08/03/07 第3回救急医療の今後のあり方に関する検討会議事録 第3回 救急医療の今後のあり方に関する検討会 日時 平成20年3月7日(金) 15:00〜 場所 厚生労働省省議室 ○田邉専門官 定刻になりましたので、ただいまから第3回「救急医療の今後のあり方 に関する検討会」を開催いたします。メンバーの皆様におかれましては、ご多忙中のと ころご出席いただきまして、誠にありがとうございます。会議を始めるに当たり、医政 局指導課長の佐藤から一言ご挨拶を申し上げます。 ○佐藤課長 本日は、ご多忙の中をお集まりいただきましてありがとうございます。昨 今はマスコミを中心に、救命救急あるいは救急医療そのものをめぐる報道の中で、大変 ご尽力、お力添えをいただいておりますことに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。  本日は第3回ということで、淡々と進めさせてはいただくのですが年度が変わります。 年度が変わるに当たり、この半年なり1年の間に、救急医療をめぐる動きはさまざまあ りました。通常の救急医療はもとより、奈良の橿原で起こった、いわゆる産科救急の飛 び込み的なと申しますか、救急医療への受診も含め、さまざまご心配をおかけしました。  4月にいろいろな動きがあります。1つは政省令のような動き。2つ目は先生方も既に ご案内と思いますけれども、診療報酬の動き。4月1日以降に大きく制度、あるいは診 療報酬、あるいは補助金が動きますので、本日はどのぐらい動くかということも含めて 後ほどご説明させていただく機会を得たいと思います。  それから、非常に瑣末な話かもしれませんけれども、一昨日4月1日の診療報酬の解 釈通知に相当するものが出ました。その中で、いわゆる救命救急センターの加算にかか る部分ですが、救急患者として受け入れた患者が手術室、処置室等において死亡した場 合は入院したものとみなすということです。DOAないしDOAに近い患者が来た場合で も、入院したものとしてみなすということですから、最近頻繁に言われておりますたら い回しみたいな話も、お金の面だけがすべてとは申しませんけれども、そうしたことで 少しでも受け止めていただく側に抵抗感がなくなればということで、こういうことも情 報提供させていただきます。  いずれにしても本日は限られた時間ですが、来年度4月1日から動く話も含めて少し 説明をさせていただき、本来の議論であります救命救急のあり方についてご議論いただ くこととしております。どうかよろしくお願いいたします。 ○田邉専門官 事務局から資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1から資 料7まで用意させていただきました。篠崎委員、泉委員は本日所用のため欠席との連絡 をいただいております。  お手元に前回第2回の議事録を用意させていただきました。これは、2月末に郵送に て委員の皆様にご送付させていただいておりますが、本日用意したものは郵送したもの と同じものです。何人かの委員の皆様からは修正のご意見をいただいておりますが、ま だご確認いただいていない方で何かございましたら、来週中にご意見をいただければと 思います。  本日の議事次第の予定には、まず事務局からの報告と入れさせていただきましたけれ ども、議案1の「救命救急センターの充実度評価の見直しについて」は、新しい評価方 法を今年度中に都道府県、あるいは各救命救急センター宛に示したいと考えております ので、まず議題1を議論していただき、改めて報告をさせていただきたいと思います。 以降の議事進行は島崎座長にお願いいたします。 ○座長(島崎) 佐藤課長からお話がありましたように、救急に関してはいろいろご尽 力いただいているようで、改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。とは言え、 いろいろと問題が山積しております。いま田邉専門官から話がありましたように、「救 命救急センターの充実度評価の見直しについて」という議題に入ります。前回、事務局 からたたき台を出していただいて議論していただきました。それを踏まえて、事務局と 坂本先生と私のほうで作成したものが、お手元の評価案です。これの説明は、厚生労働 科学研究の研究で初めから精力的にやっていただいております坂本先生から説明をお願 いいたします。 ○坂本委員 新しい充実段階評価案についての概要を説明させていただきます。本評価 については、いまご紹介いただきました厚生労働科学研究の中で、そもそも救命救急セ ンターの持つべき役割は何であるか、ということから議論させていただいて、その持つ べき役割を果たす機能の評価をどうするかという観点から考えさせていただきました。  左端にありますように、救命救急センターにいちばん必要とされる「重症・重篤患者 の診療機能」というところが1番から30番まで重視されているわけです。この点も中で 詳細にご紹介いたします。従来のように当初から三次救急ということで、心肺停止のよ うに救命救急センターに直接運ばれてきた患者だけではなく、その地域全体あるいは病 院全体で発生する重症患者に対していかに対応する能力を持つか、という観点で1から 30が作られています。  もう1つ大事なことは、昨今のメディカルコントロール体制等の議論から、救命救急 センターというのは病院単独としての機能だけではなく、地域において、その地域救急 医療体制の中の核として働くことが必要だろうということで、31から34までを、地域 の中での救急医療体制への支援機能という形でまとめさせていただきました。  そのほかの2つの柱として、救急医療に従事する救急救命士、あるいは若い医師を育 成する教育機能、そして災害時に最前線で働く機能という形で大きく機能を分けていま す。  それぞれに入っていきますと、1、2のところに医師の数が書いてあります。これは後 で述べますように、従来少ない救急の医師が無理な勤務で24時間体制を築いてきたわけ ですが、これをこれからも持続的な、継続可能な勤務体制、24時間の体制ということを 考えると、大体7名の医師が24時間体制、交代制の中では必要であるというのが基本的 な計算です。  専従医師数14名以上というのは非常に多く見えますけれども、これは常時2名の医師 が確保できるような交代制勤務ができる数が根拠になっています。その中で、7名以上 が救急科の専門医であっていただきたいということで、常時1人は救急科の専門医がそ の専門医としてそこの現場を統括できるような体制を望んでいます。  3番目は、夜間の体制では4人以上をいちばん高い点数としています。これは先ほど 言いましたように、専従の医師は2名であっても、病院全体として救命救急部門をサポ ートする体制が必須ですので、他科からの応援も含め、夜間でも常時4名が救急救命セ ンターで働いているということが、重篤な患者を集中治療室で診る一方、新たな急患に 対応し、そして手術等も考えるという救命救急センターの機能を考えれば、これは必須 であると考えました。  センター長の要件に関しては、従来より救急医学会指導医等ということで厚労省から も示されているところですけれども、まず専従医であること。さらに現場の医療だけで はなくメディカルコントロール、あるいは救急医療体制等にも精通しているという意味 で、指導医であることに多く点数を加点しております。  5、6については医師の負担軽減ということが非常に大きな問題になっております。現 場でも症例の登録、転院、院内の転床等の事務作業に医師が忙殺されていて、実際の診 療時間よりも、その部分に時間的負担、場合によったら精神的な負担をかけているとい う現状がありますので、その部分についての補助者、調整員の配置についての加算点を 考えています。  8番では、診療登録制度ということで、救命救急センターとしての機能を評価するた めに、最終的にはアウトカムの評価が必要になってまいりますので、その中で自己の施 設の患者を疾患ごとに定められた症例登録制度の中に登録し、そして全国の水準と自施 設を常に比較し、自施設での欠点を補っていくという姿勢が望まれています。  9番に関しては、消防機関からの要請電話ということで、当然のことながら直通電話 で専従医が対応することを求めています。逆に、それができない所は減点であるという ことです。事務員等を介して、電話で院内のたらい回しをされるという状況については 減点対象としております。  循環器系疾患、脳神経疾患、あるいは整形外科疾患等の対応については外傷を診る、 脳卒中を診る、そして心疾患を診るというのは、救命救急センターの本来的な重症患者 の、地域の中での最後の砦であるということから、これに即時対応できるような医師を 配置している。それは、救命救急センターの中、もしくは院内の医師がそこに常に参加 していることをもって必要条件とし、これが満たされない場合には減点対象としており ます。  精神科、小児科、産科については、できればいていただきたいということです。それ が存在することによって加点対象となっています。  16番は検査体制で、CTスキャン、MRIが24時間即時初療室の近くで、CTに関して は初療室近くで、MRIは院内で対応可能であることを求めています。  先般の議論で、緊急手術の件数も評価するべきだというご提案をいただきました。た だ、何時間以内の手術を緊急手術とするか、あるいはその疾患は何にするかということ はなかなか難しいので、ここは体制ということで、麻酔科の医師と手術室の看護師がオ ンコールではなく常時院内待機をして、緊急手術が常時可能であるという体制について の加点とさせていただきました。  18番については、院内において、救命救急センターと親病院たる病院全体との連携機 能ということで、そこにおける会議がきちんと行われ、患者の転床等、あるいは受入れ についての話合いが行われているかどうかということの評価になります。  19番は第三者評価機構による評価。20番は感染症に対する対策。21番は医療事故に 対しての対策ということで配点させていただいております。  22番は倫理委員会ということで、これも昨今終末期医療、あるいは当初からある脳死、 臓器移植等も含め、救急医療にかかわる倫理的問題は非常に多くありますので、これに 対して適切な判断が下せるような委員会が存在することを求めております。  23番、24番については、主に医師の負担軽減ということで、現在の救急医に対する非 常に強い負担、特に労働時間の負担が新たな救急医の育成を阻むことにもなっています し、あるいは既存の救急医が救急医療から離れていくことにもなっています。24番で、 当然のことながらこの勤務に関しての適正化、つまり当直という名の下に過剰な勤務を させない、時間外に働けばその賃金を出す等のことが遵守されているかどうかどうかを きちんとチェックしていることを前提とした上で、いわゆる当直というような、何かあ れば備えるということではなく、24時間均質な医療を提供するという前提から、夜間で も通常勤務が行われる夜勤の交代制勤務について加点を行うことを、ここで提唱してい ます。  25番、26番については診療実績になります。重篤患者というのは、従来このような統 計を取っていたわけですけれども、病院によって重篤、重症の定義が異なっています。 例えば薬物中毒についてどの程度の重症度を持って重症とするかによって、施設によっ ては数十例だったところが、施設によっては数百例ということがあり、その辺の定義を 別紙で調整し、基準を定めた上で、いわゆる救命救急センターの中でも特に重症の患者、 非常に多くの人的・物的資源を投与しなければいけない患者の数について、これを救命 救急センターとして救急医療の最後の砦としての機能ということで位置づけ、ここには 大きな点を配慮しました。  26番は救命救急センターに運ばれる患者のみではなく、親病院として年間どのぐらい の救急患者を扱っているかということ。