08/05/23 第1回議事録 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政 のあり方検討委員会(第1回)議事録      日 時:平成20年5月23日(金)16:00〜18:00      場 所:厚生労働省 省議室 ○医薬品副作用被害対策室長 それでは定刻でございますので、ただいまより「薬害肝炎事件の 検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会(第1回)」を開会いたします。  本日は舛添厚生労働大臣が出席する予定でございますけれども、ただいま衆議院厚生労働委員 会に出席いたしておりまして、終了しましてからこちらに参る予定としてございます。到着され ましたところで大臣からごあいさつを申し上げることにさせていただきまして、会議につきまし ては始めさせていただきたいと思います。  申し遅れましたけれども、私は医薬食品局総務課医薬品副作用被害対策室長の梶尾と申します。 本委員会の座長が選任されますまでの間、事務的な進行をさせていただきますので、御協力よろ しくお願いいたします。  会議の開会に当たりまして、御出席の委員の紹介をさせていただきます。座席の順に紹介をさ せていただきます、  薬害肝炎全国原告団、泉祐子委員でございます。  国際医療福祉大学大学院教授、大熊由紀子委員でございます。  はばたき福祉事業団大平勝美委員でございますけれども、ただいま厚生労働省の別の委員会に 出ておりまして、終わり次第こちらに駆け付ける予定でございます。  東京大学大学院薬学系研究科、医薬品評価科学講座、准教授、小野俊介委員でございます。  全国消費者団体連絡会事務局長、神田敏子委員でございます。  長野赤十字病院院長、清澤研道委員でございます。  医療法人西城病院理事、清水勝委員でございます。  日本製薬団体連合会安全性委員会委員長、高橋千代美委員でございます。  統計数理研究所、リスク解析戦略研究センター長、椿広計委員は御欠席でございます。  獨協医科大学学長、寺野彰委員でございます。  国立循環器病センター病院長、友池仁暢委員でございます。  明治大学法科大学院教授、西埜章委員でございます。  大平委員と同様、遅れて見える予定ですけれども、全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人、 花井十伍委員でございます。  薬害肝炎全国原告団、福田衣里子委員でございます。  帝京大学医学部附属病院腫瘍内科、講師、堀明子委員でございます。   日本病院薬剤師会会長、堀内龍也委員でございます。  財団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)事務局長、間宮清委員でございます。  弁護士の水口真寿美委員でございます。  特定非営利法人日本気候政策センター理事長、森嶌昭夫委員は本日欠席でございます。  最後に、東京大学大学院医学系研究科、臨床試験データ管理学特任准教授、山口拓洋委員でご ざいます。  続きまして、出席しております厚生労働省の職員を紹介いたします。  医薬食品局長の高橋でございます。  大臣官房審議官医薬担当の黒川でございます。  医薬食品局総務課長の中澤でございます。  同じく審査管理課長の中垣でございます。  監視指導・麻薬対策課長の熊本でございます。  安全対策課長の松田でございます。  続きまして、まずこの委員会の座長についてお諮りをしたいと思います。座長につきましては 大臣の意向も踏まえまして、事務局から提案をさせていただければと思いますけれども、座長に つきましては寺野彰委員に、また座長代理につきましては本日御欠席ではございますけれども、 森嶌昭夫委員にそれぞれお願いしたいを思いますけれども、委員の皆様方、いかがでございまし ょうか。 (拍手起こる) ○医薬品副作用被害対策室長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様の御了解が得られ たということで、寺野座長、森嶌座長代理ということでお願いをしたいと思います。寺野先生、 座席の移動をよろしくお願いいたします。  それでは、以降の進行につきましては、寺野座長にお願いをしたいと思います。ここまでの進 行につき、御協力をいただきましてありがとうございました。 ○寺野座長 ただいま座長に選任いただきました寺野であります。今、獨協学園の理事長と獨協 医科大学の学長をしております。4〜5年前までは消化器病学の教授をしておりました。よろし くお願いいたします。  この非常に重要な委員会の座長ということで、非常に重圧を感じて、大変緊張しておりますけ れども、だんだんとリラックスできるかなと思っています。委員の皆様の御協力を得まして、こ の委員会の任務であります事件の検証と再発防止のための医薬品行政の見直しの検討と議事を円 滑に進めまして、よい成果を出してよい提言ができればと思っております。御協力よろしくお願 いいたします。  それでは、最初に議事に入ります前に、配付資料の確認をお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 配付資料でございますけれども、議事次第、座席表、委員名簿の ほかに資料1の横向きの紙が4枚ものです。  資料2とそれの参考資料という若干厚目のものがございます。  資料3が1枚紙でございます。  本日御欠席の椿委員から資料に対するコメント、5月21日付のペーパーが出ております。  配付資料は以上でございます。不足しているものがありましたら、お申し付けください。また この後の説明の中で落丁等ありましたら、御指示いただければと思います。よろしくお願いいた します。 ○寺野座長 それでは、時間もありませんので、議事に入りたいと思いますが、最初の議題は、 薬害肝炎事件の検証についてということであります。資料が用意されておりますので、まず事務 局から御説明をお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 資料1につきまして説明をいたしたいと思います。4枚ものの資 料1を御用意いただければと思います。資料1「薬害肝炎事件の検証の体制及び進め方等につい て」という資料でございます。  検討委員会の設置の背景ということで、1行目でこの委員会は、薬害肝炎事件の発生及び被害 拡大の経過及び原因等の実態について、多方面からの検証を行い、再発防止のための医薬品行政 の見直し等について提言することを目的としているということで、1つは、薬害肝炎事件の検証 ということ、(2)で今国会の施政方針演説にも盛り込まれているわけですけれども、再発防止のた めの医薬品行政のあり方の検討という2つの役割を担う委員会。この2つの役割をどのようにや っていくのかということについて、本年3月17日の原告・弁護団と厚生労働大臣との協議、及 びその後の調整を経て、この2つの役割を担う委員会を一体のものとして発足させることになっ たということが、この委員会の位置づけということでございます。  参考までに1月15日の基本合意書の中で、「国(厚生労働省)は、本件事件の検証を第三者 機関において行うとともに、命の尊さを再認識し、薬害ないし医薬品による健康被害の再発防止 に最善、最大の努力を行うことを改めて確約する」という文章が、基本合意に盛り込まれている ということで紹介してございます。  その2つの役割、任務についてどのように進めるのかということが2ページ目でありますけれ ども、事件の検証の体制及び今後の進め方についてということで、(1)検証の体制、2つの役 割のうち、薬害肝炎事件の検証については、基本合意書で今、御紹介しましたように、「国(厚 生労働省)は、本件事件の検証を第三者機関において行う」ということになっております。 ので、この検証作業は、第三者たる研究班を組織する。そしてその費用というのは厚生労働科学 研究費補助金を交付して実施するという形にしたいと考えております。  なお、この第三者たる研究班につきましては、この委員にも入っていただいております堀内委 員に主任研究者になっていただき、また実際の作業は、株式会社野村総合研究所に作業を実施し ていただくという形で作業を行うということを考えています。  勿論検証について、研究班、野村総研にお任せしっ放しという話ではございませんので、それ ではどういう関係で進めていくのかというところが(2)であります。この検討委員会と研究班 の関係、及び今後の進め方についてということで、(2)のアでございますけれども、検証につ いては、(1)検証作業内容、どういった調査項目であるのかについて、この委員会でまず定める。 案は勿論ございますけれども、この委員会でまず定める。(2)それに基づいて、研究班において資 料の収集・整理等の作業を行って、その作業をもとに、秋以降になりますけれども、順次この委 員会で議論を行う。それを踏まえて更に調査研究を進めて研究班としての報告書を取りまとめる という作業が行われる。  一方で、再発防止のための医薬品行政の見直しの検討、あり方の検討につきましては、ウのと ころに、最終的にはこの事件の検証を踏まえた全体のまとめ、提言というのがあるわけですけれ ども、現在の安全対策の体制というのは、平成8年あるいは14年の制度改正、法改正を基礎と して行われているわけですけれども、早期実施が必要と考えられる安全対策などの見直しについ ては、夏の概算要求というのが1つの節目としてあるものですから、それに間に合うようにこの 委員会で集中的な検討を行って結論をいただくということをしていただけないか。  そして、その上で先ほどのお話にもありました、秋以降はその間に行われました作業内容をも とにした事件の検証というのをこの委員会で議論をしていただくわけですけれども、ウに記載し ておりますように、アにおいて研究班でまとめた報告書をもとに、事件の検証を踏まえた再発防 止のための医薬品行政のあり方について、今年度末を目途に提言を行うといったことを、この委 員会でこの1年間の形で、そういう手順でやっていただけないだろうかというふうに考えており ます。  (2)ア(1)に記載しました、「検証作業内容について本委員会で、まず定め」という部分につ いては、どういう内容になるのかということで、次の3枚目、4枚目であります。この3枚目、 4枚目につきましては、会議の進行の便宜上、私の方から内容を紹介いたしますけれども、これ は研究班、野村総研において今後どのような作業を行っていくかについて整理をしたというもの であります。本日御意見等をいただけましたら、それを踏まえて、研究班そして野村総研の方で 作業を行っていくためのたたき台という資料の位置づけであるということをまず申 し上げたいと思います。  3枚目でありますけれども、「検証事項別検証作業内容(案)」ということで、検証1として、 全体の事件の経過の年表をまず整理をして、事実の確認をしていく。  検証2のテーマというのは、薬害肝炎拡大の実態ということですが、どういう製剤の使用実態 なり感染実態なりか。これは現在、厚生労働省の方で、様々な調査もしておりますので、それを 整理していくようなことが中心になってくるかと思います。  検証3はこの間、行政はどういう対応であったか。  4は医薬品供給事業者、メーカーはどういう時期、どういう状況であったか。この辺りにつき ましては、事実がどういうことであったのかということをしっかりと整理をしていくということ がポイントになってくるかと思います。  次のページに進みまして検証5というのは、肝炎の危険性、重篤性、感染の危険性、重篤性、 知見の進展状況がどうであったか。また臨床現場ではそれがどのように使われていたのかといっ たことについての検証。  こういった事実関係の整理というのが、3、4、5になってこようかと思います。  そして6というのがそれぞれの時点での制度はどういうものであり、またその後どういった制 度改正が行われてきたか。現在の制度はどうなっているかというようなこと。  7は外国はどのような対応、状況であったか。  そういった事件の経過について事実の整理とそして現在の制度と外国の制度等を参考にして、 そうすると最後にまとめとして、システムとしてどのようなことが提案できるか、検証の結果を 踏まえてどういうような提案ができるかという視点からの薬害拡大防止策の提言を行う。