08/06/20 平成20年度第6回介護労働者の確保・定着等に関する研究会議事録       平成20年度第6回介護労働者の確保・定着等に関する研究会 日時 平成20年6月20日(金) 10:00〜 場所 厚生労働省専用第22会議室 ○大橋座長 それでは、第6回「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」を始めた いと思います。本日の研究会におきましては、これまでの5回にわたる皆さん方のご議 論、ヒアリングを踏まえ、事務局のほうで「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間報告とりまとめ(骨子)案」を用意しております。本日は研究会中間報告書の取り まとめに向けたご議論をお願いしたいと思います。それでは、まず先に、これまでの研 究会でご指摘いただいた介護労働に関する現状及びその分析に必要な追加資料について、 事務局からご説明をお願いいたします。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 ご説明に入る前に、本日の資料のご説明をいたします。 お手元にある資料ですが、議事次第。座席表。資料No.1として、第1回の研究会以来課題 をいただいておりますが、それに係る資料です。資料5-3は数が多いものですから、別冊 で「法人格別各種数値」を別添で取りまとめております。資料No.2ですが、「事業者団体 等ヒアリングに係る主なヒアリング内容(事項別)」ということで、後ほどご議論して いただく「とりまとめ(骨子)案」の参考資料として添付しております。また、資料No.3 ですが、ヒアリング団体から厚生労働省への要望が各種ありましたので、それも一覧表 として整理しております。  それでは、資料の説明に入りたいと思います。資料No.1をお開きください。この研究 会の課題に係る資料についてでございます。1枚めくりまして、資料の取りまとめの方 向がここで書いてあります。離職率について、需給状況について、賃金について、派遣 労働者について、介護保険法施行前後の各種数値の変化について、スケールメリットに ついて、介護労働者の専門性についてということで、各先生方から第1回目以降ご指摘 いただいたものについて、資料として整理して本日ご提出しております。  資料1-1は、男女別の離職率。全産業とどうなっているかというご指摘をいただいた ものについての資料の整理です。男女計で全産業16.2%、男が13.3%、女が20.0%。医 療、福祉は「雇用動向調査」から調べたものですが、男女計で17.3%、男が15%、女が 17.9%。介護センターの実態調査上の離職率は20.3%ということです。男女については 介護センターの調査は把握しておりません。  資料1-2は、全産業の都道府県別平均賃金と介護職員の離職率の関係がどうなってい るかという相関図です。この星のようなものが都道府県でして、そこの分布図がどうい う関係になっているかということです。まず、介護職員の離職率につきましては、上の ほうは毎勤の所定内の一般の労働者の状態ですが、強い相関関係はありませんが、0.59 ほどの中程度の相関関係がある図式になっています。続いて、パート労働者の時給換算 の相関関係ですが、これは相関関係0.40ということで、中程度という相関関係です。  資料1-3ですが、今度は訪問介護員の離職率と都道府県別の全産業の平均賃金との関 係です。これは、一般労働者もパート労働者も、いずれもあまり相関関係が見られない というところで、賃金による離職よりも、ほかの理由によって離職に至っているだろう というところが見受けられるのではないかと推測されます。  資料2-1は利用者数の動向と介護職員数の関係を見たものです。上のほうが「都道府県 別介護保険施設の在所者数・在院者数と介護職員数の関係」ですが、これは利用者数が 多くなればなるほど介護職員数が伸びている。また、同様に、「居宅サービス事業所の 利用者数と介護職員数の関係」も相関関係にしていますが、同じような相関が見られる ということです。  資料2-2は総括表ベースですが、利用者数と在所者数の伸び率を見ているところです。 平成16年、平成17年、平成18年、対前年増減率で見ると、合計では対前年、平成17年は 9.2%の伸びでしたが、平成18年は1.1%、利用者の伸びは収まっている状況です。居宅 サービスのほうでは、内訳を見ると、訪問介護が−19.0、通所介護が−12.9ということ で、平成18年の段階では、訪問介護と通所介護の利用者数の伸びが低下しているところ が見受けられます。逆に、認知症対応型共同生活介護につきましては21.8%、特定施設 入所者生活介護については32.3%というところで伸び、介護サービスの形が変わってい くところが見受けられるのではないかと思われます。  資料2-3は「介護職員数の推移」を見たものです。合計では平成18年現在117万人、対 前年伸び率は4.2%ですが、介護保険施設系では3%の伸び、居宅サービスでは4%の伸 びです。内訳を見ると、訪問介護は−3.7、訪問入浴介護は−11.4、認知症対応型共同 生活介護については23.6ということで、ここもサービスの形が変わっているところが見 受けられると思います。  資料3-1は「基本給を見直している際に考慮している要素」です。いちばん高いのが 能力について72.1、資格取得、勤続年数を加味して基本給を考えているというのが調査 上わかっております。  資料3-2は「基本給を見直す際に考慮している要素」の事業所別の状況ですが、法人 格別で見ると、民間企業は能力を最大限見ている。あるいは、医療法人、NPOが高い数 字を示しております。中ほどですが、介護保険のサービス系別で見ると、訪問系では稼 働時間について31.5ということで、ほかのサービスよりも高い数値が窺われます。また、 施設系(入所型)の年齢が12.2というところで、ほかのサービスよりも高くポイントが 上がっております。  また、主とするサービスの種類別では、居宅介護支援ですが、勤務年数、能力、ある いは資格取得。施設サービス小計を見ると、施設のサービスがそれぞれ高い数字を取っ ております。また、介護サービスの開始後経過年数別の能力を見ていただくと、開所後 間もない所ほど能力について高いポイントを取っているというとで、即戦力を求めてい る状況がわかるかと思います。  資料3-3は、河委員から、20年前の看護師さんの状況を現在と比較してくださいとい うご依頼がありまして、その関係で調べたものです。年齢階級別の賃金カーブの看護職 女性です。年収ベースですが、年齢階級別の賃金カーブを見ると、平成19年度、いちば ん上のものが看護師の平成19年の姿です。続いて黒丸が平成元年の看護師の賃金カーブ です。額は上がっていますが、同様な賃金カーブが描かれているのではないかと思いま す。  資料3-4は、経験年数別の賃金カーブを平成元年と平成19年で年収ベースで比較した ものです。これも右肩上りで、経験年数が上がることによって賃金が上がっている状 況がわかるかと思います。  資料3-5は「医療、福祉、介護職経験年数別賃金カーブ」ですが、いちばん高くなっ ているのが福祉職です。続いて、医療職、看護師、准看護師、ケアマネージャー、ホー ムヘルパーの順で、介護職の賃金カーブが下のほうに位置づけられているのが分かるか と思います。  資料3-6-1です。「職種別年齢階級別賃金カーブ」、女性の年収ベースです。上のほう から看護師、准看護師、ケアマネージャー、施設職員、ヘルパーとなっておりまして、 他の産業で言うと百貨店店員、販売店員、スーパーのチェッカー、給仕従事者がこの賃 金カーブの流れです。  資料3-6-2は、同様に男の年収ベースの賃金カーブですが、先ほどよりもカーブが若 干いろいろ変動しています。いちばん上に位置するのは男の場合は理学療法士、続いて 百貨店店員、看護師、准看護師。介護職の関係ではケアマネージャー、施設職員、ヘル パーという位置づけです。  資料3-7-1です。「職種別経験年数別賃金カーブ」の女の年収ベースです。いちばん上 に位置づけられるのが看護師、続いて理学療法士、百貨店店員、施設系職員、ヘルパー となっていますが、ケアマネージャーはまだ経験年数が至っておりませんので、5〜9年 のところで3番目ぐらいに位置づけられているところです。  資料3-7-2は、同様に男の賃金カーブで、これも年収ベースです。いちばん上に位置 づけられるのが理学療法士、続いて百貨店店員、中ほどに位置づけられるのが介護関係 のケアマネージャー、施設関係職員で、ヘルパーはいちばん下のほうに位置づけられて いると思われます。  資料3-8-1です。これは「標準的労働者職種別賃金カーブ」の女性です。標準的労働 者というのは、注意書きで書いておりますが、25〜29歳では経験年数が1〜4年、30〜34 歳では経験年数が5〜9年の者の場合の、賃金カーブがどうなっているかというのを見た ものです。いちばん上が看護師、理学療法士、ケアマネージャーと続きまして、介護関 係では施設系職員、ヘルパーは下から3番目、百貨店店員はその上のほうの間ぐらいに入 っている状況です。  資料3-8-2は、標準的労働者の年収ベースの男の賃金カーブです。順番でいくと、理 学療法士、中ほどに介護関係のケアマネージャー、施設系職員、ヘルパーとなりまして、 いちばん下に位置づけられるのが警備員の男です。以上が賃金カーブの状況でございま した。  資料4-1に移ります。これは派遣労働者がこの業界にどのぐらい入っているのかとい うのを見ております。全体では、派遣を受け入れているのは9%でしたが、都道府県別 の状況で10%を超えているものを下線で付けております。