07/08/03 「心身障害者扶養保険検討委員会」(第3回)の議事録について 第3回 心身障害者扶養保険検討委員会 日時:平成19年8月3日(金) 10:00〜11:30 場所:厚生労働省共用第8会議室 ○山崎座長 それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから第3回「心身障害者扶養 保険検討委員会」を開催させていただきます。 本日は御多忙のところ、検討委員会に御参集いただきまして、誠にありがとう ございます。まず、議事に先立ちまして、事務局から委員の出席状況並びに資料 の説明等、よろしくお願いいたします。 ○鈴木企画課長補佐  事務局から連絡させていただきます。 本日は全員が出席となっております。 また、委員2名が交代となっておりますので、御報告させていただきます。松 友委員に代わりまして、同じく手をつなぐ育成会の理事長であります副島氏が委 員となっております。また、栃木県保健福祉部長の田中委員でございますが、新 たに知事会から埼玉県を推薦していただきましたことから、埼玉県福祉部長の石 田義明氏が委員となっております。 なお、本日、西岡委員、埼玉県及び横浜市におきましては、所用のため代理出 席となっております。 次に、資料の確認をさせていただきます。 お手元の資料をごらんになっていただければと思います。資料につきましては 「第3回心身障害者扶養保険検討委員会資料」の1点でございます。 その他、参考といたしまして「『心身障害者扶養保険検討委員会』委員名簿」 を置かせていただいております。 以上、2点となっております。よろしくお願いします。 ○山崎座長  それでは、議事に入らせていただきます。 「心身障害者扶養保険制度の見直しについて」につきまして、事務局から説明 をお願いします。 ○鎌田企画官  おはようございます。企画官の鎌田でございます。 お手元の資料に従い、御説明いたします。 まず、表紙をめくっていただいて「目次」をごらんいただきたいのですが、今 日は、先ほど事務局の方から御説明申し上げましたように、委員の方、特に自治 体の方が代わったこともありまして、また、いろんな意味で後で御説明しますけ れども、関係するところにさまざまな影響あるいは努力、協力等をお願いするこ とになりますので、もう一度、今までの議論について、確認の点もありますし、 今後議論を進める上でも丁寧にということで、御議論いただければと思います。 「目次」にございますように、なぜ見直しが必要なのかということを再度確認、 御説明した上で、制度を存続するのかあるいは廃止するのかということにつきま して、御議論いただきたいのですが、前回も同じような形で、制度を存続する場 合、廃止する場合という資料がありましたが、今度は、制度を廃止する場合は東 京都などの例があるのですけれども、制度を存続する場合、どのようなイメージ になるのかということを、事務局としての考えや方向というものをお示しいたし ますので、その点を踏まえながら、この点について御議論いただければと考えて いるところでございます。 それでは、更にめくっていただきまして、1ページ目でございますけれども「心 身障害者扶養保険制度の見直しの背景」でございます。 これまでも御説明しておるところでございますが、当扶養保険制度につきまし ては、前回平成8年に大きな見直しを行ったところでございます。 しかし、その後、ここの「参考」にもございますように、運用利回りが低下し てございます。保険収支、それから年金収支ともに、こういう状況にございます。 更に「受給者(障害者)」の下に平均受給期間が平成7年度は9年7か月だった のが、平成17年度は13年11か月と延びているとか、その結果、受給額が伸び ているように、障害者の受給期間の長期化に伴い、やはり受給額が増加している というような状況にございます。そうすると、保険料等については、現行の枠組 みのまま見直しを行わなかった場合には、将来の年金の支払いを確実に行えない 状況にあるというところでございます。 第1回の資料の方で御説明申し上げましたけれども、例えば、この制度運営を 行っている独立行政法人福祉医療機構の方におきましては、繰越欠損金の方が計 上されて、平成17年度では388億円というような状況にあるということを申し 上げたところでございます。 そうすると、やはりこういった状況であれば、これは任意加入の制度でござい ますから、本人にお支払いいただく保険料で制度を維持すると考えれば、その存 続の是非を含めて、対応策をいずれにしても講ずるのですが、制度を維持する場 合であっても、あるいは廃止する場合であっても、巨額の追加的負担が必要とな るということを御説明しております。 もう一つ「参考」にございますけれども、東京都の方では、やはりそういった 制度が成り立たないということで、昨年3月頭に制度を廃止しまして、既加入者 あるいは受給者に対しまして、いろいろ措置を講じたところでございます。これ は後で詳しく御説明したいと思います。 それでは、2ページ目でございます。2ページ目に、今度は「制度を存続する 場合」の考え方ということがございます。これは、前回我々がお示しした制度を 存続する場合の論点を踏まえて、皆様からいただいた意見をまとめると、このよ うな形ではなかったかなということでお示しするところでございます。 「基本的な考え方」といたしましては、制度創設後、昭和45年にこれができ たわけですけれども、当時は公的年金がございませんでした。しかし、その後、 昭和61年に障害基礎年金制度が導入されるなど、障害者の所得保障をめぐる状 況は大きく変わってございます。今では、2級であれば基礎年金6万6,000円、 1級であれば8万円強は出ているわけでございます。 一方、そういった状況でございますけれども、制度を存続させるか廃止するか につきましては、先ほど1ページ目でも申し上げたような財政的な観点から判断 すべきではない。やはり既加入者、受給者の立場、それから本制度が既加入者、 受給者に対して果たしている役割を十分考慮した上で、慎重に対応するべきでは ないかという御意見をいただいたところでございます。 すなわち、見直しをするのであれば、受給者につきましては、既に保護者が亡 くなり、年金の受給権が発生しており、受給者の生活資金の一部になっているこ と。それから、既加入者につきましては、保険に入っていることで保護者が亡く なれば、年金を受給することを期待していることを踏まえた対応をとる必要があ るのではないかという御指摘をいただいたところでございます。 ただ、一方で、これは任意加入ということでございますので、今後も制度を継 続する場合には、現行の枠組みを基本としつつも、現在の社会経済状況を踏まえ て、長期にわたって安定的に持続可能な制度へと見直すことが適当ではないかと いう御指摘をいただいたところでございます。 また、本制度を継続するに当たっては、御議論を踏まえ、我々の方でも考えた のですが、本制度が任意加入の制度であることにかんがみまして、やはり同じよ うに平成8年に対応したように、今ある積立不足に対して、何らかの対応が必要 でしょう。先ほど申し上げた追加的負担ということもそうでしょうけれども、任 意加入制度であれば、新たな積立不足を発生させないということが、やはり必要 ではないかと考えているところでございます。 