07/12/28 企業年金研究会第12回議事録 第12回 企業年金研究会 日時 平成19年12月28日(金)    14:00〜 場所 全国都市会館3階第2会議室 ○森戸座長 ただいまより「第12回企業年金研究会」を始めさせていただきます。本日 は、年末の忙しい時期にお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は所用 により、岩本委員がご欠席となっています。岩本委員の代理として、日本経団連経済第 3本部遠藤副本部長がご出席の予定ですが、もうすぐいらっしゃると思いますので、進 めさせていただきます。  議事次第に沿って会議を進めます。事務局より資料の確認をお願いします。 ○蓑原課長補佐 資料の確認をさせていただきます。資料1は「平成20年度確定拠出年 金関係税制改正要望結果の概要」です。資料2-1は企業年金連合会の資料の「未請求対 策の実施状況報告書の概要」、2-2は「事業の実施状況に関する報告について」です。資 料3は「厚生年金基金の調査結果」です。落丁等はございませんか。以上です。 ○森戸座長 ありがとうございます。前回の研究会で、「平成20年度確定拠出年金関係 税制改正要望」についてご報告いたしましたけれども、要望の結果について、事務局よ りご説明をお願いします。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 資料1です。1頁で、企業年金関係4項目の要望を しています。確定拠出年金関係は、1のマッチング拠出、個人型確定拠出年金の加入対 象者の引上げ、ちょっと誤植があります。3点目は掛金の限度額の引上げ、4番目は特別 法人税の撤廃です。  確定拠出年金関係は、いずれも二重△、長期検討で平成21年度以降に引き続き検討す る事項です。特別法人税は、廃止を要望しましたが、廃止は長期検討課題で、3年間凍 結という結果でした。  3頁は税制改正大綱ですが、いずれについても大綱上に位置づけが今回なされまして、 凍結は3年間延長です。税制改正大綱の中でも、主要事項は、検討事項として項目が従 来挙がっておりますが、今回、主要な検討事項の一つとして確定拠出年金も、大綱上、 検討事項としての位置づけがなされています。  大綱の書きぶりですが、これまでの大綱の中で、平成11年には確定拠出年金制度の創 設時に、やはり大綱上の位置づけがなされていますし、平成17年度において年金課税全 般についての大綱上の検討事項としての位置づけがなされていますが、それらの事項な ども勘案して、今回の主税当局との議論等も踏まえて、こういった書きぶりになってい ます。  若干解説をしますと、「少子・長寿化が進展する中、年金制度の一環である確定拠出年 金について」ということで、通常の個人年金商品と違って確定拠出年金は、まず年金制 度の一環だということを明確に書いたうえで、「その制度改革の議論や公的年金制度改革 の動向等を見極めつつ」と書いてありますが、その制度改革の議論と申すのは、今回要 望している、いわゆるマッチング拠出、あるいは個人型の対象者の拡大については、確 定拠出年金制度の改革がまず前提になりますので、その議論や「公的年金制度改革の動 向等を見極めつつ」とありますが、今回の議論の中で長期検討課題とするに当たって、 ここが主税当局の主張だったわけですが、公的年金制度について、平成21年度に向けた 財源のあり方、あるいは制度のあり方について、平成21年度に財政検証等が行われる。 あるいは基礎年金については、平成21年度に引上げが行われるといった動向等を見極め る必要があるのではないか、というのが主税当局のいちばん大きなポイントでした。  次からが確定拠出年金、いわゆるマッチング拠出が中心ですが、その導入に当たって の検討のポイントが記されています。「老後を保障する公的年金と自助努力による私的資 産形成の状況」で、公的年金の所得代替率を含めて、水準を含めての状況、あるいは貯 蓄率を中心とした私的資産形成の状況を見極める、その中での企業年金、あるいは企業 年金の中での個人拠出の位置づけです。  「企業年金における拠出の実態」で、今回、実態調査で4万6,000円の限度額に対し、 1万1,000円程度で、かなり拠出の低い数字になるという実態を踏まえること。「各種企 業年金制度間のバランス」で、代行部分をもつ厚生年金基金は、社会保険料控除、一方 で確定給付企業年金、純粋な企業年金である確定給付型については、本人拠出は、生命 保険料控除の枠内ですが、そういった中での企業型確定拠出年金における本人拠出の位 置づけ、バランスということです。  私どもとしては、拠出限度額が退職時の6割の位置づけ、それが今回、一元化法の中 でも、そういった望ましい水準を勘案することが法律上も位置づけられていることや、 確定給付企業年金は事業主責任がベースですが、確定拠出年金はそもそも自己責任がベ ースである、その中での本人拠出は、いわば確定給付型とは違うのではないかといった 主張を我々はしていましたが、そういうことも含めて、企業年金制度間のバランス。そ れから、貯蓄商品、代表が一般の個人年金ですが、一般の個人年金に対する課税の関連 等に留意して、その課税のあり方について必要な検討を行うということです。  大綱上、こう位置づけられること自体がかなり主要課題ということで、例外的で、残 念ながら今年実現しませんでしたが、検討の俎上の第一歩になっているのではないかと 認識をしていまして、平成21年度以降、引き続き検討を継続したいということです。以 上です。 ○森戸座長 ありがとうございます。いまご説明があった項目について、皆様からご質 問、ご意見等をいただきたいと思いますが、最初に私、一言言わせていただきますと、 この二重△は、おみくじで言うと末吉ぐらいで、その辺のニュアンスと言いますか、ほ かにどういう○とか二重×とかがあるのかということと、3頁のいまご紹介いただいた 「検討事項」のところは、これを読むだけでなくて、いま課長がおっしゃったのを何か 注釈で横にくっ付けてやるのは、厚労省のホームページでやるわけにはいかないでしょ うから、誰か後ろの金融機関の方などにやっていただけたら、いまのコメントを横に付 して読むといいのかなという感じで伺っていましたが、その△のところは、どういう感 じで捉えたらいいのでしょうか。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 最終結果は、○(受け入れる)のほかに、二重△(長 期検討)、×(お断りする)、△法(法案の内容を見て検討)の4つがあります。  おっしゃるとおり、末吉みたいな感じなのですが、今年はお断りするけれども、来年 度以降検討するのが長期検討です。ただ、実は長期検討の中でも、いろいろなニュアン スがあって、濃淡が多分あるのだと思います。その中では、大綱上の位置づけは、当然、 実現するかどうかは今後の議論ですが、少なくとも重要な検討課題としての位置づけが なされていると理解しています。  大綱の書きぶり等は、先ほど口頭で申し上げましたが、書き物で、ここの表現自体が 与党でお決めいただいたところなので、厚労省としてこの解説をというのはなかなかで きません。  補足ですが、先ほどの「各種企業年金制度間のバランス」や「貯蓄商品に対する課税 との関連」ですが、いわば典型的には、所得控除のあり方として、公的年金は社会保険 料控除、それを代行している厚生年金基金等も社会保険料控除です。