07/07/30 「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」議事録について            医薬品産業政策の推進に係る懇談会                   開催日:平成19年7月30日(月)                   場 所:ホテルはあといん乃木坂「フルール」                                                    (照会先)医政局経済課 担当・内線 笹子(2524)   代表 5253−1111 直通 3595−2421  ○武田課長  ただいまより、医薬品産業政策の推進に係る懇談会を開催いたします。私は、司会進 行をさせていただきます医政局経済課長の武田でございます。よろしくお願いいたしま す。  なお、本日はクールビズということで、事務局は軽装で失礼しておりますが、上着を お召しになっている方も脱いで涼しい格好になっていただければと思います。  それでは、最初に厚生労働事務次官の辻からごあいさつがございます。辻次官、よろ しくお願いいたします。 ○辻事務次官  厚生労働事務次官の辻でございます。本日はお忙しいところ、また足元の悪いところ を御参集いただきましてありがとうございます。皆様方におかれましては、平素、厚生 労働行政について何かとお力を賜っております。あわせまして心から御礼を申し上げた いと思います。  平成14年8月30日に「医薬品産業ビジョン」を策定いたしまして、それに基づくア クションプランということで5年間、「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」という形 で皆様方と意見交換を経ながら医薬品産業の健全な発展のために作業をやってまいりま したことは御案内のとおりでございます。  策定から5年がたちまして、このたび5年間のアクションプランの計画期間終了に際 し、新たな医薬品産業ビジョン及びアクションプランを策定しているところでございま す。政府の大優先政策であるイノベーションの1丁目1番地が医薬品・医療機器の開発 であるという中で、基礎研究とリンキングしたような臨床研究・治験の基盤を従来の発 想より一歩踏み込んで、承認審査の迅速化、薬価制度改革など総合的な展望のもとでこ のイノベーションをなし遂げねばならないという強い気持ちでおります。  中身については御案内のとおりでございますが、踏み込んだ意見交換こそが関係者の コンセンサスをつくり上げ、ビジョンなりアクションプランが実りの大きいものになっ て花開いていくと信じますので、率直な意見交換をお願い申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、お忙しい中、わざわざお集まりいただきましたことに心か ら感謝申し上げ、実りある会議となりますようにお願い申し上げまして、私からのあい さつとさせていただきます。 ○武田課長  続きまして、本日の出席者の御紹介ですが、時間の節約の観点から座席表をもって代 えさせていただきたいと思います。なお、本日は、意見発表をしていただく医薬品産業 にかかわる方々のほか、日本医師会の竹嶋副会長、日本薬剤師会の山本副会長、健康保 険組合連合会の対馬専務理事、またオブザーバーとして、独立行政法人医薬品医療機器 総合機構の宮島理事長にも御出席いただいております。また、私ども関係局も出席させ ていただいているところでございます。  配付資料ですが、参考資料1が現在パブリックコメント実施中の新たな「医薬品産業 ビジョン」の案の概要です。本文そのものは配付しておりませんが、ごらんいただいて いると思います。本日はこの案について、関係業界の皆様方から率直な御意見をいただ きたいと思っております。  参考資料2は、平成18年度末までの「医薬品産業ビジョン」のアクションプランの進 捗状況等ですので、適宜ごらんいただければと思います。  参考資料3は、医薬品・医療機器産業政策推進本部の設置要綱です。  そのほか、関係団体から提出していただきました資料を配付しております。  それでは早速、お手元の議事次第の順番で御発言をお願いしたいと思います。大変恐 縮ですが、お一人8分以内ということでお願いいたします。  皆様に御発言いただきまして、そのあと、残った時間は意見交換という形で進めさせ ていただきます。  では最初に、日本製薬業団体連合会の森田会長からお願いいたします。 ○森田会長  日本製薬業団体連合会会長の森田でございます。前回に引き続きまして新たなビジョ ンをつくるということで、全体的に読み込ませていただきましたが、方向性としてはよ いものができるであろうと思います。これからさらに御意見がたくさん出るかと思いま すが、そういう中で精度の高いものにしていただきたいと思っております。  まず全体について申し上げます。  1点目は.「我が国の医薬品産業の国際競争力強化」が目的とされたことは意義深い ものの、新ビジョンにおいては「我が国医薬品産業に対する施策」と「日本に研究開発 拠点・基盤を置いた企業に対する支援」の線引きが明確でなく、後者に重点を置いた取 りまとめになっているように思えます。我が国医薬品産業という視点でも強化策を取り まとめてほしいと思います。  2点目は、新ビジョンに「政策の総点検が必要である」と示されているとおり、前ビ ジョンのアクションプラン等の実施状況評価だけでなく、むしろイノベーションという 成果につながったかどうかの評価を行うことの方がより重要であると考えます。そのこ とが新ビジョンの実効性を高めることにつながると思っております。  3点目は、国際競争力を測る指標の設定と医薬品産業の将来像の具体化ということで すが、2つに分けて書いています。  (1)「目標とする国際競争力の指標」がないため、産業の将来像が見えにくい。将来の 「国際競争力が強化された姿(数値目標)」を明確化することで、目指すべき将来像の 実現に向け、より効果的な施策の検討・推進が可能となると考えます。  (2)「医薬品市場自体の競争力喪失」の主な原因は、薬剤費抑制策による過去10年間に わたる日本の医薬品市場の低迷である。国際競争力強化には、日本市場の持続的な成長 が必要であり、例えば、世界の新薬開発拠点にふさわしい医薬品市場の構築、といった 方向性を示していただきたいと思います。  4点目は、個別の政府施策はアクションプランで具体化されていますが、5年後の医 薬品研究開発予算の望ましい規模等、政府全体としての目標・考え方を示していただき たいと思います。  次に、個別アクションプランについて申し上げます。  医薬品は、新医薬品、基礎的な医薬品または必須須医薬品、ジェネリック医薬品、O TC医薬品、この4つに大きく分類されます。それぞれの医薬品の機能を発揮させるた めの諸施策の中で、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」において具体 的なアクションプランが十分には示されていない2つの施策について、下記に意見を取 りまとめました。  1.研究開発促進税制(48パージ)のダイナミックな強化のところです。  政府における医薬品産業の位置づけ及び医薬品企業の研究開発投資意欲はますます高 まっています。このような中、パフォーマンスの高い日本企業の研究開発投資を一層促 進し医薬品産業を21世紀我が国のリーディング産業にするために、医薬品という産業特 性を十分に踏まえて、従来の数倍規模の新たな研究開発促進税制について、検討・実施 していただきたいと思っております。  2.薬価制度について、次の2つに分けて書いております。  (1)日薬連では、今回のアクションプラン(56ページ)も踏まえて、新医薬品、基礎的 な医薬薬品または必須医薬品、ジェネリック医薬品など、それぞれの医薬品の機能が適 切に発揮される制度について検討しています。今後、中医協において、国民ならびに医 療関係者の理解が得られるよう、専門的な議論をお願いしたいと思います。  (2)日薬連が考えている薬価制度における制度設計の理念は次の5点です。  1.イノベーションが評価され、さらにそれが促進される制度。  今提案されています製薬協的な発想のこういう仕組みというのは大変よいものである と思いますし、それがさらに評価を高めていくような仕組みも大事だろうと思っていま す。  2.個々の患者に適時適切な医薬品が提供され、医療の質が担保される制度。  国民に絶えずよい医薬品がグローバルなレベルと同じ水準で時間軸も含めて許認可さ れ、一方では安定供給されるジェネリック製品もある、こういうことも重要だろうと思 います。  3.市場競争が機能する公正かつ透明な制度。  ひと昔前の薬価差に着目したような市場競争を誘引しかねない薬価制度というのはよ くなかろうと認識しています。公正かつ透明なということは薬価差に着目しないような、 医療に本当に役立つということをきちっと前提においた制度していただきたいと思いま す。薬価差に着目しないと医療制度全体が機能しないような社会保障制度の枠組みと予 算制度であるならば、別のサイドで国家として日本の国民のために必要なコストは提供 することが必要であり、技術料を含めた人の問題などの観点からの対応もお願いしたい と思います。  4.社会的・経済的な無駄が排される効率的な制度。  良質・廉価なものがきちっとビルトインされている薬価制度と医薬品の提供というこ とです。  5.患者の負担増大につながることのない安定した持続可能な制度。  よいものがあれば高いお金を払って一部負担でもどうかという提供の仕方もあろうか と思いますが、皆保険制度においてはすべてが等しく保険の中で享受できるような全体 像を薬価制度の中でも考えてまいりたいと思っています。以上です。 ○武田課長  ありがとうございました。  続きまして、日本製薬工業協会の青木会長、お願いいたします。 ○青木会長  本日はこのような場を設けていただきましてありがとうございます。また、「医薬品 産業ビジョン」というこれからの産業の行くべき道を示すということに関しまして、行 政と産業とでこういった戦略をつくっていくという活動に対しまして我々としては感謝 申し上げます。  この中に盛り込まれている政策というよりはビジョンに対する意見を申し上げさせて いただきたいと思います。会社でも数年のタイムスパンでビジョンをつくりますが、ま ず、環境条件を現状分析し、その中においてどのような方向に我々が努力をしているか という志を中心とした戦略目標を立て、それに続いて中期計画的な少し長いスパンにわ たっての実行計画をつくる、これがビジョンだと思います。  