08/03/10 第7回「健康食品」の安全性確保に関する検討会議事録 ○大野座長 まだ時間が早いようですけれども、全員集まってくださいましたので、「第 7回『健康食品』の安全性確保に関する検討会」を開催させていただきます。  先生方におかれましては、非常にお忙しいところ、特に年度末でいろいろ報告書とか があって大変だと思いますけれども、その中で集まっていただいて、どうもありがとう ございました。  議事に入る前に、事務局より、委員の出欠状況について説明をお願いいたします。 ○玉川室長 委員の出欠状況についてでございますけれども、本日は、内田委員、神田 委員、宗林委員、田中委員、寺本委員、松本委員より、所用により御欠席との連絡を受 けております。 ○大野座長 ありがとうございます。  続きまして、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。 ○玉川室長 資料について確認をさせていただきます。本日の資料はかなり点数が多く なっております。資料1が「論点整理」。資料2が「食品規制法令における関係者の責 務」というA4横のものでございます。資料3が「健康食品・無承認無許可医薬品健康 被害防止対応要領について」というものでございます。資料4がA4の縦になりまして、 「健康食品を利用して『体調不良』を感じたら」というものでございまして、東京都の 方から提出いただいているものでございます。資料5といたしまして、「日本医師会『食 品安全に関する情報システム』モデル事業について」というものがございます。資料6 は「食品の安全・安心に関わるアンケート調査結果(一部抜粋)」というものでござい ます。資料7でございますけれども、「健康と食品懇話会07年度消費者研究ワーキン ググループ」というのが右上についたものでございます。  それから、参考資料1といたしまして、「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防 止対応要領について」という通知。参考資料2といたしまして、「食品による薬物中毒 事案の再発防止策について」という、関係閣僚による会合申合せを付けております。  それから、資料番号はございませんけれども、本日、配付資料といたしまして、大濱 委員より提出があった「米国における消費者保護/副作用報告制度について」というA 4縦のものがございます。  それ以外に、席上配付させていただいておりますが、東京都の「健康食品ウソ?ホン ト?」「誤解していませんか?健康食品」というパンフレット、「『健康食品』の安全 性・有効性データベース」に関するチラシ、「健康食品を使っていますか?」という社 団法人東京都医師会・社団法人東京都薬剤師会と東京都によるポスターがございます。 かなり部数が多くなっておりますけれども、配付させていただいているのは以上であり ます。 ○大野座長 ありがとうございました。配付資料はございますか。議事次第も皆さんの ところに行っていますね。  それでは、今日の議事は、1番として「『健康食品』の安全性確保の方策について」 と、その他という予定でございます。前回に引き続いて、検討を進めるに当たっての具 体的な論点に沿って検討していきたいと思います。  前回までは、「論点整理」の1番の「健康食品の安全性確保を図るための具体的な方 策について」の議論をいただいたところです。今日は、2番の「健康被害情報の収集及 び処理体制の強化について」と3番の「消費者に対する普及啓発について」の議論をい ただきたいと思います。  その前に、前回の検討会で、健康食品の安全性の確保における事業者の責任の範囲に ついて整理して説明してくださいというような御意見がありましたので、それについて 事務局からまず説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○玉川室長 資料2の「食品規制法令における関係者の責務」というもので御確認をい ただきたいと思います。  食品関係の法令について基本法的な立場であります食品安全基本法の中では、関係者 の責務を6条から始まりまして9条までの中で規定をしております。事業者につきまし ては8条で、条文としては長いんですけれども、アンダーラインのところを見ていただ きますと、「食品の生産、輸入又は販売その他の事業活動を行う事業者」、食品関連事 業者というんですが、これにつきましては、「その事業を行うに当たって、自らが食品 の安全性の確保について第一義的な責任を有していることを認識して、食品の安全性を 確保するために必要な措置を食品供給行程の各段階において適切に講ずる責務を有す る」という立場を定めております。  これを受けまして、個別法の中で、特に食品衛生法の中では、食品等事業者、これに ついては、括弧、括弧でくくったかなり長い定義があるんですけれども、食品等事業者 は、製造し、輸入し、等々の食品につきまして、「自らの責任においてそれらの安全性 を確保するため、販売食品等の安全性確保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原 材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努 めなければならない」ということを責務として第3条に規定をしております。  そして、これを受けまして、1枚おめくりいただきましたところに、厚生労働省から 出しております食品安全部長の通知の中で2つのガイドラインを示しております。まず 「錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」では、製造工程 管理の手法については、医薬品について既に導入されているGMPを参考にすることが できる。しかし、その錠剤、カプセル状等の食品におけるGMPの導入に当たっては、 その特性に応じたものであるべきであり、また、現段階においては、事業者の自主的な 取組みを推奨するような方向で進めることが適切である。  また、もう一つのガイドラインでございます「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安 全性に関する自主点検ガイドライン」の中では、原材料の安全性の確保については、食 品等事業者の責務として、同条というのは食品衛生法の3条なんですが、先ほど御説明 いたしました3条に規定されているところであるけれども、錠剤、カプセル条等食品の 原材料の製造、販売等に関しては、その特性に鑑み、安全性確保に向けた事業者の自主 的な取組みが期待されるところである。  これらを趣旨として、実際にどういうふうに安全性に関する自主点検を進めていくか、 あるいは適当な製造規範を進めていくかをまとめたものが現在のガイドラインになって おります。したがいまして、これらの事業者が第一義的に責任を負っていて、それを自 主的に進めていくんだけれども、その際に、よりどころとしては、こういう考え方でと いうのが現行法の立場ということになります。  資料の説明は以上であります。 ○大野座長 ありがとうございました。ただいまの説明についての質問、御意見ござい ますでしょうか。坪野先生、お願いします。 ○坪野委員 「安全性」という言葉の中身について、もう少し細かいことが規定されて いれば教えていただきたいんです。つまり、前回、GMPなどで議論した、原材料が基 準を満たしているとか、必要な成分が入っていて、余計なコンタミネーションがないか ということ以外に、長期に服用した場合に病気のリスクが上がるとか、いろいろあると いう話が出たと思うんですけれども、現状で、例えば、食品安全基本法における食品の 安全性とか、食品衛生法における原材料の安全性といった場合に、何が含まれて、何が 含まれていないというような、何か確立した定義があるのかどうか。 ○玉川室長 おっしゃるとおり、基本法、食品衛生法、ガイドラインという段階がある わけでございます。食品安全基本法が一番包括的なものでありまして、その立場という のは、食品の安全性の確保、このために必要な措置が、国民の健康の保護が最も重要で あるという認識の下に行われるということで、健康への悪影響が未然に防止されるよう な、こうした観点から行われているわけでございます。そういう意味では、国民の健康 の保護等々に対する影響ということをとらまえて、それにかかわりがあるものについて は、これで追って対処していくということです。  具体的には、食品安全基本法の11条で、「食品の安全性の確保に関する施策の策定に 当たっては、人の健康に悪影響を及ぼすおそれがある生物学的、化学的若しくは物理的 な要因又は状態であって、食品に含まれ、または食品が置かれるおそれがあるものが当 該食品が摂取されることにより人の健康に及ぼす影響についての評価が政策ごとに行わ なければならない」という形で、基本法でありますから、かなり包括的なことが規定を されております。  それは食品の生産、食品の供給行程の各段階において行われるということであります から、生産物の肥料とか飼料とか、そういうところでも勿論とらまえられるものですけ れども、私どもの所管しております食品衛生法の中では、食品衛生という観点からそれ について規定をしております。その中での責務というのは、ここにございますように、 さまざまな事業者においてもかかわりがあるものですから、それも多段階ということに なります。  そこまでは広いんですが、今回出しておりますガイドラインということで申しますと、 特にその在りようの中で、錠剤、カプセル状等の食品に着目して、こういう取組みをし ていっていただきたいというところから、このガイドラインについては出しているもの であります。したがって、具体的に上の方のガイドラインで言いますと、GMP的なア プローチについて、このガイドラインではどういうふうに考えているか。下のところで 言いますと、まさに何度も言っておりました原材料として含まれるもののところであり まして、そこのところについては、先生おっしゃったように、いろんな試験が、フロー チャートの中では実施すべしというのが出ているわけであります。その範囲がどこまで 適当に見られているかどうかというのは別として、それを濃縮したものを摂取したとき に、原材料として何か発現するようなことがちゃんと防げているかどうかという観点か ら、ここのところについて安全性をとらえております。 ○坪野委員 ありがとうございました。 ○大野座長 よろしいですか。事業者が既存の食品について、慢性毒性まで全部やって チェックすると、そこまでは要求していないわけですね。 ○玉川室長 基本的に普通の食品については、今までの長い食生活、食経験の中である 程度のことがわかってきているということだろうと思いますけれども、こうした濃縮し たものについては、今までの食経験のところから言えることを超えて摂取される可能性 があるので、その際には特別の配慮が必要だろうということで、このガイドラインをお 示ししているものであります。 ○大野座長 濃縮したようなものについての安全性については、一義的に事業者の責任 だということですね。 ○玉川室長 食品として摂取されるものについては、すべからくそうでして、今まで食 されてきたものについては、食経験である程度わかっているところもある。勿論、それ によって完璧に管理し切れないところもあるのかもしれませんけれども、基本的にはと らえられるという中で、こういう錠剤、カプセル状については、よりシスティマティッ クに対応しないと、なかなか安全性の確保に十分でないところがあるんではないかとい う考え方からガイドラインを示しております。 ○大野座長 よろしいでしょうか。鬼武先生、お願いします。 ○鬼武委員 細かいことで確認したいのですけれども、食経験というのも、多分、食品 衛生法の中で厳密には規定はされていないのではないかという気がします。