08/06/13 薬剤師国家試験出題制度検討会第6回議事録 薬剤師国家試験出題制度検討会議事録(第6回) 1.日時及び場所   日時 平成20年6月13日(金)10:00〜    場所 航空会館5階501+502会議室 2.出席委員(17名)五十音順   赤 池 昭 紀   市 川   厚   井 上 圭 三   大 野   勲   大和田 榮 治   加賀谷   肇   木 津 純 子   白 神   誠   須 田 晃 治   永 井 博 弌   林   正 弘   樋 口   駿   平 井 みどり   望 月 眞 弓   森   昌 平   山 元   弘   吉 富 博 則   3.欠席委員(3名) 柴 崎 正 勝   山 岡 由美子   山 本 惠 司    4.行政機関出席者   関 野 秀 人(薬事企画官)他 5.備考   本検討会は、公開で開催された。 第6回薬剤師国家試験出題制度検討会                  日時  平成20年6月13日(金)                      10:00〜                  場所  航空会館5階501+502会議室 ・ ○座長(井上) おはようございます。時間になりましたので、ただいまから第6回薬剤師国家試験出題制度検討会を開会いたします。先生方におかれましては、ご多忙中のところご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ここで1つお願いがあります。この検討会のメンバーであった工藤一郎先生が4月にお亡くなりになりました。工藤先生のご冥福を祈って、黙祷をさせていただければと思います。ご協力いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。                  (黙祷) ○座長 ありがとうございました。まず議事に入る前に、本日の委員の出欠状況について、事務局からご報告をいただきます。 ○薬事企画官 本日は柴崎先生、山岡先生、山本惠司先生から欠席の旨のご連絡をいただいております。木津先生が遅れておりますので現在16名の先生にご出席いただいております。以上でございます。 ○座長 次に事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○薬事企画官 お手元の資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、座席表をお配りしています。本日は資料が7種類あります。資料1として、医道審議会薬剤師分科会の設置についてです。資料2が、本検討会の報告書(案)ということでお配りしております。資料3として、試験問題数(案)ということで、表になっています。資料4が出題基準(案)ということで、これは各大学から意見をいただいておりますが、この資料は意見を反映する前のバージョンです。資料5から7につきましては、医師、歯科医師、獣医師の国家試験のあり方に関して議論をしていた各検討会等の報告書を、以前もお配りしましたが、検討の際使うと思いましたので、本日改めてお配りしています。そのほかに第5回の検討会でお配りしました出題分野と試験問題数という資料、現在使っている出題基準、薬学教育モデル・コアカリキュラムを参考資料としてお配りしています。以上です。 ○座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは議事に入りたいと思います。事務局から連絡事項がありますでしょうか。 ○薬事企画官 傍聴の方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。ご協力お願いします。 ○座長 本日は資料として、本検討会の報告書(案)ですけれども用意していますので、この資料を元にして、これまで議論してきた内容を確認していきたいと思います。議論が不足している点があれば指摘していただいて、その部分についても議論し、報告書に反映させていければと思います。報告書の取りまとめに当たっては、医師、歯科医師、獣医師の国家試験制度に関する報告書のまとめ方ですけれども、これも参考になると思いますので、本日の資料として配付しております。必要に応じて見比べながら議論を進めたいと思います。  まず議題1について、報告事項として事務局から説明をしていただきたいと思います。 ○薬事企画官 お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。タイトルにありますとおり、医道審議会という組織が、厚労省の関係でありまして、そのもとで、薬剤師に関する分科会が設置されました。3頁をまずご覧いただきたいと思います。これは年度末の3月31日の官報で、4段構成になっています。1段目に、政令がありまして、右から数えまして7つ目に医道審議会令の一部を改正する政令というタイトルがあるかと思います。この内容が次の4頁にあります。下の2段ですが、政令第94号ということでこれまでの医道審議会令の一部を改正する政令ということで交付されています。その中に薬剤師分科会を新たに加えるということで規定して、4段目の附則にありますように、この政令を平成20年4月1日から施行するという取扱いになっています。この政令の改正は、医療制度改革の流れの中で、薬剤師に関してもほかの医師、歯科医師などと同じように、これまで行政側が行ってまいりました処分の問題ですとか、あるいは国家試験の取扱いを同じ医道審議会のもとで行っていこうという趣旨でこの措置が講じられていまして、今後は、医道審議会のもとにおかれました薬剤師分科会で、いま申し上げました薬剤師の行政処分と薬剤師の国家試験の案件が議論され、取り扱われるということで、厚生労働省から見れば医道審議会の意見を聴きながら、いま申し上げた2つの項目について、行政上の対応を行っていくという取扱いになるものです。1頁目にありますように、ほかにもいろいろ分科会がありまして、医道分科会というところは、医師と歯科医師に関する行政処分の関係を取り扱っております。医師分科会は国家試験の関係が中心になります。歯科医師分科会も歯科医師の国家試験の関係が中心です。そういう形で、医師と歯科医師は、行政処分と国家試験がそれぞれ分科会で分かれております。その下にあります、保健師助産師看護師分科会。そこは一通り行政処分と国家試験、両方を扱うことになっていまして、今回私どもに関係する、薬剤師分科会も、この保健師助産師看護師分科会と似たような1つの分科会として、構成されるということになるかと思います。  2頁をご覧いただきたいと思います。2頁には、薬剤師分科会が記されておりません。とりあえず4月1日から薬剤師分科会が設置されたということだけが決まっております。2頁にありますような、ほかの分科会が持つ各部会はこれから手続きを経ていくということになります。保健師助産師看護師分科会のところをご覧いただきますと、倫理に関する部会、これは行政処分の関係が取り扱われております。そのほか、国家試険の関係でも、試験問題の検証とか、事後評価、そして試験制度の改善部会、出題基準の改定部会が設けられていますので、おそらく薬剤師分科会でも各部会を設けまして、それぞれのもとで審議を行っていくという形を考えています。とりあえず現時点としてはご報告ということでご紹介させていただきました。以上です。 ○座長 ありがとうございました。ただいまご報告いただいた薬剤師分科会というのは、いまお話のように4月に設置されていますので、この検討会での議論も方向性を示した段階で、薬剤師分科会に引き継がれるということになります。委員構成がどうなるかということはまだわかりませんけれども、試験制度の詳細を決めるところまでは引き続きお願いすることもあるかと思います。その節はどうぞよろしくお願いいたします。  何かご質問などはございますでしょうか。 ○樋口委員 ちょっと教えてください。いまの医道審議会の試験のK・V部会というのはどういう意味なのですか。 ○薬事企画官 K・V部会はキーバリデーションの略称として使っております。試験が行われたあとに検証を行い、問題の妥当性等を検討する役割を担っています。 ○樋口委員 通常使われる略なのですか。 ○薬事企画官 例えば厚労省関係でいいますと、ここにあります医師、歯科医師、保助看のほか、獣医師に関しても同じようにK・V部会というところが同じ機能を持っているということです。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。薬剤師分科会というのは、この時点でできるというのには、何か特別な意味があるのでしょうか。6年制との絡みとか、そういうことですか。 ○薬事企画官 その他平成15年、16年ぐらいから様々な医療制度のあり方を議論してまいりまして、医療法の改正によって、例えば薬局が医療提供施設に位置づけられたとか、行政処分に関してもいままでは薬剤師だけは私どもの医薬食品局の中で事務的な処理を行ってきたわけですが、やはり薬剤師もほかの職種と同様、遡れば平成の最初の頃ですが、法制度上医療の担い手になっているということを考えれば、トータルの医療制度の改革のタイミングをもって、ほかの資格と同じような制度的な環境を作っていくということで、総合的に議論されまして、行政処分と国家試験については1つの審議会のもとで取り扱うということになり、薬剤師法の改正がそれに伴って行われたということになります。 ○白神委員 薬剤師分科会の位置が歯科医師分科会の次ではないのは何か理由があるのですか。 ○薬事企画官 法制上のルールといいましょうか、できた順に下にぶら下るということになっておりまして、順番に上から下ということになるのですが、一方で死体解剖資格審査分科会の上にあるというのは、それぞれ固有の資格法を持った国家資格について、できた順に上からということで、あん摩マッサージ指圧師の下にきているということになります。これはある意味如何ともしがたく、心情的にはいろいろ意見があるかもしれませんが、ご理解いただきたいと思います。 ○座長 よろしいでしょうか。次の議題に進みたいと思います。資料の2として、本検討会の報告書(案)が用意されております。本日はできる限り、まとめられるところはまとめ、問題があればその点を明らかにしていき、次回までにそれらを整理して、できることなら次回、本検討会としての意見を取りまとめたいと思います。その後の段取りについては、事務局から説明していただけますでしょうか。 ○薬事企画官 この資料の説明に先立ちまして、少し今後の流れを説明したいと思います。この検討会の報告書の中では、ある程度新しい試験制度に関しての方向性を示していただくということで、ご提言をいただくということになるかと思います。そのあと、毎年行われます国家試験の問題作りをはじめとした、個々の運用面に関しては、もう少し細かい細則が必要になってまいりますので、その辺りは検討会の場ではなくて、今後国家試験に関しての審議処理が行われる、薬剤師分科会のもとで決めていく、あるいは事務局が定めた上で、それに基づいて薬剤師分科会のもとで、それを議論していくという流れになってくると思いますので、大きな制度の骨格にかかわるようなことを、この検討会の中で位置づけていただくということが目標と思います。  出題基準に関しても、大枠の体系、出題基準に盛り込む対象範囲というものを明確にしていただければ、それを受けまして、各大学からいただいております意見を参考にさせていただきながら、これも事務局のほうでそれを一つひとつ見て出題基準の中でどう取り扱っていくかということを作業させていただいて、また薬剤師分科会のほうでそれをお示しして、最終的な出題基準にしていくという流れを考えております。後ほど説明いたします資料2の中では、出題基準に関するパートもありますが、その中では、大きな体系、考え方、基本的にこれだけはこうするべきだという提案を盛り込んでいくということになります。以上です。 ○座長 ありがとうございました。それでは資料2に基づいて試験制度のあり方について検討していきます。まずは資料全体を事務局からご説明いただいて、その後、項目を少し区切って、項目ごとに議論したいと思います。まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○薬事企画官 お手元の資料はいくつかありますが、基本は資料2の報告書の案に基づいて説明させていただきます。その内容に関しましては、資料3として用意しました、試験各領域ごとに、とりあえず書かせていただいた試験問題数、さらには資料4として用意しました出題基準の案も内容に絡んできますので、それもお手元にご用意いただければと思います。資料5から資料7として用意いたしました、医師、歯科医師、獣医師の国家試験に関する報告書の内容も、当然いろいろなところで議論された項目がオーバーラップしてまいりますので、この検討会で既に議論されてきた内容と、ほかのところでまとめられた報告書を、必要に応じて見比べながら、議論していくことも必要かと思います。また、この検討会でまだ議論が足りない部分がいくつかあるとすれば、ほかの検討会でどのように取り扱われているかということについて、参考にするのも1つかと思っておりますので、資料5から資料7につきましても、適宜触れて説明させていただきたいと思います。複数の資料にまたがりまして、非常に複雑かもしれませんが、説明をさせていただきたいと思います。  まずお手元の資料2をご覧いただきたいと思います。最初に表紙がありまして、その次、頁がずれていまして、目次に使うべき頁番号が振ってあります。ここはお詫びいたしますが、混乱しますので、頁はふられた数字のまま取り扱うことにします。「はじめに」というところは、イントロダクション部分ですので、特段の説明は省略します。薬剤師の任務、守備範囲が多岐にわたるというようなことが書かれております。一方で、情勢が大きく変化しているということが2つ目の段落に書かれております。それらを踏まえて、学校教育法と薬剤師法が改正されたということが次の段落にあり、この検討会の経緯を簡単にご紹介させていただいています。また報告書の最後には、本検討会の開催の経緯というものを、別紙で付けさせていただく予定です。この頁の最後には、なお書きということで、平成24年、6年制教育を受けた最初の卒業生が出たタイミングで、適用されることが適当ということを書かさせていただいております。  1枚おめくりいただきたいと思います。本来この2の薬剤師国家試験の現状が本来2頁になるところですが、ここでは便宜上1頁ということで取り扱わさせていただきたいと思います。この頁から次の頁にわたりまして、現状の紹介ですので、改めて何かご意見がありましたらいただくということで、説明は省略させていただきたいと思います。項目としては目的について触れてありまして、その下に受験資格者、次の頁に、出題科目、出題数及び試験時間について触れております。現状240問ということで、1問当たり2.5分という扱いのもと、2日間で10時間という日程になっています  (4)として、実施方法が書かれておりまして、その次に合格基準の取扱いが示されています。3頁になりますが、合格基準に関しましては、満点が480点ですが、そのもとで難易度の補正等を行った上で、312点、65%といったところが1つの目安になっております。さらに(2)としまして、各科目ごとにすべて35%以上の得点を求めているという取扱いです。  その次の4頁からこの検討会で議論されてきた内容を入れました。大きな3といたしまして、薬剤師国家試験のあり方についてというタイトルを振っています。最初の3つの段落は、前文のようなもので、6年制教育の趣旨ですとか、それを踏まえた国家試験というものがどうあるべきかというとで、これまで議論されてきた内容とも関連しますが、そういったことについて少し触れています。  その次は(1)としまして、最初に出題基準についてです。現状の出題基準は、妥当な出題範囲と試験がほぼ一定の問題水準になるようにという目的を持って策定されているもので、当然新しい試験制度のもとでも、出題基準を策定することが適当ということをまず書かせていただいています。  次に体系とその範囲です。薬学教育のモデル・コアカリキュラム、実務実習のモデル・コアカリキュラムの項目のすべてを含めることとするということで、これまで議論されてきた内容を書かせていただき、体系としては、現状と同じような体系となるかもしれませんが、「大項目」、「中項目」、「小項目」及び「小項目の例示」という形で整理することが適当という書き方をしています。  これに関して、資料の4をご覧ください。資料4が出題基準(案)で、個々の内容はまだ多くの大学からいただいた意見を反映していませんので、ここで議論する資料にはなっていませんが、全体の体系ということでご覧いただければ、モデル・コアカリキュラムの大きな項目であるC1という文字は取るにしても、「物質の物理的性質」などのカテゴリーを大項目とし、そのもとに括弧で示された部分を中項目、さらに小項目、そして個々の到達目標に関係するようなところを小項目の例示という形で構成しています。このようなイメージで出題基準を構成してはどうかということであります。  資料2に戻っていただきたいと思います。5頁目です。出題基準に関する記述が続きますが、出題基準の改定の頻度について触れています。従来概ね5年程度ということで改定となっていますが、今後は1年短縮いたしまして、4年程度ということで示しております。その下につきましては、基本的考え方になると思いますが、実際出題するに当たって出題基準に書かれている範囲にすべて拘束されるようなことはないというのが、従来からの考え方ですので、改めてここでもそれを確認する意味で、その部分を書かせていただいています。また、それぞれの大学で独自に行っているユニークなカリキュラムの内容が国家試験の対象として適切と判断されたものについては取り入れていくという1つの考え方をここに書かせていただいています。  最後のところでは、先ほど資料4で説明しました項目からなる1つの体系だったものということに加えて、そのほか問題作成、基本的な考え方を少し前後に付け加えることによって、全体の出題基準を構成していくということで、その部分を書かせていただいております。  次は(2)としまして、出題の分野です。最初の段落には現行の4つの科目ということで紹介をさせていただいています。今後につきましては、考え方として、実践においては、各科目ごとの知識を個別に資質として発揮しているのではないということを前提とすれば、科目ごとに試験を行うのではなく、直面する一般的な知識、あるいは最低限必要な知識をそれぞれ確認してくという1つの目的に沿って、再構築してはどうかということが、ここに書かれております。  6頁目に具体的には、ということで、現在の科目別に分けた出題分野を見直しまして、薬学の全領域(薬学全般)を出題の対象範囲とし、出題の分野という言い方で、改めて「必須問題」、「一般問題」というような分け方にしてはどうかということになります。このうち一般問題につきましては、理論と実践に分けまして、知識を中心に薬学の全領域に関する資質を確認するというものが、薬学理論問題、また、医療の実務において直面する問題を解決するために必要な基礎力、実践力を確認するための試験が薬学実践問題ということで、定義づけをさせていただきました。