現在病院前のトリアージによって、必ずしも二 次救急、三次救急が適切にトリアージができるというわけではない。特に内因性疾患は 難しいということがありますので、親病院が十分な数の救急患者を受け入れ、その中で 重症化する患者を診るという体制がない限りは不十分だろうということで、親病院を含 む病院全体の年間の救急車の搬送数も評価対象にいたしました。  27番については、救急搬送への対応体制ということで、これも昨今問題になっている、 いわゆるたらい回しとマスコミで言われている受入れ不能例について、実際病院側がそ の実数を把握し、そしてなんで受入れ不能であったかという理由についての内容を把握 し、その改善計画を立てるかどうかという点についての評価を行っております。  29番は、救命救急センターが当初から、いわゆる循環器救急病院、あるいは脳卒中専 門病院とのいちばんの違いということで、専門病院の枠にはまらない、いまの社会のセ ーフティネットから漏れる患者に対し、我々は最大限の医療を行うという意味から、疾 病の種類によらない受入れ、なにしろ困ったら何でもいらっしゃいということを徹底し ているかどうかということで、うちは循環器病の疾患だけは診ますけれども、あとはお 断りです、という体制ではないということについての条件を求めております。これがで きない所は、救命救急センターとしては減点対象ということになります。  30番は病院全体の機能ということで、先ほど救急車は二次救急の中にも重症患者がい っぱいいるということを申しましたけれども、歩いてくる患者の中にも実はたくさんの 重症患者がいるわけです。歩いてくる患者も含めた、すべての病院を訪れる救急患者に 対し、適切なトリアージを行い、その中で本当に救命救急センターで診なければいけな いような重篤化する患者を逸早く察知して、適切な医療を行う体制があるかどうか、と いうことが評価の対象になっています。  以上1から30までが、重症・重篤患者の診療機能ということで、従来にも増して内因 性疾患、あるいは独歩で来る患者についても、重症化する者に対する対応等についての 配点を多くしていると思います。  31番から34番については、地域の中でということで、1つは病院前救護体制というこ とで、MC体制への関与です。実際のオンラインのMC、あるいはオフラインのMC、こ れはプロトコールの策定、事後検証、教育等も含めたものについての内容です。  もう1つ、今般新しく厚労省から提案されている、救急患者の受入コーディネーター 事業等への参画ということを評価しております。もう1つMCという、プレホスピタル ケア、消防庁と厚労省の間の業務だけではなく、厚生行政の一環としての地域の救急医 療行政という観点から、この救急医療情報システムというものについて、こういうのに 関与があるかどうかということも十分検討しています。この部分に関しても、十分医療 機関の機能を評価し、そして患者を適切な所に搬送できるようなシステムへの関与、地 域の核となってそういう事業を進めていくことを救命救急センターに求めるということ で、これは自分の救命救急センターがある地域でのすべての病院の受入れ不能を減らす ということに、その救命救急センターが努力すべきというような趣旨です。  それから、ウツタイン様式に関しては、心肺停止の予後調査について、総務省消防庁 にきちんと協力しているかどうかも加点になります。  教育については、先ほども申しましたように、1つは救急救命士、もう1つは臨床研 修医です。臨床研修医については、臨床研修制度の中では救急の初期研修というのは、3 カ月が必修となっていますけれども、これは救急部門もしくは麻酔科ということで、救 命救急センターがありながら麻酔科ですべてを任せているというようなところも、可能 性としてはあります。そんな場合に、この救命救急センター、あるいはそこを含む救急 外来できちんとした救急医療教育をしているということについての加点を考えておりま す。  災害については、災害拠点病院、多くの救命救急センターは災害拠点病院となってい るわけですけれども、まだ一部ここに手が挙がっていない所もありますので、ここを促 進すること。救命救急センターの専従医は、災害のときに第一線に出て、地域での災害 医療だけではなく、遠隔地災害においてはまずそこに対して派遣し、そこでの医療をサ ポートするというようなことが必要と考え、このDMAT研修というものの終了者の存在 についての加点ということで、合計38項目とさせていただいております。  もう1つは、この右と左の「一般の救命救急センター」と「遠方まで別の施設がない センター」、というふうに2つに大別をさせていただいております。これは多くの場合 一般のになるわけですが、例えばへき地にある救命救急センターというのは、管轄人口 が少ないために、例えば症例数、あるいは医師の確保等をこのとおりやれと言っても無 理になります。その場合には、より甘い基準で満たしていると判断する必要があるだろ うということです。  その基準としては、診療圏の人口等をいろいろ考えたのですけれども、最終的にいま までの研究を総合し、GISシステム等を用い、最寄りの救命救急センターまで60分を要 する。つまり、30分以内の患者は全部連れてきてほしいということ。その中にいる人口 が30万人未満という、比較的人口の少ない所で、周りが遠い所については、こちらの「遠 方まで別の施設のないセンター」ということで、約半分の実績を持ってよしとするとい う内容にさせていただきました。概ね概括以上です。 ○座長 前回の議論の部分がかなり反映されているようです。できれば本日中に結論を 出したいと思っております。この中身についてはあまり時間を取る必要はないかと思う のですが、ここだけはというご意見がありましたらお願いいたします。 ○山本委員 加点対象と減点対象について質問させていただきます。10番から15番辺 りのところで、前のほうの整形外科のところまでは減点になっていて、その先の精神科、 小児科、産婦人科は加点になっています。10番から12番は、それほどドクターの不足 はないのだろうということでこのようになっているのかもしれませんが、実際はそうで はないと思うのです。その辺はどういう理由でこのようになったのですか。 ○坂本委員 もちろん、実際にはマイナスになってしまう所も多くあると思います。そ もそも救命救急センター自体が心疾患、脳神経疾患、外傷等についての三次救急を提供 するという救命救急センターの要綱から考えて、これらがまだ整備できていないという ことに関しては、大至急改善していただきたい点であるということでマイナス点という 考え方を持っています。 ○座長 必須だろう、というところができていないとマイナス点ということですね。 ○坂本委員 はい。 ○山本委員 小児科などは必須ではないということになるのですか、産婦人科は必須で はないということになるのですか。 ○座長 それをやっていると、より点数が高い。必須ではないというか、いままで小児 とか産科がそれぞれの分野へ行っていました。つまり、各診療科へ直通で行っていまし た。それを救命救急センターで重症も受けましょうということで、ちょうど議論の最中 なのでおそらくこういう形になったのではないかと思います。 ○坂本委員 小児科については、小児科の三次救急医療であるとか、小児の集中治療の 集約等の議論との兼合いが確かにあります。精神科、産科については、救命救急センタ ーの親病院自体が精神科を持たない、あるいは産科を持たない所も非常に多くあります。 そこに新しく診療科を新設せよということができないと、マイナスというのはちょっと 厳しすぎるかという点もあります。 ○山本委員 細かいところですけれども、タイトルのところで「新しい救命救急センタ ーの充実段階評価」となっていて、「新しい救命救急センター」というと20床のミニに 考えます。 ○座長 新型のね。 ○山本委員 これは「救命救急センターの新しい」のように真ん中に入れてください。 そのほうがいいと思います。 ○坂本委員 あるいは「新しい」をなくして、これは先回もお話をさせていただきまし たが、毎年見直しをして、配点にしても、数値目標にしても、前年度との継続性から大 きく矛盾のない範囲で改良を加えていくべきものだと思います。そういう面では平成19 年度版、あるいは平成20年度版という言い方が適切ではないかと思います。 ○座長 山本委員がおっしゃるとおりで、これは新型と間違いますね。 ○藤村委員 小児科の立場から申し上げます。14番で「小児科医による診療体制」とい うのは触れていただいています。ご承知のとおり小児科医は、小児内科医という意味で す。小児科医が外傷をやるわけではないのです。救命救急センターの新しいタイプとい うのは、小児の診療設備・機材を整備しているという視点を入れていただけたらと思う のです。これが全然書かれていませんので、子供について整備しているのかしていない のかがわからないのです。  基本的には、この救命救急センターは、少なくとも小児の外傷については受け入れて いこうという方向だと理解していますので、例えばETチューブサイズ、あるいはモニ ターなどいろいろなものについて、子供用の機材を整備しているという視点を是非お願 いしたいと思います。 ○坂本委員 いまの小児内科、小児外科については、14番でタイトルは「小児科医」で すけれども、配点基準のところには「小児科(小児外科)医」という形になっています。 ただ、小児外科医は非常に数が少なくて、その中でさらに救急医療に参画していただけ る方は非常に限られてしまうことがあると思います。  小児については、すべての救命救急センターで同じように、同じレベルで小児に対す る三次救急医療機能を持つべきかどうかということに関しては、症例数が比較的少ない ために、通常の救命救急センターよりさらに集約が必要なのかどうかということも含め、 ここはまだ検討すべきだと思います。もちろん最低限の挿管チューブがあるとか、小児 用の蘇生キットがある、というような応急的な救急外来での処置ができるものがないと いうのは非常に問題なので、それはあるのが当然だということだと思います。  より高度な、つまり入院をして小児を入院治療するようなことが、例えば全国200の 救命救急センター一律に必要かどうかということに関しては、後の救命救急センターの 機能の中で、高度を何を定義するかということも含めてまだ議論の余地がある部分では ないかと思っています。 ○座長 小児救急、産科救急とお互いが交叉するところなので、その辺はこれからのこ とかという気がします。 ○石井委員 全体としては、もう一回地域、周辺の病院、親病院も含めて、いい案だと 思うのです。その中で、地方でこぼれてしまう所を頭に置きますと、こぼれてしまって 補助金もどんどん下がる、ますます撤退というのもあまり好ましくないものですから、 例えばドクターのリソースが足りない、常勤が足りない、だからといって10分の1でも、 2分の1がパートタイマーでも、常勤とか専従という言葉よりちょっと弱めていただい て、地域連携の中で外からサポートが来ているものは評価するというように、ワンクッ ション入れていただければありがたいと思います。 ○坂本委員 いまの観点につきましては先ほどの最初の3つ、医師の数については1、2、 3とありますけれども、その3番については専従ということは特に限らず、病院全体の 中で救命救急センターにかかわる医師が夜間に何人確保できているかということなの で、ここは病院のサポートということを意味することだと思います。  ここは先生がおっしゃるように非常に難しくて、これだけが満たされれば現場がうま く回るのだという努力目標というか、獲得目標をきちんと書かないと、ここに少ない人 数を書くと、この少ない人数でやれと厚生労働省が言っているから、これ以上雇わなく てもいいのではないかという話になっても問題になります。ここは満点でなくてもいい わけですから、そういう面では遠隔地、遠方までない所は、最低3人のところで加点が 取れることになっておりますので、その辺で配慮しているとご理解いただければと思い ます。 ○座長 それに絡むのですが、1の専従医師数のところで、診療等の最後の行で、業務 の中心がほかにあるけれども併任で来ているというのがあります。常勤と併任はある程 度石井委員と同じ意見なのです。すべてがすべて一緒ではないのですが、それでいいと 思うのです。併任がどの程度なら認められるかを書いておいてもらったほうがいいと思 います。ちょっとでもほかの診療科にアテンドしていたら駄目というのでは厳しすぎま す。 ○坂本委員 よくわかります。それは当初からずっと議論が出ていたところです。実際 の問題としては、専従の医師というのは、親病院が救急の仕事をオーバーワークになら ない勤務時間として、それぞれの科の先生に割り振っていただいていれば、必ずしも特 定の人でなくてもいい場合もあると思うのです。ただ、そこを実態として把握するとい うと、うちの病院は全員が救急医療に従事しているので、うちの救急専従医は200人い ますと言っている病院が非常に多くありますので、そこのところが非常に難しいところ なのです。 ○座長 併任をエリアで決めていただいて、時間的な。ちょっとでも参加していたら200 人になってしまうわけでしょう。 ○坂本委員 そういう面では、3番のようにある時間で切ったときに、そこの救命救急 センターに専従であれ専従でなかれ、何人の医師が業務をしているのかという観点も補 完する意味で大事ではないかと思っています。 ○座長 もう1つ重要なのが、4番の「救命救急センター長」というのはセンター長で すよね。 ○坂本委員 はい。 ○座長 センター長で、救急医学会のセンター専従医だけど、救急医学会の専門医でも 指導医でもないというのが結構あって、これは本来の厚生労働省の要件とは反するわけ です。だから、センター専従であっても、救急医学会の専門医なり指導医でないのは、 ある程度減点対象にしていただいたほうがいいのかと思うのですがどうですか。 ○坂本委員 ここに関しては、指導医は4点、専従医は2点ということですから、救急 医学会の指導医でなければ実質的には2点足りなくなるわけです。ここに関しては、現 在の救命救急センターの設置要綱が、「救急医学会指導医等」ということですので、こ こに関しては「等」というところの趣旨を活かすと、このような配点になるかというこ とです。 ○山本委員 いま「専門医」と言っていますが、ここには「専従医」と書いてあります。 「専門医」の間違いですか。 ○坂本委員 いや、専従医かつ指導医です。 ○座長 センター長は専従しているのだけれども。 ○山本委員 違います、+2のほうです。 ○座長 専従医だけれども、救急医学会の指導医なり専門医でないと。例えば、脳神経 外科の専門医がそのままセンター長をされている。 ○坂本委員 4番の解釈としては、全くセンターに専従していないと。脳外科の部長が 名目的に救命救急センターのセンター長をしているというのでは0点です。例えば、麻 酔科の指導医で、救急医学会の資格は持っていないけれども、救急医療に精通している 方が麻酔からは離れてセンター長を専従としてやっているということであれば2点。救 急医学会の指導医の資格を持った方が専従をしてやっていれば4点。もちろん、救急医 学会の指導医が専従しないでやっている場合というのはあり得るのですが、それは一応 想定外です。 ○山本委員 それでいいのですけれども、そうすると救急医学会の専門医というのは点 数にはないということですか。 ○坂本委員 4番のセンター長の要件の中には出しておりません。2番の救急科専門医と いう、現場で働く医師の数のほうにしか考慮していません。 ○座長 専門医だけれども、指導医でなくて、センター長というのも結構おられますか。 ○坂本委員 おります。 ○座長 それと、持っていないというのは区別したほうがいいと思うのです。 ○坂本委員 指導医等ですから、救急医学会の指導医というところと、例えば麻酔の指 導医との差はありますけれども、救急医学会の専門医というところと、他学会の指導医 ということになると、なかなかバランスが難しくて、そこまでは決めかねました。 ○山本委員 いまの話を進めると、センター長というのは専門医とか他の学会の指導医 とか専門医はみんな2点にしましょうと、それでもいいのではないかという気がします。 ○座長 どれかは持っていますよね。 ○坂本委員 何かは持っていると思います。 ○座長 こちらで聞いたご意見は、最終的には座長預かりにさせていただこうかと思い ますが、よろしいでしょうか。 ○坂本委員 はい。 ○座長 26番の「救命救急センターを含む病院の年間救急車搬送人員」は1,000人以上 で1点でしょう。 ○坂本委員 そうです。 ○座長 救命救急センターは500人以上で1点で、もう500台が別の所へ来るとさらに 1点になってしまいますね。 ○坂本委員 そういうことです。 ○座長 ちょっと低いのではないですか。 ○坂本委員 救命救急センターのほうとしては、一応ある程度活動性の高い所に関して は、大体年間1,200人の重篤傷病者を考えていて、マックスが8点です。救急車の搬送 に関しては大体6,000台というところで5点ということで、2対1とは言いませんけれ ども、重篤患者のほうに60%増しぐらいの配点をしているつもりです。 ○座長 26番です。もうちょっと増えただけで、もう少し多くても1,000台以上を例え ば1,500というようにも思ったのです。 ○坂本委員 この数値の幅、1点の刻みをもうちょっと微調整する格好で座長と相談さ せていただきます。 ○前川委員 山口大学は、三次救急に特化しています。そうすると、年間で1,000名が ギリギリというか、もう少し増える可能性はあります。二次的とか初期の患者が来ない 所に関しては、例えば6,000人という人数はまずあり得ないです。地方の大学の救命救 急センターであったとしても、この人数は初期が入らないと6,000とか、8,000というこ とはあり得ないと思います。 ○座長 これは、初期も含まれるのでしょう。 ○坂本委員 初期も含んでいます。いわゆる二次救急の救急車も入ります。 ○座長 二次救急車ね。 ○坂本委員 病院全体。 ○前川委員 救急車ということは二次ですよね。 ○坂本委員 二次です。 ○前川委員 そうすると、それもちょっとあり得ないと思います。 ○坂本委員 ですから、すべての救命救急センターが満点を満たしていただきたいので はなくて、同じように重症患者を1,000人診ている所でも、その親病院として救急車を 1万台受けていて、その中からさらに重篤な患者も拾い出しているという所はより高く 評価したいという趣旨です。 ○前川委員 地方の大学の救命救急センターとなれば、その県でも基本的な人口がいち ばん多い。そういう所で、それなりにしっかりやっていたとしても、これだけの人数は たぶん来ないと思います。 ○座長 26番は、別に救命救急センター全体の評価に大きくかかわってくるところでは ないですね。25番はかかわりますね。 ○坂本委員 そうです、26番に関しては、親病院としてのアクティビティを救命救急セ ンターの中にある程度反映させるという意味です。 ○前川委員 それから1番ですが、地方の国立大学の救命救急センターであっても、専 従医が7名いる大学病院の救命救急センターというのは非常に少ないと思います。東京、 大阪は別として、地方の大学は講座ができてからまだ新しいという所はもちろんありま すけれども、特にいまは地方から大都会に医師が流れている状況です。私の所でも、以 前は70名、80名が大学に残っていたのですけれども、いまは約30名といった状況です。 診療科が20数科あるとしても、1人とか2人とか、大きな診療科にはたくさん入ります ので、頑張ってやってもなかなか増えない。将来的にもかなり厳しい数字かと思います。 ○座長 これは、全部が全部100点取ると、もう救急はいいのではないかという話にな ってしまいます。 ○前川委員 そうなのです。 ○座長 比較的ハードルの高いこういう所の点数もあるのですよ。だけど、うちはそれ よりもう少し低いのですよ。努力目標としてこうしたい、というときの対外的、あるい は院内向けの1つのあれとしてね。 ○前川委員 それはよくわかっているつもりです。目標として交渉のあれには。 ○座長 実情はよくわかります。 ○前川委員 使えるのは使えると思うのです。それから、これはトータルとして加点す るのと、減点するのと両方ありますけれども、どこのレベルに理想的な救命救急センタ ー、これだったらいいというアベレージの救命救急センターとか、かつかつ認められる 救命救急センターとか、その辺の点数の配置というのは最終的にどこになるのでしょう か。 ○坂本委員 いま、ここでは全体を概ね100点としながら、その中で項目の軽重を考え ての配点をしているというところにとどまっています。いま、既に充実度はすべてAに なっているわけで、そのハードルを厳しくして補助金をどんどん減らしていこうという ことのために使われるのは、本来の目的ではないと思っています。その中で当座の目標、 そして最終的な目標というところで、どの辺に線を引くかということに関しては、最終 的にもう少し検討が必要だろうと思っています。 ○前川委員 例えばこれを出して、全国の救命救急センターに点数を付けていただいて、 それでこのレベルだったらというのは、実際に数字を集めた後で評価する予定なのです か。 ○座長 一部微調整は必要でしょうね。また、昔型の全救命救急センターが60点以上取 って、オールAだというのも変な話です。それから、ほとんどが100点満点で60点以 下になるのもおかしいですから、その辺の微調整は実際にデータが集まった後でやって いただけますね。 ○坂本委員 はい、そうします。 ○座長 あまり時間もありませんので、先ほど言いましたように、あとの細かいところ は座長預かりということで、させていただいてよろしいでしょうか。 ○坂本委員 はい。 ○座長 そういうことでよろしくお願いいたします。議題1は終わりまして、次に報告 事項を事務局からお願いいたします。 ○田邉専門官 資料2と資料3を使って報告させていただきます。資料2は、「救急医 療の確保のための新たな施策(平成20年4月〜)」です。表紙は、4月から新たな救急 医療にかかわる施策を一覧にまとめたものです。横軸に病院前救急医療、初期、二次、 三次の救急医療機関、医師等を置き、縦軸に制度上の措置、予算上の措置、診療報酬上 の措置として、どういう対策を打っているかをマトリックス上に配置し、一覧としてお 示ししたものです。  各項目にそれぞれ頁を打っていて、その頁はこの後ろに資料として付けております。 細かいところまではご説明いたしませんけれども、上から2つ目の「基準病床数制度に おける特例の対象の周産期疾患に係わる病床を規定」。これは、いままで医療圏ごとに 病床規制を行っておりますけれども、その中で周産期疾患にかかわるものについては特 例として認めていくことにいたしました。  その1つ下の、社会医療法人の認定要件については、医療法人改革に伴い、社会医療 法人を規定する。その中の認定要件の1つに、一定水準以上の救急医療等を行っている ものを規定する。その社会医療法人の医療保健業については、法人税非課税を予定して いる、という対策を行いました。  「医療機能情報の提供制度」ということで、どの病院がどういう機能を担っているか、 住民にわかりやすくすることで救急医療を受診しやすくする、あるいは適切な救急医療 機関を受診できるようにするといった体制を進めております。  右側の「標榜診療科に『救急科』を追加」と書いてありますが、これは個々の救急に 携わる先生、あるいはその総意として日本救急医学会からもご要望をいただいていたも のですが、この度標榜診療科に救急科が追加されるということです。  予算上の措置として、救急患者受入コーディネーターの確保事業、あるいは救急医療 情報システム、これは第2回検討会の中でも議論がされましたけれども、その充実強化 事業を予算上確保しました。