07/10/30 第5回自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会議事録 第5回 自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会議事録 平成19年10月30日(火) 航空会館 501会議室 ○上田座長 ただいまから第5回自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会を開 催いたします。構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきま して、まことにありがとうございます。まだ一部の構成員の方がいらっしゃっておりま せんけれども、開きたいと思います。  前回、参加していただいておりましたが、自殺未遂者のケアに関するガイドラインの 作成に当たっておられます横浜市立大学医学部の河西千秋先生に、今後も参考人として 御出席をいただくこととしておりますので、御報告いたします。  また、8月24日付で事務局の企画課長と精神・障害保健課長の異動がございました。 川尻企画課長は御欠席と伺っておりますが、福島精神・障害保健課長が出席されておら れますので、後ほどごあいさつをいただきまして、その後、引き続き事務局から資料の 確認をお願いしたいと思います。  では福島課長、一言ごあいさつをお願いいたします。 ○福島課長 8月24日付で精神・障害保健課長を拝命いたしました福島でございます。 先生方には、日ごろから私どもの自殺対策につきまして御支援、御指導を賜りましてあ りがとうございます。  私は、平成11年、12年当時に地域保健健康増進課というところにおりまして、課長 補佐として健康日本21というのを担当しておりまして、その分野別の中で心の健康とい うところで自殺対策の目標値を入れたときに若干かかわった経験がございます。それ以 来、7年5カ月ぐらい厚生省を離れておりましたが、厚生労働省になって戻ってまいり まして、また担当することになりましたことに、これはいろいろな縁を感じるわけでご ざいます。  議論いただいているテーマにつきましては、大綱の中での九つの当面取り組むべき分 野の一つということでございますが、座長からまた御紹介があり、事務局から資料の説 明をさせますが、きょうは報告書といいますか考え方についてのまとめの骨子について お示しをし、御議論いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○上田座長 ありがとうございます。  では、資料の説明をお願いします。 ○名越課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。  議事次第  資料1.構成員名簿  資料2.自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書骨子(案)  資料3.自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会第4回までの構成員からの 御意見。これは、ことしの3月末の段階でこの検討会でまとめていただいたものを再構 成したものでございます。  資料4.自殺対策の平成20年度予算概算要求の概要  資料5.中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(第103回)資料(抄)  資料6.第4回自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会議事録(案)  参考資料1.齋藤構成員配付資料  参考資料2.平山構成員配付資料  落丁もしくは不足等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。 ○上田座長 よろしいでしょうか。  それでは、初めに資料6の前回会議議事録(案)を御確認いただきまして、修正等が ございましたら本日中を目処に事務局までお知らせをお願いしたいと思います。これは 事前に各先生方には見ていただいていますね。 ○名越課長補佐 はい。 ○上田座長 もし修正点がございましたら、事務局までお願いしたいと思います。  本日は、議事次第にございますように、自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検 討会報告書骨子(案)について、を議題にしております。まず初めに、事務局から御説 明をいただきまして、そのあとに皆様方から骨子(案)をもとに御議論していただきた いと思います。事務局から伺っていますのは、本日、この骨子(案)を議論しまして、 それを踏まえて次回、事務局で整理して報告書(案)を示していただいて、できました らもう一回でまとめたいということでございます。できるだけ効率的に、構成員の皆様 方から貴重な御意見をいただきながらこの報告書をまとめたいと思います。  それでは、報告書骨子(案)について、それから関係資料もあるようですので、それ も含めて事務局から御説明をよろしくお願いします。 ○名越課長補佐 それでは、説明をさせていただきます。まず資料3、4、5について 御説明をいたしました後、資料2の報告骨子(案)の説明に移らせていただきたいと思 います。  資料3は、先ほど申しましたとおり、これは本検討会において本年3月末に一度取り まとめられ、内閣府に送られた意見を再構成したものでございます。  当時の資料といたしましては、「自殺未遂者ケアに関して」というものと、「自殺者親 族等のケアに関して」というところの順番が逆になっておりましたが、当検討会のタイ トルの順番に合わせる形で「未遂者」を前に「親族等」を後ろにという形で順番を入れ かえております。  記載してある内容は、1回から3回までの検討会で各委員から御発言があった中身を 数点の項目に分けて取りまとめております。  第4回の検討会をこの7月に行っておりまして、その検討会で出ました意見について 何点か追加をいたしております。その部分を紹介いたしますと、7ページの下線を引い てあるところでございます。  項目としては、「自殺者親族等のケアに関して」の(2)「自殺者親族等へのケアの現 状と課題」の中の人材育成にかかわるところで、「倫理的な問題をクリアできる自助グル ープのリーダーの資質の問題も重要である。精神科医に対して、自死問題に関して情報 提供することや継続的に研修を行うことが必要である」という御発言があったことを踏 まえまして、ここに追加をいたしております。  (3)「自殺者親族等のケアに関する対策」の(1)、自殺対策の進め方ですが、うつ対策、 医療、保健医療にかかわることに加えて、遺産相続や多重債務など、社会的問題にかか わる部分のサービス、支援も重要であるという旨の発言がありましたので、ここは部分 的な追加をいたしております。  下のところで、「支援グループ間の連携、支援グループを設立する際の基準づくり、自 殺が遺族に与える精神的な影響のみならず身体的な影響についても考慮すべきである」 といった内容の追加をいたしております。  8ページ、「自殺者親族等のケアに関する対策」の(3)「具体的な取り組み」の中で「支 援グループの設立についての大原則を定めたマニュアルづくりを行う」ということで1 項目追加をいたしております。  これが第4回までの構成員からの御意見についてまとめた資料でございます。今後、 報告書骨子(案)から報告書の本文を書いていく上で、これまでいただいた構成員の方々 の意見を反映させていくことが重要であると考えております。  資料4、資料5については、第3回目までの検討会を経まして、それを内閣府に意見 を提出いたしました後、自殺対策大綱というものがまとまったわけでございますが、そ の大綱の中で自殺対策について各省庁で取り組むべき内容が具体的に示されたところで ありまして、その中身を受けて、平成20年度の予算要求あるいは平成20年の4月に予 定をいたしております診療報酬の改定に向けての議論に具体的な材料を提供しているも のがございますので、その中身について示している資料でございます。  資料4は、「自殺対策の平成20年度予算概算要求の概要」でございます。こちらは厚 生労働省が予算要求をしているものでございますが、自殺対策の推進として、平成19 年度予算12億円に対して、平成20年度は16億円を現在、要求して調整を行っていると ころでございます。  (1)「うつ病等の精神疾患に関する国民の正しい理解の促進」で8600万円、「自殺予 防総合対策センター機能の充実」で3200万円、「地域での効果的な自殺対策の推進と事 業主の取り組みの支援」で6億2000万円ございますが、この中の項目に、自殺未遂者や 自殺者親族へのケア対策の普及など、地域の実情に即した自殺対策を推進するというこ とで、本検討会に直接影響が及ぶと思われる事業について要求をしております。  (4)「自殺予防に向けた相談体制の充実と人材育成」で5億1000万円、(5)「自殺 問題に関する総合的な調査研究等の推進」で3億円を要求しております。本検討会に多 くの資料を提供しております研究班についても、この金額の中に含まれるということで ございます。  資料5は、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会の資料でございます。 平成20年4月に予定されております診療報酬改定の中で、心の健康問題に関して新たな 診療報酬の評価をすべきではないかという提案が去る10月19日の基本問題小委員会で なされまして、そのときの資料でございます。  1ページ、「自殺対策について」ということで自殺総合対策大綱に関する記述がござい ます。2ページに至るまで、自殺総合対策からの抜粋でございます。  2の「現状と課題」では、自殺者数が3万人を超える高い水準で高どまりしている状 況、うつ病を含む気分障害の患者数が近年、急激に増加しており、自殺のリスクを抱え る者が増大している状況にある。そういったこれまでの状況を踏まえて、3「論点」と して、うつ病等の精神障害の患者について、早期から精神科を受診することを目指すた め、身体症状を訴えて内科等を受診した患者がうつ病等の精神障害が疑われる場合、担 当医がその患者を精神科医に紹介することを診療報酬上の評価として検討してはどうか。 