07/10/19 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第2回議事録       第2回これからの地域福祉のあり方に関する研究会議事録 開催日:平成19年10月19日(金)10:00〜12:00   場 所:KKRホテル東京10階 瑞宝の間 ○大橋座長  おはようございます。定刻の10時になりましたので、貴重な時間ですのではじめさせてい ただきたいと思います。第2回のこれからの地域福祉のあり方に関する研究会に大変お忙し い中をご参席いただきましてありがとうございました。心から厚くお礼を申し上げます。前 回は第1回目ということで皆様方が地域福祉に関して思っていることをお話しいただいたわ けでございまして、本格的に今日から現状分析も含めて話を進めさせていただきたいと思っ ております。「これからの」ということでございますから、あまり既存の、規制の枠組みに とらわれずに少し大胆なご意見も含めていただきながら進めさせていただきたいと思ってお りますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは委員の出席状況の確認を事務局からご報告いただきたいと思います。よろしくお 願いします。 ○事務局  おはようございます。本日は委員全員出席でございます。ただし和田委員につきましては、 電車の関係で遅れているという連絡が入っております。  あわせて資料の確認をさせていただければと思います。上から議事次第、座席表、資料1、 資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7、資料8、最後は議事録ということで資 料9になってございます。ご確認いただければと思います。 ○大橋座長  それでは早速入りますが、事務局で、前回公務で来られませんでした雇用均等・児童家庭 局の高倉総務課長さんがお見えでございます。それから中村部長さんも今回初めてでござい ます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、第1回の研究会に公務でご出席できませんでした金井委員と河西委員が今日は ご出席いただいていますので、前回皆さんから意見をお聞きしましたので、自己紹介を兼ね て一言ずつ地域福祉に対する思いとか現状の課題とか、そんなことでお話をいただければと 思っております。それではまず、横浜市鶴見区平安町の町内会長をされている河西委員の方 からよろしくお願いいたします。 ○河西委員  皆さんこんにちは。横浜市鶴見区平安町というところからまいりました河西と申します。 よろしくお願いいたします。  私は福祉の方を始めて20年ぐらいになりますが、私のスタンスといいますか立ち位置は、 平安町の町がバッターボックスだと思っております。そしてダイヤモンドが鶴見区かな、横 浜市は外野になるかな、今日のような集まりはホームランかなという感覚で福祉を進めてま いりました。そうしましたら、つい一昨日ですけれども、JICAの方から、アフガニスタ ンの行政官のまちづくりの視察をぜひ受け入れてほしいというお話がありまして、11名の方 をご案内したところでございます。  今日のような場も実は私には不向きなところですけれども、地についた活動といいますか、 町活動の中ではお話しできるかなと。お役に立てればということで出席させていただいてお ります。  今お話ししましたように町の中での問題ですけれども、鶴見区では健康づくり月間という ことで10月は行っていますけれども、その中でいざというとき、いわゆる要援護者の対処に なりますけれども「いざそのときみんなで支える命と心」という題で、昨日シンポジウムを 開きました。  その中でも、要援護者の救援体制をどうマニュアル化していくかということで非常に論議 がわいたところでございます。個人支援体制ということでよく言われておりますけれども、 私どもは集団支援体制というものを確立していこうということでお話をしたところでござい ます。これは災害時あるいは非常時に行うのですけれども、それには日常の支援体制、見守 り体制、これが大切だなと。そして安否確認につながっていくということで、日常の近隣で の見守り体制それから支援体制というものをどう築き上げ、そして近隣との顔の見える関係、 密接なつながりをどう築いていくかということが災害時にも役立つし、また防犯にもつながっ ていくのではないかということで今進めているところでございます。よろしくお願いいたし ます。 ○大橋座長  ありがとうございました。それでは続きまして、東京大学大学院法学政治学研究科教授の 金井委員さんよろしくお願いいたします。 ○金井委員 おはようございます。東京大学の金井でございます。前回はたしか講義と重なっ ていて会議は欠席させていただきました。大学も法人化以来だんだん仕事がきつくなってま いりまして、こういう研究会に時間をつくるということも非常に困難な状況になっておりま す。今日はたまたま午前中だったのでこうして来られたのですが、午後は1時10分から講義 がありますので直ちに帰らなければならないということで、本業ですから当たり前といえば 当たり前ですが、むしろこっちに来ている方が本業ではないと言われればそれまでなのです が、そういうことで時間のやりくり上いろいろご迷惑をおかけするかもしれませんけれども できる範囲で頑張ってまいりたいと思います。  私は専門が、行政学のうち特に地方公共団体といいますか、我々の業界では普通自治体と 単純に呼ぶわけですけれども、自治体における行政というものを主として研究、教育してお ります。その中では福祉の分野だけではなくて幅広いどのような分野でも、現在同じように リソースといいますか特に財源を中心とするものが限られてきているという中で、行政が自 らのリソースができない場合に大体地域における資源――地域資源という言い方をしますけ れども、地域資源を何とかうまく使って公共的なサービスを効率的、効果的にできないかと いう話が出てくるということで、大まかな発想は非常によく理解できるわけです。  ただ私が非常に関心を持っているのは、その地域資源に注目するということが非常に極端 に振れる。一方では地域資源にあるものを行政側がうまく使ってやろうと思って資源の収奪 あるいは摩滅につながっていく。いわゆる疲れるとよくNPOの方がおっしゃるような現象 が出ている。つまり資源が増えないで、税金は取りませんけれども地域にある資源をどんど ん収奪していっている、疲れがたまっているというのが一方であるとともに、他方でこうい う民間団体と協力して公共的サービスをやっていきますと、ある意味で利権的なものが発生 してくる。資源はなくならないけれども、それは非常に固定化、既得権化していくという両 極端に流れやすくて、通常我々が期待している疲れもしないけれども利権にもならないとい う望ましい公共サービスのための地域資源の使い方、あるいは地域資源の循環ということが なかなか簡単ではないというところを日々目にしております。  そういう意味で、地域福祉という分野に関してうまい形での地域資源の健全な循環という ものを考えていくことができればと思いますので、ぜひいろいろ勉強させていただければと 思います。よろしくお願いします。 ○大橋座長  ありがとうございました。いよいよ今日から、これからの地域福祉のあり方に関する研究 会の本格的な論議を進めるわけですが、前回の論議を受けて事務局と少し相談をさせていた だきまして、12月までのスケジュールを資料1のとおりにつくってみました。これについて 事務局の方からご説明をよろしくお願いいたします。 ○中村企画官  まず第2回本日でございますが「地域福祉が取り組むべき課題〜地域の要支援者について」 というテーマで、報告といたしましては、厚生労働省より地域の現状と課題、高齢者虐待・ 孤立死の問題、児童虐待についてご報告させていただきますとともに、釧路地区たんぽぽの 会代表の岩渕様にお越しいただきましてお話を伺うこととしております。また既存施策のレ ビューといたしましては、社会福祉協議会として全国社会福祉協議会地域福祉部長の渋谷様 からお話を伺うこととしております。  次回第3回でございますが、テーマといたしましては「地域の要支援者への支援のあり方 について」ということで、本日ご議論いただきました課題についてどのような視点で、ある いはどのような内容の支援をすべきなのかということについてご議論いただければと存じま す。既存施策のレビューといたしましては、民生委員・児童委員を予定しております。なお 報告者あるいは報告内容につきましては現在調整中でございます。  第4回でございますが、テーマといたしましては「地域福祉を進めるためのシステムのあ り方について」ということで、第3回でご議論いただきました支援をどのようなシステムで 行っていくべきかということについてご議論いただければと存じます。既存施策のレビュー といたしましては福祉サービス利用援助事業、また地域福祉計画についてのレビューを予定 しております。  第5回でございますが「住民参加の推進について」というテーマで、住民の方々の力をど のように発揮していただくのかということについてご議論賜れればと存じます。既存施策の レビューといたしましてはボランティアを予定しております。  第6回でございますが、テーマといたしましては「地域福祉活動を支える財源等について」 ということで、既存施策のレビューといたしましては共同募金、生活福祉資金についてお願 いできればと考えております。以上でございます。 ○大橋座長  ありがとうございました。これについて何かご質問、ご意見がございましょうか。 ○木原委員  第7回以降もなるべく早く予定を決めていただくと助かるのですが。 ○大橋座長  日程ですね。わかりました。それではできるだけ早くまた調整させていただいて連絡いた しますので、よろしくお願いいたします。  とりあえずこういうことでよろしゅうございましょうか。先ほど金井委員さんが言われま したように今大学も大学評価で15回の授業をやらなければいけないという大変厳しい状況の 中でなかなか出にくいかと思いますが、どうぞやりくりをしていただければと思います。よ ろしくお願いいたします。それではとりあえず事務局と相談させていただいたこのスケジュ ールで進めたいということですので、よろしくお願いいたします。  今日は、この資料1に書いてございます地域福祉が取り組むべき課題、地域の要支援者に ついて話をこれから進めさせていただきますが、どうしても私ども社会福祉関係者は地域福 祉というとすぐ社協とか民生委員とか共募となりがちでございますが、この研究会はこれか らの地域福祉のあり方ということですからもう少し広く、先ほど金井委員さんも言われまし たけれども、新しい公共の考え方が出てきていると思うんですね。NPOの問題だとか、あ るいはこの間の寄附条例を持っている自治体が増えてきたとか、そんなことを考えると共募 だけではなくてもっと広く考えてみる必要もあるのかもしれません。ふるさと納税の問題と か、あるいは生活協同組合の問題とかいろいろあるかと思いますので、その辺も少し意識し てこれからどうあったらいいかというご発言をいただければありがたいと思っております。  ただそうは言いましても全く何もなくて抽象的な論議をするわけにいきませんから、とり あえず既存の状況はどうなっているかということについて事務局の方で資料をつくっていた だきましたので、それを最初に簡単にご報告いただいて、あと社会福祉協議会なり、あるい は実践されている方々に、どういう状況かということでお話ししていただきたいと思ってお ります。  従いまして今日の進め方でございますが、前半は今後の地域福祉の取り組むべき課題を明 らかにすることをテーマに、厚生労働省の関係部局よりテーマに沿った現状と課題について 各々5分ぐらいご報告いただきたいと思います。  その後、釧路地区のたんぽぽの会の岩渕代表に今日駆けつけていただきましたので、岩渕 さんに、孤独死の問題あるいは認知症の問題等を含めてお話をいただければありがたいとい うことでございます。  それから後半部分につきましては、既存施策のレビューとして全国社会福祉協議会の地域 福祉部長の渋谷篤男さんに来ていただいておりますので、渋谷さんの方から現在の社会福祉 協議会の状況等についてご説明をいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願 いいたします。  それでは早速でございますが、社会・援護局の地域福祉課より状況説明をいただきたいと 思います。 ○中村企画官  資料2をお願いいたします。地域の現状と課題、地域において対応が求められている問題 についてでございます。1ページ目をお開きください。  1ページ目は、前回の研究会でいただきましたご意見から、地域で問題となっている生活 課題や対象について私どもでまとめさせていただいたものでございます。ごみ出しや電球交 換のようなちょっとしたことの手助け。認知症高齢者等の見守りのみでの長時間の対応。入 退院時や一時帰宅時のケア。