ですから、 一般的に今まで食べてきた経験がどれくらいあったとか、前に議論になったのは、既存 添加物名簿が1995年にできたときに、国会の答弁の中で厚生労働大臣が、たしか長い使 用経験にかんがみて現状の天然添加物は問題なかろうというようなことで、いわゆる食 経験についても厳密には法律上といいますか、食品衛生法では規定はしていないという ふうに私は理解しているのですけれども、確認をしたいのです。 ○玉川室長 食品一般について、この場でお答えすることはできませんけれども、少な くとも錠剤、カプセル状等のところについては、フローチャートの中で基本的な考え方 をお示ししておりまして、それを更にブレークダウンした形で、林理事長のところで、 実際に事業者がどういうふうに考えるかというものを今回示して、今まで御議論いただ いてきたところだと思います。そこのところと通常の食品のアプローチというのがどう いう関係に立つのかというのは、一言で説明するのは難しいんですけれども、ここで健 康食品を考えるときには、一応、具体的な内容ということはある程度議論された中で示 されてきたんではないかなと考えております。 ○大野座長 よろしいですか。 ○鬼武委員 わかりました。 ○大野座長 どうもありがとうございました。  それでは、今日の議事次第の論点2の「『健康食品』の安全性確保の方策について」 に入っていきたいと思います。初めに、現行の健康被害の対応の体制について、事務局 から説明いただけますでしょうか。 ○玉川室長 では、資料3「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害対応要領について」 ということで、第1回の検討会の資料の中にも入れ込んではいたんですけれども、再度 確認のためということで、A4の2枚紙をお付けしております。  平成14年10月に、健康食品とか無承認無許可医薬品による健康被害発生を未然に防 止するためということで、対応要領を策定しております。  販売の段階では健康食品として販売をされていて、結果的に無承認無許可医薬品と判 断されるものがあったようなことから、食品担当部局と医薬品担当部局が密接な連携に よって迅速に対応すべきということを基本的な心得として定めております。  また、発生時の対応といたしましては、都道府県等が保健所を設置しということです けれども、相談受付をいたしまして、聞き取りや成分分析等の調査をして、厚生労働省 へ報告する。厚生労働省の方では、情報収集いたしまして、健康被害の原因と疑われる 食品名等の公表を必要に応じて行う。  その際の判断基準といたしましては、その被害について、当該患者の症状の経過等が 明らかにされていて、その製品を摂取したことが原因であると疑われる旨の情報を得ら れた場合には、予防的観点から事例を公表するといったような取扱いをしております。  直近の被害の報告件数として上がってきているものは2枚目にお付けしておりまして、 19年度は11か月分でまとめております。それから、この対応要領の本体につきまして は、ページ数が多いものですから、参考資料1に付けさせていただいております。  それから、これは健康食品ということではないんですけれども、今回の中国冷凍食品 の対応について、自治体との情報共有とか、そういうところで幾つか問題点が指摘され たこともありますので、参考といたしまして、食品による薬物中毒事案に関する関係閣 僚による会合申合せということで、「原因究明を待たずとも実施すべき再発防止策」と 副題のついた「食品による薬物中毒事案の再発防止策について」というものをお付けし ております。対象となる食品としてはズレがあるかと思いますけれども、問題点として、 ある程度意識が共有できるところもあるかと思いましたので、参考までに付けさせてい ただきました。 ○大野座長 ありがとうございました。今の御説明について質問ございますか。大濱先 生、お願いします。 ○大濱委員 健康被害が起こった場合の対応をするときに、それが健康食品なのか、無 承認無許可医薬品なのかという問題があると思うんですけれども、無承認無許可医薬品 というのはあくまでも医薬品の範疇の問題ですね。実際に健康被害が起こったときに、 それがどちらに属するかということが、確認されるまでは、すべて健康食品して取り扱 われると考えられているんでしょうか。 ○玉川室長 確認されるまでということになりますと、実際上、そういう対応になろう かと思います。 ○大濱委員 無承認無許可医薬品が明確になれば、これは健康食品による被害という位 置づけにはならないと考えてよろしいわけですね。  もう一つは、無承認無許可医薬品の場合には、個人輸入で起こる場合が多いと思うん です。個人輸入の場合の法的な取扱いは恐らく別になると考えられるのですが、そうい ったことはないでしょうか。 ○工藤専門官 医薬食品局の監視指導・麻薬対策課でございます。おっしゃられました ように、無承認無許可医薬品であるということが確認されたものについては、あくまで 無承認無許可医薬品による健康被害でございまして、食品による健康被害という扱いで はなくなります。  個人輸入の場合も、健康被害の情報が医療機関等から、あるいは保健所などから上が ってまいりまして、その摂取された製品の分析などから医薬品成分が検出されれば、そ れは個人輸入された医薬品による健康被害ということになりますし、医薬品成分が特段 検出されないということであれば、個人輸入された食品による健康被害ということにな るかと思います。 ○大濱委員 個人輸入の場合には、基本的に国内での流通は起きないわけですね。 ○工藤専門官 個人輸入ということであれば、そうなるかと思います。 ○大濱委員 そうすると、取扱いも別の見方になりますね。ただ、健康被害という扱い の上では同じということになるわけですね。 ○工藤専門官 そうですね。最近は個人輸入と一言で申しましても、いろいろな形態が ありまして、1人2人が外国で購入するという場合でなくて、インターネット等を通じ て多数の国民、消費者が購入して使用する可能性がかなりあるというような場合もあり ますので、注意喚起を図る上では、個人輸入というものについても一定の情報提供です とか、啓発ですとか、そういったところを行っているところでございます。 ○大濱委員 わかりました。どうもありがとうございました。 ○大野座長 細かいところを申し訳ないんですけれども、資料3の最初の健康被害発生 時の対応の「都道府県等」というところで、相談を受け付けて、その次に矢印で聞き取 りや成分分析等の調査をして、それから厚生労働省に報告となっているんですけれども、 これだと、成分分析が終わらないと報告できないことになってしまいますけれども、特 にそういう意味ではないですね。 ○調所専門官 基本的にはこういったことなんですけれども、勿論、すぐに対応すると きはすぐに対応するということになっています。 ○大野座長 問題の大きさによって変えるということですか。 ○玉川室長 都道府県の段階で情報をある程度整理をして、そこに時間がかかり過ぎて は問題なわけですけれども、その上で厚生労働省につないでいく。迅速性と、どれぐら いちゃんと整理できるかというところについて、走りながら並行してということになる んだと思いますけれども、一応そういう形になっております。 ○大野座長 ありがとうございました。  それでは、次に行きたいと思いますけれども、よろしいですか。今回の論点について の、自治体や医師会における取組みについて御紹介いただきたいと思います。資料をい ただいていますけれども、まず、自治体における取組みに関しまして、金谷先生から御 説明をお願いいたします。 ○金谷委員 東京都の金谷です。資料4をごらんいただきたいと思います。自治体とし ての取組みということで、東京都におきましても、健康食品によります被害事例等を未 然防止をするためにさまざまな取組みをさせていただいておりますので、そちらについ て御紹介させていただきます。  資料4は、18年7月26日に公表した資料をそのまま使わせていただいておりますが、 「健康食品を利用して『体調不良』を感じたら〜都は医療機関と連携して情報収集を開 始します〜」というものです。  1枚目にありますように、東京都では、東京都医師会、東京都薬剤師会と連携いたし まして、現場の医師、薬剤師の皆様が患者さんといろいろお話をする上で、健康被害情 報等を察知した場合に、それを東京都の方に上げていただくということに取り組んでい るところでございます。  2枚目の図をごらんいただければと思います。これまでお話がありましたように、医 師等が健康被害を探知した場合には、当然、保健所等の行政機関に届け出て、それにつ いて必要な調査等を行う、そしてまた厚生労働省に自治体から報告をする、必要に応じ た処分、公表等の対応をするということにはなっているんですけれども、実際に東京都 で過去に医師、薬剤師さんたちにいろいろ調査をしたところでは、現場で健康被害事例 を聞くとか、そういう症例に遭遇するということもあるという方々がいる一方で、健康 被害事例の詳しい知見をお持ちの方が多いというわけではない。それから、どういう例 を行政の方に報告しなければいけないのか、判断に苦しむことが非常に多いということ もわかりました。  重篤なものとか、すぐさま調査をしなければいけないというものがあれば、当然、対 応は必要なんですけれども、実際にはなかなかそうではない、軽症だけれども、それか ら、関連性がよくわからないけれどもというような事例もたくさんあるのではないかと 考えました。  そこで、健康食品と実際の患者さんたちの症状とか因果関係が、お医者さんとか薬剤 師さんの現場で明確ではないものであっても、幅広くそういうものを集めることにより まして、数がたくさん集まることによって、成分とか、症状の関連性について一定の知 見が得られるのではないかというねらいで、安全性情報の収集という事業を始めたとこ ろです。この辺が「目的」とか「背景」に書いてあるところになります。  左側の図で、都民が病院、診療所、薬局等の医療機関に相談しに行って、何か健康食 品を使っているということがあったら、症状の大きい小さい、関連性がはっきりしてい る、はっきりしていないにかかわらず、東京都医師会、東京都薬剤師会に報告していた だきまして、それをまとめて東京都の方に両会から御報告をいただいております。  右側の方に行きまして、必要なデータ解析、これは専門の委員の皆様に御検討いただ いているんですが、データをまとめて検討していただきまして、必要に応じて、上の方 に「東京都の対応」というのがありますけれども、安全性調査の実施、健康被害に関す る情報提供、そして勿論、厚生労働省への報告となっております。  症状が軽いものとか、関連性が明確にならないようなものは、このような形で、数を まとめて検討する必要があるんですけれども、当然、そこまで行かずに、すぐにでも対 応しなければいけないようなものも出てくることもあります。それは下の方に点線であ りますが、行政対応が必要な事例です。これまでに出たように、実際に重篤な健康障害 があったとか、明らかにこの成分によると思われるというようなものにつきましては、 勿論、医薬品を含むという場合もあるでしょうけれども、違反品とか、重篤被害等、こ ちらにつきましては、1件ごとに都度対応して行政対応する、それから厚生労働省へ報 告をするということでございます。  1枚めくっていただきまして、このような形で情報の収集に努めているところですけ れども、現時点においてどれくらい報告があり、どういう対応をしてきたのかについて 御説明させていただきます。  平成19年度第2回「健康食品」による健康被害事例専門委員会からの報告になってお りますが、上の方に小さい字で「東京都食品安全情報評価委員会への報告資料」とあり ますけれども、食品安全情報評価委員会という知事の附属機関がございまして、その中 の健康食品に関して検討していただく専門委員会を設置しております。