あるいは、救急医療等において自殺企図の患者等に対し、精神症状、身体症状の両方を 総合的に診断・治療できるよう、診療報酬上の評価を検討してはどうか、といったとこ ろが示されております。  この評価がそのまま診療報酬に直接結びつくかということは、ここは中医協の中でし っかり議論され、来年3月までには結論が得られると思っておりまして、当方としまし ても注目をしてまいりたいと考えております。  また、既に取り組まれている内容についても、これが具体化してきたものを本検討会 の報告書の中に盛り込んでいきたいと考えておりますので、ここで紹介をいたしました。  続きまして資料2に戻りますが、これが本日の検討会の主な議題になると思います。 今後、本検討会で作成をしていただく報告書の中身について項目をお示ししております。 第1章「はじめに」から第4章「おわりに」ということで、4章立ての構成になってお ります。その間に「自殺未遂者へのケアに関して」「自殺者親族等へのケアに関して」と いう二つの項目に分けて、「基本的考え方」「現状と課題」「今後の取り組み」、今後、研 究班で作成が進められる「ガイドラインの作成のための指針」ということで中身を小項 目に分けております。  1章、4章は現段階では細かい記載がほとんどありませんが、報告書(案)を取りま とめていく際にお示しをしてまいりたいと考えております。本日は第2章、第3章の(2) 「現状と課題」部分を中心に御議論をいただきたいと考えております。「現状と課題」に 示される論点整理でございますが、これができましたところで、その後の対策でありま すとかガイドラインに至る具体的な記載方法といったところを詰めてまいりたいと思い ますが、この記載に当たりましては、資料3にまとめられた第4回までの構成員からの 御意見を十分に活用させていただこうと考えております。  概略については以上でございます。 ○上田座長 資料2の検討会報告書骨子(案)を議論するに当たって、資料3、4、5、 これまでのまとめや予算概算要求、中医協の小委員会について事務局から御説明がござ いました。これらの点について、御質問等がございましたらお願いします。できるだけ 資料2の「自殺未遂者へのケアに関して」と「自殺者親族等へのケアに関して」、それぞ れ骨子の項目や内容について御議論いただきたいと思います。  それでは、資料2については後ほど議論しますが、資料2以外の関連で何か御質問が ございましたらどうぞ。 ○渡邉構成員 本題にも関係すると思うのですが、資料5の3ページの「論点」で、う つ病等の精神障害の患者について早期から精神科を受診することを目指すため、内科等 を受診した方がうつ病の精神障害が疑われる場合に精神科医に紹介するというそのこと ですが、これは地域差があるのではないかと思うのです。青森県などの場合には、かな り精神科医の数も少ないし、実際に患者さんの数も、たくさんの患者さんを抱えていて、 そして紹介をされた場合に時間的にきちんと対応できるのかなというようなおそれがあ るので、まず各県の状態を実態把握した上で考えるべきと思いました。 ○上田座長 ありがとうございました。 ○清水(康)構成員 今の渡邉さんの御意見に全く同感です。精神科につなぐ部分をい くら強化しても、受け皿となる精神科医の部分がしっかりしていなければ、元も子もあ りません。精神科に掛かる人がいくら増えても、3分診療、5分診療の状況が変わらな ければ、精神科医療を充実させたことにはならないのです。  恐らくこれは全体設計として、まず精神科にまでたどり着いていない人たちをたどり 着かせようという一つの流れと、あと、受け皿として精神科とほかの心理職の人たちが 一緒になってチーム医療的な形で受け皿を充実させていこうという二つがあって、後者 に関しては、たしか来年度、研修を予定されていたりするのではないでしょうか。  その全体設計がわからないで「精神科につなぐ」という部分だけ強調されると、「受け 皿がしっかりしていないところに患者をつなげるとは何事か」ということになる。十分 な医療を受けられない人たちが増えてしまったら、逆効果とまでは言わないですが、決 して自殺予防につながっていかないでしょうから、受け皿をしっかりさせていくところ の部分もしっかり御説明いただけたらと思います。そして、ただ、順序としてはまず精 神科医療につなげていくというこの部分を強化していくことと、あと、受け皿を充実さ せるための心理職との連携の研修をやりますというふうな説明があって然るべきでしょ う。そうした説明の仕方がないから、私などもこれを最初に新聞で見たときにはびっく りしました。    いずれにしても、今回はここの診療報酬のことだけ書いてあるので、受け皿となると ころがしっかりしなければしょうがないという点を踏まえて、受け皿の方のことをどう 考えていらっしゃるのか、その部分をあらためてお聞きしたいと思います。  特に、これを検討済み事項としてこの検討会の報告書の中に盛り込むのであれば、そ れはここでちゃんと説明して議論をした上で盛り込んでいただきたいと思います。  もう一つ、きょうは西原さんがいらっしゃらないので、西原さんの代弁をするわけで はないのですが、概算要求の中の(4)相談体制の充実のところで、「いのちの電話にお けるフリーダイヤルによる」というふうに、「いのちの電話」ということで限定されてし まうと、東京自殺防止センター、大阪自殺防止センター、宮崎自殺防止センターみたい なところは該当から外れてしまうので、「いのちの電話等における」と、せめて「等」と いう言葉を入れ込んであげた方がいいのではないかと思います。 ○上田座長 ありがとうございます。事務局、説明されますか。 ○名越課長補佐 御意見ありがとうございました。中医協の資料については、議論その ものは中医協で行われているところなので、私どもとしては参考意見として提供すると いうことで御了解いただきたいと思います。私が参加したその日の小委員会においては、 地域の精神科の資源について特段の言及はなかったのですが、そのかわり、ただ送った だけではなくて、患者が紹介された後、しっかりと診断・治療を受けたというところま で含めて評価をすべきではないかという委員の発言があったことは、御報告をさせてい ただきたいと思います。  平成20年度予算でかかりつけ医向けの研修でございますが、これは都道府県指定都市 において、内科医が中心になろうかと思いますが、こういった方々に対して県が実施主 体となりまして、うつ病を中心とした診療技術並びにどのように紹介をしていただくか ということに関して講習会を行いまして、皆さんにスキルを身につけていただくという ことを考えております。  心理職向けの研修については、各都道府県という形ではなくて、国の方で研修の仕方 に関しては、予算が通りましてから再調整という形でございますが、精神科医をサポー トする心理職等に関して、うつ病を中心とした心の弱った方が医療機関を訪れた際の対 応の方法等に関する研修を行うことといたしまして、診療現場における患者さんに対す るサービスの面での技能の向上を目指す研修として実施するものでありまして、かかり つけ医の研修とあわせて、うつ病並びに自殺を念頭に置いた医療に関する医療の質の向 上を図ってまいりたいと考えています。  いのちの電話に関する予算でございますが、これは申しわけございませんが当方の所 管している予算資料ではありませんので、この部分の記載についてはお答えすることが できないのですが、今後の民間団体の支援のあり方の一つとして、単独の団体のみでい いのか、それ以外に広げるべきであるのか、重要な論点だろうと思いますので、担当課 に本検討会での発言があった旨、伝えておきたいと思っております。 ○上田座長 ただいま事務局から、それぞれの構成員からの御質問について御説明があ りました。中医協あるいは予算に関しての御指摘などでありました。先ほどもお話があ りましたように、自殺未遂者や自殺者親族等のケアに関しての全体が見えることがまず 大事ですので、今日の御指摘も踏まえながら、本題の資料2に入ります。先ほどの御指 摘などについての議論は、を引き続き行いますので、資料2の最初の「自殺未遂者への ケアに関して」、大きい柱のうちの一つを議題にしたいと思いますがよろしいでしょうか。 また、その中でもいろいろ御意見をいただきたいと思っております。まず、全体を整理 していくということで、それでは、事務局から説明をお願いします。 ○名越課長補佐 資料2について、順番に説明をしていきたいと思います。先ほど申し ましたように、第1章と第4章に関しては、今後、記述を加えていくということで、本 日は第2章と第3章について説明をさせていただきたいと思います。  第2章は、(1)「自殺未遂者へのケアについての基本的考え方」ということで一文に しているところでございます。基本的な考え方を集約する形で一文にしておりますが、 これに加える要素がございましたら御発言をいただければと思います。  (2)「現状と課題」でございます。この部分が議論の中心かと考えておりますが、(1) から(6)まで六つの項目について、これまでこの検討会でいただいた御意見をもとに、こ ういった六つの項目に対策の軸が絞られるのではないかということでまとめているとこ ろでございます。(1)「自殺未遂者の実態把握」、(2)「救急医療現場における自殺対策」、 これは、救急のみならず医療現場という方が適当なのかもしれません。(3)「家族への支 援」、(4)「支援者のネットワーク」、(5)「人材育成」、(6)「自殺未遂に関する普及啓発」と いうことで、以上6点の対策の柱と申しますか、そういったものを仮に置いております。  (1)から見てまいりますと、対策の内容となるものとして2点示しております。自殺未 遂者の発生数、受診状況、未遂者のケアの実態のさらなる把握が必要である。実際に起 きている自殺未遂者の状況を把握する必要がある、という旨の記載でございます。  2点目として、いのちの電話、NPO法人自殺防止センター、医療機関、警察、消防 等、自殺にかかわる関係機関及び職域、教育機関が自殺未遂者についての調査研究をき ちっと行い、予防対策につなげることが重要である。これは、調査の実施主体が複数あ るということ。その複数の調査を、記述はしてございませんが、いろいろな面で分析す ることが必要である、という趣旨のものでございます。  (2)、二つ目の柱で「救急医療現場における自殺対策」ということでございます。  