ここにできましたビジョンもそのようになっていると思われるわけですが、このビジ ョンは新産業ビジョンでありまして、この前に平成14年8月30日に発表されました「医 薬品産業ビジョン」があります。これと今回の新ビジョンを照らし合わせながら拝見し たんですが、どちらも形式的には整っていると思います。我々がこの中で一番議論した かったのは、省庁横断的な資金の集中投資等によって研究開発を活性化するような政策 の立案、特に臨床研究、治験環境の整備をしていただくことが第1点で、そうやって創 薬活動を推進するプラットフォームを整備していただきたいということです。  その次に、その結果として出てきた新しい薬、研究開発活動の成果に対するイノベー ションを評価するシステムとしての薬価システムを考えていただきたい。この2つが一 番重要なところかと思われます。これは前回ビジョンについても今回の新ビジョンにつ いても同じように取り上げていただいていますが、こういった目標を立てて実行する場 合には必ず到達目標を明快にしておいて、一つ区切りがつくたびに到達点についてきち っとしたパフォーマンスレビューをやるべきではないかと考えます。したがって、前ビ ジョンから新ビジョンに切りかわる時においては過去5年間の施策と実績について厳密 な評価をやっていただきたい。  参考資料2にアクションプランの進捗状況とありますが、これを拝見しますと、これ は歴史年表みたいなイベントの歴史でありまして、何が成し遂げられて、その結果がど うなったかというアチーブメントとそのパフォーマンスのレビューというのがついてお りません。これを厳密にやらないと、だから次にどうするのかということに結びつかな いのではないか。ビジョンもいくつか重なって出ていく場合には必ず時系列的にどこま でやってきたのか、何をやってどうなったのか、日本からイノベーティブな薬が出るた めにどのように役に立ったのか、役に立たなかったのかということをきちっとレビュー していただいて、それを新しいビジョンにつなげていただきたいと考えます。  前ビジョンの30ページに「治験等の臨床研究の推進」というのがありまして、この中 で「国際競争力のある治験環境の実現を目指すためには、さらに医療機関の機能分担を 進めるなど我が国の医療提供制度の整備を図るとともに具体的な施策を総合的かつ同時 並行的に進める」と書いてあります。これがどこまでいったのか、その結果がどうなっ たのか、このビジョンを始めるにあたって、もう一度レビューをする必要があるのでは ないか。前ビジョンに一つ一つ具体策が書いてありますので、そのレビューはぜひつけ ていただきたいということがあります。  本ビジョンについて気になりましたのは、現状分析が若干冗長ではないか。38ページ にわたって現状分析をやっています。前ビジョンでは14ページですから倍以上に延びて います。その中に書いてあることを見ますと、生命科学の発展、グローバライゼーショ ンの進行等、前ビジョンと今ビジョンでオーバーラップしていることが多くて、ここに これだけの分量を割くよりは、ビジョン本来のところと実行プランのところに割いてい ただいた方がいいのではないかという気がいたしました。  実行プランのところですが、これは本ビジョンでは39ページ、40ページに医薬品産 業政策の考え方がありまして、その次に図が2つついています。これは非常にきれいに まとまっていまして、我々がこれからやらなくていけないことを的確にまとめていただ いて、これがビジョンの中核になるかと思います。  次の42ページから後が企業でいうと中期計画になりまして、革新的新医薬品創出のた めにこれから5年間でどういう具体策をやっていくかということが書いてあります。新 ビジョンの図1にありますように、重要な点を6つ列挙しています。研究資金の集中投 入、ベンチャー企業育成策、臨床研究・治験環境の整備、アジアとの連携、治験の迅速 化・質の向上、イノベーションの適切な評価、この6つが非常に重要であるということ はだれも疑いのないことでありますが、この順序に従って集中期間に具体策の何をやる かということをできるだけ具体的に、達成目的を明快にしながら、この順序で書いてい ただけるとありがたい。  具体策のところを拝見しますと、まず知的財産というのが出てきますが、知的財産と いうのはビジョンの中でどこに取り上げられているのかが明快ではなかった。まず研究 資金の集中投入から始まってベンチャー育成、臨床研究・治験環境の整備、この順序で 具体策を書いていただいた方が我々としてはビジョンと中期計画のつながりという意味 でわかりやすいのではないかという気がしました。  中に書いていただいております戦略については我々としても妥当なものであると思い ます。前ビジョンでは24ページで新薬開発の流れをつくって、その中で国の施策として 何をやるかということを具体的に書いていただいております。研究のところでは基盤技 術の研究開発支援、開発のところでは治験等の臨床研究環境の整備、生産のところでは 承認審査の迅速化など審査体制の充実、国の施策を明快に記載していただいています。 国がなさること、企業の責任を分けて、5年間にどこまで到達すべきか、そのために何 をなすべきかということを明快に記載していただくとありがたい。形式論的になりまし たが、これからビジョンをつくって、それによって我々の仕事を進めていくという段階 では、そういった考え方があるのではないかと思いながら拝見いたしました。 ○武田課長  ありがとうございました。ビジョンが分厚くなったからということでは必ずしもない んですが、本日は全文は配付させていただいておりません。前回のビジョンの全文も配 付しておりませんので、ただいま青木会長からヘージに従って御指摘いただいた点が参 照できない形になっておりまして、その点をおわび申し上げておきたいと思います。  続きまして、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の加藤副会長、お願いいたします。 ○加藤副会長  加藤でございます。本日は会長が所用のため私がかわりに発表させていただきます。 まず、このような機会を与えていただいてありがとうございます。スライド8枚ですの で、1枚1分ぐらいのペーズでやらせていただきたいと思います。  ○ スライドにタイトルがありますが、まず最初に総論です。  新ビジョンの最後に記されているように「医薬品は、国民の生命・健康に重大な影響 を与え、医療保険財政とのかかわりも深い」、まさにそのとおりだと思います。しかし このビジョン全体を読ませていただくと、この大切なことの横ぐしの印象が少し弱いよ うな気がします。  少子高齢化の中で医療費を抑えなくてはいけないということがあるわけですが、予防 医療を含む医療のあり方、医療費とのバランス、イノベーションの促進と薬剤費のバラ ンスをどう図っていくのか。この辺は非常に重要なことですので、医療費と医療の質を 落とさないということのバランスを踏まえた上でのビジョンでなければならない、そこ を避けては通れません。この点について厚生労働省としてのビジョンを明確にしていた だけたらと思います。  外資系も日本の医薬品産業もそれなりの貢献をさせていただいておりますので、国民 への利益という観点からすれば、企業のオリジンを問わず、産業全体の育成についても もうちょっと議論していただいてもよろしいのではないか、このような印象をまず最初 の大きな印象として持たせていただきました。  ○ 次は新ビジョンの構成についてです。  ビジョンが5年を経て新しくつくり直していただくというのは継続という観点から歓 迎すべきことですし、今日のような会があること自身もすばらしいことだと思います。  こうしたビジョンは5か年で作られるわけですが、医薬品産業の育成というのは中・ 長期、短期、いろいろなものが織りまざっています。したがって5年というスパンは短 くもあり長くもあるというところであります。  そうした観点から、短期の目標は現在のボトルネックを明確にして、それに対する具 体的なアクション、何を達成するかということをコミットする形で書いていただく。中 ・長期の目標については、他省庁との横断的協力も取り入れて、段階的にマイルストー ンを設定して、達成すべき点の道筋を示していただくということをメリハリをつけて書 いていただいたら、よりよいのではないかと考えます。  ○ 産業育成についてです。  産業の育成には経済的動機づけ、あるいは経済的誘導が不可欠で、インセンティブな くして産業育成はないと考えます。特に新薬を提供する業界団体の立場から申しますと、 経済的誘導としては、新薬導入までの種々のハードルの軽減・撤廃、及び新薬の評価で あります。  ビジョンの中にも縷縷書かれていますように、新薬の導入に関しては具体的な進歩が 進んできております。まだ道半ばとはいえ、これは歓迎すべきことでありますし、着実 に実行していっていただきたい。  イノベーションの評価については、概念論及び既存の制度の枠を出ていないのではな いか。産業を育成するためにはイノベーションが必要ですが、イノベーションをどのよ うに評価するかということを明確にして、本当の意味での産業育成論にしていただきた いと考えます。  ○ 日本vs.世界と書かせていただきました。  医薬品産業あるいは新薬の創製はボーダーレスの時代に突入しています。しかし新ビ ジョンは必ずしもこの流れに沿っていないのではないかと感じます。  科学的基盤、シーズの発見から臨床試験・治験、承認審査、製品化に至るまで、ボー ダーレスの視点でとらえないと、真の競争には勝てません。世界中の製薬企業は世界に シーズを求めており、世界のリソースを駆使して開発研究を実施しています。  日本の科学的基盤を強化することは重要ですが、逆に日本企業は世界のシーズ獲得競 争に勝てる条件をつくるとか、あるいは日本が世界のシーズ発見をリードするにはどう したらいいか、そういった意味でグローバルに目を開いていただいてもいいのではない かと考えます。  日本市場が真に国際化するには、世界のトップブレインが日本の魅力を感じて、日本 でも活躍できるような医薬品産業、科学界にするということがグローバル化の別の意味 のステップではないかと考えます。  ○ 日本の臨床試験・治験であります。  日本の治験環境の改善は待ったなしの状況というのは、厚生労働省が進められている 治験の活性化を見ても明らかであります。  