07/10/29 地域医療支援中央会議 平成19年度第3回議事録         平成19年度 第3回地域医療支援中央会議 日時 平成19年10月29日(月) 18:00〜 場所 厚生労働省省議室(合同庁舎5号館9階) ○指導課長(佐藤)  ただいまから平成19年度第3回「地域医療支援中央会議」を開催させていただきま す。会議の開会に当たりまして、舛添厚生労働大臣からご挨拶申し上げます。 ○舛添厚生労働大臣  委員の皆様方には、ご多用のところをお集まりいただき、誠にありがとうございま す。また、平素は地域医療の確保のためにご努力いただいておりますことを、心から 感謝申し上げたいと思います。  私は8月27日に、この厚生労働大臣を拝命しました。2カ月でございます。この医 療行政を重要課題の1つとして取り組んでまいりました。ご承知の奈良県の妊産婦の 不幸な事件がありました。そういうこともありまして、千葉にも現実に視察してまい りましたし、それから知事さんたちの会合も持ちました。  この医師確保対策、これは常に国民に対して私は申し上げているところですけれど も、政府・与党が5月に「緊急医師確保対策」を取りまとめましたので、8月30日に 総務省、文科省及び厚生労働省の3省で、「緊急医師確保対策に関する取組」をまとめ まして、予算、それから診療報酬、制度の見直し、医学部の暫定的定員増など、具体 策を打ち出したところでございます。  このような取組の中で、本中央会議の役割は、都道府県が取り組む医師確保等の対 策の支援、それから地域医療に関する好事例や改善策を示して、広域的な視点での助 言となっております。都道府県の努力だけでは解決できない問題もございますので、 そういう、例えば緊急臨時的医師派遣につきましても、この場でご議論をいただけれ ばと思います。6月には、第1回目として北海道、岩手、栃木、和歌山、大分の6病 院への派遣が実現したところでございます。  実際に派遣を受け入れた病院に伺いますと、大変助かっているということで感謝を いただいているところでございます。これも皆様方にお願いしております、病院団体 をはじめ、派遣をしていただいた病院及び実際に診療に当たられた医師の皆様のご協 力の賜と重ねて御礼を申し上げます。  今日は限られた時間でございますけれども、引き続きご協力を賜りますことをお願 い申し上げます。本当にこの、いまいろいろな問題を厚生労働省は抱えています。年 金もそうです。それからいまC型肝炎、これも何とか解決したい。そういう中で、私 がもう就任以来、この医師不足、これは本当に各地域から何とかしてくれという声が 上がっています。国民一人ひとりの命を守る。そういうためにどうすれば、この医師 の確保、そして医療体制の整備ができるか。皆様方にじっくりご議論いただいて、ま たいい提言を賜りたいと思います。今日はどうも本当にありがとうございました。 ○指導課長  本日の委員の出席の状況でございます。事前に欠席の連絡をいただいておりますの が、全国医学部長病院長会議会長の大橋俊夫委員、独立行政法人国立病院機構理事長 の矢崎義雄委員です。また、幹事会から引き続き、鈴木英明委員の代理として、同じ く独立行政法人国立病院機構の山本光昭医療部長にご出席いただいております。  次にオブザーバーでございますが、総務省地域企業経営企画室の濱田省司室長から は、欠席のご連絡をいただいております。また、オブザーバーの代理でご出席いただ いている方を紹介いたしますと、全国衛生部長会の五十里明会長の代理として、同じ く全国衛生部長会副会長の川崎市健康福祉局医務監の坂元昇さんです。社団法人地域 医療振興協会の杉田義博理事の代理として、山田隆司常務理事です。  会議の開催に当たりまして、事務局から資料の確認をさせていただきます。 ○医療計画推進指導官(伊東)  本日ご用意させていただきました資料の構成です。資料1「緊急医師確保対策に関 する取組」、資料2「地方財政再建促進特別措置法施行規則の一部改正」、資料3「労働 者派遣法施行令等の検討状況」、資料4「都道府県等による医師確保の取組」、資料5 「へき地医療支援機構の概要」、資料6「第1回緊急臨時的医師派遣の実施状況」、資 料7「第2回緊急臨時的医師派遣の検討結果」、資料8「地域医療アドバイザー派遣の 検討結果」。また、参考資料として、地域医療支援中央会議及び同幹事会の設置要綱を 添付しています。資料の欠落等がございましたらお申し出いただきたいと思います。 ○久道座長  議事に入る前に、事務局の異動についてご紹介をお願いいたします。 ○医療計画推進指導官  事務局に変更がございましたので、ご紹介申し上げます。