この評価委員会 の座長は林委員にお願いしております。また、梅垣委員にもこちらに参加いただいて、 いろいろと御指導をいただいております。そのときの報告の内容です。  この専門委員会につきましては、原則非公開とさせていただいております。といいま すのも、具体的な個人の症状とか、症例とか、場合によっては製品、成分など、こちら に上げていただく段階では関連性とか因果関係がまだ明確になっていない情報を扱うと いうことでございますので、分析とか評価資料等は原則非公開とさせていただいており ます。ただ、検討の状況ですとか、どれくらいの情報が集まっているのか等につきまし ては、この評価委員会に対して専門委員会から報告をしたと、そういうことなので、そ のときに使った資料の範囲内で御説明をさせていただきたいと思います。  1月29日に開催されたんですけれども、まず、収集された情報につきましては、日本 医師会のモデル事業ですとか、医薬品の副作用情報の評価の手法というのがあるんです けれども、そういうのを参考にしながら、効率的な分析をするための手法をいろいろと 検討しております。  ただ、実際に被害というか、症状があったという報告を、事務局でも検討し、委員の 皆様にもいろいろ御検討いただいているんですが、本当に難しいなと思いましたのは、 因果関係というか、関連性が明確にならないようなものばかりです。と言いますのも、 やはり医薬品と異なって、特定の単一の成分だけが入っているわけではなくて、いろん な成分が含まれております。実際に製品の表示に書いてある多種類の原材料のうち、果 たしてどれが影響しているのかというところを特定するのがなかなか難しい。そのため に一定のまとまった数を集めて、それを検討しようとしているところですけれども、実 際には成分ごとに見た場合の報告数はまだ多くないというのが現状です。  それから、報告が上がってきた中には、同じ方で、いろんな健康食品をとっていらっ しゃるという方も多くて、どれが該当するのかというのもなかなか難しい。そして、お 医者さんのところに来る方なので、もともと何らかの疾病を治療している方が多いとい うことで、どちらが影響しているのかというのは、なかなか関連性を推測するのは難し いというのが現状です。  そこで、議事の1にありますように、現在、委員の皆様にはすべての報告の症例等を ごらんいただいて御意見いただいているんですけれども、今後も具体的な報告事例を用 いまして、例えば、医学的検証とか、重篤度、報告数、こういう要素から、更に点数化 をして合理的に判断するような仕組みとか、簡素化をするとか、そういうところで引き 続き分類方法の御検討を今後もしていくということでございます。  それから、(2)の方ですけれども、これまで報告事例は82人の方で延べ112の製品 について報告をいただいております。イのグラフは年代別で分けたものです。右のウの 性別割合は、女性、男性の割合を見たものです。  1枚めくっていただきまして、健康食品の入手方法といたしましては、インターネッ ト・カタログ通販等が多いです。それから、薬局・薬店・ドラッグストア。この2つが 最も多い。個人輸入というのもありました。  それから、健康食品の利用目的としましては、健康維持とか栄養補給等、関節痛の改 善とかダイエットが多かったということでございます。  書いていないんですけれども、症状といたしまして、発疹等のアレルギー様の症状で すとか、肝機能の数値が変化したという報告もございましたが、いずれも軽症でござい まして、健康食品の素材に関する文献情報等も都度調べていますけれども、それに合致 するというようなものもなかった。ということで、112の事例につきましては、製品と 症状、成分と症状との因果関係については、今のところ不明というのが現状でございま す。ただ、これを継続していくことによりまして、こういう事例を蓄積していくことに よって、今後新たな報告等があれば、何らかの関連性を見出していけるんではないかと いうふうに考えています。  1枚めくっていただきまして、「健康食品ナビ」というカラーのページは、東京都は ホームページでもいろいろ健康食品に関するページを設けて、多くの方に見ていただく ということで、これはホームページの見本でございます。ここがトップページで、こち らに書いてあるコンテンツにアクセスできるということになっております。  1枚めくっていただきまして、「『健康食品』で、161品目中123品目に表示等の法 令違反!!」というのがありますが、平成18年度の健康食品試買調査結果のまとめでご ざいます。ちょうど1年前の19年3月に公開したもので、今年度もほぼ同規模でやって おります。  先ほど情報を集めているという御説明をしましたが、実際に市販されているものを購 入いたしまして、例えば、どれくらい医薬品成分が含まれるものがあるのか、それから、 表示上で不適切なものがあるのかを確認しています。  例えば、表示・広告の検査を行った161品目で123品目に何らかの法令違反があった という結果です。例えば、ダイエットとか、男性機能系の食品に関しては、昨年度は特 に注目して行ったんですけれども、特にこういうところで表示違反が多かった。  そのほかにも、点の3つ目で、男性機能の向上を標榜する6製品からシルデナフィル 等の医薬品成分を検出した。これは当然、無承認無許可医薬品ということで対処してお ります。このように、具体的にどのようなものが含まれているのかを実際に製品を購入 して調査をしております。  ただ、161品目中123品目というものすごい高率で見つかるという結果なんですが、 これは誤解をされないようにお願いしたいんですけれども、都の職員が実際にいろんな お店に行きまして、そこで怪しげなものというか、かなり疑わしいんではないかという ものを選んでいるんです。そのほかにも、インターネット・カタログ通販等の広告で疑 わしいものをあらかじめ選んで検査、表示の確認をしておりますので、このように高率 に見つかるということでございます。ですので、一般の市場に流通している、いろんな 健康食品がこういうふうな形で高率に違反が見つかるというわけではございません。そ ちらは誤解のないようにお願いしたいと思います。違反等が見つかったものにつきまし ては、すべて適切に対処をしているところでございます。  そのほかに、普及啓発、先ほどホームページの御紹介もさせていただきましたが、例 えば、都民の皆様や事業者、医師、薬剤師等の医療現場の皆様に、何といっても健康食 品に関して被害が起きないようにとか、あくまでも健康食品を利用するに当たっては通 常のバランスの取れた食事が基本ということで、その辺の普及啓発のための資材をこの ようにつくっております。こちらは保健所で配布をするとか、病院や診療所、薬局等で 掲示をしてもらったり、そのほかにも、スポーツジムとか、美容院とか、美容とか健康 に興味のある方々が集まるようなところにも協力していただいて、そこで配布させてい ただきました。  以上、東京都の取組みを紹介させていただきました。 ○大野座長 金谷先生、どうもありがとうございました。  引き続いて、医師会における取組みについてお話しいただきたいと思いますけれども、 内田先生が今日は御欠席ですので、代わりに青木さんに出席していただいていますので、 青木さんの方から説明をお願いいたします。 ○日本医師会 では、日本医師会の「食品安全に関する情報システム」モデル事業につ いて御説明いたします。本来でしたら、本検討会委員でもある内田健夫常任理事より御 説明申し上げるところですけれども、所用のため欠席させていただいております。担当 事務局である私より御説明いたします。モデル事業の概要、今後の課題、最後に今後の 予定と、順を追って御説明いたします。  まず、モデル事業の趣旨ですけれども、かかりつけの医師である医師会員には、患者 からの相談や日常の診療から知り得た食品による健康被害に関する情報が蓄積されてお ります。  診療の現場から、それらの情報を日本医師会に提供してもらい、日本医師会において 検討し、報告書などを作成して、再び診療の現場に還元し、日常の診察、治療に役立て てもらうというサイクルを考えております。そういうことを通じて、かかりつけ医機能 の普及・啓発を進めることを趣旨としております。  簡単には、1ページ目の下の方にフローチャートがありますけれども、まず、患者さ んが受診・相談する。それを受けた医師会員である医師が健康被害を知ったときには日 本医師会に情報提供していただきます。次いで、まず、日本医師会事務局において1次 判定を行い、その後、国民生活安全対策委員会という会議を開催して第2次判定を行い、 そして、どのような対応を取るかを決める。例えば、健康食品に関するニュースなどを つくって診療現場に還元する。更に、こういうプロセスを通じまして、できれば毎年度、 活動に対する評価を行って、システムの改善などを図りたいと思っております。  2ページ目をお開きください。このモデル事業は、日本医師会に設置しております「国 民生活安全対策委員会」というところで立案、遂行しております。国民生活安全対策委 員会は、全国を8つのブロックに分けております医師会ブロックからの代表、更に3つ の都道府県医師会長の先生、そして田中平三先生を初めとする学識経験者の方やマスメ ディアの方々など専門家によって構成されております。委員会のテーマとしては、モデ ル事業の実施要綱の策定、提供された情報に対する判定の実施、モデル事業の活動評価 を業務内容としております。  3ページ目をお開きいただきまして、モデル事業での情報の収集ですけれども、医師 会員が日常の生活などを通じて健康被害や、その疑いを覚知したときに、所定の情報提 供票、5ページ目と6ページ目にありますけれども、そこに記入していただき、都道府 県医師会を通じて日本医師会に提供してもらう仕組みとなっております。  提供いただいた情報は、専用のホームページで、日本医師会モデル事業に参加してい る都道府県の医師会、国民生活安全対策委員会委員において情報共有しております。  対象とする情報は、主として、いわゆる健康食品に関する情報にしております。  4ページ目をお開きいただきまして、情報提供してもらう場合ですけれども、(1)患者 の症状が、摂取した食品と何らかの関連の可能性がある、または関連が否定できないと 思われる場合。(2)患者の服用している医薬品と摂取している食品との間に相互作用の可 能性がある、または相互作用が否定できないと思われる場合。?その食品が有害か無害 かは問いませんけれども、宣伝文句を過信した患者さんが食品に過度に依存してしまい、 治療や医薬品の服用を中断するなどの具体的な弊害が生じている場合。つまり適切なと きに適切な治療を受けるチャンスを逃してしまうような場合です。  5ページ目には情報提供票が載っております。この中の真ん中よりちょっと下のとこ ろに「(5)−2.症状等と食品との関連性のエビデンス」とあります。それから「(6)重篤 度」とありますが、これは後ほど御説明いたしますが、第1次判定を行うときの要素と なります。6ページは情報提供票の2ページ目になります。  7ページ目をごらんください。(3)モデル事業の参加状況といたしまして、このモ デル事業がスタートした平成18年10月の時点、本格スタートは翌年19年の1月ですけ れども、その時点では、全国15の都道府県医師会3万1,493人の会員の先生に御参加い ただいております。  そして、現時点の情報の提供状況ですけれども、既に第2次判定を終えた数で31件。 ただし、東京都医師会分につきましては、先ほど金谷先生から御説明があったとおり、 東京都の事業に参加しておりますので、この数には入れておりません。このほか、現時 点で情報提供を受け付けているけれども、第2次判定を行っていない件数が2件ござい ますので、合わせると33件になります。  