07/07/23 第2回 薬剤師国家試験出題制度検討会議事録 薬剤師国家試験出題制度検討会議事録(第2回)       1.日時及び場所   平成19年7月13日(金) 13:00〜   東海大学校友会館 2.出席委員(21名)五十音順   赤 池 昭 紀   市 川   厚   井 上 圭 三  大 野   勲   大和田 榮 治   加賀谷   肇   木 津 純 子  工 藤 一 郎   柴 崎 正 勝   白 神   誠   須 田 晃 治  永 井 博 弌   林   正 弘   樋 口   駿   平 井 みどり  望 月 眞 弓   森   昌 平   山 岡 由美子   山 本 惠 司  山 元   弘   吉 富 博 則     3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)    中 澤 一 隆(総務課長) 三 浦 公 嗣(文部科学省高等教育局医学教育課長) 関 野 秀 人(薬事企画官) 4.備考   本検討会は、公開で開催された。 ○井上座長 定刻になりましたので、第2回「薬剤師国家試験出題制度検討会」を開催 いたします。先生方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして誠にあり がとうございます。議事に入る前に、委員の出欠状況について事務局から報告をお願い いたします。 ○薬事企画官 出欠の確認ですが、望月先生が遅れているようですが、間もなくみえる と思います。ほかの先生方は出席していただいておりますので、21名中現在20名のご 出席をいただいております。 ○井上座長 次に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○薬事企画官 議事次第、資料1「国家試験のあり方に関する論点とその考え方」、資 料2「医師国家試験の概要について」、資料3は医師国家試験改善検討部会が3月16日 にまとめたもの、資料4「医師国家試験における出題例」、資料5「試験問題の体系(例)」、 資料6「現行の薬剤師国家試験出題基準について」です。参考資料として、前回お配り した資料を一通り全部先生方にお配りしておりますので、本日の議論の際に適宜お使い いただければと思います。 ○井上座長 本日は、議事次第にありますように1番として「問題形式・出題方針につ いて」、2番として「出題基準の改定作業について」という2つの議題を中心に検討し ていきます。  まずは、前回のおさらいをかねて、資料1「国家試験のあり方に関する論点とその考 え方」を事務局から説明していただきます。この資料は、前回の検討会で示された「今 後検討する項目(案)」について、先生方からいただいた意見を各項目ごとに割り振っ た形で再構成したものであります。今後さらに検討を続けていく中でバージョンアップ を図っていくことになります。それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○薬事企画官 資料1は、いま座長からお話がありましたように、今後バージョンアッ プを適宜していきたいと思います。全体を説明していますと時間が足りませんので、お さらいの意味を含めて斜めにいくつかご紹介させていただくということで、とどめさせ ていただきます。  1頁でいくつか四角で囲ってありますところが、前回の資料で言いますと、検討項目 としてこちらが掲げさせていただいたものになります。その下は、関連する意見をこち らで加えたものです。  出題分野と問題数に関しては、全体として新たな国家試験、教育制度が変わったので あれば新たな試験を検討していくべき、ということでのご意見が多かったと思います。 その他出題分野に関しては、基本的に各領域に収まってくるだろうという見方をしてい る意見もありました。  2頁は、新たな区分を設ける場合はどうかという話です。2つ目の○にあるとおり、事 前実習を含めて病院・薬局実習といったものが試験問題のカテゴリーとして出てくるこ とが望ましいという意見がありました。4つ目の○で、実務実習の関連で複合的なもの と、必須の知識を問うような問題、この辺りを2つに分けて実地の問題と基礎の問題を 分けたほうがいいというご意見もありました。5つ目の○は、解答に関わる時間数に関 してもいろいろ配慮し、いまでいうとすべての問題が約2.5分という形での考え方です が、その辺りを見直すようなご意見もあったかと記憶しております。この頁のいちばん 下に関しては、薬剤師として働く上で必要な知識を問う問題と、総合的な複合問題の両 方を配分よく作るというご意見もありました。  3頁は、問題数と試験時間の関係です。下から2つ目の○にあるとおり、医療薬学と 実務実習の部分が充実していることを考えれば、問題数を増やすということも考えても いいというご意見もあったかと思います。その他として、結果的に2日で収まらないと いうことであれば、必ずしも2日でなければならないということではないというご意見 もありました。  4頁は出題基準の関連です。教育制度が変わったので、それなりの分野を考えたほう がいいということで、見直すという観点でのご意見だったかと思います。ここで○のと ころに(再掲)とありますのは、この資料でいうほかのところにも繰り返し出てきてい るということです。3つ目の○にあるとおり、いまのままの縦割りの区分では何も変わ らないというご意見もあったと記憶しています。  5頁は、モデル・コアカリキュラムと出題基準との関係です。2つ目の○にあるとおり、 モデル・コアカリキュラムの領域はすべてカバーしてほしい。それ以外があってもいい ということもあるのかもしれませんが、一応カリキュラムにある内容はすべてカバーす るということだと思います。  そのほか、それぞれいま申し上げたような形でこの資料を適宜振り返って使っていた だくということと、さらに現在のこのペーパーはすべてコンセンサスというところに辿 り着いた意見ではありませんで、それぞれの意見を羅列した状態ですので、今後議論を 重ねていく上でその方向性も徐々にメリハリを付ける形でバージョンアップしていくこ とになると思います。  あとポイントだけご紹介いたしますと、8頁はヒューマニズムの関連ということで、 枠囲みにした(5)のヒューマニズムについての中に(新規)と付け加えさせていただき ましたが、これは前回出された意見に関し、特に前回お示ししました検討項目にはなか なか収まりきらないものと判断し、新たにこの枠囲みで1つ項目を起こさせてもらった という意味になります。  ヒューマニズムに関して、基礎の前段に入ってくることが望ましいというご意見、生 命倫理や死生観を問題に織り込んで、目に見える形で標榜してほしいというご意見もあ りました。同じ頁の下にあります実務実習も新たに項目を起こし、これから意見が出れ ばこの中に付け加えていこうと思っております。  9頁は出題の方針ということで、これも新規に書き起こしました。やはり最初の議論 ですので、大枠のところからのご意見が前回多かったので、出題方針という形で見出し を付け、出された意見をとりあえずこちらの判断で書かせていただいております。ほか に適切な場所がありましたら後ほどご指摘いただければと思います。この中で出された 意見としては、2つ目にあるとおりCBTと棲み分けていきたいという話、下から3つ目 の○にあるような、臨床的なところだけを問う問題ばかりでは少し偏るので、複合的・ 総合的問題にすべきというご意見もありました。  11頁からは大きな3として、試験の実施方法に関連する項目です。この辺は、ご覧の とおりということになります。実地試験の導入に関する意見もいくつかありましたし、 また12頁にあるような「知識」、「技能」、「態度」をどうやって確認していくか、と いったことでもいくつか再掲も含めてご意見があったかと思います。  その関連で13頁ですが、ここはいろいろご意見があったかと思います。複合的な出題 を行うことについてどう考えるかというところです。最初の○にあるとおり、出題分野 を新たに設けることも考慮しようということかもしれません。3つ目の○にあるように、 いまのやり方の中でも、問題の作り方だけでかなり良い複合問題ができるという意見も ありました。下から3つ目の○では、基礎と医療系の先生が一緒に問題を作成するとい う意見もありました。また、いちばん最後も同じような意見ですが、チームとして複合 問題を作っていくということもご意見としてありました。その続きが14頁にあります。 (7)の項目で、必ずしも正答が1つに絞れないような問題があってもいいのではないか という意見もありました。  一方で15頁にあるとおり、その他ということで新たにカテゴリーを作っております。 最初の○にあるとおり、国家試験があまり難しくしすぎると難点になるとのご意見があ りました。この辺りは今後議論する上での留意点になるのかもしれません。そういう意 味で項目がありませんでしたので、「その他」とさせていただきました。  残りは16頁の合格基準等ですが、この辺りは今後の議論ということで最初の段階では あまり意見がなかったと記憶しております。17頁にその他ということで一応見出しだけ は付けておりますが、さまざまなご意見をこれからもいただくことになると思いますの で、その都度この資料を組み立てていくということでバージョンアップをしていこうと 思っております。 ○井上座長 この資料の構成のうち、大項目1番の出題分野及び問題数、それから大項 目2番の試験の実施方法・出題形式・解答形式、大項目4番の出題基準の辺りは本日の 議題とも非常に関係が深いと思いますので、後ほど関係のある部分をもう一度見ながら 議論を進めたいと思います。現時点で特別にご意見はございますか。追加のご意見、あ るいはここに書かれていることは発言した内容と少し違うとか、あるいは質問でも構い ませんが発言がございましたらお願いいたします。 (特に発言なし) ○井上座長 次に、医師国家試験のことについて説明していただきますので、そこにか なり本日のお話、あるいは今まとめていただいていることとも連動するような部分がた くさんありますので、その話を伺ってから戻ってもよろしいかと思いますので次に進ま せていただきます。  薬剤師の試験制度の検討に当たって、医師の場合を知ることは非常に参考になる、と いうのは前回もそういうご意見がありました。そのことについて事務局で調べていただ いたものについて説明をしていただき、この試験制度のあり方、全般について非常に参 考になると思いますので、それを基に議論したいと思います。それでは、事務局から説 明をお願いいたします。 ○薬事企画官 資料2から資料4までの3種類が、医師国家試験関連の資料です。全体 の議論をしていただく上で、複合問題の話もおそらく絡んでくると思いますので、資料 5も一連の説明の中でしてしまおうと思っております。資料2から資料4が医師国家試 験の関連です。前回ご意見いただきましたとおり、医師国家試験について調べてみまし た。