08/06/16 第7回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 第7回障害児支援の見直しに関する検討会 日時 平成20年6月16日(月) 10:00〜12:00 場所 商工会館6階G会議室 ○柏女座長 ただいまから、「第7回障害児支援の見直しに関する検討会」を始めたいと 思います。各委員の先生方には本当にタイトなスケジュールの中、ご多忙のところをお 集まりいただき、本当にありがとうございます。事務局から今日の進め方、資料につい てご説明をお願いします。よろしくお願いします。 ○障害福祉課長 本日はお忙しいところをご出席いただき、まことにありがとうござい ます。御礼申し上げます。本日の出欠状況ですが、ご欠席が坂本正子委員、坂本 之輔 委員、中島委員、宮崎委員、そして急遽、宮田委員も体調が悪いということでご欠席と のことです。渡辺委員は出席という連絡ですので、おそらくもうすぐ来られるのではな いかと思っています。  本日の進め方でございます。議題が2つございます。1点目の議題は「入所施設のあ り方について」です。これまでのヒアリングの中では障害種別ごとの類型をどうするか、 あるいは児者一貫をどうするかといった必要性についてご指摘いただきました。ここで は入所施設に求められる役割を中心にご議論いただければと思っています。  2つ目の議事は「行政の実施主体」です。これは自立支援法の附則で、まさに宿題事 項とされているものです。子どもに係る一般的なサービスは市町村が中心に行う。障害 児に係るサービスは現在、都道府県が実施主体ということになっているわけですが、こ れを今後どのように考えていくのか。先般より議論になっていた「措置」と「契約」に ついても、ここでご議論いただければと考えています。それぞれの論点について、大体 約50分程度ご議論をお願いしたいと思います。  続いて、配付資料についてご確認いただければと思います。「議事次第」を除き、右肩 に資料1と番号が書いてあります。まず、資料そのものについてです。資料1、資料2 が「入所施設のあり方」についての関係の資料です。併せて資料3、資料4、それぞれが 「行政の実施主体」についての検討資料と参考資料でございます。それぞれ、議題ごと に2セットずつの資料があります。  併せまして、各委員からいくつかの資料が提出されていますので、お手元に配付して います。まず参考資料1として、君塚委員の提出資料がございます。それから参考資料 2「重症心身障害児の施設入所について」です。すみません、これは「君塚委員提出資料」 と書いていますが、事務局の間違いです。大変恐縮でした。これは北浦委員からの提出 です。参考資料2について、左上に書いてある君塚委員ではなく、北浦委員からの提出 ですので、大変恐縮ですが訂正いただければと思います。  さらに参考資料3として、末光委員から提出いただいた資料が出ています。また、本 日ご欠席の坂本正子委員から、参考資料4として提出いただいています。最後、市川委 員から参考資料5が提出されています。以上、参考資料は1から5までとなっています。 資料の不足等ありましたら、この場で事務局にお知らせいただければと思います。今日 の進め方及び資料について以上でございます。 ○柏女座長 すみません、こちらの資料は。 ○障害福祉課長 すみませんでした。追加で知的福祉協会から資料をいただいています。 「支給決定の実態調査報告」という厚いものが1部、そして「全国児童相談所長会から の疑義回答について」、あと「意見書」と書いたもの、おそらく個別の取扱いの何かだと 思います。合計3セット、それぞれ知的福祉協会の柴田委員からご提出がありました。 すみません、それが本日の提出資料の全体です。 ○柏女座長 ありがとうございました。資料の不足はありますでしょうか、大丈夫でし ょうか。ないようでしたら、早速議事に移っていきたいと思います。「入所施設のあり方」 について、事務局よりご説明をお願いします。 ○障害福祉課長補佐 障害福祉課の矢田貝でございます。資料1と2に基づき、入所施 設のあり方についてご議論いただきたいと思います。また、ご用意した参考資料につい て簡単にご説明させていただきます。  資料1、ご検討いただきたい項目が大きく4つ掲げてあります。まず、第1点目が「入 所施設の役割」です。障害者の入所施設の役割についてどのように考えるか、これはま ず再確認ということで掲げているものでございます。例として5つ掲げています。こち らで叩き台で考えているのは、1番目に「濃厚な医療、リハビリが必要な場合」、2番目 は「濃厚な医療、介護等が必要な場合」、3番目に「保護者の疾病、障害等の理由」、4 番目が「養育放棄、虐待」、5番目が「不在」と整理しています。  2点目、「障害児施設に社会的養護が必要な児童が入所している一方、児童養護施設に 障害のある児童が入所している状況があるが、それぞれの施設の関係について、どのよ うに考えるか。また、現状を踏まえ、どのような対応が考えられるか」を論点として掲 げています。のちほど、資料で現状についてご説明しますが、上の3から5番目のよう な、保護者の疾病とか虐待の場合、障害、両方あるという児童が実際にどちらの施設に もいるという状況があります。現状を踏まえてどのように対応していくか。  大きな2点目が「入所施設の類型について」です。これも2点あり、1つは自立支援 法では障害者施設について「住まいの場」と「日中活動の場」の昼夜に分けられる。さ らに入所支援、生活介護、自立訓練等、機能別に再編が行われました。子どもの施設に ついて子どもの特性を踏まえてどのように考えるか。例えば、大人のように昼夜、機能 別に分けることが可能かどうか。それまでのグランドデザインの中では、こういうとこ ろも大人に合わせて見直しを検討とされていたものですが、実際、昼間、毎日学校に行 っている子どもについて、このような分け方が果たして可能か、適切かというところに ついてご意見をいただければと思います。  2番目が「障害種別による類型」です。大人の施設については3障害について制度上 共通化が図られました。また、学校教育においても、重複化への対応のために盲・聾・ 養護学校という、障害種別の学校制度が「特別支援学校」というように制度の転換が行 われています。障害施設についてどのように考えるかという点です。  2ポツ目に書いてあるのは、仮に共通化するという場合でも、これまでのヒアリング などの意見を踏まえますと、それぞれの施設の持っている専門性を維持していくべきで はないか。また、少なくとも「医療型」「福祉型」に分ける必要があるのではないかとい う論点整理をしています。  3点目の論点ですけれども、「在園期間の延長について」です。知的障害児施設、肢体 不自由児施設について、現在、児童福祉法で20歳に達したのちも引続き在所できるとさ れていますが、どのように考えるか。2点目に、現在のように処遇の継続性を確保する。 あるいは、いま入所している方の経過措置等を講じた上で、満20歳以降の方については 障害児施策ではなくて、障害者施策の中で支援を行うよう、見直しを行うことについて どのように考えるかという論点設定をしています。  (2)の「重症心身障害児施設」についてですが、こちらについては18歳以上の方も新規 に入所可能と児童福祉法はなっていますが、一貫した支援の必要性を踏まえつつ、どの ように考えるべきか。また、2ポツ目、これまでヒアリングなどでも意見が出ています が医療面、福祉面での処遇の継続性、あるいはいま入所している方への経過措置などに ついて、見直しに当たっては十分な配慮が必要ではないかという論点設定をしています。 さらに、これは施設のあり方というよりも重症心身児・者の支援について、在宅で暮ら す方への支援についても充実が必要ではないかという論点を掲げています。  最後、その他の論点としては制度論というよりも処遇論と申しますか、入所施設にお ける生活環境のあり方、入所施設と地域との関わりや入所施設の地域の中で果たす役割 ということについてどのように考えるか、ご意見をいただければと考えています。  参考資料については大部ですので、ポイントだけご説明させていただきたいと思いま す。資料2の「参考資料」をご覧ください。まず2頁目、これは現在の障害児施設の概 要です。それぞれ施設類型、施設利用者数があります。  3頁はグラフです。これは施設数、利用者数の推移です。いちばん上の折れ線グラフ が入所児童全体の傾向でして、若干右肩下がりのような傾向であります。一方、中に書 いてある縦棒で書いてある折れ線グラフ、重症心身障害児施設入所児童数については右 肩上がりで増えているという状況があります。  4頁、児童養護施設等と障害児施設との比較でございます。いちばん上に書いてあり ますように、児童養護施設に入所している児童の20.2%が障害児という現状です。逆に 右側の障害児施設について、例えば3行目から、知的障害児施設の入所理由を見てみる と、いろいろあり「虐待・養育放棄」が11.3%、いま入っている方で11.3%ということ です。平成17年度に入所した方については30.4%が虐待による入所、虐待を受けた方 が障害児施設に入っています。  5頁は「社会的養護の現状」、社会養護施設などの状況について参考として掲げている ものです。6頁が「児童養護施設における障害等の割合」ということで、このグラフの とおり、いまは20.2%という先ほどの数字でございます。社会養護施設の中でも、障害 をお持ちのお子様を処遇している場合が増えているというものです。  7頁からですが、ここは2点目の論点の障害児施設の一元化と申しますか、類型化を 考えるときにということで意識して資料を作っています。7頁は病院であることを要件 としない、福祉型の施設についての職員配置、設備基準などについて掲げています。例 えば、盲児施設であれば音楽指導に関する設備が必要であるとか、それぞれいくつか特 徴的な設備が必要とされている状況もあります。  8頁は医療型、病院であることを要する障害児入所施設の必要な職員であったり、設 備基準について掲げているものでございます。9頁は障害児施設全体の予算上、報酬上 の配置の人員基準です。もしくは、その場合、そうした職員を配置して、処遇を行った 場合の費用について比較したものです。  10頁からは論点の3点目の「在所期間の延長措置」についての資料です。矢印の実線 で書いてあるところは児童福祉法の本則、本則というのは法律の本則のほうで入所の延 長ができるとされているものです。点線になっているものは児童福祉法の附則と申しま して、経過措置的なところの規定のところで18歳以下、もしくは20歳以降も入所でき ることとされているというものです。それぞれ、施設でいつまで可能となっているかに ついて表したものです。  11頁はいまの実際の状況です。それぞれの障害児施設に入っている方の年齢について、 これは1回目に出した資料と同じですが、例えば知的障害児施設の40.1%の方は18歳 以上の方、重症心身障害児施設の87.1%の方は18歳以上の方という現状があります。 12頁は利用者ごとに見た利用期間です。利用期間のいちばん山のところに色を塗ってい ます。やはり知的障害児施設や盲・聾施設、重症心身障害児施設など、5年以上入って いらっしゃるという方が延長規定もあるということもあり、多いという特徴になってい ます。  13頁目は障害児施設と大人の施設、先ほど障害者施策の中で処遇をするということに ついてどう考えるかという論点整理をしています。例えばいまの13頁、障害児施設につ いては、子どもの施設ということで1室の人数15人以下、もしくは1人当たり3.3平米 以上という基準があります。大人の施設の場合、段落の3つ目の障害者支援施設、4名 以下、9.9平米以上という差もあるということで、このような差をどう考えるか、もし くは見直しに当たってどのような配慮が必要かということで参考にしていただければと 思います。  