07/12/19 第1回戦略研究企画・調査専門検討会の議事録について 第1回 戦略研究企画・調査専門検討会 日時:平成19年12月19日(水)14:00〜16:00                   場所:全日空ホテル「天空」 (金子調整官) 定刻になりましたので、ただいまから第1回戦略研究企画・調査専門 検討会を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙の折りお集まりいただきまして、お 礼を申し上げます。  まずはじめに、委員のご紹介をさせていただきます。五十音順にご紹介させていただ きます。政策研究大学院大学教授、黒川清委員でございます。京都大学大学院医学研究 科医療疫学教授、福原俊一委員でございます。久留米大学バイオ統計センター教授、柳 川堯委員でございます。財団法人老年歯科医学総合研究所主任研究員、吉田裕明委員で ございます。筑波大学大学院人間総合科学研究科疫学分野教授、我妻ゆき子委員でござ います。東京大学大学院医学系研究科教授、永井良三委員、筑波大学大学院人間総合科 学研究科内分泌代謝・糖尿病科教授の山田信博委員からは、本日ご欠席とのご連絡をい ただいております。  次に事務局をご紹介させていただきます。厚生労働省厚生科学課長矢島鉄也でござい ます。同研究企画官坂本純でございます。主任科学技術調整官神ノ田昌博でございます。 私は調整官の金子と申します。よろしくお願いいたします。  また、本検討会で行う戦略研究のモニタリング調査員として、柴垣有吾先生、高橋吾 郎先生、津村和大先生にご出席いただいてございます。  それでは事務局を代表して、矢島から一言ご挨拶を申し上げます。 (矢島課長) 委員の先生方には、年末の大変お忙しいところをお集まりいただきまし て、大変ありがとうございます。  ご存じのように、この戦略研究は平成17年度に始まりました。これまでの厚生科学 研究にはなかった政策リンケージによります研究成果の均てん化を目指して、大型の研 究事業として創設をされたわけです。国民の健康を脅かします疾病、障害をターゲット にしまして、あらかじめ国主導で成果目標と研究のプロトコール骨子を設定いたしまし て研究者を公募するという形式は、これまでの厚生労働科学研究にはなかった枠組みで ございます。現在六つの戦略研究課題が動いておりますが、大型の臨床研究であります 戦略研究を推進するということで、いろいろな問題点もあるというふうに伺っておりま す。今回これらの戦略研究の進ちょく状況等をモニタリングいたしまして、どのような 課題があるのか、すぐに改善できるものかどうか、そういうふうなことにつきまして客 観的に調査分析を行って、今後のあるべき姿についてご検討いただければというふうに 考えております。  また、本年度で3年目に入りました、糖尿病予防のための戦略研究と、自殺対策のた めの戦略研究につきましては、中間評価を迎えておりますので、その評価につきまして もご意見をいただきたいというふうに考えております。  委員の先生方におかれましては、専門的かつ大局的な見地から貴重なご意見を賜りま すようお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきま す。よろしくお願いいたします。 (金子調整官) それではまず本検討会の設置要項に基づきまして、委員の互選により、 座長の選任をお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 (吉田委員) 黒川委員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 〔「異議なし」の声あり〕 (金子調整官) それでは黒川委員にお願いしたいと存じます。黒川委員、座長席へ移 動をお願いします。 (黒川座長) それではご指名ですので、座長を務めさせていただきますが、よろしく お願いいたします。  今、矢島課長のからお話があったのですが、これは新しい試みと言ってはそうなので すが、実を言うと1980年ぐらいからアメリカなんかで始まっていて、皆さんご存じだ と思うのですが、83年頃からアメリカではDRGというのが4分の1ずつ医療政策に入 り、医療政策がいろんなところで大転換期を始めた頃ですね。実はその頃からニューイ ングランドジャーナルオブメディスンとか、BMJとか、ランセットはそうですが、いろ んな大規模な臨床試験の結果が結構リーディングアーティクルのほうに出るようになっ て、いったい何が起こっているのかなというと、やはり国のお金をある程度政策的に導 入して、あるいは企業のほうもそうですが、そのプラクティスにどういうレレバンスが あるのかという話を、サイエンティフィックなエビデンスを出しながら、それを政策的 に反映させようという、ある程度国家の意思もあるわけですが、それに参加する医療界 の人たちも、患者さんがそういう話で単なる臨床研究というわけではなくて、むしろ何 かを目的としていて、あの頃結構問題になったのは、国からデシジョンツリーなんてい うのはタフツ大学なんかずいぶんやっていたのですが、そういうところのアウトカムを どうするかとか、実際にある適用があったときに、医療政策にもよるんだけれども、あ る地域では手術が多いんだけれども、ある地域ではコンサバティブな治療が多いとか、 いろんなことがあるので、そういう話を実際の結果、アウトカムとしてどういうふうに、 そのエンドポイントを設定しながらやればいいかという話が、社会的にも大事だという 認識がすごく上がってきたんです。  そういう背景があったんだけれど、日本では最初はクリニカルエピデミオロジーなん ていっていると、なんか臨床疫学というと何かへんてこりんな、ちょっと違ったイメー ジがあったんだけれど、そのうちEBMと言われたとたんに、EBM、EBMとはやり言葉のよう になってしまった。  そういう話があって、いったい何が起こっているのかなという話がなかなか政策に結 びつかなかったのがあるわけで、実はそういう背景を受けてこういうことをやらないと、 行政のほうではいろんな公募はするんだけれども上手くいかないという話がよくあって、 それはそうなので、公募するというのはどういうことかというと、プロトコールから何 から目的をしっかり決めて、こういうプロトコールをやりましょうと。それで参加する ところを公募するというふうにしないと、なかなか上手くいかないことが多いわけなの で、それに必要なマンパワー、インフラをどうするか。統計もそうですが、そういう話 のデザインをしながら、参加するところをどういうふうに公募するかというのがあるわ けで、最近の動きではアメリカはご存じだと思うのですが、トランスレーショナルリサ ーチなんか言われて、この10年間でNIHのファンディングというのは倍になったん です。この2、3年前からそれが頭打ちになっていまして、キャピトルヒルでは政治は 何を言っているかというと、これだけ増えたわけですが、そのあいだ物理とか化学はこ の10年間全然増えていないんです。政治としては、これだけライフサイエンスにバジ ェットを増やしたんだから、アウトカムをどうしてくれるんだと。つまり、国民のほう は税金の投入をこれだけ増やしたにもかかわらず、何かありがたいことが起こっている のかという話が常にあるわけなので、政治家としてはそういうことが非常にあって、去 年から特にNIHにはそうとうなプレシャーがかかっていて、つまりそれだけファンドを 上げたところの結果がどうなっているのかというのは、つまり研究者とかドクターたち、 その人たちが社会にもっと責任を持ってコミュニケートしないと、政治家としてたまら んぞということもあると思うのですが、そういうのがあった。今トランスレーショナル リサーチもNIHはかなり新しい企画を出して、一昨年から新しい公募で、今までのク リニカルセンターをみんなやめにして、新しいのをいま公募して、一昨年が10人ぐら い。今年からまた10ぐらいになりまして、まったく新しいやり方を始めて、データを みんなセンターが共有しようという話にもなってきて、かなり大きなリフォームという か、改革をしているのですが、日本ではなかなかそれができないですね。省庁の縦割り でしか予算も政策も出てこないので、政治の主導なんというのはどこにもないような国 ですから、ちょっと困ってしまうのですが。  それで少しその中でも限られた中で、こういうことをやろうというのを始めているわ けで、これをいろんな今までの器に入れても、なかなか上手くいかないところもたくさ んあるわけで、そうやっているうちにお医者さんが少ないんじゃないかとか、訴訟事件 が増えてしまったとか、いろんな話があって、政策的にどんどんいま変わっていますが、 こういう厚生労働省でなければできないような研究テーマというのが明らかにあるわけ なので、その試みとしてやっているので、それをご理解していただくことが一つと、そ れから今までいくつかのが走っていますので、それについてモニターしながら、どうい うところに問題があるのか。どうやったらそれを直せるのかという話も検討したいとい うのがこの趣旨ですので、よろしくお願いいたします。  そんなことで、まず本検討会について、事務局からの説明ということをしていただけ ればと思います。よろしくお願いいたします。 (金子調整官) 山田信博先生がご到着になられましたのでご紹介申し上げます。  それでは資料の確認をさせていただきます。お手元にございます配布資料ですが、資 料の1「戦略研究企画・調査専門検討会の設置要綱」でございます。資料2−1「戦略 研究の現況について」という束がございます。