非常に勉強になる部分もあったと思っておりますので、その内容をご紹介いたしま す。  資料2が全体の概要です。試験の問題は全部で500問あります。表でご覧いただくと わかりやすいと思いますが、その500問の内訳としてまず縦に見ていただきますと、そ のうち100題が必修問題という切り口で扱われております。そのほかに医学の総論、医 学の各論について200題ずつということでの合計500題になっております。この中身は、 それぞれ必修問題はどういう範囲をカバーしているのか、医学の総論というのはどうい う項目なのかといった点に関しては、5頁から出題基準を付けております。  5頁にあるのは、[必修の基本的事項]ということで括られている出題基準です。こ の出題基準もすべてこれが大項目、中項目のレベルで終わっているというわけではあり ませんで、この下に小項目もありますが、頁の関係で省略させていただきました。この 出題基準に関しては、市販されている本にもなっておりますが、それをそのままコピー すると問題があるかと思いましたので、こちらで打ち込んだので小項目まではご勘弁い ただければということでこういうことになっております。  この表の中にある%で書かれている部分は、名称でいうと試験設計表という言い方を していて、通称ブループリントと呼ばれているものです。それぞれ必修であれば必修の 問題数の中の占める割合、大まかな見込みということでの配分の%ということでプルー プリントが設定されております。  5頁から7頁までにあるのが必修の項目に関する内容になっております。8頁からが[医 学総論]の部分で、問題数でいうと200題に当たる部分ですが、それらに関してこうい う分野から出されているということで、それが9頁まで続いています。  10頁と11頁が[医学各論]ということで、これも200題に相当する部分に関し、こ ういう分野、項目から出題されているということです。  この出題基準の内容に関し、分野の切り口も含めて総論と各論では当然違います。総 論に関しては、全体の医療行為の順に分野を作っているところもありますし、医学の各 論では当然のことながら診療科ごとのような形で疾患を取り分けているという切り口で 整理されていることがご覧いただけると思います。  1頁に戻りまして、いま申し上げましたとおりこの表でいいますと、500題のうちの構 成が縦軸でいうところの200題、200題ということで、内容はいま説明したとおりです。 それぞれに関してその内容が2つに分かれます。この表のカラムのほうを見ていただき ますと、一般問題と臨床実地問題ということで構成されております。必修問題であれば 100題のうち半分は一般的な問題、残り半分が臨床実地に絡む問題ということです。こ の部分は、いま説明いたしました出題基準の中で、どの部分がという形では分かれてお りません。出題の中で一般的な問題として50題を用意し、臨床実地に絡む出題の仕方、 設問の立て方という中で、その100題のうち50題をそういう問題として扱ってきたとい うことです。同じように、医学の総論と医学の各論に関しても200題ずつという形で構 成され、全体で500題となっております。(2)出題内容に関しては、出題基準とブルー プリントについてご説明いたしましたので飛ばさせていただきます。  2頁は、試験の時間についてです。3日間で行う試験というのは前回も話題になりまし た。例1、例2ということで、医師国家試験の関係の情報が公表されるようになった以 降の状況です。今年と去年という形での時間割りを示しております。ご覧のとおり、明 確に何時間何分と決まっているわけではありません。その都度微妙に分数が違っていた り、各時間割りに関しても1日目の午前が第100回の試験と第101回の試験とでは違っ ております。このような形で臨機応変に問題の内容に応じて時間割りが決められている ということです。いま申し上げました問題の内容に関しては、後ほど資料4で説明をさ せていただきます。  大きな3番は合格基準です。具体例をもってご説明したほうがよろしいかと思います ので、2頁の下にある例1の第100回国家試験の結果のところをご覧ください。頁が跨 がっているのでちょっと見づらいかもしれませんが、先ほど申し上げました一般問題と 臨床実地問題それぞれに分けた場合に、一般問題を1問1点という計算の仕方をし、臨 床実地問題を1問3点ということを前提として合格基準を定めています。  具体的に申しますと、一般問題については1頁の表を縦に見ていただきますと合計250 題あります。この250題に関して一般問題は1点ですので250点ということになります。 その右側にあります臨床実地問題も、必修と医学総論と医学各論を合わせて250題あり ますので、これらに関しては1題3点ということですので、合計750点になります。合 わせると500題に対して1,000点満点というような構成になります。  このうち、必修問題に当たる部分は、それぞれ一般問題と臨床実地問題が50題ずつあ ります。この部分に関して見ますと、一般問題のほうが1問1点ですので50点、臨床実 地は1問3点ですので150点、合計200点満点ということで必修問題が成り立っている わけです。これに関して、全体の8割以上の正答を求めているということですので、200 点満点のうち160点が合格基準になります。  2頁に戻りまして、いま申し上げましたのを例1で言いますと(1)のところの説明にな ります。但書きにあるとおり、必修問題の一部を採点から除外された受験生という表現 がありますが、これは100題の問題のうち、必修問題としてはあまり適切ではないとい う判定が下された問題に関し、その問題を間違えた受験者に対しては採点から除外する という考え方です。正答した学生に関しては、全体の200点満点の中からは除外してい ないという扱いをしています。その正答した方は、200点満点のうちの80%以上を求め ていて、除外された受験生の場合には、その満点に当たる分母の部分から、その問題に 当たる点数を除き、それを総得点ということにして、それに0.8を掛けた数字が実際の 合格ラインという考え方です。説明と文章との違いといいましょうか、わかりにくい文 章になっておりますが、公表ベースで書くとこうなってしまいます。あまり違う書き方 ができませんものですから、資料としてはこういう書き方をさせていただきました。  必修問題はいま言ったような取扱いですが、(2)でそれ以外の問題はどういうラインで 合格を決めているかということです。必修問題を除いていますので、一般問題は残り200 題あります。これも同じように1点の配分で、臨床実地のほうは200題のうち3点とい う計算をしております。それぞれに対して何割ということではなくて、何点以上という 計算の仕方をしております。一般問題の場合には合計が200点満点になりますから、そ のうち137点ということであれば大体65%強ということになります。臨床実地のほうは 満点が600点になりますので、そのうち389点ですので、大体3分の2を下回るぐらい の正答を求めています。60%強になるかと思いますが、66%まで届かない範囲での点数 で求めているという扱いになります。  これは、その都度その問題の事後的な評価委員会をやり、そこで難易度を勘案して補 正している結果、点数としてラインを示しているものだと思われます。3頁にあるよう に、今年の例で申しますと、いま申し上げたところがそれぞれ122点以上、396点以上 ということになりますので、満点の点数は変わらないのですが、合格ラインはこのよう に少し数字が変わってきておりますので、この辺りは補正をした上でその都度合格ライ ンを決めているということになるかと思います。  (3)のように禁忌肢問題、これは俗に言う地雷問題ですが、これに関しては2問以下と いう形の公表の仕方をしております。どの問題がそれに当たるかということは公表して おりません。この場合の解釈としては2問ということにもなりますし、1問ということ もあり得ます。場合によってはゼロということも含めて、そのうちのどれかがその都度 毎年決められているという状況です。以上が制度全体の概要になります。  4頁には過去の変遷が書いてあります。これも適宜使っていただければと思います。 横の表で、現行の500問になったのは第95回からですから平成13年以降ということが この表からわかります。322題でやっていたところから、平成13年に500題に変えて、 このタイミングで筆記の2日から筆記の3日に変わっていることもわかります。  一方、この表で古いところの第83回から第86回のところが5科目ということで内科、 外科、産婦人科、小児科、公衆衛生といった科目ごとの区分になっていました。その後、 総論、各論ということで科目区分なしという形で変わってきています。この辺りがポイ ントかと思います。5頁以降は、先ほど申し上げました出題基準とブループリントにな ります。  資料3は、いま申し上げましたような医師国家試験のやり方に関し、さらに試験とい うものの考え方、さらには試験の実施方法の辺りを改善していこうということで検討会 が設けられております。平成18年8月に検討会が設けられ、最初の頁にあるとおり、3 月に意見を取りまとめております。資料全体をめくっていただきますと、マジックでア ンダーラインを引いたところがポイントかと思いまして、勝手にこちらでポイントにな るところを示しております。  いくつかご紹介いたします。2頁の出題の内容についての最初のほうの段落で、卒前 の臨床実習を踏まえてより一層の充実を図る必要があるということで、医療面接とか診 療録の記載といったものについても重要視するような方向性が示されております。2頁 の下には、基礎的な計算力、コミュニケーション能力、国際性ということも重要だとい うことにも触れられております。  3頁の出題数・出題形式についてのところで、出題数に関しては500題を維持するこ とが望ましいと書かれています。合格基準に関しても、現行の合格基準を採用すること が望ましい。禁忌肢の設定も引き続き継続。これは、「継続することとするが」という ことで、若干配慮すべき点ということも書かれています。  3頁から4頁にかけては、試験問題のプールについての考え方が述べられています。 その方向性としては4頁にアンダーラインを引きましたが、過去問の既出問題のプール は続けるということも示されております。  その下がOSCEの取扱いです。これに関しては5頁の最初の上の2つの段落に書いてあ るとおり、医師国家試験を補完し、卒前教育における臨床実習の充実を促すことも期待 できるというような位置づけをAdvanced OSCEに対してしております。アンダーライン を引いたところですが、導入を検討されることが望ましいということで、ここはこれか ら先の課題という形の含みがこの辺にあるのかと思います。  その下は、試験回数を制限することについて検討されておりますが、引き続き検討と いうことではないかと思います。