08/06/04 平成20年度第1回特定疾患対策懇談会議事録 平成20年度第1回特定疾患対策懇談会 開催日:平成20年6月4日 (水) 場 所:厚生労働省専用第22会議室 出席委員  朝倉  均  内田 健夫  大野 良之  ○金澤 一郎       北島 康雄  桐野 高明  草間 朋子   齋藤 英彦       笹月 健彦  猿田 享男  谷口  克   辻  省次       中村 耕三  本田 孔士  溝口 秀明   宮坂 信之       森山  寛  矢崎 義雄                            ○:座長 1 開 会 2 議 事    (1)認定基準及び臨床調査個人票の改定について(報告)    (2)難治性疾患克服研究事業の対象疾患の考え方について (3)その他 3 閉 会 ○金澤会長 定刻になりましたので、ただいまから本年度第1回目の特定疾患対策懇談 会を開催させていただきたいと思います。  委員の皆様方、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。  それでは、西山健康局長から一言御挨拶をいただきます。 ○西山局長 御紹介いただきました健康局長の西山でございます。  今日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして恐縮でございます。  難病対策でございますけれども、取組を始めてから30年以上ということで、私が入 省したのが30年前ですので、ちょうどそのぐらいの年齢がたっているわけですけれども、 この間、難病の事業によりまして患者さん方も非常に助かってきたわけですけれども、 新しい研究をしてくれ、あるいは、もちろん医療費助成は絶対お願いするとか、まだま だ要望が非常に多うございます。予算的には限られている中ですけれども、今年度は36 億円の増ということで、何とか地方負担も少しずつ解消できるのかなと思っております。 今日新たに、また事務局からお話し申し上げますけれども、克服研究事業の対象疾患の 考え方について、事務局の考え方を御説明申し上げまして、いろいろと御意見賜りたい というふうに考えています。そういうことで、切実な要望もございますので、どうか御 審議よろしくお願いしたいと思います。以上で簡単でございますけれども。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、事務局から委員の先生方の出席状況の確認及び配付 資料の確認をお願いいたします。 ○石川補佐 それでは、本日の出席状況の御確認をさせていただきます。お手元に特定 疾患対策懇談会委員名簿、それから座席表をお配りしておりますけれども、本日は、工 藤委員、田中委員、埜中委員、秦委員が御欠席でございます。辻委員、谷口委員は、所 用により後ほどお見えになるということでございまして、現在22名の委員の中で16名 の方に御出席いただいております。過半数を超えておりますので、会議は成立となりま す。  続きまして、配布資料の確認をさせていただきたいと思います。  資料1、重症急性膵炎認定基準、これが1から4ぺージ。  資料2、重症急性膵炎臨床調査個人票、こちらが1から8ぺージ。  資料3、難治性疾患克服研究事業の概要、こちらが1枚でございます。  資料4、難治性疾患克服研究事業の対象疾患と研究班の構成、こちらが1から3ぺー ジ。  資料5、対象疾患の要件について、こちらが1から4ぺージ。  資料6、難治性疾患克服研究事業の対象疾患についての論点、こちらが1から3ぺー ジ。  資料7、難治性疾患克服研究事業をめぐる状況、こちらが1から4ぺージでございま す。  資料8、厚生労働省に特定疾患への指定に関する要望書等が提出されている疾患一覧、 こちらが1枚。  それから、参考資料1でございますけれども、平成20年度難病対策関係予算の概要、 1枚。  それから、参考資料2、厚生労働科学研究費補助金公募要領の抜粋。こちらが1から 10ぺージとなっております。  不足等ございましたら事務局までお申しつけください。以上です。 ○金澤会長 ありがとうございました。何か不足がございましたらどうぞ。  辻委員がお見えになりましたから始めましょう。  それでは、議事に入りたいと思いますけれども、まず初めに、議題(1)の「認定基 準及び臨床調査個人票の改定について」、事務局から御説明をお願いします。 ○林補佐 それでは、御説明させていただきます。  まず初めに、昨年度の難治性膵疾患に関する調査研究班、これは産業医大の大槻先生 が主任研究者でいらっしゃいましたが、こちらから御提案がございました重症急性膵炎 の認定基準と臨床調査個人票の改定について御説明いたします。  この改定につきましては、昨年度に研究班から御提案がございました段階で、この懇 談会の委員の先生方には持ち回りでお諮りしたものですが、この場で改めてその趣旨と 要点を御説明させていただきます。  まず、資料1でございます。資料1「重症急性膵炎認定基準」の1ぺージでございま す。左側が古いもので右側が新しいものという形になってございますが、急性膵炎の診 断基準としては、ここの中では(2)で、現在の医療現場では実際に行われることがほとん どない腹水中の検査を削除し、また、一番下の注のところで、医学の進歩を反映しまし て膵酵素の例示にリパーゼが追加されてございます。  2ぺージ目が急性膵炎の重症度判定基準でございます。これまでの重症度判定基準は、 歴史的に項目が追加されるなどした経緯から、かなり複雑なものとなっていたわけでご ざいますが、これをできるだけ単純化するとともに、臨床現場で用いやすいものとする こと、そのために、平成15年に研究班が全国疫学調査で集積をされた 1,400例余りの 症例をもとに、実際の患者さんのデータに基づいて重症例を的確に判定することを目的 として改定が提案されたものでございます。  具体的には、例えばPT、血小板、出血傾向といった趣旨が重複項目を整理するとい うこと、あるいは、ヘマトクリットが30%以下という低いことが基準に含まれておりま したが、これが逆に非常に高い患者さんも予後が悪いというようなことから、これを基 準から削除したということ、また、空腹時血糖、血清総蛋白は患者さんの予後への影響 が小さいことがわかったことから項目から削除されたこと、そして、新たに予後の予測 に有用なCRPという検査項目を追加するといったことをしておりまして、また、それ ぞれの項目について点数による重みづけの意義が乏しいことから、すべて1点として単 純化を図っております。  3ぺージでございます。CTによる所見につきましては、これまでの単純CTによる CTグレードは、予後を十分に反映していなかったことから、造影CTを用いるととも に、精緻なものとしております。また、造影CTは緊急等の場合に必ず行うことができ る検査ではないことから、2ぺージの血液検査等とどちらか片方で重症かどうかを判定 できるという形になってございます。  4ぺージ目、特定疾患治療研究事業の対象範囲といたしましては、これまでと同様、 重症の方を特定疾患治療研究事業の対象とするとしております。難治性膵疾患に関する 調査研究班においては、平成15年に調査をした 1,400例余りの症例をもとに、これら の基準を作成した上で、関係学会での発表、あるいは公聴会の開催、アンケート調査の 実施、専門誌への掲載などを通じて関係者の意見を求めた上で、改定案の作成を行った と伺っております。  続きまして、資料2「臨床調査個人票」でございます。これは、1〜4ぺージに新し い調査票、そして5〜8ぺージに御参考までにこれまでの調査票を御用意いたしており ます。1〜2ぺージの新規の臨床調査個人票につきましては、診断基準や重症度基準の 改定を盛り込んだ形で様式を修正いたしております。また、3〜4ぺージの更新用の臨 床調査個人票につきましても、表現の明確化を図るなど審査が的確に行われるための修 正を図っております。この新しい基準と臨床調査個人票につきましては、委員の先生方 に、昨年度末に持ち回りでお諮りをいたしまして御了承いただきました。今年10月から 新たな基準をスタートできますよう、本年4月8日付けで都道府県に通知をいたしまし て、今、周知を図っているというところでございます。  以上でございます。 ○金澤会長 ありがとうございました。これについては、先ほどの御説明にもありまし たが、既に持ち回りで御了承いただいていたということでありますが、本日、このよう な形で御説明を改めて受けまして、何か御質問や御意見ございますでしょうか。さすが に30年たちますと、こういう非常に重いデータが出てくるんですね。いかがでしょうか。 よろしいでしょうか。 ○朝倉委員 このたたき台を見せていただきましたが、非常に簡素化されまして、私も 前は迷うことがありまして、今度は非常に簡素化されてよろしいかと思います。  それから、造影CTの件に関しましては、「または」ということで、とういうのは造 影に対しては造影剤アレルギーとか、あるいは炎症の盛んなところに造影剤を注入する ことに問題視をする方が一部おりましたので、ちょっと気にしておりましたけれども、 一応「または」という条項を入れていただいておりますので、よろしいかと思っていま す。以上です。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。ほかに何か御意見、御発言ございません でしょうか。よろしいですか。  どうもありがとうございます。それでは、これはお認めいただいたことにさせていた だきます。  それでは、次の議事に移りたいと思いますけれども、議題(2)は「難治性疾患克服 研究事業の対象疾患の考え方について」ということでございまして、本日の主な議題に なります。どうぞ事務局から説明をしてください。 ○林補佐 では、御説明いたします。資料3をお開きください。「難治性疾患克服研究 事業の概要」でございます。  難治性疾患克服研究事業というのは、原因が不明であって治療法が確立していない、 いわゆる難病の中でも積極的に研究を推進する必要がある疾患について、調査研究、重 点的研究、横断的研究からなる研究事業を行うものでございます。  対象疾患としては、いわゆる難病の中でも、希少性、原因不明、効果的な治療法未確 立、生活面への長期にわたる支障を満たす疾患の中から、学識者からなるこの特定疾患 対策懇談会の意見を聞いて選定するということになっており、現在 123の病気が対象と なってございます。こちらの方について、今日、御議論いただきたいということでござ います。御参考までに、下の方には特定疾患治療研究事業について御説明させていただ いておりますが、対象は、その 123疾患のうち45疾患が対象となっておりまして、患 者さんの医療費の助成が行われているというものでございます。  引き続きまして、資料4「難治性疾患克服研究事業の対象疾患と研究班の構成」でご ざいます。対象疾患が 123あると申し上げました。左側に対象疾患として掲げてござい ます。