更に、もう一つ、これは保険制度でございますので、先ほど申し上げたそのと きどきの社会経済情勢に影響を受けますので、定期的に財政を検証し、必要な見 直しを行う必要があるのではないか。今でも、制度を運営している機構の方にお いては、先ほど申し上げたような責任準備金のデータなどを出すなど、それなり の財政的な検証を行っているんですが、それをどうするのか。今後、きちんとす べきではないかということが、1つの制度を存続する場合の考え方ではないかと 考えています。 3ページ目からでございますけれども、そうした場合、そういった基本論に立 ったときに、では存続する場合にはどのようなことが姿になるのか、あるいは方 向となるのかということでございますけれども、まず保険料の水準でございます。 保険料水準につきましては、本制度が任意加入の制度でございますので、やはり 保険数理に基づいて、現時点の諸条件に見合った適正な数字に設定するというこ とが、基本ではないか、原則ではないかと考えられます。しかし、その場合、前 回、平成8年の改正におきましては、せんだって御説明したように、保険料が2 倍ぐらいに上がったわけでございます。そうすると、先ほど申し上げていた既加 入者の方、今、保険料を払って、年金をもらえるということで加入される既加入 者に対して、やはりそうした見直しに際しては、一定の配慮ということが必要で はないかと考えているところでございます。 もう一つ、今回、見直しの背景で申し上げたように、運用利回りというものが、 財政に与える影響が非常に大きいわけですので、そうした制度設計に当たっては、 実態を踏まえながら、制度の安定的な運営を考慮した予定利率を用いるというこ とが、制度設計の肝要な点ではないかと考えているわけでございます。 更にもう一つ、この扶養保険制度の特徴といたしまして、今、付加保険料と言 いますけれども、生命保険の保険料には給付に必要な保険料のほかに、保険会社 の事業経費として必要な分についても保険料として算定されるのが普通でござ いますけれども、今、どうなっているのかというと、これは社会的に意義がある ということで、付加保険料はとっていないということでございます。この分、前 回、少し御議論がございましたけれども、この制度の意義として、何があるのか、 公的でもなくて純粋民間であるならば、民間とどこが違うのかというときに、1 つの特徴として、この点が挙げられるかと思うのですが、そういうことについて は、やはり制度を存続するのであれば、意義が変わらないので、引き続き付加保 険料を徴しないとすることが必要ではないかと考えているところでございます。 年金給付などの水準でございますけれども、前回の御議論でもございましたが、 通常、財政状況が悪化すれば、さまざまな手段が考えられ、その手段の一つとし ては、給付の切り下げということも選択肢としては考えられなくもございません。 しかし、この制度発足以来、給付の水準が変わっていないということもございま すし、障害者の所得の状況などについても、検討に際して必要であろうとすれば、 年金給付の数字については、今回の見直しに当たっては、現行の月額2万円を維 持することが、適切ではないかというのが考えられるところでございます。 もう一つ、給付については、弔慰金。加入者である親御さんよりも先に、子で ある障害のある方が亡くなった場合には、弔慰金を支給しております。また、途 中で辞められる方には、脱退一時金というものを出しているわけでございます。 その数字につきましては、新たに設定する保険料水準、先ほど申し上げたように、 保険数理に基づいて適正に設定する保険料水準を踏まえて、やはりこちらの方は、 設定する必要があるのではないかと考えているところでございます。 4ページ目をご御覧いただきたいのですが、先ほど、この制度を存続させる場 合であっても、廃止する場合であっても、追加的費用が必要になるということで ございますけれども、そのときに、一つは平成8年の考え方ということがござい ます。 すなわち、平成8年では、国は本制度に関する条例準則を地方公共団体に提出 するなど、制度の安定的な運営に関し、障害者の福祉を増進する立場から、一定 の役割を果たす責任がございます。具体的には、独立行政法人福祉医療機構法の 中に書いてございますけれども、福祉医療機構が地方公共団体と保険約款等も締 結して、この制度は再保険をするような仕組みになってございますけれども、そ のときに厚生労働大臣が認可を行うとございますし、指導監督などもございます。 更に、ここに書いてございますように、条例準則ということを示しているわけで ございますので、やはり障害者の福祉を増進する立場から、一定の責任を果たす 役割があるということでございます。 それから、地方公共団体でございますけれども、そもそも障害者の団体と一部 の地方公共団体が始めたものを公費とすることもありまして、実施の主体として は、条例に基づきまして、地方自治体が実施しているところでございますので、 そういう点からも、地方自治体も心身障害者に対して、年金を支給する責任を有 しているという状況にございます。したがって、平成8年に大きな改正をしたわ けでございますけれども、そうした考えにおきまして、公費を投入したわけでご ざいます。 そうすると、存続する場合において、正直申し上げまして、何がしかの対応が 必要になるわけです。考えてみれば、平成8年以降の経済情勢の変化による運用 利回りの低下、あるいは障害者の寿命の伸長など、前回の見直し後のやむを得な い事情に対応するというものであれば、ここにお示しした、前回と同様の考えに 立って、今ある積立不足に対しまして、前回の改正では、平成27年度までとい うことになってございますけれども、それ以降も制度存続の観点から国と地方公 共団体とで、2分の1ずつ公費を投入する必要があるのではないかと考えるわけ でございます。 そうであっても、本制度は任意加入制度でありまして、給付に必要な費用は加 入者本人の保険料で賄うことが基本ということであれば、この公費投入につきま しては、上で申し上げましたような責任という観点から、制度を長期にわたって 安定的に持続するということでございますので、その観点から必要最低限度のも のとするのが、やはり必要ではないかと考えているわけでございます。 さらに、以下は考え方から技術的な部分はございますけれども、ではこの公費 投入をするに当たっては、どのぐらいあるのかというような御議論もあるかと思 います。やはり現在、総額92億円、国46億円、地方46億円でございますけれ ども、そうした現行の投入規模を維持して、公費の投入期間を延長ということが 必要ではないかと考えているわけでございます。 それから、公費投入につきましては、やはり先ほど申し上げたように、きちん と財政状況を検証した上で、毎年度予算編成を経て措置するということも、きち んと明らかにする必要があろうと考えているわけでございます。 次に、5ページ目を御覧いただきたいのですが、制度を存続する場合の運営の 在り方でございます。一つは、何度も繰り返しますけれども、この制度は任意加 入の制度でございますので、やはりきちんと保険料を適切な水準に設定して、そ して、給付等に必要な費用を給付するということが基本でございますので、安定 的に運営したり、そして将来にわたって年金給付を確実にするためには、きちん と財政検証することが必要でしょう。