8ページ目をごらんください。情報に対する判断、対応といたしまして、日本医師会 では、医師会員の先生から提供された情報に対して、「真正性」「重要性」「緊急性」 の3点を基盤とした判断基準に基づいて2段階の判定を行っております。  フローチャートを見ますと、1番目、医師会員からの情報提供を受信とありますけれ ども、ここにおいては日本医師会事務局で、先ほどの5ページ目、6ページ目にありま す情報提供票に書いてあるとおり、言ってみれば機械的に、緊急審議情報か通常審議情 報かを決める第1次判定を行います。そして、国民生活安全対策委員会を開催いたしま して、第2次判定を行います。そこでレベルづけを行うことにしております。第1次判 定、第2次判定の際の判断基準は、9ページ目の上の方に載っております。  国民生活安全対策委員会で第2次判定を行い、そこで決めたレベルに基づいて、報告 書の作成や伝達を行うことにしております。モデル事業に参加している会員の先生方に 対して、専用のホームページで判定結果を含む情報を提供しております。  更に、モデル事業に参加している先生方、あるいは全会員の先生方に注意喚起やモデ ル事業の年次報告、また厚生労働省への通知なども行うことにしておりますけれども、 後ほど述べます課題がいろいろありまして、注意喚起とか厚生労働省への通知はまだし ておりません。そのほか、会員の先生方や国民の方々に対する周知・啓発活動も必要と 考えております。  5番目といたしまして、活動の評価です。都道府県医師会員を対象に、このモデル事 業についてのアンケートを実施しております。その中で、会員の先生方や住民の方々へ のPRが重要であるという問題点の指摘、それから、本モデル事業では全会員の方々を 対象にしていますけれども、それよりもある程会員の先生方を絞って参加してもらう定 点観測方式の方が効率的で、情報の精度も高いのではないかと指摘されております。そ のほか、ビデオ制作やシンポジウムの開催など、各県医師会の取組みを教えていただい ております。  更に、国民生活安全対策委員会において自己評価を予定しております。量的な評価と しては、情報提供件数、判定回数など、質的な評価としては、会員の参加率、判定所要 時間、エビデンスの度合いなどを基にして委員会報告書をつくっていただくことにして おります。  10ページ目ですけれども、「今後の課題」といたしまして、まずは情報の収集、医師 会員の協力です。現在はモデル事業に参加してもらう会員の先生方については、開業医、 勤務医を問わず、診療科も問わず、かかりつけの医師であれば、すべての人を対象にし ております。ですが、医師会員の先生方への情報提供の働きかけや、会員の先生方に関 心度を高めてもらうため、会員の先生方からの情報提供の精度とか専門性の確保、日本 医師会でつくった報告書をちゃんと伝達するということを考えれば、健康食品による被 害に高い関連性を持つ診療科の先生方、内科、皮膚科、婦人科、小児科、整形外科など の先生方を中心とすることを検討しております。  次に、多くの会員の先生方の協力をいただくためには、医会や学会の御協力は不可欠 でございます。更に、専門性の確保ということを考えれば、大学や研究機関、専門家の 方々との協力も必要です。それから、薬剤師の方々との連携も不可欠であると考えてお ります。  更に、3番目といたしまして、国や都道府県の食品安全当局、国公立の研究機関など の行政との連携も必要です。食品安全業者に対する指導監督権限を持っておられますし、 国内外、あるいは県内外のそうした健康被害に関する情報もお持ちです。それから、専 門的な研究もされておられます。  更に、国民や医師会の方々のモデル事業の理解を得るためには、広報活動も必要であ ろう。ポスターやホームページなどを充実させたいと思っております。  更に、医学的な評価に耐え得る判断基準、判定方法を確立しなければ、モデル事業そ のものの正確性も疑われますので、先ほど御説明しました第1次判定、第2次判定に関 する判断基準について、分類方法や点数配分を見直さなければならないと思っておりま す。勿論、その際は専門家の方々の御協力も必要になると思っております。  それから、会員の先生方から提供いただいた情報、データについては、きちんとフィ ードバックしなければ更なる協力は得られないと考えております。ただ、11ページに掲 げるとおり、さまざまな問題がございます。1年半で31件の情報提供ではエビデンスが 蓄積されていない。それから、風評被害による訴訟などの法的リスクもあるだろう。1 つの健康食品に多くの成分が含有されているケースも多いですし、更にそれを幾つも摂 取している場合は、どの成分がどういう被害をもたらしているか特定困難となります。 更に、国民の方々の側にも過剰摂取しているケースがあることが、今回のモデル事業を 通じてよくわかりました。  そういったことから、エビデンスがある程度確立している成分について、安全性や有 効性などを啓発するような方法を現在検討しております。そのときは特定の製品とか業 者を非難、排除することを目的でするのではなくて、過剰摂取のリスクなど、健康食品 の摂取方法に関する啓発も含めたことを考えております。  それに関連いたしますけれども、11ページ目ですが、国民の方々への啓発も必要であ る。健康食品は有効成分を凝縮したり、医薬品成分を含有しているケースも多々ありま すので、通常の食品よりも被害のリスクは高い。その上、過剰摂取した場合には更にリ スクは高まるというわけで、国民の方々への健康食品の摂取の在り方についての啓発を 行うことが必要である。東京都医師会を初め、既に取り組まれているケースもあります けれども、リーフレットやビデオ、ポスターの制作、公開シンポジウムの開催といった 医師会活動も実績としてございます。  最後に、「今後の予定」といたしまして、国民生活安全対策委員会の報告書を3月下 旬にとりまとめる予定でございます。モデル事業の今後の在り方、モデル事業に対する 活動評価、モデル事業の改善点の指摘などを内容としております。  次に、次年度、平成20年度以降についても、モデル事業を実施することを予定してお ります。日本医師会の予算案が認められれば実施する予定でおります。  最後に、国民の方々への啓発用資料も同時並行でつくっていかなければいけないと思 っております。  そのほか、厚生労働省とは限りませんけれども、専門家の方々の研究事業への参加な どもしたいと思っております。  最後に、「食」というのは国民生活にとって最も基本的な要素であって、その中で健 康食品は健康の増進や美容のため、特別の期待をかけて国民の方々が摂取されるもので ある。患者、国民にとって、身近で頼りになるかかりつけの医師が日常の診療や指導を 通じて食の安全を図ることは、国民が安心して生活を送ることのできる社会づくりにつ ながると、日本医師会では考えております。  以上でございます。 ○大野座長 青木先生、どうもありがとうございました。それでは、金谷先生と青木先 生の御意見、御説明を踏まえて、今日の論点整理の2番の「健康被害情報の収集及び処 理体制の強化について」を御議論いただきたいと思います。  具体的な検討項目といたしまして、1つは、健康被害発生の未然防止や拡大防止等の ために、健康被害情報のより積極的な収集に努めていくことが必要ではないか。  2番目として、より積極的な健康被害情報の収集のためには、健康被害が生じた際に 診断に当たる医師や、健康食品の流通関係者等の間で、健康食品の実情や、健康被害情 報収集の重要性に関する理解を深めていく必要があるのではないか。  それから、収集する健康被害情報の信頼性を高めるには、どのような措置を講じる必 要があるか。  それから、健康被害情報について、製造事業者等からの報告を義務づけるべきか。  また、収集した健康被害情報を行政において効率的に分析できるよう、体制の整備を 図るべきではないか。  また、他の健康食品や医薬品との相互作用についても、科学的知見の集積を図るべき ではないかというような形で論点整理されてありますけれども、これだけにこだわらな いで、今、説明いただいた内容も含めて、また、先生方の新たな御意見も踏まえて議論 していきたいと思います。御発言をお願いいたします。松永先生、お願いします。 ○松永委員 お2人の方にお尋ねしたいんですが、どちらも実際に比べて症例として上 がってきているのが少ないのではないかという趣旨のことをおっしゃっておられました けれども、それは、医師にまだこうしたモデル事業、こういう仕組みが理解されていな いということなのか、あるいは患者の方に問題があるのか。問題があるという言い方は おかしいですけれども、どうしても医師には本当のことは言えない、健康食品を摂取し ていることを言えないという話をよく聞きますので、その辺りの要因が大きいのかどう か。それと、そういうことを克服するために、例えば、薬剤師とか看護師とか、医師で はない方が質問するとか、そういう工夫をしておられる医療機関もあるようですけれど も、そういうことをそれぞれやっておられるのかどうか。患者さんの方にどのくらい問 題があるのか、そこが多分、この情報伝達、普及のポイントだろうと思いますので、御 意見としてお伺いしたいんです。 ○大野座長 お願いします。 ○金谷委員 今のお話は全くそのとおりだと思います。1つには、医師等、医療機関で どれくらい認知されているのかということですけれども、先ほどの説明の中で若干申し 上げたように、健康食品等による健康被害に関して非常に詳しい方もいらっしゃれば、 実際にはなかなかそうでないというのも現状だと思います。そういうことがありますの で、東京都の医療機関から情報をいただくという事業については、医療機関の方々に、 こういうことがあり得る、そういうのがあったら是非教えていただきたいと、それから 逆に、患者さんと接する際に、健康食品等を利用されていないのかというところも確認 していただきたいということも併せてお願いしてあります。それが医療関係者の方々に、 健康食品によって何らかの被害があり得るということをきちんと認識していただくこと の1つになっていると考えております。  それから、患者さんにも、場合によっては薬をやめて、健康食品の方が何となく副作 用がないんではないかと感じる方もいらっしゃると聞いておりまして、それを医師に正 直に言うのもはばかられるようなことがあるというのも実情だと思います。また治療を 自らやめてしまって、健康食品に切り替えることよって本来の治療効果が得られないと か、場合によっては健康食品と医薬品の相互作用みたいなことがある場合もあるかもし れません。ですので、患者さんに対しても、こういうことがあり得るということを知っ ていただく、また、そういうことを感じたら、是非、医師や薬剤師にちゃんと相談をし てもらいたいということで、先ほどのパンフレット、リーフレット等で、それからホー ムページも活用して普及に努めております。そういうところでよろしかったですか。 ○松永委員 印象としては、消費者がきちんと医療機関に相談しなくてはというような 意識はまだまだであるということですか。 ○金谷委員 そうですね。医療機関でそういうことに取り組んでいる方も勿論いると思 いますが、実際にはまだ十分知れ渡っていないんではないかということです。そういう ことで上がってこないのか、それとも実際にそういう被害がないのか、それはもう少し この事業を継続してみないと、まだ見極めができないのかなということです。 ○大野座長 青木先生、いかがですか。 ○日本医師会 まず、医師に対する啓発については、先ほど御説明したとおり、すべて の診療科、すべての会員の先生を対象とするのではなくて、健康食品に関連する診療科 の先生方にある程度ターゲットを絞った上でモデル事業を実施していく方が適切である ということが、都道府県医師会に対するアンケートからも明らかになっております。