例えば理論問題のほうが知識を中心にというところが妥当かどうか、技能、態度も含まれるのではないかということもあるかと思いますので、その辺りは定義付けのところで、ご意見をいただければと思っております。その下に書いてありますのは、文章以外に箇条書きのような形で、再整理したもので、記述の内容は文章と変わらないものです。  この部分に関連いたしまして、ほかの職種の取扱いを少しご紹介させていただきたいと思います。まず、出題分野、あるいは必須問題の取扱いに関する記述が、ほかの試験にもあります。例えば資料5をご覧いただきたいのですが、医師の場合ですけれども、2頁目に必須問題について触れた部分があります。中ほどから下のところの「また」というところですが、医師の場合は必修問題という言い方をしています。医師に求められる基本的事項を問うというような目的を持つものということに触れられています。歯科医師の場合、資料6の4頁です。ちょうど中ほどに、必修問題の評価方法という部分があります。この中で必修問題については、歯科医師として具有すべき基本的な最低限度の知識・臨床能力に到達しているか否かを評価する目的で出題されているという記述があります。獣医師の場合の取扱いをご紹介させていただきたいと思います。資料7の7頁をご覧いただきたいと思います。7頁の合格基準の記述です。最初に「必須問題については」というところが中ほどに出てまいります。「獣医師に求められている基本的な事項を問う」という性格のものということが紹介されています。  恐縮ですが、また資料の2に戻っていただきたいと思います。7頁です。出題数の項目を設けました。この中では、これまでの議論を踏まえまして、現行の240問を上回る出題数を確保することが適当という部分に始まり、一方で、今回仮に必須問題、一般問題の中の理論問題と実践問題の3つに出題分野を分けるとした場合でも、各薬学の領域があれば、その領域の出題数が実質的に現行を下回らないということが適当ということが2つ目の段落に書かれています。必須問題は、まず医療薬学関連の領域から、現状は120問ですので、そのうちの半分ぐらいはこの中に入れるということと、ほかの科目、基礎、衛生、法規・制度からは、それぞれ4分の1程度ということで、合計90問ということです。前回お示した資料と同じ数字になっています。一般問題のうち薬学理論問題に関しては、実務は薬学の実践問題にすべて入れるということで、実務をこの部分から除きまして、薬学理論問題のほうは、医療薬学関連が45問、ほかの3つの科目からは各20問ずつということで60問ですので、トータルで105問という扱いになっています。次が薬学の実践問題ですが、ここは実務に関する単独の問題を30問、さらに実務と医療薬学系の領域。これは複合と言いにくい部分がありますので、組合せという言い方をしていますが、60問。さらに医療薬学関連以外の3科目と実務との組合せにつきまして、複合問題ということで60問、トータル150問でどうかということであります。以上合計しますと、345問ですが、問題数が増えることに伴って、当然試験時間に影響してきますが、現行の2日間の日程を維持するということが適当ということを最後に加えています。それに関しては、文章だと見にくいと思いますので、資料3として、別に用意をしましたので、ご覧いただきたいと思います。縦軸に出題基準(案)ということで、大項目と中項目だけを抜き出して暫定的に書かせていただいています。横軸を見ていただくと、必須問題、一般問題の中の理論問題と実践問題、それぞれカラムを設けておりまして、いちばん右側が出題数の合計数ということで見ていただきたいと思います。この組み方ですが、試験問題数は表の形で対比して見ていただきたいと思いますけれども、大項目と中項目のカテゴライズの仕方を少し説明させていただくと、まず1頁目のC1から始まる部分に関して、途中にC17が入っています。この開発のところのリード化合物の創製と最適化に関しましては、CBTでも同じ扱いなのですが、化学系ということで分類していますので、ここに位置づけているということです。少し下のほうにまいりますと、C17ということで、これも開発の1項目ですが、バイオ医薬品とゲノム情報というものが、CBTの扱いと同じですが、生物系に入っていたかと思いますので、同じような考え方で入れてみました。そうしますと、C17の残りの部分に関しましては、このページの下のほうにありますように、「薬学と社会」と同じような1つの括りということで、その範囲からそれぞれの問題数を設定しているということで扱っています。さらにC13ですが、ここは薬理と薬剤の両方が入っているようなところですけれども、そのうちの(1)として、薬の作用と生体内運命がありまして、薬の運命に関しましては、薬理というよりも薬剤のほうに分けてみたということで、中項目の書き方は、(薬の運命以外)ということで書かせていただき、次の頁のいちばん上のところで、残りの(薬の運命)というところを設けまして、その部分と動態の部分、さらには製剤を加えまして、その中から15問というような括り方をしています。  これまでも議論がありましたが、ヒューマニズムとイントロダクションに関しましては、この資料では実務実習と一緒にカテゴリー分けをしていまして、その中からトータルで15問というような整理をさせていただいております。また、それぞれのカテゴリーの中の問題数の配分に関しましては、細目のところでそれぞれの分野から均等にいくのか、多少メリハリを付けるのかというところは、これからの議論になるかと思います。資料3では項目の括り方、カテゴライズの仕方と、それぞれに割り当てられた問題数ということに関しまして、全体の国家試験の出題数と絡めまして、また後ほどご議論いただければと思います。  資料2に戻りまして、8頁をご覧いただきます。8頁からは実施方法です。試験の方法は筆記試験で行うといったこと、選択肢の設け方に関して、正答を問うばかりでなく、明らかに誤りのようなものを選ぶということも取り入れてはどうかというところを書かせていただいています。(2)としまして、出題の形式ですが、いわゆるマークシートのような形での多肢選択方式を基本とするということですが、選択肢、解答肢の数としましては、従来は原則5以上としてきたところですが、問題によってはそこまで無理して選択肢を設けてもあまり意味のない場合もあるのではないかということで、自由度を持たせまして、今後は出題に応じた適切な数とするという書き方をしています。そのほか、正誤を一問一答で問うようなものを必須問題を中心として取り入れてはどうかということです。正答の選択肢が1つではない形式、これはほかの医師とかでも取り入れていますが、必ずしも1つとは限らないような場合もあるということで、そういった形式を取ることも可能というようなことを入れています。  8頁の下から9頁にかけては、いわゆる正誤の組合せで、回答肢を選ぶというやり方ですが、これに関しましては、今回お配りした資料では、獣医師の国家試験の報告書にも触れられていますけれども、複数の解答肢のうちの一部に関する知識に基づいて正答するおそれがあるとしており、要はある程度解答肢の組合せの仕方によっては、正確な知識がなくてもそこにヒントが隠されていて、正答してしまうおそれがあるというところを懸念いたしまして、そういったことを改めていくというようなことを、ここで方向性として示させていただいています。  その次は出版物を持ち込んで試験を行うことについてですが、現時点では導入することは現実的ではないという書き方をしていますが、ただし、出版物ではなくても、何らかの、問題を解くのに必要な情報というものを予め覚えていなくても手元に置きながらそれを使って、例えば添付文書情報のようなものをある程度小冊子や資材という形で置いて、それを元に調べながら解いていくという問題はあってもいいのではないかという意見があったと思いますので、その部分を少しここに書かせていただいています。  次は合格基準ですが、9頁のいちばん下にあるとおり、すべての問題への配点の65%が基本ということで、具体的な数字を入れています。各試験区分ごと、これは必須問題、薬学理論問題、薬学実践問題という意味ですが、各試験区分ごとの得点に関しまして35%以上ということも合否の水準として設けてはどうかということです。  10頁目ですが、必須問題に関しましては、最低限の知識と技能を具有しているか否かを確認する問題ということで、少し水準を上げて、70%ということでどうかという提案です。禁忌肢の取扱いということで書かせていただいていますが、いわゆる地雷問題に関しては、偶発的な要素も考えれば、慎重に考えるべきであるというようなとりあえずの整理をさせていただいております。その辺りは、医師、歯科医師、獣医師の報告書の中でも議論され触れられている部分ですので、またそちらを見ながら議論していければと思います。  (6)その他としまして、いくつか項目だけを書かせていただいています。これらは、この検討会では議論されていないということもありまして、具体的な記述はしておりませんが、ほかの資格の報告書の中には触れられている部分ですので、残されたこれらの項目について取り扱うのか、取り扱うのであればどういう考え方をするのか付け加える必要があればということで、議論する検討項目として掲げております。それぞれに関して、獣医師、医師、歯科医師の報告書の中にも出てまいりますので、この後この部分の議論になりましたら、どの辺りに書いてあるかは、そのときにご紹介したいと思います。  