08/02/27 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第9回議事録      第9回これからの地域福祉のあり方に関する研究会議事録                      開催日:平成20年2月27日(水)                      場 所:全国社会福祉協議会会議室 ○大橋座長  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第9回のこれからの 地域福祉のあり方に関する研究会を始めさせていただきます。  年度末のお忙しいところを皆様にはお集まりいただきましてありがとうございま した。まず事務局の方から、今日の出席の状況の確認をいただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○事務局  本日は今田委員、金井委員、木原委員、和田委員が所用により欠席です。 ○大橋座長  今日は年度末ということもあって欠席が多いのですが、どうぞよろしくお願いし ます。それでは前回皆様方から報告書の構成案についていろいろご意見をいただき ました。短時間ではございましたが、その意見を踏まえて事務局で今回研究取りま とめ素案を確定いただきました。今日はその報告書作成に向けて取りまとめの素案 についてご論議をいただきたいと思っております。  それではまず最初に中村局長からご挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○中村局長  委員の方には年度末のお忙しいところを集まっていただきまして本当にありがと うございます。いよいよ取りまとめということで、これまでのこの研究会での議論 を踏まえまして、前回の構成案を土台にして作成してみましたので、どうぞよろし くお願いしたいと思います。また、次回までに時間がありますので、今日出たご意 見などを踏まえ、さらに良いものにしてまいりたいと考えております。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○大橋座長  ありがとうございました。それでは事務局から取りまとめの素案の説明を中村企 画官からお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○中村企画官  では資料1と資料2に沿ってご説明をさせていただきます。まず資料1でござい ますが、本日お示しをいたします素案の骨格をまとめてございます。大きく三つの 部分、一つが現状認識と課題設定、それを受けまして、地域福祉の意義と役割、さ らにそれを受けまして、そういった地域福祉を推進するために必要な条件というこ とで、それぞれの項目をまとめてございます。最後に留意すべき事項を何点か掲げ てございます。  そういったことがある程度方向性が本日ご議論いただきましたら、今度は既存施 策の見直しというものをつくってまいりたいと思いますが、今日のところは個別の 既存設備のお話につきましては、この素案の中には入っておりません。それでは資 料2でございますが、これが研究会取りまとめ(素案)でございます。このタイト ルにつきましてもご議論をいただければと存じます。少し長いのですが、確認の意 味も含めまして読み上げさせていただきたいと存じます。(資料読み上げ) ○大橋座長  ありがとうございました。前回の研究会から時間があまりない中で、大変丁寧に わかりやすく書いていただきました。前回、榊原委員からできるだけカタカナを使 わずにわかりやすくと言っていたのですが、各委員から出た考え考え方を相当盛り 込んでいただいて、易しくなっているかなと思っております。施策化の方向の部分 については、まだ具体的には書いてないのですが、今後取り組む考え方がかなり整 理されているなということを感じております。  さて、それでは自由にご論議をいただきたいと思いますが、多分今日一回で終わ りませんので、木原委員が提出いただいた資料もございますが、こういう形であっ ても結構ですし、メールでも結構ですが、事務局の方にいろんな形でご意見をいた だければと思っております。したがって今日の中で全部が全部集約した論議ができ なくても、そういう形でご意見をいただいて、今後これをもっと練り上げていきた いと思っております。  最終的には今日皆様にお諮りしますし、次回にも最終的に決めたいと思っており ますが、研究会の報告書のタイトルを、国民の方々に関心をもってもらえるような パンチの利いたわかりやすいタイトルにというふうなことがありますので、お考え いただければありがたいというふうに思います。  それでは順次柱に即してご意見をいただきたいと思いますが、検討の経緯はよろ しいかなと思いますが、2の今地域福祉を議論することの意味ということで、こう いう点がどうだろうかということがあればいただきたいと思います。 ○佐藤委員  中側の方はよく書いていただいているのですが、一番最初のところを読んだとこ ろのイメージとして、地域福祉は住民が主体的にやるということであるというだけ に、住民の側から見た時にひじょうに重たいイメージがある。制度からこぼれるよ うな課題やいろんなことが出てきて、それに対応していかないといけないというこ とでいうと、ひじょうに重たいイメージがする。  議論の中でも出てきていましたが、QOLの高い生活を維持していくために、制 度サービスが整ってくる中で、より豊かに生活できるようにするというようなこと での地域福祉の機能も出てきていますし、例えば10ページの一番上のところなどを みると、そういう記述が具体的に出てきているわけですね。尊厳を支えるような生 活を継続していくためには、地域の中で社会関係があったり、自己実現ができたり というようなことが記述の中に出てきてますから、できれば最初のここの部分でも 少しそういうことを引っ張っていただいて、もう少し明るい部分の打ち出しができ る方が住民の皆さんが読まれる時のイメージとしては、ひじょうに初めからグッと 重たくかかってくるというイメージがないのかなというのが一つです。  それと一番最後のところの部分で共助ということを打ち出していくわけですが、 それが今までと同じように自助と公助、それと真ん中にある共助、その共助をどう しようかという議論ではなくて、公助を含むような新しい公というような言葉が議 論の中でも出ていたと思うんですよ。そういう言葉を使って、もう少し幅広くとら える、何か新しいものをつくりだすというイメージの打ち出しができないでしょう か。  当然その中で言うと、その公助の中にも住民がかかわるわけですから、例えば介 護保険料を上げたり、税金をこれ以上払えないけれども、自分たちでいろんな活動 をすることで具体的に地域社会をつくるという貢献の仕方で考えていこうというこ とも考え方としてはあるわけで、そういう意味では公助の部分にも少し住民の皆さ んも責任をもってかかわっていくということで、公助も含んだ新しい公みたいな共 助を打ち出しができないのだろうか、というのがもう一点です。  それからこの中で地域福祉がシステムというふうに出てくるのですが、これまで の議論でいいますと、地域福祉というのは一つの考え方で、それを推進するための システムをここで考えるという議論ではなかったかと思うので、話の筋としてそう いうふうな書きぶりにご訂正をいただけないかということ、以上3点ございます。 ○大橋座長  今のご意見は、また事務局で検討いただきますが、最初の部分は社会福祉の歴史 的な流れみたいなことでしょうか。農業社会を中心にした時には「相身互い」とか 「お互いさま」とかというふうな相互扶助があったけれど、それが産業構造が変わ る中で公助の部分がひじょうに強く出てこざるをえなかった。それで頑張ってくれ たけど、それだけじゃあないので、もう一度新しい「お互いさま」をつくっていき ましょうというようなことを入れて、何か今こういう公助だけではうまくいかない ところが出てきたというぐらいならいいんでしょうか。あまりこの文章が、そもそ もから始まっちゃうと大変な感じもするので。 ○佐藤委員  せっかく公的なサービス提供の水準も上がっていて、そのQOL、生活の質みた いなところへ言及できるようになってきたということだと思うんですね。そこを保 障していくためには地域福祉という考え方が必要だというようなことが書き加えら れないかということなんですが。 ○大橋座長  なるほど、救貧的な対策だけじゃなくて、もっと積極的に新しい社会づくりです かね。新しい社会哲学、QOL、そういうものをやっていくためには、従来の「お 互いさま」に戻るのではなくて、より高度な何からせん状に発展したようなものを 考える時期にもきているということですかね。