07/07/20 第4回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録 第4回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会          日時 平成19年7月20日(金)          14:00〜          場所 九段会館真珠の間 照会先:医薬食品局審査管理課 医療機器審査管理室                           担当:広瀬・田中                           電話:03-5253-1111(内2912) ○北村座長 定刻となりましたので、ただいまより「第4回医療ニーズの高い医療機器 等の早期導入に関する検討会」を開催させていただきます。  本日は、5名の専門家参考人もお招きしております。皆様方、大変お忙しい中お集ま りいただきまして、ありがとうございます。早速ですが、まず出席の確認と配付資料の 確認を事務局からお願い申し上げます。 ○事務局 本日の出欠確認をさせていただきます。本日は、四宮委員、田野委員、平岡 委員、吉田純委員、渡辺委員がご欠席です。また、出席予定ではございますが、千葉委 員、笠貫委員が遅れています。  本日の検討に合わせて参考人の先生方をお願いしておりますので、ご紹介いたします。 ワーキンググループの参考人として3人の専門家の先生にご出席いただいております。 国立がんセンター中央病院放射線診療部長、荒井保明様でございます。国立がんセンタ ー中央病院放射線治療部、伊藤芳紀様でございます。国立循環器病センター副病院長、 八木原俊克様でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  また、本日の対象品目のうち生物由来の材料を用いている製品がありますので、2名 の先生に参考人としてご出席いただいておりますので、続けてご紹介いたします。東北 大学大学院医学系研究科教授、北本哲之様でございます。また、遅れておりますが、国 立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医学部長、山口照英様にご出席いただく予定となっ ております。よろしくお願いいたします。  事務局につきまして、出席予定でした医薬食品局長の高橋は、都合により欠席させて いただいております。審査管理課長の中垣と医政局経済課長の武田につきましては遅れ て出席させていただく予定となっておりますので、ご報告いたします。  続いて、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、資料1が開催要 領、資料2が委員名簿、資料3がこの検討会の進め方、資料4がワーキンググループの 設置について、資料5がWG報告書「血管塞栓物質について」、資料6がWG報告書「小児 の右室流出路再建に用いる人工血管について」、資料7がWG報告書「金属マーカーにつ いて」、資料8が「新たな医療機器等の使用に係る体制等の要件作成に関する学会一覧」 となっております。  なお、委員の先生方の机の上には、血管塞栓物質、小児の右室流出路再建に用いる人 工血管、放射線治療補助材についての資料と前回の議事録を配付しております。過不足 などがございましたら、お知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○北村座長 ありがとうございました。本日ご出席いただいている5名の専門参考人の 方々には、会議の最初から最後までずっとご列席いただいていて結構だということです し、もしご質問等があれば、適宜質疑に加わっていただいて結構だということですので、 参考人の先生におかれましては、検討に参加していただくという方向ですので、お願い いたします。  早速議事に入りたいと思います。議事に入るに当たりまして、事務局から確認事項が あるそうですので、まず管理室長からお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長(俵木) 本日、個別の品目についてのご検討ということです ので、利害関係の確認をさせていただきます。第1回目の検討会のときにお決めいただ いたことですが、検討会の委員は、検討品目に関して関与または特別の利害関係を有す る場合は検討会の座長に申し出ることとし、関与等がある場合には、当該品目について 発言することができないとなっております。今回、血管塞栓物質、小児の右室流出路再 建の人工血管、放射線治療補助材などを個別にご検討いただきますが、委員の先生方か らは、いずれの品目についても利害関係があるというご報告はいただいておりませんの で、その点、報告させていただきます。もし何かあるようでしたら、いまお申し出いた だければと思います。よろしくお願いいたします。 ○北村座長 ありがとうございました。早速議事に入りたいと思います。3つのカテゴ リーの品目をご紹介いただきましたが、まず血管塞栓物質のワーキンググループ・レポ ートの検討ということで、ワーキンググループ専門家であられます荒井参考人からご説 明をお願い申し上げます。 ○荒井参考人 ワーキンググループの検討結果について報告させていただきます。資料 5がありますが、要点をかい摘んで、順を追ってご説明いたします。  医療技術の名称は、脳血管外科用血管塞栓物質、対象とする疾患・使用目的は、脳動 静脈奇形、AV malformationに対する手術前の処置としての血行遮断における血管塞栓 材料として用いるということです。検討医薬品・医療機器の名前がTrufill n-Buthyl Cyanoacrylate Liquid Embolic System、開発者がジョンソン・エンド・ジョンソン株式 会社です。海外の承認としては、2000年9月25日に米国FDAで承認を受けています。  対象医療機器の概要については、そこに書いてありますとおり、脳動静脈奇形に対す る手術における術前処置として血行遮断が必要な症例を適応としています。ここに書い てあります術前処置として血行遮断が必要な脳動静脈奇形とは、脳動静脈奇形の大きさ、 形状、部位、血流動態、そういった要因から術前にその奇形に対する血液供給を停止、 あるいは減少させることが手術時間の短縮、出血量の軽減、術後合併症の減少、あるい は神経学的長期予後改善が期待される脳動静脈奇形と定義しております。  使用方法につきましては、本品は3つのものから構成されていますが、以下n-BCAと 略させていただきますが、n-Buthyl Cyanoacrylateとヨード化ケシ油脂肪酸エチルエス テル、これはともに液体です。これを混ぜ合わせたものが血液をはじめとする体液と接 触することで重合反応を起こし、液体であったものが固体に変化するというシステムを 用いて血管を止めるという形になっています。所要する時間は、大体数秒から十数秒で す。タンタルパウダーと申しますのは、この固まることに直接作用はしないのですが、 いわゆるX線透視下でこれを使うために非常によく見える、視認を可能にするために混 ぜるものです。これを3つ混ぜたものを最終的に塞栓すべき血管にカテーテルを挿入し て、そこで注入するというものです。  対象疾患としては、米国のFDAでの承認申請資料の既存の塞栓物質であるPVA、ポリ ビニルアルコールとの比較臨床試験では、症例の選択基準をSpetzler-Martin分類での grade3、4、5、並びに同分類での1または2で外科的なアクセスが難しい、あるいは、 詰めておくことが利益が危険性を上回ると考えられる症例と規定しています。  ちなみに、Spetzler-Martin分類と申しますのは、脳動静脈奇形の大きさ、周囲脳の 機能的な重要性、同質静脈の表在型か深在型かということにそれぞれポイントを与え、 それらの合計点でグレーディングするシステムで、点数が高くなるほど大きくて危険性 の高い動静脈瘤とご理解いただいてよろしいかと思います。  本邦のガイドラインの2004年版によると、脳出血例は再出血が多いということで、再 発の危険の高い場合は外科的治療が考慮される。よって、Spetzler-Martin分類のgrade3 の脳動静脈奇形については、外科手術あるいは塞栓後に、詰めてから外科手術をするこ とが推奨されています。また、米国のガイドラインでは、定位術前放射線治療の術前処 置、あるいは局所神経症状や治療抵抗性の梗塞例に対する対処療法として塞栓術が推奨 されています。  脳動静脈奇形を有する症例における全症例の中でのSpetzler-Martin分類の内訳はは っきりしていませんが、出血を発症する症例では、大多数がいま申し上げましたように 外科的な切除が行われるために、本邦での発生頻度を概ね勘査いたしますと、年間100 万人当たり12.4人、その約半数以上、58%が出血発症であるということを考慮しますと、 年間、約700人前後がこの製品の手術前処置として血行遮断を目的とする血管塞栓術の 対象になると推計されます。  医療上の有用性について申し上げます。脳動静脈奇形に対する血管塞栓材料としては、 本邦では金属コイルのみが承認されています。海外を見ますと、絹糸、そこにあります いくつかの塞栓物質などが使われていますし、この中で頻度としては、n-BCAが最も多 く使われているというのが状況です。  しかしながら、細かな塞栓物質のことになりますが、n-BCAとコイル、要するに金属 の物と液体の物では血管を塞栓する機序が全く異なるということです。そこにやや詳し く書いておりますが、コイルとは、それが挿入されて、その周りに血栓が付いてきて、 その結果として最終的に血管を閉塞する。これに対し液体塞栓物質は、最初は少し流れ るのですが、流れながらそこで硬化して、血管の中に詰まった状態になってしまうとい うことです。要する時間も違います。それを挿入することができるスペースとしては、 コイルがどうしても血管の中に一定のスペースが必要になるのに対し、液体塞栓物質で は、かなり細い所でも流れながら固まっていく、大きい所も固まりますが。そういった 点で機序が大きく異なっています。ですから、スペースの大少・形状を問わず、使用が 可能であるという点が従来の金属コイルとは大きく異なる点と言えます。実際のこれら の使い分けは、液体塞栓物質以外では塞栓の困難な、要するにコイルでは塞栓の困難な 動静脈奇形が現実にあるということで、n-BCAの医療上の有用性は大きいと考えます。  ただし、当然のことですが、こういった製品の特徴を十分に熟知して使用する必要が ありますので、これについては、十分な技術、知識を有した医師により使用される必要 があると考えられます。  海外における使用状況について報告させていただきます。2000年9月25日に米国FDA で先ほど申し上げた適応について承認がなされましたが、2005年までに約1万症例を超 える症例に使用されています。