08/03/28 第1回「院内感染対策サーベイランス運営委員会準備委員会」議事録 第1回 院内感染対策サーベイランス運営委員会準備委員会 1.日時 平成20年3月28日(金)15:00〜 2.場所 経済産業省別館1042号会議室 3.議題  (1)院内感染対策中央会議の趣旨について  (2)「院内感染対策有識者会議報告書」について  (3)院内感染対策地域支援ネットワークについて  (4)第1回院内感染対策中央会議の「提言」について ○事務局(徳本) 定刻になりましたので、ただいまから第1回「院内感染対策サーベイ ランス運営委員会準委員会」を開催いたします。私は、厚生労働省医政局指導課医療放射 線管理専門官の徳本です。よろしくお願いいたします。構成員の皆様方には、年度末とい うお忙しい中をご出席いただきまして誠にありがとうございます。ここで指導課長からご 挨拶を申し上げる予定になっておりましたが、来客中ということで遅れてまいりますので、 本日の会議の趣旨を簡単にご説明申し上げます。  先日、院内感染対策中央会議でもご紹介申し上げましたが、院内感染対策サーベイラン スの運営委員会を立ち上げようと考えております。その運営委員会を立ち上げるに当たり、 そもそもこのサーベイランス事業とは何なのか。運営委員会はどういうものを求められて いて、どういった形で開催し、どういう方に構成員になっていただくのがいいのか。そも そも運営委員会のあり方について、本日ご意見、ご議論をいただければと思っております。 こういう場を設けることにより、サーベイランス運営委員会がスムーズにスタートできる と考えております。本日、サーベイランスについて一部細やかなご説明を説明者からいた だくことになるかと思いますが、サーベイランスの内容そのものについてのご議論は控え ていただきまして、サーベイランス運営委員会はどうあるべきか、ということについて本 日はご議論いただければと思っております。  各構成員の皆様を五十音順にご紹介申し上げます。国立感染症研究所細菌第二部長の荒 川宜親構成員です。東京医療保健大学医療情報学科科長の大久保憲構成員です。北里大学 医学部感染症学教授の砂川慶介構成員の代理で、東邦大学医学部の辻明良教授です。なお、 国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦構成員はご出席の予定になっておりま すが、多少遅れるというご連絡をいただいております。また、東北大学医学部の賀来満夫 構成員と、国立成育医療センター研究所長の倉辻忠俊構成員からは欠席のご連絡をいただ いております。  本日の説明者として、国立感染症研究所細菌第二部より鈴木里和主任研究官と、山根一 和主任研究官。国立感染症研究所感染症情報センターより森兼啓太主任研究官にご臨席い ただいております。  本日の進行に際し、当運営委員会備委員会座長の選任を行います。本サーベイランス事 業が平成12年の開始以来取り組んでおられました荒川構成員にお願いしたいと思うので すがいかがでございましょうか。 (異議なし) ○事務局(徳本) それでは、荒川先生は座長席にお移りください。 ○荒川座長 当運営委員会準備委員会の座長を仰せつかりました荒川です。構成員の皆様 方には大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。本日は、 皆様方のご協力をいただきまして、当準備委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思い ますので、ご協力をよろしくお願いいたします。  議事に入る前に、恒例により、本日の検討会の議事や資料の公開の取扱いのルールにつ いて事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局(徳本) ご説明申し上げます。運営に関しては、あらかじめお断り申し上げま すが、本準備委員会については公開で行い、議事録についても、事務局で取りまとめたも のを各構成員の皆様にお目通しいただいた後、厚生労働省のホームページで公表すること としたいと思います。この点についてご了解をお願いいたします。  引き続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。本日は院内感染対策サーベ イランス運営委員会設置に関して考え得る課題の整理等を行うために準備委員会を開催す るものであります。用意させていただきました資料の構成は議事次第に記載のあるとおり です。資料1から資料4まであります。 ○荒川座長 議事に移ります。本日の議題は大きく3つあります。議題1は「院内感染対 策サーベイランス事業の概要」についてです。議題1について、院内感染対策サーベイラ ンス事業の内容について、本日お集まりいただきました構成員の皆様にまずご理解をいた だき、その後、議題に移りたいと思います。最初に説明者である感染研の鈴木から説明を させていただきます。まず、資料1と資料2についてお願いいたします。 ○説明者(鈴木) 資料2の実施マニュアルを用いて、サーベイランスの概要について説 明させていただきます。マニュアルの1頁で、簡単に院内感染対策サーベイランス事業の これまでの経緯について説明させていただきます。厚生労働省による院内感染対策サーベ イランス事業は、平成12年に検査部門、集中治療室部門、全入院患者部門の3部門で開始 され、2年後の平成14年には新生児集中治療室部門、手術部位感染部門等5計部門での運 営となっております。  平成12年の開始当時、我が国における院内感染の現状に対する情報が乏しかったことも あり、実験的側面の強いサーベイランス・システムでした。そのため、患者からの負担が 大きくて、継続性が困難というような問題点が指摘されていました。平成18年の医療法改 正により、安全管理や院内感染対策のための体制整備がすべての医療機関に義務づけられ たこと。これまでの院内感染対策サーベイランス事業における一定の集積がありましたこ とから、平成19年7月にサーベイランス・システムの大幅な更新を行いました。  新システムでは、全国医療機関における院内感染対策の実施を支援するために、院内感 染の発生状況ですとか、薬剤耐性菌の分離状況及び薬剤耐性菌による感染症の発生状況を 提供することを目的としております。つまり、院内感染の発生状況ですとか、薬剤耐性菌 の分離状況を、全国共通の手法で集計し、全国の状況を把握し、広く一般に公開すること で、医療機関における院内感染対策の実施に有用な情報の提供ができればと思っています。  以下、順次マニュアルの項目に沿って説明させていただきます。マニュアルの1-2にあ りますように、各部門の目的については、後ほど部門別の概略を説明いたしますので省か せていただきます。  次は第2項の実施体制についてです。