07/08/10 第2回「健康食品」の安全性確保に関する検討会議事録 第2回「健康食品」の安全性確保に関する検討会議事録 ○大野座長 そろそろ時間になりましたので、ただいまから第2回健康食品の安全性確 保に関する検討会を開催させていただきたいと思います。  委員の先生方におかれましては、お忙しいところを集まっていただいて、どうもあり がとうございます。  議事に入る前に、本日の委員の出席状況について御説明をお願いいたします。 ○玉川室長 委員の出欠状況についてですが、本日は神田委員から御欠席との連絡をい ただいております。 ○大野座長 ありがとうございました。  それでは、いろいろ資料をいただいていますけれども、配付資料の説明をお願いいた します。 ○玉川室長 本日の資料は2点ございまして、資料1「各団体から提出された意見書等」 という6団体のヒアリング資料を束ねたものが1点。もう一つ、資料2「特定保健用食 品制度・特別用途食品制度とJHFAマーク制度の許可(認定)について」という資料が ございます。  なお、資料1のうち特定非営利活動法人国際生命科学研究機構の添付資料9〜35ペー ジにつきましては、著作物の引用であるという理由から傍聴者用資料からは省かせてい ただいております。  以上でございます。 ○大野座長 ありがとうございます。配付資料についてはよろしいですか。意見書につ いては厚くていちいちチェックはできませんけれども、2つあるということで。事前に 配付された資料と違うところはありませんか。ありがとうございます。  それでは、議事次第1、健康食品の安全性確保に関するヒアリングに入りたいと思い ます。今般、健康食品の安全性確保に関し、検討会の場で意見陳述を希望する団体を公 募いたしましたところ、期限までに12団体の応募がございました。その団体名を挙げ ますと、アガリクス・ブラゼイ協議会、特定非営利活動法人国際生命科学研究機構、CRN  JAPAN、社団法人全国消費生活相談員協会の食の研究会、特定非営利活動法人医療介護 医薬総合研究所、薬業健康食品研究会、特定非営利活動法人全日本健康自然食品協会、 健康と食品懇話会、日本栄養・食品協会(NNFAジャパン)、在日米国商工会議所、特 定非営利活動法人日本消費者連盟内食の安全・監視市民委員会、健康食品管理士認定協 会・NPO日本食品安全協会の12団体でございます。  応募に当たって提出された意見書を確認させていただきましたけれども、いずれの意 見も聞いた上で、この会として判断するのがよろしいのではないかと考えまして、すべ ての御意見を伺うということにさせていただきました。  ということで、12団体の意見を伺うということでございますけれども、今日は時間も ありませんので、半分ずつに分けさせていただいて、今日はそのうちの6団体からの意 見を伺って、また次回に残りの6団体について伺うというように考えております。  それでは、事務局にヒアリング実施団体の出席者の紹介をお願いいたします。 ○玉川室長 本日は、アガリクス・ブラゼイ協議会より星島様、豊田様。特定非営利活 動法人国際生命科学研究機構より坂間様、安原様。CRN JAPANより若尾様、陣野様。 社団法人全国消費生活相談員協会食の研究会より小坂様。特定非営利活動法人医療介護 医薬総合研究所より奥山様、水野様。薬業健康食品研究会より柿沢様、内海様にそれぞ れ参考人として御出席いただいております。 ○大野座長 ありがとうございます。  今日のヒアリングの進め方ですけれども、各団体の参考人の方から8分程度御意見を 述べていただいて、その後いただいた意見について質疑応答等意見交換をさせていただ きたいと思います。これを各団体ごとに繰り返すという形で進めてよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○大野座長 ありがとうございます。  そういうことで6団体から意見を伺うということですけれども、特定の団体の方が余 り長くしゃべっておられると、次の方に御迷惑が掛かりますので、一応持ち時間8分で すが、終了3分前と1分前に時間ですという形で示させていただいて、8分経ったとこ ろで終了のベルを鳴らさせていただきます。各団体の参考人の方は、これを参考にお話 を進めてくださるようお願いいたします。時間厳守ということでお願いいたします。  それでは、最初にアガリクス・ブラゼイ協議会より、健康食品の安全性確保に関する 御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(豊田氏) アガリクス・ブラゼイ協議会の豊田と星島 と申します。よろしくお願いいたします。  早速ではございますが、私どもアガリクス・ブラゼイ協議会は、アガリクス・ブラゼ イについて国民の皆様にわかりやすく御理解いただくことを趣旨としまして、公正な取 引の確保、アガリクス茸に関する研究・普及・振興活動を積極的に図り、皆様の健康増 進に寄与いたしますということを目的に活動しておりますので、どうしても今日のお話 がアガリクス・ブラゼイに偏ってしまうような各論となってしまうことを少し御容赦い ただけるとありがたいと思います。  実際に私どもの現状、加盟企業、アガリクス・ブラゼイを素材として取り扱う原料メー カー様、製造メーカー様22社ほどとやっておりまして、私たちアガリクス・ブラゼイ 協議会としましては、健康食品を一つのテーブルに置いて同一の規格基準を引いてしま うということは、やはり素材ごとに置かれている状況であったりとか、また、必要要件 が変わってくる、異なると思っておりますので、やはりそういったすべての素材を網羅 するガイドラインというものになってしまうと、かなりレベルが高かったり、実施が困 難なものになってしまうのではないかということを少し懸念しております。  では、どういったことを考えているかといいましたら、食品として最低限押さえなけ ればいけないというようなガイドラインに加えて、素材ごとかつ原料と個別製品ごとに 細かくガイドラインというものを制定していく必要があるのではないかと考えておりま す。  例えば、私ども当協議会の方では、業界内で原料メーカー様と製造メーカー様の方が 混在して協会に参加されていらっしゃるということもありますので、安全性のガイドラ インとしましては原料と個別製品両方で制定させていただいております。  特に最重要としているものが、健康食品はヒトが食べるものですので、ヒトにおける 安全性試験というものを必ず実施してくださいということを中心に、後は基礎試験、遺 伝毒性試験であったり、反復経口投与試験というものも基準の中には入っているんです けれども、必ず実施してくださいとお願いしているのが、ヒトにおける28日間の過剰 摂取試験、3倍量以上というものを一応必須条件として規定させていただいております。  なぜこういったヒトでの過剰摂取試験を必須試験としているかということですが、ア ガリクス・ブラゼイというものは2006年2月13日に1社さんの製品に問題があるかも しれないということで報道があって、その報道ですべてのアガリクスを取り扱う企業に 対して風評被害が発生しているという現状でもそういった状況があるんですけれども、 その中に入っている単一成分で食品すべてを評価するということではなくて、食品とい うのはあくまで複合物であるわけですから、その食品全体をとったときにどういった利 用の仕方が安全なのか、安心して御利用いただけるのかというのを調べる必要があるの ではないかということを考えておりまして、我々としては不正品として過剰摂取したと きに問題があるかないかということをまず調べてくださいということを条件としてやっ ております。  実際にアガリチンに問題があるんじゃないかということで、今回アガリクス自体が白 か黒かはっきりしないというような状況に置かれているんですけれども、我々としては 実際に各メーカーの安全性試験を精査していく中で、より安全性の高い、例えば論文化 されているようなデータがあったりとか、食品添加物として認可されているような事例 等もある中でそういった報道が流れているということですので、一つの試験結果ですべ てを判断するとか、一つの会社の製品ですべてを判断するというようなことが一事が万 事ではないんですけれども、今起きてしまっているということから、実際にアガリクス・ ブラゼイと言ってもつくった場所であったり、菌株であったりとか、もの自体によって も大きく安全性が異なってくると思いますし、なおかつ、利用される側にとっても健康 な方が飲まれたからすべての方に対して安全性を担保できるわけでもないですし、本当 にケース、ケースによって必ずしも安全だと言い切れるものではないので、こういう利 用の仕方であれば安心して利用していただけますというようなものを規定する上で、我々 としましては過剰摂取試験を行った上で、この範囲の中であれば安心して御利用いただ けるようなデータが出ていますというようなことを申し上げていきたいと考えておりま す。  最後になってしまうんですが、とある先生からの受け売りになるんですが、やはり食 品というのは100%安全なものが存在するのではなくて、あくまで安心して御利用いた だく利用方法があるだけだと考えておりますので、そういった意味で安全性試験、突き 詰めていけばいくほど、どんどんとハードルは高くなって、どこまでいっても100%安 全と言うのはなかなか難しいかなと思っていますので、ここまでであれば安心して御利 用いただけますよというようなラインをつくることが必要じゃないかと考えております。  以上でございます。 ○大野座長 ありがとうございます。それでは、いろいろ先生方から質問なり意見交換 をさせていただきたいんですけれども、今日はいろいろ意見を交わすということが目的 でして、結論を出すのが必ずしも目的ではなくて、結論を出すのは後で皆さんの御意見 を伺ってから委員会で検討して、これから対応をどうしようかということになりますの で、そこを御了解願います。  では、先生方からの御意見・御質問をお願いいたします。 ○坪野委員 2点質問させていただきたいんですが、すべての商品に共通の基準ではな くて個別にという話だったんですけれども、なぜアガリクスでは個別の対応が必要なの か、アガリクスの固有の事情がどういうところにあるのかというのがよくわからなかっ た。つまり、風評被害があったから個別に考えなければいけないということであれば、 ほかの商品も全部同じ可能性があると思うので、あえて素材ごとに分けるということの 根拠をもう一度説明していただきたいということ。  それから、2点目、過剰摂取試験を提言されているというのは非常に重要だと思うん ですけれども、10人に4週間飲んでもらっただけで担保される安全性というのはかなり 限定的なものがあって、多分肝機能障害とかアレルギー性の皮膚障害といったものは10 人に飲んでもらってもわからないんじゃないかと思うんですが、ここでどのような安全 性が担保し得るとお考えなのか、その2点について。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) 個別の事情の根拠でございますけれども、 御承知のとおり、このアガリクスキノコは栽培法がキノコからつくるもの、あとは培養 しているものと2種類ございます。また、その中でも製剤にする条件がかなり異なって おります。また、もう一つは産地が日本であったり、あるいは南米、中国、いろいろな ところがございます。そういう意味で、少なくともそういうものでくくる必要があるか と考えています。  2番目のオーバードーズの問題ですけれども、確かに先生がおっしゃいましたとおり、 N=10で4週間でどこまで言えるのかという問題があるかと思います。ただ、我々はバッ クグラウンドといたしまして、従来十数年にわたりましてこの健康食品を皆様方に御提 供しているという経緯がございます。