欧州では販売されていません。  FDAが承認材料として用いた臨床試験の概要を簡単に説明させていただきます。これ は、先ほど申し上げましたSpetzler-Martin分類の3、4、5、あるいはgrade1、2で詰 めておくことが利益が危険性を上回るといった症例を対象として、104例を対象として 先ほど申し上げたPVAとの無作為化比較試験として行った多施設、無作為化比較試験で す。52例、50例がそれぞれ割り合てられ、背景としてのgradeの平均値はいずれも2.9、 あるいは容積はそれぞれ22.2、21.7ということで、基本的なバックグラウンドは同じ対 象群です。この試験では主要有効性エンドポイント、primary end pointとして病変容 積減少率というものを使っておりますが、それでは本品で79.4%、PVAで86.9%、また、 もう1つのprimary end pointである閉塞流入血管数は2.2対2.1ということで、大き な差は示されていません。  また、副次的エンドポイントとして、手術時間、術中の輸血の単位数、あるいは代替 液/コロイド交換の量、合併症等が検討されていますが、手術時間では381分対413分、 輸血では本品で51単位、PVAで135単位、代替液ではともに約4,000ccといった結果に なっています。合併症については、発作はいずれも5例対5例ということで認められて いますが、カテーテル内の血管内接着が4例、固まるのが遅れた例が3例認められてい ます。そのほか、カテーテルが詰まってしまうということは、PVA群で若干多く、脳皮 質の出血で本品で3例、PVAで6例、血管スパズムが3例対7例、後者の7例がPVA群 です。出血性合併症が7例対15例ということで、いま申し上げた後半の合併症について は、PVA群でやや多いというのが実数としては示されています。この結果としてFDAが 承認したわけですが、米国の添付文書においては長期留置における安全性と有効性が確 立されていないということ、それと、医師はこの道具を使うときには使用前にトレーニ ングを受ける必要があるということが記載されています。  次にこの製品の安全性についてに移らせていただきます。ここでは細かなことは割愛 させていただきますが、物理学的化学的特性試験というものと生物学的安全性試験とい うものが行われておりまして、どちらにおいても、本品が全体としては適切であるとい った結論が示されています。  次に、我が国における開発状況についてお話させていただきます。本邦では、現時点 では、液体血管塞栓物質として承認されたものはございません。実際に現場では、本品 の構成成分と同じものであるn-Buthyl Cyanoacrylate、外科用の接着剤として承認され ていますが、これとヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル、通常リピオドールと呼ばれ ていますが、これを適用外で医師の裁量の下、臨床使用が行われ、その報告が複数ござ います。今回、本品が医療ニーズの高い医療機器等の早期導入対象候補となったことを 受けまして、米国FDAにおける承認申請資料を用いた本邦での申請がここで検討されて いるわけです。  この製品につきましては、以上、ワーキンググループの結果をまとめますと、まず脳 動静脈奇形の頻度、並びに、これは極めて重篤な疾患でして、臨床的重篤度から考えま すと、その治療成績の向上を図ることは、当然本邦においても極めて重要であると考え ております。また、脳動静脈奇形の治療における血管塞栓材料の使用は、本邦、あるい は先ほど申し上げた米国のガイドラインでも既に推奨されており、標準的治療としての コンセンサスは十分に得られていると理解しております。これに対し、先ほど申し上げ ましたように、本邦では、血管塞栓材料としてはコイルのみが承認されており、海外を 見た場合に最も多用されているn-BCAは承認を得ていません。したがって、現状の適応 外使用の実績を踏まえ、医療の中でより適切に使用させる上では、薬事法上の承認を受 ける形での早期導入がなされるべきであると結論いたしました。  なお、この動静脈奇形の治療における血管塞栓材料としては、同じく液体の塞栓材料 としてFDAで2005年6月21日に承認されたOnyx liquid embolic system、通常Onyx と呼ばれますが、これが現在、本邦でも承認を申請中です。Onyxは、同じく液体塞栓物 質ですが、ここに「DMSO」と書いてありますが、含みました塞栓材料が血管内で析出す ることにより血管を閉塞するのに対し、これは基本的に接着性を持っていません。本品 は接着性を有しているというのがかなり大きな相違点です。したがって、より適切に使 用できる脳動静脈奇形の性状、あるいは血行動態が異なるという点から、このOnyxがあ るから今回検討していただくn-BCAが必要ないといったことは言えないと考えまして、 いずれも医療上のニーズは高いと考えました。  導入につきましては、「外国で実施された医療用具の臨床データの取扱いについて」に おける受入要件を満たした場合は、対象疾患、治療としてのコンセンサス、使用方法が 米国と本邦とで同等であることが考えられますので、米国で実施された臨床試験データ の活用によって早期導入の可能性を検討すべきであるといたしました。  ただし、承認後、仮に承認になった場合には、適正使用の確保については、未熟な技 術で使った場合には危険性を伴う物品ですので、本品を用いた治療について関連学会に よる実施基準の策定、並びに、導入後には一定期間における市販後調査を検討する必要 が考えられます。  最後に、対象疾患につきましては、繰り返しになりますが、脳動静脈奇形に対する手 術前処置としての血行遮断が必要な患者さんで、Spetzler-Martin分類のgrade1、2、こ れは軽いほうですが、の場合でも外科的にアクセスが難しい、あるいは術前に塞栓術を やっておくことが利益が危険性を上回る場合、並びに、さらに激しい脳動静脈奇形であ るSpetzler-Martin分類のgrade3、4、5の脳動静脈奇形を有する患者さんといたしまし た。まず、最初の製品につきましては以上です。 ○北村座長 ありがとうございました。いま荒井参考人から、我が国では液性の塞栓物 質で認可されたものがないということ、それから、OnyxとTrufillと2種類の薬品が挙 がっているようです。Onyxのほうはいま申請を開始されているということですが、事務 局から追加のことはございますか。 ○医療機器審査管理室長 ありません。 ○北村座長 液性の血管塞栓物質がTrufillというものとOnyxというものが2つ挙げら れていますが、これは内容物質が少し違うと、使い方も違うのでしょうか。 ○荒井参考人 対象となるmalformationの状況により使い分けが必要になってまいり ます。 ○北村座長 両方ともが必要。 ○荒井参考人 使い分けが必要になってまいります。 ○北村座長 使用分けが必要であると。 ○荒井参考人 はい、どちらか片一方で全部やろうと言ってもかなり難しい状況が生じ ますので、安全に使うためにはどちらも必要と考えております。 ○北村座長 というご意見を拝聴いたしましたが、それでは、当委員会の委員の先生方 からご質疑等をお願いしたいと思います。これは使用に当たっては十分な施設基準を作 成する必要があるとか、3頁にはトレーニングを受ける必要があるということをやって おられますが、実際に承認が下りた場合、そういったトレーニングなどは企業体のほう が組めるのでしょうか。ガイドライン、施設基準、実施の規則などは学会が作っていた だけるのだと思いますが、トレーニングということになりますと、何かお考えはござい ますか。 ○荒井参考人 トレーニングという表現につきましては、これは私見ですが、基本的に は学会でガイドラインを作成して、先生がおっしゃった施設基準並びにまず最初にやっ ていい人間の経験年数、これまでの実績といったことを踏まえて、そこでいわゆる認め られた医師の指導の下で経験を積んで、何例かとったところでその人間もやっていいと いう形のものであって、具体的にいわゆる企業が主導した形でトレーニングシステムを 組むといった意味でここに記載したわけではないと理解しております。 ○北村座長 大動物を使ってトレーニングセンターで、という意味ではないということ ですね。 ○荒井参考人 はい。AV malformation自体は、そういったシステムで人の体以外で実 際に行うことは非常に難しい病態ですので、難しいと思います。 ○北村座長 わかりました。どなたか、ご質疑はございませんか。事務局にお伺いした いのですが、Onyxのほうは承認申請中であるということになっていますが、もう1つの Trufillのほうはいまからであるというのと、時間的なずれとか、その整合はとれるの でしょうか。 ○医療機器審査管理室長 Onyxのほうは既に申請中でして、それについては既に優先審 査ということで審査を進めておりますので、審査時期が崩れることについては、特に問 題はございません。早く承認できるものから承認をしていきたいと考えております。  先ほどのトレーニングですが、審査の中でどういった市販後の安全対策がとれるかと いう点からそのトレーニングの方法についても、米国で既に先行して使用されてトレー ニングが行われている実態であるとかを踏まえて、国内で企業サイドでどういったトレ ーニングの体制がとれるのかについてもよくお話を聞かせていただいて、市販後のトレ ーニングをどうやるかということについても明らかにして承認をしていきたいと思いま す。 ○北村座長 事務局としては、あるいは医薬食品局としては、トレーニングが要るかど うかの判断も少し、局としてもやりたいというご意見ですね。 ○医療機器審査管理室長 トレーニングは必要だと思いますが、どのような方法論でや るか、全部を学会にお願いするのも申し訳ない気もしますので、企業が米国でのトレー ニングをどのように実施しているかというようなことも踏まえ、同じようなトレーニン グ施設が日本に必ずしもないとも思いますし、先生の先ほどのご発言ですと、人で経験 を積まざるを得ないというようなことですので、もちろん指導医などの下でやるに際し ても、その前にどういった研修ができるのかという内容については、また企業と十分に 調整をしたいと思います。 ○北村座長 荒井参考人、それでよろしいですね。 ○荒井参考人 はい。 ○北村座長 ほかにございますか。 ○吉田委員 議論が少し前に戻って恐縮ですが、治療目的に応じていろいろな材質のも の、いろいろな物質を用意したいというのは臨床家にとって当然だと思うのですが、日 本の場合はコイルしか認められていなかったということで、これから申請は、すべて逆 へ、逆へと向くと思うのです。例えばポリビニルアルコールなどの場合はいまどのよう な位置づけになっているのですか、もう捨てられているのですか。