08/03/12 第7回「院内感染対策中央会議」議事録            第7回「院内感染対策中央会議」議事録 1.日時   平成20年3月12日(水)   14:00〜16:00 2.場所   中央合同庁舎第7号館(金融庁内)11階共用会議室1114 3.出席者 (構成員)荒川 宜親、大久保 憲、木村  哲            切替 照雄、倉田 毅、小林 寛伊(五十音順、敬称略)       (オブザーバー)森兼 啓太       (参考人)エドワーズライフサイエンス株式会社水谷利栄、櫻井雅俊            広島大学疫学・疫病制御学吉澤浩司教授            日本循環器学会、北里大学循環器内科学和泉徹教授           、埼玉医科大学病院横手祐二病院長 前崎繁文感染症科・感染制御科教授         (厚生労働省)佐藤医政局指導課長、徳本医療放射線管理専門官ほか 4.議題      1. 単回使用医療機器に係る安全管理体制の徹底について  (1)事例の経緯  (2)医療機器業者の立場から  (3)診療行為に伴う肝炎の感染について  (4)日本循環器学会の立場から 2. 最近の院内感染事例について   埼玉医科大学病院における取り組み 3. その他  (1)札幌医科大学附属病院高度救命救急センターにおける事例について  (2)バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の多施設共同研究について  (3)院内感染対策サーベイランス事業について  (4)その他 ○事務局(徳本) ただいまから、第7回「院内感染対策中央会議」を開催します。構 成員の皆様方には、本日お忙しい中ご出席いただきまして誠にありがとうございます。  開催に当たりまして、最初に指導課長の佐藤からご挨拶を申し上げます。 ○佐藤指導課長 本日は年度末の大変お忙しい中、ご参集をいただきまして本当にあり がとうございます。また、平素より院内感染対策に種々ご指導、ご支援を賜っています ことに、この場を借りて厚く御礼を申し上げる次第です。  院内感染対策中央会議は、これまでは年に1回程度の開催だったわけですが、先般来 特定機能病院を中心にいくつかの感染事例が報告されていることや、特定機能病院以外 にもいくつかの注目すべき院内感染があるものですから、座長ともお諮りをしまして適 宜臨機応変に会議を開き、勉強させていただいて、こういう時期ですので必要に応じて 都道府県なり病院の皆様方に、ここで得た知見を伝えていくのは非常に重要なことであ ろうと認識をしまして、繰返しになりますが小林先生には大変お世話になりまして、こ うして3回目を開くことになりました。いずれにしても限られた時間ではありますが、 どうかこの間の動き等々をじっくりご議論いただきまして、私ども、都道府県の参考に なるようなご議論にしていただければ幸いに存じます。どうか、よろしくお願いします。 ○事務局 それでは、各構成員のご紹介をします。国立感染症研究所細菌第二部長荒川 宜親構成員、東京医療保健大学医療情報学科科長大久保憲構成員、東京逓信病院長木村 哲構成員、国立国際医療センター研究所感染症制御研究部長切替照雄構成員、富山県衛 生研究所長倉田毅構成員、東京医療保健大学学長小林寛伊構成員です。本日、国立感染 症研究所感染症情報センター長岡部構成員、東北大学大学院医学系研究科教授賀来構成 員、国立成育医療センター研究所長倉辻構成員からは、ご欠席の連絡をいただいていま す。  また、本日オブザーバーとして、国立感染症研究所感染症情報センターより、森兼啓 太主任研究官にご臨席いただいています。参考人として、エドワーズライフサイエンス 株式会社水谷様、櫻井様、広島大学疫学・疫病制御学吉澤浩司教授、日本循環器学会よ り、北里大学循環器内科学和泉徹教授、埼玉医科大学病院横手祐二病院長、前崎繁文感 染症科・感染制御科教授にお越しいただいています。なお、写真撮影などはこれまでと させていただきますので、ご協力をお願いします。  それでは、小林座長よろしくお願いします。 ○小林座長 私は、院内感染対策中央会議の座長を務めています。構成員の皆様方のご 協力によりまして、本日の検討会の円滑な、また実り多い運営に努めてまいりたいと存 じますので、よろしくお願いします。先ほども佐藤課長からお話がありました限られた 時間ではありますが、是非実り多いディスカッションをお願いしたいと思います。  議事に入りますが、その前に実はこの委員会の構成員でありました武澤構成員が3月 1日にご逝去されましたので、ここで黙祷を捧げたいと思います。ご協力を賜りたいと 思います。武澤先生は、この院内感染の問題に非常にアクティブに取り組んでください まして、日本の推進向上に大きく寄与された方です。そのご功績は大変多大で、ご冥福 をお祈りし、黙祷したいと思います。黙祷。どうもありがとうございました。どうぞご 着席ください。  議事に入る前に、当検討会の議事や資料の公開の取扱いについてのルールを確認して おきたいと思いますので、事務局からよろしくお願いします。 ○事務局 ご説明申し上げます。運営に関して予めお断り申し上げておきますが、本検 討会については公開で行い、議事録についても事務局でまとめたものを各構成員にお目 通しいただいた後、厚生労働省のホームページで公表することとしたいと思いますので、 その点についてご了解をお願いします。以上です。  続いて、本日の資料の確認をします。本日ご用意しました資料の構成は、議事次第に あるとおりです。資料1から資料9までがあります。資料の欠落等がありましたら、お 申し出ください。 ○小林座長 よろしいですか。議事に入ります。本日の議題は、お手元にありますよう に大きく分けて3つありますが、肝炎に関しては本日ご出席いただいているご専門であ る吉澤先生が、このあと15時から別の会議がおありということで、議題1の「単回使 用医療機器に係る安全管理体制の徹底について」の(1)〜(4)についてまず検討した いと思います。大体30分から45分ぐらいで次に移りたいと思いますので、よろしくご 協力のほどをお願いします。資料の説明をお願いします。 ○事務局 資料1と資料2をご説明申し上げます。資料1は、茅ヶ崎市立病院における 心臓カテーテル検査時のC型肝炎の感染についてというもので、平成19年11月に明ら かとなった事例に対して、2月29日に中間報告書として出された報告書に対して、我々 医政局指導課が下線及び図1の枠を強調したものです。この中間報告書を基に、事例の 概要をご説明申し上げます。  中間報告書の1頁です。事例の発覚は平成19年11月、心臓カテーテル検査治療を受 けた2人の患者が、C型肝炎を発症しているとの覚知です。そのあと、外部専門家を含 めた院内感染調査委員会を設置し、5人のC型肝炎の事例が明らかとなっています。そ のウイルス学的検査からは、すべての患者の遺伝子型が2b型。RNAの塩基配列が高い 相同性を示している。その感染経路としては、次の頁の図1がわかりやすいかと思いま すが、平成18年12月に患者Pから患者Aに、平成19年3月に患者Pから患者Bに、 平成19年4月に患者Bから患者C、D、Eと、計8回の検査で感染したというものが 考えられています。  2頁です。感染者の調査・検索に関しては、現在感染の可能性が否定できない18人に 対してウイルス抗体検査を実施し、感染が否定されており、当初覚知しました5人以外 の新たな感染例は出ていないとのことです。感染源の検証に関しまして、C型肝炎とい う血液の関連する感染症ですので、そういった血液を介する手技等を中心に検証しまし たところ、血圧を測るための圧トランスデューサーの使用数と検査の実施数に違いがあ ったということで、圧トランスデューサーを含めたモニタキットが感染源として疑わし いとの考えです。  3頁です。圧トランスデューサーについて、この報告書の中で説明がありまして、い わゆる閉鎖回路の盲端に位置している。通常の使用をしている場合は、トランスデュー サー内部まで血液が入り込むことは考え難い。汚染されていたとしても、トランスデュ ーサー内の血液が体内に入ることは考え難く、別の要因が加わらないと他の患者には感 染は伝播しないと評価しています。ただしPCI、経皮的冠動脈形成術の実施時には、動 脈穿刺部のシースにつなげるトランスデューサーがあり、そちらに注射筒の中に血液が 混入する可能性があり、それをモリタリングライン(2)に使用し、血液に汚染された生理 食塩水入りの注射筒が次の患者のモニタリングライン(1)作成に使われた可能性が否定で きなかった。図2を見るとライン(1)、ライン(2)がありまして、シースにつながっている ライン(2)で用いた注射筒を次の患者のライン(1)に用いた可能性が否定できないという内 容です。  4頁は、考察と感染対策です。通常の使用であれば、トランスデューサー自体は感染 源にはなり難く、誤った手技・操作によって感染の伝播を引き起こした可能性がある。 観血的モニタキットの管理及び適正な使用(単回使用)が行われていれば、感染の伝播 は防止できていたと考えられる。再使用防止のために、交換した器材の製品番号を検査 票に記載する等で再確認をするように実施しているということです。以上が茅ヶ崎市立 病院で起きました事例の中間報告書からわかる事実です。この事例が明らかになった後、 厚生労働省としては資料2にありますように、診療行為に伴う院内感染事例の発生及び 安全管理体制の徹底についてという通知文書を出しまして、適正な器材の使用等につい ては呼びかけをしているところです。事務局からは以上です。 ○小林座長 どうもありがとうございました。何かご質問はありますか。よろしいです か。続きまして、具体的にいまの内容についてイメージをつかんでいただくために、使 われたトランスデューサーの会社であるエドワーズライフサイエンス株式会社からご説 明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 よろしくお願いします。こちらの血圧トラン スデューサーのキットですが、大きく手術室・ICUで使われるものとカテーテル検査室 で使われるものの2種類がありまして、その2つをご紹介します。  いまからご紹介するのは、基本的にいちばん使用の数量が多い手術室・集中治療室等 で使われているキットですが、このように輸液ライン、血圧トランスデューサー、モニ タリングチューブと言われる固いチューブの3つのパーツから基本的な構成はなってい ます。