08/04/23 第5回医療機関の未収金問題に関する検討会議事録 第5回 医療機関の未収金問題に関する検討会 日時:平成20年4月23日(水) 13時00分〜15時00分 場所:厚生労働省専用第22会議室 中央合同庁舎5号館 ○岩村座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回医療機関の未収金問 題に関する検討会を開催させていただきます。  今日は、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。  委員の出欠でございますけれども、今回は木村委員、そして辻本委員が御欠席というこ とでございます。  また、今日は未収金対策の実例の報告をいただくということでございまして、平素、未 収金対策に積極的に取り組まれておられる病院の医事課長の方においでいただいて御報告 いただくことになっております。お1人は、石川県七尾市の恵寿総合病院、山崎医事課長。 それから、もうお一方が北九州市の新日鐵八幡記念病院、石飛医事課長でいらっしゃいま す。お二方にいらしていただいておりますので御紹介させていただきます。後ほど御報告 をいただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、まず事務局から今日の資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしく お願いいたします。 ○神田課長 では、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。  議事次第と座席表に続きまして、資料1として、本日御説明させていただきます「未収 金に関するアンケート調査 結果の概要」というものがございます。  それから、先ほど座長の方から御紹介がありました恵寿総合病院の未収金対策の取組に ついての資料2−1でございます。それから、資料2−2が新日鐵八幡記念病院の取組に 関する報告資料でございます。  それから、資料3でございますが、これまでの議論の整理というものが資料3でござい ます。  それから、お手元に、後ほど御発表に使われる資料ということで、債務確認書、未収診 療費事前確認書、それから医事部のスローガンというものがございます。 それから最後に、 本日の調査結果の概要の前提となっております調査票をお手元に配付してございますが、 以上でございます。何か不足等がありましたら、事務局の方までお申しつけいただければ と思います。 ○岩村座長 資料の方はよろしゅうございましょうか。  それでは、議事次第に沿って始めさせていただきたいと思います。  今日の最初の議題は、「未収金に関するアンケート調査結果の概要(速報値)」につき まして、事務局の方から、今お話がありましたように、資料1を御提出いただいておりま す。 そこで、この資料1につきまして、事務局の方から御説明をいただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○江崎課長補佐 国民健康保険課課長補佐の江崎と申します。資料1について御説明させ ていただきます。よろしくお願いいたします。  資料1の「未収金に関するアンケート調査 結果の概要」でございますが、これにつき ましては、病院団体の御協力をいただきまして、昨年の12月、1ヶ月の診療分につきまし て、それに係る未収金について2月末日現在で未収となっているものについて、どういっ た要因で未収が発生しているかといった観点を主にアンケート調査させていただいたデー タでございます。資料に沿って御説明させていただきます。  まず、めくっていただきまして、1ページから2ページを御覧いただきたいと思うので すが、最初の方は今回の調査の対象とさせていただいた病院についての属性の結果という ことでございまして、余り原因分類と直接関わりがある分野ではありませんので、素早く 御説明させていただきたいと思います。  回収の状況でございますが、まず2ページの上ですけれども、現状といたしまして、約 26%ということで若干低めになっておりますが、今も若干ですけれども、今週の頭まで回 収の努力を続けておりましたので、最終的にはもう少し増えると思いますが、現状といた しましては25%台、26%ぐらいの回収率というふうになっております。  今回のアンケートの対象となった分について御説明させていただきますが、2ページの 下ですけれども、大体満遍なく全体の構成といたしましては、我が国の全病院の開設者の 比率と同じような割合の病院から回収させていただいているという状況でございます。  3ページ目が、その回収させていただいた病院についての病床規模といったことでござ いますが、これにつきましては、若干大きい病院が多いということで病床規模も大きくな っているという状況でございます。  4ページ目でございますが、救急体制ということで、大きい病院が多いということで救 急体制もとっていただいている病院が多いということでございます。  また、下は1日平均の患者数の値が出ておるところでございます。こちらにつきまして も、特にコメントはございませんので飛ばさせていただきます。  5ページ目でございますけれども、12月診療分の患者の種別ということで、国民健康保 険、政管などとなっているということでございます。  6ページを御覧いただきたいのですけれども、6ページが今回の調査で、過去の未収金 の経年変化を見てみたいということで、一応、各病院における未収金の定義に基づきまし て、未収金の額を平成16年度、17年度、18年度末というところで切っていただいて回答 していただいているデータがこちらでございます。  6ページの下の図表10が1施設当たりの未収金額といったところでございまして、回 答いただいている病院の平均が16年度末ですと約4,500万円ということで、18年度は4, 700万円ですので、少しずつ上がってきているということが言えるということでございま す。ただ、この値につきましては、上の図表9を御覧いただきたいのですけれども、こち らで約40%のところが1,000万未満の未収金額ということで回答しておりますので、約4 割のところが 1,000万円未満の未収金ということで言っておりますので、4,500万円、4, 600万円といった数は高いところに引き上げられて高く出ている数字ではないかというふ うに分析されます。  続きまして、7ページでございますけれども、7ページは12月の診療分についての未 収金患者の状況について御報告させていただいております。上のものが件数ベース、下の ものが金額ベースでございます。上の方ですと、12月の患者数約300万人に対して、未収 金患者は1万8,000といったところで、1施設当たり31件の未収金件数となっております。 下の方は、それを金額ベースで見ますと、約8億3,000万円。1施設当たり147万円とい った値が出ております。これにつきましても、入院の方がやはり単価が高いということも ありまして、高い値が出ております。  続きまして、8ページを御覧いただきたいのですけれども、8ページは(3)ですけれ ども、入院、外来と金額ベースで見ますと、やはり入院の方が大きく出ている。  開設者別でございますけれども、1施設当たり平均金額を御覧いただきたいと思います が、やはり国立、公立、公的といったところが大きく出ております。更に、学校法人とい ったところで750万といったところで大きく出ています。ただ、これにつきましては、図 表16の右端にありますように、許可病床数ということで、病床規模が平均値でかなり違い ますので、病床数に応じて1施設当たりの平均金額も大きくなっているものと思われます。  続きまして、9ページ目でございますけれども、9ページ目は今回のアンケートの対象 となった病院がふだんどういった回収努力をされているか聞いたところでございます。こ れにつきましては、約8割以上の方が未収金患者のリストを作成されている。ただ、クレ ジットカード対応、マニュアル作成などはまだやっていないところが半数近くあるといっ たところでございます。  下の入院保証金の有無といったところでございますけれども、入院保証金につきまして は、約2割の病院で入院保証金を取っているといったところでございます。それで、入院 保証金と入院に関する未収金との因果関係でございますが、それを分析したのが図表19 でございます。これにつきましては、件数当たりで見ますと入院保証金があるというとこ ろが、ないところに比べて件数が低くなっておりますが、ただ、金額当たりで見ますと、 あると答えたところの方が、ないに比べて高くなっておりますので、ここについては、そ の因果関係については、必ずしも因果関係があるということは言いにくいのかなといった ところでございます。  続きまして、10ページですけれども、体制でございます。未収金問題への取組体制とい うことで、ほとんどの病院は医事課の職員がやっている。また、回収努力でございますが、 図表21ですけれども、通常は文書催告までしかやっていない。訪問までやっているところ は半数しかないといった状況でございます。  11ページを御覧いただきたいのですけれども、11ページ以降は今回の調査で対象とな った未収金の個々の一件一件の事例について詳細に分析したものでございます。11ページ は金額でございますので、先ほどと同じように、入院の方が金額ベースで見ますと高い割 合が大きいので、入院に引きずられているといった状況でございます。  続きまして、12ページを御覧いただきたいのですけれども、12ページは、未収金額と 言われますけれども、その未収金の中で保険診療にかかる一部負担金など、実際に患者が 保険診療などの枠組みの中で負担している金額というのは一体どれぐらいになるのかとい ったところ、差額ベッドなどを除いた部分、そういったものについてはどれぐらいの値に なるのかというのを調査したのが12ページでございます。これによりますと、右端にあり ますように、43.8%と約4割ぐらいが全体の未収金額と言われているものに対する一部負 担金相当額の割合といったところになりますので、こちらにつきましては後ほど議論にな りますように、保険者徴収などの対象となる未収金額というのは、概ね患者の一部負担金 相当額になりますので、この値というのがそれなりに意味を持ってくるのではないかとい うふうに考えられます。  続きまして、13ページでございますけれども、13ページは年齢階層で見た割合といっ たところで、こちらにつきましては特にコメントはございませんので飛ばさせていただき まして、14ページでございますけれども、未収金についての保険種別でございます。こち らにつきましては、金額、件数ともに国保が大きくなっているということでございます。 それで、政管、健保、共済などもそれなりに割合がございます。ただ、個々の資格証明書 については、割合的に少なくなっておるという状況でございます。更に、左の方にありま すけれども、 保険未加入といったものも約5%近く金額、件数ベースでもございますので、 これについても対策は必要であるというふうに考えられます。また、自賠責の割合が非常 に高くなっておりますが、こちらについては、また詳細を検討したいというふうに考えて おります。  15ページでございますけれども、15ページは先ほどの円グラフについての詳細なデー タということで、1件当たりの平均金額を見ていただきますと、正常分娩、自賠責あたり が18万、10万といったところで非常に高い値になっているという状況でございます。  続きまして、16ページでございますけれども、16ページは診療科別に見た値といった ところでございます。これにつきましては、16ページの図はマクロで全体を見ていますの で、入院と外来でかなり値が違うということが考えられますので、それについて分析した ものが17ページでございます。17ページで診療科ごとの入院、外来分の値を調べており ます。下の図で、入院分といったところで1件当たりの平均金額とありますけれども、こ ちらで見ていただきますと、外科、産科で17万、14万といったところでかなり高い値が 示されておりますので、こちらについても検討が必要であるというふうに考えられます。  18ページを御覧いただきたいのですけれども、18ページは今度は受診形態ということ で、救急車、時間外診療、その他。その他というのは通常の診療時間で診ていただいたと いった場合ですけれども、これを見ていただきますと、件数に比して金額で見ますと、救 急車で運ばれた方というのが金額で占める割合が高くなっている。