07/11/28 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(作業部会)議事録 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(第4回作業部会) 1.日  時:平成19年11月28日(水)14:00〜16:00 2.開催場所:三田共用会議所 1階「講堂」 3.議事次第:(1)開会        (2)意見交換          ・全国市長会          ・有限責任中間法人 日本在宅介護協会          ・社団法人 日本歯科医師会          ・社団法人 日本薬剤師会          ・日本労働組合総連合会        (3)閉会 4.出席委員等    (委員)      大江和彦主査、大山永昭委員、高山憲之委員、辻本好子委員、堀部政男委員                              (五十音順、敬称略)    (オブザーバ)      塚田 桂祐  総務省大臣官房参事官(企画担当)      江畑 賢治  総務省自治行政局市町村課長    (厚生労働省)      薄井 康紀  厚生労働省政策統括官(社会保障担当)      香取 照幸  厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任)      黒川 弘樹  厚生労働省社会保障カード推進室長    (意見発表者)      南方順一郎  全国市長会(仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)      谷治 一好  日本在宅介護協会組織委員会副委員長      香取  幹  日本在宅介護協会業務委員会委員      稲垣 明弘  日本歯科医師会常務理事      岩月  進  日本薬剤師会常務理事      小島  茂  日本労働組合総連合会(連合)総合政策局長                            (団体名:五十音順) ○ 大江主査    ただいまより社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会第4回作業部会を   開催いたします。第1回から引き続き私が議事進行をさせていただきます。よろし   くお願いいたします。前回と同様、意見交換ということで、先日の検討会でまとめ   ました主な論点の整理などをもとに、論点と特に関係のある団体の方々と意見交換   をしてまいります。本日お越しいただきましたのは、全国市長会、日本在宅介護協   会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本労働組合総連合会の方々であります。よ   ろしくお願いいたします。それではまず事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○ 事務局    資料は3点でございます。まず資料1でございますが、「主な論点の整理のまと   め」ということでございます。前回と同じものでございまして、検討会の議論を踏   まえ、検討の方向のところに、「導入のメリットをわかりやすく示していく。」、   「セキュリティ対策についても具体的に示していく。」ということを加えたもので   ございます。第1回の意見交換会の時に一部誤解のようなものがございましたので、   念のため御説明させていただきますと、この資料1の2ページ目の一番上のポツに   なりますが、ICチップやカード券面にどのような情報を収録するか、カードの収   録情報は、できる限り本人確認のために必要なものに限定すべきではないかという   ことでございまして、何かたくさんの健康情報をこのカードに載せるという誤解が   ございましたが、検討の方向性としては、できる限り本人確認のために必要なもの   に限定していくべきじゃないかということでございます。2点目は3のカードの発   行・管理のためのデータベースというところでございますが、カードに載せずにデ   ータベースにアクセスして資格確認等を行うということを踏まえ、各制度の保険者   ごとに管理されているデータベースの資格情報を結びつけることについてどう考え   るかということでございまして、こちらも情報の閲覧をする際に、何か一つ巨大な   あらゆる情報を詰め込んだデータベースを作って、それに対してアクセスするとか、   国が集中管理するといった御理解の方もいらしたのですが、基本的にはその資格情   報を結びつけることについてどう考えるかということでございます。以上2点、念   のため御説明させていただきました。こちらが資料の1になります。資料2が、カ   ラーでつけております第2回の検討会に提出させていただいたものと同じ資料でご   ざいます。資料3が本日出席いただいている団体の方から提出していただいた資料   でございます。以上3点でございます。 ○ 大江主査    資料はよろしいでしょうか。それでは議事に入らせていただきます。本日の意見   交換の進め方ですが、まず、前半は各団体の方々から10分間ずつ御意見を伺いた   いと思います。その後、委員の方々から御質問などをいただき、議論をしていきた   いと考えております。では、まず最初に全国市長会の南方様から説明をお願いいた   します。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    全国市長会介護保険対策特別委員会幹事会の代表幹事をさせていただいておりま   す仙台市介護保険課の南方でございます。よろしくお願いを申し上げます。とは申   しましても、本日は全国市長会に加盟をする800余の団体の方々の総意というこ   とではございませんで、あくまでも仙台市の介護保険担当課長として御意見を申し   上げたいと思いますので、その点をお含みおきいただきたいと存じます。まず、初   めに、現在、議論が行われております社会保障カードの導入につきましては、導入   に伴う費用負担、私ども市町村の事務負担、情報セキュリティ、あるいは実施まで   のプロセスをどのようにするか等、さまざまな課題があるとは思いますが、これら   の課題が解決をされ円滑に導入できるという見通しが立つのであれば、住民の利便   性や市町村の事務の効率化といった観点から歓迎すべき方向なのではないかと考え   ております。既に御案内のように、現在、市町村はその規模を問わずコンピュータ   を活用いたしまして事務処理を行っております。市町村ではいろいろな仕事をして   おりますけれども、私どもの住基関連の事務に限って見てみましても、住民基本台   帳の管理を初め、住民税の賦課徴収、あるいは国民健康保険や介護保険における被   保険者資格の管理、保険料の賦課徴収、そして、保険給付の実績管理等、あらゆる     場面においてデータを作成し管理し、必要に応じてそのデータを活用しております。   しかも、これらの事務におきましては、それぞれの業務がもつ独自の情報だけでは   事務を完結できないために、お互いにデータを活用しながら事務処理をしておりま   す。つまり、それぞれの事務処理において、他の部署が保有するデータとの連携を   図りながら、コンピュータ上でのネットワークを作っているわけでございますが、   このシステムのネットワークは新しい制度ができたり、制度の変更が行われる度に   新しく作ったり、作り直したりするなどを余儀なくされまして、また、その際には   他の関係部署との調整などもあって、多くの労苦を伴うものとなってございます。   例えば、介護保険の場合で申し上げますと、被保険者の資格の取得喪失関係では、   住基のデータが必要でございますし、医療保険の加入情報や生活保護の受給データ   なども必要になります。また、保険料の賦課におきましては住民税のデータが不可   欠ですし、年金からの特別徴収の関係では、受給しておられる公的年金の受給者番   号も必要です。こうしたシステムネットワークが円滑に機能するためには、個人を   間違いなく確実に同定させる必要がございます。したがって、介護保険のシステム   は介護保険の被保険者番号の他に、住基コード、税の宛て名コード、年金の受給者   番号の他、国民健康保険の被保険者番号や生活保護受給者のコードなどたくさんの   コードを保有しながらその都度、必要な情報を収集する仕組みとなっています。し   かも、これらは自動的に付加できるものばかりではありませんで、例えば、保険料   の特別徴収対象者の年金受給者番号のように、社会保険庁や共済組合連合会からい   ただきました内容について、間違いがないかどうか、御本人に郵送で確認をいたし   た上でシステムにセットアップをする、こういった作業も実際行っております。な   ぜならば、カナ氏名と性別と生年月日だけの突合では複数人が存在する可能性がご   ざいますし、さらに細かく分けて住所地の郵便番号で突合しますと、不一致がいっ   ぱいで出ましてエラーがたくさん出てまいります。エラーが出れば当然それらをま   た確認しなくてはいけないという作業も発生するわけでございます。少し細かい話   になってしまいましたが、こういった状況は国民健康保険でも老人医療でも障害者   の自立支援制度でも、その他の福祉制度もみな同じです。また、これから始まる後   期高齢者医療保険制度でも同じでしょうし、医療保険と介護保険の高額医療費、高   額介護サービス費の利用者負担の合算制度では現在のネットワークをそれぞれに見   直す必要が出てまいります。繰り返しになりますが、市町村では事務の効率化を図   るために、業務ごとにネットワークを作って、データの相互利用を心がけておりま   すものの、一方で、制度が新しく作られたり、変わったりする度に費用と時間と手   間をかけているという実態がございます。これまで、国からお示しいただいた資料   では、1枚のカードで年金、医療、介護の被保険者証として使えることや、保険者   のごとに被保険者証を交付しなくても済むことなど、利用者や保険者にとっての表   面的な利便性のみが記載されておりますが、私ども市町村として、何よりも効果が   大きいと思われるものは、もし、1人の人が一つの番号しか持たず、しかも、それ   がユニークキーであるという、こういう仕組みにするということであれば、私ども   市町村は先ほど申し上げましたように、ネットワークを作る際に、あまり苦労する   必要がなくなるわけで、実現する方向で検討していただければいいのかなと思って   おります。それでは市町村の側から見て、具体的にどのような課題があるのかとい   うことになるわけでございますが、まず、第1番目に思い浮かぶのは費用の問題で   す。このカードを実現させるためには相当の費用を要すると思います。カードの作   成一つをとってみましても、カードにICチップを埋め込むとなると、市町村には   そのようなカードを作れる機械はございませんし、また独自に自前で用意できるよ   うな代物でもありません。まして、データベースをつくるための費用がどの程度に   なるかは現段階で想像もつきません。こういったことからシステムの開発から、カ   ードの作成、発行に至るまで、必要な経費については国の負担でお願いしたいと考   えております。その際、費用をできるだけ抑えるために、カードについては全く新   しいものを用意するのではなく住基ネットワークのカードの活用を図るとか、番号   も住民番号を基本に考えていくといった方向で検討されたらどうかと考えておりま   す。次に、このカードの交付についてですが、このカードはどこで申請を受け付け   て、どこで交付するのかということになります。