07/09/19 治験のあり方に関する検討会 第16回議事録 第16回治験のあり方に関する検討会 開催日:平成19年9月19日(水) 場 所:ホテルはあといん乃木坂(フルール) ○ 中垣審査管理課長  それでは定刻になりましたので、ただいまより「治験のあり方に関する検討会」を開 催させていただきたいと存じます。  議事に入ります前に、本日の出欠状況について御報告申し上げます。本日は全委員よ り御出席との連絡をいただいておりますが、望月先生が何らかの理由でおくれられてい るのではないかと思います。後ほど来られると思います。  本日の議題でございますが、前回までに御議論いただきました内容を踏まえて事務局 にて「治験のあり方に関する検討会 報告書案」を取りまとめさせていただいておりま すので、この案の内容について御議論いただきたいと考えております。最初に事務局よ りその案について御説明させていただいて、その後に御意見をいただければと考えてお ります。また、その他の議題としまして、臨床研究のあり方について検討が進められて おりますので、その状況について医政局研究開発振興課より御報告させていただきたい と存じます。  なお、本日、出席させていただいております大臣官房審議官の黒川でございますが、 所用のため途中で失礼させていただくことをあらかじめ御容赦願えればと思います。  それでは座長の池田先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○ 池田座長  池田でございます。ただいま課長から御報告がありましたように、第16回ということ でこの取りまとめの報告を議論していただくということになっております。よろしくお 願いします。  それではいつものように事務局から配布資料の確認をお願いしたいと思います。 ○ 事務局  それでは事務局から配布資料の確認をさせていただきます。本日、机の上にお配りし た資料でございますが、まず本検討会の座席表、議事次第、その後からが資料になりま す。配布資料一覧をごらんください。資料1としまして、「治験のあり方に関する検討会  報告書(案)」がございます。これには別紙1としまして、「GCP運用改善(必須文書 の取扱い等)に係る専門作業班 報告書」がついてございます。資料2としまして、「臨 床研究のあり方に関する検討について」という資料がございます。また、参考資料とし てドッチファイルの資料をお配りしております。当該参考資料は傍聴の皆様にはお配り しておりませんが、厚生労働省のホームページの当該検討会サイトに資料を掲載します ので、そちらでごらんいただきますようお願い申し上げます。  以上が配布資料の説明ですが、過不足等ありましたら事務局までお知らせいただきま すようお願い申し上げます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。先生方、配布資料について不備等ございませんでしょうか。 よろしいですか。もし何かございましたら、どうぞ御指摘いただきたいと思います。  それでは本日の進め方でございますが、先ほど課長から御説明がありましたように、 最初にこの「治験のあり方に関する検討会 報告書(案)」について事務局より説明して いただきたいというように思います。この報告書でございますが、先生方はお読みにな ったと思いますが、「はじめに」と「おわりに」がありまして、その中は5つのパートに 分かれております。進め方としては、最初の2つ、治験審査委員会の設置に関する規定 について、それから治験の契約に関する規定及び治験審査委員会への審議依頼に関する 規定について、この2つの説明をまずして、説明が終わった時点で一たん意見交換の時 間を取って議論していただきたいというように思います。  それで、その議論が終わりましたら、その後、3の治験計画の届出の問題、そして4 番目は治験中の安全性情報の規制当局への報告及び実施医療機関への伝達、そして治験 薬の交付に関する規定、この3項目についてその後に御議論いただきたいというように 思います。それで最後にGCP運用改善、これは必須文書の取扱い等でございますが、 それに係る専門作業班の報告書の取扱いについても御確認いただきたいということを考 えております。  その他の事項としまして、これも課長から御説明がありましたように、臨床研究のあ り方について現在、厚生科学審議会にて検討しているということですので、その状況に ついて研究開発振興課の方から御報告していただくということにしたいと思っておりま す。  本日の議事の進め方はそのようにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょ うか。今回の報告でございますが、今回で16回目でございます。本当に2年半の長きに わたって先生方には非常に真摯な御議論をいただいたわけですが、その取りまとめとい うことですので、ぜひ活発な御議論をお願いしたいというように思います。  それでは早速、事務局から説明をお願いします。 ○ 事務局  それでは事務局から「治験のあり方に関する検討会 報告書(案)」の「はじめに」か ら2番までの説明をさせていただきます。  報告書を1枚めくっていただいて2ページ目、「はじめに」がございます。本検討会の 目的、これまでの取り組み等を書いてございます。  治験は医薬品の開発に必要不可欠なものであり、厚生労働省として、平成14年の薬 事法改正によるいわゆる医師主導治験の制度化や「新たな治験活性化5カ年計画」の策 定等により、その円滑な実施を推進しているところである。  本検討会は、被験者の保護及び治験の信頼性確保を前提として、より円滑に治験を実 施するための方策について検討することを目的に平成17年3月、設置された。  これまでに、いわゆる医師主導治験の運用改善に関する具体的な方策、治験審査委員 会の質や機能の向上について検討し、それぞれ「中間まとめ(1)」、「中間まとめ(2)」 を取りまとめ、報告したところである。  本年2月より、本検討会は、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライ ンとの相違点やその他の円滑に治験を実施するために必要な事項について検討を行い、 今般、その結果を取りまとめたので、以下のとおり報告する。  1.治験審査委員会の設置に関する規定について  (1) 現状・背景ですが、ここについては前回の検討会から変更はございません。  治験は、一般に、複数の医療機関で実施される。また、近年、治験の依頼先として、 クリニック等の小規模医療機関が増加している。  一方で、現行のGCP省令では、実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置する ことを原則としている。  (2)として「今後の方向」ということで述べさせていただいております。  実施医療機関の長の判断により、実施医療機関の内外問わずに治験審査委員会を選択 できることとすることが適当である。  <参考>として現状を書いてございますが、 1.外部IRBが調査審議を行う場合には、当該外部IRBは、緊急時に必要な措置 をとることができるか、実施医療機関の治験責任医師及び治験分担医師が当該治験 を実施する上で適格であるか等について、必要な情報を入手するよう通知している。 2.現行のGCP省令に規定されている専門治験審査委員会に関する規定を用いて、 プロトコール等の各実施医療機関に共通の事項と実施医療機関ごとの適格性の判断 に関する事項を区別して、いわゆる2段階審査を実施することも現状では可能であ る。  次にまいりまして、  第三者治験審査委員会は、実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければ ならないという原則に沿って設けられた規定であるため、不要と考えられる。  治験審査委員会の設置者に、医療機関を有する国立大学法人、地方独立行政法人(公 立大学法人)及び学校法人並びに医療の提供等を主な業務とする独立行政法人等を追加 する。  ここにつきましては前回の検討会以降、県立医大、市立医大等がございますので、「公 立大学法人」というものをつけ加えさせていただいております。また定款に「医療の提 供」というものがなかなか書けないのではないかということでございましたので、医療 機関を有するということで限定的な言葉をつけ加えさせていただいております。  次の○にまいりまして、  治験審査委員会の審議の透明性の向上及び質を確保するために、全ての治験審査委員 会について、治験審査委員会の手順書、委員名簿及び会議の記録の概要を各治験審査委 員会として公開することとし、改正GCP省令の公布後1年を目途に施行することが適 当である。  <参考>として公開の方法・内容等を書いております。   本改正にあわせ次の事項を通知等によって周知することが必要である。 1.治験審査委員会の手順書、委員名簿及び会議の記録の概要は、ホームページで公 開することが望ましいこと。  2.委員名簿には、職業、資格及び所属が含まれること。 3.会議の記録の概要には、開催日時、開催場所、出席委員名、議題(成分記号(一 般名が付されている場合にはその名称を含む。)、治験依頼者名、開発の相)及び審 議結果を含む主な議論の概要が含まれること。  その下に表記例を書いてございます。表記例として、「○○○(株)の依頼によるAB C−123(一般名)の第I相試験」というような表記が考えられるということでござ います。  次の○にまいりまして、ここもつけ加えたところでございますが、  治験計画の届出事項に、当該治験の適否等について調査審議を行う治験審査委員会の 設置者の名称及び所在地を追加する。なお、届出時点で調査審議を行う治験審査委員会 が決まっていない場合には、事後に変更届として届け出ることで差し支えないこと。 4ページ目にまいりまして、  なお、治験審査委員会の委員の教育については、「新たな治験活性化5カ年計画」、以 下「新治験活性化5カ年計画」と言います。において、中核病院・拠点医療機関に期待 される体制・機能として明記されている他、平成19年度より「治験審査委員会の委員 を対象とした新規研修」をモデル的に実施することとしている。  それから注)がございますが、11ページに現行のGCP省令と今回の改正案の比較の イメージを掲載させていただいております。ここにつきましても主な変更点は11ページ 目の右側ですが、27条第1項第5号、地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方 独立行政法人が設置した治験審査委員会ということで、公立大学法人のことを指してお ります。  その他の部分につきましては、前回から大きな変更点はございません。  4ページに戻りまして、2.治験の契約に関する規定及び治験審査委員会への審議依 頼に関する規定について、ということで前回から大きな変更はございませんが、確認の ために説明をさせていただきます。 (1) 現状・背景  ICH−GCPにおいては、治験依頼者と治験責任医師の契約を認めている。一方、 我が国のGCP省令では、治験責任医師との契約は認めておらず、医療機関の長との契 約を求めている。  治験審査委員会における審議の際の説明は、本来、治験責任医師が行うべきであると 考えられるが、治験依頼者が出席し、行っている場合がある。  