08/01/21 第6回自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会議事録 第6回 自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会議事録 平成20年1月21日(月) 厚生労働省専用第21会議室 ○上田座長 定刻となりましたので、ただいまより第6回自殺未遂者・自殺者親族等の ケアに関する検討会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては大変お忙しい 中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。なお、西田構成員につきま しては本日御欠席との御連絡をいただいております。また、若干おくれて来られる方が おられますが、定刻になりましたので進めたいと思っています。  まず初めに事務局より資料の確認をお願いいたします。 ○名越課長補佐 資料の確認をさせていただきます。  議事次第。  資料1、構成員名簿。  資料2、自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書(案)。  資料3、前回会議の議事録(案)。  参考資料、内閣府における自殺対策予算案の概要。  不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。 ○上田座長 よろしいでしょうか。資料3に前回の議事録がございますが、皆様方御確 認いただきまして、修正等がございましたら本日中をめどに事務局までお知らせをお願 いしたいと思います。  本日は自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書(案)についてがメイ ンの議題でございますが、この議論を行った後、本日御出席いただいております内閣府 自殺対策推進室から、平成20年度の地域における自殺者遺族支援団体自立化支援経費に ついてのお話と、全国自死遺族総合支援センターについての御紹介をいただくこととし ております。きょうの議論を踏まえながら、今後どうするかは最終的に皆様と御相談し たいと思っております。  それでは、自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書(案)について、 これは事前に皆様に届けておりますが、これから議題にいたしますので、まず事務局か ら説明をお願いします。 ○名越課長補佐 それでは報告書(案)について説明させていただきます。失礼ながら 座って説明させていただきます。  前回会議では報告書の骨子案を提出させていただいたところでございますけれども、 事務局では骨子案をもとに、これまで検討会で構成員の皆様方にいただいた意見を反映 させまして、また、途中の素案について構成員の先生方に送付いたしまして、御意見を いただきながら取りまとめ作業を行ってきたところであります。先週お送りした資料に ついてはまだ動いている資料ということで、金曜日から本日にかけても若干の文言の修 正があるということをあらかじめお断りさせていただきます。  まず報告書(案)の目次をごらんいただきたいと思います。第1章「はじめに」とし て、自殺総合対策における自殺未遂者・自殺者親族等へのケアを位置づけを述べるとと もに、本検討会の設置目的を示しております。第2章は、自殺未遂者のケアに関して。 第3章では、自殺者親族等へのケアに関して現状と課題、ケアについての基本的考え方 と今後の取り組みの方向性をまとめております。第4章では、自殺未遂者へのケア、自 殺者親族等へのケアを行う民間団体、公的機関、医療機関等が活動する上で必要とする ガイドラインを作成するときに基本となる指針を示しております。骨子案では、「はじめ に」、自殺未遂者のケアに関して、自殺者親族等へのケアに関して、「おわりに」という 4章構成になっておりましたけれども、案をまとめるに当たって、自殺未遂者へのケア に関して、自殺者親族等へのケアに関しての構成要素であったガイドライン作成のため の指針を別個の章として、第4章として移したというところが構成上の大きな変更点と なっております。  各章の、特に第2章、第3章の小項目についても、構成を考えていく上で骨子案との 相違が生じております。例えば、骨子案では第2章、第3章で、(1)基本的考え方、(2)、 現状と課題、(3)、今後の取り組みとなっていたところが、今回の案では、(1)現状と 課題、(2)、基本的考え方と今後の取り組みといった形で構成が変わっております。  引き続き、具体的報告書(案)の中身の説明に入っていきたいと思います。3ページ、 「はじめに」でありますが、(1)自殺総合対策における自殺未遂者・自殺者親族等への ケアについてとして、自殺総合対策が平成10年以降の自殺者数の増加から民間団体の声 を発端として成立していったという経緯を示すとともに、4ページから5ページにかけ て、昭和40年代から民間団体によって開始された、自殺未遂者・自殺者親族等へのケア が近年自殺対策の論点として認識され、自殺総合対策に明確に位置づけられた点につい ての記述を行っております。  次に6ページですが、(2)自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会の設置に ついてとして、本検討会の設置についての説明を行っております。自殺未遂者が自殺再 企図をしないために必要な支援、自殺者親族等に及ぼす心理的影響等を緩和するために 必要な支援、さらに、これらの支援を行うに当たってのガイドラインをさまざまな主体 が作成するための指針、この3つの成果物について、今後幅広く関係者の方々にこの報 告書を活用していただきたい旨を示しております。また、自殺未遂者・自殺者親族等へ のケアについては体系的な取り組みが始まったばかりであるため、引き続き新たな知見 の収集と現状の把握、対策の更新を図っていくことが重要であるという点についても触 れております。  以上、3ページから6ページまでの「はじめに」についての説明であります。 ○上田座長 事務局から全体の構成と「はじめに」について具体的に説明がなされまし た。これまでいろんな御意見をいただき、骨子案という形で以前出されましたが、この ような報告書は今回初めてでございます。このため、限られた時間でどこまでまとめら れるか自信がございませんが、とりあえず各論の議論をしていただいて、その結果どの ように扱うかは御相談したいと思います。できるだけ効率的に進めていきたいと思いま すので、どうかよろしくお願いします。  それでは「はじめに」ですが、これまでの経過と、検討会の設置について記載されて おります。「はじめに」はこの報告書の一つの顔となりますし、ねらいを示すことになり ますので、余り分量は必要でないかもしれませんが、この報告書の意図がある程度示さ れた方が望ましいと思います。皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでし ょうか。 ○清水(新)構成員 第1回検討会のときにライフリンクの清水さんから出た意見だっ たと思いますが、ケアというのが自死遺族の当事者たちはケアされる対象なのかという 議論があったと思います。自死遺族当事者たちはもう少し自分たちでコーピングできる 能力を持ってるんじゃないか。例えば分かち合いとかいう話がありましたね。そのとき に、ケアというのはそんなに狭い専門的な用語ではないと。キュアも含むけどももっと 広い概念だという議論があったと思います。今回の検討会を通して、さらにこの案を拝 見しまして、ここまでかなり対策の射程が広がっていくと、ケアという言葉で本当にい いのかなと改めて思い直したんです。その場合に、ケアというとどうしても私たちは広 い概念だととらえるんですが、だれかがだれかにケアをするというようなニュアンスを 非常に強く持っていると思います。そこで、もう少し支援とかいう言葉で全体に、自殺 者親族等の支援に関する検討会とか直すということをもう一度考えてもいいかなという ふうに思いました。しかし、これは非常に大きな問題ですので、もっと大局的な観点か らも議論されなきゃいけないと思いますが、一応これまでの検討を通してみると、第1 回に出た論点がもう一回検討されてもいいかなという印象を持ちました。 ○上田座長 用語についての議論がありまして、私もそのときは、用語についても整理 しましょうと申し上げました。今回このような形でのまとめになりましたが、改めて清 水構成員から、これらの用語について概念の整理をしてはどうかとの御指摘でございま す。いかがでしょうか。 ○渡邉構成員 重要な御指摘だと思いますが、ケアという言葉が一体どこから来たのか というところまで、要するに本来の英語でのcareというのはどんな意味を含んでいるの かというところを検討する必要があるし、支援というと私なんかのイメージではサポー トというイメージになっちゃうんですね。サポートというと、例えば経済的な支援とか そういうようなこと。