院内感染対策サーベイランス事業の実施主体は国 であり、厚生労働省医政局指導課が担当部局となっております。送信されたデータの管理 や、集計された情報については特定の会社に委託しております。  運営委員会については本日議論していただく点ですので省かせていただきまして、次項 の国立感染症研究所、実質的には細菌第二部及び情報センターが専門的見地から助言及び 支援を現在行っております。また、細菌第二部が、各医療機関から問合せの対応を現時点 で行っております。  第3項の参加と脱退についてです。これは次頁以降に記載されております。参加医療機 関の募集は、現在200床以上の病院を対象に、都道府県を通じて、年1回程度実施してい く予定です。昨年は、新システムの開始ということもあり、3月と9月の2回募集を行っ ております。  参加登録を行う部門は、1部門のみの参加から、全5部門まで自由に選択でき、参加部 門は3-2-1以降に書いてありますように、責任者、担当者を登録していただくことになっ ています。こういう担当者は、こちらからの問合せなどの窓口にもなっていただくことに なっています。  参加登録が終了しますと、3-3にありますように、各医療機関に医療機関コード、パス ワードが割り振られまして、参加医療機関専用ページにログインできるようになります。 すべてのデータは、ホームページを通してやっておりますので、参加医療機関の専用ペー ジにログインできるようになります。その専用ページを通じて、サーベイランスデータを 送信したり、還元情報をダウンロードしたりします。各種の登録内容の変更が可能となり ます。  脱退についてですが、脱退は専用の書式を指導課に送付することで成立いたします。ま た、一定期間データの提出がない医療機関については、データ提出の督促を行いまして、 それでもデータが提出されない場合は登録抹消という形をとることになります。脱退処理 をしますと、あとは失効しまして、専用ページにログインができなくなります。  3-8になりますけれども、新システムの更新に伴い、参加医療機関名を原則公表するこ ととなりました。ただし、希望した場合は非公表を選択することも可能となっております。 現時点で、既に都道府県別の参加医療機関一覧が、院内感染対策サーベイランスのページ 上で公開されております。  次頁以降の4番、5番のサーベイランスのデータの収集及びデータの提出については、 部門別のときに説明させていただきます。  6の「データの解析評価と還元」に移らせていただきます。提出されたデータについて は、一部は自動化されたチェック機能でデータ内容をチェックしております。送信された データで明らかな異常があった場合は、事務局から医療機関に問合せをいたしまして、内 容確認をいたします。必要に応じては修正をしていただいております。  還元情報については、毎月データを提出することになってる検査部門等については、デ ータ通信後48時間以内に還元情報が専用ページにアップロードされます。ほかの部門につ いても、提出期限終了後速やかに専用ページにアップされるようになっております。  データの集計と解析の解析期間については、箱ひげ図で後ほど説明いたしますが、箱ひ げ図を用いた全参加医療機関と自施設の比較を主軸に、時間推移などを図表に示したもの を使用しておりますが、今後より良いものとするために随時検討を加えていく予定です。  また、これ以外に6-4にありますように、参加医療機関に対しての還元情報のほか参加 医療機関の集計情報を一般公開しております。  続きまして、7の「解析評価情報の利用」ですけれども、サーベイランスの還元情報の 利用についてですが、基本的に各医療機関別の還元情報は、参加医療機関の院内感染対策 に利用していただきたいと思います。一方、7-2の項目にありますように、還元情報を基 に院内感染対策を実施する上で、支援が必要な場合は運営委員会に支援を要請することが できるとしております。その点については、まだ支援要請の実例等はありません。支援要 請も含め、サーベイランスに関する問合せは原則としてすべてメールで受け付けておりま す。新システムに切り換えのときに、大体100〜200件の問合せに対する対応を現在行って おります。  8の「個人情報と院内感染対策サーベイランスデータの取扱い」についてです。サーベ イランスでは、臨床情報を収集しておりますが、すべての患者IDは暗号化しておりまして、 個人を特定しない形での提出をしていただいております。したがって、センター側に個人 情報は送付されておりません。また、すべてのサーベイランスデータは指導課が管理する ことになっておりまして、現在はシステム会社に委託しております。受託した業者は、指 導課の指示以外ではデータの処理は行いません。  一方、サーベイランスデータには非常に有用な情報が入っておりますので、これらを研 究に利用した場合、一定の手続により使用可能となっております。マニュアルの8-4-1、 8-4-2にありますように、申請書や承諾書とともに申し込んでいただき、運営委員会の承 諾の下でデータが提供されます。ただし、研究内容に関する責任は、すべて提出した側に あります。  最後に9-1で費用の点です。参加自体に費用は発生いたしません。一方で、参加に必要 な諸経費、病院内のパソコン整備や検索システムの整備、説明会開催への参加費用はすべ て参加医療機関の負担となります。 以上駆け足でしたが、マニュアルの説明です。 ○荒川座長 佐藤指導課長がおいでになりましたので、ここでご挨拶をいただきます。 ○佐藤指導課長 院内感染対策サーベイランス運営委員会の準備委員の第1回を開催させ ていただきます。来客があって遅れてまいりましたことをお詫び申し上げます。いずれに いたしましても、院内感染対策のサーベイランスがこういう形で、本当に通常の感染症ほ ど高度のものになるかはまだまだあれですけれども、それにしましても一歩か二歩は前進 したのではないかと思っております。こうした形で組織化されたデータが取られていくこ とで、院内感染のモニタリングと合わせて対策にも相当役立つのではないかということで、 私ども大変期待を申し上げております。委員の皆様、構成員の皆様をはじめ、関係の皆様 にはいろいろお力添えをいただくことになりますが、どうかよろしくお願いいたします。 簡単でございますが、挨拶に代えさせていただきます。 ○事務局(徳本) 遅れておりました岡部信彦構成員もお着きになりましたのでご紹介い たします。 ○荒川座長 次は議題2です。これまで院内感染対策サーベイランス事業について、先ほ どの内容でご理解いただいていると思いますので、院内感染対策サーベイランス運営委員 会について、具体的な協議事項等について検討したと思います。その前に補足の説明があ りますね。後半の説明をお願いいたします。 ○説明者(山根) 資料1について説明させていただきます。2頁目に院内感染対策サー ベイランスのホームページのアドレスを載せております。