07/12/07 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会議事録 第4回 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会 1.日  時 平成19年12月7日(金)13:30〜15:30 2.開催場所 全国都市会館3階「第2会議室」         千代田区平河町2−4−2          3.議事次第    (1) 開会   (2) 議題       (1) 作業部会における意見交換結果の報告について       (2) 基本構想の取りまとめに向けた議論の整理について   (3) 閉会 4.出席委員等    (委員)     大江和彦委員、大山永昭座長、駒村康平委員、高山憲之委員、辻本好子委員     堀部政男委員、南  砂委員、山本隆一委員    (五十音順、敬称略)   (オブザーバー)     山内 徹 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官     塚田桂祐 総務省大臣官房参事官(企画担当)     望月明雄 総務省自治行政局市町村課住民基本台帳企画官   (厚生労働省)     薄井康紀 厚生労働省政策統括官(社会保障担当)     黒川弘樹 厚生労働省社会保障カード推進室長 5.議事内容 ○ 大山座長    ただいまから「第4回 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会」を開   催いたします。委員の出欠状況について報告いたします。本日は、田中委員、樋口   委員が御欠席でございます。最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○ 事務局    本日は資料が4点ございます。議事次第の後に縦紙の資料1「社会保障カード(   仮称)の在り方に関する検討会(作業部会)における関係団体との意見交換結果概   要(事務局メモ)」、続いて横紙で資料2「国民視点の社会保障サービス等の実現に   向けての電子私書箱(仮称)の創設」、続きまして横紙の資料3「社会保障カード   (仮称)に関するこれまでの議論のポイント」、続きまして縦の資料4「社会保障   カード(仮称)に関するこれまでの議論の整理」以上の4点となっております。 ○ 大山座長    資料の過不足等ございませんか。それでは議事に入らせていただきます。本日は、   11月に行いました作業部会での関係団体との意見交換の結果及び電子私書箱(仮   称)構想について説明を受けた後に、基本構想の取りまとめに向けて、本検討会に   おけるこれまでの議論について整理をしたいと思います。まずは、事務局から説明   をお願いします。その前に、今日は、樋口先生がいらっしゃいませんが、大江先生、   樋口先生でおまとめいただきましてありがとうございました。それでは事務局から   説明をお願いいたします。 ○ 事務局    資料1「社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(作業部会)における   関係団体との意見交換結果概要」ということでございまして、事務局のメモでござ   います。注に書いておりますが、出席団体から出された意見の中から事務局として   主なものをまとめたものです。また、出席された方で留保された方もいらっしゃい   ますが、団体としてのコンセンサスを得たものでないものも含まれているというこ   とで、こちらの資料には特に団体名は書いてございませんが、そういったことを御   留意いただければと思います。最初に制度設計に対する意見ということで、上の方   から、「現在、いろいろな手帳・カードが存在しているので、1枚化すれば利便性   がある。」という御意見もあれば、2つ目、「年金・医療・介護の3つを1枚のカ   ードにする必要性があるのかどうか疑問」次が「年金、医療・介護で性質が異なる。   」ということで、「何でも一元化すればよいというものではない。」その次は「年   金、医療、介護以外の分野にも活用できるものとしていただきたい。」という御指   摘がございました。次ですが、「事業主にとっては、年金・医療・介護の申請、届   け出が簡略化できるメリットがある。」その次ですが、特に高齢者の方についてで   すが、「カードが身分証明証になることには賛成」という御意見がございました。   続いて、さまざまな年齢のさまざまな方に配るということですので、いろいろなケ   ースを想定しなければいけないということで、「高齢者や子どもなどのコンピュー   タの扱えない方への対応を検討していく必要があるのではないか。」ということや、   精神能力、判断能力のさまざまな方がいらっしゃいますので、また、その家族の状   況等もいろいろ異なるということですので、「カードの紛失や盗難、悪用といった   ものを個人の自己責任とすることは適当でない。」という御意見がございました。   続いて、「個人情報の保護とセキュリティの確保は重要問題」ということで、民間   事業者との関係や、自己情報コントロール権への国の介入ではないかという話も含   めてこういった御指摘がございました。続いて2ページ目になりますが、被保険者   証、資格確認に関する意見ということで、「雇用保険被保険者証や各種医療券も廃   止し、カードに一本化することも考えられる。」また、「保険証以外にも標準負担   額減額認定証などのさまざまな書類があり、これらのものも1枚のカードで済むよ   うに検討していただきたい。」次に、介護保険においてということで、「要介護認   定等の情報が必要であり、カードの券面にこれらの情報を書かないこととした場合、   被保険者がこれらの情報を知る方策が必要。」次に、「国民健康保険では、保険料   未納の方に短期被保険者証や資格証明書を発行しているが、発行の際に被保険者に   対して保険料支払勧奨を行っており、保険料支払勧奨の機会が減らないような工夫   が必要。」続きまして、「保険証としては、現行で特段の問題を感じていない。」   という御意見もいただきました。続きまして、「カードの1人1枚化は絶対なのか。   保険証の管理は世帯単位。」というのが現状ではないかという御意見もいただきま   した。また、「カードが健康保険証の原本となるためには、全医療機関でオンライ   ンでの資格確認が可能な環境が整わなければならない。条件が整うまでの間は、カ   ードを健康保険証の原本とすべきではない。」という御意見をいただきました。続   いて、「被保険者の資格取得・喪失等の届け出は大抵遅れ、タイムラグが生じる。」   また、「資格過誤による医療機関の未収金については、1〜2カ月で解決できてお   り、大きな問題ではない。」という御意見もございました。続いて、「組合健康保   険等の被保険者資格を喪失したという情報が国保にも送られるようにして、一つの   保険者での変更情報が他の保険者にも行くような仕組みにするべきではないか。」   また、「本人確認のために医療機関窓口でパスワードを入力させることは非現実的   」ではないかということでございました。「現在、特別養護老人ホームやケアマネ   ージャーが利用者の介護保険被保険者証を預かっていることがあるが、カードに収   録される情報が少なくなれば、カードを預かるケアマネージャーの負担が減る。」   ということでございました。続きまして3ページ目、被保険者番号に関する御意見   でございます。「被保険者番号については、一本化する方向で検討すべき。ただし、   他に方法があれば、それでもよい。」という御意見とともに、「単純な制度統一番   号の導入は認められない。」また、「番号については、新しく制度統一的な番号を   導入する場合も現行の被保険者番号を結びつける場合も問題がある。」ということ   で、「技術的な検討が必要である。」という御意見をいただきました。続いて、情   報の閲覧に関する意見でございますが、「社会保障の給付と負担の公正化を進める   観点から、国民が自分の社会保障に関する情報をポータルサイトから一括して見ら   れる仕組みとしていただきたい。」また、「医療機関から保険者に出される診療報   酬請求内容については、保険者における審査を経て、確定する」ということでござ   いますので、「閲覧したレセプト内容と実際の診療内容が異なる場合もある。」と   いうことで、「すべてのレセプトを被保険者が自動的に閲覧できることとするのは   問題がある。」また、「レセプト情報等の閲覧のニーズがどこまであるのか疑問」   という御意見もいただいております。続いて、カードの要件に関する意見でござい   ますが、「カードへの収録情報は必要最小限にすべき。」また、「カードの表面か   らカード所有者の個人情報が読み取れない仕組みとすべき。」「カード所有者自身   もみずからの識別情報を知らない仕組みとすべき。」また、「カードの識別情報は   単純な番号である必要はない。」また、「カードのICチップからカード所有者の   情報が引き出せない仕組みとすべき。そのため、カードに記録された個人情報を読   み取れる端末機を一定限度で制限する必要がある。」また、「住基ネットとは断絶   して、独自に電子証明書発行のための認証機関を構築すべき。」という御意見をい   ただいております。最後に検討の在り方への意見ということでございまして、「国   民生活にとって重要なカードであるのに、議論の時間が短い。」また、「カード導   入の必要性、メリット・デメリットをわかりやすく示していただきたい。」また、   今後の検討に当たっては、「保険者の参加、医療関係者の参加が必要ではないか。」   、「ホームページでの情報提供、パブリックコメントのほかに、小規模な公聴会の   ようなものがあってもよい。」という御意見をいただいております。その他でござ   いますが、「自分の記録を閲覧できることは、社会保障制度を理解し直すという学   習効果もあるのではないか。」また、基礎年金番号の関係では、「過去の年金記録   問題の解決がカードの導入で解決されるわけではない。」という御指摘をいただい   ております。また、「民間事業者としては、双方の合意が得られれば、フィットネ   スのメニュー作成やフィナンシャルプランの提供といったことも考えられるのでは   ないか。」という御意見をいただいております。また、これから御説明いただきま   すが、「電子私書箱とカードはどう連携していくのか。国として、情報のフォーマ   ットを統一していただきたい。」という御要望もいただいております。以上が、先   月行いました意見交換会の概要のメモでございます。 ○ 大山座長    ありがとうございました。引き続き、関係団体との意見交換において意見があり   ました電子私書箱(仮称)の構想について、本検討会ではご説明いただいておりま   せんので、内閣官房IT担当室から、電子私書箱構想について御説明いただきます。   お願いいたします。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    内閣官房IT担当室でございます。IT担当室は福田首相が本部長であるIT戦   略本部の事務局としての業務を行っております。IT戦略本部が今年7月に決定い   たしました重点計画2007におきまして、国民視点の社会保障サービスの実現に   向けての電子私書箱(仮称)の創設に向けての基本的考え方と具体的な施策が示さ   れました。この電子私書箱はもともと社会保障カード検討会の大山座長御自身がI   T戦略本部の本部員でもいらっしゃいまして、この電子私書箱に関する御提案をい   ただいたということに端を発して検討してきたわけでございます。基本構想の策定   を今年度の末までに行うということになっておりまして、そのための体制整備とし   まして、内閣官房のIT担当室に「暮らしの電子情報サービス推進室」を設置いた   しました。今年の8月25日に関係省庁の職員で黒川室長以下、厚生労働省の皆さ   んや総務省自治行政局の皆様、内閣官房情報セキュリティセンター等、関係する皆   様にも併任で入っていただいておりまして、政府一体となって定期的な検討を行っ   てきております。また、有識者を集めた検討の場としまして、電子私書箱による社   会保障サービス等のIT化に関する検討会を今年10月29日に設置しました。そ   こで既に2回の会合を開催したところでございまして、今年度末までに電子私書箱   に関する基本構想を作成することを目標としているわけであります。