08/02/14 第1回有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会議事録 「第1回 有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会」議事録 日  時 平成20年2月14日(木) 10:00〜 場  所 厚生労働省13階職業安定局第1会議室 出 席 者  ・参集者(50音順)   梅崎委員、奥田委員、佐藤委員、諏訪委員(座長)、原委員、藤川委員  ・オブザーバー   労働基準局監督課 黒澤監察官   職業能力開発局総務課 平嶋課長補佐   雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課 佐々木補佐  ・事務局   太田職業安定局長、荒井審議官(職業安定、援護担当)、宮野職業安定局総務課長、    三上職業安定局雇用開発課長、本間職業安定局雇用開発課長補佐、佐藤職業安定局   雇用開発課長補佐 議  題  1 開 会  2 挨 拶  3 座長の選任について  4 今後の進め方について  5 有期契約労働者の現状について  6 ガイドラインのイメージについて  7 その他 配布資料  資料1  有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会構成員名簿  資料2  有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会開催要綱  資料3  議事の公開について  資料4  有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会スケジュール(案)  資料5  本研究会における有期契約労働者の範囲について  資料6  有期契約労働者の雇用管理の改善に係る事業概要 資料7  有期契約労働者の雇用管理改善ガイドラインのイメージ(案)  参考資料 有期契約労働者の現状について 議  事 ○三上雇用開発課長  定刻となりましたので、ただいまから第1回「有期契約労働者の雇用管理の改善に関 する研究会」を開催いたします。本日は、ご多忙のところご参集いただきまして誠にあ りがとうございます。座長が選出されるまでの間、私、職業安定局雇用開発課の三上が 議事進行役を務めさせていただきます。初めに、太田職業安定局長よりご挨拶を申し上 げます。 ○太田職業安定局長  本日は、大変ご多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。こ の研究会の開催にあたりまして一言ご挨拶を申し上げます。  いわゆるバブル崩壊以降の長期景気低迷の中で、国際化の進展とか経済産業構造の変 化、価値観などの多様化により、就業形態・雇用形態も多様化しているわけです。ご案 内のとおりパート、契約社員、派遣社員といった非正規雇用の労働者が増加しておりま す。直近の調査でも、大体3分の1ぐらいの割合になってきていて、この10年で10ポイン トほど上昇してきています。  これまたよく指摘されるわけですけれども、非正規雇用が増加する中で、社会全体と しての人的資本の蓄積が弱まる、あるいは男性の有配偶率が低くなるということで、少 子化の加速も懸念される等いろいろな問題点が指摘されているところです。  私どもとしては、正社員になりたいという方についての、正社員就職の支援をすると いうことで、特に若者についてはフリーター常用雇用化プランということで、今年度は 25万人、来年度は35万人ということでの正社員就職の支援をやっております。一方で、 当然非正規で働く方もいるわけですので、その処遇であるとか、雇用管理の改善に努め ている状況です。  これもご案内のとおり、非正規にもいろいろな形があるわけです。大きく分けてもパ ート、派遣、請負、契約社員、嘱託社員という形で分かれています。パート労働対策に ついては、昨年の通常国会でパート労働法が成立し、今年の4月から施行されます。そ の中で、さらに均衡処遇、均衡待遇の確保、正社員転換への支援が行われるという状況 です。派遣についても、いままさに制度の見直しを行っている状況です。請負について もガイドラインの中で適正化等々が図られている状況です。  そうすると、フルタイムの契約社員、あるいは嘱託社員などの雇用管理の改善が大き な課題としてあるわけです。労働基準局でも、来年度から有期労働契約の見直しについ て検討を進める予定があります。私ども職業安定局においても、基本的には現行の制度 の枠組みを前提にしつつも、その中での有期契約労働者の雇用管理改善のためのガイド ラインを策定し、そのガイドラインを活用し、ハローワークなどを通じ、事業主に対し て雇用管理の改善を働きかけていきたいと考えております。  併せて、来年度の予算措置でも、中小企業に向けた有期契約労働者から正社員に転換 する制度等を設けた事業主への奨励金制度を創設し、労働者の雇用の安定を促進してい くことにしているところです。私どもは、いま申し上げましたような問題意識で、この 研究会で、このような有期契約労働者の現状・課題、あるいは雇用管理の在り方につい て分析・検討をお願いし、ガイドラインの策定に向けてご議論いただきたいということ です。  委員の皆様方におかれましては、幅広い見識とご経験に基づき、さまざまな角度から ご議論いただき、ご検討をお願いしたいということです。どうぞよろしくお願い申し上 げます。 ○三上雇用開発課長  本日は第1回研究会ですので、「資料1」に基づき、委員のご紹介をさせていただきま す。梅崎修委員です。奥田香子委員です。佐藤博樹委員です。諏訪康雄委員です。原ひ ろみ委員です。藤川久昭委員です。  次回以降はオブザーバーとして、このテーマに造詣・見識のある民間の企業の方々の 出席を予定しております。またこの度、厚生労働省からは、労働基準局監督課の黒澤、 職業能力開発局総務課の平嶋、雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課の佐々木がオ ブザーバーとして同席させていただいております。事務局につきましては、お手元の配 置図をご覧いただくということで、紹介は割愛させていただきます。  議事に入ります前に、本研究会の趣旨等につき、「資料2」に基づいてご説明させてい ただきます。  非正規労働者は若年者を中心として増加傾向にあります。このような状況が続くと、 中長期的な競争力、生産性の低下、不安定就労の増大、これが社会保障システムの脆弱 化等の諸問題を引き起こす恐れもあるということ。特に、今回課題になっております契 約社員、期間工等の有期労働契約を締結している労働者につきましては、雇用管理の改 善への取組みが十分に行われていない状況にあります。  また、平成19年5月31日参議院厚生労働委員会での、雇用対策法及び地域雇用開発促 進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、「有期労働契約を締結してい る労働者についても、その雇用管理の改善や通常の労働者への転換を支援するための施 策を講ずる」ことが求められているところです。  こうした状況を踏まえ、職業安定局長主宰により、有識者の方々にご参集いただき、 関係者のご意見も伺いながら、有期契約労働者の現状・課題・雇用管理の在り方につい て分析・検討し、有期契約労働者の雇用管理の改善を推進していくためのガイドライン を策定すべく、この研究会を開催するというものです。  この検討の結果、取りまとめられた成果については、広く事業主等に示してまいりた いと存じております。  議事に移ります。「議事次第3」は座長の選任です。開催要綱の規程により、参集者 の互選によって選出していただくことになっておりますけれども、いかがお取りはから いいたしましょうか。 ○佐藤委員  諏訪委員が、座長として適任だと思いますので推薦いたします。 (異議なし) ○三上雇用開発課長  それでは、諏訪委員に座長をお願いいたします。 ○諏訪座長  それでは、進行役を務めさせていただきます。「資料3」に基づき議事の公開につい て事務局から説明をお願いいたします。 ○本間雇用開発課長補佐  資料3「議事の公開について」を説明させていただきます。議事の公開については、厚 生労働省におきます審議会等会合の公開に関する指針を元に整理した内容となっており ます。ここに掲げられております4つに該当する場合には非公開とするとされております。 これに従い、本研究会についても、議事及び議事録については原則公開という扱いにな ります。会議の開催の都度その議題を踏まえ、会議及び議事録の公開について取扱いを 判断することとしたいと考えております。  また、配付資料については、原則として公開するというふうに考えておりますが、取 扱いに注意が必要な資料の場合には、その旨を表示し、非公開の取扱いとするものとさ せていただきます。なお、本日の会議については、公開の取扱いとしております。議事 録については座長に内容の確認を取った上で公開とさせていただきたいと思います。差 し支えがあるようならば、議事要旨のみの公開としたいと考えております。 ○諏訪座長  ただいまの説明に関し、ご質問なりご意見はございますか。 (特に発言なし) ○諏訪座長  特にご発言はないようですので、事務局の案のとおりでこれ以降は進めさせていただ きます。「議事次第4」今後の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。 ○本間雇用開発課長補佐  資料4から資料6について説明させていただきます。資料4は「研究会のスケジュール (案)」です。第1回は本日ですが、有期契約労働の現状とガイドラインのイメージの 2つの議題についてお諮りいたします。第2回は4月8日の16時〜18時で、関係者等からの ヒアリングを予定しております。第3回は4月下旬で、有期契約労働の課題について整理 していきたいと考えております。第4回は5月下旬で、ガイドラインの在り方ということ で、ガイドラインの活用方法を含めてお話をいただきたいと思っております。最後は6月 下旬に、ガイドラインの取りまとめとさせていただきます。いまのところ5回を予定し、 6月下旬に完成ということで考えております。  資料5は「本研究会における有期契約労働者の範囲ついて」です。現在さまざまな法 制度等を見ますと、「直接雇用」で「有期雇用契約」の部分、ここでは黒くなっている ところがありますが、ここの部分が特に何の手当てもない状況になっております。周り を見まして、「直接雇用」の「短時間パート労働者」のところでいいますと、パート労 働法がこの4月から改正されて施行されますし、ガイドラインも作成されております。  右側の「その他」のところで、派遣労働者については「労働者派遣法」のほか、先ほ ど局長の挨拶にもありましたが、派遣法の見直し等の研究会が本日設置されると聞いて おります。