冠婚葬祭や意欲向上のための外出など、必要性の判断が分かれ るような要請への対応。周りとうまくいかない人や周囲が迷惑と感じる人への対応。介護に 追われているなど地域との関係を持つ余裕自体のない人への対応。コミュニケーションが難 しい人、自分で自分の生活を壊してしまう人、虐待している自覚のない人に対する対応。男 性の自立の問題ということで、家事ができない、あるいはひとり暮らしになると生活ができ ないという男性に対してどう対応すべきか。外国人労働者への対応。日本人と同様に生活課 題を持っているけれども同時に労働問題にも規定されており問題が複合化しているという方 々でございます。要介護者と精神障害者、DVと子供というような複合的な課題のある世帯 に対し、責任を持って複数の制度を組み合わせる人がおらず、一つの家庭を支えきれないと いう問題。また自死遺児、難病家族など少数者への地域の差別偏見や無理解といった問題の ご指摘がございました。  まとめてみますと、制度の外にあるニーズへの対応が必要、制度の谷間にある者への対応 が必要、生活を支える総合的な支援が必要、差別偏見、孤立への対応が必要といったことに なろうかと存じます。  2ページ以下は、それぞれ指摘がございました対象者あるいは課題に関して若干のデータ をつけております。  2ページ目でございます。孤立死でございますが、東京23区内の自宅で誰にも看取られず に原因不明の急死や事故死を遂げた単身者2,718名だったわけです。これは2004年度の東京 都のデータでございますが、そのうち中年実年世代では男性が全体の9割近くを占めている という状況でございまして、単身者の孤立の問題、特に中年実年を含めた男性単身者の孤立 の問題があろうかと存じます。  徘徊死・不明者でございますが、2005年の読売新聞の記事でございますが、徘徊高齢者に 関する捜索願や110番通報が2万3,668件。このうち548名が死亡確認され、357名が行方不明 のままであるということでございます。地域の人々による発見が必要ということが言えるの ではないかと存じます。  3ページ目でございます。高齢者虐待でございますが、被虐待者のうち虐待されていると いう自覚があると思われるものは5割弱。多くが虐待されているという自覚がないというこ とで、被虐待者自ら訴えることがないので、周囲による発見が必要と言えるのではないかと 存じます。  児童虐待でございます。虐待が行われた家族の特徴として、賃貸の集合住宅居住が多く、 経済的困難と親族・近隣・友人からの孤立があることが指摘されている状況でございます。 孤立している子育て家庭の問題をどうするかということでございます。  4ページ目でございます。障害者の地域移行でございますが、平成23年度末までに福祉施 設から地域生活に移行が見込まれている障害者の方々の数が1万9,000人。そして同じく平成 23年度末までに入院生活から地域への移行が見込まれる精神障害者の方々の数が3万7,000人 という数字がございます。  次に5ページ目、消費者被害でございます。2005年の悪質リフォーム被害の数字をとって みますと、222億円で前の年の16倍以上という状況でございます。近年、高齢者・障害者の 消費者被害は増加の一途をたどっているという状況で、特にひとり暮らしで周りに相談する 人のいない高齢者が悪質事業者の格好の標的になっていると言われております。全国の消費 生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数でございますが、2006年度は約 13万件、相談全体の12%を占めているという状況でございます。身近な相談者、あるいはそ の生活変化を察知できる関係が必要と言えるのではないかと存じます。  6ページ目でございます。災害時要援護者。近年の風水害や地震では犠牲者の多くを高齢 者が占めている状況でございまして、先日7月16日に発生した新潟中越沖地震では、死亡者 11名のうち10名が高齢者であったという状況でございます。災害時に力を発揮する日常的な つながり、あるいは支え合う活動が必要と言えるかと存じます。  7ページ目でございます。外国人。外国人登録者数は約208万5,000人で、これは2007年今 年でございますが、過去最高を更新。我が国総人口の1.63%が外国人登録者という状況にご ざいます。  9ページ目をお開きください。自殺者でございます。1998年から9年連続で自殺者が3万 人を超えている状況でございます。2006年中の自殺者の中では、男性が2万2,813名という ことで全体の70.9%を占めておる状況でございます。年齢といたしましては60歳以上が全体 の34.6%、次いで50歳代という状況でございます。以上手短でございますが資料の説明でご ざいます。 ○大橋座長  ありがとうございました。時間もありませんが、何かご質問、ご意見ございま すか。後にまとめて時間をとりたいと思いますが、先に進めさせていただいてよろしゅうご ざいますか。それでは続きまして老健局から、高齢者虐待、孤立死の現状と課題についてご 説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○井内室長  老健局計画課、認知症・虐待防止対策推進室長の井内でございます。本日は資料3という ことで、高齢者虐待、孤立死の関係をご説明させいただきます。  資料の2ページをご覧いただきたいと思いますが、9月21日ですけれども、平成18年4月 から施行されました「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」、 これが施行されて最初の1年間はどのような状態であったかということを私ども1,829市町村 に対して調査をしたものでございます。  大きな1番として、養介護施設従事者、介護老人福祉施設とか介護老人保健施設等々で働 いておられる従事者の高齢者虐待がどれほどあったかということですけれども、時間の関係 で省略させていただきますが、4ページ真ん中あたりのオのところですけれども、実際に58 件ぐらいあった中で48件が虐待であったと認められたものでございます。こういったものに ついては改善勧告とか改善命令といった措置をとっているものがございます。  また(2)でございますけれども、市町村からの通報ではない都道府県に直接来た通報が 5件ございまして、端折って申しわけありませんけれども、この1年間で48件プラス5件の 53件が介護事業所従事者の虐待があったということでございます。  5ページをご覧いただきますと、大きな2番として、家庭などでの養護者による高齢者虐 待の状況でございます。こちらについては1万8,000件を超える相談・通報件数がございまし て、5ページの真ん中あたりの(3)にございますけれども、1万2,575件が虐待があったと 認められたものでございます。ただ、この中に市町村の方からの数字でエラーがあると思わ れますので、今エラーの修正をしております。したがってこの調査は暫定版ということで発 表させていただいたものでございます。年内にはこのエラーをなくしたいと思っております が、190の市町村で若干エラーと思われるものがございます。  この1万2,575件の虐待――これは変わり得る可能性があるのですけれども、その中で少 し内容を見ていただきますと(4)にございますけれども、身体的虐待が一番多くて64%で ありました。  それから6ページの(5)でございますけれども、虐待された方については、女性が76.9 %でした。また年齢でいくと80歳から89歳が最も多くて4割近くを占めておりました。それ から虐待した人ですが、表14ですが、同居が84.3%ありました。また虐待者は息子が37%、 夫が14%、男性で半分以上を占めているということでございます。  虐待への対応でございますけれども、7ページをご覧いただきますと、表17でございます が、分離は36%ぐらい行われている中で実際に介護保険サービスの施設に入ったような方が 35.9%となっております。シェルターのような緊急一時保護もありますし、また医療機関に 一時入院したような方もいらっしゃいます。  またウのところでございますが、虐待者と分離していなくてもデイサービスなどの時間を 延長したりショートステイなどを入れたりといったことで、できるだけ虐待をした養護者の 負担を減らす、養護者と虐待を受けた人を引き離すような措置もとられているということで ございます。  8ページが大きな3番目としまして、市町村における対応でございます。体制整備等の対 応ですけれども、表19にございますが、真ん中のあたりに小計がございますけれども、一番 多かったものが一番上の段で、対応窓口となる部局の設置をしたのが91.3%。その部局の住 民への周知が67%等々となっております。真ん中のあたりには周知関係のこと、それから下 の3つあたりにはネットワークですね、早期発見ですとか見守りのネットワーク、ほかの関 係機関とのネットワークというものがございます。これについては2割ないし3割といった 実施の状況でございました。  私どもはこれを受けまして10月9日付で都道府県・政令指定都市に対して、特に先ほどあ りましたような対応窓口の設置などについて措置をとっていただくように通知をしたところ でございます。  それ以降のページは詳細でございますので後ほどご覧いただければと思います。ページが 飛びまして25ページをご覧いただきたいと思います。  25ページにつきましては孤立死の関係でございますけれども、平成19年度から孤立死の取 り組みを始めておりまして、地方公共団体に対してのモデル事業と、全国会議でございます けれども「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」というもの を行っております。こちらについての要綱でございますけれども、8月28日に第1回を開催 いたしました。年度内に報告書をおまとめいただく、提言をいただくということで考えてお りますが、1の趣旨のところをご覧いただきますと、ご説明がいろいろあったのだと思いま すが、単身高齢者とか高齢者世帯のみの世帯が増加している中で、都市部などにおいて、地 域から孤立した状態で高齢者が死亡する事例が社会問題となっているということで、今後も この趨勢は続くということが予想されておりますので、各地域において実践される特徴的な 取り組みを全国に普及させるとともに、高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティ づくりに向けて国民に提言をいただくということでこの会議を開いております。  2のところでございますけれども、推進会議の活動内容は今申し上げたように孤立死ゼロ に向けた取り組みの普及、それから提言をいただくということでございます。  この会議につきましては私ども老健局、それから社会・援護局地域福祉課、それから他省 庁で警察庁、消防の関係もございますので総務省、高齢者の住宅の関係で国土交通省、こう いったところで協働の会議運営を行っているということでございます。  最後の27ページをご覧いただきますと、メンバーの方でございますけれども、行政関係の 方、それから住宅ですとか各種団体の代表の方、それから学識経験者といった方にお集まり いただいておりまして、まだ一度しか開かれておりませんけれども、各団体の取り組みとか 自治体の取り組みといったものをご紹介していただいたような形でございます。こちらにつ いてはあと数回開いて年度内に報告をまとめたいということで考えております。駆け足でご ざいましたが以上、ご説明をさせていただきました。 ○大橋座長  ありがとうございました。何かご質問ございますか。よろしゅうございましょうか。それ では続きまして雇用均等・児童家庭局より児童虐待の現状と課題について資料4でしょうか、 よろしくお願いいたします。 ○高倉課長  雇用均等・児童家庭局の総務課長でございます。資料4に沿いまして児童虐待に関する現 状と課題をご報告させていただきたいと存じます。  1ページ目でございますけれども、先ほど全体の状況の資料の中でもございましたが、件 数が大変増えております。この統計をとり始めた平成2年度から比べてみますと34倍、虐待 防止法が施行されて定義もはっきりしたということでそこの基準年次である11年度と比べま しても3倍以上ということで増えております。また、ここには掲載してございませんが、結 果的に死亡事例という非常に残念な結果になるものも、把握されているだけで年間50件を超 えるという大変深刻な状況となっております。  2ページでございますけれども、さまざまな施策を進めようとしておりますけれども、そ の中で今日は特に地域との関係の部分に絞ってご紹介させていただきます。2ページ目で地 域における児童虐待防止のシステムということで絵を描かせていただいておりますけれども、 従来の児童虐待防止対策は主に都道府県、大きな市もございますけれども、主に県の体制で ある児童相談所が中心になって対応するという仕組みでございましたが、平成16年の児童虐 待防止法等の改正によりまして、市町村も輪に加わっていただくということにいたしました。  