08/02/06 第5回医療情報の提供のあり方等に関する検討会議事録 第5回医療情報の提供のあり方等に関する検討会議事録                     日時 平成20年2月6日(水)                        15:00〜                     場所 厚生労働省省議室(9階) ○企画官 定刻になりましたので、第5回「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」 を開催いたします。委員の皆様方におかれましてはご多忙中のところ、当検討会にご出 席いただき、誠にありがとうございます。  はじめに、本日の委員の出欠状況についてご報告申し上げます。本日は、健康保険組 合連合会副会長の小方浩委員からご欠席との連絡をいただいております。また、委員の 交代がありましたので、ご紹介させていただきます。小暮義雄委員に代わりご就任いた だいた、栃木県保健福祉部医事厚生課長の中里勝夫委員です。 ○中里委員 中里と申します。小暮同様、よろしくお願いいたします。 ○企画官 続いてお手元の資料の確認をさせていただきます。お手元には議事次第、座 席表のほか、議事次第に(配付資料)(参考資料)と書かせていただいておりますように、 資料が1-1、1-2、1-3、2-1、2-2と5種類あります。参考資料のほうは大きく括ってコ ピーをしており、参考資料1と参考資料2という、ちょっと厚めの資料になっておりま す。また参考資料3として、来年度の医政局関係の予算案の概要を付けております。  それでは、以下の進行は長谷川座長によろしくお願い申し上げます。 ○座長(長谷川) 大変足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございま す。まず会議の前に、何点か申し上げます。この検討会における欠席、代理出席につい ては、各回ごとに交渉に出すことになっております。本日の会議については、健康保険 組合連合会副会長の小方浩委員の代理として、同じく健康保険組合連合会理事の椎名正 樹参考人にご出席いただいておりますが、よろしゅうございますか。 (了承) ○座長 それでは議事に入ります。本日の議事は前回からの継続で、平成19年4月か ら施行されている医療機能情報提供制度、及び規制緩和が行われる医療広告についてで す。まずは第1の議題、医療機能情報提供制度について、事務局からご説明をお願いい たします。 ○企画官 まず、資料1-1をご覧ください。この医療機能情報提供制度は昨年4月から 施行されて、基本的な情報については本年度中に各県においてご公表いただき、すべて の項目については来年度中に公表をいただくというスケジュールで、現在、各都道府県 に準備をお願いしているという状況です。その準備状況について、各都道府県に確認さ せていただいた結果を、資料1-1としてまとめております。  表の見方をご説明申し上げます。いちばん上の北海道を例に取りますと、各医療機関 から都道府県知事に情報を報告いただくのですが、その回数、報告をいただく時期につ いて書いた欄があります。北海道の場合、回数は年に1回で、時期としては6月を予定 しているということです。基本情報の公表時期については、すでに昨年12月から公表 されているということで、「H19.12」と書いてあります。そして全体の項目の公表がい つになるかというのが、右側の欄にあります。平成20年10月ということです。  全体として全47都道府県を見ていただきますと、私どもがお願いしておりますスケ ジュールに沿って、現在準備を進めていただいていることが分かるような結果になって おります。いちばん右下は、全項目の公表の実施時期について集計した結果が載ってお ります。私どもとしては来年度中の実施をお願いしているわけですが、平成19年度か ら回収をするということで、今年度中から全ての項目について、インターネットでの公 表も含めて始めると言っていただいている都道府県が13団体あるというのが、この資 料1-1の状況です。  続いて、資料1-2です。本日、この情報提供制度について1カ所、修正をお願いした いということで、お諮り申し上げたいと思っております。資料1-2を1枚めくっていた だきますと、現在の情報提供制度の中では専門医について、報告をいただくことになっ ています。この専門医ですが、医療広告の規制の方で昨年の4月までは医師、歯科医師 に限って、各学会等から認定された専門医について、広告の対象とすることが可能とな っていたわけです。しかし昨年4月から広告規制の緩和に伴い、薬剤師、看護師、その 他の医療従事者まで拡大しました。その結果、専門看護師・認定看護師については、既 に広告ができるという状態になっているわけです。一方、医療機能情報提供制度の方を 申し上げると、まだ実態がなかったこともあり、医師、歯科医師に限った形になってお ります。そこの範囲を揃えてはどうだろうかということで、本日ご提案申し上げている ものです。  具体的には、2頁をご覧ください。医療機能情報提供制度の中で、「専門医の種類とし て厚生労働大臣が定めるもの及びその人数」について、現在、各医療機関から報告をい ただくことになっておりますが、その範囲を広告規制と平仄を揃えて、その他の医療従 事者まで拡大するというのが1点です。併せて、具体的に広告できる範囲として、いま 整形外科専門医以下、各号列挙しているところです。広告告示をいわば引用する形で、 広告できるようになった専門性に関する資格については、自動的に医療機能情報提供制 度の対象にもしていくという形に修正したいということで、本日ご提案させていただい ております。当然、各医療機関から見ると、報告事項が拡大することになりますので、 本日ご了承いただければ、今後パブリックコメント等の手続きに入ってまいりたいと考 えております。また、実際にこれを施行するに当たっては、必要な経過措置も考えてい きたいと思っています。  続いて、資料1-3をご覧ください。次の頁に、「規制改革推進のための第2次答申(抜 粋)」というのを付けております。これは昨年12月25日に、内閣府に設置されている 規制改革会議において行われた答申の写しです。医療機能情報提供制度の中ではアウト カム情報の取扱いについて、昨年もかなりご議論いただいたところです。結論としては アウトカム情報そのものではなく、そうした分析を行っているかどうか、あるいはそう した情報提供を行っているかどうかということに限って、いま報告の義務がかかってい ます。しかし規制改革会議の答申の中では、アウトカム情報の公開について、さらに大 規模病院における公開の義務化等、引き続き段階的に医療機関の範囲を拡大すること等 も含めて検討し、結論を出していくべきであるということが、今後、検討すべき課題の 例示として挙げられています。  アウトカム情報そのものの公開について、当然、これから客観性を担保しつつ、どの ように公表を拡大していくかということについては、課題ということで位置づけられて いるところです。