08/03/27 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第11回議事録     第11回これからの地域福祉のあり方に関する研究会議事録                  開催日:平成20年3月27日(木)                    場 所:厚生労働省5F共用第7会議室 ○大橋座長  定刻となりましたので、ただいまから第11回これからの地域福祉のあり方 に関する研究会を開催させていただきます。年度末の大変お忙しい中をお集ま りいただきましてありがとうございます。今日が最後の研究会になろうかと思 いますが、活発なご意見をいただければありがたいと思っております。  まず、事務局の方から委員の出欠の確認をお願いいたします。 ○事務局  本日は小林委員、三本松委員が欠席でございます。 ○大橋座長  三本松委員なり小林委員は海外に出張されているということで、欠席という ことでございます。前回、ひじょうに活発なご意見をいただきましてありがと うございました。皆様方からいただいた意見は事務局がきちんと整理をして取 り組んでいただきました。今日ご欠席の三本松委員が言われた在住外国人の問 題だとか、そういう問題も入っておりますし、あるいは前回欠席で文書で意見 をいただきました木原委員なり清原委員の意見も、財源問題あるいは日常生活 圏における近所づき合いのレベルでの助け合いの持つ意味というのも随分書 き込ませていただきました。  それから前回意見が出ました住民の問題解決能力、あるいは福祉サービス利 用者の問題解決能力、いわば当事者力というような言葉を使いましたが、そう いう当事者性というような問題についても書き込ませていただきました。  それから制度とか情報が提供されている分うまくつながっていないのでは ないかという、そのつなげる機能についてもかなり意識して書き込んだつもり でございますが、そのようなことを踏まえて、事務局から報告書(案)の説明 をいただきたいというふうに思っております。それでは中村企画官よろしくお 願いいたします。 ○中村企画官  それでは資料2に沿ってご説明をさせていただきたいと存じます。資料2は 下線部を引いたところがございますが、そちらの方が前回お示しいたしました ものとの変更点ということで、それを中心にしてご説明をさせていただきます。  まず、タイトルでございますが、前回、「地域における新たな支え合いの姿 を求めて〜これからの地域福祉のあり方〜」ということでお示しをさせていた だいたんですが、前回の会合におきまして、地域という言葉がメインとサブの 2カ所に出てくるという問題、それから、住民主体という点が大事じゃないか というご指摘もいただきましたので、タイトルといたしましては、〔住民によ る「新たな支え合いの姿」を求めて −これからの地域福祉のあり方−〕とい うことで提案させていただきました。  次に2ページ目です。いま、地域福祉を議論することの意味の中でございま すが、いろんな問題を掲げております、その問題のタイプを丁寧に書かせてい ただきました。上から一つ目の○ですが、「電球の交換やゴミ出しなど日常の ちょっとしたことの手助けといった生活ニーズへの対応や、墓参りの支援等人 によって価値判断が分かれるような要請」ということで、具体的な事例を掲げ てございます。  上から三つ目の○、及び四つ目の○につきましても問題のタイプを掲げてご ざいます。  「一つの世帯で要介護の親と精神障害の息子がいるといったような複合的な 問題のある家庭に対し、必要な公的サービスが総合的に提供されていないとい う問題もある。」  「いわゆるゴミ屋敷やホームレスなど、社会的排除の対象になりやすいもの への対処、難病患者・家族や外国人など少数者に対する地域の無理解からくる 問題もある」という形にさせていただいております。  その次の○ですが、制度のアクセスビリティというご指摘がございましたの で、ここの○を入れさせていただいております。「さらに、専門的な対応を必 要とする問題が近隣住民によって発見されても、それが行政や専門機関につな げられず、結果として対応が遅れてしまうという、制度へのアクセスの問題も ある。」  3ページ目の上から3行目ですが、相互の自己実現というご指摘がございま したので、入れさせていただいております。「その意味で、地域の生活課題に 取り組むことは、取り組む側にとって自己実現につながるだけでなくて、支援 されるものにとっても地域で自己を実現し、尊厳ある生活が可能となるもので ある。」  4ページ目の上から三つ目の○、これは今月新しい日本の世帯数の将来推計 が出ましたので、数字をアップデートさせていただいております。  次に7ページ目でございます。近年の福祉施策の方向性の(4)ですが、自立支 援の強化というのが今まで記述で欠けておりましたので、入れさせていただき ました。(以下、資料2のP7の下から3行目からP8の上から2行目まで読 み上げ)  8ページ目の上から一つ目の○ですが、全体的な方向性の部分ですが、前回 の委員会で尊厳、あるいは生活の全体性という概念を入れたらどうかというご 指摘がございましたので、このようにさせていただきました。(以下、資料2 のP8の上から10行目から14行目まで読み上げ)  次に9ページ目でございます。社会的排除の対象となりやすい者や少数者、 低所得の問題、ここで外国人を入れさせていただいております。その後の注で もって生活保護に言及をさせていただいております。(注4を読み上げ)  次に11ページ目でございます。上から二つ目の○ですが、これは相互の自 己実現というご指摘を踏まえてこのように修文をさせていただいております。 (以下、資料2のP11の上から6行目から10行目まで読み上げ)  次に12ページ目の地域福祉の意義と役割の部分です。一つ目の○ですが、 これまで地域であった相互扶助の機能がだんだんなくなってきているという 記述でございますが、地域によっては案外残っているというところもあるとい うご指摘もございましたので、このようにさせていただいております。読み上 げます。(以下、資料2のP12の上から3行目から8行目まで読み上げ)  上から三つ目の○ですが、「新たな公」というところの説明を加えさせてい ただいております。(P12上から三つ目と四つ目の○を読み上げ)  次に13ページ目の一番上の○ですが、市町村が公的な福祉サービスの適切 な運営に務めるという、それの基本的な役割を入れさせていただいております。  また、そのおしまいの部分ですが、地域における多様な生活課題に応えるた めには、住民の地域福祉活動と公的な福祉サービスとのつながりを良くしてい くのも、市町村の重要な役割であるという形で、市町村の役割に言及させてい ただいております。  次に14ページ目ですが地域の生活課題に対応するという中の、(予防、早期 発見、早期対応)の部分でございます。下から二つの○ですが、前回ご指摘の 中で、住民が気づいて、それを問題共有化し、専門的な対応が必要な場合には 公的な福祉サービスにつなげていくという、シームレスな動きが大事であると いうふうにご指摘をいただきましたので、修文をさせていただいております。  また、周りからのかかわりを拒絶する場合をどうするか、こういう問題もご 提起をいただきましたので、ここで言及させていただいております。(P14の 予防、早期発見、早期対応の二つの○を読み上げ)  次に15ページ目です。ネットワークで受け止めるという項に新たに近隣の 関係を入れさせていただいております。これも前回会合以降いただいたご意見 に基づいてのものでございます。(P15の近隣の関係の三つの○を読み上げ)  次は16ページの地縁団体と機能的団体の部分ですが、注7として、PTA に言及をしております。(注7を読み上げ)  次に17ページ目ですが、上から一つ目の○でございますが、ここで「住民 の福祉活動と公的な福祉サービスがうまくつながるよう」という文言を入れさ せていただいております。  それから17ページ目の下の2行ですが、「また、人々のつながりができ、地 域のまとまりが高まると、自殺や非行など、いわゆる逸脱行動が減るといわれ ており、地域社会を再生することは、現代社会の病理現象に向けられた一つの 有効な解答でもある」といった文言を入れさせていただいております。これも 前回の会合でのご指摘を踏まえたものでございます。コミュニティとしており ましたが、地域社会というふうに言いかえをさせていただいております。  次に19ページです。地域福祉を推進するために必要な条件とその整備方策、 これは前回、「必要な条件」と書いておりましたが、よくよくみてみますと、 そこここに整備のための方策を書き込んでございますので、それを明らかにす るためにタイトルもこのようにさせていただいております。  その次の文章も新たに、また、そのような条件を整備するためにどのような 方策があるのだろうかという文章を書き込ませていただいております。  それから同じ19ページ目の下から二つ目の○です。地域の生活課題発見の ための方策があることの中で、「さらに、発見したニーズを再び潜在化させな いため、解決すべき課題としてとらえ、共有し、解決に向かう仕組みがあるこ とも重要である。」これは前回以降いただきましたご意見に基づくものでござ います。  次に21ページ目、下から二つ目の○の部分です。地域福祉のコーディネー ター、前回は単にコーディネーターというふうに言っておったのですが、後ほ どボランティアのコーディネーター等も出てまいりますので、ここでは地域福 祉のということで、明確化をしております。  次は22ページ目です。5のところです。前回、「担い手について」というタ イトルをつけてございましたが、この内容としては核となる人材のことでござ いますので、それを明確化するためにタイトルをこのようにさせていただいて おります。  それから23ページ目の上から二つ目の○ですが、ワーク・ライフ・バラン スの部分でございますが、以前、団塊の世代しか書いてなかったんですが、働 き盛り世代につきましても地域での活動への参加というのがあるだろうとい うことで、働き盛り世代を入れさせていただきました。また、以前フラットな 関係と、英語を使っておったんですが、よりわかりやすくということで、水平 な関係というふうにさせていただいております。  次に24ページ目です。市町村の役割の部分でございます。上から三つ目の ○でございますが、前回の会合でいただいたご意見、またその後のご意見も踏 まえまして、市町村の財源確保につきましても言及をしております。三つ目の ○のおしまいの部分ですが、「市町村はそのための財源を確保すべきであり、 また、国においても、市町村が財源を確保できるよう支援が求められる。」  次は25ページ目ですが、地域がもっている負の側面の部分でございます。 ここは文章を整理させていただいただけでございまして、内容は特に変わって ございません。  次に27ページの既存施策の見直しの部分でございます。27ページの上から 四つ目の○ですが、個別施策、なぜこういった個別施策かということで、若干 説明を加えさせていただいております。