あ る程度ターゲットを絞って、ポスターなり、情報提供の働きかけのお願いなどをするこ とによって、情報提供件数を上げたいと思っております。  それから、国民の方々、患者の方々への周知ですけれども、今日はお見せしなかった んですけれども、日本医師会ではポスターをつくって、モデル事業に参加していただい ている先生方の診察室に張っていただいております。そのほか、地域の医師会によって は、問診票を独自につくって、健康食品の摂取状況などを聞くようなこともしておられ ます。  それから、日本医師会のモデル事業に31件の情報提供をいただいているんですけれど も、そのうち健康食品を食べていることを医師に伏せていた例が13例ございました。健 康食品に限らず、患者さんから信頼されて、身近で頼りになるかかりつけ医機能の推進 という機能を考えれば、「こういう食品を食べているんだ」と、患者の方から自発的に 医師におっしゃっていただくよう、ポスターなどをつくって啓発活動に努めたいと思っ ております。  以上です。 ○大野座長 ありがとうございました。報告事例というのは、重篤なものはあったんで しょうか。 ○金谷委員 いえ、ありませんでした。 ○大野座長 医師会の方もそうですか。 ○日本医師会 幸いにして死亡例などはなかったんですけれども、「重大な症状」とい う選択肢を選択されたケースは3件ございました。ただ、いずれも軽快、あるいは回復 済みということでした。 ○大野座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。飯島先生、お願いし ます。 ○飯島委員 薬剤師会でございます。今、医師会の先生、それから、金谷先生のところ も健康食品についての普及啓発をしているということなんですけれども、我々日本薬剤 師会でも、やはりポスターをつくって、会員には、的確な情報を患者さんに流しなさい よということで、情報提供はしています。  どんなことをやっているかというと、厚労省の国立健康・栄養研究所のホームページ とリンクして、そこからちゃんとした情報を消費者に流すようにしてくださいよという ようなことは今、やっております。  これからやろうとしていることですけれども、国立健康・栄養研究所がNR制度とい うのを持っていらっしゃって、それを日本薬剤師研修センターとうまく連携をさせて、 しっかり勉強する仕組みをつくって、消費者にしっかりした情報提供を、どうやったら うまくいくかなということを今、考えて、隣の梅垣先生とも連携を取りながらやってい きたいというふうに考えております。 ○大野座長 ありがとうございます。坪野先生、お願いします。 ○坪野委員 論点メモの2ページの2つ目の○の健康被害情報について、製造事業者等 からの報告を義務づけるべきかという論点に関連して、意見というよりも質問をさせて いただきたいのですけれども、伺いたいのは、現時点での製造事業者、あるいは団体に よる健康被害情報の組織的な収集とか報告は行われているのかどうかということです。  なぜそれを伺うかというと、今日の冒頭の説明で、基本的にこの食品の安全性を確保 するのは、一義的には事業者の責任であるという法令の規定を説明していただきました けれども、その一方で、今日、御紹介いただいたのは、いずれも自治体とか医師会、あ るいは薬剤師会の専門家団体であって、一般的な安全確保の責務はあるとは言っても、 健康被害の情報そのものに対して法的な責任を直接負っているわけではないかと思うん です。そういうふうに考えますと、法令の中で一義的な責任を負うとされている事業者 が現時点でどのようなことをしているのかというのを知りたいと思ったものですから、 わかる範囲で結構ですので、教えていただければと思います。 ○大野座長 いかがでしょうか。 ○玉川室長 法令の中では、おっしゃられたように、まさに被害情報みたいな形で上が ってくることは想定していないわけですけれども、事業者の方から必要な情報提供とい うことは私どもも受けることがございます。そうしたものに加えて、個別の取組みとい うことでは、更に上乗せでやっているような事例も、例えば、コエンザイムQ10とかの 場合については、食品安全委員会で医薬品の摂取目安量を基にして安全性評価について 御義論いただいたわけですけれども、事業者の団体のところで独自に評価をしていたら、 その部分については、市販後の製品について情報収集してといった取組みを行っている と聞いております。そういう過程で具体的にいろんな事例が出てくれば、厚生労働省の 方にも情報提供ということがなされると思います。  それから、個別に許可をしております特定保健用食品については、許可後の取扱いと いう中で情報収集について、事業者に対して取り組むようにということを通知の中で出 しておりますので、そういうところで何かあれば、当然、事業者の方から上がってくる こととなります。それは許可を出したからという関係になるわけですけれども、そうい う取扱いをしているというのがあります。あとは個別に情報提供の中で、事業者自身が いろんな情報提供していて、行政の方にもそういうことを伝えるということになろうか と思います。 ○坪野委員 今のお話は専ら事業者が厚労省に対して報告することがメインだったかと 思うんですが、事業者自身の、あるいは事業者団体の自主的な活動として、直接消費者 に向けて、そういう情報を自分たちで自主的に集めて報告するというような取組みは特 段行われていないんでしょうか。 ○玉川室長 個別の製品かについては、食衛法自体でいろんな混入や何かのところで、 回収等の社告を出してというのに近いようなものもあるかもしれませんけれども、先生 がおっしゃられたような事業者団体としての取組みとかということになりますと、多分、 コエンザイムの例などが一番それに近いようなアプローチだと思われます。林先生の方 からその点で補足がありますか。 ○大野座長 いかがでしょうか、林先生。 ○林委員 今、議論になっております健康食品について、事業者が自主的に情報を収集 するということは、今のところ正式にはないんではないかと思います。私たちは今回、 コエンザイムQ10について、実際にどの程度の被害情報があるのかということを積極的 に10数社の事業者の方と共同で調べたわけですけれども、もう既に2,600例のアンケー ト調査をやりました。あと1年間ぐらいやりますと、かなり集まって、結論が出る。そ うなりましたら、また厚労省の方にも御報告するということになります。  ただ、その結果というよりも、アンケート調査、情報収集をしている間の過程で感じ たことを申しますと、私はやはり事業者が自主的に情報を実際に使っておられる消費者 の方々から収集して、本当に何か被害があるのかないのか、被害があるとすれば、どう いものかということを収集して、これを解析して、そのデータをまた消費者の方々に提 供するということが、安全性確保の一番重要な方法ではないかと考えるようになりまし た。コエンザイムQ10は、少しだけ解析したんですけれども、まだどうなるかわかりま せんけれども、余り大きな問題はないという結果になりました。ただ、先ほど申しまし たように、事業者の方々が積極的に情報収集して、それを解析するというような方向性 が私は一番重要なことではないかと感じました。  以上です。 ○大野座長 ありがとうございます。坪野先生、よろしいですか。 ○坪野委員 第一義的に事業者のやっていただくことは考える必要があるのかなと感じ たのと、あとは、これまでの会議では専ら原材料とか製造工程過程における認証の問題 が議論されてきました。認証にするということと、ネガティブな情報というか、健康被 害に関する情報の収集なり報告を促すということと一体で考えた方がいいのかなという 感じがちょっとしたものですから、質問させていただきました。 ○大野座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしょうか。大濱先生、 お願いします。 ○大濱委員 健康食品の安全性にかかわる問題というのは、健康食品産業の健全な発展 ということを考えると避けて通れない重要な問題で、当然、事業者としても、それに対 する取組みをやらないでは済まないだろうという気は、私は個人的にはしております。 先ほどの青木先生の御説明の中でフィードバックの話がありましたけれども、そのフィ ードバックについて、多分、その製品が何であるかということはわかっていると思いま すので、そのフィードバックが当該製品を販売している事業者に対してなされるという ことはありますか。あるいは、そういうことを将来の問題としても考えておられるので しょうか。 ○日本医師会 このモデル事業は、会員の先生方を通じて国民や患者の患者への情報提 供、啓発を図るというものですので、今の時点では健康食品事業者の方々への情報提供 というのは予定しておりません。 ○大濱委員 事業者の立場から考えれば、そういう情報を的確に入手するということも、 事業者が自主的に取り組むという前提から大変重要なことだろうと思います。そういう 情報の適切なやりとりということは、特に安全性にかかわる問題については、いかなる 場合にでも大変重要であると思っております。そういう意味で、今後、事業者の具体的 な取組みにおいて何らかの形でそのような情報入手についても取り組むべきではないか と思っていますけれども、今のところ、これはまだ個人的な意見です。 ○大野座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしい ですか。梅垣先生、お願いします。 ○梅垣委員 1番目のところにも関係するのですが、東京都では安全性のいろんな情報 を集められています。その際、一番の問題は、健康食品の中に本当に表示されている成 分が入っているかどうかです。これが確かでないと、安全性の解析が何もできません。 ですから、まず安全性の問題を考える上では、1番目のGMPに関係する事項で、表示 通り成分が入っていることが明確になっているのが前提です。それを踏まえて、いろい ろな情報を収集し、それに対する対応が多分できるようになると思います。2番目のと ころは1番目と密接に関係して、1番目があって初めて2番目ができるというふうに考 えればいいと思います。 ○大野座長 ありがとうございます。大濱先生。 ○大濱委員 実は、海外の情報をいろいろ調べたことがあります。アメリカとEUでは サプリメントの健康被害の情報収集に関しては非常に苦労しておりまして、なかなか適 切な制度というか、システムの構築ができないというのが今までの状況です。  例えば、EUですと、加盟各国が副作用に関する情報を共有するという意味でのネッ トワークを張る制度ができ上がっていますけれども、情報収集に関しては恐らく加盟各 国の方法に任せられているという状況です。  アメリカでは、実は今までいろんな試みがなされていました。消費者とFDAの間を 直接ホットラインでつないで、重篤な情報についてはFDAに直接報告できる制度も作 られ、今でもそれは残っているようですが、うまく機能していないと聞いています。最 終的にアメリカが選んだ方法は、重篤な情報に関しては、情報を入手した事業者が直ち に、15日以内という規定がありますけれども、FDAに報告を課すという法律です。今 のところ、法律でサプリメント摂取による副作用報告制度を明確にしたのは、恐らくア メリカのこのケースだけではないかと思います。一応、御参考までに説明しました。 ○大野座長 ありがとうございます。林先生、お願いします。 ○林委員 先ほどから、非常に情報が少ないということで、まだ解析が難しいというこ とです。ただ、長くやっても、どのくらい情報が集まるかどうかはわかりせん。やはり 大事なことは、情報をいかに解析して活用するかということだと私は思います。これは ただ単に健康食品で何か被害が起こったということだけではなくて、まだ非常に少なく て困るんですけれども、何か被害が起こった健康食品というのは、食品群の中のどれに 相当するものが多いのか。