こういう形で、現行の制度をさらに随時見直していく ということで、これも1つのいまの状況ということでお示ししたものです。  資料4は、とりあえず今年行われました第101回の国家試験の500題全体を見まして、 その中でタイプが違うものを書き出しました。問題数でいうと22題例示させていただき ました。それぞれの出題に対し、右下に1問何分という形で書いてありますが、これは 試験の時間割に沿って、出題数とその試験時間に対する割算をした結果ということで、 こちらで勝手に振らせていただいたものです。  いくつかタイプがあると思いますが、問1のように正しいものはどれかと端的に聞く 問題、これは1問1分当たりを念頭に時間割りが決められております。問2のように、 薬剤師の場合ですと選択肢の中で2つ、例えばAとBの組合せでどれか1つを回答にす る問題が多いのですが、医師の場合にはAからEまでの選択肢のうち2つをマークシー トに印を付けるというやり方を採用しているものも見受けられました。問4では、誤ま っているものはどれかという聞き方をしていて、薬剤師は原則正しいものを問う問題に する、という方針がいままで続けられておりましたが、それとは若干異なる問題に該当 すると思います。  2頁の問5にあるように、これは別冊の絵は付けておりませんが、操作を写真等で示 すことにより、適切でないのはどれかということで解答を求めているものもありました。 そのほかには、実際の薬物療法、あるいは傷病に関するさまざまな知識を問う問題がい くつかあります。3頁の問11にあるような制度的な問題も含まれております。  4頁の問13のようなケースでは、実際に上気道を観察する順番を必ず守らなければな らないところがあるとすれば、このように順番を正しく理解しているかどうかを問うよ うな問題も作られています。問15は具体例の設問になっておりますが、退院に向けて重 要度が低いのはどれかということです。おそらくここに書かれたAからEまではどれも 間違いではないということなのだろうと思います。ただ、この事例に対して重要度が低 いのはどれかという聞き方をしていますので、従来の薬剤師国家試験ではどれも答えに なりうるということで、場合によっては不適切問題に該当するような意見が多く出てく るような問題も、こういう形で出されてきているという状況です。問16のように、実際 に医学に関連した小説等の著者を求めるような試験もあります。  5頁の問17は、実際の回診をしているときの状況を想定しての問題です。応答として 適切なものはどれかということで、これも考え方によってはどれも自分はこうだという ような、それぞれ正答のようなものを持ち得るような選択肢になっていますが、その中 で適切なものはどれかという形での問いかけをしております。  一方で、6頁にある問21のようなケースでは、実際に会話といったようなものを読ん だ上で、何について話題になっているのかということで、文章あるいは話題の項目を逆 に問いかけているような問題があります。7頁では、1つの症例を、さまざまな臨床検査 値も含めた形で示していて、これに対しては3つを組み合わせて答えを求めているとい う問題もあります。私どもで、第101回の試験を見た限りではこういうパターンがあっ たということです。これも、後ほどの議論の参考にしていただければと思います。  ここまでが医師国家試験の関連ですが、先ほど申し上げましたとおり資料5もご覧い ただきます。これに関しては何かの足しになればということで用意したものです。現行 の4分野の試験分野をベースにして、色の付いた部分のそれぞれの面積は機械的に現行 の240問に対する何問かというところで、スケールはそういう形で相関させております が、別に何か意図するものではありません。複合問題ということを考えた場合には、お 互いの分野が重なり合ってくるのではないかということで、単にモデルとして示したも のです。 ○井上座長 意見交換に移ります。医学のほうの概要、特に資料2で説明をしていただ きましたが、非常にきめ細かく設定されているという印象を受けました。資料2から資 料5までさまざまな問題を含んでいると思います。何かご質問のようなことからでも結 構ですのでご発言をよろしくお願いいたします。  例えば、資料3の3頁のところに「必修問題では絶対基準を用い、一般問題ではそれ ぞれ相対基準を用いることが望ましい」と書いてありますが、この「絶対基準」とか「相 対基準」というのは何を意味しているのかわかりますか。 ○薬事企画官 正確には調べてからのほうがいいと思いますが、わかる範囲でお答えい たしますと、必修問題の場合の絶対基準というのは、いま医師で取り入れている、例え ば8割なら8割というところは変えないという原則があるのだと思います。相対基準と いいますのは、その都度毎年作る問題の難易度が若干変わるとすれば、それを先ほどの 点数でラインを引くように、その点数がその年によって変わってきますので、そこを相 対的にどのレベルかというのをその都度見てという違いではないかと思います。 ○井上座長 特に必修問題を設定しているというのは、薬学もこういうことを取り入れ ていいのではないかと思うのです。その辺も含めてご発言をお願いいたします。問題数 を、一般問題と臨床実地問題でちょうど半々というのは、薬学の場合ここまで問題が作 れるかという気がいたしますが、そういうことも含めて自由にご発言いただければと思 います。 ○白神委員 質問をさせていただきます。医師の国家試験は何人ぐらいの試験委員でこ れだけのものを作っているのですか。薬剤師の場合と比較しておわかりになれば教えて ください。 ○薬事企画官 最近、薬剤師の場合はメンバーも含めて公表しておりますが、医師の場 合はされていないのではないかと思っております。私も承知しておりません。もし公表 されているということであれば、後ほど調べて報告させていただきます。 ○井上座長 公表されていなくても、実質何人ぐらいがかかわっているかということは、 調べようと思えば調べられますか。 ○薬事企画官 聞くことはできますが、それに対してそれを明らかにできるかどうかは 聞いてみないとわからないかと思います。 ○井上座長 相当きめ細かくやっておりますので、人数は相当かけているのだろうと思 います。いま薬学はどのぐらいかけているかわかりますか。 ○薬事企画官 58人です。 ○樋口委員 医師国家試験の場合は問題が増えたということはわかったのですが、320 題から500題に増えたときのいちばん大きな理由は何だったのでしょうか。社会からの 要請があったというのは理解できるのですけれども、数字的な根拠を知っている範囲で 教えてください。かなり思いきった数の増え方ですよね。 ○薬事企画官 本日は調べきれませんでしたが、資料3にあるような検討会を開いて、 議論をした上で変更していると思いますので、それを辿ってみたいと思います。おそら くかなり広範に、医師としてふさわしいかどうかを確認する必要があるということでの 変更ではないかと思います。何らかの改善委員会かあるいは部会のようなものがまとめ ているものがあれば、それは後ほど提供したいと思います。 ○樋口委員 質問した意図は、薬剤師の国家試験の場合とは、問題のカテゴリーとか要 求される事項がかなり違うような感じがしたのです。だから、どの辺までを参考にした らいいのかということがあるのです。 ○柴崎委員 最近、医師の場合はすべての診療科をずっと回ります。その事が問題数を 多くするということと絡んでいるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。この 点は、医師の養成においてはちょっと問題になっているということもあります。外科に 行って、脳神経科に行って、それから産婦人科に行くとか全部を回ります。そうすると、 かなり広範な基礎知識が必要とされるので問題数を増やしたのかと思ったのですが。 ○薬事企画官 それもあると思います。何か報告書のようなものがあれば、それを繙い てみたいと思います。 ○井上座長 区分もさることながら、問題によって点数の重みが違うとか、その切り口 とは別に必修を設けたり、そういう部分に関しては非常に参考になるだろうと思います。 そのようなこともありうるということを前提に、今後の問題、あるいはこれからの作業 を考えていくことになるだろうと思うのです。 ○赤池委員 私の場合は昨年まで出題委員をしていました。ここには、そういう先生が ほかにもいらっしゃいます。いまの薬剤師国家試験の制度といいますか内容というのは 決して悪いものではないと思っています。我々としては、非常に良いものを作ろうとい うことで行っているわけです。前回のこの委員会で、いろいろ新しい制度ということで お話が出た中で、1つはいろいろ考える力を見られるようにできないか。いわゆる問題 解決能力といったことと、薬剤師の国家試験であるということで、サイエンスの部分を なくすというわけではないにしても、そういう臨床における能力を見られるようにする ということ。  逆に言えば、知識の部分もきちんと問えるようにする。それからヒューマニズムとか いわゆる態度、特に医療従事者としての態度をある程度問えるようなものにする。そう いうことがあったと思います。そういうものをどこまで満たすかは別にして、なるべく 入れていくようにしようとすると、現行の制度では基本的に出題の形式の問題になりま すが、みんな均一で点数の配分も一緒である。そういうことを踏襲していくと、そうい うものをいろいろ勘案して入れていくということは非常に難しくなる。そういう意味で は医師の国家試験をそのまま真似るというわけではないにしても、例えば時間配分にし ても、知識を問うような問題では1分に短くして、複合問題等では長くする。必修と選 択といいますか、一般のような問題と分けてやる。そういうメリハリといいますか、区 別を付けて、その中で出題するというのは、おそらく出題者もそれで対応しやすくなる と思います。  そういう意味では、どのようにするかはこれからの議論なのだろうと思いますけれど も、いままでの制度から考えると、そういう出題の内容、特に複合問題も含めて新しい 形のものを入れていく必要はあるのではないかと思います。 ○山本委員 いま医師のほうのを見せていただいて大変参考になったと思います。赤池 先生のご意見とちょっと重なりますけれども私が思いましたのは、各先生それぞれなの ですけれども、10題の問題を作ってくださいと言って、満点20点ですと言うと、1題2 点の問題を作るのですね、ということを頭に考えます。  医師のほうの問題を見ましたらそうではないわけです。5題は1点で作ってください。 残りの5題は3点で作ってください。1点の5題の問題でも、1つだけは絶対に知らない と困るような問題で、8割の人ができるような問題。3点のほうも、1題は必修というカ テゴリーになっているわけですけれども、そのように作ってください。そういう意味で は、一言で言うと多様性といいますか、問題の自由度というのはあると思います。CBT は単刀直入にこれは何ですかという質問をしているわけです。