういう意味では厚生労働省の皆さん方に、十分に考えを深くしていただき たいと思います。北浦委員の意見ではないけれど、いま学校にいる子どもたちは、おそ らく重症心身障害児に近いような子どもだと思うのです。ですから、そういう人たちの 施策については、十分に考えていただきたいと思っています。本当に皆さん方のご協力 で、立派な報告書を作っていただいたことに感謝しています。ありがとうございました。 ○松矢委員 4カ月にわたって、貴重な討論の場に出席させていただきまして、ありが とうございました。私は仕事の上では進路指導の先生たちと、就労支援ということをや ってきましたので、どちらかというと雇用分科会のほうに関係が多かったのですが、今 回、障害児支援の見直しということで、児童の関係の分科会に出席させていただいて、 たくさん勉強させていただきました。基本的にこれからは保護者の方々が、自発的にサ ービスを利用できるというか、一般の子育ての段階でいろいろな悩みを持っていて、何 か障害や気付きがあったときに、進んで近くの地域の窓口に相談に行けるような、親御 さんが利用しやすい、心理的にも物理的にもアクセスしやすいところから、是非ともこ こで盛り込んだ内容が施策化されることをお願いしたいと思います。  私は学齢期の個別の教育支援計画作りを、宮崎委員と一緒にやってきたことがありま す。ここでは就学前の個別の支援計画、さらに幼児期から学齢期へつながっていく移行 の支え方のところも、だいぶ具体的に盛り込まれて、乳幼時期から学校卒業までのライ フステージの個別的な支え方というのが、相当盛り込まれたのではないかと、非常にあ りがたく思います。  それから、特別支援教育等の関係が出ておりましたが、これはやはりしっかりと、特 別支援教育の然るべき検討委員会で深めていただきたいと思います。やはり一人ひとり のニーズに応じてというのと、できるだけ地域の中でというのが重要なキーワードです。 そういったことは、おそらく特別支援教育の基盤整備の中で、一歩一歩実現されていく のではないかと期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。  最後に、経営の安定ということも相当出たと思います。私は保育士、社会福祉士等の 福祉の従事者養成に従事しております。ここでは看護師の確保も絶えず議論されました が、やはり子どもたちの最善の利益を守っていく職場、職域に非常に優秀な、前途有意 な青年たちが進路として志望していくものとして、児童福祉、障害者福祉の職場がある ということでは、やはり人材確保ということを。これはおそらく立法を伴う、こことは 違う所の課題かと思いますが、是非そのことも検討課題に入れながらやっていただける とありがたいと思います。 ○宮崎委員 私は長年、特別支援学校で教員をしてまいりまして、教育の立場からこの 会に入れていただいたというように思っております。3頁に、「4つの基本的な視点を基 に検討を行った」と書いてあるわけですが、まさにこの4つの視点が非常に重要な視点 だと、改めて思っております。こうしたことは特別支援教育の推進のためのいろいろな 検討会でも、縷々検討してまいったのですが、特に子どものライフステージに応じた一 貫した支援の在り方という部分が、ある意味、この検討会で初めて完成したのではない かということを、私自身気付かされた思いがいたしました。そういう点で委員の皆様に は本当に感謝したいと思いますし、学ばせていただきました。  その上で、いくつかお話をさせていただきます。家族を含めたトータルな支援という ところが、私は今回の検討のいちばん大きな柱ではなかったかと思っております。実は 幾人かの親御さんと話をしたときに、子育てに大きな不安感や負担感を抱きながら、な おかつ自己実現が阻まれているのではないかという思いがすごく強く、そういった悩み、 もがき、苦しみがあるのだというお話をされたことがすごく印象的で、こうした問題に どう対処していくかということが、やはり大事だろうと思うのです。さまざまな問題を はらんでいる部分でもありますが、そうした視点から、家族を含めたトータルな支援と いうのが重要になると思います。  