だから行政のしりぬぐいだとか、そ ういうことをするのではないよということを強く出す、そういうことでよろしいで すか。 ○佐藤委員  はい。 ○清原委員  今のご発言に触発されて二つのことについて申し上げます。最初のご提案のよう に、私は、今地域福祉を議論することの意味を考える時には、目の前にある課題と いうものがあって、その解決のあり方として、「これからの地域福祉」という切り 口を入れることによって広がる可能性というものを、ポジティブに私たちは議論し てきたように思います。  それで今大橋座長が上手に言っていただいたように、「過去の地域社会のあり方 に戻る」というのではなくて、むしろそれを基礎にしつつ、「新たな可能性」を含 めて「らせん的に発展していく」あり方についてこれまで検討してきたように思い ます。そのようなことの例えば一つの象徴が、11ページの4の「住民が主体となり 参加する場」のところで、例えば「住民による地域福祉活動は活動を通じて社会貢 献ができ、自己実現ができる場でもある」という、「自己実現」というキーワード が何度か出てくるところにあります。地域福祉活動が、決して何か困っている対象 者に対してお世話をするとか、そういうことだけではなくて、むしろそのことの中 で人々が生かされるという、そういう前向きな点を象徴した書きぶりが随所にあり ますので、それに適合的ではない表現を改めて、「今地域福祉を検討する意義」の 中に一点入れていただければということについては同じ意見です。  もう一つ同じ意見は、「新たな公」、あるいは「新しい公」という表現をしてく ださった点です。実は私が関わりました、国土交通省の国土審議会なんですが、新 たな「国土形成計画」というのをまとめる時に、国土をどのようにつくっていくか という時の一つの進め方の中に、「新たな公」という概念が、明確に今回入りまし た。  その趣旨は、これは他の省のことで恐縮ですが、やはり国土の基盤となる地域社 会というものを形成していく時には、もちろん各地域で、その広さは市町村単位で あれ、都道府県単位であれ、さらに広域であれ、望ましい景観であれ、まちづくり であれ、それらを考えていく担い手は住民であり、そうしたものをより公益性、公 共性のあるものとしてまとめていく時には、NPO等の担い手も重要な存在である ということの重視です。そこで、もし社会福祉でいうならば社会福祉法人あるいは 医療法人等も入ってくると思うのですが、そうしたものが目標を「公のもの」とし て掲げた時に、もっと協働できる仕組みというのがあり得るはずだというようなこ とで、前向きに、初めてだと思いますが、全国の国土形成計画の中で「新たな公」 という章が明確に入りました。  私はそういうことはこの地域福祉の世界ではごくごく一般的なことなので、むし ろ、改めては書かなかったのかもしれないというふうな思いもあります。私が他の 省のことを申し上げたので恐縮ですが、今まで現実的に進めてきたのは福祉の領域 だと思いますので、そうしたような方向性を示すことによって、単に行政ができな い部分を埋め合わすだけではなくて、むしろ「新たな公」のあり方を切り拓き、充 実していく取り組みに従来の「共助」といったところが生かされるのではないかと いうような、光が差すのではないかなというふうに思いました。  今後他の章の検討の時に私も申し上げたいと思っておりますのは、これからの地 域福祉を考える時には、厚生労働省所管の部分だけではなくて、他のところとの連 携とか、他の所管と思われる活動をされている市民の方との協働も意義あるものに なってくると思います。ぜひ私も「新しい公」か「新たな公」か、その公というと ころの新たな視点を最初に入れておいていただくと、あとの章との整合性がより出 るかなと、賛成の意見を二つ申し上げました。ありがとうございました。 ○大橋座長  そうですね。この地域福祉を議論することの意味は、それはそれで大事にしなが ら、もっと積極的に21世紀の新しい社会システムの考え方とか、新しい社会のあり 方に関する哲学だとか、それを一人一人を大事にして、その人たちの自己実現を生 かして協働していく、第三の道的な考え方をもう少し強く出せという、こういうお 二人の意見ですね。検討させていただきます。他にはいかがでしょうか。 ○長谷川委員  内容的にはひじょうにすばらしい語句が並べられておりますので、結構なことだ と思うのですが、地域福祉をより進めていく上においては、これからの次世代とい うことを考えますと、今は少子高齢化社会の中であって、次の世代に対していかに つないでいくのか、それは子供たちの食育であり福祉教育にかかってくるのではな いのかなというような気がいたしておりますが、そうした中でもって、前にも私は 申し上げたかと思うのですが、地域福祉計画それぞれの地域でもって、市町村でも ってつくられている中でもって、健康づくりがこれからは大切な重要な課題になっ てきていると思いますので、地域の中でそうした地域づくり、また地域ぐるみでも って健康づくりに対する風土づくりといいますか、そういうことも一つご提言をし ていただければ、ここの中でもってご提言をしていただければひじょうにありがた いなという思いがいたします。 ○大橋座長  話が後の方にも入ってしまいますが、確かに地域福祉を推進する担い手の住民と いうものをかなり想定して書き込んでありますが、どこかに子供たちもこれからの 地域福祉の担い手になっていくという、そういう視点で大人との交流も含めて、今、 福祉教育という言葉を使われましたが、そういうことも必要かもしれませんね。地 域を愛することができる子供でしょうかね。 ○三本松委員  1ページの2の二つ目の○あたりのところなんですが、全体の言葉遣いの問題に もなっていくと思うのですが、例えばここで制度の外にあるものとか、制度の谷間 にあるものという表現があるのですが、この辺が具体的に何を指すのかというとこ ろが、後ろの方を見ていっても、今までのこの研究会での議論もどうしても高齢者 のところが中心になりがちだったということで、もう少し制度の外にあるものとい うところも、例えば制度では拾えないという言葉が後ろの方であったかと思います し、制度化されていないとか、あるいは制度の谷間でニーズを抱える人々とか、も う少し何か具体的なイメージができるような表現にしていったらどうかなというふ うに思っています。 ○小林委員  全体の構成に関し、今回お示しいただいた資料1の素案の骨格のIの部分に三つ のボックスがありますが、黄色の部分が地域の課題ということですね。その上の社 会の変化のボックスと、下の方の福祉・医療政策の施策というのは、「外生変数」 として外から地域に影響が及ぶように書かれています。それに対して地域の方は 「内生変数」として、内部に問題が起きるというように整理されていると思います。  そう考えますと、最初の社会の変化のところは、これは人口が中心になっており、 このところに費用が入ってくるというのはちょっと違うのではないかと思います。 人口、世帯、企業、それから次の地域の変化、これは都市と農村みたいな区分けに なっているのですが、ちょっとオーバーラップになっているような気がします。  3の地域の課題が、今の左側の薄い黄色で色を塗っていただいたところになると 思うのですが、これの部分は、地域における多様な福祉課題、地域移行、住民の自 己実現ニーズ、地域福祉の課題、となっており、ちょっと構成がわかりにくい。地 域における生活課題と、地域そのものの課題というは違うことではないかと思いま す。また、ここに自己実現を入れるのは意味があると思うのですが、この辺の整理 の仕方に何かイメージがあってもいいかなと思います。これらの課題が、IIのとこ ろでどのように受けとめられるかという前提になりますので、その辺の関連がもう すこしわかりやすくなるとよいと思います。 ○大橋座長  ありがとうございました。とりあえずは1ページ2ページぐらいのところはよろ しゅうございましょうか。それでは3ページ以降、今出ましたIIの現状認識と課題 設定のところについては、ご意見はいかがでしょうか。 ○河西委員  前回もお話がありましたように、これのまとめた報告書をどこに、誰にというお 話がありましたが、国民にということになりますと、実は私はずっと勉強させてい ただきましたのである程度はわかるのですが、地域の住民が読んだ時に、果たして 何をやるのだろうか、具体的なものの表示は全然ないなというふうな印象が強くあ ります。  これを提言する場合には、おそらく都道府県の行政、あるいは市町村の行政に向 けてという狙いではないかなと伺えます。そして行政から私どもの地域に降りてく る時には、どうコーディートしていくか、行政のコーディネート次第によってはこ の提言がひじょうに生きてくるかなというふうに思うのですが、そうした具体的な ところまで踏み込んだ提言をしていくのかどうかというものをお聞きしてみたい。 