そのほか、救急救命士の病院実習について、麻酔管理料の 問題でいろいろな問題をご指摘いただいておりましたけれども、受入促進経費の増額と いう形で対応がなされました。地域救命救急センター、重症外傷機能確保経費、あるい はドクターヘリについても、新たに3機分予算が確保される見込みです。  診療報酬上の措置として、三次救急医療機関、救命救急センターにおける入院早期の 救命救急入院料の手厚い評価、ということでこの度増額がなされました。あるいは、救 命救急センターにおける精神科疾患への診療について、大幅な加算が認められたという こと。脳卒中対策として、t-PAによる超急性期の治療が評価されたという点。病院前救 急医療で見ますと、ドクターヘリやドクターカーによる診療の評価、救急搬送診察料の 引上げがなされました。ほかにも、初期救急医療機関については、診療所での夜間等の 診療をこの度新たに評価する。小児の時間外等の外来医療を評価することがなされまし た。  救急医療に携わる医師の負担の軽減の目的で、勤務医負担軽減策の具体的な計画を作 った場合に、入院時医学管理加算を評価する。医療クラーク、事務クラークについて加 算を新設する。産科では、妊産婦緊急搬送入院加算の新設や、ハイリスク妊産婦の入院 管理を評価することをいたしました。小児についても、先ほどご紹介したもののほか、 超重症児・準超重症児の入院診療加算の引上げや、急性期後の入院機能の評価というこ とで対応がなされたことを紹介させていただきました。  こちらについては、前回の検討会においても、新しい救命救急センターの評価を作り、 ハードルばかり高くするというのは、鞭ばかりなので何か甘いものはないかという中で、 こういうものを紹介させていただきました。 ○座長 高いハードルばかりではなく、ちゃんと考えておりますということで、具体的 に施策に反映していただきました。 ○前川委員 t-PAの件で質問です。これは、特にストロークユニットとか看護師の別の 単位を作らなければいけないとか、そういう規制は特にないのでしょうか。 ○田邉専門官 私も、細かい規定までは承知しておりませんので、また改めてご紹介い たします。 ○豊田委員 その件について私の知る限りでは、先生がおっしゃったのはSCUの入院医 療加算のほうで、これは単純に患者を1人受け入れれば、その初日に1万2,000点加算 でよかったと思います。 ○前川委員 救命救急センターの中で、そういう対応ができればいいということですか。 ○豊田委員 施設の格について、私がその前の段階で伺ったときには非常にハードルは 低かったと思っています。 ○前川委員 研修を受けている先生がいればいいということでしょうか。 ○佐藤課長 申し訳ありません。一昨日他局から出た通知は膨大なものでして、私ども もまだ全部読むには至っておりません。そのうちに少し勉強してご紹介させていただき ます。 ○石井委員 いまの件で記憶している限りでは、バックアップとして脳外科が対応でき る、ということが要件だったような気がします。 ○山本委員 1時間置きにチェックをするとか何か細かい監察事項がありましたね。 ○座長 そういう一般的なものと、急変時に脳神経外科医がそれをちゃんとコントロー ルできるということでしょうか。いろいろひっくるめて、救急にかかわるところを配慮 していただいているようには思います。資料3について事務局から説明をお願いいたし ます。 ○田邉専門官 資料3「救急搬送の現状」についてご説明いたします。これは、22日に 総務省消防庁より、平成18年中の救急搬送の実態調査が発表されましたので、このデー タを10年前のものと厚生労働省側で比較させていただきましたのでご紹介いたします。  資料3「救急搬送の現状」ということで、皆さんご存じのとおり、年間489万人が救 急車等で搬送されています。これを人口1万人で直してみますと、平均383件、大阪府 だと565件、福井県だと285件、県内で倍程度の差があります。1日当たりで見てみま すと、全国で1万3,000人余、東京都で1,700人強、鳥取県だと57人と県によって大き なばらつきがあります。単純に47で割ってみますと285件、5人の方が1日搬送されて いる状況です。  次の頁が救急出動件数、あるいは人員の推移です。右側に書いてありますが、10年間 で51%、数にして165万人増加している状況です。次の頁は、10年間で救急搬送人員に どれぐらい変化があったかを、重症度別にお示ししたものが2頁です。全体としてはご 紹介しましたとおり51%伸びています。青が平成8年、赤が平成18年です。これを見 ますと軽症で56%、中等症で59%、重症においては13%増加している状況です。  次の頁は年齢別に10年間の推移を見たものです。小児では26%、成人では22%、高 齢者においてはおよそ2倍の108%の増加が見られます。次の頁では、これを人口の伸 びで比べてみました。右側が人口の推移で、全体ではわずかに微増、小児は減っている、 成人もわずかに減っている、高齢者においては40%増加している状況です。人口の変化 にかかわらず、救急搬送は小児、成人、高齢者のいずれの部分でもこのように伸びてい る状況です。  次の頁は、小児、成人、高齢者それぞれの重症度別の搬送の伸びです。小児を見ます と、軽症で33%、中等症で19%伸びています。重症においては27%減少しています。 成人について見ますと、軽症では33%、中等症では14%増加しています。重症において はマイナス15%と、成人においても重症に限って見ると減少しているということです。 高齢者で見ますと、軽症、中等症、重症ともそれぞれ伸びていて、重症で35%、中等症 では2倍強の119%増、数にして57万人増えています。軽症にしても2.5倍の156%増 加していて、数にして48万人増えている状況です。  最後の頁は、急病と外傷等に分けて見たものです。高齢者においては急病で112%、 外傷においても倍、36.3万人、101%増加している状況です。 ○座長 人口動態の疫学ということですが、田邉専門官からお話がありました、こうい う状況をどういう具合に考えたらいいのか皆さんのご意見をお聞きしたいと思います。 人口と関係なく、お年寄りの救急が結構大きな因子になっているのでしょうね。 ○野々木委員 高齢者を65歳以上にするというのは、現実に合わなくなってきているの ではないかと思います。後期高齢者が極めて増えてきている印象があります。後期高齢 者で本来病院に入院されていた方々が在宅、あるいは療養型の所に移られ、そういう ADLが極めて低い方々が救急搬送される件数が増えてきました。そういう方々は合併症 が多くて、地域の二次救急で収容できず、二次専門病院、あるいは三次救急に行ってい るというのが現実になってきていて、それでベッドが足りなくなっている原因の一つで す。ですから、65歳の中身を後期高齢者のデータが出るのでしたら是非作っていただけ ればと思います。 ○座長 後期高齢者というのは何歳以上でしたか。 ○野々木委員 75歳以上です。 ○座長 確かに、多くはそちらのほうが占めているのでしょうね。次回にその辺のデー タは出ますか。 ○田邉専門官 消防のデータを使って検討させていただいたのですが、どうでしょうか。 ○総務省消防庁 これまでのデータの取り方ですと、65歳から高齢者という分け方しか ないです。個別の個票の事案ごとにやっているわけではありません。各県から上がって くる段階では、65歳以上として見えなくなっています。 ○座長 実態としてはつかまえにくいということですか。確かに実感として、老健とか 在宅医療をされている後期高齢者がクリティカルな状態になったとか、かなり終末期で 救命救急センター等へ運ばれてくる。当然救命救急センターはそちらも治療すべきです けれども、本来治ればQOLが良くなるような患者の受入れを圧迫しているといいます か、ある種のしわ寄せになっている。二次救急医療機関からのしわ寄せと、そういう患 者のしわ寄せと両方は確かに実感としてあるような気がしますけどね。 ○石井委員 まさにそれが1つの問題として、前にも議論になったと思います。この先 の話をしますと、一層在宅重視という厚生労働省の全般の政策誘導がありますので、こ れはもっと大きなマスになる。クリニックに在宅での看取りを含めた機能を持たせよう という誘導がなされていることもわかっているのですが、とはいえ、最後の瞬間に在宅 での看取りを好まないと家族の方が言われれば、これはもう呼ばざるを得ないというと ころがあるのですね。結局、連携先病院なりそういう所に運んでもいいとなっているの ですが、運ぶ媒体はやはり救急車なのです。  救急隊にだけ全部これを処理しなさいという政策は、今後、難しくなるのかもしれな いという感じもあります。救急救命士の活用というテーマもあり得るかもしれません。 それが1点です。  もう1点は、軽症患者が伸びているということに対して、いろいろな方策がなされて いますが、その中の1つ「♯8000」という小児救急の電話相談がだいぶ普及してきた、 それのアップバージョンはどうしようかというディスカッション、特に小児科医会のほ うでしています。一方では、東京消防庁で行っている成人の電話相談「♯7119」が立ち 上がって、これが1日に60〜70から休日には100件とかいう数字の積上がりになってい るようです。  そうするとこの電話相談という事業が、東京消防庁で始めたものと「♯8000」を含め たアップバージョンをどこかで議論をして、そして適正な利用という方向につなげる1 つの糸口になればなとも考えます。年度が変わってからになると思いますが、東京の話 もまだ始めて1年経っていないわけですから、経過を見ながらご相談する時期が近々あ ったほうがいいのではないかなと思います。 ○座長 高齢者のCPAを含めての割合とか、それらはわからないですよね。急病の中の 高齢者の増加100、軽症が増えているのか、重症も増えていますよね、35%。小児、成 人が重症が減っているのに、高齢者だけ重症が増えていますが、これはかなりの部分 CPAが含まれているのですか。つまり、先ほど佐藤課長が言われたような、心呼吸停止、 DOAにかかわる患者の保険収載が上がると、それなりに二次救急医療機関等を含めて、 そういう受入体制が作ってもらえるか、あるいはもっとそれを進めると、その辺の老健 からあるいは在宅医療の中での患者を、ある程度二次救急医療機関等を含めて面倒を見 てもらえるのかな、というような気もするのですけれどもね。それはわかりませんか。  ○総務省消防庁 たぶんこちらのほうの解析の中で、重症とあと死亡という区分けがあ りますので、それを合わせれば出るのかなと思います。 ○石井委員 実は老健に関しましては、前は看取ってはいけない施設だったのですが、 いま死亡診断書の書式を見ていただきますと、死亡場所には老健という記載がされまし て、対応してくれればそこで看取ってもいいような施設になってきています。だから、 これも是非各地域または各先生方からアナウンスしていただいて、そちらで看取ること も可能のようですよという情報提供を個別にやっていただければと思います。 ○山本委員 関連質問です。老人ホームでも特養でも何でも、支援病院というのか協力 病院というのは必ずあるわけです。いまその流れの中で、その病院の役割分担というの は何なのでしょうか。我々、見ていますと、そこで何か夜、事が起こったときに、必ず 救命センターにきていますので、彼らはどういう役割分担をしているのかなというのが とても気になるのです。  もう1点、CPAはみんな救命センターには運んではいません。運んではいない理由は ここで言うのはあまり良くないから言いたくもないですが、高齢者は二次病院で頑張っ て、そこで終わりましょうよというのは暗にあると思うのです。どのぐらいあるかとい うのは、この間私が聞いたら、半分ぐらいしか救命センターには行っていないのです。 ○座長 いや、もっと来ているのかなと。 ○山本委員 いや、行っていない。