先ほど松矢委員からもお話のあった個別の支援計画の作成については、中教審で検討 して、今年の1月にまとめた報告書の「個別の教育支援計画」の中にも、個別の教育支 援計画の策定に当たっては、家庭との連絡を図った取組を一層進める必要があることを 明確にしていくということを述べたわけです。そういう意味でこの作成や活用について は、保護者の意向や本人の願いがものすごく重要で、この部分を抜きにしては語れない でしょう。その上での連携の強化であるし、支援であるということを、やはり強調して おかなければいけないかと思いました。  特に、学校現場に対するいろいろなご意見を頂戴しました。例えば放課後活動の在り 様とか、卒業時の就労への学校の支援の在り様といったことがありました。この辺りは 現在も進めているのですが、これらは特別支援学校が中心になって、いろいろ検討して いかなければいけない大きな課題だと思いますので、文部科学省でまたいろいろな検討 をされるときに、今後もなお一層努力をしていかなければいけないところかと感じまし た。あと、柴田委員から課題として出された寄宿舎問題等についても、特別支援学校と してどう検討していくかという辺りは、今後の大きな課題になろうかと思っております。 ありがとうございました。 ○宮田委員 4カ月間、どうもご苦労様でした。さまざまな立場からのご意見を聞かせ ていただいて、非常に勉強になりました。  我々障害児通園施設の立場から申し上げますと、強く変革を求めております。新たな ステージを与えていただかなければ、我々の義務が果たせないのではないかというぐら いに考えております。平成8年の3月に、中央児童福祉審議会が障害児通園施設の統合 というのを意見具申されて以後、我々は児童デイサービスを含む4通園でさまざまな協 議をして、どんな障害があっても、身近な場所で療育が提供できる通園施設の在り方と いうのを考えてきました。今回の報告の中で、障害児通園施設の一元化を明記していた だいたことは、非常に大きな前進と受けとめて、感謝している次第です。早速、統合の 協議会の立上げについて協議を始めたいと思っておりますし、統合した通園施設の形態 などについても、提案できるような検討に入りたいと考えております。是非、今後とも さまざまなご教授をいただきたいと考えております。  最後に、厚生労働省と文部科学省の連携について、是非お願いをしたいと考えており ます。特別支援教育の中でも専門機関との連携というのは、もう不可避になっておりま すし、今回の検討会でも学齢期支援の重要性というのが、早期発見・早期対応と並ぶ重 要な課題であることが確認されたと思います。例えば児童デイの空き教室利用が可能と 言われても、なかなか空き教室を貸してくれるような教育機関はありません。もう絶対 に空いているのにと思っても、イライラするぐらい貸してくれません。そういう中では やはり制度として、文部科学省と厚生労働省がきちんと、連携と協力の中で打ち出して いただかなければ、絵に描いた餅になる部分も少なからずあるので、今後の両省の協力 関係に是非期待したいと思います。ありがとうございました。 ○山岡委員 今回、私は発達障害の団体を代表して出させていただきました。このよう な検討会に発達障害関係も参加させていただき、大変ありがとうございました。発達障 害については「新たな障害」という言い方をされることがありますが、これは誤解で、 昔からあるわけです。新たに認識された障害であって、従来は支援が不十分だったとい うことで、その立場で参加させていただきました。4カ月間、不案内な分野も多く、大 変勉強になりました。  また、発達障害について各委員から、いろいろなご意見を出していただき、この報告 書の中でも要所要所に織り込んでいただいたことについて、お礼を申し上げます。発達 障害については知的障害を伴う自閉症から、高学歴を伴うような発達障害まで、幅が広 うございます。それらについてもこの中のいろいろな所で謳っていただいたことについ て、まず感謝を申し上げます。そして今回、さまざまなお立場からいろいろな意見があ る中で、座長あるいは事務局の方には、本当によくここまでまとめていただいたと感謝 申し上げたいと思います。  先ほど遺言とおっしゃったので、今回感じたところで、今後の課題を申し上げます。 「障害者基本計画」にも謳われておりますし、今回の検討会でもいろいろなところで出 ていたと思いますが、例えば個別の支援計画を作ろうという話があります。