ソーシャルサポートというと人的な支援ということも含みますけ れども、その辺のところをよく検討した上で再度議論したらいかがかなと思います。 ○伊藤構成員 最終的に報告書の中でどの言葉を使うかは、いろんな観点からの検討が 必要だと思います。本検討会では同様の議論が、自殺という言葉でもあり、自死という 言葉について、それぞれの先生のお考えがありましたかと思います。今回の報告書の19 ページ下に、自殺と自死の両方の言葉があること、それぞれの文脈で検討すると書かれ ています。ケアと支援という言葉についても、どちらにするという議論まで煮詰まれば よいのですが、難しい場合はそれぞれの趣旨を勘案して、文脈の中で御判断していただ くという方向もあるのではないかと思いました。 ○清水(新)構成員 私もぜひケアにした方がいいというところでもないんですね。先 週、国立精研の方の研修でも、支援と援助と介入という、こちらがかかわるスタイルに ついてちょっと話をさせていただきましたけれども、支援というと、時には側面的支援 ということで、当事者からすると、行政はもっと真正面からとらえてやれというような 指摘もあるくらいに、支援という言葉がベストとも思ってないんですね。確かにケアと いうのは、普通take careと英語で言う場合は「気をつけてね」みたいな、かなり幅広 い、見守りとかその辺も含めての言葉ですよね。その中にキュアも入っていくんだとい うことであるならば、ケアでもよろしいかなと思います。ケア、支援、ほかの言葉を使 うにしても、こういう意味で使うんだということが明示されれば、1フレーズでもいい と思いますね、加えることによって、どういうことを意味してるんだということが記載 されればよろしいかと思いますので、いろんな観点からとらえなきゃいけないし、言葉 を変えていくと大変ですよね。ですから、そこは後で検討していただければよろしいか と思います。 ○上田座長 事務局で、ケアですとか、ほかの言葉もあるかもしれませんが、1、2行 でも少し説明して、できるだけ考え方を示した方がいいので、検討してください。お願 いしていいですか。 ○名越課長補佐 報告書(案)を見ましても、支援とケアという言葉が混然としている ところもございますので、ケアという言葉に関して統一した使い方についての解説を冒 頭に加えたいと思います。 ○上田座長 ほかにございますでしょうか。 ○伊藤構成員 後ほど、未遂者・親族等ケアのところで、情報提供という言葉が出てき ます。近年、個人情報保護の観点が大変重要になってきていますので、総論的に個人情 報保護を配慮しつつ自殺対策支援を行うといった内容を加えていただくことをご検討い ただけないでしょうか。 ○上田座長 そこは少し工夫をしていただくということでいいでしょうか。  「はじめに」のところでほかによろしいでしょうか。  勉強会のときに図について議論がありまして、図はわかりやすいからいいという意見 や、説明がないと読む人によってとらえ方が違うとか、検討会としての報告書だから、 検討会としての主体性が必要ではないかとか、いろんな御意見がございました。今回自 殺総合対策大綱の概要が入っておりますが、このような報告書に図があるのは余り見か けませんけど、皆様の御意見でこの図がわかりやすくてよいのであればこだわりません。  よろしいでしょうか。それでは進めさせていただいて、後ほど全体で議論したいと思 っております。  次に、自殺未遂者のケアに関して、事務局から御説明をお願いいたします。 ○名越課長補佐 第2章自殺未遂者のケアに関しての説明をさせていただきます。(1) 自殺未遂者のケアの現状、(2)自殺未遂者のケアについての基本的考え方と今後の取り 組みの方向性、2つの小項目からできております。  まず7ページ、自殺未遂者のケアの現状と課題でありますけれども、(1)として、構成 員から御提供のありました自殺未遂者の実態について示しております。まだまだ十分な 把握ができていない中ではありますけれども、自殺未遂者は自殺者の少なくとも10倍存 在するであるとか、自殺未遂者の80%以上に精神障害が認められ、最も多かったのがう つ病であるといった研究データが示されております。  (2)から(4)までは、自殺未遂者が自殺企図をしてから、医療を受け、退院後の地域生活 に向けての準備を経て、地域での生活に戻っていくという一連の流れをもとに、3つの 段階に分けて整理をしております。  (2)自殺企図直後では、救命救急センター、精神科救急医療機関、一般医療機関の3種 類の医療機関における問題点を示しています。(3)退院後の地域生活に向けてでは、自殺 未遂者が医療機関から地域に戻っていく際のマネージメント体制の不足について指摘し ています。(4)自殺未遂者が地域で必要とするケアの提供体制についてでは、自殺未遂者 が地域に復帰して再度自殺企図を起こさないために必要な資源について、相談体制、情 報提供、関係機関、当事者に対する個別ケアに関する連携、地域全体の連携の5つの視 点で問題を整理しております。  (5)から(8)までは、個別ケアの視点ではありませんで、(5)人材育成、(6)自殺未遂者のケ アに取り組む関係者のケアについて、(7)一般市民向けの普及啓発について、(8)研究等に ついてといった、社会的な取り組みの視点で整理される問題点についてまとめておりま す。  10ページからは(2)自殺未遂者のケアについての基本的考え方と今後の取り組みの 方向性について示しております。自殺未遂者のケアについては、自殺企図後の身体面の 治療と精神面の治療によって心身の健康の回復を図ること、退院後の地域生活に向け、 自殺企図に至った原因への対処や、地域の社会資源等を活用した支援のマネージメント を行うこと、実際に地域において適切なケア計画のもとに家族の支援も得ながら、自殺 再企図をせずに生活を送れるようにすることを基本として、個別ケアと社会的取り組み、 人材育成、相談体制の充実、調査研究といったものを進める必要がある旨、示しており ます。下の方の図は、今の説明をイメージとしてあらわしたものであります。  11ページからは個別の内容です。(1)自殺企図直後としては、救命救急センター、精神 科救急医療機関、一般医療機関の3種類の医療機関で、自殺企図直後における自殺未遂 者に対する身体・精神、両面の医療体制の充実について今後の取り組みの方向性を示し ています。例えば救急医療機関において自殺未遂者の身体面の治療を行うほか、早期か ら精神面の治療もできるよう、精神科医による診療体制に対して評価を行うなどの対応 を行うといった対策が示されています。  (2)退院後の地域生活に向けてでは、マネージメント体制の構築に向けたノウハウの蓄 積のための調査研究の実施について触れています。  (3)自殺未遂者が地域で必要とするケアの提供体制についてでは、相談体制、情報提供、 関係機関、当事者に対する個別ケアに関する連携、地域全体の連携、それぞれについい て対策を示しております。このうち、当事者に対する個別ケアに関する連携というのは、 当事者の周りのミクロな連携、地域全体の連携はこれに対してマクロな連携を指すもの とイメージしておりますが、個別ケアのために必要となる現場レベルでのサービス調整 の場に向けた確保について、構成員の皆様方から、現場の声を吸い上げるための組織の 必要性などもあわせて御指摘があったというところに対応して示しているものでありま す。  (4)人材育成については、さまざまな関係者の資質向上のための事例を例示しています。  (5)自殺未遂者のケアにかかわる関係者のケアでは、自殺未遂者のケアに取り組み関係 者自身にもケアが必要であるという点にも触れております。  13ページ、一般市民向けの普及啓発では、関係者だけではなく、一般市民向けに自殺 未遂者のケアの必要性の理解を深めてもらう普及啓発の実施について記載しております。  (7)研究等については、実態把握のほか、実際のケアに役立てるための各種研究の推進 について触れているところであります。  以上、自殺未遂者のケアについての大まかな説明をさせていただきました。 ○上田座長 ありがとうございました。自殺未遂者のケアに関して、現状と課題が前段 にあって、後段が基本的考え方とその取り組みの方向性になっています。現状と課題に おいては、実態とか、自殺企図直後、地域生活に向けて、提供体制、人材育成、それぞ れの項目があります。取り組みの方向性についても、自殺企図直後、地域生活に向けて など、それぞれの項目について整理されておりますが、皆様の御意見をいただきたいと 思います。いかがでしょうか。 ○渡邉構成員 同じく用語という点についてですけれども、自殺未遂、自殺企図という 言葉が出てきて、自傷という言葉も出てくるんですね。この用語の意味について明確に しておくことが望ましいと思うんですけれども、戦略研究なんかは明確に整理している ので、その辺を参考にして説明したらいかがかなと思いますけど。 ○上田座長 ありがとうございました。先ほどの議論がありました用語の関連で、極め て基本的なことですので、この点についても整理していただきたいと思います。 ○名越課長補佐 御指摘のとおり、用語の方はまた構成員の先生方にも御相談させてい ただきながら整理したいと思います。 ○上田座長 ほかにございますでしょうか。 ○五十子構成員 人材育成とか、ほかの連携その他のところでも、自殺未遂者のほとん どは成人であると思うんですけれども、ほんの少数ではあっても学生とか生徒とかいる と思うんですね。そういう方々のケアも必要ではないかと思うんですけれども、そうす ると学校が関連してくるかなと思うんです。 ○上田座長 非常に重要な御指摘かと思います。大綱でもせい若年者あるいは中高年、 高齢者とかなってましたね。その辺のとらえ方をここでどうするかというのは、今御指 摘の点があって、そこはどういうふうに対象者を考えるかということと、もともとのス タートが厚生労働省の分野での取り組みとなって、厚生労働省の分野でも例えば児童相 談所とかあるでしょうし、教育の場面だとかいうのは文部科学省との関係もあるでしょ うけど、その辺をどういうふうに整理して、その分野で対策としてはどうするかという 御指摘だと思いますが、これは委員の方からも御意見をいただいた方がいいと思います。 ○平安構成員 「はじめに」の最初の部分の最後の段落に書いてあるように、自殺総合 対策は社会的な取り組みによって行われるということが重要なわけですね。この検討会 の報告書自体の役割とか位置づけを明確にしていただいた方が私もわかりやすいと思い ます。つまり、医療福祉とか、精神保健福祉とか、そういった領域を中心にこの報告書 が作成されるのか、あるいは、現実的にはこの中で学校問題とか、警察とか、さまざま な自殺にかかわるような、経済問題だって大きな問題ですから、かかわるような領域に まで踏み込んだものにするのかということが明確でないと、後にガイドラインを作成す るに当たっても、ガイドラインの対象となるような方々とか、場所とかというのを規定 することがまた問題になると思います。その中には報道機関も含まれるわけですが、「は じめに」の段階で今御指摘のあったような点も踏まえて、対象を明確にしてもらった方 がわかりやすいと思います。もしくは、精神保健福祉を中心にやるけれども、他領域に 関しても何か提言をしていくということでもいいのかもしれません。 ○上田座長 事務局から何かありますか。 ○名越課長補佐 本検討会は障害・保健福祉部長のもとに参集していただいております。 総合対策はもちろん必要なことではありますけれども、御参集いただいている構成員の 先生方のメンバーから考えまして、基本的には精神保健対策を中心として、あと必要に 応じて、他省にまたがる問題についても提言を行うという整理が適当かと思っておりま すけれども、構成員の先生方の御意見をお伺いしたいと思います。 ○上田座長 今おっしゃったようなことをきちんと整理することが大切と思います。精 神保健の分野で何を行うのか、他の領域との関係においてどうするかなどについて書い ておく必要があります。全部ここで行うのは無理だと思いますが、厚生労働省の分野で 今回は何を行っていくのか、他の領域についてはどのように整理するのかを考えて全体 の整理をしていただきたいと思います。 ○斎藤構成員 私も基本は精神保健の分野で総括をするということが望ましいと思い ます。ただ、学校保健の問題もありますし、福祉の分野の参画も必要だと思いますし、 そのことはそれぞれの分野の中ではっきり明記すると。例えば、学校の場合はリストカ ッティングの事例というのは無限にある。これは単に精神保健というよりも、むしろ生 徒指導の問題だと思いますし、大体これを未遂事例と言っていいのかどうかということ も、未遂と自傷行為の定義をきちっとすべきだと思います。 ○清水(新)構成員 私個人は、この検討会で精神保健だけに限定して議論してきたつ もりは余りないんですね。もう少し広く、例えば多重債務をどうするんだという具体的 な議論はしませんけれども、かなり広い総合的な見地からこの問題を考えるんだという ことからしまして、もう少し広くとらえてこの検討会に参加してきたなという感じを持 っております。しかし、おっしゃるとおり、特にガイドラインなんかはそうですね。非 常にスペシフィックになって、どういう人を対象にして書くかによって全然内容が違っ てくるという技術的な問題もありますので、その辺の難しさがあると悩ましいなと思い ますが、基本的には、余り今度の検討会では精神保健とかいうだけに限定しなかったと いうのが私の理解です。あえて言えば、福祉というものを少し広くとらえることによっ て、ウェルビーイングを広くとらえることによって、ちょっと苦しい部分もありますが、 学校の問題、経済的な問題、法律の問題、これも含めて、私たちが心の健康というもの をきちんと維持できる社会システムづくりが大切なんだという基本的考え方からすれば、 精神保健福祉というくらいに少し広げていただければその辺もカバーできるのかなと思 いますが。 ○上田座長 ほかに御意見ありますか。  このテーマについてはそれぞれ御意見がございましたので、その辺は事務局で整理し ていただきたいと思います。  ほかのテーマで。どうぞ。 ○渡邉構成員 11ページの相談体制のところですけれども、救命救急センターにかから れた方がその後保健所、精神保健福祉センター等の協力でいろんな問題に対応していく という説明ですけれども、だれがどのようにということが余り見えてこない。対象も、 どこに向かってというところが余り見えてこないので、地域のイメージがわいてこない んですね。その辺のところ、もう少し主語と対象を加えてもいいんじゃないか。ガイド ラインでやるからと言われればそれまでなんですけれども、いかがでしょうか。 ○上田座長 主語というのは、どこがこのような取り組みをだれに対して行うかという 意味ですか。 ○渡邉構成員 あとはネットワークづくりとかですね。例えば熊本なんかは精神保健福 祉協会が中心になって、医療機関で自殺未遂者の方が来た場合には精神科的な診断をし て、精神科の医療機関に紹介するとか、そういうシステムづくりができているわけなん ですけれども、そういうのがもう少しイメージできるといいのかなと思うんですが。 ○上田座長 そうしますと、もう少しイメージできるような内容を工夫してほしいとい う御指摘ですね。ほかにいかがでしょうか。 ○清水(新)構成員 今のお考えと少し関連するんですが、自殺未遂者のケアの部分で 一番足りないかなと思っている点を指摘させていただきたいと思います。それは、10ペ ージの図の直前の文章、自殺企図のリスクが高いとされる自殺念慮を持っている人と、 自殺未遂者に対するケアを一貫した課題としてとらえる必要があると。これはすごい重 要な指摘だと思うんですね。地域ベースで生活者の視点に立ってみると、実際に自殺未 遂者を支えているのは多くの場合家族ですよね。その家族が念慮の段階から相当苦悩し て揺れ動いて、どうしていいかわからないという非常に不安な状態に置かれている。こ の人たちが相談に行く場所がほとんどないんですね。そういう意味で、生活者の視点か らすると、地域で自殺未遂者を支えていくキーパーソンとして家族、家族がいらっしゃ らない方もいるけれども、基本的には家族になると思いますね。その家族をどう支えて いくかという視点が、フレーズとしては幾つかあるんです。例えば11ページの(3)自殺未 遂者が地域で必要とするケアの提供体制について、自殺未遂者や家族の包括的な支援を 行うことができるようにすると、決して家族が漏れているわけではないんですが、ただ、 もう少し強調されてしかるべきかなと思います。事の重大性の点からですね。それと、 10ページの(3)に、実際に地域において適切なケア計画のもとに家族の支援も得ながらと ありますが、家族は支援を得る対象じゃないですよね。非常に苦悩の中で不安定で揺れ 動いている。そういう家族を支援の資源として位置づけるんじゃなくて、むしろ支援の 対象として位置づけるべきニーズの方が圧倒的に強いと思います。そういう意味で、キ ーパーソンを支えるニーズサービスをどうしていくかという発想はもっと必要だと思う んですね。自殺企図が発生する前から相当念慮があった、自殺企図があった、それから も繰り返しやるのかもしれないという自殺念慮に随分と家族は悩まされ、苦しめられて いるんですね。この家族をどう支えていくかということは、自殺未遂者の問題を考えて いく上で不可欠な点だと思います。そういった意味で、多少くどいかもしれませんけれ ども、家族というものを自殺未遂者ケアの文言の中に入れていただければと思います。 11ページの(3)で、確かに自殺未遂者や家族の包括的な支援を行うことができるようにす ると書いてあるんですが、次の相談体制のところに、対象なんですね、やはり。精神的 な問題や経済的な問題等多岐にわたる相談に対応するためのと書いてありますが、ここ に、本人だけじゃないんだぞということを明示するために、「本人及び家族からの」と、 サービスを届ける対象をもっと明示していただければ、今のあたりも、私の懸念する部 分も解消されていくんじゃないかなと思います。  それと関連しまして図ですが、ケアのイメージのところですが、自殺念慮から始まり、 企図、受診、退院、地域生活となっていますが、退院の後にまた念慮と企図が繰り返さ れるわけですね。この図にそれも入れていただけると、その繰り返しの中でどうやって 未遂者の家族を支えていくんだというニーズがもっとはっきりしてくると思います。