まず一つ目の・で、身体的に重症を負った自殺未遂者が搬送される救急医療機関の多 くでは精神科医との連携が十分でなく、精神科的ケアがなされていない。  続きまして、精神科救急では救急治療を要するような身体合併症を有する患者の内容 が想定されていないため、身体的治療やそのための検査等の体制が整備されておらず、 自殺未遂者への対応が十分にできないという点を示しております。  3点目、救急医療の場では身体的に重篤な状況にある多くの患者の対応に追われてい るため、自殺未遂直後の心的介入、精神科的診察・治療、ソーシャルワーク等はほとん ど行われていない、ということでございます。全体的に救急医療そのもの、それから救 急医療そのものだけではなくて、精神科的な治療、それからソーシャルワークといった ところの不足について指摘をしたものであります。  2ページ、(3)「家族への支援」ということで、これまでいろいろな論点があると思う のですが、自殺未遂者の家族に対する支援の検討がほとんどなされていないという論点 がございます。  (4)「支援者のネットワーク」ということでございます。医療による治療法のケアが不 十分なこともあるために未遂者が再度危険にさらされていることから、退院前から在宅 での生活まで、家族が行う支援も含め、連続した体制づくりが必要であるということで、 医療からスタートいたしまして、自殺未遂者が在宅で生活を行っていく上でのさまざま な面で、単に医療にとどまらないかかわりが必要である、というところでございます。  続いて、自殺未遂者・自殺念慮者に対する相談や危機介入を行う民間団体が不足して おり、支援が必要である、という点が示されております。  (5)として「人材育成関係者」でございますが、医師、看護師、心理士、精神保健福祉 士、医療福祉ソーシャルワーカー、社会福祉士を初め、未遂者ケアにかかわる多職種の 育成が必要である、と示しております。  (6)は「自殺未遂に関する普及啓発」ということで、自殺未遂や自傷行為等の自殺関連 行動及び自殺未遂者へのケアについて、国民への普及啓発が必要である、という点が一 つ。それから、自殺未遂者、自殺関連行動への支援を効果的に行うために、「自殺企図」 「自殺未遂」「自傷」等の用語の概念の定義とそれに基づく実態調査が必要である、とい う点が示されています。  基本的には、資料3にあります構成員からの御意見をもとに六つの柱に絞ってという 形でございますが、今回お示しした小項目には過不足等があると思いますので、この点 について御議論をいただきたいと思います。  (3)「今後の取り組み」とありますが、今回の論点整理を踏まえまして、(1)から(6)と いう形で箇条書きをいたしておりますが、この部分についての記載を進めていきたいと 思います。その記載の中身につきましては、資料3から資料5の内容を活用したいと考 えております。  3ページの(4)「自殺未遂者のケアに関するガイドラインの作成のための指針」でご ざいます。前回、第4回目の検討会まで、事務局で御説明をいたしまして一応御了解を いただいていた件で、本検討会の成果物としては、自殺未遂者あるいは自殺者親族等へ のケアに関する論点整理を行うとともに、総論的なケアに関するガイドラインを取りま とめて、今後、研究班あるいはいろいろな団体において総論的なガイドラインに基づい て個別のブレークダウンされたガイドラインをつくっていただければということで説明 をしておりましたが、ガイドラインという言葉が二段重ねになっておりまして非常に整 理が悪いことから、今回から、この総論的なガイドラインについては「ガイドライン作 成のための指針」という形で名称を変更させていただきたいと考えております。  2章の「自殺未遂者へのケアに関して」の部分、それから3章の「自殺者親族等への ケアに関して」の部分、おのおのガイドラインの作成のための指針ということでお示し をしておりますが、本検討会の成果物といたしましては、今後、ガイドラインをつくっ ていく上で参考になるものをお示しできればと考えておりますので、御了承をお願いし たいと思います。  第2章、第3章についての説明は以上でございます。 ○上田座長 まず自殺未遂者について、そしてその後に自殺者親族等へのケアというこ とで、大きく二つに分けて御議論をお願いしたいと思っています。そして資料3が、現 状や課題、またそれぞれについて項目ごとにまとめ、そして3ページは自殺未遂者への ケアに関する対策で、中長期的な対策、医療対策、人材育成、研究や啓発、それぞれ第 4回までの主な意見ということで取りまとめられています。これも貴重なまとめであり ますから、これらを十分踏まえながら、事務局が出された報告書骨子(案)について議 論をお願いします。  まず全体的に自殺未遂者へのケアに関して、基本的な考え方や、現状と課題、対策、 今後の取り組み、このような流れになるでしょう。また、その中での実態把握や救急医 療などいろいろ大きな柱があります。先ほども医療についての課題などの御指摘もあり ましたが、どのような視点で考えるべきかなど、基本的なところで御意見がありました らいただきたいと思います。 ○渡邉構成員 2の未遂者のケアの「現状と課題」というところで六つの小項目を御説 明いただきましたが、その説明内容によっては、ただ、ほとんど現状だけが記載されて いるとか、ほとんどされていないとか、家族の支援とか、そういうことと、あとはこう いうことが必要であるというような記載になっていますが、議論をどこまでするのかな ということが一つです。  もう一つは、小項目の6の2番目の説明です。自殺企図、自殺未遂、自傷の用語概念 の定義ということ、それに基づく実態調査と書いてあります。これは、むしろ(1)の最初 に出てくるべき言葉ではないかなと思ったのです。  それと、僕はちょっと勉強不足だったのですが、この三つの定義に関してはもう確認 されているのでしょうか。例えば本当に軽いリストカットをした人たちまで含めて調査 するのか、その辺の範囲をどこまで。フォローに関してもそうです。どこまでをフォロ ーするのかというところを、河西先生などは詳しいかもしれませんが、教えていただけ ればと思います。 ○上田座長 渡邉構成員からお話がございましたように、用語の定義をきちんとしてい くことは大事ですので、確認していきたいと思います。この検討会は自殺未遂者、自殺 者親族等のケアに関しての体系的なまとめを行って、それをガイドラインとして具体的 に展開するとか、あるいは調査や研究をは進めようとしていますが、ここで基本的なと ころを押さえることは大切です。そういう意味で、自殺企図や自殺未遂、自傷の定義も この際、きちんとしていきましょう。それは次回にまとめていただくということでいか がでしょうか。河西参考人先生、よろしいでしょうか。 ○河西参考人 はい。 ○上田座長 今までもたしか、用語の定義をきちんとすべきだという指摘がありました から、これまでの議事録をもう一回確認していただいて、指摘があったところはきちん と報告書の中にそれぞれ盛り込むということでいかがでしょうか。ですから事務局の方 は、きょうは第5回ですが、これまでの議事録をもう一度、よく見て、漏れがなく整理 していただきたいと思います。 ○平田構成員 骨子を読ませていただいて、ちょっとコメントさせていただきます。  まず細かいことですが、2の自殺未遂者へのケアの(1)基本的な考え方ですが、「救 急医療から在宅生活まで連続的な支援体制の構築を推進する」となっていますが、これ は縦糸に関してだけですので、横糸に関しても言及するという意味で、「包括的かつ連続 的な支援体制」ということも入れていただきたいと思います。  それから、自殺未遂者の発生数等の推計であります。いろいろなデータが出ていて、 一概にこれが実態であるという数値を示すのはなかなか難しいのですが、私が以前勤め ていた千葉県の精神科医療センターの診療統計、これは20数年間、こと細かに初診患者、 入院患者のデータをとっているのです。これを調べますと、自殺念慮のある方のうちの 3分の1ぐらいは自殺企図にいくのです。そのうちの10分の1ぐらいはかなり危ない自 殺企図にいく。そういうことを考えますと、資料3の冒頭に、自殺の背景には10倍から 18倍の自殺未遂者が存在すると書いてありますが、もっと多くなるのですね。つまり、 先ほどのデータから推計しますと、実際に亡くなられる方の30倍から40倍ぐらいの人 が自殺念慮のおそれがある。これは点滅しますので、最大限とるとそういうことですね。  そうしますと、年間3万数千人の自殺既遂の方がおられるわけですが、その背後には 約100万人から120万人ぐらいの自殺のリスクを背負った人が存在するのですね。つま り日本人の100人に1人が自殺の危険性があるということですね。100人に1人という と大した数ではないと思われるかもしれませんが、例えば人口1万人の都市ですと100 人ですね。10万人ですと1000人、100万都市ですと1万人の人が自殺のリスクを持って いる、あるいは1年間のうちに自殺のリスクを1回ぐらい持ったことがある。そういう ふうに考えると、非常にインパクトは大きいのではないか、そういう書き方をすべきだ ろうと思います。  それから、一番大事なことですが、先ほどライフリンクの清水さんから、一生懸命一 般の医療機関から精神科の医療機関に自殺リスクのある人を紹介しても、それをきちん と受けとめてキープする力が弱いのではないかという御指摘がありましたが、これは私 も全く同感です。ですから、自殺未遂者ケア、現状と課題の(1)から(6)までの柱の中に、 (2)の次あたりに1本、新しい柱を入れるべきではないかと私は思います。どういう柱か といいますと、精神科医療機関の診療能力の向上ということです。これがないと、画竜 点睛を欠くと思うのです。幾ら紹介システムをつくっても、治療をしたりキープしたり フォローしたりする力が弱いと何もなりませんのでね。  具体的には、ではどういう形で診療能力を向上させるかといいますと、一つは、精神 科に限りませんが、救急医療機関からどんどん医者がいなくなっているという現状があ りますね。あるいは、語弊があるかもしれませんが、重症の患者をみる医療機関からど んどん医者が逃げ出している。軽症といったら語弊があるかもしれませんが、比較的軽 症の患者さんが集まる診療所にどんどん医者が集まる。