治験環境のグローバルスタンダード化は急務です。最近、治験のスピードは、やり方 によっては速くなっています。弊社でも世界に比べてスピード自身は劣らないようにな ってきています。しかし、日本の治験は高いです。したがって、世界の企業が日本で治 験を行うか、投資するかどうかという時に、これは障害になりつつあります。日本と同 じ費用でヨーロッパでは全体の治験ができたりしちゃうわけです。  今までは制度とか環境が問題でしたが、コストをこのままほっときますと、いくら制 度面が改革されても、第二のドラッグ・ラグのもとになる可能性があります。これは我 々としては非常に大きな問題であります。  今回のビジョンではアジアに目を向けられました。すばらしいことだと思います。ア ジア治験というのも前に比べてやりやすくなりました。しかし、さらに一歩踏み込んで、 日本がアジアの治験のハブになるにはどうしたらいいか、どうすれば日本を中心にアジ ア全体の治験ができるか。これは、アジア人にとって最適な用量や用法を見つけるとい う意味でも非常に重要ですので、ぜひこの辺も主導的立場をとっていただくようお願い したいところです。  ○ 薬価制度についてです。  本文の54ページには、イノベーションを適切に評価し云々と書いてあります。まさに そのとおりであります。新ビジョンの達成のためには現在の延長線ではなく、抜本的な 改革に切り込んでいっていただきたい。この改革についてもマイルストーン管理で的確 に進めていっていただきたいと考えます。  ○ ワクチンについてです。  今までは治療医療ということでしたが、予防医療については医療費の将来の削減とい う意味からも非常に重要です。現在、世界にある優秀なワクチンの導入を急いでいただ くとともに、薬事的なハードルを低くしていただきたい。ワクチンは国の基本でありま すので、供給の面も考えなくてはいけませんが、将来、予防医療を考える上でも非常に 重要ではないかということで、最後に付け足させていただきました。 ○武田課長  ありがとうございました。  続きまして、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の平手委員長、お願いいたします。 ○平手委員長  PhRMAの平手でございます。きょうは新医薬品産業ビジョンというとで、患者さ んへの適切な医療供給というのが前提だと思いますが、その上で産業育成という観点で の意見交換と認識しておりますので、いかに医薬品産業を育成するのかというところで いくつかコメントをさせていただきたいと思います。  PhRMAは「新医薬品産業ビジョン」策定に関して厚生労働省の多大な努力とコミ ットメントを高く評価いたします。高齢者のみならず、子供から幅広い層の日本の患者 さんからのニーズの高まりに対応できるという意味で、日本の医薬品産業を力強く健全 で競争力あるものにするということで、方向的に今後数年間、患者、医薬品産業及び政 府が直面する難しい環境について述べた重要な文書になるだろうと思います。  「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年計画」あるいは新たな「治験活性化5 か年計画」という文書が既に出ているわけですが、その2つを合わせたような部分プラ スアルファのものが今回のビジョンであるように感じております。  ドラッグ・ラグを軽減・解消し、日本を新薬開発の中心として、日本の患者さんが世 界最先端の医薬品を使えるようにするためにどうするかという方向性は見えてるかなと 思います。こうした計画に加えて国民の健康状態の向上及び医療費全体の抑制と、新た に予防医療についても重視しているということで、方針として非常に望ましいと思いま す。  具体的な目標設定の必要性があるかと思いますが、これは最後に述べさせていただき ますまず。お出しいただいた原稿の内容についてコメントをいくつかさせていただきま す。資料4のスライドをごらんください。  ○ まずスライドの2ですが、医薬品産業の独自性を強調しておきたいと思います。  これまでこの議論は余りなかったように思いますが、自動車や電子機器のような製造 業とは異なります。医薬品は製造業の統計にくくられることが多いんですが、研究創薬 型・先発医薬品産業は特許が最終製品の主要な部分を占めるわけです。知的財産を基盤 としている産業です。  今回のビジョンでは、新薬開発を促進して医薬品産業が成長するために必要な経済的 ・科学的・技術的及び規制上の環境について述べられています。先発品産業は知的創出 型、後発品産業は効率的な製造業ということで、薬を患者さんに届けるという意味では 同じ産業ですが、産業を育成するという観点では明らかに違う産業です。先発品産業は 特許を目指して革新的なものをつくることを使命として、そこによって立つ業界ですが、 後発品は製造業のすばらしさを追求して、効率的な製造業あるいは安価で安全なという ところに立ちますので、産業育成の観点が違うということを御理解いただけたらと考え ております。  そういった理解を深めますと、先発品産業はどうすれば育成できるのか、後発品産業 はどうすれば育成できるのかという観点が入ってくるように思います。また、先発品産 業は大きな納税産業であることも強調しておきたいと思います。  ○ スライドの3ですが、第2に、PhRMAはドラッグ・ラグ短縮化及び解消と承 認プロセスの迅速化を強く支持いたします。  開発期間1.5年、承認期間1年、これについては厚生労働省あるいは機構の皆さんが パブリックにコミットしていただいております。これは清水の舞台から飛びおりるよう なコミットをしていただいたと理解しておりますので、痛みを伴う治験の環境がきょう あす、すぐ改善されるわけではないとしても、業界側も我々会社の側も国際同時治験の ような形で、それに向かって協力をしたいと考えております。会社側が息切れする前に 環境の改善ができるところまで何とか協力しながら官民一体となっていかなければいけ ないなと考えています。  第3に、日本人の健康を考える上で予算を管理するだけではいけないと考えています。 1年ごとの予算サイクルでは個人の健康について考えるサイクルとは一致しません。病 気は会計年度に合わせて発症したり治療をしたり治癒したりするものではありません。 日本は世界で2番目に豊かな国であり、急速に高齢化が進んでいますが、GDPに占め る医療費の割合はOECD加盟国の中で低いレベルにあります。これは皆様御承知のと おりで、繰り返すと耳の痛いところだと思いますが、日本の患者さんがみずからの健康 と生活の質(QOL)の向上に必要なものこそ医療政策の最先端事項にあるべきだと考 えています。  QOLの観点からは疾病予防への一層の取り組みが期待されます。単年度の予算では 難しいところがありますので、そういった考え方を見ていただけたらと思います。  ○ スライドの4ですが、第4は薬価制度です。  ビジョンは、現在の薬価制度がドラッグ・ラグの深刻化に大きな影響を与えることに 触れています。医薬品産業のイノベーションに伴うリスクと投資を考慮に入れた場合、 革新的医薬品の適正評価の必要性を認めておられます。これは非常に高く評価できると ころで、現状認識が官民で一致したかなと考えています。ドラッグ・ラグは、日本の患 者さんが他の国々で既に認められている新薬にアクセスできないという問題を生んでい るだけではありません。日本における研究創薬型企業の新薬開発活動を空洞化させるこ とにもつながっていると思います。  価格、イノベーション、患者の新薬へのアクセスという要因の関連性を認識している 認識しているビジョンに賛同します。  新薬への適切な評価と後発品の使用促進という2つのテーマをバランスよく実現させ るべく、新しい包括的な薬価制度の確立を真剣に検討することを要望いたします。  日本の治験環境に簡単に触れますと、理想的には米国という大きな市場と同時に新薬 の申請を行い、同時に承認され、同時に医薬品を上市する、すなわち患者さんに届くと いうことが実現できれば、患者さんの新薬に対するアクセスの問題はほぼ解消されたと いうことができると思います。これを目標にして、そこから逆算をした作業が必要にな ってくるかなと考えています。  ○ スライドの5ですが、ビジョンは、患者さんにより多く、より充実した情報を提 供する必要性に言及している点を高く評価したいと思います。ビジョンで取り上げられ ているのは主に市販薬についてですが、市販薬に限定するのではなく、患者さんが自分 の医療と健康について十分理解した上で判断を行うための必要な新薬に関する情報を含 めて、すべての情報が得られるような計画あるいは策を検討することをお願いしたいと 思います。  最後に、ビジョンに示されたコミットメントは大変すぐれた進歩的なものであります が、重要なことは実際に結果を出すことだという点を指摘しておきたいと思います。結 果は測定可能でなければなりません。  厚生労働省は現時点から2012年までの間における具体的な目標(可能な限り測定可能 な明確な数値目標)と目的達成の期限を設定すべきではないかと考えています。そうす ることによってビジョンのゴールに向けての進捗状況を毎年確認することができるよう になります。機構の増員等も各方面からのバックアップがありますので、期限を切った 目標を置いても、官民一体となってやっていけるバックアップグラウンドも追い風もあ るのではないかと思います。民間も協力いたしますので、そういう形で考えていただけ ればと思います。  最後に一言申しますと、前回のビジョンに基づいて実施された活動が報告されていま すが、それらが最終的にどのような成果につながったのか提示していただければ、定量 的な評価の重要性を関係者が理解して、今後の定量的な施策、指針の道筋をつけるのに お役に立つのではないかと思っております。 ○武田課長  ありがとうございました。  続きまして、医薬品産業情報研究会(PIフォーラム)の豊田理事、お願いいたしま す。 ○豊田理事  医薬品専業メーカーではない企業で構成されているPIフォーラム約30社を代表し まして報告させていただきます。各メンバーより5つの項目について意見をまとめてあ りますので、5点ほど御説明申し上げたいと思います。  まず1点目は、新ビジョン策定の考え方についてです。  今回の新産業ビジョンの策定にあたって2つのことが目標になっています。1つは、 世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に提供する。