そういうことで、その2つを併せまして、ヒト試 験を置きますその根拠としているわけでございます。 ○大野座長 ほかに御意見ございますか。 ○鬼武委員 1点お尋ねします。安全性については確保をやっているということで概要 はわかったんですが、健康食品という範疇で売られていて、摂取と健康との関係で何ら かの証明なりがあるんでしょうか。そちらのホームページを実際に見せていただきます と、むしろ健康な人が使うというよりも、がんの患者さんとかそういう人が使っている 事例があって、そういう人たちに対するリスクとかもしくは有用性、健康食品でそこま で言っていいのかどうかわかりませんけれども、むしろそういう点についてはどうお考 えでしょうか。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) 薬事法云々の話は別にしまして、実際に摂 取されている方々は確かにがんの方が多うございます。これらにつきましては、数は少 ないんですけれども各種の臨床試験を行っておりまして、ある程度その範囲内では安全 だということを確認しております。ただ、先生おっしゃいましたとおり、では、実際に どういうがん患者で効果はどうかと言われますと、そこはなかなかお答えしづらい面が ございます。  以上でございます。 ○大野座長 ほかにございませんか。 ○梅垣委員 安全性試験をヒトで行われているんですけれども、これは多分健常人が対 象だと思うんですね。その試験で病気の人の安全性が確保できるかというと、そこはちょっ と問題かなと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) 今の健常人につきましてはオーバードーズ 試験をやっておりますけれども、そのほかに実際にはがんの患者さんにも随分臨床試験 をやっておりまして、それも一部コントロールするなり、あるいは一部学会のジャーナ ル等にも投稿しているデータがございます。ただ、勿論医薬品と違いまして多数例では ございませんけれども、データはとっております。 ○松本委員 2ページの上のところに、一般的な安全性ガイドラインはこんなのであっ て、最大公約数としての食品における安全性ガイドラインプラス素材ごとの安全性ガイ ドラインという提案をされているわけですが、2ページの下半分の別紙1のアガリクス・ ブラゼイの安全性に関する自主ガイドラインに挙がっている1〜6までのうちのどの部 分がいわば食品における最大公約数安全ガイドラインで、どこの部分がアガリクス特有 のものということになるのでしょうか。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) 確かに、どれがアガリクス特有のものかと いうのは困るんですけれども、ただ、最低限我々が扱っておりますアガリクスにつきま してはこれだけのものは実施しようということでございます。 ○松本委員 ぱっと見て2とか3というのは別にアガリクスではなくたって、みんな当 たり前だという感じがいたしますし、4もそうかなという気もいたしますから、5、6 辺りがあるいは固有のものかなという印象がしたんですけれども、素人ですから何とも 言えませんが。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) そういう意味では、まさに先生御指摘のと おり、1番と5番、6番は今回の我々の協議会の必須事項でございますけれども、ただ、 これがアガリクスだけに限定されたものかと言いますと、なかなかそうは申し上げられ ないのが現実でございます。 ○大野座長 いかがでしょうか。  それでは、私から。ケース・バイ・ケースでいろいろ考えるべきだと。利用法の規定 が必要であるということをおっしゃったんですけれども、利用法についてどういう形で 実際に消費者に連絡して、それがそのとおりに使われているかというのをどういうふう に確認するんだろうかというのが疑問だったんですけれども、いかがでしょうか。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) 用法・用量につきましては、薬事法の管理 にございまして、なかなか明記できないのが現実でございます。ただ、我々は参考的に 一日何回ほどお飲みいただければというような表現をとっております。 ○大野座長 その程度の利用法で十分だということなんですかね。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) 有効性の確認の手段がございませんので、 医薬品ですといろいろな規定がございまして確認ができますけれども、健康食品ですの で有効性の確認が難しいので、従来ある飲み方をそのまま踏襲している表現にしており ます。 ○大野座長 余り詳細な利用法を規定して、それを守らないと安全でないとか、そうい うものはいわゆる健康食品に該当しないんじゃないかと思ったんですけれども。  ほかにございますか。 ○宗林委員 先ほどの御説明の中で、絶対安全と言うことは難しいと。どうすればそれ ぞれのものが安全に利用できるのかというラインを引くことではないかというお話をさ れたので、それでは、商品群としてどういう安全な利用の指標があるのかということを 少し具体的にお話しいただければと思います。 ○アガリクス・ブラゼイ協議会(星島氏) なかなか難しい御質問だと思います。我々 にできますことは、一つは動物における安全性試験の確認でございます。これにつきま して、ある程度医薬品並みの試験を行うことを義務付けております。例えば、亜急性毒 性試験あるいは遺伝毒性試験。そのほかにヒトの摂取におきましては、ある意味副作用 情報あるいは有害使用情報の積極的な確認を促す、その辺だと思います。例えば、一日 どれくらい飲んだら安全ではないか、あるいはその期間というのは我々はデータを持っ ていませんし、定めることはなかなか難しいかと思います。 ○大野座長 それでは、申し訳ございませんけれども、時間なので交代させていただき たいと思います。どうもありがとうございました。 (アガリクス・ブラゼイ協議会 退席) (特定非営利活動法人国際生命科学研究機構 着席) ○大野座長 特定非営利活動法人の国際生命科学研究機構からのヒアリングをさせてい ただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) ILSI Japanの坂間と安原と申します。よろしく お願いします。  私たちILSI Japanは国際的な非営利の団体で、健康・栄養・食品安全・環境におけ る課題の解決に科学的な視点で取り組んできました。私が所属する食品リスク研究部会 では、食品の安全性評価の考え方を学び、その普及に努めるという活動目標のもと、2005 年8月より約2年間を掛けて食品の安全性評価フローを検討し、今年6月に「食品の安 全性評価のポイント」としてレポートを発刊いたしました。健康食品の安全性確保にお いては、さまざまな視点を持ちながら評価を行うことが大切であると考えています。食 品の安全性評価のポイントは、評価に必要な考え方を網羅的に示したものであり、本検 討会における評価検討の際の参考資料として是非御活用いただきたく、以下に意見陳述 させていただきます。  食品の販売は原則自由ですが、これは食品あるいは食品成分の安全性が食経験によっ て確かめられているという考えに基づいています。勿論、食薬区分を考慮することが必 要となりますけれども。  一方、アマメシバのように、たとえ食経験はあっても、これまでに食経験のない方法 で食品を摂取するようなケースが見受けられるようになりました。このような場合、ひ とえに食経験があると言っても漠然としていて、どの程度の食経験があれば問題ないと 言えるのかがわかりづらい状況でした。2005年2月に厚労省より発出された自主点検ガ イドラインにおいても、食経験の評価の考え方について深くは触れられていませんでし た。  そこで、2005年5月に私どもが主催した講演会で、安全性評価について数多くの経験 を踏まれている林裕造先生に「食経験の少ない食品の安全性評価の考え方」と題して基 調講演をしていただきました。その際、林先生より具体例を基にわかりやすく食経験の 評価の考え方をお示しいただきました。また、食経験が限定的な食品の場合、得られた 食経験情報のみではヒトへの安全性確保の説明根拠として不十分であることから、食経 験の不足を科学的根拠により補うことによって、ヒトの健康を損なうおそれのない旨の 確証を得る必要があり、どのような場合にどのような科学的根拠をとる必要があるのか などもわかりやすくお示しいただきました。  そこで、林先生の講演内容をフローチャートのような形式で解説することができれば、 食品の安全性を評価する際に大いに参考になるのではないかと考えました。更に、厚労 省通知を初めとする幾つかの安全性評価の考え方の資料と併せ、評価のポイントを網羅 的に示すことができれば、より有用なものになると考えました。そこで、食品の安全性 評価のポイントの全体構成について御説明します。  資料の7ページの別紙をごらんください。こちらが食品の安全性評価ポイントの全体 構成概要図になります。このポイント集は全部で5つのステップから成り立っています。  まず最初に、1番目の安全性評価の前提条件ステップです。ここで一定品質のもので あることをGMP等の条件も加味した上で確認を行います。次に、まずはあらゆる観点 から食経験や安全性、有害性情報の収集を行い、それらを基に評価を行います。具体的 には(2)食経験情報に基づく安全性評価と(3)安全性・有害性情報に基づく安全性評価を 行います。そして、それぞれの情報に基づき評価を行って、その上で食経験が限定的で ある、もしくは安全性・有害性情報から安全性を確保できる合理的な理由がない場合は、 食経験の不足等を科学的根拠で補う必要があります。そこで、(4)科学的根拠に基づく 安全性評価ステップに入ります。こちらで具体的な科学的根拠を入手していくわけです が、実際の科学的根拠をどのように入手するのかについて、補足ステップとして(5)科 学的安全性根拠の考え方ステップに入ります。こちらで試験選定、デザインの検討を行 い、実際の試験と結果の評価、その上でヒトの健康を損なうおそれがないと言える量を 設定いたします。そして、また(4)のステップに戻り、ヒトの健康を損なうおそれがな いと言える量と総摂取量を比較することによって、最終的な安全性評価を行います。  以上が構成概要ですが、実際のフローでは各ステップで評価の際の注意点などをさま ざまな視点で補足しています。幾つかの関係資料については全文を添付いたしました。 私たちは食品の安全性評価にかかわる多くの人に、この食品の安全性評価のポイントを 知っていただき活用していただくことで、安全な食品が供給され、国民の皆さんが安心 して食生活を送れるようになることを願っています。  どうか、評価・検討の際の参考資料として御活用いただきたく、御検討のほどよろし くお願いいたします。  以上です。 ○大野座長 どうもありがとうございました。  委員の先生方から御質問を受けたいと思いますけれども、林先生の名前が何回か出ま したが、林先生、遠慮なく御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。 ○鬼武委員 先ほど聞き逃したかもしれませんけれども、ここでは食品の安全性評価と なっているのですが、いわゆるILSIさんの方では健康食品の定義みたいなものは検討 されていますか。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) いえ、検討はしていません。私どもは食品全体に 対してです。 ○鬼武委員 わかりました。  それともう一点は、ILSIさんはいろいろなところ例えばコーデックス会議で活躍され ており、ILSIヨーロッパとかアメリカとかあるわけですけれども、この安全性評価のポ イントというのは、いわゆる日本だけのオリジナルでつくられたものと考えてよろしい ですか。