電子私書箱と   はそもそも何かということですが、この資料にございますように、医療機関や保険   者等に個別管理されている情報を、希望する国民がみずから入手・活用できる仕組   みであります。2010年頃のサービス開始を目指すものであります。ここでは情   報の入手・閲覧に加えまして活用も考えているということがポイントであります。   ただ、電子私書箱につきましては、いくつかの検討課題がございます。まず、ひと   つめは、情報の保有機関による情報の提供であります。行政機関、保険者、医療機   関等、社会保障に関する国民の情報を保有している各機関が情報をいかに開示して、   当該情報を電子私書箱を通じて国民に提供するかと。どういうふうにその仕組みを   構築するかということが一つございます。二つめの課題は情報へのアクセスの適切   な管理です。電子私書箱に保管されている情報の漏洩を防ぐ仕組み、情報を入手・   閲覧できる個人を特定する仕組みなど、国民の安心を確保するための情報へのアク   セスコントロールの仕組みをいかに構築するか。ということが2点目の課題であり   ます。三つ目は情報の自由な活用であります。個人が入手した情報を効率的に閲覧   できるとともに、本人の意思でみずからの情報を自由に活用できる便利なサービス   をいかに構築していくかということが3つ目の課題でございます。これらの3つの   課題、それぞれ大変難しい問題ではございますが、今年度末までに何らかの基本構   想を取りまとめるとともに、この社会保障カード検討会での御議論を踏まえた基本   構想との連携のあり方についても整理したいと考えております。現時点では電子私   書箱の方の検討会、検討途上でありまして、余り詳しく御説明できず、大変申しわ   けないのですが、皆様に御参考としまして現状を御報告させていただきました。   ○ 大山座長    ありがとうございました。ただいま意見交換会の結果概要と電子私書箱(仮称)   構想に関する説明をいただきましたので、この件に関しまして御質問、御意見等が   あれば承りたいと思います。その後に、資料3の方へ進みます。いかがでしょうか。   何かご意見等ございますか。電子私書箱の話を初めてお聞きになる方にとっては、   突然出てきたように聞こえているかもしれませんが、いかかでしょうか。 ○ 山本委員    この資料2の絵しかないのですが、この絵の情報の入手・閲覧という左側のとこ   ろで、年金保険者、医療機関とこの社会保障系のコンテンツが絵の上ではたくさん   になっているのですが、そういった理解でよろしいのでしょうか。つまり、主に健   康情報であるとか、保険情報みたいなものを念頭に置いていらっしゃるということ   でしょうか。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    この絵に書いていますように、まずは社会保障分野の情報で個人に開示していけ   るもの、それを対象にしていますが、社会保障以外の利活用というのも右側にちょ   っと書いています。現時点で情報を社会保障について言いますと、年金情報、健康   情報などはそれぞれ社会保険庁や保険者や医療機関が有しているので、それぞれ複   数の機関がそういう情報を有していると考えております。 ○ 大江委員    今の質問にも関連する質問ですが、この資料2だけ見ると、この電子私書箱とい   う検討は、医療機関、保険者等の医療・社会保障・健康にかかわる情報を扱うサー   ビスであるというふうに読めるのですが、そういう理解でよいのか、それとも基本   的にもっといろいろな情報を入れる電子私書箱のうち、それの一部を医療・健康・   社会保障領域のデータも入れられますよという意味で議論されているのか、どちら   でしょうか。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    基本的に後者でございまして、社会保障関連情報以外の情報もうまく入手できる   ということを念頭に置いています。ただ、国民の緊急の課題であります社会保障分   野におきます情報の閲覧というところ、これに、まずしっかりと対応していくとい   うことが大事ではないかという形で議論しています。要は社会保障分野の情報以外   を入手しないということではないと。ほかのものも入手できるようにしておきたい   ということでございます。 ○ 大江委員    この検討会で深く議論するべき課題ではないということはわかっていますのでコ   メントだけなのですが、こちらの社会保障カードの役割と関係して議論するという   ようなことが起こってくるとすると、この電子私書箱の議論というのが社会保障関   係のデータだけを扱う私書箱なのか。そうでないほかのいろいろなものも一緒くた   に入れますよ。という電子私書箱の議論なのかでかなり議論の仕方が変わってくる   と思うんですね。そのあたりを今後はっきりしてきた段階で情報提供していただい   て議論する必要があるだろうと思います。 ○ 辻本委員    私書箱という言葉に惑わされているのかもしれないのですが、現在、郵便局に私   書箱を作るというのは、具体的には自宅に郵便物が届いてほしくないとか、あるい   は一括というような、そういうある種の目的を持った人が設置するということで、     申請して設置してもらっていますよね。そうすると、この電子私書箱というのも、   国民、例えば私がそうした私書箱をつくって、私のあらゆる情報を、例えば民間の   生命保険の番号までとか、そういったものも全部ここへ入れたいから私書箱という   ものをつくりますという、希望する者だけということの利用の仕方なんですか。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    この資料に書いてございますように、希望する国民がみずから入手・活用してい   くということでありまして、その際に、何を入れたいと考えるかは本人の意思に基   づくものと考えています。したがって、強制的にそこに情報を入れるということは   今のところ考えていません。いずれにしましても、社会保障分野のどの部分にター   ゲットを置いて考えるのか、また長期的にはさまざまな分野での電子情報を入手・   閲覧・活用できる仕組みが望ましいと思いますので、そういうタイムスパンも考え   つつこれから検討していきたいと考えております。 ○ 大江委員    素朴な質問で、これは1人の国民が幾つでも自分の電子私書箱を作ることができ   るような感じでイメージできるのでしょうか。例えば、ある目的用に1個作って、   別の目的用に1個つくって、私は3つ持っていますというようなことも可能なイメ   ージなのでしょうか。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    それも含めて基本構想等で取りまとめられると思いますが、現時点において1人   が1つしか持てないということは特に考えていません。複数のものがあってもいい   のではないかというのが今のところの考えですが、それも含めて基本構想で取りま   とめたいと思います。 ○ 高山委員    社会保障は年金だとか医療など、具体的に例が挙がっているのですが、例えば、   運転免許証の期間に関するものとか、番号とか、あるいはパスポートとか、住基コ   ードとか、納税の記録とか、社会保障以外のところもいろいろな形で入ることを前   提に検討しているという理解でよろしいでしょうか。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    まさにこの絵にかいていますとおりでありますが、社会保障以外の利活用も念頭   に置いています。ということで、前提とまでいくかどうかはちょっと議論があると   ころで、それも基本構想ですが、事務局としましては、社会保障以外の利活用もで   きるような形でこういうサービスが普及していけるようにできないかと考えており   ます。 ○ 大山座長    わかりにくい話かもしれません。わかりやすい例をあげて説明すると、いろいろ   な誤解等を生じる可能性あるので、差し引いてお聞きいただきたいのですが、例と   して、年金記録の特別便を取り上げて説明します。この特別便は郵送料だけでも、   80円×1億人なので80億円かかります。その中に、記録されている住所が正確   でないものがあると、本人に届かないということが起きます。この電子私書箱とい   うのは、年金の定期便のように電子データで持っている情報を、個人情報であると   いう理由のために印刷し郵送している現状に代えて、電子的に御本人にお渡しする   方法になります。すなわち、電子的な情報を直接個人に渡す方法というのが最初の   構想で、銀行の口座と同じように、私書箱事業者が社会から信頼されること、どこ   とつなぐかは本人が決めること。いつでも、安全に確認できることなどを要件とし   て、去年の12月に開催されたIT戦略本部に提案させていただきました。個人情   報を扱うので、通信は全て秘匿し、本人のカードでないと読めない等、十分なセキ   ュリティの仕掛けを用いるものとして考えていました。一方、この話と独立して、   社会保障カードの話が出ていて、社会保障カードを多目的するという話になってき   たときに、私書箱との関係がどうなるかを山内参事官の方で検討しているというこ   とです。銀行口座は、お金のフローを本人がどことどうやり取りするかをコントロ   ールしています。これに対し、電子私書箱は個人情報のフローコントロールを本人   ができるようにするために構想したものです。ですから、1個とは限らなくて、複   数使うのも当然考えられて、この種の情報はここに、こちらの情報は別にする、さ   らには置いておきたくないから、もらったら消してしまうというやり方もあるかと   思います。山本先生や大江先生が御専門でよく言われているEHRのような健康情   報を集めようとすると、データの容量も結構多くなります。これらの情報は紙の媒   体でもらっても、後の利活用の面では使いにくいこともあるので、できれば電子デ   ータでもらいたいということです。今日、山内参事官に説明いただいたことに対す   る補足です。ほかに何か、この件についてありますか。 ○ 山本委員    お願いなのですが、今の大山先生の御説明とか、いろいろ漏れ聞こえてくる電子   私書箱のお話を聞くと、本人確認を厳密にした上で情報を御本人が利用できるよう   にするというところは非常によく理解できていいのですが、普通の郵便の封筒は、   封筒が中身をコピーしてばらまくという機能は絶対にないのですが、御家庭にある   PCというのは、例えば、マルウェアとかのウイルスとか、ワームとかが入ってい   ると、画面を勝手にコピーして送るという、そういった悪さをするソフトウェアも   現実には存在するわけですね。そうすると、本人確認だけではなくて、一般の国民   が持っているPCのセキュリティ、それを確保するということが非常に重要だと思   いますし、私は医療情報のセキュリティが専門ですが、院外から医師が医療の情報   にアクセスするとか、患者さんが情報を見せるというのは、必ずそういう点に考慮   して、そこがクリアされないとできないというのが条件になっているわけですね。    ですから、この絵だけを見ていると少しそこが不安になりますので、検討はされて   いるだろうと思いますが、ぜひ、その点を検討していただくようにお願いいたしま   す。 ○ 内閣官房(山内内閣参事官)    先ほど冒頭で申し上げました課題の幾つかの1つで情報へのアクセスへの適切な   管理というところは情報漏洩を防ぐ仕組みを含めてきちんと検討させていただきた   いと思います。どうも御指摘ありがとうございました。 ○ 大山座長    よろしいでしょうか。それでは次に進めさせていただきます。次は資料3「社会   保障カード(仮称)に関するこれまでの議論のポイント」及び資料4「社会保障カ   ードに関するこれまでの議論の整理」に基づきまして議論をさせていただきたいと   思います。まず事務局から用意いただきました資料についての説明をお願いいたし   ます。 ○ 事務局    これまでこの検討会で御議論いただきました点を踏まえまして、基本構想の取り   まとめに向けて議論を整理したものがこの資料3と4でございます。資料3がこれ   までの議論のポイント、資料4がこれまでの議論の整理でございます。