資料2−2「各戦略研究の実施団体及び 研究リーダーの一覧」でございます。資料2−3平成19年度の「各戦略研究の運営会 議等の開催実績及び今後の開催予定」でございます。資料の3といたしまして「モニタ リング調査等について」というものが付いてございます。資料の欠落等ございましたら、 ご指摘ください。よろしいでしょうか。それでは黒川座長、お願いいたします。 (黒川座長) これの要綱によりますと、私が出られないときには座長代理にやってい ただくということで、今日欠席している永井先生にぜひお願いしたいと思うのですが、 よろしいでしょうか。それではそのように説明をしておいてください。 (金子調整官) 資料の説明をもう一度させていただきたいと思います。資料1ですが、 戦略研究企画・調査専門検討の設置要綱の目的、座長のほうからもいろいろご説明があ りましたけれども、「国民の健康を維持・増進させるため、優先順位の高い慢性疾患・ 健康障害を標的として、その予防・治療介入及び診療の質の改善介入など、国民の健康を 守る政策に関連するエビデンスを産み出すための大型臨床介入研究であって、国主導で 成果目標を設定した戦略研究について、その円滑な推進を図るため、戦略研究企画・調 査専門検討会を設置する」、これが目的でございます。  組織、1〜9番まで書いてございますが、1番としまして、「厚生労働科学研究及び各 戦略研究を実施している分野に関する有識者から大臣官房厚生科学課長が任命する」と いうふうになってございます。  委員の任期でございますが、「平成24年3月31日までとする」と。戦略研究の期間 が5年になってございますので、少々長うございますが、24年までとなっています。  一つ飛びまして(4)「検討会には座長を置き、委員の互選により選出する」というこ とで、先ほど黒川座長が決まりました。  一つまた飛びまして(6)、「座長に事故があるときは」ということで、あらかじめ座 長が指定した者がその職務を代理するということで、ただいま永井先生に決まりました。  最後の9番のところですが、「必要に応じて参考人を招聘し、意見を聴取することがで きる」ということになってございますので、もし進行上でこの方のご意見というような ことがあれば、ご相談いただければと思っております。  3.検討事項でございます。(1)戦略研究の進捗状況の把握、(2)戦略研究に係る 問 題点の整理・分析、(3)戦略研究の中間評価、(4)戦略研究の事後評価、(5)プロト コール骨子の作成、(6)その他、戦略研究の円滑な推進に必要な事項となってございま して、本年度につきましては、この1〜3番の事業というか、検討事項についてご審議 をいただき、さらに6番が、場合によってはあるかもしれないということでございます。  運営の方法につきましては、「会議は、原則公開とする」とし、「ただし、公開するこ とにより研究者の知的財産権に不利益を及ぼすおそれ、以降の研究の遂行に支障を来た す恐れがある場合には、座長は会議を非公開とすることができる」ということで、プロ セスを評価することも一部含まれてしまいますので、こういった点が配慮されます。  5番、事務局。「検討会の運営事務は、大臣官房厚生科学課及び調査分析業務の請負業 者が行う」ということになってございます。  その他としまして、「この要綱に定めることのほか、検討会の運営に際し、必要な事項 は座長と相談の上、大臣官房厚生科学課長が別に定める」というふうになってございま す。  2ページ目のところに本検討会の名簿を添付してございます。資料の1につきまして はそのようになってございます。  それでは引き続きまして、資料の2−1の説明をさせていただきます。「戦略研究の現 況について」ということで、資料の2−1番でございます。  「戦略研究の主な経緯」でございます。平成16年6月1日に科学技術部会におきま して、厚生労働省におけるこれからの研究開発の推進戦略が議論されました。そして、 その中で改善の方向性としまして、エビデンスに基づく厚生科学行政推進のための戦略 的視点の強化が示され、二つ目として、大型戦略的資金配分による、確実な課題解決と いったものが了承されました。さらに、平成17年の4月21日、今後の中長期的な厚生 労働科学研究のあり方に関する専門委員会が設けられまして、その報告書がまとめられ て、研究の類型として戦略研究が明示的に示されることになりました。  また、ほぼ時期は同時期でございますが、平成17年から10年後の26年を見据えた 健康フロンティア戦略が策定されまして、特に働き盛りを中心とした糖尿病についての 総合的予防対策と、心の健康問題への取り組みの重要性が示され、さらに平成17年の 戦略研究のテーマとして、ここの黄色い線のところがございますが、糖尿病の戦略研究 と、自殺予防に関する戦略研究が走ることになります。だいたい今の全体の流れとして は、このような経緯の流れになってございます。  次に、「戦略研究により解決が期待される課題」というものがございます。臨床研究と いいますか、臨床におけるアウトカム研究の普及・啓発の端緒であるといったことが期 待される。それと二つ目に、国主導による政策目標を達成するための研究体制のモデル であるといった点、三つ目として大型の研究費の投入を可能にするアウトカム研究によ って研究のインフラの整備が進むのではないかといった点が挙げられます。そして最後 に診療の質の改善ですとか、それを通したアウトカムの改善を目指すような研究として、 エビデンス−実践ギャップの改善が期待されるといった点が大きな項目になろうかと思 います。  次に「戦略研究の特徴」でございますが、真ん中に戦略研究の特徴、右に一般公募課 題、一般の競争型の研究の特徴を示してございます。先ほどから再三申し上げておりま すが、戦略研究の場合には、行政ニーズに基づいて課題設定がなされるといった点が一 般公募課題とは異なっておりますし、アウトカム、それからプロトコールの骨子が事前 に設定されているといった点も、今までの研究である研究者に一任したという、そうい う形とは趣を異にしているといった点がございます。それと、報告と評価ですが、年次 報告・評価に加えて、モニタリングの必要性があるといった点も特徴になってございま す。研究期間が5年でございまして、研究の額も大型で億の単位でございます。こうい った点が特徴として挙げられております。  次が、「戦略研究が目指すアウトカム」の今の説明を図表に落としたものです。プロト コールの骨子を決めるというのが本委員会にもなるわけですが、ここで企画をしていく ということになってございます。研究課題については、厚生労働省内の調整官が数十名 いるのですが、各課に所属するそれらの者がテーマを議論して、そこで決められた内容 についてここに降りてきて、その骨子を作っていただくという流れになってございます。 そしてテーマとプロトコールが決まった段階で、研究実施団体から研究の公募をしてい ただいて、研究リーダーを選出します。さらに共同研究者が必要な場合も、ここも公募 していただくような形になってございます。成果についてアウトカム、ここの部分を評 価するということで、この検討委員会の中で評価もご検討いただくという流れになって います。  「戦略研究の基本条件」としましては、人間、あるいは人間集団を対象とする臨床研 究であるというのが要件になってございます。そして、掲げた政策目標を達成するため に、科学的な仮説を構築できるだけの基礎的、あるいは臨床的な研究知見の集積がある といったことが要件になっています。2番目に、評価対象となる医療サービスに関する 研究が、実際に政策として国民に広く普及させることが可能な段階に到達していること ということ。そして3番目として、患者・国民・社会レベルで意味のあるアウトカムが 設定できること、またこれを測定する信頼性・妥当性の検証された指標があることとい ったものも、研究の要件となってございます。  そしてさらに言えば、テーマの選択基準もございまして、頻度とトレンドの軸。国民 の多くの人が苦しみ悩んでいるような問題を対象とすべきであるといったこと。それと、 緊急性の軸。これは診断・治療の均てん化や、医療の質の早急かつ大幅な改善が求めら れる問題を対象とした研究であること。そして、アウトカムの軸。大きなインパクト・ 影響を与える特定の疾患や健康問題を対象とした研究であること。改善可能性の軸。ア ウトカムは診療の質を「変えられる」あるいは「改善できる」ような疾患、あるいは健 康問題といったようなものを選ぶこと。それと、最後に実施可能性の軸といたしまして、 実際の実現可能性が高い課題でないと、テーマとしては不適切ではないかといったこと が挙げられてございます。今お示ししたこういった戦略研究の特徴につきましては、机 上配布ではございますが、戦略研究のガイドブックに載ってございます。  そして最後のパワーポイントになりますが、戦略研究の組織体制として、これは現行 の形でございますが、いちばん上のブルーのところが厚生労働省側。真ん中に厚生科学 課がございまして、厚生科学技術部会で了承された研究テーマについて、実際に運営を していただき、黄色いところにございますが、これがここの調査専門検討会でございま して、下のピンクの枠が実施団体になります。実施団体においては、ちょうど中心のと ころに戦略研究推進室というものを置いておりますが、そこで中心的な機能を発揮して いただくPDを配置して、全体の運営委員会ですとか、倫理委員会、あるいは評価委員 会、モニタリング委員会といったものを運営していただく。