08/04/15 第2回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 第2回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 日時 平成20年4月15日(火)13:00〜15:30 場所 経済産業省別館1014会議室 ○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから「第2回 障害児支援の見直しに関 する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、年度当初の 大変お忙しい中お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。  前回ご欠席された委員の方が何人かいらっしゃいます。本日初めてお目見えというこ とになりますので、簡単に自己紹介をお願いします。 ○坂本委員 皆さん、こんにちは。埼玉県東松山市長の坂本祐之輔です。市長に就任し て14年ほど経ちますが、この間、障害のある方もそうでない方もともに暮らしを分か ち合える社会、もし障害を持ったとしても、自分が生まれた所で、自分が住んでいる所 で自立をし、安心して生活ができるノーマライゼーションのまちづくりを、すべての政 策の根幹に掲げた町です。先般では、障害のあるなしを分けてきたところが教育委員会 にあったのではないかと考えており、就学支援委員会を全国で初めて開始し、幼稚園、 あるいは保育園から、障害のある子もそうでない子もともに自分の生まれた地域の小学 校、中学校に通えるシステムを作り上げました。ノーマライゼーションのまちづくりを 進めているということで今日は伺いました。これからもどうぞよろしくお願いいたしま す。 ○末光委員 岡山にあります旭川荘理事長の末光です。日本重症児福祉協会の一員とし て、加えていただきました。前回の会は、私どもの法人のちょうど同じ時刻に評議委員 会、理事会がありましたので欠席させていただきました。今日からはお加えいただきま す。  重症心身障害児施設は、昭和42年に児童福祉法上の施設であり、かつ医療機関、病 院としての役割を担うという2つの役割を兼ね備える機関としてスタートして、40年 経ちます。当時は、たぶん、こんなに重い方々は15、16歳までの命だろうと言われて いたわけですが、関係の方々の努力、政策、そしてご家族の支援もあり、現在では40 歳を超える平均年齢に達しております。それは、ひとえに児童福祉法に守られ、医療と 福祉が一体的に提供できたからであろうと確信しております。そのような中で在宅指向 も進んでおります。重症心身障害のうち3分の1が入所、3分の2が在宅です。その 方々に対して、私ども公法人の重症児施設は、重症児通園、ショートステイ、あるいは 訪問看護等に取り組んできました。そのような取組みについても、是非今後とも充実さ せていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  最後に、障害者自立支援法については、全国193の国立、民間重症児施設があります が、それぞれ1カ所ずつしか移行しておりません。それには理由があります。そのこと については、次回ご報告したいと思います。よろしくお願いします。 ○宮崎委員 宮崎です。東洋大学文学部教育学科に勤務しております。前回は、大学で 4月に入ってすぐに新入生のためのガイダンスがありまして、失礼を申し上げました。  私は教育行政に関わっており、その前は養護学校の教員で長らく仕事をしておりまし た。障害者に関わる教育の問題について長く勉強しております。その立場からここに出 させていただいております。どうぞよろしくお願いします。 ○柏女座長 ありがとうございました。それでは、事務局よりご説明をお願いします。 ○障害福祉座長 予定では、委員の皆様全員ご出席ということになっております。数名 の委員が遅れておりますが、本日はお忙しい中どうもありがとうございます。  本日の進め方ですが、議事次第をご覧ください。第1回の検討会でいろいろご議論い ただきました。それを踏まえ、今回と次回の検討会においては、関係団体あるいは行政 の実施主体の方々からお話を伺うことにしたいと思っております。今回は、資料にあり ますとおり、日本自閉症協会、発達障害ネットワーク、全国発達支援通園事業連絡協議 会、全国肢体不自由児・者父母の会連合会、全国肢体不自由児通園施設連絡協議会、全 国盲ろう難聴児施設協議会の6団体からお話を伺うことにしております。時間の関係も ありますので、各団体からのご説明は10分程度で進めていきたいと思っております。  基本的な進め方ですが、今回、次回通じて、前半3団体、後半3団体と2つのグルー プに分けて、それぞれ終わったあと一定の時間の質疑を取るという形で進めていきたい と思っております。ただ、本日は自閉症協会がどうしてもあとに予定があるということ なので、本日に限り、自閉症協会のところだけは説明のあと10分程度質疑応答の時間 を取って、その後2団体終わってから30分程度の質疑応答、また3団体の発表を聞い て40分程度の質疑応答の時間という形で進めていきたいと考えております。よろしく お願いします。  資料ですが、各団体からいただいている資料を資料1から資料6まで用意しておりま すので、ご確認ください。なお、第1回の検討会のときに宿題が出た事項については、 今後個別の検討を行う形で、あるいは全体の論点をもう1回議論するときにお示しいた だき、ご議論いただきたいと考えております。資料の不足等ありましたら、事務局のほ うにお申し付けください。 ○柏女座長 資料はよろしいでしょうか。それでは、早速ご発表をしていただきます。 今日は、障害支援に関する関係団体の先生方には、お忙しいところ、また年度当初のガ タガタしているところをおいでいただきまして、本当にありがとうございました。にも かかわらず、10分という短い時間のご説明ということでご迷惑をおかけしますが、是 非よろしくお願いします。  最初に、社団法人日本自閉症協会様からご報告をお願いします。10分ほどご報告を いただいてから、委員の皆様方に自閉症協会の方に対するご質問でも結構ですし、ご報 告を受けての検討会に対する意見でもかまいませんので、10分ほどの時間を取ってい きたいと思います。石井先生、よろしくお願いします。 ○日本自閉症協会(石井氏) 本日はお招きいただいてありがとうございます。私は資 料1を出していますが、前段としては、ご承知のように昨年国連でカタールからの提案 で4月2日を「世界自閉症啓発デー」と制定されました。今年は、厚生労働大臣から名 をいただき、ありがとうございました。  我が国の障害者基本法は、3障害、身体、知的、精神の制度化ができております。し かし、それを受けての障害者自立支援法においても、自閉症という障害は付記されてい るわけです。幸い、発達障害者支援法が成立され、あとから副代表が報告しますが、発 達支援ネットワークの中に加わっております。しかし、自閉症は重篤な障害であること から、現代のICFの個人的な環境因子、あるいは社会的環境因子の改善とともに困難で あると考えております。共生社会を目指す我が国にとって、自立支援は重要ですが、自 立の進まない、つまり対人的な相互反応における質的な障害、コミュニケーションの質 的障害など、人間として生まれながらなかなか集団参加のできない、社会参加のできな い人たちについての深いご理解を賜りたいと思います。 レジュメはIとIIで大文字で書いておりますが、これは今後に向けての概要として、い わゆる障害児ですから、児童期における対応ということで、第1にPDDです。PDDとは 後発性発達障害ですが、それが早期発見されるためには、家庭あるいは高機能自閉症、 アスペルガー症候群などは集団生活の場に入らないとわかりにくいわけですが、そこで 特性の理解と気づきをうまくしていただきたいと思います。健診ということもあります が、そこに関わる医師や保健士、障害児療育に関わる保育士等の臨床的研修の強化は、 関わりと対応の難しさがあるわけで、現場を踏んでいただいて、ご理解を賜りたいと思 っております。  幼児期におけるPDDは、高機能の人も含まれますが、早期療育のあり方としては相談 の仕方、つまり親御さんに対する対応や通所施設における個別療育、小中大療育につい てはいろいろ療法が述べられていますが、結論的には私どもが療育を始めて40年余り 経ちますので、そうした経験的なことから言えることは、一時期の状況よりも全体の人 生の流れを見ていくことと、障害者権利条約も出ているように我が国は批准しておりま すので、今後に向けて、障害を持つ子、持たない子にかかわらず一緒に暮らせるような、 早期からの教育、保育に力を入れて、インクルーシブな保育方法を確立していただきた いと思います。  また、家庭の中で保護者の意見を組み込むことは、保育士の階梯などに書かれており ますが、保護者が必ずしも障害を持つ子どもに対して正しい理解をしているとは限らな いので、早期の家庭介入が必要です。私が東京都発達障害者支援センターの相談に当た っていると、親子が家庭内で引きこもって傷つけ合っているという状態が多数出ており ます。それは、小さいときに強制的なしつけや指導を受けたこと、いじめにあったこと に対する被害感が強く、それを親のせいにするという形で親を支配し、敵視するような 状況です。また、就学後は学校でいじめの根絶を是非図っていただきたい。自閉症に特 化した教育方法、システムよりも、まず人間の仲間として、友だち集団がその子に対す る理解、教員集団がその子に対する理解をしながら、学校生活を学習の場として成立す るようにお考えいただきたいし、学校だけでなく、自閉症児の余暇生活、補完療育の場 としての通所機関も整備しなければならないと思っております。幼児期から引き続いて の家庭介入支援や、就労支援とよく言われますが、養護学校等の学校の段階でどのよう に就労支援をしているか、特に自閉症の人に適用できるSSTを初めとした就労前の支援 を確立して、実施していただきたいと思います。保育所に比べて、療育施設の経費も大 変低いということがありますので、これを学童期の場合に補完施設としては安易な形で 儲けないでいただきたいと思います。  なお、障害児においては、自閉症児施設は第1種、第2種とありますが、設置当初よ りも総数が増加しておりません。それぞれの事情は異なりますが、運営面での改善を是 非求めていただきたいと思います。特に強度行動障害や高機能の引きこもりの人に対し ての対応ということで、自閉症児・者施設の設置をお考えいただきたい。また、先ほど 来申し上げていますが、人材供給としても、研修や研究の場として自閉症児・者施設と いう名前を自ら名乗っている団体があります。そのような機能、つまり、いまある機能 を活用する方向でお考えいただくことが、専門的機能の向上と普及に資するのではない かと思います。特に家庭介入する場合には、その拠点として地域の自閉症児・者施設が 必要になってくるだろうと思います。  報酬体系についてはいろいろ言われていて、本当に自閉症児を知的障害に入れたり精 神障害に入れたりすることが、現在の行政で行われていますが、子どもの場合の単価が 重度重複障害児加算にならないだろうかということで、次頁の☆ですが、知的障害・身 体障害・自閉症(発達障害)・精神障害・強度行動障害10点の程度のうち、3種併せ持 つ自閉症は重度重複障害としておりますが、それにしてもこの経費が安いので、値上げ が大事だと思います。よく言われることは療育手帳で、是非新設していただきたいとい うことです。これは知的障害や軽度でも発達障害を伴っている場合には、障害が重度で あるということがあるので、個別的によく調べて対応していただきたいと思います。  強度行動障害児特別支援加算ですが、強度行動障害の子どもたちは大変惨めです。私 どもが一生懸命関わっても、3年間の期限が過ぎると受皿がなく、関わりの仕方も難し いわけですから、職員の資質を向上するとともに、それに対応する人を配置できるよう にということで付け加えました。 ○柏女座長 審議にご協力をいただきまして、ありがとうございました。引き続いて質 疑応答に入りたいと思います。何かご意見、ご質問がありましたらお願いします。10 分ほどお時間を取ります。 ○宮崎委員 2点ご質問をします。就学前支援の部分で、2)の中に(1)(2)とあって、幼 児期におけるPDDの早期療育のあり方についてお話をいただいたわけですが、私などは 個別療育や小集団療育の援助法が現在普及していない段階では、こういったことが非常 に重要ではなかろうかと思います。そういったものがいろいろな所で確立した段階で、 保育園や幼稚園における早期療育のインクルーシブな保育方法の確立をする必要性があ るのかなと、あるいは交流保育といったものが出ていくのではないかと思うのです。こ の辺りについて、協会としてはどのようにお考えかお尋ねしたいと思います。  2点目は、早期の家庭介入の必要性については全く同感なのですが、非常に難しい問 題がたくさんあります。家庭の責任で療育をしていくこと、そこへ介入する仕組みを作 るのに大変難しさがあろうかと思いますが、この辺りについてはどのように、どんな方 法を取ったらいいか、お考えがあったらお聞かせいただければと思います。 ○日本自閉症協会(石井氏) 前段のご質問の趣旨がわからなかったのですが、私は保 育方法としては集団をどう見るかということが考えられます。