一方で、通常の生 命保険商品等はいわゆる生命保険料控除が、一般の生命保険商品について5万円、個人 年金商品について5万円と、計10万円の生命保険料控除がありますが、税務当局との議 論では、社会保険料控除なのか生命保険料控除なのかという、いわば二者択一論みたい な話で、そういった公的な性格が強い、あるいは強制的なものについて社会保険料控除 をするのが、いわば生命保険料控除の例外で、それ以外のものは生命保険料控除が原則 だというのが税務当局の主張です。  所得控除のあり方の議論は、正直申しまして、少なくとも与党の税調の中で、十分な 議論、検討までは、今年の段階では至っていないのが現状です。  加えて、我々の主張ということで、付言いたしますと、現在の個人型確定拠出年金は、 それとは違う小規模共済等掛け金等控除という、いわば、例外的な所得控除があって、 そういった所得控除の適用をしていて、企業型確定拠出年金における個人拠出は、いわ ば個人型を企業型の中でも、老後の所得確保のために認めるものなので、そういった所 得控除を適用すべきではないか、というのが私どもの主張でした。 ○森戸座長 ありがとうございます。いまのようなご説明を頭において、この△のとこ ろも、与党の大綱も読んでいただくのがいいのかな、ということだと思います。  最初にちょっとしゃべらせていただきましたが、皆様、ご質問、ご意見等はいかがで しょうか。 ○野村委員 いまの資料の1頁目の続きの質問になりますが、1、2、3と、いうなれば セットで、理屈のとおった組合わせで出てる感がある一方で、この1、2、3の中でも、 表面上は全部二重△なのですが、1番よりは2番、2番よりは3番といった濃淡があるの かどうかという点をお伺いしたいと思います。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 まず、今回、先ほど申し上げましたが、全体長期検 討になっているのは、公的年金との関係がいちばん大きなところですので、そういう意 味では、最終的な形としての濃淡はないわけです。  ただ、正直申しまして、事務的なヒアリングなり、事務的な折衝の段階での濃淡は多 少あります。やはり、例えば拠出限度額の引上げとかは、形式としても政令事項ですし、 いわば積算の仕方ということで、既存の考え方は大きく変更するものではないという前 提の中での折衝だったということです。  一方で、例えば個人型の対象者の拡大は、現在の個人型があくまで企業年金が、企業 の支援が全くない方が対象だという所が創設時の考え方で、主税当局の考え方でもある ところです。個人型を、企業年金がある所にも拡大するのは、税務当局的にはかなり踏 み込んだ内容という印象であったということです。  「マッチング拠出」は、その中で、正直申し上げて、先ほどの社会保険料控除か生命 保険料控除かというところで、基本論が噛み合っていませんので、そういう意味では、 簡単だということはありませんが、個人型の拡大との間では、少し濃淡があったのでは ないかと思っています。 ○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。 ○藤井委員 特別法人税のところでお伺いしたいと思いますが、我々の研究会の文章で は、抜本的な改定を行うまでは凍結を延長すべきだということで書いたと思いますが、 その点との関係はどうかということと、加えて、3年の意味ですが、これまで毎回2年2 年とやってきて、いま来年3月31日で終わるところまでが、これが最後3年だったわけ ですが、ここでも、抜本改定ということとの関連が述べられていたかと思いますが、こ の3年の意味、あるいはその裏側にある意味とか、背景について説明をいただければと 思います。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 まず、3年自体の意味は、いわば税務当局の判断で3 年にしていまして、私ども、制度的な考え方として何か3年があるかというところは明 らかではないと言いましょうか、我々としては承知していません。  抜本改革との関係は、廃止論がいわば抜本改革で、それは長期検討と位置づけられて おり、凍結延長は少なくとも抜本改革までの間ということで凍結延長されていることで はないと思います。そこは最終的な税調の判断になっていますので、つぶさに知り得る ところではありませんが、ただ、ヒアリング等、事務的な折衝の過程では現在の企業年 金の財政状況とか、金利の動向等についてもデータの提出を求められています。平成11 年に最初に凍結された時の理由は「企業年金の財政状況等」も主要事項になっています ので、そういうことも加味しながら凍結延長がなされているのではないかと推測はして います。 ○森戸座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○小島委員 今回、最終的に税制大綱で認められなかったということですが、先ほども 課長からその解説を伺いましたが、やはり今回の個人拠出の性格をどう位置づけるかが 最大の課題になっているのです。まさに、そこが社会保険料控除等と扱うか、あるいは 生命保険料控除扱いかというところは、やはり、ここの個人拠出の性格づけ、まさに企 業年金における個人拠出の位置づけ、性格づけをどう位置づけるかにそもそもかかわる と思いますので、ここは、そういう意味では、検証結果の報告の中では必ずしも企業年 金の性格づけについて収歛はしなかったのですが、そこは、やはり、きちっと主張して いかないと、なかなか税務当局を突破するのは難しいのだろうと思いますので、今後、 少し来年に向けてもう一度再挑戦するためにきちっと方向づけと言いますか、主張して いかないと、なかなか難しいのではないかと思っています。 ○森戸座長 ありがとうございます。 ○小野委員 一つだけですが、性格が悪いと受け取られてしまうと恐縮なのですが、前 回11月の資料の、たしか1だったと思いますが、項目見出しが今回のはちょっと違って いるのではないかと思います。1、2、3が前回あって、本文は今回の1、2、3と同じも のになっていて、項目だけ少し本文とちょっと合っていないような感じがするのですが、 それを合わせられたほうがいいのではないかなということです。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 すみません。項目は誤植で、訂正します。 ○森戸座長 先ほどのは、「引上げ」でなくて、「拡大」という。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 2番が「個人型確定拠出年金の加入対象者の拡大」 です。3番目が、「個人型確定拠出年金の拠出限度額の引上げ」です。失礼いたしました。 ○森戸座長 それでは、3の後ろもだいぶ文章が違うのですか。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 いや、文章自体は2番目の中身は加入対象者を確定 給付企業年金に加入するサラリーマンについて、個人型の加入を認めると。3番目が、 現行の個人型確定拠出年金の限度額が1万8,000円を2万3,000円に引き上げるという ことで。 ○森戸座長 それでは、3のタイトルが。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 はい、タイトルが間違っています。2番と3番の文 章は合っているのですが、タイトルが違っていますので、恐縮ですが訂正します。 ○森戸座長 小野委員のご指摘もそういうことですか。 ○小野委員 1、2、3それぞれ違っていると言いますか。 ○森戸座長 これは、資料として厚労省のホームページとかに挙げる時に。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 ホームページにアップする時に訂正します。 ○森戸座長 それは間違いがあるということですので、直していただくことにします。 ほかにいかがでしょうか、よろしいですか。先に進めさせていただきます。  次に、昨日、未請求問題について企業年金連合会から厚生労働大臣へ報告をなさった ということですので、企業年金連合会芝田部長にご説明をお願いいたします。よろしく お願いします。 ○企業年金連合会芝田部長 ご説明いたします。お手元の資料2-1です。これが昨日ご 報告しました大臣報告の概要です。大臣報告自体は資料2-2ですので、あとでご覧いた だければと思います。資料2-1に基づいてご説明します。  まず、平成19年3月末時点で、企業年金連合会の未請求者は124万1,801人いたわけ ですが、(2)にありますように、11月末までにおいて、計ですが、12万9,929人未請求 者でなくなったということです。  内訳は、12万8,599人が裁定されて、ほかは死亡の連絡があった、あるいは基金に再 加入したり、いろいろなことで、連合会の年金の支給対象外であることが判明された方、 あるいは60歳未満でまだ支給開始年齢に達していないことが判明された方です。  (注1)にありますように、平成19年3月末時点の未請求者に対する年金額及びその 累積額は、3月末時点で480億円、累積額は1,544億円でしたが、それぞれ90億円、180 億円と減ったという推計です。  2頁目をご覧くたさい。今回、13万人で1割にとどまったわけです。これは、我々の 問掛けがまだ届かなかった分もあるかと思いますが、それ以外に未請求者について、裁 定請求書を送ったけれども、これまで請求を行っていない方に再度請求書を送っている わけですが、その際に「なぜ、いままで請求をされていないのでしょうか」というアン ケートをした結果です。  これについて、円グラフのパーセントをご覧ください。「現在働いており、まだ年金を あとでもらいたい」という方が32%、「本人が死亡、行方不明」が19%、このうち18% 程度が「死亡」で、「行方不明」は、例えば以前タクシーの運転士さんで、その寮に住ん でいらして、そこを辞められて居所が分からないとか、離婚されて別居されてどこかへ 行かれているというようなことが1%です。そのほか、「年金受給を辞退したい」が17% です。これは、その下の(注)にありますが、この未請求者の年金のうち大半を占めて いる中途脱退者の平均年金額が、年額で約1万9,000円です。中には、最少の方は、非 常に昔に1月だけ勤められたような方は、100円の方もいらっしゃるわけですが、その ような少額のため、手続きをするのも面倒くさいので辞退したいという方が17%いらっ しゃいました。また、「請求手続きが煩雑なため」というのが13%、「その他の理由」が 19%ですが、その他としては加入期間が短く、少額のため。遺族年金、障害年金を受給 しているため。これは誤解があって、遺族年金、障害年金の公的年金を受給していても、 併給調整はないわけですが、このような誤解は今後解いていきたいと考えています。  3頁をご覧ください。これまで9月5日に124万人いることが判明して、それから3 カ月半にわたって緊急対策を講じてきたわけです。その内容は広報の徹底、これは新聞 広告、ポスター、チラシを60万部、ラジオ・テレビCM等あらゆる手段を講じてきまし た。  また、相談体制は、専用のフリーダイヤルをピーク時には200人体制で設けたり、既 存の連合会のコールセンターも充実した対応をしています。  その結果、このような相談に応じていただいて、その結果、裁定請求書をお送りした 方が2万4,646人いらっしゃいます。また、60歳未満で住所が変更されていたというこ とで、それを訂正した者が1万107人です。そのほか、以前に裁定請求書を送ったが、 未だ請求がない方に再送付を、9.3万人に対して12月までに行っています。これは平成 20年3月までに、全体で20万人に対して送ることになっています。  中途脱退者、辞められた時に「あなたは連合会のほうに年金が承継されましたよ」と いう通知をしているわけですが、いままで葉書であったものを封書にして、パンフレッ トを同封して、「必ず60歳で請求してください」あるいは、「それまでに住所を変更した 場合には届け出ていただきたい」というパンフレットを同封しています。また、かつて の居住地市町村、いまはいらっしゃらない所の住民票を辿っていくことがうまくいくか どうかというサンプル調査を、いくつかの所でやるということです。ほかの対策は、業 務改革委員会を設置して提言をいただきました。  4頁をご覧ください。いままで申し上げましたように、緊急対策を講じても、1割にと どまっているということで、今後さらに息を長く恒久的な対策を講じていきたいと考え ています。  その内容は、先ほど申し上げました承継通知書も様式を変更して、氏名、住所変更の 必要性を明記するとともに、住所等の変更届けを同封するような形にすること、あるい は連合会ホームページを改善して、インターネットを通して受給資格があるかどうか、 あるいは住所等の変更届けをインターネットでできるようにするということです。  中途脱退者は、いまは59歳11カ月の時点で裁定請求書をお送りしているわけですが、 それを例えば55歳到達時に年金定期便のような形で、年金記録をお送りしようというこ とです。  そのほか、国の記録との突き合わせを、条件を緩和して、より突き合わせがうまくい くようにすることもありますが、やはり何と言っても中心になるのは、辞められてから 60歳になるまでに住所変更されて、分からないという部分が非常にネックになっていま して、それについて平成20年度に社会保険庁から住所情報を提供していただくご内諾を 得ていますので、それについてご要望するとともに、それについて必要なシステム開発 を行うということです。  また、平成23年度には、社会保険庁のシステム自体が住民基本台帳ネットワークと連 携するので、その時にも提供をいただけるよう、今後とも国に対して要望をしていきた いということです。以上です。 ○森戸座長 ありがとうございました。いまご説明のあった項目について、皆様からご 質問、ご意見等をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○藤井委員 質問ということではないのですけれども、どなたかおっしゃっていたかと 思いますが、いまご説明があったように最少年金額が年額100円ということもあるわけ で、これを見付け出して給付することにどれほどの意味があるのか、あるいは給付にか かる手間、コストを考えると、例えば一時金による解消、解決ということも検討する必 要があるのではないかと思います。 ○企業年金連合会芝田部長 これにつきましては、加算部分については本人の選択一時 金ができるわけですが、代行部分はできるだけ年金化すべしと、公的年金においてもそ ういう方針で、過去要望したこともあります。そこは今回の業務改革委員会でも議論に なり、おっしゃられた形で一時金が望ましいのではないかというご意見と、代行部分は 難しいのではないかというご意見がありました。引続きこれについては連合会内部と検 討し、また、必要があれば厚生労働省と協議していきたいと考えています。 ○駒村委員 アンケートの結果を見させていただいていますが、回収率が非常に低く、6 万5,000のうち4,500と1割もいかないわけですね。これ選択をしてもらったのかどう か、どういうアンケートでやったのか気になるところですけれども、解答した人は割と ちゃんと向き合っているので、これで本当に4500人分の分析だけで、未請求の理由がこ れでいいのかどうかとやや疑問に感じました。逆に、聞き方によると思うのですけれど も、アンケートに解答してくれなかったのはどういうタイプの方なのかも見て、少しど ういう問題が残っているかも検証したほうがいいと思いました。 ○企業年金連合会芝田部長 これについては先ほど言いましたように、裁定請求書を再 送付する際に葉書を送り、こちらで大体考えられる選択肢とともに自由記載欄を設けて います。今後もまだ10万近くお送りするわけですが、その結果も分析しますし、また、 業務改革委員会でもそういった不十分な、特性に応じた調査も必要ではないかとご指摘 いただきましたが、確かに、いまご意見いただいたようなことを我々も検討していきた いと考えています。 ○森戸座長 確かに、2頁のグラフは解答してくれた方の内訳だということを頭に置い て見ないといけない、駒村委員のご指摘とおりだと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○小島委員 2頁の6万4,000人の方に送付をした、これは、確実にその人のところに いっているのですか。あるいは、届いていなくて返ってきてしまったというのはないの ですか。確実に住所がわかっている6万4,000人なのですか。 ○企業年金連合会芝田部長 実はこれをお送りいたしまして、1割弱未送達ということ で返ってきています。そういうこともあり、住所情報の提供を受けることも非常に重要 だと考えています。 ○小野委員 この未請求者ですけれども、連合会、各厚生年金基金もそうだと思います が、つまり、社会保険庁に対して裁定請求はしているのだけれども、基金や連合会に裁 定請求をしていない人たちがどの程度いるのかがわからなかったのです。そう申します のは、連合会、基金なり各機関での努力に限界があると思うのですね。ですから、入口 部分で、本体の裁定請求をするときに、各企業年金について、どのような案内をするか がすごく効いてくると個人的な印象としては思っているのですけれども、単に意見とい うことかもしれません。 ○企業年金連合会芝田部長 社会保険庁のご協力を大変いただいておりまして、60万部 のチラシの中のかなりの分が社会保険事務所においていただいております。今回の特別 便なり、あるいは社会保険事務所に行ったときに端末に基金の記録が表示されます。特 別便の中の注意書きに、10年未満であれば連合会の電話番号、それ以上の記録がある方 は、過去の事業所の基金にお問い合わせくださいということを言っていただいています。 私どものほうに相談があった中にも、かなりのパーセントが社会保険事務所から照会が あったということもあり、今後とも、そういう意味で連携をお願いしていきたいと考え ています。 ○藤井委員 いまの点に関連して私も似たようなことを考えたのですけれども、私が知 っている範囲では、社会保険事務所に国の年金の請求をすると、その場において厚生年 金基金の適応記録があることを普通は教えてもらうと思うのですね。それを知った上で なお請求しないのは本人の自覚の上でそうするのか、手続が面倒だからということもあ ると思うのですが、そういう事情かなと思います。  しかし、それに付けて思う点は、厚生年金基金の場合には代行部分がある故に社会保 険事務所との関連があって、社会保険事務所からそういうふうに言われるとそうかなと は思うとは思うのですけれども、代行部分がない企業年金の場合ですと、支給時に裁定 をするに当たって、請求するかどうかについて、社会保険事務所から特別そういう示唆 はないと思いますので、そういう点で漏れがかえって生じやすいかもしれない。今回は 連合会と厚生年金基金での調査ということで、国の年金との関係に着目した調査だと思 うのですけれども、純粋な企業年金のほうは果たしてどうかと思いました。 ○企業年金連合会芝田部長 代行返上する前はそこの基金、元企業年金へお問い合わせ いただくとつながることもあります。解散すればこちらのほうにということになるので、 確かに代行返上している大手企業に問い合わせがいったときには、そういう照会をして いると聞いています。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 私ども今回厚生年金基金の代行部分あるところ、あ るいは、国民年金基金の連合会に調査していただきましたけれども、公的な性格に着目 をして調査をし、基本的にはその分についての調査結果です。おっしゃるとおり、純粋 な企業年金や退職金などの未請求のあり方をどう考えるかは課題の1つかと思います。 現実に社会保険事務所、公的機関で純粋な企業年金の記録について当然情報を持ち合せ ておりませんし、持ち合せる仕組みにもなっていない中で、公的なセクターがどこまで、 コストも含めて関与するのか、そういったことを前提に大きな課題があると考えており ます。 ○野村委員 私が単によく知らないだけかもしれませんが、おそらく、いまは非常事態 的な対応なのだろうと思います。ただ、非常事態が過ぎた後もずっと制度は続いていく ので、請求なさらない方が無くなる、ゼロになるのは難しいとすると、何らかの対応を 平時になっても続けられるという理解でおります。いずれにせよ、どこまでやるのかを ある程度念頭に置いてプロジェクト的に取り組んでおられるのでしょうか。先ほどのご 指摘とも通じますが、連合会でほかにもいろいろやるべきことをお持ちの中で、リソー スの配分として、いまこちらに投入している分、ほかにできないとことが出ざるを得な いと思いますので、このぐらいまでという目安をお持ちで取り組まれているのかを伺い たいと思います。 ○企業年金連合会芝田部長 引き続き恒久対策として、できる限り減らしていきたいと 考えています。まさに、住所情報をいただいてどのぐらい減るか、また、平成23年に住 基ネットを、完全にいただけるかどうかというのを要望していくわけですが、それが可 能になればかなり減るのではないかと期待をしています。そうした中で社会保険庁に記 録がない、外国に行かれている、あるいは、住所はわかっているのですが請求されない 方についてどうするかという問題は確かに残っています。そういうふうに減っていった 中で対策を考えていきたいと思っています。少なくとも、そういう目途がつくまでは計 画的に継続的にこの対策を進めていかなければいけないと考えています。 ○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。 ○藤井委員 米国のものが必ずしもうまくいっているかどうか、参考にする必要はない と思いますけれども、たまたまかつての状態で知っていることがあります。米国の場合 代行部分はないのですけれども、企業年金で退職された方がいますと、たしかスケジュ ールAというのをソーシャルセキュリティのアドミニストレーションに送って、社会保 険事務所のほうで、その人が受給資格があり請求があった段階で、あなたはこういう企 業年金に入っていたという登録になっているけれど、聞いてみたらどうかというアドバ イスがあるという話を聞いたことがあります。