実はそのことを期待しながら出席させていただいているのですが。 ○大橋座長  どういうふうにお答えしたらいいのか、一つは具体的な施策ということをどこま で書き込むかということについては、当然厚生労働省全体で考えないといけません し、事柄によっては他の省庁とのすり合わせということもあるわけですので、私は そんなに具体的な施策の中身をここで書き込むことはそう単純ではないと思います。 冒頭の方に多分検討会の報告があって、必要があれば社会保障審議会にかけて、 また、なおかつ必要があれは法律改正なども視野に入れながら検討していかなけれ ばならないという話があったと思いますが、そういう意味ではこの検討会はやや抽 象的すぎるかもしれませんが、これからの社会福祉のあり方みたいなものをきちん とやっぱり踏まえて方向づけていくということになるのでしょうか。  そういう意味では従来の救貧的な制度の拡充ということの限界が出てきていて、 新しい社会システムづくりなり、新しい考え方が必要なんだということを少し国民 にPRしたい、そのことも踏まえて既存の政策を見直しをするとすれば、どういう ことがあるのかということで、少し出てくるだろうと、こういうふうに思うんです が。ですからここで何か華々しくこういうシステムで全面的に展開するぞというふ うにはちょっとなりづらい部分が私はあるのかなというふうな、個人的には思って おりますが、それはまた後ほど局長に少しお話をいただくことにしたいと思います が、とりあえずそんなところでよろしゅうございましょうか。  考え方としては、多分そういうニュアンスで書いていただいていて、したがって あちこちに施策の見直しだとか、これから社会をつくる時の考え方がとか、そうい うものが相当散りばめられて書かれているなというふうに私などは読んでいるの ですが、それは社会福祉関係者だからそういうふうにみるのか、一般人が見たら何 を言ってるかわからないとなるのか、この辺は榊原委員なり自治会の関係者がどう みるのかということも絡めてご意見をいただければと思っております。 ○中村局長  今、私も大橋座長がおっしゃっていることと同じように考えているのですが、例 えば具体的に考えますと、この報告書を受けて、例えば民生委員の制度というもの は、じゃあ今こういうことで地域福祉を考えてやっていく場合に民生委員の役割と いうのは今まででよいのかどうかということを、この物差しで今度は民生委員のこ とについて考える。その時に、今、市町村の方々に民生委員を推薦していただいて いますが、推薦する方式としてじゃあ今の方式でいいのか、それから市によっては 市長さんが任命されている福祉委員がありますが、それと民生委員との関係はどう するのかとか、そういうのを、この報告書ができたら物差しができるので、その物 差しにしたがって制度の見直しを考えていかなくてはならない。  そうなりますとそれは民生委員児童委員協議会の方々とも密接にご相談しなけれ ばならないと思いますし、民生委員制度について知事ともご相談するし、市町村長 さんともご相談する、一つ一つの制度見直しをしていくということになりますと、 民生委員はそうするという意味ではなくて、今度は関係の方々と突っ込んだ制度見 直しの議論をしなければなりませんので、それが第二弾として出てくると思います。 今やっていただいているのは、その物差しづくりをしていただいているのかなと思 っています。  中にも出ていましたが、市町村が中心で、市町村に頑張っていただかなければな らないと言っておりますが、例えば市町村で総合相談窓口を一本化していただくと 簡単に書いてありますが、厚生労働省の法律では介護保険では地域包括支援センタ ー、それから障害者自立支援法では相談支援事業をしなさいとか、いろんな法律で はその法律しかないかのように規定があるわけです。これを一本化しやすくすると いうことは実はなかなか大変なことで、それをこの中では国はそういうこともちゃ んと考えなさいと書いてありますので、例えば17ページに「国においても、市町村 で柔軟な対応が可能となるよう、施策の設計や実施にあたっての配慮が求められる」 となっていますが、これはやろうとするとえらい大騒ぎになる、大変なんです。  だけどそこをやらないとやったことにならないわけですが、まずそういうやらな ければだめなんだよということをここでまとめているつもりでございます。まだそ ういった意味ではわかりにくいとか、ああそういうふうになっているのかという点 がわかりにくいようであれば、もう少しわかりやすく書く努力はする必要があるか と思います。したがってまず抽象的な感じも確かにするかもしれませんが、これで いわば方向性と考える枠組みをつくっていただいて、その枠組みをつくったら、そ の枠組みにそって総施策の点検がされる、こういう考え方でございます。 ○大橋座長  いかがですか。 ○榊原委員  大変わかりやすくスッと読めるように修正していただいてありがとうございま した。サーッと読めて、おかげさまでもう一回頭が整理できたような気がします。 特に最初の方はとてもよくすっきり整理していただいています。  これまでやってきた福祉の中での取り組みというところで、地域社会の変化につ いて、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉等々書いてくださっているのですが、こ れを見て改めて気がつくのは、高齢者福祉のところは相当頑張ってできた、障害者 福祉もまあとりあえずまず手はつけてある、児童福祉は3行というところだと思う んです。  これからの地域の取り組みを考える時に、やはりかつてもっていた地域の機能か ら抜け落ちてしまったうちの大きな一つが子供たちの育ちの支援、昔の言葉で言う と後継者の育成、集落であり、村であり、商店街の跡継ぎの育成のところを当然の ようにみんなやってきたところが今ゴッソリ落ちている、そこのところが全く足ら ないということも、もう少し明示的に書いていいのかなと思います。  これまでやってきたところの整理をしていただいているところはこれでいいと思 うのですが、それで読めば大体わかると思うんですね。児童福祉がほとんど手がつ いていないということが。これからの福祉策の方向性または地域の課題の中で、や はり漏れているというところをきっちり書いていきたいなというふうに思います。  具体的には、例えば6ページの下の方に、フォーマルサービスだけでは対応でき ない生活課題というようにあげていただいている中であげられているものをみると、 主に高齢者への目線が多いような気がするのですね。これは当然な課題としてある ことなので、何ら否定するものではないのですが、それ以外に例えば子育てノイロ ーゼとか、育児ノイローゼとか子育て不安といったものはひじょうに日本的な現象 と言われている、そういったものも地域の中で起きているとか、あとはもうちょっ と大きくなった若者たちの居場所がない、中高生以上の若者たちが居場所がなくて、 コンビニの前でたむろしてしまっている状況というのも地域で起きている一つの課 題、団地の公園で集まってワイワイやっていると騒音だ迷惑だと言われてしまうよ うな状況があるという、居場所のなさも一つだと思いますし、また家族の中で頑張 り支えあっているんだけれども、中で起きているひきこもりであるとか、最近はそ れがさらに殺傷ざたにまでなっているような事件も起きているというような家庭内 での問題、ああいったものも生活課題と言えるのかどうか、ちょっと難しいのです が、子供たちを自立させ、地域の支え手にもなっていってもらわなければいけない 存在であるのに、その前段のところでつまずいている問題として拾っていい課題で はないかなと思います。  また、浮き彫りになっている生活課題ではないのですが、今の地域で明らかにな っているのが、働き盛りの世代の不在という問題もあると思うんですね。寝るため には帰ってくるんだけれども、日中は、とりわけ男性はもぬけの殻、そして今、共 働き世帯が全世帯の半数以上になっているというぐらい、女性もそういった形で労 働市場にとられていて、またなかなか拘束時間が長くて帰ってこれないという、働 き盛り世代が地域からごっそりいなくなっていて脱け殻になっているというところ から、例えばお祭りの継承も難しかったり、PTAのやりくりが四苦八苦していた りというようなことも起きているというようなことへの指摘も何らか入れていきた いなと思います。  まとめて言いますと、命の再生産をその地域の中でもきちっとやっていかないと、 書かれているような高齢者や障害者やというようなニーズのある人たちへの支え合 いということも当然できていけない、そこのところもその地域として命の再生産、 若者たちがきちっと育っていくような、そういった支えの機能ももつ必要があると いうところも入れたいなと思います。 ○大橋座長  ありがとうございました。できるだけこの検討会の中で出された意見をかなり忠 実に踏まえながら書いていったがために、逆に言うと検討会でやっぱり子育てとか、 そういう部分が我々の中にも地域福祉と言ってる割にはやや十分ではなかった、先 ほど長谷川委員が言われたのも同じようなことですが、あったということだと思い ます。  今の5ページのところは、例えば、児童虐待防止法もできていますし、児童福祉 法の改正で市町村の相談機能も出てまいりましたので、そういう制度改革の動向も 少し始まっているぐらいのことは書き込めるかなと思いますし、それからこれから の課題としては、今出ましたが、命の再生産という言葉を使わせていただくか、あ るいは子育て文化の世代間継承の断絶みたいなことにした方がいいのか、それはま た改めて相談させていただきますが、いずれにしても地域で子育てをしていく機能 がうまく再生産できていないというところはすごく大きな問題として考えないとい けない、それは多分地域の課題に入ってくるんだと思いますが、6ページで書くと か、あるいはどうしても子育てと言うと保育所になっちゃうんですね。今日の新聞 でもそうですが、でも子育ての在宅福祉サービス、例えば核家族の産後ケアだとか、 そういうような問題も結構大事な問題があるのではないだろうかと思うので、そこ は少し書き加えさせていただきたいと思います。  それから地域で子供を育てるというのは、今文部科学省が随分学校支援地域対策 本部をつくったりしていて、地域教育みたいなことを考えているので、その辺をど ういう形で入れられるかというのは、他の省庁のことで難しいかもしれませんが、 少し検討したいと思います。もっと言えば村を捨てる学力だったのか、村を育てる 学力だったのかという論争がありますが、まさに地域のアイデンティティをもてる ような、地域に居場所のあるような子育て文化をどうつくるかというか、施策をど うつくるかというのは大きな課題としては出しておいた方がいいかもしれません。 ○清原委員  またカタカナ語を提案してしまうので、ちょっと気おくれしながらなんですが、 昨年の後半ぐらいから、いわゆる労使ともに「ワークライフバランス」というキー ワードを掲げられていて、国でも「ワークライフバランスの憲章」というのがつく られ、それを実施していくための推進の方策というものが労使双方で検討されてい ます。つまり、使用者側というか、経営者側も、それから働く側もともに、働く時 間と、そして暮らす時間のバランス、あるいはそこに価値をおき、意義をおくとい う「暮らし方」そのものの変革を求めるような気運が出てきています。  今、榊原委員がおっしゃいましたのは、次世代を担う子どもたちの命の再生産の 場である地域社会であるだけではなくて、それを育ててきた世代も、また今現在育 てている世代も、地域社会という中でいかにそれぞれの命が生かされ、人権が尊重 され、そして充実した人生を送っていただくかという、大げさに言えばそれぞれの 人生の舞台が地域社会の中にも位置づけられるということで、決して職業の場であ る企業だとか、あるいは様々な生業の場所だけではないということがこれからの地 域福祉を考えていく時に重要な眼差しではなかったかなと思います。  それは皆様がそれぞれの現実社会の中で果たされている役割の中から、委員の皆 様がおっしゃっていたことを総合すれば、決して何らかの問題があり、あるいは生 活課題に直面している層だけに目配りをするのではなくて、そうした層が生きてい る地域社会の中で、今現実課題としては生活課題に直面しているわけではない人々 が、よりよく生かされるために、活躍の場所というものを社会の中でより幅広く用 意していくべき方向性がこれまで議論されてきたと思うんですね。  そこで、「ワークライフバランス」がこの研究会のキーワードの一つとして位置 づけられるのが、今の段階で望ましいかどうかは別として、やはりいわゆる職業、 働く場所との調和を保つためにも、地域という場所がもう少し顕在化していくべき であるというようなことだと思います。そこで、今補強していただいた児童福祉の 面もありますが、もし必要であれば、その労働時間の問題が補足的に説明されるこ とによって、地域における重みの強化というか、均衡が保たれればありがたいなと 思いました。  それから次の点で一言だけ発言しますが、「現状認識と課題設定」が整理される と、必ずその課題についての何らかの解決が、3の「地域福祉の意義と役割」や、 あるいは「推進するための条件」の中で整合していなければいけないというような 意識が働いてしまうと思うのですが、私は現在のところでは、「現状認識と課題設 定」の中で整理されているもののすべてに逐一、この後半でこういう対応ができま すということが書かれていないにしても、後半で地域福祉の中にいわゆる「新しい 公」とか「共助」のところが強化されることによって、解決の方向性が示される、 というような書き方でよろしいかなとも思っています。この「現状認識と課題設定」 のところに、きめ細かい目配りをしすぎて漏れがないかどうかということにはあま り緊張して臨まなくてもいいのではないかというような思いもあります。以上です。 ○大橋座長  ありがとうございました。榊原委員と清原委員が言われたことは、7ページの地 域における活動を通じた住民の自己実現ニーズの高まりのところで、ワークライフ バランスみたいなところを少し工夫ができれば、そういうようなことで考えられる と思います。他にはどうでしょうか。 ○佐藤委員  今の地域の中の課題の中で、一連いろいろ書いてあるのですが、その根底に新し い貧困と言われるような低所得の問題があるということです。少し表現としてはそ れを出しておいて、それが地域で本当に解決できるかどうかという今の話にもつな がりますが、後ろの方で多分両者の役割という中では、そのあたりの生活基盤整備 をきちっとやるという記述を入れていただくということで、貧困の問題は入れてお いていただく方がいいというふうに思いました。 ○大橋座長  それは多分ある意味では全国一律同じようということではないけれど、地域特性 によっては、地域の中で低所得の方々がかなり大きな問題になっていることは事実 でしょうから、それは何か工夫をしておく必要があると思いますね。 ○三本松委員  榊原委員、清原委員のご発言ともかかわると思うのですが、3ページの地域社会 の変化のところで、この間もご指摘があったのですが、産業化・都市化の中でとい う、ここの産業化・都市化というのはやっぱりちょっと前の時代という感じがしま すので、例えば高度成長期におけるというようなことを入れた上で、さらに成熟社 会を迎える中でという、この辺が今のワークライフバランスとかいろんな議論とか かわって、移動性とか流動性が今日高まっている中で生じてきている問題だという ようなことを少し補ったらどうかなというように思いました。  それから4ページのところでコミュニティという言葉が出てくるのですが、この 報告書の中でコミュニティとか地域社会という言葉を使い分けていくのかどうかと いうことですね。ここのコミュニティなんかは、あるいはもう少し開いた言葉で支 え合う関係とかネットワークとかというふうに言っても、ここは通じるようなとこ ろじゃないかなというふうに感じまして、あとの12ページのところでコミュニティ の再生という言葉も出てくるので、少しコミュニティ、地域社会の言葉遣いの整理 をした方がいいのではないかと思います。  それから6ページ7ページにかけての3の地域の課題のところで、6ページの最 初の○のところで、フォーマルサービスだけでは対応できない生活課題とかという、 この認識のところで、前回お話が出ていた情報という問題のこともここで触れたら どうかなというふうに思うのですが、情報提供とか保障が不十分なことによって不 利益を生じているような人たちがいるんだというようなことです。  それから7ページで、3のところに入るのかもしれないのですが、少しちょっと 質の違ったものとして、これもさらに議論が必要かもしれませんが、例えば地域で の生活者として認知を得にくい人たち、具体的に言うとホームレスの人はどうなの かとか、ネットカフェ難民という言葉も今ありますが、それから外国人労働者など も、地域の住民というふうに果たして見ているのか、この地域福祉を考えるといっ た時に、そういう人たちの問題をどうするのかということもあるんじゃないかと思 います。以上です。 ○大橋座長  情報提供の問題は、例えばコミュニケーション能力のインペアメントを抱えてい る人の問題と、それからいわゆる行政が一般的な形で情報提供しているんだけれど、 そこの情報をきちんと理解をして主体的に活用できる能力に十分でない人の問題と ちょっと違いがあるのですよね。