過去問の配分とか、プール制をどう考えるかということと、試験の実施時期、複数回受けている方に対して、ある時期で受験資格をなくすのかどうかといったこと、11頁にありますような、技能を確認する試験ということで、Advanced OSCEのようなものを使うかどうかということは、ほかの資格の中で触れられている部分もありますので、この辺も薬剤師の場合どう考えるかということも議論としてあります。  また、試験の作成に関しまして、いくつか意見がありましたので、ここに書かせていただきました。体制を強化して、試験委員については十分配慮が必要ということと、複合問題を作成することになれば、関係者が複数で当たる必要があって、作成の早い段階から共同で行われることが適当といったことが議論されましたので、ここに書かせていただきました。  構成としましては「おわりに」があるわけですが、検討会の終わりに近づいた段階で、書き加えたいと思いますので、とりあえず今日のところは空欄ということにしています。長くなって恐縮でございます。以上です。 ○座長 ありがとうございました。それでは、項目を区切ってご意見をいただきたいと思います。まずは、1〜3頁までの「はじめに」という部分と、現行の試験制度に関する部分です。この部分は、事務局からもお話がありましたように、文章の不備などでご意見があれば、この検討会が終わった後にでもお伝えいただければよろしいかと思います。特段いまの段階で、何かこの部分に関してコメントがありますでしょうか。もしなければ、もっと後のことのほうが議論するうえで重要だと思いますので、ここは割愛させていただきます。4〜6頁にかけての出題数の所に関しては、いろいろとご意見があると思いますが、どうぞ発言をよろしくお願いします。よろしいですか。この部分は、必須問題、一般問題、薬学理論問題、薬学実践問題という区分にするということが、ここのメインの話かと思います。この辺りについては、いままでの議論で大体出尽しているのかなとも思います。 ○白神委員 5頁の2つ目の段落の所ですが、各大学が取り組んでいる独創的なカリキュラムの問題について、その前に出題基準がすべてこの範囲となるように拘束されるものではないという一文がありますが、ここで言っている出題基準というのは、大項目まで含んでの話になるのでしょうか。それとも、中項目以下の話をしているのでしょうか。 ○薬事企画官 現状の取り扱いは、大項目も含めて、必ずしも拘束されるものではないということで解釈できる扱いになっているかと思います。ただ、それほど大項目を超えて、これまで出されたということはあまりないのではないかと思っていますが、一応文章上の解釈としては、そこまで読める範囲にはなっているかと思います。 ○白神委員 そこはそれで、もう議論はいいということでよろしかったんでしたか。 ○座長 もう少し具体的にお願いします。 ○白神委員 つまり、大項目までは一応範囲としては限定されていて、それから中項目以下について言えば、ここに書かれているように少し超えても構わないというぐらいに限定しておかないと、教える側としては非常に困ってしまうのかなと思ったものですから。 ○座長 その辺りはいかがでしょうか。あえて言わなくても、たぶんこういうことはないというのが、事務局側の見解なのではないかと思いますが、もう少し明示しろというのが白神委員のご意見かと思います。何かご発言がありますか。 ○須田委員 いまのところと全く同じことなのですが、新しい考え方を出されたと思います。この新しい国家試験に対して、各大学が取り組む独想的なものを盛り込むという考え方は、どういうことを狙ってこういう項を設けたのか、考えがあればお聞きしたいと思います。 ○薬事企画官 まず1つ言えることは、モデル・コアカリキュラムのほうも随時変わってくるとは思います。それと相前後して、各大学が取り組んでいる個々のカリキュラムが、薬剤師というものを意識したときに、非常にこれは重要あるいは大事な部分だということを、各大学のカリキュラムから私どもが気づかせていただくこともあるかと思いますので、そういうものがあれば、モデル・コアカリキュラムなりカリキュラムの変更を待たずして、試験問題の中で反映させていくことが、やはり現場に出た薬剤師のことを考えれば必要な場合もあるのではないかということもありまして、必ずそうするというわけではありません。そういうものが何か出てくれば、前向きに取り入れていくという1つの姿勢というような捉え方があります。 ○座長 よろしいでしょうか。完璧にいまあるコアカリキュラムに捉われるわけではないという姿勢を、それなりに示したいということだと思うのですが。よろしいでしょうか。それでは、この部分はそれでよろしいかと思います。 ○薬事企画官 出題基準のところで書くかどうか、また改めて書き起こしたうえでご覧いただくほうがいいのかもしれませんが、資料5の医師の試験の報告書の2頁をご覧いただきたいと思います。いちばん下のなお書きですが、出題の内容というところに触られている一部なのですが、医師として必要な基礎的計算力、コミュニケーション能力、国際性といったような、ある意味重要な言葉が出てきます。この辺りもやはり、薬学あるいは薬剤師の仕事を考えれば、さまざまな計算も重要だと思いますので、その辺りについて、やはり何か少し考え方に触れておいてもいいのではないかと思っている部分もあります。とりあえず、その辺りを踏まえて報告書の案として書いてみて、またご覧いただいてもいいと思います。ただ、予めこの辺りを医師で取り扱っている部分との比較において、重要かどうかというところでのご意見をいただければ助かるかなと思いまして、一応ご紹介させていただきました。 ○座長 ただいまのご発言について、いかがでしょうか。 ○市川委員 いまの頁に該当するか、その他の事項になるかもしれませんが、やはりいまのようなこと、要するに出題の範囲の重要性を含めて、いまの大項目、中項目、小項目のように、非常に重要なものをどのように表示するか、意味するかということになるかと思います。言うならば、医学部でいうブループリントのような形で、出題の割合いを規定する、例えばヒューマニズムその他が非常に重要なのだから、それをどうするというような内容は、全体の中で取り扱うべきものなのか、取り扱わないものなのかという、例えば問題の割合としてヒューマニズムは非常に大事だから、必ずこの中の最後の実務のところで、例えば何題かを確実に出す、あるいはそこだけ別項目にして2題、3題と書くべき話というようなことを含めて、そういう出題の割合を何かで規定しておく必要があるのではないかと感じるのですが、いかがでしょうか。 ○座長 前もそういう議論はあったかと思うのですが、事務局としてはいかがでしょうか。 ○薬事企画官 他の項目も同じような問題があるのかもしれませんが、例えば物理、化学、生物をどのように配分するかということもあると思います。一方で、いまご指摘いただいたヒューマニズム、イントロダクションと実習の関係のところは、特に場合によってはそれぞれを独立しても可能な部分だと思いますので、トータルここでは必須問題であれば15という問題数にしています。これを、明らかに横に線を引いて、それぞれ何問ということで独立させてしまうやり方もあれば、とりあえずここは15にしておいて、考え方として毎回問題を作成するにあたっては、そのうちヒューマニズム、イントロダクションから何問程度というような、一般的な方針を、この検討会でお示しいただくことも可能だとは思っています。  また、一方で他の領域に関しましては、あまり細かく別分類にしてしまいますと、その問題数に絶対的にやはり拘束されることになりますので、ある程度それぞれの問題を毎年作成する検討会の場に、自由度をもたせてもいい部分もあるのではないかと思っています。ヒューマニズムのところに関しましては、従来からも独立してもいいのではないかというご意見もあったかと思いますので、その辺りは先ほど申し上げたような二通りのやり方がどちらでも可能ではないかなと思います。 ○樋口委員 いまのところですが、医師のほうの出題内容等を見ても、望ましいとか必要があるという時代の要求に応じて、非常に融通性に富んだ出題の内容に変えているように見受けられるんですよね。先ほどの独創的カリキュラムのことも含めてなのですが、縛りといってはいけませんが、やはり出題する側も受験する側も、あまり戸惑いがあるようでは困ります。ですから、読んでいてだんだん分からなくなってきたんですよね。がん対策法まで入ってくると、これはもうコアカリというよりは、その時々に新しく打ち出されたものに、やはり対応しなければいけないというようにも受け止められますよね。ですから、かなり出題する際に、困難な作業になるなという印象を受けたのですが、例えばこれを今度の出題内容に含むという取り決めを随時やっていくのか、当然将来の国家試験を出題する人たちにとって、これになってくるとかなり大きな問題ですよね。しかし、この医師のほうは非常にたくさん並べていて、これをやはり薬剤師の試験のほうにもある程度押し込めるとなると、かなり戸惑いを覚えますね。というのが、私の率直な印象です。 ○薬事企画官 先ほど少し触れさせていただきました基礎的な計算力というものは、おそらく資料3にあるような基準のような分類の中には、具体的に出てこないかと思います。それぞれの領域の中で、要は計算をさせる、あるいは計算力を問うような問題を、1問1問どれだけの数を入れていくかといったところで、考えていくべき問題だと思っていますので、基準自身に計算問題ということで明確に書く必要はないと思います。やはり、結構現場では調剤ミスといいましょうか、計算がなかなかできるようでできないということも、実しやかに言われています。