08/06/18 第9回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会議事録 振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会(第9回) 日時 平成20年6月18日(水) 13:00〜 場所 厚生労働省共用第9会議室(18階) ○調査官 定刻になりましたので、ただいまから第9回「振動障害等の防止に係る作業管理 のあり方検討会」を開催させていただきます。本日は、大変ご多忙のところ、先生方にお かれましてはお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本検討会は、第8回か らしばらくの間、最終報告書(案)の取りまとめをいたしますまで時間を要しましたこと をお詫び申し上げます。前回から約1年ぶりの会議になりますが、どうぞご審議のほどよろ しくお願い申し上げます。  本日の委員の出席状況ですが、井奈波委員、鈴木委員、宮下委員がご欠席ですが、その ほかの委員のご出席をいただいております。  本日の配付資料の確認をさせていただきます。次第と、資料9-1「第8回振動障害等の防 止に係る作業管理のあり方検討会(議事概要)」と、資料9-2「振動障害等の防止に係る作 業管理のあり方検討会報告書(案)」です。なお、報告書(案)については、各先生方に 事前にお送りさせていただきました。  以降の議事進行は相澤座長にお願いいたします。 ○相澤座長 議事に入ります。本日の議題は「検討会報告(案)について」ということ で、事務局から資料が出されております。まず、事務局から資料の説明をお願いいたしま す。 ○調査官 まず、資料9-1「第8回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会(議事 概要)」をご説明いたします。既に議事録はホームページ等で公開しておりますが、前回 は平成19年6月21日に厚生労働省で開催させていただきましたが、しばらく時間が開いてお りますので、その間の確認も含めて簡単にご説明させていただきます。「出席者」はご覧 のとおりです。  4「議事概要」ですが、第8回の検討会において、第7回までの検討の概要を資料8-1で付 けております。主に第8回については、この検討の概要について皆様方にご確認いただき、 ご意見をいただくという形で進行しております。  (1)議題1「振動値の表示を要する工具(表示対象工具)」についての中で、各委員か らご意見をいただいております。資料の中では、振動値の表示を要する工具(表示対象工 具)については、原則としてチェーンソー、卓上用研削盤等々です。現在、既に振動工具 として指針による指導を行っている工具を対象にしてはどうかということで、これまでの 検討概要について申し述べました。その中で、さらに手持ち式の動力工具は対象を拡大す べきではないかというご意見をいただきました。  また、将来的に表示が必要な工具が出てきたときには、メーカーが自主的に表示するこ とを後押しできるような制度はできないか、というご意見もいただいております。  そういう中ですが、井奈波委員から、今後表示対象工具が出てくるが、とりあえず現在 の課長内かんで示しております対象工具を対象として、さらに追加すべき、見直すものに ついては今後調査・検討していくべきではないかというご意見があり、課題としてこうい うご意見を踏まえ、表示対象工具については事務局で検討することとなっております。  事務局の検討は、今回の報告書の中でも書いておりますけれども、昭和57年の課長内か んに示しました振動工具を対象とするという形ですが、昨年度予算要求し、振動工具の見 直しについて調査・検討するという形で、今年度委託事業で検討するようなことも考えて おりますので、そういう中で、振動工具の見直し拡大については検討していくという議論 がありました。  議題2「準拠規格」についてということでご意見がありました。前回の資料の中で、表示 する振動値を測定するに当たり、原則として表示対象工具ごとに、方法としてJISB7762又 は次の頁にありますご覧のような順で適合する規格によることとし、これらの規格となら ない表示対象工具、又はこれらの規格に拠りがたい事情がある場合にはJISB7761-2、これ はエクスポージャーの測定ですが、準拠した測定とするとしております。  畝山委員から、「EN規格並びにこれらに準ずるもの」としてはどうかというご意見があ りましたが、事務局のほうで、EN等で振動値を測定できない場合、こういう現地測定の JISB7761-2で測定する余地を残しておいていただきたい旨もご説明させていただきまし た。  