07/12/13 第4回重篤副作用総合対策検討会の議事録について              第4回重篤副作用総合対策検討会議事録          日時 平成19年12月13日(木)          10:00〜          場所 霞が関ビル33階東海大学校友会館                                  「阿蘇の間」 ○事務局 定刻になりましたので、第4回重篤副作用総合対策検討会を開催します。本 日ご出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきましてあり がとうございます。本検討会は公開で行うこととしていますが、カメラ撮りは議事に入 る前までとさせていただいていますので、マスコミ関係者の方々におかれましてはご理 解とご協力のほどよろしくお願いします。  本日の会議は上田委員、木下委員、栗山委員、戸田委員からご欠席の連絡をいただい ています。あわせて10名の先生方がご出席の予定です。また、本日ご検討いただく重 篤副作用疾患別対応マニュアルの作成にご協力賜りました日本肝臓学会から、東京医科 大学霞ヶ浦病院消化器内科教授の松崎先生、日本消化器病学会から京都大学消化器内科 教授千葉先生、日本臨床精神神経薬理学会から横浜市立大学医学部精神医学准教授河西 先生、日本アレルギー学会から獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科教授福田先生に参 考人としてご出席いただいております。よろしくお願いします。続いて、前回検討会後 に事務局で人事異動がありましたのでご紹介します。安全対策課長の松田です。  議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の進行は、 座長の松本先生にお願いします。 ○松本座長 改めておはようございます。本日は暮れのお忙しい中、また雨の中お集ま りいただき、ありがとうございました。まず事務局から、本日の資料の確認をお願いし ます。 ○事務局 資料の確認をします。お手元にお配りしている資料として議事次第、委員の 名簿、資料1は重篤副作用疾患別対応マニュアル作成状況、資料2-1’は「薬物性肝障 害」資料の修正について、資料2-1は薬物性肝障害、資料2-2は麻痺性イレウス、資料 2-3は消化性潰瘍、資料2-4は偽膜性大腸炎、資料2-5は悪性症候群、資料2-6は薬剤 惹起性うつ病、資料2-7はアナフィラキシー、資料2-8は血管性浮腫、資料2-9は喉頭 浮腫、資料2-10は非ステロイド性抗炎症薬による蕁麻疹/血管浮腫、参考資料として 副作用種類別報告件数の表、資料3はマニュアル作成対象副作用疾患(追加)(案)と いうものをお配りしています。以上です。 ○松本座長 資料はよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、議事1のマニュアル 作成状況について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料1に基づきまして、重篤副作用疾患別対応マニュアルの作成状況につい てご報告します。現在作成中または既に公表済みのものを一覧表としてまとめたものが 資料1です。状況のカラムをご覧いただきたいのですが、「平成19年6月公表」と記載 してある薬剤性過敏症症候群など10のマニュアルについては、今年3月に開催した検 討会でご検討いただいた結果に基づいて、6月に厚生労働省及び医薬品医療機器総合機 構のホームページで公表しています。本日の検討会でご検討いただくものは、状況の欄 に「12月13日検討会」と記載してある薬物性肝障害など10の副作用です。なお、現 在作業中となっているもののうち、皮膚科領域の急性汎発性発疹性膿疱症、神経科領域 の末梢神経障害他などについては、既に学会より原案をいただいておりますので次回検 討会でご検討いただけると思います。以上です。 ○松本座長 ありがとうございました。事務局の説明に関して、何かご質問等はありま せんか。特段ご意見がないようでしたら、議題2として具体的にマニュアル案の検討に 進みたいと思います。今回資料2として肝臓、消化器、精神、アレルギーの領域におけ るマニュアル案が配付されています。まず事務局から説明をお願いします。 ○事務局 マニュアル案について内容を説明します。まずは資料2-1「薬物性肝障害」 です。なお、日本肝臓学会よりワーキンググループの名簿及び参考文献の追加に関する 修正がありましたので、資料2-1’としてお配りしています。5ページの「患者の皆様 へ」に概要を記載しています。薬の服用により肝臓の機能が障害される薬物性肝障害は、 解熱消炎鎮痛薬、抗がん剤、抗真菌薬、漢方薬など、さまざまな医薬品で起こる場合が あります。症状としては、倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、皮疹、吐き気・おう吐、か ゆみ、めまい、意識が薄れるなどです。6ページに「薬物性肝障害」とはということで、 副作用発現の種類などについて少し細かく説明しています。また、早期発見と早期対応 のポイントも記載しています。患者向けのイラストとして、倦怠感、かゆみ、吐き気、 黄疸を挙げています。  10ページ以降は「医療関係者の皆様へ」です。薬物性肝障害は、中毒性と特異体質性 に分類され、後者はアレルギー性特異体質によるものと代謝性特異体質によるものに分 けられます。また、肝障害のタイプから胆汁うっ滞型、肝細胞障害型、混合型に分けら れます。以下、本マニュアルではそれぞれのタイプ別に詳細な説明を行っています。ま た、31ページから薬物ごとの特徴として、薬効群ごとに説明を行っています。副作用の 判別基準は53ページからで、薬物性肝障害ワークショップのスコアリングについて紹 介しています。治療方法は58ページからで、一般療法、薬物療法について示していま す。典型的症例概要は62ページからで、各タイプの副作用を挙げています。医薬品別 副作用報告件数は77ページの参考1に示しています。以上です。 ○松本座長 ありがとうございました。ただいま事務局から薬物性肝障害のマニュアル について説明いただきましたが、ご質問、ご意見等はありませんか。その前に松崎先生、 何か補足をすることがありましたらお願いします。 ○松崎参考人 薬物性肝障害に関しては、こちらの別添の資料2-1’で、資料の作成を したときと1年間のずれが生じたものですから、文献等に関して少し差し替えをさせて いただきたいということで、ギリギリになって間に合わなかったので申し訳ありません でしたが、入れさせていただきました。それとマニュアルの委員の記載を他の所と統一 させていただくことで、名簿を提出したということです。中身に関しては大きな変更は ありませんので、ご審議のほどよろしくお願いしたいと思います。 ○松本座長 ありがとうございました。ご意見等はありませんか。 ○山地委員 マイナーな訂正希望をよろしいですか。8ページの上から8行目の(6)で、 他の病院から出されているお薬がある場合には「医師に」となっていますが、従来「医 師及び薬剤師」という表記がありますので、それにされたほうがいいのではないかと思 います。  それから16ページの下から2行目、抗痙攣薬のフェノバルビタール云々となってい ますが、これも従来は抗てんかん薬という表記にしていますので、もし差し支えなけれ ば下から2行目あるいは一番下は抗てんかん薬過敏症にされたほうが。 ○松崎参考人 わかりました。それは薬剤師の先生方が決められて。 ○山地委員 54ページの上から9行目は表3に示すとなっていますが、これは表4だ と思います。以上です。 ○松本座長 ありがとうございました。ほかにありますか。笠原先生どうぞ。 ○笠原委員 先ほどの件と同じですが、7ページは医師と薬剤師というところを一応使 い分けをされているのかなと思いまして、(1)と(2)は医師からよく説明あるいは医師に確 認ということで、副作用の場合にも薬剤師は積極的に関与してもよろしいかと思います が、(3)については医師と薬剤師となっていますが、この辺は使い分けをされているので しょうか。 ○松崎参考人 そうではありません。これは単純に薬剤師が抜けていました。申し訳あ りません。 ○笠原委員 それから細かいことですが、12ページのちょうど真ん中あたりに患者指導 のポイントがあります。ここで「多くの薬物は」とありまして、次に「あらゆる薬物に は肝障害を起こす」ということで、同趣旨からいいますと、多くの薬物は肝臓を経由し て代謝され薬効を発揮するため、「あらゆる薬物には」というのは、「多くの薬物は肝障 害」とされたほうが。 ○松本座長 そうですね、そのほうが。すべてというわけにはいかないですね。 ○笠原委員 ちょっと誤解を招くかと思います。10ページにアレルギー性特異体質によ るものと代謝性特異体質。代謝性特異体質という言い方が大体一貫していると思います が、15ページの真ん中辺の薬物性肝障害の発症機序のところで、○の下から2行目に代 謝特異体質性という言い方で、ここだけ代謝特異体質性ですが、ここは特別な意味があ りますか。 ○松崎参考人 全く意味はありません。書いている先生が違うからこうなるだけの話で す。 ○松本座長 ここは統一してください。 ○松崎参考人 統一したほうがよろしいですね。 ○笠原委員 以上です。 ○岩田委員 素人の質問になりますが、肝障害のところに皮膚症状とか皮疹というのが ありますが、皮疹というものを肝障害の症状に入れるのは常識なのでしょうか。私はよ くわからなかったので。例えば、5ページの黄色の中に皮疹と書いてありますね。8ペ ージの主な症状の中に皮膚症状として、皮疹、蕁麻疹、かゆみ。かゆみは黄疸があれば 出るかもしれないけれども、皮疹というのは肝障害の症状と普通はとるのでしょうか。 ○松崎参考人 これは私たちが薬物性肝障害の患者を診た場合に、発熱、皮疹で発症さ れて、同時に検査をしたら肝障害ということが多々ありますから、重要な症状として入 れました。 ○松本座長 見つける場合の症状としては皮疹ということです。 ○岩田委員 ご趣旨はよくわかりますが、何か素人の方がご覧になると、肝臓が悪いこ とによってという因果関係を読んでしまう恐れはないのかなと。そういう説明があった ほうがよろしいのではないかというのを感じたという意味です。臨床的な意味づけはよ くわかりますが、このままだと因果関係があるかのように見えてしまうとあとで困るこ とがないかなという疑問です。 ○松本座長 何かご意見はありますか。千葉先生。 ○千葉参考人 私もあとで自分のところでよく似た感じですが、あまり広く取りすぎる と、かえって変な心配を助長させすぎることもあるので、そういうのがあったら何でも かんでもすぐにというような、特に一般向けの場合が議論の多いところだと思います。 ○松本座長 それと関連して、循環器症状や上気道炎症状、ウイルス性肝炎の場合は上 気道炎症状がありますが、薬剤性肝炎のときに咳というものが確かにアレルギー性に起 こるので起こってもいいのでしょうけれども、8ページの主な症状が、皮疹も含めて比 較的にどうも他のものを想像しそうな感じで、見られた方が誤解される可能性があるか どうか。犬伏先生どうですか。こういう点は、こう書いておいたほうが親切なのか、広 くつかまえるのでというのもあるのでしょうけれども。 ○林委員 医学的な切り分けの仕方と一般の方に見えやすい症状の理解のしていただき 方ということがもちろん根底にあると思いますが、このマニュアルの場合、一般の方へ の「薬剤性肝障害とは」ということで作っていただいた先生方の解説の中にも出てきま すが、日本で副作用事例を収集した場合に、アレルギー性のメカニズムが寄与している 薬剤性肝障害が、そのまま気付かれずにずっと継続されていて、肝炎、肝障害ぐらいで 済んでいたものが進んでいってしまって、結果的には肝不全と言わざるを得ないような ものになっているイエローレターが複数あると思います。そういう意味でいうと全体の 循環器症状、呼吸器症状をどこまで一般の方に伝えたほうがいいのかということはある と思いますが、ひどい目に遭わないために早めに気付いていただくための症状というと ころには、アレルギー性の肝炎で気付いていただき方として皮疹あるいは発熱というも のが入っていることは、このマニュアルの趣旨からすると意味があるものだと思われま すので、その点も医学的判断の中に考慮していただけるといいのではないかと思います。 ○松本座長 5ページの黄色いところで皮疹が入るのはいいと思いますが、8ページの 主な症状のところで、いま言われたように、随伴症状という言葉で表わすのは変かもし れないですが、もう少し軟らかい表現でいかがでしょう。「主な」というと誤解されるか もしれません。 ○松崎参考人 いま座長のおっしゃるとおりで、ただ、趣旨はいま林先生がおっしゃら れたことが私どもの趣旨です。意外と肝障害を見逃してしまうことがあって、それで命 を落とされてしまうケースを私たちも経験していますから、それで一応肝臓学会として はあえてそういうところから、見逃さないでいただきたいという啓発という意味で入れ ました。主な症状となると、確かに主な症状ではありません。ですから、そのとおりで すので、「主な症状」から、ここは随伴症状という形で、こういう症状もありますよとい うことに気付いていただくように表わしていただくように変更していただければと思い ますが、いかがでしょうか。 ○犬伏委員 黄色い部分と、5ページから9ページまでが私たち一般人に向けての注意 事項だと思いますが、この黄色い部分がいちばんインパクトがあります。この黄色い部 分は8ページの(5)(6)がもっと初めにありきかなという気がします。この辺がパッと書か れていますと、私はこういう病気を持っているわ、そのときにこういうお薬を飲んだら もしかしたらそうなるかもしれないわよね。それで、そのあとに随伴症状というのでし ょうか、こういうようなことがあったときは特に気を付けてくださいねというのがあっ たほうが分かりやすいのかなと思います。一般的なことで、すべてがかかってしまうの だろうと思いますが、いままでの分はいつも黄色い中はこういう感じで書かれていたの ですが、今回お読みしていて(5)(6)は何に対してもそうなのだろうなと思いながら、イン パクトのあるところにこれが入ってくると。私たちはリスクには敏感です。何か怖いと いうのはすごくパッと目につきますが、それは先ほど来お話になっている赤字で書かれ た部分に目が行ってしまう可能性が高いような気がします。それは二次的なもの、三次 的なものであったとして、その人によっては出てこない可能性も多々あるのかなという 気がしますので、ここに(5)(6)のことが書かれていたとき、気を付けようという思いを持 ちやすいかなという気がしたものですから、文書としては特別な何かがあったほうがい いのかなと思います。 ○松本座長 構成の問題なので変えるのは難しいかと思いますが、いかがでしょうか。 林先生、何かありますか。いままでの例からいくと、こういう形でいっていますよね。 (5)(6)を前に持ってくると、かなり変えなければいけないので難しいと思いますが、一応 本当はこの黄色いところで注意を喚起して、あとは興味があればゆっくり読んでもらう というのがこの趣旨だと思います。 ○飯島委員 我々のほうの領域でも、スティーブンス・ジョンソン症候群やライエル症 候群の場合は、結局リスクファクターがあるかないかと考えた場合に、我々のほうはリ スクファクターが依然はっきりしませんので、ここにはそういうことは一切書きません でした。肝障害の場合、特に何かリスクファクターに高いものがあるのであれば、いま のようにバックグラウンドをお書きになるといいのですが、逆にそれをお書きになりま すとそうでない場合が薄れるのです。そういうことを考えたので、我々のほうは入れま せんでした。1つ追加します。 ○市川委員 2点ほど意見をと思います。1点目はマイナーチェンジですが、このマニ ュアルはすごく立派なマニュアルで、読むのもとても読みごたえがあるマニュアルだな と思ったのですが、もったいないと思ったのは6ページ、7ページの「患者の皆様へ」 で、「1.薬物性肝障害とは」、次のページに「2.早期発見と早期対応のポイント」が ありますが、ほかのマニュアルは、見比べていただければわかりますが、ポイント数を かなり大きくしてメリハリを付けられています。このマニュアルは文字のポイント数が 一緒でメリハリがないところと、また、10ページからは「医療関係者の皆様へ」という ことで、11ページの「1)早期発見と早期対応のポイント」というように、1)から7) までありますが、これはポイント数をアップして1.、2.という感じでメリハリを付けら れたほうが見やすいなと思いました。  14ページの「(1)自覚症状」の3行目の掻痒感や、同じページの真ん中ぐらいにある皮 膚掻痒感の「ソウ」は、手偏ではなくて外字ですが病垂にしていただければと思いまし た。  最後になりまして恐縮ですが、70ページで、「7)その他、早期発見・早期対応に必要 な事項」として、最近の研究ということで薬物性肝障害の検討と、72ページに遺伝子多 型、いまとても参考になるデータを掲載していただいていますが、(2)は弊社の薬剤とい うこともあって誤っているところがあるので、ご指摘させてもらってよろしいですか。 73ページの上から6行目、「イリノテカンは体内でカルボキシルエステラーゼ・・・」 ですが、「ル」が抜けています。また、「によって細胞を障害する物質・・・」ですが、 「物質」ではなくて、「活性代謝物」の誤りです。そこから6行下に、SN-38の解毒が 進まず強い副作用とありますが、強い副作用とは何かというのがわかりづらいですので、 「(特に好中球減少)」という感じで具体的に書いていただけると、より活きるのかなと 思いました。僭越ではありますが、以上です。 ○松崎参考人 例示を入れておきますか。 ○市川委員 そこはお任せします。何か具体的な例示を入れていただければと思いまし た。 ○松本座長 松崎先生、その辺は大丈夫ですね。 ○松崎参考人 大丈夫です。問題ありません。 ○飯島委員 掻痒感の「ソウ」の字は、私どもの学会でも非常に問題になりました。日 本医学会の医学用語辞典の改定の第3版は手偏になっています。病垂は外字とおっしゃ いますが、こういう字がないのです。ですから、我々は日本皮膚科学会の理事会でも病 垂にこだわる声が非常に強うございましたが、時代の流れで括弧書きであくまでも使う。 本当に使う場合は使いますが、一般ではこの字です。ジャーナリズムもこれだというこ とで、日本医学会の第3版をご覧いただければ。そのように大議論になりましたので、 付け加えさせていただきます。 ○松本座長 皮膚科の先生がそう言われれば、こちらのほうがよいのかもしれませんが、 よろしいですか。 ○市川委員 わかりました。 ○松本座長 ほかにありませんか。 ○飯島委員 1点だけ。15ページの他覚所見の皮膚症状の6行目の蕁麻疹のあとの、播 種状丘疹、紅斑ですが、間のポツが入ってしまうと具合が悪いので、つないでいただか ないといけないのです。つながらないと意味がなくなります。播種状紅斑丘疹型あるい は丘疹紅斑型と言います。 ○松本座長 ほかにありませんか。松崎先生、64ページの症例の胆汁うっ滞型の最後か ら3行目ぐらいで、薬剤中止しているか、していないかは書いていないのですが、その 辺はどこかにお願いできますか。 ○松崎参考人 この患者は薬剤中止ができない患者でありまして。 ○松本座長 それで読んでいて、あれっと思ったのです。 ○松崎参考人 実は薬をやめてしまうと心臓のほうがまずくなってしまうので、それで 苦慮したケースでありまして。 ○松本座長 中止しないでこうなったというので、その辺が読んでいて、いままでの感 覚からいくと少し違うものですから、どうですか。その次に混合型というのがあります が、混合型は次のページに胆管病変なしとなっていて、この症例の描写に混合型の特徴 的なことが何か入っていないような印象があるのですが、よろしいでしょうか。65ペー ジの組織所見に胆管病変はなかったかもしれないですが、胆汁うっ滞ぐらいはあったか どうか。 ○松崎参考人 確かにおっしゃるとおりです。 ○松本座長 これは混合型の典型例としては、あまり読んでいても典型的ではなさそう なのと、もう1つは次の急性肝不全も前の症例2のベンズブロマロンのほうが劇症らし くて、こちらはあまり典型的ではないような感じがします。肝臓学会からの提示なので、 できればかなり典型的な症例がもしあればと思ったのですが、いかがでしょうか。なか なか難しいとは思いますが。 ○松崎参考人 なかなか適切な症例を集めるのには非常に苦慮しまして、なんとかこう いう形で集めたのが正直なところです。いまおっしゃられたように混合型に関して、記 載内容が少し乏しいというのはご指摘のとおりだと思います。発症の検査データのとこ ろで、胆汁うっ滞のゾーン、この提示をされた先生はアルカリホスファターゼが高いと ころで胆汁うっ滞を認識していただきたいということで、全体を通せば混合型という形 になるのですが、もう少し詳細に出したほうがよろしいかもしれないですね。 ○松本座長 学会が作っているマニュアルになりますので、できるだけ、もし可能であ れば、その辺を検討していただければと思います。 ○松崎参考人 検討させていただきます。 ○松本座長 よろしくお願いします。ほかにありませんか。よろしいようでしたら、松 崎先生、肝臓のほうは大変膨大なマニュアルで大変だと思いますが、細かいところ、先 ほど議論になったところを、学会の先生のご了承を得た上でまた訂正していただければ と思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。  続きまして、消化器領域の麻痺性イレウスのマニュアル案について説明をお願いしま す。 ○事務局 麻痺性イレウスのマニュアル案について概要を説明いたします。資料2-2「麻 痺性イレウス」です。5ページの「患者の皆様へ」に概要を記載しています。薬の服用 により、腸管の動きが鈍くなる麻痺性イレウスは、鼻炎薬、あへん系鎮痛薬、免疫抑制 剤、抗精神病薬、鎮痙剤などの医薬品で起こる場合があります。症状としては、お腹が 張る、著しい便秘、腹痛、吐き気、嘔吐などです。6ページに「麻痺性イレウスとは」 ということで、副作用発現の種類などについて少し細かく説明しています。また、早期 発見と早期対応のポイントも記載しています。患者向けのイラストとして、お腹が張る、 腹痛、吐き気を挙げています。8ページ以降は、「医療関係者の皆様へ」です。患者側の リスク因子として、麻痺性イレウスを起こし得る医薬品を複数内服する場合などを挙げ ています。11ページの発症機序で、各薬品ごとにムスカリン受容体遮断、オピオイドμ 受容体作用、腸内容停滞などの機序の説明がされています。17ページより、典型症例を 挙げています。医薬品別副作用報告件数は、23ページの参考1に示しています。以上で す。 ○松本座長 ありがとうございました。千葉先生、何か補足することはありますか。 ○千葉参考人 大したことではないですが、6ページに「麻痺性イレウスは、腸管の動 きが鈍くなることにより起こる病気であり」とあって、主な症状としてお腹に、排便、 排ガスの停止ということが挙げられていますが、どういう病気かということをもう少し はっきりさせるためには、腸管の動きが鈍くなり、排便が困難となる病気でありぐらい にしたほうがいいのかなと。次を読んでいけばわかりますが、そこだけそうしたほうが いいかなと思っています。 ○松本座長 その辺は、先生よろしくお願いします。 ○岩田委員 些細なことですが、言葉遣いをできるだけ統一したほうがいいのではない かと思います。先ほどのマニュアルでは「嘔吐」が仮名になっていますよね。今回は漢 字になっている。だから、同じような言葉は同じ表記にする。それから、これは免疫抑 制剤、抗精神病薬、鎮痙剤と、剤や薬がバラバラに使ってありますが、きちんと用語の 使い方を統一したほうがいいのではないでしょうか。 ○松本座長 剤と薬に関しては、どちらを使っていましたか。 ○事務局 剤と薬については特に規定はないですが、できるだけ統一するような形で病 院薬剤師会等とご相談したいと思います。 ○松本座長 これまでは剤でしたっけ。薬のほうが多いですか。 ○千葉参考人 国家試験は全部「薬」です。ですから、我々のところの薬、剤について は統一していただいて、しかも1つの中に薬とか剤があると思いますが、例えば嘔吐は 各グループによって作成しているものが違いますから、もしそれもそうするのであれば 全体として統一していただいたほうがいいと思います。 ○松本座長 黄色のところは仮名が振ってあるので、これでもいいかもわからないです が、岩田先生ないですか。 ○岩田委員 これは全く事務的なことなので、今回だけ出てきた話ではないと思うので、 できるだけ言葉遣いは統一したほうが一般の方にはいいのではないでしょうか。 ○松本座長 事務局、林先生、この点は仮名も含めた表現方法を検討していただければ と思います。ほかにありませんか。 ○市川委員 たくさんあるので、最初から順を追って説明します。6ページの「1.麻 痺性イレウスとは」と書いてある真ん中ぐらいに、麻痺性イレウスを起こす医薬品には とありまして、2行目に鎮痙剤が重複しているみたいですので、最後の鎮痙剤を取って いただければと思います。3行下のα-グルコシターゼ阻害剤に(抗糖尿病治療薬)とあ りますが、これは日本語がおかしくて、例えば「抗糖尿病薬」なのか「糖尿病治療薬」 なのか、どちらかの表記にしたほうがよろしいのではないか。下から2行目も同様です。  14ページは質問ですが、「イレウスの分類」ということで図4に分類を示していただ いていますが、麻痺性イレウスは腸管閉塞の中に位置づけられるという理解で、同義語 ではないということでよろしいでしょうか。例えば製薬企業の立場からで恐縮ですが、 医療用医薬品の添付文書に「腸閉塞」を重大な副作用として書いてある場合、その「腸 閉塞」に「麻痺性イレウス」が包含されているのだという解釈をしてよろしいものかど うかがちょっと迷いました。 ○松本座長 これは結構難しくて、千葉先生が専門だろうと思いますが、インテスティ ナルオブストラクション(intestinal obstruction)とイレウス(ileus)というのは元々は違 う概念から始まっているのですが、いま日本ではイレウスもインテスティナルオブスト ラクションも同じような意味で使っている傾向がありますよね。千葉先生の所はどうで しょうか。 ○千葉参考人 閉塞をイレウスという言い方で置き換えているのが実態で、したがって 機能的イレウスというと閉塞といえば閉塞だけれども、麻痺性イレウスは非常に厳密に 言えば腸管閉塞ではないです。そこは難しいです。例えば、糞便イレウスは閉塞がない のかというと、閉塞はあるという言い方になりますし、それは言ってみれば麻痺性イレ ウスですよね。ですから、非常に厳密にというのは難しいです。 ○市川委員 後ほどまた説明しようと思いますが、今年の10月から医薬品医療機器総 合機構で運営管理されている医薬品医療機器情報提供ホームページの添付文書情報とい ま19個リリースされているマニュアルをリンクづけしています。医療用医薬品で調べ ると、腸閉塞と書いてあったり、ただのイレウスと書いてあったり、麻痺性イレウスと 書いてあったりとバラバラなのです。実際にこのマニュアルがリリースされたあとにリ ンクづけをする際に、「腸閉塞」まで麻痺性イレウスのマニュアルをリンクづけしても問 題ないのかということと、また、「イレウス」にまでも麻痺性イレウスのマニュアルをリ ンクづけしても別に問題ないのかということを教えていただきたく考えております。 ○千葉参考人 いまの医療の診療の状況において、麻痺性イレウスというのを腸閉塞と 言って間違いではない、というのが感覚だと思います。 ○松本座長 先生、これは学会としてイレウスと腸閉塞、いまは一緒に使われています が、これは学会のマニュアルなので、その辺は統一した見解を出していただければと思 います。ここで議論しても、おそらく無理だと思います。市川委員が言われるように、 これからこういう言葉に対するいろいろなことが起こってきますので、イレウスと腸閉 塞がいまは一緒になっていますが、そうしていいかどうか。学会としてのものを決めて いただいたほうが、私たちとしては従いやすいところがありますので、先生に是非その 辺を含めて検討していただいた上でこれをもう1回出していただければと思います。よ ろしいですか。 ○林委員 先生に言っていただいたように学問的にということがありますが、このマニ ュアルを待っている人たちもいると思うので、その意味で言えば、これはイレウスの分 類という図ですから、最初がイレウスで始まってはいかがでしょうか。あるいは、それ をなしで分類していけば、このマニュアル自身は国民の皆さんや医療関係者のためにリ リースできるのかなと思いますが、ここが腸管閉塞ではなくて、とりあえずこれを抜い ておくかイレウスにしておいて、あとは学問的なご議論をしていただいて。 ○千葉参考人 そうですね。 ○市川委員 よろしくお願いします。長くなりましてすみません。次は17ページの典 型的症例の概要で、症例1の下から2行目ですが、パントテンサンのサンは漢字(酸) にしていただきまして、プロスタグランジンF2aのaはαの間違いですよね。症例3の 1行目はたぶんAZaはアザチオプリンだと思いますが、2行目はAZsとあります。これ は正しいのでしょうか。 ○千葉参考人 aです。 ○松本座長 1行目に痴呆とありますが、これはいまは痴呆というのは使いませんので、 認知症に切り替えられたほうがいいと思います。 ○市川委員 18ページの下から4行目と下から3行目は血小板数の104とmm3ですが、 上付きの4と上付きの3に修正をお願いします。単位の部分です。19ページの臨検値の 表はきちんと上付きになっているみたいです。19ページの3行目も同様です。  最後に21、22ページです。ここで、先ほどの添付文書情報とこのマニュアルをリン クづけする際の問題ということで、実際企業がマニュアルをリンクづけする際に悩んで いるところがあります。原因医薬品一覧ということでリストアップしていただいていま すが、例えばベラドンナアルカロイドに硫酸アトロピン、臭化ブチルスコポラミンとロ ートエキスというように、抗コリン作用を有する薬剤を表記していただいていますが、 実際にはこれらの製品には麻痺性イレウスは添付文書には記載されていないのです。実 際、リンクづけする際に、麻痺性イレウスのマニュアルでありながら、添付文書の重大 な副作用に麻痺性イレウスが記載されていなければ、リンクはできないのです。しかし、 マニュアルの後ろには原因医薬品としてリストアップされているもどかしさみたいなも のがありまして、そこをどう考えればいいか苦慮しております。これは、第2弾として リリースされた「白質脳症」のマニュアルにも言えますが、添付文書には記載されてい ないのですが、マニュアルの後ろに原因薬剤として記載されている場合がありまして、 そこの取扱いがちょっと難しいのです。いまは19個のマニュアルがリリースされてい ますが、原因薬剤に記載されているがために、添付文書には記載されていないのに、無 理矢理リンクづけしている添付文書(製品)もありまして、それもまた変な話で、医療 現場の皆様の混乱を来たすのではないかといった懸念がありまして、検討いただければ と思います。 ○松本座長 ありがとうございました。麻痺性イレウスに関しては結構微妙で、必ずし も排便停止ではなくて麻痺していますから、場合によっては下痢することもあり得るの です。そういうものを含めて、麻痺性イレウスというタイトルになっているとなると、 それなりの形で林先生とまた相談された上でまとめていただければと思いますが、よろ しいでしょうか。これをほかのとリンクさせたりすることもあるので、その辺を含めて ご検討いただければと思います。 ○千葉参考人 おそらく、いまおっしゃられた問題はすべてに関わってくる問題だと思 います。ただ、この硫酸アトロピン、臭化ブチルスコポラミンと、いまおっしゃったあ たりについては、間違いなくイレウスを起こすものですので、私どもの立場からすれば 添付文書に載っていなくてもここには載せるべきであるというのが私の個人的意見です が、ただ、この会全体でそういう方針で臨むのかどうかというのは少し議論していただ いてもいいのかなと思います。間違いなくそう思いますから、私は載せるべきだという ことです。 ○松本座長 もう1回、消化器病学会と事務局と林先生とで、この件に関してはまた調 整していただければと思います。 ○林委員 基本的な方針としての確認だと思いますが、添付文書にすべてを拘束されて しまうと、学会の先生方に学問的に検討していただいて、医学的に症例を検討していた だいた、フィードバックする意味がなくなってしまうので、基本的にはこのマニュアル ではそういう意味で、医学的、薬学的に正しいことが書かれているスタンスは曲げない ということが、スタートの時点からあったと思います。ただ、最後にそこでリンクをは る作業に関して一致しないことについては、そこで解説を入れるなりして、論理的ある いは事例としてそういうことが知られているので、ここはリンクをはったのに*を付け るとか、何かそういう技術的な利用者への説明のテクニックを使っていくことも含めて 解決していくということで。添付文書にこれが逆に縛られてしまうと少しサイエンスベ ースでなくなる。添付文書は、治験と市販後で観察された事象を正確に書くことが添付 文書の義務としてGVP等であると思いますので、それはそれで。学問的に正しいこと は正しいことでうまくすり合わせていく方向で、基本方針がよろしければあとは作業を して、学会の先生方と相談します。 ○松本座長 学問的なものに関しても、かなり曖昧なものがありますので、これはなか なか難しい問題とは思いますが、この副作用対策検討会の出だしは、副作用について正 確に一般の方に理解してもらうことにあるわけですよね。ということになると、添付文 書のリンクなどはまた別問題になるかもしれない。 ○市川委員 わかりました。 ○飯島委員 それに関連して私どもの領域で、添付文書にないけれども、新しくこの薬 剤によってこういうことが起こりましたというのを報告していくのが我々の学問であっ て、添付文書がないからそれは因果関係はありませんという発想に近付くと思います。 実際のテクニックが不都合であって、そちらのほうを曲げていただいたほうが正しいと 思います。 ○市川委員 私の説明不足だったのですが、前回の検討会で「白質脳症」のマニュアル を検討したかと思いますが、そのときは「重大な副作用として白質脳症が記載されてい る主な医薬品」と書いてあり、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、シ タラビンが挙げられていましたが、実際にはこれらの製品の重大な副作用の項には、「白 質脳症」は記載されておりませんので、明らかな誤りだと思うのです。