「地域福祉に関連する社会・援護局の 既存施策として、レビューを求められた個別施策については次のとおりであ る」とさせていただいております。  それから28ページ目、社会福祉協議会について、地域福祉関係団体という ふうに言わせていただいております。  それから29ページ目です。地域福祉計画の部分でございますが、その見直 しの方向性の29ページ目の一番下の部分でございます。「さらに、市町村内で 圏域を設定した場合、圏域ごとに「地域福祉計画」を策定し、市町村地域福祉 計画に位置づけるべきである。」ここで、地区というのはどのような範囲かと いうことにつきまして、誤解を受けるといけませんので、前回以降いただいた ご意見の中にそのようなご意見もございましたので、ここでは下線部をつけ加 えさせていただいております。なお、前にも述べたように、圏域の具体的な範 囲については、考え方は一つではなく、地域の実情に応じて設定されるべきで あり、また、圏域は重層的なものであることに留意すべきである。  次に33ページ目の民生委員の部分でございます。下から二つ目の○でござ います。前回以降のご指摘を踏まえまして、このようにさせていただいており ます。(以下、資料2のP33の上から5行目から下から2行目まで読み上げ)  次に36ページ目、ボランティアの部分です。先ほど、近隣の関係のところ でも申し上げましたが、日常のおつき合いの中で行っている活動についても、 ボランティアとして位置づけることもできるんじゃないかという、こういうご 指摘を踏まえまして、つけ加えさせていただいております。36ページ目の上 から一つ目の○でございます。(以下、資料2のP36の上から2行目から上 から6行目まで読み上げ)    また、見直しの方向の中でも言及をしております。見直しの方向の二つ目の ○でございます。(以下、資料2のP36の下から1行目から13行目まで読 み上げ)  その次の○でございますが、ボランティアのマッチングのためのコーディネ ーターの配置が必要ではないかという、こういうご意見を前回以降いただきま したので入れてございます。「マッチング機能を強化する必要があり、そのた めのコーディネーターの配置の推進も必要である」という形で入れさせていた だいております。  次に39ページ目です。社会福祉協議会の部分です。主な修正点といたしま して、下から三つ目の○、前回以降いただいたご意見を踏まえまして、行政と の関係を書いてございます。「あわせて、行政との関係についても、行政と社 会福祉協議会の新たな連携、協働のあり方を探る必要がある。」  それから同じページからその次のページにかけて、社会福祉協議会の名称で ございますが、ここも前回以降いただきましたご指摘を踏まえて若干変えさせ ていただいております。「名称についは、新しい地域福祉推進に役立つ組織で あることを明確にするため検討する必要があるという意見があった一方、名称 の検討は、組織機能の見直しの結果、必要があれば行うものであるという意見 もあった」ということでございます。  それから45ページ目、共同募金の部分でございます。共同募金の現状につ いて説明をしている部分、上から三つ目の○でございます。配分額全体の60% が社会福祉協議会にいっているということで、その60%はすべて社会福祉協 議会の活動にいっているかのように誤解されるといけないというご指摘があ りましたことを踏まえまして、若干書きかえさせていただいております。「配 分額全体の約60%が社会福祉協議会及びそれを通じた住民活動やボランティ ア活動への支援」という形にしております。  それから最後のページ、46ページ目でございます。これも前回以降ご指摘 がございましたので、若干変えさせていただいております。一番最後の○です。 (以下、資料2のP46の下から34行目から一番下まで読み上げ)  以上が前回の会合及び前回以降いただきましたご意見を踏まえまして、修正 をさせていだたいた部分でございます。よろしくご審議をいただきますようお 願いいたします。 ○大橋座長  各委員から出された意見を踏まえて、全体の整合性をとった形でかなり修文 をしていただきました。本当に事務局、ご苦労さまでした。ありがとうござい ました。  時間の関係で資料等も説明をいただきませんでしたが、例えば資料の3です が、これは今後、報告書をつくって作成する際に、多分こういうものが入って くるかと思いますが、例えば、それの6ページで重層的な圏域設定のイメージ というもので掲げてございます。どうしても我々は報告書の文章の方に目がい きますが、こういうものもイメージしながら、地域なり圏域のとらえ方を重層 的だというのはこういうことだということをぜひ頭に入れておいてほしいと いうふうに思いますし、あるいは3ページ、これはもう既に前の時にも使わせ ていただきましたが、我々ついつい気軽に中学校区と言いますが、どういう現 状にあるのかということをかなりわかりやすく、どういう資源があるのかとい うことを書いていただいてるわけですね。  資源並びに地域にどういう生活問題があるのか、つまりこういうことをいつ も頭に入れながら、地域のイメージをしておきませんと、自分の都合のいい時 だけ地域というわけにはいかないというような点でも、大変重要な図ではない かと、思っております。資料3はなかなか説明する時間もございませんが、そ れらを視野に入れてご意見があればいただきたいというふうにと思っており ます。  まず最初にテーマですが、前回今田委員から言われて、住民による新たな支 え合いの姿を求めてと、こういうふうに事務局(案)として整理をしていただ きましたが、これはいかがでしょうか。これの方が確かにわかりやすい。住民 による、住民の主体性ということが一つ出てくるということと、それからこれ からの地域福祉のあり方ということが見えているという、そんな思いもします が。後ほどこれは最終確認をさせていただきますので、ぜひ考えておいていた だければと思います。  それでは目次に基づきまして、前回と同じようにI、IIを最初に、それから III、IV、V、VIというふうに進めていきたいと思いますが、最初にI、IIの部 分で何かご質問、ご意見はありますか。  例えば先ほどちょっと時間の関係で、説明されませんでしたが、10ページ のところで、どうしても我々高齢者とか障害者の方に目がいきがちだというこ とで、意識して子どもの問題をこの間言ってまいりましたが、上から二つ目の ところの(次世代を育む場としての地域社会の再生)という、子どもも地域で 育てていくんだという、そういう意味で地域社会の再生という言葉を入れさせ ていただいているというようなことでございます。 ○木原委員  団塊世代や働き盛り世代にとって地域活動への参加の意義を自己実現志向 との関連で記述されてありますが、企業社会でずっと生きてきた方たちにとっ て、今流行っている社会的企業とか、コミュニティビジネスといった、ボラン ティアとビジネスの中間帯のあたりが以外と馴染めるのではないか、そういう 入り口をたくさん用意しておくことが、彼らが自己実現を図っていくためにも いいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。   ○大橋座長  今の問題は後に団塊の世代のところに、働き盛りの世代とこう書いてござい ますが、23ページのところで書き込むか、いわばそういう人たちが地域への ソフトランディングがどうなのか、自分の能力を生かしたソフトランディング という意味での書き込みをどうするかということですが、検討させていただき たいと思います。他にはいかがですか。 ○金井委員  何点かあるんですが、一つは2ページ目の一番上のところなんです。「公的 な福祉サービスは質、量とも飛躍的に充実した」と書いてあって、確かに福祉 政策コミュニティの方はこういうふうな感覚をお持ちなのかもしれませんが、 外部の人間からいうと若干違和感があるというのが正直なところでありまし て、いろいろ格差社会であるとか、様々な新たな貧困の問題とかが出ている中 で、果たしてこういうふうに書き切ってしまうことが妥当なのかどうなのか。 ちょっと違和感があるなと思います。  まあそういう努力をしているということはそのとおりですし、制度はいろい ろつくってきているということはそのとおりです。しかしそれを越える環境の さらなる悪化に追いついてないんじゃないかという方がむしろ社会的実感な のではないかなということが一点目であります。こういうふうに書いてしまう と、もうできたけれども、ちょっと残っているところだけ地域福祉でやろうと いう感じになるのですが、果たしてそうなのかというのは若干疑問があります。  それから第二点目として、それに近いわけですが、4ページに、これまでの システムとして家族と企業というのがあったわけですが、ここのとらえ方が、 やはりもっと深刻に書いた方がよいのではないかなと思います。核家族化とい うのはむしろ戦後あったことでありまして、さらに核家族より単身であるとか、 あるいは形式的に家族であっても、引きこもりの問題であるとか、家族自体が 世帯として機能しない場合がかなりあるとか、あるいは終身雇用の方も、単に 個別企業の経費節減だけではなくて、失われた世代のように、そもそも世代と して雇用の機会がかなり崩壊していたとか、そういう問題がかなり深刻な環境 をもっているんじゃないでしょうか、そういう意味ではもうちょっとここがよ り地域福祉の環境要因としてはかなり大きく扱えるんじゃないかなという印 象をもっております。  それから第三点目に、5ページの近年の福祉制度改革なんですが、生活保護 についてはやはり書くべきではないかと思います。今回9ページのところに注 として、低所得者の問題で自立支援的なプログラムが出てきているとか、あと 8ページの冒頭、被保護世帯に対する、まあ自立支援の強化という話では出て きているわけですが、少なくとも地方自治体のところで生活保護が出てくると いうことになれば、様々な国と自治体との間における費用負担をめぐる問題で あるとか、あるいはどのように行われているのか、どうなのかという実施に対 する相互不信のようなものがあって、かなり深刻な福祉制度上の問題を秘めて いる。  特に市町村の機能が大きくなるというところであるにもかかわらず、生活保 護に関しては、厚生労働省の見解と、全国市長会であるとか、あるいは自治体 の現場の見解がかなり大きく乖離して、いろいろとその協議会自体も十分な結 論を得られなかったということもあったくらいですから、ここのところをやは り厚生労働省としては触れにくいかもしれませんが、一定の問題がかなりあっ た、また現在も協議の進行をしているというふうに伺っておりますが、少なく とも私としてはそこはやはり地域福祉を考える上では避けて通れないのでは ないかなと思いますので、触れるべきと考えています。いささかもう三回目に なって事務局の方もしつこいと思っていると思いますが、一応やはり最後の場 面ということで触れさせていただきました。以上です。 ○大橋座長  ありがとうございました。