こちらのトランスデューサーの構造ですが、中で満たした生理食塩水をチューブ の中に満たしていきまして、その先は患者の動脈カテーテルや中心静脈カテーテルと接 続される。その中の内圧がチューブ内を伝わって、こちらに小さい黒い部分があります が、こちらにセンサーがありまして、そのセンサーで圧を感じ取って白いチューブ、ケ ーブルを通じてモニターに電気的信号として伝える。それをモニターが受け止めて、連 続的な圧の波形を感知することができるといった構造になっています。  こちらのモニタリングチューブは非常に固い素材でできていまして、ノンコンプライ アンスのチューブです。ということですので、圧が精度良く伝わって、こちらのセンサ ーの部分で測定が可能ということです。患者の動脈圧を測定することになりますので、 血液の逆流を防止するために、こちらのスパイクの点滴等を生理食塩水につないで、そ れを加圧バックで300mHgまで加圧しまして、持続的に3cc/時の流速を保ちながら、 患者に持続注入をしながら圧を測定する形です。そのときの流量制御は、トランスデュ ーサーの中に入っている流量制御管を使いまして3cc/時をコントロールするというこ とです。このような使い方が手術室・集中治療室等で使われている使い方です。  カテーテル検査室のキットは非常にシンプルですが、このような形状です。これは、 手技中に連続的に圧を測ることが基本的にはあまり少ないということで、マニホールド 等とセンサーが接続して、このようなチューブと接続して測定されることになります。 もう、こちらはセンサー単体です。先生が手技中に常時、圧を測定されたり、もしくは 今回のケースではシースと接続されて連続的に測られていたということですが、基本的 に手技の間のみ測定するということで、連続的な持続注入のシステムが必要ないという ことでこのようなトランスデューサーが使われているということです。簡単ですが、以 上です。 ○小林座長 その近辺までの血液の逆流の可能性というか、それは両者でどうなのです か。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 基本的な使い方においては、患者からいちば ん遠い末端の部分を閉鎖にした状態で使いますので、基本的に目に見える形での逆流は 想定されないと考えます。また、トランスデューサーからマニホールドまでのチューブ の距離もありますので、基本的に逆流はないと考えます。 ○小林座長 何かご質問はありますか。 ○大久保構成員 このタイプの場合、トランスデューサーまでのプライミングといいま すか、生食で満たすのは、どこから注入していますか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 こちらについては指定はありませんで、回路 内を満たすことのみを添付文書等で謳っていますので、トランスデューサー側にシリン ジを接続して中を生理食塩水で満たす。もしくはマニホールド、造影剤と生理食塩水が 接続されていますので、その生理食塩水を一旦操作するためのコントロールシリンジに 引き込んで、それをこちらのトランスデューサー側に出すといった2種類の方法がプラ イミングとして考えられると思います。 ○小林座長 ほかに何かありますか。その回路を使ってPCIを同時に行う場合があるわ けですね。そのときは、どういうふうにされるのですか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 そのときは、このような三連のマニホールド に接続される場合は、トランスデューサーのラインを開放にしたときのみ測定する。そ れ以外のときは造影剤の注入であるとか生理食塩水の注入を行っていますので、トラン スデューサーのラインに対して閉鎖の状態にハンドルをすると伺っています。 ○小林座長 でも、ガイドラインはどこから入るのですか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 操作に関するガイドラインですか。 ○小林座長 PCIに関する。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 ガイドワイヤーですね。ガイドワイヤーは弊 社の製品でないので大変恐縮ですが、通常は先にY字のコネクターがありまして、その コネクターを経由してガイドワイヤーが入っていく形になると思います。 ○小林座長 長いラインには関係ない、血管に近い所からガイドワイヤーは入ってくる のですね。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 そうです。こちらのキットと接続されるのは、 生理食塩水または造影剤を注入するためのラインと一緒の位置に接続されているという ことです。 ○小林座長 構造的にはよろしいでしょうか。 ○吉澤教授 こちら側を患者の動脈に刺すわけですね。ここがトランスデューサーです ね。患者の体の高さと、トランスデューサーの高さの差は、どれぐらいで使うのですか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 こちらは、患者の心臓の高さと合わせた状態 で大気開放といいまして、まず大気の圧をゼロとする。その高さを患者の大よそ右心房 の高さに合わせるのが基準ですが、その高さと合わせていただいて患者の圧を測定し始 めるといったことですので、同じ高さになる。 ○吉澤教授 心臓と同じ高さ。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 はい、そうです。 ○吉澤教授 動脈の圧に耐えるようなプレッシャーをかけておかなければ逆流は起こり 得ると思いますが、圧はどのように保証しているのですか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 こちらの場合は、基本的にこちらに一方活栓 と呼ばれる三方活栓と全く同じ構造の活栓がありまして、こちらの写真でも書いてある とおり、そのハンドルを常に閉鎖にして使っていますので、基本的に閉鎖にした状態で 三方活栓に対して押しても流れないのと同様で、こちらについてもハンドルの活栓をこ のように向けた状態で閉鎖にして使っているということで、逆流を防止しているという ことです。 ○吉澤教授 通常に使っている範囲内では、逆流が起こり得ないことになりますか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 そのとおりだと思います。 ○木村構成員 一方が開くのは、生食などを入れるときだけですか。開放になるのは、 生食を満たすときだけで、他にその活栓を操作することは無いのですね。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 そうですね。最初の段階で薬液を満たすとき に開放にして、そのあとは閉鎖にするといった形です。 ○和泉教授 日本循環器学会健保対策担当理事ということで、今日ここに寄せてもらっ ています。基本となりますのは図2のモニタキットのつなぎ方が、PCIのときの標準的 なつなぎ方ではないというのは日本循環器学会の見解です。ですから、ここで言います といちばん問題になるのは、ライン(2)のつなぎ方が私たちにとってはアンユージュア ル・・・。 ○小林座長 ごめんなさい。標準的でないというのは、先ほどの説明のPCIのつなぎ方 が。 ○和泉教授 いいえ。ここの中間報告で出ている図2モニタキットのライン(2)と言われ るところです。ライン(2)がサイドホールから取られている。サイドホールから取るのは 以前はシース圧と言いまして、やむを得ない場合に取られていた処置で非常に古典的な やり方ですが、通常のPCIではもう行われていない方法であることが1点。それから、 こういうふうにPCIのときに2本の圧ラインを取ることが、通常は行われていないとい うのが私たちの認識です。ですからライン(1)というものであれば、Yコネクター、三方 活栓、先ほどからラインが1本で守られてるやの表現がありましたが、Yコネクターで 守られている、三方活栓で守られているということで、そう簡単に逆流するようなもの ではありません。したがって、このキットの構成自体はアンユージュアルであると認識 しています。 ○小林座長 どうもありがとうございます。話の順番が前後しますが、そうだとします と図2に書かれたのがアンユージュアルだとおっしゃって、これだと逆流の可能性があ るということですか。 ○和泉教授 ライン(2)ではしょっちゅう逆流します。ライン(2)は、むしろ逆流させて気 泡を取らないと、患者に害を与えてしまう恐れがありますので、気泡抜きとして使って いる。ですから、これは逆流させるために使います。したがって、こういう圧トランス デューサーの使い方をした場合は交換するのは当たり前で、血液で汚染するチャンスが 非常にある。ライン(1)は標準的な方法ですので、私たちは問題視することはないだろう と思っています。 ○小林座長 この図はちょっと見えにくいのですが、ライン(2)のエア抜きをするのはど の部分になりますか。どの活栓ですか。 ○和泉教授 これで言いますとライン(2)というのが。いま、カテーテルをお持ちですか。 シースをお持ちですか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 こちらは、いまシースを持っていません。 ○和泉教授 私が一応図を持ってまいったのですが、通常はシースのエア抜きのために 遊ばせてあるラインなのですが、ここから圧トランスデューサーに直接つないである構 造になっています。 ○小林座長 それが正常な場合ですね。 ○和泉教授 私たちが使っている方法は、ここで圧ライン、シースを使っているわけで す。圧ライン(2)というのは、いま差しているここを使っているのです。 ○小林座長 圧ラインをこの図では、使われたときに、どこからエア抜きをしているの でしょうか。 ○和泉教授 通常はここのライン(2)として、これがこれと同じ構造になっています。こ こからエア抜きをしている。 ○小林座長 こちらの回路は。 ○和泉教授 使わない。 ○小林座長 トランスデューサーに近いほうは逆流の可能性はないということですか。 ○和泉教授 いいえ。このラインは通常は使わないので。 ○小林座長 この場合です。 ○和泉教授 ライン(2)は、汚染される可能性を持っている。 ○小林座長 ここまでですか。 ○和泉教授 はい。 ○小林座長 ということで、いまのお話はこの図でライン(2)と書いてあるところに三方 活栓、ここまでは逆流の可能性があるという処置は。 ○和泉教授 あるいは、そこで血液を逆流させてエア抜きをして。 ○大久保構成員 和泉先生にお伺いしたいのですが、このライン(2)のシースの内圧をこ の例は測っていますが、これはリアルタイムの血圧を把握するために付けてあるわけで すね。 ○和泉教授 私どもは、PCIのときにこのラインは通常用いませんので、これは実際に 担当された先生方のご意見を伺わないと、私どもは了解不能です。 ○大久保構成員 通常は、血圧は別の全く違うルートで測っているわけですか。 ○和泉教授 いいえ。ライン(1)で十分ですから。 ○大久保構成員 そうすると、間歇的なのですね。わかりました。 ○小林座長 これはどなたかご存じならば、今回のケースはどこまでをリユースしてい るのでしょうか。 ○事務局 私もこの報告書を読む限りで判断しますと、当然このライン(2)は捨てていま す。ただ、このライン(1)の圧トランスデューサーをリユースし、またライン(2)で先ほど 和泉先生がおっしゃいました、気泡を抜くために用いたと思われるシリンジをライン(1) につないで使ったその複合的要素が問題だったのではないかということが、この3頁の いちばん下の文章を読む限りはそう認識しています。もう一度読みます。「モニタリング ライン(2)に使用し、血液に汚染された生理食塩水入りの注射筒が、次の患者のモニタリ ングライン(1)作成に使われた可能性が否定できなかった」という文言から、そう理解し ています。 ○小林座長 そうすると、今回はクロスコンタミネーションの可能性というのはトラン スデューサーのリユースということではなくて、注射器のリユースによるということで すか。 ○事務局 この報告書から判断しますと、そのような記載になっています。 ○小林座長 それでよろしいでしょうか。 ○和泉教授 私は、これはアンユージュアルな使い方であると。コンタミはどこで起き たかというのは、私は知るよしもありませんので。 ○小林座長 いかがでしょうか。どこでどうコンタミネーションが起こったかは必ずし も明確ではないので、これからの議論が進めにくいかもしれませんが、一応ここで透析 施設等における肝炎ウイルス感染に大変ご造詣の深い吉澤教授からご意見、ご感想をお 話いただければと思います。 ○吉澤教授 まだ、どうやって使っているかはよく理解してはいないものですから、も しかしたらピントのずれたことを申し上げるかもしれません。この写真の中で、2つの シリンジがありますが、どちらのシリンジのことを言っているのでしょうか。 ○事務局 この文章から判断しますと、今回リユースしたと言われているシリンジはこ の写真の中にはないと思ってください。いま言っていましたライン(2)というタグの上も しくは別のところ、このライン(2)にいちばん初めに使っていたものが、この写真にあり ます注射筒というタグの書いてあるものに使われたと理解します。 ○吉澤教授 この道具を使って操作を開始するところと、操作が済んだあと、どのよう に終わるかというところまでを全部動画で見せてもらえばいちばんわかると思います。 といいますのは、透析で使われているものも全部ディスポであるにもかかわらず、年率 3.6%でC型肝炎ウイルスの感染が起こっています。どうしてかというと、クロスコン タミネーションもありますし、操作上の問題もあるようで、どちらかというと、操作上 の問題が結構大きいと考えられています。 ○小林座長 操作上というのは、人が間に入っているということですか。 ○吉澤教授 そうです。人の手を介して。ですから、どこの段階で動脈の穿刺をするの か。動脈を穿刺したあとに、どういう形でカテーテルを使うのか。手袋のチェンジがあ るのかないのか。手袋をかえずにほかの物を触るのかどうか。例えば、こういうものも クロスコンタミネーションのもとになるわけです。もう1つは、専門の先生に伺いたい のですが、この操作をする間に、どれぐらいの出血を見るのかです。  もう1つ参考のために申し上げますと、C型肝炎ウイルスの感染力は患者によります が、RNA量に換算して最少限10コピーに感染します。ですから、目に見えるほどのコ ンタミネーションは問題外で、極めて微量で感染が起こりますので、いま申し上げたと ころ、つまり、操作のプロセスがよく理解できていないものですから、いまのところは これぐらいしか言えないのですが。 ○小林座長 ここにご出席の方は、どなたもどういう操作をしたかということが明確に わかりませんので。 ○和泉教授 この図2でもう1つの誤解を生むのは、圧トランスデューサーがあたかも 清潔区域にあるように書かれているわけですが、これは患者の清潔区域から外で使用す るのが普通であります。ですから、先ほどもチューブが出てまいりましたが、非常に長 いチューブを使っているということです。そのチューブも含めて、私たちは全部患者ご とに取り換えてます。もちろん、先生が言われたグローブ、着ていた手術衣も含めて全 部取り換える。これは常識です。出血量については極めて僅かで、穿刺による出血以外 はエア抜きのために少し逆流させる程度ですので、1回の検査についても10mlにいく かいかないかぐらいの出血量しかありません。 ○吉澤教授 ちなみに透析のときの出血というのは、目に見えるほどの出血はほとんど ありません。動静脈吻合の少し圧の高いところを刺しますので、少し太い針で刺します と穿刺部の周辺に飛び散ります。それが手指の先体に見えない状態でくっ付く。それが、 クロスコンタミの出発点となって感染が起こっているわけです。その患者で全部自己完 結するわけですから、いま先生がおっしゃったようにすべてのものを換えて、次の患者 はきれいな状態で操作するということであれば、クロスコンタミもコンタミも起こり様 がないわけです。 ○和泉教授 実は、心臓カテーテルは年間50万件相当行われているのが現状ですが、 いままでの報告でこの案件のみ感染ですので、私たちユージュアルに使っている方法は そのことによって立証されているだろうと思いますし、私たちがユージュアルと申し上 げている方法は世界的にその方法が行われていて、今回も確認しましたがほかの国々で は報告はされていないやに聞いていますので、非常に戸惑っています。 ○小林座長 いま吉澤先生のおっしゃったような手を介してのクロスコンタミネーショ ンを考えますと、和泉先生もおっしゃったように一例ずつガウンも手袋も全部取り換え るわけで、確かにこのモニタキットが外側にあって、本来は無菌野にあるものは一例ご とに取り換えていますから、その手を介してクロスコンタミネーション。外側に汚れた ものが何らかで持ち込まれれば別ですが、清潔野でクロスコンタミネーションが起こる 危険性というのは非常に低い。横手先生もご専門ですからあれでしょうが、そう思いま す。 ○和泉教授 おっしゃるとおりだと思います。 ○小林座長 そうなりますと、和泉先生、ここのトランスデューサーのところに注射筒 と書いてありますね。これは陰圧がかかる可能性があるのですか。 ○和泉教授 これは患者の体外に非清潔野に出ているもの。 ○小林座長 遠くのほうにあると。 ○和泉教授 はい。これはリユースされる可能性は十分に持っています。 ○小林座長 ここは陰圧がこの注射器で、要するに目に見えないここまでコンタミネー ションが起こる可能性。 ○和泉教授 陰圧がかかることはないと思います。生食を抜く。 ○小林座長 むしろ、注入することで使っている、陽圧で使っているという感じですね。 ○吉澤教授 透析の場合は、患者がたくさん並んでいるところで同一の操作者が動きな がら操作していきますから、この手指を介したクロスコンタミネーションはわりと起こ るわけです。でも、この場合は1人の患者で、終わったら全部並べてやるということは あり得ないわけですね。ですから、透析の状況とは全く違うと思います。 ○小林座長 清潔野でリユースをしたものを介して、何がどういう形で使われたかの詳 細はわかりませんが、それを介してクロスコンタミネーションはあると思いますが、手 を介してというのは常識的には考えられないことだと言っていいのではないかと思いま す。そうしますと、先ほども吉澤先生がおっしゃいましたように、もう少し全体の流れ がはっきりしないと、どこでどうコンタミネーションがあったのか。先ほど複数の先生 がお話になられましたように、もし注射器をリユースして、それがコンタミネーション を起こしていれば清潔野に不潔なものが持ち込まれたことになりますから、当然何らか のリスクはあっていいと思いますが、それもこの報告書から読み取るだけですので、そ の辺を明確にするためには条件が詳細にわからないと、これ以上は想像の域を脱し得な いことになるのではないかと思います。 ○森兼主任研究官 茅ヶ崎の報告書の2の(2)にあるものが、おそらく詳細を示して いるのではないかと思います。これを見ますと、どうやらライン(2)から圧トランスデュ ーサーに接続するところに、写真ではないのですが、注射器をおそらく付けていて、こ れを引っ張ることでたぶんライン(2)からエア抜きをしたのだと。ライン(2)からトランス デューサーですね。 ○小林座長 それは、先ほど和泉先生がおっしゃったエア抜きをするとすればここだと いうことですね。 ○森兼主任研究官 そうです。写真では注射器がないですが、ここにおそらく注射器を 付けて、たぶんエア抜きということで、そうするとここまで血液が来る可能性はありま すよね。 ○和泉教授 それはあると思います。 ○森兼主任研究官 それで、茅ヶ崎市立病院のホームページの報告書を読みますと、ラ イン(2)そのものは患者ごとに換えていたけれども、このトランスデューサーとおそらく はこの注射器を換えていなかったのではないかというのは推測のところに書いてありま す。そうすると、そこで汚染、クロスコンタミネーションが考えられるということだと 思います。 ○和泉教授 ただ、清潔野にあったものをリユースするというのは常識的にあり得ない。 ○森兼主任研究官 これは先生がおっしゃるように、患者の不潔野ですね。 ○和泉教授 エアを抜くものは、清潔野に処置がありますので。 ○森兼主任研究官 でも、先生はここにも注射器が付いているのではないかとおっしゃ っていますよね。 ○小林座長 その前に、三方活栓かどうかはわかりませんが、三方活栓があるところに コネクターがありますね。すぐのところに。ここからトランスデューサー側を残して使 う可能性があるか、コネクターがトランスデューサーのところにももう1つあるのでし ょうか。直前にあるのですか。 ○和泉教授 清潔野に入ったものは、全部取り換えます。ですから、簡単なことを言い ますと清潔野と非清潔野を跨いでいるものは、非清潔野に投げてそのまま廃棄処分。 ○小林座長 ですからトランスデューサーを再使用したとしても、トランスデューサー の直前のところにあるコネクターで外しているはずだということですね。 ○和泉教授 そういうことです。 ○小林座長 ここで外れるわけですね、このトランスデューサーの。実物で、どこで外 れるか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 こちらの構造ですと、ここの部分です。 ○小林座長 それが、清潔野と不潔野を跨いでいたチューブになるわけですから、通常 であれば全部取り換えているということですね。だから、そこの回路からのコンタミネ ーションは考えにくいと言っていいわけでしょうか。 ○和泉教授 通常こういう構成で私たちはセットアップしませんので、全く想像の域を。 ○小林座長 普通はトランスデューサーごと、全部シングルユースにしているわけです ね。ただ、エア抜きがかなり長いチューブ、それはどれぐらいあるのですか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 こちらのチューブは弊社のチューブでないの でわかりませんが、こちらですと大体150cmぐらいのチューブになります。 ○小林座長 1mぐらいあるその先の三方活栓でエア抜きをしておいて、それがもしト ランスデューサーを再使用しても、そこまで目に見えない汚染がいく可能性が。陰圧は そこはかかっていないわけですが、吉澤先生いかがでしょうか。 ○吉澤教授 いま、操作時の話ばかりしていますが、操作が終わったあとはいつ誰がそ れを外すのでしょうか。 ○和泉教授 終わったあとは、検査技師であったりナースであったり。 ○吉澤教授 そうしますと、その方に付いている可能性はありますね。ですから、元来 ディスポの器具はディスポで使うべきだというところへ戻るわけですが、器具を外した り操作したりする段階で、術野にいるときに触れば、触ったところはみんな汚染が起こ るということを前提として操作しなければいけないということだと思います。 ○小林座長 先生、いま外したところは不潔野として操作するわけですね。もし、トラ ンスデューサーを再使用するとしても。つなぐのも、不潔野としてつないでいるはずで すね。術者は完全に清潔なアセプティックな形を取って、そこには一切触れずに清潔野 で操作をするはずですから、そこの外側の汚染と術者の滅菌した手袋の外側とがつなが るリスクというのは非常に考えにくいわけですね。 ○吉澤教授 清潔野と不潔野の話ですが、通常清潔野というのはバクテリアの汚染を止 めるための清潔野、そうでないところを不潔野と考えますが、血液を介した汚染を止め る場合には通常の清潔野が血液がくっ付きやすい場所ですね。発想を変える必要がある わけです。操作が終わったあと外す人に術者が触ることはないのですか。 ○和泉教授 術者が触ることはありません。 ○吉澤教授 そうすると、いまの話は考えなくてよろしいわけですね。 ○小林座長 触っても、もう一遍全部手洗いをしてガウンテクニックをして、手袋をは めて次の清潔な操作に入りますから、そこがつながる可能性はないです。 ○事務局 事務局から恐縮ですが、2点だけ質問をさせてください。1点は和泉先生に 質問です。ライン(1)に注目して、和泉先生のおっしゃるユージュアルな使い方による、 こういった事例の報告はないという「ユージュアル」というのは、ライン(1)のトランス デューサーの患者間の使い回しというのがユージュアルなのか、そうではなくディスポ のものはディスポで捨てるというのがユージュアルなのかという点を教えていただきた いのが1つ目。2つ目はライン(1)に着目して、先ほど言った300mHgの圧がかかってい るわけではなくて、閉鎖回路の状態で心臓の高さに位置している状況、生理食塩水が1 m半ほど満たされている状況で、吉澤先生にご質問ですが、それで目に見える汚染がな くとも10コピーの汚染がトランスデューサーのところまで来る可能性があるかどうか。 この1点ずつを先生方に教えていただければと思います。 ○和泉教授 このユージュアルと申しますのは、どこまで医療保険で守られているかと いうことと表裏一体の問題になります。いまトランスデューサーは実はマルメの中に入 っていますので、患者ごとに取り換える場合には病院の費用負担として発生してまいり ます。ですから、定価ベースでは1個5,000円の費用負担が出てくる。だから、合理的 に使うのであればセベラルケース、1日のうちに数例をやる所では、それを患者ごとに 取り換えないで使うことが残念ながら発生していたというのは事実です。しかし、その 場合に先ほど申し上げましたように、すべて一段階、二段階、三段階のように守られて 使っていることが条件下でありまして、それを私はユージュアルと申し上げているわけ です。でも、これは後から申し上げますが、いまは過去のことになりつつあります。 ○吉澤教授 1mくらい離れていて動脈圧との差は300mHgということですが、通常の 患者の動脈圧との差はどれぐらいになるのですか。 ○和泉教授 150mHgぐらいですから、約2倍ぐらいですね。でも、通常はかけていな いでしょう。 ○小林座長 この回路は、圧がかかっていない。 ○吉澤教授 それでは、可能性がないとは言えないと思います。つまり、ウイルスは極 めて小さい粒子ですから、相当以上の圧差がなければ拡散は起こりうると考えたほうが いいと思います。 ○和泉教授 それは、どれぐらいの時間で発生するとお考えですか。 ○吉澤教授 根拠になる数字はないですが。 ○和泉教授 私たちは、これは1時間とか2時間という時間の単位で行っていますので、 その時間というバリアにも守られているという認識でやってまいりました。 ○吉澤教授 いまの段階では汚染がおこる可能性がゼロとは言えないというだけであっ て、逆流してくることを実証するのは難しかろうと思います。 ○小林座長 どうも、これは議論に切りがなくなりそうですが。 ○佐藤指導課長 実は、冒頭にこのケースを報告というかご相談申し上げた趣旨を申し 上げればよかったのかもしれませんが、院内感染対策や健康危機管理という観点から言 いますと、決まりはないですが最近の雰囲気で言いますと、私ども厚生労働省がこうい う危険情報を察知した場合には、疑わしきものを罰するところまではいかなくていいの ですが、疑わしきものはできる限り早急に全国にお知らせをするという責任があるだろ うと思っています。そういう意味で、今日は私どもも半分素人ですから、これをご覧い ただいて先生方からこの時点でこういう点はわかるよ、ああいうことはわかるよ、だか ら、厚生労働省からもこういう注意喚起をしたほうがいいよというアドバイスがいただ けるかなと思いました。ただし、この話がそもそも中間報告であることからここで結論 がつけられているはずもない。そういう状況でした。  話がいろいろ飛びますが、この会議が決してこの事例の捜査会議ではないので、最終 的には外部委員会にお願いするとして、先ほどの話に戻りますがこの時点でどうすべき かということだけを教えていただきたいと思います。どうすべきかというのは、つまり この時点でもいくつかの方法があると思いますが、一案としてはこういう中間報告が出 たのでよろしくねと。リユースはいけないよという程度の軽い話です。2つ目は、多少 それに色を付けてリユースのみならず、先ほどの和泉先生のお話をお伺いするとライン (2)をつなぐことは通常の使用であまり考えられないことのようですので、併せて標準的 な使用をお願いしますよというか、やったほうがいいと思いますよということを言う。 3つ目は、むしろ学会からこの時点でお話いただけること、注意喚起いただけることを ご発表いただいて、これは今日ではなくてももちろんいいのですが、それを私どもが参 考文献・文書というような形で、できれば年度内ぐらいにお知らせをしたいかなと思っ ています。いずれにしても、私どもとしてはこうやって貴重なというとあれですが、大 変重大な感染の事例があって、経験としては貴重な経験だと思いますので、これを今後 起こらないようにするために現時点で何をするのか、中長期的に何をするのか。その中 で、年度内ぐらいにどこまでどの程度を全国に知らしめるかというところでアドバイス をいただければと思って、この問題提起をした次第です。 ○小林座長 ありがとうございました。ここである程度ディスカッションしたことをま とめて、それでよろしいかを和泉先生、吉澤先生からコメントをいただければと思いま す。異常な使い方をしていたであろうということがご指摘をいただいた1つで、ここに 書かれていることから想像できるように注射器を使い回しをしたとしたら、注射器を介 しての交差汚染というのは起こりうるということです。それから、チューブを介してど こから引いているか、どこまでを取り換えているかの問題。通常はトランスデューサー だけを再使用しても、それから中枢測のラインは全部取り換えているはずですから、そ こでの逆流による汚染というのは非常に起こりにくいけれども、これはエビデンスがは っきりしているわけではないというのが吉澤先生の先ほどご指摘くださったことだと思 います。  もう1つは、これも清潔野と不潔野というのは完全に分かれていますから、その危険 性は非常に少ないですが人を介して、手を介しての接触汚染という可能性も考えて、現 場での対策を今後考えていかなければいけない可能性はあるかと思います。そんなこと が、いままでに出た論点ではないかと思いますが、和泉先生、吉澤先生いかがでしょう か。これは、確かに佐藤先生もおっしゃいましたように、学会としてまたいろいろコメ ントをお出しになると思いますので、ここで出すよりはご専門のお立場のコメントを出 していただいたほうが、現場に対してのいろいろな効果という意味でも患者サービスと いう意味でも有効ではないかと思います。いま、まとめたことで何かご追加はあります か。 ○和泉教授 1点ご指摘申し上げたいのは、異常な使い方ではありません。アンユージ ュアルで通常は取らない方法で。 ○小林座長 最初に、それを申し上げたつもりです。 ○和泉教授 実際に、この方法を全く取っていないかというと非常に限られた症例では 取っていて、その場合には全部私たちはセットを取り換えているということです。方法 論としては、ありうるやり方です。  私どもは順序が逆になりまして、中間報告書が出てまいりましたのはこの会に向かう ときにいただいたものです。