08/05/12 第4回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 第4回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 日時 平成20年5月12日(月)10:00〜12:00 場所 厚生労働省9階省議室 ○柏女座長 定刻になりましたので、若干まだ委員の方のご到着が遅れているようです が、今日は私も電車が少し遅れましたのでもしかしたら後からお見えになる方もいらっ しゃるのではないかと思いますので、ただ今から「第4回障害児支援の見直しに関する 検討会」を開催いたします。各委員の皆さま方におかれましては、ご多忙の中、お集ま りいただきまして本当にありがとうございました。これまで2回各委員団体の方々から ヒアリングをさせていただきました。ご協力をいただきました各団体の方々に心からお 礼を申し上げたいと思います。今日から本格的議論に入っていきます。それでは事務局 から今日の進め方、資料につきまして説明をお願いしたいと思います。 ○蒲原課長 本日は大変お忙しいところ皆さまにお集まりいただきまして本当にありが とうございます。本日の出欠の関係ですが、事前の連絡では両坂本委員が欠席です。中 島委員が遅れると連絡が入っています。おそらく何人かの先生方もしばらくすればお見 えになると考えております。  本日の進め方ですが、大きく3つのパーツがあります。1つ目の議題は、「検討項目(案)」 とさせていただいております。この検討項目につきましては、第1回の検討会で議論い ただいたものです。その後前回、前々回と関係団体からヒアリングを行ったところです が、座長とも相談の上、資料1のとおり「検討項目(案)」を作成しております。今後議 論すべき検討項目についてご議論、確認いただきたいのが第1点目です。  2つ目の議事は、「障害の早期発見・早期対応策」です。これ以降は検討項目に沿った 形で具体的な項目毎の議論になるわけです。まず、ライフステージに応じる形で、この 議題を設定をしています。先般のヒアリングでも障害を早期に発見して、早期に対応す べきだと指摘があったわけです。積極的な議論をいただければと思っています。  3つ目の議事は、「就学前の支援策」にしております。保育所等の一般施策における障 害児の受入れや、あるいはそういった一般施策での受入れを支援するためにどういう体 制を組んでいったらいいのかという辺りが指摘をされています。これについても積極的 な議論をいただければと思っております。  時間の関係だけ最初に申し上げておきますと、第1点目の検討項目については、概ね 20分ぐらいの議論、その後の第2、第3番目の議論についてそれぞれ45分程度の議論と 考えておりますのでよろしくお願いします。なお、第1回目のときから例えば契約と措 置との関係などいろんな資料についての要望がありました。各項目でそれぞれ議論する 中で、一つひとつ提出していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。  次に配付資料の確認です。資料の1から始まりまして、資料2。資料3、4が早期発見・ 早期対応策関係。資料5、6が就学前の支援の関係になっております。なお、いちばん最 後に渡辺委員から資料の提出がありました。議事の中で渡辺委員からの発言があると認 識しております。資料の不足がありましたら事務局にお申し付けいただきたいと思いま す。事務局からは以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。それでは早速議事に入っていきたいと思います。 いま話がありましたように今日から本格的な議論を進めていくことになります。少し「検 討項目(案)」を見ていただきますと、具体的な検討事項として大きく7つ挙がっていま す。それともうひとつ全体の議論についてのことになりますと、今日はこの7つの論点 以外のことがあるかどうかと、あるいはこの論点について少し細かく議論をしたほうが いいのではないかといったようなご意見を最初にいただいて、そしてその上で7つあり ますので、これからの日程等を考えますと、大きく大体1回でライフステージ毎に2つ ぐらいずつやっていくことが大事なのかなと思いました。事務局と相談をさせていただ いて大きく2つずつ行っていくという計画を立ててみました。もちろん議論のありよう によっては行ったり来たりしたり、あるいは1つのところに時間をかけたりとのことは あるわけですけれども、一応そのようなことで事務局と相談をして予定を立てさせてい ただきました。  早速ですけれども検討項目の案について、まずはお諮りをしたいと思っています。「検 討項目(案)」について、事務局より説明をお願いしたいと思います。 ○矢田貝補佐 障害福祉課の矢田貝です。資料1につきまして説明をさせていただきま す。この資料の趣旨につきましてはただいま座長から説明があったとおりですが、これ までヒアリングを含めまして3回の検討会を踏まえまして、座長とも相談の上、案とし て整理をしたものです。資料1に入ります前に、資料2は「ヒアリングにおける主な意 見と検討項目(案)」と書いてあります。これは、検討項目を整理するため、また、今後 の議論の参考としていただくためにヒアリングで各団体から出されました意見につきま して項目別に整理をしたものです。現在ヒアリングをしていただいた団体に確認の依頼 中です。いくつかの団体からは修正意見もありますけれども、現在確認中のもののため に未定稿ということで付けさせていただいております。この資料2を横に置きつつ資料 1を見ていただければと思います。  それでは資料1の見直しの基本的な視点として4点括っております。資料2では2頁 からですが、この4点につきましては第1回の検討会で示されたものと変わっておりま せん。「子どもの自立に向けた発達支援」ということでは、ヒアリングでも成長期を見据 えた支援が必要という意見が出されています。また「子どものライフステージに応じた 一貫した支援」では、特に教育と福祉を分断しないようにという意見がヒアリングでも 出されています。3点目、「家族を含めたトータルな支援」につきましても、子どもを中 心に置きつつ家族支援がキーになるというご意見もありました。さらに最後の「できる だけ子ども・家庭にとって身近な地域における支援」ということでは、ヒアリングでも 多数この方向で進めるべきという意見をいただいているところです。  具体的な検討事項につきまして、1の「障害の早期発見・早期対応策」につきまして は、資料2には3頁のところから書いてあります。まず、早期発見の機会の充実という ことです。ここでは発見される時期ということで、出産前後、健診、それと最近の発達 障害などにつきましては保育所等において早期発見がなされるということも踏まえまし て、この3点に分けています。いずれの場合であっても、なるべく早く親子サポートに つなげるべきというご意見があったものです。  (2)早期対応への取組、発見したあとに保健福祉等が重層的にサポートをしていくよ う対応を強化すべきである。また、ここに「『気になる』(いわゆるグレーゾーンの)子 ども」と書いてありますけれども、やはり障害が確定する前から特に発達障害のお子様 の場合には、親の受容の問題等もありますので、なるべく早く支援をしていくためには どうしたらよいかというところについて、議論をいただけたらと思っております。  2の「就学前の支援策」についてです。資料2では6頁からその関係のところを記載 させていただいております。(1)が保育所等での受入れの促進です。(1)保育所等におい て障害のお子様を受け入れていただくための体制の充実。(2)専門機関による保育所等へ の支援、受入れを進めていくためにも、例えば専門機関から巡回を保育所のほうに専門 家を巡回させてバックアップをしたらどうかという意見が、ヒアリングの場でも複数寄 せられていました。また、(3)の並行通園は、保育所と障害者の通園施設などと両方に並 行して通えるようなことの促進。更にいま数が非常に増えておりますつどいの広場、子 育て支援センター等での支援についてもご意見がありましたので、検討項目の1つとし て掲げてあります。  (2)は現行の通園施設と児童デイサービスの機能の充実というものです。これは資料 2では7頁から9頁に渡って、非常に多く団体の方から意見が寄せられたところです。 総じてこうした通園施設においては、地域の核となる機関として、通所の受入れだけに 限らずに、やはり専門機関として先ほどの保育所への巡回であったり、そうした地域の 全ての子どもを見れるような、核となるような施設にしていくべきではないかという意 見が出されているものでした。  3は「学齢期・青年期の支援策」です。資料2では9頁から記載があります。放課後 や夏休み等における居場所の確保。(1)は学齢期の受入れ、(2)中学時もしくは高校時の居 場所の確保ということで、年齢に合わせて2つに分けて記載しております。(2)では、 卒業後の就労・地域生活に向けた学校と福祉の連携の充実ということで、検討項目の整 理をさせていただいております。なお、この部分に特別支援教育の関係のことについて 検討会でもヒアリングでも意見が出されております。いかにそこと連携を図って行くか ということは本検討会で議論をしていただくとして、特別支援教育そのものの中身につ いて、加配の話ですとかそういうことにつきましては、文部科学省ではヒアリングの意 見を踏まえて対応をしていただくという整理なのかと考えております。  4は「ライフステージを通じた相談支援の方策」で、資料2では10頁からです。年齢 別から見ていくだけではなく、それを苦心して途切れのない支援をどのようにしていく かということです。ヒアリングを基に(1)市町村、専門機関による相談・支援、(2)関 係者の連携強化、(3)個別支援計画づくりが鍵になる、という意見がありましたので、 大きくこの3点に整理をさせていただいております。  5は「家族支援の方策」で、資料2では12頁からです。親に対する心理的なケア、療 育方法の指導もしくは親同士の交流の場の促進など家族全体を支援していくについて議 論いただきたいと考えております。ここでは(1)家族の養育等への支援、(2)レスパイ ト等の支援、(3)経済的負担等と書き加えさせていただいています。  6は「入所施設のあり方」で、資料2では13頁からです。入所施設につきましては、 3年後の法律見直しの検討課題で明記されているところですので、ここはこの検討会の 場で議論をいただきたいと考えております。(1)入所施設の役割。(2)入所施設の類型 について、ヒアリングでも障害毎の類型のままと現在もなっておりますけれども、これ をどのようにすべきかということでご意見をいただいております。更には在園期間の延 長についても、ヒアリングの場でもご意見が出されておりました。例えば児者一貫の観 点から現状維持すべきであるという意見もありましたが、このところについて議論をい ただきたいと考えております。  7は「行政の実施主体」です。資料2では、15頁からがその関係です。現在障害児の 特に施設関係につきましては、都道府県というものが実施主体となっておりますが、大 人の施策もしくは一般の児童福祉施策が市町村となっている中で、この実施主体につい てどのように考えるかという点が1点目です。2点目は、これまで3回の検討会の中で も例えば措置と契約のことについて、措置が基本とすべきではないかという意見、ある いはいま措置と契約についての施別が都道府県毎でまちまちであるという意見がありま した。行政の実施主体と申しますか、行政の関わりという点で、この7のところに位置 づけて議論をいただければなと考えております。  