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) はい。EUのノーベルフードとかその辺のことま では、実際に調べてこの中に盛り込んでいるというわけではありません。 ○鬼武委員 わかりました。  それから、あともう一つは要望ですけれども、日本の場合はどちらかというと国際的 なヘルスクレームということについては余り広い意味で対応はしていないと思うのです が、むしろそういう点からヘルスクレームとかそういうものが日本でどうあるべきかと いうのを、できたらILSIさんの方で提言いただいた方がいいと私は個人的に思ってお ります。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) 今後も含めてということでしょうか。 ○鬼武委員 はい、今後是非お願いします。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) 私ども科学的視点ということを大事にしておりま すので、そういう視点からどこまで表示ができるのかということは念頭に起きながら、 今後も検討を行っていきたいと思っています。 ○大濱委員 2〜3お尋ねします。まず食経験ですが、実際に食経験を十分に集めると いうのは難しいと思いますが、海外での食経験と日本の経験との差をどう見るか、ある いは海外の食経験そのものは十分に利用できるという判断をしているのか、また、科学 的な安全性根拠の考え方の段階で、例えば、試験デザインの検討と書かれていますが、 実際に根拠の考え方に対して基準を設けて評価するという考えなのでしょうか。例えば、 試験デザインを評価する場合に、どのような基準でウエート付けをするのかというよう なことを考えているのでしょうか。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) 海外の食経験についてですけれども、内容によっ て例えば、評価しようとしている食品の人種差が考えられるような代謝経路とかそうい うものから同等であると判断ができるのであれば、十分これは採用できると。  もう一つの御質問の試験デザインの部分についてですけれども、基本的にはどの部分 が食経験の不足をしているのか。例えば、過剰摂取ということに関して一定の量までの 食経験はあっても、それを超えるような場合については、その超えた量について安全性 が確保できるのかという視点で、まずは動物試験なり等で必要な水準を置いて行おうと している摂取量というものが十分安全率も踏まえた上で確保できるのかどうか、そうい う補足するという部分に対してどうなのかという考え方で試験を組む必要があるという ことを(5)のステップのところで述べております。 ○国際生命科学研究機構(安原氏) 1点補足させていただきますと、例えば食品とい うと、濃縮等いろいろな加工が加わった場合にニューコンパウンド等ができる可能性が あります。そういう点においては変異原性試験等に対応していくというようなことも考 えております。 ○永留委員 食経験のところで確認させていただきます。先ほどの食経験が限定的とい うところ、これは例えば伝統的には煮出し汁を食していたものを、そのまま乾燥・粉末 化する、あとは、例えば熱水抽出で使っていたものをエタノール抽出する、こういった 場合もやはり限定的な食経験に当たると考えてよろしいでしょうか。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) そうですね。例えば、通常は茶葉を熱水で抽出し て飲んでいたものを、それとは違う方法で溶媒等を用いて抽出した場合には、成分の変 動が起こっているということも加味する必要がありますので、やはり製造工程というも のを確認して、その工程自体が食経験があるのかどうか、そこと照らし合わせながら評 価することが大事であると考えています。 ○大野座長 ほかにいかがでしょうか。  では、私の方から。非常に難しい問題だと思うんですけれども、食経験があって安全 に使われていたということはどういうふうに判断されるのかなと思ったんですけれども。 ○国際生命科学研究機構(坂間氏) それは20ページ辺りで詳しく書いているんです が、十分あるもしくは限定的なのか、食経験がないのかというところを評価していく上 では、情報がまず必要であると。さまざまな情報を入手して、20ページの注釈の7辺り から食経験が十分な場合、限定的な場合、ない場合と例示を入れているんです。こうい うことがあれば絶対基準をクリアするとか、具体的なライン引きというのは難しいと考 えていますけれども、具体的な例を示すことでそれと比較して、ケース・バイ・ケース で各企業が十分と言える、言えない、もしくは科学的根拠で補足できているということ で判断していくことが大事であると考えております。 ○大野座長 では、時間ですので。特に聞いておきたい点があったら。では、どうもあ りがとうございました。 (特定非営利活動法人国際生命科学研究機構 退席) (CRN JAPAN 着席) ○大野座長 それでは、引き続きまして、CRN JAPANからのヒアリングを行いたい と思います。よろしくお願いいたします。 ○CRN JAPAN CRN JAPANです。よろしくお願いします。  CRN JAPANは、健康食品産業の健全な発展と消費者に信用される産業を目指す原 料・素材メーカー、受託・加工メーカー、販売メーカーで構成される任意の非営利団体 です。平成8年11月に設立し、平成19年6月現在124社の会員企業で構成されており ます。国内で消費される健康食品のうち、約60〜70%の製品が当会員企業により供給さ れると言われています。  健康食品の安全性確保に関する意見内容ですが、健康食品事業者の現状としまして、 現在、食品衛生法第3条における食品事業者の責務の中で、健康食品事業者は安全な食 品を供給するため、必要な衛生管理を行い、安全・安心な製品の供給に努めております。 また、健康食品は主に食事を補完する目的で利用されており、製品の特徴から原材料は 濃縮等の工程を経て製造されていることが多く、このため健康食品事業者は必要な衛生 管理に加えて、健康食品原材料の詳細な情報収集を行い、安全性の確保に努めておりま す。  私ども健康食品、サプリメントと言われている錠剤、カプセル、ソフトカプセル、ハー ドカプセル、いろいろなもので濃縮加工をやっておりまして、CRNの取り組みとして どのようなことをやっているかという部分に関して認識していただきたいと思います。  一番初めに、原料の情報調査ということで別添1に書いているんですけれども、原材 料情報書、お手元の54ページからになっております。基本的にはどういう商品ででき ているのか、品質管理がどうなっているのか、製造工程がどうなっているのかと、基本 的にサプリメントメーカーさんは、どのような原料を使うべきなのかという部分に各品 質管理の方々がいろいろ検討していただいて、このような帳票を使いながら運用してお ります。実際加工メーカー様で使っているのが、原材料情報としては延べ1,000アイテ ムを超えております。この1,000アイテムを用いまして運用していたんですけれども、 厚生労働省様の2005年の安全性のためのガイドラインという部分に対して、こちらの 方としても原材料情報書への反映ということで13品目にわたって私どももフローチャー トに合わせてやっておりました。ただ、このフローチャートの判断基準が各社メーカー 様でどういうふうにこちらのフローに落としたらいいのかとか、どういう判断をしたら いいのかという部分が多種多様な判断・解釈が生まれたものですので、CRNとしても う一度自主点検ガイドラインを提案することといたしております。  そのCRNとしてのフローチャートにつきまして、お手持ちの資料の40ページから になります。こちらの大きな部分の今までのフローチャートとの相違点としましては、 製品の方ではありません、私どもの方から提案させていただいているのは、すべては原 材料に特化したフローチャートと。合わせてしまうとなかなか難しい部分がございます ので、原材料に特化して、すべての安全性でどのようにフローを掛けたらいいのか。あ と、判断基準はすべてイエスかノーで落ちてくるような形ということで提案して、こち らのフローチャートをつくらせていただいております。  ただ、今後の御質問の内容の大きな部分になると思うんですが、既存食品の考え方と いうことで、平成17年1月31日以前に広く国内に流通し、安全性に懸念が生じたとい う具体的報告がないものを言うとすることによって、新規素材、新規食品に対象を浮き 出すべきではないかと。ただ、今一般市場に流れているものに関しても安全性の考え方 はやっていかないといけないと思うんですけれども、この中で一度線を引いたというこ とが今回のものになっております。  あと、製造関係、品質管理に関しても、抽象的な表現ではなく、どういう品質管理基 準を設けた形で管理をしてください、ただ、何か問題があったときは帳票類はすべて持っ ておくことであるということを徹底したフォームにさせていただいております。そうい う形で今回提案の方はフローチャートという形で自主点検フローチャートの方は厚生労 働省様に提出させていただいております。  ただ、先ほどお話しさせていただいたように、平成17年1月31日以前のどのような ものが流通しているのかということを私どものCRN会員の部分で調査をさせていただ きました。こちらに関しましては、実態調査といっても会員ですので、会員数124社に 対して回答期日、対象内容項目に関しましては厚生労働省様の方から出された原材料安 全性に関する自主点検フローチャートというものを知っていますか、それより運用され ていますかという部分が一つのテーマです。  もう一つが、現状使われている平成17年1月31日以前に扱われている原料というも のはどういうものがありますかということに関して調査を行いました。調査結果としま してはアンケート用紙の回収率としては、お手元に40社ということで書いているんで すけれども、基本的には39社。詳細に関してはお手元の資料の44ページからの部分が 今回の調査内容の詳細になっております。割愛して大体の中身の方を説明させていただ くと、アンケートの回収率が39社、32%、自主点検のことを知っていますかというこ とに関しては95%、皆さんやはり健康食品を扱っている事業者の方は2005年の安全性 のフローチャートは知っていると。ただ、活用しているのが65%ということですので、 私ども健康食品事業者としてはやはり認知をし、3分の2のメーカーが活用していると 考えております。  続きまして、品目数としましては、回答原材料総数1,798品目、ブランドメーカーと しては470社、その中で67%が食品素材として扱っているのと、食品添加物が590。主 に目的としては、健康増進を目的として使用した原材料ということで88%、あと食品添 加物等々がございます。  こういう形で調査を行いながら、基本的に実態をもう一度検証しながら、私どもとし てはサプリメントと言われている濃縮物、いろいろなものを生業としてさせていただい ているんですけれども、そういうもので今後各社メーカーさん言われております、100% を保障するのは難しいんですが、今回の使用実績とか流通実績をとらえて評価していた だいて、実効性のある安全性の取り組みを進めていただきたいと思っております。  以上です。 ○大野座長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見をお願いい たします。 ○坪野委員 54ページのステップ5について伺いますが、『PubMed』等海外の文献も 対象にして検索されているということですけれども、そうしますと、例えば、ある栄養 素で臨床試験をやったら、かえって有害作用があったという文献がヒットすることがあ ると思うんですけれども、そういう情報を入手した場合の取扱い、例えば、消費者に対 する情報開示とかそういうことは今どういうふうにやっているんでしょうか。 ○CRN JAPAN 現状ですか。こちらに関して『PubMed』等各社メーカー様の判断に はなるんですけれども、54ページの自主点検ガイドライン、私どもCRNの会員として 使っている帳票がこちらの錠剤、カプセル等に関してのステップ1〜3まで。どういう 検索結果をやったのかという部分に関して、文献検索によって『PubMed』ヒット件数 は何々、それに関しての有害性を報告する事例がありましたかという形の判断を加工メー カー様が見て、使っていいのか、使ってはいけないのかと。消費者の方には多分流して いないと思います。 ○坪野委員 そうすると、文献検索は求めるけれども、有害性があるという情報が出た 場合の取扱いは、今のところメーカーの判断に任せていて統一的な基準はないというこ とですか。 ○CRN JAPAN 現状では製造メーカー、販売メーカーの方へ情報を流しまして、それ でどういう評価をするという形に任せております。 ○坪野委員 例えば、これは非常に重要なことだと思うので、そういうメーカーの独自 の文献検索等によって明らかになった安全性に関する情報というのを公開していただく ということは可能なんでしょうか。 ○CRN JAPAN その辺は今後いろいろな形で情報提供はできると思いますが。 ○大野座長 ほかにございませんでしょうか。 ○大濱委員 原材料情報書のところで調べられた原材料に関する安全性の情報というの は、その原材料の本質的な特性を示すものと理解してよろしいですね。要するに、その 物質に固有に備わった基本的な安全性にかかわる特性ですね。多分、実際に扱う材料は 輸入だったりしますが、製造元やロットによる変動という問題が起きると思います。従っ て、原材料自体の本質的な特性とロット間に生じる変動のチェックというのは両方が必 要ではないかという気がしますが、どう考えていらっしゃいますか。54ページの表は、 原材料の基本的な安全性データを点検するという形ですね。 ○CRN JAPAN そのもの自体ですね。各社メーカー様がいろいろな商品でも抽出溶媒 が違うとか、そういうものに関して一緒くたにするつもりは考えておりません。メーカー さんの製造フローがきちんとしたものに対して一定の品質、品質自身も安全性の担保に なると思いますので、それに対して書いてもらう、これに対して90日をとったもの、 もしかして28日の反復投与をとったものは、ほかのメーカーには使えないという判断 で私どもは考えております。そのメーカー独自のデータを転用していくと。というのは、 一つにまとめてしまうと抽出溶媒が違って、出発原料は一緒なんだけれどもとなると、 ものの本質が違いますので、そういうものに関しては厳しくメーカーが持っている工程 管理をきちんと管理されたものがこちらの方に一つ一つ載ってくるというふうには考え ております。 ○大濱委員 そうすると、この情報で得られた基本的な特性に対して、その特性がきち んと表れているかということをチェックするような、例えば品質基準的なものは同時に 必要だと考えますか。 ○CRN JAPAN こちらの安全性の考え方と原材料情報書という部分が基本的に製造工 程を全部書きなさいと、どういう抽出方法になっていて、どういう一般成分というか遺 伝子組換えからアレルギーからすべてのデータをここに網羅させることによって、それ を固定させていくというふうには考えております。 ○大野座長 ほかのいかがでしょうか。 ○林委員 1つ教えてください。厚労省の自主点検ガイドラインの認知度が95%あるけ れども、活用が65.8%と低かったということですね。これは今後、安全性の基準などを つくる場合にも参考になりますので、使われなかった理由がどこにあるのか、どういう ふうにこれを書き直せばもっと使うようになるかということについて、もしお考えがあ りましたら教えてください。 ○CRN JAPAN かしこまりました。すべてのデータはこちらにございますので、また 説明させていただこうと思います。 ○鬼武委員 先ほど説明でもあったかもしれないですが、38ページのリスト化されてい る主に健康の維持増進を目的として使用される原材料は、何をもって決めたのですか。 今まで各社が何らかの健康維持というか、何の物差しで健康維持を目的とする原材料と 決められたのですか。ただ、販売されてそういう目的で売られたものをリスト化したも のですか、それとも定義があるのですか。 ○CRN JAPAN 定義は特には。 ○鬼武委員 定義はない。食品と言えば全部、健康維持目的で食べられますよね。この 辺が私はわからなかったのですけれども、どういう規定で決められているとか、過去に そういう目的で商品化して売られているものであるとか、その辺の区分けみなたいもの はあるのですか。なければないで結構ですけれども。特に健康維持ということで定義は されていないのですね。「健康の維持増進を目的として」とわざわざ規定していますよね。 ビタミンとかそういうものはわかりますけれども、ほかの新しく出てきた成分でわから ないものも含めてあると思うのですけれども、何をもってこういうものを健康維持と言っ ているかというのが私はよくわからなかったのですけれども。もし答えられなかったら いいです。意見としてそう思ったので。 ○CRN JAPAN 申し訳ございません。ありがとうございます。 ○大野座長 私から1つ聞きたいんですけれども、アンケートの回収率32%ということ が気になっているんですが、こういう食品業界はいろいろなバラエティーがあるんじゃ ないかと思うんですけれども、そういうアンケートに答えない会社というのはどういう 状況で答えないのかなと思ったんですけれども。 ○CRN JAPAN 今回ちょっと日にちがなかったという部分も言い訳にはなってしまい ますが、今回のアンケートの日にちが2〜3週間程度のでの回収だったので、基本的に は皆さんの方に通達がうまくいかなかったのかなと。ただ、品目数で2,000アイテム近 くのものに関しては、実際使われているメーカーさんの方が多いので、そういう部分の 回収としてはある程度あったのかなと思っております。その中でも原料を扱っていない メーカーさんとか、もしくは販売会社さんという部分は入れないというのもありますの で、そちらの方はもう一度分析する必要があるのかなとは思っております。 ○大野座長 答えなかったところが、こういう安全性確保に関心がないとかそういう解 釈をしては困るわけですね。 ○CRN JAPAN そうですね。 ○大野座長 ほかにございますか。よろしいですか。それでは、どうもありがとうござ いました。 (CRN JAPAN 退席) (社団法人全国消費生活相談員協会食の研究会 着席) ○大野座長 それでは、次に、全国消費生活相談員協会の食の研究会からのヒアリング を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) 社団法人全国消費生活相談員協会から参りまし た小坂と申します。私どもは、国民生活センターを初めといたしまして、全国に542あ ります消費生活センターなどで相談業務や啓発活動などに従事しております。  2005年度に全国の消費生活センターが収集いたしました生命や身体に危害を受けた危 害発生事案の第1位は健康食品です。最近ここ数年に回収措置がとられた健康食品の回 収理由から、消費者は健康食品の安全性、品質に対する不信感を深めております。とい いますのは、回収の社告等が出ますと、その社告の当該銘柄のみならず、周辺の商品に 対してもすぐにその日のうちに相談が入ります。その回収の理由について資料に何例か 挙げました。一番上の「○」から説明させていただきます。  アルミ製の異物が製造工程で混入した可能性があることが判明いたしました。可能性 と書いてありますけれども、実際に入っているということです。次が、弊社が販売して おります健康食品素材に、食品衛生法で認められていない殺菌目的と思われるガンマ線 が照射された可能性があることがわかりました。次が、アレルギー物質として表示が義 務付けられている乳の表示が欠落していることが判明いたしました。次、賞味期限日付 印字のない商品が見つかりました。次、当該商品3粒分に含まれる大豆イソフラボンの 量が90mgであるかのように示す表示をしていましたが、実際には当該商品3粒分に含 まれる大豆イソフラボンの量は約18mg、表示量の20%にすぎないものであるという社 告です。こういった社告が出ますと、即刻消費者の方から自分の買っている商品はどう なのかという相談が入るといったこともあります。  消費者に健康食品による身体の作用、原材料の安全性、医薬品との併用摂取の害、過 剰摂取による弊害などの情報がわかりやすく伝わっているとは言いがたい状況であると 現場の相談員は感じております。また、健康食品には高額な商品もありますが、価格に 見合った品質であるのかどうか疑問に感じる消費者も多いようです。  そのために、本日は以下の提言をさせていただきたく参加させていただいております。 まず1点、錠剤、カプセル状等の食品の安全確保のための方策について。過剰摂取及び 医薬品との併用摂取による弊害を起こさない製品づくり、また、製品への具体的な注意、 警告表示をお願いいたします。これについては、例えば、健康食品のあめで「花粉シー ズンの前から毎日なめて杉花粉と体を仲良くさせるあめです」と書いてあると。でも、 咳が出てしまったという相談が数年前にありました。これにつきましては、平成19年 4月19日に厚生労働省さんの方から杉花粉を含む食品に関する注意喚起についてとい う喚起が出ましたので、こういった注意喚起が出るような食品のつくり方については、 いかがなものかと思われます。  それから、今薬を服用していて納豆は食べないようにと言われているんだけれども、 血液がサラサラになるということでクロレラの食品をとっているんだけれども、余り調 子がよくない、いかがなものかというような相談もあります。そういった場合に、やは り製品の方にこれは薬ではないので病気を治すものではないとか、現在服用の方の場合 は医師に相談しましょうなどの警告があると、消費者も納豆はいけないと言われていて もビタミンKの問題がそういったところにまであるということは、なかなかわからない かと思われます。  2点目、健康食品の製造段階における危害発生防止対策についての提言です。通常の 食べ方では問題のない原材料中の微量の有害成分や農薬も、濃縮された健康食品では身 体・生命に危険なものとなるおそれもあります。また、有効とうたわれている成分の量 がメーカーによりかなりの格差が見られ、全く含まれていないという製品もありました。 これにつきましては、プエラリア・ミリフィカという女性ホルモン様作用を有する、い わゆる健康食品についてですが、体調を崩したという相談がありました。一方で、この プエラリア・ミリフィカにつきましては、厚生労働省の科学研究費補助金の「平成16 年度タイ産植物プエラリア・ミリフィカを基原とする健康食品のDNA分析」という御 研究の中で、プエラリア・ミリフィカの遺伝子配列が認められているものは12検体中 6検体だったという研究報告があります。ということは、プエラリア・ミリフィカと名 乗って高額で売っておりましても、半分は入っていないということです。  それから、ローヤルゼリーを食して体調が悪くなったという消費者がおります。それ について当該のメーカーに問い合わせたところ、「なるわけないよ、うちのには影響を与 えるほどのものは入っていないよ」というような答えをちょうだいすることもあります。  また、安全な健康食品を消費者が選択できるような仕組みについてということで、薬 効をうたう販売方法というものが多く見られます。