その中で、検討の結果として、原則として表示対象工具ごとに、JISB7762以下の順で適 合する規格によることとし、これらの規格によらない表示対象工具又はこれらに拠りがた い事情等がある場合は、JISB7761-2に準拠した測定とするという決定をいただきました。  議題3「表示すべき箇所」ということで検討していただきました。「表示すべき箇所は、 工具本体をはじめ、取扱説明書等を含むことが望ましい」と、これまでの検討結果でお示 ししておりましたが、工具本体の見やすい箇所に振動の強さを表示し、取扱説明書等に は、振動測定に関する規格も記載し、メーカー等のホームページに活用してはどうか、と いうご意見を榊原委員からいただきました。  これを受けて、工具本体の見やすい箇所に振動の強さを表示し、取扱説明書等には、振 動測定に関する規格も記載をして、メーカー等のホームページなども活用し、広く表示す べきという形で結論を得たと思います。  議題4「最大値を3Gとする規制値」についてということですが、これはチェーンソーの現 在の構造規格のことです。構造規格の適用を受けるチェーンソーにおいては、振動加速度 の最大値を3Gとする規制値を構造規格上設けております。構造規格自体を見直すのであれ ば、これを廃止することも含めた見直しをすることとしてよいかということでしたが、委 員のほうから、いわゆる「3G規制」については見直すことでどうかというご意見がありま した。  第8回の検討においては、チェーンソーの規格を改正する場合には「3G規制」を見直すと いう形でご意見をいただきました。この辺につきましては、その後最終報告書をまとめる 上で検討いたしまして、今回報告書のほうでこの辺の整理をしておりますので、また後ほ どご説明いたします。  議題5「騒音」については、「メーカーが騒音値を表示するために騒音を測定する場合、 その測定はISO22868等の国際規格に準拠するのはどうか」とあるが、「チェーンソーの規 格」による無響室での測定ではなく、半無響室での測定とすることにしてはどうかという ことがありました。チェーンソーの規格は、排気量40cc以上のチェーンソーが対象なの で、排気量50ccのチェーンソーの騒音を無響室で、明らかに騒音が小さい排気量の25ccの チェーンソーの騒音を半無響室で測定すると、逆転現象が起きるのではないかというご意 見をいただきました。  騒音測定については事務局で検討することとなっていて、これについても報告書(案) のほうで一定の整理をしておりますので、また後ほどご説明させていただきます。  議題6「作業管理とA(8)」についてです。「A(8)の考え方を導入し、振動ばく露対策 値や振動ばく露限界値を定めることによる作業時間の規制に加えて、1日の作業時間の上限 を、日本産業衛生学会等を踏まえて設けるのはどうか」とあるが、1日の作業時間の上限を 4時間以下としてはどうかというご意見がありました。また、上限が一律2時間の「一律」 を除いて、現行の「チェーンソー取扱い作業指針」及び「チェーンソー以外の振動工具の 取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」に基づき作業管理を行うことで考えている、と いう形で事務局から回答させていただきました。  検討結果としては、チェーンソー取扱い作業指針等における、1日の作業時間の上限につ いては、日本産業衛生学会やこれまでの経緯を踏まえ、何かしらの上限、A(8)ですから8 時間までいいということではなくて、何がしかの上限を設けることとしてはどうか、とい う検討結果をいただきました。  議題7「保守管理」についてです。表示される振動値は出荷時の値であり、作業後の管理 方法等によっては振動が変化することがあります。適切な保守管理について記述すること としてはどうかということです。適切な保守管理は当然だが、労働災害防止団体のテキス ト等に、保守管理についても記載してもらい、その内容をメーカーのパンフレット等に引 用してはどうかというご意見をいただきました。適切な保守管理を行い、工具を良好な状 態に維持していくのが重要、ということでまとまっていたかと思います。  前回の議事の主立った議論の概要は以上のとおりかと思いますが、いかがでしょうか。 ○相澤座長 先生方にもいろいろご相談が行っていると思いますけれども、内容はよろし いでしょうか。 (異議なし) ○相澤座長 ありがとうございます。次に報告書(案)の説明をお願いいたします。 ○調査官 資料9-2「振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会報告書(案)」につ いてご説明させていただきます。この報告書(案)の組立てについては、前回までの会議 の中でご了解をいただいております。5枚目に「目次」がありますが、目次立てについて は、前回までの会議の中でご了解をいただいております。この中の第1から第6について は、それぞれいままでの客観的な情報等をまとめたものですので、説明を省略させていた だきます。事前に先生方にはこの報告書(案)をお送りしておりますが、その中に若干誤 字等がありましたので、それは訂正させていただきました。  本日は、第7「今後の対策の方向」と、第8「今後の課題関係」、第9「その他」について ご説明させていただきます。22頁です。先ほど申し上げました、第8回までの検討を踏ま え、第7以下のところをまとめさせていただきました。順にご説明させていただきます。  1「表示関係」です。(1)表示の必要性ということで、まず表示対象を挙げておりま す。表示対象は、第8回の検討でもありましたとおり、現行の指針に基づく対象、昭和57年 3月24日付けの労働衛生課長内かんで示された振動工具であって、主に労働者が使用するも のについては、振動の強さの表示が必要な対象工具に含めることが適当であると思われる という形で、井奈波委員から、とりあえずこれからスタートすべきというご意見をいただ きましたので、ここに書いてあります。なお、畝山委員ほかからいただきましたご意見を 受け、今後の対応については第8に書いてありますので、後ほどご説明させていただきま す。  (2)表示内容(表示すべき振動の強さ)です。ここではいろいろご意見をいただいてお りますが、まずはA(8)を算出するために必要な「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成 値」を表示するのが適当である、ということが前提かと思います。  ア「チェーンソー等の取扱い」についてです。チェーンソー等については排気量40?以 上のエンジンチェーンソーについては、チェーンソーの構造規格がありますので、これに 基づく測定法及び表示を現行では行っております。しかしながら、現行チェーンソーの規 格による測定法の結果によると、これは最大値が出るわけですが、これをもっては直接的 にいまご議論いただいている日振動ばく露量A(8)を求めることはできません。これも、 前回までの検討会でご意見をいただいているところです。そういう中で、周波数補正振動 加速度実効値の3軸合成値について表示することを検討する必要があるということです。  ここで「チェーンソーの規格」ですが、この振動測定法で行う場合、チェーンソーの規 格による振動加速度の最大値を求めるために行った周波数分析、その測定データから換算 によって周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値相当値を求めておくことも可能というご 意見もありました。構造規格に適用するチェーンソーに関しては、原則的に今回のA(8) の考え方の中では、ISO等国際規格の測定法を用いることが原則ですが、チェーンソーに関 してはご覧のとおり、周波数補正振動加速度実効値の換算値を用いることも可能という形 でまとめてあります。  前回の検討会でのご議論にありました、チェーンソー規格の「3G規制」についてです が、3Gについてはチェーンソーの低振動化に寄与してきたことにも配慮しつつ、振動ばく 露による人体への健康影響に関する今日の国際的な考え方に沿った必要な検討をすること が適当という書き方をしております。  ですから、基本的な考え方の中では、国際的な整合性という問題もありますが、チェー ンソーの構造規格による測定法3G規制についても、長い年月で定着してきた部分もありま すので、いきなりこれを変えてしまうとかなり混乱も予想されますので、一応こういう表 記にさせていただいております。  23頁のイ「振動の強さが一定値未満の場合の表示」についてです。今回のA(8)の対策 値2.5m/s2未満のものの場合、前回までの議論の中で2.5m/s2未満である旨を表示すればよ い。複数の機械を使う場合は、2.5m/s2という数値で計算するのがいいだろうというご意 見をいただいておりますので、そのように書いております。  (3)表示箇所については、前回までのご意見、あるいは先ほどの第8回のご意見を踏ま え、そのとおり記載させていただきました。