「その他」につきましては、資料2では17頁から記載をしておりますが、例えば法律 上の位置づけで児童福祉法に位置づけてほしいとか、そのような意見も記載をしている ものです。  以上のように整理をしたものについて、今後議論を進めていくことについて確認をい ただければと考えております。よろしくお願いします。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。ヒアリングあるいは初回のご意見を踏ま えて検討項目の項目立てをしていただきました。それではいまの説明を踏まえて、何か 意見がありましたらお願いをしたいと思います。 ○柴田委員 この検討会の最大の課題は、やっぱり障害者自立支援法と児童福祉法との 関係の見直しということだと思います。それがここには表れていませんで、その他のと ころに入っているということなのです。その他ではなくていちばん中心的な課題かと思 いますので、行政の実施主体のところと一体でも結構ですので、きちんと大きな課題と して挙げていただきたいと思います。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。行政の実施主体という議論の中で、自立 支援法と児童福祉法の中にこの障害児関係の特に施設をどう位置づけていくか、そこを 議論をしてほしいという意見でよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。 ○君塚委員 これらの項目は、相互に関連しているということを確認をして進めていた だきたいと思います。特に重症児対応あるいは、重度の医療の関係での人材育成、社会 支援機関の技術支援を重点化してほしいと考えております。 ○柏女座長 はい、ありがとうございます。それぞれの項目は、いま君塚委員のご指摘 にもありましたように、当然のことながら相互に深く関連をすることになるかと思いま す。例えば、障害児の今日議論をする就学前の支援策にしても、実施主体と当然深く関 わってくるわけです。ぜひ行ったり来たりしながらに当然なると思いますが、そのよう に配慮していきたいと思います。ありがとうございました。その他いかがでしょうか。 ○柴田委員 細かいことなのですが、就学前の支援策の(2)ですが、現行の通園施設と 児童デイサービスの機能の充実とありますが、このように書くと現行の通園施設と児童 デイサービスの制度そのままを置いたまま機能の充実のように受け取られますので、「現 行の」は外していただきたいと言うことです。 ○柏女座長 なるほど。通園施設の組替えもやはり考えるべきではないか、その議論も すべきだと。 ○柴田委員 そうです。根本的な見直しをすべきだと思います。 ○柏女座長 それはそのほうがいいと思いますので、「現行の」を削除をするということ にします。 ○柴田委員 機能の充実というか見直しも含めてですね。 ○柏女座長 機能の充実、見直しということの検討ですね。 ○柴田委員 はい。 ○山岡委員 全体に関わることかもしれませんが、最近地域における支援体制のあり方 や連携が大事になってくると思うのですが、4番のところにライフステージを通じた相 談支援の方策とありますけれども、どこかに、総括的なところなのか、まとめのところ なのか、地域においてどのような支援体制を作るとか、どこが主体になるかなどをまと めていただきたいなと思います。 ○柏女座長 確かにそれはそうかもしれません。それをどこで考えたらよろしいですか。 ○山岡委員 全体のところで前段で謳うか、最後のその他で謳うか、全体にかかるとこ ろであるかと思いますので、項立てをしていただくか、それとも4番のところでまとめ ていただくかどちらかと思います。 ○柏女座長 事務局では何かいまのところのお考えはありますか。いまのご意見につい て。 ○蒲原課長 事務局的にといいますか、4のところは、ちょうどライフステージを相談 支援でつなぐので、そこに入ってくるのが1つ。あと全体にかかる「その他」という表 現がいいかはわかりませんが、全体にかかるという意味で地域におけるそういう支援体 制作りとかそのようなものを1つ入れる。相談支援のところは相談支援という観点では 入りますけれども、そうではないサービスの連携みたいなところがあると思うので、そ の意味ではその他のところに1つ入れたらどうでしょうか。 ○柏女座長 そうですね。これはとても大事な視点だと思いますので、それをいわば8 番のところでいくつか全体に関わることを入れておりますので、ここに入れていきたい と思います。先ほどあった柴田委員から法体系の問題についても、ここで議論があるか もしれません。 ○柴田委員 その他というより、全体に関わるという。 ○柏女座長 そうですね。そのような形でおそらく組み直されていくのではないかと思 います。障害児サービスの体系化についてとかそのようなテーマになるかと思います。 他にいかがでしょうか。 ○君塚委員 この中では、重症度別というか障害程度区分的な側面の検討があまり浮か び上がってきていないと思うのですが、いかがでしょうか。 ○柏女座長 確にそうかもしれませんが、それはいかがいたしましょうか。 ○蒲原課長 確かにこの1、2、3のところにいわばライフステージに応じたサービスが あって、それをまず相談支援で横割りをしていると。そのあと家族とか入所とか横割り の部分が伝わってきているということです。おそらく重症度別のところは各ライブステ ージのところにそれぞれ入ってくることをまず確認をいただいた上で、かつ議論の過程 で最終的にまとめるときに、横割りでもう一度重症度みたいな観点を入れる必要があれ ば、そこはまた最後の全般的な議論のところで議論をするという、ちょっとそのような 2段階方式で考えたらいかがでしょうか。 ○柏女座長 全体の議論をしていく中で、例えば今日の1、2番の議論をする中であって も、いわば障害の種別あるいは程度別についてもこの中に含めながら議論をしていくと いうこと。最後に全体にかかわることの中で、障害の種別の固有性に着目をしなければ いけないことがあれば、そこで議論するという形でどうかということですが、よろしい ですか。皆さま方もよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○柏女座長 ではそのような方向を取っていきたいと思います。他にいかがでしょうか。 ○末光委員 措置と契約のところでまた話をさせていただきたいと思います。16頁で前 回児童相談所の代表の方の話もありましたように、3つの考え方が示されておりますが、 かなり児童相談所、市町村によってこの解釈に違いがある中で、虐待とか精神障害はよ くわかるわけでありますけれども、やはり親御さんの中に本当に本人本位の考えができ ているかどうか。特に重い方です。それについては、やはり親御さんを本人の代弁者と して適切性といいますかチェックなり、あるいは指導なり第三者評価みたいなのがいる のではないかと思いますので、その辺をぜひ前向きに取り組んで加えていただいたらあ りがたいなと思います。 ○柏女座長 それは現在の体制ではまだ不十分なところがあって、そこを見直しをして いかなければいけない。権利擁護の問題とか苦情解決の仕組みとかそれらによって考え ていかなければいけないということですか。 ○末光委員 そうです。 ○柏女座長 そうしますと、それは行政の実施主体のところで議論をしていくことは可 能でしょうか。 ○末光委員 はい。 ○柏女座長 それではそうした権利擁護の視点等も含めて、行政の実施主体のところで 議論をぜひお願いをしたいと思います。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。 ほぼよろしいでしょうか。当然のことながらここで決めたことは一応の確認でして、こ の後ライフステージ毎に議論をしていく中で、こういう論点を別途立てなければいけな いということが出てくると思いますので、その場合には、そちらの新しい論点を立てて いく、検討事項を立てていくということで進めていきたいと思います。一応この1番か ら7番までと8番に全体的な事項、障害児サービス全体の体系化に関すること。特にそ の地域における支援体制や制度的、法的な体系化のあり方といった点についても議論を 入れていくようにお願いをしたいと思います。  それでは検討事項に基づいて議論に入っていきたいと思います。まず、「障害の早期発 見・早期対応策」について事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○矢田貝補佐 ありがとうございました。資料1については、ただいまの座長のまとめ のとおり、今後資料の準備等をさせていただきたいと思います。  それでは本日、個別の議論の1番目の議論として、「障害の早期発見・早期対応策」に ついてご議論いただきたいと思います。お手元の資料3の検討資料、資料4の参考資料 は、今日議論していただくために事務局で整理したペーパーです。これを説明させてい ただき、その後ご議論いただきたいと思います。  まず資料3を1枚めくると、「検討項目(案)」とあります。先ほどの資料2のまとめ でも、各ヒアリングでどのような意見が出たかということでいくつか項目立てています が、さらに論点的にというか、ご議論いただきたいポイントのようなものを付け加え、 これを基にご議論いただければと用意したものです。  2頁の(1)早期発見の機会の充実ですが、(1)(2)(3)としています。これはまさに先ほど もご意見がありましたが、障害の種別によって発見の時期が違う。それ以降の、例えば 親の受止めであったり、サービスのつなぎもそれぞれ違うだろうということで、大きく この3つに分けて整理しています。(1)出産前後・障害の発見時は、乳児期にわかるよう な障害の場合ですが、保健医療、特に産科医療機関などと福祉などが連携をしていく仕 組みを充実していくべきではないか。(2)1歳半児健診・3歳児健診ですが、ここで障害の 発見や疑いが持たれる場合が多いと思います。そうした発見から早期支援につなげる仕 組みを充実していくべきではないか。また、健診を受けていない子どもについても、フ ォロー、確認をしていく仕組みが必要ではないか。(3)保育所等における早期発見の仕組 みづくり。特に最近現場でもご苦労されている発達障害などについて、やはり短時間の 診察だけでわからないことが多く、障害の発見は保育園・幼稚園など、日常生活の場で の気づきによることがある。特に気になるグレーゾーンの子どもは、健診だけでは発見 が難しい場合があり、保育所などの集団や日常生活の中での発見の仕組みが必要ではな いか。  (2)早期対応への取組の強化についてです。1つ目は、身近な市町村や専門機関での 対応を充実させていくべきではないか。2つ目は「気になる」(いわゆるグレーゾーンの) 子どもについてです。グレーゾーンとして念頭においているのは、まず障害かどうかが まだよくわからない状況、もしくは障害はありそうだが、まだ親が受け止めておらず診 断など医療のほうに結びついていない子どもへの対応です。現行では気になる子どもが いた場合にあっても、やはり親の受け止めの問題などにより、十分な支援ができない状 況がある。なるべく早期に、親への支援もしくは子どもへの支援につなげる仕組みが必 要ではないかということです。いきなり専門機関につなげるというのは難しいかもしれ ませんが、子どものためにはなるべく早くということですので、どのようにしていった らいいのかご意見をいただきたいと思います。  これらの項目について、参考資料として資料4を用意していますので、簡単に説明い たします。