なお、治験依頼者と実施医療機関の長との契約においては、実施医療機関の長と治験 責任医師が同一人物である場合には、宛先と差出人が同一人物となるなど、不要な文書 のやりとりが生じている。 (2) 今後の方向  治験依頼者と治験責任医師の直接契約を認めることにより、治験を行う医師のインセ ンティブが高まるのではないかという意見がある。しかしながら、 (1) 重篤な有害事象が発生したとき等の緊急対応や責任の問題  (2) 我が国における医療機関と医師等の雇用関係、治験責任医師と治験に係わる薬 剤師、看護師等の関係  (3) 欧米においても、治験を大規模に実施している医療機関では、実態として医療 機関の長との契約、または医療機関の長と治験責任医師の両者との契約が多いと 報告されていること  等の理由から、現行のとおり、治験依頼者と実施医療機関の長との契約とすること が適当である。  また、治験を行う医師のインセンティブの向上については、新治験活性化5カ年計画 において、「医師等への治験・臨床研究への動機づけと実施確保」の取組みについて、 医療機関や学会等の関係者に改善に努めるよう働きかけを行うこととしている。  治験審査委員会への諮問の責務は、治験実施の可否について最終的に判断を行う契約 者が負うべきものであることから、現行のとおり、実施医療機関の長から治験審査委員 会へ諮問を行うことが適当である。なお、治験審査委員会における説明については、治 験責任医師が行うことが望ましい旨通知する。  なお、実施医療機関の長と治験責任医師が同一人物である場合の必須文書の取扱いに ついては、実施医療機関の長と治験責任医師との間の文書のやりとりを省略可能とする 等、その合理化を図ることが適当である。 以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。とりあえず報告について2番目まで御説明をいただきまし た。委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。2つの項目がございます が、一つずつお願いしたいと思います。  最初に、「治験審査委員会の設置に関する規定」について御議論いただきたいと思いま す。これについては先生方も御記憶だと思いますが、6つのことについて記載されてお ります。実施医療機関の内外を問わずに治験審査委員会を選択できることにするという こと、つまり「実施医療機関ごとに一つの治験審査委員会を設置しなければいけない」 という項目は不要であろうということ。  それから治験審査委員会の設置者に国立大学法人、地方独立行政法人及び学校法人、 あるいは独立行政法人等を加えるということ。そして治験審査委員会の審議の透明性の 向上を図るための記載がございます。そして治験計画の届出事項に、調査審議を行う治 験審査委員会の設置者の名称及び所在地を加えようということ。そして、これも先生方 の御意見を大分いただきましたが、治験審査委員会の委員の教育についての記載と、6 つの事項でございます。  まず、この「治験審査委員会の設置に関する規定」について先生方から御意見をいた だきたいと思いますが、今までいろいろ御議論いただきましたが、いかがでしょうか。 どうぞ。 ○ 藤原委員  一点だけ。3ページ目の下の方の治験審査委員会の中身をいろいろホームページ上に 載せる場合のところなんですが、ここには成分記号、治験依頼者名、開発の相というの が記載されているんですが、それ以外に例えば対象疾患名というのは企業の知的財産の 上からは難しいのでしょうか。今朝の新聞か何かで、保健医療科学院のサイトでJAP ICとか日医の治験促進センターとか統合して、どのような治験が実施されているか把 握できるようなサイトを設けるというようなことが書いてあったんですが、JAPIC のサイトに行くとその辺の情報が詳しく出ていればいいんですが、必ずしもI相・II相 という早期開発のところに関していろいろなプロトコールの中身が詳しく書いてあるわ けではないので、対象疾患名がここに出ていると見る人たちにとっても成分名と依頼者 と開発の相だけじゃなくて、こんな病気の薬が審議されているんだなというように理解 されるような気がするんですが。 ○ 池田座長  いかがでしょうか。川口委員、御意見をいただけますか。 ○ 川口委員  私の方でも詳細まではわかりかねますが、今の藤原先生の御質問と関連してちょっと お話をさせていただきたいと思います。IRBの透明性とか、広く情報公開するという 観点は理解できるんですが、IRB自身は医療機関の契約締結前に行われる事項でござ いますし、依頼者の機密情報とか、戦略、あるいは知的財産権、内容としては例えば新 規用途などの場合があるかと思いますが、そういう観点から考えて全部を開示すること で本当にいいんだろうかと思われます。それで、私としては実績の報告とか、活動報告、 つまり細かい内容よりも、期待される効能とか、領域、そういうものの提示でも十分I RBの情報公開、あるいは透明性を保持することができるのではないかというように考 えますが、藤原先生、いかがでございましょうか。 ○ 池田座長  期待される効能とか領域ということになると、疾患名も多少含まれるという理解でよ ろしいんですか。 ○ 川口委員  ただ、もの自体を明らかに書かなくても「どのような領域の治験を何社から何件どう いう審議をした」という程度のことでもよろしいのではないかと感じているんですが。 ○ 藤原委員  実際には、治験の契約の後に治験管理室のホームページ等でそれが出てくれば、契約 後なので少しはいいのかもしれないんですが、契約前の話というところでいろいろデリ ケートな部分があることは理解するんですが、ここに書いてある成分名とか、治験依頼 者とか、開発の相、効能・効果ということを書くと多分ノウハウになるということであ れば、○○病とかそういうものを対象にしているというぐらいであれば、いいイメージ として、ここまで出ているんだなという感じで見られると思います。だから、そんなに 詳しいところは要らなくて、フレーズの中に「対象疾患」とかという漠としたものだけ でもあると、開示していただく方としては助かるような気がします。それから患者さん の立場とかを聞かれた方がいいと思うんですが。 ○ 池田座長  いかがですか、川口委員。 ○ 川口委員  これも詳細なところはどういう取り決め方をするかわかりませんが、藤原先生のおっ しゃった程度のことであれば多分、可能ではなかろうかという感じがします。 ○ 池田座長  ありがとうございました。どうぞ、課長。 ○ 中垣審査管理課長  そういうことでございますと、第I相、第II相においてはなかなか書きづらいところ もあると思いますので、第III相試験において大まかな対象患者を書くということでよろ しゅうございますか。  具体的に修文しますと、3項の3の議題のところでございますが、「成分記号、治験依 頼者名、開発の相及び第III相試験にあっては大まかな対象患者」、要するに対象患者を詳 細に書いてしまうと、例えばII相が終わった腎臓がんの患者でどうのこうのとか非常に 詳しい話になってしまいますから、そういうことではなくて腎臓がんなら腎臓がんの患 者というようなイメージで言っているわけですが、それをどう表現すればいいのかとい うのはもう少し検討したいと思いますが、「第III相試験にあっては大まかな対象患者」と いうことを書くということでいかがでございましょうか。 ○ 川口委員  ちょっと気になりますのは、公開しなければいけない内容はそれこそ先ほどのJAP ICとかそういうところに公開するんですが、公開しなくてもいいような内容もないわ けではないんですね。ですから、その辺の取り扱いを一律に決めていいのかどうかとい うのはちょっと疑義があるところでございます。 ○ 景山委員  この治験審査委員会の透明性の向上という主たる目的は、その治験審査委員会のクオ リティを外部の人間が把握したいということが主であったと思います。そういう意味で は、治験審査委員が一体どういう方で構成されているかということが第一義的に重要で、 それ以上の細かな疾患等に関しては先ほどの中垣課長の御提案の内容ぐらいでよろしい のではないかと思います。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。そのほか何かこの点について。景山委員がおっしゃ られたように、この項目は大分この検討会でも議論されて、治験審査委員会を実施医療 機関ごとに設けないということになると、そこのクオリティがどうなのかという問題は 大分議論させていただいたと思います。そのクオリティをある程度明らかにするという 目的で公開を、情報を明らかにするというようなことであったと思います。基本的には そのような考え方でよろしいでしょうか。よろしいですか。  はい、ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、今井委員。 ○ 今井委員  今の治験審査委員会に関する公開する情報なんですが、景山先生がおっしゃったよう に質の向上というのが主目的だというのは理解しているんですが、治験を受ける側の人 にとっても公開されているべきだと思います。現状では「臨床試験の実施の基準に関す る省令」の127ページの51条のところに、当該治験審査会の種類、それから治験審査委 員会において調査審議を行う事項その他何々とずっと書いてあるんですけれど、ここの 文章を変えないまま今度ホームページに公開されるような内容を被験者が確認すること がができるのか、被験者一人一人が自分でホームページを検索しなくても、治験に参加 する際には公開されているような情報が一緒に渡されるというように解釈していいんで しょうか。 ○ 池田座長  今おっしゃられたのは、被験者がここで言っている治験審査委員会の透明性向上のた めの情報開示の情報をすべて享受するかということですか。そういうことですね。 ○ 今井委員  なぜかというと、ここの51条の第15項というところに、「治験審査委員会の種類」と いうのが、これは私は意味がわからないんですが、「治験審査委員会において調査審議を 行う事項」、その次の「その他当該治験に関する治験審査委員会に関する事項」というの が入っているので、「治験審査委員会に関する事項」に今回公開する内容というのが当た ると思いますが、実際に私は3年ぐらい前に治験を受けた時にはおおよそこういうこと に関する詳細な説明文章というのはなくて、「専門家が審議して治験を行うことが承認さ れました」というようなことが2行ぐらい書いてあっただけだったんですね。それで、 今回これがホームページに公開されるようになるにもかかわらず、被験者がもらう文章 が今までと同じような程度のものだとすると、被験者にしてみると自分が受ける治験な のによその人が知っていることを自分が知らないみたいなことが起きてしまうのではな いかと。 ○ 中垣審査管理課長  今回の透明性の向上というのは、ありとあらゆる人を対象にやろうとしているわけで ございます。ですから前回、たしか加藤委員から話があったと思いますが、ホームペー ジを通じてやるのが現状においては一番いいんだろうというように判断したわけでござ います。この治験に関する条項を、例えば具体的に「A」という治験をやる、そのAと いう治験についてそのホームページに公開されているところを切り張りして、ここで載 せるかどうかという議論なんだろうというように思います。