もう1つは医薬品・医療機器を産 業を日本の成長牽引役にしていくということです。  これにつきましてはいろんな課題があろうかと思います。承認審査、治験などの問題 につき具体的なアクションプランを策定し、改善を図っていくことは当然ですが、同時 に、医薬品・医療機器産業を日本のリーディング産業にしていきたいと位置づけた意味 合いは極めて大きいと思っております。  世界最高水準の医薬品、基礎研究の充実、臨床研究の充実について国家プロジェクト ということで産学官の連携を強力なリーダーップのもとで引っ張っていただきまして、 医薬品マーケーットシェアを魅力的に拡大できるよう、政策の立案と推進をお願いした いと思います。  2点目は製薬産業の将来像についてです。  ・製薬産業の将来像の中で、異業種企業の役割が取り上げられました。ベンチャー育 成のアクションプランと同様に、その役割の一層の明確化や育成支援策、また融合技術 から生まれた画期的製品の適正な価値の評価等の検討をお願いしたいと思います。  ・製薬企業の向かう方向性として5つのタイプに分類されていますが、これらの企業 群の発展をバックアップする視点がもう少しあってもいいのではないかと思います。  医薬品産業が日本のリーディング産業として確立するために、レギュレーションの見 直し、産業振興策の必要な施策を時間軸を示して提示していただきたい。このことによ って、タイプごとの強みを生かした業界再編が好ましい方向に進むのではないか。  ベーシックドラッグは医療を支える基礎的な必須医薬品です。これについては安定供 給が重要だと思っておりまして、バルキーなものについての非常時の備蓄の問題とか、 付加価値が低い薬も設備投資が非常にかかるので、こういうものに対する税等の優遇、 一定部分の審査の簡便化もお願いして、ベーシックドラッグに合った対応をお願いした いと思っております。  3点目は研究開発支援、治験・臨床研究の推進についてです。  ・現行の研究開発促進税制では、企業が活用できる状況とは言えないと考えておりま して、制度の充実・拡充の努力をお願いしたいと思います。  ・医療機関における治験・臨床試験の実施体制の充実がアクションプランとして掲げ られていますが、この一層の充実を期待します。具体的には、治験に対するインセンテ ィブの向上と治験の質を向上させるための医師に対する指導の充実をお願いしたいと思 います。  4点目は承認審査についてです。  ・審査人員の補充によって、審査の迅速化・質の向上を図ることは重要ですが、人員 補充策のみでは不十分と考えます。審査員個々の質の向上はもとより、審査チームとし ての組織マネジメントの向上、及び審査自体の透明化を図ることも重要です。ドラッグ ・ラグの原因は人員の問題とともに、審査のあり方にもあると考えますので、そういっ た観点からもお願いしたいと思います。  ・日米欧審査当局の連携は以前より重要な課題となっていますが、依然として3極で 重複して要求される試験や審査上の対応が多いという実情を改善するには至っておりま せんので、改善をお願いしたい。  ・喫緊の課題であるドラッグ・ラグ解消のためには、日米欧審査当局のいずれかで承 認された品目は最低限の人種差確認を行った上で残りの地域でも承認することを目指 し、審査要求事項の抜本的な統一化を図るなど、実効面に寄与する施策を実施していた だきたいと思います。  5点目は後発医薬品市場の位置づけについてです。  後発医薬品の市場育成については、保険財政上の対策として一定の理解はしています。 ただし、新医薬品産業ビジョンが、医薬品・医療機器産業を日本の成長牽引役にするこ とを目的としている点から見ると、冒頭にありました「後発医薬品使用促進に基づく医 療保険財政の効率化によって得られた経済的資源を新規医薬品・医療機器の適切な評価 に反映させ、我が国医薬品・医療機器産業の国際競争力を強化させる」という位置づけ が適当であると考えます。  以上5点、PIフォーラムを代表して報告させていただきました。 ○武田課長  ありがとうございました。  続きまして、医薬工業協議会の澤井会長、お願いいたします。 ○澤井会長  ジェネリックメーカーの団体であります医薬協会長の澤井でございます。本日はこの ような場で説明をさせていただく機会をいただきまして感謝しております。また、政府 が2012年までにジェネリック医薬品のシェアを30%という目標を出してくださいまし て感謝するとともに、これをどう実現していくか、我々の取り組みについて、スタイド に沿ってお話をさせていただきたいと思います。  ○ 1.世界のGEシェアです。  今年の6月、イスタンブールでヨーロッパジェネリック協会の総会がありまして、医 薬協の対欧委員長が招待され、そこでIMSヘルスからこの数字が発表されました。こ れまで日本にあったデータより、はるかに数量が伸びています。アメリカとカナダが60 %を超えていますし、41%といわれていたドイツが56%、イギリスも59%、日本よりシ ェアが少なかったフランス、スペイン、イタリアが日本の2倍、あるいはそれ以上のと ころが出てきたということで、この数字は非常にショッキングなものではないかと思い ます。  特許の切れてない新薬の期間のものが約30%と考えた場合、70%の特許の切れたもの が90%替わらないと63%にならない。ということで、特許が切れれば同じ金で安いジェ ネリックという、経済合理性の進んでいる欧米ならではの数字ではないかと思います。  ○ 2.なぜ日本ではジェネリックが伸びないのか。ジェネリックの有効性・安全性 に対して信頼性がない。そういう声も実際に聞いています。そのことを否定するわけで もなく、真摯に受けとめてはおりますが、ジェネリック医薬品の有効性・安全性・品質 については厚生労働省で厳しい審査を受けています。この表にありますように、すべて の項目でアメリカFDAの項目と同等以上の項目をクリアしています。  ファモチジンの例ですが、原薬中の不順物が日本の方が0.5%以下と非常に少ない。 錠剤中の含量も非常に厳しい状況にあります。有効期限内に93%まで劣化した場合、ア メリカでは合格ですが、日本では不適ということですので、日本の審査基準は極めて厳 しいと理解していただきたいと思います。  有効性・安全性については生物学的同等性を証明しなければ承認になりませんので、 血中の濃度でAUCやCmaxが同等であるということであれば、これは世界の公的機 関であるアメリカのFDA、ヨーロッパのEMEA、日本の厚労省、WHO等で学問的 にも確立しているわけです。そのために、世界共通でジェネリック医薬品は膨大な臨床 データは不要ということになっています。つまり生物学的同等性試験が臨床データにか わるものということです。  というわけで、日本のジェネリック医薬品は欧米と同じく、品質・有効性・安全性が 先発品と同等であるということになっています。  ○ 3-a.なぜ日本でGEは伸びなかったのか。  3年前の世界GE大会にWHOの方が来られて、「GE普及の条件」として、このよ うな提言がなされています。  ○ 3-b.6月のヨーロッパの大会において、GEについて非常に有名な学者である シモンズ教授が何十年にわたって世界のGEの状況を調べて、GEが伸びるためにはど ういう条件が必要かということで7つの提言をされています。  この2つが共通しているところは、医師、薬剤師のGEに対する経済的インセンティ ブが必要であるということではないかと思います。  ○ 医療現場においてGEの問題点が指摘されています。  1.安定供給に対する指摘として、中小企業が多いではないか。  2.情報提供に対する指摘として、MRを呼んでも来ない。  3.品質についても不安だという指摘があります。  これらについて私どもは真摯に受けとめて、次のような取り組みをしております。  ○ 4-a.医薬協の取り組みです。  医療現場の指摘に対応し、5年後までにGEのシェアを30%以上拡大するという政府 の方針にこたえるためのGE業界の取り組みとして、厚労省の指導と監修を受けまして Q&A集を作成して全国の医療機関に配布しています。  また、医薬協内に各社の総括責任者をメンバーとした信頼性向上プロジェクトを発足 させました。  ○ 4-b.医薬協の取り組み−具体例です。  1.安定供給については、シェア拡大に備えた巨額な設備投資をして、各社が工場生 産ライン、研究開発施設等の新・増設をやりつつあります。  また、GEの流通網の改善として、医療現場のニーズに応じた流通網の販売組織の確 立ならびに大手卸への取り組みをやっているメーカーもあります。  厚労省の指導で全規格供給への対応として、会員同士の共同・分担生産による全規格 品の供給をタイムリミットの範囲でやるべく進めています。  2.情報の収集と提供については、ITを活用した医薬品情報の伝達、生物学的同等 制試験結果等の積極的な開示、MRの増員などの取り組みをやっています。  3.品質の確保については先ほど申しましたようにやっておりますが、同時に、厚労 省がされている品質再評価にもきちっと対応して、ほぼ最終段階にきております。  ○ 5.GEの使用促進に対する提言を申し上げたいと思います。  (1)GE先進国の欧米のように、国が積極的にGEの品質・有効制・安全性に対し、啓 発活動を活発化していただきたい。  (2)現行の薬価制度についてGE業界の主張を重視し、改革する。GEの使用促進につ いてばGE業界の主張を重視し、新薬の薬価制度については新薬業界の主張を重視すべ きだと考えています。密接な相関関係がありますので一方的なものは受け入れられない とは思いますが。  (3)3処方せん様式のさらなる変更。患者さんが薬を自由に選べるようにするため、さ らなる変更によって欧米型の代替調剤に近づいていくのではないかと考えています。  (4)先発品をGEに替えた場合、医療機関が経済的メリットを失うことがない制度、特 に医師・薬剤師に不利益にならない制度。  (5)欧米のように、流通を担当する卸がGEに替えても不利益にならなうにする。  ここに提言しましたのは我々ジェネリックメーカーが考え出したものではございませ ん。いずれもGEのシェアの高い欧米の実態を反映したもので、こういう状況になって いるということです。このようなことで、5年後の政府目標の30%をきちっと受けとめ て、実現するように努力していきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと 思います。 ○武田課長  ありがとうございました。  続きまして、日本大衆薬工業協会の上原副会長、お願いいたします。 ○上原副会長  こういう機会を与えていただきましてありがとうございます。今までは大衆薬と呼ん でいましたが、21年度から一般用医薬品の販売制度が大きく変わることになり、私ども の位置づけも変わらなくてはいけない。私どもの業界は従来、医薬品の生産高の15%で したが、最近では10%を切るような状況になりまして危機感を持っております。そうし たこともありまして、来年の4月1日をもって日本OTC医薬品協会と名称を変えまし て、心機一転、打って出たいと思っております。法的用語の一般用医薬品と同義語であ ると考えておりますが、違うのは、テレビ、新聞等の宣伝が認められているということ です。  新医薬品産業ビジョンは、少子高齢化社会にある我が国が健康で豊かな生活を営むこ とを医薬品の供給を通じて支える基本的構想であると考えております。そのためには、 従来の概念を超え、OTC医薬品の新領域・新分野への活用を進めることが、我が国の 医療保険制度の健全化にもつながるものと考えます。  OTC医薬品の活性化というのはイノベーションを促進することにも大きな支えにな ると考えています。「新健康フロンティア戦略」では、健康寿命を延ばす大きな障害で あるメタボリックシンドロームへの諸対策の一層の推進を図る中で、「身近にある大衆 薬の適切な利用」が挙げられています。  一連の大衆薬、OTC医薬品の市場を伸ばすためには、皆さんがおっしゃっていると おり到達目標を数値で掲げ、それに向かって努力することが必要たと考えております。  具体的な提言を申し上げたいと思います。  1.新領域・新分野へのOTC医薬品の活用についてです。  ・生活習慣病予備群に対してOTC医薬品を活用できるようにさせていただく、これ が医療費の適正化や膨張抑制に役立つと考えています。  ・これまでOTC医薬品については安全性確保に重点が置かれていましたが、今度の 新しい販売制度の整備を踏まえて、効果にすぐれたOTC医薬品の承認・許可に向けて、 基準等の整備をお願いしたいと思います。  ・生活者へのセルフメディケーションの普及や、OTC医薬品の選択肢拡大のために は、生活者からの支持・応援が肝要です。そのような環境醸成に向け、生活者の自助努 力に対する経済的インセンティブ、保険料が安くなるとか、課税控除の対象を広げると か、生活者から支持が得られるような施策を追加していただきたいと思います。  2.スイッチOTC医薬品の市場化促進です。  ・オリジナルな薬剤を開発した企業へのインセンティブが必要だろうと考えています。 欧米と比べると日本のOTCはかなり後れていますので、こういったことを促進してい ただきたい。  なお、欧米企業は、ジェネリック薬参入に伴う医薬品価格の極端な下落対策として、 OTC医薬品市場で一定期間の「先発権」を得ることが可能なスイッチ化を推進してい ます。そのようなメリットも与えたらいかがかと思います。  ・現在、オリジナルメーカーへ個別の症例解析等を求められ、スイッチのためにオリ ジナルメーカーの同意が不可欠になっていますが、承認申請時に求めないような方策を 考えていただけたらと思います。  3.メタボリック症候群が強く疑われる者の健康管理、回復へのOTC医薬品の利用 です。  ・とりわけ、メタボリック症候群が強く疑われる者に活用するため、海外で見られる ように血中脂質、血圧等低下をもたらす医薬品をセルフメディケーションの場で予防的 に用いることを検討していただきたいと思います。  ・このため、スイッチ化において、メタボリック症候群が強く疑われる者の健康管理、 回復に使用できるよう、医療用医薬品の最小用量ということもお考えいただきたいと思 います。  ・安全性の問題につきましては、生活者が自費で購入されるものですから、経済的な 面でも乱用にはつながらないと思います。新販売制度で、スイッチOTCは第一類医薬 品として、薬剤師による助言に基づいた適正使用がなされるため、安全性も確保される と思います。  4.その他支援措置についてです。  ・審査ルールの明示、標準事務処理期間の遵守など円滑な事務処理を実現するため、 迅速かつ透明性のある審査体制の整備をお願いしたいと思います。  ・医師の診察を経てOTC医薬品が活用される機会の拡大に備えて、医師と薬剤師に よる新たな連携の仕組み構築する必要があります。例えば、欧州に見られうように処方 せんを介して医師がOTC医薬品利用を患者に示唆し、薬剤師が相談に応じる、といっ た工夫について検討する必要があると思います。  ・適正使用に関する情報を活用するため、環境整備や教育・研修の充実を産学官が協 力して行う必要があると考えています。  ・我が国のすぐれたOTC医薬品を近隣諸国を初めとした国々に提供できるよう、官 民の協力を進める。例えば、アジア太平洋地域の医薬品関係会議に官がより積極的な参 画を進めるとともに、民もこれを支える協力を行う。このような活動により、医薬品そ の他の国際流通が進展すると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○武田課長  ありがとうございました。  続きまして、日本医薬品卸業連合会の松谷会長、お願いいたします。 ○岩崎理事  日本医薬品卸業連合会の岩崎でございます。私から説明させていただきます。  どんなに優秀な医薬品が開発されようとも、必要な薬が必要な量、必要な時、必要な 患者さんに投与されてこその医薬品の価値だろうと思っております。そんな意味でも前 産業ビジョンに引き続き、医薬品の流通について産業ビジョンを示していただいたこと に感謝申し上げます。医薬品卸業は我が国の医療の充実、医療保険体制の円滑な運用に 貢献していると自負いたしております。今後ともその機能の向上に努め、社会的責任を 果たしていきたいと考えておりますので、ビジョン実現のための政策を実行されますよ う希望する次第でございます。お配りした資料に従って申し上げたいと思います。  ○ まず最初に安定供給についてです。  日本の卸売販売は毛細血管型流通機能と申しますが、日本では薬剤を供給するポイン トが約22万件あります。ちなみにアメリカでは約6万件、ドイツでは約2万件とされて います。そういう意味からも毛細血管型物流機能の一層の充実が必要であると考えてい ます。  そのためには、卸の努力に加えて、国の合理的な薬価制度の設計と運用、流通の適切 な方向づけを今後とも希望します。  平常時ばかりではなく、災害時の危機管理流通のあり方が重要な問題となっておりま すし、卸としても実践的なマニュアルを作成中ですので、行政を初め関係の方々と協議 をさせていただきたいと考えております。  ○ IT化の推進−−トレーサビリティについてです。  不良・不正な医薬品による健康被害の発生防止のための迅速かつ完全な回収や、危険 情報の伝達を行う上で、流通コードの標準化とそのバーコード表示が必要です。  昨年9月に厚生労働省の医薬食品局により、生物由来製品だけに標準化された流通コ ードの表示が義務づけられました。その他の医薬品についても任意扱いのままではなく、 きちっとスケジュールを示していただくようお願いしたいと思います。  昨今、製品の瑕疵を原因とするメーカーの自主回収件数が増加しておりまして、2007 年7月末で100件を超える回収依頼を受けています。  一方、一般用医薬品については流通コードの標準化が図られておりません。医療用医 薬品と同様に、トレーサビリティの観点から、早急に流通コードの標準化とそのバーコ ード表示を実現する必要があると考えます。  ○ IT化の推進−−偽造医薬品対策・医療安全対策についてです。  現在、世界に流通する全医薬品の10%が偽造医薬品であると言われており、それらに よる甚大な健康被害が報告されています。  アメリカでは、医薬品のトレーサビリティ確保・偽造医薬品の流通防止のため、28州 でペディグリー法が制定されており、医薬品の取引に当たっては、その流通履歴証明書 の発行が義務づけられています。  また、我が国の医療の現場では、ヒヤリハットの事例が多く報告されています。平成 14年4月に開催された厚生労働省の「医療安全対策検討会議」の報告及び15年12月の 「厚生労働大臣による医療事故対策緊急アピール」で、流通コードのバーコード表示に よる医薬品の誤投薬防止などITを活用した医療安全対策の推進の必要性が表明されて います。  結論として、医薬品のトレーサビリティ確保、偽造医薬品対策、医療安全対策のため には、流通コードの標準化と全医薬品へのバーコード表示を行うことが重要です。この このにより、医薬品分野でのIT化が促進され、医療安全や医薬品流通の高度化が進展 するものと考えます。  ○ 次に情報機能の評価です。  医薬品は効能効果・副作用・使用方法等の情報が適切・正確に伝達かれることによっ て初めてその価値が発揮できる製品です。  そのため、卸企業は、医療機関等に対して情報提供機能を果たしているMSの質的充 実に努力してまいりました。今回のビジョンでMSの存在意義を高く評価されましたこ とは、卸企業にとて大きな励みになりました。  MSが、医療機関等の医薬品選択時に、医薬品の比較情報の提供等を行うことにより、 医療水準の向上に寄与できるよう、今後とも卸企業としてMSの教育・育成に努める所 存です。  ○ 主体性の確立と題しましたが、医薬品卸企業は、医療保険制度の適正な運営を確 保する観点を踏まえ、医薬品流通の社会的責任を果たすために、今後とも可能な限りの 努力を払う所存です。  特に、かねてから問題になっている未妥結・仮納入問題や総価取引の早期是正を図る ため、経済原則に即した適正価格の形成、合理的な商取引の実現などに努める所存です。 すなわち、社会的に要請される機能を的確に果たすことができるよう経営の革新を図り、 医薬品流通の中核的存在としての主体性の確立に努力する覚悟であることを申し上げま す。  ○ 我々の将来像ですが、医薬品卸企業は厳しい経営環境の中、自身で将来像を描き、 合併、提携、経営資源の再構成を進めつつ、企業としての総合的な力量の涵養に努力し てまいりました。  今回示された将来像は、おおむね妥当な姿であると受けとめていますが、その一つと して示された「新規複合型」につきましては、表示された事例のほか、国際的な事業展 開等の成長分野への進出を行うこともあると考えております。  また、「大衆薬特化型」については、セルフメディケーションを推進する観点から、 周辺業種との水平統合等を図り、消費者の健康へのニーズに幅広く対応していく場合も 想定されるものと考えます。  