資料4の2頁、「障害児の支援体制について」、いちばん最初の項目です。こ の入口の部分について、今回ご議論いただくものです。  3頁は「母子保健分野における相談支援事業について」です。「市町村等において、以 下の事業を実施」とあります。特に、障害の早期発見・対応に関係するところとしては、 下の2つです。妊産婦、未熟児、新生児等に対する訪問指導、保健師の家庭訪問、保健 指導です。それと、乳幼児健診ということで、1歳6か月児及び3歳児に義務付けてい るものがあります。  4頁は、特に1歳6か月児健診・3歳児健診についてです。1歳6か月児健診の検討項 目では、例えば、健康診査の内容の6番目から、四肢運動障害の有無、精神発達の状況、 言語障害の有無などについて確認することとされています。また、3歳児健康診査にお いても検討項目の8番以降からは、同様に運動障害の有無、精神発達の状況、言語障害 の有無等々を確認することとされています。  5頁では、乳児期、特に生後4か月までの各親子に対するアプローチをきちんとして いくべきではないかということで、今回児童福祉法の法改正でも位置づけられようとし ている取組です。生後4か月までの親子について全戸訪問しよう。右にもありますとお り、虐待予防の観点からも、現在7割近くの市町村で、全親子にまず当たっていくとい う取組を進めているところです。  6頁は、障害受容の状況についてです。健診についての厚生労働科学研究ということ で、「保健師・保育士による発達障害児の早期発見・対応システム開発」という研究があ ったものです。保健師305名に、1歳半児健診・3歳児健診について質問し調査したとこ ろ、その結果として、やはり保健師から見ると、子どもの成長・発達に関する親の理解 の不足、もしくは障害を受容できないといった課題が指摘されています。  7頁は保健師から見たもので、例えば、「理解不足」では、「やや困る人数」「とても困 る人数」とあります。もちろん親はプロではありませんので、どうしても理解不足はあ るかと思いますが、現場の保健師・保育士のほうで悩みを抱えている。もしくは「障害 受容」では、やはり97%の親が「やや困る」「とても困る」ということで、なかなか子 どもの障害を瞬間に受容できない。そうした現状をどうしていったらいいかということ で、ご議論いただければと思います。  8頁は調査研究の概要です。下の2つを読み上げます。「ほとんどの保健師は、子ども の成長発達に関する両親の理解の不足や信頼関係の築き方に困難を感じていた」。「今後 は、他職種との連携方法や家族支援方法を含めた研修を行う必要が示唆されている」。  次に、現場における取組ということで2つ紹介いたします。1つ目は、東松山市のケ ースです。本日は坂本市長ご欠席ですが、ポイントとしますと、特色の1つ目は、専門 機関が直接個別相談を受けるほか、保健センターや保育園等にスタッフを派遣し、相談 支援を行っている。ポイントの2点目は、今日2番目にご議論いただくものですが、併 せてこちらにも記載していますが、保育所等で障害児を積極的に受け入れているととも に、就学前には就学相談調整会議を行うなど、一貫した支援の体制を構築している。  実は、東松山市については、従前あった知的障害児の施設を見直して廃止し、保育所・ 幼稚園などでの受入れにいま力を入れているところです。早期発見・早期支援というと ころでは、下のほうに、ハロークリニック、ハローキッズ、総合相談センターというこ とで、専門機関があります。いちばん外側の青の矢印では、「相談利用児童」ということ で、「個別相談」につながっています。これは、通常の専門機関がお子様への直接相談・ 支援に応ずるところです。  特徴としては、その1個内側に「スタッフ派遣」という矢印で「ハロークリニック」 「ハローキッズ」などから、「健診後フォロー教室(保健センター)」の緑で囲った所に 矢印が伸びています。例えば、健診などで気になるという場合に、いきなり専門機関に 行きなさいと言われても、なかなか親は行きづらいという状況がある中で、まず、この 保健センターで健診後のフォロー教室などを行い、行きやすい状況の中で専門機関から 専門家を派遣し、しっかりフォローしていく体制を作っているところが、1点目のポイ ントかと思います。  特徴の2点目のポイントは、次の2の議論でも関係するところですが、幼稚園・保育 園などにも専門機関からスタッフを派遣し、幼稚園・保育園などへのバックアップを専 門機関が行うとともに、いちばん右側に、東松山市から矢印が伸びて、「保育士・看護師 の加配」とあります。保育園などの体制を厚くし、なるべくこうした幼稚園・保育園で の受入れができるようにしているところが、ポイントかと思います。  11頁も同じ東松山市のライフステージが進んでいった、就学前のところです。同じよ うな仕組みで専門機関が学校などを支えて、東松山市の学校のほうの加配もする。さら には、この「就学相談調整会議」にも専門機関からのスタッフが入り、お子様に対する 就学の相談を行うという体制を作っています。早期発見から就学に至るまでの関係機関 の連携であったり、一貫した対応が作られている例としてご紹介いたします。  12頁は姫路市のケースです。姫路市については本日宮田委員がご出席ですので、直接 ご説明いただいたほうがよろしいかと思いますが、簡単に私から説明いたします。姫路 市のケースについても、「姫路市総合福祉通園センター」を中心に相談、診断、その後の フォローについて一貫して行われているものです。  13頁の図をご覧ください。ちょっと目がチカチカするようで恐縮ですが、いちばん右 側の「入園」とあるところが、この総合福祉通園センターの本来の基本的な機能です。 「入園」に至るまでにさまざまなプロセスを置いています。左に「インテーク」から「診 察」「初回評価」とあります。「外来保育」と真ん中にあります。3か月間それぞれ肢体 不自由児、知的障害児・自閉症、個別保育適宜ということで3か月診ます。3か月後に 再評価を行い、例えば入園が適切なのか、もしくは保育所・幼稚園での受入れ可能なの か、デイサービスがいいのかなどをしっかり評価するということが、1つ目のポイント かと思います。  2点目のポイントとしては、この黄色の総合福祉通園センターの枠から外に伸びてい る部分です。例えば、先ほどの3か月間の保育についても、下側に「保健所での保育グ ループ」ということで、ここに「支援」と書いて下に伸びています。先ほどの東松山市 と同じように、やはり保健所などで、気軽に行きやすいような所での保育グループにつ いても支援を行う。このフローチャートに載せているところです。もしくは右側に「巡 回」ということで、「児童デイサービス」「保育所・幼稚園・学校」に矢印が伸びていま す。そうした所での受入れ等について、この総合福祉通園センターがバックアップし、 巡回支援を行っているところが特徴かと思います。  以上が事務局で用意した資料ですが、これらに基づき、また各委員のご経験などを基 に、障害の早期発見・早期対策についての方策についてご議論、ご意見をいただきたい と思います。よろしくお願いいたします。 ○柏女座長 ただいま事務局から論点の1についての説明がありましたが、姫路市の例 について、宮田委員が詳しいということで、もし何か補足がありましたらお願いします。 ○宮田委員 本当に目がチカチカするような図でして、2つの図を1つにまとめたので、 このようになっています。全体に、赤の部分が、いわゆる「相談支援事業」もしくは「障 害児等療育支援事業」で実施している部分です。赤は医療、診療報酬での部分です。黄 色が、我々のセンターの中での部分という見方をしていただいたらいいと思います。  まず、さまざまな所から紹介されたケースは、インテークを経て診察をさせていただ き、他職種による初回評価のもとに、外来といいますか、入園外の保育を提供させてい ただき、ここで親御さんの障害に対する認識とか理解、そして受入れはなかなか難しい のかもしれませんが、これからやっていこうというような気持を一致させていきたい。 図では全く分かれてリハビリがありますが、平行して進んでいくわけです。そして3か 月ごとに我々は個別支援計画を見直して、そこでリハのスタッフもしくは保育のあり方 を考えながら、半年以内に市内6か所ある児童デイサービスに移動していただくか、も しくは保育所等へ行っていただく。その分もずっとフォローは続けておりまして、県の 児童相談所と検討して、児童デイサービス等も含めた入所検討委員会を経て、入園して いただくケースを決めるというような流れになっています。  我々の考えとしては、早期発見ということが重視されるのですが、支援が後にすぐに ついてこない早期発見というのは、やはり不安を増すだけであるということで、発見と いうか、お付き合いが始まれば、できるだけ何らかの支援を提供する形にしたいという ことです。  東松山市との違いというのは、まだ我々のところは施設を拠点にしているということ です。我々通園センターがコーディネートとか人材確保をしています。ただ、過渡的な 状況として我々施設が拠点化しないと仕方ないかなと思っているのです。資料6の6頁 に「障害児保育の受入れ」が出てくるのですが、人口割の障害児保育の数というのは姫 路市はダントツに多い状況があります。そうした意味では、施設を拠点にしても施設に 取り込まない体制が作れるのではないかと思っています。入園とか診療以外のサービス の制度基盤は、相談支援事業と障害児等療育支援事業を利用しているということです。 この事業を用いて他に学校への巡回とか、養護学校への看護師の派遣とか、入園後の発 達クリニックへの医師の派遣ということもさせていただいています。  基本の我々の考え方としては、保育と相談機能をベースに、医療機能・医療専門性を 提供するという形で提供させていただいています。保育の流れで療育をステージ化し、 その中に必要に応じてリハビリテーションを含む医療専門性を提供させていただいてい ます。医療専門性を一人歩きさせないという形で、いかに生活に結びつけていくかを、 通園施設としては課題にしています。  左下の「相談支援事業所」と「保育所での保育グループ」についてですが、どうして も障害児施設には来たくない、もしくは車がないとか等のことで来られない親子には、 保育所・保健所へ我々が出向いて、そこでさまざまな支援を提供できるのではないかと 思っています。そのために相談支援事業所には心理士と保育士を配置しています。ここ でも、不特定多数、ふっと来ていただいて、「この子、こういうことに困っているんです」 というところからお付き合いを始めるような努力をしたいと考えています。以上です。 長くなりまして、すみません。 ○柏女座長 ご丁寧にご説明をいただいたので、よくわかりました。  それでは2つ目の議題を考えますと、目安としては大体11時15分ぐらいまでの30 分をこれに割くことができるのではないかと思いますので、何かありましたらご意見を お願いしたいと思います。 ○中島委員 私は経済学をやっているので、ちょっとこういう場では多少憎まれ口的な ことを言うのかなと、自分の役割をそう認識しています。こういう資料を拝見していて、 非常に私が不思議だなと思うのは、こういう仕組みを作っていく上でどうしても必要な ことというのは、やはり制度の裏付けといいますか。要するにヒトとモノとカネの裏付 けがあることがとても重要です。ある程度この将来的な目標が、こういうことを実現し なくてはいけないということがはっきりしているのであれば、粛々とやっていくわけで すが、それができないところのネックはどこにあるのか。例えば、カネがないとか、ど うも今の制度ではヒトが思うように集まらないとか、あるいはそういう人たちが一生懸 命働いてくれないとか、そういうようなネックがどこかにあるわけです。