以下、主に   資料3に基づき御説明させていただき、適宜資料4を参照させていただくという形   で御説明させていただきたいと思います。恐縮ながら、両者を行ったり来たりする   ことになりますので、両者並べ合わせるような形でごらんいただければと思います。   まず、資料3の「1 カード導入の狙い」でございますが、年金手帳、健康保険証、   介護保険被保険者証の役割を果たし、自分の年金記録を自宅のパソコン等からいつ   でも安全かつ迅速に確認することができるものとするということで、保険証の機能   と閲覧機能を持っているものにする。また、希望する方に関しては、カードを用い   て健診情報等の健康情報を閲覧することもできるものとする。また、他の社会保障   分野での利用や閲覧可能情報の拡大等の用途拡大に対応できるものとするというこ   とでございます。こういったカードを導入することにより、各制度における現状の   課題を解消しまして、利用者の利便性を向上させるとともに、保険者やサービス提   供者等の事務負担を軽減させるということをカード導入のねらいとして書いており   ます。こういったものを議論する前提として、どういった仕組みが想定されるかと   いうことにつきまして、縦紙の資料4の方で御説明させていただきたいと思います。   3ページの3の枠の中でございます。「想定する社会保障カード(仮称)の仕組み   の概要」ということでございまして、資格確認関係につきましては、今、御説明さ   せていただいたように、保険証としての機能を果たす1人1枚のカードとする。加   えて、所得に応じて食事の負担額を減額する医療保険の標準負担額減額認定証とい   ったものがいろいろございますが、そういったさまざまな証明書の役割も1枚で果   たすものとする。次に、医療機関の窓口でカードのICチップを読み取り、保険者   の資格情報のデータベースにオンラインでアクセスしまして、そこで即時の資格確   認が行われる。また、資格情報のレセプトにその情報を自動転記することを可能と   する仕組みを導入する。また、引っ越しや転職などによって保険者の異動があった   場合でも、保険者の資格情報のデータベースの方を速やかに更新する仕組みとする。   そのためカード自体は保険者に返す必要がないものとする、というのが資格関係の   仕組みの考えられる前提でございます。次に情報の閲覧関係でございますが、今、   申し上げたように、年金や希望する方に関しては特定健診等の健康情報が閲覧でき   る仕組みとする。これらの前提といたしまして、情報閲覧関係の3つ目の○でござ   いますが、オンラインにより年金記録や特定健診等の健康情報を閲覧する場合には、   オンラインで厳格な本人確認を行うことができる仕組みとするということでござい   ます。また、その他といたしまして、保険証や閲覧機能といった基礎的な機能に加   えまして、希望される方には身分証明書として使用可能とするということや、IC   チップの区切られた別の空き領域を利用しまして、追加的な機能を持たせることが   できるものとするということでございます。仮にこういった機能が実現した場合に、   利用者にとって、またその事務の運営上、どういったメリットが生まれるかという   ことについてでございますが、恐縮でございますがまた資料3の横紙の方に戻って   いただきまして、1枚目の下の方になります。制度をまたがるものと、医療・介   護・年金の各制度にまたがるメリット、利用者にとってのメリットと事務的なメリ   ットということで表にしております。まず左の一番上の、制度をまたがるもので利   用者にとってメリットになるものでございますが、現在、各制度ばらばらで被保険   者証等やその他の認定書も出ているものが1枚となって、管理・携帯が容易となり、   また、健康保険証の1人1枚化も達成されるということでございます。また、現行   の被保険者証に比べまして、現在の被保険者証は情報が表に書いてある状態ですが、   それが書かれなくなるということでプライバシーの保護に優れたものとなる。こち   らは利用者にとってもプライバシー保護に優れたものとなりますし、先ほど意見交   換会の中で出た意見として御紹介させていただきましたが、事業者の方にとっても、   もし、そういう保険証のようなものを預かっている場合は管理負担の軽減にもなる   ということでございます。また、希望者については身分証明書として利用すること   が可能となるということでございます。これらに関する事務的なメリットは、個別   に被保険者証等を発行する必要がなくなるので、これらに関する事務負担が軽減さ   れる。また、制度間での併給調整や、介護保険料の年金保険料からの天引きといっ   たところに、今、個人を同定するための事務負担が生じておりますが、こららが軽   減されるということでございます。続きまして、医療や介護という分野におきまし   てどういったメリットがあるかということでございますが、住所異動や転職の場合   に健康保険証を保険者に提出したり、返したりする必要がなくなる。また、保険へ   の加入届がないと把握できることになるので、加入の手続漏れの防止にもなるとい   うことでございます。閲覧機能といたしまして、自分のレセプト情報や特定健診情   報、介護サービスの費用に係る情報を安全にオンラインで確認することができるよ   うになるということでございます。事務的には、資格情報が自動転記されるという   ことでございまして、転記ミスによる医療費の過誤調整事務がなくなり、また、医   療機関の窓口で即時資格確認が可能となりますので、未加入状態での受診や資格喪   失後の受診による保険者・医療機関における過誤調整事務が減少するということで   ございます。最後に年金における利用者のメリットですが、自分の年金記録を確認   することができ、また、一部手続につきまして、オンラインでの利用がしやすくな   るということでございます。事務的には、それらに関する事務負担が軽減されると   いうことでございます。これらが、先ほど御説明させていただいた想定を置いた場   合に、こういったメリットが生まれるのではないかということでございます。1ペ   ージおめくりいただきまして、資料3の2ページ目になります。検討の方向性とい   たしまして、プライバシー侵害、情報の一元的管理に対する不安の解消というもの   を挙げておりましたので、ひとつめの○でございますが、安全性に優れたICカー   ドを導入し、カードに収録する情報は本人確認のために必要な最小限の情報に限定   するということで、カードはいわばデータベースへのアクセスキーとして用いると   いうことでございます。カードの券面に記載する情報につきましては、氏名と発行   者を基本とし、移行期や停電や機械の故障といった異常時の対応、また紛失時にど   のように再発行を行うかといった対応を検討していく必要があるということですし、   不正利用防止のために収録情報の追加修正の機会というものも限定していく必要が   あるのではないかということでございます。二つめの○でございますが、ICカー   ドをアクセスキーとして使って、資格確認をデータベースにアクセスして行うとし   た場合でございますが、加入者を特定するために鍵となる情報をカードに収録して   おく必要がある。また、各制度・各保険者で現在、加入者の資格情報を管理してお   りますが、これらを関連づける必要があるということでございます。これらの選択   肢につきましては、再び資料4で詳しく御説明させていただきます。6ページの一   番下の○になりますが、ICチップやカードの券面に収録・記載する情報を必要最   小限にとどめ、資格確認をデータベースにアクセスして行う場合、加入者を特定す   るための鍵となる情報をカードが持っていることが必要となり、鍵となる情報とし   てカードに収録する情報について、技術的には以下の選択肢が考えられるというこ   とで、まず案のひとつめが、各制度共通の統一的な番号を利用するということでご   ざいます。こちらは、何らかの制度共通の統一的な番号をカードに収録いたしまし   て、データベースにアクセスした際、その番号でデータベースの加入者の資格情報   と一致するかどうかを確認するということでございます。この制度共通の統一的な   番号というものと、各制度における現在使われている番号というものの関係でござ   いますが、現在使われている番号をすべて統一的な番号に置きかえるという方法も   ございますし、各制度における現在の番号はそのままにして、カードには共通的な   番号を収録し、資格確認を行うためのデータベースにおいて、共通的な番号と現在   の番号をつなげておくということも可能でございます。続きまして案の2でござい   ます。カードの識別子を利用ということでございまして、案の2は個人に番号を付   与するのではなくて、カードにはカードを識別する記号のようなもの、カードの識   別子というものがありますので、こちらを用いて加入者を特定するというものです。   こちらはカードの識別子ですので、カードが変わればカードの識別子も変わるとい   うことになります。続いて案の3になりますが、現在使われている各制度の被保険   者番号を利用するということでして、現在の被保険者番号、3つの番号をそのまま   カードに収録するということです。この案の3につきましては、現行の制度を前提   といたしますと、引っ越しや転職などがあった場合に、医療保険の被保険者番号が   変わりますので、そのたびにカードのICチップなどを書きかえる必要が出てきま   すので、その対応として、案3の2として、各制度内で引っ越しや転職でも番号が   原則変わらないような普遍的な番号をつくって利用するというものを挙げておりま   す。最後に7ページに移りまして案の4になりますが、氏名、生年月日、性別、住   所という基本4情報を用いるということが考えられるということでして、カードの   中にこれらの4情報をもち、データベースが持つ4情報と一致させることで加入者   を特定するということでございます。続いて、その下、7ページの一番上の○にな   りますが、年金手帳、健康保険証、介護保険被保険者証を1枚のカードにし、確実   に1人1枚に交付するためには、3制度の機能を持つ1枚のカードを発行するとい   うことですので、基本的には、この人の年金・医療・介護の番号は、この番号とこ   の番号とこの番号であるという形で並べた上で、その下の選択肢にあるような形で   関連づける必要があるということでして、先ほど申し上げたものとほぼ対応してお   りますが、案の1が各制度共通の統一的な番号を利用する、案の2はカードの識別   子を利用するということでございます。案の3が関係づけた順番などによって無作   為に付番される番号を利用するということでして、3制度の番号を関連づければ必   然的に並べた順番といったものが生じますので、普段認識されませんが、そういっ   たものを使うことがあり得るということでございます。案の4として基本4情報を   利用するということでございます。以上がカードの中に何を鍵として収録するかと   いうことと、いかにそれらを関係づけるかというものでございます。再び資料3、   横紙の方に戻っていただきまして、2番のプライバシー侵害の関係の3つ目の○に   なります。資格情報のセキュリティ対策を徹底するということで、当然のことなが   ら資格情報を管理するデータベースといったもの、こういったものについてセキュ   リティ対策を徹底する必要があるということでございます。次の○ですが、カード   の収録情報に応じた利用制限、例えば番号の告知要求制限やデータベースの構築禁   止等を検討するということでして、こちらのカードに番号を収録する場合ですが、   例えば、住民票コードであれば、住民基本台帳法におきまして、第三者に対して住   民票コードを告知することを求めてはならないという告知要求制限や、もしくは他   に提供されることが予定される住民票コードの記録されたデータベースを作っては   いけないというデータベースの構築禁止といった利用制限措置がとられております   ので、カードの収録情報にもよりますが、こういった利用制限を検討する必要があ   るのではないかということでございます。続いて、3の費用対効果に優れた仕組み   ということですが、まず、ひとつめの○です。カード導入による費用と効果を踏ま   え、交付方法等の複数の選択肢を比較検討しつつ、具体的な仕組みを検討するとい   うことでございます。