そ んな工夫ができないものか、ないものねだり的な部分もありますけれども、ぜひ検討し ていただければと思います。 ○斎藤構成員 電話相談の中で、未遂者の訴えについてほとんど何らかの治療を受けて いるケースが多いわけです。ということは、基本的には私どもは、今受けている治療を 信頼してとまでは言えない部分もあるんですけれども、そこに投げ返すことが基本だと 思うんですけれども、同時に、これは医療機関の問題で、医療機関の治療がそれなりに 完了した段階で後のケアをどうするかという、治療とは離れたケアについてのシステム をつくっていただくこともこれからの課題であろうと思います。例えば、ある救急医療 センターでは、自死遺族の方々のためにミーティングを定期的に開くとか、そういう試 みをされているところもありますけれども、これは自死遺族だけではなくて、未遂の場 合の御家族へのケアというプログラムをきちっとおつくりになっている前例があるのか どうか、その辺も調査してみる意味があると私は思いますけど。 ○上田座長 先ほどから家族についての御指摘をいただいていますが、例えば10ペー ジの基本的考え方と今後の取り組みの方向性で、基本についての記載が第2フレーズに ありまして、この家族の支援について、もう少し工夫した方がよろしいですね。それか ら、各論のところでも、相談体制も家族についてきちんと考えるなど、家族を支援の対 象として位置づける目で整理したらどうだろうかとの御指摘だと思います。 ○河西参考人 私は別の整理の仕方がよいと思います。9ページの6番に関係者のケア の関係者という言葉があり、12ページの(5)にケアにかかわる関係者という言葉がありま すが、この「関係者」という言葉自体が全体をわかりにくくしていると思います。関係 者の中には家族が含まれているような含まれていないような、あるいは相談従事者だけ のことを言っているような言っていないような感じになっていて、それが話をわかりに くくしているのだと思います。家族の方たちが非常に苦労をされていることは全くその とおりだと思いますけれども、一方でソーシャルワークの考え方からいけば家族は重要 な社会資源の一つであることは間違いありません。ですので、当事者としての困難感を 背負っている家族というものと、重要な社会資源としての家族というのを両方とも、分 けて記載しておくとよいと思います。つまり苦労をされている家族のサポートの必要性 についてはそれを明確にし、社会資源としての家族という視点においては、どのように 抑うつ状態にあったり希死念慮をもつ家族を見守ったらよいのかということことも含め てスキルや知識を提供する必要があると思うのです。一方、家族以外の社会資源として の相談従事者についてですが、保健所とか精神保健福祉センターとか、そういう方たち の困難感にも目を向ける必要があります。最近いろいろな研修会の依頼があって、その 場に行って感じるのですが、皆さん非常に困難感を持っていまして、自殺未遂の事例な どに対応することに非常に心理的な重圧を感じています。自殺未遂者や希死念慮をもつ 人に対応するということは時間を要することですし、これを通常業務の中でやっていく ことには非常に困難があります。こういう重い仕事をしていくのには、サポート体制と か、マンパワーとか、そういうものの見直しなどが大事だということが本来は書かれて いたらよいと思うのですが、現行案ですと、「関係者」というところでさまざまな要素が 混ざってしまっているようで、問題が不明確になっているように思われます。 ○上田座長 ありがとうございます。そこは事務局で整理していただきたいと思います。 ○平山構成員 11ページのかかりつけ医というのは、例えば内科とかそういう先生とい うことを指しておられるんだろうと思いますが、精神科の外来の場合は外来者数が多い ということで、それをどういうふうにして、精神科医自身がどういうふうにきちっとし た質の高い医療を持つことができるかという問題と、実際に自殺念慮を持った患者さん を精神科の病院に入院する場合になかなかとってくれないという問題がありますね。こ の辺の精神医療の現場をやっている人の取り組みに対する問題意識というものをどこか で記述できないだろうかと思います。 ○上田座長 きょうは報告書(案)が出されていますが、できるだけ早くまとめたいと 思います。11ページにかかりつけ医や、精神科医療の記載がありますが、今後の取り組 みの方向性として、自殺企図直後という項目に救命救急センターや、精神科救急医療機 関、また、退院後の地域生活に向けてという項目に整理されています。今先生のおっし ゃったことがここに満たされておればこれでいいですし、あるいは、医療の観点で、受 け入れの問題や、質の高い医療の確保については、かかりつけ医の研修を実施するとよ いう記述になっていますが、医療の質を高めることの取組が乏しければ、書き加えるな ど、事務局で整理してもらうことにしましょう。 ○平安構成員 精神科救急医療機関の中には当然一般精神科病院も含んだ形で想定し ていただいていいのではないかと思いますし、もう一つ、救命センターと精神科救急医 療機関という分け方をしていますけど、総合病院という視点をもう少しどこかに入れて いただいて、総合病院で精神科医がいる施設をもう少し厚く、再教育とか、関連医療機 関との連携も含めて定義していただければ、未遂者に対するケアにも役に立てるのでは ないかと思います。 ○上田座長 そうしますと、今3人の構成員の方から、医療についての整理をもう少し すべきだという御指摘がありました。例えば11ページで、取り組みの方向性の項目とし て自殺企図直後、退院後の地域生活に向けてとなっていますが、その辺も含めて整理し た方がいいんですか。医療について、医療の質の向上や、いろんな課題の整理をしまし ょう。  ほかにございますでしょうか。 ○清水(新)構成員 先ほどの議論に追加なんですが、10ページの(3)のところで、家族 の支援も得ながらのところですね、私は未遂者の支援の部分が一番手つかずで残ってい る一番大変なところだと思っております。ここの部分、適切なケア計画のもとに家族を 支援しつつ、協力を得ながらとか、支援対象であると同時に資源としての家族というよ うな意味をもし盛り込むのであれば、そういうような形にすればいいのかなと思いまし た。  それからもう一つ、これは少し違うことですが、言葉があいまいであるがゆえにいろ んな意味にとれちゃう誤解があるという部分ですね。12ページの2行目、関係機関とい うのがあります。関係機関というと一般的には公公連携みたいな感じがするんですね。 ところがここで言っているのは公民連携であるとか、民民連携であるとか、そういうこ とも含んでいるように読めます。それが地域の実情に合わせて資源を組み合わせていく ということなんですが、ここは関係機関じゃなくて「関係機関・団体」くらいにすると、 団体という言葉には民間というニュアンスも含まれるかと思います。ここでは単に官と 官の連携だけではないはずなので。これからいろいろな自死遺族支援団体も立ち上がっ てくるんだと思いますが、そういったものがそれぞれの立場で独立性を尊重して緊密に 連携していくんだというニュアンスが含まれていると私は理解しております。そういう 意味で、「関係機関・団体」という言葉に意味を込めさせていただけたらと思います。 ○上田座長 ありがとうございます。これまでも官と民の議論がありました。地域の中 で考えた場合に、いろんな組織や団体があることで工夫した方がよろしいですね。 ○清水(新)構成員 とりわけこの分野は民間が先行して立ち上がってきましたよね。 その辺の経緯も踏まえるとそうだろうし、関係機関という言葉があちこち出てくるんで すが、その辺の言葉の使い方が時々ミスリーディングになるような感じがいたしました。 ○上田座長 10ページは基本的な考え方ですが、清水構成員の御指摘も含めて、チェッ クしてください。基本的な考え方はきちんと整理した方がよろしいと思いますので、御 指導いただければと思います。  ほかにございますでしょうか。  そうしましたら、まだいろいろ意見はあろうかと思いますが、次の課題に行きたいと 思っております。自殺者親族等のケアに関してをお願いいたします。 ○名越課長補佐 自殺者親族等のケアに関して、14ページ以降を説明させていただきま す。  自殺未遂者等のケアと同様、(1)自殺者親族等のケアの現状と課題、(2)自殺者親 族等のケアについての基本的考え方と今後の取り組みの方向性という2つの項目から成 り立っております。  まず14ページですが、現状と課題の(1)として、構成員から提供のあった、自殺者親族 等の実態について示しております。  次の(2)、自殺者親族等の背景の多様性についてでありますが、自殺者親族等のケアに ついては、自殺未遂者のケアとは違って、時間の流れではなく、個別の背景の多様性に 特徴があることから、個別の対応の必要性と多様な問題点についてということで問題点 を整理しております。  (3)自殺者親族等が必要とするケアの提供体制については、自殺未遂者のケアと同様に、 相談体制、情報提供、関係機関、自殺者親族等に対する個別ケアに関する連携、地域全 体の連携の5つの視点で問題を指摘しています。  