工場等の製造現場で働く請負労働者についても、昨年、「請負ガイドライン」 が策定されて、一応手当てがされています。  こう見ていきますと、先ほど申し上げましたとおり、フルタイムで働く「直接雇用」 の「有期契約」の労働者の部分が抜け落ちていますので、この研究会においては黒塗り のところをフォーカスして議論していただきたいと考えております。ただ、有期契約と いうのは対象範囲が広くてさまざまありますので、ある程度このフォーカス部分からは み出た部分、短時間パート等も含めた整理も一部していきたいと考えております。  資料6は今回の「有期契約労働者の雇用管理の改善に係る事業概要」です。この4月以 降、厚生労働省として、上の段を左側から見ていただきますと、「有期契約労働者の雇 用管理ガイドライン(仮称)」を作成したいと考えております。そのガイドライン作成 のための研究会が本研究会です。  その右横になりますが、今度は「有期契約労働者雇用管理改善好事例集(仮称)」を 作成したいと考えております。好事例集については、実際に企業へヒアリングに伺い、 そのヒアリング結果をまとめたものと考えております。本研究会の後、ガイドラインと ともに好事例集を企業等に配布・周知していきたいと考えております。  その右横に、「中小企業雇用安定化奨励金(仮称)」制度をこの4月施行ということ で考えております。この奨励金の中身についてはここに記載のとおりですが、有期契約 労働者から正社員、通常の労働者に転換する制度を、まず就業規則等に規定していただ きます。さらに、有期契約労働者の希望により正社員へ転換した場合に、1事業所当た り35万円を支給するという内容です。その後3年以内に3人以上、母子家庭の母を含む場 合は、3年以内に2人以上という条件になっておりますが、転換させた場合には1人当た り10万円、母子家庭の母であった場合は15万円を、10人を限度として支給するという奨 励金制度となっております。この奨励金を、ガイドライン、好事例集といったものと併 せ、ハローワークの雇用管理指導官を通じ、実際に企業等に周知・啓発、指導等を行っ ていきたいと考えております。これを通じ、有期契約労働者の雇用管理の適正化や改善 を推進するとともに、正社員への転換を推進していきたいと考えております。この研究 会は、全体事業概要の中のガイドラインとお考えいただき、策定をお願いしたいと考え ております。 ○諏訪座長  ただいまの説明に対しご意見、ご質問がありましたら、お願いいたします。 ○佐藤委員  色付きの「中小企業雇用安定化奨励金」のところの転換への支援ですが、基本的には 中小企業ということですね。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。 ○佐藤委員  パート労働法の兼ね合いでいうと、正社員転換制度というのは何なのか。パート労働 法は特定の制度というよりは例示して挙げていて、その他もあり得るという形でやって いるわけですが、そういうものとして考えているのか、パート労働法並びの正社員転換 制度か、あるいは特定のものを考えているのかという質問です。  もう1つは、パートのほうも転換のいろいろな支援があると思うのだけれども、それ とこれとは政策上どういう関係にあるのか。これは「パート労働者含む」と書いてある ので、その2つについて質問します。 ○本間雇用開発課長補佐  1つ目の、特定のものか否かというのは。 ○佐藤委員  転換制度というのは何を指しているのかです。 ○本間雇用開発課長補佐  基本的には就業規則に、パートを含む有期契約労働者を正社員に転換させます、とい うようなものを規定として盛り込んでいただくということを想定しています。 ○佐藤委員  パート労働法だと、例えば社員を募集するときに、その情報をパートにも提供すると いうものまで入っていて、その「等」の中に入っているのですけれども、それは駄目だ ということですか。 ○本間雇用開発課長補佐  そこまでは考えておりません。 ○佐藤委員  狭いということですね。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。単純に就業規則・労働協約に転換する制度を設けたという形になります。 ○佐藤委員  転換制度を進めろといったときに2種類あると、すごくわかりにくくなっていく可能 性があると思いますね。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。パート労働法の制度と比較するとです。 ○佐藤委員  比較すると、すごく狭いものを言っているということですね。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。 ○佐藤委員  もう1つの、パート労働法の転換制度促進の政策との重なり合いと差別化はどうなっ ているのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  現行制度で、既に制度自体、転換制度を設けた場合に奨励金を出しますという制度が ありますが、今回そことは棲み分けをさせていただきます。有期の方であれば、パート も含めて、すべてこちらのほうで奨励金を出していきます、という形にさせていただき ます。現行のパート労働法でやっている制度のほうは、中小企業の場合、有期でない方 々の場合は現行の制度を使っていただいて、大企業はこれまでの現行制度でやっていた だく、というような形で棲み分けをさせていただきます。今回の新しい奨励金のほうに、 有期の短時間を全部含めております。 ○佐藤委員  無期のパートですか。 ○本間雇用開発課長補佐  無期のパートと大企業は現行のままの形で残しております。 ○佐藤委員  無期のパートというのは、就業規則上そうなっている人ですか。 ○本間雇用開発課長補佐  そうです。 ○佐藤委員  それをフルに転換するという意味ですか。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。そのような棲み分けを今回はさせていただいております。実際無期の方がどの ぐらいいらっしゃるかというのは。 ○佐藤委員  中小企業には、運用上無期というのが相当いるのは事実だと思うのです、それはどこ に入るのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  形式上は無期です。 ○佐藤委員  実際上はかなり更新されて、実態上、無期だとみなし得るような者もいるとします。 そうすると、政策上はどちらの対象になるのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  実際に有期という形であれば、こちらになっていくのかなと。 ○佐藤委員  かなりの部分はこっちでカバーすると考えてよいということですか。 ○本間雇用開発課長補佐  はい、そのように考えております。 ○佐藤委員  ただし、それも狭い意味での正社員転換制度を入れた場合ですね。 ○本間雇用開発課長補佐  そうです。 ○佐藤委員  広いほうはこちらでカバーするのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  そうです。 ○佐藤委員  中小企業でもですか。 ○佐々木課長補佐(雇・児局)  パート労働法ですと、制度を周知する、試験制度を導入するということでも、通常の 労働者への転換の推進の措置の履行となりますが、助成金については、制度を導入する ということが当然の前提で、その上で転換した人がいないと駄目だという仕組になって いますので、法律から1段階超えたものに対して助成しているということです。 ○諏訪座長  これは、社会保険労務士にでも相談しないと、普通の事業主にはまずわからないでし ょうね。 ○太田職業安定局長  いずれにしても、予算が成立してからやりますので、制度の設計をよく調整し、わか りやすく説明できるように整理していきたいと思います。 ○藤川委員  座長がおっしゃったことと絡むのですが、今回前もって資料を見させていただきまし たが、複雑なところもあると思うのです。そうすると、かなりわかった人でないと取り 扱えないです。私もやっていますけれども、労働相談ですとパート・アドバイザーがい ますし、ハローワークにもアドバイザーがいたり、社労士を登録させているとも聞いて います。今回の雇用管理指導の担い手として、特定の資格、あるいは資格に準ずるもの を考えた上での指導を考えているのか。それとも、一般的にそういうことにかかわらず、 ハローワーク全体というか、そういうことを考えずに雇用管理者をどう考えているのか、 どちらでしょうか。この中には載っていないですね。 ○本間雇用開発課長補佐  基本的には、この奨励金は先ほど申し上げましたとおり、ガイドライン、好事例集と 併せて、ハローワークの雇用管理指導官を今回は増員要求しておりますが、その雇用管 理指導官を中心に、各中小企業事業主等に周知等を行っていきたいと考えております。 そういう意味では、雇用管理指導官が中小企業事業主の相談に乗っていくというような ことを考えております。  制度の棲み分け等もありますので、通常の短時間パートのほうの支給機関も実際にハ ローワークでいまやっておりませんので、その辺の支給機関はまた別だということも併 せて調整はしていかなければいけないということで考えております。 ○佐藤委員  いまのに関わって、この改善のアドバイスをする人についてですが、パートのほうも パートタイムの雇用改善のアドバイザーみたいなのがあります。助成金のほうはパート も込みですから、これは後の話にもなりますけれども、企業の人事管理はフルだけやっ ていたり、短時間だけやっているというわけではないです。職安へ行くと、フルタイム、 有期しかやりませんとか、あるいは財団に行ってくださいとなってしまうのがいいのか どうか。  中小企業はそちらでというように、規模で分ければ非常にわかりやすいと思うのです。 その辺は、片方でパートタイマーのアドバイザーはいるし、こちらの助成金はパートも 入りますと。ただ、改善のほうのメインはフルタイムですというと、どこに行ったらい いのか。こちらの方も、パートも併せてアドバイスしてくれるならいいと思うのですが、 その辺はいかがですか。 ○本間雇用開発課長補佐  後ほどガイドラインのイメージのほうでお話をさせていただきますが、若干、狭い意 味での有期契約労働者に限らず、ある程度短時間パートの方を含めた形の書きぶりを考 えております。そういう形で、短時間パートの方も含めた形の雇用管理改善というとこ ろを、この奨励金と併せて視野には入れていきたいと考えております。 ○諏訪座長  皆様は重箱の隅の議論をしているように見えますが、ここはとても大事な問題なので す。人為的に区切られたものを前提に、また人為的に対応策をとるから、どんどん寄木 細工みたいになってきてわかりづらい。しかも、それが1つの機関が全部処理するのな らば問題ないのだけれども、別機関に分かれたりする。それだけにワンストップサービ スみたいなものをホームページ上、あるいは電話サービスその他でうまくやらないと混 乱します。