こうい ったような作業、そして研究をしていくということでどうかというようなペーパーが出ていると いうことでございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。ただいまの説明に対して御質問、御意見をいただきたい と思うんですけれども、別紙の部分につきまして、検証事項別検証作業内容(案)というのがご ざいますが、これについては、資料の位置づけ上、質問に対して厚労省の事務局から直接この場 で回答するということではなくて、ここで出された意見を踏まえまして、今後、先ほど御紹介あ りました、堀内委員の研究班、そして野村総研におきまして、資料収集・調査等の作業を行うと いうものだということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。  また堀内委員の方からお答えできる範囲においては、お答えいただくということになるかもし れません。よろしくお願いいたします。  それでは、御質問、御意見を御自由にどうぞ。お名前を一応言ってください。 水口委員 今、お伺いしました検証作業と研究班の関係について、少しわかりにくいので、確認 をさせていただければありがたいと思っているのですが。  今、拝見しましたところでは、こちらとしては秋までは基本的な研究班の報告を待つ、検証作 業については研究班の報告を待って、秋からそれを踏まえて検討するという趣旨の御説明があっ たかと思うのですが、この研究班でされる検証の内容は、その後のこの検討会での討議といろい ろな提言をつくる上での基礎となる資料収集とか整理といったもので、非常に重要であると思う のです。  そういう意味では、秋までの間に、少し進捗状況というか、そういったものを、透明性を高め て適宜この検証会議に出していただきたい。秋になってからどっと、ここまで来ましたというこ とで出していただくということでなくて。どういうことを対象に(今日、基本的なものは出てい るようですけれども、これだけではまだ具体性に欠けるものですから)、それぞれの項目につい て、具体的にはどういう資料に当たろうとしているのかとか、どんな項目を、さらに細かくどの ぐらいのことを、調べようとしているとかということを、中間的に。  今、伺っているところでは6月にまたさらに2回会議があるということです。そういった会議 の席で、適宜その時点での進捗状況を御報告いただいて。それをいただけば、例えばこちらでも 具体的なものを見れば、もう少しこういう項目も検証対象に加えてほしいとか、こういうことを 調べていただけないかというようなことも浮かんでくると思うのです。その辺りを少し、できる だけ公開の場に、進捗状況が出るような運営の工夫をしていただければありがたいというふうに 思っておりますが、いかがでしょうか。 ○寺野座長 はい、どうぞ。 ○医薬品副作用被害対策室長 私どもとしてもそういった形でやって、いろいろ御意見をいただ きながら作業を進めた方がいいと思いますので、そういった方向で、堀内先生、総研の方とも相 談をして進めていきたいと思います。 ○寺野座長 そうですね。貴重な御意見をありがとうございます。そういう形で進めさせていた だくということです。どうぞ。 ○堀内委員 ただいま研究班の責任者がやれというお話でした。大変重大な仕事だろうと思って おりますので、荷は重いんですけれどもできるだけのことをさせていただきたいというように思 っております。  御指名があったばかりで、研究班等の構成についても、まだはっきり案がありませんのでこの 次の会議までに何とかつくり上げたいというように思っております。できるだけ客観的なデータ を収集して、今お話がありましたように、途中でもお話ができれば幸いであると思っています。 どのくらい資料が集まるか、一生懸命やってみたいと思っています。 ○寺野座長 堀内委員には大変な御苦労をかけますが、よろしくお願いいたします。  そのほか御意見ございますか。どうぞ。 ○清水委員 多分検証5か6の辺りに入るのかと思うんですが、ちょっと明確ではないので確認 したいんですけれども。血液製剤関係ではこの10年ちょっとの間、非常に安全対策が講じられ て、それなりの成果が相当に上がっていると思うんです。  問題はそれで今ちゃんと行われているかどうかということと、また新たなるリスクが出た場合 にそれに対する対策というのが、今まで行われてきた対応で十分に対処できるのか。そういうよ うなところを検証する必要があるのではないかと思うんです。  ですから、この検証5か6のところに、そういう項目を明確に入れ込んだ検討を展開していた だきたいというように思う次第です。 ○寺野座長 よろしいですか。では御意見ということで。 ○西埜委員 西埜です。最初の検証の体制というところなんですが、第三者機関を設けるという ことで、その第三者機関において行うということになっているんですが、第三者機関性というも のが、ちゃんと確保できるような、そういうふうな体制に是非してもらいたいと思います。  完全に離れてしまうとまた意思の疎通がないということになってしまうんですが、余り近付い てしまいますと、今度はなれ合いになってしまうということもありますから、第三者機関性とい うところの確保は、割と難しいのではないかなという気がいたします。以上です。 ○寺野座長 何か意見ありますか。よろしいですか。 ○医薬品副作用被害対策室長 その辺りしっかり留意して進めたいと思います。 ○寺野座長 大変難しいところだと思うんですけれども。  そのほか、どうぞ。 ○大熊委員 予算を伺いましたら大体5,000万円ぐらいを上限にというふうに伺ったんです が、私たちが大学でいただく厚生科学研究費の額に比べると相当に高額でもありまして、その使 い道などについても、お教えいただきたいということが1つ。  それから、諸外国との比較という項目が設けられておりますけれども、C型肝炎以外も調べて いただきたい。これまでに日本では数々の薬害が起きております。それとの比較で、これまでの 薬害とどういう点は共通していて、どういう点がこのC型肝炎については違っているのかという のも、明確にしていただければというふうに思います。よろしく。 ○寺野座長 はい、どうぞ。 ○医薬品副作用被害対策室長 2点目は御意見ということで。1点目の予算の話は、研究費はこ れから計画をつくって申請をしていただくという形式になりますので、5,000万円を使うと 決まっているわけではなくて、そのぐらいまでは予定をし得るという話です。実際どういう研究 計画になるかというのは、今後申請が出てきてそれで額が決まると。よって内容が今どういうも のかというのが決まっているものではございません。 ○寺野座長 よろしいでしょうか。  はい、そのほかどうぞ。水口さん。 ○水口委員 もう1点ですが、これを拝見しますと、夏の概算要求に間に合うように集中的な検 討を行う項目というのがあります。多分これから、資料を拝見しますと、かなり市販後安全対策 に特化したものが出てくるやに拝見しているのですが。夏までに行う中間報告に必要な検討の資 料とか、それに必要な範囲でのいろいろな事柄の整理は、先ほどの研究班ではなくて、厚生労働 省の責任において行うというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○医薬品副作用被害対策室長 整理としてはそういうことでございまして、夏までの話というの は厚生労働省の事務局で資料を用意し、それをもとにした議論をいただくということで考えてご ざいます。 ○水口委員 それはこれからいろいろ資料をいただけると。 ○医薬品副作用被害対策室長 はい。 ○水口委員 その論点とそれから検証会議が最終的に行う提言をするのに必要な、9月の段階ま でに研究班が出してくださるというその検証対象は、重なる部分があるわけですね。基本的には 概算要求に必要な範囲の部分は、早急に厚労省が資料をお集めいただいてここで検討はするけれ ども、それ以外の部分やそこの部分をさらに深めるとか、そういったものは引き続き研究班の報 告対象になり、私どもの検討の対象になるという、こういう整理でよろしいのでしょうか。 ○医薬品副作用被害対策室長 頭の整理はそういう整理で御提案しております。 ○寺野座長 そのほか、どうぞ。 ○間宮委員 薬害肝炎拡大の実態のところなんですけれども。これは被害者の、肝炎の患者の方 々に直接調査とか対面調査とか、そういうことを行う予定なんでしょうか。 ○医薬品副作用被害対策室長 この部分は私の回答すべき部分ではないんですけれども、そうい うのを持つべきであるという御意見であれば、それを受けて、どういうふうな研究の仕方を考え るかということかと思います。 ○間宮委員 やはり詳しく調べるためには、対面調査も含めた検討をした方がいいなというふう に思います。 ○泉委員 薬害肝炎原告の泉です。今、間宮さんが言われたように、ヒアリングを是非この委員 会でしていただきたいというふうに思います。私たちもまだ聞いていない方もいらっしゃいます し、本来、人の命にかかわることがどうしてそういうふうになってしまったかということを検討 する委員会としては、被害に遭った方たちの生の声を聞く機会を、是非この委員会でつくってい ただきたいと思います。  そして、今、各委員がお話しされた検証の実態なんですけれども、委員という形とそれから被 害者遺族という形が私たちにはありましで、その中でいえば、C型肝炎というこの被害がなぜ起 きたのかというのをどうしても知りたいという強い思いがありますので、総体的に全体を見ると いう前に、このC型肝炎に関しての検証を的を絞って見ていただくような委員会、小委員会にし ていただければというふうに強く思います。 ○寺野座長 御意見ですけれども、何か当局、御意見ありますか。 ○医薬品副作用被害対策室長 委員会の運営については、当面夏までの作業という話と、その間 研究班の方で作業をやっていく。その作業の中でも対面調査、被害実態把握をという御意見があ ったので、それは研究班の作業の中で御検討をいただきたいと思いますけれども、今のは、この 委員会で、何かそういった声を聞くようなことをしたらという御趣旨でございますか。 ○泉委員 検証には、間宮さんが言われたように、被害の実態の声を聞かないと、やはり片手落 ちになる可能性もありますので、それは1つの参考として是非検討していただきたいということ です。 ○医薬品副作用被害対策室長 はい。 ○寺野座長 それはでは検討をさせていただくということですね。わかりました。  そのほか御意見ございませんでしょうか。どうぞ。 ○清澤委員 第三者機関の研究機関ということで、堀内先生が非常に御苦労をされるわけですが。 野村総研が担当されるということですが、私は内容的にはよく存じませんけれども、こういった 仕事にこういったところが、今までの実績があるのかとか、信頼が置けるのかとか、そういうよ うなところはちょっと知らないものですから、もしそういうところで不十分な場合は、もっと積 極的に幅広く情報を集められるシステムを、是非研究班ではつくられた方がいいかなというよう に思います。意見です。 ○寺野座長 堀内委員、御意見。 ○堀内委員 おっしゃることはごもっともだと思います。事務能力については、野村総研はいろ んな実績があると思います。相当研究班で、ある面でチェック機構的役割もするんだろうと思い ますし、どういうように検証あるいはデータの整理をやるかということについては、十分研究班 の中でも議論をし、またここでの御意見をいただきながら、実際の事務的なことを我々は短期間 でやらないといけませんので、膨大な資料になると思いますので、それは野村総研に担当してい ただくという形でやっていきたいというように思います。  それから研究班独自でまたいろいろなヒアリングとかということも、場合によると必要になっ てくるだろうと思っております。 ○寺野座長 清澤さん、よろしいですか。 ○清澤委員 はい。 ○寺野座長 その辺は若干柔軟に対応することもあり得るかと思いますけれども、基本的には今、 御返事があったとおりだと思います。 ○大熊委員 たびたび恐縮です。1つは研究班、堀内先生がすばらしい方だというのは、今回私 もいろいろ調べさせていただいて信頼しているのでございますが、ここにも何人か被害に遭われ た方がいらっしゃるので、その中からもお1人研究班員が入られた方がいいかなということが1 つ。  それから、もう一つは検証5のところです。