15ページに行きまして、(4)から(6)については、人材育成について、一般市民向けの普 及啓発について、研究等についての3項目の社会的な取り組みという観点で整理される 問題点についてまとめております。  16ページです。ここからは(2)自殺者親族等のケアについての基本的考え方と今後 の取り組みの方向性についての記述となっております。自殺者親族等のケアは、自殺者 親族等が抱える個別の複雑な背景を十分理解した上で、保健医療、福祉、心理、経済、 法律、日常の関係などのさまざまな問題について、社会生活の多様な側面からケアし、 心理的影響を緩和していくことが基本であり、その体制については、福祉領域、法律領 域等の自殺者親族等への直接的な支援を行う個のレベル、支援グループ等による自殺者 親族等同士による相互支援を行うグループのレベル、人材育成や一般市民向けの普及啓 発など、自殺者親族等へのケアを推進するような包括的支援を行う社会のレベルの3つ に分けて整理することができるということが示されております。  具体的な対策の方向性としては、17ページ、自殺者親族等の背景の多様性に配慮した 支援体制についてということで、個別の対応をしていく上での留意点をガイドラインに 明記する点等の対策が示されています。  (2)自殺者親族等が必要とするケアの提供体制というところでは、相談体制、情報提供、 関係機関、自殺者親族等に対する個別ケアに関する連携、地域全体の連携の各項目で個 別の対策の方向性を示しております。  18ページの上のところでも、個別ケアのために必要となる現場レベルでのサービス調 整の場の確保に向けた検討というものが示されております。  人材育成、一般市民向けの普及啓発、研究等について、未遂者のケアと同様な整理を して、今後の対策の方向性を示しております。  簡単ではありますが、大まかな説明をさせていただきました。 ○上田座長 ありがとうございました。自殺者親族等へのケアについて、これも現状と 課題が前段にあって、後段がケアの基本的考え方と今後の取り組みの方向性という構成 になっております。皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。  例えば16ページで、基本的考え方、ここでは個とグループと社会のレベルという視点 でとらえていますが、こういう整理でいいですか。基本的考え方をもとに具体的な取り 組みとなりますので、そういう視点で皆様からも見ていただきたいと思っていますが、 いかがでしょうか。具体的なイメージ図もございますが、基本的考え方と取り組みの方 向性につながっているか、こういう考えでいいのか、あるいはもう少し切り口を変えた 方がいいのか、御意見をいただければと思います。関係機関については先ほどの御指摘 がありましたので、そのように事務局に整理してもらいます。 ○渡邉構成員 16ページの図のところで、一般市民向けの普及啓発、偏見の除去などと いうことで、偏見に対する取り組みというのはとても大事なんですが、さらに一歩突っ 込むと、偏見を取り除くことによってお互いにわかり合うとか、気持ちがつながるとか、 支え合うとか、そういうことが起きてくるわけですね。ですから、「など」だけで終わら せないで、偏見の除去、支え合いなどとか、つながりとか、何かそういう言葉を入れて いただくと、大事な点が見えてくるかなと思うんですけど。 ○上田座長 18ページですが、これまでも市町村なども含めて普及啓発をされています ね。一般市民向けの普及啓発を行うとなっていますが、偏見をなくすために、また、理 解を得るために、健康づくり、うつ病や自殺対策の中で親族の問題や、未遂者の問題な どを取り上げられていると思いますので、そのことを記述されると、地域の中で少しで も取り組まれると思いましたが、いかがでしょうか。 ○渡邉構成員 全くそのとおりなので、特に青森で私が力を入れてきたのは、お互いに 気持ちを伝え合うということをキーワードにしてやってきましたので、お互いに顔と顔 を合わせるとか、それまで地域で自分の気持ちを話してはならないとか、そういうよう なことも一つの因習的な考え方としてあったわけなので、そうじゃなくていいんだよと いうことですね。自分だけを責めてしまう、もしかしたらうつ病かもしれないとか、そ ういうこともわかって、医療モデルの立場から、うつ病という知識を持つことによって わかってくるとか、そういうようなプロセスがありましたので、最終的には自分の悩み をだれかに伝えるということがとても大事な自殺予防の一つのポイントであると私は思 っていますので、その辺を少し強調していただければなと思ったわけです。 ○上田座長 ほかにいかがでしょうか。 ○平山構成員 一般市民向けの普及啓発というのは重要だと思うんですが、15ページの 問題点で、不十分である、不十分であるとずっとある、その内容を見てみますと、保健 師さんなんかと話し合ってみると、援助者の方も自殺とかそういう問題について及び腰 というか、偏見と言っていいのかわかりませんけれども、そういうのが無意識の中にあ るように思うんですよ。もちろん市民は大切ですけれども、我々支える側の意識の改革 というのも必要なので、どこかでそういう問題を入れていただいた方がいいんじゃない かと思います。 ○名越課長補佐 今の御指摘については、15ページの(4)人材育成についてというところ で、全く合致しているかどうかは確信を持てませんが、公的機関や医療施設等で自殺者 親族等と接する職員の配慮が足りず遺族を傷つけることがあるとか、これに類するもの でまだまだ従事者の配慮に関する、もしくは自殺に関する認識が足りないという理解で よろしいんでしょうか。 ○平山構成員 今後援助者側の教育、育成、意識改革、そういうことも必要であるとい うことをどこかに、現実の指摘だけではなくて、もう一歩進んでそういうことがなされ ることが望ましいとか、何か指摘されるといいのではないかと。 ○上田座長 配慮が足りないというレベルよりも、もっと積極的な意味で、もう少し基 本的なところを出してもらって、意識を変えるだけでかなり違うのではないか、そのこ とが大事ではないかと思います。 ○清水(新)構成員 この図に関してですが、一つは細かい点ですが、自殺者親族等が 抱えているさまざまな問題の例のところで借金、過労死が出ていますが、複雑な悲嘆と いうんですかね、もっと心理的な部分についての例がもう一つ出るべきかなと思うんで すね。個人的なものと社会的なものがあるんだという総合的な視点からしても、バラン スは大事だと思うんですね。もしこういうふうに例を出すんだったら、心理的な問題、 複雑な悲嘆とかいうようなことを一言入れた方がいいのかなというのが一つです。  それから2つ目は、この図全体なんですが、随分苦労されてつくったんだと思います が、いま一つわかりにくい部分があるんですね。これは私は誤解してたんだけども、吹 き出しの部分と下の部分は別なのかなと思ったんですね。でも、どうもこの左は一体な んですね。それに対して個のレベルの支援とグループのレベルと社会のレベルが向かう んですね。そういう意味でいうと、自殺者親族等が左にあって、右に個のレベル、グル ープのレベル、社会のレベルと3つが来るのかなと思います。個のレベルの支援の、保 健医療的領域から法律領域における支援、これは事例はこうなんですが、その支援はだ れが出すのかということになると、かなり社会的レベル、ある意味行政的なレベルのよ うな要素も入ってると思うんですね。そういう意味で、ここには行政の問題が触れられ てないですね。推測すればそれは含まれるんだろうとは読めますけれども、社会のレベ ルの支援でも、結局は一般市民に対する普及啓発、これは行政がやるんだということな んでしょうけども、保健医療、福祉、心理、経済、法律、こういったものも行政的サー ビスが支援として出されてしかるべきなんでしょうし、もう少しこの辺が、ぱっと見て わかりにくいですね。もう一回これは書き直す必要もあるんじゃないかなという気もし ました。社会のレベルの支援、保健医療的領域から法律領域における支援、これは社会 のレベルの支援と言ってもいいですよね。社会的な取り組みの中で解決されていくべき 問題でしょうし、個人のレベルじゃないんじゃないかということもありまして、ちょっ とわかりにくいというのが率直な印象です。何かもう少し手が入れられないかという気 がいたしました。 ○川野構成員 先ほど清水構成員がお触れになった心理的問題、複雑化した悲嘆のこと ですけれども、その部分はある程度触れておかないと、ここは国際的に見るとエビデン スが出てるところでして、自殺遺族が複雑化した悲嘆を抱えた場合に自殺念慮が高くな るということについては一定の研究成果が出ておりますので、これに触れないのはちょ っと難しいかなと思います。そこの軸が一つ通ることによって心理的問題についての支 援ということも必要になってきますし、研究課題としても、グループの実態を把握する ことは確かに必要とも思いますけれども、一方、御遺族がどんなふうに苦しんでいらっ しゃるのかということについての我が国のデータというのもありませんので、もう少し このレベルでの研究課題もあると思います。