初めは、資料の3の茅ヶ崎市立病院長から報告をいただき まして、私どもとしてはその辺の与えられた条件下で、与えられた状況下では、HCV 感染がある意味で非常に注目を浴びていたときですので、学会として取り得る最大限の ものは何か。しかもディスポーザブルであり、先ほどのは5,000円という高価なもので すが、もっと高価なものを学会は保険診療枠でないところで抱えているものですから、 そういうことも勘案しながら対応を練ったわけですが、このものについては単回使用が 原則で守られれば、こういう不幸な事例は防げるのではないかという判断をして理事長 の見解を発表して、みんなはこれに従ってもらえないだろうかということでホームペー ジ上に出しました。現場は大混乱に陥りました。そして、圧トランスデューサー特需と いうものが発生しまして、大体30億円の医療費の増加があったと思われます。そうい う混乱が起きまして、現場からなぜ私たちは単回で使用しなければならないのか、世界 的にはそんなことは起きていないのだという議論もありましたが、業者にもお話をしま してこの費用を下げるように努力しよう、我々もオーバーユーズみたいなものはどんど ん減らしていこうということで、これはなんとか吸収しようではないかと。ただ、ディ スポーザブルというものの定義がこの問題を通じて、学会内で厳しく議論されました。 非常に高価なものがあります。6万円、8万円、10万円というものですので、そのよう なものについてもディスポーザブルというようなことになれば、医療保険でのサポート がないととてもできないという話になりまして、いま医政局の先生方とそのことについ ての解決策を議論しています。それの全体的な枠組みが見えたところで、全体に対する 見解を発表しようというのが学会の立場です。  重ねて申し上げますが、私たちはいまのところ、リユースがこの不幸な事件を招いた という考えを持っていません。どちらかというと、ミスユースであったのではないかと いうことです。しかしながら、リユースというものが防げるものであればできるだけ防 いで、なんとか不幸な事例を防ぎたい。そして、カテーテル診療というものをできる限 り幅員を広げていきたいという立場で推進しています。以上です。 ○小林座長 ありがとうございました。大変貴重なコメントを賜りました。今日お配り しようと思って用意したのですが、時間がなくて十分な用意ができませんでした。アメ リカの麻酔学会のリコメンデーションの中でもシングルユースのものに対して、“The reuse of disposable equipment is not recommended.”という遠回しな言い方をしてい ます。“There was insufficient data on the safety of this practice for anesthesia equipment.”ということで、まさにいま和泉先生がおっしゃったような問題をマルメの アメリカでも抱えているということは、この中に示されていることであるわけです。和 泉先生、またはこちらで、ディスポドームを使った場合にどのくらいコストが違うので しょうか。 ○エドワーズライフサイエンス株式会社 申し訳ありません。弊社でドーム型のトラン スデューサーを持っていないものですから、一般的な社の価格がわからないのですが、 いまはドーム型のトランスデューサーは市場のかなり少ない割合になっていますので、 主がディスポーザブルと考えています。 ○和泉教授 機種の発達が非常に良くなってきていますが、ほとんどこのタイプのもの で、たぶん外国との価格差も7倍ぐらいあります。いま非常な価格引下げが行われてい ますので、落ち着くところで落ち着くのではないか。 ○小林座長 時間が1分間しかないですが、何か。 ○吉澤教授 簡単に申し上げます。2頁の感染の流れですが、将来のためにはもう少し 診断をきちんとして少し細かくルックバックする必要があると思います。もし、ここに 書いてあるデータが本当であれば、C型ではインキュベーションタイムが全く合いませ ん。ですから、汚染のチャンスはここに書いてある通りではないと思います。もう1つ、 診断はどうやってしたのか。ウイルスの核酸HCVRNAで診断したのか。HCV抗体 で診断したのか。また、たまたま検査したときに見付かったのか。その辺を細かく追跡 しますと、汚染が起こったチャンスがもう少し見えてくると思います。HCVRNAは 1カ月以内で出てきますから。 ○小林座長 ありがとうございます。和泉先生のご専門の立場と吉澤先生のご専門の感 染疫学的なお立場でウイルスがどういう経路であれしたかというのは、時系列がかなり 大きな問題になってくると思いますので、この辺が明確になったときにまた吉澤先生の コメントを頂戴するのか、それはまた事務局のほうで考えていただきたいと思います。 和泉先生、途中で遮ってしまってあれですが、一応この問題はこういうことでよろしい ですか。このディスカッションはここで締め切らせていただいて、次の議題に移ります。 吉澤先生、貴重なご意見をどうもありがとうございました。                 (吉澤教授退席) ○大久保構成員 最後に、佐藤課長のおっしゃられた答えがまだ出ていないと思います。 シングルユースのリユースについて1分ぐらい時間をいただいてお話をしたいのですが、 今回のものは別として全般的に考えた場合に、その感染のリスクに応じてリユースも考 えていくべきだと思うのです。最近は素材の問題、耐久性の問題、価格の問題、医療資 源の問題、廃棄物の問題等たくさんの問題を抱えていますから、安全だということをそ の使用者が認識できれば、それはリユースもやむを得ないと思います。すべてのシング ルユース器材のリユースがいけないということではないと思います。  これは、平成16年2月9日に出た通知はまだ生きているということで、安全性を保 証し得ない場合はリユースすべきではないという表現ではありますが、その使用者側が きちんと安全性を保証できるものについては一応考慮できるということです。  今回の事例にそれを当てはめてみますと、これはリユースすべきではないことは当然 だと思うのです。問題はその使用手順で、マニュアルがきちんと存在していなかったと いうのが大事な欠陥だと思うのです。リユースするのならリユースについての手順が書 かれていれば、それをいろいろ評価することはできると思うのですが、それが存在しな かったということ。すべての医療行為に対して各施設で手順書をきちんと備えるべきだ と思います。 (和泉教授退席) ○小林座長 議題2「最近の院内感染事例について」に移ります。最初は、「埼玉医科大 学病院における取り組み」からお願いいたします。 ○事務局 最近の院内感染事例についてということで、本日は埼玉医科大学病院で、最 近VREの事例等もありましたので、その後の対策等も進んでいることでしょうから、 我々としてもその対策の進み具合等を情報提供いただければと思いましてお願いいたし ました。 ○横手病院長(埼玉医科大学病院) 簡単に申し上げます。何か専門的なことが必要で したら前崎からお答えします。資料4で、私どもが行っている取り組みについて、1番 目には国立感染症研究所の疫学専門家チームによる調査。それに伴っての提言が第1に あります。第2は、外部調査委員を交えた調査委員会を設置いたしました。今回は女子 医科大学の戸塚先生に委員長になっていただき、木村先生にもご参加いただいたのです が、そういう形での調査をいただきましたのでそれに基づく提言。先般12月17日に行 われた、感染対策中央会議での提言。VREに関する外部からの提言というのはこの3 つの中に集約されるかと感じています。それについての一つひとつの説明はここにある とおりですのでお読みいただければよろしいかと思います。  この中で、私どもがいま重視しております第1点は、もしVREの患者が発見された 場合には、ともかくコホートをする、ということを厳重に行ってきています。12月に起 きた事例では、コホートをすることで、その前に比べると早く収束することができたの ではないかと考えています。ただ、これも一般に動いている病院の中でコホートをする、 というのは大変難しい問題をたくさん含んでおります。幸いに私どもは、感染症病棟が ありますので、そこを使ってコホートをするということ、あるいはそこに入りきらない 場合には1病棟を完全に閉め、プラスの方だけをそこに入れて、全員がマイナスになる までそこで診ていくという大変困難を伴うことではありますが、第1点としてコホート を行っております。  第2点は、もちろん標準予防策です。その他の予防策については再三ご提言をいただ いて、私どもとしては極力全員に周知を図るということで行っております。それにICT のラウンドを強化する。感染対策室を強化することについてもご提言をいただきました ので、それについてはこの後のほうで述べてあるとおりです。  第3点も非常に難しいといいますか、重要ではあるけれども、日常の医療の中にどこ まで取り込むかということが問題になります。スクリーニングで、いかに早く見つけて、 いかに早くコホートをして、他の入院患者への伝播を防ぐか、ということをどのように 実行するかということです。これについては、11月から12月にかけての発端を見ます と、そのときに医療者の関与がゼロとは申しませんけれども、患者から患者へ、しかも トイレという場所を介して伝播していると考えられる節が大変強くありました。これは、 トイレから患者の使っていたベッドまで点々と環境調査で出てくるわけです。それ以外 の所からはほとんど出ませんでした。その患者は、そういう認識が非常に低い方でした ので、それに気がついたときには数人の方に広がっていたということです。  トイレというものを中心とした伝播をいかにして防ぐか。そのためには早くVREプ ラスの患者を見つけるか。それでは入院時、あるいは入院する前に全員スクリーニング すればという考え方もありますが、これは日常の診療所、あるいは緊急の患者の場合そ の他で、これを全部行うというのは大変難しいですので、私どもはいままでの経験、あ るいは文献的なものその他から、入院時のスクリーニングをすべき患者を一応決めまし た。それによってスクリーニングをすることで、早く見つけて、もしプラスであればそ の方をコホートする、あるいはそういう情報を逸早く病院の中へ流すことで伝播を防ご うということをしています。  これは、夏の提言のときからスタートしたのですが、12月の中央会議の提言を受け、 より強化することにいたしました。