しかし、ど のように作るか、誰が保管・管理し、どこが実施主体かという具体的な位置付けが定ま っていないバラバラの状態で、まだ動いているかと思います。また、障害のある方々は 一人ひとりニーズが違い、一人ひとりのニーズに合わせた支援を行おうとするときに、 私は個別の支援計画がその核になるものだと思っております。これらの位置付けをどう やっていくのかということを、今後検討していただきたいと思っております。  それから、この検討会でも出ておりましたように、地域における連携が大切と言われ ておりますが、では実際にどこが運営して、どこが財政的にそこを担保し、どういう仕 組みでやるのかについては、まだ具体化されていないと思います。ここらは2つ目とし て、今後検討していただきたいと思います。支援を行うときは、その支援を行っていた だく人材も大切ですが、この方々をどう確保し、どう育成していくかということが、実 はすごく大きなことだと思っています。これらも必要と言われながら、まだきちんとし ていないと思いますので、これもご検討いただきたいと考えております。  しかしながら今回、多くの課題がある中で、特に乳幼児期において気になる段階とし て、例えば身近で敷居の低い所、あるいは機関の名前を工夫したりしながら、はたまた 体験利用のようなことまで触れていただいて、非常にありがたかったと思っています。 実は、障害児はすべてそうかもしれませんが、特に発達障害の場合、早期発見・早期対 応というのが非常に大事です。これらが二次的な障害を防ぎ、また障害の悪化を防ぎ、 将来、その子どもたちがきちんと自立していける道を築くものだと思っております。ま た、国民経済的にも早期に対応したほうが絶対にいいと、私は確信しております。この 中で謳われたこれらのことについて、きちんと方策が実現することを強く望んでおりま す。  今回、検討会に参加させていただき、一口に障害と言ってもいろいろな障害があるこ とがよくわかりましたし、同じ障害名であっても、ニーズは一人ひとり違うということ を強く実感したところです。この報告書で述べたことをきちんと実現していき、障害の ある人たちや家族が、個々のニーズに応じた適切な支援が受けられるような世の中にな っていくことを強く望んでおります。 ○渡辺委員 これまで障害児の家族支援にかかわってきた者として、先ほどの宮崎委員 と同じように、家族支援という視点が入ったことは、とても評価したいと思っておりま す。障害児の親御さんというのは、これまではどちらかというと、政策的にも実践面で もそうかもしれませんが、子どもにとっていちばん身近な介護者であったり、療育者で あったり、代弁者であったりということで、いちばん身近な支援者という位置付けがな されてきたことが多かったと思うのです。そういった意味で言うと、実は親御さんやご 家族に対しても支援をしていかなくてはならないということが、今回のこの検討の中で 盛り込まれたことは、私にとって非常にうれしいことで、これまでにかかわりを持って きた親御さんたちのお顔を、議論の中で何度も思い浮かべることがありました。  制度というのは、これからどういう形になっていくかは分かりませんが、形としてで きていったときに、完璧な制度というのはないわけで、常に制度の隙間にあるニーズと いうものがあります。そのニーズに対応していくことが、やはりすごく大事なことがあ ると思うのです。大学という高等教育にかかわっている者としては、まさに制度という のは道具としてそれを使いこなして、利用者の方々のために本当に親身になって、ソー シャルワークのいろいろな実践を展開していけるマンパワーを育てていくというのが、 私ども研究者、教育者の仕事としてあると思っております。  そういった意味で言うと、今回のこの議論に参加させていただいたことは、私にとっ ても非常に身の引き締まる思いというか、そういう経験をさせていただくことになりま した。この検討会の中で皆さん方から教えていただいた事柄を、是非、次世代の子ども たちだけではなく、次世代の福祉現場を担っていくマンパワーの人たちのためにも、こ れをきっちり伝えていくことが、私の責務であろうと思っております。  高等教育という場にいますと、少子化が進んでいるとはいっても、学生たちは子ども が好きで、子どもに関心を持っている学生は今もたくさんいて、非常に人気のある分野 だと思っております。