08/02/29 『介護保険料の在り方等に関する検討会』第5回議事録 日時:平成20年2月29日(金)15:00〜17:00 場所:厚生労働省専用第18〜20会議室(17F) ○大澤介護保険課長  それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第5回介護保険料の在り方等にす る検討会」を開催をさせていただきます。  本日は大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本日の委員の出席状況についてでございますけれども、藤委員と南方委員につきまし ては、御欠席の御連絡をいただいております。  沼尾委員と森田委員は、それぞれ若干遅れられるようでございますので、会議の方は 始めさせていただければと存じます。  それでは、田中座長、よろしくお願い申し上げます。 ○田中座長  先生方、お忙しい中、ありがとうございました。  早速ですが、本日の議題に入ります。本日の議題は、大きなタイトルですが、「今後 の介護保険料制度について」となっています。  初めに、事務局から資料の確認と説明をお願いします。 ○大澤介護保険課長  それでは、まず、資料の確認の方をお願いいたします。座席表、議事次第の後に、資 料1−1は、アンケート調査結果の概要。  資料1−2は、アンケート調査結果報告書本体。  資料2は、横長でありますけれども、シミュレーション結果の概要。  資料3は、賦課単位(世帯・個人)等について。  参考1は、第3回に提出いたしました主要な課題案。  参考2は、前回御提出いたしました、これまでの御意見の整理。  参考3が、前回御提出いたしました定額制または定率制等についてということでござ いますが、不足はございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ○田中座長  ありがとうございました。  最初に、本日の進め方を御説明いたします。初めに、資料1、2について事務局から 説明いただいてから質疑を行います。その後、これが本題だと思いますが、資料3につ いて、質疑というよりは、委員の方々の御意見を伺う。最後に、資料3と、前回の定額 制、定率制といった論点を踏まえて、制度に関して議論していただく予定になっていま す。  初めに、資料1について、中身の説明をお願いいたします。 ○梶野介護保険課課長補佐  それでは、資料1を説明させていただきます。資料1−1と1−2とありまして、こ れは介護保険料の在り方について、全国の保険者にアンケートをしたものであります。 資料1−2が本体でありまして、1−1の概要の方を御説明させていただきます。  まず、調査時期は、19年9月10日から9月28日。対象者が全保険者で、1,697であ ります。そのうち回答が7割で1,203保険者となっています。人口規模別保険者内訳と いう表をごらんいただきますと、比較的人口規模が大きいほど保険料が高い傾向にあり ます。一直線ではないんですけれども、そういう傾向にあります。  次に、2として、主な集計結果。まず(1)の「現在の介護保険の賦課方式について の認識」ということで、「住民の理解を得にくい点も多く、問題があると思う」が44%、 「現時点では特に問題はないが、将来保険料負担が大きくなれば問題が生じてくると思 う」というのが46%で、「問題がある」「将来問題が生じてくる」というのを合わせま すと9割であります。「特に問題はないと思う」というのが10%であります。  保険者の人口規模別に見ますと、人口5万人未満の保険者では、「将来問題が生じて くる」という回答が最も多いのに対して、人口5万人以上の保険者では、「今、問題が ある」という回答が最も多いです。  この資料には載せておらず本体の方にありますが、「問題がある」というのが9割あ りますが、その理由としては、「世帯概念で住民の理解が得られない」というのが8割 ぐらいあります。それから、「税制改正で収入が変わらないのに保険料が異なる」とい う、そもそも議論してきた問題ですけれども、それが7割ぐらいあります。それから、 「基準額が上昇してきますと低所得者の負担が大きくなる」というのが6割ぐらい。問 題があると考えている理由としては、大体そのような回答が多かったです。  それから、2ページ目。(2)として、「現在、非課税層の負担軽減を図るため世帯 の課税状況を用いていることについての認識」につきましては「世帯の課税状況を用い るのは適切ではない」というのが63%。一方、「やむを得ない」というのが33%。  (3)の「現在の賦課方式(段階別定額制)を見直すべきかどうか」は、「見直すべ きである」が52%。「現行のままでよい」が47%であります。  人口規模別で見ますと、3万人未満の保険者では「現行のままでよい」という回答が 最も多いのに対し、人口3万人以上の保険者ですと、「見直すべきである」という割合 が多い傾向にあります。  それから、「見直すべきである」というのを選択した保険者について、見直すべきで ある理由としては、「現行の段階別定額制には問題が多い」が一番多くて58%。「後期 高齢者医療の保険料が定率+定額制ですので、そういう制度を採用した方が住民にもわ かりやすいから」というのが46%。「今後、保険料が上昇していくことを考えると、段 階別定額制ではもたないから」というのが42%です。  それに対して、「現行のままでよい」というのを選択した保険者の賦課方式が現行の ままでよいと回答された理由につきましては、「多少の問題はあるものの住民の理解が 得られている」というのが最も多くて63%。2番目は、「賦課方式を変えると住民に混 乱が生じる恐れがある」、3番目として、「電算処理システムの改修経費の負担が大き くなるから」、4番目として、「住民への周知、所得把握など市町村の事務負担が大き くなるから」というのも結構回答が多かった。それから、「住民の間に定着しており、 特に問題はないから」というのが14%ということであります。  それから、3枚目。(4)の「賦課方式を見直すとした場合、妥当と思う見直し方法」 ということで、まず、全保険者が母数として見た場合は、「現行の段階別定額制の拡大」 が46%。一方、「定率制+定額制あるいは定率制のみ」というのが41%です。  この回答のうち、先ほどの質問に「現在の賦課方式を見直すべき」というふうに回答 した保険者を母数とした場合で見ますと、逆転しまして、「定率制+定額制あるいは定 率制のみ」が67%になります。「段階別定額制の拡大」は25%。  これを人口規模別で見ますと、人口10万人未満の保険者ですと、「現行の制度の拡大」 と回答した保険者が最も多いですけれども、人口10万人以上の保険者ですと、「定額制 +定率制」という回答をした保険者が最も多いということであります。  最後に、(5)の「介護保険料の賦課方式を見直した場合、国が方針を決定してから、 住民への周知や電算処理システムの改修など、必要な準備期間」につきましては、「お よそ2年程度」というのが66%で最も多かったということであります。  このアンケート調査結果は本体の資料1−2ですけれども、三菱総合研究所の御協力 を得てまとめた資料であります。  以上、簡単に説明させていただきました。 ○田中座長  ありがとうございました。では、ただいまの説明についての御質問、御意見、読み方 についての質問でも結構ですし、表を読んでの御自分の見解の表示でも結構です。お願 いいたします。  どうぞ、駒村委員。 ○駒村委員  これは事実なのかどうなのか教えてもらいたいんですけれども、このアンケートのサ マリーの資料1−1の2ページの下から2行目ですけれども、4月から75歳以上には後 期高齢者医療制度が始まるわけです。範囲は違うわけですけれども、そことの関係で所 得捕捉というのはある程度進むというか、やらざるを得ないわけですので、何か新たに 別途そういう負担が、所得捕捉がしづらい、あるいは事務負担が出るというのは、そう いう認識をしてもよろしいんでしょうか。適用対象が違うということは考慮しながらも、 それとも新たなコストはそれほどではない、という理解でいいんでしょうか。 ○梶野介護保険課課長補佐  詳しくは保険者の方の委員から御意見を伺いただければと思いますけれども、基本的 には、まず、75歳対象になっているのが65歳になりますので、被保険者数が大分増え ます。それから、システムで言いますと、所得捕捉は今も毎年しているわけですけれど も、その後、把握した所得を基に、どういう保険料額なのかという、計算するシステム が全く違います。後期高齢者医療のシステムと似ていると思いますけれども、都道府県 単位である広域連合でやっています。介護の保険者は市町村単独ですので、そのままそ ういうふうに持ってこられるのかどうかとか、そういう問題がありますね。