一般的に考えれば申請や交付は住   民に一番近い市町村の窓口ということになるのでしょうが、全住民を対象にすると   なりますと、これはこれで大変大きな力仕事となりますので、人件費を含めて相当   の事務的経費が発生するものと想定されます。これらの経費についても国の負担と   していただきたいと思います。さらに、このカードの活用の拡張性についても検討   が必要だと考えております。現在の住基カードは、活用範囲が狭くて厳しく制限さ   れておりますけれども、年金、医療、介護に限らず、他の福祉施策の対象者も含め   た管理が可能となるような拡張性のあるカードにすべきではないかと思っておりま   す。また、このカードの表面には氏名等の本人を識別できる最低限のものしか記載   されないことになるんだと思いますが、介護保険の場合で申しますと、現在、被保   険者証に記載してある要介護認定の区分でありますとか、認定有効期間などは記載   されないだろうと思いますので、本人はそのカードを見ただけではご自分の要介護   認定区分も認定有効期間もわかりません。要介護認定は行政処分ですので、別途、   文書で通知はしますけれども、お年寄りというのはそういう通知はどこかにしまい   込んでしまって、多分、そのカードが命みたいになってしまうと思うのですが、そ   うなった時にお年寄りが、インターネットやデータベースのレセプターを通さなけ   れば自分の要介護認定がわからないとか、認定有効期間がわからないということで   は、お年寄りがきちっと対応できるかどうか疑問があります。ここは、何か工夫が   必要だと思います。次に、気になりますのがカードのレセプター側のデータベース   についてです。このデータベースを誰が管理し、どういったタイミングで更新する   のかということについてです。国民健康保険の場合には、他の社会保険の取得喪失   や生活保護との関係で、被保険者としての資格の取得喪失が頻繁に発生します。介   護保険にあっては資格の取得喪失の他に、要介護認定区分も頻繁に変わります。要   介護認定区分によって利用できるサービスの量が異なりますので、即時に対応でき   るデータ更新の手法が必要になりますが、そういったことが実現可能なのかどうか、   十分に検討すべき必要があると思います。次に、少し事務的な話を申し上げたいと   思います。まず、最初に思いつきますのは国民健康保険の関係です。国民健康保険   では保険料の収納率を上げることが私ども市町村にとっては最大の課題でございま   して、このために多くの市町村では保険料の滞納者に対して被保険者証の短期保険   証、あるいは資格者証というものを発行し、それを活用して納付を督促する手段を   講じております。今回のカードは医療の他に年金や介護にも共通のものとなるので、   こういった手段を講じる上での妨げにならないのか、こういったことへの検討も必   要となります。また、このカードは個人単位で交付されることになるんだと思いま   すが、国民健康保険は世帯単位となっておりますし、介護保険でも保険料の軽減や   利用者負担の軽減は世帯というもので判断をしております。個人単位で番号をつけ   る場合に、この世帯というものをどのように管理していくのか、このことにも工夫   が必要になると思います。時間の関係もございますので、これで、最後にしたいと   思いますが、個人情報の保護について申し上げたいと存じます。情報化社会が進展   する中で、住民は個人情報の保護に極めて高い関心をもっています。市町村には個   人情報を適切に管理するための個人情報保護条例がありますし、それぞれの業務に   おいてもデータの目的外使用については、個人情報保護審議会の承認が必要になる   など、かなり厳格な運用をしております。外部と直接ラインで結んではならないと、   こういった規定をもっている市町村もございます。そういったハードルについては、   カード化の施行に伴い、法整備の中で検討されるものとは思いますが、そういった   市町村の実態があることも踏まえ、十分に御検討いただけたらと思います。これま   でいろいろ述べてまいりましたが、この社会保障のカード化は、住民や私ども市町   村にとって大きなメリットがある反面、これまでの事務の流れや事務の変更を余儀   なくされる部分も多々あると思いますので、検討に当たっては今後とも市町村の事   務担当者の意見をよく聞いていただく場を設るなどして、実効性のあるよりよいも   のができ上がりますよう御検討いただけたらと思います。以上で私の発言を終わら   せていただきます。ありがとうございました。   ○ 大江主査    ありがとうございました。それでは次に日本在宅介護協会の谷治様と香取様、よ   ろしくお願いいたします。    ○ 日本在宅介護協会(香取組織委員会委員)    日本在宅介護協会の香取と申します。私は株式会社「やさしい手」と申します。   訪問介護を中心とした事業を行っている会社の代表取締役をさせていただいている   ものでございます。事業規模は概ね御利用者様が訪問介護におきましては、一万二   千人のお客様、こちらにいわゆる訪問介護のサービスを提供している事業者でござ   います。業界的には中堅の規模の会社になろうかと思います。こちらの立場からい   たしまして、このシステムの導入に当たりましての考え方ということについてお話   をさせていただければと思います。まず、第1点としまして、この新しいカードの   システムが導入される中で、お話しいただく中では、いろんな資格情報等のアクセ   スを各機関がしてまいるというようなお考えが記載されているものと認識しており   ます。一方で、例えば、私ども株式会社格の事業者でございますが、そういった株   式会社格の訪問介護事業所が厚生労働省並びにその関係部局がお持ちのデータベー   スにアクセスしていって個人の情報を勝手に引き出してくるということにつきまし   ては、いろいろ個人情報の保護や情報のセキュリティの一般論からすると難しいと   いうことになろうかと思います。要は市町村であれば、そのデータベースにアクセ   スしていくという御立場をとることは多分可能だと思うのですが、いわゆる医療機   関を含む民間事業者がそういったアクセスするということについて資格情報等を手   に入れるという立場をとるというのは、なかなか現実的な問題として難しい可能性   があるということで、結局、各事業所で手入力ということになろうかと思います。   手入力が発生する可能性というのは、やはり中小規模の医療に関しても、介護に関   しても、いわゆる比較的小規模の事業者が多いという中では、そういったところを   限定に考えていかなければいけないのかなということでございます。そういったと   ころで、このシステムにおきましてはそういった面の個人情報の取扱いという形で、   一体どういうふうなことができようかというところに関する検討が非常に重要性を   持つのではないかというふうに考えております。先ほど、どのようにこういったシ   ステムを導入することにおきまして、新たなシステム改修等の費用が発生しますと、   結局、介護報酬からいわゆる1割とか2割とか頂戴している介護報酬を、結局、情   報システム屋さんが介護報酬の一部を持っていっちゃうというようなことになって、   それで、そのメリットはどうなのかというところになってくると、費用対効果とい   う点でそういったところを全体のシステム、厚生労働省内の費用対効果を考えるべ   きなのか。全体の社会保障給付費に関する費用対効果を見ていくのかという観点と   か、いろいろあるなというふうに考えております。もう一つの問題として、やっぱ   り大規模事業者さんが多少有利になる可能性も含んでいるのではないかということ   です。この点につきましても考えられるということでございます。3番目としては、   カードの合理性というところについて着目する上で、この1枚のカードで、すべて   の社会保障に関する情報ネットワークというのは非常に利便性が高いというふうに   は考えますが、もう一つの考え方があるのではないかということで提案させていた   だきたいと思います。今、私は銀行で1枚のカードを発行していただいています。   これは、クレジットカードもそうですし、口座番号が入っておりまして、お金を下   ろすこともできます。そればかりか、余計な株式運用のDMが来たり、証券のこと   もそうですし、いろんな金融商品の販売もすべてその私の持っている1枚のカード   ですべてができるということで、銀行さんからがっちり管理されているということ   でございます。これは、ある銀行を使っている私個人としてのユーザーサイドとし   て、1枚のカードですべての金融商品がうまくいく、これについてメリットを感じ   ているか、これは、実はメリットを感じていない。それよりもむしろ私が興味のあ   る一部の状況について詳しく情報を銀行さんから頂戴した方が実はユーザーサイド   からのメリットがある。要するに統合的なことというのは、いわゆるユーザーサイ   ドからするとそれほどの価値を生むべきなのかどうかということをよく検討しなけ   ればいけないということです。例えば、1枚のカードというよりは、保険ごとに今、   いろんなケアのネットワークづくりの発展のために、いろんな検討がされておりま   す。例えば、介護であればチームケアとか、そういったアプローチがなされたり、   その中で電子カルテシステムとか、その中でどういう医療ができようか。介護につ   いてもそういった考え方があろうかと思います。そういった利用者の利便性を追求   するあり方や、そのケアネットワークの発展のためのあり方というのはたくさんあ   ろうかと思います。そういった方向での社会保障給付としての情報システムのメリ   ットの享受ということが一つの方法論としてあると思います。その個別の部局にお   いての個別の独自性に基づくユーザーサイドのメリットを供給しつつ、それを統合   していくというような形ということにつきましては、順番としましては、まず、そ   ういう各部局単位で身軽にやっていただいて、いろんな利用者本位の取り組みをし   ていただいて、それが成功した暁に横つながりというのが情報システムのつくり方   としては、普通な考え方なのかなというふうに思っております。そういうような形   で3つの観点を申し上げております。まず、アクセス制限がかかるであろうという   形で、株式会社格がそういったDBにアクセスし、資格要件を取り寄せるというこ   とについては、なかなか難しくて、結局は費用対効果の面で、私どもが何らかのメ   リットを得たり、利用者様がそういったメリットを、結局、事業者ごとに個人情報   を口で喋らなければいけないということは全く変わらないので、そういった点の全   体としての費用対効果はどうなのか、大規模事業者が優位になるというところの部   分の問題点はどうなのか、3番目の合理性という意味で、いろんな部局で非常に活   発な取り組みをされている中で、その取り組みを阻害しないようになるのかどうか。   そういったところの部分で考え方があろうかというふうに思っております。私から     は以上でございます。   ○ 日本在宅介護協会(谷治組織委員会副委員長)   在宅協の谷治と申します。よろしくお願いします。このカードの導入は、一元化   という部分で、あるいは便利性という部分で、すばらしい中身を包含したカードか   なと考えています。私どもで一番懸念することは、このカードが導入された時にど   のようにシステム構築を進めていったらいいだろうかということです。例えば施設   での介護ですと、その施設に大体コンピュータは整備されていますので、そこでい   ろいろなアクセスというのは可能なのですが、在宅で家庭に訪問して介護サービス   をする時に、お年寄りの方が持たれているカードをどのように読み取るかです。