今後こうしたことで、 例えば本材質以外にまだこういうものがあるのだということは用意されているのか、そ れとも、こういうところで話がもう、例えばポリビニルアルコールはもう使われていな いのだとか、そういったことはあるのでしょうか。 ○荒井参考人 現場の状況ということでしょうか。コイルで治療不能な、脳動静脈奇形 についてはこれは明らかに存在しますので、その治療については、先ほど申し上げまし たように、医師の裁量ということで承認外の形のものを使用されているのが現状です。 ○吉田委員 現在、ポリビニルアルコールなども使っているわけですか。 ○荒井参考人 ポリビニルアルコールはほとんど使われていません。実際には、先ほど 申し上げましたようにn-Buthyl Cyanoacrylate、あるいはそれを重合に使いますリピオ ドールですね。どちらも現実には手に入りますので、それが現場の医師の裁量で使われ ているのが現状です。 ○北村座長 ほかにご意見はございますか。ちょっと後学のためですが、脳の場合、放 射線のガンマナイフ等でもAV malformationをやっておられますよね。 ○荒井参考人 はい。 ○北村座長 塞栓物質と放射線で焼くというのとは全く別種の治療法ですが、対象はよ く似たものにやられるわけですか。 ○荒井参考人 大きな括りでいきますと対象は似ていますが、実際にはかなりきちっと 分けられているようです。私も、そこについてはあまり詳しくないのですが。 ○北村座長 この液性の動静脈奇形塞栓物質の2品目、TrufillとOnyxというものの早 期導入に向けての申請を医薬品医療機器総合機構へ当委員会から出して、企業の方々も その話合いの中でいまのようなトレーニングシステムなどといったことに速やかな対応 を積極的にやっていただくということをお願い申し上げて、この2品目の早期導入を委 員会で承認するという形でよろしいですか。それともう1つ、そのあとに付いています。 ○荒井参考人 後半になりますが。 ○北村座長 それも一緒に先生からですか。 ○荒井参考人 はい、私から説明させていただきます。 ○北村座長 先のほうと分けさせていただいてもよろしいですか。いまの2品目につい ては、一応ご了承いただいたという形にさせていただきたいと思います。ありがとうご ざいました。それでは、引き続き荒井参考人からお願いします。 ○荒井参考人 資料5の6頁から、別の製品について説明させていただきます。医療技 術の名称は、同じく血管内液体塞栓物質。対象疾患、使用目的は、胃の静脈瘤に対する 血管塞栓材料です。検討医療品の名前は、ヒストアクリル、開発者はビー・ブラウンエ ースクラップ株式会社、海外の承認状況は、食道静脈瘤・胃底部静脈瘤の硬化療法にお ける血管塞栓材料としてそこに記載してある国で承認が下りています。  概要としては、ヒストアクリルは、実は先ほど申し上げたn-buthyl-2-cyanoacrylate、 これと同じですが、を主成分とする組織接着剤です。本邦では、皮膚の創傷に対する外 科用の皮膚接着剤として承認されています。今回は、胃静脈瘤に対する内視鏡治療にお ける硬化療法の硬化剤として使用する血管塞栓材料として検討されています。胃静脈瘤 に対する内視鏡治療には、硬化療法、結紮療法、この併用、並びにアルゴンプラズマ療 法がありますが、このうちの硬化療法に使う硬化剤としては、イオン系のもの、あるい はイオン系でない活性剤、それと、ここで問題になります組織接着剤、そして、無水エ タノールがあります。  それぞれの概略だけを申し上げます。イオン系の界面活性剤と申しますのは、組織障 害性が非常に強いものです。血管内に使いますが、危険性として、心原性ショック、溶 血性腎障害等が指摘されています。界面活性剤については、組織障害性がかなり弱いの で危険性も少ないのですが、血管外に使って周りを固める程度に使うというもので、あ まり強いものではありません。無水エタノールは組織障害性の極めて強いもので、血管 内に使いますが、目的とした部位以外に漏出した場合には、消化管穿孔等のかなり重篤 な合併症を起こす可能性があるということになります。  使用法については、重合時間を調節するためにヒストアクリルと先ほど申し上げまし た子宮卵管・リンパ管造影用のリピオドール、通常呼ばれていますリピオドール・ウル トラフルイドと混合して一定の濃度にして、これで重合時間を調節しますが、これで内 視鏡下に静脈瘤を穿刺し、その中に注入するという方法です。  対象疾患については胃静脈瘤を有する患者ということで、そこに適応条件あるいは禁 忌ということが箇条書きに述べられています。出血性の静脈瘤、出血の既往のある静脈 瘤、直ちに出血しそうな危険性のある静脈瘤といったところをご理解いただければよろ しいかと思います。禁忌は、高度の黄疸例あるいは低アルブミン血症、高度の血小板減 少、DIC、腹水の大量貯留、高度脳症、高度腎機能不良例等が挙げられています。  この製品は、本邦において、適用外使用として食道・胃静脈瘤に対する治療における 血管塞栓材料として使用された報告がありますが、食道静脈瘤の場合は、実はこういっ た液体塞栓物質を注入した場合に奇静脈系を介して全身循環系に流れて重篤な合併症を 起こすことがあるということと、実際の食道静脈瘤の場合には、最近ではこういったも のを使わなくても治療が十分に可能である場合がほとんどです。こういったことから、 この製品についての食道静脈瘤は対象から除外しております。  ただ、胃の静脈瘤については、こういったほかの治療、内視鏡的な治療が極めて難し いということ、あるいは、先ほど申し上げました他の硬化剤による治療も決していい成 績ではないということから、本品の有効性が高いと判断され、今回、胃の静脈瘤に限定 しています。  医療上の有用性については、上部消化管静脈瘤の破裂は大量の出血を来たす代表的な 疾患で、致死的な病態ですので、この治療法の確立をすることは、当該患者の予後改善 を図る上で重要な課題であることは間違いないと思います。  上部消化管静脈瘤の出血に対しては主に内視鏡的治療が行われますが、胃の静脈瘤は、 実は食道とは異なり、解剖学的に、あるいは血流動態の点からも他の結紮等の治療が非 常に難しいということで、硬化療法が望まれる。この製品は他の硬化剤、先ほど申し上 げましたイオン系の界面活性剤あるいは界面活性剤に比べ血液凝固作用が強いという点 で、胃静脈瘤に対する硬化剤としては優れていると考えられます。  海外並びに国内から臨床使用における有用性の報告は複数あります。これらの報告の 中には90%以上の止血率が報告されたものもありますし、retrospectiveな検討では、 他の硬化剤よりも有意に高い止血率も報告されています。  一方、安全性については、静脈瘤の大きさやリピオドール・ウルトラフルイドとの混 合比などが適切でない場合、要するに凝固するまでの時間にかなり大きなブレが生じま すので、これを適切な比率で混ぜていない場合には、全身循環系への逸脱、あるいは胃 局所周囲の潰瘍の発生など、重篤な合併症を発症する危険性が指摘されています。ただ、 総合的には、臨床的有用性が高いということが文献的には述べられています。  海外の使用状況については、先ほど申し上げた国で承認を受けています。総数として、 2006年の全販売数が40万アンプル、内訳はそこに載っています。冒頭で申し上げまし たように、この製品は外科的な皮膚の創傷の接着剤というか、それの治療薬として使わ れていますので、この中のどれほどがこの硬化療法として使われているかは不明です。 なお、米国では承認されていません。  一方、ヨーロッパではCEマークを取っていますが、そこでは臨床試験は行われていま せん。いわゆる文献的な考察によるExpert Reportによって承認が下りています。この レポートの中では、胃の静脈瘤の中でも特に胃基底部静脈瘤の内視鏡的塞栓について紹 介されていますが、有効性及び安全性についての詳細な点については不明です。  次に、我が国における開発状況について述べさせていただきます。本品は、先ほど申 し上げましたように、皮膚創傷に対する組織接着剤として承認されたため入手は可能で、 このために国内において、そこは少し誤字がありますが、医師の裁量で使用されている 例が複数報告されています。今回、本品が医療ニーズの高い医療機器等の早期導入の対 象候補となったことを受けまして、学術論文、使用実績並びに本邦の食道・胃静脈瘤内 視鏡治療ガイドライン等を資料として本邦での申請としてここでワーキンググループで その資料を検討させていただきました。本品についてのワーキンググループとしての検 討結果・まとめをここでお話させていただきます。  まず本邦では肝炎の高い罹患率、これはご存じのとおり非常に高いですので、これに 伴う肝硬変、そこからの門脈圧亢進症から上部消化管静脈瘤破裂という経緯を辿る患者 さんが大変多く、これによる出血は致死的となることが少なくありません。特に胃の静 脈瘤は、食道静脈瘤に比べ内視鏡的な治療が難しいため、その治療成績の向上を図るこ とは大変重要なことであると認識しています。本品に関わる臨床報告としては、胃静脈 瘤に対する硬化剤としての可能性が示唆されており、硬化療法は、日本消化器内視鏡学 会の消化器内視鏡学会ガイドラインでも示されています。しかしながら、本品は、欧州 においては胃底部静脈瘤のみの承認です。また、米国では承認されていません。  また、従来の治療方法、医薬品・医療機器と比較して有効性、安全性に優れるとの評 価を得た臨床報告に対する国内外の文献がここに挙げられてきましたが、この中には、 かなりセレクションバイアスと言いますか、必ずしも全部の文献が網羅されていない点 が指摘できるということと、その内容がretrospectiveな検討が大変多いということが あります。少なくとも胃の静脈瘤という適応範囲で、胃底部静脈瘤に限定したもので胃 の静脈瘤という適応範囲での本品の安全性、有効性に関するデータは、科学的に検証さ れたものとは言いがたい。よって、導入するに当たっては、臨床報告を活用しながらも、 治験の実施も含めていま一度検討する必要があると考えられます。このようにワーキン ググループとしては結論いたしました。  なお、本品が導入された暁には、前者の塞栓物質と同じですが、かなり特殊な病態に 対して危険性もある程度考慮しての技術的な習熟が必要ですので、それに対する関連学 会の協力、あるいはガイドラインや実施基準の策定などが必要と考えられます。 ○北村座長 ありがとうございました。また、先ほどのとは使う医師たちも違う種類の 違う専門の先生方のところに行くわけですが、物質はn-Buthyl Cyanoacrylateと一緒で すよね。 ○荒井参考人 はい、基本的には全く同じです。 ○北村座長 そうしますと、その内容の胃の静脈瘤に使おうというこの物と先ほどの動 静脈奇形に使おうというCyanoacrylateとは、濃度とか何かが全然違うものなのでしょ うか。