08/07/11 第1回食品の安全性に関する情報提供のあり方懇談会議事録 第1回食品の安全性に関する情報提供のあり方懇談会議事録 日 時:平成20年7月11日(金)13:30 〜15:30 場 所:経済産業省別館1028号会議室 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「食品の安全性に関 する情報提供のあり方懇談会」を開会いたします。  私は、厚生労働省食品安全部の企画情報課企画補佐をしております佐々木と申します。  委員の先生方におかれましては、本日はお暑い中、また御多忙の中、お集まりいただ きまして誠にありがとうございます。  政府としては今、クールビズを進めております。といっても、私どもの方もみんなス ーツを着ておりますけれども、よろしければ上着を取って議論をいただければと思って おります。  本懇談会の座長が選出されるまでの間、私が司会進行を務めさせていただきます。ど うぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、厚生労働省医薬食品局食品安全部長の石塚よりごあいさつを申し上げま す。 ○石塚部長 食品安全部長でございます。実は、私も先ほど辞令をもらったばかりの新 米でございまして、何分、食品安全行政の方も不案内でございますので、ひとつよろし くお願い申し上げたいと存じます。  大変お暑い中、また御多忙の中を、第1回目の会合でございますが、お集まりいただ きまして、本当にありがとうございます。  また、日ごろから食品安全行政の推進に当たりましては大変なる御支援、御協力を賜 っておりますことを、この場をおかりいたしまして重ねて御礼を申し上げる次第でござ います。  第1回目ということでございますので、この懇談会を設置する趣旨につきまして、概 要を御説明したいと思います。  食品の安全ということにつきましては、BSE問題に端を発しまして、さまざまな議 論があったわけでございますが、平成15年に食品安全基本法というものが制定されまし て、新しい枠組みがスタートしたというところは先生方も御案内のとおりでございます。  具体的に申しますと、1つには、食品安全委員会がリスク評価を行いまして、その結 果に基づいて厚生労働省を初め関係行政機関がリスク管理を行うこと。  2点目には、施策の策定に当たりまして、関係者相互の情報、意見の交換、いわゆる リスクコミュニケーションを行うことなどが法律に規定されたところでございます。  これに基づきまして、厚生労働省の方では、輸入食品、BSE問題など、さまざまな テーマでの意見交換会の開催、政府広報やホームページ等によります情報発信、パブリ ックコメントの実施といったようなリスクコミュニケーションというものを積極的に幅 広く推進してきているところでございます。  情報提供に関しましては、リスクコミュニケーションの重要な要素となっております が、現代社会におきましては、食品の安全性に関するさまざまな情報がはんらんしてい るというのは御案内のとおりでございまして、国民の皆様方に情報が正確に伝わってお らず、結果としては混乱や誤解を招く状況がしばしば見られているところでございます。  テレビのニュースなどでも最近報道されておりますが、韓国ではBSEが非常に問題 になっているところでございまして、テレビのニュースを見ておりましたらば、ホーム ページの裏サイトでプリオンが空気感染するんだといったような情報も流れていると聞 いておりますので、こうした問題は我が国に限らず世界的にも問題になっている点かと 思います。  行政から食品の安全性に関する情報提供をどのように行えば、国民に正しく情報を理 解していただけるのかといったことについても、食品安全行政における大きな課題の1 つとなっておりまして、これは世界共通の課題だろうと思うところでございます。  この懇談会では、食品の安全性に関する情報提供の在り方につきまして、幅広く意見 交換をいただくことを目的としているところでございます。厚生労働省におきまして、 今後のリスクコミュニケーションをよりよいものとしていくために、皆様方におかれま しては、忌憚のない、また積極的な御意見をお寄せいただきまして、お互い、この場で 議論を交わすといったことで、私どもの今後の施策の展開にいろいろと参考にさせてい ただきたいと考えているところでございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局 続きまして、委員の皆様方を50音順に御紹介させていただきます。本日お配 りしております資料の一番下に委員の先生方の名簿がございますので、これをごらんい ただきながら御紹介申し上げたいと思います。  まず、東京都福祉保健局副参事の金谷委員でございます。  東京大学名誉教授、唐木委員でございます。  全日本消費者団体連絡会の前事務局長の神田委員でございます。  毎日新聞社生活家庭部編集委員の小島委員でございます。  独立行政法人国民生活センター商品テスト部調査役の宗林委員でございます。  群馬大学教育学部教授の高橋委員でございます。  日本生活協同組合連合会理事の田中委員でございます。  日経BP社日経レストラン編集部プロデューサー、中野委員でございます。  青山学院大学文学部教授、仁科委員でございます。  本日、御欠席ですが、ほかに、五十嵐委員、合瀬委員、中谷内委員、古谷委員にも本 懇談会の委員をお願いしておりますので、御紹介申し上げます。  続きまして、食品安全部の出席者を御紹介申し上げます。  先ほどごあいさつ申し上げました部長の石塚でございます。  大臣官房審議官の中尾でございます。  大臣官房参事官の牛尾でございます。  企画情報課長の中垣でございます。  国際食品室長の池田でございます。  新開発食品保健対策室長の玉川でございます。  輸入食品安全対策室長の道野でございます。  このほか、行政側では、基準審査課長の國枝、監視安全課長の加地、検疫所業務管理 室長の坂本がおりますので、次回以降、またごあいさつ申し上げたいと思います。  それでは、本日の資料を確認させていただきます。一番上に本日の議事次第がござい ます。その下の方に配付資料がございますので、こちらと併せて御紹介申し上げます。  まず、1枚で資料1、本懇談会の開催要領がございます。  次に、資料2といたしまして、18ページまで資料がございますけれども、平成17年 3月にまとめました「食の安全に関するリスクコミュニケーションの今後の進め方につ いて(主な意見の整理)」というものでございます。  資料3といたしましては、これも1枚の資料でございますけれども、私どもが本年度 実施する予定の「メディアカバー調査の概要(案)」でございます。  次に、同じく1枚で「今後のスケジュール(案)」が資料4でございます。  また、先ほどごらんいただきました委員の名簿が付いてございます。  資料の過不足等がございましたら、途中でも結構ですので、お気づきのときにお手を 挙げていただきたいと思います。  それでは、本懇談会の座長の選出をお願いいたします。委員の互選でとなっておりま すので、もし御意見、御推薦がございましたら、お願いいたします。  神田委員、お願いいたします。 ○神田委員 私は唐木委員を推薦したいと思います。唐木委員は長年、食品安全委員会 のリスクコミュニケーション専門調査会に携わっておりますし、日常的にもリスクコミ ュニケーションに非常に熱心に取り組んでいらっしゃると思いますので、これ以上説明 するまでもなく適任者であろうと思いますので、推薦したいと思います。 ○事務局 よろしいでしょうか。ほかに御推薦がなければ、唐木委員に座長をお願いい たしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○唐木座長 唐木でございます。神田さんにそんなにほめられると何かおしりがむずむ ずしますが、今、神田さんから御紹介ありましたように、私も食品安全委員会発足のと きからずっとリスクコミュニケーションに携わってはおりますが、リスクコミュニケー ションとはこんなに難しいものだというのをやればやるほどわかってくるということで ございます。なぜ難しいかというのは、皆さんもよく御存じで、おいおい審議の中で出 てくると思います。  そんな中で、行政が発する情報の提供、あるいは行政が主催する意見交換会をいかに 効率よく、あるいは結果がきちんと出るようにするのかということに対して、何か意見 を言うのがこの会だというふうに私は思っております。委員の先生方の全面的な御協力 を得て、何かいい提言ができればと思っております。よろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございます。それでは、以降の議事進行を座長にお願いしたいと 思います。  また、食品安全部長の石塚ですが、本日は所用がございまして、ここで退席させてい ただきたいと思います。 (石塚部長退席) ○事務局 それでは、唐木先生、よろしくお願いいたします。 ○唐木座長 はい、わかりました。それでは、懇談会の開催に当たって、開催要領につ きまして、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料1をご覧いただきたいと思います。「食品の安全性に関する 情報提供のあり方懇談会開催要領」となってございます。  まず「趣旨」でございますけれども、部長の方から御説明がありましたように、食品 の安全性に関する情報につきましては、いろいろな情報がはんらんしているところでご ざいます。それによりまして、結果として混乱や誤解を招くという場合も考えられると ころでございます。  まずは、情報を受け取る側である国民が正しくリスクを理解し、情報について判断す るということが必要だと考えておりますが、我々行政、そしてメディアといいました情 報を発信する側が食品のリスクについて理解しやすいように情報を提供するといった必 要があると考えてございます。そういったことから、リスクコミュニケーションの推進 というものが重要となってございます。  そこで、本懇談会におきましては、食品のリスクに関する考え方や情報提供の在り方 などにつきまして、関係者の皆様と幅広く意見の交換を行いまして、その意見などを国 民に広く情報提供することと、併せまして、行政の参考にさせていただきたいというこ とを趣旨としてございます。  第2に「懇談会のテーマ」ということで2点ほど挙げてございます。  まず、第1番目でございますけれども、食品のリスクに対する考え方、共通認識の形 成の仕方といったことについて、テーマとして挙げてございます。  2番目といたしまして、食品の安全性に関する情報提供の在り方、行政の方ですとか、 メディアの方からの情報発信の在り方、それと国民の受け止め方、こういったことにつ いて御検討いただきたいということを考えてございます。  