治験をされる患者さんもあ る面で言うとパブリックの一つだと考えると、いつでもアクセスできる状況にあるとい うことで十分ではないかと思います。そこを切り張りしてわざわざ説明文書の中に入れ た方がいいのでしょうか。ちょっとそこは先生方の御意見を賜りたいと思います。  と申しますのも、説明文書自体がかなり膨大な形になっていると聞いておりますので、 そういう意味から申し上げますと、だれでもアクセスできる状況においておけばそれで いいのではないかと思うわけですが、対象となる被験者の方々にもそこを切り張りして 提供した方がいいかどうか御議論を賜ればありがたいと思います。 ○ 池田座長  いかがでしょうか。委員の先生方、確かに情報は求められるということですので、そ れをそのままインフォームドコンセントの際の同意説明文書にそのまま記載する必要が あるかという、そういうことだと思いますが。 ○ 今井委員  よろしいですか。そのままを切り張りする必要はないと思います。せめて「ホームペ ージのここに公開してあります」とか、そういう一文は入っていた方がいいと思うんで すね。では実際にホームページにアクセスできる人がどのぐらいいるかというと、私な んかは講演に行って「皆さん、そういうのにアクセスできますか」と言うと、お年寄り は10%を切っている状態です。だから、「ホームページのここに公開されています」、「公 開内容を確認できない方は申し出てくれたらお渡しできます」程度のことはあってもい いんじゃないかと思います。 ○ 池田座長  ありがとうございます。先ほど今井委員が言われたように、今まで1行、2行、こう いうように審議でそういうように決まりましたというようなところを少しモディファイ すれば伝わると、そういう理解でもよろしいですよね。いかがでしょうか、委員の先生 方。よろしいでしょうか。  そういうことであれば、このものを全部そこに埋め込むというか、むしろ「この治験 に関してはこういう治験審査委員会で議論されて、その結果についてはこういうところ を見れば情報は取れます」ということが少なくとも記載されていればよろしいかと思い ますが、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。  はい、ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。この治験審査委員会の設 置に関する規定について、どうぞ、木村委員。 ○ 木村委員  情報公開についてよろしいですか。先ほどこのホームページに公開する目的は、IR Bの質が確保されているということを外部の者が知ることができるのが大事だというこ とでした。そうなるとやはり委員の名簿というよりは、議論の内容が大事になると思い ます。ここには「審議結果を含む主な議論の概要が含まれること」としか書いてません。 デリケートなところがあると思いますが、もう少し具体的に記載しておいた方がいいと 思います。どうでしょうか。 ○ 池田座長  いかがでしょうか。なかなかその治験その治験によって議論の概要をつくるのも難し い点もあるかと思います。なかなか文章として書きづらいところもあるんじゃないかと 思いますが、課長、何か御意見は。 ○ 中垣審査管理課長  座長の発言どおりでございまして、この文章というのは実は遺伝子解析の指針、これ がIRBの情報公開をしているものでございます。それで遺伝子解析はそれなりにヒト の根本に当たるところを解析するという意味でかなり議論を重ねたわけでございますが、 その時にたどり着いた言葉がこの文章で、「審議結果を含む主な議論…」という言葉でご ざいまして。要するに、○×だけではダメですよと、どういう議論があったのかを書く んだと。では、それをどの程度書くのかというのをどこまであらわせるかというのを議 論したわけでございますが、案件によって、あるいはものの性格によって一概には決め られないということで。「具体的に説明する時にはどんなに少なくとも3行は書いてくだ さい」と言っているわけですが、なかなか私どもの努力が足りないのかもしれませんが、 まだまだ正確に先生方の気持ちをあらわせていないところもあるのかなと、こう思って いるところでございます。 ○ 木村委員  実際にIRBの記録はそれぞれの医療機関が詳しいものを持っていると思いますが、 きちんと議論したという証拠をどういう形で示すかということが大事だろうと思います。 そういう点も含めてもう少しここに具体的に記載しておいた方がいいと思います。 ○ 中垣審査管理課長  それともう一つは、この公開が始まりますから、公開が始まるとだれでもチェックで きる、またこの方面をいろいろ研究されておられる方々もおられますし、そういう意味 では比較も始まるというようなことから、おのずと一定の方向に向いていく、そういう 力が働いていくのかなというように期待もしております。工夫をさせていただきますが、 今のところちょっといいアイデアが浮かんでいないということで、恐縮でございます。 ○ 池田座長  そういう方向でとにかく、この審議結果を含む議論の概要をまとめてもらうというこ とを何かの形で通知するということを、この検討会の委員の先生方の意見としてまとめ のところでお知らせするということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。 ○ 吉村委員  吉村ですが、参考のためにちょっと法律的なことをお聞きしたいんですが。例えばこ の治験審査委員会での概要が例えば2行で書かれていたということで、それを読んだ人 が個々の委員に対して、この2行よりももうちょっと詳しいことを教えてくださいよ、 ということを仮に個々の委員に聞いたとします。それで個々の委員がそれについて多少 敷衍して何かしゃべったとしたら、それは何か違法というか、罰則ということがあるん でしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  恐らくは刑法・民法そういう法律の問題ではなく、治験審査委員会の委員としての医 療機関との契約の中の話になるのではなかろうかと思います。 ○ 吉村委員  例えばそういう医療機関との議論の時には非常に抽象的に、治験の内容に関しては基 本的に治験依頼者の承認なしに外部に漏らしてはいけないという、非常に抽象的な表現 になると思うんですね。それで治験審査委員会で例えばどういうことについてどういう 議論がなされたかということは、やはりそういうものに入るんでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  その医療機関との契約が仮にかなり包括的な形で書かれているとすれば、先生が御質 問されている事項というのは入ってくるのではないかと思います。逆に申し上げますと、 契約の時の契約条件をどこまで詰めるかという問題なんだろうと思います。先ほど川口 委員が発言されたように、どういう治験計画なのかを詳細に話すことによって、それが 知的財産に触れる場合もあるでしょうし、あるいは医療機関との間で議論になることも あるのかもしれません。そういう意味で申し上げますと、委員と医療機関との間の契約 をどのぐらい具体的に書くかという問題に尽きていくのかなと思います。 ○ 池田座長  よろしいでしょうか。個々の委員が個別に話をするということは、基本的には余り好 ましいことではないですね。また、委員会の方に戻して委員会としてコメントするとい うような方向に行かないと、個々の委員が勝手にコメントし始めるとこれはちょっと大 変なことになるんではないかと思います。よろしいでしょうか。  そのほかこの治験審査委員会の項目について、よろしいでしょうか。 ○ 川口委員  後ほどもまた出てくるかと思いますが、3ページの一番最後のところに「治験計画の 届出事項」という項目がございます。今回ちょっと事務局にお伺いしたいんですが、な ぜ治験計画の届出事項とするのかということについてちょっとお伺いしたいんですが。 ○ 事務局  ここの点ですが、届出事項にIRBの情報を加えてほしいというのは、前回の検討会 におきまして委員の方から御発言がございまして、海外の方でもIRBの情報というの は治験計画の届出事項に入っているということでしたので、今回追加させていただいた という次第でございます。 ○ 川口委員  一点、気になることがございますのは、今までは実施医療機関ごとに治験審査委員会 を設置しなければいけないということで、これも多分、当面は続くのではなかろうかと 思います。その際に治験計画届出に治験審査委員会の設置者の氏名等をずらっと全部書 くのかどうか、そこで例えば「当該実施医療機関の長が設置者でない場合のみ報告する」 とか、そういう方法をとれないものだろうかと感じました。 ○ 中垣審査管理課長  書き方の問題でございますから、また工夫をしたいと思います。少なくとも書くとい うことに問題がなければ、あとは書き方の問題という形で整理したいと思います。 ○ 池田座長  そうですね。よろしいでしょうか。御了解いただけますか。はい、ありがとうござい ます。  それでは2番目の「治験の契約に関する規定及び治験審査委員会への審議依頼に関す る規定」、ここのところについて御議論いただきたいと思います。  治験依頼者と治験責任医師の直接契約を認めるかどうかということで御議論いただい て、それについては現行どおり治験依頼者と実施医療機関の長との契約にしようという ことだったと思います。それから、治験を行う医師のインセンティブの向上について議 論をさせていただいて、このようなまとめになりました。そして治験審査委員会への諮 問の責務でございますが、説明等はやはり治験責任医師が行うことが望ましいというこ とでございます。それから治験実施医療機関の長と治験責任医師が同人物である場合の 文書の省略化という、この4つの項目をまとめさせていただいたわけですが、このとこ ろについて何か御質問をいただけますか。この点については特にございませんか。よろ しいですか。  それではこの第2番目の「治験の契約に関する規定」「審査委員会への審議依頼に関す る規定」については御確認いただいたということで。どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  今、進行の中では1.2.から入りましたけれど、「はじめに」の部分で。そもそもの ところなんでございますが、この検討会が被験者の保護、それから治験の信頼性確保を 前提に今までいろいろな検討をしてきたと思いますが、当面できることからということ で、その都度、被験者の保護に関連するところは十分に議論が正面立ってできたかなと いう、そういう思いはあるんでございます。  それで、○の3つ目なんですが、ICH-GCPと我が国のGCP省令との比較検討を する中で、相違点とかいろいろみていく中で、ICH-GCPには冒頭のイントロダクシ ョンのパラグラフに「被験者の人権保護」について明記されていると。しかしながら我 が国のGCP省令にはそれが欠落していると。この問題はやはりきちんと検討したとい うことが、少なくともこのあり方検討会の中では必要なことではないだろうかという問 題意識でございます。それで、この中薬審の答申GCPが平成9年に出ていまして、そ の中には被験者の人権、それから安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と信 頼性を確保するために省令を設けるんだというような趣旨のことが明記されていたわけ ですね。