いちばん心配するのは、せっかく制度を作っても利用されないで予算が執行 できず余ってしまう、といった残念な事態にならないようにするという部分です。  それと同時に、いまの議論が我々がやる有期雇用の今回の課題の特色をかなり物語っ ているだろうと思われます。ご質問等は早い段階に出していただくほうがいいと思いま す。関連して資料などを作るときに、早いほうが事務局も時間のゆとりがありますので、 ほかの委員の方々もご質問なり、ご意見なりをお願いいたします。 ○奥田委員  お願いなのですが、いまのお話の中に出てきた助成金の関係を一度図で示していただ いたほうがありがたいです。私も、事前に見たものとか、いまの議論を聞いていても全 体のイメージとして、重なっている部分とか重なっていない部分とかちょっと呑み込み にくいところがあります。可能な限りそれを整理したものを次回ぐらいにいただけると ありがたいと思います。  その上で、どこの部分をこの研究会で議論するのか、そのように区切るのがいいのか どうか、ということの課題が改めてまた出てくると思いますので、その点をまずお願い いたします。 ○本間雇用開発課長補佐  次回、その辺を整理したものをお配りしたいと思います。 ○諏訪座長  いまの奥田委員のご発言は非常に重要だと思います。資料5とは違うもう1つの重なり の図として、奨励金の問題とか、問題処理の機関等でいくつかの図が書ける。その全体 像を頭に入れた上で議論したほうが、より良い議論ができるだろうと、非常に重要な問 題提起だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。 ○本間雇用開発課長補佐  わかりました。 ○諏訪座長  梅崎委員、原委員はいかがですか。終わり近くになって聞けないようなプリミティブ というか、大事な基本に関わるものはいまのうちにお出しいただきたいと思いますが、 よろしいですか。よろしければ、ガイドラインのイメージ等の説明を受けた後で、また 立ち返ってご質問していただいても結構ですので、少し先へ進めます。議事次第5有期 労働者の現状について、事務局から説明をお願いいたします。 ○本間雇用開発課長補佐  別冊になっている参考資料の1枚目に目次がありますが、このような内容のものをこ の後説明させていただきます。もう1枚めくりますと1頁になりまして、パート、派遣、 契約社員等の推移ということで、全体像をまず見ていただきます。パート、派遣、契約 社員は1993年の1,000万人弱から、昨年途中の集計で1,731万人ということで、全体で74 5万人増加しております。このうち、2002年から「契約社員・嘱託」という分類ができ て統計が取られております。この約5年の間に70万人弱増加しております。「契約社員・ 嘱託」の部分の増え方が非常に大きいと見ております。これは、総務省統計局の労働力 調査ですので、名称ベースでこういう分類をしているものです。その中でも非常に大き いということで見ていただければと思います。  2頁で、先ほどの労働力調査は呼称ベースで統計を取っていますが、その中でフルタ イムで働く契約社員がどれぐらいいるのか、というのは統計的にはどこにも存在してお りません。逆に言えば、いろいろなものを組み合わせないと推計もできないということ で、代替的データを使いながら、今回推計を試みております。あくまで試みの数字とい うことで、ある程度最大値とは考えているのですが、いろいろな方法があり、別な方法 だと若干これより少ない値となっているということもありますので、その辺を若干割り 引いて見ていただきたいと思います。  「契約社員」について言えば、常用雇用者数は5,200万人ほどいて、そのうち契約社 員の割合が2.7%、さらに正社員と比較して業務の恒常性が同等か、それ以上の割合と いうのがあり、これで見ますと81%程度ということで計算しますと、約114万人になり ます。同じように「嘱託社員」を見ますと約88万人、フルのパートタイマーを見ますと 152万人ということで、約350万人ぐらいの数字になるのかと。ただ、これは先ほど言い ましたように、少し大き目の数字なのかと考えております。 ○佐藤委員  2.7%とか81.1%というのはどこから持ってきた数字ですか。 ○本間雇用開発課長補佐  上に書いてあります、「平成17年有期契約労働に関する実態調査報告」というのを本 省の統計情報部で作っておりますので、ここから数字を持ってきております。 ○佐藤委員  契約社員と嘱託社員の定義はどうなっているのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  「契約社員」というのは、専門的な業務に就いている方という定義をしております。 ある程度専門的能力を発揮し、雇用期間を定めて契約する者。「嘱託」というのは、定 年退職者等一定期間再雇用する目的で契約して雇用する者となっております。この報告 では、「その他のパートタイマー」と分類されておりますが、それがこの「フルパート タイマー」というものです。正社員と1日の所定労働時間、1週間の所定労働日数がほぼ 同じで、パートタイム労働者等の名称で呼ばれる方になります。その報告から、今回数 字を借りて試算を試みております。この350万人を前提にこの後説明をさせていただき ます。  3頁は、先ほど申し上げました「平成17年度有期契約労働に関する実態調査報告」を 本省の統計情報部でデータを作成しております。この調査報告では、「事業所調査」と いうことで事業所に対するアンケート調査と、「個人調査」ということで労働者本人に 対する調査と2種類しております。最初に「事業所調査」のほうのお話をさせていただ きます。  常用労働者を5人以上雇用している民営事業所を対象としており、事業所の割合を数 値で示しております。今回は比較のために、短時間パートも数字としてありますので、 短時間パートの資料もできるだけ入れております。  最初に(1)有期契約労働者の就業状況があります。その最初に、有期契約労働者を 雇用する主な理由です。下のグラフで見るとおり、契約社員では「専門的能力を活用」 「人件費節約」が多くなっています。嘱託社員では「経験を有する高齢者活用」。フル パート、短時間パートでは「人件費節約」という理由が非常に多くなっています。短時 間パートでは「日・週の仕事の繁閑に対応」も多い項目になっております。  4頁の(2)は有期契約とする理由の説明の有無です。契約社員、嘱託社員では「書面で 説明」が7割前後と非常に多くなっております。フルパート、短時間パートでは約55% と少なくなっていて、「口頭での説明」とか「特に説明していない」の割合が多くなっ ています。  (3)の1回当たりの契約期間では、契約社員、嘱託社員では「6カ月超〜1年以内」が7割 弱あります。フルパート、短時間パートではそれが5割前後に減少し、それより短い期 間のほうが少し多くなっています。  5頁の(2)は契約更新の状況です。(1)の契約更新の有無については、いずれの就業形 態も「個々の労働者毎に判断」が非常に多くなっています。ただ、フルパート、短時間 パートでは「自動更新」の割合も高くなっています。  (2)の契約更新回数は、いずれの就業形態も更新回数が「3〜5回」が最も多くなってい ます。ただ、フルパート、短時間パートでは「11回以上」などが割合としては高くなっ ていることがわかります。  6頁の(3)の勤続年数については、いずれの就業形態も更新回数が「1年超〜3年以内」と、 「3年超〜5年以内」の順に多く、似たような割合になっております。  (4)契約更新の判断基準ですが、更新の際の判断基準は「本人の意思」「勤務成績・態 度」の順に多くなっています。これは、4つの就業形態による差が比較的小さいという こともあり、一本化して掲載しております。  7頁の(5)契約更新の際の労働条件の見直しの事例では、契約社員、フルパートでは「勤 務成績等を考慮」した条件の見直しが多いです。嘱託と短時間パートでは「前回と同じ 条件」が多くなっています。  (3)は正社員と比較した労働条件等です。(1)の業務の専門性については、契約社員、 嘱託社員で業務の専門性が正社員と「同じ」が半数以上、「専門性が高い」という割合 も20%を超えて多くなっています。フルパート、短時間パートでは「専門性が低い」と いう割合も高くなっています。  8頁の(2)は業務に対する責任です。契約社員、嘱託社員で、業務に対する責任が正社 員と「同じ」が半数以上となっています。ただ、フルパート、短時間パートでは「責任 軽い」というのが半数以上を占めています。  (3)の1日の所定労働時間は、契約社員、嘱託社員では、1日の所定労働時間が正社員と 「同じ」が7割前後ありますが、フルパートでは50%弱と低くなります。短時間パート では「短い」が8割以上となっております。  9頁の(4)は所定時間外労働の頻度です。契約社員、嘱託社員では、所定時間外労働の 頻度が「同じ」である割合が比較的多くなっています。フルパート、短時間パートでは 「少ない」という割合が多くなっています。  (5)の評価(昇格・昇進)制度については、契約社員の場合は「別の基準制度」がある というところが多くなっています。正社員と同じ基準のところも一定数あります。その 他の就業形態の場合は、制度がないというところが非常に多くなっている状況です。  10頁の(6)は処遇決定の際の正社員との均衡の考慮です。いずれの就業形態も「全ての 有期労働者について考慮」しているというところが多いということです。契約社員とフ ルパートでは「作業難易度・職務により考慮」するというところも多くあります。  (4)は契約更新に関する説明の有無です。契約社員、嘱託社員では「満了時に更新可 否を判断し、判断基準を説明」するというところが比較的多くなっています。フルパー ト、短時間パートは「特別な事情がなければ自動更新することを説明」するというとこ ろの割合が高くなっています。  11頁の(5)は雇止めの理由です。雇止めを行った事業所は、全体として30.3%あり ます。その理由の内訳を下のほうの表に出しております。「業務量の減少」を理由とす るところが最も多くなっていて、「勤務態度の不良」、労働者の「能力不足」を理由と するところも多くなっています。これは、就業形態で若干ばらつきがあります。パート などでは「業務量の減少」「勤務態度の不良」が多く見られる状況です。  (6)は正社員への転換です。(1)は正社員への転換制度・転換事例の有無です。契約社 員・フルパートでは比較的「制度又は事例がある」と答えているところが多いですが、 嘱託社員、短時間パートでは「制度・事例がない」というところが非常に多くなってい ます。  12頁の(2)は正社員への転換基準です。いずれの就業形態でも労働者の「勤務成績・態 度」、「能力」を基準に挙げるところが多くなっています。契約社員では「業務上の必 要性」、フルパート、短時間パートでは「労働者の希望」を挙げる割合がやや高くなっ ています。  