08/06/20 第2回肝炎治療戦略会議議事録 第2回肝炎治療戦略会議 厚生労働省健康局疾病対策課肝炎対策推進室 日時:平成20年6月20日(金) 場所:厚生労働省 省議室 1、開会 2、議事  (1)肝炎研究7カ年戦略(案)について  (2)その他 3、閉会 ○岩田肝炎医療専門官 定刻となりましたので、ただいまより、第2回「肝炎治療戦略会議」を 開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にあ りがとうございます。  まず初めに、厚生労働省大臣官房審議官の中尾の方からごあいさつ申し上げます。よろしくお 願いいたします。 ○中尾審議官 厚生労働省の中尾でございます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお 集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、5月に行いました第1回の会議に続く第2回目の「肝炎治療戦略会議」でございます。 御承知のとおり、この4月から政府といたしましては、B型肝炎、C型肝炎に対するインターフ ェロン治療への医療費助成、検査治療体制の整備、また普及啓発というような肝炎の総合体制を 行っているところでございますけれども、第1回の会議におきましても、大臣から申しましたと おり、肝炎にかかっておられる患者の方々にとりましては、やはり病気を治してもらいたいのだ と、大変切実な要求があるわけでございます。  現在のインターフェロン治療につきましても、副作用の問題でありますとか、肝硬変、肝がん に対する治療法保の問題でありますとか、いろいろな課題がまだ残されております。この肝炎治 療戦略会議におきまして、この医学的な種々の課題につきまして、研究を進めていただくという ことがまさに喫緊の課題でございます。  前回の会議につきまして、今回の会議におきましては、今後7年間にわたる肝炎治療の戦略的 研究の大方針といたしましては、肝炎研究7か年戦略というものを策定していただくということ を考えておりますけれども、この会議におきまして、委員の皆様方の御議論をまた交わしていた だきまして、患者の皆様が将来に希望を見出せるような戦略を打ち立てていただき、これに基づ きまして、私どもも肝疾患の治療研究を加速してまいりたいと考えておりますので、どうかよろ しくお願いいたします。 ○岩田肝炎医療専門官 ありがとうございます。  それでは、本日の出席者の方々を御紹介いたします。座長でございます林紀夫先生。大阪大学 消化器内科教授でございます。  飯沼雅朗先生。日本医師会常任理事でございます。  岡上武先生。済生会吹田病院院長でございます。  金子周一先生。金沢大学大学院医学系研究科恒常制御学教授でございます。  熊田博光先生。国家公務員共済組合連合会虎の門病院分院長でございます。  坪内博仁先生。鹿児島大学大学院医歯薬総合研究科消化器疾患・生活習慣病教授でございます。  豊田成司先生。札幌厚生病院副院長でございます。  脇田隆宇先生。国立感染症研究所ウイルス第二部部長でございます。  以上、8名の先生方でございます。  事務局側の方の紹介をさせていただきます。先ほどあいさつをさせていただきました、厚生労 働省大臣官房審議官の中尾でございます。  同じく厚生労働省肝炎対策推進室室長の正林でございます。  私は厚生労働省肝炎対策推進室肝炎医療専門官をやっております、岩田と申します。よろしく お願いいたします。  以上で出席者の紹介を終わります。 (報道関係者退室) ○岩田肝炎医療専門官 では、ここからの議事の進行は、座長でいらっしゃいます林座長の方に お願いいたします。 ○林座長 それでは、座長を務めさせていただきます。議事に入ります前に、事務局の方から資 料の確認をお願いいたします。 ○岩田肝炎医療専門官 資料の方は、お手元にございます資料がありまして、頭紙1枚めくって いただいて、座席表をめくっていただいて、本日の会議のメンバーがございます。  資料1と題しまして、2ページ。今回の肝炎研究7か年戦略の概要ペーパーが2枚。  資料2から10ページ、今回の肝炎研究7か年戦略案を添付させていただきました。資料に関 しましては以上でございます。不足等がございましたら、お申し出いただきたいと存じますが、 よろしいでしょうか。 ○林座長 よろしゅうございますでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。  前回の議論を踏まえまして、またその後、各委員の先生方から御意見をいただきまして、事務 局の方で肝炎研究7か年政略の案を御作成いただきました。それは事務局の方から御説明をお願 いいたします。 ○正林肝炎対策推進室長 肝炎対策推進室長の正林でございます。前回さまざまな御意見をいた だきました。特に前回は骨子案をお示しして、その骨子案に対して御意見をいただき、更に岩田 の方からしつこいほどメールのやりとりをさせていただいて、多数の御意見をちょうだいいたし ました。本当に先生方はお忙しい中、非常に長い文章を何度も何度も読まされて、私どもは大変 恐縮しております。本当に御協力をありがとうございました。  今日は一応だんだん形になってまいりましたので、今から案という形で御説明をしたいと思い ます。概要は飛ばしまして、早速本文の資料2の方で御説明をしたいと思います。  まず「はじめに」ということで、前回も資料としてお付けしましたが、肝炎の研究の歴史につ いて簡単に触れております。昭和38年の血清肝炎調査研究班でスタートして、途中で名前を変 更したり、研究テーマも変更しながら、ずっと続いてまいりました。  平成10年度には、新興・再興感染症研究事業の中でも扱われてきましたし、平成14年度から、 本格的な肝炎等克服緊急対策研究事業という形で現在まで継続されています。  ウイルス性肝炎は国内で最大の感染症であり、ほうっておけば重篤な病態を招くような疾患で す。