少なくとも 今の制度ですと、所得を捕捉して、更に課税か非課税かという情報もいただいてやって いますけれども、今後は全く別な制度になります。いずれにしても市町村レベルで見ま すと、今のシステムをほとんど変えて、新しいシステムを導入する。それが都道府県単 位でやっている広域連合のシステムをそのまま使えるかどうかというところは、今後調 べていきたいと思います。 ○田中座長  今の点、実態はいかがでしょうか。 ○森田委員  65歳以上の所得の把握ができていない方をどうやって把握するのかという問題です が、75歳以上の方は、この4月から始まります後期高齢者医療で7割・5割・2割とい う法定軽減の制度が国で制度化され、全員所得を把握しないと仕事が回りませんので、 これは後期高齢者医療の事務の中で把握が可能です。広域連合が保険料を計算しますか ら、そのデータは広域連合が持っているのですが、もともとは、それぞれ市町村が持っ ているデータを広域連合に渡すという形になっていると思います。  あと、65歳から74歳までの前期高齢者の所得把握はどうするのかという問題が残る んですが、この年齢の8割近い方は国保に入ってらっしゃいますので、市町村が国保保 険料を計算するときに、同じ法定軽減の7割・5割・2割があります。制度の問題はい ろいろあるかと思いますが、これは既に所得把握を一応やっていますので、そのデータ は持っています。  そうすると、残るのは65歳から74歳の2割ぐらいの、健保に入っている方ですとか、 そういう方が中心になると思いますが、今、かなりの部分が社会保険庁から年金の情報 はいただくシステムになっていますので、少なくとも年金以外のデータになると、これ はまた税の方からもらわないといけないですけれども、税申告の要らない程度の少額年 金の方の年金情報は社会保険庁から各市町村に送られますので、既存の範囲でかなりの 部分の所得把握は今、既に確保されているという認識でおります。 ○田中座長  何か付け加えることはおありですか。 ○森岡委員  補足状況は概ね一緒です。 ○田中座長  よろしいですか。 ○駒村委員  ということは、42%はこうおっしゃってはいるものの、把握については、それほどコ ストがかかるというわけでもないということですね。わかりました。 ○田中座長  制度に納得するかどうかの話とは別で、把握はできるという感じですね。 ○森田委員  はい。 ○田中座長  ほかの質問、あるいは御意見いかがでしょうか。  菊池委員、お願いします。 ○菊池委員  1で何を回答したかで、2以下がそれぞれどういう回答をしているのかという部分で のクロスというか、印象的に言いますと、今、既に問題を認識しておられるところは見 直すべきだという方に傾いていて、現状は問題ないと考えておられるところは、見直す としても、現在の方式を修正する形でという、そういう印象を受けるんですけれども、 そういうクロスの明確な数字というか、そういった印象で正しいかどうかという辺りは どうでしょうか。 ○田中座長  2の(1)の答えに応じて、ほかの問いの答えがどうなっているかのクロス集計があ りますかという質問です。 ○梶野介護保険課課長補佐  2の(1)で「問題がある」と選んだ方のクロスですね。本体の資料1−2の43ペー ジで、項目間のクロスの一部を紹介させていただいていますけれども、2の(1)でク ロスをかけたものはないので、次回、調べてお出ししたいと思います。  ちなみに、43ページは、賦課方式を見直すとした場合、どういう方法がよいかという 場合に、「現行のままでよい」を選ばれた方は「定額制の拡大」、「見直すべきである」 という方が「定率制+定額制」という方が多いというのはあります。「問題がある」と思っ ている方が「見直すべき」という意見が多いかというのは、次回お示ししたいと思います。 ○田中座長  元データがあるから、見直せばできるはずですので、お願いします。2つ、いずれも 大切な点、改定の質問がありましたが、1つは答えていただいて、1つは次回というこ とになりました。  次に、資料2についても事務局から説明をお願いします。 ○梶野介護保険課課長補佐  それでは、資料2の、今度はシミュレーションの方を御説明させていただきます。  まず、何をシミュレーションしたかということでありますが、現行の段階別定額制を 定額制+定率制にした場合に、個人のミクロベースでの負担がどう変わるのかとか、そ もそも仕組めるのかどうかとかを分析したものであります。  まず、1ページ目。対象とした保険者ですが、4保険者であります。この4保険者の 選定方法は、基本的にデータの提供の御協力が得られた保険者についてとりあえずシミ ュレーションをさせていただいたというものであります。御協力をいただいた保険者の 特徴として、表にありますように、40万人以上とか30万人以上とか、規模の違いがあ ります。それから、保険料額は、基本的には4,000円台であります。ただし、最高段階 額が2.0というふうになっているのがABCでありますけれども、Dは1.5という標準 の基準になっております。  ここには書いてありませんけれども、特徴として、A保険者、B保険者は非課税者の 方が比較的少ないです。市町村民税が課税されているか、非課税者かということでは、 非課税者の方が平均よりも少ないです。C保険者、D保険者は、平均と比べると非課税 者の方が多い。どちらかというと、低所得者の方が多い傾向に、たまたまこれはそうな っております。  それから、シミュレーションにおける変数というのが下に書いてありますけれども、 定額制+定率制にした場合に、変数が3つあります。  まず1つは、年金収入からどのくらい控除するかというものであります。今の国民健 康保険ですと、旧ただし書き方式というのを取っている保険者がほとんどでありますが、 153万円を収入から引いております。引いた額について賦課していく。それを80万円に 下げたり、ゼロ円に下げたりということをする。  それから、(2)として、かなり高収入の方に保険料をどこまで掛けていいかということ についてはいろいろ議論があり、国民健康保険でも賦課限度額がありますので、これを 現行の4,100円の2倍ぐらいの8,000円としたのがア、2,000円上げて1万円、1万2, 000円は3倍ぐらいの水準です。  それから、(3)の応能・応益割合ですけれども、今の国民健康保険も標準は50対50で、 これをそれぞれ4割や6割に変化させてシミュレーションしたものです。なお、このシ ミュレーションは今の第3期の18年度から20年度までの事業計画の制度をそのままシ ミュレーションしてみたというようなものです。  5ページ目のグラフがイメージでありまして、黒い線が現行の段階別定額制で、赤い 線が定額+定率制ということで、左から、赤い線が直線で定額がまずあって、途中から 定率も掛かる人がいる、賦課限度額のところでまた曲がるという線が大体イメージであ ります。  また2ページ目に戻りまして、この保険者、ABCDあり、基本的に標準は6段階で ありますが、7段階とか9段階とか、収入が高いところは区分が多い保険者もあるとい うことであります。  次に、3ページ。これが重要なシミュレーション結果の一覧であります。あとはグラ フが40ページにわたって付いているということで、3ページが基本的な資料であります。  まず、いろいろなパターンを6つ紹介させていただきますけれども、全般的な傾向と しては、第3段階という比較的所得が低い方の保険料は下がる傾向にあります。先ほど の5ページの絵でもごらんいただけますように、比較的所得が低い方、第3段階は保険 料が下がります。一方、所得が比較的高い方の保険料は上がる傾向にあります。個別に、 パターン4とかパターン6とかは、第1段階とか第2段階という、一部低所得者がちょ っと増えるところもありますけれども、総論としてはそういう傾向にあります。  それから、先ほどの5ページは単身の場合で見ておりますけれども、7ページを今度 ごらんいただきますと、これは夫婦世帯で見たものであります。7ページの下のグラフ でありますが、第4段階と書いてありますのは、基本的に専業主婦モデルとした場合の、 専業主婦の妻の方のイメージでありますけれども、この方は夫が課税の場合は保険料が 今、1.0が課されておりますけれども、これが0.5まで下がるという特徴があります。 ここが結構下がるというような特徴があります。これはパターン1からパターン6まで、 大体全般的に、総論としてそういう傾向にあります。  次に、個別に、パターンごとに説明させていただきますけれども、3ページ目に戻り まして、パターン1というのはオーソドックスなパターンでありまして、1の控除額が 国保の旧ただし書き方式ということで153万円、それから賦課限度額は平均の約2倍、 応益と応能の比率は50対50というパターンでシミュレーションしました。