ただ、それは人が多かったときと違うと思いますよ。 ○座長 保険収載のあれが変わると、少しそういうのが変わってくる可能性があります ね。本来的に治療をすべき患者はいいのですが、そういう形の患者が救命センターを圧 迫したり、あるいはほかの手を煩わせると言ったら悪いですが、それは救急システムか らいうとなんとなくおかしいのです。 ○山本委員 例えば支援病院・協力病院の役割をもう少し明確化したら、そこのところ はもう少し良くなるのではないかなと私は思うのです。 ○藤村委員 質問なのですが、いま話が出ていませんが、搬送の現状ということで、こ れは搬送先分析はされていないのですか。搬送した医療機関の種類。 ○座長 これ軽症、中等症、重症に合わせて、大体運んでいるのですよね。 ○田邉専門官 今回はホームページ上でも確認はできるのですが、救急救助の現況と、 総務省消防庁が毎年出しているものを使って、患者さんの搬送に絞ってご紹介させてい ただいたということです。この中には病院の種類についても触れられているところがあ りますから、確認をした上でもしできるようであれば、また先生にご紹介したいと思い ます。 ○藤村委員 発言した理由は、搬送というのは、どこへ搬送するかというお見合いの相 手が非常に重要だと思うのです。要するに患者の重症度に応じたそれぞれの、ちょうど 能力にいい病院に搬送されているかどうかの分析は、非常に重要だと思うのです。  もう1点、いま「♯8000」のことでご発言がありましたが、これには小児科学会と厚 生労働科学研究班が関係しています。いままでの衛藤班という厚生労働科学研究の結論 では、「♯8000」はどうも受診抑制にはつながっていない。又利用目的は育児相談に徹 したほうがいいという考え方の方が優勢です。  それがはっきりしてきたのが、大阪府の「♯8000」です。この場合は、日本でもただ 1つ、24時間、365日実施している電話相談なのです。それだけきちんとやっている所 がそういう結論を出していますので、そのまま成人の今の電話相談に使えるのではない か、その経験が活かされるのではないかというのは、ちょっと違うかなと。子供の場合 は育児不安に対応するのがかなり大きい。 ○座長 いま石井委員も言われた「♯7119」が、そういう役割を全国的に果たしていけ るかもわかりません。いずれにしても、もう少し細かく地域あるいはその次のあれでも いいですが、これ非常に重要なことで、救急救助の消防庁から出されているデータをど う解析して、どう医療に、特に救急の医療現場にどう反映するかというのは大きな問題 ですので、是非とも今後引き続いて。 ○前川委員 軽症の搬送が増えているのは、結構ボリュームとしては大きいと思うので す。そこのところは前から話があるかもしれませんが、有料化というか、タクシーの料 金より少しだけ高いという有料化をやると、かなりな抑制が効くと思うのですね。本当 に重症であればそれはお金を返せばいいことだとは思うのですが、何か消防庁でそうい う動きはないのでしょうか。本当に必要なときに動けないというのは最悪の事態なので す。 ○総務省消防庁 まさにおっしゃられるとおりで、救急需要の対策ということで、有料 化も含めてさまざまなことも考えておりますが、まずは有料化よりも先にある程度、例 えばトリアージとかいう形のやり方でやっていく、あるいは一般住民に対する普及啓発 をどんどんやっていくという方向でやっていますので、有料化を早急にというところは まだ検討に入っておりません。 ○前川委員 もう1点、後期高齢者というのは、私の所もやはり増えているように思い ます。データがないということであれば、今後そのデータも是非お取りいただいたら。 先ほど座長からもお話がありましたが、救命センターというのは、基本的には社会復帰 できて、また社会に戻れるという患者たちがベースだと思うのです。ですから、そうい う意味でも65歳〜75歳というのは、人口が減っていく段階で健康就労者というか、そ ういう意味合いのこともたぶんあると思うのです。ですから、その辺の切り分けという か、データは少なくとも必要かなと思います。 ○豊田委員 人口割りしたあとも大阪府が全国平均よりも4割か5割増しの出動件数な のです。何か理由がわかれば教えていただきたいと思います。 ○総務省消防庁 大阪につきましては若干特殊な要因があるのかどうかはわかりません が、非常に狭い地域なので、かなり効率的に出動して帰って来てということで、出動件 数が非常に増える。多い隊ですと24時間当たり20回とか、全国で最大に出ているとい う所もあります。そこは説明になっていませんが、一応そういう状況のようです。 ○石井委員 先ほど山本委員も言われたような高齢者に対するいろいろな施設をみる と、特養で行われた医療にはある給付が、老健にはない。例えば老人ホームならば在宅 にみなす、ここで問題が生じているわけですよ。そこで今回医療保険の改定でこれだけ なんとか目配りしたわけですね。来年、介護保険の改定なので、次年度、是非、救急の 側から見て、こうあってほしいという意見を集約して、介護保険の改定のほうにも情報 発信をするということが時節柄必要ではないかなと思います。 ○座長 事務局もその辺のデータを集めていただいて、よろしくお願いいたします。知 らない間に救急のほうにみんな医療費抑制のしわ寄せがきてアップアップすることが非 常に多いので、そういう意味では提言できるということですね。ありがとうございまし た。時間がもうかなり過ぎていますので、これで打ち切らせていただきます。事務局か ら資料5をよろしくお願いいたします。 ○田邉専門官 資料5を使って「今後の救命救急センターの整備について(議論のたた き台)」ということでご用意いたしました。これはこれまでの議論を踏まえて事務局で たたき台という形で用意させていただきました。構成は1「これまでの整備の流れと現 状」ということ、2頁目から「今後の整備の進め方」、4頁目に「その他関連する事項」 と大きく3つに分けて構成しています。1については下線は強調したいところをしてい ますが、2以降は皆様に論点として特に議論をしていただきたいということに下線を引 いています。最初から簡単にご紹介いたします。  「これまでの整備の流れと現状」です。全国に200ヶ所を超え、いま救命救急センタ ーは人口当たりの数としては当初の目的を大きく上回ったと。当初100万人に1ヶ所を 目途に整備を進めてまいりましたが、いまはおよそ60万人に1ヶ所の形になっています。 また、平成18年においても新たに12施設の整備がなされるなど、量的には確実に増加 している状況です。近年、東京、大阪等の大都市の一部においては、隣接して複数のセ ンターが整備されているケースも認められる。  一方で最寄りのセンターまでに長時間の搬送を要する地理的空白地域も多数残されて いて、それに対して新型救命救急センター等の整備を開始して、一定の成果を上げたと ころですが、いぜんとして空白地帯が残されている。また質的な側面から見ますと、救 命救急センターが整備されている地域であっても、重症患者の受入病院の選定までに時 間を要する事案の発生が続いているなど、本来の役割である重症患者の受入れに支障を きたしている。また、小児、精神科疾患を伴った患者、あるいは産科・周産期の患者へ 必ずしも適切に対応できていない。また、重症外傷の治療においては防ぎ得た死が発生 している可能性が高く、救命されても四肢の運動機能等の機能予後が悪いといった実態 がある。また脳卒中等においても、治療やリハビリの体制は十分でないという指摘がご ざいます。  また、そういった指摘の背景には、救急搬送の増大を中心とする救急医療の需要増大 に比して、地域の二次救急医療機関の体制の充実が追いつかず、本来二次救急医療機関 で対応可能な患者が救命救急センターに搬送されることにより、センターに過度な負担 がかかっている。あるいは合併症のある高齢者の患者の割合が増え、治療期間が長期化 していること、急性期を乗り越えたものの、いわゆる植物状態等の重度な後遺症等によ り母体の一般病棟や他院への転院、自宅への退院が円滑に進まないことなどによる、救 命救急センターの出口の問題がある。  あるいは救命救急センターでの医療を行うに当たり、小児科、精神科、整形外科等の さまざまな診療科の医師のかかわりが重要であることについて、病院全体の理解が十分 でない。あるいは地域の複数のセンターが整備されていても、それらの機能が似通って おり、医療資源が薄く広く配置されている状況であり、重症外傷や発症直後の脳卒中の ように、来院直後より適時特別な対応が求められる疾患に対して、十分な診療体制がと られていない。あるいは、そもそも救急医療をはじめとして医師の確保が困難な状況に あるといった背景が指摘されていると捉えた上で、「今後の整備の進め方」ということ です。  すでに一定の整備がなされている地域においては、「医療資源の効率的配置」という ことで、救急医療をはじめとして、医師の確保が困難な状況において、同一医療圏に救 命救急センターを分散して多数整備することは、医療資源の効率的な配置といった側面 から見ると、必ずしも適切とは言えないという意見があるが、適正配置の観点から、こ れらについてどう考えるか。能力や体制が十分であれば、引き続き認めていけばよいの か。あるいは当該医療圏のみならず、広域に患者を受け入れている病院などについては、 認めていけばいいのか。むしろ当該地域以外の地理的空白地域をまず優先的に整備すべ きではないかといったようなこと。  「各施設の役割分担」として、同一医療圏に複数のセンターが整備されている地域に おいて、疾患ごとに大まかに各センターの役割を決めることについてどう考えるのか。 そういった場合、専門病院との関係についてどう考えるか。あるいは大まかな疾患ごと とは何かといったようなことをご議論いただければなと考えています。  また最寄りのセンターまでに長時間の搬送を要する地域(地理的空白地域)について は、引き続き地理的空白地域への救命救急センターの設置は必要と考えるが、その際に はGIS等のデータを用い、県内人口の救命救急センターへ一定の時間以内に到着できる 人の割合がもっとも改善する地域を優先するといった考え方でよいのか。一般的に人口 が少ない地域への救命救急センターの設置は効率的でないとされるが、こういったこと についてどう考えるか。  「一定の時間以内」とは脳卒中や重症外傷者への診療を考えると、およそ60分程度と いう目安にしてもよいのか。あるいは地理的空白地帯であっても、周辺人口や重症患者 の発生数等からすると、新たに施設を整備することが困難であるといった場合に、ドク ターヘリコプターや消防防災ヘリコプターなどを活用して救急搬送体制を確立すること で、センターの整備に替え得る体制を構築する必要がある。ただし現在、夜間において ドクターヘリの運航がなされていない点に留意して、併せて地理的空白地域から救急患 者を受け入れるセンターについては、空路による搬送を円滑に受け入れることが可能な 体制の整備が求められるといった考え方でよいのか。  「地域にかかわらず留意すること」で、救命救急センターが常時、地域で発生した救 急患者を円滑に受け入れる体制を維持するためには、急性期の治療を終えた患者が円滑 に転棟や転院をしていく必要がある。院内、院外への転棟や転院を妨げる要因は何なの か。母体の病院の病床には、調査上は多く空床があるとなっていますが、これについて どう考えるか。さらに病院内の病床の配分が適切になされているのか。特にどういった 疾患、状況で転院・転棟が円滑に進んでいないのかといったことについて、ご議論をい ただければと思います。  また、小児科、精神科、整形外科等の各分野の専門医師の応援が本来必要な場合には、 ただちに円滑に診療に加わる体制が構築されていない要因は何かということで、各診療 科間、部門間の独立性が強く、救命救急センターに搬送された救急患者への診療に院内 全体の医療資源を有効活用しようという体制がないのではないか。