ある救急の先生は、この現象を 医者の離散とか逃散現象などと言いますけれども、きつい現場からどんどん医者も看護 師も逃げ出すといったら問題があるのだけれど、くたびれてとてもいられなくなってし まったわけです。その現状をまず何とかしなくてはいかん。これはこの検討会の議論の テーマを超えるものですから、ここで妙案を出すというわけにはいかないかもしれませ んが、指摘はしておくべきではないかと思います。  あとは、医師、特に精神科の医師の再教育は絶対必要なことです。医師の教育という 意味では、一つは前期研修、初期研修のコースに必ず自殺学というものを組む。この点 はすべきだと思いますし、プロの精神科医であるところの精神保健指定医の研修会にも きちっとしたプログラムを組んで、最新情報を伝達していくようなシステムをつくらな ければいけないということです。  もう一つは、病院を何とか改革しなくてはいけないですね。現在の精神科の病院は、 皆さんも御存じかと思いますが、入院患者の8割に近い人がほとんど動きのない患者さ んなのです。そういう人たちを中心につくられている病院も多いです。古い10年、20 年と入院しているような患者さんを中心の4人部屋、6人部屋といったものがずらりと 並んでいて、患者さんがじっとそこで管理されている。そういうところに自殺企図のあ る非常に敏感な、あるいは初めて精神科に入院するような患者さんが入ってきたら、び っくりしてしまって、とてもじゃないけどゆっくり治療を受ける気になれないのですよ。 この環境を何とかしなくてはならない。これもこの検討会のタスクを超えるテーマであ りますが、大事なことなので指摘はさせていただきたいと思います。 ○上田座長 ありがとうございました。具体的に貴重な御意見をいただきました。この 報告書、骨子案をまとめるに当たって、素案は事務局に作成していただくことになりま すが、この検討会で構成員の皆様方からいろいろ御指摘していただいて、その御意見を できるだけ反映したいと思います。また次回以降、御議論していただきたいと思います。 御意見をお願いしたいと思います。 ○清水(康)構成員 3点あるのですが、1点目は、実態把握について。私たちライフ リンクのところにも、最近相談の電話が非常に多くなってきていて、毎日何件もの相談 を受けています。必要があれば、そうした中で得られたデータを我々も提供する準備は できていますので、まずそのことをお伝えしておきたいと思います。  2点目は、私たちが受ける相談は、背景にさまざまな社会的要因を抱えている方、多 重債務であるとか過労の問題等ですが、そうした要因を抱えた方たちからの相談が数多 くあります。そうした人たちの相談をしていて感じるのは、社会的要因を抱えて自殺で 亡くなっていく人たちの多くは、生きる基盤を失って自殺していっている、自殺しよう としている、あるいは自殺しなければならないと思っているということです。ですから、 身体的な治療をする、精神的な治療をするということだけでなく、「自殺未遂者支援とい うのは生きる支援である」という形でとらえ直して、そうした人たちが再び生きていく ための基盤作りを支援する必要があると思います。これは非常に広範になってしまうの で、どこまでやるかという議論はあって然るべきですが、ただ、自殺対策基本法の理念 からしても、未遂者支援の中に、「自殺対策とは生きる支援である」という視点もぜひ盛 り込むべきだろうと思います。未遂者支援の基本的な考え方として。  3点目は、支援者のネットワークの部分ですが、未遂者、念慮者に対する相談それ自 体が不足しているというだけでなく、同時に「横のつながり」がまだまだ不十分だと思 います。社会的要因が深くかかわっている自殺に関しては、情報を提供するだけでその 自殺を防ぐ、解決に結びつけられるケースも少なくないわけで、それは、私たちが実際 に相談をしていて強く実感するところですから、せめて自殺未遂者、念慮者と接する人 たちが、さまざまある社会的な要因の解決策について概要ぐらいは知っておくべきだろ うと思います。そうすれば、話を受けとめた上で、「こういう解決策もあるみたいですよ」 と、それぞれの窓口で情報が提供できるようになります。  ですから、相談窓口同士の「横のつながり」を強化することと、さらにそれぞれの窓 口で相談を受ける人たちが、社会的要因に対する解決策、それについての情報をちゃん と知っておくべきだということを盛り込む必要があると思います。 ○上田座長 ありがとうございました。ほかにございますか。 ○平安構成員 今の平田先生の御意見、もっともだと思います。大体100人に1人ぐら いに自殺念慮があるとおっしゃったのですが、私どもで自治体の公務員等に調査をしま すと、30人に1人ぐらいの方が「つらくなって死ぬことを考えたことがある」とう項目 にチェックをされるわけです。自殺念慮というのは、精神学的な用語で非常に狭い意味 で、強く死ぬことを考えるということなのでしょうが、生活の中で、あるいは仕事の中 で死んだ方がましという気分が出てくるということになるともっと多いというのが現状 です。このことは、根本的な社会的な問題としてきちっと認識するべきではないかと思 います。  先ほどの中医協の答申の中であったように、かかりつけ医の先生から精神科への連絡 を強化していくことは非常にいいことだと思うのですが、これだけみると開業医の先生 を中心に、プライマリーケアを中心にいくという考え方になります。しかし、現実には 総合病院、例えば公立病院などにたくさんプライマリーケアの患者さんはきているわけ で、総合病院などでの精神科との連携等にももう少し踏み込んでほしいという気がしま す。  それを踏まえて、この骨子の中では特に2番、自殺未遂者ケアに関しての現状と課題 の中の(2)は、身体的に重症を負った自殺未遂者に対する連携と書いてありますが、現実 には救命救急センターだけではありません。一般の救急外来とか、あるいは昼間の外来 診療等にもそういった自殺念慮がある方とか、自殺未遂後で、これはあくまでも見つか ったのが早ければ身体症状が軽くてすむということもありますので、そういった方がた くさんいらしていて、そこらの連携はいいのかということにもなってしまいます。総合 病院に精神科医がいれば、そこでの精神科医との連携も大事でしょうし、外来だけでは なくて入院患者さんも当然いらっしゃるわけですから、コンサルテーション・リエゾン といった業務に関しても、中医協の中で診療報酬等に踏み込んでいただくと、より目配 りのできる体制ができるのではないかと思います。 ○上田座長 ありがとうございました。それぞれ貴重な御意見をありがとうございます。 ○河西参考人 参考人の立場ではありますが、発言させていただきます。この中にはさ まざまなコメディカルについての言及がなされていますが、私は特にソーシャルワーカ ーという職種の重要性について強調させていただきたいと思うのです。  自殺対策基本法、および総合対策大綱では、コメディカルが「心理士等」と一言でま とめられてしまっている感があります。私ども横浜市立大学では、多職種で救命センタ ーや附属病院、医学部で自殺予防活動を行っているわけなのですが、心理士には心理士 の専門性、強みがあって、自殺念慮者に対する面接、心理評価尺度を用いた評価、心理 教育をしていただいています。一方では、ソーシャルワーカーの存在も非常に重要です。 それを実感しています。自殺企図者や自死念慮を持っている方の中には、生活困難感を 強く感じている方が少なくありませんし、お金がない、住むところがない、介護や育児 に悩みがあるといった、現実的な部分で苦しんでいらっしゃる方が多くあります。生活 支援のプロとして、それを解決してくれるのがソーシャルワーカーであって、その人た ちの役割はとても大きいものだと思っています。  そもそも、皆さんも口々に、「自殺予防には横のつながり」とか、「社会的要因に留意 すべきだ」とか、「社会的に支える」と言われるわけですが、であるなら、ソーシャルワ ーカーは重要なプレイヤーということになります。例えば医療機関を例に取ると、医療 機関という点と社会資源という点をつないでそれを面にしていく役割がソーシャルワー カーの役割だし、私達のところで言えば精神保健福祉士ということになります。        恐らくNPOとかボランティアの素晴らしいところは、それが市民のお立場や市民の目 線での支援ということもあるし、またそこにはさまざまな背景・技能を持った方々がい らっしゃって、皆さんで複合的に、そして社会的に支えているということだと思うので す。ソーシャルワークが重要だと言うのはそれと同じことで、そういう視点から考えて みても生活支援、医療・保健や福祉のコーディネートの重要性と、その業務に当たるソ ーシャルワーカーの重要性はご理解いただけるのではないかと思います。私はいつもそ ういったことを実感していますので、コメントをさせていただきました。 ○上田座長 ありがとうございます。 ○渡邉構成員 では、家族への支援というところですね。ただ、検討がほとんどなされ ていないということで終わってしまうのではなくて、未遂者だけではなくて既遂者の人 も、救命センターの調査でも8割ぐらいの人はだれにも相談していないという実態があ るわけですから、そういう未遂が発生した場合にきちんと、本人だけ治療あるいはケア するだけでなくて、家族に対しても必ず、どう御本人にアプローチしたらいいのか、ま たフォローが必要か、そういうことをきちんと説明することができるプロセスが必要か なと思っています。  特に青森の中高年の男性の自殺が多いわけですが、皆さん、なかなか口を開かない。 奥さんには内緒だとかそういう心理規制があるわけですが、奥さんの方からもう少し積 極的に、「あなた、大丈夫?」とか「眠れている?」とかそういう声かけをすることが大 事かなと思うのです。そういうつながりという視点からもですね。  もう一つは、地域の支援ですね。例えばある病院に通院していた方が未遂をした。病 院でそれなりの治療をして家に戻ったときに、きちんと病院から保健師に連絡をすると か、あるいは消防士がそういう人をみた場合には、消防士から、こういう人がいたよと いうことを保健師に情報を提供して、その保健師が家庭訪問するとか、そういう地域の サポートシステムづくりが大事かなと思いました。 ○上田座長 ありがとうございました。  斎藤構成員から資料が提出されておりますので、御説明よろしいでしょうか。 ○斎藤構成員 未遂者への話が出ましたので、一言だけ申し上げたいと思います。  