やはり計算というところの問題も重視していくことを打ち出すべきなのか、あるいは必ず何問というところまで強い縛りではなくても、一定数、計算力を問うことも、非常に試験の中では大事だというような考え方を示していただくだけでもいいかと思っています。直接試験問題の基準に、計算やコミュニケーション能力というものを1つひとつ付け加えて盛り込んでいくという趣旨ではありません。 ○樋口委員 いまのことは、私もよくわかります。この出題内容についてという(1)の医師のほうで、少し性格の違うものがずっと羅列されているんですね。いまのものは、当然あって必要な能力ですよね。ところが上のほうに書いてあるのは、時代の要求に即したものも随時ということで、かなり性格が違うものが同じところにずらっと出ていますので、少し整理したほうがいいような気がしました。 ○薬事企画官 そういう意味では、すべて医師のほうの記述を薬剤師のほうに入れてくるというわけではありませんで、ある意味ではつまみ食いのような形で、この辺りの考え方は非常に大切だなというものがあれば、その都度今回の報告書の案に反映させてはどうかという趣旨です。  それと、国家試験の出題基準そのものが、先ほど申し上げたような一定水準、ある意味安定感をもたせるようなものだということで考えれば、一度出題基準というものを作れば基本的にはその範囲の中で問題が作られていくことが大原則だと思いますので、こちらとしてはそのようにはしたいと思っております。 ○樋口委員 一方で、出題の改定時期のインターバルを4年に短くすると書いていましたね。そこで、いま言ったことも当然出てくるわけです。そこでいじるものといじらないものがあると思うのです。この中で出てきたことを、随時4年に1回の改定のときに考慮しながらいくことは当然あり得ますね。改定に際しても、いま言った基礎の計算能力やコミュニケーション能力を問う問題を常に入れておくことは、別に考えてもいいのです。それは当然であると。ところが、時代に則したものは4年に1回の改定のときに慎重に考えていくという考えですか。私もよくわからなくなってしまったのですが。 ○薬事企画官 資料2の報告書(案)の5頁の各大学が取り組んでいる独創的なカリキュラムの基準への反映は、その上の段落にある4年程度の見直しの中で行っていく1つの考え方として、この流れの中で書いておりますので、大きな項目については節目節目で入れていったあとで、実際の出題につなげていくという考えを念頭に置いていました。それ以外の計算問題などは、出題基準が決まれば、その出題基準の範囲内で計算問題にするか別な正誤を問う問題にするか、それはいろいろあると思いますので、随時試験問題に反映していけるのではないかと思っています。 ○白神委員 くどいようで申し訳ありません。独創的なカリキュラムの問題なのですが、独創的ということは、ほかの大学でやっていないから独創的なのですよね。それを結論として積極的に加えていくというところに引っかかりがあるのです。せめて「積極的」という言葉は、取ってはどうかと思います。 ○薬事企画官 それはかまいませんが、ある意味薬剤師の資質を確認するのに必要なものがあれば、取り入れていくという1つの姿勢が示されればいいと思っておりますし、それを出題基準に入れた段階では、入れる入れないの議論も、1つ独立した薬剤師分科会のもとで出題基準の改定部会ができるでしょうから、そこでしっかり議論していくことになると思います。その結果として入れることになってくると思いますので、当然入れる入れないの判断をする手前のプロセスはしっかりやる必要があると思います。一方で、入れた暁には一定のインターバル、周知期間も必要に応じて設けるという考え方もあるのではないかと思います。 ○白神委員 私は勘違いしていたかもしれません。これは出題基準に入れるという話で、出題をするという意味ではないのですね。 ○薬事企画官 これは前の頁から続いているように出題基準のパートですので、そういった範囲のことだと思います。 ○白神委員 出題基準が動いていない限りは、そこからはみ出すような問題は出さない、出せないという理解でよろしいですか。 ○薬事企画官 そこは将来の話なので、いまここでコミットするようなコメントはかえって混乱させてしまうかもしれませんが、妥当なものを基準の中で取り入れていく、一定のプロセスをしっかり確保した上で入れていくということが、ここで触れられていると思います。 ○永井委員 私もいまのところなのですが、これをわざわざ加える必要があるかどうか疑問に思います。というのは、出題基準のコアカリキュラムは、4年に一遍も変わるわけではないですね。コアカリの中で、その解釈の仕方、あるいは表現の仕方を出題基準の医道審議会で考えていくという意味ですね。コアカリキュラムそのものが変わるわけではないのですから、あくまでも出題基準の元になるのはコアカリキュラムであって、コアカリキュラムからの出題の基準を、表現の仕方として医道審議会で表現するわけです。すると、コアカリキュラムの捉え方が、表現で少し変わってくる可能性があるということですね。 ○薬事企画官 これからの作業としては、モデル・コアカリキュラムの範囲をすべて含めた形の出題基準がこの記述にも示されているので、資料4にあるような表に整理したものを、出題基準になじむ表現に置き換えていく作業が当然発生します。 ○永井委員 そのときに、各大学で独自に取り組んでいることも、表現の仕方として加える場合があるということですか。 ○薬事企画官 そこは今日の資料4には反映させておりませんが、すべての大学に意見を求めて、こういったものを追加すべきという意見をいただいているので、それを一つひとつ見ていって、ここの記述に該当するような、確かにこれは相応しい、入れてもいいというものがあればそれを入れた上でお示しし、それについてすべての大学に一定のプロセスを経て、それが妥当かどうかを検証していくことになるかと思います。 ○大和田委員 5頁に、各大学が取り組んでいる独創的なカリキュラムとありますが、大学教育が先行して、コアカリキュラムもそうですが、本来ならこの会議でもいちばん最初に申し上げたとおり、これは職能教育の資格ですから、薬学教育もそういうものを反映して、少なくとも6年制はやっているはずなのです。いちばん最初に出てくるのは職能団体の要望が先行するので、各大学の独創的なカリキュラムは勝手に各大学が考えて思いついてやっているわけで、表現としてはむしろ職能団体の強い要望とかがあって、求められる薬剤師像はいまの段階では急速に変わっていると思うのです。大学はそれを先読みしてやってはいますが、基本的には薬剤師会や病院薬剤師会の強い要望があって、その内容がバイタル・サインを採るとか、そのようなことはコアカリキュラムの枠の外に出ているけれど、それをできるだけ早く盛り込みたいということが職能団体からあって、そのような背景のもとに出される形を取るような記述にしていただいたほうがいいのではないかと思います。先ほどどなたかがおっしゃいましたが、確かに大学の独創的なというのは、表現としてはあまりよくないと思います。  コアカリキュラムそのものは、その関係も明確ではないのですが、コアカリキュラムが改定されて、それに準拠して国家試験という考えは、私はあまりよくないと思っているのです。本来、職能団体が考えるアウトラインが先行して、それに対応してコアカリキュラムが変わっていくのが本来の職能教育の流れだと思いますので、なるべくそのような流れを崩さないような記載をしていただければと思っております。いまここにあるものに文句をつけているわけではなくて、これはこれでよいと思うのですが、コアカリキュラムを速く改定しなければいけないということで、6年制の最後まで待てない状況があるやに聞いております。ここに書いてある、4年程度に短縮することはとてもいいと思っているのですが、これはあくまでも職能の試験ですから、職能団体のそのようなものを背景にしていることがわかるように、表現的に、大学だけの都合でやっているわけではないことを記述に入れていただければと思っております。 ○森委員 いま、職能団体として希望するということでしたが、私たちが希望するのは、新しく定着した薬剤師業務や制度等に関しては、適宜出題の範囲、対象としてほしいということです。それがあって、そのあとまた以下の、何か薬剤師に求められる資質について、大学が取り組んでいるもので参考になるものがあれば入れていくといった形で書いていただければと思います。 ○加賀谷委員 これは当然、先ほど話に出たがん対策基本法のことなどは非常に大事で、あのようなことによって臨床現場はどんどん変わっていっているわけです。そのような医療の求めているニーズが刻々と変わっていくわけですから、臨床現場が求めている基準が先行されるべきではないかと思うのです。大学の独創的なカリキュラムというのは、混乱を招くだけだと思うのです。むしろ、医療現場のニーズに則した新しい基準に変えていくべきであるという表現にしていただきたいと思います。 ○樋口委員 そろそろ整理したいと思います。医学部のところを見ると「出題内容」と書いてあるのですが、関野さんがおっしゃったのは出題基準ですね。私は、出題基準はモデル・コアカリキュラムに従ったらいいと思うのです。モデル・コアカリキュラムの内容を変えていけばいいわけです。年次を追って。だから、基準はあくまでもそれに則ってやらないといけないので、そこにあまりバリアントを入れないほうがいいと思うのです。ただ、先ほどの話を聞いていると、モデル・コアカリキュラムは変更していけるわけです。 ○望月委員 私は、ここの記述は「大学の独創的な」というところには無理があるかと思いますが、趣旨としては、薬剤師の国家試験はモデル・コアカリキュラム・ディペンデントではないと言いたいのではないかと思っているのです。モデル・コアカリキュラムは最低限カバーすると。カバーするのだけれど、それ以外にいまいくつかの職能団体から出ていたように、オンゴーイングで薬剤師にとって必要となるものは、当然大学も取り入れて教育をしなければいけないと思いますが、そういったものも4年ごとの改定のときにできるだけ早期にこの基準の中に反映することによって、それを大学が教えるようになっていくだろうというところも視野に入れたのかなと思うのです。独創的と言うと、1つの大学しかやっていないみたいなイメージになってしまうので、そこが多くの先生方が引っかかっているところではないかと思います。 ○座長 この言葉はだいぶ前から入っていて、これについてのコメントはいままであまりなかったのですが、おっしゃるとおりだと思います。「各大学が取り組んでいる独創的な」という表現は、少し変えていかなければならないのではないかと思います。 ○平井委員 試験の内容は、大学で教えていないことは出せないと思うのです。独創的なカリキュラムの内容は、先ほどから加賀谷委員がおっしゃっているように、現場で必要なことはできるだけ速く大学の教育に反映するという姿勢を、各大学が持っておくということをここの言葉は含んでいると思うのです。例えば、医師の場合は臨床がそのまま教育をしますから、そのような乖離はまずないと思いますが、薬学の場合はそのような乖離が生ずる可能性があるのです。だから、今後の薬学教育においては、その乖離をできるだけなくすように大学が努力し、現場もそのように努力するように、コンセンサスとして形成することを盛り込むという意味だと解釈するので、大学でやらないで現場が要望することだけをそこに盛り込むのは、少し問題があるのではないかと思います。 ○山元委員 もともとモデル・コアカリキュラムは、薬学教育の6年間の教育の約7割を占めるものだということで作ったと思うのです。モデル・コアカリキュラムだけが国家試験の対象になるとすれば、3割はやってもやらなくてもいい教育になってしまう。でも、大学の教育なのだから、モデルとしてやるものと各大学のそれぞれオリジナルな教育が並列して、100%の教育が成り立つわけで、その30%が独創的だから、ある大学しかやっていない問題を即出題するという意味ではなくて、こういうことが必要になったのであれば、それが科目としてオリジナルな教育、あとの30%の教育に入ってくるわけですから、そのようなコンセンサスができれば、そこから出題することは当然あり得るわけです。独創的なという表現だけの問題であって、もう少しモデル・コアカリキュラムを作った原点に戻れば、30%をどうするのか、各大学はやらなくていいのかという議論に戻らなければいけないと思うのです。これは「独創的な」という言葉だけの問題で、あとは新たなものを加えていくことを考慮して加えた文章だと思います。 ○白神委員 その1つ上の段落に、出題基準の見直しの話が出ていますが、先ほどからご議論があった学問の進歩や薬剤師業務の変化がここに書かれているわけです。混乱しましたのは、その次の行の最初の文章は出題基準の話ではなくて、出題範囲の話なのです。出題基準にこだわらずに出題していいと書いてあって、そのあとにまた出題基準の見直しの話に戻っていますから、「独創的なカリキュラム」という言葉はともかくとして、それが見直しの問題なら、むしろ上の段落に入れたらいいのではないでしょうか。例えば、「学術の進歩及び薬剤師業務の変化、あるいは各大学が独自に取り組んでいる独創的な云々」というので見直しをすると入れれば、いろいろな議論の混乱が避けられるのではないかと思います。 ○薬事企画官 いまいろいろご議論いただいた内容は、私の書き起こしたこの文章ですべて表現しきれていなかったがゆえに、ご迷惑をかけたと思うのです。特になお書きのはじめの部分は、教育したことを試験で確認するという意味ではなくて、むしろ厚労省として免許を与えるに相応しいシステムとするためには、出題基準に拘束されないで、1つの政策判断も含めて狙いを定めて、信念をもって問題作りをしていくということを言いたかったのです。確かに、個々の出題という記述になってしまったので、出題基準のパートでは混乱を呼んでしまったかもしれませんが、出題基準に関しても、厚労省として積極的に薬剤師を念頭に作っていくことがまずあって、そのあと、一方で大学側でもいろいろユニークないいことをやっているのであれば、それを反映していきましょうというセットの部分だったのです。この辺りが表現しきれていなかったので、もう1度出直してこようと思います。 ○座長 時間のこともあるので、ここに関してはこの辺にして、7〜9頁の「その他」まですべて含めてご意見をいただきたいと思います。 ○大野委員 10頁のいちばん上の必須問題については、70%とすることが適当であるというのは、先ほど関野さんがほかの資格試験等を見てということで触れられたのですが、ほかの所には必須問題は絶対基準と書いてあって、ほかの分野は相対基準と書いてあるのです。絶対基準、相対基準という意味と、今回ここに70%と明記した根拠についてお伺いしたいと思います。 ○薬事企画官 薬剤師の国家試験は、従来から問題の難易度やいろいろな係数、指数をもって個々の問題の評価をして、随時65%を基本にしますが、補正の操作が加わっているので、ここで基準として定めるのは、原則としてのパーセンテージで定めておけば、その前後はその都度問題の妥当性によって多少幅があるということで、対応できると思っています。その辺りが、ほかの資格試験の場合ですと、相対基準についてはそういった全体の問題のレベルや難易度をもって、65%なら65%が変動していくという意味で、まさに相対的な捉え方なのですが、ほぼ同じことを求めていると思っております。ですから、あえてここで薬剤師のほうもいままで使っていなかった絶対基準、相対基準を使うと、かえって混乱すると思いましたので、考え方は同じではないかと私は捉えております。 ○大野委員 そうすると、薬剤師の場合には、必須問題に関しても相対基準でいくということですか。 ○薬事企画官 はい、一応ルールとしてはそういうことになると思いますが、問題を作成するときに必須問題が補正をかける問題にならないようにすることをもって、事実上絶対基準になっていかなければいけないと思っています。 ○吉富委員 8頁のいちばん下の行から次の4行までの文は、いまある国家試験の整合ということでマルを付けたり、abとかcdとか2つだけ選ぶのはやめたほうがいいということになると、一つひとつを確実にわかっていないと解けない問題ばかりを回答の仕方にすると、恐ろしく難しくなるのではないかという危惧の念があります。これについては、どういうことになるのですか。 ○座長 でも、いい加減にわかっていても正解が出てしまうのをよしとするかどうかの問題なので。 ○吉冨委員 全く排除することを最初から謳うと、新しい傾向の問題で、うやむやでも解けるけれど、次の年ぐらいまではちゃんと勉強してくださいと、将来の教育をコントロールしたような問題が、こんなことをするとできなくなるのではないかと思ったのです。あやふやだと困るというのは正しいのですが、一つひとつが全部わかるほどの問題を作れるのだろうかと思います。 ○座長 いまのご意見に関してはどうでしょうか。これから先まだ2年間余裕があって、実際に問題作成のトライアルのようなものをやっていくことになると思うのです。その過程で、いまおっしゃったような問題を、もう1回見直さなければいけないことがあるかもしれませんが、正論としてはこちらのほうが正論だと思います。 ○加賀谷委員 10頁の禁忌肢の問題なのですが、医師の報告、歯科医師の報告を見ても、この問題の取扱いについては慎重に配慮すべきだと謳っておきながら、やはり継続すべきだと言っているわけです。獣医師に関しては、報告書を見ると取り上げるところは検討したいとなっていて、薬剤師と獣医師は全然違うと思います。これから求められている薬剤師の中では、いわゆるヒューマニズムの問題をもう一歩踏み込んだところでの、ここまでの資質が求められるということを国家試験に入れていただかないと、いくら大学でヒューマニズムはかくあるべきという話をしたところで、国家試験でこうあるべきみたいな姿だけを選択するのではなく、こんなことをしてはいけないと教えるためにも、国試の中には入れていただきたいと思うのです。これで合否を決定するのは慎重であるべきですが、禁忌肢を入れる前向きな検討をいただけないかと思うのです。 ○薬事企画官 いま加賀谷委員がご紹介されたほかの職種について、どこに書いてあるかだけご説明します。医師の場合は3頁、歯科医師は4頁、獣医師が8頁、それぞれの報告書の中に出ています。 ○大野委員 私も加賀谷委員と同じ意見なのですが、理由は2つで、1つはいま委員がおっしゃったことです。6年制になったことを意識した国家試験であることが大前提だと思うので、6年制になった理由の3本柱の1つはヒューマニズムで、先ほど関野さんが線を引こうかどうかという話をされた、資料3の2枚目の実務の中に埋もれてしまっているヒューマニズムのところは、何らかの形で線を引いて問題数を確保する。2つめはヒューマニズムでは禁忌についても是非必要なことだと思うので、ヒューマニズムは独立した目玉であるべきなのではないかと思います。 ○樋口委員 「偶発的要素」とありますが、この取扱いがよくわからないのですが、教えていただければと思います。なぜ聞くかというと、私の大学の某学部が、今年最下位だったのです。そこで何が悪かったかというと、禁忌肢の問題なのです。