あるいはPDが研究のプロ トコールを、具体的に研究リーダーとともにマネジメントしていくということも含まれ ますし、データマネジメントセンター、データ管理をするところとの連携を強化すると いった役割も担ってございます。だいたいこのような組織体系で現在は動いているとこ ろでございます。  具体的な六つの戦略研究の概要をお示ししたものが次のページになります。平成17 年度「糖尿病予防のための戦略研究」。これはまず表のところをご覧いただきますとJ− DOIT1、J−DOIT2、J−DOIT3と三つ並んでございます。研究テーマと しては三つあるということになります。糖尿病の予防、あるいは合併症の重症化の抑止 という立場でこの三つの研究が組まれているところでございます。J−DOIT1につ きましては、耐糖能異常から糖尿病型へ移行率が半減する介入方法の研究といったこと で、研究方法としては下にお示ししたような対象者、あるいはサンプル数を集積をして、 介入研究をしているというところでございます。  J−DOIT2というのは、糖尿病患者の治療の中断率が半減する介入方法の研究で す。これは現在都市部のかかりつけ医で治療する、2型の糖尿病患者さんを対象としま して、通常介入群とあとは診療の支援群ということで、二つに区分した形の介入研究を 推進しているところでございます。  J−DOIT3は、糖尿病合併症の進展を30%抑制する介入方法の研究ということで、 これも強化治療群と通常治療群に無作為割付をして、生活習慣の介入方法を定めて現在 実施しているといったところでございます。  次のページは糖尿病予防研究のフローチャートでございまして、あとでご参照いただ ければと思っております。  もう1枚おめくりいただきますと、「自殺対策のための戦略研究」がございます。この 自殺対策の研究も二つの研究テーマから構成されておりまして、表のほうですが、地域 介入研究と救急部門におけるうつ再発予防の研究が進んでいるところでございます。ア ウトカムとして地域介入のほうは、地域における自殺率が20%減少する介入方法の研究。 そして、救急部門におけるうつ再発予防のほうは、うつによる自殺未遂患者の再発率が 30%減少する介入方法の研究というふうになってございまして、イメージ図ですが、下 のフローチャートのところに書かれているような内容で、現在研究のほうを進めている といったところでございます。  もう1枚めくっていただきまして、平成18年度でございますが、「がん対策のための 戦略研究」、これも2課題設定されてございます。乳がん検診における超音波検査の有効 性を検証するための比較試験。アウトカムとしては、乳がん死亡率の減少というものを 掲げてございます。研究方法につきましては、特に抜粋的に申しますと、超音波検査は 高濃度乳房での乳がん検出率精度が高く、乳がん検診に導入することにより、乳がん死 亡率の減少効果が期待されるといった点から、これらを検証するといった意味で、対象 者を40歳代の女性として、乳がん検診の方法としてはマンモグラフィーに超音波検査 を併用する群と、併用しない群といったことで、その精度と有効性を検証することにし てございます。各群とも6万人という規模で研究を進めるというふうに聞いてございま す。  課題2のほうは、「緩和ケアプログラムによる地域介入研究」ということで、患者・遺 族による苦痛緩和の評価での改善。緩和ケア利用者の増加、もしくは患者が希望する療 養場所で死亡する患者数の増加というふうなことをアウトカムに設定してございます。 これは緩和ケアを提供する体制を持つ地域に関して、その前後の比較をするという研究 になってございます。  もう1枚めくっていただきますと、研究概要がございまして、特にピンクの枠でくく っているところが今ポイントとして申し上げた内容になります。  もう1枚めくっていただきまして、「緩和ケアプログラムによる地域介入」、これは 今も簡単に申し上げましたけれども、この図表のような内容で現在研究を進めていると いったところでございます。  もう1枚めくっていただきますと、「エイズ予防のための戦略研究」。これも2課題 ほど掲げられてございまして、一つの課題は男性同性愛者、MSMの方を対象としたHIV 新規感染者及びAIDS発生者を減少させるための効果的な啓発普及戦略の開発でござい ます。アウトカムはHIV抗体検査受検者数を2倍に増加させ、AIDS発症者数を25% 減少させるものということで、研究方法としては阪神圏で行動するMSMの方を対象に、 1年に1度集中的に普及啓発活動を行い、かつ阪神圏では希望者に対して在宅HIV抗体 検査を実施するということで、活動後1年間の医療機関、保健所でのHIV抗体検査を受 けた方、在宅HIV抗体検査を実施した人の数と、HIV感染者及びAIDS発症者の数を 測定していくといった内容でございます。  課題2は、都市在住者を対象としたHIV新規感染者及びAIDS発症者を減少させるた めの効果的な広報戦略ということで、これもHIV抗体検査受検者を2倍に増加させて、 AIDSの発症者を25%減少させるといった内容でございます。研究方法につきましては、 広報戦略ということで、先ほどのものと近い内容ではございますが、また後ほどご参照 いただければと思います。  概念図については次のページにお示ししてございます。  さらにめくっていただきまして、今年度平成19年度から行われます戦略研究を2課 題ほどお示ししてございます。一つは「感覚器戦略研究」でございます。課題1が聴覚 障害児の療育等により、言語能力等の発達を確保する手法の研究ということで、アウト カムは聴覚障害児の言語能力の向上。研究方法としましては、聴覚障害児0〜15歳を対 象として、言語発達、適応度、療育の状況、聴覚障害を発見された時期や状況、人工内 耳の有無等を把握することによって、相互の関係や現状を調べるということで、1年目 は現状把握になるかと思われます。  課題2は、今度は視覚障害になりますが、視覚障害の発生と重症化を予防する手法に 関する介入研究。視覚障害の発生と重症化の減少をアウトカムに設定してございます。 研究 方法につきましては、ここにお示ししているとおりでございます。  次のページに研究概要もお示ししてございます。  もう1枚めくっていただきまして、19年度の最後の課題「腎疾患戦略研究」、これは テーマとしては一つのテーマになっております。研究課題は、かかりつけ医、非腎臓専 門医と腎臓専門医の協力を促進する、慢性腎臓患者の重症化予防のための診療システム の有用性を検討する研究。アウトカムは、5年後の透析導入患者を予測される導入患者 数から15%減少させるといったものになってございます。研究方法は、かかりつけ医、 あるいは非腎臓専門医に通院中の慢性腎臓病患者を対象にして、調査研究を行うという ふうになってございまして、詳細については、ここにお示ししている内容をご参照いた だければと思います。資料の1につきましてはそのようなものになっています。  資料2−2をお開きいただきますと、「各戦略研究の実施団体及び研究リーダー一覧」 がございます。左手のほうに各戦略研究が並んでおりまして、例えば糖尿病予防のため の戦略研究ですと、実施団体は財団法人国際協力医学研究振興財団。研究課題が三つ並 んでおりまして、それぞれの研究リーダーがDOIT1でいえば葛谷先生、DOIT2 が小林先生、DOIT3が門脇先生ということでお示ししてございます。  資料2−3でございます。資料2−3は、「平成19年度各戦略研究事業における運営 会議等の開催実績及び今後の開催予定」ということで、実績としては12月まで達成し てしまいましたけれども、1月以降、例えば糖尿病ですと第2回の安全性評価が開催さ れます。DOIT2につきましては、班会議が1月25、26、27日で開催されるという ことで、今後モニタリングをしていく上で、これらの開催予定日に合わせてモニタリン グも組み入れていくということで、モニタリングの効率化を図ってはいかがかと思って おります。  資料3でございます。「モニタリング調査等について」、ここは調査方法のところから 申し上げますが、モニタリング項目に準じた調査、ヒアリング調査というものを調査方 法に挙げております。モニタリング項目に準じた調査に関しましては、平成18年度の 別添で参考資料で入れてございますが、緑色の「戦略的アウトカム研究策定に関する研 究」、この中でモニタリング項目を検討していただいておりまして、その項目に準じたも のが次のページのところにございます。左のほうにありますが、研究の運営、実施体制 の整備の項目と、研究の進捗状況を見る項目が二つ挙げられておりまして、それぞれ1 番の運営実施体制の整備につきましては、推進室の設置、運営委員会等各種委員会の規 則、組織編成、研究リーダーの選定、研究協力者の選定、研究支援組織等の選定、研究 組織を構成する各組織の機能と役割分担ということで、それぞれ進捗状況、いつまでに 達成するのか、何ができているのかということをここで聞きます。そして、担当組織は どこであったのか、現在の達成度はどうなのか、達成ができなかった場合、どこらへん に問題があったのということで、問題の記述といったところまで、財団あるいは研究リ ーダーに聞きながら埋めていくといったことで、それを持ち帰ってきまして、右のほう にございますように、分析、提言、アクション計画といったことで、こちらのほうでお まとめいただくといったことを想定してございます。  