14頁以下は細かくなりますので、ご説明は省略いたします。いまと同じような視点で、 子どもの施設と大人の施設について書かれています。まず、14頁は必要となる設備の違 い、15頁と16頁は職員配置の違い、子どもの施設と仮に大人の施設とした場合の職員 配置の違いです。17頁は利用者側から見た障害児施設に入った場合と、障害者支援施設 などに入った場合の違いを比較表にしたものです。特に大きく変わりますのは「障害程 度区分」というところです。いまのように児童福祉法に基づいて障害施設に入る場合は 判定不要となっていますが、仮に大人の障害者支援施設のほうに転換し、そちらに入っ ていただく場合には、例えば障害程度区分4以上、5以上のような判定が必要になって くる。そういうことで、先ほど論点に掲げていました、いま入っている方の経過措置等 の配慮について、ご意見をいただけたらということです。  18頁以降については、これまでの各施設の歴史というか、18頁からが「設立の経緯に ついて」、21頁からが「対象者の拡大」などについて参考までにまとめたものですので、 これはお時間のあるときにお読みいただければと思います。  以上のような参考資料でございます。先ほどの資料1の論点、4つありますが、それ ぞれご意見をいただきますよう、よろしくお願いいたします。 ○柏女座長 ありがとうございました。事務局より、これまでの論議を踏まえながら大 きく4つの論点を挙げていただきました。もちろん、それ以外のものでも結構です。順 次、ご意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですのでお手を挙げていただ ければと思います。 ○君塚委員 肢体不自由児施設の君塚です。今日の提出資料の参考資料1をご覧いただ きながら、いまのポイントなどについて私たちの考えを述べます。  まず最初に「肢体不自由児施設」という名称ですが、現状にマッチしていないと考え ています。入所児の4割近くは、大島分類の1〜4の重症心身障害児であります。それか ら、2割の方たちが数カ月のリハビリとか、痛みを取るとかという治療で者の方が外来 も入院も利用されています。また、施設とは言いながら医療法とからんでいて、スタッ フの配置、あるいは収入構造から見ると、医療のほうに重点が置かれているという形で、 中身がマッチしていません。重心以外に自閉症の方たちも大勢来ていますし、入所児の 半数はIQが35以下でございます。脳性マヒの重いお子さんたちは、知的障害のほかに 自閉症の症状も伴っているという形で、手足の不自由なということではいまなくなって います。  20年以上前から、脳性マヒの早期発見、早期療育ということをやってきています。そ の当時は診断が結構難しくて、経過をみるためにリハビリをしながら状態を見るとき、 「中枢性協調障害」という仮の状態の名前でリハビリをやっていって、やはり脳性マヒ だったという形で早期から取り組んでいます。  今日、テーマになる入所については母子入園から始まって、手術、リハビリ、そのほ か2割以上が社会的入院となっています。養護学校との関係ですともっと増えますが、 今日のデータにありますように長期のお子さんがいます。虐待のお子さんが4%と書い てありますが、8%ほどに増えています。3年間で入所した虐待の半分がほかの施設に移 っているのですが、虐待で生じた障害が軽減したり、あまり重度でなかったということ で障害児の養護施設とか、自宅にはなかなか帰れていないのですが、そういう形で帰っ ています。その意味で入所が短期化しており、トータルに在宅支援をしています。  長い間に医療を中心に培ったネットワークというところでは、地域への支援をしてい ます。そういう意味で、今日のまずポイントとしては、資料1に従っていくと、役割と いうところでは通過型で、あらゆる障害児を外来を含めてみているということ。その中 には短期入所を加えてもらいたい。そのほか、(1)から(5)までありますが、入所において (1)はある程度契約でもと考えますが、(2)から(5)までは措置で対応されたいと考えていま す。児童養護施設の関係では、重度のお子さんたちの在宅支援という形でやはり別枠で あると考えています。  次の頁の「施設」概念と「機能」概念、昼夜が分かれるかという話ですが、24時間扱 っていまして、生活を学んでいくということでは、夜間の療育ということで考えていま す。繰返しになりますけれども、医療がより大きな部分を占めていますので、医療型で ないとやっていけなくなると考えています。  3頁目の「在園期間」ですが、20歳以上のお子さんが2割はいるということです。こ この方たちは重たくて受け皿がない。重症心身障害児施設に申請しているけれども、空 きがなくて移れないという形で、加齢児になっているという状態があります。現状から 見れば、少なくとも18歳で「もう出ていけ」と言っても無理であると考えています。  在宅、あるいは最後の頁の地域との関わりでは、今日の参考資料のあとのほうを見て いただきたいと思います。5頁の肢体不自由児施設における「施設外療育活動」に関す る調査を全国で4月に行いました。8割ほどのアンケート結果で、8割が施設外も行って います。6頁では施設の活動・実施状況、「古くからやっている」とか「回数が多い」と いう形です。その下は受託、市町村・県からの委託を受けているかどうか。  次の7頁では、地域療育等支援事業のからみを受けているかどうかということがあり ます。その下のほうに施設外の活動を行っている理由として最も多いのが「他機関との 連携」ということで、支援を行うとか、専門機関もないために出かけている。さらには 過疎・僻地という形で、離島や山間に巡回相談をしています。  次の頁、8のところ、いちばん多いのが実施場所としては保健所であり、療育の専門 機関、あるいは保育所、幼稚園、特別支援学校、普通学校などさまざまに行っています。 次の頁では職種で、医師やセラピスト、その他の職員という形で、チームを組んで施設 側に行っているところが多数あります。  肢体不自由児施設とはいえ、最近、発達障害児が増えている中で、例えば下の段の左 側、外来において、4割から8割、その中を分けた場合、4割以上というところが6割に 及んでいます。療育外でも発達障害児に多数相談をしています。  次の頁では、どういう医師が必要かという話になってきています。発達障害に対する 体制が不十分であって、小児精神科、神経科、小児科が特に増員したいというような形 です。次の頁では臨床心理士、STなどを特に私たちの仕事として増やしたいというよう になっています。  最初に述べましたように、「肢体不自由児施設」という言葉が実態とはマッチしていな いということでご理解いただきたいと思っています。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。包括的にご意見を頂戴しました。それでは柴田 委員、末光委員、田中委員、お願いします。 ○柴田委員 今日、あとからお配りしました資料は、実は主に後段の措置か、契約かと いうところについての資料です。それは次のところでということになりますか。 ○柏女座長 そうしていただければ。後半にお願いします。 ○柴田委員 「入所施設のあり方」の中の2頁のところで、入所施設の役割でいま君塚 委員がおっしゃったことと同じになるのですが、知的障害児の場合は1番というのはあ まりないのです。ほとんどが2番以下の理由となります。基本的には、またあとになり ますが、やはり措置ではないかと思います。  ただ、(2)の「濃厚な医療、介護等が必要」の「介護」という言葉ですが、ここに「介 護」という言葉を使うのは適当ではないように思います。最近、何でも介護という言葉 が安易に使われるのですが、どう考えても知的障害児については介護ではなくて「発達 支援」だと思います。児童養護施設との関係で言うと、やはり知的障害児の非常に多く の場合、知的障害があると同時に養護性に欠けるということが大半になっています。そ ういう点では、かねてから言っていますように児童養護施設との共通点も大きい。ただ し、それに対して、障害に対する対応ということと両方持つ施設というように考えます。  (2)「類型」については、やはり昼夜に分けるということは難しいと考えています。 「医療型」「福祉型」に分けるということについては、それはそれで良いのかもしれませ んが、少なくとも福祉型というように統一する場合も、主な対象障害が指定できるよう な形が望ましいと考えます。  (3)の「在園期間の延長」なのですが、非常に多くの加齢児がいるわけです。基本的 には、20歳以降の者については障害者施策の体系の中で支援を行うように、移行の手立 てをきちんとしていただきたい。特に設備が子どもの設備と大人の設備では違います。 方法はいくつかありまして、1つは、まるっきり障害児の施設から別の大人の施設、成 人の施設に移行するということもあります。もう1つは、障害児施設自体が中を割って、 成人の施設と児童の施設の併設型にするということもあるわけです。併設型に移行する 場合、成人のところの改築、その他の条件整備をお願いしたいということがあります。  「その他」のところですが、特に養護施設などであるグループホーム形態のホームと か、あるいは障害児の養育家庭に取り組んでいる実例もあります。非常に成果もあがっ ていることもあり、是非ともこの中にきちんとグループホーム型の支援のあり方、ある いは家庭に預ける支援のあり方についても検討いただきたいと思います。  なお、北欧等では基本的には養育家庭制度を中心に、障害児童の対応をしているとい うように聞きます。今後、我が国でも、いろいろな面で難しい面はあると思いますが、 この面の可能性を探っていく、積極的な検討をお願いしたいと思います。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。柴田委員からも包括的にご意見を頂戴しました。 特に最後のところ、養育家庭は里親制度ということでよろしいのですか。 ○柴田委員 そうですね。 ○柏女座長 里親制度にも、障害の施策体系の中にもっとしっかりと取り組む。 ○柴田委員 そうですね、実践ではいろいろあることはあるのです、数は少ないのです が。それがきちんとした制度になっていければと思います。 ○柏女座長 わかりました、ありがとうございました。それでは末光委員、お願いしま す。 ○末光委員 重症心身障害児施設の立場で、今回、論点をよくおまとめいただいている と感謝しています。繰返しになりますが、私どもは重症児にとっては医療が不可欠であ る。2点目は児者一貫で、専門的な支援が続けられるような体系にしていただきたい。3 点目は入所の方だけでなく、地域の在宅の重症心身障害児、そして周辺の方々に対して も、専門的な支援をさせていただく拠点であるべきだと。この3点を主張してまいりま した。その関連で、今日補足的な資料を用意させていただいていますので、ご説明させ ていただきたいと思います。  もう1点は、先ほど柴田委員からもありました障害者自立支援法での介護という概念 なり、あるいは用語について、我々の立場でも問題意識、あるいは現場でやっている中 での声がありますのでその点と、昼夜に分ける部分についても若干の意見を持っていま すので述べさせていただきたいと思います。先ほどご紹介がありましたように、参考資 料3として、私の資料を加えていただいています。この中で大きく3部に分かれており ますが、通しでまとめてくださっていますので、それに従って説明させていただきたい と思います。  第1点は、日本小児神経学会の理事長、および社会活動委員会委員長名の文書に関し てです。