更に、下の図でありま すように、1件当たりの平均金額というところで見てみましても、救急車で搬送された方 というのは11万9,000円ということでかなり高額になっているというところで、これにつ いても注目する値であるというふうに考えております。  19ページでございますけれども、今度は外国人といった観点で件数を見てみると、今回 の調査におきましては、外国人の未収金件数というのは全体で見ると必ずしも多くなかっ たわけですけれども、地域別に見てみますと、下の図表38にありますように、かなり地域 差がありまして、関東甲信越、東海・北陸地方などは、全国で見たときの未収金件数に占 める外国人未収金の割合をかなり高く超えているといったことが言えます。  それにつきまして、詳しく都道府県ごとにデータを見てみますと、20ページになります けれども、愛知県、東京都、静岡県、千葉県といったところが多い割合を示しているとい った結果が出ております。  20ページからですが、ここは今回の調査のメインのところでございますけれども、未収 金の発生理由について、病院の担当者の方に記入していただいた理由というもので、一番 当てはまるものについて挙げてもらったもののデータでございます。  21ページを御覧いただきたいのですけれども、21ページは未収金の主な理由といった ところで、件数、金額ベースで見ましても、分納中・分納交渉中といったものが一番大き くなっております。更に、生活に困っており支払い能力・資力がないといったものがあり ます。更に、もともと支払う意思がないといったものが続いているということでございま して、生活困窮または悪質滞納につながるようなものが多いのではないかといったところ で指摘されているところであります。逆に、検討会でも議論がありましたが、診療に対し て不満があるから払いたくないとか、請求先が不明であるとか、あと資格喪失後であると か、そういった理由で未収金というのは意外と少ない割合になっているということでござ います。  それと、その他のところでたくさん割合が占められているのでございますが、これにつ きましては、20ページで詳細に具体的に記入していただいておりまして、その他が多い理 由といたしまして、損害保険会社などからの入金待ちですとか、公的なものに対する申請 中でありますとか、近々払われる予定であるといったところの理由を挙げているものが多 かったということでございます。ですから、その他の中についても若干の検証をする必要 があるというふうに考えられるということです。  続きまして、22ページでございますが、今回の未収金の全体を生活困窮、悪質滞納かど うかという切り口で質問させていただいているのが22ページでございまして、件数で見て も、金額で見ても、約2割の未収金が生活困窮によるものであるというふうに回答が得ら れております。また、下ですけれども、約1割が悪質滞納であるというふうに回答が得ら れている状況であります。  更に、23ページを御覧いただきたいと思いますが、23ページにつきましては、今回の 発生した未収金について、その患者さんが過去に未収を発生させたことがあるかどうかと いうところで質問させていただいておりますが、約4分の1の方が、あったというふうに 回答していただいているというところで、これについても対策が必要であるというふうに 考えられます。  最後は、この12月診療分のものについて、2月末日現在でどこまで回収をやっている かというところでございますが、まだ2ヶ月しかたっておりませんので、文書催告までと いうところが40%といった結果が出ております。  アンケート調査につきましては以上でございます。 ○岩村座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました 資料1につきまして、御意見あるいは御質問がございましたらお願いしたいと思います。 ○今村委員 8ぺージの「開設者別未収金の件数・金額」というところで、病床数が出て いるので、たぶん単純に割り算すれば出ると思うのですけれども、今ここですぐにできな いので教えていただきたいのですけれども、1ベッド当たりの未収金額に病院の病床の規 模によって差がある傾向があるのでしょうか。それとも、ベッド当たりは余り差がないの かちょっと教えていただければと思います。 ○岩村座長 そこは、事務局の方で今わかりますでしょうか。 ○神田課長 必要があれば、また次回、最終的な調査結果でそういう分析をしたいと思い ますが、例えば医療法人と学校法人を見ていただきますと、許可病床数でいいますと、医 療法人が 190で、学校法人が 900ぐらいですので4.5倍程度の差があるわけですが、未収 金の1施設当たり平均というのを見てみますと、医療法人が1施設当たりですと68万であ るのに対して、学校法人が 760万ぐらいということで10倍以上差がありますので、やは り病床規模が大きくなりますと、救急対応とか、そういうことがありますので、病床規模 よりは規模が大きくなる方が未収金の発生が高いという傾向があるのではないかと思いま すけれども、詳細については、また次回そういう分析などもしてみたいと思います。 ○岩村座長 ありがとうございました。そのほかいかがでございますでしょうか。  それでは、崎原委員と対馬委員ということで、先に崎原委員の方からお願いいたします。 ○崎原委員 15ページのところで、自賠責が多いということと、18ぺージで救急車の未収 金が多いという結果でございますが、自賠責で多いということは、強制保険はみんなもち ろん入っているわけですけれども、自賠責で多いというのは、責任割合がはっきりわから ないのでそうなっているのか。または、自賠責でも健康保険を使えることがございますの で、そこいら辺のところがこのアンケートの中でわかるかどうかということをちょっとお 聞きしたいんです。それから、やはり救急部門を設けていますと、救急車で来るのがかな り多いということで、以前にもこの会で言いましたように、東京都であれば、救急車で来 たときのある程度の補償はできているんですけど、全国的に救急車で来たときの未払いの 公的な補償というのはどの程度できているかということがわかっていれば、できましたら お教えいただきたいと思います。 ○岩村座長 それでは、事務局の方でお願いします。 ○神田課長 まず1点目の、自賠責の割合が非常に高いわけでありますけれども、これは 12月分について2月末という2ヶ月たった段階でございますので、今、委員の御指摘にあ りました責任割合などがまだ未確定で支払いに至っていないというものが比較的割合高い のではないかと思いますが、自賠責については、先ほど申しましたように、次回に向けま して、もう少し関係者などから話を聞いて、次回また議論に供するようにしたいというふ うに思っております。  それからもう1点、救急についてでありますけれども、この検討会でも前に一度御紹介 をさせていただきましたけれども、全国的な制度としては、救急センターの運営事業に対 する助成金が出されている。しかし、基本的には医療機関と患者さんの債権債務関係であ るのを、一律税金で埋めるのはどうかという御議論があって、検討会が当時ありまして、 その中で、今、国が実施している事業というのは、あくまでも外国人の無保険者であって、 なおかつ救命救急センターにかかったような、命に重大な影響があるような場合には、救 急医療に対して円滑な運営に支障を及ぼすのではないかという観点から、極めて一定の要 件を課しまして、救命救急センターの20万円以上とか、限られたものについて助成をして いる。また、地域的な事情が先ほどの外国人などはかなりばらつきがございますので、都 道府県がまず実施をした場合に、国が補助をするというような形で全国的には実施をさせ ていただいているということでございます。集住地域などでほかに助成制度があるかどう かというのは、そういうところに聞いてみたいと思いますけれども。 ○岩村座長 よろしゅうございましょうか。それでは、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 今のお話にもちょっと出ていましたけれども、外国人の未収金の問題、19ぺ ージですけれども、地域別には、確かに関東甲信越、東海・北陸と、ここまで高くなって いるとおっしゃるような傾向かというふうにも思うのですけれども、日本全体として、例 えば件数と金額は1〜2%ですよね。それに対して、外国人というのは全体的にはどのぐ らいいるのかというあたりは私、全然存じ上げないものですから、それとの関係で言うと やはり多いのか。それとも、それとの見合いで言うとほぼ合っているのか。そのあたりは どうなんでしょうか。 ○江崎課長補佐 そのあたりの分析についても、また後日といいますか、次回御報告させ ていただければというふうに思っております。 ○岩村座長 未収金が発生しそうな無保険の外国人というのは、結局、不法在留の人とい うようなケースがどちらかというと多い。これは推計でしかわからないのですが、全人口 というか、日本の被保険者数で換算したときには、実際には非常に小さい数になっていま す。推計値で一般に言われているものでとったとしても。ですから、これが本当に比例的 に出ているかどうかよくわかりませんけれども、ものすごく多いとか、ものすごく少ない ということではないのかなというような感じはします。ただ、外国人の人がどの程度の割 合で公的医療保険に入っているか、入っていないかというのはたぶんわからないと思うの で、典型的には、不法在留の人たちの推定数で何となく予想するぐらいしかできないかな という気がいたします。 ○河上委員 ちょっと数字の読み方を教えていただきたいのですけれども、未収金という 場合に、例えば6ページで16、17、18年度というふうに出てまいりますけれども、これは 累積していっている分というのは除いて、その年度で発生した未収金ということでよろし いんでしょうか。 ○江崎課長補佐 この値については、ひとまず累積ということで。 ○河上委員 累積ですか。その年度に発生したものだけではなくて、その都度発生したも のと。 ○江崎課長補佐 違います。累積です。 ○河上委員 そうすると、単年度で換算していくと、その差のところで未収が発生してい るという読み方をするわけでしょうか。 ○江崎課長補佐 図表10の下のところにありますように、損金処理している金額も書いて いただいておりますので、損金処理していただいている金額と合わせまして、例えば17 年度から18年度にかけて発生したものということで見ますと、18年度時点で単純に17年 度末と比べていただいて増えた分と、18年度で損金処理した分というのがデータ的には 17年度から18年度で増えた金額であろうということで推計できますので、その年度につ いて発生したものということでは、純増分といったところがその年度で増えたものだろう と。 ○河上委員 単純増分というのがその年度に発生した未収金と。 ○江崎課長補佐 はい。 ○河上委員 それから、損金処理をした部分というのは、当該年度の分ではなくて、それ 以前の分の累積の中から損金処理をしていったという、そういう読み方をしていくわけで すね。 ○江崎課長補佐 はい、そういうことです。 ○河上委員 わかりました。この年度がどんどんいくわけですけれども、例えば消滅して いくというプロセスはどういうふうに考えたらいいんですか。例えば時効で消えていくと か、あるいは放棄をしたとか、そういうのは、ここでは損金処理したのが放棄をしたとい うことですか。 ○江崎課長補佐 今回のアンケートでは損金処理したというところだけでしか聞いており ませんので、そこでしかわかりません。 ○今村委員 次回で結構ですけど、ぜひ教えていただきたいのは、19ページと20ページ の外国人の未収の比率のところですけれども、図表38は未収金件数に対する外国人の比率 ということで、図表39の方は外国人患者全体を100として各県で分けた割合ということで、 例えば愛知県は、全体の未収金の中で外国人の割合が栃木県と比較してどうかと、そうい う比較はこれだとできないので、もしそういうことができるようだったら。つまり、県に よって違いがあるだろうと思うんですけれども、それを教えていただければと思います。  それからもう1点、21ページと22ページのいわゆる生活困窮か悪質滞納かというのは、 21ページの図表40、41の表の中に、例えば分納中・分納交渉中のためにという中に、実 は生活困窮、あるいは悪質だというようなものがたぶん含まれてしまっているので、その 次の表と数字が全然合わなくなっているのかなと。