08/03/05 厚生労働省政策評価に関する有識者会議 社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ 議事録掲載 厚生労働省政策評価に関する有識者会議 社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ(第1回)             開催日:平成20年3月5日(水)             場 所:厚生労働省省議室 ○政策評価官  それでは定刻になりましたので、ただいまから「第1回厚生労働省政策評価に関する 有識者会議社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ」を開催させ ていただきます。皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありが とうございます。私は政策評価官の成田と申します。本日は、後ほど座長の選任をお願 いしたいと思っておりますが、それまでの間、議事の進行をさせていただきます。どう ぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず、本日御参集いただいております皆様方の御紹介をさせていただきた いと存じます。資料の一番上に本ワーキンググループの参集者の名簿を配布させていた だいておりますので、ご覧いただければと思います。五十音順に御紹介させていただき ます。  大谷義雄委員でございます。  菊池馨実委員でございます。  篠原榮一委員でございます。  高橋紘士委員でございます。  山口修委員でございます。  本日は全員の方に御出席いただいております。  引き続き、本ワーキンググループの開催に当たりまして、薄井政策統括官からご挨拶 を申し上げます。 ○政策統括官  厚生労働省政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワ ーキンググループへの御参加をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。 今回のワーキンググループの開催に当たりまして、趣旨も含めまして一言ご挨拶をさせ ていただきます。  厚生労働省では、いわゆる政策評価法というものに基づきまして、その所管に係りま す政策につきまして、政策評価というものを行っているわけでございます。その際、政 策評価の制度あるいは評価方法等の改善・向上を図るために、学識経験者からなります 「政策評価に関する有識者会議」というものを設けまして、政策評価制度に係ります基 本的な事項あるいは具体的な評価方法といったものにつきまして御意見を伺ってまいっ てきているところでございます。  一方で、政策の実施に関する機能を担う、これは「実施庁」という位置づけがあるわ けでございますが、その実施庁の一つでございます社会保険庁につきましては、平成13 年度、中央省庁再編の後、中央省庁等改革基本法に基づきまして、実施庁評価という形 で目標の設定、評価、こういうことを毎年度実施をしてきているところでございます。  この社会保険庁の目標の設定なり、あるいは評価につきましては、総務省の行政評価 局の方から平成16年に「実施庁に係る実績評価に関する調査結果に基づく通知」という ものが出されまして、この目標の設定であるとか、あるいは実績の評価を行う際に有識 者等の第三者の知見の活用に努めるべしと、こういうふうな指摘がなされているところ でございます。  社会保険庁につきましては、これを受けまして、平成17年度の目標設定、そして平成 16年度の実績評価から、社会保険庁の方に社会保険事業運営評議会というものがござい ますが、その参集者の方々に御意見をいただくという形でこれまで進めてまいってきた ところでございます。  皆さん御案内のように、社会保険庁改革関連法が通りましたので、これから社会保険 庁は廃止をされて、今年の10月には全国健康保険協会、それから平成22年には日本年 金機構という二つの非公務員型の公法人が新設されることになっているわけでございま す。そうなりますと今申し上げました実施庁の評価という形での評価は終了して、政策 評価法なり、あるいは新しい組織の個別法のもとでの評価ということになってまいるわ けでございます。  それから先ほど社会保険事業運営評議会の皆様の御意見を承っていると申し上げまし たが、これはあくまで社会保険庁に設置をされております有識者の会議でございまして、 より幅広い観点から有識者の方々の御意見を頂戴するということが必要ではないかとい うことも考えられるわけでございます。  こういったことを踏まえまして、今日の時点から段階的に評価の方法の見直しを進め る、こういった趣旨で実施庁評価におきます第三者の知見の聴取方法につきまして今回 見直しを行うこととして、このワーキンググループというものを設けさせていただくこ とにしたわけでございます。親の会、「政策評価に関する有識者会議」のもとのワーキン ググループということでございますが、このワーキンググループで厚生労働大臣が行い ます社会保険庁の目標の設定、あるいはその評価といったことについての御知見を承れ たらと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 ○政策評価官  続きまして杉浦政策評価審議官よりご挨拶を申し上げます。 ○政策評価審議官  政策評価審議官の杉浦でございます。本日は大変お忙しい中をワーキンググループに 御参集をいただきましてありがとうございます。本日は「平成20年度において社会保険 庁が達成すべき目標」ということで、御意見を賜るわけでございますが、また今後にお きましては、平成19年度以降の実績評価についても御意見を賜るということを考えてお りますので、何とぞその節におきましても何なりと御意見を賜ればというふうに考えて おります。本日はよろしくお願いいたします。 ○政策評価官  それでは議事次第の議事の(1)に入ります前に、今回のワーキンググループの編成 につきまして、お手元の資料1に沿って簡単に御説明させていただきたいと思います。  1枚目は「政策評価に関する有識者会議」の開催要項でございます。本ワーキンググ ループの設置の背景、趣旨などにつきましては、政策統括官から御説明したとおりでご ざいますが、この政策評価に関する有識者会議は平成15年に設置されております。今回 本ワーキンググループの編成に伴いまして、先月、開催要項を改正いたしております。 改正された部分に下線を付しております。  1の「趣旨」のところにございますように、この有識者会議は厚生労働省が行う政策 評価の客観性及び有効性を高めることを目的として開催され、2の「検討事項」のとこ ろにあるように、厚生労働行政に係る政策評価手法などについて御検討をお願いしてき たところでございますが、今回、有識者会議の検討事項といたしまして、2の(4)の「厚 生労働大臣が行う社会保険庁が達成すべき目標の設定及び目標に対する実績の評価につ いて」という事項を新たに追加しております。  また3の「会議の運営」の(2)にワーキンググループの編成について書いてござい ますが、「また」以下の部分におきまして、政策統括官は必要に応じ会議参集者以外の者 の参集を求めることができること、また、(3)において、ワーキンググループの意見を もって会議の意見とすることができるということを明記したところでございます。本ワ ーキンググループの意見につきましては、有識者会議の意見とすることにつきましてあ らかじめ有識者会議の参集者の方の御了解をいただいているところでございます。  2枚目をおめくりいただきまして、「政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設 定及び実績評価に係るワーキンググループ」、本ワーキンググループの編成についてでご ざいます。1の「趣旨」でございますが、本ワーキンググループは有識者会議の参集者 及びその他の専門家の御協力をいただいて編成いたしまして、2の「検討事項」にござ いますが、後ほど資料2で詳しく御説明させていただきますが、(1)の中央省庁等改革基 本法に基づき、厚生労働大臣が設定する社会保険庁が達成すべき目標、(2)のこの目標に 対する実績の評価などについて御検討をいただきたいと考えております。  3の運営等に関する事項でございますが、(3)にございますように、「特に非公開と する旨の申し合わせを行った場合を除き公開とする」としておりまして、本日の会議も 公開とさせていただいております。また、議事録につきましても公開することを予定し ております。  座長、座長代理の選任でございますが、(4)にございますとおり、これから参集者の 皆様の互選により座長を選任していただきますとともに、(5)にございますとおり、座 長には座長代理の御指名をいただきたいと考えております。  資料の1の御説明は以上でございますので、特に御質問等がないようであれば、議題 (1)の座長、座長代理の選出に進ませていただきたいと思いますが、よろしいでしょ うか。  それでは議題1に進ませていただきます。ただいま御説明させていただいたとおり、 座長は参集者の互選により選出することとされております。  事務局といたしましては、「政策評価に関する有識者会議」におきましても座長をお願 いしております高橋先生に、大変恐縮ではございますが、お願いしてはいかがかと思っ ておりますが、皆様いかがでしょうか。 ○各委員  異議なし。 ○政策評価官  ありがとうございます。それでは高橋先生に本ワーキンググループの座長をお願いし たいと思います。これからの議事進行につきましては、高橋先生にお願いをしたいと思 います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○高橋座長  それでは御指名でございますので、座長役を務めさせていただきます。政策評価に関 する有識者会議にずっとかかわったという、そういう関係でございますが、厚生労働省 の政策評価は大変膨大なものをやっておりまして、とりわけ社会保険庁、実施庁の評価 ということでございますが、それぞれの参集者の皆様の御意見を整理するというような 役回りをさせていただくことでひとつよろしくお願いをいたします。  それでは先ほどの御説明にございましたように、座長代理の指名をさせていただきま す。政策評価に関する有識者会議のその当初から参集者となっております篠原委員に座 長代理をひとつお願いをしたいと思いますが、よろしゅうございますか。ひとつよろし くお願いをいたします。篠原委員、何か一言ございましょうか。 ○篠原委員  なかなか大変な役目ですが、今までの経験から少しでも貢献できればなと思っていま す。よろしくお願いいたします。 ○高橋座長  それではよろしくお願いいたします。それではさっそく議事に入らせていただきます。 初めに事務局から資料2から4まで、一括ということになりますが、御説明をよろしく お願いをいたします。 ○政策評価官  それでは資料2から4につきまして順次御説明をさせていただきたいと思います。ま ず、資料2−1、「厚生労働省における実施庁評価について」を御説明申し上げます。  1ページ目でございますが、厚生労働大臣は、平成13年度より、厚生労働省の実施庁 である社会保険庁の長官に対し、毎年度開始前にその年度に「達成すべき目標」を設定 し、その年度終了後に社会保険庁長官からの実績報告を受けて評価を行っております。  