1枚目に戻っていただきまして、調査体制なのですが、本検討会のメンバー1名と、 あとは調査班メンバーの1名、そしてその補佐をするような研究員を一つのチームとし て、4、5名になるかとは思いますが、それぞれの研究のモニタリングに入っていただ くということで、事務局が日程調整をしまして、財団あるいは研究リーダーの方との調 整の上で、実際に訪問、あるいはこの場に来ていただくという形でモニタリング、ヒア リングをしていきたいというふうに考えてございます。  なお、中間評価があると冒頭申し上げましたけれども、本年度中に糖尿病と自殺対策 の戦略研究につきましては評価案を作りまして、それを科学技術部会のほうに提出する ような運びとなると思いますので、どうぞご協力のほうをお願いしたいと思っておりま す。以上でございます。 (黒川座長) 以上ちょっと前からかかっておられる方々は、比較的フォローできるの ではないかと思うのですが、そうでない方にはなかなか難しいところがあるんだけれど、 最初に言ったような趣旨で、今このようなプロジェクトが走っているんだけれども、ど のようにモニターして、どこに問題があるのかというような話をフィードバックさせて いただいて、実はペーパーの上ではみんなよく見えるんだけれども、実際に現場だと今 までの社会システムというか、そういうところに入れていくので、なかなか難しいとこ ろもあるんです。だけど、入れてみるのにいろいろヒアリングしてモニターしたりして、 どこに問題があるのかということを掘り起こして、それを直していくようにしないと、 最終的に臨床研究、臨床研究と皆さん言うんだけれども、それぞれの立場で言っている だけで、具体的にやるときにこういうことが非常にやりにくいという話の制度設計を直 さなければいけないので、それをまた行政のほうにもフィードバックしながらやってい くことによって、臨床研究がいろんな隘路があることがわかってくるのではないかなと いうふうに思います。  いま医療はいろんな意味で、非常にお医者さんが足りないとか、都道府県中心の医療 計画がスタートしたり、いろんなことが待ったなしで動いているので、なかなかやるほ うも大変なのですが、そういう意味ではぜひ皆さんのご理解とご協力を得ながら、この モニターをしながらフィードバックしていくと。固有の問題と臨床研究というか、こう いうことをやるときに共通の問題、日本の社会制度の問題もありますが、そういうこと もぜひいろんなことを伺っていきたいということなので、ご意見をいただければと思い ます。  もう一つ、AIDSは、どうしてこういうスタディをするのということを当然皆さん思 うと思うんです。これは最初のプレゼンのあったスライドの6番ぐらいを見ていると、 戦略研究の基本条件というのがア、イ、ウとあって、別添の6というのを見ていただく とわかるんだけれど、掲げた政策目標を達成するために、科学的な仮説を構築できるだ けの基礎的、臨床的、研究知見の集積があるということです。実は今まで厚労省とかい ろんなところの臨床研究なんかが、たくさん公募されたりしてやっているわけです。そ ういうのを一応全部スクリーニングして、実際どのぐらい行われているのか、公募した やつだと、例えば3年から4年の公募をしたのは、ペーパー書いたときはいいんだけれ ども、何もできなかったというのは結構多いわけなので、むしろそういうのをもう一回 洗い直して、どこが上手く行っているのかなという話をしながら、結構ヒアリングをし ているんです。これは実際にやるときに、やれるなというところがある程度見当つかな いと、やっても新しい新規な事業を始めるわけではないので、そういう集積があるとい うことをかなりモニターしているんです。それから難病の治療研究とか、いろんなこと をやっていますから、そういうところからいま問題があって、実際に具体的に日本では、 特にAIDSの研究というのは非常にやりにくい社会的な背景もあるんだけれども、具体 的にできているようなところを評価してヒアリングしながらやっているという背景があ ります。そこのように、評価対象となる医療サービスや診療等に関する研究がすすみ、 研究でえられた成果をもとにエビデンスベースで政策を立案することが可能となってき たと考えられています。例えば40代のブレストキャンサーではないけれども、マンモ グラフィー、エコーなんかを日本の場合は40代でやるというのは非常に大事です。ど のようにやるかというのは非常にみんな議論しているところで、全部やると公募しても いいかもしれないけれども、重点的にそういう活動も、今やっているところを重点的に あるデータを集積してもらうというやり方もあるわけだし、そういうことの判断も入れ て今やっているというところなので、それをさらに問題を掘り起こしながら、よりスム ーズに政策のもともとのオブジェクティブに合うようにしていきたいということだと思 います。  それから、さっきいろいろ聞いていると、アウトカムは15%減らすとかいろんな話を して、数値目標なんていうことをいうと、いかにも格好いいんだけれど、数値目標を出 して「根拠はどこにあるんですか」と言われると非常に心許ないんです。それはなぜか というと、今までのそういう集積がないというところがだいだい問題になるわけなので、 そういう話も踏まえた上で、何かというとすぐ数値目標を出せと言われるから出してい るところもあるんだけれど、そういう意味ではいろんな日本の政策とか、こういうこと のやり方についても、評価にしてもそうなんだけれど、独法の評価もそうだけれども、 そういう問題がたくさんあるということを踏まえた上でいろんなモニタリングをしなが ら、いろんな問題を掘り起こしていって、できるだけ直せるものは直していきたいなと いうのが趣旨ですので、よろしくお願いいたします。  これについて、これまでの説明があったわけですが、ご意見、ご質問、どうぞしてく ださい。 (山田委員) 一言だけ申し上げます。数値目標については、やはり今の時代、かなり 柔軟に考えていいのではないかなと私としては思っています。と申しますのは、アウト カムが出ないことが、またそこからある意味でのいろいろな知見を教えてくれるという こともありますし、逆にフェアな研究を推進していこうとした場合には、そのへんの数 値目標でガチガチにやってしまいますと、どこかでひずみが生じる可能性がありますね。 ポジティブなものしか出てこないということがあります。そういう意味でも、あまり数 値目標にこだわらずに、ただ今までの我々が実際にスタンダードで行っている治療法の 中で、どれが国民の健康にとって最適かということを、しっかりと見ていくということ が大事なのではないかなというふうに思っています。例えばニューイングランドジャー ナルオブメディスンなんかでも、最近はだいぶネガティブデータをフェアに発表するよ うになってきているというのも、そういう意味があろうかなと私自身は思っています。 (矢島課長) 数値目標は今回とりあえずは設定をさせていただいています。いろいろ な意味で、どちらかというと今の国の流れとしてやはり数量的に評価をするという流れ があるものですから、いりませんというわけにはいかないのですが、いま山田委員から もご指摘がありましたように、ではその数値目標をどういうふうに考えるのかというこ とは、議論としては大事だと思います。そういう意味でご評価いただく。とりあえず、 例えばこういうふうなものについて作って、数値目標を掲げることはこれにはふさわし くなかったというものがもしあるのであれば、それは大いに議論していただく必要があ りますが、例えば山田先生にもいろいろとご苦労いただいています糖尿病の戦略研究、 これは糖尿病対策というのは国としても重要な問題ですので、やはり重症化を予防する ことが、将来的にいろいろな糖尿病の合併症というのでしょうか、糖尿病から来るいろ いろな合併症、例えば糖尿病性腎症だとか、そういうものを最終的に減らしていくため には、どういうふうな意味があるのかということの数値的なものが出てくるということ は、将来制度設計をしていく上で、いろいろな意味が出てくるというふうに思っていま すので、一概にすべて数値目標がだめだというのではなくて、いいもの・悪いものと、 意味があるもの・意味がないものとか、そういうふうな目で見ていただいて、できれば むしろそういうものをきちんと評価をすることが、やはり国民にとって明確にメリット になるんだというものがあれば、逆にそれを推進していただくということも大事ではな いかと思っていますし、そういう意味で、ぜひご議論していただければありがたいとい うふうに思っています。 (福原委員) それに関連してなのですが、これは矢島課長がおっしゃるとおり、数量 的に評価するというのが極めて重要なことで、プロトコールの中でAIDS発症者数を 25%減少させるということを、事前に設定して研究デザインをするということはすごく 重要だと思うのですが、これは研究ですので例えば25%減少させられなかったらこの研 究は失敗だったかというと、そうではなくてこの研究の結果がそうであったということ はここで確認しておかないと、これは国の業務とか事業ではないので、研究事業ではあ るのですが、これが達成しなかったら失敗であるというようなものではないということ は、明確にしておいたほうがよろしいのではないかと思います。 (吉田委員) それに関連してもう1点、皆さんに知っておいていただきたいと思うこ とがありますので、これはあくまでも国の政策を立案して、均てん化して、国民の健康 に寄与するということがいちばん大きな目標だと思っております。  そのときに数値目標を掲げる、この数値目標を達成するための研究になってしまいま すと、研究の結果は出たのですが、そのあとに、では均てん化しようといったときに、 これはちょっと国民の状況とあまりにもかけ離れていますねというようなことが生まれ ることも懸念される点であります。