これは第3回のこの検討会で、私と「重症児を守る会」の北浦委員から児者一 貫についてお願い申し上げたのに対して、宮田委員から小児神経科医の立場からの疑義 が提示されました。その際、私からは補足説明をさせていただくとともに、宮田委員の ご発言は個人的なお立場でのご意見なのか、あるいは学会等、より広い立場での公的な ご発言なのかお尋ね申し上げました。その後、ご承知のように第5回のこの検討会で、 宮田委員から「第3回での発言内容をつぶさに読み直したところ、表現に不十分な点が あった」と。私どもの発言の内容をむしろ支持いただける内容と解説をいただいたとこ ろです。大変率直な態度をお示しいただいたことに、感謝申し上げまます。本日ご欠席 ですけれども、改めて御礼申し上げたいと思います。  その間に、日本小児神経学会ではこの問題について理事、そこにあります社会活動委 員会の委員の方々が議論、検討され、その結論として今回の資料を提示されたわけです。 時間の関係で、そのすべてを報告するのは不適切だと思います。また、その文章の一部 には個人的な見解の点で微妙な違いもありますので、ここではその一部をご了解を得て 提出させていただいています。なお、下線を引いているのは、委員の方々に、よりポイ ントをご理解いただこうということで、私が勝手に線を引いたものでございます。その 点もご了解いただけたらと思っています。  そこにありますように、「児童福祉法改定、障害者自立支援法見直し、発達障害者支援 法見直しに関する基本的意見」ということで表明されています。その中の前半、児童福 祉法改正及び障害者自立支援法の見直しに関する部分の4、5、6のみをここでは提示さ せていただいています。少し、これを読ませていただきます。  「4.障害児(者)への支援において、キャリーオーバーした状態(児童期に発生した 病気や障害が成人期に持ち越されていく状態)への医療的支援に小児神経科医がかかわ らざるを得ない状況があり、実際に多くの小児神経科医がこのような状態への医療的支 援を強く担っている。児童福祉法改定、障害者自立支援法見直しにおいても、この点に ついての柔軟な配慮が必要である。この意味からも、また児者を通じての支援体制があ ることによって療育の質が維持され施設による多様な障害児支援活動が可能になってい るという現状からも、重症心身障害児施設の児者一貫体制の維持など、児童期から成人 期にかけての継続性のある適切な支援体制が維持できるような柔軟な枠組みが必要であ る」。補足説明があります。これはあとでご紹介させていただきます。  「5.在宅の超重症の障害児(者)が増加しており、在宅、通所、居住支援(ケアホー ム、入所施設など)における医療的対応のニーズも著しく増加しつつある。しかし、障 害者自立支援法では、そのようなニーズにどのように対処していくのかという視点が欠 落しており、児童福祉法による施設においても超重症の障害児(者)の入所(特に短期 入所)受け入れを行うための経済的基盤が脆弱である。生活の場、医療福祉サービスの 場における、医療的ケア(痰の吸引や経管栄養注入等の医療的な生活援助行為)のあり 方について、医療的ケアの担い手をどのようにするのか、看護師の配置を経済的にどの ように保障していくのかの検討、および超重症児者の短期入所の条件整備など、切迫し ている問題への基本的検討と具体的対応が早急になされるべきである」。補足説明3とあ ります。6.はこのあとの議論ですので飛ばします。  補足説明・補足意見2をご覧ください。その中で1番目には、3行目にありますよう に「支援の量と質は児童期から成人期になっても減じたり弱まるものではなく」という ことであります。そういうことから、下から5行目あたり、「実際にも、児童期から入所 している場合に成人期に他施設入所へ移行することは困難であり」云々とあります。そ の1行下には、「児者共生のあり方が必然である」ことを補足説明に加えておられます。  次に3頁目の3)です。これは「それぞれ日本重症心身障害学会、あるいは重症心身 障害療育学会はいずれも児童期と成人期にまたがった学会である」と紹介しておられま す。  4)として、「児者分離」となった場合には、「成人部門でのスタッフ確保は困難となり、 重症心身障害児者への支援の質は人的な面からも低下する可能性が大きい」というご指 摘でございます。そして、5)には、短期入所について児者一貫での体制が不可欠である。 存続は必要であることを主張としておられます。さらには、先ほども君塚委員がおっし ゃられたように、多くの重症心身障害児施設が発達障害児支援についても、というよう なこともご紹介いただいています。  まとめとして、(1)「短期入所受け入れ拡大のための条件整備が要る」、(2)「肢体不自由 児施設での重症児入所枠促進のための条件整備が要る」、(3)として重症心身障害児者施設 入所児者の定期的な見直しや適正運用のためのシステム整備が必要」ということを指摘 しておられます。  3)に対する補足としては、前回、私も超重症児・準超重症児の数値をいろいろな角度 から推計いたしましたが、それ以上に多いという数をここにご紹介しています。「重症心 身障害児者の中で、特に医療依存度が高い超重症児・準超重症児者の数は増加している。 杉本らの調査によると、20歳未満の超重症・準超重症児の数は1,000人対0.19〜0.45人 である。このデータからの計算で、全国の20歳未満でも推計7,350人(入院、入所、在 宅合計)」ということで、私が提示したものよりも約倍近い数の方がおられることを指摘 しておられます。  2)では、特別支援学校において、医療的ケアについて前進が見られているのに対して ということで、若干福祉施設でのその部分についても配慮いただきたいことを述べてお られます。  3)は先ほどと同じでございます。超重症児・準超重症児の在宅生活を支える短期入所 について、是非ともということで、下から2行目に、「超重症児・準超重症児の入所受け 入れの経済的基盤の整備、特に短期入所についての経済的基盤を含む整備が必要である」 ことを述べてくださっています。以上、日本小児神経学会からの公の文書の一部をご紹 介申し上げました。続いて。 ○柏女座長 できるだけ多くの方に発言の機会をお願いしたいので、少し短めにお願い できればと思います。 ○末光委員 それでは、次の部分だけ関連しますのでご紹介いたします。5頁、これは 私ども公法人立重症児施設の職員の総括表です。約129施設、1万2,000人近くの方々 をお受けしていますが、そこでの職員の配置です。上段にありますように、医療部門で は医師が当然大きな役割を果たしています。そこで小児科の医者が約6割である。その うち、小児神経科の医者が過半数を占めています。  2点目には理学療法、作業療法、言語聴覚、その他のリハビリ関係の職員も一定数を 占めています。右端の看護部門については約2対1、1万2,000名に対して6,000名の常 勤がいる。下の段の育成部門ですが、保育、指導関係についても4,000名です。先ほど のリハビリの職員を合わせますと約6,000人ということで、2対1の配置になっていま す。その点をご理解いただきたいと思います。専門性、特に先ほど来出た小児神経科医 の役割については、重症心身障害児の入院医療、在宅支援の中核的役割を果たしておら れることをご理解いただきたいと思います。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。田中委員、お待たせしました。お願いします。 ○田中委員 「入所施設の役割」を在宅支援の立場から発言したいと思います。資料1 頁の「入所施設の役割」の中で、(1)から(5)まで書かれています。基本的には、第2回の 委員会の中でも発言させていただいたように、医療面における支援が必要な方、また緊 急避難的な対応ということで対応が必要な方の役割が施設の機能において果たされるべ きである。その点、これは後段の話にもなると思いますが、措置が前提であることは重 要という前提はありますが、一方でそれをそのまま続けることだけでは成り立たない。 特に在宅支援においては、先着順になっている条件の措置の役割の中で、未だ使えてい ない状況のまま家族の努力や奮闘だけでそれが機能している。そう考えると、いろいろ な資源が必要な状況において地域での生活がまずありきで、そしていろいろな困難にお いてこのような課題が挙がっているわけです。その課題を克服したのち、地域に戻って くることを前提にした支援体制であるべきだろうと思っています。ですので、入所施設 の役割を見ていくときに、地域への支援ということも大きな役割として期待をしたいと 思っています。  また、その際、施設の果たす役割がいま君塚委員、末光委員、柴田委員などによって 大変重要であるということを、私も強く感じているところではあります。その施設の機 能が地域全体のセンターになってはいけないと思っています。  それについては、施設のあり方が全国平均で考えると偏在している。いま、お伝えし ているような状況において使えていない、お困りの家庭の多くの場合には施設の対応す らも届かないところがある。基本的に、入所施設が果たしている中核的な役割を地域全 体でどのように、センター的な役割の中で機能させるような視点を持つかが大事だと思 います。一方で措置ということがやむなしの対応で必要な場合、契約ということが役割 の中でも反映されるような仕組みをもっと盛り込むべきだろうと思っています。契約を していくということが、措置を必要とする状況まで追い込まれない環境整備になること を期待していますので、是非、その点についても、施設の果たす役割の中に盛り込んで いく必要があるだろうと思います。  その際、柱となる考え方が個別に支援計画を立てていく。それはきめ細かさを際立た せることにおいて非常に重要だと思います。2枚目の(2)の「入所施設の類型」におい ても、昼夜の問題が挙がっていますが、昼夜一体としてしまうと、きめ細かさを生み出 す要素が減ってしまうのではないかと思っています。例えばショートステイなどを利用 するときも、実際には児童期ですので、義務教育も含めて学校期間がある。それを活用 することにおいては、昼夜を分けるということは非常に重要で、分けていく中でのかか わりの幅が利用する方の暮らしぶりの選択肢になると思っています。それが成り立つよ うな仕組みづくりが最も重要だろうと思っています。  また、在園期間の延長についてですが、結果論としていまの現状があると思っていま す。あるべき論としては個別支援計画などを柱に、本人の状態の把握ということで、非 常に重篤な状況である、もしくは本人が移行する先としての環境を確保し切れないとい うことにおいて、結果論にならざるを得ないというのは致し方ないとしても、結果論が あるべき論にならないような仕組みを作っていくべきだろうと思っています。とりあえ ず以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました、貴重なご意見を頂戴しました。ほかにあります でしょうか。それでは、山岡委員と北浦委員、お願いします。 ○山岡委員 「入所施設のあり方」の「役割」ですが、基本的に障害児に対する取組み としてはノーマライゼーションということで、極力地域において、極力制限がない状態 で、極力経済的負担がない状態で構築していくことが目指す方向だと思っています。そ の前提として、現状ではそれらが充足されていないわけです。障害のある子どもを持つ 家族の不安とか、課せられているものが大き過ぎるということがあります。おそらく、 見通しを持って生活していけるような、あるいは個々のニーズに合わせて一貫性のある 支援体制や制度、仕組み、相談支援体制が構築されることが前提となってくると思って います。  基本的には、地域において暮らすということですが、施設が必要な場合が十分あると 思っています。