第3に「構成」になりますけれども、先ほどの名簿にございますように、消費者、報 道の関係の方、学識者の方といった幅広い分野の方に委員をお願いしているところでご ざいます。  2番に、加えまして、2回目以降、テーマに応じまして、委員以外の方をお呼びして お話しいただくことも考えているところでございます。  第4の「座長」でございますけれども、先ほど唐木先生を御選出いただきましたので、 唐木先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  第5の「運営」でございますけれども、この会議につきましては、原則として公開で 行うことにさせていただいております。また、資料、議事録等につきましても、ホーム ページなどにおきまして公開をしまして、この懇談会の内容は広く情報提供していきた いと考えてございます。  以上でございます。 ○唐木座長 今、開催要領の説明があったんですが、これにつきまして御質問等ござい ますか。会の趣旨、目的は非常に明確ということでよろしいですか。御質問ございませ んか。ありがとうございました。  それでは、次に、資料2としてお配りしています、平成17年3月、食の安全に関する リスクコミュニケーションの在り方に関する研究会の報告書「食の安全に関するリスク コミュニケーションの今後の進め方について」を御紹介をお願いします。これは神田さ んも入っておられた会ですね。よろしくお願いします。 ○事務局 それでは、資料2をご覧ください。「食の安全に関するリスクコミュニケー ションの今後の進め方について(主な意見の整理)」平成17年3月、食の安全に関する リスクコミュニケーションの在り方に関する研究会というものになってございます。こ ちらは、平成16年度に設置をいたしまして開催をいたしましたリスクコミュニケーショ ンの在り方に関する研究会の意見のとりまとめとなってございます。  まず、1ページ目の「はじめに」というところをご覧いただきたいんですけれども、 3つ目のパラグラフにございますように、こちらの目的としましては、平成15年にリス クコミュニケーションの取組みが始まりまして、それまでに実施されてきましたリスク コミュニケーション取組みの妥当性といったものを検証していただきたいことと、今後 の進め方についてのアドバイスをいただくことを目的とした研究会でございました。  こちらの内容につきましては、意見交換会の在り方というものを主な内容として検討 いただいたところでございますけれども、情報提供の在り方に関しましても、この中に 幾つか意見が挙げられてございますので、今後の御意見の参考までに御紹介させていた だきたいと思います。  まず、5ページ目をごらんいただきたいんですけれども、一番上の○にございますよ うに、消費者側が多角的にものを見る習慣を身につける訓練も必要だけれども、情報発 信側もいろいろな角度から十分な情報を提供すべきだという意見がございます。  また、2番目の○には、行政の側にもマスコミへの情報提供の在り方について点検し てほしいという意見になってございます。  続きまして、8ページ目の「3.今後の取組についての提案」という項目で挙げられ ているものでございますけれども、9ページ目の4つ目の○といたしまして、リスクコ ミュニケーションの情報の発信の内容につきましては、科学的に正確であること、論理 的・時間的に一貫していること、情報については可能な限り開示すること、また、悪い 情報も開示することという点に注意するとよいというふうな意見がございます。  次の○になりますけれども、リスクコミュニケーションの情報発信に当たりましては、 説明はわかりやすい表現を用いて平明に行うこと、情報の受け手の関心や知識などを踏 まえた内容であるなど相手を尊重することなどの点に留意するとよいという意見がござ います。  また、次の○は、リスクコミュニケーションの情報発信に関連した事項でございます けれども、誤った情報が流れた場合は必ず指摘することに留意するとよいという意見が 挙げられてございますので、こちらの方も御参考いただきたいと思います。  以上になります。 ○唐木座長 ありがとうございました。  この懇談会の趣旨の説明、平成17年に行われた似た研究会の結論を簡単に御紹介いた だきました。ここから後は、今日は初回ですので、フリートーキングということで進め ていきたいと思います。今日は出席者の皆様から、食品の安全性に関する情報やリスク のとらえ方、今後の在り方、日ごろ感じていらっしゃることを何でも自由に議論をして いただきたいと思います。そう言っても、余り自由にするとどこかに飛んでいってしま うかもしれないので、資料1の懇談会開催要領の第2にあります2つのテーマ、食品の リスクに対する考え方、共通認識の形成の仕方、食品の安全性に関する情報発信の在り 方、受け止め方、これも定義をしているようで非常に広いことを言っているんですが、 これと、前回の研究会の内容辺りを参考にしながら、御意見を自由にいただきたいと思 います。  最初に私から1つ、事務局の方にお聞きをしたいんですが、平成17年3月の提言の中 身については、厚労省の方で実施をされているものがあったら御紹介をいただきたいと 思うんですが、何かありますか。 ○事務局 基本的には、こちらの報告書に基づきまして実施をしているところでござい ます。例えば、毎年度実施計画をつくって、それに基づいてリスクコミュニケーション の取組みを行っているといったことがございます。  あと、まだ計画の段階でございますけれども、夏に霞が関の方で子ども向けにリスク コミュニケーションというか、情報提供の試みをしたいと考えているところでございま す。 ○唐木座長 ありがとうございました。ということで、提言を出せば、その中身につい ては、かなりちゃんと実施をしていただけるということだそうでございますので、この 会でもちゃんとした提言を出したいと思います。  この研究会に参加された神田さんにお伺いしたいのは、この会でかなりちゃんといろ んな内容を広範に検討していますね。やり残していて、今回ここでやらなくてはいけな いようなことがもしあれば何だろうかとか、そんなことがあったら、神田さんから議論 の口火を切っていただければと思います。 ○神田委員 私も記憶が薄れているんですけれども、まとめたときも、いろいろヒアリ ングをしたりとかという形でやった。ただ、ここのテーマにもなると思いますけれども、 マスコミを通じての情報提供の在り方というのは非常に重要だという中で、先ほどあり ましたけれども、誤った情報が流された場合、これはマスコミだけではありませんけれ ども、マスコミは非常に大きな影響力があるわけで、必ず指摘をする。これは、報道を 規制するとかいう意味ではなくて、誤っている場合には、ちゃんとそこを指摘するとい うことが重要だねという話をしたような気がいたします。その点がなかなか難しい面も あるんでしょうけれども、実施されているのかどうか見えないですが、余りやられてい るようには思えないものですから、重要な点だろうなと思います。そういったところも 少し考えていったらいいのかなと思います。  あと、消費者は食品の安全の問題について非常に関心が高いと言われているんですけ れども、そうは言っても、知識はどうなのか。私の立場を振り返ってみますと、関心は 高いけれども、知識は乏しい、あるいは間違った知識を持っているのではないかという ことがありますので、基礎的な知識とか、考える土台となるような知識をみんなが身に つけられるように、情報提供の在り方はどうしたらいいのか、その辺に焦点を当てて考 えるのも1つのポイントではないか。これも17年にまとめたところにも入っていること だと思いますので、そういった基本的なところを充実させていけるような情報提供の在 り方を考えていけたらいいなと思っています。また追い追いお話しさせていただければ と思います。 ○唐木座長 ありがとうございました。  あとは自由に、今の問題も含めて御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょう か。メディアがもし間違っていたら、どのようにしたらいいかなどというのは、多分、 小島さんの専門のところだと思いますが、小島さん、何かございますか。 ○小島委員 ちょっと答えを用意していないんですけれども、こういう場で議論するこ とで一番大事なのは、やはりケース研究だと思うんです。どのケースでどういう失敗が あったのかということをいろんなケースでやっていけば、何となく、どこがおかしかっ たのかということが集約できるのではないか。  例えば、ある記事を書いたときに、記者の資質的なレベルが低いのか、それとも記者 はわかっているんだけれども、バイヤスをかけて書かざるを得ないものなのか、それと も発表の仕方が悪かったのか、そういうのをケースごとにしっかりと検証することが大 事かなと、それをここで徹底的にやれば一番いいのではないかなという気はしています。  厚労省の方は御存じかもしれませんけれども、メディアドクターといって、メディア 情報を診断する検証活動をやっているグループがあるんです。私もその一員なんです。 そこの中で、同じテーマで書かれた世界じゅうの記事を検証しているんです。  例えば、ホルモン療法で乳がんのリスクが1.2倍になるとか、数字は忘れましたけれ ども、何倍になるというような報道が世界じゅうであったんです。そのときに、どの報 道が一番正確だったのかというのを検証していくんです。その報道の検証の項目は、い わゆる出典を明らかにしたかどうか、費用対効果をちゃんと書いているかどうか、リス クの説明をきちんとしたかどうか、いろんな項目があってやっていくと、イギリス、ヨ ーロッパの記事は60点ぐらいなんです。日本の記事は40点台。20点ぐらい差があるん です。日本の方が点数が低いんです。  どうして低いのかということをまた検証していく。実際に記者にもインタビューする んです。記者の医学知識を聞いてみると、日本の記者もイギリスの記者もレベルは同じ だということがわかるんです。特にヨーロッパの記者が優れているわけでも何でもなか ったんです。結論から言うと、発表の仕方が非常にうまい。要するに、記者がわかりや すいような情報をきちっと提示すれば、ちゃんといい記事を書いてくれるということで す。だから、記者が悪い場合もあるんですけれども、発表の仕方によっては全然違うと いうことです。  そういうことをいろんなケースでやっていけば、どういうときにどういう情報を出せ ばいいかとか、この場合には記者にちゃんとこういうことを言わなければいけないとか、 いろんな事例を研究していけば、いろんなことがわかるんではないか。だから、この場 でケースの検証をいろいろやってほしいなとは思っています。 ○唐木座長 どうぞ。 ○神田委員 いろんな報道のまずさだとか、あるいはその記者のレベルといっていいの でしょうか、そういった問題とか、いろいろあると思うんですけれども、私が先ほど申 し上げたかったのは、例えば、ニュースの中で残留農薬が非常に問題になっています。 そのときに、基準の何倍の残留農薬が検出されたと、そこまでは事実を言うわけですけ れども、その後で、今のところ健康被害の報告はなされていないと付け加わってくると、 そこはやはり違うんではないかと思うんです。ですから、基準について、報道の方、あ るいは私たち聞く側も含めて、きちっとした知識がないと、私たち素人はミスリードさ れてしまうというか、非常に違う基礎知識を身につけてしまう。基準を超えると即、食 品として口に入ったときに健康に被害があるんだなというふうに誤解をしてしまう、そ ういった意味の報道が多々見受けられるわけです。ですから、そういったことについて、 基本的な知識を、私たちだけではなく、そういったことに携わる方たちもつけていく必 要があるし、情報提供するときにも、この基準値を超えた数字がどういう数字なのかと いうことも、くどいようだけれども、付け加えて、行政は公表する、伝えるということ が必要ではないかと思っていますので、先ほどそのことを申し上げました。 ○唐木座長 高橋先生、どうぞ。 ○高橋委員 今の神田さんの話は、2002年のクロルピリホスがいい例だったと思うんで す。基準値を超えたといっても、ホウレンソウの基準値が0.01ppmだった。アブラナ科 の植物は2.0ppm、3.0ppmが残留基準だった、という話に通じます。「今のところ健康被 害がなかった」という表現では、何か危ないのかしらと思ってしまう誘導になってしま う。むしろ、基準値は超えたけれども、こういう意味があるんだということが一言ある といいわけです。そう思いました。  それから、先ほどの神田さんの発言で、誤った情報の指摘はすべきなんですけれども、 だれが、どういう経路で、どういう責任体制でやるのかということをいつも考えている んです。新聞記事を見ていても、テレビのニュースを聞いていても、またあんなことを 言っている、また間違ったことを書いていると思っていても、個人が個人として対応す るには限度があるんです。  具体例を言いますと、4月18日だったか、牛乳の飲み過ぎで男性の前立腺がんのリス クが上昇という記事があったんです。飲み過ぎというのはどれだけかと思って朝日新聞 を読んだらば、165g/dayとなっているんです。165gで飲み過ぎではたまらないなと 思って、文献を探したら、見つけることができました。ちゃんと見たらば、290何gな んです。これは文句を言わなければいけないなと思いつつ、実は私は何もしていないん です。それで、その記事に関して、共同通信と毎日新聞をネットで見たら、ちゃんと発 信しているんです。ただ、毎日新聞は量は書いていなかった。共同通信も量は書いてい なかった。朝日新聞は量が書いてあったんだけれども、それが間違っていた。本当は私 は行動しなければいけないんでしょうが、正直、そこまで時間がないというところで、 気づいた人が指摘していかなければいけないということはわかるんですが、個人には負 担が余りにも大きい。このことをどうするのかということも考えていかなければいけな いのではないかと思います。 ○唐木座長 中野さん、どうぞ。 ○中野委員 今の高橋先生の御指摘はもっともでございまして、私もいつも同じことを 思っています。そういうときに参考になるのが、たしかニュージーランドの食品安全委 員会のような組織で、メディアが何か食に関する記述をして、それが間違った場合、す ぐさま、いついつ、何々新聞はこういう記述をしました、ちなみにここのところはこの ように科学的に違いますというようなことをホームページを使って大々的に情報発信す るということを聞いています。ですので、下手な間違いをしたりすると、すぐ指摘があ って、ここは違いますよということがあるので、日本もそういった仕組みがあればいい なと常々私は思っていまして、今回の議論、こういった場がそういった動きにつながれ ばいいなと思っています。 ○唐木座長 どうぞ。 ○田中委員 私は日本生協連理事ですけれども、さいたまコープの組合員理事でして、 今日は消費者代表という立場で呼ばれたかとは思うんですけれども、日本生協連はギョ ーザ事件がありまして、今、品質管理を強化するという形で取り組んでいるんです。第 三者検証委員会からありましたように、これは品質管理の問題ではなく、食品テロ、食 品防御だという指摘があるんです。  最初のところで、やはり日本生協連としては公開、正直を原則としていますので、残 留農薬は、問題なくてもすべて出した。0.01ppmまで出したんですけれども、ポジティ ブリストがマスコミを含めて理解されなくて、それは本当に危ないことのように報道さ れたわけです。  組合員も、高橋先生ですとか唐木先生を呼んで学習したこともありますし、ポジティ ブリストについても学習もしているんですけれども、報道の余りの大きさに組合員でさ えも戸惑うような状態がありました。検出値だけがひとり歩きしていくような状況があ ったことは事実です。  日本生協連としては、何かの問題解決になるんではないかという意味で出し続けたわ けですけれども、ポジティブリストが思ったほど記者の方たちに理解されていないとい うことは結構ショックなことでもありました。ポジティブリストの意味が、一般消費者 もですけれども、マスコミもなかなか理解し切れていないということで、私たちも、組 合員だけではなくて、一般消費者に向けて消費者力をつけていくということは大事かな と思っているんです。  それから、今、厚労省のホームページを見ましても、ギョーザのことは書いてあるん ですけれども、それが食品防御、食品テロであったということは一言もないままで、品 質管理の問題というような受け止めがそのままされて、一般消費者にはそのように受け 止められているのかなというのはやはり危惧するところではあります。 ○唐木座長 どうぞ。 ○金谷委員 東京都の金谷です。先ほどホウレンソウからのクロルピリホスというのが あったんですけれども、まさに私ども自治体では、食品衛生監視の現場でそういうもの を見つけまして、検査をし、基準値を超えれば、当然それは違反品として処分をする、 そういう現場の第一線に立っている者です。  そのときの例として言わせていただきますと、当然そういう違反は違反として処分す る、そして公表等もするんですけれども、その際には、例えば、基準値というのはどう いう意味を持つのかとか、実際に健康被害等は発生していないとか、これくらい食べな ければそういう影響は出ないんですよということも併せて行政側としては、公表という か、情報提供しております。それは最大限の注意を払っている。そういうつもりではい るんですけれども、それがどのような形で報道されるかということころになりますと、 もう私どもの手を離れてしまう。  関連して、当時、いろんな違反が次から次へと出てきたようなときだったんですが、 実際には、仮にそれを食べたとしても全く体には影響がないんだけれども、やはりそれ は危ないから処分するんでしょうとか、違反というのはすなわち危ないんでしょうとい うようなとらえ方をしているというのが一般的なことなのかなと思いました。というこ とで、私ども自治体の監視の現場にいる者としては、情報提供の在り方がどのように受 け止められているのかというところに非常にジレンマというか、格差を感じているとい うのが実情です。 ○唐木座長 どうぞ。 ○宗林委員 私のところは国民生活センターと申しますが、情報を発信することもあり ますし、また消費者側の情報の受け止め方の影響を大きく受けるところでもあるという 位置づけでございます。結局は、情報提供をするときに、基準値を超えるということを 発表することと、それを聞いた人がどう行動すべきなのか、わかるかどうかということ です。今は被害が発生していませんということではなくて、食べ続けて大丈夫なのかど うか、自分がやめた方がいいのか、というような、具体的に行動をどうしたらいいのか の情報をセットで出すということが一番わかりやすいと思います。表現の方法は、例え ば、ホウレンソウを何kg食べても大丈夫ですよという言い方も勿論正しい言い方だとは 思いますけれども、なるべくそれを平易な言葉でわかりやすく、情報発信することが一 番かと思っています。  そしてまた、情報発信するとき、実際にはいわゆる被害者がいないようなものの基準 値を超えるような情報発信の場合、例えば食品添加物であったり、農薬であったりとい うものと、被害者がいる食中毒みたいなものや、たくさんの方が利用されていますけれ ども、大きなリスクがあるかも知れない健康食品みたいなものと、いろいろな種類があ るだろうと思います。そういったものを、どの程度のリスクなのか、リスクをきちんと 色分けするということと、その情報を受け取った消費者がどうすればいいのかというこ と、わからないならわからない、大丈夫なら食べていいですよというような、はっきり とした、易しい言葉でのわかりやすい情報提供が必要ではないかなと思います。 ○唐木座長 どうぞ。 ○仁科委員 順番に待っていますと、だんだん宿題が提出できない学生みたいに焦って きますので、そろそろ最後かなと思ったんですが、今、リスクコミュニケーションにつ いての議論が白熱しているところで、別なアングルからお話をしてもよろしゅうござい ましょうか。 ○唐木座長 どうぞ。 ○仁科委員 フリートークということなので。前回の平成16年におやりになったリスク コミュニケーションの在り方研究会でも、多分、今、お話に出ているようなことがテー マに出て議論されて、こういう報告書になったんではないかと思います。そのときから 比べて、今、どういうところが違うんだろうなということを考えてみますと、1つは、 お役所から報道機関に対して発表があって、マスメディアに情報が乗って、それが一般 の人に伝わる、こういうのが典型的です。今もそうです。  ところが、平成20年度になって何が違ってきたかというと、サーチ・アンド・シェア というんでしょうか、インターネットで情報を検索をして調べるという行動が随分多く なってきたことと、韓国の例のように、その情報がまた発信されて、みんなに共有され て広がっていく、こういうところが平成16年度などに比べると、かなり大きな問題にな っているんではないかと思うんです。  1つ検証しなければいけないのは、報道機関経由の情報伝達というところだと思いま すけれども、是非今回の懇談会でお時間を取っていただきたいと思いますのは、消費者 が、特に関心の強い人がある報道を聞いたときに、その情報を確かめに来るという行動、 それに対して情報提供がきちんとできる。  