このカードの交付方法についての選択肢は後ほど詳しく御説   明させていただくとして、その次の○ですが、費用対効果に優れた仕組みとすると   いう視点ですので、レセプトオンライン請求、住基カード発行、公的個人認証サー   ビス、電子私書箱等の仕組み、これらの関連する仕組みを最大限に活用するという   のが合理的ではないかということでございます。こちらで挙げております例ですが、   レセプトオンライン請求については、例えば、診療報酬の請求に用いております診   療報酬明細書、レセプトにつきまして、その提出をオンラインで実施することが平   成20年4月から徐々に義務化されていきますので、これに伴って安全なネットワ   ーク基盤や、医療機関における電算化が一定程度整備されていくだろうということ   で、これを活用していくのが合理的ではないかということでございます。また、住   民基本台帳カードの発行ということでございますが、現在、市町村が住基カードを   発行しておりますので、そのカードを発行する仕組みやインフラといったものを一   定程度、市町村が有していることから、これが活用できるかどうかということでご   ざいます。また、公的個人認証は、電子申請の際に個人確認の手段となる電子署名   や電子証明書といったものを地方公共団体が全国一律の費用で提供しているもので   すが、こちらにつきまして、現在、証明書の発行や、失効情報を管理する機関、も   しくは窓口といったものが整備されておりますので、これらを活用するということ   が合理的ではないかということでございます。また電子私書箱については先ほど御   説明いただきましたが、こういったものを利用して、医療機関や保険者ごとに管理   されている情報を希望する国民の方がみずから入手・活用できる仕組みとなるよう   にしていくということですので、こういったものと連携していくということが必要   ではないかということでございます。ひとつ飛ばしました交付方法等の選択肢につ   いて、こちらは選択肢案の1、2、3と、市町村、医療保険者、年金保険者たる国   を挙げておりますが、詳しくは、また資料4の8ページになります。8ページの真   ん中ほどに6といたしまして、発行・交付方法等というところがございます。こち   らは、まず、発行者ということですが、現在、年金手帳であったり、健康保険証と   いったものがそれぞれの制度の保険者から発行されておりまして、各制度において、   国であったり、市町村であったり、健康保険組合であったりといろいろ異なってお   りますので、社会保障カードを発行するとなれば、各制度の保険者が、例えば、他   の制度の保険者に発行事務を委託するといったことなど、何らかの整理が必要とな   るだろうということでございます。そのため、カードの発行主体として、運営責任   を負う発行者というものをこの整理に応じて検討していく必要があるというふうに   しております。この発行者とは別に、どういう機関を通じてどのような方法でカー   ドを交付していくかという交付方法を考える必要があるということでございまして、   3つ目の○にございますが、厳格な本人確認を行う必要性がどの程度あるかや、カ   ード受け取り時や紛失時といったときに、利用者の利便性が高いのはどこかという   こと、また、その費用対効果といったものを考えて検討していく必要があるという   ことでございます。例えば、交付方法であれば、本人確認を厳格に行うということ   で対面で交付するという方法もあれば、配達記録郵便を利用して郵送で行うという   方法もあるわけでして、どの程度厳格に本人確認を行う必要があるかということで   ございます。また、例えば、先ほども申し上げた公的個人認証サービス、こちらの   証明書をカードに搭載しようとした場合は、現在、原則、対面で行うということに   なっておりますので、原則同じ扱いになるのではないかということになります。こ   ういった視点を踏まえまして、具体的な交付方法でございますが、8ページの一番   下から始まりますが、案の1、市町村が交付するということで、国や健康保険組合   が市町村にカードの交付を委託し、市町村の方では住基カードの発行と同じような   手続で市町村が交付するということでございます。その場合には市町村が2種類の   カードを交付することとなるかどうかということについて検討が必要ではないかと   いうことでございます。続いて、案の2でございますが、医療保険者が交付という   ことで、現行の医療保険者が保険証を発行しておりますので、そういった手続をも   とにして医療保険者が交付するということが考えられるということでして、組合に   よっても違いますけれども、事業主を経由して交付する健康保険組合や政府管掌保   険もあれば、窓口交付や郵送等の手段で行っているところもあり、そういった手段   をもとにして配布する方法があるということでございます。続いて、案の3が年金   保険者たる国が交付するということで、例えば郵送という手段が考えられ、また、   20歳未満で把握していない部分については、事業主や市町村に交付を委託すると   いうことも考えられるということでございます。その次の○ですが、先ほど関連す   る仕組みを最大限活用するということを申し上げましたが、公的個人認証サービス   の電子証明書をカードに搭載するとした場合には、その機能搭載の現在の仕組みを   活用することになるのではないかということでございます。また、住基カードに社   会保障カードとしての機能を搭載するということであれば、現在の仕組みを前提と   すると、住所変更の場合には再発行が必要となるといったことに留意する必要があ   るだろうということでございます。続いて9ページの7の費用・事務効率化等とい   うところでございますが、費用対効果につきましては、具体的な制度の仕組みや、   既存の仕組みをどの程度活用するかということによって大きく異なってまいります   ので、次の○になりますが、費用については具体的な仕組みが固まっていない段階   において詳細な試算を行うことはなかなか難しく、今後、具体的な仕組みの検討を   進めて、その選択肢に応じた試算を行うという記述にしております。続いて10ペ   ージですが、効果については、なかなか定量的にはあらわすことができないものも   ございますが、先ほど御説明した利用者にとってのメリットが挙げられるのではな   いかと思います。また、将来的には、こういう社会保障カードという基盤ができま   すので、年金・医療・介護の各分野や各種の行政手続のIT化が、一層進展すると   いうことが見込まれるのではないかということでございます。費用負担ですが、カ   ード導入による費用と効果というものを踏まえまして、カード交付方法等の複数の   選択肢を比較検討して具体的な仕組みを検討するということでございます。負担の   あり方につきましても、引き続き具体的な仕組みに応じて検討するということでご   ざいます。続いて、10ページの8、その他のところですが、3つ目のところに、   先ほど御説明いただいた電子私書箱(仮称)についての検討を踏まえつつ、レセプ   ト情報、特定健診情報等のデータベースのセキュリティ対策が徹底されることを前   提として、カードを活用したオンラインでの安全な個人情報の閲覧・管理の方法を   検討する。1つ飛ばしまして一番下の○でございますが、利用者が多岐にわたると   いうことですので、ITの利用について不慣れな方にとっても十分な周知期間を設   けるとともに、利用方法を丁寧に説明するということが重要ではないかということ   でございます。最後に11ページ、「おわりに」というところでございますが、ひ   とつめの○は、社会保障カード(仮称)は将来的にはより広い用途で利用される可   能性を有しているので、例えば雇用保険や労災保険における利用が考えられ、また、   閲覧機能につきましても、厳格な本人確認を行うことができる基盤ができれば、閲   覧できる情報の範囲というものも拡大していくのではないかということです。ふた   つめの○が、こういう仕組みをつくった後でも、PDCAサイクル、ちゃんと計画   を立てて、実行して、それをチェックした上で再度修正して実行し直すというサイ   クルのもとで、不断に見直しを行い、よりよい制度にしていくべきであり、そうい   う仕組みを構築するということでございます。最後の○になりますが、今後、具体   的な仕組みの検討を進めて、費用等を含めた選択肢を示しつつ、広く御議論いただ   くという形にしております。長くなりましたが、以上が資料3と4の説明でござい   ます。   ○ 大山座長    ありがとうございました。一気に御説明いただいたのでなかなか理解しにくいと   ころもあるかと思いますが、皆様方からこの後、質問、御意見等をいただきたいと   思います。まず、今日は全体像を理解いただくために、前後しても構わないという   ことでお話を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 高山委員    資料3の順に従って、質問と私の意見の両方を合わせて申し上げたいと思うので   すが、まず1枚目の1、カード導入のねらいというところで、ボールドで書いた次   の3行目、「希望する方は、カードを用いて健診情報等の健康情報を閲覧すること   もできるものとする。」と書いてあるのですが、そもそも社会保障カードを導入す   る一つのねらいは、全体として制度運営にかかるコストを節約するという意味もあ   って、あるいはこのカードを導入することによってむだを排除するのに貢献すると   いうことがあったと思うんですね。そうすると、例えば病院を複数またがっていろ   いろな診察をするような場合に、いろいろ検査を重複してやるということがよくあ   ると言われているのですが、このカードを用いることによって検査の重複を避ける   ことが望ましいと思うんです。そうすると、希望される方だけに限定しちゃってい   いのかということですね。医療機関にはその人が過去にどういう検査の記録を持っ   ているか、直近ベースでどんな記録を持っているかを閲覧可能とするということに   しておいた方がいいのではないか。たとえ、本人が希望しない場合でも、医療関係   者には、その人の過去の検査の記録を見ることができる。直近のものがあれば余分   な検査はしない。そういうことが必要なのではないかと思うんです。だから希望す   る方に限定するということでいいのかというのが疑問の1つです。当然、誰が覗い   たかという閲覧の記録は残さなければいけない。そういう意味で、単なる事務負担   の軽減ではなくて、制度運営のコストを節約するということが、ふたつめの○にか   かわるところなのですが、そこを単なる事務負担の軽減ではなくて、運営にかかわ   るコストの節約というところを入れないと国民の理解というものにつながらないの   ではないかと私は個人的には思う。それが1点目です。2点目は、2枚目の紙の方   に係るのですが、技術的な選択肢が案1から案4まで、あるいはカードの交付方法   について選択肢が案1から案3まで示されているわけです。我々はこの12月まで   に何らかの検討の結果を報告書として提出することが義務づけられていると考えて   いまして、時間的に余裕がないということで、単なる技術的な選択肢をこういう形   で羅列して、それであとはまた別途検討をさらに進めてくださいというふうにする   のか、あるいは技術的な選択肢、上段の案1から4まで、それぞれのメリットとデ   メリット等をもうちょっと例示するという形で次の議論につなげることまでするの   かということが選択だと思うのですが、このような形で示されたということは、単   に技術的な選択肢がこれだけありますよと。そのメリット・デメリットはまた別の   検討会でもつくってさらにやってくださいという趣旨なのかということです。そこ   がよくわからない。事務局及び座長の御意見を伺いたいと思います。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    まず1点目のコストの節約とか、無駄の排除ということですが、これについては   確かにおっしゃるとおりではあるのですが、一応、これは資料4を参照して御説明   申し上げたように、こういうカードの仕組みだとするとこういうことが実現できる   ということで書いております。