まず、公的福祉の拡大の問題については、多分趣 旨は金井委員と変わらないので、表現の仕方を少し変えてみるのかなという気 がしますが、公的な福祉サービスは拡大したのは事実ですね。だけどその拡大 してきたサービス、制度だけでは十分対応できない問題があるというものの、 例示が墓参りだとか電球の交換とかというふうに、少し限定し過ぎているとい う指摘だというふうに受けとめてよろしゅうございましょうか。その辺の書き ぶりをどうするかということですね。  二つ目の家族や企業という、4ページのところは、具体的にはどういうふう になるんでしょうか。非正規雇用の問題だとか、終身雇用問題だとか、要する に企業内福祉ではうまく対応できなくなってきていて、家族と企業でやってい たものが外部化しているということをもう少し書き込んだ方がいいというこ とでしょうか。日本の場合には企業内福祉ということがかなり進んでいました ので、その部分の限界がひじょうにみえてきたということをもう少し強調した 方がいいということでしょうか。  それから9ページのセーフティネットの問題については、確かに大きい問題 ですね。歴史的にみて救貧システムの延長と考えるのか、新しい社会システム から生活保護問題とか、最低生活保障を考えるかという、かなり大きな問題に なると思っていますが、どういう書き方をしたらいいでしょうか。 ○中村局長  どうもありがとうございました。金井委員からは前にも生活保護について触 れなくていいのかというご指摘がございました。生活保護については、私ども 最初のご指摘をいただいた時に思いましたのは、市町村の役割として、公的福 祉サービスなり、そういうものとして市町村の責任があるということの一例と してあげられたものではないかなというふうに考え、それで受けとめさせてい ただきました。  ですから全体のトーンとして、この資料3でみていただいてもおわかりいた だけると思いますが、我々の認識としては、公的な福祉サービスがあって、そ れと地域における共助というものがあって、公的な福祉サービスは制度の枠や 専門的なサービスや税及び保険料財源などがあって、ひじょうに固い制度とし てある。しかし、地域の生活課題は様々なものがありますし、制度外のニーズ、 制度の谷間にあるものへの対応とか、社会的排除、複合的なニーズ、またなか なか地域で生活している人にしか見えないニーズ、そういったものがあるので、 そういうニーズをまずは共助というところで受けとめながら、市町村としては 公的な福祉サービスについて、運営やマネジメントいう役割もありますし、ト ータルに地域の共助についても基盤整備とか、条件整備という果たす役割があ る。すなわち圏域の設定や地域福祉計画、基盤整備などです。こういう頭の整 理の中で、当然公的な福祉サービスの最も基盤として生活保護制度があるとい うことなので、そういう整理で考えてきたというのが第一点でございます。  それから第二点は、本文の7ページ以下の近年の福祉施策の方向性というこ とについて論じているのは、その近年の福祉施策、例えば措置制度であったと か、そういったものから、あるいは市町村中心の仕組みに1990年以来の福祉 改革、あるいは2000年の介護保険制度改革、2005年の障害者自立支援法の改 革など、そういう中で地域、いわば公的サービスの方も地域密着型、あるいは 地域で受けとめるということ、あるいは旧来の福祉の枠組みから新たな支援の あり方、自立支援の強化とか、そういうところに変わってきているんだという 変化の面を取り出して書いているつもりであります。  そういったことで、前回生活保護についての動きも触れるべきではないかと いうお話がございましたが、生活保護制度で大きく近年取り組み出したのは、 自立支援プログラムでありますので、それを書いたということであります。実 はこの研究会では、私ども生活保護制度の見直し自体が主要なテーマではない と思っておりましたので、あまり言及していなかったということです。  あとはその生活保護制度については、三位一体改革の中で金井委員がご指摘 にありますように、知事会、市長会等、私どもと議論などは重ねてきておりま すし、一つの決着としてとりあえず適正な生活保護の運用については、国も保 護の実施団体も努力していこう、それで成果が上がらない場合にはまた協議を しよう、また知事会、市長会の方と私どもと協議続行しようということについ ては、合意をいただいておりますので、そういうことを念頭においた上で、改 めて生活保護について記述する必要はそうないんじゃないかと考えておりま すが、いかがでしょうか。 ○大橋座長  私も生活保護そのものの重要性はわかるけれども、ここの研究会の課題では ないという意味では、全く今の局長の考え方と同じなんです。ただ、どうでし ょうか。9ページにこういう社会的排除になりやすいということで低所得問題 も入れているので、それはそれでちゃんと配慮している。しかも7ページ8ペ ージの近年の政策の方向の中で、障害をもった人たちもやっぱり自立しながら 地域で暮らしていく、あるいは社会福祉法の第4条の理念という意味では、全 体的な方向性の中にやっぱりその低所得の方々も含めて地域で暮らしていけ るような、そういう文言を考えるということが一つ金井委員の趣旨としてはあ る意味ではわかるかもしれないなということですが、この辺の全体の流れをも う一度見ながら、ちょっと修文しないといけないのですが、趣旨はそういうふ うに受けとめさせていだいて、考えさせていただければと思っております。改 めてここで何かそのことを項目的に起こして云々ということは、やや研究会の 趣旨からいくと難しいかなということだけはご理解をいただければと思って おります。 ○清原委員  市町村として、法定受託事務として生活保護制度を担当しつつ、就労支援な どの自立支援をしている立場としては、先になって恐縮ですが、24ページの 最後の○というのは私たちにとっては大変重要な○だと受けとめておりまし たので、申し上げたいと思います。つまり、一番後の行に、「低所得のものに 対する必要な支援は行政の基本的な役割である」と、このような記述がござい ました。  私としても金井委員と同様に、生活保護制度をはじめとするセーフティネッ トというのは、基礎自治体が国の法定受託事務といえども、市民の皆様に求め られているところでございます。今回この報告書の流れの中ではそこに深くは 言及されておりませんが、すべてを共助に求めるのではなくて、低所得者に対 する必要な支援、あるいは社会的排除の対象となりやすい者への対応について は、きちんと「行政」がすべきであると思います。  この「行政」に必ず国が含まれていると私は確信しておりまして、地域福祉 だからといって、市町村だけではないから、「行政」という表現をしたのでし ょう。例えばここに生活保護制度などをはじめとする行政の基本的な役割であ ると入れていただいてもいいのかもしれませんが、24ページにこの記述があ るということは、私も金井委員同様の問題意識を持っていなかったわけではな いのですが、この段階においてはこの記述を重く受けとめ、もし必要であれば、 それに今申し上げましたような補強をしていただくことでしのげるかもしれ ないなと思っております。 ○大橋座長  ありがとうございました。8ページの先ほどのところで、社会福祉法の第4 条の理念をつけ加えて、福祉サービスを利用している人たちも地域社会の一員 だというような趣旨のことを、その中に低所得者の問題も含めて考えるという ふうな、それを排除していかないというような考え方が施策の方向で出ている よというようなことで確認をするということと、それから今24ページのとこ ろをどうするか、これは事務局と相談をしたいと思います。したがって全く入 ってないわけではないということでご理解をいただければと思います。ただ、 それが今回のメインの課題ではない、つまり、新しいことの制度設計そのもの を全体を見直すとか、そういうことの状況ではないということだけはご理解を いただければというふうに思います。他にはいかがでしょうか。 ○今田委員  随分新しいイメージがして、今までの福祉との違いというのが出てきている ように思うのですが、ちょっと注意した方がいいかなと思うのは、その書きぶ りのところで、特に個別にどうというよりも、I、IIのところの書きぶりなん ですが、要はこれを読んだ人は行政の手が届かない福祉サービスの提供ないし 公的な福祉が手の及ばないことに関して、とても重要な地域の福祉の課題があ るので、それに関しては住民の自発的な支え合いいうものを大事にして、共助 というものをきちんと確立できるように頑張りましょうというふうに書かれ ているんだと思うんですね。  その根拠として、みんな何も自己利益ばかり追求するんじゃなくて、他者を 支援することによって自己実現するし、相互実現もできるというふうな意識の 高まりがある、ここまではいいと思うのですが、ちょっと何となく、もう公的 サービスでできないのがあるから、皆さんやってくださいよというふうに、行 政がその責任が持てないから、皆さんの力でというふうなイメージが何となく 出過ぎていて、もう少し住民と行政とのパートナーシップというのが、この絵 を見ても一応パートナーシップみたいなイメージをされているんだと思うの ですが、もうちょっとパートナーシップというイメージが出るとよいんじゃな いかと思います。  それで特に例えば2ページの下から三番目の○のところで、専門的な対応を 必要とする問題が住民によって発見されても、それが行政や専門機関につなげ られずという、その対応がおくれてしまって、制度へのアクセスの問題という のが書かれていまして、それは大きな問題だと思うんですが、いろんな公的に やらざるを得ない面もあるわけですから、そこへつなぐ、アクセスするという そのあたりがとても重要な課題なのであって、共助で全部済んでしまうわけで はないので、まさにそういう中で見い出されたいろんな問題を専門的な方へつ なぐ、ないしは公的な福祉の方へつなぐという、その役割がパートナーシップ でもあるわけで、もちろんお金を出すというのもありますが、予算をつけると いうのもありますが、そのあたりのイメージをもう少し出されて、やっぱりも う住民に委ねるのではありません、責任放棄するのではありませんという覚悟 はちゃんとイメージとして出るように、もうちょっとパートナーシップのとこ ろを強調されるといいんじゃないかと思います。 ○大橋座長  はい、ありがとうございました。冒頭述べましたが、つなげる機能というの はかなり意識して今回書き込んでいただいているんですね。行政と住民とのつ なげる、あるいは福祉サービスを必要とする人が必要なサービスにつながって いるかどうかという福祉アクセスビリティの問題とか、ですからもう少しこの 辺のことの文言は少し整理をさせていただきたいと思います。  例えば今のことで言うと、先ほどの金井委員の意見ともなるのですが、8ペ ージの例えば公的な福祉サービスだけでは対応できない生活課題、その前後の 文章を読むとよくわかるのですが、ここだけに強く反応しちゃうと、何だとい うふうなことも言われかねない部分はあるし、その上の部分もそれぞれの分野 において公的な福祉サービスが飛躍的な発展を遂げていた、しかしと、こう言 って、遂げてきたと言えるという、先ほどの金井委員の意見もあるので、この 辺の問題は少し本当に飛躍をしてきたんですよ。  