この表の下 に書いてありますが、応能のところについて、Aが3.2%、Bが9.2%、これは定率の数 字でありますけれども、CとDが不均衡ということで、この設定では組むことができな いということで、パターン1では難しい。  次に、パターン2です。赤字のところで、賦課限度額を8,000円から1万円に上げま して、比較的所得の高い方からもっと増やして取るというパターンであります。この場 合は、CとDの保険者は均衡するんですけれども、応能の定率部分が、Cが8.5%、D が17.76%ということで、高い数字になっています。  実際、イメージで見ていただくために、13ページの赤い線を見ていただきますと、真 ん中の定率の角度が非常に急であるため、収入がちょっと変わっても、保険料額が急に 増えるということで、これは現行制度が抱えている問題と似たような問題が出てくると いうことですので、均衡したからといって、定率が高いとなかなか難しいということで あります。  ちなみに、4ページ目に、今の国民健康保険と後期高齢者医療の保険料率を紹介させ ていただいているんですけれども、ここで太字で、まず、国保の所得割率は平均で7.36 %であります。それから、後期高齢者医療の所得割率が6.53%から9.63%という予定で あります。これと見ましても、Dの17%というのは非常に高い数字になっていまして、 なかなか現実的でないおそれがあるということであります。  3ページにまた戻りまして、それでは、今度、賦課限度額を3倍の1万2,000円まで 上げますとどうなるかということでありますけれども、Dの定率の部分が9.54%まで下 がります。これは先ほどの後期高齢者医療保険料の最も高い数字に近い数字になってい るという水準であります。  今度は真ん中の応能応益割合を変更した場合ということで、パターン1から、応能応 益の部分を40対60にした場合であります。この場合は、Aにおいては定率部分がパタ ーン3よりも低くなるんです。応益部分が高くなっているということは、低所得者から 徴収する額が増えているということでありますので、下がる効果があります。ただ、C は14%ということで、高い水準になります。それから、Dは均衡しません。このパター ンですと、第1段階の生活保護の段階、それから第2段階という基礎年金80万以下の段 階について、負担も上がるということで、なかなか難しい制度になっております。  今度は下の控除額を変更するということで、旧ただし書きの153万円というのを80 万円に変化させたのがパターン5であります。控除額を80万円に下げるということは、 153万から80万の方は、定額だけではなくて、定率もかかってくるということでありま すので、応能の数字を見ていただきますと、Aは1.88%、Bは2.96%に下がる。Cも4. 32%、Dは4.89%ということで、今までのパターンの中ではかなり下がることになりま す。  イメージで言いますと、33ページになります。33ページをごらんいただきますと、赤 い線が角度がついてきますのが、80万の第3段階の方からもう傾斜がかかってくるとい うことで、ここの第3段階の方が多いと、保険料の定率部分は下がってくるという特徴 があります。  それから、3ページの最後のパターン6でありますけれども、これは控除額をゼロに した場合であります。  何度も行き来して済みませんけれども、これは41ページがイメージでありまして、4 1ページのイメージをごらんいただきますと、第1段階は別として、第2段階から定率 も合わせて始まっているという制度であります。  結果としては、3ページ目にありますように、応能部分、定率部分というのが1%台 まで下がるということになりますけれども、第2段階という低所得者の保険料は上がる という問題があります。  以上、シミュレーションの概要を御説明させていただきました。 ○田中座長 以上6つのシミュレーションだそうです。絵の読み方の質問も含めて、御意見もお 願いいたします。  どうぞ。 ○駒村委員  比較のために教えてもらいたいんですけれども、資料の4ページの他制度の後期高齢 者医療についての方は、控除と上限というのはどういうふうな設計になっているんでし ょうか。 ○梶野介護保険課課長補佐  済みません。調べますので、ちょっとお時間いただきます。 ○駒村委員  そちらも比較のために青い線をなぞって、後期高齢者医療制度と比べてどうなのかと いうのを見てみたかったのと、あと、75歳以上は天引きで2つ負担をすることになるわ けです。たしか、2つ合計すると年金の半分を超えてしまう人は天引きではなくて納付 になるんだというお話でしたけれども、現状どうなのかというのもあると思いますけれ ども、このまま放置すると、半分以上という人が増えてくるのか、今、半分以上という 人は本当にいるのかどうなのかというのも、もしわかれば教えてもらいたいんです。 ○梶野介護保険課課長補佐  わかりました。今の御質問については、次回、出させていただきます。 ○森田委員  国保は、旧ただし書き方式ですと153万引くので同じだと思います。後期高齢も153 万で旧ただし書き方式ですから、一緒です。上限は、国保は国の基準で、今、年間で56 万円だったと思います。別途、40歳以上の方は、介護分が9万円足しますけれども、基 本的には56万です。後期高齢者は1人ずつで50万です。 ○駒村委員  全国一律で50ですか。 ○森田委員  いえ、国の上限が50なので、下げることは可能です。 ○駒村委員  わかりました。 ○田中座長  どうぞ。 ○梶野介護保険課課長補佐  前回の資料の資料7に制度を比較したものがありました。基本的には今、森田委員が おっしゃったとおりです。 ○田中座長  駒村委員が言われるように、介護保険料だけの世界ではないので、医療側と総体とし て見ないと高齢者の生活は把握できないですね。改めて資料を確認して、両方を見て判 断する必要があると思います。  どうぞ、菊池委員。 ○菊池委員  私は数字には弱いんですけれども、理論的なお話として、応能応益を、パターン4を 逆にすると全然成り立たないんでしょうか。というのは、理屈の問題として、この会議 でも議論が出たと思うんですけれども、まさに低所得者の負担能力をどう軽減する、あ るいは配慮するかということで、国保にしても、恐らく後期高齢者医療にしても、定率 制、定額制をセットにして、定率の部分で負担できない、負担能力がないという場合は 軽減措置を取る。それを税にするか、保険料で賄うかというのは、これはまた別の問題 ですけれども、そういうふうに2段階でやっています。シンプルに考えると、定率の部 分をもっと低くして、定額の割合部分を厚くすれば、ある意味で定率で賄えない、負担 できない方に更に軽減措置を講じるという余地を余り考えなくてもいいかもしれない。 理論的な問題ですけれども、ということで今ちょっとお聞きしたんです。 ○田中座長  どうぞ。 ○梶野介護保険課課長補佐  応能の部分を逆に60%にするということですか。 ○田中座長  シミュレーションで言うαですね。αがここにはないので、それはどうかという質問 ですね。 ○梶野介護保険課課長補佐  そうしますと、B保険者も均衡しなくなります。賦課限度額が8,000円で、153万円 というただし書き方式で、応益を40にして応能を60にしますと、結局、比較的所得の 低い方からも保険料を取れなくなりまして、Bの保険者も均衡しなくなります。それか ら、例えば、賦課限度額を1万円とか1万2,000円に上げていきますと、だんだん均衡 していきますけれども、応能の部分はここで出している数字よりかなり高い数字、率に しないと、なかなか難しい。 ○菊池委員  それは、高所得者にかなり負担が集中してくるということでしょうか。 ○梶野介護保険課課長補佐  はい、そうです。 ○田中座長  どうぞ、沼尾委員。 ○沼尾委員  先ほどの資料1と資料2を拝見して思ったことなんですけれども、単純に市町村とい っても、大規模な50万人以上の都市と小規模の町村とで抱えている状況は違うようです し、国保でもそうですけれども、大規模の都市では定率に変えた方がいいという意見が 多く、農村部などでは、このまま定額でいって、段階をブラケットをつけた形で維持し てほしいというような意見が多いということだとすると、同じように給付というか、総 額のうちの一定割合を負担する負担の在り方についても、地域地域の状況によって、何 が望ましいか、何が一番その地域で合意を得やすいかということが異なってくるんでは ないかと思うんです。  ただ、そうは言っても、それぞれの地域ごとにまちまちで、自由に保険料を決めてく ださいというわけにもいかないと思うので、どういうふうに標準的なものを定めるかと いうことになってくると思います。