例えば、私たちの協会では、健康食品を食品群の立場で59 に分けているんです。どういう食品群にそういうことが多くて、どの食品群では、どう いうタイプの症状があり得るのかということ。  もう一つ大事なことは、何か被害を起こした食品が、先ほど梅垣先生がおっしゃった とおりなんですけれども、規格とか、製品の品質ということから考えて、これが本当に 適切な製品であるかどうかということ。適切な製品として流通しているものについて起 こったのか、そうでないものについて起こったのか、むしろそれから出発することが大 事だと思うんです。そうしませんと、すべての健康食品中には、梅垣先生が言いました ような、成分がどのぐらい入っているかがきちっとしているものもあれば、全くそうい うものは考えられていないものがある。それを1つにして健康食品となっているもので すから、これだけですと全く解析ができないです。ですから、やはり食品群に分けるこ と。それから、それのGMPということではないとしても、製品の規格とか品質とかか ら考えて、どの程度の製品なのか、そういう立場から解析をしていくことが私は大事で はないかと思います。 ○大野座長 ありがとうございます。お願いします。 ○大濱委員 私も梅垣先生、林先生のおっしゃったことに賛成なんですが、消費者にと って、実際に健康被害が起こったときに、その被害を起こしたものが何であったかとい うことがきちんと理解され、例えば、先ほどの個人輸入で入手したものなのか、あるい は無承認無許可医薬品なのか健康食品なのかというところが明確に区別されないと、す べて健康食品としてくくられた形でもって消費者のところへ情報が伝わることになりま す。これでは正しい理解ができないと思いますし、健康食品に対する正しい見方が損な われることにもなると思いますので、情報の取り扱いは非常に重要です。 ○大野座長 ありがとうございます。鬼武先生、お願いします。 ○鬼武委員 健康被害情報というのは、ここで書いている未然防止というのが一番重要 なことだと思うのですけれども、残念なことに、起こってしまってからの緊急な体制と いいますか、どういうふうにそれを広げないというか、迅速かつ的確に横に情報が行く かということがやはり重要かと私は思っています。そういう点で、今回、別紙の方で、 食品による薬物中毒の事例が出ていますように、こういうふうな横の情報といいますか、 特に刑事性がある場合ですと、なかなか事業者の方にも連絡が行かなかったりというこ とで、拡大の防止に迅速に対応できないものもありますから、食中毒にかかわる再発防 止については、これは健康食品だけではないと思いますが、食品を介して中毒を起こす もの全体についてですけれども、やはり迅速な横の連絡ができるような体制が私は改善 が必要だというふうに思っております。 ○大野座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。永留先生、お願いします。 ○永留委員 一応、事業者の立場から考えてみたんですけれども、事業者の方から積極 的に情報を収集しているというところは余りないかと思います。ただ、実際に商品を購 入した消費者の方から、例えば、何かのクレームがあったときに、各事業者さんでそれ ぞれ対応の仕方は異なってくると思います。勿論、問題が非常に大きければ、それは厚 労省その他に御報告する。そういうことは企業倫理として当然のことでございます。た だ、事業者さんによっては、情報の収集能力だとか解析能力に差がございまして、実際 に重大なものを見落とすということもあり得るんではないかと思います。かといって、 それをすぐオープンにするのは非常にまた難しいと思います。例えば、業界全体で、守 秘義務を課した上で、そういった問題事例の検討委員会みたいなものを作り、そういっ たところに情報を上げるということをすれば、業界全体のレベルもかさ上げされ、潜在 的な問題事例を未然に防ぐとか、そういったことも考えられるんではないかと思います。 これは私の個人的意見でございます。 ○大野座長 ありがとうございます。梅垣先生、お願いします。 ○梅垣委員 鬼武先生が言われた問題の食品の話ですが、今、研究所のホームページで は、その情報を厚生労働省と連携して提供しています。例えば、海外で購入した製品に 問題があったという情報は頻繁に出しています。この間、香港衛生所で摘発された情報 を出していたら、日本国でも同じことが起こって、提供していた情報が利用されていた という事例がありました。それなりに我々も対応はしているのですが、一番の問題は、 我々のホームページを日本薬剤師会などでリンクを張っていただいてはいるのですが、 まだまだ知らない人がかなりいらっしゃるのです。情報がもう少し広まれば、問題のあ る食品を使うことはなくなってくると思うのですが、ホームページの存在を一般の人は 知らないというのが非常に問題となっているところです。 ○大野座長 少なくとも健康食品を売っているお店、薬局なり薬店とか、そういうとこ ろは全部知っていてほしいですね。 ○梅垣委員 大体、問題がある食品というのはインターネットで個人輸入されるのが多 いみたいです。 ○大野座長 ありがとうございます。いろいろ御意見いただきましたが、追加はありま すでしょうか。林先生、お願いします。 ○林委員 被害の未然防止というのは、不適切なものの流通を阻止するということが1 つ、第2番目は適切なものの正しい使用法の普及、この2点だと思うんです。そうしま すと、大事なことは、事業者からの非常に正しい、むしろ専門的な情報を、医師会とか 薬剤師会の方に提供すること、これが最初の出発点になるんではないかと思いますので、 その点はよろしくお願いしたいと思います。 ○大野座長 ありがとうございました。 ○玉川室長 対応要領の中でも、平常時の対応ということで、関係機関との連携という ところから、地域の医師会とか薬剤師会、栄養士会を通じて周知とかということも入っ ておりますし、消費者行政関係機関との連携で、今日は宗林委員がお見えになっていま せんけれども、消費生活センターとか、そういったところについても含まれております。 逆に言うと、ある意味、そういう体制が形としてはできているところを、いかに実を伴 ったものにしていくかというところが、まさに個別の健康食品が出てくる中で課題とな っているんだろうと思っております。 ○大野座長 ありがとうございます。大分時間が行っていますので、できれば次のとこ ろに行きたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。  それでは、鬼武先生の方から「食品の安全・安心に関わるアンケート調査結果」とい う資料を提出していただいていますので、それについての説明をいただけますでしょう か。 ○鬼武委員 では、時間が大分たっておりますし、貴重な時間ですので、ごくかいつま んで、報告させていただきます。  私ども日本生活協同組合連合会では、毎年、食品の安全性、安心にかかわるアンケー ト調査をやっております。それ以前は、いわゆる郵便メールといいますか、個別のアン ケート調査を配布してということでやっておったのですけれども、3年前からインター ネットで即日回答してもらってという形で取って、アンケート調査を実施しています。 今年は、問いの中で1つ、食品にいろいろついているマークの認知度について調査した 結果がありますので、この中身だけを報告させていただければと思います。この検討会 の中でも、消費者がどれぐらい認知しているかということがあると思いますので、そう いう点での情報提供でございます。  アンケート調査は去年の11月7日から11日の5日間ということで、インターネット のアンケートとしてはちょっと長いような気もします。もうちょっと短期間で、1日と かに区切ってやる必要があるかもしれません。  モニター数としては、約3,000名です。回答者数が1,900名ぐらい、約7割の方が回 答してもらったということです。20代から70代までの女性が主です。男性の方はほと んどいらっしゃらなかったと思います。  調査の目的は、生活協同組合のメンバーの方が食品を購入する際に、どういうものを 重視して商品を選定しているか。それから、食品の安全性に関して、日ごろから不安に 感じている点などについて、明らかにするための調査を目的としております。あと、食 品の表示に関して、購入する際に参考にしている表示等々ということで、今回の食品に ついているマークの認知度ということであります。  下に認知度とありまして、まず、青い棒の方が「見たことがある」ということです。 調査票の方に実際にマークを入れてアンケート調査をしていますので、多分、マークが 入っていないともっと認知度は低くなったのかもしれません。というのを前提にして調 査をしました。ごらんのとおり、JASマークが94.9%、特定保健用食品のマークが9 1.3%、飲用乳の公正マークが81.4%で、これが「見たことがある」上位3つになって おります。  それから、実際に「購入時に参考にしている」という上位3つが、特定保健用食品の マークが40.3%、JASのマークが29.4%、有機JASマークが24.1%となっており ます。  ただ、「購入時に参考としているマーク」ということで、無回答が4割ぐらいですか ら、このマークの認知度全体としては、購入時に参考としていることには余りなってい ないような感じでありました。  もう一度言いますと、「見たことがある」上位3つは、JAS、トクホ、乳飲料の公 正マークがやはり認知度としては高いという結果でございました。あと、JAFAマー クも「見たことがある」が27.6%という回答をいただいております。  簡単ですけれども、以上です。 ○大野座長 ありがとうございます。今、消費者に対する普及啓発についてという、今 日の議題の3番に入っております。  引き続いて、永留先生の方から、昨年12月に健康と食品懇話会が実施した健康食品の 安全性に関する消費者意識調査の結果について資料をいただいておりますので、その説 明と紹介をお願いいたします。 ○永留委員 健康と食品懇話会の消費者研究ワーキンググループで実施しましたインタ ーネット調査結果を報告させていただきます。  この調査では、消費者がふだん摂取している健康食品の安全性に対する不安の有無及 び理由を中心に調べております。  まず、調査の概要でございますが、調査方法は、調査会社のホームページ上の自己選 択方式によるウェブアンケート。調査地域は全国。調査時期は2007年12月4日、5日 となっております。また、対象者は、20歳から60歳代の男女250名ずつ、計500名。 事前調査で週1回以上健康食品を利用していると回答した方となっております。したが いまして、実際に健康食品の継続的使用者であること、インターネット利用者であるこ とから、一般消費者を単純に代表する集団ではないことを御理解ください。  まず、健康食品の利用実態でございますけれども、本調査では、健康食品を「一般に 広く健康の保持・増進に役立つ食品として販売・利用されるもの全般を指し、形状は加 工食品、飲料、サプリメント等すべてを含む」と定義しております。  また、形状の違いにより次の4タイプに分類し、おのおのふだん主に利用している商 品に関して回答していただきました。4つのタイプは、そこに示しているとおりでござ います。  具体的な商品名も確認しておりますけれども、1のビタミン・ミネラル系サプリメン トや、3の飲料・栄養ドリンクでは、医薬品や医薬部外品を挙げている方も2〜3割い らっしゃいまして、それらの回答は除外して解析を行いました。  各タイプ別の利用実態は、以下示しておりますけれども、これは複数選択ですので、 各タイプ150名から220名になっております。