それが基本でございますので、毎年度、財 政の健全性を検証するものといたしまして、その検証結果を踏まえまして、少な くとも5年ごとに保険料水準につきまして、社会経済状況に即した適宜適切な見 直しを行うことが必要ということでございます。ここは、やはり任意加入制度で きちんと保険制度に基づいて運営するには、なくてはならない点ではないかと考 えているわけでございます。 それから、年金資産につきましては、今、信託会社の方に委託して運用してい るわけでございますけれども、これも長期的な運用利回りが、財政に与える影響 が大きいわけでございます。さらに財政を早期に安定させる、公費を投入してい るという状況がございます。したがって、更に効率的な運用を図るという観点か ら、今、下の「参考」にございますような「5:3:2規制」がございますが、 そういった「5:3:2規制」を廃止をしまして、資産運用の更なる改善を図り、 安定的、効率的な運用をする体制をつくるとかいったことを講ずることが、必要 ではないかと考えているわけでございます。 次、6ページ「参考」でございます。この制度を考えるに当たり、先ほど長期 的な運用利回りが低下している状況にあるとか、あるいは今後の制度設計に当た っては、利回りというものが大きな影響を与えるということで、御参考までにお 付けしました。長期国債応募者利回り、いわゆる10年国債の動向でございます けれども、年平均で見ますと、平成9年〜平成18年までは、このような状況で ございます。「注」にございますように、平均利回りを各年で単純平均したもの でございますけれども、直近5年間でも1.38、直近10年では1.55というような 状況にありますので、こういったことを念頭に、我々は考えていかなければいけ ないのではないかと思う次第でございます。 次に、7ページを御覧いただきたいのですが「制度を廃止する場合」でござい ます。これについては、正直、やり方にもいろいろあるのですけれども、存続す る場合に比べて、まだ抽象度が高い説明で恐縮でございます。本制度は、やはり 繰り返しになりますが、心身障害者の生活を安定させる付加的な給付としての意 義、すなわち親亡き後の子の暮らしというものを、保障するものという役割がご ざいますので、その点を、やはり考慮するということを、再度考えていかなけれ ばいけない。それは、廃止する場合であっても、それをどうするのかというのが、 大きな課題であると考えているわけでございます。 そうしますと、制度を廃止する場合におきましては、既加入者及び受給者に対 しまして、現行の保険制度が果たす役割、保険料納付実績を踏まえた対応が必要 ではないか。それこそ広く申し上げれば、この制度がなくなることについて、ど うするのかということの議論も必要ではないかと考えるわけでございます。 冒頭、追加的な費用が必要になるということを申し上げましたけれども、現有 資産、これも前回お示ししたところでございますが、現在の年金額や、あるいは 保険料実績に比べて、低い水準でしか給付ができないということでございます。 保険資産では691億でございまして、加入者1口当たりでは約70万円、頭割り でございますけれども、約70万円になってしまいますし、年金資産541億円で ございますが、これも受給者1口当たりで130万円ということでございます。 次のページでまた御説明しますが、東京都などの例を見ますと、既加入者に対 して、やはり保険料納付実績に適合する水準の給付を、一時金で支払うというこ とが必要になるでしょう。同じく受給者に対してもどうするかということで、冒 頭申し上げた受給者が、今ある年金で暮らしているということを考えれば、やは り長期にわたって継続していくこともあるんだということを、どう考えるのかと いう御判断をいただきたいところでございます。 それで、御参考までに、8ページにございますが、前回、御説明した東京都の 制度でございますけれども、同じ説明ですので、簡単に御説明します。東京都は どうしたかというと、受給者につきましては、廃止した以降も2行目でございま すけれども、現在と同額の給付ということで、東京都は2万円なら2万円、3万 円を継続して出し続けているという状況でございます。 それから、未受給者、掛金を払った方につきましては、わかりやすくいうと清 算したわけでございます。下の「納付完了者」と「掛金納付者」のところで見て いただきたいんですが、基本的に、要は制度を廃止すれば、国に入れるというこ とを期待して、廃止したこともございまして、国と同じ額を前提として、まず5 76万円という清算金額、これも平均受給期間などを考慮して設定した額ですけれ ども、それを現在価値に換算した額ということをやっております。掛金納付者に つきましても、それを払込月数に応じて還付するというような形をとったわけで ございまして、同じように、国において、仮に廃止するとなっても、このような 措置をするとすれば、やはりこの比較から想定される追加的な費用負担というも のは、発生するというところでございます。 簡単な説明で恐縮でございますが、以上でございます。 ○山崎座長  ありがとうございました。 ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。 どうぞ。 ○堀座長代理  2点、質問です。 1つ目は、3ページの1の3つ目の○の「付加保険料」を徴収しないというこ とについてです。生保の一般勘定は1.5%だと思うのですが、その1.5%と死亡 率等を用いて生命保険料を算出していると思いますが、その中には事務経費とか は含んでいないということでしょうか。 もう1つの年金経理についてですが、これは信託銀行に資金運用の委託をして いると思うのですけれども、それは実際の利回りマイナス手数料とか、そういっ た形で運用しているのでしょうか。その辺の生保と信託の関係がよくわからない ので、教えてください。 2つ目。7ページの「制度を廃止する場合」のところの3つ目の○ですけれど も、現在の積立金が少ないということは、感覚としてはわかるのですけれども、 ここの数字だけではよくわからない。 推計には一定の仮定が必要ですので、数字を出すことは難しいのかもわかりま せん。今までの会議で説明があって、私が忘れているのかもわかりませんけれど も、こういう数字だけで十分かどうか。 ○山崎座長  では、事務局の方からお願いします。 ○鎌田企画官  付加保険料の件は、後で生保協会の方から正確な御説明があると思います。先 生が御指摘した一般勘定1.5%の運用あるいは配当基準利回りと言うかと思うの ですが、一般勘定で運用するのは、保険料でございます。その保険料は、通常で は他の一般の商品であれば、保険給付に必要な額と営業に必要な付加保険の合わ せた額でいくのですが、この場合に事業経費に必要な分で付加保険料を除いた、 単純に保険給付に必要な額を、一般勘定に回しているということではないかと考 えてございます。もし、必要があれば、委員の方から補足的な説明をいただけれ ばと思います。 年金の方でございますけれども、お示しした運用利回りは、手数料控除後のも のでございます。 7ページにつきまして、これだけでは少ない、イメージはできるけれども具体 的な数字がないとわからないという点は、申し訳ございません。正直そうである と思います。