○が公費助成の対象となっている疾患に付されております。これを、まず1ぺー ジ目、2ぺージ目の研究班は臨床調査研究班というカテゴリーで呼ばせていただいてお りますが、ここに40の研究班がございまして、そこに 123の病気を割り振る形で研究 をしていただいている。基本的な調査研究を中心にしていただいているということでご ざいます。  3ぺージ目には横断的基盤グループという部分がございますが、ここでは 123疾患を 横断的に見て、疫学であるとか、あるいは微生物学的な原因究明、あるいは社会医学的 なことも含めて、横断的に難病を捉えて研究をしていただく、そういった研究班が置か れてございます。  そして、最後に重点研究グループでございますが、ここでは網羅的な研究というより は、むしろこの疾患のこの治療法を新たに開発する、そういったことに重点的にプロジ ェクトごとに研究費が投じられておりまして、こういった研究班で治療法の開発等が進 められているという形になってございます。  資料5でございます。この対象疾患の要件は、先ほど4要件があるというふうに申し 上げましたが、これにつきましては、これまでからこの懇談会、あるいは審議会の難病 対策専門委員会におきまして長い経緯がございまして、議論の積み重ねがございます。 その報告されているものを改めて御紹介をさせていただきます。  まず、平成7年の12月27日の公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員 会の最終報告におきまして、特定疾患対策の重点的かつ効果的な施策の充実と推進を図 るため、希少性、原因不明、効果的な治療方法未確立、生活面への長期にわたる支障(長 期療養を必要とする)という4要素に基づき、対象疾患として取り上げる範囲を明確に することが必要であるという方向性が示されてございます。  そして、平成9年3月19日の特定疾患対策懇談会特定疾患治療研究事業に関する対 象疾患検討部会報告におきましては、4要件の具体的なことが示されておるわけでござ いますが、2ぺージの(2)(1)のところからでございます。希少性としては、患者数が有 病率から見て概ね5万人未満の疾患とするということ。調査研究事業の目的の1つは、 患者数の少ない、いわゆる希少疾患に対して研究者の目を向けさせ、効率的な研究体制 を構築することにあるということから、このような要件がございます。  そして、2番目に原因不明。原因または発症機序(メカニズム)が未解明の疾患とす るということ。最近の遺伝子研究の進展により、病院としての遺伝子異常が同定された 疾患や一部同定された疾患があるが、その遺伝子異常がどのようにして発症に至るのか が依然として不明である疾患については、治療法の確立に向けた機序の解明が必要であ るため、本調査研究事業の対象疾患となり得るとされてございます。  3番目の効果的治療方法の未確立につきましては、完治に至らないまでも進行を阻止 し、または発症を予防し得る手法が確立されていない疾患とするとされております。  4番目の生活面への長期にわたる支障につきましては、日常生活に支障があり、いず れは予後不良となる疾患、あるいは生涯にわたり療養を必要とする疾患とされてござい ます。  また、その他といたしまして、がん、脳卒中、心臓病、進行性筋ジストロフィー、重 症心身障害、精神疾患などのように、別に組織的な研究が行われているものについては、 効率的な研究投資の観点から、従来のとおり本調査研究事業から除くべきである、これ は別の研究事業で扱うということが定められてございます。  そして、平成14年8月23日の厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会の中間報 告におきましても、これまでの対象疾患の選定の考え方については、これが踏襲されて いるわけでございます。  続きまして、資料6「難治性疾患克服研究事業の対象疾患についての論点」でござい ます。これまでに御説明した現状を踏まえまして、本日は資料6の内容について御議論 をいただきたいと考えております。  現状としては、難治性疾患克服研究事業は、公的及び民間のさまざまな研究費の獲得 が難しい難治性疾患の研究のため、平成9年に 118疾患が対象とされた後、徐々に対象 疾患が追加され、現在は 123疾患が対象とされております。対象疾患の要件につきまし ては、今申し上げたとおり、議論の積み重ねがございまして、資料5のとおりとされて おります。  そして、現在の課題でございますが、難治性疾患克服研究事業の対象疾患について、 患者団体の方々から非常に切実な御要望として、すべての難病を対象としてほしいとい う御要望をいただいてございます。一方で、研究の目的・成果を見据え、研究を集中化 ・重点化して戦略的に実施するべきであるという指摘もあるところでございます。この ような中、政府の科学研究費全体の動向は、近年ほぼ横ばいという状況でございまして、 研究事業を、これはどこの研究事業でも言えることですが、一層効率的・効果的に実施 する必要があるというのが現状でございます。  このような課題にどう取り組むかということを先生方に御議論・御指導いただきたい ところでございます。 対応についての論点としては、2つ御用意させていただいており ます。  前回の特定疾患対策懇談会におきまして、委員の先生方の中から、患者の方々の心情 に配慮すれば、できるだけ広く対象疾患を対象とできるよう、研究班の対象疾患の類似 の病態をまとめて対象としてはどうか、今ある研究班に近いような病態のものは、そう いった病態も併せて、今ある研究班に研究してもらえないかというような意見がござい ましたが、これについてどう考えるかということが1つ目。  そして、2つ目でございます。これまで研究が行われていないその他の難治性疾患に ついても、研究計画の公募枠を設けるなど、実態把握等のための調査研究を症例するこ とについてどう考えるか。これが2つ目の論点でございます。  論点を図に示したものが2ぺージ目、「対応のイメージ(素案)」としてあります図 でございます。現在の対象疾患を(1)の領域といたしまして、ここは 123疾患について計 62の研究班を置いて研究を実施しておるものでございますが、その右側に(2)として、そ れに近い現在の対象疾患の類似の病態があるのではないか。そういった疾患について、 4要件や各研究班の方針を踏まえて、各研究班の研究分野に一致するものを、(1)の分野 の研究班が対象に取り込んで、併せて研究できないかということでございます。  そして、その外側に書いております(3)その他の難治性疾患、これはたくさんあるわけ でございます。未研究の難治性疾患について、これは事業の対象の4要件を相当程度満 たすことを前提としてでございますが、疾患を定めずに、実態把握等のための調査研究 計画の公募枠を設定して研究を奨励できないかということでございます。  3ぺージ目に、「対象疾患に類似する病態の例」として、前回の特定懇でも具体的に 例示をされて議論がございました運動ニューロン疾患について整理したものをお示しし ております。一番上の段に簡単な模式図がございますが、筋肉が動くためには、大脳か ら2つの神経細胞を介して指令が伝わって筋肉が動くわけでございまして、その神経細 胞が上位ニューロン・下位ニューロンと呼ばれております。ALS(筋萎縮性側索硬化 症)という病気では、この両方が変性して情報が伝達されなくなり筋力低下が起きるわ けでございますが、神経の障害の部位や発症の時期等が異なるものの、病態の類似した 疾患がほかにもございまして、こういった疾患がこれまでの研究班と研究分野が一致す るものの例となるのではないか、例えばALSとSPMA、SMA、SBMAといった 疾患は1つの研究班で研究をされておりますが、原発性側索硬化症などは今研究班の対 象とはなっておりませんが、こういったものについてどう考えるか、こういったイメー ジで捉えていただければと考えております。  資料7に移らせていただきます。「難治性疾患克服研究事業をめぐる状況」でござい ます。研究費の推移のグラフをまず1ぺージ目に掲げてございます。私どもも、科学研 究費、とりわけ疾患の克服のための研究費の獲得には全力を挙げているところでござい ますが、近年の財政状況等もございまして、厚生労働科学研究費全体として、このとこ ろ研究費の状況としては概ね横ばいとなっているというのが現状でございます。このよ うな中で、難治性疾患克服研究事業費につきましても、近年、このような中でできるだ けたくさんの資源を研究に使えるようにということで予算の確保に努めているというこ とでございます。  2ぺージ目、研究事業につきましては、全体として内閣府に置かれました総合科学技 術会議の評価を受けております。毎年の概算要求において、科学技術関係施策の優先度 判定を受けております。厚生労働省全体としてもさまざまな指摘を受けておりますし、 また、各研究事業についてもさまざまな指摘を受けております。厚生労働省に対する指 摘としても、厚生労働省として取り組むべき必要な研究を戦略的かつ重点的に実施する ことが必要であるといった指摘、あるいは、研究の集中化・重点化を図るべきであると いったような指摘があるところでございます。  また、難治性疾患克服研究事業に関する見直し・指導内容としては、難治性疾患克服 研究事業についても着実に、また効率的に実施すべきであるといった指摘、また、行政 としての支援体制を一段と工夫するといった指摘を受けてございます。  このような評価を受けるに当たりましては、厚生労働省としては、この各研究事業の 成果・展望を総合科学技術会議に説明するための資料として、3ぺージ、4ぺージにご ざいますように、これまでの成果でありますとか、今後の目標、展望といったものをわ かりやすく説明をして、研究費の確保に全力を挙げているということでございます。  続きまして、資料8でございます。「厚生労働省に特定疾患への指定に関する要望書 等が提出されている疾患」(平成20年4月現在)となってございます。私どものところ に要望書が届いている疾患、また、それ以外にも、そういう声にもならないけれども、 たくさんの潜在的な御要望はあるというふうに考えてございますが、要望書が提出され ている疾患だけでもこういった疾患がございます。前回、19年3月に提示いたしました 同じ表と比べても、さらにまた5つの疾患についてこのような御要望がなされていると いう状況でございます。  あとは参考資料でございます。参考資料1といたしまして、先ほど冒頭に局長からも 御紹介させていただきましたように、難病対策の推進につきましては予算の確保を図っ ておりまして、本年度は特に特定疾患治療研究事業について、前年度比36億円の約82 億円を計上いたしまして、その安定した実施を図っているところでございます。  また、参考資料2といたしましては、厚生労働科学研究費補助金の公募要項でござい まして、毎年このような形で研究班の公募を行っているということを御紹介しておりま す。  資料の説明は以上でございます。 ○金澤会長 ありがとうございました。大変膨大な資料でしたが。  ちょっと確認だけれども、今、疾患の名前がいろいろ出てきたりしていたけれども、 これは資料3の「難治性疾患克服研究事業の概要」の中に出てくる特定疾患治療研究事 業のあれではなくて、医療費の公費助成の対象疾患ということじゃなくて、研究班が研 究対象とするという意味ですね。 ○林補佐 はい。今日は、その部分について御議論いただきたいと思います。 ○金澤会長 わかりました。まずは、資料などについての御質問ございますか。 ○齋藤委員 今のに関連して、資料8の一枚紙で、要望書等が提出されている疾患とあ りますよね。その中で難治性疾患克服研究事業の対象となっているものという○がつい ているものがありますね。これは、研究の対象にはなっているけれども、治療研究事業 の対象にはなっていないからここに名前があるという、そういう理解でよろしいですか。 ○林補佐 はい。そのとおりでございまして、資料8には、そういったものを含めて、 すべて掲載をいたしておりますが、特に今日の御議論の対象としては、その対象となっ ていない、○のついていないものを念頭に御議論いただければと思います。 ○金澤会長 ありがとうございました。前回、といっても大分前ですが、前回のこの会 で少しこの議論をしたんですね。例として先ほどの資料6の3枚目のことを、こういう 図がなしで少し議論した覚えがありますが、その辺を資料8とにらみ合わせながら、本 日少し議論を続けていただきたいということだと理解しています。  資料のことはそれぐらいとして、何か御意見をいただきたいと思いますけれども、い かがでしょうか。 ○齋藤委員 また資料8に戻るのですが、他制度の状況で、小児慢性特定疾患云々とあ りますよね。小児慢特と言われている、これの対象疾患になっているものがかなりある と思うのですが、これはどのような制度で、研究あるいはその他に対してどんなサポー トをしているのか。その辺を少し伺いたいのですが。 ○林補佐 こちらにつきましては、担当としては厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の 母子保健課というところで行っておる事業でございまして、児童福祉法に基づいて、18 歳以下で発症した患者さんの20歳までの医療費の助成を行っている事業でございます。 その目的は児童の健全育成ということでございますので、こちらの特定疾患治療研究事 業の研究が第1の目的になっているところとは少し趣旨が異なっているわけでございま すが、児童の健全育成を目的といたしまして、514の疾患について20歳までの医療費の 助成が行われているということです。研究につきましては、難治性疾患克服研究事業の 研究で言うと、 疫学班のような横断的な研究班はあるというふうに聞いてございますけ れども、そのすべての疾患について、こちらの難治性疾患克服研究事業のように研究班 を置いて研究するという仕組みではないというふうに聞いております。 ○金澤会長 今のお答えでよろしいですか。 ○齋藤委員 はい。 ○金澤会長 資料の御質問でもございます。どうぞ声を挙げていただけますか。  これは20歳までという話だったけれども、それを越えたときにどうするのかというの はわかりますか。 ○林補佐 そこは、趣旨が児童の健全育成という趣旨の事業でございますので、児童を そこまで育てるということが社会的な責任だということで行われている事業でございま す。 ○金澤会長 つまり、これだけたくさん出てくるということは、20歳越えると対象にな らないのでこういうところへ出てくるという可能性はないんですか。 ○林補佐 そういったことが御要望の背景にあるということでございます。 ○金澤会長 ほかにどうですか。 ○草間委員 今日初めて出席させていただきましたので質問させていただきたいのです が、資料4で、先ほど臨床調査研究と横断的、重点ですべてで60研究班ということでし たけれども、この難治性疾患克服研究事業の対象になる疾病は 123疾病あるわけですね。 そうすると、この表の中に 123はすべて含まれているというふうに考えてよろしいんで しょうか。 ○林補佐 はい、そのとおりです。資料4の左側に掲げておる疾患が 123ございまして、 これはどこかの研究班に割り振られております。 ○草間委員 わかりました。 ○金澤会長 ほかにいかがですか。 ○笹月委員 同じく資料8ですけれども、小児慢性特定疾患の中で、要するに特定疾患 に指定する4つの条件を満たすものもこの中には当然あるわけですね。 ○林補佐 ええ。両方の対象になっている疾患もございます。 ○笹月委員 そして、頻度から言うと、例えば先天性魚鱗癬みたいに非常に稀なものも あるでしょうし、ここにリストアップされている小児慢性特定疾患の中で、一番頻度の 高いものはどれぐらいの頻度なんですか。 ○林補佐 小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患は非常にたくさんございまして、5 14ということでございますけれども、ここにリストアップされているものではございま せんけれども、例えば小児喘息、小児がんであるとか、また、1型糖尿病はここにもリ ストアップされておりますけれども、そういった比較的頻度の高い疾患もこの制度には 含まれてございます。 ○金澤会長 ほかにいかがですか。  恐らく、今日の主題というのは、やはり資料8の皆さん方からの御要望に対してどう いうふうに答えることができるかということだとは思いますけれども、先ほどの資料6 もそれと無関係ではないですが、少し外れるかもしれませんが、資料6の3枚目のよう なものをどう考えるかということもあるわけですね。切り分けて考えるも大変なので、 皆さん方からの御意見をちょうだいして、そちらの方向で考えたいと思いますが、どう ですか。 ○矢崎委員 個別論でなくて、総論的でもよろしいですか。 ○金澤会長 もちろん総論で結構でございます。どうぞ。 ○矢崎委員 難治性疾患克服調査研究について、実際には30年の歴史がありますが、私 は二十数年関わってきて、十数年前に資料6の2ぺージのような大きな研究のあり方の 画期的な区分けがあったわけです。そのもとは、総合科学技術会議などでめり張りのき いた重点的な研究を推進しろとか、厚労省の研究はよく見ると身内で分配して、皆さん 非常に小額になっているというような批判をいただいたために、この3つに、横断的と 重点研究と分かれたと思うんです。そのとき私は、この研究というのは、総合科学技術 会議の目指す研究とはちょっと違って、これは難病の方々をできるだけ広く調査研究し て、臨床の場から問題点を提起して、それが病因解明につながれば大変な功績であると。 世界的に見ても、こういう難病の調査研究を網羅的にやっている国というのはほとんど ないんですよね。我が国独特なんです。そういう組みかえについて、私、厚労省で、そ れはいかがなものかとずいぶん反論したのですが、多くの方は、それはアンケート調査 すれば実態が把握できるからという意見があって、私はそうではなくて、やはり専門の 先生がしっかり患者さんの実態を把握するのが大事であって、アンケート調査で済むと いう問題ではない。 ですから、これは絶対反対だと言ったのですが、結局、こういうふ うな区分になって、当時は重点研究分野というのは、ゲノム最盛期ですから、ほとんど ゲノムの研究に費やされて、それで一般の調査研究のところはものすごく予算を減らさ れて、班研究も3分の1の規模になってしまったんです。  私は、もう十数年たっているので、そのとき見直されたように、また見直して、私と しては、やはり専門家がしっかり直接患者さんを診て把握して、病態を捉えて、それを 科学的に分析するような研究というのは絶対必要だし、当時議論になったのは、研究班 員の方に10万円とか20万円の研究費を差し上げて研究推進になるのかという議論がも のすごくあったんですけど、そうではない、金額の問題ではなくて、こういう班研究を 組織することによって、症例を正確に把握するのが大事であって、いわゆる基礎的なラ イフサイエンスの研究と違って、金額の問題ではないということで言ったのですが。  それで、総論から入って会長に申しわけないと思っていたのですが、やはり私は以前 の調査研究の趣旨に戻って、できるだけ我が国の難病の方を網羅的に把握して、専門家 がしっかり病態を把握したデータをつくるのが病因解明の一番早道ではないかというこ とで、ぜひ新たな総合科学技術会議でも、めり張りのきいた重点的な研究というふうな ことがありますが、やはり見直して、今、図の2の中の現在の研究の体制を、私は横断 的基盤研究というのは十分必要だし、その中で重点研究というのは出てくるかもしれな いけれども、最初から公募でこういう画期的な研究ができるからといって、本当に採用 して重点的な研究費を配分していいかどうか。だから、もうちょっと対応についての論 点の(1)はともかくとして、(2)で、できるだけ拾い範囲で拾う。その場合の研究計画の公 募枠を設けるというふうにありますが、これは個々の研究者が応募して、その研究者が 捉えている患者さん群のデータではちょっと問題がありますので、公募枠といった場合 には、恐らくできるだけ広い範囲の難病の患者さんは把握できるような、そういう研究 計画の公募を立てていただきたい。  それから、通常は公募だと2年とか3年が期限ですので、そういうものではなくて、 公募枠でも見直しというのは当然必要ですけれども、機械的に2年、3年で従来の研究 費みたいな感じでの見直しではなくて、息の長い調査研究が続くような、それを奨励し ていただきたいということです。非常に総論的なところで申しわけありませんでした。 ○金澤会長 ありがとうございました。大変大事な御指摘をいただいたと思います。前 にオガワ先生が座長のときにも、そういう根本的な、かなり重要な議論をした覚えがご ざいますし、今、矢崎先生がおっしゃった、我が国が誇るべき研究の方法であるという こと、そして、その成果が積み重なっていったんだということの理解は大よそ得られて いるのではないかと理解しています。具体的なことも含めて今御指摘をいただいたので すが、今の論点はかなり議論しやすいんじゃないかと思いますので、皆さん方からどう ぞ。 ○辻委員 私も総論のところで少し議論したいと思いますが、やはりこの事業の到達点 なり、果たすべきミッションは何かということは大いに議論した方がいいと思います。 今、希少性疾患の病因を明らかにして、病態を明らかにして、治療につなげるというこ とが何よりも必要だということがあって、それを実現するために、この事業で何を果た すべきかということは、私はやはり徹底的に議論した方がよいと思います。  こういう多施設共同研究型のようなグループ研究型の仕込みというのは大変ユニー クなものだと思いますし、海外にはあまり例がないと思いますが、では、その仕組みを 本当にフルに生かし切れているかというと、私は検討すべきところがいろいろあると思 います。