男女別では、横の右にありますけれども、 1のサプリメント系や4のその他の食品で女性の利用率が高いという傾向があります。  あと、各タイプ別に多数上げられた商品を、下にあります四角の枠内に示しておりま す。4のその他の食品では、生鮮を除くというふうに一応アンケートでは明示していた んですが、野菜や果物を上げた方もいらっしゃいました。これは健康によさそうな食品 ということで選択されたのだと思います。  では、次のページに行っていただきます。ここでは、ふだん利用している健康食品の 安全性に対する不安意識ということを調べております。ふだん利用している健康食品の 安全性に対して、不安を感じることが「ある」「ややある」と回答した方は、このペー ジの下の方にあります図2と3の左端のグラフのように、1、2ともサプリメント系で は約2割が不安があるとおっしゃっております。  次の3ページ目の上半分ですけれども、図4と5も、やはり左側のグラフで、3の飲 料、4のその他の食品の安全意識では、約1割が不安があるとおっしゃっております。  不安を感じる具体的な内容は、おのおのの図の中央のグラフに示しておりますけれど も、1、2のサプリメント系では、上から5番目にあります「成分の安全性」が1番に 挙げられておりまして、ついで「原料の原産国」「食品添加物の安全性」となっており ます。原料に起因する安全性が大きな不安要因になっているということになります。  一方、次のページの飲料、食品系では、真ん中のグラフですけれども、上から4番目 の「食品添加物の安全性」が1番に挙げられております。あとは「成分の安全性」「製 造メーカーの信頼性」「原料の原産国」が挙げられております。ですから、飲料や食品 形状の健康食品では、形状や摂取方法が一般食品と同じでございますから、安全性につ いても重視しているポイントは一般食品と類似する傾向になっております。  次に、また2ページに戻りますけれども、安全性に対する不安について、「余りない」 「考えたことがない」と回答した約8割から9割の方に、不安がない理由について複数 回答していただきました。その結果、おのおのの図の右端のグラフになりますが、いず れの形状の健康食品においても、一番上にあります。「メーカーが信頼できる」が圧倒 的に1番に挙げられております。このことから、消費者が健康食品を選ぶ際、メーカー の知名度や信頼性を安全性の重要な基準に据えていることがわかりました。  では、次のページに行きたいと思います。次のページの下半分ですけれども、ここは 健康食品の安全性に対する意識ということでございます。ここでは、ふだんから健康食 品の安全性に対してどの程度意識して利用されているかをお聞きしました。右下の図6 でございますが、この円グラフのように、「必ず安全性に問題がないことを確認して利 用する」が5%、「安全性にはできるだけ注意して利用している」が44%と、半数の方 が安全性に注意を払いながら利用されていることがわかります。また、「安全性は気に しているが、判断する方法がない」との回答も約4割と高く、全体的に安全性に対する 関心の高さが伺えました。  今回の調査対象者は、ふだんから健康食品の安全性に関心があり、さまざまな健康食 品の中から御自分の基準に基づき必要な商品を選んで利用されているため、先ほどの3 の健康食品の安全性に対する不安意識の結果のように、ふだん利用している健康食品の 安全性に対してはそれほど不安を感じられていないものと思われます。  では、4ページ目に行きます。ここでは、この検討会でも議論されております安全性 認証マークについての意識をまとめております。調査では、現在、健康食品業界全体で 「原料や製造方法、最終製品に対して、安全性が十分確かめられた食品につける認証マ ーク」の導入を検討しているが、こうした認証マークがあると安心であるかという問い かけを行いました。  その結果、左側の図7のように、「安心である」が38%、「やや安心である」が52 %、9割の人が安全性に関する認証マークについて好意的にとらえていることがわかり ました。  また、実際にそのマークのついた商品があったら購入するかとの質問に対して、右側 の図8でございますが、「認証マークのついた商品のみを買う」が10%、「できる限り マークのついた商品を買う」が42%、「同じような商品であれば、認証マークの商品を 選ぶ」が39%と、ほとんどの人が認証マークがあれば購入時の参考にする旨、回答され ました。  なお、男女ともほぼ同じ結果になっております。このことから、新たに健康食品の安 全性に関する信頼性の高い認証制度、マークを導入する意義は大きいと思います。  最後に、まとめさせていただきます。今回は消費者の健康食品に対する「不安」に着 目した意識、実態を調査しましたが、その結果、日常の摂取においては、それほど商品 の安全性に対して不安を感ずることなく摂取されており、余り意識されていないことが わかりました。これはあくまでも今回の調査対象者が自分なりに健康食品の利用基準を 設けており、それに沿って選択したものを使用しているからであると推測されます。で すから、消費者の理解度や関心によって、かなり不安感というのは違うと思われます。  しかしながら、定期的に摂取するという健康食品の特性にかんがみ、特にサプリメン ト系の商品では、一般食品とは異なる安全面での不安解消のためのツールが求められて いることが伺われました。  また、安全性、安心感に関しては、メーカーの信頼性の重視や、認証制度に対する期 待が示されました。このことから、認証制度が将来、健康食品の安全性を消費者自身で 評価するための有効な判断材料になり得るものと期待されます。  報告は以上でございます。 ○大野座長 永留先生、どうもありがとうございました。それでは、今の御説明を踏ま えて、論点整理の3番の「消費者に対する普及啓発について」を議論していただきたい と思います。論点整理として挙げました課題としては、1つは、健康食品の安全性に関 して、消費者はどのような情報を求めており、食品事業者、医療関係者、行政機関等の 関係者はそれぞれどのような情報を提供すべきかということ。  それから、消費者が適切に健康食品を選択できるようにするため、消費者に対する情 報提供、総合支援を行うもの(アドバイザリースタッフ等)の活用を促進することが考 えられるわけですけれども、今後どのような方策が必要かということ。  それから、健康食品の安全性に関する正しい理解の普及啓発のために、その他どのよ うな方策を講ずべきかということ。  この3つを挙げていますけれども、今、御説明いただいたことも含めて、また、それ 以外のものについても御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。坪野先生、 お願いします。 ○坪野委員 今、資料7の調査を見せていただいて、結論的に言うと、安全性に関する 認証マークというのは優良誤認に導く危険性があることを示しているデータのようにも 見えたので、そのことを質問させていただきたいんです。というのは、2ページ、3ペ ージの(1)から(4)のところを見て、「不安に感じることは何か」という問いに対して、「成 分の安全性」というのはかなり多いんですけれども、製造方法について不安に感じてい るというのはほとんどないです。しかし、GMPの認証は半分は原材料で、半分はまさ に製造方法について認証するものだということです。つまり、消費者がもともと余り不 安に思っていないことについて、安全だというふうに認証することになります。  4ページの図7を見ると、にもかかわらず、こういう安全性に関する認証マークがあ れば「安心である」「やや安心である」が9割を占めているということは、この時点で 消費者の人が抱く安心のイメージというのは、GMPが伝える製造工程に対する保証と か、成分に対する保証というのはあるかもしれませんけれども、そこにとどまらず、こ こに書かれている全部を含めて安心、安全であるということを認証しているというふう に誤認する恐れがあるんではないかということをむしろ感じたんです。この調査そのも ののサンプルとか、その辺についての答えはさて置き、そのように私は感じたんですが、 いかがでしょうか。 ○永留委員 今の優良誤認という意味がわからなかったんですけれども、消費者の方に とって、製造方法というのは全く畑違いのことでございまして、ほとんどスコープ外と いうふうに私は思います。製造方法で優良誤認というのは一体どういうことでございま しょうか。あたかも効果があるように思わせる優良誤認はあると思いますが、製造方法 で、ある製造方法はAクラスで、次の方法はBクラスでという意味ではなくて、適切か、 適切でないかというところの線引きが置かれるのではないかと思ったんです。 ○坪野委員 基本的にGMPというのは製造工程が適切であるということを認証するも のだという理解でよろしいですね。しかし、消費者は製造方法については余り心配して いない。むしろほかの項目を心配している。マークをつけると、製造方法に対して認定 をしているというふうに正確に受け取ってくれるかもしれないけれども、それ以外の消 費者が心配しているほかの要因について、安全性を認定したものというふうに誤解する 恐れがあるんではないかということです。 ○大野座長 いかがでしょうか。 ○永留委員 どういうふうにお答えしていいか、わからなくなってきたんですけれども、 しっかりとした原材料の安全性を確認した上で適切に製造している、そういったシステ ムを今、考えているわけで、そのような認証マークが出たときに、実際そういった製造 工程、きっちりと製造することも大切なんですよということを消費者の方にお伝えする のも、1つの啓蒙のうちではないかと思います。  もっと先の話になりますが、用法用量の表示は健康食品の方では大きな問題になって おります。各業者さんによっては、こういうタイミングでこのぐらいの量をとってほし いと思っている場合でも、それを書くといろいろ問題があるということで、なかなかお 伝えできない状態です。次のステップで適切な表示だとか情報提供、が大事なことであ って、今、先生がおっしゃった優良誤認云々というのは、なかなかダイレクトにはお答 えできないんです。 ○坪野委員 優良誤認という言葉はどちらでもいいんですけれども、要するに、消費者 が不安に思っていることと認証していることの内容が一致していないんではないかとい う指摘です。 ○永留委員 実際、企業に消費者の方から寄せられる質問で、どのぐらい飲んだらいい のか、いつ飲んだらいいのか、あるものとあるものを一緒に飲んだらどうなのかと、か なり薬事法的な、お答えの仕方によっては非常に難しいかなというような御質問があり ます。ですから、その辺りの不安を解消するというのは、この中の議論ではまだそこま で至っていないというふうに思うんです。 ○大野座長 大濱先生、お願いします。 ○大濱委員 今の製造工程の問題に対して、消費者が関心がないのか、回答が少ないと いうのは、恐らく製造工程を介して安全性が脅かされるということが何かということの 理解が難しくて、消費者にはきちんとできていないと思うんです。ですから、消費者が 理解しているか理解していないかという問題と、本質的にそこに問題があるかないかと いうことは別の問題として考えるべきだと思います。  私は、今の優良誤認ということにも関係するかもしれませんけれども、製造工程を介 して起こる問題と、そのものが本当に安全かどうかということは、きちんとした区別を して理解をされていくことが必要で、できればそういったことがきちんと消費者に情報 として伝わって理解をしてもらえるような環境がつくられていくということが大変重要 ではないかと思います。  いずれにしても、アンケートの結果というのは強い関心がありますが、メーカーに対 する信頼性というのが一番大きいというのは、知名度の高いメーカーほど、製造工程に ついても安心できるという部分が含まれているという気がします。