こうした規制改革会議の答申も踏まえて、引き続き検討を進めていく 必要があるということで、本日ご紹介申し上げたく、資料を用意させていただきました。 ○座長 中村企画官からは3点、3つの資料に従ってご説明がありました。この3つの 課題について質疑応答、ご意見を承りたいと思いますが、一応1つずつということで。 まずは最初の進捗状況について、特に各県の現状等のご報告がありました。これについ て質疑応答、ご意見はありませんか。 ○椎名参考人(小方委員代理) 先ほどのご説明ですと、もうすでに情報提供を始めて いる県もあるようにお伺いしました。その場合、具体的にどのような方法やルートで、 住民や患者に情報を見せているのか、その辺をわかる範囲で教えていただければと思い ます。 ○座長 インターネットが基本ということですが、中村企画官、追加をお願いします。 ○企画官 すでに始めていただいている都道府県というのは、もともと情報提供制度が 国の制度として医療法の中に位置づけられる前から、かなり先駆的な取組みをされてい る県もあったというように、私どもは承知しております。今回の制度の中で、そうした 項目や対象医療機関などを、少し揃える形で始めていただいているものと思っておりま す。実際にいまやられている所では、インターネットでそうしたページを作って公表い ただくというのが基本になっております。 ○椎名参考人(小方委員代理) 実は私どもは5年前から、健保連病院情報というのを 運営しております。もちろん医療関係者などのご協力をいただいてやっているわけで、 ユーザー、つまり健保の加入者や国民の視点で使いやすくて、なおかつ分かりやすいも のにするために、いろいろな工夫をしたり、リニューアルをしたりといったことをやっ ているわけです。いまインターネットというお話がありましたが、一般論として、都道 府県のホームページを見ますと、私どもがほしい情報になかなかたどり着けないという ことがあります。行政の縦割りかどうかは知りませんが、そういう状況があります。折 角の都道府県による情報提供ですので、厚生労働省としても今後も実際の状況をフォロ ーしていただいて、やはり住民や患者にとって非常にアクセスしやすい、非常に使いや すいものになるように、是非都道府県を指導していただきたいというお願いであります。 ○座長 お願いということですが、事務局の方から何かコメントはありますか。 ○企画官 新しい制度を立ち上げたばかりですので、現実にはこれからやっていただく ような都道府県もあります。できるだけその情報にアクセスしやすいようにお願いした いということは、こちらとしても思っておりますので、私どもとしてもそのように都道 府県にお願いしてまいりたいと思います。また、実際の運用あるいは患者にとっての使 い勝手についても、いろいろなお話を承りながら、改善できるところは改善していくよ うにしていきたいと思います。 ○座長 それに若干関連して、私の方からもお聞きします。もちろん各県の情報の内容 は一定で、こういう項目というように決めてやっていますが、実際の執行上の表現の仕 方やフォーマットについては、最終的に一定の共通した基準を県に示されたのですか。 ○企画官 この制度は制度化される前から、各県でかなり独自の取組みをされていると ころがありますので、フォーマットの統一までは正直申し上げてありません。ただ、昨 年この場でもご議論いただいて、実際に公表すべき項目は、かなりの内容のものを整理 していただきました。本日の参考資料1-3の9頁以降に、昨年度末の段階で必要な情報 の項目と、参考資料1-2でお付けしております実施要領について、各県にお示ししてお ります。その後、各県の準備と並行して、「情報提供実施に当たっての留意事項について」 という事務連絡を出しております。この中の各項目について記載をして、各医療機関が 実際に各県に報告いただくわけですが、その記載上の留意事項等について必要な注意点 を整理してお示ししたものです。項目だけだと、なかなか分かりづらい部分もあるので はないかというご指摘は、昨年もいただいておりました。そうしたことも含めて、でき る限り記載上の注意点を示したのが、今日9頁以降にお示ししている資料です。 ○座長 フォーマットスタイルなど、県によってかなりバラつきがあるのでしょうね。 ○大井委員 実施状況や準備状況はわかったのですが、前回の話合いのときに、例えば 病院でしたら56項目の情報を出すということになりました。それを踏まえて、検索ツ ールを作成してもよろしいという付帯事項が付いていたのですが、実際に47都道府県 で検索ツールを作成している県がもしありましたら、お教え願いたいと思います。 ○座長 把握しておりますか。 ○企画官 はい。検索ツールを作成してよろしいと申しますか、検索できるようにして ほしいということをお願いしておりますので、そちらのほうが原則であろうかと思いま す。私どもが制度化するときに参考にさせていただいている、北海道や東京都のいろい ろなホームページでは、もとから検索ができるような形になっております。こうした形 で各県にお願いしているというのが実情です。 ○座長 そのほかにご質問、ご意見はありませんか。まだ公表している所は少ないので すが、例えば虚偽申告があったとか、そういうトラブルみたいなことはありますか。 ○企画官 今のところ、そうした情報には接していません。 ○座長 ほかにご意見はありませんか。 ○辻本委員 健保連の5年前からの実施ということでお尋ねします。情報にアクセスし て探していくのですが、患者としてはやはり迷いのあるところは、多々あろうかと思い ます。そういったことについて、例えば電話などの問合せや相談窓口といった活動をな さっていらっしゃるのかどうか。もし何らかの対応をなさっているとすると、どういう 類いの質問などが届くかということを、ご承知であればお教え願いたいと思います。 ○椎名参考人(小方委員代理) 5年前にスタートしたときには私どもも、最初のバー ジョンで使い勝手等、いろいろと心配な点があったわけです。それでスタートして約2 年間は、電話相談窓口というのを設置して、ドクターではなくて保健師が対応するとい うことになっておりました。そういった中で、実際にそれなりの問合せがありました。 しかし問合せもだんだん少なくなってまいりました。このサイトを運営するに当たって は、基本的にいろいろな関係者に入ってもらって、検討委員会をつくってリニューアル など、いろいろ使いよくなるような工夫をやってきているわけです。その中で議論をし てもらって、費用の面もありましたので、一応2年後ぐらいに保健師による相談窓口は やめました。ただしサイトに関するいろいろな疑問などの対応の窓口は明示してありま す。  具体的にそれほど多くはないのですが、かえって医療機関サイドからの問合せもあり ますし、健保の加入者以外に、一般国民にもオープンにしてありますから、こういう点 を充実してほしいとか、例えば医療費を具体的に説明してくれとか、そういった要望も あります。