これは何といいましても、児童相談所は専門的な態勢をとっておりますけれども都道府県 の組織ということで箇所数も必ずしも多くない。一方、子供たちの状況というのは四六時中 地域の生活の中で起きていることでございますので、その部分をフォローしていくにはやは り市町村の方々のお力をいただかないといけないということで、市町村と児童相談所が二層 構造で対応する仕組みと変わってきております。  現在、各市町村単位でこの絵にございますような要保護児童対策地域協議会、あるいは虐 待防止ネットワークと呼んだりしておりますけれども、そういったきちっとした体制をとっ ていただくということで、19年の3月末現在、今年度中で全国の約85%には設置いただける というところまで来ております。  3ページでもう少し詳しくこの要保護児童対策地域協議会の果たしていただくべき機能を 記しております。要保護児童の早期発見、そして適切な保護につなげていくためには、広範 な関係機関が情報、考え方を共有して適切に連携していくことが極めて重要であります。市 町村の地域協議会におきましては、3ページの下にあるような関係各機関がきちっと協議会 に入っていただく。そしてまたいろいろな個人情報がございますので、協議会参加者の守秘 義務も法制的にも整備されておりまして、そこに入っていただいた上で、ただばらばらでは 困るということで、どこが中心になってやっていくかという支援内容を一元的に把握する機 関も指定するという体制を整備する方式をとっているわけでございます。  4ページが設置状況でございますけれども、先ほど19年の段階で85%と申しましたけれど も、左側で見ていただきますと都道府県の約3分の1の16県は100%設置すみでございます けれども、まだ市町村のネットワークの整備が進んでいないところもございまして、ここを きちっとやっていただくということを課題と考えております。また、こういった地域協議会 が設置されたといたしましても、年に数回形式的な会議をしているだけでは意味が乏しいわ けでございまして、本当にこれを生かしていくためにいろいろと私どもは研究者等のご協力 をいただいて先進事例を研究するなどしまして、どんなふうに運営していけば本当に実が上 がるかということについて、先般「スタートアップ・マニュアル」といったものもつくりま した。この資料には入れてございませんけれども、厚生労働省のホームページから閲覧でき ることになっておりますのでご参考いただければと思います。  5ページからは別の事業のご紹介でございますけれども、児童虐待の対策といたしまして は大きく、まずは発生予防、そして早期発見、早期対応、3点目としては保護、支援という 3ステップがあるわけですが、その第1段階や場合によっては第2段階にかかわることとい たしまして、新しく今年度から国のお金を差し上げて市町村で取り組んでいただく事業とし て、生後4カ月までの子供さんのおられる家庭全戸を訪問するという事業を、市区町村を実 施主体に開始しているところでございます。  日本の場合には母子保健の仕組みの中で1歳半健診、3歳児健診など既にございますけれ ども、もっと早期にということで生後4カ月までの間に全部とにかくコンタクトしようとい う事業でございます。子育て支援の情報提供をするとともに、いろいろな不安、悩みに耳を 傾ける、それと同時にご家庭の状況も把握させていただくということで、訪問者としてはこ こに書いてございますが、さまざまな資格を持っている方、あるいはボランティア的に地域 の中でおられる愛育班員、母子保健推進員といった方々、または児童委員等々にご参加をお 願いしております。  次のページで実施状況でございますけれども、19年度で生後4カ月までの全戸訪問事業、 右下の全国計というところで68.5%、約7割の実施率で、始めた初年度でございますけれど も大変需要を感じている市町村が多かったということで、かなりスタートはいい状況でござ いますけれども、これを今後全国すべての市町村で実施できるようにしたいと考えておりま す。また右にある育児支援家庭訪問事業と申しますのは、そういった全戸訪問事業等を通じ て把握した中で特に要支援というところにフォローアップしていく事業でございます。ここ も今後さらに充実させていきたいと考えております。  7ページからは、冒頭でちょっと触れました死亡事例という大変痛ましい事案もあるとい うことですけれども、そういった事例から何を学ぶかということで、死亡事例等の検証を事 業としてやっております。19年6月に第3次報告が出ております。その概要をここに提示さ せていただきましたけれども、個別の事例に即してさまざまに分析しております。  結果でございますけれども、0歳児の部分で約4割ということで、やはり誕生直後のサポ ートが必要なのではないかということがうかがわれます。動機といたしましては、望まない 妊娠という部分が比重が高いということになっております。妊娠期の問題としましては、母 子健康手帳も発行していない。要は妊娠したかどうかの受診もしていないのではないかと思 われるような場合もかなりあるということでございます。  次の8ページでございますけれども、本日いろいろな虐待が小児以外でも出ておりますけ れども、地域社会との接触がやはり乏しいという事例が約7割でございます。ほとんどご近 所の方々との会話がないというような、あるいは乏しいと考えられるような家庭の割合が7 割となっております。  5、関係機関の関与でございますけれども、児童相談所が関与しながら死亡に至ったとい う事例については減ってきてはおります。ただまだ残っておりますので、やはり児童相談所 の適切な判断と対応をますます強化しなければならないということが示されていると考えて おります。また(2)でもう一つ大きな問題で、児童相談所以外の関係機関はせっかく接点があっ たけれども、児童相談所につなぐことは必ずしも必要ないという判断で結果的に死亡に至っ たことが多いということが浮き彫りになっております。  残る課題としては、児童相談所の安全確認をもっときちっとやっていこうということ。あ るいは心中という独特な事態についてまだ十分な分析がなされておりませんので、今後さら に分析しようということを考えております。  最後の9ページは20年度の予算概算要求で何を上げているかということで、その中の地域 の関連の部分でございます。「子供を守る地域ネットワークの機能強化事業」と題しており ますけれども、前の方でご紹介いたしました市町村でのネットワーク、そこを実際の実を上 げていくためにやはりコーディネーター役をする方の能力を高めるということで、その専門 性強化のための研修をやっていこうということ。そういうコーディネーター役あるいはネッ トワークのコーディネーター以外の構成員を対象とした研修も考えておりますけれども、こ ういった形で子供たちに身近な地域の中での見守り、対応の機能を強化しようと考えている ところでございます。  最後に表紙について一言だけ。右上にオレンジリボンというのをご紹介させていただきま した。この児童虐待に対する取り組みというのは、さまざまな行政機関だけの対応ではもち ろん限界がございます。実際に市民の方々、さまざまなNPO等の活動で活発にアドボケー ト、アドボカシーをやっておられますけれども、そういった中から生まれてきた運動として、 オレンジリボンというものを児童虐待防止運動のシンボルにしようと普及を図っているとい うことで、私ども厚生労働省の関係職員も共鳴して参画しております。表紙の色もオレンジ 色にさせていただきました。11月が児童虐待防止推進月間ということで、全国各地でこのオ レンジリボン・キャンペーンを進めていこうとしております。以上でございます。 ○大橋座長  ありがとうございました。それでは今度は、実践をしている立場から少し現状 を報告いただきたいと思いますが、北海道という大変な寒冷地で、しかも広大な地域で認知 症の高齢者などが行方不明になっている、それを支援する活動を長らくやっておりました釧 路のたんぽぽの会の岩渕さんが、今日はお忙しいところ駆けつけてくれました。ありがとう ございました。遠いところ来ていただいたにもかかわらず15分ぐらいの報告で思いのたけは 述べられないかもしれませんが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。それではどうぞ。 ○岩渕氏  おはようございます。北海道釧路市からまいりました釧路地区障害老人を支える 会、愛称たんぽぽの会の岩渕です。どうぞよろしくお願いいたします。私の報告は、先に事 務局から3点のテーマをいただいておりましたけれども、とても難しい課題ですので、これ までの活動をお話しさせていただきながら最後に日ごろ気づいたことについてテーマの意見 を述べさせていただきたいと思います。  まず釧路市の状況ですが、釧路市の概略からご報告させていただきます。皆さんもご存知 だと思いますけれども、釧路市は北海道の東にありまして、長らく炭鉱と水産とパルプが基 幹産業になっておりましたけれども、そのいずれもが閉山や漁業不振などで地域経済は長期 に疲弊しております。2年前に隣の町の阿寒町と飛び地で音別町と合併いたしまして、人口 は今19万1,000人です。世帯は9万3,000世帯になっております。高齢化率は22.4%で、毎年 1%ずつ高くなっていくと予想されています。今のところまだ道東の拠点都市と言われてお りますけれども、デパートがなくなるとかいろいろな形で都市機能も低下しております。  現在、釧路市は総合計画と今日のテーマであります地域福祉計画、そして社協の地域福祉 実践計画の見直しということで、地域のあり方を見直す計画にも取り組んでおります。平成 9年から生活保護の受給率が増加していったのですが、14年の太平洋炭鉱の閉山で保護の受 給率は急増しまして、今年の3月末現在で42.6パーミルと、かなり高い保護率になっており まして、有効求人倍率も0.4、就業してもパート中心という大変厳しい状況にあります。また 離婚率も高く母子家庭も多い。先にご報告いただきましたように、児童虐待も北海道あるい は全国的に見ても飛び抜けて高い状況にあり、さまざまな地域課題を持っております。  仕事が地域にないということで働く人たちは札幌はじめ道央圏や本州の方に出てまいりま すので、結果地域にはひとり暮らしの高齢世帯、老々世帯が多くなりまして、町内会の組織 率も50%を割るという状態が続いていて、地域福祉の課題としては、それをどうやって新し く再構築するかというのが計画の論点になっております。  釧路の概略はこうなのですけれども、たんぽぽの会というのは1985年、昭和60年6月に釧 路地区ぼけ老人を抱える家族の会として出発しました。「父さん殺して私も死にたい」と、 介護している人も心の病を持って切迫して保健所に相談電話をかけたことがきっかけになっ て介護当事者等が34名でスタートしましたけれども、昨今問題になっている高齢者虐待―― この言葉は本当に慣れることができないのですけれども、高齢者虐待が発足のきっかけとい うことで、それを当事者の支え合いや社会とのつながりの中でどう防いで、そしてなくして いくことができるかということが会の活動理念になって23年目を迎えております。  日常活動では、家族の集いですとか、電話相談、面談相談、デイサービスもない時代から の宅老活動というような活動をしております。23年前は集まれば何を話したかといいますと 「せめて足の1本でも折れてくれたら」というのがつどいでの話でした。つまり、氷点下20 度Cになるような寒冷の地であっても、夜中でも関係なく出ていってしまうお年寄りに対し て、寝たきりだったらどんなにいいだろうというのが、率直な言葉で「足の1本でも折れて くれたら」というような表現になって出てきました。  それでも私たちは徘徊で命を落とすまでには思っていなかったわけですけれども、会が発 足して5年目に、お年寄りを預かって介護者に休んでもらうという活動に広げていったとき に、脳卒中の後遺症の方ですとか、若くて障害を持った方ですとか、さまざまな方たちが地 域で寄る場がなかったものですから、私たちの会に入りたいと集まってこられるようになっ て、障害老人を支える会という名前に変えました。  その変えた平成2年、1990年の4月に、会員のお母さんが、NHKの朝のテレビドラマを 見ているときにごみ出しに出ていったまま戻らずに、4日後、釧路湿原の外れの資材置き場 の陰でダンボールを敷いてはいていたサンダルをきちんとそろえて、ダンボールをかぶった まま亡くなっているのが散歩中の主婦によって発見されました。  家族は当然、近隣の方あるいは警察にも届けて捜したわけですけれども、当時はまだ認知 症の理解も、それから徘徊という理解もなくて捜索も行われない時代で、後からたどってい くとさまざまな人に出会ったり事業所のトイレを借りたりというふうに会話を交わしている のに、それからダンボールを敷いてダンボールをかぶったら寒さをしのげるという生活の知 恵がありながら、道に迷ったから自宅に帰れないと助けを求めることができない、それが認 知症、徘徊の現状だということを始めて私たちはわかりました。  