07/12/19 第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録 第1回 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録 平成19年12月19日(水) 経済産業省別館1012号会議室 ○名越課長補佐 定刻前ではありますが、構成員の皆様方は既に全員お集まりいただい ておりますので、ただいまより第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集いただき まして誠にありがとうございます。私は座長が決まるまでの間、進行役を務めさせてい ただきます、精神・障害保健課の名越と申します。よろしくお願いいたします。  まず本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。一番上に議事次第がござい まして、続きまして会議の座席表。資料1といたしまして、精神保健福祉士の養成の在 り方等に関する検討会開催要綱、続きまして資料2、精神保健福祉士の養成の在り方等 に関する検討会構成員名簿、資料3といたしまして精神保健福祉士の養成の在り方等に 関する検討会の設置について、資料4といたしまして精神保健福祉士の現状について、 資料5といたしまして精神保健福祉士と社会福祉士の共通科目について、最後に参考資 料で1つにまとめてとじてありますが、1から3の項目がついた資料がございます。資 料の不足、乱丁、落丁等がございましたら、事務局まで申しつけいただければと思いま す。  それでは初めに会議の開催に当たりまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 長、中村よりごあいさつを申し上げます。 ○中村障害保健福祉部長 おはようございます。障害保健福祉部長の中村でございます。 検討会を始めるに当たりまして、一言ごあいさつをさせていただきます。まず先生方に おかれましては大変お忙しい中、構成員をお引き受けいただきまして、また本日お集ま りをいただきまして、本当にありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。  御承知のように、精神保健福祉士が資格化されましておおよそ10年がたちました。そ の間、登録をされた方が3万人を超えるということで、順調に制度が発展しているので はないかと思っております。また、この間、精神保健の分野というのは御承知のように、 入院医療中心から地域生活中心へということで、大きく考え方が転換し、障害者自立支 援法、心神喪失者等観察法、さらには自殺対策基本法と、多くの法律が施行され、変化 があったと思っております。  そういう中で精神障害者の社会復帰の意味がますます重要になっておりますし、そう した精神障害者の社会復帰に関する相談援助を仕事としております精神保健福祉士の担 う役割というのは、ますます大きくなっており、そのために資質の向上をしていくとい うことが課題になっていると認識をしております。  そこで私どもといたしましては、精神保健福祉士の資質の向上、特に養成の在り方を 中心に、10年ということで区切りでもあり、今一度検討してみてはどうかということで、 この会を催すことにいたしました。検討会では具体的な教育内容であるとか、あるいは 実習の在り方、さらには養成課程でどんな要件が必要になるかというようなことも御議 論をいただきたいと思いますけれども、本日の1回目におきましては、御承知のことと 思いますけれども、今国会が開かれておりますが、社会福祉士及び介護福祉士法が成立 をいたしております。その中で社会福祉士のカリキュラムの見直しということが予定を されておりまして、特に精神保健福祉士の養成の中では、社会福祉士との共通科目とい うものがございますので、まずはそこの点について御議論をいただき、その後残された 課題を御議論いただいて、来年の夏ごろまでにはその御意見を取りまとめていただけれ ばと思っております。  私どもといたしましては、御承知のように、部全体として障害者自立支援法の見直し 作業というのが、来年の大きな課題になると思っておりますので、そういう中で精神障 害者の地域生活への移行というのも大きな柱になっており、もしこの精神保健福祉士の 資格の中で法律にかかわるような問題が出てきたら、その際にまたあわせて議論するよ うな機会にもなるのかなと思っておりまして、ポイントは養成の在り方ということです が、そういうことも必要があれば視野に入れながら御議論をしていただければと思って おります。大変短いスケジュールで御検討をお願いするということで、恐縮なことと思 いますけれども、ぜひよろしくお願いいたします。 ○名越課長補佐 次に事務局を紹介させていただきたいと思います。ただいまごあいさ つを申し上げましたが、中村障害保健福祉部長でございます。福島精神・障害保健課長 でございます。北障害保健対策指導官でございます。野崎精神・障害保健課課長補佐で ございます。川田障害保健係長でございます。精神保健福祉士の養成におきましては、 大学が関係しておりますことから、オブザーバーとして文部科学省高等教育局医学教育 課渡部課長補佐にも御出席をいただいております。  続きまして、本検討会構成員の皆様から、自己紹介をいただきたいと思います。資料 2がお手元にございますが、検討会構成員名簿がございますので、そちらを御参照くだ さい。五十音順に石川構成員からお願いしたいと思います。なお、本検討会は原則公開 としているため、検討会での審議内容は厚生労働省のホームページに記録として掲載す る予定でありますので、あらかじめ御了解くださいますようお願いいたします。それで は石川構成員から、よろしくお願いいたします。 ○石川構成員 大正大学の石川と申します。よろしくお願いいたします。 ○大塚構成員 社団法人日本精神保健福祉士協会の常務理事を務めている大塚淳子と 申します。大変若輩者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 ○鹿島構成員 慶応大学の精神・神経科の鹿島です。よろしくお願いいたします。 ○京極構成員 国立社会保障・人口問題研究所の京極でございます。よろしくお願いし ます。 ○新保構成員 東京成徳大学の新保です。よろしくお願いいたします。 ○谷野構成員 日本精神科病院協会の副会長の谷野です。ちょうど京極先生と10年前 に法案が上がった後、慌ただしくシラバスと教科書づくりをしております、よろしくお 願いいたします。 ○寺谷構成員 山梨県立大学の寺谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○古川構成員 東洋大学のライフデザイン学科の古川でございます。よろしくお願いい たします。 ○名越課長補佐 どうかよろしくお願いいたします。続きまして、本検討会の座長の選 出に移らせていただきます。座長は資料1の検討会開催要綱にある3の(2)に基づきま して、構成員の互選により決めることとしております。どなたか御推薦をいただけません でしょうか。 ○大塚構成員 私どもの資格ができましたときに、精神保健福祉士のカリキュラム等の 検討会で座長をお務めくださいました。また現在、社会保障審議会福祉部会におきまし て部長代理職をお務めでいらっしゃいます。加えて大学において御活躍されていて、行 政課程に大変詳しくいらっしゃる京極先生は、精神保健福祉士のみならずソーシャルワ ーク全般に明るいということもございますので、ぜひお願いできたらと思います。 ○名越課長補佐 先生方、いかがでしょうか。 (各構成員より拍手) ○名越課長補佐 ありがとうございます。それでは京極構成員を御推薦いただき、皆様 方に賛同いただきましたということでございますので、京極構成員、座長席の方へお移 りください。以降、進行につきましては京極座長にお願いしたいと思います。それでは よろしくお願いいたします。 ○京極座長 大役を預かりました。時間が大変短い検討時間で、一気呵成に結論を出す ということなので、皆様方の御協力を得てしっかりした養成の在り方の方向を決めたい と思います。それでは議事に入らせていただきますが、最初に事務局より配布資料の概 要説明をお願いしたいと思います。まず資料3の「精神保健福祉士の養成の在り方等に 関する検討会の設置について」の御説明いただきたいと思います。 ○川田障害保健係長 資料3につきまして、私、川田の方から御説明させていただきた いと思います。資料3「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会の設置につい て」でございますが、まず1ページをごらんください。検討会設置の趣旨でございます が、簡単に御説明しますと、精神保健福祉士法につきましては平成9年12月、法律第 31号で成立しておりまして、平成10年4月に施行されております。施行後、おおむね 10年が経過しておりますが、その間、精神保健福祉分野におきましては、障害者自立支 援法、医療観察法、自殺対策基本法などが成立、施行されまして、その環境は大きく変 化している状況にございます。  また、制度創設当時に想定していました精神保健福祉士の担う役割につきましても、 拡大する状況にあることから、これらに対応できる質の高い精神保健福祉士の養成及び 人材育成の在り方につきまして検討する必要が生じている状況にございます。本検討会 におきましては、本日御参集いただきました構成員の皆様方から御高見を賜りまして、 幅広く御議論いただき、精神保健福祉士の養成の在り方等に関しまして検討するもので ございます。  続いて養成の在り方でございますが、精神保健福祉士の養成の在り方を検討する上で 検討事項を整理しますと、1つ目の○の部分、精神保健福祉士制度施行からの環境の変 化を踏まえた教育カリキュラムが1つ目の検討事項でございます。2つ目の○の部分、 実習の在り方を中心として、教員や実習指導の要件、実習施設の基準としまして、「実習 の在り方について」が2つ目の検討事項。