松谷の後任で、外口崇医 政局長です。白石の後任で、木倉敬之大臣官房審議官が就任しております。小林の後 任で、鬼窪悦生大臣官房参事官でございます。 ○久道座長  初めに報告事項です。医師確保対策の取組状況について、事務局から報告をお願い いたします。 ○総務課長  資料1、資料2、資料3について、私からご報告申し上げます。  資料1ですが、5月末に取りまとめた政府・与党の緊急医師確保対策に関連しまし て、厚生労働省として平成20年度の予算要求をしているものです。平成19年度は92 億でしたが、要求額は160億円で、74%増の要求をしています。年末の予算編成に向 けて努力を続けているところです。詳細につきましては、お目通しいただければと思 います。  資料1の4頁です。6で、医師不足地域についての医師の養成の推進ということで、 大学の医学部の定員増も、文部科学省と協力して容認していこうと入れています。  資料2「地方財政再建促進特別措置法施行規則の一部改正」です。これについては、 総務省のご協力をいただきまして、すでに総務省で省令の改正・公布をいただいてい るところです。これは国立病院機構が医師を医師不足の病院に派遣する場合に、派遣 先の病院から一定の給与等の相当分の負担をしていただけるという形のものです。こ れまでは、国ないしは国に相当する機関については、地方公共団体から費用の負担を いただくことはできないようなことでしたが、そういったことをしていただける形に 改正いただいたものです。これまで国立大学法人につきましては、このようなことが できたのですが、国立病院機構についてはできませんでしたが、これについてできる ようにしていただきました。それによりまして、国立病院機構が、そういった病院へ の医師を派遣していくことが容易になっていくと考えているところです。  資料3は労働者派遣制度の見直しです。これまで医療関連業務については、原則と して派遣という仕組みはできないとなっています。一部、へき地あるいは産休、育休 といった間の分については、例外が認められておりましたが、今回こういった緊急医 師派遣のスキームをとっていく場合に、医師が不足病院へ行くといった場合に、1人 の医師に行っていただく場合ばかりではありません。現に緊急医師派遣で行っていた だいたケースをご覧いただきましても、ローテートで1週間とか、2週間といった形 で、交代で行っていただくようなケースもございます。  そういった場合に、いちいち元いた病院をお辞めになって、行った先で雇用される というような形では、現実に難しいケースもございます。そういったことで、派遣と いう形で、元いた病院の雇用関係をそのまま保ちながら、行った先で勤務に就くとい った形ができるようにしたいということで、労働政策審議会の労働力需給制度部会で ご審議をいただいた結果、去る10月15日に、こういった医療分野についての医師派 遣は原則として禁止ですが、ここの資料の2頁の下のほうにございます「地域医療の 確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等」、こういった分に限り ましては、派遣という形でも認めていこうと、例外扱いしていこうという方向の意見 をまとめていただいたところでして、今後そういった方向での労働者派遣法の施行令 の改正が予定されているところです。以上です。 ○医療計画推進指導官  続きまして資料4「都道府県等による医師確保の取組」の説明です。医療対策協議 会といったものが、本年4月1日から法定化となっていまして、病院関係者以外にお いても、地域住民あるいは関係市町村などで構成される形になっています。  内容としては、どの地域にどれだけの医療に対するニーズがあるかといった分析、 派遣調整をやっていただいております。具体的な取組は3頁から3枚にわたって、各 県の状況を一覧表にしてまとめています。詳細は省かせていただきますが、取組とし ては、医師の派遣調整、ドクターバンク、奨学金の貸与事業についての取組が行われ ているのが現状です。  資料5です。前回座長よりご質問のありました、都道府県におけるへき地医療支援 機構に対する状況です。2頁で、へき地医療支援機構です。この事業の実施主体は都 道府県となっています。具体的には、へき地診療所などへの医療従事者の派遣要請に 関すること、へき地医療拠点病院における巡回診療の実施に関すること、診療所など への医師の派遣を実施することを、都道府県が実施する「へき地医療支援機構」で、 会議、調整をやっていただいています。  