ちょっと気にするのは、1つが導入されれば、おそらく適応外使用をやる人がど んどん出てくるであろうとも思うのです。会社は違うのですが、同じ物なのですか。 ○荒井参考人 前者の先ほどご審議いただいた物については、タンタルというパウダー を混ぜて見えやすくしているという点だけが異なりますが、実質的にはそれ以外の n-buthyl-2-cyanoacrylateと子宮卵管造影に使うリピオドールの混合、それも対象の状 況に応じて混合比を適宜調整して、重合時間を調整して使うという、その後者の2つに ついては、内容的には全く同じ物です。 ○北村座長 梅田委員、何かご意見はありませんか。 ○梅田委員 胃静脈瘤は、頻度的には少ないのです。ただ、一遍出血するともうどうし ようもない、というのが従来の臨床的な定説だったのです。この原因が2つあります。1 つは、皆さんご存じの肝硬変症、これは多くの場合食道胃静脈瘤という形できて、胃の ほうが破れる場合がある。もう1つは、splenic vein thrombosisと言いまして、脾静 脈がちょうど膵臓の上を通っているものですから、膵炎や膵がんによりその静脈が侵さ れると、胃にsolitaryと言いますか、単独の静脈瘤を作ります。  この2つは、ともにひとたび出血しだすと始末が悪くて、昔は全例が死んでいたとい うのが通常だったのですが、1988年に慈恵医大の鈴木博昭先生がヒストアクリルによる 止血方法を発表してから、それがあっと言う間に広がりまして、止血率が高いというこ と、それから救命率が高いということから、いま胃静脈瘤単独の場合の出血には、ほと んどこの方法が使われていると思います。  ですから、今回、その承認を取ろうということは誠に結構なことです。我々としては、 これは適応外使用ですが、20年近く前から既に使っています。その場合緊急やむを得な い場合だからということで使っていたのが実状です。  この方法としては、ヒストアクリル単独の場合とリピオドールを混ぜた造影剤を注入 する場合と2つあるのですが、基本的には変わりありません。注射針に2ccばかり吸い 取りまして、その中に造影剤を入れるか入れないかというだけの話です。それから、針 付きカテーテルで静脈瘤の出血している所を刺して、そこに一気に注入するのです。で すから、カテーテルはもちろん駄目になってしまうのですが、効果は結構良好です。  私の例で言いますと、15年ぐらい前に肝硬変で出血ではどうにもならないなというの をやってみようと言うのでやりましたら、物の見事に止血が成功しました。それがたま たま、ついこの間電話が掛かってきて、まだ元気でピンピンしているということで、よ かったねと言っていたのです。そのように救命率はほかのものに比べて高いのです。  ただ、EOやASは潰瘍を作ったり、いろいろな所に塞栓を作ったり、腎障害を起こし たりということはあります。しかし、胃だけに限って言えば、ほかに使わなければ、そ のような副作用は比較的少ないだろうと思います。これを食道静脈瘤に使うと、奇静脈 を通じて大静脈系に入っていってしまいます。そうするといろいろなことを起こしてき ますが、そうでもない限りは、比較的副作用の少ない治療法だと思います。  そういうことで私は、まだ適応を取っていないのは知っていたのですが、運用面で使 ってしまったものですから、今度はこのような形で適応を考えてくださるというのであ れば、消化器内視鏡学会を通じて皆さんを叱咤激励してデータを集め、ただ事後データ になりますが、その救命率の高さを証明できるとは思っています。 ○北村座長 ありがとうございました。お二方、梅田委員も荒井参考人も前向きなご意 見がありました。  もう1つ。いまありましたように、長年、このような未承認のまま臨床の場でどんど ん使われてしまっているというようなこと、ある意味では広い意味だと思いますが、臨 床研究における未承認。以前、これは、高度先進医療として申請されてきたところはあ ったのですが、いま、これは高度先進医療に入っていないですよね。入っていなかった ですよね。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○北村座長 ですから、入らないままそのように使われてきている経過があるというこ とが現状だと思うのです。ただ、エビデンスは比較的整っていない、米国のFDAも承認 はしていないというような点もあるようです。ほかにご意見はいかがですか。これも含 めた形で早期導入に向けて企業の姿勢その他、検討に入っていただくかどうか。 ○梅田委員 1つ追加させていただきます。これは何でそういう承認なしでやったかと 言うと、これは放っておけば必ず死ぬのです、止まらないですから。EOやASなどを使 っても駄目なのです。BRTOという方法がありますが、これも副作用が多くて、我々とし ては使いたくないのです。そのようないろいろなファクターがありまして、いちばん簡 単に止まるということで今まで使ってきたのが現実なのです。 ○北村座長 現場の先生方が謝まられることではないかもしれませんが。一方、この Cyanoacrylateを出してきた企業側はどう考えてきたのかと。これが胃の静脈瘤、ある いは食道静脈瘤に長年使われているということはおそらく企業のほうも知っていただろ うと思われるのですが、知っているはずですよね。しかし、それを適応拡大の申請もし なければ治験のこともやってこない、というような問題点も同時に我が国にはあるので はないかという指摘もあるようなところですが。これを早期導入に向けて、いまの企業 がどのように未熟なデータの所があるということを詰めながら総合機構と相談して、是 非とも必要な物質であるというのはお二人の意見からありましたので、その臨床データ の報告、集積も含めて総合機構に相談してもらう。この委員会としては、早期導入とし て承認したほうがよろしい状況にあるという形でよろしいですか。 ○千葉委員 ただいまのワーキンググループの検討結果、この文章を読んでうかがう限 りは、どちらかと言うとネガティブに聞こえてくるのです。それでいまのポジティブな 梅田委員のお話が出てきますと、少し判断に迷うとことがあります。この領域の専門で ない私から見ると、ワーキンググループの見解が、必ずしもどんどん使ってくれという 印象はないと感じられてしまうものですから。ここのところをこの委員会でどう判断す るかということがたぶんいちばんの問題だと思うのです。ほかの領域でも使ってみてい いから、しかも、これを使わなければ絶対に危ないのだから使うのだという話は医師の 裁量で、これまでは、ほかにもたくさんあると思うのです。ただ、この委員会の目的は 必ずしもそのようなものを追認するだけではないだろう、と私は思って参加してきてお りましたので、このワーキンググループと梅田委員や先生方の実際の現場のインプレッ ションの相違と言いますか、そこのところをメーカーさんも含めてもう少し一定の合意 を得たほうがこの委員会としては早期導入に賛成しやすいのではないかという印象は持 っております。 ○梅田委員 1つは、そのヒストアクリルは安く手に入る。安く手に入って、しかも止 血率が高い。このようなメリットがあるので我々としては、つい誘惑につられると言い ますか、使ってみたくなるのです。実際にやってみて、よく止まるのです。 ○北村座長 事務局として何かご意見はありますか、そのままこの委員会で通すのか、 あるいはもう一度企業体のほうとよく検討してからするのかというご意見が千葉委員か らもありましたが。 ○医療機器審査管理室長 WGのレポートの内容からしますと、千葉委員がおっしゃった ように、公募に応募いただいた企業からいただいた文献の検索も選定基準に偏りがある ということ、retrospectiveな検討が多いということで、文献の調査もまだ必ずしも十 分でないと事務局としても理解して、導入に当たっては、臨床報告を活用しつつ、治験 の実施も含めて検討する必要があるということでWGの結論はいただいていると認識し ています。  ですから、このままですぐに承認に向けてダッシュできるという状況でないとは理解 しておりますが、いま梅田委員からもいただいたように、実際には10年、20年という 臨床経験があって、おそらく、失敗例も成功例も含めて多くの臨床報告があるのではな いかとも思いますし、世界でも。  アメリカでは承認になっていないのですが、アメリカの内視鏡学会と言いますか、学 会のガイドラインには、実は推奨の治療法ということで記載もあります。また、イギリ スの臨床ガイドラインの中にも、推奨する治療法として既に記載されています。承認が ないアメリカにおいても、そういったことが行われているような実態にはあります。事 務局としては、もう少しきちんとした文献の検索、質の高い文献でそのエビデンスとし て採用できるような文献でどのぐらいの報告があるのかというようなことももう1回き ちんと調べる必要があるのかとは思っております。  つきましては、先ほど梅田委員から消化器内視鏡学会でもご協力いただけるというよ うなご発言もございましたので、是非学会のご協力もいただいてこれまでのエビデンス がどのぐらいあるのかを検討させていただいて、企業にさらに開発の意向があるのであ れば、総合機構の協力もいただいて、相談に当たりながら進めていきたいと思っており ます。いずれにしても、そのような方向で進んでいってもよろしいかどうかは、ここで ご意見をいただければと思います。 ○吉田(茂)委員 これはすごくアイロニカルなのですが、日本オリジナルの治療法が世 界で承認されて、日本で承認されていないのです。それは臨床試験の問題とか評価の問 題とかいろいろあるのでしょうけれども、特に医療機器や材料などの場合は、日本では 高い水準で世界に誇る物が実は日本の中では振り返られていないというようなことがこ れからもかなり出てくると思うのです。ですから、このような事例については早いこと 整理するという姿勢が大事だろうと思います。  実際に症例数についてもそれほど少ないとはとても思えません。全国集計をすれば、 あっと言う間に100、200のデータが出ると思います。ですから、データを揃えることに 関しては、特にレトロの成績に関してはそれほど心配はないと思います。 ○医療機器審査管理室長 学会のご協力もいただいて、その辺の文献の整理をしてエビ デンスを作っていけるのではないかと思いますが、そこは企業とも相談して、総合機構 にもご協力いただいて進めていきたいと思います。 ○北村座長 そのような方向でよろしいですか。 ○千葉委員 子どもに関してはどうでしょうか。子どもも胆道閉鎖などの出血で、我々 はだいぶ苦い思いをしておりますが、これに関しては、梅田委員はどのようにお考えで しょうか。 ○梅田委員 何をですか。 ○千葉委員 小児の胃・食道静脈瘤症例に関してはいかがですか。 ○北村座長 それはまた後ほど検討して、ちょっとずれていきますので。 ○千葉委員 わかりました。 ○梅田委員 子どもの食道静脈瘤に使っていません、胃静脈瘤にも使っていません。