もう一つは、マスメディアの分析だけではなくて、ブログ上などで、あるいはコミュ ニティーなどで間違った情報が行き交って広がっていってしまう、そういうようなとこ ろの情報の広がりが今回の懇談会で少し御検討いただければなと思っています。  そういう意味で、私、昨日、ホームページを開いて、食品安全情報と開いてみまして 驚いたんですけれども、いろんなものが出てきます。つまり、発信者側からすると、厚 生労働省から発信して、私のところはどういう情報を発信したらいいんだろうという、 私のところ基点で発想しているんですが、受け手の方から見ると、農水省があり、自治 体があり、さっきの第三者機関というんでしょうか、独立行政法人何とかというところ が食の安全について、いろんな報道を流している。それからまたコミュニティーが情報 を流している。そうすると、消費者の方からすると、どこに行ったら自分の必要として いる情報が取れるんだろうかという、今はどちらかというと送り側から発想して、私の ところはどういう情報、わかりやすい情報、ここまできちんとした情報と、こういうこ とを考えているんですが、受け手の方から見ると、一体だれを信用して、どこを見れば いいんだという、この仕分けが見ていて非常に難しいなという感じがいたしました。  1つは、情報の中身とか、特に今、議論になっていますのは、事後的、つまり、リス クが起こった後の対応、コミュニケーションとなっておりますけれども、そういうこと が起こったときに、一体どこで情報を取りに行ったらいいんだという知識を是非、基礎 知識としてみんなが共有していると、あるいはお役所間で、内閣府に行ったらいいのか、 食品安全委員会に行ったらいいのか、農水省に行ったらいいのか、送り手から言えば、 みんなリンクを張ってあるから自分で探せということかもしれませんけれども、探す方 からすると、一体どこを見に行ったらいいんだろうということがありました。それを後 でお時間取って検討していただければと思っています。  もう一つは余談ですけれども、農水省のホームページを見て、厚労省のホームページ を見ましたら、全然スタイルが違うんです。農水省の方は明らかに生活者が見てわかる ようにやっていると思うんです。もうちょっと具体的に言えば、デザイナーがちゃんと 入ってホームページがデザインされている。あとの方は言わなくてもわかっていると思 いますけれども、お役所の伝えたい情報がそのまま並んでいて、なぜかそこにアジサイ は食べるなというメッセージがどーんと出ているというのが非常に奇妙なホームページ だったなと思っております。  以上です。 ○唐木座長 ありがとうございました。  今の最初の方の話題は、間違った情報があったときに、どうやって訂正するのかとい う問題、あるいは、それの訂正というか、正しい情報を得られるサイトをきちんと立ち 上げなくてはいけない、そういう方向が1つありました。  これは勿論、大変大事なことなんですが、もう一つ、是非考えていただきたいのは、 間違っていない情報でも風評被害が起こるということです。例えば、よく知られている のはキンメダイの水銀の問題です。あれは、情報自体としては全く間違いがなかった。 多くの新聞が厚労省の発表をそのまま伝えた。しかし、それでキンメダイの値段がどん と下がって、業界は何億の損害を被ったということがあります。そうすると、情報を伝 えること、あるいは新聞やテレビにたくさん出ているだけで消費者が不安に思ってしま うという構図があるということが1つあります。  もう一つは、これも最近よく言われているのは、中越沖地震で柏崎の原発から非常に 微量の放射能が漏れた。ラドン温泉9リットル分の放射能が漏れた。新聞はそれを大き な題字で放射能漏れと伝えた。記事の内容を見ると、どのぐらい漏れたかもちゃんと書 いてあるし、非常に微量であって、体には全く影響がないことも書いてあるんだけれど も、大きな題字を見て、民宿もホテルも夏の書入時に全部キャンセルになったという大 きな風評被害が出たと、そういうこともあります。  したがって、間違った記事を訂正する、これはむしろ簡単なんです。そうではない風 評被害が起こらないようにするにはどうするのかというのも1つ、ここで十分検討して いただきたい課題だとは思います。  ほかにどうぞ。御自由に御意見をいただきたいと思います。  先ほどの違反の程度をきちんと知らせるというのはとても大事で、たしか群馬県です か、3段階に分けてホームページで出しています。健康に非常に大きな被害がある、わ ずかな被害があるかもしれない、全く被害がないというのに分けて、基準違反だけれど も、この程度であるというのをちゃんと付け加えているんです。今までの違反例はすべ て基準違反ではあるけれども、健康には全く被害がないというものばかりである。東京 都もそういうことでやっておられるんですね。そういうのがどこでも出てくると、もう 少しいろんなことが変わってくるのかなと思います。  もう一つ、基準はオーバーだけれども、健康被害が出ていない、これは事実を述べる ことであって、一番簡単なんです。基準オーバーであって、しかも、これで健康に被害 がある恐れはないと書くのは、これは判断なんです。判断は行政が一番やらないという か、やるのを嫌う。判断をした途端に責任が出てくる。それで何か起こったらどうする んだということになる。しかし、その辺を何とかしないと、消費者がきちんとした理解 ができない、あるいは判断ができない、そういうことだろうとは思います。どうぞ自由 に議論してください。 ○小島委員 フリーなので、ざっくばらんに御意見を言っているんですけれども、今の 基準の意味なんですけれども、例えば、ウナギのマラカイトグリーンの件で、同じ記者 同士でも話すんですけれども、0.005ppm見つかっても、ほとんどリスクはゼロで、ウナ ギを1,000kgとか2,000kgも食べないと最少毒性量には達しないんだよという議論をし て、科学的に言って、こんなものは余り大騒ぎする必要ないよねと言うと、どういう反 応かと言いますと、科学はわかった、科学はそうなんだけれども、庶民の感覚というか、 消費者の感覚はそうではないんだ、だから、私たち記者としては、消費者の不安に応え るようなこともしなければいけないと思っているんです。不思議なんです。  みんながそう思っているから、みんなに向かって、心配する必要はないんだというこ とは、新聞もテレビも余り言わないんです。あんたたちの不安は根拠がないんですとい うことはまず報道しないんです。もしそういうことを報道したら、恐らく苦情が来ると 思います。そういう報道していないからわからないんですけれども、市民に向かって、 あんたたちの考え方がおかしいと言うことですから、それを言ったら、多分、こんな新 聞はとらないとか、こんなテレビはもう見ないとか、そういうふうになっていくような 部分も現実にあるんです。  だから、科学だけで解決できないところが非常に難しいなと思って、記事を書くとき もそうなんです。どうしても配慮するんです。遺伝子組換えの記事を書くときも、消費 者の不安があるとか、必ず何か意見を入れないと釣り合いが取れないと思って書いてい るんです。そこのところが非常に難しくて、科学的な議論だけでは事がうまくいかない なというふうに思いながら私も記事を書いているということです。 ○唐木座長 どうぞ。 ○牛尾参事官 この懇談会につきましては、前部長の意向が非常に強くございまして、 名称自体も懇談会という形にさせていただきました。新しい部長とまた意見交換して今 後の進め方を考えなければいけないんですが、委員の先生方だけではなくて、我々、実 際に行政に携わっている部課長も、こういう悩みがあるということを皆さんと是非御議 論しろというのが前部長の御意見でございました。それに関しまして、私も1つ、テー マというか、トピックといいますか、話題提供させていただきたいんです。  以前、唐木先生の講演を聞かせていただいたときに、不安というのはニュースになる けれども、安心・安全はニュースにならない、これは、小島委員、やはりそういう性格 というものをメディアは有するものと理解すればいいんでしょうか。 ○小島委員 基本的にはそうですね。例えば、遺伝子組換えで動物実験やって、全く影 響なかったですという記事を書きます。ボツになったことがあるんです。安全なことを 何もわざわざ教える必要はない、危ないときだけお知らせをすればいいのではないかと 言われたことがあったんで、それは確かにあります。だから、現実問題、安全ですとい う報道は出てこないではないですか。  タミフルなどでも、危ないというのは社会面トップであれだけ書いておいて、関係な いといったら2段の小さい記事になってしまいます。それも同じです。記者個人として も、一旦危ないと書いておいて、同じ記者が今度は危なくないと書けないんです。現実 問題、確かに書きにくいです。あれだけ危ないと言っていたのにどうして急に、政府が そう言ったから、政府がそう言ったとしても、そのときにきちっと冷静に調べて書かな かったんですかと言われてしまいます。だから、同じ記者がなかなか修正しにくいんで す。同じ記者が書くと、まだ問題があるみたいに書いてしまうんです。政府が関係ない と言っても、それでもまだこういう意見があるとか、少しでも自分の過去の記事に合わ せるように書いていくという性質もあるんです。 ○唐木座長 小島さんの指摘は非常に重い指摘で、みんながそう思っているときに、読 者がそう思っていることになかなか反対できない。本当はメディアはそうあってほしく ないんですが、現実としてはそういうものがある、では、どうしたらいいのかと、そう いうことだろうと思います。  実は、私の最近の経験だと、ある新聞が食の連続の特集をやっていますけれども、そ の中で、残り物のお弁当をコンビニで大量に廃棄する、これはもったいないから豚のえ さにするというのを記事にしたところが、お弁当には多量の添加物が入っている、そん なものを豚に食べさせて、豚肉から人間に来たら怖いという御意見があって、どうした らいいですかと電話でインタビューを受けたんです。私は、そんなものは100%大丈夫 ですと言ったら、本当に100%大丈夫なんですか、可能性ということを考えたら何かあ るんではないですかと大分聞かれました。しかし、結局は私の言ったとおり、100%とは 書いていないけれども、大丈夫ですということになったんです。  小島さんのおっしゃるように、多くの人が言っていることはなかなか反対しにくいと いうことと、もう一つは、みんながそう思い込んでいることと違うことを出すのも記事 になるんではないですか。みんなが危ないと思っているところに、これは安全ですと書 いたら、びっくりする。ただ、うんと非難されるかもしれません。記者さんも、反論が 来たら、再度またお願いしますと言っていましたけれども、それは覚悟はしているんで しょうね。 ○小島委員 だから、安全ですという記事も、私は2・6・2の法則と自分で言ってい るんですけれども、世の中の人は、6割ぐらいが不安な情報が好きなんです。2割の人 は極端に不安な情報が好きで、あとの2割の人は安全だと思っているんです。だから、 安全な情報を流しても、一定程度は支持されるんです。危ない、危ないというニュース の中では、安全だというニュースも価値が出てくるので、一定程度は出てくるんです。 私もそういうのを書いています。でも、今度は安全だというのが6割にしたら、多分、 支持されないんではないかなというのが私の考えなんです。 ○高橋委員 ちょっと話は違うかもしれないんですが、こんにちにおいても食の安全を 本当に脅かすのはやはり食中毒だと思います。厚生労働省のサイトを見ますと、去年、 発生事例で1,200件くらいでしょうか。そのうち食肉関連が100件までいかないでしょ うか、90何件だったかと思うんです。生レバー、要するに生食ということが原因として 大きいというのが、発生事例の1,200をずっと見ていくとわかるわけです。  そのことに関して、新聞名を言ってしまえば、読売新聞が、生食用として出荷してよ い認定施設が6施設全国であるんですか、そこからのはどこにも出荷されていなくて、 結局、今、日本国内のレバ刺しというのは、要するに、売るお店が、これは新鮮だから と言う、生きがいいか悪いかだけの判断で、O−157やカンピロバクターの汚染という こととは無関係にレバ刺しを提供してしまっているわけです。そうしたら、それが結局、 食品衛生法ではなくて、ガイドラインということで、そういうものを提供しても外食産 業としては別に違法性は問われないんだということで、正直、私はそのことを知ってび っくりしたわけです。  提供するお店が、これはガイドラインに沿った施設から出荷されたものではないけれ ども、当店の判断で生食用でレバ刺しを出していますと周知すれば、半分の人はやーめ たとなるかもしれませんけれども、半分の人は、今まで何でもなかったから食べますと いう人もいると思うんです。でも、情報は提供してほしいと思うんです。  生で食べるということで、現実に健康被害が起こっている。そのことは余りメディア が重視していないなという印象を私は持っているんです。それは食中毒を軽視している と言わせていただきたいぐらいなんです。食の安全を本当に脅かすものが何かという優 先順位をつけたときに、季節を問わず食中毒が大問題なんだ、特に起こりやすいシーズ ンにはそれなりの報道量をもって注意を喚起するというのも大きな役割と思うんですが、 それこそ今の感覚で言うと、食中毒を書いても余り読者は注目しないみたいな、そんな のがあるんではないかなという気がしているんです。その辺り、現実に結構大きな被害 が起こっているということを、時に応じて、何らかの形で発信してほしいなということ を常々思っているんです。 ○唐木座長 どうぞ。 ○中野委員 私、会社の中で人事異動がありまして、先々月から『日経レストラン』と いう外食産業向けの雑誌の編集部におります。それで、高橋先生が今、御指摘なさった ことはすごくよくわかる話で、例えば、飲食店を取材していまして、こういった新商品 がありますよなどと言うと、飲食店の経営者の人たちは教えてくださいと言って、すご く興味深くよくお聞きになるんです。例えば、クレンリネス関係で、新しい洗浄剤であ るとか、食中毒防止につながるような製品よりも、新しい食材であったり、新しい調理 法だったり、今はやりのメニューは何かみたいな、そちらの方の情報にどうしても目が 行きがちなんです。そちらの方が、ヒントにして工夫をすれば、今日、明日、お店の売 上げにすぐつながる。食中毒に留意して仕事を行ったとしても、万万が一、事故が発生 して食中毒が出てお店が営業停止になればひどいことになりますけれども、その確率は 経験的にはそんな高くはなかったということで、なかなか情報の重要度を理解してくれ ないというのは、私はここ1か月、本当に身をもって感じて、ああ、どうしたものかと いうふうに思っていました。そこに行くたびにいろいろな話をするんですけれども、ま だ壁が厚い。  その壁の1つとして、先ほどもちらっと出ましたけれども、先般のアジサイを食べて 健康被害が出たということですが、アジサイは自然に咲いていて、彩もきれいで、身近 な植物ということで、あれが猛毒の成分があるというのは、普通の人はなかなか思えな い。とはいえ、お店の人たちは、これは自然のものですよ、人工的な食品添加物を使っ たものではない、化学的な物質を使っているものではなく、自然にお庭に生えているも のです、自然に野山に生えているものです、こんなにきれいでしょうと、食中毒は危な いという意識がないままに、自然・天然はよいことを信じ込んで、ああいった事故が起 こってしまった。あのときも、新聞で少し報道はされましたけれども、その報道の仕方 は、依然として私が期待するよりもすごく小さなものでした。こういうときこそ天然信 仰はいかがなものかというような報道の仕方をもっともっと心がけるようにするべきだ と思いました。  それから、先ほどの小島さんの、消費者の人たちに説明する際に、科学はわかった、 だけれども、国民はいまだに不安に思っているんだから、それに同調するような配慮も 必要という、その気持ちは勿論わかるんですけれども、それを続けていると、いつまで たっても進展はしない。先ほど、お国がはっきり安全ですよと100%言い切るのはなか なかしにくいだろうという配慮もあると出ました。だけれども、お国がそうやって言い 切るのをしり込みするのであれば、我々メディア、あるいは関係者が、100%大丈夫です よと、先ほどの唐木先生のご発言にありましたように、はっきりと、ここでしっかり、 我々こそが言うべきだなと思いました。 ○唐木座長 どうぞ。 ○田中委員 100%言い切れなかったのがギョーザ事件だったんですけれども、今の中野 先生のお話と、先ほどの仁科先生のお話の中で、受け手が発信源を信頼しないと、どこ で情報を取っていいのかわからないというお話があったかなと思うんです。厚労省のリ スクコミュニケーションも大分進化したとは思うんです。  私の所属するのはさいたまコープですので、このギョーザ事件を受けて、さまざまに いろんな組合員との話し合いをしてきたんですけれども、やはり日ごろの職員の対話が すごく大事ということが改めてわかりました。それから、日ごろの学習会も大事という のもわかりました。ギョーザ事件があってから、共同購入に対しては、事件のQ&Aに ついて、2か月の間に7つの特別のチラシを出しているんです。最初のうちはマスコミ と生協が言っていることが違うとか、組合員さんからの指摘も結構あったんですけれど も、できるだけ科学的知見に基づいた情報と正確な情報と、うそではない、本当のもの を、ネガティブ情報も含めて出していくということをずっと続けました。4月、5月に タウンミーティングという名前で、さいたまコープは2002年から毎年やっているんです けれども、そういう形で、26会場、406名が参加したんです。  その中でやりとりしまして、厳しい御指摘もたくさん受けましたけれども、役員が話 をして、グループで話をする、組合員も本当に不安に思っていることは、終わってから も役員をつかまえて話をするということをずっとやりまして、6月6日に通常総代会と いいまして、組合員の代表が集まって、株主総会みたいなものなんですけれども、通常 総代会では例年になく反対、保留がほとんどなかったんです。  これだけの事件を起こしたのに、反対、保留がこんなに少ないというのは、その間の リスクコミュニケーションが大分うまくいったのかなと思っているんです。私たちは、 組合員が出やすい時期にということで、午前中、託児をつけまして子育て層にアピール するような形でいつもやっていたんですけれども、今回は土日も含めて夜もやったんで す。そうしたら、若い方は、マスコミの方かなという方もいらっしゃいましたけれども、 総代さんと御主人が御一緒にいらっしゃるという方が3組ほどありました。そういう形 でずっと続けたことが、信頼を取り戻しつつあるのかなと思っているんです。  私はこの間、厚労省の主催する食の安全の学習会に何回か出たことがあるんですけれ ども、いつも1時から5時とか、とても子育て層が行ける時間ではないんです。私たち の委員にしても、3時には子どもが帰ってくるから家にいたいから、3時ぐらいまでの 学習会だったら出られるんだけれどもと言うんです。高橋先生や唐木先生に参加いただ いた学習会はそれぐらいに終わる時間だったんですけれども、厚労省はいつも5時とか なんです。私が2年ぐらい前に行った学習会は、食品に関するリスクコミュニケーショ ンというのはさいたま新都心の合同庁舎であったんですけれども、どこに行っていいか 案内もなくて、怖い警備員がいまして、行ったら、消費者は私たち4〜5人だけで、あ とは業者の方と行政の方かなみたいな感じでした。  1月29日、ギョーザ事件の前の日なんですけれども、それもやはり合同庁舎であった んですけれども、それは随分なごやかな感じになって、消費者と言われる方たちがたく さん見えていたんです。そして試食までやって、随分厚労省も変わったなと思ったんで すけれども、ただ、やはり1時から5時なので、おじいちゃん、おばあちゃんがほとん どで、若いお母さんたちはいなかったなという感じでした。  私たち組合員で、若いお母さんたちが食の情報をすごく求めているんです。安心して 子どもに食べさせたいと思っているんです。不安だけではなくて、安心したいという消 費者の思いに応えるのはリスクコミュニケーションだと思うので、もっと若い子育て中 のお母さんが参加できるような時間とか場所とか体制とか、そういうものを是非行政の 場にも、そういうリスクコミュニケーションの場にも取ってほしいなと思っています。 ○唐木座長 厚労省の側からも意見を自由に出すということですが、道野さん、何かあ りますか。 ○道野室長 いっぱい問題提起というか、御指摘があって、我々も同じような悩みとい うか、やはり工夫しなければいけないということで、少しずつ改善もしてきています。 今、いいことだけお話ししてしまうのがいいかどうかというのはあるんですけれども、 当然それに伴った悩みもあるわけです。  例えば、公表の仕方の問題でも、先ほどから残留農薬の基準違反の問題がありまして、 多分、去年ぐらいからなんですけれども、輸入食品の違反情報、特に、今後、命令検査 にしますという検査強化するときのプレスリリースも、違反になった当該品のほかに、 これをどのくらい1日当たり食べ続けるとADIを超えますよとか、残留基準というの は基本的には適正使用に基づいてできているので、ほかの作物ではこれぐらいの基準が 設定されているものがあるんですよ、よく見ると、違反にはなっているけれども、それ より高い濃度での残留も認められている作物もあるんですよということも含めて情報提 供をするようにしています。