心理的問題ということを一つきちんと軸に 入れるということで、その背景にあったのは、言えなかった、語れなかった、地域で話 せなかったというところからスタートするところの心の問題のところには一応きちんと 焦点を当てつつということが必要なのかなと感じました。 ○上田座長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。 ○清水(新)構成員 18ページの4行目、自殺者親族等のケアに取り組んでいる関係機 関が連携を強化するために調整を行う場の確保について検討を行うとありますが、自殺 者親族等のケアに取り組んでいる関係機関、多分これは民間の団体のことを指してるん じゃないかと思うんですね。その辺が何を言ってるのかはっきりしないという意味で、 もちろん行政が絡んでもいいと思いますけれども、第1回で斎藤構成員が指摘されまし たよね。民間団体同士の話し合いというか、ルールづくりというか、そんなニュアンス も含んでこの文章が出てきたのかなと想像しますが、関係機関よりも関係団体なのかな というふうに思いました。瑣末ですが、とても微妙で重要な問題も含んでいるかと思い ますので、一言指摘させていただきました。 ○上田座長 その下の人材育成ですが、これまでも清水構成員はこのような研修に熱心 に取り組んでおられますが、この表現でよろしいでしょうか。 ○清水(新)構成員 急に言われていい悪いってちょっと、余り軽率に言えません。も う一回見させていただきます。 ○河西参考人 先ほど来、出ています従事者のことですけれども、未遂者ケアと自殺者 親族等のケアは統一してある程度まとめられると思います。従事者は大変な仕事だとい う困難感を持っていて、その困難感の源は大きく分けて2つあると思います。先ほど言 ったように知識不足ですね。知識不足があることで偏見を持ったり、こういう支援がい つまでも続くのだろうといった、底なしのような不安を持ったりということがあります。 これは研修等で知識を入れていくことでもってサポートできると思います。もう一つの 困難感の源は、サポート不足、体制不足だと思います。この点については、恐らく、事 例検討会をやったり、スーパーヴァイズを受けたり、事例の振り返りをしたりというこ とができます。こういったところは自殺未遂者ケアでも自殺者親族ケアの双方において 共通して必要なことですので、人材育成と並んで従事者のサポートというところでもっ て項目をつくれば統一した記載ができるのではないかと感じました。 ○斎藤構成員 関連しますけれども、この種の取り組みというのは物すごいエネルギー を必要とするというか、というよりも、各地方に参りましてこういう実績がないという か、自死遺族や未遂者の支援ということについては精神保健関係者ですら全く検討がつ かないというところがあるんですね。実際動いてみたらどんなに大変な作業であるかと いうことを果たしてどこまでおわかりになるのか。ある程度動いてみて、早い機会にさ らに検討を加えるということが当然必要になってくると思うんですね。私どもボランテ ィア組織でやっておりますけれども、これは貨幣価値に換算できないというか、まして 行政や精神保健レベルで取り組まれたら、それこそ第一線にいる人たちが燃え尽きてし まうというか、その辺の配慮というか、見通しを少し立てなきゃいけないだろうと思い ます。今見通しといっても困難ですけれども、内閣府の方で予算が示されておりますと、 果たしてこんなものかとも思うんですけどね。意見というよりも率直な感想です。 ○上田座長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。  そうしましたら、最後の項目、ガイドラインの作成のための指針について、まず事務 局、お願いいたします。 ○名越課長補佐 19ページから始まります、自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する ガイドラインの作成の指針について御説明いたします。  これは平成18年度にスタートした自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する研究にお ける自殺未遂者へのケアに関するガイドラインの開発、遺族等へのケアに関するガイド ラインの開発の2つの分担研究をもとに資料を作成しているところであります。  自殺未遂者・自殺者親族等に対して適切なケアを行っていくためには、医療機関、公 的機関、民間団体等においてケアに取り組む、関係者に対して用途に適応した多くのバ リエーションがあると思いますけれども、ガイドラインを提供していく必要があります が、現状はその整備状況が十分でないため、今後さまざまな主体によってこれを補うた めのガイドラインを作成していく上で盛り込むべき内容や考え方を指針として整理して おります。  20ページからの自殺未遂者へのケアに関するガイドライン作成のための指針では、(1) 対象者と用途として、ガイドラインを作成するに当たって使用者と用途を明確にすべき という点が示されています。  (2)で自殺未遂者のケアにおけるメンタルヘルスの重要性について触れ、(3)でケアを行 うに当たり理解すべき事項として、自殺対策基本法や自殺総合対策大綱の趣旨にも触れ るといったことも合わせて6つの項目を挙げています。  21ページ、自殺未遂者への対応に係る事項として、穏やかな対応、受容、共感や傾聴 といった、支援やケアを行う人に必要な態度、自殺の切迫性と危険度の把握や、自殺に 至った問題の同定など、なすべきことの基本といったものを示しています。  そのほか、(5)、(6)で情報提供やガイドラインの普及方法、定期的な見直しの必要性等 について触れています。  22ページからは自殺者親族等へのケアに関するガイドライン作成のための指針とな っております。これについても、未遂者のケアに関するガイドライン作成のための指針 と同様の項目で整理しております。  自殺未遂者のケアでは、自殺を図った当事者の自殺念慮を中心とした心理的影響につ いての理解が必要であるのに対して、自殺者親族等へのケアでは、残された親族等のさ まざまな状況や心理的変化についての理解の必要性が示されております。  自殺者親族等のケアに関する説明については24ページまで続きますが、この2つのガ イドライン作成のための指針を踏まえ、今後各主体において専門家の意見も踏まえて、 必要とされるガイドラインを作成していっていただくということを期待しております。  かいつまんだ説明になりましたが、指針に関する説明は以上でございます。 ○上田座長 ありがとうございました。この検討会は当初、内閣府で大綱が作成される ので、それとの関連で、実際に未遂者あるいは親族に対するケアに携わっている専門家 の皆さんが、この検討会でいろいろ議論して、提言しましょうということだったと思い ます。それから、研究班で2つのガイドラインが作成されますが、普通はそれぞれの研 究班で独自に報告書が作成されます。しかし、未遂者・親族等のケアは非常に重要であ るので、いわば両輪のようにしてここで議論し、そこで、実際のガイドラインを取りま とめましょうということで進んできたと思います。このような考え方で議論がこれまで ありましたが、この前の勉強会での事務局からのお話ですと、未遂者・親族等のケアは 皆様が御苦労されて、困難な取り組みであり、また重要ですので、地域や団体に対する ガイドラインを作成する必要があると伺いました。それぞれの地域や団体の取り組みに おいてガイドラインを作成して、それで広く効果的に取り組んでいく必要があるが、取 組の経験や蓄積がないので、ガイドラインを作成するに当たっての指針を今回まとめる ことにしました。この指針を参考に、それぞれの地域や団体でガイドラインが作成され て、広く取り組まれるように、今回はこのような位置づけだと私はとらえていますが、 まず事務局、それでいいですね。これまでの経過に少し混乱しているところがありまし たので、確認の意味で申し上げました。このガイドライン作成のための指針については、 それぞれの地域、団体で未遂者・親族等のケアに取り組むに当たって、それぞれの地域、 団体でガイドラインを作成して効果的に取り組むのが重要であるが、なかなかそういう ような経験がまだ乏しいので、今回、ガイドラインを作成するための指針を示すことに よって、今後広く活用されるということですね。皆様よろしいでしょうか。こ最初の目 的と少し違ったことになりましたが、非常に大事なことですので、私はいいと思ってい ます。  よろしいでしょうか。いいですか。何か御意見ありますか。 ○平安構成員 自殺未遂者ケアに関するガイドラインに関してなんですが、河西先生、 伊藤先生を中心に専門家が集まって指針案を作成した経緯があります。実際この報告書 の中にはかなりコンパクトにまとめていただいたといえばそうなんですが、これ自身が ガイドラインのための指針になるわけで、ガイドラインのためのガイドラインみたいな ことになりますが、実際これを見ただけで現場のガイドラインをつくる方が、じゃあ作 りましょうといってできるのかという疑問があります。