ですから、こ の資料の中でおそらく必要だなと思われることは、そうしたヒト・モノ・カネの裏付け がどういうふうにあるかということであって、成功例というのは、おそらくそういうこ とがうまくいっているはずであると。だから東松山市にしても姫路市にしても、こうい った制度がうまく行っている背景には、何らかの仕組みがあるということだと思うので す。その仕組みをやはりここで明らかにして、そこの中から我々が何を学ぶかを考えて いかないと、結局、理想像はこうですね、だけど、なるほどうちは出来ませんと、こう いう話になって終わることが目に見えていますから、その辺りのことを今後是非明らか にしていっていただきたい。それこそこの議論の目玉にしていっていただけるといいと 思います。 ○柏女座長 とても大切なご指摘ではないかと思います。これから論点を一つひとつ議 論していきますが、その裏付けとなる仕組み、財政上の問題、実情等々について、資料 の中で触れていただくことをお願いしたいと思います。 ○末光委員 松矢先生のご指摘と関連するわけでありますが、やはり大きくこの早期発 見・早期療育に関わる3つの条件という問題があると思うのです。1つは、やはり早く 診断する、その専門家の関わり、どこで関わるかということ。2点目には、障害を認知 されるご家族の理解の問題。そしていまおっしゃられた行政の関わり、その財政的バッ クアップだろうと思うのです。前の2つは、東松山と姫路の実践でよくわかったと思い ますので、3点目をよく詳しくお知らせいただきたいと思います。  と申しますのは、私ども旭川荘はもう30数年前から、この早期発見・早期療育に関わ らさせていただいていますが、これを全部市町村との契約でやらせていただいています。 岡山県内、2市7町村と契約ということです。それを始めましたのには、我々の所は重 症心身障害児あるいは知的障害・肢体不自由の総合的な施設ですが、保健所の健診で障 害を疑われるときに、「旭川荘に行きなさいよ」と言われると、親御さんはもうそれだけ で、障害ありと断定されたと受けとる。大変だ、あそこへ行くと、もう一生涯それを抱 えなくてはいけないのではないかということで、軽い方あるいは早期の関わりが非常に 困難でありました。これはいまの2番目のご家族の認知と関わるわけです。敷居が高い のを敷居を下げるには、我々専門家が出掛けていかなくてはいけないのではないかとい うことで、健診活動に出掛けさせていただくようにしました。それには本務があります ので、それにふさわしい費用を市町村からいただこうという形でやらせていただいてい ます。  その中で、やはりご承知のように、早期診断には一般の小児科の先生あるいは一般の 内科の先生では、重い人ではわかりますが、軽い人、グレーゾーンの人については無理 です。そういうときはやはり専門的な人間がそこに出掛けることがいちばん大事だろう。 その取組を2つの市ではやっていただいているのだろうと思います。私どももそういう 共通認識を持っています。  2番目には、ご家族の認知というのはやはり診断されてからですが、その診断を受け るのにかなり努力が要ります、時間がかかります。その間にも日にちが経ちすぎて、「も うちょっと早かったら良かったのにねえ」と言われてしまうわけです。その意味で、先 ほども宮田先生が言われましたように、診断を受けてからではなくて、診断と同時にと いうか、あるいはまだ疑わしいなという段階から療育的関わりが要るのではないかなと 思っています。その意味で、我々は小児神経科系あるいは小児精神科系と一緒にPT・OT あるいは心理職、そして保健師が出掛けていきます。その中で一緒に3か月ごとのフォ ローの療育と保育をやっていますが、それに地元の保健所の保健師さんが関わることに よって、保健所の保健師さんの障害児への理解が深まるという、いわゆる派生的な効果 もあったりしています。そういう意味で、先ほど来お話がありましたように、診断に関 わる部分と家族の認知については、やはり私どもでも2つの市と同じ認識をしています。 あとは行政的な理解のばらつきがあります。私どもの岡山県内でも、やはり十分理解い ただけてない町村がいくつかありますので、その辺りの理解をどのようにさせていただ くのか。あるいは、町村が十分やれるような財政的なバックアップなりが要るのではな いかなと思っています。中島先生のご指摘に少し関連して、発言させていただきました。 ○君塚委員 東松山市は、私どもの所から電車1本で1時間かからずに来るのですが、 そこから母子入所の依頼とか、あるいはもうちょっと年長ですが、手術の依頼というの がかなりあります。そういう中で、この東松山市の中では重度例への対応をどうしてい るのか。児童との線がない。重度例では、ハロークリニックあるいはキッズなり、下の 所に直接通園されていると言いますけれども、ハロークリニック、ハローキッズは通園 をやめてしまったわけです。そういう中で幼稚園・保育園に行けない重い子どもたちへ の対応というのは、どうなるかということが1つあります。  それから大都会のことになりますが、通所時間あるいは地域性との関係の中で、通園 について私たちの所では、医療的にケアがとても大きな重度例の引き受けをする住み分 けをしています。全国の肢体不自由児通園のデータと比べると、入所施設では、非常勤 を含めると医師だけで10倍ほど配置されています。そういう中で医療だけでなく福祉も やっていますが、その重度例の母子入園あるいは早期の医療的な専門相談の形で、階層 的な位置付けという中で現在役割を果たしています。その人材不足なり、収支の問題で、 今後見通し展望が暗くなっています。まあ状況説明です。 ○柏女座長 いま東松山市のシステムの中で、重度のお子さんについての対応はどうな っているのだろうかということですが、今日は坂本委員がご欠席ですので、ちょっと詳 細がわからないので次回ということになるかと思います。事務局で何か把握はしていま すか。では、その前に北浦委員どうぞ。 ○北浦委員 私どもの会では、昭和44年に重症心身障害児療育相談センターというのを 設立いたしました。それで診療所で専門家の診療を受けて、そして当時は肢体不自由児 通園として「あけぼの学園」というものに皆さん通うようになったわけですね。肢体不 自由児通園なのですけれども、東京都が重症心身障害児でよろしいということで、母子 入園もあります。やはりお母さんができるだけ早い段階で、お互いに仲間を作って、そ して子どもの立場を理解していくということが、私は非常に大事なことだと思っている のです。今は、0歳から3歳までの母子通園を東京都が、2対1で認めてくださって、助 成を受けて実施しています。しかし、これは何か東京都でもまだ3か所しか、私どもの 会の関係している所だけなのですが、こういうのがもうちょっと伸びていったらいいな と願っております。 ○柏女座長 東松山市の対応ではなくて、全体として、この重症児の通園が伸びていく 必要があるということですね。東松山市に関連してはどうですか。別にわからなければ、 結構です。 ○矢田貝補佐 すみません。ここで確たる自信を持って答えるものがないので、次回ま でに聞いて準備させていただこうと思います。まさにご指摘は、先ほども冒頭から申し ましたが、いろいろな障害種別の子どもがいて、それぞれについてどういうものがいち ばん必要かという視点で検討していくという意味では、重要なご指摘だと思いますので、 調べて次回ご紹介したいと思います。 ○柏女座長 北浦委員のご指摘もとても大事だと思います。では宮田委員、どうぞ。 ○宮田委員 東松山市に少し関わらせていただいていたので、補足になるかどうかわか らないのですけれども。基本的に、4回目の会議を迎えて思うのは、入所施設と通園施 設というものをいっしょくたに議論するところの無理な部分が、今出てきているのかな と思います。いわゆる一次療育といいますか、地域に根ざして身近な所でサポートする というやり方と、より専門性の高い医療もしくは療育機能を持って子どもたちをサポー トしていく部分というところで、いっしょになってしまっているのかなと。  そういう意味では、東松山市では、例えば気管切開して人工呼吸器を付けている子も、 一般の保育所に行っておられて。そういった意味では、そこに対する看護師や保育士の 加算で、市は頑張っておられる。それは地域生活への支援という意味では、非常に進ん できているのかな。しかし、その子どもたちに対する入院入所による特別な専門的な支 援のためには、他所へ行くというような形になっているのかなと思います。ただ、我々 のところと違うのは通園施設があるかないか、施設が拠点になっているかどうかを申し 上げたところです。この前、東松山市でも申し上げたのですが、一国社会主義みたいな もので、通園施設をなくして理想的な形態を取るというのは望ましのですが、周辺には たくさん施設が残っています。だから、君塚先生のところの施設だけではなくて、例え ば所沢の秩父学園とかにも通われている子どもが若干増えていると聞いています。  そういう意味では、親御さんの気持として「地域でこれだけサポートできます」と言 われても、やはりマンツーマンのかかわりとかいうところが気になる。しかも、周辺に そういう形態が残っている限りは、どうしてもそこへ行かざるを得ない。ならば、その 部分はいままでよりも負担増になってしまう。ここを気をつけていかなければならない のではないかと申し上げてきました。そのあたりでは過渡的な我々のところと、次の地 域のモデルとしての東松山というような認識をしています。 ○田中委員 東松山のことについて私のほうでも若干補足したいと思います。いま、宮 田委員が言われたような状況において、小学校の入学時点からもこのエリアでは養護学 校の入学が非常に増加している。昨日も東松山のネットワークの会員である、総合福祉 エリアに勤めている者とも話をしたのですが、多分に専門性の打ち出し方において、養 護学校などに行くと専門性が高まって支援が高くなるということに過度な期待があって、 本来で言えば支援体制が地域に整った流れの中での選択ということが望ましく進むと思 われる傍ら、先ほど末光委員からもお話がありましたが、親御さんの障害受容の問題に ついて不安感が残っている。その専門性を求めるということにおいて、学校という機能 に養護学校の時点からたどり着いてしまうという状況がある。  それは現象面としてあるということなので、善し悪しをここで云々することは難しい と思います。基本的に議論していきたいところとしては、専門性をどこに活かすべきな のかということなのです。日常の生活の仕組みの中にそれがもたらされる、という視点 が実はいま非常に重要なことではないかと思っています。宮田委員がいま言われたよう な過渡的な押さえということと合わせて、本来、何を目指してこの仕組みを作るのかと いうことも語っていかないと、現状に引きずられて方向が見えなくなるのではないかと 思いましたので付け加えさせていただきました。 ○宮崎委員 障害の早期発見、早期対応策というところの資料を見せていただきながら 思っていたことです。まず、いくつかの対応が早期発見、早期対応で考えられると思い ます。ここのペーパーにあるように、出産前後の対応が非常に重要である。  そういう意味では、3頁に新生児聴覚スクリーニングの話が出ているわけです。多分、 厚生労働省の研究班で、平成14年に事業についての資料が出されたかと思います。ただ 発見するだけではなくて、その後の対応が実はものすごく重要である。スクリーニング をしたあとのフォローアップというのが、その中には事業としてしっかり書き込まれて いたと思います。6か月の時期にどうするか、1歳児辺りではどのような対応を取ってい くのか。