具体的には4、5頁にまとめていますが、実施主体としては県庁に設置してあります。 このうち4カ所の県については「へき地なし」、4カ所については「未定」、検討中と なっていまして、現在39カ所に設置しています。したがいまして、このへき地医療支 援機構による医師派遣も行われている現状をご報告させていただきます。以上です。 ○久道座長  ただいま資料5までの説明をいただきました。委員の方々から、何かご質問はござ いますか、よろしいでしょうか。前に進みます。議題に入ります。(1)緊急臨時的医 師派遣についてです。まず、第1回医師派遣の実施状況について、事務局から説明を お願いします。 ○医療計画推進指導官  資料6をご覧ください、2頁です。先ほどの大臣のご挨拶にありましたとおり、5 月31日に政府・与党で「緊急医師確保対策」を取りまとめ、6月11日の前回の「地 域医療支援中央会議」において、この枠組みを了承していただきました。幹事会を6 月26日に開催し、関係団体のご協力をいただきまして、第1回目の医師派遣を実施し ています。医師派遣については、7月1日に栃木県・大田原赤十字病院への内科医の 派遣を皮切りに、6つの病院について、すべて医師を派遣している状況です。  6月26日の幹事会の次の日の27日に、総理官邸におきまして、総理ご出席の下、 激励会を実施していただいています。また、派遣後も、私どもがその状況を確認、フ ォローアップさせていただいておりまして、今後、派遣医師あるいは派遣元の病院、 派遣元団体といった、ご協力いただいたところに対して、大臣による感謝状の授与を 考えております。  具体的には4頁ですが、先ほど申し上げましたとおり、5つの道県、6カ所の病院に 医師が派遣されたということで、本日はこのうち、北海道、和歌山県から、この状況 をご報告いただくことになっております。その他の県についても、資料をそれぞれ添 付しています。大臣のご挨拶にもありましたとおり、その後、地域医療の確保につい て、いろいろ県で取組が始まった、あるいは分娩の再開があったといった形で貢献し ていると考えています。その状況について、一部の例ではありますが、北海道、和歌 山県からご報告をいただきたいと考えています。以上です。 ○久道座長  引き続き、第1回医師派遣の該当県から、派遣実施後の状況について報告を受けた いと思います。資料は6の5頁からです。なお、本日は時間の関係から、第1回目の 派遣先のうち、北海道と和歌山県から報告を受けます。まず北海道から報告をしてい ただきます。質疑応答を含めて10分程度でお願いします。よろしくお願いします。 ○北海道  北海道でございます。岩内協会病院に対する医師派遣の経過について、ご報告いた します。  まず初めに、この度は岩内協会病院に対しまして、緊急臨時的に医師派遣をいただ きましたことにつきまして、本中央会議の委員の皆様をはじめ、派遣元であります全 国社会保険協会連合会と、実際の派遣をいただいております社会保険病院、並びに派 遣にご尽力をいただきました厚生労働省の皆様に、この場をお借りいたしまして、厚 く御礼を申し上げます。  資料6の5頁からですが、この度派遣をいただいております岩内協会病院は、医療 法に規定をいたします日赤、厚生連等と同様の、公的医療機関の開設者であります社 会福祉法人北海道社会事業協会により、昭和14年に設置された病院で、以来今日まで 地域の中核的医療機関としての役割を果たしてきたところです。  当該病院では、従来4名の内科医がいたのですが、大学からの医師派遣の中止と相 次ぐ退職によりまして、今年5月に内科医師が不在となったところです。このため、 先般、緊急臨時的に医師の派遣をお願いさせていただき、全国社会保険協会連合会か ら、資料5頁の表にありますとおり、7月29日から6カ月間、1週間ないし2週間の ローテーションで、全国の社会保険病院から内科医師の派遣をいただいているところ です。  6頁に記載していますが、この度の派遣によりまして岩内協会病院では、内科医が 常勤体制になったことによりまして、入院・外来診療について、ともに患者数が従前 に比べて増加したほか、外来診療におきましては、内科外来の待ち時間の短縮や夜間・ 休日など、急患への対応が可能となっております。  また、入院診療におきましても、近隣の医療機関からの紹介患者も含めて、入院患 者を受け入れることができ、また病棟回診もきめ細かに行うことができているなど、 病院はもとより地域の患者にとりまして、大変大きな効果が上がっております。  