昨年11月には与党のプロジェクトチームにおいて、新しい肝炎総合対策の推進がとりまと められて、その中で研究の促進というものが指摘された。また、肝炎の患者団体、肝炎の原告団 を始め、多くの患者関係者から、肝炎に対する治療成績の向上に向けた取組みを期待する声が上 げられてまいりました。  こうした動きを受けて、肝炎の研究の専門家が集まって、この研究戦略7か年戦略をとりまと めた。厚生労働省としては今年度が7か年、治療成績の大幅な改善につながる成果の獲得を目的 として、肝疾患の研究の充実強化に全力で取り組むべきであるというような「はじめに」を付け ております。  「1.研究の現状及び課題」として、まず「(1)臨床研究」。  B型肝炎については、これまでインターフェロン治療を行ってきたわけですが、臨床的治癒率 については約30%で、ウイルスの増殖抑制目的の逆転写酵素阻害剤、いわゆる核酸アナログが 今は主体になっています。この逆転写酵素阻害剤を長期間使用した場合に耐性化するケースが今 は問題になっている。  C型肝炎については、インターフェロンの治療効果がぐんぐん上がってきてまいりました。1 b型の高ウイルス量症例以外については、90%近い根治率が得られています。ただ、1bの高ウ イルス型については、まだ50%程度にとどまっておりますし、高齢の女性への治療効果が相対 的に低いとか、かねてから副作用のための離脱者あるいは御高齢のためになかなか副作用に耐え られないということで、非適応者が存在するということが問題になっている。  肝硬変ですが、代償性肝硬変について、逆転写酵素阻害剤の投与で状態の改善が見られたり、 C型肝由来の代償性肝硬変では、血小板減少状態の患者に対して脾臓摘出手術を行ったりして、 著効を得ることもある。ただし、非代償性肝硬変については、根治治療は困難で、肝庇護療法と か食道静脈瘤に対する対処療法が主体となっており、新たな根治治療が求められている。  肝がん。早期がんではラジオ波焼灼療法や手術によって、局所の治療成績はよいものの、ウイ ルスそのものは残存してね肝炎の根治が難しかったり、再発率が高いということが問題で、肝が ん全体では5年生存率は25〜30%にとどまっているということです。  基礎研究については、困難と言われた培養細胞におけるC型肝炎ウイルス増殖系を確立できま した。安定した動物モデルであるヒト肝細胞キメラマウスを世界に先駆けて作成することに成功 しました。ただ、肝炎ウイルス感染後の病態の進行過程とか、抗ウイルス薬に対するウイルスの 耐性化など、そのメカニズムはまだまだ十分に解明されていない。  疫学研究。感染者数の推計の基になるデータ収集とか、その結果として、いろんな行政施策の 立案に生かされてはきていますけれども、一方で調査地域の偏在が見られたり、全国規模の研究 がまだまだ十分には行われていないといったことも上げられると思います。  以上のような現状及び課題を受けて、7か年戦略として、まず研究の方向性です。  臨床研究については、B型肝炎については臨床的治癒率の改善を目指した新規治療法の開発等 の研究を行う。  C型肝炎については、次世代的なインターフェロンの治療法による根治率の改善とか副作用の 少ない治療薬・治療法の開発を目指す。  肝硬変については、線維化の機序を解明して、再生医療なども利用した根治治療を考慮した研 究を行う。  肝がんについては、診断のマーカー、最新の画像機器を用いた超早期発見技術の開発とか、あ るいは新規の治療法の開発に関する研究も行っていく。  基礎研究については、開発された感染モデル動物を用いた研究を推進して、更に肝炎ウイルス 感染後の病態の進行過程とか、抗ウイルス薬に対するウイルスの耐性変異に関わる過程とか、更 に宿主因子といったものについての研究を進める。基礎研究、疫学研究から得られる研究情報を 統合して、肝炎の研究及び臨床などに有用なデータベースを構築する。  疫学研究は、感染者数の実態を明確にするための全国的な規模で、かつ継続的な研究を行う。  行政研究は、検診とか予防対策をさまざまとっていますけれども、それの効果をより高めるた めの研究も行っていく。以上のような研究を支持し、その基盤となるような人材の養成もはかっ ていく。  以上にような方向性をまず定めて、その上で、では今後期待される新たな課題として、以下の ようなものを挙げています。  臨床研究。B型肝炎については、最新のインターフェロン治療の開発、多剤耐性ウイルスのた め難治化したB型肝炎における新規の逆転写酵素阻害剤による治療。B型肝炎のジェノタイプに 応じたインターフェロン及び逆転写酵素阻害剤の投与基準の標準化といった課題が考えられま す。  C型肝炎。免疫賦活作用の増強を治療に応用した研究とか、薬物以外の方法を用いた新規治療、 インターフェロンの副作用の提言を目指すような研究。抗原虫薬の効果といったものが新しい課 題として考えられます。  肝硬変。ヒトのiPS細胞とか骨髄幹細胞、脂肪細胞由来の幹細胞など、そういったものを利 用した肝再生肝機能回復に資するような研究を行う。  肝硬変から発がん予防を念頭に置いた治療法なども考えられます。  肝がん。放射線治療や免疫療法を従来の化学療法と組み合わせた集学的治療法に関する研究と か、肝細胞の増殖因子などを用いた肝再生医療に関する研究。  基礎研究。ヒトiPS細胞を利用したような研究とか、新規のワクチン及び免疫グロブリンに よる感染阻止に関する研究。あとは発がん機構の解明などが考えられます。  疫学研究は、肝炎ウイルス感染後の長期経過・與語調査に関する全国規模のデータベース構築 に関する研究とか、行政研究も専門医と一般医の連携に関する地域ごとの取組みについての研究 といったものが考えられます。以上が新しいテーマであります。  