しかしながら、GCP省令の中にはそれが抜け落ちているということで、ぜひ GCPの議論をしてきた私たちとしては、こういう治験にかかわる、だれもがある意味 で大事にしなければいけない原則的なことをこの省令の中にきちんと明記しておく。こ れが国際的な水準に我が国も立っているということになってくるのではないか。それが 抜けるということは非常に問題ではないかということで、問題提起させていただきます。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。これが10ページの「おわりに」にもその点が触れら れているわけでございますが、今、加藤委員から言われたように、加藤委員はこの16 回の検討会を通じて「被験者の人権保護」というものについて常にその重要性を指摘し てくださったわけですが、進め方でそれだけを取り上げてやっていたということではな かったわけですが、一つ一つの項目はそれに配慮しながらやってきたつもりではいるん ですが。「おわりに」にも加藤委員の意見というものを明らかに書いてあるわけですが、 これを前文に盛り込むかどうかという御提案だというように私は理解したんですが。  この点についてこういう文言をやはり、これは非常に大事な視点だということで、こ れはどなたも御異論のないところだと思います。それを前文に盛り込むかどうかという そういうことですが、これについて御指摘がございましたので委員の先生方、あるいは 事務局の方から何かコメントをいただけますか。委員の先生方はいかがでしょうか。 ○ 吉村委員  吉村ですが、確かに加藤委員がおっしゃったように、「被験者の保護」というのを中心 にして考えるべきだと言われた割には、我々は余りその議論をしてこなかったような気 がするんですね。それで今、座長がおっしゃったように、それを前提にしていろいろな 議論をしていたことは確かなんですが、やはりそれは少なくともあっちの方の文章の中 には具体的には余り明記されていないわけですから、せめて最初にそのことを非常に重 要視しているということは明言した方が僕はいいような気がするんですが。 ○ 池田座長  このGCP省令というものの性質上、こういうものを盛り込むことができるのかどう かという問題もあるように聞いているんですが、その辺はいかがでしょうか。課長、ど うぞ。 ○ 中垣審査管理課長  非常に実務的にまず事務局としてお話をしますと、今のお2人の御意見を踏まえます と、「はじめに」の3つ目の○の「本検討会は、」の後に、「ICH-GCPには冒頭に被 験者保護が記載されているのに対し、我が国のGCP省令には記載されていない点を含 め、ICHガイドラインとの相違点や云々…検討を行った」という形にさせていただい て、そうすると「おわりに」によくつながって、10ページですが、「GCP省令につい ては一名の」というのは私どものミスでございまして、「一名の」というのを削って、「委 員からその前文に被験者の人権、安全…明記すべきとの意見があった」と。「本意見の趣 旨はGCPの基本であることに異論はないと考えられるが、事務局よりGCP省令が薬 事法の基準であることから前文に記載することは困難であるとの説明があった」と。「G CP省令の前文に記載することが困難であるとしても」という形でいかがでしょうかと いうのが事務局としての提案でございます。   それに基づきましてこの10ページのところ、省令の問題をお話をしますと、例えば先 ほどの例に挙げました遺伝子解析研究の倫理指針等においては、実は前文がございます。 そこに被験者の保護であるとか、遺伝情報の機密保持であるとか、そういうことが書か れております。これはなぜかと申し上げますと、上位の法令がないから、遺伝子解析研 究の倫理指針というのはそれ自体で成り立っている。よって、そういう前文がある。I CHのGCPもそうです。答申GCPと言われている薬事審議会の答申というのもそう でございます。ところが、法的規制の中でGCPを位置づけようとすると、薬事法の体 系のもとになってまいるわけでございます。薬事法の中で必要な基準に沿って試験をし なければならないということが書いてあり、その必要な基準をこのGCP省令で定めて いるということになってまいりますので、そういう意味でこのGCP省令の中にこうい うことを明記していくというのは難しいんだろうと判断しているところでございます。 もちろん、この考え方とか精神であるとかがそぐわないとか、おろそかにしているとい うこととは全く違っていて、日本における法令の組み立て方のようなことから出てくる 限界ではないかと思っているわけでございます。そのような事情からこのような形で一 応整理させていただいているということでございます。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。「はじめに」にそういうことの議論があったというこ とをきちんと踏まえながらということだと思いますが、加藤委員どうぞ。 ○ 加藤委員  薬事法の中に第1条、この参考資料の中には第1条が省略されていたかと思いますが、 第1条の中には「安全」という問題が当然入っているわけですね。そういう法の精神と いうか、第80条の2の第6項にも「安全」という言葉が入ってきているかと思いますが。 それで、GCPには当然、被験者保護のために同意原則とか、インフォームドコンセン トをきちんと当然の前提とした規定が入っているわけで、今、上位の法律が云々という あたりで説明があって困難であるというように結びつけられた流れを、もう少し論理的 に説明していただけないでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  GCP省令自体は法律の14条ですから、参考資料の14条の第3項、参考資料3の2 ページ目の、上から10行ぐらいのところに、3というのがございます。ここで「承認を 受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより申請書に臨床試験の試験成績 に関する資料、その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において、 当該資料は、厚生労働大臣が定める基準に従って収集され、かつ、作成されたものでな ければならない」とこうなっているわけでございます。それで、この厚生労働大臣が定 める基準というものの一つが、まさしくGCP省令と言われているものでございます。 したがいまして、まさしく規則でございますので、そういう意味で申し上げますと、守 らなければいけない点、そこから踏み外れると違反となる点を列記していく、というの が我が国の法令上の仕組みというように考えているわけでございます。 ○ 池田座長  よろしいですか。 ○ 加藤委員  法を踏み外すような話になるという意味ですか。省令GCPの冒頭のところに前文を 置いて、今、被験者の人権とか安全とか、ここに書いてあるのは「被験者の人権・安全 及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保するためこの基準を 定める」という前文を置くことができないということが私には理解できないので、論理 的に説明してくださいということです。 ○ 中垣審査管理課長  できる・できないというのは私どもも内閣法制局に当たらないと最終的になかなか言 えないだろうと思います。今申し上げているのは、ごらんいただいた厚生労働大臣が定 めるというところですから、この条文に基づいて定めるということでつきてしまうわけ でございます。それで、先ほど申し上げました遺伝子解析研究の倫理指針ですと、遺伝 子解析研究は倫理指針そのもので成り立っていますから、その倫理指針の前文みたいな ところに定めがあるわけでございますが、GCP省令の場合には趣旨とか精神が違って いるということを言う気は全くございません。全くございませんが、非常に実務的な衛 生法規として申し上げますと、14条第3項に基づきこの省令を定めるということで終わ ってしまうということでございます。 ○ 池田座長  はい、加藤委員がおっしゃった被験者の人権・安全及び福祉の保護のもとに治験が行 われなければいけないというそういう基準を定める、この趣旨に関しては恐らく皆さん、 すべての委員の先生方は賛成されるというか、これは当然そういうようにあるべきであ ろうというように思います。その考え方をどのように実際にもっていくかということに 関しては多少テクニカルなこともあるようですので、私も法律的なことに関しては余り 存じ上げませんが、その辺も含めて検討していただけたらと思います。 ○ 中垣審査管理課長  今の加藤委員のお話を聞きながら今考えたんですが、10ページをごらんいただきたい と思います。報告書(案)の10ページでございます。  この「おわりに」のところの最初の○で、1行目、「一名の」というのを削除させてい ただいたわけでございますが、○の2番目が「困難であるとしても」となっております から、いかにも検討会としても困難であるということを認めたかのような表現になって しまっております。ここを消させていただいて、すなわち「GCP省令の前文に記載す ることが困難であるとしても」までを消す。消した上で、ここを「本検討会は」にして、 「希望する」で締めるということでいかがでしょうか。 ○ 池田座長  いかがでしょうか、恐らく委員の先生方は皆さん、加藤委員のおっしゃっていること の趣旨に関しては賛成だと思いますので、検討会としてそういう考え方であるという、 そういうまとめにしたらどうかということですが。加藤委員。 ○ 加藤委員  それは検討会が始まるところからある意味では当然の、そういうことを期待しながら やってきたわけでして、具体的に治験にかかわる人たちが常に紐解いているのは、この 省令GCPなりそうしたものを見ながらやっていくわけですから、今言ったICH-GC Pの冒頭に書いてあるようなことが我が国のそうした中にきちんと出てこないというこ と自体が、法あるいは省令レベルできちんと書かれていることがむしろ必要なんだと。 そのことは多分この検討会の全員の一致した意見だろうと思います。そういうことの必 要性というのは、立法の専門家ではないので、どういうように手当ができるのか。例え ば前文が難しければ、第1条が「趣旨」という中に入っていますよね。趣旨というのが あります。その趣旨の中にきちんとした基本的な理念を明記することも技術的には可能 かもしれない。ですよね。それもまだできないということであれば、薬事法の中に書き 込むということをこの検討会として希望する、ということだって一つの選択肢としてあ り得るだろうと思うわけです。  ですから、単に一般的にかかわる人たちが皆、そういうことを大事にしてね、という だけでなくて具体的な形でICH-GCPの水準に我が国も足並みをそろえるという法 体系にしていく必要があるんだという、そういうことをこの検討会としては申し上げた いということであります。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございます。景山委員。 ○ 景山委員  加藤委員の御指摘に反対の方はもちろんいらっしゃらないと思いますし、私も賛成で すが、そのことが法規制作成上テクニカルに困難であるならば、一つの答えになるかど うか、加藤委員がそれで納得なさるかどうかわかりませんが、運用通知の第1条にその ことは明記されております。