そういう意味では、ここに書いてある仕組みだけで   は、おっしゃるようなところまでは実現できないところもあるので、現在は、こう   いう記述になっておりますが、ただ、用途拡大の話とか、さらに利用される可能性   を有しているというような記述もありますので、表現については、工夫させていた   だきたいと考えております。閲覧可能なというところも、おっしゃるように、希望   すればすぐに閲覧が可能な状態になっているということが、当然、前提になるかと   は思いますが、ただ、ここは健康情報とか、そういうデリケートなところについて   は、全てに見せるということが必ずしもいいのかどうかという議論も意見交換会の   中では出されていて、そういうこともあって「希望される方が」と書いてあるとい   うことで御理解いただきたいと考えております。2点目のカードに収録する鍵とな   る情報の案とか、交付方法の案について、とりあえず選択肢を示してあるのですが、   限られた時間で、できる限りおっしゃったようなメリット・デメリットというよう   なところが整理できるものは、お出ししたいと思っていますが、ただ、資料3の一   番最後に「今後、具体的な仕組みの検討を進め、費用等を含めた選択肢を示しつつ、   広く御議論いただく。」と、ございますが、さらに詳細な、具体的な仕組みの検討   を進めた上でないと、そういうメリットとかデメリットという形もきちんとした形   では出せないので、もう一段さらに検討を進める必要があるのではないかと考えて   おります。12月の取りまとめということなのですが、実際に意見交換会をやらせ   ていただいて感じたことは、今回、こちらの方から具体的と言いますか、大まかで   もいいのですが、あまり仕組みの中身というのを提示していなかったので、意見交   換をした段階でも、団体の方々もどう意見を出したらいいか戸惑われたようなとこ   ろがあったのではないかと考えていまして、そういう意味では、とりあえず、こう   いう選択肢の形であるにせよ、一応の整理をすることでさらにその先の踏み込んだ   議論ができるのではないかと考えております。と、いう意味で、今の段階でメリッ   ト・デメリットが整理できるものがあれば次回お出ししたいと思っていますが、さ   らに具体的な仕組みの検討をもう一段進めた上で、きちんとした形でメリット・デ   メリットというのも整理して、また改めて議論していきたいと考えています。 ○ 大山座長    高山委員から聞かれているので、私も答えないわけにいかないと思うのですが、   基本的には黒川室長が言われているとおりで、我々は、この辺について細かく検討   してきました。ほかの答えがなくて、案が1つしか示せないようであれば、逆に楽   だったのですが、複数の可能性があるということがわかり、それぞれのやり方によ   っては、かかる費用も桁が違うぐらい変わると予想されます。必要な準備期間も同   じです。また、関係する人たちについて言えば、例えば市町村にお願いするとして   も、市町村が受けていただけるか分かりませんので、あくまでも案の一つとして扱   っています。さらに、インフラ整備の状況等、考慮しなければならない要因が多数   あります。一方で、社会保障カードが世の中で大きく注目されていることを考えて、   内閣官房や総務省さんにもおいでいただいています。まさしく厚生労働省さん1省   のみの力というよりは、国を挙げた、省を超えた協力体制のもとで実現することを   うまくできることが一番望まれていると思っています。その意味で、ほかのところ   の方たちとも常に情報交換しながら、これらについての可能性があるかどうかを検   討したところ、提示した案には全て可能性があると判断しました。黒川室長が言わ   れたとおり、費用対効果、あるいはメリット・デメリットについて、はっきり出せ   るものはできるだけ早く出したいと思いますが、今日、あるいは今月中にこれです   と一本に絞って出すというのは極めて困難です。言うまでもなくもっと重要なこと   は、社会の受容性です。その意味で多くの方たちに、幾つかの選択肢の中のそれぞ   れの良い点、悪い点、いろいろなものがあるので、それらについて広く議論いただ   く方がよいのではないかと思い、座長として、室長と統括官にもう少し時間を頂き   たいとお願いしてきたところです。 ○ 堀部委員    今の点にも関連してですが、2回にわたってヒアリングしたときの印象では、来   ていただいた団体の方も社会保障カードについて、あまり好んでないということが   非常にはっきりしたと思うんですね。今日のまとめでも、どう読むかというのはあ   りますが、むしろ全体とすると理解が進んでいないということと、相当、いろいろ   なデメリットも指摘されたように私は思いました。そういう中で、今後の進め方を   どうされるのかということもあると思うのですが、恐らくこの段階では、いくつか   考えられる案を出して、パブコメの手続をとるのかどうかもあると思うのですが、   広く知っていただいて、いろいろな意見を踏まえてさらに議論するということが必   要なのかという印象を持ちました。それは全般的なことなのですが、今、高山委員   が言われたので言うと、希望するというのは私もどういうふうに理解していいのか   なと思ったのですが、というのは、これは健診情報ですので、多分、一般的には民   間の医療機関と考えるか、あるいは国も考えられるかと思うのですが、あるいは独   立行政法人のところもあるかもしれませんが、全部に法律ができまして、国の行政   機関ですと、情報主体というか、本人の側からは権利として開示請求ができるよう   になりました。独立行政法人についてもそうです。民間につきましては、今度は、   個人情報取り扱い事業者の義務として開示の求めに応じなければならない。もちろ   ん医療情報などについては開示しない場合もありますが、そうなると、意味にもよ   るのですが、希望すればいつでも見られるようにするというふうにもとれるし、た   だ、希望する人だけということにはならなくなってくるのではないか。法的な枠組   みとしてそうなっているというところを踏まえて、このあたりの書き方を工夫して   みる必要があるのではないかと思いました。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    今のお話は、以前の検討会でちょっと御説明したと思うのですが、当然開示する   義務があるとか、そういう情報というのは開示しなければならないわけで、それは   当然開示するのですが、要は紙で開示するという話と、ここで言う電子的に閲覧す   るという話はまた別なので、そういう意味で、ここで言うのはあくまでも電子的に   閲覧することができるということで書いているということを御理解いただきたいと   思います。 ○ 大江委員    今の堀部委員の発言とかなり近い発言ですが、私もこの資料3のカードのねらい   の2つ目に書いてある「希望する方云々」のところは、一人歩きしてかなり誤解を   招く表現なので、もう少し丁寧に書いておいた方がいいのではないかと思います。   これだけ読むと、もしこのカードができたときに、希望すれば自分の健診情報を見   られるはずだというふうに一般の方は普通思うと思うんです。だけど、これはむし   ろ健診情報なり、医療健康情報を持っている側が同じ統一的な方法でアクセスされ   たときにちゃんと電子的に見せられるようなサービスを提供して初めてできること   なので、カードだけができたからといって希望すれば見られるわけではないのは明   らかなのですが、誤解される可能性が高いので、ここはもう少し丁寧に書いた方が   いいのではないかと思いました。もう一つは、これまであまり議論されていないか   ら書かれていないのかとも思いますが、一方でこの資料3、4は、特に4は、これ   までの議論の整理とありますが、これまでこの検討会では少なくともほとんど議論   したことがないことが案として出てきていて、恐らく関連するほかのところで議論   されていたことも含めた議論の整理という位置づけで書いておられるんだろうと思   いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。と言いますのは、例えば案1から   4というのは、具体的にこの4つの案があるというようなことは一度も明確にこれ   までここの検討会では出たことがなかったにもかかわらず、これまでの議論の整理   という形で出されますと、少しこの検討会としては違和感を感じざるを得ないです。   ですから、もしそうであれば、これまでの検討会の議論を踏まえて、ほかのさまざ   まなこれまでの経緯も踏まえて一つの案として資料を作っていただかないといけな   いのではないかと思うのですが、それについてはいかがでしょうか。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    タイトルのつけ方の問題だったかもしれませんが、ここは以前、論点の整理の中   で、必要最小限の結びつけだとか、カードに収録する情報は最小限とか、そういう   ぼやっとした表現になっていたところを、事務的に少し整理して、選択肢として出   せるものは出しますと申し上げたことを書いたということで御理解いただきたいと   思います。 ○ 大江委員    ぜひタイトルは直していただきたいと思います。これは検討会で議論したことの   まとめというのと、それに基づいて事務局側がさらに情報を出してきたということ   は整理して区分していただかないと、やはり問題ではないかと思います。少なくと   も、これから議論しないといけないようなことが、初めて今日出てきたんだと思い   ます。もちろん潜在的に、きっとこうだろうなということはこれまでの検討会で、   私も含めて頭の中で思っていたことが整理されてきたことはわかっておりますけれ   ども。その上で、この6ページのカードの要件のあたりに、これまでも出てきた表   現なのですが、券面の表記ですね。カード券面の情報というのは、氏名、発行者の   みとすることを基本とするというようなことで、あるいはその次の○の冒頭にも、   必要最小限にとどめるというような表記があるんですね。これは、これまでもこの   検討会でもそのような方向で議論というか、提示されてきたわけですが、あまり、   この券面についてこれまで、では何が必要最小限の項目かということは議論されて   こなかったですね。一方で作業部会を2回開催したときに参加して感じたことは、   券面に何が書いてあるかということは結構重要ではないか。これは早く議論しない   といけないのではないかと感じたんです。例えば、医療保険あるいは介護保険の保   険証のかわりにこれを使うとすると、要介護度、従来は利用者の方も、あるいはサ   ービス提供者の方も、目で見ただけで要介護度がどの段階かということはわかるよ   うになっていましたし、被保険者の例えば給付割合なども、利用者側も目で見るだ   けでわかる状態にあったわけです。ところが、セキュリティ、いろいろな面、それ   から書きかえのたびにそれを券面に書いてあると書きかえることが無理なので省略   して、むしろキーをもとにアクセスすればわかるようにしますということになりま   すと、利用者からすると、従来見ただけでわかる情報で、どうしても必要な、現場   でサービスを受ける上ですぐに必要となる情報が、データベースにアクセスしない   と見られないという不安感、それがかなり強く作業部会でも複数の団体から意見と   して出ていたように感じました。そうしますと、その間の落としどころというのを   どうするのかなと私もちょっと考えてみたのですが、例えば、一つの案としては、   券面表示にはそこまで細かい情報は書かないにしても、それとセットで、要介護度   とか被保険者番号ぐらい最低限の、券面に書くとカードの更新の効率が悪いけれど   も、しかし、現場ですぐにサービスを受けるときには、例えばオンラインのシステ   ムがダウンしていてもすぐにわかった方がよいような最低限の情報は紙に書いたも   のをセットでカードホルダーに入れるとか、そういうような具体的なことを考えて、   そういう方針ですということを提示した方が、利用者側のさまざまな不安、アクセ   スできないのに大丈夫だろうか。あるいは、コンピュータが苦手なのに大丈夫だろ   うか。というようなことの解消につながるのではないかと思いました。そういう意   味で、ずばり、券面ではないのかもしれませんが、券面の情報、あるいはカードが   電子的にアクセスできなくても手に入る情報は何かということは早い段階で議論し   ていただいて決めていく方がいいのではないかと感じました。 ○ 薄井政策統括官(社会保障担当)    今、表題のお話がございまして、資料の表題のお話を先に。先ほど室長の方から   も申し上げましたが、議論の整理という形にしたのですが、基本構想に向けて今、   御議論いただいているわけでございますが、基本構想というところまでまだ固まっ   たものではないだろうということで、基本構想という名前を使うのはまだ早いかな   というのが、もともとのスタートでこんな題になっています。ただ、これまでの議   論の整理が、先生おっしゃられるように、ここで議論したこと以外の話も書いてい   るんですね。座長とも後ほど御相談させていただきますが、例えば、社会保障カー   ド(仮称)に関する議論の整理の案とさせていただくとか、あるいは、もうちょっ   とイメージを出すとすると、基本構想の取りまとめに向けた議論の整理の案とか、   そういうふうな、まだ、ここでこれで固まったわけではない、これまでの議論で整   理できたものではないということをちょっと考えさせていただきたい、そういうイ   メージでよろしゅうございましょうか。 ○ 大江委員    そうですね。あるいは今後の議論のためのポイントの整理とか、そういうふうに   していただかないといけないと思います。 ○ 薄井政策統括官(社会保障担当)    後ほど座長とも相談します。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    今、おっしゃったところは、おっしゃるように、券面に紙と同じようなことを書   いてしまうとカードにする意味がないというような御意見も意見交換の中で出され   たということで、資料4では「氏名、発行者のみとすることを基本とする。」と書   かせていただきましたが、同時に、例えば移行期や異常時の対応とか、いわゆるオ   フラインでの対応を考えなければいけないというのはおっしゃるとおりでございま   して、ただ、まだ具体的にどういう案が良いかというところが整理できていなかっ   たので、具体的に例示はしていないということでございます。 ○ 大江委員    多分、早目に例示を出した方が、そのあたりは利用の方も不安に感じないのでは   ないかなというふうに作業部会で意見を聞いていて感じました。 ○ 堀部委員    先ほど一般的なことを申し上げましたが、これも、作業部会で実際に団体の方の   意見を聞いて感じたことの一つで言いますと、今日の資料4はどちらかというとカ   ードを誰でも利用できることを前提にまとめられていますけれども、この前出たの   は、高齢者や子どもなど、今日の資料1にも途中に高齢者や子どもなどのコンピュ   ータを扱えない者への対応を検討していただきたいとありますように、そういう点   というのはほとんど出なくて、むしろ、カードを誰もが自由に使えるというような   ことでまとめられているようにも思えるのですね。どういうふうにそのあたりを書   くかということも必要かと思いますし、それは先ほどの資料3の希望する方に健診   情報等の健康情報の閲覧ということになってきますが、これもそのとき聞いていて   思ったのは、例えば、介護を受けている方などですと、みずからこれを知るという   よりも、ケアする側がそれを見るということになると、これも個人情報の従来の考   え方からしますと、本人に本人情報を開示するというのが原則なのですね。他の者   がそれを見てまた伝えるというのをどういうふうに法的に構成していくのかという   ことも考えなければならないところがあります。個人情報保護法では、例えば未成   年者の場合ですと、法定代理人が閲覧を求めることができたりすることもあるので   すが、この場合など、特に介護を要する人たちの個人情報の閲覧ひとつとりまして   も、成年被後見人の場合は法定代理人ということがありますが、どういうふうにし   ていくのかというのがあります。先ほど、大江委員の話を伺って思ったのは、個人   情報保護法の検討過程でも日本医師会などから意見を伺いましたけれども、その当   時は、カルテの開示の問題だったのですが、どこまで医療情報を本人に開示するか   というのが大きな問題になるわけです。そうしますと、ここで健診情報と言います   が、それの範囲はどこまでなのかということもあります。このあたり一つとりまし   ても、この段階でというよりも、今後の問題として相当細かく詰めておかないと実   際には機能しないということにもなります。いろいろ感じていることはありますが、   この資料でまとめていくにしましても、もう少しそういう、ある意味で情報リテラ   シーが必ずしも高くない人たち、本人以外の者が個人情報にアクセスするというよ   うなことなどについて、どういうふうに整理しておくのかということなども必要で   はないかと思います。それから、プライバシー保護一般については言われています   が、それをもっときちんと保護する仕組み、第三者的な機関を設けるとか、今、い   ろいろな形で何かにつけて第三者機関というのは出てまいりますけれども、この分   野でも相当、重要なプライバシーにかかわる問題を扱いますので、それをどうする   のか。これは、ここだけの問題ではなくて、全般的にいろいろ検討していくような   ところもあります。そういう点もあろうかと思います。そこはきちんと議論をして   いないので、この段階で、入れなければならないということを申し上げるつもりは   ありませんが、そういうこともぜひ念頭に置いておいていただいた方がいいのでは   ないかと思います。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    2点御指摘いただきまして、ありがとうございます。高齢者、子供の方について、   確かにパソコンがないとか、パソコンが使えないとか、そもそもそういったものを   使いこなせないとか、そういう方についてというところですが、確かに情報の閲覧   というところで考えると、自宅のパソコンだけではなくて、いろいろな窓口で見る   こともできるということ以上のことはなかなか考えにくいのですが、ただ、プライ   バシーの保護に優れた仕組みというところで御説明しましたが、表面にいろいろな   情報が書いていないとしたら、落としても安心になるとか、仮に介護の場面なんか   で預かっているような方にとっても気が楽になるということがあるというようなお   話もございましたし、3つのものが1つになるということで、管理がしやすいとい   うようなメリットがあるのではないかと考えていまして、表現は、また工夫してい   きたいと考えております。情報の開示というか、閲覧の関係の話で申し上げると、   繰り返しになりますが、限られた時間の検討でしたので、要は紙で閲覧できるもの   を電子的に見せるかどうかという範囲の検討にとどまっていて、おっしゃるような   視点を考えていかなければいけないのはもっともだと思いますが、現時点では、あ   くまで紙で見られるものを電子的に閲覧するという話だけに限って議論していると   いうことを御理解いただきたいと思います。 ○ 駒村委員    今の堀部委員の問題にも少しかかわるところがあるのですが、作業部会の方で問   題を提起させていただいたことで、社会システムとしてこれができることにどうい   う意味があるのかということも検討する必要がある。それは、今日の資料の横の紙   の2枚目の2ポツのカードの収録情報に応じた利用制限というところ、縦の8ペー   ジのところで利用制限が対応しているんだろうと思います。横紙の方は、例として、   番号の告知要求制限と書いてあるだけなのですが、縦書きの方は参考として住民票   コードの話が出ていますけれども、番号よりもさらに内容について本人に対して民   間事業者が、この中に掲載されているデータを求めるということをどう考えていく   か。既に年金の加入記録というのは存在していて、それに新たに健診データという   ものがこれから発生する。場合によっては、カードで知ることができる情報は、民   間企業にとっても経済的な価値のあるデータが発生していくだろう。カード導入に   よって、本人が、低コストで情報を入手しやすくなる。これは2つがくっつくこと   によって、民間企業、特に金融会社や保険会社が顧客のセレクションのためにこの   制度を利用する可能性もある。本人が見るのは変わりないわけですが、本人にその   内容を告知させるということが発生し得るのではないか。こういうところに利用制   限まで考えていくのかどうなのかということをお話しした。これは作業部会の方で   お話しいただいて、利用制限については、もう少しより細かく、番号程度の話なの   か、内容まで考えていくのか。そもそも健診データや年金加入記録みたいなものを   どういうふうに本人が扱っていいのか。あるいは、それを企業が、今後、この資料   を皆さんが持つことによって、企業の顧客セレクションのために使ってもいいとい   うことがどういうふうに考えられているのか。まず、教えてもらいたいわけです。   実際に韓国で、受診記録をIT上でパスワードで見ることができる制度が入ったと   きに、民間保険会社がその内容を本人から聞き出すという問題が発生していますの   で、そういうことも、この制度が広まれば広まるほど、そういうさまざまなところ   の民間企業の方から使いたいと意見もでてうる可能性がある。そこをきちんと制限   するなら制限する論理立てをつけておかないと、将来、民間企業側から規制緩和を   求めてくるという可能性もありますので、利用制限についてもしっかり、どういう   ことが利用制限にかかわるのか。これは、ヒアリングのときも今日のヒアリングの   結果の資料1の1ポツの下から3段落目や4ページ目のその他の中の下から3段落   目にそれに関する議論があったと思いますが、その辺も検討をお願いしたいと思い   ます。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    まず、ここで書いている利用制限というのはカードの収録情報の利用制限であり、   最大でも、今の紙の健康保険証なり、介護保険証に書いてあること以上のものでは   ないわけです。そういう意味で、ここに仮に統一番号みたいなものを設けた時に、   住民票コードと同じようなことを考える必要があるということを書かせていただい   ております。おっしゃるような、いわゆる閲覧することによって年金とか、健康保   険とか、その情報についてどう考えるかというところは、限られた時間ですので、   閲覧の話はまたその先にしましょうということで、電子私書箱の検討などもありま   すので、そういったところを見ながら整理をしていきましょうということにして、   あります。 ○ 駒村委員    世の中の不安の中の一つには、情報が漏れるとか、管理するというものと同時に、   例えば、健診の記録の話が出たときに、そして、この社会保障番号がくっつくこと   によって個人が識別されやすい、人々が選別されやすい社会になってしまうのでは   ないかという不安がございます。この2つのことがくっつくことの社会的な影響、   これも社会システムとして利用制限のところで少し考えていかなければならない。   言い方を変えれば、民間企業の考え方によれば、リスクの高い人をセレクションし   て、そこに高い保険料を掛けるのは何が悪いんだとか、年金の加入記録を見て、非   常に不安定な就業をしている人に融資するのに高い金利を設定するのは何が悪いの   かというような発想も出てくるかもしれませんから、その辺は非常に大きな社会的   な影響を与える可能性があるということで、ここも少し本当は突っ込んだ議論が必   要かなと思います。 ○ 堀部委員    今の駒村委員のお話を伺いながらいろいろ考えたところがあるのですが、そのひ   とつとして利用をどうするのかということがあります。こういうシステムができて   自分の情報を見てみたいということがあります。見た情報をほかのところで使いた   いというのがいろいろあって、例えば、この分野ではないのですが、信用情報機関   というのがあります。法律ができる前から、自分の情報を自分で閲覧して、いくら   借りているかとか、きちんと返済しているのに返済していないという情報があった   りすると、次にまた銀行でローンを組むときにも借りられないという判断をされる   ことがあります。そういうことを防ぐためにも本人にできるだけ開示するようにす   る自主的なルールを、私も、随分関わって確立しました。