小 児に関しては、経験例がほとんどないと思います。 ○北村座長 わかりました。委員会としては、必要で有効なというご意見が多く、また 外国でも、未承認でありながら実際には使われている非常に安い汎用機材であるという 形になっているようですので、我が国でも整備した形で承認をちゃんと取って進めると いう形にご異存はないものと思います。その方向で、この商品を胃静脈瘤に使用すると いう形での承認を取るべく企業とも協力して進めていただくということでよろしいです ね。ありがとうございました。  それでは、2項目に入りたいと思います。子どもの右室流出路再建に人工血管が用い られることもありますが、Contegraという牛の静脈を使った生物機材につきまして、八 木原俊克専門参考人からの報告をお願いいたします。 ○八木原参考人 それでは、小児の右室流出路再建に用いる人工血管のWG報告をさせて いただきます。資料6をご覧ください。  対象疾患としましては、先天性心疾患に対する修復手術を行う中で右室流出路を形成 する、あるいは再建する、そういう必要のある手術において。もう1つは、自己肺動脈 弁を大動脈弁の所に移すロス手術というものがありますが、その手術の際の自己肺動脈 弁の再建。それから、ホモグラフトや弁付き人工血管など、従来から用いられていたも のが弁機能不全を起こしたものに対する再手術。この3項目が対象になっています。  医療機器名はContegraです。EUでは1999年、米国では2003年に承認を得ています。  概要です。これはウシの頸静脈でして、3つの弁尖からなるきれいな静脈弁を有して おり、径が少し太くなった弁洞があるものです。その弁の変形がこないように弁輪部と 交連位にポリエステルで被覆されたポリプロピレン製のリングを2つ付けたものがリン グサポート付モデルなのですが、リングサポートなしのモデルもあり、2種類あります。 サイズとしては、いちばん小さいものが12mm、大きいものが22mmまで2mm刻みであり ます。全長は、小さいもので10cmぐらい、長いもので12.8cmぐらいということです。 減菌工程としては、最終的には1%のグルタールアルデヒドと20%のイソプロピルアル コールを含有した減菌液を用いており、使用直前までこの液で保存されているというも のです。  対象疾患の詳細です。先天性心疾患のうちに肺動脈閉鎖や狭窄を有する先天性心疾患 です。病名としてはファロー四徴症。これは、日本胸部外科学会の学術集会の統計によ りますと、年間の手術件数が約450件となっています。それから総動脈幹症、これは肺 動脈のない病気です。これが約30件。そして、肺動脈の閉鎖あるいは狭窄と心室中隔欠 損を合併する完全大血管転位症、両大血管右室起始症、修正大血管転位症などの疾患群 があります。これも、年間約250件となっています。こういった疾患に対する修復手術 に際して、右心室から肺動脈に至る心室流出路再建を必要とする疾患が対象になります。 肺動脈閉鎖や高度の肺動脈弁狭窄を伴う疾患における右室流出路再建と言いますのは、 適切なサイズの右室流出路を確保するということと、良好な機能の肺動脈弁を同時に再 建する必要があります。また、肺動脈弁があっても適切な弁のサイズや弁機能が得られ ない場合には、機能的な肺動脈弁を部分的に再建する場合もあります。これは、十分な 肺動脈弁ではない場合に、肺動脈弁の一部を追加・補填して再建するという意味です。  次の頁です。先天性心疾患の実際の右心室の流出路から肺動脈に至る所の形態は、疾 患や状況によって随分個人差があります。また、患者の体格によってサイズもまちまち です。したがって、このような再建に用いる補填物はトリミングして適切な形にデザイ ンして使う必要があります。  2番目のロス手術ですが、これは大動脈弁疾患に対して、すなわち、自分の大動脈弁 は悪いが、正常の肺動脈弁を持っている場合に、自己肺動脈弁を採取し、それを大動脈 弁位に置換する手術です。そうすると、肺動脈弁がなくなるので、そこの再建にこれが 必要になるわけです。小児では大動脈弁の病気に対して、適切な治療法がありません。 人工弁を使うのが成人では一般化されているわけですが、小児では例えば新生児では大 動脈弁の直径が6mmとか7mmしかない。そういった小さな人工弁はないので、弁輪を拡 大する特種なテクニックもありますが、そういったテクニックを用いても1歳か2歳に なって何とかできるというようなものなので、肺動脈弁をもってくる手術は、小さい子 には大変有用な術式になっています。また、これは置換した肺動脈弁が成長するという 利点もあります。  一方で切り取った肺動脈弁をどうするかが1つの課題になっており、小児のロス手術 ではContegraのようなものがあると、大変手術がやりやすくなります。このロス手術は 大動脈弁疾患をより軽症の肺動脈弁疾患に作り換える手術です。  再手術での使用ですが、先述の疾患に対し従来の方法で、従来の方法というのはホモ グラフトとか従来認可されて現在はもうなくなっている異種生体弁付き人工血管などで すが、そういったものですでに手術された患者において、弁機能不全が生じたり、狭窄 が進行した場合に再手術として行う。これは統計上約70件あります。ロス手術が年間 50件と書きましたが、これは小児の大動脈弁疾患に対する件数で、成人にもこの手術は 行われており、その実態についてはデータがないので、小児だけということでご理解く ださい。  医療上の有用性です。先天性心疾患の修復手術というのは今では対象疾患に適応拡大 され、ほとんどの疾患で可能になったのですが、その中で(弁付き導管と私どもは呼ん でいますが)、弁付き人工血管の開発が複雑な疾患における右室流出路再建を可能にして、 適応が随分拡大しました。  従来はダクロンとかテフロンのような人工布に生体弁が入ったようなものが使われて おり、これは大きくてまた固いので、年齢的には4、5歳まで待って手術をするというこ とで、4、5歳までに死んでしまう患者も多く、必ずしも多くの患者の利益にはならない という問題があります。そういった点で柔軟性に欠ける人工血管は脆弱な小児の心筋や 肺動脈の壁と縫合することには困難性があるという状況なので、こういった柔らかな組 織の人工血管の有用性は大変高いものと考えています。  先ほど申しましたように先天性心疾患の修復手術における右室流出路の形態的な特徴 は大変な個人差があり、使用する人工血管はトリミングして形を作りやすいことが1つ のポイントになるわけです。Contegraはその条件も満たしていて、特に脆弱な心筋を持 った小児の疾患に大変優れたものです。  従来同様の目的に使われているものとしては、同種弁、ホモグラフトで、最も有用な ものとして現在でも欧米では第1選択にされています。欧米でも同種弁が数の面で制限 があり、こういった経過の中でContegraが開発されて使用されている状況です。日本で は同種弁が大変手に入りにくい状況で、特に小さいサイズのものはほとんど皆無といっ ていいほど、ホモグラフトは大変入手困難な状況にあります。これも本邦においてこの 製品が急いで必要になることのバックグラウンドになっていると思います。現在日本で はどうしているかというと、ePTFE、ゴアテックスといったものは厚さもいろいろありま すので、薄いもの、堅いもの、小児の心筋に合わせたようなものを手づくりで作りまし て、個々の病院で工夫してやっている。あるいは肺動脈弁の再建を半ば諦めて自分の組 織、自分の組織とは心臓を包んでいる心膜などの自己組織を利用して右室流出路をつく っている現状にあるので、こういった手術に使える市販の弁付き人工血管が全くないの が日本の状況です。欧米における右室流出路再建の方法とは大きく異なる日本の現状で す。  そういった意味ではContegraは右室流出路再建に必要な強度と小児の組織に適した 操作性を確保できる柔らかさを持っているので、個々の形態に合わせて適切な形にトリ ミングしやすい弁機能も良好である。人工弁に比べて同じサイズのものでの弁の機能そ のものも大変良いという機能的な利点もあるし、サイズもいろいろあって、それぞれの 年齢に合わせたものが得られます。こういった弁付き人工血管の評価は耐久性、弁の機 能、組織との適合性などを合わせた操作性、入手しやすいなど、もう1つは価格がポイ ントになりますが、そのどれを取っても大変優れた製品であるといえます。  諸外国における使用状況ですが、3頁にあります。2006年12月までにEUにおいては 承認されて、すでに5,296個、米国では2003年に承認を受けて、1,248個が販売されて いるそうです。その他の国でも1,564個です。  手術成績や遠隔成績についてもいくつかの報告があり、スタンダードというか、比較 対象になるのはホモグラフト、同種組織です。死亡率は大体10%とか15%ぐらいの現状 では治療が困難を有する複雑な疾患後に対する治療ですので、その成績及び評価も難し いところがありますし、テクニカルな問題などもあり、再手術も何年かすると必ず必要 になってくる中での評価です。  米国でHDEの申請にあたって実施された237例と、その後の登録症例を加えると381 例の成績の概略を記入しています。18歳未満でプロスペクティブな非無作為化多施設共 同治験が報告されています。4頁の上ですが、対象患者は右室流出路再建の患者または ホモグラフトなどの再手術です。年齢的には3ヵ月未満が19%、24ヵ月未満が53%、5 歳未満が73%です。全381例の追跡調査での累積が801patients-yearsで、フォローア ップ期間が16年、サイズはいちばん小さいものが29%採用されていますが、それ以外 のものもそれぞれ10%程度使用されています。  中等度の弁逆流の発生は6ヵ月で19%、1年で18%、2年で15%と、結構こういった 中では良いものです。死亡が45例あって10何パーセントになりますが、これもこうい った複雑な重症疾患群の中での結果です。  我が国における開発状況は先ほど申しましたように手づくりのものをつくっている。 それ以外はないという状況です。  最後にWGとしての検討結果ですが、まずは先天性心疾患に対する今お話した3つの適 応に対して、これらの疾患ごとの救命治療成績の向上のために、本品の早期導入が大変 に重要と考えられています。小口径を必要とする小児では耐久性に乏しく、再手術が必 要となる点では同種弁と同じなのですが、現場の必要性が高いこと、欧米では18歳未満 に適応制限されているのですが、日本においては成人でもホモグラフトが少ない、欧米 に比べて体格が小さい、などの点から年齢制限する利点はないのではないかと考えまし た。  導入するにあたっては、同種弁が極めて困難で代用材料が乏しい現場の状況があるこ と、さらに緊急性が高いことを考慮して、米国で実施された臨床試験を基に検討するこ とで十分であろうとしています。  ただ、本邦での予後を確認するために、一定期間の全例調査は検討課題になるのでは ないかと思います。  