次に、今までも行ってきましたが、今後も継続して取り組んで、早急に成果を得るための研究 課題として、まず臨床研究ですが、B型肝炎、ジェノタイプのA型の慢性化を予防するための研 究とか、免疫抑制、化学療法中に再活性化するB型肝炎の治療についての研究とか、C型肝炎に ついてはインターフェロンの難治例を対象にした治療。ペグ、リバ、更にプロテアーゼインヒビ ター阻害剤の3剤を併用するようなものについての評価を行う研究とか、C型肝炎のウイルス遺 伝子の非翻訳領域を標的とした新規薬剤の研究。ウイルスの選択的抗ウイルス剤の評価に関する 研究。最新の治療治の標準化。宿主因子の強化。C型肝炎のキャリアの未治療例への対応。肝移 植後のC型肝炎の再発に対する治療といったものが考えられます。  肝硬変。肝の線維化抑制に結び付く新規治療法。ジェノミクス解析から肝硬変による肝線維化 の非観血的な検査法。そういった研究が考えられます。  肝がん。早期発見のための新規がん診断マーカーの開発。画像診断。ジェノミクス解析による 肝がんの再発因子。テーラーメードとかいったもの。肝がんの根治治療後の再発抑制。新規の抗 がん剤。陽子線とか炭素線の治療とか肝臓の栄養代謝が及ぶ発がん抑止といったものが考えられ ます。  基礎研究。肝炎ウイルスの培養系を用いたウイルスの生活環の解析と新たな治療標的の同定に 関する研究とか、既存薬剤のスクリーニングとか、ヒト肝細胞キメラマウスを利用した複製増殖 機構、病態発現機構に関する研究。ウイルスレセプター、薬剤体制のB型肝炎ウイルスの解明。 酸化ストレスの意義。線維化と脂肪化の関係。インスリン抵抗性。ウイルス側因子、病態宿主側 因子のデータベース構築といったものが考えられます。  疫学ジェノタイプAの感染様式とか地理的分布。感染患者数の今後の動向予測といったものが 考えられます。  次のページで行政研究。ウイルス肝炎の未検査例への対策とか、海外渡航者の予防対策、検診、 診療を受けれる体制の確立に関する研究、研究情報のデータベース構築に関する研究といったも のが考えられます。  目標であります。今後7年間でいまだ解明されていない肝炎等の本態解明に迫り、更に肝がん における診断マーカーや画像診断等新たな肝疾患の検査法の開発や、新規治療法の開発等を行 い、その成果を予防、診断、治療に反映させる。  その結果として、これまで改善が極めて困難と言われてきた肝疾患の治療成績。特にB型肝炎 は非常に難しい疾患でありますけれども、B型肝炎については臨床的治癒率も現状の30〜40% まで、C型肝炎の根治率は50を70まで、非代償性肝硬変の5年生存率を現状の25をB由来は 50、C由来は35まで、進行がんの5年生存率を現状の25から40%まで改善するといったこと を目指していこうといった目標を掲げています。  臓器の研究を進めるための基盤整備。まず新規の重要な課題について、それに対応するために 肝炎等克服緊急対策研究費など、肝炎にかかる研究費のさらなる重点化、集中投資といったこと が必要。研究の集中化と一元化の実現ということで、今、行われている研究がそれぞれの期間で それぞれ独自に行われていて、特定の分野が抜け落ちたりとか、そういったことが生じがちです ので、ある程度、研究の情報について一元化して、全体を調整するような機関が求められてきた。  国立感染症研究所において、研究の方向性を定めて、研究成果の情報収集・解析、研究者の育 成を新たに実施し、本邦における肝炎研究の中核的機関として機能を充足させるための体制の整 備といったものが必要。  臨床研究や情報発信を国立国際医療センターで行っていただくことにしておりますが、そうい った両機関がお互いの機能を補完しながら、肝炎全体の研究を先導していくといったことを指摘 しております。  人材育成。基礎、臨床、疫学、すべての分野において人材不足に対応するため、特に若手の研 究者の育成とか活用に関する取組みの充実強化を図っていく。  あとは国際交流。外国人の研究者の招聘とか、あるいは外国への日本人研究者の派遣とか、外 国研究機関等への委託事業。そういったものについて重点化をはかっていき、積極的な人的な交 流なども考えていこうと。  最後に戦略の評価、見直しということで、一応7年間はこの戦略を続けていくわけですけれど も、途中、大体3年後くらいにきちんと評価をして、場合によっては戦略の評価、見直し、それ に応じた適当な措置を講じていくということも書かせていただいております。  あとは用語集を9〜10ページに付けております。実は前回第1回を開いた後、後ろで聞いて いたマスコミの方々から、難し過ぎて議論に付いていけなかったという御意見を多数いただい て、戦略ペーパーもこうして示しておりますけれども、難しい言葉がたくさん出てきております。 この戦略ペーパーは専門家の方々だけが読むわけではありませんので、例えば肝炎の患者さん 方、あるいはこういった分野を全く御存じない方のために、できるだけ平たく、場合によっては 専門家の目で見たらおかしいという表現も多々あるかもしれませんけれども、全く御存じない方 を念頭に置きながら、できるだけわかりやすい言葉を使って用語集をつくってみました。  これも後ほど、先生方の目で見ていただいて、御意見をいただきたいです。全部を説明すると あれですので、まずざっとお読みいただきたいんですけれども、例えばインターフェロンという のも抗ウイルス効果を有する免疫物質であり、体内で生成されるもの。これは肝炎ウイルスの増 殖抑制にも大きな効果があることが判明して、同様の作用を有する薬剤が開発された。  5番に1b型がありますけれども、C型肝炎の遺伝子型の一種で、日本人の感染者患者の約 70%がこの型のウイルスに感染している最多の遺伝子型。  9番のヒト肝細胞キメラマウス。ヒトの肝細胞を移植して、動物のモデルとして開発されたマ ウス。  13番の樹状細胞。インターフェロン産生等を惹起する免疫細胞。  17番のDDSは、ドラッグ・デリバリー・システム。これは薬物の送達システム、もしくは 薬物の輸送システム。