そういった細かいステップを刻んで、障害に対応していく仕組みを作る。こう いうことが非常に重要なのだろうと思います。  そういう意味では、ただ発見をしたりするということではなくて、次にどういう手立 てを打っていくのか。先ほど、末光委員がおっしゃったように、専門家のかかわりなど がどのような手立てで対応されていて、具体的に家族にはどんな対応を取っていくのか というあたりを、やはり項目ごとにしっかり整理しなければいけないと感じるわけです。 早い時期に対応ができるものとそうでないものとがあるので、次に1歳半健診や3歳児 健診のところで対応ができるものを見ていく。  見てみると、健診のあとの支援策につながっているのかというと、いろいろなご意見 の中で必ずしもそのようになっていないところをどう整備するのか。つまり、仕組みづ くりの問題だと思うのですが、そこがいちばんポイントになるのかなと感じました。  その中で、保育所などで発見されるケースが多いということも事実です。実はもう1 つ、ここでは出てきていないのですが、発達障害者支援法の整備の折、5歳児健診とい うことが非常に話題になっていたのです。5歳児にこだわらないと思うのですが、3歳児 以降、グレーゾーンと言われる気になる子どもたちというのが保育園や幼稚園で発見さ れるケースが多いわけです。そのあたりが専門家につながって対応がされているかとい うと、最近は徐々にそういう整備が進みつつはあるのですが、きちんとした整備がまだ まだ進んでいないのではないか。そういう意味で、ここに「保育所等における早期発見 の仕組みづくり」と書いてあるのですが、5歳児健診などはもう1度改めて考えてみる 必要性があるのではないか。特に、発達障害児に関しては、自閉症などは3歳児以前の 発症ということでわかるのですが、その後の対応策としてやはりきちんとした見取りを してあげて、支援策をどう作るかということが重要なのではないかと改めて思いました。 そこにどのような形でさまざまな機関がからみ合うのか、というあたりの整備が必要で はないか。このペーパーを見せていただきながら感じたことです。 ○柏女座長 ありがとうございました。続いて副島委員、末光委員、市川委員、渡辺委 員、お願いします。 ○副島委員 育成会ということになると、どうしても親の立場で物事を聞かせてもらっ ています。いろいろ話が出ていますが、「そこまで出来たらいいな」とどうしても思って しまうのです。  しかし、現場では、残念ながらそこまでの見方はないです。特に、私は広島の因島の 地域なのですが、結構良いシステムを持っていると思います。特に1歳6か月健診とか、 3歳児健診で気になる状況が結構ありました。平成12年度、気になる子どもたちの割合 が20%だったのが平成15年には53%、平成18年には72%まで行った。3歳児健診のと きには、気になる子どもたちの割合が平成12年度には15%、平成15年度には35%、18 年度には53%とだんだん増えているのです。  これは当然保健師がやっています。保健師の気になる度合の基準というのはそれぞれ バラバラだと思うのですが、やはりいろいろな形でかかわっていての気になるという数 字なのです。これが例えば健診後のフォロー教室もあります。しかし、そこにつながっ ているケースは残念ながら低いのです。ですから、そのあと、療育機関につながってい るものはもっと低くなります。その数字自身、1.6か月健診の場合だったら50%を切っ ている状態です。療育のほうにつながるにしても10数パーセントしかつながっていない。 3歳児健診であれば、これは少し高くなってフォロー教室に行くのが50%に乗っている し、療育についても30%ぐらいまで行っている。当然ながら、年齢が上がっていけば保 育所との対応でやっていけますので、保育所との連携プレーの中で気になるところが親 にも自覚されているのです。  ところが、これに乗らない親たちがいるのです。ここがグレーゾーンと言ったり、大 変な問題だと思っています。そこのところで、子どもを身ごもった段階から保健師でフ ォローしていく。フォローしながら、子育てのところに対する不安を除いていく。  このように因島の場合もやっています。しかし、残念ながらここに1つの問題があり ます。何かというと、これは制度の問題ですけれど、一般財源化とか市町村合併、メタ ボリック・シンドロームの健診等の取り組みで、地域にいた保健師の数は増えないので、 その大半が中央に集められてしまって、地域のフォローがどんどん落ちていく。それに より、いままで、ここまでフォローしていたのにそのフォローができなくなっている現 状があります。  特に妊娠したとき、どうしてもカバーしてほしいのがハイリスク家族への訪問です。 すなわち、子どもの出産と育児に対して十分な力を持っていない親。例えば、親のどち らかが何らかの障害を持っているとか、いまは低所得で苦しいところもあります。それ から、子育ての技術を十分に持っていなくて、子育てが不安であるという家庭。また、 親自身の情緒が不安定とか、ストレスの解消方法がなかなかうまく行っていない家庭、 すなわち子育ての段階で虐待のリスクが出てくるとか、相談場面には現れにくい家庭が あります。ここのところをどうやってフォローしていくかは子育てする前、つまり出産 する前の妊婦の段階から保健師との人間関係をうまく作りながらフォローをかけていっ てもらうことによって、気軽に相談できることで不安が少しでも解消する方向にいくの ではないかと思います。  当然、そのあとの段階では、生まれる前の「パパママ準備教室」などもやられていま す。 子どもを産んだときにはこういうような問題があるということも、理解する必要があり ます。要は人間関係をしっかりと作って、信頼のおける人たちが自分の身近にいるとい うこと、しかも、その後ろには専門の療育機関ともちゃんとつながっていてほしいので す。そういうようなシステムを作っていかないと、グレーゾーンの子どもたちの問題、 親が子どもの発達遅れを相談することなく、不安のままで育て、将来大きな問題を抱え ていくことになると思います。  そういうことで、是非子どもを身ごもった段階から相談できる、フォローアップ体制 で信頼関係が築ける密な接点を持った支援体制、そういうところが必要かと思います。 ○末光委員 宮田委員が言われた入所と通園を別にしてというか、一緒にやっていると ちょっとうまく行かないのではないかというお話がありました。私は逆だろうと思って います。先生が言われるように第1次医療、この場合には第1次療育と言ったほうがい いかもしれません。2次、そして3次療育にかかわった者こそ、先ほど申し上げたよう な意味で第1次療育なりにかかわるべきだろう。  そういう意味で入園と通所、地域生活を「対立軸」にするのではなくて、その辺は連 動している。本来あるべき姿は、地域の中でどのような重い人も安心して、尊厳を保た れるような形での支援に持っていくべきだろうと思います。それに持っていく手立てに ついて、やはり歴史なり文化なりを無視してやることについてはご家族の不安もあるし、 ご本人にとって本当に良いのかということだろうと思います。それが1点です。  それに関連するのですが、東松山の取組については私どもも大変期待をしています。 ただ、「初めに結論ありき」ではなくて、その結論が正しいかどうか、ご家族なりが十分 納得できているのかどうか。特に、ご本人がそれで十分な専門的支援を受けられている のか。そのあたりについて、君塚委員が少し問題提起をされたわけです。そのあたりに ついて、やはり総合的なアセスメントが要るのではないか。良いことだからそこから外 れるのはけしからんという論理では納得し難いのではないか、全国的に普及もしにくい のではないかと思っています。 ○市川委員 2点お話したいと思います。1点は5歳児健診の話が先ほど宮崎委員から出 ました。私の記憶だと、発達障害児の検討会のときに、診断ができるのはちょっと後に なる。発達障害の中にはそういうものもあるということで、5歳児健診の話が出たのだ ろうと思います。現在、診断をする前から、気づきの段階から対応していくという発想 になってきていますし、それ以降のフォローのことを考えると、現在のいろいろな方法 だと1歳半健診、3歳健診を充実させて、そのフォローをしていくという発想のほうが より良いのではないかというのが、いまいろいろな報告が出始めているのではないかと 思います。  もう1点、これは私の考えもあるのですが、この報告の中にも出ているのですが、「障 害を受容できない」というセリフは私はあまり好ましくない言葉ではないかと思います。 「障害を受容できない親」という言葉がよく出てきます。障害と言っても幅広いのでし ょうが、おそらく、現在、発達障害などを見ていると非常にボーダレス化しています。 その中で「受容すべき」という言葉は非常に疑問があると思います。臨床現場でもそう ですし、あるいは就学相談の場でいちばんうまくいかなくなる原因は、この「受容」と いう言葉が出てくると非常にうまくいかなくなってしまうのかなと思います。  実際、先ほどからお話が出ていますけれども、私の経験だと7割から8割の方は薄々 気づいているけれども、いろいろ事情があって認められないというのが「受容できない」 という言葉になっているのではないかと思います。実は世田谷区でも似たような会議を やったことがあるのですが、そのときに一体誰が主語なのかということがいちばん問題 になりました。受容したほうがいいと考えるのは一体誰なのか、あるいは気づいたほう がいいと考えるのは誰なのか。やはり、主語は保護者にならないとまずいだろうという ことになりました。そうすると、我々ができるのは「受容してもらう」ではなくて気づ きをどれだけ促進できるか、あるいは支援できるかという発想に立たないと、なかなか 先に行かないのではないかと感じています。そのような視点を持っていかないと、今後、 一歩先に進んでいくのにうまく行かないのではないかと思ったので、ちょっと付け加え させていただきました。 ○柏女座長 ありがとうございました。特に後段のほう、非常に大切なご指摘をいただ いたのではないかと思います。 ○渡辺委員 いま市川委員がおっしゃられたことに非常に共感を覚えて、お話を聞いて おりました。ヒアリングの中でも全日本手をつなぐ育成会の方であったり、あるいは障 害ネットワークの方、特に診断直後の支援が大事だということを書いていらっしゃいま した。私も非常にそう思っています。  私も障害児の親御さんたちのグループワークとか、いろいろなことをやってきました。 親御さんたちとかかわっていて、診断直後の話をすると、親御さんたちはほとんど涙を 流されて、いかにショックであったか、非常につらかったかという話をされるわけです。 そのとき医師、保健師などから言われたことはほとんど頭に残っていない。そのとき、 聞いたときは本当に頭の中が真っ白になった。「覚悟はしていたけれども」と言われます けれども、やはり頭の中は真っ白になって、何を言われたかも覚えていないと言われる 方が非常に多い。  いわゆる診断があって、その後に家族指導的なことが行われていると思います。まさ に家族支援という意味で、精神的な面でのサポートが必要だと思っています。親御さん 自身はショックも受けますし、その後にいろいろな葛藤を抱えることにもなります。自 分が受け止めていくことを言われた、それは大事なのだとわかっているけれども出来な いから親御さんたちは苦しんでいるわけです。その親御さんたちの経験する悲しみ、怒 り、あるいは罪悪感であったり、「自分に何か問題があったから障害が発生してしまった のではないだろうか」、いろいろ経験される気持をまずは受け止めていくという支援をき ちんとしていかないと、なかなかその次の気づきを得ていく段階にはつながっていかな いと思います。