東京のいのちの電話では、5年前まで、つまり創立から30年間、面接室を併設してあ るわけです。この面接室の30年間に電話相談から回された患者の延べ総数は約2万件で す。亡くなった稲村博さんという精神科のドクターが中心になって治療してきたわけで す。電話相談というのは自殺問題に相性がいいいというか、精神疾患を持った方もそう ですが、非常になじみやすいところがありまして、自殺問題については非常に顕著にあ らわれてくるわけです。これを面接に回すことによって治療的な対応をしてきたのです。  民間でもこれだけのことができるわけですから、電話と面接とをドッキングするよう な試みが一医療機関でできるのかどうか、この辺は一つ、パイロット的な試みがあって いいと思うのですが、少なくともいのちの電話という小さな組織でもできたということ は、私は評価をしていいと思います。ただ、資金難でこれは今、中断をしておりまして、 再開を期待しております。  今日、お配りしたのは、全国50あるいのちの電話の組織で、幾つかのセンターが自死 遺族への支援活動を始めました。昨年は仙台と千葉、それから奈良で今、準備が始まっ ておりますが、そのほかのセンターでもほかの団体と連携して自死遺族ケアのプログラ ムを実施いたしました。これから各センターでこの事業を設置するところも踏まえてま いりますので、私どものいのちの電話の基本線を、素案でありますがまとめてみました。  最初は、「いのちの電話における自死遺族支援事業」、そのページから3枚目、「いのち の電話自死遺族支援事業の基本線」、これは、既に実施しているセンターの実情を紹介い たしました。これが将来的にはこの事業の基本線(案)になるかと思います。  概要を申し上げますと、まず運営主体は、それぞれの各いのちの電話センターである。 私どもは全国組織としては法人格を持っておりませんが、各センターが社会福祉法人な いしはNPO法人です。各センターが運営の主体で、当然、人材研修予算は各センター で責任を持ってこれを確保する。  事業の担い手は、電話相談員です。電話相談員の研修については、参考までにこのフ ァイルの終わりの方に、埼玉いのちの電話の研修プログラムを添付いたしました。これ はあくまでもカリキュラムで、さらに膨大な研修内容を記したものがありますが、これ から割愛をいたしました。そして約2年間の研修をいたしまして、その認定を受けた後 で、少なくとも3年の相談員としての経験がある人に限って自死遺族ケアのプログラム に応募する資格がある。こういう条件をつけました。  この自死遺族支援のケアのグループ、この種のグループはファシリテーターが中心で すね。スーパーバイザーはかなり専門性を持った人に限定をしておりますが、このファ シリテーターを養成する。ですから基本的なカウンセリング等の学習をしておりますの で、あくまでも自死遺族支援にかかわる課題について、大体3カ月ぐらいの研修を受け ていただくということです。  この研修プログラムを含むファシリテーターの養成研修、それから資質の審査、認定、 これは特別に設置された養成研修委員会で決める。これは、通常は相談員研修委員会と 呼んでおりますが、そこで兼ねてもよろしいわけですが、センターによっては特別な委 員会を設置しております。  自死遺族支援の方向、これは基本的にはグループです。いわゆる集団療法的なアプロ ーチをするということです。ただ、個別に面接ないしは治療をする必要が出てまいりま すので、これは関係諸機関に紹介をする。できれば、かつて東京にあったような治療的 な面接室があれば、そこに回すのが妥当でありますが、当面はこういう基本線に沿って 各センターが実施しております。  その相談員の中で応募をした人、昨年、千葉で実施した前例に関しては10数名おりま したが、最終的には2名ほど認定をいたしました。9月から12月にかけて研修をいたし まして、1月に入って自死遺族の方々にお集まりをいただいて分かち合いの会をいたし ました。この千葉いのちの電話の分かち合いの会のパンフレットをとじておきました。 「分かち合いの会ひだまり」と呼んでおります。  こういうわけで、相談員になる研修を受けてからということで、かなり慎重に私ども は人材を確保しようといたしております。以上です。 ○上田座長 ありがとうございました。この報告書の議論の関連ということでお話をい ただきました。  それでは、3の「自殺者親族等へのケアに関して」を事務局から御説明をお願いいた します。 ○名越課長補佐 それでは、「自殺者親族等のケアに関して」に入ってまいります。(2) の「現状と課題」で示された対策の柱でございますが、冒頭申しましたとおり仮の形で 置かせていただいておりまして、この検討会の意見を踏まえて適宜、項目の必要なもの については修正が必要だと考えております。それぞれの柱に含まれる項目については、 資料3のこれまでの検討会でいただいた意見のところから引用しておりますが、この引 用の過不足がございますので、その点については検討会の中あるいは検討会が終わった 後でもかまいませんので、積極的に事務局に情報提供をいただければと思います。  それでは、「自殺者親族等へのケアに関して」、(1)「自殺者親族等へのケアについて の基本的な考え方」でございます。家族の喪失に加え、周囲の理解が得られないことに より心理的に追い詰められている自殺者親族等の回復に向けた支援体制の構築を推進す る、というところを基本的な考え方としております。  (2)「現状と課題」でございますが、大きな柱といたしまして、こちらは五つの項目 を掲げております。  (1)が「自殺者親族等の実態の把握」これは、未遂者と同じように実態の把握というも のを掲げております。医療、見守り、生活など、異なる側面の支援が個々に先行してい る一方で、自殺者親族等へのニーズや支援の効果に対しての評価研究が必要である。と いうことで1項目挙げております。  続きまして(2)「自殺者親族の背景に配慮した支援」ということで、自殺者親族を取り 巻く背景について記載をしております。自殺者親族等は、言えない、分かち合えない、 情報が届かないという特殊な状況に置かれることが多く、それに配慮した支援が必要で ある。自殺者親族同士が集まって体験を語り合う「分かち合いの場」、「回復する場」や、 電話やインターネットを用いた相談事業等が求められている。  以上2点をここで示しております。  続きまして、(3)は「支援者のネットワーク」。各専門領域(相談、医療・法律等)の支 援者の拡大と情報の蓄積、ネットワーク化が必要である。自殺者親族等への支援の前進 に立つ民間支援団体と公的機関の連携について検討が必要である。それぞれの自死支援 グループの経験の集積が乏しく、整理されていない。という三つの項目を挙げておりま す。  (4)「人材育成」として、自殺者親族等だけではなく支援者自身のメンタルケアまで、 複雑な問題もあることから、支援者の資質の向上が必要である。医療関係者、救急救命 医、精神科医、コメディカル等の自殺者親族等への配慮が十分でない。これに対する対 策が必要であるということです。警察、宗教家、葬祭業者等の自殺者親族等への配慮が 求められる。以上3点をここに引用しております。  (5)「自殺者親族等支援のための普及啓発」ということで、地域、社会の理解不足に基 づく自殺者親族等の孤立を解消するための普及啓発が必要である、ということで1点に まとめておりますが、委員の先生方には幾つか意見があるかと考えております。  以上五つの柱に関して、仮の項目として置いております。柱についての過不足、あと、 柱ごとに示されている小項目ごとの過不足について御意見をいただければと思います。 以上でございます。 ○上田座長 ありがとうございました。 ○平山構成員 この中の3の問題ですが、私は研究班の委託を受けて東京のある区のモ デル地域として、その地域の中における自殺未遂あるいは遺族支援の普及ということを どのようにやったらいいかということをいろいろ苦慮しておりました。私の卑近な例で すと、そういう事例が起こったということを地域の保健師さんに連絡をする。それと同 時に、その区レベルの健康推進課にぜひ協力をしてほしいというふうにだんだん上がっ てアピールをしてくるのですが、ここにあるいろいろ複雑な問題だとか地域社会の理解 の不足どころか、保健師のレベルでもなかなかそこを突破できないのですね。ですから 私は、支援者のネットワークの中で民間支援団体と公的機関、これだけではなくて医療 機関と公的機関の連携も必要だと思うのですが、それを検討だけではなくて実践してい くには、システム上、どのようにしていったらいいのか。国あるいは都、区、それから その地域の連携がどのようにしたらうまくいくのか、そういうことを考えていく必要が あると思います。  そうでないと下から上がっていっても踏みつぶされてしまう、そういうことがありま すので、この辺について検討も必要なのですが、実践して地域にそれを浸透させていく ためにはどのようにしていったらいいか、そういうことをぜひ今後の課題としていただ きたいと思います。 ○上田座長 ありがとうございました。平山構成員は資料を用意されていますね。 ○平山構成員 用意してまいりました。私たちの自殺者親族ケア団体全国ネットの活動 状況を報告したいと思いましたが、時間がございませんので、各地への支援活動という ことで、主に精神保健福祉センターからの依頼がございまして、そういう職員の方々に 精神医療の知識普及、それから私たち電話相談と分かち合いを5年から10年やっている 方々がいらっしゃいますので、その方々が行って今までの経験を披瀝していく、そうい うことをやっております。  それから研修会をやっておりまして、それが2回、これは清水(康)先生の御協力も 願って出ておりますが、用意してまいりました。  御参考までに見ていただければありがたいと思います。以上です。 ○上田座長 ありがとうございました。それでは、この冊子や親族等のケアに関して基 本的な考え方、現状と課題、そして今後の取り組み、ガイドライン作成の指針という四 つの大きな柱で、また、先ほど申し上げましたように資料3でこれまでの御意見のまと めがあります。これらをあわせて見ていただきながら、自殺者親族等のケアに関して、 構成員の皆様方からいろいろ御意見をいただきたいと思います。まだ原案は内容が限ら れておりますので、ぜひ御意見をいただきたいと思っております。