ホームページを見ていただいたらよくわかると思います。  効果はどうだったかというのは、やはり新聞の記事が小さくなりました。感覚的なも ので申し訳ないですけれども、その前と後では、かなり正確に記者さんの方にも理解は していただけたんではないかなと思います。  ただ、ギョーザの関係などでは、基準値の何倍というのは見出しになりやすくて、あ あいう事件ものになってくると、そういう傾向が強く出てくるのかと思いました。  あと、ギョーザ事件の認識の問題なんですけれども、1月30日に私どもの方でプレス リリースと会見等をやって、当初からこれは意図的混入でしょうということで記者さん にも説明をし、皆さんに理解をしていただきました。数千箱の中の1箱を見つけるとい う作業になるので、食品衛生という観点からの検査ではなかなか見つかるものではない わけです。そういったことも含めて、かなり詳しい説明をして、マスコミの方に御理解 いただく、そういうことも我々はやっているわけです。  まだホームページにしっかりとした最終的な話は出てこないではないかという御指摘 なんですけれども、今はまだ捜査機関の方で最終的な原因究明が決着がついていない部 分もあり、物足りないかもしれないですけれども、どうしても対応の状況だとか、事実 関係だとか、そういったことを中心にホームページの方では公表せざるを得ないという のが今の状況であります。  あと、2002年の中国産のホウレンソウの問題のとき、私も少しかかわっていたんです けれども、あのときの問題は、検出レベルが若干高いものもあったわけですけれども、 本質的な問題は何だったのかというと、我々はロット単位で検査しているんです。ロッ トというのは一定の均質性があるということを前提にやっているわけです。今は違いま すけれども、当時の中国の集荷方法は、いろんな農家からマーケット買いをしてきたと いうことがあって、要するに、濃度がばらばらなものをまとめたわけですので、均質性 がないんです。そういったものを検査をしても、検査ではコントロールができないわけ です。だから、輸入時検査で合格でも、国内に入って都道府県で検査したら見つかる。 本質的な問題点はそういうところにあったわけです。一部の報道ではそういうこともし っかり書かれていたところもありますけれども、基準値以上のものが何件見つかったと いうことが報道としては大きくなったのかなと思っています。  あと、ホームページの問題なんですけれども、厚生労働省の全般の広報の仕事も今、 少しかかわっているんですが、トップページが少し変わったのは御承知かもしれません。 そういった形で、省全体でも少しずつ改善をやっています。食品安全のホームページも、 食中毒のところとか、前より少し見やすくしたりということで、今、作業をしていると ころです。  ただ、ついこの間なんですけれども、消費者団体の方とお話をしたときに、ホームペ ージの使い方について意見交換の中で出てきて、おっしゃるとおりで、一般的な情報は 農水省だとか、ほかのところで、詳細な情報というか、マニア向けの情報は厚生労働省 のホームページが取りやすい。どういった科学的な背景があって、どういう制度に基づ いてこういう措置をしていますという、規制という立場もあると思うんですけれども、 そういったことで、かなり正確度を持って資料をつくらなければいけないという部分が あるものですから、どうしてもとっつきにくいというか、わかりにくい部分があります。 勿論、私どもも、正確性とわかりやすさをどうバランスを取るか、非常に難しい問題で して、これは永遠のテーマなのかなと感じています。  あと、食中毒の関係なんですけれども、確かに、普通の食中毒と言ったらおかしいで すけれども、平均的な規模のものに関しては、地方の場合は、地方版だとか地方紙で報 道されるということは、個々の事件についてはあるんですけれども、全国的な報道とい うことになると、数がすごく多いとか、死亡例があるとか、それも例えば、子どもさん の死亡例があるとか、そういったものでないと、なかなか全国報道にならないし、記事 の大きさも余り大きくない。  もう一つは、原因に関して公表、自治体の方からのアウトプットはなかなか全国報道 にならない。去年は、塩度の低いイカの塩辛が腸炎ビブリオの原因になり得る、そうい うのもあったわけです。それで我々の方で危険情報として、どういう会社のどういうラ ベルのものというのをホームページに出したり、記者クラブに提供したんですけれども、 ほとんど報道してもらえなかったということもあって、食中毒に関しての記者さんの反 応をどうやって喚起するかというのは非常に難しい部分があるのかなと感じています。  生レバーの場合には、結局、胆汁の中からカンピロバクターが検出されるということ もあって、こういうふうに処理をすれば安全な生レバーができますという方法論が非常 に難しいというか、まず不可能ではないかということもあって、リスクをしっかり承知 してもらう、これは非常に大事なことだと思います。リスクを理解していただいた上で 食していただく。ただし、小さい子どもとか高齢者の方に関しては、周りの人間も注意 して摂取されないようにするということが、そういう注意喚起が重要なんだろうと、少 し路線変更をしていっているというような状況にあります。  済みません、ちょっと長くなりました。以上です。 ○唐木座長 何かございますか。 ○宗林委員 今のことでなくてもよろしいですか。 ○唐木座長 では、今の関連で1つだけお話すると、確かに違反を発表するのはとても 大事なんですけれども、そのときに私が是非やっていただきたいと思うのは、何件調べ た中で違反が出てきたという違反率の問題です。これがないから、新聞にいきなり出る と、みんな、すべての食品が違反しているみたいに思ってしまう。ですから、ギョーザ 事件の後も、また出た、また出たと違反のニュースだけが次々あったけれども、その母 集団、調べる件数が飛躍的に増えた、何件中何件ということが一切報道されていなかっ た、そこのところが非常に大きな問題だと思います。ということを1つだけ意見を申し 上げて、宗林さん、どうぞ。 ○小島委員 今のことに関連していいですか。今の食中毒の報道なんですけれども、私 は生活家庭部という、いわゆる暮らしの面を担当しています。多分、暮らし系の記者が それを知れば、記事に書いたりするんです。だから、厚生労働省に詰めている記者が書 かなかったからといって、記事にならないわけではないんです。どこの場合もそうなん ですけれども、経済部もいるし、生活家庭系もいるので、そういう人たちにも情報を流 すことも大事かなと思います。 ○唐木座長 まさに厚労省が取り組むべき第1のリスクコミュニケーションが食中毒だ と思うんです。そのときに非常に大事なのは、届出があったのは年間1万、2万の食中 毒患者だけれども、その陰に隠れている患者さんは多分、100万人、200万人いるという 推測もある。その辺のところをきちんと出していくことも大事ですね。だから、非常に 大きな問題であるということを認識してもらう、その仕掛けを何とか是非お考えくださ い。  お待たせしました。 ○宗林委員 今、小島委員がおっしゃったように、消費者は家庭欄とか生活情報の面で、 例えば、食中毒をどうやって防ぐのか、どういうところに問題があるのかということを 見ることが多いと思いますので、もう少し広い範囲のところに情報を配っていただくと いうのは私も大切なことだと思います。  また議論が戻ってしまうかもしれませんけれども、やはり国民、消費者は、いろんな 情報を取っているのはマスコミの影響が大変大きいだろうと思います。そういったとき に、先ほど神田先生が基本的な知識も一緒にというお話をされていましたけれども、こ のことは私もとても大切なことだと思います。  例えば「ホルモン」などという言葉でも、何年か前には「環境ホルモン」などという 言葉が大問題となり、ものすごく悪者みたいに、関連商品がなくなったぐらいになった わけです。その後、しばらくたちましたら、大豆イソフラボンは女性ホルモン作用があ り体に大変いいという話を皆さんがしていたと思う間もなく、今度は女性ホルモンは食 事以外でとる上乗せならば30mg上限にした方がよいと評価がだされ、「ホルモン」とい う言葉1つ取っても、右へ左へと消費者は、いいのか悪いのか、その都度正確な知識が ないまま情報に惑わされています。  例えば、日常的に飲んでいる牛乳みたいなものに対しては、測定しにくいこともあり、 データが余りないのですが、確かにかなりたくさん含まれています。しかしある情報で は思春期の女性は飲み過ぎに気をつけるべきであるなどと言われていますが、それもま たおかしいなと思いながら見ているんです。  非常に微量で効くホルモンみたいな言葉も、使い方によって、国民はすごく右へ左へ と振られるといういい事例ではないかなと私は思います。  また別な例ですが、アジサイのことであっても、私はシアン配糖体が胃の中でそんな に簡単にはフリーにならないのかとずっと思っていました。ところが、今回、そういう 話がありました。そうすると、例えば、梅干しなどはどうなんだろう、それを健康食品 のように大量に製造する場合は種ごと潰していると聞いていたけれど、そういったもの のシアン配糖体みたいなものはどうだろうとか、いろいろ思うわけです。  ですから、アジサイだけがどうのという話ではなくて、ホルモンの例も含めて基本的 な知識を、科学的な側面をきちんと生かすという形で、消費者、国民がよく見る面を中 心にして、コラムでもいいですから、そのときのニュースということだけではなくて、 書き込んでいただくといいのではないかと思うわけです。それがもしかするとニュース 以上に、皆さんの中にしっかりと浸透する情報になるんではないかなと思うんです。マ スコミの力が大変大きいということと、そういったところをベースに基礎知識を積み上 げていくような形の報道を是非お願いしたいなと思っております。 ○小島委員 今、記者の話が出たんですけれども、記者がしっかりすればいいという議 論は、確かにそうなんです。理屈ではそうなんですけれども、現実には、私も、例えば、 食品ならある程度わかるんですけれども、明日はがんの最前線の取材をしたり、健康医 療も担当していますので、全然違った分野のこともある程度、本を読んでいったにして も、やはりしょせん素人なんです。だから、あらゆることを全部勉強するというのは不 可能なのです。恐らく社会部の人たちは、昨日までは検察を取材した人が、いきなりギ ョーザの残留農薬です。だから、現実問題、その人たちにポジティブリストを最初から 説明する暇などはないんです。勿論それは同時並行的にやっていくことはできるんです けれども、情報の出し方が決定的に重要だというふうに、私は現場にいて思うんです。 