厚生省、学会の対応経過とその問題点というのが あるんですが、学会だけでなく、特に産婦人科分野では産婦人科医会が、実際にはかなり影響力 を持っていまして、陣痛促進剤の被害などについては産婦人科医会が長年原因をつくってきて今 も改まっていないということがありますので、学会に偏重しないで、医療現場の日本の独特の様 子についても、これは8月にはとても間に合わないと思いますし、予算に反映ということでもな いかとは思いますけれども、真実の究明という意味では、お調べいただけるとありがたいと思い ます。 ○寺野座長 ありがとうございます。またその辺も検討させていただくということになるかと思 います。  そのほか御意見、御質問はございませんでしょうか。  時間が大分過ぎておりますので、ではこの議題1はこの辺にいたします。  それでは、事件の検証、それから医薬品行政の見直しの検討という2つの任務につきまして、 その体制、進め方については、ただいま御説明があった方法でスタートすることにいたします。 そして検証作業につきましては、資料1の別紙をもとといたしまして、ただいま委員の皆様から いただきました御意見に留意して進めさせていただくということでお願いいたしたいと思います。 よろしくお願いします。  では議題2でございますが、もう一つの任務である医薬品行政の見直しです。先ほどの資料に も記載されておりますが、早期実施が必要と考えられる安全対策などの見直しについて、先ほど 水口先生からもお話がありましたが、夏の概算要求に間に合うように、集中的な検討を行い結論 を得るということであります。事務局で現状と課題について資料を用意しているということであ りますので、まずその資料について、事務局から説明をしていただきまして、それをもとに議論 を行いたいと思います。  なお、大臣が来られますと、途中でちょっとストップするかもしれませんが、御了承をお願い いたします。それでは、資料説明をお願いいたします ○安全対策課長 安全対策課長の松田でございます。大変恐縮ですが、座って説明をさせていた だきます。  それでは、資料2に基づきまして、簡単に説明をさせていただきます。  1枚めくっていただいて、下にページが打ってございますので、1ページ目でございます。医 薬品に関する規制の主な動きということで、医薬品の市販後安全対策を中心にまとめさせていた だいた年表でございます。  この中で特に御紹介したいものは、例えば昭和42年から医薬品の副作用報告制度というのは、 最初、行政指導で企業報告、医療機関を対象としたモニター報告制度というのが始まったという こと。  昭和54年の薬事法改正で、後で詳しくは御説明申し上げますが、再評価制度・再審査制度、 あと先ほど申し上げた行政指導で始まった、企業の副作用報告制度というのが、ここで法律に基 づく制度となったということでございます。  また副作用被害の救済制度も、54年の法改正で制定されたところでございます。  平成8年度の薬事法の改正で、企業に対して、医薬品による感染症報告も義務化したというの が1つと、あとは海外でいろんな措置がとられたものについても、報告を義務化したところです。  平成14年にも、薬事法及び血液法の改正がございました。その中で血液製剤等の生物由来製 品の安全確保について、充実強化したところでございます。  また独立行政法人医薬品医療機器総合機構法が制定されまして、審査業務及び安全対策業務の 一部が医薬品機構で行われることになったところでございます。16年には医薬品機構が発足し たというような経緯でございます。  2ページ目をごらんください。2ページ目が、医薬品の基礎研究から治験、そして承認審査、 市販後までの主なプロセスをまとめたものでございます。開発から治験といったところにつきま しては、世界的にも大体同じようなやり方で行っているところでございます。ただし、承認後の いろいろな安全対策、我が国の安全対策は後でまた説明申し上げますけれども、各国の医療環境 等も踏まえて実施されているというのが現状でございます。  次、3枚目でございます。「医薬品の承認審査の流れ」という表でございます。医薬品の承認 審査につきましては、承認申請者の方から、資料等が出されるわけでございまして、独立行政法 人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の方では、薬効群別に内部の専門職員によるチーム審査 という形でまた一部、外部の専門家にも参画して頂いて審査が行われております。申請データの 信頼性というものについても、いろいろチェックもやられ、そうしたことを踏まえて、審査報告 書という形でまとめられて厚生労働省に報告され、それに基づき審議会で審議され、承認という ルートで行われているところでございます。  続いて4枚目でございます。4枚目は市販後安全対策の概要ということで、安全性に関する情 報の収集から分析評価までをまとめたものでございます。ちょうど真ん中のところに横線があり ますけれども、これが時間軸でございます。開発・承認申請、承認、そして販売、市販後、とい う各時点でいろんな情報が集められるというふうな図でございます。  先ほどお話し申しましたとおり、一番上にございますけれども、薬事法に基づきまして、企業 や医療関係者に対しましては、副作用、感染症症例の報告制度というものがございます。また 14年の法改正に基づきまして、血液製剤等の生物由来製品につきましては、感染症定期報告制 度ということで、定期的に感染症の症例や研究について、まとめて評価し報告をするようなシス テムができてございます。  また3つ目の○でございますけれども、承認の段階で、承認条件ということで、いろんな調査 や販売に当たっての制限というものも課しております。特に承認の段階までの知見が十分でない ものにつきましては、例えば全例調査を指示するとか、または小児の情報が足りなければ、小児 を対象とした調査をしていただくとか、販売にあっての制限ということで、例えば処方とか使用 できる医師とかを限定するとか、そういった制限というものも、承認条件で課すことができると いう状況でございます。  また下の方には、市販後のいろんな調査をまとめさせていただきました。新薬を承認して6か 月間は、市販直後調査制度というのがございます。新薬につきましては、医療現場で初めて使わ れるときは、非常に注意が必要だということで、市販開始の6か月後につきましては、医療現場 に対して適正使用のための情報提供をしっかりやっていただくことと、副作用を特に注意深く把 握していただくことが大事だということで、こういう調査もやっております。  あと再審査制度と再評価制度、先ほど昭和54年の法改正で導入されたと申し上げました再審 査制度につきましては、これは新薬について承認後4年から10年、通常8年でございますけれ ども、8年間の間に承認の段階でなかなか得られなかった情報を収集していただいて、それを踏 まえて有効性等を確認する制度でございます。再評価制度は、古い薬について医学・薬学の進歩 に応じて有効性、安全性、品質を見直す制度ということで、随時行うことができる制度でござい ます。  次に5ページ目をめくっていただきますと、安全対策の概要の(2)ということで、こうした前の ページで収集、分析評価された情報は、左側のピンクの枠にありますように、安全対策の措置を 検討することになっております。一番厳しい措置であれば承認の取り消し、次に承認内容の一部 事項を変更するといった策もございます。  一番件数的に多いのは使用上の注意の改訂ということで、医薬品の添付文書にある使用上の注 意を改訂するものです。  こういった対策を医療現場等へ情報としての伝達することが必要でございます。右側の方にご ざいますけれども、緊急性、重大性に応じていろいろなやり方で、医療現場等には、情報提供さ せていただいております。ここにありますように、厚生労働省緊急ファックス情報とか、あとは 緊急安全性情報(ドクターレター)ということで企業の方から重要な案件について、医療機関に 配布するというものもございます。  あとは厚生労働省の方から、医薬品・医療機器等安全性情報ということで、毎月1回、使用上 の注意の改訂になったもののうち、重要なものについて解説等を加えて情報提供をさせていただ いております。  さらに使用上の注意の改訂につきましては、企業の方から使用上の注意の改訂のお知らせとを、 いろんな形で情報提供をさせていただいているところでございます。  下の方には、安全対策措置とは関係なく、適正使用のための各種情報ということでまとめさせ ていただきました。一番基本となりますのは、添付文書でございます。添付文書につきましては、 これも後でも御説明いたしますが、医薬品機構のホームページでも、添付文書を見られるように なってございます。  副作用報告の症例概要ということで、厚生労働省の方に報告があります副作用報告につきまし ては、その概要を機構のホームページで、公開をしているところでございます。  あとは重篤副作用疾患別対応マニュアル、これは重篤な副作用毎に、いろんな情報を取りまと めたものでございます。  また、患者向けの医薬品ガイドということで、患者さんにわかりやすい情報提供を、各医薬品 毎に情報提供ツールとして作成しているところでございます。  6ページ目、「海外で講じられた安全対策措置情報等の収集方策」ということでまとめさせて いただきました。1ページでも御説明申し上げましたが、平成8年の薬事法改正で、企業に対し ましては外国での規制情報につきましては、厚生労働省への報告義務が課せられております。厚 生労働省におきましても、国内外の学術雑誌等を中心に把握し、また、外国ともいろんな形で情 報交換をしているという図でございます。  7ページ目、「副作用・感染症報告件数の推移」ということでまとめさせていただきました。 これは、先ほどからお話ししましたとおり、医療現場で発生した副作用報告については、企業を 通じて、もしくは医療関係者から直接厚生労働省に報告がされる形になっております。現時点で 3万例ぐらいの報告がございます。そのうち医療関係者からの報告というのが大体4,000件 ぐらいというのが現状だということでございます。  8ページ目でございます。医薬品に関する各種情報提供ということで、先ほどもお話しさせて いただきましたが、医薬品医療機器総合機構のホームページで、いろいろな医薬品情報を、提供 させていただいております。添付文書とか副作用症例の概要等、ここに書いてあるようないろん な情報が常時見られるようになっております。  またちょうど真ん中から下ぐらいにも書いてありますが、重要な情報についてはメールで情報 配信サービスということで、登録していただいている方に対して、情報提供させていただいてい るということでございます。  9枚目でございます。「医薬品安全対策業務の流れ」ということですが、医薬品医療機器総合 機構と厚生労働省の関係について、特に市販後の情報関係でまとめさせていただきました。  企業からいただいた副作用報告は、機構が管理しているデータベースに常時蓄えております。 そのデータにつきましては、機構の方で分析評価を行い、また必要に応じ専門家とも協議を行い ながら整理・調査を行っております。そしてその結果を踏まえて、厚生労働省で安全対策を企画 ・立案し、措置を決定する。措置した内容については、企業に指示するとともに、機構のホーム ページ等で広く情報提供をさせていただいているというふうな図でございます。  次の2枚、10、11枚目ですが、治験と市販後に企業に対する副作用報告制度があるという ことをお話ししましたけれども、企業が、副作用情報を知ってから厚生労働省に報告するまでの 期限が、法律で規定されております。それについてまとめたものでございます。  10ページ目が治験時の副作用について、11ページ目が市販後の副作用症例等についての規 定をまとめさせていただいたものでございます。  続いて12ページ以降が、外国との比較等についてまとめたものでございます。12ページ目 が、規制当局の審査・安全対策関係の人員の国際比較というものでございます。米国や欧州では 審査と安全対策部門とが、明確に切り分けられないこともありますものですから、まとめての人 数という形にさせていただいております。日本の方は、厚生労働省本省の審査管理課、安全対策 課、そして機構の方の審査部門及び安全対策部門の人数をまとめさせていただいております。日 本の審査関係の人員は、今、33+277ということで、310名でございます。