もちろん、余り複雑になり過ぎ ても困りますし、ポイントを示すということですので、この辺のことを明確にしていた だいて、実際にガイドラインを作成するに当たってはさらに詳細な検討なり、具体的な 記載が必要なんだということを入れていただくことも必要じゃないか。あるいは、伊藤 先生のところの班研究等でさらに詳細な指針が作成されると思われますので、それも参 考資料としてぜひ読んでいただくように明確に示していただくとか、そういった記述が 必要ではないかと思います。このまま出てしまうと、ガイドラインをつくる現場もこの ポイントだけを書いてしまって、実際の現場で全く運用できないということになっても 困るのではないかと思います。 ○渡邉構成員 大綱はできてしまったし、何のための集まりなのかということですけれ ども、研究班が実際にもうあって、その研究班がガイドラインをつくろうとしていると。 そのための指針というか、そのためのガイドラインという形。実際に研究班が私たちの 意見を取り入れてくださるということでよろしいんでしょうか。確認ですけど。それと 別に、地域の人たちに使ってもらうんですよというのはまた別なんじゃないかなと思う んですけど。地域でこれを見ながらガイドラインをつくってくださいというのはまた別 だと思うんですが。 ○上田座長 渡邉構成員がおっしゃったような目的でこの検討会は始まったと思いま す。しかし、その後、地域や民間団体がガイドラインをつくるに当たっての指針を示す ということに位置づけられました。そうしますと、このままで本当にいいのか、あるい は、もう少しポイントを絞る工夫は必要との平安構成員の御意見はよくわかります。地 域や民間団体が取り組むに当たってのポイントが示されれば、それぞれの関係者がこれ を参考にしてガイドラインを作成されます。具体的なガイドラインはそれぞれの研究班 から出されますから、それも大変役に立ちます。作成されたガイドラインの情報が広が ってだんだん内容の質が高まっていきます。  いかがでしょうか。 ○斎藤構成員 ガイドラインをつくるわけですが、それとさらに、ガイドラインに沿っ た各論といいましょうか、例えば川野委員がおっしゃったグリーフワーク一つとっても、 自死遺族支援のワークショップをどうするか、だれがするかということについても、こ れは各論というか、かなり専門性と経験が必要とされる役割ですから、その辺のマニュ アルも近い将来ぜひおつくりいただきたいと思うんですね。そういう資料を、例えば国 立精研あたりできちっとそろえていただいて、各地方の要望に添ってそういうものを提 供していただくと。たまたま私はアメリカの自殺予防学会のニューズレターを持ってき たんですけど、自殺予防資料センターというものがあって、そこにこの種のあらゆる資 料があって提供してくれる。そういう役割を国で整えていただく必要があるように私は 思うんですが。 ○上田座長 今の関連で申し上げますと、ガイドラインで、こういう項目は慎重にすべ きとか、あるいは、国際的な情報も含めてガイドラインを作成するに当たっての参考と なる情報を載せるのは大事かと思います。また、研究班で出されるガイドラインも参考 になると思います。  よろしいでしょうか。きょういろいろ御指摘がありましたが、先ほどのから御指摘の ところは事務局で整理していただいて、やはりもう一回開いて、議論していただくこと にします。  特になければここで終わりにさせていただいて、全体的に何か御意見がありましたら お願いしたいと思います。 ○渡邉構成員 この報告書は恐らくホームページにも載るものですよね。各構成員がこ れまで議論の中で提出した文書とかスライドを資料編としてPDFなんかで、地域の方 がダウンロードできるようにしたらどうかなと思ってるんですけど、いかがでしょうか。 ○上田座長 報告書とあわせて、これまで各構成員あるいは参考人の方からの資料もあ わせてまとめたらどうかという御提案かと思いますが。 ○名越課長補佐 現状で、厚生労働省のホームページでは対応できてないんですが、自 殺予防総合対策センターのホームページ「いきる」においては、これまでの会議でいた だいた資料は紙媒体のものは載っております。ただ、本については枚数が多いのでPD F化できていないという状況でありますが、スライド等で提出していただいた資料につ いては提示しているところであります。いろいろな資料をいろいろな人に見ていただく ということは大事だと思っておりますので、なるべく今の御意見に添えるような対応を とってまいりたいと思います。 ○上田座長 「いきる」には載せていますね。 ○名越課長補佐 はい。あと、資料の作成に当たりましては、作成された方の著作権の 問題もかかわってきますので、載せる際には改めて確認が必要だと思っております。 ○上田座長 また検討していただくということでいいですか。ほかにございませんです か。全体的に。 ○河西参考人 私は自殺未遂者と自殺念慮を持つ方のケアのためのガイドライン指針 を伊藤構成員の研究班でもって分担研究者として作成しており、今回の報告書案作成に おいて参考にしていただいていると思うのですが、私どもの作成した文書にあって、報 告書案に載っていないものとしては、支援やケアを実施する上での困難性についての記 載というものがあります。それから、それ単独でガイドライン指針として参照され、使 用される可能性を考慮して、項目の列記というよりも、もうちょっと文学的な文書とな っております。ちなみに、それを持参して、先週、スウェーデンの国立自殺予防研究セ ンター・精神保健研究センターで、それでワッセルマン所長からヒアリングを行いまし た。そこでは、幸い、非常に高い評価を受けることができました。ワッセルマン所長が おっしゃるのには、私どもの文書では、ケアを行う困難感や、従事者の思いと当事者の 思いの相違の問題など、理学的なことがよく書いてあり、とてもよくできたガイドライ ン指針ではないかということでした。専門的にみて、総じて心理的なものが非常に大事 だと、あらためて強調されました。 ○上田座長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○五十子構成員 先ほど平山先生がおっしゃった意識改革なのですが、それは人材育成 とは別のところで述べていただけたらと思います。長期的な視座が必要になってくると 思います。  それから、最後のところに見直しについて書かれていますが、社会情勢の変化に伴い 必要に応じた見直しというのは本当に必要なことだと思います。まずは、例えば2年後 とか3年後にそれがどのように機能していたかということも含めて見直す必要があるの ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○上田座長 そういう評価も記述してほしいということですね。事務局、お願いします。  そのほかよろしいでしょうか。  ありがとうございました。そうしましたら、あと2つほど議題がございまして、次に、 内閣府自殺対策推進室から平成20年度の地域における自殺者遺族支援団体自立化支援 事業について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○内閣府自殺対策推進室 内閣府自殺対策推進室のモリでございます。お手元にお配り しております参考資料をもとに御説明したいと考えております。  内閣府における自殺対策予算案の概要でございますが、自殺総合対策の推進として20 年度予算案で9500万円を確保したところでございます。この中に3つ目の緑色の●がご ざいますけれども、地域における自殺者遺族支援団体自立化支援事業ということで1600 万円の事業費を確保したところでございます。  概略を申しますと、自殺対策を推進するために民間団体と連携を図るとともに、民間 団体による遺族支援等の取り組みを支援するということでございます。  1枚めくっていただきますと、この事業の概念図でございますが、自殺者親族等の自 助グループに対する支援を考えているところでございます。現在ライフリンクの清水さ んのところで自死遺族支援のシンポジウムが全国展開されているということでございま す。この流れを受けまして、さまざまなところで新たに自助グループというのが立ち上 がってくるのではないかと想定しております。この自助グループについて、ベテランの ファシリテーターを派遣し、設立間もない自殺者親族等の自助グループの定着を図って いくことを目的に事業を展開したいと考えているところでございます。事業の実施に当 たっては自死遺族ケア団体全国ネットですとか、全国自死遺族総合支援センターなどの 民間団体のノウハウを持っておられるところの御協力を仰ぎながら事業を進めていきた いと考えているところでございます。  簡単ではございますが、事業の概要でございます。 ○上田座長 ありがとうございます。ただいまの御説明に対して何か御質問ございます でしょうか。 ○斎藤構成員 支援体制で、従来からの自死遺族ケア団体全国ネット、下は全国自死遺 族総合支援センター、何か重複するような、私どもの組織でもこの事業を始めているわ けですが、余り二重三重に全国組織ができるのもどんなものだろうかと思うんですけれ ども、いろんな組織が事業を始めようとしていることだけはお認めいただいて、どこか 一つをオーソライズするのはどうだろうかと思いますが、いかがなものでしょうか。 ○内閣府自殺対策推進室 自死遺族支援のための団体が全国に幾つあるということは 十分承知しておりまして、それらの団体の方々、こちらの方で把握できる限りにおいて 御協力を仰ぎたいなと考えているところでございます。 ○清水(新)構成員 基本情報を提供していただきたいんですが、全国自死遺族総合支 援センターというのは私初めて聞いたんですが、この団体はどういう団体なんでしょう か。実績等も含めて。 ○上田座長 実は清水康之構成員が体調が悪くて急遽御欠席となりました。清水構成員 に全国自死遺族総合支援センターについて御説明をしていただく予定にしていましたが、 御欠席ですので、西原構成員、この点について補足的に何かございましたらお願いした いと思います。 ○西原構成員 ライフリンクが全国に自死遺族のための支援キャラバンをやりました ですね。3月で最終のプログラムが終わるわけですけれども、その中で自死遺族の方た ちがたくさんいらっしゃるので、支援活動をしていかなきゃいけないということで、そ ういうグループが立ち上がり始めていたり、立ち上がっているところがあったり、それ をネットでつなぎ合わせていきながら、どういうふうに支援していくことが大切なのか、 あるいは支援者そのものがバーンアウトしないようにどうするかとか、いろんなことを 考えていきましょうという組織をつくって、キャラバンだけでばーんとやってしまうん じゃなくて、その後地道につなげていきながら、それを国全体でできていったらいいな ということと、いろんなバリエーションがあってもいいんじゃないかと書いてあったの を見てますけれども、いろんな団体があって、いろんな面からの活動をしていらっしゃ ると思いますけれども、まだ立ち上がったばかりでまだ何もしていませんけれども、そ ういう遺族の支援グループというのはあちこちから集まりまして、ぜひぜひしていこう じゃないかという会合があったということが一つ。急に言われたので余りあれなんです けどね。  それから個人的に、ずっと話を聞いておりまして、家族へのケアが必要だと、家族の ケアをしながら、家族が社会資源のかぎになるんじゃないかということも言われていま したね。私たち自殺予防センターに自殺未遂をなさった方からの電話があったりします と、直接話を聞くことと、お会いして話を聞くことをまずはしますね。自殺した直後、 未遂してあたふたしていらっしゃるような人、病院に担ぎ込まれたり、胃洗浄をしたり という人についても、後から電話がかかってきたりするんですけどね、だから、医療機 関と私たちと本人を中心にしてどうつなげていけるかなということが一つあるなと思っ たのと、本人を取り巻く家族が大変だということで、本人の了解を得て家族へのアプロ ーチをするということで、家族ともお目にかかったり、電話で連絡をとり合ったりとい うことをしているわけですけどね、それからもう一つ、自殺行為も未遂者に入れるとい う、ためらい傷がたくさんあるような人もいるんですけども、自分の存在を認めてほし いということであったり、こういう自分な嫌いだということで自傷行為になっていった りするわけです。だから、自分自身を受け入れていけるようなケアが必要だなと実は思 っております。そういう意味で、私たちは私たちでできることをしているんですけれど も、こういうガイドラインができたときに、どこにどういうふうにつなげていけるのか なとか、現場からの発信でジョイントできていくのかなということを考えておりました。 ○平山構成員 私自身としては、名前はちょっと混乱して検討の余地があるかもしれま せんけれども、ライフリンクさんはエネルギッシュに啓蒙活動をしておられて、私は尊 敬をして、私はとてもじゃないけどああいうことはもうできないので、そのエネルギー とマンパワーというのは尊敬していて、いいところを今後伸ばしていっていただきたい と思います。ただ、長期的に持続的なケアをするのであれば、それなりの専門的なとこ ろをきちんとわきまえた人がフォローに回っていただいて、あるいは協力をして、より 充実したものにしていくということが必要なのではないか。いいところは伸ばして、足 りないところはみんなで補って、みんなが協力をしてこれを進めていくということが大 切なんじゃないかと思います。 ○上田座長 ありがとうございます。ほかに皆さんから何か。 ○清水(新)構成員 この図に関してですが、調査会社とか、どういうことをやるのか。 どういう会社なんでしょうかね。それがよくわからないのと、支援対象自助グループの 推薦とか、この施策フレームワークは、これまでこういったことに携わってきた私たち の立場からするとすごくわかりにくい。具体的なイメージを持てないものですね。どん なふうにやるんだろうかという気もするし、どのくらいのサービスが本当にできるのか という問題もありますけれども、例えばここではファシリテーターの派遣とか、実習受 け入れというふうになってるけど、厚生科研研究でやってきた自死遺族支援団体が直面 してる課題ってそれなりに積み上げてきてるわけですね、リサーチエビデンスとして。 そういったものの中にスタッフの研修というものがすごく大きな課題としてあるという こととか、これまでのそうしたリサーチエビデンスとか、ここで話されたことが、どの くらいこれに反映してるのかが見えにくいなという感じがするんですね。これは内閣府 でつくられたんですか。 ○内閣府自殺対策推進室 こちらの事業については、内閣府が交通事故の遺族の自助グ ループの支援事業というのをやっておりまして、それと同じようなフレームワークを使 っているところでございます。調査会社等入っておりますのは、内閣府が直接事業を行 うのではなくて、総研会社みたいなところに事業の委託をしまして、その中に関係者の 会議ですとか、どこにだれを派遣するかの調整機能を持っていただくというような、事 業の委託をするという形になりますので、ちょっとわかりにくい、直接やらないもので すからわかりにくい形になっております。また、今後都道府県等に対して遺族支援の状 況ですとか、事業の対象となる需要の調査等もやっていかないと事業実施には至らない ものですから、今後も調査などもやっていくという意味を含めて、こちらの対象グルー プの推薦等を入れさせていただいているところでございます。 ○清水(新)構成員 総額の問題がございますけれども、9500万円ですか、その枠の中 で調査会社が入りとか、いろんなフレームワークがあるんでしょうけど、ちょっと、へ えという感じがいたしました。これは内閣府スタイルでやっているんだということは今 の説明で了解しましたけれども、少しわかりにくい。これまでのこちらの議論がフィー ドバックされてなかったということもあるのかもしれませんが、唐突という感じもいた します。もう少しやりようがあるのかなという印象を持ちました。 ○上田座長 事業の御説明がありましたが、実際に取り組まれている方々がいらっしゃ いますので、そういう御経験を生かしていただきたいと思います。今後取り組まれるに 当たって、窓口である厚生労働省と相談していただきたいと思います ○内閣府自殺対策推進室 御意見ですとか、西原先生の御意見なども含めながら今後事 業を進めていきたいと思います。 ○上田座長 清水構成員の御懸念がないように、実際に携わられた方などの御意見も伺 って、この事業がうまく発展するようにとの御意見だと思いますので、よろしくお願い いたします。 ○清水(新)構成員 民間団体を育成していくときに、これまでほかの領域での自助グ ループの運動とか活動を見てみますと、結構インファイトが多いんですよね。それゆえ にあるところで公的なセクターが第三者的に入るということが重要だなと思っておりま すが、民間の支援が立ち上がってきたときに、その連携の行き先を阻害しないようなフ レームワークをつくって進めていただきたいと思います。 ○平山構成員 調査会社ということが入ってますけれども、お金が動く場合、第三者機 関による審査と評価が、どういうふうにお金が使われているかということはきちんとや っていただきたいと思います。 ○内閣府自殺対策推進室 今後また御相談させていただこうと考えているところでご ざいますので。 ○上田座長 各構成員からの意見がいろいろございましたので、御配慮いただければあ りがたいです、また、せっかくの事業が関係者から期待されるような形で進めていただ きたいと思います。  それでは、きょう予定しておりました議題は以上でございます。大変貴重な御意見を いろいろいただきましたので、事務局で整理をお願いします。各構成員から、御自身が 書きましょうとありがたいお話もいただきました。日程は調整しますが、今のところ2 月を予定しています。  これをもちまして第6回検討会を閉会したいと思います。どうもありがとうございま した。 照会先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 障害保健係 03-5253-1111(内線3065)