その中から新システムの案内に 関する掲載内容の一覧があります。先ほどご説明させていただきましたけれども、マニュ アルのほかに各種届出用紙、それからサーベイランス情報の収集に必要な基準、それから サーベイランスシートなどがダウンロードできるようになっております。このホームペー ジは一般に公開されておりますので、参加医療機関以外であっても閲覧、また利用するこ とができます。  次の頁以降に、各部門の概要がありますので、この資料に沿って説明させていただきま す。まず検査部門です。システムの更新に伴い、これまで血液及び髄液の検体のみの情報 を集めておりましたけれども、それを今度は検査部門に提出されたすべての検体のデータ について、データを提出していただくことになりました。このため、データの提出が膨大 になるために、サーベイランスのためにデータを手入力することが難しいこと、労力的に 困難であることから、検査室からのデータの抽出と自動変換に基づくデータを提出してい ただくこととしました。。  参加要件のところにも記載しておりますけれども、参加のために提出データの作成のシ ステムを病院側で準備していただく必要があります。システムの整備には費用が発生する ことがありますが、院内感染対策サーベイランス事業研究班主催の検査システム会社に対 する説明会を行いまして協力を要請いたしました。現時点では、院内感染対策サーベイラ ンス事業用に、抽出機能が実装されていると聞き及んでいます。  データの提出を毎月行っております。還元情報は月報のほかに季報、年報があります。 内容に関しては、概要の記載にありますように、主要菌種、それから耐性菌の分離率の記 述が主たるものであります。  続きまして、全入院部門の説明をさせていただきます。全入院部門は、感染症発生情報 調査で指定されている5つの薬剤耐性菌、この5つの耐性菌について感染症の発症者に関 する情報を収集いたします。旧システムに比べると、収集する臨床情報のうち、必須とな るものだけを集めることになっていまして、最小限に絞り込みを行います。また、データ はサーベイランスシートなどを利用して収集し、入力支援ソフトを用いて電子化し、送信 することになっております。提出は月1回で、還元情報としては月報、年報が作成されて おります。内容に関しては、薬剤耐性菌による感染症の発生率などが主なものとなります。  続きまして、手術部位感染部門の説明をさせていただきます。SSI部門と訳させていた だきますが、SSI部門については、旧システムとほぼ同じで、対象とする手術手類を選択 していただきます。概要に記載してありますように、情報を入力支援ソフトに入力してい ただきます。データの提出に関しては年2回、還元情報も半期報というような形と年報と いうものを還元しております。内容は、手術手技別のSSI発生率が主なものです。  続きまして、集中治療室部門、ICU部と訳しますが、ICU部門については、3種類の院内 感染症、これは人工呼吸器関連肺炎、カテーテル関連の血液感染症、それから尿路感染症 の発生状況を把握するシステムとなっております。入力支援ソフトには、熱傷を除く全ICU 入室患者の入室・退室情報に加え、3つの感染症を発症した患者については臨床情報も入 力していただいております。データの提出は年2回です。還元情報は在室日数、ペイシェ ント・デイによる感染症発生率を中心とした内容となっております。ディバイス情報に関 しては、医療機関側の入力・集計の負担を軽減するために収集は行っておりません。  続きまして、NICU部門、新生児集中治療部門です。出生体重別の感染症発生患児と、そ の感染症の種類及び原因菌について情報を収集いたします。個々の症例については情報を 収集せず、集計値を収集することにより、参加医療機関の負担を軽減するようにしており ます。提出及び還元情報の作成は年1回となっております。  次頁からは院内感染対策サーベイランス事業で提出された薬剤耐性菌の判定基準です。 これは、5つの菌から構成されておりますが、これは5部門共通の基準となっております。  次の頁は、全部門で還元情報内で対応しております箱ひげ図の説明です。院内感染対策サ ーベイランス事業では、自施設の感染症の発生状況を客観的に把握するために、情報の提 供を重視しております。そのため、全参加医療機関のデータの散らばり具合と、その中に おける自施設の位置を視覚的に把握できるように、自施設のデータは赤い点で表されるよ うな形の箱ひげ図を採用しております。  次の頁は、検査部門のより具体的な情報となります。検査部門は医療機関の検査データ を共通のフォーマットに、医療機関側で変換していただく必要があるため、資料にありま すようなデータフォーマットに関する詳細な情報を公開することにしています。その後に、 各部門のサーベイランス・データのデータ収集から提出に至るまでの流れを図示しており ます。  最後の頁ですけれども、サーベイランス参加に必要なインターネットの環境であります とか、パソコンの情報を載せております。これは、特殊なものではありませんで、一般的 なパソコンやインターネット関係が揃っていれば参加可能となっております。  以上で、各部門の説明を終わらせていただきます。 ○荒川座長 これまでの概要の説明につきまして、内容についてご理解いただけたと思い ますので、議題2の「院内感染対策サーベイランス運営委員会」について、具体的な協議 事項等について検討をさせていただきたいと思います。まず、事務局から説明をお願いい たします。 ○事務局(徳本) 本日ご用意させていただきました資料2、資料3、資料4でご説明申し 上げます。資料2に関しては、先ほど鈴木先生からご説明いただきましたが、本サーベイ ランスの運営委員会設置要綱を昨年6月の段階で作成しております。資料3に、運営委員 会に求められる業務等も協議事項ですが、取りまとめがしてありますので、一度お目通し いただければと思います。本日の準備委員会の趣旨から言いますと、運営委員会のあり方 についてご議論いただきたいと思っております。本日の議事次第の2.にあります「運営委 員会の検討事項」について、参加医療機関及び行政に対する技術的支援について。運営委 員会の構成員について。運営委員会の開催及び検討のあり方についてということでご議論 いただければと思います。  資料2と資料3を事務局側でまとめたものが資料4になります。院内感染対策サーベイ ランス運営委員会における協議事項等(案)ということです。これは、新たに何か作った ものではありませんで、運営委員会設置要綱とサーベイランスの実施マニュアルに書いて あるものの、運営委員会に係るものを抜粋したものです。運営委員会の設置要綱第2条に 協議事項が書いてあります。一通り読ませていただきます。  各参加医療機関より提出されたデータの精査、集計、解析、評価等に関すること。各参 加医療機関への還元情報等に関すること。