情報の出し方さえうまく出せば、記者は何も知らないと逆にそれを信じるんです。だか ら、情報を出す方が決定的なんです。  それと、もう一つ、間違ったときには必ずだれかが言えば、記者だってわかるから、 すぐ直すんです。でも、だれも言ってくれないと、わからないまま、また間違いを書く んです。この間も、うちの記者が遺伝子組換えの解説記事を書いていて、遺伝子組換え というのは1代限りで終わってしまうので、モンサントは毎年毎年お金を請求すると書 いてあるんです。でも、遺伝子組換えは別に1代限りではなくて、他に植えれば、また 遺伝子組換えなので、そこら辺がわかっていないんです。私も関係者に、これは間違い なので、だれか間違いを指摘しましたかと言ったら、だれも指摘していないんです。ま あ、いいやと、私もそういうふうに思われるのもよくないと思うんですけれども、だれ も言わないから、本人も間違ったということはいまだにわかっていないんです。だから、 間違ったらすぐ指摘する関係機関が絶対必要だということです。  電磁波については、御存じかもしれませんが、経済産業省が7月に電磁波情報センタ ーをつくりました。この情報センターはどういう機関かというと、間違った報道があっ たらすぐ検証することをやるんです。電磁波について、日ごろから、わかっていない記 者向けのセミナーもやります。読者から何か言ってきたら、すぐ答えるような体制をや るんです。世界じゅうの文献も集めて、これからそういうことをやっていきましょうと いうのが電磁波では始まったんです。だから、ボランティアには依存できないので、そ ういう機関がないと難しい。高橋先生も先ほど言われたように、個人でやっていても、 それだけで終わってしまうので、どこかでそういう機関が必要かなと私は思います。 ○唐木座長 メディアの中からの声として、非常に重大な御意見ですけれども、勉強し ていない記者がそのまま記事を書いて、その書いたものが非常に社会的に大きな影響が あるということに対する認識がない、そこのところが非常に大きな問題だという気もし ます。それを言っても、すぐに現状は改善できないから、情報を出す方が正しい情報を 新聞に書けるような形で出すということと、間違っていたら訂正をするという2つは非 常に大事なことだと思います。  先ほど新潟の原発の放射能漏れの話をしましたが、アメリカ人の研究者と話をしてい たら、アメリカではそれはあり得ないと言われました。なぜあり得ないのか。それは、 そんなことをしたら、新聞社は多分つぶれるぐらいの賠償金訴訟に巻き込まれる。だか ら、記事を書く前にきちんとそこまで想像力を働かせて、それがどういう結果になるか をイメージをして書くのがアメリカの新聞だからという話を聞きました。日本がすぐ訴 訟社会になるわけにはいかないでしょうけれども、そこのところの想像力が足りないと いうのも非常に大きな問題で、ニュースが出た後で、小島さんがおっしゃるように、ち ゃんと指摘をしていかなくてはいけない点ですね。  ほかに御意見ございますか。どうぞ。 ○神田委員 先ほど道野さんの話の中で、基準値を超えた場合の説明の仕方を改善して、 記事が小さくなっているという話がありましたけれども、厚労省のホームページで、生 鮮グリーンアスパラガスのEPNについての発表の仕方はとてもいいなと思っていまし た。というのは、基準の14倍が検出されたわけですけれども、体重60kgの人が毎日約 600g摂取し続けたとしても、健康に影響はないというようなことが付け加わっておりま して、いつから変わったか気づかなかったんですけれども、前にはないような報告の仕 方だなと思ったんです。これはホームページだけですか。それとも、何かにつけて、例 えば、記者に発表するときなどもこういった報告をなさるんでしょうか。少なくともこ ういうことはしていく必要があるのかなと思いました。先ほど東京都の話もございまし たけれども、多分、東京都もこういうふうになさっているのかなと思いました。影響が 与えられるものだなと思ったものですから、感想です。 ○唐木座長 どうぞ。 ○道野室長 記者発表資料とホームページに載っているのは同じものです。記者さんに よく理解していただくというのは非常に重要で、これも省全体の取組みとしてやってい るんです。前はどうしても記者さんに細かな説明をするというケースは基本的にはレク になる。レクというのは、要するに記者会見形式になってしまうことが多かったんです けれども、勉強会という形で、資料提供は資料提供でしつつ、別の場所を設けて、カメ ラなしで、内容について詳しく説明をする。厚生労働省の場合、技術的な内容も非常に 多いし、制度も複雑なときもあるものですから、勉強会をどんどん増やしていこうとい うことでやっています。  先日のクローンの諮問に際しても、勉強会を開催して、できるだけ正確に情報を提供 したいということで、最近始めた取組みです。それまではどうしても個別の記者さんに 1人ずつということなので、やはり濃淡が出てしまう部分があったんですけれども、ク ローンの諮問のときの報道は全体的に割と正確に伝えられていたのかなと思います。 ○唐木座長 高橋先生。 ○高橋委員 話がまた変わるんですけれども、リスクコミュニケーションの場合は危険 情報ですね。そのときに、既に食べ慣れていて、どうということのないものの場合、さ っき唐木座長からキンメダイの風評被害のことがありましたけれども、あれも不思議な 話なんです。  例えば、「ポテトチップスに大量のアクリルアミド」という報道は2002年10月31 日だったわけですけれども、ちっともポテトチップスパニックは起きなかったんです。  それから、その年の9月にがん学会の発表で、高濃度茶カテキン、要するに、高濃度 のカテキンでDNA損傷という三重大の発表があったんです。それも新聞記事になって、 これで高濃度茶カテキン飲料の売上げが落ちるんではないかと思ったら、全然落ちない んです。  例えば、シイタケもホルムアルデヒドをそれなりに含んでいます。ホルムアルデヒド はシックハウスで危ない物質ということで、現実に目が痛くなりますけれども、ざっと 計算すると、4kgのシイタケを食べるとホルムアルデヒドの致死量になります。でも、 皆さん、全然心配なさらない。  ポテトチップスにしても、茶カテキンにしても、学生の反応を見ると、それに関して は、大量に食べなければ大丈夫なんでしょうという、ごく真っ当な反応をするわけです。 ところが、食品添加物になると、それと全く同じ論であっても、何か変なもの、何か怖 いものという、そこのところのギャップは何なんだろうと、私は本当に大きい疑問を抱 えている。それまで食べ慣れてきているものであれば、ポテトチップスのようなもので あればとわかっても、高濃度にカテキンを添加している飲料などというのは最近のもの です。でも、それには皆さん、「体によい効果」みたいなものを期待してしまって、そ こに新たな危険情報があっても余り意に介さない。その辺り、どういうふうに分析して いかなければいけないのか、分析すべきなのかということは非常に大きな疑問で、一く くりではできないという印象を持っています。 ○唐木座長 それは心理学の分野だと思います。 ○小島委員 私の個人的な意見なんですけれども、新聞記者もそう思っているんです。 例えば、食中毒がそんなに大きく報道されないというのは、イメージとして、食中毒は 自己責任で、何か変なことに当たってしまったからという意識なんです。だけれども、 ダイオキシンとか添加物というと、化学物質のイメージがあるんです。別に新聞社に入 ったからではないです。入ったと同時にみんなそう思っているわけですから、要するに、 学校のときにそうなっているんです。そうやって教えられているんです。だから、新聞 社でダイオキシンが怖いと教えるわけではないです。1年生でも怖いと書いています。 それは、ずっと小さいころからそう思って育っているんです。メディアがそう書くとい うこともあるでしょうけれども、学校の先生もそういうふうに説明しているということ です。 ○唐木座長 どうぞ。 ○神田委員 今、学校の先生の話が出たんですが、平成17年にまとめたときも、やはり 学校の現場が非常に重要だということで、そういったところへの情報提供をきちっとフ ォローしていかないといけないということが出ていたんですけれども、その辺は一体ど うなっているのかなと思います。 ○唐木座長 どうぞ。 ○高橋委員 私は教育学部の家庭科教員養成課程というところにいて、大本なんです。 2〜3日前も、またかという感じで、正直うんざりしたことがありました。ある学校の 家庭科の教員が指導案的なものを持ってきまして、こういうことでやりますと言うんで、 またですかという感じでした。「食品の選択と調理」ということで、要するに、食品の 表示を見よう、例のごとく食品添加物を探そうという話になっていくわけです。  今、そうでなくても家庭科の時間が減らされている中で、教えることには優先順位が ある。ハムに発色剤が使われて、こういうふうに試薬を添加すると、こんなふうになる、 だから、こういうものは余り食べないようにしようみたいなことを言っていくわけです。 私は、ハムの発色剤や保存料が嫌だったら食べなければいいだけの話で、ほかに食べる ものがいっぱいある、たまに食べるハムの保存料に仮に発色剤が使われていても、それ は何の影響もないですよ、そういう立場で授業を考えているんですかと聞いたら、そう いうことは考えてもみなかったと、もうベテランの域に属する方がそう言うんです。  それは決してその教員だけの問題ではなくて、結局は教員の勉強会的なところでそう いうことが繰り返し伝達されてきていて、それこそ現代社会の変化というものにどう対 応するか、食品の保存ということも冷蔵庫の普及で高濃度の塩分を使わなくて済むよう になってきた、では、それに伴って何が変わってきたかということ、あるいは注意を喚 起するというよりは、ちまたで怖いと言われているような事柄、ですから、これはお化 けみたいなものかと思うんです。実態がないにもかかわらず、何か怖いもの、おどろお どろしいものみたいなイメージが完全にでき上がってしまっていて、それに現場の教員 たちが影響されてしまっているという現実が今日においてなおあるというのは、私の立 場で言うのは悔しいんですけれども、あります。ごめんなさいとしか言いようがないん です。 ○唐木座長 副読本にまで添加物が怖いというのが書いてあって、それを文科省に行っ て何とかならないかと言ったら、副読本は文科省の所管ではない、しかし、どこか悪い ことを書いてあるんですかと言われて唖然としたという話もあります。それは文科省の 話ですから、厚労省は違うかもしれませんが、できればそういった壁を取り払って何と か連絡をしてやってほしいとは思います。  