そのところをきちん と分けて消費者が理解できるようにする必要があります。 ○大野座長 ありがとうございます。「安全性認証マークについて」という4ページの 一番上のところで、現在、「原料や製造方法、商品に対して、安全性が十分確かめられ る商品につける認証マーク」の導入と言っていますけれども、そういうふうに聞かれる と、当然そのマークがついている方がいいやと回答すると思うんです。ここのところで もし、例えばGMP的なマークということにした場合は、この回答はかなり変わるんで すか。 ○永留委員 といいますのは、製造方法だけに限ったということですか。 ○大野座長 「原料や製造方法に関して十分確かめられた商品について」となったらで すね。 ○永留委員 この表現が適切だったかどうか自信がないんですけれども、一応、ここで の意図といいますのは、まず原料はきっちり安全性評価をされている。その原料を用い て適正な製造工程、製造方法の下で製造されたもの。そういう総合的な形で認証された マークという意味合いで使っております。 ○大野座長 「安全性が十分確かめられた商品につける認証マーク」の方を回答者は見 てしまうんではないかなと思ったんです。最初の方の、どういうことに不安を持ってい るかというところを見ると、GMPに対する、それをやると非常によくなるなという気 持ちはしますね。  ほかにいかがでしょうか。梅垣先生、お願いします。 ○梅垣委員 今の安全性の認証マークですが、実際は品質がしっかりしているかどうか を示しているというのが多分正確だと思います。絶対安全というのは証明できないし、 将来 何が起こるかわからない。ただ、このアンケートの結果を見ると、消費者は、安全か危 ないのか、効くのか効かないのか、両極端の情報を求めているということがわかるので はないかと思います。ですから、何らかの判断基準を出すことは、消費者にとっては商 品を選択するときの非常に重要な判断基準にできると思います。 ○大野座長 そういうマークをつくるにしても、安全性が確認されたとか、そういうこ とは言えないけれども、保証できるような、そういうものにすることが重要だと思いま す。 ○梅垣委員 そうですね。だから、安全性の認証マークというのは、安全性を100%保 証するというのはまず難しいと思います。一応チェックして、品質が一定のものである という認証マークというふうに考えた方がいいのではないかなと思います。 ○永留委員 実際、安全性がしっかりと検証されたとか、この辺りの表現が、オールマ イティーな、パーフェクトな認証マークのようにとられた可能性もあります。まさにこ のアンケートが優良誤認だったということもございますので、これは反省材料として承 ります。 ○大野座長 ほかにいかがでしょうか。消費者に対する普及啓発についてということで お願いします。 ○飯島委員 先ほど発言させていただいたんですけれども、ここで再度なんですけれど も、消費者にどのような情報を提供するかということに対してなんですけれども、薬剤 師というのは、薬と健康食品との飲み合わせだったり、食品と医薬品との飲み合わせ、 薬と薬との飲み合わせというようなものに対して、多分、間違いなくアドバイスができ るだろうというふうに思っております。そういう意味で、先ほど言いましたように、国 立健康・栄養研究所が考えていらっしゃるNR制度とうまく連携させながら、健康食品、 飲み合わせに対する専門的な相談ができる薬剤師の養成みたいなものを考えてもいいの かなと思っております。  もう一つ、3の一番下の○なんですけれども、普及啓発の部分も、我々会員の薬局は 約5万1,000軒あります。先ほどあったいろいろな情報をリアルタイムで薬剤師会に流 していただければ、各会員に、もう一つは薬剤師個々にしっかりとした情報提供ができ るような仕組みがありますので、その辺をうまく利用していただければ、非常にうまく 貢献できるのかなと思っております。 ○大野座長 ありがとうございます。ほかにございますか。松永先生、お願いします。 ○松永委員 私も同じなんですが、関係機関のネットワークづくりをどうするかという ところが非常に大きな問題であるというような気がします。その中で、いかにわかりや すくそれぞれの情報を提供していくかということで、今のところは、一般の消費者の方 には難しい情報がたくさんあって、梅垣先生のところのホームページも、やはり一般の 消費者の方にはちょっと難しい部分があるであろうと思いますので、適正な情報提供を するという意味で、ああいうウェブサイトにならざるを得ないというところがあります ので、薬剤師さんとか、医療関係者とかがその中で橋渡しをする役割をどう果たすかと いうことをきちんと構築していかなくてはいけないということを1つ思いました。  それと、先ほどから大濱先生と林先生がおっしゃられているとおり、食品事業者が主 体的に情報公開をきちんとするということがやはり根本にある。これが最も重要で、な おかつ今のところは情報公開をしていただくようなインセンティブみたいなものがない なと思います。ここをきちんと考えないと、仕組みをつくっただけで、食品事業者は非 常に経営が厳しいところも多い中で、なかなか情報をきちんと収集して公開していこう というような動きになりにくいなということを正直言って思います。そういう意味で、 認証マークと、事業者自身による情報提供を一体化させた中で、仕組みをどうつくるか というのがポイントなんだろうなと思います。前回はマークに対してネガティブなこと を申し上げて、今でもその気持ちは変わっていないんですが、では、事業者がそのこと で情報提供をきちんとしていただける、情報収集もきちんとやりますという責任も果た した上でということとセットにしていただくなら、1つのやり方になっていくのかなと いうようなことを思いました。 ○大野座長 ありがとうございます。情報収集というのは具体的にどういうふうになる のかなと思ったんですけれども、例えば、認証マークをつけている製品については、何 かあったらここに連絡してくださいとか、そういうのがあるといいですね。今の議論は テーマではないんですけれども、そのほかにどんなものがありますか。ほかのことでも お願いします。大濱先生。 ○大濱委員 アドバイザリースタッフの件がここで出てきているんですけれども、アド バイザリースタッフを活用するという話はこれまでも何回か出てきた、かなり重要な問 題だと思います。現在、主要な認定機関で認定をしたアドバイザリースタッフというの は、恐らく1万数千人はいると思うんですが、現実に活用を促進するという具体的な形 が何も出てきていない。スタッフの人たちの自覚だけではとても活用できませんので、 このスタッフの人たちをどのように組織化するか、あるいは何からのシステム化するか、 今後は考えていかないと、活用というのは、結局は文字だけで終わってしまうんではな いかという気がいたしますので、ここは重要だという気がいたします。 ○大野座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。鬼武先生。 ○鬼武委員 先ほどの2の日本医師会のモデル事業のお話でもありましたけれども、我 々は病気にならないために、健康を維持するために、いわゆる健康食品をとったりとい うことであるわけですけれども、消費者としては、きちんと相談できる人がいるという ことも1つの大きな、重要な点だと思います。お医者さんにかかるときは、例えば、熱 があるとか、おなかが痛いとか、そこを治してもらうということで、今のところは短い 時間の間でしかできていないので、例えば、食事を通じて健康も維持していくなり、治 療の改善にもつながるというようなことも、仕組みとしては必要ではないか。今は診療 時間が短くて、なかなかできないということがありますけれども、ちゃんと情報が流れ ていくような仕組みをお医者さんも取っていただくということだったら、そこはそれで、 あと、中身をつくるにも、いろいろ費用がかかったり、今のお医者さんの優良診療所制 度とかいうことでも、まだ課題は多いと思うんですけれども、普通の人が隠さずにちゃ んと相談できるような専門家のお医者さんといいますか、薬剤師の方も含めてですけれ ども、そういうことも私は必要ではないかと思います。 ○大野座長 ありがとうございます。大分時間が迫ってきましたけれども、いかがでし ょうか。今日のテーマについて、十分な議論を尽くしたということでしたら、次回、事 務局で論点をまとめていただいて、それについて議論したいと思いますけれども、まだ 尽くしていないということでしたら、また次回も追加の議論をしていただいて、まとめ るという形にしていきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。大濱先生、どうぞ。 ○大濱委員 全体のことに関係すると思うんですけれども、これまでの議論のほとんど が、健康食品の中でも、特に錠剤、カプセル状の形状のものが中心であったと思います。 こういった特殊な形状は、言うまでもなく、海外ではサプリメントという特別のカテゴ リーとして、食品でも医薬品でもない形で取り扱われていて、これに対する法律がきち んと決まっているわけです。日本ではいわゆる健康食品は、一般食品の中で取り扱われ ていますが、今日、お話がいろいろありましたように、安全性に関する問題として、一 般食品とどう違うのかという認識は恐らく消費者にはないだろうと思います。一方、消 費者は健康食品の錠剤、カプセル状のものが食品だという理解をしていない場合もかな り多いのではないかという気がします。当然こういうものは製造工程から見ても、抽出、 濃縮、あるいは錠剤やカプセルの中に押し込めてしまって、過剰摂取の危険性も非常に 高いという状況の中で取り扱われていますので、恐らくそういう意味で制度上さまざま な限界が来ているという気がします。やはりこれらの製品に対しては何らかの形で別の 枠組み、あるいはカテゴリーをきちんとつくって取り扱っていく方向へ向かわないと、 この問題の基本的な解決はできないというふうに思っております。 ○大野座長 ありがとうございます。坪野先生、お願いします。 ○坪野委員 お願いなのですけれども、先ほど製造事業者の取組みについて、コエンザ イムQ10に関する話が出ましたけれども、いきなり法令で義務づけるべきか、それが可 能かということは別になると思うんですけれども、基本は製造業者の取組みということ が中心になろうかと思いますので、その点、次回、もしできたら、少し情報提供をお願 いできますか。 ○大野座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。 ○玉川室長 はい。 ○大野座長 それでは、十分議論していただいたということでよろしいですか。これま で7回にわたっていろいろお話をいただいたわけですけれども、かなり議論を重ねるこ とができたと思っております。次回の検討会では、これまでの議論を事務局において整 理したものをとりまとめしていただいて、それについて議論していただきたいと思いま す。そうなると、細かい表現とか、そういったことも問題になると思いますので、でき た時点で、なるべく早く配付してくださるようにお願いいたします。そういうことでよ ろしいですか。  それでは、ちょうど4時ですけれども、本日の検討会はここで終了することにしたい と思います。  次回の検討会ですけれども、4月23日の水曜日午後2時から開催する予定でおります。 会場についてはまだ決まっていませんので、調整の上、先生方には改めて事務局の方か ら連絡する予定でございます。  それでは、これをもちまして閉会といたしたいと思います。どうもありがとうござい ました。 照会先 医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 調所(2458)、中村(4 272)