そういった要望をある程度整理して、運営の検討委員会で議論をしてもらっ て、今後どうするかといったことを議論しております。  お蔭様でその間に、約9,000の全部の病院が網羅されました。ただし病院からいただ いている我々独自の情報というのは、約3,000病院です。病院からいただいていないそ れ以外の情報は厚生労働省から、いろいろな施設基準等の情報をもらっています。それ らは全部フレームとして、現在入れています。ただし診療報酬上の用語というのは、大 変難しい点がありますので、それをある程度逸脱しない程度にわかりやすい形で、我々 の責任の下で表示を変えて、今はそういった形でやっています。 ○中里委員 参考になるかどうかはわかりませんが、栃木県の進捗状況をお話してみた いと思います。資料1-1では、「10月から11月にかけて報告」とありますが、栃木県で は昨年末を回収期限として、10月に発送いたしました。現在までの回収状況ですが、ま だ9割弱ということで、1割強が残っております。栃木県内の医療機関は約2,600あり ますので、まだ300件近くが返ってきていないということです。出先の保健所等を通じ て今、その回収に奔走して督促をしているところです。医療機関側の反応といたしまし ては、すべてのデータをあからさまにしたくないとおっしゃる所もあります。またご高 齢で、どういうように記載したらいいかわからないという回答の所もあります。できる だけねばり強く回収をしていきたいと考えております。  先ほどフォーマットのお話が出ましたが、栃木県の場合は「とちぎ医療情報ネット」 という、救急医療情報などを載せた既存のホームページがありますので、それを改修す る形で、今回の提供制度に対応しようとしております。各県ともNTTデータ社が中心 になって、今回の提供制度に対応しているというお話を伺っておりますので、フォーマ ットについてはそんなに大きな隔たりはなく出てくるのではないかと、私どもは考えて おります。そういうことで基本的な情報、あるいはすべての項目については、ある程度 統一的な提供ができるのではないでしょうか。あとは各都道府県の独自色と言いますか、 それ以外の項目をどのように載せるかということだろうと思います。栃木県の状況はそ んなところです。 ○座長 そうすると、使いやすさがどうかというのは企業の責任ということですね。 ○中里委員 その辺はもちろん十分協議をしながら使いやすい情報を目指して参りたい と思います。 ○座長 そのほかにご意見はありますか。 ○飯倉委員 資料1-1を拝見いたしますと、大体その年度、今年度なら今年度中に約束 どおり、基本情報については準備ができるということですね。今ほど中里委員のご報告 にもあったように、情報が集め切れないところでご苦労されているというのも、なるほ どなというようにお伺いいたしました。一応の目途として年度内ということになります と、逆に言うと平成20年4月1日以降ぐらいのタイミングで、基本情報については47 都道府県で、ほぼアクセスができるということになろうかと思います。そういったこと に対して改めて国民に周知をしたり、利用を喚起したりということを国としてお考えに なられているのか、その辺りは都道府県にお任せになるのか、お考えがあれば聞かせて いただきたいと思います。 ○企画官 特に現時点で予定しているものはありませんが、これから各県でこの制度が 立ち上がって、実際に患者や地域住民の方が必要な情報を見られるようになっていくと いうことであれば、我々の立場でもいろいろな機会をとらえて周知していくことは、必 要なことだろうと思いますので、そうした取組みも進めていきたいと思います。 ○座長 私は逆に、椎名参考人にお聞きしたいのです。3月になると固まってくるので しょうけれども、まだこの制度は始まりつつあります。そうすると役割分担というのが、 県のインターネットサイトと健保組合の情報提供とでは、おそらく変わってくるのだろ うと思うのです。それがある意味で、うまく相乗効果が出るようになればいいなと思う のですが、その辺の展望はいかがでしょうか。 ○椎名参考人(小方委員代理) おっしゃるとおりです。先ほどもお話しましたが、私 どもの病院情報のサイトを運営するに当たっては、病院関係者や情報関係、患者、組合 員の立場など、いろいろな人が入って議論をしてもらってやってきているわけです。そ の中の最大の課題が、いま長谷川座長がご指摘されたことなのです。我々としては我々 のサイトの独自性というか、強みというか、売りが約300の疾病と診断、治療とをリン クさせるというところです。あとはまだ課題で、今後具体化しますが、医療費のスタン ダードなものを提示いたします。そういったことにある程度差別化していかないと、存 在の理由がないのではないかと思います。  あと、もう1つ。はっきり申し上げてお金もかかります。またリニューアルをしたり、 診療報酬改定や制度が変わるときには、それなりのお金がかかるわけです。一体これを いつまでやっていくのか。5年前には公的な団体として、そういう情報があまりなかっ たので、大げさに言えば我々はあくまでも保険者機能、患者中心の医療ということを掲 げていますので、それに対して健保組合として何ができるかという中から、一応医療情 報の提供ということが出てきたわけです。はっきり申し上げれば、都道府県の医療情報 が住民や患者にとって非常に使いやすく、分かりやすく、そういうものがどんどん活発 に活用されていけば、やがては私どものサイトもその役目を果たしたことになるのかも しれません。しかし、それにはもうちょっと時間があるのではないかと私自身は思って います。 ○座長 某社はかなりのコストを要求しているようですから、素晴らしいものが出来上 がるのではないでしょうか。そのほかにこの課題について、何かありますか。 ○内田委員 これはシステムの立上げにコストがかかるだけではなくて、現場でもかな りの負担が生じます。先ほどおっしゃったように、高齢者の医療機関にとっては、こう いうものに記載をするだけでも、非常に負担に感じられる方もいらっしゃるかと思いま す。個人でやっていらっしゃる所で、事務管理職がいない所では、医師が非常に忙しい 仕事の中で、こういうことをやっているわけです。これに対して金銭的なものを要求す るわけではないのですが、この負担に対する評価というものがない。なおかつ、今回の 診療報酬改定でおわかりのように、開業医は非常に儲けすぎているというような議論が あります。そのことに関しては、一言言わせていただきたいと思います。 ○座長 我々はただ聞いていればいいわけですか。本当に当初から想定されたことです。 病院の場合は事務員の方がおられるので、こういう情報をまとめるのは可能です。もち ろん負担ですが、個人の医師等には負担がかかりにくいわけです。これが診療所の場合、 ご本人が書かなければいけない部分が大きいのではないかと心配しておりました。