飛躍をしてきたけれども、また新たな課題も出てきて、それはそれで行政も 頑張っている、だけど行政だけではできないので、行政と住民が協働しないと やれないよという、そのニュアンスは皆さん同じなんだろうと思うので、そう いう文意で少し整理をさせていただければ、大体皆さんの意図するところは納 得いただけるかなというふうに思っています。他にはいかがでしょうか。 ○榊原委員  今のご意見に関係するところもあるので一言お許しください。2ページのと ころで、先ほど、これは金井委員のご意見ですね。一番上の方の行で「公的な 福祉サービスは質・量とも飛躍的に充実した」と書いてらっしゃるところ、こ れは事実でもあり、半分事実でもなしと私も思うのは、その分野にひじょうに 偏りがある、「高齢者の分野などでは」というのをつけていただければ全くそ のとおりであるし、その他の分野をみると違うという感じなので、一定の分野 では、「高齢者の分野では」というふうにつけていただいた方が、今後の課題 を整理しているところなので、課題が明確になるのではないでしょうか。  今、日本の社会保障の制度の中でも、高齢分野とそれ以外の分野との配分の 偏りが大きすぎというところが課題にもなっているところなので、それがわか るような記述にしていただいたらいいなと思いました。  もう1枚めくったところの上から二つ目のパラグラフのところで、「こうし た中で、今後我が国における福祉のあり方を考える際、地域における身近な生 活課題に対し、住民の支え合いによって対処する云々が課題になっている」と あるのですが、先ほどのご意見にもあったように、住民の支え合いによってど うこうすることが大事というのは、それはそれでそのとおりなんですが、やっ ぱりその住民だけに頑張ってねというのではなくて、行政と住民の協働とか、 行政と住民の協力、コラボレーションや住民の支え合いによってという感じに できないでしょうか。行政も,広く言えば地域福祉のプレーヤーの一人なわけ ですから、何も住民だけと行政を深い溝をつくって仕切る必要はないはずです。 その中で特別な役割をもっているプレーヤーの一人という意味で、行政にも住 民とかかわっていってとか、行政もその地域福祉の担い手の一つとしてという ような位置づけに、明確に入れていただいた方がいいなと思います。特にはじ めの部分は何を言いたいレポートなんだろうということで読まれると思いま すので、ぜひ入れていただきたいなと思います。  そういった考え方をよりわかるようにするためには、資料3の概念を新しい 地域福祉の概念と整理していただいた図の方でも、もうちょっと言葉を足して いただいてもいいかなと思っています。真ん中の住民主体と書いてあるところ と、右側の公的な福祉サービスのところに重なっている部分がある、重なって いる部分にでも双方向に矢印があるのは、専門サービスの橋渡しの一点だけな んですね。  ここがすごく大事になっていて、今、潜在能力として地域の中で眠っている 人たちを起こすためには、やはり立ち上がらせる、起こす、エンパワーするた めの働きかけとか仕掛けなどが相当必要なわけで、それがここが右側と真ん中 の○の交わっているところの大事な役割だと思うんですね。  そこに例えばもう既に始まっていますが、行政からの情報提供をもっときち っとするということ、それから住民側からの相談、これは住民から右側の方に 矢印になると思うんですが、SOSの発信、またはいろいろな情報提供という ことにもなると思うんですが、相談や情報提供という形でもかかわりあう、そ れに対してまた行政の方から住民の側へというような、矢印が複数、右と左に 行き来するべきところもあって、そこに専門家がきちっとかかわっていくとい うところを入れていただきたいなというふうに思いました。 ○大橋座長  3ページの部分の行政と住民の協働によるという文章も、趣旨はもうあちこ ちに書いてあるんですね。行政に任せっぱなしじゃなくて、きちんと配慮しな さいよ、だけど行政だけではできないから、その協働のもつ意味というのも、 もう一度この機会に見直してくださいというのをあちこち書いてあるので、全 体のことを考えながら少しずつ検討したいと思います。確かに2ページのとこ ろも、さっき金井委員の言われたことを考えるということも含めて、少し検討 したいと思います。  他にはいかがでしょうか。大体I、IIのところはよろしゅうございましょう か。多分皆さん言っていることは間違ってないので、あとは表現をどうするか ということかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。それでは 大きな柱のIIIのところへまいりたいと思いますが、12ページから25ページぐ らいの間でいかがでしょうか。 ○清原委員  この第III章で「地域福祉の意義と役割」について、いろいろまとめていただ いているのですが、これはIVとの絡みも出てくるかもしれません。13ページ の最初の○に「重要な地域における多様な生活課題に応えるためには、住民の 地域福祉活動と公的な福祉サービスとのつながりをよくしていくことが市町 村の重要な役割」としてあるのと関連して、16ページにも、一番上のところ で、「問題を例えば近隣にとめることなく、専門機関や行政の必要なサービス につなぐことが必要である」ということで、キーワードとしてこの第IIIの部分 には「つながり」ということが強調されています。先ほど榊原委員もI、IIに 絡んでおっしゃったんですが、こうした「つながり」を円滑にしていくために は、例えば17ページにも同じように二つ目の○に、「行政の側でも住民の福祉 活動と公的な福祉サービス等がうまくつながるよう」というところが補強され ているように、やはりそれを本当につなげることができる「情報共有の仕組み」 が必要であると思います。  ところが今回私も見落としていて大変申しわけなかったんですが、IIIのとこ ろにこうした「つながり」が補強されるとなると、次のIVの21ページ以降の 「条件整備」に、「拠点性」と「コーディネーターの必要性」と「活動資金」 までは書かれているんですが、「情報基盤」というか、「情報を共有するための 環境整備」について記述しておかないといけなかったのではないかなと思いま した。  先ほど、「協働」という概念、「パートナーシップ」という概念がIとIIの中 で通底するキーワードとして再確認されたわけですが、とりわけ住民の皆様と 行政が協働していく時に重要なのは、「目標の共有」と「情報の共有」であり、 それがなければどうしても情報量の多い行政と住民の皆様との間での「パート ナーシップ性」「対等性」というのが保てなくなります。  特に住民の皆様やボランティア団体の皆様は、気後れ感とか、そうしたもの が生じやすいので、私はこれがIV章のところで強化された方がいいのか、前倒 しでIII章のところできちんと書かれていった方がいいのか、その場所の提案は 今具体的にできないのですが、ぜひ「情報共有のための仕組みづくり、基盤づ くり」ということを記述していただければと思います。もちろん市町村にその 第一義的な責任はあるかと思うのですが、様々な活動をしている皆様が、情報 基盤を共有するという形を提案できればなと思います。  それからもう一点、16ページのところに補強していただいた注釈がありま す。7という注釈のところで、PTA活動の位置づけが明記されました。これ は私も常日ごろ痛切に感じているところでございまして、事例としても、PT A活動から地域の青少年問題対策や、あるいは子育て支援や、あるいは高齢者 支援へと活動が展開されている例もあります。あわせて教育行政の中では、三 鷹市も実践しておりますが、「コミュニティスクール」という形の運営が始ま り、そこには保護者であるPTAの皆様以外に地域の方も入った学校運営協議 会を開設する自治体も増えております。  これは教育委員会マターなので、私は発言を遠慮していたのですが、私とし ては、ここはあまり教育分野に内容を広げてはいけないかもしれませんが、P TAを初め、今後のコミュニティスクールの運営など、地域のメンバーが総合 的に地域福祉に関わる気運があるようなことを補強していただくと、ありがた いと思いました。 ○大橋座長  どうもありがとうございました。PTAの部分はやっぱりそれ自体がメイン ではないので、学校評議会等のあり方というと、今文科省がやっている地域教 育支援対策本部の問題などにいろいろ触れなくてはいけないので、ここはあく までも地域活動をやっていく際の一つの大きなきっかけだという意味で取り 上げているということと、それからPTAも含めて地域で子どもを支える、そ ういう意味での地域再生のもつ意味ということで書かれているということで ご了解いただければと思います。  前者の方はかなり前回意見がありまして、情報アクセスビリティだとか、I Tの問題を含めて、論議があったのですが、16ページの下から二番目の情報 や企画の交流だとか、こういうところがあるので、この辺で少し膨らますこと ができれば膨らますというふうなことで、趣旨は全く異論はなく、皆さん思っ ているかと思いますので、今ちょっとどこに入れたらいいかわからないので、 さっと思いつきでここがそうかなと思ったので、検討させていただきたいと思 います。 ○和田委員  12ページの三つ目四つ目のところに関連するのですが、活動の担い手にな るだけではなくて、公共決定にかかわることも「新たな公」としての性格を強 めるものであるとなっているところなんですが、今お話があったような、その 「新たな公」ということ、情報の共有の仕組みづくりというのはひじょうに重 要だというお話があったんですが、私はその活動の計画づくり、公共決定がそ ことひじょうに関連するというだけではなくて、この運営参加というのをやは り入れておく必要があるんじゃないかなと思っています。  公的な、あるいは専門的なサービスなどとつなぐだけではなくて、そこに住 民あるいは地域が参画できる仕組みをつくっておく、それがどのように行われ ているのかということや、いろんな意図を反映させる上でも重要だと思います し、またそういうことを通じて、住民主体そのものも育っていくんじゃないか という意味で、そこを少し補強していただければと思います。 ○大橋座長  ありがとうございました。確かにそうですね。住民が何か行政から依頼され てやるというんじゃなくて、公共的な政策決定にかかわると同時に、その計画 の進行管理だとか、あるいはいろんなサービスの運営等に参加をしていくとい うようなことも少し含めて、責任をもつということを考えてほしいという、協 働のあり方の中身の問題ですね。コラボレーションの中身として、情報の共有 化、あるいは政策決定の参加、あるいはサービスの運営に関する参加、そうい うことをもう少し強調したらどうかということですね。  