08/03/21 遠隔医療の推進方策に関する懇談会(第1回議事録) 遠隔医療の推進方策に関する懇談会第1回会合(議事要旨) 1.日 時 平成20年3月21日(金) 19:00〜20:15 2.開催場所:総務省8階 第1特別会議室 3.出席者 (1)構成員(敬称略) 金子 郁容(座長)、八木 隆(秋草 直之代理)、内田 健夫、太田 隆正、大山 永昭、 梶井 英治、川島 孝一郎、久島 昌弘、栗原 毅、高本 和彦(仁坂 吉伸代理)、本田 敏秋、 本多 正幸、松原 由美、村瀬 澄夫、和田 ちひろ、和才 博美 (2)総務省 増田総務大臣、鈴木総務審議官、中田政策統括官、松井大臣官房審議官、鈴木総合政策課長、 安藤地域通信振興課長、植松地方情報化推進室長、丹下自治政策課長、濱田地域企業経営企画室長、稲山調整課長 (3)厚生労働省 舛添厚生労働大臣、外口医政局長、新木研究開発振興課長、冨澤医療機器・情報室長 (4) 経済産業省 吉崎大臣官房審議官、渡辺医療・福祉機器産業室長 4.配布資料 資料1 「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」開催要綱 資料2 梶井構成員発表資料 資料3 村瀬構成員発表資料 資料4 アンケート(案) 資料5 今後のスケジュール(案) 参考1 地方の現状と情報通信格差 参考2 遠隔医療の推進等について 5.議事概要 (1)開会 ○事務局より、両大臣から指名の金子郁容氏に座長に就任いただく旨を説明した。 (2)座長挨拶 ○金子座長より、以下の挨拶があった。  ・昨今、医師不足等、医療を取り巻く様々な問題があり対策が迫られており、背景には、   患者と医師のコミュニケ−ションにおける問題や、社会全体における信頼感の低下等   がある。ITが広範囲かつ低料金で普及しつつある今、コミュニケーション技術を活   用することは重要である。この懇談会では、技術ありきではなく、地域コミュニティ   の活性化ということを主眼にしつつ、互いに支えあう関係を構築し、良い地域、良い   医療サービスを築いていければと考える。懇談会において示される各種事例や構成員   の方々の議論を踏まえて、意見をとりまとめていきたい。 (3)懇談会の運営について・構成員紹介  ○事務局より、資料1に沿って開催要綱の説明ならびに構成員が紹介された。 (4)地域医療の現状について  ○梶井構成員より、地域医療の現状と課題について説明がされた。(資料2参照)  ○要旨は下記の通り。  ・わが国の医療は、医師不足をはじめとする負のスパイラルに陥っており、このため地   域医療の整備・充実が求められている。具体的には医療機関の機能分化と連携、総合   医の育成、住民が参加する地域づくり、そして自治体を超えた地域の枠組みの再構築、   地域医療支援体制の充実、都道府県のリーダーシップが必要である。  ・地域医療の先進事例の一つである高知県では、へき地医療協議会が県・市町村・諸診   医会の3者が互いに独立した関係を保ちながら組織されており、医師の派遣は3者間   で調整することにより医師不足は発生していない。さらにブロードバンドによる情報   ネットワークがへき地医療拠点病院と診療所間で整備されている。へき地に属する全   研修医は当情報ネットワークを用いて有用で迅速な情報を獲得でき、中核病院との連   携のもと指導・研修を受けられ、不安の解消が図られている。 (5)遠隔医療の現状について  ○村瀬構成員より、遠隔医療普及への期待とその課題について説明がされた。(資料3   参照)  ○要旨は下記の通り。  ・医師の減少や患者の在宅医療に対する期待水準の上昇等により、病院および診療所医   師の負担が非常に高くなっている。  ・このような地域医療の疲弊に対する解決策として遠隔医療が必要である。具体的には   医師間のネットワーク構築による支えあいは、現場の医療の質を高め、医師の精神的   負担の軽減に効果がある。さらに在宅遠隔医療により診療の補完が期待できる。遠隔   医療に対する国民の関心は高く、検査画像を共有した診療支援(旭川)や訪問看護師   を介在させた在宅療養支援(岡山)等の実例もある。  ・しかし遠隔医療の普及は足踏み状態であり、特に在宅療養支援はまだ拡大の余地があ   る。継続的な運用のためには、運営経費基盤の確立が課題になっている。  ・遠隔医療の普及促進のためには、その実現範囲や現場のニーズ、遠隔医療中核施設等   の基本的な制度設計と、収益や負担等のサービス(ビジネス)モデルの確立が必要で   あり、同時に国としての実態を把握と方向性を明示することが必要である。 (6)アンケート(案)の実施について  ○アンケート調査を担当する株式会社NTTデータ経営研究所ライフサイエンス戦略チーム   本多氏より説明がされた。(資料4参照) (7)自己紹介・意見交換  ○構成員(欠席者除く)が各自自己紹介を行った。  ○ 各構成員の意見の要旨は下記の通り。  ・技術ありきではなく、患者にとっての安心感、利便性を踏まえて、遠隔医療でできる   ことを議論していきたい。  ・今後の課題として、コスト負担、質の問題、責任問題について整理が必要である。  ・ITを活用する際には、誰でもどこでも簡単に使えるようにすることが重要である。  ・遠隔医療の言葉の定義について、今後議論が必要である。  ・在宅医療の観点をアンケートに盛り込むべき。  ・遠隔医療では、その必要性や運用可能なことが遠隔医療(サービス)を継続するうえ   で重要である。同時に患者とのコミュニケーションに関わる技術の重要性も明らかに   なってきている。  ・予防医療の観点から、在宅健康管理等により国民が自らの健康に関心を持つ必要があ   る。  ・県としては地域医療格差の縮小、へき地診療医師の負担軽減に遠隔医療は位置づけら   れと考えている。  ・現在、医師不足解消に向けた遠隔医療を実施しており、市民の安心・安全の確保につ   ながっている。一方様々な課題も明らかになってきている。  ・地域医療連携と遠隔医療と融合していくことが必要である。  ・ハードの設置ありきではなく、ニーズの実態把握と時間・財源が限られているなかで   行政が応えるべき役割を見極めることが今後求められる。  ・通信インフラが整備されてきており、サービス(モデル)として遠隔医療が本格的に   実施できる時代になったと感じている。  ・医師と患者、コミュニティと医師、コミュニティと患者、医師と医師とのコミュニケ   ーションを実現していくことが重要である。  ・患者と家族のコミュニケーション、温かみのある医療をITがどう支えることができ   るのか、懇談会で議論していきたい。  ・遠隔医療が普及するためには、技術が受容されること、そして地域と行政、医師との   協力関係が重要である。 (8)両大臣挨拶  ○増田総務大臣より、以下の挨拶があった。  ・人口減少社会の進行、限界集落の出現が危惧される中、限られた医療資源を有効に活   用し、国民に良質な医療を提供していくことが課題となっている。遠隔医療について   は、地域においてより効果的な医療提供が行える手段として期待している。  ・現在開催中の社会保障国民会議においても、総理より医療においてICTを活用する   旨の発言があった。  ・各地域ではモデル的な取組が進められており、遠隔医療を効果的に進め、国民に良質   な医療を提供していくために、構成員には多方面からのご指導を賜りたい。この問題   に関しては、舛添厚生労働大臣とも協力しながら、積極的に取り組んでいきたい。  ○次いで舛添厚生労働大臣より、以下の挨拶があった。  ・産科・小児科の医師不足、救急医療体制の再構築、地域格差問題における医療格差に   対する不満等、医療について様々な問題が生じている。厚生労働省では、緊急医師確   保等の対策を講じているが、依然として抜本的な改革が必要である。  ・現在、長期的な課題に関しては「安心と希望の医療確保ビジョン」において議論して   いる。本懇談会においても遠隔医療の推進により地域格差を埋めるために、増田総務   大臣と協力しながらしかるべき成果を上げていきたい。構成員の方には議論をよろし   くお願いしたい。 (9)今後のスケジュール(案)について  ・事務局より、資料5に沿って今後のスケジュールを説明した。  ・次回会合は、平成20年4月9日(水)18:00から開催する。