これは社会保障番号が行き渡っていると かいろいろな点もあるでしょうし、それがいいかどうかいろいろ疑問があるかもしれま せんけれども、企業年金のことについて、全く政府として無関係であるとするのかどう かというのは、やりようはなくもないかなと思います。 ○駒村委員 いまの点に関わるのですけれども、少なくとも代行部分については公的性 格が強いわけですから、いまちょうど社会保障カードの議論をやっていますが、連合会 のほうから社会保障カードの関係で要望は出されているのでしょうか。 ○企業年金連合会芝田部長 社会保障カードが企業年金の記録を見る場合に利用できる ように検討をお願いしたいと事務局に要望を出しています。 ○小野委員 先ほどの藤井委員の情報の続きなのですけれども、4月にアメリカのPBGC が請求のない年金がどのぐらいありましたと公表しています。インターネットによる情 報照会を見ると、ラストネーム、カンパニーネーム、それから、本社のある州などその 程度のことを入れて情報照会すると答えてくれる、ペンションサーチというサービスを 1996年からやっているようです。 ○森戸座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私もちょっとだけ質問 させていただきたいことがあり、最初はコメントです。先ほどの年間100円というのは、 普通に考えたらそれは一時金で出せる仕組みがあったほうがいいだろうなという気は私 もいたしました。これは連合会がというより、法律の問題になるのでしょうけれども、 そういう議論もこれから必要だろうなという気がしました。  それから、ちょっと急に細かい質問になるのですが、今日の資料2の1頁の「今回の 対策で未請求者でなくなった人」の4段目に、支給開始年齢に達していないことが判明 したからというのは、データ上60歳以上だったけれど、聞いてみたら60歳未満だった ということですかというのが1点です。  もう1点は細かいことですけれど、2頁で年金受給を辞退すると言ってきた人がアン ケートでそれなりにいたと。別に法的な辞退という正式なものがあるわけでもないでし ょうし、ただ、いりませんとマルを付けてきただけなので、そうすると、またこういう 調査をやったときは、もう1回未請求者に入ってきちゃうということですよね。その2 点の確認なのですが。 ○企業年金連合会芝田部長 ご指摘のとおり、4段目は生年月日の間違いがわかったと いうことです。それから、確かに辞退という制度はないわけで、代行部分については公 的年金の支給停止という措置が前回の制度改正で導入され、それと同時にできることに なっています。ただ、公的年金と同時にやらなければいけません。加算部分はそういう 制度はないのですけれど、規約を変えれば支給停止は可能と厚生労働省から聞いており、 そういうところは検討をしなければいけないと考えています。ただ、おっしゃるとおり、 支給停止手続を正式に取っていただくことを周知する必要があるのではないかと委員会 の報告がありました。 ○森戸座長 次に厚生年金基金の調査結果について事務局よりご説明をお願いいたしま す。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 資料3は、いままでの議論でも既に出ておりますが、 各厚生年金基金について裁定請求を行っていない方の調査結果です。1頁で、調査の内 容は裁定請求を行っていない方の状況、住所管理の状況、裁定請求勧奨の実施状況です。 時点は本年3月末現在で、代行返上を予定しているところを除いて全部の621基金に調 査協力を依頼し、その調査結果を集計したものです。  2頁は結果です。ポイントは(6)の黄色の部分ですが、(5)の受給者232万9,000人いる のに対して、裁定請求を行っていない60歳以降の方は13万7,000人で、うち住所不明 者は3万6,000人でした。年金額ベースで言うと、受給者8,900億円に対して278億円 と累計にすると966億円という状況です。ちなみに左の待期者についても若干住所不明 者がおり、117万1,000人の中で8万4,000人いる状況です。連合会に比べると頭数は1 割程度と少ないわけですが、累計年金額ベースでは多く、単価が高いです。  3頁は裁定請求を行っていない方の年額ベースです。平均額は真ん中に20万3,000円 とあり、連合会の中途脱退者の年額1万9,000円に対して、10倍程度とそこそこの年金 額が平均的にあります。分布を見ていただくと1万未満の方が2割、1万から5万が約2 割、あまり多くない方も4割程度いらっしゃいますけれども、それ以上の方、例えば30 万円以上の方も25%おり、1人当たりの累計年金額は結構高い状況です。逆に言うと、 一人ひとり減るごとに未請求の額が解消される割合が高いということです。  4頁は、年金額が高いと言いますのは、やはり中途脱退者、短期間の方々は連合会に 移管され、実際、基金に長期間加入されている方が多いということが、年金額が高い背 景にあります。平均加入期間8.4年で、未請求者については半分の方が5年未満で、短 い方も結構いらっしゃるわけですけれども、結構長い方もいらっしゃいます。  5頁は裁定請求の勧奨の実施状況です。60歳前後、あるいは退職時、それから65歳到 達時と定期的に送付しているのがほとんどで、585基金94.2%、残りの36基金5.8%が 随時送付で、基本的には求めに応じて送付という形でした。以上が調査結果の概要です。  6頁は今後の対応です。前回の本研究会でもお示しをしておりますが、10月に、今般 調査を依頼するに当たりまして、同時に年金記録の適正な整備等のための指導、具体的 には定期的な請求勧奨、住所の把握など一般的な指導を既に行っていますが、今回の個 別個別の基金の積上げの調査結果を踏まえ、各厚生年金基金に対して年度内に裁定請求 を行っていない原因の分析、先ほど連合会のアンケート調査の結果がありましたけれど も、イメージはあの形で原因の分析。それから、具体的な解消策と言いましょうか、対 策を内容とする改善計画を厚生労働省に提出をいただくよう、本日付で厚生年金基金に 対して依頼指導を行いました。  なお、これも前回ご報告いたしましたけれども、8頁の注2、注3ですが、こういった 住所問題等を踏まえ、基金加入員の住所の届出の制度化、あるいは基金での住所管理の 徹底等を平成20年度から図っていきたいと思っています。また、社会保険庁から基金に 対して個人情報の保護の観点にも留意しながら、住所情報の提供を平成20年度から行い ます。以上です。 ○森戸座長 ありがとうございます。いまご説明のあった項目について何かご質問、ご 意見等はございますでしょうか。 ○藤井委員 先ほど私が申し上げたことと同じようなことなのですけれども、代行部分 があるからこういうふうにするという点もあろうかと思うのですけれども、代行返上後 の基金、もともとそういうものがない適年から移った場合の確定給付企業年金とか、い ずれにしても、社会保険庁の住所情報などがあれば助かると思うのですね。早くに会社 を辞められた方で60歳の支給開始まで相当年数がある場合に、結局行方不明になるので はないかと。例えば代行返上基金ですと、代行部分の跡型のようなものがあるので、何 となく社会保険事務所との関係があるかもしれませんけれども、長期的に見ればそれは なくなっていくわけですし、そういうことも考えられるのではないか。確定拠出年金に ついても国民年金基金連合会に移った後、結局行方不明になることも考えられなくもな いと思いますし、いろいろな面での対策は必要ではないかなという感じがします。