ただ し制度ですので、ご協力いただかなければいけないということなのでしょう。そのほか に何かご意見はありますか。  ないようでしたら、最後に私のほうから一言。今回は制度が発足してから最初の検討 会になります。私の疑問は、制度そのものに対するご意見等です。例えば素晴らしいと いう意味で、よかったという意見もありましょうし、ひどいとか、ここがこうだったら というのがあると思います。当初問題になった、アウトカムの情報がまだ提供されてい ないというような、制度そのものに対するご意見等は、厚生労働省には寄せられていな いのでしょうか。 ○企画官 現状で申し上げれば、結局、今すでに公表いただいている県というのは、比 較的それ以前から、すでに存在していた制度を活用して取り組まれています。新たに始 められる県というのは、まさに今システムの立上げに向けて準備をいただいていますの で、この制度そのものに対して状況を見ながら、ご批判やご指摘が出てくるには、もう 少し時間がかかるのではないかと思います。 ○座長 わかりました。質問のタイミングを間違ったので、もう一度繰り返し、初夏に お聞きすることになろうかと思います。  それでは2つ目のテーマ、専門医に係る規定の改正案について、ご議論をいただきた いと思います。コメントでも結構ですが、まずはご質問はありましょうか。 ○大井委員 これはいろいろなものを裏にはらんでいる問題ですから、慎重に討議して いただかないといけないと思っています。広告の規制の緩和と連動するようにして、情 報提供制度のほうも考えていくという基本的考え方には、私も反対しませんが、2頁で 少し教えていただきたいところがあります。現行では「専門医の種類として厚生労働大 臣が定めるもの及び人数」となっていますね。この改正案では「その他の職種」という のが入りますが、「その他の職種」に関する部分を除くと、「医師の専門性を有する者」 になってしまいます。現行では「専門医の種類」です。職種です。例えば内科専門医と いうことになりますが、改正案の方にいって、「専門性を有する者」ということになると、 個人の名前となるのでしょうか。 ○企画官 趣旨は、もともとからある専門医の種類です。そこを医師、歯科医師以外の 職種にも拡大するということが、今回やらせていただきたい中身です。いまご指摘いた だいたところについては、ご指摘もありましたので、これを省令や告示にするときに、 きちんと整理したいと思います。表現の問題として、「種類」という言葉が抜けておりま すが、必要かどうかも含めて検討させていただきたいと思います。決して名前を入れる ということではありません。 ○大井委員 基本的にはこの会議で、そのことを決めていくと思うのですが、私として は、やはり種類に限定しておくべきではないだろうかと思います。人の名前までは、い ろいろな点からいっても、まだ時期尚早ではないかと考えております。 ○企画官 私どもが医療機能情報提供制度の中で、今回対象としたい点は、医師、歯科 医師の部分についてはこれまでと全く一緒の位置づけです。その対象に他の職種を拡大 したいというのが、今回ご提案している趣旨ですので、大井委員からご懸念をいただい たように、個人の名前をこの制度の中で書くということを考えているわけではありませ んので、その点は申し上げておきたいと思います。 ○座長 つまり改正案の文章では、個人名を出すという意味ではないということですね。 ○大井委員 この文面ですと、そう見えてしまいます。 ○座長 そういう大井委員のご意見がありますが、どうでしょうか。 ○企画官 いま申し上げたように、そういう趣旨ではありません。 ○座長 そのほかにいかがでしょうか。 ○辻本委員 基本的なことなので、教えていただきたいと思います。看護師や薬剤師ま で専門性ということ、例えば専門ナース、認定ナース、あるいは薬剤師のがん治療など ということまでは仄聞しておりますが、それ以外となると、どういう名称があるのでし ょうか。3頁に示してありますが、具体的にどういった紹介の仕方になるのかを教えて ください。 ○企画官 まず、今回は医療機能情報提供制度への追加というか、拡大を申し上げてい るわけです。そもそもこの制度は、各団体が独自に各職種の専門性について認定されて いる活動に対して、一定の要件を満たした場合に、医療法上の広告を可能とするという のが、本来の制度です。昨年度までの段階を、実際に今日の資料で申し上げれば、2頁 の下にありますように、社団法人日本整形外科学会に認定されている整形外科専門医と か、日本皮膚科学会に認定されている皮膚科専門医といった形で認定された方、専門の 医師、歯科医師が広告できます。  昨年、広告の世界でそれを緩和したのは、医師、歯科医師に限っていた専門性の認定 を、他の職種にも拡大しようということです。どういう専門性の認定をされるかという のは、まさにその資格にかかわる団体が、独自の活動としてこれからおやりになるもの です。看護師の世界で、いま現に広告が可能となっているものとしては、さまざまな専 門看護師、認定看護師があります。例えば、専門看護師で申し上げれば、がん看護専門 看護師、あるいは小児看護専門看護師といった名称を広告できるという形にされており ます。認定看護師の分野で申し上げると、ほかにもたくさんありますが、本当に一例と して、小児救急看護認定看護師というようなものが、拡大の対象になっているところで す。他の職種について、今後どのような名称が出てくるかというのは、各団体が今後ど のような活動をされるかということですので、現時点で今後こういうものが出てくるだ ろうとか、こういう形になりますということを申し上げられるような状況ではないとい うのが現状です。 ○大井委員 この問題は、前回もディスカッションになったと思うのです。やはり若干 引っかかるのは、どの団体がその専門性を担保しているか、認定しているかということ です。そうしないと、いろいろなものが出てきて、かえって情報がレベルダウンしてし まいます。情報というのは、気を付けておかないと、さまざまな情報が加わってきて、 質の悪い情報が入ってしまうと、その情報そのものが全部低下してしまいますので、ど こかで担保する必要があります。そこで担保している団体として「学術団体として法人 格を有する」というように謳ったのですが、「学術団体」という名称が、法的に決まって いるわけではないと思います。そうすると、いろいろな職能団体も、何々専門家という ように認定してしまう可能性もあるのです。ですから、この辺は「学術団体として法人 格を有する」という言葉の細かい意味づけを、やはりきちんとしておく必要があるので はないかと感じているのですが、いかがでしょうか。 ○座長 事務局からご意見はありますか。 ○企画官 いま大井委員からご指摘いただいた点については、広告ができる場合に、ど のようなケースかということで、資料1-2の3頁で、現行の基準をお示ししています。 その中で、「学術団体として法人格を有していること」というのがあります。