10%を超えている都道府県は、 上から言うと山形、福島、栃木、東京、神奈川、新潟、石川、福井、長野、静岡、愛知、 京都、大阪、徳島というところです。主に、関東近辺ですと、首都圏では人手不足感が 生じて、派遣を受け入れている状況が見受けられるのではないかと思われます。  資料4-2は「派遣労働者の受入」を事業所の状況別で見たところです。派遣を受け入 れている中で「法人格別」でどこがいちばん受け入れているかというと、社会福祉協議 会以外の社会福祉法人が18.3%で、いちばん多く受け入れているところです。また「事 業所規模別」ですが、事業所規模が大きくなればなるほど、受け入れている割合が高く なっているところが見受けられるかと思います。また「介護保険サービス系型別」で言 うと、施設系の入所型で17.6%ということで派遣の受入れ割合が高くなっております。  「主とするサービスの種類別」では、訪問入浴介護、短期入所生活介護、特定施設入 居者生活介護。それと、施設系では全般的に2割以上の所が派遣を受け入れている状況 が見受けられると思います。また「開始後経過年数別」では、10年以上の所が16.5%と いうところで、比較的事業所規模が大きくて事業開始年数が高い所ほど多く受け入れて いる。法人格では社会福祉法人が受け入れているというところが見受けられるかと思い ます。  資料5-1に移ります。「勤続年数の推移」ですが、平成12年から平成19年まで見たと ころです。産業計では、平成12年で勤続年数12年が平成19年で11.8年。対しまして、ホ ームヘルパーは、男女計では当初5.3年ぐらいでしたが、若干落ちまして平成19年で4.8 年。ホームヘルパーの男に至りましては3.5年ということで下がっております。また、 施設系職員の男女計ですが、平成15年当時は5.9年ぐらいの勤続年数でしたが、現在で は5.1年ほど。ケアマネージャーですが、これは8.3年を超えたところがありますが、現 在は7年というところです。  資料5-2は、「決まって支給する現金給与額の推移」です。全産業の計は、平成19年現 在33万円ほど。ホームヘルパーでは21万3,000円、施設系職員では21万円、ケアマネージ ャーは26万7,000円という状況です。  資料5-3は後ほど別冊でご説明します。資料6-1をお開きください。これは、先日、老 健局から「平成19年介護事業経営概況調査」の暫定仮集計版が出たところですが、これ の収支差、スケールメリットがどのように働いているかという図です。介護老人福祉施 設では、31〜50人の定員規模から下は収支差がマイナスに転じ、51〜80人規模の所が11 .1%といちばん高いところを占めているという状況です。  資料6-2は「介護老人保健施設定員規模別収支差率」。101人以上の定員の所では9.7% のプラスですが、60人以下に至りましてはマイナスに転じて−12.4%の収支差です。  資料6-3は「認知症対応型共同生活介護定員規模別収支差率」です。軒並みプラスで すが、いちばん大きいところは10〜18人規模がいちばん収支差が高いというところです。  資料6-4は訪問介護の延べ訪問回数別で収支差を見たところです。これは400回未満で はマイナスで、200回以下につきましては−64.1%、201〜400回については−26.6%。 それ以上、600〜800回を除くとプラスという状況です。  続きまして資料6-5、通所介護の状況です。通所介護の延べ利用回数別の収支差です。 300回未満からはマイナスになっていますが、それ以上はプラスで、いちばん高いとこ ろは751〜900回の通所介護のスケールがこの辺でわかるかと思います。  続いて資料6-6、「居宅介護支援実利用者数別収支差率」です。201人以上がプラスで すが、それ以外はマイナスの収支差の状況です。  資料7です。これは研究会にご出席いただいている佐藤先生、堀田先生、能力開発の 大木先生が出された本からの抽出ですが、「ヘルパーの属性・キャリアと介護能力得点 の平均値」の関係です。ここで見受けられるのは、経験年数、通算年数が高くなればな るほど得点がアップするということで、いちばん上の箱を見ていただくと、総合得点で、 介護の仕事の通算経験年数が高くなればなるほどポイントが上がっている、という状況 が見受けられると思います。経験年数が長期化すると、生産性向上が見られるのではな いかと。このような参考資料でございます。  続きまして、別冊で作りました資料5-3の法人格別の各状況です。資料5-3-1は「複数 事業の有無」です。複数事業の定義ですが、介護保険の指定介護サービスを複数やって いる所という定義です。いちばん複数事業をやっている法人格は協同組合が80%ですが、 そういった法人格です。  資料5-3-2は「複数事業を有する法人の規模別割合」です。「社会福祉協議会以外の社 会福祉法人」の欄ですが、その中で100〜299人以下の事業所規模がいちばん多く、複数 事業を実施している割合が46.8%というところです。この辺の規模でこの社会福祉法人 でいちばん複数事業を実施している、というイメージが浮かび上がってくるのではない かと思います。  資料5-3-3は「就業形態別の従業員割合」です。正社員が多いところは医療法人で74. 4%。非正社員が多いところは社会福祉協議会の68.4%、あるいはNPOの69.4%というと ころで、法人格別によって正社員と非正社員の構成が違う体系が見受けられるかと思い ます。  資料5-3-4は「1事業所あたりの平均従業員数」です。医療法人が65.4人、社会福祉協 議会以外の社会福祉法人が60.1人ということで、こちらは施設系の運営主体がこちらの 法人だろうと思われますので、それらの所は従業員数が多いというところが見受けられ るかと思います。  資料5-3-5は「事業所の開設後の平均経過年数」です。いちばん長いのは社会福祉協 議会が18.5年、続いて社団法人・財団法人が17.5年。逆に、短いのはNPOの4.9年、民間 企業の10.1年という状況です。  資料5-3-6は「事業所の開設後経過年数別事業所割合」です。10年以上の割合が大きい ところは、社会福祉協議会の62.5、社会福祉協議会以外の社会福祉法人が47.2、医療法 人が53.2というところで、介護保険が始まる前からこの福祉業界に携わられている法人 格の状況がわかるかと思います。  資料5-3-7は「1年間の採用率・離職率・増加率」を法人格別で見たところです。高採 用を繰り返しているのが民間企業の割合で40.7%、医療法人で30.0%。離職率で高いの は医療法人の23.8%、民間企業の23.4%、社会福祉協議会以外の社会福祉法人が20.2% と、このような状況になっております。逆に、いずれも採用率も離職率も低いのは、社 会福祉協議会、あるいは社団法人・財団法人という姿が見受けられるかと思います。  資料5-3-8は、「離職者のうち3年未満割合」を調べたものです。3年未満の割合が高 いのは民間企業が55.6%、NPOが45.3%という状況です。3年未満を合わせましていち ばん多いのは、民間企業がいちばん高いランクになっていると思います。  資料5-3-9は「離職率階級別事業所割合」を法人格別で見たものです。離職率が30% 以上のところを高く占めているのは民間企業の30.0%、医療法人の29.3%。逆に、離職 率が10%未満のところは社会福祉協議会が33.9%、社団法人・財団法人が28.0%という 状況です。  資料5-3-10は「平均離職率」の法人格別の状況です。平均離職率が高いところは、医 療法人が23.8%、民間企業が23.4%ですが、低いところは社会福祉協議会が11.7%とい う状況です。  資料5-3-11は「従業員の定着状況」です。「定着率は低くない」と答えた構成がいち ばん高い法人格は、社会福祉協議会が82.2%。逆に、「定着率が低くく困っている」と 24.9%と高いポイントを占めたのは、社会福祉協議会以外の社会福祉法人がこのような 状況になっているところです。  資料5-3-12は「訪問介護員の過不足状況」を見たところです。下のほうから「大いに 不足」「不足」「やや不足」で、こちらを足して高い数字を占めているのは民間企業、 NPO、協同組合が不足感が結構強く、調査として出ている状況がわかるかと思います。  資料5-3-13は「介護職員の過不足状況」です。これは施設系職員の過不足状況ですの で、特に社会福祉協議会以外の社会福祉法人、医療法人、協同組合もそうですが、同じ ように不足感が強くポイントとして出ている状況がわかるかと思います。  資料5-3-14は「諸手当の支給状況」です。少し細かくて恐縮ですが、平均的に大体出 ているのは通勤手当です。資格手当、各法人格のレベルでは5番目の所に位置づけられ ているところですが、民間企業が35.4%、社会福祉協議会では9.4%というところで、 通勤手当は出しているけれども資格手当はなかなか整備するに至っていない、という状 況がわかるかと思います。  資料5-3-15は「1年間の教育・研修状況」です。介護技術・知識については、どの法人 格も皆さんやっていただいているようですが、資格取得のための講習のところを見てい ただくと、介護技術知についてよりもポイントが低く、民間企業では23.1%、社会福祉 協議会で18.3%、社会福祉協議会以外の社会福祉法人が26.9%というところで、資格取 得のための講習の実施割合は、まだ高くなっていない状況が見受けられるかと思います。  資料5-3-16は「1事業所あたりの平均回答労働者数」ということで、法人格別労働者 がどのぐらいいたかということです。いちばん多いのは社会福祉協議会以外の社会福祉 法人が15.6人というところです。  