例えば、一度リ リースされているものをご訂正いただくことは可能かどうかだけをご教示いただければ と思います。この他にも、実際に重大な副作用に記載されている医薬品と書いておきな がら、実際には記載されていないマニュアルもあります。 ○松本座長 そちらに関しては、事務局のほうでチェックしていただいて、ここでやっ ても結論が出ませんので。 ○千葉参考人 事務的な問題もあると思いますが、ここではあくまで学問的に患者に役 に立つようなというのを趣旨にすべきであると何人かの先生がおっしゃって、そのとお りだと思いますし、私も薬事の会議に出席していますが、添付文書は必ずしも練れてい ないです。それで、もう死語になったような副作用が出ていたり、私はそちらはそちら で見直しが必要だということを非常に強く言っているのですが、むしろこちらのほうが 正しいことが多いと思いますから、あまり添付文書を付けることにこだわるというのは、 この会の趣旨には合わないと思います。 ○松本座長 ありがとうございます。こういう定義に関してここで議論しますと全く進 んでいきませんので、そのために学会の指導でこういうマニュアルを書いてもらってい るわけですから、公表された場合に学会のほうがある程度そのことに関しての責任をお 持ちになるわけで、そういうことで進んでいかざるを得ないのではないかと思っていま すが、よろしいでしょうか。ほかにありませんか。 ○岩田委員 ミスプリだと思いますが、22ページのリストアップされているいちばん最 後から2つ目は、ダントロレンのことではないでしょうか。ダントロシンというのはあ るのですか。前の例のところにはダントロレンが載っているので。 ○林委員 ダントロシンという薬剤はあります。 ○岩田委員 前の例がダントロレンで。 ○松本座長 薬剤に関しての細かい点は、チェックしていただければと思います。 ○山地委員 18ページは症例4がダブっています。 ○松本座長 そういう点は、是非直していただければと思います。よろしいでしょうか。 次の消化性潰瘍についての説明をお願いします。 ○事務局 マニュアル案について、内容を説明します。資料2-3「消化性潰瘍」です。5 ページの「患者の皆様へ」に概要を記載しています。薬の服用により、胃や十二指腸の 粘膜が荒れる消化性潰瘍は、総合感冒薬、痛み止め、解熱消炎鎮痛薬、ステロイド剤、 骨粗鬆症治療薬などの医薬品で起こる場合があります。症状としては、胃のもたれ、食 欲低下、胸やけ、吐き気、胃の痛み、黒色便、吐血などです。6ページに「消化性潰瘍 とは」ということで、副作用発現の種類などについて少し細かく説明しています。また、 早期発見と早期対応のポイントも記載しており、潰瘍による貧血症状なども触れていま す。患者向けのイラストとして胃の痛み、吐血を挙げています。  8ページ以降は、「医療関係者の皆様へ」です。副作用の好発時期としてNSAIDsで は、服用初期に多いこと、患者側のリスク因子として高齢や消化性潰瘍の既往などを挙 げています。12ページの発生機序で、医薬品群ごとにプロスタグランジン産生低下、胃 酸分泌亢進などの機序の説明がされています。15ページよりNSAIDs潰瘍を中心に、 予防・治療方法について記載しています。17ページより典型症例を挙げています。医薬 品別副作用報告件数は、21ページの参考1に示しています。以上です。 ○松本座長 ありがとうございました。千葉先生、何か補足されることはありますか。 よろしいですか。 ○千葉参考人 特にありません。 ○松本座長 委員の先生方、何かご質問等をどうぞ。 ○岩田委員 7ページの絵は吐血の絵にあまり見えなくて、血痰が出ているように見え るので、何かもう少し吐血らしい絵ができないですか。 ○松本座長 隣のページの慢性関節リウマチは、最近は慢性を取っているのではないか と思います。関節リウマチと言うのではないかと思います。 ○山地委員 6ページの患者向けの説明のところで、用語を統一されたほうがいいと思 います。6ページの真ん中に、いきなり非ステロイド性抗炎症薬と出ています。ほかは、 すべて解熱消炎鎮痛薬になっていますので、これであれば解熱消炎鎮痛薬(非ステロイ ド性抗炎症薬)とされたほうがわかりやすいと思います。 ○松本座長 含む(同格)でいいのかな。市川さん、どうですか。 ○千葉参考人 解熱消炎鎮痛薬ということになると、非ステロイド系抗炎症薬など。非 ステロイド系抗炎症薬というと、これはNSAIDsということになります。 ○市川委員 8ページのBの「医療関係者の皆様へ」で、NSAIDsは言わずもがなです が、この用語が登場する一番最初にNSAIDsの正式名を記載した上で、( )書きで NSAIDsの略称を書いたほうがよいと考えます。いきなりNSAIDsという言葉が出てき ますので、ちょっと気になりました。 ○千葉参考人 わかりました。患者向けのところは、あえてNSAIDsという言葉を使わ ないで「痛み止め」という言葉も使っています。ただし、その中での整合性というのは 患者用と医療関係者用とで用語は多少分けてもいいと思いますが、それぞれの中での統 一ということですね。了解しました。 ○松本座長 ほかにありませんか。よろしいですか。時間も過ぎていますので、あと1 つだけ。16ページの(2)の「抗潰瘍薬の予防投与が望ましい」というのは、保険適用 にならないのですがよろしいでしょうか。これは予防的に投与した場合、有効性はある のですか。止められる。 ○千葉参考人 もちろんです。だから、日本でも海外でもエビデンスとしてはしっかり 出ています。現に、いま治験が進行中であり、エビデンスとしては非常にある。それか ら、医学的には投与して当然であるというのが実際のところです。 ○松本座長 最近は、簡単に投与されていますものね。事務局のほうはどうですか。こ れでよろしいですか。予防的投与が望ましいというのは。消化器病学会でチェックされ た上でまた訂正があれば、訂正していただければと思います。 ○飯島委員 いまの件は今度は保険局医療課の立場からいいますと、これは非常に悩ま しいところです。要するに予防投薬という発想は保険局にはありませんので、たぶん査 定の対象になるでしょうし指導の対象になり得ます。ですから、リウマチがあって十二 指腸潰瘍があって、NSAIDsを投与してPPIを投与している場合の扱いが、非常に都道 府県によっても違うという悩ましいところですから、これは是非とも保険局医療課とご 相談の上、この文面をなんとか。これは、医学的には正しいのだと思います。ただ、厚 生労働省と役所の中に出てきて、片方が進めて片方が駄目よという話になりますと、役 所として大臣の責任が問われかねませんので、内部でよろしくお願いします。 ○安全対策課長 わかりました。 ○松崎参考人 肝臓のところで薬物性肝障害に対してウルソが予防すると一応は書いて ありますが、それも(保険適応外)と括弧して入れておきました。そこのところが混乱 されるとまずいと思ったので、私たちはそうしました。 ○松本座長 本当のところ、その部分の実験結果に関しては、ある単独の薬剤に対する 実験結果なので、どうしようかというのは一応議論にはなっています。後ろ側はいいの ですが、前のほうが問題になって、その辺は肝臓学会で検討されて。ほかにありません か。よろしいようでしたら、次に進みます。偽膜性大腸炎について説明をお願いします。 ○事務局 マニュアル案について内容を説明します。資料2-4「偽膜性大腸炎」です。5 ページの「患者の皆様へ」に概要を記載しています。抗生物質の服用により、ある種の 菌が異常に増えて大腸で感染、炎症が見られる偽膜性大腸炎が起こる場合があります。 症状としては、いつもより回数の多い軟らかい便、頻繁に水のような下痢が起こる、粘 性のある便、お腹が張る、腹痛、発熱、吐き気などです。6ページに「偽膜性大腸炎と は」ということで、副作用発現の種類などについて細かく説明しております。また、早 期発見と早期対応のポイントも記載しており、重症例の血の混じった下痢などについて も触れています。また、腹痛に対して抗生物質を使用した場合にも起こることがある旨、 注意喚起しております。患者向けのイラストとして、下痢、腹痛を挙げています。  8ページ以降が「医療関係者の皆様へ」です。副作用の好発時期として、クロストリ ジウム・ディフィシルによる院内感染等について記載しています。9ページの投薬上の リスク因子では、広域抗菌薬で起こりやすく、アミノグリコシド系、メトロニダゾール、 バンコマイシンでは起こりにくいなど、抗菌剤の種類ごとの特徴などについて記載して います。20ページから抗菌薬の中止・交代、除菌療法などの治療方法について記載して います。23ページより典型症例を挙げています。医薬品別副作用報告件数は、38ペー ジの参考1に示しております。 ○松本座長 ありがとうございました。千葉先生、何か補足されることはありますか。 ○千葉参考人 この前に委員の先生方と議論したのですが、5ページの黄色の所で、「1 日2〜3回のやわらかい便」というのはさまざまな薬剤や抗生物質で結構起こる現象で すので、これをここに書いてしまうとかなりの方が心配されるので、これは消したいと。 「水のような」を消して、「頻繁な下痢が起きる」というような記載で統一したいという ことです。したがって、6ページについても同じような訂正で、早期発見と早期対応の ポイントですが、強いて言えば入院中の患者に起こることが比較的多いですから、入院 中に便がやわらかくなった場合にはということを付け加えるかどうかの辺りで対応した いと思います。 ○松本座長 そうですね。症状は胃腸炎の症状で、実際には診断そのものは特殊なもの になりますので、患者に関しては非常に微妙なところですね。何かご質問、ご意見等は ありますか。これは非常によくできていて、内視鏡の写真などは立派な写真が出ていて ありがたいのですが。 ○岩田委員 言葉遣いなのですが、これは抗生物質以外の抗菌薬では起こらないですか。 ○千葉参考人 抗生物質以外の抗菌薬とは、どういうものですか。 ○岩田委員 患者には、最近は「抗生物質」より「抗菌薬」と書かれている本が多いの ではないかと思うのですが、違いますか。 ○林委員 たぶん、化学療法学会の先生がいらっしゃるとわかると思いますが、抗生物 質と、オリジンがもともと自然界のものであったかということと合成であるかというこ とを含めて、いちばん広い概念としては、いまは「抗菌薬」で統一していると思います。 ただ、国民の皆さんが聞いて、きっとあれかなと思うときに、抗生物質のほうが耳に慣 れているという気はします。一般の方は、抗菌薬と抗生物質はどのように耳になじみま すか。 ○犬伏委員 このごろ、世の中で抗菌とは薬ではなく、手洗いなどいろいろなもので抗 菌というものがあります。もう一つはBSEがあってから、動物の薬、抗生物質、抗菌 剤、そして人間の抗生物質、抗菌と、そのようにつながっている気がします。ですから、 どちらも一緒かなと思います。 ○松本座長 抗生物質も抗菌剤の一種といえば一種ですね。 ○犬伏委員 1つ心配なのは、いま申し上げたようにいろいろな所に抗菌剤があるので す。このごろ、薬でpHを5.5ぐらい下げてしまったという、普通の水と同じように手 を消毒する、あれは何でしたでしょうか。 ○林委員 酸性水のことですか。 ○犬伏委員 野菜などを長持ちさせるために、カット野菜を洗うもので、カットした野 菜をその水を通して洗うことで殺菌される、滅菌、殺菌の類なのですが、薬事法に触れ るから、滅菌、殺菌と言わずに除菌と言ってみたり、少なくしてみたりするのです。 ○松本座長 ただ、この病気そのものが、そのような意味の抗菌操作によって起こるも のではないので、それと勘違いされるかは心配されますかね。 ○千葉参考人 やはり抗生物質のほうが。 ○松本座長 ポピュラーですが、抗菌剤のほうが広く、抗菌剤でも起こるわけですから ね。抗生物質以外の抗菌剤でも起こるので、抗菌剤と言わざるを得ないのですが。 ○岩田委員 間違いが起こらないというなら抗生物質が。そのほうがいいでしょう。語 感だけの問題ですね。 ○松本座長 抗生物質が主なので。ペニシリンでは起こらないかということになります が。 ○林委員 いまの話を伺っていると、患者向けのところは「抗生物質」としておいたほ うが理解が得やすいし、医療関係者向けのマニュアルのほうは「抗菌薬」として、そこ がずれていることはどこかで注意書きをしておくということで、もうしばらく一般の国 民の皆さんの理解を得ていくほうがいいように思います。 ○松本座長 それでよろしいですか。それでは、そのようにさせていただきます。ほか にご質問はありますか。 ○笠原委員 医療関係者向けのところですが、34ページや36ページのクロストリジウ ム・ディフィシルの検査法や薬物治療のことが、総論的な話としてはもちろんいいので すが、副作用のマニュアルには、ストーリー的にここまで必要かなと感じました。表4 の検査法の中でも、「利益、不利益」というのは、アドバンテージ、ディスアドバンテー ジというもともとの原文を訳したのだと思いますが、書くとすれば「長所、短所」でよ ろしいかと思うのです。 ○松本座長 そこまでディスカッションすると止まらなくなりますが、これは学会でな されているのです。ディフィシルが証明されれば偽膜性腸炎と言っていいかどうかとか、 もっと単純な意味でそのような問題も絡んでいるのですが、それをやり出すと止まらな いので、今回はこのような資料を後ろのほうに付けているという解釈でよろしいかと思 いますが、いかがでしょうか。 ○市川委員 32ページのマイナーチェンジなのですが、表1の胃腸疾患患者と代謝障害 患者で、「1臓器障害」の文字が2ヶ所欠落していると思います。 ○山地委員 12ページの上から2行目に表5とありますが、後ろのほうで表5が欠落 しています。 ○松本座長 よろしいですか。それでは、次に精神科領域の悪性症候群のマニュアル案 について説明をお願いします。 ○事務局 資料2-5「悪性症候群」です。5ページの「患者の皆様へ」に概要を記載し ています。向精神薬、特に抗精神病薬の服用中に、高熱や意識障害を起こす悪性症候群 が起こる場合があります。症状としては、ほかの原因がなく37.5℃以上の高熱が出る、 汗をかく、ボヤッとする、手足が震える、身体のこわばり、よだれが出る、脈が速くな る等々です。  6ページに、「悪性症候群とは」ということで、抗うつ薬、パーキンソン病治療薬など でも起こる場合があることなどについて、少し細かく説明しております。また、早期発 見と早期対応のポイントも記載しており、迅速な対応が必要な旨を記載しております。 (参考)として、より詳細な情報も記載しています。患者向けのイラストとして、発熱 して手が震える、ボヤッとしてよだれが出る、脈が速くなる、汗をかくを挙げています。  9ページ以降が「医療関係者の皆様へ」です。副作用の好発時期として、原因医薬品 の投与後、減薬あるいは中止後の1週間以内が多いこと、9ページの早期発見に必要な 検査として、血液・生化学検査の必要性などについて記載しています。  14ページの副作用の判別基準で、4種類の診断基準を挙げています。17ページの治 療方法で、ダントロレンナトリウム投与などの治療方法について記載しています。17ペ ージから、典型的症例を挙げています。医薬品別副作用報告件数は、22ページの参考1 に示しています。 ○松本座長 ありがとうございました。河西先生、何か補足はありますか。 ○河西参考人 特にありませんが、いまご説明があった6ページの第1項の最後のほう で、抗精神病薬以外の薬のことが書いてありますし、悪性症候群は抗精神病薬で惹起さ れて精神科領域の副作用というイメージが強いと思うのですが、10ページの第2項の副 作用の概要のいちばん最後の3分の1ぐらいの所に、必ずしもそうでないことを明記し ているので、広くコメントやご批判をいただければと思います。 ○松本座長 ありがとうございました。ご質問、ご意見はありますか。 ○岩田委員 言葉のことばかり言って申し訳ありませんが、このマニュアルでは全部「ド ーパミン」となっていますが、神経学会では「ドパミン」に統一しております。どちら でもいいと言えばどちらでもいいのですが。また、作働薬の言い方として「ドーパミン 神経系作働薬」となっているのですが、普通は神経系は取って「ドーパミン作働薬」「セ ロトニン作用薬」という言い方をするので、そこは直したほうがいいと思います。 ○松本座長 そうですね。それはよろしくお願いします。 ○林委員 以前ワーキングで参加していた日本病院薬剤師会の委員会からも質問したか もしれないのですが、これが厚労省と名前が付くマニュアルになることも含めて、「向精 神薬(主に抗精神病薬)」とありますが、向精神薬を書く医学的意味は、向精神薬という と向精神薬・麻薬取締法というか、むしろベンゾジアゼピン系薬剤や、いま話題になっ ている塩酸メチルフェニデート、リタリンなどが法的には入ってきてしまうので、一般 の方が何と言えばいちばんわかりやすいかということもありますが、医療者向けの本文 中にも「向精神薬(抗精神病薬)」と書かなければいけないかどうか。例えば、「主とし ては抗精神病薬」と書いて、向精神薬を取ってしまってもいいのか、それは医学的には まずいのか、その辺りを教えていただければと思います。 ○河西参考人 「主に抗精神病薬」だけでも、絶対いけないということはないと思うの ですが、ドーパミン受容体遮断作用が、抗うつ薬のある種のものなどで悪性症候群を惹 起することがあって、結構見逃されてしまうことがあります。機序は私も読んでいても どうかと思うのですが、ベンゾジアゼピン系のような副作用を起こさない、むしろ抑制 する薬でさえも起こすという症例報告もあるので、広く向精神薬と書いたほうが間違い はないと思います。副作用のトラブル例として学門的に間違いなはいと。抗精神病薬だ けに限定すると、逆に見落としたり、こぼれてしまうケースが出てくると思うのです。  例えばリチウムの場合は、リチウム中毒か悪性症候群かの判別は難しいですが、その 辺りも入ってくるので、向精神薬と書かないと片手落ちになるのかなと思います。 ○松本座長 これに関して、事務局から何かありますか。 ○事務局 特にありません。 ○林委員 重ねて、現場の薬剤師の感覚とすると、向精神薬と言うと、取締りでいつも 向精神薬といって在庫も全部帳簿をつけて流通も管理されている、今般のリタリンなど が主体になってしまうので、それが医学的に診断された事例の中に入っていることもあ ります。例えば、精神神経用薬としなければいけないのであれば、そこまで抗うつ薬も ベンゾジアゼピンも入れていいと思うのですが、向精神薬という言葉自身は、どうして も医療の中で医師会の先生方や薬剤師会としても、第1種向精神薬、第2種向精神薬を 想定してしまうので、先生方が折角作ってくださった意味を正確に受け取れないおそれ もあると思うのです。法律的にも、あまりにもクリアカットに言われている用語を、も う少し広く伝える用語に置き換えることをご検討いただければと思います。 ○松本座長 具体的には、括弧内を消すということですか。 ○林委員 逆に、抗精神病薬のほうが主体であるとか。抗精神病薬・向精神薬とかであ れば、ベンゾジアゼピンの事例がものすごく多いのであれば中ポツで置いてもいいし、 ここは国民の皆さん向けなので、大多数が抗精神病薬であれば、ファーストインプレッ ションとして国民の皆さんにお伝えするのには抗精神病薬としておいて、中ではそうい うものもあるということで解説したほうが、誤解を受けにくいのではないかと思いまし た。 ○松本座長 それは河西先生、よろしくご検討ください。 ○岩田委員 先ほど言い落してしまったのですが、クレアチンホスホキナーゼと書いて あるのですが、最近はクレアチンキナーゼだけで、ホスホを取っています。略語も、最 近はCKにしています。 ○松本座長 ついでに10ページですが、遅延、遅滞というのはおかしいと思います。 真ん中辺りに「発見が遅滞してしまう」という表現がありますが、これは遅れたという 意味のことを言おうとしているのだと思いますが、「遅れて」とか、そういった言葉のほ うがいいと思います。CPKは結構出てくるので、CKに直してください。 ○山地委員 整合性を保つために、5ページの患者向けの黄色い所は、薬剤師も入れて おいたほうがいいのではないかと思います。  9ページの(3)早期発見に必要な検査ですが、「生化学的検査を実施する。検査所見 は上記に述べたとおりであるが」とありますが、2つ目の検査所見というのは、文章の 流れからいくと、早期診断あるいは初期症状と受け取ったほうがいいのではないでしょ うか。これは上記がないですね。初期症状のところであれば、初期症状。 ○松本座長 もう少し書き直していただければと思います。 ○山地委員 もう一つ、17ページの治療方法の3つ目のパラグラフで、「ドーパミン神 経系作働薬である。」となっているのですが、これは「、」ですね。 ○河西参考人 そうですね。 ○山地委員 18ページの右側のシプロヘプタジン投与のところですが、「意識レベルが 著名」の「明」が違っているので、訂正してください。 ○松本座長 細かいことですが、16ページの4の判別が必要な疾患と判別方法の2行目 に「種」と書いてありますが、褐色細胞腫の「腫」が「種」になっています。  もう一つ、治療方法で中止後に発生することもあるということですが、中止後に発生 する場合の対処方法はこのような治療でよろしいですか。中止とか減量した場合に発生 する場合の対処法は、これで全部読み切っていいかどうかだけなのですが、先生がよろ しければいいと思います。 ○河西参考人 そうですね。 ○松本座長 もし、何かうまい表現方法があれば、入れていただければと思います。ほ かに何かありませんか。  それでは、同じく精神科領域の薬剤惹起性うつ病のマニュアル案について説明をお願 いします。 ○事務局 資料2-6「薬剤惹起性うつ病」です。5ページの「患者の皆様へ」に概要を 記載しています。インターフェロン製剤、副腎皮質ステロイド剤などの使用により、薬 剤惹起性うつ病が起こる場合があります。症状としては、眠れなくなった、興味がなく なった、不安やいらいらが出た、いろいろなことが面倒になった、食欲がなくなった、 気分が落ち込んだなどです。  6ページに、「薬剤惹起性うつ病とは」ということでレセルピン等のほかの薬剤で起こ ることもあるなど、少し細かく説明しています。患者向けのイラストとして、眠れない、 不安、いらいら感、気分の落ち込みを挙げています。  8ページ以降が、「医療関係者の皆様へ」です。このマニュアルでは、主にインターフ ェロン製剤及び副腎皮質ステロイド剤によるうつ病を取り上げています。前半がインタ ーフェロン製剤によるうつ病で、治療法は11ページからで、インターフェロン製剤の 減量・中止、変更、抗うつ剤、精神療法的アプローチについて説明しています。13ペー ジからが副腎皮質ステロイド剤によるうつ病で、ステロイド剤の投与量との関係などに ついて記載しています。16ページより典型症例を挙げています。医薬品別副作用報告件 数は、21ページの参考1に示しています。 ○松本座長 ありがとうございました。河西先生、何か追加はあますか。 ○河西参考人 これは薬剤惹起性うつ病のマニュアルですが、内容的にはインターフェ ロンによるものとステロイドにかなり限定して書かれています。最近注目されているも のや頻度の高いものをまず、ということだったので、多少タイトルと内容にずれがある ので、それは作ったほうとしては気にしています。 ○松本座長 ご意見はありますか。 ○岩田委員 繰返しですが、「剤」を「薬」にしたほうがいいかと思います。ほとんどが 「剤」となっているので。 ○松本座長 剤を薬に切り替えていただくことで。確かに、薬は限定されていますけれ ども、よくまとまっていると思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、次に進みます。アレルギー領域のアナフィラキシーのマニュアル案につい て説明をお願いします。 ○事務局 資料2-7「アナフィラキシー」です。5ページの「患者の皆様へ」に概要を 記載しています。造影剤、抗がん剤、抗菌薬、血液製剤、生物由来製品、卵や牛乳成分 を含む医薬品の使用で、急性の過敏症反応であるアナフィラキシーが起こる場合があり ます。症状としては、皮膚のかゆみ、じんま疹、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、 息苦しさなどで、息苦しい場合には救急車などで直ちに受診するよう求めています。  6ページに、「アナフィラキシーとは」ということで、年間発生数、作用機序などを少 し細かく説明しております。また、小児の場合、症状が明確でないなど、注意深い観察 が必要な旨記載しています。(参考)として、より詳細な情報も記載しています。患者向 けのイラストとして、じんま疹、息苦しい、吐き気、動悸を挙げています。  9ページ以降が、「医療関係者の皆様へ」です。アレルギー領域のマニュアルは、「ア ナフィラキシー」、「NSAIDsによる蕁麻疹」、「喉頭浮腫」、「血管性浮腫」があり、それ ぞれについて相補的に構成されていることを説明しています。副作用の好発時期として 投与後30分以内、患者側のリスク因子としてアレルギー歴を挙げています。  21ページからの治療方法で、薬剤の中止、アドレナリン投与などを挙げ、フローチャ ートを22ページに示しています。25ページから典型的症例を挙げています。医薬品別 副作用報告件数は、29ページの参考1に示しております。 ○松本座長 ありがとうございました。福田先生、何か追加はありますか。 ○福田参考人 ありません。 ○松本座長 アナフィラキシーに関して、何かご質問、ご意見はありますか。 ○岩田委員 絵のことですが、8ページに絵があって、2番目のヒューヒューというの は息苦しさを表現している絵なのでしょうか。 ○事務局 はい、そのつもりで作成しました。 ○岩田委員 血管性浮腫や喉頭浮腫の次のときは大事だと思いますが、ここは折角「く しゃみ」と書いてあるので、くしゃみの絵のほうがいいのではないでしょうか。くしゃ みはそんなに大事ではありませんか。私たちは造影剤をよく使うのですが、造影剤を使 うときはくしゃみに気をつけろと、看護師や技師には言っているので。 ○福田参考人 アナフィラキシーは非常に致死的なものなので、この絵はあまりよくな いと思うのです。気管支がけいれんしたり喉頭浮腫を起こすと、空気が通るとき狭い所 を通るので、ゼーゼーと喘鳴が出ますが、この絵はどちらかと言うと空気を吸ってヒュ ーと音が出ているので。 ○岩田委員 そのような重篤なものを載せたほうがいいのですか。それとも、早く気が つくものということで、もう少し軽症のものを載せたほうがいいのでしょうか。 ○福田参考人 くしゃみだと、あまりにも一般的すぎて向かない気がします。 ○森田委員 9ページの囲った所は、これ以降繰り返し出てくるので大事な所だと思う のですが、4行目は「呼吸器症状が、同時あるいは急激に」となっています。同時に起 こるかシークエンシャルに起こるかということであればいいのですが、「同時」と「急激 に」という表現が、あるいはという言葉ではうまくつながらないのではないかと思うの です。 ○福田参考人 ご指摘のとおりです。 ○森田委員 シークエンシャルにということですね。 ○福田参考人 そうですね。 ○森田委員 そこは変えたほうがいいと思います。  アナフィラキシーの治療について、アドレナリンの注射、エピペンについて詳しく書 かれていますが、薬剤によるアナフィラキシーの場合、こういった薬を使うことはあま りないように思うのです。 ○福田参考人 患者にとって初めてのケースだと、もちろんないと思うのですが、例え ば商品名が違うと、いいのではないかと思って誤って飲んでしまう、あるいは別な病院 に行って、患者が自分はある薬で以前にこのようなことを起こしたと訴えていないと、 そこで処方されて飲んでしまうケースもあるのです。1回経験した人には、エピペンを 渡しておいたほうが安全かということで入っております。 ○森田委員 NSAIDsの不耐症についても、あとで詳しく出てきますが、18ページにア ナフィラキシーの分類が出ていますね。これは非常に新しい分類だと思うのですが、こ こにNSAIDsの不耐症についても入れておいたほうがよろしいのではないかと思いま す。これがアナフィラキシー全体の分類を示していると思うのです。 ○福田参考人 18ページの図6、メカニズムの分類ですね。 ○森田委員 ここにはNSAIDsの不耐症は記載されていませんね。それをどこかに入れ たほうがいいのではないかと思うのです。 ○福田参考人 これは文献9から引用したものなので、変えないで載せたのですが、お っしゃるとおり、いまのところはアナフィラキシーのメカニズムにNSAIDsのアスピリ ン不耐症が入っていないので、あえて入れなかったのです。後ろのマニュアルは、アナ フィラキシー班と別の耳鼻科と皮膚科の先生が作られたのですが、こちらには入ってい て、医療関係者あるいは国民の皆さんが見た場合に整合性が取れなくなるので、そこは 2つのグループで検討してみたいと思います。 ○森田委員 最後に、細かい表現が気になるところがあるので、推敲していただければ と思います。 ○松本座長 例えば、10ページの(4)に嗄声、鼻閉塞、くしゃみ、咽喉等と書いてあ りますが、この「トウ」は「等」になっておりますが、おそらく「頭」ではないかと思 うのです。このようなものが結構出てくるのです。おそらくコンピュータで出されるの で、あまり変に見えないのですが、これは咽頭、喉頭の間違いだろうと思います。 ○岩田委員 これは「等」ではないのですか。 ○松本座長 等ではなくて、咽頭、喉頭のあとに出てくるのです。赤のポツでつないで、 文章を読むと、咽頭、喉頭の意味で出しているようなのです。 ○岩田委員 咽頭や喉頭等の掻痒感という意味ではないですか。 ○福田参考人 これは間違いなく誤字です。咽喉だけでは意味がないですから、申し訳 ありませんでした。 ○森田委員 10ページのいちばん最後に、医療機関に「到達」とありますが、これは「到 着」ではないかと思います。いくつかタイプミスがあるので、直していただきたいと思 います。 ○笠原委員 同じくタイプミスですが、16ページの下から7行目に高調性溶液とありま すが、この「調」は「張」ですね。18ページの図6の真ん中に、マスト細胞の活性化1 とあって、これがよくわからなかったのですが、これでよろしいですか。 ○福田参考人 「1」は余計なものが入っています。 ○山地委員 9ページの「医療関係者の皆様へ」で、これはほかのマニュアルでも一緒 なのですが、アナフィラキシーのシが脱けています。  15ページの下のほうの(参考)で、プリックテストを100倍程度に希釈したもので 行いということですが、これは原液をという意味でしょうか。 ○福田参考人 はい。 ○山地委員 それは入れたほうがわかりやすいと思います。 ○松本座長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。  それでは、次の血管性浮腫について説明をお願いします。 ○事務局 資料2-8「血管性浮腫」です。5ページの「患者の皆様へ」に概要を記載し ております。血管性浮腫は、急にのど、舌などが腫れる病態であり、原因となりやすい 医薬品として解熱消炎鎮痛薬、ペニシリン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬などがあ ります。症状は、急に唇、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きく腫れる、のどの詰まり、 息苦しい、話しづらいなどで、息苦しい場合は救急車を利用した受診が勧められていま す。  6ページに、「血管性浮腫とは」ということで、蕁麻疹との相違など少し細かく説明し ております。また、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬による血管性浮腫は、別 マニュアルも参照するように記載しています。早期対応のポイントでは、呼吸困難につ いての注意喚起をしています。患者向けのイラストとして、唇、まぶた、顔が大きく腫 れる、息苦しいを挙げています。  9ページからが「医療関係者の皆様へ」で、副作用の好発時期はアンジオテンシン変 換酵素阻害薬では投与開始1週間以内、線溶系酵素では静注開始1時間以内の発症も報 告されていることが記載されています。15ページの薬剤ごとの特徴では、それぞれの薬 剤での発症時期、症状について記載しています。典型的症例概要は20ページに記載さ れ、アンジオテンシン変換酵素阻害薬のエナラプリルによる症例を示しています。24ペ ージの参考1に、医薬品別副作用報告件数を挙げています。 ○松本座長 福田先生、何か追加はありますか。 ○福田参考人 ありません。 ○松本座長 これについてご質問等はありますか。 ○森田委員 確認ですが、高血圧の薬は「高血圧薬」という表現でよろしいてのですか。 ○松本座長 高血圧薬とは、あまり言いませんね。普通は降圧剤なので。 ○森田委員 ほかのマニュアルでも、高血圧薬と統一されているのですが、それはどう なのかということですね。高血圧薬でいいのか、その辺りについてコメントをいただき たいと思います。 ○松本座長 一般的には降圧剤ですね。こういうものが出てくるわけですね。 ○森田委員 いくつかありますし、次のマニュアルにも出てくるのではないかと思いま す。  細かいことですが、22ページの判別診断のところで、血清病を除外するのに「血液製 剤の投与がないため否定」とありますが、血清病は血液製剤を使わなくても起こると思 うので、これは少し問題なのではないかと思います。 ○福田参考人 これからの3つのマニュアルに関して私は入っていなかったので、間接 的にお答えします。血液製剤というと、一般にも広く使われているものが全部指されて しまって、血清病とは、例えば異種血清ですね。 ○森田委員 抗生物質でも起こると思うので、免疫抗体によって起こるということでは ないとすればいいと思うのです。 ○福田参考人 血清病、serum sicknessですね。おっしゃっているのは、22ページの うちばん上ですね。血清病ですから、破傷風とかそういうものに罹患して、異種血清を 打ったことはないということですね。 ○森田委員 抗生物質を使っても血清病は起こり得ると思いますので、これを除外する と、厳密には免疫抗体を測定することになってしまうのでしょうか。 ○福田参考人 抗生物質による血清病とは、どういうことですか。 ○森田委員 抗体ができれば抗原抗体、結合物ができて、異種血清によって起こるもの と同じような病態が起こるわけですね。だから、血清病というのは消してしまったほう がいいかもしれません。 ○福田参考人 私はこれに関わっていないのでわかりませんが、たぶん、ここは狭義の 意味で血清病と入れたのではないかと思うのです。 ○松本座長 先ほど森田委員がおっしゃったような広義の解釈もあるようですが、これ は医者向けで患者向けではないので、その辺りは先生の考えで入れてよろしいのではな いかと思います。「剤」と「薬」に関しては、事務局でも1つの方針を示してください。 ○事務局 わかりました。 ○飯島委員 7ページの絵なのですが、アンギオエデマというのは、結合織が非常にル ーズな場所にできるということで、口唇や目の周りにできるのです。たぶん、これは唇 か上下の口唇が腫れていると言いたいのだと思いますが、目の周りがガンッと腫れるの で、普通、目はこんなにぱっちり見えないのです。この絵は目がぱっちり見えているの で、もう少し工夫をお願いできればと思います。 ○森田委員 15ページの薬剤ごとの特徴ですが、アスピリンと書いてあります。これは NSAIDsと言ったほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○福田参考人 そうですね。 ○市川委員 6ページに、アンジオテンシン変換酵素阻害薬と書いてあるのですが、7 ページにいきなりACE阻害薬と書いてあるのです。たぶん、患者さんはACEという略 称はわからないと思うので、そこは修正していただければと思います。  18ページの第2パラグラフに、C1INHの補充療法として、「ベリナート」と販売名が 記載されています。このマニュアルの基本的なスタンスとしては、一般名記載が原則だ と思うのですが、ここは販売名でよろしいのでしょうか。20ページにも、もう1ヶ所出 てくるのですが。 ○福田参考人 この病気は極めてまれな珍しいもので、大抵のドクターはこのような薬 を使った経験はないと思うのです。一般名と同時に商品名を書いておいても、使用する 人にはいいかもしれないと思うのですが、いかがでしょうか。 ○笠原委員 C1は。 ○福田参考人 そうですね。 ○松本座長 よろしいでしょうか。それでは、次の喉頭浮腫について事務局から説明を お願いします。 ○事務局 資料2-9「喉頭浮腫」です。5ページの「患者の皆様へ」に概要を記載して おります。喉頭浮腫は「のどぼとけ」に相当する咽喉頭内部の粘膜が腫れ、呼吸が障害 される副作用で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤などの降圧薬、解熱鎮痛消炎薬、抗 生物質などで見られます。症状は、のどの詰まり、息苦しい、息を吸い込むときにヒュ ーヒューと音がするなどで、息苦しい場合には救急車を利用した受診が勧められていま す。  6ページに、「喉頭浮腫とは」ということで、進行した場合の起座呼吸の症状や窒息の 危険性、区別すべきほかの要因などについて記載しています。患者向けのイラストとし て、のどの詰まり、息苦しいを挙げています。  9ページからが「医療関係者の皆様へ」で、薬剤性のアナフィラキシー反応に関して は関連マニュアルを参照するよう記載しています。10ページの副作用の概要では、副作 用の好発時期は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤では投与開始1〜21日以内が多いと 記載しております。典型的症例概要は15ページに記載されております。最後に、医薬 品別副作用報告件数を挙げております。 ○松本座長 福田先生、何か追加はありますか。よろしいですか。何かご質問、ご意見 等はありますか。 ○森田委員 6ページの上から4行目ですが、「粘膜のはれにより呼吸の通り道」となっ ております。これは空気の通り道ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○福田参考人 そうですね。 ○森田委員 ここにも高血圧薬というのが出てきます。これも統一したほうがいいと思 います。  13ページに、タートラジン、安息香酸塩などの医薬品添加物ですが、そこに「アスピ リン不耐能を増悪」と書いてあります。別のマニュアルでも出てくると思いますが、こ れはNSAIDsの不耐症ということなのでしょうね。 ○福田参考人 そうですね。 ○森田委員 アスピリン不耐症よりは、NSAIDs不耐症と言っておいたほうがいいかと 思います。  次に、「酸性非ステロイド性抗炎症薬」という表現があります。これも統一するとすれ ば、NSAIDsとするか、別のマニュアルにある非ステロイド性抗炎症薬とするか、統一 したほうがいいのではないかと思います。 ○松本座長 ほかに何かありますか。 ○森田委員 細かい所はありますが、事務局でチェックして、もう少し慎重に見ていた だければと思います。 ○事務局 わかりました。 ○松本座長 よろしいでしょうか。続きまして、同じアレルギー領域の非ステロイド性 抗炎症薬による蕁麻疹/血管浮腫のマニュアル案について、説明をお願いします。 ○事務局 2-10「非ステロイド性抗炎症薬による蕁麻疹/血管浮腫」です。5ページの「患 者の皆様へ」に概要を記載しております。非ステロイド性抗炎症薬、患者向けでは解熱 消炎鎮痛薬による蕁麻疹/血管浮腫は、皮膚が地図状に盛り上がり、かゆみを伴ったり、 急に唇やまぶた、顔面が膨らむなどの症状が見られる病態です。症状は、急に唇、まぶ た、舌、口の中、顔、首が大きく腫れる、のどの詰まり、息苦しい、話しづらいなどで、 息苦しい場合には救急車を利用した受診が勧められています。  6ページには、「解熱消炎鎮痛薬によるじんま疹/血管浮腫とは」ということで、慢性 蕁麻疹の患者で悪化する場合があること、効果の強い解熱消炎鎮痛薬ほど起こりやすい ことなどが記載されています。また、以前、解熱消炎鎮痛薬で蕁麻疹、血管浮腫を起こ したことのある方や、湿布剤でかぶれた方で注意が必要なことも記載されています。患 者向けのイラストとして、のどの詰まり、蕁麻疹、息苦しいを挙げています。  8ページからが「医療関係者の皆様へ」で、先ほどと同様に関連マニュアルも参照す るよう記載しています。患者側のリスク因子として、慢性蕁麻疹やNSAIDsのイントレ ランスを挙げています。9ページの投薬上のリスク因子について、原因NSAIDsのシク ロオキシゲナーゼ阻害力、内服等の剤型、剤型ごとの誘発症状の発現時期と持続につい て記載しています。  11ページの副作用の概要では、蕁麻疹は原因となるNSAIDs服用後、数分から数時 間で出現し、血管浮腫は蕁麻疹より通常遅れて発現し、数日持続することなどが記載さ れています。典型的症例概要は14ページに記載されています。  16ページに、各解熱消炎鎮痛剤の危険度についてまとめた表が出ています。19ペー ジの参考1に、医薬品別副作用報告件数を挙げています。 ○松本座長 ありがとうございました。福田先生、何か追加はありますか。 ○福田参考人 追加ではないのですが、5ページの黄色い所の1行目で「じんま疹/血管 性浮腫」と、ここだけ「性」が入っているので、これは削除しなければいけないと思い ます。 ○笠原委員 3点ほどあるのですが、1つは11ページに「COX1」とありますが、ほか のマニュアルはみんなCOX-1でハイフンが入っているので、統一させたほうがいいと 思います。  14ページのいちばん上の(2)中等症に抗ロイコトリエンとありますが、これはロイ コトリエン拮抗薬と書いたほうがよろしいかと思います。  15ページの上から4行目に「穂液」とありますが、これは「補液」ですね。 ○事務局 「穂液」は「補液」の間違いです。 ○笠原委員 先ほどの血管浮腫のことですが、こちらのマニュアルは「血管性」となっ ているので、これは統一しなければいけないと思います。ここは血管浮腫になっていて、 マニュアルのタイトルは「血管性浮腫」になっているのです。血管性浮腫なのですか、 どちらでしょうか。 ○福田参考人 血管浮腫ですね。 ○笠原委員 別のマニュアルのタイトルは血管性になっているのです。 ○松本座長 マニュアルでは血管性ですね。こちらのマニュアルでは血管性で、こちら は血管浮腫。 ○笠原委員 そこはどちらかに統一したほうがいいですね。 ○福田参考人 主任の横浜市大の皮膚科の池澤先生に申し上げておきます。 ○笠原委員 12ページの上から3行目で、肥満細胞となっておりますが、アナフィラキ シーの所ではマスト細胞となっていたので、全部マスト細胞にしたほうがいいと思いま す。  同じページの真ん中辺り、発症機序の3行目、「内因性のプロスタグランディン」と ありますが、正確にはプロスタグランジンではないかと思います。 ○福田参考人 そうですね。 ○笠原委員 それから、14ページの来院時の理学所見で、SpO2の2がずれております。 ○飯島委員 いまの点に関しては、アンギオテンシンとアンジオテンシンも学会ごとに 違うというので、医学用語委員会の開原先生がどちらかに統一されたはずです。いまの これも、日本医学会の医学用語辞典では、改定第3版で統一したのではないかと思うの で、それに準じて事務局のほうでやっていただければと思います。 ○松本座長 そうですね。細かい点は、事務局のほうでその気になってチェックしてく ださい。英語を日本語に訳しているわけですから、当然いろいろあって不思議ではない ので、お願いします。 ○山地委員 このマニュアルは、表題が「非ステロイド性抗炎症薬による」となってい るのですが、患者向けの説明はすべて解熱消炎鎮痛薬になっているので、表題をNSAIDs にするのであれば、NSAIDsを主体として、例えば(解熱消炎鎮痛剤)としなければ、 患者がとまどうのではないかと思うのです。 ○松本座長 これは、理解しやすい表現方法に改めていただければ、どちらでもいいと 思います。 ○福田参考人 括弧をつけてやるほうがよろしいでしょうか。ほかの分野ではどうなの でしょうか。 ○林委員 必ずしも統一が取れていなかったかもしれませんが、もし解熱消炎鎮痛薬で 多くの先生方が問題なければ、これから基本はそれにしておいたほうがいいかと最近感 じていますが、NSAIDsに変わらないので困っているのです。というのは、救済のほう に、OTCの風邪薬を飲んで、その人は以前に解熱薬でアレルギーがありましたねと言わ れていたのですが、「解熱薬で」と言われて、風邪薬と結びつかなかったか結びついたか というので、判定でもめた件があると思うのです。風邪薬の添付文書を見ると、その中 に解熱薬と書いてあるので、それは見られるはずだから、一般の方もわかるでしょうと いう判定になったと思うのです。抗炎症薬と言われてしまうと、それは一般の方が救わ れないと思うので、効能を全部言い当てているほうで一般向けだけは統一する方向も検 討してよろしいでしょうか、ということだけご意見を伺って、やめたほうがいいという ことであれば結構です。 ○松本座長 それは難しいですね。 ○犬伏委員 解熱剤のほうは、一般的に入っています。抗炎症というと、手が腫れたと か関節炎の炎症といったものも入る気がします。そのための炎症薬も、この中に入るの でしょうか。大がかりな関節症ではなく、この辺の関節で関節炎ですねと言って薬をい ただくと、関節炎の炎症止めです、という言葉は一般に聞きます。でも、風邪による解 熱剤を飲んでいるときはどうなのでしょうか。簡単なところでは、湿布も抗炎症剤です ね。それもこれに入るのかというと、どうかなと。 ○松本座長 解熱鎮痛消炎ですので、それと非ステロイド系消炎鎮痛剤は全く重ならな いところがあるみたいなのですが、この辺りは事務局から何かありますか。