続きまして国家試験の在り方、実務経験の範 囲、精神保健福祉士の自己研鑽の在り方、卒後研修の在り方等、これらをまとめまして、 「その他」としまして3つ目の検討事項。この3つの検討事項を本検討会の検討事項と しております。  まず1つ目の検討事項としまして教育カリキュラムの検討事項でございますが、1つ 目に教育カリキュラムと卒後教育の役割の整理。2つ目に社会福祉士との共通科目の整 理。3つ目に大学等における指定科目及び基礎科目の範囲。4つ目に一般養成施設の教 育カリキュラムの編成。5つ目に短期養成施設の教育カリキュラムの編成。6つ目に各 科目の教育目標及び教育内容の示し方、の6つの事項につきまして、検討していただき たいと思います。  次に2つ目の検討事項としまして、実習の在り方の検討事項でございますが、1つ目 に目標及び教育内容、時間数。2つ目に教員及び実習指導者の要件。3つ目に実習施設 の基準の3つの事項につきまして、検討していただきたいと思っております。  3つ目の検討事項でございますが、その他の検討事項としまして1つ目に施設整備の 要件。2つ目に国家試験の在り方。3つ目に実務経験の範囲。4つ目に自己研鑽の在り 方及び卒後研修の在り方。5つ目に業務対象及び職域の範囲の5つの事項につきまして、 検討していただきたいと思います。  続いてこれら検討事項をどのようなスケジュールで進めていくのかにつきまして、検 討の進め方(案)としましてお示しをしております。まず、優先的に検討していただき たい事項としまして、社会福祉士との共通科目の整理がございます。精神保健福祉士と 社会福祉士につきましては、養成課程において履修する科目及び国家試験におきまして 共通する科目がございます。これを共通科目と言いますが、今般の社会福祉士法の改正 に伴い、社会福祉士の教育カリキュラムの見直しが行われております。この見直しによ り、現行の共通科目が維持できなくなった場合、例えば受験生に不利益が被るなどの問 題が想定されまして、精神保健福祉士の教育カリキュラムにつきまして、社会福祉士の 教育カリキュラムに合わせて見直す必要がございます。  社会福祉士の教育カリキュラムの見直しスケジュールにつきましては、現在、新教育 カリキュラム案をパブリックコメントに掲載中でございまして、ここでの意見を整理し た上で今年度中に公布する予定でおります。その後、養成校においての教員の確保や教 材作成などの準備期間として約1年間の期間を経て、平成21年4月に施行される予定で ございます。その後、新カリキュラム反映後の国家試験が翌22年に実施されることとな ります。  精神保健福祉士につきましても、平成21年4月の同じタイミングで新たな共通科目を 施行するためには、来年の1月から2月までには、この共通科目部分につきまして整理 をしなければならない状況にございます。  そこで本日1回目の検討会では、資料5として用意いたしました精神保健福祉士と社 会福祉士の共通科目につきまして、御意見等をいただき、その点を整理いたしまして、 来年1月に予定しております第2回の検討会に、整理後の共通科目を中間報告事務局案 としましてお示しし、構成員の皆様方の御了解をいただいた上、この共通科目部分のみ を来年2月を目処としまして、中間報告として取りまとめさせていただきたいと考えて おります。  また、共通科目以外の精神保健福祉士として必要な専門的な科目や、先ほど御説明い たしました各検討事項などにつきましては、それ以降に開催します検討会におきまして、 御議論を重ねていただき、平成20年7月を目処としまして、報告書として取りまとめた いと考えております。なお、本日の資料1、開催要綱の項目4の(3)に基づきまして、 今後ワーキンググループを設置しまして、各構成員の皆様方からいただきました課題に 対しまして作業をしていただくことを予定しております。ワーキンググループのメンバ ーにつきましては、現在人選中でございますので、次回第2回検討会でお示しをしたい と考えております。  以上が資料3の説明でございます。 ○京極座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、構成員の方か ら御質問がございましたらお願いいたします。どうぞ。 ○谷野構成員 この作業の後、シラバスと教科書づくりが入ってきますよね。共通科目 というのは同じ教科書づくりを目指しておられるのか、何かそうあるべきだと思います けれども、PSWの共通科目用の教科書、社会福祉士の共通科目用の教科書。それは別々 になるのか、あくまでも共通科目は共通科目だから、教科書は同じ構成で同じ教科書づ くりをされるのか。そこらあたりはどういうふうになるのですか。 ○新保構成員 関連質問でございますけれども、ただいま御説明いただきました趣旨説 明全般にわたってですが、2ページで、いわゆる精神保健福祉士の担うべき役割の増大 に伴い、環境の変化を踏まえて高い専門性を担保する必要があると示されています。こ れはごあいさつで中村部長もおっしゃられたとおりでございますけれども、このことか らしますと、環境の変化を踏まえて行う教育カリキュラムの検討ということは、以下1、 2に示されます教育カリキュラムの検討事項、あるいは実習の在り方の検討事項といっ たものにつながるのは間違いのないことではございますけれども、大事なことは、精神 保健福祉医療政策を取り巻く環境の変化によって、いわゆる精神保健福祉士の価値を前 提とした資質が問われているのか。あるいは関連領域の増大にかかわる専門知識の付加 に関しての養成カリキュラムの見直しが必要なのか。あるいはこれと連動する知識の不 足などが課題なのか。あるいは精神保健福祉士が主治医のいる精神障害者をその対象と しているわけでございますけれども、この現状の対象範囲を見直して専門領域の拡大を 図る必要が生じてきたのかといったようなことが、様々と考えられるわけです。  そういったことに関してしっかりと議論を行った上でカリキュラムを検討が可能なの か。それとも先ほどの話の中でいきますと、社会福祉士養成との関連の中で、いわゆる 社会福祉士の教育カリキュラムの変更に伴って、共通科目で受験生に対する不利が生じ るというような御説明がございましたけれども、そういった現実課題を前提としながら、 問題解決を図るためにカリキュラムを見直そうとしているのかといったことについて、 お話しいただければと思います。 ○京極座長 これにつきまして事務局の方から。 ○福島精神・障害保健課長 2点ございます。まず1点目の教科書をどうするかという ことですが、共通科目については基本的には同じもので対応すべきと、谷野構成員から の御発言どおり私どもも考えております。それから2つ目の新保構成員からの御指摘で すけれども、共通科目に関する部分というのは、言ってみれば非常にベーシックな部分 で、社会福祉士であれ精神保健福祉士であれ両方とも必要な部分でございますから、そ こについては専門性が拡大している、役割が拡大していると言っても、そのコアの部分 というのは変わっていないわけですから、そこの部分は先に御議論いただくと。それ以 外の専門性が高くなる部分については、今御指摘のように、いろんな領域がふえてまい りますので、そこについてさらにカリキュラムのどこをさらに付加していこうかと。  そういう議論なので、本当は確かにおっしゃるように、カリキュラムの全体像を考え、 それからその目的と言いますか、その役割が達成できるようにどういうふうに教育すべ きかというふうに考えていくのが本来の筋道だと思いますけれども、1つは実際の実務 的養成ということもございます。そして先ほど言いましたようにコアの部分というのは、 どこも余り変わりないという考え方に立っておりますので、そこを先に御議論いただく。 それ以外に在り方については、あるべき形を考え、そしてそこについてのまた必要なカ リキュラムをどうするかというのは、その次の中間報告以降のところで、さらに御議論 をいただくというふうに考えております。 ○谷野構成員 社会福祉士の方の検討はちょっと先に進んでいるでしょう。まだ教科書 づくりまで行っていないと思いますが。専門性を取り上げてもらうのは非常にPSWの 問題性から言って大事なことだと思います。共通科目については、社会福祉士がある程 度進んでいるなら、ここでまた違った方向で検討するよりも、向こうはそれで共通科目 なのだから、それを土台にして検討すればいいのではないでしょうかね。だから共通科 目について、もし社会福祉士の方ができ上がっていれば、その資料を出してもらって、 それでいいのかどうかというコメントだけでいいのではないですかね。 ○福島精神・障害保健課長 実は資料の5の2ページをごらんいただいた方がいいと思 います。共通科目とは何かということで、これは確かに相互乗り入れなのでありますけ れども、概要のところにございますように、共通科目とは何かで、試験科目、指定科目 として共通している科目であって、それぞれ試験免除、履修免除が認められているとい うものでございますけれども、同じ問題も使う。ただ、共通科目が先に向こうで決まる というよりも、うちが先に決めて、それをまた向こうで承認をすると。そういう形に一 応仕分けをしているものですから、基本的に共通科目はうちで決めないといけないとい うことで、向こうの基本的な科目の中で、そのうちのどこを共通科目として我々はとら えるのかというところについては、ここの場でやっぱり御議論いただくべきものと考え ております。 ○京極座長 社会福祉士の方の科目はかなり大幅に変わったので、ちょっとわかりにく いのですけれども、介護福祉士がまず変わり社会福祉士が変わりと。そしてその影響に よって精神保健福祉士も変わる面と、それからそれだけではなくて精神保健福祉士にあ るべき今日の状況に見合った内容の検討というのが重なっておりますので、ちょっと面 倒くさいのですけれども、順次議論をしていきたいと思います。 ○福島精神・障害保健課長 今の御指摘については、資料5の説明後また改めて御議論 いただければと思います。 ○京極座長 そのほかございますか。  ○石川構成員 今回の議事案が「養成の在り方」ということでありますから、そこに特 化して検討を加えるということは十分承知しておりますが、先ほど部長のごあいさつの 中で、本来の中間ですと法律が変わって養成がという、大きいところから詰めていく順 番なのかもしれませんが、養成する中身を検討した上で、法律もそれに合わせて変えて いくかもしれないというニュアンスでお話をお聞きしたわけであります。そうした中で いわゆる国家資格のソーシャルワーカーの位置づけをどのようにしていくのかという御 議論も、当然今後出てくるのではないかなと思われますし、また、社会福祉士と精神保 健福祉士の関係性をどのように位置づけていくのかということも必要になるかと思われ ます。つまり法律の改正まで何とかつないで、議論を進めていただければという願いも あわせて申し上げました。 ○京極座長 それにつきましては大きな問題提起でありますので、課長の方から。 ○福島精神・障害保健課長 先ほど部長のごあいさつでも申し上げましたけれども、こ れまでの御議論によりまして、法改正をやはりすべきという中身がございましたら、そ れは私ども自立支援法の見直しに合わせて、できるだけその時期に合わせて法改正もす るということを検討しておりますので、またそれはこの場のまさに御議論次第だという ふうに考えております。 ○京極座長 それではよろしいですか。中村部長が国会のために11時を目処に御退席 されますので、その間はいていただいて議論を聞いていただくということになっており ます。それでは続きまして資料4の「精神保健福祉士の現状について」、これについて御 説明をいただきます。 ○川田障害保健係長 それでは資料4の「精神保健福祉士の現状について」、御説明を させていただきたいと思います。精神保健福祉士に関する検討をしていただくに当たり まして、現状に関するデータ等をお示しする資料でございます。1ページをごらんくだ さい。精神保健福祉士の概要でございますが、上段には精神保健福祉士とはということ で、法律上の精神保健福祉士の定義を記載しております。簡単に御説明いたしますと、 「精神科病院や施設等におきまして、社会復帰途上にある精神障害者の社会復帰のため の相談援助を行うソーシャルワーカーの国家資格」と定義をしております。  続きまして下段をごらんいただきますと、試験の受験・合格状況及び登録状況でござ います。精神保健福祉士になるためには、国家試験に合格後、登録簿に登録して資格を 取得することとなりまして、平成19年3月末現在で約3万人が精神保健福祉士として登 録をされております。平成10年度に第1回の国家試験が実施されてから、これまで9回 の国家試験が実施されている状況にございます。  続いて資格取得方法でございますが、資格を取得するために、まず国家試験を受験し なければならないわけでございます。受験資格を得るためには条件がございまして、受 験資格は4年制大学において厚生労働大臣が指定する科目、これを指定科目と言います が、これを修めて卒業した者及びこれに相当する者に与えられております。この図のと おり、複数方法がございまして、この中から代表的なものを御説明いたしますと、一番 左にあります4年制の保健福祉系大学等において指定科目を履修して、受験資格を得る 方法。  また左から4つ目にあります、4年制の福祉系大学等において、基礎科目を履修した 後、短期養成施設において指定科目のうち基礎科目を除く科目を履修して受験資格を得 る方法。  右から5つ目ですが、4年制の一般系大学等を卒業し、一般養成施設において養成カ リキュラムを履修して、受験資格を得る方法などがございます。また、社会福祉士有資 格者につきましては、社会福祉士の養成課程において、既に基礎科目は履修しているた め、短期養成施設で履修後、受験資格が与えられております。  続いて資格取得方法別受験者数及び合格者数でございますが、表の一番下にあります 受験者に占める合格者の割合、合格率でございますが、最も高いのが短期養成施設の 86.9%。続いて一般養成施設の73.0%となっております。  続いて精神保健福祉士の現状(1)でございますが、平成17年10月現在での病院、 一般診療所、精神障害者社会復帰施設、精神障害者社会復帰施設を除く社会福祉施設等 における従事者数でございます。なお、括弧内の数字は1施設当たりの従事者数となっ ておりまして、病院での従事者数の内訳でございますが、精神科病院が1施設当たり3.6 人と最も多い状況となっております。  続いて精神保健福祉士の現状(2)でございますが、このデータにつきましては、出 典にありますとおり、日本精神保健福祉士協会において、協会の構成員を対象として実 施されました調査結果のデータでございます。集計データの方は約3,000人となってお りますので、約3万人登録されております有資格者全体の約10分の1を表すデータとな っております。まず左の性別でございますが、約6割が女性となっております。右の年 齢階級でございますが、30歳代が36%と最も多く、次に20歳代の27.6%、40歳代の 18.7%となっております。  続いて精神保健福祉士の現状の(3)でございますが、精神保健福祉士が有する他の 資格・免許の状況でございます。社会福祉士の資格を持っている者が最も多く約40%、 次に介護支援専門員の約20%、次に幼・小・中・高教諭の15%となっております。  以上が資料4の説明でございます。 ○京極座長 ただいまの説明について御質問のある方、御発言をお願いします。どうぞ。 ○谷野構成員 4ページ目の精神科病院は初めこういった議論があったのですよ。大体 1病棟1人というようなことを考えれば、今、日本の平均病床数が250ぐらいだから、 それを1病棟60人なんていうところは今ありませんけれども、大体そういう点では努力 しているのではないかなと。1病棟1人ぐらいは張りつける。病院によってはばらつき がありますから、そういう計算をかつてやっていたときもあるわけです。ただ、残念な がら一般病院は少ないですよね。  次の一般診療所で聞きたいのだけれども、これは一般診療所というよりも日精診で何 人、一般診療所で何人と分けなければ、やはり精神科の診療所はこんな0.01人なんてい う数字はないと思うのですよ。これはデータが何か出ているの? ○川田障害保健係長 これは下の出典にもございますとおり、平成17年の医療施設調 査という調査結果でございまして、一般診療所をさらに分類した形での調査は行ってお らないということで、このような結果となっております。 ○福島精神・障害保健課長 多分診療所の精神科を標榜する診療所だけを抜き出して、 それを分母にもう一度これを、そこで従事しているPSWだけをまた抜いて分母・分子 にして、それでもう1回集計をすれば、多分、先生の御指摘の数値が出てくると思いま す。 ○谷野構成員 可能だし、日精診に一遍聞いてみられたらいいですよ。 ○福島精神・障害保健課長 はい、わかりました。1つは、確かにこれは必ずしも実態 を適切に表現している数字ではないようにも思われますので、そこら辺はまた別途入手 の努力をしてみたいと思います。 ○新保構成員 この資料4の提出意図なのですけれども、現状をしっかりと見据えてく ださいということは、この精神保健福祉士の養成、すなわち精神保健福祉士の配置の将 来像を見つめながらこんなことを考えてくださいというふうに言っているのかなと、今 思ってもいるところなのですが。いずれにしましても、今2人の先生がおっしゃられた 4ページのこの数値。その中で私は社会福祉施設の経営者でございますので、養成校か らの受け入れ側、実習も受け入れ側でありますし、職員の採用もする側ではございます が、ここでの1施設当たり平均1.2人というのは、これは妥当な線だというふうに思っ ているのですが、実は自立支援法の施行に伴いまして、精神保健福祉士の配置義務がな くなってしまいました。したがって、そういうふうに考えますと、この数値が社会福祉 施設の有効支援を維持できるのかどうかは、大変疑問のあるところであります。したが って精神保健福祉士の養成に当たって、この資料が例えば将来の配置とか病院の点数に まつわるような社会福祉士、精神保健福祉士の養成カリキュラムを検討するための配置 目標資料というふうに考えてお出しになられたのか。その意図について御説明いただけ ればと思います。 ○福島精神・障害保健課長 これはどこに配置されているかという現状を淡々とお出し をしたわけですが、もちろん将来どういう役割を担っていただくのかという、最初の議 論に戻りますけれども、役割の拡大ということを考えるときに、どういうところへ今後 さらに配置をしていくべきだと。そういうことも含めて御議論いただくための資料で、 若干頭の整理のための資料というふうに考えております。 ○京極座長 これは谷野先生が先ほど質問されたように、主として精神障害者を重点に やっている施設での割合と、そうじゃないところで大分論法が違うので、これは統計的 にはなかなか難しいと思うのですけれども、何か新しい業界の方でもし分類があれば、 そういう資料も参考に出していただければと思います。 ○谷野構成員 もちろんぜひ頑張ってほしいのは、今ちょっと言われたのだけれど、精 神保健福祉士が抜けたわけではないのですよ。等の中に入っているわけですよね。だか ら社会福祉士・精神保健福祉士とちゃんと明記しないとそれはだめですよ。等ではだめ。 ○大塚構成員 関連してですが、4ページの資料の出典が平成17年の社会福祉施設等 調査ということで、今もお話が出ていましたように、ほとんどが精神障害者を対象にし た領域での配置状況だと思うのですが、私どもの協会での構成員実態調査では、なかな か正確な分類ができておりませんが、最近の状況で「その他」という分類にくくられる 数が15%近くと多くなりました。  その中の多くがいわゆる小規模作業所だったところもございますが、社会福祉協議会 ですとか、それから医療観察法の関連で保護観察所ですとか、それから最近目立ってき ているのが、株式会社ですとか介護施設領域とかホームヘルパーの領域とか、またコー ディネーターという形で入っていたり、スクールソーシャルワークや産業保健などの分 野にも目立ち始めてきているということですので、精神障害者領域以外でも随分実際に は配置され活躍している状況があるという御紹介させていただきます。 ○京極座長 それでは資料4の御説明はこれぐらいでよろしいですか。続く第5のとこ ろがきょうのメインテーマということになりますか。続きまして資料5「精神保健福祉 士と社会福祉士の共通科目について」、御説明をお願いしたいと思います。 ○川田障害保健係長 資料5「精神保健福祉士と社会福祉士の共通科目について」でご ざいますが、本日御議論いただきたい資料でございます。まず1ページ目をごらんくだ さい。こちらにつきましては参考としまして、大学や養成施設で履修する科目と試験科 目ということで、現行の精神保健福祉士養成施設養成課程等と試験科目でございます。 左から一般養成施設における教育カリキュラム及び時間数、次に法第7条第1号の指定 科目として定めている科目。次に法第7条第2号の基礎科目として定めている科目。右 端に国家試験科目の一覧でございます。このうちピンクで色分けをしている部分が、い わゆる社会福祉士との共通科目でございます。  共通科目とその設定の考え方でございますが、本日、社会福祉士との共通科目につい て検討する上で、共通科目とはどういうものなのか。また、どのような理由から共通科 目があるのかを御理解していただくために、共通科目の概要と共通科目を設定する考え 方をまとめております。まず共通科目の概要につきましては、社会福祉士と現行の試験 科目及び指定科目(養成課程上の科目)において共通した科目である。2つ目としまし て、社会福祉士有資格者(または、精神保健福祉士有資格者)については、精神保健福 祉士(または、社会福祉士)における試験科目について、共通科目における試験科目の 免除及び、試験科目における共通科目の履修免除が認められている。つまり一方の資格 を持っている方は、他方の資格に関する試験科目の免除ですとか、履修の免除が認めら れている。3つ目としまして、試験科目における共通科目についは、同じ問題が使われ ている。  次に共通科目を設定する基本的な考え方でございますが、社会福祉士と精神保健福祉 士については、その政策目的が異なることから、別法によって資格を定めているが、(1) 両者ともケースワークやグループワークといったソーシャルワーク技法を用いて相談援 助を行うこと。(2)としまして、両資格とも社会福祉原論や地域福祉論といった社会福祉 制度等に関する基礎的な知識を必要とすること等、その専門性において共通の基盤を有 することから、可能な範囲で共通科目を設定し試験及び履修の免除を認めることで、両 資格に求められる知識、技術に係る水準の同一性を担保している。国家資格を付与する に当たりまして、これらの同水準を担保しているものであるということでございます。  士士法の改正を踏まえたカリキュラムの見直しの進め方についてですが、士士法とい うのは社会福祉士・介護福祉士法でございます。社会福祉士の法律の改正に伴い教育カ リキュラムの見直しはされたものの、共通科目を設定する基本的な考え方を踏まえまし て、精神保健福祉士の教育カリキュラムの見直しに当たっては、この共通科目をどのよ うに整理するかと考えますと、1つ目の○に書いてありますとおり、両資格を取り巻く 環境の変化に違いはあるものの、社会福祉制度等に関する基礎的な知識を必要とするこ と等、その専門性において共通する基盤があり、両資格に求められる知識・技術に係る 水準の同一性を担保する必要があることから、精神保健福祉士の養成の在り方等の見直 しに当たっては、共通科目制度を維持することが妥当であると考えております。  さらに2つ目の○でございますが、仮に共通科目が維持できなくなった場合の問題点 として考えられることは、(1)としまして受験者の負担増。これは両資格を取得しようと した場合に、同一の科目を2度履修したり2度受験しなければならないといったような 負担増が伴う。また(2)としまして養成校の運営上の負担増。教員・教材の確保ですとか、 受験生離れ等が考えられるのではないかというような問題点がございまして、この2つ の点を踏まえまして、下段にあります検討の進め方のとおり、本検討会は進めさせてい ただきたいと考えております。  まず1としまして、共通科目制度を維持することを前提に、社会福祉士のカリキュラ ムの変更に伴う現行の共通科目に相当する科目を共通科目として位置づけることについ ての妥当性を先行して検討する。少しわかりにくい部分がございまして、4ページをご らんください。右側に社会福祉士の現行のカリキュラムと見直し案をお示ししておりま す。点線で囲い色分けしている部分が現行の共通科目でございまして、矢印のとおり科 目の対比をしております。ただし、この矢印はあくまでも社会福祉士の見直しの際に行 ったものではなく、私ども事務局において独自に行ったものでございます。これを精神 保健福祉士に置きかえたものが左側の精神保健福祉士の見直しでございまして、見直し 案において矢印に○印をつけている科目につきましてしは、共通科目とて位置づけるこ とが妥当と考えた科目でございます。△印につきましては、条件つきで妥当と考えた科 目でございます。なお、法学につきましては、社会福祉士のカリキュラムの見直しにお いて廃止をされておりますので、当面は共通科目以外の科目として位置づけることを考 えております。この事務局見直し案につきまして、構成員の皆様方にこの共通科目とし て位置づけることの妥当性を検証していただき、次回の検討会までに整理させていただ きたいと考えております。  3ページにお戻りいただきまして、2番の次の検討の段階としまして、(1)上記以外の 科目について、さらに共通科目として位置づけるかどうかの検討、共通科目の範囲をど こまでとするかの検討でございます。(2)で共通科目以外の科目の内容に係る検討。大変 恐縮でございますが、また4ページをごらんいただきまして、御説明をさせていただき ますと、今御説明させていただきました次の段階としまして、社会福祉士の見直し案に おいて共通科目として位置づけた科目以外、つまり点線より下にございます福祉サービ ス組織と経営がございますが、これより下の科目につきまして、さらに今後共通科目と するべき科目があるのかの検討を行います。そして最後に現行の精神医学、精神保健学 などの精神保健福祉士の専門的な科目についての検討を行うというような流れで考えて おります。  資料の5ページ以降につきましては、この4ページの共通科目として位置づけること の妥当性を検証した際の各科目の資料でございまして、この資料の見方を御説明します と、まず現行の社会福祉原論についてですが、条件つきで妥当と考えた科目でございま して、左側の現行の社会福祉原論では、本科目に対しましてまず目標及び内容が下に示 されております。それに対しまして、社会福祉士の見直し案の現代社会と福祉及び福祉 行財政と福祉計画では、本科目に対するねらい及び含まれる事項というものが示されて おりまして、この現行の内容の部分から見直し案が含まれるべき事項に読みかえられる 部分について赤の矢印を引いております。つまりすべて矢印が引けた場合につきまして は、共通科目として位置づけることは妥当ではないかと考えております。  現行の社会福祉原論につきましては、教育内容の4の社会福祉援助活動における専門 性と倫理のみ矢印を引くことができておりませんが、この内容につきましては精神保健 福祉技術援助論等において整理することが可能と考えられますので、事務局としまして は条件つきではありますが、共通科目として位置づけることは妥当であるというように 判断をしております。  現行の社会保障論につきましては、社会福祉士の見直し案の社会保障に対しまして、 内容から含まれるべき事項にすべて矢印が引けておりますので、事務局としては共通科 目として妥当であると判断をしております。  現行の公的扶助論につきましても、低所得者に対する支援と生活保護制度に対しまし て、すべて矢印が引けておりますので、こちらにつきましても事務局としては共通科目 として位置づけることは妥当であると判断をしております。  現行の地域福祉論につきましても、社会福祉の見直し案、地域福祉の理論と方法に対 しまして、内容から含まれるべき事項にすべて矢印が引けておりますので、事務局とし ましては共通科目として位置づけることは妥当であると判断をしております。  現行の心理学につきましても、社会福祉士の見直し案、心理学理論と心理的支援に対 しまして、内容から含まれるべき事項にすべて矢印が来ておりますので、事務局としま しては共通科目として位置づけることは妥当であると判断をしております。  現行の社会学につきましても、社会福祉士の見直し案、社会理論と社会システムに対 しまして、内容から含まれるべき事項に対してすべて矢印が引けておりますので、事務 局としましては共通科目として位置づけることは妥当であると判断をしております。  現行の医学一般につきましても、社会福祉士の見直し案、人体の構造と機能及び疾病 及び保健医療サービスに対しまして、内容から含まれる事項にすべて矢印が引けており ますので、事務局としましては共通科目として位置づけることは妥当であると判断して おります。  以上が事務局によります社会福祉士との共通科目の見直し案でございます。どうぞ御 審議のほどよろしくお願いします。 ○京極座長 細かい資料もございますけれども、ただいまの説明について質問のある方、 どうぞ御発言をお願いいたします。 ○鹿島構成員 確認ですけれども、社会福祉士の案はかなり固まったものと考えてよい のでしょうか。この案にこちら側からの修正が加えられるということと理解してよろし いのでしょうか。 ○川田障害保健係長 そのように修正を要望する予定でございます。 ○鹿島構成員 社会福祉士の案は大体この案と決まっているのですか。 ○川田障害保健係長 今お示ししております資料につきましては、昨日パブコメで掲載 されております内容に基づいて資料を作成しておりますが、今後、そのパブコメでの意 見を踏まえてカリキュラムが確定することになります。 ○鹿島構成員 共通科目につきましては、今後の段階として、更にふえるかもしれない というお話しですね。それらは今回検討するのではない、今後の検討ということでしょ うか。 ○川田障害保健係長 はい、そうでございます。今回につきましては、今お示ししてい る科目を共通科目として固めまして、来年の2月以降につきまして、さらに共通科目と するべき科目があるのかどうかを判断していただき、ある場合であれば、さらにその科 目につきましても、新たに共通科目に加える整理するというような検討の進め方を考え ております。 ○鹿島構成員 どうもありがとうございます。わかりました。 ○野崎課長補佐 補足をさせていただきますと、きょうお示ししているものは、社会福 祉士の見直しに伴って共通科目をどう位置づけるかということでございますので、仮に 今後、精神保健福祉士の役割を見直す中で、これについても共通科目とすべきだという ことであれば、いわゆる社会福祉士のカリキュラムの施行が21年の4月ですけれども、 それとちょっとおくれたタイミングでもう一度共通科目として設定ということになりま す。これは養成施設の負担とかいろいろございますので、今回2月まで御議論いただく のは、もう本当に最低限のものとして、その後いろんな役割の見直しの中で追加すべき ものがあれば、また別の次のスケジュールの段階として整理させていただければと考え ております。 ○京極座長 どうぞ御自由に御発言ください。これは全員が発言しても結構だと思いま す。私も個人的には意見を持っていますから。特に社会福祉士は今パブコメでいろいろ なところから意見をいただいていますし、ここの検討会で出たことも当然パブコメより もっと重たい発言になると思うので、そういうのも反映されていくと思いますが、どう でしょうか。ちょっとこれは社会福祉士の方はまだ完全に固まっていないので、社会理 論と社会システムのところなのですけれども、これは社会学の横滑りという意味で、資 料としては10ページになっていますけれども、私は法学とか法的システム、あるいは法 学法律システムというか、あるいは行政システムとか、そういう社会システム論として 少しきちっと位置づけないと、経済システムもそうですけれども、いわゆる社会政策的 な理論と社会システム論だとちょっと弱いと思うのですね。  ここはちょっと社会学の延長になりすぎているきらいがあるので、このあたりは法学 をも社会福祉士に入れるときにかなり議論しまして、なぜ法学なのかと。経済が入らな いで法学なのかというのがありましたが、実際ソーシャルワークとして人と接触すると きに、権利の問題とか契約の問題とかその他いろんな法律に絡むものがあって、憲法・ 民法・行政法ということで、そちらでやったのですが、その分け方がやや法学の教科書 的なやり方で、本当に現場にふさわしい法律学かどうかと言うと相当問題があったので すけれども、差し当たり制度がスタートするに当たっては、そういう形で法学を位置づ けたと。これは時代によって見直して、広い社会理論の中で位置づけているということ が必要で、それ以外のいろんな法律的なことについては、それぞれ各科目の中で触れざ るを得ないので、それとオーバーラップしてもいけないので、そこはもうなかなか悩ま しいのですけれども、体系的に整理する必要があると思います。 ○古川構成員 資料の説明ということを超えて、中身についてよろしゅうございますか。 今もちょっと話題に出ておりました法学なのですが、社会福祉士の方で法学をこの資料 の中では廃止と書いてありますが、廃止した理由というのは私もよく承知しておりませ んのであれなのですが、多少想像するに、赤い点線の下の成年後見制度とかあるいは更 生保護というところへ法学の中身を移したのかなという感じを持っているのですね。先 ほど、座長の話にもありましたように、法学という形で置いておくと、法学の概論はや ってしまうという。これはほかの心理学も社会学もそうなのですが、それを避けて制度 に近づけた形での心理学やあるいは社会学としていかなければならない。その流れで考 えてこられたのだろうと思うのですね。  そういうふうに考えると精神保健福祉士の方でも、内容的にはやっぱり法学的な部分 は必要であろうかと思うので、法学という名称で従来やったような法学の一般的な概論 を想定させられるような名称より、もうちょっと中身に入って、例えば成年後見とかあ るいは更生保護とかという、そういうような中身を具体的に表に出すような形で設定を するのか。私は後のやり方の方が実際の流れとしてはいいのではないかと考えているの です。これはここに共通とくくってあるところから外れてしまうところなのですけれど も、そのあたりはどうなのかということですね。別枠の法学を置くというよりは、中身 を少し検討していただいて、できるだけ共通部分は共通部分として設定をしていただく。 そこに入れていただいた方が良いのではないかということでございます。 ○京極座長 ありがとうございます。どうぞこれはすべての構成員の方に。一巡したと ころでまた。それでは鹿島先生、医学のこともかなり出ておりますので。 ○鹿島構成員 これまでのものは、個々の疾患や細かい部分にやや片寄っていたのだろ うということで、今回整理されたと理解しております。もう少し具体的な内容というか シラバスのようなものがわかれば意見が言いやすいのですけれども。まとめ方はこうい う形の方がよいと思いますが、実質的な内容がどうなのかちょっとわかりませんので、 それをまた見せていただければと思います。以上です。 ○大塚構成員 私も古川構成員と同じような意見なのですが、現場からしますと、最近、 成年後見制度は大変要請が強くなってきていますし、更生や矯正に関連して、例えば刑 務所にも実際に配置されるようになってきておりますので、更生保護制度の問題、加え て社会福祉士の点線から下に書いてある自立支援法の問題など、様々な制度が関与して くるようになっていると思っております。ただ、おそらく実務的な作業として、今回2 月までのところでは、現行の共通科目をそのままスライドするのかなと先ほどから伺っ ておりましたので、3月以降のところの現状を踏まえた共通科目の拡大の可能性を探る ときに、ぜひその辺は入れ込んでいった方がいいし、間に合うのであれば今回と思いま すが、それは大変厳しいのだろうと感じておりますので、3月以降のところでぜひ検討 させていただけたればと思っております。  少し印象になってしまうのかもしれませんが、今回、社会福祉士に関する見直しから、 この科目が検討されているところで、随分科目名称が大枠から細かい制度・施策に結び ついた形になってきているなと感じ、現場ではしっかりそうした内容を学べば生かせる のだろうと思いつつ、大事なことが漏れないという懸念も若干持っている次第です。 ○京極座長 共通科目で必要な成年後見とかその他の制度と、それから専門科目にむし ろきちっと精神障害者の今抱えている課題ということで、しっかり書き込むものと2つ あると思いますので。 ○石川構成員 まず全体の枠組みのところで、どの範囲なのかを考えないといけないか なと思っております。と言いますのは、一般養成施設での教育時間数というのが1つの 大きな縛りになってまいりますので、1,200時間という時間が見直し案では1,140時間 ということでありますが、私の考え方からいたしますと、1,200何時間とこう200を超 えるのかどうかわかりませんが、養成施設が養成できないということになるとするなら ば、この時間数は十分に検証しなければいけないと思いますけれども、まずは全体の枠 組みというあたりが気にかかるところです。  続きまして共通科目ということになりますと、その枠組みの時間の中で共通科目の時 間数が決まってくると。いろいろなものを盛り込みたいという思いはたくさんございま すが、しかしながらそれはかなわないことも出てまいります。そうした言い方は少々適 切ではないかもしれませんが、そう考えてまいりますと、実は共通科目を限りなく広げ れば、専門科目は限りなく少なくなるかもしれないと。こういうようなこともございま すので、できれば専門性を担保するというところを考えていきながら、決めなければい けないという大変難しい選択に迫られるということが2つ目にあろうかと思います。  それから中身に入っていきたいと思いますが、3つ目は考え方といたしまして、現行 の養成制度、試験制度と大幅に変わってしまうということは、教育の連続性からしても 余り適切ではない。その中身を変えていくというのはとても重要かもしれませんが、そ の意味で申し上げますと、先ほど古川先生がおっしゃっておられたように、法学という 名称はいかがなものかと思いますが、きちんと位置づけていくという必要があるように 思えてなりません。そうした連続性を考えていくということを踏まえていったときに、 共通の部分は冒頭にも申し上げましたが、ソーシャルワーカーとしては共通だと。この あたりのところをどう担保できるのかというところが重要かなと思っております。その 社会福祉士と精神保健福祉士の、それぞれの専門性の共通する部分、違う部分というも のを、どう科目の中で検討するのかということになります。きっとこれは2月以降にな ろうかと思うのですが、そこで十分議論できるように少しゆとりを持たせていただける とよろしいのかと、こんなふうに思っております。  最後に今回の社会福祉士のカリキュラムをパブコメで見せていただいたときに、社会 福祉という言葉が消えてしまいましたので、基礎とする学問が社会福祉学だと、こうソ ーシャルワーカーの人たちが言ってきたわけでありますが、ちょっとそのあたりが少々 どこを軸足にするのかというところが気にかかるところでございますし、法制度を十分 に理解した上で運用していくというソーシャルワーカーはとても重要だということはわ かりますが、そうしたことを束ねるところの理解が十分に得られないと、ハウツーとは 申しませんが、軸足の定まったソーシャルワーカーを育てるという意味で、重要ではな いかなと思っております。以上です。 ○京極座長 大変大きなまとめの整理をしていただきましたけれども、全体の総枠とい うこと、時間数ということもありますし、またその中で共通科目と専門科目の配分がど うなのかということも含めまして、どこに落としどころがあるかというと、なかなかこ れから難しい問題があると思いますが、それでは古川先生、もう一度全体について何か ありましたら。 ○古川構成員 全体についてということでございますけれども、基本的には精神保健福 祉士と社会福祉士というのは共通部分を当然持っているわけですし、その共通部分をで きるだけある意味ではふやしておく必要があって、中身も充実をさせていった方がいい のではないか。その上でそれぞれ専門とするところについて、どうするかという議論の 仕方をした方がいいのではないかと思っています。将来的な制度の在り方などもいろい ろと考えられるところでありますので、あるいは精神以外にもいろいろな領域ごとの社 会福祉が登場するなんていうこともひょっとするとあり得るかもしれませんし、そうす るとやはり基本的な構造物をしっかりと固めておくということが、まずは必要なのでは ないかと思っております。そのことが1つですね。  それから私は時間数その他について、ちょっとよくわからないところがありますので あれですが、先ほど御意見がありましたように、共通する、よって立つ学問は何かとい う。これはまたこれで大変難しいところではありますけれども、私なんかの思いからす ると、ここで福祉というふうに言っておられるのは、これはやっぱり社会福祉のことを 指していると解釈をしたいところになります。ただ、社会福祉の範囲もだんだん拡大を して考えられるようになってきている面がありますし、最近では社会政策という言葉も 随分従来の労働政策的な部分から広げて、社会政策を考えるという流れがございますの で、社会福祉の方も余り限定をして考えない方がいいのではないかというふうには思っ ています。  ただ、やっぱり学生を育てるという側から行きますと、やっぱり何かアイデンティテ ィーをどうつくらせるかは非常に重要なことだというふうに考えておりまして、これは おそらく専門職としての資格を獲得して、活動される場合にも、自分たちのアイデンテ ィティーをどうつくるかというのは大変重要だろうというふうに思っております。です からできるだけ視野は広げた方がいい。しかしよって立つところはきちんとした方がい いと私は思って、そういう意味ではやっぱり社会福祉学というもの、きちんと学習をさ せるという、そういうことが必要ではないかというのが私の意見でございます。 ○寺谷構成員 大筋は余り変わるところはございませんけれども、もう少しちょっと踏 み出した考え方から申し上げますと、医療観察法の施行ですとか、または退院促進とい うようなところで、一定程度の後見が付与される時代で、例えばアメリカなんかですと、 引きこもりのまたは虐待の問題に立ち入り権が一定程度限定的に付与されるなんていう のも、もう数年前からございます。そういった中での意味で、私は法学を一般論として の法学ではなくて、人権または権利というようなところに根付いたものとして、よけな い方がいいかなという感じを私は持っております。  そういった意味で、もうちょっと権利擁護ですとか人権にもっと立脚した、精神領域 では社会的復権なんていうような言葉が古くから使われていましたけれど、そんなよう なもので将来どういうPSW像があるのか。そして精神医療も同じ地域の中でもチーム の中で、法的な領域とネットワークを組むということが、日常的にもなってきておりま すので、その辺を考えて一定程度の個の尊厳を尊重するという概念に結びつけるなら、 自立支援も考え方として避けて通れないというふうに思っております。 ○谷野構成員 僕は大学を卒業された人を採用している立場ですから、大学教育でどう いう教育を受けてきたのかというのを、無責任なようですけれども余り現状を知らない のですね。ただ、変な話ですけれども、PSWの資格化のとき、あれだけ対立していた 社会福祉士がこういう時代を迎えたなと極めて複雑な思いは持っているわけですけれど も、それはプラスの方向に考えればいいわけですけれど、今回やはり医療制度改革とか 多分影響したのでしょうね。それから高齢者の問題とか自立支援法とか、そういうこと が影響して、当然のことながらやはり社会福祉士の方々も医療を避けては通れないとい う。僕は前からそう言っていたのですけれども、医療に対してかなりアレルギーを持っ ておいでの方が十数年前はありました。  それはそれとして、1つは不思議に思っているのですけれども、社会福祉士のこれは 教育の、余り露骨に言ってはいけませんが、要するに社会福祉士の方々の国家試験の合 格率が何であんなに低いのかですね。これはやはり教育の問題にあるのか、どこかほか の問題にあるのか。こういう点もやはりきちんと教育の中で考えていかなければ。それ と同じようなことが精神保健福祉士にどんどん今合格率が下がってきていますので、 30%台になったら大変だなという気がいたしますね。 それともう1つは、理想論を語るのはいいですけれど、僕は余り思いたくないですけれ ど、教育の現場ではかなりそれが盛り込まれているのに、ほとんどそれが実践されてい ないというか、例えば病院実習の半日さっと回って病院見学ということで終わってしま っているとか、そのほかに言いたいことはいろいろありますけれども、盛り込まれてい ることはいいけれども、それが本当に教育として行われていないのが一部と思いたいで すけれども、そういうことがあると聞いております。  そういうことで、僕はやはり特にこれからは、ターミナルケアのところに何で私が入 ったかよくわからんのですけれども、ターミナルケアのところに社会福祉士が入ってお られましたよね。それで社会福祉士が入っておられたのは社会福祉士としてではなく、 医療ソーシャルワーカーとして入っておられたのですね。医療ソーシャルワーカーとし て名乗られるのは、ああそうかなと思ったのですけれども、医療ソーシャルワーカーは 国家資格がないですから、そういうふうに名乗られていいのですけれど、ただ、医療ソ ーシャルワーカーとして社会福祉士もそういうふうな活躍をされていく方向に行くのか。 そうであれば、ともかくPSWも社会福祉士も、やはりこれからの大きな問題は高齢者 の問題、認知症の問題、そういうところあたりを十分にやはり教育を充実してもらいた いなと。変な話、統合失調症の世界よりもむしろ、この人たちの問題の方が大変になっ ているのではないかなというような気がいたしますね。そこら辺が現場でどう教育をさ れ、実習もされるのかということを、きちんと担保してもらいたいなと思います。 ○新保構成員 私も大分昔、日本医療社会事業協会の理事として、国家資格化を求めた 活動に若干かかわったことがありますけれども、その流れから行けば、社会福祉士学と いうのをPSWや医療ソーシャルワーカーもすべてが共通基盤としています。その共通 基盤の上に立っていわゆる専門職性というか、そういったものをしっかりと担保できる ような教育や資格制度であってほしいというのが実は基本でございます。それが基本で はあるのですが、たまたま制度が社会福祉士と精神保健福祉士というふうに分断してし まった。  そういった中で、ではどのようにしていったらいいのかということを考えると、やっ ぱり専門職性は何かということを一応しっかりと見据えながら、議論していかなければ いけないのではないかという思いもあって、最初の発言で「まずはどういう前提で考え るのだ?」というようなことを御質問させていただいたわけです。それはそれとしまし て、古川先生の「これからできるだけ共通科目をふやして」云々というのは、介護福祉 士と社会福祉士の改正案のポイントの中で、すべての専門職はある意味で一定の教育プ ロセスを経て、その上で国家試験をすることが前提でございますので、その意味で大変 大事なことです。その上でさらにその文言の中でもポイントで、高い実践力を有すると いうことが確か示されていたというふうに思っているのですが、その高い実践力を示し ていくために、先ほどの例え話としての法学をやるのではなくて、もっと今日的なニー ズに即した権利擁護だとかそういったものをしっかりと担保すればいい。そのために教 育をしっかりすればいいというお話でもありました。それはそれで事実だというふうに 思うのですが、私も実は実習を受ける側、あるいは職員を採用する側で、小さな社会福 祉施設を営んでいますが、そこで精神保健福祉士だけでも10名以上の専門職がおります。 この方々が一体どんな力量があるのか、どんな資質があるのかということを、私の施設 の職員に失礼かもしれませんけれども、いつも考え思いあぐねながら、実は卒後教育と いうか、採用後の教育をせざるを得ないという現実があります。  その採用後の教育をするときに、何が一番大事なのかなというふうに思うと、実はや っぱり専門職制を支えるためのいわゆる価値意識、社会福祉士・介護福祉士の見直しの ポイントから行けば、誠実義務というのが確かあったと思います。その誠実義務という のをしっかり担保できている人だったらば、仮に知識が若干不足していても間違いなく 伸びていきます。ところが幾ら知識があっても、実はそういった価値観がしっかりと芽 生えていませんと役に立たない。むしろ自分の力量があるかのごとくふるまって、利用 者を振り回したり、利用者の人権を阻害したりするという現実があるわけですね。です からこういったことを考えていきますと、やっぱり教育のカリキュラムを考えるときに は、その辺がやっぱりしっかりと担保されるべきで、そういう前提で石川先生もあるい は古川先生も、社会福祉学という学問をしっかりと担保しなければいけないというふう におっしゃったのだと、私自身は思っております。  具体的に申し上げれば、5ページの社会福祉原論のところを見させていただきますと、 さっと見た程度の意見で申しわけないのですが、例えば見直し案で、現代社会と福祉の 中で見ていきますと、確かに理念といったものについては冒頭で制度の意義や理念とい うことで触れられておられますが、それはどこで担保するのかなと思うと、主に(2)の福 祉制度の発達過程で、いわゆる価値意識というよりも障害者理念や支援を要する人、要 支援者にかかわる理念を教えていくのかなというふうに思いながらも、先ほど申し上げ ましたような社会福祉専門職の前提としての人間を大事にすることが教えきるのだろう かというふうに思うのですね。