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 補足いたしますと、確定給付企業年金や確定拠出年 金につきましても、一般的な住民票の写しを含めて自主的な指導管理等を10月に併せて 私どもからもお願いいたしました。また、住所情報の提供については社会保険庁、ある いは、将来的に仮に住基ネットと接続して情報をいただくということになりますと、総 務省との協議調整ということになりますけれども、その際には、注3の今後の調整です が、個人情報保護の観点と公益との調整で、必要性がどの程度あるかについて十分な検 討が必要ということです。 ○森戸座長 少し確認ですけれども、今回厚労省で指導したのは厚生年金基金であって、 代行返上があったとしてももう厚年基金でなくなっている所には通知はいっていない。 それはやっぱり代行があるなしに、そうではないのですか。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 すみません、説明がわかりづらくて恐縮でございま す。適正な年金記録の整備、あるいは、裁定請求勧奨の取り組みについては確定給付企 業年金、確定拠出年金についても10月に厚生年金基金と同様の指導を行っています。違 いますのは、社会保険庁からの住所情報の提供という点が異なります。 ○森戸座長 わかりました。すみません、ちょっとそれは私が間違っていたということ で訂正します。ほかにいかがでしょうか。 ○企業年金連合会芝田部長 基金でない企業年金について住所情報を提供していただき たいというのは、私ども会員でございますので、引続き企業年金、国民年金課ともご相 談をしながら社会保険庁に語りかけていきたいと考えています。 ○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。 ○小野委員 1つ質問なのですけれども、確定給付企業年金も確定拠出年金もですね、 当然厚生年金基金もそうなのですけれども、基本的に厚生年金保険は設立事業所ベース で記録はあると思うのですけれども、それはおそらく確定給付企業年金の実施事業所、 確定拠出年金の事業所、企業型の事業所、こういった所にも通じていくと思うのですけ れども、事業所をキーとして加入者の年金情報は、この時期確定給付企業年金制度が、 この会社は確定給付企業年金制度がありましたよみたいな話ですね、こういうものを追 い掛けていくのは基本的に可能な情報になっているのかどうかということですね。多分、 事業所の解散、合併、買収、そういうことでいろいろ番号体系が変わったりすることが あると思うので、とりあえずできているとすれば、ある程度は可能かなという気もする のですけれども、ちょっとその辺りがわからないものですから。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 すみません、ちょっと質問の趣旨がよくわからなか ったのですが、事業主が実施するものは、我々も事業主に直接働き掛けて、加入者の管 理も事業主にお願いします。基金型の場合には、基金を通じて各事業主を通じて加入者 の管理をするのが現行ですけれども、そこについて事業主を通じてのみでいいのかどう かということがあり、特に基金型ですが、住所について基金自体も加入者の届けをいた だいて、住所の管理を併せて行うことが必要ではないかというのが平成20年度に向けて の制度化検討課題ということです。 ○小野委員 さっきのお話と重複してしまうかもしれません。先ほどの藤井委員のご指 摘にもちょっとあったと思うのですが、そもそも国の年金の裁定請求のときに、どのぐ らいの企業年金関係の裁定請求を勧奨するのかという中で、要するに、代行部分を持た ない企業年金にとって、そこは切れてしまうよね、というような話だったかと思うので すが、それをあえてやるとして、「この時期こういう企業年金にあなたは入っていました ね」という情報があるとすれば、細かい中身までは別として、この会社はいまこういう 会社になってますが、「ここにちょっと問い合わせてみたらいかがでしょうか」ぐらいの その程度の情報提供ができるのではないかという気がしたのですが。 ○藤井委員 たぶん、小野委員がおっしゃっているのは、現在の社会保険事務所の記録 の中に、厚生年金基金ではない企業年金であったとしても、何某かの記録があるのでは ないかと思って、例えば、事業所単位での記録があるのではないかという想像をした上 で、そうかどうかを聞いておられるのだと思うのですね。たぶん、それはないのだと思 います。従って、そういうふうにしたほうがいいですよね、というご提案ではないかと 思いますが、そうですか。 ○小野委員 そうですね、事業所番号の管理体系というのは、ちょっとよく理解してな いものですから、ただ、その昔は厚生年金保険法の中でも厚生年金基金の加入について は、特例第1種、第2種とかという言い方をしていたと思うのですが。 ○藤井委員 それは代行部分があるから、保険料はそもそも変わるので、従って記録が ある。だから裁定するときには、あなたは厚生年金基金の記録がありますよとなるので すよね。それがいまのシステムだと、社会保険事務所に企業年金の記録は何もないと思 います。それをしようと思えば、記録を作らなければいけないということだと思います が、何かの手当する検討をしてもいいのかなと私は思います。 ○森戸座長 さらにややこしくして悪いのですが、確定給付企業年金とか確定拠出年金 であれば、その厚労省で規約を認可や承認するときがありますよね。社保庁ではなくて、 そこに事業所の変更の履歴とかが溜まっているということはないのですか。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 私ども規約変更とか、そういう情報は持っておりま すが、個別の加入員の情報を、許認可の際にとっているわけではございませんので、そ ういう意味では、国レベルでそういう個人情報や企業年金の加入情報が、溜まっている ことはありません。従いまして、藤井委員がおっしゃるとおりなのですが、仮に何か管 理するとすると、それは社会保険庁かどうかということもありますが、企業年金なり加 入履歴というものを、どこか国的・公的な機関が一元的に管理する仕組みを作るべきか どうかという議論になると思います。そのときに、国的なところが一元的に管理をする のか、あるいは、個人が自分の加入履歴を持って、どこかに問い合わせをするのかとか、 社会保障カードの機能はそうだと思いますが、その中に、そういう個人の情報の中に、 加入履歴的なものを入れるとかどうか、という議論がありうるということだと思います。 ○森戸座長 いずれにせよ、小野委員がおっしゃったような感じでの管理は、なさそう だということですかね。よろしいですか、その点はとりあえずということで、ほかにい ま厚生年金基金の状況についての資料のご説明があったのですが、これに関して、ほか に何かございますでしょうか。  では、以上で予定の議事は終了なのですが、まだ時間もありますので、この際何か、 ご意見、ご質問等がございましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。 今日の資料の点に限らずでよろしいかと思いますが。 ○島崎座長代理 芝田部長にちょっとお伺いしたいのですが、厚生労働大臣のほうに提 出された資料2-2の8頁を見ると、「連合会の年金は請求主義で運営することが今後とも 基本となるが、請求権を行使しやすいサービスの充実を図り、『アクティブな請求主義』 に改革すべき」というアクティブな請求主義というのが何かよくわからないと困ります が、その中で先ほど藤井委員あるいは野村委員、小野委員がおっしゃったことと関係す るのですが、本当にどこまでやっていくのか。つまり、何を言いたいかというと、今ま で率直に言うと、請求主義で請求してこなかったものは、それでしようがないんだとい うことと、象徴的に言えば1人残らずという、この間がすごく空き過ぎていて、一方で 本当に1人残らずやっていこうとすると、すごく膨大な手間暇がかかり、よほどそれが 先ほどから議論が出ているような例えば、各種の社会保険庁の統一的な台帳であるとか、 あるいは、社会保険カードの中に載せていくとか、そういうことを考えていかないと、 これはまず不完全ですね。その将来的なその議論はともかくとしても、この辺りのつま り、どの程度本当にやるのかの議論については何か、有識者の間であったのでしょうか。 ○企業年金連合会芝田部長 確かにやはり、年金というものは、とりあえず受給権を行 使するという意味での請求主義というのは、今後とも基本だろうということは、皆さん 一致していたわけですが、ただ、ある意味では我々としても、お辞めになるときに、き ちんとそういう制度を企業や基金にご協力願って、あるいは社会保険労務士等のご協力 も願って、そういう情報を提供しているかどうか、あるいは、今後住所情報がいただけ るようなことがあった場合には、少なくとも55歳のときにそこへお送りをして、もうす ぐ請求ということもありますよという情報を提供する。あるいは今でもやっております が、59歳11カ月になりましたら、裁定請求書を送り、さらに国の公的年金のほうは62 歳とか、在職している間停止することもございまして、そこで、62歳とか65歳になっ て新規裁定がされたときにも、また請求書をお送りする。さらに、65歳までそれでも請 求されない方にもまた送るということは、今までもやってきたわけです。それが住所情 報がさらに充実すれば、それがもう少し実を結んでいくのだろうと思っております。  ただ、ご指摘にもありましたように、生命保険会社等でそういう問題が起きたときに、 ものすごいコストをかけてやったのだと、それはなかなかコストパフォーマンスという ものがあるだろうということも、議論が出ておりまして、基本的には私どものお金は、 皆様からお預かりしたものを運用収益を上げてということしかないものがございますの で、そこは効率的、効果的にやっていかなければならないだろうということです。その 一件までは難しいだろうということも、皆様の合意です。ただアクティブな請求主義と 申し上げましたのは、そのような形で、お辞めになったとき、あるいは、節目のとき、 いざ請求年齢になったときに、なんとか督促を何かの請求を促すようなことを、きちん とやっていくことで、まさにアクティブに請求していただくような環境づくりをしてい こうという趣旨です。 ○森戸座長 ほかにいかがでしょうか。 ○駒村委員 どういうふうに権利を行使する仕組みにするかという点ですが、やはり、 先ほど来議論がありましたように、企業年金の性格にも関わってくると思うのですね。 税制大綱のところでも課題として残っているわけですが、やはり、公的年金との関連性 が、はっきりついてくれば、公的年金を補う形で、企業年金を今後頑張ってもらうとい うことであれば、その公のシステムの社会保障カードなりに載せるということも、正当 化できるのではないかとお聞きしておりました。 ○森戸座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私、もう証券市場が閉 まっても、企業年金研究会はまだやるということで、ちょっと一言だけ言わせていただ くと、未請求の問題は、それはシステム的にいろいろやっぱりやっていただかなければ いけないことがあるのでしょうが、私はよく思うのですが、宝くじが当たっても、請求 しない人がいるぐらいなので、たぶん、限界はあるのだろうという前提で、もちろん、 一生懸命やっていただくのはいいのですが、あまりコストを無駄にかけてでもそれは 100%は無理なのだろうなと思うので、その辺り少し加減を考えてやっていただくのがい いのかなというのが1点。  それからもう1点は、最初のほうの税制改正要望との関連ですが、やはり研究会でそ れなりに議論をして報告書を出しましたが、税制との関係というのは、今後の課題みた いな感じで先送りにしましたが、そういう税制上の位置づけの話というのは、今後きち んと議論しなければいけないのかなと思いました。やはり、税務当局と交渉すると、結 局こういうマッチング認めろ、こういうふうに限度額を上げろという話になると、それ は金持優遇になるのではないかという話とたぶん、議論が出てくるのだと思うのですね。 その辺の議論も今後しなければいけないのだと思います。つまり、アメリカみたいにこ こにいらっしゃる方はご承知のように、あまり金持の人ばかり加入するようにならない ように、被差別禁止みたいなルールを作って、所得の低い人も入れるようにするとかと いう仕組みも1つあるでしょうが、別にそうしろということではありませんが、例えば そもそも別に金持優遇ではないと、金持と言っても超大金持を優遇するわけではなくて、 普通に企業に勤めている人にとってのことなのだから、別に金持優遇ではないという説 明が1つ。それから、そういう面が出てくるかもしれないが、ではそういうふうになら ないように、何か全体に企業年金が公的年金を補うものとしての、みんながなるべく加 入できるような仕組みを用意しますというような形で、何かルールを作っていきますと いうことを考えるのか、いろいろその辺の議論もこれから必要かなと思って聞いており ました。これは、ちょっと私個人的な感想です。 ○野村委員 非常に基本的なことなのですが、たまたま調査の必要上、日本のサラリー マンのどのぐらいの方が、現在、何でもよいので企業年金に入っているのかというデー タをとりたいと思ったところ、結論から言うと、非常に難しいという事実に改めて直面 いたしました。いずれ適年も厚労省の担当の確定給付企業年金を含め、ほかの制度に移 ってくるタイミングも近づいてきます。今でも確定給付企業年金と、厚生年金基金とで、 規約ベースでの重複はおおよそのデータがあると思うのですが、やはり、加入者の数も 大事だと思います。加入者ベースのカバレッジといいますか、普及の度合いというとき に、何人の方が重複して入っているかがわからないので、確定給付型の企業年金トータ ルで何人入っているかわかりません。もっと言うと確定拠出年金と両方に入っている方 も大勢おられますので、その重複部分も除いてトータルで見た企業年金加入状況という 基本的でわかりそうなデータがわからないのです。  やはり、公的年金との関係等々も含めて、企業年金の位置づけを考える際にはどの程 度普及しているのか、また、増えているのか減っているのかといった趨勢、こういった ことをきちんと数字に基づいて把握するのは、極めて重要だと思います。その際、やは り人数、加入者数を除いてはなかなか語れないところがあると思いますので、そういう データを整備していただければ、非常に有益なのではないかと思います。 ○森戸座長 それは公的な形でというご趣旨ですよね。 ○野村委員 無理でしたらば、民間ということもあり得ると思うのですが、やはり、手 堅いという意味では、例えば若干、新しさにタイムラグがあっても、公的な所でやって いただけると、手堅さはあるかと思います。