やはり健康志向や病気を持っている 方に対して、少し不安をあおるような販売方法で売るということがありますので、現在 サプリメント等のアドバイザー資格は既にありますけれども、販売時に各人の健康状態 や疾病履歴等を総合的に判断して販売していただけるような体制がとられたらなと思い ます。  第4点として、健康被害情報の収集、消費者への情報提供の在り方についてというこ とですが、相談の現場で糖尿病に関する健康食品の相談というのは非常に多いんですね。 その中で血糖値を下げるという健康食品を食べたが、かえって血糖値が上がったという 相談を受けることもあります。やはりお医者様に対して、自分が健康食品をとっている ということを言いにくいという状況があるようです。それは、どうしても先生にお見立 てをしていただいているので、自分でこっそり別に健康食品をとっていることを言うの はちょっとというようなことで、それがかえって診療の妨げになっているようなことも ままあるようでございます。それにつきまして、やはりお医者様にも是非患者にそういっ たものはとっていないか、それから、とるについての助言を求められた場合にはアドバ イスをしていただけるような体制をとっていただけるようにお願い申し上げます。  そして、現在、消費者生活センターで受け付けた健康食品に係る健康被害の相談事例 というのは、保健所を通じて厚生労働省さんの方にも行くようなシステムができており ます。けれども、私どもが働いております消費生活センターで受け付ける相談はごく一 部であり、潜在的な健康被害は少なくないと思われます。食品による健康被害の場合、 因果関係の特定が難しく、消費者がどの食品によるものであるかという判断がつかない ケースも多いかと思いますが、因果関係が特定されない時点においても、とりあえずこ ういったことがあったということが申し出られるような制度があればよいなということ を今日はお願いに上がりました。ありがとうございます。 ○大野座長 ありがとうございました。委員の先生方から質問はございますか。 ○寺本委員 最後のことが一番重要なのかなと思うんですけれども、因果関係があるな いというのは、先ほどの糖尿病の例も出されて一番問題なところですけれども、糖尿病 というのは基本的に非常に血糖値の動く疾患ですから、それを使ったら血糖値が上がっ たというようなクレームがあった場合に、それを本当にそうだという形で評価するとい うことは非常に難しいのではないかと思うので、その辺は評価の方法等何かお考えになっ ていますか。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) 私ども医師でも看護師でもありませんので、ま ず、こういった健康食品にかかわらず、食品による相談を受けた場合は、お医者様にす ぐにかかってくださいということを申し上げます。それから、何か御自身で病気をお持 ちですか、病気があるのであれば、すぐに御相談くださいという助言をいたします。私 どもの相談の現場では、それが何によるものかという判断はできません。ただ、幾つか のデータとして蓄積されていくと、あるときに同じ商品群でそういったことが起こると いったことは、後々何かに役立つのではないかと考えております。 ○寺本委員 その情報収集するときに、例えば、我々もよくやるんですけれども、グレー ドとしてどのくらい確度があるというか、そういったことは何かお考えありますか。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) 私ども相談の現場では、申し出情報と言ってい るんですけれども、相談者が申し出る情報に基づいて話を聞くんですが、ここ数日特に 変わったことを何かしていないかどうか、どうして自分がそれに心当たりを思ったのか ということ、その辺りは相談員として何とか聞き出すという工夫をしております。 ○大野座長 今のことに関連してなんですけれども、消費者から貴重な御相談を受けて おられるわけですが、その情報というのは例えば厚労省に出したりとかそういうことは 日常的にやっているんでしょうか。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) 直接やっておりますのは、まず、本人に対して 保健所に申し出てくださいということを言っております。それから、各地の消費生活セ ンターが管轄の保健所と定期的に交流を持つという機会を設けておりますので、そちら に情報提供するということもあります。それから、直接厚生労働省の所轄の係の方に、 特に目立つようなものの場合は連絡させていただくということをやっております。  それから、各センターでは特に国民生活センターなどでやっていることですけれども、 目立った健康被害の疑いのあるものについては、商品テストとして取り上げてテストを しているというのが現実です。 ○宗林委員 追加ではないんですけれども、国民生活センターあるいは消費生活センター は、治療に対して1か月以上かかったようものについては、情報を内閣府を通して各省 に流す仕組みができておりますので、1か月以上の重篤事例に関しては健康食品だけで はないんですが、各製品関連事故すべてにおいて一応は流れる仕組みをつくったところ でございます。 ○大野座長 ほかにございますか。 ○林委員 いろいろ参考となるような御意見ありがとうございました。今のいろいろな 御意見を参考にしますと、厳密な品質規格の製品が提供されているということが保証さ れていればOKなわけです。もう一つは、消費者の方々がそれぞれの目的に応じて適切 な製品を選択できて、摂取上の指導をきちんと受けられれば、この問題はかなり解決す るということにもなるわけですよね。そうしますと、一番最後の選択と摂取の指導につ いて、消費者の方々の場合、どういう方々による指導が一番いいのか。勿論一番いいの は、いつも担当のお医者さんがいることでしょうけれども、必ずしもすべてがそうはい かないとすると、どういうことが必要なのか、もしお考えがありましたら教えてくださ い。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) どういっとたところから消費者が、いわゆる健 康食品を購入しているかと考えますと、薬局・薬店のほかにインターネットで買ってい るケースもあるんですね。ですから、薬局・薬店で薬剤師さんであるとか、専門の栄養 のアドバイザーの方と向き合ってアドバイスを得られれば非常にいいかと思いますけれ ども、最近のいろいろな販売方法から考えますとインターネット等もありますので、そ ういったときにも何らかのアドバイスであるとか、注意表示警告等が得られるようになっ たら、よりいいのではないかと思います。 ○林委員 どうもありがとうございました。 ○大野座長 ほかに御意見・御質問ございませんか。 ○鬼武委員 非常に消費者の方からいろいろ御意見を集められて御苦労というのがよく わかりました。1つだけ参考に教えてください。相談を受けてわからない方が多いわけ ですね、健康食品なり特保なりということで。相談協会の方はいわゆる健康食品につい ては、前提としてそういうものはあると認められてそういう説明を消費者の方にされて いるのか、もしくはそういうものではなくて、一般的には食品で十分ですというような ことで説明をされている場合が多いですか。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) 人間が口に入れるものを考えたときに、医薬品 であるのか、それ以外であるのか、消費者はとにかく何でも口に入れたものについて聞 いてきますので、まず、何なのかを私どもは特定しないと、それがどういった法律の下 に動いている商品なのかということがわからないです。消費者はそこまでわかっていて 電話をしたり、相談をしてくるわけではないので、まず何をあなたは口に入れたのかと いうことを特定することが第一歩と考えておりますので、そこはスタートラインとして、 私どもがそれをどう考えるかではなくて、消費者が実際に何を口に入れられたのですか ということをよく聞きます。そうしますと、意外に実は自分は医薬品だと思っていたも のがそうではない、いわゆる健康食品だったということもありますので、そういう意味 でも表示というのは非常に大事なことだと思っております。 ○永留委員 消費者への情報の伝達の部分でお聞きしたいんですけれども、健康食品の 安全性確保に関する意見内容の4行目から、消費者に健康食品による身体への作用、そ れから幾つか例示されて、過剰摂取による弊害などの情報を書かれておりますけれども、 こういった情報を伝達する主体というのは個々の企業なのか、それとも責任ある第三者 的な民間機関といったものなのか、それとももっと公的な政府なのか、そういった辺り で何かイメージはございますでしょうか。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) 最近では食品安全委員会、国立健康・栄養研究 所さん、厚生労働省さんそれぞれがファクトシートといったものを非常に積極的にお出 しになっていると思います。ですから、調べようと思えば、そういった情報は以前に比 べればかなりとれると思っております。ただ、すべての消費者がそれを自力でとれると は限らないと思うんですね。ですから、たまたま私どものところに御相談があり、何か いい情報がないですかと言われれば、それらを御紹介して、そちらを見ていただければ 今の時点でのことは書いてありますということはお伝えすることができますので、やは りそれは事業者でもあり、医療関係者でもあり、行政でもあり、消費者でもあり、その 四者すべがそれぞれの責務を果たしていくべきではなかろうかと思います。 ○金谷委員 先ほどインターネットでの情報提供について問題があるのではないかとい うお話でしたが、現状で具体的にどういうところが問題なのかというようなデータ的な ものをお持ちであれば教えていただければと思います。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) インターネットと言いますか、通信販売に係る 苦情相談みたいな相談のデータベースの中で健康食品に係るものだけをピックアップす れば出てくるものがあるかと思いますが、今は申し訳ないですがここでのデータは持っ ておりません。  あと、個人輸入で国内だけではなく海外のものをお買いになる方がいらっしゃいます ので、それについてはやはり個人の責任とはいえ、いろいろなものが入手できるのが現 状だと思います。 ○大野座長 いかがですか。ほかにございませんか。 ○大濱委員 実際に消費者の方から相談を受けたときに、原因として特定できないケー スはどのくらいの頻度で起こりますか。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) やはり食品の場合は大変多いとも言い切れませ んし、私ども最後の最後まで健康被害でこれですねということもありますけれども、あ と販売上の問題もありますので、一口では申し上げられないですね。 ○大濱委員 恐らく消費者の方がその健康食品について販売方法を含めて、どのくらい 実態を理解しているかも重要だと思いますが。 ○全国消費生活相談員協会(小坂氏) はい。ただ、PIO−NETに集まっております危 害事案の中で第1位が健康食品というのは、これは危害ですので契約ではありませんの で、胃腸障害でありますとか、皮膚障害といったものの件数が第1位ということです。 ○大野座長 時間になりましたので、どうもありがとうございました。 (社団法人全国消費生活相談員協会食の研究会 退席) (特定非営利活動法人医療介護医薬総合研究所 着席) ○大野座長 それでは、引き続いて特定非営利活動法人医療介護医薬総合研究所からの ヒアリングを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) 御紹介いただきましたNPOの奥山と水野でご ざいます。