今田委員にお聞きしたいのは、17ページから下にあって、前回いろんな自 殺の問題も含めてあったんですが、少し言葉だけなんですが、昔私どもが若い ころは社会病理学というのがあったんですが、今社会病理学というのはあるの かないのかよくわかりませんが、社会病理学とか病理現象という言葉は使って いいですか。文言としていかがですか。 ○今田委員  社会病理というのは、社会医学辞典を引けば必ず出てきますので、使うこと には問題はないんです。ただ、どういうコンテキストで使うかによるんです。 例えば都市化が進んで、いろいろ人の顔が見えない、隣はどういうふうなこと をする人かわからないということで出てくるものとか、薬物使用とか、そうい うもので使うケースが多いですね。  あとはカタカナになっちゃいますが、アノミーというのがより一般的で、 ア・ノミアですから、ノルムがないという、規範喪失状態というふうに言われ ていて、それは何で病理現象と近いかというと、要するに社会規範があるんだ けれど、それが人々の行動行為をきちんとガイドするような機能も果たせなく なっている。そういう意味でノルムがない、あるんだけれども、実質形骸化し てしまって有効に働かないという、だから多分そっちの方がより一般的で、病 理となるとかなり個別的になって、犯罪とか薬物使用とか、そういうふうにな りますから、その辺どうなんですかね。アノミーというのはちょっと一般には なじみにくいかもしれません。 ○大橋座長  ちょっとノーマライゼーションとかいろんな考え方が出てきている中で、自 殺とか非行などを取り上げていて、これはひじょうに大きな社会問題ではある のですが、それを社会病理現象とか、現代社会の病理現象という言葉でいいか なというのがちょっと気になったものですから。 ○今田委員  非行とか自殺とかという時は、病理現象とは余り言わない方がいい。アノミ ーの方が、無規制状態というんですかね。要するにどっちの規範ルールに従っ ていいか、大きく社会が変わる時、古い旧規範と新しい規範があって、昔のや つに従っていたんだけど、これがだめになってきて、新しい規範に従わなけれ ばいけないんだけど、途中経過でどっちに依拠すればいいかわからなくなって、 おかしくなるという、そういう方がいいかなという感じはします。 ○大橋座長  ここは現代社会が抱えている様々な問題を解決するための一つの有効な解 答であるというふうに素直に書いていたものがあればいいかなという感じが します。また事務局と相談をさせていただきます。 ○清原委員  今のテーマと違うのですが、和田委員のご発言に触発されて、I、II、IIIの 流れの中で具体的な例をお話しした方がいいかなと思うのですが、例えば私た ちは障害者の皆様によるピアサポートというのを進めています。精神障害者の 方が精神障害者の方のサポートあるいはカウンセリングをするとか、あるいは 身体障害者の方が中心となったNPO組織が地域自立支援センターや、あるい は就労支援センターを運営するとか、つまり、先ほど「運営においても協働と いうことを強調してよいのではないか」という和田委員の発言に関連して、住 民というのは必ずしも障害者でない人、あるいは若い人だけではなくて、高齢 者が高齢者の傾聴ボランティアをするとか、障害者当事者が他の障害者を支援 するとか、それこそがここで今回表現されている「誇りをもち自己実現してい く」という事例だと思うんです。  ですから協働といった時に、いわゆる健常者が障害者施策の参加をするとか ということだけではなくて、当事者参加ということがありますので、それが今 回初めて込められた「当事者力」という表現の中にも、何らかの生活課題に直 面している当事者その人がまさに自己解決というか、そういうことに結びつけ ていくようなことも含まれていると思います。  それから子育て支援でいえば、三鷹市の中では子育て中の親の皆様が、例え ば三鷹市のホームページから入れる「子育てネット」の運営をしてくださって いたり、あるいは子育てに関するサポートシステムに関係するNPOを立ち上 げたりしてくださっていますので、この辺の事例を今日お話しすることで、I、 II、IIIのつながりと、それから当事者力というようなところに何らかの記述の 補強ができればありがたいと思います。 ○大橋座長  ありがとうございました。とりあえず今の問題は後ほど話をさせていただき まして、IV章V章、19ページから26ページまでのところでご意見がありまし たら、留意すべき事項も含めて、いかがでしょうか。 ○木原委員  この報告書は、これからもっと本格的に地域福祉をやりましょうねというメ ッセージを含んでいると思います。本気でやるんだよということになると、必 要になってくるのが、一つが地域診断じゃないかと思うんですね。  地域が一体どうなっているのか、福祉はどの程度実現しているのか、どこが どういうふうに実現していないのか、といったことを、今はアンケート調査を したり、住民懇談会を開くというかたちで、何となくまとめていますが、そう ではなく、もっときちんと地域を福祉の面から科学的に、総合的に診断してい く、そのツールみたいなものをつくっていく必要があるのかなと思います。  また、地域福祉に取り組んだ後、今度は効果測定ですね。社会福祉協議会の 地域福祉部門のスタッフから、よくこんな嘆きを聞かされます。同じ職場の介 護保険事業部門から、「あんたたち、何の仕事をしているのか、よくわからな い」と言われるのだと。そこで地域福祉活動の成果を数値化していく方法を開 発してあげると、ああ自分たちはこういう結果を出したのだと納得できるし、 自信がつくのではないか。地域診断と活動の効果測定の手法をそろそろ開発し ていく必要がある、ということを指摘しておいたらどうでしょうか。 ○大橋座長  それは先へ飛んじゃいますが、28ページの地域福祉計画ですが、その次の ページの29ページの例えば(2)の地域の生活課題発見のための方策があること、 これがいわば地域診断で、地域診断という言葉を使うかどうかは検討させてい ただきますが、そういうことがありますし、それから先ほど和田委員が言われ たことにも絡むのですが、30ページの(3)のところで、住民が計画の進行を管 理する仕組みをつくるという、つまりこういうところですよね。  公共的な政策の決定の参加だけじゃなくて、それがその後どうなっていくか という、この辺の考え方をもう少し広げようということなんだろうと思います が、したがいまして今の地域診断なり、あるいはプログラム評価の問題もこの 辺のところで膨らませるかどうか、少し検討しますが、趣旨は一応受けとめて 入っているというふうにご理解いただければと思います。  他にはいかがでしょうか。 ○金井委員  IVのところが、環境整備とか、あるいは方策という話で、既に触れられてい ることではあるのですが、25ページに留意すべき事項というところに、やは り地域は大事なんですが、その地域の能力に一定の限界がある。もちろん限界 があるから、その前提として環境を整える。あるいは整備していくという支援 方策という話が出てくるのは当然なので、言わずもがなと言えば言わずもがな なんですが、やはり地域がもっている負の側面とは別に、地域にもできること にやはり限界がある。あるいは無理してやろうとするということがかえって地 域の疲弊を招く。あるいは担い手の疲弊あるいはかえってその担い手不足自体 を加速させているということもないわけではないので、余り地域福祉は重要で あるということはその通りですが、だからといって行政あるいは外部から頑張 れと言ったからといって限界がある。あるいはかえって消耗を加速させるとい うことも少し留意していただければなと思います。ある意味では政府の失敗、 市場の失敗に比喩していえば、やはり地域にも失敗と限界というものがあると いうのは言わずもがなでありますが、もう一回25ページあたりに触れておい ていただければありがたいなというふうに思います。以上です。 ○大橋座長  福祉をやっていると、どうしてもみんな「べき論」になって、すべきだ、す べきだとやるけれど、疲れちゃってということも現実にあることはよくわかる んですが、どういう書き方をしたらいいのか、検討をさせてください。趣旨は よくわかりますが。  この負の側面は、やっぱり日本的な農村の社会構造がつくり出した文化とい うことで、見守りと監視の紙一重のところを、今田委員が言われたことを書い たのですが、何でもかんでも何かひじょうに性善説で過大な地域の期待をして はいけないみたいなことぐらいなのか、それは検討させていただきたいと思い ます。 ○清原委員  24ページの3のところに、「財源」について記述していただいて、ありがと うございました。私たちはいろいろな事業を実行していく時に、市町村であれ、 国であれ、都道府県であれ、あるいは民間の事業者であれ、もちろん運営には 経費がかかるわけですから、この点について明確に書いていただいてありがと うございます。  あわせてそのページの最後の二つの○というところは、大変重要だと思って おります。特に今回、地域福祉について考えるということがあったために、国 という言葉が最小限になっていると思います。より一層、地域の主体的な、あ るいは地域事情に応じた福祉のあり方ということを強調するという意味で、国 ということについて記述が少ないと思うのですが、私はこの24ページの二つ の○というのは、国の役割ということが明確に出てくるとともに、これが極め て重要だというふうに思います。特に下から二つの○に、「国においても市町 村で柔軟な対応が可能となるよう、施策の設計や実施に当たっての配慮が求め られる」とあり、これは極めて重要な記述だというふうに私は思います。  つまり市町村といっても一様ではありませんから、地域事情に適合的で、最 適な地域福祉をまさに住民の皆様、あるいは事業者の皆様とパートナーシップ でしていくには、現状の制度については大変硬いものがございまして、私たち がそれを活用しにくい面があります。  これは高齢者施策についても、障害者施策についても、あるいは少子化対策 についても、そうしたことが言えますので、この2行というのは私たち市町村 の立場からは本当に歓迎すべき2行で、今申し上げましたように、市町村で地 域事情に適合的で最適な地域福祉の実践あるいはコーディネート機能が果た せるよう、制度や運用の弾力化あるいは改善を進めることができる施策の設計 や実施に当たっての配慮ということは、大変短いながらも珠玉の部分だと思い まして、これが重要だと思います。  それを踏まえて、私は、資料3の「行政」となっているところに国も当然入 ると思いますし、都道府県も入ると思うのですが、資料3の表の中に明確に国 という表記がないものですから、地域福祉は地域に任せるよ、これから国はや はり地域の自立性、自主性、分権性を高めるために、特に地域福祉の分野で進 めていくという方向性はよく理解できるとはいえ、やはり全く国の姿がないの もちょっと心細く感じます。といいますのは、制度については実は国会が法律 としてつくられるわけで、私たち自治体がいろいろな制度を運用する時に、や はり国の制度である介護保険制度や医療保険制度というものが大いなる基礎 になっております。  したがいまして行政の中に国がしっかりと入るんです。そのあたりが明確に なって、その上での地域の自立性ということになるのです。