それから情報提供の仕方の問題もあるので、どれ だけ書き込めるか難しいのですが、少し考えさせていただくことにいたしまして、 コミュニティの方は確かにそうで、少し整理をするというところでしょうかね。そ れから社会福祉法の第4条の問題もあるのですが、地域社会で認知を得にくい人と いうことで、なかなか微妙な言葉ですよね。その辺をどうするかということですね。 ○小林委員  さっきのことにつながるのですが、地域の課題の部分で、「地域における多様な 福祉課題」と「地域福祉の課題」という項目立てはすこし整理が必要かなという気 がします。さっき申しましたように、地域全体の課題としては、安全、安心、防災 のようなことを入れた方がいいんじゃないかと思います。 ○大橋座長  そうですね。安全安心の問題も随分出てまいりましたね。防災防犯ですね。それ では先に行きたいのですが、私としては6ページのところで気になりますのは、(4) のサービス供給体制の多様化の中に、さらにボランティア活動の重要性も高まって きているとサラッと書いているのですが、ここは事情によってはボランティア活動 は項目を起こすなりしておいた方がいいのかなという感じがしますね。ある意味で ここに期待をしたいという部分もあるわけですし、それは少し検討させていただき たいと思います。  それでは9ページ以降のIIIの地域福祉の意義と役割のところでご意見がありまし たらお願いします。 ○小林委員  このところが多分これからの地域福祉のイメージをつくるひじょうに重要なポイ ントだと思います。9ページの3つ目のところは、「共助が公と私の谷間を埋める」 という表現になっているのですが、これでいいのだろうか。共助はむしろ独自な価 値をもち、それを支える人やシステムというような構成にしないとイメージがつか めないように思います。ここは問題点ではないでしょうか。  全体として、地域とか地域福祉というようなイメージをつくるのがこの部分です ね。共助の空間を地域の中に位置づける、支えあいの姿、生活課題、住民主体、ネ ットワークとなっていますが、この何か項目の出し方にもうすこしイメージがだせ ないかという印象があります。 ○大橋座長  IIのところで論議したことにかかわるわけですが、救貧制度的なところから発展 してきた社会福祉制度は随分きちんとつくられているんだけど、それでもなおかつ 制度で救えない人がいたり、谷間に人がいるよという側面で新しく考えなくちゃあ いけないよということと、もっと積極的に新しい社会哲学なりシステムをつくる必 要があるよということで、ここで言っている共助という考え方をつくっていくとい う二つ目の面ですね。  その後者の方の部分を谷間と言っちゃうとやや弱くなっちゃうので、これはもっ と積極的に谷間じゃなくて、新しいシステム、社会哲学みたいなものだということ を一番最初に佐藤委員なり清原委員が言われたことと同じ論法をここに少し書き込 むということでしょうかね。それはまた検討させていただきます。他にはいかがで しょうか。 ○清原委員  実は先ほど局長も言ってくださったのですが、今後この少し包括的な一見抽象的 に見えるかもしれない方向性を受けて、例えば民生委員のことも、あるいは国の補 助金とか、あるいは人材の支援についても、今後再検討できる、そういう伏線とい うか、方向性というか、それがこの報告書の中から出てくると思いますとおっしゃ ってくださったことは大切だと思います。そのあり方についてはIV以降に書かれて いるのですが、その前段のIIIのところで、私はやはり民生委員というか、今まで福 祉の担い手をしてくださっていた方の活動について、少しでいいのですが、触れて おいていただいた方がいいかなと思います。  なぜなら11ページ以降、「住民が主体となり参加する場」「ネットワークで受け とめる」等々書いてある中に、「地縁団体と機能的団体との関係」や、「行政や事 業者、専門家と住民との関係」が書かれているのですが、この中にぜひ今までの民 生委員あるいは社会福祉協議会といった組織が関係するような記述が、検討会でも ヒアリングもいたしましたので、あった方がいいし、委員の中にも関係者がいらっ しゃるので、書いていただいた方がいいかなというふうに思っています。  というのは、その後「コーディネーターが必要である」「コーディネーター力の 強化」というのがIV以降にあるのですが、そのコーディネーター予備群というか、 そういう方たちの中には当然のことながら民生委員もいらっしゃると思いますし、 新たな場づくりのところに社会福祉協議会がもっている、例えば三鷹市で言えばボ ランティアセンターだとか、連携して取り組んでいる「ほのぼのネット」と言われ る、「いきいきサロン」のような取り組みのようなところが息づいてくると思いま す。全く新たなものをつくり出すことだけが方向性ではなくて、今あるものの再検 討、強化というか補強というか、そういうようなものの伏線が張られていればいい なと思います。  もう一つ、ここのところでは、「共助の空間」という表現になっています。「空 間」という表現よりも地域の様々な「関係」の中に「共助の新しい関係」が生まれ るとというとイメージしやすいのですが、「空間」というと場所というのか、そう いうイメージが一般的には強くなるのではないかと思っています。私は日本語で言 えば「関係」、英語で言えば「ネットワーク」なのか、「結びつき」というか「絆」 というか、何かそんなような表現の方がいいのかなと思っています。もしそうでな くて「空間」という言葉を使うとするならば、何か説明が必要ではないかなと思い ました。  もう一つは、私たちがこの間かなり重視してきたのが、7ページの(3)にある、顕 在化しなくて「潜在してしまうような対象者」が地域社会の中にはいる、例えばひ きこもりから孤立死に至る単身男性とか、消費者被害にあっても仕方ない認知症の 一人暮らし、高齢者とか、あるいはここで書いていらっしゃる中にあるような、せ っかく求めに応じられる仕組みが地域社会にあったとしても、それに応えられない 層を、ちゃんと私たちは凝視して、地域福祉の対象者として顕在化するような仕組 みもつくっていかなければいけないということだったと思うんです。そのことにつ いてダイレクトに対応できるような記述を、このIIIの「地域福祉の意義と役割」の 中には明確に示しておかなければいけないのではないかと思います。  その時にこれは三鷹市の例なんですが、例えば民生委員に私たちは市の「社会福 祉委員」をお願いしているものですから、介護保険制度見直しの度に悉皆で65歳以 上の市民を訪問していただいていて、「介護保険のしおり」を配布していただく中 で、178,000人の人口の約3万人の方を訪問していただいているのです。その中から 介護保険のサービスを受給していなくても潜在的に隠れていたニーズが把握された りすることがあります。  それから老人クラブ活動とかシルバー人材センターの活動とか、その他のボラン ティア活動も含めて、町会自治体の活動の中からあぶり出されてくる例もあります。 私自身も、77歳の方の敬老金は民生委員の方にお願いしていますが、市長として88 歳、99歳、100歳以上の高齢者に敬老金を給付するという事業で、毎月30軒から50軒 の高齢者宅を実際に訪問しています。その中から様々な問題がわかって、高齢者支 援室につなぐとか、あるいは児童福祉につなぐとか、障害者福祉につなぐとかとい うことをしているんですが、保健師、助産師の訪問の中で産後うつ病がわかったり、 在宅の子育て支援が必要な例がわかったりということで、訪問をしていくというよ うなことが問題の顕在化を促すということがあります。最後に個人情報保護の問題 等で問題提起もありますが、それに萎縮しないで訪問していく正当性をもつ民生委 員という役割は、私はやっぱり重要だと思っています。何かその辺のことがこのIII のところでうたわれつつ、IV、Vと書かれていけばいいのではないかなと考えまし た。 ○大橋座長  今の既存制度の評価なり役割をどう書き込むかというのは、全体にとってかなり 重要な問題になってくるんだと思うんですね。もっと抽象化して書いておいた方が いいのか、というのは既存の制度それ自体をどう認識し評価するかということがあ るので、例示的にこういうふうにやっていていただいたということを書くとすると、 それだけでは済まない部分もあるので、特に一番最後に既存制度の見直しが出てき ますので、まだ書き込まれてないので、それとのかかわりでどうするか、ちょっと 考えさせてください。  それから空間という言葉は、今日は今田委員がいらっしゃらないのですが、確か に共助の関係性とか、共助の空間・関係性とか、そういう関係のもつ意味みたいな ことですかね。もう少しこれは工夫させていただければと思いますね。