かつては、集団の中で安 定して生活できるようにということで、個別的な療育支援を別室でやる形を取っていた わけですが、いまの考えとしては、できるだけ周りの人たちがこの障害の子どもにどう 接したらいいかを保育士が実際に見せていくことによって、障害を持たない子どもが自 閉症の人に対しての関わり方を学んでいけるのではないかと。集団イコール社会という ものが質を高めていくと考えております。  2番目のご質問で、家庭介入について健診制度をよく出すのですが、親に質問して何 かこれに該当する方は来てくださいと言っても、行かないのです。チェックリストを渡 して回答しなさいと言っても、大体が対応できないわけで、むしろ親が育てていく上で 心配なことはないだろうかと、親の心配を受け取りながらその中でチェックをして、個 別的に対応して相談を始めていくやり方が1つです。もう1つは、地域をカバーする児 童福祉士、児童委員の活動も近所からわかるわけですから、話を聞きながら、相談機関 と連携しながら個別的に、相談を受けるからということで交流を進めていくことが必要 かなと考えております。 ○渡辺委員 1つは確認ですが、先生のお話を伺って、幼稚園、保育所段階、あるいは 子育て支援の段階からインクルージョンを図っていくことが、幼いころから障害のある なしにかかわらず子ども同士が関わり合う経験を持つことが、障害のない子どもたちに 対してもさまざまな刺激や学びを与えて、先ほど先生が強調されたいじめの根絶にもつ ながってくるのかどうかです。  2点目は、障害のある子どもたちの学童期以降の余暇支援は非常に大事だと思うので すが、余暇生活を支援するというのは障害のある子どもたちだけに特化したものなのか、 ほかの子どもたち、いわゆる障害のあるなしにかかわらない放課後支援等が広がってい るのか、その枠組みの中で考えていったほうがいいと思われるのか、そこについてご意 見を伺いたいと思います。 ○日本自閉症協会(石井氏) 前段のことについては、私自身の法人の中で、時間を決 めて自閉症の子どもと保育所の子どもを一緒にして、生活性のある、ごく自然にわかり 合える、保育士を見てそれを学んでいくことが起きているので、そのような現実を基に して言っているわけです。  2番目の余暇支援については、保育所が終わって学校に行くと、いわゆる放課後支援 の質が下がってしまうわけですから、ここはちゃんとしなければ困るのではないか、特 に障害児が安心できる余暇支援は、いまの余暇支援では難しいのではないかと。そうす ると、療育機関もあって、その療育機関が先ほど言った自閉症を指導、援助できる余暇 支援機関との交流ができるような仕組みや、あるいはそこのスーパービジョンをする仕 組みなどが望ましいのではないかと思います。これはまだ現実的にはならないでしょう が、そのような形でいくと。  前には保育所を使ってということも申し上げたこともあったのですが、確かに児童福 祉法では18歳まで使えることになっているわけですから、そこへ整備していくことも 考えられると思います。実際に一歩踏み出していただかないと何とも言えませんが、方 向はそちらだと思います。 ○市川委員 いまご説明いただいた3番の自閉症児施設の機能について、先生のいまの ご説明ですと、知的障害を伴う強度行動障害の方から高機能の方まで幅広く、自閉症児 と者を一緒にということだったと思います。しかし、このようなものだとするとイメー ジとして、現在ある自閉症児施設は入所型あるいは入院型だと思うのですが、先生がイ メージしているのはどのようなものでしょうか。非常に幅広いものだと思いますが。 ○日本自閉症協会(石井氏) 第1種自閉症児施設は、市川先生がおいでなのでお聞き になるとわかると思いますが、私がイメージしている第2種自閉症児施設の場合はほと んど加齢なのです。大人たちがいるわけです。というのは、外に出られないわけです。 ですから、療育機能としてなるべく外に出していますが、受皿がないことが現実にある わけです。ただ、わずかながらショートステイなどで出入りしている自閉症児がいるの です。そのような形で利用はできますが、養護性の欠ける場合や高機能の場合には、当 然ながらそこへの入所の仕組みを作っていかなければいけないわけですが、いま言った ように、児の施設として特化されている部分が少し変わってきているという現状がある のです。それを基にして、児・者共通でいいのではないだろうかという考えを持ってい ると申し上げたわけです。 ○市川委員 高機能の方もとおっしゃったのですが、この方々も入所を前提に考えると いうお考えですか。 ○日本自閉症協会(石井氏) ショートステイということで、家庭に引きこもって家庭 が破壊されている場合、そこにたまり場ができて生活ができていくとか、あるいはそこ で働く場を作っていくといった意味の、社会との中間的な場所、居場所や日中活動の場 として整備することはできるのではないかと考えております。現に、厚生労働省の実践 研究でやっていますが、そのような形で家庭から少し離れた場にいると、家族関係が変 わってくることがあります。本人も少し力を出して働く経験を得ると、生活態度も変わ ってくるのです。いろいろ工夫が必要ですが、今後の方向として社会的な施設、それに 類似した機能を持った施設として地域支援をしていくことが前提ですが、そのような方 向が必要ではないかと考えております。 ○末光委員 市川委員と同じ疑問があってだいぶお答えいただきましたが、第1種の医 療型自閉症施設の対象者がその後どうなっておられるのか、そのような中で、今回特に 自閉症児・者施設をあえて必要性を主張なさる根拠をもう少しお教えいただきたいと思 います。 ○日本自閉症協会(石井氏) 先ほど申し上げましたが、自閉症児・者施設と自ら名乗 っているのは、制度的には知的障害者施設なのです。おそらく、知的障害者施設にも相 当自閉症の方がおられると思いますが、明確に自閉症に対応できる施設になっていくこ とが望ましいと私は考えております。障害の特殊性についてはもうご存じだと思います から、あえて言いませんが、かなりダメージを受けた人たちを受け入れて癒していくと か、家庭の再構成や社会参加をもう1度するといった形の工夫が必要だと思っておりま す。第1種のほうはわかりませんのでお答えはできませんが、第2種の自閉症児・者施 設はそのようなイメージで、自閉症児施設と交流もできるし、ある意味で共通性がある のだと思っております。 ○末光委員 医療型のほうも大事な役割を果してくださっていると思うので、是非より わかりやすくお教えいただきたいと思いました。よろしくお願いします。 ○柏女座長 時間も過ぎておりますので、手短にお願いします。 ○山岡委員 いまご提案いただいている中の自閉症児施設の報酬体系について、知的障 害、身体障害、自閉症、精神障害、強度行動障害のうち3種併せ持つというご提案をい ただいていますが、3種というのはなかなか難しいと思うのです。強度行動障害を入れ ると増えるのかもしれませんが、どのぐらいの割合でいらっしゃるのでしょうか。また、 知的障害と自閉症は2種という要望はないのか、それをお聞きしたいと思います。 ○日本自閉症協会(石井氏) 実は3通りの案を書いたのですが、その中でいちばん皆 さんにわかりやすいのはこのような形ではないかということで出したわけです。希望と しては、おっしゃるように知的障害を伴う自閉症を含めていただきたいし、特にそれに 強度行動障害を付けることをここに提案しているので、そのように考えております。 ○山岡委員 どのぐらいいらっしゃるのでしょうか。3種となると、そんなにいらっし ゃるかなと。 ○日本自閉症協会(石井氏) いまの自閉症児・者の施設ですと、ほとんどそれに該当 しています。 ○中島委員 このような発達支援は、ニーズがどこにあるかを見出すためにとても重要 だと思うのですが、実際に自閉症の場合いろいろなタイプもあるし、個人差もある中で、 どのような形で1人ひとりの本当に必要とするニーズを誰が掘り起こしていって、その ためにどれだけどこがお金を付けていくか、適切に仕組みとして付けるかが非常に難し いと思うのです。特に初めのニーズの掘起こしの点に関しては、現状それでいま十分か という点で、このような改善が必要だといったお考えがあればお聞かせいただきたいと 思います。 ○日本自閉症協会(石井氏) 先ほど申し上げたように、私は東京都発達障害者支援セ ンターで対応している事例は非常に多く、家庭崩壊寸前、傷害事件寸前、社会的な不祥 事の起きる予想が立っている事例に遭遇して、そうした緊急性から対応していく施策と して、自閉症児施策においても前方を見て、将来のそのような状態を防ぐ上でもしっか りと環境を整えてほしいという発想です。 ○柏女座長 よろしいでしょうか。まだまだご質問があるかと思いますが、時間が来て おりますので、日本自閉症協会のご発題とそれに関する質疑を終わります。どうもあり がとうございました。  引き続きまして、日本発達障害ネットワーク様、よろしくお願いします。ここからは、 日本発達障害ネットワークと全国発達支援通園事業連絡協議会から、各10分ずつご発 題をいただき、30分ほど両団体に対するご意見、ご質問の時間としていきたいと思い ます。 ○日本発達支援ネットワーク(氏田氏) 日本発達障害ネットワーク副代表の氏田と申 します。本日はヒアリングにお招きいただきましてありがとうございます。  私ども日本発達障害ネットワークは、発達障害を代表する全国組織としてたくさんの 団体が加盟しております。障害者団体、親の会、学術団体、職能団体ということで、い ま発表してくださった日本自閉症協会、日本LD学会、日本自閉症スペクトラム学会、 日本臨床心理士会、トゥレット協会、えじそんくらぶ、アスペ・エルデの会、日本感覚 統合学会、ディスレクシアの団体であるEDGE、全国ことばを育む親の会、日本言語聴 覚士協会、日本臨床発達心理士会、社団法人日本作業療法士協会、本日委員で参加して いる山岡の全国LD親の会など、たくさんの団体が入っております。現在、正会員は全 国団体が14、エリア団体が46で、発達障害のある方たちの支援ということで活動して おります。 ☆PPT 発達障害者支援法の推進をしてきたネットワークの団体でもあるのですが、自 閉症、アスペルガー症候群、ADHD、学習障害等、子どもたちが持っている障害は大変重 なり合っているので、発達障害者支援法に定義された自閉症は知的障害の有無を問いま せん。また、LD、ADHDなどを支援していこうということで活動しています。今年は自 立支援法のお話がありますが、発達障害者支援法も3年を経て見直しがかかっておりま すので、JDDネットとしても大変大きなミッションを抱えているところです。是非、自 立支援法の中に明確に位置づけていただきたいと思います。また、啓発法とも言われた 発達障害者支援法が、今度具体的な支援サービスを入れ込んだものになっていくように 頑張っていきたいと思っております。 ☆PPT 2005年4月に発達障害者支援法が成立しておりますが、現在は、先ほど3障害 の話が出ましたが、こんな形かなとイメージしております。つまり、知的障害を合併す る自閉症の方たちは知的障害福祉法から、知的障害を伴わない場合には精神保健福祉法 から自立支援法にアクセスしている状態かと思います。児童の場合にも、早急に対応し た形式を整えて、十分な支援メニューを準備することが必要であると認識しています。  検討会の主な検討課題としていくつかの項目をいただいているので、項目に沿ってお 話します。 ☆PPT 「障害児支援の見直しについて」ということで、1番目にライフステージに応 じた一貫した支援の方策についてご提示いただいています。資料の1頁目から書いてお りますが、(1)は早期介入、早期支援体制の拡充です。これについては、のちほど申し 上げます。  (2)に、発達障害児のリハビリテーション等の実現です。私ども団体に職能団体が 入っていると先ほどお話しましたが、子どもたちそれぞれが持つ潜在的能力の開発が大 変重要であると考えています。発達障害に対するリハビリテーションの位置づけが明確 になり、作業療法、運動療法、言語聴覚療法、今日市川委員がいらっしゃいますが、精 神科でデイケアをしてくださっています。心理発達相談、あるいは家族相談が必要に応 じて受けられるように改善していただければと考えております。  (3)に、保育所における発達障害児の適切な保育の実現です。母子保健対象の時期 から学校教育までの橋渡しの期間、あるいはつないでいく期間には、幼稚園のほかに保 育所がありますが、特別支援教育における支援体制にリンクする形で保育の位置づけ、 支援体制の確立が必要であると考えています。早期から適切な支援が実現できるような 体制作りとともに、学校教育への連続性を持てる体制作りが、是非必要だと思います。 ☆PPT (4)に、子育て支援の中での発達障害児の支援体制の実現です。私の息子はす でに成人しておりますが、知的障害を伴う自閉症でした。あのころはなかなか見つから ない、発見が遅れるということではありましたが、言葉がなかったり動きが激しかった りして、割と早くに診断を受けることができました。いま、LD、ADHD、アスペルガー、 ハイパー・ファンクショナル・オーティズムとなると、なかなか母親が気づかない、周 りも気づかないことがあります。そのような意味では、普通の子どもたちの子育て支援 の中で、発達障害児についても守っていただければと思っております。