そのように考えたときに、今回、仮にシミュレーシ ョンで定率のものを出したときに、どこまでをナショナルな規定として設けて、どの部 分を市町村というか、保険者の裁量で調節できるようにするか。現行制度で言えば、6 段階の上の部分については自由につくれるという方式だったと思うんですけれども、今 回の、仮にこの定率方式を考える場合に、では、上限の設定のところは、例えば、引下 げはできるけれども、引上げはできないというふうにするのかとか、あるいは応益の部 分についても多少いじれるのかとか、その辺りの組込み方によって、どの方式を採用し て、その基準の値をどこに設けるかというのは変わってくるんではないかと思うんです。  恐らく保険者としては、例えば、上限の設定でいくと、国で決まっているものよりも 上げるというのは、恐らく地域としては合意が得にくいだろうけれども、国基準で定め ているのよりも下げるということは恐らく合意が得やすいのではないか。そうだとすれ ば、例えば、シミュレーションでは、8,000円と1万円の基準をつくっていますけど、 標準値としては、気持ち高目に設定しておいて、でも、下げることもできますというふ うにする方が合意が得やすいのではないか。その辺りのことを含めて、裁量をどこまで 働けるような制度にするかということとの兼ね合いでここの数値を決めていくことが、 国のルールをつくる上での1つのポイントなのかなというふうに思いながらお話を伺い ました。 ○田中座長  ありがとうございました。これは御意見ですね。要は、1個でも不均衡があると、そ の案がだめとするのか、そこは緩めれば、大枠を決めていれば、その市町村だけ違う制 度を取ればうまくいくのだったら、全部が均衡する案は、かえって、もしかすると悪い 解かもしれないですね。そういうことを含めて言っていただきました。  どうぞ、お願いします。 ○台委員  賦課限度額の考え方についてなのですが、先ほど御紹介のあった他制度との比較で言 うと、国保で56万円、これは年額です。後期高齢者の案で50万円。私の理解が間違っ てなければ、例えば、介護の場合に、今の案で1万2,000円というものに12を掛けると 14万4,000円、そのぐらいのオーダーになると思います。自分の不勉強をさらすようで なんですけれども、そもそも賦課限度額というものはどういう考え方で設定すべきなの でしょうか。  例えば、被用者保険の標準報酬の上限は、対象者が被保険者数の中で何%ぐらいか、 そういう見合いで設定しています。それがいいかどうかは別として、一定の哲学があっ て設定を行い、それを適宜見直すというやり方が取られているわけですが、そもそも、 こういう医療、あるいは介護についての賦課の限度額を幾らに設定するかということに ついて、今、別にお答えは求めないんですけれども、いわば哲学を考える必要があるの かなというふうに、これは感想めいたことになりますけれども、そういう印象を持ちま した。 ○田中座長  ありがとうございました。 ○台委員  もし何かあれば。 ○田中座長  では、どうぞ、お願いします。 ○梶野介護保険課課長補佐  定かではないんですけれども、国民健康保険、それから後期高齢者医療、年金もそう だったかもしれませんけれども、先ほどおっしゃられたような、対象者数の一部のよう な考えだったと思いますけれども、そこはいろいろ御議論があると思いますので、調べ まして、次回、資料を出したいと思います。  ここは、まさにおっしゃられているとおり、国民健康保険が50何万なのに、このシミ ュレーションでは1万2,000円で、年間で言うと14万円です。なぜこの数字を前提とし て使ったのかと申し上げますと、今の介護保険料の標準が1.5倍なんです。所得の高い 方は、基準の1.5倍。2.0とかにされている保険者もあります。そうしますと、制度を 変更したときに、余り高いですと、急激に、所得の高い方の保険料が上がります。それ で、今と余り変わらない2倍ぐらいの8,000円、1.5を採用している保険者にとっては、 それでも上がりますけれども、そういう考えでこの数字を採用させていただきました。 ○田中座長  実態の答えはそういうことであり、しかし、もっと哲学的に考えよ、が台委員の意見 ですね。ありがとうございます。  どうぞ。 ○駒村委員  今の御意見にも重なると思うんですけれども、やはり高齢者向けの保険の取り方につ いては、保険の性格から、5対5の比重は出てくるかとか、あるいは控除の範囲も、そ こから出てくるものがあるのかどうなのか、上限もあるものかどうなのかという、基本 的な考え方を一回整理した方がいいんではないかと思います。ケース・バイ・ケースで、 これはこう、あれはこうというふうにやっていっても、非常に複雑になっていくような 感じがします。  それから、もう一つ、先ほどのAからDの保険者について、これはシミュレーション であり、データを出してくれた保険者分しかできないわけですけれども、特定の分布か らできたシミュレーションですから、分布形状が違えば結果も違ってきますので、これ を見ている自治体が、自分たちで考えることができるように、難しいことでなくても、 分布の絵でもいいので、示したほうがよいと思うんです。そうすると、自分の自治体は こういう分布に近いなというので、ABCDの絵を見ながら、うちはこの部分の比重が 大きいからというのを考えるということもあるかと思いますので、差しさわりがなけれ ば、ABCDの匿名のままでもいいと思いますので、どういう分布の自治体でシミュレ ーションを組むとこうなるんだというのは教えてもらえればと思いました。 ○田中座長  どうぞ。 ○梶野介護保険課課長補佐  それは次回、保険者と調整し、回答します。 ○田中座長  第何段階に何%いるかですね。 ○駒村委員  そうですね。 ○田中座長  そのくらいは隠すようなタイプのことではないと思うので、前向きに検討してくださ い。  今、駒村委員の言われた、厚労省の行っているほかの制度との整合性ですね、特に大 枠について、基になる哲学は同じでないと、制度ごとにアドホックで決めるのはかえっ てよくないのではないか。それと、あと1点、さっき出ました市町村ごとのある程度の 自由裁量との組合せはあり得るのかもしれません。ベースの哲学が違ってはいけないと の指摘は大変重要だったと思います。  このグラフの、第何段階とは、正確な図ではなくてイメージ図ですか。 ○梶野介護保険課課長補佐  それぞれ、5ページ以降、数字は正確なものであります。 ○田中座長  定規で測るとパーセンテージは出るわけですね。 ○梶野介護保険課課長補佐  そうですね。黄色の文字が率です。絵と絵を比べますと、若干ずれるところはありま すけれども、基本的には大体こういうことです。 ○田中座長  でも、それよりも数値をもらった方がいいですね。他方、グラフはイメージがなかな かよくつかめます。赤い線にすると、どの段階が下がって、どの段階が上がるか、パタ ーンによって、だれが影響を受けるかの違いが非常に、グラフはわかりやすくなってい ます。 ○駒村委員  済みません。更に応用というか、今後の課題かもしれませんけれども、現行制度では 許されていないと思いますけれども、例えば、介護保険の保険料の徴収の設計なり控除 なりのルールを75歳を境に少し切り替える。そういうことをやって、負担できる範囲で というように調整する。今は、同じ自治体の中で途中で変えるということはできないで すね。それはコストの問題もあるかもしれませんけれども、年金の方の問題もあります ので、そういうことも選択肢としてはあるのかなと思って聞いておりました。変なアイ デアかもしれません。 ○田中座長  もしかしたら介護保険法改正が必要な話かもしれないので、そう簡単にいかないと思 うのですけれども、理論的には考えてもいいことですね。今回の答えにはなりようがな いでしょうが、ありがとうございます。  応能応益を分けると、要するに、配偶者が専業主婦的な立場にあると保険料が下がる、 当たり前ながら半分になるわけですね。そこがかなり大きな影響として挙げられますね。 森田委員、森岡委員は、このシミュレーションをごらんになっての感想はいかがですか。 ○森岡委員  私の町では、この中のD保険者のところに該当するのかなということで見せていただ いています。いろんなパターンございますけれども、結果、可能性のあるのは、パター ン5の部分なのかなと、思っております。あとは、負担上限をどこに持っていくのかと いうことで、高い設定にすればこのラインが若干緩くなるのかなという気はしますけれ ども、今の3倍のようにするわけにもなりませんので、今の保険料の2倍ぐらいのとこ ろで抑えなければならないのか、もしくは2.5ぐらいのところでないと、なかなか理解 が得られないのかなという気がして、今、見せていただいております。 ○田中座長  人口サイズからすると、パターン5のところに入る可能性が強い。 ○森岡委員  あとのパターンは、余りにも係数や傾斜が大きくなり過ぎますので、現実的にそうい うもので計算しても理解を得られないというような思いでおります。 ○田中座長  ありがとうございました。  いかがですか。 ○森田委員  神戸も同じで、この6つのパターンで言うと5のパターンぐらいで成り立つのかなと いう感じです。神戸は9段階でやっていまして、最高ランクは2.0で、月額9,400円ぐ らいをいただいているんですけれども、最高ランクに該当する方は2.7%なんです。  先ほど国保の56万円の上限が、どうやって決まっているのかという議論がありました が、ちょっとうろ覚えなんですが、最高限度額に達している人が何%いるかというのを 「たまり」と言っていまして、そこが3%か4%か、大体それぐらいの水準になるよう に限度額を適時適切に引き上げていくというような国保サイドの思想があって、医療費 が上がれば当然たまりの割合が増えていくので、順次限度額を上げないと、高所得者と 中間所得者層の負担の均衡が取れなくなるということがあって、引き上げているという ことだったと思います。医療が56万円で、介護が14万円というバランスについては、 当初、介護保険がスタートしたときは、医療ほどお年寄りはしょっちゅう使わない、要 介護になれば頻繁に使うんですが、ちょっと風邪引いて使うみたいな、お世話になる度 合いが違うということで、介護保険で50万とかは国民の理解が得られないだろうという ようなことがあって、それで制度スタート時は基準額の1.5倍ぐらいまでという、そん な思想があったと思います。  ただ、介護も要介護になると随分使います。最後の4年間ぐらい、べったり使います と、生涯使う給付費は医療より多い場合があると思います。ですから、そこをどう見る かということはあると思います。まだ総給付費というか、総費用で言うと、介護と医療 は全然桁が違いますから、そういうことから言うと、限度額は医療よりも低くていいん だろうと思いますし、この例で、大体2〜3%が限度額に達する人であれば、高齢者の 中の一番お金のある、100人のうちの3人ぐらいということだと、国民の理解も得られ るのかなということだと思います。そこは思想があるのかないのかよくわからないです が、バランスの問題というのはすごくあるような気がします。 ○田中座長  思想と同時にそういうバランス感覚も制度運営上は大切なのでしょうね。今の発言は そういう説明でした。ありがとうございます。 ○駒村委員  今のお話を聞くと、リスク、あるいはコストの構造を少し考えて制度設計をしていか なければいけないわけです。高齢者の場合、75歳以降、どういうリスクなのか、あるい はコストの発生の仕方かというのと、それから、介護の方も、多分、75歳ぐらいから発 生確率が不連続に大きくなっていくはずですし、コストもまたちょっと違っていると思 いますので、そういう意味で、応益応能の負担割合も含めて、その性格に合ったような 理屈づけがないといけないなと、今、お話を聞いていてそう思いました。 ○田中座長  そのとおりですね。考え方の基礎資料として、シミュレーションは大変よくできてい ると思います。御苦労さまでした。ありがとうございます。  これで大体前半は終わりまして、後半は委員の方々の意見を伺うところが主になりま す。では、そのたたき台、材料を説明してください。 ○梶野介護保険課課長補佐  それでは、次に、資料3の前に、参考資料1でありますけれども、「今後検討すべき 主要な課題」という1枚紙の1の(2)の「個人単位か、世帯単位か」と、その周辺の資 料を御説明させていただきたいと思います。  参考資料2の「これまでの御意見の整理」という資料の3ページ目を御紹介させてい ただきます。3ページ目の下の方の(2)のところであります。  今までどういう御意見があったかと申し上げますと、まず1つ目、基準額が本人非課 税・世帯課税という要件になっていますので、世帯分離が増加していると言われている。  それから、世帯というものをどう考えるかというのが非常に重要。被保険者側の選択 で賦課のされ方がかなり変わってしまうというような制度の在り方をどう考えるか。  それから、現行制度は、収入が年金のみの世帯など、いわゆる逆転現象が生じるケー スが考えられる。これは後で御説明します。  次に、4ページ目ですけれども、個人単位での保険料賦課にもかかわらず、その算定 に当たって世帯概念を入れていることについて、非常に説明しにくいし、市民から理解 されにくい。これは先ほどのアンケートでもこういう御意見が多くありました。  次に、賦課単位として、生活というのは世帯で成立しているわけだから、そういう賦 課単位の実態が、今起きているような世帯分離など、個人のさまざまな選択に中立的で はない影響を与える。  次に、統計的に有意なほど逆転現象が起きているとか世帯分離していると言えない限 り、エピソードがあるから制度を全部変えろというふうに一般化したくはない。  それから、世帯概念を取り入れない場合は、現在問題とされている逆転現象は起きな いけれども、30%しかない課税者に与える影響は大きく、現行の負担率の見直しを行わ ない限り現状とほとんど変わらないのではないかということです。  次に、本資料の資料3を御説明させていただきます。「賦課単位(世帯・個人)等に ついて」ということで、1枚おめくりいただきまして、現行制度で、世帯概念は2種類 の意味で入っております。  1番目は、繰り返しになりますけれども、現行の保険料制度のどこに世帯概念が入っ ているかにつきましては、第2段階と第3段階は世帯全員が市町村民税非課税です。そ れに対して真ん中の第4段階は、本人は非課税ですが、世帯に課税者がいるということ であります。5段階、6段階は本人が課税されているということで、3と4の切り分け のところに世帯概念が入っています。  それから、(2)ですけれども、世帯主の連帯納付義務というのがありまして、普通徴収、 つまり、年金から天引きされない方の保険料の納付義務者は、徴収の確実性を期すため、 世帯主、配偶者の一方に連帯納付義務というのが課されております。  次の2ページ目は、文字がたくさん書いてありますが、なぜこういう世帯概念が入っ ているかということを説明したものであります。  まず、1つ目の○は、そもそもの介護保険制度の基本的な考え方が書いてあります。 2行目では、「高齢者の自立を支援するという基本的な考え方に立って、措置制度から社 会保険制度に介護保険が転換しました」。ですので、2段落目に、保険料の賦課・徴収、 保険給付の取扱いについては、高齢者個人ということが適当という考えで、基本的には 個人単位であったわけであります。  3番目の○ですけれども、ただ、段階別定額制にした主な理由は、前回提出した資料 を今回も参考資料3としてお付けしておりますけれども、なぜ段階別定額制にしたかと いう理由は、5つ書いてありました。主に2つありまして、まず、できる限り低所得者 にきめ細かい配慮をしたかった。それから、市町村が保険料賦課をするに当たって、可 能な限り新たな事務負担が生じないようにするということが要請されたということであ ります。  その際、市町村民税が課税されているか、非課税かという切り分けで設定しましょう というふうに考えた場合、高齢者の方なので、非課税者が4分の3いた。そうしますと、 4分の3の方がみんな同じ保険料になりますので、それを更に既存の情報を前提として 区切るとするならば、世帯に課税者がいるか、いないかということで切り分けたという ことで、個人単位の原則を一部修正して、世帯の保険料負担能力を加味して、世帯非課 税者、世帯の方がすべて非課税者の負担を更に軽減したというのが先ほどの1個目の方 の理由であります。  それから、次の○は、2個目の連帯納付義務の方の説明でありますけれども、個人個 人で見た場合には、無年金者の方などもいますので、本人自身の所得では保険料が払え ないというような状況もあります。その場合、保険料を納めていただかないと給付がで きません。だからといって介護保険の適用除外とするというのは適当でないですので、 世帯全体でそこは見ていただきましょうという考えで、個人単位を原則とするほかの社 会保険制度でも、補完的な位置づけとして、こういう連帯納付義務を課していますので、 介護保険料についても、ここは世帯概念が入っているということであります。  最後ですけれども、介護の負担につきましては、本人だけではなくて、家族の方も軽 減されるということがあります。そういう考えもあるということであります。  