いかがでしょうか。 ○渡邉構成員 今、平山先生から保健師、健康推進課の問題が挙げられましたが、確か にそのとおりで、実際に市町村の保健師、あるいは保健所の保健師が自殺対策あるいは その遺族へのケアにどう取り組んでいいのかわからない、そういう実態があると思うの だけど、それは少しずつ情報提供しながら、こういった形でやればというノウハウを示 していくしかないと思います。  そして青森県では、最初は心理学的な剖検をきっかけに保健師が御遺族に接するとこ ろから、それがきっかけで遺族のつどいができたりとか、そういう流れがあったり、あ るいはこの間は清水(康)さんに来ていただいて、キャラバンを通して保健師たちが遺 族のケアを学ぶとか、そういう研修の機会をいっぱいつくっていくことが必要ではない かと思いました。 ○上田座長 ありがとうございました。 ○清水(新)構成員 今の渡邉先生の意見と多少関連すると思います。この(2)「現 状と課題」についてですが、公的機関、自治体は、基本法、大綱においても「積極的な 役割が期待される」と明記されております。そういった中で、自治体とか公的機関はど ういう役割をとるべきなのだ、どのような課題に積極的に取り組むべきなのだ、そうい う官民の連携ということが出ていますが、官の側の役割、責務についてもう少しはっき りと明示されてしかるべきかと思います。  例えば(3)「支援者のネットワーク」のところに、これは平山先生も御指摘されたとこ ろですが、「民間支援団体と公的機関の連携について検討が必要である」と部分的に触れ られていると思いますが、これをもう少し自治体とか公的機関がどういう役割をとるべ きだと、もう一歩踏み込んで明記されるべきかなと思います。それが恐らく(4)の人材育 成とかそういったところとも有機的に関連してくるのだろうと思いますし、その部分が ないと、私としては(1)から(5)の課題だけでは不十分かなと感じました。  もう一つ、関連すると思いますのでついでに聞いてしまいますが、それに対して例え ば国は、自殺予防センターを中心に研修を考えられていますね。その研修と今回のガイ ドラインのための指針との関係も、あわせて説明していただければと思います。1月に やろうとされている研修がありますね。それとこの指針との関係です。 ○伊藤構成員 国立精神・神経センターの自殺予防総合対策センターでは、夏に「自殺 対策企画研修(地域精神保健指導者研修)」を、今度からは1月に自殺対策相談支援研修 を実施します。研究班では、後者の研修に参考になる資料を、構成員の皆さんにも御協 力いただきながら作成しているというのが現状でございます。  それと並行して、この検討会に資するために、未遂者ケアに関するガイドライン及び 遺族等のケアに関するガイドラインの案を開発中で、願わくば次回の会議で御提案をで きればと考えております。 ○清水(新)構成員 少しコンテクストから外れたような質問をしました理由は、私は 最初に質問したことと、例えば自治体とか国がどのようにもっと関与すべきなのかとい うところの1例だと思いましたので、それを披露させていただくことによって、そうい うあり方をもっといろいろ考えられていいのではないか、こんなふうに思った次第です。 それで質問させていただきました。 ○上田座長 ありがとうございました。 ○名越課長補佐 あと一つ、補足なのですが、今年度1月に、精神・神経センターの自 殺予防総合対策センターで、自治体で相談に当たる保健師を対象とする資質向上のため の研修を予定いたしております。これは前々からセットされていたものではありますが、 こちらの検討会の中身も踏まえ、また、自殺総合対策大綱の中でも触れられております 相談員の資質向上のものに相当するものということで、研究班でもいろいろ今、御議論 いただいているところではあるのですが、先行してやるものということで、既存の資料 を集めてその中で資質向上に充てられるようなカリキュラムを現在、組んでいただいて いると聞いております。 ○上田座長 この検討会で、自殺未遂者や親族等のケアに関して、官民の連携や、ネッ トワークなどいろいろな御指摘がありました。いろいろな取り組みの現状や課題が取り 上げられて、全体の戦略がこの報告書に記述されて、その中で研修などを行っていくこ とが大切と思います。自殺未遂者、親族等のケアについての関係者が参加されておられ ますので、そんな形でまとめたいと、座長として思っております。  ですから、事務局は大変でしょうけれど、これまでの議論ときょうの議論を整理して、 大きな柱としてこのように整理されていますが、このような柱で事務局には頑張って案 をつくっていただきたいと思います。 ○清水(康)構成員 今、上田さんがおっしゃられたとおりで、そもそも全体設計がな いと、研修で何をやるのだということになってくるわけです。もちろん研修は、保健師 とか今、既にある要望の中で伝えるべきことを伝えていく、地域の遺族支援を進めてい くという、そういった目的はあるでしょう。ただ、同時にそれぞれの地域として、ある いは日本の社会全体で、自死遺族をどう支援していくのかという全体の仕組み・設計を 議論する必要があると思うのです。  これに関しては、私は何回目だったか忘れてしまいましたが、「自死遺族支援の総合対 策を考える」ということで、地域のレベル、グループのレベル、個のレベルといったよ うに3つの層に分けて、それぞれのレベルにおいて何をすべきか、そのプレゼンをさせ ていただきました。ですので、ここで改めてその繰り返しは避けますが、ただそうした 仕組みづくりをどうするのかということを早急に議論していく必要があるだろうという ことが1点。  あと、私たちは今、「自死遺族支援全国キャラバン」ということで、全都道府県で遺族 支援をテーマにしたシンポジウムをやって渡り歩いています。これは、遺族支援の当事 者としての自覚を持ってもらうために、それぞれの都道府県に主催者になってもらいな がら、さらに官民連携の輪を深めてもらうためにその地域の遺族支援団体と共同でシン ポジウムの準備にあたってもらっているのです。そうした中で、それぞれの地域で、そ の地域の遺族をどう支えていくかという議論を全国各地でしていっています。  その中で見えてきていることは、それぞれの自治体によって持っている社会資源が違 うので、全国的に一律で「地域のレベルではこれをやりなさい」という指針を示すこと はなかなか難しいだろうということ。例えば、民間団体が活動しているところと活動し ていないところで、これは遺族支援の展開の仕方は全く変わってくるわけです。ただ、 先ほど清水(新)先生がおっしゃったとおり、少なくともここまではやるべきだろうと いうようなメニューをつくるというか、それぞれのレベルでここまではやるべきだとい うメニューをつくることはやっていくべきで、それぞれ持っている社会資源を使ってど うそのメニューをこなしていくか、それ以上にどう発展させていくかという議論がある のではないかと思います。  あと、今、私たちは自殺の実態調査とあわせて遺族の実態調査もやっているのです。 これは自殺で亡くなった方たちの実態調査を1000人分やろうと思っているのですが、9 月の10日に100人分の調査をまとめた中間報告、暫定的なデータを発表しました。今さ らに、各セクションをまとめていて、11月いっぱいまでには公開しようと思っています が、いずれにしてもその遺族の実態調査の中でわかってきたことは、遺族が孤立してし まっているということです。  またそれには大きく二つ理由があって、一つは、心理的に追い詰められてというか、 なかなか遺族自身がみずから外部機関に対して助けを求めることができないような心理 的状況に追い込まれるということです。理由としては、私たちの調査した遺族の40%の 人たちが、自殺で家族を亡くしたということに対して外部から何らかの非難中傷を受け ているのです。そうした非難を受けることによって、自分は非難される対象だと思って しまって、なかなか自分から助けを求めることができないような心理的状況に追い込ま れてしまっているというわけです。  もう一つは、遺族に十分な情報が届けられていないということ。これは、例えば相続 放棄に関する情報であるとか奨学金に関する情報とか、その後、遺族が生きていく上で 必要となるような情報がなかなか遺族のもとに届けられていないという、情報不足とい う点もあって、それによって遺族が孤立してしまっているということです。  なお一点目の、心理的に追い込まれてというのは、中には警察の対応であるとか病院 の対応であるとか、遺体をどう扱うのかとか、そういったことによって非難されたとか 中傷を受けたと感じている方も少なくありません。ですので、これは例えば警察とか病 院、医療機関も含めて遺族への心理的負担を軽減するような状況をつくっていく必要が あるだろうと思います。  また情報不足の解消に関しては、これも前にここで皆さんにお配りいたしましたので 余り詳しくは話しませんが、こういうツールの開発ですね。遺族の人の手元に情報を置 いておいてもらえるような工夫がなされているこうしたツールをしっかり開発する必要 があるだろうと思います。かつ、そのツールをちゃんと遺族の手元に届けることも必要 ですから、届ける際には、警察が遺族との確実な接点を持っているわけなので、あるい は行政の窓口で死亡届を受け取る事務についているところとか、あるいは病院でもそう ですが、そこの接点を逃すと、もしかしたら二度と遺族に対して情報提供できなくなっ てしまう可能性もあるので、こうしたツールを開発し、かつ、これをどのようにして遺 族に届けていくのか。やはりこれも全体設計の話になるのですが、そうした遺族支援の 全体構造のグランドデザインというかそういったものを考えて、その中で役割分担をし っかりしていく必要があるのだろうと思います。 ○上田座長 ありがとうございます。 ○伊藤構成員 今の清水構成員のお話はとても勉強になります。ことしの2月か3月の 検討会でも先ほどのツールを清水構成員から御紹介いただき、とても参考になりました。 どういう情報が必要であって、かつそれをどのように必要な人に届けることができるか ということについては、これからも御経験をお伺いしたく、よろしくお願いいたします。 ○上田座長 清水(康)構成員のお話を伺って、以前、そういうお話をされておられま すが、これまでの皆様方の御意見は貴重な御意見ですので、先ほども申し上げましたが 事務局に整理していただきたいと思います。