例えば、地域に おける子育て支援事業として、全国の市町村の児童家庭相談担当課、あるいは実施機関 などで、子どもたちの発達に関する専門職を配置することが可能になればありがたいと 思います。  (5)に、児童養護施設等における発達障害児に対する適切な支援体制の実現です。 もちろん、これらの施設は発達障害児のための施設ではありません。ですが、実質的に は多くの発達障害児がいることが明らかになってきています。つまり、虐待等を受けた 子どもたちがこれらの施設を利用しているということです。その背景に、子どもたちが 発達障害を持った場合が少なくないのです。愛知小児保健医療総合センターの杉山先生 が今年出されたデータでは、虐待を受けた子ども575名中、PDD、広汎性発達障害は 24%、ADHDが20%という数値も出ていることから、施設における人員体制の改善や、 発達や臨床心理の専門職を配置した支援体制の拡充が喫緊の課題だと思っております。 さらに、施設を利用している子どもたちの中に、発達障害者支援センターへの相談や巡 回相談を行える体制ができていくといいのではないかと考えております。  (6)に、児童デイサービスにおける発達支援の充実です。昨年、国で児童デイサー ビスについて、当初余暇活動支援と位置づけていましたが、私どもの現状を知っていた だくことで見直しをしてくださったと伺っております。つまり、個別の療育的対応だけ でなく、生活支援・発達支援に至るまで、また年齢的にも幼児から高校生に至るまでの 支援を行うこと、それも地域で行えることが大変重要だと考えておりますので、事業所 における支援体制を是非充実させていただければと考えております。 ☆PPT 先ほどから早期の発見という話が出ていたと思います。早期の介入、早期の支 援体制の拡充についてお話します。初めて自閉症や発達障害に関わる人が、発達障害を 理解するのはすごく難しいとよく言われます。それは、私たち家族にとっても決して例 外ではありませんでした。発達障害者支援法の成立に向けてみんなで運動したときに、 よくこんな質問をいただきました。早期に発見して、新たな障害のレッテル張りをする 気なのかと。もちろん、当時も「いいえ」と強くお答えしましたが、子どもの健やかな 成長のために、家族が抱える「Why」と「How」には、できるだけ早く応えてあげてほし いと思っています。  3〜5歳の子どもを注意深く見ることで、将来が見えてくると思います。どういうニ ーズを持っているかが見えてきます。それが見えてくるからこそ、必要なサービスを考 えることができるのだと思います。また、正しい情報はフォールスホープ(誤った希 望)から家族を守ることができます。つまり、水銀療法であるとか、自閉症は治るとい ったことで大変悩む家族が多いということです。そのために、家族に対する障害特性に 関連する明確なガイダンス、例えばペアレント・トレーニングなどのように、子どもへ の対応の仕方に対する具体的な指導方法が学べるような支援メニューがほしいと考えて おります。是非、児童サービスの中に家族支援を明確に位置づけてほしいと思います。 ☆PPT これはスペシャリスト向けアンケートで、少し古いデータですが、自閉症、PDD の行動評価尺度を作りました。「パーズ」と名付けましたが、パーズとは何か、どのよ うに使うのかということで、スペシャリスト向けに行った研修会会場で取ったアンケー トのデータです。これは保健士の分をまとめたものですが、大変経験の豊かな保健士で、 1歳半、3歳健診に関わる方です。 ☆PPT 「診断に必要な知識やスキルの研修を受けたことがありますか」という質問で、 診断に関しての研修を受けたことがないと答えています。 ☆PPT 「自閉症や発達障害とはどういう障害だと思われますか」という質問で、不正 解が3分の2もいます。そんなに難しい質問ではなく、自閉症の三つ組を答えていただ ければと思ってしたものです。 ☆PPT 研修を受けてもあまり差がないということで、是非有意義な研修にしてほしい と思っております。私たちが自分の子どもたちが少し変わっているなと思ったときに、 初めて出会うのが保健士です。いまだに、保健士が「様子を見ましょう」、あるいは 「話しかけてあげてください」といった的の外れた指導をすることで、親が大変困って いることを、このアンケートから申し上げたかったのです。  時間がないので、次は簡単に飛ばします。人材養成について、子どもたちのことがよ くわかる人材をということで、あとでペーパーをお読みいただきたい。 ☆PPT 先ほど会長が言っておりましたが、「自閉症啓発デー」ということで、内閣府の 調査でも2人に1人が発達障害のことを知らない状況の中で、子育てに苦しんでいる家 族がいることをご理解いただければと思っております。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。続きまして、全国発達支援通園事業連絡 協議会様からご報告をお願いします。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) こんにちは。全国発達支援通園事業連 絡協議会の事務局をやっております加藤といいます。今日は2枚印刷されたものがあり ます。これは、昨年8月に厚生労働省の担当官の方にお出ししたものをベースに作った ものです。10分という時間でうまくいかないといけないので、まとめてきましたので、 あちらをご覧ください。 ☆PPT 「全通連」と普段言っていますが、児童デイサービス事業の団体です。児童デ イサービスとは何かというと、ご存じだと思いますが、心身障害児通園事業です。今日 もお見えになっていますが、知的な通園施設、肢体の通園施設、難聴の通園施設がなか なか作れない小さな市町で事業ができるようにということでできた事業です。 ☆PPT それが健診のあとの子どもたちの受皿の役を担ってきましたが、1998年の厚生 労働省の通知で名前が「児童デイサービス」となりました。なぜデイサービスかという ことで、私たちはデイサービスという言い方に非常に矛盾を感じているので、そのこと についてはあとで触れますが、この段階で小学校の子どもたちも受け入れていいことに なりました。これ自体はそのような要望があったことに対応してくださったのだと思っ ています。先ほどのJDDネットの方のお話にもありましたが、私たちとしては、いま児 童デイサービスが2つの類型になっていることが混乱の元になっていると思うので、も ともと乳幼児の対応をする所ということで、戻るといいなと思っています。市町村でと いう辺りで、公的な責任の根拠がここにあると思います。 ☆PPT 1998年の段階では、おおむね5名以上の利用が可能でした。小さい市町村では 子どもの出生率も少ないし、その中で特別な支援が必要な子どもの数も少ないし、現在 自立支援法で10人以上いないと事業ができない形になっているので、ここも元に戻る といいなと思っております。このころ1,300カ所という目標を立てていて、いま大体そ のぐらいの数になっています。事業の数としてはそのぐらい来ているだろうと思ってお ります。 ☆PPT 支援費制度が2003年に始まって、このときに受給申請や受給者証、契約で日払 いというのが、いま専ら問題になっているところですね。子どもの通所だけが実蹟にな ったと。利用者負担はこの段階では親の負担でしたが、このときも受給申請をしなけれ ばいけないことにとても矛盾があって、4月に法律が始まってすぐ、6月に部長通知を 出していただいて、親が受容できない場合は特別に配慮ができるという文書を出してい ただきました。 ☆PPT 自立支援法の時期が来て、このときには定率負担、応益負担になりました。I 型、II型という新体系が、一昨年10月からできました。3月23日付でしたが、このと きも診断・手帳は必要ない旨を厚生労働省からわざわざ出していただいているというこ とで、そのご努力はありがたいと思いますが、通知を出さなければいけないこと自体が 矛盾の表れだと思ってもいます。ただ、実際これは自治体でかなり不徹底があり、手帳 を要求されることがありました。 ☆PPT 児童デイサービスそのものは18歳までの事業になっていますが、基本的に私た ちは乳幼児期に必要な支援と考えています。早期発見、早期対応と、先ほどのお二方の お話の中にも同じようにあったので、そこは一緒だと思いますが、どちらかというと障 害児という観点ではなく、母子保健からのつながりが大きいと思っています。ただ、発 見後の受皿ということで、診断などを抜きに、心配だったらまず受け止める体制が必要 だと思っております。そこから移行支援、地域の幼稚園や保育園、学校、家庭の生活と つなげていく必要があると思います。 ☆PPT 先ほど言いましたが、支援費の制度になった段階で部長通知があったのですが、 いわゆるグレーゾーンと言われる子たちの対応が難しくなりました。グレーゾーンとい う言い方についてはいろいろな議論があると思いますが、障害の診断がまだその時点で 確定していない子どもである場合もありますし、比較的障害の程度が軽度であること、 軽度という言い方はあまり適切ではないと思いますが、境界期の子たちも含まれますし、 親が障害を受容できていない状況も含めて、ここではグレーゾーンという言い方をして います。判定や診断、契約応益負担は、特に障害を受容する前の段階の親と子どもたち にとっては馴染まないと思っております。 ☆PPT 特に受容前、受容後は契約もある程度前提になるかと思いますが、受容前につ いては一切診断や手帳を求めない、受給申請を省く、利用者負担の軽減をと思っていま す。何よりも、小さい障害者ではなく、子どもとして児童期相当の対応を望んでいます。 ☆PPT これはそれ以外で、日払いで子どもが来た分だけしか対応できなくなってしま ったので、ほかの相談になかなか力が入れられなくなって、それでは役目が果たせない ということが書いてあります。 ☆PPT 幼稚園や保育園に行った子たちのアフターケアです。全国調査をしましたが、 半数以上が退所後のアフターケアや幼稚園、保育園との平行利用などの対応もしている ので、いまは仕事になっていないけれど、必要だからやっている状態だと思います。 ☆PPT 先ほども言いましたが、自立支援法になって、小さい所で事業がやれなくなり ました。事業所の団体なので事業の側でものを言っていますが、事業がやれないという ことは、そこに住んでいる人たちが利用できないことになります。鹿児島の喜界島では、 子どもが少ないので事業が成り立たなくて休園になっていると聞いています。沖縄の石 垣島では、児童相談所の巡回が年に2回しかなく、判定が受けられないので、事業が使 えない状況が生まれていると聞いております。そういうことで、是非要件の緩和、どん な小さな町でも事業ができることが大事だと思います。 ☆PPT いまI型と言われている乳幼児期の対応については、ショートステイ、デイサ ービス、ホームヘルプは在宅の三本柱なので、「デイサービス」というのはやめてほし いということで、「発達支援事業」というのを提案しています。厚生労働省から、それ は発達障害者支援法と紛らわしいので、違う呼び方を提案してくださいと言われていま すが、私たちとしては発達支援事業がいいと思っています。  最後の頁です。これも先ほどの発言にありましたが、もう1つII型ということで学歴 の対応もしています。同じ事業名でやっていること自体が問題だとは思っていますが、 小学校に上がった子たちも、中学生や高校生になった子たちも、必要な支援があります。 特に思春期をどう乗り越えるかはとても大きな問題で、それはどういう障害があるとか ないとかは関係なくあると思いますが、特別な配慮が必要な子たちだと思っていますの で、それはそれとして学歴の対応についても、18歳まできちんと対応が必要だと考え ています。最初から小規模通園事業というのは、3種別なしで取り組んでいることと、 少しでも心配ならばすぐに相談においでよという事業だと思っています。ただ、いまの 法律の下では非常にそれがやりにくい形になっていることだけを最後にお伝えして、話 を終わります。ありがとうございました。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。ご協力をいただいて、ありがとうござい ます。いま、両団体からご意見をいただいたわけですが、これについて30分弱ほどご 意見、ご質問を頂戴したいと思います。 ○松矢委員 最初の自閉症協会のこととも関連しますが、自閉症協会のほうは発達障害 療育手帳というサービスのツールを出しています。ネットの方々はそういうツールにつ いてはなくて、早期対応、早期介在を出されています。どういうツールで、そういうニ ーズに応えていくかが出ていないのです。その点の何か考えがありましたら。  いまの発達支援事業のデイサービスの方には、障害を疑ってまだ受容していない。い ろいろな相談に乗っていくこと。私は、最初の段階は非常に柔軟なニーズへの対応が必 然的だと思います。ですから、母子保健から入っていくのが当然なので、そういう意味 では各地で個別支援手帳というか、そういうものでいろいろな相談をしていく。そのあ とに、個別支援計画を作って対応していく。障害を確定診断していくのは、そのあとに なってくるのではないか。そういう包括的なツール、システムを考えていかなければな らないのではないか。特に発達障害支援法となってくると、その辺が底辺としてなけれ ばならない。子供については、いま3障害の手帳というよりも包括的な生き方。