数字がズレていますよね。図表40の方 でも、生活困窮だという項目で数字が出ていて、次のところと数字がみんな違ってしまっ ているので、この辺はどういうふうに整理すればいいのかちょっと教えていただければと 思います。 ○岩村座長 では、神田課長、お願いします。 ○神田課長 図表40、41の方は、まさに未収になっている原因の主なものというのを、病 院側で何が主なものというふうに考えるかということで記載をしていただいていますが、 それですと、重複して事由がある場合に、まさにその部分が見えませんので、すべての件 数について、その方が生活困窮と思われるかどうかということで、改めてすべてのケース についてお聞きしているのが図表42、43ということですので、まさに今、委員がおっしゃ られたように、分納中の中にも生活に困っている方がおられるとか、そういうものがここ に出てきているということかと思っております。 ○岩村座長 これは個票でやっているので、分析は可能ですよね。病院側で生活困窮とつ けて、そして生活困窮と思っているかというのと突き合わせることによって、分納中だけ ど生活困窮と思っているというつけ方をしているという、そういうのをはかり出すことは 可能ですね。 ○神田課長 はい。逆に、図表42、43の方で生活困窮につけた方が、主な理由で何をつけ ているかという分析も可能だと思いますので、そういう分析もしてみたいと思います。 ○小森委員 14ページの中に保険未加入の中の未収金件数が5.1%と出ていますけれども、 今、全体で保険未加入の人というのはどれぐらいいて、その中の何%ぐらいが病院にかか ってこういう状況になるんでしょうか。もし大元で保険未加入者が日本国民の中に何%い るというのがわかれば、そういうのはわかると思うんですが、それはわからないですか。 ○岩村座長 神田課長、お願いします。 ○神田課長 皆保険ですので基本的には制度的な未加入はないわけですけれども、現象的 な未加入として典型的な例として言いますと、例えば、被用者保険に加入しておられて、 会社を解雇されたとか、失業されたと。しかし、国民健康保険に届出をすると保険料負担 がありますので、病気にならないうちは資格取得の届出手続をされませんと、現実問題と して被保険者証が交付されていない状態になっている。そういう方を未加入と言っている のではないか。保険料も、もちろん強制適用ですので、基本的には国保の被保険者である ことには変わりがないわけですけれども、給付を受けるためには保険料を払っていないと 給付が受けられませんので、そういう状態にある方ではないかと思われます。 ○小森委員 それはわからない。 ○神田課長 分母はちょっとわかりませんけれども。 ○小森委員 資格証明書の分を除いていますから、この数字はちょっとわかりにくいかな というふうに思って。どういう意味で「除く」という言葉が出てくるのか教えていただけ ませんか。国保の中から資格証明書分を除くわけでしょう。じゃ、除いている人たちは未 加入者の中に入るんですか。 ○神田課長 資格証明書というのは、あくまでも資格は明確にありまして、その資格があ りますよということをまさにお渡ししていますので、未加入者とは別途です。 ○小森委員 そういうのは渡している。 ○神田課長 はい。当然、明確な加入者でも償還払いで給付もするわけですので。 ○小森委員 その他ですね。 ○岩村座長 この表ですと、14ページのところに括弧で資格証明書と入っていますので。 ○小森委員 ここへ入ると。 ○神田課長 そういうことです。 ○岩村座長 たしか調査を設計するときに、ここを区別しないと未加入とごっちゃになる んじゃないかということで、区別して設計したという記憶がございます。 ○小森委員 わかりました。どうも済みませんでした。 ○原委員 ちょっとその関連ですけど、資格証明書によって未収等が発生している割合に ついてはわかりますか。この中で見ると、資格証明書で未収等が発生している部分という のがありますが。 ○神田課長 14ページの図表というのは全体の件数、金額ですので、国保加入者の中で受 診件数の方が出ておりますので、その比率で割ったらどうなるのかというようなデータに ついては、例えば次回にでもお示しするようにしたいと思います。割合としてどうか。済 みませんが、資格証明書というのは、本来、保険料を払えない理由がないのに保険料を払 っていない方に窓口に来ていただくための仕組みということですので、保険料を払ってい ないけれども、窓口負担だけはよく払っているという状況では恐らくないと思いますので、 当然、比率は高くなっていると思いますけれども、そこはどういう状況かというのは、ま た次回整理して出すようにしたいと思いますが、高くなっていると思います。 ○原委員 わかりました。 ○岩村座長 ついでに質問で、資格証明書が例えば12月末の時点でどのぐらい全国で出て いるかというのはわかるんですか。 ○神田課長 12月時点ではわかりませんが、直近の19年の7月時点ですと全国で大体34 万件の資格証明書が出ております。従来増えてきていたのですが、18年から19年にかけ ては発行件数は若干減っている。全国的に言いますと、収納率が少し上向いてきていると いうことがございますので、資格証明書もそうですし、短期保険証といって、やはり同じ ように窓口に来ていただくために、通常国保ですと1年の有効期間のものを、3ヶ月とか 6ヶ月と有効期間を短くして窓口に来ていただくという保険証を出しておりますけれども、 その発行枚数も18年と比べると19年は弱化減っております。 ○岩村座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでございましょうか。よろしゅう ございましょうか。  それでは、調査については、今日、御質問のほかに御要望もございましたので、また次 回以降、御対応の方をいただければというように思います。  そこで、次に移ることにいたします。次の議題は、未収金対策の実例報告というもので ございます。これにつきましては、冒頭でも御紹介しましたように、未収金対策に積極的 に取り組まれていらっしゃる2つの病院について、その実情についての御報告をお願いし ております。大変お待たせいたしましたけれども、最初に恵寿総合病院の山崎課長からお 話を伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○山崎医事課長(恵寿総合病院) 石川県の恵寿総合病院の山崎です。よろしくお願いい たします。  当院の未収金管理について御説明いたします。病棟クラークを中心とした院内体制を強 化して未収金の削減を図ろうということを目的にした取組です。  最初に、2ページの病院の概要ですが、病床数 454床。入退院がそれぞれ5,700前後と いうことになっております。14年からは電子カルテ、18年の4月からはDPC対象病院と なっております。  次に、医事課の組織をお話しいたしますと、医事課は事業運営部という部署に入ってお りまして、後で人数等を御説明いたしますけれども、入院担当、外来担当、会計・新患受 付、それから病歴のグループに分かれております。今回は入院担当(病棟クラーク)を中心 とした未収金管理ということについてお話ししたいと思います。  4ページになりますけれども、人数ですが、病棟クラーク、入院担当者は9名、ワンフ ロアに1人の割合です。外来が21名、その他は以上のとおりで、全員で47名ということ になっております。  5ページですけれども、5ぺージ、6ぺージにつきましては、平成6年に未収金管理を 強化しようということで規程をつくろうということで、その元になったのがそのポイント と3つのキーワードということです。 まず、1番目に管理規程をつくったんですけれども、 積極的に活動して職員が同じような動きをしないと減らないんじゃないかということで、 行動パターンといいますか、人の動きの方法、それから運用方法について決めたのが未収 金管理規程です。  それから、2番目の入院未収金については、会計担当者から病棟クラークを中心とした 管理へ変更いたしました。なぜ病棟クラークというのは、後で出てきますのでまたお話し します。  3番目として、集金や督促については医事課全員で活動をしました。  それから、3つのキーワードですけれども、まず未収金を回収するというのは大変な作 業です。私たちもこれで何年かやっておりますけれども、能登半島を一周するぐらいのつ もりでやっておりますので、かなり体力も要りますし、時間も要りますので、それよりも まず発生防止というのが一番大切かなと思いますので、まずこういうシステムの運用で未 収金の発生を防止するということが大切かと思います。  それから、2番目として早期回収ですけれども、やむを得ず未収金が発生してしまった 場合には、早急に対策を講じて少しでも回収するということです。  それから、3番目として最小限の被害額ということで、公費の利用とか集金などを含め まして、できるだけ回収するということで被害額を最小限に留めるということに力を入れ ております。  7ページになります。先ほども言いましたように、なぜ病棟クラークの管理を始めたか といいますと、病院収入の大半は入院収入です。どちらの病院もそうかと思います。その ために、まず大きな収入があるところに、未収金ばかりじゃなくて、サービス面も力を入 れたいということで、病棟クラークを中心とした管理にしていこうということで始めまし た。未収金についても、その発生防止のためにクラークの力が必要だということで、病棟 クラークの管理ということをしました。これによって責任体制が明確になったんじゃない かと思っております。  それから、次のページにいきます。次のページからは具体的な方法ですけれども、8ぺ ージ、9ページについては、こういう具合に進んでいくということなので、具体的なお話 は10ページからさせていただきます。  まず、病棟クラークの業務といいますと、保険請求をするということが一番重要な業務 となっておりますけれども、未収金に関しましては、未収金ばかりではないですが、未収 金の管理も含めて、入院時オリエンテーションというのを実施しております。それから、 未収金の方が入院したときに、未収金を持っているか持っていないか。それから、保険請 求、定期請求、電子カルテを読むということです。それから、文書類の仕上げなどが病棟 クラークの主な業務となります。  それで、最初に言いましたように、入院時オリエンテーションを実施しているわけです が、入院時オリエンテーションについては、そこの(1)から(6)を中心に行っております。ま ず医療費の支払い方法、場所、支払い時期。定期請求ですと月1回請求しておりますけれ ども、そういうこととか、カードの支払いが利用できることなどを説明しております。そ れから、DPCで請求を行っておりますので、全員まではいきませんけれども、概算額の 説明なども行っております。それから、高額療養費制度、現物給付化されておりますので、 そういうことも説明して患者さんの負担費をできるだけ少なくしてあげるということも大 切なことですので、そういう制度の説明なども行っております。それから、入院証書・室 料差額同意書などの入院時に渡したものを回収しております。それから、保険証の確認。 保険証があるかないかですね。それから、かかっていても、その資格があるかないか、記 号番号に誤りはないかどうかという確認を行っております。それから、先ほども言いまし たように、以前の未収金がないかの確認を行っております。  それから、12ページですが、入院未収金の管理ですけれども、入院中につきましては月 1回の定期請求がありますので、これに関しても支払いが滞っていないか。それから、入 院が長期になった場合に定期的に入金がなされているかどうかということをチェックして おります。もしない場合は、相談員と相談して、公費の適用とか、高額療養費などの適用 とか、そういうものをまた説明したりしております。それから、どうしても入金がなかな か難しい状態ですと、私の方に報告がありまして、直接出向いて患者さんと話をしており ます。  それから、次のページですが、退院が決定しますと、退院時に向けてまず概算額の案内 をします。それから、まだまだ御存じない方もおいでになるのですけれども、カード支払 いができるということですね。現金の持ち合わせがなくても、カード支払いができるとい うことをお知らせしております。