読   み取るには多分ノートパソコンを持っていくとか、何らかの物を家庭に持ち込まな   ければなりません。ヘルパーであるとかケアマネージャーがその機械を持ち、ノー   トパソコン等で情報を見ていくというようなことになりますと、それらのセキュリ   ティ面及びコストを含め、どのようにシステム構築しておいたらいいだろうかとか、   検討する必要があります。コンピュータとアクセスできない家庭では、(普通、今   一般的にはインターネットを引かれている方が多い様ですが、介護の場合ですと、   どうしてもお年寄りが大多数になります。)そういうシステム構築ができてないこ   とが多いでしょうから、これらをどのように構築していったら安全で効率的な運営   可能かなどを含めて、いろいろな角度から御検討をいただければと思います。 ○ 大江主査    ありがとうございました。それでは次に日本歯科医師会の稲垣様、よろしくお願   いいたします。 ○ 日本歯科医師会(稲垣常務理事)    日本歯科医師会で常務理事をさせていただいております稲垣と申します、本日は   当会にお招きいただきまして、意見を発表させていただく機会を与えていただきま   して、誠にありがとうございます。今日は資料の3に日本歯科医師会としての意見   をまとめておきましたので、これについて読まさせていただきます。    1.はじめに       厚生労働省「社会保障カード(仮称)」の在り方に関する検討会」の検討      事項として、医療分野における社会保障カードはマル1被保険者証、マル2      レセプト情報、特定健診情報の閲覧等の機能を有するものとされている。こ      の社会保障カードを利用する制度の導入と活用が、そのほとんどが小規模の      個人立診療所であるという歯科医療機関の実態を踏まえ、国民の歯科医療に      対しどのような影響を及ぼすのか。また、今後どのような対応が必要である      かについて今回の意見を述べることとする。    2.IT弱者への配慮の必要性       一般に高齢になるにつれ、日々技術革新の続くIT環境への対応は困難と      なる。医療の提供側、受給側の双方において高齢化が進行している。IT機      器やオンラインネットワークを利用したさまざまな医療サービスの活用は高      齢者にとっても利便性が高い一方、その追従において問題が生ずるおそれが      ある。さらに、その他の世代においてもITに対して違和感をもっているも      のがいることを忘れてはならない。国民へ等しく保健、医療、福祉サービス      を供給するためには、誰もが受けたいサービスを抵抗なく受けられる環境づ      くりが重要である。社会保障カードの導入においては、これらIT弱者への      十分な配慮と国民全体の理解を得ることが必要不可欠であると考える。      3.制度施行に伴う医療機関側の負担軽減         地域歯科医療の担い手は小規模かつ零細な個人開業医である。それらには      ハード面、ソフト面においてIT化に対応困難な医療機関が少なからず存在      する。例えば、医療機関における社会保障カードのための通信環境は、高度      なセキュリティを必要とするため他のインターネット等と独立したものであ      ると考えられるが、既存の設備との整合性を踏まえた機器整備費用、来院患      者すべてに係る資格確認や医療情報取得のための通信費用等は、新たな設備      投資や経費を必要とし医療機関の経営を圧迫しかねないものであり、この負      担軽減策が必要である。また、レセプトオンライン請求制度は、代行請求を      認め必ずしも医療機関自らが、通信環境を備えることが必須とされていない      が、社会保障カード導入においては運用のためのセキュリティの高い通信環      境を整えることは必須と考えられる。これらの制度間の整合性を整理すべき      である。    4.個人情報等に係わる高度なセキュリティの確保       社会保障に関する諸情報は極めて秘匿性の高い情報であり、医療分野の諸      情報はその中でもとくに個人情報の保護が必要なものである。したがって社      会保障カードの運用面において厳重な個人情報保護がさまざまな局面で必要      である。そのため、社会保障カードの医療分野における活用がいったん開始      された後は、社会全体による継続的で多大なセキュリティに係わるコスト負      担、あるいは個人情報の流出や第三者による悪用の可能性に対する負担が最      終的には国民に帰着することを忘れてはならない。このような問題を解決す      るために社会保障カードをアクセスキーとして個人情報を個々の医療機関で      確認する場合、通信機器等におけるセキュリティはもとより、情報内容ごと      の取得資格の必要性等を高度なセキュリティ確保のための法整備を進めるべ      きである。    5.医療情報の閲覧       社会保障カードを活用した医療機関での資格確認や医療情報の閲覧システ      ムは利用時の本人認証・確認が困難であり、第三者による成りすまし、情報      漏洩、悪用等の恐れがある。医療機関窓口やネットワークアクセス時におい      て本人確認を容易かつ確実におこなえる方策が必要である。ことに患者自身      が社会保障カードにより診療(請求)内容確認の請求をする際に、安易で一      方的な悦来は医療機関からのレセプトの請求内容と保険者等における請求内      容の確定との情報のタイムラグなどから不測の事態が生ずることが予想され      る。このため、医療機関と保険者等の機能分担の明確化や確認過程における      さまざまな状況を被保険者教育等を通じ周知すべきである。閲覧や開示に当      たっても本人等からの請求を自動的に認めることには問題があり、ごく稀で      はあるが開示拒否の要件に該当する場合がある。請求から開示への適切な対      応についても検討すべきである。制度の適正な運用のためには医療情報の閲      覧の目的を明確化し、必要な情報を国民に適確に伝達するシステムを構築す      べきであることはいうまでもない。また、医療機関に資格喪失直後に受診し      た場合、事務手続におけるタイムラグにより発生する誤確認の補償を行うこ      とが必要である。    6.おわりに         国民が安全で安心な生活を営むためには社会保障制度を堅持して発展させ      ていくことは重要であると考える。今後の社会保障サービスはITをどのよ      うに活用していくかについて多方面から検討する必要がある。社会保障カー      ドについてもこのような観点から発案され、今回の検討会が設置されたもの      と思料する。医療分野への社会保障カードの導入については、以上述べてき      たようにさまざまな問題点や課題が山積している。社会保障カードを導入し      た新たな活用における費用対効果について、総合的な見地からさまざまな検      討が必要と思われる。また、年金、介護等の他分野との相互利用の是非につ      いても検討すべきであり、その導入決定に当たっては国民間の十分なコンセ      ンサスの形成と導入のための基盤整備を図るべきである。今後、社会保障カ      ードのあり方については専門団体を含むより具体的な幅広い意見の集約が必      要であると考える。以上でございます。 ○ 大江主査    どうもありがとうございました。それでは続きまして日本薬剤師会の岩月様、よ   ろしくお願いいたします。 ○ 日本薬剤師会(岩月常務理事)  日本薬剤師会で常務理事をさせていただいております岩月進と申します。本日は、 このような機会をいただきましたことを、まずはお礼を申し上げたいと思います。 ありがとうございました。それでは早速資料に基づきまして御説明をさせていただ きます。目には優しいのですが、少し紙が増えてしまいまして、その点で少し御迷 惑をかけたかもしれません。おわびを申し上げます。まず、この社会保障カードを 検討することそのものについて、まず御意見を述べさせていただきます。年金記録 に関する信頼回復のために社会保障カードを導入するとしたのは本年7月5日であ ります。年金手帳の役割に加えて、この健康保険証と介護保険証との役割を持たせ るとしたのは本年の7月26日であり、今回、この健康保険証と介護保険証が唐突 に加わったという印象があるわけです。さらに、取りまとめは三者あわせて年内と いうことであります。年金記録に関する信頼回復は喫緊の課題でありますし、早期 導入そのものに反対するという姿勢ではありませんが、現在問題なく運用されてお ります健康保険証と介護保険証の役割を、この社会保障カードに持たせることに、 このような短時間で取りまとめるほどの緊急性があるのであろうか、電子私書箱等 の検討をされていないのではないかということを御指摘をさせていただきたいと思 います。したがいまして、年内に予定されている基本構想の取りまとめにおきまし ては、今、申し上げました3つの役割をセットで考えるのではなくて、各制度ごと の整合性も踏まえて個別に議論すべきではないかという立場でおります。検討その ものについて2でありますが、今回、主な論点整理の案から対象分野が年金、医療、 介護分野でスタートをする。1人1枚であること。年金手帳、健康保険証・介護保 険証としての役割をもたせる。希望する者が社会保険事務所等の端末や自宅のパソ コンで年金記録やレセプト情報や特定健診情報等を閲覧できるということがうたわ れております。もう一つ、医療機関、保険者等の事務が効率化をされるということ が導入により目指す効果の例としてあがっておりますが、この中には各保険者が個 別に各種被保険者証を交付する必要がなくなる。カード読み取りで自動転記ができ ることによりまして、転記ミスがなくなる。オンラインによる即時資格確認で資格 喪失後の受診等が把握できるということがあげられております。実は、論点整理に はこの医療機関、保険者等の事務が効率化されるということが含まれていないにも かかわらず、目指す効果の例として医療関係者等の利便性向上が導入の目的化され ているということがありまして、もし利便性向上をうたうのであれば、基本構想策 定の段階から医療関係者も参加が必要ではないかという意見であります。検討その ものにつきましては、今、申し上げましたように検討そのものを反対するという立 場ではありませんが、利用者の中に医療関係者が含まれることもありまして、実際 に我々薬局でもそういった使う側の人間の意見というものを反映させていただくよ うな議論の場が必要ではないかということを申し上げたいと思います。続きまして 、運用に関する問題提起でありますが、まず社会保障カードは健康保険証原本の代 替とはならない。現時点における利用イメージから見ますと、社会保障カードをキ ーとしてオンライン回線を利用した上で資格情報を確認するとなっておりますが、 健康保険証の原本とする場合、全医療機関でオンラインの資格確認ができなければ 患者様のフリーアクセスは確保できないことになります。レセプトオンライン用回 線には低速回線も含まれるということもありますし、また、山間部や離島等の一部 は高速回線を今利用できない状況もあります。都市部におきましても、高速回線の 義務化は医療機関等に新たな負担を強いることになりますし、通信インフラや機械 の不具合により、資格情報の確認のできない。例えば、停電の場合なんかもありま すが、そういった懸念が全く提起をされていません。法改正も含めて、条件が整う までの間は、まず社会保障カードを健康保険証の原本とすべきではないという意見 であります。