今、いろいろ我々でもどういう形ができるかということを、努力な り検討はしたのですが、やはりそれこそ我々としては、まず議論として存続する のか廃止するのかということで、余り額的なものではなくて、その必要性という ことも結構議論があったので、その辺を議論していただきたいという思いがある のが一つ。 もう一つ、まさに堀委員から御指摘のあったように前提をどう置くかによって 非常に変わり得るもの。まさに運用利回りをどうするかというのもございましょ う。それこそ廃止するのであれば、資料は出していませんけれども、あえて個人 的な考えとして言えば、どの程度の前提とする額、東京都では576万算出してか ら、それを換算したわけでございますけれども、本当にこの水準が妥当なのかど うか、もっと低くてもいいのではないか。あるいは、本当に有り金だけというの もあるのではないか。その辺も御議論していただきたいなと思いまして、予断を なかなか持った数字が出せないということで、用意できないことは申し訳なく思 っているところでございます。 ただ言いたいのは、有り金しかないんだ、これをベースにすれば相当厳しい、 仮に一定程度の受給者なり加入者に対しての期待にお答えすれば、その差額とい うのは出す側は大きくなるし、期待に答えられないのであれば、受給者とか加入 者に対して痛みがあるんだというようなことを、イメージしていただければと考 えているわけでございます。 ○山崎座長  いずれにしましても、もう少し委員の間で見直しの方向について合意を得た上 で試算したい。今の段階では、どういう仮定を置いていいかわからないというこ とですね。 それから、生保協会の西岡委員の代理で出ておられます棚瀬さんの方から、補 足ございますでしょうか。 ○西岡委員(代理・棚瀬事務局長)  今、御説明のとおりでございまして、一般の生命保険料の場合は、付加保険料、 事業経費としていただく分を付けておるわけでございますが、身障者保険の場合 は、制度発足以来、ずっと付加費をいただいていないという実態で、これまでき ているということでございます。 ○山崎座長  それは、大変な配慮をいただいているということですね。普通であれば、いた だくべき料金をいただいていないということで、御協力いただいているというこ とだろうと思います。 ○西岡委員(代理・棚瀬事務局長)  勿論、当然この趣旨にかんがみて、この部分は昭和45年の制度発足のときか ら付加保険料はいただかないという形で、今日まできていると理解しております。 ○山崎座長  ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ、副島委員。 ○副島委員  私は、今回初めてですけれども、この心身障害者扶養保険について、私も親の 立場ですので加入しております。 恐らくこれまで議論されたと思うんですけれども、この保険に対しての親の気 持ちは何かと言ったら、やはりこの中に書いてあるとおり、親亡き後の自分の子 どもに対する生活の安定ということで、国が制度をつくってくれたという喜びだ ったわけです。それは昭和45年につくられたときに制度発足時の実態が不明だ とか、福祉施策の観点が保険料が低めだったということで、結構利用者にとって、 すごくいい制度だったと思うんです。これは、そのときは所得保障が全くない状 態ですから、こういう制度が必要だということで、我々も当時は入ったと思いま す。 しかし、その結果が、結局だんだん保険料を上げないと経営できなくなったと いうところとか、加入者が伸びなかったというところが、どこに原因があるのか というのは、我々も地域の中で、この保険制度があるよということを言ったとき に、知らないという人がいっぱいおったんです。どれだけ情報的な発信をされて、 こういう形で、所得保障の一貫の中に入っているんだ。当然、我々親としては、 1つの所得保障なんです。そういうような気持ちがあって、この制度は本当に全 体的に浸透したのかというところは、すごく疑問があるんです。 結局、これだけの加入者しかいないんだというデータを出されても、そこが原 因として物事を考えていくというのは、余りにもおかし過ぎると思うんです。や はり、その当時、入った親たちにとってみれば、金銭的にも経済的にも恵まれな い方々が、たくさんいたと思うんです。その中で、これはすごくいい制度として 親たちは加入していった。そういうところを考えたときに、やはり我々は存続と いうことが、一番大事なところだと思っているんです。 存続するためには、どういうような方法があるのか。ましてや、私も今回詳し く話を聞いてみて初めて、これは国の制度よりも保険制度だということがわかっ たんです。まさか、その当時、親たちがここまで中身の仕組みがちゃんと説明さ れているかというと、されていなかったと思うんです。だから、国がやるんだと いうような観点が、一番多かったと思うんです。その分だけ、やはり国に対する 期待感があったと思うんです。それが、途中の段階で、障害基礎年金、それから 特別児童扶養手当とか出来上がってきた。そこで、この保険の趣旨である、所得 保障については別の制度が出てきたわけです。そこの段階で、どう精査されるか というところの問題があったと思うんです。 しかし、年金が十分かと思ったら、十分ではないわけです。2級年金6万6,0 00円もらって、では地域で生活できるのかといったらできません。だから、これ が1口2万円の合計4万円まで上乗せすれば、合計して10万円になるわけです。 何とか地方の地域では、生活できるというところのめどが立ったわけです。 しかし、残念かなこの保険制度の方が、結局成り立ちいかなくなってしまって、 どんどん保険の掛金の増額につながっていくとかいって、すごく不評を買うたと ころがあるんです。あくまでもそれは制度設計上、いい加減な見通しの甘い制度 設計をしたのではないかと思うんです。そのところを棚に上げてと言ったら言い 過ぎかもわからないですけれども、実質それだけの積立金はないんだということ で考えるのであれば、国民として、我々としては税金を投下すべきではないかと 思うんです。それが、余り議論されずに、親なき後の所得保障よりも保険制度な んだということを主論として議論されていること自身が、結局この制度をつくっ たときの、本当に親が期待した、その期待を、まさに裏切ることではないかと思 ってしまうんです。 そういう面では、やはり存続するための、本当にどういう形で存続すべきなの か。そこに投下する税金というのが、どれだけ投下できるのかということもある かもしれないですけれども、親が期待した自分の子どもの将来の安心と、親亡き 後の問題を何とかクリアーする材料になっていたものが崩れていくということ になると、今、自立支援法でも負担金が発生して利用者は困っている。このよう に、生きるためなのに、利用負担しないといけない状況です。基本的には生きる ためなんです。ぜいたくするためではないんです。その生きるために負担しない といかぬという今の福祉の流れ自身の中に、この保険制度の在り方というのが、 もっともっと利用者サイドのところから議論されるべきだと思うんですけれど も、いかがでしょうか。 ○山崎座長  制度を廃止する場合も含めて事務局が整理をしているんです。副島委員の方と しては、基本的に存続させるということでございますが、存続させる場合の方向 として、いろいろ事務局がまとめてくれていることについて、特に御意見ありま すか。