また、これ だけではなく、そのほかに会員数が1,000人以上であるとか、一定の活動実績というこ とで、当然その職能というか、その資格にかかわる団体として一定の活動をされ、社会 的にも十分認知されているということが前提になっての広告制度であろうと思っており ます。  学術団体の意味づけについて、昨年、この拡大をご議論いただくときにも、この場で かなりご議論いただきました。おっしゃるように、これまでの現状において医師、歯科 医師の世界は、学会を中心に専門医の認定が行われていました。一方で、さまざまな「職 能団体」と言われる団体においても、学術の向上を目的として活動されていることが、 きちんと定款等で位置づけられているということであれば、この範囲に含まれるのでは ないかということで、今回、看護師の世界に拡大をしているという状況です。 ○大井委員 ほかの職種ももちろんそういうことで、きちんとした学術性、専門性を持 っていれば、それに反対するものではありません。ただ、こういうような表現は、中間 法人でもみんな法人になるわけです。そうすると、表現は確かに玉虫色にならざるを得 ないのかもしれませんが、どこかで、これは該当するとかしないとか決める機関が必要 になるのではないかという意味で、質問させていただいているわけです。法的に決まっ た用語であれば、そのもの自体は動かせない。しかし法的にきちんとした枠が決まって いないときは、どこかで認定しなければならない。ですから厚労省のほうでやっていた だくなり何なり、そういう所がきちんと明記されている必要があるのではないだろうか、 ということを質問しているわけです。 ○企画官 現状の実務を申し上げますと、特に医師の世界でもそうですが、さまざまな 団体が新しく、こうした専門医の資格化を独自に行われて、それについて広告の対象に したいというご要望を承るわけです。私どもはこの要件に照らして、それに該当してい るかどうかを事務的にもお話を承って、その結果、それに該当していると判断させてい ただいた場合には、届出受理をさせていただいているという現状があります。  かつ、専門医には限らないのですが、こういう専門性の認定そのものは、まさに各団 体が独自に行われている活動ですので、そのものに行政が何かの形で介入していくとい うことは、なかなか難しい問題があろうかと思います。ただ、それを広告するという段 階で、この要件を満たしているということを私どもは見させていただいているというの が、いまの実務です。ですから、こうした取扱いについて、現状において大きく改正す るというのは、なかなか難しいのではないかと思います。 ○座長 これを実務的に言うと、県が各施設にお願いを指示する場合に、こういう形で やるということですね。そのやり方について、これがいいかどうかという問合せが、厚 生労働省の方に来て、このイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リがアンドで、適切かど うかを判断して、県に話をしておられるのですね。 ○企画官 広告の方の専門医の話は、厚生労働大臣に届出をいただいて、広告できると いう仕組みになっておりますので、私どもの方に相談をいただくという形になります。 ひょっとしたら県に事前に相談されているかもしれませんが、一般的に私どもの方が最 終的に見させていただいているということです。 ○宮武委員 表現のところはおっしゃるとおり、医療従事者の専門性を有するものでは なく、医療従事者の専門資格の種類という意味ですか。「専門性を有する医療従事者の種 類」にしてしまうと、範囲がものすごく広がるのです。医療従事者の専門資格の種類と いう意味で、この文言があるのですか。 ○企画官 いままで医師、歯科医師の専門性について、学会がさまざまな専門医の認定 をされていたわけです。それを医師、歯科医師以外の医療従事者について、関連する団 体が専門性の認定をされていて広告可能としようとする場合に、先ほどからご覧いただ いている3頁のイからリの要件を満たしている場合には、私どもへの届出をしていただ く必要があります。その結果、要件を満たしている場合は、広告ができるという形にな ります。広告ができるようになった名称については、医療機能情報提供制度の方でも、 各医療機関から県に対して報告をいただこうというものです。 ○座長 しつこいようですが、広告の場合は各団体の方で大臣に届け出るということに なっていますが、この場合は一種の義務になりますよね。そうなると、やはり県の方で 指導するときの基準みたいなものを問い合わせてくるということになるのでしょうね。 ○企画官 今日ご覧いただいているのは、省令と告示です。先ほど記載要領も留意事項 もご覧いただきましたが、例えば何年何月の時点で実際に広告が対象となっている専門 性の資格というのは、限定的にリストアップすることができますから、そうした形でお 示しするというのが現実的だと思います。 ○辻本委員 先ほどの企画官の「何が出てくるかわからない」という言葉には、びっく りしました。やはり国民は、専門ということに非常に弱いのです。「何々の専門です」と 言われてしまうと、それだけで鵜呑みにしてしまう、信じてしまうという危うさが、い ま現在もあります。そういうことから考えたときに、そのことで何かトラブルが起きた ときの責任所在というのは、厚労省になるのか自治体になるのか、その辺りはどういう 形になるのでしょうか。 ○企画官 トラブルとおっしゃると何ですが、専門性の認定そのものは、各資格にかか わる団体独自の活動です。その活動そのものは、何ら公的な制度ではありません。いま 各学会が認定されているいろいろな専門医についても、国の制度ではありません。まし てや県の制度でもない。それを各団体が認定されて、各医療機関の中で働かれている医 師が、そういう専門医の資格をお持ちになるわけです。それを外に向かって、患者や地 域に向かって広告をする場合には、一定の活動実績のある、ある意味でしっかりした団 体に限って広告できる形にしているというのが、いまの専門医に関する広告の仕組みで す。 ○辻本委員 ということは、国民は専門性というのはその程度であるという理解の下で、 自分で選んでいかなければいけないという、まさに自己責任というところが大きくなっ てくるお話とも伺えるのですが、そういう受けとめをしなければならないわけですね。 ○座長 専門性の担保がどうなっているかということについては、いまのご説明のとお りだと思いますし、国ないし県が担保したからといって担保されるかというのも、また 別の疑問として湧くのだろうと思います。少なくともその団体が然るべきものかどうか については、広告のところで一度きちんと評価をしているということになりますから、 そのリストが提供されているので、このイからリまでの範囲における判断という意味だ ということでいいですよね、事務局。 ○企画官 専門医そのもののあり方については、いま並行してというか、医療界として もさまざまなご議論が広告の話とは別の話として行われているということは私どもも承 知しております。