目標とする患部に薬物を効果的かつ集中的に送り込む技術。薬剤を膜等で 包み、途中で分解されないようにしながら患部に到達させ、そこで薬剤を放出させる。治療効果 は高く、副作用軽減が期待されという説明を入れています。  21番の幹細胞。ある細胞に変化するようにという指示を受けると、特定の細胞に変身をする 能力を有する細胞。また変化を遂げる前の未分化の状態で長期化にわたって自らを複製、再生す る能力も備えている細胞。こういった説明を加えています。  10ページです。例えば25番のプロテアーゼ阻害剤。ウイルスRNAを適切な部分で切断し、 ウイルス増殖に寄与しているタンパク、プロテアーゼ等の合成を阻害する薬剤。C型肝炎ウイル ス増殖抑制効果が期待される。  28番のジェノミクス解析。新規治療薬の開発を考慮した患者遺伝子と疾患とを関連づける解 析です。  33番、テーラーメード治療。個人のタイプ、例えば遺伝子型に応じて最適な医療を提供する ような治療。  38番、酸化ストレス。体内で生成する活性酸素の組織損傷力と抗酸化力の差。  以上、合計39にわたる、一般の方が見てわからないかなと思われるものをピックアップして、 事務局の方で考えながら説明を加えてみました。  以上が先生方から御意見をいただいて、とりまとめた7か年戦略であります。 ○林座長 どうもありがとうございました。7か年という少し長い期間でございますけれども、 恐らく特定の領域はかなり進歩の早い領域もあるでしょうし、余り進歩が認められない領域もあ ると思いますので、3年後に一応見直すということでございますけれども、事前に先生方にごら んいただいていると思いますが、個々というよりも全体の御意見等をお伺いさせていただきたい と思いますので、お気づきの点とか何かございましたら、御意見を賜ればと思いますが、いかが でございましょうか。  目標の数値とかを具体的に書かせていただいておりますのが、確かにエビデンスがあって、根 拠のある数字と少し根拠があやふやな数字もございますけれども、これはあくまでも目標とする 数値だということで、エビデンスが余りないところもございますが、目標だとお考えいただけれ ばいいのではないかと思っておりますが、先生方にごらんいただきまして、お配りした後に少し 変わっている点もございますので、御意見を伺えればと思います。 今、事務局からお話がございまして、かなり専門的な内容になっておりますので、我々も自分の 専門外のところはよくわからない点もございますが、かなり高度な内容でございます。  坪内委員、どうぞ。 ○坪内委員 目標のことなんですけれども、7ページの戦略の目標の(2)C型肝炎の根治率を現状 の約50%から70%まで改善するという、このC型肝炎の現在の根治率が50%というのは、治療 できないような人も含めた根治率になっているんでしょうか。と言いますのは、難知例以外では 大体90%ぐらいが治って、難知例でも治療すれば50%ぐらい治るわけですから、今の根治率は 少なくとも50%よりは全体で見ると、治療を受けられる人については高いと思うんです。この 50%が治療を受けられないような人も含めての50%だったらこれでいいと思うんですけれども ね。 ○林座長 これは恐らく文章の前の部分に、今、一番問題なのが1bの抗ウイルス型のいわゆる 難知例が今後の目標になるので、それを想定した数字を書いています。ただ、坪井先生の御指摘 のように、B型を含めますと、もう既に50%という数字よりもかなり高い数字になってくると 思いますので、そういうことを目標としているという意味で御理解いただければと思っておりま す。 ○正林肝炎対策推進室長 これは(2)はC型肝炎(1b抗ウイルス型)とした方がいいですね。付 け忘れていました。済みません。 ○林座長 C型肝炎の処理で、括弧でそういうふうに入れさせていただきたいと思います。どう ぞ。 ○岡本委員 7ページの(1)で、7年かけて30%から40%というのは、いかにも寂しい感じがす る感じがします。これは新しいペグや核酸アナログなどが入ってきますと、もう少し上がるよう な気がします。7年も研究して10%上がらないのかと気もされると思うので、せめて50%くら いにしておいた方がいいのではないでしょうか。 ○正林肝炎対策推進室長 B型肝炎ですね。 ○岡本委員 (1)のB型肝炎です。 ○林座長 一番最初の案は50%になっていたんですけれども、現在の治療の根拠から言うと、 もう少し低く設定した方がいかがかという御意見もございまして、10%下げさせていただいたん でございますけれども、熊田委員、いかがですか。 ○熊田委員 臨床的治癒の判断ですね。ですから、いわゆるドラッグフリーになって、少なくと も1年以上経ったということにしないと、やはり短い期間であれば当然50%はいくかもしれま せんが、やはり7年あると逆にやめてからのデータを1年でとったというデータになると、Bの 今の肝がんがこの15年間で全く減っていないということを考慮すると、逆に余り上げると実効 性を疑われるかなと。3年後の見直しのときにそれを見直すということであれば、別に50にし ても構わないと思います。 ○林座長 これは臨床的治癒率を何をもって判断するかで、このパーセント値が変わってくると 思うんですけれども、岡上委員はそこのところはいかがですか。 ○岡上委員 現在の臨床的治癒率はウイルスの量とフェロコンと肝機能ですね。そうすると結 局、現状の措置だと30%は正しいかという話にもなってくるので、現状を30%とすれば多分、 私は10%くらいのことができると思うんですが、むしろ現状の30が少し高いかなという気がし ます。ですから、7年間で20%くらいの上乗せはできるのではないかという感じはしています。 ○林座長 確かに現在の30%と根拠が少し問題になりますので、逆に臨床的治癒率は何をもっ て判定するかということで、これを30%を少し下げて40%を残すか、30%をそのまま残して50% にするかというところで、B型は何をマーカーにするかでかなり変わってしまいますのでね。 ○岡上委員 多分これは欧米でインターフェロンによるフェロコン率が大体20〜30ということ をベースにして書かれたと思うんですけれども、それは欧米、特にヨーロッパでは遺伝子の型が Aが圧倒的に多いので、Aというのは非常にインターフェロンにセンシティブなんです。  ところが、日本はジェノタイプCで母子感染が圧倒的に多いわけですので、インターフェロン 単独治療で日本では20%の長期のフェロコン率は得られていないわけですから、むしろここを 20にするなら40でもいいかなと。ここを30にするなら、もう間もなくペグも多分保険に認可 されると思いますので、新しい核酸アナログとか、あるいは最初から多剤併用とかいうものが試 みられると思いますし、核酸アナログとインターフェロンのシークエンスとか、そういういろい ろなものが入ってまいりますので、10%削除は私は寂しい気がします。 ○林座長 C型の場合はドラッグフリーですが、B型の場合はドラッグを服用していってウイル スの量を下げているのも、治療効果と見るか見ないかによって大幅に変わってしまうところだと 思うんですが、熊田委員、どうしますか。これは20、40にするか30、50にするか。 ○熊田委員 実際に今ドラッグフリーになっているのは、核酸アナログをやめて、例えばラブミ ジンでやめても8割は再現しますから2割ですね。インターフェロンも治療効果も今の6か月は 2割ですね。そうすると、その現状認識は20%増というのが基本的なデータになると思うんで す。  ただ、岡上委員の言われたように、日本はジェノタイプがなかなか保険が認可されないという のが非常に大きな問題なんですけれども、日本のジェノタイプを考えると、トータルでは20と いう形でもいいと思います。 ○林座長 では、ここのところは基の方を20%にしましょうか。臨床的治癒率のマーカーを何 をもってするかによって、ここの10%が動いてしまうと思うんですけれども、ドラッグフリー、 いわゆる抗ウイルス抑制剤を服用しなくても治癒していることを想定すると、20%という数字は 根拠のある数字ではないかと思いますので、事務局よろしいですか。別にそこまで残しても、こ れは行けるところだと思うんですが、恐らくいろんな省庁の了解は取られていると思いますので ね。 ○正林肝炎対策推進室長 手元にないのであれなんですけれども、学会の出しているガイドライ ンでは、B肝はたしか30になっていて、外国で40というのもあるという記述があって、40は ちょっと外国のデータなのでやり過ぎだろうと。それでとりあえず30かなと思っていたんです。 ○林座長 それは基の30を残すと、その根拠のマーカーだとここのところは50%に設定しても いけなくはないかもわからないというのが御意見だと思います。上のところは40ではなくて50 にしてもよろしいですか。 ○熊田委員 ですから、定義を完全にC型と同じように全部の治療をやめても1年経っても経過 がいい人ということをきちんとすると、もともとはやはり20でしょうね。うちのデータもペー パー化されていて、やはり20です。 ○林座長 確かに事務局のおっしゃるように、実は肝臓学会の出版物は30%になっているんで す。 ○岡上委員 私はあれをつくった責任者なので責任を感じているんですけれども、ただ、今も世 界的にB型肝炎に関してはウイルスの量、HBVのDNAの量をe抗原陽性を10の5乗 copies/ml未満をe抗原陽性を10の4乗copies/ml未満にすれば、もう肝炎はほとんど起こらない わけですので、むしろそれを明記した方が臨床的治癒の判定の何にするかというところではわか りやすいような気がします。ウイルスの増殖を一定以下に抑える。それが長期に持続するものを 臨床的な治癒とする。そうすると、肝炎の進展も抑制されるし、発がんも抑制されるというきち んとしたデータもございますので、そういうふうにした方がむしろわかりやすいかもわかりませ ん。 ○熊田委員 ドラッグフリーではなくて、ということですか。 ○岡上委員 ドラッグフリーで、ということです。 ○林座長 ドラッグフリーでむしろ量が下がっている状態と。 ○岡上委員 はい。 ○林座長 いろんな御意見がありましたが、これはこのまま数字を残しておきましょうか。これ はなかなか難しいところで、そのマーカーで実際は治療者で50%以下いけるかというと、いけ る可能性もあるとは思うんですが、いかれない可能性もかなりあるというところで、これはなか なかどのマーカーをもってするかによって、そこのパーセンテージが変わりますので、原案の 30、40と、そのまま残しておいてもよろしゅうございますか。むしろ40%を超えれば、これは 非常にありがたいことだと思いますけれども、目標の数字で、たかだか10%しか治癒率が伸び ないのかというと、確かにそのとおりなんですが、もともとの30が少し高めの設定ですので、 40%くらいということでよろしゅうございますか。  ほかはいかがでございましょうか。どうぞ。 ○飯沼委員 1ページをごらんいただきますと、基礎研究のところです。C型肝炎ワクチン開発 の基礎が確立したということで、大変うれしい話でございますけれども、戦略の目標も含めて、 ワクチンの話が出てきませんけれども、そこら辺の見通しとかを加えた方がいいのではないかと いう気がしますが、いかがですか。 ○林座長 脇田先生、いかがですか。 ○脇田委員 新たな課題のところで、基礎研究で新規ワクチン及び免疫グロブリンにより感染組 織に関する研究と挙げられています。先生の言われたワクチン開発の基礎というのは、今までの C型肝炎に対する研究班というので継続していますので、継続した課題のところでもC型肝炎に 対するワクチン開発というのを入れていただければと思います。 ○林座長 脇田先生、これは感染予防という意味ではなくて、治療用のワクチンということです か。 ○脇田委員 むしろ新たな課題としての新規ワクチンによる治療的ワクチンの開発ということ を新たな課題の方に入れて。 ○林座長 新たな課題の方に入れさせていただく方がいいですね。 ○脇田委員 そうですね。治療的ワクチンに関しては、それを新規課題の方に入れた方がいいか と思います。感染予防ワクチン開発に関しては、現状は研究班が走っていますので、継続して取 り組む方の課題ということで入れていただければと思います。 ○林座長 よろしいですか。 ○正林肝炎対策推進室長 確認をします。5ページの基礎研究の上から2つ目の○の新規ワクチ ンを。 ○林座長 だから、C型肝炎のところに入っていなくて、基礎研究のところに入っていますので、 それでよろしゅうございますか。 ○正林肝炎対策推進室長 新規を治療的に直すということでよろしいですか。 ○脇田委員 はい。 ○正林肝炎対策推進室長 そして、6ページの(2)の基礎研究の一番下に、C型肝炎の感染予防の ためのワクチン開発に関する研究という感じですか。 ○脇田委員 はい。 ○林座長 予防は抜いた方がいいんですか。 ○脇田委員 現状、走っているのは予防的ワクチンなんです。治療的ワクチンは新たな研究の対 象ですから。 ○林座長 ここは予防のことも入れておいた方がよろしいですね。 ○脇田委員 はい。 ○林座長 ほかにございますか。 ○坪内委員 5ページの上から2つ目の○の肝細胞増殖因子などの再生医療に関する研究とい うのは、この肝がんのところでなくて。 ○岩田肝炎医療専門官 肝硬変のところに書き変えた方がいいと思います。これはどこに入れた らいいでしょうか。 ○坪内委員 肝硬変の4ページ目の「(iii)肝硬変」の一番上がいいのではないかと思います。 ○岩田肝炎医療専門官 確認いたします。 ○坪内委員 もう一つは、6ページにC型肝炎において宿主因子の強化に関する研究とかいうの もC型肝炎のところに入っていますけれども、最近は食品成分などの抗酸化活性とかを利用した 研究なども結構行われているようですし、患者さんにとっても関心の高い議題ではないかと思う ので、何かそういう肝炎の病態、改善を目指した高機能性食品に関する研究みたいなのも、どこ かの新規の例えば4ページのC型肝炎の一番下のところとか何かに入れておくといいのではな いかと思います。これは基礎研究と言えば基礎研究の方かもしれませんけれども、どうでしょう か。 ○林座長 基礎研究の方に入れさせていただいた方がいいかもわかりませんね。 ○正林肝炎対策推進室長 1個1個確認させていただきます。4ページの肝硬変のところに、1 つ目の○がヒトiPS細胞、骨髄肝細胞、脂肪細胞由来幹細胞と例示が上がっていますので、そ の例示の1つに細胞増殖因子を加えます。それでよろしいですか。 ○坪内委員 移すんです。だから、5ページの方はもう削除です。 ○正林肝炎対策推進室長 はい。 ○林座長 それから、もう一つが機能性食品のことをどこに入れるかなんですが、これはなかな か難しい問題もあるので、基礎研究の方に入れておいた方がいいのではないですか。 ○坪内委員 そうですね。すぐに臨床というわけにはいきませんけれども。 ○正林肝炎対策推進室長 どんな表現がよろしいでしょうか。入れるとしたら5ページの基礎研 究のところでしょうか。 ○坪内委員 一番最後のところだと思うんです。 ○脇田委員 今、新規抗ウイルス薬の開発の研究の一環として、そういった機能性食品をやって います。ですから、機能性食品によるC型肝炎病態改善を目指した研究といったことでよろしい ではないかと思います。 ○林座長 機能性食品によるC型肝炎でよろしいですか。 ○脇田委員 では、ウイルス性肝炎の病態改善を目指した研究と。 ○坪内委員 そういう高機能性食品とかいうのがどこかに出てきていた方がいいのではないか と思います。 ○正林肝炎対策推進室長 繰り返します。場所は5ページの(2)の基礎研究の4つ目の○をつくっ て、機能性食品によるウイルス性肝炎の病態の改善に関する研究。 ○林座長 金子委員、どうぞ。 ○金子委員 7ページの(4)の(3)の非代償性肝硬変の5年生存率現状の25%と書いてあるん ですけれども、うちで7〜8年前に腹水が出た肝硬変の5年生存率を出したことがあるんです が、7〜8年前の段階で、大学病院という特殊性はありますけれども、そこでもう5年生存率が 50%を超えていたので、この出典がどこであるのかがわからないんですけれども、私の印象とし ては、いわゆる腹水で出るとか黄だんが出るとか脳症が出るというのを非代償性と言うんですけ れども、腹水が出たような患者さんで5年生存率25%というのは、大学病院でなくても現状は もうちょっといいのではないかと思うんですけれども、ここの根拠は何の出典でしょうか。 ○岩田肝炎医療専門官 チャイルド分類というのがございますけれども、肝硬変のチャイルドC 辺りをターゲットにさせていただいた教科書的なものをとらせていただいて、低い方の数字かと 思うんです。  あと先生の方で確かに50%で、腹水がわいてコントロールされて、代償性肝硬変から非代償 に移行も含めてしまうと、かなりいい数字のものがございましたので、設定として特に難知と言 われているチャイルドCの非代償性肝硬変の補正率というので、こういった数字を出させていた だいたんですけれども、こちらは議論していただきたいと思います。 ○林座長 これは恐らくかなり施設間での偏りはあると思うんです。これは実は大きなマスの数 字がないんです。教科書的には事務局がおっしゃるように、この数字が出ているんです。ただ、 金子委員がおっしゃるように、この数字が出ないというのも恐らく事実だと思います。 ○金子委員 恐らくチャイルドCというと、もしかすると25%くらいかもしれないです。ただ、 非代償性肝硬変というとチャイルドCを言っているわけではないので、軽く腹水が出たくらい で、もう非代償期に入ったという診断をするのであると、もうかなりいいと思います。 ○林座長 どうぞ。 ○豊田委員 それに関連してなんですけれども、これは治療目標として上げる場合に、Bの場合 はアナログのことを念頭に置かれているんだと思うんですけれども、今、金子先生のおっしゃる ようなチャイルドCのC型の非代償性肝硬変の予後を改善するというのは、どういうことを想定 されて、その目標値を設定するのかを教えていただければと思います。 ○林座長 これは当然のことながら今はエビデンスがないんですけれども、7年ですので、恐ら く経口の酵素剤のことを念頭に置いています。だから、これはB型と同じことで、これからもど んどん出てまいりますので、当然のことながらインターフェロンを使うか使わないかは別にして も経口の酵素剤のことを想定して、このパーセンテージを10%としていますので、今は恐らく エビデンスがないと思います。  肝硬変で恐らく事務局が悩まれているのは、チャイルドCと書くよりは、非代償性と書いた方 が普通の方には御理解いただけるだろうということで、恐らく非代償性という言葉を使われたと 思いますので、非代償性の肝硬変という言葉を残すとすると、この25%を35%くらいですかね。 チャイルドBも恐らく入るからですね。 ○金子委員 私の知っている限りでは、肝臓学会を含めて、なかなか数字が出てこないです。 ○熊田委員 事務局が言われているチャイルドCのデータだけは出ているんですね。正確に言え ば、先ほどの1b高ウイルス量に出ているわけですから、数字をこのまま残すのであれば、括弧 でチャイルドCにして注語で入れればいいし、今、豊田委員が言われたように、ここのところが 今は一番データがないし目標もない。  ただ、アルブミン製剤もそんなに使えないという現状ですから、林座長が言われるインターフ ェロン以外の高ウイルス剤だけでの開発が7年以内に行われれば、それが希望的観測としては出 てくる以外にないですね。 ○林座長 恐らくこれはB型肝炎の数値からしか類推できない。だから、B型肝炎でもしくは今 の酵素剤でこの数字になるんだったら、C型肝炎も開発されれば同じ数字よりはもう少し悪いで しょうけれども、なるだろうという類推しか今のところはできないだろうと思うんです。  これは括弧してチャイルドCだけ入れておいたいいですか。出典の根拠を言われるときに、非 代償性の肝硬変で、25%がどこから出てきているんだと言われたときに困るかもわからない。普 通の方から見られても、チャイルドCという意味が全然御理解いただけないかもわからないで す。 ○正林肝炎対策推進室長 わかりました。確認します。この(3)の非代償性肝硬変(チャイルドC) というふうに括弧書きを入れると。 ○林座長 あとは25%を残して、50、35についても今のところはエビデンスがないわけですの で、Bについては欧米の成績でかなりよくなるだろうということは、大体予測は付くんですが、 まだ数字がないので、大体このくらいの数字が予想されるだろうという数字だと思います。  どうぞ。 ○脇田委員 抜けてしまったかもしれないんですけれども、いわゆる透析施設での感染等を念頭 に置いた、その新規感染防止に関する取組みということがないと思うんです。行政的な研究にな るかもしれませんが、新規感染を防止するための研究ということを入れた方がいいのではないか と思います。  昨今、非常に話題になっている採血器具の使い方等のこともありますので、そういった課題を 入れておいた方がいいのではないかと思います。 ○林座長 特に7ページの行政研究の5番目のところに、新規感染阻止ですか。 ○脇田委員 肝炎ウイルスの新規感染を阻止するための研究ですか。ただ、ワクチンとかそうい うことではなくて。 ○林座長 対策ですね。肝炎ウイルスの新規感染に対する対策。 ○岡上委員 そういうことまですると、Bも入ってくるので、例えば医療行為に伴うとか、そう いうものを入れないと、具体的になかなか見えてこないのではないですか。予防に伴う新規感染 防止。 ○林座長 医療行為に伴う感染ウイルスの新規感染に対する研究ですね。 ○正林肝炎対策推進室長 新規感染防止に関する研究。繰り返します。7ページの(4)の行政研究 の一番下に、医療行為に伴う肝炎ウイルスの新規感染防止に関する研究を加えます。 ○林座長 ほかはよろしゅうございますでしょうか。  それでは、ございませんでしたら、今日はかなり修正点を御指摘いただきましたので、少し文 章の「てにをは」が変わるかもわかりませんので、事務局と私の方に御一任いただいてもよろし ゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○林座長 それでは、訂正をさせていただきたいと思っております。どうぞ。 ○金子委員 5ページの今後期待される新たな研究課題の中で、肝がんのところが2つの○があ ったのが1つ消えてしまったら、たった1つになってしまったんです。今後期待される新たな研 究課題で肝がんが1つだけというのは、ちょっと寂しいので、今、考えていたんですけれども、 肝がん、幹細胞に対する治療法の開発に関する研究とかですね。 ○林座長 肝がんのと入れてもいいですか。 ○金子委員 肝がんの幹細胞でもいいです。 ○林座長 肝がんの幹細胞に対する研究ですね。 ○正林肝炎対策推進室長 繰り返します。5ページ目の一番上で、放射線治療の次のところに(5) を1個設けて、肝がんの幹細胞に対する治療法の開発に関する研究。 ○林座長 どうぞ。 ○西山健康局長 遅れてきて申し訳ございません。7ページの行政研究の中で、肝炎ウイルスを 対象とした研究上のデータベース構築に関する研究というのがございますね。これはどんなイメ ージで、データベースができた場合に、例えばどこかでそれをメインにしなくてはいけないだろ うと普通は思ってしまうんですけれども、どんなプランニングか教えていただければ。 ○林座長 どうぞ。 ○脇田委員 これに関しては、感染研の方である程度の御提案をさせていただいたんですけれど も、1つは現在利用できる研究情報のデータベースが厚労省の研究班の報告書のデータベースと いうのがあります。