ちなみに、アメリカの場合、3〜4年遅れに はなりますが、いわゆる私的年金に入っている加入者の数等の基本データがとれる形で あちらの労働省が出しており、学者の先生などが、よくそれを引用して、論文などの分 析に使っておられるように理解しておりますので、手堅さという意味では、公的なとこ ろが出していただけるといいのではと思っております。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 問題意識としては、おっしゃるとおりだと思います。 今回も、税制改正要望でもある意味で、確定給付、確定拠出でそれぞれでの加入者ベー スにいろいろな分析を初めてやったぐらいの程度で、その中でおっしゃるような例えば 確定拠出と確定給付で重複を除いて、実質で何人かとか、そこまでまだ把握できるよう な調査も行われておりませんので、ちょっとどの程度どういう形でできるかどうかわか りませんが、仕事としては私どもの仕事だと思っていますので、すぐにどうこうという ところにできるかどうかわかりませんが、検討課題としてちゃんとテイクノートさせて いただきたいと思います。 ○藤井委員 それは結局先ほど来、話に出ている社会保険保障番号とか、適応している ということの把握するという根本的な公表データがなければどうやってもできないのだ と思いますが、従って、最初の話と結局重複する同じことだと思います。逆にそれがあ れば、多少不正確と言えども、やろうと思えばできるわけでしょうし、同じことかなと 思います。それから、座長が言われたことと、非常に大きな関連があると思うのですが、 いま野村さんは、適格年金がいずれ確定給付企業年金や確定拠出年金に移る時期がくる ことをおっしゃったと思うのですが、その時期が本当に来るのかどうか、非常に疑問だ と思うのですね。というのは、適格年金、いまは現在、議論の途中でも出てきた話題で、 途中でもうそれ以上あまり詳しい議論にならなかったのですが、単純解約が結構多いと 思うのですね。そうすると、森戸座長が言われたように、企業年金の適用者の集団が、 国民全般の中の非常に限られた集団になりかねないところでして、そうなると、その金 持かどうかは別にして、限られた集団であるという点があまりよくないこと。適年を入 れても限られた集団かもしれませんが、要するに、全般的な政策という点で、力不足と いうか、そういう話になりかねない。広く国民全般に対する政策としてどうかという点 での議論がしにくいということで、やはり、広い議論にした上で、その上で、国の年金 が不十分になりかねない中で、いろいろな駒を出しつつ、その中の1つみたいな感じと いうか、その中の非常に有力な1つということで、企業年金を取り上げると、何かそう いう枠組みが必要ではないかと思うのですね。そうしないと、非常に一部の人のための 議論を、ただ、単にやっているだけだということであれば、なかなか盛り上がりにも負 けますし、力も出てこないということがあるなと思います。 ○森戸座長 藤井委員に私の言ったことを、少しうまく説明していただいたような気が するのですが、この研究会でのその報告書での議論は、確かにいろいろ議論をしました が、わりと入っている人に関して、限度額をこうしようとか、フェアではないから、も うちょっと拡大しようという議論をしていたのですが、もし、駒村委員も先ほどからお っしゃっているように、公的年金を補完するものだということが、もし強調されてくる のだったら、もっとみんなが入れるように、入れるような枠組みがなければいけないで すよねという議論が、たぶん、出てくるのだと思いますね。確かに、藤井委員がおっし ゃったように、その辺の議論もこれからしていかなければいけないのかなと思っており ます。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 研究会でも、最初の課題のところで、そういうよう な大きな役割分担みたいな話が出ておりますし、適格退職年金の移行状況は確かにおっ しゃるとおりのところがございまして、なかなか例えば、確定拠出年金だと60歳支給で、 退職時には難しいとか、これが年金制の担保の重要な要素になっているので、なかなか ではどうするのかということがないわけですが、そこの移行促進策というのが1つの課 題と認識しております。ただ、諸外国でも例えば企業年金単独ではなくて、個人年金も 含めての位置づけというところで、インテグレーション制度が語られている所が多いと 思います。そういう意味では、企業年金がないところについては、個人型の確定拠出年 金への加入というところも含めて考えると、カバレッジとしては、私どもそういうこと も含めて中長期で検討が必要かなと思います。 ○藤井委員 その場合のキーワードというか、簡明ということだと思うのですが、英国 でとにかく適応範囲を広げようというので、いろんなペーパーが出てますが、キーワー ドでsimplicityというのが結構見られますが、わが国の企業年金の議論は、ややもする と結構難しい感じというか、敷居が高い感じになりがちなのですが、それも非常に大事 なのですが、ないよりあるほうがいいという立場に立ちますと、とにかく普及とカバレ ッジはまず非常に重要で、その上に立って立派なものが上に乗っかっているのは、大変 結構なことであることは間違いないわけですが、広げるという観点、視野というのは非 常に重要かなと思います。 ○森戸座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○島崎座長代理 最初の税制大綱のところで、いろいろ長期検討になって、ただし、与 党の税制改革大綱の中では、それなりにしっかりとした検討課題だということが盛り込 まれました。そういう趣旨だったと思いますが、具体的にはどういう検討、つまり、普 通の年だと年末、○×△、二重△がついてしばらくお休みになって、また、相談会で税 制改正要望みたいな形になっているのが普通だと思うのですが、今度の場合は多少それ は違うのですか。今後、どういうスケジュール観をもっていく形になるのか、ちょっと お聞かせいただければと思います。 ○濱谷企業年金国民年金基金課長 与党の税制改正のプロセスとしては、やはり、平成 21年度以降の税調の場で、最終的に議論いただくというところは、変わらないと思いま す。ただ、1つは、この税調での議論にあたって、その平成20年度の税制改正大綱とい うのがベースになるということ。あとは、これは税務当局というよりは、私ども厚生労 働省側の進め方として、与党も含めてという形で議論していくのかというのは、その場 合にこういったことも踏まえてということだと思っております。今年度の税制改正要望 におきましても、与党でも年金委員会で確定拠出年金の税制改正要望について、ご議論 いただいたという経緯もございますので、そういった経緯等も十分踏まえて、来年度以 降も検討が必要かと思っております。 ○森戸座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  それでは、少し早いですが、年末で皆様お忙しいと存じますので、これで終わりにし たいと思います。次回につきましては、事務局から追ってご連絡いたしますので、よろ しくお願いいたします。ありがとうございました。良いお年をお迎えください。 照会先) 厚生労働省 年金局 企業年金国民年金基金課 企画係 (代表)03-5253-1111(内線3320)