例えば団体意見のところで、日本知的障害者福祉協会からも意見が出て います。自閉症児施設は全国に7カ所しかなく、自閉症の場合、特性あるいは強度の行 動障害があるということで、専門性の高い支援が必要だということでした。専門性のあ る、あるいは必要性に応じた施設というのは必要だと考えます。  「入所施設の類型」というところですが、昨今の障害の重複化、ニーズなどの多様性、 あるいは先ほどお話がありましたけれども、肢体不自由児施設に発達障害の方が押しか けているという感じになっているわけです。障害種別ということよりは、一部総合化を していくことが大事だと思っています。機能別ということでいくと、医療的な面、ある いは生活支援の面ということで分けていくことが大事だと思います。  また、発達障害のあるお子さん、あるいは家族が肢体不自由施設に行っているという ところは、本来身近なところに、気軽にグレーゾーン、あるいは相談したいときに行け る施設がないということもあるのかと思います。そういったものを各地域に作っていた だくことが大事だと思います。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。北浦委員、お願いします。 ○北浦委員 末光委員のあとで、ちょっと同じようなことなのですが、先日もお話しま した日本小児神経学会の元会長の有馬正高先生は私どもの会の副会長でいらっしゃいま す。この件についてご意見を寄せてくださいましたので、読み上げさせていただきます。  「重症児者のほとんどは、赤ちゃんのときに生じた重い脳障害が原因なので、外来、 入院、入所、いずれも小児科医、特に小児神経科の専門医師たちが主治医となって、大 人になっても診療を続けています。大人になってから発病する難病などを専門とする内 科、神経内科の医師はほとんど診察してくれません。入院も不可能です。また、現状は、 全国の重症児者施設の常勤医師の3分の2は小児科であり、その多くは日本小児神経学 会の会員です。施設入所者の80%は20歳を超える成人ですが、児者一貫制度で幼児期 を知っている小児科医たちが受け持っています」。  あくまでも、いまの制度を続けるべきであるという、短い文章ですが非常に強いご意 見をいただきました。皆様に知っていただきたいと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。市川委員、渡辺委員、末光委員の順でお願いし ます。 ○市川委員 知的障害児の施設という観点で見ると、先ほど話に出ていましたが、濃厚 な医療というよりは実は淡白な医療になってしまっています。これに支援が必要だと思 います。現状では先ほど末光委員、あるいは君塚委員からありましたように、小児精神 科医が非常に足りないということで医療からかけ離れてしまう。ただし、それは数少な く、先ほどの話ではありませんがキャリーオーバー、大人になっても診察しなければい けない状況があります。これもやはり考えていかないといけないと思っています。  児者一貫体制ということについては、基本的に子どもと大人は知的障害でも分けてい くべきだろうと思います。現状としては連携が非常にうまくいかない。私が知的障害施 設の職員をやっている限りは、大変な人ほど、者の施設に移れないという状況がありま した。一貫にするのか、あるいは制度上きちんとするのかは別の問題ですが、考えてい かなければいけないと思います。  参考資料5については、第一種自閉症施設が全国に4カ所あります。私がいま勤務し ているところもその1つです。そこの4カ所でアンケートを取ったものです。実は4カ 所ありますが、それぞれシステムがだいぶ異なっており、必ずしも同じ状況ではないよ うです。ただ、医療をやっている所ですが、これがあったほうがいいだろうといういち ばんの理由は、やはり第一種自閉症制度があるということで多職種が容易に雇えること です。医療保険点数に関係しないような方々でもというのがいちばんの問題点であろう。  もちろん、19歳を越えてもいるという方がずいぶんいらっしゃるという状況があると 思います。それから、先ほどからほかの方からもお話が出ていましたが、虐待等の問題 が関係してくる方が非常にいま増えています。4施設のうちの2施設では、児童相談所 の一時保護の延長上のような形でこの制度を利用しているようなところがあります。こ のあたり、やはり連携をうまくやっていけばもう少しうまくいくのではないかという話 が出ています。1つのところでは単独に支援制度を持っていますので、この制度が現在 ほとんど使われていない。ただ、それについては、その制度がなくなればこの制度を使 う人が出てくるだろうと思います。  実際、第一種自閉症施設を利用している方は、広く見れば自閉症かなという状況にな ってきています。発達障害全般的に使われる状況になっているということです。以上の ことから、是非、この制度は維持していただきたいのですが、少し変えていただかない といけないだろうというのが施設からの報告です。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員 いま、いろいろお話を伺っていて、私自身もすごく刺激を受けるわけです。 まず、先ほど山岡委員がおっしゃられたような、ノーマライゼーションというのは児童 のときからきちんと地域生活を保障することもそうですが、もっと言えば、子どもとい うのは基本的に家庭で養育されるのが最もノーマル、最も自然な形です。そういう意味 では、少なくとも児童福祉法で言う児童の段階までは、出来得る限り家庭生活をすべて の子どもたちに保障していきたいという思いはあります。  ただ、それではなぜ家庭生活を維持していくことが難しいかというと、その1つには ご家族が非常に過剰なマイナス、ご負担を抱えている現状もあると思います。結局、養 育や介護等にかかわっているご家族の負担をできるだけ軽減する方法が必要である。そ ういった意味で言うと、先ほど君塚委員、柴田委員、末光委員、田中委員もおっしゃら れていましたが、やはり施設が持つ1つの働きとして在宅支援、在宅で介護されている 方々へのケアの提供、是非とも施設が持っている資源を地域で活用できるように、ある いは地域で展開できるようにという形で充実させていくことによって、できる限り在宅 でのケアを継続できるようにしていくことがまず大事ではないかと思っています。  同じ意味で言うと、先ほど短期入所ということも出てきておりましたが、短期入所だ けではなくて、居宅介護であったり、児童デイであったり、あるいは通園施設であった りという、もっと身近なところのいろいろな在宅のサービスにおいても、医療職、ある いは看護師などという、医療にかかわってくるような専門職をもう少しうまく組み入れ て配置できるようになると、この中でカバーできていく、障害を持っている子どもたち の幅も広がっていくのではないかと思っています。いま私も児童デイサービスを運営し ている法人の事務長でもあるのですが、なかなかそこが難しくて、薬一つ飲ませること もできないという状況があって、ここをもう少しカバーしていけると。かなり医療依存 の高い方は難しいですが、もう少しカバーしていけるのだけどな、という思いは常に持 っています。そういう中で、入所施設の役割、あるいは通園施設等も含めた役割として、 在宅で障害児を養育されている家庭をどうカバーしていくかというところについては、 もう少し拡充が必要だろうと思っております。  もう1つは、先ほどから出てきている児童養護施設、あるいは障害児施設でも、養護 性のオーバーラップみたいなところの部分ですが、私はいまおっしゃられている意見に ついては、非常によく理解できるのですが、虐待に至るまでに何があるかということを 見ていくと、実際に虐待に至ってくるまでには、必ずしも親御さんだけを責められない ような状況があると思うのです。そこは障害児をめぐっての家族間での葛藤であったり、 なかなか親族などからいろいろな支援を得られなかったり、理解が得られないことによ って、お母さんが非常に孤立しなくてはいけないような状況が、いまでもたくさんあっ たり、あるいはそこに養育の負担や介護の負担がたくさんかかってきて、家族は何度も 危機的な状況を迎えた上で、そこから虐待が起こってくるということもあると思います ので、実際には養護性の高いケースが起こってくることを予防するという視点から言っ ても、でき得る限り在宅でケアをしているご家族の負担をまず軽減していくということ が、虐待等の危機的な状況が発生することの予防という意味でも、必要ではないかと思 います。以上です。 ○副島委員 まず、利用する側から考えた場合ですが、入所施設の類型についてです。 障害者の場合には昼夜分離ということで制度は進み、健常な方々に合わせた取組みは 我々も歓迎しています。障害児施設の場合も、望みは同じですが、本当に具体的にそこ へ進むことができるのだろうかというところが心配です。特に子育てということになる と、夜の子育てもあろうし、昼の子育てもある。そこのところをどのように理解しなが ら、昼夜の分離へ持っていくかというところは、やはり慎重にやっていくべきだと思い ます。  それから、在園期間です。特に加齢児関係です。利用者の親としていちばん不安なの は、「児」の所で対応していただいたその親の安心が、継続して「者」のほうへ渡ってい くのだろうかというところが心配なのですね。そういうことでは、自分の子どもについ てのいちばん良い理解者であり、よく知った人が継続して対応していただけるような形 は、ある面ではすごく安心できる材料だと思うし、支援者が代わることによって、もし くは環境が変わることによって、本人の混乱が生じてくることを何とか避けていきなが ら、大人になっていきたい。そんな気持もあります。  それから、在宅で暮らす重度の方々についての支援は、絶対必要です。施設入所だけ でなくして、在宅での対応をしているところも結構ありますので、そこに対してどうや って支援をしていくか。もしもその支援がなければ、先ほど言われたみたいな虐待など、 いろいろな子育てについての問題点が浮き彫りになってくるのではないかと思います。  それから、その他のところです。地域とのかかわりとか、地域での果たす役割のとこ ろですが、ある委員の方が言われたことと同じように、やはり子育てをする機関として、 この施設は重要な社会資源の1つだと思うのです。入所での専門的なノウハウはすごく 持っておられてですから、それをどうやって、どういう形で地域へつなげていくのか。 特に前回のテーマでもあった相談・支援のところの地域自立支援協議会に、1つの事例 として子ども部会というのがあります。子ども部会などについては、まさにこの入所施 設の役割はいちばん大きいですね。ということは、地域自立支援協議会の核になるよう な役割がそこで見えないだろうか。是非そういうところも検討していくべきだと思いま す。以上です。 ○末光委員 契約と昼夜のことについて、私どもは施設側ですが、若干、柴田委員と違 い、田中委員あるいは副島委員に近いかなと思っております。重症心身障害児ですが、 やはり原則は契約でやるべきだと思いますし、ご本人の意思が非常に制限される場合に は、その代わりの代弁者であるご家族やその他の方々にそれをやっていただく。やはり サービスは受け手と提供者が対等であるべきだと思いますので、基本は契約であるべき だと私どもは考えております。次の昼夜についても、重い重症心身障害といえども、昼 間もパジャマ生活をするというのは不適切だろうと。日中はプレイルームに出るとか、 あるいは他の社会的活動に参加すべきだろうという考え方を持っております。これにつ いては、国立病院機構のほうでは、その点でやや遅れておられるという認識をしており ますが、困難であろうとも、可能な限り日中と夜間の生活は分離すべきだろうと考えて おります。  