確かに、多施設共同で病態の把握とか問題提起をするとか、そういう臨床的な 観点から行う役割というのは大変重要だと思いますが、もう1つの柱として、これだけ 科学技術が進んでいるわけですから、病態に切り込むために、どういうことを行えばい いかということはやはり議論すべきだと思うし、また、予算の枠とか、いろいろなこと もありますから、そういう中において、最も効率のいい方策は何かということも議論し た方がよいと思います。その点で、まだまだ十分でないところがあると私は思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。 ○笹月委員 私も、矢崎先生がちょっとおっしゃったように、まず患者の把握、特に希 少疾患の場合には、患者の把握。それから、各病態を把握して診断基準の確立。それか ら、いわゆるバイオリソース。血清とか血球をきちんとプールする。それと、疫学的な 調査をその次に行うというふうにして、ストラテジックにやるとすると、いきなり高額 の班をつくらなくても、まず最初は患者の把握、診断基準の確定ぐらいのところからス タートすれば、少しのことで幅広い疾患を対象としてスタートできるのではないかと思 います。それで、ある程度いったところで、ここに1つ横断的な疫学に関する研究とい う班がありますけれども、これが個別研究的であってはだめで、本当に難病全体をカバ ーする疫学研究班として、もっと強力な、あるいはスタッフもそろえた、本当に難病の ための疫学班としての横断班を強化するというふうに、ステップを考えてやるのが大事 じゃないかというふうに思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。 ○大野委員 今、疫学の話が出たのでちょっと追加したいと思います。調査研究をする に当たりましては、いろいろな疾患名が研究対象になっていないものも含めながらリス トリングされているわけです。名前はあげてありますけれども、必ずしもその疾患の診 断基準や重症度分類も含めて、まだ整っていないのがあるわけです。したがって、各班 は、診断基準をまずきちんとそろえていただくということをしない限り、疫学調査をい かに一生懸命やろうとしても、収集されたデータが必ずしもそれに該当した疾患患者が つかまるかどうかとなると疑点があります。ぜひ各臨床班の先生方のところで、診断基 準をもう一度、つくってあるもの以外の疾患に関しても見直しながら、ぜひ作業をして いただけたらということを私、一番願っております。 ○金澤会長 逆の立場からはそうですね。ほかにいかがですか。 ○齋藤委員 先ほどからの議論の続きですけれども、一番いいのは全体の研究費が増え ることだと思いますけれども、それは事務局に努力していただくとして、一定の研究費 の中でどうするかということになれば、やはり資料6にありますような、まずどこかの 班に入れることができるものは似たものは入れるということで、もちろん、これはたし か3年ずつの任期だと思うのですけれども、その班長になった方が、すべてを万遍なく やらなくても、取捨選択して集中的にこの3年間に何をやるということで、ほかのもの については頻度とか、そのぐらいにとどめているというやり方が1つあると思います。  それから、先ほど矢崎先生が言われたとおり、私も重点研究分野というのは、これを 実際見ても、資料4の3枚目ですけれども、これを評価しても、実際、臨床研究班と班 員がかなり重複している班もありますし、やっていることも、どちらでやっているかわ からないようなこともあるんですね。それが1点。  それからもう1つは、文部省の研究費でやった方がいいようなものもありますし、あ るいは、医師主導型の臨床治験でやった方がいいようなものもあるし、非常に多様性が あるので、これを評価というか、1年ごとじゃなくて、数年以上やっているので、全体 の評価をして、できればもっと削るといいますか、限定的にして、そのお金を使うとい うような、現実的な工夫としてはそのぐらいしかないと思うのですが。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○辻委員 少し具体的な提案もさせていただきたいと思うのですけれども、幾つかぜひ 重点的に取り組んだ方がいいと思うことがあります。1つは、笹月先生がおっしゃいま したことと関連するのですけれども、これだけの研究班で臨床情報と、例えばバイオマ ーカーなり、あるいはゲノムなり、そういうさまざまなリソースを含めたものが集積で きて、それがすべての研究者が利用できるようなシステムがあればすごく良いと思いま す。日本にはそういう仕組みは全くないし、米国などは幾つか、例えばCoriel Institu teにかなり集まっています。希少性疾患というのはやはりある程度のマスで研究リソー スがないと進みませんので、具体的に研究リソースを集積することと、それが広く利用 できるという形を実現するのは大切なことであると思います。頻度の高い疾患のリソー ス情報は比較的容易ですが、希少疾患のリソースをある規模で集めようと思うと、こう いうフレームワークじゃないとできないわけですし、そのときの研究だけじゃなくて、 5年後、10年後まで役立つためのリソースという観点で、その仕組みをぜひ作って頂き たいと思います。  それからもう1つは、実は希少性疾患の診断というのはだんだん難しくなってきてい て、疾患にもよるかもしれませんけれども、非常に精緻な、生化学的な酵素活性の測定 方法を必要とするとか、遺伝子検査でもそうかもしれませんが、こういう希少疾患の診 断の体制というのは今、日本では非常に弱体化してきています。例えばライソゾーム病 にしても酵素活性が測定できないような状況になってきているわけでして、では、そう いったものをどういうフレームワークで実現していくかということも、例えば先進医療 とか、あるいは保険収載するとか、もう少し別の形でもっていくとか、考えていく必要 があります。希少疾患の診断技術がだんだん維持できなくなりつつあるというふうな危 機的な状況もあると思いますので、私はその2点を具体的に検討いただいたら良いので はないかというのが提案です。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。先ほど矢崎先生も齋藤先生も、資料4の 3枚目の重点研究について少し御議論が集中しておりましたけれども。 ○本田委員 幾つか申し上げたいのですが、1つは、資料8で、小児疾患が非常に多い ですよね。半分ぐらい小児疾患ですね。私は学術会議で障害の認定の勉強をしているの ですけど、身体障害とか、精神障害とかありますが、発達障害というのがない。だから、 小児のいろいろな疾患を、生活支援という意味で、発達障害というふうにまとめてはと 思います。原因追及という面じゃなくて、生活の不便さを助けるという意味では、発達 障害というカテゴリーがあってもいいのではないかというのが1つです。  次は、高久先生が10年ぐらい前にこの問題を整理されたときは、研究班の仕事がマ ンネリ化していたということから、テーマを具体的に絞って、研究者の数を減らし、疾 患の本質がわかるなんて3年間でできるはずないんですけれども、3年間でこれだけの プログレスがありましたと、具体的なテーマについてやっていこうというふうになった と思うんです。それが、10年ぐらいするとまた前に戻ってしまって、何か漫然と疾患の すべてをやっているという感じがしています。 最近、班の報告書を読ませていただいて、 膨大な論文があるものの、その目的とするところが、本当に4つの要件を追求するため の研究だろうかと非常に疑問に思うことがあります。その目指すところが、文部科学省 の研究費が要求するところと同じようなところにある。せっかくお金を難病のために獲 得したわけですから、文科省の研究費とは違うという所を絶対に主張しないといけない。 逆に、厚労省側も文科省の研究を見て、難病を研究材料としている研究を探し出したら よい。どちらも国の研究支援だと思います。だから、この研究費だけじゃなくて、文科 省の研究費の中でも難病の研究がたくさん行われているわけです。だから、この研究費 の、国の科学研究費全体の中の位置づけということをいつも見ておかない。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○朝倉委員 文部科学省の研究は、病態とか、病気に対する研究と思うのです。しかし、 厚生労働省の仕事は病気をもった患者さんを中心とした研究です。ですから、疫学的研 究も1つの柱になりますし、診断法も非常に重要で、過去30年間、診断法が日本ではか なり進歩したと思うのです。事実、欧米の教科書を見ても、診断の項目は余り十分に書 いてありません。内科学教科書とか、そういうのは、むしろ日本のこういう厚生労働省 の診断の方が非常にきめ細かく書かれていると思います。  それから、もう1つ大事なのは、やはり矢崎先生が言われた、少数の患者さんから集 めていきまして、大勢が持ち寄ると、そこに何らかの共通点が見い出されて、そして新 しい病態の研究、あるいは診断の研究、治療の研究が始まるわけですから。そういう意 味で特定疾患が貢献したものは非常に大きいと私は考えています。これが、今は末端の 病院とか、あるいは診療所の先生方の治療とか診断に非常に役立っていると思います。  それから、今、本田先生が言われたように、これはやはり評価が少し甘いのではない かと思うんです。研究費を与えた、その研究目的にとってどのように評価を行ったかと いうことの評価を十分にやらないと、それをあいまいにすればマンネリになってくるわ けです。ですから、その辺を十分にやっていただいて、そこの中から次のステップはど のように進むべきかというふうに決めていった方がいいかと私は思うんです。特定疾患 は、日本の稀な疾患の診療に非常に役立ってきたと私は考えております。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○笹月委員 本田先生がおっしゃいましたけれども、私はやはり、だからこそ患者の把 握、病態の把握、診断基準の確立、それから患者の血清あるいは血球などのバンクの確 立、要するに一年一年の努力が将来へ向けての蓄積にならなければいけないと思うんで す。だから、いきなり重点とか、個別研究ではなかなか成果の蓄積ということにつなが らないので、私はもう一回原点に戻って基盤を確立するというところにスタートポイン トを置いて、一年一年の積み重ねが本当に将来へ向けての成果を生む、その土台づくり ということをもう一回考えた方がいいんじゃないかと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○猿田委員 今、笹月先生がおっしゃいましたが、私も長い間、委員をやっていまして 一番感じることは、やはり私ども委員がいけないんだと思うのですが、もう1つ、各班 の1つの中に入り込んで、かなりわかってしまっているいろいろなことがずいぶんある わけです。それをもう少し整理して、焦点を見直す時期だと思います。