地域でのクリティカ ルパスの活用はどうかということを論点として挙げさせていただきました。ひとまずこ の辺りでご議論をいただければと思います。 ○座長 いまご説明いただきましたが、まずいままでの流れと現状の1枚目のところを 中心に、何かご意見なりございますでしょうか。このあと「今後の整備の進め方」の方 向へいきますが、いかがですか。 ○野々木委員 以前から提言をさせていただいていますが、疾病救急、特に心疾患、大 血管、脳血管疾患は、一次、二次、三次という順次搬送が適切でない疾患群です。あた かも軽症に見えてもいつ重症化するかはわからないという疾患群ですので、これらに対 応可能な救命救急センターも含めた高度専門的な施設を地域に配置する必要があると考 えています。  発症数は、人口100万人当たり年間、心筋梗塞が500〜1,000人、脳卒中が1,000〜2,000 人と想定されています。その地域の救命救急センターにすべて搬送できるかというと、 まず無理でしょうし、24時間体制で外科手術、血栓溶解療法、カテーテル治療を時間の 遅れなく実施するためには、病院群を作って対応する必要があります。いつまでも一次、 二次、三次ということであったら、いまの二次救急が崩壊しますので、これは相当深刻 に考えないといけないと考えています。  ○田邉専門官 そういった点に関しては、3の(1)の辺りでまとめて触れていただけれ ばと思います。 ○座長 2「今後の進め方」の(1)の下段、専門病院との関係とか、この辺のところに なりますかね。結局、今後の方針のところへいって、各論的に見ていったほうが。最初 のところはこうですよということで、それはけしからんとか、それどうしましょうとい う話になると、結局、今後の整備の進め方ということになります。 ○山本委員 ER的な救命センターなりERを含めた救命センターの問題については、後 から出てくるのでしょうか。 ○座長 それ実はいちばん最後に、高度救命救急センター、あるいはそういう名前がい いかどうかはわからないのですが、それをどうするかというところで、いちばん最後に お話あるいはディスカッションをしていただこうかと思っています。では、「今後の整 備の進め方」に入っていきます。すると医師の確保が困難な状況にあるというのが抜け てしまうかな。では、医師の確保を入れて2でご議論を願えますかね。まず1つひとつ いきたいと思うのですが、医師の確保は2の(4)で、医師の確保をどうするかという形 にさせていただきますが、よろしいですか。  最初、(1)すでに一定の整備がなされている地域の医療資源の効率的配置ということ で、ここに書かれているように、能力や体制が十分であれば引き続き認めていけばよい か、当該医療圏のみならず広域に患者を受け入れている病院などは認めていけばよいか、 むしろ当該地域以外の地理的空白地域への整備を優先させるかということですが、いか がでしょうか。実際にはある一定地域にたくさんの救命救急センター、それなりに理由 はあると思うのですが、それよりも、むしろそういうのはやめて、空白地帯をもっと埋 めていけという、どちらを優先させるかというのは、これから国の施策にも係ってくる と思うのですが、この辺については皆さんどうお考えなのですか、難しいですか。 ○前川委員 空白地帯という意味では、本当に地方圏のことを考えていただいたらわか るのですが、非常に人口の少ない所は当然空白地帯になるわけですね。それで、今後、 医師が減っていくことを想定しますと、ドクターヘリ的な考え方、集約化、センター化、 この2つにもう尽きるのかなと思います。けれども、それでもカバーできない地域が下 手をするとくるかもしれない。ですから、最後にと言われたのですが、いまの医師の動 き方というか、特に卒後臨床研修が始って以来なのですが、そこのところがかなりキー ポイントになりそうな気がいたします。頑張って、頑張ってやってはきたのですが、い まの現状から見ると、多分10年先は地方の県においては医師数は半分になっている可能 性があります。  考え方なのですが、人口10万人当たりの統計をよく出していただくのですが、罹病人 口10万人当たりという考え方をしていただくと、田舎の方ではもう少し医師が要るのか なと。それをいろいろ考えて最終的に現在考えられることは、小児科、産科でわかるよ うにセンター化、集約化をやらざるを得ないということ。あと昼間であればドクターヘ リが可能かなとはいま思っています。 ○座長 ある程度、医師確保ができると、それなりに問題は解決すると思うのです。1 つ誤解がないように言っておきたいのですが、救命センターはある種、集約化したよう なもので、特色も持たせようというのはそれなりに1つの意味があると思うのですが、 誤解があるのは専門病院です。例えば、それどんどん集約化していって、循環器だけ診 る救命センターですよというのはないなと私自身も思っているのです。  もし、それをやるとすれば、それは専門病院として救命センターの枠とは別に専門病 院として、小児でもいいのですが、一次から三次まで診ていくとか、あるいは循環器と して一次から三次まで診るとかいう専門病院の枠はあったとしても、それを救命センタ ーと同じ枠内でやると、本来、坂本委員が言っていたように、地域でのセーフティネッ トという考えからの基盤にあるのは、救命センターが最後の砦ということなので、それ は誤解のないように。そういうあれでいいのですかね。 ○田邉専門官 それについては、3の(1)のところで専門病院の位置づけというのを議 論していただければと思います。 ○座長 ここでね、わかりました。けれどもそういうことでしょう、違うの。 ○佐藤課長 ご確認いただければそれで結構です。実は後ほど時間があれば図も準備し ています。 ○座長 私がいちばん聞きたいのは、行政がどう考えているかということです。 ○佐藤課長 正直申しますと、どちらでも結構です。どういう体制が最も好ましいかと いうのを純粋に、救急医学・救急医療のほうからお考えいただければ、どちらでも結構 です。ただ、いまはどちらでもない、何か行政上は曖昧に位置づけられていまして、大 きなミツコシ、中ぐらいのミツコシ、小さいミツコシみたいなイメージで整理していま す。 ○座長 私の頭の中で機能としてはそういう具合にどちらでもいいようなことでもいい のですが、名前として分けておかないと、救命センターといって運んだのに循環器しか 診ないよとか、あるいは1つのものだけに限定した救命センターというのは考えにくい かなという気がするのです。別に専門病院としてのあり方として、そういうのがあるの は絶対に必要だと思います。  次の役割分担、ここに出ていますが専門病院。これは資料6である程度考えておられ るのですか、これも含めて後で。 ○田邉専門官 はい、後述ということで3の(1)。 ○座長 はい、わかりました。 ○坂本委員 先ほど野々木委員から一次、二次、三次という、救急車の搬送自体が一次 病院にまず行って、それで一次で診きれなければ二次、二次で診きれなければ三次とい うのは、心疾患・脳卒中等にもそぐわない。おそらく外傷についてもそぐわないだろう と考えて。当初、一次、二次、三次という概念ができたときも、例えばがんによるもの とかいうものに対しては一次、二次、三次と上がっていくものであり、救急における一 次、二次、三次の意味がおそらく違う。  都市部においては、どちらかというと逆に、まず診断のはっきりしない非常に危険な 時期は、何しろオーバートリアージでもいいから三次に運んで、そこで本当に重症の治 療が必要であれば三次でそのまま治療をするし、あまり高度な医療資源を必要としてな いものであれば、その場で、あるいはできるだけ短期で地域の二次に下ろしていくとい う形で、患者の流れ自体が必ずしも一次、二次、三次という方向にいくということでは ないのですが、ただ、病院の機能として、非常に重症の者を中心として診る三次医療機 関と、ある程度地域の中で入院治療を必要とする二次医療機関、そして外来診療を中心 とする一次という位置づけでの一次、二次、三次はまだ必要ではないかなと思っていま す。 ○座長 アメリカ型とかなり違って、アメリカは面積にすると日本の30倍ぐらいです か、医療機関が半分以下でしょう。だからそういうアメリカ型の基幹病院に一次から三 次まで運ぼうというのと、日本のようにたくさんの、歴史的に診療所から始まって、二 次一般病院、それからいろいろな種類の病院、それから救命センターがあるので、それ をまとめてしまえというのは現状からすると、なかなか問題があるかなという気がしま す。将来的、何十年先にどうするという話なら別ですが、いまある医療機関をうまく使 うということになると、そういう現状で生まれてきた初期、二次、三次という分け方は、 1つのユニークな方法ではないかなと実は思っているのです  それと超急性期の一定の疾病に限られた小児とか、循環器とか、ストロープとかを、 そうはうまくはいかないよというのがあると思うのですが、それを救急の枠内で取り込 んでやると、先生が言われたようになかなか難しい問題がいろいろ出てくるので、それ は後ほどまた議論をしていただいたらいいかと思います。専門病院との関連ということ になりますかね。ほかにいかがですか。 ○山本委員 資料6の1枚目の図を見てもきれいになっていますが、実はこうではない のですよ。これはどこがこうではないのかと言うと、一次と二次というところの区別が、 これ一体になっているというところがないのです。あまりにもきれいになりすぎてる。 だから、もう少し現実は違うのだよというところがあってもいいのではないかなと私は 思います。  この全体の流れの中の救命救急センターというのは、これ全部をまとめている中核だ と考えて、私もそう考えていますので、この救命救急センターというのは、単科の救命 センターというのはあり得ないのではないかと、私も座長と同じような考えを持ってい ます。 ○座長 (2)最寄りのセンターまで長時間の搬送を要する、その地理的空白地域を、 GISで見たらかなり悲惨な状況なのですが、やはり地域優先、一定時間で到達できる地 域をちゃんと優先してつくっていくべきではないか。ここは当たり前のことのように思 うのですが、そういった考え方でよいかと書いているのですが、これは別にはどんな意 見があるということですか。 ○佐藤課長 改めて確認をさせていただきたいということです。別にそんな意見がある か、こんな意見があるかというほどでもないのですが、もともと救命救急センターとい うのは自主的に手を挙げていただくものなので、強制的に国や県がここ空白だから、こ こに作りなさいということはなかなか難しいというのが1つあります。2つ目は先ほど のところでも言いましたが、能力や体制を評価して、その上でまあいいだろう、救命救 急とやっているのに、それも同じなのですが、無理無理そういう空白地帯を埋めていく のか。  では、作ったからといって、効率という点では非常に悪いではないかとなったときに、 都道府県の救急担当者がこれからどうしようかというときに、都心部はちょっと我慢し なさいと、都心部は上がってきてもちょっと後回し、むしろ空白地帯に作りなさいよと。 そちらへの働き掛けのほう、例えば日赤があるのか済生会があるのかは知りませんが、 そういう病院への働き掛けを中心にやるのかというと、いまはどちらかというと何度も 言いますと県も国も待ちの体制なのです。作ってくる所が能力・体制が十分なら、まあ いいやとやっていますが、いやいやそうではない、少し強権発動するのか、あるいは呼 び水か何かをあげるのかは知りませんが、空白地帯を埋めるようにいくのかというとこ ろなのです。  そこは先生が先ほどから言われていますように、医師不足があったり、医療費につい て必ずしも潤沢にある状況ではないときに、無理をしてでも作れとまで言えるのか、言 えないのかというところです。 ○松下委員 私はこの考えに賛成です。どうせそこにはたくさんの医師を配置しても、 その医師に見合うだけの患者はいないわけで、医療資源の無駄になるのは目に見えてい るのです。