資料5-3-17は性別の状況ですが、どの法人格も、軒並み8割以上が女性という構成に なっているところが見受けられると思いますが、いちばん女性の割合が低いのが、社会 福祉協議会以外の社会福祉法人で74.2%という状況です。  資料5-3-18は「回答労働者の平均年齢」を見たところです。平均年齢が高いのはNPOが 48.4歳、協同組合が47.2歳。逆に、低いのは社会福祉協議会以外の社会福祉法人で38.3 歳、医療法人が39.4歳という、施設系職員が平均年齢が低いのが見受けられるかと思い ます。  資料5-3-19は「年齢階級別回答労働者の割合」です。これも同様ですが、社会福祉協 議会は若い労働者層が少なくて、中高年齢層が多いところが見受けられる一方、社会福 祉協議会以外の社会福祉法人では、若い方々の構成比率が高く見受けられると思います。 60歳以上でいちばん高い割合を示しているのは、NPOの19.3%という状況です。  資料5-3-20は「月給者の所定内賃金」の法人格別です。いちばん高いのは社団法人・ 財団法人の24万2,000円。逆に、低いのはNPOの18万3,000円。民間企業は20万1,000円、 社会福祉協議会が20万4,000〜20万5,000円という状況です。  資料5-3-21は「日給者の所定内賃金」です。賃金的にいちばん高いのはNPOの1万8,00 0円、低いのは社会福祉協議会系の8,391円、あるいは隣の8,843円というのが低い状況 です。  最後になりますが、資料5-3-22「時間給者の所定内賃金」です。いちばん高いのは社 団法人・財団法人の1,475円、低いのは社会福祉協議会以外の社会福祉法人で1,045円と いう状況です。こちらが今回これまで研究会でいろいろご指摘いただいた、現在の対応 できる資料としてご提出申し上げました。座長、以上でございます。 ○大橋座長 大変興味深いデータが出てまいりましたけれども、ただいまの説明の部分 につきましてご質問等があればお願いいたします。 ○佐藤委員 資料1のほうで、これは報告書の中で説明するときに使われるのだと思う ので、そのときにいくつか留意していただければと思います。1つは賃金なのですが、 ずっと賃構を使って分析されている。ただ、資料5-2を見ると、ヘルパーは月給ですよ ね。21万円ぐらいになっている。そうすると、多くのヘルパーからすると、何だという ふうに思われるので、ここで出ているヘルパーというのは正社員で、ヘルパーの中でも かなりリーダー的で、職員になっているような人なのですよね。  例えば、前のほうの賃金カープというのも全部そうだということがわかるようにして いただかないと、ヘルパー全部の賃金の構造を分析しているように受け取れられる。で すから、間違いではないのですが、例えばどういう人たちがこの賃構のデータでカバー されているかというのを示した後でやっていただくと、この資料5-2が最後に出てくる と、こういう人たちなのだというのがわかると思うのですが、そういう層だということ がわかるようにしていただきたい。  もう1点は、全体として、この研究会の前提として、この業界での人材の確保、1つは 離職率が高いということもあると思うのですが、私はそれを否定するつもりは全然ない のですが、資料1-1で、確かに訪問介護や介護福祉で2割で高いということもあると思う のです。これも先ほどの賃構と同じようなところがあって、雇用動向の常用ですよね。 ですので、たぶん、介護労働安定センターのデータとのカバー範囲が相当違って、就業 時間の少ないようなヘルパーの方、上のほうは落ちている。つまり、全産業の中でも働 き方が相当違う人たちの離職率を比較している。ですから、全産業で入っている人たち は常用労働者ですね。下の介護労働安定センターはもう少し常用ではないところまでカ バーされて、離職率は当然高くなる。  ですから、もし比較をするならば、全産業よりもサービス業、小売業も並べておく。 特に、訪問で言うと、労働市場的に重なっているのはサービス業や小売セクターで働い ている人たちですから。私はほかと比べて変わるのは問題ないと言うつもりはないので すが、一応、実態は正確に理解した上で改善するというメッセージを出したほうがいい というような趣旨です。 ○堀田委員 1点目はいまのことと関連するのですが、一般労働者で短時間のものが除 かれる図表については、そのことが明確にわかる形でまとめていただいたほうが、現場 の方からの違和感が少ないのではないかと思います。  それから、見方が難しいなと思ったのが資料1-2と資料1-3です。都道府県別の介護職 の賃金と離職率ではなく、全産業の賃金と介護職の離職率の関係をみたかったという趣 旨でよいのですね。 ○小川雇用政策課長 マーケットの賃金と比べてどうだということを見たかったという ことです。 ○駒村委員 資料については3つぐらいに分けて考えていかなければいけなくて、1つ目 はこの介護職の賃金なり労働条件が他産業との関係で相対的にどうなのかという話です。 2つ目は、経営主体別に賃金がどういう形になっているか。3つ目は、雇用形態別にどう 考えていくのかという話だと思うのです。  1番目は、いま堀田委員がお話になって、事務方としては他産業との相対的な位置づ けを少し突っ込んで見てみたいと。ただ、この比較の方法がいいかどうかというのもあ るだろうと思います。議論を今後進めていくなり、中間取りまとめをしていくときに、 今日出てきた資料をどういう形で見ていくか、順番を付けて相対的な位置づけで見たと きに、この離職率と賃金を他産業との比較で見たときにどう評価するのか、というのが まず最初に来るのではないかと思うのです。  その際に、はたしてこの賃金だけで相対的にどうなのかということを考えたときに、 福祉介護職の資格をどのように評価していくのか、というのが1つあると思います。も う1つは、ヘドニック的というのでしょうか、肉体的負担や時間の拘束性、リスク、健 康といった負荷に対して、この賃金差というのをどう評価していくのかということが出 てくるかと思います。 ○堀田委員 いまご指摘くださった雇用形態別、経営主体別、全産業と比較してという ことに加えて、サービスの種類別という観点は外せないと考えます。関連して、経営主 体別で整理してくださったのは非常に興味深かった一方で、経営主体の違いによるもの なのか、サービス種の影響を強く受けているものなのか、データの見方がなかなか難し いと思いました。少なくとも施設系なのか在宅系なのかというような括りでも、見られ るような形にしたほうがよいのではないかと思います。 ○河委員 あるいはご説明があったのかもしれませんが、いま堀田委員がおっしゃった ことと重なるのですが、この資料5-3-1の系列というのは、純粋に介護と関係があるか ないかというのはどこかで分けていましたか。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 今回お出ししたのは、介護の中で複数事業をやっている 所を複数事業と定義したわけですが、2つ種類がありまして、介護保険適用外の介護サ ービスをやっている事業ということと、全く介護以外の事業をやっているというデータ もあります。今回お出ししたのは介護保険サービスの中で訪問もやって、通所介護もや ってというような意味での複数事業という定義です。 ○河委員 それが対象になっていて、それの法人格がどうなっているかという。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 どうなっているかというのが資料5-3-1です。だから、 先生がおっしゃるように、複数事業という定義を、介護保険外の介護サービスも複数事 業と位置づけているデータもありますし、全く介護以外の事業をやっているというデー タもありますので、今回お出ししたのは介護保険の中での複数事業という位置づけでの データです。 ○河委員 先ほど来、いろいろな先生がおっしゃって、特に最後に堀田委員がおっしゃ ったことと重なるのですが、先ほどご説明されたときに、ご説明の段階でわりとストー リーを持っていらっしゃるのだと思うのです。そのストーリーの部分というのは大体当 たっていると思うし、堀田委員がおっしゃったのもわりとストーリーを前提におっしゃ っているのだと思うのです。多少、ストーリーを書いてみて、それでデータを説明して いただいたほうが本当は合っているのかもしれないという気がするのです。やや問題発 言ではありますけれども。  もちろん、客観的なデータだけというのだけれども、先ほど言ったように、データの 中に混ざりが混ざってしまっているのは、そういうものが多少混ざっているのだという 注釈でもいいのです。そうしないと、いろいろな物語がいくつか混ざっているデータで どう考えるかというようになってしまうのは、まずいのではないかという気がするので す。  だから、そのストーリーみたいなものは、多少大胆でもその前提というのは許容でき るのではないかと思うのです。それをどのぐらい強く言うかどうかは、書き方の問題が あると思いますが、そのストーリーがないと、データとして議論が混乱するような気が するのですが、そこは取扱いを少しご検討いただいたほうがいいのではないでしょうか。 ○佐藤委員 いまのご指摘にかかわりますが、後ろのほうで雇用管理改善と言ったとき に、確かに、このデータ全体を視野に入れながらですが、ターゲットとする対象はどこ かと。つまり、訪問と施設は両方違うわけですね。ですから、人材の確保、定着、能力 開発と言ったときに、どこをターゲットにするかということが大事だと。ですから、タ ーゲットとする層、たぶん課題のあるところだと思うのですが、全部をノベッとやるの ではなくて、そこに絞ったような現状の分析にしていただくほうがいい。たぶん、そこ だと思うのです。  ですから、例えば訪問介護のところと、あとは施設をどこにするかということはあり ますが、1つは人材不足が高い所、あるいは人数が多いような所ですね。