08/06/11 第2回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会議事録 第2回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会議事次第 日時:平成20年6月11日(水)10:00〜12:00 場所:厚生労働省共用第8会議室 1 開会 2 議事  1.第1回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会での議論の概要  2.受動喫煙防止対策の問題点及び対応策について  3.その他 3 閉会 照会先:健康局総務課生活習慣病対策室(内線2348、2971) ○関室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回になりますが「受動喫煙防止 対策のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。  マイクの関係で、座ったまま失礼いたします。  委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございま す。なお、本日は永井委員がやや遅れて来られるということで御連絡をいただいております。  それでは、以後の進行を久道座長よろしくお願いいたします。 ○久道座長 それでは、よろしくお願いします。  前回は3月末だったと思いますが、この検討会の議論を踏まえまして、具体的な受動喫煙防止 対策の在り方について検討を進めてまいりたいと思います。  それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○森専門官 事務局から配付資料の確認をさせていただきます。  まず議事次第、座席表がございます。  その後ろに、資料1が付いております。資料1は2ページになっております。  資料2−1から資料2−8までございます。全部で14ページになっています。  引き続きまして、参考資料1「たばこ煙中の有害物〜現状と問題点〜」。  参考資料2−1「わが国における妊産婦の喫煙・飲酒の実態と母子への健康影響に関する疫学 的研究」が付いております。  参考資料2−2といたしまして「わが国における妊産婦の喫煙状況」が付いてございます。  もし不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し付けいただきますよう、お願いいたし ます。  また、机上配付といたしまして、青いものが加治先生からの机上配付物になっております。  それとは別に、ポケットブックとその後ろに緑色の冊子が付いてございますのは、高見先生か らの机上配付物でございます。御確認いただければと思います。  あと、望月先生から、国際対がん連合の「たばこの煙から子どもたちを守るには」という資料 を、配らせていただきます。ごらんいただければと思います。よろしくお願いします。 ○久道座長 それでは、早速議事に移ります。  最初に第1回の検討会における議論の概要について、事務局より説明をお願いいたします。 ○森専門官 事務局から資料1に基づきまして「第1回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討 会での議論の概要(案)」を説明させていただきます。  前回の議論を踏まえまして、大きく1〜4までに分けさせていただきました。  「1.受動喫煙防止対策の現状及びより一層推進が求められる施設について」ということで、 まとめさせていただきました。  ○を4つ付けさせていただいて、最初の○といたしましては、健康増進法に基づく公共の施設 に限らず、屋外、家庭等における受動喫煙防止対策まで含めるべきではないかという御意見をい ただいております。  2つ目といたしましては、特に受動喫煙による害を受けやすい妊産婦や子どもの利用する施設 等で、受動喫煙防止対策を一層推進するべきではないか。また、海外では妊娠中の喫煙を法律で 禁止している国もあり、胎児を喫煙による害から守ることについて優先的に取り組む必要がある のではないかという御意見をいただいております。  3つ目といたしましては、公共性の高い学校、病院等においては、より一層受動喫煙防止対策 を推進するべきではないかという御意見をいただいております。  4つ目といたしましては、中小の飲食店については、受動喫煙対策の取組みが遅れているとの 報告があるが、禁煙席を確保するためのスペースの問題や常連の顧客が喫煙者の場合には、禁煙 を徹底することなどが難しいなどの問題があるという御意見をいただいております。  5つ目といたしまして、小さな旅館等では公共空間という意識が薄く、受動喫煙防止対策に関 する理解が得にくい状況にあるという御意見をいただいております。  6つ目といたしましては、公共交通機関で既に対策がとられているところに対しても、より進 んだ提案がなされるべきではないかという御意見をいただいております。  「2.受動喫煙防止対策を推進するための方策について」に関しては、大きく3つに分けさせ ていただきました。  1つ目は「○普及啓発について」ということで、喫煙者に受動喫煙による害について正しい情 報提供を行い、喫煙者が受動喫煙による被害を与えているとの認識を持っていただくことが大事 ではないかという御意見。  小さな店やタクシー等が公共空間であるとの認識を深めていく必要があるという御意見をい ただいております。  2つ目は「○従業員の健康被害について」ということで、まとめさせていただいております。  顧客の喫煙による従業員の受動喫煙の観点からの対策が必要ではないか。  職場の喫煙率が高い場合、休憩室等で受動喫煙にさらされることがあり、職場という観点で対 策が必要ではないかという御意見をいただいております。  「○その他」といたしまして、飲食店等については、完全禁煙という対策ではなく、例えばス モーカーズクラブのような喫煙者のための飲食店や分煙処置をしている飲食店などについては これを公表して、利用者が選択できる道はあるのかということについて御意見をいただいており ます。  3つ目といたしましては、こういうデータもあった方がいいのではないかということで「3. 各種データの取得について」ということで、まとめさせていただきました。  最近になり、住空間が変化してより密閉化していることをかんがみて、それに対応する受動喫 煙による曝露を評価する必要があるのではないかという御意見。  受動喫煙によるたばこの煙による曝露をより正確に評価するための研究を推進する必要があ るのではないかという御意見。  飲食店では、喫煙することによる経営への影響が懸念されており、飲食店等に受動喫煙防止対 策の推進を求めるのであれば、経営に与える影響について情報を集める必要があるのではないか という御意見をいただきました。  「4.これからの方向性について」ということで、例えば10年ビジョンのような御意見をい ただきました。  最初の○といたしましては、将来的な受動喫煙防止対策のあるべき姿を描き出した上で、現状 において実施すべき項目を検討する必要があるのではないか。  2つ目といたしましては、受動喫煙防止対策を推進する上で、文化と風潮をつくり出すことが 重要ではないかという御意見をいただきました。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございます。  今、事務局から、前回の検討会の議論の要点をまとめたものを説明いただきました。皆さんか ら、ここはちょっと直しておいた方がいいというところはございますか。  どうぞ。 ○望月委員 大変詳細にわたる意見を要領よくまとめていただきまして、ありがとうございます。  1点気になったのは、2の「○その他」のところですが、「スモーカーズクラブのような喫煙 者のための飲食店」という部分は、趣旨の近い議論は、座長が喫煙のおすし屋さんの例を出され たときに行いましたが、記憶にも議事録にもそのような用語はなかったので、これはミスリード するのではないかと思います。 ○森専門官 済みませんでした。確かに議論でスモーカーズクラブという単語は出てきていなか ったのですが、わかりやすいような形でこちらで入れましたので、削除させていただいた方がよ ければ削除いたします。 ○望月委員 その時、私が特に申し上げたのは、結局パブリックとプライベートな空間をどう考 えるか。座長の御意見もとらえて、そのように強調したのですが、そうでない形で議論の概要の 中で残るとミスリードすると思いました。 ○森専門官 この点に関しては、また書き直させていただいて、後日、委員の先生方にごらんい ただき、御承諾いただければと思います。 ○久道座長 それでいいですか。 ○望月委員 ありがとうございます。 ○久道座長 今、直せるなら、直してもいいけれどもね。何か案がありますか。 ○望月委員 ここの論点としては、結局パブリックな空間のとらえ方をどうするか、ではないで しょうか。一方で、小さなサークルのようなコミュニティーみたいなものができてしまったら、 行政としては介入しにくいのかもしれないが、公衆衛生の観点からは、お節介を承知で踏み込ん でいかざるをえないのではないか、と申し上げました。もちろん、それは検討会全体のコンセン サスというレベルではないかもしれませんが、問題提起として、私はそのようにお答えしたつも りです。 ○久道座長 ほかの方で、何か意見ございますか。どうぞ。 ○加治委員 加治です。  言葉の問題なんですが、スモーキング・ハラスメント、スモハラという言葉の普及を期待いた します。セクハラという言葉が普及したことによって、そういう被害を受ける女性が激減したと 思うんですけれども、国民の間にスモーキング・ハラスメントという言葉が普及すれば、人の前 でたばこを吸うことは周囲の人に大きな迷惑、危害を加えることなんだという認識が広まるので はないかと期待いたします。よろしくお願いします。 ○久道座長 今の加治さんの意見は、修正ではないんですね。 ○森専門官 議事録を確認しますが、多分、前回もスモーキング・ハラスメントは単語として出 てきていると思いますので、出てきているようであれば、前回のところにうまく組み込めるよう に、また検討してみようと思います。 ○久道座長 今ここでは難しいようなので、後で文章を考えてください。 ○森専門官 わかりました。 ○久道座長 ここは修正するということで、ほかに何か御意見ございませんか。  なければ、議題の2番目に入りたいと思います。今回は委員の皆様方にあらかじめ御準備をい ただいた資料を持ってきていただきました。現在の受動喫煙対策の問題点とその具体的な解決方 法について説明をしていただきます。全員の説明が終わってから、質疑応答をしたいと思います ので、持ち時間を有効に使って説明をお願いしたいと思います。  それでは、五十音順でまいります。内田委員からお願いいたします。 ○内田委員 前回欠席しまして、申し訳ありません。  私の出した資料は、資料2−1でございまして、日本医師会では4年に1回、会員喫煙意識調 査を実施しております。対象は男性3,500人、女性1,500人の無作為抽出された会員の医師でご ざいます。ですから、今年度もこれを実施することになっております。  