ここまでが事業所に対する調査で、次の13頁からは個人への調査をしております。 (1)は有期契約労働者の属性です。(1)では産業別の就業形態割合を出しております。こ れは、常用労働者に占める有期契約労働者の割合ということで、飲食店・宿泊業が常用 労働者の中の46.4%と非常に多くなっています。卸売・小売業が32.3%、教育・学習支 援業が31.1%と非常に多くなっています。この中の内訳を個別に見ますと、契約社員は 教育・学習支援業に9.1%と多くなっています。嘱託社員は不動産業などで6.3%と多く なっています。フルパートは複合サービス業で8.1%です。複合サービス業というのは、 実際には郵便局とか農協等の機関で多くなっています。飲食店・宿泊業も比較的多くあ ります。短時間パートは飲食店・宿泊業、卸売・小売業が多くなっています。  (2)は年齢階級ということで、有期契約労働者全体で見ています。各年齢層がほぼ均衡 している状況にあります。男女別で見ると、男性では29歳以下の層が比較的多く、あと は60歳以上の層も多い。女性では全体と同じように均衡している状況がありますが、比 較的30歳代、40歳代、50歳代の真ん中の層が多くなっている状況にあります。ちなみに 平均年齢を見ますと44.1歳で、男性が47.3歳、女性が42.8歳となっています。  先ほど全体を見ましたが、それをもう少し詳しく見たものが14頁です。(3)は就業形態 の男女別年齢構成になります。男性では、契約社員は各年齢層にある程度満遍なくいる 感じです。フルパートでは30歳未満の層が多くなっています。これに対して女性の場合、 契約社員で30歳未満、30歳代がやや多くなっています。フルパートの女性は30歳代から 40歳代、50歳代がある程度拮抗して多くなっています。嘱託社員は内容的なものもある かと思いますが、男女とも圧倒的に60歳代が多くなっています。  (4)は主な収入源です。契約社員、嘱託社員は約7割前後、フルパートは5割強が当該収 入で生活している状況にあります。短時間パートは2割強のみが該当するという形で、 若干性格が異なっています。  15頁の(5)は労働組合への加入の有無です。契約社員で13%ちょっとが加入しています が、その他の就業形態ではいずれも10%未満ということで、加入率は低いということで す。ただ、厚生労働省で組合加入率の調査がされておりまして、直近のものを見ますと、 2007年6月現在で、労働組合の加入者数は全国で1,008万人で、組織率は18.1%となって おります。それと比較してもそんなに極端に低い数字ではないのかと考えております。  (2)は就業状況です。(1)の職種で、男性では、契約社員で専門的仕事が40%を超え ています。フルパートでは生産・労務が28.1%となっています。これに対して女性では いずれの就業形態でも事務がいちばん多くなっています。契約社員の女性では38%を超 えていますし、嘱託でも45%、フルパートで35%という状況になっています。  16頁の(2)は契約期間を定めて就業している理由です。契約社員、フルパートは「正社 員になりたいが、職場がない」が多く、契約社員では41%、フルパートで37.5%います。 嘱託社員は「現在の仕事は有期が一般的」、短時間パートは「個人的な事情から日数・ 時間を短くしたい」が30%を超えて多くなっています。  (3)は契約更新の説明内容です。嘱託社員以外は「自動的に更新」が多くなっています。 嘱託社員の場合は「期間満了時に判断」ということで、これは年齢のこともあろうかと 思いますが、多くなっております。ただし、いずれの就業形態においても「説明なし」 が1割以上まだある状況になっております。  17頁の(3)は有期契約の状況です。(1)の現在の契約期間は、「6カ月超〜1年以内」と いうのが契約社員、嘱託社員で6割前後と多くなっています。フルパートではその部分が 5割を切り、さらに短時間パートでは35%弱。さらに短時間パートでは「3カ月超〜6カ月 以内」の部分も少し増えてきています。契約期間としては少し短くなる傾向にあるとい うことです。  (2)は契約期間3年以内の有期契約労働者の現在の契約の状況です。「初回契約の労働 者」というのは、契約社員、嘱託社員では2割以上あり、フルパート、短時間パートで は2割を切っています。全体としてフルパート、短時間パートの平均更新回数は7回以上 となっています。これは契約社員等より多くなっています。平均勤続年数もフルパート が5年7カ月ということでいちばん長くなっています。あとは4〜5年の間になっています。  18頁の(3)は契約期間満了後の希望です。これは、いずれの就業形態でも「契約更新希 望」が50%以上となっています。契約社員、フルパートでは「現在の会社で正社員とし て働きたい」というところの割合も少し高くなっていて、契約社員では2割を超えてい ます。  (4)は今後継続して勤めたい期間です。いずれの就業形態でも「1年超〜3年以内」の割 合がいちばん高くなっています。嘱託社員を除き「5年超〜10年以内」や「10年超」と いった長期にわたる希望も多くなっています。この辺のことを含めますと、雇用管理の 改善も必要になってくるのかと考えております。  19頁の(4)は正社員と比較した労働条件等です。(1)は業務の専門性です。契約社員、 嘱託社員で正社員と比べて「専門性が高い」「同じ」の比率が高くなっています。フル パート、短時間パートでは「専門性が低い」という割合も高くなっている状況にありま す。  (2)は業務に対する責任です。契約社員、嘱託社員で正社員と比べて責任が「より重い」 「同じ」という比率が多くなっています。フルパートでは「より低い」の割合がかなり 増え、さらに短時間パートでは「より低い」が最も多くなっている状況にあります。  20頁の(3)は賃金です。契約社員、フルパートで賃金についての意識になりますが、「 納得できない」が最も多くて3割を超えています。嘱託社員では「低いが納得」が4割弱 ということで逆に言えば多くなっています。短時間パートでは「適当」が36%を超えて いて最も多いという状況になっています。  (5)は雇止めの状況です。(1)の雇止めの経験の有無では、契約社員、嘱託社員で「雇 止めの経験有」が20%を超えています。フルパート、短時間パートよりやや高目の数値 になっています。  21頁の(2)は雇止め経験者の雇止めの主な理由です。いずれの就業形態でも、「期間満 了」が多くなっています。フルパート、短時間パートでは「業務量の減少」が多くなっ ています。これは、事業所調査の雇止めの理由と、労働者側とは若干違ってくるような 傾向にあるのかと思われます。  これまでが、平成17年度の実態調査報告です。22頁は別の調査になります。若干古く なりますが、「平成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査報告」という、厚生労 働省の統計情報部のデータを元に作成したものです。ここでは、先ほどとは分け方が違 っています。契約社員、嘱託社員は同じなのですが、パートタイムの方々は、短時間パ ートの方々を対象に調査しているということで、フルパートの方々はこの調査の中では 表に出てきていません。そこは勘案しながら見ていただきたいと思います。  1「非正社員に適用される制度」ということで事業所の割合になります。折線グラフに してありますが、契約社員、嘱託社員で雇用保険、健康保険、厚生年金の加入率は高く なっています。それと比較してパートタイムは短時間になりますので低くなっている状 況です。契約社員、嘱託社員では賞与の割合も高くなっています。企業年金、退職金、 昇進・昇格というものも、いずれの就業形態においても低くなっている状況です。その 他で福利厚生施設利用、社内教育訓練、自己啓発援助といったものも低いことは低いの ですが、正社員の水準を見てもこの辺はそんなに高くないということもあり、非正規労 働だから低いということは若干あるかとは思いますが、その辺は正社員と比較しても比 較的差が少ないのかと思われます。  2「平成15年9月の賃金総額」です。これは単月の賃金総額になります。契約社員、嘱 託社員で「10〜20万円未満」という割合が多くなっています。パートはそれに対して「 10万円未満」が半数を超えています。当然正社員は「20〜30万円未満」「30〜40万円未 満」の辺りが割合的には多くなっています。  23頁の3「就業期間別労働者割合」です。契約社員、嘱託社員、パートはそれぞれ「2 〜5年未満」が多くなっています。正社員は「10〜20年未満」が非常に多くなっていて、 全体的に正社員は、非正社員と比較して就業期間が長期になっているのが見て取れるか と思います。  4「職業能力開発の意欲」です。見ていただきますと、契約社員は正社員並に職業能 力開発の意欲があるということで、7割を超えています。それと比較しまして、嘱託社 員5割を下回り、パートは5割程度と低くなっています。  24頁からはまた別の調査になっています。厚生労働省の能力開発局の基盤整備室で調 査している「能力開発基本調査」、これは平成18年の資料を一部加工して使っています。  1「非正社員における能力開発体制の責任主体」です。これは非正社員、正社員という 区分けしかないですから、非正社員ということで話をしますが、非正社員では「労働者 の能力開発は企業の責任に近い」と考えている事業所が多くなっていまして、今後さら に増加する傾向にはあります。ただ、依然として「個人の責任に近い」「個人の責任」 だとするところも多く存在しています。  2「労働者の自己啓発を支援している事業所割合」です。事業所割合は、正社員の約 半分に過ぎないというのが見て取れると思います。  25頁です。3「OFF-JTを実施した事業所割合」です。産業別と規模別に出しています。 OFF-JTを実施した事業所割合は、非正社員では正社員の約半分になっています。ただ、 業種でもかなりばらつきがあります。医療・福祉が約7割を超えていたり、金融・保険 も高く、62.5%という非常に高い業種もありますが、それに反して建設業は17%、情報 通信業は24.2%、電気・ガス・水道等は28.4%と低くなっている業界もあります。規模 別では、中小よりも大企業ほど割合としては高くなっています。  26頁の4「労働者に対する自己啓発への支援内容」です。非正社員では正社員と比較 しまして、「受講料などの金銭的援助」、「情報提供」、「就業時間の配慮」といった 項目で比較して非常に低くなっている状況にあるかと思われます。  5「自己啓発を行った労働者」です。非正社員は正社員と比較しまして、自己啓発を行 った比率が約半分となっています。この辺は非正社員でいると、どんどん正社員と差が 付いてしまう可能性が含まれているのかなと思われます。  27頁の6「自己啓発に問題があるとした労働者」です。自己啓発に問題があるとした割 合は、正社員のほうが非正社員より高くなっている状況にはあります。  7「自己啓発に問題のある労働者の自己啓発の問題点」です。