続きまして、運用に関する問題提起2です。カード読み取りによる内 容の自動転記は運用的に煩雑であり、実行性に乏しい。オンライン即時資格確認に ついても同様に実行性に乏しい。これは社会保障カードはキーという形で運用され るということからすれば、読み取っただけでは記号・番号の自動転記ができないこ とになります。その上に本人確認のための、例えばパスワードの入力が必要という ように、これまでの説明では受けておりますが、例えば月に一回とはいえ、病院の 外来受診時に全患者にパスワードの入力を要求して、資格確認を実施するのは窓口 の業務負担を考えると非現実的ではないかというふうに思われます。現在、凍結さ れております健康保険証への二次元バーコードの付加のように、原本そのものを読 み取るということによる運用でなければ、実はレセプトに使うコンピュータで保険 者番号を移しかえる作業は人力によることになりますので、今、申し上げましたよ うに運用に関する問題が起こるのではないかという疑念がございます。運用に関す   る問題提起3でありますが、資格の保持確認と資格の利用の確認は異なる。例えば、   ここに例としてあげてありますが、結核予防法の受給資格と国保の受給資格を持つ   場合、資格保持の確認は可能でありますが、資格利用の確認は現行どおり現場の判 断によるということがあります。例えば、自立支援法等でも申請から遡って適用さ   れるということがありますが、現在、非常に事務手続に時間がかかっておってとい うようなケースも考えられますので、今、言いました資格の保持の確認と利用の確   認が時間差も含めて異なることが発生することが懸念をされます。それから現行の   法制度との関係が不明確であるということですが、例えば、社会保障カードによる   資格確認ができなかった場合に、保険診療をどうするのか。例としましては、利用   機関等の機器の不具合、患者の取扱いによってカードが駄目になってしまった場合   ですとか、ネットワーク回線事業者等の不具合等によるもの。社会保障カードの運   営主体の不具合等によるものという、こういったことが懸念をされるので、そこを   どうするのかということも考えていただきたいということであります。従いまして、   社会保障カードを現状の法制度のままで導入するということに関しては混乱を招く   ことになるのではないかという指摘であります。最後に要望でありますが、年金、   医療、介護の3分野への導入を前提とした個別の議論をすべきではないかというこ とで、現状では受け入れ難い。「医療機関の利便性向上」が導入の目的化されてい ますが、今のやり方でははたして利便性の向上につながるのかどうかが不明確であ りますので、この点につきましても同意をし難い。公的個人認証サービスの国民の 利用が一向に進展しないのは、現在利用者の視点が欠如しているからではないか。 同じ轍を踏まないためにも利用者である医療関係者を含めて議論をしていただきた い。我が国の社会保障システムの根幹に係る議論でありますし、社会保障カードに つきましては、健康保険証原本の役割を持たせるかについては、時間をかけた議論 をお願いしたいところであります。以上でございます。ありがとうございました。 ○ 大江主査    ありがとうございました。それでは、続きまして日本労働組合総連合会の小島様、   よろしくお願いいたします。 ○ 日本労働組合総連合会(小島総合政策局長)    連合の総合政策局長の小島です。よろしくお願いいたします。私も今日の発言要   旨の資料を配布しておりますので、それにそって発言をさせていただきます。その   前に、この社会保障カード、あるいは社会保障番号について、私ども連合として組   織に結論というか、あるいは整理をしている段階ではありませんし、具体的なこの   社会保障カードについての内容もきちっと明示をされてないという段階であります   ので、私どもの政策担当レベルでの現時点での考え方について今日は述べさせてい   ただくということで御了承いただきたいというふうに思っております。まず1点目 につきましては、この社会保障カードを導入の目的として考えられるのは、やはり   社会保障制度を各年金・医療・介護も含めた利用者の利便性を高めるということが   最大の目的があるのだろうというふうに思っております。そのためには、利便性確   保のためには、まずは制度に対する信頼の確保というのが前提であるというふうに   考えております。それからこの社会保障カード導入に当たっては、どの分野までの   範囲を含めてカードとして利用するかという、その利用の範囲については、まさに   行政あるいは医療機関を含めた官民双方のコストとの見合いで、そこの利用範囲を   見極めていくということが必要だろうと思います。そういう観点から私どもとして   は現時点におきましては、以下5点ほどその条件、前提となるようなことについて   少しお話をさせていただければと思っております。一つ目は、社会保障制度を利用   する個人にとっての利便性の向上をどれだけきちっと国民に説明できるか。それが、   まず必要だろうというふうに思っております。利用者がどういう情報を必要として   いるのか、そして、この情報にどういう形でアクセスできるのかというようなこと   で、まさに社会保障カードの必要性を、国民、利用者自身がどれだけ認識するかと   いうことが、まずは、それにかかっているのではないかというふうに思っておりま   す。そういう意味では、社会保障カードを運用するに当たってのコストと、それに   伴うリスクもありますが、それを超えた上でのメリットがどれだけあるのかという   ことをやはり十分に説明する。その上での合意形成が必要ではないかというふうに   思っております。それと、これも先ほど日本歯科医師会の方からもお話がありまし   たが、高齢者等の社会保障カードを利用するに当たっての配慮というのが十分に必   要だろうというふうに思っております。パソコンを使ってしか情報がアクセスでき   ないということでは、そういうことに対する配慮をどうするかということも重要な   ことだろうというふうに思っております。仮に、社会保障カードを使って自分の年   金なり医療情報にアクセスするといった場合に、パソコン画面をアウトプットする   といったような場合、年金情報、あるいは医療情報、介護情報、それをバラバラに   打ち出したものを持っているというようなことになりますと煩雑になりますので、   その辺についてはアウトプットした時に、社会保障総合通帳といったようなものに   記載できるような、そういう工夫というのも検討してもいいのではないかというふ   うに思っております。それから、これは社会保障カードを国民1人で1枚ずつ保有   するという場合に、現行の年金手帳なり健康保険手帳、あるいは雇用保険被保険者   証とか、各種保険証等との関係をどうするのか、既存の証明書類をすべてやめてし   まって、この社会保障カード1本にするということにした場合に、既存の年金手帳   なり健康保険証に使っている番号と新しい社会保障カードとの番号をどうつなげる   かという課題も当然あるだろうというふうに思いますので、その辺のことがどうこ   れから解決するかという課題であります。特に勤労者、サラリーマン等におきまし   ては、転勤に伴う健康保険証が変わるとか、政管健保から国保に変わるといったこ   ともありますので、そういう場合の新しい制度に既存の健康保険組合等からの脱退   手続、それから新しいところに移った場合の加入手続というようなものを、これは、   どういう形でこのカードを利用して行うかといったような課題は当然これはあるだ   ろうというふうに思っております。それから2つ目の課題になりますが、社会保障   制度にかかる幾つかの問題点を解決する。そういうものに役立つようなカードであ   るべきだろうというふうに思っております。一つは今、被用者年金の一元化法案と   いうのが国会に出ておりますが、必ずしも今のところは厚生年金と共済年金の情報   が統合されてないという問題がありますので、そういうものの統合、あるいは厚生   年金基金なり国民年金基金との情報の統合というか、そういうものに役立つような   ことがまずは必要ではないかというふうに思っております。それと今回のカードに   ついては、年金記録問題の解決との関係で大きく指摘をされているところがありま   すが、そもそもこれは御承知のように基礎年金に統合されてない5,000万件の   過去の年金記録については、まずは、その問題について解決をしなければなりませ   んし、これは新しいカードができたからといって過去の統合されてない年金記録が   それで解消するというものではないということがありますので、ここはきちっと国   民には説明が必要だというふうに思っております。それと医療あるいは介護におけ   る不正請求というようなものを抑止するということについては、一定役立つ効果が   あるのだろうというふうに思いますが、そのためには、医療の分野では診療報酬レ   セプトの完全電算化というようなことが前提になってくるのではないかというふう   に思っております。3つ目の課題としましては、やはり、ここは皆さんからも御指   摘がありますが、個人情報保護のルールをやっぱりきちっとするということが、ま   ず、前提になるんだろう。と、いうふうに思っております。そういう意味では3ペ   ージになりますが、各段階、個人情報にアクセスする権限なり、範囲というものを   厳格に定めるということが必要ではないかというふうに思っております。ここは、   社会保障カードの付番をどこの主体がやるか、あるいは付番の番号の管理と、カー   ドの発行主体をどうするかということがありますが、それを中央の一括管理という   形で付番をして、そこがカードを交付するというようなことになるのかどうか、こ   こはこれからの課題だというふうに思いますが、その場合でも年金情報あるいは医   療情報、介護情報はすべてそこに中央に収集するというようなことはやっぱり避け   るべきだろうというふうに思います。年金は年金の情報、あるいは医療は医療情報、   介護は介護情報の各制度ごとで情報としては閉じているといったような、そういう   ような配慮が必要ではないかと、いうふうに思っております。それからここは医療   機関あるいは介護サービス事業者まで含めたこのカードの利用ということになった   場合には、そこの利用の事業者をきちっと厳密に限定しておく必要があるだろうと   いうふうに思っております。それからカードに記載する情報については、最小限と   いうことで考えるべきだろうというふうに考えております。それから身分証明証と   しても活用できるようなことを検討されているということがありますが、それは結   論的には必要はないのではないかというふうに書いておりますが、検討すべきじゃ   ないかというふうに思っております。それからコストの面については、やはり極力   コストがかからないような形での検討というのが必要ではないかというふうに思っ   ております。そのためには、やはり、メリットと、そのコストとの関係で、カード   の利用範囲をどこまでにするか、当然、これはコストとの関係もありますので、そ   の辺での検討が必要ではないかというふうに思っております。そのカード番号の選   定に当たっては、年金の基礎年金番号、あるいは住基ネットの住民票コードといっ   たようなこともありますが、そういう意味でコストの面からいって、あるいは守備   範囲の面からいって、一番適切なものが必要ではないかというふうに思っておりま   す。