ある意味で はハーバーマスのコミュニケーション理論みたいなことにもなってくるんだろう と思うんですが、そんなことをどう考えるかということでしょうかね。  もう一つ、アウトリーチとかサービス開発との絡みを言われてきたのが、言葉と しては出てないのですが、その機能のもつ意味みたいなことですね。特に市町村の 大きな役割がIVのところで出てきますので、それとの関係ではどこまで書き込むか というのは少しあると思いますね。アウトリーチをもっとやっぱり積極的にして、 ニーズキャッチをするということだとか、新しいサービス開発を企画するというよ うなことのもつ意味なのか、そんなことを少し考えさせていただければと思います。 ○佐藤委員  この意義と役割の中で、地域福祉がもつひじょうに重要な役割である、予防の機 能であるとか、早期発見・早期対応の機能ということを書き出しておく必要がある のではと思います。例えばいきいきサロンの参加者の食事の偏りに気がついて配食 サービスを始めましたというような記述が出てくるのですが、解決に向けた取り組 みをいろいろ住民の皆さんが考えてやることで、ただ単に解決の仕組みをつくるだ けではなくて、その予防するとか、早期発見で早期対応するような仕組みをつくっ ていくとかという流れが出てくることに地域福祉はひじょうに大きな意味がある ので、できればそういう記述をきちっと入れておいていただく方がいいというのが 一点です。 ○大橋座長  わかりました。それは先ほどのアウトリーチのニーズキャッチの関係で、もしこ れが考えられればと思います。 ○三本松委員  二点ほどありますが、一点目は9ページの1の二つ目の○のところですが、自助 はという説明があるところなんですが、これを読んでいくと、自助の定義にもとれ るのですが、この自助の定義で読むと、財産のあるものにとっては可能であるとい うふうに読むと、何か自助がすごく狭くなって、読み方によってはちょっとスティ グマ性まで帯びてくるんじゃないかなというので、ちょっとここの書き方を工夫し た方がいいのではないかということです。 ○大橋座長  そこはぜひちょっと知恵を出して、こういうふうにして欲しいというアイデアを ください。 ○三本松委員  もう一点が12ページの三つ目のところですが、ここが住民にはノウハウや情報が ないなどの限界がある。したがって行政や専門家というふうになっているのですが、 これまでのこの研究会での事例などを考えてくると、住民組織はいろいろノウハウ もあるし、また必要なのは、もしノウハウがないとした時に、そういう住民組織な どに対して支援をしていくあり方なんじゃないかというふうに思うんですが、ちょ っとここが何かダイレクトになりすぎているんじゃないかというふうに感じました。 ○中村局長  我々も報告書の構成の時から、この研究会の議論の時に、ちょっとその概念整理 で悩んでいることがありまして、そこをご相談したいのですが、社会保障関係の議 論として自助、共助、公助というのがかなり強く出されたのは1994年だったと思い ますが、当時の厚生大臣のもとにつくられた福祉ビジョンというのが出されたので すが、そこでかなり言われたことなんですね。  その時の自助、共助、公助というのは、どちらかというと財源論的な、社会保障 の大きさをどのぐらいするのか、いわば言葉を変えますと高福祉高負担なのか、中 福祉中負担なのか、低福祉低負担なのかという議論が一つありました。それからも う一つはいわゆる税方式でいくのか、社会保険方式でいくのかという議論、その二 つの流れから絡み合って、自助というのはもう一つはサービスの利用者負担問題が あって、その時のイメージは自助というのはもちろん小さな政府で低福祉低負担と いう議論が一つ、それからできるだけ社会保障の範囲を小さくして、自分でそれこ そ自己責任でやるという要素を出すかという議論、それに対して公助というのはど っちかというと税金でやるという議論、共助というのは社会保険なんだ、その時に 介護制度をどうするかというのが念頭にあって、介護保険でいくのか、税の介護で いくのかというのが議論にあって、自助、公助、共助ということが強く言われて、 それが学問的に正しいかどうかは別として、社会保障の関係者の議論、あるいは我 が厚生労働省の中の議論かもしれませんが、そういう議論がかなりありました。  もう一つは、市場の失敗、ですからマーケットでやる、市場セクターと政府セク ターがあって、市場の失敗もある、今田委員からも市場も失敗する、政府も失敗す る、ボランティアも失敗する、その時の議論は世の中に3セクターあって、政府セ クターと市場セクターと非営利セクターがあるという議論があったと思うんです。  非営利セクターがある、そしてNPOがその典型だという、こういう議論があっ て、どうも私ども議論していると、自助・公助という時に、その議論でいくと介護 保険というのは実は共助というふうに大体分類されている、ある人はあれも自助だ という人もいます。自分で保険料を出しているんだから自助なんじゃないかという 論者もいるけど、基本的には公助とされている、それに対して公助というのは生活 保護みたいなやつなんだ、こういう整理があるところではあるわけですね。  その時に市町村にあまねくサービスを提供する方法といった時に、市町村は介護 保険でやっているのは、これは公助なのかというのは、書いていて恐縮ですが、ち ょっとひっかかるなと思いながら書いているわけです。ですから自助・共助・公助 ということで議論を整理するのか、マーケットと政府と、それから非営利セクター という形で整理するのか、その非営利といった時に事業者が入ってくるのか入って こないのかとか、またこれはややこしいんですが、多少どっちの線で整理するかと やらないと、谷間を埋めるのが共助といった時に、その共助って何かというのは、 ちょっと介護保険はどっちなんだとか言われるとウッと詰まるところもないわけで もないというので、もう一回大橋座長とも相談し、また今田委員のご議論と重なっ ているので、ご相談してみますが、ちょっとここの点はそういう議論も含めて大幅 に直す可能性もあるということにさせていただきます。 ○小林委員  今の局長のお話というのは、財源論でやるか、提供組織論でやるか、システム論 でやるかによって違うという話ですね。これを地域福祉という観点からみると、ど のパースペクティブから議論したらいいかが分かれば、違う視角からの公助・共助 を打ち出せるのではないかということが第一点。もっと住民に近いイメージを共助 という形で打ち出せないかというのが課題だと思います。  先ほど申し上げた点に戻りますが、この真ん中の部分は「コミュニティ再生の軸 としての福祉」につながっていますので、真ん中の5つのボックスの内容が、何か らの形で将来のコミュニティ再生につながるような構成をとれるとよいと思いま す。私の個人的な勝手な提案ですが、また、次のIIIのところに担い手という項目が あるのですが、今コミュニティには、どういう住民がいるのかということと、住民 の側から見た公助・共助という考え方を何かイメージとして打ち出せないかと思い ます。  例えば軸が、担い手あるいは住民、あるいはそのコミュニティの構成員、次は、 基本的なフィロソフィといいますか、考え方、哲学で、今日の書いていただいたと ころでは、例えば10ページの上の二つの○の部分がそれに含まれると思います。 これに公助・共助・自助みたいなことを入れるかどうかというのが論点の一つと思 います。それから三番目はそれと関連する活動という領域で、これは個々の活動と いう意味と、見守りのような、いわばその住民がいることによって発生してくる役 割のように考えてもいいのではないか。活動の領域ですね。それからりシステムと ネットワークということで、最後にエリアという、5つくらいの構成にしてはどう かと思います。  このような福祉コミュニティが、どのように他のコミュニティ、教育コミュニテ ィなどとつながって広い意味でのコミュニティを形成するというイメージができる といいのではないかと思います。 ○大橋座長  財源論だとか組織論だとかシステム論とか小林委員が言われましたが、多分その システムの関係性の問題をもっと強調して書いた方がいい、そこをもとにして自助 ・共助・公助と、こう言ってるよというふうにした方がここではわかりやすい、そ れを財源と提供組織論とかと書いちゃうとちょっと混乱するかもしれないというこ とで、その辺でいくと三本松委員が言われたことは、関係性でいけばこれはこれで かまわないかもしれないということなので、それを拡大していっちゃうと、ちょっ と何が何だかわからなくなっちゃうので、ちょっと整理をしていただきます。  今日、今田委員がいないのがちょっと残念なのですが、今田委員の意見も聞きな がら、公助の空間という言葉を使われた時に、多分私は関係性のところなんだと思 います。