それが一昨日公の場で議論があったのですが、責任者の方が苦しい弁明をなさっていたのです。禁忌肢は、先ほどお二方のお話にもあったように、ヒューマニズムを問うにはあるべき問題だろうと思うのですが、偶発的要素が私はイメージできなかったのです。教えていただければと思います。 ○薬事企画官 その都度、毎年作られる問題にもよるかと思いますが、いまここで議論している問題数は345ありますから、そのうちほかが全問正解で、この問題だけが、マークシート方式であることも考えれば記入ミスだとか、これもあってはならないと言えばそれまでなのですが、いろいろな意味で妥当な形で運用される場合ばかりではないだろうと考えておく必要があるということで、ここで偶発的な要素に対して配慮すると書いております。  禁忌肢に関しては、10頁の記述にもありますが、薬剤師として禁忌とする対象をどう考えておくかをしっかりしておかないと、安易に禁忌肢問題を作ることは非常に不確定要素を生むので、その辺りも慎重にということがこの記述の背景にあったわけです。明確にこの範囲のみということにするまでもなく、ある程度考え方を示しておかないといけないのではないかと。もし設けるのであれば、その辺りの考え方を決めておく必要があるのではないかと思います。その辺りは獣医師のほうにも考え方がいくつか羅列してあると思いますので、それをした上で入れていくのであれば、運用面でうまくいくかどうかもう少し検証してもいいのではないかと思いますが、いずれにしても慎重に捉えざるを得ない要素もあるのではないかと考えています。 ○白神委員 私も関野さんが言われたことを指摘しようと思ったのですが、CBTの問題のチェックをしていると、これに類した問題がときどき出されるのですが、ほとんど委員によって意見が分かれてしまうのです。これを本当にいちばん悪いとしていいのか、あるいはいちばんよいとしていいのかと。その意味で、禁忌とする対象の選定のところが、ある教科書に書いてあったからそれが正解だみたいなところがあって、少し慎重にするほうがいいのかなと思います。 ○座長 禁忌肢もあり得るという表現はよろしいだろうと思うのです。よほどきちんと検討した上で、検証した上で、禁忌肢を取り上げるかどうかは決めていくということで、この表現は引き続き慎重に検討することとするという表現が弱すぎるとすれば、その辺りはもう少し修正できるかなとは思います。そういうことでよろしいでしょうか。 ○加賀谷委員 引き続き検討するときは大体やらないときですから、やる方向で是非お願いします。 ○座長 表現を考えます。ほかにはいかがですか。 ○森委員 9頁の下から2行目に、「各試験区分ごとの得点が35%以上」と書いてあります。今回の各試験区分というのは、どう考えたらよろしいでしょうか。 ○薬事企画官 そこの議論も必要だと思います。資料3ですが、どのレベルで35%を対象にしていくかは議論だと思います。いちばん広く捉えれば、資料3にある薬学理論問題であれば、トータルで105問ありますから、その35%というやり方もあります。一方で、理論問題はそれぞれ基礎系であれば30問、衛生分野であれば20問とこの資料では区切ってあるので、それぞれに対して30問のうちの35%、20問のうちの35%という切り方も、細かい切り方としてはあるかと思います。その辺りは、少し議論していただく必要があるかと思います。 ○座長 必須問題の最低が35%というのは、いくら何でも低いのではないかと思います。必須問題の定義にもよるのだろうと思いますが、その辺りについてもご議論があろうかと思います。 ○薬事企画官 誤解があったようですが、必須問題は次の頁に70%と書いていますので、70%が足切りになります。 ○座長 いままでに比べるとはるかに高いところで足切りされるというのは、大きな点だろうと思います。いま、個々のところでパーセントの区切りをしたほうがいいのか、あるいは一般問題、薬学理論であればトータル105問について35%としたほうがいいのか、細かく分けたところで35%ずつにするというのは、現実問題としては難しいような気もするのですが、その辺りについてはどうでしょうか。 ○木津委員 あまり細かくしてしまうと、学生の本来の出来と比べて違うものが反映される危険性が非常に高いと思うので、大きな枠の中で35%と取っていただければありがたいと思っております。 ○座長 大きな枠で35%というのを取ってはいかがかとのご意見ですが、いかがでしょうか。 ○山元委員 これはモデル・コアカリキュラムをベースに作ったものですから、項目ごとの35%にしたほうがいいのではないかと私は思います。例えば、C1〜C10で35%、C11で35%と。少し細かいようですが、職能教育が悪いわけではありませんが、国家試験対策の勉強だけに偏ることは、大学としてはあまり望ましくないと思います。 ○薬事企画官 確かに、トータルのところだけでしておくと、問題数の配分の少ないところがまるっきり除外されて、ほかだけで何とかカバーしようということになるデメリットはあると思います。 ○座長 問題数が少ないところで35%だと、ちょっと間違えたらおしまいということにもなりかねないので、その辺りは技術的にも問題があるような気はします。 ○白神委員 私が担当する所は必須問題が5問しかありませんから、7割というと1問しか間違えられないという、かなり厳しい状況になるような気がします。 ○座長 そういうつもりで必須問題をお作りいただくということで。 ○赤池委員 私自身が解釈を間違っていたのかもしれませんが、必須問題というのは、必須問題全体で7割ということではないのでしょうか。これも項目ごとに分けることになるのですか。 ○薬事企画官 混乱させてしまうかもしれませんが、理論的には細かく分けて設定するというのも、議論の対象にはなると思います。当初念頭にあったのは、必須問題はトータルの90問で7割と考えてもいいのではないかと思います。一方で、理論問題と実践問題は細かく分ける、あるいは全体の35%とするか、細かく分けて35%ずつとするか。また、これは中間になると思いますが、現行で言う基礎分野と、特に医療系は細かく分かれていますが、ある程度小さな集合を作って、その中で35%というやり方もあるかと思います。理論上はそのようないくつかのバリエーションがあります。 ○赤池委員 もう1つ、領域ごとに分けるときの問題は、複合問題だと思うのです。複合問題は領域をまたがって出されていて、それが1問ずつ別々にカウントされた場合に、当然連動した問題ですから、それでそれぞれの35%で切る場合に、少し矛盾が生じる可能性があるように思うのです。そういう意味では、これはあくまで1つの考え方ですが、領域で分ける考え方のほかに、理論問題と実践問題というカテゴリーで、35%ずつという方法もあり得るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○大野委員 確認なのですが、いまのお話では、必須問題が90のうち70%は取らなくてはならない。そうすると、90×0.7で63問なのです。合格基準65%というのは、一般問題、理論、実践を2つ加えたところが6割5部という意味なのですか。それとも、必須は最低7割で、全体が6割5部という意味ですか。そうなると、3割5部の足切りは、計算するともっと高くなってしまうのです。 ○薬事企画官 必須問題の90問の正答も加えて、全体の65%というのが1つの条件です。それに加えて、必須だけを取り上げたときに7割という設定の仕方を意味するもので、その7割を必須の90問に対する7割と捉えるのか、個々の横に線を引いた15問や、社会薬学の5問に対して7割という切り方もあるという議論をしていると思います。65は、必須問題も含めたトータルの割合です。 ○座長 ここで細かく区切るのか、中間的な括りをして35%ずつとするのか、あるいは全体にするのか、3つの考え方があるのだと思います。妥協すれば真ん中ということになるのですが、その辺りも今後の検討課題になるのでしょうか。 ○薬事企画官 この辺りは、大きな1つのコアになる部分ですので、次回に整理をしてもかまいません。ご意見をいただければ、それを伺った上で次回に向けて議論を続けたいと思います。 ○座長 この点に関してはよろしいでしょうか。それでは、そのほかの点に関してご発言をお願いします。 ○森委員 いま、国家試験が1問2点ということでしたが、今回の新しい制度でも1問2点と考えるのでしょうか。例えば、必須問題は1問1点、ほかは1問2点とか、そこは議論していなかった気がするのですが。 ○薬事企画官 1問すべて1点あるいは2点にするのであれば、あまりそこに違いはないと思うのですが、いま言われたように必須問題を1点、ほかは2点という中でいくつかウェイトを変えると、今回必須問題ということで独立に合格基準を設けるのであれば、二重に変更することでどのような影響があるか未知数になってきますので、あまり問題に応じて配点を変えることはしないで、まずは合格基準のところで少し工夫をしてやってみるのがいいのではないかと思っています。 ○白神委員 7頁の2つ目の段落ですが、「3つの出題分野における各領域の出題数が実質的に下回らない」という表現があります。最初のころ、そのようなご議論があったと思いますが、今日提案された資料3を見ると、従来薬事関係法規が入っていたものが、C18とC17、残りということで20問となっていますが、内容的にほかの分野でも出てきたものが入っているのです。そうすると、実質的には下回っていることになってしまいます。そのような意味で、実質的に下回らないように確保していただくか、この表現を変えていただくかする必要があるのかなと思います。