ある程度象を 置きながらやれば、それはもちろんほかにも適用できると思いますので、どこを主要な ターゲットにするかということを念頭に置きながら、現状を書いていただくようなこと が結構大事ではないか。そうしないとノベッとしてしまっていて、ちょっとわかりにく いかなという印象があるのです。 ○岡崎高齢・障害者雇用対策部長 これは今までヒアリングとかをやってきて、あるい はこういう資料がないかと言われたものを今日出したという位置づけでありますので、 これを報告書にこのまま付けるという発想ではなくて、むしろ、これを基に先生方から こういう部分を重点にということを言っていただくための会合が、今日かなと思ってい ます。ストーリーをどうしたほうがいいかというご意見をいただければ、次回以降にそ ういうことを考えていきたいと思います。 ○北浦委員 もう大体同じような意見が出てしまっているのですが、私も施設系と訪問 系を分けて書かないとわからないと思いますので、それを是非お願いしたいと思います。 あと、少し細かい点ですが、データの話は佐藤委員もおっしゃったのですが、これは規 模別のカバレッジの違いもありますね。結構小規模の所も多いのですが、厚生労働省の ほうの雇用関係の統計はわりと規模が上ですね。それを単純に比較してしまうとミスリ ードしますから、その辺は注釈をきちんと入れて、カバレッジが違うということを言っ ていただいたほうがいいのではないかというのが1点です。  それから、駒村委員がおっしゃったように、都道府県賃金と離職率の関係を単純に比 較なさっているのですが、本当のことを言うと、介護の労働者の賃金の状況と離職率と の関係というのがあって、それが高いか低いかによって離職に影響するという部分と、 賃金格差は都道府県的にあるわけで、それがゴッチャになっているような感じがするの です。ですから、この表を見ていてもあまりよくわからないので、何か、そこは非常に 重要なポイントなのです。  私もどのように整理したらいいかわかりませんけれども、現状からいくと、介護職の 賃金の賃金格差というのが、一般の都道府県単位の賃金格差よりも大きいのか小さいの か。私が聞いているところでは、わりと地場賃金というのが介護職の賃金に影響してい るというふうに聞いているので、そうすると結構パラレルなのかなという感じはする。 低ければ低いなりに、その地域においては安定性があるということになってしまうので す。ですから、その辺のところも含めて、もう少し分析いただいたらいいなと思うので す。  あと、経営のところのデータがあって、臨界点があるというのは大変面白く感じたの ですが、これだけではまだデータがよくわかりません。この収入と支出を何を見ている のか。ただ、これを見てハッと思うのは、低いマイナスの所はどうやって生きているの ですかねという感じになってしまうわけで、おそらく、これと先ほどの複合型と全部一 緒になっているのですね。ですから、この辺の読み方もあるので、これも単純にこうい うことなのだなと思っていても、これと現実に生きている姿とはまた違うところもある ので、これも読み方を注意したほうがいいのかなと思っています。 ○大橋座長 いまの北浦委員からの最初のポイントにつきましては、例えば、都道府県 の平均賃金ではなくて、平均賃金と介護関係の賃金との格差を横軸に取れば多少は意味 が出てくると思うのです。 ○小川雇用政策課長 それもやってみたのですが、要するに完全にパラレルであれば全 く関係がなくなってしまうわけです。ただ、実際のところ、多少、一般の賃金よりも介 護職の賃金のほうが都道府県格差が少ないという形になっていますので、その右肩上が りのものを平均したら、それがオフセットされて関係がボヤけてしまうという感じにな ってしまったものですから、一般賃金でとりあえず代替してお出ししたということです。 ○大橋座長 ただ、ボヤけてしまうということが意味があるのです。つまり、離職率の 高いのは賃金だけの問題ではなくて、むしろ、それこそ労務管理といいますか、雇用管 理のあり方が重要だというメッセージかもしれないのです。ですから、そういう点では 意味があるように思いますので、出していただいてもいいと思うのです。 ○小川雇用政策課長 では、とりあえず次回は両方出します。 ○大橋座長 もう1つは、賃金が別々に出ていますね。これは職種別にケアマネージャ ーとかホームヘルパーとかです。それで、これは意外に年齢だけの1本が出ていないの ですね。それは、例えばキャリアということを考えたときに、ホームヘルパーからケア マネージャーというルートがありますので、たぶん、このホームヘルパーだけではない わけです。一生を通して移動していくということを考えれば、ホームヘルパーが次第に 賃金があまり上がらなくなるというのは、優秀な人はケアマネージャーになっていく。 そういう意味では、サンプルのところにそういった偏りのようなものが出てくるとそう いうことが起きますので、そういう点ではいろいろな角度から出していただいても、本 当に年齢1本でもいいと思うのです。年齢1本はありませんよね。 ○小川雇用政策課長 わかりました。そういうものを出しておきます。 ○大橋座長 職種を分けないで、そうするとキャリアが入ってくるから。 ○小川雇用政策課長 ですから、賃構だと各職種で出ていますので、例えばホームヘル パーとケアマネで足し上げて平均してということですね。わかりました。 ○大橋座長 ほかにないようでしたら、次に「中間報告とりまとめ(骨子)案」の内容 について事務局からご説明願います。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 資料No.4をお開きください。今回ご提出しましたのは「中 間とりまとめ(骨子)案」でございます。最初に「はじめに」ということで、次に第1と して「介護労働者の現状と課題」。1「介護労働の現状」、介護労働者数の動向、利用者 数の動向、介護事業所数の動向、賃金等の動向、離職率等の動向、地域別分析、これは 本日ご提出した各種資料を用いて分析をここで書かせていただければというところです。 2「介護労働者の確保・定着のための課題」。要素としまして、(1)人手不足感。(2) 相対的に低い労働条件。(3)介護サービス別による課題。(4)経営主体別による課題。  2頁ですが、第2として「今後の介護労働対策の方向性」。2つ考えておりまして、1つ は「介護労働者が意欲と誇りを持って働くことができる社会の実現」。副題として、介 護サービス分野における人手不足や高い離職率を改善し、安定的に人材を確保する仕組 みの構築が重要ということとしております。  2「介護労働者の確保及びマッチング等」。副題としまして、必要なサービスを提供 できる介護労働者を安定的に確保するための対策。(1)として、潜在的有資格者の掘 り起こし。(2)ハローワークを通じた福祉人材確保機能の強化。(3)多様な人材の参 入・参画。(4)教育機関・養成施設等との連携。  3「介護労働者の雇用管理改善について」。副題では、雇用管理の改善を通じて、魅 力ある仕事として評価され選択されるための対策。(1)基本的な人事労務管理の周知・ 普及啓発。(2)介護労働者の処遇改善の促進。(3)介護労働者に対するキャリア管理 の推進。(4)経営基盤の効率化、生産性の向上。(5)介護労働者が安心して働ける環 境整備。  4「介護労働分野のイメージアップ対策について」。こういう骨子案としているところ です。座長、以上でございます。 ○大橋座長 それでは、ただいまの説明につきましてご議論いただきたいと思います。 ○堀田委員 順序がばらばらになると思いますが、まず先ほどの話とも、皆様のご指摘 とも重なるところなので、どこに入れるべきか、第1と第2の間なのかもしれないのです が、ターゲットの考え方を入れなくてよいでしょうか。第2の対策の方向性の読み方と して、先ほどからお話が出ているサービス種別、規模別、経営主体別あるいは就業形態 別などのマスを全部作って「ここがいちばん問題」とする必要はないのですが、なんら かターゲットあるいは目指す考え方が示されたほうがいいのではないかという感じがし ました。  それから、第1の1、「介護労働の現状」がカバーする範囲について、後ろを見ると、 雇用管理や経営のことなども出てくるので、そうした観点での現状の見方のようなもの も、入っていたほうがいいのではないかと思います。それから「意欲と誇りを」という ことにつなげるためにも、働いている方の意識、特に入職理由と離職理由についても、 入れていただいたほうがよいと思います。  第2について、はじめに1に「人手不足や高い離職率を改善」とありますが、これは佐 藤委員も私も言い続けているところですが、「高い離職率」といいますが、まずは正し い情報を提供してというところから入っていただくことはできないでしょうか。働く方 々の満足感が、去年と今年を比べても下がっているのは、「厳しい、厳しい」と世の中 で言われすぎることによるところも大きいのではないかと思っているので。  それから、1の中で、「入った人が働き続けるために」ということと、「新しい人が 入ってくるように」ということを、緩やかに分けて書かれてもいいのではないかと思い ました。あとはお聞きしながら追加いたします。 ○佐藤委員 私も、堀田委員が言われたように、どこを特にターゲットとするのか。施 設、訪問、あるいは底上げを考えるのか。自分でやっている所はそういう対象ではなく て、改善しなければいけないと思いながらどうやっていいかわからない層をやるのか、 コンプライアンス的にもひどい所を含むのか。つまり、どの層をターゲットにするか、 そういう意味でも少し1と2の間にあってもいいのではないか。