今の御発言なされたことは、かなりここにも書いてあるんですけれども、 よろしいでしょうか。 では、戸田委員、どうぞ。 ○戸田委員  その制度を存続するという前提の下で、いくつか質問をさせていただきたいと 思います。 4ページ、公費の投入のところですが、ここでは、公費投入を延長するという 考えが示されていますが、もともとこれは平成7年のときに平成27年度までと いうことだったわけです。それを延長するという考えで述べられておりますけれ ども、これについては、公費の投入がどういうふうに担保されるのか。それが1 つ。 それから、それと関係しますけれども、予算編成を経て必要な措置を講ずると 書いてありますけれども、これもどういうふうに担保されるか。きちんと自治体 あるいは国が予算措置をしてくれるのかどうか。その辺をちょっとお伺いしたい と思います。 もう一つは5ページ、保険料水準等財政の健全性について、少なくとも5年ご とに適切な見直しをすると書いてありますけれども、これは非常に重要なことで あると思うんですが、これについてもどういう形でこれが担保されるのか、その 辺をお伺いしたいと思います。 ○山崎座長  事務局からお願いします。 ○鎌田企画官  そこについてですけれども、この制度は御案内のように、例えば公的年金制度 のような法律に基づくものではございません。 第1回目の資料でお示ししたんですけれども、まず国が条例準則をお示しして、 それに基づいて自治体が条例をつくっているという、第1回目の資料の3ページ でございますような心身障害者扶養保険制度の仕組みでございます。そして、自 治体と機構が、約款において再保険して、そして福祉医療機構が生命保険会社と 団体生命保険契約したり、あるいは信託会社と信託契約するという、いわゆる民 民の関係を前提とした制度でございまして、正直、戸田委員から御指摘のありま した担保といったときに、どこまで強制力があるものかということは、非常に悩 ましいというのが正直なところでございます。 しかし、この基本的な考えにございますように、やはり1つは戸田委員の方か ら、5ページにございますように、見直しがこの制度にとって、大きな意味があ るのではないかとございますし、我々の方でも、定期的な見直しが必要だという ことは、同じ認識でございます。更に、公費投入につきましても、担保と言える かどうかは別にして、やはりこの制度を長期的に安定をするんだということが、 前回の会議でも秋山委員からございまして、今日も副島委員からございましたけ れども、やはり安心感を与えることが、制度の利用という観点からも必要でしょ う。さらに口幅ったいことでございますけれども、生命保険契約を結んでいると いう考えからすれば、今後どういった財政運営がなされるかということは、保険 会社の経営という観点からも必要だということは、我々も同じ考えに立っている わけでございます。 そこで、長々と前置きを置きましたけれども、我々はそうした民民の契約の中 で、どれだけ国が関与する形で示せるかということを考えているわけでございま すが、これも制度を存続する場合の前提であります。この中にどういうものがあ るかでございますけれども、第1回目の資料の3ページをごらんいただきたいの ですが、ここで国が登場するのは、上にございますように制度の指導監督とかい うところでございまして、先ほど多少申し上げましたように、具体的には、国は 厚生労働省の組織令の中に、この制度を助長するという規定もあります。それか ら、独立行政法人福祉医療機構という法を制定した立場で、その中で事業を運営 することで、一般論としてあるんだろう。 さらに言えば、それを具体化したものとして、今、独立行政法人福祉医療機構 に対して、国の方で制度運営に当たっての中期目標というものを示しております ので、それが一番こういった仕組みの中で、公的な関与が高いというようなこと も一つ言えるわけでございます。そうすると、多少直接的ではないのですけれど も、そこに御指摘のような制度の定期的な検証のことですとか、言い忘れました けれども、第1回目の資料でお示ししたんですが、特殊法人から独立行政法人に 変わったことによりまして、財政上、会計上の健全性・透明性の確保ということ が言われておりまして、その結果として、第1回目の資料でお示ししたように、 総務省にある独立行政法人の評価部局、それから厚生労働省内にある独立行政法 人の評価委員会の方からも、今、福祉医療機構にある責任準備金の欠損について、 措置を講ずるべきであるということを言われているわけでございます。 そういった全体の流れを考えれば、先ほど申し上げた、国が独立行政法人に示 す中期目標の中で、こうした今後の財政をどう考えていくのか、あるいは運営を どうするのかということを書くことによって、全体の仕組みとして機構は、定期 的に検証もする。そして、国の財政というものについての考えも明らかになって いるということで、説明もできるでしょうし、仮に何かしら社会経済情勢が変化 すれば、ここの契約関係から自治体の方から、契約に基づいて、いろいろ意見も 言えるでしょう。あるいは生命保険会社からも意見を言えるでしょう。そうする と、機構も国に対して、制度の検証ですとか、あるいは財政状況について意見を 言う。そういう全体の仕組みというものを、ちょっと考えていきたいなと思って いるところでございます。 すなわち申し上げたいのは、民民の契約で成り立っている制度の中で、どけだ け御指摘のような担保を示せるかということを考えている中で、一つこの仕組み の中で、国の関与としての指導監督の部分でございますので、その部分で御指摘 のようなものを考えていきたいというわけでございます。 ○山崎座長  戸田委員、よろしいですか。 ○戸田委員  要するに、きちんとやっていただけるということを、はっきりさせていただき たいと思います。そうしませんと、財政的な裏づけがはっきりしないということ になってしまいますから。 ○鎌田企画官  やはり今回、平成8年度に大きな見直しをした後に、また、先ほどやむを得な い事情というわけで申し上げましたけれども、そういったものに対して、きちん と対応するということが必要でございます。そこを我々、やはり制度を運営する 者として、御指摘のように、今、きちんという表現もいろいろ意味合いがあるん ですけれども、制度運営について、この制度はやはり任意加入で、そのときその ときで見直していくということが、この制度の肝要ですので、やはりこうして御 議論いただいておりますし、こうやって資料を出していることも、ある意味、今 後の運営に対して、1つの縛りというか、根拠にもなりますので、御指摘を踏ま えて存続するのであるならば、そういうことを踏まえてやっていきたいというこ とは、正直な気持ちでございます。 ○山崎座長  秋山委員、どうぞ。 ○秋山委員  前回まで、私どもは親の立場からということでもありまして、言わば身勝手な 要望、意見を申し上げてきており、大変心苦しく思っているところでもございま す。これも諸先輩の方々が、親亡き後の障害の子を思う相互扶助の心からつくら れたこの制度を、先ほど副島委員からもお話がございましたように、維持、継続 していただくということを望むがゆえに、いろいろ心情申し上げてきたというこ とでございまして、お許しをいただきたいと思います。 