最後にContegraは、材質的にも構造的にも良いものですが、ウシを使っていることが 一つの問題です。米国産のウシと、豪州産のウシからなるのですが、豪州産のウシは全 体的に小さいので大きなサイズはどうしても米国産になるところが検討課題になると思 います。ウシの標準体重が米国で545kg、豪州産では338kgとなっていますので、18mm 以上の3サイズは米国産になります。しかしながら適応疾患の大変重篤性、ほかに方法 がないということで、リスクベネフィットを考慮すると、十分なコンセンサスを得て、 十分なインフォームドコンセントを行った上で、本品を使用させていただくように措置 を講じていただきたいと結論いたします。 ○北村座長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。 ○医療機器審査管理室長 資料の4頁で1点修正させていただきます。上から8行目で、 米国での臨床試験のフォローアップ機関の中央値が「16年」となっていますが、「1.6 年」です。それからウシの問題ですが、BSEの問題からウシについてはBSE発生国では ない国のものを使うのが基本とされており、基準がすでに作られています。その基準の 中で医薬品・医療機器について治療上の効果が当該原材料を用いることによるリスクを 上回る場合、その他必要な場合においては発生国を基本的には使わないルールに適合し ない、したがって今回の場合は米国産の製品ですが、そういった原材料をやむを得ず使 用する場合には、妥当性について承認の際に承認書にきちんと書くということで、米国 産、いわゆるBSE発生国の原材料を使う場合にあっても、そのリスクについては個別に 評価して、検討することができる形にはなっています。  今回、米国産をどうしても使わざるを得ないということで、本日は山口先生、北本先 生にもお越しいただいていますが、米国産のウシを使うことについてのリスクをどう考 えるかは承認にあたっても慎重に検討をする必要があると考えています。ただ、食品安 全委員会のレポートで、アメリカでのBSEの発生状況は95万頭に1頭の検出ということ が報告されているようで、例えば100万頭に1頭いたとすると、そのウシにあたってし まった方はもう100%危いというか、リスクがあり得るわけですが、その100万頭に1 頭当たる確率は、年間のこの品目の適応対象の患者数と、アメリカ牛由来の本品のサイ ズの分布から考えると、2,500年に1人出るか出ないかという確率になるのではないか という単純な計算ですが、そういったリスクの程度になるので、リスクの評価について は承認の際に、改めてきちんと評価をいただく予定ですが、本日は山口先生、北本先生 にもその点からもコメントをいただければということで、お越しいただいている次第で す。 ○北村座長 それでは北本先生、特にオーストラリア産はいいけれども、米国産はとい うご意見をお願いいたします。 ○北本参考人 はい、この弁のこと、有用性等々を考えて、しかもウシの大きさから三 尖弁である、しかも大きな弁がオーストラリア産では得られないことから考えると、あ る程度は仕方ないのではないか。ただ、是非ご検討いただきたい点が2つあります。そ れは1つはやはりインフォームドコンセントで、ゼロリスクではないということを使用 する患者ないし患者の家族に説明をしていただきたい。これは必ずしていただきたいと いうことと、もっと可能性は少ないのかもしれないですが、ひょっとこの患者が輸血の ドナーになる可能性があったとき、それは単なる輸血は1対1ですが、日本の場合血液 製剤を作るという可能性があって、不特定多数にBSEプリオン、variant-CJDのプリオ ンを広げるという可能性だけはつぶしておきたい。ですから、いわゆるドネーションに 関してもきちんと説明しておく措置が必要かと思います。 ○山口参考人 私もいまの北本先生と同意見で、付け加えますならば、1つは有用性は 八木原先生がおっしゃられたようにきちんとある。あとはリスクの点で大きな弁が必要 なときに、ニュージーランド産、オーストラリア産を使うのを延ばすこと自体、あまり 意味がないのではないかと考えられます。要するに臨床上必要であればもうその時点で 米国産を使っても、リスクとベネフィットを考えれば、ベネフィットが上回るのではな いかというように思います。  もう1つは製法の点について確認したのですが、本製品は個別に不活化処理を行って いるのですが、前に問題になりました硬膜のように多くの製品を一度に処理を行ってい ないので、万が一、ヒットするにしても1人の患者にのみヒットするだけで、全体が汚 染するすることはないだろうということを申し上げておきたいと思います。 ○北村座長 ありがとうございました。北本先生と山口先生のご意見を確認いたします。 これはアメリカ産のウシから取った18mm以上という太いものだけに適応するのか、オー ストラリア産も含めてすべてBSEのリスクを述べて、コンセントを取る。あるいは輸血 を禁止する、あるいは角膜のドネーションを禁止する、そういったことはどうなのでし ょうか。 ○北本参考人 オーストラリア産は少なくともOIEでもWHOでもBSEに関しては非発生 国ですから、私は必要ないと思います。米国産だけで十分ではないかと思います。 ○北村座長 ほかにご意見はございますでしょうか。それでは我が国は特に代替の製品 としてのヒトからの提供を受ける同種弁というものの採取は、特に子供ではほとんど皆 無に近いという状況もあって、この生物機材の使用を承認していただくことが緊急の課 題の1つであるというご説明に基づき、そしてまたブタではなくウシのものなので、BSE、 しかも米国の大きな製品についてはコンセントと輸血の提供の禁止、角膜等の組織臓器 の提供の禁止等を盛り込んで検討してはどうかという、専門家のご意見ですので、その 点を踏まえて学会の使用指針もお願いしたいと思いますし、また総合機構でもそういう ことを義務付けた上で、検討に入っていただく。あるいは医薬食品局もそういうことで 承認していただくということでよろしいですか。八木原参考人、何か意見はありますか。 ○八木原参考人 特にございません。 ○北村座長 よろしいですか。その2点については実質的に特に大きな問題はないです ね。それではそのように承認させていただきます。ついでに1つだけお聞きしたいので すが、我が国でこれをやった場合はどうなるのですか。我が国は非発生国でよろしいの ですか。 ○山口参考人 発生国です。オーストラリア産の場合は1億分の1の確率なので非発生 国ですが、我が国の場合はリスクの計算上は1万分の1にウシが出るという頻度になる と思います。 ○北村座長 ヒューマンリタリヤンディバイスという形でアメリカが承認しているので す。日本の屠殺のウシからこういうことをして、企業が製品化するようなことになった 場合は危険国になる。難しい問題ですね。この製品についてはそのように取り扱わさせ ていただきます。ありがとうございました。それでは3種類目の検討です。放射線治療 補助材ということで、マーカーなのですがワーキンググループ専門家の伊藤参考人より、 ご報告をお願いいたします。 ○伊藤参考人 それでは資料7、WG報告書、放射線治療補助材をご報告いたします。医 療技術の名称は、放射線治療補助材、放射線治療のための体内植込み金属マーカーです。 対象疾患は報告書の記載とおり、各臓器の腫瘍です。使用目的として根治的放射線治療 において、従来の放射線治療よりも照射位置の精度を向上することで、がんの治療制御 率を向上させ、放射線による正常組織の有害反応を減らすことです。すなわち放射線治 療外照射において、腫瘍近傍に留置し、X線透視装置を治療室内で利用するなどして、 正確な位置決め、位置照合に用います。  今回の検討医療機器は、セティメディカルラボ株式会社、東洋メディック株式会社と、 オリンパスメディカルシステムズ株式会社の3製品です。外国での承認状況ですが、セ ティメディカルラボ株式会社の製品は2003年に米国、EUでそれぞれ承認されています。 東洋メディック株式会社の製品は後で説明しますが、用途に応じて形状の異なる3タイ プがあり、それぞれ1991年、1999年、2006年に米国で承認されています。オリンパス メディカルシステムズ株式会社の製品は海外において承認は取得していません。  対象医療機器の概要です。高エネルギー外照射を用いた放射線治療において、腫瘍の 位置を体外から正確に把握することが最も重要であるため、腫瘍近傍にX線透視にて視 認できる直径数ミリほどの金属マーカーをあらかじめ留置しておき、X線透視装置やX 線CT装置により、治療直前に正確に腫瘍位置を把握し、位置精度を高めて治療を行いま す。  対象医療機器は、この金属マーカーであり、安全に留置でき、長期的にも生体に害が なく、X線透視にて視認性の良い特徴を必要とします。放射線治療による正常組織への 余分な照射が減るため、治療全体の安全性の向上と、がんの制御率の向上が得られるこ とが医学物理的研究及び臨床研究で示されています。材質はいずれも99.99%以上の純 金であり、形状は利用する目的によりさまざまです。また留置するための用具がそれぞ れにセットされています。基本的に3種類とも同様の製品として位置付けられています。  3品目について簡単に説明します。最初にセティメディカルラボ株式会社の製品です。 材質は金、直径0.35mm、0.75mm、1.1mmのコイル形状です。専用ニードルにて植え込み ます。滅菌済みのディスポーザブル製品であり、1症例限りの使い捨てです。FDAからは すべての軟組織に対して承認が得られています。  続いて東洋メディック株式会社の製品です。用途に応じて形状の異なる3タイプがあ り、材質はいずれも金です。ボーンタイプは真球形、直径2mmであり、頭蓋内の病変に も定位放射線治療に用いられ、骨のドリルがアクセサリに入っています。ソフトティッ シュタイプは形状は円筒形、3mm×直径0.8mmから1.6mmのものがあり、肺や前立腺な どの体幹部で使用します。前立腺などの軟組織には専用ニードルで植え込みますが、肺 に関しては経気管支鏡で専用の挿入機具はなく、市販の一般的なカテーテルで挿入しま す。スーチャタイプは形状は真球形、直径2mmであり、乳房腫瘍の専用です。マーカー の中心に穴があり、縫合にて植え込みます。  最後にオリンパスメディイカルシステムズ株式会社の製品です。材質は金、形状は球 形、直径は1.5mmです。経内視鏡的に気管、気管支に留置するための金マーカーと専用 のイントロデューサーのキットであり、金マーカーはカートリッジに収納されています。 滅菌済みのディスポーザブル製品であり、1症例限りの使い捨てです。内套を押し出す ことで金属マーカーを末梢気管支腔内に留置します。  対象疾患としては、ご存じのように放射線治療は、全身のあらゆるがん治療に用いら れます。対象医療機器のうち、軟部組織用の2製品が、すべての軟部組織が対象疾患と なっています。