ところが、高度情報通信   社会推進本部、今のIT戦略本部の前身ですが、そこの個人情報検討部会のときに、   個人信用情報機関からヒアリングして、明らかになったことがあります。そういう   制度を実際に運用していると、例えば、就職のときに、いくらお金を借りているの   かということを、本人は閲覧できますから、閲覧をして、紙に出してもらってくる   ようにと要求されます。それは、一種の証明書になるわけです。お金を借りていな   いという証明にもなるし、借りているという証明にもなる。そうすると、雇う側か   らすると、こんなにお金を借りている人は雇えない。個人情報保護検討部会は、公   開で議論していたものですから、こういう使い方にもなるという話が出たところ、   新聞などでも、それがニュースになって取り上げられたということもありました。   そういうことがあるものですから、今度は、紙で出さずに本人にコンピュータの画   面で見てもらうか、あるいは見せて説明するだけにとどめるということになったそ   うです。そうなりますと、今度は就職先の人が一緒に来てそれを見るとか聞くとい   うことになり、見せないと就職もできないという問題にもなってくるので、これを   どうするかというようなことも議論になったというのです。そういう話をすると、   きりがないことがいろいろ出るのですが、一方では、大変便利なシステムができる   と、他方でその利用というのがいろいろな形で出てきて、どうなるのか。年金にな   るとお金に絡んできますから、お金を貸したりするとき、一体どのくらい年金を貰   えるのかという情報だって何らかの形でとってこいという、こういう話にもなって   くるかもしれない。健診情報になりますと、また、いろいろな使い方がありますの   で、そのあたりの利用制限もどうするのか。だから、カードの券面だけの問題では   なくて、今度は、それを使ってみた結果のものというのをどういうふうに制限して   いくのかということなども含めて、今回の段階で、そこまで詰めるというのは無理   なので、そういうことも、私はいろいろ経験してきていますので、また、今後の議   論にはそういうことを生かしていただきたいと思います。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりでございますけれども、とりあ   えず紙で得られる情報を電子的に閲覧できるだけということでスタートしているの   ですが、おっしゃるとおり、こういう仕組みができることによって入手する機会が   増えていくと、情報がどんどん増えていくというところも当然ございますので、今   後の課題として整理していきたいと思います。 ○ 辻本委員    重ねてというか、同じようなことを申し上げるのかもしれませんが、例えば、こ   の資料3のポイントで、文章でわかりやすいところと実にあいまいにされてしまっ   ているところということがあって、もう少しわかるように書いて欲しいなと、いう   思いがいたします。例えば、「健康情報等の」と、お役所の文章にはこの「等」の   一文字にいろいろなものが加味されていると私は受けとめているのですが、「等」   が何であるのか。例えば、健康情報、健診の情報と、レセプトということは今、見   えてきている話なのですが、ほかに「等」の中に何があるのかとか、その次の行の   「他の社会保障分野での利用や」ということで、「他の社会保障分野での利用」と   いうのが具体的にどういうことなのかとか、「閲覧可能情報の拡大等の用途拡大に   対応できる。」と言われても、私たちは全くイメージがわいてこないんですね。そ   のあたり、もう少しわかりやすい文章ということでお示しいただけないものかとい   うことのお願いが1点。本日の資料は、議論の時間がなかったということを盛んに   おっしゃられるのですが、メリットばかりが出てきていて、デメリットということ   が隠されているような、そういうふうにしか見えてこないんですね。メリットを出   すんだったら、デメリットも同じレベルできちんと並べて、比較対照することで私   達が自分にとって、どうなんだろうというふうに考えていかれる問題提起だと思い   ますので、そのあたりもお願いしたいと思いまして申し上げました。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    ありがとうございます。資料3はポイントということでしたので、おっしゃるよ   うに「等」ということでくくってしまったところがございます。それは御容赦いた   だきたいと思いますが、資料4の方ではできるだけ具体的に書き込みたいと考えて   おりまして、健診情報等ということで申し上げますと、先ほど来から繰り返しにな   りますが、とりあえず紙でも閲覧ができて、かつ電子的に閲覧できるような道筋が   見えているという意味で申し上げると、レセプト情報ですとか、特定健診情報であ   るということではないかと考えていますが、ただ、紙で見られる情報が電子的にも   見られるという状態がどんどん進んでいくと、そういう閲覧可能な情報の範囲が広   がっていくので、そういう意味で「等」という言葉を使っているというところでご   ざいます。他の社会保障分野での利用というところで申し上げると、資料4の方で   は、例えば雇用とか、労災とかというのを挙げていますし、閲覧可能情報の拡大と   いうのは今、申し上げたようなことございまして、「等」というところで申し上げ   ると資料4の方にございまして、具体的には書いてございませんが、3ページのそ   の他のところで、「ICチップの区切られた別の空き領域を利用して、追加的な機   能を持たせることができるものとする」ということで、とりあえず、社会保障カー   ドとして資格情報なり、鍵となるような情報を収録するところは極力、追加的に修   正したり消したりすることができないようなことを考える必要があるだろうと思っ   ていますが、同時にそれと区別した形で空きの領域を作って、そこに希望される方   がいれば、御自分のいろいろな情報を収録するとか、そういった可能性を持たせる   ということを考えようということで「等」ということにして用途拡大に対応できる   というような表現にしているところでございます。メリットばかりというところに   ついては、メリットという言葉が適切ではないということもあるかもしれませんが、   そういう意味で実現可能な効果という形で、整理をしておりまして、おっしゃるよ   うなデメリットというところは、留意点というか、配慮すべき点だということで、   資料4の方では整理しているつもりなのですが、御指摘を踏まえて表現については   さらに工夫したいと思います。 ○ 辻本委員    例えばカルテということは、医療の情報というところには、私たちはどう理解し   ていったらよろしいのでしょうか。将来的に。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    将来的にすべての医療機関で、電子カルテのようなものができて電子的に提供さ   れるような環境になっていけば、話は変わってくるのかもしれませんが、差し当っ   ては、そういう状況になっていないので、この検討の中では診療情報は、除いてい   ると理解しております。 ○ 南委員    今日の資料を拝見して、やっぱりいろいろな課題が出てきたなという印象だった   んですね。それが、この資料1には実によく書かれていると思うんです。先ほど堀   部委員も言われたのですが、どちらかというと作業部会によって少し慎重に考えな   ければいけないことがいろいろ出てきたと。それで、この資料3、4を見ますと、   今後の議論のポイントというふうになって、出てきた課題を丁寧に精査するという   部分を通過してしまっている印象があります。問題を一々精査するということは難   しいということはよくわかるのですが、私もそれを一つ一つ丁寧に理解するだけの   テクニカルな知識もないのですが、通過されてしまうと余りにも課題が残らないか   なと気になります。資料4に留意点という形でまとめたと、室長はおっしゃったの   ですが、留意点という形で書かれたところに、各項目が入っているという意味でし   ょうか。一番国民が懸念しているのは情報の漏洩と先ほど駒村委員が言われたよう   なこと。非常に深刻な大きな問題だと思います。極端なことですが、アメリカなど   では保険会社の競争などで、リスクの高い人を特定するために個人の住宅のごみま   で調査の対象にするような、つまり、個人情報があらゆるところで狙われると、い   うような怖い話も聞きます。このカードが、そうしたリスクと結びつくことがない   ように問題点をきちんと論じていただきたいと思います。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    まだ書き足りない部分があることと思いますが、意見交換会で出された御意見を   私どももいろいろ整理している段階で感じているのは、具体的な仕組みが示されて   いないので何となく漠然とした不安感というか、いろいろな懸念材料というのが思   い起こされるところがあるのではないかと思っています。社会保障カードを仮に導   入するとしたら、どういうカードで、どういう仕組みで導入されるのかというとこ   ろをまずは整理して、その整理をする中で、意見交換会などで出されている御懸念   も、それに配慮するような形で一応の仕組みを整理させていただいて、それをまた   お示しして、これでなおまだ不安なり、懸念材料が残るのかということでまたさら   に突っ込んだ議論をしていくということが必要なのではないかと考えています。資   料4で言いますと、色々出された御意見を踏まえて、4以下の部分が具体的なカー   ドの仕組みになるわけですが、その仕組みを検討したつもりでございます。まだ詰   め切れていないと言いますか、検討が十分でない部分も多々あるかと思いますが、   とりあえず、4以下をそういうふうに整理しているところでございます。ただ、お   っしゃるとおり、具体的なところを示していないところがあるので、そういう意味   で、最後に、今後さらに具体的な仕組みを検討して、選択肢を示しながら広く御議   論いただくということで締めくくっているという構成になっているところでござい   ます。1から3までのところはメリットしか書いていないというのはおっしゃると   おりなのですが、ここはカードを導入しようとする狙いということで整理をしてい   るので、こんな記述になっているというのが現状でございます。 ○ 南委員    その御苦労はよくよくわかります。確かに、2度の作業部会の印象も、問題が出   てきたというだけではなくて、おっしゃるように具体的なことがわかっていないた   めに全体像が描けないんですね。なかなかどういうものになるかというところが。   なので、どういうふうに議論を進めたらいいのか、先ほどのパブリックコメントみ   たいな形なのか、ここでは、少なくとも議論が交わされたことは理解するのですが、   一般国民のレベルになりますと、さらに遠い話になってしまうと思うので、そこを   御留意いただけたらなと思います。 ○ 薄井政策統括官(社会保障担当)    今のお話ですが、先ほど堀部委員からもございましたように、これで基本的な構   想というふうな形でまとめたものを世の中にお示しして、まだ、わかりにくいとい   うお話があれば、それを足していかなければいけませんが、例えば、ホームページ   で御意見をいただくとか、いろいろなスタイルをしながら、さらに議論を積み上げ   ていって、いい形のものに持っていきたいというのが私どもの気持ちでございます。 ○ 駒村委員    紙ベースにある情報を電子化するだけなんだということで、それぞれ、別々に考   えていくと、くっついた瞬間に価値が変わってしまうかもしれない。もし、その可   能性があるとするならば、今度は、紙ベースにある情報の使い方まで遡って、それ   をどう制限するかということが必要だと思うのです。健診データについて本人が紙   ベースでも知るわけですし、加入記録についても本人が紙ベースで知ることが今後   できるわけですが、これは、今の時点でもそうなわけだと思うのですが、これを告   知させて、要するに持ってこい。あるいは見せてくれということを制限するような   ルールというのは、今のところあるのでしょうか。民間企業が何か契約するときに。 ○ 堀部委員    ないです。