たくさん御意見をいただいて、まだあると思いますが、残り20分になってしまったの で、自由な御意見をいただくのはこのぐらいにして、今までの御意見を参考にして、次 回からの議論の方向をつくっていくということを事務局にはお願いをしたいと思います。  最初に小島さんから非常に大事な提案があったのを、私は故意に無視をしていました。 それは、ケーススタディをするのが大事だということなんです。実は、ケーススタディ のことをこれから事務局の方で提案をさせていただくということで「メディアカバー調 査の概要」というところで説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。「メディアカバー調査 の概要(案)」でございます。  唐木先生からも御紹介がございましたように、今までの御議論の中でケーススタディ が必要だという御意見がございまして、私どもの方でメディアカバー調査の概要という ものを今回つくらせていただきました。  こちらにつきましては、厚生労働省から発信した食品の安全性に関する情報がメディ アでどのように報道されて、それを国民がどのように受け取っているかという現状を把 握したいということを目的としまして、データを収集するということで考えてございま す。この結果につきましても、こちらの懇談会の検討の材料となるように計画をしてい るところでございます。  2番の調査の内容は(1)(2)と大きくわけてございまして、まず(1)はメディ アの報道に係る調査ということでくくってございます。これまでに厚生労働省から発信 した具体的な過去の事例を選びまして、その報道自体を調査するということを考えてお ります。こちらから発信した情報と、実際に報道された内容について、趣旨の整合性に ついて調査をするということですとか、報道の規模について経時的に調べるですとか、 もしこちらで発信した内容と報道の内容の趣旨が違うということが見つけられた場合に は、その要因について検討するということを考えてございます。  (2)の国民の情報の受け取り方に係る調査でございますけれども、まずは国民がど ういった媒体を介して食品の安全に関する情報を入手しているかということを調査する。 また、アンケート調査などによりまして発信した情報について、国民がどのような趣旨 で受け取ったかということを調べる。その報道内容によって、受け手側の行動にどうい った影響を与えるか、受け手側のバックグラウンド、知識、そういったことによる要因 について分析をしたいということを考えてございます。  この調査につきまして、こういったことも調査の内容に加えたらいいですとか、そう いったアイデアがございましたら、是非伺いたいと思っているところでございます。こ ちらはここでの議論ではなく、次回までに御意見をいただきまして、次回の検討の材料 とさせていただきたいと思います。 ○唐木座長 今日は、こういうことを計画していますということだけで、内容について の御意見は後でいただくということですが、後というのは次回ですか、あるいは次回ま でに事務局に連絡するということですか。 ○事務局 できれば、次回までに御連絡いただきましたら、次回の検討会の資料として お出ししたいと思っています。 ○唐木座長 わかりました。この調査の結果がどうなるかというと、厚労省の情報の出 し方がよかったのかどうかという、そこに戻ってくるということになるわけですね。こ れは小島さんのさっきの御提案のところに戻ってくるわけです。御意見いただくのは後 でということですが、お1人、お2人、何か御意見、御質問があったら、どうぞ。 ○宗林委員 もしもう決まっていらっしゃるようでしたら教えていただきたいんですが、 国民の情報の受け取り方の調査ですが、どういった形の具体的な調査、例えば、母集団 をどうするのかとか、そういったところは結果に大変大きな影響を与えると思うんです が、どのような形でされるのか、具体的にイメージがつかめるものがありますか。 ○事務局 まだそこのところについては検討してございませんので、何か御意見等いた だければと思います。 ○宗林委員 例えば、人数、規模、そういったこともまだということですか。わかりま した。 ○唐木座長 それは非常に大事なところなので、是非専門的な御意見をいただいて、そ れで計画を立てることにしていくんだろうと思います。  どうぞ。 ○小島委員 この発信内容と報道内容の相違を分析するときには、書いた記者がなぜそ う書いたのかということが必要になります。そうすると、新聞社なりテレビなりにも、 どうしてこういうことを書いたんですかという質問状も送ったりするということなんで しょうか。 ○事務局 承りまして検討したいと思います。 ○唐木座長 そういうことも含めて、是非御意見をいただきたいと思います。  それから、過去の事例5例程度を選んでということですが、その5例程度というのは 何か目安がありますか。例えば、キンメダイとか。すぐに思いつくのは、キンメダイと かカイワレ、カイワレは前回やったんですね。BSEとか、中国製食品の問題とか、次 々出てきますけれども、その辺についても、何をやったらいいという御意見を是非いた だきたいと思います。中国製の食品も2002年の冷凍ホウレンソウの問題と2007年の段 ボール肉まんから始まる事件は違うし、冷凍ギョーザから始まる事件もまた違う。それ ぞれ違ったあれが必要でしょうし、その辺も是非、委員の皆様の御意見をいただきたい と思います。  どうぞ。 ○仁科委員 5例というのは、(1)と(2)の両方とも同じものを調べるというもの でしょうか。 ○事務局 まずは報道内容についてということと、その報道をどのように受け取ったか ということを関連して調べたいと思います。 ○仁科委員 はい、わかりました。 ○唐木座長 中野さん。 ○中野委員 報道なんですけれども、これは新聞報道に限定しているのか、それとも電 波媒体とか雑誌とか、いろいろありますけれども、そこら辺はどうでしょうか。 ○事務局 2番の1つ目のポツに記載してございますように、どういった媒体を介して 情報を入手されたかということも調べたいと思いますので、先ほど御意見もございまし たように、インターネットのブログですとか、そういったことも含めて検討をしたいと は考えています。 ○中野委員 では、1つの事例について、いろんな媒体を検討するということですね。 ○事務局 はい。 ○唐木座長 結構大変な調査になるだろうと思いますが、どういうことをやるべきだ、 どういったことを注意すべきだという御意見を是非事務局の方にお送りいただきたいと 思います。よろしくお願いします。  それでは、続いて、懇談会の進め方について、事務局から今後のスケジュールの説明 をお願いします。 ○事務局 それでは、資料4をごらんください。「今後のスケジュール(案)」として 簡単に記載をしてございます。  第1回目は本日になりますけれども、フリートーキングということで、第2回目以降、 1〜2ヶ月に1回程度の開催を考えてございまして、最初に御説明いたしましたように、 本日の御議論を踏まえまして、次回以降はテーマを絞りまして御議論いただきたいと考 えてございます。先ほど御紹介しましたメディアカバー調査についてですとか、論点に よりましては構成委員以外の方からのプレゼンテーションも考えてございます。3月に 最終的に主な意見としてまとめることを計画してございます。  以上です。 ○唐木座長 そんなふうに進んでいくということでございますが、この進め方について も何か御意見ございましたら、どうぞ。 ○小島委員 私が1つ提案したいのは、アンケートが全部まとまるのは時間がかかりま すので、その前に、例えば、既に間違いを指摘している人たちやグループはあるわけで す。例えば、BSEで何かおかしな報道をしたときに、どこかの団体がテレビに何か言 ったら、向こうがどう言った、どこが間違っているということを言ったら、向こうがこ う言い返したとか、遺伝子組換えにしても、BSEにしても、食品添加物にしても、そ ういう例は私もかなり知っていますので、そういう人たちの話を聞けば、何か参考にな る情報は得られるんではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。 ○事務局 かしこまりました。資料1の開催要領にも記載してございますように、構成 につきましては、構成委員以外の専門の方もお呼びして意見を伺うということも考えて おりますので、そういった方面の方の招聘も考えたいと思います。 ○唐木座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、今後のスケジュー ルは資料4のように進めていくということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○唐木座長 ありがとうございました。  それでは、大体予定の時間になりましたので、これで終わりたいと思いますが、その 前に何か言い残したことがありましたら、どうぞ。 ○小島委員 私ばかり言って済みません。これは直接関係ないんですが、1つ気になっ ている言葉が、さっき、安心とか安全が出たので、福田首相も、科学的な知見に立って 食の安全・安心を実現するというようなことを言います。それは福田首相だけではなく て、政府の人はよくそういうことを言うんですけれども、科学的知見に立って安全・安 心という言葉を使ってしまうと、泥沼に入ってしまうんではないかということなんです。  要するに、安全は確かに達成できるけれども、安心というのは、1兆円使っても安心 できない人は圧倒的に多いわけですから、安全・安心をセットにして政府の人が言うと いうのは不安をまきちらしているようなもので、それも一種の誤解を生ずる原因になっ ているんで、そういうことは政府の人もきちっと言ってほしい。これは余り関係ないん ですけれども、気になるんです。科学と安全・安心がいつもセットになって出てくる。 ちょっと愚痴みたいになってしまったんですけれども、済みません。 ○唐木座長 安全・安心を引っくり返して、まず安心が先に来て、安心・安全というの もあります。ただ、これは分野によって随分使い方が違うんです。我々は非常に神経質 に安全と安心は違うということを主張するんですが、ある分野では、例えば、工学の分 野などでは平気でそれをくっつけて、習慣的に使っている、何も疑問に思っていないと いうところもある。その辺のところは、分野別の使い方というのも調べていかないとい けないんではないかという気はします。  ほかに。小島さんの一言で今日はよろしいでしょうか。ありがとうございました。  それでは、本日の会はこれで終了させていただきます。次回以降の日程ですが、調整 をした上で改めて事務局から連絡をさせていただくことにしたいと思います。それでは、 本日はどうもありがとうございました。 照会先:食品安全部企画情報課     03-5253-1111(内線 2493,2452)