それで先ほど加藤委員は、こういう治験に携わる人はGC Pあるいは運用通知を常に見るということをおっしゃったかもしれませんが、そうなる とGCPには記載されていないけれど運用通知の第1条にはそのことは明記されている、 ということが一つの答えになるのかなという気もします。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございます。確かにお手元の参考資料の6、運用通知にはその旨の 記載はあるということですけれど。 ○ 加藤委員  要するに法の基本的な考え方というものをきちんと明確にしておくというのは、本来 的には私は法レベルの中に明確に書くべきだと。それを受けて我が国のGCP省令があ るわけだから、その規則の中にきちんと書くべきだ。こういうことは原理原則だと思う んですね。それが要するに入ってないということは、ある意味では国際的に見て恥ずか しいことだというぐらいの気持ちを私は持っているわけで、この際きちんとICH-GC Pとの対比の中でこのGCP省令の見直しをしてきたというからには、そのことはきち んとこの検討会として言わなければ、何をやっていたんですか、ということになりかね ないということです。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。委員の先生方いかがでしょうか。この検討会として のまとめの重要な点かと思いますが。恐らくここで委員の先生方の御意見をまとめると すると、検討会としてはそういう方向を目指すということをここに明記するということ、 そういうことになるのかなと思います。ただ、それはどのようにテクニカルに可能かど うか、どういうプロセスを経なければいけないかということの議論もしていかなければ いけないかなと思いますが。 ○ 岩砂委員  まさしくそのとおりだと思います。理念というものはやはり簡単明瞭に、だれもがわ かるということが大変重要なことですが、法的な手続上というか、文章の書き方におい ていろいろなルールがあるでしょう。そのために技術的にできないのであればやむを得 ませんが、できることであれば一番最初に基本理念を出すというのがあらゆる約束の基 本だと思いますね。できればそうしていただいたらいいと思いますが。後のことはその 辺はお任せしないとしょうがないと思います。 ○ 池田座長  いかがでしょうか。事務局の方から検討会の意見としてそういう意見が強いというこ とを踏まえて、この検討会のまとめにそういうことを盛り込むかどうか、そういうこと に現時点では皆さんの考えがあるかなという気がするんですが。 ○ 中垣審査管理課長  新文案をつくらせていただきましたので、読み上げさせていただきます。10ページ目 の「おわりに」のところの最初の○でございますが、1行目の「GCP省令については」 の後の「一名の」というのは、ここは取るということにさせていただきます。それで○ の最初の末尾ですが、「困難であるとの説明があった」の後に文章をつけて、「委員から は引き続き法令上その明記を検討すべきとの意見があった」ということで、行政がそれ を引き取ると、宿題という形にさせていただいたらどうかなと思っております。その上 で、次の○でございますが、これは先ほど申し上げましたが、その次の○の冒頭、「本検 討会は、」として、「GCP省令の前文に記載することが困難であるとしても」というと ころは削除するという修文でいかがでしょうか。 ○ 加藤委員  基本的にこの「一委員」とか「委員とかの意見」ではなくて、「この検討会としての意 見」として受け止めていただきたいということです。だから、宿題となるところ、「委員 からの意見を受けて云々」ではなくて、「検討会」。ある意味では全員一致の、僕はこの ことだろうと思っています。そういう意味合いで宿題なら宿題として受け止めていただ ければということです。 ○ 中垣審査管理課長  それは皆さんの御意見を賜って、もちろん「検討会」という意見でございますと、事 務局がそれに逆らうようなものでは全くございません。それは「委員」というのを「検 討会」という形に、先ほど申し上げました「委員から」というところを「検討会からは」 という形にさせていただきたいと思いますが、先生方の御意見によるんだろうと思いま す。どちらにしましょうか。 ○ 池田座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。この点について委員の先生方から御意 見を、まとめたいと思いますが。「検討会の見解」ということで、今後行政につなげてい くということで文章をまとめるということでよろしいですか。特に反対される方はいら っしゃいませんか。それでは事務局の方、よろしいでしょうか。  では、そのように検討会として今、課長からお話がありましたように、この「被験者 の人権・安全及び福祉の保護のもとに云々」ということを明記すると。それで前文に明 記することは困難であるとの説明があったと。しかし、これは検討会として今後行政の 方につなげて検討していただくということを、文章はまた恐らく少し手直しして先生方 の方へ送っていただいてファイナルにするということになるやと思いますが、それでよ ろしいですか。 ○ 中垣審査管理課長  微妙なところですので、もしよければこの場で文章をセットできるものであればお願 いしたいと考えております。  もう一度読ませていただきますと、「おわりに」の最初の○でございますが、1行目の 「一名の」というのを削ると。その上で、最初の○の末尾、「明記することは困難である との説明があった」の後に、「検討会からは引き続き法令上その明記を検討すべきとの意 見があった」として、その次の○を「本検討会は、厚生労働省はもちろん、」という形で あと続けていく。こういうことでいかがでしょうか。 ○ 池田座長  よろしいですか。そのような文章で。そうすると、最初のポツの「説明があった」の 後は、「検討会からは引き続き法令上その明記を検討すべきとの意見があった」と。 ○ 加藤委員  「明記を検討」というのはどういう意味ですか。言い回しによって、要するに明記す るという方向で検討会としてははっきりしているという受けとめになるんでしょうか。 行政の文言というのは非常に微妙な言い回しなので、少し気になるんですが。その意味 というのは、要するに行政としては前向き検討に近いのか、あるいはちゃんと立法への 努力なりそういうものまで含んだものになっていくのか、その辺ちょっと率直なところ を教えていただけませんか。 ○ 中垣審査管理課長  正直申し上げて、立法、薬事法というのは、薬事法規が医薬品の流通を規制する法規 でございまして、そのためのデータ取りのところの問題でございますから、法律自体に 書くというのは基本的に私は難しいと考えております。ただ、どういう手段があるのか、 今、先生がおっしゃった省令の趣旨のところに書く手段があるのか、ないのか、という のはもっとぎりぎりの議論をしてみたいと思っております。というのが正直なところで ございます。その上で、「その明記を検討すべき」というのが御了解いただけないのであ れば、これでどうでしょうか。「検討会からは引き続き法令上明記する方向で検討すべき」、 その方がまだはっきりすると思います。 ○ 池田座長  それでよろしいかと思います。 ○ 中垣審査管理課長  「検討会からは引き続き法令上明記する方向で検討すべき」ということで御了解願え ればと思います。 ○ 池田座長  それではそのようなことで進めさせていただきたいと思います。ありがとうございま した。私の不手際でちょっと時間が押していますが、それでは3以下の治験計画の届出 に対する取扱い等を事務局の方から説明していただいて、このまとめを仕上げたいと思 います。よろしくお願いします。 ○ 事務局  では3.以下、簡単に説明させていただきます。  治験計画の届出に関する取扱いについてでございます。(1)現状・背景ですが、  治験計画の届出に関する取扱いについては、現行のGCP省令において自施設の治験 審査委員会で調査審議を行うことを原則としているため、調査審議を行う治験審査委員 会に関する情報を届出事項としていない。また、治験相談情報については、治験相談の 実施主体である(独)医薬品医療機器総合機構において、その記録が保存されているに もかかわらず届出事項としている。  治験分担医師については、我が国では、治験分担医師の氏名に加え、職名、大学番号 及び卒業年の届出を求めているが、米国では氏名のみ届出を求めている、という現状が ございます。  治験計画を変更する場合にあっては、原則として、変更の前に治験計画変更届書を提 出することとしつつ、一部の事項については、変更後6カ月程度を目安としてまとめて 届け出ることとしている。  治験成分記号については、投与経路が異なる被験薬には別の記号を用いることとして いる。例えば、経口剤の開発にあたり、静脈内投与の試験を実施するため試製する注射 剤は、それ自体が開発対象でない場合であっても、経口剤とは別の治験成分記号を付し て届け出ることとしている。  (2)今後の方向としましては、  治験計画の届出事項について、次の点を改正することが望まれる。 (1) 届出事項の追加の項目としまして、先ほど1.の治験審査委員会の設置に関する 規定についてにありましたように、IRBの設置者の名称及び所在地を届出事項 に追加する。 (2) 届出事項の削除の項目は。 ・治験相談事項を届出事項から削除する。 ・治験分担医師の職名、大学番号及び卒業年を届出事項から削除する。 次にまいりまして、  治験計画の届出事項に変更が生じた場合の取扱いでございますが、変更後6カ月程度 を目安としてまとめて届け出ることで差し支えないこととする。特に営業所の名称及び 住所の変更だとか、実態の変更を伴わないものを考えておりまして、下のポツ以降に記 載してございます。 次の○にまいりまして、  既に治験計画の届出が提出された製剤の試験を行うために、届出製剤と同一成分を有 する投与経路の異なる製剤を用いる場合であって、別投与経路の製剤開発を行う意図が ない場合にあっては、当該製剤の治験成分記号は届出製剤と同−とし、既製剤のn回届 として治験計画の届出を提出しても差し支えないこととする。なお、この場合にあって は、n回届出ではあるがいわゆる30日調査の対象となる。 次にまいりまして、 4.治験中の安全性情報の規制当局への報告及び実施医療機関への伝達について (1)現状・背景  ICHガイドライン「治験中に得られる安全性情報の取扱いについて」E2Aでは重 篤で予測できない副作用の報告を求めているが、我が国における副作用・感染症の症例 報告基準では重篤で予測できない副作用等だけでなく、死亡・死亡につながる恐れのあ る副作用等の症例すべてについて報告を求めている、という現状がございます。また、 同様の基準を実施医療機関への伝達にも適用しているため、実施医療機関へ伝達される 副作用等の情報が膨大なものとなっている、という現状がございます。 次の○にまいりまして、  国内既承認薬の効能・効果に関する追加等の一部変更のために実施する治験に係る規 制当局への副作用等の症例報告については、企業主導治験と医師主導治験とで外国症例 の取扱いが異なっている。国内既承認薬に係る外国の副作用等の症例報告については、 治験の枠組みとともに市販後安全対策の枠組みによって重複して機構に報告が義務づ けられている。  