次に、3ページ目。現行制度について指摘されている問題点であります。先ほどもあ りましたように、まず1つは、逆転現象ということで、この表にありますとおり、世帯 Aは、世帯としては230万円ということであります。世帯Bは、世帯としては220万円 ということで、低いわけでありますけれども、結果として、夫と妻の収入の配分によっ ては、世帯Bの方が保険料が高いということがある。  それから、2点目として、世帯分離を増加させているという指摘もあります。  3番目は、個人単位での賦課と説明しつつ、世帯概念を用いているというのが住民に わかりづらい。  それから、4ページ目。他制度の例であります。まず、国民健康保険料ですけれども、 これは世帯単位で賦課しております。低所得者の軽減につきましても、世帯単位で行い ます。その考え方ですけれども、国民健康保険法は古い制度で、当時の考え方としては、 国保の医療給付という受益が所得のない家族被保険者にも及ぶということで、それは結 局、世帯全員の経済効果となってあらわれて、主たる生計維持者である世帯主にも帰属 するという考え方であります。  それに対して、20年4月から導入される後期高齢者医療は、個人単位で賦課しており ます。考え方は、公的年金制度の充実や成熟化に伴う近年の高齢者の経済的、社会的自 立を踏まえ、また、世代間、世代内での負担の公平化という観点から、高齢者一人ひと りに保険料を負担していただくということであります。  ただ、低所得者につきましては軽減制度がありまして、これは世帯単位で所得を見て 初めて軽減するという制度であります。  5ページ以降は関連の条文になりますので、説明は以上であります。 ○田中座長  ありがとうございました。では、ただいまの説明と、参考資料2に載っている前回の 議論を踏まえて、この点についての御意見をちょうだいしたい。それぞれの学問的なお 立場でもいいですし、自治体の経験からでも結構です。更に議論を深めたいと存じます。  どうぞ、お願いします。 ○菊池委員  私は結論的には個人単位で考えていくべきだという考え方なんですけれども、大きな 流れで世帯単位から個人単位という、社会保障において、給付と拠出の単位の大きな流 れとして言われますけれども、すべて個人単位化するというのは、理論的には可能であ っても、余り現実的ではありませんし、何から何まで個人単位で考える必要もないと思 うんです。  ですから、保険料徴収に関して言えば、現行制度についてという資料3の1枚目の(2) の方の、徴収の便宜等を考えて、世帯主に連帯納付義務を課すとか、あるいは世帯単位 で生計を一にしているわけですから、基礎的な生活単位において余りに負担が重くなる という場合に、世帯で見て軽減措置を図っていくということもあり得るかもしれないと 思うんです。医療で言えば、高額療養費にも世帯単位でという考え方が入っています。 ですから、何から何まで個人単位で割り切るということではないと思うんです。  社会保険について言えば、基本的には家族状況にかかわらず、少なくとも給付の本体 部分については個人に着目して給付を行う。自立支援法の方は、そこが必ずしもそうい う形になっていませんけれども、介護保険は、予防給付とか、そういうのはありますけ れども、基本的な部分では明確化している。  それから、負担の部分についても、一部負担金、利用者負担金の部分については、こ れはやはり措置制度からはっきり変えたわけで、それ以前は扶養義務者も含めた徴収だ ったわけですけれども、これは本人に着目して、原則1割負担ということで切り分けた。  同じく拠出の一環である保険料についても、基本的には個人、要するに、高齢者の自 立をサポートするという介護保険の理念から言って、拠出保険料についても個人単位で、 個人に着目して課していくというのが自然で、理屈の上ではすっきりすると思いますし、 先ほどの御説明の、なぜ現行の仕組みを入れたかという部分でも、1つには、現実的な 事情というのがあったということ、それ自体が大変重要だというのは承知していますけ れども、現行の仕組み自体が将来的に立ち行かないということであるならば、すっきり と保険料の徴収に関しては個人単位で考えていくというのが適切なのではないかと私は 考えています。 ○田中座長  ありがとうございました。どれにすると決める会ではないですけれども、それぞれの 方の御意見を一通り伺います。  どうぞ。 ○駒村委員  社会保険、個人単位か、世帯単位かというのは、現実には混ざって。 ○田中座長  現実は、原則どっちかで割り切れない。 ○駒村委員  そうです。きれいに割り切れない。それをもし何らかの形で整理すると、例えば、現 役の世代は働いているわけです。労働市場でお金を稼いで、一方でだれかが家事をやら なければいけないわけでして、これまで日本のシステムというのは、そこには役割分業 があって、あたかも夫婦が一体で経済単位、労働単位を形成していたわけでして、その 部分を評価するということで、3号分割制度みたいなものも出てきたわけです。  一方、スウェーデンみたいに完全に夫婦が別個に働くという仕組みの国になれば、こ れは完全個人単位でもいいわけですけれども、現在においては、日本の依然として多く は、働くということは今でも夫婦の役割分業が残っているわけですから、そこにおいて は世帯というのが「働く」ということの意思決定をしているんだと見ていいんで、世帯単 位で負担をしてもいいのかなと思います。  高齢期に入れば、働くという単位で夫婦が役割分業しているという状態ではなくなる わけですから、それぞれに対して年金収入・自分の収入が入ってきますので、そういう 意味では、個人単位に切り替えていく、原則個人単位なんだというふうに見ていく方法 もあるかなと思います。したがって、国保の人をどうするかでやや悩ましいところであ りますけれども、高齢期においては原則個人単位である。  そのうちで、消費行動については、最低額の限界の問題があるわけですから、世帯に 着目して、一定所得以下については、世帯に着目した減額制度というものも入れていく ということが整理できるかなと思います。これは経済理論的にうまくつくれるかどうか はまた悩ましいところですけれども、消費単位の適合性と、労働単位の適合性で、意思 決定なり、相互の役割分担の強さ、選択の一体性が異なる。このため、年齢によって保 険単位を見分けていくということはいいのかなと思います。ただ、将来的に、今の現役 世代が未来永劫世帯単位が正しいかどうかというのは、実態経済との見合いで決まって いくだろうし、そこに保険制度は適切に対応していくべきだろうとは思います。 ○田中座長  労働供給に着目した整理で、年齢によって分かれ得る。原則は個人単位だけれども、 減額という特例的なところでは世帯で入れていいのではないか、第3段階があってもい いのではないかとの整理ですね。ありがとうございます。  大学の授業みたいですけれども、順番に当ててしまいます。 ○台委員  個人単位か世帯単位かというのは、経済学の世界でも法律学の世界でも非常に大きな テーマで、私もいろいろ勉強していて、すっきりとこうだと言うことはなかなかできま せん。  多少ひねくれているかもしれませんけれども、この問題に関して、少し問題の立て方 を変えますと、そもそもなぜ、この問題が生じているかと言えば、まさに先ほどの横長 の資料の2ページにあったように、4分の3が非課税者である。ぼこっとそこが抜けて しまうと、残りの4分の1の人に非常に重い負担を課さなければならないというところ に問題の本質的な原因があると思います。  そうすると、これは課税か非課税かという立て方もできますけれども、より広く見れ ば、控除額を幾らにするかという問題であって、課税最低限のところまで行ってしまう のか、あるいは153万円にするか、80万円にするか、ゼロ円にするか、実はそういう問 題ではないだろうかと思います。  従って、非常に難しい見解を求められたので、逃げのような話ではありますけれども、 世帯か個人かと、それは全体的な流れとしては個人だとは思いますけれども、そこに力 こぶを入れる前に、まずは何万円控除するかを考え、結果的に賦課される人たち、ある いは定率で賦課される人たちが何割になるかをまず第1の問題として考えた上で、ただ、 さはさりながら、最後のところで駒村先生や菊池先生がおっしゃられたように、特に低 所得層に関して減免を設ける、その部分で使いようがあるのかなと思います。 ○田中座長  ありがとうございます。皆さん、原則はやはり個人だけれども、現実に即した対応策 はあり得る、それから、控除額によって、さっきの赤い線のグラフのつくり方は工夫で きますので、そこが調整の材料になるとのご意見ですね。ありがとうございました。  では、どうぞ。 ○沼尾委員  話がずれてしまうんですけれども、例えば、所得税の問題でも、よく世帯か個人かと いう話が出てくるんですけれども、租税か保険料というところでかなり違ってくるのか なと思いながらお話を伺っていました。  具体的にどういうことかというと、この介護保険の場合にも、一応、保険料だという ことであれば、まさにそれぞれ一人ひとりの人が保険制度に加入をして、それによって 介護が必要になったときに一定の安心が確保できる、参加していると、そのための保険 料だということであれば、それに対する一定の負担を行わなければいけないというよう な、いわば共通の安心を得るための1つの受益に対する負担という発想にたって、個人 単位で保険料を課すというのは十分あり得るだろう。恐らく、これで言うと、いわゆる 応益という考え方に相当する部分なんだろうと思います。  そうは言っても、もう一方で応能概念、能力に応じて負担をするという場合の応能を どういうふうに測るかというふうになったときに、先ほどの低所得者対策の話もそうで すけれども、一人ひとり、単身世帯で住んでいるところと、複数の家族で住んでいる場 合には、当然かかる費用というのも所得に対して違ってきますし、税などの場合でも、 日本の場合には今、個人単位の方向に所得税なども動いていますけれども、例えば、諸 外国などを見ましても、経費の部分でも、例えばN分N乗法とか、2分2乗法とか、あ るいは世帯で合算して、生活に必要な経費というのは、個人の2倍にはせずに少な目に 算定をするとか、複数で住んでいることでかかる経費が少ないだろうというようなこと も含めて、負担能力を測るような仕組みがいろんなところで導入されていると思うんで す。  そのように考えたときに、これは介護保険の性格をどう考えるかということにもよる と思うんですけれども、ある程度応能的な考えで課される部分については、世帯概念と いうのを部分的に盛り込まざるを得ないのではないかというふうに思います。そのよう に考えたときに、先ほど駒村先生もおっしゃっていましたけれども、例えば、低所得者 に対する減額賦課についての所得は世帯単位で見るというような形で、部分的に世帯単 位の概念を入れつつも、まず基本的な応益的な考え方に立って、個人単位で保険料を課 すというような仕分けが可能なのかなというふうに思っています。  ただ、先ほどのシミュレーションみたいに、ここが応益部分で、ここが応能部分だと いうふうになったときに、定率の部分だけ世帯単位にするかというようなことは、なか なか制度としては仕組みにくいと思うので、その辺りをどういうふうに整理していくか というのは今後の課題なのかなというふうに思いました。  以上です。 ○田中座長  世界の税制の動きも踏まえて言っていただきました。ありがとうございました。  では、自治体側の御意見も伺いましょうか。 ○森岡委員  現場の方で申しますと、3ページの方に書いてございますけれども、保険料の組合せ によって違ってくるというところが一番大きなところになりますので、やはりそういっ たことを解消する上でも個人単位で進むべきかというような考え方もしております。  それから、もう一つ、その下にも書いてございますけれども、世帯分離の関係でござ います。本来、同居されている方が、世帯分離というような手段を取られれば、それで 保険料が安くなるような話では、理解が得られない。実態を捕捉するというようなこと も少し難しい。言われたことをそのままやっていけば、世帯分離の形になります。です ので、世帯を分離すれば保険料が安くなるというような考え方は、概念があるからそう いうことになりますので、個人単位での賦課というのがいいのではないかと考えており ます。 ○田中座長  ありがとうございました。そこを奨励してはいけないとの指摘です。  では、森田委員、お願いします。 ○森田委員  やはりすごく難しい問題でして、流れで言うと個人単位の流れというのはあるんでし ょうが、特に大都市などで給付費が将来どんどん上がって、保険料の逼迫感が強くなっ たときに、自治体としては、できるだけ介護保険料を上げないように、負担できる方か らは無理のない範囲で御負担いただいて、全体の保険料を下げるという努力というか、 いろんなことを考えるわけです。それで多段階制で、8段階とか9段階とか、上の方を つくって、御負担能力のある方は払ってもらって全体の保険料を下げるということがど うしても働くわけです。  そうすると、個人単位でやった場合に、ここの3ページにありますように、逆転現象 のところで、世帯Bはたまたま御主人が220万で、妻がゼロなんですが、これが例えば、 御主人が500万あったらどう考えるんだということはあると思うんです。奥さんはゼロ なんだけれども、御主人が500万あったら、奥さんも少しぐらい払ってもらってもいい ではないかみたいな話が出てきて、だんなさんは500万あるけれども、奥さんは個人単 位で見るから、ゼロだから最低ランクだよというところです。そこをどう考えたらいい のかなというのは非常に悩ましい問題です。割り切るかどうかというところはあると思 います。  それと、お聞きしていますと、控除額をどうするかということでかなり連続的に調整 できるんではないかということもありますし、低所得者対策として、減額制度を設ける ときに、そこに世帯を入れるというのは、確かにそうだと思いますので、世帯単位の減 額という発想と、控除額をどうするかというのをうまく組み合わすと、かなりいい制度 ができるんではないかなという感じはちょっとしています。シミュレーションしないと わからないんですが、その2つがポイントかなという感じはしています。 ○田中座長  ありがとうございます。大体共通しているような感じがしました。ベースの理論は個 人単位とし、減額の話はあってもいい。連帯納付義務はやむをえない。あとは、台委員 と森田委員が言われた、最初に幾ら控除するかによって制度は変わってくる、うまく工 夫し得るとの御指摘ですね。おっしゃるとおり、500万対ゼロに分かれるときに、ゼロ はゼロでいいかと言われると、世間の納得は得られないでしょうね。  一通り言っていただきましたが、もう一言ありますか。なければこれで終わってしま います。事務局から先生方に、何かこれを聞いておきたい点はありますか。 ○大澤介護保険課長  今、世帯概念のお話が中心でしたけれども、前回のこの会議で御欠席の方がいらっし ゃったと思うんですが、その方々に、定額制、定率制についても何か御意見があれば、 この機会にお聞かせいただけると大変参考になります。 ○田中座長  ありがとうございます。前回欠席の方も何人かおられたので、世帯の話は大体、皆さ ん方の意見はわかりました。もう一つは、定額制、定率制、先ほどのシミュレーション にかかわることですが、どっちがいいかではなくて、組合せだと思うのですけれども、 これに関しても御意見をお願いしたいそうです。いかがでしょうか。さっきと同じで、 理論的にはこちらだけれども、現実はそうではなく組み合わせるとか、いろいろな答え になるのでしょうけれども、理論ははっきりした方がいいですね。定率、定額について、 いかがでしょうか。  どうぞ、お願いします。 ○菊池委員  余り理論的ではないんですけれども、ほかの制度がそういう方向だということで、そ れと全く違った徴収方法にするのは、一般市民の側からすると違和感がある、戸惑う、 混乱するというのもありますが、定額制だけでも、まさに拠出と給付の関連がある社会 保険制度にするのは難しい。かといって、定額制では現状の問題点が明らかになってい るわけですし、それは組み合わせるほかはないんだろうと思います。  私は個人的には、フローかストックか、何とかストックの部分も入れられないかとは 考えましたが、ここでの議論で、現実的にはそこは難しいんだという御意見がいろいろ 出て、私も、そこのところは相続のところで何かやっていくしかないのかなと思ってい ますが、基本的には定額、定率の組合せということしかないと思っています。  ただ、先ほども40対60か50対50という話をしましたけれども、どうしても定額部 分で負担能力を考えなければいけない場面が出てくるとすれば、ほかの制度では公費で 見ているんでしょうけれども、理論的には、それは公費を投入するのか、保険者という 単位で相互扶助という見地から、保険者内で、保険料で賄うのかという1つの選択肢が あると思うんです。ただ、その点については、傾斜配分して、更に高額所得者からそれ を補てんするというのは、ちょっとどうかなという感じもしまして、私は公費に傾いて はいるんです。  そこで、これはこの検討会の守備範囲を超えてしまうんですが、これも理論的には、 公費の投入をどう見るかということで、それは保険料の減額なんですけれども、私はそ こで負担能力がないというのは、これは所得保障の問題ではないかと考えているんです。 