カードの発行主体については、発行主体とカードの番号を付番と管理、それと   発行主体、これが一緒かどうかというのもあると思いますが、付番と発行主体を中   央で一括するということになれば、膨大な組織体制になるんだろうというふうに思   いますので、そこは既存の年金運営組織あるいは医療保険運営組織等の既存の制度   主体との関係で、その辺の関係をどうするのかということ。カード発行自体を確か   に年金運営組織、あるいは医療保険運営組織に任せておきますと、カードが重複で   発行というふうなことになりかねませんが、その辺も含めて、あまり運営組織が肥   大化しないような、そういう配慮も当然必要ではないかというふうに思っておりま   す。それから費用負担の件ですが、このカードを利用するに当たっての費用につい   てですが、例えば年金、医療、介護という分野を仮に利用範囲というふうに考えた   場合には、当然これは医療機関なり薬局、あるいは介護事業者においても、このカ   ードの利用を義務づけるというか、そういうことがなければ利用者に最大のメリッ   トを提供することにはならないということがあるだろうというふうに思います。し   かし、そのためには、相当コストがかかりますので、そのコストが利用者に転嫁さ   れることになるのかどうかというようなことについても当然これは慎重に検討すべ   きであるというふうに思っております。最後になりますが、これは社会保障カード   保有の強制力のあり方、いわばそのカードを国民1人1人が持つのを義務づけるの   か、あるいは個人の選択性に任せるのかというところがあります。これは、今まで   言ったような問題点を考慮して、やはり全国民原則として1人1枚のカードを持つ   ということを義務づけるということがあって、初めてそのメリットが出てくるとい   うことになるんだろうと思いますが、そうは言ってもなかなかIT弱者と言われる   ような方もおられますので、そういう人たちにも配慮するということであれば、こ   こはやはり、選択性というようなそういうことも含めて、ここはまさに、国民的な   議論が必要になってくるんだというふうに思います。皆さんの検討会の方で一定の   取りまとめがされた段階で、それをやはり国民的な議論に付すということになると   思いますので、最終的にはこれは国会の場でより広く議論をして、国民にわかりや   すい議論をするというような形での、超党派の社会保障カードについての検討会と   か、そういうことについても積極的に議論していただくということも一つの検討す   べき課題ではないかというふうに思っております。以上であります。    ○ 大江主査    どうもありがとうございました。本日は5団体の方々から大変詳しく参考になる   御意見を頂戴いたしましたが、それでは委員の方々から全体的なこと、あるいは個   別に今、出ました意見に対して質問などございましたら、お願いしたいと思います。 ○ 堀部委員    日本薬剤師会の岩月さんからいろいろ問題点を指摘され、そういう問題点もある   のではないかというように思った面もあります。ここは議論する場ではないと思い   ますので、それはしませんが、最後の参考として、国民の視点としてというとこに   が触れられなかったのですが、読めばわかりますけれども、もう少しこのあたりを   敷衍していただくと、全体として問題を考える際に参考になるのではないかと思い   ますが。いかがでしょうか。   ○ 大江主査    日本薬剤師会のお出しいだたいた最後のページですね、参考ページがついていま   すので、御説明いただけますでしょうか。 ○ 日本薬剤師会(岩月常務理事)    本日は日本薬剤師会としてまいりましたが、私も1人の国民でありますので、国   民として見た時に、あるいは薬局や医療機関に患者としてかかった時にどういうこ   とが問題になるのかということもあわせて参考として書かせていただきました。読   み上げさせていただきますが、今、言いましたように、例えばこのことが国民全体   に周知されているかというと、まだまだ私どもの回りにも知っている方が少ないと   いうことではないかということ。それからデータベースがどういう形で管理をされ   ることになるかわかりませんが、運転免許証の発行枚数よりもはるかに大きく壮大   なシステムになるのではないか。それから年金は別として、現在、患者さんは健康   保険証の利用に際して何ら不便を感じていらっしゃらないのではないか、資格確認   等につきまして多少の時間差による行き違いがあったとしても、現在の紙媒体でそ   れほどの不具合が起きているという認識はないと思います。それから費用対効果の   議論がなかったということでありますが、全体導入での議論が既に行われておりま   して、これはどこに根拠があるかということでありますが、大体概算としては社会   保障番号だけでも初期費用が1,200億円、年金維持費が700億円という試算   を聞いたことがありますので、こういう先ほどの費用対効果というのはいろんなと   ころから出ておりますが、誰が負担するかということも含めてこういった議論も必   要ではないか。それから対象範囲が違うことは多少認識しておりますが、いろいろ   な公的な個人認証カードが既に存在しておりますので、身分証明ということも含め   てですが、それぞれ別々のカードがいっぱいできてしまうということについて何か   懸念があるのではないかということも合わせて、これは、今、申し上げましたよう   な、そういう視点でこういったことも問題になるのではないかということでつけ加   えさせていただきました。ありがとうございました。    ○ 大江主査     堀部委員、いかがでしょうか。    ○ 堀部委員    これは他の問題でもそうなのですが、国民への周知というのはどういうようにす   ればできたということになるのですか。確かに回りでこの問題を検討しているとい   うことを知らなければ周知とは言えないと思います。私もいろいろなことにかかわ   っていますが、よくこの問題は出てまいりまして、知らされてないではないかとい   われます。どの程度で周知となるのかということがあります。それからこの社会保   障番号をどうするのかというのはまたいろいろあると思うのですが、この初期費用   1,200億円とか、年間維持費というのは、どこに根拠があるんでしょうか。教   えていただければと思います。      ○ 大江主査    何かお手持ちの資料とか、御紹介いただけるものがありますでしょうか。 ○ 日本薬剤師会(岩月常務理事)    申し訳ございません。18年9月22日の内閣府の「社会保障番号に関する実務   的な論点の整理について」という資料に記載されていたと聞いております。 ○ 大江主査    ありがとうございました。事務局の方から何か補足はございますか。 ○ 社会保障カード推進室長    今、おっしゃったとおりです。ただ、これはあくまで番号の導入を前提とした試   算というふうに理解していまして、今回は、カードの導入ということですので、ま   たこういう具体的な数字については、今後、整理をしていきたいと思っています。    ○ 堀部委員    具体的にどの程度ならば周知と判断されるんでしょうかね。この辺が難しいとこ   ろですが。どのようにお考えでしょうか。 ○ 日本薬剤師会(岩月常務理事)    薬剤師会として、要するにどの程度国民が理解しているかという、そのレベルを   薬剤師会の単位では持ち合わせておりませんが、少なくとも今、私どもの薬剤師の   仲間たちがこのことについて非常に高い関心をもっているという状況にはない。医   療機関で医療提供施設として日々仕事をしておりますが、多分理由は、ここにも書   いてありますが、現在、健康保険証等の利用が特別に業務上の大変な不具合をもっ   ておるというようなことがあって、その問題点が浮き彫りになった上で、その上で   関心が高まっているという、少なくともそういう状況ではないということは御理解   をいただけるのではないかと思います。 ○ 大江主査    堀部委員、よろしいですか。 ○ 堀部委員    国民への周知は確かにいろんな方法がありますけれども、一つでも難しいし、い   ろいろな方法を組み合わせてもなかなか完全にできるということはあり得ないわけ   ですが、確かに今、おっしゃっていたのは、医療関係者でさえもまだほとんど知ら ない方の方が多いというような、そういう印象だということですね。ありがとうご ざいました。 ○ 大江主査    他にいかがでしょうか。 ○ 辻本委員    歯科医師会の方に教えていただきたいのですが、お出しいただいた資料の本文2   ページ目の5のところ、医療情報の閲覧についての2つ目と3つ目のところにある   んですが、情報のタイムラグなどから不測の事態が生じることが予想される、これ   がどういうことなのかちょっと理解ができませんでした。それからその数行下に、   ごくまれではあるが、開示拒否の要件に該当する場合がある、これはどういうこと   をお考えになっているのかということを少し具体的に御説明をいただきたいと思い   ます。 ○ 日本歯科医師会(稲垣常務理事)    ここのところは、表現があまりはっきりしませんでした。医療機関が診療いたし   まして、レセプトとして診療報酬請求をいたします、それは、医療機関の方として   それを請求するのですが、その後で例えば審査支払機関あるいは保険者の方で、い   ろいろな見地からその診療の妥当性でありますとか、あるいは保険者においては、   今までの連続した中からそれなりの判断が示され、例えば、それが一度医療機関に   返されたり、返戻というのですが、あるいは職権でそれを査定といいまして、その   診療行為を削除するということもあるんですね。そういう時にいわゆるレセプトの   情報と実際に患者さんが受けた内容とが違うことがあるわけですね。そういうふう   な形で歯科診療がされてないんじゃないかとか、そういう問題が起こるということ   で、決してそれは不正なものではないんですね。ただ、いわゆる保険のルールの問   題ですとか、前後的な問題から医療機関と審査支払機関、あるいは保険者との考え   方の違いから、診療内容とレセプトの中で違いが起こった時に、それがイコールい   わゆる不当な診療とか不正な請求ではないということの誤解が生ずるということは   ここでございます。それからもう一つは、開示はこれは例えば御本人に対して病名   を告知しない場合がございます。それから、あとは疾患によってはやはりその方が   例えば若年者であったりした中で、遺伝的な問題ですとか、そういうようなことで、   やはり御本人に対していわゆる自動的には診療の病名の内容、診療の内容等を開示   できないということが、これは現在もレセプトの開示の中で3例ぐらい具体的にあ   げてございますので、そういう形で、それはほとんどまれでありますが、いわゆる   担当の医師、歯科医師がこの辺については判断をするというものがあるので、この   辺を少し検討する必要があろうかということでございます。    ○ 高山委員    薬剤師会の方からの疑問という形で提起された問題ですが、なぜ年金だけでなく   て医療や介護もあわせた社会保障カードという形で、とりあえず3分野スタートと   いうことにするのかということですね。これは私の理解がもしかしたら違っている   かもしれませんが、これは検討会を開始する以前に、社会保障カードというものは   この三つをとりあえず想定して検討してくださいということになっていたのではな   いかと思うんですね。それは我々にとっては所与の話で、そこをなぜ三つを一緒に   するかという議論は我々はほとんどしてこなかったということだと思うんですが、   差しさわりのない範囲でそうなった経緯を説明していただければ、というのが1点   目の質問です。それから2点目は、在宅介護協会の方々が、株式会社のケースです   ね。