この310名 につきましては※の2つ目にありますように、2007年度から3か年で新薬の審査人員を23 6人増員するということで、増員が図られております。それが達成されれば、483人になる予 定でございます。  安全対策部門については、本省の27人と機構の39人で66人ということで、審査と安全対 策合わせて、現時点376名ということでございます。  アメリカにつきましては、FDAは全体で1万人ぐらいいるということでございますけれども、 この2,900人というのは、ワシントンの本庁で薬の審査とか安全対策を行っている人数でご ざいます。  あと、欧州の方でございますが、欧州医薬品庁というのがロンドンにございまして、そちらの 方に大体440人ほどおります。ただ欧州の場合は、この欧州医薬品庁が個別の審査等をやるの ではなくて、実は英国、フランス、ドイツやスウェーデンといったEUの加盟国に各品目の審査 とか副作用報告の分析評価というものを委託いたしまして、その結果に基づいてEMEAが承認 の可否や安全対策を決定するというふうな形になっております。  そういう意味ではこのEMEAと主な4か国だけを合わせても、大体3,500人ぐらいいる というような状況でございます。  続きまして13枚目でございます。日米欧における主な医薬品安全対策という形で、表にまと めさせていただきました。日本では、先ほども説明させていただき重複しますので簡単にさせて いただきますが、副作用の情報については治験時もしくは市販後も報告制度がございます。承認 条件でいろいろな調査、または販売に当たっての制限もかけることがございます。  市販直後調査、これは日本だけの制度でございます。  あとは再審査表では、6〜10年と書いてありますが、4〜10年の間違いでございます。 再審査のために必要な調査というのが実施されますが、そういった調査の計画書というのは、承 認の段階で検討もされますし、またその調査結果については、安全性定期報告という形で、定期 的に規制当局に報告されることになっております。  再評価は、古い薬を見直す制度でございます。  米国、欧州でございますけれども、特に米国では副作用の報告制度については日本と同じよう な形になっております。ピンク色で、米国ではREMSという、リスク評価・リスク緩和戦略と いうのがございます。これにつきましては、後で簡単に 御説明いたしますが、最近の法律改正 で新たに導入された制度でございます。  あとは黄色の部分でございますけれども、やはり調査研究の義務付けとか、定期的安全性最新 報告、PSURというのが定期的に提出されるというのがございます。  欧州も比較的米国と同じでございます。REMSとほぼ似たようなものでRMP、リスク・マ ネージメント・プランというのが、これも欧州の法律の見直しが今されておりまして、その中で 提案されている制度でございます。  これが、日米欧の安全対策の簡単な比較でございます。  14ページ目に最近のアメリカの動きということで、御紹介させていただきます。アメリカで は昨年9月に、FDAの機能強化のために2つの法律が施行されたところでございます。そのメ ニューといたしましては市販後安全対策の強化ということで、先ほども御説明いたしましたRE MSというものを導入すること、あとはFDAが企業に対して、市販後試験とか調査を課すため の権限強化というのがされております。  また、2つ目の「・」でございますけれども、市販後リスク分析システムの確立ということで、 いろんな医療データのデータベースを活用して、医薬品のリスクを分析しようというふうな取組 みを、もっと強化するという話も出ております。  あとは患者、医療関係者への情報提供の強化とか、そのためのいろんな市販後安全対策を強化 するために、予算とか人員を増やそうといった動きがございます。   15枚目は、先ほどから述べたREMSというものを簡単に説明したものでございます。この REMSというのは、FDA改革法の中で導入されたものでございますけれども、これはすべて の医薬品に対してやるものではなくて、特にベネフィットがリスクを上回ることを確保する必要 があるものについて、企業に、資料を提出させて、その中でまたリスクを最小化するための管理 手法を取りまとめて、REMSとして提出させるものでございます。  そのリスクを最小化するための方策といたしましては、処方者や調剤者の限定とか医療機関の 限定、検査の義務付けといった、ここで四角で囲っておりますけれども、こういった措置を導入 して、できるだけリスクを最小化するための管理方策というものを採りましょうというのが、新 しい施策として進められております。  対象の医薬品が新薬であれば承認の段階で検討されますし、既承認の薬も必要があれば対象に なるということでございます。今年の4月末現在で。16の成分が指定されておりまして、具体 例で申し上げますと、日本でも承認されておりますが、がん性疼痛に使われるフェンタニルとい う、日本では麻薬として規制されてますけど、そういったものなどが対象になっております。  16枚目ですが、EUの方でも最近の動きとして法令の改正が予定されております。特にその 中で2つ目にリスク・マネージメント・プランを法制化するものがございます。リスク・マネー ジメント・プランというのは、これも新薬の申請時とかいろんな時期に、必要に応じて企業が行 政側に提出するものでございます。申請時等の既存のデータに基づいて企業の方が市販後の安全 監視プランを作成して、また必要な場合はリスク最小化プランというものをつくるというもので ございます。  リスク最少化のツールといたしましては、先ほどFDAのところでもお話ししたような処方規 制とか薬局での規制とか、そうしたものがメニューとして入っているというものでございます。 以上が資料2でございます。  資料3でございますが、事務局の方から特に再発防止に関して、早期の実施が必要な対策のた めの論点という形でまとめさせていただいたものでございます。  1番目にありますように、医薬品による健康被害の防止のために、既知の副作用というのは、 既に添付文書等で注意喚起がされている副作用でございますけれども、そういったものについて は、その発現をいろんな対策を講じることによって最少化すること、また、未知の副作用につい ては早急に検出して適切な措置を講じることが大事だということで、最近の海外での動きを踏ま えて、どのような対策が必要か検討する必要があるだろうと思っております。  (1)としては情報の収集及び評価ということで、一つ目は副作用等報告の分析評価の充実・ 強化が必要ではないかということ、先ほど申しました年間3万例に及ぶ副作用報告についても、 しっかり評価することが必要でないかと思っております。職員の専門性を高めたり、薬効群ごと の専門チームの導入なども考えております。  あと、海外規制当局との連携強化ということで、例えば常時、人を派遣する等の形で連携強化 を図るというのも大事ではないかと思っております。  あと、疫学手法の導入等ということで、先ほどアメリカでも医療情報のデータベースを使った 安全対策をもっと強化しようという話がございましたけれども、日本でもこういった新たな手法 の活用というのも必要ではないかと思っております。  副作用報告制度の活性化ということで、特に医療関係者からの副作用報告については、もっと しやすい体制というのも考える等、活性化を図る必要があるのではないかと思っております。  (2)として、安全対策措置の実施ということで、いろいろ講じた安全対策が本当に有効であ ったか否かというのは、やはりフォローアップをしていくことが大事なのではないかということ でございます。  (3)でございますが、情報の伝達、医療機関・患者への情報の発信ということで、今、機構 のホームページ等でいろんな形で情報提供をさせていただいておりますけれども、もっと効果的 な方法というのも検討する等、強化する必要があるのではないかと思っております。  (4)ですが、市販後における医薬品の継続的な評価については、企業及び国による承認審査 段階からの一貫した新薬の市販後安全対策の充実が必要ではないかということで、欧米等では、 リスクを管理する計画を審査の段階で検討するという、新しいことも検討されています。そんな ことも踏まえて、一貫した市販後の安全対策の充実ということも検討したらいいのではないかと 思っております。  また市販後において、承認された薬については、継続的にリスクベネフィットの評価が行われ る必要がございますので、そういったこともまた強化していく必要があるのではないかと思って おります。  こうしたことを実現するための組織体制のあり方はどうあるべきかということで、体制の充実 や本省と独立行政法人である医薬品機構との関係をどういうふうに考えたらいいのか。 こんな ところを、事務局の方からの論点整理ということで、提案させていただいたところでございます。 以上です。 ○寺野座長 ありがとうございました。ちょうど厚生労働大臣がお見えになりましたので、では 早速ごあいさつをお願いいたします。 ○厚生労働大臣 それでは、今日この検討委員会1回の開催に当たりまして、一言ごあいさつを 申し上げたいと思います。皆さん、お忙しい中をお集まりいただきまして、本当にありがとうご ざいます。  御承知のように、フィブリノゲン製剤及び第IX因子製剤によりますC型肝炎感染の問題につき ましては、1月11日に救済法が成立しました。また皆さんと1月15日に、薬害肝炎全国原告 団、弁護団の皆さんと基本合意書を交わしました。  あれから4か月余りが経過しました。この基本合意に基づきまして、原告弁護団の皆さんとの 第1回定期協議も3月に開催させていただきました。また訴訟につきましても、既に200人を 超える方々と国との和解が成立しているところであります。ただ残念なことに、まだ製薬メーカ ーとの和解がなっていないので、これは是非メーカーさんの方も誠意をもって交渉に当たってい ただきたいということを一言付け加えておきたいと思います。  ただ、和解が終わったら、それから裁判が終結したということで問題が解決するわけではあり ません。それはもう再々私が申し上げているとおりであります。また福田総理からもこういう薬 害事件を二度と起こすなと。そのために、医薬品行政の見直しを急いで、再発防止策をしっかり まとめろという指示をいただいております。  また基本合意におきまして、本件事件の検証を第三者機関において行うと。その旨が明記され ております。事件の経過について多方面からの検証を行いたい。再発防止対策を検討するに当た って、これが大事なことだと思って、今日お集まりのメンバーの皆さん方に、大変重い、この仕 事をお願いいたしたわけであります。  さて、この検証と再発防止の2つのことをどういう形で進めていくかということは、3月の定 期協議の場でも議論となりましたけれども、そのことも踏まえまして、この検討委員会は薬害肝 炎事件の検証と、先ほど申し上げましたように、医薬品行政のあり方の検討、この2つの役割を 担う一体のものとして発足させようと。こういう経緯で今日お集まりいただいたわけであります。  検討の手順ですけれども、まずは、平成8年、平成14年の制度改正を基礎としている現在の 安全対策につきましては、今年の夏の概算要求に間に合うように、早期実施が必要と考えられる 安全対策などの見直しについて集中的な検討をお願いしたい。そして一定の結論をいただいて、 それで我々の総意として安全対策という、こういう予算をつけるべきだと、国民に広く訴え、来 年度予算で実現したいというふうに思っていますので、6月は月2回のベースということになろ うかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。  そういうことでまず第1は、夏までに緊急にまとめたいというのが1つあります。その間、事 件のための検証の資料の収集・分析、そういうことを行いまして、秋からはこの事件の検証につ いて議論を行って、最後に全体を取りまとめて提言をまとめるという手順を想定しております。  二度と薬害を起こさない。国民の命をしっかり守ると。個人の人間としての尊厳を保つ社会を 実現するために、私は厚生労働省が存立の原点に立つべきだ。これは繰り返しいろんな職員に対 する訓示で申し上げているところでありますけれども、過去の反省の上に改革をやらないといけ ない。その改革の第一歩は国民と情報を共有することだということで、広報体制の強化もうたっ ております。  