全体も、 障害者手帳は包括的という生き方も出ているわけなので、その辺の考え方。ネットの方 とデイサービスの支援をしている方々のいまの加藤さんのご提言ですね、少しどんなふ うにニーズに対応していくかについてお考えを聞かせていただきたいと思います。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) ご質問ありがとうございます。手帳について は、まだJDDネットの中で議論中ということもありますが、将来的にはほかの障害種別 を超えて、包括的に生活の困難性とか支援ニーズを適応という観点で把握して、十分な 支援が提供できるようにしていくことが望ましいのではないかと考えています。1人置 いて代表がいま隣にいますが、まさにいまどう考えていくかということです。先ほど子 供のときのお話をしましたが、短期的にはいま知的障害を合併する場合には、知的障害 児の障害手帳、療育手帳、伴わない場合には精神障害の保険福祉手帳を取るような形を 取っています。なかなか取れない場合もあります。児童の場合にも本当に確定したよう な状況になって、実際の支援が必要になったときには中に支援メニューをしっかりと用 意しながら、そういう形もあり得るのではないかと思っていますが、団体としての意見 ではありません。おっしゃるように、子供たちに少し何か変わった状況があることを本 当に丁寧に見ていただくことで、子育て支援から入っていきながらというふうに個人的 には考えています。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) 先ほども申しましたが、児童デイサー ビス事業というのが学齢の部分と就学前の部分に広闊してしまっているので、私の先ほ どの話は主に就学前の話。それも、0、1、2歳、受容前の年代ですね。ただ、もちろん 0歳でも1歳でも障害の診断が確定していて、親御さんが受容している場合もあります ので、それを除けるという意味ではありませんが、受容前については言い方は良くない ですが、曖昧な形で敷居を低くして受け入れられるような状況、相談ができる状況を作 る必要があると思っています。  親御さんたちは1歳半健診に行かれるときに、子供がぐずったりしないようにギュッ と抱き締めて、保健師に声をかけられたら終わりと思うわけです。でも、それは非常に 逆転していて、本来は支援が必要な子供がいたら気軽に相談できればいいのに、できな い状況があるので、そういう形で親御さんの間に情報が出回っていることになりますが、 そういうことではなくて、心配なのだ。本当に苦労しているのだ。私たちの所に相談に 見える親御さんは、ちょっと落ち着いてからでないと来られません。いちばん大変な時 期というのは、本当に苦労されています。行ったきりのときというのは、必死で外に向 きません。やっと少し戻ってこられるようになってから、ようやく相談に見えます。だ から、本当はいちばん大変なときに来られてよかったねと親御さんにいつも言います。 だから、障害とか何とかを抜きに、特に小さい時期はたぶんそう言うと予算が付くので はないかしらと変なふうにも思いますが、子育て支援という枠組みで母子保健の延長で、 まず受け入れる所を作るべきだと思っていますし、これまでの歴史的に言うと児童デイ サービス事業のI型というところが支援費以前に650カ所ぐらいありましたが、そこが 地域で担っていたと理解をしています。ですから、保健所が取り組んでいる事後のグル ープと、いまで言うデイサービスのところと、次の通園施設や統合保育がうまくつなが るような形を自立支援法ではなくて、児童福祉法の中で考えていただけるといいなと思 っています。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) 誤解があるといけないので、少し加えます。 診断を早く得ることは、そのお子さんが発達障害というバックボーンを持っているとす れば二次障害を防いでいくという意味で対応がうまくいくことがあるので、手帳云々の 話はまだ議論中ですが、できるだけ早くに介入をしていくことは重要だと考えています。 ○柏女座長 松矢委員よろしいですか。 ○松矢委員 はい。 ○柏女座長 渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員 いま、お話を伺っていて非常に共感するところがたくさんあります。1つ は障害が確定的でない場合、あるいは障害を受け止めきれない場合は、まず手帳を受け に行くこと自体も非常に抵抗感がありますし、なかなか難しいと思いますが、その時期 にいろいろと葛藤を抱えられる親御さんも多いので、そこに対する支援というのはいま おっしゃったように、曖昧なままに使えるようなサービスが必要だと思っています。い わゆる家族指導的なものだけではなくて、親御さんたちの抱えている葛藤をそのまま受 け止められるような使命的なサポートが必要だろうと思っています。そういった意味で、 私自身が思っているのは、先ほど子育て支援という言葉も出ましたが、私は昨年度は全 国の子育て広場に対しての障害者の受け入れの調査をやったわけです。多くの子育て支 援の団体で、障害のあるお子さんや親御さんたちは既に引き受けて、いろいろとサポー トされている実情がありまして、これから障害があるとかないというわけではなくて、 子育て支援という幅の広い枠組みの中で受皿というか、受け止める場を作っていく必要 があるのだろうと思っています。そういった意味で自立支援法ではなく、まずは児童福 祉法の中に位置付けていく点については、かなり共感をしています。  1点質問は、近藤先生が書いた資料に注目していますが、障害を前提にせずに利用で きる親子教室のようなものを各自治体で実施するべきだというご意見が書いてあります。 ここについて、障害があるとかないに関わらず、しかも通園施設や児童デイというので もなく、非常に曖昧のままで使える場所としての地域の中の発達支援教室のようなもの はとても大事だと思います。この点について、どのように考えておられるかをお伺いし たい。  もう1つは、児童デイサービスを運営していて思うことは、ご存じのとおり長期休暇 です。幼稚園児から高校生までが一緒になるというのは大変な状況で現場は混乱するわ けですが、先ほどの石井先生がおっしゃられた中高生の余暇支援的な場が児童デイにな ってしまう。特に、長期休暇になってしまっているのではないかと思っていて、現場で は幼稚園から中高生まではさすがに限界があると思いますが、その点についてもどう思 われるかのご意見をいただきたいと思います。どちらでも結構です。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) 初めのご質問についてですが、先ほど も申し上げましたが全国の自治体でいろいろなやり方をされていると思いますが、保健 所、保健センターは健診後の事後のフォローできる教室というのをどこもやっていると 思います。それを例えばその次に保健師が送る先が1つは児童デイサービスであったり、 通園施設等がやっている入園前の教室みたいなものをやっていると思います。これは、 曖昧な形で親子教室でと申し上げましたが、実は発達の支援に関する専門性というのは 受け入れる側にはとても必要なので非常に難しいのですが、利用するお母さんたちの側 からすると曖昧で、受ける側はそれなりの専門性を持っていないときちんと対応ができ ない部分がありますので、保健所、保健センター、児童デイサービス、通園施設という ところの保育園がやっている所もあると思いますが、その間の入園前の教室みたいなイ メージです。いまは名前が変わっていますが、地域療育等支援事業の外来療育の部分を 利用して、診断や手帳が必要なくて使えるものというイメージです。  後半のお話についてはおっしゃるとおりで、土台、それを一緒にやること自体が間違 っている。現状としてそういう形になっているところもあると思いますが、それは論外 だと思っています。ほかの児童福祉の事業について、0歳から18歳まで一緒でやって いるようなところはありません。保育所の中でも、未満児と各年齢によって職員の保護 単価が違っていますし、乳児院と養護施設も違います。一緒くたで同じ中でやっている こと自体が、とんでもない話だなと思っています。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) グレーゾーンのというか、まだ障害の受容が できていないお母様たちに対しての支援ということで、日本自閉症協会では3年前から ペアレントメンターという家族同士の支援をきちんとできるようにということで養成し ています。お母様たちに相手の話を聞くことの姿勢であるとか、自閉症についての基礎 的ないちばん新しい知識を学んでいただきながら、こう答えてしまうと向こうというと ころで、皆さんからの電話相談のときに「どうも自閉症みたいなんだけれども」と、最 近はおばあちゃまからのお電話も大変多くあります。そんな形でフォローしています。  また、まだ日本の中に全部広まっているとは思えないですが、例えば6つぐらいの家 族を集めて、その家族をグループワークをしていきながらお子さんの状態を互いに知り 合って、お子さんはプレイセラピーをしていく形の方法で、障害に対するガイダンスと か、どういうふうにお子さんを捉えていこうかということを当初診断直後の8週間ぐら いやると、かなり効果があると思っています。 ○柴田委員 発達支援事業連絡協議会の方に主にお伺いします。児童デイのあり方でI 型といいましょうか、幼児期と学歴は明らかに別物だろうと思いますが、特に幼児期の 場合は私どもも基本的には障害よりも児童福祉法の枠内で考えるべきだと思います。そ うしたときに、障害児の通園施設がありますね。このあとも発表があるのでしょうけれ ども、その通園施設との制度の整合性をどうしたらいいかをどうお考えなのか。  それから今回、実施機関が市町村なのか都道府県なのかということの大きなテーマと、 契約と措置という問題がありますが、契約というのが馴染むのかどうかのあたりについ て、私どもは契約は難しいと思っていますが、その辺のご意見はいかがでしょうか。 ○柏女座長 お二方団体ということでよろしいでしょうか。 ○柴田委員 主に通園の方にお伺いしたい。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) 通園施設も含めて、契約というのは馴 染まないと思っています。一方の法律では本人支援と言うのに、親御さんの都合で使え なくなるというのは法律の本旨からも矛盾だと思っていますので、子供さんの支援に必 要なことだったら親御さんと契約するような内容は、一切無用だと思っています。  市町村、都道府県についてはつい先日も全国で交流会、学習会みたいなものがあった ときに、身近な市町村だよねという話ももちろんありましたが、地域によってはどうし ても広域になってしまう。市町村で対応できなくて、都道府県までいかなくてもある程 度広域連合というような対応が必要なところもあるので、これは一概には言えないなと 思います。より身近がいいと思っています。通園施設とのあり様については、全国の自 治体によって全然違います。その都道府県の中に児童デイしかないような所もあります し、通園施設がかなり整備というか、療育センターみたいなところもデーがあるところ もありますので、それぞれ地域によって役割が違う。だから、デイサービスとは言って も本当に療育センターのような役割を担っているデイサービスもありますし、通園施設 に入園する前の子供たちの受皿になっている所もありますので、これについては一概に こうすべきだというふうには、いまの時点では考えてはいません。ただ、先ほども言い ましたが、どんなに小さい離れ小島でも、山奥の人口の少ないところでも、ちょっと心 配だというお母さんと子供がいたら、対応する資源がそこにあるべきだと思っています し、それを児童デイにやらせろという意味でもないので、必ず市町村にそういうものが ないといけないだろうと思っています。私たちは事業所の団体ですが、単価のこととか はあまり言わなくて、とにかくそういうシステムが要るということしか言わないことに していますが、そう考えています。  あとは年齢のことでしたっけ。 ○柴田委員 I型、II型は必ずしも年齢ではないですが、結果的にはI型が幼児期、II 型が学歴になりますよね。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) 先ほども言いましたが、同じ就学前で も受容前と受容後では違うと思っていますが、一応乳幼児期に必要なことを学齢期とい っても、小学校の低学年と高学年では内容が違うと思っていますし、体格も違いますし、 中・高でもちろん違うと思っているので、1つの事業で括ること自体に無理があると思 っています。いまのデイが小学生までしかないから、中高生もデイでやれというご意見 もありますし、いろいろな意見が出ているのはある程度存じ上げていますが、事業の名 称やそういうことのとにかく乳幼児期に必要なもの、小学生の時期に必要なこと、中高 生には必要なことというのがきちんとないといけないと思っているので、いまは中高生 のところがちょっと足りない。小学生のところはこの前の話にもありましたが、十分で はない。乳幼児期は使いにくくなっているのが実情だと思っています。 ○柏女座長 何かありましたら、補足的にでも。