それで行政ですとか、警察ですとか、民生委員・児童委員さん、それから老人クラブです とかさまざまなところに協力を求めましたけれども、なかなか理解が広がらなくて、4年後 の平成5年、1993年3月に、私たちの電話相談員の研修会に保健所の保健師さんがスーパー バイザーでおいでいただいているというきっかけで保健所が仲立ちになって、在宅だけでな く施設や病院からも毎年徘徊に出ていって亡くなっているという現状もわかり、それから警 察と話してみると毎年30人前後の捜索があるということがわかって、地域の共通の課題とい うことで1994年の4月、平成6年ですが、徘徊老人SOSネットワーク、後に「徘徊老人」 を取りましてSOSネットワークというのを立ち上げました。  資料の6ページをご覧いただけますでしょうか。これが平成6年から18年までの徘徊の保 護件数です。平成6年は38件あったのですが、最高1人で8回繰り返す方がありました。1 年のネットワークの反省会の中で、ただ保護して帰すだけでは何の問題解決にもならないと いう反省が出て、警察に通報が来たら保護した後そのまま保健所に情報が行って、保健師が 訪ねて医療や福祉サービスにつなげていくというふうにシステムを変えましたら、翌年もそ うですが、平成8年からは繰り返す人がほとんどいなくなった時期があります。  この13年の間に保護した人が363人、死亡が7人、不明が3人あります。死亡と不明は平 成9年から警察が発表しましたので、その前の3年は入っていないのですが、私たちの知る 限りでも死亡は3〜4人おりますので、もっと数が多くなるだろうと思います。  データ的には平成11年から急に下がっているわけですが、これは個人情報保護の動きが強 くなって警察が発表するのをためらうという事態がとても多くなりまして、ネットワークの 事務局会議の中で何度もワークショップを開いたり打ち合わせをしたりということで話し合っ てきましたけれども、平成16年には5人の通報しかありませんでした。実際に15年は24件と いう形ですけれども、保健所の保健師さんが警察のデータを警察の許可をもらって調べたら、 実際には60件の保護がありました。皆さんのところに渡っているネットワークのチラシ、グ リーンの方ですが、これは15年につくったものですが「釧路地域では60人のお年寄りが保護 されています」と一番上に書いていると思います。  このシステムというのは次のページにありますように、家族が警察に行方不明になったと 届けると警察が手配するという形をとっておりますので、市民に保護された人についてはこ のネットワークでカウントされないというちょっと具合の悪い形が出てきております。  その中身を調べていくと、ひとり暮らしとか、老々世帯とか、日中独居で家族も気づかな いうちに、あるいは連れ合いもちょっと認知症にかかっていて見守りがきかないというよう な人たちが市民に保護されて、その差が60名になっていることがわかってきて、事務局では こちらの方が大きな問題ではないかと今考えております。  7ページのネットワークのフローチャートをご覧いただくと、認知症の徘徊者が行方不明 でいなくなると家族から警察に即通報します。そうしますと、警察は協力機関にファックス などですぐに連絡をとる。これはFM局とか、市内に600台あるタクシー業界ですとか、トラ ック業界、それからコンビニとか郵便局とか、今1市7町村160団体が加盟していて大体20分 で配備されて捜索がいくということになっております。  保護されると、病気とかけががないようであれば家族が引き取りますし、家族がわからな い場合、例えば市民通報でわからない場合については、認知症の深い人については釧路市立 病院の認知症疾患センターの方で一時保護しますけれども、基本的には市町村の病院とか施 設に保護して、包括とか市町村が検討してその後の対策、例えば自宅に帰るとか施設に行く とかサービスを受けるというような対応をしていくことになっております。  このフローチャートも何度も変えまして、発足が平成6年ですから介護保険が始まる前か らスタートしておりますのでなかなか難しい面もあって、SOSネットワークの10年の検証をし たときには、認知症介護研究・研修東京センターと一緒に検証したのですけれども、介護保険 とうまくかみ合っていないということでその後このようなフローチャートになりました。大体 市民による保護が4割から5割になっております。こんなことで今実施されております。  もう一つどうしてもお伝えしたいことで高齢者虐待があります。私どもの会はさまざまなと ころとネットワークを組んできました。特に保健所とか社会福祉協議会とか、後に認知症の対 応が市町村に移ってからは釧路市などと連携をとりながら民間でのデイサービスとかいろいろ やってきたわけですけれども、何とかゴールドプランでサービスも充実してきたので、どこか に大変な人がいればアンテナに引っかかるのではないかと思っていた1998年の7月に、私ども の会員から介護殺人事件が起きました。  私どもの相談にも家族から、辛くて夜中に壁をかきむしるという相談が入り、市町村の保健 師とか利用している介護事業所の相談員とも連携をとりながらやっていたのですが、事件が起 きてしまったという実態があります。  その後、何とかかかわっている人たちでその問題について深めたいと思ったのですがなかな かできなくて、私たちのネットワークで、虐待のもう一方の当事者である家族側から虐待を照 らし出してみようということで実態調査をやりました。それが資料の1ページからになります。  2ページをご覧ください。調査は220人に配布して213人の回答をいただきました。ぼけの程 度と抱えている問題という介護上の問題からいきますと、介護でストレスがたまる、社会活動 や趣味ができない、あるいは友人が訪ねてきてくれない、自分の通院時間がない、経済的な負 担が大きいとか、さまざまな抱えている問題があるわけですけれども、これをクロス集計して みますと、認知症が深ければ深いほど飛び抜けて家族の悩みが大きくなります。  3ページをご覧ください。家族なのでかわいそうと思った、自分を頼ってくれるので何とか 頑張りたいと思った、という一方で、あんなにしっかりしていた父や母や夫や妻がということ で、情けないと思ったり、夜中でも騒ぐ、徘徊が頻繁になると、憎らしいと思い、そして懲ら しめたいと思い、いっそ早く死んでくれたらと思う、というふうに回答されています。  どんなトラブルがありますかと聞くと、同じことを繰り返し言う、介助にとられる時間が多 すぎる、お風呂に入りたがらないなど言うことをきいてくれない、おもらしをする、夜何度も 起こされる、ということがあります。  3年半前にも、相談ケースで、夜中に8度も毎晩起こされて疲れ果てた妻が、トイレに介助 して8回目にはベッドからずり落ちた夫を抱え上げてベッドに座らせることができなくて、床 の夫をぺたぺたとたたきながらおいおいと泣いたと。最後には、ベッドサイドのレールで打ち 殺そうとした。何カ月も、留置場に入ってもいいからどうやって殺そうかと考え続けたと話し てくれました。その人については厚労省が通達で順番ではなく入所できるようにしてくださっ たことで、430番抜きで入所することができて、今は本当に殺さないでよかったと話しておら れます。これが、介護保険ができている、今の在宅の現状です。  次のページをご覧ください。要介護者への態度、どうしましたかということは、思わず声を 上げたりしかった、手をあげたり体をつねった、返事をしなかったり口をきかなかった、外出 させないようにした。この「外出させないようにした」というのは、徘徊して困って交番に飛 び込んでも、どこか施設や病院に入れたらどうですかと言われて閉じ込めたという数と同じに なります。  そして、介護者の叱責に対して要介護者のとった態度ということでその下をご覧いただくと、 黙り込んだ、聞こえないふりをしたりぼけたようにふるまった、泣き出した、悲鳴を上げたり 大声を出した、というふうな具体的な記述であります。  このことに対して、ひどいことをしたと思いますかと聞きますと、約半分は、思わない、全 く思わない、思ったことはたまにある、というのがこういう形で出ております。  そういう悲鳴を上げたりするお年寄りの態度を見てあなたの気持ちはどうでしたかというこ とについては、かわいそうに思った、自己嫌悪に陥って惨めな気持ちになった、後悔した、と いう一方、ますます腹が立った、悪いのは私のせいではないと思った。  どんなふうにしたらそういうことがなくなりますかと聞きましたら、介護者が健康であるこ と、介護のかわりがあること。自由記載には「たった一人にしてほしい、一人になってゆとり ができたときに自分を取り戻せる」と書いてあります。  私たちはこれをまとめて釧路市の介護保険計画、あるいは北海道の計画、それから当時老健 局の方にも、私どもではないのですが、届けて下さる方がいらして、局長さんからのお手紙を いただいたという経過があるのですが、私たちは介護保険ができたときに、家族をも助けてく れるものだと大変期待いたしました。ところがいつの間にか本人の自立支援ということに大変 重きが置かれて、それから特に身体障害の方にばかり重きが置かれて、何年かは認知症の対策 がかなり後手に回ったというのでしょうか、日に3回徘徊に出てしまう人が、3度目の夜中に 出た時は、釧路の中央埠頭という岸壁をうろついていたのを、岸壁で暴走する若者たちのライ トの中に浮かび上がって保護されたという、そんな状況でもサービスがなかなかうまく利用で きなかったということがあります。  15年〜16年には、私どもの会員で虐待が疑われるケースが3件続きました。1件は警察が入 りました。それを調べていったときに、私どもの宅老から卒業して公的なサービスに移って、 公的なサービスが利用できているからよかったと思っていましたら、経済状況が大変厳しくなっ てご主人の仕事が傾いてしまって、ご主人は関東の方に出稼ぎに行き、出稼ぎに行った先で体 を壊してしまった、仕送りが途絶えたということがあって、サービスも打ち切り、そして家に 引きこもってしまい、介護放棄のような状態で亡くなってしまいました。  私どもが家庭訪問しますからと近所の私どもの会員が伝えて、家に入って間もなく救急車が 呼ばれ病院に運ばれたのですが、そのときにはすでに死亡していて足が折れ不審な状況があっ たということで、私ども会員が葬儀の手伝いで自宅に入ったときには、ごみの山の中で寝かさ れていた状態で、私たちも大変悩みました。状況を見ますと、サービスが利用できなくなると ケアマネジャーも訪ねて来なくなって、全く誰からの見守りもなくなってしまった。そして、 それを介護していた家族も助けを求める力がないという状況がありました。  そんなことで介護保険の持っている弱さというか、サービスを利用しなくなれば地域のネッ トワークがつながらなくなってしまう、地域包括支援センターができて何とかこれからなって いくのかなという期待がありますけれども、こういう問題が今大きくなっているのではないか と思います。  そういうこともあって16年には、私たちの20周年記念講演会に虐待の問題を取り上げました。 それが後半の方についている新聞記事になります。そして社会福祉協議会、保健所と相談して、 高齢者虐待の研修会もあわせて行いました。そこに市の方にもおいでいただいて現状を話して いただきまして、市の方も翌年には相談窓口の明示をし、緊急的に虐待の問題に取りかかった ということがあります。前後しますが、15年には私たちは介護家族を見守ることの必要を感じ て、介護家族を支援するやすらぎ支援事業を何とか市で導入してほしいと思いまして、サポー ター養成講座を開いて養成した100人の名簿を持って市へ要望いたしましたら、やすらぎ支援 事業を市として実施していただけるようになりました。  最後にですが、SOSネットワークでつながってきた方の中に40代50代の若年で認知症にな る方がいらして、どこでもサービスを断られるということで、17年の9月から若年認知症の人 と家族を支える事業をボランティアで始めまして、「ぽれぽれ」というデイサービスを毎週1 回開いております。  やはり若い現役世代なので、なかなか高齢者のデイサービスに行くことになじまないという ことで、知的障害者の人とか精神の方たちの支援をやっている法人と連携をとって、そういう 若い方たちと一緒に過ごすとか、子育て支援のところに一緒にサポーターとして行ってもらう ということをやっております。その中で生まれたのが、12ページにある冬月荘の活動です。  コミュニティハウス冬月荘の運営に私も関わっていて、障害者とか高齢者とか生活保護受給 者とか母子家庭の人という縦割りのことをしないで、もっと広い形で支援できないかというこ とでスタートしております。この中に若年の人も入り障害の方たちと一緒に、あるいは母子家 庭の子供さんたちと認知症の人が一緒に過ごしながら、母子家庭のお母さんたちに認知症の人 の支援をしていただくというような活動を始めております。こんな活動をしております。 ○大橋座長  20数年の実践ですから、思いのたけはいっぱいあってとても話し切れないかと思いますが、 ありがとうございました。とても大事な指摘が幾つかされたように思いますが、とりあえず今 までの厚生労働省の事務局の報告と、今の岩渕さんの実践報告を踏まえてご質問なりご意見が ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。 ○木原委員  岩渕さんのところは当事者グループですよね。正確に言うと、現役とOBとボランティアが 3・3・3で交じっていますね。当事者グループであることのよさというのは、おたくのいろ いろな活動を展開していく上でありましたか。何が強みでしょうか。 ○岩渕氏  当事者グループであるということは、日々の活動の中で率直な意見や、困っていることがた くさん出てくるわけですね。そうすると制度に馴染まなかったり制度からこぼれる問題が、即 ダイレクトに入ってくるということです。ですから私たちは、全く制度に乗らなく制度の狭間 にあることをまずボランティアで始めながら、その必要について直接専門職とか行政とか、最 近では専門医と結びついて一緒にネットワークを組んでいって、問題解決できるように事業化 したり、サービスの開発にむけ取り組むことができるということです。 ○木原委員  今の日本の福祉は、意外と当事者グループの支援というのが弱い感じがするんで すよね。だから当事者グループ支援センターみたいなものが日本にはあまりないんです。当事 者グループであることがハンディキャップになったということはありましたか。また、どうい う支援をしていただければ当事者グループは助かるという感じがしますか。 ○岩渕氏 当事者グループであることがマイナスになったことはありません。むしろダイレク トに問題が伝えられるということで、行政も専門職の方も率直に受けとめてくださることが多 かったです。ただ当事者グループの弱さというのは自覚しておりまして、自分の問題がなくな ると離れていくということがあると思います。ただ私どもの良さというか強みというのは、看 取った方たちが次の支える側に回ってきたということと、ボランティアが一緒になってそれを 支えていくことができていることかと思います。  2つ目の、どんな支援がほしいか、ですが、私が今考えるなら、今各地にできているNPO支 援センターの当事者版の「当事者支援センター」のような場があればと思います。そこは、あ らゆる当事者が自由に集い情報を得、交流できる場で、コーディネーターがいればもっといい。 そこから、自ら問題解決したり、互いの枠を越えて支援し合う関係が育つことができると思い ます。 ○大橋座長 ありがとうございました。ちょっと確認ですが、240人ぐらいたんぽぽの会の会 員はいらっしゃって、その構成比率はどのくらいですか。現在認知症の方を抱えている介護者 の方と、かつて介護していた方と、支えるボランティアの比率というのは、木原委員さんは3 対3対3と言われましたけれども。 ○岩渕氏 この3年ほどは少しずつ変わってきまして、当事者というのは大体5分の1に近く なってきています。50人ぐらいになってきていますね。それは、それぞれの事業所で家族の会 ができてきておりますので、そちらの方でサポートされることが多いのかなと思います。 ○大橋座長 もう一つ、冬月荘がありますね、若年認知症の方。この方々のニーズというのは どういう形で上がってきて、たんぽぽの会としてどう対応しようとしたのかということをちょっ と深めていただきたいのと、そこに登校拒否の子供さんとかも一緒に来ていますよね、あるい は母子家庭の子供さんとか。その辺はニーズがあったのか、状況はどうでしょうか。 ○岩渕氏 冬月荘の活動は、具体的には今回厚労省のモデル事業ということで障がい者支援の NPOが申請して助成され、冬月荘という会場をもつことができたのですが、若年の人に障がい者 支援のスタッフの関わりは、当初の17年からやってきました。若年の家族の方がまず私どもを 訪ねてこられたのは、その若年の方が徘徊をされて困り果てて私どもにつながってきたという ことがあります。  それで本人の居場所や家族支援などいろいろやりましたけれども、どうも現状の介護保険の 事業所には馴染まない。大変動きが活発なので高齢者の施設ではお断りされることが多かった ということがあります。それからご本人たちは、現役時代を退職せざるを得なかったりクビに なったということがありまして、まだ仕事をしたい。高齢者の中に入っていくことに対する抵 抗感がすごく強かったというのがあります。それでご本人たちだけの居場所をつくった。  どうしても自分がサポートされるということに馴染まない働きたいという強い思いがあるの ですね。それでご家族からお金を預かって、お年寄りのボランティアをしたらお金をもらえる ということで、帰るときにはお金を渡し、本人の居場所づくりと仕事をしているという思いを 持って頂く工夫をしたりしました。  でもそれだけでは1週間に1回なので、20代30代の若い子供さんたちが安心して仕事に行け ないんですね。行き場所がないと、うちにいるとお酒を飲んでしまってアルコール依存になっ てしまったり、あるいは家族が気付かないうちに訪問販売で400万ぐらい宝石を買ってしまっ たり万引したりといろいろなことが出てくるので、何とか居場所をつくろうと考えたら、親し くしているNPO法人が子育て支援をやっていた。そこに若い40代から50代のアルツハイマー の人だったら食事づくりに行けるとか子育てができるということで、そこに行ってもらって子 供の面倒を見てもらいながら居場所をつくる。そこの法人は、中心が障がい児のお母さん達と いうこともあって、障がい者やサービスのはざまの人々の相談を受けていることもあって、認 知症が進んでくると障害者の方と一緒にということで。  やはり若い方は、お年寄りもそうかもしれませんが、サポートされるということにとても抵 抗があるんです。2年半ぐらいかかって介護保険事業を申請し利用されるように家族を説得し たのですが、介護保険で例えばヘルパーさんが来られたり訪問看護師さんが来られたり、ある いは小規模多機能の方の利用をつないだりしたのですが、みんな拒否してしまわれる。それは、 自分が要介護者でサポートされるということを感じてしまうとすごく抵抗があって拒否してし まう。ところが同じような引きこもりの人だとか、さまざまな人がいるところになると、同じ ような状況でサポートされる側だけではなくて自分も誰かの面倒を見たり役に立っているとい うことが居場所になって、落ち着いていられるのだろうと思うんです。  そういうことで認知症の妻を介護するご主人の方が辛くなってこの3月あたりは虐待が始まっ たかなという危機感も持ったのですけれども、その頃冬月荘という構想が出てきて、失業の生 活保護の方たちとか母子家庭の方たちと一緒に過ごすことで、むしろ落ち着いて通っていける ようになっているという状況です。 ○木原委員  ちょっと提案があるのですけれども。1つは、介護し終えた方が今まで物すごく大変だった のが急に物すごく楽になりますから、その落差で精神的に不安定になってしまう。あるグルー プは活動しているのが全員OBだったので、どうして看取り終っても活動しつづけるのかと聞 いたら、本当はもう介護のことは忘れたいと思ったけど、気が抜けて精神的におかしくなった ので慌てて残らせていただいたと言うんですね。だから、看取り終えた方に社会的な担い手に なっていただくシステムづくりが非常に重要だと思います。彼女らは大変な資源ですからね。  もう一つ、今若年認知症の話が出ましたけれども、僕も何人か知っているのですけれども、 男性の方がやっぱりサービスを受けるのが嫌いなんです。プライドが高いですからね。デイサ ービスに行こうと言うと絶対に嫌だと言うので、実際にはどういう形にしているかというと、 家族と本人とデイサービスセンターが話し合って、彼はボランティアに行くんだという構図に してあげているケースが意外と多いんです。元々、デイサービスセンターはサービスする所で しょうけれども、される側にとっては嫌なんですね。だから逆の、「しに行く」という形もつ くってあげたらいいと思うのです。すべてのサービスをそういう構造に作り替えるといい。 ○大橋座長  ほかにいかがでしょうか。 ○清原委員 今日、高齢者虐待、児童虐待あるいは孤立死という非常に深刻な問題状況のご報 告をいただき、その解決のために認知症の高齢者を中心に活躍されてきた岩渕さんのお話を伺 いました。私は1つには、こうした深刻な状況を1つの出発点にしながら、こうならないため の「予防」、「発見」と「適切な対応」ということが、地域福祉としては非常に重要な機能と して求められていると改めて感じました。  その中で私としましては、1点目はやはり「意識啓発」というか、「知識の正しい周知」と いうことが必要だと思うんです。今回岩渕さんのお話を伺っていて改めて認知症についての認 識が20年前と現代では変わってきたことの変遷と意義を感じますし、あわせて介護をする側が 過剰に反応しないでそれを受けとめるような、介護者に対する認識を広めていくという、認知 症当事者だけではなくて介護をする側、支援をする側への認識が広まっていくことの重要性を 改めて感じました。  そこで、例えば三鷹市を初め多くの自治体が高齢者の「虐待予防対応マニュアル」をつくっ たり、あるいは児童虐待に関して早期発見のために、単純に子育て支援施設だけが頑張るので はなくて広い意味で教育相談であるとか、例えば三鷹市の場合ですと学校カウンセラーですと か、あるいは医師会との連携の中で病院が発見してくださるとかの取り組みを進めたりしてい ます。もちろん家庭・子ども支援センター等も活躍しますが、改めて多様な機関が、これまで の取り組みで言えば「要保護児童支援の協議会」が、発生した問題に対応するだけでなく、常 に「予防」と「発見」にも連携していくことがより一層効果的であるということを確認したい と思います。  2つ目にちょっとご紹介したいのですが、後に社会福祉協議会のご報告があるのでそこでも 深められると思いますが、三鷹市でも10年ほど前に当時の厚生省の「ふれあいのまちづくり補 助事業」を契機としまして、私たちは「ほのぼのネット」と呼んでいるのですが、地域の民生 委員さんに小学校区を2区ぐらいに分けてリーダーになっていただいて、それにさまざまなボ ランティアの方がかかわっていただいて、見守り訪問をしたり、高齢者の方に集まっていただ く茶話会をしていただくなど孤立化や深刻な問題になる前の訪問事業などを展開していただい ているんです。  こうしたボランティアの中には、民生委員さんが圧倒的に多いわけです。あわせて社会福祉 協議会に市が補助金を出しておりますので、その中から社会福祉協議会がコーディネートして、 約30グループが三鷹市にはございますが、その地区のコーディネートをしながら主として要支 援高齢者や子育てに問題がある方を訪問したりご相談に乗ったりということで活躍してくださっ ています。  もちろんほかにもボランティア組織がありますし、前回ご紹介しましたが「傾聴ボランティ ア」を養成して訪問させていただくというような事例など、高齢者が家に閉じこもらないよう にしていただくという取り組みなどを通して、先ほど申し上げました「予防」と「早期発見」 と「適切な対応」ができる機関への連携、コーディネートの事例は地域には決して少なくあり ません。  つけ加えますと、実は保健事業の中で先ほど新生児訪問期間の延長等を事務局からご報告し ていただきましたが、これも大変効果的で、里帰り期間に新生児訪問の期間が終わってしまっ たということがないように三鷹市でも延長しているわけです。あるいは3〜4カ月児健診時の 発見や産後うつ病発見のチェックリストをお送りしたり、就学時の健診を強化したりしていま す。繰り返しになりますがやはりこうした深刻な問題から学びつつ、私たちは適切なマニュア ルやガイドラインを持つ中で、「早期発見」そして「予防」、「対応」ということを機関連携 のネットワークでしていくことが大変重要であり、長きにわたってご苦労されたたんぽぽの会 の岩渕さんをはじめとする先行事例というのは、そうしたことが具現化した1つの姿ではない かとお伺いしておりました。  そこで来年度予算要求で頑張っていただいている「子供を守る地域ネットワーク機能強化事 業」の例えばコーディネーターの専門性を強化することが重要であって、こうしたことに厚労 省が財源を求めていくのは、私は重要なポイントだと思うんです。こうしたコーディネーター 養成というのは、基礎自治体も頑張っておりますし、既存の機能を強化するとともに広い意味 での地域福祉のコーディネーター養成というのは大変重要だと思っています。木原さんのよう に本当に全国を歩いてさまざまな事例をご存知の方が示してくださるような、コーディネーター として持つべき必要な能力なり知識なりを少し整理した形で普遍化を図っていただくことは、 地域格差を減らすことになるのではないかと思っています。  ここでちょっと1点だけ、すみません、付言します。民生委員さんをめぐって次回ご議論が あると思いますが、実は全国市長会の方から内閣府の地方分権推進改革の方に民生委員・児童 委員さんの委嘱の移譲ということについて提案されたようです。