前回もありましたが、流通している又は使用 されている工具の取扱いについても、振動の強さは日振動ばく露量を算出するために必要 なものですので、メーカー等のホームページに掲載し、振動の強さがユーザーによって確 認できるようにすることが必要だろうということです。  (4)表示のための振動測定方法(準拠すべき規格)についても、前回第8回のご議論の とおり記載させていただきました。ここの表記については、畝山委員から表記の整合性で ご意見をいただいておりますが、後ほど表記方法で適切なものについてのご意見がありま したらお願いいたします。前回のご意見をまとめ、こういう国際規格に基づくメーカー測 定法のほかに、これに拠りがたい事情がある場合はJISB7761-2、現地測定を行う手法につ いてもOKとする。  3軸を原則としておりますので、1軸の値しかない場合は1.7、いわゆる√3を3軸方向の合 成値として、最大値1.7を乗ずる等、一定の換算によって相当値を求めることでも可という ことでまとめております。  (5)その他の表示ということで騒音レベルの表示です。これも前回のご議論にありまし た。前回までの会議の中で、騒音レベルについては、単体の工具の騒音レベルの表示値と いうことですが、実際には複数の工具を同時に現場で使っているという場面もあります。 そういう場合には指標にはしがたいということが1つあります。  前回までの会議のご議論の中でも、まずは振動の強さの表示を優先的に取り組むべきで ある。また、メーカー等による工具の騒音レベルの測定又は表示については、実施可能な ものから取り組んでいくことが望ましい。これは、より騒音レベルの低い工具を選ぶとい う観点では、そういうことが望ましいということで、前回までの会議の中でご議論があっ たと思いますので、そのように記載しております。  また、騒音作業現場における騒音レベルに関しては、現状においては24頁にあります 「騒音障害防止のためのガイドライン」があります。これをもって指導してきているとこ ろです。いわゆる騒音作業場の管理としては、このガイドラインに基づいて引き続き実施 ・徹底していくことが重要かということで記載しております。  イ「質量に関する表示」についても、従前から会議の中でご議論があり、できるだけ軽 量な工具を用いるようにすることが振動障害防止、あるいは手腕にかかる負担軽減のため に大切であるということで、質量については軽重の判断が容易であることは、取扱説明書 に記載することが望ましいということです。必ずしも表示ではなく、取扱説明書への記載 でも足りるという形でまとめています。  2「作業管理関係」です。いままでのところは表示関係ということで、主にメーカー等に おいて行っていただく部分ですが、作業管理関係は実際に使われる側にかかってくる部分 です。  (1)振動ばく露の評価については、今回の検討会の根幹でもありますA(8)を取り入れ るということです。ご覧のような形で、日振動ばく露量をばく露量A(8)による評価を取 り入れるということで、考え方を整理しております。  (2)振動ばく露に関する基準についても、前回までの会議の中で既にご議論いただいて おりますが、EU諸国等の規制状況等を参考に、先生方のご意見を踏まえ、日振動ばく露対 策値については2.5m/s2、日振動ばく露限界値については5.0m/s2と定めることが適当であ るという形でまとめております。  日々の管理については、振動工具の振動レベルに応じて時間管理を進めていかなければ なりませんので、作業管理計画を定め、振動ばく露限界値を超えないように徹底する。さ らには、A(8)が振動ばく露対策値以上となるような場合は、振動ばく露対策値以下に近 づけるよう、作業時間の抑制及び低振動工具の選定・使用に努めなければならないとまと めています。  それから、これも前回までの検討会の中でご意見をいただいておりますが、いわゆる1日 の作業時間に関する対策が、まさに現行では2時間一律の基準であったわけですが、これを A(8)振動レベルに応じた取扱時間に改める、というのが今回の改正点ですが、それ以外 の一連続作業や保護具の使用といった、それ以外の「チェーンソー取扱い作業指針等」の 対策については、引き続き講じていくことが適当という意見をいただきましたので、その ようにまとめております。  25頁の上の図は何度かこの検討会で出させていただいておりますが、A(8)の換算図で す。上の直線が振動ばく露限界値、いわゆる5m/s2の数値、下の斜めの線が対策値です。 縦軸が振動加速度値で、横軸がばく露時間ということで対数になっています。