民間の事業団体ですけれども、国の情報にアクセスして本人確認等をすること   というのは、今の段階では難しいということのようなんですが、将来的にも社会保   障カードというものを取り入れた時に、公的な機関がアクセスするのはOKだけれ   ども、民間の事業者、株式会社は、もうだめだというふうにあらかじめそのアクセ   スに制限をかけるということになっているのかどうかということなんですが、介護   を入れるというのに、介護の事業者として認定されている人たちにアクセスする権   利がないというのはおかしなことではないか。私の常識的な判断ではそうなんです   が、その辺についてはどうお考えなのかということが2点目です。それから3点目   は、今、個人情報保護の話をおっしゃったと思いますが、極めて大事なことだと思   うんですが、これまで、例えば、住基ネットとか住民票コードの利用に当たって、   ここで大きく問題になったような事例があるのかどうか、私自身が勉強不足でわか   らないのですが、そういう点があったら教えていただきたいと思います。連合の方   から住民基本台帳カードにおいては違法複製などにより身分証明機能が使えなくな   っているというふうな御指摘がありましたが、こういうことは頻繁に起こっている   のかどうか、極めてごくごくまれなことなのかということもあわせて教えていただ   けたらというふうに思います。以上の3点です。   ○ 大江主査    これはどちらかというと事務局の方からまず説明いただくことがありますね。3   点セットで検討している経緯ということですが、これは御説明いただけますか。 ○ 社会保障カード推進室長    最初の2点のお話をさせていただきたいのですが、まず3分野でスタートすると   いうことですが、年金分野においても医療分野においても介護分野においても、そ   れぞれカード化する検討はそれぞれ行われていたという経緯がございますし、そし   て健康ITカードの検討ということで、昨年、決定されたものもありますが、その   中でも年金とか介護も視野に入れてということが書かれております。それから今回   7月5日の決定が年金記録の話で、26日がその3分野ということで、唐突だとい   うお話がございましたが、7月5日の決定の中でも年金手帳と健康保険証と介護保   険証の役割を果たすカードということになっていまして、今年の7月の2つの決定   は、いずれもその3分野の決定になっているという経緯がございます。私なりの理   解で申し上げれば、それぞれ各3分野でカードの検討というのがあって、今回、年   金記録問題が提起になって、より早期にカードを導入しようという気運が盛り上が   ったわけですが、いずれにしてもカードを導入するのであれば、単一の制度だけで   導入するよりは、これまでの経緯もあって、医療なり介護分野での導入も視野に入   れた検討をしていった方がメリットが増えるではないかというようなことで7月の   決定がなされて、今回、基本構想の検討を進めているということではないかと理解   しております。それから日本薬剤師会さんから資料が出されている点について、若   干、説明をさせていただきたいと思いますが、まず、最初の検討そのものについて  、   電子私書箱の検討もなされていないというような話がございまして、他のところで   もそんなような話がありましたが、電子私書箱の方の検討も同時並行で進められて   おりまして、政府内の体制でいえば、内閣官房と厚生労働省と総務省が一体となっ   て事務的には検討して、検討会の中でいろいろ議論していただくということで、社   会保障カードの検討と電子私書箱の検討というのは、お互いに連携して検討を進め   ているところであるということをまず御説明しておきたいと思います。それから検   討そのものについて、その論点整理案には含まれていないにもかかわらず、医療関   係者の利便性向上が導入の目的化されているという御指摘ですが、これは論点整理   の案のところでは、まず、どういうカードをどのように発行するかということに関   しての論点という形で整理をしているので、具体的に見えませんが、カード導入の   ねらいというのは、利用者の利便性向上はもとより、保険者や医療機関のメリット   もあるというものになるようにその構想を考えていこうということで検討している   ということでございますので、そこは御理解いただきたいなということでございま   す。それから、次の通信回線の話については、これは、また今後引き続きの検討で   すが、省内各担当部局で関連する検討なり、取り組みが進められておりますが、私   どもとしては、関連する検討なり取り組みと足並みを合わせて、連携がとれた形で   検討を進めていくことを考えておりますので、また、引き続きいろんな形で意見交   換をさせていただきたいと考えております。それから、次の運用に関する問題提起   のところで、社会保障カードを読み取っただけでは記号番号の自動転記はできない   とか、本人確認のパスワードの入力が必要であるということが、これまでの説明に   よるということですが、確かに健診情報とか、個人情報を閲覧する場合に、パスワ   ードを入力するとか、カードを利用する人と、その人が確かに本人であるかどうか   の確認をどうするかと、いうようなところが出てくるかと思いますが、医療機関と   か介護サービスをうける現場では、カードを持っているけれども、パスワード入力   を求めるとか、できる限りそういうことを求めない簡便な方法を検討していく。目   指す効果の例の中では、自動転記できるということを書いておりますので、読み取   っただけで自動転記ができるような仕組みを考えていこうということで検討してい   るところでございますので、そこも御理解をいただきたいと考えております。それ   から、全般的な議論の進め方として、まずは国民の皆さんに広く議論していただく   というところで、議論のたたき台となるような大まかな基本構想というのを取りま   とめて、それをもとにまた、色々御議論いただくということで、今回この検討をま   ず開始しているというところでございまして、そういう意味で基本構想の取りまと   めで終わりということでは、もちろんのことながらなくて、差し当たってたたき台   を整理するに当たって、まずは、こういう検討会という形で議論を開始して、こう   した形で関係する皆様方との意見交換会をさせていただいて、それを踏まえて一応   の整理をしていく。さらにそれをもとにいろいろ議論していただくということで進   めていくということでございますので、医療関係団体の方々の意見を考慮せずにや   っていくということではございませんので、そこは御理解いただきたいと思います。   それともう1点、先ほど御質問があった株式会社のケースでアクセス制限というこ   とがございましたが、ここは、アクセス制限というのがどの範囲のことを指すかと   いうことにもよりますが、基本的には資格情報の確認ということで、現在、介護保   険証に書いてあることをカードの表面には書いてない場合に、データベースにアク   セスして、介護保険証に書いてあったようなことを読み取るという範囲ということ   で考えた場合には、アクセス制限をかけるということではなくて、本人がカードを   かざすか、その仕掛けは検討しますが、それによってデータベースに収録されてい   る資格情報が確認されて自動的に入力される。と、いうような方向で検討していき   たいと考えております。 ○ 大江主査    今日は、各団体の方々から御意見をいただいて、それに対して回答を一つ一つす   るという場ではございませんけれども、なるべく御理解をいただく上で必要なこと   は御説明するということで、今、御説明いただいたと思いますが、それで先ほどの   高山委員からの質問が4つあったうち、2つは今、事務局から御回答をいただきま   したが、まだ残っていまして、3つ目はこれは個人情報保護の観点から、例えば住   基カードにおいては何かセキュリティに関する問題事例が過去にあったケースがあ   るかという、こういう御質問ですね。 ○ 総務省(江畑市町村課長)    総務省でございますが、住基ネット住基カードの運用で個人情報保護についての   何か支障があった事例があるかということで、私どもはそういう事例は承知はして   おりません。最後に連合の方から事例として出されておりますカードの違法複製の   例ということは、おそらくここでおっしゃっているのは、頻繁にということではな   いのですが、複数の市町村で報告を受けておりますのは、券面に書いている名前を   削って他の名前を書いたりとか、住基カードでないカードを住基カードといって自   分で作って使っている、それを例えば携帯電話の契約等に使って、それが実際わか   ったという例というものはありましたが、それを踏まえてある携帯電話会社では、     それを本人確認として使うことについて難色を示している例があるという、そうい   う事例を御指摘されているのではないかというふうに思っております。 ○ 大江主査    小島さん、いかがですか。 ○ 日本労働組合総連合会(小島総合政策局長)    今、御説明されたとおりです。幾つかパソコンで検索をかけてみたんですが、や    はり住基カードの不正入手というのが、検索をかけると幾つかやっぱり出てきます   ね。地方の記事で、それで今、紹介されたような例とか、あるいはもと警察官が住   民カードを不正に入手して別人に成りすまして生活したとか、そういうような問題   とか、あるいは消費者金融の身分証代わりに、成りすましで住基ネットを使って騙   したりするということで逮捕されたといったような記事が検索にかかってくるとい   うことがありますので、どのぐらいの数があるかはわかりませんが、やっぱり実際   そういうことは起こっているということです。 ○ 堀部委員    住民基本台帳法の問題にかかわってきていまして、後で南方さんに伺いたいこと   もあるのですが、今の問題でいいますと、住基カードについて、不正取得というの   が、総務省にどれだけ報告があるかわかりませんが、私が住民基本台帳法の改正問   題を議論している時に伺ったのは、他人に成りすまし入手した例です。運転免許証   等、顔写真がついていて、本人確認ができるものがあれば、その場で確認するので   すが、それがない場合には郵便で本人に通知して、それを持っていくということに   なっています。ところが、成りすました人が本来の人のところに行った郵便物を自   分でもって、市役所へ行って住基カードを入手したという例が報告されています。   あとは小島さんが言われたような、いろいろ報道されているのですが、住基ネット   そのものへの不正なアクセスというのはなく、セキュリティの問題はこれまでのと   ころきちんとしているという状況だと理解しています。 ○ 総務省(江畑市町村課長)    先ほどの住基カードの違法取得といいますか、そもそも他人に成り変わって例え   ば転出届けを入手して、それで住民登録をして住基カードを取得する、そういうこ   ととあとは先ほど私が申し上げましたように、実際の住基カードでないカードを住   基カードみたいなふうに自分で作りかえてそれを証明書として使う、あるいは自分   の住基カードを他人のような名前をかたって使う、後者の例は幾つかの市町村で実   際の携帯電話の契約等でありました。前者の方は、これは今、堀内先生が言われま   したが、これはほとんどない話ですが、これについては実際の転出届け等の本人確   認を厳格にするよう、昨年、住基法の改正をして、そこは徹底したところでござい   ますので、こういう例は、今後、出てこないだろうというふうに考えております。   以上です。 ○ 高山委員    私自身は、これまでにも発言してきましたが、リスクを完全にゼロにするという   ことは我々は不可能だということなんですね。ただ、リスクは最小限に抑えなきゃ   いけないということと、仮に発生した場合、それを見つけやすくするとか、事後処   理がすぐにできるようにするとか、そういうことが大事なんじゃないかという考え   方ですので、どんなリスクがあるか、ちょっと参考のためにお伺いしたかったとい   うことです。 ○ 大江主査    今の話に関しては、多分紙の健康保険証を他人が成りすまして何かに使うとか、   成りすまして入手するとかというケースも過去にもちろんあると思いますので、そ   のあたりと比較した時にリスクの大小がどうかということも今後、多分議論しない   といけないのではないかというふうに今、思ってお聞きしておりましたが、では他   に今日来ていただいた団体から何かございませんか。    ○ 堀部委員    仙台市の南方さんに御意見を伺いたいと思います。先ほど、ここで発言されまし     たことは、部分的に私が第3回のこの検討会で発言したことと共通しているところ   もあります。例えばこの社会保障カードの発行は、どこが発行するのかということ   になると、今まで住基カードを発行している自治体にお願いするというのも一つで   はないかというようなことも言ったりしました。先ほどいろいろ具体的な話で、最   後の方だったでしょうか、何か統一番号があると便利だということなのですが、そ   う理解してよいのでしょうか。その統一番号につきましては、住民票コードの前に   住民番号といいますか、当時の自治省でそういったプランを発表したところ、かな   り反発もありまして、そこでコードという言葉を使って、しかもそのコードは本人   の希望で変えることができるというようにして、1999年、平成11年の住民基   本台帳法の改正でそれが導入されました。そういう背景もあって、今の住民票コー   ドについては民間利用はできませんし、住民基本台帳ネットワークシステムで利用   しているという状況です。統一番号にしないと事務の面でかなり支障が生ずるのか、   最初の方ではいろいろなコードがあって、それで対応しているというようにも言わ   れましたが、そのあたりの対応の仕方というのが統一番号が絶対的に必要なのか。   それとも、それぞれの番号で、あるいは住所、氏名、年齢、生年月日、性別でも本   人は確認できるという議論もあります。住民基本台帳法の改正の前に与党の先生方   に呼ばれていろいろ話をしていると、実際にそういう意見などもあったりしました。   しかし、コンピュータだと番号を使うのが一番便利だというようなことを言ったり   もした記憶もあるのですが、いかがでしょうか。統一番号が絶対的に必要なものな   のか、それともそれぞれのコードで十分対応できるものなのかというあたりはいか   がでしょうか。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    お答えいたします。今でもいろいろな番号をもって仕事をしておりまして、別に   それで致命的な滞りがあるわけではないので、それはそれで改めて絶対に統一した   番号が必要だということを申し上げるつもりはございません。ただ、先ほども申し   上げましたようにいただいた資料では、保険者がそれぞれに保険証を配らなくても   よいとか、そういうメリットの書き方をしているのですが、確かに介護保険と国民   健康保険で別々に保険証を送れば費用が2倍かかりますし、まして普通郵便で送れ   ない時代です。配達記録で送ると費用もかかりますし、配達記録で送ればますます   事務が増えるんです。というのは実は戻ってきたものの処理が大変なんです。無責   任な言い方になりますが、普通郵便で送っておけば、戻ってこない限りは余り事務   が増えないんですが、配達記録の場合は厳格ですので、かなり戻ってる枚数が多い   ので、今度はそれをまた確認しなければいけないという手間も実はいっぱいあるん   です。とにかくそういうものが一つになれば、確かに表面的には有効だし、費用の   削減にもなります。ただ、私がここで申し上げたのは、そういう表面的なことだけ   ではなくて、実は市町村のシステム担当職員はあるシステムをつくる時に、何のコ   ードが必要で、そのコードがどういう形態になっていて、どういう制限があって、   そういうのを全部勉強しながらネットワークを作っていくわけです。それが国保の   電算担当でも同じことをし、介護の電算担当でも同じことをして、あっちこっちで   苦労しながら一生懸命システムのネットワークを作っているわけです。データベー   スのファイルの構造を見ますと、被保険者の名前のあとに、いろいろな種類の番号   が並んでいるんです。住民番号や年金番号や国保の番号や何だのかんだのといっぱ   い並んでいるんですね。細かい話になりますが、何かを大量に処理する時に、その   カラム数が少なければ少ないほど早く処理もできるわけですよ。そういうことを考   えると、今回のようなカードをお作りになるという御検討をされるのであれば、よ   り効率をあげるために1人の人が一つの番号でお願いをできたらいいのかなという   ふうに思っております。先ほども例であげましたが、これは社会保険庁の悪口と受   け取られたら申しわけないんですが、社会保険庁からいただく情報というのは、正   確なものだと介護保険が始まる時には思っていたんですが、実際にはいただいたも   ので住民情報とマッチしない、あるいは何かおかしいというのがいっぱいありまし   て、結局、そのままデータに書き込めないので、一回御本人にはがきを出して、社   会保険庁からこういう情報をいただきました。この年金から保険料を引かせていた   だきますけれども間違いございませんかということを確認した上でセットアップを   するというような作業なんかもしてます。そういったことをいろいろ考えると、1   人の人が一つの番号で、それがユニークキーであれば、電算処理上も窓口の処理上   も非常に効率があげられると思うので、そういった意味でお進めいただくのは結構   じゃないか、メリットもいっぱいありますし、いろんな意見があることも承知して   おりますが、そういうことを申し上げたところでございます。 ○ 堀部委員    ふだんいろいろ住民に接しておられて、これは人によって受けとめ方は違うので   なかなか難しいのですが、統一番号のようなものについて住民の反応といいますか、   それはどうなのでしょうか。すべてにわたって統一番号でいいという住民が比較的   多いのか、それともやっぱりそれぞれ別々の方がいいかとか、そのあたりの感じは   いかがでしょうか。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    そういう調査はしたことはございませんので、はっきりとはわかりませんが、一   般的に住民の立場から見ると、役所って何でもわかっているはずだというふうに思   うんですね。したがって介護保険の場合で、何故国保の情報を聞くんだ、お前のと   ころでわかっているじゃないか、税の情報を何で自分に聞くんだというような御指   摘や御意見はたくさんいただきますね。個人情報の保護ということではなくて、内   部でうまく調整しなさいという御意見はたくさんあります。一方で、誰に自分の情   報を聞いたんだと窓口でおっしゃる人もいます。どちらが多いかというのはわかり   ませんけれども、窓口に来て自分の情報をどこから仕入れたかという人の方が声は   大きいような気がいたします。    ○ 堀部委員    先ほど個人情報保護条例もあげられましたが、仙台市の個人情報条例もおそらく   他と同じようなものではないか。私も随分個人情報保護条例の議論にもかかわって   きましたし、また個人情報保護法という国の法律にもかかわってきました。今の個   人情報の保護に関する法律ばかりでなく、行政機関のものとか独立行政法人等のも   のなどにもかかわってきています。仙台市の個人情報保護条例も多分同じような内   容だろうと思うのですが、ある目的のために集めた情報、前からよく議論になって   いるのは、福祉のために集めたものを他に使えるかとか、また例えば税務の関係で   集めた情報の場合はどうかなど議論になってきています。特に地方税法の22条だ   ったでしょうか、地方税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事して   いた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、   2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処するとなっていて、地方公務員法の守   秘義務違反の1年以下の懲役または3万円以下の罰金よりも過重されています。税   務情報は、例えば福祉の場合に、使えるという考え方と、直接使えないから福祉の   ために、本人から納税証明書を出してもらってやるというようなことがあると聞い   ています。そのあたりは個人情報保護条例上仙台市ではどういうように運用されて   いますか。こういう機会ですので仙台市の経験をお伺いしたいと思いますが、いか   がでしょうか。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    多分、本市の個人情報保護条例も他の市町村の条例と大きな差異はないと思いま   す。もちろん個人情報保護法の趣旨を踏まえて改正もしておると思いますので、そ   こは、あまり変わりないと思います。介護保険の場合ですと、保険料を賦課する時   に税の情報の一部をいただかないと、これは絶対にできません。そうかと言って本   人の同意をもらい、税の台帳を見せてもらいに行って、手で写してきて入力しなけ   ればいけないという、こんなばかなことは今の時代はやっていません。そこは税か   ら直接データをいただくということにしております。しかし、それは税が持ってい   るデータのうち介護の保険料を賦課するために必要な最小限の情報だけをいただく   ということで、個人情報保護審議会にかけまして、承認をいただいております。そ   ういうことで最低限必要なものはルールを作って厳格にやっています。例えば、福   祉施策で何かを始めようという時があります。本市の例でいいますと、敬老乗車証   というのがありまして、前は全員に無料で配っていたのですが、なかなか財政環境   が厳しいので、お金のある人からは例えば5,000円をいただこう。所得の低い   人は1,000円だけにしようなんていうことを行政側は考えていくことになる。   その時に敬老乗車証を交付する部署が税情報をもらいに行きますと、今日は、総務   省の人もいるので言いにくいのですが、「それは教えられんと。」こういう話にな   ってくるわけですね。「法律上どこに書いてあるのか。」みたいな話を言われて、   そんな市の単独事業を法律に書いてあるわけはないわけでありますから、それは、   地方税法上の22条で守秘義務もあるから教えられないという話になって、すった   もんだするわけですね。そうすると窓口に来たお年寄りに、「申告してますか。」   とか、「税務課に行って非課税証明書をもらって来なさい。」とか、こういう話に   なると、さっきみたいなトラブルになるわけです。「役所は何でもわかっているの   に、何でわざわざ違う階の税務課に行って証明をもらってこなきゃいかんのだ。」   と、いうことになる。