正社員、非正社員ともに 仕事が忙しく余裕がない割合が最も高くなっています。また、非正社員では、「セミナ ーの情報が得にくい」、「適当な教育訓練機関が見つからない」、「家事・育児が忙し く自己啓発の余裕がない」といったところが正社員と比べて高くなっています。以上が 現状について、3つの調査データに基づいて報告した内容です。以上です。 ○諏訪座長  ありがとうございました。基礎的なデータですが、何かお気づきの点はありますか。 ○佐藤委員  8頁の「1日の所定労働時間」を見るとわかるように、我々はフルタイム有期を議論し ますが、この調査は有期の嘱託もパートタイマーも入っているということで、これは両 方ですが、たぶん1日で見ているから、フルタイムパートもパートがいるのですね。 ○本間雇用開発課長補佐  そうですね。 ○佐藤委員  ですから、パート労働法ではたぶん1週間ですよね。ですから、データを読むときは 気をつけたほうがいいなと。先ほどの推計も、そういう意味だと過大に評価されるとい う意味なので、この比率を含めて、我々が言う「フルタイム有期」というのはどのぐら いなのかというのをもう一度やっていただきたい。このデータを見ると、契約社員・嘱 託社員は、法律上のパート労働者が契約社員の3割弱ですよね。先ほど学習塾があると 言いましたが、フルタイムだけれども、週で見るとパートもいる可能性があるから、も っと少なくなる可能性がある。ですから、ちょっとそれは見ていただきたい。  もう1つは、就業形態多様化調査ではフルタイム有期は調査していないという話です が、そこに入らないのは全部その他に入っていますので、そこにフルタイム有期は入っ ています。基本的にはそれしか残らないので、短時間有期を取った残りですから、ここ では専門的な有期とか定年後の嘱託、短時間のパートを取った残りをその他に入れると いう調査表なので、その他がそうです。  もう1つは、「パートタイム総合実態調査」がありますよね。あれはパートの調査で 誤解する人が多いけれども、実はパート以外の有期も聞いていますので、事実上そこが フルタイム有期です。パート以外が全部、基本的にはフルタイム有期と考えていいと思 います。ですので、あれを見ていただいたほうがいいと思います。 ○本間雇用開発課長補佐  その辺は参考にしたいと思います。 ○奥田委員  いま佐藤委員が指摘された8頁の点の確認ですが、フルタイムパートの39.1%という のは、1日で比較をしているからパート法でいう1週間で同じということにならないと いう趣旨の理解でよろしいのですか。だとすると、就業日数が多いということですか。 ○本間雇用開発課長補佐  ここの調査というのは事業所の割合です。その事業所におきまして、最も多い就業形 態のものをここで調査している形になっていまして、ここは1日の所定労働時間ですの で、1週間で見るとフルパートになるけれども、1日で言えば短いという回答なのかなと。 ○佐藤委員  ただ、調査表上は、1日の所定あるいは週の労働日が通常労働者とほぼ同じ人をフル タイム、調査表上はその他パートとして区分しろと書いてありますので、一応調査上は 1週間を見ているはずです。ただ、少し短いのを入れてもいいような調査表上の設計に なっているので、少し短いのが入っている可能性はあります。ただ、ここは1日だけを 切っていますが、一応、定義上は週を見ろとはなっています。 ○奥田委員  もう1点です。5頁の上の表の「自動的に更新」の意味をもう少しお聞きしたいのです が、例えば労働基準法の第14条2項に基づく基準で言えば、更新が有るか無いかを明示 してということになっていまして、もちろんそれが遵守されているかどうかという問題 もあると思いますが、ここで言う「自動的」というのは、例えば更新はあると言ってい ても、その都度個々に判断せずに、問題がなければ通るものを「自動的」と表現されて いると理解していいのでしょうか。あるいは、規定上も何か「自動的に更新する」とな っているのか。どう理解すればいいですか。 ○本間雇用開発課長補佐  基本的に、ここでは省略して書いてありますが、労使のいずれからも就労の申し出が なければ自動更新されるというような中身になっています。 ○奥田委員  そしたら、規定の内容とは関係がないわけですね。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。 ○梅崎委員  先ほど佐藤委員がおっしゃったことと同じですが、8頁のフルタイムパートの0.5%が 長い。そして49.8%が同じなわけで、2頁の推計は67.8%ですね。このずれが生まれた 理由がわからなかったのですが、もしそうだったら「長い」と「同じ」を足した50%を 67.8%のところに替えても、推計になるのではないかと思ってしまいます。 ○諏訪座長  これは事業所でしょ。 ○本間雇用開発課長補佐  8頁は「事業所割合」ですから、「個人別集計」ではないです。ですから、この数字 自体は直接使えないものですから、それでこれを使わなかったのです。実は、そういう 個人別の調査で、就業時間を聞いたものがあれば使いたかったのですが、実際はそれが ないのです。それで、代替的に業務の恒常性みたいな、臨時的でない、ある一定程度を 行うような業務ということで、ちょっと使ってみました。 ○諏訪座長  ただ、加重平均して、梅崎委員が言ったのを事業所の対象の希望ごとに面倒くさいこ とだけれども、そうすればこちらからも推計の1つの数字は得られますね。両方をやっ てみて、どれぐらい違うかで見てみる。 ○佐藤委員  梅崎委員が言われたように、「事業所調査」で労働者数は聞いていないのですか。有 期契約社員が何人という答えはないのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  この調査では、ないです。 ○佐藤委員  そうすると、パートタイムか多様化か何かで推計したほうがいいと思います。あれは 労働者数が載っているので。 ○諏訪座長  では、そういうテクニカルなことは後ほど事務局とよく詰めていただくことにして、 テクニカルな点は原委員もパートと正規は前からやってきていますので、よろしく何か ご指摘ください。 ○藤川委員  こういったデータがあるかどうかを聞きたいので、今日ご用意いただいたものに関す る質問とは直接関連しないのですが、あえて関連するとすれば、18頁の(4)に関するデー タになると思います。我々が雇用管理の改善を議論するときに、対象となる有期契約の 方がどういう希望を持っているかが重要な点だと思います。先ほど佐藤委員がおっしゃ ったパートタイムの総合調査は、たぶんいまのままでいたいのか、それとも正社員にな りたいのかという希望があったと思います。この有期の方々が正社員になりたいのか、 それともこのまま続けて条件を良くしてほしいのか。18頁を見る限りでは、とりあえず 5年ぐらいは勤めたいという個人の嘱託社員の方が結構、正社員にならずに、このまま で長く勤めたいという感じもあるのかなと。そこら辺がわからないので、そういうデー タがあれば出していただければ。例えば今回のこの研究会の対象となるガイドラインも 含めて、とりあえず目玉は奨励金じゃないですか。  ところが、もし正社員にならずして雇用管理の改善を求めている人が多ければ、正社 員になるという制度以外についても、雇用管理改善事例があれば、それに奨励金を出す というような。それは、何に対して出すのかの要件効果はすごく難しいのですが、そう いうことも選択肢としてあり得るのかなと思ったのです。したがって、もしそういうの がわかるのであれば、そして先ほどの佐藤委員のご指摘だと、パートタイム総合調査の 中で今回の対象となるものと被っているので、そこら辺が抽出できればいいのかなと思 いました。 ○原委員  関連して。私も、こういったデータがあるのかなということをお尋ねしたいのです。 今日は正社員登用制が実際に導入されている事業所の割合が報告されて、そうかと思っ たのですが、こういった雇用管理制度というのは企業や事業所が希望しないと。ガイド ラインを策定して達成しなければいけない政策課題があることはよくわかっているので すが、必要としないとなると、雇用管理制度は普及しないことになると思います。私は 制度はあまり強くないのですが、調査を見ますと、必要としているところは導入してい る。必要としていない所は導入していないというのがはっきり見えているので、こうい ったガイドラインで直接的に聞いてくるのは、おそらく必要としているけれども導入で きないような瀬戸際のところだと思うのですが、そういった希望はしているけれども、 導入できないという現状の事業所の割合をもし把握されていたら教えていただければと 思います。 ○本間雇用開発課長補佐  その辺の割合というのは、いまのところ手元にはないので、またいろいろデータのほ うは探してみたいとは思いますが、こういったものを調査するのが比較的に少ないもの ですから、あるかどうかは分からないです。 ○諏訪座長  いまの藤川委員、原委員のおっしゃったことは非常に重要だろうと思いますが、原委 員のことで言えば、調査のときはいつでも意識調査でしか出てこないから、客観的には 必要だけれども、本人がそう思っていないものは出てこない。だから、政策を考えると きは、特にガイドラインの場合は、思っていない人にも少し考えなさいよと、おせっか いなことを横から刺激を与えるわけです。そこがなかなか調査ではデータが出てこない。 他方、何かの制度を入れたときの利用率から言うと、意識していない人は利用しないか ら、意識した人の中から利用者が出てくるだろうという二重の構造になるのだろうと思 います。 ○原委員  私も座長と同じ意見で、こういったガイドラインは非常に重要だなと思っていまして、 知らない人に知らせる切っかけになるわけですよね。そういう区割りが非常に大きいか なと思っています。 ○藤川委員  いま原委員もおっしゃっていて私も申し上げた点は、なかなか調査で掘っても出てこ ない可能性があると思います。私のほうは、佐藤委員がおっしゃったものを使えばまだ 何か出てくるような気がしないでもないですが、何が言いたいかというと、そこら辺の 量的なデータで補完できなければ、質的にヒアリングの選定とかも含めて、原委員がお っしゃった問題意識や私の問題意識を補えるようなヒアリングをさせていただければな と思っています。ご考慮ください。 ○諏訪座長  そういう宿題みたいなものは、早くもらっても解けない宿題もありますが、遅く出た ら、絶対に解けませんのでよろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。 ○佐藤委員  いま藤川委員が言われた、有期で働いている人が正社員になりたいと、数字はいま覚 えていないですが、いくつか調査があります。大事なのは、正社員になりたい人は一定 程度いますが、その人がいまの勤務先の正社員になりたいかというと、すべてではない。 