それから、当院は退院時の支払いを原則としております ので、そういう説明もさせていただきます。それから、当日もし支払いができない場合、 できるだけ一部入金をもらうことを勧めております。全く入金がないということがないよ うに注意しております。それから、先ほども言いましたように、カードの支払いを再度会 計の方でも勧めております。それで、支払いができない場合、それから残金が残った場合、 念書を書いてもらいます。原則的に支払い期限は1週間以内ということにしております。  次のページですが、念書に関する取決め事項ですけれども、カードの支払いや一部入金 を勧めた上で記載をお願いしております。1週間と先ほど言いましたけれども、更に入金 がない場合は、再度支払い期限をはっきりさせて記載を依頼しております。念書というの は、書いてもらうことで患者さんが意識を持ち続けるということにもなりまずので、多少 の効果はあるかと思っております。記載事項ですが、名前・住所等はもちろんですが、連 帯保証人という欄を設けまして連帯保証人の名前を取っております。  それから、次のページですが、緊急に退院した場合。時間外とか、お休みのとき、急に 退院精算が生じた場合ですけれども、いつも病棟担当者が夜間に出ているわけでもないの で、そういう場合には、患者さんに説明して、原則的に退院時の預かり金ということで3 万円もらっております。目的としては未収金の発生防止ですし、後日精算して調整すると いうことになります。  次のページで、病棟クラークの業務ですが、1週間後の対応ですけれども、念書を取っ ておりますので、それを見て1週間たって入金がない場合、電話で督促をします。あと、 もう1週間たって2週間後ですが、更に入金確認して、入金がなければ、更に電話で督促、 念書の再提出、それから督促状を送っております。督促状も期間によって2種類に分けて おりまして、この時点では簡単なものを発送しております。それから、どうしても支払い が難しいという場合には、先ほど言いました念書に書いた連帯保証人へ連絡するというこ とをまず患者さんに告げて連絡する場合もあります。それから、何の音沙汰もないという 場合には、とにかく患者さんのお宅を訪問するということにしております。  次に、1ヶ月後の対応ですが、更に督促状、内容証明郵便の発送ということでしており ます。内容証明郵便につきましては、定期的に発送しておるのですが、何通かまとめて発 送するということにしております。大体この辺までに入金してしまわないと長期化するお それがありますので、私たちもこの辺までで何とかしたいと思っております。6ヶ月後の 対応として、弁護士の催告状。1年後の対応として、少額訴訟、支払督促、善管注意制度 の準備をするということになっておりますけれども、裁判所に行ってきたときには、少額 訴訟とか支払督促というのは、相手に支払い能力がなければまた裁判を起こさないとだめ だということで、後で言いますけれども、お金のある人が渋って未収になっているケース が少ないので、更に裁判に持っていくというのはなかなか難しい状況です。それから、善 管注意につきましても、これで2回か3回しましたけれども、いずれも市町村では断られ ました。そういうことで、いいイメージがないので余り勧めたくないんですけれども、あ ればまたしたいと思っております。  それから、その他の未収金対策ということで、未収金回収強化月間ということで、医事 課全員を対象にして年2〜3回実施しております。分担ですが、大体男子が外で集金、女 子が電話作戦ということで行っております。それで古い分も少しずつ入っている状況です。 余り事項などにとらわれずにやっておりますけれども。  それから、2番目に集金活動面ですけれども、年金の支給日とか、給料の支給日に合わ せて自宅訪問ということを行っております。それから、会計担当者とか病棟クラークから 依頼があれば、どんどん出て行くということで行っております。19年度ですと、外に出て もらった分だけですが、大体120〜130万ぐらいもらっております。極端に言いますと、1 万円のときもありますし、3万円のときもありますし、もっと言いますと10円のときもあ ります。とにかくもらってこないと次へ進まないので、まず10円でもいいからもらってく る。そうすると、患者さんや家族がまた次に払うということにやはりなってきますので、 とにかく足を運んでもらうということにしております。  次のページになります。公的補償制度の利用ということで、出産育児一時金の受取代理 制度が18年の10月から始まっておりますけれども、それともう1つ、70歳未満の入金に 係る現物給付化ということで、これは平成19年の4月から始まっておりますけれども、こ ういう事前申請によって患者さんの負担を楽にしてあげることもできるので、積極的に行 うということにしております。これについても、病棟クラークが説明とか確認を行ってお ります。20ページと21ページにつきましては、その流れを書いておきました。  それから、22ページの方になります。19年の10月分で追跡調査をしたのですけれども、 このときは退院数が 536名で、現金入金があったのは約70%、カード入金が7%、あと口 座振替が8%というぐあいです。約8割ですね。あと、退院時に未収になったのは17%と いうことで、約2割ぐらいは退院時の未収になっております。この方が11月、12月の追 跡調査をした結果、以上のような形になっておりまして、分割払いということもしており ますので、どうしてもこういう結果になるのかなと思っております。  それから、次の23ページで公的補償制度ですけれども、申請却下の事例がありました のでお話ししていきます。出産育児一時金の方ですけれども、保険者がこの制度を導入し ていなかった。実はこれは任意になっているということらしいので、こういう保険者も稀 にいるのかなと思いました。  あと、保険料を対応している場合。実は私どもが一番困っているのは、高額療養費制度 のところにも挙げましたけれども、こういう方は、お金があって支払わないということで はなくて、お金がないので払えないという方がどうも多いようです。そういうことで、保 険料を滞納しているとこういう制度も使えないということで、やはり未収金が長期になっ てしまうということになります。分割払いにしていましても、 1,000円、 2,000円、 5, 000円というような感じで入金になりますので、なかなか回収できないというような方が たくさんいる状況です。  それから、最後になりますけれども、今少しお話ししましたが、未収金が多く発生して いる事例です。当院の場合ですが、まず一人暮らしの方(身寄りのない方)です。この方 は連帯保証人もつけられないという方が多いです。それから、年金だけで生活している場 合。必ずしも全員ではないですけれども、こういう方は、年金の支給額にもよるでしょう けれども、分割で払っても少しずつしか払えないということで、やはり長くなっている。 それから、特に入退院を何回も繰り返す場合、こういう方が多く見られます。それから4 番目として、先ほども言いましたように、保険料を滞納している方。5番目として、全体 になるかもしれませんけれども、生活困窮者ということになるかと思います。  それで、私どもの病院としては、最小限の被害額にしたいということで、病院の努力だ けではどうしようもないところがあるのだと思います。そういうことで、やはり公的な行 政のサービスが必要かなと思っている状況です。  以上で発表を終わります。 ○岩村座長 どうもありがとうございました。大変貴重なお話を伺いました。  それでは、今お話しいただいた山崎課長の御報告につきまして、御質問等あろうかと思 いますので、お願いをいたします。 ○今村委員 先ほどのアンケート調査にもございましたけれども、現在の未収金の金額が 大体どの程度あるのでしょうか。比較といったら申しわけないのですが、印象として違い があるのかどうかということなのですが。 ○山崎医事課長 あえて載せなかったんですけれども、年間ですと大体 600万ぐらい。年 度単位で残った分が 600万ぐらいです。あと、継続的に残っている分が、古い分もありま すので、 3,000万ぐらいになりますか、あくまでも決算上の話ですけれども、それぐらい ありますね。 ○今村委員 大変緻密な、きちんとした取組をされていると思うんですけれども、こうい う取組をされるようになってから、明らかに未収金が今お話しいただいたような金額に減 ってきているという傾向なのでしょうか。全体的に自然に何もしないと増えていってしま うので、例えば変わっていなければ、それで十分効果があったということなのかもしれま せんが、その辺は実際に減ったのか、やはり相当効果があるというような印象をお持ちな のか、そこだけちょっと教えてください。 ○山崎医事課長 していなければ、もっと増えていると思います。対策をしたことで未収 金が減っているのは間違いないと思います。 ○今村委員 たぶんこれだけやられているのでそうだと思うのですが、大体の感じで何% 減ったとか、何か数字的なものがもしあれば。 ○山崎医事課長 数字的なことと言われるとちょっと難しいんですけど。なぜ難しいかと いうと、件数ももちろん大事だと思うのですが、1人高い金額が出てしまう場合があるん です。先日も、19年度に長期に入院になっている方がいたんですけれども、この方はさっ き言ったような一人暮らしの方で、年金をもらっていたんだと思います。ただ、入院した ときには借金もあって、年金をその部分に回しているということで、では生活保護でもで きないかということで相談員と御相談して、市役所の方にも相談に行ったのですが、借金 も資産のうちということで生保にはなりません。そういうことで、長くて1人でも金額の 高い人がいると未収金が多くなってしまうという場合もあるので、低い金額で推移してい くと違うとは思いますけれども、そんな方がいるので、数字がどうのこうのというのはち ょっと難しいかと思います。 ○小森委員 この病床規模でこれだけ少ないというのはすばらしいことだと思うんです。 ただ、この中の最後の23ページにある、先ほど私、質問がちょっと間違ったのかもしれな いけれども、被保険者が保険料を滞納する人は全体で一体どれだけいるのかわかりません けれども、逆に言うと、この未収金の中でこの人たちが多いというふうに書かれています けれども、残っている方は何%ぐらいこういう状況の方がかなり多いんですか。 ○山崎医事課長 未収金のほとんどはそんな方ですよ。先ほども言いましたけど、お金を 持っていて故意に払わないという人はまずいませんし、そんな方は裁判してでも取りたい とは思いますけれども、そんな方でないので裁判とか、そこまでいけないんですよね、実 際の話は。 ○小森委員 ありがとうございました。やはり全体的にこういう方が多いと、そこは全部 残ってしまうというところもあると思いますけれども。 ○崎原委員 貴重な例をありがとうございます。今御提示いただいたのは主として入院の 部門だと思うんですけど、外来の方でいろいろ工夫なさっていることとか、先ほど私が言 った救急での未収金とか、外来についての対策で教えていただけるようなことはございま すか。 ○山崎医事課長 外来についても、念書というのを実は取っているんです。それで、夜間 に来れば、次の日か、その次の日に患者さんの方に電話して督促するということにしてい ますし、それから、お金を支払った後に処方せんを渡すとか、そういうことにはしており ますのでチェックはかかるのですが、外来の方もいないわけではないんですけれども、金 額的には入院に比べてそんなに多くないので、 あえてここからは抜かしたんですけれども。 ○岩村座長 よろしゅうございましょうか。ほかはいかがでございましょう。 ○河上委員 大変御苦労されているのはいいんじゃないかと思うんですけれども、一部負 担金に関しての減免措置というのが制度的にございますね。患者さんが一部負担金を減免 してもらえるという場合が手続上あり得るんですけれども、そういう手続に移行させると いうようなケースは余りないわけですか。 ○山崎医事課長 減免といいますと。 ○河上委員 例えば生活困窮者などについて、負担金そのものを減免してもらうというよ うなことは。 ○山崎医事課長 ないと思いますけれども。 ○岩村座長 それは市町村が条例で定めていないと実際上やっていないので。ですから、 病院の所在地の周辺の自治体がやっているかどうかにたぶん依存するんだと思います。 ○山崎医事課長 減額認定書などのランクはありますから、それではありますけれども、 そこまでしていることは余りないかと思います。 ○河上委員 それからもう1つは、これは実際上の問題ですけれども、訪問などをしてい るとコストはかなりかかりますよね。10円もらってきてでもというふうにおっしゃるけれ ども、コストパフォーマンスというのはどうなんですか。 ○山崎医事課長 請求書を送る時点で、入らなければ何回も送るわけですけれども、そう いう時点で切手代の方が高ければ送らないということにはしますけれども、集金に行って、 コストは確かにかかるんですけれども、何十万もある未収に対して最低10円とかもらって くるわけですから、それが契機となって、それの積み重ねで 1,000円、 5,000円、1万円 というふうになって減ってくるわけですから。全くもらってこないとますます据えてしま うということになって、それはコストがかかっても仕方がないことだと私は思いますけれ ども。それから、一件でも減らしたいというのが私たち現場の意向ですので、未収に係る 全体的な時間もかかりますし、経費もかかりますし、できるだけ減らしたいということが 実情なので、それは多少かかってでも行きます。 ○畔柳委員 念書を取るときに、連帯保証人にサインしてもらうということをされている のですが、実際にそんなにたくさん連帯保証人のサインがいただけるんですか。 ○山崎医事課長 実は、入院時に入院証書というものを取っているんです。その後、患者 さん本人の名前と家族の名前と連帯保証人というのを取っているんですけれども、未収が 発生した場合に、連帯保証人というのを、この人でいいかということで確認して念書に書 いてもらうということにしております。もちろん本人が同意していないとあれですけれど も。 ○畔柳委員 ですから、そんなに皆さん、サインしてくださるものですかということです。 ○山崎医事課長 嫌がる人もいますけれども、それは決めですから、やはりやってもらわ ないと。何とか説明して、御了解していただいて書いてもらっています。 ○畔柳委員 それと、本人から取れないときに、連帯保証人のところに催促するわけです ね。 ○山崎医事課長 はい。 ○畔柳委員 その割合というのはどういう割合になっているんですか。 ○山崎医事課長 実際には、連帯保証人に連絡すると言うと、患者さんはまず嫌がります よね。だから、実際にしているケースはそんなにないかと思います。できるだけ私たちも、 どうしても払えない場合はしますけれども、そう簡単にも連絡はなかなか難しいとは思い ますけれども、全くしていないわけでもないです。 ○岩村座長 まだほかにいろいろ御質問もあろうかと思いますけれども、もうお一方、今 日おいでいただいておりますので、次に移らせていただいて、またもし御質問があれば、 次の報告の後にまとめていただければというように存じます。  それでは、大変お待たせいたしましたけれども、新日鐵八幡記念病院の石飛課長からお 話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○石飛医事課長(新日鐵八幡記念病院) ただいま御紹介いただきました新日鐵八幡記念 病院の石飛でございます。それでは、早速でございますが報告させていただきます。  まず、1ページを御覧ください。簡単に概要を説明させていただきます。概要ですけれ ども、経営体は医療法人社団。所在地につきましては、福岡県北九州市八幡東区にござい ます。沿革については、1900年に官営として開設しておりまして、1934年に民営化、199 7年に法人化しております。標榜数につきましては20診療科。病床数は 453。外来数につ いては、1日約 550名。紹介率につきましては、年間通しまして86%。入院数は1日約4 00名。平均在院日数は13日でございます。認定等につきましては、地域医療支援病院、 DPC対象病院等でございます。  次のページをお願いします。ここで当院の未収金額の推移を御紹介させていただきます。 まず、未収金の定義ですけれども、「退院日または外来診療日の当日に患者さんが窓口で 支払えなかった医療費」としております。こちらの2007年度の医療収入に占める未収金の 割合は、黒塗りしておりますけれども 0.039%でございます。推移を見てまいります。ま とめておりますけれども、2003年以前、2004年、2005年と増え続けまして、2005年のピ ークが約 460万ほど。2006年、2007年につきましては減少傾向となっておりまして、 20 07年度につきましては 360万ほどとなっております。割合につきましては、外来が11.6 %、入院が88.4%でございます。ちなみに、3年後の目標は 120万というのを掲げており ます。月にしますと、月10万以内にしていきたいと考えております。  次のページをお願いします。ここで未収金が増える本当の理由というのをずっと考えて おりまして、5年ほど前にはなりますが、未収金が増加する真の原因は、社会環境などの 外的要因はもちろんあるのですけれども、内的要因、即ち部門内にあるのではないかとい う視点で捉えてまいりました。したがいまして、まず当たり前のことがきちんとできる集 団をつくろう。それが先ではないかという観点で進めてまいった次第でございます。  次のページをお願いします。当院の医事業務改革方針。その当時、基本方針として掲げ ていたのはこちらの3点でございまして、休みやすく働きやすい職場環境づくり。 続いて、 気持ちよく協力できる人間関係づくり。3つ目が、組織としてマックスのパワーが出る組 織とは何だというところから、特徴あるスキルを合わせた組織づくりが必要ではないかと いった視点で今まできました。  次のページをお願いします。ここに業務好転への仕組みとありますけれども、私の頭の 中で考えているイメージ図をこちらに図示しております。未収金減少というものが上にご ざいますけれども、未収金減少の業務好転要素に対しての1つの取組ということではなく て、このように、まず土台として先ほど申し上げました組織づくりや人間関係づくりがベ ースとしてきちんと確立していないといけないということで、その次にようやく対策や都 組がきちんとあれば、その業務好転要素の1つである未収も当然ながら減少していくだろ うという考え方でございます。したがいまして、この土台がブレますと転げ落ちてしまっ て、どれも成立しないということかなと思っております。また、円形にしたのは、各職員 の微妙な感情もあらわしているつもりでございます。きちんとしていれば、この力を合わ せて、安定した体制と協力ができるのではないかといったイメージ図でございます。  続きまして6ページにまいります。未収発生前の対策をメインにやってまいりました。 こちらは未収前・未収時及び未収後というふうに分けておりまして、時間内・時間外それ ぞれ私どもの部門の関わる業務というものがもちろんあります。従来は、発生後、未収後、 電話督促や文書督促、法的手続等をベースにやられてきていると思いますけれども、当院 でも電話と文書はしておりますけれども、それ以外は実行しておりません。したがいまし て、今後このタイミング、それぞれ時間内であれば、1つ説明しますと、外来については 受診前、受診時、受診中。外来終了時に未収金が発生しますので、そのほかも同様に、こ のタイミングの中でどういうふうに関わっていけるのかということを考えてまいりました。  次のページをお願いします。一方、ここで発生後の対策のデメリットについて考えてみ たいと思います。まず1つ目は、督促や法的手続等でかなりの貴重な労力、高い労務費と 時間が失われるということでございます。続きまして、債権回収会社等の業務委託では、 病院のプラス印象を望むことは難しいだろう。3つ目、未然発生防止をしていない状況下 で、いくら多額の未収金を回収したとしても、それは達成感の錯覚に陥るのではないかと いうことでございます。4つ目が、今後更に増す厳しい社会・医療環境下では、未収発生 後対策にはきっと限界がくるだろう。このようなデメリットを考えておりました。  次のページをお願いします。8、9、10につきましては、それぞれ取組を具体的にキー ワードを書いております。まず、職員に関しては(1)、(2)、(3)、この3つです。9ぺージ、 患者さんに対してはこの3点。10ページ、業務形態については2点でございます。  時間の関係上、11ページにお進みいただきたいと思います。発生前防止対策、まず1つ 目にまいります。所属長の未収に対する強い意志と実行力がまずベースになければすべて が始まらないということでございます。それで、待ったなしの最重要課題であると自覚し ないと、覚悟しないといけないということだと思います。また、現未収業務の問題点を見 極め、きちんと課題化を図る。3つ目が、逃げずに自ら積極的に未収金業務へ関与してい くということであろうかなと思います。  次のページをお願いします。2点目のポイントでございますが、医事部門全員への動機 づけを確実に図る。やはり行動の前にそういう動機づけ、意識づけがなければ職員は動か ないというところからであります。所属長は各職員へ未収金の重要牲を説く。 続きまして、 未収金を業務課題の重要な柱として位置づける。3つ目が、部門内全員で取り組んでいく ことも意識づけるということになります。  3ページは参考にお配りしておりますけれども、私どもの業務方針でございます。この ように、5つの視点で業務方針をもちろん見えるところに掲示しているのですけれども、 1点目は協力です。2点目が、サービスの究極は1対1と考えておりますので、まず患者 サービスの前に職員サービスを徹底的にしようという考え方でございます。それが成立す れば、患者サービスもきちんとしてもらえるといったところの目標でございます。3つ目 は専門性。これは従来からあるんですけれども、DPC対象病院でございますので、効率 化をどんどん推進していかないといけないということになります。私どもの部門が中心に なってやるということでございます。4番目が未収金です。ずっとこの未収金を柱にして おりまして、それと併せて増収策も提案していこうと。5つ目が、やはり情報共有ですね。 単純な聞いている聞いていないということは避けないといけませんので、末端の職員から 全員が共通の情報を理解しているという環境をつくらないといけない。また、スピードが 重要かと思います。  次のページをお願いします。次のページも、当たり前のことをあえて表記して掲示して おります。業務方針の下部につけております。  続きまして、15ページですけれども、3点目。部門内全員が責任を持ってチームで取り 組むということでございます。私どもはプロジェクトチーム「鉄取隊(てっしゅたい)」 という名前をつけまして、チームワークで取り込む。彼らが中心となって全員で取り込ん でいくということでございます。それから、部門外で複合的に情報交換する、再確認をす る。入院グループにつきましては、日々、入院患者様のベッドサイドまで訪問いたしまし て、挨拶を含めてコミュニケーションをとっている。行ったついでに、看護師等もコミュ ニケーションをとって帰る。その他の職員についても、必要の都度、ベッドサイドまで看 護師を経由せずに行くということを今実践しております。3つ目は、この「鉄取隊」の勤 務体ですけれども、実は3交代しておりまして、通常は時間外急患受付及び平日昼間につ いては通常の医事業務をしております。したがいまして、この4名のうち3名が常に3交 代をしておりますので、督促や患者様の在宅の時間を連絡がきちんととれる時間帯、朝早 くとか、寝る前とか、そういうことも対応可能であるし、患者からの問い合わせについて も、何時でも、いつでも電話してくださいという体制をとっております。  参考資料の16ページでございます。通常はこれは本物の写真で作成しているんですけ れども、今回は漫画で描いております。まず、大きく組織図として見直しましたのが、5 年前に見直しまして、もともとは樹系図のような組織図をつくっておりましたけれども、 これでは協力関係が築けないということに気づきまして、このような形にあえてしており ます。あと、基本的にAグループが入院でございまして、Bがシステムや全体に関わる業 務、Cについては外来業務でございます。しかしながら、あえて外来とか入院とか、そう いう言葉も明確に書かないといったところに気をつけております。未収鉄取隊とあります けれども、上記の男性5名が通常業務と兼務しております。もちろん、私も兼務しており ます。こういう組織図になっています。