まずは障害の告知の段階というのは非常に大事で、そこをきちんと精神 的に、親御さんの気持に寄り添った形でサポートしていく。指導ではなくて支援、精神 的なサポートが必要なのだろうと思っています。それが1点目です。  なぜそれをきちんとしていかなくてはいけないかというと、親御さんたちと話をして いくとショックを受けたあと、自分の気持に寄り添って支援してもらえなかったという ことが、専門職に対する不信感につながっていることがよくあります。これは親御さん と話していて非常によく思います。「あのとき、いろいろ言ってくれたけれども、ちっと も私の気持はわかってくれていなかった」ということで、最初に専門職に対して不信感 を持ってしまうと、そのあとに「こういうサービスがありますよ」、「こういう支援を使 ってみたらどうですか」と言われても、最初に思っている不信感が邪魔をしてそこにつ ながらないということが起こってきます。直後の部分では、親御さんの立場に立った支 援のあり方をしっかり考えていく必要があると思っています。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。これもとても大切なご指摘だったと思います。 ○山岡委員 実は特別支援教育で体制推進事業をやっています。ここで行われている人 材、配置、育成とかが、東松山市の考え方と共通点があるなと思いました。  1つは、特別支援教育体制の中では、まず障害全体に対する教員全体の理解度を深め る。それから拠点ごと、学校ごとに特別支援教育コーディネーターという専門家であり、 窓口であり、関係調整をする人が多い。もう1つ、地域ごとにOT、PT、ST、医師、心理 士などの専門家を置いて支援をするという考え方があります。多分、東松山市の考え方 もほぼ同じようなところがある。それを考えると、ここの分野は制度や拠点、窓口がこ ちらの分野のほうは複雑ですので簡単にはいかないと思います。  まず、1つ目は担当する方のレベルを上げるという意味でいくと、保健師や医師の方、 保育士の方、担当される方の基礎知識レベルをまず上げるというのが1つ目です。  保育所や保健所、施設などいろいろありますが、拠点ごとに窓口になる方、専門知識 を多少付けた方、あるいは関係調整をするようなコーディネーターみたいな方をまず1 人ずつ置いていただくということが2つ目です。それから、東松山市でもそうなってい ますが、地域ごとに医師やOT、PT、STなど専門職の配置をして、それらの拠点を支援す るような体制を取っていくことが必要かなと思います。  もう1つ、教育の分野では学校長がキーマンになります。校長に理解がないと進まな いということがあります。おそらく、拠点ごとのコーディネーターみたいな方を置いて いただくほかに、保育所なり保健所なり、施設なり、所長の方というか、長の方をきち んと教育、研修していただくことが大事かなと思いました。以上です。 ○松矢委員 今日はとても重要なお話が聞け、皆さんのいろいろな意見に啓発されてい ます。今日、支援システムが東松山と姫路、2つ出ていますが、ケアリングのプロセス ですと福祉圏域の障害者生活支援センターも出ていました。そういうところを見ると、 福祉の場合にはどちらかというと東松山の場合には「ハローキッズ」という、非常に画 期的な活動をしていた通園施設を廃止して、その地域に新しい考え方を導入したという ところが特色でしょうか。  福祉の場合、相談支援センターが中心になって、1次、2次、3次、すべての支援機関 をつないでいくという形で生まれています。そのように、一つひとつ検討すべき課題と いうか、価値があると思います。その点、末光委員がおっしゃったように、1次、2次、 3次という支援のそれぞれの機能をどう結びつけていくか。地域によっては、例えば厚 生労働省の障害保健福祉圏域ということを見ても、そういう資源がないところもありま すから、ないところはどういうモデルで1人ひとりの子どもの支援ができるのかという ところまでこの検討委員会は行きたい。そういう意味では、いろいろ出てきたものをき ちんとアセスメントしながら、この場合はこういうところがうまく機能している。ある いは、こういうことをうまくすると、そういう資源がなくても機能できるのではないか というような形で、やはりこれからの施策が活きていくのではないか。これは中島委員 が冒頭におっしゃったことだと思います。是非、その点を明確にしていただきたいとい う要望です。 ○柏女座長 ありがとうございます。まだ、ご意見もおありかと思いますが、関連して 就学前の支援策についてのご意見も出てきています。そちらに進ませていただいて、も ちろん戻っていただいてもかまいませんので、ご意見を頂戴していくという形で進めた いと思います。それでは、事務局から、「就学前の支援策について」のご説明をお願いし たいと思います。 ○矢田貝補佐 非常に貴重なご意見をたくさんいただきました。今後の議論にかかわる ところもあると思いますので、また引続きお願いできればと思います。それでは資料5 「検討項目」と資料6「参考資料」ということで、事務局から説明させていただきます。 ひょっとしたら、次回にかかるかもしれませんけれども、今日できるところまでご議論 いただければと思っています。  まず、資料5は検討項目の案です。(1)「保育所などでの受入れの促進」ですが、1つ 目は「保育所における保育に欠ける障害児の受入体制などを充実していくべきではない か」、受入れ側の論点として書いています。2点目として「専門機関による保育所等への 支援」です。これもヒアリングで多々意見が出ていたところですが、保育所等への受入 れを促進していくために、それを支える仕組みというものが必要なのではないか。先ほ どの保健師に対する専門家のバックアップ、というところと似たような話かもしれませ んが、現行の障害児の通園施設・児童デイサービスなどによって、保育所等への支援が できないかということを論点として掲げています。3点目として「並行通園の促進」、通 園施設や児童デイサービスに通っている子どもが並行して、なるべく多く保育所等へも 通えることができないかということを掲げています。  さらに3頁、(4)「つどいの広場や子育て支援センター等での支援」であります。保育 所等のほか、現在数が非常に増えている0、1、2歳、親子で通うようなつどいの広場、 子育て支援センターといった、地域子育て支援拠点施設での障害児への支援ができない かを掲げています。これが(1)の論点です。  (2)「通園施設と児童デイサービスの機能の充実」ということでございます。いま、 東松山市の例を出したせいかもしれません。施設のそもそもの議論もあったわけですが、 ここではヒアリングなどで出た意見も踏まえ、「通園施設・児童デイサービスについて、 通所事業の充実とともに、専門機関として機能を充実させ、保育所などへの支援や相談 事業を行うこととすることができないか」とここでは書いています。  資料6、参考資料のほうをご説明させていただきます。まず2頁、「在宅障害児(就学 前)の日中活動の場の状況」ということであります。これは第1回の検討会でも資料を お出ししましたが、若干資料が古いのではないかというご指摘もあり、左側の身体障害 児のほうの資料が平成18年直近のものがありましたので、それに代えたものです。見て いただけますとおり、通園施設、障害児通園事業、保育所についてということで、前回、 5年ぐらい前のものと比べると、保育所・幼稚園などのところが割合としては増えてい るのかなという状況です。右側が知的障害児の方の状況、こちらは通園施設が左側より は多い状況になっているものです。  3頁を見ていただくと、「在宅障害児(就学前)が利用する福祉サービスの推移」とい うことであります。非常にたくさんのグラフが書いてありますが、下の3つが障害種別 ごとの通園施設の利用者の状況というものです。これについても右肩上がりになってい るところですが、上から2番目の濃い青のものが「障害児保育」というところです。こ れではちょっとわかりにくいのですが、ほかと比べると非常に右肩の上がり方が増えて いる。いちばん上が通園施設を足したものです。それに加え、いちばんピンクで、非常 に角度が付いているものが児童デイサービス、これは就学前の数字ですが、受容が増え ている状況がございます。  4頁はいま見ていただきましたように、障害児保育が増えている点を抜き出してわか りやすく書いたものです。障害児保育の受入れが非常に増えている状況があります。  5頁ですが、そもそも保育所について、改めて保育所の仕組みについて図にしたもの です。日々の保護者の委託を受けて、保育にかける乳児、または児童保育を目的とする 施設です。利用手続きについては下に書いてある図のとおりであります。  6頁は、先ほども引用されていましたが、障害児保育の実施状況ということです。下 の棒グラフが箇所数、上の青が児童数でして、非常に増えてきています。全保育所に占 める実施箇所の割合は平成18年度で31.4%、児童に占める割合としては0.53%となっ ています。  7頁は障害児保育事業について、どのような財源措置がなされているかというもので す。「旧補助金分」とありますが、昭和49年度から、障害児、この障害児というのは重 度、中度、特児の受給者の受入人数に応じて一定額を補助していたという制度がありま す。これについては、平成15年度から三位一体の改革ということで、補助金ということ ではなくて、一般財源化ということがなされています。  一般財源化については、平成19年度より「地域における子育ての力の強化」として 700億円計上となっています。確か、もともと300〜400億円ぐらいだったものを拡充し て、「障害児保育」「妊婦健診」などの充実を広げているものです。対象についても重度、 中度だけではなくて、「障害児」というように平成19年度から広げて地方財政措置をし ているのが現在の状況です。  8頁から、今度は「障害児通園施設等の概要」ということであります。上3つが児童 福祉法に基づく通所施設ということで、知的障害児、難聴幼児、肢体不自由児通園施設 というもので、それぞれ右のような法令、性格、施設数、利用者数となっています。ま た、自立支援法を根拠とした児童デイサービスというものがございます。これが非常に 数が増えてきています。さらに予算事業として、重症心身障害児者通園事業が、いま276 か所でなされているというのが障害児の通園施設等の概要です。  次の頁を見ていただきますと、詳細な説明は今回省略させていただきますが、対象者、 もしくは職員の職種等について、先ほどの頁のものを整理したものであります。10頁は その利用の推移ということです。先ほど申し上げたとおり、利用されている方としては このような状況になっているというものです。11頁については、利用されている方の年 齢について整理をしたものでございます。12頁は児童デイサービスの施設数、利用者数 です。1頁目のものと数字が違っていますが、1頁目は6歳児までで切ったもので、こち らは6歳児以降も含めての利用人数ということで掲げているものです。  そもそも、児童デイサービスとは何かいうことは13頁をご覧ください。対象児童につ いて、療育の観点から個別療育、集団療育を行う必要があると認められる児童を対象と しているものでして、人員配置のところを見ていただきますと、児童10人に対して指導 員または保育士2名以上というものであります。ただ、これについては14頁を見ていた だくと経過措置というものがあり、集団療育が必要と認められている児童について、事 業内容に書いていますが必ずしも1対1での療育を必要としないとあります。