ほかの分野はよくわかりませんが、本当に実質的に下回っていないようになっているのかどうか、それぞれの分野をご覧いただいたほうがいいと思います。 ○座長 いまの法律に関しては下回ってしまうのではないかとのご指摘だと思いますが、いかがでしょうか。 ○薬事企画官 資料3で、今回とりあえずカテゴリー分けをした切り方の妥当性も、次回までにご意見があればいただきたいと思います。また、精査が必要なところがあればご指摘いただきたいと思います。いま白神委員がご指摘のところは、C18だけではなく、C17の「開発と生産」の流れと「治験」と「バイオスタティスティクス」が入ってきているから、ここは従来法規の20問ではカバーしていなかったのではないかということだと思います。 ○白神委員 特にバイオスタティスティクスですね。 ○薬事企画官 その辺りの位置づけ方が妥当かどうかも含めて、少し議論していきたいと思っています。仮に、括りとしては社会薬学の括りの中でいちばん身近というか、カテゴリーとしては適切だということであれば、それはそれでその括りをあえて歪めるのもどうかと思いますので、その中で取り入れていくしかないと思います。その場合は、報告書の表現を変える必要があると思います。 ○森委員 私はいまの件で前回発言したのですが、先ほど現場のニーズという話があって、私が国家試験を受けたころには、法規関係で療担規則や薬担規則についての出題は全くありませんでした。調剤報酬、診療報酬に関しての出題も同様でした。そういう意味では、いまは介護保険も含めて、いろいろな法律が自分たちの仕事に関わってきています。法規関係の出題をある程度増やしてほしいと思います。 ○望月委員 私も同じところで同じように感じていて、もう少し問題の割合を検討していただきたいことと併せて、そのような意味では、必須問題が何%以上で合格とするというところを議論した上での話だと思うのですが、いま仮に7割とした場合には、7割の人が必須として、最低限絶対に取ってほしいものに相応しい得点レベルを考慮した問題の出題の仕方があるだろうと思うのです。その中で、必須問題が医療薬学関連の領域からは2分の1程度の問題数を確保し、他の科目からは4分の1程度という件で、関野さんのご説明で法規関係も4分の1というご説明があった気がするのです。それが本当に4分の1でいいのか、必須問題をどのレベルにするかにも関わるのですが、医療薬学分野が2分の1だったら、いまの薬事法規や医療関連の制度も、2分の1でもいいのかもしれないというのは考えられると思います。 ○座長 そうすると、基礎問題がどんどん減ってしまいますが、全体のバランスを考えていかなといけないので、いまのようなことも考慮しつつ決めていくしかないのですが。 ○薬事企画官 確認の意味で、いまのご発言を踏まえてどう変わるかをご紹介します。おそらく、必須問題に関して、3科目がそれぞれ4分の1ではなく2分の1になりますから、基礎が15問増えて、衛生が10問増えて、法規が5問増えるので、トータル30問、345が375になる計算です。純粋に増やすというご趣旨ですか。 ○望月委員 違います。薬事関係法規や医療制度の問題数を、もし検討して増やす場合に、それも踏まえた上で、ここが4分の1ではなくても、2分の1になってもいいのではないかということです。先ほど、C17とC18は必須問題が5問しかなかったですね。 ○山元委員 お尋ねしたいのですが、問題数を増やすこととそこが確実に出ることと、何が違うのですか。問題数を増やすことがそれほど大事なのか。問題数を増やせばいいという問題ではないと思うのです。そこの領域が確実に出るのであれば、それは全部勉強しますから、勉強することが大事なのではないですか。何問出るかが大事なのでしょうか。 ○望月委員 先ほどの白神委員のご意見の趣旨は、この領域が従来にも増して幅広い領域にまたがって中項目が登場していて、従来に比べて法制度等がこの中に占める割合が減っているのではないかと、そこをもう1回再考した上で設問を検討してほしいということだったのではないかと思います。森委員のご意見では、特に法律や医療制度は、現場のニーズとしては非常に高いものがあるので、そこも考慮した上で設問のありようを考えてほしいということだったように思います。ただ単に増やすということではなかったように、私は思っています。 ○薬事企画官 私がまだ理解できていないかもしれないので、4分の1を2分の1にするということは、資料3で言う必須問題の15問が30問になって、C11とC12の10問が20問になって、C18とC17の5問が10問になるということですね。 ○白神委員 いや、薬事関係法規を2分の1に上げてはどうかということでしょう。 ○望月委員 そうです。 ○薬事企画官 法規だけということですか。わかりました。 ○望月委員 ここで言えば、C18の辺りが中心になるということだと思います。ただ、C18はC17と合わさった形になっていますから、ここの整理が必要なのかなということだと思いますが。 ○白神委員 折角応援をいただいたので。法規的には、いま先生方がお話になったのは複合問題です。つまり、実務と関連した部分がかなり重要になってくるという、森委員のご意見もそうだろうと思うので、もし増やしていただけるなら、複合問題を増やすのが1つの方法かなと思っています。単独の、いま国家試験で出ているような法律の解釈がどうだとか、そんな問題ではなくて、実務に沿った形で、実際に今年の国家試験を見ても、法規関係は全部で30〜40問出ているのです。衛生や、今年は製剤まで出ていたのですが、もちろん医療の所も出ています。その意味では実質問題はかなり出ているので、複合問題をもう少し増やすと、実務という意味では相応しいのかなと思います。 ○座長 それは特にそのようなことを考慮して、次回に提案するということでよろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。ここを増やせという意見が出ているのは、法律あるいは薬学と社会の辺りなのですが、ほかの所はよろしいでしょうか。問題数としては、いまの345というのは、2日間でやるにはぎりぎりの問題数であると思ってよろしいでしょうか。 ○薬事企画官 それぞれの問題が、現行で言うと、5つの選択肢があったときにそれぞれが独立する形で問題も作られてくると思いますので、1問辺り現行2.5分取っていますが、そうではなくてもう少し短縮できる問題もあるでしょうから、それで計算すると何とか2日間で入る範囲だと思います。 ○座長 だから、問題をこれ以上増やすことは、現実的には2日でやろうとしたら無理に近いと思ったほうがよろしいかと思います。その他の項目等に関しても、いかがでしょうか。 ○永井委員 そのほかの「プール性」についてですが、これは是非前向きに検討していく必要があるとか、あるいはプール性について必須問題7割とか、実践問題は毎回新しくなっても、一般の理論問題となってくると、どの分野をプール性にする、どの分野はしないというわけではないのですが、プール性のことを今後も検討する必要があるとか、何か1つこの中に入れていただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか。 ○薬事企画官 プール性の関連ですと、医師が3頁、歯科医師が3頁、獣医師が9頁でそれぞれ触れられています。現行の過去問を何問か出していて、薬剤師もやっているので、それが実質プール性になっている要素もあります。それについて今後どうするかということで、いまの件は具体的な記述を国試の中に入れるということだと思います。 ○座長 過去問をそのまま入れるのではなくて、過去問に関してよく精選して、修正すべき所は修正してプール化していくといったことが望ましいだろうと思います。少し気になるのは、いろいろな領域について国家試験の問題の検討会が行われていて、どの問題がどうだとコメントを出していると思いますが、それがどれだけうまく実際の次の年の問題作成等に反映されているのかは、現時点ではなかなか難しいところがあるのだと思います。それをもう少しうまく機能させるとか、そのようなことも今後は考えていかなければいけないのではないかと思います。  ほかにはいかがですか。議論はいくらでも尽きないわけですが、予定の時間が迫ってきております。いま、何かどうしても発言したいことがありますか。なければ、本日の検討はこの辺りで終わりとして、文章の書きぶりも含めて、それぞれの先生方からさらにご意見があれば、事務局まで19日までにお伝えいただければと思います。何かご意見はありますか。  それでは、本日の検討はここまでとします。事務局から連絡事項はありますか。 ○薬事企画官 ご意見はメール等でいただければと思います。今日の報告書の案の「その他」に掲げた項目は、何らかの形で触れておいてもいいと思っておりますので、ほかの報告書を参考にし、井上座長とも相談しながら書き起こして、次回見ていただくことにしたいと思います。  次回の日程ですが、6月30日(月)の午前10時から予定しております。場所は、追ってご案内します。よろしくお願いします。 ○座長 まだ時間がありますので、1つだけ発言します。いろいろとご検討いただいておりますが、これは実際に問題を作成してみないとわからなくて、作成してみると、おそらくまたいろいろな問題が出てくると思います。そういう意味で、厚生労働省のほうで、是非問題を作る研究会あるいは検討会を、今後企画していただければと思います。よろしくお願いします。  それでは、今日はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省医薬食品局総務課 TEL:03−5253−1111(内線2715)