どうやって効率的に搬送するか。日本の体制は、ヘリを使った搬送という点 では間違いなく遅れているわけで、本来はもう少し1つの病院が広い範囲をカバーでき るのにやっていないのです。それをやって、集約化して、医師の数の充実した所に連れ てこないと、小さな規模の救急センターを作って、形だけ空白地帯を埋めてみても、ほ とんど意味がないように思います。実際上、ヘリは夜飛べないわけではなくて、ルール で飛べなくしているだけです。軍用ヘリは飛んでいるわけですから、本気で飛べは技術 的には何の問題なく飛べるわけなので、そちらのルールを変える努力をしていったほう がよほど前向きだと思うのです。 ○座長 そういう考え方が基本的にあるのですが、最後に私お話しようかなと思ってい たのは、それなりにメリットがないということで、二次医療機関がどんどん撤退してい ますね。そのしわ寄せが救命センターにきている。地域でいままで二次救急医療機関で やっていた所も辞めていっている。例えば救命救急センターというほどでは、あるいは 新型ではなくても、その地域で0.5次から2.5次ぐらいまで幅広く受け入れるような二 次救急センターみたいなものがあると、そこでかなりの部分の救急患者を処理できるの かなというようにも考えているのです。  それなりに救命センター加算とは言わなくても、それに見合うような何かをそこに付 けてあげるとかいうのは1つの方法かなと。もちろん重症になるとそこへ大量の医療資 源と人的パワーをあれしても確かに無駄になりますが、いまある所の二次病院をうまく そういう格好で利用すると、少しでも救急患者の空白地帯が解消されるのかと思ってい るのですが、そうはいかないですか。 ○松下委員 やはり二次救急のレベルというのは規模が小さくて、それをそういうふう にしてもなかなか診きれないと思うのです。 ○座長 マンパワーで。 ○松下委員 先生が先ほど言われたことと少し違うのかもしれませんが、外傷について は、それを専門病院と考えるか、外傷に特化した救急センターと考えるのかはわからな いのですが、外傷しか診ないというのは、心臓疾患を診ないというのと一緒に考えてい いのでしょうか。外傷ならどんなにひどい外傷も、頭だろうが、胸だろうが、熱症だろ うが何でも引き受ける。ただ、普通の骨折もあっという間にその日のうちに処理してし まうよというのを、いま先生が言われた0.5から2.5なのか。逆に言うと0.5から3まで 全部含んだ外傷ならどんなものでもやるみたいなものがあったときに、そのほうがいい のではないか。そして、そこにどうやって患者を運んで来るかと考える。先生がもしそ れはよくないと思われているのなら、私は是非、外傷についてはそうすべきだと思って いるのです。 ○座長 よくないんじゃなしに、それを救命センターとして機能させるのは、私はまた 別だと思うのです。ですから、例えばいま委員が言われているように、外傷なり、小児 なり、循環器なり、ストロークなりに特化しただけの単一疾患にかかわる救急をやると いうのであれば、それは専門病院としての機能でやってくださいという形になるのでは ないかと思うのです。それならそれでいいということで先生お考えになられた。 ○松下委員 たぶんそうなるのかもしれません。私が外傷センターの理想像をいろいろ 考えていて問題になるのは、ほかのところがひどい患者さん、例えば妊婦の外傷をどう するのかとか、本当に小さい赤ん坊の外傷をどうするのかとか、そういうところにくる と、すごく悩むわけです。 ○座長 それがまさに救命センターの本来持っている機能ということです。 ○松下委員 そういうのは三次救急に持っていくのだと。そういう特殊なことのない外 傷は外傷の重症度によって三次に送るわけではないという発想で、それも専門病院だと 言われるのなら、まさに外傷センターというのは専門病院なのかもしれません。 ○座長 それはやはり専門病院だと思います。専門病院を規定するとかいうのでなしに、 そういう枠組みは必要かもわからないですね。 ○石井委員 いろいろオーバーラップしますが、私は基本的にこれまで東北地方で診て きた立場で言いますと、例えば搬送に3時間半、4時間かかる山間地に東北自動車道が 通りましたら、2つの大学病院どちらも1時間圏内になって、地域住民がさあ今度はど ちらに運んでもらおうかという状況が起きたのも目の当たりにしたのです。  いま国会で折しも道路の話をしながら命という議論をしていますね。では、なんでこ ちらに聞きに来ないのだろうという思いがあるわけです。あれほどの議論をしていただ けるのであれば、どの道路が命にとって大事なのか、優先順位はどうなっているのか、 それを1回も聞きに来ないであそこでやっているのは絵空事だと私は思っているので す。実際に必要な道路はあるのです。道路だけではなくてロジスティクスの整備、社会 基盤の整備は必要なことですから、必要なことはちゃんとやっていただいて、ヒットし た医療機関はちゃんと整備していただく。それを道路だけの議論の中で命なんて言って いるのは、あまりに軽い話だと思っています。是非ここの場の議論が反映できるような 状況になればいいなと思います。専門病院の話は後でコメントしたいと思います。 ○座長 これはまだまだ議論がありそうなので。 ○前川委員 二次病院が引き受けない理由の1つは、リスクの問題です。医療裁判が司 法裁判というか、刑事裁判というところは、あの事件が起こってから急激に二次病院が 患者を受けなくなった。一方では患者サイドは、最高の医療を要求される。そこのギャ ップがあまりにも大き過ぎるのです。それだったら危いことはやるまいという話になり ます。医師の数が減ってぎりぎりのところでやりながら、では、リスクはとれない、だ から二次救急病院が物事をやらなくなったいちばん大きな理由だと思います。 ○藤村委員 もう既に60万に1ヶ所に増えているとのことですと、基本方針が私はわか らないのですが、これ以上数を増やそうとするのか。いまあるものの内容を強化しよう とするのか。そういう基本方針のディスカッションはどうなっているのかなと思いまし た。 ○座長 そういうのはあまりやっていないですが、両方でしょう。 ○佐藤課長 まさにそこの議論をいただきたいと思っています。数はもうこれで足りた と思われているか。実は前回までお話をしていませんでしたが、これまで基本的には救 命救急センターのあり方ということでご議論をいただいていたのですが、この半年なり 1年なりでちょっと様相が変わって、二次救急医療機関がもしかしたらオーバーフロー をして、そのオーバーフローした部分が救命救急にしわ寄せがきているかもしれないと いうことだったので、4頁以降に3の(2)として二次救急を入れたのです。  そうしたことも全体で考えていただきながら、そういう情勢が変化した中で、やはり 人口100万人に1ヶ所でよさそうだよなのか、それともいやいや、松下先生が先ほど言 われた一部をいただけば、少し規模を大きくしてでもセンター化したほうがいいのかと いう話もありましょうし、そこも含めて半年前の議論ともしかすると少し違ってきたの かなと思っているのですが。 ○座長 そうでしょうね。救命センターが救命センターだけで1つ独立して機能させる ような議論をしても、いまの医療情勢からするとあまり意味がないですね。 ○佐藤課長 はい、それが4頁以降です。そういう意味でいうと、今回は無理かもしれ ませんが、資料6みたいなものをご覧いただきながらもう少し議論をしていただいて、 質についてはおそらく坂本先生から相当なものをお示しいただいたので、今後量的なも のもどうなのか、あるいはバリエーションはどうなのかというのが、今回以降広がって きたのかなと思っています。答えにはなっていませんが。 ○座長 医療資源を考えると、いま365の二次医療圏があって、救命センターが209ぐ らいですか。そうするとあと165かそこいらは救命センターが二次医療圏に1つという 考えでしても、まだ足りないのです。だから1つはそういう方向でもう作らずに、いま 言われたような搬送だけでうまくいくのかとか、東国原さんが話しているように、ミニ マムというところは、道路特定財源ではないですがここには道路を作ってよという、ミ ニマムの救命センターの設置場所って、まだあるだろうというような考えもあると思い ますので、両方で当分やっていかないと。いま言ったように、財源がどうなっているの かわからないですが、将来を考えるとある程度は二次医療圏をひとつしたいというのは、 基本的な考としてあると思うのです。 ○松下委員 先ほど専門病院という形でお話しましたが、救命救急センターというのが もし本当に重症だけを扱うトップにあって、下がどうなっているのがいいのかというこ とであれば、下は一次、二次などと言わないで、ある程度の規模があって、普通のもの は全部いらっしゃいということをやって、そこで手に負えないのを救命センターに上げ るみたいな構図で行くべきで、弱小の救命センターをいくつ作っても意味がないと思い ます。ある程度の規模のしか作らず、そこに集約していって、最初からそういう所で診 るというようにしないと、1人しかいなくて泊まっていたり、2人とか、特に医師免があ るだけの人がそうやって泊まっているというのは、ほとんど役に立たないように思うの です。 ○座長 私の二次救命センターとか、地域の非常に小さい形のセミ救命センターのさら に小さいのというのは、いまの輪番制のそれぞれの病院がやるのではなしに、例えば輪 番制を決めたら、そこへセンターと称したらいいのかどうかはわからないけれども、そ こへいろいろな先生が一次、二次を含めてアテンドする、そこでやる。 ○松下委員 その規模は、本当にある地域に1つに集約して、医師がたくさん集まらな いと。 ○座長 それはやらないと、マンパワーとしてそういう格好ででもある地域に集めて、 あるいは1つの医療機関に集まっていただいてということをやらないと、輪番制と言っ てもほとんどいま機能していないですね。機能している所もあるのですが、輪番制で外 科当直というと、そこの外科には腹部外科の先生がおられて、意識障害を伴うようなも のは診ないとか、骨折があったら診ないよというと、本来の輪番制の外科の役目を果た していないのです。そこの院長も診なくていいよと、変にリスキーになったら困るから ということで、それがしわ寄せにいっている可能性もあるので、そういうのもひっくる めてどうするか考えないと。 ○松下委員 ですから、そういういろいろな特技のある人を全部1ヶ所に集めてしまう。 いまの話だと二次救でこの医師は腹しか診られないから、骨折の診られる整形のいる別 の二次救に回そうかという話になりますね。そういうことはもう起こらない。その二次 救の病院で診られないときは次はもう三次しか診られないのだ、というぐらいの二次を 作らないと。だからその二次の所には腹の人も、骨の人も頭の人もみんな集まっていな ければいけないので、いまの二次とは違う。レベルが高度ではないかもしれないけれど も分野的には何でもできる二次救命を作って、駄目なときは三次に送る。そういう二次、 一次を合わせたような救急でないかぎりは、ほとんど意味がないように思うのです。 ○山本委員 いまそれを、いわゆるERと私は理解をしているのです。それにはもう1 つ、専門外の医師の診療をよしとする風潮をもっともっと作らなければ、これはもたな いですよ。 ○座長 いままさに先生が言われた、専門外の患者をみんな診たくないというか、診た らリスキーなので診ないのですよ。二次医療機関もいまいったような、自分の専門を持 った先生がほとんど1人で救急当直、二次病院としてやっているので診ない。本来それ を少しでもなくしましょうと、基本的なものを診れるような医者をつくりましょうとい うのが、そもそも卒後臨床研修なのです。  ところがあれがポリクリの延長みたいになって、あれするな、これするなで実際には ほとんど動いていない。