当然、客観性を高めるために、あるいは公平性を高めるために、どの ような取扱いが妥当かということだろうと思います。  広告の制度として申し上げれば、どういう要件を満たした方が、そういう専門性を名 乗っているか、公表していただく必要があるということは、要件の中の1つとして入れ ております。したがって、どの程度の要件をクリアしてその専門性を名乗られているか というのは、明らかになっているというのが大前提です。また、その活動内容あるいは 専門性に関して、もしご質問等があれば、その団体においてきちんと照会に応じていた だく体制を組んでいただきます。これも要件の中に入っているところですので、そうし た取組みをやっていただくというのが、まず優先になります。そうした要件をクリアし て、初めて広告できるということになります。さらに、それを各医療機関から県の方に もご報告いただきたいという最後のところが、今日拡大したいと申し上げている部分で す。 ○座長 いかがでしょうか。広告のところでは、前回もかなり細かく議論をやりまして、 今回はそれが情報提供制度の方にも入るということです。前回に戻ったような疑問もい くつか出てきましたが、事務局から制度の説明がありました。疑問やご意見等はよろし いでしょうか。基本的には広告制度のシステムを、そのまま情報提供制度の方にも広げ ていこうという考えです。広告の方で一定の基準で判断している部分があるので、その 意味で専門性の担保はあるのではないかというのが、事務局のご説明だったように思い ます。そういうご説明でよろしいようでしたら、この項目については一応ご賛同いただ いたというように考えてよろしいでしょうか。 (了承) ○座長 どうもありがとうございました。それでは最後に、規制改革会議のアウトカム 指標に関する議論についてです。これは問題提起ですので、主に疑問やご意見をいただ くということでしょう。何かありましたら、よろしくお願いします。規制改革会議は、 これまでもこういうことを言ってきているのですが、25日に再度というか、新しく提言 があった、答申があった背景か何かがあるのですか。それとも、ただ出てきたというだ けのことですか。 ○総務課長 規制改革会議が、特にこれでどうということはないのですが、もともと医 療法改正で、医療機能情報提供制度ができるということで、それに関して規制改革会議 が、かなり期待をしておられたというのが事実かと思います。その中で最も規制改革会 議側が期待されておられたのが、このアウトカム情報であるということです。そういっ たものが今回の医療機能情報提供制度の中に、どこまで入るのだろうかということを注 視しておられたのだろうと思います。  そこで、この検討会でかなりご議論をいただいて、最終的に、現状で言えば、客観的 に評価できる指標というのが、まだ十分確立されていないので、アウトカム情報につい て分析をしているかどうかの有無、分析結果を提供できるかどうかといったところまで にとどめておこうということで、この検討会でご同意いただいて、そういったことを省 令なりに記載させていただいているという状況です。そういう状況を見て、大体のもの はもう少し客観的にするというのは、まだ一足飛びにはいかないけれど、分野を限れば 可能なものがあるのではないだろうかと。  また、分野を限るという方法もあります。病院を限って、一部の大病院だけでもいい のではないかというような提案が、例示の形でされています。ただ、これは例示ですか ら、これに拘束されることはないだろうと思います。そういった問題意識そのものに関 して言えば、もう少しアウトカム情報が出せるものはないのかといったことが提起され ています。私ども厚生労働省事務当局としても、ちょっと考えたいと思っておりますし、 この検討会においてもできるものがないかということについて、個別のご議論をいただ きたいと思っているところです。 ○座長 やれと言ったのにやらないから、一部でも始めろ、早急に検討して結論すべき だ、処置すべきだというようなご意見だそうです。 ○大井委員 アウトカム情報を提供していくということに関して、私は必ずしも反対で はなくて、賛成するのですが、アウトカムというのは、そのまま生の数字で出していく だけで良いとは限らないと思うのです。そうするためには、いろいろなファクターが必 要です。例えば術後の生存率などを出そうとしたら、手術前の患者の状態を事細かに分 析しておかなければ、適切な生存率はとても出せません。重症患者だけが集まってくる 病院なら、当然悪くなってしまう。そういういろいろなファクターが絡み合います。で すからアウトカムというのは、生身のデータだけではないと私は思うのです。  そういう意味で、今度の病院に対する56項目の一定の情報というのは、相当突っ込 んでいると思います。専門医も出ていますし、別表には手術件数も出ています。さらに 入院日数も出ていますし、それを分析しているかというような検討まで出しています。 それを積み上げていけば、アウトカムが推定できるところまでは、十分出していると思 うのです。  しかも私はこう思います。この提供制度というのは、先ほどの議論でもそうですが、 広告は医療機関が自分で出す出さないということを決めるのは勝手だけれど、提供制度 は義務ですよね。「ねばならぬ」ということですから、「ねばならぬ」の中に関連する項 目が数多く入ったということは、もう堂々と胸を張って、「厚生労働省としてはこの提供 制度に則って、アウトカムに迫ろうとする情報提供の義務化にまで踏み込んでいる」と 言ってもいいのではないでしょうか。私が何も応援歌を歌う必要はないのですが、そう いうふうに感じています。 ○座長 いままでこなしている部分で、かなり結果に迫っているのではないかというこ とですね。実際の本当の結果を出すには、重症度の調整等の分析がなければ、患者の判 断に資する情報には、なかなかならないのではないかというご意見だったように思いま す。 ○内田委員 私も大井委員のおっしゃるとおりだと思います。これは義務化する話では なくて、いま主体的に取り組んでいるところは、いくらでも公表しているわけですから、 それを活用していただければいいというところで、義務化までする必要はないと思いま す。また現状の制度で、かなりの部分はカバーしているということでよろしいのではな いかと思います。 ○座長 これはご意見をいただく場ですので、そういうご意見があったということです。 それについて、あるいは、もともとのこの答申に対するご意見についても、是非いろい ろとお聞きしておいて、今後の検討委員会の運営に資しようということです。今のとこ ろは少し、「そうは言っても」というご意見が多かったような気がいたしますが、「いや、 やはり」というご意見もあろうかと思います。いかがでしょうか。宮武委員や辻本委員、 国民や患者の情報を発信するという立場から考えていかがでしょうか。 ○辻本委員 前回の議論で、そうした準備をしている、もし問合せがあったときにはそ の説明をしてほしいと、そこまでしがみついてお願いをした立場です。ただ、名簿を拝 見して、規制改革委員の中に医療現場の方がいないと、医療の限界性や不確実性をどう 捉えておられるのかが大きな疑問として残ります。やはり患者の側は数字に惑わされる という懸念が大きくありますので、いまの段階でそうしたことを義務化することは逆に 怖いなと、そういう印象を私は持っております。 ○座長 現時点では、先ほどの委員のご意見に近い立場ですね。ほかにご意見ありませ んか。 ○椎名参考人 アンダーラインを引いている文言の中で、「早急に検討し、結論を得て措 置すべきである」と書かれているのですけれども、これは具体的に、例えば、医政局と して検討会を設置するとか、あるいは、調査研究事業を始めるとか、その辺のお考えが あるのでしょうか。 ○座長 事務局、いかがですか。 ○企画官 医療機能情報提供制度の中でどのように取り扱っていくかは、まさにこの検 討会に議論をお願いしている項目ですので、最終的にどういった形がいいかはこの場で 議論をお願いすることになると思います。ただ、例えば、一定の分析がいる、あるいは、 本当にアウトカム指標として客観性があって、患者にとって資する指標というのはどう いうものであるかについては、様々な点も照らし合わせながら検討していく必要がまだ かなりあると思います。事務局としてはそうした準備をある程度しないことには、すぐ には議論に供してお願いする状況までいかないのではないかと思います。  アウトカム評価については、そもそも規制改革会議の答申を待つまでもなく、以前よ り課題として認識されている項目ですし、私どもは研究費も一部確保して、研究者の方 に研究をお願いしているものもあります。私どもとしてもまた、そうしたところの成果 とか、そういったものも勉強しながら、この場でのご議論にも供していくことを今後考 えていくわけですが、現時点においてはそれ以上の具体的なところまで、私どもの頭の 整理もまだできていない状況でございます。 ○座長 ありがとうございました。そのほか何かご意見、よろしいですか。  座長があまり意見を言うのはどうかと思いますが、アウトカム情報の公開については 国際的にもいろいろな前例があって、発表してあまりよくない結果があったりとか、あ るいはまた、歓迎されたりとかいう経験があります。例えばニューヨークで、心臓手術 の死亡率を公表したら、結果論的には隣のニュージャージーの死亡率が上がったという 話があったりするわけです。したがって、公表の仕方については国際的にもいろいろ議 論があるところなので、もしするのであれば、現在から研究等を含めてしっかり準備を するしかないかと強く感じております。それは個人の意見として申し上げておきたいと 思います。  では、第1課題と第3課題についてはご意見をいただき、第2課題については改正手 続きを進めることにしたいと思います。よろしいでしょうか。  2つ目の議題に入ります。広告規制の見直しに伴い、ガイドラインの策定についてご 議論いただきました。その後、Q&A等を出すなどして運営を進めていただいているの ですが、今日はそのQ&Aに追加したい事項があるとのことなので、事務局からご説明 をお願いします。 ○企画官 それでは、広告規制の見直しの関係で説明を申し上げます。まず最初に、参 考資料2の1頁をご覧ください。何度かお目にかけたことがあるかと思いますが、昨年 4月から実施している広告規制の見直しの概要について載せた資料です。昨年までは個 別事項をかなり細かく列挙する形で広告規制が行われていたわけですが、昨年4月から 一定の性質を持った項目に関する事項を包括的に規定するという形で、結果的に医療広 告の範囲がかなり拡大したわけです。その拡大に伴って、実際に広告を行う医療機関や 広告代理店等の関係者、あるいは、それに対して指導を行う都道府県の立場で、実務上 の疑義がいろいろ生じるのではないかということから、9頁より40頁以上にわたるもの ですが、医療広告ガイドラインという形で、昨年3月にこの場でご議論をお願いして、 まとめて世の中に示しているものです。  昨年の段階で申し上げていましたのは、このガイドラインを示しても、さらに細かい 点については実務上いろいろな質問等が出てくるであろうと、そうしたことについては 個別にQ&Aを発出する形で周知を図っていきたいとお約束をしていたところです。50 頁以下ですが、よく照会をいただくような事項についてはQ&Aという形でまとめて、 昨年各都道府県にもこれを示していますし、私どものホームページにもこれをアップし て、この運用が適正に行われるように取組みを進めているというのが1年間の現状です。 Q&Aそのものは既にこうした形で出した部分もあるわけですが、この機会ですので、 新たに2つほど追加したいということで今日資料を用意しております。  資料2-1ですが、先進医療に関する広告の取扱いについてです。先進医療は、医療保 険制度の中で、保険外併用療法である評価療養の1つです。一定の施設基準を満たして いるということで、社会保険事務局に届出をされた保険医療機関が実施される場合には、 保険と自由診療の併用が認められるという仕組みですが、この先進医療そのものについ ては既に広告の対象になっております。一方で昨年、この広告の規制の緩和をしたとき、 自由診療として行われる部分についても、同様の技術、検査、手術等であれば広告の対 象とするということで整理をしておりました。その整理をした点について、確認的に少 しQ&Aを出したいというものです。具体的に何かと申し上げますと、資料2-1の(1)、 先進医療を実施している医療機関ということですが、当然保険サイドで設定している施 設基準を満たしていない医療機関が当該医療技術を行う。こうした場合については、評 価療養と同一であるとは言えないのではないかということで、広告の対象とはしないと、 ここに書いております。  一方で、次の2頁ですが、施設基準を事実上満たしている場合。これは実際に社会保 険事務局に届出をされているケースとされていないケースがあるかと思いますが、いず れの場合においても、その医療機関が施設基準を満たしていれば、当該医療技術を評価 療養の1つとしての先進医療としてではなく、自由診療として行われる場合にも広告の 対象としていいのではないかということで、このように整理をしています。以上につい て、Q&Aで周知を図りたいというものです。  もう1つが、資料2-2、医療機関の名称についてです。医療機関の名称ですが、医療 法上広告可能な事項ということで、医療法の中で明記しております。名称そのものも広 告の一種であるという位置づけになっているわけです。そうした中で従来、例えば(1) の所ですが、治療方法等については、昨年3月までは、保険診療の点数表と同様の記載 でなければ広告をしてはいけないとしていたわけですが、昨年の緩和に伴い、患者から 見てわかりやすい表記であれば広告してもいいというやり方に変えたわけです。