これも、国家試験でもあ りかなと思いますが、これは個人的なことです。そういう意味で問題の多様性と、ハー ドルもいくつかのところで違うハードルを作っているということで、これからの非常に 良い参考になったのではないかと思いました。  もう1つ気がついたのは、正解を2つ選べというのは、薬剤師のほうで言うと盲点で、 マークシートには1カ所しか答えを書いてはいけないのではないかと。誰が決めたわけ ではないのですけれどもそういうのがありました。そういうのもありでしたら、鉛筆を 転がして、5つのうち1つが合うようなというのはちょっと言いすぎですけれども、そ れがないという点でも随分画期的かという気がいたしました。 ○井上座長 資料3の3頁のところにも出てくるのですけれども、5択なのだけれども2 つ選ぶとなると、実際は8択ぐらいになるのですか、10択ぐらいになるのですか。 ○山本委員 1、2、3、4のあれですから。 ○井上座長 10択ということですからだいぶ難しくなるということだと思います。それ を我々が導入するのはいとも簡単と言えば簡単なわけです。これは、いろいろあると思 うのです。禁忌肢ということもあるのですが、薬学で禁忌肢というのは本当にうまくで きるのかという気もします。倫理のような問題で、こういう選択をしては不的確だとい う問題を出そうと思えば出せるような気もします。 ○樋口委員 実習とか実技等の試験では、そのような問題を増やさざるを得ないような 気がするのです。正解というのはなかなかないというものも現実にはあるわけです。し てはいけないということは、逆に多いですから、そのような色合いが出てくるのではな いかと思います。 ○井上座長 いままでの出題基準の中で、間違っているものというのはあまり選ばない というふうにいまはなっていますけれども、そういうのでは問題の幅が狭まってしまう ので、その辺はもうちょっと考えたほうがいいというご発言だと思います。 ○吉富委員 資料4の問17で、関野さんがいまの国家試験で答えがないということにな るかもしれないとおっしゃいましたけれども、こういう問題が出るということ自体が、 教育の中で学生たちがこういうことを議論するネタになるので、これは答えは別になく ても構わないのです。こんな問題を出していただくと、特に教育は変わるし、国家試験 を受けるときの試みが変わるから、単に正解が1個とかではなくて、要は議論すること が大事なこういう問題を出していただけたらいいのではないかと思います。 ○木津委員 いまの吉富先生のご意見に賛成なのですけれども、例えば薬剤師だと正し いものの組み合わせをなんとかという出題の語尾が大体統一されているのです。これを 拝見しますと、正しいのはどれかとか、2つ選べとか、望ましいのはどれかとか、誤ま っているのはどれかとか非常に多様な聞き方をしていて、聞きたいことにふさわしい出 題形式を選んでいるのだというところで、そういうことを導入するだけでも問題の作り 方というのはすごく変わってくると思って、非常に参考になりました。ありがとうござ いました。 ○工藤委員 質問みたいなものなのですが、一般問題というのが1点で、臨床実地問題 が3点ということで、これは必ずしも先ほどの1分と2.9分とか2.5分とは一致しない のですか、それとも大体一致すると考えていいのですか。 ○薬事企画官 ここは、明らかにしていないというのが医師の場合の運用方法です。た だ、問題自体が第100回から第101回と過去2回公表されていますので、それぞれどの 問題が一般問題なのかどうかとか、その辺りの推測は立てられると思います。ただ、明 らかにオフィシャルにこれが一般問題だ、これが臨床実地問題だということにはなって おりません。 ○工藤委員 知っているか知らないかを問うているのが一般問題で、解釈、問題解決に 相当するのが臨床実地問題という感じかという気がするのです。知っているか知らない かは1点だと、解釈ができたら3点だと、大体そんな感じなのかと推測はするのですが それでいいですね。 ○薬事企画官 ここも実際に正しい情報というよりは、私の捉え方ということにもなっ てまいりますが、一般問題で特に必修問題のようなものであるならば、おそらく資料4 に示したもののうち多くのものが1問1分で問うような問題になっているのではないか という気もしております。 ○永井委員 質問です。いろいろな問題の出題の仕方が非常に多様で、学ぶべきことが たくさんあると思うのですが、1つは問題の出し方が120問から250問になったときに 教育制度や教育の目標が変わったのか、何かここで教育的に変わったことがあったので しょうか。薬剤師の場合、教育の目的がある程度変わったわけです。すなわち臨床的問 題を一層重視し出しているところで、これに基づいて国家試験の問題をどうするかとい うことになっているわけです。120問から250問になったり、あるいは問題の出し方の 形式が全く変わってきたのは、教育とリンクか何かがあるのでしょうか。その点につい て何か情報があれば教えてください。 ○薬事企画官 これも私の理解の範囲を超えるものではないのですけれども、教育制度 が変わったということではないと思います。医師に対する社会的要請、その他で医師に 対しての資質というものをどういう形で問うかといったところが、こういう制度の変遷 に反映されているのではないかと思います。 ○永井委員 制度といいますか、先ほどのポリクリが増えたとか、ポリクリがここから 導入されたとか、あるいは共用試験がこの辺りから入ってきて臨床的なことがどんどん 重視され出したとか、そのような制度が変わったのかということですけれども。 ○薬事企画官 さらに勉強させていただきます。 ○森委員 いま、医学部の国家試験の説明をお聞きしましたが、いまの薬学部の国家試 験では、例えば薬事関係法規ですと薬事関係法規を20問バーッと頭から解くことになり ます。医学部のほうは、そういう関係法規も問題の中に紛れています。ある意味で現場 から考えると、あるときには薬物治療の知識が必要であったり、薬局であれば毒劇物の 取り扱いに関する法的な知識問題が顧客との対応間で必要になったりします。そのよう なことを考えると、こういう形で複合的な問題を出題するほうがいいのではないかと思 います。資料4の7頁の問22のような問題中に、薬学の知識を問うもの、法規を問うも のを、複合問題としていろいろなものが入れ込めるのではないかと思います。こういう 形で今回問題の出題方法を検討する価値があるように感じました。  ○白神委員 もう1点確認させていただきたいのですが、問題の後ろに時間が書いて ありますが、これは問題に書いてあるのですか。 ○薬事企画官 個々の問題には書いてありません。その辺を説明させていただきますと、 資料2の2頁に、先ほど説明いたしました試験時間があります。第101回の例2を見ま すと、1日目の午前中は9時半から12時ということで2時間半取ってあります。この2 時間半の中で60問という問題数が割り当てられていますので、そこからこちらで単純に 計算をして、それぞれ抽出した問題に付け加えています。 ○白神委員 ということは、最初の60問はみんな同じ形式の問題だということですか。 ○薬事企画官 はい、そういう見方をしています。 ○白神委員 混ざっているわけではなくて、最初の60問は5択のものがずらっと並んで いたから、割り算をすると1問1分になるという理解でよろしいのですか。 ○薬事企画官 さらに具体的に申し上げますと、資料4の5頁にある問19は、1問2分 半をかけてといいますか、60問で2時間半をかけるまさに初日の午前中に該当している 問題なのです。こういう類の問題が60題並んでいるというのが初日の午前中です。  一方で初日の午後は、1時半から3時半までの2時間の試験時間を取っていますが、 ここでは資料4でいうと問1のような問題で、1問1分相当で解くような問題というこ とで、2時間の中で120題出されています。ですから、試験の時間配分といいますか、 試験の時間繰りのほうで問題の形式ごとに分けて、何を問うているかというと幅広いす べての領域に跨がっているという時間の組み方になっているのではないかと思います。 ○赤池委員 正式にそういう言い方が使われているのかどうかわかりませんけれども、 医師国家試験の問題集みたいなものを見ていますと、2分半とか3分かけている問題は 長文というカテゴリーになっていて、1分ずつぐらいで解かせるのは特にそういうのは 付していないということで分けているように見受けられます。 ○井上座長 長文でも、最初に病名をパッと聞いて、次はそれに対して処置を考えさせ るというと、先ほどの工藤先生の質問だと、もしかすると一部は1点の問題で、あとは 3点の問題かもしれないという気がするのですが、そういうことがあってもいいのでし ょうか。 ○薬事企画官 これも想像ですけれども、ありうるのだと思います。各試験時間なり、 一定の60題なら60題の中に必修も入っているしそれ以外も入っている、ということも たぶんやっているのではないかと思います。 ○平井委員 資料4の問22の問題は、いま医学部でやっているPBLのチュートリアルと いうのは大体こういうことをやっているので、そのPBLチュートリアルの問題解決型の 学習の能力を見るという意味合いで、こういう問題が出ていると思います。大昔に私が 受けたころ、こういうのはC問題と言っていて、長文の問題があって、それに画像のデ ータとかいろいろなものがくっ付いて問いがあるということでした。このようにたくさ ん問いが付いているというのはなくて、それは臨床の実習を受けた知識を問うというよ うなことで出されていました。  大昔のことで恐縮なのですが、私たちが受けたころは、例えばヒューマニズム関係の 問題はこんなふうにたくさん入っていませんでしたし、禁忌肢などというものもなかっ たと思います。ヒューマニズムに関連するような、KCLの注射をするのは駄目というよ うなものはあったかもしれませんが、禁忌肢という感じにはなっていなかったのではな いかと思います。  あとは、医学部のCBTの問題を作るときに、難易度に差があるから全部を等分の配分 にしない。そして、みんなができないのだったら、その問題は能力を測定するには不適 当であるから比率は下げるとか、統計的な処理をして点数を決めて、それぞれの人の本 当の能力を測ろうという努力をされていますので、国家試験でも何かそういうことをさ れているのではないかと思います。 ○井上座長 先ほどちょっとあった絶対的とか相対的とかということ、それがそういう ことを加味したやり方なのだろうと思いますが。 ○白神委員 これだけさまざまな問題を一体どういうふうに委員が作っているかという ところに興味があります。先ほど山本委員は、1人に10問渡して、さまざまなものを作 れというように想像されたのですが、もしかすると、そうではないのではないかという 気もするのです。