いろいろな情報やいろいろな方法があると 思います。対策といっても予算を伴うものや、必ずしも伴わなくてもいろいろな知恵を 出して行えることもあります。それを共通的に、関係者に読んでいただくと、こういう 方法があるのだなと知ることができます。また、それぞれの地域や都道府県で工夫して 取り組むと、それが広がることになると思います。できるだけこれまでの御意見はまと める方向で整理をしていただいて、その場合も、全体の枠がありますので、いろいろな 御意見をいただく中で、最終的にこの検討会報告書という形でまとめたいと考えており ます。 ○五十子構成員 このガイドライン作成のための指針を拝見しておりますと、親族、親 族、親族という言葉がよく出てくるのですが、どこまでを含めているのでしょうか。自 死なさった方々のお子さんもいらっしゃるわけですから、そのあたりが余り浮かんでこ ないような気がいたしまして。 ○西田構成員 私も今、親族に子供は入っているのかどうかというのを少し聞きたかっ たのですが。 ○上田座長 その対象をどこまでとするかは、非常に大事ですね。川野構成員、何かあ りますか。 ○川野構成員 今の件に関しては事務局からお答えいただければと思いますが、ただ、 実感としては、親族という言葉でくくられてしまうことの問題点は確かにあると思いま す。ただ、その表現として今は「親族等」となっているわけですが、この「親族等」と いう表現で十分であるのかどうか、ここに込められている意図は親族に限らないという 意味だということですが、表現のレベルでどうあるべきかという議論はあるのかなと思 います。 ○斎藤構成員 今の御質問ですが、私ども分かち合いの会、市民レベルで自死遺族の方 にお集まりをいただく、そういうプロジェクトを立ち上げているものですから、どうし ても一般対象になるわけです。ただ、西田さんの組織のように自死遺児の特別なプロジ ェクトを持った組織もありますから、いろいろな形の自死遺族支援の形があっていいと 思います。一般論ではこれはとてもいえないような気がしますが。 ○上田座長 何か事務局からありますか。 ○名越課長補佐 自死遺族ということで区分をしてしまうと、できてしまうのかもしれ ないのですが、支援を必要とされているという範疇でどういう対象でも対応できるよう に、そういったガイドラインをつくっていただくよう、研究班にお願いをしたいと思っ ておりますし、「親族等」の「親族」という定義に関して、事務局として特にこだわりは ないということでございます。 ○五十子構成員 もし子供のことも念頭に置いてですと、学校とか教育とか教員の研修 とかそういう言葉が入ってくると思うのですが、それが全然ないので、これを見た限り においては余り子供のことを念頭に置いていないように見受けられましたので、今後の 課題としてそういうことも含めていただいた方がよろしいのではないかなという気がす るのですが。 ○西田構成員 今、自死遺児と呼んでいる子供たちは約9万人という推計をしているの です。98年ぐらいの感じだと中学生ぐらいで亡くす子が多かったのですが、自殺で亡く なるお父さん世代が30代前半ぐらいまで下がってきていますので、残された者は小学生、 あるいは小学校へあがる前に亡くすというケースもふえてきています。現場に遭遇する ことが、自宅で亡くなるとかいうことで子供が第一発見者になる可能性も高いのです。 そうすると非常にダメージが大きい。それで学校へ行けなくなる、勉強が手につかない となると、将来、ちゃんと勉強しないと置いていかれますから、そういうところで進路 についてとまってしまうので、ここは子供の視点をぜひ入れていただきたいと思います。 そうなると、学校関係とか児童相談所ですかね、そういうところも出てきますね。 ○上田座長 ありがとうございました。 ○清水(康)構成員 自殺対策基本法ができた成立過程というか立法の趣旨からして、 間違いなく子供は含まれているだろうと思います。むしろ子供をどう支援していくかと いうところから始まって、「自殺者親族等」という言葉がこの法律の中では使われている わけですが、自死遺族支援がこういう形であらわれているわけですから。その意味では、 今後、遺族支援を展開していく中では一般的には「自死遺族」という呼び方があるわけ なので、そこら辺の用語のことも検討の課題になっていくのではないかと思います。 ○川野構成員 今の遺児ということと少しお聞きしたかったことと重なっておりまし たので、まとめて申し上げたいと思います。  一つは時間の目線のことなのです。つまり、遺児へのケアというのは大綱にも一つ、 対応すべき項目として挙げられていますし、当然、そこに目配りがあるべきなのですが、 それは、西田さんがおっしゃったように遺児になったそのときだけのケアではないわけ です。その後、成長していく過程のどの段階でどのような問題が起こってくるかわから ないということを考えてみると、ずっと目配りをしていくというか、時間を追ってかか わっていくという視点が当然入ってくるだろうということがあります。その意味できち んと遺児へのケア、遺児への支援ということを立てておく必要があるだろうと私も思い ます。  私が時間ということで申し上げたかったのは、その前の清水(康)構成員がおっしゃ った、キャラバンをやってみると、各地域によって随分資源が違うのだというお話です が、これはまさにキャラバンをやったからこそわかってくるというか、拾い上げてくる 部分だと思うのです。その意味では、このガイドラインもしくは報告書骨子がこの後、 バージョンアップされていく可能性といいますか、挙がってきた知見をどうやって反映 し続けていくのかということ、あるいは新たな課題が挙がってきたときにはどうなって いくのかという、ある種、長期的な視点みたいなものもいずれどこかで考えていかなけ ればいけないのかなと感じております。 ○上田座長 ありがとうございます。今、子供の問題、いろいろ御意見がございました ので、その辺は事務局で整理していただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○中村部長 今も御議論になったのですが、先ほど清水(康)さんも言われていた話な のですが、全体を大きな仕組みとして、多分、自殺の話は地域で対応していくといった ときに、県のレベル、我々行政ですと福祉はほとんど市町村になっていますから、それ ぞれ関係者を集めてネットワークをつくっていくというのが一般的です。私が経験した 中でいうと、児童虐待などですと子供の保育所の関係者、あるいは病院の関係者、学校 の関係者、市町村ごとにネットワークをつくっていく。そこは、地域の中における子育 てについての資源がどういう状況になっているかが、双方の役割分担もわかるし、個別 のケースについてどう対応するかということまでわかるのですね。  そういう中で不足しているものは補っていって、個別のケースにどうやって対応して いくか。そのために平成16年に法律を改正して、一つは、個人の家庭の中にかかわる話 であって、守秘義務をかけなければいけない。公務員だけではなくていろいろな民間の 方に入っていただいて個別ケースについて議論していただこうとすると、どうしてもそ れが一つ必要だと。  もう一つは、子供の問題は、行政的な話でいうと児童相談所は県がやっていて、一般 的子育てというのは市町村がやっている。地域によって虐待の問題について力を持って いるというか、事務局としてきちんとやれる組織が県であったり市であったり統一がで きないものですから、会議を開いてそのままうやむやにするわけにはいかないので、フ ォローをきちんとしようとすると、事務局をきっちりする。  その二つで立法したのですが、かなり普及もしてきているように思いますし、まだま だ課題はあると思うのですが、一つそういう例があります。  それから、障害者の自立支援法ということで地域生活あるいは就労支援をしていこう とするときに、県のレベルで各種の方々に集まっていただいて議論していただくのと同 時に、市町村レベルの地域の協議会というのも設けて、そういうやり方で個別の方につ いてのサービスをどうするか、あるいはマクロとしてどういうサービスがその圏域で足 りているのか足りていないのか、そういう仕掛けをつくってやっております。自殺の問 題について、県のレベルでどこが中心になってやっていくか、そして協議会の中に、も ちろん保健医療の関係者、福祉の関係者は当然なのですが、社会的要因ということにな りますとほかの経済関係の話とか、今までこの問題についてかかわってこられた民間団 体とかに入っていただいて、まず県全体で議論していただくことをして、さらに必要が あれば、もっとこなれてくると個別ケースについてどう議論すべきか、お聞きしていて、 どの範囲まで考えるかとかそういう軸で考えることもいるのかなと思いました。 ○平山構成員 今の御指摘、本当にそのとおりだと思うのですが、それではそれに対し、 イニシアチブをとって施策をし、遂行し、あるいは法的にそれを考えていく全体を各地 域にだれがどういうふうにやるかということを、ぜひ国の責任者の方に考えていただき たいというのが私の意見です。私たちは民間でやっていますと現場からはなかなかそこ まで届かないから、ぜひそこら辺をきちんとやっていただくと、このプロジェクトはず っと進むのではないかと思いますが、いかがでしょうか。どういうふうにしたらいいか。 ○上田座長 この検討会で横断的ところをでどこまで書くかが一つの課題と思うので すが、いかがでしょうか。 ○清水(康)構成員 今、整理された手続というか考え方で地域にネットワークという か支援の輪を根づかせていくのだろうと思うのですが、そのあたりのモデルをこういう 検討会などでしっかりとつくってそれを国に提示するというやり方でないと、現場を知 らない人たちが会議に籠もって頭の中だけでやろうとしても、それはいざ現場へ根付か せようと思っても難しいわけなので、例えば警察を巻き込むのはどこまで可能なのかと いう実現可能性のことなども含めて、こういうところでしっかりと行政の方を交えて議 論をして、そしてモデルをつくり、行政を通して全国に根づかせて普及させていくこと になるのではないかと思います。 ○渡邉構成員 御指摘ありがとうございました。