こういった点に関しては、きっと我々が事前によく 研究計画の内容を拝見して、そういうことのないようにしていく必要があるのかなとい うふうに感じています。 (黒川座長) そういうことはよくあるんだけれど、最近随契がだめだよなんて、なん でも公募いたしましょうなんて言っていたら、なんでやっているか知っていますか。リ クエストプロポーザルのスペックがちゃんとしてないものだから何が起こるか、安けれ ばいいということなんですよ。だから業務の質なんていうのは全然どこにも入っていな くて、今まではそういうこともしないで随契ちょっと、天下り先にやっていたというだ けの話で、それはいかがわしいんだけれども、ただ安ければいいという、今のメジャー はみんな安いだけになっているでしょう。ああいうのもまたろくでもないなという話に なるわけで、数値目標というのはそれも数値目標なんです。随契はいけないけれど、安 いところに出せなんてことをするから、そのへんが今までのパラダイムが役所の無謬性 なんて言ったけれど、そういうことではないので、だけどある程度数値目標を出します けれども、最初からセオリティカルに、なぜこうなったのと言われるとなんて言うの? (矢島課長) まさに今回の戦略研究のいちばんの売りはプロトコールだと思うのです。 そのプロトコールを作るときに、なんらかの根拠があって作ったときの数値がこれだっ たはずであって、それはあくまでも限られたある特定の研究者の限られた研究を根拠に したものを大規模にしたわけですから、それがいいか悪いかということを問うのではな くて、プロトコールがしっかりしているかどうかはもちろん評価をしていただきたいの ですが、それにのっとって上手く、先ほど均てん化という話をさせていただきましたが、 それはやはり結果的にいいものが出て、それが日本に広がっていくということが大事な わけですから、そういうところの観点でぜひ中身を見ていただくということがいちばん のポイントだと思っていますし、ぜひそのへんのところをよろしくお願いしたいと思い ます。 (柳川委員) 初めてでちょっと質問を兼ねてしたいのですが、いま例えばJ−DOI T3は、30%抑制すると。30%というのは、ある意味での根拠が設定されたのだと思い ますが、そういう介入方法の研究といえば、現実的ないくつかのチョイス、オプション があって、その中のどれとどれがいちばんいいのかとか、あるいはどれを組み合わせた らいちばんいいのか、そういう研究形態になっているのかしらと、そういう質問をさせ ていただきたいのですが。 (黒川座長) それはどういうことですか。 (柳川委員) 例えば、介入方法のいちばんいいような現実的な介入方法で30%上げる には、いくつかのキャンディデートがいて、その中からこれがいいよと。あるいはこれ とこれを組み合わせたらいいよと、そういうふうな研究体制になっているのかどうか。 (山田委員) 私が答えてもいいのですが、実は戦略研究班で作ったプロトコールは、 主として合併症の中でもわりと今までエビデンスが出ている、例えばアルブミンの減少 であるとか、循環器疾患の抑制といったところを目標に立てています。それを30%減少 させるにはどれだけの患者のマスが必要か。あるいはどれだけの期間が必要か。あるい はどれだけの治療が必要かということに対して、今までの日本のエビデンス、あるいは 外国のエビデンスを参考にしながら、構築していったということです。ただし、戦略研 究班から今度実際のDOIT3の研究班、さらにまたもみあげていって、そしてより 30%が確かになるようなプロトコールに、また形づくってきているというふうに私は理 解をしています。 (柳川委員) それは一本のトライアルを流して、そしてそのあいだでプロトコールを 動かしてみるという考え方なのですか。一本流してしまえば、それの評価で30%達成で きる、できなかったというふうな、そういう結果になってくる。 (山田委員) 一本というか、一つのプロトコールではありますね。 (柳川委員) そこにいくつかプロトコールがあるのですか。そういう複数の。 (山田委員) DOIT3に関しては介入群と非介入群ということです。 (柳川委員) それしかないですね。だからその一つだと、そこで行った介入の評価し かできないですね。それは30%上げたか、上げなかったか、それだけの話になってしま いますね。どうもそれでよろしいのか、あるいはいくつかの現実的介入の中で、いい成 績を出すような介入を探すのがこういうのの目的なのか、そこのところをちょっとお聞 きしたいと。 (山田委員) DOIT3について言うならば、糖尿病のガイドラインというものがあ るのですが、これは基本的には海外のエビデンスに基づくものが非常に多いですね。そ れが日本でも普遍化できるかどうか治療目標設定というのを行っています。ただし、通 常の診療を我々はすでに行っておりますので、それが通常の診療がかなりガイドライン に沿っているわけです。ですから介入群に関しては、そのガイドラインよりもさらによ り良いコントロールを、できるだけ試験期間中維持する努力をするというのが介入群に なっていると思います。そこの数値目標は多少厳しいかもしれませんし、先生がおっし ゃるように、それだけでいいのかと言われると、まだ問題があるかもしれませんが、そ こもまた保険診療の中というような制約も考えながらということだったと思っています が。 (黒川座長) 少なくとも糖尿病の場合は、いろんな人たちの、いろんな立場の人たち から聞いても、どのぐらいのフィージビリティと、文献的にはどういうことがされてい て、何が課題かなというのがあって、数十時間ヒアリングしたんです。それで、これだ ったらできるかな。日本の場合は国民皆保険ですから、こっちはプラセボだよなんてい うのはできませんね。そうすると、それで何をやるのかなという話をやった上でこれは やっているので、ある程度いちばんオプティマルかなと思います。それから予算の枠組 みとか、実際に可能かどうかというのもあるわけなので、そのへんをやった上でやって いますが。その上でさらに実際はバジェットが行ったとき、どのぐらいエクスキュータ ブルなのかというのは今の制度の問題になってくるので、そのへんもどういうふうにす るかなという話になると思います。 (矢島課長) 柳川先生、お手元のこの青い、いま山田先生からご説明いただきました プロトコール、どういうふうにできたかというのは、この研究の49ページをお開きい ただきたいと思うのですが。まさに糖尿病研究のところの合併症予防のところを、どう いうふうにプロトコールを作るのかというのは、こういう形でまずプロトコールを作る ためのいろいろな研究をしていただいていまして、たぶん先生がご指摘いただいたこと と同じことだと思うのです。いろいろなやり方の中で、やはりこれがいちばんいいので はないかということの比較検討を行った上で、このようなプロトコールが作られたとい うことで、はじめから決めつけずに、一本というのではなくて、いろいろな考え方をヒ アリングをさせていただいた中で、こういうようなものに最終的に決めて作ってきたと いう流れを踏んでおります。 (黒川座長) ぜひそういうフィードバックをまたいただきながら、これから先へ先へ と、またこのやり方を生かすというのもすごく大事ですので、またそういう意見をぜひ 言っていただければと思います。我妻先生、何かないですか。 (我妻委員) 私は本当に戦略研究の班に入れていただいて本当にありがたいと思って います。本当にジョンズポプキンス大学でずっとNIH型の、こういうコントラクトア ウトの研究を見てきたし、応募してきたし、やっぱりもう当たり前な形態になったなと 喜んでいる一員としては、やはりいろいろな問題点は皆さん抱えているし、実施団体の いろいろな制約も十分わかって、みんなで少しずつ努力していこうという形になってき たなと、国の政策者、そして実施している人たち、そして診療にかかわっている先生方、 一人ひとりの意見をくみ取り、そして患者様の本当にその人たちの健康を増進するんだ という、そういう姿勢で臨もうというのがこの戦略研究のモットーですから、本当にい い形になってきたなと。ですから現在のモニタリング班の責任は大きいと思います。で すから、一つ一つのそういうロードブロックをちゃんと明確化していって、フィードバ ックして、政策的に変えられるところ、そして実行部隊で変えられるところを提言して いきたいと思っています。 (黒川座長) ありがとうございます。そうなんだよね。みんな口では言っているんだ けれども、実際に施行してみないと、何に問題があるかとわからなくて、それぞれの人 たち、委員会の場合は言っているだけの話で、こうやってみるとリアリスティックな問 題というのがだんだんわかってくるので、そうすると行政も何を直せばいいのかな、何 が問題なのかなとわかってくるというのがいちばん大事な点ではないかなと思いますの で、そのとおりだと思います。そのほかには。 (吉田委員) おっしゃるとおりだと思います。その過程でやはり今まで六つの戦略研 究が動いているわけでありますけれども、研究のインフラは途中でスライドにも出てき ましたけれども、インフラに関しましてはまだ十分なものとは言えないということで、 多くの研究者の先生方がこういった研究ができるようなインフラ、それも国としてのイ ンフラもそうでしょうし、それから実際に研究する場でのインフラとういうものをやは り十分に見ていって、よりよい環境を提供するということも必要なのではないだろうか というふうに考えます。 (山田委員) そのインフラで一つだけぜひとも、前から、これは最初の糖尿病のとき から言っているのですが、コンフリクト・オブ・インタレストは、ぜひともこの研究を 通じて、しっかりとまたやっていただきたいというふうに思っています。 (矢島課長) これは実は別途検討会が開かれておりまして、いま最終的な取りまとめ に向けて、パブコメもしている段階でありますので、できれば早ければ年内に、ちゃん としたものができればということで、今そういうふうなものに向けてやらせていただい ているところです。 (山田委員) というのは、戦略研究の結果というのは、慢性の疾患でニーズが高いも のですから、必ずこれはガイドラインに反映されていくものですね。そういう意味では、 その点がしっかりとしていたほうがいいかなということだと思っています。 (黒川座長) そういう問題はあって、実を言うと我妻先生なんかもよくご存じかもし れないけれども、1980年ぐらいになって、たぶんNIHがファンドして、そういう大規 模臨床試験というのを結構やっていたのですが、もちろんやるときには薬物による介入 をするというのは当然あるわけです。そのときに、製薬企業をどれだけ乗せるかという 話があって、パブリックでやるNIHのプロジェクトそれをやれるかというのがあって、 たぶんMDRTというやつが、たぶん最初だったと思うんだけれども、ぼくもちょっと かかわっていたんだけれども、慢性腎疾患のやつ。あれはテストに製薬企業はかなりお 金を出して、数百万ドル出したのですが、そういう形もあり得るかなという話が、こう いう話もそういうのも皆さんがだんだん理解していかないと、国のお金だけでやれとい うと、なかなか難しいところが当然あるわけで、その薬剤を使う、使わないというのは、 別にその会社のインタレストあるわけじゃないんだけれど、結果がどうなるかというだ けの話なんだけれど、そういう参加のやり方というのはどういうふうにするかというの は考えておかないといけないわけで、実際この予算だけでみんなできるようにやるんだ ったらいいけれど、やっぱりそれに必要なマンパワーが日本の場合は雇用の形態とかい ろんな話がある。みんな正規の職員ではないとか、アルバイトばかりなんて言っている けれど、そういう話ができないし、また人のモビリティも少ないしというような、非常 に難しい問題がだんだん浮き彫りになってきますから、そうするとそこで全部国の予算 だけだというと、また役所もいろんな今問題がいろいろになっているから、もちろんや れること、やれないことがあって、それをどういうふうに変えていくかというのはすご く大事な問題で、常にパブリックにそういうメッセージを発信し続けることが大事なの で、そういうものの根拠になるようなことを、これをやって掘り起こしたいと思ってい ます。 (柳川委員) 我田引水になりますが、私、人ではないけれども動物の発がん試験なん かのアメリカのNIHの傘下のNIHSというところに勤めていたんです。そこでやっぱ り大型の研究を募集して、申請して、その審査のところに10人ぐらい審査員が入るん だけれども、そのうち2人は統計家が入っていたんです。私も経験したことがあるけれ ども、なんで統計家が入るかといったら、研究の目的とかそういうものから言えば、こ れはもう立派な研究だと。ところが実際にデータを取るときに、データが少ない。そう したら言えることが言えないと。それは非常に大きな予算とか国家のお金の無駄遣いだ ということで、そこのところをものすごく重んじていたんです。だからそういう意味で、 日本では臨床研究の計画とデザインと解析ができる人たちは少なくて、統計家が少なく て、そのあたりのインフラの整備もぜひやっていただきたいと思っています。 (矢島課長) 今回の研究もそうですが、臨床疫学ですとか、生物統計学の専門家がな るべくかかわるようにということで、特に戦略研究にかかわっていただいていますし、 一般の研究でもやはりそういうふうな方がかかわっているかどうかが、一つのチェック 項目になっていますので、もちろんそういうことはふさわしくない研究も中にはあるも のですから、研究の中身によって、やはり統計的な処理が必要なものについて、そうい うところが一つの研究審査をするときのチェックポイントにはなっております。 (黒川座長) そうなんだけどね。だから格好はいいんだけれども、実際にマンパワー があるかとか、アビリティがあるかというと、なかなか心許ないところがあるからね、 そういう話。 (矢島課長) それは教育体制のほうで見ていますと、かなり限られている人たち、限 られているところでしか出てきていないところがありますので、やはりそれは人材育成 のところもぜひお願いをしたいというふうに思っているんです。そういうところの分野 の人たちが、なかなかいらっしゃらないという現実もあるのではないかと思うんです。 ぜひ専門の学会だとかそういうところで、人を教育、学会として育てていただくという ことも、私はすごく大事なことかなというふうに思っています。 (柳川委員) もちろん厚労省のバックアップが欲しいですね。 (黒川座長) 育てるほかに、そういう人たちがキャリアとしてどういうオパチュニテ ィーがあるかという社会になっていかなくてはいけないということですよ。今、なかな かないよ。名目は作るけれど。講座は作るけれど就職先がないところを作ってもしょう がない し。社会全体が変わっていかなくてはいけないんだよね。そういうことです。それは柳 川先生だけではなくて、みんなが言っていることなので、これは非常に私どもコンサー ンあります。そんな話ですので。そのほかに。  そうすると、その次資料の3にあるような、モニタリングの調査というがあるんだけ れども、そこのところ少し見ていただいて、モニタリングの項目とか、達成度の評価と かいろいろあるんです。だからこういうのを特に吉田先生がかなり現場を見ていて、モ ニターのこういうことをいろいろ聞きながらやるんだけれども、モニタリングの項目と か、いろいろ評価をどういうふうにしていくかなという話で今回ちょっといろいろご意 見を伺いたいので、そのへんについて少しコメントをいただいたほうがいいかなと思う のですが。 (吉田委員) 昨年度のこの緑の報告書で書かれているように、このモニタリング項目 というのは、昨年度の戦略的アウトカム研究策定に関する研究ということで議論された 内容であります。これについては、この戦略研究を実際に進めるにあたって、まずモニ タリング項目から見ますと、だいたい時系列に従ってどういうことが起こっていってと いうことで見てきているというふうに考えております。  その中で、クオリティをどういうふうに評価するのかという議論がずいぶんありまし て、それで横軸の進捗担当、問題の記述等々提言、アクション計画というふうに書いて あるわけであります。ここで主に議論されて、特に皆さん注意しようということで言っ ていた内容は、とかくモニタリングをするというようなことになりますと、行って調査 をして、これはまだここまで行っていないのかという文句を言うような、そういうよう なつもりで行ってもらっては困りますねということを盛んに議論されました。これはあ くまでも研究を進めるため、または研究全体をどうやって推進したらいいか、日本での 研究体制をどうやって整備したらいいのかということを念頭に置いて、建設的に意見を 言ったり、それから建設的な意見を聴取したりということを主な目的にしたいと。そし て、現場の実際に研究を推進している先生方、または所管課の人たちが研究を円滑に進 められるようにサポートしていく、一つのツールにしたいということがあります。  その次の評価というところですが、この評価というところはまだ実は戦略研究そのも のがあまり進んでおりませんので、もしかすると今後少し内容をさらにブラッシュアッ プしていく必要があろうかというふうには思います。一応ここに書いてありますのは、 昨年時点でわかる範囲での評価の項目というものを挙げておりまして、その中身をいく つか、例えばAA、「極めて適切である」とか、B、「やや適切である」とか、そういっ た形で6段階の評価をしてあるということであります。もちろんこれで評価できればこ のとおりで良いと思いますが、これは実際にモニタリングが始まりましたら、または評 価が始まりましたら、さらにより良いものにしていく必要もあろうかというふうに考え ています。一応私の理解はそういうことですが。 (黒川座長) これはいつ頃から始めるの?例えばこの達成度の評価とか。 (金子調整官) 達成度の評価につきましては、中間評価項目にしたいというふうに思 っております。おそらくこれは研究の実績というか、プロセスの評価になるかと思いま すので、それに加えて、例えば総合評価的なものを入れていただくとか、あるいは新た な知見でこういうものがあったということを盛り込んでいただければいいのかなという ふうには、事務局的にはちょっと考えてございます。ほかに項目を追加するとか、何か ご意見がいただければ、それを踏まえた形でと思っております。 (黒川座長) これは実際にやっている、事務局と言ってはおかしいけれども、全体を やっている、見ている人たちからいろんなコメントをもらうとかはどうかなと思ってい るんだけれども。1ページぐらいはコメントがいろいろあったら言ってもらいたいとい うのを受けてもいいかなと思ったんだけれども。何かこれで書けないこと、書きにくい ところがあるじゃない。もっと書いてもらったほうがいいことがあるかもしれないなと 思ったので、それはどう? (吉田委員) おっしゃるとおりだと思います。