ここのところをどういうふうに教育したらいいかという のはおそらく大きな課題で、もちろん座学では無理かもしれませんけれども、座学の中 にもそういったことを盛り込んでおく必要はあるだろうと思います。もしそうだとすれ ば、例えば仮にですが、(2)と(3)の間に精神の領域で考えれば、社会サービスと人権擁護 というような形での項目があった方がいいのではないかというようなことが考えられる というふうにも思います。  いずれにしましても、この支援システムと人権等については、精神の領域でしたら、 それはもちろん精神保健福祉論の中に盛り込むことも十分可能なのでありますけれども、 しかし冒頭申し上げましたように、社会福祉学ということも、できれば先生がおっしゃ るように、共通のところをふやしていくのが本筋であるというふうにも思いますので、 そういう前提に立てば、やっぱりこういったところをしっかりと担保したものになって ほしい。そういったことを含めながら、この科目検討をさせていただけるとありがたい なというふうに思っております。 ○京極座長 どうもありがとうございました。まだ発言は足りないと思うのですが、私 も一委員として言いたいことはたくさんありますけれど、さっき石川構成員がお話しに なった、この制度ができるときに社会福祉士と精神保健福祉士は別々にできたので、必 ずしも共通科目と全体の総合事案が一致していなかったりして、それはそれなりにその ときの事情がありましたけれど、将来的なことを考えたときに、なるべく同じ時間数で、 しかも共通科目は5割になるか6割になるかは別として、ベーシックなところは同じ時 間と。専門部分も時間数的にはどちらが上とか下とかいう関係ではありませんので、相 互乗り入れがこれから始まってきますと、時間的にはかなり共通時間でいいのではない かという感じがしています。  それで私なりにちょっと。現代社会と福祉とこれに書いてあるのですけれども、社会 福祉の方がいいかなと。現行の社会福祉士の見直しなのですけれども、法学のところは 社会理論と社会システムのところで30時間と書いてあるけれども、これは60時間にし て、法的なものをきちっと位置づけるということ。その中に入るか入らないかわかりま せんけれども、今おっしゃった人権擁護みたいなことをどうするのかということで、援 助技術でも共通面がありますし、社会調査とか成年後見でも共通面はあると言えばみん なあるので、そうするとその時間がどんどん、どんどん共通科目でふえてきますと、今 度専門科目を圧縮するという関係にもなって悩ましい問題が出てくるのです。ある程度、 なるべく半分ぐらいは、少なくとも共通科目という原則で位置づけたら、大分違ってく るのではないか。  それからあといろんな各座学の中でも今の時代の流れということを、例えば医療のと ころもそうでございますけれども、11ページの保健医療サービス(見直し案)でも、現 行の制度の説明というのはもちろん大事なのですけれども、それだけではなくて、在宅 医療の展開が急速に進んでいるわけで、そういうものと在宅福祉が連携して、地域でど う障害者と患者さんが生活できるかということもあるし、何か現状はこうなっています よという説明のみならず、いや、こういう方向に動いているということを、各科目でも きちっと位置づけてもらいたいなと。どうしても制度的な知識で、試験はその方が楽な のですけれども、そういうことはおそらくこの項目だけではなかなか表現できないので、 こうなっているのだと思いますけれども、心としては、各制度とかシステムについても、 時代の流れということをそれぞれ伝えて教育していくということが重要かなと思ってお ります。ほかに追加の発言がございましたらどうぞ。 ○古川構成員 若干つけ加えさせていただきたいと思うのですが、今の座長の話にもあ りましたように、法学という名称を残すかどうかというのは、これは考えどころだと思 うのですが、内容的には多分社会福祉士の方は、成年後見とか更生保護とかいうのが新 しく入ってくるので、時間の制限もあるのでということなのだろうと思うのですが、内 容的にはやっぱりきちんと権利擁護とか人権とかといったようなものをまともに取り上 げる部分がやっぱりないと、それが基本的な視点とか物の場合に、そういうものをつく っていく上で貢献する部分ではないかと思うのですね。  そういう意味では法学を共通科目から外して別に置くということになっていますが、 むしろ積極的に、精神の方からはむしろ人権の問題というのは、今の世の中のことです からきちんと位置づけてほしいということを申し入れとして、内容は新しい内容にして いただきたいというふうに思いますので、その点については問わないけれども、内容的 にはちゃんと復活をしてもらいたいと思います。その上に成年後見とか更生保護とか、 それはそれでまた必要だろうと思いますので、それはそれでやっていただいても構わな いし、それを共通科目にするかどうか。これはまたちょっと別問題として議論していけ ばいいのではないかと思います。全体の時間数が限られているということなので、なか なか難しい面もあろうかと思いますけれども、そのあたりは少し積極的に言った方がい いのではないかというふうに考えております。  それから新保先生がおっしゃったように、あるいは谷野先生がおっしゃったと思いま すが、やっぱり試験問題というのは、試験問題をつくりやすさから言うと、やっぱり制 度の話になってしまうのですね。だけど知識がたくさんあった方がいいのですけれども、 知識があればそれで専門家かというふうに考えると、やっぱり必ずしもそうではないの で、やっぱり基本的な視点とかアプローチの仕方、価値そのものを試験の問題にすると いうのは、これまた難しいので、これはできるだけ相談かなと思うのですが、そういう ものをできるだけもうちょっと平たく言えば、考え方を試験の課題にできるようにすれ ばいいかなと思っているのですが、また何か問題をつくるのは難しいということがある のですね。どうしても知識を聞くということになってしまうので、これは精神保健福祉 士の方だけではなく、社会福祉士の方の試験の在り方も含めて、もう少しそのあたりを 考えていく必要があるのではないかなと、考えさせられているところであります。 ○大塚構成員 どうしても現場からの観点になってしまうのですが、現場では盛んに即 戦力とか高い実践力と言われますが、皆さんがおっしゃるように、ぶれない軸を持った 上でしなやかにちゃんと対応していけるような柔軟な人材、柔軟な力を持つ人がとても 求められていると思います。これは社会福祉士の方の共通科目の最後の詰めがどういう ふうになるかは、多分もう時間との競争になってきている部分もあるかと思いますので、 できるだけ基本的なところが反映されるといいなと思うのです。万が一そこが漏れるよ うなときには、精神保健福祉論などの専門科目の中で、今のような視点を盛り込んで担 保していけたらいいと思います。 ○石川構成員 各論になるのですが。全体の枠組み中で50%ずつなのか四分六なのかと。 このあたりがとても難しいところではあるのですが、やはりどうしても専門性を一方で 視野に入れながら共通を考えなければいけないという双方向の発想で行かざるを得ない といったときに、今のこの図で見てまいりますと演習実習が少ないのですね。谷野先生 がお話しされたように、まさに演習実習でアイデンティティーなり基本的な態度を身に つけるようにしなければいけない。ここのところはどうしても時間が欲しいとなってま いりますと、だんだん現実的な科目自体をどう受けるかというのが、大変難しくなって いるかと思うのです。ここでこういう質問を文部科学省にしていいのかどうかわかりま せんが、社会福祉士の方は実習演習を文部科学省と共管と進めておられる中で、ここの 議論の結果で決まるのだろうとは思いますけれども、やはり質を担保していくというと きには、実習演習も当然大学に対してものを申すというようなことが入ってくるとしま すと、カリキュラムの仕立て方が少し変わってくるかなと、こんなふうに思うものです から、少しお話しできる範囲で聞かせていただければと思いまして。 ○渡部文部科学省医学教育課課長補佐 今の先生のお尋ねは「社会福祉士の方の実習演 習が、今後大学にとってどういうふうに向けられていくのか」という、そんなことでよ ろしいのでしょうか。 ○石川構成員 中身は見ているのですが、それを今回この精神保健福祉士に合わせて、 同じ国家資格でありますから、そういうことを考えていったときに、どういう方向性が 考えられるのかというあたり。 ○京極座長 では、ちょっと補足を。今の石川構成員のお話ですが、社会福祉士の見直 しなど、大学では実習部分については養成施設として外していましたので何でもありで 科目だけやればいいということになっていまして、それであとの実技指導とかその他、 きちっとした教育ができない。まして精神保健福祉士と社会福祉士は、社会福祉士の方 はもっと有資格の教員が比較的少ないのですね。余計締まってきちっとした教育をしよ うというので、養成施設の実習部門については、たがをはめたと。ところが精神保健福 祉士の方は今までどおり科目指定ですから、大学で自由にやってよろしいとなりますが、 養成施設はそうは行きませんけれども、そこのところは共通にしたらどうなのかなと。 ただ、現実には精神保健福祉士を養成している大学は、精神保健福祉士をもってしても かなり実務経験を持った方が教えているので、比較的すぐれた実践教育をやっているの ですけれどもね。それは置いておいて、制度的には横並びで、文部科学省と厚生労働省 で共管し、実務部門という軸はきちっと教育したらどうだろうかということです。 ○渡部文部科学省医学教育課課長補佐 そうしますと社会福祉士の方は、石川先生のお っしゃるように、実習演習に基準がなされてということで、従来、大学で指定科目制を やっているところでは、教育をそれなりの単位数で充ててやっていらっしゃるところも あれば、そうでないところもあって、ばらつきがあってという批判もあって、今回の社 会福祉士の方は基準が課せられるということになるのだという見方をしています。