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) ほぼ同じような意見です。やはり中学、高校 の思春期の時代、高機能の方やLD、ADHDの方、発達障害の方たちの中には不登校を起 こしていらっしゃる方がいたりして、家庭で支えきれていない状況があります。そうい う意味では、地域で利用できる所があるというのはとてもいいなと感じています。 ○柏女座長 柴田委員よろしいでしょうか。 ○柴田委員 はい。 ○柏女座長 ほかはいかがでしょうか。坂本委員お願いします。 ○坂本委員 発達障害ネットワークの方にお尋ねします。いただいた資料を見ていると 支援体制の充実の中で、とりわけ人材育成の重要さをたくさん述べられているわけです が、既にさまざまな部署に専門職が配置されている現状からしまして、発達に関する専 門職ということでの要件はお考えなのか、あるいは既にそれぞれある資格にオンするた めの研修の具体的なパッケージのような、プログラムのようなものをお考えになってお られるのか、模索されているのかの状況を教えていただけたらと思います。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) まだ模索中の感じかと思います。例えば幼児 期のときの支援をしたら、幼児期のところで切れてしまってとなっていますが、学校に 就学するまでの間に特別支援教育のほうではコーディネーターが動かれている状況があ るので、いろいろな資質をきちんと持っていらして連携が取れる方という形で、つなげ ていっていただかないといけないこと。それから、家族として例えば母親が果たしてい た役はとてもたくさんあると思いますが、そのいろいろなことを1人の人がするわけで はないので、それこそいろいろな職種の方とのネットワークをきちんとしていくという ようなことなので、そういう思いを持ってというか。もちろん、研修の方法は専門家、 理事たちも考えていますので、いくつかあるとは思っています。 ○柏女座長 末光委員どうぞ。 ○末光委員 日本発達障害ネットワークの方にお伺いします。私自身は元児童精神科で 40年ぐらいの前に自閉をやっていたので、改めて考え深い思いをしますが、私自身が そばで見ていても、成人に達した発達障害、自閉の方はたくさんおられるわけです。そ ういう方々の状況から見て、今回の発達期への支援のあり方、見直しということは、も っともっと提言していただいていいのではないか。これを拝見しますとやや総論的で、 具体的な各論部分がやや少ない感じがします。自立や就労に向けたことで発達期にやる べきこと。あるいは成人期で見て、特に失敗例から見て発達期にやっておかなければい けないことのあたりについて見直しが要るのではないかと思います。そのあたりについ て、少し伺います。  もう1点は、石井先生のほうで年齢の制限を廃する自閉症児・者施設(仮称)を提案 しています。これについて、皆さん方のほうの発達障害ネットワークは、どういう公式 的なお考えをお持ちなのかを是非伺いたいと思います。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) アドバイスをいただきまして、ありがとうご ざいます。全くそのとおりで、最近の少年事件に限りません。いろいろな事件のときに 発達障害という形で言葉が出てくる度に、私たちは大変震え上がりますし、とんでもな い。発達障害だからそうしているわけではなくて、先ほど申し上げたようにたまたま早 期の時代にきちんとした支援、理解がなかったがゆえに、二次障害を起こして孤立して いた子供たちだと理解していますので、そういう意味で大変ナイーブな少年事件という 問題ですが、そこを封鎖するのではなく、きちんと捉えていこうと思っています。  また、片方では強度行動障害という家族としてはとてもたまらない、その事業が行わ れたときにそんな名前は返上したいと思ったのですが、現実には家庭崩壊になってしま うような状況があります。本当に家族だけが担ってきた時代から、おかげさまで少しず つ変わってきていると実感していますので、是非この発達障害の子供たちがまずきちん と育つような環境を整えていただきたい。そして、またその方たちが自分の持っている 能力を十分に生かすことができて、お仕事をし、社会参加をしていくことが私たちの望 みです。本日いただきました宿題は持ち帰りまして、きちんとお答えしたいと思います。  自閉症児・者施設のことですが、私も自閉症の息子がおりまして自閉症協会の会員で す。間違っていたらいけないのですが、石井会長がおっしゃっていらしたことは、かつ てから自閉症というのは大変わかりにくい障害だということで、専門的に支援ができる 人がいなければならないのではないかということで、自閉症センター構想というのを打 ち出していた時代があります。そういう中で大変言葉を選ばないとですが、知的な障害 の施設にいて大変混乱を起こしてしまったり、養護学校で混乱を起こしてしまったり、 それは自閉症に対する対応が理解されていないところがあるものですから、そういう意 味でセンター的なものがあって、そこが地域を支援していく形はできないだろうかとい うイメージからだろうと想像します。もうお帰りになっていらっしゃるので、もし間違 っていたらいけないですが、すみません。 ○柏女座長 柴田委員どうぞ。 ○柴田委員 もう一度児童デイのほうです。単価の問題は言わないとおっしゃるのです が、実際の現状を言いますと児童の通園施設はそれほど多くはなくて、市町村は児童デ イを使って、国の制度を使って、それに市町村がかなりの上乗せをして公立で児童の通 園施設を運営している所が都市部には多いです。そこで比較的に公立で運営されている ことがありますので、単価ということが問題になりにくいことはあるかもしれませんが、 これを丸きり民間でやろうとすると、ほとんど経営が成り立たないような状況があって、 この極端な単価の低さ、特に障害児教育にかけられている予算との落差の激しさについ て、どうお考えでしょうか。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) 言わないと言ったのは、私の所は民間 ですので、児童デイは全く採算は取れません。単独でやったら申し訳ないですが、成り 立たないですね。ただ、あえて言わないと言ったのは、そのことよりも事業自体は非常 に苦しい局面でありますが、乳幼児期に必要なことというのを私たちが親御さんや子供 たちに代わって言うしかないなという思いがあって言っていますので、単価そのものは 厳しいです。だから、大半のところが小規模という、いちばん単価の高くなる設定のと ころでやっていますが、単価のことについては言い出すと切りがないので、あえて言わ ないと言ったほうがいいかもしれません。 ○柏女座長 もう1、2お願いします。 ○田中委員 全国ネットワークの田中です。お二人のお話と戻られた石井先生のつなが りがあるかなと思って聞いていました。早期発見で早期支援で必要なのは、専門性をど こに位置付けるのかということが医療であったり発達保障であったり、危機介入場面で あったりということでいろいろ言われていた中で、いまは自立支援法に傾いているから 言われているのだと思いますが、児童福祉法に戻したほうがいいということが1つの振 り方として、また振り幅を持ったところで、たぶん言われている契約措置のバランスと か都道府県、市町村のバランスといったものもその幅の中で事業によって位置づけが変 わってくるのではないかと思って聞いていました。特に、氏田さんが先ほど言われた施 設を拠点にして専門性を維持することと、チームワークを持って専門性を維持していく ことが、非常に議論が必要になってくるところかなと思っています。  児童福祉法に戻したところでの話で、思春期がバランス的には発達保障から社会参加 していく流れの中で、いちばん大変なのが社会的に軋轢を持つ発達障害系のお子さんた ちが、軋轢ゆえにいろいろな問題を起こしたときに危機介入することだと思いますが、 それは拠点対応がいいのかチームワークがいいのか、そのことも含めて児童福祉法だと それがなるのか、自立支援法だと難しいのかということを加藤さんのご意見を確認でき ればなと思っています。氏田さんには、拠点がいいのかチームがいいのかについて、お 聞かせいただければと思います。 ○全国発達支援通園事業連絡協議会(加藤氏) 私の今日の発言の立場が、就学前とい うか乳幼児期、受容前のところが特に自立支援法が馴染まないということを言っていま すので、思春期になった段階でどういう支援が必要かについてはまだ論議が必要だと思 います。隣に文科省の方が見えます。学齢期というのは日中は学校に行っていますので、 そことの連携がない形では何もできないと思っています。ただ、乳幼児期はほかに行く 所がなくてデイだけに来ているわけですので、家庭と保健所と保育園とというチーム、 連携ということだと思いますが、学齢期思春期は当然学校と、いまは特別支援のコーデ ィネーターの配置とか専門家チームの派遣という動きももちろんありますし、そことつ ながって思春期のことについては、そういう意味では市町村でというか自立支援協議会 も含めて地域で対応していくことを考えていかないと守れないなとは思います。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) とても難しい質問をいただいています。例え ば、子供たちが大きくなって18歳になったとき、家族はどんな進路を選ぶかといいま すと公の施設であったり、入所施設が付いていればなおよかったり、次は民間の大きな 社会福祉法人だったり、すなわち家族の安心の中で選んでいたような気がします。もう、 それは卒業したいと考えています。そのときに、本当に困難な方たちをどう支援してい くことができるのだろうかということは、かなりしっかりと考えていかなければいけな いと思っていますが、私自身は地域にこだわって生きてきたので、むしろ息子は法人人 ではないので、市民としていろいろな場所に出没して、いろいろなグループに支えられ ながら生きていきたいと思って育ててきました。 ○柏女座長 市川委員、手短にお願いできればと思います。 ○市川委員 いまお話を伺っていて、ライフステージということはよく言われています が、言葉があるかどうかはわかりませんが、障害ステージというのがあれば非常に軽い 方から幅広い、それから途中で変わる方がいるわけですよね。そうして見ると、一律に どの法律がいいかというのはなかなか無理があるのかなという気もしますし、実際は児 福法でやっていたけれども障害者自立支援法に変わる場合もあるし、我々になると精神 保健福祉法を適用しなければいけない場合もあるしというさまざまな段階があると思い ます。JDDネットとしては、この話の中には医療とかが全然出てきていないのですが、 それについてはどう考えていらっしゃるかです。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) 質問は、医療をどう考えているかですか。 ○市川委員 教育だけで別に済んでしまう人もいるわけですよね。そしたら、デイケア もお世話にならなければいけない。それ以上に、もう少し施設にお世話になる。場合に よっては医療や先ほどの話ではないですが、司法のほうにお世話にならなければいけな い。非常に幅広いのではないかと思いますが、これを読むとあまりそれが出てこなかっ たので、その辺はどうかなと思って質問しました。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) 当然、診断の段階でというところではドクタ ー医療の部分で、かなりしっかりとした診断をしていただきたい。発達障害ネットワー クは発達障害で集まっていますが、当然自閉症LD、ADHDという中での支援のあり方み たいなところは少しずつ違ってきているのはあると思っています。ただ、トリートメン トという言葉に個人的にはそろそろアーリー・エデュケーションという形で、もちろん トリートメントが必要ですが、インクルーシブな社会になっていくときに早い時期に介 入をして、もちろん医師、学校の先生、いろいろな方が関わるというのはあると思いま すが、そういう形で生活を支えていけたらいいかなとは思っています。自閉症の子供を 育てるのがとても大変だったので、どうしても自閉症をなんとかしようと思って育てて きたところが。質問のピントがずれていますか。すみません。 ○市川委員 例えば、この中に書いている児童養護施設等に発達障害児が児福法でたぶ ん入っているのでしょうけれども、ある段階だとこれは医療が必要になって、そうする と法律が重なるとなかなかいかないので、そういうように幅広く考えたほうがいいので はないかという質問です。 ○日本発達障害ネットワーク(氏田氏) 全くそうです。二次的な障害を持たれた方が 大変たくさんいらっしゃるので、そういうときの医療の関わり方がまだ十分にできてい ない状況がありますし、一般の疾病のときにもなかなか診てもらう病院がなかったりと いうことがあるので、その辺はきちんと考えています。 ○柏女座長 ありがとうございました。まだまだご質問もおありになるのではないかと 思いますが、時間が過ぎていますので、以上をもちまして日本発達障害ネットワーク様、 全国発達支援通園事業連絡協議会様のヒヤリングを終了します。どうもありがとうござ いました。また、後半の議論の中で関連してご質問が出ることもあるかもしれませんの で、もしお時間がありましたら最後までお聞きいただければありがたいと思います。