平成12年と16年の結果について、そこに書いておりますけれども、何もしていないという 医療機関は大分は減ってきている。禁煙タイムや喫煙コーナーの指定、院内全面禁煙の取組みと いったものが結構改善してきているということで、今回の平成20年は更に改善していることを 期待して、6月ごろに調査をかける予定にしております。  喫煙の実態調査もやっておりますけれども、男性医師、女性医師ともに、特に男性医師の方は 有意に改善しているということでございます。今回は更にストレス要因がどの程度関与している かということで、喫煙者とストレスの関係も一緒に調べるということで、多少調査項目を増やし てございます。  「受動喫煙防止対策を進める上で生じている問題点について」ですが、入院患者への対応が1 つ問題になっていると思います。  それから、医師会全体としまして、今、一番問題になっておりますのは、まだ日本医師会が敷 地内全面禁煙を実施していないというところが1点。担当課に喫煙者がいるというところが2点 目でございまして、この2点は今後の改善課題だと思っております。  「問題点の解決方法について」いろいろと書いてございます。  たばこ価格の大幅な値上げということは、いろいろなところで言われておりますが、大体イギ リスなどでも前例がございますけれども、6割値上げして、2割の税収アップということで、税 収のアップの部分に関しては一般財源になるわけですけれども、当面はたばこの小売業者である とか、たばこ生産農家への補助金みたいな形でやれば、大方の納得を得られるのではないかと考 えております。  自販機の撤廃は、昔から言っていることです。  学校における喫煙防止教育の強化ということで、これは学校地域専門家連携推進事業というも のが、従来モデル事業でやっていたんですけれども、今年度から本事業ということで定着をさせ ていただきました。これは学校医、専門校医等が学校に出かけていって、さまざまな形での健康 教育を実施するという取組みがあるんですけれども、その中で禁煙防止教育に取り組んでいただ ければということでお願いをしているところです。  以上です。 ○久道座長 次は、遠藤委員からお願いします。 ○遠藤委員 遠藤でございます。私は4月から大学の方に移りまして、大学での状況を中心に御 説明したいと思います。  資料2−2と参考資料1で、こういう絵付きのものをつくりました。絵付きの方は受動喫煙ば かりではなくて、たばこ問題全体についての問題点を書いておりますが、ちょっと分厚くつくっ てしまったので、少し飛ばさせていただきます。  参考資料1の17ページ目と18ページ目に大学におけるたばこ対策について絵を付けてまい りましたので、それをごらんいただきながら聞いていただければと思います。  生命科学系の大学ということで、私が移る以前から比較的進んでいたようです。ただ、そうは 言っても、灰皿設置場所以外で全面禁煙ということで、灰皿設置場所はまだあります。漸次縮小 するとなっておりまして、特にこの3月に学術会議からもそういう提案がありましたので、それ に基づいて今年も減らしましょうとなっています。  キャンパスインフォメーションということで、学生さんに対して啓蒙活動を行っています。  更に健康管理センター、保健室みたいなものがあるんですけれども、そこに保健師さんが常駐 しておりまして、随時禁煙相談という窓口は設けております。  全般的には効果を上げつつありますが、問題点としまして、やはりアウトローというか、どう してもマナーを守らない人が存在するということも事実であります。マナーを守らない人に対し て、どういった指導をしていったらいいのかということで、いろいろ議論があるようです。  マナー解決方法のところにも書いたんですけれども、喫煙についてのマナー違反者というのは、 自転車やバイク通学のときに駐車場があるわけですけれども、どうやら同時にそういうところの マナーも守らない人が多いということで、今「歩きタバコポイ捨て禁止!!」というものを、そ ういった人に注意できるように、駐車場のところに更に掲示してもらっています。  たばこ対策全般も含めまして、分煙効果判定基準策定検討会の報告が平成14年に出ておりま すから、それから6年が経過して、そろそろ見直しの時期にきているのではないかと思います。 また、それ以外にも、主流煙も含めて、たばこ煙の有害物質に対する検討、研究が必要不可欠だ と思っております。  解決方法としては、1つは何といっても厚生労働省として独自に、カナダ保健省などのように、 有害物質に関する毒性試験を義務づけるような方向に持っていけたらいいのではないかと考え ております。  また、先ほど申し上げましたように、分煙効果の判定基準の見直し。  更に昨年2007年になって、ようやく副流煙に対する新しいISOの国際基準ができたわけで すけれども、これについても今後見ていく必要があるのではないかと思っています。  ちなみに、参考資料1の3ページ目をごらんいただきたいと思います。もう皆さん御存じのこ とだと思いますけれども、用語の整理をしておきたいと思います。  喫煙者が肺に吸い込むものを主流煙と言います。吸い込んだ煙を当然出すわけです。出すもの を呼出煙。たばこの先から出るものを副流煙と言います。呼出煙と副流煙を合わせたものを剰余 煙という言い方をしていまして、これがいわゆる受動喫煙の原因となる環境たばこ煙、 Environmental Tobacco Smokeの略をとって、ETSという訳し方をしております。  参考資料1の13ページ目に、副流煙についてはこういう形で魚の尾っぽのようだということ でfishtailという装置があるんですけれども、これを使って測定を行う。これがようやく昨年 2007年にISOの方でできました。  あとは、この辺に写真などを入れましたので、ごらんいただければと思います。  以上です。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  次は加治委員からです。資料はこれですね。 ○加治委員 よろしくお願いいたします。横長のパワーポイントのプリントアウト資料を使って お話をさせていただきます。  タイトルとして「タバコから子どもたちを守るために」とつけましたけれども、まず教育機関 の敷地内禁煙化を徹底していただきたいと思います。  インターネットなどで、全国の各都道府県あるいは市町村ごとの学校の敷地内禁煙化状況が公 表されています。やはり地域差がかなり大きいことが問題だと思います。  下の右のグラフには、学校の敷地内禁煙化の実施率を時系列で表してあります。  2ページの左上のグラフですが、公立学校の受動喫煙対策として、薄い灰色が敷地内禁煙の学 校の数。暗い灰色が建物内禁煙の学校の数。白い色がその他になっていますけれども、これは建 物内分煙などが含まれていると思います。2003年と2006年との比較です。この3年間で、高校、 中学、小学校とも敷地内禁煙の学校が大幅に増えたということがはっきりと読み取れます。  右にありますのは、つい先日の新聞記事なんですが、ある学校で喫煙される先生方が職員室の すぐ外のベランダで吸っておられたらしいんですけれども、それが外部から見えるのがよくない ということで、そこに囲いをつくられたんです。それを生徒に手伝わせたということで、ちょっ とスキャンダラスな記事ですけれども、喫煙対策に関する意識の低い先生方もまだいらっしゃる ということが問題だと思います。  下の左側は、和歌山県で、全国に先駆けて県内のすべての公立学校の敷地内禁煙化に踏み切り ました。そのために力を尽くされた北山先生が、こういう敷地内禁煙化によるよい効果をまとめ ていらっしゃいます。  下の右側は、私ども静岡県で、2005年4月から県下のすべての公立学校が敷地内禁煙化され ましたけれども、そのために県の教育委員会が学校における喫煙問題検討委員会というものをつ くりまして、約1年間かけて検討いたしました。3つの提言を行ったんですけれども、その経緯 は教育委員会のホームページに詳しく掲載されておりますので、是非ごらんいただいて、参考に していただきたいと思います。  3ページにまいりまして、左上はある女子大学が入学する学生全員から誓約書をとっておりま す。その文面は「私は在学中一切喫煙をいたしません。万が一、喫煙した場合には自主退学いた します」という誓約書なんですが、勿論、退学させることが目的ではなくて、喫煙している学生 には禁煙のための支援あるいは治療を行って、たばこを吸わない健全な卒業生として社会へ送り 出すということです。こういう大学が増えてくれることを期待いたします。  右側は、私が考えております学校の役割です。喫煙防止教育を児童、生徒に実施するだけでは なくて、敷地内禁煙化をすることが非常に大切なことだと思います。敷地内にたばこを吸える場 所が存在すれば、大人になったら吸ってもいいんだということを暗に子どもたちに教えているこ とになってしまうと思います。大人になっても吸ってはいけないと教えることが、本当の健康教 育だと思います。  次に、公園や遊園地も子どものための施設と考えて、是非禁煙化をしていただきたいと思いま す。  右側のグラフなんですが、これはホームページでも公開されていますけれども、1人の人が喫 煙した場合、7mの距離まで有害物質が届く。7mの距離で測定しても、有害物質が検出される というデータです。これはたった1人の人が喫煙された場合で、しかも、無風状態の場合です。 このため、喫煙される方の人数が増えれば、もっと遠くまで有害物質が届きますし、しかも、風 が吹いていれば、その風に乗ってもっと長い距離まで有害物質が届くということが実証されてい るわけです。  4ページにまいります。  これは実例なんですが、ある公園で喫煙所と大きく掲示されていまして、灰皿が置いてある。 子どもたちもこういう場所で過ごすわけで、子どもの受動喫煙の原因になるということです。  ただ、先進的な公園では、園内禁煙という表示がしっかりなされているところもあります。  たばことアスベストはどちらが危険かという新聞記事をコピーしてまいりました。皆様のお手 元にもお配りしてございますけれども『朝日新聞』の記事です。アスベストよりもたばこの煙の 方が害が大きいということはいろんなデータで確認されておりまして、国民の皆さんにたばこの 煙はアスベストよりも危険なものなんですということを広報すれば、理解が得やすいのではない かと考えます。  5ページには、それに関するデータを載せてあります。  下の段なんですが、たばことTシャツでどちらが危険かというタイトルをつけましたが、つい 先月の新聞で、中国から輸入されたTシャツからホルムアルデヒドが検出されたとして、販売禁 止になって回収されたという記事がありました。  6ページですが、たばこの煙にはホルムアルデヒドが高濃度に含まれていまして、ホルムアル デヒドを発生するTシャツは販売禁止になるのに、ホルムアルデヒドを発生するたばこが販売禁 止にならないのは、どうなのかというのが正直な感想です。Tシャツを着たときに浴びるホルム アルデヒドの量と、たばこの煙を吸わされたときに吸い込まされるホルムアルデヒドの量を科学 的に比較することはできないのかとも考えます。  