派遣をいただいております内科医の皆様には、外来診療と内科病棟診療のほかにも、 宿直や救急対応も行っていただいておりまして、6頁の中段の3の「派遣医師の診療 状況等」にありますとおり、現在まで延べ1,492人の外来患者を診ていただいている ほか、入院も新たに69人を受け入れることができるようになり、さらには胃カメラや 大腸カメラなどの治療も行っていただいております。  当該地域におきましては、岩内協会病院ですべて対応していた、休日・夜間の救急 患者につきまして、地域の医師会の協力が得られるようになりまして、輪番で実施す るなど、勤務医の負担軽減についても地域を挙げて取り組んでいるところです。道と いたしましても、下段の4にありますとおり、今後の地域での医療連携体制の整備を 進めるための、自治体病院等の広域化・連携構想につきまして、検討を進めていると ころでございます。  次に今後の対策につきましては7頁の5にあるとおり、岩内協会病院におきまして は、内科医師2名の招聘に向けた交渉を進めているほか、ホームページや医療紹介ネ ットなどを利用した医師募集活動に継続して取り組んでおります。道といたしまして も、北海道地域医療振興財団のドクターバンクを通した勤務医師の募集や、登録医に 対する勤務の働き掛けを行うとともに、地域への医療支援につきまして、協力を引き 続きお願いしてまいりたいと考えております。  また、先ほども申し上げましたが、道では医対協におきまして、自治体病院等の広 域化・連携構想を検討中であります。岩内町周辺地域につきましては、その受療動向 や医療機能、地理的関係などを踏まえまして、岩内協会病院を中核病院とする3町3 村による連携区域の叩き台として示していきたいと考えているところです。  最後になりますが、派遣をいただいている医師の皆様のお蔭をもちまして、岩内圏 域の地域医療を確保することができたところでございます。改めまして、勤務をいた だいた医師の皆様や全国社会保険協会連合会をはじめ、中央会議の皆様に対し御礼を 申し上げますとともに、この度の緊急臨時的派遣を契機といたしまして、これからの 地域での医療提供体制の整備に向けて、道内関係機関が連携して取り組んでまいりた いと考えておりますので、今後ともご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げ まして、ご報告とさせていただきます。ありがとうございました。 ○久道座長  委員の方から、ご質問はございますか。私からですが、派遣されたドクターたちの 感想とか、この地域の医療の状況だとか、自分たちの仕事としてどうなのか、という 意見は聴取されておりませんか。 ○北海道  派遣期間が1週間ないし2週間の短期間という状況もございまして、今後岩内協会 病院に勤務いただくとした場合の、岩内協会病院の体制なり、医療連携のあり方等に ついても、ご意見を伺った機会がございました。  ただ、短期間の派遣ということがあり、なおかつ医師が1人、本人がそこでずっと 勤務されるかどうかにつきましては、医師1名の体制では診療についても充実させて いくことができない状況で、医師確保に向けた、複数体制に向けての診療体制を、今 後地域の医療機関とも協力しながら作っていただければ、それなりに適切な効果的な 医療が提供できるのではないかということをご指摘いただいています。 ○久道座長  どうぞ。 ○医療放射線管理専門官(徳本)  医政局指導課です。私自身が岩内病院へ行きまして、派遣された医師と話をしてき ました。私が行ったときには、3年目ぐらいのお若い先生が派遣されていまして、1 週間の任期が終わるところのご意見を聞きました。お若い先生ですので、お一人で派 遣されて寂しいという気持はあったようですが、その地域として内科医師のニーズは あるだろうと。ただ1人でできることはある程度限られているので、今後地域との連 携は進める必要があるというご意見は賜ってまいりました。 ○久道座長  内科といっても、消化器だったり、循環器だったり、血液だったり、週変わりとい うか、変わりますよね。患者の戸惑いなどはありませんでしたか。 ○北海道  医師が1、2週間で変わられるということで、落ち着いた人間関係を結ぶという部分 では、少し患者に戸惑いがあったとは聞いていますが、特に診療科目によって不都合 があったという話は聞いておりません。 ○久道座長  ほかに質問はよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。続きまして和 歌山県からお願いいたします。 ○和歌山  最初に、今回の医師派遣に当たりましては、地域医療支援中央会議の委員の皆様、 また厚生労働省ほか関係省庁の皆様方には、格別のご配慮、ご支援をいただいたとこ ろでございまして、心から御礼申し上げたいと思います。  