ところで、先ほど、見直しの基本的な考え方、その方向として廃止をする場合 も含めた説明がございました。私どもは、扶養保険のこの制度を、さっきも申し ましたが、安定的にかつ持続ができるようにということで、再構築していただく ということを、その方向性をもって検討いただくことを、今までもお願いしてき たということでございます。 この制度の継続の必要性とか要望の趣旨などにつきましては、もう既に何回も 申し上げておりますので、改めて申し上げることもございませんが、先ほどの御 説明のように、継続の場合、保険料の適正化というものが当然あるわけで、それ とともに、今、お話もありましたように、公費の投入というハードルが、非常に きついものがあると思います。安定的に継続を目指すということになりますと、 現在でも多額の公費が投入されているところに、更に引き続き、公費投入を期待 するというわけでございまして、これが財政当局に理解されるのかどうかという ことは、非常に心配されるわけです。 幸いにと言っていいかどうかわかりませんけれども、地方自治体の方々の場合 については、委員の方がここにいらっしゃいますが、この前に資料をいただきま して、御説明をいただいた資料を見ますと、この制度に対する福祉的な御理解と いうのが、ある程度いただけているのではないだろうかと思います。 しかし、国の場合は、これは財務省に果たして理解していただけるのかどうか というのは、先ほど言いましたように、非常に心配するものです。恐らくは、こ れは大変な御苦労がいるのではないか、大変な御努力がいるのではないか、その 辺りのことを今後どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。 ところで、ここに至るのには、先ほども申し上げましたが、保険料の適正化、 これは本制度の基本である加入者の保険料額の見直しということが必要になる わけで、適正な保険料水準というお話がありましたけれども、これにすべしとい うことは、当然求められるのであろうと思います。そこで、先ほどの御説明によ りますと、見直し後の保険料は、保険水準に基づいた現時点の諸条件に見合った 適正な水準に設定するということでございます。この場合には、どの程度の保険 料額の引上げが想定されるのか。もし、説明が可能であれば、その方向性だけで もお伺いできればと思います。 制度の廃止ではなくて、制度の継続を選択するということになれば、公費の投 入がなくては成り立たないということを考えますと、やはり保険料の引き上げ幅 の問題はありますが、適正な水準の保険料の負担というものは伴うんだというこ とを、これは前提であり、一緒にセットになっているようなものであろうかと理 解しなければなりません。そこで、継続には負担の痛みは伴うんであるというこ とも、私どもとしては、ある程度、覚悟が要るのではないかと思っております。 さはさりながら、保険料額の引き上げというようなことになりますと、その幅 がどれぐらいになるかというのはありますけれども、なかなか納得しない人も出 てくると思われます。それを、先ほどお話もありましたけれども、緩和する仕組 みと言うんでしょうか、既に加入している人については、一定の配慮をするとい うお話がありました。これは、平成8年度の見直しのときのように、これに類す るようなものと考えていいのかどうか、どのような配慮になるのか。これは今日 はお聞かせいただくわけにはいかないんでしょうけれども、次の検討会でその内 容に期待いたしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 もう一つ、先ほど御議論もありましたけれども、年金の資産運用の方式ですが、 運用利回りの改善の確保というのは、これはやはり現在の制度の見直しにも影響 してきた利回りというのが、これは社会経済的な問題であったと言えますけれど も、非常に重要なことであろうと思います。先ほどの御説明で5:3:2の規制 の廃止というようなことも言われておりますけれども、この改善による効率的な 運用というものも、これから期待していかなければならないと思いますので、こ の点もよろしくお願い申し上げたい。 以上、意見というよりも要望というようなことでありましたが、よろしくお願 いいたします。 ○山崎座長  いかがでしょうか。 ○鎌田企画官  要望は受け止めて、それを踏まえていきたいと思います。 具体的な保険料の水準につきましては、最初の堀委員の先ほどの、なかなか具 体的なものがわからないという御指摘のところで御説明し、また、座長の方から 丁寧に御説明いただきました。まだ、やはり1つは、大きくこの制度をどうする かということについて、検討会の御検討を踏まえた上で、我々、更にやりたいと いう気持ちがあります。正直、どの程度にするかによって、前提がありますので、 御指摘のとおり、それによって、単に保険料だけではなくて、財政等も決まりま すので、まだ正直作業も追いつかないところが実情でございます。ただ、堀委員 あるいは秋山委員からあったように、それがないと、なかなか決めかねるという か、判断が難しいというのがわかりますので、御指摘のあったように、次回の検 討会ということについて、努力していきたいと思います。 ○山崎座長  知事会、市長会の方としていかがでしょうか。 ○石田委員(代理・奥沢課長)  それでは、実施主体として地方ですけれども、現在、各道府県がこの問題をど のように考えているのかということでございます。 全国知事会では、先月46道府県に対しまして、心身障害者扶養保険制度につ いて、アンケート調査を行いました。その結果をかいつまんで御報告させていた だきたいと思いますが、全部で8つの項目についてのアンケートであります。 まず、制度の意義についてでございますけれども、制度創設から37年が経過 しておりますが、現在における制度の意義と役割を尋ねたところ、制度の存在意 義につきましては、肯定する意見と、もう一つ、創設時に比べ薄れてはいるもの のなお肯定する意見、この両者がほぼ同数であり、一定の評価が与えられておっ たところでございます。 次に、制度の存廃につきまして、存続と廃止ですが、尋ねたところ、条件次第 との回答が46道府県中16と、一番多かったところでございます。次いで、廃止 すべきが11、存続すべきも11、無回答が8ということでございました。 条件次第と回答した県の条件というものの中身でございますけれども、県の財 政負担額掛金、あるいは年金支給額の額がどのようになるかによるというもので ございました。 続きまして、存続と回答したあるいは条件付きと回答した県に尋ねましたとこ ろ、公費負担額全体の増額の適否について、どう考えるかという質問でございま す。 まず増額を行うべき(やむを得ない)も含みますけれども、全部で14。行うべ きでないが2。それから、その他が10でございました。その他を選択した具体 的な理由でございますけれども、国の負担や国による確実な財政措置を条件とし て認める。あるいは抜本的な見直しを条件に認める、こういったものでございま した。 続きまして、同じく存続あるいは条件付きと回答したところに、国と道府県の 公費負担割合について、どう考えるのか、そういう問いでございましたが、これ につきましては、現在と同様、1対1で負担すべきという回答が2自治体。