中には障害児にかかわったり、ボランティア活動を一生懸命やっ ていたり、実習で障害のある子どもたちと出会って、「この仕事に就きたいんだ」と言う 学生たちに、今でもたくさん出会うことがあります。彼らが次の世代を担っていってく れるだろうし、彼らがしっかりその現場に定着していくことが、非常に大事なことだと 思っております。  高齢者分野では今、介護に携わるマンパワーの不足ということが盛んに言われており ます。是非、障害のある子どもたちも含めて、福祉分野にマンパワーがしっかり定着し て、その分野の中で長くいろいろな経験や実践を積んで、利用者の方々に寄り添うよう な支援をしていただけるような、そういった意味での財政的なバックアップというのも、 しっかりご検討いただけたらと思います。これからはもちろんこの検討会の手を離れて いくわけですが、事務局の皆さん方には是非、よろしくお願いしたいと思っております。  これまで4カ月でしたが、私にとっては非常に刺激的というか、本当に多くの学びを 皆さん方からいただきました。また、後ろで傍聴されている皆さん方の視線を背中に受 けながら、非常にビシビシとプレッシャーを感じながら、この検討会を迎えることがで きました。私にとってはこれからに向けての課題も見えてきましたし、これまでかかわ った障害児の親御さんたちに、これからも私のできることを何らかの形で最大限、最善 を尽くしてやっていきたいと思っております。どうもありがとうございました。 ○柏女座長 ありがとうございました。全委員の方々から感想をいただきましたが、最 後に私も一言言わせていただければと思います。何より障害を持った子どもたちとその 家族のためだけに、こういう検討会が持たれたということが、私は本当によかったと思 っております。これまでは障害を持った方たちの施策の中の一部分としての障害、それ から子どもたち全般の施策の検討の中の一部分としての障害という形で、ずっと隅っこ のほうに追いやられがちだった、障害を持った子どもたちとその家族のことをどう考え たらいいのか、その検討会が持たれたということは、私は本当によかったと思います。 そして、そこに多くの関係者あるいは有識者の方々のご参加を得て、こうした議論がで きたことが、私はいちばん大きな価値があったのではないかと思います。4カ月という 短い期間の検討でしたので、結論が出なかった部分もありますし、残された課題も多い わけですが、今後の障害児施策の進展に寄与できる部分がたくさんあったのではないか と思っています。  その上で私としては、大きく3つの点を今後に、遺言として残したいと思います。1 つ目は、これを受けて具体的な施策をご検討いただくことになるわけですが、その時に いま申し上げた子ども一般の施策の中に、できる限り障害を持った子どもたちや、その 保護者が溶け込んでいけるような支援方策を考えていただくと。そして、それをバック アップする、障害を持った子どもたち特有の支援をしている専門性の支援を、是非そこ にお願いしたいと思います。また、専門性が大事な子どもたちもいると思いますので、 そうしたことに配慮しながら、施策の立案に当たっていただければと思います。  もう1つは、障害を持った子どもたちであっても、子どもたちは教育の分野を必ず通 っていくことになりますので、福祉医療と教育の連携ということは、本当に大切なこと ではないかと思います。そうした施策の連携性ということにご配慮いただいて、施策の 立案をお願いしたいと思います。  2つ目は、こうした障害を持った子どもたちとその保護者の検討の場を、是非どこか で続けていくと言いましょうか。ここで終わりにしないで、検討課題はたくさん残って いるわけですので、また新たにそれらを議論する場を、どこかでお願いできればという ように思っております。それが2点目です。  3つ目は、先ほど渡辺委員からも少しありましたが、ここに集まった委員の方々は、 それぞれの障害の分野で発言力を持っていらっしゃいます。障害の問題というのは、社 会の中で埋もれてしまいがちですので、それぞれの方がそれぞれのお立場で発信を続け ていただければと思います。それらを発信する素材としての報告書ができたことを、率 直に喜びたいと思います。拙い進行でご迷惑をおかけしたかもしれませんが、とにかく 報告書がまとまってよかったと思っております。ご協力に感謝をいたします。