結構これが大事で、みんな転換制度によって正社員になれればいいかというと、この会 社ではなりたくないという人が結構いることは考えたほうがいいと思います。 ○藤川委員  JILPTの調査で、そこの区分ができていないので社会人大学院で議論になったことが あります。それが分かれていないということで、それをどう捉えるのか。 ○佐藤委員  あと、24頁、25頁の「能力開発」のところで、いちばん最初に事務局はガイドライン を作る前提として、非正規の人は、例えば人的資源投資が少なくて、そういう人が増え ると、将来のキャリア形成上に問題が出てくるのだと。私は正しいと思いますが、24頁 の下でも25頁でも、非正規全員が自己啓発をしていないわけではないし、OFF-JTを受け ていないわけではない。企業からすれば、非正規についてもきちんと能力開発をやって いる企業もあれば、正規だからとやっていない会社もたくさんあるわけです。正社員登 用あるいは正社員転換といったときに、非正規の人は教育訓練を受けていないというラ ベリングを貼ることがまたマイナスなわけです。だから、非正規の人の中で総体的に能 力開発機会が少ない人がいるのは事実で、それはやらなければいけないと思いますが、 どうもみんなが能力開発の機会がないのだ、自己啓発をやっていないのだというメッセ ージを出すようなことになってしまうと逆にマイナスです。趣旨の書き方を見ると、み んな駄目だみたいな感じがするので、ガイドラインを作るときでも、そこは配慮してい ただいたほうがいいのではないか。非正規の人でも自己啓発をし、非正規だからといっ て大事な仕事をしないわけではなくて、十分正規でやれる人もいるわけです。そういう 人が職安に正社員募集で行ったときに、非正規の人は能力開発をしていないし機会がな いのだというラベリングを貼られてしまった結果、正社員になれないというのは問題だ と思うので、その辺は是非全体として配慮していただければいいなかと思います。 ○諏訪座長  少しガイドラインのイメージの問題に関わるところに入ってきましたが、いまの点で 言えば、もう1つ、これまでのこの種の調査で欠けていたのは、OFF-JTでもOJTでもその 中身としてどんなものがやられているかというのは、量ではなくて質なのです。それが いろいろな事例を聞いてみると問題がある。問題があるというのは、正社員の場合には 部下を持ったり、マネジメントをやったり、プロジェクトを進めたりという訓練を若い 頃から段階的にやっていくけれども、契約社員やパートタイマーに関して言えば、当該 のその仕事をより高くできるようになるだけである。これで年齢が高くなればなるほど、 正社員転換というのは現実には非常に難しくなってしまうわけです。プロジェクトを運 用したり、部下を持ったり、部下を育成したりという部分をどれぐらい訓練したかとい うことと併せて見ていかないと難しい問題があるということで、ここら辺は改めてまた 今後議論をして、適切にきちんとツボにはまった政策提言ができるように皆さんと工夫 していきたいと思います。  それでは、ガイドラインのイメージで、着地点がどこら辺までいくのか。その射程範 囲や内容の水準みたいな問題に関して、少しイメージを事務局側からお願いします。 ○本間雇用開発課長補佐  お手元の議事次第のほうの資料になりますが、7頁の資料7で、今回のガイドラインの イメージの案を出しました。ガイドラインというものは今回の研究会では報告書を作成 しますが、その報告書の別添という形で考えています。全体の枠組として、一応既存の 法令の制度の範囲内で、現実に使っていかなければいけない部分を中心に整理したいと 考えていまして、新たな規制や義務といったものを課すというものはこのガイドライン の中では考えていません。そういったものが議論として出てくる場合は、別途、ほかの ところで参考にしていきたいと考えています。  ガイドラインのイメージの「趣旨」を最初に持ってきたいと考えています。これは、 この研究会の趣旨と基本的に共通なものと考えています。この「趣旨」の後半にありま すが、有期契約労働者の雇用管理の改善を図るべく、1つ目は事業主が講ずべき必要な 事項を明確にすることを大きな中身にしたいと考えています。2つ目は、今後事業主が 配慮すべき取組を示していきたいと考えていまして、この2点を中心にガイドラインを 構成したいと考えています。  2の「対象者」は、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同一の有期契約労働者(狭 義)としていますが、これを中心にしたい。これは、最初に申し上げた「対象範囲」の 中の黒塗りの部分を中心にしたいと考えています。ただ、先ほども申し上げましたが、 短時間労働者を含む有期契約労働者一般(広義)についても第1章の中では活用できる ように配慮していきたい。ですから、今回章立てとして第1章、第2章に分けて、第1章 では有期契約労働者全般のものをできれば扱っていきたい。その中で若干のメリハリは 出てくるかとは思いますが、そういったものを視野に入れています。第2章で、今回の 狭義の意味での通常の労働者と同一の所定労働時間の有期契約労働者にフォーカスしま して、今後提案すべき内容といったものを入れていきたいと考えています。  3の本文になります。第1章はそういう趣旨から言いまして、ある意味でこれまで有 期契約労働者については何も整理されたものがなかった状況にあります。一般的に「有 期契約労働者」と言っても、特に意識されて何か冊子があるといったものはほとんどな くて、そういう意味では事業主に対して、「有期労働契約に関する早わかり」みたいな、 これを見たら有期契約労働者について注意すべきこと、留意すべきことといったものが すぐにわかりますといったものを整理していきたいと考えています。今回、3月1日に労 働契約法、4月1日に改正パート労働法が施行されますので、それを踏まえて内容を盛り 込んでいきたいということです。  (1)として、労働基準法などの既存の法律等によって有期契約労働者に適用されるもの を青字で記載しています。(2)として、有期契約労働者(狭義)のほうについてもパート 法等の趣旨を考慮すべきものは緑字にしていますが、それを整理したい。こういったも のをまずは第1章として盛り込む形にして、有期契約労働者全体をある程度第1章に基づ いて、雇用管理指導等が可能となるような体裁にしたいと考えています。ただ、ここに いま項目として列挙しているものについては、あくまでも骨として例示しています。実 際は、既存のものを事務局の私どもの範囲内で列挙したに過ぎないと考えていただけれ ばと思います。ですから、先生方のほうでこういったものも入れたほうがいいというも のがありましたら、是非どんどん入れていただきたいと考えています。  第1章の大きな枠組としては、黄色を背景にしているところがありまして、大きく5つ に分けています。1つ目は「安定的な雇用関係に配慮した雇用環境の整備」です。これ は、ある程度契約期間とか解雇とか雇止めといったような、わりと労働契約に関わるよ うな部分を盛り込んでいきたいということで、大体ここは基準法、契約法、雇止めの告 示というのがありますが、そういったものを中心に整理したいと考えています。  2つ目は「労働条件等の改善のための措置」を考えています。労働条件の明示みたい な話とか就業規則とか、通常労働者との均衡待遇といったものを盛り込むイメージです。 ここでは(4)「通常の労働者との均衡の取れた待遇」ということで、(1)から(4)を列挙し てみましたが、これもあくまでも例示で、このほかのものも当然あるかと思われますし、 その辺を含めて少しここで入れるべきものを整理していきたいと考えています。  8頁の3つ目は「キャリアパスへの配慮等」ということで、ここで、「正社員登用制度 の整備」を入れていきたいと考えています。4つ目は「教育訓練・能力開発の機会の付 与」、5つ目は「法令の遵守」ということで、こちらも大体青字になっていまして、既 存の法令等を元に記載することを考えています。これが第1章の大体のいまの骨組のイ メージです。  第2章は、今度は逆に既存の法令では特に定められた根拠法令等がないということで、 より良い雇用管理に向けて、有期契約労働者(狭義)において課題となる事項について、 改善に向けて考慮すべき項目を整理していきたいと思っています。その項目としては先 ほどの第1章と基本的には連続するような形で、いまは3つほど挙げています。これは昨 年策定された請負のガイドラインがありまして、その請負のガイドラインを参考にしな がら列挙しています。ですから、中身についてはまだまだこのほかにいろいろなものが あるかと思われますし、ここである程度有期契約労働者の課題を整理した中で、改善し ていかなければいけない部分を盛り込んでいきたいと考えています。  一応、第1章、第2章という形で策定しまして、あとは最初に申し上げました、具体的 な改善事例は「好事例集」ということで別冊にしまして、これはハローワークを通じて 活用するということです。第1章で根拠法令等に基づくもの、第2章でより良い雇用管 理に向けてということで、事業主に提案して、こうしていったらいいというものをまと める形です。そして、具体的に現実にこうやっている企業がありますという好事例集と いうものを示して、実際に現場で活用していきたいと考えていまして、この辺をイメー ジして事務局としては考えていますが、委員の先生方で、もっとこうしたらいいという のがありましたら、さまざまな角度からご議論いただければありがたいと考えています。 以上です。 ○諏訪座長  ありがとうございました。それでは、ただいまのガイドラインのイメージをめぐりま してご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○佐藤委員  第1章はフルタイム有期だけではなくて、有期全般でパートも含めてというのは適切 な考え方ではないかと。雇用管理上も労働法上も、パートとフルで対処が違うというの はあまりないのではないかと思っていますので、そういう意味では「有期」という形で 整理していただくのがいいかなと。そう考えたときに、第2章も、法令遵守もかなり第 1章に入ってしまう感じがする。ものによっては、フルタイム有期だけの法令遵守があ るのかどうかというので、第2章からかなりいくかなというのが1つです。もう1つは、 雇用管理に限ってみてもフルタイム有期だけ固有な問題があるかどうかが結構難しくて、 ここに書いてある「教育訓練・能力開発機会の付与」をパートはやらなくていいのかと いうことを考えると、2章も、もしかしたら結構議論の余地はあるかなと。ただ、実態 として例えば自動車の期間工を考えれば、あるいは小売業のパート、属性で言えば主婦 が多いのと男性が多いので、そういう意味での具体的な雇用管理の配慮すべき点は、時 間についての配慮も違ってくると思います。残業とか。けれども、それはここで言う基 本的な考え方という点で違うのかどうかが結構難しいところで、第2章で挙げたような 雇用管理のレベルで言うと、もしかしたらフルタイム有期だけを切り出せるかどうかは 議論していただいたほうがいいかなと。  