私も全国市長会のメンバーで すから、そういうことで三鷹市長あてにも東京都の民生委員協議会の方から、ぜひそれはやめ てほしい、厚労省の委嘱ということを維持してほしいという意見書が実は15日付で届きました。 私は、今ここでこれにコメントを申し上げるつもりはありませんが、次回は民生委員制度につ いてご議論いただくようでございますので、今日も問題提起がありましたように民生委員さん の活躍というのも大変重要で、社会福祉協議会との連携等にも重要な役割を果たしていただい ていますので、次回そのようなことについてもぜひご議論いただければと、これは提案でござ います。ありがとうございました。 ○大橋座長  もう一つ大きな議題があるのですが、何かどうしてもということがあれば。では長谷川委員 さんから手短にお願いします。 ○長谷川委員  今の市長さんのお話の権限委譲の問題、それはこの次のテーマでしょうか。それはそれとし まして、民生委員としてもいろいろと今のお話の内容について取り上げてまいりました。ちょ うど今年私たちは民生委員制度90周年という節目の年を迎えまして、1つのテーマとしては 「地域に根ざした思いやり」ということを掲げて、具体的な行動宣言を全国的に今展開してい るわけです。そこで5つほどあるんです。それはこの次の機会でよろしいですか。 ○大橋座長 この次にやりましょう。孤独死の問題とかひとりぼっちの方々の問題というのは、 老人クラブも友愛訪問をやっていますし、民生委員さんも全国で頑張ってくれている。民生委 員さんのことは次回またやることにさせていただきまして、佐藤委員さん。 ○佐藤委員 当事者の団体というのは、やはりご自分たちのニーズに基づいてご自分たちのニ ーズを解消するということで動かれる部分が非常に大きいわけですけれども、ほかの例えば寝 たきりの方の部分も最初に一緒に加えてやろうと思われたとか、冬月荘の問題についてもほか の全く違うニーズを持たれている方と一緒にすることを考えられたのは何に起因をしているの かということと、そういうコラボレートするとか、こういう活動展開をずっとしていくという ところで、発案をして結びつける役割をする人が必ずいるはずなのですが、岩渕さんがずっと そういうことをやってこられたのかということを教えていただければと思います。 ○岩渕氏  会ができたときに、すぐ宅老所をつくってくださいと行政に要望して、でもなかなかできな かったというのがあって、自分たちで引きこもらないためにということでデイサービスを始め たんですね。そこにさまざまなニーズを持った人たちが入ってきて、そこに今度は社協さんが 「ふれあいのまちづくり事業」ということで支援してくださるようになって、そうしますと更 に居場所がない難病の方とか、若い障害者の方とか、知的障害の方とかさまざまな方たちが寄っ てみえ、結局は介護している気持ちのつらさは同じよねということで受け入れていったことが どんどん広がって、自分たちの問題だけでなく地域全体に埋もれていた問題が表ざたになって くるというか、それを解決していくための動きが私だけではなく、その都度行政の方も支援セ ンターの方も入って毎月反省会とか検討会をやっていく中で方向性を決めていったということ で、1人ではないんです。冬月荘についても、日ごろ連携している法人の中心の人たちが、障 がい児を抱えた母子家庭だったこともあり、就労支援は自らの問題で、そこから広がっていっ たのです。 ○大橋座長  多分岩渕さんの問題は、ニーズキャッチをちんとしているということと、ニーズを横につな げて限られた人の問題ではなく同じような問題があるよというふうにすることと、それに関す るサービスの開発を考えてきた。それを行政、社協、トラック協会とかタクシー協会とか、い ろいろな人を巻き込んだというコーディネート機能が非常に豊かにあった。そこをどう分析す るかというのは多分今の課題だろうし、先ほど清原市長が言われたように、この検討会の課題 でもあるということでしょう。 ○今田委員  一言で終わりたいと思いますが、今お話しいただいて、家族が認知症の老人を介護するのは 大変だと。その家族の経済的な状況がどうなのかということで違うと思いますが、多分低階層 ほど家でやらなければいけないから大変で、いろいろ僕もそういうケアリングのことを調べま したけれども、具体的な現場ではなく議論でしましたけれども、家族、親族が、高齢者ないし 認知症の老人を介護するのは原則無理ですね。  やはりこれは外部化しなければしょうがなくて、仕事ならやれるというのはあるんです。で すからボランティアとかそういう方がしっかりやれるようにしなければいけない。ところが、 ボランティアでやる人も燃え尽きてしまうんです。看護師がバーンアウトするのと同じように、 一生懸命何とかしてあげようと必死になるものだから、ケア疲れで自分が燃え尽きてがっくり 来て、そこでもう一回考え直して、いや、やることは自分だって自己実現になるんだというと ころまで行かないと長続きしない。そのシステムをどうつくるかなんですよ。  これはとても難しくて、普遍的に正義でこうやればいい、福祉のもので普遍的にやればいい というのは別にあるのですが、個別の具体的な場面になると実際に携わっている人が燃え尽き てしまうから、それをしないためにはやはりボランティアだって自己実現でなければ続かない じゃないですか。単に他人を助けるだけではなくて自分も実現して、だからさっきお話に出ま したけれども、自分は助けてもらうんだったら行きたくないというのがあると思うんですね。 だから相互実現、助ける人と助けられる人が相互実現できるような仕組みをうまく社会の中で つくるという、その辺がとても大事ではないかというのを再確認させていただいてよかったと 思います。  それからもう一つ、見守りという言葉、多分ケアの日本語訳だと思いますが、コントロール という何かおかしくないかと監視するというのと見守るというのは、紙一重になることが多い んですよ。行政側は、失礼だけれども、昔は変なことになっていないか監視する。家庭内で虐 待が起きていないか、チャイルドアビューズが起きていないか、徘徊している老人がいないか どうか監視する。この発想はあまりよくなくて、見守るというのをどういうふうにするかとい うので、こういうボランティアその他等々の機能がとても大事だと思います。だから「監視か ら見守りへ」というのはとても大事だと思うので、随分言葉が出ましたから、それはとてもい いことだろうと思っています。以上です。 ○大橋座長  「双方向型のボランティア」の問題だとか、あるいは個人情報保護の中で見守り、あるいは 監視というあり方の問題、これは多分地域福祉をやっていく上で非常に大きな課題になるだろ うと思いますので今後また深めさせていただくことにしまして、もう一つ大きな議題がござい まして、ちょっと時間が押しているのですが、社会福祉協議会の現状と課題について話を進め たいと思います。  それではまず厚生労働省の事務局から現状についてご説明いただいて、その後全社協の渋谷 部長からご報告いただくということで、よろしくお願いします。 ○中村企画官  資料6に沿いまして社会福祉協議会の現状をごくかいつまんでご説明させていただきます。  まず資料6の1ページ目でございますが、社会福祉協議会の位置づけでございます。社会福 祉協議会は、住民、ボランティア団体、民生委員・児童委員、社会福祉施設や関係団体など社 会福祉関係者、保健・医療・教育などの関係機関の参加・協力のもと福祉のまちづくりを目指 したさまざまな活動を行っている民間団体と位置づけられます。いわゆる地域独占でございま す。また法人化が進んでおりまして、中央段階及び都道府県の社会福祉協議会はすべて社会福 祉法人格を取得。市町村社協もほぼ100%に近い法人化率でございます。2000年の社会福祉法改 正におきまして、市町村社協が社会福祉協議会の基礎単位と位置づけられるとともに、社会福 祉協議会の目的が「地域福祉の推進」にあることが法律上明記されたところでございます。  沿革については省略させていただきます。次に4ページをお開きください。構成メンバーで ございます。市町村社会福祉協議会は、区域内の社会福祉を目的とする事業を経営する者、社 会福祉に関する活動を行う者が参加し、かつ社会福祉事業または更生保護事業を経営する者の 過半数が参加するものとする、とされております。都道府県社会福祉協議会は、区域内の市町 村社会福祉協議会、社会福祉事業または更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものと する、とされております。  次に事業でございますが、6ページ以下に社会福祉協議会の事業をまとめてございます。9 ページ目をお開きください。9ページ目は、真ん中の列が都道府県社会福祉協議会、右側の列 が市町村社会福祉協議会の事業でございます。関係機関あるいは団体の連絡調整のほか、例え ばボランティアセンターの運営とか、小地域福祉活動、あるいは日常生活自立支援事業の実施 等々さまざまな事業を展開しておられます。  事業の右横に「通知・セーフティネット支援対策等事業の実施について」と書いてあるもの がございますが、これは厚生労働省の通知で社会福祉協議会が実施主体あるいは委託先として 位置づけられているものでございまして、厚労省から何らかの形で助成を行っているものでご ざいます。  次の10ページ目をお開きください。社会福祉協議会に対する国の補助をまとめてございます。 このうちちょうど真ん中あたりにございますが、地域福祉等推進特別事業というのが今年度創 設されたもので、既存の制度のみでは充足できない問題や制度の狭間にある問題など、地域社 会における今日的課題の解決を目指す先駆的・試行的取り組みに対する支援を通じて住民参加 による地域づくりの一層の促進を図る、といった事業を始めたところでございます。  また市町村社協の中には、介護保険事業をされているところもございまして、7ページにお 戻りいただきたいと存じます。介護保険においては社協が一定のシェアを占めておりまして、 例えば在宅サービスでは社協のシェアが6%、訪問介護では11%というシェアを占めておられ ます。  次に職員でございますが、11ページをお開きください。2003年時点の職員が11万人、うち一 般事業職員は非常勤を含めて2万人、経営事業職員が非常勤を含め9万人という状況でござい ます。  次の12ページ目が、人口の規模別に見ました市町村社会福祉協議会職員数、平均でございま す。お目通しを願えればと存じます。資料の残りの部分につきましては、お目通しをいただけ ればと存じます。私からの報告は以上でございます。 ○大橋座長  それでは渋谷部長よろしくお願いいたします。 ○渋谷氏  全国社会福祉協議会の渋谷でございます。よろしくお願いいたします。資料7をご覧くださ い。資料の順に沿ってご説明したいと思います。  まず市町村社協の事業・組織・財政ということですが、今のお話にもありましたように、社 協の目的はここにあるように地域福祉の推進ということですので、それを踏まえて2つに分け て考えることができるのかなと思っております。住民の福祉活動の支援ということ、それから 住民の福祉活動との協働、これは専門職、職員との協働ということだと思いますが、それに沿っ て事業であるとか組織が成り立っているということだと思っております。  近年は、前回のお話にもありましたように分野ごとの制度になかなか乗らない深刻な問題が 起きておりまして、どうもそれは地域で支えることが重要だと思っておりまして、具体的には 日常生活自立支援事業を軸にしておりますけれども、より専門職と住民ががっちり組んでシス テムをつくっていく。ここに地域総合相談・生活支援と書いておりますが、このようなシステ ムづくりがかなり必要だと考えています。住民の福祉活動の協働の中に含まれると思いますが、 このようなものについてかなり意識して取り組んできているし、さらに取り組まなければいけ ないと考えております。  次になります。まず事業についてですが、左側にありますように4つの部門に分けて整理を しております。1つは地域福祉活動推進部門ということで、これは住民の活動、あるいはボラ ンティア活動、当事者組織の支援ということが含まれてくると思います。2つ目は福祉サービ ス利用支援ということで、これは後で日常生活自立支援事業についてもご説明しますが、生活 資金貸付制度であるとか、心配ごと相談とか、あるいは総合相談という看板を掲げてやってい るところもございます。それから在宅福祉サービス部門。これは介護保険サービス、障害者の 自立支援法関係、その他市町村段階での福祉サービスも受託等をして実施しているということ でございます。一番下は法人運営ということでございます。  それぞれの事業につきましては、ここにポイントと書いてあるように、地域福祉活動推進部 門はやはり地縁型組織との連携による小地域福祉活動、あるいはボランティア・市民活動の推 進ということが軸になってくると思いますし、福祉サービス利用支援部門は、制度外の対応。 