ですから、私は先ほども言いましたように、今は、介護と年   金と医療ということでカードを一緒にしようかという話もありますが、さらに拡張   性のあるようなもので、福祉施策のそういうものについても、市町村独自といいま   すか、地域でそういうものが付加できるようなことも念頭におきながらお考えいた   だいたらと申し上げたところでございます。 ○ 堀部委員    そこで、仮称の社会保障カードをどこで発行するかというということになります。   資格という面では、住民基本台帳の場合には国民ですが、社会保障となると外国人   も含んでくるかと思います。その場合に、住基カード発行とはやや違う面もあるか   と思いますが、現在までのところで住基カードの発行の経験からしまして、市町村   がこの事務を担当するというようなこと、先ほど費用の問題というように言われた   ように思うのですが、個人としての立場での発言で結構ですので、そのあたりは市   町村で引き受け得るものなのでしょうか。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    カードの申請発行についてですか。よくわからないですけど、なかなか大変な仕   事ですから、率直に言わせていただければ、どこかでやってほしいなと思います。   ただ、そうは申しましても、やっぱり住民と直接接する機会を持っているのは市町   村なので、市町村がわがままを言って嫌だと言っても、これは回ってくるんだろう   とは思っていますけれども、その時にどういったやり方をするのか、どういった負   担があるのかというのは、ちょっと想像できません。今、仙台市の場合は100万   の人口ですが、国保が32万ぐらいですね、それから介護だって17万人ぐらいで   す。税務課の納入通知だって40万件ぐらいです。ところがこの社会保障カードが   便利で有効なものになれば、おそらく100万市民全部に配らなければいけない話   になりますよね。それをどのタイミングでどうやるのかとか、どういう手法でやる   のかということ、そういうことが先にないと我々も考えようがない。さっきから言   われているように義務じゃなくて、選択性で欲しい人だけに交付するというのだっ   たら別な話でしょうが、それでは逆に我々市町村は、お金だけかけてあまり事務的   なメリットはないんですね。その辺の兼ね合いも大事かなと思っています。 ○ 堀部委員    どうもありがとうございました。 ○ 大江主査    それでは大山委員お願いします。 ○ 大山委員    この社会保障カード(仮称)の委員会の座長を務めている関係から、一つお聞き   したいことがあります。年金は現在、基礎年金番号を用いて制度内で統一されてい   ますが、医療保険については各保険者を変わると健康保険番号も変わるので、これ   は同じ制度内、すなわち健康保険制度内でも統一されていません。介護保険につい   ても市町村が変わると番号も変わるので、これも統一されていません。何を申し上   げたいかというと、個人を中心とした時に、年金は生涯変わらない一つになってい   るのに対し、医療保険と介護保険は変わるようになっています。医療保険の場合に   は医療情報の時間的なつながりが欲しいという医療現場および私も含めた患者とし   ての要求があります。このことは同じ制度内での時間軸でのリンクをはることの必   要性を言っていて、番号はその中の一つの方法というように整理しています。この   ように制度内でのリンクをはる番号をどうするかという議論と、制度をまたがった   場合に価値があるかどうかという議論があり、例えば年金、健康保険、介護保険の   リンクをはるようなテーブルをつくろうと思えば、それこそ御指摘のとおり大きな   データベースを作ることになりかねません。これは避けたいというのが本音のとこ   ろですが、そうは言っても、作るべきであればそうすべきなので、現状では、ある   意味フラットな状態で検討すべきと思いながら、今日まできています。この中で、   南方さんのお話を聞いていてアレッと思ったのですが、年金も医療保険も介護保険   も、実は、ほとんどの市町村の情報システムの中にはリンクテーブルがあるのでは   ないか。もし、そうであるとすると新しいものを作る意味は全くなくて、市町村に   お願いして、それを使わせていただく可能性があるのかどうか。特に健康保険の場   合には民間保険組合があるので、今、民間健康保険の情報をお持ちかどうかも含め   て、教えていただきたいと思います。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    医療保険の情報については、市町村の国保の情報しか持ってございません。した   がって健康保険、いわゆる社会保険といわれる部分とか、それから組合健保、それ   から国保組合でさえも私どもでは情報は持っておりません。 ○ 大山委員    それで続きになりますが、先ほど個人の人のカラムが沢山あって、いろいろな番   号が入っていると言われましたが、そういう国保に入っている方と、組合健保ある   いは政管健保に入っている方とある場合に、国保以外の方の該当するカラムは空い   ているのでしょうか。それとも最初からそこの部分がない状態になっているのでし   ょうか。ご存知であれば教えてください。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    多分、9タイプなので0(ゼロ)が入っていると思います。Xタイプではないと   思いますけど。 ○ 大江主査    かなり技術的な話に入りそうな気がしますが、これはただいまお聞きになった趣   旨も含めてですが、それは市町村によって、システムによって当然違うというふう   に考えてよろしいでしょうか。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    多分それは違うと思いますが、異動が発生しますので、それはいつでも受け入れ   られるように多分書けるようになっているとは思いますけれど。 ○ 大江主査    大山委員よろしいでしょうか。 ○ 大山委員    ありがとうございました。 ○ 大江主査    少し何かシステムのデータベースの話にまで話が及んできましたが、全体的なこ   とを含めて、他に委員の方々いかがでしょうか。あるいはこれまでのいろいろ質疑   を聞いておられて、追加発言がございましたら、貴重な機会ですのでどうか御遠慮   なく、今日、来ていただいた方どなたでも御発言いただきたいと思いますが。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    一言だけお願いを申し上げたいのは、先ほど委員の先生がおっしゃったように、   周知をしたかしないかという話でございます。確かにいろいろな人がいますので、   朝から晩までテレビでやっていても見ない人もいますし、新聞も読まない人もいま   す。そういうレアな方が知らないというのは周知について別に努力しなかったとい   うことではないと思いますが、やっぱり周知期間というのは相当必要だと私は認識   をしております。それはメディアの方の御協力もいただかなければならないと思い   ます。まだ海のものとも山のものともわからないような検討状況の中でアナウンス   するのは難しいと思いますが、ある程度節目節目で国民に対してアナウンスをして   いただく、議論の過程もアナウンスをしていただく、そうやって時間をある程度か   けて周知をしていただく必要があると思います。また国の人の悪口を言って悪いの   ですが、ある施策を何年にやろうみたいなことがあると、もうそれに向かってみん   なで一生懸命議論して、最初は多分周知の期間も十分お取りになっているんだと思   いますが、いろんなことがあって結局日程がタイトになって、最後の周知の期間が   ほとんどなかったなんてことでスタートする例も幾つか存じております。そうでは   なくて、やっぱり実施することが決まったらそこから周知の必要な期間が始まるん   だということをぜひ先生方にも御認識いただいて、その辺も踏まえて実施月につい   ては御検討をいただけたらと思っております。 ○ 日本労働組合総連合会(小島総合政策局長)    国民への周知の関係ですが、これは具体的には形、導入ということが決まってか   らということになると思いますが、介護保険も2000年にスタートするに当たっ   ては法律が通って2年間期間があって、その際には最終的には各市町村段階で住民   に対する説明会を相当丁寧なことを繰り返していたと思いますので、そういう手法   というのは当然ある。それでここはどこがカードを発行するかにもよりますが、や   はりもしこれが導入するということが決まれば、それに対していろんな場面で説明   会を持つというようなこと、そういう手法は絶対に必要だろうというふうに思いま   す。 ○ 辻本委員    全国市長会の南方さんにお尋ねしたいのですが、先ほど来お話が出ておりますよ   うに、住民基本台帳のカードの交付率が非常に低いという現状がございます。自治   体としてそのことが何がメリットになるのか、もし問題点があればお教えいただき   たいと思います。 ○ 大江主査    住民基本カードの交付率の低いことがどういう問題をもたらしているかというこ   とですか。いかがでしょうか。御担当でないかもしれませんが。 ○ 全国市長会(南方仙台市役所保険高齢部参事兼介護保険課長)    住基の関連部署にいたことがないものですから、申しわけないのですが、その点   について私はコメントできません。交付率が低いことは確かです。それから役所と   しては一生懸命利用していただくように周知宣伝もしていたことも事実ですが、現   実としては低いということであり、その理由についてはコメントを控えさせていた   だきます。   ○ 日本労働組合総連合会(小島総合政策局長)    私もたしか住基コードのはがきが来たんですね。それでカードを希望する場合に   は申し出てください。ということで来たんですが、そのはがきもどこかへ消えちゃ   って、結局、普及しないのはメリットを感じない。それだけだと思います。 ○ 大江主査    よろしいですか。最後に御発言なさりたい方はいらっしゃいませんか。よろしい   でしょうか。それでは予定の時間も近づいてまいりましたので、本日の作業部会を   終了したいと思います。関係団体の皆様からいただきました貴重な御意見は来月開   催される検討会に報告いたしまして、今後の議論に反映させていただきたいと思い   ます。関係団体の皆様方におかれましては、お忙しいところを御参加いただき、大   変貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。それでは次に次回   の検討会について、事務局より御説明をお願いいたします。 ○ 事務局    今回第4回の作業部会ということでございましたが、今回で全4回終了いたしま   した。次回は再び委員の方全員に御参集いただきまして検討会を開くということで   ございまして、9月にお示ししたスケジュールどおり、基本構想について御議論い   ただくということになります。次回は12月7日(金)13時半から、場所は全国   都市会館を予定しております。以上でございます。 ○ 大江主査    それで社会保障カードの在り方に関する検討会第4回作業部会を終了させていた   だきます。本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。                                    (以上) 【照会先】   厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室   電話番号03−5253ー1111(内線:2244)