どういう患者でやるか、というのもこの中に記載し ておりますのでご覧いただければと思います。これでいくと、ほぼ入院患者の10%から 15%ぐらいの患者が適用になります。私どもの病院の立地条件や周りの患者との関連で、 これが高いのか低いのかよそと比べたことがないからわかりません。そういうことで逸 早くVRE陽性の患者のスクリーニングということに、現在は最大の労力を割いており ます。これも、実際にやってみますと大変労力の要る仕事で、そのために事務員が1人、 その情報を伝達するための看護師が1人、検査技士は毎日数検体、多いときには10検 体近くなりますが出てまいりますので、それに要する労力はかなりなものですが、我々 の責務として現在のところそれを続けています。  幸いのところ、12月、1月、2月にスクリーニングで引っかかった方はいませんでし た。ただ、このスクリーニングのセンシティビティがどのぐらいであるか、というのは また後ほど議題になるかと思います。それは問題ではありますけれども、少なくともそ れで院内の伝播、院内発生のときを見ますと、1回目のときにかなりパーセンテージが プラスになっていますので、いまのところもしプラスの方がいたとしても、現在院内で は伝播は起きているという状況ではないと、安易には判断できませんけれども、そうい う基準でいま日常の診療を続行しているところです。簡単ですけれども以上です。 ○小林座長 ありがとうございました。大変熱心に取り組んでいただいているわけです が、構成員の先生方からご意見、ご質問はございますか、事務局からはいかがですか。 ○佐藤指導課長 先ほどの話と似ているのですが、私どもこういう事例をご報告いただ いたので、これを各都道府県なり特定機能病院へ伝えていきたいと思うのです。そのと きのポイントみたいなものを教えていただきたいと思うのです。おそらくいまの話を伺 っていると、最後の頁の(2)のスクリーニングの部分がすごい取り組みといいますか、 かなり力を入れていただいています。病院の性質にもよるのでしょうが、患者の年齢も 考慮すると、こういうことが今後特定機能病院を中心に必要になってくるのか、はたま たこれはかなり先進的に取り組んでいただいているのか、その辺を構成員の皆様からの ご意見も含めてお伺いしたいと思います。リコメンドしていくことがあり得るのかどう か。  これ以外に特定機能病院という最高峰にある病院として、ここはうっかりしていたと か、もうちょっとこういうところは他の病院への、他山の石と言ったら失礼ですが、そ ういうところがあったな、というようなことが(2)以外にあれば教えていただきたい と思います。 ○横手病院長 大変難しいご質問ですが、構成員の先生方のご意見をお聞きしたほうが よろしいかと思います。ただ、実際に実行した側のスクリーニングというのは、日常の 医療の中であると言えば医療の中ではありますけれども、まず人から言いますと入院し てきたすべての患者に説明をし、承諾をいただいてVREの検査をしますと。いま、私 ども月の入院患者が1,200〜1,400人の間ぐらいいます。もちろん特定の患者というこ とになりますけれども、それでもかなりの数になります。  いまは、いろいろな意味で説明をして承諾をいただいて実行する、というのは絶対必 要な条件ですので、それに医師や看護師が大変力を使わざるを得ないというのも事実で す。その患者が現在発症していない疾患に対する、予防的な意味の検査ということにな りますので、患者にとってはある意味で負担があります。どういう方にやるべきか、と いうのをもうちょっと見た上で決めるべきではないかと思っています。  それと同時に先ほど保険の話が出ましたけれども、これは当然予防的なものですから、 健康保険からは出せません。このスクリーニングにもし出ますと1件4,000円ぐらいで しょうか。通常の培地でやるのはそんなにかかりませんけれども、そうは言いましても 数百円ですので、やはり100例、200例とやりますと数十万円というのは常にコンスタ ントにかかってきます。私どもはなんとかそれでいきますけれども、これを一般の病院 までいきなさいと言うと大変負担になってしまうのではないかと思います。  これをやるべきかどうかというのはいま申し上げたとおりで、私どもは京都府でのス クリーニングと、いままでの提言でいろいろいただいたスクリーニングです。いままで 私どもの所でプラスになってしばらくしたらマイナスになりましたと。それまでは、3 回マイナスになるまではマイナスという判断をしないと、非常にシビアなクライテリア でやっておりました。通常は1回でマイナスならばマイナスなのですけれども、1回プ ラスだった人は、3回マイナスでなければ、本当にマイナスになったとは判断しないこ とにしていままで対処してまいりました。  これをやっていきますと、この前のときにもあったのですが、マイナスが3回であっ たのにプラスになったと。そのように4回目にプラスというのがありました。このスク リーニングの方法は、いま現在そういうスタディが進行中ですけれども、本当にどうや ってスクリーニングするのか、という方法論まできちんとやった上で、確立した上であ る限られた非常にハイリスクの患者については原則的にスクリーニングをやる、という ことが広がっていくことを防ぐ上で非常に大事なことではないか。  私どもも、皆様に大変ご迷惑をおかけしたわけですけれども、VREの院内感染の経験 と、その後の取り組みの中から私どもがいま感じていることです。 ○小林座長 いまスクリーニングが大きな問題になっていますけれども、いずれにして もVREのクロスインフェクションを防止するためには早く特定することであると思い ます。ただ、スクリーニングは2つに分けられると思うのです。1つは、アウトブレイ クがあったときのスクリーニング、これは必要だと思うのです。定常状態でどこまでス クリーニングするか、というのはMRSAも全く同じような問題を持っていると思います。 お許しいただければですが、議題は前後しますが、一般のスクリーニングの必要性を考 えますと、荒川先生のVREの分離頻度の状況をご説明いただいてから、コミュニティ の保菌率を含め、前回埼玉大学で議論したときもそんなことが出ましたけれども、スク リーニングの必要性ということを考えていったほうがいいかと思います。  ある程度保菌者が中にいることは常に間違いないわけですから、それに対する職員の クロスインフェクション、要するに一般的な注意ということと、患者に対する衛生の教 育は絶対に必要なことだと思います。そういうことはさておいて、荒川先生から先に分 離頻度のご説明をいただいてよろしいですか。 ○荒川構成員 分離頻度というと、サーベイランスの事業ですか。 ○小林座長 はい。 ○荒川構成員 資料7です。これは、従来から行っております院内感染対策サーベイラ ンス事業の検査部門の昨年1月から3月のデータです。施設分は既に返しておりますけ れども、公開資料分のデータを取りまとめてホームページに今後掲載される予定のもの です。  去年の1月〜3月はまだ旧システムで、検査部門については血液と髄液の分離株につ いて調査を進めました。血液・髄液の分離株で申し上げますと、現実的にVREはほと んど検出されません。VREと報告されたものをチェックしますと、実はグラム陰性菌が 同時にコンタミしていたような事例がほとんどでした。VREによる敗血症とか髄膜炎と いうのは基本的に国内ではまだ発生していないというのが全般的なところです。  ここにはないのですけれども、全入院部門というところで、VREのサーベイランスを、 こちらはVREによる感染症と判断されたような事例について報告をしていただいてい ます。これについては、血液・髄液に限らないということで報告をまとめています。こ れは年間に1桁ぐらいの報告がありますけれども、そんなにあちこちでVREによる感 染症が起きているということは。 ○小林座長 1桁というのは、10例以内ということですか。 ○荒川構成員 そうです。1株か、2株ぐらいということです。5株は超えない。全入院 患者部門の報告です。去年の7月からこのサーベイランス事業を大幅に改正し、検査部 門については血液・髄液以外のすべての検体について検査室で分離された菌について報 告していただくようになりました。  それで見ましても、当然便の検体も入ってくるのですが、VREの陽性をきちんと確実 に確認されたものはないです。ただ、陽性患者で、VREということで報告があって、そ のときにこちらから確認しますけれども、そのときに感受性パネルの中に、ほかのグラ ム陰性菌がコンタミしていて再検してみるとそうではなかった。これは、いま集計途中 で確定はしておりませんが、去年の7月以降の調査でも、VREの保菌者、あるいはVR Eの感染症の患者が多数おられるという状況ではないというのが日本の現状だと思いま す。 ○小林座長 そういう現状を踏まえてご意見はございますか。 ○事務局 資料6も一緒にご説明いただければと思います。 ○荒川構成員 現在第1回、2回の中央会議の提言を受け、埼玉県の医療施設において、 VREの保菌患者、あるいは実際VREはどの程度分離されるか緊急に調査をする必要が あるということで、急遽昨年12月ぐらいに最終的にその決定がなされました。その後、 大急ぎで調査を進めてまいりました。年度内に行わなければいけない調査だということ であり、非常に大急ぎで準備をしてまいりました。現在も調査が続行しています。  いちばんのネックは、研究でありますので感染研及び調査に協力していただく施設に おける研究倫理審査委員会等で内容を承認していただいた上での調査ということでした ので、それに1月中はかかってしまいました。大きな病院等では2月までかかる施設も ありました。結局、一次スクリーニングを年度内に大体終われるようにということでい ま進めています。  概要はそこに書きましたように、対象及び調査方法でありますが、当然説明をして、 同意をしていただいた施設で、さらに説明をして同意をしていただいた患者から便検体 の提供をいただくということです。通常のスワブの直接塗布法と、これは日本で一般的 に、あるいは海外でも一般的に行われていますけれども、感度が5割ぐらいというよう な報告もありますので、増菌培養法を同時に行い、感度、特異度の辺りをきちんと出せ ないかということで進めております。複数株VREが分離された場合は、詳しい遺伝子 の解析等を行います。  もし、調査に協力していただいた機関の中で、VREの保菌者が多数確認されたような 施設があった場合は、VREを保菌するリスクについて疫学的な症例対照研究を行うと いう計画で進めております。