そのために改革の先頭に立って誠心誠意、努力をしたいと思っておりますので、皆様の御協力 に心から感謝申し上げますとともに、みんなの力で今、申し上げた目的、国民の命を守るんだと。 そのために二度と薬害を起こさない、こういうことの作業に早速取りかかりたいと思います。ど うもありがとうございました。  そして今日は、官邸での会議が半にありますので、ぎりぎりまで、あと15分か20分おりま すので、御意見を賜ればと思います。ありがとうございました。 ○寺野座長 ありがとうございました。それでは20分ぐらい、あと15分ぐらいは、いていた だけるということでございますので、大臣を含めて御質問、御意見のある方は、この場でお願い いたします。どうぞ。皆さん、できるだけたくさんの方に発言していただきたいと思いますので、 簡潔にお願いいたします。 ○福田委員 今回、こういった委員会に当事者である私たちを参加させていただいて、本当にあ りがとうございます。やはり私たち被害者としては、真相究明、なぜこういう被害に遭ったのか という真実を知りたいという思いと、二度とこういう悲劇を繰り返してほしくないという、その 思いが一点なんです。ですから確認になるんですけれども、当面の対策だけではなく、検証と真 相究明をしっかりやっていただきたいという思い。  あと、これは当然のことだとは思うんですけれども、本委員会で取りまとめられたことが単な る報告書で終わるのでなく、今後の対策のために実行していただきたい、反映していただきたい という思いを、それを確認したいというふうに思いました。 ○厚生労働大臣 今、福田さんがおっしゃったとおりであります。私もその覚悟で、予算措置の 前に頑張ろうというのはそういうことであります。だからといって、それで終わるのではなく、 きちんと検証する。そして、薬事行政のあり方、組織の変更、改革ということも含めて、きちん と実行に移したいと思っております。 ○寺野座長 そのほか御意見のある方、どうぞ、泉さん。 ○泉委員 今、福田さんが言われたようにできて実行するのもまた検証していく。今まで何回も こういった作業チームがあっても実行されてこなかったという事実も、やはり省にはあります。 ですから本当に実行されるかというのを、それをしっかりと見張りたいというか、そういうこと も考えて何かの機関をつくっていただきたいと、そういうふうに思います。 ○厚生労働大臣 それは全体の検証が終わってこれから実行だというときに、今の議論をもう一 度いたしまして、第三者委員会がいいかどういう形でいいか。また、この委員会を改組してやる か、必ずそういうフォローアップをやりたいと思います。 ○寺野座長 そのほかございませんでしょうか。せっかくの機会ですから、御遠慮なく御質問を ください。どうぞ。 ○高橋委員 高橋です。よろしくお願いいたします。私の方としては業界としてちょっとお話を させていただければと思います。特にあり方というか、今の組織がどういうふうにしたらいいの かという点についてお話をさせていただければと思います。  今、機構とそれから本省と分かれて存在しているわけです。責任分担としてはそれぞれ分かれ た形になっているんですけれども、結局は私たちとしては両方の箇所に行ってお話しをしなけれ ばいけないというところが一方にあります。総合機構だけではなかなか判断できないところもあ りますし、最終的には本省の安全対策課の方に行ってお話を聞かないと、決定した話ができない というところがあります。  ですから、そういう点でのむだを省くというわけではないんですけれども、是非、一本化とい うんでしょうか、1つのところに行けばすべて終わるようなシステムにしていただけないかどう かという点と。  今、現実、先ほどの説明の中でも安全対策の人数がかなり少ないというところがあります。こ れからオーファン等いろいろ難しい品目が承認になっていきますと、市販後が重要になってくる というふうに思っています。ですから、そういうところの充実を是非図っていただきたいと思い ます。ただし、充実を図るといっても、質を維持した形での増員というものをしていただかない といけないと思います。そのために、全くの新人が来てすぐできる作業ではありません。業務で はありません。ですから増員する人間をどういう形で入れていただけるのかと、研修も含めて、 できれば、例えばこういった安全対策業務というのは、経験が大事だと思います。過去でこうい う問題が起きたから、こういう対応をしなければいけないんだというところがあると思います。  審査の場合ですと、その領域での専門性というものがかなり強く出て、ある程度その領域で勉 強してきた方がそのまま業務として就けると思うんですけれども、安全対策というのはそういう 経験が重要だと思いますので、企業からの出身者も含めた、そういったリクルートというものも 是非お願いできればというふうに考えております。以上です。 ○厚生労働大臣 ありがとうございました。どういう形でシステムづくりをやるかというのは、 PMDAと本省との関係。例えば今、党の本部は独立した機関をつくるような案も出しています。 今ちょうど総理が消費者庁というのをやっている。そういうようなものをつくるかどうか。FD Aが今のままでいいかと、アメリカでも今、問題になっています。まさにそういうことを皆さん の意見を賜って、そして議論した上で組織の改革、それから人員の質も含めての拡充、それはき ちんとやりたいと思っています。 ○寺野座長 次の方どうぞ。質問はできるだけ簡潔にお願いします。 ○清水委員 私は30年近く輸血の領域にかかわってきましたが、前のお二方の問題で、前の方 は、輸血に関するいろんな委員会というのが2〜3年ごとぐらいにできてくるんですが、大体同 じような議論をやってきたというのが今までの経緯です。血液法ができてからかなりしっかりす るようになりましたのですが、そういう意味で決められたことがきちんと実行されているかとい うことを監視できるようなシステムが要るのではないかということが1つです。  それから、今、前の方がおっしゃられたことは、やはり血液対策とかその前の生物製剤課とい うのが私の関係していた部署ですけれども、やはり2〜3年で人がかわっていってしまうんです。 やはり実行部隊を支える、あるいは関与する部分ですので、来てぽっとその話をすぐ理解して話 が通じるようになるには少し時間がかかる。  したがいまして、今の話のように審査についても副作用安全性調査につきましても、やはりエ キスパートというようなシステムをつくって、5年か10年がいいのかちょっとわかりませんけ れども、少なくとも2〜3年でころころ変わるような人事配置というのは、そろそろやめて、専 門家集団の集まりとして機能できるような方向性を明確に打ち出していく必要がある時期ではな いかというように思っています。 ○寺野座長 ありがとうございます。 ○厚生労働大臣 監視のフォローアップは、泉さんがおっしゃったようにやりたいと思います。  それから今の点は、1つはキャリアで、例えば血液なり生物製剤の課長さんをやっている。 こういうのをどうするかという問題と、私は技官のあり方が大変問題だと思っている。いっぱい 技官がいますね。専門家の名のもとに、悪い言い方をしますと、ずっとそこにいる。外の世界を 知らない。外の世界ではこういうことが起こっていますよ。だから私は、技官たりともずっとそ こにいるのではなくて、技官たりとも現場へ行ってこないといけない。例えば赤十字に勤めてき なさいと、また帰ってきなさいと、こういうことをやることのメリットもあると思いますので、 今、先生がおっしゃったことの問題は、よく理解しましたし、そういう点で考えますけれども、 人事のローテーションはどういう形がいいか。  ただ、私が役所に来て思うのは、ちょっと目安箱じゃないですけれども、皆さんの意見をくだ さいという、私に直接来るメールのシステムをやったんですけれども、その中でやはり技官の方 々からの不満も非常に多い。そして言葉は悪いけれども、専門性の上にあぐらをかいているとい うことであったら、技官もいけないと思います。ちょっとこの技官の問題も、私は、省で問題で はないかなと思っていますので、検討したいと思います。 ○寺野座長 鋭い質問をたくさんいただいています。どうぞ。 ○小野委員 私は元技官でして、まさにその点が全く問題点だと思っています。袋だたきに遭う かもしれませんけれども。  今、このシステムをどうつくるか。役所の中に、あるいは大きなエージェンシーの中に人をど う入れるかという話ばかりしていますけれども、その人たちが外に、ノウハウですとかいろんな 知識を持って外で働いていないことが問題で、天下りの数が今、少なすぎるのが問題なんだと、 私は常々思っています。例えば100人ぐらい製薬企業に天下り、言葉は悪いですけれども、例 えばそういう人がいたら薬害は起きないのではないかと過激なことを思っています。これはちょ っと逆説的な言い方ですけれども。  ですから入れることよりも、役所のノウハウなりエキスパテエィーズを外に出して、社会の中 で活用していくというシステムをつくらない限り、進歩がなくて入れ物だけつくって終わりとい うことになりかねないと思います。 ○厚生労働大臣 技官出身者がおられると知らないで、済みません。ただ逆の面は、今度は、今 の言い方だと技官がいろんな最高の知識を持っていて、それを民間に補てんしてやるんだみたい になるけれども、それは逆で、民間の優れたものも技官も身につけて帰ってくると。この面も非 常に大事だと思います。 ○小野委員 はい。おっしゃるとおりです。そこは相互のということですから、おっしゃるとお りだと思います。 ○大平委員 薬害エイズの被害を受けた者です。1つはここで薬の問題として集中的に審議され るというところですけれども、私たちが経験してきた中で、薬だけではなくて、薬と医の連携が 重要と考えます。医との連携がきちんと距離が短いのかどうかというところが、こういう被害、 肝炎の問題もそうですけれども、私たち薬害当事者としては、いろいろな薬害を見ていましても、 医とのつながりが、割と薄いなというところが感じられます。ですからそこを是非今度、ここで の問題点としても取り上げていただければ、ありがたいと思います。 ○厚生労働大臣 必ずそれをやりたいと思います。 ○寺野座長 どうぞ、次の方。 ○大熊委員 今のことと関連するんですけれども、オランダなどでは2003年から患者さん自 身が副作用情報を上げる。それが1割ぐらいになっています。それというのも患者さんが自分に 使われた薬を知っている。薬の数がやたらに多くない。日本は8つも7つも同時に薬が処方され たりしますけれども、『ドクターズルール』という本などによりますと、あるおかしなことが起 きたら、ほかの原因がない限り、その前に投与した薬が原因であるとまず考えなさい、というふ うに言われています。  その点、舛添大臣が今回、国立病院について、窓口で、特にこちらからお医者さんに気兼ねし ながら請求しなくても、どんな薬が処方されたか、内容が明らかになるようにされたのはすばら しい一歩だと思います。これを国立病院だけではなく医療機関すべてに広げていただきたい。そ れからカルテが5年くらいでぽいぽい捨てられてしまうというようなことは非常にもったいない ことですので、カルテの保存期間、特に電子カルテなども導入されていますので、永久保存とい うことも不可能ではないと思いますので、その辺りにも広げてお考えいただければというふうに。 ○厚生労働大臣 明細書を皆さんに発行する。これはこの前のが第一歩ですが、広げたいと思っ ています  それからカルテの電子化を含めて、韓国で肝炎の患者のフォローアップができていたというの は、あれはたしかデータがきちんと電子化されてフォローができたので、今回みたいに418人 のリストがどうだということは起こらない。だからこれは是非実現したいと思っています。 ○大熊委員 韓国では、たとえば、中皮種患者がいま何百何十何人、というところまでもちゃん とわかっているそうでございます。 ○間宮委員 サリドマイドの被害者です。私が被害を受けてから、もう45年経つんですけれど も、その間にいろいろな制度の改革とかがあったんですけれども、薬害被害者からしてみれば、 大勢は何も変わっていないのではないか。薬害は起きているのではないか、ということがあるの で、ここでやはり薬務行政のあり方ということを論じる前に、本当に自分の家族に被害が起きた らどうなのかということを、頭に最初にそれを置いて働いていただきたい。