例えば薬剤師国家試験ですと4つの分類に大きく分けて、それぞれ委 員がいて、そこで割当ての問題を作りますが、その辺り、つまり、どのようにして試験 の作成を委員に割り当てているのかというところが分かると、現実問題としてこういう 問題を薬剤師国家試験に持ち込めるかどうかということの1つの答えになるのではない かと思うのです。 ○山本委員 先ほど私は、1人の先生に10題と申しましたが、この表に出ているのはい わゆるテンプレートみたいなものです。例えば、私は物理薬剤学ですが、物理薬剤学で 1分問題と2分半問題、それも必修問題と必修でない問題という4つの性質のものを作 ることになる。ですから、法規ではまた違うものが出るでしょうし、薬理は薬理でまた 違うものが出てくると思うのです。そのように、分野の分類というのはまた違ったカテ ゴリーの問題になると思います。今は1日を午前と午後、2日目を午前と午後にカテゴ リーで分けていますが、それをこの場なり、どこかで洗い直しをする、そういう話にな るのだと思うのです。そういうわけで、私の頭では、物理薬剤学は物理薬剤学で、いま までのように医療を意識しながら作るのだろうというぐらいの認識です。 ○井上座長 委員が必修問題として作るとかということではなくても、後で整理したと きに、これは必修にしようというようにしてもいいわけですね。 ○山本委員 そうです、そういうことだと思います。 ○薬事企画官 先ほどの白神委員からのご質問ですが、これは私どもも知りませんし、 どう調べても出てこない部分だと思います。現に医師国家試験でやっているということ は事実だと思いますので、実際に専門の先生方が持っている専門の切り口も医学と薬学 で違うとすれば、薬学として作っていくためにはどうしたらよいかというところから議 論をスタートしてもらえれば非常に助かるかと思っています。 ○工藤委員 確かではないのですが、学内で医学部の先生方が卒業関連問題を作ってい るところでは、一般問題と長文問題というように分担して作っています。だから、平井 委員が言っていたことをずっと踏襲しているのだと思います。それぞれの専門からそれ を作っていこうということでやっているのだと思います。 ○井上座長 前回ここでも出た、違う領域の人たちがチームをつくって問題を作ってい くというようなことをしているわけではないと。 ○工藤委員 うちではしていないと思います。 ○井上座長 医学はある程度そういう問題ができるのだろうと思うのですが、薬学の場 合は難しいので、できたらチームで問題を作ってみるというのがいちばんプラクティカ ルではないかという気がしますが、いかがでしょうか。 ○柴崎委員 私もいまの井上座長のお考えに大賛成なのですが、患者や患者の家族から 信頼される薬剤師、尊敬される薬剤師として薬剤師が職務を全うするためには、総合力 がないと信頼はされない。  これは私自身が最近経験したことなのですが、私の身内に第1選択肢の抗結核薬を医 師が処方したときに、非常に肝臓毒性が出た。そこで、それをオミットして2番目の選 択肢に移るわけですが、患者の家族とすれば、何ゆえに最初の選択肢の抗結核薬が肝臓 毒性が出るのか興味があります。但し、これは極めて説明が難しい。分子薬学的あるい は薬理学的に易しく患者や患者の家族に説明できるようになったら、薬剤師に対する信 頼度は極めて高くなる。そのためにも統合的な問題、極端な場合は臨床から有機化学ま でのことが入ったような問題がこれからは極めて重要になってくる思います。 ○赤池委員 私も柴崎委員のご意見に賛成です。複合問題といったときにふた通りあり うると思います。7頁の問22はまさにPBLチュートリアルで出てくるような問題で、薬 剤師で考えると、医療の中での実際に即したところを考える問題だろうと思うのです。 そういった複合問題と、まさに基礎薬学から医療までつなげるような形の問い方、もう 少し多様性があるのかもしれませんが、少なくともそういった2つの大きなカテゴリー で組合せ問題を作っていくと、より広くいろいろな知識が問えますし、また、判断力も 問えるのではないかと思います。 ○柴崎委員 医療薬学から基礎薬学のほうにいくような問題、それから基礎薬学から医 療薬学のほうに行くような問題、そういう問題というのは極めて大事だと思いますので 両面から攻めることが重要だと思います。 ○加賀谷委員 資料5の「試験問題の体系」、これを変えないと。それはこの議論の中 で変わっていくのだと思うのですが。いままで、薬を例にとれば薬を使う前の段階の取 扱い、使うとき、使ってからというところがあまりなかったように思います。医療薬学 になって、患者に向けての薬学ということになった場合に、いままでは薬学教育を4年 なり受けた延長線上に国家試験を受けられるというスタンスではなくて、社会が求めて いる薬剤師、薬剤師は臨床の場で患者の命に関わる仕事なのだという、いまの議論の中 にもいくつか出ているような、基礎薬学から臨床まで全部を網羅するような体系という のですか。このカテゴリーでいままでのように扱い方を中心とした薬学のところがあま りにも歴然とパーセンテージを占めてしまいますと、どうしてもそこに収束してしまう のではないか。ですから、使うとき、使ってからという部分を必須問題、医学総論とか 各論というような形にまずきちんと先に作っていただいて、それから問題数がどのぐら いかという話のほうがいいように思います。要は、体系がこれでいいのかどうかという ところがいちばんの議論だと思います。 ○平井委員 資料4の4頁の問15は、設問としては1つだけなのですが、こういうもの をネタにして問題を作ると非常に多面的な問題が作れると思うのです。例えば、ここで 使う薬の種類が出てきますと、その薬に関する有機化学的あるいは物理化学的な問いも 出来ます。それから、これは非常に社会医学的な問題も含んでいますし、また診断、そ して、ありとあらゆるものが含まれているのです。だから、こういう問題を中心にして 問題を作っていくと、非常によい複合問題が出来ると思います。  ただ、現場には症例が無数にありますから、そういうものをいろいろ持ってきて、そ れに対して薬学的な知識でどうアプローチしていくかといった形で問題を作っていくと 非常によいと思います。  それと、この文章を見ますと「ケトン性アシドーシスによる云々」とあって、この人 のそれまでの歴史が入っているわけです。だから、1人の人の歴史あるいは経過、その 社会的な状況にまで思いが至るような形で問いを作ること。先ほど柴崎委員が総合力と おっしゃいましたが、そういうものとともに想像力(イマジネーション)を広げるよう な形の問題を作っていく。そのためには、核となる症例や実例をたくさん集めてきて、 それを使って問題を作っていくのがよいのではないかと思います。 ○工藤委員 私も大賛成なのですが、とかく陥りそうなので気をつけたいと思うのは、 こういう症例があって、そこからの連想ゲームでどういう問題が出来ますかということ ではないと思うのです。柴崎委員が先ほど指摘したように、これがあって初めてその治 療の説明がつくとか、関連している総合問題ならウエルカムなのですが、この症例があ るが、先生方はどんなことを聞きますかという形で並べたのでは、バラバラな問題を出 しているのと同じだと思うので、その微妙な問題を指摘したいのです。 ○井上座長 実際にチームになって問題を作ってみたときに、これは一応並んでいるが 無理してくっつけているだけだというようなものはオミットしていく、というやり方で やっていくしかないのではないかと思います。 ○工藤委員 そういうことだと思います。お互いに寄りかかっている問題の出し方をし た総合問題であるべきだと私は思いますね。 ○赤池委員 薬剤師国家試験ということを考えたときに、平井委員がおっしゃったこと は非常に重要だと思うのです。それと同時に、同じ複合問題でも、もう少し原理原則、 特に基礎と組み合わせて考えるような場合に、実際の臨床のいろいろな例に即してとい うことではなくて、もう少し抽象的な問題。抽象的という言い方がどうか分からないの ですが、そういったものも必要だろうと思うのです。私の解釈が間違っているかもしれ ませんが、資料2「医師国家試験の概要について」の1頁目に、一般問題と臨床実地問 題ということで大きく分かれているわけです。一般問題は、具体例というよりは、薬の 作用を聞くとか構造を聞くとか、そういった形の問題が入りうると思います。また、実 際の症例とか処方を聞くとかということになると臨床実地問題になる。私はその両方が 要るのではないかと思います。 ○平井委員 実例はそのまま問題に使えないと思うので、実例に即して、そこから抽出 した原則を使うということです。それから、赤池委員がおっしゃるように、一般問題と の違いはある程度はっきり区別をしておく。そうでないと、学生の負担にもなりますの で。 ○赤池委員 これは前回も議論に出ていたと思いますが、薬学の場合も、ポリクリほど ではないにしても、半年間の実務実習を行うわけです。医療の現場で実習を非常に長期 間にわたってしっかりとしていただくわけで、そういったものに基づいたかなり実際的 な問題というのは当然入ってこないといけないと思います。 ○井上座長 心配なのは、実際的な問題といいますが、どのぐらいの問題が本当に出来 るのか。つまり、非常に簡単な問題とか、問題解決型といわれるような問題が実地のほ うからどのように出てくるのかという具体例を何か見せていただかないと、どういうも のになるのかと思うのです。 ○柴崎委員 これも最近私の近くの人が経験したことなのですが、ワーファリンの血中 濃度が上がらないので、血中濃度が治療域に達するまで処方する、と医師は言うのです。 私は一応薬剤師ですが、血中濃度が治療域に上がるまでワーファリンを投与して、ほか の点で問題が起こらないのかということが非常に心配でした。ところが、それを聞ける 人が誰もいなかった。積極的に病院の薬剤部長や薬剤師に聞かなかったのは私が悪いの ですが、少し医療に対して知識を持ち、興味を持っている人なら、そのような疑問は持 つはずです。普通の投与量の3倍ぐらい投与して初めて血中濃度が治療域に至ると言う けれど、代謝されたものが毒性を示さないのかと、私ですら感じます。例えばワーファ リンの構造式を聞いて、最初の代謝がどうであって云々と言ったら、そのとき非常に良 い問題が出来るのではないかと思うのです。数がそれだけ本当にあるのかと言われたら 私もいま答えられませんが、薬学についての見識があったらできる、私はそう思います。 ○井上座長 例えば、納豆を食べすぎているのではないかと言われてしまうと、それで 納得してしまうとかね。 ○吉富委員 これは医学部の検討部会でもありましたが、いま総合問題とかいう問題の 言い方もありますし、問題解決型、問題解釈型ということもあります。現行の薬剤師国 家試験で、ジャンル別に問題を振り分けされているのは分かっているのですが、その中 に問題解釈型とか問題解決型とか、そういうことを意識してどのくらい出そうというこ とは、考え方として何か指導されているところがあるのですか。 ○林委員 いままでもちろんそういうものはないと思います。ですから、それこそ今後 の改革の問題だと思います。 ○吉富委員 もし、ないならば今後そういうことを意識した問題を必ず振り分けてつく ることを考えるだけで国家試験のやり方が変わるだろうとは思います。 ○薬事企画官 医療薬学の出題基準の考え方のところに文章で、総合問題も出題の対象 とするという方針だけは簡単に示されているのです。ただ、それ以上踏み込んでいない のです。いろいろな個別事例、症例あるいは処方例を示した問題はいくつか出てきてい るとは思いますが、きっちり体系立てて作られているという状況ではないと思います。 ○樋口委員 いまこういう教育、こういう講義が行われているから、それに沿ってこう いう問題を作るということと、国家試験の中に設計図を入れて教育を自主的に変えよう ということとがあります。過去に、医師国家試験の出題委員の方が、倫理が全然なって いないから倫理の問題をどんどんぶち込んだというのは聞いたことがあります。ですか ら、いまチュートリアルのことを平井委員も言っておられましたが教育の現場から、国 家試験を解いていくためにはこういう傾向にしないと駄目だというのを積極的に盛り込 んでもいいのではないかと思います。 ○平井委員 先ほど柴崎委員がおっしゃっていたワーファリンの話なのですが、それは 今非常に大事なところだと思うのです。この内容とは外れますが、例えば外来で医師が 診察するとき、そこに必ず薬剤師がいてワーファリン治療を行っている人に、納豆を食 べすぎているのではないかと。あるいは、これはまだ無理だと思うのですが、遺伝多型 を先に簡便に調べるような方法があれば、投与量の設計はある程度できるのです。それ から、納豆というと笑われるかもしれないのですが、その人の生活状態で凝固能は非常 に変わりますから、生活状態や食事、あるいは他に飲んだ薬のことをきっちり聞いてい くと、診察に対してかなり事前に予測ができるようになると思います。その辺を聞くの が薬剤師の仕事だと思うのです。 ○柴崎委員 私が経験しているのは日本でもトップクラスと言われている病院での出来 事ですが、いま委員が言われたような、ディスカッションをしながらの投与方法はとら なかったような気がします。 ○平井委員 薬剤師が実際に外来をやるという制度はごく一部行われている所もありま すが、通常、制度的にはやっていない。でも、薬を使うからには、そういう薬剤師の参 加の仕方をこれから考えていくべきだと思いますし、そういうことを目指して国家試験 とか教育とかいうことを考える必要があると思うのです。構造式から代謝経路、遺伝多 型、そういう基礎的な知識がそこに当然入ってきて、それが結局、目の前の患者さんに どのように効果を及ぼしてくるのか、響いてくるのか。投与量1つ決めるにしても、そ れだけいろいろなバックグラウンドがあって決まってくるわけですから、その一連のこ とで、ものすごく良い問題になると思うのです。それは薬剤師としてどうしても身につ けておくべき知識だと思いますし。 ○井上座長 いまの例が必ずしもよくなかったのかもしれないと思うのは、化学構造式 を知っていると、医師などには解けないようなサジェスチョンができれば、医師は薬剤 師を横に置いておかないと話が進まないわけですから必ず置くようになるはずです。そ ういう知識が本当に活かせるような薬剤師、それを養成しているはずなのだから、そう いう問題をできるだけ取り入れて出題することが必要ではないか、私は個人的にそう思 っています。 ○白神委員 複合問題は非常に魅力的なのですが、先ほど何人かの委員の先生方からご 懸念があったように、基礎を入れるがために無理やり問題を作るようなことがあっては いけないという感じがするのです。「ところで」か何かで始まるような問題は複合問題 とはいえないと思います。 ○井上座長 それは作ってみればすぐに分かることではないですか。 ○白神委員 作る段階になると、そういう問題が出てくる。逆に、入れられる範囲が限 定されてしまうので、複合問題はある程度に押さえないと。全部複合問題というわけに はいかないという気がします。 ○井上座長 まずは複合問題みたいなものを基礎の人も考慮してみる。それで、この部 分ははみ出てしまう、そういう問題を解決するためにはこういう基礎的なものが必要だ という意識の下に基礎的な問題を作っていけばいいので、最初はまず複合問題をみんな で考えるというスタンスはあっていいのではないかという気がしています。それで、結 果として、取って付けたようなものは、これは駄目だということに当然なると思うので す。 ○永井委員 複合問題を作るのは大賛成なのですが、井上座長がご心配になっていたよ うに、薬学の中で、臨床ということが非常に少ないわけです。ですから、複合問題を作 るときに、臨床的なことを必ず起点なり終点なりに入れる。今たまたま私どもの所は付 属薬局があって、そこでいろいろな例を集めこれらをいろいろな教育に使っているので すが、いまが出発点で、これから増えてくると思うのです。ですから先ほどの議論のよ うに、複合問題を初めからたくさん作るのではなくて、少しから始めて、薬学部の中で そういう経験が増えた段階でもっとエクスパンドしていけばいいのではないかと思うの です。初めからどれだけのものをどのように作るかではなくて、初めはこれをまず入れ ましょうということで、どれくらいの割合から始めましょうかということから始めれば、 やがてアドバンスしていくものだと思います。当然、その中に基礎的なことを入れない と。サイエンスがないようでは全く困るので、サイエンティフィックなことは全部入れ ていくという姿勢だけ持っていればいいのだと思うのです。 ○柴崎委員 複合問題をたくさん作る云々ということは全員の先生が考えていなくて、 新しい薬剤師国家試験の中でそういう点を重視すべきだということで議論していたのだ と思うのです。ですから委員がおっしゃるとおりだと私は思います。 ○大野委員 複合問題のこともそうなのですが、医学部の問題というのは基本的に診断 と治療方針の決定で、薬剤師の職能と分担は別だと思うのです。薬剤師の場合には、薬 のプロであることは絶対に崩してはいけないことだと思うのですが、その仕事として、 安全性の確保ということが大事だと思うのです。だからヒューマニティとかいうことが あるのでしょう。  複合問題の量の問題もあるのでしょうが、質の問題として、どういう中身の複合問題 を作るかも大事だと思います。つまり、薬物療法の安全性を担保する過程で症例を持っ てきて、その中でサイエンスの基礎的なことから、ヒューマニティを考慮して患者さん にどのように説明するか。そういう意味で、薬剤師の職能を特徴づけるような複合問題 というものが必要ではないかと思います。 ○大和田委員 カテゴリーのことを言うと、みんなぶち壊してしまうので言いにくいの ですが。医師国家試験のことは大変勉強になりましたが、診断と治療ということで目的 がはっきりしているので、それに関わることを徹底して聞く。これは薬剤師の職能に関 わるライセンスなのだから、薬剤師の職能に必要なことを徹底して聞くというスタンス が必要です。いままで4年制で行っていた出題基準にはそういう観点が非常に希薄で、 大学の先生の都合で作ったり、薬学の過去の歴史的な流れの中で作ってきたようなとこ ろがある。そこでカウンターのアイディアとして、アメリカのNAPLEXやイギリスのプレ レジストレーション・イグザムを見ると、薬剤師としてこういうことをやるのだという ことをカテゴリーに分けてあります。それについてのガイドラインは今ここに出ている コアカリキュラムのようなものでよいと思うのですが、カテゴリーが全然なっていない と思うのです。アメリカのNAPLEXのケースですと、薬物治療の管理とそれによる患者の 改善、つまり薬物療法を行うことが薬剤師の専門だということで、それが40何パーセン トです。もう1つのカテゴリーは、薬剤師の仕事として重要な調剤あるいは製剤を正確 に行うことで、それが30何パーセント。そのほかにドラッグ・インフォメーションやパ ブリック・ヘルスを推進するための知識が15〜16%入っています。アメリカの場合、薬 事法は州ごとですから、あとは入っていませんが、そのようにカテゴリーごとにきちん と分かれています。そして、ユニットとしての勉強は、例えば有機化学なら、ほとんど がメディシナル・ケミストリーですから、メディシナル・ケミストリーがいま言ったよ うなカテゴリーの中に入ってきます。  そういうことで、先ほど加賀谷委員が資料5を見て心配されていたようなことがある のです。医療薬学という広いカテゴリーがあって、その下に基礎薬学を入れるというの は、はっきり言って何もカテゴリー化してない、従来のとおりやるのだという感じが非 常にありまして危惧しているのですが、そういうことがもう少し明確になった後、出題 形式がどうの、合格基準がどうのとかという話だと思うのです。私は後から参加したの で、全体の薬学改革の中では言いにくいのですが、どうも、そこの視点が抜けているよ うな気がするのです。柴崎委員がおっしゃっているようなことは誠にもっともで、薬剤 師と医師でどこが違うかといったら、化学と生物です。だから、化学についての基礎知 識はしっかり薬剤師になくてはいけないと思いますが、それをどういう形で聞くかとい ったら、医薬品の正しい使い方、評価、調剤、そういう側面で出てくるような医薬品化 学的な形で聞くべきです。今の薬剤師の出題基準を見ますと、基礎薬学の聞き方は全然 それとは離れているような気がするのです。これから議論を進めていくと、そういうと ころもちゃんと直るのならいいのですが、ちょっと心配だという気がしています。 ○井上座長 だからこそ総合問題みたいなものを基礎の人も考えてみる。そうすると、 現場の薬剤師が何を要求しているか、あるいは将来に向かって我々はどういう薬剤師を 育てようとしているのかということをみんなが共通して考えて、そこからケミストはど う変わるかと真剣に考えるのではないかと思うのです。そうすると、委員の危惧や懸念 は少し払拭されるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○柴崎委員 ちょっと論点がぼけているような気がするのです。私は今日言おうか、言 うまいかと迷っていたことがあります。国の政策としてジェネリック医薬品の普及とい うことが大変大きな問題になっていますが、ジェネリック医薬品に対して最も不安感を 抱いている人たちが薬剤師であるという記事を最近読んだのです。では、なぜ現場の薬 局等々の薬剤師の方々がジェネリック医薬品に不安感を抱くのかと言うと、ひょっとし たら医薬品の構造式が頭の中にきちんとない、あるいは、どのようにして医薬品が生産 されているかというアウトラインもはっきりしない。だから、やみくもに不安感を抱い ていて、ジェネリック医薬品の普及が日本ではなかなか進みにくいこともあるのではな いかと思うのです。これからの、6年制対応に向けての薬剤師国家試験は、そういう点 も薬剤師の人たちが要求される知識だろうと思います。  