この実施庁の評価の根拠でございますが、中央省庁等改革基本法第16条第6項第2号 に基づいて行われております。第2号をご覧いただきますと、まず、「府省の長は、実施 庁の長にその権限が委任された事務の実施基準その他当該事務の実施に必要な準則を定 めて公表する」とされておりまして、この規定に基づきまして、平成13年に「社会保険 庁の事務の実施基準及び準則」が定められております。これは、資料2−2として配布 させていただいておりますので、後ほど触れさせていただきます。  さらに、この第2号では、府省の長は、「実施庁が達成すべき目標を設定し、その目標 に対する実績を評価して公表する」こととされておりまして、具体的な公表の方法とい たしましては、厚生労働省のホームページにおいて公表しております。また、実施庁は、 「主として政策の実施に関する機能を担う庁」と定義されておりまして、他の実施庁と いたしまして、例えば、財務省の国税庁、経済産業省の特許庁、国土交通省の海上保安 庁などがございます。  2ページでございますが、社会保険庁の評価の流れをお示しした図をつけさせていた だいております。まず、図の中央に「20年度計画の実施」、その左側に「20年度目標策 定」と書いてございます。厚生労働大臣は、平成20年度が始まる前に、その年度中に達 成すべき目標を決定いたしまして、社会保険庁長官に通知する必要がございまして、本 日はこの平成20年度の目標の案について御意見をお伺いしたいと考えております。  目標が通知されますと、社会保険庁長官は具体的な事業計画を策定いたしまして、20 年度を通じて計画を実施していただくことになります。20年度が終了いたしますと、社 会保険庁長官が大臣に対して実績の報告を行いまして、それを踏まえて大臣が評価を行 うことになっております。  20年度の上に「19年度の計画の実施」と書いてあり、その左側にも「19年度目標策 定」とございますが、本年度の目標につきましては、既に昨年2月に決定されておりま す。資料4−1として配布させていただいておりますので、この内容につきましても後 ほど御説明させていただきます。  現在、19年度中でございますので、この目標を踏まえた社会保険庁の事業計画に基づ きまして、社会保険庁において業務が行われておりますが、年度が終了いたしますと、 長官から大臣に実績報告がございまして、それを受けて大臣が評価を行うこととなりま す。今年の夏以降になろうかと思いますが、この大臣の評価の際にもこのワーキンググ ループの皆様の御意見をお伺いしたいと考えております。  なお、今年の10月には全国健康保険協会、また22年1月には日本年金機構が設立さ れまして、社会保険庁は廃止されることとなっております。したがいまして、この度、 20年度の目標を設定いたしますと、その後は21年度の目標設定、それから、平成19年 度、20年度、21年度の3年度分の実績評価を行いまして、その後実施庁評価は行われな いという形になります。  3ページでございますが、厚生労働省では「行政機関が行う政策の評価に関する法律」、 いわゆる政策評価法に基づきまして、厚生労働省の施策の評価を行っております。具体 的な評価の内容、方法などにつきましては、大臣が決定した「政策評価に関する基本計 画」に定められておりますが、この計画の中で、実施庁の評価につきましては、中央省 庁等改革基本法に基づく実施庁の評価として行うこと、また、目標の設定、実績評価の 実施に当たっては学識経験を有する第三者の知見の活用に努めることとされております。  4ページでございますが、総務省は、各府省の業務の実施状況などにつきまして、毎 年度様々な調査を行い、その結果に基づいて各府省に対して勧告などを行っております。 平成15年から16年にかけまして、実施庁の評価に係る調査が行われまして、16年7月 に厚生労働省を含めた関係省庁に通知が行われております。  この通知の指摘事項の一部を御紹介いたしますと、「目標の設定や実績の評価を行う際 に、有識者等第三者の知見の活用に努めること」とされており、これを受けまして、平 成17年度の目標設定と、平成16年度の実績評価から、社会保険庁に設置されておりま す社会保険事業運営評議会の御意見を伺ってきたところでございまして、また、今後は、 本ワーキンググループの参集者の皆様の御意見をお伺いしていきたいと考えているとこ ろでございます。  また、「実績評価書の作成・公表の早期化」ということについても指摘されておりまし て、厚生労働省といたしましては、原則として実績報告を受けてから2カ月以内に実績 評価を行うように努めているところでございます。  次に資料2−2でございますが、先ほども御説明いたしました「社会保険庁の事務の 実施基準」及び準則でございます。1ページのIIの事務の実施準則というところに、大 きく五つの項目が書かれております。1の「適用事務に関する事項」、2の「保険料等収 納事務に関する事項」、3の「保険給付事務に関する事項、4の「保健事業及び福祉施設 事業に関する事項」、5として「広報、情報公開、相談等に関する事項」という項目にな っております。後ほど御意見をいただきます平成20年度の目標の案につきましても、順 番が多少入れかわっている部分はございますが、概ねこの五つの固まりごとに目標の案 が設定されております。  なお、この20年度の目標の案につきましては、後ほど御紹介しますように、19年度 の目標に比べまして項目の追加、あるいは入れ替え等を行っております。したがいまし て、この資料2−2は現行の準則でございますが、本日皆様の御意見を伺った上で、大 臣が目標を設定する際には、本準則の改正も検討する必要があると考えております。  資料2の御説明は以上でございます。 ○社会保険庁総務部長  社会保険庁総務部長の吉岡でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。現在 社会保険庁は平成16年以降、いわゆる社会保険庁改革に取り組んでいるところでござい ます。業務改革、職員の意識改革、その上での組織改革という工程で進んできておりま すが、現在、国民の皆様に大変御心配御迷惑をかけております。  私どもは過去におけます年金記録の不適切な管理に起因いたします、年金記録問題を 最優先として取り組んでいるところでございますが、従来からの大きな課題でございま す国民年金の収納対策を始め、各般の業務に社会保険庁一体となって取り組んでいると ころでございます。後ほど担当の方から現在の業務の中身について御説明をさせていた だきます。御意見、御質問等いただき、更に20年度の私ども実施庁として達成すべき目 標につきまして、ぜひよろしく御審議のほど、お願いを申し上げます。 ○社会保険庁総務課企画室長  社会保険庁総務課の企画室長の高橋と申します。よろしくお願いいたします。資料3 をおめくりいただきまして、1ページ、社会保険庁の業務の概要でございます。  社会保険庁は、現在年金事業、政管健保事業、船員保険事業全体の保険者としての業 務を実施してございますが、中ほどの政管健保事業の注にございますように、20年10 月からは全国健康保険協会に業務が移管されます。ただし、適用・徴収の業務は引き続 き厚生年金と一体的に社会保険庁において行うこととしてございます。  2ページの事業の規模ですが、厚生年金加入者数者3,400万人、事業所数168万カ所、 21兆円の保険料を集め、22兆円の給付を行っています。また、国民年金の加入者は、3,200 万人、政管健保、船員保険3,600万人等々という資料でございます。  3ページは組織及び人員の規模でございます。本庁の他に都道府県単位の事務局47 カ所ございまして、社会保険事務所312カ所という体制でございます。職員数は正規職 員が17,000人、非常勤職員が11,000人、合計で28,000人の陣容となっております。  4ページは、その組織図でございます。5ページに社会保険業務の実施体制の概要を 掲載しておりますが、具体的な中身といたしまして7ページの国民年金保険料の納付状 況、具体的なところにつきまして御説明をさせていただきます。  6ページのところの国民年金の流れのところでありますように、国民年金につきまし ては加入手続は市町村の窓口で行う、これは住民票の受付等々と一緒に国民年金の手続 きをしていただくという流れでございますが、徴収の事務につきましては平成14年度 から社会保険事務所が行うという取扱いになってございます。  そこで7ページでございますが、国民年金保険料の収納率の向上というのを社会保険 庁の一つの大きな課題として取り組んできているところでございます。この折れ線グラ フが納付率というものでございまして、平成8年まで80%台を推移しておりましたが、 その後年々低下をしておりまして、平成14年と申しますのは、それまで市町村で徴収を やっておりましたものを、国、社会保険事務所で徴収をするように改めた年でございま して、ここで収納率62%と低下いたしまして、今は若干持ち直しまして、66.3%という 数字でございます。  この数字の意味でございますが、納付率と申しますのは、この棒グラフの左から長期 低落傾向にございます。濃い色の棒グラフが実際に納付された納付月数でございます。 一方で網かけの棒グラフでございますが、いったん下がりかけたものが、また平成8年 以降上がり始めまして、平成14年にキュッと上がって、また落ちている。これが納付対 象月数ということでございまして、加入手続をされた方の納付対象月数を全部合計した ものです。この納付対象月数を分母といたしまして、納付月数を分子としたものが、こ の納付率ということでございます。  そういう意味でこのグラフをご覧いただけますように、実際に保険料として入ってい る月数は長期じりじりと下がっている、こういう傾向でございます。これは人口の構成 でございますとか、あるいは年配の方よりも若い方の収納率が低いということで、年齢 が上がっていくということで、今までたくさん納付率が高かった世代が抜けて、収納率 の低い世代が入ってくるということですので、じりじりと落ちていくという、こういう 傾向が分子の傾向でございます。  一方、分母の傾向は、一度下がりかけたのがまた上がって、急に変動を起こしており ますが、これは1ページをおめくりいただきますと、この趣旨があるのですが、8ペー ジのこの青い棒グラフでございますが、これは未加入者の推移でございます。平成4年 当時は200万人ほど近くおりました。その後未加入者をなくす対策を鋭意やっておりま して、近年では非常に少なくなっております。  その納付対象月数が急に伸びておりますのは、7ページのグラフの縦で書いておりま すように、20歳以上の学生の強制適用というのが平成3年に始まりました。また平成7 年には20歳に到達しますと、手帳を送付いたしまして職権適用する、それまでですと手 続をしないと未加入という状態でありましたのを、市町村との連携によりまして、お手 続がなくても手帳を送付いたしまして職権で適用する、そういうことによりまして分母 はどんどん伸びる、一方職権適用をした若い方々になかなか納付していただけないとい うことで、分子は相変わらず下がり続ける、こういうことで平成8年以降急速に納付率 が低下したわけでございます。  一方、平成14年のところで納付率はガクンと落ちておりますが、これは市町村で徴収 していたものを国で徴収することに変えまして、ここの下に書いてありますが、免除基 準の改正ということで、従来は市町村ごとにある程度特例免除というような仕組みもご ざいまして、市町村の判断で納付が難しいということを判断すると免除ができるという ような仕組みもございました。  