ところが、いつ も毎年1年で表面的なことだけをやっている。根本的に各班がどこまでわかって、これ からどうしていくかということをちゃんとさせていかないと、毎年同じことを繰り返し ているだけのような感じがするんです。ですから、今、重点研究も出てきましたけれど も、やはり似たところがございますものですから、ここはここまでわかったんだという ことで、本当にわからないところにもっと焦点を絞っていくべきだというふうに思いま す。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○北島委員 2点発言させてください。まず最初の1点ですが、疫学的なことで先ほど 御意見がありましたが、それに関して資料6の対応についての(2)についてです。ここで はまだ取り上げられていない疾患について、希少難治性のため1人では少人数の患者さ んしか扱っておられない先生方が集まって、その代表者がまず診断基準をつくるという 趣旨の公募に応募して、その後、疫学の方に入ればいいと考えられます。ですから、下 側の○の公募ではこの点を明確にすることが必要じゃないかと思います。  それから、私、昨年まで6年間、4疾患の希少難治性皮膚疾患研究調査の班長をやっ ていたのですけれども、そのときに診断基準は、3年ごとに見直して、ここ6年の間に 2回改訂しましたが、遺伝子診断などはかなり進みまして、それを診断するための予算 が必要になりました。それで、私たちは班の中で1ヶ所に決めて、そこに集中的にお金 を出してやってきましたので、公募のところも、診断基準をつくるための、診断のため の高度な保険が認められない検査項目を入れた広く行うスクリーニングするというよう なものをつくったような方法と予算にするということが大事かなと思います。  それから、上側のすでに特定疾患や研究対象疾患に入っている疾患についてですけれ ども、これまでやられてきた班の研究は、恐らくそのレベルまではいっていると思いま すが、文部省との違いは、文部省の場合はある程度過去の結果が出て、更に飛躍的に出 ると予測される過去の発表論文とか、そこの教室、あるいは研究室の技量とか、その他 を配慮した、かなり成果が見えるものに対して与えられることが多いのですが、難病の 場合、どうやってアプローチしていいかという病気がたくさんあります。 私たちがやっ ている4つの病気うち、2つはかなり病因研究も診断と治療研究も進んだんですけど、 あと2つはなかなか進まないです。それは、みんな寄ってたかっていろいろやるんです けれども、だんだん進み診断基準まではいくけど、やはりどうやっても病因、発症機序、 治療法が決まらない。これに関する研究は文部省に出しても予算は取れないですね。で すから、その希少な難病の、しかも診断基準を作った先はどうかわからないという疾患 については、厚生省でしかやれないと思うんです。それについての評価のあり方は、全 く文部省とは違ったやり方をしないとこの種の疾患の研究はなくなってしまうのではな いかと危惧するわけです。評価の点と今後の募集の具体的な点について申し上げさせて いただきました。 ○金澤会長 どうもありがとうございます。 ○溝口委員 矢崎先生がおっしゃったように、ちょうど変革期に苦労した班長の一人で すけれども、班員を減らせとか、1人当たりは少し多くするというけれども、その額も なかなか十分ではなくて苦労させられた覚えがあります。この重点研究が先ほど問題に なっていたので見ますと、かつてはゲノム全盛期でしたから、かなり基礎的研究が多か ったんですけど、最近の研究テーマを見ましたら大分内容が変わってきて、 かなり医師 主導の新しい治療研究、あるいは予防の方の研究という流れに変わってきているんじゃ ないかという気がします。私は、医師主導の治療研究を実際に経験したけれども、なか なか難しかったんです。やはりこういうものがきっかけになればいいかなと思います。 ただ、それはこの研究費だけではとても足りませんね。やはりほかの資金と国のお金が 混ざってはいけないというようなうるさいことがあるようですけれども、その辺はもう 少し自由度を高めて、医師主導の治療研究をここを基盤にして進めるような方向がいい んじゃないかと私は思っています。 ○金澤会長 ありがとうございます。重点研究についてのお話が幾つかありましたけれ ども、ちょっと事務局に聞きたいんですが、この委員会での議論が難治性疾患克服研究 事業の構造に関わることまで議論して、それをつけていいんですね。つまり、お金をど こかでプールしなければできないようなことをいろいろお話しいただいたけれども、そ のソースとして何があるかというと、今の議論を見ると、重点研究を少し見直してとい う話になりそうだけれども、総合科学技術会議に説明してきた関係上、それはあり得る んですか。 ○林補佐 全体の研究資源の状況については、資料の中で御説明をしたとおりでござい まして、私どもも大幅な増を要求をしてがんばってまいりますが、全体の状況は状況と してあるということでございます。研究の大きな構造について仮に議論すると、少しい ろいろな仕掛けも必要だと思いますので、まず今回の論点として御議論いただくことと、 またさまざま御意見をいただいて宿題として勉強させていただくことと少し振り分けて いただければと思います。 ○金澤会長 わかりました。大変大事な議論をいただいておりますので、これは事務局 の方でよく消化して、 何らかの形で実現の方向に近づけてもらいたいというふうに思い ます。  今日の目的は、資料6の下の2つの○について、先ほどの議論はございますけれども、 もう一度戻っていただいて御議論いただきたいと思います。 ○矢崎委員 最初に私が申し上げたのは、もしかすると少し組みかえて予算を調査研究 の方に持ってきたいという意味で申し上げたわけで、ぜひそこをやっていただいて、私 としては、少し幅を広げて事業を展開してほしいと。そのときには、やはり個々の研究 者が申請するのではなくて、その領域を代表する方が応募されるような仕組みと、それ から、2年で終わりということではなくて、少し経緯を見てやるということ。  私は、この調査研究というのは偉大なマンネリだと思いますよ。だから、やっている 内容が、総合科学技術会議が求めているような成果を出そうとしてやっているのがマン ネリであって、調査そのものはやはり継続すべきものであって、そこをマンネリという 評価というのはちょっとおかしい。これは、マンネリと言われればマンネリだけど、厚 労省が継続すべき事業であって、調査研究というのはしっかりやるけれども、その意味 では、私はできるだけこういう治療が不明な疾患についての実態を調べて把握するとい うのは、やはり厚労省としては一番大事な研究ではないか。  ただ、研究費ですから、調査だけということであれば、先ほど御議論があったように、 少なくとも診断基準をしっかり定めて、それを常にリバイズしたアップデートなものに 必ずするとか、あるいは笹月先生のおっしゃったバイオリソースを、それは個人情報の 問題がありますけれども、必ず匿名化して、ちゃんとソースとして置いておく。そうい う何かきっちりした目標を定めた研究事業にされたらいいかなと。そうすれば、厚労省 らしい仕事だということで、総合科学技術会議も通るんじゃないかというふうに思って、 できればなるべく広くやることによって、その領域の研究者のインセンティブの意識も 高まりますし、そういう疾患に光が当たってくるので、私個人的にはぜひこれを推進し ていただければというふうに思います。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。 ○宮坂委員 今の矢崎先生のお話に関連するし、笹月先生のお話にも関連するのですけ れども、私も難病班の班長をしましたけれども、班の継続は普通は3年なんです。結局、 さっきの例えば患者のデータベースの話にしても、バイオリソース、あるいはバイオリ ポジトリーな話にしても、個々の班でできることではないんです。結局、3年終わると、 それはなかなか引き継がれないでそこで終わってしまう。ですから、データベースをち ゃんと保管するところをきちんとつくる。それから、バイオリソース、あるいはバイオ リポジトリーのシステムをちゃんとつくる。これは個々の班でできることではなくて、 難病の中でむしろ全部に共通することですから、そういう仕組みをつくらないと、これ はいつまでたっても話は先にいかないと思うんです。ちょっと議論とかみ合わなくて申 しわけありませんけれども、個別ではどうにもしようがないことだと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。非常に大事なことをいろいろお伺いしているんで す。それで、この会の後ですが、私も事務局にもぜひ言いたいし、前々から言ってきた ことでもあるし、これはもう一度少し考え直していただかなければならないことだと思 いますが、それはそれとして、今日やらなければいけないことはぜひ御協力いただきた いのです。  1つは、患者さんの方々から大変強い要望のあります対象疾患、これは治療研究では なくて、研究対象としての疾患でありますが、類似の病態をまとめて対象にしてはどう かという御議論に対してどう答えるかということをまずは御議論いただきたいと思いま す。これは資料6の3枚目が例でございます。 ○桐野委員 今までの議論と関連するのですが、要するに、調査の継続性(スタビリテ ィ)の問題と、研究の変化する状況に対する対応の仕方の双方をやらなければいけない から問題が難しくなっているということです。更に、ダイナミックに拡大していくとい うことが許されるのであれば話はスムーズにいくのですが、全体の縛りがある状況下で ダイナミックにアサインしていくということは、上がるところがあれば下がるところが あるという構造をつくらない限りできないんです。したがって、この研究には非常にス テイブルにずっと続けていかないといけない研究と、ある局面においてかなり重点的に お金を投下しないといけない局面があるので、ステイブルにやっていかなければいけな いところのコストパフォーマンスを上げる以外に方法はないと思います。コストパフォ ーマンスを上げるということは、それぞれの班がおやりになっていることをどこかが、 例えばデータベースの管理とか、バイオリソースの管理などを引き受けてやるようなこ とは難しいかもしれませんが、仮にできれば、特にバイオリソースは難しいかもしれま せんが、いろいろなデータを管理するような、コストパフォーマンスのいい方法を考え る。例えばセントラルオフィスみたいなものができるかどうかわかりませんけれども、 そういうものがあれば、コストパフォーマンスを上げられて、アイドリング状態の研究 については少し額を下げられる。そして、もし余裕が出れば、その分についてはダイナ ミックに振り分けていくというようなことも考えられなくはないなというふうに感じま した。 ○金澤会長 ありがとうございます。先ほどの御議論の続きだと理解いたします。先ほ ど私が問いかけた問題について少し議論していただきたいのですが。 ○草間委員 今、類似疾病をまとめてというようなお話でしたけれども、確かに診断と か治療とか、そういった形でやると、それぞれの難病個々のということになるかと思う のですけれども、先ほどちょっと治療というお話があったと思うんですけれども、患者 さんの立場から考えたら、今のADLをどう改善していくか、あるいはQOLをどう改 善していくかというのも大変重要なことじゃないかと思います。それで、ちょっとこれ を見せていただきますと、特に横断的な研究の中で、社会医学研究の中で、QOLにつ いては、「特定疾患患者のQOL向上に関する研究」と1つあるだけで、これは下を見 ていただくとわかりますように、運動系のものがあり、血液系のものがありという形に なると、少なくともQOLに関しても、少し病態でカテゴライズしたような形のQOL 研究に結びつくような横断的研究に拡大していただくと。 ○金澤会長 実は、それぞれの、例えば精神神経であるとか、あるいは感覚器であると か、あるいは機能性疾患であるとか、そういうところに特別にセンターがございまして、 そういうところで委託費を使っての研究が幾つか行われています。そういう中で、実は QOLのことはかなり行われているんです。ですから、ここでやるべきかどうかという ことに関してはちょっと議論があるだろうと思います。そういうお答えをせざるを得な いんだけれども。 ○矢崎委員 ですから、1番目の○は、私は委員の方で御異論はそんなにないのではな いかということで。 ○金澤会長 それをいただきたいのですが。 ○矢崎委員 どうでしょうか。 ○齋藤委員 これはさっきから賛成しているのですが、ちょっと事務局に伺いたいのは、 2ぺージにポンチ絵がありますね。 (3)のその他の難治性疾患のところ、これは具体的に は、疾患を決めずに実態把握等のための調査研究。 ○金澤会長 これはまだなんです。今、上の○を議論しています。 ○齋藤委員 ごめんなさい、わかりました。上の○は、先ほどから議論があるように賛 成です。 ○金澤会長 つまり、これが、例えば3枚目のこの例の中で●が対象になっていないわ けですね。●、つまり原発性側索硬化症と進行性球麻痺、こういう病名がついてしまっ た方も残念ながらおられるわけですが、そういう方がはじかれちゃっているわけですね。 研究対象になっていないということになっている。しかし、ALSに関しては当然なが ら研究されているわけですから、そういう中にこれも入れてちょうだいということなん です。 ○齋藤委員 それは全く問題ないんじゃないでしょうか。 ○金澤会長 問題はないと私は思いますが、それでよろしいですね。 ○齋藤委員 ええ。 ○金澤会長 ほかに例がありますか。むしろ、それを言っていただきたいんです。 ○齋藤委員 そうですね。そうすると、資料8にたくさんある病気の中でどこかに入る ものがあるかどうかという、その辺は事務局で整理されていますか。 ○林補佐 事務局からの御提案としては、先生方からそういった方針で進めていいとい うお許しをいただければ、各研究班にお伺いをして、研究班の研究分野にある程度一致 をするというものを研究していただく。結局は、そこの研究者がやってくださるかどう かというところが鍵を握ると思いますし、また、素人目よりも研究分野はかなり細分化 している面もございますので、実際にはそのような形でお諮りできないかというふうに 思っています。 ○金澤会長 先ほどのような例を提示して、ほかに、それぞれの班で広げるとすればど ういうものがあるかということを考えていただくということで、また皆さんに最終的に は御意見を伺うとして、そういう方向で進めるということでよろしいですか。 ○大野委員 全く異論はないのですけれども、こんな病気もあるよ、こんな病気もうち の班の中に入っているという話はよくよく聞くことがあります。しかし、それを調査を してくださいと言われたときに、先ほども申し上げたように、やはり適確な診断基準が なければ何ともなりませんので、それもぜひ一緒に入れてお考えいただけたらと思いま す。 ○金澤会長 それは次のステップなんです。わかりました。ありがとうございます。  さて、それでは、次が公募枠を設けるという資料6の下の方の2番目の○ですね。こ れについては、新たな提案ですけれども、このソースは何を考えているの。新しくソー スを持ってくるんですか。その辺の実態がよくわからないので、たぶん皆さん迷ってい らっしゃるんだと思うけれども。 ○林補佐 かしこまりました。これから、この御議論をこの時期にやっていることの理 由の1つは、今、予算要求のプロセスにそういったことを乗せていくということが1つ の理由でございます。他方、今、御議論を伺っておりますと、まずやはりやらなくては いけないところは、いきなりコウガクな班をつくるということより、むしろ患者の把握 であるとか、診断基準の確立、実態の調査といったところであるという御意見をたくさ んいただいておりますので、もしそういうことでのあるとするならば、もちろんそれで もリソースは必要なわけですけれども、今いろいろなやり繰りの中で、まずはそういっ たコンパクトな形から始めていくというようなことができないかということも1つの選 択肢だと思っております。 ○金澤会長 ありがとうございました。今のお答えでおわかりのように、予算要求にも 関わるかもしれないけれども、少なくともやれる範囲でやるということですので、どこ にソースを求めるか議論しなくもいいということです。これに関して、先ほど少し御議 論いただきましたけれども、どうでしょうか。 ○朝倉委員 第1の項目が決まったわけですけれども、そういうことで類縁疾患をまと めて班で研究していくと、ある面が出てくると思うんです。そこで、そこから重要な項 目があれば、それを立ち上げていくという考え方が一番いいかなと思っております。と いうのは、神経系の疾患というのは日本では分類が一番細かいんです。そこから発達し ましたから、このようにいろいろな分類をされて、患者さんから見れば全く同じような 感じになるわけです。そこに学問と実際の臨床の場との違いがあるのではないかと私は 考えております。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○辻委員 質問ですが、ここでおっしゃる研究計画の公募枠というのはイメージがはっ きりしないところもありますが、特定疾患については、先程から議論されているように、 継続性が非常に重視される一面もあると思うのですけれども、これはそうじゃなくて、 例えば3年とかで終わってしまうような、そういう重点的な研究というものを意味して いるのでしょうか。あるいは、そういったものはまた更に継続していくということなの でしょうか。そのフレームワークがよくわからないのですが。 ○金澤会長 説明しますか。 ○林補佐 そこの部分については、つまり研究を継続的にやるか、それとも順次やって いくかというところについては、御意見も幾つか承りましたが、一長一短あるというふ うに思います。たくさんの疾患をそれぞれ研究してほしいというお声もあるでしょうし、 他方、あるものについて継続的にやってほしいというお声もあると思いますので、そこ は御意見もいただきたいと思いますし、また考えていかなくてはいけないことだと思っ ております。 ○金澤会長 これは既存の班と全くインディペンデントにやる部分もあるけれども、か なり関係しながらやった方がいいものとあると思うんです。その辺についてはあなた方 は今どう考えているの。 ○林補佐 既存の班の研究者と相当に重複するような。 ○金澤会長 重複ではないけれども、関連する可能性があるんですよね。 ○林補佐 1つ、類似の病態については既存の班で取り込んでいただくということが前 提ですので、この部分については、余り今までの既存の班と関連が強くはない病気の方 が多いのかなという印象を持っております。既に123の対象になっているものについて はもちろん対象としないという前提の上です。 ○金澤会長 もちろんそうですね。 ○林補佐 その上で、研究の計画を選定するときに、うまく選んでいく必要はあると思 います。 ○金澤会長 方向性としては非常にいいけれども、かえって事が非常に複雑になってい る危険性があるような気もするので、その辺はちょっと議論していこうと。 ○笹月委員 1つの提案ですけれども、例えばかつてこの班長を経験されたようなシニ アな方をまず中心に据えて、その下に新たに加えるべき疾患の専門家を班員として入れ て、その人たちに患者の把握、病態の把握をするグループをつくってもらう。本当は今 ある既存の班の班長会議みたいなものがあって、それを括るのはまた上に1人誰かシニ アな人がいるという、そういう構造をとれば、本当に難病全体の疫学をどうすべきかと か、ゲノム解析をどうするのかとか、そういう議論ができるんじゃないかと思うのです が、今回は新たな疾患についての専門家を班員にして、シニアな人が上にいて、それぞ れの疾患に関する専門家が1つのワーキンググループみたいなものを形成して、患者の 把握、病態把握、それから診断基準の確立の方向へ向かう。何かそういう組織づくりが 必要だと思います。 ○谷口委員 独立法人の評価があったものですからちょっと遅れました。私、長年、特 定疾患懇談会の委員をやっていまして思うことは、継続性というのが非常に重要で、し かも、患者の実態把握は、この班を通じてでなければできないという面があります。た だ、既存のものに関しては、割に小さな手直しでいけると思いますけれども、全く新た に追加して、研究していくと場合には、疫学調査から、診断基準から何から全部、最初 からやらなければいけない。その専門家がそのときの班の班員の中に居られない場合も あるんじゃないかというふうに思います。そうすると、同時並行的に一緒にやっていく ことが困難な場合が多いのではないか。そういう意味では、今、笹月先生がおっしゃっ たような、どこかで全体を見て、どの研究班でどの疾患を扱うか、あるいは新規疾患の 実態把握がどのような状態か。どのぐらいの患者さんがおられて、どういう症状なのか という、そういう実態把握ができて、ある程度研究の体制が整ったら研究調査の方に進 むという、段階的なストラテジーをとらないといけない。だから、笹月先生がおっしゃ ったような、二重構造になるかもしれませんが、特に新たにつけ加えるものに関して、 何か整理統合する組織があった方がいいように私も思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。非常にいいサゼッションだと思いますが。 ○本田委員 私も、横断研究というのはわかります。これは絶対必要だと思いますけれ ども、重点研究の中には、先行の班と類似しているものがかなりあると思いますね。総 額が決まっているのであれば、ここからある程度のお金を捻出しないと現実的に動かな いと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。先ほど笹月先生がおっしゃったこと、それから谷 口先生がおっしゃったことをレスポンスしますと、資料4のカテゴライズされていると いう表がありますね。