制度につなぐことももちろん大事ですが、制度外の対応をどういうことをやるのか、あるいは その上の小地域福祉活動との連携の支援をどうやるのかということが主要なテーマになってき ております。在宅サービスについては先ほどシェアのお話もありましたが、社協としてやる以 上は社協らしい展開ということですね。地域福祉志向であるとか地域社会志向ということが非 常に重要だということで進めております。  次になります。まず小地域福祉活動。住民の福祉活動と言ってもいいと思いますが、その支 援についてです。どんな構造になっているのかということを、やや詳しい図になっております が説明したいと思います。  1つは自治会等のコミュニティ組織、これが強いところもあれば弱いところもあるわけです が、それがまず基盤にありまして、社協はどういうことをやっているかというと、左側から矢 印が入っていますが、福祉に関心を持ってほしいということを働きかけております。なかなか そうはいかない部分もあるわけですが、しつこく働きかけているということです。  その中から、やはり福祉活動をやろうという方が出てきます。それがこの後ご説明しますが、 地区社協とか自治会の福祉部会等の、地域福祉推進の基礎組織というものでありまして、この 方々は選ばれてくるのですけれども、頼まれて嫌々ということも最初はあるのですけれども、 いわばボランティアグループで、自治会を基盤としながらも福祉についてやろうという方々が 集まってきている。  そういう中でもう一つの、見守りとか生活支援のさまざまな活動、このオレンジ色のところ が活動組織と書いてありますが、さまざまな活動があるということで、それがこの基礎組織の 中でやるものもあれば、飛び出してやるものもあれば、もともと外でやっているところもあり ます。この紫色の枠の外は基礎組織の枠の外ということですが、当然外にもいろいろな活動が ありますのでそういうところとは協働ということになりますし、社協の立場も協働したり支援 したりするということになります。  右の方に括弧づきで市町村社協、ボランティア・市民活動センターと書いてありますが、こ れは市町村社協に限りませんけれども、ボランティア・市民活動センターは、矢印がグラデー ションになっていますが、上の方になると強い支援をしていく、下の方は社協の地域担当がや るという感じになっているのかなと思います。アプローチの仕方がちょっと違うということで す。  右上に書いてありますが、同じように左側・右側に、市町村社協地域担当とボランティア・ 市民活動センターとありますが、左側は頼まれ型ボランティア、選ばれて役割だからと入って くる方々、一方では自分で手を挙げて入ってくる方々がいらっしゃって、これは地域の活動の 中でも手あげ型ボランティア、どこどこから選んでくださいとやる場合もあれば、ちょっと手 を挙げてくださいと広報して、皆さん参加しませんかというやり方をする場合もあるというこ とで、このような使い分けが意識、無意識で、住民のリーダーの方々にもありますし、社協と かボランティアセンターのレベルでもあるということかと思っています。  従来、社会福祉協議会はこの左側の方の基礎組織を中心とした支援をかなり中心にやってき ましたので、ややNPOの支援が足りないのではないかとか、そういう点をご批判としていた という言い方をしてきたわけですけれども、実際にはさまざまなタイプがありまして、1つ目 が自治会代表や関係組織代表が集まって地区社協を組織する場合で、これは社会福祉活動を目 的とした組織ということになると思います。  従来この地区社協という形でつくってきたわけですけれども、実際にはもう一つのタイプ、 行政の方で進められていることが多いと思いますがコミュニティ協議会とか、あるいは自治会 の連合会レベルで福祉部会、福祉委員会というものをつくってやられている。これは社協がつ くったというよりは、その中で実際に福祉に関心を持った組織としてそういう活動を始めると いうことで、そこと社協は協働、連携する。支援され、支援するという関係になっているとい うことかと思います。  特に近年は自治会とかコミュニティ組織が、福祉というのが地域にとって非常に重要な問題 だという意識が出てきましたので、2番目のタイプがかなり増えてきている、今後はますます 増えていくことになりまして、従来地区社協というと社協の内部組織みたいな言い方になって いますけれども、実際には住民の方々と協働する、協働相手と考えるのが適切で私どもも実態 を見てみますと、地区社協という名前であろうが何だろうがそういう協働の形ができていると ころが非常にいい活動をしていると思っております。  なおこの2つのタイプの基礎組織の設置率ですが、全体で地区社協の方が31.5%コミュニティ 協議会等の関係は4.7%ですが、実は町村になってくると直接参加という感じが強くなるので、 市区社協だけで見ますとこのような高い比率になっているということです。さらに福祉委員と いう形で、組織にはなかなかなっていませんが地域のボランティアを選ぶというタイプもあり ますので、それを加えるとかなりの比率になってくるということです。ただ率直に申し上げれ ば、形が整っても実態の活動ができていないということもありますので、これについては組織 ができているから大丈夫だということは決してないということです。これらは社協の活動とか 事業ではなくて、社協が支援する活動、パートナーと考えるのが適切なのではないかと思って おります。  次は「ふれあい・いきいきサロン」と小地域ネットワークという代表的な活動について簡単 にご説明しているものです。  「ふれあい・いきいきサロン」というのは左下にあるように、地域を拠点に住民である当事 者とボランティアとが協働で企画をし、内容を決め、ともに運営していく楽しい仲間づくりの 活動。出入り自由というのが原則になっています。がっちりした組織ではなくてということで す。高齢者が多いのですけれども、障害者とか子育てサロンという展開もあります。開催場所 は自宅とか公民館で、先ほど拠点の話もありましたが、なかなか苦労しているところもござい ます。  機能で見ますと、左側がサロンですが、サロンの中で人間関係を回復したり維持する。それ が地域に戻っても知っている者同士、ボランティアとあいさつするし、知り合いの知り合いは 知り合いということで広がっていくということで、こういう人間関係をサロンの場でも自宅に 戻ってもつくっていくというのが、このサロンのやり方になっています。  右上に書いてありますが、70%ほどの社協で取り組んで、4万カ所ぐらいございます。ただ この半分ぐらいは社協が働きかけてつくったもの。半分は、直接関係がないということなんで すが、つくったものに社協が協力しているという感じになっています。精神障害関係は数は少 ないのですが、非常にいい活動が行われていると認識しています。サロンには非常にいろいろ なパターンがありまして、例えば特養の入所者を地域のサロンが呼んでやっているというもの もあります。  その次のところは小地域ネットワークということで、左上の方から、これは真ん中に人が入っ ているのですが、そこで2〜3人のボランティアの方が訪問チームをやって、いわゆる定期訪 問、声かけ訪問、家事支援等をやっています。場合によっては介護の支援をやる場合もあると いうことです。  これが基本ですが、大事なのはそれを、右下の方に移っていきますが、班という形で幾つか のグループが集まってボランティアの方々が検討する。事例検討ですね。あるいは、こんなこ とをやった方がいいんじゃないか、専門職につないだ方がいいんじゃないかということをやり ます。さらにここでは校区単位で集まって、ここには専門職も入ってきて事例検討をやったり するという形になっています。  右上にありますように、半分ほどの社協で取り組んで、活動対象が88万人とか、訪問回数が 600万回とか、これも訪問するだけが必要なのではなくて、訪問することによってさらに知り 合いになって道で会うということも非常に重要になっているということです。  次のページに移ります。小地域活動のステップアップと書いてありますが、左上の方は、食 事サービスとか小地域ネットワークというのが30年ちょっと前ぐらいでしょうか、始まったわ けですが、当初は見守り、発見でとにかく専門職につなぎましょうという感じ。それと簡単な 生活支援だったのですが、活動が広がって深まってくるに従って生活支援という機能も強まっ てきますし、人間関係の回復・維持というのが強く意識されるようになってきたということか と思います。ほかにもさまざまな活動、1990年代からは「ふれあい・いきいきサロン」が加わっ てくるわけですが、さらにこれが深まると、緑にありますような個別相談・調整とか、こうい う活動が欲しいね、子育てサロンをつくりましょうというような活動づくり・支援の機能が出 てくる、組織間の連絡調整の力も出てくるという形でだんだんステップアップするということ かと思います。  右下の方は、広がりということです。要援助者の個別支援というところから、右の矢印にあ りますように要援助者支援を通した福祉問題への気づきからさまざまな活動が出てきて、さら に福祉でまちづくりという形で広がっていくパターンもあれば、まちづくりの方からだんだん 要援助者につながっていくものもありまして、これはステップアップというよりは変化、広が りということだと思いますが、そういうふうに展開しているということです。  7ページになりますが、お金の面から地域福祉推進の基礎組織のことを見ております。収支 200万円になっておりますが、いわゆる運営費補助というのを会費とか社協の補助で行ってい る。それから事業費補助もあります。具体的な事業に関する補助というのがさまざまなところ が入ってくるし、共同募金からもいただいているという形になっています。支出は、いわゆる 運営にかかる経費が50万円、事業費はサロンをやったり、サロンはそんなにお金がかかるわけ ではありませんけれども全くかからないわけでもありませんので、このような形でお金が使わ れていく。厳密な調査をして平均しているわけではないのですが、大体活発なところはこんな イメージで収支を考えていただければいいのではないかと思っております。  8ページになります。これは、ある校区福祉委員会の事例ですが、このような活動が行われ ています。上の方を見ると月1回となっていますので一つずつ見れば大したことではないとい う感じもあるかもしれませんが、これがだんだん増えてきて密度が濃くなってくると、見守り ・声かけとか、個別支援というのもかなり厚みを加えてきて活発になってくるということかと 思います。他に活動が何もないところで見守りといっても実効性があまりありませんので、こ ういうふうになってくる。  さらにここでは下から3番目にありますが、何でも相談窓口というのを月4回開いている。 これも、この窓口に来る相談は実は件数が非常に少ないのですけれども、この窓口以外でさま ざまな相談を受けている。こういう窓口の看板を掲げるということと、窓口に限らず全体で相 談をやっているということが非常に大事だということかと思います。  ここでは150名ぐらいの登録のボランティアがいらっしゃってさまざまな活動をしています。 それからさらにここの基礎組織以外のところでもさまざまな活動があって、そこと連携してい るということが大事かと思っています。  9ページになります。これは展開イメージ図ということで、上の方はいろいろな活動がある んだということを申し上げたいということですが、一方で自治会とか町内会、地域福祉推進の 基礎組織が支えているということも先ほど申し上げたとおりですが、さらに青いところがあり ますが、実際には基礎組織が全部やるのではなくてこういうさまざまな団体、地縁型組織もあ ればテーマ型組織もあるわけですが、さまざまなところがかかわってやるということが非常に 重要です。団体として動いている場合もあれば、例えば老人クラブのメンバーというのは地域 のボランティアの方の主力部隊になっておりますので、そのような形でかかわっているという ことです。  社会福祉協議会というのはそういう活動を支援する立場でして、主にこの基礎組織という活 動を通して支援してきたわけですが、ただ今後はもっとNPOとかを含めてさまざまなグルー プの支援を展開しなければいけないということだと思っています。もう一つ大事なことは先ほ どちょっと申し上げたように、基礎組織も自分たちで全部やるのではなくていろいろな活動を 支援する立場だということです。ボランティアを応援するボランティアグループということか と思います。  要するに直接コントロールではなくて、このような社協という立場から見ても、あるいは基 礎組織という立場から見ても、支援をする。組織内に収めるのではなくて支援するというのが 非常にインフォーマルでは非常に重要だと考えていますし、そのように広がっているというこ とです。  10ページになります。日常生活自立支援事業、これは3月までは地域福祉権利擁護事業とい う名前で実施されておりました。中身は変わりません。