たばこの煙は米国環境保護局によって、A群発がん物質であると認定されています。これはア スベストやダイオキシンと同等の危険性があるということです。また米国公衆衛生総監報告には、 受動喫煙に安全レベルはないと明記されています。どんなに少量のたばこの煙でも、人体に危険 であることがはっきりと科学的に証明されているわけです。  最後に先ほども申しましたが、スモーキング・ハラスメントという言葉の普及を希望いたしま す。  以上です。どうもありがとうございました。 ○久道座長 次は、見城委員お願いします。 ○見城委員 見城です。私は周囲のたばこ環境、受動喫煙防止対策について、全体としては、受 動喫煙防止対策というのは公共の場では分煙、禁煙が進んできているとは思います。しかし、ま だ不十分であるところが問題で、やっていますというところで終わってしまうと大変なことだと 思って、不十分なところがあることを少し書かせていただきました。  例1としては、新幹線のプラットホームなんですけれども、例えば品川駅のような下りホーム の喫煙環境ですが、これから新大阪から先までずっと行くとなると、喫煙場所が設けられていま すが、そこがベンチのそばということで、荷物を持って座りたくても座れない。結局、またプラ ットホームを移動しても、乗る車両まで歩くときでも、受動喫煙を吸わされてしまいますし、ガ ラスで囲うなどの対策はとらないんだろうか。だから、分煙すればそれでいい。しかし、分煙の 場所も考えなければならないというところから先が停滞しております。  それから、飲食店、特にカウンター席というものが最近増えております。若い人たちが夕御飯 をそこで食べるというようなカウンター席が多く、女性もたくさん入っております。おすし屋さ んの話もでましたが、分煙にしていないところが多い。一般的にそういうところは店内が狭いた めに、分煙にしても意味がない。客への気兼ねからか、対策は不十分です。  歩きたばこです。これは相変わらずやっている人が多くて、先ほど加治先生から7mというお 話が出ましたが、これは規制が不十分です。  対策を進める上での問題点についてですが、自分の煙が周囲にどのような影響を与えているの か、喫煙者の意識が非常に遅れております。マナーの悪い喫煙者というのは、喫煙することの正 当性を主張して、受動喫煙が強いられる者にとって、いかにきつく、つらいものか、体によくな いかわかっていないのではないかと思います。よって、分煙の囲いをつくる、禁煙にするなど、 やはり対策を徹底することが必要です。  例えば新幹線のプラットホームですけれども、とにかく分煙意識が形式的になっているところ を、もう一歩進めて徹底する必要がある。  例2として、店主と客の関係なんですが、やはり受動喫煙の進展というのはお店に任せても進 みません。店主と客の関係が変わらない限り、これはそこでストップすることがよくわかってお ります。進展は難しい。たった1本のたばこによって、ほかの吸わない客全員が受動喫煙させら れ、不愉快、味覚も落ちるという不都合を押しつけられていることを、同じ代金で喫煙しながら 楽しんでいる人は、どうにか評価できないものかと思います。食事が台無しになってしまう。た とえ吸わない人は料金が割り引かれても、そんな問題ではないというくらい、店内は禁煙が望ま しいということを徹底する。したがって、客を大事にしなければならない店主に禁煙宣言を任せ るのが立場上問題で、店主は対策によってそうせざるを得ないという設定をつくるべきです。  それから、歩きたばこに関しては、全面禁止。よく区でやっていたりしますけれども、これは 全面禁止を徹底していないところが問題で、散歩やウォーキングをしている人は非常に多いです。 朝早く起きてみるとわかるんですが、私は早朝番組をやっている関係から、5時、6時の六本木 や広尾、あの辺りをずっと行くんですが、夏になるほどぞろぞろというぐらい人が歩いておりま す。そういうときに、たばこを持って歩いている方がいて、非常に皆さん迷惑されています。そ ういう意味では、個人的には注意ができない。同じコースを皆さん歩くわけですから、延々と受 動喫煙しているということを、やはり歩きたばこの方に知らせる。歩きたばこは違反だというこ とが徹底されるべきだと思います。  問題点の解決方法なんですが、喫煙者の受動喫煙に対する意識改革を強固に推し進める必要が あります。幾つか例を考えてみました。  例1として、メディアの活用です。この場合に、健康、病気、医療、マナー、妊娠、赤ちゃん などをキーワードに番組中のコーナーの取材をしたくなるような、取材者側がそのことなら取材 したいとなるような情報を意識的に提供することが大事です。  例2として、インターネットによる情報提供で、若い世代へのアピール対策を強化する必要が あります。  例3として、学校教育の中で、受動喫煙を強いることがいかに失礼なことか、危険なことか、 小さいころから礼儀として教える。こういった方向が解決方法について必要だと思います。  例4ですが、喫煙者と非喫煙者が共存するため、全員禁煙になってくださればいいんですけれ ども、テレビ局を例に挙げましても、非常に喫煙者が多く、3時間の生番組を私はやっています が、途中でコマーシャルの時間に、今ですというふうにフロアディレクターが言うと、ばっと数 人が立って勢いよく吸って帰ってくるんです。吸わない方がいいですと言おうものなら、人間関 係が壊れますので、だれ1人言いません。新聞関係もまだまだ多いと思います。そういう意味で は、喫煙者と非喫煙者が共存するために、第一段階としては共存するために守るべきルールがあ るということを、ユーモアや機知を持って伝え、受動喫煙がいかに迷惑かの自覚を促すキャンペ ーンを行う必要があると思います。  例えば受動喫煙防止川柳募集キャンペーンとか、喫煙者も思わず笑うゆとりのある情報伝達も 必要ではないでしょうか。対立だけが解決策ではないと思います。一応3つつくってみました。 「禁煙と、すすめた途端、煙たがられ」「煙イヤの、空気読めない、喫煙者」「喫煙者、我慢の笑 顔、知らぬ顔」3句つくってみました。こんな状況で、なるべくユーモアで、喫煙者とも歩み寄 りながら解決に向かうことが、今の段階では重要ではないかと思います。  以上です。ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  曽根委員、お願いします。 ○曽根委員 曽根でございます。資料2−5で説明させていただきたいと思います。それから、 参考資料2−1、参考資料2−2に妊婦の喫煙状況の全国調査の結果がまとまっておりますので、 それも後ほどごらんいただきたいと思います。  私は妊婦の受動喫煙状況について、まず調査結果を基にお話いたします。平成14年と平成18 年に日本産婦人科医会の全面的な御協力をいただきまして、厚生労働科研で全国調査を行ってお ります。平成14年が約1万6,500件、平成18年が1万9,650件、1年間に100万人ちょっと の出生がありますので1.5%〜2%の妊婦の方を調査していることになり、大体全国的な状況を 反映しているのではないかと考えています。  実際に産科医療機関を受診している妊婦の方に、受動喫煙について、このような質問をしてい ます。「日常的にあなたの前でたばこを吸う人がいますか。」さらに、吸う人がいる場合は、それ はだれですかという質問をいたしました。その結果、平成18年の調査では53%の妊婦さんが日 常的に自分の前でたばこを吸う人がいるということでした。平成14年が約60%ですので多少下 がっておりますけれども、依然として半数以上の方が受動喫煙に曝露しているということです。  それはだれですかという質問に対しては、やはり家族が最も多くて、その中でも夫が80%、 夫以外の同居家族が約20%、そのほか友人・職場の同僚・客が約30%、飲食店や路上などの人 が14%ということで、家庭内での受動喫煙、職場での受動喫煙、飲食店での受動喫煙、路上で の受動喫煙が依然として多いということが数字として明らかになっています。  (2)のところですけれども、家庭内の受動喫煙については、今のところ、まだ具体的な対策がな いと思います。  (3)として、職場場全体として禁煙化・分煙化が進んではいますけれども、職場による差が大変 大きいのではないかと思います。  飲食店につきましては、今まで各委員から御指摘いただいたように、全国的に見れば完全禁煙 化のところは少ない。進んではおりますけれども、選択できるほど多くない状況です。全国禁煙 飲食店情報というものがホームページ上にあります。これは時間分煙あるいは完全分煙を印で表 しておりまして、かなり役に立つものですけれども、例えば今度池袋で食事をしたいけれども、 完全禁煙のところはどこかというと、そんなに選択肢がたくさんあるわけではございません。  路上につきましても、先ほど御報告がありましたように、一部自治体で禁煙化を導入しており ますけれども、全体としてみれば、まだわずかではないかという問題意識を持っています。  世間全体といたしましては、妊娠中の喫煙はよくないということに関するコンセンサスはある と思いますけれども、受動喫煙については、まだそれほど意識が深まっていないのではないかと いう感触があります。  一方、妊婦さんの立場からいいますと、恐らく妊娠中は有害なものはできるだけ排除したいと いう気持ちが強いのではないかと思います。ただ、先ほどの調査結果にもありますように、現状 では様々な面で実現できる状況にないと思います。  解決方法はなかなか難しいんですけれども、1つ思いついたのは、マタニティマークというも のが健やか親子21の中間評価の検討会のときに考えられ、平成18年2月に策定されて、今、 公共交通機関の座席であるとか、駅の構内などにマークやポスターがはってあったりします。妊 婦の方でもこういうキーホルダーみたいなものをつけておられる方を見かけます。少しずつ認知 されていると思うんですけれども、こういうものを使って家庭内、職場、飲食店等を対象とした 妊婦受動喫煙防止キャンペーンなどができないのかと考えてみました。  先ほど来、マナーの話が出ておりますけれども、やはりルールとマナーは車の両輪だと思いま す。マナーだけでは問題は決して解決しないと思います。ただ、一方で現在のいろんな社会、政 治的状況の中では、規制強化というものは打ち出しにくい状況があります。  特に受動喫煙というのはマナーや市場主義など、自由に任せるだけでは解決しない問題だと思 います。ルール重視派、マナー重視派の双方がWin-Winとなるような政策ができないだろうか といつも考えております。  以上です。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  次は、高見委員、お願いします。 ○高見委員 全飲連の高見でございます。  「周囲のたばこ環境及び行われている受動喫煙防止対策について」ですけれども、私が感じま すのは、たばこをポイ捨てされている方が非常に多いのではないかと思います。  京都という特殊な景観物、歴史的なものが多いところに私は住んでおりますけれども、特に後 世にそういったものを伝えたいということに関しまして、やはり澄んだ空気、勿論、車の排気ガ ス等に非常に神経質になっております。  我々飲食業界のことに関してですけれども、今、全飲連は約10万人の組合員数の登録がござ います。