現在、調査は続行中でありますけれども、現時点で13施 設です。予想したよりは少ないのですけれども、13施設にご協力いただきまして検査は 続行中です。  既に、これまでに出た結果については随時各医療機関に結果をお返ししております。 万が一問題がある、要するにVREの保菌者が確認されたような場合は、病院できちん と適切な対応をしていただくということと、必要に応じて行政のほうに届出をしていた だくことをお願いしております。  この研究班の性格上、この研究に加わっていただいた施設の名前、患者の名前という のは報告書を出す時点で個別の名前は出さないということ。あと研究班で把握できた結 果については、あくまでも病院を通じて必要な報告なり発表をしていただくということ で、研究班からは個別の事例については情報を公開しないという約束でこの調査は進め ています。 ○小林座長 先ほどの、全国的に年間5株ぐらいというのは、Nはどのぐらいあるので すか。 ○荒川構成員 全入院については、ちょっといまは。 ○小林座長 大体どういうオーダーですか。 ○荒川構成員 10万とか数十万というのがNということです。 ○小林座長 前回も問題になりましたけれども、埼玉医大を取り囲む地域にVREの分 離頻度が高いかどうかというのは、荒川先生の研究班の調査結果が、次回の中央会議ぐ らいまでには出ると思うのです。それによって保菌率が高い地域はスクリーニングが必 要なのかどうかという議論になるかと思うのです。一般の入院患者に関して、VREのス クリーニングをアクティブサーベイランスカルチャーの形でやるかどうか、というのは いまの荒川先生のお話のように、10万分の5というような単位のものであれば、これは 疫学的意義はかなり低いものになるのではないかと思います。その問題についてご意見 がありますか。 ○横手病院長 私どもには大変切実な問題であります。10万分の5というのは感染症を 起こしている、私どもがやっているような、感染症を起こしていようが起こしていまい がスクリーニングということでは。 ○小林座長 これは、検査室側から見た数字ですからいろいろ入っているわけです。 ○荒川構成員 全入院部門サーベイランスについては、一応感染症を起こした患者とい うことで報告をいただいております。保菌者については、正確に把握できているかどう かはわかりません。 ○小林座長 感染症の診断はどこが付けるのですか。 ○荒川構成員 各病院の、感染症の診断をする担当の医師を決めていただきます。 ○小林座長 検査室側ではなくてですね。 ○荒川構成員 はい。 ○小林座長 そうすると、かなりはっきりしたものですね。 ○荒川構成員 はい。保菌状況については先ほど申し上げましたように、去年の7月か らサーベイランスのシステムを変えましたので、今後はその保菌状況も正確に把握でき るようになると思います。 ○小林座長 その数字が出てくると、また議論ができるかと思います。いまの段階でこ の会議として提言できることは、横手先生の先ほどのご説明にもありましたように、ト イレから点々と汚染しているということであれば、やはりこれは患者に対する指導も非 常に重要になりますし、そういう可能性のある症例に対しては、ICTが積極的に動いて インターベンションして、クロスインフェクションを防止するような病院内の対策が必 要、というのはご指摘のとおりだと思います。あとは、サーベイランスカルチャーをア クティブにやるかどうかということは非常に難しい問題を含んでいると思うのです。森 兼先生からご意見はありますか。 ○森兼主任研究官 ここで、CDCの話をするのが適切かどうかわかりませんけれども、 2006年に出ました多剤耐性菌に対する管理というCDCの文書では、平常時はアクティ ブサーベイランスカルチャーはやらない。病院として異常だと考えたときには、1段階 上乗せした強化対策としてアクティブサーベイランスカルチャーをハイリスクな患者に 対してやる。そのハイリスクの患者というのは、それぞれの病院で考えることであると されていると思います。VREに関しては、日本でもその方針でいいのではないかと思い ます。 ○小林座長 特に、アメリカにおいてはVREの感染例が日本に比べたら非常に多い現 状にあるわけです。そういう意味においてはバンコマイシンの使い方というのは、日本 は発売当時から比較的神経を使ってきていると思います。ただ、ときどき予防的に使っ ているような所が最近出てきましたので、あれは気をつけなければいけないと思ってお ります。そういうバックグラウンドもかなり違うアメリカでも、そういう考え方で、特 別なアウトブレイクがあるような問題があるときにはスクリーニングをするけれども、 そうでないときはその必要性はないのではないか、ということでこの中央会議としてご 異論のある方はいらっしゃいますか。  いまの段階では、アクティブサーベイランスカルチャーを全例にやる、ということに はまだエビデンスがはっきりしていないという見解かと思います。それは、CDCもそう いうことを認めているわけです。特定の地域として問題があれば、これは今後考えなけ ればならないことで、先ほど申し上げましたように、荒川先生の研究班の調査結果等を 踏まえ、今後の課題になることかと思います。ほかに中央会議として発信しなければな らないことがありましたら。 ○大久保構成員 先ほどの横手院長からのご説明の中で、もう1点付け加えるべきかな ということがあります。病院の環境整備といいますか、医療関連サービス振興会の調べ では、98%ぐらいの病院が清掃業務を外部委託しています。トイレの周辺からVRE、あ るいはMDRPもそうでしょうし、ノロウイルスもそうでしょうし、リザーバーから考 えれば便の管理の中で、トイレの清掃というものがかなり重要視されてきていると思う のです。基本的に手袋の交換ということがわかっていても、本当の手順そのものとして、 便器を洗った手で次に水を流すのが先か、手袋を外すのが先か、というようなところま できちんと目の届いた監視をし、アウトソーシングの人たちの教育といいますか、現場 の人に対する指導はかなり重要だと思います。  環境対策の中でのそういう面と、あとはコホーティングと言われましたけれども、米 国CDCのVRE感染防止のガイドラインでも推奨されているごとく、便を介する感染防 止の場合には、その部屋にシャワーが備えてあるとか、全身をきれいにできるような対 策も入れていく必要があるのではないかと思います。 ○横手病院長 私どもも、清掃業者は委託です。委託業者への教育というのは繰り返し やりました。ただ、これが理解してもらえたかどうかは難しいところです。  第2点については、病院の構造の問題になるかと思います。実際にシャワーまでとい うのは通常ありませんので、それは是非必要なのか、ある程度のイクイップメントは備 えるべきということには賛成ですが、現状としては大変難しいということです。 ○小林座長 おっしゃるとおり個室化というのが理想的ですけれども、それをすべてに 対策として強制するわけにはいきません。そうなりますと、トイレの汚染というのはド アノブでも同じですけれども、掃除した後はきれいでも、毎回掃除しているわけではあ りませんので必ず汚染は残る。それが最近極端なのは、コンピューターのキーボードは 汚染しているかどうかという報告がありますがあれもちょっとナンセンスだと思います。 当然そういう環境が汚染していると思って対応し、手洗いが必要になる、ハンドハイジ ンが必要になる。そういう患者に対しても、職員に対しても徹底した教育をする、イン ターベンションをするということが対策上は非常に重要であり、常に病院の中というの はそういう汚染があると。もちろんクリーニングは必要ですけれども、それでもなおか つ汚染しているということは強調し、そのことを考えて対応するよう全国的に啓発して いく必要があるのではないかと思います。 ○荒川構成員 先ほどのアクティブサーベイランスカルチャーの件なのですけれども、 これは確かに日本でいまの現状では、積極的に推奨する意義は非常に少ないと思います。 ただ、バンコマイシンを使っている、あるいはバンコマイシン以外の抗菌薬もそうです けれども、そういうものをある程度使っている患者については、普通のクリニカルカル チャーで、ときどきそういう菌が付いていないかどうかは見ていくというのも必要なこ とだと思います。  ですから、アクティブサーベイランスカルチャーをしなくてもいいというだけを発信 してしまいますと、VREは調べなくてもいいのではないかと誤解が生じる可能性があり ます。必要に応じて各病院の機能、患者の状況、使っている抗菌薬も含めて検討し、各 主治医が判断し、適切な検査をしていただく必要はあると思います。 ○小林座長 貴重なご意見です。それは重要なことだと思います。バンコマイシンの使 用をそれで制限するわけではありませんけれども、使用時の何らかの形での報告をする、 ということは抑止効果があって、これは全国的にかなりそういうことをやる所が増えて きております。これは、VRE等を増やさないための方法として、全国的に提案していく べきことではあるかと思います。 ○切替構成員 荒川先生のおっしゃるとおりで、バンコマイシン使用に関しては、医療 現場ではいろいろな方法で緩やかに規制し、使用を制限しているというのは皆さんご存 じだと思うのです。VREのスクリーニングを推奨するということは大変重要で、コスト エフェクティブなスクリーニングの方法ではないかと思います。 ○小林座長 バンコマイシン使用患者に対してですか。 ○切替構成員 はい、そうです。 ○木村構成員 アクティブサーベイランスカルチャーについては森兼先生がおっしゃっ たとおりだと思います。しかし、埼玉医大の場合もそうですけれども、発端者が出て、 それで調べてみると何人かに広がっていたということがあるわけです。全く症状を出さ ないので、どれぐらいの人が保菌しているかというのは調べてみないとわからないです。  ですから、荒川先生がやられたような、地域や対象を絞った形で研究班での活動をあ る程度継続し、一般患者における保菌の広がりをモニターすることも将来の対策を考え るうえで必要なのかと思います。 ○小林座長 保菌者の、日本における動向のモニターというのは経費もかかることかと 思いますが、ご指摘のように非常に重要なことだと思います。 ○切替構成員 MRSAの例で見ますと、例えば北欧・オランダの医療機関では、いまだ に非常に低いMRSAの分離率です。