どうぞよろしくお願いいたします。  私どものNPOは、実はまだ発足して非常に新しいところでございまして、従来、主 に医薬品の臨床開発等を手掛けてきた関係で、医薬品に既にでき上がっているフローが 医療機器、デバイスではまだとか、ましてや食品ではまだまだといったようなところに 私ども着目いたしまして、今後そういう方向に我々のやってきた経験が生かせるかなと いうことで始めたような次第です。したがいまして、今日は今までの御発表のように、 これをしましょうというので具体的な御提案がまだできないんですけれども、我々の今 までの経験からして方向性というか考え方を述べさせていただきたいと思います。  資料は昨日訂正を大分入れているんですけれども、今回には間に合いませんので、イ ンターネットの方に掲載されるときには訂正した分が載るかと思いますので、よろしく お願いいたします。  まず、私どもの考え方の基本は、食品の安全性というものがあまりに安全であるとい うことを前提にし過ぎていないかなということでございます。一つは、今まで食習慣が あるということが前提で、長い間大勢の人が食してきたものは安全であるという前提に 立っているわけです。ところが、第1回の検討会の資料2にも御提示いただいておりま すが、最近ですと濃縮したもの、あるいは製剤化したものが出てきますと、今までの食 習慣があるからということで同じように片付けられるのかどうかという点は、改めて見 直さなければいけないかなということでございます。  まず、健康食品はカテゴリーとして少なくとも国民的なレベルで十分理解できるよう にはっきりしていないというのが私の印象でございます。保健機能食品の中に特保があ り、栄養機能食品がありと、その辺から「その他いわゆる」というようなことになりま すと、一般にそれを読んだ場合にどういうふうに理解していいかわからない面もござい ます。ただ、八百屋さん、魚屋さんで売っている食品と違うことは確かでございまして、 それには何らかの機能とそれに伴う安全性の担保がされるべきであるということで、ま ず私どもの考え方ではエビデンスをどう作っていくのかということは、やはり難しい仕 事であっても最重点に置かれなければならない。現在の特保の臨床ヒト試験も私ども経 験しておりますが、十分に倫理的あるいは科学的な側面から見て評価していいエビデン スとなり得る試験なのかどうか、これは正直申し上げましてまだ疑問がございます。そ ういう点で、まず、人にとって要るものなのか、要らないものなのかという点の見極め をつけるエビデンスづくりをはっきりさせるということが、まず第一かと思います。  次に、食品を含めての健康食品が安全なものなのかどうかという点は、試験用も含め 実際につくる場合は食品GMPの考え方等で、汚染あるいは感染源となり得ないかどう か、その辺の検証をしていく必要があると。でも、これは御専門のメーカーさんにお任 せする、コンプライアンスを高めていただくということになるかと思います。  次の問題で、消費者の手に渡ってからがほとんど介入できないというか、医薬品の場 合は医師が処方して、医師が治療行為の中で薬剤のたどる運命を見ていくというプロセ スがあるわけですけれども、食品は消費者の手に渡った時点からほとんど介入ができな いというのが現実の一番の特徴かと思います。そういう点で、例えば今日お話が幾つか 出ていましたオーバードーズの問題がございますけれども、これも過量に摂取した場合 もありますが、幾つかの異ルートから入ってくる機能性食品、要するに、複合的に体内 で高濃度になるといった可能性も決してなきにしもあらず。更に、未病だった使用者が 病気になってしまった、治療を受けますと。今度は医薬品を投与されるわけです。その ときは何らの指導もない場合には、医薬品と食品が同時に摂取されるというような問題 が起こってきます。  これを解決するのは何かと言いますと、やはり消費者に対する教育・啓蒙、これがや はり不可欠であろうと。私どもが今NPOとして考えておりますのは、全国津々浦々で こういった教育・啓蒙の場をつくりたいなと思っております。先ほどどういうところが 主体を持ってこういう教育・啓蒙をするのかという先生方の御意見もございましたけれ ども、まさに官も民も消費者団体も入っていただいて、それをオーガナイズしていくに は私どものような非営利の団体が向いているのではないかということで、将来のアクティ ビティの中に入れていきたいと思います。  昨今、私は今、大阪の方も見ているんですけれども、自治体として健康食品を産業の 柱にしていこうという動きもございます。そこまで行政が入るのであれば、当然消費者 の安全性も含めて予算もつけるべきであろうし、そういった活動を積極的に旗を振って いくべきではないかと、そういう時期に来ているのではないかと思っております。  実は当検討会からいただきました資料を見ますと、たくさんの通達なり指針が既に出 ておるんですけれども、残念ながら身近にそういったものを感じて、それがブレークダ ウンされて我々の食生活、健康食品を摂取するという中にどういうふうに身近まで迫っ てきているのか、あるいは身近なものになっているのかという実感が正直言って余りご ざいませんでした。こういう点で、行政から出されている通達なり、そういった指針が、 もっと身近なものになるような取り組みを是非やっていかなければいけないと。そうい う点で、私どものNPOも御協力できる場があるのではないかと思っております。  最後に、非常に無責任な言い方ですけれども、食品はやはり最終的には摂取する消費 者の責に帰するところがあるかと思います。しかし、その消費者をいかに賢く育てて、 そして、我が身は自分で守れるようにするという活動が健康食品を普及させていく意味 でも非常に大きいのではないかと思っております。あくまでも私どもの組織として機能 できるものはどういう点かなという点から、今日は簡単にお話をさせていただきました。  時間が短いので、これで終わらせていただきます。 ○大野座長 ありがとうございました。 ○田中委員 安全性とはちょっと関係ないんですけれども、有効性に対してヒト試験、 現時点では特保はRCT、すなわち無作為化比較試験を要求しているんですが、それに 対して疑問を持っておられるような発言だったように思うんですが、ヒト試験はどうあ るべきだとお考えですか。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) 今年3月に出されましたヒト試験に対するコメ ントがございます。それは、まさに今おっしゃいましたような、いわゆるランダマイズ ドのコントロールスタディを行うように求めておられます。私共はそうあるべきと考え ており、現状は未だ不十分であると思っております。 ○田中委員 何が3月に出されたんですか。 ○医療介護医薬総合研究所(水野氏) 平成19年3月の疫学研究指針ですか。その中 に、いろいろ試験の案ですけれども、各食品と医薬品で治療をしている軽度の患者さん の組み合わせについて指針が中にかなり詰め込まれたおりましたので、それを基本に考 えております。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) 今、先生がおっしゃられましたような比較試験 が必要であるということが盛り込まれたものが3月に出て、今日は本文を持ってきてい ないんですが。 ○田中委員 それに対して、疑問に感じられているというのはどういう点ですか。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) それに対してではありません。むしろそれを積 極的にやっていくべきであると。むしろ今までやられてきた健康食品のヒト試験におい て、被験者のいわゆる未病の方の選択であるとか、その辺の適格性の問題だとか、ヒト 試験ですから、医薬品に適用されているGCPに準じた形というのが望ましいと私ども は思っております。それについて言えば、まだまだ食品のヒト試験については倫理的な 側面からも、あるいはサイエンティフィックな面からも不十分な面がまだあるのではな いかということで、先ほどの3月の通達はまさにそのことに触れられて、ランダマイズ ド・コントロール・スタディが必要であると御指示がございましたので、これは全く問 題がないというか、むしろそうすべきであると思っております。 ○大野座長 ほかに御意見ございますか。 ○林委員 今、健康食品を我々の食生活あるいは食環境の中に積極的に取り込もうとす るならば、やはり消費者に対する教育とかあるいは啓蒙が前提となると、そのとおりだ と思いますけれども、具体的に啓蒙とか教育というのはどういうことが必要かというこ とを、やり方についてお考えがありましたら、教えていただけますか。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) 集まりの企画等は、これからいろいろ考えない といけないと思います。大事なことは健康食品というのは使いよう、あるいはとりよう によっては安全、安全とばかり言っていられない面があるという点は、内容的に教育・ 啓蒙をしていく必要があると思います。ただ、そのことが健康食品の普及のブレーキに なるというようなことは避けなければいけないと思っておりますので、いたずらに怖さ をあおるというつもりはございませんけれども、いろいろなものが出ている、それから、 いろいろな薬を飲む機会もあるという点を含めて慎重に考えるということが大事だとい うことと、先ほどお話に出ていたと思いますが、いわゆる薬で言うと市販後調査的に出 た情報をどういうルートに乗せて国民の皆さん、消費者の皆さんにフィードバックして いくのかというお話がございましたけれども、教育というのはまさにそこに結びついて くるので、消費者の方が注意深くなれば情報はたくさん出てくると思います。放ってお くと出てこなかった情報が出てくる、そういった気付かせる教育・啓蒙というものをき め細かくやっていきたいと思っております。 ○林委員 それの本当に役立つ教育・啓蒙とはどうあるべきかということについて、も しお考えがありましたら教えてくださいということなんですが。 ○医療介護医薬総合研究所(水野氏) 1つは抽象的ですけれども、例えば、一般の人 が憲法の本を見てもなかなか理解し得ないように、わかりやすい言葉に変えるというこ と。それから、高齢者、特に今問題になっているのはメタボリックシンドロームに関す る、そういった関係の代表になるおじいちゃん、おばあちゃん方を例えば、各地区の保 健所の中に1つの勉強会の講座をつくりまして、そこに集まっていただくと。わかりや すい文言の文章をつくるということ。健康食品は健康になるための一つの指針でもある けれども、とり過ぎやとり方によっては害のある可能性もあるということを高齢者の方 にまず知っていただくということ。  それから、ここには出ておりませんけれども、いわゆる健康食品は成人でなくても小 さいお子さん(乳幼児含む)も摂取する機会は多々あると思います。これは特保なども 一緒だと考えております。そういったものの科学的根拠、安全性をどういうふうに担保 しておくかという、これは教育の部類ではありませんが、科学的根拠をどうとるかとい うことも考えていきたいという、一つ課題として挙げさせていただきたいと思っており ます。 ○林委員 医師会、薬剤師会、栄養士会との連携をもっと密にしなければいけないとい うことですね。 ○医療介護医薬総合研究所(水野氏) 非常に重要な事だと思います。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) 最後に1つだけ申し上げておきますと、今日私 どもが申し上げましたことを実行していくについては、非常にハイコストになってくる ということですね。