なお、ジェネリックに目標値が示されたごとく、大衆薬にも何らかの形で目標を設定 していただくなど、大衆薬についてもさらなる御理解と御支援をお願いしたいと思って おります。以上です。 ○武田課長  ありがとうございました。  それでは最後に、日本漢方生薬製剤協会の大西副会長、お願いいたします。 ○大西副会長  日本漢方生薬製剤協会副会長の大西でございます。本日は貴重なお時間をいただき、 まことにありがとうございます。先般発表されました「新医薬品産業ビジョン(仮称) 案」に基づきまして、日本漢方生薬製剤協会より2点の提言をさせていただきたいと思 います。  まず資料9−1をごらんいただきたいと思います。今回のビジョン案では、III.医薬 品産業のイノベーション主導による発展のメカニズムと産業の将来像の中に、製薬産業 の将来像、国際競争力のある製薬産業の構造として、製薬企業の向かう方向性が改めて 5つのタイプに分類され示されています。  1.メガファーマ、2.スペシャリティファーマ、3.ベーシックドラッグファーマ、 4.ジェネリックファーマ、5.OTCファーマの5分類です。日漢協としては、3の ベーシックドラッグファーマの中に、伝統的な医薬品を供給する企業も加えていただき たいと考えております。  すなわち、ベーシックドラッグファーマの定義を「医療を支える基礎的な医薬品・必 須医薬品及び伝統的な医薬品を効率的かつ安定的に供給する企業」とし、その例示の中 にワクチン、輸液、血液製剤、局方品などと並列して、漢方製剤・生薬を加えていただ くことを強くお願いするものでございます。  その根拠としては、資料9−2に沿って説明させていただきます。  漢方医学は、奈良時代に中国から伝わった医学体系が日本独自の発展を遂げた日本固 有の伝統医学です。漢方医学で用いられる薬剤が漢方製剤・生薬です。  明治時代に入り日本は西洋医学中心の医療体系となり、漢方医学は一時衰退しました が、1930年ごろから復興し、現在では大学の医学部、医科大学、80大学すべてで卒業ま での標準的なコマ数である8コマ以上の講義が行われています。  また、机上の勉強だけではなく、65大学では実習の場として漢方外来が開設されてお り、このことは日本の大学、医学界において漢方医学の必要性が強く認識されている結 果であり、漢方製剤や生薬を用いた治療は国民医療に必要不可欠な存在となっていると 考えています。  中国や韓国の医療体系は、中医学・韓医学と西洋医学の2つの医学体系が峻別されて います。一方、我が国においては1人の医師が1つの医師免許によって西洋医学と漢方 医学をともに駆使できる世界で唯一かつ最高の医療制度であります。このような環境の 中で漢方薬の作用機序や治癒効果も現代医学の中で解明されてきており、その研究成果 に基づき、漢方医学や漢方製剤を世界に発信し輸出できる大きな可能性があります。  昨今、中国は国家戦略として中国の伝統医学及び中国製の製薬生剤によって植物薬の 世界市場制覇をねらっていることは十分承知されていることと思います。しかしながら 中国製の生薬製剤は均一性、安定性、安全性等の面で種々課題があります。一方、日本 の製剤技術の高さはアメリカのFDAからも評価されています。  このような背景がありますので、漢方製剤・生薬を効率的かつ安定的に供給する企業 をベーシックドラッグファーマの一つとして取り上げていただき、今後とも質のよい製 品を安定的に供給していけるような企業体質の強化に御支援を賜りますようお願い申し 上げる次第でございます。  次に資料9−3をごらんいただきたいと思います。本ビジョン実現のためのアクショ ンプランの中の4.薬価制度・薬剤給付制度の今後のありの記述に関して御提言申し上 げます。  イノベーションにより創薬された革新的な医薬品、あるいは特許期間満了後に出てく る後発品といった医薬品に関する記述に加え、これらの範ちゅうに入らない医薬品に係 る薬価制度のあり方も御検討いただきたいと考えております。  先ほどのベーシックドラッグファーマの観点から、「また、医療を支える基礎的な医 薬品・必須医薬品及び伝統的な医薬品について、継続的な薬価の下落の中では安定供給 に支障をきたす状況にあり、検討が必要である」という文言を追加していただきたいと 思っております。  現在、薬価基準に収載されている漢方製剤及び生薬で、漢方医学に基づく医療は十分 実践できると考えておりますが、現行の薬価制度のもとでは、採算がとれる新たな製品 の上市は困難であります。また、疾病構造の変化や医学水準の向上に伴い、新たな適応 疾患の治療を目的とした漢方製剤の開発が考えられますが、医療用漢方製剤の特徴を反 映した承認ガイドラインが存在しないため、新規処方、新投与経路、新剤形、剤形追加、 効能追加等、新規医薬品の上市が非常に困難です。  このようなことから、新たな医療用漢方製剤は過去20年以上にわたり全く上市されて いませんし、今後も上市されることは考えられません。生薬についてもほぼ同様の状況 です。  新しい薬が出ない中、薬価の推移を見ますと、平成8年を100としますと、18年の漢 方製剤の薬価は業界全体で74.2まで下がっています。医薬品業界平均と比べて小幅な引 き下げで終わっているようにも見えますが、これは、今の漢方薬が新しい漢方薬にシフ トできる可能性がないという業界全体の危機意識からくる必死の努力の結果でもあると 言えると思います。  医薬品流通の価格形成の実態から、市場実勢価格と薬価の乖離を調整幅2%の中に収 めることは困難を極めており、薬価は毎回下がり続けています。このままですと薬価は 限りなく最低薬価に近づき、安定供給ができなくなるおそれがあります。新しい薬の出 ない特殊性にかんがみ、ぜひ検討課題に入れていただきたいと思っております。  最後に、漢方医学の考えにのっとって使用される漢方製剤・生薬につきましても安定 供給や国際化等、企業や業界の努力だけでは乗り越えることが困難な高いハードルが種 々ございますので、ぜひとも新医薬品産業ビジョンの中に組み入れていただき、国家と しての後押しを御検討賜るようお願い申し上げる次第でございます。 ○武田課長  ありがとうございました。  以上で、予定しておりました関係団体からの意見につきましては一通り御発表いただ いたということになります。  これから意見交換に入りたいと思います。まず、業界の皆様方からいただいた御意見 について、行政側から確認または回答があればということですが、私から数点、お話し 申し上げたいと思います。  本産業ビジョンの策定に当たりましては、昨年、前経済課長の時からワーキンググル ープ開催に御協力いただきまして、御参加いただきました業界の皆様に感謝を申し上げ たいと思います。本日、意見陳述の中で評価をいただいた団体がありまして、苦労した 私どもとしては大変ありがたく受けとめております。  まず目標設定という指摘がありましたが、可能な限り私どもとしても指標を盛り込む 努力をしたところです。5か年戦略をつくります時、または後発品30%という医薬品の 質の向上・効率化プログラムをつくりました時、それぞれ可能な限りの数値目標を盛り 込んでおります。具体的に、例えば審査人員何人増ということに加えて、アウトカムと してのドラッグ・ラグの解消といった点もその中に入っております。私どもとしては可 能な限り努力をさせていただいたということをまず御理解いただきたいと思います。  政府として将来の予算規模を目標として出せないのかという指摘もありましたが、政 府の予算編成に係る事項は今年のこともなかなか言えない状況で、将来の目標設定が困 難なことについては御理解いただきたいと思います。  過去5年間の評価をきちんとするべきではないかという指摘がありました。過去5年 間、アクションプランの進捗状況につきましては、本日、席上配付をしております。ア チーブメントやパフォーマンスという点での評価が足りないということでしたが、結果 をどう見るかという評価につきましては、最近は行政でもそういう評価をすることが多 くなっています。第三者機関で専門家に議論していただくというパターンが多いのです が、この産業ビジョンのそういった評価については、この場が一番ふさわしいのかなと 思って、毎年開催しているところです。また引き続き御意見をいただければと思います。  企業のオリジンを問わず産業政策を考えるべきという指摘もありました。本ビジョン については企業のオリジンは問わないというスタンスで、内資系または外資系という言 葉を使わない産業ビジョンという形になっています。ただ、日本に基盤または拠点を置 く企業ということは書いております。日本に基盤、拠点を置いて日本の国民に貢献する ことが私どもとして支援をする前提かなと思いまして、そういった点を書かせていただ いているところです。  分量がやたらふえたぞという指摘もありました。この点は産業ビジョンの性格づけに もよりますが、5か年の間に政府としてとった対策がいくつかあります。それを白書的 に記録として書いておくことも必要かなと思いまして、漏れのないように書きましたら 厚くなってしまったというのが正直なところです。資料編が本文に入り込んでいるとい うことかもしれませんが、そういうスタンスで書かせていただいたということです。  医薬品産業を取り巻く環境がボーダーレスになってきているという指摘もありまし た。私も昨年イギリスに参りまして、欧州では、まず最初に英国政府としての産業政策 の議論がなされ、そのあとEU全体として議論がされているということを学んできまし た。EUの場合は物の流通、人の流通を域内自由にするということがあって、必然的な 流れだと思いますが、結果として産業政策的なことについても各国間で議論がされてい るということでして、そういった点も引き続き私どもとしても注目をし続けたい。  ただ、我々はアジアの一員ということもありまして、アジアの治験ハブという御意見 もありましたが、私どもはそこまでは書いておりません。発想としてはそういう発想を 視野に入れつつ、本文の中では「アジアにおける新薬開発をリードしていくべきだ」と いう表現で書かせていただいてるということを申し上げたいと思います。  製薬業界が日本における納税額において屈指の業界であるという指摘もありました。 適当な数字を探しておりまして、最終確定に向けて引き続き検討させていただきたいと 思っています。  一部の団体ですが、業界再編に触れた御意見もありました。