もう1点は、田中委員がセンター的なものについて云々とおっしゃられましたが、こ れについては、専門性を一定のレベルで集積し、また物理的条件を持っているところが センターであって、そこへ来るのを待つのがセンターというのではなくて、出かけるべ きであるという点でいうと、田中委員の言われるセンター観がおかしいというか、疑問 点については、もう少し整理して検討いただきたいと思っております。 ○松矢委員 まず、子どもの支援ということで、先ほど介護の問題が出ておりましたが、 発達支援という観点で観察していく必要があるだろうと。子どもにとっての最善の利益 が「子どもの権利条約」で認められていますし、そこのところが非常に重要なので、渡 辺委員もご指摘のように、ノーマルな状況というか、環境といえば、家族と一緒にとい うことが最前提ですよね。しかし、障害があることで手厚いサービスを受けるというこ とで、私は入所施設の果たしてきた役割は非常に大きかったと思います。重症心身にし ても、通園事業が生まれてくるプロセスもよく見ていますし、そういう中で医療も進ん できて、在宅で重い重症心身障害児のお子さんが幼児期、家族と一緒に過ごせるし、ま たそれによって学校教育も可能になるし、また医療的ケアで通学も可能になってくると いうプロセスは、重症心身障害施設、あるいは肢体不自由の施設、そういった医療を中 心とする施設が地域に出ていくという状況があったと思います。そういうことを認めた 上で、今後の在り方を考えていくと、必要なサービスの一貫性はそうなのですが、私は 子どもと大人はしっかりと分けながら考えて、重症心身も児童期、18歳までは学校教育 もあるわけですから、そのあと急に18歳以降のサービスが人的には落ちてしまう状況を 知っていますので、やはり手厚い形で続いていくべきだと思っているのです。でも、子 どもと大人は分けて考えるべきです。ただ、機能的に一貫性ということは、ご指摘のよ うに容認しているわけです。それは地域センターとして、そうでないと機能できないだ ろうと思うからです。それが1点です。  それから、ここに資料が出ていなくて、どうも具体的に考えられないのですが、これ から児童養護施設との関連ですね。ここで言っている障害児施設は、いわゆる障害児施 設で、実際には情緒障害の短期治療施設も外に出ていますし、児童養護施設における障 害のあるお子さんたちの課題も、ここで資料が出ております。最近20%として上がって いるという6頁の資料、もう1つ11頁では、障害児施設の年齢別構成が出ているのです。 ところが、児童養護施設のは出ていない。たぶん同じような比率であるのではないかと いう気がするのです。虐待等を社会的養護で見ると、やはりあるのかなと。そうすると、 発達支援という関係で見ると、個別的な支援計画に基づいて、障害に対応した地域のサ ービスが受けられるという仕組みを作っていかなければならないだろう。  そういう意味では、児童養護系の情短や自立支援施設と、地域の障害のある子どもた ちについていろいろ支援する資源が結び付くようにと考えていくと、やはり個別支援計 画がきちんと児童養護関係、社会的養護を必要とする子どもたちにも入ってくると。も ちろん障害児施設のほうにも入っているわけですが、個別の支援計画で、もちろん病院 内、医療の中で一貫して受ける場合もありますが、そこから地域に出ていくお子さんた ちの課題があるわけですから、その課題をしっかり常にフォローしていくのは、個別の 支援計画だと思うのです。  ですから、児童養護施設等についても、個別支援計画を作り、地域の障害のある子ど もたちのために使える資源と連携しながらやっていくと。特にだんだんと高等学校段階 に行くと、「自立」というテーマがありますので、児童養護施設の知的障害のお子さんた ちは、学校教育は知的障害特別支援学校の高等部へ行くお子さんが多いのです。中学ま では地域の特別支援学級ですが、高等部だと特別支援学校に行きます。東京都ですと、 中間施設、移行支援施設として、通勤寮が十全に機能していますから、多くの児童養護 施設のお子さんたちは、就職すると通勤寮に移行できるのです。ところが、これが自立 支援法でグループホームになってしまうということで、大変問題になっているわけです。 そこで必要なのは、そこのグループホームにするかどうかという議論は別にして、移行 支援をきちんとできるということなのです。移行支援をしている、通勤寮というのは、 まさにそういう機能を持っている。ですから、それは通勤寮でなくても、きちんと移行 できていくという体制が後期中等教育、高等学校段階では、社会的な連携で考えられて いかなければいけない。  そのようになると、個別の支援計画は、児童福祉法の中にきちんと組み込んでいかな ければならないだろう。そのことによって、入所系のいろいろな地域サービス等につい ても、従来の施設体系の良さを活かしながら、全体として児童福祉法が強くなっていく という考え方で、改正を考えていくべきではないかと考えています。以上です。 ○柏女座長 まだご意見がたくさんあるのではないかと思いますが、時間の関係もあり まして、このあとの実施主体の議論も進めていきたいと思いますので、どうしてもとい う方については、そちらの中で入所施設の在り方についての補足ご意見などを頂戴でき ればと思います。入所施設の在り方については、若干、委員間で温度差がありましたが、 私の感覚では、乗り越えられない温度差ではないのではないかとも思いましたので、こ のあとも議論が続いていくことになりますので、またそこでご意見などを頂戴できれば と思います。ありがとうございました。  続きまして、行政の実施主体について、事務局からご説明をお願いいたします。 ○障害福祉課長補佐 資料3と資料4に基づいて、ご議論いただきたい点と、そのため に用意した資料について説明いたします。まず、資料3ですが、ご議論いただきたい項 目は2点です。2頁の(1)「障害児施設についての実施主体」です。現在、障害施設の 支給決定は都道府県、これは指定都市、もしくは中核市の中でも児童相談所を設置して いる市がやっておりますが、この実施主体についてどのように考えるかという論点です。 3つ※で付けておりますが、通所の場合、若干「措置」もありますが、ほとんど「契約」 です。入所の「措置」の場合、入所の「契約」の場合、それぞれについて、どのように 考えるか。  2つ目に視点を入れていますが、ここで言っている一般施策は、例えば保育所であっ たり、学童保育であったりという、一般の児童福祉施策との関係、もしくは大人になっ てからの障害者施策との並びを考えれば、市町村の関与が強いほうが望ましいと考えら れます。他方で、障害児施設は数が少なく、広域調整が必要なこと、もしくは専門的な 判断の面などを考えれば、都道府県の関与が必要と考えられますが、こうした要請につ いてどのように考えるか。  3つ目の※ですが、さらに現在、児童養護施設への措置が都道府県、児童相談所設置 市の役割となっており、虐待等の場合で、かつ障害児の場合の措置の判断について、一 元的に行うためにはどのように考えるかということを、ご考慮いただきたい点として掲 げております。  次頁は、これまでもたくさん意見が出ておりますが、(2)「措置と契約について」、現 在、障害児施設については、契約による利用を基本としつつ、虐待や養育拒否の場合な どには措置によることとされているが、措置と契約について、どのように考えるか。ま た、措置による場合と契約による場合の判断について、各自治体により差が生じている という指摘がありますが、さらなる明確化が必要ではないかというところです。  資料4に基づいて、若干の背景資料を用意しております。まず、2頁は、これまでの 障害児施策の実施主体に関する議論の経過です。平成元年から載せてありますが、福祉 について、市町村をその主体とすることが適当、平成7年にも市町村の方向でというこ とで、これは障害児・知的障害者ということで、市町村ということで掲げております。  3頁ですが、平成11年に中央児童福祉審議会のほうから、今後の知的障害者、障害児 施策の在り方ということで、ここでも障害児福祉サービスについても、住民に最も身近 な行政主体である市町村が権限を持つことが望ましいという基本的考え方とされており ますが、ここではより踏み込んでおり、在宅サービスについては、市町村が統一的に在 宅サービスを取り扱うこととすることが必要ということで、平成15年から委譲されてお りますが、施設サービスについては次のような点を勘案する必要があり、さらに検討が 必要ということです。勘案事項として3つ掲げてありますが、1点目は、高度の専門的 な判断が必要であること。2点目は、被虐待等の要保護性を有する障害児の入所につい ての責任の所在ということで、この時点では子どもの施設サービスについて、さらに検 討が必要ということで、これまで来たという経過があります。  4頁からは論点の2点目の措置と契約についての資料です。4頁は、これまでの福祉施 策について、措置制度から契約制度への移り変わりについて表にしたものです。5頁は、 現状の措置と契約の取扱いで、厚生労働省が示しているものです。原則として、障害児 施設の利用は契約によることとなるが、児童相談所が下記の事由のいずれかに合致する と判断した場合には、措置による利用ということで、保護者の不在、保護者の精神疾患 など、もしくは保護者の虐待などを掲げております。さらに、「等」の中に、親の養育拒 否、児童に悪影響を与える場合、児童の成長に重大な影響を与えると判断された場合と いうことを、これまで示しているところです。  6頁・7頁は、各施設別に見た措置と契約の割合です。8頁ですが、措置と契約の所に ついて、そもそも措置と契約をどう考えるべきかというところもあるのですが、これま での検討会でも、都道府県ごとの判断にかなり差があるのではないかというご指摘をい ただいております。そこで、これはいま私どもの課で進めているところですが、「背景」 のところで申し上げたようなところですが、検討事項で措置と契約の区分についての判 断基準をより明確化するために、現在、全国の児童相談所設置自治体に対して、現状の 調査を行っております。いまその調査をしているところで、まだまとまっていないので すが、例えばどのような場合に措置、契約とするかという判断基準を置いているか。も しくは、判断に迷っていることを、いま全国の児童相談所に調査しているところで、そ の結果を踏まえて、分析したり、判断基準を考えていく必要があるかということで進め ています。これは論点の2点目、いまの基準の明確化ということでやっている作業です。 ご議論いただきたいことは、先ほど申し上げた資料3の(1)(2)、それぞれについて、 またご意見をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○柏女座長 行政の実施主体については、2つの論点を挙げています。特に最初の論点 については、平成元年よりずっと宿題になって、持越しをしている分野になります。実 施主体の検討については、もう1つ、いままで資料として出されておりましたが、実施 主体の問題と費用負担の問題が連動していることについても、考えていかなければいけ ないということだと思います。例えば知的障害児施設は、30日利用した場合、月額20 万円ということがありましたが、そのうちの負担は県と国であって、市町村は負担して いないことについても、考えていかなければいけないことになるだろうと思っています。 このように費用負担の役割分担の在り方も念頭に置きながら、ご議論をいただければと 思っております。柴田委員、末光委員、田中委員ということでお願いします。 ○柴田委員 ここは申し上げたいことがいろいろあって、一遍にはちょっと難しいかな と思います。