それを踏まえて2だと思 うのですが、1のところは「高い離職率」と言わないで、基本的には安定的に人材を確 保、育成できるというようなことを全面に出せばいいのではないかという、これが2つ 目です。  3つ目は、2と3の関係なのですが、2はマクロですね。業界なり行政として、全体とし て、この分野で働く人たちの教育から含めて、供給し労働市場できちんとマッチングで きるということですね。だから、個々の法人の話ではないと思うのです。3が個々の法 人としてどう取り組むかということだと思いますので、今回のあれから言うと2もすご く大事だと思うのですが、まず3から先にやったらどうか。  つまり、個々の法人としてどういう取組みをすべきかということと、もう1つは業界 なり行政として、あるいは教育訓練機関として、4のイメージアップというのもそこに 入れてもいいかもしれないのですが、業界全体としてマクロの労働市場の整備です。で すから、2を後ろに持って行ったらどうか。  今度、3が前に来たときに、基本的には(1)はこれでいいと思うのですが、突然に (2)が処遇改善で来てしまうのですが、まずは人材の定着です。定着、育成でしょう。 定着、育成をどうするかだと思うのです。でも、それが(1)から(5)にない、表に出 てないのですが、確保した人材を定着させ育成する。そして、定着して育成ができると いうことは魅力ある職場なのですから、そのことによって確保力が高まるのです。です から、確保も書いたほうがいいと思うのです。個々の法人として人材確保をどうするか、 というのもここに書いてない。ですから、3の中で(1)はいいと思うのですが、その後 が定着対策なり育成、もう1つは確保策です。  ですから、処遇改善の中が、全部入っていると言えばそうなのかもしれないのですが、 少し分けたほうがいいかなと。今回のテーマで言えば、人材の定着をどうするか。その 中に処遇の問題があってもいいと思うのです。あとは、その育成をどうするのか。その 上で、魅力が高まった上で、新しい3ともかかわるのですが、今度はそれぞれの法人が 採用のやり方をどう変えていくかとか、そういうことだと思います。  落ちているのは、特に施設系にかかわると思うのですが、この分野は女性が多いわけ です。たぶん、施設のほうが年齢が若いと思うので、両立支援なのです。つまり、結婚、 子育てをしながらも働き続けられる。離職の1つは、施設系で言うと、その部分の離職 というのがまだ相当あって、賃金どうこうというだけではなくて、両立支援がなかなか うまくいっていないという部分があって離職しているというのが多いと思います。ヒア リングの中で育児休業どうこうというのがありましたが、法律上はあるわけだけれども、 実際に育児休業を取ったり、その後に短時間で働けるのかというと、そういうところも まだまだな所が少なくないのではないかと思いますので、3の中に両立支援策を入れた らどうかなと思います。 ○北浦委員 これから書いてみないと分からないところはあるのですが、この研究会の 1つの動機付けとしては、人手不足の問題というのもあるわけです。人手不足感のデー タはあるのですが、これはかなり意識データなので、具体的に本当にどうなのかという のは漠たるようなイメージがあるので、そこをもう少し分析をきっちり前段の現状のと ころでやっていただく。つまり、まず、採用ができない、採用がない。学校のほうから は来なくなって、学校自体が少なくなっている。それから、定着が悪い。その両方があ るわけです。ですから、そこのところの不足感をつくり出している背景と要因というも のを、もう少しここでクリアにする。これは「感」ということで先ほどの資料にあった ようなデータを持ってくるだけでは駄目で、そこのところの分析をもう少ししていただ いて、それで対策というものが見えてくると思いますので、そこはお願いしたいと思っ ています。  それから、第2の柱のところでもいろいろご意見があって、私もそのとおりだと思う のですが、基本的に確保と定着ですから、確保のマッチングのところはこう書いてある のですが、「潜在的有資格者の掘り起こし」から始まるというのは気持としてはわかる のですが、新卒をどうするかという問題を最初に考えておいたほうがいいのかなと。  それと、そういうようなところの既存の者。そこのところは「教育機関・養成施設等 との連携」ということが書いてありますが、実は、連携と言う以上に、そこのところの 入口の動向への働きかけをどうするか、そのようなことをしていく。そこがいちばんの 母集団になっているわけです。それから、ハローワークというのがある。ハローワーク に来ない有資格者をどう掘り起こすかということが考えられますし、さらには多様な人 材ということでいろいろあるのだと思います。  それから、3が定着の話ということで、おそらく、これがキーポイントで、佐藤委員 がおっしゃるように、そこをメインにしてもっと書いたらというのは私もそう思います。 そこのところで、いまありましたように、処遇改善やキャリアがありますが、特にこの 柱立てで中に入ってくるのだと思うのですが、定着ということをもしキーワードにして いくのであれば、定着を妨げる要因というのは何なのか、そのものに対してどう解決す るのか。こういうような打ち出し方をしないと、政策的なイメージ、メッセージとして はわかりにくい。  つまり、これはかなりプロダクトアウトの発想で、いまやっているものを並べたとい う感じにしか見えませんので、今の問題というものを考えて、それに対してどう対処す るというような書き方をしていったほうがいいのではないかと思っています。佐藤委員 がおっしゃったような女性の両立支援のところは大きいので、何だかんだいって、複合 的にそれも離職率を高めている要因の最大の要素だろうと私は思うのです。こんな厳し い現状ではとても両立は無理ですよ、という声は非常に大きいわけです。ですから、そ ういうように問題を鮮明にしていく。あるいは、夜勤体制のつらさの問題もあるのです。  それからもう1点、最後にイメージアップ対策があります。これはどういう意図付け でやるのかわかりませんが、定着と言ったら、定着でイメージアップと言われても現状 を知っているのですから、イメージアップされてもということがあるので、まずは改善 ですよということになるわけです。  おそらく、ここで効いてくるのは確保なのだと思うのです。先ほど堀田委員もおっし ゃっていたように、マイナスのイメージをいろいろ出されてどんどん遠退いてしまう。 そうすると、そこの部分というのは、確保のところ、マッチングのところにもう少し合 わせて、この業界を正しく認識させて、そのことによって希望する人が増えてくるよう にする。このような道、ストーリーを描いたほうがいいのではないかと思うので、むし ろ、この4は2にくっ付けて整理されたほうがいいと思います。とりあえず以上です。 ○河委員 整理の仕方を各先生がおっしゃっているのは私は全然異論ないのですが、先 ほど申し上げたことと重なるのですが、ベースとして介護というものの仕事の個性みた いなものを最初に書いていただいたほうがいいのではないか。それは、1つはそれぞれ の地域の中での、狭い社会の中での自給自足産業みたいなところがあって、これは北海 道と沖縄を比べてもほとんど意味がないみたいなのです。だから、そういう部分の中で 言うと、サービスの需給がわりと狭い範囲の中で行われる事業だという、そこの部分は 是非強調していただいたほうが、働くということと含めても必要なのではないかと思い ます。先ほどデータの中で気を使ってくださったのはそういう意味だと思いますが、全 国規模の統計で平均して均してしまうと分からなくなってしまうところがあるのだろう と思うので、そこの部分をどのように扱うかということだと思います。  それから、もう1つは、介護の場合、多くの場合が介護報酬と関係してくるというこ とは、先ほど小川課長がお話になられたことと重なるのですが、全国一律的要素が非常 に強いですから、賃金の問題ひとつとってもいいのですが、相対的に言うといま不足し ている所のほうが賃金が高いような気がするのです。その現象と先ほどのデータが、私 の頭の中でうまく結び付かないのです。たぶん、賃金というのは地域ごとで違うのだと 思うのですが、その違いが介護報酬という共通事項的なものによってどのように機能し ているのかということも、どこかベースの中で考えていただいたほうがいいのではない か。  それから、3番目に、先ほど来出ていることで、最初に私が申し上げたことと重なる のですが、施設と在宅の中でデータを分けて考えるべきだ、ということを皆さん方がお っしゃって、私も全くそのとおりだと思いますが、私はその現象そのものが介護の今の 産業の問題だと思っています。そこが、言葉の言い方がどうなるのか専門用語はわかり ませんが、それをキャリアアップと言うのかどうかわかりませんが、流動化みたいなも のとか、移動みたいなことがもう少しできるようにしておくというのが、本当は産業形 態としては必要なのではないか。  そこがあまりにも分かれすぎてしまっているものだから、簡単に言えば、新卒は社会 福祉法人に勤めたがって、社会福祉法人に勤められなかった人がどうのこうのという話 が巷に横行しているというのは、あまり健全ではないと思うのです。むしろ、たぶん、 いろいろな意味で、仕事として在宅のほうが、特に在宅の夜間という難しい部分のチャ レンジが、少し遅れてしまっているのではないかという気がしてしょうがないので、も う少し人の流動化みたいな概念をどのように入れるか。  これはご専門の方がたくさんいらっしゃるので、その流動化みたいな概念をどのよう に入れるかというのは難しいところだと思いますが、先ほどのように地域型産業である ならば、ある程度の流動化というのは、むしろ望まれるのではないだろうかという気が します。