副作用等の症例の予測性の判断は、欧米では、治験薬概要書に当該副作用等が記載さ れているかどうかで行われている。我が国においては、治験薬概要書に記載されている ものの他、実施医療機関へ通知された有害事象は、「既知」として取扱われている、と いう現状があります。  なお、治験中の副作用の定期報告については、現在、ICHにおいてガイドラインE 2FとしてDSUR、治験中の安全性情報の定期報告について検討を行っているところ でございます。 (2)今後の方向につきましては、  国内未承認薬の治験に係る規制当局への副作用等の症例報告については、現行のとお りすべての症例につきその都度、報告を求めることとすることが適当である。  また、実施医療機関への副作用等の症例の伝達については、  (1) 国内・外国の未知の重篤な副作用等の症例は、現行のとおり、すべての症例に つきその都度報告すること  (2) 国内・外国の既知の死亡・死亡につながる恐れがある副作用等の症例について は、6カ月ごとに定期報告すること、とすることが適当である。なお、国内・外 国の既知の死亡・死亡につながる恐れがある副作用等の症例については、規制当 局が必要と認める場合には、実施医療機関へ必要な症例を個別に報告すること。 次にまいりまして、  国内既承認薬の効能・効果に関する追加等の一部変更のために実施する治験に係る規 制当局への副作用等の症例報告については、  (1) 外国の未知の重篤な副作用等の症例は、機構内の部局間の連携を拡充し、市販 後安全対策の枠組みにおいて報告された情報を治験の安全確保に活用すること  (2) 外国の既知の死亡・死亡につながる恐れがある副作用等の症例については、従 来の個別報告にかえて、6カ月ごとの定期報告を求めること、とすることが適当 である。なお、実施医療機関への副作用等の症例の伝達については、国内未承認 薬の治験を実施する際と同様の取扱いとする。  副作用等の症例の予測性(既知・未知)の判断は、欧米と同様に、治験薬概要書に記 載されているかどうかのみをもって行うことが適当である。また、治験依頼者は、副作 用等の特殊性や重症度及び発生数、発生頻度、発生条件等の傾向を十分に把握し、その 傾向が治験薬概要書から予測できるかどうかについて、誤りがないよう、適切に判断す ることが重要である。  今回新たに導入する副作用等の症例の6カ月ごとの定期報告制度は、単に症例を羅列 するのではなく、患者背景、投与期間と投与量の関係、原疾患との関係等について、治 験依頼者の責任において適切に評価を行い、その概要を記載することが求められる。  なお、ICHガイドライン(E2F)が取りまとめられた際には、当該ガイドライン の内容を踏まえ、定期報告制度の見直しについて検討することが必要である。  ここのところはわかりやすく24ページ以降、ずっと示させていただいております。主 に治験中の安全性情報の流れとしては、企業から規制当局への流れ、それから企業から 実施医療機関への流れがございます。  24ページ目の一番上ですが、これは企業から規制当局への報告というのは、現行この ようになっております。主に副作用の情報としては、予測できないもの未知、予測でき るもの既知、国内症例、外国症例に分けて4種類ございます。  下の四角が改正案でございますが、国内未承認薬につきましては現行のとおりとさせ ていただきたいと考えております。  次に25ページにまいりまして、一変の治験、効能追加、用法・用量の追加等に関する 治験ですが、それについては未知の外国症例については市販後で報告がなされていると いうことですので、市販後副作用報告を活用する方向で検討すると。それから既知の部 分で外国症例については、定期報告により対応と考えております。  次に副作用の定期報告につきましては6カ月ごとということで、未知、既知、国内症 例、外国症例すべてに6カ月の報告を求めるということです。  次の26ページにまいりまして、企業から実施医療機関への情報の伝達ですが、これに ついても現在、直ちにということで報告を求めております。そこにつきましては改正案 がございますが、国内未承認の場合ですが、既知の国内症例・外国症例については定期 報告により対応。  27ページにまいりまして、一変の治験についても国内未承認薬と同様に定期報告によ る対応。2-3ですが、副作用等定期報告については6カ月ということで、未知、既知、 国内症例、外国症例すべてに求めていくということでございます。 次に5.治験薬の交付に関する規定について、 (1)現状・背景ですが。10ページです。 GCP省令において、治験薬は医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることな く交付しなければならないとされていることから、現在はモニタリング担当者等が治 験薬を配送、交付している。 (2)今後の方向として、  治験依頼者の責任のもとで、治験薬の品質管理、運搬及び受領を確実に行うことを前 提に、第三者を介した治験薬の交付を認めることとする。  「おわりに」ということで、先ほど修文がありましたが、最後にまとめて説明させて いただきますので省略させていただきます。以上でございます。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。それでは3〜5まで治験計画の届出に関する取り扱 い、そして治験中の安全性情報の問題、そして最後に治験薬の交付に関する規定という ことで、この3つのことについて御議論いただきたいと思います。  まず、治験計画の届出に関する問題は、届出の事項の追加と変更の届出、その点が主 なものでございますが、この点についてはいかがでしょうか。特に何かございますか。 ○ 川口委員  細かいことですが、6ページ目の(2)の(1)で、届出事項の追加ということで、治験 審査委員会の設置者の名称等を追加することになりました。ここに「事後に変更届とし て届け出ることで差し支えない」と書いてあるんですが、その下の項目、この中にもそ の内容をつけ加えていただければというように思います。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございます。変更のところの細かい点について、そこに加えてくれ ということですね。よろしいでしょうか。事務局の方、よろしいでしょうか。 ○ 事務局  そのように対応させていただきます。 ○ 池田座長  ありがとうございます。そのほか、いかがですか。この届出事項の追加、削除、そし て変更、それから届出が停止された製剤の問題ですが、特に。はい、どうぞ。 ○ 藤原委員  今回はあまり国際共同治験の話はこの検討会ではできなかったんですが、私どもの次 の医師主導治験はアメリカのNCIと共同で医師主導治験をやろうというような計画 も進めている中で最近思うのは、計画届出のところに症例報告書の見本というのがあっ て、最近はEDCとか英文のCRFがふえている時に、すごい手間になるんですね。例 えば私どもの医師主導治験も外国の外資さんから治験薬をもらう時に、外国の本社に英 文のプロトコールとCRFを出して向こうのプロトコールレビューを受けて、OKが出 たら今度は日本の規制当局用にその英語のプロトコールと症例報告書を全部訳して日 本に届出すると。言語の無駄というか、すごい手間がかかった記憶がございます。そう いう中で、それと今後はEDCが普及していくことを考えると、計画届出書の中に症例 報告書の見本というのを相変わらず残していくと大変、国際共同治験の弊害になるのか なという気がします。  これは委員会で何回か申し上げたかもしれませんが、治験のプロトコールとか治験薬 概要書についてすべて英文ではなかなか日本では認められなくて、医師主導治験につい てはサマリーでいいとこの前書いてもらったと記憶しておりますが、国際共同治験全般 という立場からした時に、プロトコールとかインベスチゲーターブロッシャーを、サマ リーは日本語で、原本は英語というのを認めずにずっとやっていると、国際共同治験を 推進する上でかなりマイナスになるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございます。治験のあり方委員会では国際共同治験のことについて は余り触れなかったんですが、迅速に薬を届ける、高久委員会の方では国際共同治験の ことを随分議論をしていて、今、先生が言われたようなことがかなり盛り込まれたと思 います。事務局の方はその点についてはどうですか。もう方向性はある程度出たのかな というように私は理解したんですが、ここでは確かに触れていないんですが。 ○ 中垣審査管理課長  国際共同治験を何とかもっと推進していこうというのは、大臣の迅速の検討会の中で も繰り返し議論されたことでございますし、今年の4月に厚生労働大臣、経済産業大臣、 文部科学大臣の3大臣共同でまとめた中でもその旨をうたっているところでございま す。  今、藤原委員から御指摘のあった症例報告、あるいはプロトコール、あるいは書類そ のものがということだと思いますが、日本語、英語、ドイツ語という言語の問題だろう と思うわけでございます。その翻訳をどこまで求めるかというのはなかなか頭が痛い問 題でもあるわけでございます。今はっきりしておりますのは、正式な書類そのものとい うのは日本語でなくてはならないというのがあって、申請書類であるとか、届出書であ るとか、そこはもうなかなか動かし難い。では、そこに対する添付資料についてどこま での翻訳を求めるのかという議論なんだろうと思っております。その点について正直、 一つにはスピードが問題でありますし、もう一つには正確性が問題であるというところ でございまして、ちょっと今この場で判断していくのもなかなか辛い話でございますし、 前回の改正はたしかサマリーをつけてもらえばいいんだということで医師主導治験を たしかやったと思いますし、今後ともそういう形でフレキシブルに対応していきたいと 思いますが、要はスピードと正確性、その二律背反する事項をどうやってとらえていく かだろうと考えているところでございます。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。別の会議でもその議論をしておりますので、ここの ところでは特にそれについては議論しないで進ませていただきたいと思いますが、よろ しいですか。藤原委員、御指摘はそのとおりだというように理解しますが。  ○ 藤原委員  省令とかでなくて、通知の時にいろいろ考えていただければと思います。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。 もし、なければ次の治験中の安全性情報の規制当局への報告及び実施医療機関への伝達 について、この項目について何か御議論いただけますか。どうぞ。 ○ 藤原委員  これも医師主導治験絡みで申しわけないんですが、いろいろ効率化を図っていただい て、私どもは自分がやっている治験そのものに対する中で発生したいろいろな有害事象 の報告をすればいいというように大分絞られてきたんですが、今回の報告書の中でも医 師主導治験について言えば措置報告とか研究報告というところはまだ規制当局への報 告対象になっております。