今回医師派遣を受けましたのは、和歌山県の南東端に位置します、二次医療圏では 新宮保健医療圏と申しますが、そこの基幹的な公的病院で新宮市立医療センターです。 産婦人科医師1名を、平成19年9月1日から6カ月間の期間派遣を決定していただい たところです。  当該医療機関につきましては、年間400件の分娩を取り扱っている医療機関で、産 婦人科医が2名常勤の体制を敷いておりましたが、そのうちの1名の医師が9月末で 退職することを受けまして、10月以降の分娩の休止を公表していたところですが、今 回の派遣を受けたところ、引き続き分娩を行うことが可能となり、関係自治体あるい は市民等にその旨を周知した上で、10月からも引き続き産婦人科診療を行っていると ころでございます。  派遣医師については、平成19年9月1日に着任以降、退職する予定の医師と順次患 者の申し送り、引継ぎ等を行うかたわら、18日には初めて手術の立会、9月20日には 外来診療を開始するなど、豊かな診療経験を活かされまして、いわゆる即戦力として 診療活動に貢献していただいているところです。夜間につきましては、同僚医師とオ ンコール体制を交代で取っているところで、随時手術も行うなど、すでに相当程度の 実績を上げていただいているところです。  当該医療機関におきましては、こうした診療体制が継続することも踏まえながら、 引き続き産婦人科医師等の医師確保に努めているところで、関西圏の国公立大学法人、 私立大学等、関係大学への医師派遣要請。またパート勤務等を行っている個人の産婦 人科医師などの情報収集や、個別の面会、勤務依頼なども平行して行っているところ であり、またインターネット等を通じて広く医師募集をしているところです。現在の 2名の医師につきましては、夜間分娩を取り扱った場合の出産手当につきまして、若 干の引上げ等も行うなど、勤務環境の改善に努めているところです。  県としましても、当該医療機関の取組を、特に個別の医師への働き掛けや情報収集 なども含めて支援しているところですが、併せて県下の医師確保の体制の仕組みづく りを進めているところです。具体的には、医療対策協議会の特別委員会におきまして、 医師確保に係るマスタープランの協議をさせていただきましたり、県立医科大学にお ける緊急臨時的な医師派遣の仕組みの可能性などについても、協議を行っているとこ ろです。  当該医療圏が三重県と近接していることなどから、紀伊半島の3県の連絡会議、こ れは知事レベルのものですが、そうした県境域における医療連携、具体的には患者紹 介や医療体制の集約化、重点化の可能性などについて協議を行っているところです。 また、当該医療圏ほか、県下の医療機関の基幹病院等を中心とした医療機能の分担、 資源の集約について協議を進めているところです。  当該医療圏の医療機関の経営などについて、直接専門的な助言をいただくために、 地域医療アドバイザーの派遣要請を中央会議に対して要請させていただいたところで す。  県としましては、今後医師派遣を受けました当該病院を、関係自治体とも連携を図 りながら適切に支援してまいりたいと思います。引き続きのご支援、ご指導等をお願 い申し上げまして、経過報告を終わらせていただきます。 ○久道座長  ご質問はございますか。 ○小山田委員  大変ありがたい支援で感謝しておりますが、この方はずっと長く勤務してもらうわ けにはいかないのですか。緊急、短期ということですけれども、応募によって来られ たので、これはこの期間内だけで、あとは駄目なのですか。 ○医療計画推進指導官  この方は応募によって来ていただきました。現在6カ月という形のもので行ってい ただいております。今後については、このドクターを踏まえた協議が必要だと考えて います。まだ行って2、3カ月ですので、そういう話はまだやっておりませんが、そこ は個人の意見というものも尊重しなければならないと考えていまして、和歌山県、当 該病院、当該医師と私どもの話合いをやっていきたいと考えています。 ○久道座長  分娩を再開したのは、来る前に「分娩をやっていただけますか」という決め方をし たのですか、それとも来てから分娩をやることにしたのですか。1人ですよね。 ○医療計画推進指導官  私がこの新宮医療センターを見てまいりましたものですから、この医師派遣をする 前、10月から医師が1名減るということで、分娩中止をしますという広報を当該病院 が2月にやっておりました。そういった中で、何とか医師確保ということで動いて、 私どもに要請があったわけです。