定義の使い 分けがあったら、その辺りも含めて検討していただければと思います。 ○事務局 既存のマニュアルでは解熱消炎鎮痛薬としたと思うのですが、今回の場合で は疾患名として「非ステロイド性抗炎症薬による」というタイトルになっていて、若干 苦慮しているところです。例えば、併記するなどでわかりやすいのであれば、タイトル にも併記する形で整理したいと思いますが、いかがでしょうか。 ○森田委員 先ほど事務局で既存のとおっしゃいましたが、前に第1集のほうで、非ス テロイド性抗炎症薬による喘息発作のときに、患者向けにも、NSAIDsと、アスピリン に代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)あるいは解熱鎮痛薬と、かなり説明 されています。これは非常にわかりやすくなっているので、これを踏襲するのがよろし いのではないでしょうか。 ○松本座長 そうですね。あれをそのままそっくり使ったほうがいいですね。林先生、 それでお願いします。  ほかにありますか。なければ、ここまでで今日の予定のマニュアルは終わります。全 体を通じてどうぞ。 ○松崎参考人 途中で言わなければいけなかったのですが、薬剤惹起性うつ病のところ で、インターフェロンの話がこんなに出てくるとは想像していなかったので、あまり詳 細に読んでいなくて申し訳ありません。このときに言わなければいけなかったのですが、 こちらの記載の全体を見ると、インターフェロンとリバビリンの治療によって、うつ、 精神症状の出てくる率が非常に増えていくというニュアンスで書かれております。実際 問題、これから厚生労働省としても肝炎対策が非常に重要な立場になっていくところに、 患者は副作用に対して非常に敏感で、サイトを見ると当然ここをご覧になります。うつ という精神症状に非常にナーバスになっているので、ここに書いてあることがことさら 間違っているわけではないのですが、林委員もご存じだと思いますが、虎の門のように 膨大な数のインターフェロンをやっている中で、精神症状が出てくる患者の数はそんな に多くはないのです。精神科に行く患者は増えていると思いますが、それは全体のマス が増えているから増えているのだということで誤解が生じないようにしていただきたい ことと、それがインターフェロンとリバビリンを使うストッパーになるのが困ることも 付記しておきたいのです。例えば、リバビリンが抑うつが強いという文献22が載って おりますが、この文献はこのような報告がたくさん出ているとは、私たちは認識してお りません。ですから、これに関して肝臓学会と若干すり合わせをしたいと思います。そ うしないと、肝臓学会の理事長と熊田先生から怒られてしまいますので。 ○松本座長 C型肝炎の患者はうつ状態にあるということは、結構書いてあるみたいな のですが、先生から見ればそのようなご不満もあり得るだろうと思いますので、その辺 りはよろしくお願いします。肝臓学会のほうに意見を聞かれたらどうでしょうか。 ○飯島委員 薬物性肝障害の34ページのカルバマゼピンなのですが、資料1を見ると、 「薬剤性過敏症症候群」というマニュアルがすでにできているものが、まさにカルバマ ゼピンの薬物性肝障害とあるので、用語を統一していただきたいと思います。我々は drug induced hypersensitivity syndromeと言います。マニュアルがあるので。 ○松本座長 そうですね。今日見せていただいた限りでは、肝障害と麻痺性イレウスに 関して若干問題提起があったので、原則は学会が決めたことをそのまま採用することに してはいますが、学会の先生方の了承を得ていただくことと、最終的に出てきたものは 委員の皆様にもう一度拝見していただくということでよろしいでしょうか。 ○事務局 はい。肝障害と麻痺性イレウスについては、各先生方にもう一度お回しする ということで、他のものはいかがしましょうか。 ○松本座長 てにをはを訂正することでよろしいですか。肝障害と麻痺性イレウスもそ れでよければよろしいのですが、いかがでしょうか。 ○林委員 いまご指摘のあった「うつ」の所も、学会間の協議をしていただいてから。 ○松本座長 学会のほうで了承を得ていただくことと、最終的に出てきたものは委員の 先生方に一度お見せして、了承を得ていただくということでよろしいでしょうか。 ○林委員 悪性症候群のところで最後にご指摘のあったパーキンソンの場合は、中止し た場合、患者が勝手に減量した場合に起こるわけですね。最後に中止した場合はちょっ と違うと言ったところを追記していただくということも。 ○岩田委員 これは必ずしもそうではないのです。そこが非常に問題で、絶対に全部中 止したときになっていないのです。何があったかわからないのですが、それを書いてし まうと、やめない限り大丈夫だということになってしまうので、それは書かないほうが いいと思います。 ○松本座長 言い回しに関しては、専門の先生にお願いして。 ○林委員 いや、悪性症候群のほうは服薬をやめてくださいと書いてあるくだりもある と思うのです。ですので、そこをうまく患者向けのメッセージをすり合わせたほうがい いと感じておりました。 ○福田参考人 ご指摘を受けたことは大体メモを取ったのですが、あとで正式に事務局 のほうからお願いします。 ○松本座長 事務局のほうも一緒にお願いします。林委員がいろいろご存じですので。 ○林委員 議事録も、事務局から各先生方のほうに確認がいくわけですね。 ○松本座長 はい。それでは、今後の予定について事務局から説明をお願いします。 ○事務局 今後の予定についてですが、肝障害と麻痺性イレウスとうつ病については、 今後修正したあとで各委員にご確認いただきます。その他のものについては、事務局で 修正作業を行います。今後、修正の作業を行った上で、先生方のご了承が得られたら、 厚生労働省のホームページに掲載し、医薬品医療機器総合機構のホームページへも掲載 を予定しております。また、都道府県をはじめ、関係団体や学会にも情報提供していき たいと考えております。  現在着手しているマニュアルについては、関係学会の先生方や日本病院薬剤師会のワ ーキングの先生方とともに作業を進め、マニュアル案として取りまとめたいと考えてお ります。まとまり次第、順次、本検討会にお諮りし公表していきたいと考えております ので、よろしくお願いします。 ○松本座長 続きまして、議題3のマニュアル作成対象副作用疾患について、事務局よ りご説明をお願いします。 ○事務局 すでに選定された副作用疾患については、関係学会のご協力の下、マニュア ル作成作業に着手しているところですが、今後作成対象とする副作用疾患追加分につい て、資料3に基づきご説明します。  資料3に出ているのは、今年度以降作成に着手する予定の追加案です。腎臓から記載 しております。これらについて追加選定をし、今年度または来年度にかけて作業を進め られればと思っております。また、現在作業中のものについても、引き続き作業を進め ていきたいと考えております。 ○松本座長 資料3についてご質問、ご意見等ありますか。 ○千葉参考人 消化器の消化管穿孔は、本当にいっぱいある副作用ではないかと思うの ですが。 ○松本座長 副作用報告としては多いです。だから、どのようなものかを知りたいとい う要望が上がっているようです。 ○千葉参考人 上がっていかないと思いますが。 ○松本座長 報告としては、どうですか。 ○事務局 副作用の報告件数は、参考資料の表をお配りしていると思いますが、消化管 穿孔はいろいろな病名があります。例えば、4ページ目には150番に大腸穿孔、5ペー ジには179番に腸管穿孔とあるように、副作用の報告件数としては上位に上がってきて おります。そこで、事務局としては、部位ごとにすべてをまとめた形でご検討いただけ ればと考えております。 ○千葉参考人 我々の認識では。 ○松本座長 書きようがないですね。これは一般に警告する意味で。 ○千葉参考人 ないと思います。ですから、わからないものをわかったように書くのは、 かえって混乱を招くもとになるので、このような報告が多いから作るというのは必ずし も、やはり各学会で検討することが必要ではないかと思います。ですから、そぐわない という意見を出すこともあり得るかもしれません。 ○松本座長 事務局の意向は、消化管穿孔はどのようなものかを説明していただきたか ったのではないかと思うのですが、現実の意味では、千葉先生のおっしゃるような問題 もあり得るので、その辺りは学会のご意向で決めていいと思います。ただ、消化管穿孔 そのものを消した場合に、消化器病学会に何かお願いするかどうかというのはあるので すか。 ○事務局 これは現在(案)ですが、まだ関係学会と完全なすり合わせができていない ものが多数あるので、関係学会に依頼等をし、そこで削除等の問題が生じたときには、 各委員の先生方にご報告します。 ○松本座長 必ずしも千葉先生の所へ行くとは限らないということで、よろしいですか。 ○千葉参考人 行かなかったらどこかでするのでは困りますから。 ○飯島委員 この案をどなたがお作りになったかわかりませんが、薬剤性接触性皮膚炎 は、先ほど犬伏先生がおっしゃったようなNSAIDsの貼付剤による全身性の接触皮膚炎 症候群とありますので、これは我々も引き受けていいかと思うのですが、その次の添付 文書のhand foot syndromeというのは、手足症候群ですか。 ○事務局 はい。 ○飯島委員 我々はほとんど見ることがないのですが、これはむしろ悪性腫瘍をやって いる方々はご経験がおありかと思いますが、我々の学会で引き受けようがないと思って おります。これは何か根拠があるのですか。この用語はどこから出てきたのですか。 ○事務局 これは、事務局と日本病院薬剤師会との間で相談しました。 ○松本座長 差し障りが出てくるところもあるかと思いますので、細かい項目に関して は。 ○飯島委員 手足症候群というのは見た覚えはあるのですが。 ○事務局 確かに、手足症候群という抗がん剤の副作用があります。 ○松本座長 薬剤師会、林委員にお願いしたいものと、各学会との間で調整していただ いて、それが妥当かどうか、千葉先生、飯島先生のご意見もあるので、その辺りは調整 してください。確かに、あれっと思うものも入っているようなので、その辺りを調整し た上で決めていただきたいと思います。 ○事務局 では、またご報告しますので、よろしくお願いします。 ○松崎参考人 最終的にホームページにアップするのは、いつごろになりますか。 ○事務局 事業自体が来年度一杯ですので、今年の残りの期間と来年に作業をしていた だき、そのあとになるかと思います。 ○松本座長 前回同様、使用する用語等については、依頼する学会の先生方ともう一度 ご相談した上で作業を進めていただきたいと思っております。よろしくお願いします。 今後の進め方について、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局 いまご議論いただいた資料3については、今後関係学会の先生方への依頼等 の手続きを進めたいと考えております。状況等につきましては、適宜、委員の先生方に 書面等でご報告していきたいと考えております。よろしくお願いします。 ○松本座長 ありがとうございました。それでは、議題4「その他」について、事務局 から何かありますか。 ○事務局 特にありません。次回以降の日程については、今後改めて調整したいと思い ます。 ○松本座長 全体を通じてご発言はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本日 はこれで終了いたします。長い間ありがとうございました。