国が より多く負担すべきと回答した自治体が15、その他が8でございました。この8 の中には、国が全額負担すべきといった回答もございました。 続きまして、同じく存続と回答、あるいは条件付きと回答したところに、道府 県負担額が増加する場合、どのような対応が現実的かと聞いたところ、毎年の公 費負担額を上げて対処するといった回答が1、公費投入期間を延長するが10、両 方の組み合わせが3、その他が11でございました。 その他の内訳は、県の負担増は困難、あるいは国が全額負担すべきといった意 見でございました。 廃止の関係ですけれども、廃止の場合の既加入者、あるいは現受給者への対応 を、どのように取ったらいいか。こういった問いに対しまして、既加入者、現受 給者ともそのまま存続するという回答が7。既加入者は払い戻し、現受給者は存 続が9。既加入者、現受給者とも払い戻しが4。その他が7といった回答がござ いました。 そのほか、自治体の方からは、入手したい資料、あるいはデータがあるという ことで、制度の見直しを検討するに当たりまして、どういった資料等を国の方か ら提供してもらいたいかといった問いに対しまして、各県の財政負担額がどれぐ らいになるのかといった資料、あるいはもう一つ、制度全体の財政条件に関する 資料が提供してもらえないかといった要望がございました。 その他、フリーの意見でございますけれども、これを尋ねたところ、情報提供 が不足しているのではないか。それから、十分な検討期間、受給者、加入者への 周知期間を置くべきではないか。更に道府県の意見をよく聞き反映させてもらい たいといった意見でございました。 これがアンケートのおおまかな概要でございますが、それを踏まえまして、2 つ目として具体的な数字の提示でございます。自治体におきましても、来年度、 仮に4月から施行ということになりますと、早急に各道府県の公費の負担額、あ るいは公費投入の期間、どれぐらいになるかといった見込み、そして保険料など の数字を示していただきたい。そういったものがないと、なかなか都道府県にお いても、この問題について判断しかねるものでございます。 3つ目といたしましては、道府県に対する十分な説明をお願いしたい。見直し に当たって、道府県に十分な説明をし、意見を聞いていただいてからお願いした い。くれぐれも拙速な対応は避けていただきたい。 仮に来年度そうそうからのスタートとした場合、スケジュールが相当厳しい、 道府県の理解を得た上で行わないと、後々いろいろ影響が出てくる。 道府県におきましても、条例改正あるいは場合によっては補正、更に当然のこ とですが、市町村や加入者への十分な周知期間が必要になってきます。無理をし ますと、加入者、あるいは障害者団体などに十分な説明ができない。あるいは混 乱を生じることもありますので、くれぐれもその点も御配慮していただきたい。 知事会の方からは、そういった御意見でございます。 ○山崎座長  ありがとうございました。同じように、もう少し財政見通しがないとという御 意見ですね。 ○鎌田企画官  そうですね。具体の数字については、我々としても早くお示しすることが、今 ある意味、十分なディスカッションですとか説明、準備という意味でも必要です ので、そういったものについては努力してお答えできるようにしていきたいと思 います。 それから、御指摘のとおりでございまして、この制度、いろんな関係するとこ ろ、国としても独立行政法人、地方公共団体は46あるし、その管下には市町村 もある。そして、障害者団体、民間の生命保険会社もありますので、そこに十分 な情報提供、あるいは議論、そして準備期間が必要ですので、御指摘を踏まえて 対応していきたいと思っているところでございます。 ○山崎座長  横浜市さん、いかがですか。 ○上野委員(代理・外ノ池部長)  特に市長会その他での御意見はまだ伺っておりません。たしか大都市の局長会 で制度変更の場合に十分な周知期間を設けていただきたい旨の御要望をまとめ ている段階だと伺っております。 ○山崎座長  ありがとうございました。 林さん、何か御意見ございますか。 ○林委員  具体的な数字が出ないと方向性が付けづらいというのと、方向性が出ないと具 体的な数字が出しづらいということで、なかなかうまく噛み合ってない部分があ るかと思うんですけれども、これまでの議論でも、保険数理に基づいて安定的な 運営を図ることで存続をしてはどうかというふうに私も思いますし、そういった お考えが何となく皆さんあるんではないかと思いますが、最初は非常に加入者の 方も少ないですし、意義というのが非常に薄れているのかと思っておりましたけ れども、むしろ存続するかどうかがわからないから少ないんだというお話と、先 ほども副島さんからもありましたけれども、制度設計の見直しが甘かったことで、 期待を裏切るような格好になっているというお話もありましたから、安定的に存 続するような方向で立て直すことで、意義が高まり、そういう位置づけもはっき りするんではないかと思いまして、実際の数字よりも需要もあるだろうし、意義 も現実的にないのではないかと思います。 何といっても具体的な数字がわからないことにはという部分もあるので、その 辺をよろしくお願いしたいということです。 ○山崎座長  堀さん、何か御意見ございますでしょうか。 ○堀座長代理  先ほどの道府県の方からの御報告で、自治体の中には廃止という考えもあると いうことを聞いて、びっくりしました。この扶養保険制度は、基本的には、道府 県と指定都市がやっているおり、実際に契約を結んでいるのはこれら自治体と障 害者の親ということになるわけです。そういった場合に、契約上の責任、私は法 学部に属しているものですから、法律的な問題にすぐ頭がいくのですが、契約上 の問題はどういうふうに考えているのか。国には、どうも契約上の責任はなさそ うだという感じがします。政策の問題と法律の問題は別ということも十分わきま えているのですけれども、制度を廃止した場合のことを、少し詰めて考える必要 があるのではないかという感じがします。 もう一つは、この契約が具体的にどうなっているのか、詳細は知りませんけれ ども、給付は動かさないで保険料を動かすということは、きちんと契約上そうい うことができるようになっているのかどうか。あるいは廃止するということも、 契約上は盛り込まれているのかどうか。制度を廃止する場合は、どういう代償措 置を取るかにもよりますが、最終的には訴訟という問題も生じます。あるいは、 保険料を引き上げるといった場合にも、法的な問題が生ずるという感じがいたし ます。制度廃止を前提としないなら問題にはならないですが、保険料引上げの問 題については法的な問題があると思います。その辺の契約のところを少し、私も 研究所の立場から知りたいところがあります。 制度存続を前提とする場合には、財政問題が重要となります。給付を固定する となると、保険料で負担するか、公費で負担するか、そういうところの綱引きだ ろうと思います。 政府の見直しが誤ったという御意見もありましたけれども、将来の見通しとい うのは、経済学者でさえ2、3か月後の予測は外れるので、長期の見通しは人知 を超えるところがあります。将来の見通しを誤った場合は、親御さんの保険料が 低かったということにもなります。