ちなみに、CNというのはコーディネーターとい う意味でございまして、通常、一般的にいうリーダー(責任者)でありまして、そういう 表現も控えた。自分がやっている業務の調整役ですよという気持ちが込められております。  続きまして、17ページをお願いします。4点目、発生前、患者さんとの関わりを多く持 つというのは、情報を多く取るということでございます。入院を中心に患者様や看護師と 多く対話する。未収につながる換算情報をいち早く入手するために、入院日に足を運ぶ。 それから、親身になり患者さんと信頼関係を深める。この対象の患者さんがもし見つかり ますと、基本的には日々接触しに行きます。短時間でも構わないので、退院まで常に関わ っていくということをしております。それをやっているのは、主に鉄取隊の未収プロジェ クトチームや、また併せて、日々入院の職員が行っておりますので、その双方でやってい るということになります。  続きまして、18ページへまいります。5点目が未収発生前の各医事業務等の未収を関連 づけるとありますけれども、これは先ほど前段で説明しました未収前の私どもが関わる業 務のタイミングの中で、各職員が未収も頭の隅に置いて仕事をするということになろうか と思います。したがいまして、予約・受付・入院中など各業務で各職員が意識する。先ほ どと同じになるんですけれども、部門内の職員間で情報を交換し共有する。また、医師や 師長などの他部門との情報を共有するということになります。  6点目にまいります。次の19ページです。未収発生時、これは誓約時のことでござい ます。誓約時の業務精度をできる限り上げるといったことになります。誓約対象場所を、 例えば待合室の一角でするとか、すぐ隣でやるということは避けまして、わざわざ20〜30 m離れた場所に移動しまして、動きと対象者の意識を一旦クリアにしまして個室で対応す る。2点目は、必ず2名体制でしていまして、私が時間差で入室するようなこともしてお ります。また、私が同席することで即断即決がすぐできるということになろうかと思いま す。  20ページをお願いします。発生時につきましては、未収診療費事前確認書で口約束を文 書化する。これはお配りの資料を御覧いただきたいんですけれども、誓約書ではなく、ま ず簡単に誓約書の手続を終結、終了させないという狙いが実はあります。1〜2分でパッ と書いてすぐ終わるようなことをしないということであります。したがいまして、2枚書 かせております。この事前確認書というのは、一部御紹介いたしますと、例えば虚偽内容 を一切記入いたしません等、ここに書かれている内容について、当たり前のことですけれ ども、あえて文書化して約束する。これが意思確認できたら、債務確認書とありますが、 誓約書になります。  誓約書で簡単に工夫している点を御紹介させていただきます。まず、紙の色を変えまし た。それと、紙の質、厚さを変えました。それから、フォントの大きさを大きくしていま す。続きまして、罫線を使うのをやめました。罫線を使っていません。それから、「保証 人」ではなく「連絡先」に変えています。「保証人」と聞いただけで、なかなかそこに書 く確率が下がりますので、私どもがやってきて、情報が取れなくなると、督促というのが 何もできないんです。だから、まずこの時点で可能な限り多くの情報を書きやすい形にし て取るというのが狙いでございます。メールアドレスもあれば書かせます。職場名もそう です。あと工夫しているのは、印鑑ですけれども、これは私ども勝手につくっていまして、 単なる演出でございます。下の「法的手続等」と書いておりますけれども、私どもは実際 しませんので、これは飾りとしてつけているということになります。したがいまして、対 象者に対して、私どもの本気度をいかにこのタイミングで印象づけるかというところに視 点を置いているというふうに御理解いただければと思います。続きまして、今、様式など 差し出し方も丁寧に扱って、丁寧に出すというところまで気を配っているつもりでござい ます。  それから、原則、分割払いをしないということを宣言しております。100人のうち2〜 3%はやむを得ずいるのですけれども、基本的に分割しないというのを患者様に宣言する ことにしています。分割をするということになると、それが患者様の間に広がりまして、 その対応で時間に追われる。それは、もともと私どものやる業務ではないということです から、そういうのを宣言している。あと、どうしても分割したいという方がいらっしゃい ましたら、私どもの部屋の中にクレジット加入申込書が某クレジット会社のものが2種類 ございますので、その場でお申込みいただく。恐らく、申し込んだとしても、カードがつ くれない患者がいるんじゃないかというふうに思われるかもしれませんけれども、例え2 〜3割いたとしても、7〜8割の方が以後の業務をせずに終結できるのであれは、相当メ リットがあるというふうに考えてやっております。それから、私が同席して、私は横で比 較的じっと見ていたり、必要なときに助言したりする役回りにしていまして、患者様の言 動等をずっと観察しています。それから、やはり患者様の価値観というのは多様化してま いりましたので、1つのマニュアルによって対応できるという時代じゃなくなってきたと 考えております。したがいまして、患者さんごとの柔軟な表現と対応に心がけているつも りでございます。  続きまして、21ページは御覧いただいたとおりでございます。  続きまして、22ページ、今後の目標ですけれども、3年後には120万以下を達成する。 2007年度につきましても、360万、月にしまして30万もありますので、やはり少なくはな いだろうと。したがいまして、3年後の目標は月10万以内に抑えたいということでござい ます。それから、プロジェクトチームの業務精度を更に向上させたい。まだまだ未熟な面 もありますので、できるだけ私が関与しながら精度を上げていきたい。したがいまして、 体制等はほぼ確立したと思うのですけれども、あとは、どんどん精度を上げたり、3つ目 にありますように、現状の対策に満足せず改善をし続けていきたいというのが今後の目標 でございます。  最後に、23ページでございます。別の観点から捉えますと、1つ1つの各未収業務にお いて妥協しない姿勢と取組が、受診前の潜在する地域の未収予備軍へ当院の質の高い未収 管理を印象づけるのではないか。したがいまして、結果的に未収金予備軍の来院が減れば 未収金も減ってくるという考え方であります。ただ、誤解いただかないでほしいのが、よ けているだけではないかというふうに思われるかもしれませんけれども、このような取組 を各医療機関がされて、結果的にそういう未収予備軍の意識も変わって、徐々に減ってい くということを期待したいと考えております。  以上です。 ○岩村座長 貴重なお話をどうもありがとうございました。それでは、今お話しいただい た石飛課長の御報告につきまして、御質問等ありましたらお願いしたいと思います。 ○今村委員 こういうお取組をされる前から、金額的にはそんなに多くないような印象を 受けているのですけれども、企業立の病院でいらっしゃるので、患者さんの背景が、先ほ どのアンケートにあったような背景と違うのか、そんなことはなくて、一般的な普通の患 者背景という理解でよろしいんでしょうか。 ○石飛医事課長 多少それはあると思います。伝統的に生活保護患者等を受け入れたのも 20年前ぐらいですから、伝統的にそういう患者の率がいいということは一部あるかとは思 いますけれども、私どもも一生懸命やらなければ本当に増えていく。恐らく、ある程度が んばったとしても、たぶん並行線ぐらいですね。そういうことでございます。一部そうい う影響はあるというふうには考えられます。 ○岩村座長 1つ私の方からお伺いしたいのですが、先ほどの山崎課長のお話も伺いなが らちょっと思っていたのですが、職員の方に対する、特にこういう未収金発生防止、ある いは未収金が発生してしまった場合の対応というようなことについて、研修とか、そうい ったことというのはどういう形でやっていらっしゃるんでしょうか。 ○石飛医事課長 当院につきましては、未収のミーティングというのを月1回やっており まして、その一事例ごと、どこが悪かったんだとか、そういう反省を踏まえて二度繰り返 さないというミーティングをやって、1つ1つによって事例が違いますし、すべて対応で きるというものではありませんが、個別の考えと対策で勉強会ということでやっています。 ○岩村座長 例えば電話で督促するといっても、たぶんノウハウがあるのかなというよう なイメージを持っているのですが、いかがでございましょうか。 ○石飛医事課長 電話でも、実は私が時間差でかわるとか、もちろん声のトーンを若干落 とすとか、脅しではないんですけれども、落ち着いて話すということで、担当者にきちん と対応させて、それで私にチェンジしています。だから、少なくとも、払わなければなら ないものを払えていないわけですから、きちんとした態度が普通だと思っております。 ○対馬委員 先ほどもちょっと議論が出ていましたけれども、いわゆる払えない人と、資 力はあるけれども払わない人、そのあたりの感じはどうでしょうか。それが実際の対応で もって、そういったことも含めて、すべて御努力によってうまくいっているのか。それと も、そのあたりはなかなか難しい面もあるのかどうか。 ○石飛医事課長 それ自体は事後の取組になるのですけれども、実際、事後も私どもはや っていますけれども、未収者リストをきちんと整理していまして、患者個別の対応記録と いうのを全部つくっておりまして、その一件一件見て、過去のものを見て、この患者につ いてはもうしない、するというのを私がチェックして分類しています。したがいまして、 取れないものに時間をかけても仕方ございませんので、取れる確率の高いのは徹底的にい くという動きでございます。時間は限られているということでございます。 ○畔柳委員 2つ教えてほしいのですが、1つは、今チームができているわけですね。こ の人たちというのは異動するんですか。ずっとこれから5年、10年と専念してやっていく 人たちなんでしょうか。それが1つ。  それからもう1つは、例の債務確認書ですが、これを見ますと、患者さんからもらうん じゃないようになっているんですね。これはどういう趣旨のものなのか。 ○石飛医事課長 まず1点でございますが、職員の異動というのは、通常、退職者がいな ければ余り異動しないんですけれども、人材教育・育成の観点から、定期的なメンバーチ ェンジというのは考えております。現行、この1〜2年は異動はございません。4名のう ち1人がスライドして配置転換というのはもちろんあることでございます。  あと、もう1点目が、内容が患者様が書くものではないのではないでしょうかという御 指摘ですけれども、もしそういうことでありましたら私どもの勉強不足で、書き方が少し 勉強不足のところがあるのかなと思っております。基本的に、これは患者様に書いていた だくものとして扱っております。 ○岩村座長 ですので、この趣旨としては、患者氏名というふうに書いていただいて、誓 約者のところも患者さんが御自分の名前を書くという、そういう趣旨でいらっしゃいます ね。 ○石飛医事課長 そういうことです。 ○岩村座長 ありがとうございます。ほかにもあろうかと思いますが。 ○田中委員 御紹介ありがとうございました。未収金対策についてそれなりに努力されて いるのはよくわかったんですけれども、石飛さんの説明の中で、要するに未収金が発生す る要因というものを外的な部門でなく、内部に問題があるんじゃないかという捉え方をさ れて取り組まれている。私は非常にすばらしいことだと思っていますけれども、そうした 部門内に原因ありという場合に、この説明でよく理解できなかったのは、要するに未収の 原因というものが、医師とか看護師などと患者や家族との関係に基づくものがあるんじゃ ないかという気もするわけです。部内で医師にはどういったことをとか、コメディカルも 含めて、そういった人と業務関係の職員との間の関係はよくわかりました。しかるに一方、 医者とか看護師とか、こういった直接患者と接触する人たちに対してどうあるべきか。説 明とかですね。ここについては、どういう対応をされているのかどうか。 ○石飛医事課長 まず、1点目の御質問ですけれども、未収ということの最初の捉え方は もちろん内的なものがあると思っていたんですけれども、恐らく未収金になるべくしてな るというものは必ずあるわけでございまして、逆に、それ以外は逃さないというやり方で ございます。やはり生活困窮とか、連絡先不明でどうしても未収金になって損金処理をし てしまわないといけないものがあります。