したが って、昨年の広告規制の緩和に伴い、広告が可能とされたものについては、医療機関の 名称として使うことも可能であると、改めて(1)のところで書いております。透析な ども書いてありますが、もともと点数表上では人工腎臓といいますので、昔はこれしか 駄目であったところが、透析、人工透析という言い方もいいと、昨年整理させていただ いております。  それから、(2)です。一方で、広告規制をかなり緩和したわけですが、引き続き、広 告としてはできない事項がまだあります。特に虚偽広告だとか比較広告、さらに誇大広 告、それから、客観的事実であることを証明できない、非常に主観にわたるようなもの、 こういったものは広告ができないことにしているわけです。したがって、こうした事項 に該当する内容を医療機関の名称として用いることについては、引き続き認められない ということは(2)で明らかにしております。使用可能な例、認められない例と書いて ありますが、あくまで例示ということでご理解いただきたいと思います。この取扱いに ついてもQ&Aで周知を図っていきたいということで、本日ご報告とさせていただきま す。以上です。 ○座長 ありがとうございました。  まず資料1、先進医療として認められている医療技術に関する広告について、ご質問、 ご意見ありませんか。内田委員、お願いします。 ○内田委員 これは2点確認というか、非常に重大な点を含んでいると思いますので、 お願いしたいと思います。1点は、やはり先進医療ということで、認められている医療 技術に限定することが非常に重要です。それからもう1点は、施設基準を事実上満たす 医療機関というところ、どこがこういう評価をし、担保するのかが非常に重要でして、 自己申告、自己認定ということでは非常に質の担保につながらないと、危険性があると 思いますが、この2点はしっかり確認できるような内容にしていただかなくてはいけな いと思います。 ○座長 事務局、その辺についてはどのようにするかというご意見はありますか。 ○企画官 今日の資料では省略しているのですが、資料2−1、3頁の下に、広告可能な 事項として、評価療養、選定療養が入っています。その上に(略)としてしまっている のですが、1項の所に保険診療があります。つまり、保険の対象になっている医療技術 については、同じ技術を自由診療としてやられる場合にも広告の対象とするものです。 いま内田委員からご指摘のあった、1点目の「先進医療の技術」ですが、通常は保険の 対象にはなっていないはずですので、これについては先進医療と同一と言えない限りは 広告ができないということで、そこは担保されているかと思います。  それから、2点目のご指摘ですが、これはご指摘としては趣旨を十分理解するわけで すが、本日の資料で申し上げると、2頁の(2)の後段の所に書いていますけれど、ご指 摘のように、広告というのはまさに広告をする側の判断で、広告をするかどうかを決め るわけでして、そうしたときに1人よがりで、うちは施設基準を満たしているというこ とでいってもらっては困るわけですので、「広告を行うに際し、関連告示に照らして、十 分な確認を行うこと」などと、場合によっては行政当局にきちんと確認していただくこ とも必要になるかもしれませんが、そうした形でお願いしたいと、Q&Aの中でも徹底 したいと思います。広告ですので、やるかどうかは医療機関の判断になりますが、仮に 満たしていないにもかかわらず広告をしているということであれば、これは虚偽広告に なろうかと思うので、そうした形でのペナルティーがかかってくる仕組みになっており ます。 ○座長 いまの問題は仕組みとして担保されているというご説明でした。そのほかにご 意見、ご質問ありませんでしょうか。先進医療についてはよろしいですか。  それでは、資料2-2の「医療機関の名称について」、Q&Aの追加・変更、これはいか がでしょうか。ご疑問、ご意見はありませんか。これも以前に少しご議論いただいたの を確認するという趣旨の部分ですね。特にご質問ありませんか。 ○大井委員 「医療機関の名称として」と書いてありますが、医療機関の名称の冠に使 うことも駄目ですね。例えば、不老不死○○病院などというのは駄目ですね。そのこと の確認なのですが。 ○企画官 冠とおっしゃっているのは、名称の一部として使うということですか。 ○大井委員 そうです。 ○企画官 それは名称そのものであろうかと思います。 ○大井委員 名称そのものと理解するわけですね。 ○企画官 はい。今日は名称のQ&Aなので「名称」という言い方をしていますが、こ の例示で挙げているものについては当然、虚偽あるいは誇大ということで、去年のガイ ドラインの中でも、広告できない事項として書いています。それを名称として用いるの は当然駄目だということを今日提示しているという意味です。 ○座長 よろしいでしょうか。これにつきまして、あまりご意見がないようですので、 よろしいということと理解しました。  それでは、このQ&Aにつきましてもご議論いただき、ありがとうございました。今 後、医療広告につきましても円滑に運営実施ができるように、事務局、よろしくお願い 申し上げます。  それでは、本日予定していた議題については以上ですが、そのほか、事務局から何か ありますか。 ○企画官 特にありません。次回の日程ですが、現時点においてはまだ確たる日程は決 めていませんが、今日ご報告させていただいたような課題もありますので、来年度にい ずれかのタイミングでまた検討会の開催をお願いして、ご議論をお願いしたいと思って いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○座長 内田委員、どうぞ。 ○内田委員 これは都道府県の広告が医療機関の情報でスタートしますから、少し早め にお願いできればと思います。 ○座長 特にそのほか、ご意見ありませんでしょうか。この参考資料3というのは、参 考ということでお配りいただいただけですか。 ○企画官 参考資料3は、いま国会で審議している、来年度予算の医政局関係の概要で す。参考資料としてお配りしております。医政局関係全体で申しますと、△の17億円 ということで額が下がっていますが、私どもの場合、ナショナルセンターや国立病院機 構を抱えているので、その関係の繰入れ等が下がっている関係でマイナスになっていま す。政策的な関係で申しますと、次の1頁以下ですが、特に医師確保対策関係では、今 年度の1.7倍ぐらいの予算をいただいていますので、予算成立した暁には、これに基づ いてしっかり対策も進めていきたいと思います。ご覧いただければと思います。 ○座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。そのほかにご意見がなければ、本 日はこれで閉会といたします。どうも足場も悪く、お忙しいところありがとうございま した。  以上で閉会します。 照会先 医政局総務課 飯村、高島 連絡先:03−5253−1111(内線2518)