このような仕組みをなくしまして、全国一律の免除基準にしたことによりまして、こ れまで市町村時代に免除になっていた方や納付意欲が低いようなクラスの方を特例の免 除にするような例もあったように聞いておりますが、そこが免除からはずれたもので、 納付対象月数の分母が急に増える、それによりまして納付率が落ちる、こういうような 推移でございます。  この7ページの右側を見ていただきますと、この18年度の納付率66.3%、対前年比 マイナス0.8ということですが、下のこれは現年度の納付率と称しておりまして、毎年 国民年金の保険料の当該年度にお納めいただく分と、もしお納めいただけなくても時効 が2年でございますので、翌年、翌々年まで納入していただけるということができます。  したがいまして、この7ページの右下の図にありますように、例えば15年度分保険料 は15年度の現年度であれば63.4%でありましたものが、その後16年度17年度と1年 遅れ、2年遅れということで納付率が若干ずつ上がっていく、こういうような仕組みで ございます。時効が2年でございますので、15年度分保険料で申しますと、17年度が最 終納付率になるという推移でございます。そういう意味で16年度分保険料の最終納付率 は68.2%であった、17年度分保険料の最終納付率は19年度末にこれから出ますが、ち ょうど1年目の時点で70%を超えた状態にあるというものでございます。納付率の目標 につきましては、平成15年の時に19年を目途に80%と目標をたてたわけでございます が、なかなか苦戦をしてございます。  8ページですが、この納付率につきましては、先ほど申し上げましたような未加入者 の影響を除いた納付率というのはどうであったか、こういうのがこの8ページの図でご ざいます。一番上の青い納付率、これが先ほどの7ページの納付率と同じもので、通常 言っている現年度の納付率でございますが、未加入者も分母に加えて、納付率がどうな るかというと、この緑色の文字のように、平成10年以前も概ね70%台だったというこ とで、実力ベースではどうだったかという時には、この数字を申し上げております。そ ういう意味で未加入者が減ってきた分の影響を除くと、実力ベースでは以前から70%前 半台であったというような状況でございます。  9ページでございます。国民年金の収納対策のスキームでございますが、納めやすい 環境づくりを行いまして、その上で未納の方についての対策といたしましては、市町村 から所得の情報をいただきまして、所得の高い方には納付の督促をした上で、それでも お支払いいただけなければ強制徴収、所得の低い方につきましては免除の手続きをして いただく。免除の手続をしていただければ、将来国庫負担分はちゃんと給付として結び つくわけでございますので、年金権を確保していただくために免除の手続の勧奨をする、 中間の所得階層の方々には市場化テストの民間業者にも委託いたしまして、納付督励を 行う、こういうような3段階の構成で進めてございます。  11ページは強制徴収の状況でございますが、最終催告状というのをまず送りまして、 その上で法律上の効果をもつ督促状、その上で差押予告、財産差押と、このように進ん でまいります。実績は11ページのとおりでございます。  12ページは強制徴収の取組イメージですとか、あるいは13ページは適用・徴収業務 の厚生年金・健康保険の適用調整業務の流れです。  14ページですが、厚生年金・健康保険の大きな課題は適用手続をされていない未適用 事業所が多数ある、これが現下の課題でございます。雇用保険の適用事業所の情報、あ るいは新規設立法人の情報といったものをいただきまして、これとこちらの適用情報を 突合いたしまして、加入勧奨をすべき事業所を抽出いたしまして、加入指導を行う、こ ういうことを平成16年度以降重点的に取組み、対策を拡充してまいりました。  次の15ページにございますように、未適用対策は4つのパーツがございまして、まず 外部委託によりまして、適用促進対象事業所を把握いたしまして、文書や電話によりま して未適用事業所の現況確認を行いましたり、加入の手続の勧奨を行う、その上で社会 保険事務所におきまして重点的な加入指導ということで、呼び出し、または個別訪問を 行いまして、最終的には、立入調査を行いまして、職権適用をする、このようなことで 進めてきてございます。  ただ、まだこのような職権適用に向けた体制をとり始めたばかりでございますので、 実績につきましては今後取組を進めてまいりたいと思っております。  次は18ページでございますが、平成18年度の未適用事業所対策の状況でございます。  次の19ページは厚生年金・健康保険の保険料の徴収の実績でございます。厚生年金に つきましては、収納率は18年度で98.7%ということで高い数字となってございます。  次の20ページですが、(2)保険料の徴収対策というところでございます。事業主につき ましても、景気変動の影響も大きいわけでございますけれども、滞納事業所、なかなか 赤字の中小企業等で保険料が払えないというところがございます。そういうところにつ きましては納付計画をつくっていただくようなことで、対策をお願いしているわけでご ざいますが、できるだけ口座振替などで自動的に引き落とされるようなこともした上で、 (2)滞納事業所数の推移でございますが、19年5月末では108,000事業所というようなこ とでございまして、一方、差押の実施事業所数は18年度15,000事業所ということでご ざいまして、滞納事業所に対しましての納付計画をつくっていただくなどで、粘り強く お願いした上で、どうしても納付が難しいというような場合には差押えというようなこ とも、かなり多数実施してございます。  それから21ページは年金の裁定及び支払業務の流れでございます。社会保険事務所で 年金相談等を行いまして、裁定の受付をいたしまして、オンラインで社会保険業務セン ターでコンピューター処理をいたしまして、年金証書等の配信などを行うという仕組み でございます。給付は日本銀行、金融機関を通じまして、支払われてございます。  22ページは年金相談の実施体制でございます。以下、23ページ以降に現下の課題であ ります年金記録問題につきましての取組状況などの資料もつけさせていただいておりま すが、時間の関係上省略させていただきます。以上でございます。 ○政策評価官室長補佐  それでは引き続きまして平成20年度において社会保険庁が達成すべき目標案につき まして、本日配布しております資料4−1、4−2、4−3に基づきまして御説明をさ せていただきます。  まず、お手元の資料4−1でございます。こちらは平成19年度におきまして社会保険 庁が達成すべき目標についてでございますが、右上にございますように、こちらについ ては平成19年2月28日付で厚生労働大臣より社会保険庁長官に通知したものの写しで ございます。  資料4−2でございます。こちらが平成20年度において社会保険庁が達成すべき目標 (案)の全文でございまして、右側の欄でございますが、こちらについては達成すべき 目標以外の参考指標として平成18年度の実績値について記載してございます。  続いて資料4−3でございます。こちらが平成20年度において社会保険庁が達成すべ き目標(案)(平成19年度目標と対比表)となってございまして、本日はこの資料に基 づきまして御説明をさせていただきたいと存じます。それでは資料4−3に基づきまし て御説明をいたします。  この資料でございますが、20年度と19年度の対比表となってございまして、20年度 の欄でございますが、下線を引いた箇所がございます。こちらにつきましては平成19 年度からの変更点、並びにその追加事項等整理してございますので、御留意いただきた いと思います。具体的な内容の説明に入ります。  1ページ目でございますが、3行目以下でございます。まず、目標設定に向けた前文 といたしまして、平成20年度において重点的に実施すべき事項といたしまして、三点整 理してございます。一点目でございますが、3行目から、いわゆる年金問題により社会 保険庁のこれまでの業務に対する国民の信頼が損なわれている状況に対し、昨年7月5 日、年金業務刷新に関する政府与党連絡協議会が取りまとめいたしました「年金記録に 対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」、及び本年1月24日に年 金記録問題に関する関係閣僚会議で了承されました、「年金記録問題に関する今後の対 応」などに基づく取組を着実に実施するとともに、平成19年10月に取りまとめられま した「年金記録問題検証委員会報告書」などの指摘も踏まえ、業務の管理、運営に係る 様々な改革を推進し、国民の信頼に足るシステムを再構築していく必要があるとしてい るところでございます。  また、二点目といたしましては、社会保険庁においては、(1)「業務改革プログラム」 による改革の着実な実施といった従来からの取組に加えまして、(2)として平成20年10 月の全国健康保険協会の設立に伴う健康保険事業の円滑かつ着実な移行、(3)として平成 22年1月の日本年金機構の設立に向けた組織業務の運営を円滑に行うための所要の準 備を進める必要があるとしております。  続いて、最後に三点目として、少子高齢化が一段と進む中、国民生活の安定を保障す る社会保険を担う組織として、国民に真に信頼される組織に再生していくために、年金 記録問題の解決と新組織への移行に向けた社会保険庁の改革に全力を挙げて取り組むこ とが、年金制度に対する国民の信頼を回復するために必要不可欠であるということの、 あわせて三点、これを前文として記載してございます。  以上までが平成20年度において社会保険庁が達成すべき目標(案)の策定に当たり、 前文として重点的に実施すべき内容を総論として記載したものでございます。  引き続き達成すべき目標につきまして、1項目ずつ御説明したいと思います。2ペー ジをご覧いただきたいと思います。初めに、1.適用事務に関する事項でございます。 (1)といたしまして、国民年金の被保険者種別変更などの適正な届出の促進や、職権 による適用により、国民年金の適用の適正化を図るとございます。平成19年度におきま しては、届出遅れに係る勧奨状の送付対象者数について、前年度を下回るということを 具体的な目標としておりましたが、業績としてとらえた場合には、届出遅れの方には全 員勧奨状を送ること、したがいましてその届出遅れを減らすという目標であったわけで すが、送付対象者数が前年度を上回った方が適正ではないかといった誤解が生じやすく、 実態といたしましては、被保険者の移動の増減を生じさせる経済状況などの諸条件にも 大きく作用される目標でありますことから、平成20年度目標案では数値目標から除外し たものとしてございます。  次に(2)でございます。厚生年金保険事業、政府管掌保険事業、船員保険事業の未 適用事業所の適用促進などに関する内容でございます。19年度の目標におきましても、 未適用事業所の適用を促進するとともに、適用事業所からの被保険者資格の喪失、被扶 養者、標準報酬月額、標準賞与額などに係る適正な届出の促進について取り組むことを 目標としておりましたが、これに加えまして、昨年は厚年・健保の保険料に係る不適正 な事務処理の事案が判明したことを受けまして、社会保険庁においても「適正な事務処 理の徹底を図る」ことを明記してございます。  