実は先ほどの論点の、施設の在り方の所で、もうちょっと検討しなければ いけないのが、例えば養護学校を特別支援学校に付属している寮がありますね。生徒寮、 これの実態はどうなっているのか、そこで何が行われているのかについて、まるっきり 説明がなかったのですが、ここも重要な課題かと思って、そこはできればもう一度、資 料を提出していただいて、検討すべきではないかと思います。  次に、個別支援計画の重要性が松矢委員、そのほかの方からも出ていたのですが、児 童養護施設の場合は、入所に当たって個別支援計画を作成することになっているわけで すが、知的障害児施設の場合は、それが義務付けられていないわけですね。そこは、障 害児施設においても、やはりきちんと個別支援計画に基づいて支援するという体制を位 置づける必要があるだろうと思います。  それから、通勤寮のことをおっしゃっていたのですが、前にも申し上げましたが、こ れは養護性に欠けるということとは別に、特に知的障害児の場合に、成人になっていく 過程で、一旦親元から離れて、自立生活の訓練をするといいましょうか。そのような場 所は非常に重要で、その時期は大人になってからかというと、学齢期の後半ぐらいから、 そのような試みが行われていいのではないかと思うのです。実際に現在では、従来から 15歳から使ってよいということでしたので、私の経験でも養護学校の高等部在学の人を グループホームに引き受けて、通学しながら、やがて卒業して通所施設に移行したとい う事例が2つあります。その辺の入所施設ではないにしても、成人になっていく過程で の生活面への発達の支援をどうするのかという課題も、併せて検討していただきたいと 思います。その点で、時間がないからか知らないのですが、随分スピーディーに行かれ たのですが、ここはもう少し丁寧に検討を加えていただきたい。あとの時間で、もう1 回また別の機会にでも結構ですので、お願いしたいと思います。これはもう次の課題に 入ったと見てよろしいのですか。それは、またあとで改めて。 ○柏女座長 いまのご意見については、例えば宿舎の話などが出ておりましたが、これ らは文部科学省のほうでわかるのでしょうか。 ○障害福祉課長 今後の進め方にも関係するので、座長とよく相談します。今日の柴田 委員の話も含めて、おそらくこれまでの議論の中でも、いくつか資料を出してくれとい うことが宿題で残っているのがあります。したがって、今後これまでの議論を踏まえて、 また次にどういう議論の整理かとやる中で、それぞれいくつか追加的な資料も出してい ったほうがいいと思っています。その意味で言うと、いまの問題に限らず、この障害児 の分野は教育と非常に関係しているし、先ほど松矢委員から出ましたが、教育および将 来の働くといった意味で労働とも関係していけるので、そこはこれまでの宿題全体を幅 広く、それぞれまとめて議論する中で入れていくような形で考えていければと思ってお ります。 ○柏女座長 柴田委員、よろしいでしょうか。 ○柴田委員 もう一度、またあとで時間を設けていただきたいと思います。  実施主体と措置というのが、結局、措置か契約かということと非常に濃厚に結び付い ている問題で、実施主体だけ分けて考えることは非常に難しいと思います。「支給決定の 実態調査報告」について、知的障害者福祉協会の発達支援部会児童施設分科会が平成20 年3月に行った、最新の調査の結果です。4頁ですが、実際に現在、支給決定の中で、 措置と契約の比率が各県別に載っております。上からいくと、東北地方の山形県などは、 措置率はゼロ、全員が契約となっております。5頁ですが、愛媛県なども措置がゼロ、 全員が契約となっております。それに対して、東海地方の愛知県や三重県、あるいは静 岡県などは、措置率が69%から87%と、非常に高くなっているわけです。このように、 措置か契約かについて、現場の中で大きな混乱が生じているわけです。  その中で、今日の資料の中で「原則契約」と書かれております。2枚目の「措置と契 約について」で、「現在、障害児施設については、契約による利用を基本としつつ」と書 いてありますが、この「契約による利用を基本としつつ」という条件が出たり入ったり して、こういう表現がされたり、されなかったりということで、いったい契約による利 用が基本なのか、措置が基本なのか、そこはいつの間に契約による利用が基本になった のか、実は我々も非常に不思議に思っているところです。  例えば実施主体の経過の中で、実施主体の参考資料の3枚目に平成11年度の中央児童 福祉審議会のまとめがあるわけです。実はこのときに、もう1点、ここに書かれていな い重要なことが指摘されていたのです。児童福祉法の第2条において、「国および地方公 共団体は、保護者とともに児童の健全育成の責任を負う」という定めがあることが、施 設サービスの勘案事項の(1)、(2)、(3)の前に、もう1つ書いてあったのです。それが意図 的に外されたのか、要らないと思われたのかわかりませんが、実はそこがいちばん大事 なポイントではないかと思うわけです。  現在の知的障害児が施設に入所する要件の中で、本来はやはり家庭で健全に育成され ることが望ましいわけですし、それまでは学校教育の猶予免除によって、家庭において は教育ができないことから児童施設に入る例が多かったわけですが、養護学校の義務化 以後は家庭で育成するという基盤がかなり強化されて、障害児の入所施設の利用は減っ たわけです。しかし、利用の希望がなくならない、必要性がなくならないのは、家庭が 支えきれない現実があって、特に近年、児童虐待とともに、養護施設が満杯になって、 いままでは養護施設で受け入れていた知的障害児が、知的障害児施設に回ってくるとい う現実があります。その中で、児童の健全育成の責任が国および地方公共団体にもある というところの原点を、もう一度確認する必要があると思います。  それから、平成11年度において、先ほど言ったように大事な1点が抜けているのです が、このように勘案事項で全部で4つの問題が指摘されていたわけです。それがいった いどう検討されて、自立支援法で契約になったのか。その検討された経過がつまびらか にされておりませんので、それは一度、どういう経過でこれが契約になってしまったの か、契約が導入されたのか、そこの説明をお願いしたいと思います。それが本日の調査 報告の2頁から3頁にかけての非常に大きな問題です。  実態として、措置と契約ということで、非常に多くの現場で混乱が生じておりますが、 6頁から「支給決定の事例」ということで、いろいろな事例が報告されております。例 えば6頁のいちばん上の1の例は、幼児期に両親が離婚して里親を委託された。知的障 害が顕著になって、小3で入所したということで、家庭では対応できない実情があると いうことですが、児相は父親が契約に同意したので、これは契約であるという判断です。 施設としては、もともと養護事情があって、父親は親子関係の帰属には至っていないと いうことです。後に親権者となった母も、単独で生活保護を受けているというところで、 この生活保護の中から本児に養育責任を果たそうとしないという事例について、児相は これを契約としているわけです。  2番目の例も、同じように両親の離婚で、兄は児童養護施設で措置、知的障害のある 本児は知的障害児施設に入って契約と、非常に矛盾した現状がいろいろ報告されている わけです。具体的な例を2つだけ申し上げました。  最後に、最近入手した資料が「意見書」です。これはある施設で、実際に児童家庭相 談所とやり取りしたときの資料です。この児童の場合は、いま3歳から4歳になろうと いう児童ですが、一度、養育放棄ということで、乳児院に措置入所しているわけです。 その後、母親のうつの状況もあり、生活保護の受給になっているところで、母親として は自主的な面会外泊は難しい状況ということで、家庭環境の問題によって、児童を家庭 から切り離さなければ児童の成長に重大な影響を与えると施設側は考えて、家庭病理と しては極めて重症化しているということで、措置にしていただきたいという意見を出し た、これが意見書です。  それに対して、2枚目は児童相談所から回答されたものです。その中で、中段におい て、(1)(2)(3)(4)の実際の事情については、児相もほぼ同じような見解を持ってい る。ただし、「保護者が契約の意思を持っている以上、制限行為能力者でない限り契約で ある」との見解が、厚生労働省および県の見解であるということです。  3枚目に本庁、これは県に問い合わせたところ、契約手続が煩雑であることや、契約 に伴った支払いが生じることを説明した上で、保護者がそれでも契約の意思があるので あれば、保護者が精神障害者であっても、あるいは虐待者であっても、契約になると、 この県は回答しているわけです。虐待でも、保護者にも知的障害の人もいますし、精神 障害の人もいるわけで、契約でよいかと言えば、そのときは「契約にします」と答える 例が多々あるわけです。それで、保護者が了解したから契約なのだと、こういう事例が 実に頻発をしているわけです。  児童相談所がそのための根拠として出しているのがもう1つの資料で、全国児童相談 所協会からの疑義回答についてということで、厚生労働省から出された文書です。その 中の1枚目の下の(3)「保護者が精神疾患等の理由により制限行為能力者又はこれに準 ずる状態にある者」というときに契約ということですが、それはどういうことかという と、「家庭裁判所に保護者が成年後見人の利用申請中である場合を想定している」という ことで、実際に保護者に知的障害があったとしても、成年後見をいま利用している率は 極めて少ないわけで、成年後見を使っていないから、本人に契約の能力があるのだとい う解釈で、実際に契約にさせられているわけです。これが現在の非常に大きな混乱を生 じている実態です。  もう1つは、このような場合に、家庭、保護者は利用負担をしませんので、その利用 負担の未納金がいま全国で相当の額に上っているところです。知的障害児入所施設が日 払い方式等々と相俟って、極めて深刻な経営の危機に瀕しているというのが実態です。 そういう点から、協会としては、知的障害児施設については措置に戻していただきたい、 ということを強く希望しております。実際に養護施設が措置で行われている実態と、知 的障害児が障害を持つ知的障害児として施設に入ってくる実態とは変わらない状況にあ ります。そういう点で、養護施設と同じやり方で、基本的には都道府県に、実施主体も 都道府県に、また形態も措置にということに戻していただきたい。これについては、特 に自立支援法の検討過程の中で、障害児の施設をこの中に含めて契約にするという議論 はほとんど行われないままに、我々は話は聞いたことはありますが、これについて本当 に検討する暇もない状態の中で、さまざまな問題があとからあとから押し寄せる中で、 あっという間に決まってしまったことです。国会でも、これに対する質疑はほとんどさ れていない中で決まった、非常に乱暴な決定によるものです。そういう点で、平成11 年度の中央児童福祉審議会の線に一度戻していただいて、そのほかの施設も同じだと思 いますが、その上で知的障害児施設の在り方について、自立支援法から切り離して、再 度、根本的に検討していただきたいと強く願う次第です。以上です。 ○柏女座長 いまのご意見の中に、ご質問として平成11年の報告から、今回の自立支援 法の中で契約が導入された経緯について、少しお聞きしたいということがありましたが、 それについては事務局のほうでいかがでしょうか。 ○障害福祉課長 時間の関係で一言だけ申し上げますと、審議会の報告および当時の障 害者の法制をめぐって、いろいろな議論がある中で、確かに個別に児童についてという よりも、これは障害児(者)のいろいろな施設利用全般論の中で議論されました。