これが医薬品と決定的に違うところでございまして、リターンが医 薬品ほど確実に保証されていないという面もありますし、商品のライフサイクルが先発 権も特にないというものもございますし、その辺が実はコストとベネフィットの関係を どうするのかというのは、私も軽々しく申し上げられない問題があるということは認識 しております。 ○宗林委員 お話を伺っていますと、最終的には消費者のとり方の問題、本人の自己責 任だというようなお話、あるいは教育とか啓発という話が多く聞こえたかと思いますけ れども、製品そのものの問題点、安全性とかそういったものは問題がないと今お話しを されたのか、そういうわけではないと思いますが、何かありましたら。 ○医療介護医薬総合研究所(奥山氏) ものに関しては、今日私どものプレゼンテーショ ンの中では、私どもの持っているアクティビティとの関係でお話をさせていただきまし たので、どうしても消費者の方に渡ってからのお話が中心になりましたが、ものが少な くとも安全につくられてくるということは大前提でございまして、今日ほかの資料にも あると思いますけれどもFGMPを早急に統一したものを確立していく必要があるのでは ないかということは思っております。ものの安定・安全は、まず何よりも最優先である ことは当然であると認識しております。 ○大野座長 ほかに御意見ございますか。 ○鬼武委員 いろいろな形で啓発活動が大切だというのは我々もよくわかっているので すけれども、ここで幾つか提言が出されていますが、健康食品を定義化してくださいと いうことが74ページに書かれていますけれども、これが一番難しいですが、何か具体 的に考えられていることはございますか。  あと、4番目の原材料のリスト化というのがあるのですが、これを行政がしろという ことですか、こういう原料のリスト化というのは結構膨大な作業で、それが実際に流通 しているものかどうかを集めるというのは、既存添加物のときもかなり苦労して作った ということを聞いておりますが、この辺について少し意見を教えてください。 ○医療介護医薬総合研究所(水野氏) 恐れ入りますが、そのページは次の御発表です。 73ページまでですので。 ○鬼武委員 失礼しました。 ○大野座長 ほかにございますか。 ○永留委員 今、鬼武先生から定義の質問がございましたが、私も関連したことをお聞 きしたいと思います。定義というよりは72ページの「健康食品に対する対応」の2つ 目の段落の最後の2行ですけれども、「『保健機能食品』とは別の科学的検証を各製造業 者は独自に持ち、販売・管理をすべきものと考えます」、この部分といいますのは保健機 能食品があって、それ以外は食品ということで、どこまでが一般食品で、どこまで健康 食品かという非常にグレーな部分がございます。この辺りのグレーな部分をはっきりし て、例えば第3のカテゴリーのようなものが必要だというお考えでしょうか。 ○医療介護医薬総合研究所(水野氏) 全くそのとおりだと私どもは考えております。 この部類とはちょっと違いますが、特保の中でも最近は疾病リスク低減表示を有用され ておりますが、疾病リスク低減表示特保は、現段階の特保でも別なカテゴリー化が近く あるのではないかと期待しておりますし、疾病リスク低減という意味合いの分類化が早 期にされることも期待しております。今先生のおっしゃった意味合いのとおりでござい ます。 ○大野座長 それでは、時間になりましたので交代させてください。どうもありがとう ございました。 (特定非営利活動法人医療介護医薬総合研究所 退席) (薬業健康食品研究会 着席) ○大野座長 引き続き、薬業健康食品研究会からのヒアリングを行いたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○薬業健康食品研究会(柿沢氏) 薬業健康食品研究会から来ました柿沢と内海です。 よろしくお願いいたします。  私たち薬業健康食品研究会は、主に薬業を主とした製造業者の健康食品や特定保健用 食品に関する研究会です。会員企業は40社です。今回、健康食品の安全性を確保する ためにということで、4つの意見を述べさせていただきます。  まず最初に、健康食品の安全性を確保するためには、原材料の安全性とGMPはセッ トで考えていただきたいということです。平成17年2月1日厚生労働省は「錠剤、カ プセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」と「錠剤、カプセル状等食 品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」を同時に通知しました。なぜ同時 に通知されたのでしょうか。我々は原材料の安全性とGMPは健康食品の安全性確保の 両輪であり、どちらが欠けても安全性が担保できないということではないかと考えてお ります。健康食品に適した方法で適切な安全性評価方法の確立とGMP制度下での製造 という両輪が国の制度下で達成されることが、消費者にとって安全な健康食品の選択に つながると考えています。  2番目は、健康食品の安全性を確保するためには、健康食品の定義の法制化を望みま す。原材料の安全性評価とGMP制度下での製造を徹底させるためには、その対象物で ある健康食品の明確な定義の法制化が必要と考えています。企業が恣意的にこれは健康 食品に当たらないと判断し、原材料の安全性評価やGMP制度下の製造を行わない可能 性があります。健康食品業界は常に一部の不良健康食品の出現により問題視されてきま した。検討会で討議する対象物を明確に定義し、穴抜けのないようにしていただきたい と考えています。  3つ目は、健康食品の安全性を確保するためには、GMPの統一化と義務化を望みます。 現在運用されている健康食品GMPには、日本健康・栄養食品協会GMPと日本健康食品 規格協会GMPの2つがあります。先般私たちは、これら2つの健康食品GMPと医薬品 GMP省令の差異比較表をつくり、それぞれの協会と意見交換を行ってきました。そのと き多く関係者から異口同音に聞かれたのは、GMPの統一化の必要性です。健康食品GMP を統一化し、制度の普及に努めた方が製造時の危害発生防止につながり、更なる健康食 品業界の発展に寄与できると考えています。そして、健康食品の定義が法制化されれば、 その範疇に入る商品はGMP制度下での製造を義務化することができると考えます。GMP の義務化は製造業者の負担が重過ぎるという考えもありますが、消費者が健康を求めて 購入する商品を十分な管理下で製造しない方がむしろ不自然であります。既に健康食品 GMP制度は運用されていること、並びに製造業者数が販売業者数に比べ少数であること をかんがみれば、GMPの義務化は比較的にスムーズに行われるのではないかと考えます。  最後に、健康食品の安全性を確保するためには、原材料のリスト化を望みます。現在 使用されている原材料のすべての安全性評価を一からやり直せというのは非常に大きな 混乱を生じてしまいます。489品目の既存添加物がリスト化されたときのように、既存 健康食品原料集のようなリスト化を望みます。原料の規格や製造方法をも含むリストは、 最小限の食経験の明確化になり、これがグランドファーザー成分に相当すると考えます。 このリスト以外の新たな原料は、原材料の安全性に関する自主点検ガイドラインについ ての評価を必要とすることになり、ガイドラインの評価対象物が明確になると考えます。 既存健康食品原料集は、健康被害情報等のモニタリング制度を用い、見直し・削除も必 要と考えます。また、原料の使用量上限値を設定することが望ましいですが、この件に 関しては最終商品を発売する企業責任と考えたいと思います。  以上です。 ○大野座長 どうもありがとうございました。  それでは、鬼武先生。 ○鬼武委員 ちょっと目が疲れたものですから、先ほどと間違えて申し訳ないです。一 眼で追ったものですから、次のページを早く追っていました、済みませんでした。  先ほども聞きましたけれども、74ページの御意見の中身として、健康食品の定義化と いうのは具体的に何かございましたら出していただきたいということと、4点目の原料 のリスト化ですが、これはかなり大変な作業になると思うのですが、これは行政側に求 めるものなのでしょうか。それより、むしろ業界なりそういう人が集まって、その中で リスト化するとか、そこからスタートした方が現実的ではないかなと思うのですが、そ の辺のリスト化について行政に対する要請ですか。その2点を教えてください。 ○薬業健康食品研究会(柿沢氏) まず、定義についてですけれども、やはり今まで定 義されていなかったのは定義しづらいのが現状だと思います。ただ、ここに来ていろい ろなGMPを掛けたり、安全性評価を求めるならば、定義をしっかりして、その定義に ついては個人的な考えですけれども、錠剤、カプセル状等一気に過剰服用できるような 剤形、それでは、飲料などはどうするのという話になると思うんですが、そこも難しい ところなので、それプラス植物等の濃縮物の原材料、その2つがかみ合ったものかなと 私は思っています。  もう一つは、リスト化を誰がするのかというところですけれども、その昔、既存添加 物をリスト化したときは添加物を使っている企業、やはり業界がやったみたいです。 ○鬼武委員 今回の場合は。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) やはり業界主導でやりたいと思います。 ○大野座長 業界主導といっても、後で国として認めたものにするのか、業界だけの判 断でやるのか。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) 業界案をつくって、一応国に提示をするというのが 望ましいのではないかと思っているんですけれども。 ○大野座長 定義が難しいとなると、そのリストについても国としてお墨をつけるのは 難しいかなという感じがするんですが、また御協力いただけるとありがたいなと思いま す。 ○田中委員 今の健康食品の定義のことに触れたいと思いますけれども、ある意味では 確認かもしれませんが、御存じのように、アメリカ及びEUは錠剤、カプセル及び今おっ しゃったような濃縮物、抽出物に大体法律的には限っておるわけですね。ところが、日 本は歴史的に特に特定保健用食品につきましては、恐らく95%以上が通常の食品の形態 をしたものが許可されておるわけですね。ですから、その辺りで非常に健康食品の定義 をするのに日本のそういう事情から困難性があるわけですが、そうしますと、今の御提 案によると特定保健用食品の95%は対象外になる可能性があるんですね。ですから、そ の辺りをどのようにお考えであるか。 ○薬業健康食品研究会(柿沢氏) その大前提としては、健康食品という言葉で定義さ れるのかどうかわからないですけれども、その定義の中には特定保健用食品あるいは栄 養機能食品等は除くという形になるのかなと思うんですけれども。 ○田中委員 除外するわけですね。これは大問題ですけれども。 ○大野座長 ほかにいかがでしょうか。 ○大濱委員 一番最後に「原料の使用量上限値を設定することが望ましいが、この件に 関しては最終製品を発売する企業責任と考えたい」と書いていらっしゃいますが、安全 性を前提とした上限安全値の設定は、方法論的にいろいろな難しい問題を含んでいると 思います。EUにしてもアメリカにしても、リスクアナリシスを基にした評価を行って、 その評価結果に基づいて上限値を設定することによって安全性をできる限り保証してい こうという考え方が取り入れられてきています。そういう意味で考えると、企業の責任 で個々に上限値を設定するというのは非常に問題が出てくるのではないかという気がし ます。やはりこの問題はきちんした上限設定を科学的な根拠に基づいて行わないといけ ない。しかも、客観的でなければならないと思いますが、どうでしょうか。 ○薬業健康食品研究会(柿沢氏) ここに書いてあるものは、既存健康食品原料集に収 載された原料で、新たに例のガイドラインに沿って、いわゆる毒性試験をやったものと は別な位置付けで考えているものなんです。ここでは既存健康食品原料集に収載された 原料の、いわゆる使用上限値を決められたら決めたいんだけれども、なかなか決められ ないとしたら、こういう使い方があるのかなということで意見をまとめてきたものです。 ○大濱委員 この使用上限値を設定するという問題は非常に重要で、例えば、ビタミン とかミネラルについても海外では今、最初から見直しをやっているわけです。そういう 点を考えると、やはりこれはもっと普遍的な問題として取り上げていかなければならな いと思います。 ○薬業健康食品研究会(柿沢氏) わかりました。 ○大野座長 ほかにございますか。 ○松永委員 3番目で、製造企業数が販売企業数に比べて非常に少数であると書いてあ るんですが、この製造企業数というのは何を意味しているんでしょうか。先ほどの定義 に当たるような錠剤とかカプセル、濃縮というものを製造している企業という意味でしょ うか。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) 健康食品の場合かなり特殊性がありまして、加工メー カーが健康食品を製造するケースが多いんですよ。ですから、販売会社が加工メーカー に委託してつくらせるというケースが多いものですから、販売会社に比べてはるかに加 工メーカーは少ないという意味で書いてありますけれども。 ○松永委員 とすると、そういうルートに乗らないようなものは対象外にするというこ とですか。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) そういうわけではなくて、要するに製造メーカーの 数は圧倒的に少ないので管理がしやすいという意味で言っているんですけれども。 ○松永委員 いわゆる健康食品ですから、いろいろな食品企業がこれは健康にいいです よという形でつくっているものというのは、私が考える限りはたくさんあるのだと思う んですけれども、そういうものはここ製造企業には入っていないということですか。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) 入っていますよ。入っていても、意外と委託してい るケースが多いんですよ。販売会社が宣伝をやっていても、カプセルはどこそこのカプ セルメーカーにとかですね。 ○松永委員 大体どのくらいの数と見ておられるんですか。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) それはCRNさんの方が詳しいと思います。販売会 社に比べて製造メーカーの数ははるかに少ないと思います。 ○松永委員 少ないというのは比較においてはわかるんですけれども、それがどのくら いの数であるかという、少ないというだけでは判断のしようがないんですよね。 ○薬業健康食品研究会(内海氏) では、調べた上でまた御連絡申し上げます。 ○松永委員 こういう製造企業ということを定義した上で調べていただければと思いま す。 ○松本委員 健康食品の定義の問題とも絡みますが、(4)の既存健康食品原料集という概 念ですが、健康食品は「健康」という言葉と「食品」という言葉をつないだ言葉ですよ ね。そうすると、誰が健康にいいということを証明してくれるんですかという話がもう 一方であるわけです。私は現状ではメーカーが健康にいいと言っている食品のことを健 康食品と言うしか定義のしようがないと思うんですが、ここだと健康食品のくせに健康 食品だと言わないけしからん食品があると言わんばかりの表現になっているわけです。 そうなりますと健康にいいかどうかは置いておいて、錠剤型とかカプセル型食品につい ての何らかの安全基準、製造基準をつくれという趣旨のように読めるわけで、それはそ れで悪くはないと思うんですが、逆にそういうものを健康食品だと法律で定義してしま うと、健康に良くないものであっても錠剤型のものは全部健康にいいとして売ってもい いというとんでもない世界になっていきそうなので、そうなりますと、錠剤・カプセル 型というだけの定義では非常によくない。むしろ健康にいいんだということの証明をど ういうふうにしてやるのかということとセットにしていただかないと定義として機能し ないし、また、既存健康食品原料集なるものもあいまいな、健康食品と称して昔から売 られていたものというような、非常に漠としたものになってしまうのではないかという 危惧があるんですが、いかがでしょうか。 ○薬業健康食品研究会(柿沢氏) そういういろいろな問題があるからこそ、こういう 検討会で討議されていると思うんですね。私も定義されてこなかったのは、やはり定義 しづらかった、いろいろな意見があったからこそ今まで残されてきたものだと理解して いますので、やはり皆さんの英知を集結して、是非この機会に定義をつけていただきた いなと思います。 ○林委員 今の日本での健康食品のコンセプトあるいは概念というのは、健康影響とい う立場あるいは健康への機能という立場から、健康食品という概念ができ上がっている んですね。ですから、そういう立場で定義付けようとすると、健康とは何かとか健康の 保持・増進とはどう判断するのかという問題が絡んでくるので難しいわけですよ。  もう一つ欧米では、そのものの物性とか摂取条件を基本にして、それが通常の食品と どう違っているかという面を取り上げて定義しているんですね。だから、それだけだと すると松本委員もおっしゃたように、ちょっとおかしいことになりますので、後者の方 は物質科学という側面ですよ。前に申し上げたのは生体科学の側面です。ですから、生 体科学の側面と物質科学の側面と両方を入れた一つの定義の法制化というものをつくら れると、あるいは消費者の方々が納得できるんじゃないかと。非常に難しいですけれど も、やはり健康影響だけを問題にして定義すると、本当に難しくてできないと思うんで すね。両面を考えなければいけないということで、そういう面を少しお考えいただけれ ばなということで、ここでお願いいたします。 ○大野座長 ほかにございますか。  それでは、時間になりましたので、どうもありがとうございました。 (薬業健康食品研究会 退席) ○大野座長 以上で、健康食品の安全性確保に関するヒアリングについては終了したい と思います。協力していただいたアガリクス・ブラゼイ協議会の皆様、特定非営利活動 法人国際生命科学研究機構の皆様、CRN JAPANの皆様、社団法人全国消費生活相談 員協会食の研究会の皆様、特定非営利活動法人医療介護医薬総合研究所の皆様及び薬業 健康食品研究会の皆様、今日は検討会に出席いただいて貴重な意見をいただき、どうも ありがとうございました。  また、ヒアリングとは別に募集いたしました健康食品に関する制度の在り方に関する 意見については、現在、事務局において整理中であるということでございます。整理が 終わり次第、その内容を御紹介してくださるということでございます。  では、今日のヒアリングは終了ということで、次回に継続して行いたいと思います。  引き続き、議事次第2ですけれども、前回の検討会でお願いをいたしました特定保健 用食品・特別用途食品と民間団体による自主規格に基づくマークを対比したものについ て、事務局より説明がありますので、よろしくお願いいたします。 ○玉川室長 それでは、資料2「特定保健用食品制度・特別用途食品制度とJHFAマー ク制度の許可(認定)について」を御説明申し上げます。  3つほどの制度がございますけれども、このうち特定保健用食品制度と特別用途食品 制度は、健康増進法第26条1項という法令に基づく制度でありまして、それぞれ厚生 労働大臣が許可を行っているものでございます。これに対してJHFAの方は財団法人日 本健康栄養食品協会さんの方で認定を行っているというものでございます。  実際にどういうところを見ているかということでございますけれども、特保ないし特 別用途につきましては、有効性といったものについても見ているのに対しまして、JHFA の方では安全性を自主規格に基づいて見ているといった在り方になっているところでご ざいます。  また、どういった食品を対象としているかということでございますけれども、特定の 保健用途につきましては、そうした食品の特定の保健用途に資するようなものすべてを 対象としておりまして、特別用途については、それぞれの用途というものが通常の食品 の栄養組成を加減等したことによって、ここに列挙されておりますような用途に適する という食品が現れているところでございます。  一方、JHFAの方でございますけれども、規格を定めた食品群というのが幾つかござ いまして、現在では59種類あるそうですが、それぞれのものに規格があって、それに 適合するものに対してこうしたマークがつけられるといった取扱いとなっております。  その際の基準でありますとか、あるいは申請に当たって上がってきます資料等という ことでございますが、特定保健用食品制度におきましては有効性・安全性等に関する資 料ないしは製造方法等に関する資料といったものが上がってきます。特別用途食品でも こうした製造方法等に関する添付資料が上がってくるわけでございますけれども、基本 的には規格基準というものが定められておりまして、それに適合するかどうかというこ とを見るといった形になっております。  JHFAの方におきましては、製品規格といたしまして外観・性状でございますとか、 規格成分含有量、重金属・大腸菌数等々が定められておりまして、このほかに表示とか あるいは製造・加工等の基準ということも定められているとお聞きしております。  プロセスといたしましては、特定保健用食品制度の場合、各企業から申請書等が提出 されまして、資料が整っているかどうかといったことを整理いたしました後、薬事・食 品衛生審議会及び食品安全委員会において評価をされて、許可書等が交付されるという プロセスでございます。  特別用途におきましては、厚生労働省の事務局におきまして基本的には規格基準への 適合がなされているかということを審査いたします。  JHFAにつきましては、財団法人日本健康・栄養食品協会の会員企業から申請があり まして、当該法人におきまして書類審査や指導が行われ、適否審査委員会で審査がなさ れた上で、許可書等が交付されるとお聞きしております。  また、許可(認定)後の管理ということでございますけれども、プロセスといたしま しては特定保健用食品制度、特定保健用食品制度におきましては、科学的知見の変化等 によって許可が取消になったり、あるいは実際の市場において収去等の検査が行われる ということの対象となっているものでございます。  JHFAの方につきましては、4年の更新制ということを定めておりまして、このほか 定期報告等を聴取しているとお聞きしております。  非常に駆け足でございましたけれども、以上が各制度、どのようなものを見ているか ないしはどのようなプロセスを通じてマークがつけられているかといったものを整理し たものでございます。  以上です。 ○大野座長 ありがとうございました。ただいまの説明について御質問ございますか。 よろしいですか。  それでは、予定の時間をちょっと過ぎましたけれども、これで終了したいと思います。  次回の日程ですけれども、なるべく早い時点で開催したいと考えているようでござい ます。そういうことで、なるべく皆さんの都合のいいときに設定したいと思いますので、 御協力よろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。 照会先 医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 調所(2458)、中村(4270)