また、達成すべき数値目標といたしましては、平成19年度の目標では適用事業所数に 対する事業所調査件数の割合を4分の1以上としておりましたが、社会保険庁において は平成20年度も年金記録問題の対応に相当の人員を振り向けることから、事業所調査の 全体の件数ではなく、重点的に行う部分に着目し、平成20年度目標案では「重点加入指 導実施事業所数について前年度を上回る」という目標とするものでございます。  続きまして3ページをご覧いただきたいと思います。「2 保険料等収納事務に関する 事項」についてです。(1)ですが、国民年金保険料の納付率に関する内容でございます。 国民年金保険料につきましては、19年度に引き続いて、まず、「納めやすい環境づくり、 効果的・効率的な納付督励の展開、強制徴収の厳正な執行、免除・猶予制度の利用促進 等により、納付月数の増加と未納者数の減少を図る。」こととしております。  それに続く記載でございますが、国民年金については中期目標で、平成19年度までに 現年度分保険料納付率を80%とするとしており、これを踏まえまして平成19年度の目 標の時には、「現年度分保険料の納付率が80%に達するよう最大限努力するとともに、 平成17年度分保険料の最終的な納付率が74.5%に達するように努める。」という目標に したところであります。  これまで掲げてきました目標と納付率の現状を踏まえまして、平成20年度におきまし ては、「現年度分保険料の納付率80%の目標達成に向けて最大限努力する」とともに、 過年度分については、「平成18年度分保険料の最終的な納付率が平成17年度分保険料の 最終的な納付率を上回るよう努める。」としております。  なお、先ほども説明がございましたが、過年度分の保険料は国民年金保険料の納付率 の時効が2年間となっており、平成17年度分の最終的な保険料納付といたしましては、 平成18年度、平成19年度の2年間が納付できる期間となっているものでございます。  中段以降のなお書きでございますが、平成19年度の目標におきまして、国民年金納付 率の目指すべき目標を再確認、検証するため、国民年金納付率の向上の取組に関して評 価した上で、(1)といたしまして、「未納者の具体的状況や属性(所得、未納期間、住所の 有無、納付意向(拒否の有無)など)を明らかにし、実施機関として保険料徴収に取り 組む対象範囲を明確にした上で、未納者の属性に応じて実現すべき納付者数、免除者数 等の目安を設定することについて検討する。」  (2)といたしまして、「未加入者数の推移など、納付率の算定の前提に影響を与える諸条 件について、これまでの状況を整理し、これらの条件を折り込んだ納付率を明らかにし た上で、目指すべき目標の在り方を検討する。」としていたところでございますが、現時 点において、19年度における検討結果を得るまでには至っていないということから、平 成20年度の目標の案におきましては、「引き続き」検討し、「平成20年度中に考え方を 明らかにする」としたものでございます。  続いて4ページをご覧いただきたいと思います。(2)でございますが、厚生年金保険 事業、政府管掌健康保険事業、船員保険事業に関する収納に関する内容でございます。 平成20年度目標(案)におきましては、平成19年度目標と同様に、「確実な納入を促進 するとともに、社会保険料等を滞納する事業主に対する納付の督促及び滞納処分を確実 に実施する。」としております。  平成19年度との比較で、保険料収納率の数値につきましては、小数点以下について切 り捨て、または切り上げを行い、整数に見直しをしております。これまでは少数第1位 までの直近の実績値を目標としてきましたが、これにつきましては経済状況にも左右さ れるものであることを踏まえまして、目標を整数とするものでございます。  また、厚年・健保の保険料納付率は現状が上限値に近いものと考えられ、少なくとも 直近の実績は維持することを前提といたしまして、「前年度と同等の実績を確保」という ことも明記した上で、過去の実績と同程度確保するということを御理解いただけたらと 思います。  続きまして5ページをご覧いただきたいと思います。3の保険給付事務に関する事項 についてでございます。(1)で年金給付の迅速な決定及び適正な支給に努めるという内 容でございます。具体的な目標の内容でございますが、ここでは迅速な決定について標 準的な事務処理期間としての目標を「サービススタンダード」として定めまして処理を 行うこととしております。  それぞれのサービススタンダードの目標期間につきましては、受付、受け付けてから 審査、証書作成など、または郵送と、それぞれの事務についての所要日数を検討した上 で、サービススタンダードを設定しております。具体的には老齢基礎・老齢厚生年金及 び遺族基礎・遺族厚生年金については2カ月以内、障害基礎年金については3カ月以内、 障害厚生年金につきましては3カ月半以内として、不備返戻等に要した日数を除いた達 成率100%を目標としております。こちらにつきましては平成19年度の目標との変更は ございません。  次に(2)でございます。政府管掌保険事業・船員保険事業における傷病手当金等の 現金給付な迅速な決定及び適正な支給に関する内容でございます。具体的な目標の内容 でございますが、(1)と同様にサービススタンダードを定め処理を行うこととしてござ います。それぞれのサービススタンダードの目標につきましては、年金給付と同様に受 付、審査、返戻、照会、調査、支給決定、支払決定、支払手続、郵送などと、それぞれ の事務について所要日数を検討した上でサービススタンダードの期間を設定してござい ます。傷病手当金から家族埋葬料に至るまですべて、標準処理期間としては3週間以内 とし、こちらにおいても不備返戻等に要した日数を除いた達成率といたしまして、100% を目標としております。こちらにつきましても平成19年度の目標との変更はございませ ん。  続きまして6ページをご覧いただきたいと思います。こちらでは年金記録問題への対 応に関する内容を書いてございます。平成19年度の目標では、適用事務に関する事項と いたしまして、(3)の基礎年金番号により被保険者記録を正確に管理するという目標と して整理してございましたが、平成19年度の目標設定後に、いわゆる「年金記録問題」 が判明しましたことから、前文にも明記しましたように、年金記録問題を平成20年度に おいて重点的に実施すべき内容として位置付けまして、着実に取り組むことを明記する ものでございます。  内容につきましては、平成19年7月5日に年金業務刷新に関する政府与党連絡協議会 が取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立につい て」及び本年20年1月24日に年金記録問題に関する関係閣僚会議で了承されました「年 金記録問題に関する今後の対応」等に基づき、着実に実施することを目標としておりま す。  続きまして社会保険オンラインシステムの見直しでございます。こちらにつきまして は、平成20年度から新たに目標として位置付けるものでございます。これは社会保険庁 の業務改革におきましては、システムの刷新が非常に大きな要素となっており、また経 済財政改革の基本方針2007、いわゆる骨太の方針2007でございますが、こちらにおき まして政策体系と予算、決算の連携を平成20年度から実施するとされたことを踏まえま して、予算事項となっております社会保険オンラインシステムの見直しにつきましても 評価の対象とすることとしたため、新たに達成すべき目標として整理したものでござい ます。  続きまして広報、情報公開、相談等に関する事項でございます。(1)といたしまして、 社会保険事業に関する効果的な広報を行うとともに、年金教育の拡充を図ることに関す る内容でございます。平成19年度の目標と内容に変更はございません。ここでは生徒に 対する年金セミナーの実施率を目標としておりますが、これは、年金教育の拡充という 観点から、将来年金の納付義務及び受給権が発生する中学生、高校生に対しまして年金 制度の基礎的知識について、年金セミナーを実施するというものでございます。数値目 標につきましては、過去の実績を踏まえまして35%以上としております。  次に年金相談体制に関する内容です。こちらにつきましても平成19年度の目標と内容 に変更はございませんが、平成19年度までは具体的な目標を設定しておりませんでした。 現在、いわゆる団塊の世代の大量退職を迎えるに当たりまして、年金相談等の業務が増 加しており、電話が混雑する状況にありますことから、国民に対するサービスの向上を 図ることを目的といたしまして、年金ダイヤル応答率については前年度以上となるよう 努めることを目標とするものでございます。  次に個人情報保護に関する内容です。こちらも平成19年度の目標と内容に変更はあり ませんが、19年度までは具体的な目標を設定しておりませんでした。平成20年度の目 標におきましては、個人情報保護研修受研率100%を目標にしております。この研修で ございますが、これまでも実施してきてはおりますが、改めて目標に位置づけることに よりまして、個人情報保護の重要性について認識を徹底させる環境を実現させるために 目標とするものでございます。  続きまして7ページをご覧いただきたいと思います。保健事業及び福祉施設事業に関 する事項でございます。(1)は政府管掌健康保険事業、船員保険事業におけるレセプト 情報管理システムを活用した効率的なレセプト点検調査の実施などに関する内容となっ てございます。この目標は平成19年度目標におきましては、保険給付事務に関する事項 に位置づけておりましたが、政策と予算決算の連携の観点から、予算の体系に併せまし て順番を見直したものでございます。  平成19年度の目標と内容に変更はございませんが、こちらの点検効果額につきまして は、平成18年度の実績値を目標に置き換えてございます。また政府管掌健康保険につき ましては、本年の10月に業務が全国健康保険協会に移管しますことから、平成20年9 月末までの半年分の数値を目標としております。  次に(2)の社会保険事業に係る保健事業は適切かつ効率的に実施することなどに関 する内容でございます。こちらについては平成20年4月から高齢者の医療の確保に関す る法律の施行に伴い、特定健康審査及び特定保健指導を、適切かつ効率的に実施するた めに目標とするものでございます。  平成20年度におきましては、今後、特定健康診査等の基本方針で定められます当面の 達成すべき実施率として、平成24年度において特定健康診査を70%、特定保健指導45% の達成に向けて、平成20年度1年間の通年の目標を特定健康診査40%以上、特定保健 指導については28%以上とした上で、10月には全国健康保険協会に業務が移管しますこ とから、9月末までの上半期における目標といたしまして、「地域の実情に応じた効果的 な取組を推進するとする。」ものでございます。  最後に(3)。社会保険事業に係る保健・福祉施設事業に関する内容でございます。「各 保健・福祉施設の見直し方針に基づき、着実に整理合理化を実施する。」としており、こ ちらの内容については、平成19年度の目標と変更はございません。  以上、駆け足でございましたが、平成20年度において社会保険庁が実施すべき目標 (案)について御説明をいたしました。よろしくお願いいたします。 ○高橋座長  膨大な資料を一気に御説明をしていただきました。基本的には今御説明いただいた資 料4−3に御意見をいただきたいというのが事務局からの要望でございます。その説明 に当たって、理解すべき事柄を幾つかの点にわたって、とりわけ社会保険庁の業務がど ういうものであるかということについての御説明を前段にいただいた上で資料4−3の 説明をしていただいという手順でございます。  それでは以降委員の皆様から、資料4−3が基本でございますが、それ以前の理解の 前提のこともございましょうから、多々御質問がおありかと思います、どうぞ適宜とい う形でひとつよろしくお願いいたします。 ○篠原委員  ワーキンググループの設置の目的みたいなものを最初にお伺いしたいのですが、従来 というか、他の実施庁の組織でやったのは、今度、厚生労働省の政策評価有識者会議の 下部組織として設置されたわけなんですが、それは我々に何を期待するかということで す。  というのは、今、社会保険庁は非常に忙しいので、我々がどこに絞ったらいいのかと いう部分もあるものですから、そこのところをお伺いしたいのと、従来社会保険庁が実 施してきた政策評価は、内部評価みたいな位置付けとなるのか、それともそれを中止す るのでしょうか。 ○政策評価官  まず、どういう観点からということでございますが、今まで御意見をお伺いしてきた 社会保険事業運営評議会、これは事務局も社会保険庁にございますし、社会保険庁の事 業内容や業務の実施方法など業務全般についてのご意見をお伺いするなかで、実施庁の 評価についてもご意見をお伺いしてきたということだと思っております。今回、「政策評 価に関する有識者会議」の下にワーキンググループを設置させていただいたということ は、より大所高所からといいますか、客観的といいますか、あるいは政策評価のやり方 や観点など、より広い異なる観点から御意見をいただけるのではないかということでご ざいます。  次に、厚生労働省の全体の政策評価の体系では、内部評価といいますか、基本的には 自分で自分の施策を評価するという形でやっておりますが、先ほども基本計画について 御説明を申し上げましたとおり、社会保険庁については従来から実施庁の評価という形 でやっておりますので、社会保険庁からの実績報告という自己評価を受けて、厚生労働 大臣の立場で評価して、例えば、目標の達成に向けて進展があった、あるいは取組が不 足している、あるいは目標を達成したといった評価をしてきたというのがこれまでの経 緯でございます。 ○高橋座長  よろしゅうございますか。2番目の方は、要するに実施庁省評価というのは、今まで の我々がずっとやっておりました政策評価とは違う体系で制度的に位置付けられていた ということでございますね。改めて社会保険庁についてはもう少し多様な目で見てほし いという、そういう御要望でワーキンググループができたという、そういうことかとい うふうに理解をしておりますが。篠原委員、よろしゅうございますか。 ○大谷委員  この目標についてですが、目標はそれとして、19年度から引き続き、あるいは更に追 加されたものがあるということで理解もできるわけですが、実際に20年度を実施すると いうことになると、事業計画の部分がかなり重要性をもつのではないかというふうに理 解をしております。特に今、年金記録問題を抱えておられて、その精力の大半をそちら に向けざるを得ない状況が社会保険庁にはおありだというふうに理解しております。  そういう中で、例えば2ページに適用の促進という文言が(2)の2行目あたりに表 現されておるわけです。この部分については19年度も同様の表現にはなっておるわけで すが、16年以降、実際今日御説明がなかった資料の中ではあるのですが、外部に委託を するとか、いろいろな形で知恵を出しておられるというふうに考えております。  そういう部分で、やはり目標として要は適用を促進していかなければならない、未適 用の事業所があるということは、やはり国民にとってもマイナスということは明らかな わけですし、それを実施していくということは非常に大事な部分だと思います。そうい う意味でこの適用促進について、よりしっかりとした外部委託をするのであれば、仕様 等を明確に決めて、そして実施をさせるということでないと、ただ単に外部委託しまし たよということであったのでは効果は余り現れてこないんじゃないかなというふうに考 えております。これは実際のこの事業計画に当たって御留意をいただきたいという意味 も込めて申し上げておるわけですが。  それと同じ意味合いで、6ページに広報の中ですが、中学生高校生に対して年金教育 をしていくんだ、そのためのセミナーの実施ということで、18年度ではもう32%を超え るレベルの数字が上がってきておるというのが評価の中で過去のところでは見れるわけ ですが、そういう中もやはり職員の皆さんがセミナーに出て行かなければならない、果 たして20年度それだけの陣容を割けるのかというところが一つ疑問点として挙がって、 私としては考えます。  そういう意味でこの部分についても、事業計画を策定され、実施される段階では、委 託ということも含めて、いろんな専門家がおられるわけですね。税については既に小学 校の教科書にまで載せられて、納税意欲というのは国民は非常に高いという評価を受け ておるわけですが、保険料と名前が変わっただけで国民年金の収納率に現れるように、 非常に若い方の保険料の納付意欲というのが少ない、悪いという結果も出ておるわけで すから、その辺りも含めて外部ということも御検討の中に入れることで、32%まできて いる数字でございますから、更に35%以上というのは、より近いところにあるというふ うに理解しますので、その辺りを実際に運用する、目標に向かって突き進んでいく中で お考えいただけたら、より効果的な実施が行われるのではないかというふうに感じてお ります。希望的なものも含めまして、以上申し上げたいと思います。   ○高橋座長  ありがとうございます。いかがでしょうか。質問もございましたし、多分ワーキング グループの委員全体の、今の大谷委員の御発言で多分共有しているのは、やはり社会保 険庁が今様々な課題を抱えながら、最終的な廃止を含めて移行過程にある、そうすると 移行過程の中で業務のいろいろなメリハリというか、そこら辺は非常に難しいかじ取り が必要なのではないかという、そこら辺をやっぱり達成目標の中できちんとその認識を きちんともった上で、事業計画等書き込んでいただけたらという、そういう趣旨の御発 言でもあったかというふうに、これは多分委員共通にもっておられることかと、私があ えて申し上げればそういうことかと思いますが、そのことも含めまして少し御見解ある いは今の質問に対するお答えをいただけたらというふうに思いますが。 ○社会保険庁総務部長  御指摘いただきました事項につきましては、後ほど担当から具体的に御説明させてい ただきますが、この年金記録問題というのは、ちょうど国会でいわゆる5,000万件の宙 に浮いた記録という問題が出てからもう1年になりなんとしております。現在私ども社 会保険庁だけではなくて、厚労省挙げて、更には政府を挙げて取り組んでいる途中でご ざいまして、昨年7月に定めました大方針にしたがって、これまでのところ着実に、す なわち3月末に向けてコンピューター上のいわゆる名寄せというものについて、年金特 別便という形でお届けをする、更に4月以降には名寄せに至らない方につきましても引 き続き記録をお送りをしてチェックをいただくということで、着実にこれまでのところ 進んでいるわけでございます。  私どもいよいよ、来年度から10月には新しく全国健康保険協会という新組織の分離と いうことも既に法律上の予定として入っておりますし、更にその先には22年1月を目途 に、これは一番業務として大層を占めます年金業務について組織をつくっていく、そう いう中で大変大きな記録問題というものを抱えておるわけでございますが、これは先ほ ど申し上げましたように、政府挙げての取組ということで、私ども決めました方針に従 いまして、特に大事なところは、この特別便をきちっとお送りをして、またそれに対し て国民の方にチェックをいただくという、その受け皿の体制ということで、例えば年金 専用ダイヤルとか、電話での受付なり、あるいは現場での対応ということでございます が、これにつきましては社会保険庁の現場の職員だけではなかなか十分なその対応がで きないという認識のもとに、これまでも既に、昨年から企業でございますとか、市町村 でございますとか、あるいは社会保険労務士会の皆さんに御協力をいただいてそれぞれ、 これはボランティアも含めてのことでございますが、大方針にしたがった国民への記録 のお届け、それによります確認の御依頼ということにつきまして、政府が中心になって、 国民の方にも多大な御協力をいただきながら進んでいくという方向でやっております。  そういう意味で必ずしも現在の社会保険庁の職員、あるいは社険職員だけではなくて、 この取組については横に広げた形でいろんな形の諸団体の協力をいただくという形で、 何とか工夫をしてまいりたいと思っておりますし、政府の中でも関係省庁からいろんな 形で、いわゆる職員もいただきまして、本庁についてもそういう固めをしておりますの で、その延長で更にこれからの3月末あるいは4月以降の取組を進めていきたい。  ただ、御指摘にもございますように、今台所事情としては、これからの組織を切り離 していく中でゆとりがだんだん少なくなっていくということは事実でございますので、 その中で先ほど御指摘いただきましたような外部のいろんな知見をお持ちの方への御協 力依頼なり、あるいは既に着手しております仕事につきましても,きちっとお願いする 目標などをできるだけ明確にしながら取り組んでいきたいと、こういうふうに考えてお ります。御指摘いただきました2点につきまして、それぞれまた担当の方から御説明さ せていただきます。 ○社会保険総務課企画室長  大谷先生に御指摘いただきました一つは未適用対策の外部委託の件でございます。こ れは平成17年、18年度は市場化テストのモデル事業として委託を行いまして、19年度 から全面的に委託ということで、競争入札で都道府県単位で発注してございますが、都 道府県単位で社会保険労務士会が手を挙げていただいているところと、それから民間企 業が落札したところと、幾つかございます。それぞれまだ外部委託をはじめて2年目3 年目ということでございまして、まさに先生がおっしゃるように委託の際の仕様書、ど ういう基準で、どういうことで、どこまでを達成目標として委託するかというのが非常 に重要だと思っております。  そういう面でまた19年度の実績の状況なども踏まえながら、20年度の委託のやり方、 工夫をしていきたいと思っておりますし、またちょうどこのところにつきましては、社 会保険労務士会にはかなりその専門能力をもつネットワークを活用していただいて、非 常な成果を上げていただいておりまして、そういうような専門団体との協力連携などで も効果を上げていくというやり方を工夫してまいりたいと思ってございます。  それから年金セミナーにつきましては、私ども委託という形式ではないのですが、謝 金職員という形で、非常勤の職員で、そういう分野について詳しく語れる方をお願いし たりしておりますし、また、これからは学校教育の中で、学校自らやっていただく、こ ういう協力を文科省にも申し入れたりしておりまして、各地域での年金教育推進協議会 を地域でつくっていただいたりしており、私どもだけでやるのではなくて、教育界にも 手伝っていただくような、こういうことで進めてございます。 ○高橋座長  いかがでございますか。よろしゅうございますか。他にどうぞ。 ○山口委員  私も今、大谷委員が言われたことに賛成なんですが、やはり限られた資源の中にあっ てメリハリをつけざるを得ないと思うんですね。そういう中で最初のお話の中にありま したが、本来的に社会保険庁がやっていかなければいけない普段の仕事と、それと今は 例の年金記録という過去の問題を解決していかなければならない仕事が重なっているわ けですので、どうしてもある程度メリハリをつけて業務を重点的に施行しなければいけ ない分野というのを、ある程度明確にしていくということは非常に大事だと思うんです ね。  その時に文章で書いてしまえばこういうことになってしまうのだと思うのですが、先 ほどのお話の中にもありましたように、社会保険庁での意識の改革といったようなお話 がございました。今いろいろやっておられると思うのですが、この目標の中にもそうい ったことがある程度反映されている方がいいように思えます、特に6ページの過去の年 金記録問題につきましては、確かにこの「年金記録問題に関する今後の対応」などの中 身の中に多分全部盛り込まれているんだろうと思うのですが、こういった今後の対応等 に基づき着実に実施するという時に、でき得ればそのスタンスといいますか、意識の改 革につながる話なんですが、国民の受給権を確保するという観点に立ってとか、そうい った目標としてこういう方向を目指しているんだということも明示していくことも重要 ではないかなというふうに私などは感じております。  それともう一つ、重点という意味では、私も保険料の収納については、これは今の年 金制度の根本的な仕組みというものをどうするんだという話につながっている重要なテ ーマだと思うんですね。収納率が低下している、そのことから現在の社会保険方式はな かなかこれじゃあ無理じゃないかといったような議論になって、税方式だという議論が 出てくるわけですが、そういったような意味でも収納率を上げていくというのは、今の 仕組みを継続していく上でも非常に重要なこの仕事だと思うんですね。  先ほどのお話がありましたような、外部の力を借りるというのもそうですし、それか ら強制的な執行をもっとたくさんやるというような形も必要だと思います。NHKのテ レビなんか見ていますと、非常にお金持ちの人が保険料を全然納めてないといったよう な話も前に出ておりましたし、そういったところについては差押え等によって厳しく対 応する。  あるいはこれは実施庁の問題ではないのかもしれませんが、他の政府の制度と絡めて、 保険料を納めないと非常に不都合が起こりますよといったようなことも考えていく。こ れはなかなか難しいかもしれないのですが、免許証だとかパスポートだとか、そういっ たものが保険料の収納実績がなければとれない、継続できないといったことも含めて、 これは社会保険庁の問題ではないかもしれませんが、国民がこれは払わなければいけな い義務があるんだといったことを、他の仕組みと絡めることによって、必然的に払って いただけるような仕掛けといったようなものを含めて、政府全体の問題として取り組ん で収納率を高めていくことが今後の社会保障制度、年金制度にとっては極めて重要であ ると思うわけです。ですからそういった意味でメリハリをつけて、その中で有効な手を 引き続き打っていただければありがたいなというふうに感じたところでございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。今の山口委員の御発言は、一つは補強的に第一段の方は少 し配慮したらどうかという御提案、二つ目の方は、ある意味ではいえば政策評価の議論 と実施庁評価という、やや年金制度の問題にもちょっと踏み込んだ御発言かというふう にも思ったりいたしましたが、いかがでございましょうか。  後半の方はむしろ欧米の議論なので、なかなか事務局としては対応は難しいかと思い ますが、前半の方について補強的にしたらどうかという、とりわけ具体的には6ページ の着実にというのをもう少し補強できるようなものがないだろうかという、そんな御提 案もいただきましたが、何か今の御意見についてお考えは事務局の方でございますか。 ○政策評価官  目標は、最終的には大臣が決めるということでございますので、今いただいた御意見 も、あるいはこれからいただく御意見も、大臣に報告した上で決めさせていただきたい ということです。貴重な御意見をいただいたということで相談をしたいと思います。  また、メリハリという点については、個別の目標のところでなかなか書き分けるのが 難しい面がございましたので、前文を今回はかなり長めに書いております。ここでその メリハリ、何が一番大事なのかというようなことについて特に強調をしてきたつもりで ございます。  それから収納率につきましては、個別の対応等は社会保険庁の方から補足があれば御 説明申し上げますが、収納率をどうするかということだけではなく、「なお」以下のとこ ろで、納付率向上の取組に関する評価と目標について検討を進め、「20年度中に」考え 方を明らかにするというようなことで様々な検討が含まれうるという形にさせていただ いております。 ○社会保険庁総務課企画室長  私ども国民年金の収納率対策を、先ほどの資料3の9ページにもありますように、所 得階層に応じた、所得がおありであるにもかかわらず保険料を払わなかった、民間の保 険には入るけれども、こっちには入らないという方がいらっしゃいますし、そういう方 には強制徴収もさせていただく、所得が低い方には免除をお勧めするということで、中 間層には民間の力も借りながら電話をかけたり文書を出したりと、いろんなことを直接 行うわけですが、基本的に国がやっている保険でありまして、給付には3分の1の国庫 負担、将来は2分の1の国庫負担が入りますので、そういう意味では圧倒的に有利でご ざいます。  また、民間の保険との大きな違いは、仮に大きなインフレが起きても、その時の日本 国の国民生活の水準に応じた給付がちゃんとできる、インフレに強い、こういうような ところも民間の保険とは違う強いメリットでございます。そういうメリットを強くPR をし、非常に有利ですよ、入るとお得ですよと、こういうようなことのPR、一方で納 めやすいような仕組みといたしまして、口座振替をすると少し前納割引がきくですとか、 あるいは今回クレジットカードの導入をできるように、先般の法改正でクレジットカー ドでも利用できるようにしたり、ポイントがたまりますとか、そういうようないろんな 対策を組み合わせながら御指摘のように推進してまいりたいと思っております。 ○高橋座長  いかがでございましょうか。菊地委員どうぞ。 ○菊地委員  私は有識者会議のメンバーとして拝命されているのですが、まだその会議にも出ず大 変申しわけないのですが、幾つか感想と、あとはお聞きしたいことがあるのですが、先 ほど大所高所の立場でというお話がありましたが、それはそうとして、外からの視点を 入れるということは、私の理解では資料2−2で最初に社会保険庁の事務の実施基準と ありますように、この事業運営に当たって常に国民の立場に立ち透明性の確保を図る、 もってそれは社会保険事業に対する国民の理解と信頼を得るということで、有識者かど うかは別として、やはり国民の目線から見て透明性のある分かりやすい納得できるもの かどうかというところが、私自身に求められている、そういう性格のものではないかと 私は理解しています。  ただ、そうではないということであるならば、また御教授いただきたいのですが、そ ういう前提に立った上で幾つか、現状は非常に大変な状況にあるというのは重々承知し ておるつもりですので、ただ、その上でやはり国民が納得できる、あるいは納得するか どうかは別として、十分な説明責任を果たしていると言えるものになっているかどうか という視点から、少し気付いた点があるのですが、一つは具体的な数値ですとか文言に 踏み込んだことになってしまいますが、まず、3ページに、先ほどお話がありましたが、 80%の目標達成に向けてという部分で、これはやはりこの文言からすると前年度の目標 よりは後退しているという感が否めないわけで、それ自体どうこうというのはないので すが、あとは80%という縛りがあるんでしょうし、これを下げることによる様々な波及 効果を考えると、これを下げるべきだとか、そういう議論はするつもりはないのですが、 であるならば、ではどうするのかという部分で、確かに引き続き20年度中に考え方を明 らかにするということですが、しかしこれは前年度19年度と同じ内容なわけでして、も し80%はなかなか難しいという、19年度よりも更に難しい状況にあるというのであれば、 もう少しここの部分で実質的な内容、じゃあその取組について国民へのPR等も含めて 書き込んでいくことが必要ではないかというのが正直な感想です。  二つ目は、4ページですが、98%という、小数点第一切り捨てというお話がありまし たが、確かに厚生年金保険については98%以上で、かつ前年度と同等の実績を確保と書 いてありますが、少なくとも実績値は、確か98.7でしたか、ある意味でこの数字だけを 見るとハードルを下げているようにとられなくもないわけで、私は法律上、厚生年金と 健康保険の目標値を別建てにするというのは違和感があり、そういう意味では揃えた方 がいいと思っていますが、実態は別として、果たしてこの98%という数字でいいのかと いうのは、目標値として、大変な御事情は重々承知した上で、国民の納得が得られるの かどうかというのは、ちょっと懸念されるところです。  それから三つ目として、先ほど6ページで、年金教育の話が出ましたが、これはむし ろお聞きしたいところでありますが、この年金教育にかかわる部分というのは、これは 所轄部局といいますか、厚生労働省本省というよりは、やはりこれは社会保険庁でやる べき、担当すべきものとして位置付けられているのかどうかということです。  それに関連して、年金は非常に大きな問題になっていますが、私もたまに高校に行っ て出前授業なんていうのもしますけれども、必ずしも年金だけに関心があるわけではな くて、教育という面でも、社会保障制度全般というものを理解してもらわないと、年金 だけではある意味で一面的なわけですから、そういった意味でどこがこの教育を担って いくのか、あるいは分担していくのかという、そこの仕分けがどうなっているのかとい うのが確認したいところです。  それとこれは今日のお話に出てこなかったもので、四点目ですが、これはある意味で 小さい話とも言えるのですが、しかし法律上は書いてありますので、先ほどレセプトの 点検、減点査定の話も出ましたので、関連してなんですが、年金でも医療保険でも第三 者行為災害にかかる規定がおかれていて、求償権の規定もおかれているわけですが、こ れは保険財政に、まあコストの方がかかるかもしれませんが、保険財政と無縁ではない わけです。ただ、これも御質問ですが、実質死文化しているのか、あるいはある程度取 組としてやっておられるのかというところを一度お聞きしたいということです。  それから最後に要望というか、感想というか、20年度の目標について検討するに当た って、19年度がまだ終わっていないので無理なんですが、少なくともこの場における検 討材料として可能なものについては19年度の直近の速報値みたいな、そういったものが あれば出していただいて、それを一つの参考資料にしながら議論を進めるということが、 私としては新しい数字、確定ではなくても出していただきたかったなという、そういう 部分がありますので、今日は細かく資料は見ていませんので、入っているのかもしれま せんが、御説明の中では必ずしもなかったので、要望として出させていただきます。