ハーバーマスなんかが問題にしているようなところかなというふうに理解 をしていたのですが、それでいいんですかね。局長も言われたので、この辺の部分 は少し変わるということだし、文言なり表現の仕方は最後の最後までいろいろご意 見をいただきたいと思いますので、基本的な考え方、構成はよろしいということで あれば、そのまま進めさせていただきたいと思います。  それではIIIのところはよろしゅうございますか。  10ページの上から二つ目の「これまでの福祉は、対象者を」と、こう言っている んですが、対象者とか当事者というのがどうもかつての救貧的な施策の時の対象者 とか当事者とかいう言葉をその場合には使っているけど、果たしていいのかという、 社会福祉法は福祉サービスを必要とするものとか、福祉サービスを利用するものと かというふうに分けているので、この辺の言葉は少しまたご意見があれはいただき たいなというふうに思いました。対象者というのはわかりやすいといえばわかりや すいんですけどね。  それではIIIは皆さんから意見は出ませんでしたが、11ページの「ネットワークで 受け止める」というところが実は大変重要なわけですよね。関係性の中ではネット ワークをどうつくるかとか、ネットワークの中でどういうふうに受けとめていくか とか、だからこそコーディネートという機能があるのですが、この辺も後ほどまた ご意見があればいただきたいということで先に進めさせていただきます。  それでは14ページ以降のIVの地域福祉を推進するために必要な条件ということで、 前回かなり自治体の役割というようなことがあって、随分書き込んでいだたいてい る部分があるんだろうと思いますね。17ページに市町村の役割と書いていただきま したし、また運用の弾力化なども随分書き込んでいただいていますが、それではIV のところについてのご意見があればどうぞ。 ○長谷川委員  先ほどの清原委員からの話のような民生委員の仕事の内容、具体的なことという ようなことを私も思っておりましたが、それは最後の段階でもって既存施策の見直 しのところでも出てくるのかなと思っていたのですが、ぜひまたそういうことも含 めてお願いをしたいと思います。  いろいろと我々の方の仕事の中で、新しい仕事がどんどん日を追うごとに出てま いりまして、訪問活動そのものを例にとってもみても、来年のお正月から赤ちゃん 訪問事業ということで、生後4カ月の赤ちゃんが生まれた家庭を我々が訪問します という一つの制度というものも生まれてまいります。4ページでもってオートロッ クのことがあったのですが、それというのもやはり呼び寄せ高齢者が多くなってき ているから、急にポンと呼ばれて行ってもなかなか中には入れないという、そうい う一つの前提があるわけなんです。やっぱり地域の中では今社会情勢がどんどん変 わっていく中でもって、家族関係の変化が進んでおりまして、日中1人でいるお年 寄りとか、老夫婦だけの家庭がひじょうにふえているわけですから、それらの関係 ということも考えますと、地域福祉の中でお互いの顔の見える環境づくりというこ とが必要じゃないのかなと思います。そういうことで、顔の見える環境づくりをぜ ひ一つ項目に入れていただくというのが方策の中でご提言いただければありがたい なというふうに思います。 ○大橋座長  先ほど場を確保するとか、そういうところが書いてあるので、その辺に場のもつ 意味みたいなようなこと、さっき居場所の問題もあるのですが、顔の見える関係性 だとか、何かそんな表現なんでしょうかね、少し工夫をさせていただきますし、先 ほどのアウトリーチはこの14ページのところで書いてあるので、結構全体をみる と散らばっているんですよね。ただ、その部分だけどうしても論議の仕方が柱ごと にやっているから足らないよという面もありますが、全体をみるとそれなりにある ので、その辺は向こうにあるのをこっちへもってきた方がいいとか、こっちにある のを向こうにもっていた方がいいとかということも含めて、後でご意見をいただけ ればと思います。  今の長谷川委員のところは15ページのところの活動の拠点とか、そういうところ のもつ意味の中に少し説明をするというようなことでしょうか。 ○佐藤委員  まず1番目の住民主体を確保する条件があることということに二つ○があるので すが、もう一つ、それと先ほどお話が出ておりましたが、福祉教育であるとか、福 祉学習であるとか、それから提供をちゃんと受けて必要な情報を得るということで すね、それがないとやっぱり解決していけないわけですから、記述としてそういう ものを入れていただく方がいいというのが一点です。  それから二番目の課題の発見のためにということで、課題発見が動いていくわけ ですが、その課題を発見して解決にいきなり結びつくという話し、個別のケースで いくとそういう動きになるのですが、もう一つ、課題を共有化をして共同の課題と して地域の資源をつくっていくというような動きにつながっていくという意味では、 その課題を共有をして、お互い自分たちの問題だとして一緒に考えるというような プロセスが間に入る、そういうプロセスが入ることが、例えばこの範域の問題の中 で出てくる中学校区や小学校区という少し広い範域でとらえて課題を共有化をして いくというようなことだと思います。  基本的にはその見守りの活動であるとか、細かな地域の動きを察知しながら具体 的に援助するとかということはやはり自治会範域ぐらいの狭い範域ということで、 この中でも随分議論が出ていました。そしてそれとは別にもう一つ広い小学校区な り中学校区なりの範域をもってくるという意味では、そこが適切であるということ を押さえる意味でも、その課題の共有化、もしくは共同化みたいなことを文言とし て入れていただく必要があるということを感じました。以上です。 ○大橋座長  先ほど長谷川委員が言われたのは、14ページの下の圏域です。佐藤委員が言われ たのもそこなので、その辺のところ、圏域を柔軟に考えながら、そこにおける関係 性のもつ意味みたいなものを少し書き加えた方がいいと、こういうことでいいでし ょうか。 ○清原委員  例えば、私たちが直面している課題というのは、世帯ごとをみた時に、高齢者が 深刻な介護ニーズがある場合には介護のニーズに対応する世帯と位置づけられて、 それが仮に同居しているにせよ、していないにせよ、なぜそうした介護ニーズが生 ずるかといったら、他の世代が子育て、あるいは職業上の問題に直面しているとか という複合的なことがありますね。  そのことについてかなり今回も問題の複合性についても触れられているのです が、同様にそれを解決していく時に、担い手というところで例示されていることな んですが、活動の核となる人材がPTAや青少年団体など、福祉に限らず他の様々 な活動を通して云々というふうにありますね。  これらの例が象徴的なんですが、例えば、民生委員でも就任する前に何をされて いたかといったら、PTAの経験者であったり、あるいは三鷹市の場合だと青少年 問題の対策地区委員会の委員であったり、交通問題の対策の地区委員会委員であっ たり、子ども会を指導しているボランティアであったり、それぞれ何らかの経験を されていて、民生委員に推薦されるというようなことがあります。  他にも保護司の前歴をみても、そうした地域の何からの活動をされている方とか、 人権擁護委員でも行政相談委員でも、何らかの別の専門以外の活躍をされている例 があります。そうしたことで幅広く考えますと、必ずしも児童館で支援している人 が大人ではなくて、三鷹だと中高生が小学校の児童に対して遊びのボランティアを しているとか、世代的にも年代的にも、あるいは属性的にもかなり広範に潜在的な こうしたいわゆる「共助の取り組み」に参加できる担い手というのはいるようなん ですね。  その時に、私たちは地域の取り組みですから、その支援となる財源が、前の活動 資金にかかることですけれど、厚生労働省の枠組みであろうが、文部科学省の枠組 みであろうが、それを私たちはかなり総合的包括的に考えながら市民ニーズにかな った仕組みをつくっていきます。したがいまして一方で担い手については多様性を 尊重しつつ、コーディネートしている役割を、ある場合には自治体が果たしたり、 ある場合には民生委員にお願いしたり、ある場合には社会福祉協議会にお願いした り、あるいは独自に今後は地域福祉のリーダーを養成していくということで、幅広 く求めていくというところをかなり手厚く書いていただければなと思います。  あわせて17ページの6の市町村の役割というところで、改めて「場の提供」に おいても、あるいは「機会の提供」においても、あるいは「連携の提供」において も、フォーマルサービスを中核としたサービスのコーディネートにおいても、自治 体が大変重要な役割を担っているという、この記述について、私は不足はないので すが、実は最後の○の5番目の「国においても市町村で柔軟な対応が可能となるよ う、施策の設計や実施にあたっての配慮が求められる」という2行というのは、か なり革命的というか、改革的な記述で、私はこれを心から応援したいと思っており ます。