ここに書いてあるのは本当に小さいス ペースなので、このスペースを見ると確かに書けないなということがあると思いますが、 当然提言であるとか、先生が今おっしゃったような書きたいことというのがたくさん書 いて いただいたほうが、意見をより多く吸い上げられると思いますので、そのへんはよろし いと思いますが。 (黒川座長) そうですね。 (山田委員) 我々の経験ですと、モニタリングというのはどちらかというと、サイト ビジティングで向こうからのご要望であるとか、それからインフラはこうしたらいいと か、改善要求が非常に多いと思いまして、ですからむしろ聞き役に徹していたような状 態でもあったような気がしますね。 (黒川座長) 実際はそうだと思いますね。だからなるべくこのモニタリングの委員会 としては、具体的に問題を抽出しながら、確かにそうかなというのと、内側からいろん な話があって、やっぱり全体に共通した問題なのかという話と、そのプロジェクトに特 異的な問題というのがあり得るわけなので、あるいはインスティチューションに特異的 な問題とかいろんなことがあり得るので、そういう話は少し聞き取りか何かをやるとい いのではないかなと。制度的な問題はまたそちらと相談しながら、どこに隘路があるの かなということをやればいいわけだと思うのですが。 (吉田委員) たぶん現場からの声を、いかに厚生労働省のほうにお伝えして、できる こととできないことの仕分けをできるだけ早くして、少しでもできることは少しでも早 くフィードバックできるというような仕組みでできるといいのではないかと思います。 (黒川座長) あとはやっぱり、どういう工夫をしたら上手くいっているところなんて いうのもあるのかもしれないし、そういうのも共有できればいいのかもしれないと思い ますが。そのほかに金子さんのほうから。 (金子調整官) 特段なくて、モニタリングにつきましては、あとは日程調整をさせて いただきながら、実際に動いて、適宜この委員会のほうに情報提供をして、評価項目に ついてもこんなものを盛り込んだほうがいいというのであれば、そこを踏まえつつ進め ていきたいというふうに思っています。集められた六つの戦略研究でモニタリングの項 目から導かれる、例えば戦略研究の枠組みですとか、研究体制ですとか、インフラ整備 の話とかもちょっと出ましたし、予算の話もあるかもしれませんけれども、そういった ものはまたまとめて今後の問題点の整理にしていきたいというふうに思っています。 (黒川座長) ほかには。 (我妻委員) モニタリング調査結果については、どのような形で講評という形をとる のでしょうか。 (矢島課長) 報告書という意味ですか。 (我妻委員) そういういくつかの方法があると思うのですが、これの議事録をもって とか、あとはなんらかのモノグラフを作るとか、こういう厚生科研の研究としての報告 書とか、いろんな形態をとると思うのですが、何か新しいというか、国民が調べたとき にわかりやすい形で出るものがあるかなと。やっぱりこういうものって普通の方は厚生 省のページに行って、わざわざ見ようとは思わないと思いますので、何かあってもいい かなと。もちろん実施団体としても、いろいろウェブサイトに載せるとは思うのですが、 この委員会として何か公開するものはあるのかなと思ったのですが。 (矢島課長) 基本的には今回の検討会でお願いしたことについては、最終的にはやは りなんらかの形で印刷物ができればと思っています。それはたぶん現在進んでいる戦略 研究についての、いろいろな意味での改善が入っていることもありますし、それで得た ことは新たに進める場合の戦略研究のときに、やはりそれが一つの基本になって、戦略 研究を応募しようとする人たちが、それを見てやるということにもなってくると思いま すので、やはり戦略研究としてどういうふうなあるべき姿も改善すべき点も含め、その ようなことをある程度まとめていただくことが大事だというふうに思っています。 (黒川座長) 確かにこの研究班なりの報告書を作るということが大事だろうと。 (我妻委員) 補助金の特別研究事業のフォーマットというのがありますよね。このフ ォーマットに無理やり当てはめて書くと非常にギクシャクして、皆さん苦労されている ような感じもあるので、もう少し違う形で。 (矢島課長) 逆にフォーマットの変更をご提案いただくというのはあるのだと思いま す。例えば戦略研究については、こういうフォーマットにしないと、議論したことが反 映できないのではないかというご提案であれば、それはそれなりに手続きがあるのです が、これは申請書をどうするかというのは、別に手続きを踏まなければいけなくなると は思うのですが、そういうようなことの一つのたたき台として、こういうふうに改善す べき点があるのではないだろうかというご指摘は大いに有効だと思います。 (黒川座長) あとは具体的に、我妻先生もそうだと思うんだけれど、こういうのは書 くことは書いたとしても、読み込まないとわからないところがあるかもしれないけれど も、受ける側からいうと何がいちばんポイントかなという話が、こういうモニタリング したりするとわかるのであれば、そういうところの要点を1枚ぐらいにちょっとまとめ るとかいうことは作っておいてもいいのではないですか。付録とかいって。それは読め るようにすればいいわけだから。そういう話ってよくあるんですよね。そのほかに何か ありますか。  脳死の移植のとき、最初ずっとやったでしょう。私ちょっと委員長をさせられてやっ たんだけれども、そうするといろんな専門家が、いろんなことを言って、書いてくるで しょう。マニュアルを作るでしょう。作るんだけれど、実際の省令が出るまでマニュア ルはああでもない、こうでもないと言っているうちに、マニュアルばっかり厚くなって しまう。あれはしてはいけないとか、このテストをしろ、やり方はどうだとたくさん書 くんだけれども、最初の1例目が出て、あれは高知だったっけ。2例、3例と来ると、 現場にないことがたくさん出てくるんですよ。常にバーチャルな話しかしないから。そ れで、ちゃんと読みましたかとかやり方はなんとかとか、みんなたくさん見てるわけで はないから、やり方が間違っているとか言って、間違ってはいけないと思って、それば っかり見だすと時間がないわけでしょう。結局4例やったときに、何が共通の問題だと いうことを、それで2、3枚紙のを作ったんだけれども、チェックリストみたいな話を。 そういうふうにしないと実際動かないんだよね。だけどそれは実際が出てこないとなか なかできないことがあるので、緊急性があるのだと特にそうなんだけれど。  日本のポリシーって常にみんながワアワア言っているのをただ書き留めてやるんだけ れども、受けるほうから言うと、あまり役に立たないなということは確かにあるなとい うことがあるので、先生がおっしゃるとおり、そういうことを生かすのもやる側から書 いてみるというのも大事かもしれないね。そういう話はどんどんインプルーブしていけ ると思いますけれど、ポリシーのほうはまた別だと思うんだけれど。そういうこともぜ ひ我妻先生の意見も聞いたりすると非常にいいと思いますが、そういうことはよくある ことかと思います。ぜひ生かせるようなことも工夫しましょうね。そのほかに。そうい う意識を持っていることが大事だから。そういうことをすると行政もハッピーなの。や っていることが実際に役に立っているなと実感できるようになってくる。 (吉田委員) 一つだけよろしいですか。たぶん今年この委員会で、糖尿病とうつに関 しては中間報告をしなければいけないと思うのですが、そこのところはどういうふうに 進めるかというのは、これから早めに詰め方を決めていったほうがいいかなと思います が。 (矢島課長) もしご提案があれば。 (吉田委員) 今は特にまだないですが、早めに。 (黒川座長) 向こうにも一応言っておいてもらってね、少し相談するといいかもしれ ない。具体的にどう感じているのか。どんなことをヒアリングしてもらいたいのか。中 間報告のなんとかと、お互いにある程度やっておくと、リアルセッションが役に立つの ではないですかね。みんないろいろと経験のないゾーンに入っていますから。そのほか には。 (矢島課長) いま同じことを聞いたにもかかわらず、ちょっと中で聞き方が違ったも のですから、いま吉田委員のご提案は、例えば糖尿病戦略の評価をするのであるならば、 ここでやり方を決める前に、実際に戦略研究をやっている方々との現場の方々のヒアリ ングをした上で、それからどういうふうにやるかということをやるというふうに私は聞 こえたのですが、そうではない。 (吉田委員) すみません、そうではなくて、どういうふうにやるかということ、まだ ちょっと漠然としたところがありますから、そこをきっちりとここで次回にでも決めて おいて、その上で現場の声をよく聞くというのが、いちばんよろしいかというふうに考 えます。 (我妻委員) この緑のほうに、福原先生や吉田先生たちが書かれたモニタリングの事 前準備というところもありますね。これでいちばん最初に行くチームが、しっかり事前 準備ガイドみたいなのを書いていただけると、次から次へといろいろ進歩できると思い ますので。 (福原委員) 基準書みたいな。 (我妻委員) これを準備しなかったために、聞き取れなかったとか、何かちょっと情 報が上手く入らなかったとか、事前準備次第で変わる内容もあると思いますので、やは りやっていらっしゃる方々にある程度出していただいて、しっかりわかるべきことはわ かって入ったほうがいいと思いますので、事前準備の部分をもう少し手順がわかってく るといいなと思います。 (黒川座長) お互いに、なんとかこれをできるだけスムーズではないかもしれないけ れど、トライ・アンド・エラーで前に進めたいと思っているので、ぜひそういう意味で はお互いのコラボレーションを推進していくのが大事かなという気もします。それはち ょっと工夫して、吉田先生のところも、ちょっと意見も聞いてみましょう。金子さんと して、それでいいですか。 (金子調整官) 資料の2−3に、先ほどサラッと流してしまったのですが、今後のそ れぞれの六つの戦略研究の運営委員会等の開催がありますので、例えば運営委員会など がございますと、三つ例えば戦略研究をやっていると、テーマを三つ持っている、二つ 持っているといったところが、すべてそこで報告等ございますので、そこに参加させて いただいて、必要な情報をまずいただき、それであとで足りなかったものについて、ま た補足で聞くとか、ちょっとタイトなスケジュールですが、調整すればそういった形で もできるかなというふうに思っています。 (福原委員) 前年度のモニタリングのときに現場から言われたことは、各プロジェク トの中に委員会がいっぱいありすぎて、これの対応だけで疲弊しているというフィード バックがありまして、例えば研究評価委員会が、例えば自殺対策の戦略研究の中にある というのは、もっと簡略化して欲しいという、そういう要望はありましたので、それを この研究班と称するのかどうかわかりませんが、いかがでしょうか。 (矢島課長) たぶんこの戦略研究の枠組みというのは、我々まさに初めて作ったため に、今いろいろな手続きを、さっき言った利益相反が起こらないように、関係者がそれ にかかわらないように別々に分けてきたという経緯があります。直接研究に携わる人間 が評価に入らないとか、それをやるために分ける作業が多かったものですからこのよう な形になっているのですが、では簡単にしたからといって、その評価委員の中に実際に 携わる人間が入ってしまうことはまずいわけですので、ただ単に困るというのではなく て、ではどういう方法であれば、やはりちゃんと公正な評価ができているのかというこ とがわかるような仕組みを一緒にご提案いただければ、それは改善の方法としてはあり 得るのではないかと思うのです。ここはすごく難しい。実際に研究に携わる人と評価を する人と、そこがちょっと入り繰りのところがすごく難しかったというふうに記憶して います。 (山田委員) そのへんも丁寧に説明していけばわかる話だと、昨年モニタリングをし ていて私自身も思いました。ただ、そのために文書を書く書類が増えないということが 大事なのではないかと思っていますが。 (黒川座長) ではそういうことで、向こうの委員会をやっているときに、いろいろま たフィードバックももらえるので、それで対応していくということでいいですかね。そ のほかにはよろしいですか。   そうすると、これでモニタリング評価を今の意見をちょっと取り込んで作ってみよう と思っていますが、それで今度の1回目のやつは評価に入ってくるので、実際ヒアリン グをやるのは来年ぐらいでしょうか、ちょっと準備もそれを加味してやっていくという のがいいかなということですね。そのほかにいいのでしょうか。これで終わってしまっ ていいのでしょうか。  ということで本日の議論は終わったのですが、ぜひ柳川先生、我妻先生、こういうの に初めて参加していただいて、実を言うと私どもとしては非常に心強いとは思っている んです。そういう意味でいろんな方が、いろんな形で参加して、これの意味がどういう ところにあるのかなと。また、傍聴に来ていただいた方々も非常にお忙しいときに来て いただいたので、またいろんなパスウェイとか、いろんなところでフィードバックをい ただけるかなと思いますので、こちらの意向としてはさっき我妻先生が言ったように、 コントラクトアウトをするような、ただ何をやりますよと言って自分たちでやってよね という話ではなくて、むしろ政策に入れられるような形式は、今の日本の実情と、今の 皆保険制度の中で どういうことが行われていて、日本人としてはプラセボコントロールなんて嫌だなんて いうカルチャーもあるのかもしれないし、それに対してどういうふうにお金を払うかな んていう話があるのかないのかなんて外国とも事情も違うので、そういうところを国の プロジェクトとしてどうやるのか、その中にどういうふうにそこだけのお金でみんな賄 えるというふうに国民は思うのか、あるいはパーティシぺートするところが、いろんな プライベートの企業がどんな格好だったら参加するのかということを、皆さんともいろ んなプロセスで議論していって、政策を進めるのがいちばん大事なのではないかなと思 いますので、こういう会がやっていることを公開している意味は特にそこにあるので、 ぜひまたいろんなご意見もいただけるといいと思います。 (柳川委員) この委員会の今後は、どういう構想で、どういう計画で。 (黒川座長) 今6本走っていますから、これをフィードバックしながら、実を言うと ぼくらがいちばん懸念しているのは、実際起こるんだけれども、厚生労働省が直接やる わけではないでしょう。どこがそれを国のお金を受けてやるのかという施行する事務局、 そういうのはどういうところだったらやりうるのかというのが、今までの法律とかいろ んなことがあるわけでしょう。そこではどういうふうな法律でルールで使えるのかとい うことが、今までの社会制度では合わないところはたくさんあるんです。そういう話も 今あぶり出しているプロセスなので、その都度ご説明しますから、それをまたフィード バックももらいながら、どうやったら直せるのかという話もしながら、それからドクタ ーなんか参加するほうもそうだけれども、現在の雇用体系でみんなそこに参加できると も思えないし、という話をどうやって改善していけばいいのかなという、いろんな問題 がやりながらこういうのがだんだん動くようにしていきたいというのがいちばんの目的 なので、そういう話をいろんなご意見をいただきたいということです。 (柳川委員) その話はわかりましたが、大まかなスケジュールみたいなのはあるのか なと。 (黒川座長) どうですか。 (金子調整官) 次回の開催になりますが、モニタリング調査の進行状況に合わせてと いうことで、事前に先生方に3カ月間の予定はいただいておりますので、そこで適宜モ ニタリングのほうとも組み合わせていただいて、ご連絡させていただいて、いちばん中 間評価するにも差し障りのないところで、一度お集まりいただこうかなというふうに思 っています。 (黒川座長) そのあいだにもコミュニケーションはあるからね。 (矢島課長) 先生がおっしゃっているのが、この最後がどういうふうになるのかとい うことであるならば、この検討会、要項のところ、資料の1なのですが、委員の任期が 24年3月31日までとなっていて、5年間あります。その間にこの戦略研究について、 我々例えばいろいろな見直しをすべき点、それはすぐできるものと、やはり時間がかか るものがあります。ですから、まず今進んでいる六つの戦略研究をモニタリングをして いただいて、例えば先ほどの様式の変更とか、それですぐ決まるわけではありませんが、 例えば一つのご指摘をいただければ然るべきところで議論というのでしょうか、関係の 部局と調整をしたり手続きをするというふうなものに入れる、要するに次のステップに 入れるものも出てくるでしょうし、それから時間がかかってこれはもう少し大きな議論 をしながら、関係の審議会だとかにもお諮りしながらやらなければいけないものも出て くるかと思うのですが、そういうふうなものをまずご提案をこの研究会の中で、こうい うふうなところは改善したほうがいいのではないかとかというものを、このモニタリン グの中から見つけていただければありがたいというふうに思っております。 (黒川座長) ということなのですが、よろしいでしょうか。 (金子調整官) それで今日ご議論いただきましたモニタリングと評価につきましては、 現行のままやっていただいて、やりながら追加があればという対応にさせていただきま す。次回開催予定は来年の1月〜2月を一応考えておりますが、先ほど申し上げたよう にモニタリングの進行状況と合わせてということになりますので、また正式なご連絡は 後日お知らせさせていただきます。事務局からは以上でございます。 (福原委員) 新しいプロジェクトはもうやらないのですか。 (矢島課長) 新しい戦略研究という意味ですか。 (福原委員) ええ。 (矢島課長) それはこれからの課題です。それも踏まえて、今回のこの動きを見なが ら、また今後検討させていただくことになると思いますが、まずは評価を行い、しっか り反省をさせていただくことも大事かと思っております。 (福原委員) すると来年はしない。20年度は。 (矢島課長) まだ決めていません。けれども、まずは評価をしっかり。 (黒川座長) やっぱりやっていることが、だんだん全体のこういうスタディがやりや すくなってくるという話が出てこないと、無理なのにどんどん積み込んでも大変だもの ね。それは確かにそうだなということですので、そのへんはちょっと行政とも相談しな がらやる。予算の相談もあるだろうし、いろんなことがある。厚生科学全体の問題だか ら矢島課長に頑張ってもらう。  では、これでよろしいでしょうか。今日はこれでありがとうございました。 〔了〕 【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:金子(内線3820) 電話:(代表)03−5253−1111     (直通)03−3595−2171