防止対策といたしまして、先ほども見城先生から飲食店は非常に防止対策ができていな い、進んでいないというご指摘があったのですけれども、平成16年度より、お手元の資料にあ るように、飲食店の分煙対策ポケットブックというマニュアル本をつくりまして、これを全会員 に向けて配付しております。それと先進地域でのヒアリング調査や正しい分煙方法等を皆さん方 にわかってもらうという活動をしております。  2つ目ですが、国民生活金融公庫の生活衛生改善貸付の中から、これも別添の資料があります ように、分煙対策を行うための政策融資をしており、こういったものにより組合から資金面にお いても積極的にサポートいたしております。  「受動喫煙対策防止対策を進める上で生じている問題について」でございますけれども、健康 増進法の施行により、受動喫煙防止の義務が課せられたことを知らない飲食店経営者については、 分煙対策推進状況の調査報告書の7ページにありますように、44%の会員がまだ知らないという 調査結果が出ております。分煙方法等のマニュアルの配付が施行されました年は1回だけの配付 になっていたのも問題点としてあるのではないかと思いますし、それと同時に、分煙対策によっ て売り上げの減が起こるのではないかという不安を持っている飲食店の経営者が非常に多い。こ れは私だけが持っている調査報告の2というものがあるんですけれども、こちらの19ページに 非常に高いパーセンテージが載っております。これによると70%の会員さんが未対策という回 答を寄せていただいております。未対策なのはなぜかということを詳しく説明させていただきま すと、それには店の構造、スペースが狭いというのが32.8%。それと不景気の中、改修時のコ ストがかかり過ぎる。これがやはり経営者にとっては不景気で売り上げが落ちている以上に、負 担ということが挙げられるのではないと思っています。店の規模が20坪以下のお店の分煙対策 率は、実に4.1%という非常に低い結果が出ております。  「問題点の解決方法について」でございますけれども、飲食業界の中では、経営者の意識を高 めるために、全国組織においての受動喫煙防止対策への一層の取組みを促進させる。成功事例や 分煙、禁煙を導入したお店のメリットをアピールできる総会や研修等の会合を積極的に実施して いかなければならないのではないかと考えております。  全飲連では、健康で豊かな食生活の創造ということと、安心・安全なサービスの提供という2 つをスローガンとして、今、運営をしていっております。そういったところからも、消費者の健 康で安心・安全な食生活を提供していくことが責務であるのではないかと考えております。それ と安心できる食物の素材、きれいな空気を提供できるお店ですというアピールができるような店 づくりを業界全体で考える。そうすることによって、分煙対策の必要性を感じる飲食業界の人た ちが増えるのではないかと考えております。  それにつきまして、お手元に資料があるかと思うんですけれども、標準営業約款登録店という ものの推進を我々の業界では進めておりまして、これにはバリアフリー、禁煙、分煙がしっかり できているか。それができているお店には登録していただいて、こういうステッカーを配付して、 これをお店にはっていただく。今こういう活動も積極的にしております。  行政におかれましても、引き続き、分煙対策を行うための融資及び融資枠の拡大、普及を積極 的に行っていただきたいと思っております。また法律の制定、義務化が先行いたしまして、業界 の実態に即していないという感が、一般の会員にはあると思います。社会全体における禁煙に対 する意識向上や低コスト、小スペースでも可能な分煙対策を具体的に提示していくことが、これ からは必要ではないかと考えております。  今年の春に神奈川県の知事が条例法案として、飲食店、娯楽施設で喫煙される方には罰則を与 えますという法令を出されたと思うんですけれども、やはりそういった形でしていただくことに よって、我々飲食店の方としましても、分煙、禁煙を非常に明確にしておりますと言いやすいと いう感じがいたしております。  以上です。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  永山委員、お願いします。 ○永山委員 ありがとうございます。永山でございます。今回も旅館、ホテルの立場から意見を 申し上げさせていただきます。  先ほど神奈川県のお話が高見委員からもございましたけれども、神奈川県の旅館の経営者であ るとか、全国の経営者にヒアリングを続けてまいりましたが、基本的にまず御理解いただきたい のは、旅館と一くくりに言っても、本当にお父さん、お母さんの三ちゃん営業、一軒家みたいな ところで営業されている方から、客室数が数百ある高級リゾート地のような大きいところまでた くさんあることも御理解いただいた上でお聞きいただきたいと思います。  旅館という立場でいうと、要素がたくさんあるんです。高見委員と同じような飲食店の要素も ございますし、客室になれば家庭の部屋の中といった要素もございます。更に敷地の広いところ であれば、加治委員もおっしゃったような公園のような要素もありまして、そういうものをひっ くるめた上で、どういう対策ができるのかということで、いろいろヒアリングをしました。やは り全面的に禁煙を進めていくというのは、現実的に無理がある。一番の問題はお客さん自身が望 んでいないという2点があろうかと思います。  現実的に無理と申し上げて、圧倒的に私の業界が違うのは、例えばお昼の3時にチェックイン されて次の日の朝までというと、18時間から19時間1つの施設の中に滞在されることになりま す。その中で、喫煙される方に丸1日我慢しろというのは、まず現実的に難しいのではないでし ょうか。  修学旅行などの受け入れで、これはよくないことなんですが、当然禁煙ということをうたって も、例えば敷地から見えない建物の裏側であるとか、火災の危険のある物置とか、そういうとこ ろにどうしても吸殻が残ってしまう、発見されてしまうということは、衛生上も火災という安全 上も一律に規制をしてしまうというのは、そういった恐怖の方も先に立ってしまう業界でもある ことを御理解いただきたいと思います。  ただ、経営者に関しましては、禁煙を進めるべきだという意識自体は高いものがあります。そ の中で、いかにして分煙をするか。いかにして喫煙者と禁煙者を分けていくかという視点は高い んですが、先ほどの高見委員と同様で、コスト的に本格的な分煙をするには、やはり旅館の経営 状態から言うとまだまだ難しいものがあります。簡単に言いますと、分煙用の空気清浄機といっ たものも、旅館によっては自分のところの月商ぐらいの金額になってしまうわけでございます。 そういったものを一気に進めることは難しい。  1つ我々の方で望んでいるのは、前回も申し上げたように、社会全体でここは喫煙をしていい 場所、ここはしてはいけない場所といったマナーの部分を盛り上げていかなければいけないとい うこと。そして、我々の中である程度の統一的な社会的なルールをつくっていきたい。その2つ がないと、旅館というのは、多分一番最後までお客さんにとって喫煙をしてもいい場所だといっ た雰囲気が残ってしまうのではないかという危惧がございます。  私も今まではここでの喫煙はだめだとか、ここでは吸うべきではないという発想でいたんです けれども、この間ニュースを見ていると、路上禁煙している千代田区などでは、やはり喫煙者が 近くの公園に殺到してしまって、本来お子さんが遊ぶ場所の公園が喫煙者の避難場所になってし まっている。本来の目的とは違うところになっている。確かに路上での喫煙はなくなったんだろ うけれども、本来一番被害を与えてはいけないお子さんのいるところで吸ってしまう。喫煙者の さがとして、吸えるところを求めて探してしまうというのは、喫煙者が1人もいなくなるまでは 残る課題だと思いますので、我々の業界で目指すのは、この旅館であればどこなら吸ってもいい。 宴会場であれば、このスペースなら吸ってもいい。または宴会場から出たこの区画であれば吸っ てもいいという分煙をもっと完璧に推し進めることなのではないかと思っています。  先ほど駅の事例もおっしゃっていただきましたけれども、まさに我々も同じようなことで、や はり複数の方が滞留される場所でありますから、きっちりとした分煙対策、きっちりとした分煙 の設備、それに対する金銭的な課題の克服、そういったものも必要かと考えております。  以上でございます。 ○久道座長 望月委員、お願いします。 ○望月委員 ありがとうございます。  詳しくは配付資料をご覧いただきたいのですが、課題をいただいていろいろ悩んだ結果、私が 直接関わっている環境として、医療機関、学会や専門職能団体、国際的な分野の取り組みの現状 と問題についての御紹介と、解決法として今後に対する提言を盛り込みました。  現状としては、国立がんセンターは既に敷地内禁煙になっていますが、国立がんセンターが加 盟する全国がん成人病センター協議会という、がん治療のリーディングホスピタルが集まってい る協議会では「禁煙推進行動計画」が3年前に策定されています。その中で、特に受動喫煙対策 については、施設内禁煙に積極的に取り組むべきと書いてあり、それに従って加盟施設が順次禁 煙を推進しているところです。また、国立がんセンターは、国立高度先進医療センターでもあり、 がんセンター以外の5つの施設のうち、1つを除いて、すべて敷地内禁煙を実施していました。 一般病院については病院機能評価の中で「禁煙に取り組んでいる」という項目が含まれて以来、 急速に病院の禁煙化が進みました。それから、2年前に適用されたニコチン依存管理料の施設基 準にも敷地内禁煙が含まれています。  以上のことから、総合的には医療機関については、独自の行動計画や役割使命、機能評価ある いは管理料というさまざまなインセンティブが働いて、現在、敷地内禁煙を含めたたばこ対策の 実践が行われている。すなわち、敷地内禁煙に向けて動くということは、まさに職員のみならず、 あらゆる利用者の方たちに対しても啓発的な効果もありますし、同時に職員や一般の患者さんに 対する禁煙支援が並行した取り組みとして多く行われるようになっています。  学会などについては、現在40以上の全国規模の学会や医師会や看護協会などの専門団体が禁 煙宣言や行動計画によって声を上げていますが、その中にも所属施設を禁煙にしていくとか、あ るいは社会に対しての働きかけのような大きなアドボカシーのうねりが起こっています。ちょう ど厚生労働省の健康日本21や健康増進法、たばこ規制枠組条約などの節目をきっかけに、多く の団体が立ち上がっているので、このような保健を守る立場の方々の声や活動というものが、一 般の方への働きかけや行政への後押しとなっているのではないかと思います。  特に最近では、日本学術会議の要望書において、多くの項目が政府に対して提言されています が、受動喫煙について言えばWHOのガイドラインに沿った法整備を提言されたところです。こ の国際的な受動喫煙の防止対策指針で強調されているのは、受動喫煙の煙への曝露には、安全レ ベルがないということです。  