人員配置 についても15対2ということで、先ほどの10対2と比べると子どもの数が多いような ものを経過的に認めているという状況があります。  認めているというのは次の15頁、右側を見ていただきますと、大きく分けると下に書 いてある「児童デイサービス事業」がただいまご説明したものです。「適応訓練を行う事 業」と書いていますが、訓練色、個別の訓練のようなところが強いものでして、そうで はない、お預かりする事業については、上に書いています「日中一時支援事業」という 中で行っています。こちらについては子どもだけではなく、大人の方も利用されますけ れども、まさにここに書いてありますとおり、日中における活動の場を確保することに よって家族の一時的な休息を図るというように事業としては分かれている。児童デイサ ービスについては自立支援法の対象となるのですが、日中一時支援事業は地域支援事業 ということで、補助金の中でやっていただいています。その中で、児童デイサービスに ついて、一部経過措置が残っているというのが現在の状況です。  16頁は、がらっと話が変わって論点の(1)の(4)に書いてありました「地域子育て支 援拠点事業」であります。これは親子が集う場所です。いちばん下に書いていますとお り、平成16年度は約3,000カ所だったものがこの3年で4,400ということで、非常に力 を入れて数を伸ばしているものです。それぞれつどいの広場といったひろば型、真ん中 に書いてあるような保育所に併設されたようなセンター型というもの、さらに児童館で やっているものという類型があり、こちらのほうにお子様をお預かりするのではなくて、 親子で来ていただく場をいま地域に増やしているという状況があります。  17頁は議論の参考のために、「障害児の利用するサービスの方向性」ということで示 しているものでございます。ヒアリングでの意見などでも、なるべくいちばん左側、障 害児の施策だけを使っているのではなくて、それを並行通園ということで、障害児施設 にも行きつつ、例えば週に1回、もしくは慣れてくればその数を増やしていくというこ とで保育所などで受け入れていく。ただし、その場合には下に※で書いてあるとおり、 専門家等のサポートをしっかりしていく必要があるだろう。さらに、いちばん右は保育 所等ですべて受け入れるならばということでございます。ただし、「注」の字がちょっと 小さいというお叱りもあるかもしれませんが、「障害の状況によっては専門の障害児施設 で対応することが効果的な場合もあり、すべての場合において一般施策のみで対応する ことを意図するものでない」ということの注釈を付けさせていただいています。これは 先ほどの東松山市の議論とも関連するところなのかなと思っています。  さらに、18頁については、今度は種類ごとというか、それぞれがどのような実施主体、 財源がどうなっているかということについて整理させていただいたものです。見ていた だけますとおり、障害児の通園施設については都道府県等、「等」には児童相談所を設置 するような指定都市であったり、中核市の一部というものが入っております。児童デイ サービスと保育所は市町村、それぞれ国庫負担金ですが、負担割合はそれぞれ右に書い てあるような状況になっております。  就学前のところについて、19頁からは文部科学省の事業であります。文部科学省から あとは簡単にしていただきたいと思います。 ○特別支援教育課企画官(文科省) 文部科学省でございます。19頁の「発達障害等支 援・特別支援教育総合推進事業」を就学前との関係で申し上げます。先ほど、山岡委員 からもご紹介いただいたように、従来から体制推進事業ということで進めてきています が、それを発展・充実させたものであります。平成20年度の予算で約5億円を計上して います。発達障害を含む、すべての障害のある幼児児童生徒の支援のため、各種教員研 修、あるいは外部専門家の巡回・派遣、厚生労働省との連携による一貫した支援を行う グランドモデル地域、そういった指定などを含む総合的な事業、特別支援教育を総合的 に推進していこうということであります。  20頁はもう1つ、発達障害の関係で「早期総合支援モデル事業」、これは平成19年度 から行っている事業です。5,000万円の事業でしたが、平成20年度からは1億2,000万 円という予算を計上しています。発達障害のある就学前の幼児についても、早期からの 十分な支援体制を構築するために、モデル地域を予算上20地域ですが指定し、教育と医 療とを連携して「地域協議会」を設けています。下にございます「すくすく教室」、「教 育相談会・講演会」といった事業を具体的に展開し、体制を整備していこうというもの です。21頁にモデル地域の指定地域を一覧として掲げていますので、また見ていただけ ればと思います。  もう1つ、22頁は平成18年度のものですが、「特別支援学校(盲・聾・養護学校)に おける乳幼児期の子どもの支援に関する実態調査」ということで、1つ調査をご紹介さ せていただきます。特別支援学校のセンター的機能、これは平成19年度から学校教育法 の改正によって特別支援学校の機能として法的に位置づけられたわけです。既に平成18 年度の段階で、そういったセンター的機能を実施していたというものについての国立特 別支援教育総合研究所の調査結果でございます。全国の特別支援学校1,002校中、823 校から回答を得たものです。69%の学校が幼稚部在学者以外の就学前の子どもへの支援 を行っていました。要するに幼稚部在学者以外というのは、自校の子ども以外の就学前 の子どもをセンター的機能として受け入れて、支援を行っていたという状況がありまし た。支援を受けている発達障害のある子どもは4,436人ということです。支援の内容と しましてはそこに示しているとおり、子ども・保護者への支援、幼稚園・保育所の指導 者への支援等ということであります。そういった調査が1つございます。  もう1つ調査の結果で、23頁、最後の頁をご覧ください。これは私ども文科省の事業 で「新教育システム開発プログラム」、岐阜大学のほうで「幼稚園等における発達障害支 援教室研究」を行っていただいたものです。公立幼稚園に対する受入状況に関する調査 ということで、アンケート調査を行っています。障害の診断のある発達の遅れやかたよ りが気になる園児数について、公立幼稚園のうち、障害の診断のある園児が2.3%、発 達の遅れやかたよりが気になる園児が2.9%ということであります。障害の診断がある 園児について、その5割は自閉症であったということです。  気になる園児への対応については、診断のある園児の場合は、補助者を付ける、ある いは園内相談実施、外部機関からの助言、通園施設・相談機関などを行っています。診 断がない気になる園児の場合は、園内相談、あるいは担任のみでの対応ということでご ざいます。  もう1つ、ことばの教室等についての調査です。小学校に置かれています通級指導教 室、これは本来小学生対象の言語の教室ですけれども、2割で幼児を受け入れて対応し ていたという調査があります。以上です。 ○矢田貝補佐 以上ですので、資料5に基づきご議論をいただければと思います。よろ しくお願いいたします。 ○柏女座長 ありがとうございました。冒頭、事務局からお話がありましたが、渡辺委 員から資料提供をいただいています。もしよろしければ、渡辺委員から少し補足してい ただいてよろしいでしょうか。 ○渡辺委員 資料は「地域子育て支援拠点を活用した障害児支援の可能性の検討」です。 先ほどもご説明いただいたつどいの広場であったり、あるいは子育て支援センター等、 いわゆる既存の子育て支援を障害児支援のリソースとして活用できないか、ということ に沿った研究と考えていただければ結構だと思います。  箇所数については、先ほどの資料の中にもありましたが大体4,400ぐらいになってき ています。児童館が全国でいま大体4,700ぐらいですから、児童館に近い数字まで数が 増えてきているという状況があります。写真も掲載しましたが、就学前の幼い子どもと 親御さんたちが日中に、自由に集うことができる場が全国にたくさんできてきていると いうようにご理解いただければと思います。  調査の概要についてはそこに書いてありますけれども、主に地域子育て支援拠点事業 の中の「ひろば型」と呼ばれる所、マンションの一室であったりとか民家を使ったり、 商店街の空き店舗、NPOなども入っていろいろなところを使って実際に運営がされてい るところです。そこを中心にアンケート調査いたしました。および、5カ所の先行団体 に対するヒアリングも行って、できるだけアンケートだけで拾えないところをしっかり 拾うように努力いたしました。  2枚目、「利用者に対する調査から」、まずひろばを利用されている障害児の親御さん に対する調査の結果をここでほんの一部ですが示しています。例えば、そこにあります ように親御さんたちがなぜひろばを継続的に利用するか。やはり、それは「親子で気軽 に立ち寄れる場所だから」というのが最もトップ、次に多いのが「相談できるスタッフ がいる」、「子ども同士が知り合いになれる」、また「親同士が知り合いになれる」という ようなことを親御さんたちは回答されています。  その次の図2、これは調査年度やサンプル数とかが違いますので、あくまでも参考と してとらえていただければ結構です。同じ質問について、利用者一般に対して行った調 査と障害児の親御さんのみに特化して行った調査との比較をそこに示しています。利用 者一般の方と比べても、概ね同様の効果をひろばで障害児の親御さんたちも経験してお られます。また、真ん中あたりを見ていただくと、例えば「利用することで子育て中の 仲間が増えた」とか、下から3番目のところ「利用することで子どもの友達が増えた」、 あるいはいちばん下から2番目「利用者の中に気軽に相談できる仲間がいる」といった、 障害のある・なしにかかわらない子ども同士のつながりとか親同士のつながりという部 分については、利用者一般の方よりもより高い傾向が示されているのが特徴だと思って います。  ただし、一定の支援効果が見られることの一方、課題としてやはりこの時期、親御さ んたちは非常に揺れ動く心理状態にあります。そこにヒアリング、あるいはアンケート の自由記述から利用者の方々が答えていただいたものを抜粋して、まとめて整理してい ます。やはり、子育て支援の場と言っても「自分や子どもが受け入れられるか不安」「は じめは障害があることを隠そうと思った」、あるいは「ひろばに行くにしてもとても勇気 が必要だった」とあります。障害、あるいはその可能性があるお子さんたちの親御さん たちにとって、子育て支援の場も決して敷居が低いわけではないということがこの調査 結果から現れています。今回の調査結果で対象になったのは、あくまでもつながった方 ですが、その背景にはおそらく子育て支援にもつながれず、また障害児支援にもつなが れない状況にいる人たちがたくさんいるのではないかということが推測されます。  2からは「支援者に対する調査から」です。ひろばの支援者の方々から見た傾向で言 うと、主に過去に利用があった障害児の状況としては、0、1、2、3というような年齢の 低いところを象徴して、診断が出ていないというところが6割、その他の発達障害が 47.7%と1位、2位を占めている状況があります。  次の頁、図4、支援者の方が見ている効果です。そこに書いてありますが、最も高い のが「保護者の育児ストレス等が軽減された」。2番目に高いのは「保護者にとって子育 ての仲間が増えた」。3番目は「親同士の支え合いが見られる」といった、むしろ親支援、 家族支援といった効果が上位に現れているというのが特徴です。