ですから、1つのあるべき方向性としては、介護保険というのは生活保護とリンクさせ た制度で、そこは国保と違うわけでして、それは生活保護をどう見るかという大きな問 題になってしまいますけれども、むしろ所得保障のニーズととらえて、公的扶助の側か ら公的な支援をしていくという選択肢もあり得るのではないかという気はしています。 ただ、それはこの検討会の守備範囲外になってしまいます。 ○田中座長  理論的に言えば、社会保険制度を補完するものとして、所得保障は別口で働いた上で、 こちらを検討して、理論的な整理を行うと、今言った組合せ方式がよろしいということ ですね。ありがとうございます。 ○駒村委員  私は前回出ていると思いますけれども、先ほどの話と同じです。個人単位で応益部分 と応能部分がある、特別な減額として世帯単位で着目する、個人単位の中に応益部分と 応能部分があるんだと、シンプルにそういうふうに思っております。  以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。前回欠席した人は意見を言わなければいけない義務がある ようですけれども、どうぞ。 ○沼尾委員  以前の議論のときにも話が出ていたかもしれないんですけれども、確かに定額制を定 率制に変えるというのは、基本的な方向としては私もどちらかというと賛成です。ただ、 それをやった場合に、これまで以上に、租税政策上、増減税が行われたということの影 響であるとか、景気動向であるとか、そういったものが保険料収入に一定の影響を与え る割合は高くなるんではないかということをちょっと懸念します。そのように考えたと きに、例えば、3年間前もって計画を立てて、保険料の収入というのを出すわけですけ れども、3年単位のサイクルで運営していくというやり方自体が非常に不安定なものに なる。要するに、予想どおりの保険料収入が得られなくなる可能性もあるので、そこの 部分の安定化の仕組みというのを別途考えなければいけなくなることを心配しています。  それから、先ほど菊池先生のお話にあったんですけれども、私も「そもそも論」からい くと、介護保険全体として公費の割合というのをもう少し増やしてもいいんではないか と思います。今日のシミュレーションを見ていても、例えば、幾つかのパターンの中で、 これだと不均衡で線が引けませんというような話があるわけですけれども、これから保 険給付額がどんどん増えていくということが想定されていて、そういう中で一定割合を、 その地域の65歳以上の高齢者で負担するという仕組みを大前提としたシミュレーショ ンだと思うんですけれども、それで実際にその地域の中で負担できるところはいいけれ ども、なかなかそれが厳しい地域が出てきたときに、そこをどういうふうにマクロ的に 調整していくのかということも含めて、もう少し公費を通じた対応というのが求められ ていかないことには、財政的には厳しくなるのではないかなという感想です。  あと、フローかストックかということについては、実際、高齢者の所得格差以上に資 産格差は非常に大きいと思うので、金融資産が把握できればそれにこしたことはないん ですけれども、そこの部分が難しいとすれば、本来であれば、そこは何らかの形で租税 負担として求めて、それを別途公費で再分配の仕組みの中に入れてくるというような、 財政制度全体の中での一般財源なりの投入が考えられていいと思うんですけれども、そ れはこの検討会での範囲の対象外だとは思うんで、ここで申し上げることではないのか もしれません。  以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。公費、今の調整交付金5%ですか、それをもっと大きくし た方がいいのではないかとの御意見ですね。  どうぞ。 ○台委員  前回欠席させていただきまして、その代わりに資料を提出いたしました。お手元の青 いファイルの前回資料の資料2と打たれているものですけれども、何を書いたかなと思 って、今、これを見ながら思い出していたんですが、結論から言いますと、定額+定率 ということで、先生方と私も同じ考えであります。あとは、こだわりのような話ではあ りますけれども、定額のものについて、これは応益と呼ぶべきものだろうか、むしろ、 これは相互扶助の輪に入るメンバーシップとして、自立した個人として参加をする、そ ういう性格づけのものだろうという、ちょっとこだわりを書いていますが、これは結論 から言えば余り違いのないことで、やはり定額+定率ということであろうかなと思いま す。そして、これをどのように組み合わせるべきかというのは、具体的なシミュレーシ ョンを行ってからの結論になるかな、と思います。 ○田中座長  前回、大変整理された、論理的な資料を提出いただきまして、ありがとうございまし た。自治体の側は、定率、定額はいかがですか。  どうぞ。 ○森岡委員  先ほどの賦課の単位ということで、世帯ではなく個人というような形で、その前提と なりますのは、やはり定額制と定率制、これがあるということが前提の中での組立て方 をしているところでございます。 ○田中座長  わかりました。どうぞ。 ○森田委員  実際、事務をやっている立場から言いますと、今の段階制ですと、税制改正の影響を すごく受ける。そこがやはりしんどいので、これからまた税制改正があるのかどうかわ かりませんけれども、そのたびに境目のところで随分動く方がおられて、その都度、経 過措置を講じないといけないというのは非常に重い。それと、計画期間の3年の途中で 税制改正をやったら減収になるんではないかというのは、確かにそんなこともあります し、そういう意味では定率制の方が安定するのかなというのはあります。  あと、もしも定率制にする場合に、今の調整交付金がどうなるのかというのは我々と しては大変関心があって、5%ですけれども、非常に大きいので、現行は後期高齢者の 割合と所得分布状況で調整されていますけれども、それを厚労省さんでは今後どうされ るのかというのはあります。現行の町政交付金では、給付の適正化のインセンティブが 余り働かないではないかという見方もできますので、その点についても、どう考えるか。 恐らく何か政策的なことで検討されるんでしょうけれども、非常に関心が高いです。 ○田中座長  介護保険制度の外側である税制の影響を余り受けるようなものは好ましくないと皆さ ん言ってくださいましたし、それから、調整交付金、公費の在り方について、これは確 かにこの検討会を超える話かもしれませんが、介護保険の外側の話ではなく、内側の話 である以上、厚労省は考えてほしい、この点も何人かの方が共通して言われました。公 費、調整交付金の在り方についてですね。  今日、御意見を伺うのはこの2つでいいわけですか。では、一通り終わったのでしょ うか。まだ15分ありますが、一応、意見が出たと判断して、少し早目に終わってもよろ しいですか。 ○大澤介護保険課長  はい。 ○田中座長  ほかに何か。  どうぞ、菊池委員。 ○菊池委員  あと一点、先ほど沼尾先生がおっしゃられたように、多様な主体の状況がある中で、 どこまで保険者の裁量を認めるかという、その限界というか、そこを制度をつくる際に はお考えいただいて、これもやはり流れとしては保険者機能ですとか、そういった独自 性、自主性を認めていくという大きな流れがあると思いますので、ここまでは制度の根 幹だから譲れないけれども、例えば、国保でもいろいろ組み合わせられるわけです。で すから、その限界づけみたいなことを意識して制度をつくっていただきたいなというこ とです。 ○田中座長  ありがとうございます。一通り意見を伺って、1人だけ違う方向はなかったと判断し ます。皆さん、考えていらっしゃる方向は大体違わずに意見を言っていただいたのでは ないかと思います。  では、少し時間が早いですが、ここまでにしまして、次回についての説明をお願いし ます。 ○大澤介護保険課長  どうもありがとうございました。それでは、次回ですが、4月15日の火曜日午後3時 からということで、この建物の1階上にあります専用22会議室で用意をしております。 議題についてはまた追って御連絡いたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田中座長  大変難しい問題をめぐり、皆さん、注意深く、理論的、そして現実を踏まえながら発 言いただきまして、頭の整理がつきました。またシミュレーションも大変わかりやすい 成果だったので、今後の検討に役立つものだったと思います。  これにて終了いたします。お忙しい中、御出席いただきまして、どうもありがとうご ざいました。 《照会先》 厚生労働省 老健局 介護保険課 井上、原 03-5253-1111(内2262,2260) 7