医薬品産業全体の国際競 争力の強化、透明性、効率化という観点からは一定の業界再編は望ましいと考えており ますが、施策としては、例えば産業活力再生特別措置法という法律の中で、一定の企業 の経営資源融合計画ということがありますと、政府として支援をすることになっていま す。今後の施策として具体的にあがっているものが当面ありませんでしたので、現状編 の方に入っておりまが、研究開発支援のみならず、医薬品産業の業界再編につながるよ うな政策についても取り組みを関係省庁と協力しながらやっております。産業活力再生 特別措置法につきましては、我が医薬品産業においても過去5年間、利用実績が上って いるということはビジョンの本文に記載しております。  OTCについては、大衆薬という言葉からOTC薬と名前を変えたというお話があり ました。あわてて本ビジョンをめくってみましたら、一般用医薬品またはOTC薬とい う表現で統一しておりますので、付け加えておきます。  予防またはメタボの治療薬のOTC薬の推進について、総括的に医薬局からコメント があれば後ほどお願いしたいと思います。  流通に関してMSの機能評価ということで私どもが書いたものの評価をいただいてお ります。きょうお配りした参考資料1の4ページに医薬品卸売業の将来像とあります。 その中で情報機能の評価のところに「MS機能の質の充実を図ることが必要」と書いて あります。ここの御指摘だと思いますが、本文の中では「流通全体の効率化を図りなが ら」ということがついておりますので、付け加えさせていただきます。  漢方に関する御意見につきましては、今後、産業ビジョンの最終確定の中で検討させ ていただきたいと思います。  私からは以上ですが、卸連さんから流通に関してございました点について、首席流通 指導官から回答を申し上げます。 ○千葉指導官  経済課の首席流通指導官でございます。卸連さんからIT化の推進について御意見を いただいております。昨年9月に医療用医薬品の流通コードの標準化についての実施要 綱というものを通知させていただきました。その中では、特定生物由来製品については 商品コードに加えて有効期限、ロット番号など表示項目の必須義務化となっていますが、 それ以外の製品のロット番号、有効期限の表示については各メーカーの任意表示となっ ております。  卸連さんがおっしゃるとおり、製品回収の際にはロット番号で行われますので、製品 回収を迅速、的確に行う上ではロット表示は必要だろうと思っておりまして、新産業ビ ジョンの中では来年9月以降の各メーカーのコードの表示状況等を定期的に調査をさせ ていただきまして、その状況を踏まえて、必要な指導等を行う予定にしております。  また、一般用医薬品へのコード標準化への取り組みの御要望もありましたが、これに つきましては、今後その状況等を踏まえまして、卸連さんの御意見も伺いながら必要な 対応をとっていきたいと考えております。以上です。 ○武田課長  薬価制度に関しても多数の御意見をいただきましたが、保険局のメンバーが所用で出 席しておりません。私から回答させていただきますと、今後、中医協で議論させていた だきたいということに尽きてしまうわけですが、今週水曜日に業界の意見陳述が予定さ れているようですので、そこから今年の大きな議論が本格的にスタートするということ だろうと思います。しっかりとした議論が確保できるように、私からも保険局に本日の 議論を伝えさせていただきたいと思います。  薬事に関してもいくつか出ておりました。審査管理課長がいらっしゃらないんですが、 どなたか答えていただけますか。 ○山本審査管理課長補佐  審査管理課長が所用によりまして途中で退席させていただきましたので、私から審査 の関係で御要望をいただきました点に答えさせていただきます。  まず、機構での審査人員など皆様方からの御叱咤や御支援をいただきまして、この時 代では珍しく、人員増の実現をみることができました。私どもといたしましては人員の みならず質の向上も含め、これから目標に向かって機構とともにマイルストーンを設け ながら実現していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  それに伴いまして、さまざまな場面で承認の基準、考え方が明らかでないという御意 見もいただいております。これらにつきましては、先般、迅速検討会が第9回で終了い たしましたが、その報告書の中で触れさせていただき、それらをさらに具体的にするべ く、これからも取り組んでいきたいと考えておりますので、その点につきましても皆様 方からの協力を広くいただきたいと考えております。  そのほかにも審査の各面で、我々といたしましても個々の場面、あるいは全体的に企 業の皆様方と意見交換をしながら改善していくべきところがあろうかと思いますので、 その点もよろしくお願いしたいと思っております。以上です。 ○武田課長  医薬局には5か年戦略、またビジョンの策定に関して積極的に協力をいただいており ます。いくつか話し合う場もつくりましたので、議論を続けさせていただければよろし いかなと思います。  一つだけ漏れておりましたが、いくつかの団体から税制についての御意見がありまし た。間もなく今年の要望内容を報告しなくてはなりませんので、御要望の趣旨を踏まえ ながら、関係省とも協議をして検討したいと思います。  それでは、皆様から自由に御発言いただきたいと思います。 ○竹嶋副会長  こういう会で、実際に医薬品をおつくりになる、あるいは流通携わっておられるとこ ろから貴重な御意見を賜りましたことを感謝申し上げます。私は医療を提供している立 場として拝聴しておりました。  医薬品産業情報研究会の豊田常任理事は治験の問題に触れられて、インセンティブの 向上、医師に対する指導の充実ということを話されました。これは厚生労働省に対する 要望だと思いますので、具体的には厚生労働省にお願いしたいと思います。  ジェネリックの問題に関して澤井会長がシモンズ教授の7つの提言ということで、医 師、薬剤師にインセンティブを付与すべきだと具体的に触れられました。  OTC医薬品に関する産業ビジョンへの見解というところでも、今後、医師、薬剤師 と連携をより深めていくことを考えているということがありました。  医薬品産業は一般産業とは違うんだというご指摘がありましたが、そのとおりだと思 います。医療機器にしても薬剤にしても直接人体に入って、実際に作用を起こして、い つも私どもが心配するのは、効能がなければもともと使いませんが、それと同時に副作 用がある。医療機器であれば、人に優しい医療ということから臓器にダメージを与えな いようにということを私ども現場としては常々考えながら、それを産業界に要請してい くわけです。  今日はそういう御意見が出ましたので、当然お考えいただいてると思いますが、こう いう席で、あえてこのことをぜひお願いしておきたいと思います。  5月16日、財政制度審議会の財政制度分科会財政構造改革部会において出された資料 の中にこういう文言があるんですね。医療制度の現状の課題という項目の中で「後発医 薬品のある先発品をすべて後発品に切りかえた場合、国民負担は約1.3兆円減少」と書 いてある。財務省で出される時はこういう形で出すのは仕方ないと思うんです。しかし 厚生労働省は国民に対して良質で安全な医療を提供できるような法的整備を含めた環境 整備をやっていただく省庁ですので、財務省などのお考えとは一線を画すべきだと思い ます。1.3兆円をただ削減するのではなくて、治験とか新薬開発に使うとか、診療の中 で技術的なものに使うとか、そういうことを厚生労働省は主張していっていただきたい と思うんです。それをビジョンの中で声高に御発言願いたい、それを強く要望したいと 思います。  ジェネリックに関しては中医協で議論あるんでしょうが、医療の現場では効能と安全 性が確立されればいいんです。あとは私たちが実際に使い慣れてないところを医療の現 場で啓発していけばいいんですが、そこのところが十分になされているという確証が得 られていないということがあります。  昨日、ある会があって資料が出たんですが、イブフェロン錠の添加物とか有効成分を 日本とアメリカを比べて調べたグラフがあったんですね。アメリカではpHが違う環境 の中でいろいろ条件を変えて溶出速度を測定をやってまして、5つぐらいの放物線がだ いたい似てるんです。ところが日本の場合はバラバラなデータが出てる。日本の方が荒 っぽいのかなという気がしました。私どもとしてはできるだけこういうデータが欲しい なと考えておりますので、そういう資料があれば提供していただけたらと思います。 ○山本副会長  私も薬を扱う立場ですので、おつくりになっている方々のお考えを聞く機会を得られ たことを感謝しております。9割方が医療用医薬品で占められている中にあって、シェ アの少ないOTC、薬局が今後どういう機能を持つべきかということが明確に医薬品の 産業ビジョンとして示されたことについて、薬を扱う者として大変ありがたいと思って おります。  ここでうたわれていますイノベーションというのとOTCの中のイノベーションはど ういう関係にあるのか。イノベーションというと、私どもの感じとしては新しいものを つくっていくというふうにとれるわけです。OTC医薬品の新しい分野を開発する、あ るいは新しい領域をつくるという意味ではイノベーションなのかもしれませんが、実際 に医薬品の開発どどうリンクするのかわかりにくい部分がありますので、今後そうした 点について明確な方向性が示されれば大変ありがたいと思います。  全体について言えば、日本に足を置いた医薬品産業を日本のリーディングカンパニー にしようということで、そういう方向に進めることも賛成ですし、そこでできた医薬品 を適切に評価して医療現場に提供するという考え方にも賛成です。たしかに産業の面か ら見ればそういうことなんでしょうが、一方で患者の視点から見るとどうかという両面 がありますので、そうした部分をきちんと整理する必要があると思います。  現場への提供の速さというのはドラッグ・ラグの問題として大きな課題であることは 十分承知しておりますが、十分な確認なり試験なりが進まない状態で、ただ速く出せば いいということではないと思います。そのあたりの誤解がないような表記なり進め方を していただきたいと思います。それについては私どもは十分に協力する姿勢をもってお りますが、伺っていますと治験の状況がよくない、日本は遅い、人が少ないということ で、ただ時間的に遅いのではないかということだけで議論されますと、なかなか難しい 問題があるのではないかという気がします。  