さらに図5のところは 支援者が見る効果、これは障害児を療育していない他の利用者にもたらされている効果 は何か。最も高かったのが「障害の受け止めや理解が深まっていった」、「他の保護者も 刺激や学びが得られた」というものが高いところに来ています。  こういった家族支援的な効果が見られるのですが、支援者側の方々が抱えている困難 としては、やはり「スタッフの障害に関する知識が不足している」、または「どこまで配 慮すべきか」。「保護者からの相談への対応」、あるいは「子ども同士の触れ合いの難しさ」 等々、障害児、あるいは障害に対する専門的な知識、スキル等が不足している部分につ いて、かなり困難を感じながら受入れを行っているということの実態が見えてきていま す。  次の頁、「提言」としてまとめたことを簡単に図で作ってみました。不十分かもしれま せんが、「乳幼児期の支援体制」として、まずは乳幼児健診は早期発見の場でもあります。 先ほどからいろいろご意見も出ていますように、やはりこれは発見の場だけではなくて、 多様な支援に結びつくエントリーとしてしっかり位置づけていく必要があるのではない かと思っています。ここから支援に結びついていくということをはっきりさせた上で、 例えば実線で示しているのは利用者が結びついていく流れです。ここから子育て支援に 結びついていく人もいる。それから、下のほうの矢印になりますが児童デイサービスや 通園施設等発達支援に結びついていく方々もいらっしゃる。  ただ、どちらにも敷居の高さを感じられる方がいらっしゃるわけです。そういった方 が無理なく支援に結びついていけるように、ステップとして中間支援が必要ではないか。 ここはおそらく、いわゆる発達教室とか親子教室、遊びの教室と呼ばれているような定 期的な幼児教育のグループ、むしろ障害を前面に出さない、サロン的な場が面的に配置 されていくことによって、これをステップにしてさらに次の子育て支援や発達支援に結 びついていくような流れを作っていく必要があるのではないかと思っています。  これがきちんとつながっていくためには、今度は点線の矢印で書いていますが、子育 て支援、発達支援、あるいはその中間支援にかかわっている専門職が健診の場に出向い ていったり、あるいは子育て支援や発達支援の場にいる専門職が中間支援の場に出向い ていって、むしろ積極的に利用者の方々と顔でつながって結びついていくような関係を 積極的に作り出していく。そういうアウトリーチが必要なのではないかということをこ の矢印で示しています。  また、子育て支援のほうでは、障害その他に対しての知識の不足もありますので、で きれば児童デイサービスや通園施設等とのつながりを良くしていく。その中で、先ほど から課題に出ています並行利用、相互利用を深めていくと同時に、コンサルテーション を行っていくことによって、蓄積されたノウハウを子育て支援の専門職に伝えていくよ うな作業も必要なのではないかということを感じています。そういったことを図のほう で端的にまとめました。  最後に、巻末の資料として、地域子育て支援拠点事業の概要を載せています。先ほど の資料の中にもありましたように、既にセンター型については地域支援活動を行いなさ いということが実施形態の中に含まれています。ひろば型、児童館型についても加算事 業ではありますが任意の事業で、地域の子育て力を高める取組というものがもう付いて います。できれば、例えばこういうところの中に、乳幼児健診に出向いていくなどとい うこともきちんと地域支援活動の中に位置づけていってはどうかいうように具体的には 思っています。また、児童デイサービスや通園施設等においても、地域に出向いていっ てコンサルテーションを行ったり積極的に利用者と結びついていくという活動について は、加算を付けていく形で、積極的に推進していくことによって、つながりがもっと良 くなるのではないかと思っています。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。検討の時間が僅かとなってしまいました。次回 もこれについて議論することにさせていただき、何かご質問等がありましたらお願いし ます。 ○市川委員 資料6の中に「保育所等」と書いてあるのですが、「等」はどのようなもの を指していらっしゃるのか教えていただけますか。 ○渡辺委員 これは就学前に通う場所として、幼稚園なども視野に入れてやっていかな ければいけないなと思っています。ただ、あまり、最初から「幼稚園」と書くよりも「保 育所等」ということで、いろいろな議論の中で同じようなことをお願いしようという意 味で書きました。 ○市川委員 幼稚園も視野に入っているということですね、わかりました。 ○柴田委員 就学前のデイサービスについて、障害児のデータ率の推移を示す資料が3 頁に右肩上がりで増えているものがあります。もうちょっと、この中身がわかるような ものはないのでしょうか。4頁の図の中にデイサービスを落とし込むとどういうことに なるのでしょうか、比較できるものはありませんか。 ○柏女座長 児童デイと。 ○柴田委員 児童デイと通園の比較です。もう1つは、9頁に基準等があります。実際 にそこに投下されている児童1人当たりの費用というか、それがどの程度それぞれの制 度についてかけられているのか、月額ぐらいを基準にして示していただけませんでしょ うか。 ○柏女座長 わかりました。 ○蒲原課長 柴田委員の問題意識をお聞かせいただいた上で、あとで資料を整理したい と思います。 ○柏女座長 先ほど、中島委員からも財源の問題などもありましたので、個々のサービ スについての投下財源、例えば子ども1人当たりといったことも補足的にあるとわかり やすいかなと思いました。ありがとうございました。 ○柴田委員 問題意識というのは、要するにデイサービスの実際上の運営が非常に苦し いという訴えが大変多い。一体現実的にはどうなっているのか、それが児童通園との比 較でどうなっているのかを示していただきたいということです。 ○柏女座長 わかりました。では他にご意見をどうぞ。 ○松矢委員 2頁の円グラフ、身体障害児のところで幼稚園が16%とあります。知的障 害児のほうは養護学校幼稚部が2%と、学校教育の幼稚部が入っています。身体障害児 のほうの幼稚園には、特に特別支援学校、視覚、聴覚の特別支援学校の幼稚部に在籍と している幼児が幼稚園の中に入っているのでしょうか、それとも入っていないのでしょ うか。 ○矢田貝課長 ちょっと、基データを当たってみて、次回ご回答したいと思います。 ○松矢委員 お願いします。もう1つ、次の話になると思うのですが、幼児ということ でいくと、前にもちょっと指摘しましたが、児童養護施設における幼児で障害のあるお 子さん、それから情緒障害、この場合は学齢が多いと思います。それらで幼児がどれぐ らいいらっしゃるのか、そこのデータがほしいですね。幼児期のほうで、例えば「ヒア リングにおける主な意見」の5頁のところ、就学前のところなのですが、難聴者等の少 ない地域、いわゆる盲ろう難聴児施設からの報告がありました。それがないために他の 県に措置される中で、幼児がいらっしゃるのです。私自身としては、家庭に密着したと ころでまず支援が開始されるべきだと思っています。その辺、幼児がどれだけ児童養護 施設等に在籍しているのかがほしい。逆に、盲ろう難聴児施設で他県から措置されてき たという子どもたちがどれぐらいいるのか。つまり、広域で療育体制をすべきだと書い てあります。その辺、地域密着ということをまず第一に考えると、そういったデータが ほしいなと思います。以上です。 ○柏女座長 これもとても大事なことで、先ほど来柴田委員がおっしゃっている入所型 サービスをどう捉えていくのか。いま、この中では、同じようにやっていこうという議 論がありました。そういう意味では、入所型施設について、就学前の問題にはどういう ことがあるのか。いま、お話がありましたが、どれぐらいの割合の方が入所しているの か。そうしたデータを合わせて出していただくことでよろしいでしょうか。是非、それ をしていただくと、両方を視野に入れながらの議論ができるのではないかと思いますの で、その辺をお願いしたいと思います。 ○柴田委員 もう1つ、2頁の知的障害児のところに、身体もそうなのですがデイサー ビスがないのです。デイサービスに通っている子どもたちは統計されていないのでしょ うか。 ○柏女座長 いかがですか。 ○矢田貝補佐 正確には確認します。通園の中に入っているのかもしれません。調査項 目自体が歴年の調査になっているので、歴年というのは過去からずっと取ってきている という意味、項目をあまり変えていないようです。例えば、新しい児童デイがどこに入 っているかというところは、たぶん調査のときに整理していると思いますので、その辺 もわかるようにして次回示したいと思います。 ○柏女座長 宮田委員、中島委員、ご意見を伺う時間がなくなってしまったのですが、 次回でもよろしいでしょうか。ありがとうございます。北浦委員が今日に関連して最後 にということでした。 ○北浦委員 皆様のお話を伺って、就学前の支援策でいろいろな方法を考えていただい て、私はいま大変幸せだと思います。皆さんに1つ、特に厚生労働省の方にも知ってい ただきたいのは、いま超重症児というのが発生しているわけです。一般病院でNICUなど に入っていても、長いこと病院にいられないので在宅に戻されてしまうわけです。その ときに人工呼吸器管理、気管切開、経管栄養、その他の医療ケアでお母さんたちは大変 悩んでいます。東京都独自の対策なのですが、重症心身障害児のための訪問看護を独自 にやってくださっています。1週間に1回、3時間ぐらいでしょうか。そこでいろいろな 指導を受けるとともに、お母さんのレスパイトになっています。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。今日、2つ目の検討事項については議論 には至らずに、ご説明とご質問という段階に止まってしまいました。次回はそれを続け ていきたいと思っています。今後の日程等について、事務局からご説明をお願いしたい と思います。 ○蒲原課長 いろいろな議論を本当にありがとうございました。今日の話の中で特にシ ステムを作るためにどう考えていくかという観点がいろいろなところから出ました。日 本全国、どこにいてもある程度のことができるための検討ということで、これから資料 を考えていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。  今後の日程です。次回、第5回の研究会は今月末、5月30日(月)、午前10時からを 予定しています。よろしくお願いいたします。前回の議事録等については、毎回同じよ うに事前にご確認いただくことになっていますので、よろしくお願いしたいと思います。  次回の話ですが、今日ご議論まで行かなかった「就学前の支援策」および先ほどの検 討項目に従って「学齢期・青年期の支援策」、大きくこの2つをご議論いただくようにま た資料を準備したいと思います。よろしくお願いいたします。 ○柏女座長 ありがとうございました。今日配付された資料を次回、持ってきたほうが いいということになりますか。 ○矢田貝補佐 もう1度、テーブルには用意しておきますけれども、書き込み等をなさ れているのであれば持っていただきたいと思います。また、追加の資料も含めてお配り したいと思います。 ○柏女座長 わかりました。追加の資料も入れていただくことでお願いしたいと思いま す。何か、委員の方からありますか、よろしいでしょうか。それでは、今日の検討会を これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)