ホームページ等で公開する解析情報等に関する こと。各参加医療機関からの問合せ等に関すること。各参加医療機関への技術的支援に関 すること。サーベイランス項目に関すること。その他の院内感染対策サーベイランス事業 の運営に関すること、というのを設置要綱で協議事項として挙げさせていただいておりま す。  先ほどご説明いただきました、サーベイランス実施マニュアルに関しては、運営委員会 に関するものが10項目ありますので、それを簡単にご紹介申し上げます。そもそも運営委 員会とは、データの精査をする。一般公開用の季報及び年報の作成の支援をする。サーベ イランスシステム改善のための助言をする。参加医療機関に対する院内感染対策に関する 支援をする。  また、このマニュアルの3-6にもありますように、参加医療機関の中で、いわゆるデー タを提出しなくなった医療機関、もしくはできない医療機関の登録の抹消等に関しても、 ご意見とかご議論をいただくことを考えております。  5-3で、データ提出状況確認票、各医療機関、当初は参加医療機関は病院長名で参加し ていただいているのですけれども、1年経ち、2年経ちというところで、いわゆる担当者だ けが実施しているような状況になってはいけないだろうということで、データ提出状況を、 この運営委員会から各施設宛に提出すること、発行することを考えております。  続きまして、6-1の提出データの内容確認です。提出されたデータで、日本では見かけ ないような菌が出ているとか、そういうものに対してデータの確認等を行うことも運営委 員会として実施することを考えております。また、その提出されたデータが非常に実態か らずれている、とても現実的ではないと思われるものに関しては、データの一部又は全部 を集計から除外することも検討していただければと考えております。  6-2として、データの集計と解析評価ということで、必要に応じて運営委員会の構成員 以外の専門家からも意見を聞くことも考えられると思います。  次の頁で6-4です。情報公開ということで、先ほどからご説明いただいていますような 季報及び年報に関して、運営委員会の皆さんにお目通し、ご議論、精査いただければと思 っております。そのような議論をして、ホームページ上で公開することにより、全国の医 療機関の院内感染対策に資する取組みができればと思っております。また、各医療機関か ら運営委員会に支援を求めるということもあり得ます。参加医療機関が、院内感染対策の 実施に対して支援をしてほしいというものに対して、何らかの支援をしていただければと 思っております。  8-4-2として、いま850ほどの参加医療機関がありますが、そのうちの5、10、20、100 とグループを作り、自施設の医療機関のデータをサーベイランスのサーバーから再度取り 出して検討したいという際に、その研究なりの妥当性について運営委員会で精査していた だければと思います。また、いまご紹介申し上げておりますマニュアルの改訂に関しても、 運営委員会の場で検討することで、より良いものを作っていければと思っております。  こういう内容を、運営委員会の構成員の皆さんにご議論いただきたいというふうに、い まのところ事務局側としては考えております。我々の求める運営委員会というのは、こう いうものを考えている中で、もう一度議事次第に戻りますけれども、運営委員会の検討事 項、参加医療機関及び行政に対する技術的支援、構成員はどんな方がよろしいか。開催の 手法だとか、検討会のあり方という運営委員会のあり方についてご議論いただければと思 います。 ○荒川座長 ありがとうございました。ただいま、事務局からこの準備委員会の開催目的 について紹介していただきました。この議題の2.の4つの小項目について、大体いまの説 明でご理解いただけたかと思います。運営委員会の実施のあり方について、これから少ご 論議いただき、大まかな方向性をまとめていきたいと思います。この4つの検討項目、そ れぞれ議題になりますけれども、1つは運営委員会の検討事項について。2つ目として、参 加医療機関及び行政に対する技術的支援について。3点目として、運営委員会の構成員に ついて。4点目として、この委員会の開催及び検討のあり方についてということで、皆さ んそれぞれご審議いただきたいと思います。それでは何かございましたらお願いいたしま す。 ○大久保構成員 先ほど鈴木先生がご説明くださいました資料2にも関係するのですが、 運営委員会のあり方の中で「支援」という言葉、「技術的支援」という言葉が出てきます。 頁が振ってないのですが、資料2の中ほどの7-2のところに、「参加医療機関は、院内感染 対策に関する支援を運営委員会に求めることができる」とありますが、この「支援」とい うのは、例えばサーベイランスをやっている中でアウトブレイクだと思ったとか、そうい うものも含む、そのアウトブレイク対応も含むという意味での支援なのか、あるいはサー ベイランスそのものの技術的な支援までなのかどういうことを指しているのでしょうか。 ○事務局(徳本) いまご質問いただいた部分の「支援」というのは、いわゆるこのサー ベイランスのシステムの技術的な入力であるとか、耐性菌の評価の仕方といったものも含 まれます。アウトブレイクが起こった際の支援も含まれると思っております。ただ、本来 的に言いますと、医療機関でアウトブレイクなどが起こった場合には、こういったサーベ イランス運営委員会で済む話ではないと思われますので、基本的にこれは所管の保健所等 と一緒に取り組むべきだと思っております。  サーベイランス運営委員会に求められる支援というのは、いわゆる保健所に相談するま でもないような事例、いわゆる、いままでMDRPが出ていなかった医療機関で1例あったと。 そういう症例に対してどういう取組みをしたらいいのか。保健所に届出義務があるだとか、 そういうところまではいかないけれども、院内感染対策を取り組むに当たって助言指導は する、といったレベルのものを考えております。本来的には、所管の保健所と行政機関と 取り組むべきだと思っておりますが、そこまで至らないものについて、いわゆる専門的な サゼスチョンいただくものと考えております。 ○大久保構成員 要は、入力等のそういう技術的な支援だけではなくて、内容にも踏み込 んだ支援を求めるということですね。。 ○荒川座長 その点につきましては、例えば具体的に特定の耐性菌らしいものが見つかっ た場合などに、サーベイランスの支援が求められるのであれば、それについてはこの事業 として支援するのか、研究ベースで支援するのか、その時々で切り分けながら、あるいは その地域でそういうことに詳しい方がおられる場合はそちらのほうに紹介することになり ますけれども、そういうことも含めて支援ということを考えています。 