そこの部分は、介護の問題のいまの3つのポイントの特徴みたいなものは、是 非ベースで書いておいていただいて、それをどう発展させるかというような議論なので はないかと思います。 ○駒村委員 いまの河委員のご指摘にもつながると思いますが、移動性の話、あるいは 先ほどからの定着や潜在的有資格の話にもつながりますし、最終的には離職率というも のをどのように理解するかということなのです。今日出た資料を見ても相対的に高いわ けではないというのはわかるのですが、一方で、専門資格を持っている、あるいは対人 サービスの専門資格を持っているグループとの比較においての離職率。  さらに、離職の意味も、他産業、業界が違うところへ行ってしまう離職なのか、ただ 勤め先を変えているだけの離職なのかで意味も随分違ってくると思うのです。だから、 この離職の部分をもう少し深掘りして資料を集めていただきたい。しかも、勤め先を変 えている話なのか、そこから抜け出してしまっている離職なのかは、その8年間で構造 的に何か大きく変わっているのか、あるいは地域別に大きく変わっているのかというこ とを明らかにしてもらわないと、離職というたった1つのワードだけだと意味が非常に 多様になってしまうし、その裏に隠れているメカニズムや、やるべき対応も異なってく ると思いますので、この辺は深く議論するなり、資料を集めていただければと思います。 ○大橋座長 私から少し意見を言わせていただきます。これまでのヒアリングの結果、 皆さん方、介護報酬は低くて、高い賃金を支払えないから人手不足になっているという 基本的なトーンだったのです。だけど、逆に、これまでの経緯を見ていると、介護報酬 が良かったころに賃金を上げたのですか、事業所が儲けたばかりではないですか、とい うところもありますので、人手不足になってはじめて労働市場のメカニズムが働き出し て上がり始めるのではないかと。そういう観点から、初めて雇用管理のあり方が非常に 重要になってきますねと。  そういうスタンスで、介護報酬の問題はヒアリングでも出てきていますから、これは 避けて通れないのですが、それに対しては介護報酬は介護報酬で別途決められますので、 この研究会としましては、雇用管理のあり方を改善することによって、賃金がこれから 上がっていくプロセスで対応していく、という基本的なスタンスでやっていくしかない かなと。 ○堀田委員 いくつか追加です。まず、北浦委員と佐藤委員、お二人ともおっしゃって いたのですが、4と2は一緒にしていただきたいところだと思います。4の中身として、 イメージアップなのかそもそも介護の仕事がどういうものであるか正しく伝わっていな いということなのか、両方あると思っています。利用者からの理解に加え、介護分野へ の就職を止めるという学校の先生方も含めた世の中全体の理解を深めなければいけない という趣旨を含められればと思います。  それに加えて、入ってこようとする人、介護の仕事に関心を持っている人たちに対し て、正確な情報を提供する必要性にも触れて頂きたい。それは離職率等という意味では なくて、賃金の話だけではなく、介護の仕事というのは、大変なところと魅力のあると ころと両方あると思うのですが、もっとリアルな仕事についての情報を出していく必要 がある。このときに、介護の仕事というのは一様ではなくて、働く場所も働き方もいろ いろなものがあるということも、意外と知られていないことがあるようなので、先ほど の両立支援ということとも重なるかもしれないのですが、中身だけでなく職場と働き方 の多様性についての情報を本人にも提供していくということも大事ではないかと思いま す。  それから、3の中は、どちらかというと国や行政、地域ではなくて、業界団体か一事 業所かということで書かれたほうがよいと思うのですが、国・行政と業界団体・事業所 を意識して書き分けていったほうがいいのではないかと思います。例えば、キャリア管 理のところに関連しても、ヒアリングの中で資格と賃金の結び付き、資格の評価、キャ リアルートという話も出てきていて、各者の役割が混じってくると思いますので。  もう1つ、3の中に経営や雇用管理制度の整備、職場の現場管理者による運用といった 点に加えて、仕事そのものの効率化といいますか、介護の仕事の革新、具体的なケアの 革新といった点についても、介護の仕事を高めていく上で、観点として1つ加えられて いてもいいのではないかという気がしました。 ○河委員 いまのことの最初のころにおっしゃったことと重なるのですが、私が先ほど 申し上げたことも同じなのですが、介護の仕事というのをほかの仕事と比較するのはお かしいので、いろいろなアンケートを見ると、仕事自身が面白いということをおっしゃ っているデータが多いのです。だから、仕事自身が面白いというか意義があるというか、 そこがなぜどこかで壁にぶつかるのかというような論法で考えたほうがいいのではない か。  そもそも、誰もやりたくない仕事をやっているのだという入口から入ると、たぶん、 いろいろな方程式の解き間違いが起こる。やや世間はそんな理解をしているところがあ るのだと思いますが、イメージアップの話もそうなのです。実は、面白い、あるいはや っている人たちは意義があるというデータがほかの仕事以上に多いのが、なぜ壁にぶつ かる人たちがいるのか。それが多いか少ないかというのは、先ほどの堀田さんのデータ の問題もありますが、むしろ、そういうアプローチなのではないかなというのが1つで す。  そして、その延長で、教育機関がどうのこうのと書いてありますが、私は、教育機関 にいる人間として言うのも変ですが、教育機関が社会に送り出すときの問題よりも、教 育機関に高校生たちが入ってくるときの問題が非常に大きな問題になっていて、教育機 関にいる人間としていかがなものかと思います。そこの問題は教育批判という面をどこ か踏まえておかないと、かつて、看護がそうだったのです。高校生たちが看護の世界に 入るのを遮断しているのは、むしろ、看護の教育機関の問題があったのではないか。そ こをある面で婉曲に解決することによって看護の世界が変わったというのが、私が20年 前に非常に大きな印象に残っている現象で、それがイメージアップ対策と重なっていた のです。  だから、そこの意味から言うと、教育機関と社会福祉法人なり株式会社が連携すると いうことはもちろん大事なのですが、それはほかの世界にもたくさんあることなのです が、特に介護の社会などは、高校生あるいは高校と教育機関との間の問題というか、何 か自己批判をしているようで嫌ですが、そういう議論をもっときちんと指摘してもいい のではないか。むしろ、看護の場合はそこがわりと大きな問題だったというのは、後で 気がついたという気がします。 ○佐藤委員 この第2の3の雇用管理の改善というのをどこまで書くかなのですが、1つ は制度の問題がありますね。ただ、制度の場合、この人事管理や雇用管理が難しいのは、 ベストプラクティスみたいなものがあるわけではない。例えば、働いている人たちの能 力を高めていくのを促進するためには、能力を評価するということが大事です。ただ、 能力を評価して処遇につなげるやり方というのは、先ほどの説明では資格手当があまり ないではないかという議論があったのですが、それも1つのやり方なのです。別に、資格 手当を導入しなければいけないのではなくて、資格手当を導入しなくても、資格を取っ たとか能力を評価して処遇に反映するやり方はほかにもあるわけです。  ですから、制度というのは、資格手当を導入しなさいとは書けないわけです。つまり、 能力を評価して処遇に反映することは大事ですよという原則は書けるのですが、制度に なるといろいろなやり方がある。その辺の、制度についてもどのようにここで書いてい くのか。基本的にこういうことは大事ですよというのはある程度書けると思うのですが、 具体的な制度ということになると、これをやればいいというわけではないので、そこを どこまでやるのかが1つです。  2番目に、人事管理、雇用管理はかなり運用のところがある。制度づくりだけではな くて、その枠組みの中でどうやって人材育成をするかとか、能力を評価するかという運 用になってくると、実は、その制度を担っている「人」なのです。訪問だと、例えば現 場のサービス提供責任者がそれを担っているわけです。ですから、人材育成というと、 Off-JTは確かに制度なのだけれども、現場での育成は誰がやっているかというと、普通 の会社と同じように現場の管理者ですね。そういう、例えばサービス提供責任者はきち んと職場で人材育成あるいは評価をできるような育成をする、ということまで書くのか どうかです。  3番目に、もう1つ、この3の(5)の環境整備というのは何なのかが私はわからなくて、 個々の企業が努力をしても周りがやってくれないとやりにくいというような、例えば先 ほどの介護報酬の問題ということだと思うのです。サービス提供責任者は現場での人材 育成とか、かなり定着にかかわるのですが、そういうものを担っているとすると、サー ビス提供責任者が介護報酬の中できちんと位置づけられていないとか、あるいは社会的 にもケアマネージャーはみんな知っているけれどもサービス提供責任者は知らないとか、 個々の企業が一生懸命やっても、サービス提供責任者の社会的評価は相対的にケアマネ より低い。  そうすると、どういうことになっているかというと、ヘルパーは、サービス提供責任 者になるけれども、その先はケアマネに抜けて行こうとするわけです。そうすると、極 端な言い方をすると、サービス提供責任者がいなくなってしまう。だけど、これは個々 の法人ではなかなかやれない部分もある。そういうようなものが環境整備に入るとする と、これはかなり大がかりにやらなければいけないことなので、どこまでその環境整備 の中で触れるのか。  