だから実際には治験薬の提供を受けている薬が海外で製品回 収になったとか、それからニューイングランドジャーナルとかランセットだけじゃなく いろいろな小さなジャーナルにその臨床研究のネガティブな成績が出たという時に、そ れをすべて網羅して発見して当局に報告しなさいという義務は課せられているんです が、例えばEUを見てみるとEUの「SUSAR」という有害事象を報告するEU全域 の制度がありますが、何らそういう措置報告とか研究報告の提出を求めていなくて、自 分がやっている治験の中で発生することを正確に規制当局に報告してくださいという ようにしていることから考えても、措置報告とか研究報告は将来的に医師主導治験の報 告対象義務からはできれば外す方向で考えていただきたいなと思います。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。 ○ 加藤委員  8ページの今後の方向の下のところですが、これはむしろ藤原委員に聞いた方がいい のかもしれないんですが、実施医療機関への副作用等の省令の伝達について6カ月とい う定期報告の形になりますよね。それで、ある意味ではそれぞれの治験にかかわってい る人たちは、その情報というのは少し治験中に得られないという、そのまま6カ月とい うことになると最新情報が得られないという場面があり得るのかなという気がするわ けですね。それで、その副作用等、既知のものだとは言え、件数が例えばたくさん出て くるとかそういうような場合だと、その治験から離れたいということもあり得るかもし れませんよね。そういうようなことは現実には余りないと想定していいんですか。要す るに、こういう書き方になって、6カ月の定期報告で被験者の保護というのは十分に守 られるだろうというように考えていいかどうか、その辺は実務に携わっていないので教 えてほしいんですが。 ○ 池田座長  どうぞ、藤原委員。 ○ 藤原委員  はい、事務局、それからそれを見られる治験審査委員会の各委員の手間が大幅に省か れますので、そうするともっと重要なことに頭を使えると、いろいろなイベントが起き た時にもそれに傾注できるという意味から考えると、好ましい方向ではないかと思いま す。景山先生も委員をされているので景山先生の御意見も聞きたいと思いますが。僕が やる場合なら、別にこれでやっても余り被験者の問題はないと思います。 ○ 景山委員  現在の制度ですと、個別症例報告が治験審査委員会に本当に五月雨式に届けられるわ けです。しかし、現在の治験審査委員会にそれを分析し評価する能力があるかといえば、 それははるかに治験審査委員会の能力を超えていると思います。そして、その中からさ まざまなノイズの、非常に大きなノイズの多い個別症例報告からシグナルを検出するた めにはどうしても一定期間、症例を集積しなければなりません。そういう意味でこの6 カ月が適当か、あるいは3カ月がいいのか、12カ月がいいのか、その辺はいろいろ議論 がありますし、個々のケースによって異なると思いますので一律には言えないと思いま すけれど、一般論として申し上げますと大体このぐらいの期間で症例を集積して、それ を分析して報告するという形がやはりシグナルの検出という意味では最も望ましい。現 時点ではベターな制度ということになるだろうと思います。もし、この6カ月というこ とに何か懸念があるようであれば、「6カ月以内に」とか、その辺に。もし既知の事項 であっても、急に発生頻度が増したという場合には6カ月を待たずに報告していただく ということはもちろんですので、そういう意味では「6カ月ごと」とせずに、「6カ月 以内」という方が望ましいかもしれません。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。その点については9ページの中ごろに副作用等の特 殊性や重症度、2つ目と3つ目の○に「発生頻度、発生数、発生条件等の傾向を十分に 把握し」とか、「患者背景、投与期間と投与量の関係を治験依頼者の責任において適切 に評価する」というようなことが明記されています。症例をただ単にだらだらと報告す るのではなくて、ということが書き込まれているということも加味すると、今、藤原委 員、あるいは景山委員が言われたことは妥当かなというように思いますが。何かそのほ かに、どうぞ、課長。 ○ 中垣審査管理課長  今、座長から御紹介していただいたとおりでございまして、9ページの○の2番目で ございますが、(既知・未知)というのは予測できるか、できないかということで既知 と未知というように分けておりまして、例えば発生頻度、発生数、重症度等が変わった 場合にはそれを予測できないということになりますから、これは6カ月の定期報告では なく、その都度報告しなければならないという形になってまいるわけでございます。ま た、それを行政としてはチェックするために、9ページの一番上でございますが、行政 には外国の既知というのもすべてその都度出してもらうと。それで発生頻度等が変わっ たということであれば、何をやっているんだと、早く迅速に医療機関に報告しろ、とい うような形で仕組んでいるところがございます。  2番目にはまたその期間について、また検討会で御議論願えればいいかと思いますが、 「6カ月」ということは前回の検討会でも申し上げましたが、アメリカでは1年ごとの 定期報告を導入していて、EUが6カ月と聞いております。それで6カ月ということで どうだろうかというように事務局としては考える次第でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。 ○ 川口委員  一つちょっと気になるところがございまして、後ろの27ページのところを見ていた だければと思いますが、実施医療機関への報告の中の2-2、ここの外国症例のところ ですが、外国症例を治験症例と市販症例に分けて考えることができないかどうか。市販 後症例は量的にも多くなってくるということで、その前のページの規制当局に届け出る、 25ページの1-2とも対比していただければと思いますが、ここで外国症例すべてを直 ちにということでどうなのかというところについて、ちょっと事務局の方のお考えを聞 きたいと思います。 ○ 池田座長  27ページの2-2ですね。特に。副作用等個別症例報告、外国症例についてどうなん だと、治験の場合なのか、あるいは市販後副作用報告も含めるのかという、これは両方 含めてということですよね。この時点では、そういう理解ですよね。 ○ 中垣審査管理課長  御質問の趣旨がもう一つわかりかねるところがあるんですが、25ページでございます が、これは規制当局への報告でございますから、外国症例の未知の症例については市販 後報告の中で出さなければいけないという規定がありますから、ここは直ちに出すと。 ただ、治験のスキームの中で出さないだけであって、市販後安全対策のスキームの中で 出していただきますから、それを医薬品機構の中のコンピュータで融通しようという形 でございます。  それと27ページの2-2は、医療機関への報告でございますから、医療機関には市販 後の規制当局への報告と同じような報告が行っているわけではございませんので、ここ を残すというのは意味があるんだろうと思いますが。ちょっと私が取り違えているのか もしれませんが。 ○ 川口委員  今、御発言の内容はよく理解できました。ただ、27ページの2-2のところの外国の 症例の中で、治験症例と市販症例に分けて考えていいのではないか。要するに、海外市 販症例は個別報告でなく集積報告でもいいのではないかと、こういう意見でございます。 ○ 中垣審査管理課長  そこを議論し始めると、副作用と疾患が関係するのかどうかというのがまた非常に難 しい議論になっていくんだろうと思います。効能追加でありますが、例えば腎臓がんの 効能が既にある。ここはおっしゃる意味では市販後になる。これについて新しい治験を 肺がんについてやっている。この腎臓がんで起きた副作用をこの肺がんの治験の患者に どう戻していくかという議論をなさっているんだろうと思います。これが肺がんの患者 に特有な副作用ということがはっきりして言えるのであれば、おっしゃる意味というの はあるんだろうと思います。一方において副作用でございますから、なかなか患者背景 に特有なものもあるんだろうと思いますが、その大多数というのはそういうことと無縁 に薬物と人体とのインタラクションで来ている例が多いのではなかろうかと思うわけ でございますが、いかがでしょうか。 ○ 川口委員  私たちがちょっと懸念しましたのは、海外症例のほとんどが海外市販品の自発報告と いうケースが多いんですが、その報告内容が割と一般消費者の報告が多くて、評価にも 値しくにいものも多いのではなかろうかと。そういう懸念の中で、先ほど藤原先生もお っしゃいましたが、逆に本当にポイントのところが見にくくなっていないかということ があって、この辺は集積報告の方がかえってわかりやすいのではなかろうかという背景 がございます。 ○ 池田座長  これも本当にあがってくる報告の性質によるもので、なかなか一般的に言うことは難 しいかなという感じがするような気がします。そのほか、いかがでしょうか。 ○ 川口委員  今の件は引き続き御検討の中に入れていただければというように考えております。 ○ 池田座長  はい、事務局はどうでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  基本的には前回までの検討をもとにこのペーパーをつくってありますから、そういう のが一点。2点目には、未承認薬についても外国症例はやっぱり直ちに、未知のものに ついては「直ちに」ということになっていて、それとの整合性から考えるとここは「直 ちに」しかないだろうと。3点目には、今おっしゃっている御意見というのが、報告さ れた副作用の信頼度・重要度によって違うんだろうなと。おっしゃっている理屈からす ると、一部のものは集積報告でもいいけれど、一部のものは急ぐものがまたあるんだろ うということなんだろうと思うわけでございますが、もう少し実態をよく調査して、教 えていただき、勉強させていただかないと、私どもは引き続き検討するという約束もな かなか難しい点でもあるのかなと思うわけでございます。 ○ 池田座長  この点についてはやはり情報は、もちろん多過ぎると混乱するという点もありますけ れど、やはり使用者の側からするといろいろな情報が入ってきているということは、そ の中からまた取捨選択もできますので、余り制限するというのはどうかなという。それ が被験者保護の立場から一度議論が出たように私も記憶していますので、とりあえず今 の段階ではこのままにさせていただけたらというように思いますが、いかがでしょうか。 よろしいですか。ありがとうございます。  それでは最後に、治験薬の交付に関する規定についてということでございますが、こ れについて何か、特に大きな問題はないのかなと思いますが。「治験依頼者の責任のも とで治験薬の品質管理、運搬及び受領を確実に行うことを前提に、第三者を介した治験 薬の交付を認めることとする」ということで、「治験依頼者の責任のもとで」というこ とですので、この辺はよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。  それでは、ただいま1〜5まで御議論いただいたんですが、この「おわりに」はそう するとまとめでまたお話をいただこうと思いますが、一応1〜5まで御意見を伺いまし た。よろしいでしょうか。