それでは、この 4つの議題を厚生労働省からいただきました、まず運営委員会の検討事項についていただ きました資料4の9−2までについて、これで足りるのか、あるいはこういう内容も検討 事項として守備範囲に入れるのかというものがありますがいかがでしょうか。  私から1つ質問ですけれども、6-4の公開情報についてですが、これまではこのサーベ イランスの集計結果をホームページに上げる場合に、院内感染対策中央会議で資料をご確 認いただいた上で出しておりましたけれども、要は、こちらの運営委員会のほうで確認を 受けて、それでアップしていくというふうに切り換えるという理解でよろしかったですね。 ○事務局(徳本) これまでは、運営委員会というものは立ち上がっておりませんでした ので、中央会議の中で専門家の皆さんにコメントをしていただき、ご意見をいただいて、 それをホームページ上へアップするということをやっておりました。ただ、院内感染対策 中央会議自身は年に1回程度、もしくは2回というペースで開催しております。そうする と、どうしてもデータが集まって公表できる段階にはなっても、国民の皆さんに公表する までにタイムラグが長くなる、ということも弊害としてありますでしょうから、このサー ベイランス運営委員会自身は、中央会議の下部組織として位置づけることを考えておりま すので、この運営委員会の委員の皆さんに見ていただいて、お読みいただいたものをその ままホームページにアップすることを考えております。 ○大久保構成員 資料4の6-1-3辺りで、データの質を判断して、問題だというものを削 除したりということはわかるのですけれども、大規模なサーベイランスで出てきた数字と いうのは非常に重いわけです。それは、一種のベンチマークというものが日本の標準とい う形になってしまうわけです。病院から提出されたデータが良い、悪いではなくて、全体 の結果を見て、あまりにも懸け離れた感染率だとか、むしろ公表するべきでないといいま すか、公表するといろいろ問題が起きるというような場合には、データそのものにも踏み 込めるのでしょうか。 ○事務局(徳本) 集められたデータに対して、これは公表すべきではないという議論は、 公の機関でやっているものとしてはなかなか難しいかと思います。ただ、それに対して専 門的見地から、例えば偏りのあるデータだという注釈等を付けるなり、解釈の仕方につい て専門的なご意見をいただく、ということは十分あり得るだろうと思います。 ○荒川座長 いまの先生のご指摘は非常に大事だと思います。それは、運用上、我々がい ままでも専門的な観点から見て、例えば具体的にまだ、日本ではそういう耐性菌が確認さ れていないし、それからアメリカでもそのような耐性菌が報告されていないものについて は、もしそういうデータがこちらに提出された場合には、再度提出していただいた機関に 確認して、実際にそれを確認できないものについてはデータから削除したり、あるいは再 提出していただいたり、いろいろなことをしたりしてきました。  私の方の理解では、たぶん明らかに間違ったデータ、あるいはこれはかなり間違ったデ ータを含んでいるというふうに思われるものについては、一部修正したりしますが、ある 程度確からしいものについては、排除するものではないというふうに理解しているのです がそれでよろしいでしょうか。 ○事務局(徳本) 全体で100の医療機関があったとして、1つの医療機関がかなり外れ たデータを出してきている。それを、担当者に問合せをしても、どうやらデータの信憑性 が低いということであれば、それこそ大久保先生がおっしゃったように誤解を生むという か、そういう結果になってしまうでしょうから、そういうものに対してはそのデータを削 除する。集計から外す、除外するということはあり得ます。  100ある医療機関に対して、その100の機関が偏りがあったとして、日本全体から見る と偏りがあるかもしれませんが、そのデータが誤解を生む内容であったとしても、そもそ も偏りのある医療機関100があるということであれば、それをどういうふうに偏りをなく すべきかというのは、今後の運営委員会の皆さんにご議論いただく内容だろうと思います。 ○大久保構成員 現状では、JANISのデータを全部公表という形でしょうね。 ○荒川座長 そうですね、各参加施設には集計したデータを返していまして、一般公開用 はその中の一部です。一般の方が見て、ほかの医療機関も見て、これは院内感染対策のた めに参考になると思われる集計結果をホームページに出して公開しています。  いま、大久保先生にご指摘いただいた、データの信頼性も非常に大事で、電子的な手法 で、チェックをしていますが院内感染対策サーベイランス事業では、参加施設がかなり多 いということもありまして、出していただいたデータの中で、明らかにおかしいというも のは確かにチェックしますが、そうでないものについては、なかなかチェックをすべてす ることは難しいという現実はあります。  それを補完するために、私の理解では研究班がございまして、例えばSSIについては小 西先生の研究グループなどでも行っていただいておりますように研究班として、例えばこ れは確からしいという病院のデータを集計していただいて、院内感染対策サーベイランス 事業の関連のデータとどの程度一致するものなのか。もし一致しないのであれば、それは 病院のグループの中に質、要するにクオリティが違う集団が混じっていることなどを意味 しますので、異常にレベルが低いような、見かけ上そういう形で低いほうの数値が発表さ れているのであれば、それが正しいのかどうかについてはもし可能であれば、研究班レベ ルできちんとやっていただいて、その中で検討していただくことを考えています。  この事業のほうでは、参加を希望された施設から出していただいたデータをもとに、か なり確からしいというものを出して、大体、日本のこのような施設から集ったデータを集 計すると、大体こんなところにきますよというお話なのではないか。 ○大久保構成員 研究班を介してある程度チェックできるようにしておく必要があります。 ○荒川座長 そうですね。 ○大久保構成員 SSIの判定を主治医本人でやっている場合とICTとして行っている場合 とでは判断基準が当然異なってきます。なかなか、そういうところまで踏み込んでチェッ クするのは難しいと思います。 ○荒川座長 全入院患者部門では、感染症の患者について報告をしてもらっていますので、 診断についてはその主治医ではなくて、感染症の診断をする担当医をきちんと決めていた だくことで客観的に自分たちで診断できるようにしてもらっています。  資料4の内容についてはいかがでしょうか。 ○岡部構成員 先ほどの大久保先生のご質問にも関係するのですけれども、院内感染対策 の支援の部分は、あくまで要請に基づくもので、アクティブに何か別に調査等に出るとい うことは想定に入らないのですか。 ○荒川座長 何か異常な事象が起きているという可能性を検知した場合は、こちらからこ ういうようなデータが出ておりますけれども確かでしょうか、というようなアクションは 多少しています。