それは先ほど遠藤委員のご発表にもありましたように、たばこの煙に含まれているさまざまな 有害物質や発がん物質、催奇形性物質、そういうものを考えますと、閾値がない、すなわち安全 なレベルがないということです。もし受動喫煙による害を防止するということであれば、100% の禁煙しかないことが国際的なコンセンサスとして挙げられており、それが各国に適用されて、 さまざまな形の法律になっているところです。  条約やガイドラインの前後に、海外では多くの法律が施行されていますが、画期的な流れをつ くったのがアイルランドの禁煙法で、すべての職場を含む、要は公共空間というのはほとんどが 職場であるという観点から禁煙法ができ、その後の、特にヨーロッパを中心とした各国の禁煙の 流れを生み、イタリアやフランスのように文化としてはたばこ容認ではないかと我々が思ってい た国でも、屋内の禁煙につながったわけです。  その中でも、今回の議論にも若干あったような、ホスピタリティー産業、飲食店やホテル業な どへの経済影響が常に懸念されるところですが、このような国々では行政当局あるいはその関係 の研究機関がきちんとした経済評価をして、負の影響が生じていないことが示されています。  ニューヨーク市を例にとると、実際に顧客調査なども行い、禁煙になったことによって、禁煙 のお店に行く回数が増えたとか、顧客の満足度も含めて調査がされています。それから、酒類の 販売ライセンスなども調査されておりまして、それは決して減っていないし、雇用も増えている という裏づけ調査もあります。このように、これまでの諸外国の流れというのは、公衆衛生ない し労働安全衛生の観点からの法整備です。  もう一つの新たな動きとしては、たばこについてはかなり先進的な取組みを行っているカリフ ォルニア州の環境保護局で、小児の環境衛生の観点からの規制が検討されています。これは1997 年にマイアミで環境大臣会合が行われた際、デンヴァーサミットのコミュニケにも含まれたので すが、有害物質に対しての感受性が大人よりも非常に高い小児に対しては、大人に対する基準よ りも何十倍も、あるいは物によっては100倍とか、そのぐらい厳しくしなければ小児の健康を守 れないということが提唱され、その観点からたばこの煙を分析して、閾値のない有害空気汚染物 質に認定しました。  これによってもたらされる変化は、カリフォルニア州だと既に屋内は殆ど禁煙になっているの ですが、先ほども指摘されたような、屋外での小児への曝露をどのように行政として防げるのか という取組みにつながり、ちょうど今、新しい規則について検討しているということです。  次に御紹介したいのは、このように公共の場所や職場の禁煙が進んでいくと、家庭内あるいは 自家用車での曝露が残されてしまうので、それに対する解決策としてのさまざまな取組みの中で、 例えば条例によって小児の同乗する自家用車での喫煙を禁止するような地域もあります。先ほど お配りした冊子は、国際対がん連合という約300のがん専門機関やNGOが集まる組織が、それ が今年の世界がんデーのキャンペーンで、小児の受動喫煙防止のために科学的なエビデンスと各 国の対策を紹介しつつ提言を行ったものです。  次の解決方法にもつながりますが、世界の動きをよく見ますと、問題に対して、どのような政 策手法を開発してきたかというところにかかっていると思います。  問題点としては、医療機関についてはコンセンサスが得られているとはいえ、実態は100%で はなくて、個別にはどこの事業所でも同じようにトップの決断力と指導力によるところが大きく、 まだばらつきがあります。特に精神科や療養病棟とか緩和ケア病棟などについては、先ほどの評 価項目が分煙について評価するので、分煙でとどまっている場合もあるようです。ですが、がん が少しずつでも動いているのは、組織的なインフラをうまく利用しているともいえるので、例え ば循環器疾患などのような、ほかの診療領域でもそのようなネットワークや拠点病院などの歩み を進めていくことが可能かもしれません。  学会の受動喫煙防止対策は全体的な盛り上がりがありますが、社会運動としての継続的なキャ ンペーンにまではいっていません。しかし、相対としてはかなり多くの専門職種がたばこの害に ついて理解し、声を上げているので、社会に対するメッセンジャーとして働き得ると思います。  国際的な動きについても、結局、そのようなガイドラインや事例を各国の政策として「翻訳」 する作業が必要だと思います。従って、その国の実情に見合った、あるいはその国のインフラに 見合った形に行政あるいは市民社会としてかみ砕いて実効あるプログラムを開発していくこと が必要ではないかと思います。  最終的な解決方法としては、内田委員のところにもありましたが、たばこを吸わないのが当た り前という社会通念を確立していく。そのために、あらゆる政策手段を開発していくことが必要 だと思います。前回、10年、20年先を見据えてと申し上げましたが、そこに行き着くために、 今後3年や5年ぐらいをめどに段階的実施計画という形で、今回の意見もまとめられたらよいと 思います。  特に政策の評価が必要で、分煙に関しては、既に厚労省では95年と96年にそれぞれ行動計 画や分煙の検討会が実施されているわけです。ですので、10年以上経ってこの議論を行うから には、それからどうなった、あるいは増進法施行後5年でどうなったというような監視評価も含 めて、その結果を公表しながら世の中を進めていくべきであると思います。  進め方については、対象施設の特性を考慮しなければいけないと思いますし、あめとむちをど うやって使い分けるか。経済的インセンティブも勿論ですが、社会的インセンティブ、例えばこ の分煙の流れ、いえ禁煙の流れと言った方がいいと思いますが、固有名詞をいいますと、スター バックスが日本に登場したのが96年、ちょうど分煙の検討会が開かれた直後でしたが、そうい う1つのカルチャーとしての禁煙(スモークフリー)を民間の事業者が広めて、それを一般の方 たちが受け入れていく。そういうことから満足度のようなものも、社会的なインセンティブにな ると思います。  段階1として、たばこの害について言えば、まだまだ問題の本質は理解されていないので、リ スクコミュニケーションを徹底的にやるべきで、迷惑とか不快のレベルではなく、健康被害であ るということ。それから、その健康被害をもたらす、たばこの煙そのものは、本当に毒物の塊で あって、しかも、目に見えない煙ではないガスの方が相対としては量も多く、それが他の公衆衛 生上のさまざまな規制によって禁止されたり、規制されているという事実も一般の方たちには浸 透していない。  また、対象者についても、妊婦や乳幼児、小児、あるいは非常に感受性の高い方もいて、そう いう集団への影響というものも個体差があるので、特に感受性の高い集団をどうやって保護すべ きかということを考えることも必要ではないでしょうか。  それから、既にほかの委員が仰ったことなので繰り返しませんが、分煙効果の判定基準につい ても、その前に厚生労働省は平成11年度にたばこ煙の成分分析をやっているので、せっかくデ ータがあるのでその結果を有効利用すべきで、低副流煙・低臭気製品についても能動喫煙や受動 喫煙の危険性が低い訳ではないことを周知すべきでしょう。また、逆に禁煙が進んでいくと、た ばこの煙が出なければいいのだろうと、新しい製品需要の創出を産業側は恐らく考えていると思 いますので、そうならないように、我々としては防いでいく必要があると思います。  職域については、既に厚生労働省の職場のガイドラインがありますが、これについても条約の ガイドラインに基づき、再検討する必要があるのではないかと思います。  その一方で、民間側の努力としては、組合、健保などが中心になって、禁煙した場合の経済効 果を実証していくべきだろうと思いますし、それが事業者側のインセンティブを高めることにな るのと思います。  段階2として、この年次は早まってもいいと思いますが、このような吟味の中で重点対象施設 あるいは重点対象者というものが浮かび上がってくると思いますので、それに対しては100%の 屋内禁煙を実施すべきだと思っています。先ほどから出ている、外国ではまだ経済損失は起こっ ていないということですが、ホスピタリティー産業に対しての予測し得ない経済影響を最少にと どめるための検討も同時にすべきだと思います。  段階3はかなり理想的な状況が書いてありますけれども、重点施設以外の公共施設においても、 100%の屋内禁煙の実施と今までの2つの段階の評価を行うということを提言して終わりたいと 思います。  ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  これで用意された説明は全部ですが、永井委員、何かございますか。 ○永井委員 特にないんですが、基本的なことなんですけれども、そもそも受動喫煙の害という のが、先ほど言われたWHOのガイドラインに常に基づくんです。危険がゼロではないという科 学的根拠が本当にあるのかどうかということに関して、残念ながら私は見たことがありません。 そこに常に帰結されるんですが、この会の本当の受動喫煙の防止の在り方というのは、本当に生 体にとってどういうことがあるかということをまずはっきりさせないと、やはり喫煙問題と受動 喫煙とがこんがらがってしまうということだけ申し上げておきます。 ○久道座長 それでは、今、一通り説明がありました。  追加ですか。質問ですか。 ○加治委員 追加です。 ○久道座長 どうぞ。 ○加治委員 先ほど申し述べたところで落としてしまったことがあるものですから、申し訳あり ません。資料2−3なんですが「問題点の解決方法について」発言を落としてしまいました。  まず学校の敷地内完全禁煙化についてなんですが、これについては文部科学省さんから教育委 員会や学校に強い指導を行っていただくのが一番効果的だと考えます。  それに加えて、大学の教員養成課程というんですか、学校の先生方を養成する大学において、 カリキュラムの中にたばこの害についての教育をしっかり入れていただくことが大切だと考え ます。  それから、公園や遊園地の禁煙化についてですが、これは健康増進法の第25条が定めており ます施設の中に、子どものための公園や遊園地も含めていただきたいということ。更に健康増進 法第25条に罰則規定を盛り込むなどして、強制力を持たせていただきたいと希望いたします。  以上です。どうもありがとうございました。 ○久道座長 今、追加いただきました。お話になったことに追加ということで、ほかにございま せんか。遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員 先ほど永井委員から受動喫煙について科学的な根拠というお話があったんですけ れども、私が準備してまいりました参考資料1の5ページをごらんいただきたいと思います。こ こに国際がん研究機関、IARCが発がんの評価を行っているわけですけれども、その中で一番 上のグループ1、これは人に対して発がん性があるといったところに、喫煙だけではなくて、た しかインボランタリースモーキングという英語になっていたと思うんですけれども、受動喫煙も 含まれているということ。  