その他、頭蓋骨に留置するタイプは頭頸部治療専用、内視鏡的に気管支 内に留置するタイプは肺専用で使用されます。各臓器の腫瘍が対象となります。 医療上の有用性について説明します。体内植込み金属マーカーが有用であるためには、 金属の視認性が十分高いこと。さらに植込みのリスクよりも体内埋め込み金属マーカー を使わない通常の従来の放射線治療で腫瘍組織以外がダメージを受けるリスクが高いこ と。金属マーカーにより体内の腫瘍の位置の同定が従来よりも優れているデータがある ことから判断すべきと考えます。この3つの観点から、体内植込み金属マーカーの利用 により、腫瘍の制御成績が向上するか、あるいは正常組織の有害反応の頻度が減ること が期待できるか否かについて、各種疾患について報告書にまとめています。臓器ごとに 位置精度の向上が得られているという報告がなされており、腫瘍の制御成績の向上、あ るいは正常組織の有害反応の減少が期待されます。  諸外国における使用状況ですが、セティメディカルラボ株式会社の製品は、2004年に 販売が開始され、米国では5,000個以上が、推定患者2,500人から5,000人に使用され、 EUでは400個、推定200人から400人に使用されています。東洋メディック株式会社の 製品は承認された2003年から年ごとに使用個数が増えています。  我が国における開発状況です。現在承認されたものはなく、オリンパスメディカルシ ステムズ株式会社が本日検討している製品を開発しています。先ほども述べましたが、 経内視鏡的気管・気管支に留置するための肺専用の金マーカーとイントロデューサーの キットであり、金マーカーとイントロデューサーの有効性、及び安全性が確認されてい ます。安全性に関しては物理的安全性、化学的安全性、生物学的安全性が確認されてい ます。  医薬品医療機器総合機構における「医療機器臨床評価相談」の助言を参考に、平成19 年6月29日に製造販売承認申請がなされています。  ワーキンググループとしての検討結果です。米国から輸入されるセティメディカルラ ボ株式会社と、東洋メディック株式会社の2製品に関しては、安全性の試験のデータは ありません。そもそも金というのは現在まで販売されている医療機器における使用にお いて、安全性の歴史を持っているため、米国ではFDAの承認申請において安全性試験が 求められていないためです。海外から輸入される2製品とも、材質はオリンパスメディ カルシステムズ株式会社の製品と同じく金であること、米国、EUで承認されていること、 その後も同補助具に関して危険性が示唆される報告がないことから、安全性試験がない とはいえ、十分安全性を持っていると判断します。海外での使用実績があるマーカーで あり、有害事象の報告もなく、そのマーカーという物理的な性格から、人種差もないの で、日本人に使用することに問題ないと判断いたします。  オリンパスメディカルシステムズ株式会社の製品に関しては生物学的安全性試験、化 学的・物理的安定性・機械的安全性試験が行われており、安全性を裏付ける臨床データ もあり、有効性も確認されています。臨床的には専用のイントロデューサーによる内視 鏡的な挿入が可能な唯一の製品であり、早急な導入が望まれます。  金は生体に害を及ぼす危険性は少なく、安全と考えられます。しかしながら、使用上 の注意としては金アレルギーの有無を使用前に患者に確認するべきと考えられます。使 い方として腫瘍近傍への植込みであることから、それぞれ専用の挿入具による使用方法 とした上で、1症例限りの使い捨てとすることを検討すべきと考えます。また、金マー カーの留置に伴う長期的な安全性については市販後の継続的調査を義務付ける必要はな いと考えられます。しかし、挿入部の安全性については添付文書などにより、十分な注 意喚起を行うことが必要であると考えられます。  疾患が重篤であること、有効性が高いこと、代替品のないことから、我が国での早期 導入が必要な唯一の材料であると判断します。同技術を用いない既存の放射線治療に比 べて重篤な放射線治療の有害反応が減ることが予想できる一方、2mm以下の金属マーカ ーを留置することに伴う副作用は非常に低いと考えられます。  最後ですが、適応疾患を、特定の臓器の位置を示すために、特定のがんだけの根治治 療だけに限るべきか、あるいは欧米のように大枠にするべきかは議論が分かれるところ です。一方で個々の補助具ごとに適応となる臓器が異なるために、細分化は混乱を招く 恐れがあります。しかしながら、その形状や挿入部との組み合わせにより、承認にあた ってはある程度の適応範囲を示しつつ、対象臓器や使用方法に言及した使用上のガイド ラインを関連学会が定めていくことが現実であると考えます。 ○北村座長 ありがとうございました。事務局から補足はございますか。 ○医療機器審査管理室長 本日ご欠席の平岡先生から事前にご意見をいただいています ので、報告させていただきます。金マーカーのいまのレポートの内容と重なる部分は省 略させていただきますが、金マーカーの導入による病変の位置情報が著しく向上するこ とにより、病変の同定が容易になり、照射野の縮小が可能となり、結果として治療成績 の向上、有害事象のさらなる軽減に結び付くものと考え、金マーカーは早期導入をする べき医療機器と考えます。  その一方で、金マーカーの刺入、挿入は侵襲的であり、リスクを伴うこと。金マーカ ーそのものは逆に単なるツールであることを勘案すると、単なるツールであるにもかか わらず、侵襲的なものであることから、適応、使用法については慎重かつ適正な対応が 求められ、学会等でのガイドラインの作成が望ましいと考えます。  また、この1回使い捨てのイントロデューサーとセットで開発されることが望ましい と考えます。なお、金マーカーの適応については特定のがんに必要というものではなく、 精度が要求される状況において、いずれのがんでも必要不可欠なツールですので、各社 が用意しているイントロデューサーにより適応部位が限られてくることは当然ではあり ますが、特定のがん種に限るのではなく、限局した固定がんの適応として、何らかの付 帯条件を付けることが望ましいのではないかと考えます。 ○北村座長 ありがとうございました。以上を踏まえまして、米国製のVISICOIL1種と 日本製東洋メディックとオリンパスのいずれも金の放射線を当てる部位の限局のマーカ ーは申請が出ているわけなのですが、日本の製品の場合は、いままでどのようになって いたのですか。東洋メディックの2003年は。 ○伊藤参考人 東洋メディックは米国です。日本製はオリンパスのみです。 ○北村座長 東洋メディックも米国でやっているのですか。 ○伊藤参考人 はい、そうです。 ○北村座長 その数も米国で使われているのですか。 ○伊藤参考人 はい。日本においては先端的な施設においては臨床研究ということで入 手し、それを倫理委員会を通して、これまで治療を行ってきています。 ○北村座長 そういう金マーカーを使用した放射線治療というのは日本でも行われてい るのですか。 ○伊藤参考人 そうですね、まだまだ限られた施設です。もし、この承認が得られまし たら、数多くの施設で行われることが期待されます。 ○北村座長 そのうち前者2つはFDAとCEマークも取っておられますが、オリンパスは それが取れていないのです。頭蓋内病変としてはFDA承認しているという、部位によっ て分かれています。皆さんのご意見であまり部位を限局して使い分けというのは難しい。 アメリカのように軟組織のがんに広く適応する形がいいのではないかという使用のこと もお話になられましたが、この3種をどのように取り扱うのが妥当か、ご意見がありま したらお願いいたします。  この3種はある程度は適応範囲は限るべきなのでしょうか。もうどれでもよいと、形 状は好きなもの、どれでも使用者の判断に基づいてやればよいと。もう1つはこれを挿 入するイントロデューサー、挿入機具についてはそれぞれオリジナルなものはあるので すか。 ○伊藤参考人 セティメディカルラボ株式会社とオリンパスについてはあります。東洋 メディックに関しては肝臓とか軟部組織に対する専用ニードルはあるのですが、肺に対 しては専用のイントロデューサーはないので、それに関してはオリンパスのほうが安全 性も有効性もその辺は確認試験を行っています。 ○北村座長 そのときに私も思ったのですが、金のマーカーとしては承認は問題ないと いう気がします。しかし、イントロデューサーがそれぞれの形状によってそれぞれ違う のか、あるいは3者とも違うのであれば、それの安全性をどう判断したらよいのでしょ うか。経皮的に入れるのですね。 ○伊藤参考人 そうですね。専用のイントロデューサーが付いている製品については問 題ないと思われますが、そうではない規格のものがこの中に含まれていますので、そう いったものはやはり専用のものを使う方向で考えたほうがよろしいかと思います。 ○北村座長 金のマーカーはクラス2という非常に低いレベルの医療機材としての承認 が可能である。しかし、イントロデューサーは経皮的にがんに突き刺すわけですね。 ○伊藤参考人 ないしはがんの近傍に。 ○北村座長 近傍に突き刺すわけですね。そういったものの機具の安全性、例えばエコ グラフィックに、あるいはフロロスコピカリに外輪は要りますね。 ○伊藤参考人 基本的には我々が日常臨床で行っている生検と同じような手技と考えて いただいたほうがよろしいと思います。 ○北村座長 そちらのほうの医療機器としての承認はどうなのですか。されているので すか。 ○医療機器審査管理室長 専用のものについては金マーカーの承認の審査で合わせてイ ントロデューサーについてもやることになります。専用のものでなく従来の生検などに 使われるもので使える製品についてはすでに承認になっているものが使われるのかどう かを確認の上、承認することになるのだろうと思います。 ○吉田(茂)委員 それに絡んでですが、従来は例えばそういう医療機具については薬事 法の承認を取ればオーケーということですが、これからは治験とか臨床試験をやらなけ れば駄目という方向にいくのか、ある程度薬事法の治験はなくてもいいという幅がある のかどうかは、今後のこういうことをやる上で知りたいのです。いまの北村座長のお話 だと、基本的には改めて治験はやる必要はないという判断のようですね。安全性を確認 するために例えばイントロデューサーの治験はする必要がないという考え方ですか。 ○北村座長 マーカーは要らないと思うのですが、イントロデューサーは少し私も。 ○吉田(茂)委員 イントロデューサーについても要らないという考え方ですよね。 ○医療機器審査管理室長 単純に「はい、要らないのです」という答えがなかなか難し いのです。それぞれいろいろな方法で患部に届ける、例えば肺の内視鏡を使って持って いくような場合には、肺の内視鏡自体はこれまでにも使われていますので、その使われ 方が新しくこれまで内視鏡が入っていかなかったような所まで入っていくとかというこ とであると、そこの部分についての安全性はどうですかということをお聞きする必要が あると思います。 ○吉田(茂)委員 例えばニーズの高いもので、すでに欧米では承認されて日本で必要と いう場合に、臨床試験をしないで済むのなら、そのほうが早いし、早ければ早いにこし たことはないと私も思います。逆にこういう場合はきちんと臨床試験をしなければいけ ないという条件が出てくる場合もあると思うのです。そういうところの線引きはできて いるのですか。 ○医療機器審査管理室長 単純な線引は残念ながらないです。実は国際整合を図るため に、日米欧カナダ、オーストラリアでGHTFと呼ばれる国際整合の会議があります。そこ で医療機器の臨床評価をどうやるべきかというガイダンスが作られており、一律に臨床 試験をやればいいということではなくて、そこの考え方がまとめられようとしています。 そういったものも参考にしながら、基本的な考えはお示ししていく必要はあると思いま す。ただ、医療機器は非常にバラエティに富んでいますので、一律に明確な線を引くと いうのが非常に難しいと思っています。 ○北村座長 ほかにご意見はございませんか。 ○千葉委員 ほかの医療機器もたぶんそういう面があると思うのですが、イントロデュ ーサーの構造的な、力学的な安全性は確かめておいて、それでクリアされるのであれば、 後は使うドクターやトレーニングの問題があると思いますので、本当の構造的、力学的 な安全性だけはと思いますが、あとは要らないのではないかというのが私の個人的な意 見です。 ○北村座長 ほかにご意見はございますか。それでは、安全性についての判断はこの委 員会の検討会の流れでついていますが、その各企業3者が総合機構との相談の中で、(2) に書いてあるようにイントロデューサーの安全性に疑問がもたれることになった場合、 治験を推奨されることになります。  これは金のマーカーだけを取っていれば、それの安全性はいまさらやる必要はない。 そうすると、既存のデータだけでやるという(1)の決定になって、その結果はこの委員会 にフィードバックしてお知らせいただくことになっていますので、ここのところはこの 委員会でそこは治験すべきであるか、それは治験なしで承認すべきであるかという決定 をする委員会ではなくて、早く正式に機材としての承認を受けるべき品物を選んでお渡 ししているので、この金のマーカーも実際に我が国では、かなりもう必要とされている 現状があり、早く薬事承認の上で、保険医療としてさらに進むと思いますが、保険承認 もしていく形になるべきものであろうと思います。この委員会としてはこの3つをまと めた形で、PMDAと略してありますが、そちらに検討をお願いすることでよろしいですか。 医薬食品局のほうもよろしいですか。ではそのようにさせていただきたいと思います。  それでは最後にこの委員会では使用にあたって各学会を大変に尊重してくださってい る医薬食品局にもお礼を申し上げたいと思います。それを使う医師たちはどういう人が、 あるいはどういう学会にガイドラインをつくり、どういう医師たちにそれを適正に使用 してもらうかということの依頼を行ってきて、それに各学会が対応してくださっている 現状がありますので、その報告を事務局からお願いします。 ○事務局(中谷補佐) 医政局医療機器・情報室から説明します。資料8です。前回、 適正使用を確保するということで必要なものについては関係学会にその使用要件の作成 をお願いして、その要件を承認条件、あるいは保険適応の要件にするということでお認 めいただきました。医政局ではそれを受け、この技術に対してどこの学会に作成を依頼 するかをまとめたのが資料8です。左側の番号に沿って順にご紹介します。  1つ目の胸部大動脈ステントグラフトについては日本インターベンショナルラジオロ ジー学会(IVR学会)をはじめとするこちらの学会で、すでに要件を作成中ということ で、関係している学会に入っていただきました。その際、前回ご意見をいただきました ように法人格がある学会や専門医制度がある学会が含まれているかを医政局でも確認し、 もし含まれていないようなものは、関係しそうな学会に連絡するという手順で行ってき まして、この1番については、この学会でということで内諾はいただいています。  2番目の頸動脈ステントについても、すでに日本IVR学会をはじめとする学会で作成 中ということでしたので、こちらにお願いしたいと思っています。  3番目のカプセル内視鏡はすでに承認されているので検討していません。4番目の体外 診断用医薬品については要望学会である臨床検査医学会に相談したところ、すでに遺伝 子学検査ガイドラインがあるので、それに準拠して使用することが徹底されれば、改め て基準をつくる必要はないというご意見をいただきましたので、対象とはしていません。  5番目の放射線治療装置は12番のいま審査いただいた金マーカーのものと一緒に使う ものです。こちらについてはご要望いただいた学会に相談したところ、すでに保険に適 用されている直線加速機による定位放射線治療という保険点数があり、こちらの施設基 準で施設の要件や人員の要件があるので、そちらでいいのではないかというご意見をい ただきましたので、関係する学会は特に選定はしませんでした。本日、金マーカーにつ いて使用の部位、使用方法のガイドラインをつくったほうがいいというご意見をいただ きましたので、もう一度要望学会と相談して、再検討させていただきたいと思います。5 番についても同様ということで行います。  6番目の技術については要望学会と相談して、日本胸部外科学会をはじめとするこち らの学会にお願いしたいと考えています。7番目の植込み型補助人工心臓についてもこ の日本胸部外科学会をはじめとするこちらの学会にお願いしたいと思っております。  8番目の血管内塞栓物質については脳動静脈奇形の部分については日本インターベン ショナルラジオロジー学会をはじめとするこちらの学会にお願いをしたいと考えていま す。胃の静脈瘤については、本日ご議論をいただいて、もう少し調整をするということ なので、こちらは検討中でまた考えたいと思います。  2枚目、9番目の矯正器具ベプターです。日本整形外科学会をはじめとするこちらの学 会にお願いします。すでにそのような基準の作成には着手されていると伺っています。 10番目、植込み型ホルダー心電計については日本循環器学会をはじめとするこちらの学 会にお願いしたいと思っています。  11番目の骨セメントですが、こちらは日本インターベンショナルラジオロジー学会を はじめとするこちらの3学会にお願いしたいと考えています。12番目は先ほどの説明の とおりです。  13番目のリードの抜去システムについては、日本胸部外科学会をはじめとするこちら の学会にお願いする予定です。いずれも関係する学会には医政局からご連絡をさせてい ただいており、こちらでご承認いただければ正式にお願いをしようということで考えて います。 ○医療機器審査管理室長 10番、11番、13番は次回の検討会でご審議をいただく予定 で、その審議も踏まえてその後、お願いをする段取りにしたいと思います。 ○北村座長 ありがとうございました。何かいまのご説明から質問はありましょうか。 ○梅田委員 胃静脈瘤に関してはいちばん専門にやっているのは日本消化器内視鏡学会 なのですが、ほかに日本門亢症学会という門脈圧亢進症をやっている学会があります。 両方とも会員が共通しているところがあるので、両方に言えばよろしいのではないかと 思います。 ○北村座長 ご意見をありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長 先ほど10番、11番、13番と言いましたが、13番はすでに申 請中ですので、この4学会にはできるだけ早くお願いしたいと思います。10番、11番に ついては次回の検討会でご検討をいただく予定ですので、その検討結果も踏まえてお願 いをしていきたいと思います。 ○北村座長 ありがとうございました。最後に5分ほどありますので、この未承認の機 器、あるいは適応外の医薬品を使っての臨床研究のあり方について、我が国はもう少し 明確な指針が必要なのではないかという気がするのです。医政局では臨床研究における 倫理のあり方についてのガイドラインは出ていますし、その見直しも時期があるという のは新木課長からも通達をいただいています。倫理の問題から少し外れるところもある かもしれませんが、未承認機器の実際は先ほどから今回いろいろな医療機材を使っては 未承認の形で実際はかなり使われているという問題もありました。いずれの薬品におい てもそうでした。また高度先進医療がありましたときは5例をもって申請するというの で、何とか経済的な面も医療費の面も頑張ってやっていたということがありますが、そ れがなくなってしまった現時点では、先進医療ではすべて薬事承認が求められています。 ですから、その前にどのような形で臨床試験を適応外薬品を用いたり、未承認の適応を 用いたりして、医師たちは医師主導の臨床研究を行うことができるのか。医師主導の臨 床研究というのも作られましたし、稼働もしています。医師主導の臨床研究は多くの場 合が薬の新しい効用、あるいは新しい機具を使ってのスタディという形になります。そ のときの医師主導の臨床試験をどのようにこういったものを使ってやる場合に認めてい くのかというようなことを、是非ご検討を賜りたいと思いますが、新木課長、何かご意 見はございますか。 ○研究開発振興課長(新木) 私の立場からは是非臨床研究を推進していただきたいと 思います。現時点でお尋があれば、それは健康保険法のルールに則って適正にやってい ただくとしか私の立場としては申し上げられないのが現状です。ただ、そのルールが今 後とも、このままでいいのかどうか、いま北村座長のご発言は、それを何とか見直せと いう学会の声を受けての強いご指摘だと感じましたので、それについては当該ルールを 運用しております保険局とも、我々臨床研究をもっと推進したいという観点から、省内 で話をしていきたいと感じた次第です。 ○北村座長 ありがとうございます。ルールがなくてはできない。しかし、ルールには 時代に合わせた改正も必要だろうと思います。これはディスカッションをするマターで はありません。皆さんから是非ともというのが特になければ、次回の報告を含めて事務 局からお願いします。 ○事務局 次回の日程は10月11日(木)、午前10時から12時を予定しております。場 所等については追ってご連絡させていただきます。検討課題は骨セメントと植込み型の ホルダー心電計の2製品についてお願いしたいと思います。  連絡事項ですが、本日の議事録については作成次第ご確認をお願いし、その後公開さ せていただきますので、合わせてよろしくお願いいたします。 ○北村座長 ご発言はよろしいでしょうか。それでは以上をもちまして、第4回の検討 会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。