やはり国には相変 わらず責任がなくなるわけではありません。もちろん国といっても厚生労働省 だけという意味ではありません。国の政府あるいは国会も含めての、そういう ものがもう少しにじみ出ていれば、ありがたいなと思います。以上です。 ○大橋座長  今の問題、これは24ページの下から二つ目は清原委員が一貫して言った縦 割り行政と包括の補助金の問題等も視野に入れて、こういう書き方をさせてい ただいて、地域包括支援センターとか、そういうものはもっと柔軟にやれるよ うに、自治体で対応できるようにということなんですね。  後者の部分については、例えば国の責任というのは所得保障の問題とか、そ ういうことだとか、基本的な制度設計の基本は国だけれども、今回の地域福祉 というのはやっぱり行政と住民のコラボレーションの部分、所得保障も排除し ているわけじゃないけれども、所得保障以外の対人援助の部分、あるいは生活 のしやすさ、そういうことについて行政と住民のコラボレーションとどう考え るんだということをかなり出しているんです。  だからこの機会に所得保障の問題から何から全部入れちゃうというのと、土 台ちょっと研究会としては無理な部分がありますので、そこは検討しますが、 書き方はひじょうに難しい、全体の整合性がとれなくなっちゃう危険性がある んだということをぜひご理解をいただきたいと思いますね。  だからこの24ページの一番下の方も、低所得者に対する必要な支援という、 この必要な支援の中身というのは、主にやっぱり所得保障の面を中心にしてい るわけですね。それ以外の自立支援というのは、もっと市町村レベルでやれる 部分がたくさんあるんじゃないですかとか、あるいは社会的排除をしないで受 けとめていきましょうよとか、そういうことなんだと思うんです。  従来の社会福祉ってどうしても救貧制度から入ってきた所得保障のところ にずっと目がいっちゃっているけれども、今日はもっとソーシャルインクルー ジョンとか、そういうことも視野に入れて新しい社会システムを考えましょう ということなんで、その辺のところの書きぶりがひじょうに難しいのですが、 今は過渡期で、そこはご理解をいただいた上で、趣旨がどこまで書き込めるか、 事務局を含めて検討いたしますが。 ○中村局長  清原委員がおっしゃっていることは、ちゃんと国も責任をもってやるべきだ というお話だと思いますので、それはまさにそのとおりでございます。例えば 説明する時間がなくて恐縮でございましたが、資料3の8ページをごらんいた だきますと、既存施策の見直しについて、この研究会でもご意見があったのは、 従来の福祉の枠にとらわれず、地域の生活課題という意味では、防犯、防災、 教育、文化、住宅、まちづくりと幅広い分野との連携を図れと、こうおっしゃ っていただいているわけで、それは国のレベルでもそうだし、都道府県のレベ ルでも、市町村のレベルでもそうではないかというふうに思っております。  また、公的な福祉サービスについても、地域福祉の視点に立ちというのは、 この研究会報告で言っていただいた新しい地域福祉を進めてるという観点か ら、制度や運用の弾力、改善を図ると、こう言っておりますので、制度の改善 を図るためには例えば介護保険法で直さなければならない場合には、清原委員 がおっしゃるとおり、法律改正も必要になるかもしれません。  運用の弾力化と言っても、基準についても国が決めている部分が多いわけで すので、市町村が自由にできないというのは、そのとおりだと思いますので、 そういった意味で弾力化改善を図る、本文24ページの下から二つ目で言って いることが、例えば公的な福祉サービスについてもそういうことです。  あと、社会福祉法や民生委員法などで規定されている、私どもの局が所管し ている施策で大変恐縮ですが、そういう既存の地域福祉に関する施策も見直す ということになれば、社会福祉法で地域福祉計画のことも見直さないとできな いことがあるかもしれませんので、そういったことについては、関係者の合意 が得られれば、それをやっていきたいというふうに考えておりますので、この 24ページのところで国という言葉が少ないではないかということですが、書 いてなくても、この報告書をつくっているのは国ですし、国の研究会ですから、 当然それはご心配いらないということでご理解をいただきたいと思います。 ○大橋座長  今の資料3の8ページのところがひじょうに大事だということです。なお、 先ほどの情報のところですが、19ページのところの1の三つ目の○に、住民 が参画し、適切な判断をするためには云々と書いてございますので、ここで納 得していただけるか、もう少し書き込めとなるのか、その辺もあとでまた調整 をさせていただきたいと思います。それでは和田委員、どうぞ。 ○和田委員  先ほどの金井委員のご発言と関連あるのですが、例えば本当に過疎の集落な どをみると、もちろんまさに自助努力をしてらっしゃるのですが、これからは 地域の共助といってもなかなかイメージがつかみにくいというふうなことが 現実にはあるんじゃないかなというふうに思われるのですね。  そういう意味で、そういう地域に一般的に限界があるということだけではな くて、特にそういう限界をもっているところというのがたくさんなってきてい るわけですから、そういう場合は例えば地域密着型の制度的なサービスを日常 生活に身近なところに整備をして、自助・共助をサポートするようなことを特 別に進めていくということについて、留意すべき事項というふうに入れておく 必要があるんじゃないかというのが意見です。 ○大橋座長  25ページの項目を起こしてということになりますか。 ○和田委員  そうですね。うまく入ればいいのですが。 ○大橋座長  どういうふうになったらいいんですかね。 ○和田委員  ここは負の側面はあります。その前に多様性を、これはそれぞれ画一的なや り方はできないというふうになっているのですが、先ほどお話があったように、 全体を読んでいった場合に、うちの地域ではとても新しい共助って、つくり出 すイメージができてこないという、そういう可能性がかなりあるんじゃないか と思うのですが、その時に自分たちだけで共助の仕組みをつくるわけじゃなく て、サービスの仕組みも地域の中に整備して、そことつながりながら新しい地 域の共助をつくるようなイメージというものを何か打ち出しておくというこ とが必要ではないかと、そういう意味です。 ○中村局長   和田委員がおっしゃることはよくわかるのですが、現実は切実でありまして、 例えば医療機関がない、それから道もない、そういったところでは例えばドク ターヘリでどんどん患者さんを搬送するとか、介護保険でも僻地については加 算がありますが、それでどうかとか、実際に現場でやってらっしゃる方は訪問 介護をするとしても、一つの山と次の山と、もう1日2件しか回れないという ようなところがある。  そういった場合に、むしろ訪問介護の事業所さんがたまたま地域の住民で、 ヘルパーの資格をもっている住民の方がおられて、その方をヘルパーとして事 業所で雇って、そこで近隣で介護していただくというような工夫をするとか、 いろんなことがあると思いますので、むしろ金井委員がおっしゃっていること とつながると思うのですが、地域が崩壊に瀕しているところでは、むしろ共助 というよりも、その公的サービス自身もひじょうに限界的な対応をするという ことになると思いますので、問題意識は受けとめさせていただきますが、ちょ っと一般論としては書きにくい点があるので、そこのところは勘弁していただ けないかなというふうに思います。逃げるわけじゃなくて、そこはもっと切実 な問題だということで、ご理解をいただきたいと思います。 ○今田委員  20ページあたりの関連の重層的な圏域設定のイメージの図が資料3の6ペ ージにあるのですが、当然おわかりの上で書かれていると思うのですが、先ほ どからも議論がポツポツ出ていますが、地域によって、例えば農村地域とか普 通の都道府県の中核都市とか大都市の都心圏とかというので、事情がいろいろ 違ってくる、個別事情も違いがあると思うのです。例えば自分自身が当事者に なって、地域福祉というものを共助なり、そういうのでやっていこうとする時 に、大都市圏で都心のマンションなんかに住んでいる人は、1はもうほとんど 今機能してないんです。そういうところはマンションの管理組合でみんなでや りましょうよとかという話が出たりする。だから自治会とか町内会の圏域はい いんですが、それぞれの地域の状況に応じてというようなニュアンスが出てく るように、もうちょっとされた方がいいんじゃないか。  それから学区、校区はいいとして、4層目の市町村の地域事務所の圏域とい ったら私はわかりません。どの範囲のことかという、これはやっぱりそういう 支援、窓口を管轄している地域ということだから、住民の側のイメージではな くて、行政側のイメージの圏域になると思うんですが、この辺もうちょっと工 夫して書かれてるといいんじゃないかと思っておりまして、やっぱり目線が共 助ということをいう以上は、そこの住民の目からみての圏域というふうにされ た方がいいんじゃないかなという気がいたします。  もう一点は、新しい支援という形で福祉を考えるということですが、支援の システムを設計、みんなでしていくことに、住民主体にすることになると思う のですが、先ほど来情報をどう入手できるのか等いろいろありますが、支援す るシステムをつくる時には、資源とそれを活用するモデルがいるわけですが、 支援の場合は人とか情報とか資金とかとなるんですが、それらとそれをうまく 活用して、効果的に支援が実現するような、そういうモデルが必要なんですが、 それは今後みんながいろいろ共助のシステムづくりで考えていけばいいと思 うのです。その辺についてももうちょっとそういうことを今後やっていくこと が必要だというふうに、全体を読めばそういうふうに書かれてはいるんですが、 ちょっと意識的に書かれた方がいいんじゃないかという気がいたします。 ○大橋座長  ありがとうございます。その地域事務所のことは、多分広域合併したりして いて、従来の旧町村なりが支所だとか地域事務所みたいなことのイメージなん だと思うんです。だからブロックという言葉を使うのか、あるいは地域事務所 と使うのか。 ○中村局長  これは11月19日の第4回の研究会に伊賀市の社会福祉協議会の平井事務局 長に出ていただいて事例報告をしていただいた時のものでございます。ある自 治体を参考に作成したものであり、地域により多様な設定があり得ると書いて おりましたが、今おっしゃったとおり、伊賀市では旧市町村域が合併したもの ですから、その4層目のところはそこの旧市町村域がそれぞれ旧住民は知って いて、昔役場があったところに事務所があるということで、こういう構造にな っているというお話でございました。したがってこれが必ずしも普遍的なもの であるかどうかというのはあると思いますが、誤解のないように表の作り方と かは工夫させていただきたいと存じます。 ○大橋座長  私などは在宅福祉サービス地区という言葉を20数年来ずっと使ってきたん ですね。