それから、いわゆるベンゾピレンとかニトロソアミンといったものもグループ1で、そういう ものが確実に受動喫煙の原因となっている副流煙とか、あるいはたばこ煙の中から検出されてい るということは間違えのないところなので、それはかなり根拠としては大きいのではないかと考 えられます。 ○久道座長 どうぞ。 ○永井委員 物質と曝露で病気が発症するリスクとは全然違う問題で、私が言いたいのは、いい といっているのではないんです。ゼロ、全くリスクがないという議論はまだ科学的に証明されて いないのではないかという話です。今の疫学論あるいは毒物論から言えば当然なんですが、非常 に危険な物質である。そういうものが散乱している。これは間違えないところなんですが、実際 に生体にとってどうなんだ。その根拠が少し乏しいのではないかというだけの話ですので、当然 これをゼロにすべきだというのは、私も変わりません。 ○久道座長 どうぞ。 ○望月委員 このような議論を果てしなくやる必要はないと思いますが、要はリスクマネジメン トの諸段階におけるリスクコミュニケーションの問題ではないかと思います。  リスクの同定について言えば、既に確立したクライテリアがあって、それに従って例えばIA RCは発がん性の評価を行い、EPAは連邦でもカリフォルニア州でも、環境基準のリスク評価 の諸段階を踏んでいます。それらに照らし合わせた結果、たばこの煙については、閾値のないヒ ト発がん性物質、さらに閾値のない有害空気汚染物質という判定がなされ、これを根拠に規制が されている訳で、このようなスタンスに疑義を唱えると、ほかの環境基準なども全部成り立たな くなってしまいます。また、閾値のない物質に対してリスクゼロが実現できない場合、どこまで ギリギリ許容できるかというリスクレベルは、社会におけるコンセンサスによらざるを得ません が、それについても科学的なステップを踏んだ議論に基づくべきだと思います。  WHOが100%禁煙しか方法がないといっているのは、例えば日本の厚労省のように分煙や空 気清浄機によってリスクが減らせるのではないかという、さまざまな方策が各地で試みられてき ましたが、それでもリスクを低減することはできないので、今度は方策的に考えてもコストある いは実効性からいっても100%禁煙が実際上有効だ。だから、エビデンスに基づいて方策を考え たときに、幾つかの諸段階の中で有効なのが100%禁煙であるといっているのです。 ○久道座長 この問題はいいですか。  先ほど皆さんから御意見、提案をいただきました。それについて、これはちょっとわからない けれどもというような質問がありましたら、どうぞ。いかがでしょうか。質問がなければ、また ディスカッションの時間が40分ぐらいありますので、それぞれのお考えあるいは説明のなさっ た方に対する反論でも何でもいいんですが、何かありましたら、どうぞ。これは順不同、どなた でも、どなたに対してでも結構ですので、よろしくお願いします。何かございませんか。どうぞ。 ○見城委員 この会でディスカッションの議題に挙げていいのかどうかわからなかったので、今 回、解決法や対策のところに書かせていただかなかったこととして、禁煙パッチ、喫煙する人に 対する対応、その部分を本当は盛り込みたかったんです。ただ、私は医者でもないですし、ああ いうパッチの状況でどういう評価ができるのかということが定かではなかったので、定かでない ものを書いたらいけないと思って、ここには一応書きませんでした。  ただ、現状は説明の中でも申し上げましたが、喫煙する人とその煙をとてもつらいと思う人と が同居しているわけです。そういう中で、それでもあえて喫煙されるとつらいということを表現 していきますと、途端に人間関係がおかしくなるんです。このときに私などはニコチンが体にな いとつらいんだったら、禁煙パッチという方法もありますということを申し上げると、「ニコチ ンパッチを知らない」と。情報が全く伝わっていない。マスコミの最先端にいる方でも知らない とか、禁煙外来があるんだけれども、勇気を持ってにこにこしながら禁煙外来にトライしてみる と、マスコミとしても、体験としてよろしいのではないかとか、本当に気を使いながら話しても、 そんなことがあるのか、知らないし、時間がないと言われます。  例えばたばこを吸う方、喫煙者にとっての対応策の情報というのは、どの程度発信されている のか。それから、どういう情報が本来喫煙者の健康を踏まえていい情報なのか、対策なのか。こ ういったことも、もしできましたら、同時にここで盛り込んでいく。つまり、対立ではなくて、 歩み寄っていくということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○久道座長 ニコチン依存症管理料というのは、保険はどうなんですか。 ○内田委員 保険で診療報酬が請求できますけれども、最初は禁煙ガムで、その後に禁煙パッチ が出て、今は内服薬も出ておりまして、こういうものをもっと手軽に活用できるようにする。例 えば駅で売ることができるとか、そういうふうにすると、電車に乗る前にそれを買っておけばい いわけです。今は処方せんがないと手に入らない状況になっていますので、その辺の問題はちょ っとあると思います。  それから、私は学校保健の方にも関わっているので、それとの関連でいいますと、禁煙グッズ を使って禁煙に取り組むと、大体月に1万円程度で3か月のコースなんです。3か月で3万円か かる。禁煙指導をして成功する人は6人に1人ですから、大人を1人禁煙させるのには18万円 ぐらい概算でかかるんです。  ところが、今、学校保健で取り組んでいる健康教育というのは、ほとんど元手がかからない。 その中でたばこを吸う子どもを減らすということに取り組みますと、非常に有効だと思うんです が、今、1県当たりの予算が200万円ぐらいついているんですけれども、教育委員会に話を持っ ていきますと、教育委員会は仕事が増えるだけだというとらえ方で、非常に行政的な対応といい ますか、教育委員会に金がつくんですけれども、教育委員会が取り組んでくれないという現状が ありますので、その辺の改善を、例えば私の地元の神奈川県辺りで取り組んでいただけば、非常 にいいと考えたところです。 ○久道座長 先ほど加治先生が言った教員養成課程のカリキュラムの中に、禁煙教育あるいは喫 煙防止教育を、私は選択ではなくて必須にすればいいと思うんですけれども、その手は具体的に ありますか。申し入れなどはしているんですか。 ○加治委員 大学の中に熱心な先生がいらっしゃれば、私どもを呼んでいただいて学生さんにお 話をするという機会はあります。先日も静岡の教員養成課程の大学で、新入生の百数十名の学生 さんにたばこの害に関するお話をさせていただいたんですけれども、そういうふうに将来学校の 先生になる学生さんがしっかりたばこの害を学ぶが大切ですし、もう一つは、先生になられたと きに、子どもたちへ喫煙防止教育ができるような能力を身につけていただくことが大切だと思い ます。 ○久道座長 それは文科省に働きかけるのが、そもそもの筋ですね。 ○加治委員 そうですね。この検討会から、そういうことができるんでしょうか。 ○久道座長 できるのではないでしょうか。見てもらえばいいんだからね。 ○関室長 文科省の担当にも参加してもらうようにします。 ○久道座長 前にも、健康に関連するもので、文科省が参加したような部会などがありましたね。 いずれそういう機会があってもいいと思うんだけれども、室長さん、いかがですか。 ○関室長 この会議でこういう議論があったということは文科省にもお伝えして、文科省は文科 省で取組みを考えられると思いますけれども、なるべくこういう場にも触れていただくというか、 出てきていただくというか、働きかけはしてみたいと思います。 ○久道座長 あと、先ほどの女子大で入学したときに書いてもらう誓約書は、法律とか憲法違反 にはならないんですか。 ○加治委員 ならないと思います。ちゃんと学校の弁護士さんから問題ないというお墨付きをも らっていると聞いています。 ○久道座長 でも、あれは半強制ですね。 ○加治委員 そうですけれども、体にとって悪いことをするように強制されれば人権侵害でしょ うけれども、逆にいいことですので、私はむしろ学生たちにたばこの害をしっかり教えないで吸 わせることこそ、人権侵害だと思っています。害を知らずに吸い始めてしまう学生さんが多いと 思いますので、本当の害を教えれば、だれも吸いたいとは思わないはずなんです。 ○内田委員 吸う人を学校に入れなければ人権侵害の可能性があるかと思います。  しかしながら、就職に関して、例えば私の診療所で看護師さんを雇うときに、たばこを吸いま すかと必ず聞くんです。これは吸うから採用しないというわけではないんですけれども、一応参 考にさせていただくという形で聞いていますが、実際にはそういう方は採用しません。これから 恐らく企業の経営者は、太っている人とかたばこを吸う人は、自分をしっかりコントロールでき ない、自己管理ができない、あるいは将来保険料が高くかかるなど、そういうインセンティブが 働いてくると思います。ですから、そういうことも健康教育の一環として啓発するようなことが 必要ではないかと思います。 ○加治委員 現実にたばこを吸う方は採用しませんという企業は増えてきています。それも特に 人権問題にはなっていないと思います。  それと1点よろしいでしょうか。先ほど見城先生がおっしゃいました件についてなんですが、 たばこを吸っていらっしゃる方に対する禁煙支援です。いろんな調査によりますと、たばこを吸 っていらっしゃる方でも7割前後の方は、本当はやめたいとお答えになるんです。ただ、やめる 方法を具体的に御存じない方が多いものですから、実際に禁煙に踏み切る方は少ないと思います。  私が以前勤務しておりました静岡県立こども病院で、親御さんにアンケート調査をしたことが ありました。外来で時間のあるときに、たばこの害についていろいろなお話をしたり、ニコチン パッチの実物をお示しして、これを使うと楽に禁煙できるんですよといったお話をした後で、今、 私がお話した内容の中で禁煙してみようと思わせるお話がありましたか、とお尋ねしましたら、 一番ポイントが高かったのは、ニコチンパッチを使うと楽に禁煙できるという話なんです。たば この害について幾らお話をしても、たばこを吸われる方の心には余り響かなくて、楽に禁煙する 方法があるんですという情報が最も喫煙される方の心に響くのではないかと思いました。現実に ニコチンパッチの存在自体を御存じない方が非常に多いですので、楽に禁煙できる方法がありま すという広報が非常に大切だと思います。  それから、ニコチンパッチも先月から薬局でも販売されるようになったと思います。 ○久道座長 処方せんがなくてもですか。 ○加治委員 はい。ですので、ニコチンガムと同様にニコチンパッチも非常に入手しやすくなっ たと思います。  内服薬はまだ病院で処方してもらわないと手に入りませんが、病院を受診すれば内服薬でもニ コチンパッチでも、どちらを使っても保険治療が可能です。保険がきいて、たしか3か月間で5 回程度通院をして、自己負担はすべてひっくるめても1万円台です。非常に安く、しかも、楽に 禁煙できる時代ですので、そういう情報をどんどん提供することが大切だと思います。 ○久道座長 どうぞ。 ○見城委員 当然ですが、禁煙キャンパスではたばこの自動販売機は撤去されましたから、まず たばこの自動販売機の問題があると思います。