厚生 労働省と今後私どもも調整をさせていただきますし、議論を聞かせていただいてそうい う方向に、社会福祉士と同じような形が望ましいというようなことになるのであれば、 そういうことでこちらの御意見を尊重し、厚生労働省とも十分検討させていただくとい うことになろうかというふうに思います。 ○京極座長 カリキュラムそのものというよりも、養成施設の在り方ということで、大 学とそれから一般養成施設の違いがどうだということが多分あると思います。それから 演習時間がちょっと短いのではないかという御指摘は確かに。精神保健福祉士みたいに 非常にスペシャリストの領域で、かなり経験がものを言う分野なので、ちょっとそこは 重要なことだと思います。これは専門科目のところでいずれ議論することになるかと思 います。きょうは共通科目についてということでございます。行財政と福祉計画60時間 と、原案で今パブコメをもらっているのですが、ちょっと長いような気がしますね。も うちょっと30時間ぐらいでいいのかなと。これは社協とかで行政の方はそれでいいのだ けれど、必ずしもそうではなくて、ほとんどの人が施設ですね。それから今シルバーサ ービスの株式会社に行く方もふえておりますし、全体として見ますと、低所得者に対す る支援と生活制度と同じぐらいで良いのではないかと思うのですけれど。  それから地域福祉のところも大変時間が長いので、この辺がどうなのかという感じは していますけれど、逆に社会理論と社会システムが社会学の横滑りで30時間になってい るのだけれど、法学的なものとかその他経済学的なものを入れたりすれば60時間という か、社会保障とほぼ同じぐらいの重みがあってもいいかなという感じがします。  下の方で専門に入っているのですけれども、かつては介護概論とか老人福祉のそうい うバグッとしたやつだったので、今度はかなり検討されて社会福祉士専門科目も細かく なっていますので、この中で共通にできるものもあるかもしれないので、それについて は制度的な問題はありますけれども、ここはちょっと共通にしたらどうかというもし御 意見があれば次回正式に議論を。きょうは第1回目なので詳しく議論することはしませ んけれども、次回は正式にやっていただきたいと思います。 ○谷野構成員 ちょっと気になるのは、やはりこのPSWにしても社会福祉士にしても、 医学的知識はかなり必要だと思うのですね。何かこれを見ると、これは書き方の問題だ けなのだから心配はないのでしょうけれども、かなりスリムになっているような気がす るので、例えばエイズとかハンセンというのは現実にやはり非常に深刻な問題だし、こ ういうことについては今ハンセンの検証会もやっていますので、やはり丁寧に教育する。 統合失調症はもちろんですけれども高齢者認知症ついても同様だと思います。全体とし ては医学的なことはスリムにしようと考えているのか。少なくとも共通部分については そういう基本認識なのか、それともさらに丁寧にしようというような認識なのか、非常 に気になるところですけれども、どういうことになっているのですか。 ○京極座長 それは事務局の方で答えていただけますか。 ○野崎課長補佐 参考資料56ページになりますけれども、ごらんいただければと思い ますが、こちらに社会福祉士のシラバスがついてございます。ここの56ページに「人体 の構造と機能及び疾病」という項目で30時間というのがございまして、この中で見てい ただきますと、下の欄の(5)で例えば疾病と障害の概要であるとか、そういうところにカ バーする中で、今御指摘のございました認知症の話であるとか障害の概要部分のところ でございますが、認知症がどういうものであるとか、そういうことを細かくどこまでや るかというのはちょっと今はまだ固まっていない部分があると思いますが、一通り障害 の概要であるとか疾病の概要とかそういう形でカバーするということに、ちょうど社会 福祉士の方では内容としてはなっているということになると思います。  あわせて76ページをごらんいただきますと、こちらにもう1つの柱で、医学一般が2 つに分かれて、「人体の構造と機能及び疾病」というのと、この「保健医療サービス」と いう部分で分かれておりまして、こちらはむしろ制度であるとかシステムの概要のよう なものを概括的に触れるということを内容としているということになっております。そ の中で保健医療サービス関係者との連携であるとか、そういったいわゆるシステムだけ ではなくてもうちょっとソフトな面をカバーするという構造になっているのではないか と思います。 ○京極座長 そうすると資料5の11ページにあるように、今の医学一般が新しいカリ キュラムの「人体の構造と機能及疾病」プラス「保健医療サービス」と、30時間、30 時間で、60時間というのは変わっていない。片一方だけやれば減ってしまうということ なので、共通科目の選び方によって30時間でもいいという議論であればそうなるし、い や、もう少し今までどおり30プラス、あるいはもっとふやせという意見もあるかもしれ ませんが、現行では変わっていないのですね。 ○野崎課長補佐 全体の時間数は変えていないということでございます。 ○京極座長 それでこの議論はかなり細かくは次回に、一応結論に達しないともう間に 合わないので、次回の議論では正論というか、この検討会の意見としてはこうしましょ うということで、見切り発車しないと先に進まないようなのですね。きようはお持ち帰 りいただいて、もう1回さらに検討していただくと。 ○野崎課長補佐 何人かの構成員の方から御指摘いただきましたので、先ほどの参考資 料の61ページをごらんいただければと思うのですが、先ほど人権とか権利擁護という視 点がどこに行ったのだという御指摘がございましたので、61ページをごらんいただきま すと、相談援助の基盤と専門職というところで、これで60時間を社会福祉士の方はとっ ております。これの(3)の相談援助の理念というところを見ていただきますと、人権尊重、 社会正義、利用者本位とか尊厳の保持とか権利擁護といったあたりを、この項目でカバ ーしているということで、一方で上の方を見ていただきますと、社会福祉士及び介護福 祉士法とか社会福祉士の専門性とか、つまり少し社会福祉士に重点を置いた内容になっ ていますので、これを共通科目にするかどうかというのがございまして、むしろPSW の専門性とか、あるいはそちらの精神保健福祉論の中でも精神障害者に対する人権の尊 重とかそういうのも現行の内容でもカバーしておりますので、そこは御議論いただけれ ばと思います。  ただ、この社会福祉士の内容については、社会福祉士という部分が少し強く出ていま すので、事務局として整理した際には、やはりここは共通科目とするのはなかなか難し いかなということで、現行の整理にさせていただいているわけでございまして、必ずし も社会福祉士でそういう理念とかそういった人権擁護のようなものがなくなったという ことではなくて、一応そういう科目の構成を今回社会福祉士の方で見直しているという ことになります。一応幾つか御指摘いただきましたので、ここだけ補足させていただき たいと思います。 ○京極座長 この辺で例えば相談援助の基盤と専門職で60時間ありますけれども、2 つに分解して専門職というか、社会福祉士と精神保健福祉士を含めて、共通に語れると ころで相談援助の基盤と専門職の1としてそこが共通と。相談援助の基盤と専門職の2 は分離するとか、そういうことも考えられるのではないかな。 ○野崎課長補佐 社会福祉士の方でそういう30時間・30時間ということになれば、そ こはその部分だけを指定してということになります。 ○京極座長 おそらく精神保健福祉士と社会福祉士の違いは、どこが違うかというのは、 本当は知っていなければいけないのだけれど、介護福祉士の違いだけ勉強して、精神保 健福祉士はどこが違うかという。現場の方は知っているのですけれどもね。だから教育 上は必要だし、人権擁護とか社会正義とかそれはみんな変わらないところですよね。共 通科目であると。だからそういうところを2つに分けて、片一方は共通科目にするとい うことも、できないわけではないと思うのですね。 ○古川構成員 さっき人権の問題その他については、相談援助の基盤と専門職の中でと いう御説明がありますし、これは意見ですけれども、それは相談援助の理念として述べ ているのであって、社会システムとして人権問題をどう考えるかとか、つながってはい ますけれども考え方がちょっと違うのではないか。基本的な社会の仕組みとして人権の 問題をどういうふうに位置づけるか。これは精神の方から言うと非常に重要なことでは ないかと思うのですね。それとつなげる形で援助の中での人権尊重とか利用者本位とい うところへ持っていってもらわないと、援助の中の理念だけではちょっとカバーしきれ ないのではないか。基本的な発想が違うのではないかという気がいたしますけれども、 いかがでしょうか。 ○京極座長 現代社会と福祉の中で言うとか、あるいは社会理論と社会システムの中で、 きちっと基本的なことを言っておいて、その上で受けて出るのだったらいいけれども、 何もその辺のところが全然ないと、ちょっと唐突な感じになってしまう感じがしますね。  それでは時間も来ました。構成員の方々から大変貴重な御意見もいただきまして、こ れらの取扱いと今後の検討会については、事務局より御説明をお願いいたします。 ○名越課長補佐 冒頭に御説明がありましたように、次回の検討会は1月を予定してお りますけれども、本日いただいた御意見につきまして事務局において整理をしてまいり たいと思います。現行の共通科目に端を発した部分の整理を先行させるということで、 次回の検討会の段階では、事務局の案を提示させていただこうと考えております。どう かまた次回の御検討の方もよろしくお願いしたいと思います。  本日はお忙しい中、長時間にわたりまして御議論いただきまして、まことにありがと うございました。今後の日程につきましては、また追って御連絡をさせていただきます。 それではこれをもちまして第1回の検討会を閉会させていただきます。お疲れさまでご ざいました。ありがとうございました。 (了) 照会先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課障害保健係 03-5253-1111(内線3065) 32