このカテゴリーというのは、つまり一番上でいけば血液系という カテゴリーで、次は免疫系、こういう系というのは、何かその単位で動いたことがある んですか。 ○林補佐 これはそういうことではなくて、わかりやすいように書かせていただいてい るものです。 ○金澤会長 つまり今、笹月先生がおっしゃったのは、 それで動いてもいいわけですよ ね。 ○猿田委員 ただ、班によっては、例えば内分泌系は絶対全部の班が一緒にならなけれ ばいけないということで統合的なことでやっていますから。 ○金澤会長 やはりそういうところもあるわけですね。 ○猿田委員 ええ。やらないと、どこか抜けてしまうところがあるということ。ですか ら、今、金澤先生がおっしゃったように、系で責任者を絶対つくっていくことが大切だ と思うんです。 ○金澤会長 そうですね。それが1つの方法ですよね。 ○溝口委員 これは、 たしか私が班長のときに、改革のとき系が分かれたんだと思いま す。そのときは、お互いに連携をもってやるようにという話でした。 ○金澤会長 実際連携はありましたか。 ○溝口委員 ええ。私、上の方の特発性造血障害の班長でしたけれども、最初は血液凝 固の班会議にも行ったり、それから、つくる報告書の色なども話し合いで決めるとか、 いろいろ相互に系としての統一性を保つようにという話が出てきたんです。それが、そ の後何年かたったらバラバラになっているような気がします。 ○金澤会長 その辺がうまく動けば、先ほどの連携というのは可能になりますね。 ○谷口委員 実は、この系の中で、現在研究はされていないけれども、ちゃんとスクラ ップ・アンド・ビルドをして、まだ研究の進展が進んでいないので、もうちょっとため てからという入れ替えを数年以内にやるというような仕組みを一番最初につくったわけ です。ところが、一旦動き出しますと、誰かがそれをコントロールしない限り難しい。 あるいは、公募が本当に基準で公平に選んだときに、目的志向的的にいけるかというと、 なかなかそれもいけないですね。だから、もう少し強化した体制にしないとだめという 感じですね。 ○金澤会長 公募というのが突然出てきているんだけれども、結局、今のものだけで十 分かという疑問から出てきているわけでしょう。それを公募という形でピックアップし ようという形でこうやって提案してきているんですか。課長、ちょっと説明してくださ い。 ○梅田課長 まさに、私どもも先ほど谷口先生がおっしゃった段階的なストラテジーと いうのと近い考え方で提案させていただいているのですけれども、既に今動いておらえ る臨床調査研究分野ごとの、いわゆる系であるとか、その下にある研究班というのは、 一定の研究基盤を既に持っておられて、その中で濃淡をつけながらいろいろ研究を何十 年にわたりやってくださってきたと思います。それ以外に、疾患概念は確立しているけ れども、まだ体系的な分析が必ずしも臨床の専門家の先生が御覧になっている患者さん の情報を体系的に集めて分析するような、そういう研究基盤といいますか、それがつく り切れていないものがあるのではないかという問題意識を持っておりまして、そういう ものについて研究を奨励して、それは、その後そういう実態が明らかになっていくにつ れて、また系という分類の中の研究班ということにいずれ変わっていったり、あるいは、 そこから新たな問題の提起がされて何か重点的なものに結びついていくかとも考えられ ますが、今、余り触れられていないようなものについても光が当たるような、何かそう いう仕組みを手挙げ式で、余り疾患の限定列挙ということではなく、拾える仕組みもあ り得ないかということでお諮りしているところでございます。 ○齋藤委員 そうすると、やり方としては、今ある既存の班以外に、例えば米国のNI Hにオフィス・オブ・リアディジーズというのがあって、そこにたくさんいろいろな疾 患が入っています。ですから、この中にもう1つ、その他といいますか、総合診療科み たいなところをつくって、そこに一旦入ってもらって、それで少し整理してから各診療 科に入院するというようなことでしょうか。 ○金澤会長 1つの案かもしれませんね。 ○矢崎委員 最初に私が総論的に言った公募という問題点は、1つは、この研究の性質 上、個々の研究者が手を挙げて応募するのはいかがなものかと。それから2番目は、や はり期限を決めてやる問題かどうかというのを議論しないといけない。1番目の問題点 は、先ほどから議論がありましたように、手挙げ方式でワッと集めるのかどうか。総合 診療科方式にするのか、あるいは、どこかある程度情報を集めながら、先ほど谷口先生 からあったような、全国的なある程度のサーベイをやった上で、やはりあるところで完 全な公募枠というわけではないのではないかということ。それから、ある程度決められ たら、それはある程度見守っていただきたいという、この2点。  ただ、私は事務局にマイナス意見ばかり言っていたような気がするんです。というの は、先ほど予算を獲得しなければいけないといって、資料7の絵を見ていますと、私の 言っていることはほとんど出ていなくて、やはり病因解明治療ということじゃないと予 算は取れないのかなと。厚労省本来の力というのは、もっと違うところにもあるんじゃ ないか。だから、ここはどうなんですか。やはり治療は絶対大事ですけれども、その前 に、先ほど患者さんのQOLとか、どういうふうにケアをしていくかとか、そういう研 究もあると思うので、本当にこれだと。でも、金澤先生は総合科学技術会議の委員でも いらっしゃったので、そこでは文科省的な議論で。 ○金澤会長 そうじゃないですよ。 ○矢崎委員 ただ、厚労省は直接患者さんに接している役所ですので、ぜひまた金澤先 生にはそこのところを。 ○金澤会長 今のような御意見が実は極めて大事なんです。それを事務局にワンワン言 っておきますと、総合科学技術会議で事務局もきちんとしたことを言えるんです。です から、今のような議論というのは非常に大事な議論で、彼らも非常にやりやすくなると 思いますので、ぜひやってください。 ○矢崎委員 でも、実際通じるんでしょうか。そこが心配で。 ○大野委員 それに関連しまして、昔からの懸案で、疫学班では臨床調査個人票という のを利用しようということで、私の班長役が終わってからやっと集められたんですよね。 ところが、幸か不幸か、EU絡みの個人情報保護法というものが出てまいりまして、集 めたのに全く使えない状況が発生しました。死蔵されると言っては申しわけないのです が、各都道府県等々から集めた個人調査票が、まだ厚労省のどこかにあるかもしれませ んし、各班長さんの方へ行っているかもしれません。また、各班長さんの大学のどこか に眠っているかもしれません。がん登録とも関連して、個人情報保護法という壁が、疫 学という仕事の上で大きな弊害になっているという事実をぜひどこかで議論していただ かないと、ブレークスルーがストップしておると私、実に感じております。せひ厚労省 で大きな声でその点を指摘していただけたらと思いますので、よろしくお願いします。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○林補佐 今の点、簡単にコメントさせていただきますけれども、特定疾患治療研究事 業の臨床調査個人票につきましては、その後、まず無記名でコンピュータ入力していた だいて集めるという仕組みをつくらせていただいて、今は問題なくどの研究班も使える ように、研究に役立てていただいているということが1つ。  もう1つは、御本人の同意を得るということを進めてきておりまして、今は特定疾患 治療研究事業に参加をするためには、その同意を必須とするという形で、患者さんの同 意に基づいて研究班に使っていただくという仕組みを整えてございます。  あともう1つ、話が戻りますけれども、未研究の難治性疾患について研究をする際に、 どういうサポートをしていくかという点でございますが、今、疫学の班と臨床調査研究 班ではかなりいろいろ協力関係を築いていただいておりまして、大野先生もやってくだ さっていたと思いますけれども、各臨床調査研究班が疫学調査を行うときに、疫学の班 がサポートをするというようなこと。例えば、こういうやり方でやるというような技術 的な支援であるとか、あるいは研究協力者として1人派遣していただくとか、そういっ たいろいろな各班の協力関係というのはあると思いますので、そういったことも含めて、 やり方はいろいろ工夫できるのではないかと思っております。 ○金澤会長 ありがとうございました。公募ということについて、新しい疾患、まだ研 究の対象になっていない疾患について公募をということについて、いろいろ御議論をい ただいているわけですが、やはり笹月先生がおっしゃり、谷口先生もそれをサポートさ れたような、系の中で少しシニアな方々にも御協力いただいて、そういう中でまずは議 論していただく必要がやはりあるんじゃないでしょうか。 ○笹月委員 文科省の例えばがん特定とか、脳の特定研究などに総括班というのがあり ますね。ああいう組織を難病特定の総括班みたいなものを持って、そこで各班長が集ま り、あるいは横断班的なところと連携して、何かそういう組織を考えるのは、本当に効 率よく、せっかくこれだけのお金が出ているものを有効に使うという意味では重要なこ とじゃないかと思います。 ○金澤会長 今のような御意見はどうですか。総括班でいいかどうか。昔、何かあった ような気がしますね。 ○笹月委員 それは何も例の文科省の真似をするんじゃなくて、新しい、何か全体を見 通すことが大事じゃないかと。 ○金澤会長 その役割はここがやっているんじゃないですか。先生、それはこの会なん です。 ○笹月委員 だから、この会じゃないかなと。金澤先生が。 ○金澤会長 いわゆる総括に関わるのはこの委員会だと私は思います。むしろ系が動い ているかどうかだと思いますね。 ○谷口委員 総論ではなく実務的に上から見る人がいないといけないですね。班長に任 せておくと、やはり自分の得意なところをやりますが、そうじゃなくて、それを俯瞰的 に見れる、系全体を見れるということで、私は系でいいんじゃないかと思うんです。 ○金澤会長 系でしょう。系なんですよね。私も、当面は系がいいと思うんです。 ○笹月委員 今ある既存の系ですと、例えばクローン病は消化器疾患、それから膠原病 はまた別のグループ。だけど、あれは全部、自己免疫疾患なんです。だから、系で括る とすれば、やはり免疫とか自己免疫という形で括らないと。 ○金澤会長 だから、それを考えるのは、ここで考えてもいいんじゃないですか。 ○笹月委員 そういうことはそれでいいんでしょう。 ○金澤会長 屋上屋を重ねていくとえらいことになるので、ここでサブグループをつく ってもいいじゃないですか。そこで例えばサブの先生が親分をやればいいんですよ。要 するに、ちょっと構造のことを言いましたけれども、しかし、今あるのをもう少し機能 を広くするということで、これはできるんじゃないかな。公募するにしても、系が責任 を持って、方向性をある程度出した上で公募するということもあり得るわけでしょう。 ○笹月委員 だから、科研費だからすべからく公募じゃないといけない大原則がありま すよね。だけど、公募する前に、班なら班できちんとつくって応募させる。そうしなけ ればだめですね。 ○金澤会長 公募という思想はそういうことですか。 ○林補佐 公募するときには、いろいろ研究課題としてどういうふうに書くかとか、あ るいは留意点としてこういう条件で応募してくださいというようなことを明記した上で、 それにかなっているものを応募していただき、また、かなっているものを採択するとい うことでございますので、研究班のイメージはこういうもので、そのときにはこういう ところと協力をして、こういうやり方でやってくださいということで応募していただく ことは可能だと思います。 ○金澤会長 ありがとうございました。 ○溝口委員 厚労省の研究費の中に、最近、指定研究というのがありますね。テーマを 決めておいて公募するという。 ○金澤会長 あれは研究委託費の場合じゃないですか。違いますか。こういうのは大丈 夫なの。 ○溝口委員 レギュラトリー・サイエンスなどの場合にありますけれども。だから、そ ういう流れがある程度こういうところで決められて、テーマが決められて公募するとい うのはあり得るかなと思うのですが。 ○林補佐 指定研究という枠組みは、研究代表者を役所の方で決めるということになり ますので、その人しか研究できないというものでないと。 ○金澤会長 役所とは限らないよ。こういうところで決めても構わない。 ○林補佐 そうですね。そのとおりでございますが、そういうことでございますので。 ○金澤会長 余りやりたくない形なんですよね。本当に必要な場合だけですよね。 ○矢崎委員 ここの先生方は、皆さん班研究でいろいろ苦労されているので、先生がお っしゃるように、金澤先生がもう一肌脱いでいただいて、ある程度そういう方向性を決 めてやらないと、各班長先生でいろいろ議論すると、また時間もかかりますし、いろい ろな課題が発散してしまう。ベクトルが1つにまとまらないので。ですから、一応そう いう認識のもとで、では、 ブレークダウンして具体的にどうするかということは考えて いただいて。 ○北島委員 やはり公募という形はとっていただいた方がいいかなと思うんです。とい うのは、今はインターネットが発達していますから、公募すると日常患者さんに実際に あたっている現場の医師から直接アイデアが出てきて、たぶんまだ分類されてない難病 みたいな、あるいは無理に分類して不本意な診断と治療を行っている疾患についてのニ ーズが出ると思います。これはまた患者さんの要望もふまえることが出来ると思います。 例えばこういう主旨の研究に関する公募システムがあるというのをアナウンスされると、 大学病院や教育指定病院での現場の医師が、一定の希少難治疾患の小さい研究会などを 作って、応募してくるという可能性もあり、それを受けつけるという姿勢というのは必 要で、上から決めてしまうと、ちょっと偏りができるかなと危惧されます。ただ、網羅 的に募集基準を決めると先ほどのようにいろいろな危険もありますけれど、広く公募す るという主旨は見えるようにしていただいた方がいいかなと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。 ○谷口委員 私はステップワイズにいかないとうまくいかないんじゃないかと思ってい るんです。特に、全国調査の患者実態把握も不十分で、もちろんメカニズムもわからな い状況で独立した班を作るのは意味がない。ある程度班として成り立つのは、患者の人 数など実態が割りにわかった状況じゃない限り公募に応ずることもできない。だけど、 患者さんの要求はそうじゃなくて、もう少し下のレベルからどうやったら吸い上げるこ とができるか。どうしたら土俵に乗ってくるのだろうかということを心配になっている と思うんです。それには、やはりある程度、こちらから、この病気については今のとこ ろよくわからないので、まず全国調査からやりましょうと。その場合には、専門のお医 者さんがいなくても、それに関連している人を選んで調査をして、ある程度のものを積 み上げていくという、そういう方式がいいと私は思うんです。  仕組みとして、もちろん公募も必要ですけれども、そうじゃない仕組みもやはり考え ておいて、網羅的にいけるような形をつくる必要があるんじゃないかと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。たぶん両方取り入れることは不可能じゃないと思 いますので、そこはお受けいたしましょう。現実には、若い人の変な脳炎で、何だろう 何だろうと。1施設1〜2人ぐらいずつ経験していたのが、実は卵巣の奇形腫によるも のだというのがわかってきたりする世の中ですので、意見を突き合わせてみたら大体そ の方向が出てくるというようなことですから、そういうことを考えますと、公募の部分 と、その業界できちんと議論しておられるものの、数は少ないので余り多くの人の関心 は呼ばないけどというようなものがだんだん出てくる。そういう両方の仕組みを持って いる方がたぶんいいだろうと私も思いますので、そこは事務局とまた相談して。  どうですか。そろそろまとめないといけないけれども、具体的に今後のことを進める のはどうしたらいいか説明してください。 ○林補佐 どうもありがとうございます。今、2つの点について御議論いただきまして、 1つ目の点については、概ね先生方の御賛同をいただいてございますので、これについ ては対象疾患の類似の病態の研究対象疾患への追加について、現在の各研究班の意向を お尋ねしたいと考えております。その結果として、各研究班が対象として取り込めると いう疾患があれば、次回の特定疾患対策懇談会で、4要件を踏まえて、難治性疾患克服 研究事業の対象疾患としてふさわしいかどうか、先生方に御検討いただきたいと考えて おります。  もう1つは、未研究の難治性疾患について、それ以外の疾患についてどうしていくか という点については、例年の厚生労働科学研究の新たな研究班をつくっていくプロセス、 公募を含めて、そういったプロセスに乗せていかないといけないわけですけれども、今 いただいたような御意見も踏まえて、具体的なところについては、詰めながらまた御相 談もさせていただきたいと思っております。 ○金澤会長 ありがとうございました。大体今までのまとめはそういうことですが。 ○本田委員 評価をちゃんとやりたいですね。例えば論文に謝辞が書いてあるかどうか を調べた先生がいて、ほとんど書いていないとの指摘がある。本当に所期の目的が3年 たってどうなったかということをレビューをしてから委員会に上げるというシステムを ぜひつくっていただきたい。そうすると、みんなに緊張感が出てくると思います。 ○金澤会長 大変大事な御指摘ありがとうございます。  それと、今日前半に少し議論をいただいたことで、やはり重点研究に関しての疑義と 言ってはいけませんけれども、問題点が指摘されたということはかなり重要視していた だきたいと思います。それが1つ。  もう1つは、矢崎先生もおっしゃいましたけれども、難病研究、特に実態調査と診断 基準その他、そういう問題を、総合科学技術会議とおっしゃったけれども、そういうと ころで、相手は前へ前へ進む人たちですから、なかなか理解してくれにくいところであ ることは間違いないですね。私も実はかなり説明はしているんですけれども、あなた方 からもぜひ継続的に説明をしていただきたいと思います。それが1つ。  もう1つは、やはり研究費を全体に増やしていただくように、患者さんたちのために も、ぜひ今後もなお御努力いただきたいということであります。  何か全体を通して御質問、御意見ございますか。 ○辻委員 今日もバイオリソース・レボジトリーという意見が大分出ましたけれども、 今後そういったものを、予算要求も必要であると思いますし、継続的にこの会でも議論 していくことができるといいのではないか。すぐに実現というのは、予算のこともあっ て難しいかと思いますが、でも、非常に大事なことなので、議論するテーマにできれば と思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。ちょうどあと数分あるので、できれば個人的意見 を言わせていただきたいんですけど、厚労省に属している6つのセンターがこれからた ぶん法人化の方向に向けて動くだろうと思いますが、そういう中にぜひリソースデポジ ットリーとしての役割もぜひ入れてほしいと実は思っているんです。それで、この会か ら一言そういうことを言っていただくとすごくいいなと実は思っているんです。 ○谷口委員 それに関連して。実は、我々は原発性免疫不全症の研究班と連携を組みま して、免疫センターで全部、ゲノムのシークエンスも解析もお助けをすると。それで、 PIDJという臨床と基礎を統合したデータベースをつくりました。米国のジェフリー ・モデル財団が早速それを聞きつけて、「理研ジェフリー・モデル原発性免疫不全症診 断・研究センター」を昨年の1月に開所しました。同じ病気をもっている人は世界じゅ うにいるので、やはりインフォメーションとして、デポジットリーセンターも含めて、 そういう活動をやっていくことが重要だと思って、始めました。基礎と臨床と一体化し ない限り、理想的な形にはなりません。この点、先生が今おっしゃったように、各国立 センターでそういうものをつくっていただけると非常にいいんじゃないかと思います。 厚生省に新しくデポジットリーセンターをつくれというのはなかなか難しいと思います。 それは、デポジットリーのセンターだけでは機能しないんです。やはりファンクション と一緒にやらないとだめなので、それは、今おっしゃったナショナルセンターにつくる のがいいのではないかというふうに思います。 ○金澤会長 班長さんが代わってもなお継続できるという意味ではね。  ほかに何か御自由な御意見を。 ○辻委員 そのときに、やはりどの研究者もアクセスできるといいますか、そういうと ころをぜひ仕組みの中につくった方がいいと思います。米国はCoriel Instituteで集め ていますが、そういうのも1つのあり方だと思いますので、研究者のところに集まるだ けではいけないというふうに思います。 ○谷口委員 それは全くおっしゃるとおりで、ただ、運用の問題として、今、13大学が 参加していますけれども、その13大学の中で現在やっていまして、問題点がなければ一 般開業医まで広める、そういうスタイルにしています。更には、アジアの方にまで広げ るというのが今回の目的です。 ○金澤会長 ありがとうございます。ほかに何か。別な議論でも結構ですが。よろしい でしょうか。  それでは、今日は活発な御意見、どうもありがとうございました。最初のあたりはど こへいってしまうのかわからなかったんですけれども、何とか収束しました。どうもあ りがとうございます。 (終了) (照会先)   厚生労働省健康局疾病対策課   TEL 03(5253)1111 内線 2351・2981