ありがと うございました。  それでは木倉障害保健福祉部長から、ご挨拶をいただきたいと思います。 ○障害保健福祉部長 いまの座長のお言葉、大変ありがとうございました。皆様からの お一人おひとりのご指摘も、大変ありがとうございました。この間、3月以来11回にわ たり、皆様方には大変お忙しい中を精力的に、ご熱心にご検討の上ご意見をいただき、 このような報告書をおまとめいただきましたことを、心より感謝申し上げます。特に今 日も出ておりましたが、「子どもたちは次世代を担う社会の宝である」という理念の下に、 この4つの視点に光を当てていただき、それぞれについて具体的な進むべき方向、具体 的な取組の在り方について、ご指摘をいただきました。報告書に書き込んでいただいた こと、この間ご指摘いただいたこと、また本日、改めてご指摘いただいたこと、それぞ れを踏まえて、ちょうど制度の見直しの年に当たっておりますので、制度の見直し、あ るいは運用の見直し、そして引き続き今年に限らず、継続的に進んでいくべき方向とい うものを、我々は全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。  また、文部科学省といった他部局からもご参加いただいておりますが、いまもご指摘 がありましたように、子どもをトータルに支え合える仕組みづくりを、我々は各省庁を 挙げて取り組んでいかなければいけないと、肝に命じてまいりたいと思っております。 今後とも先生方のご指摘、ご支援をいただきながら、あるいはこの中で得られてきたネ ットワークを大事にしながら、取組を進めてまいりたいと思います。どうぞ今後とも引 き続き、よろしくご指導のほどお願いいたします。この間、本当にありがとうございま した。感謝申し上げます。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。それでは最後に、事務局からお願いいた します。 ○障害福祉課長 本当に熱心な思いのこもった議論をありがとうございました。改めて 事務局からも御礼申し上げる次第でございます。  今後の進め方については、まずは本報告書に基づき、障害児施策の見直し、制度改正 に向けて検討を進めてまいります。特に社会保障審議会の障害者部会において、ご議論 を深めていただく予定になってこようかと存じます。事務的なことで恐縮ですが、本検 討会における議事概要については、できるだけ速やかに作成し、資料を含めてホームペ ージ等で公表することとさせていただきます。また議事録については、ご出席の委員の 皆様方にご確認をいただいた上で、公表することといたしますので、皆様方のご協力を 改めてよろしくお願い申し上げます。  なお、本日おまとめいただいた報告書については、本日付で公表させていただきたい と考えております。それぞれの皆様方には改めてお送りしたいと存じますので、よろし くお願いいたします。本当にありがとうございました。 ○柏女座長 今後は障害者部会で検討ということですが、この委員の中にも障害者部会 のメンバーがいらっしゃると思いますので、是非、今日の遺言を引き継いでいただいて お願いしたいと思います。委員の皆様方におかれましては、これまで本当に精力的にご 議論いただきまして、大変ありがとうございました。また、この検討会には委員や事務 局以外にも、ヒアリングについてご協力いただいた方々がいらっしゃいます。事務局に もお礼を申し上げたいと思いますし、ヒアリングにご協力いただいた方、さらには渡辺 委員からもお話がありましたように、毎回熱心に傍聴いただいて、委員よりも精勤して いただいた傍聴の方もいらっしゃるのではないかと思います。本当に感謝申し上げたい と思います。  私もこの間、ホームページ等々を見ておりましたら、この検討会の様子、ご発言、検 討の内容などがいろいろと取り上げられておりました。そういう意味では今日ここにご 参会でない多くの当事者の方々も、関心を持ってこの会の行く末を眺めていらっしゃる のではないかと思います。十分であったかどうかはわかりませんが、このような報告書 を取りまとめることができたことを、皆様にご報告し、感謝を申し上げたいと思います。 それでは、これで検討会を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)