ただ、こちらのマンパワー、担当者のマンパワーではすべてはできませ んので、どうしても現状では、問合せがあったり、質問があったときに、それに対して対 応しているというのが実情です。 ○説明者(鈴木) さっき言ってたた、これまで増えていますように、対応している中で、 VRSAとVREに関しては、開始当初3カ月間ぐらいは、VRSAの報告に対してはこちらから積 極的に問合せをして、コンタミネーションではないかとか確認を取らせていただいていま す。ただ、参加医療機関が膨大だということで、運営委員会等であり方を検討してからシ ステマティックに今後やっていけたらというふうな形でペンディングとさせていただいて おります。  それ以外に、検査部門でVRE、VRSAが検出された場合には、アラームがかかるようにな って連絡くださいというふうになっているので、連絡をいただいた医療機関のリストアッ プを取ることにしてありますので、あり方が決まったらこちらから何らかのアクションを するようになっています。  それ以外に異常集積に関する問合せが実は1件ありまして、抗菌薬の知識等も非常に高 い、それから、判定基準も正しいものを用いていたということで、少しそちらの……こち らの疫学調査を踏まえた問合せがありましたので、それに関して少し改良したとか。 ○岡部構成員 そうすると、この中で、例えば感染症法上に規定されている菌などが出て きて、それは個人情報は入っていないのだけれども、連動してそちらのほうとの関連を見 るということは可能なのですか、それとも不可能なのですか。例えば、VREが出てきたと。 しかし、その数は感染症法の届出よりも著しく多いのではないか、というようなことがあ ったときに、それは積極的に調査に出られるのでしょうか。 ○荒川座長 感染症法自体、これは感染症として診断しないと届出の義務がないのです。 ですから、今回の改正されたサーベイランスの検査部門では、保菌も含めてすべて引っか かってきますから、当然食い違いが起きることは十分予測されます。 ○岡部構成員 でも、一部の疾患については、保菌状態でも届けてくださいというような かたちになっています。 ○荒川座長 一応、保菌も届けてくださいというべきか、結核感染症課のほうで確認しま したら、届出義務はないけれども、届けてもらってもいいですよという印象でした。 ○岡部構成員 それには先生の意向が反映されたわけですけれども。 ○荒川座長 いや、私のほうは、保菌でも届けてもらいたいとしているのですけれども、 どうも感染症法の所管課のほうは、感染症でなければ届けなくてもいいという対応をして おられるので、どうしてもそこは齟齬が生じているのです。だから、そこがいちばん問題 になるところです。 ○岡部構成員 そうですね、再度考え方に関するすり合わせが必要なのではないかと思い ます。あるいは、VRSAなどの場合は届けてもらわなければ困るわけです。 ○荒川座長 そうです。VRSAは全数です。ただ、あれも幸いなことに日本ではないのです。 感染症を起こしている場合に届け出る義務があるのか、保菌の場合でも届け出なければい けないのか、そこのところが決まっていないのです。そこは、私のほうからは、保菌であ っても届け出てもらうべきだと担当官には言っています。保菌は、感染症法の報告対象に はいまのところなっておらず、感染症の患者の発生動向を把握するということで、保菌ま ではカバーするのはちょっと難しいという返事はいただいています。 ○報告者(鈴木) 1点説明させていただきます。全入院患者部門に関しては、感染症の 発症者のみの届けになっていますので、全入院患者部門でVREの報告数というか、10、20 があるのに、例えば都道府県の発生動向調査ではゼロであるというような違いはここで明 らかになるのですが、現時点で私たちがすべきことは、あくまでも感染症であったら保健 所に届けてください、例えばその証拠をどこかに提供するべきなのかとか、そういう観点 に対しては全く決められていませんので、基本的には参加医療機関の担当者に、感染症で あればとりあえず報告してくださいというふうに連絡してあります。 ○荒川座長 施設側では、こちらに報告をすれば感染症の届出と同じだということで、一 部の施設にはまだ誤解があるようです。そういう誤解のないように周知していく必要はあ ると思うのです。 ○大久保構成員 確認したいのですが、先ほどの説明の中で、ICU部門のところでディバ イス・デイズなのか、ペイシェント・デイズなのかどちらでしょうか。○報告者(鈴木)  こちらに関しましては研究班の、聖マリアンナ医科大学の吉原教授の研究で、ディバイス・ デイズで評価/カウントした場合と、ペイシェント・デイズで評価/カウントした場合と ほぼ変わらない結果が出ております。実際にディバイス・デイズは大変だということでし たので、その知見に基づいて、今回のシステム更新ではディバイス・デイズをやめて、ペ イシェント・デイズのみにしております。 ○荒川座長 2つ目のポツの「参加医療機関及び行政に対する技術的支援」。行政に対する 技術的支援というものが、厚生労働省のサーベイランスとして重要な位置を占めている。 これまでは、例えばどこかの病院で院内感染が起きた場合に、そういうことがどの程度の 頻度で起きているものなのか、あるいはどの程度の菌で耐性が見られるのかとかがはっき りしていなかった。そういう情報をこのサーベイランスのデータとして把握し、やはりそ れはよくあることなのか、希にしか起きないものかという、そういう情報提供等を行政と して来たいしておられるのですね。  行政のほうで期待しておられる技術的支援ということは、具体的にはどの程度の内容ま でと考えてよろしいのでしょうか。そういうところも教えていただきたい。 ○事務局(徳本) 具体的にどういう内容というのは、運営委員会が立ち上がったときに、 さらに深くご検討いただければいいかと思うのです。まず、行政として厚生労働省という 観点から言いますと、やはり、このデータを普段の行政施策の中で常に使えるような形で こういったデータクリーニングし続けることが必要であると考えています。  例えば、どこかの医療機関でVREだとかMDRPが発生したという場合には、それが果たし てどの程度インパクトがあるのか。それは、どの医療機関でもあるレベルなのか、それと もいま参加している約850の医療機関のレベルから見ても飛び抜けて多いのか、そういっ たデータを使えることが有用だと考えております。  さらに飛躍して、これはいまのところそういう体制は整っていませんが、かなり飛躍し て考えると、このデータを地方自治体、例えば都道府県の医事担当の方も、データを見ら れるように。見られると言うけれども、すべて見られるというわけではなくて、各地域ご と、都道府県ごとに見られるようにしたほうがいいとか、その辺は厚生労働省のみならず、 地方自治体もどのように使うかということに関しても、将来的には議論の内容になってい くのかと考えております。 ○荒川座長 将来的には地方自治体も含めて、このデータをいかに活していくか、そのよ うな問題もそういう議論の中で進んでいくと理解してよろしいですか。 ○事務局(徳本) 医療法上の考え方からしますと、医療機関に対する監督・指導権限と いうのは、基本的には都道府県知事や保健所を設置する市長、特別区の区長でございます ので、我々だけがこのデータを持つことがいいのかどうなのか。そういう監督・指導権限 のある方々にも活用していただけるように検討したほうがいいのか。その辺も運営委員会 の議論の内容になるのかと考えております。 ○荒川座長 議論を少し先に進めさせていただきます。次は、運営委員会の構成員です。 これは、大久保構成員のほうからもご意見がありましたが、とりあえず暫定的と思います けれども、そういう形で第1回の準備委員会となったと理解しました。この構成員のあり 方について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局(徳本) 事務局から補足させていただきます。運営委員会の構成員について、 12日に開かれました第7回院内感染対策中央会議で、大久保構成員からご意見をいただい たところです。資料4を見ていただきますと、運営委員会に求められる内容が多岐にわた るもの、もしくは運営委員会、サーベイランスもかなり運営的なものにかかるということ で、大久保構成員からは、現場の内容もわかるしというようなご意見もあったのですが、 やや中央会議は構成員の皆さんと、現場のわかる方という2つの分類でいくと、やや中央 会議の構成員の皆さんのような方に判断いただき、それで現場の方からは、各構成員の皆 さんからご意見をいただくような形で、構成員の方から現場の方に意見を聞いていただく というような形で進めるほうが、資料4に書いてあるような項目を実施するにはふさわし いのかと現実には考えております。  具体的には、本日の資料の2枚目になりますが、準備委員会の名簿がありますが、この 4月で所属が変わる方、もしくは異動がある方もおられるかもしれませんけれども、私の 担当者の頭の中では、こういった皆さんにお願いしようとは考えております。 ○大久保構成員 わかりますけれども、例えばそのデータの質とか、サーベイランスその ものの技術的なことをチェックするために、相談できる体制を作っておいていただきたい と思うのです。  どうしても我々は実際的なことはやっていない者が多いわけですので、サーベイランス そのものを研究しておられる方の意見も求めることができるような仕組みを作っていただ けたらと思います。この運営委員会そのものに加えるということはどうなのですか。 ○荒川座長 運営委員会の基本的なところを補佐するため、委員会の下に、質問にあった ような仕組みを作っていくという感じですかね。なお、事業のデータは、公開されるまで は一部の限られた委員の管理下に置くなど、やはりデータの取扱いは非常に大事だと思い ます。 ○大久保構成員 そうですね。 ○荒川座長 事前にこの委員会に登録していただいた方でそういうデータを検討するよう なことですか。 ○大久保構成員 ワーキンググループとして2、3名だと思いますけれども、仕組みがある といいと思います。 ○荒川座長 その点についてはいかがでしょうか。よろしいですか。  本日は準備委員会、運営委員会の構成員については、事務局のほうで再度いまのご発言 も取り入れていただいて、構成員について検討していただくということと、可能であれば 運営委員会の中にワーキンググループ、実務的なところをきちんとできるようにしていた だけるようなものを考えるということで、いかがでしょうか。実際には、本日、説明者と して参加していただいている感染研の3名の方などにも加わってもらうなど。 ○事務局(徳本) 先ほど座長がおっしゃったように、このデータというのは医療機関の データが含まれていますので、やはり見てもらう人に関しても、どういう位置づけなのか というのは、やはり参加医療機関が気になるところだと思いますので、その辺は参加医療 機関の皆さんから誤解を受けないようにやって、どういうふうに進むべき内容もちょっと 検討させてください。運営委員会の本体、ワーキンググループという形で、実務的な方を 入れるのかどうかに対しても、どういう人がいいかはまた考えさせていただくとして、運 営委員会の本体に関してのご意見をいただきたい、今回の委員の皆さんのですね。 ○荒川座長 運営委員会の構成員は、本日の準備委員会の名簿とほぼ同等を考えていいの か、それとも、それとは別にまた運営委員会とは別に少しメンバーを加えて組織されるの か教えてください。 ○事務局(徳本) 基本的には準備委員会の名簿にお名前のある方を考えてはおりますが、 こういった別のスペシャリストが必要ということであれば、それも対応可能かと思います。 ただ、人数が中央会議が10人ですので、それを超えるぐらいの大規模のものになると、本 来このスピード感をもって情報公開したいという趣旨からはちょっとずれてくるのかとい うところもありますので、コンパクトでいて、専門的なご意見をいただけるようにと考え ております。 ○荒川座長 そうすると6名でとりあえずスタートして、臨床の先生、疫学の先生、あと はサーベイランスの担当者、大体そういう形でバランスよく事業の運営について話し合っ ていただくということですか。 ○事務局(徳本) そうですね、この6人のメンバーの方を選ばせていただいた事務局的 な考え方といたしましては、荒川先生はこれまでサーベイランスに取り組んでこられた方 ということでお願いしております。大久保先生、砂川先生は、いわゆるその関係団体…… されていらっしゃるということで、この感染症学会のご協力もお願いするかもしれません ので、その辺はご勘弁いただければと思っております。岡部先生に関しましては、いわゆ る感染症法に基づいた感染情報調査をご担当いただいておりますので、先ほどのご意見も ありましたけれども、サーベイランスと感染情報調査はどうあるべきなのか、どういうふ うにできるのか。もしくは法制面で何か取り組まなければいけないことがあるのであれば ご指示いただければ、ご意見をいただければと思っております。加賀先生、倉辻先生に関 しましては、いわゆる地域の支援ネットワークの関係や、いわゆる……技術的なものを積 極的にやられているということで、いわゆるサーベイランス・データを用いて現場にどう いった指導をしたらいいのか。こういった医療機関同士でどうやって支援し合ったらいい のか、ということに対してサゼスチョンいただければと思って、この6名を案として考え ております。 ○荒川座長 そういうご趣旨でこの6名を挙げていただいております。何かご意見はござ いますでしょうか。よろしければ、この原案でとりあえず了解いただいたということで。 