それはウェブ上で報告書を閲覧することができるわけですが、それに加えて 肝炎ウイルスに関する研究のさまざまな情報を集積することによって、新たな研究対象をそこか ら導くとか、あるいはいろんな情報をウイルス研究者の間で共有することを考えています。 ○西山健康局長 そうすると、基盤整備の段がありますね。「3.研究を進めるための基盤整備」。 感染研に体制を徐々に強化するにしても、データベースを置くとすれば、やはりそういったのは、 国民活性に対する情報提供は非常に大事な項目だと勝手に思うんですけれども。 ○脇田委員 ですから、研究成果に関してもそこに集積して、ウェブ上で閲覧が可能なように情 報提供するということを考えています。 ○西山健康局長 そうすると、8ページの上の話ですけれども、研究情報を一元化し、かつデー タベース化するというような文言を入れておいた方がよろしいんですか。 ○脇田委員 そうです。ここの部分が念頭に置かれて書かれていることだと思います。この研究 情報を一元化し、全体を調整することが求められたというところです。 ○西山健康局長 そうしていただくと、私どももいろんな情報を患者の方に提供できるし、いい のではないかと思います。 ○脇田委員 ですから、感染研におきましては、そういった情報を収集するということ。それか ら、医療センターの方で情報発信をしていくということですので、そこで連携をしていければと 考えています。 ○林座長 そこの連携はどうされているんですか。連携というか役割分担。 ○脇田委員 勿論、連携しながら、かつ役割分担が必要だと思いますので、感染研の方で情報収 集をし、医療センターの方で窓口になっていただいて、さまざまな情報発信。その中で肝炎研究 に関する情報を我々が収集して、提供して、発信していただくというふうに考えております。 ○西山健康局長 わかりました。ありがとうございました。 ○林座長 ほかはよろしゅうございましょうか。それでは、少し修正がございますので、私と事 務局の方に御一任いただいてもよろしゅうございますでしょうか。 ○脇田委員 疫学の先生がいらっしゃらないので、いろいろと抜けがちなんですけれども、最近 話題になっているB型肝炎のワクチンの在り方ですね。グローバルワクチネーションを導入する かどうかということが、今、非常に世界的には問題になっていますので、疫学研究のところで6 ページですね。(3)の疫学研究の一番最後にB型肝炎ワクチンの在り方に関する研究。 ○林座長 6ページの一番最後。世界的に見ると、日本だけがワクチンの投与の仕方が異なって いますので、これは日本でも問題になっている点なんです。 ○脇田委員 肝臓学会でも最近ワークショップ等でやっているところです。 ○林座長 それだけをそこのところに入れさせていただいてよろしゅうございましょうか。 ○正林肝炎対策推進室長 6ページの疫学研究の一番下に、B型肝炎のワクチンの在り方に関す る研究ですか。それは行政研究ではなくて、疫学研究ですか ○脇田委員 どちらがいいでしょうか。 ○林座長 ワクチンの投与対象者をだれにするかということになると思います。行政研究的な面 も強い。 ○正林肝炎対策推進室長 行政研究の方がぴったりくるような感じがします。 ○脇田委員 わかりました。どちらでも結構です。 ○正林肝炎対策推進室長 では、7ページの行政研究の最後にB型肝炎のワクチンの在り方に関 する研究というのを追加します。 ○林座長 よろしゅうございましょうか。それでは、そのように修正を進めさせていただきたい と思いますが、会議をもう一度開くのは大変でございますので、修正を御一任いただいて、それ でこの原案をお認めいただくということにさせていただいてもよろしゅうございますでしょう か。 (「はい」と声あり) ○林座長 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。また事務局の方から一部修正 で、先生方に御相談があるかもわかりませんが、御協力のほど、よろしくお願いしたいと思いま す。  それでは、事務局の方から。 ○岩田肝炎医療専門官 先ほど林先生方からいただいた御意見を受けまして、先生方からいただ いた数々の御指摘を鋭意直させていただいて、こちらの方でとりまとめて、先生方にもう一度御 配送をさせていただいて、確認の上で林先生に最終的に御一任して、取り決めさせていただきた いと存じます。 ○西山健康局長 急遽開催を申し上げまして、また2回で意見をとりまとめていただきました。 私どもはこれを基に 対財務省要求をしていきたいと思っています。今は研究費が16億円です か。まだまだ足りないだろうと思いますし、また国立国際医療センター、感染研を中心に、国家 の中枢機関としての研究あるいは情報発信の構造もこれからでございますので、先生方におかれ ましては、この研究の御支援または研究の実施ということでいろいろとお世話になると思いま す。  例のフィブリノゲン製剤に絡みます薬害の法案ができたときも、患者さん方や原告の方も、特 に肝炎は将来的に肝硬変、肝がんになるという非常に強い不安がございまして、何とか日本の英 知を集めていただいて、将来的に少しでも明るい解決の道がないものだろうか。私も医者ですの で、肝硬変の患者さんを診たことがありますけれども、腹水がたまったりして、非常にミゼラブ ルな状況ですので、なかなか研究は一歩一歩進めていかれるにしても、幾つかの困難が伴うと思 いますけれども、この場を借りて、研究の推進についてお願いしたいということで、最後のごあ いさつにさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○林座長 ありがとうございました。  それでは、これで会議を終了させていただきます。本日は本当に御多忙中、御出席をいただき まして、どうもありがとうございました。 以上 (照会先) 厚生労働省健康局疾病対策課肝炎対策推進室 03−5253−1111