長 くなりまして済みません。以上です。 ○高橋座長  五点ほど、御質問も含めまして幾つかございますが、どうぞ順を追ってレスポンスを していただきたいと思います。まずは大ぶりを質問がございましたが。 ○政策統括官  総括的なところをちょっとお話ししたいと思います。一つは3ページのところで国民 年金の収納率、納付率の関係の御質問がございました。ことの経過を言うと、15年に目 標をつくった時に、15年度から19年度までの目標として、80%という目標をつくりま した。なかなかその80%には厳しいのが現状ですが、実は20年度というのは新しいス テージで、その目標をどうするかというふうな議論があって、去年、国民年金の省内の 本部で議論した際には、80%という目標はそれはそれである、一方でこの下に書いてあ るような、いわゆる本当の実質に即したような目標値の設定というのも必要じゃないか という議論もして、検討しましょうという話にもともとなっておったわけです。ただ、 現実問題としてはなかなか、記録の問題がある中で、その議論に到達していないという ことで、本当は19年度の目標になお書きがあるように、今年度のうちにそこはまとめな ければいけなかったのが、宿題として残っている。そういうことなので、将来も踏まえ て20年度中にこれから具体的にどうやれば納付率を上げるための目標としてうまく使 えて、それがまさに実効を上げられるものがつくれるかというのをきちっと議論してい きたいということを踏まえて、今回ちょっとこういう形で整理をさせていただいており ます。社会保険庁から補足があれば後ほど補足をしてもらいます。  それからあとは大きなお話でいくと、いわゆる年金教育みたいなものをどう考えるか。 年金教育というのは一応社会保険庁の方で事業を進める、年金制度というのは公的年金 は社会保険庁だけが所管していますから、その実施庁の仕事の中という位置づけを従来 はしてきております。あとは社会保障全般をどう考えるかというのは、もちろん年金教 育というのは一番身近なツールなので、それを使ってやるというのはありますが、これ は厚生労働省全体として社会保障行政を理解してもらうということで、これは取り組ま なければいけない事柄だろうと思います。教育の方も教えることがたくさんあって、な かなか一つ一つというわけにはいかないという部分はありますが、そこは私どももいろ んな機会を、私どもの白書とか、いろんな出版物とかもありますが、そういうことも踏 まえてやっていく必要があるというふうに考えております。  それからいわゆる実績をある程度踏まえた議論をしたいということで、おっしゃられ るとおりだと思います。今回は必ずしも十分できておりませんが、あとはこの実施庁の 御議論はあと数回ということになるかもわかりませんが、来年度以降努力をしたいとい うふうに思っております。 ○高橋座長  ありがとうございました。大筋の議論を政策統括官からお答えをいただきましたが、 なおその他の御質問もまいっておりますので、いかがでしょうか。 ○社会保険庁総務課企画室長  一点は私の方から、業務の実施状況のところでございますが、第三者行為災害求償な どの状況はどうかという御指摘をいただきました。資料4−2に、これは20年度の達成 すべき目標を整理しつつ、右側には18年度実績を整理してございます。大変恐縮ですが 19年度の途中経過はもってきておりませんが、18年度実績を載せている表で、これの資 料の7ページをお開きいただきますと、7ページの達成すべき目標、レセプト点検等が ある、その右側に参考指標とございます。  そのうちの五つ目ですが、求償件数、健康保険12万件、求償決定額69億円とござい まして、これがいわゆる第三者求償、交通事故でございますとか、あるいは第三者の行 為によるものでございますとか、そういうのがございますが、基本的にはレセプト点検、 被保険者としての資格があるかどうかという、資格点検の部分と、こういう第三者行為 の部分はそちらに振り向けるという、こういう点検でありましたり、あるいは医療行為 の内容をチェックする内容点検でありましたり、こういう部分からなってございまして、 その部分を実施してございます。 ○高橋座長  よろしゅうございましょうか。 ○篠原委員  幾つか質問をさせていただきたいのですが、まずは資料4−3のこの前文に先ほど説 明していただいたのですが、この最後の方に年金記録問題の解決と新組織への移行に関 する社会保険庁の改革に全力を挙げるということですが、まず、この中身を見ると現状 に対する目標は、先ほどから出ているように、着実に実施するというように、変更した らいかがでしょうか。  そして二点目が、社会保険庁の改革に全力という割には、社会システム、コンピュー ター・システムぐらいしか書いてないんですね。例えば民間とか独立行政法人に求めら れる内部統制システムの整備が求められてますが、社会保険庁の場合は内部統制システ ムでも最高にレベルの高い、機能する内部統制を整備する必要があると感じております。  そうなると相当の人材と金と時間も必要とされることから、予算等の具体的な目標設 定が必要ではないかと思います。 ○高橋座長  なかなか難しい議論でありますが、少し今の篠原委員のコメントにレスポンスしてく ださい。 ○社会保険庁総務部長   内部統制というのは大変広い概念ということで、基本的には民間企業であれ、国の事 業であれ、先生御案内のとおり、業務の有効性、効率性、あるいは法令遵守とか、ある いは企業でいえば顧客ですよね、我々でいえばサービスの相手であります国民の満足度 というのをいろんなものを指標にしてやっていくということは、先ほどいいました平成 16年以降の社会保険庁改革以前においては、必ずしも十分に配慮がされなかった点でご ざいます。  これについてはもちろん精神論だけではなくて、具体的に組織ごとの目標を決めたり、 あるいは一つは人事評価を、これは私ども霞が関の他省庁に先駆けてといいますか、実 績を中心にした人事評価制度、これはようやく19年度から本格実施になったばかりでご ざいますが、これは職員の意識付けという意味で、半期ごとにきちっと目標をたてる、 目標をたてるに当たっても必ず上司とのミーティングをして、納得のいく目標をたてた 上で半期ごとに数字で、特に幹部職員にあっては数字をいかに出せたかということをこ れは習慣づけるといいますか、まだ完成版ではございませんが、改善しながらやってい く、そういう職員の足元の意識づけの上にのって組織全体として達成すべき目標、きょ う御議論いただいています目標もなかなか積み上げというわけにはいきませんが、それ なりの算段がなければなかなか外に公表できるものではございませんが、それに向けた 広い意味での内部統制といいますか、今まで足らざるところ、できていなかったところ については、いろんな形で取り組んでいるところでございます。  その中でも特に法令遵守という観点からは、これは先ほど言いました年金記録問題だ けではなくて、18年度に、いわゆる国民年金の免除手続の不適正な処理がございまして、 47事務局の大半がこれに関与した、大変申しわけない事態がございまして、じゃあそれ 以後は全然生じていないかと言えば、時々新聞に出ていますような不適法あるいは不適 正な業務処理ということが大変今は私どもの方で取り組むべき大きな課題となっており ます。  平成12年以前は御案内のとおり、地方事務官制度という制度のもとで、社会保険に従 事する職員につきましては、身分は国家公務員ではございますが、実際の勤務地という ことでは当時は各都道府県の保険課、年金課、あるいはそのもとの社会保険事務所とい うことで、全国一本で運営されるべき社会保険制度の中において、地域ごとに、県ごと に、例えば国民からいただきます届出書の様式が違うとか、これはちょっと今から振り 返ると信じられないような状況がございまして、いわゆるローカルルールというのがま だ完全に排除しきれてない状況でございます。  まずは全国一本の社会保険制度ということに名実共にその業務が収斂しますように、 これにつきましてはいわゆる業務処理マニュアルというものを私どもの業務の各分野に わたりまして、一昨年10月に何とかまとめまして、これはまだ地方にもいろいろフィー ドバックをしながらまとめていく途中でございますが、こういうものを柱立てにして、 広い意味の内部統制をきちっとやっていこう、まだ途上でございますが、年金機構につ きましては、22年1月に民間組織となるわけでございますから、今は国の組織でござい ますが、行く末は民間組織ということで、同じような例えば生命保険会社など、私ども の業務と似たようなところがございますので、そういう民間会社の先進的な取組なり、 あるいは役所でいいますと国税庁でありますとか、あるいは郵政公社とか、そういうと ころでの取組みを勉強しながら、とにかく不適正な事務処理、不適法はもちろんですが、 また全国一本の業務を目指していろんな形の取組をしておるところでございます。いず れにしても22年1月を目指して更に足らざるところを補って取り組んでいるところで ございます。 ○政策評価官  補足でございますが、実施庁の評価のスキームの中では、もともと国が委任した事務 について大臣が目標を決め、その目標をどうやって、どういう事業を実施して達成する か、あるいはその組織のガバナンスをどうするかということは、これまで目的に書いて こなかったという経緯がございます。しかし、今、篠原委員から御指摘がございました ように、今回はそのガバナンスが非常に重要だということで、前文に書いております。  また、お手元に参考資料として、平成18年度の評価書をつけておりますが、実績報告 が社会保険庁から出てくる段階では、ガバナンスの部分、組織の改革等の部分を含めて 庁から報告が出されております。そして、18年度の評価書の最後の方をご覧いただきま すと、48ページ以降に、組織の改革ですとか、サービスの向上などについて報告がござ いまして、それについて大臣が評価をしております。したがいまして、おそらく19年度 の評価の際にも庁からの報告を受けて、評価についてご意見を伺う際には御議論いただ く機会があるのではないかと思っております。 ○篠原委員  外部の意見を聞くということで、二点質問させていただきたいのですが、一点目は外 部の会計検査院の検査だとか総務省の行政評価の監察がありますが、マスコミではそこ での指摘事項を改善していないとの記事がありましたが、内部的に着実に行っているか どうか、あるいはこれを評価項目に入れる必要があるのかなということ。  二点目、私ども監査においては、必ずマネジメントレターという、日本語で言えば覚 書や勧告書ですとか、監査の過程で様々な発見事項がありますが、経営トップに文書で 提出しています。独立行政法人も監査約款の中に不正を発見した場合は理事長に報告す る、不正に応じて大臣に報告することになっています。  現在、いろんな重要業務を外部に委託しており、例えば、コンピューター・システム の運用からシステム開発がありますが、気付いた点を積極的に意見を提出してもらうと か、あるいは社会保険庁がインタビューするというような、外部の直接的な意見をきく 仕組みを設置し、それを我々が評価する形が考えられますが、その辺はどんなものなん でしょうか。 ○政策評価官  細かい対応については庁の方から補足していただければと思いますが、評価の中で、 例えば、今御紹介した参考資料の20ページなどで、総務省から受けている行政評価・監 視の結果に基づく勧告等において、国民年金等について指摘を受けている点について、 総務省の指摘も含めて対応すべきであるというようなことを評価に入れております。そ して、会計検査院の指摘も、この18年度の評価にはありませんが、過去にそういうもの を引用したこともありますので、今後、評価の段階でそういう外部の指摘というのも踏 まえて評価をしていただくことはあろうかと思っております。 ○社会保険庁総務部長  二点目の御指摘の点で、外部にいろんな業務を委託した時に、いろいろそこで委託を 受けた方の御意見を聞くかどうかという話もございますが、一つ身近な例で申し上げま すと、国民年金の収納につきましては、現在まだ完全にはなっておりませんが、今まで 国民年金推進員という非常勤職員を中心に収納業務とかやっておりましたが、これを外 部化する、いわゆる市場化テストの一つのショーウインドに行っておりましたが、これ も広がるにつれまして、国民年金の今まで職員プラス国民年金推進員でやっていた収納 対策について、これを外部化して、いろいろ委託先のいろんな工夫のもとに何とか実績 を上げていただく、その中でやはり市場化テストなり、あるいは時期が終わりました時 に、あるいはその過程で、いろいろ実際に今まで役所の常識としてやってきたような収 納業務について、やはり民間の立場でもう少し、例えば電話かけをするとか、未納者の 方への御説明ぶりとか、いろいろ御意見をいただいたことが大変ございましたし、また 先ほども出ましたが、未適用事業者対策につきましても、社労士会の御立場というのは 非常に企業全般をよく御承知の御立場でいろいろ外部委託を受けていただく中で、いろ いろアドバイスも頂戴しておりまして、基本的には年金機構におきましても、議論され ていますように、できるだけ外部委託を進めるというポリシーもございますので、まだ 部分的ではございますが、これまで外部委託をしてきました経験、その中で受けていた だいた民間の御立場の方々の御意見などは、これは貴重な御意見として、それぞれ各事 務所なり、事務局で反映をさせていただいていると考えております。  また最初の方にございました総務省あるいは会計検査院からの御意見についても、こ れは当然フォローアップというのがされます。指摘を受けっ放し、しっ放しではなくて、 一定期限内に私ども勧告等を受けた立場で、責任あるところまで御説明した上で、今後 の方針を示す、その示した方針どおりに十分効果が上がっているかどうかの点はござい ますが、それぞれ外部の機関からいただいた御意見、御指摘については誠意をもって今 後とも取り組んでまいりたいと考えております。 ○篠原委員  あと一点だけお願いというか、政策評価には関係ないかなという気がしているのです が、最近のマスコミ等の報道を見ていると、社会保険庁は退職者も多くてかなり志気が 落ちている、心配なのはやっぱりこれは当然皆さんの議論で見ていると、国民にとって も日本にとっても物すごく重要なインフラの一つですよね。それを魅力ない組織にしち ゃうというのは、これは残念なことであり、有能な人が相当の努力が求められる組織で あることから、働きがいのある組織に早急にしなくちゃあいけないんじゃないか、そう いう意味での対策とか検討というのはされているんですか。 ○社会保険庁総務部長  再々例に取ります年金記録問題でございますが、これは過去私ども数十年にわたる不 適切な管理、検証委員会のあの報告の言葉を借りれば、年金記録の大切さにしても全然 責任感が欠如していた、大変厳しい指摘を受けております。それはそれぞれの立場にあ ったものがきちっと反省をしないといけない。  ただ、この問題を国民の方に、遅ればせながらきちっと本来あるべき記録を手にして いただくためには、やはり現在の職員あるいは先ほど申し上げましたような、いろんな 団体等のお力を借りながらやっていかないといけないということで、ある意味では非常 に重い課題を背負っているわけでございます。  ただ、私もいろいろ現場で、特に若い方というのはこれまで必ずしも長く社会保険の 仕事をしていない方が多いわけでございまして、そういう意味では諸先輩の少しずつ澱 のようにたまってきた記録問題を片づけているわけでございますが、ただ、年金記録の 大事さというのを十分我々は認識してなかった。ある職員の言葉を借りれば、本当に今 回の記録問題が出て、初めて自分たちがやっている仕事の大事さがわかった、そういう 意味ではこれは非常に遅ればせではございますし、ある意味ではもっと早く我々が管理 者の立場で気付かせるべき問題だったという反省もございますが、ただ個々の職員の取 組については御心配の要素もございますが、むしろこの問題を何とか早く解決をしてい くというインセンティブが非常に強うございますし、特にこれから現役の方々に、これ から年金の受給者に達する方、もう7,000万人と、この方が大衆でございますので、そ ういう方々がそれぞれ65歳になった時の裁定事務をできるだけスムーズに行わせる、今 まで悪しき申請時主義ということで指摘されましたように、65歳まで待って、その時に 記録をつなげればいいという考え方のもとに今の問題が発生しておりますが、むしろ将 来の年金裁定事務を少しでもスムーズにできる、今汗をかいておけばできる、そういう 前向きの考え方で特に若い職員は取り組んでおりますので、私は今回検証委員会報告で 御指摘を受けましたことを十分職員に徹底すれば志気は落ちないと思っておりますし、 今いろんな努力との合わせ技の中で、やはり自分たちが今やっている仕事の大切さをさ らに気付いてもらう、また大変厳しいクレームが現場ではございますが、そういうお客 様、国民に対してきちっと我々のなすべきことをすることによる達成感というものを職 員に味わわせるということが我々の職責ではないかなと、このようにも考えております。 ○高橋座長  ありがとうございました。いかがでございますか。そろそろ時間もまいっております ので、少し整理をしたいと思いますが、かなり大所高所というか、そういう御意見をち ょうだいいたしました、これはむしろ事務局として対応していただくということかと思 います。  とりわけ委員の共通の御心配というか、やっぱり組織移行と年金教育問題が今も議論 が出ていますが、そういう大課題と、それからルーティンの業務と、それから積年の国 民保険の収納率問題という,幾つかのテーマについていろんな御意見をちょうだいいた しましたが、やはり政策評価にのせられる部分と、政策評価というのはやっぱり実施庁 として頑張っていただかなければいけない、それは目標設定としてそれを達成するとい うことかと思いますが、それ以外の要因が非常にあって、これは複雑系という議論をす ればからまってある数字が出てくるという現状がありますと、そこら辺はロジック、こ れはなかなか難しいかと思いますが、そこら辺は整理しながら現実的な、しかも透明性 ということで言えば国民の期待に応えるだけの事業目標設定をきちんとしていただきた いという、そんなことが大体全体の空気だったかというふうに思います。  あと個別には幾つか、例えば山口委員から御指摘がありましたような、若干補強する 必要があるのでないかとか、そんなことも含めまして、これは御意見を申し上げたとい うことでございますが、これを踏まえて整理をしていただくということでよろしゅうご ざいましょうか。  そんなことで政策評価としてやっていただく部分と、よく親委員会では大文字の政策 評価と小文字の政策評価があるという話がずっとよく出てきておりますが、やはり全体 のグランドデザイン的なものとの中で、その中で実施庁としての社会保険庁の業務がお のずから相対化されていくという、そういうこともありますので、そこら辺の関係を踏 まえながらということかと思います。  問題はやはり組織移行のプロセス、それから先ほどのお話を承れば、年金というのは 超長期システムですから、言ってみれば超長期システムの澱が、ある年金記録問題とか で集中的に現れたという、そういうこともあろうかと思いますが、その課題を背負いな がら業務を着実に実施していただくという、そこら辺のことについてそれぞれの御立場 からの御意見がちょうだいできたかというふうに思っております。  そんなことで少し整理をさせていただいたということで、今後の予定等について少し 事務局より御説明をいただけたらと思います。 ○政策評価官  本日はいろいろと御意見をいただきましてありがとうございました。今後の予定でご ざいますが、3月10日に第19回社会保険事業運営評議会の開催が予定されております。 この場におきまして、本日御意見をいただきました目標案と、目標案を踏まえて社会保 険庁が作成いたします平成20年度社会保険事業計画案について御説明し、御意見を伺う と聞いております。  この後、本日の御意見と社会保険事業運営評議会からの御意見を大臣に報告した上で、 大臣が「平成20年度において社会保険庁が達成すべき目標」を決定いたしまして、社会 保険庁長官に通知するとともに、厚生労働省ホームページで公表するという予定になっ ております。  なお、10日の社会保険事業運営評議会におきまして、20年の目標案について本日いた だいた御意見に加えて、更に修正すべきというような御意見が出された場合には、改め て皆様方に文書で御相談をさせていただきたいと考えております。  また、目標が決定された際には、皆様方に文書で御報告申し上げたいと思っておりま す。今後の予定は以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。それでは議事はこれで終了ということですが、事務局の方 からその他のことについて何かございましたら。 ○政策評価官  先ほどから御説明申し上げておりますように、本ワーキンググループで御意見を賜り たいと思っております内容といたしまして、本日御意見をいただいた目標のほかに、達 成すべき目標に対する評価がございます。資料4−1として、昨年2月に決定された「平 成19年度において社会保険庁が達成すべき目標」を配布させていただき、御説明を申し 上げましたが、この19年度の目標に対する実績の評価に当たりましては、来年度になり ましてから社会保険庁の業務実績報告の提出を受け、厚生労働省において実績評価案を 作成し、夏以降に本ワーキンググループにおいて御意見を賜りたいと考えております。  なお、実績評価につきましては、先ほども引用させていただきましたが、参考資料と いたしまして、18年度の評価についての資料を御用意させていただいておりますので、 後ほど御参照いただけたらと思っております。  次回のワーキンググループの日程につきましては、改めて事務局から御連絡させてい ただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございま した。 ○高橋座長   ということで次回は相当先になりますということで、また改めて御参集をいただくこ とになりますが、今日は以上で終了させていただきます。本日は非常にいい意見をたく さん頂戴いたしましてありがとうございました。それではこれで終わりたいと思います。 (終了) 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電 話: 03−5253−1111(内線7784)