したがって、本来生活困窮で払えないものは払 えないわけですから、それ以外のグレーゾーンといいますか、グレーゾーン以上のものは 絶対に逃さないというところでの強化、捉え方。 答えが若干ズレているかもしれませんが。 ○田中委員 私が申し上げているのは、未収金が発生してからの対策はそれぞれおやりに なっているけれども、未収金を発生させない対策という意味で、やはり医療に対する不満 とか不信とか、そういうふうなことが原因になっている事例があるんじゃないかと私は思 っているものですから、それを発生させないためにどういったことをおやりになっている かということをお聞きしているんです。 ○石飛医事課長 発生させないため、例えば医師等については、きちんとした業務のタイ ミングの中で必要な説明をきちんとする。それは、医療の不信感によって払わないという 患者様も一部いらっしゃいますし、ドクターについて、未然防止という観点からいきます と、そういう説明をきちんとしたタイミングで行う。それも若干同じなんですけれども、 私どもの部門だけではなくて、医師、看護師が患者さんに対して誠心誠意きちんとした医 療を提供していく。説明は1つですけれども、業務の病気の治療についても。そういうふ うに考えております。 ○岩村座長 それでは、ほかにもいろいろ御質問等おありかと思いますけれども、時間の 都合もございますので、今日のお2人からの御報告についてはここまでとさせていただき たいと思います。山崎課長と石飛課長には、お忙しいところをわざわざ遠方からおいでい ただきまして、どうもありがとうございました。  それでは、時間も大分押しているんですけれども、今日最後の議題であります「これま での議論の整理」というところに入りたいとおもいます。これについては、資料3を御用 意いただいておりますので、事務局の方からまず御説明をいただきたいと思います。 ○神田課長 時間が押しておりますので、簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。  このペーパーは、今後取りまとめなどに向けまして、これまでの議論をどういう経過で あったかということを整理したものでございます。  1は「未収金を取り巻く現状と問題」ということでございますので、これは省略をさせ ていただきます。  2で「未収金にかかる現行制度とその解釈」ということでございます。一部負担金と保 険者徴収ということで、まず、この検討会で最初に一部負担金の位置づけということで、 2ページの上ですけれども、法律上は一部負担金は保険医療機関等に支払わなければなら ないことになっている。療養担当規則では、保険医療機関はこれを受け取らなければなら ないことになっているということを説明をさせていただいております。それから、これら の規定については、昭和36年に国民皆保険に向けました制度改正を行いました際に、それ までは一部負担金は保険者から取って医療機関に納める方法と窓口払いと両方あったわけ でありますが、窓口払いに統一をされたという経過がございます。その際に、保険者側と しても、被保険者が一部負担金を払わない場合に、医療機関側で善管注意義務を果たして いる場合には、保険者が被保険者から徴収して医療機関に交付するという制度ができた。 健保法でも、これが昭和55年にできたという経緯をこの場で御説明をさせていただいたと いうことでございます。  その次は、私どもの解釈としては、これはあくまでも診療契約というのは保険医療機関 と被保険者との間の債権債務関係ですので、保険者として債権債務関係の債権者として取 ってくるということではなくて、それを取ってきてお渡しをするということで、債権債務 関係の当事者としての保険者として取ってくるということではないということでございま す。  それから、その次でありますけれども、したがいまして、これは保険医療機関に一部負 担金を支払ってもらうという義務を遂行していただくわけでありますけれども、保険者と してできることをするということを制度化したものが根底であるということで説明をさせ ていただいたということでございます。  それから、保険診療契約に関しまして各種の考え方があるということで、学説を整理を させていただきました。ただ、私どもの方からは、どの説に立ちましても、実定法上、一 部負担金は先ほど申しましたように保険医療機関に払わなければならないという療養担当 規則もございますので、あくまでもこれは保険医療機関と被保険者との債権債務関係とい うことは明確であるので、保険者の立替払いをするという性格のものではないのではない かという解釈をこの場で説明をさせていただいた。ただ、一方で、第三者のためにする契 約という、保険者と保険医療機関の契約だという考え方に立って、未収となった一部負担 金については保険者が支払うべきであるという意見がこの場でも出されました。ただし、 実定法で一部負担金の取り扱いが先ほど申し上げたように定められていますので、どの学 説に立つのかということをこの場で議論をしても問題の解決にはなかなかつながらないの ではないかということで、いかに未然に発生防止をするかということに主眼を置いて検討 がされてきたということで理解いたします。  それから、学説については飛ばしまして、次の3ページ目でございますが、対策として 考えられるものということでございますけれども、発生した後の回収ということで、本日 も未然防止対策も含めまして御発表がありましたので、そういう回収の御努力という病院 側の御努力がまずある。それから、法的な措置についてどうかということで、これは畔柳 先生の方から御説明をいただきましたけれども、裁判上の手続をとりましたとしましても、 相手方に文書がうまく届かないとか、あるいは仮差押えを行います費用ですとか、弁護士 報酬といった費用対効果の問題がありますので、現実問題としては、電話催促とか、直接 催促が有効ではないかというお話がございました。  それから、その次でありますが、先ほどのお話にも出ていました保険者徴収でございま すけれども、18年度の実績では、そこにございますように、極めて限られた件数であった ということでございます。請求があっても保険者徴収を実施しないという市町村にアンケ ートで確認をしたところ、医療機関側の回収努力が不十分であるというようなものが多く ございましたし、それからまた、保険料の滞納もあるので、そちらを優先しているという 理由などで、請求があっても実施をしていないというところがございました。また、市町 村側からは、医療費の未収だけではなくて、保険料の未収の問題もあるという御指摘がご ざいました。  それから、その次でありますけれども、未収金の未然防止対策ということで、今ござい ましたように、発生してしまってからでは、本日の御発言でもありましたけれども、なか なか回収が難しいということで、いかに未収金を未然に防止するかという対策が重要では ないかということで、病院側の取組については、今日の御発表等を踏まえて加筆をさせて いただきたいと思います。  それから、今日も調査結果、それから今日の御発表にもありました生活困窮者に対する 取組として、前回、対策ですとか、原因の分類の一覧表に書いておりましたものを書いて おりますけれども、まず一部負担金減免の運用の実態と改善ということでございますけれ ども、私どもが行った調査ですと、一部負担金減免というのは、ここに書いてございます ように、全国で1万1,000件で6億5,000万という件数は出ておりますけれども、実態と しましては、 低所得ということで減免を行っているところがあるわけでありますけれども、 具体的な基準を決めていないとなかなか運用がされていないということで、現実的には、 具体的な基準を決めている極めて限られた地域において実施件数が多いということが明ら かになっております。今日の御議論にもございましたように、払えない方については一部 負担金の減免というのは有効と考えられますので、制度が適切に運営されるよう、国とし ても基準を明確化するとか、あるいは市町村の財政運営、財政影響への懸念に対する配慮 等を検討すべきではないかというふうに書いてございます。この赤く書いてございます部 分については、必ずしもこれまで結論めいた議論ができているわけではございませんので、 この点につきまして、次回以降、また御議論いただければという趣旨で赤く書いてござい ます。  それから、その次の生活に困っておられるという中には、先ほど無保険というお話があ りましたけれども、国保の加入者の方で、実際は生活に困っておられて、生活保護の申請 の支援をさせていただくようなケースもございますし、また、この場で問題になりました 生活保護が廃止になった後に国保に加入されるというところで手続が遅れて未収になるケ ースもございますので、国保と福祉部門、また福祉事務所から医療機関の連絡など、この 関係で横の連携というのが大事ではないか。  それから、無料低額診療事業ということで、低所得の方ですとか、外国人、ホームレス の方などに医療を提供すると、社会福祉事業として位置づけられて税制上の恩典があると いうような話がございましたけれども、この場でも、一般の医療法人で同じようなことを やってはだめなのかとか、地域的にないところ、あるいは実施している医療機関の数とい うのは横ばいになっておりますので、これは担当部局の方で今後この事業の現代的な意義 づけを含めて検討していただいてはどうかということでございます。  それから、国保の資格証明書についてでございますが、本来は払えない事情がある方に ついては資格証明書はお出ししないというのが原則でありますので、窓口に来ていただい て、あくまでもそういう事情があれば資格証明書は出さないということでありますけれど も、そういう事情の把握というのが適切にできませんと、保険料も払えないし、窓口負担 が払えないということにつながる可能性がありますので、そこの把握を適切にするように 指導を徹底する必要があるのではないかということでございます。  それから、出産育児一時金の受取代理についてでありますが、先ほどお話がございまし たけれども、保険者として実施していないところもあると。この検討会でも1回目に御発 表させていただいておりますけれども、19年の年初ぐらいですと、健保組合とか国保でも 50%ちょっとというところで、実施予定も含めまして健保組合で7割、国保で8割という ようなことで、まだ2割、3割のところは実施予定がないというようなところもございま したので、そういうところの徹底を図っていく必要はあるのではないか。  それから、資格喪失情報の交換ということでありますけれども、これは前回、御説明さ せていただきましたけれども、社会保険庁と連携を図りまして、年金の資格喪失情報、2 号被保険者という被用者保険の資格を喪失したという情報を市町村で端末で見ることによ って、できるだけ早く国民健康保険を適用するということをすることによって、無保険と いう状況をできるだけ早く防ぐことができるのではないか。それから、社会保障カードの 導入が検討されておりますので、それに伴いまして、データベース等を構築するというこ とになれば、こうしたことはかなり抜本的に対策が講じられるのではないかというふうに 思います。  それから、入院保証金についてですが、解釈としては、今日のお話にもありましたけれ ども、きちんと説明をすれば受け取っていいということですが、この場で病院側の方から、 必ずしも現場でそういう運用になっていないというお話がありましたので、この点につい ても周知徹底が必要ではないかというふうに思っております。  それから、応召義務については、前に出ている通知はあるのですが、もう少し具体化で きないかというお話がありましたので、この点について項目を挙げさせていただいており ます。  それから、「事後対策」ということで、保険者徴収の改善ということで、今日の発表に もありましたけれども、知らないと保険者が言っていたというようなことがございました けれども、我々も周知はしているわけですが、そういう周知をするということですとか、 具体的などの段階までいったらこういうものを実施するのかと。外来など、1万円ちょっ とという未収金について、市町村側も現場に行って財産調査をして滞納処分をするという のは費用対効果が見合わないと思いますし、どこまでどういうことをしたら実施をするの かというようなことを明確化しないと、なかなか市町村側で実施をするのも難しいのでは ないかというふうに思っております。