先ほ ど何人かの先生から出ましたが、一般的な行政が全体的に「あなたはここの施設を作る んですよ」という方式の措置という方法と、これは費用負担とも関係しますが、ある意 味では対等な立場で選んでいって、その結果サービスの向上も図れるようなシステム。 この2つの中でどっちがいいのかということで、これは全体としての議論の中で、子ど もも大人も通じて、いまはこのような形になっているものと認識をしております。  ただ、今日はこういう検討会を設けておりますので、そうしたことで柴田委員からの 意見もこれまでも出ているので、それは経緯は経緯として、いったいどうするのがいい のかということは、またここで幅広く議論をいただければと思います。そのときに、い まの現状の問題点と、問題点に対応するための方法論として、論点にも書きましたが、 問題がある程度あるときに、問題を是正する方法論として、例えば措置と契約の基準の 明確化をするという方法論もあるでしょうし、いまの柴田委員のご意見では、そこは全 部措置にするというご意見だと思うので、そこはどういう方法なのか、是非この場でご 議論いただきたいと思います。その際には、先ほど言った大人・子どもを通じた形で、 一定の範囲で対等の関係で選ぶことをどう評価するかも頭に置いた上で、これから先生 方にご議論いただければと思います。 ○障害保健福祉部長 ちょっと補足をして申し上げると、やはりいちばん大きな変化は、 平成12年の社会保障の構造改革の法律が通っております。その中での整理で、1つ契約 を主流にしていこうという大きなトレンドがあろうかと思います。もう1つ、柴田委員 は実施主体と措置契約の話を結び付けてご議論されていますが、そこはまた別の議論で、 福祉のサービスについては、できるだけ身近な市町村でやっていこうというのはすごく 大きな、これまたトレンドであろうかと思います。児童福祉法の分野でも、平成16年の 改正で、基本的な相談は市町村が窓口になってやって、難しいことについて児相でやる と。2層構造ということで、特に虐待の問題に対応するためにそういう改正になったと 思っておりますが、ここは基本的には障害児の問題も同じように考えていくべきかなと 思っています。ただ、そういう流れの中で実際に現在行われている役割分担を、どうし ていくのが今後の流れを見た上でも適切なのかは、またいろいろご議論をいただければ と思います。 ○柴田委員 実施主体の問題でも、市はある程度能力はあると思いますが、町村にこう いう専門的な対応は、現実的には不可能だろうと思いますね。いま何でも市町村と、議 論の中にあるわけですが、町村合併が進んで、全体が人口3万〜4万人以上の基礎自治 体が形成されるような国の基本行政が確立されたあとであるならば、市町村ということ は意味がありますが、非常に人口規模の小さな、3,000人を割っているような村にまで 同等の役割を負わせると。大人の場合もそうなのですが、市町村にすべてもっていくこ とについて、これも根本的な疑念があります。そういうことも含めて、検討していただ きたいと思います。 ○柏女座長 まだ時間がありますので、引き続きご意見を頂戴したいと思います。いま ありましたが、どちらかというと、この障害児の問題については、これまでは自立支援 法の全体の議論の中で、あるいは社会福祉基礎構造改革といった社会保障全体の議論の 中で、あまり議論をされずに来てしまったことはあるのではないかと思います。そうい う意味では、社会福祉全体の普遍性と、この検討会は、幸いなことに障害児という子ど もの問題だけに着目をした検討会ですので、障害児という子どもの固有性にも着目しな がら、是非ご意見を頂戴できればと思います。普遍性と固有性の両方を議論していかな ければならないと思っています。 ○末光委員 実施主体は、2頁にあるように、一律に区市町村へということではなくて、 「専門的な判断の面等を考えれば都道府県の関与が必要と考えるが」ということを加え ていただいております。その点について、やはり重症心身障害児について、児童相談所 のご理解が必ずしも現状でも十分ではありません。特に超重症児、準超重症児になると、 一層そうですので、十分な理解が得られる体制の中で市町村へと、それが無理であれば、 県でバックアップを是非お願いしたいと思っております。  もう1点は、財政的な面です。ご家族・ご本人の財政という問題もあるかと思います が、市町村の財政の問題もあります。こういう例があります。10年ぐらい前だったと思 いますが、我々の所に交通事故か何かで、まだ発達期の中学生ぐらいのお嬢さんが入院 してこられました。そうすると、人口3,000人ぐらいの町の福祉の担当者から電話がか かってきました。「是非この人の住所を岡山市に移してほしい」というご依頼でした。そ んなことを施設側ができるわけではありませんが、「どういうことですか」と聞きますと、 そういう小さな町では国民保険の負担がその子ひとりでものすごく重く掛かるというこ とで、大きな市であれば、何とか負担してもらえるのではないかという論理です。そう いう点での排除の論理にならないように、市町村がちゃんとやれるような背景の中でお 願いしたいと、この2点です。 ○田中委員 実施主体についてですが、基本的には多くの福祉サービス、資料説明の中 にもありましたように、在宅福祉に関しては市町村が主体になるという流れがあります ので、基本的にはこの流れを促進すべきだと思っています。ですから、障害児の場合で あっても、市町村を中心に実施できる体制を作るべきだと思いますが、いろいろと課題 が多い状況の中で、特に話題となっている措置の判断ですね。この措置と契約の項目に も触れてまいりますが、基本的には権利擁護など、本人の発達もしくは人権そのものが 侵されるような状況については措置とすべきということで、柴田委員から縷々出された 問題については、やはり明確な基準が必要だろうと思っております。その際、基準作り においては、市町村の自立支援協議会が漸く動き出した状況がありますが、これをバッ クアップする位置づけで、都道府県に自立支援協議会が用意されておりますので、これ の法的な立場も明確にし、町村などの弱い部分については現状で都道府県が行っている 措置の判断が、町村を通してかかわりとして生まれるようにしていただきたいと強く思 っております。  施設の役割分担のところでも触れましたが、基本は在宅での支援を強めていくという ことにありますので、例えばショートステイなどを利用した場合にも、ショートステイ で利用が続きっぱなしということではなく、地域支援をやっている立場から言えば、施 設に行ってしまわざるを得なかったという状況に、例えば在宅支援の送迎サービスなど がそこに加わって、週末だけでも家庭で過ごすことが可能になれば、行きっぱなしとい う状況にはならない。  このときに、実施主体が都道府県の場合には、そのような市町村のきめ細かいサービ ス主体にアプローチすることが、なかなか難しいということもありますので、これも繰 り返しになりますが、基本は個別支援計画で、どのような状況においてもそれを軸に、 その軸に対してそれぞれの立場が機能するようにすべきだと思っていますので、まずは 市町村の実施主体を強めていくと。その強めていく流れが不十分な場合には、都道府県 がバックアップする。このような流れであるべき姿を作っていければと思っております。  その意味では、先ほど末光委員からセンター化のことについてご指摘がありまして、 ご指摘いただいたとおり、言葉足らずだったということです。あの際に伝えたかったこ ととしては、いまお伝えしたような中枢機能の役割を市町村が持つべきで、そこに施設 の役割として大きな具体的なサービス提供もありますので、果たす役割は大きいとして も、まずは中枢機能は市町村であるべきで、次に事業主体が位置づくとすれば、相談支 援事業だろうと思っております。あそこに施設が相談事業を行っている場合には位置づ くということもありますので、ご指摘いただいたとおり訂正をしていただければと思っ ております。ありがとうございました。 ○君塚委員 年齢によって、例えば加齢児は障害者年金が支給されます。ただ、18歳未 満で入所すると、特別児童扶養手当が停止されるという形で、年齢によって特に大きな お金の差がありますし、柴田委員のほうで未収金の話が出ていましたが、私たちの施設 の最近の全国の調査では、未収金は6%。中には1,000万を超える施設もありますが、 そういう形では、前に契約と措置に移行する、自立支援法の中での話のときに、未収の 方が何カ月もいれば、経済的なネグレクトだろう、措置に回してほしいという要望をし たことがあります。それも再度ご検討いただきたいと思います。  もう1つ、ちょっと前のほうに絡んでくるのですが、施設入所の役割としていろいろ やっているのですが、資料2の9頁の入所施設の予算という所です。施設類型が7、8 あって、「基本単価」、あるいは「30日利用した場合」というのがある中に、3つほどが 医療型で、医療費がプラスになっている。3つの中、あるいはほかの施設も加えても、 肢体不自由施設が半額以下、4万800円です。ほかの所は医療費範囲内で止まったり、 医療費が入ったとしても、もっと高いという形で、実態は手足の不自由なということで はなくて、重症心身障害児が4割近くあるし、医療型で子どもで本当に子育ての療育支 援がとても必要であるという中身においては、この単価でいろいろな形で在宅支援など、 本当に経営的に難しいという状況があります。その2点です。 ○柏女座長 君塚委員、先ほどの柴田委員を含めて、措置と契約の問題は、施設の経営 問題とも大きくかかわっているのだということで、貴重な論点の追加といいますか、ご 提示をいただいたと思います。ありがとうございます。渡辺委員、市川委員、副島委員、 柴田委員、北浦委員ということでお願いします。 ○渡辺委員 視点をちょっと変えてしまって申し訳ないのですが、私自身は最近、いわ ゆるADHDであったり、LDであったりという発達障害の部分にいろいろ感じているこ とがあります。1つは、先ほど出された資料のほうの中でも、例えば児童自立支援施設 に入所している児童の27.3%が障害児で、そのうちADHDが7.5%という統計なども出 ているわけです。私もかつて児童自立支援施設などにかかわりを持ったことがあって、 そこの施設でも、「うちはいま施設がADHDの子どもたちが40%ぐらい占めて、大変な んですよ」みたいな話が出てきたりするわけです。だけど、実際個々の子どもたちとか かわっていくと、どこまでが本当にADHDで、どこまでが環境的な要因なのか、非常に 区別がつきにくいということを常に思っています。  DSM-4などの医学的な診断基準だけで、パッパッパッと症状が当てはまれば、それは ADHDだなどというのは判断しづらいものがあって、それは医者の仕事なのであれなの ですが、やはりソーシャルな側面をきちんと見ていかないと、本当に障害なのかどうか が見えなくて、場合によっては環境的な要因に介入していかなくてはいけないのですが、 子どもに対して投薬治療等を行って、症状だけ抑えてしまって終わりということもあり 得て、診断がつくことによって、家庭という最も介入しにくいところに介入することを 避けることができるという変な効果が起こってしまっていることを、すごくリスクとし て感じています。  そういったことも考えていくと、LD、ADHD等々は、かなり入念なアセスメントが必 要だと思うのです。そういった意味で言うと、それは例えば先ほどの実施主体というこ とで言うと、市町村だけでやるのはなかなか難しい部分があって、どういう形なのかわ からないですが、児童相談所であったり、あるいは国であったりといういろいろな形で バックアップしていくことによって、環境的側面も含めた上で、障害児支援の在り方を きちんと捉えていくことができるアセスメントの方法を、きちんと確立していく必要が あると思います。  