taspoがあっても、親のを借りて購入すると いう事件も起きましたが、たばこが販売されるならば、禁煙パッチを含めて、それも同時に入手 しやすいようにするということ。  それから、サービスでというわけにもいかないかもしれませんが、飲食店等に置いておいてい ただく。キャンペーンというのは、やはり最初にどう社会が動くかということが大事で、そのき っかけ、キーワードはイージーという言葉です。とにかく意識しなくてもそれが手に入って、プ ラスでおまけのようにいただける。要らないものをサービスするよりは、例えばそういう禁煙の、 お医者様でないから、逆に健康被害があるといけないんですけれども、たばこを吸われては困る ようなところでぱっと出せるような、そういうことができるなら、より喫煙している人がパッチ ならパッチを入手しやすく、また進めやすく、駅のKIOSKで売っているとか、マスクと禁煙 パイポと一緒にそれが並べばどうなんだろうか。  逆に健康被害を与えないかどうかは大変重要なところですが、そういう部分をもっと調査し、 サービスで禁煙パッチをどうぞとおすし屋さんなどで出していただくとありがたい。そのぐらい の歩み寄りというんでしょうか、それで1回ぐらっと動かさないと、なかなか喫煙している人の 心を動かすのは難しい。ですから、問題点がいろいろあるなら、逆にこういうことが問題である。 そういうふうに置くと、こういうことに問題が生じるとか、違法であるとか、そういうことを逆 に出していただいて、よりよい方法が出てくればと思います。 ○久道座長 禁煙パッチによる事故はないんですか。子どもがいたずらをしてとかね。 ○加治委員 ニコチンを体内に入れるわけですので、禁煙パッチの副作用は勿論ゼロではありま せん。 ○久道座長 子どもがいたずらをすることはないんですか。 ○加治委員 私は聞いたことはないです。ニコチンの過量の症状、その方が必要とするニコチン の量よりも余分に体内にニコチンが入れば、それはいろんな副作用が出てきます。 ○久道座長 サービスであちこちにばらまくと、子どもが使う危険は出てこないですか。子ども というのは、本当の子どもです。 ○加治委員 どうでしょうか。やり方次第だと思いますけれども、子どもに直接渡すようなこと はありませんね。  例えば航空会社で、たしかたばこを吸われるお客さんにニコチンガムを配っていると聞いたこ とがあります。 ○久道座長 望月委員、どうぞ。 ○望月委員 関連しますが、今の見城委員の御指摘は非常にユニークなアイデアで、結局、害の あるものが普通に売られていて、害の少ない、それを治療するもののアクセシビリティーが非常 に悪い。そのバランスは環境の方でうまく変化させる必要があると思いますが、やはり薬は医師 あるいは薬剤師の指導の下に使う、そのぐらい厳密にされているわけです。しかし、たばこは全 く野放しになっているというところに1つ問題があると思います。  10年前にデンマークに行ったときに十何時間のフライトでしたが、「ニコチン要りますか」と フライトアテンダントが乗客に配っていたのは、インヘラーという吸入剤です。でも、それは限 られた時間と機会に配る。それも一時的な措置だと思いますけれども、お客さんの不安を軽減し て、それを乗り越えるための措置だと思います。しかし、それでも管理された中での使用だから 許されるのだと思います。ですので、その部分はある程度慎重にアプローチしてアクセスへの障 壁を減らし、並行してたばこに対する障壁を高める。そういう措置が必要だと思います。 ○久道座長 どうぞ。 ○高見委員 医師の方にお聞きしたんですけれども、禁煙できないというのは、ある種依存症な んでしょうか。私が知っている方で喫煙されている方に、たばこをやめたいかと聞いたら、やめ たいとほとんど全員の方が言うんです。やめたらと言うと、それがやめられないと言います。ア ルコール依存症ということがありますけれども、ニコチン依存症というのは余り言わないんでし ょうか。言うんですか。 ○永井委員 依存と依存症とは明確に区別しなければいけないです。依存症というのは治らない んです。治らないということを認識してあげなければいけない。それは精神科の方もよく知って いると思うんですが、自分がやめようと思っても、あるいは治療を介入しても、何らかのきっか けで必ずやってしまうというベースがあるということです。ニコチン依存というのは、まだそう いうチャンスがある。だから、そこぐらいまで恐いということを認識していただければと思いま す。 ○久道座長 どうぞ。 ○曽根委員 先ほど高見委員、永山委員からのお話の中で、やはり従業員など健康問題としての 認識も必要なのではないかという御指摘があったと思うんですが、今日は安全衛生部の方にも御 出席いただいているようなので、労働安全、労働衛生の面から見て、ホスピタリティー産業の職 場での禁煙というのは、どのような対策がなされているのかお伺いできればと思います。 ○久道座長 環境改善室長、どうぞ。 ○半田室長 環境改善室の半田でございます。  結論を先に申し上げますと、飲食店などのいわゆる接客業ということでの特別な対策は今のと ころ講じておりません。一般的に職場環境は安全で衛生的なものにしていきましょう。これは労 働安全衛生法の中でうたってございまして、更にその中で快適な職場づくりをいたしましょうと いうことになってございます。  労働安全衛生法の71条の2辺りから幾つか条文がございますが、それに基づきまして、職場 の快適化を進めていく。こういう中で、私どもは平成4年ぐらいからさまざまなたばこ対策、空 間分煙、時間分煙から始まりまして、今に至ってございますが、基本的にきちんとした喫煙室を 設けてもらう。それが難しければ全面禁煙を進めてくださいということを行政指導ベースでやっ ている。こういう状況でございます。 ○久道座長 補助金みたいな制度はないんですか。先ほど融資がありましたね。そういうバック アップなどはあるんですか。 ○半田室長 これも結論を先に申し上げますと、今はございません。たばこに限らず、安全衛生 全般に関しまして、かつては政策金融としての特別融資、先ほどのお話にも出てまいりました国 民金融公庫の単品融資等々があったんですけれども、これは御案内のように、政府の特別金融は 廃止するという大きな流れの中で、今は全部なくなってございます。 ○久道座長 ほかにございませんか。どうぞ。 ○加治委員 健康増進法の第25条で受動喫煙の防止がうたわれていますけれども、そこで保護 される対象として、お客さんだけではなくて、例えば飲食店の従業員の方も含まれているんでし ょうか。 ○久道座長 従業員ですか。 ○加治委員 はい。 ○久道座長 含まれるんですか。どうなんですか。 ○関室長 健康増進法25条については、施設の管理者に対しての努力義務なので、その裏にあ る考え方がどうかという話だと思うんですが、法文自体には勿論出てきませんし、その解釈みた いなところでも多分そういう解説はしていないと思いますが、そこがどういう経緯で条文になっ ているかというのは、調べられる範囲で調べてみます。 ○加治委員 ありがとうございます。  もう一点、健康増進法の第25条に罰則規定が入れば、状況は劇的に変わると思うんですけれ ども、それには法律の改正が必要ですから、かなりハードルが高いと思うんですけれども、法律 の改正までいかなくても、運用面で少し強制力を持たせるような方法はないものでしょうか。 ○関室長 罰則云々の話もかなり議論になって、今の形になっているんですけれども、現在は 25条の中身を解説するという形で局長通知が出ている。通知ということで、行政的な言わば助 言です。  こういう検討の場というのは、それを更に推進するにはどうしたらいいかということなんです が、殊強制力という話を正面からすると、いろいろな壁にぶち当たるというのがこれまでの経験 ではあるんですけれども、ここでの議論でもありますように、やはり社会全体の機運を少しでも 進めていくために、こういう議論が確実に貢献することはたしかなので、それをどのような形で 行政の当事者として世の中に出していくかというのは、私どももその責任は感じています。強制 力云々というところで正面から議論すると、今まで余り生産的なことにはなってきていないとい うのが、これまでの経験ではあるかと思います。 ○望月委員 今の関室長と加治先生のお二人の議論に対してですが、強制力の議論が難しければ、 それに代わるものとして、先ほどのあめの部分のインセンティブをどういうふうに考えるかとい うことが重要です。  行政としていろいろな手法は持っているので、それを全部出してみて、対象施設あるいは対象 集団に対して、今、持てる行政の権限あるいは措置がどのくらいものかというマッピングのよう な資料があると、どの部分が抜け落ちているか。あるいはまだ適用していない政策手段があるの ではないかとか、コストもかかるとしたらそれをどこから捻出するのか。政府だけが関わるので はなくて、民間側、事業者側からの様々なインセンティブなり、リソースの持ち出しというもの も出てくるような次のステップになるのではないかと思います。  実はそういう資料を作りたかったので、次回そのような全てを網羅したマッピングのようなも のがあると、非常に助かります。 ○久道座長 どうぞ。 ○見城委員 前回出しましたので、今回の提出資料には書かなかったんですが、ここではまだ不 十分ということで、客と店主との関係を書きましたけれども、従業員の立場というのは非常に問 題です。  例えば百貨店の休憩室や病院の看護師さんたちの休憩室とか、そういうところの喫煙率の高さ、 1部屋しかないですから分煙しようがない。年功序列もあったりして絶対に何も言えない。そう いう中で非常に浴びてくるわけです。煙がお客様に臭うといけないから、シュッシュとやって職 場に戻るんです。そういう状況です。  それから、特に居酒屋等に若い従業員の方が多いんです。そして、職場の雇用関係も不安定で すし、到底自分が吸わされているということは一言も言えない状況。高級なホテルやレストラン と違う格差がある中での従業員の置かれた状況は、悲惨なものがあると思います。こういったと ころに対して、何らかの行政指導なり、先ほどから法律上も難しいということが出てきています けれども、何かがない限りは声なき声のままだと思います。  そのいい例がタクシーの運転手なんです。私はしょっちゅう乗りますので、いろいろリサーチ しますと、助かった。お客さんのために我慢をして、窓を閉めて吸わされていましたという声を 随分聞きますので、規制がかかると1つの公的な動きがある。そのことによって、声なき声の方々 への救いというんでしょうか、それが本当に大きく変わると思います。この点の動きをつくるべ きではないでしょうか。 ○久道座長 どうぞ。 ○半田室長 従業員のということでございましたが、現状を御説明いたしますと、もともと労働 安全衛生法では労働者の健康、安全を確保するために必要な措置を強制的に事業者に義務づける という仕組みになってございます。  たばこの問題に関しましては、今のところ強制的にやるというコンセンサスが十分できていな いということで、まだ強制法規の中には入ってございませんが、先ほど申し上げましたように、 快適な職場環境をつくるように努めなければならない努力義務の中で対処してきておるところ でございます。  