それから、運営委員会の開催及び検討のあり方についてということで、この趣旨は先ほど 徳本先生からお話がありましたけれども、年に数回ぐらい随時。私は、サーベイランスで、 集計を月報と季報と年報という形で収めていまして、季報ですと年に4回ぐらいです。一 部の部門は半年ごとに。それから、年ごとに年報にまとめていく部門もあります。そうい う報告書の作られるタイミングに合わせてこれを適宜やるという理解でよろしいでしょう か。 ○事務局(徳本) この開催の仕方に関しても、おそらくこうやってお顔を合わせてやる べきという会と、そうではなくて日程調整をするまでもなく緊急にというか、ご相談申し 上げなければいけないような事例もあるかと思います。定期的にという部分に関しまして は、皆さんお忙しい方ばかりですので、可能であるかわかりませんけれども、年3回、4 回程度を目指して開くというのがあると思います。逆に言うと、そうでなければデータの 公表に関しても遅れ遅れになってしまうと思いますので、できるだけ3回、4回を目指し てやりたいと思っております。  ほかに関しては、失礼ながらメール会議等で済ます事例も中には出てくるかと思います。 例えば、それは先ほどからお話のありました、医療機関に対する支援といった内容をどう いうふうに対処するのか。そういうものはメール等でご意見を聞きながらということにな ると思います。 ○荒川座長 そういうことですけれどもよろしいでしょうか。そうしますと、議題2の全 体につきましてもし何か追加のご指摘がありましたらお願いいたします。よろしいでしょ うか。それでは、時間も押しておりますので、次にその他の議題として、もし本日の委員 会で検討すべきことがございましたらご提案ください。よろしいでしょうか、事務局のほ うからこの点について何かありますか。 ○事務局(徳本) 今回準備委員会として、運営委員会を立ち上げるに当たり、課題とし て、私の中では2.にあるものだけだったのですが、もし事前に整理しておかなければいけ ない点等がございましたらご意見、ご議論いただければと思いますがいかがでしょうか。 ○荒川座長 よろしいでしょうか。少し時間が超過していますが、先ほどの1の概要の説 明も含めて追加のご質問等はございますでしょうか。 ○__ 今回新しく参加施設が増えたりしていますけれども、参加施設が改められたので すね。 ○事務局(徳本) いちばん変わった内容としては、資料1に箱ひげ図というのがありま す。これまで還元するデータがですね、実は400頁ぐらいにわたるものだったのです。か なり生データに近いものを還元して、医療機関としては、それをどういうふうに対策とし て書いておられるかという話も、なかなか調査しづらかったということがあります。やは り、こういう箱ひげ図で全国の800からの医療機関の中で、自分の医療機関はどういう位 置にあるのか。もしくは何年間かデータを溜めていく中で、今月だけ、もしくは先月だけ 急に発生率が高いとか、そういうものが経時的に追えるようにもなったので、いわゆる医 療機関にとって対策を取りやすい、もしくは自分たちの医療機関は出来が良いのか悪いの か気づきを与える、そういうシステムに変わっていますので、取り組んでいる医療機関と しては非常に有用なデータであるとご判断いただいた結果だと思います。  平成19年4月に施行された医療法の改正の中で、院内感染対策というのに位置づけられ たこともありまして、医療機関の間ではかなり注目というか認識がよくなってきていると いうことはあると思います。 ○荒川座長 その点について補足はありますか。 ○説明者(鈴木) 旧システムと新システムの違いなのですが、1つは先ほど事務局のほ うから言っていただいたことも1つです。もう1つは、検査部門と全入院患者部門の2部 門について、月報の還元方法が、データでは48時間以内にアップできているシステムに切 り換えたこと。ここが参加医療機関にとって参加のモチベーションになると。特に、参加 医療機関の募集の際に、こちらが強調したことは、院内感染対策委員会に、病院内で開か れるITTや、院内感染対策委員会の資料として是非使ってほしいということをお願いいた します。 ○荒川座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。本日の準備委員会の目的は ほぼ達せられたと思います。これまで、各委員のご指摘頂いた点について、これについて は事務局のほうで取りまとめをしていただいて、それで本日の論議の内容の概要について、 これを公表されるものについては、メール等で事前に皆様にご意見をいただくことにして、 あとは、もし何か追加でご意見等がございましたら、事務局のほうに質問していただいて。 これで本日の準備委員会は終了させていただきたいと思いますけれども、事務局から何か 追加で説明等はありますか。 ○事務局(徳本) 本日は、大変お忙しい中をご意見をいただきましてありがとうござい ます。本日は準備委員会という形で開催させていただきました。さまざまなご意見があり ましたけれども、第1回準備委員会という表題は付いておりますが、本日でご意見は出尽 くしたのではないか。傾倒すれば、それはかなりこれから深くあると思うのですが、委員 会の開催、運営委員会というものの適否に関してはご意見をかなりいただいたことと思い ますので、第1回という形にしておりますが、第1回で準備委員会終了ということで、次 回以降は運営委員会として立ち上げたいと思います。諸先生方には、今後とも協力をいた だくことになるかと思います。また、その手続論的なものも、依頼文書等も出させていた だきますので、またご協力方お願いいたします。  また、ご意見をいただきましたワーキンググループ的なものをどうやってやるべきなの か、おそらくそれに関してはサーベイランスのマニュアルだとか、運営委員会の要綱の改 訂にちゃんと位置づけないと、逆に言うとワーキンググループのメンバーが、各医療機関 のデータを見ることについて、やはり誤解を受けてはいけませんので、その辺はどう開設 するかに関しては、また荒川先生とご相談させていただいて、実際どのように変えていく かに関しては、第1回運営委員会でご意見をいただいて、第2回でということもあるかも しれませんが、そのときにご相談を申し上げたいと思います。  ほかにご意見等がございませんでしたら、本日はこれで終了させていただきたいと思い ます。本日いただきましたご意見を基に、サーベイランスをより行政的にも、また院内感 染対策にも資する良いものにしていきたいという思いもありましてこの運営委員会を立ち 上げることにしましたので、引き続きご協力をいただければと思います。本日はありがと うございました。 ○荒川座長 どうもありがとうございました。 (以上) 照会先:厚生労働省医政局指導課     院内感染対策担当(待鳥、清) 電話 :03-5253-1111(内線2556)