私は救命センターへ、いまの2年間やるなら1年間は救命セン ターへ貼りつけて、あるいは大きな救命センター型のものを持っている臨床研修病院へ 貼り付けて、そこで1年間救命センターなりで働かせると、そこへ内科も外科も整形も 脳神経科もみんな来ますから。例えば内科6カ月の内の3カ月は救命センターへもって いく。そういう形の卒後臨床研修システムに関する不満というか、このシステム具合が 悪いよというのがものすごく多いですね。だから、そこを触らないと、そこを触るとい うのは結局、いまのポリクリに近いような卒後臨床システムではまずいので、いまやっ ているようなものは学部へ落とし学部でやってもらう。  学部を卒業すれば救急で基本的な臨床能力を身につけてもらうと、二次救で診ないと いうのは、ある程度解決するのかなと実は思っているのです。そこも本当はここでの提 言ではないと思うのですが、篠崎先生がおられたらその辺のところを是非と協力してい ただけると思うのですが、今日はおられないのであまり言えないのです。これから先が ありますから、今日は救命センターの新しい評価方法のあれが結論なのですが、話は飛 びますが、皆さんの意見は、そちらも必要だなという気がします。  あと5分で2、3枚いかなければいけないのですが、とても時間がないので、また同じ 議題で次回じっくりやりたいと思うのです。一定の時間とは脳卒中や重症外傷への診療 を考慮すると、およそ60分を目安としてよいかと、どうですか。 ○坂本委員 これはあまりにも大雑把過ぎると思います。いわゆるゴールデンアワーと いうか、脳卒中にしても虚血性の脳卒中と出血性のものでは違いますし、例えば外傷で も熱傷であれば近くで蘇生をしてとりあえず1日ぐらいで専門病院に行けばいいという ことになると思います。どのぐらいの範囲で搬送時間を許しながら集約をするか、ある いは1ステップどこかの病院に置いてもいいのか、直接でなければいけないのかという ことでは、もう少しこの辺は病態ごとに言わないと。  例えば心肺停止で言えば60分というのは、もうあきらめた時間になってしまいます。 そうすると心肺停止に関しては救命センター以外の所も含めて、もっと短時間で対応で きるようなシステム。蘇生したら高度な所に行って、高度な低体温等の集中治療をする というシステムにしないかぎりは、なかなか難しいだろうと思います。ここはもう少し 病態別に分けて考えるのが必要だと思います。 ○石井委員 そうですね。4疾病5事業という概念がもう出たわけですから、もう1つ は救命センターの中に地域コーディネーター機能を持たせると。そうすると、次年度以 降、それによっていろいろな流れが出てくるのだと思います。その中で考えていかなけ ればいけないので、一般救急はこういうふうに整備しましょう、そうすると今度はそう ではない特殊な救急については、やはり心疾患であれば5分、10分だろうとか、メンタ ルなものであったらこうだとか、それは病院の集約化だけではなくて、様々な意見が集 約されてくる流れというのは、この後出てくるのではないかなと思うのです。その中で 考えないと現実的でないのではないかと思います。 ○野々木委員 要するに致命的になっている疾患群を考えると、院外心停止を起こして いる原疾患を考えると明確となります。外傷もそうですし、疾病のほうでいくと8割が 循環器疾患ですね。そうすると、一定時間というのは1時間と思うのです。そこは空白 地帯が1時間で到達しないのであれば、そこを補填することを考えなければいけないか なと思います。 ○座長 それが次にある松下先生も言われていた地理的空白地帯は空路による搬送を十 分に考えて、その体制整備を行うということで、あまり問題はないですね。 ○石井委員 これ全部プロで賄おうとすると、どこまで積み上げるのだという方向と、 その逆のフローも1回みておかないといけないのではないかなと思うのです。それが先 ほど論議したように介護保険においてはどうなのか、いろいろなレベルを上げていって、 システム化していかないといけないのではないのでしょうか。プロが全てカヴァーする というだけではやはりシステムがもたないのではないかと思うのです。 ○座長 かなり幅が広がってくるのですが。 ○前川委員 例えば心肺蘇生などがいい例だと思うのですが、埼玉の所沢では中学生に ちゃんとそれを教えているのです。そうすると、少なくとも高校に行く間は3年間いる と、両親も興味を持つ。非常に蘇生率がいいと伺っています。そういうところも教育の 中にきちんと入れていく。それでかなりの部分がいい方向に向かうと思うのです。こう いうのは相互的な要素、特に救急の場合は、場合によっては都道府県の地域医療という か、その計画の中で動かしていかないと、全体像が把握できない。がんは全然別だと思 いますが。 ○座長 学校教育、非常に重要なのですが。 ○石井委員 我々も媒体になりながら、学校の中で、で地域にそれを広げていくという ムーブメントも強化していきたいと思っています。 ○座長 先生、救急医療財団の中に心肺蘇生法委員会があるのです。あの中で学校教育 の小・中・高の心配蘇生あるいは救急の取扱いをどうしようという教科書を実は作って、 もうじき出来るのです。それ先生、また。 ○石井委員 またそのときいただいて。 ○座長 よろしくお願いいたします。学校教育を含めて、ここはそういう提言をするよ うな格好、救急ということになると救命センターですが、佐藤課長さんが言われたよう に、何か救命センターだけの問題ではなくなってしまうので、そういう提言の場として もここを使えばいいのですね。 ○佐藤課長 そういう意味で4頁に「その他関連する事項」というのを設けていますの で、その中でボリュームは別として、触れていただくのは。 ○座長 よそで何かをやっていただく、ここからそういうキーワードを出すとかいうの は必要でしょうね。 ○山本委員 目的の中に救命センターというのは、いまCPAの患者の話が出ています が、救命可能なというのか、救命ができないような心肺蘇生なり、もうわかりきった重 篤な患者というのは、救命センターでは診ないというような、これから少し、しっかり とした役割分担を作っていくことも大事なのではないかなと私は思います。地方によっ ては全くの社会死のような、死後硬直が著しいような患者も運ばざるを得ないようなと ころも多々あるのだそうです。 ○座長 最後の看取りの社会的ないろいろな儀式にかかわるようなところを、いま救命 センターは実は担っちゃっているのです。それはそれでやれというなら、それなりの CPAの患者の保険収載が上がると先ほど言われましたが、もっと上げてもらうとか。お 寺さんに行く前の社会儀式を救命センターがやっている先生が言われるようなことなの ですよ。だからそれをなしにするなら、それなりのメディアなりいろいろなことを含め て、ちょっと発言が不適当かもわからなかったのですが、そういうことも考えていかな ければいけない。  時間がもう過ぎているので、3以降は次の機会に検討をしたいと思います。1つだけ先 ほどから出ている専門病院をどうするかということで、資料6、事務局から簡単に説明 していただけますか。専門病院といまある一次、二次、三次の位置づけ。 ○田邉専門官 これまで国は皆さんご存じのとおり、初期、二次、三次と階層的に整備 を進めてきました。その中で救急医療を担う小児病院とか循環器病センターといった専 門病院については、二次救急医療機関の1つだろうということで、位置づけてまいりま した。ただ、専門病院の中には特定の専門病院に限った非常に高度な診療を担っている 所がありますので、そういった所をどういうふうに位置づけるかということで用意した のが資料6です。  現行では一応こういう形になっていますが、例えば次の頁、二次救急医療機関とは別 に、専門領域を担う救急医療機関を別途位置づけるという考え方があるのかないのか、 あるいはこういったものを位置づけるとしたら、どういった分野がこういった位置づけ になるのかを議論していただければと思っていました。これについては次回に。  もう1つ、3枚目の最後のケース。例えば救命センターが1地域にいくつもある所で は、疾患ごとに大まかな役割を持って色分けをする。なかにはいままでのとおり等しく どの疾患も診るのもあってもいいし、その中にどれか一分野に限って、比較的、診療体 制が整った所を作ってもいいしといった形でイメージしたものがケース2です。こうい うものを参考に議論していただければと思っていたところです。  ○座長 この4つある救命センターというのは、ある程度集約化をされた救命センター ということですか。 ○田邉専門官 必ずしもそうではなくて、例えば大阪とか東京といった1地域の比較的 限られた地域の中に、複数救命救急センターがもう既に整備されている場合に、大まか な役割を持つという考え方もあるのではないかということで、提示させていただいたと いうことです。 ○座長 まあ、こういう格好になるのですね。 ○佐藤課長 赤と青だけが特化しているという話、黒いのがいままでどおり。デパート 型、デパートの中に家具売場だけがものすごく立派なデパートがあると、こういうこと です。 ○座長 家具売場だけになったら困りますよということですね。それは右の方へ行って くださいと。 ○佐藤課長 家具売場だけだったら。 ○座長 この右では専門病院とはっきり書いていますが、名前を一緒にしてしまうと、 えらい混乱をきたすと思います。皆さんの中でも、もうこの専門病院と救命センターと は違うのだと、1つの疾患を取り出せば機能としてはあれになるのですが、そのシステ ムとして違うのだというように理解しておいていただいたほうが、いろいろな意味で混 乱をきたさないかなという気がいたします。 ○坂本委員 最後のケース2の部分に関しては、都内では名前は付けていませんが、東 京消防庁と、それぞれのセンターの間が暗黙の了解で、実態的にはこういうふうな機能 分化がある程度されていて、ある地域で心疾患が生じればA救命救急センターに行く、 外傷だったら本当はAが近くてもBに行くということは、もう実態としてはだんだん行 われ始めていると思います。 ○座長 それをある程度、表明しましょうよということですね。私は例えばこういう中 に、ER機能を持った救命センターというものもあってもいいのかなという気もするの ですけどね。 ○前川委員 いろいろディスカッションしていく中で、例えば地方であればある県で、 プロトタイプ的なものを少し走らせて、それでその中からいけそうなものとそうでない というか、そういうものを分ける。例えば東京でやればたぶん大阪も同じような形、大 都市圏はそういう形でいける。だから、少しプロトタイプのようなものを動かしてみる のもいいのかなとは思います。 ○座長 ありがとうございました。時間が大幅に過ぎましたので、これで議論は打ち切 りたいと思います。次回に今日の積み残しの部分を含めて、改めてご議論をいただきた いと思います。私自身は、これブレインストーミング的に受け取っていまして、ここか らそういう意味でいろいろな提言なり、今後の救急にかかわる施策の基になるようなも のが出せればなと思っています。  最初に事務局で言われたように、私も救命センターの中だけで、非常に限定されたも ののあり方の検討会というように考えていたのですが、佐藤課長も言われましたように、 いま医療事情全体を考えると、それだけでは済まなくて、かなり幅広く全体を見た中で の救命センターの役割のような形で、全体を見るというのは是非必要だと思います。そ れなしで救命センターの話をしても仕方がないと思いますので、今後ともその辺を含め てご検討をお願いできたらと思います。事務局から何かございますか。 ○田邉専門官 ありがとうございました。次回は4月中旬から5月中旬を目途に、来年 度も引き続き開催させていただければと思っておりますので、どうかよろしくお願いい たします。 ○座長 では、これで終わらせていただきます。どうもお疲れさまでございました。あ りがとうございました。 照会先:厚生労働省医政局指導課 代表 03-5253-1111(内線2551)