見通しを誤った国が悪いということになるか もしれませんけれども、保険料が低かったという利益を親御さんも得ているとい うこともあります。いろいろな考え方があります。 ただ、少なくとも受給者についていうと、既に受給権が発生しており、これは 保護する必要がある。また、ある程度の期間加入して保険料を払っている人は、 期待権も発生しているのではないかと、私は思っています。そういったことは、 制度廃止を困難にするのではないかと思います。保険料の問題については、加入 している親御さんの低い保険料という期待をどこまで尊重すべきかという問題 があります。 いずれにしても、扶養保険制度は親御さんたちの自主独立の制度ですから、や はりきちんと保険料を負担してもらわなければ困る。そこは一つ言えると思いま す。 もう一つは、納めた保険料が本当に適正かどうか。あるいはこれから引き上げ られるべき保険料が適正かどうか。これもさまざまな仮定によると思います。ま た、運用利回りをできるだけ高くするという必要もあると思います。 先ほど生保の付加保険料について質問をしたのですけれども、親御さんが納め た保険料が生保に生命保険料として行くことになりますが、それが適正な保険料 かどうかということも、厳しくチェックをしていただきたいと思っております。 公費負担についてですけれども、既に公費負担が投入されていますし、やむを 得ないとは思います。ただ、ここに書いてありますように、これから加入する人 と、既に加入した人とを、どう分けて考えるのかということがあると思います。 先ほどの道府県の報告で、国が全額負担してほしいという意見もあったように 記憶しておりますけれども、それはちょっと違うのではないか。先ほど言ったよ うに、この制度は自治体の責任で、親御さんとの契約でやっている制度であるわ けです。ぎりぎり法的に詰めると、国に責任があるのかどうかよくわかりません けれども、自治体自らが実施しているという覚悟は、是非とももっていただきた いと思います。 いずれにしても、国家財政が厳しい、国民が税負担の増加に対して厳しい、こ ういう国民性を考えると、国庫負担はできるだけ低くするという方向性も必要で はないかと思います。 今日のテーマについて結論として言えることは、やはり制度は存続すべきであ るということです。 ○山崎座長  事務局から、特に法的な問題につきまして、どうぞ。 ○鎌田企画官  先生の御意見については、それを踏まえて、また次回以降の資料なり何なりで お答えしていきたいということを申し上げた上で、御指摘のうち、今の座長から の法的な件で申しますと、先ほどの第1回目の資料の3ページにございましたよ うに、ここにある方々の契約関係が民民の契約になっている点がございますので、 そういう意味では第1回目の資料の3ページの右側にありますように、条例に基 づく扶養共済制度という中では、先生御指摘のように自治体が、この条例に基づ きまして加入者と契約を結んでやるということですので、そういう意味では自治 体というものは加入者とお子さんである障害者に対して、給付、制度運営する責 任があるということは法的に言えると思います。 勿論、その点も含めて、性格あるいは詳細については御報告できればと思うん ですが、そう考えたときに、すべて自治体かということでございますけれども、 今回お示した資料にございますように、この制度の運営の責任ということについ て、やはり国の方では条例準則を示すという形で、ある程度の制度の運営もある ということで、それが数字として、どちらが責任が多いか、少ないかというのは、 なかなか裁判もしていませんからわかりませんけれども、そういうことでともに 責任があるということで、平成8年度には公的な関与、負担を2分の1ずつとし た経緯がございます。 御指摘の廃止の規定ですとか、あるいは給付なり保険料が変わったときに、ど うなっているのかということでございますけれども、ここの3ページの図の真ん 中ほどに、自治体が条例をつくる際に国の方で示す条例準則というのがあるんで すけれども、その中に掛金額の調整という規定がございまして、掛金の額ですと か、保険料が改定されたときには速やかに変更してくださいということを、国が 条例準則で示しておりますので、そうすると、それは自治体の方で保険なり給付 金が変われば、そこを変える仕組みになっているし、それはどういうことかとい うと、実は自治体と独立行政法人の間に保険約款というのがございますが、それ を結んでいる中に保険料額の調整などの規定がございまして、そうすると保険料 の額の計算、基礎とした事実に変動が生じたために変更する場合には、機構は厚 生労働大臣の認可を得て保険料額を変更できる。つまり独立行政法人が、基礎数 値等に基づいて保険料額を変更したいと思えば、厚生労働大臣の認可を経て変更 するし、そうなれば、今度は国の方で条例準則に速やかに改定すべきと書いてあ りますので、それに基づいて自治体なども直すと。 また、条例準則の中には、保険料ですとか、給付の額も書いておりますので、 規定としてはそれにあると。そうすると、責任主体は法律的には確かに契約主体 同士の民民の契約になるんですが、やはり自治体と国がともにやっているという ことは言えるのかなと思います。 その辺はまた資料を整理して御説明したいと思います。 ○山崎座長  ありがとうございました。 局長、いらっしゃっていますが、何か御意見ありますでしょうか。どうぞ。 ○中村社会・援護局長  本日、いろいろ御議論をいただきまして、やはり前回からの議論の流れでいき ますと、堀代理の方からも、今日の結論は存続ではないかというお話がございま した。ただ、先ほど来出ておりますように、また先ほど自治会のアンケートの中 でもいろいろお話があった、判断材料となる数字なり条件次第だというお話もあ るようでございますので、今日はそういった意味で、もう少し踏み込んだケース が提出できればよかったんですが、ちょっと私どもの方の準備が整いませんでし たので、次回それに向けて努力をさせていただきますので、また引き続き御検討 の方をよろしくお願いしたいと思います。○山崎座長 ありがとうございました。 それでは、次回の検討委員会におきまして、これまでの議論、特に今日の議論 を踏まえまして、事務局にて見直しの方向を整理してもらい、それに基づいて更 に議論を深めることにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山崎座長  それでは、事務局の方でのとりまとめをよろしくお願いします。 その他、事務局から連絡事項等があればお願いします。 ○鈴木企画課長補佐  事務局から御連絡します。次回の「心身障害者扶養保険検討委員会」につきま して、追って御連絡いたしたいと思います。 以上でございます。 ○山崎座長  委員の皆様から、特に御発言ございますか。 なければ、これで第3回の検討委員会は閉会させていただきます。            <照会先> 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課手当係             (担当・内線) 稲田・和田(3020)             (電話)    代表:03−5253−1111                     直通:03−3595−2389             (FAX)      03−5302−0892 22