地域福祉包括補助金的な用語にしてしまえばちょっと狭くて恐縮ですが、実 は中身には相当豊潤な可能性を秘めた、そんな方向が今後検討されていくことは実 は本当に重要なことです。財源論についてはすぐ市町村にはね返ってくるので、言 及はこれ以上避けたいと思いながら、実は国と市町村との関係で、地方分権の中、 このような包括補助金的な発想がもし提案され検討されるとするならば、私は「新 しい公」、「新たな公」の実現可能性をかなり高めるものだと思います。  ただ、留意点のところに、公共性とか公平性とか最適性の判断基準を、いかにこ うした枠組みができた時に、私たちが公共団体として担保していくか、そして国が それを保障していくかということについての吟味というのは、課題としては残され ます。でもそれを十分配慮しつつ、思い切った方向性が出されるとするならば、私 は本当に大いなる改革ではないかなと受けとめました。 ○大橋座長  全国1,800自治体が清原市長と同じように考えてくださればよろしいのですが、そ うではないので、この辺は柔軟にと言いながら、一方では全国民の底上げをどうす るかということでは、まあ留意点の方にある意味ではサービス水準の評価の機能み たいなものをどうするかなんていうのを大胆に書き込まないと、市町村のアドミニ ストレーション機能が見えなくなっているんですね。  それで私なども地域福祉計画が今10年前と随分違うなと思うのは、市町村のソー シャルアドミニストレーション能力をどうするかということが大事で、その一つは やっぱりサービスの水準向上なんですよね。それから人材の研修なんですよね。そ ういう機能をやっぱりきちっと書き込まないといけないと思います。 ○清原委員  実はその4のところに既存政策の見直しのところに検証というのが明確に書いて あるのですが、実は既存施策だけじゃなくて、私たちが提案しているこれからの地 域福祉のあり方によって生まれる新しい事業とか政策についても、たえざる検証と いうのが必要で、それも事後評価も重要ですが、第三者評価とか、そういう仕組み をしっかりと福祉の領域の中で確立していかなければいけない。そうでなければ地 域福祉の中の「新しい公」、いい意味での支えあいの仕組みというのが、いわゆる サービスを必要としている方の視点に立って成り立たないのではないかなというこ とで、今大橋座長がはっきり言っていただいたように、基礎自治体も、あるいは事 業者も、ボランティア団体も、すべてそうした事後評価と第三者評価にたえ得る検 証の仕組みというのは、きちんと明記していただくことは必要だと思います。 ○小林委員  IVの構成は、1、2、3、4、5、6となっており、これは市町村の役割と、そ の前に書いてある条件・方策でなりたっていますが、それぞれは誰がその役割を果 たすのですか。市町村がやることと、条件があることというのはどういう関係があ るのでしょうか。全体にここは何か市町村の役割が全部とも見えるし、そうではな くて、この黄色のところは誰か別の人たちがやるようにも見えます。条件というの は政策に結びつく部分ですから、もう少し整理していただいた方がいいのではない かという気がします。 ○大橋座長  例えば、14ページの住民主体を確保する条件があることというのは、これは必ず しも行政だけでできるわけじゃない、自分自身も考えて欲しいし、地域福祉の中核 的推進である社協もこういうことも考えて欲しいとか、そういうことをもう少し大 きく言ってるから、そういう大きなことを言いながら、最後はやっぱり一番大事な ところは市町村行政だよという流れなんだと思いますけどね。 ○小林委員  特に計画を入れていただいたのはすごくいいと思いますね。計画はかなりやっぱ り全体を担保するひじょうに重要なところですので。 ○大橋座長  だから計画の中身などもどこまで書き込めるかというのがあるのですが、さっき 出たようにアウトソーシングが随分ふえてくればくるほど、民間のサービス事業者 がふえてくればくるほど、市町村の行政の責務というのはきちんと全体を見たアド ミニストレーションの機能をもたなくちゃあいけない、そのアドミニストレーショ ンの機能が何なのかということが論議しきれてないんですね。今回はそこまで踏み 込めるかどうかわかりませんが、いずれにしてもそういうことを少し整理をしたい と思います。 ○河西委員  担い手のところで、人材の育成というところで、実は即人材にはならないかもし れませんが、いわゆる教育という場面で、学校教育の中にも福祉といいますか、ボ ランティア精神といいますか、そういう教育の場があってもいいのではないかな。 私ども活動の中でもボランティア体験の受け入れというのは積極的にやってますが、 その辺の担い手の育成の中で入れていただければと思います。 ○大橋座長  それは先ほど長谷川委員も言われたことですので整理いたします。 ○佐藤委員  コーディネーターという部分、ここで見てますと個別支援を調整をするという役 割は出てくるのですが、その中で先ほども言いましたように課題を共有化するとか、 その中から資源をつくっていくとかということをしようと思うと、その個別の援助 だけではなくて、コミュニティワークの機能を合わせてもっていかないといけない だろう、そういう記述を少し入れていただければと思います。 ○大橋座長  それはコミュニティワークなのか、コミュニティソーシャルワークなのか、これ だけ個別援助というと、コミュニティワークですか、コミュニティソーシャルワー クですか。 ○佐藤委員  コミュニティソーシャルワークということでいうと、ソーシャルワークの機能だ けではなくもう一つの抱き合わせのコミュニティワークの部分も機能としては必要 だというイメージです。 ○三本松委員  表現のところだけなんですが、14ページの2の最初の○のところで、「自ら問題 解決に向かうことのできない人の問題」というふうに書いてあるのですが、これは 10ページの先ほど大橋座長が指摘した対象者のところで、何々ができない人と一面 的にとらえることはないというふうに書いてあるので、ちょっとこの辺を注意した 方がいいんじゃないかということと、もう一つが15ページの最初の○のところで、 「地域福祉は・・・である」というふうになっていて、これも読み方によると定義 になってしまうので、ちょっと書き方を考えていただきたい。 ○大橋座長  ありがとうございました。いろいろあろうかと思いますが、19ページ以降の留意 すべき事項は、もう時間の関係で次回にやらせていただくということにしたいと思 います。冒頭に話をしましたが、タイトル自体も今日時間があれば皆さんにお諮り したいと思っていたのですが、次回に論議をさせていただきたい、ついては少し考 えてきていただきたいんです。インパクトのある国民向けのメッセージと、社会福 祉関係者にもう一度考え直して欲しいということをどういうメッセージを出すかと いうようなことですが、必要があれば皆さんに投票していただいて、こういうテー マがいいとか、タイトルがいいとかということにしたいと思いますので、考えてき てください。  それから語句だとか表現だとか、そういうものの妥当性がいろいろあるかと思い ます。それはまた事務局の方にお寄せいただければと思います。それから文書でメ ールやあるいはファックスでも結構ですので、事務局の方にいろいろ意見があれば、 こういうのはどうだろうかということでお寄せいただければありがたいと思います。 それでは局長どうぞよろしくお願いします。 ○中村局長  また作業させていただきますので、時間が限られておりましたので、ご意見をい ただけない委員の方も多かったのではないかと思いますので、あるいは細かい点で ここの場で発言するまでもないというようなこともあるのではないかと思いますの で、ぜひお寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○大橋座長  それでは事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○事務局  次回は3月14日(金)の10時から12時まで、厚生労働省の会議室になります。 ○大橋座長  ありがとうございました。今度は今回と違って次回まで少し時間がありますので、 いろいろまた事務局で作業していただけるかと思いますので、先ほど局長も言われ ましたようにいろいろ意見を率直に言っていただければありがたいと思います。そ れでは第9回の会合をこれでおしまいにさせていただきます。どうもありがとうご ざいました。 (終了)