行政のレベルでそういう仕組みづくり、 青森県などでも、県のレベルでも連絡協議会など、いろいろな関係機関が集まっている けれども、市町村にもそういうところがあったり、でも必ずしも情報交換ができていな いとか、いずれにしても行政のレベルでの連携づくりも大事だけれども、もう一つはト ップダウンではなくて下からの動き、住民を育てるというか、民間の人たちから自然発 生的にいろいろな組織が出てくるわけなので、そういう民間の地域の力を育てていくと いう視点も大事かなと思います。 ○上田座長 御指摘の部分も含めてまとめたらどうかと思います。 ○清水(新)構成員 私が言おうとしたことの前に、今の御発言などに関連して一言し ゃべらせていただきますが、この領域では、時勢的というのでしょうかね、自然発生的 にはなかなか民間のネットワークは立ち上がってこないと思うのです。清水(康)さん のライフリンクなどはある意味では特殊な例だと思いますし、それもうまくいった例だ と思いますが。そういった意味で、私が先ほど指摘させていただいた公的なセクターが どういう役割を持つべきか、問題提起はそこなのです。最初の一蹴りでもいいと思いま す。ずうっと公がこれを支え続けるというのは、逆にいろいろな意味で弊害もあるし、 また、やれることではないと思います。そういった中で、最初の民の立ち上がりをどう やって公が支援できるかというところがポイントだと思っているのです。  そういった意味で、公というものが、特に自治体を中心にしてどういう役割を果たす べきか。これは渡邉先生が実際に実践で相当わかっていらっしゃると思いますが、民だ けではなかなか、別に民の力量を過小評価しているわけではないのですが、それを十分 生かすためにも、最初の一蹴りは何らかのこちらからの働きかけ、それは上からとかと いうことではなくて、一緒にやるという目線での働きかけは必要かなと思います。それ が一つです。少し余計なことも言わせていただきました。  もう一つは、(1)の基本的考え方でもよろしいですか。 ○上田座長 どうぞ。 ○清水(新)構成員 これは事務局でまた御議論していただければいいかなと思います が、基本的な問題が一つあると思います。ずっと厚生労働科学研究で自死遺族支援グル ープのところを分担してやってきまして思うことなのですが、自死遺族、あるいはこの 場合の遺族は幅広いものですが、自死遺族の方々の一番の苦悩というのは一つの自責感。 言うまでもないですよね。みずから自分のことを責める、みずから自分のことを悔やむ、 無力感にうちひしがれる。そういった自責感について、自死遺族支援の課題に私が取り 組んできて一番強く思いました。この自責感をどのように軽減できるのか、その自責感 を軽減した中でどのように語ることができるのか、悲しみを悲しむことができるのかと いうことが、自死遺族支援の一つの根本的な課題だと思っております。  その際に、自死遺族の方々から聞くと、自死遺族支援を防止対策にしてほしくないと いうちょっと意外な、えっと思うような発言をしばしば聞くのです。これは何かという と、余り単純に自死遺族のことを看板にして予防対策を語ってほしくないということも ありますが、もう一つは、自責の念をむしろかきたててしまうというのでしょうか、い ろいろなマニュアルが出ます。予防のサインがこうあるのだということがいわれます。 そしてWHOの資料、基本法にもあります。自殺は防げるのだ、予防可能だとメッセー ジが出ています。その中で、ましてマニュアルなどが出てしまうと、遺族の方は、それ でも私は自殺を防げなかったという、その予防可能というメッセージがブーメランのご とく自分たちにまた戻ってきてしまうのですね。このことについて随分と自死遺族の方 から危惧をお聞きしました。  そういった意味でこれは根本的な問題なのですが、私個人はそう思っておりますが、 自殺というのは完全に予防できないのだというスタンスに立っております。だけども、 結果としてゼロにするとか、2万2000にするとかそういう数値目標はありますが、結果 がすべてではなくてそのプロセスが大事だと思うのです。実際に予防できないケースも あるでしょう。だけども、そこにかかわったということ、何とか生きていてほしいのだ という気持ちでケースにかかわり支援してきた。しかし、残念な結果もあるでしょう。 でもそういうことが大事であって、結果で何人以下にするのだとか、これは今の社会全 体の傾向でもあると思いますが、すべて結果だ、途中のことを言うな、そういう社会風 潮もあると思いますが、自殺への取り組みはすごく消耗感が大きくて、一つ一つのプロ セスへのかかわりをもっともっと見つめる、評価すべきと思っております。  例えば自治体の職員の担当の方、労務管理の方、そして専門的にはうつの先生もそう ですね。患者さんとしてみていたのに逝かれてしまったときの医師という専門家として のショックと、ときには遺族の方から批判をされます。専門家なのに、みていて何をや っていたんだというような攻撃性にさらされることもあります。こういったことからし て私たちは、遺族もそうだし、それにかかわる専門家の人たちもそうですが、どこかで 完全に、私は自殺していいという意味ではないですよ、ここは誤解してほしくないので すが、ただ、どうにもならなくて最終的に残念な結果になるのだということは、これは 自殺大綱に基づく一つの検討会ですが、自死遺族支援という視点からすると、その1項 はすごく大切なメッセージになると思うのです。何とか工夫して、この指針づくりにそ のメッセージをどこかに入れてほしいと思うのです。  それは、これまでの自殺対策の整合性からするとちょっと違うぞ、自殺は予防できる といってきたではないか、という意見もあると思いますが、実は自治省でつくったマニ ュアルづくりに私も参加させてもらいましたが、そこでもう既に前例があります。そこ でもこの議論をさせていただいて、マニュアルをつくったのに、おまえ、何やってるん だ。国家公務員の自殺に対してのいろいろな健康管理、労務管理の担当者が、結局はマ ニュアルをつくったことによって苦しむのですね。マニュアルの功罪両面ですね。そう いったことも含めて自死遺族支援の対策には最大限努力していこう、だけども一種のど うにもならない自殺もあるのだというところを、これを私は自殺、自死の免責性といっ ていますけども、残された者がこれ以上苦しまないための一つのメッセージとして大事 だと思っております。そのことが基本的な考え方にもし盛り込めるようだったら、ぜひ 検討していただければと思います。 ○上田座長 ありがとうございました。予定の4時半が過ぎておりますが、どうしても 御発言したい方がいらっしゃいましたら。 ○伊藤構成員 きょう、診療報酬に関する中医協の資料をご紹介いただき、現在大事な 時期なので一言だけ申し上げたいのです。  中医協の資料で、心の問題を柱として取り上げられたというのは大変画期的なことで ありまして、関係者の御努力の結果なのだと思います。今回の議論の中で構成員の方か ら、まだ不十分である、課題があるという御指摘があり、ある面そのとおりだと思いま すが、その趣旨は、恐らくどの方も大切なステップであるが十分ではない、というメッ セージなのだろうと私は理解しております。私自身は、次のステップを考える上では今 回の中医協の論点は極めて重要だと思いますので、ぜひ盛り込まれるように関係者の皆 様にお願いをしたいというのが申し上げたい第1点です。  もう1点として、こういった経済的なインセンティブを付与する、または評価をする ことの必要性も、できれば報告書の中に盛り込んでいくような方法がないものかと思っ ております。御検討をよろしくお願いいたします。 ○上田座長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。  きょうは、各構成員の皆さんから貴重な御意見をいただきました。何度も申し上げま すが、これまでの議論と本日の議論を踏まえて報告書、きょうは骨子でしたが、次回、 事務局から報告書(案)ということで提案していただいて、それをもとに議論をしてい きたいと思っております。  事務局から、次回以降のことについて何かありましたら、よろしくお願いします。 ○名越課長補佐 本日いただきました意見を踏まえまして、報告書(案)の作成にかか りたいと思いますが、先ほど申しましたとおり、過不足の件につきましてはまだお持ち の意見がございましたら、引き続き事務局でお受けいたしますので、おおむね今週中ぐ らいをめどでいただければと思います。  次回の検討会でございますが、報告書(案)の作成を踏まえまして、来年1月ぐらい の開催の目途とさせていただきたいと思います。改めて日程調整をさせていただきます。 今度は事前に検討会の資料を送付させていただきまして、検討会の場では意見交換に集 中できる環境をつくりたいと思っておりますので、どうか次回の検討をよろしくお願い したいと思います。  事務局からは以上でございます。 ○上田座長 ありがとうございました。今、お話がありましたように、次回はできるだ け効果的に議論を行うために、事務局も大変でしょうけれど、なるべく早く案をつくっ ていただいて、事前に構成員の方に見ていただいて、そこで集中して行うことを考えて みましょうか。 ○清水(康)構成員 集中しても、事前に資料ももらえなくて2時間だけでここでバッ とやるのは無理だと思います。例えば公式なこういう会議でなくても、勉強会みたいな 形でも構わないので、非公式に集まれる方だけでも、テーマを区切って未遂者と遺族支 援とか支援策を議論していくというふうにやることはできないのでしょうか。 ○名越課長補佐 これまで、研究班の班会議で集まっていただいたような議論を参考に していただいた経緯もございますが、ただいまいただいた御提案を踏まえまして、メー ルで集会が可能かどうかというところを、皆様方に意見を伺ってみたいと思います。 ○上田座長 こうしましょう。次回の検討会には事前に案を皆さん方にお配りして、そ れを見た上で、検討会で議論していただく。さらには、今、清水(康)構成員がおっし ゃったようなことも踏まえて、さらにそういうことができるか、少し検討していただく ということでよろしいでしょうか。  それでは、長時間にわたりまして御熱心に御審議ありがとうございました。これをも ちまして本日の検討会を閉会いたします。 (了) 照会先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課障害保健係 03-5253-1111(3065)