つまり、現状の枠組みの中でやるのか、そっちも多少動かすのか。ただ、すぐは動か さないけれども、将来的に動かすことが必要だというような書きぶりでも触れるのかど うかというのは、この環境整備というのが結構大事かなと。ですから、それは事務局と してどこまで考えているのかなということを、拝見していて思ったということです。 ○小川雇用政策課長 すべてはお答えできませんが、事務局から。まず、統計の定義に つきましては、カバレッジとか、常勤を含む、常勤だけとかパートも含むということに ついては、明らかにして提供したいと考えています。河委員からご指摘があった介護労 働の特徴とか、そういうものにつきましては現状のいちばん最初に、介護労働の特徴は こういうものがあるということについて触れていくのではなかろうかと思います。  ターゲットというか、そういう話もありましたが、基本的にはこの分野だけというよ りは、介護労働全体について対象にしているということもありまして、もちろん、前の ほうの現状分析でご指摘がありましたように、施設と訪問を分けてきめ細かに分析をす るとか、地域の視点をもう少し取り入れてみるということをしながら、自ずから、前の ほうを読んでいけば問題となるものが明らかになるような感じで整理ができればと思い ます。イメージアップについては、ご指摘のとおり、2のほうに基本的に入れる方向で 考えたいと思います。  佐藤委員からのご指摘で、3で人材の定着とか育成とかいう話が項として入っていな い、というお話があったのですが、基本的に、人材の確保は2のほうの話ですし、定着 や育成は3のほう全体の目標ということで明示的に入っていないということです。この (1)から(5)がその定着、育成のための個別のツールというか、施策として考えてい るというふうな整理として考えてご理解いただければと思います。  河委員からご指摘があった、これも最初のところで介護の仕事の特徴ということで書 くと思うのですが、地域の中の自給自足産業とか、そういうことについては介護労働の 特徴というか、そういうところで書き込んでいくのかなと考えております。  駒村先生からご指摘があった、離職者の調査というか、そもそも辞めた後はどうなっ ているかということについては、ハローワーク系列でヒアリングをやっているところで ありまして、間に合うかどうかはわからないのですが、できれば本報告前にはそういう ことも織り込んでやっていければと思います。  河委員からご指摘があった、高校の先生がどうかということにつきましても、併せて 盛り込める範囲で盛り込んでいければと考えております。あと、介護の仕事自身が魅力 があって、やりがいがあって入ってくるけれども壁にぶつかるというご指摘が河委員か らありましたが、これも総論的なところで書かせていただければと思います。その他、 全部触れてはおりませんが、今までのご指摘を踏まえて報告書作成をやっていきたいと 思いますので、よろしくお願いします。 ○北浦委員 ほかに2つほど申し上げたいと思います。1つは、佐藤委員もおっしゃった のですが、3の雇用管理のところで、これは堀田委員のご専門ですが、主任さんとか、 そういうところの存在の大事さというのがあるのですが、施設も中核的職員というのが あるのです。これはリーダーなのですね。そこのところがいることが定着に結構効いて いるので、キャリア管理といった場合に、その方を伸ばすということもありますが、リ ーダーをどう育成するか、そこの機能をどう強化するかというところが1つポイントだ と思います。  2つ目に、これはやや茫漠とした話になってしまうのですが、定着については企業の 努力ですから、それを促すように環境を整えるとか、あるいは啓発をしていけばいい。 確保という問題になると、実は、これは日本全体で考えると全部人手不足になりうるの で、これは競争状態になってくるわけです。そうすると、特定の産業だけに優越すると いうことが本当にいいのかという、その議論をしだしてしまうと問題があるのですが、 私はあるのだと思うのです。そこが、実は、河委員がおっしゃったことと非常に関係す るわけで、なぜこの産業をこれだけ大事にしなければいけないのかと。そこのところが、 実は、介護労働のイメージのプラスの情報ということでもあって、そこのところはしっ かり書き込んでいく。それが地域としての産業の位置づけなのか、あるいは福祉という とらまえ方をするのか、そこが1つ大事な点だろうと思うのです。  それで、1つ思うに、これは全然異質な世界ですが、たまさか、昨日、森林組合の人 と話をしていて、いま林業経営者が4.7万ですか、わずか5万を切っているわけです。 今、あそこは、「緑の雇用担い手対策事業」というものを国と林野庁と一緒になってや っているわけです。その緑の担い手の「緑」というのはいろいろな意味があって、環境 問題の意味合いもあるし、日本の木材産業をどうするかという意味合いもある。そうい ったような自然環境保護の問題や日本の1つの産業をどうしていくかと。そういうことも 含めて、そこのところの積極的な担い手を育てるというメッセージを作り上げて、研修 が中心だったと思いますが、そんな人材育成の事業をやっているのです。そういうよう なメッセージの出し方というのもありうるのではないか。  別に、それを真似しろという意味で言っているわけではないのですが、おそらく、人 手不足でやっているところは、みんなそういうような知恵を出してやっているわけです から、そこのノウハウというものを持っている。そのときに大事なのは、先ほど来言っ た、何とかの担い手というような、そういう強いメッセージが出ることによって、この 業界のイメージアップにつながるかなと思いますので、そこはいろいろご検討いただけ ればと思います。 ○佐藤委員 いまのお話の最初のところで高校というお話が出たのですが、この分野に 入ってくる男性も女性もですが、女性を主に考えると、進学をするときに福祉系に行く か医療系か、あとは保育関係ですね。だから、介護福祉、あとは看護師か保育というこ とで、結構競合しているわけです。いまみたいに、どっちかのイメージが多少ダウンす ると、どこかにということがあるので、それぞれが別の所で人材の確保をどうするかと いう議論をしているわけです。  ですから、そういう意味では全体がそれぞれ重要な分野ですから、ある面では、高校 とかというところで言うと、全体としてどうするか。福祉・医療・保育関係というとこ ろをどうするかということをセットで考えないと、福祉だけ来てくださいというのは問 題だろうと思うので、そこは正確な情報が伝わりながら選択していただく。誤った情報 なり、あるいは高校の就職指導の先生の誤った情報というのは変えていく必要があると 思うのですが、福祉だけというメッセージの出し方はなかなか難しいと思いますので、 少なくとも、就職指導のところは横並びでやっていただければいいなと思います。  あと、3の雇用管理で、先ほど施設系では派遣が結構活用されていると。この派遣を 適切に活用するというものを、そろそろここの雇用管理の中に入れていいのかもしれな い。例えば、ある層の人が突然辞めてしまった。それで人手不足ですね。だけど、施設 で一定のサービスを提供しなければならない。では、採用して育成するのかというと、 時間がかかるわけです。そういうときは派遣をある程度活用しながらやっていくという ことも実際に必要なので、派遣というものをどういう場合にどういう活用をしていった らいいのかということを、雇用管理の中に入れていくことも結構大事かなと。とにかく いなければ使えという意味ではないのです。自社で直用で育成していくというだけでは 難しい場面があると思うので、その辺も3のところに書いていい時期かなと思っていま す。 ○堀田委員 それと関連して、先ほども申し上げたところなのですが、イメージアップ や理解促進の中に、利用者、保護者や学校の先生だけではなくて、この仕事に関心を持 っている人たちに対して、いろいろな職場や働き方がありますよと伝えていく必要があ るというときに、介護の仕事の働き方の中に直用の常勤、非常勤だけではなくて、派遣 という働き方もあります、という形でセットで入れてもいいのではないかと思います。  あとは細かいデータのことなのですが、先ほどの北浦委員がおっしゃっていた入口の ところで言うと、有効求人倍率、養成校の増加の状況と充足率の関係等を入れくだされ ばいいのではないか。  河委員がおっしゃっていた介護報酬のことでは、報酬区分が高いエリアほど、賃金も 高いけれども有効求人倍率も高いといわれていますので、都道府県別という地域の見方 もありますが、介護報酬の区分別で見るという視点もあっていいのかなという気がしま す。  駒村委員がおっしゃっていた他産業への離職に関連しては、ヒアリングを今なさって いるということでしたが、介護福祉士会が行っている調査では、介護福祉士資格取得者 については、介護で転職したのか介護以外に行ったのか、というデータが取られている はずなので、それも入れていただけるといいかもしれません。 ○北浦委員 佐藤委員が派遣のことをおっしゃいましたが、もう1つの特色は、こうい う多様な人材を使うのがこの産業の特色ですね。この処遇改善の意味合いの中に含まれ ているのかもしれませんが、均衡処遇といいますか、そういう多様な人材のマネジメン トに対する配慮ということは、是非入れておいていただきたいと思います。 ○大橋座長 私、質問といいますか、ここをどのように書いたらいいのかなということ で、考えがまとまりませんが、3の雇用管理改善のところで「経営基盤の効率化、生産 性の向上」というのがあります。これについてのデータとしては、規模の利益があるか ないかと。これをよく見てみると、最適規模があるような分野と完全に規模の利益があ るようなところと、いろいろあります。