もう1つは、ここではどこまでを書くかによりますが、ガイドラインですから、望ま しいものになるといったときに、人事管理のほうで梅崎委員がいらっしゃるけれども、 ベストプラクティスがあるのか。そうではなくてベストフィットネスという言い方で、 つまりそれぞれの経営戦略なり人材活用の方針に応じて、望ましい雇用管理制度を選べ ばよい。人事管理の議論の中で両方があります。現状でいうと、後者のほうが優勢なの です。ベストプラクティスはない。そうすると、どのレベルまでこれが望ましいと書け るかどうかです。基本的な考え方は書けるかもわからないけれども、制度的レベルでは、 どこの会社でも導入しても望ましい制度ではないというのが大体最近強くなっているの ではないか。ですから、例えば「適正な能力評価と賃金その他の労働条件への反映」と いったときに、非常に単純な業務で活用する場合、能力評価する必要はないのです。そ れだけをやれればいいのです。能力が高まった結果、アウトプットに違いが出てくれば、 能力評価したほうがいいのです。だから、能力評価することがすべて望ましいと言える かといえば、活用の仕方なのです。例えばです。極端な例かもわかりませんが、そうす ると、ここでの書き方も結構難しいなと。いろいろな考え方といろいろな例があります と挙げられますが、これをやったほうがいいというのは、状況に依存する可能性が高い と思っています。 ○本間雇用開発課長補佐  記載を考える際に、あまりこうすべきだみたいな形ではなく、こういった事例があっ て、例えば期間工の場合ですとこういうものがあるという事例的な書き方になるという 感じですか。 ○佐藤委員  ここの書き方だとレベルによると思いますが、これが望ましいと言えるのは、基本的 な考え方はあり得ると思いますが、制度的に望ましいと言えるかというと、いまの学会 の研究動向から言っても、そういうものはない。一応、企業の業種や活用から離れて、 これが望ましい人事制度だというのはないだろうというのが、法律を守るということで はもちろんありますが、その上を超えた部分については一般的に必要ではないかなと思 うので、こういう活用であれば、こういう制度が望ましいかもしれません。 ○藤川委員  ただ、第2章のガイドラインのイメージは、私のイメージが間違えていたら教えてい ただきたいのですが、ベストプラクティスはベストフィットネスではなくて、総花的に こういう論点がありうるよという検討事項を示すだけではなかったのですか。 ○本間雇用開発課長補佐  論点だけではなくて、こうしたらより良いよというのを少し示していきたいなと。逆 にその辺がないと、事業主が読んだときにすぐ使えないですよね。 ○藤川委員  そこら辺の事例集と第2章との棲み分けというか、役割分担が私はよくわかっていな かったのですが、そうすると、第2章というのは、私のイメージしていたのよりはもう 一歩踏み込んでいる感じなのですね。 ○本間雇用開発課長補佐  そうです。 ○藤川委員  ただ、その場合書き方として、ちょっとずるいトートロジカルな言い方をすると、ベ ストプラクティスだと思う場合には、言葉はさておき、こういう検討課題はありうるよ みたいな書き方に留めるべきだと思います。その点では、佐藤委員のおっしゃるとおり だと思います。 ○佐藤委員  例えば、社員に意欲的に働いてもらうことが望ましいと書けると思いますが、意欲的 に働いてもらうためには何をやるべきかというのはいろいろな制度がありうる。意欲的 に働いてもらうことの必要度が高いのも、いろいろ活用によっても違ってきます。あま り考えなくていい場合もある。ですから、意欲的に働いてもらうことが望ましいという 書き方ができると思います。能力開発も一般的には望ましいと思いますが、必要度の程 度とかはたぶん活用の仕方が違いますし、どういう制度がいいかというのはいろいろあ る。 ○諏訪座長  いまのをまとめると、コンプライアンス的な必ず必要な部分、主として第1章に書くよ うな部分は誰もあまり異論がない。少なくとも、ここをこうやってくれないと困ります よとなる。問題は、そこへ上乗せしていく部分で向かう方向は大体大丈夫でしょう。ど の方向へ向かうべきだという目標は書ける。その目標へ向かうとき、富士山の山頂に須 走口から上がるか、御殿場口から上がるか、富士吉田口から上がるかではバスを使った り使わなかったり、いろいろありうる。準備の仕方も違うというようなことであるから、 そこに関してはベストではなくても、ベタープラクティスみたいな、「こんな良いもの がありますよ。ご参照ください」という形になってというようなことでまとまっていく わけですね。それでよろしいのでしょうか。違いますか。 ○佐藤委員  それはわかります。第2章は基本的な考え方みたいなものは書けるだろう。事例は好 事例の部分を振るという整理であればできると思いますが、まだイメージがわからない ので、ここでこういう給与制度にしなさいみたいなことまでは結構難しいかなというだ けの話です。 ○諏訪座長  第2章の部分は、佐藤委員も関わられた「請負ガイドライン」が念頭にありますから、 あそこで書いた程度の簡単な事例やサンプルは示すということですよね。何もなくて項 目だけが挙がっていたら、現場の人にとっては取り付く島がない。事例集を見ろといっ たら、30社がこんなに厚く載っているわけでしょ。そうすると、誰もそちらは見ない。 こちらを見てわからない。やめたとなるわけですよね。何かそこを作ってということで すよね。 ○佐藤委員  それは例えば定着というのが大事です。具体的に定着のやり方は、たぶん対象によっ て違うわけですよね。先ほど言いましたように、主婦でもいろいろですが、主婦を想定 したのと男性で稼ぎがあるもの、定着管理のやり方は対象によって違ってくる可能性が ある。ただ、その例示はできるけれども、これをやればいいというのはそれぞれ考えて もらうしかないという趣旨です。 ○奥田委員  この中身は、また今後検討していくということですね。対象だけですが、「日々雇用」 とかはここでは入れないという前提でしょうか。 ○本間雇用開発課長補佐  メインのターゲットとしては考えてはいないのですが、こういう定義をすると、当然、 日々雇用みたいなものも除外する形にはならないのかなとは考えています。ただ、我々 が想定して書く際は、どちらかといったら日々雇用みたいな臨時的なものは対象から外 すというか、隅のほうに置いておくイメージではありました。 ○奥田委員  考え方としては除外するわけではなくて、基本的に有期労働者と考えていて、ただこ の内容をずっと検討していくときに、例外的になる部分については適用されないような イメージですか。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。 ○諏訪座長  日々雇用はいまどこかでやっているのですか。どこかの部局で検討とかガイドライン みたいなものを考えるとか何か。 ○太田職業安定局長  日々雇用自体は、いままさに日雇派遣をやりますので、その中で。ただ、派遣と紹介 と請負もありますから、その中での整理はありますが、体系的な形で日々雇用について 整理しましょうということではないです。派遣からはアプローチというのがいまはある という状況です。 ○諏訪座長  ですから、資料5などからいくと、日々雇用はここに入ってくるけれども、事柄の性 質でかなり違いますので、今度やっても、そこはまた別の課題として残る。派遣に関わ れば、派遣法の関係ではやるでしょうけれどもね。 ○太田職業安定局長  そういう意味では別途の課題が必要かもしれませんが、ここでのメインターゲットで はないということです。 ○佐藤委員  いまの感じですと、日々雇用ではないにしても、本当の有期というのは変ですが、例 えばお歳暮の時期だけ3週間。たぶん、それは第2章には入ってこないのではないか。第 1章のところは、もちろんそういうところを考えないといけないですが、第2章は有期だ けれども、基本的にはある期間を活用する前提で使う場合の配慮事項だと思います。そ れが悪いわけではなくて、そうすると有期だからといって、ある程度短期で書かれてい いわけではないですよと。有期だけれども、ある程度使うような場合の考慮事項でこう いうことをやったほうがいいですよと。そういう意味では、第2章は有期全部ではない のです。有期だけれども継続的に活用する場合、企業としてこういうことをやったほう が働く人たちにとってもプラスだし、会社にとってもプラスですよというものを出して いるというふうに、分かるように書いたほうがいいと思います。 ○諏訪座長  ただ、だんだん細かな議論をしていくと、日々雇用だって事実上は継続的にずっとや っている例があるだけに、そこがまた悩ましい。ただ、これは法を作るわけではありま せんので、あくまでもガイドラインですから、そこはある程度ふんわりとしたものでも 使えるところは使ってくださいと、趣旨が合うところはお願いします、こうしたほうが いいですよということになりますので、そこはあまりギリギリ詰めた議論をしない。も し法を作るとなると、確かにそこはものすごく難しいですね。 ○佐藤委員  どういう対象といったときに、第1章は有期全体で、第2章は有期でも継続的に使う場 合は、こういうことを考えてくださいというメッセージを出したほうがいいと思います。 そうしないと、読み手は、第2章は何が書いてあるのだろうと思いますので。 ○本間雇用開発課長補佐  事務局でもその辺の議論がありまして、日々雇用みたいな臨時的雇用の扱いをどうす るかということでいろいろ悩んだのですが、一応含めて全体としては考えていきたいな と思います。 ○諏訪座長  そうすると、季節的な雇用も一応含むし、要するに「有期」という言葉の中に広義で 入るものはみんな含むけれども、主たるターゲットはここにあるような狭義のそこだよ ということですね。そういう理解でよろしいでしょうか。ほかにどうぞ。 ○藤川委員  時間との関係で発言すべきかどうかを悩んでいたのですが、いま佐藤委員がおっしゃ った第2章のターゲットとした継続性、そこはある程度の継続性とは何かが問題となる と思います。今回、こちらの課の所管事項を見てみたのですが、今回の趣旨からすると 若年層ということで、私がかねてから思っていたのは量的なところはよくわからないの ですが、これから若年層の能力開発とか、将来を考えたときにいちばん問題となるのが、 自分が指導しているからというのもそうなのですが、大学生のアルバイト系。言葉はご めんなさい。大学生が働いているときに、有期でやっているのも結構います。2、3年継 続して、今回のデータでもすごく力づけられたのは、何頁かは忘れましたが、教育産業 が多いでしょ。そうすると、私が身近に見ている学生の中でいちばん酷使されて搾取さ れているのは、教育産業系の有期の、しかも2、3年で主任ぐらいをやらされているみた いなところです。ところが、そういう人たちに対しては何の配慮が必要かというと、正 社員にしろというわけではないのです。