何らかの契約をするなり、雇用契約も契約ですが、そういうときには   出さざるを得ないわけですので出すということになります。情報を持っている側か   すると、個人情報保護法第23条の第三者提供の制限なのですが、本人の同意があ   れば出せます。本人は、そういうときには同意をせざるを得ないという状況になる   のですね。ですから、そこを制限するとなると、別の仕組みを法的に考えていかな   くてはなないですね。住民基本台帳法のときに、住民票コードをどうするか。これ   も前にも申し上げましたように、かなりいろいろ論じられ、国民総番号制につなが   るとかという議論があって、そういう中で、国会でも相当議論になりました。住民   票コードの場合にはコードという表現にして、その利用も制限する。民間がそれを   求めるということもできなくしていますし、そのデータベース化もできなくする。   まさに、ここに書かれているような仕組みに法律上したわけです。ただ、そうなる   と非常に使い勝手が悪いということも出てくるので、そういうところをどうしてい   くのか。検討すればするほどいろいろな課題が出てくるようにも思いますので、今   月中にまとめるということだから、この段階では、あまりあれもこれもと言うのも   どうかと思って申し上げていませんが、いろいろなことが考えられますので、そう   いうところを一つ一つクリアして、実際の制度として設計する場合にはそこをきち   んとしなければならないのではないかと思います。 ○ 高山委員    多分、私は少数意見なのかもしれませんが、利用制限は何のためにするかという   ことだと思うんですね。そこをちゃんと議論しないで、むやみやたらと利用制限を   かけてしまうと、本来の目的である利便性のところが犠牲になっちゃうと思うんで   す。住基コードの話も、どうも聞いてみると、私の個人的な意見で言えば、無理や   り使いにくくしちゃったということだと思うんです。本来、もっと使えるようにし   た方がよかったと私は個人的には思うんです。使いにくくしちゃって利用の実態が   ないといっている。社会保障カードも何のためにやって、利用制限を何のためにか   けるかというところの議論を整理しておかないと、同じように杓子定規に利用制限   をかけるという話に行っちゃうのではないかということを恐れているわけです。先   ほど堀部さんがおっしゃった中で、ローンの記録を持ってこいと仮に言った場合に、   持っていかないとどうのこうのという話がありましたが、我々は、もうちょっと冷   静になって、冷めた目で現実を受け入れる能力というものを社会全体で高めていか   なければいけないのではないか。無制限に借金を繰り返す人を採用できるかといっ   たらできないわけですよ。それはカード情報でなくても、別の情報で必ず採用する   側はとっているはずなんです。別の形でいろいろな形で情報収集しているわけです   から。無制限に無責任に借金を繰り返すような人は社会的な存在としてあまりよく   ないので、そういうことを抑制させるメカニズムをつくらなければいけないと思う   んです。そういうものを持ってきなさいよと言われたら、自分は就職できないんだ   というふうになると、あまりそういう無理な借金をしないという面もあるわけでし   て、私は、一方的にそれをやってはいけないと言っていいのかなという。どうせ同   じようなことは、間接的にいろいろととってくるわけですから。私は少数意見であ   ることを承知の上でこういうことを申し上げるのですが、もうちょっと冷めた目で   現実を受け入れると。その上でどうするかという議論をしなければいけないのでは   ないか。社会保障カードも確かにメリットだけではないと思うんですね。デメリッ   トはそれなりにある。リスクはゼロにできない。これはもう明らかなことです。し   かし、それを超えてメリットがあるんだったら、そのデメリットをできるだけ小さ   くする方向でメリットを活かすことを我々考えようと私は思っているんです。 ○ 堀部委員    別に先ほど言いましたのは借金する人を弁護するつもりではなくて、実際に本人   が自分の情報を見られるという仕組みを作ってみたところ、そういう面もあったと   いうことです。これはさっきも言おうと思って言いませんでしたが、自治体で、県   などですと、県立高校の入試の結果を本人に開示するということも個人情報保護条   例に基づき簡易な方法で実施したところがあります。そうしますと、予備校などが   見てこいといって見てこさせて、それを本人に報告させますと、大体この学校はど   の程度で合格するということもわかる。中学の方も、直接は、県立高校からはとれ   ませんから、そういう形でとる。利用の仕方というのはいろいろあるので、そうい   うこともあると思います。別にそれを否定するつもりはなく、また、借金している   人を弁護するつもりは全くありません。実際、余りにも多重債務、過剰貸付等が問   題なので、昨年の12月に貸金業の規制等に関する法律を全面的に改正して、今、   貸金業法という法律になって、総量規制もかける、そのために信用情報機関も充実   するということになりました。これは金融庁の関係ですが、先週ですが、経済産業   省の産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会でも、割賦で買う人の信用状   態をどこまでどうするかということで議論しました。これを説明するつもりはない   のですが、そういうことで、いろいろ問題が出てきたことについてそれぞれ関係省   庁が対応しているということがあります。先ほど言いましたように、住民票コード   というのは非常に制限をせざるを得なかった状況があってそういうふうにした結果、   かえって使い勝手が悪くなったという意見もあります。保護と利用のバランスをど   うとっていくのかということはきちんと議論しておく必要があるだろうという趣旨   で申し上げたので、別に利用制限を徹底してやれという趣旨のことは言っておりま   せん。 ○ 駒村委員    私も全くそのとおりで、利用制限を何でもかければよいという話ではなくて、こ   のことによってシステムが一部、社会的に変化したり、メリットがある人や構造が   変わる人もいますねと。そういうことも視野に入れながら、この利用制限の基本原   理をつくっておかないといけないと。そうしないと、全く使えないか、全く利用制   限なしにするという極端な話に将来なってきてしまうかもしれないので、そこに関   する議論の整理は一応やっておいた方がいい。ただ、すべての情報の非対称性に関   する議論は当然できないわけですから、基本的な考え方だけをまず整理した方がい   い。ただ、高山先生のご意見のとそんなに実は変わらないのではないかと。一部間   違えると、何でもかんでも利用制限しちゃうと何の意味もなくなっちゃって、フィ   ットネスクラブやフィナンシャルプランナーが使いたいというのは、これは、別に   非常にいい使い方だと思うので、何でもかんでもというようなことはおかしいなと   思っております。 ○ 大山座長    予定の時刻が近づいているのですが、今日こういう形で資料を出せていただいた   ことで議論がだいぶ進んだかなという気もします。もちろんこれからもまだ議論を   続けるところでありますが、この件について事務局側から、この先の話を説明いた   だけますか。その方が皆さん方に御理解いただく上でいいのではないかと思います   ので、お願いします。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    今日、色々御意見をいただきましたので、少し整理したいと思っています。御指   摘のように、メリットだけ書いてあってデメリットというのがないと。私どもとし   ては、大きく申し上げると、プライバシーの侵害とか、情報の一元的管理に対する   不安ですとか、費用対効果という意味で非常にコストがかかるのではないかという   のが、大くくりで言えばそういう懸念というか、そういう御意見が意見交換会で出   されたのではないかということで、そういうことに配慮した仕組みを考えるという   ことで資料3の2、3という大きな表題のもとに、一応その仕組みを考えてみまし   たということで整理したわけですが、もう少し留意点というところで目立つ形で、   こういうところに配慮して、こういう検討をしなければいけないというようなこと   を少し資料4に書き込んで、あとは今後の課題ということでいろいろ御指摘いただ   いたようなところも盛り込んでいって、まずは整理させていただく。そして、また   次回御議論させていただきたいと考えています。座長がおっしゃったのは今後の話   ですが、これはまた改めて座長とも御相談申し上げて、皆さんとも御相談したいと   思っていますが、繰り返しになりますが、意見交換会で感じたのは、何か仕組みを   示して議論していかないと、不安とか懸念とか、そういうところだけが気になって   しまってなかなか議論がしにくいというところがありますので、そういう意味で、   とりあえず現段階で整理させていただいて、現時点で考えられる仕組みはこういう   仕組みでありますと。もちろん選択肢付きということでありますが、それをお示し   して、さらに次の議論に進んでいくことが良いのではないかと考えておりまして、   この検討会としても、年内目途に取りまとめをして、もう少し継続して、実務的な   具体的な選択肢の検討も行いながら引き続き議論していくということも必要なので   はないかと考えていまして、改めて御相談させていただきたいと思います。 ○ 大山座長    ありがとうございました。何か今の件で質問、御意見があればと思いますがいか   がでしょうか。本当に短い時間でここまで来たので、いろいろな問題が生じている   ことも重々承知しているのですが、何しろ方向性を少しでも示さないと議論がかみ   合わない可能性がありましたので、このような形をとらせていただきました。これ   で終了したいと思いますが、何か最後に御発言のある方はいらっしゃいますか。 ○ 高山委員    確認です。先ほど大江さんから、資料3と4についてはヘッドラインを変えてく   れという注文がつきました。中身は、これで即座にネットで流しちゃうとか、公開   しちゃうという話になるのでしょうか。一部、先ほど出てきたように、言葉を調整   しておいた方がいいようなものが最低限あるのではないかと思いますので、それを   検討した上で公開する方がいいと思いますが。 ○ 薄井政策統括官(社会保障担当)    普通は議事概要で、ここで出たような御意見も含めてあれするのですが、資料に   ついては、表題のところは非常に大きな御議論なので、位置づけをはっきりさせる   意味で座長とも御相談して整理させていただきますが、この資料が、すぐに載らな    いとなると、またこれも隠しているみたいな議論になるような気もするので、そこ   は過去のこの種の検討会の取り扱いも踏まえて少し考えさせていただきたい。いず   れにしても、先ほど大江委員がおっしゃったように、これまでの議論の整理と、こ   の検討会の議論の整理のようにとられるというのは困ると。そこはおっしゃられる   とおりだと思いますから、そこは表題を考えさせていただきたいと思います。 ○ 高山委員    細かい点で済みません。資料4の5ページのその他、利用者にとってのメリット   というところがありまして、大きな○の3つ目、「カードの券面には可能な限り情   報を記載せず。」という表現になっています。これは日本語としてわかりにくい。   何を言っているのかわからない。次のページには「氏名、発行者のみとすることを   基本としつつ」と書いてあるんですね。どちらかというと後ろの6ページ目の方が   いいと思いますので、これは直しておいていただいた方がいい。 ○ 大山座長    ありがとうございました。ほかはございますか。それでは、第4回社会保障カー   ドの在り方に関する検討会を終了させていただきます。本日はお忙しい中、ありが   とうございました。次回の日にちは決まっていますか。回答いただき閉会します ○ 事務局    次回の日程につきましては、今後の進め方も踏まえまして最終的に確定させてい   ただいて、また再度、御連絡させていただきます。                                    (以上) 【照会先】  厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室   電話番号 03−5253−1111(内線2244)