この対数の 中で、特に限界値に収まるような形で、また振動対策値を下回るように努めていくという 形で、今回のA(8)の考え方が進んでいくということです。それで、参考としてこの図を 入れさせていただきました。  (3)振動の大きさと日振動ばく露量ですが、ア「表示される振動の強さと日振動ばく露 量の関係」について、工具に表示されている振動の強さに基づいてA(8)を求めることと いうことです。  それから、イ「振動の強さが一定未満の工具」、これも前回までの検討でした。先ほど の表示のところでも申し上げましたが、2.5m/s2未満の工具については、2.5m/s2とみなし て、複数の機械を用いるようなケースの場合は換算をするということが書いてあります。 あとは、2.5m/s2とみなしてA(8)を求めることが適当だと書いてあります。  ウ「工具の保守管理」については、特に今回ご欠席の井奈波委員からご意見をいただい ております。特に報告書の中で、保守管理に関しては重要な点ですので取り上げていただ きたいということです。工具の点検整備・保守管理の状況によっては、工具の発する振動 の強さが変化するということですので、工具の整備点検等保守管理を十分に行い、工具を 良好な状態に維持することが重要であるということを述べさせていただきました。  (4)その他の作業管理ということですが、ア「作業時間の抑制」についても、前回の議 論の中にありました。産衛学会の許容基準の中では、作業時間は1日4時間以下とすること が望ましいと明記されています。日振動ばく露量の値から、長い時間の作業が許される場 合であっても、これまでの経緯で、いままでは一律2時間を基に基準を定め、使用限度を定 めてきたわけですが、相当程度の作業時間の抑制に取り組むことが適当であるということ です。  上限は必ずしもA(8)ということで、これは数値だけで言いますと8時間使えるレベルと いうことですが、実際には一定の上限を設けて、産衛学会の考え方、あるいはいままでの こういった時間規制の経緯等を踏まえ、相当程度の時間抑制に取り組むことが適当であ る、という形でここに表記させていただきました。  イ「週振動ばく露量」に関しては、非常に振動レベルの高い機械については、先ほどの 図で言いましてもかなり使用時間が短くなるということです。特にイギリスにおいて例外 的な措置として、週の間での振動ばく露量の総量で使用時間を定める、という形での取扱 いがされているということが委員から情報として挙げられました。こういう考え方も参考 にしつつ、今後週振動ばく露量に関する、振動ばく露評価を限定的に導入することも考え られるという表記にしました。  週単位で時間管理をしていくというのは、かなり複雑・困難になる可能性があります。 そういう中で時間管理を担保していくのは大変な状況ではないかということで、原則的に は日管理が主体になるのではないかということです。今後、週振動ばく露量という考え方 も、限定的には必要に応じて導入する方向も考えられるのではないかということで入れて おります。第7については以上のような形です。  第8「今後の課題関係」です。第7の1のところでも申し上げましたが、1「対象工具及び 対象業務の検討等」ということです。これも、いままでの会議で、また前回の会議でも委 員からご指摘を受けております。工具が多種・多様化してきているし、また技術も進歩し ていることから、工具に関する最新の実態を調査し、その結果を踏まえて、表示対象工具 の見直しを含めた検討を行う必要があるということで、ここに明記させていただきまし た。  具体的には、畝山委員等からご指摘を前回までに受けておりますので、私どもとしても 調査研究等を今年度に組み、検討していきたいということで既に進めていく準備もしてお りますが、こういう検討を行うという形で、検討会の今後の課題とさせていただきまし た。  2「振動ばく露に関する新しい基準等の定着」ということです。いままで特に時間に関し ては、2時間一律の基準設定だったわけですが、今後は振動レベル、特に工具本体に振動の 強さが表示されることを担保しないといけないわけですが、それを今度はユーザー側が日 振動ばく露対策値、あるいは日振動ばく露限界値を踏まえ、作業管理計画を適切に立て て、日々の作業が実施されることが重要です。また、工具の整備点検等、保守管理が実施 されることも先ほど申し上げましたが、工具の振動表示は、製作時の数値ですので、その 後の管理、振動ばく露量の維持は必要なことですので、重要であるという形で表記させて いただきました。  