やっぱり自治体よりももう少し小学校、中学校区との間に、そういう サービス地区みたいなものをつくらないとうまくいかないんじゃないかとい うことだったんですが、合併したものですから、皆さんこういう言葉を使った りしているので、それは検討させていただきます。  それから三つ目の問題は、やっぱり住民の意識がうんと変わる必要があるよ ということを書きながら、だけど過度の期待もなかなか難しいという、ちょっ と文言を含めて、委員が言われるようにニュアンスはみんな入っているんだと 思いますが、少し検討します。 ○榊原委員  市町村の役割について、このように整理していただいたことは私は賛成とい うか、これでよかったと思っています。読み落としているかもしれないのです が、もうちょっと市町村の単位だけで考えるんじゃなくて、住民にとっては活 動の範囲というのは何も市町村だけに限られるわけではなくて、もう少し広域 になってきているような気もするんですね。課題によってはその広域、それが 県であったり、市町村のもう少し複数の単位であったりするかもしれないんで すが、それで課題解決または住民福祉のネットワークが生ずるというところも あり得るというところを、もう少しどこかでみえるようにしていただきたいな という気がします。  というのは高齢者がますますこれから人口がふえていって、総人口の中の3 割4割になっていくので、高齢者への対応というのは小さい単位よりいいと思 うんですが、子どもはもう30年40年したら、総人口の中の1割とか、物すご い小さい、マイノリティの中のマイノリティになっちゃう、子どもの課題にき ちっと対応しようと思ったら、こんな小さい単位では多分できなくなってくる と思うんです。  でも既に起きているのが、最近取材していて感じたのは、未熟児の問題です。 医療の進歩がひじょうに激しく進む中で、実は今日本の中で2,500グラム未満 の未熟という子どもたちが子どもたちの中の1割生まれている、だけどもやは り地域の中では点在しているので、小さい単位の中では拾われてないんですね。 その未熟児、育児がさらに大変な人たちの中で虐待死がとても起きている、結 果としてひじょうに福祉を必要としている人たちがその中にいるけれども、じ ゃあどういった単位だったら救われるのかというと、例えば福島とか宮城なん かがいいネットワークをつくっている例をみると県単位なんですね。  大きないい大学病院に附属していたり、子ども病院というような専門家がい るところを中心に、親たちの会ができていて、その中のピアサポートがとても いい対応をつくっていて、その地域では今未熟児の家庭の中で虐待がない、そ ういった課題によってのピアサポートの単位というのは、もっと広く考えなき ゃあいけない時もあるはずだという意味で、市町村だけではないんだ、この資 料3の6ページ目のところで圏域がテンテンとなっているので、当然皆さんも 想定されていると思うのですが、この単位は重要になる課題もある、例えば難 病であるとか、これから増えるであろう外国人、外国人も多分おそらく出身国 別のピアサポートが必要になると思うんですね。そういった人たちというのは 多分市町村や小さい単位では無理なので、そういった記述というのはどこかほ しいなと思います。 ○大橋座長  ありがとうございました。多分それは異論はないと思いますが、少し書き込 み方をさせていただきます。それでは最後の既存の施策の見直しというところ で、先ほど局長から説明がありました資料の3の8ページのところで、こうい う整理で見直しをしていますということで、個々の問題については当然いろん な論議をしなくてはいけないわけですが、ここの研究会であった意見を整理を して記述をさせていただいたということになります。これについてはいかがで しょうか。大体前回かなり意見をいただいたもので、入ってきたかなと思いま す。 ○長谷川委員  前回もちょっと申し上げました。我々民生委員としてこの名称の検討につい ては、ひじょうに我々としては重く受けとめておりますし、一番最重要課題で あるんだと私は理解をしております。先般、地域福祉課長宛てに、私の思いと いいますか、気持ちといいますか、そういうことをまとめて提出させていただ きました。今日席上配布されておりますが、写しとして提出をさせていただき ました。  今日33ページの記載されている部分で、内容的にはおくみ取りをいただい ている部分がひじょうに多いわけですから、局長に心から感謝を申し上げたい と思います。しかしながらやはり民生委員・児童委員という名称は、地域福祉 を進める上において、全国的にみれば本当に根本的な弊害につながっていると は私は決して思っておりません。  報告書(案)の中でもヒアリングという言葉がありますが、これも実施した 日立市の視察・意見交換の中で出された意見であるわけです。ここで出された 意見が、それも発言をされた事務局長の方の一言が正論であるがごとくに、全 国的な課題であるがごとくにとらえられるということについては、ひじょうに 私は残念に思います。到底納得するわけにはいかない。  最終的にまとめの段階において名称云々というようなことができたという ことは、ひじょうに私は理解に苦しむところであります。あとは今日最後の場 面なものですから、私は再度、中村局長にこの名称の検討、その項目そのもの をどうかひとつ削除をしていただけないものかということを再度この場を通 じてお願いを申し上げたいと思います。概念の9ページにあったと思うのです が、名称の検討という項目が入っていますが、これらについても削除をしてい ただけますように、心からお願いを申し上げたいと存じます。 ○大橋座長  全国の市長会の動きだとか、あるいは地方分権推進委員会の動きだとか、い ろいろ論議はこの間もあったということで、それが我々が現地視察した時の中 で出てきたということですが、事実は事実として受けとめていただいて、長谷 川委員の言われた意見を踏まえて、まさにここに親しまれ、定着しており、誇 りをもって気力の源だという、こういうことの文言をさせていただいた、これ 自体をどう今後取り扱うかというのは、また国の審議会なりを含めて論議をさ れるんだろうというふうに思いますが、両論併記的なことも削除してほしいと いう意見ではありますが、他も大体こういう意見がありました、こういう意見 がありましたというふうに両論併記になっておりますので、議事録にも今長谷 川委員が言われたことは止めるということで、ご理解をいただければありがた いと思いますが、いかがでございましょうか。 ○長谷川委員  ただ、この33ページの中でも、一番最後のところに「気力の源としている ことから、堅持すべきとの意見があった」という、私はそのフィフティフィフ ティの意見では決してなかったと思いますので、私たちの思いをもっともっと、 もしこのままこれを記載するということであるならば、もう少し中身の濃い内 容でもって我々の気持ちをここでもって表していただきたいと思います。 ○大橋座長  例えば、主任児童委員の認識がひじょうに低いとか、そういうことは随分論 議も状況に基づいてやってきたことなわけで、全くなかったわけではないので すね。ただ、直接的にその名称変更という言葉を使ったどうかということは別 として、ということなので、研究会としては論議は論議としてあった、現状も 含めて、そういうふうに受けとめていただいて、今後どうするかということは ぜひ一度民生委員協議会の人も大いに論議をいただければということでいか がでしょうか。 ○長谷川委員  ぜひその辺に関しましては、別途局長ともご相談をさせていただきたいと思 いますので、お願いしたいと思います。 ○大橋座長  よろしくお願いします。他にはいかがですか。 ○河西委員  今の民生委員のところで、一番最後の○の担い手のところなんですが、推薦 の基盤を拡大する、地域福祉の圏域から市町村への推薦を行うといった、推薦 方式に改めることを検討すべきであるという断定をしているのですが、今まで の中で地域福祉というのを身近なところで見守り活動が原点ですよという言 い方をしながら、これはちょっと整合性がないのではないかな、今までのいわ ゆる地域福祉の圏域の中で選考は推薦していくという方が正しいのではない かなというふうに思います。 ○大橋座長  これは地域福祉の重層性のことを言っておりますので、どのところを指すか というのはややわかりづらい部分があるかもしれません。もう少しそこは確か に整理をさせていただきたいということで、趣旨としては推薦委員会なり推薦 の方式がやや透明性だとか、あるいは広がりだとかということについて、弱い のではないかということを述べたいんだということですので、この地域福祉の 圏域という言葉の使い方を少し整理をさせていただければというふうに思い ます。それでよろしゅうございましょうか。他にはいかがですか。 ○佐藤委員  これまでに意見書を出した部分について、名称変更等につきましても、かな りの部分を聞き入れていただいております。その中で追いきれなかった部分で、 43ページのところ、生活福祉資金の記述になるのですが、この中で課題のと ころの二つ目の○に、地域によっては制度が想定をしている世帯の資金需要に 十分応えられていないことにより、この制度の機能が発揮されず、結果的に生 活保護受給率をあげている要因の一つになっているのではないかというよう な記述があります。しかし、実際に生活福祉資金が対応している件数とか、新 規にあがってきている件数、それから私どもが現場で実際にやりとりをしてい る感覚からいっても、生活福祉資金制度が機能していないから生活保護の受給 率が上がるという一因になるという記述までは、ちょっと書き方としてはしん どいのではないかと思います。もう少し制度を見直すことで生活保護受給率の 低下につなげられないかぐらいの表現にしていただけたらと思います。 ○大橋座長  わかりました。検討をさせていただきます。先ほどの推薦のところは、これ も地域福祉の圏域というのはいろいろある、例えば地域の実情に見合った何か 少し前に形容詞を入れれば済むことなのか、もっと丁寧に書かなくちゃあいけ ないのか、その辺のところは今お聞きしながら悩んでおりましたが、後でまた 検討します。 ○清原委員  この部分は、これまで地域福祉を実際に進める上で重要な担い手であり、し かも実績のある団体等について、改めてこれからの地域福祉を考える上で見直 す、あるいは改めていくことによって、より力を向上させていこうという趣旨 で、このような見直しがされているというふうに思うんですが、どうしても書 きぶりとして、現状や課題のところは淡々としているのですが、見直しの方向 性というところには、「必要である」とか、「すべきである」とか、どうしても そのような記述になっています。  これは関係者の皆さんにとっては、先ほど長谷川委員も佐藤委員もご意見を おっしゃいましたが、何となく課題として認識しつつも、「こういう方向です べきである」と言われると、ちょっとそこまで言い切れない現状の部分も微妙 にあるかと思うんですね。  例えば、この委員に民生委員の代表、それから社会福祉協議会の代表がいら っしゃるのですが、私も市長としては共同募金会の委員もしております。