9月からドクターに来ていただけるということがす べて終わった段階で、分娩を再開するということを当該病院が改めて広報し直したと いうことで、結局分娩を中断することなく、引き続き医療が確保できたという事例で す。 ○久道座長  ほかにどうでしょうか、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。次 の議題です。(2)第2回医師派遣の検討結果です。この検討結果については、今日行 われた幹事会での説明を近藤幹事会長からお願いします。 ○幹事会長(近藤)  第2回緊急臨時的医師派遣の検討結果についてご説明します。下のほうに報告事例 がございます。これにつきましては、ここに記載のとおり、新宮、那智勝浦町立温泉 病院から内科医1名ということで派遣要請があったのですが、同時に当該病院の努力 及び厚生労働省の要請等で、近畿大学医学部から1名を10月1日から派遣してくださ るということがございまして、この内容等につきましては、そういう事例があったと いうことで報告という形になり、当該病院の状況についての説明はございませんでし た。  あと上段の2件ですが、これについてはそれぞれ事前の状況の調整等は行われてい たのですが、まだ派遣の日時は決定していないということで、この当幹事会に審査と いう形で上げられてきたものです。  1件は留萌市立病院で、標榜診療科としては循環器科1名、脳神経外科3名、外科1 名です。留萌医療圏についてはかなり広い医療圏で、その中の唯一と言えるような基 幹病院ですが、現在医師確保ができないということで、診療科の閉鎖等、また苦労を されているということで、いずれについても必要性があるという結論に至りました。 その後、この対応について説明を求めましたところ、本委員会の委員の小山田委員等 の調整も入りまして、市立旭川病院から循環器科医1名を週2回、11月から5カ月程 度派遣できる旨の報告がありました。  2番目は、市立根室病院の産婦人科医1名です。根室医療圏につきましては、先ほ ど新宮の医療圏で産科医がいないということでしたが、根室医療圏においても、常勤 医は中標別病院と別海病院に1名のみで、根室ではお産ができない状況がありました。 根室市立病院としては、1名でもということで要望があったものです。  これに対して委員から、産婦人科医1名ということであれば、今後はそれが長続き するということがないので、さらなる増員要請またはいずれ産科についての再編があ るので、とりあえずはこの1名は必ず必要ではあるが、いずれは再編等について、派 遣をされたあと道の対策協議会において検討してほしいというような意見がございま した。これにつきましては、先ほどの新宮の報告がありましたように、派遣されたあ とにそういう報告をしていただきたいと考えています。以上、今回は報告を含めまし て、3件の医師派遣が実現するという見込みになりました。 ○久道座長  ただいまの説明に対して、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。小山田先生、 全自病(全国自治体病院協議会)ではこういった留萌市立病院を支援すると、検討す る組織などはつくったのですか。 ○小山田委員  こういう立場から、全国あるいは各地方会議で、まずその地域でいちばん状況のわ かっている自治体病院間で調整できないかということをやってほしい。そして、それ を都道府県でつくっていただいた地域医療対策協議会で十分に練って、まずはその地 域での、自治体病院でありますと集約、再編、統合ネットワークの構築をやってほし いと言っているのですが、なかなかそれは難しいのです。  ただ、今回は厚生労働省の努力もあったけれども、うまくこういうことができまし たので、私からは先ほどの幹事会でもお願いしましたけれども、この中央会議にかけ る前に、都道府県で関係者が一堂に会して、どこに集約化するとか、1人の産婦人科 医でいいのかということを、徹底的にそこで意見を集約してほしいという考えでござ います。 ○久道座長  同じ圏内で病院間で協力するというよりも、むしろ医者を取り合ったり、引き抜い たりというのが現実としてはあると思うのです。厚労省の事務局に、いまのような話 で非常にいい例は情報として入っていますか。 ○医療計画推進指導官  この留萌市立病院ですが、今回いちばん優先度が高いのが循環器科医という形で、 派遣してほしいという要請がありました。実はこの病院は、近くの県立病院に対して、 小児科医を週に何回か派遣しているとか、この病院も逆にほかの医療機関に協力して いる診療科もございます。