それを実現するため には何をしたらいいかということも考えていっていただきたい。  安全対策の人員が少ないとか副作用報告の吸い上げ方とか、そういうこともいろいろあったり、 今は官僚の問題、技官の問題とかと言っていましたけれども、そんなことよりももっと根本的に 薬害というのを出さないんだという精神というか、それを植え付けていただきたいというふうに 思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。 ○厚生労働大臣 はい、よくわかりました。ありがとうございます。 ○山口委員 先ほど大平委員の方からお話のあった点で、少し補足をさせていただきたいと思い ます。是非大規模なデータベースを構築していただきたい。そういうことを一番思っております。  先ほど韓国のデータベースの例が出ましたけれども、韓国ですともうレセプトが全部データベ ース化されて安全性対策にすごく有効に使われているという状況がございます。昨今保険局の方 で、レセプト情報等の活用について議論があったと思いますけれども、2011年に全国的にデ ータベース化されるということで、その辺のデータの活用とかあるいは2次的な利用も含めて、 是非その辺を御検討いただければと思います。  もう一つ申し上げたいことは、私は大学病院の方におりますけれども、データベースが構築さ れたら、是非それらを用いた薬剤疫学的な研究を、行政とか企業だけではなく、そのほかの研究 組織、ほかの研究者が積極的に行えるような、そういう利用形態を考えていただきたいというふ うに思います。  実際、海外の大規模な市販後の安全性研究というのは、企業とか行政ではなくて、ほとんどが 研究者主導型のものでございます。そういったものに対するコストのかけ方とかは全然日本と違 っていますので、研究費の面も含めて、そういった体制を構築できるような、そういうことを是 非御検討いただければと思います。 ○厚生労働大臣 ありがとうございました。データベースの拡充、それから今おっしゃったこと も念頭に置いてやりたいと思います。  すいません。ちょっと五時半から経済財政諮問会議に呼ばれているものですから失礼しますけ れども、あとどうか皆さん、よろしくお願いいたします。次回以降も出られる限り出ますので、 よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。随分慌ただしいですけれども、お忙しいのでやむ を得ないのですが。  質問をたくさんいただきました。まだまだ質問をされたい方あると思うんですけれども、今か らはもう時間の許す限り、この委員会に出ていただけるということでございますので、その機会 をとらえて御質問いただければと思います。それでは、先ほどの説明は、もうよろしいですか。 ○安全対策課長 はい。 ○寺野座長 それでは、ちょうどきりのいいときだったということになりますけれども、資料2 と3について、安全対策課長の方から御説明をいただきました。それで、これに対して、委員の 皆様から、時間は約40分くらいございますので、御質問、御意見をいただきたいのですが。で きるだけ論点に沿ったものということですけれども、第1回でございますので、自由な御発言を。 ただし、1つの御質問がありましたら、できればそれに関連した御質問をまとめたいと思います ので、その点を御了解いただきたいと思います。では、どなたからでもどうぞ。 ○神田委員 こういった重要な会議に参加させていただきながら、私にとっては非常に難しい話 でして、大変初歩的な質問かもしれませんけれども、この後、会議に参加させていただく上で、 申し訳ございませんけれども、質問をさせていただきたいと思います。  1つは資料2の方の7ページです。グラフがございます。このグラフは、企業の報告の義務化 があり、医療機関からの報告の義務化があるということですが、ブルーと赤の差がこれだけある ということについて、どのように見たらいいのかというのがもうひとつわからないんです。  医療機関と企業の報告の内容が違うのか。企業報告も本をただせば、きっと医療機関から情報 を得ながら出しているんだろうと思うんです。この違いが何なのかということをひとつお聞きし たいと思います。やはり情報を収集して、それをきちんと正しく分析していくということが、い ろんな被害を防止する上でも重要なことだというふうに思いますので、きちんと。私はできれば 医療機関からもっと生のといいましょうか、迅速で正確な情報が上がってくるべきだというふう に思いますので、その辺をもう少し御説明いただきたいと思います。  それからもう一つは14ページの、アメリカの最近の動きの説明がごく簡単だったので、ひと つリスクコミュニケーション諮問委員会が設立されたということですけれども、このリスクコミ ュニケーション諮問委員会というのは、どういうものなのか。それがどういう役割を果たすのか という辺りがもしわかりましたら、教えていただきたいと思います。以上でございます。 ○寺野座長 ありがとうございます。今の御質問に関連したことで御質問の方、どうぞ、水口先 生。 ○水口委員 今の質問に関連して、いただいた資料、例えば9ページを見ていただきたいのです けれども、要するにこの資料にはたくさん矢印があるわけです。システムとして資料を収集して ここに集めて、こういうふうな評価をすることになっているということで、結局、制度としての 枠組はそれなりに整っているのだろうとは思うのですが、にもかかわらず、いろいろな薬品被害 がなくならないのは、やはりその運用実態にいろいろ問題があるからなのだろうと。  ですから、これは当面の対策をどうするかということにも勿論直結しますし、最終的な報告を どうするかということに対しても不可欠なのですが、きれいな矢印で書かれている部分は、実際 こういうふうにやっているのだと、これくらいの陣容で、例えば審査だったら1人が何件ぐらい 抱えてどんなふうにやっているとか。それから例えば機構が分析した結果を厚労省に出し、厚労 省が最終的に政策立案をするわけですが、その間のコミュニケーションなり情報伝達はどのよう にやっているのかとか。そういうもうちょっと矢印だけで書かれている部分の実態を委員が共有 できるような、資料をいただければありがたいと。  それと関連して、今おっしゃったようなこともありますし、そしてそれを処理するときのもう ワンランク下のルールというか、国際報告が来たら、こういうルールのもとに添付文書改訂に反 映させるとか、もうひとつ実務的な意味で、どういう振り分けをしているのかといったようなこ とがわかるような、もうちょっと実態がわかるような資料を、また次回の討議までに御用意いた だければありがたいと思っています。 ○寺野座長 はい、ありがとうございます。そのほか、どうぞ。 ○清水委員 7ページの表と関係しまして、厚生省の輸血の研究班で輸血副作用調査を実はやっ てきております。日赤がボランタリーに副作用情報を集めているんですが、研究班で実際にどの 程度の副作用があって、そのどのくらいが日赤に報告されているかという調査をやった結果、副 作用の中の5〜6%しか日赤に報告されていない。  そのときに一番問題になりましたのは、どの程度の副作用を報告として取り上げるのかという ことが非常に重要なポイントになりまして、その研究班ではまた今年から続きますけれども、あ る決められた副作用症状をピックアップしまして、それに該当した症状は報告しましょうと。そ して診断名がつけられるものは、その中から診断名をつけようというような形になっております。  したがって、その評価は今後の問題だと思うんですが、医薬品につきましても、3万ちょっと で大体頭打ちになっているんですが、これが、実際の中の副作用のどのくらいのパーセントが把 握された形で報告されているかということを、何らかの形できちんと一度は調査する必要がある だろう。  これもできれば今回検討される研究班の仕事の中に取り入れられれば、大変有益な情報が得ら れるのではないかというふうに思う次第です。 ○寺野座長 ありがとうございました。どうぞ、間宮委員。 ○間宮委員 7ページのグラフというのは、3万件ぐらいの例なんですけれども、機構の方の資 料、ここに私だけが持っているんですけれども、外国企業からの副作用報告というのを含めると 企業報告というのは7万件もあるわけです。その7万件の副作用報告をどういうふうに処理する のか。そのためにはやはり人員も必要ですし、分析も必要です。やはり人員が非常に必要という ことになります。  それと神田委員がおっしゃっていたように、医療機関からの副作用報告は少ないということが なぜそうなるのかということをやはり考えないといけないと思うんです。  忙しい診療時間の中で、お医者さんが副作用報告をするメリットがどこにあるのかというふう にもし考えてしまった場合にはそれは上がってこないわけです。  ですから、その辺りで、何か弊害があるのであればそれを取り除く方法を考えるべきというふ うに思います。  それともう一つは、今の制度にはないですけれども、患者さんから直接、副作用の報告を受け られる制度というのを考えていただきたいと思います。以上です。 ○堀委員 副作用のところで医療機関からの情報が少ないということで、その理由は、何かメリ ットを感じないからじゃないかということがあったと思うんですが、確かに医療現場側からこう いった副作用に気づいて報告をしたときに、もしフィードバックがあれば、やはりそういうモチ ベーションがわくような結果があれば、医療従事者も恐らくやっていくんじゃないかということ は、多分推測されると思うんです。  あとはただ、現場にいると副作用報告といっても、実際どのルートでどうやってやるのかとい うのがわからない方がほとんどだと思うんです。それはもっと深い、医学の中でのこういった薬 剤というものに関する教育の底上げとか、長期的な問題はあるんですが、短期的にはそういった 副作用の報告をしやすくなるような、ITシステムを活用した、そういったものを導入しないと、 現実的には医療現場から役所にどうやってコンタクトをとっていいかすらわからないというのが、 多分実情なんだと思います。  また、そういった薬害をなくすということは、勿論みんな共通で思っているところで、問題は そういったデータが集まってきたときに、それを、恐らく今までの日本も安全対策はやってきて いることも事実なので、そういったノウハウを生かした機関に情報が集中した場合に、さっきか ら出てきているように人員がないと、枠組みだけつくってもなかなか回らないというところがあ る。その人員は、すべてそういった医師なり薬剤師なりのそういった専門性が必要なのか、ある いは行政マンがやるのかというと、恐らく行政のプロと、それから科学的判断を行う医師とかの 薬剤師以外のプロ以外に、そういった情報のプロをもっと活用するような、そういったことがな いと、もしこの枠組みがうまくいって膨大な情報が来ても、うまく回っていかないと思うんです。  そうするとフィードバックがないから、現場もやはりまだやらないということになってしまう と思うので、そういったデータセンター的なものをこういった機構のようなところですとか役所 か、そこは私は判断が難しいと思いますが、そういったところに置いていくということが、1つ の具体的な方向なのではないかなというふうに考えております。 ○寺野座長 ありがとうございます。ではこの辺で。堀内委員からどうぞ。 ○堀内委員 今の問題ですけれども、これはいかにも病院、医療機関から報告が少ないように見 えるんですが、これは結局は、こういう症例があったよということをメーカーの方にフィードバ ックされますから、そこからさらに詳しいデータを求められるということがありますので、どっ ちから出してもいいじゃないのかというのが、現場の医師等の考えだろうと思います。  報告書を出す場合には、例えば薬剤部で書いて出すとかそういう例もあって、そういうのが少 し出ているんだと思いますけれども、医師は今、そういう細かいことを書いている余裕はないと いうことになりますので、どうせメーカーから来た書類を埋める、あるいは書くのを、最後確認 するというようなことで、出ていくケースが大きいと思いますので、これは両方から出ていると。 だから医療機関から少ないということでは、必ずしもないというように思っていただいた方がい いんじゃないかと思います。  ただし、重篤な副作用等の第一報が、できるだけ早く厚生労働省とか安全対策課等に伝わる必 要がある。