よ ろしくお願いします。  引き続いて、後半のヒヤリングに入ります。本来なら、ここで休憩ということもある かもしれませんが、時間の関係もありますので引き続き進めていきたいと思います。社 団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会様、よろしくお願いします。 ○(社)全国肢体不自由児・者父母の会連合会(橋本委員) 社団法人全国肢体不自由 児・者父母の会連合会と大変長いので、通称は全肢連ということで大体通用しています。 私どもの会は、できて間もなく50年になります。私も約40年ぐらい関係を持っていま して、運動は昔から同じような形で動いています。したがいまして、皆様方に2枚のペ ラで箇条書きのような形で一応お渡ししてあると思いますが、その流れに沿って持ち時 間の範囲内でお話ができればと思っています。  生まれたときは、昔から早期発見、早期療育と言っていますが、いまはかなり早くに 発見されるようになってきました。いまから30〜40年ぐらい前は、大体3年ぐらい経 って「お宅のお子さんは脳性麻痺ですよ」と言われたことがありましたが、いまは2カ 月とか3カ月、むしろお腹の中にいるときからわかるような形になってきています。発 見が早いほど治りが早いと言われていますので、そういう意味では比較的に良くなって いると思います。ただ、私はずっと東京で暮らしていて、東京の場合はそれはかなりい いのですが、全国的に見るとまだ医療の面で子供たちがすぐに良くなる形にはなってい ないので、私どもの願いとしては日本で生まれたらどこに生まれてでも、同じような療 育を受けられるようにしてほしいという要望があって、これをずっと続けています。そ れをこれからもひとつよろしくお願いします。  あとは学齢前、児童のデイサービスについては全国的に見て、人口の多い所はそれだ け子供の数も多いのですが、少ない所はなかなか対応ができていない面もあります。そ れから、これを見ますと10人以下、10〜20人、21人以上と人数が少ないほど単価が良 くなっています。人数が多い所は単価の関係で職員を集めにくいというのは、例えば3 人ぐらいの障害者を1人で見るような形になります。多くなった場合は20人いるから、 職員はもっと少なくていいのではないかという感じで予算は決まっているようですが、 それだとなかなか対応しきれない。5人の子供がいる所は2人の指導者で、10人だった らその倍いる形になります。ところが、予算配分はなかなかそうはなっていないという ことで、全国的に見ると人数の小さい所が多いから、あまり問題にはなっていませんが、 その辺は少し考慮していただきたいと思っています。したがいまして、デイサービスの ところに理学療法士というのは、前はあまりいらっしゃらなかった。養成する機関が十 分でなかった時代は少なくて、いまはわりと人数がいるので、そういう人たちをそうい うところで配置ができるようにしてほしいということです。  学校に行ってみますと、いまは子供たちがかなり重度化していますので、いまは特別 支援学校になりましたが学校の先生がおられますが、学校の先生よりもどちらかという と理学療法士の人たちがそこにおられるほうが、子供たちにとっては良いのではないか という感じがしますから、幼稚園、保育園なんかにもそういう人たちが配置できるよう に、特に重度の子供たちがいまは保育園や幼稚園にもわりと入れるようになってきた関 係で、そういう人たちのことをするためにはそういう専門職を配置するようにしてほし いということです。  いまは学校が特別支援教育、これは3年ほど研究していて去年の4月から特別支援学 校が始まったのです。これは普通校に障害の子供たちを入学させて、そこに特別支援教 室というか学級を作って、そこに専門の先生を配置して障害の子供たちの教育をすると いうことで、これは始まって約1年で、いろいろと格差が生じて問題はありますが、ま だスタートしたばかりなので4年、5年とある程度は見ていかないと良くないのではな いかなという感じはしていますが、なるべくそれが早く進むように。要するに教職員の 配置、先ほど言った理学療法士等の配置等も含めてそれができるように。私が大変心配 しているのは、格差ができる。これは、教育委員会の判断で子供を措置するかどうかが 一応決められていますので、学校によってはかなり格差が出るのではないかと心配はし ていますが、まだスタートして1年ぐらいですので、そういう格差が起きないように教 員や職員の養成、職員を増やす。これは、文部科学省のほうでは職員の配置について予 算措置は地方ではやらないで、都道府県で行うことになっているようですので、その辺 も含めて全国的な格差が出ないように配置をしてほしいと思っています。  あとは、学校によってはかなりやっている所もありますが、学齢児の受け入れは養護 学校が終わったあと、放課後に子供たちがもう少し学校でいろいろなことができるよう なことを学校単位ではいろいろ考えておられるようですが、それをもう少し行政のほう も支援をするような形を取る。地域の支援は地域のいろいろな協力を得てやりますが、 週5日制になって学校の休みが大変に多くなる。それで、学校が終わったときに障害の 子供たちは終わったからと家へ帰る。送ってこられても、なかなか困る場合もあるので、 それが困らないように。これは、学校の先生だけではなくてPTAも含めて、地域の人た ちのいろいろな理解を得ながらそういう形を取ってほしいと思っています。  これは個別の支援のあれを作るようにとなっていますが、なかなかそれがうまくつな がっていかないということなので、卒後はいずれ成人になるわけで、成人後につなげて いくような形をいろいろな所と連絡を取りながら、とってもらいたいということです。  訪問介護サービス施設等への派遣、職員の拡大は、いろいろな所でいまはやっておら れるようですが、地域に住んでおられる児童、特に重い方の場合に地域の看護ヘルパー などを集めて、要するに訪問看護というか、そういうことをやっている所がかなりあり ますが、なかなかそれが波及していないので、これを全国的に広げてもらいたいという ことです。  時間になりましたのであれですが、障害者自立支援法によって、これの実施主体は市 区町村になっていますが、児童相談所等とよく連絡を取って、よりよいサポートができ るようにしてもらいたいということです。あとは親だけではなくて、地域社会みんなで 子供を育てるようにしていきましょうという願いを込めて、一応お話をさせていただき ました。ちょっと超過しまして、どうもすみませんでした。 ○柏女座長 ありがとうございました。引き続きまして、全国肢体不自由児通園施設連 絡協議会様、よろしくお願いします。 ○全国肢体不自由児通園施設連絡協議会(宮田委員) 全国肢体不自由児通園施設連絡 協議会です。我々のほうは6頁以降に資料等を付けまして、申し上げたい部分だけお話 をします。ここで通園施設の立場として、委員として座らせていただいているのは私だ けですので、平成8年3月に中央児童福祉審議会が、障害児通園施設を一本化しなさい という意見具申をされて、それ以後3つの通園施設と児童デイの皆さんといろいろ考え てまいりました。その内容について、主にお話をしたいと考えています。 ☆PPT いままでもいろいろお話がありましたが、障害児支援を取り巻く状況、障害児 の状況として自閉症等の発達障害児が非常に多くなり、後ろのほうに付けましたが肢体 不自由児の施設の診療所である我々の所にも、年間300人を超えるような発達障害の子 供たちが来ています。ここで施設という枠でこの子たちを支援していくのかどうかを考 えなければならないのと、先ほどから出ているグレーゾーンの問題。グレーゾーンの子 供たちに対して、もしくはその親御さんに対してはもっと枠の曖昧な支援が求められて いるのではないか。施設という枠の中になかなか入って来られない人たちに、もっと地 域というところを変えていくさまざまな支援、情報提供が要るのではないか。  今日は市長が来られていますが、2年前に東松山で行われた資料で、子供の発達が気 になったときに、最初に相談する場所というのは家族がいちばん多い。次に保育所や学 校の先生、医師という順番で、障害児関係の施設や相談センターというのはあまり利用 されていないというデータを出されていますが、まさしくそうだと思います。そうであ るなら、我々のほうから地域の学校や保育所に、どうアプローチして情報提供して、受 入れのレベルを上げていくかということが非常に大きな課題になるかと思います。脳性 麻痺の子供も、周産期医療の向上改善というところで実は非常に小さい子供たちが増え ている。そして、不妊治療のために多胎児が増えて未熟児が増えるというところで、後 ろにも付けましたが脳性麻痺の発症率も減ってはいない。そして、非常に重い障害のあ る子供。例えば、人工呼吸器を付けて在宅でお母さんが1時間ごとに目覚しをかけて、 夜中でも吸引しているというような子供が在宅で過ごされている。ここに対する支援も 我々の責任として求められるのではないか。  障害児の支援施設の問題としては、まず施設数がその障害のというか、ニーズに対応 するほどないということと、障害種別に分かれて非常に使いにくい体系になっている。 そして、都市部では集中して十分に近いサポートが受けられるけれども、人口の少ない 所では難しい。保育所の障害児保育は増えている状況があります。今後の方向性として は、いまある施設や事業をどう有効利用して、連携共同体制の中で子供たちを支援して いくかということが課題になるだろうと思います。 ☆PPT 我々の肢体不自由児通園施設は、肢体不自由児の入所と重心施設と一緒に、医 療型の障害児施設と言われています。12頁で示しましたように、非常に多職種、多数 の職員を抱えています。そういった意味では、我々としても施設の枠の中に入った子供 だけではなくて、さまざまな地域機関に対するサポートをしていく責任というものを感 じていると思います。 ☆PPT ここで施設をイメージするよりは、地域をイメージしていく時代だろうという ところで、左の水色の矢印は地域に対する連絡調整や地域ネットワークの構築の地域の 資源に対する情報提供、右の青の矢印は家族の機能を維持したり制度利用を援助したり、 カウンセリングという部分にこれからの施設というものは求められるものがあるのでは ないか。 ☆PPT そういうときに、先ほどから議論の中でもありますが、一般保育所の障害児の 受入れと児童デイサービスと通園施設という所の役割分担と連携協働というところが、 非常に大きな課題になってくるということと、県単位で拠点施設、拠点的な医療や情報 の集積の施設が要るのではないか、ということを訴えてきています。 ☆PPT この部分は、イメージとしては総合通園センター、肢体不自由入所施設、大規 模な肢体不自由児通園施設をイメージしていますが、医療専門性と地域調整、相談支援 機能を持った圏域を対象にした拠点的な施設が要るのではないかと思います。 ☆PPT そのイメージとしては、これは障害児(者)地域療育等支援事業のときによく 使った図ですが、都道府県域の拠点と障害保健福祉圏域の通所・通園支援施設、この部 分を一般の通園施設が受け持って、地域の幼稚園・保育園・学校・家庭・保健センター の部分に対する支援を行うような形はどうかと。児童デイサービスに関してはこの間制 度的にもはっきりしてきまして、非常にレベルアップもされていて、我々の所も負ける ようなデイサービスは出てきていますので、この部分もこれからは支援施設というとこ ろに位置付けていく必要があるか。 ☆PPT それに対する制度的な基盤ですが、かつて障害者地域療育等支援事業は、圏域 の療育等支援施設事業と都道府県域の療育拠点施設事業という2つの事業を持っていま して、圏域の療育等支援施設事業の中には、訪問・外来・施設支援という3つの療育関 係の事業、コーディネーター事業と呼ばれた地域生活支援事業がありました。この部分 が再編されて自立支援法の中で療育の部分は障害児等療育支援事業となり、地域生活支 援事業は障害者相談支援事業の中に組み込まれた形になっています。相談支援事業はし っかり進んでいっていると思われるわけですが、これからの情報提供、地域支援、家庭 支援というところにこれから非常に重要な役割を持つのが障害児等療育支援事業ではな いかと考えています。 ☆PPT 施設を考えるときにこの枠を施設と考えるわけです。 ☆PPT ここに基本的な部分を持ってきて、私は児童デイサービスのいまの質、レベル が基本になるかと思いますが、ここにいま相談支援事業を受託していただいて、職員も 配置する。これが10万人に1カ所ぐらいのイメージで考えられるか。 ☆PPT 次に地域、家庭の支援を障害児等療育支援事業で実施して、 ☆PPT 医療専門性の部分は診療所の枠で医療費として展開する形が、いまの制度の中 ではいちばん妥当な話かと考えています。 ☆PPT 都道府県をイメージして図示しますと、専門的な療育機能が県に1カ所配置さ れて、通園施設が何箇所かあって、そこと協力の中で保育所・デイサービス等への情報 提供・支援をしっかり行う。この矢印の部分に対してどれだけ制度的な基盤をもしくは 財政的な支援を展開できるかが、これからの課題かと考えています。 ○柏女座長 今日の最後になりますが、全国盲ろう難聴児施設協議会様からご意見をよ ろしくお願いします。 ○全国盲ろう難聴児施設協議会事務局長(今村氏) 今日、副会長で難聴関係の後藤先 生が見えていますので、2人でします。