そうすると、この規模の利益がどこから出てく るのかというところと、働き方と規模とは関係しているかどうかというところがある。 ちょっと時間的に難しいかなと思うのですが、これは詰めると面白い問題だと思うので す。しかも、規模が大きいほど派遣をよく利用しているのです。だから、何らかの形で 働き方が少し違うのではないかと思うのですが、その辺が出てくると1つの示唆になる のではないかと思うのです。 ○河委員 座長のおっしゃったことで、私が多少知っている世界から言うと、ここで老 人保健施設を並べてしまうと、老人保健施設というのはお医者さんの人件費を何人で割 るかということですね。だから、その意味では、規模の利益というよりも配置基準みた いな世界の問題なのだと思うのです。お医者さんの人件費を何人で割るかで、割れる人 数が多いほうが割りやすい。そこの議論と、いま座長がおっしゃったような規模の利益 論とを並べてしまうと、よくないのではないかという気がします。特養の所などは、厚 生労働省の定めている基準が80人ぐらい向きなのではないかというのは、昔から言われ ているところがありまして、これはまさに規模利益論と特養の姿論みたいなもので、わ りと難しい問題なのですが、これは議論するべきだと。  もう1つは、在宅サービスの規模論という、このデータは私も初めて見て面白いなと 思ったのですが、たぶん、都市と田舎で時間・距離の問題があるのではないか。だから、 ここに並んでいる三通りのデータの直感的分類みたいなものがないと、3つ並べると「う ーん」という感じが少ししてしまいました。座長がおっしゃるように、規模利益論とい うのはもう少し踏み込んだほうがいいのかもしれないと思います。 ○大橋座長 雇用管理の改善と結び付けてですね。 ○駒村委員 いまのことにかかわるのですが、規模の利益ではなくて、先ほど複数事業 の話があったのですが、ヒアリングの中で、複数事業をやっている所は処遇の工夫がで きるという話もしていたので、範囲の経済といいますか、複数事業をやっていると人事 管理の工夫あるいは配置の幅が出てくるというのもあるのかなと思うので、そこも、今 回は規模だけだったのですが、範囲の経済性みたいなものも加えていただければなと。  それから、佐藤委員と堀田委員の資料で、あの分析を生産性というふうに捉えていた。 3にも生産性というのが書いてあるのですが、この生産性というのはどういう意味で捉 えているのか。堀田委員と大木委員と佐藤委員のこれは質を測定されているのですね。 これは生産性という意味ではないですね。ここで言う生産性というのはどういう意味で 理解すればいいのか。質が上がっているのを付加価値が上がったという意味での生産性 と言っているのか。 ○大橋座長 収支ですね。収支は1つの指標にはなりますね。 ○駒村委員 この生産性というのはどういうものなのか。ロボットを使って、資本投資 をしてするという意味なのか。 ○堀田委員 3人のお話と関連するところで、規模というときに3つ観点があって、1つ の事業所の従業員の数とか入居者の数ということと、1つの法人で同じ事業で何事業所 展開するかということと、事業の種類をどう展開するかということがある。たぶん、規 模は重要だと思うのですが、その3つの観点のうち最後については介護労働安定センタ ーのデータ以外でうまくできるものがないと思うのです。ということで、データが限ら れてしまうと思うのですが、規模は3つの観点から見ていく必要があるのではないかと 思います。 ○大橋座長 少し話が変わるのですが、ヒアリングのところで腰痛が職業病のように言 われていますので、ここのところについて何か考え方を示す必要があるのかなと。そう いう腰痛を防ぐような、それこそロボットとか、そこまではいかなくても、多少の工夫 はあってもいいのかなと。そういう職務改善ですか、そういう動きも雇用管理のあり方 と結び付いてくるので、こういう職業病との関連も書きたいなと思うのです。 ○河委員 ざっくばらんに言うと40年前に腰痛問題というのがありましたよね。20年 前ぐらいからは実態は消えていたと思うのですが、最近また議論されているというのは データが何かあるのですか。40年前の腰痛問題というのは私はすごく頻繁に聞きました が、20年前ぐらいから10年ぐらい前までは腰痛問題というのはわりと消えていたので すね。なくなっていったのかは知りませんよ。最近またそういうことをおっしゃる人が いるというのは知っていますが、データでもそういう議論はあまり。 ○大橋座長 ヒアリングでは2、3カ所で出ていますね。 ○河委員 でも、一般的に、実際に腰痛問題が起きている傍にいる方ではない方が言っ ているのですね。 ○大橋座長 仕事の仕方が変わったのですかね。 ○河委員 そこもよくわからないですが、ご専門の方でどなたかわかれば。いや、問題 なら問題で、いま座長がおっしゃるように、新たな問題なのか昔からの問題なのかよく わかりませんが。 ○小川雇用政策課長 おそらく、離職理由などで、腰痛とか、そういうものを上げる方 が多いということがあるので。 ○河委員 離職率と相関している問題なのですか。 ○小川雇用政策課長 おそらく、人手不足ということが高まっていく中で、そういった ものがまた表面化したのではないかと。 ○堀田委員 離職理由としては、腰痛など健康上の理由はそんなに上位にこないのです が、働く上での不満や不安、あるいは身体的・精神的に負担を感じることを聞くとあげ られます。でも、それが過去40年間で変化しているかどうかのデータは心当たりがあり ません。 ○北浦委員 職業病として認定される程度までの状況かどうか、ということはあると思 うのです。 ○佐藤委員 それはそうだと思います。 ○大橋座長 介護労働者の高齢化とか、いろいろありますからね。 ○古都老健局振興課長 老健局で特にデータがあるわけではないのですが、数字上はそ の腰痛対策をしっかりやれというようなお願いをしております。それに加えて、介護の 世界も、介護福祉士等資格化された時代の歴史が20年ほど経ったものを見ると、技術も だいぶ洗練されてきているのではないか。例えば、ベッドから車椅子への移乗の問題と か、そういう場合の新しいリフトの開発もかなり進んで、私が見たグループホームでも リフトを入れていて、入浴のときはそれを使っておられるとか。そういう意味では機器 の改善、技術の改善もかなりあって、なくなったという議論ではないのですが、これも 1つの重要なテーマではあると思うのですが、表立てるという感じでは受けておりません。 ○堀田委員 腰痛対策をボンと入れるというよりは、座長もおっしゃいましたし、最初 のほうで私も申し上げましたが、仕事の革新あるいは仕事そのものの見直しという中で、 体の負担にも配慮したという形で、と入れていくのが妥当ではないでしょうか。 ○大橋座長 リフトの導入というのは、どこかでいろいろと考えないといけませんね。 それはどこで考えられているのでしょうか。そういうことは個々の事業所で考えるのか、 あるいは厚労省としてそういった研究所とかをお持ちなのですか。 ○古都老健局振興課長 いまのところ、入れなければならないかどうかとか、基準上そ うだということはないと思います。現実には、基本的にそういう職員の対策を考えてい る施設では、きちっと複数導入して活用しているということもありますし、福祉用具の 分野でも、スライドを開発したりとか、そういう努力はいろいろされています。当然、 従事者の基準で決めるというよりも、従事者の対策、仕事を再生産してもらう意味でも、 必要なものについては事業者の努力でやっていると思います。 ○河委員 お風呂とか移動の世界は本当に変わっています。だから、先ほどの腰痛問題 にこだわるわけではないですが、ベクトルの方向はそれが減る方向に動いていることは 間違いないと思うのです。特に、いろいろな機械がわりと安く開発されるようになりま したので、そういう意味では、福祉施設の中は40年前とは様変わりだと思います。それ から、先ほどの介護福祉に限らず、昔の老人ホームの職員というのは保母さんが多かっ たので、体重計算を間違えて腰痛になったというのが20年ぐらい前は結構あったのです が、今はそういうケースはわりと少なくなっているのだと思うのです。 ○大橋座長 でも、そういうリフトの導入などでも、コストがかかるわけですから、事 業所の経営体力によって違ってきますよね。タダで支給されるのならば別ですけど、そ ういったものは規模の効果などにも出てくるのですかね。 ○堀田委員 在宅の話は別ですね。 ○大橋座長 わかりました。それでは、ご意見がないようでしたら、そろそろ時間も来 ましたので終わりたいと思います。次回は本日いただいたご意見を踏まえて、「介護労 働者の確保・定着等に関する研究会中間報告書(案)」を事務局からご提示していただ きます。委員の皆様にはまたご議論いただければと思います。それでは、次回の日程等 について事務局からご連絡をお願いします。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 本日はどうもありがとうございました。次回第7回につ きましては、7月18日金曜日10時から12時まで、厚生労働省6階共用第8会議室において、 「研究会中間報告書のとりまとめ(案)」についてご議論をお願いしたいと思いますの で、ご参集方よろしくお願いいたします。 ○大橋座長 それでは、これをもちまして第6回の研究会は終了させていただきます。 お忙しいところ、どうもありがとうございました。               連絡先                職業安定局 雇用政策課 介護労働対策室係                Tel:03−5253−1111(内線5785)                Fax:03−3502−2278