ですので余り細かい内容でなくて、ラフな報告でもいいんだという、そういう報告の 仕方については、今お話がありましたように、変えていく必要があるんじゃないかというように 思います。そうすればもっと医療機関から簡単にたくさん出てくるのではないかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。医療の実態ですね、現場からの御意見も含めまして、まず 最初に7ページのこの報告件数に関して、皆さん大変御関心と御質問があるようなんですけれど も、これについて御返答をお願いします。 ○安全対策課長 先ほど、堀内先生からもお話があったとおり、この報告件数というのはすべて 医療現場からの情報ということで、報告ルートとして直接厚労省に上がってくる、もしくは企業 経由で上がってくるものがあります。特に企業の方では、MRの方々が薬事法で情報収集の努力 規定というのがありますので、積極的にやられていて、こういうことで差が出てしまっていると いうのがあるのかと思いますが、いずれにしても情報源は一緒だということでございます。  あと先生、先ほどリスクコミュニケーション委員会の御質問がございましたけれども、これに ついては、これもFDAの改革法が昨年できて、それを踏まえての話でございますので、まだ具 体的なことがどうだこうだというのは、こちらの方も余りわかっていませんが、情報、法律など を見ますと、インターネットを使って患者や医療提供者が医薬品情報に、本当にアクセスしやす いような環境をどうやってつくったらいいんだろうかというようなことも検討するようです。 ○寺野座長 その点と、今日の御質疑は事務局の方でいろいろ論点整理を今後するに当たりまし て、非常に貴重な御意見でございますので、必ずしもお答えがなくても言いっ放しでも構わない ということでございますので、どんどん発言していただいて結構でございます。  先ほどの意見の中で1つ、今、重複している部分もあるんですけれども、水口委員からも言わ れましたような9ページの業務の流れというような中で、矢印がたくさん書いてあるんだけれど も、その中身がよくわからないという御意見がありますね。これに対して、次回ないし次々回ぐ らいまでに、この内容に関して説明をするような資料というのは出るんでしょうか。 ○安全対策課長 少し工夫させていただきたいと思います。 ○寺野座長 それから今ちょっと出ましたけれども、米国のシステムについては、1ページ、こ う書いてあるだけではわからないという神田委員からの御質問もありましたので、その点につい てももうちょっと詳しい資料がありましたら、出していただきたいと思います。 ○安全対策課長 はい。 ○寺野座長 どうぞ、清水委員。 ○清水委員 この副作用の問題と関係するので、どういうふうに扱うのか非常に微妙な問題があ るんですが。例えば輸血ですと、ABO型の型違い輸血というのは、これは医療ミスに属します。 薬剤につきましても適応を間違えるとか、量を間違えるとか、そういうようなことは少なからず 起こる可能性は大いにあるだろう。したがってそういうようなものも、場合によっては、把握す ることが医療の安全性を確保する上においては非常に重要なポイントだと思うんです。  ただ、問題はその扱いがなかなか難しい。下手に扱いますと、医療機関側あるいは担当医とい うのが検察庁に閉じ込められるなんていうことも、起こったりするというような問題もあったり しますものですから。しかし、それはやはり何らかの形できちんと把握できるようなシステムを 構築していくことは、必須なことではないかと思いますので、ここで検討するのがいいのかどう かちょっとわかりませんけれども、問題提起としてさせていただきたいと思います。 ○寺野座長 確かに、こういう副作用という問題と、医療事故、インシデント、アクシデントも 含めて、それとのオーバーラップの部分というのが結構あるものなんです。それは医療現場とし てはよく感じるところですけれども、その辺のことも考慮しながら進めていかざるを得ないだろ うと思うんですが。どうぞ。 ○高橋委員 この件数が3万件という件数が出ていますけれども、これはあくまでも報告件数と いう件数です。というのは11ページの方を見ていただくとわかるんですけれども、必ずしも企 業が収集をしても報告をする必要がないものがあります。非重篤とかそういうものについては、 収集はしているんですけれども報告する必要はないというものがあります。後で、定期報告等で 報告するものもありますけれども、実際上、個別にそれぞれ15日とか30日で報告しなければ いけないというのは、ここに出ているのは3万件。  実際上、大まかに見て、この10倍近くの症例が、企業としては収集されていて、そのうちの 10分の1が報告されているというふうにとっていただいたらいいのかなというふうに、大体の 感覚ですけれども、そういう数字だと思います。 ○寺野座長 それでは、そのほかの御質問、御意見がございましたらどうぞ。 ○花井委員 今、何人かの委員の議論にも出ていたのですが、今まで薬害を再発防止するという ことで、薬事行政の方とも少なからずかかわってまいりましたけれども、結局このような薬害事 件が起きたときに、今回はこのように速やかに当事者も入れた検証会議を開くということは極め て高く評価するところであります。  ですがどうしても薬事という、つまり物を御する行政システムの文脈だけで、薬事法改正、こ ういうことをやっていってももはや再発防止というのは難しいと。今、幾つかの議論の中でも、 例えば医療事故、カルテの保存期間となりますと、これは医政行政です。こういった医療の中身 に踏み込まないと、どうしても薬害はなくせないということだと思うので、論点整理で医薬食品 局がつくる論点整理だとどうしても自分たちの行政の所掌内で取りまとめようとするんですが、 もしここで全部をまとめるとすれば、かなりこちらは薬事の方で、医師たち、医療側の手足を縛 るような規制が可能かどうかという根本的な論点があると思うんです。  もしそうでなければ、幸いにして今回は大臣も参加されているので、やはり医薬食品局の縦割 りを超えた医政行政、健康行政、そういった中で担保できる行政システム、つまり具体的に言え ば薬事法のほかに医療法、医師法と法律がありますけれども、そういったものにも踏み込んでこ こで検討し得るのかどうかというのを、枠組みの設定としては確認しておく必要があると思うん です。  どうしても行政官の特質として自分の権限外のことは、紙をつくらないという性質があります から。するとこの検討会はそこのメタレベルで検討して構わないのか、あくまでもそれはそこな のかというところについて、やはり共通認識としてあった方が、今後議論が混乱しなくて済むと 思うんですが、いかがでしょうか。 ○寺野座長 これは私の意見を申し上げていいのかどうか、わからないんだけれども、やはり薬 事法だけで説明できるものではないし、私どもも現場ですから、医療現場から見ましても、当然 のことながら、医師法、医療法すべて、場合によっては刑法、民法まで含めて、柔軟に考えてい くべきだと思います。それは多分事務局の方でも同じような考え方だと思うんですけれども、い かがですか。それほど狭い考え方だけでやっているとも思わないんだけれども、はたから見ると そう見えるらしいので。 ○総務課長 総務課長でございますけれども、お答えいたします。  もともと、この検討会の発足の経緯を考えますと、コアは薬事行政ということでありますけれ ども、今、委員長がおっしゃいましたように、その周辺も必要に応じて視野に入れていくという ことでよろしいかと思います。 ○寺野座長 その辺は柔軟に、広い意味で議論していこうということで、ここで皆さんのコンセ ンサスを得るということでよろしいのではないかと思います。はい、小野委員。 ○小野委員 今の件で、薬事法の中にも、今、花井先生がおっしゃった、医師との関係だとか結 構ありますね。医師に努力してほしいというのは、言うだけで別に罰則がついていなかったりす るんですね。生物製剤でもそういうのがあります。それから例えばですけれども、治験なんてい うのは、薬事法の中で一生懸命やってくださいよと言っているんですが、これは別にお医者さん の先生方をどうこう言うつもりはないのですが、例えば、医師の先生方が変なことをしたときに 殴る先は企業になっているんです。悪いことを、変なことが起きた方を怒る、殴るのではなく、 お医者さんではなくてその周りの方を殴るシステムになっている、なんていう話がありますから、 そういうものも含めて検討はできると。薬事法の中でも十分検討すべきことがあるし、それ以外 にも今先生がおっしゃった、少し広い範囲で検討できることがあるというふ うに思います。 ○寺野座長 はい。どうぞ、そのほか。 ○大平委員 もう花井委員ですとか、ほかの先生方もおっしゃったんですが、先ほどもう大臣の 方からも、医についても踏み込んで、この問題に入っていただけるという御回答がありました。  私たちの、薬害が発生した時点の一番の窓口は、医療機関です。医療機関の医師の対応とかそ ういうところから、このいろいろな健康被害も含めて出てくるわけなので、やはりそこの観点は 是非とも共有していただきたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。清澤委員、どうですか、医師の立場から。 ○清澤委員 膨大なこういう副作用情報を、やはり手際よく整理して、それを臨床の現場にいか に戻すか。そこのところが非常に大事だと私は思います。それを今度は受け取る医師の、レセプ ターがどれだけ高いか、低いかによってもまた全然変わってくるんです。  ですからやはりこれは本当に今、私の個人的な考えなんですが、今までの医学界というのは、 副作用というようなことを余り正面から取り上げてきていなかったことがあるんじゃないかなと いうように思うんです。  ですからこういう情報をいかに現場に効率よく吸収されるような形でフィードバックするかと いうところが、うんと大事かなというように思います。学会等でもそういう、薬の副作用という ような観点からの勉強会ということも、これからは積極的に取り入れていくべきかなというよう に思っています。  それから質問なんですが、8ページですけれど、いわゆるPMDAに情報が集まってきて、そ れが情報提供先の方に、ピンクの点線で矢印が行っているんですが、ここを見ると登録者約1万 2,000人とありますが、これは、僕もよく知らないんですが、1万2,000人という登録者 というのはどういう方が登録をしているのか。こういう人たちだけに、メールで配信サービスが されているということですけれど、この登録者というのはどういう方なのか、お聞きしたいとい うことと、余りにもこれはちょっと少ないのではないかという感じがしたものですから、お聞き したかったんですけれど。 ○寺野座長 ではこの点に関して答えてください。 ○安全対策課長 この1万2,000人については、是非情報が欲しいという方で登録していた だければメールが行くようなシステムになっています。  ただ、登録をしていただいた方ということになってくるので、この図では点線でこういう形で 書かせていただきましたけれども、基本的にはすべての方が医薬品機構のホームページに、アク セスできますので、右の方から左にこういう太い矢印を入れさせていただきましたが、基本的に はどなたでも情報は見ることができるということです。 ○寺野座長 この点はちょっと工夫をしてもうちょっとポピュラーにしていくというのが必要な んでしょうね。 ○高橋医薬食品局長 これだけでなくて、ダウンロードで毎月かなりの医療機関とかにこういっ た情報を提供する普通の民間会社がありますね。そこが大体ほとんど持っていって、民間会社の 場合、それからまた病院の方へずっとつながっていくから、日本の医療機関は大体はこういった 情報は、リアルタイムでつかんでいるんです。ちょっとそこを説明させます。 ○安全対策課長 これらの情報については、例えば使用上の注意の改訂とかなんかについては、 毎月DSUという形で使用上の注意の改訂のお知らせはすべての医療機関に配られるようなシス テムもございます。  また、医療情報をいろいろ扱っている企業の方も、ホームページの情報を自由に使えることに なっていますので、情報提供する企業から医療現場に情報がフィードバックされるということも 現実にはございます。 ○寺野座長 そうですね。この点を今後のシステムとしても、擁する価値があるのではないかと 思います。 友池委員、どうぞ。 ○友池委員 循環器病センターの友池ですが、2点ございます。副作用の件ですけれども、例え ば私どもは随分治験をさせていただいているんですが、有害事象ということで副作用関連の情報 が集まってきますが、因果関係があるもの、ないもの、よくわからないもの。実に様々でして、 データベースをしっかりつくる過程で、意味のある情報をどういうふうにして抽出してくるか。 先ほどフィードバックの方も随分問題になりましたが、それとあわせてその辺未知のもの、よく わからないもの、だけど有害事象として上がってくるものがございますので、それが何年か経つ と薬害であるということが明らかになってくるものもございますので、そこはやはりデータベー スをつくる仕組みの中に、それなりの分析をする能力がある仕組みをつくることが必要ではない かという気が1つしています。  もう一つは医薬品医療機器総合機構が間に入っているわけですけれども、最近、高齢者が増え てくると、薬剤もさることながら医療機器の不具合とかそういうことも多いので、今日は薬剤に 集中しておられますけれども、それについても若干の検討なり先を見た施策というのは必要では ないかというふうに思っております。 ○寺野座長 今の友池委員の御質問に関して確かにまだ未確認の副作用、今わかっていない、だ けど症状としてはあるというようなものをどういうふうにまとめていくか。そこで新しい副作用 というものも発見されるかもしれない。そこは非常に重要なところなんです。それを何らかのソ フト解析の中に、ソフトウェアの中に組み込めるかどうかということは、ひとつ真剣に考えるべ きことではないかなというふうに思うんですけれど、いかがですか。どうぞ、山口委員。 ○山口委員 今、友池先生から御指摘がありましたけれども、専門用語でいうとシグナル検出と いいまして、重篤な有害事象をピックアップするわけです。多分、そういうシステムとかそうい うことをやっている方が機構にはいらっしゃる。私も知っている方がいますのでいらっしゃると 思うんですけれども、もうちょっと増えた方がいいという話がありますけれども、それを検証、 本当にそうかということを実際欧米とかだと行っているんです。大規模な疫学研究とかを行って です。そのときに先ほどお話が出ている大規模なデータベースが必須になってくるわけです。  というのはちょっと方法論的な話になっちゃうんですけれども、特にまれな有害事象、なかな か起こりにくいような有害事象になると、通常の前向きに患者さんをフォローしていくようなそ ういう研究だとだめで、後ろ向きに過去のデータをさかのぼって、そこから研究を行っていくと いう、いわゆる後ろ向き研究、専門用語でケースコントロール研究というんですけれども、そう いうものも実際行っていかないと、なかなかピックアップして出てきた有害事象が、本当にその 薬剤によるかというものは検証できない。  そういうデータベースというのは、欧米だと60、70ありまして、そういうものをもとに特 定の利用形態、当然ルールを設けて、研究者たちがそういうデータを使って積極的に安全性に関 する検討を行っているわけです。そういうものを是非日本でも推進していただきたいということ。  あと実際そこでは当然研究費が要ります。大学の研究者はほとんどお金がありませんので、そ ういう財政面の仕組みも是非構築していっていただきたいなということです。意見です。 ○寺野座長 ありがとうございます。泉委員、御質問。 ○泉委員 薬害肝炎の事件としてこの委員会を見ると、私は薬害肝炎事件は厚労省の役人の意志 の疎通がうまくできなかったことに、大きな原因があるように思うんです。   私たちは医学界にいる人間でもないし研究者でもありません。でも、清水先生がおっしゃら れたように、輸血あるいは血液に関しての報告というのは、まさにC型肝炎の発症とか原因とか 予後の予防というのは、学会で承認されそして専門医の判断として国、つまり厚労省に上げられ てきた。報告をずっと上げられてきたものなんです。  今からもう50年前、50年までいっていませんが、45年ぐらい前にも厚労省自体が研究班 をつくり、そして副作用として重篤、重大性を報告で聞いているものが、なぜ40年間も何もさ れなかったという、そういうような体制を考えると、花井さんが先ほど言われたように、厚労省 の縦割りだけでいいのかということになって、今、先生方がデータベースをつくって、こういう 副作用があったら、そういう情報を共有してというふうに言われるけれども、それはどこがやる んですか。  やはり厚労省がまとめるとしたら、厚労省に変わってもらわないと、厚労省の中で意識を変え てもらえなかったら、こういう検討委員会でつくったものであってもだめですよ。  ですから被害者として思うのは、やはり厚労省が国民の安全性、国民の命を守るという立場か ら、大臣が言われたように、薬剤はもう再発防止するんだという意識を持ってもらうことを、罰 則規定ぐらいないと、この40年間いろいろな薬害があった上にできなかったことが守られるん ですかということを問い掛けたいというふうに思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。非常に重要な点の御指摘だと思うんです。資料3で、安全 対策課長が先ほど説明しましたけれども、これを実現するための組織体制のあり方はどうあるべ きかということで、体制の充実とか、本省とPMDAという機構、この関係をどうするかという ふうなこと、これもこの委員会の非常に重要なテーマでございますので、今、泉委員が言われた ようなことも、当然のことながらこの委員会の役目だと認識していますので、またいろいろと御 意見をいただきたいと思います。  事務局、この点に関して何か御意見はございますか。よろしいですか。  たくさんいろいろ意見をいただいたんですが、6時までには終われということで、座長という のは時間との戦いでありまして、なかなか大変なんですけれども。  6時までに終わるとしますとあと5分しかございませんので、時間がそろそろ近付いてまいり ましたという表現になります。厚生労働省の事務局として、先ほどもお話がありましたように夏 の概算要求に間に合うということ、これは皆さん、非常に予算は必要でございますので、御了解 いただけると思うのですが、そのために集中的な議論を行って一応最初の結論を得たいというこ とです。勿論、全体の結論ではないです。何らかの概算要求のための結論を得たいということで、 緊急提言をまとめてほしいということなんです。  6、7月の間にそれをやるというのはなかなか大変なのでございますけれども、先ほど今まで いろいろ御意見をいただきましたように、事務局としても、さらなる討論のための資料は用意す るということでございますので、その用意していただいた資料に基づいて2回、3回という形で 進めてまいりたいと思います。  そういたしますと、今後のスケジュールとしてどういうことになるかということを事務局の方 から御説明をお願いいたします。 ○安全対策課長 本日委員の皆様から、いろいろ貴重な御意見をいただいたところでございます。 そういった御意見も踏まえまして、論点整理をさせていただきまして、次回の委員会におきまし ては、その論点整理をもとにさらに御審議をいただきたいというふうに思います。  そしてその次の会議は取りまとめ案というものを提示して御審議いただきたくということにさ せていただければと考えております。 ○寺野座長 まだ皆さん、十分満足しておられないことはわかりきっているんですけれども、急 いで検討しておりまして、取りまとめということになるのですが、医薬品行政の見直しに向けて、 委員の皆さんの御協力をお願いするということです。  ただ時間がなくて、十分な御質問、御意見を述べていただかなかった方もいらっしゃるわけで ありますので、2回目、3回目、資料がありますので、御意見をいただきたいんですけれども、 そのほかファックスとかあるいはメールでもいいのかもしれませんが、事務局に御提出いただけ れば、それも含めた論点整理をするようです。その論点整理が非常に重要でございますので、御 協力をお願いしたいと思います。  では最後に事務局から、連絡事項をお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 今後の日程でございますけれども、委員の皆様には既に日程確保 について既にお願いする連絡を申し上げておりますけれども、第2回の委員会は6月5日、木曜 日16時からです。第3回は6月30日同じく16時から、厚生労働省内の会議室を予定してお ります。また正式な御案内はさせていただきたいと思っております。  お忙しいと思いますけれども、御出席賜りますよう、よろしくお願いいたします。  あと座長から今お話がございました、ファックスあるいはメール等の御意見提出、もしござい ましたら、第2回も2週間後ということで、今、申し上げましたけれども、それまでに時間がな くて、論点整理の作業の関係もありますので、できましたら来週水曜日ぐらいまでに何かいただ けると、それを作業に使わせていただければというふうに思っております。よろしくお願いしま す。 ○水口委員 座長、事務的な点で1点だけお願いがあるのですが、よろしいでしょうか。  この検討会の議事録とそれから配布資料がホームページでアップされることになると思うので すが、私がNGOの活動をしていてよくこの種の検討会を傍聴させていただいた経験を踏まえて のお願いなのですが、資料のアップをできるだけ速やかにお願いしたいということと。  それから議事録については、次が2週間後となるとちょっと難しいかと思うんですが、これは 委員の先生方に議事録をチェックしていただいてそれからアップというスタイルをとっていらっ しゃるんだと思いますが、何人かバックが遅い先生がいると、それにつられてもう3回、4回前 の議事録がまだ読めないという状況がすごく多いのです。  ですからルールとして、何かある期限を設けてそこまでにチェックが戻らなくても、「暫定議 事録」として、非常に国民の関心も高いと思いますので、できるだけ早目にアップするというル ールを一応御確認いただけないかと思っています。  それから会議の傍聴のための日程の予告ですけれども、これはいつも1週間とか10日前にぽ っとホームページに出るわけです。普通仕事をしている人は、それからとても日程調整はできな いので、今日のように委員とか傍聴している人には2回、3回まで決まっていることがわかって いるというような場合には、ホームページ上でも、傍聴の人数募集とは別に、先までこういうふ うに一応現段階では決まっていますという告知をしていただけると、やはり多くの方が傍聴でき るのではないかということで、是非そのことをお願いしたいと思っております。 ○寺野座長 ありがとうございます。前半は我々委員の方でチェックをするときに、速やかにチ ェックをして返していただきませんと、議事録等々が遅れますので、これは大変ありがたい御指 摘だと思います。よろしくお願いします。  それからその後の日程についての前もっての皆様への公告ということに関して、いかがでしょ うか。 ○医薬品副作用被害対策室長 会議資料のホームページへのアップの件も含めまして、今、御指 摘のあったことを踏まえて、できるだけ情報提供を円滑にできるようにやっていきたいと思いま す。 ○寺野座長 それでは、時間が参りましたので、これで第1回の委員会を終了します。今日は大 臣も御出席いただきました。大変短い時間でございましたけれども、今後も時間の許す限り、御 出席いただけるということです。御意見あるんですか。 ○大熊委員 泉さんがかわりに言ってというのですが、メールでさっさと議事録をくださればさ っさと返せますというふうにおっしゃっております。郵便ではなくて。 ○寺野座長 それも工夫させていただきます。ありがとうございます。  私も第1回で、しかもこれだけたくさんの委員並びに傍聴の方もいらっしゃるので、大変緊張 しまして上がってしまっているんですけれども、次回からは少しリラックスできるかなと思いま す。少し和気あいあいとした中で厳しい御意見をいただきたいというふうに思いますので、次回 からよろしくお願いいたします。   事務局、よろしいですか。それでは、今日はどうもありがとうございました。                                      (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111