これは総合的な問題とは少し違いますが、あえて言うなら、いままで、薬剤師は有機 化学が強いから医師とは違うのだという抽象的な議論で物事を進めてきましたが、現実 的に考えて、さまざまな点で具体的問題が起こっていると私は思っています。これには 反論があるかもしれませんが、あえて言わせてもらいました。 ○須田委員 6年制の薬学が出発したときに、6カ月の実習もありますが、その実習に基 づいて出題するという視点からすると、医学部の出題の分け方は非常に新鮮でよいと私 は思います。なぜ6年制になったかということが、臨床・実地の問題のような区分をつ くれば十分にできると思うのです。これで気をつけなくてはいけないことは、臨床の現 場で今あることを薬剤師へのメッセージとして伝えなくてはならないと同時に、薬剤師 はもっと能力があるのだという点を見せるためには、いま柴崎委員がおっしゃったよう な有機化学の問題であり、分析化学の能力であり、あるいは物性に関する知識、そうい った基本的な部分が有効に使えなくてはいけないわけです。現場にはいないのだが、大 学人から見て、そういったことに対して将来こういうことが必要だというようなことは 一般的な総合問題の中に含めることができる。新しい視点の薬剤師というものをアピー ルできるのではないかと思うので、そういうことを考えていったらよいのではないかと 思います。  もう1点は必修問題についてです。医学部の場合には、1分程度で解けるような問題 を基準として、どちらかというとCBTに近く、設問形式が2題、誤りはどれかといった 柔軟な設問の仕方が許されているので発展性はあるし、刺激的だと思いますが、薬学の 場合にCBTと必修の問題とをレベルと範囲についてどのように切り分けていくのか。つ まり、今どうしてもポピュラーな疾病で必要だというところに限定するのか、もっとジ ェネラルな部分に入っていくのかという辺りの議論も必要ではないかと思います。 ○井上座長 必修の問題をどうするかというのは、もっと先の問題で、ある程度まで育 ってきたときに、これはやはり必修問題として考えようということであれば考える。い まの段階では、医学がそうしているし、そういうことを考える余地もあるというぐらい の感じでよろしいのではないかと思います。 ここはジェネリックの問題を議論する場ではないのですが、いままで薬剤師は処方せん に従って正しく調剤するということを何十年やってきて、ここで新たに薬を選ぶという ことになって多少戸惑いがあるのではないかと思います。それから、流通の問題や情報 提供、適応症等の問題がありますが、これは厚生労働省のほうで今徐々に進めていただ いています。それで、資料3の2頁「出題内容について」の2パラグラフ目の真ん中に 「さらに、がん対策基本法」とありますが、いま医療を取り巻く環境、自分たち薬剤師 を取り巻く環境、それから社会、患者のニーズが変化しています。ジェネリックもそう だと思いますが。制度等が変わることによってそれぞれの役割が変わります。そういう ニーズに合わせて国家試験が出題できれば、大学の教育も変わると思います。常にそう いうことを考えて出題していけば、柴崎委員がご心配のことも解決するのかと思ってお ります。 ○森委員 ここはジェネリックの問題を議論する場ではないのですが、いままで薬剤師 は処方せんに従って正しく調剤するということをで何十年やってきて、ここで新たに薬 を選ぶということになって多少戸惑いがあるのではないかと思います。それから、流通 の問題や情報提供、適応症等の問題がありますが、これは厚生労働省のほうで今徐々に 進めていただいています。それで、資料3の2頁「出題内容について」の2パラグラフ目の 真ん中に「さらに、がん対策基本法」とありますが、いま医療を取り巻く環境、自分た ち薬剤師を取り巻く環境、それから社会、患者のニーズが変化しています。ジェネリッ クもそうだと思いますが。制度等が変わることによってそれぞれの役割がも変わります。 そういうニーズに合わせて国家試験が出題できれば、大学の教育も変わると思います。 常にそういうことを考えて出題していけば、柴崎委員がご心配のことも解決するのかと 思っております。 ○望月委員 これはいま森委員がおっしゃったことにもつながりますが、樋口委員がお っしゃった、国家試験が社会ニーズに合ったものになることによって、そこから薬学教 育のほうが変わっていくという視点もあるのかもしれないというところは非常に重要な 視点ではないかと思います。例えば私の領域ですと、今年NNT(Number Needed to Treat) を計算させるという問題が出たのですが、いままで、多くの薬学系の大学ではNNTの計 算の仕方を4年生までの間に教えていない所も結構あったのだと思うのです。今回それ が出題されることによって、これは今EBMをやっている医療の現場では利用されている 数字なので、それを今度は大学が教えるようになるだろうと。  先ほど、有機化学と医療現場の問題とを連動させたような複合型の問題をというお話 がありましたが、実は、私たち医療系の教員が有機化学の構造式を使って明確な形で発 現機序を説明できるものは、今の時点では数としてそう多くないのです。しかし、医療 現場では、副作用の発現についても、薬物間相互作用についてもいろいろな問題が転が っていて、基礎系の教員の先生と一緒に考えたら、きちんと理論だてて説明できるよう な形になっていくこともあると思うのです。ですから毎年、連動した問題は無理でも、1 つでも2つでも、皆さんと一緒になって考えることによってある種の解決が見えてきて、 それが逆に薬学の教育に反映されて、いろいろな基礎的な教育の中で医療の問題に連動 させた形での教育が行われるというサイクルが出来てくるのではないかと思っているの です。どうしても薬学生たちは縦割で勉強してきて、最終学年に近づいても、なぜ自分 が基礎系の科目をやってきたのかということがつながらない、という実情を解決するた めにも、国家試験の中でそうした形の問題をうまく取り入れていくことによって教育の 仕方から変わっていけば、学生が分かりやすい形になっていく状況をつくることができ ると思います。 ○赤池委員 ちょっと論点が変わるのかもしれませんが、薬剤師国家試験、あるいは薬 剤師にとって重要なことは、医療の中での薬剤師の位置というものを考えていかないと いけないということです。そういった場合に、薬剤師が果たすべき業務をきちんと間違 いなく実施できることも必要ですが、それと同時に、例えば医療現場で見た場合に薬剤 師が特に関わるのは薬物治療だと思うので、薬物治療ということを考えたときに、例え ば医師・看護師・薬剤師・歯科医師、そういった中で、使われている薬の構造式が分か って、物性が分かって、動態が分かる。極端なことをいうと、薬理作用を知らない医師 もいますから、薬理作用や作用機序、それもある特化した領域ではなくて、とりあえず 使われている1,000品目について、ある程度分かっているという総合力があるのは、極 端なことをいうと薬剤師だけなのです。これは非常に恐ろしいことですが、そういった 中で薬剤師がきちんと責任を果たしていく。場合によっては医師を監視し、間違いを正 していく、あるいは指導するようなことも、当然将来は要求されてくると思うのです。 そういう意味では、どうしても総合力が必要になると思いますが、薬剤師として果たす べき職能はきちんと果たせる、それと同時に知識、総合力を持っている。その両方が問 えるような国家試験になっていかないと。ですから、社会のニードに対して応えていく、 これは我々が考える理想と思われるものかもしれませんが、そういう国家試験のあり方 も作っていかなければいけないのではないかと思います。 ○平井委員 いまの赤池委員のおっしゃったことにも関係があるのですが、将来的にど うしようかということで最も理想的なのは、診断をするのは医師の仕事である。診断が ついたら、それに関して薬剤をチョイスするのは薬剤師の仕事であるという分業の形を つくるのがよいのではないかと思います。そして、投与した薬剤に関してのモニタリン グをきちんと行うのも薬剤師の仕事である。しかし、そういう方向に向けてやっていく ためには知識だけでは駄目で、例えば新しいことに関わるための研究もデザインして考 えていかなければいけませんし、その研究結果に基づいて薬剤師の新しい活動もしなけ ればいけない。だから、そういう方向性がうまく出せるような形の問題を作っていただ きたいと思います。 ○白神委員 実際の症例をもとにした複合問題を出すということに私も非常に賛成なの ですが、そういう問題を出す意味をきちんと考えないといけないと思うのです。先ほど 平井委員がおっしゃったように、そこから何か判断をして答える問題というのは複合問 題の中に含まれる問題だろうと思うのです。先ほど基礎の実例として、構造式が分かっ ているかどうかを聞くような問題という例示がありましたが、それは別に症例を踏まえ なくても聞ける問題である。ただ、薬剤師として基礎の知識もないといけないというメ ッセージを伝えるためだけならよいのですが、その辺りをどうきちんと整理するかとい うのをしておかないと。 ○井上座長 そういう問題は複合問題としては適当ではなくて、構造式を知っていたが ために次の判断ができる、そういう問題でないとあまり意味をなさないと思うのです。 だから、構造式を聞くようなことは取って付けたような質問ということになってしまう のではないでしょうか。 ○白神委員 それでしたらよろしいのですが、例示として先ほどからあったような気が したものですから。 ○赤池委員 もう1つ非常に重要な問題があります。カテゴリー分けをどこまで細かく やるか、そして、それを実際の問題に反映させるかというところはこれからいろいろ考 えないといけないのだろうと思います。今の医療薬学は薬理、薬剤、薬物治療、それか ら病院薬学という分け方だったと思うのですが、これがこのままではいけないので、ま ず、そこをどのようにするのかを皆さんで考えないといけないのではないかと思います。 ○井上座長 それが次の話題になっていますが、いまの点はよろしいでしょうか。2番 目は「出題基準の改定作業」です。これを議論する前に、実際に出題基準の改定作業を 具体的にやるとしたら、この委員会では現実的に不可能だろうと思います。できるだけ 効率的にどのように行っていったらよいかを考えたいと思いますが、方向づけだけでも 少しでも先に進めたいと思いますので、事務局に用意してある資料をご説明いただきた いと思います。 ○薬事企画官 資料6を使って説明いたします。いま座長が言われた作業方針、進め方 については説明の後にご議論いただけるかと思いますが、そのベースになる今の出題基 準がどうなっているかを改めて紹介するための資料がこの資料ですので、現行の出題基 準に書かれている内容をそのまま資料に書き落としたものであるということをご理解く ださい。ところどころ留意事項も書いてあります。  1頁の「全般的事項」これも現行の出題基準に設けられている1つの大きなチャプタ ーですが、その中の留意事項がここに示されたものです。