イノベーションについては、開発することは当然必要ですが、短期的な視野で費用を どう見るかという視点と、長期的視野で物をどう見ていくかという2つの視点があると 思います。新しくつくられたものをきちんと評価することがどれほど必要かということ と同時に、余り価格を下げすぎてしまっては物が提供できない、新しいものをつくって いこうという意欲をなくしてしまうような危険がある。時間と価格の掛け算で、どれほ どの薬が提供できるかということもお考えいただかないと、単に新しいものだけつくれ ばいいわけではいい気がしますので、その辺についても検討していただければと思いま す。  もう一つは必ず薬価制度の話になるんですが、それぞれ立っておられる場所や環境が 違う中での御意見かと思います。日本の場合は薬価の問題は保険制度と密接に関連しま すので、そうした部分の議論をしないままに、単に薬価制度が悪い、いいという議論は 片手落ちのような気がしますので、そうした方向も考えていただきたいと思います。薬 価制度を議論することは反対ではありませんが、今の日本の保険制度は維持しようとい う方針があるわけですから、それが壊れてしまうような方向性をもった価格の議論とい うのは皆さん方も望まないのではないかと思いますので、そのあたりも含めてお願いし たい。  製薬産業を5類型に分けられましたが、イノベーションから始まってOTCまで含め た5つの類型で薬価そのものが決まってしまうわけではない。そうすると、現在使われ ている医療用医薬品とそうでない部分をどう整理するのかという議論が出てきますの で、そのあたりもお考えいただきたい。  先ほど経済課長から薬価の話は中医協だというお話がありましたが、議論する方から すると、ここは産業ビジョンですから、流通の問題も大事ですし、開発の問題も大事で すし、ビジョンは何なんだというのはこういうところで議論すべきであって、流通とビ ジョンと絡めて中医協で議論するのはなじむ議論ではないのではないような気がしま す。議論することは中医協の役割だと思いますが、薬を扱う者としては3つの視点を整 理した上で議論していただいと混乱すると思いますので、そのあたりはお願いしておき たいと思います。 ○武田課長  私どもは産業ビジョン、産業政策、そのための審査の迅速化、治験の迅速化というこ とは申し上げていますが、治験の質を落とすとか、速さだけを優先するという議論は一 切しておりませんので、そういう議論が出ること自体、いかがなものかなという感じが いたします。生命をあずかる厚生労働省として、そこは確保しながらやらせていただい ております。 ○林治験推進室長  治験推進室長の林でございます。何名かの方々が治験・臨床研究の環境整備について 言及されておりましたので、今までの取組を簡単に申し上げたいと思います。平成15 年度に治験の空洞化ということが指摘されて、その状況を何とかしなくてはいけないと いうことで、厚労省と文科省とが協力して「治験活性化のための3か年計画」を策定し てきました。この計画の下、関係者の方々に御尽力をいただきまして、特に日本医師会 の御協力で大規模治験ネットワークを構築したり、CRC等の人材育成による治験実施 体制の整備、国民の方々への普及啓発、医師主導治験の実施など一定の成果が得られ、 おかげさまで治験届の数も平成15年度までは減っていたのが、15年に底を打って、増 加に転じております。  しかしながら、私どもとしてはまだ楽観できる状況ではなく、改善の兆しを確実なも のにしていきたいということで、第3期計画の成果を、関係団体の代表の方々に集まっ ていただいて十分に検証していただき、今年の4月から新たな治験活性化5か年計画を 実施しているところです。  この中で体制整備ということが一番重要な柱になっていまして、治験中核病院、治験 拠点医療機関を全部で40選びまして、文科省の橋渡し研究支援推進プログラムの参加大 学とも連携して、体制整備を進めていくための第1回目の話し合いを今週の木曜日に開 催することとしています。その中で、本日御指摘のありました治験のスピードの問題、 コストの問題、人材育成のための研修のあり方、インセンティブのあり方、そういった ことも十分検討して、この環境をよりよいものにしていくために取り組んでいきたいと 思っております。 ○武田課長  薬価につきましても、日本の医療保険制度との関係について触れられまして、業界か らお答えいただく方がいいのかもしれませんが、私の聞いている限りでは、日本の医療 保険制度、薬価制度の維持・継続ということと両立する御提案を真剣に検討していただ いていると認識しております。中医協ではないんですが、対馬理事、いかがでしょうか。 ○対馬理事  今週の水曜日にありますので、その時に各団体の意見をよく聞いて、いろいろ議論を していきたいと思っています。  要望を一つ申し上げたいと思います。先ほど整理していただいた中でちょっと気にな ったのは、今後の進捗状況のチェックについて、過去5年間の問題もあったんですが、 それについてはこの場がふさわしいのではないかというお話がありまして、それは確か にそうかもしれないなと思うんですね。  この会議には、私も数年出ていますが、「国際競争力強化のためのアクションプラン」 の進捗状況など、今日出ている資料を見ても全体的にどうなってるかというのはわから ないんです。治験の状況もきょうも議論が出てますようにいろんな問題があって、それ が輻湊している。全体的に前へ進んでいるのか、それとも進んでないのかということが あるわけですが、部品的なところを書いてるんですね。当初の目的や役割に関してどう かという整理がないもんですから、これをもとにして議論がしづらい状況にあります。 今後、取りまとめて、進捗状況もチェックして、また新たな方向を議論するという時に は少し工夫をしていただきたい。こういうことをお願いしておきたいと思います。 ○武田課長  御趣旨はよくわかりますので、今後の運営で工夫できるところを考えてきたいと思い ます。産業界から追加の御発言はございませんでしょか。 ○青木会長  前ビジョンから今回に至るまでいろんな面で進捗しまして、審査承認の面、基礎研究 の面についてお骨折りいただいた厚生労働省初め皆様方に感謝したいと思いますが、治 験の環境の問題が残っています。日本の医療は診療が主体に成り立っておりまして、研 究という意味ではインフラが出来上がっておりません。治験とか臨床研究はお金と人手 のかかる仕事でありまして、アメリカでも何百億という国家予算が投入されています。  現在持っている予算をいろんなところで都合しながらやっていただいて、その努力は ありがたいんですが、省庁横断的な一元的な予算の管理と、臨床の現場に単なる診療を 超えて研究的な視点を持ち込むためには大きな予算的な措置が必要だということを考え ていただきたい。  臨床研究はバイオマーカーを初めとして創薬の研究にも大きな役割を果たすわけです ので、日本の研究開発のインフラを整備するためには大きな投資がこのあたりに必要で す。日本は科学技術予算としては大きなお金を使ってますので、配分を考えていただく だけでも大分変わってくるのではないかと思いますので、次のビジョンの実行案の中で お考えいただきたいと思います。 ○松井会長  先ほどコメントをいただけなかったんですが、上原会長と岩崎理事から指摘がありま した。各国によってシチュエーションは違うと思いますが、医療用と比べて大衆薬をど のくらいのウエイトでいくべきだというインデックスを示していただけないかというこ とについて、いかがなんでしょうか。 ○武田課長  先ほど回答いたしませんで、済みません。後発品につきましては医療用医薬品の中で 諸外国のシェアを見ながら、今後の政策の方向性も踏まえて議論をさせていただいたわ けですが、一般用医薬品については行政の手の届かないところでのマーケットの動きも ありますので、目標設定については現時点では大変難しいというか、どこをどう考えて いいのかということを研究してみないと難しいかなと思います。具体的な御提案、こう いうふうに考えたらいいのではないかということがありましたら、この場とは別に直接 お話し合いを進めさせていただければと思います。よろしくお願いします。  それでは時間も過ぎましたので、よろしいでしょうか。最後に事務次官から一言ごあ いさつを申し上げます。 ○辻事務次官  長時間にわたりまして大変貴重な意見交換をしていただき、ありがとうございました (。医療費適正化につきましては、医療はもとより医薬品の分野を含めて大変厳しい状 況にあり、決して甘い情勢ではない、国民の医療のためにこのままでいいのだろうか、 私は基本的にそういう認識を持っております。  一方において医療費の適正化というのは国政の大きな課題でもございます。そういう 中で私どもは大変難しいことをやろうとしているわけですが、国民の健康、国民の医療 が今後の社会のありようにフィットするような方向に改革をして、その結果、医療費の 伸びがマイルドにならないか。優先順位の第一は国民の健康と国民の適切な医療である というのが私どもの信念とするところでございます。そういう観点から医薬品の話を伺 っておりましても、国民の健康や国民の医療がいかにあるべきかということと医薬品の あり方は表裏一体であると思います。  例えば医療クラスターという考え方を出しましたが、これは医療機能の機能分化を進 めていく、ナショナルセンターを臨床研究の本当のセンターにもっていく、そういう中 で臨床研究や治験が進むようになってほしい。一方において医療も臨床研究を行う病院 と地域の医療を担う開業医の役割分担をもっと明確にして、お互いに頑張るようになっ てほしい。それと同じように、後発品と先発医薬品がさらに伸びるように、こういうメ リとハリをつけるのが私どもの政策でございまして、そのような意味で、各界のリーダ ーがこうしてお集まりいただき、あるべき方向にコンセンサスをもっていくことが最も 大切なことではないかと痛感いたしました。  方向としては我々は一貫した思いで、それぞれが組み立てていかれるように一つの流 れを念頭に置いておりますので、何とぞよろしくお力を賜りたいと思います。本日はど うもありがとうございました。 ○武田課長  では、これをもちまして本日の懇談会をを終わらせていただきたいと思います。  なお、このビジョンは、8月9日にパブリックコメントが終了したのち、必要な修正 を加えた上で公表することになります。  本日はどうもありがとうございました。 (終了)