そのアセスメントがきちんと行われていないと、先ほどから話になっている個別支援 計画というものは、このアセスメントによって随分左右されることになってしまいます ので、その部分については十分専門的な観点からきちんとアセスメントできるような実 効性を、市町村、都道府県が持つことができるような体制を考えていく必要があると思 っています。 ○市川委員 いまの渡辺委員のお話について言うと、そもそも医学的な診断ができてい ないとアセスメントができていないというのは、ちょっと本当はおかしいと思うのです。 結局、何でもMOSとかいろいろ付いていて、非常に幅広くスペクトラムでとっていま すから、そういうのはやはり普遍的に使っていけるなと私は思っております。  先ほど座長がおっしゃった、普遍的に言えば、世の中がいま義務から選択に移ってき ているのです。義務教育と言いながらも、学校を選べるようになってきたりしていると いうのは流れで、これはやはり選択できる方向に行くというのが時の流れではないかと 思います。ただ、例えば障害者自立支援法で見ていると、先ほどからいろいろな方がお 話しておりますように、契約制度の良い点と悪い点があって、特に経済的な問題につい ては先ほど6%とおっしゃっていましたが、たぶん毎年毎年、この率は増えているので はないかと思うのです。法人が契約したのだから、法人が何とかしろと言われても、そ もそも強制力を持っていないわけですから、それは存続そのものに影響を及ぼすので、 これはやはり考えていかなければいけないと思いますね。  もう1点、子どもの問題について言えば、家族機能はどんどん変化してきていますし、 それを考えていけば、契約だけで子ども論がうまくいくかという話になると、これは大 人と絶対違うところは、やはり措置の部分を必要としている部分があると考えざるを得 ないと思います。大雑把ですけれども。 ○副島委員 まず、実施主体のことですが、利用する側にとってみれば、要は自分の身 近なところに家族を支える支援があればいいのですよ、どこの実施主体であれ。そうい うところから関連して、自分の近くにそういうものがどうやったらできてくるのかとい うところは、やはり主体的に考えていってもらわないと、何か空想論で終わってしまう 可能性があるので、そのところは少し懸念を持っています。  それから、措置と契約の所で、措置といったら、どうしても子育てについて行政が責 任を持つような解釈があり、契約は親が責任を持って子育てをするという解釈になって しまうのですね。元来、子育ては親が責任を持たなければいけないのですが、結局、そ の親自身に家族機能を支えていくような支援がないと、結局、家族自身が崩壊していく ことにつながっていくので、措置か契約かということを論ずる前に、家族機能をどうや って支えていくのか、そこに主体があるべきだと思います。  特に親はどんな子でもかわいい子です。その子をどうやって育てていくかということ は常に苦労していると思うのです。しかし、場合によっては、子育てができなくなって しまっている状況も発生するということもあります。それから、以前のライフステージ の相談支援関係も含めて心配はあるのは、障害認知をするときの親の不安がすごく大き いことです。いろいろなかかわりの中から、少し相談してみようか、少しフォロー教室 に行ってみようかという形で、やっと心が動き始めた親たちに、さて、これからの支援 は契約ですよということになったときに、自分の気持を整理しなければいけないわけで すね。この気持を整理することが下手な親にとっては、そこで一旦後退してしまうと思 うのです。そこのところをどうやってカバーしていくのか。  結局、グレーゾーンの子どもたち、もしくは発達遅れがあるのかなと心配している親 にとっては、そこのところをどうカバーしてもらうかが、いちばん大事なところだと思 うのです。そういう面で、いまの措置・契約に対して、親の気持がそこでも相当揺れ動 いているということも理解していただきたいと思います。 ○柏女座長 とても大切なご指摘をいただいたかと思います。措置と契約の間に、一種 グレーゾーンがある。そこを大事にしなければいけないというご意見だと思います。あ りがとうございました。 ○柴田委員 先ほど措置に戻してほしいと強く言ったのは、入所の話です。入所も末光 委員がおっしゃったように、重心と知的障害児の置かれている状況は相当違いがありま すし、これを一概にすべての障害児施設を同じパターンで作ることは、お話を伺ってい ても難しいなと思うのです。知的障害児の施設から申し上げれば、先ほど言いましたよ うに、入所の場合は是非とも措置に戻していただきたい。  一方、通所、デイサービス、その他の地域支援の部分については、これは前にも申し 上げましたが、市町村の役割も大きいと思いますし、選択できるというメリットもあり ますので、行政責任を基本的には曖昧にしない形で、つまり措置でもあり契約であるよ うな、いちばん大事なのは、子どもについては最終的には行政が責任を持つべきなので すよ。そこを明確にして、その行政責任を曖昧にするようにはしてほしくないと思いま すが、契約的な側面、市町村の役割等は検討していいのではないかと思います。 ○北浦委員 実施主体に戻りますが、重症心身障害児、特に超重症児は、全国で数が少 ないわけですね。ですから、市町村などというところへ行って、重症心身障害児問題な どといって訴えても、まず何もわかってもらえないわけですね。最近、県では漸く重症 心身障害児に対する理解が深まってきておりますが、国立療養所に重症児病棟ができた 昭和40年代の前半などは、「重症心身障害児の福祉は都道府県ではなく、国の施策とし てやってください」というような県もあったくらいです。これが市町村単位になったら さらに重症児の数が少ないですから、市町村が実施主体になることは実際には難しいで すね。ですから、これは都道府県で関与していただくようにお願いしたいなと思います。  それから、契約のことなのですが、私どもの会は昭和36年に初めて私が運動に参加し たときに、社会の役に立たない人間に国のお金などは使えないと、そういう時代なので す。そのときに、私たちの運動は社会がどうものを見ているか、社会が共感し得る運動 をしなければ、この子どもたちは守れないということを、ずっと運動の中心に置いてい ますので、この契約の話が出たときにも、親の方とみんなで話し合って、本当に「者」 になりますと年金をいただいていますよね。だから、その年金の範囲の中で、わずかな お小遣いが残る程度の費用負担にしていただいて、みんなで払おうではないかという運 動を起こしたものですから、若干払わない人もいて問題になっていますが、みんな引き 落としなのです。銀行、郵便局から引き落としてもらう。それはどうしてかというと、 年をとりますと、郵便局に払込みにも行かれないわけなのですね。ですから、引落とし 制度にしていただいて、これは数字が出ていますが、重症心身障害児は割合に納付率が いいのです。  障害者問題は、皆さんが幸せになりたいというのが根本的な願いですし、この検討会 のことも、社会に全部オープンになるわけですから、それを思ったときに、やはり社会 がどう見るかということも頭の中に入れながら、結論を出していく必要があるのではな いかということを感じております。 ○柏女座長 これも貴重なご指摘を頂戴したかと思います。 ○山岡委員 実施主体ですが、基本的には市町村が実施ということでいいかと思うので すが、先ほどご意見も出ていましたとおり、町村になると財政的にも体制的にも、弱い ところがあろうかと思います。そのときは、例えば福祉圏域みたいな考え方もあったと 思うのですが、一定の圏域の中で何かカバーできる、あるいは県がカバーできるような 体制は考えられないかということが1つです。  それから、児童相談所、あるいは発達障害の関係でいくと、発達障害者支援センター、 これは県単位で設置されており、これらとの関係や連携が十分とれないということが聞 かれておりますので、それをきちんとしていただきたいなということが2つ目です。  それから、措置と契約の所ですが、先ほどの参考資料を見ていると、最終的にいま児 相での実態をお調べいただいて、「判断基準(事例集を作成する)」となっていますが、 事例集は弱いなと。国が作られるものであれば、ガイドラインということにしていただ いて、そのガイドラインを市町村、あるいは実施主体の所がどう準拠して作られるかと いうぐらいの、やや強制力があるようなもの、あるいは基準として示せるようなものに していただきたいと思います。 ○柏女座長 ほかによろしいでしょうか。いまの山岡委員のご指摘は、事例集ではなく てガイドラインも視野に入れてということですが、ご検討いただければと思います。こ の行政の実施主体についても、若干温度差はありましたが、基本的な方向についてはお そらくあまり意見の違いはないのではないかと思います。さらに、詳細な仕掛けをどう 作っていくのかについての議論を、今後詰めていかなければいけないのではないかと思 います。また、その際には、北浦委員からのご意見にもありましたが、社会から共感が 得られる、つまり地域社会の中にうまく溶け込んでいけるような仕組みも、念頭に置い ていかなければならないのではないかと思いました。貴重なご意見、いろいろありがと うございました。  今後の当面の日程について、事務局からご説明いただいてよろしいでしょうか。 ○障害福祉課長 本日は、本当に熱心なご議論をどうもありがとうございました。次回 以降の日程について、説明いたします。次回の日程ですが、6月24日(火)10時から開 催予定です。場所は厚生労働省6階共用第8会議室ですので、よろしくお願いします。  なお、次回以降の進め方です。これまで第1回以降、検討項目についてご議論いただ いた上で、順次ご議論いただいたところです。これからについては、これまで各項目に ついて先生方からご議論いただいてきた内容を、だんだん集約する過程に入っていきた いと思っています。  次回は24日、あるいは次々回を7月の上旬に予定しておりますが、それに向けては、 これまで委員の皆さんから出てきた意見をどういう観点かという形で、少し整理をして、 その上でまとめた形にしながら、かつこれまでのいくつかの宿題事項もご説明しながら、 ご議論いただきたいと思っております。その意味で言うと、そうした方向での資料を、 我々として少し整理をしたいと思っております。  その後、7月14日がいま1つの候補ですし、もし可能であればそのあと7月22日ぐ らい、これはいま皆さん方からの日程を踏まえて、最終的に日程調整をしていますが、 その2回ぐらいで報告書の取りまとめに向けての議論ができないかなと考えております。 いま具体的な最終調整をしていますが、いまのところ次回が6月24日、次々回が7月4 日、そのあとさらに2回ぐらいということで、7月14日と7月22日が候補に上がって いるという状況ですので、そうした方向でこれからお願いをしたいと思っております。 なお、次回の出欠の予定について、お手元に資料がありますので、後ほど事務局に確認 票を提出してただければと思います。 ○柏女座長 委員の方には毎週ということで、本当に申し訳ございません。また、事務 局も大変だと思いますし、傍聴してくださっている方々も日程を空けていただけるとい うことで、大変なのではないかと思いますが、とても大切な会議だと思いますので、是 非ご協力をいただければと思います。日程については、7月22日は時間はまだ未定とい うことですが、皆様方には仮押えをお願いしたいと思います。次回は、事務局のほうで これまでのご意見を取りまとめた8つの論点があったと思いますが、その論点ごとに取 りまとめたペーパーを出していただいて、それに基づいて検討することにしたいと思い ます。どうもありがとうございました。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)