日本のVREの現状というのはそれに非常に近いの かなと思うのです。アメリカやほかの国と比較しますと非常に低い。これをどうやって 守っていくといいますか、VREの広がりを抑えていくかというのは非常に重要な、ひょ っとするとこの会議の中でかなり重要なテーマになってくると思いますので、引き続き 慎重に対応していくべきだと思います。 ○小林座長 貴重なご意見だと思います。まだまだ、これも議論は尽きないかと思いま すけれども、以上のようなことを提言させていただくことで、時間も限られております ので次に進めさせていただきます。徳本先生、例の札幌のご説明がありますか。 ○事務局 議題3「その他」として挙げております。私から、資料5、資料8、資料9 をまとめてご説明させていただきます。  2月頭に明らかとなりました、札幌医科大学附属病院高度救命救急センターにおける 多剤耐性緑膿菌(MDRP)へ感染者の発生についてということで、こちらは北海道厚生 局が中心に対応しておりますので、そちらに作成していただいた資料を基に私からご説 明させていただきます。  事例の発生状況としては、平成18年9月から平成19年12月までの16カ月間、感染 者21名、関与の度合は別として死亡が5例です。死亡事由として、3名は間質性肺炎、 敗血症、末期ガンが死因であり、感染との因果関係はない。2例は抵抗力のない重篤な 患者(重度脳挫傷、肺挫傷等)であり、感染との因果関係の判断は困難という事例です。  感染の認識自体は、大学附属病院としては当初より院内感染の可能性については検討 していたが、調査の結果その可能性は低いと認識していたということで、いまの段階と して札幌医科大学としては、これが院内感染であるのかどうなのかに関してはいま検討 中という状況ですので、今回は議事次第で「その他」の項目で整理させていただいてお ります。  現在の予定又は今後の予定として、院内での検討の結果、既設の「院内感染防止委員 会」の下に、「MDRP感染症ワーキンググループ」を設置し、臨時の外部委員及び学内 委員の委嘱、今回のMDRP感染について、遺伝子検査を含めた調査・検証等を行うこ ととされている。  外部委員として、京都大学の一山先生、大阪大学の朝野先生に入っていただいている ということです。これまでに1回ワーキンググループを開催し、4月中旬を目途に結論 を得て報告するということで聞いております。  厚生労働省の対応としては、北海道厚生局が2月8日、12日に報告を大学附属病院よ り聞き、27日に札幌市保健所とともに現場確認を実施しているところです。今後とも継 続的に情報収集に努めてまいりたいと思っております。  次は資料8です。これは、一部皆様にお諮りしなければいけない内容になっています。 先ほど荒川構成員からご説明のありました院内感染対策サーベイランス事業についてで す。昨年7月から新たな調査票、実施体制において行っております。これまでは、髄液・ 血液で実施していたサーベイランス事業が、細菌検査室で得られるすべての検体につい て収集するなど、先ほどの議論にありましたような、院内感染の保菌率等を検証するに 必要な情報収集に資するものになっているかと思います。これらの得られた情報を、こ れまでは本日の資料7にありますような形で一般公開することで、臨床現場の皆さんの お役に立つようにと公表しておりましたが、より皆さんの注目度合が上がっています。  これは、200床以上の病院が全国に2,700ほどあり、延べ800以上の病院に参加して いただいているということで、200床以上の病院の4分の1以上は参加しているという 状況にありますので、かなり皆さんの注目は高いものであります。得られたデータをよ り有効活用し、今後中央会議を含め、検討に資するデータを出すためにと考えておりま す。そこで運営委員会を正式に立ち上げようと考えております。  この委員に関しては、今後小林座長と相談をしながらということで考えておりますが、 この委員会設置の前に準備会的に会議を年度内に1度開きたいと考えております。その 様な進め方に関して、特に皆さんにご異論がなければ進めさせていただきたいと思いま すがいかがでしょうか。 ○小林座長 札幌医大の件は、インフェクションかどうかはっきりしないということで ご報告いただきましたが、これはまだ議論の対象にならないかもしれません。もしよろ しければ後半にお話をいただいた、院内感染対策サーベイランス運営委員会設置要綱並 びに今後の活動についてご意見があればお願いいたします。委員としては、この会の中 の一部の方々が中心になって動いていただくことになるのかと思います。 ○大久保構成員 この集められたデータというのは非常に重要性を帯びてくることは間 違いないわけです。日本の現状を把握するということで非常に大切です。寄せられるデ ータの質といいますか、それからサーベイランスそのもののやり方等も評価をし、ある いは評価できる人を運営委員の中に入っていただく必要があるのではないかと思います。  我々の中央会議のメンバーを中心にすることはいいわけですが、それに加えて実際に ここにおられる森兼先生はSSIサーベイランスを当初からやっておられて、その解析も しておられます。日本環境感染学会のほうでサーベイランスの委員長をやっていただい ている関東病院の小西先生。そのシステムを日本に紹介し、いろいろ解析して立派な仕 事をしておられる国立看護大学校の西岡みどり教授。その辺りの実際にやってこられた 方々を推薦できたらと思いますがいかがでしょうか。 ○佐藤指導課長 いまお名前が上がりました3人の先生すべてに入っていただくべきな のか、そうでなくて実際の委員としては限られた人で、あと個別相談できるようなネッ トワークを作るべきなのか、そういうことも含めて準備会的に検討させていただければ と思っております。実際どのように運営するかに関しては、小林座長を中心に相談させ ていただければと思っております。 ○倉田構成員 関係ないかもしれませんが、先ほどからいろいろ聞いていて、防止のた めの現場のトレーニングというのに各病院ではどのぐらいの時間を使っているのですか。 職種別にもいろいろあるのですが、サラサラと講義をするだけなのでしょうか。 ○小林座長 それは、病院によってかなり取り方が違います。担当しているドクターが どのぐらいの時間を感染制御に使っているかというと、ドクターは教育病院を調査した ときでも75%タイルで自分の勤務時間の17%ぐらいで、ナースは50%以上の時間を使 っています。そういう中でまだばらつきもありますので、非常によくやっている所とそ うでない所とあります。これも厚生科学研究の中の調査の対象になっていろいろな報告 がありますけれども、ばらつきがあるのは確かです。 ○倉田構成員 なぜそれをお聞きしたかというと、既にあるのですがもっと大きなレベ ルで始める研究関係の所で、病原体を扱うことに関してですが、とにかくあらゆるもの が同じケースで同じものがあって、そこはあくまでも模擬なのです。そこに、ちゃんと 指導する教官が付いて、初めて入ってきた人は全部3カ月間徹底的にすべてをやって、 それを毎日繰り返す。それで、初めて病原体を扱う部屋に入ることを許しています。日 本では、そんなことをやっている所はどこにもありません。  それは非常に大事なことかと思って興味を持ちました。先ほど感染症の説明をなされ たことをやれるもの、実際にどのぐらいのナースなり医師なりが、あるいはこの関係の 人たちがトレーニングを受けて、それから初めて患者のいる現場でやるのかということ に関心を持ちました。そのトレーニング時間というのは米国ではものすごく重視してい ます。院内感染防止ではないのですけれども、普通の病院で扱う実験室の話です。先ほ どのオランダやノルウェーなどでは少ないと言われたのは、そういうトレーニングを徹 底的にやっている所があるのではないかという気がしているのです。日本では、あまり 病原体ではやっていないですね。 ○小林座長 重要なことだと思うのですが、検査室とかラボでも、特定の限られた人間 が対象であると厳しいトレーニングは可能ですが、病院という全体規模になってくると、 そのコンプライアンスは日本だけではなくて、世界的にむしろアメリカなどのほうがよ ほど問題になってコンプライアンスは低い。そのことに良い所と悪い所との差が大きい ので問題になっているわけです。ヨーロッパでもそれは全く同様なことだと思います。  しかし、全国発信するにしても、そういうコンプライアンスを上げていくための教育、 これは去年通知として出た医療法の施行規則の改正に伴って、教育とか研修ということ が強調されたわけです。その中にも強く姿勢として示されたわけで、今後もそういうコ ンプライアンスを高めていくように、我々委員会としても努力しなければいけないこと だと思います。貴重なご指摘をありがとうございました。  そろそろ時間も迫ってきましたので、今後のことを含めて事務局から説明をお願いい たします。 ○事務局 最後に資料9を説明させていただきます。平成20年度の予算案として5,021 万1,000円。平成19年に実施した事業は、基本的にはそのままの予算額が付いており ます。一部予算が増額しておりますのが4.院内感染対策情報公開事業です。こちらは先 ほどから話題に挙げています、院内感染対策サーベイランスの、上がってきたデータを 精緻に、大久保先生がおっしゃっていますような、上がってきたデータの質をある程度 事務局的に見ていただく、もしくはVRSA等が報告された際に、現場に問い合わせるな どの対応をしていただくということで、そういった人員確保のための予算を増額してお ります。ほかは、平成19年同様の実施予定にしております。  本日は、貴重なご意見、ご議論をいただきまして誠にありがとうございました。本日 いただきましたご意見を基に、院内感染対策については引き続き取り組んでまいりたい と思っております。各構成員の皆様方におかれましては、引き続きご指導方よろしくお 願いいたします。 ○小林座長 非常に実り多い議論ができるようになってきました。これは、構成員の皆 様方のご尽力、ご協力のお蔭だと思います。どうもありがとうございました。これをも ちまして第7回の院内感染対策中央会議を終了させていただきますが、今後継続しなけ ればならない課題がいろいろ残されておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いい たします。 (以上) 照会先:厚生労働省医政局指導課     院内感染対策担当(徳本) 電話 :03-5253-1111(内線2771)