共同 募金について私が所属しております東京都の共同募金会では、既に平成14年 度から地区配分推薦委員会の設置などを進め、従来の分配の仕方から、「地域 で集めた募金は地域ニーズに基づく配分へ」という転換を主体的に進めてきて いる経過もあります。  ですからそういうようなところもあるもので、自主的に見直している現状も あるところに、46ページに「見直しの方向性」として、すべて何となく終わ りが、「べきである」と、こうなりますと、今まで見直している地域や団体等 が意気沮喪してはいけないと思います。そこで、この書きぶりについてなんで すが、重要なポイントが書かれていますし、私は「常なる改善・改革」が必要 だと思っていますので、見直しの方向性のところを列挙型にするとか、こうい うところがヒントになるというようなことを示すことでいかがでしょうか。す べてではないかもしれないけれども、一部そのようにすることによって、より 見直しのインセンティブというか、そういうのをもっていただけるのではない かなというふうに思います。この全体の「見直しの方向性」についての印象と いうんでしょうか、そういうものについて他の委員の皆様のご意見も伺えたら なと思って問題提起をさせていただきました。以上です。 ○大橋座長  ありがとうございました。多分この辺の部分は一貫してこの研究会の課題で もあるわけですから、新しい考え方、方向性を確認した上で、それに基づいて 施策を見直すとどうなるんだということになってきた場合に、それは研究会の 業務というよりも、ある意味では社会保障審議会の福祉分科会等でもっと本格 的に論議すべき議題なんです。  ですからここで全部決着をつけるということではなくて、そういう意見があ ったし、そういう方向で検討すべきだよという、その検討すべきだよというこ とで、それにしろということではなくて、そういうことを検討すべきだという ことのもつ意味で言っているんだと思うんです。もう60年たって、いろんな 意味で齟齬をきたしているので、あいまいにしておく時期ではないのではない かというふうに受けとめていただければありがたい。文言については検討いた しますが。他にはいかがでしょうか。  それでは大体皆さんの意見をいただいたということで、最初から戻りますと、 木原委員が言われた団塊の世代なり、あるいは働く世代の能力を生かした地域 づくりへの参加の問題は、これは文言的に少し整理をさせていただける可能性 があるかなというふうに思いますし、金井委員が言われた企業内福祉の問題に ついても、これもいいと思います。   それから公的福祉の拡充のところは、その「だけではない」というところを、 8ページぐらいのところを中心に考えて少し論議をするということもあるか なと思っています。  それからセーフティネットの問題はいろいろ意見をいただきましたが、これ がメインではないので、少しその所得保障的なものの側面と、その自立生活を 生活全体で支援するということの違いを少し意識して書くことによって、金井 委員が言われた「国なり市町村行政が担うべき部分を忘れてるわけじゃない よ」というようなことは書き込めるかなという感じはいたします。  それからそれとの絡みで、今田委員が言われた、福祉アクセスビリティとか パートナーシップの問題は、このつなぎの問題で書き方を少し工夫すればよろ しいかなと思っております。  それから清原委員が言われた情報の共有化の問題、先ほどの今田委員のパー トナーシップとのかかわりにもなりますが、これはあとの方にも出てきますの で、もう少し前倒しをするか、整合性を含めて検討したいと思っております。  それから和田委員が言われたサービス等への運営の参加ということについ ても、先ほどは計画の進行管理のところがありましたが、もう少し他で補足で きれば補足をしておきたいと思います。  それからIV章V章のところにいって、地域診断評価のところは、大体地域福 祉計画のところであったらこれはよろしいかなというふうに思いますし、それ から金井委員が言われた地域の疲弊とか課題の期待、これはちょっと文言を少 し工夫しておきたいと思います。  それから清原委員が言われたことは、先ほど局長がお答えいただきましたよ うに、国の検討会としてやっているということでございますし、これだけ事務 局が書き込んでいるということで、ご了解をいただければと思います。あの2 行のもつ意味は大きいかなというふうに思っております。  それからあとは地域福祉の圏域の部分の説明の仕方は、今田委員から言われ たことは少し工夫してみますが、それと地域の実情に応じたということのもつ 意味をもう少し検討したいと思っております。  それから榊原委員が言われた地域福祉の圏域によっては、本当に課題によっ ては広域にならざるを得ない、NPOとか、そういうものは当然広域にやって いますし、言われた難病の問題等はそのとおりですし、在住外国人の問題もそ うかと思いますので、検討したいと思います。  それから長谷川委員が言われたことはひじょうによくわかります。とりあえ ずこの研究会のもつ意味だということでご理解をいただければと思います。  それから河西委員が言われた、民生委員の推薦のところの文言を、地域福祉 の圏域等にというふうに言っているところのもつ意味がわかりづらければ、少 し整理をさせていただきたいと思いますが、大体私なりに受けとめて今のよう な整理ができるかというふうに思います。趣旨は基本的には皆さん反対ではな いが、表現の仕方を少し工夫してほしいという意見が多かったかというふうに 思いますが、佐藤委員の意見もそうだということでよろしゅうございましょう か。  そうだとすると、この取り扱いでございますが、今日とてもまとめができな けれは、一応明日予備日というものを考えたのですが、今、私が整理したよう な形で、文言の修正を私に一任いただければ、今日でおしまいにしたいと思い ますが、よろしゅうございますか。時間があれば委員の方々に個別にちょっと ご相談をする場合があるいはあるかもしれませんが、基本的には私と事務局に ご一任いただくということで、よろしければ今日でこの研究会を閉じたいと思 いますが、それでよろしゅうございましょうか。  それではそういう取り扱いで一応座長に一任いただくということで、取り扱 いをさせていただきたいと思います。 ○佐藤委員  名称の件なんですが、最初の方から少し議論になっていましたように、住民 の皆さんだけがやるということを、住民の皆さんに向かって打ち出しすると、 自分らだけがやるのかということになります。趣旨としては、住民主体でやっ ていきましょうということをずっと中でも議論していますし、いろんなところ が協働してやることの中で住民が主体的に動かすということを議論されてい ますので、この「住民による」という文言のところを、言葉としてはちょっと 難しくなるのでどうかとは思うのですが、住民主体で進めるとか、住民が主体 になって進めるというふうに変えていただいた方が、住民の側から見た時の受 けとめがしやすいのかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○大橋座長  一番いいのは住民と行政との協働による新たな支え合いの姿ですが、長過ぎ るのではないかと思うんですね。そこで住民主体とか住民参加ということを強 く出しましたので、住民によるといったのです。それじゃあこれもちょっとご 一任いただければということでございます。何か趣旨採択的なところはありま すが、ご理解をいただければありがたいというふうに思っております。  それで榊原委員が言われていた、随分カタカナを使わないで、わかりやすく 使ったつもりでございます。本当に事務局は大変だったと思いますが、ありが とうございました。委員の皆様も1カ月に2回ぐらいの割合で精力的にご論議 をいただきましてありがとうございました。それではこれで座長預かりという ことで、まとめさせていただきますが、最後になりますが、局長からごあいさ つをいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○中村局長  昨年10月以来11回にわたりご参加いただきまして、精力的に検討していた だきましてありがとうございました。地域福祉の意義と役割、それからこれら の地域福祉を推進するための条件と、それを整えるための実現方策を明らかに できたのではないかと思っております。  また、既存施策の見直しの方については、余り時間がなかったこともあり、 表現ぶりとか、そういうことについてはよく座長と相談して、もう少し工夫を させていただきます。関係者の方々にこれから議論をさせていただきますので、 よくご理解いただいて、よい方法で進めていきたいと思っております。そのよ うなことも座長と相談し、最終報告書をまとめる作業を進めさせていただきた いと思っております。  今後でございますが、報告書をまとめましたら、できるだけ多くの方に読ん でいただくような、我々も努力をし、国民の皆様、行政関係者、福祉関係の皆 様に説明し、意見交換をさせていただく機会をもっていきたいと思っています。 その時には例えば民生委員、児童委員、社会福祉協議会の皆さん、共同募金の 皆さん等にもよくご相談してまいりたいと思っております。  それらの作業を行いながら、審議会等でさらに検討をし、成案を得て、先ほ ど清原委員からお話のありました国のレベルとして見直す必要があるところ が出てまいりますので、その際には制度の見直しとか、新規施策の実施に取り 組んでいきたいと思っております。  それから4月から新年度になるわけですが、少しモデル事業を実施する予算 を確保しております。100くらいの市町村でモデル事業、コーディネーターを 実際に置くというようなモデル事業もできることになっておりますし、地域福 祉のコーディネーターの養成なども社会福祉協議会の方と相談しながらやっ てみたいというふうに思っております。  ですからモデル事業を並行しながら、本当にどういう形でやればできるのか ということも実際やっていただきながら、さらに議論を深めて制度の見直しま でつなげてまいりたいと考えております。引き続き委員の皆様方には、ご支援 ご協力を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。本当 にありがとうございました。 ○大橋座長  どうもありがとうございました。今回の研究会はこれからの地域福祉のあり 方、一言で言えばやっぱり行政と住民とが協働して新しい支え合いをつくって いく、共助の関係をつくるということでございまして、いろんなところから注 目を浴びているなと思っているわけでございます。新しい制度設計がこの理念 に基づいてできることを期待して、この研究会を閉じさせていただきたいと思 います。  座長として十分な運営ができませんでしたが、ご協力ご支援ありがとうござ いました。それでは最終的な報告書は座長に一任いただくということで、全体 会をこれでおしまいにしたいと思います。本当に長時間ありがとうございまし た。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。 (終了)