最後に事務局からGCP運用改善にかかわる専門作業班報告 書の取扱いについての説明をしていただきましょうか。 ○ 事務局  はい、簡単に説明させていただきます。ワーキンググループの報告書ですが、前回検 討の後、特に修正意見はございませんでした。検討会の報告書が取りまとまった後、速 やかに課長通知の方を発出したいというように考えております。以上でございます。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございます。どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  「おわりに」ついて簡単に御説明しますと、10ページでございますが、「おわりに」 の最初と2番目の○についてはもう先ほど御議論していただきましたので、最後の○で ございますが、いわゆる見直し規定というのを入れさせていただいております。 ○ 池田座長  ありがとうございました。本報告書のまとめについて先生方に御熱心に、活発に御討 論いただいたんですが、「おわりに」のところは先ほど来、課長の方から詳しく文章を 直していただいたということですが、それ以外のところで特に報告書の修正点というと ころで、事務局の方から確認するところがございますれば一応ここで確認作業というこ とでしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  それでは本日の御議論を元に「てにをは」はちょっと改めさせていただく部分がある かと思いますが、確認させていただきたいと思います。  まず2ページ、「はじめに」の○の3番目、1行目でございます。「本年2月より、本 検討会は」の後でございますが、「ICH-GCPには冒頭に被験者の保護に関する記載 があるのに対し、我が国のGCP省令には記載がないことを含め」というのを入れると いうことでございます。  3ページでございます。中ほどちょっと下にございますが、<参考>のところでござ いますが、先ほど御議論のあった説明文書の問題を一番の末尾に追加したいと思います。 <参考>の1.の末尾でございますが、具体的には51条の第15項でございますが、公 開されているホームページのアドレス及び必要な方は申し出てほしい旨の記載を追記 すること、というようなことを入れたいと思います。また御議論のあった3番でござい ますが、議題のところでございますが、( )の中に「開発の相」の後に、「開発の相及 び第III相試験にあっては大まかな対象患者からなる議題」という形で書きたいと思いま す。それで※の表記例のところを「第I相試験」にかえて、「○○(株)の依頼による 肺がん患者を対象としたABC-123(一般名)の第III相試験」という形で例示した いと思います。 ○ 池田座長  例示を変えるということですね。 ○ 中垣審査管理課長  はい、疾患名を入れた、それも肺がん患者という形で大まかな形で書いた形で、第III 相試験に変えたいと思います。  6ページでございます。先ほど川口委員から御意見のあった点をここで明記させてい ただいたらと思います。(2)今後の方向の最初の○の(1)、届出事項の追加の後でござ いますが、先ほど実施医療機関内でやる時には○か何かをつけるような工夫をしたらど うだという御意見がございましたので、「実施医療機関の治験審査委員会に審議を依頼 する際には簡略記載とする等の届出者の負担にも配慮した規則とすること」というのを 追加したいと思います。  それと6ページの一番最後の○、6カ月程度の事後の届出でいいというところの例示 に、「治験審査委員会の名称及び所在地」というのを入れたいと思います。  最後に10ページでございますが、「おわりに」のところでございますが、これについ ては繰り返し先ほど確認させていただきましたので、省略させていただきます。ありが とうございました。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。本当に先生方に長きにわたって御議論をいただいて、 この治験のあり方に関する検討会の報告書のまとめというものが何とか仕上がったと いうことでございます。ありがとうございます。  それでは本日の議題としては以上なんですが、臨床研究のあり方について研究開発振 興課から御報告をいただきたいと思いますが、よろしいですか。 ○ 研究開発振興課  研究開発振興課でございます。本日の配布資料2「臨床研究のあり方に関する検討」 について簡単に御報告申し上げます。  もともと治験以外の臨床研究に関しましては、臨床研究に関する倫理指針、平成15 年7月の厚生労働省告示というものがございまして、こちらの方がいわゆる医療関係者、 その他が従うべき指針として出されているものでございます。現在こちらにつきまして 制定後5年の見直しの作業を進めているところでございます。審議の場は、厚生科学審 議会の専門委員会ということでございます。本日は名簿をつけてくるのを失念しました が、こちらの専門委員会は、日本学術会議の会長である金澤一郎先生を委員長に議論を されているという状況でございます。  この専門委員会での検討事項は、指針の対象範囲の明確化、被験者の保護、信頼性・ 公平性の確保、公的研究費との関係等、臨床研究の環境整備全般にかかる部分、その他 ということでございまして、1ページおめくりいただきまして、既に8月17日に第1 回、9月13日に第2回の委員会を開催させていただいているところでございます。  6番目に「これまでの議論」ということで御紹介させていただいておりますが、こち らの方の臨床研究の倫理指針の検討におきましては、まず初めにパブリックコメントを 実施しまして、この指針に対して、また臨床研究に対して期待するもの、また要望等に ついて意見聴取を一般の方からもさせていただいておりまして、そういう中で特に臨床 研究における倫理審査委員会のあり方とか、その機能についてのいろいろな御意見、そ ういうものを強化すべきではないかというような御意見もいただいてきております。ま た、被験者の保護に関して、こちらの薬事法のもとでのGCPと同等の被験者の対する 保護というものを明確にすべきではないか等々の意見をいただいておりまして、そうい う観点から、参考人として弁護士の光石先生他の方からも意見を伺いながら第2回の会 合を9月13日に開催し、倫理審査委員会のあり方、またその健康被害の救済に関する あり方等について審議を進めているところでございます。  こういう御意見に基づきまして、指針の記載内容等、強化すべき点等々をまとめ、ス ケジュールとしましては平成20年の3月を目途に指針の改定案を取りまとめ、パブリ ックコメント、そして平成20年度には指針の改定に進めていきたいということで、現 在検討を進めているところでございます。以上、研究開発振興課の方からの報告でござ います。 ○ 池田座長  はい、ありがとうございました。非常に重要な臨床研究のあり方に関する検討会が今 進んでいるということでございます。何か委員の先生方、せっかくのチャンスですから 何か御質問はございますか。どうぞ、景山委員。 ○ 景山委員  この倫理指針の名称と、対象とする範囲との整合性についてお聞きしたいんですが、 臨床研究というとこれは介入研究と観察研究の両方を指す言葉です。しかし、実際にた しか「臨床研究に関する倫理指針」は介入試験を対象とした倫理指針だと思います。と ころが一方、「疫学研究に関する倫理指針」はと申し上げますと、疫学研究というのは 「疫学」という言葉自体が歴史のある古い言葉ですので、現在のスタディデザインに基 づく介入研究、あるいは観察研究というコンセプトが出る以前ですので、対象は何かと いうことは必ずしも明らかではありませんが、一般的な理解はやはり観察研究だと思い ます。では「疫学研究に関する倫理指針」の対象は観察研究に限るかと申しますと、実 はそうではなくて一部介入試験が入っています。ですから、その辺の名称と対象を、例 えば「介入研究に関する倫理指針」とか、あるいは「観察研究に関する倫理指針」とい うような明確な分け方をしていただけると、使う方としては大変使い勝手がよくなりま すが、その辺はいかがでしょうか。 ○ 研究開発振興課  ここで言う広義の「臨床研究」という言葉は、その中にいわゆる臨床試験という前向 きな研究、介入試験も入ってきますし、また一方で疫学的な試験、疫学的な調査とか研 究というものも広義の「臨床研究」という言葉の中には入ってくるかと思います。一方 で、現在の臨床研究の指針と疫学指針との関係というもの、先生の御指摘の点がござい まして、確かに観察研究において多数の方々の集団を相手に研究するようなものは疫学 指針ということになっておりますけれど、観察研究であってもやはり個々の症例に対す るものについては臨床研究指針の範囲という部分もございまして、確かにそのあたりの 線引きが非常に現場の方々にわかりにくいという御指摘をこちらの方の専門委員会で もいただいております。  そういう観点から、少し疫学指針と臨床研究倫理指針において、その線引きの仕方に ついて今Q&Aをまとめている途中でございまして、またそういうものも先生方に御議 論いただいて公表させていただければというように考えているところでございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。各委員の先生方、本当に長い間あり がとうございました。おわりにあたって事務局の方から何かございますか。 ○ 中垣審査管理課長  最初にお断り申し上げましたように、大臣官房審議官の黒川が失礼させていただいて おりますので、黒川にかわりまして一言ごあいさつ申し上げます。  本検討会は平成17年3月に、治験の信頼性及び安全性確保しつつ円滑に治験を実施 するための必要な方策について検討を行うことを目的に始めさせていただいたところ でございます。本日まで2年6カ月という長い期間にわたりまして、16回にわたりGC P省令を初め治験制度にかかる具体的な改善方策について御議論いただいたところで ございます。委員の先生方におかれましてはお忙しい中、精力的に御審議いただきまし て深く感謝を申し上げる次第でございます。  皆様の御見識、熱意によりまして2度の中間取りまとめ、また本日の報告を取りまと めていただいたところでございます。中間取りまとめにつきましては、既にそれを省令、 あるいは通知に反映させていただいたところでございますし、本日の報告書につきまし てもできるだけ速やかに省令、あるいは通知という施策に取り入れさせていただきたい というように考えているところでございます。  最後に検討会の議論、報告書の取りまとめに御尽力いただきました座長の池田先生に 深く御礼を申し上げます。以上をもちまして簡単ではございますが、あいさつとさせて いただきます。誠にありがとうございました。 ○ 池田座長  ありがとうございました。私からも一言、委員の先生方に御礼申し上げたいと思いま す。本当に16回という長い間、活発に真摯に御議論いただきましてありがとうござい ました。めでたく報告書がまとまったということで、この報告書の反映によって治験が 本当によりよい形で迅速に行われることを私も非常に期待しております。どうも本当に 先生方、ありがとうございました。 (終了) 照会先: 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL 03-5253-1111(内線2745) 担当者 森岡、山脇