ご存じと思いますが、私どもは小さな団体です が、難聴幼児通園施設、入所の盲児施設・ろうあ児施設の両方あります。前段は、難聴 幼児通園施設のことについて申し上げます。最初に難聴幼児の早期発見・早期療育は、 想像以上に成果が上がるということ。これは機を失すると、つまり年齢が高くなればな るほど療育効果が低下するということです。現に早期発見・早期療育したケースについ ては、非常に効果が大きくて、小学校ですでに適用できる。やがては社会的自立をして いるケースが相当あることを、まずご理解いただきたいと思います。  難聴幼児通園施設が今回の障害者自立支援法に含まれたわけですが、これまでいろい ろやってみたわけですが、どう見ても乳幼児を自立支援法に含めたことは無理があるの ではないか、馴染まない、そういう声が非常に大きいです。  どうしてそう馴染まないのかというと、根本的に学齢児と乳幼児は違うのです。毎日 通園は、体力的にも小さいですから体調不良になることもある、親の都合でどうしても 通いたくても通えない、そういうことがあります。そういうことで利用率の考え方を見 直していただきたいということです。  現在のような実績払いですと、どうしても大幅な減収になります。つまり、それは人 件費に影響して、だいたい難聴幼児通園施設のスタッフを一人前にするには、少なくと も5年前後は必要とするわけです。ところが、そこまで育てることができにくい。その 前にこの施設がつぶれかねない、いまそういう懸念を示しています。  難聴児通園施設は、そのお子さんだけではなくて家族支援、家庭支援、地域療育、交 流保育とか、いろいろなほかのそういう新しい仕事があるわけです。そういうことも是 非ご理解いただきたいということです。  自立支援法の見直しで、親の負担は相当軽減されています。しかし、私どもが見てい ますと、障害児を抱えた親御さんは、健常児の養育・教育に比べれば、相当出費が多い わけです。ですから、さらなる親の負担軽減を考えていただきたいということです。後 藤先生に回します。 ○全国盲ろう難聴児施設協議会(後藤氏) 難聴通園の現状について、少しだけ付け足 します。難聴通園は、もともと難聴の子どもがろう学校の幼稚部でやられていた3歳、 4歳以降あたりの教育、すなわち0歳から聴こえない子どもはいるわけですから、そう いう子どもに対して支援をする場が必要だということで昭和50年につくにられて、現 在、25施設あります。  非常に数が少なくて、全国展開が難しかったりはいくつかありまして、設置基準のハ ードルが高かった。例えば、聴力検査室が必要だとか、言語担当の職員が必要だという ことがありまして、なかなか簡単にはできないということ。もう1つは、ろう学校の全 国の生徒数がダーッと減りまして、昭和50年に難聴通園が制度化されるのですが、そ れ以降も減り続けたときに、ろう学校においても年齢の幅を早期教育という形で年齢を 下げまして、現場では地域によって非場に競合が起きたこともありまして、後発部隊と しては非常に難儀だった点が挙げられます。  実際はできましたときに30〜50名の定員で全国的に25カ所あるのですが、難聴の子 どもだけではその定員は発生率の問題もありますから難しいということで、様々な子ど もを地域に自治体との関係でやるようになったわけです。子どもの言葉の遅れに象徴さ れる難聴もというより、その原因は様々な子どもについて対応したということ。強度の 難聴と法律にありますが、軽い難聴もやりました。中軽度まで含めてやるということ。 話言葉、発音の障害についてもやってきたということです。これはできたときから地域 によってはやられました。  新しい課題としては、新生児聴覚スクリーニングの支援の場、補聴器の非常に進歩、 最近特に大きく問題になっています人工内耳がどんどん広まっている、そういう対応の 場として、さらに長く続いた聴覚コウホウも非常にタッビョイの声も挙がっていまして、 そういうものについての対応も必要としています。先ほど言いましたように言葉の遅れ に支援される形で、近年、発達障害の子どもが言葉の遅れ等で診断がなかなかつかない 子どもの対応も、地域によってはかなりの量を行っています。  こうした点を前向きに考えますと、非常にフットワークも軽く、現在であれば健診等 についても参加している地域が結構ありますので、是非こうした難聴の子どもを含めて やれる機能を持ったものを考えていていただけたらと思っています。 ○全国盲ろう難聴児施設協議会事務局長(今村氏) 次は盲ろう関係、入所のほうを3 点申し上げます。第1点は、現在、社会的養護を必要とする児童を受け入れる児童施設 が、大都市の場合特に満杯状態です。一時保護所も常に定員オーバーと、そういう状態 です。その中の約2割程度は障害児であると言われています。しかも、そういう心に傷 を持った障害児たちを受け入れる施設が、非常に少ない。乳児院・児童養護施設辺りか らも、早急にそういう所にいる障害児を障害児の施設で受け入れてもらわないと、今度 向こうも混乱状態になると言われています。そういうことで児童福祉法の弾力的な運用、 つまりいままでのような盲・ろうと、そういう専門店の看板を一方では掲げながらも、 多少弾力的に他障害児を受け入れられる障害児施設が求められているように思います。  第2点は、自立支援法で措置ケースと契約ケースに別れました。特に契約ケースの場 合、私も当初から厚労省に申し上げていますが、グレーゾーンがいちばん大きな問題で す。他の団体からもそういう声がありましたが、私どもの入所施設においてもグレーゾ ーンがいろいろな問題を引き起こしています。現に負担金の滞納があります。現に私ど もの施設でもその滞納がどんどんたまりまして、再三要請してようやくこの2月から措 置に戻していただいたのですが、その前の滞納分については、結局いまのところはっき りしてないわけです。分割で払わせましょうということですが、そういう親に果たして それだけの能力があるのか、意思があるのかわかりません。そういうことで、この際グ レーゾーンの取扱いについてももう一度考えていただきたいということです。特に未 納・滞納がありますと、今度契約だと親の了承を得ないといけないわけです。そうする と、結局、児童の処遇に差が出てしまうわけです。差別が生じてしまいます。そういう ことで現場は非常に苦労しているということを申し上げておきます。  第3点、今後は、こちらに文部科学省の方もいらっしゃいますが、盲学校が盲特別支 援学校と名前が変わりましたが、私どもも障害児施設という枠にして、例えばその中で いままで培ってきた盲・ろう、そういう看板を挙げて、一部ゆとりがあれば他の障害児 も視野に入れたほうがより現実的ではないかと、そう思っています。時間がありません ので以上です。 ○柏女座長 いま3団体からご報告を賜りましたが、この3団体のご報告につきまして ご意見、ご質問などがありましたら、自由にご発言をお願いしたいと思います。 ○中島委員 肢体不自由児父母の会。理学療法士の樹立は確かにそうかとも思うのです が、私自身の子どもの経験からも、確かにリハビリテーションをやって効果がある場合 となかなか効果が上がらない場合もあって、リハビリテーションに力を置き過ぎるが故 に社会へ出ていく時間が失われる。最近は非常にいい機械等も出てきていますので、そ ういう機械の力を借りて、むしろ社会参加の時間を増やす。また、自立に向けてむしろ 理学療法よりは作業療法といいますか、適切な最新技術のことをよく知ってオキュペー ションセラピーの育成にもっと重きを置くべきではないかと思います。 ○柏女座長 ご意見ということで頂戴してよろしいですか。 ○中島委員 はい。 ○宮崎委員 参考になるお話をたくさんいただいて、私も大変勉強になったわけです。 先ほど田中委員から出た質問などと関係するのですが、ずっとお話を伺いながら考えて いたことですが、共通して言えることは、ライフステージに応じた一貫した支援方策を どのように整備していくかが非常に重要になると思っています。全肢連の橋本さんから は具体的に、個別の支援計画を乳幼児期から作ったほうがいいというお話、自閉症協会 でも早期の個別の支援計画の必要性、JDDネットでも具体的に早期介入・早期支援の体 制の充実というお話をされたのです。これはまさにその方向性で整備をしなければいけ ないと思うわけです。  そうしたときに具体的とどこが音頭を取って対応するのか。つまり、障害者基本法に 基づく新障害者プランの中で個別の支援計画の整備が謳われているわけです。これは学 歴については学校が中心で整備をしましょうということになったのですが、さて、早 期・青年期・後期の場合などに具体的にどのような形で整備をしていけばいいか、ネッ トワークづくりをどのような形でするのか。そのときの支援の拠点のようなものをどう 整備するか。拠点としていいのか、ネットワークで緩やかに整備していくかと。それに しても音頭取りが必要になってくる。ということで先ほど宮田先生から障害児通園施設 の近未来という話も含めてお話をされたのですが、連携協同体制の構築という中でのど のようなイメージで幼児期を考えていけばいいかというあたりについて、少しさらに宮 田先生に突っ込んだお話をしていただくとありがたいと思います。 ○宮田委員 今日は肢体不自由児通園施設という立場からお話をしたのですが、後半の 部分は相談支援事業の全国連絡協議会の立場も少し取り交ぜながらお話をしたのですが、 今後の障害のある子どもたちの縦軸のライフステージ、横の連携というところの要にな っていくのは、おそらく障害児の相談支援事業のこれからの発展が必要かと考えていま す。  現在は障害者相談支援事業という形で取りまとめられているのですが、どうしても横 軸の支援というか横軸のネットワークを中心に生活を考えていく障害のある大人と違っ て、子どもは縦軸と横軸をどう絡ませるかが非常に重要な要素になってきて、非常に高 度な専門性を相談支援専門員が持たなければならないのではないかと。その部分をどう これからの制度の中できちっと位置づけられるかが非常に大きな課題かと考えています。  専門性は先ほど中島先生も言われましたが、障害を治すとか軽減するという昔の甘い 期待の部分は我々も持っていないわけで、どれだけ我々の専門性を地域生活、地域での 育ちに活かしていただけるかが大きな課題になってきているのかと。その提供の役割と いうか中間のつなぎの部分もおそらく相談支援事業の担当者がきちんとやっていかなけ ればならないのだと。その部分が施設に位置づけられるのか、そうではなくて事業所と して単体で地域に振りまかれるのかは、どちらがあってもいいと思うのですが、重要な 事業ではないかと。施設に来られたら、これだけの1人当たり1日いくらという単価も 非常に重要ですが、もっと施設の機能を外に出したときに我々としてどのように制度を しっかり持って、それに対する対価を得られるかと。施設をいまのままの数で維持する のであれば、さらに施設をどう有効に活用するかという視点で個別給付的な要素が欲し いと思っているわけです。 ○松矢委員 盲ろう施設と難聴幼児通園施設関係で少しお聞きします。盲児施設・ろう あ児施設の場合、非常に数が少なくて、社会的養護の必要な子どもで満杯であると先ほ どご説明がありました。私もろう学校、例えば東京ですと金町学園、社会的養護性が高 いお子さんが、県にない所がだんだんいろいろな児童養護施設もうまくいかなくて、東 京都の施設に措置されてくるということがあるということを聞きましたが、要するに少 数の視覚障害・聴覚障害で社会的養護が必要な子どもたちの養護のあり方が、出身地で ある地域に密着した形で児童養護をするのか、それともそういうふうに集中せざるを得 ないのか、その辺のところ、盲ろうあ児施設の専門の領域では社会的養護と1人ひとり の人権のあり方をどうお考えになっているのか、そこをもう少し聞きたいです。  それはネットワークでやるとしたら、それぞれの県とか、いまずっとお話にあったい ろいろなネットワークを使って養護施設で社会的養護が必要な子どもたちが児童養護施 設にいるけれども、聴覚障害があり、視覚障害がある場合に、ネットワークで対応して いくという行き方もあるわけです。いままで施設中心ですと、その施設の出現率が低い ので、子ども1人ひとりにとっていうと非常に不幸な状況があります、児童養護施設の 中でもいじめに遭っているとか。ですから、そこを1人ひとりの障害に応じたニーズを どうやっていくか、もう1つ考え方によってはネットワークで行くやり方もあると思う のです。やはり施設中心であるべきか、そこを専門の施設協議会といいますか、そうい う立場からどうお考えになっているのかです。  あと、難聴幼児通園施設は、いまお話にありましたようにろう学校が子どもの数が多 い所は養護学校も複数設置できるけれども、出現率の関係で盲学校・ろう学校が1県に 1校というときに、非常に言葉の発達は乳幼児期が大切だというときに、それが足りな いというところで、ある意味ではネットワークということでろう学校のない所につくっ ていこうという理由もあったと思います。ですから、そういう意味ではろう学校と難聴 幼児施設のネットワーク、特に就学前です。就学期になりますともう少し違ってくると 思いますので、就学前の家庭での養育が必要だというときに、ネットワークでどうする かを、難聴幼児施設と聴覚障害特別支援学校とどういう連絡調整というか今後のあり方 を検討されているのか、そこを少しお聞きしたいと思います。 ○全国盲ろう難聴児施設協議会事務局長(今村氏) まず盲ろう児施設の関係です。確 かにそういう障害児を地元で対応できればそれに越したことはないのですが、なかなか 現在、皆さんご存じでしょうか、盲ろうあ児施設に入所している児童の多くは盲重複障 害です。非常に障害が複雑化しています。1人で3つも4つも5つも持っているわけで す。ですから、そういう大変難しいケースに対して対応できる専門スタッフが非常に少 ないのです。確かにネットワークは大事ですが、いまの日本のいろいろ専門家の養成機 関がほとんどないわけです。私どもの施設のスタッフにしても、うちに来てから育成す る。難聴通園も同じです。そういうことで確かに新しいそういう体制は私どもも十分承 知していますが、一方では受皿がほとんどないと、そういうのが実情です。  家庭状況が非常に悪くなっています。長期の休暇でもほとんど帰宅できないのです。 虐待ケースも相当あります。そういう状態ですから、これは私どもも大変困って対応し ているのが実情です。難聴のほうをお願いします。 ○全国盲ろう難聴児施設協議会(後藤氏) 乳幼児期の問題、特に難聴の子どもの問題 については、ろう学校も地域によっては0歳から新生児聴覚スクリーニングにもかかわ って、すごく頑張ってやっている所が実際にあります。難聴通園もそのようにしてやっ ているわけですが、文科省の方がいるのでなかなか言いにくいところもあるのですが、 ろう学校の生徒数の減少の仕方は、単に年齢を下げるという問題ではなくてもっと大き な問題があると思うのです。それは地域に根ざして、ノーマライゼーションの中でどん どん地域の受入れもよくなっていったということもすごく大きな点であると思うのです。  ところが、最近、インテグレーションされていった子どもたちの大きくなった子ども のアンケートを取りますと、学校において非常に孤独だったという報告がたくさんなさ れているのです。そういうことを考えますと、ろう学校とか難聴通園が一緒に手を結ん で、そうした子どもたちの問題について、しっかり本当に受け止めていく体制づくりを していくことが必要ではないかと私は思っています。乳幼児期の問題については、現在 は新生児聴覚スクリーニングで来られたお母さんに、ろう学校もあります、難聴通園も ありますということで基本的に親の選択に任せた形になっていますが、そこらあたりも いろいろな形で、なかなかイメージはまだ湧かないのですが統合的に解決していく方向 でしながら、それこそライフステージにおいて難聴の子どもたちに一緒に手を組んで支 援していけたらと私は考えています。 ○松矢委員 盲ろうあ児施設の場合、施設が足りないということ、実情はそうです。だ けど、そういう非常に社会的な要望性が高くて、まず最初は児童養護施設に措置されて いくと、もちろん障害が重複もあろうかと思うのですが、その子どもたちの人権という 立場でどうかと。児童福祉施設の立場はそこが重要なので、子どもにとって発言できる のは親御さんではないのです。その意味でそういう団体がどういう発信を国にしていく か、地方にしていくかはとても大切で、そういう関心でお聞きしたわけです。 ○渡辺委員 日本福祉大学の渡辺です。今日、お話をずっと伺っていて、児童福祉法か 自立支援法かというところの議論があったと思いますが、私自身の意見を述べたいと思 います。1つは、私はずっと子育て支援の分野にもかかわってきたわけですが、どうし てもいまは制度的にも実践的な対応としても、子育て支援とはどうも(障害児を除く) というのが付いている感じが非常にします。そういう中で障害のある子どもたちはこち らですというところがあって、私自身は障害のある子どもたちは、障害があっても子ど もは子どもですし、子育ては子育てですから、そういう意味で言うと実は分けられるも のではなくて、当たり前の通常の子育て、子育てに関するニーズはすべての子どもたち に等しく保障されるべきで、その上に重層的に障害児に特化した障害児支援が乗っかっ てくるべきだと、そういう制度設計に組み立て直していく必要があると思っています。 そういう意味では、例えば幼稚園、保育所、子育て支援の様々な事業、学童期に入った ら放課後児童クラブであったり、児童館であったり、放課後子ども教室であったりとか、 様々な場面に障害のある子どもたちが当たり前のように参加できるベースをつくってい こうと思うと、それは18歳未満のすべての子どもたちを対象としている児童福祉法の 中に位置づけるほうが非常に納得できる、と思っているのが1点です。  もう1つは、子育て支援は、私は制度的には少子化対策の流れの中で動いてきました ので、どうしても少子化対策というイメージがあります。私は本来児童福祉における予 防的支援だと思っています。地域で子育て家庭をしっかり支えていく枠組とかそういう 仕組みをつくっていくことは、これは障害がある、なしにかかわらず、すべての家庭に とって虐待の発生のリスクを下げたり、障害をめぐって家庭崩壊を避けていくために 様々な予防的な支援を行い得る拠点だと思っています。ただ、現状においては、どうし ても子育て支援部分の予防部分と、要保護児童対策と呼ばれる事後対応部分とか、どう しても制度上分断していってつながりが見えない部分がありますので、これはしっかり 制度的に体系的にきちんとつなげていく意味でも、児童福祉法の中の位置づけのほうが 適切ではないかと思っています。これは別に障害者にかかわることだけではありません。  3つ目の点は、そうかといって、ここまでは児童福祉法、ここからは自立支援法とブ ツッと切れるのは、あまりよくないと思っています。できれば、例えば私自身は学童保 育は小学校の高学年ぐらいからかと思ったりしますが、そこら辺からだんだん児童福祉 法の体系から自立支援法の体系に少しずつグラジアルにというか、徐々に移行していく 無理のない制度のつながりというものをつくっていく必要があるのではないかと思って、 児童福祉法に位置づけてくださいと申し上げていました。これは補足です。 ○山岡委員 ちょうど渡辺委員がおっしゃったことと重なるのですが、うちの子どもは グレーゾーンと言われた子どもだと思います。グレーゾーンの子どもは何かというと、 どこからも支援の対象になってない子ども。結局はそこの対象にされてない子どもとい うこともあります。乳幼児期のことを申し上げますと、大人に見える、例えば親の会な どにお子さんが見える方は、中には発達障害がある方もいますし、発育不全の方もある し、被虐待の方もあるし、家庭環境が少し悪い方もあるし、保護者の養育態度に問題が ある方もあって、いろいろなグレーゾーンと呼ばれる子たちはいるのだと思うのですが、 その中でひょっとすると背景に発達障害があるとか、少し家庭環境を変えてあげれば治 るとか、親の育て方を変えれば直るとかいうのだったら、ハッピーだということで、要 するにいまおっしゃったときに子育て支援の中でそういう対応をしていって、限定的に 行くのではなくて、幅広くとらえて対応してあげて、もし専門的なものがあればそちら に持っていくのが正しい姿だと思うのです。  特に乳幼児のときは、先ほどどこかの方がおっしゃっていましたが、まだ発達障害が あったとしても、はっきりしないことが1つ、親の障害事情がないことが1つ、障害と かそういうものの支援を受けることについて抵抗感がすごく強いということなので、入 りやすい位置で幅広く受けてあげるのが大事だと思います。  もう1つは、おそらくいままでの施策は障害というと障害の種別、程度によってサー ビスが決まっていく形になっていますが、発達障害というややぼやっとした対象が入っ てきてしまっているところもあると思うのですが、おそらくもう少し幅広くとらえて個 別の支援計画みたいなことをきちんと1人ひとりに立てていって、そのときそのときに 必要な支援をきちんとしていくのだというふうに対応を変えていくと、障害の種別とい うかノンカテゴリーで個別ニーズに対応していくのだという方向に変えていかないと、 うまくいかないところがあるのではないかと思います。意見です。 ○柴田委員 宮田先生にお伺いしたいのですが、先生の主張から見ると、今後の制度設 計でどうあるべきかという中で、1つは自立支援法か、児童福祉法かという問題とか、 措置か契約かという問題とか、市町村か都道府県かという問題とか、その辺について先 生のご意見は結論的にはどういうことになるわけですか。 ○宮田委員 私も同じ、子どもは児童福祉法でやるべきだと思います。ただ、措置に戻 るのは嫌だと思っています。だから、子どもに特化した契約制度が考えられないかとい うところでは、措置でなければならない子どももおられるのだと思いますが、基本は措 置が持ってきた枠の固さというか、乗り越えにくい部分を我々は必死で崩してきたわけ ですから、やっと利用契約というところの時代に入ったからには、児童福祉法で利用契 約という部分が望ましいのではないかと思います。 ○柴田委員 先ほど松矢委員からも子どもに代わって誰が発言するかということで、そ れは特に養護性に欠ける場合は親ではないと思われますので、そういう場合にどう考え ますか。 ○宮田委員 私の個人的な意見としては、やはり親御さんだと思います。ただ、親御さ んがどうこちらに向いていただけるかという支援をどう丁寧にやっていけるか、情報提 供なり非常に来やすい相談の窓口をどう設定できるか、というところで何とか乗り越え られないかと。親御さんがなかなかこちらに向いてくれない場合でも、例えば基本で保 育園には行かれるわけで、そこに対する支援が、施設の枠の中に入ってこれない子ども に対しても、我々が支援をしていける制度設計をするべきという報告をさせていただい たと思っています。 ○柴田委員 それは入所も通所も同じですか、あるいは通所の場合も幼児期と学齢期と も全部同じですか。 ○宮田委員 そうです。学校へ行ってからも、学校は単一職種集団ですから、そこに対 する。 ○柴田委員 そうでなくて学齢期のデイサービス。 ○宮田委員 放課後の、いま児童デイがやっている部分ですか。 ○柴田委員 はい。 ○宮田委員 それは児童デイサービスで受けるのもよければ、何人かの方が言われてい るように、放課後の学齢期の保育とか、そのあたりへの受入れがもっとしっかりとされ る形を考えるべきだと考えます。 ○柏田委員 学齢期の対策、いま意見はかなり一致しているところと、契約を一同に特 化した契約は具体的にどういうものか、もう少し案をお聞かせ願えればと思いますが。 ○宮田委員 いままでの措置制度の中でも基本的に嫌な人は来なかったわけで、そこの あたりではより柔軟な入り方ができるシステムの中で契約をきちんと結んで、その選択 権が認められる対応がされるべきだということです。柴田委員の措置制度のイメージと 私の持っている措置制度のイメージが、若干違ってお話をされているのかもしれないの ですが。 ○柏女座長 その辺はまた後日議論をしていければと思います。 ○市川委員 宮田委員に全然違う質問かもしれませんが、先ほどのお話の中で肢体不自 由児の医療施設に来る方の質が変わってきてしまうということ。実際、都内でも同じよ うに肢体不自由児施設は、大体、外来の3分の2がJDDネットが言っていたような発達 障害の方になってきてしまっています。近未来的にはどうしたらいいのですか、先生の お考えは。 ○宮田委員 まず、障害種別で分けられた障害児施設が、意味をなさなくなってきてい るだろうと。すべての子どもをまず受け入れ、インテークできるだけの力と、そこから より専門性が必要ならネットワークの中で動かせる部分が要るだろうし、総合利用制度 も10年が経って、入園している子どもについてもかなり混合されてきているので、い まや少なくとも通園施設に関しては障害の種別を残したまま存続するのは、非常に矛盾 が生じているのではないかと思っています。 ○柏女座長 まだまだ本当は終わりになるのではないかと思いますが、すでに時間を超 えていますので、ヒアリングにつきましてはこれで終了にしたいと思います。繰り返し はしませんが、第三者の先生方、本当にご協力をいただきまして、ありがとうございま した。これで今日の議事を終わりますが、事務局から今日の議事概要の作成、答弁の日 程等について説明をお願いしたいと思います。 ○障害福祉課長 お時間を超過しました。簡単にご説明します。1点目は今後のスケジ ュールです。配付した資料に今後のスケジュールが書いてあります。次回が4月25日、 関係団体ヒアリングということで、14時〜16時30分まで、ここに書いてあります6団 体から話を聞きたいと考えています。その後の日程です。第4回が5月12日10時から、 第5回が5月30日10時からということです。今後、前回議論いただきました全体の論 点を少しベースとして議論しながら、個別のいくつかのテーマを絞って議論していきた いと思っていますので、よろしくお願いします。日程の関係で、ご確認になっているか と思いますが、日程の出欠の予定表を書いていますので、これをご記入の上、本日ある いは後日、事務局に送ってもらえればと思います。  最後に議事録の関係です。第1回の議事録案をお手元にお配りしています。これにつ いては皆さん方の確認を得た上で最終的に公表していきたいと思っていますので、お手 数ですがチェックいただきまして、今週末までに何かありましたら事務局にご連絡いた だきたく思います。ありがとうございました。 ○柏女座長 以上、今後のことについてのご説明がありましたが、何かありますか。よ ろしいですか。それでは、今日の検討会をこれで終了します。どうもありがとうござい ました。