これも第7のところに書いてあるわけですが、こういうことが大変重要であることを踏ま え、これらの対策が適切に実施され、振動ばく露に関する新しい基準を定着するための必 要な対策の実施が求められるということです。我々も検討会報告を受け、実効ある施策を 今後展開していかなければいけないわけですが、そのためにご提言をいただいているとい うことです。  第9「その他」についてですが、この検討会においては特に振動障害防止に係る作業管理 のあり方ということで、日振動ばく露量の導入を中心にご検討いただいているわけです。 特に、こういう機械・工具の危険又は健康障害の一層の防止を図るために、労働安全衛生 法第3条は事業者の責務というところですが、労働安全衛生法第28条の2第1項の規定を受 け、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」、これは、いわゆるリスクアセスメン トの指針です。また「機械の包括的な安全基準に関する指針」、これは特にメーカー等に ついてです。ここは包括的な安全基準ですから、必ずしも振動だけではなくて、いわゆる 安全性の話も含めたところですがこういう指針もあります。こういう指針の中では、そう いう有害性のリスクとしては振動も当然含められているわけです。  基本的なリスクアセスメント、あるいは機械の安全化の大きな枠の中でも、当然振動工 具の取扱いに関しては、適切な振動に関するリスクアセスメント、あるいはメーカーにお いては残存リスクというと、まさにこの振動レベルというのは残存リスクになるかと思い ますが、そういうものをユーザーに伝える必要があるのではないか。こういう指針にも、 そういうことが関連してまいりますので、ここに挙げさせていただきました。ここは包括 的な形ですけれども、こういったこともありますので挙げさせていただきました。  最後の結びとしては、振動障害等の防止に係る対策の実施に当たっては、本報告による 作業管理等とともに、その推進が図られることを期待するものである、という形で結びを させていただきました。雑駁な説明でしたが以上です。 ○相澤座長 各委員からのお知恵を拝借して今回この報告書、特に第7「今後の対策の方 向」、第8「今後の課題関係」、第9「その他」のところの説明をしていただきましたが、 これを読んでお気づきのところがありましたらお願いいたします。23頁の(4)について畝 山委員からご指摘があるということでしたが、いかがでしょうか。 ○畝山委員 一応現状においては適用する規格はこういう内容でいいと思うのですが、1つ 気にかかるのは、ここにあるISO8662が、ISOのTC108のほうで改正作業が進んでいます。お そらく、2009年12月29日以前には、ISO28927のpart1からpart10という形ですべて制定され ると思うのです。それを反映すべきかどうかということが1点です。  同じように、ISO22867も現在改定途上にあります。これの主な改定内容は、現状の22867 が、チェーンソーと刈払機だけを規定しているものが、エンジンブロアーとか、要するに エンジンを使用した林業及び園芸用工具をかなり広範囲に含める規格になっています。測 定方法、その他はほとんど変わっていないと思います。  同じように、EN50144欧州規格も、おそらくEUの新しい機械指令の成立に間に合うように 60745の全面改定に置き換わるはずですので、その辺を日本としてどう対応していくかとい う問題が出てくると思うのです。基本的に、JISB7762で3軸測定を行うということであれ ば、大きい変更は出てこないと思うのですが、微妙なところで規格の変化が出てきていま す。その辺が、国際整合性という面と、海外の特にヨーロッパとかアメリカからの輸入品 に対して表示を要求する場合、ヨーロッパがその時点で古いISO8662に準拠しろと言われた 場合にどういう対応をとるのか、ということがちょっと気になるところがあります。  もう1つ気になるのが、最後の8の1に関係するのですけれども、いままで私どものメイン は手持ち動力工具ということでやってきたのですが、最近特に園芸用の工具の動向を見て いますと、手持ちによる負荷を避けるために、手誘導型(ハンド・ガイディッド・ツー ル)に持っていこうというのが結構出てきています。  刈払機ですと、あるメーカーは手で持ってやるのではなく、下へコロを付けてそっちで 支えてというアイディアを出して、それを製品化しているものもあります。建設用ではバ イブレーターとか、手誘導型というかなり振動の大きい工具もあります。そういうものを どうするか、ということも一遍検討する必要があるかと思っています。 ○相澤座長 最初の、ISOが変わったらどうするかということですが、現在はこれが使われ ているわけですね。 ○畝山委員 そうです。 ○相澤座長 将来的にそのときになってからでないとわからないですね。 ○調査官 現行におきましては、現行基準で表記をさせていただき、その改正がなった時 点でそれはまた検討させていただくようになるかと思います。今回の対象工具の検討の中 には、そういうものもあれば含めて検討していただきます。 ○榊原委員 同じ工具とはいっても、振動が手に入ってくるものは振動工具の概念に入っ ていますから、概念的には入ってくるのではないですか。 ○調査官 概念はそうです。 ○前田委員 当面は、昭和57年3月24日に出されている「振動工具一覧表」の中の工具を対 象にして考えていきながら、将来に向けて、新しい工具が出ていますから、データ的に対 応がとれないとか、見えないものに対しては調査をする可能性があるということですか。 ○調査官 そのとおりです。現在において、2時間の基準で動いているものについて、まず はこういった新たなA(8)の考え方の対象にしていく。しかしながら、この検討会の中で 実際に先生方から、振動工具を見直すべきというご提言をいただきましたので、それにつ いては別途現状等も踏まえて調査検討した上で、見直しについて検討を進めていきたいと 考えております。 ○前田委員 いま、いろいろな基準が世界中で動いていますけれども、表示の測定方法と して、一応JISB7761-2を謳っていますので、それで手腕振動の値を全部測定できるように ここではなっていますから、これは問題ないかと思うのです。これがなかったらちょっと 問題なのですけれども、この試験規則としていろいろ挙げられていますけれども、それは 限られた工具ですから、それ以外の工具に対して測らなければいけないのはこっちで逃げ られます。こっちで測定できるようにしていますので、この順番で書いておけば、新しい 工具が出て、販売するメーカーもそれに準拠して測って、データを出していただく可能性 は十分あるから大丈夫だと思います。 ○相澤座長 ほかに、全般的にわたってで結構ですが、何かありますか。 ○榊原委員 当面は、現在指定されている振動工具一覧表に載った工具でやるということ ですけれども、それに載っている工具を作っているメーカーのほうは認識しているのです か。 ○畝山委員 いわゆるヨーロッパなどへ輸出しているような大手メーカーに関しては、そ の認識は十分あると思っています。問題は、以前にも申しましたけれども非常に小規模な 所で、しかもある特定の工具だけを作っている。私どもも、そういうメーカーがどのぐら いあるのか把握しきれていないのですけれども、そういう所をどうやって網を掛けていっ て、測定ができるようにしていくかというのが、いちばん重要なことだろうと思います。 ○榊原委員 表示関係のところで、基本的にはメーカーが測定をして表示するという考え 方なのですが、その文章は基本的にメーカーが測定して表示をするという、そのことを私 たちは大体理解していますけれども、報告書の中に一言書いておいたほうがいいのではな いかと思います。前のほうのEUがそうなっていますから、そういう紹介からずっと読んで くればそういう方法かというのはわかると思いますが。 ○調査官 7番のところにも、そういう表記を。 ○榊原委員 25頁の「振動の大きさと日振動ばく露量」のところで、EUの手腕振動ばく露 の許容時間の図が載っていますけれども、これの基になった式をどこかに載せておいてい ただけると、その根拠がはっきりわかると思います。これも、前のほうから計算すれば出 てくると思いますが、ここにも載せておいてもらうとよいかと思います。 ○調査官 わかりました。 ○榊原委員 報告書の内容としてはいいと思うのですが、今後実際にやるに当たっての予 定はどのような感じになるのですか。 ○調査官 予定といたしましては、当然この検討会の報告書がまとまりましたら、その報 告書を私どもがいただきまして、この考え方に基づいて行ってまいります。現状はここに も書きましたようなチェーンソー、あるいはチェーンソー以外についてもそれぞれ指針が ありますので、これに基づいて指導を進めているところですが、当然それを見直す、改正 をするような作業を、これを受けて進めていきたいと思います。  今回は表示ということで、メーカーなどについても、こういう測定表示については進め ていただかないといけない部分がありますので、併せて指導していくような形になるのか と思います。当然そういう見直しを行うには、必要な情報提供や教育などについても、今 後進めていかなければいけないとは思っております。 ○畝山委員 この報告書に基づいて実行に移される場合、我々の希望なのですけれども、 根拠として法的な強制力がないと、どうしても腰砕けになってしまう面があります。いま までの通達のような形ですと、ある意味で法的な拘束力は弱いです。法的にきっちりと強 制力を持たせた形で、それをやらないとメーカーはどうしようもないという形に持ってい かないと、どこかで腰砕けが出てくるのではないかという感じがしますので、そういう形 での検討をお願いしたいと思っています。 ○主任中央労働衛生専門官 法的な強制につきましてはそういうこともありますけれど も、スタート時点で違反ばかりが出ても仕方がないので、ある程度世の中がこれに定着し ていって、本当に性悪な部分だけを叩くという意味で法令化する。それぞれ考え方があり ますので、先生からそういう意見があったということを踏まえて考えていきたいと思いま す。いちばん重要なのは、こういう考え方を定着させることがいちばん重要だと思います ので、それを第一に考えていきたいと思っております。 ○榊原委員 もともとの表示が、機械の持っている安全性といいますか、リスクについて の情報提供をやることが基本になっていると思いますので、全体的に機械のリスクについ ては情報提供をするということで、畝山委員がおっしゃいましたように、できるだけ制度 的にできる方向で努力していただければと思います。  私が考えますのは、第8「今後の課題関係」のところで、考え方としてA(8)で予防的な 対策を行う基準になる考え方を一応示したと思うものですから、その考え方で作業現場の 中で振動ばく露の管理をやっていかなければいけないとか、より振動レベルの低い工具を 使ったほうがいいですといった労働安全衛生教育といったことを、こういう表示をする工 具を使っているような工場とか現場で、理解が広がるようなことに活かされていくといい と思います。 ○主任中央労働衛生専門官 榊原委員からありましたように、27頁の第8の2ですが、メー カーとすれば表示してもらうというのが非常に重要です。使う側とすれば、それをいかに 作業管理計画に基づいて限界を超えないようにきちんと使ってもらうかということです。1 種類しか使っていないのならば単純な部分はありますけれども、1日に何種類も使うと非常 に複雑になってきますので、それを現場で理解し、作業者に指示できるような人づくりが 重要だと思っています。その人たちの育成について、関係の労働災害防止団体等とも相談 させていただきながら進めさせていただきたいと思います。 ○相澤座長 非常に大事なご指摘だと思います。これから、指針かどうかわかりませんけ れども、そういうところに指導を反映していただければと思います。  大体ご意見も出たようですので、この報告書(案)については了解されたというふうに させていただきます。細部については文言の修正等があると思いますので、これについて は座長に一任させていただくということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○相澤座長 ありがとうございます。先生方には2年間にわたって、大変長い間慎重にご協 議いただきまして大変ありがとうございました。今回が最終の検討会ということですの で、事務局からご挨拶があります。 ○労働衛生課長(金井) 一言御礼申し上げさせていただきます。各先生方におかれまし ては、本日はお暑い中をご議論いただきまして誠にありがとうございます。座長からもお 話がありましたとおり、2年以上にわたって慎重にご審議いただきましたことを厚く御礼申 し上げます。  ただいま報告書をまとめていただいたわけですが、いまご議論いただきましたとおり、 これから必要な通知なりガイドラインの改定、あるいは作業環境のためのいろいろな教育 体制の整備とか、今後いろいろ進めていくことになるわけです。さらに、先ほどもお話が ありましたとおり、諸外国の動向等も見ながら、引き続き振動障害防止のための対策を実 施してまいりたいと思っておりますので、今後とも先生方におかれましてはご指導、ご協 力いただきますようお願い申し上げまして、簡単でございますが挨拶とさせていただきま す。本当にありがとうございました。 ○ 相澤座長 振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会をこれで終了させていただ きます。先生方、長い間どうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省労働基準局 安全衛生部労働衛生課物理班 03−5253−1111(内線5498)