それから、保険者でほかにどのような協力ができる のかということについても、もう少し御議論いただけたらというふうに思っております。  それから、最後のところで、未収金発生前についても、生活が困窮している方について の連携というのは必要かと思いますが、発生した後につきましても、一部負担金の減免制 度があるとか、生活保護の申請支援を速やかにしていくというようなことも大事ではない かというふうに思っております。  それから、本日は全国的なお話ということでありましたけれども、現在の救命救急セン ターの運営事業に対する助成というのはここに書いてありますようなことですが、この拡 充ができないのかどうかというような議題もあるかと思います。あくまでも、これまでの 議論を整理させていただいたということでございます。 ○岩村座長 ありがとうございました。ちょっと時間が押しておりますけれども、今日議 論の整理の案ということで事務局の方で御用意いただいて、今後取りまとめに向けて幾つ か重要なものも入っておりますので、御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思い ます。 ○田中委員 議論がなされたことをまとめられたということですので、前回出ていません でしたので発言力が薄いんですけれども、この検討会で何をまとめるかということだと思 うのですが、未収金が発生する原因というのは那辺にあるかと考えると、要するに患者・ 家族の問題もあるでしょうし、医療機関にもその責はあるでしょうし、制度的にもその責 はある。いわゆる、こういった未収金問題に関しては、あらゆるところに原因があると私 は思うわけです。そういう視点で考えますと、ここで整理されている内容ではどうもうま く説明されていないんじゃないかと思います。要するに、未収発生の原因というところの 記述が明確じゃない。一番最初に「現状と問題」と書いてあるけど、未収金の金額は幾ら かとか、そんなことぐらいしか書いてない。なぜ未収金が発生したのかとか、それに関し ていろいろな調査がなされていることについてコメントが少ないですね。  それと、未収金発生の原因と、未収金回収の困難性の原因というのはまた違うんですね。 ここら辺の区分けが明確にされていないんじゃないか。要するに、未収金発生の原因別に 回収問題を議論してまとめてもいいんじゃないかという気もしますし、それから、いろい ろ書いてありますけれども、例えば5ページに「未然防止策として考えられる方策」とい うのが長々と書いてありますけれども、何が書いてあるかわからない。2つ目の丸以下は すべて法制度に関係することが書いてあるんです。最初の丸だけが病院側の取組。この病 院側の取組だけでは何を言っているかわからないわけであって、要するに、医療機関に責 任がある問題もあるわけですね。それは、お二方もそこらあたりは十分認識されて一定の 取組がなされているわけですけれども、そういったことに対して、やはりきちんと整理を するべきじゃないかという印象を持っております。このまとめ方というのは、いかにもタ コ壺に入ってから、そこの中で議論しているような雰囲気がして仕方がないんです。なぜ こういった問題が発生して、どうなるのかという分析が議論されたと思うんですけれども、 そこを整理をしてもらい、それに対して、それぞれ個別的に、じゃ、どうなんだとかとい うことの整理が必要じゃないかという気が私はしますけれども。 ○岩村座長 神田課長、お願いします。 ○神田課長 まさにそういうお話がございまして、これまでの調査では、件数・額はわか っていても原因がわからないのではないかという御議論がありまして、これは、これまで の議論の整理でありますので、今日初めて速報値というのが出て、どの対策を打てば、ど の程度のボリューム感があるのかということを調べるためにこの調査をしてくれというこ とで、今回の調査の21ページにございますように、支払い能力がないとか、あるいは悪質 滞納とか未加入という方々がそれぞれどの程度の比率であるのかというのが今日わかった わけでありますので、それを踏まえて今後御議論をしていただければというふうに思って おります。これは、これまでの議論ということですので、今回そういうボリューム感がわ かりましたので、それを踏まえた議論をしていければというふうに思っています。  それから、病院側の取組につきましても、今日まさに発表していただいておりますので、 御指摘のあったような点を踏まえて、この場の御議論を踏まえて加筆していきたいという ふうに思っております。 ○岩村座長 そのほかいかがでございましょうか。 ○島崎委員 時間がないので個別の問題はまた改めてということにしたいと思いますが、 今の田中委員の御発言に関して言うと、私は、未収金問題の検討会の基本的なスタンスの 問題があると思うのです。未収金というものが発生して、それが病院経営にとって一大事 になっている。したがって、それを何とかしなければいけないという、これももちろん医 療機関からしてみると大変な話で、由々しいことだと思いますが、それだけではなく、や はりもう1つは、国民皆保険を維持するということがあると思います。国民皆保険の維持 は非常に大変なことで、将来にわたって国民皆保険という貴重な財産を堅持していくため には、国も現場の医療機関も、それから保険者、あるいは国民も、それぞれの責任をきち んと果たしていく、それぞれがやるべき責務を果たしていくということが重要なのだとい うことを、やはり基本的なところに書くべきではないかと思います。  先ほどちょっとご説明があったように、保険者の方に言っても、いろいろな事情があっ たのかもしれませんが、「全然知りません」ということではいけない。あるいは、先ほど の生活保護の適用についても、借金があれば生活保護が受けられないという、これは変な 解釈だと思いますけれども、現場ではいろいろな問題が出てきているのだろうと思います。 ただ、繰り返しになりますが、国民皆保険というものを守っていくために、それぞれがど ういう責任を持っており、それをどういうふうに果たしていくのか考えなければいけない。 これまで漫然とやってきた部分もあるかもしれないし、時代の変化に立ち遅れているとこ ろもあるのかもしれませんが、国民皆保険の基礎のところをもう一回見直していくことが 必要である。未収金ゼロということはできないかもしれないけれども、皆がそれぞれの責 任を果たし、極力そちらの方向に向かっていくのだというニュアンスを、報告の取りまと めに当たっては、是非出してほしいと思います。 ○岩村座長 貴重な御意見、ありがとうございました。  崎原委員、どうぞ。 ○崎原委員 今、島崎委員が言ってくださったことが非常に重要で、病院としても、基本 的なスタンスとして、私どもの病院も、国民皆保険ということで、国民の健康に対してこ れからも責任をずっと持っていきたいわけです。それで運営して、今までも未収金という のはあったんですけど、それは医療制度に伴う1つの位置づけ的なものとして受け入れて きたわけですよね。ところが、未収金がだんだん増えてまいりまして、また一方では、医 療費の抑制ということなどで、未収金を放っておくと病院の健全な運営ができないという 危機感に立ちまして、この問題を提起したということがございます。健全でない医療制度 を守るためには、やはり診療側と保険者、そして被保険者、その三者の信頼関係がないと、 もっとも国民の健康保険の運営につきましては支障が絶対出てくるということで、ヨン病 協を中心にいたしまして、アンケート調査などをして、こういった会を開いていただくと いう経緯があったと思います。  ですから、田中委員が言われましたいろいろな諸問題は、もちろんそれも重要だとは思 うんですけど、私たちとしては、今後、健康保険制度を守るための1つの未収金という問 題について、そういう観点から検討していただきたいということを基本的には思っていた ということをちょっとお話ししたいと思います。 ○岩村座長 どうもありがとうございました。ほかはいかがでございましょうか。  では、河上委員、どうぞ。 ○河上委員 この議論でいろいろな発生原因に対してどういうふうな対応をしていったら いいかというようなことをきちんと整理していくというのが中心になるというのは、私も 全く同感ですが、整理案の中でも、微妙に避けておられるのは、結局、法律的な制度の意 味合いというのがどういうものなのか。未収金の発生の本当の根拠は何なのかということ は、いずれにしても、法律に決まっていて、患者さんはお医者さんに払うことになってい るのだから、そこは置いておいてという書き方にどうしてもなっているのですが、ただ、 できれば基本的なコンセプトを明らかにするということが必要かなという気がするのです。 未収金というのは、もし患者さんがお医者さんに対して払うべき診療債務であれば、通常 の時効だって3年しかかかりませんけれども、あれは税金類似のものだということになれ ば、別の時効にかかるわけですね。最終的に医療というのを誰が責任を持って、どこまで やるのかということについて、もしこれまでの制度から見て、本来は国がやるんだという ことであれば、そのコンセプトのもとで、じゃ、医療機関というのはどういう責任をどこ まで果たせばいいかということが決まってくるわけでして、それぞれそこに余り逃げない 方がいいんじゃないかという気がするのです。全体としてどういう責務を負うかという落 ちつきどころはまた別にあるかもしれないですけれども、そのコンセプトのところを、厚 生労働省の解釈はこうだけれども、そうでない解釈もあって、そこは置いておいてという ふうにしていくと、どうしてもあいまいになってしまうような気がするので、あるいはや ぶ蛇かもしれませんが、どこかで詰めた方がいいかなという気がいたします。 ○岩村座長 よろしゅうございましょうか。時間もございますので、今日の議論はこのぐ らいにさせていただきたいというふうに思います。  先ほど田中委員もおっしゃいましたように、今日御報告いただいた調査の結果で、未収 金の発生原因といったものもある程度わかってきましたし、それと突き合わせたときに、 従来考えて構築されてきた制度では必ずしも対応ができていなくて、典型的にはたぶん低 所得者の方々に対する対応というのが実は余りうまく整合性をもって設計されていなくて、 隙間があって、そこに落ちてしまう人たちについて未収金が発生するというメカニズムが やはりあるんだなということは1つ確認できたと思います。それとは別にまた、確信犯的 に払わないという方もいらっしゃる。したがって、それぞれについての対応、考え方、対 策というのは違うので、この問題に関係する各当事者それぞれにおいてしていただく努力 なり対策というものを今後1つずつ検討していって、あともう1つは、先ほど島崎委員、 あるいは崎原委員からもお話があったような基本的な考え方の問題や、今、河上委員がお っしゃった問題も含めて、そこもやはり検討する必要があるのかなというように思います。  そういうことでございまして、私の印象としては、未収金に関してまだ議論はあります し、残すべき点は残っていますけれども、一通りの議論はやったのかなと思っております。 そして、今、私自身が申し上げたように、1つの対策ですべてが解決するわけではなくて、 原因ごとに、それぞれの当事者にどういう対応を求めるか。あるいは、どういう対策を行 うかということを考えていって、そして、できるものから順次実行に移していくというこ とが肝要ではないかというふうに思っております。  そこで、今まで盛んに御議論いただいたことも踏まえまして、次回では中間の取りまと めということについて御議論をさせていただければというふうに考えております。  そして、次回の開催日程でございますけれども、5月下旬から6月上旬で調整をしてい るというふうに事務局の方から伺っているところでございます。調整がつき次第、日程に つきまして事務局の方から御連絡が皆様のところにいくと存じますので、どうぞよろしく お願いをしたいと思います。  特にこの際ということで御発言がなければ、私の不手際でちょっと時間の配分を間違え まして予定時間を大分オーバーしておりますので、この辺で終了させていただきたいと思 いますが、よろしゅうございましょうか。  それでは、本日の検討会はこれで終わりということにさせていただきたいと思います。 長時間にわたってどうもありがとうございました。また、遠方からお2人の方、どうもあ りがとうございました。 (終了) 照会先:保険局 国民健康保険課 電 話:03-5253-1111 内3254