自治体病院間でもお互いの話合いの下、こういう協力体制 がとれているところはあると考えておりますが、今回のものは、全体で自治体病院間 でどれぐらい協力しているかというのは、調べておりません。本日上がってきた留萌 市立病院ではそのような応援体制をやっているし、逆にまた応援も受けたいという要 請でした。 ○久道座長  ほかにございませんか、よろしいですか。また何かありましたら、ご意見なり、ご 質問していただきたいと思います。先に進みます。議題2「地域医療アドバイザーの 派遣について」です。最初にアドバイザーの目的等について確認したいと思いますの で、事務局から説明をお願いします。 ○医療計画推進指導官  資料8をご覧ください。簡単にご説明します。地域医療アドバイザー派遣事業につ いてです。これは本年度第1回、第2回の中央会議でもご報告申し上げましたように、 地域医療の確保及び医師確保に取り組む都道府県を支援するために、アドバイザーを 派遣するといったものです。具体的には、問題となっている医療圏の医療連携、医師 確保の取組といったものについて話し合っていただくものについて、アドバイスする ものです。アドバイザーの派遣事業の概要については以上です。 ○久道座長  次に近藤幹事会長から、今回のアドバイザー派遣の検討結果について、説明をお願 いします。 ○幹事会長  ご報告します。今回はすでに第1回で緊急的医師派遣をしていた病院の地域から、 それぞれの県からの要請がございました。県としては、岩手県、和歌山県、大分県。 医療圏としては、気仙、宮古、新宮、竹田直入です。アドバイザーとしては、岩手県 からは、先ほどアドバイザーに追加してご了解をいただいた舘野政也先生、和歌山に ついては武藤正樹先生、大分県については尾形裕也先生ということで、ご了解いただ きました。  なお、このアドバイザーにつきまして、ここにお配りした「アドバイザー派遣要請 の理由」というのがありまして、これについてはほぼ同じような文書が書かれている わけですが、できるだけアドバイザーの意見が実効あるためには、要請する側がこの アドバイザーに何を期待するのか、どういうことを聞きたいのかを絞って、事前にア ドバイザーと連絡をして、効果を上げてほしいという意見がございました。そういう ご意見を踏まえて、このお三方に実際に行っていただく、派遣を了承したとなりまし た。以上です。 ○久道座長  ご質問はございますか、よろしいでしょうか。この件については異論がないとしま す。  戻りますが、審議事項の1で、第2回の医師派遣の検討の結果を報告して、皆さん にこのとおりでよろしいかというお諮りをしていませんので、遡りますが、幹事長報 告のとおりに、第2回の派遣についてはこのようにさせていただきたいと思いますが、 よろしいでしょうか。                   (了承) ○久道座長  どうもありがとうございました。この機会にご意見があれば、皆さんからお出しい ただければと思いますが、何かございますか。派遣元の機関の方で代理の方もいらっ しゃいますが、何か問題はないでしょうか。国立病院機構から何かございませんか。 ○山本参考人  特にありません。 ○指導課長  一言だけご報告させていただきます。緊急臨時的医師派遣という事案の特殊性とか、 委員の先生方は遠方から足をお運びいただいているという事情から、幹事会について も、できるだけ回数をあまり多く取らずにということで、できる限り私ども事務局と、 お見えになっている委員の先生あるいは委員の先生が所属されている団体と、事前に 調整して幹事会を図るという形でこの2回はやってまいりましたが、十分幹事会で議 論をした上でというご意見がありましたので、幹事会長ともよく相談をいたしますが、 とりあえずの案としましては、幹事会をもう少し頻繁に開催をする。その上でご異論 があれば、あるいは申請書を出している都道府県に対してご意見があれば、そのご意 見を承って、また都道府県が申請書類を出し直すとか、あるいは追加報告をするとい う形で、少し時間をかけて、手間を掛けて幹事会を開催するという方向が考えられる のかと思っています。報告でございます。 ○久道座長  特になければ終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは本日の地域 医療支援中央会議を終了します。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省医政局指導課     計画係(桑原)、指導係(中根) 電話 :03-5253-1111(内線2557)