でも、学業生活とか、いちばん若いときに投資 して、いちばん開花すべきときに安い金で時間を取られて苦しんでいるところに何かを しなければいけない。もし、そういうところに対するメッセージを今回出せるならば、 学生部の委員とかをやっていたり、学生に対して指導している身としては、非常にあり がたいなと思っています。そこら辺を念頭においたガイドラインが大学に下りてくれば、 大学のアルバイト先とのトラブルもあるのですが、役に立つと思うので、そういうメッ セージが含められるかどうかも、座長を含めて検討してみてください。単に言いたかっ たことです。申し訳ありません。 ○諏訪座長  ずっと先のほうに、定年退職後の嘱託みたいなものを含むとしたならば、正規雇用に なる前の部分のキャリア準備期における雇用に関しても、ある一定の配慮はしたほうが いいのではないかというご趣旨だとしますと、これは排除する理由はないですよね。 ○藤川委員  しかも、それについてもう少し力点が可能であれば、第2章のガイドラインの中であ る程度の継続というところが仮に入るならば、今の座長がおっしゃったような位置づけ、 かつ、第2章の継続性にいま申し上げたカテゴリーが入るのであれば、事例集に載せる か、第2章のガイドラインである程度力点を置くかどうかは、手段はさておき、そうい うことに関する配慮も行えるようなガイドライン、事例集も作っていただければという ことです。 ○諏訪座長  広がりに関する重要なご指摘だろうと思います。 ○佐藤委員  今の座長のお話ですと結構扱いが難しいのですが、第2章は定年後の有期契約は含ん で書いてないので。基本的なところはいいのです。好事例というと結構難しくなってき て。 ○諏訪座長  全貌というわけではないけれども、相当の数がありますし、ここにあるような適正な 評価とか、いろいろな部分に関した法令の遵守とかは当然かかってくる。だから、どう いうふうにするかはまた皆さんと議論して、それはいくら何でも、ある年齢からある部 分しか採りませんなんていうふうにはいかないですよね。 ○佐藤委員  ただ、基本的考え方を気をつけて。事例でいうと、全然別に考えなければいけない部 分が出てくる可能性があるなということで、結構難しいなと言っているだけです。 ○諏訪座長  30種の事例があったときに、そこにいくつか変則的と言ったらいけないけれども、通 常のそれとは違った部分ではこんなような配慮をするとよろしいですよというような投 げ方だろうと思います。 ○佐藤委員  ガイドラインは基本的には事業主ですよね。でも、事実、もっと大事なのは、働いて いる人で、どうせ作るならば働いている人にこういうことを知ってくださいというガイ ドラインというか、パンフレットが本当は必要なのです。学生は本当に知らないのです。 もう1つは、そういうのを作れば新しいのができる。これは、つまりほかのを持ってき て作る感じのイメージだから、働いている人用のを作ったら、他にないからいいかもし れない。 ○諏訪座長  ガイドラインというか、何かメッセージがね。それは参考資料の27頁に、「自己啓発 に問題がある」と、客観的には非正規型には問題があると多くの人は指摘しているけれ ども、6で見ればわかるように、本人の意識ではその差が小さいのです。つまり、実際 は客観的に見れば問題なのに、本人は気ついていない。法令なんかのこともそうですね。 正社員でもあまり知らない人が多いけれども、有期の人たちはおおよそ何も知らないこ とが多い。 ○佐藤委員 有期の人ほど知っているほうが必要なのだけれども、実際には知らないというのは問題 だと思います。 ○太田職業安定局長  第1章は、そういう意味では完全に裏表ですね。 ○佐藤委員  そうです。 ○太田職業安定局長  第2章はそのまま使えないから、多少の加工は必要かもしれません。 ○諏訪座長  だんだん時間が押してまいりましたので、ほかに何か今日の時点でご指摘いただいた ほうがいいようなことがありましたら、ご指摘だけで結構ですからお願いします。 ○奥田委員  1点だけ少し気になる点があります。先ほど、正社員化を本人がしたいかどうかと言 って、そういう調査も必要ではないかというのは非常に重要だと思ったのですが、その ときに正社員化というイメージがどういうものかというのが気になりました。例えば条 件が良くなるとか身分が保障されるとか、そういうイメージはあるかもしれませんが、 そのときに本人がすべては望んでいないかもしれないけれども、別に有期であることを 望んでいるわけではない場合も当然出てくると思います。そういうことを考えてみます と、この研究会で、例えば有期契約を締結することの問題点とか、そういうこと自体は、 検討対象にするというものではないのでしょうか。  別に入口規制ということではなくて、もう少し細かい点で言いますと、第1章の「有 期契約の法令等の適用」のところでも、その契約の期間について配慮するところには必 ずしも説明義務が出てこないのです。そうだとすると、「正社員になりたいですか」と 聞かれて、「別に、いまのままがいい」と言う人が多いと思いますが、その人がいまの ままの有期で働きたいと思っているかはまた別だと思います。そういうところも含めて 検討していくことになるのか、研究会などで別に広くやればいいと思いますが、出発点 に当たってそういうところを伺いたいなと少し気になったのです。それは後日でも構わ ないです。 ○本間雇用開発課長補佐  広めには当然考えていきたいとは思っていますので、その辺がもしあるのであれば、 お話をいただいていいかなと思います。ただ、それをある程度まとめていく段階でどこ まで盛り込めるかは、また検討していかなければいけないかなと思っています。 ○藤川委員  いまの奥田委員のご指摘は私の理解だと、第1章の(2)で対応できるものかなと思っ ています。 ○奥田委員  細かいことを言うと、ここで意見を言おうと思っていたのですが、先ほど正社員化を おっしゃって、そこが非常に重要な点だと思ったので、そのときの意識をどう考えるか が気になったのです。資料がないので明確に出てこないので、また細かいところでご検 討いただいたらと思います。 ○荒井審議官  正社員化だけでは雇用改善できていないと思いますので、ここで議論することは全く 問題ないと思います。 ○諏訪座長  いまのやり取りの中には2つあったと思います。第1番目は有期契約、有期雇用には長 所と同時に固有の問題点がある。その問題点があるからこそ、そしてそこに特有の対応 策がこれまで十分に法的に対応してこなかったけれども、今回は少しガイドラインとい う形であれ、対応してみようと言っているわけですから、ここは共通の理解としてはそ の問題点に関して正確に把握し、かつ、それにどう対応するか。ただ、それを先ほどか らのガイドラインのところで見ればわかるように、法令の根拠が特にあるわけではない のです。それだけに飴と鞭で言えば、鞭の政策は非常に取りづらい。法的根拠がないま まにやるというのは不可能です。そこの部分は別途、有期契約のこれを基準局のほうで 今後検討されていかれるわけですね。 ○黒澤労働基準局監督課監察官  有期の関係ですと、法令的な問題というのは座長がおっしゃるように大変難しい問題 もありまして、今回ある意味では労働契約法というもので直近の議論としては一度終わ っているところですので、その後の話に関してはまた若干の時間をかけながらかと思い ますので、基本的にはそういった話はそちらの場になるのかなと思っています。 ○諏訪座長  なるほど。まず、そういうことだそうですから、我々はそれを踏まえて次の段階でど う議論して、どのように盛り込んでいくかというのはここでみんなで知恵を寄せ集める ことになるかと思います。 ○佐藤委員  また広げてしまうと怒られてしまうけれども、これはいままでのものを考慮してでき ているから、雇用管理の範囲をどうするかで雇・児局がいるから嫌がるかもわからない ですが、両立支援をどうするのかな。これだけ有期が増えていて、例えば育児介護休業 法があるけれども、事業主は有期の人は採れないと思っていたりするわけです。ワーク ・ライフ・バランス憲章も作ったわけだから、有期契約の人たちの両立支援というのも 法律面も雇用管理面も考えなくていいのかどうか。第1章のところで、有期契約全体だ というと、後ろのフルタイムでも、育児休業も介護休業も、特に看護休暇は有期の人が 5日間まで取れるわけです。あるいは雇用管理上取り組むべきものがあるかどうかとか、 実体法なんかは有期の人も含めて作れ、常用の人を含めて対象でやれということになっ ていますから、それこそバッサリ落ちてもいいのかな。 ○藤川委員  第1章の労働条件改善のための措置の就業規則の整備で、例えば東京都の労政事務所 だと個々にそういうのも入れ込んで、間接的にやっているのです。いまの佐藤委員のは、 今回はそういうおつもりですか。 ○本間雇用開発課長補佐  そういうのも含めて、どんどん入れていきたいと思っています。ただ、ここはあくま でも例示のつもりで、逆に言えばそういうのをどんどんおっしゃっていただければあり がたいなと。 ○諏訪座長  次回までに、すべて関わりそうなものを拾い出すのが宿題になります。  今日はまだまだあろうかと思いますが、研究会はこれから進めていきますから、ひと つ今後も是非いろいろとご示唆をいただきたいと思います。そこで時間の関係もありま すので、最後に事務局から次回研究会の開催の点その他をご連絡ください。 ○本間雇用開発課長補佐  先ほどスケジュールのところでもご案内していますが、次回は4月8日に開催したいと 考えています。この際、労働側と使用者側の両方からヒアリングを行いたいと考えてい ます。あとはプラスして、今回独立行政法人の労働政策研究・研修機構の原委員がいま 調査をまとめていらっしゃるとお聞きしていますので、有期契約労働者の正社員転換と か、その辺の研究成果もお話をいただくようなことも含めて考えていまして、実際に現 場の声を一回整理する内容となっています。以上です。 ○諏訪座長  突然、宿題その他が委員にも回ってきますから、今後もそういうことがあろうかと思 いますが、その節はいろいろとご協力をいただくことにします。最後に、特にご発言が なければ、本日は定刻になりましたので、これで第1回の研究会を終わります。 ○本間雇用開発課長補佐  1つ。ヒアリングは労働者、使用者にもご出席いただくということですので、次回は非 公開という形で開催したいと思いますが、いかがでしょうか。 ○諏訪座長  それは事柄の性質上、これまでも非公開としてきた流れの問題ですので、そのような 処理でよろしいでしょうか。                   (異議なし) ○諏訪座長  ありがとうございます。次回はそのようにさせていただきます。ヒアリングの部分だ けですね。 ○本間雇用開発課長補佐  はい。 ○諏訪座長  以上をもちまして終わります。どうもありがとうございました。 照会先  厚生労働省職業安定局雇用開発課雇用管理係   TEL03(5253)1111(内線5805)