私ども全国都道府県に労働局労働基準部がございまして、更にその下に労働基準監督署がござ います。こういったところで労使双方からの御相談に対してのアドバイス、あるいは指導をやっ てございます。  1つこういうことがございましたという事例を申し上げますと、今年の初めだったと思います が、北海道でたばこを吸わない従業員の方が喫煙対策が不十分であるということで事業者に申し 立てまして、争い合った結果、結局、解雇されたんです。これに対しまして、監督署から指導い たしまして、解雇を取り消していただくとともに、その事業所におかれては、たばこ対策に取り 組んでいくことになりました。地道ではございますが、そういった取組みもしてございますとい うことを御報告させていただきます。 ○久道座長 そのときは、1人の従業員が申し立てたんですか。それとも何人かであれしたんで すか。 ○半田室長 私が聞いておりますのは、お一人の方だったと聞いております。その方から解雇さ れたということで御相談を受けて、監督署が指導に入りました。  私どもは毎年2月に全国の労働局の安全衛生課長を集めての会議をやってございますが、その 中でもこの事例を紹介いたしまして、各監督署で適切に指導、相談、援助を行うようにという指 示をしてございます。 ○加治委員 スモハラのキャンペーンというのは、いかがでしょうか。先ほどの見城先生の御意 見にもありましたように、不安定な雇用環境の中で上司からの命令に逆らえないとか、スモハラ というのはセクハラと非常に似ていると思います。スモハラは犯罪ですというのは言い過ぎかも しれませんけれども、そういう大きなポスターをつくって全国に配付するとか、たしかセクハラ は犯罪ですというような大きなポスターでキャンペーンがありましたね。それによってセクハラ というのは、こんなに悪いことなんだという認識が国民一般の間に広まって、そういう被害を受 ける女性が激減したと思うんですが、それと同じように、スモハラはこんなに悪いことなんだと いう意識を国民の皆さんの間に定着させるためにキャンペーンをやってはいかがでしょうか。 ○半田室長 職場に関してということであれば考えられるかなとは思いながら伺っておりまし たけれども、これをどのように打ち出すかは、また慎重にやっていかなければいけないと思いま す。1つのお考え、ヒントをいただいたと思っております。 ○久道座長 どうぞ。 ○永山委員 どうしても自分の立場からのお話になってしまうんですけれども、先ほど罰則のお 話なども出ていましたけれども、従業員の受動喫煙は決して目に見えるところだけではなくて、 例えば旅館でいうと、喫煙の方だけが泊まっている客室に従業員が出入りすることもあるわけで す。極論をいうと、従業員さんが帰られた後、吸殻を片づける仕事も必ずあるわけです。煙が残 留しているお部屋に入ったから、従業員を入れてしまったから経営者の責任が問われるとか、そ ういうおかしい方向に議論が行かないようにだけはしていただきたいというのが1つでござい ます。  あと、違う話題になってもよろしいでしょうか。対策と今までの政策がいろんなところで行わ れていて、例えば喫茶店などで禁煙が進まない理由の1つで声としてよく聞こえるのが、路上で の禁煙をきっちり普通の方が認識されたら、道路に面した飲食店は禁煙ができない。そういう話 も聞くことがあるんです。  スターバックスなどで分煙がきちんと進んでいるのは、歩いて30秒の一歩出たところに、屋 外ではありますけれども、ちゃんと椅子と灰皿があるから、きっちり空気が分けられているとい う側面もあります。  やはり一つひとつを追い詰めていってしまうと、路上がだめなら公園、公園がだめなら違うと ころ、飲食店などが最終的に残ってしまいそうな懸念もありますので、どうしても一つひとつで はなくて、全体としてどういうところだったら安全に吸えるのか。どういうところであれば、喫 煙者が簡単にそういう場所を見つけられるのか。そういった観点からも我々は考えていかなけれ ばいけないというか、考えていっていただきたい。そういったお願いでございます。 ○久道座長 曽根委員が出された妊婦の曝露は53%。その81%が旦那さんというのは、大変な ことですね。これは何か方法はないんですか。先生の話だと余りないような話なんだけれども、 これこそ行政的な施策の中にできるようなことはないですか。 ○加治委員 例えば妊婦さんに母子手帳を交付する事業を市町村で行っていますけれども、その ときに直接手渡すのは保健師さんが多いものですから、一応妊婦さん御本人や家族の方の喫煙に ついてお尋ねして、私ども静岡市では禁煙を勧めるパンフレットを妊婦さんにお渡しするように しています。 ○久道座長 母子手帳を渡すときにですか。 ○加治委員 そうです。 ○久道座長 誓約書とかそういうものではないんですか。 ○加治委員 そこまではしておりません。それよりもっと踏み込んだ強い指導というのは、現実 的には難しいです。そういう情報提供程度のことしかできていないのが現状です。 ○見城委員 質問です。妊産婦の受動喫煙も含めての喫煙環境は、例えば受動喫煙をしている状 況で出産した子と、全く無縁の中で出産した子というのは、その後の喫煙傾向などと関係があり ますか。  例えば先ほど依存とか依存症のお話が出ましたが、胎児の段階からニコチンを吸わざるを得な い状況で、そうするとニコチンへの反応がよくて、拒絶せずに子どももたばこに近しくなるとか、 全くない環境で育った子はやはりたばこは煙いとか、拒否したいという嫌なイメージから始まり ます。その辺で非常に親しみを持ってたばこをスタートするのか、そういうデータはないですか。 ○永井委員 そういう子は成人になったときの喫煙率が高いというのはあると思います。  ただ、別の国の会議で、ある委員が私は喫煙をしていた。非常に小さい子どもが生まれたが丈 夫に育った。生まれるときに小さかったけれども、きちんと育ったので、喫煙は別に悪くないの ではないかとおっしゃられた。会を重ねるうちにこういう害もあるということがだんだんわから れて、最初の考えは取りやめますとおっしゃったんですが、個人的な考えや体験で大丈夫という ことになりますと、お友達などの範囲ではそんなに悪くないということが進んでしまうのではな いかと思います。ですから、そういう中で言われたことは、情報が余りにも少ないということだ と思いました。 ○見城委員 喫煙の連鎖というものがある程度データ等でも出るならば、それはやはり親が子の 次の代まで責任をどう取るんだということで、また情報の発信や対応策もより具体的になるので はないかと思います。ですから、もしそういうデータがあれば、そういうものも含めて、自分は どうするかという判断をするときに理解しやすい情報発信に役立てていただきたいと思います。 ○久道座長 曽根委員、先ほど何か言おうとしたことがありましたね。 ○曽根委員 先ほど望月委員から海外でいろいろな禁煙法が施行されてレストランやバーなど が全面禁煙になっても、ビジネスなどには余り影響がないという報告が出ているとありました。  高見委員からは、それが業者の一番の懸念であると発言がございました。その辺がきちんとま とめたデータであるとか、外国ではこうで、こういう条件の下でこういうデータが出ているとい うまとめたものがもしあれば、大きな説得力を持つのではないかと思いました。 ○久道座長 特にないですね。 ○望月委員 いえ、ありますので、次回にまとめて御提供しましょう。経済的な損失がないのと 同時に、健康に対して良い影響がある。特に従業員の受動喫煙への曝露をきちんとモニタリング して、前後で変化したというものはありますし、それを行政当局のみならず研究者がきちんとし た論文にして、レビュージャーナルに載せているので、まとめてお出しいたします。 ○久道座長 どうぞ。 ○加治委員 妊婦さんの喫煙の話題が出ましたので、一言申し上げます。妊娠中にたばこを吸い ますと、胎児に勿論大変な健康被害が起きることがわかっていますし、胎児期だけではなくて、 生まれた後も非常に長く尾を引く健康障害が起こることはさまざまなデータが出ております。  私が一番懸念しておりますのは、妊婦さんがたばこを吸われた場合、生まれたお子さんがいわ ゆる落ち着きのない子、注意欠陥・多動性障害、英語ではAD/HDといいますが、そういう病 状を発症する率が2倍から3倍に増大するというデータが、10年ほど前から世界各国でたくさ ん出ているんです。  今日、資料としてお配りしました青い表紙の小冊子なんですが、これは『小児科臨床』という 医学雑誌の今年の3月号に喫煙による子どもの健康被害という特集が掲載されました。これは国 立成育医療センターの原田正平先生が中心になられてまとめられたものなんですけれども、ここ にも第6番目の話題として、AD/HDを含めた子どもの精神運動発達へのたばこの影響という 論文が掲載されておりますので、是非ごらんいただきたいと思います。  最近、教育現場で落ち着きのないお子さんが増えてきているということがよく問題になります けれども、勿論その原因のすべてではありませんけれども、一部は妊婦さんの喫煙が増えている ことによるものだと考えております。そういうお子さんが増えると、そのお子さんや家族だけの 不幸にとどまらず、日本の国の将来に関わる大変な問題だと思います。胎児の脳をたばこが傷つ ける、そういう情報がまだまだ一般の国民の皆さんの間には行き渡っていないと思いますので、 是非こういうことも1つのキャンペーンのような形で広めていただきたいと考えます。 ○久道座長 今日はどうもありがとうございました。そろそろ時間がまいりましたので、今日の 議論はこのくらいにしたいとも思います。今日は何かをまとめて結論を出すということではなく て、皆さんの立場からさまざまな御意見をいただいて議論するということでした。  事務局の予定ですと、次回は関係業界等からのヒアリングを行うということなんですが、関係 業界というのはどういう意味ですか。たばこ会社という意味ですか。 ○森専門官 必ずしもたばこ会社という意味ではございませんで、例えば禁煙に取り組んでいる 業界ですとか、禁煙に取り組んで失敗した方の経験談ですとか、そういったものを幾つか集めら れればいいのではないかと思っています。具体的には、また御意見をいただければと思います。  日本学術会議にも一応要望はしてみようと思っておりますので、もしどなたかに来ていただけ るようであれば、説明をしていただこうと思います。 ○久道座長 だれが来るんでしょうかね。岸先生が来るんですかね。  それでは、関係業界ということで、特定の業界だけではなくて、今、事務局がお話したような 団体等も含めてということですので、もし皆さんからこういう方々からお聞きをしたいというこ とがあれば申し出ていだたきたいと思います。それを検討した上で、次回のときに来ていただく という手順にしたいということであります。  今後のこと等を含めて、事務局から何かございますか。 ○森専門官 今後の日程につきましては、後日、日程調整をさせていただいて、お知らせいたし ますので、よろしくお願いいたします。 ○久道座長 それでは、今日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございまし た。