事業概要はここにありますように、認 知症高齢者、精神障害者、知的障害者等判断能力が不十分な方に対して、福祉サービスの利用 援助とか、日常的金銭管理等を行っているということです。これは契約に基づいて行っており まして、右にありますように年々増えてまいりまして、19年度の数字は年度途中ですので大き く上がっていないですけれども、このように順調に伸びてきて2万3,000件ほどの契約がある ということです。これは実施主体は都道府県・指定都市社協ですが、第一線は基幹的社協と言 われている620カ所ほどの市町村社協で、専門員それから生活支援員が支援をしています。  この事業の利用者の特徴を見るとこのようなことが見えてきます。家族、親族、友人などイ ンフォーマルなサポートが希薄だとか関係が悪いとか、生活全般にわたる課題を持っていると か、あとは低所得者が多いということもございます。  さらにこの事業の経験を通じて私たちが見てきたことは、判断能力の不十分な人と言ってい ますけれども、それが基盤になって生活経営が難しいとか、地域社会から孤立しているとか、 地域生活のルールを守れない、人によっては排除される方々ですが、そういう人びとが見えて きます。このような人びとのことを考えていくと、この日常生活自立支援事業だけではなくて、 あるいは広げるということを含めて、この緑にあるようなことについてもっと対応を深めてい かなければいけないと思っています。日常生活自立支援事業を広げてやるものもあれば、隣接 してやらなければいけないこともあるということかと思っています。  11ページに移ります。今度は組織の問題でありまして、右の方にありますようにグレーのと ころの地域福祉推進の基礎組織、ない場合は自治会・町内会ということになるのですが、やは り地縁団体の婦人団体、青年団体、老人クラブ、当事者組織、ボランティアグループ、民生委 員・児童委員さん、それから社会福祉施設等の法人、更生保護もございます。住民会員という のがありますが、これは間接参加ということになります。ここらがどれだけ住民の意思が通っ ていくのかということが、常に社協は問われていると思っております。  このメンバーが評議員の選出基盤になっておりまして、多くの社協では選出内規がつくられ ていて、ここのグループから何人と決まっておりまして、評議員が選ばれ、それから理事が選 ばれるという形になっています。  ちょっと細かくて恐縮ですが、上の方が評議員の構成です。民生委員さんから始まってNP O団体までのところで大体71%ということで、地域の住民の方、それから市町村段階で活動さ れている方々が評議員に入っているという形になっています。理事会の方を見ると、これは人 数が絞られてきますので、同じようなことでいうと53%ほどがそういう住民代表という形になっ ていまして、冒頭で申し上げましたが、住民の活動を支援する、住民の活動と協働するという ことで、これが組織にも反映されているということになっております。  12ページですが、従来地域福祉計画というのは行政でつくられているわけですけれども、私 どもでは住民自身が活動をつくる。社協の計画ではなくて住民自身の計画ということで活動計 画をつくって、地域福祉計画に働きかけていこうという発想でやっております。地域福祉計画 がなかなか進まない、自治体の方でなかなかご理解いただけないということもありましてこの ようなかたちで進めておりますが、近年は一番左にあるように小地域福祉活動計画の取り組み 事例が出てきています。従来住民座談会と言われていたものについて、それだったら文字にし て、計画にしてしまいましょうということで取り組んでいる地域が増えてきております。  そうすると小地域活動計画から赤の矢印がありますが、これをぐるぐる相互循環するような 形ですると住民の活動が生き生きと自治体レベルにも反映されてくるのかなと考えております し、実行しているところがだんだん増えてきているということです。  13ページは、市町村社協の収入構造となっております。上の方が介護保険サービスを実施し ていないところ、下の方が介護保険サービスを実施しているところとなります。このように随 分違っておりますが、介護保険をやる場合は実施していないところの事業に乗っかるような構 造になっております。  中身を見ていただくと、下の表ですけれども、会費が5%・2%、寄附金が3%・2%とい うことで、民間財源といえどもなかなか厳しいところがあります。真ん中あたりに共同募金の 配分金というのがありまして、これは6%・3%となっております。共同募金の多くは地域の 団体に助成するという形で、通り抜けていくようなものも含まれています。会費というのは非 常に重要なのですが、これはできるだけ多くの方から納めていただこうとやっておりますので、 1万円とか2万円という会費を取るわけにはいかないので、集めることは非常に重要なのです が財政の中で寄与するというのはなかなか難しいという構造になっています。  左から4番目の経常経費補助金というのが、社協の人件費にかなり充てられる部分ですが、 いわゆる申し上げた地域活動推進部門の人件費ということで、これが介護保険未実施のところ でいうと35%となっております。これが、近年なかなか財政が厳しいという中でどんどん削ら れている状況になっているということです。受託というのは、市町村が実施するものを受託し て実施しているということですので、これは社協によって割合が違っているかと思います。  最後のページになりますが、社会福祉協議会というのはそれぞれ別の法人ですけれども、市 町村、都道府県、全国となっておりまして、ここに書いてあるのは災害のことですけれども、 災害が起きますと被災地の災害ボランティアセンターで、社協が実施するというか社協が受け 皿になってNPOとかさまざまな団体が入って活動を行うわけです。この現地センターを外か らこのような形で応援をしています。例えばこの間の中越沖ですと、関東ブロックからは4日 間ずつですけれども522人の職員が参っているということで、これも社協としての社会貢献のよ うなものですが、このような形でネットワークを生かして支援するという形になっています。  先ほども申し上げた「ふれあい・いきいきサロン」とか小地域ネットワークも、ネットワー クの中で私どもで提案して、あるいは個々の市町村が提案して広がってきたということで、こ ういうネットワークを生かすというのも社協の特徴かと思っております。 ○大橋座長 ありがとうございました。既存の制度、施策としては社協の持つ意味が大変大き いわけですが、残念ながら十分論議をする時間がなくて12時を回ってしまったんですね。本当 に1、2質問があればお聞きしたいと思いますが。 ○小林委員  質問というよりも印象ですけれども、今日いろいろお話を伺いまして幾つかの整理をするフ レームワークを考えてはどうかと思いました。例えば専門サービス、介護保険サービス、それ からいろいろな地域の活動というサービス資源の動きがあると思います。それとともに情報は やはり非常に重要ではないかと思います。すなわち、それぞれのサービスにどういうふうにア クセスする仕組みがうまくいっているのだろうか。特に孤立化という問題がかなり大きなテー マになっておりますので、孤立化に対してどういうふうに考えていくか。そもそも孤立化はな ぜ起きてくるのかというのもいろいろな要因があるわけで、この辺の検討も、これは研究が必 要かもしれません。  それとともに福祉のシステムとして考えますと、今までは措置からサービスになってきた。 その先に出てきた問題は、どうも地域での発見とか相談とか、今もありましたが見守りという ような、地域で持たなければならない情報機能が弱くなってきているのではないでしょうか。 我々はコンピューターを大分使えるようになりましたので、情報はかなり入りますけれども、 孤立化している人たちにとってみると、これは何も役に立っていない。  そこで地域について、情報の面から見て、発見と相談と見守りという機能をもう一回考え直 した方がいいのではないか。それぞれの組織、サービス提供する機関で、情報提供については どういうふうな機能を持っているのかという観点から地域を考えるのも必要なのではないかと いう印象を持ちました。以上です。 ○大橋座長  一種の福祉アクセスビリティをどうするかということですね。その意味でせっかく渋谷部長 から報告をいただいたので今のことでいけば、社協がこの2ページの地域総合相談、どれだけ 福祉アクセスビリティがよくて社協に相談に来られて、そこでこれはやはり行政に行った方が いいとか、これは介護保険のここへ行った方がいいという、そういう一種のスクリーニングを してくれるような機能はどれだけ働いているのでしょうか。 ○渋谷氏  どれだけというのは難しいのですけれども、社協はフォーマルとインフォーマルをつなぐ場 所ですので、そういう意味ではきちんとそれができなければうそだろうと思っているのと、も う一つは先ほどもちょっと言いましたけれども、インフォーマル自体の相談機能を支援するこ とがすごく大事なんだということを最近強く思っています。そういう実践も随分増えてきたと いうことかと思っています。 ○大橋座長  どのくらい相談件数があるとか、そういうデータはないのですか。 ○渋谷氏  総合相談という枠がないのでちょっと件数は出しにくいのですけれども、私どもも地域の基 礎組織でどういう相談が上がっているかというのは調べたいと思っています。それはどこかで 機会があれば報告できればと思っています。 ○大橋座長  今の小林委員さんとの質問とも絡むとても大事な問題だと思います。どこに行け ばつないでくれるかという情報の提供と同時に、つながるということはすごく大事なことかと 思います。ほかにはいかがでしょうか。 ○金井委員   今の小林先生の方からお話がありましたように、地域の役割、町の役割、これは見守りから 始まる発見であり、両方からの情報ですよね。制度の情報を当人に渡す、そして必要なニーズ を行政に上げるという情報の双方向が大事かと思っております。  そして先ほどの釧路の方のお話にありましたように、非常に綿密なものがありますけれども、 私どもも実は介護者の集いということで10年ほど前からやっております。語らいということで、 自分たちの悩み、あるいは制度の使い方等を情報交換しながらやっています。また町の中では、 いわゆる徘徊者が出た場合にはセキュリティネットワークというところで情報を流しまして、 みんなで表へ出て見てみようよという取り組みも行っております。それは1つ今申し上げまし たように、情報の共有化というところが非常に大切になってきますし、ネットワークというこ とが大事になってくるのではないかと思います。  今日お話を聞いていますと、制度のいわゆる確立といいますかマニュアル化といいますか、 そういうことでお話が進んでいると思いますが、その制度が地域の中でどう活用できるか、実 際の活動につながっていくかというところが実は大切であって、国民一人一人にその制度が本 当に有効に機能するであろうかという点をぜひ掘り下げていただければと思います。よろしく お願いします。 ○大橋座長  ありがとうございました。全員にお話しいただこうかなと思ったのですが、とうとう時間が 来てしまったのですが、今日で終わるわけではありません。続けていきますので、これでおし まいにしたいと思いますがよろしゅうございましょうか。  時間の関係でまとめを十分できませんが、1つは、ニーズキャッチの方法が改めて大事だな ということを今日は感じました。特に岩渕さんが言われた、介護保険のサービスを経済的に利 用できなくなる、そうすると事実上そういう情報がどこにも伝わらないという、これはかなり 大きいわけで、そのことは先ほどの福祉アクセスビリティの問題にもかかわってくるかと思い ました。  それから地域で支えるシステムというのをどう考えるか。地域福祉推進基礎組識という言葉 が出てまいりましたけれども、そんなことも含めて従来の町内会だけではなくてNPOだとか、 そういう新しい仕組みもどう考えていくか。あるいは今田先生が言われた相互実現型、双方向 型のボランティアの問題というのも改めて我々は強く言わなければいけないかなと感じました。 またニーズをキャッチしてサービスを開発していく、そういうコーディネート機能の持つ意味 というのも改めて今日は確認できたかと思っております。  ちょっと意を尽くしませんが時間の関係でその程度にさせていただきまして、今日はこれで おしまいにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。それではおしまいにしたいと思い ますが、何か委員の方々から、先ほど次回までに幾つか要望が出ましたけれども、ほかに次回 までにこんな資料があればということがあれば。 それではこれで終わりにさせていただきます。長時間どうもありがとうございました。岩渕さ んどうもご苦労さまでした。渋谷部長ありがとうございました。 ○事務局  最後、連絡でございます。次回は11月9日10時から12時、場所は商工会館になります。本日 はありがとうございました。                                       (終了) 1