(2)にあるように「重複の無い ように分野間の調整には十分配慮が必要」ということもあり、なるべく重複しないよう にということでこれまで来ておりますので、これから作っていく試験に対して、この辺 りをどのように捉えていくかも1つの検討事項ではないかと思います。  2頁が基礎薬学で、出題基準が出題分野ごとに構成されております。概要と留意事項 がここに示したような形で書かれていますが、ミスタイプがあります。下から3つ目の ○の「生体」が「声帯」となっていますので直してください。  次頁には、現行の「基礎薬学」における大項目と中項目が書かれています。この下に 当然小項目、また、その小項目の内容の例示という欄があるのですが、そこまでこの資 料では書き記しておりません。詳しくご覧いただく場合は、今日お配りした参考資料の 5をご覧いただきたいと思います。そして、今後の作業にも絡んでくることとして、モ デル・コアカリキュラムにおいて関連すると思われる項目を抜き出したものが、4〜5頁 に跨って書かれています。  6頁以降に医療薬学の分野の内容が記されています。先ほども少し議論になりました のでご紹介しましたが、6頁の(2)の(2)にあるとおり、総合問題も出題の対象になると いうことはいまの出題基準の中にも書かれています。  ここにもミスタイプが1カ所あります。(1)の出題方針の2行目の「省令」、これはあ くまでもケースですので「症例」と訂正させていただきます。  医療薬学に関しても、8頁から始まる表でモデル・コアカリキュラムの関連部分を示 しております。  9頁にいきますと、表を1つ区切った上で項目というのが出てまいりますが、とりあ えず、これは暫定的という形でご理解いただければと思います。実務実習、モデル・コ アカリキュラムの項目もここに続けて書いておりますが、その妥当性については、また ご議論いただければと思います。  10頁以降が衛生薬学の部分、12頁以降が薬事関係法規、薬事関係制度の部分です。資 料の構成は先ほどと同様の形です。  15頁以降が「その他」です。これは現行の出題基準にはない部分で、モデル・コアカ リキュラムの最初の柱書き4行に書いてあるとおり、関連すると思われる項目とユニッ トを現行の4分野について示しました。そして、それ以外の項目としては以下があると いうことで、1つ目が「ヒューマニズム」のユニットとコースを表にして示しました。 16頁がもう1つの項目で、モデル・コアカリキュラムでは「イントロダクション」とい う呼び方をしておりますが、その中に出てくる薬学の歴史、現代社会と薬学との接点、 こういった点がカリキュラムに含まれておりますので、この資料の中では「その他」と 書きました。  いま述べたとおり、出題基準とモデル・コアカリキュラムは少なからず関連してくる と思われますが、全体を見渡して、どこに何が関連するかが分かりやすいほうがいいと 思いますので、資料の最後の頁に、全体を一覧できる形で、左側に現行の出題基準の項 目、右側に薬学教育モデル・コアカリキュラムに示されている項目を並べてありますの で、どことどこが結びつきやすいかという議論をしていただくときに参考にしていただ きたいと思います。色分けはこちらのほうで付けておりますので、それが適切かどうか も併せて見ていただければと思います。  これは今後の議論の中で確認しておくべき事項だと思われますが、出題基準本体に遡 ると、その冒頭に書いてある、妥当な出題範囲を示したものであって、ほぼ一定の問題 水準を保つために作られている、という位置づけです。国家試験の作成に当たって、こ の出題基準がすべての方針も含めたものとしてみなされているがゆえに、妥当な出題範 囲、一定の問題水準を保つためのものと、本来の出題基準の目的をさらに超えて見られ ている部分もあるのではないかと思われます。試験の実際の時間配分も、出題基準に示 されているとおり、試験が分野ごとに2日間の午前と午後で区切られており、その辺り も本来の出題基準を逸脱して認識されている部分ではないかと思います。  一方、先ほどまでご議論いただいた医学についての出題基準の扱いをもう一度ご紹介 します。これは資料3にも何箇所か出てきますが、言葉の定義が※付きで6頁に出てい ます。その2つ目が出題基準ですが、ここでも「妥当な範囲」と「適切なレベル」とい うことで、レベルのほうはどういう形で見ればいいか、まだ勉強が不十分ですが、少な くとも「妥当な範囲」を示したものであるということですので、先ほどまでご議論いた だいた必修問題や医学各論あるいは一般問題がどうこうということは、この出題基準の 中には出てまいりません。あくまで「妥当な範囲」を示したものと見ていただければよ ろしいかと思いますので、薬剤師国家試験についても、そういう捉え方で出題基準をど うしていくかを議論していただくと、ある程度、的が絞りやすいという気がいたします。 ○井上座長 時間が限られておりますが、いまご説明いただいた現行の出題基準の留意 事項の洗い直しといいますか、改めなければいけないことがたくさん含まれていると思 います。それから、先ほど赤池委員から言われた分野に関して、現行の4分野をどうす るか。このままでよいのか、それから、今後改定作業をどう進めると効率よく的確にで きるかというようなことについて、これも一般的な集約するような議論にはならないか もしれませんが、何かご意見等がございましたら、是非、よろしくお願いいたします。  まず、この分野は前回から既に議論が出ているわけですが、先ほどからの大和田委員 のご発言などは、このような分野をそのまま踏襲しているとまずいのではないかという ご発言だったとは思います。ある程度分野というものを考えていかないと、実際の作業 が全く進まないということはあると思うのですが、いかがでしょうか。 ○工藤委員 確認したいのですが。資料2に付いている「医師国家試験出題基準(ガイ ドライン)と設計表(ブループリント)」ですか、大項目ごとに何パーセント、これは 必修の所で何パーセント、総論の所で何パーセントとあります。このパーセントは公表 されているのですか。 ○薬事企画官 はい、されています。 ○工藤委員 いま薬学のほうではそれがなくて、それぞれの分野で今年は去年と同じよ うに出していこう、そんなことで出しているわけです。 ○井上座長 これは、どういう基準でこのパーセントをこんなに厳密にやっているのか があれなのですが、何回かの経験でこのようにだんだん変えて、最終的にこれに落ち着 いているということなのですか。 ○薬事企画官 そこは一応国家試験を行う側の立場としてやはりここは重要だろうとい う、その辺の多少の認識、重み付けがあった上で、なるべくそのパーセントを大きくし てある分野は比較的多めに出題すべきだということでの一種のねらいと言いましょう か、そのような考えがあってのことだと思います。 ○井上座長 非常に細かいですよね、11%とか。 ○薬事企画官 これは、ちょっと四捨五入の関係がありますのでところどころ100を超 えてしまうところも出てきますが、約ということだと思います。 ○井上座長 ある程度このようなパーセントを決めたほうが、例えば倫理の問題の論点 の中にも既に随分出てきていたと思うのですが、確保すると言いますか、少なくとも何 台かは確保したいといったようなことは、このようなパーセントを定めると決まってく ると思うのです。このパーセント云々は、やるとしたらあとで決めていくことだと思い ますので。 ○工藤委員 我々が慣れ親しんでいる薬剤師国家試験のものと、大項目、中項目のレベ ルが少し違って、我々の大項目は本当に大項目なのです。医師国家試験の大項目は我々 の中項目に相当するぐらいの感じかなという感じ。大項目というのはやはりかなり細か く分けています。こっちのほうがいいですね。 ○薬事企画官 今日お配りした資料にあります医師の出題基準は、途中まで大項目、中 項目までしか示しておりませんので、また必要があれば。これは資料にすると出版本な のでちょっとまずいと思ったので書きませんでしたが、小項目もありますので、また必 要があれば、先生方には見ていただいてもよろしいかと思います。いずれにしましても、 厳密にと言いましょうか、その出題基準が全体の範囲を示すものということで項目とし て網羅されている構成になっていると読めるかと思います。 ○赤池委員 項目を分けるといった場合に、これは私の意見なので極端なのかもしれま せんが、1つは、薬剤師国家試験として考えた場合に医療薬学というのが異様に大きい のです。ですからまず、もちろんほかの分野も大切ですが、医療薬学を大項目の中でも もう少し分けられれば分けると。薬剤師業務も含めて、もう少し実際に即したカテゴリ ー分けができるといいのではないかと思います。  というのは、現行でも医療薬学が120問なのです。それ以外が120問です。我々、例 えば薬理で加わっていても、みんな、医療薬学の先生と薬剤師の先生方が一緒に作って います。というのは、実際を考えると、ちょっと広すぎるなという印象を持ちます。 ○井上座長 もう少し具体的に言えば、例えば。 ○赤池委員 いまの分け方ですと、例えば医薬品の作用とか動態とか、いわゆる薬理、 薬剤に相当するものがありますね。こういうものは本当は基礎薬学のほうに移ってもい いぐらいのことで、医療薬学というか、そういうことに関して言えば、残りの疾病と病 態とか薬剤師業務、医薬品の品質管理、これをもう少し実際に即した形で分けて、少な くとも大きく2つには分けられるのかなと思います。  さらに言えば、例えば薬剤師業務という場合でも薬局と病院でだいぶ違いますから、 そういったところは、もし分けられるのであれば分けてもいいのではないかと思います。 ○林委員 私も前回の出題基準を作成した時に、関与していましたが、そのときから感 じてますのは、やはり臨床に近い分野を一括りとし、それ以外は、基礎薬学と表現する と適さないようにも思いますが、赤池委員のご発言のように一般的な、それでいて医学 的な内容の分野として括り、それら二つにしぼって、それらを必要に応じて統合して出 題していくようにしないと、なかなかよい問題は出来ないのではないのかと思います。 ○市川委員 私もそのように思います。もう1点、私が医学部の構成がよく出来ている なと思う所は、さっきの医学部総論、医学各論という考え方と一般と臨床という、そう いう2つのカテゴリーです。その階層構造というのは結構大事かと思います。  その薬学の場合を考えたらどういうことになるか、ということを考えてみた場合に、 ここにある従来基礎薬学というものが医学で言うと、各論的な捉え方をされているのか な、むしろ総論というところに該当するのが医療薬学、衛生薬学になるというような理 解をしたらいい。その中に一般と臨床的なものがあるという理解です。ですから、モデ ル・コアカリキュラムで言うならば、C1から10ぐらいまでの範囲はいわゆる基礎薬学 の範囲に入るわけですが、その次の上に立つ総論的なものになるのは、11、12の衛生、 13から15の言うなれば薬物治療その他、それから薬を作るという製剤化のC16が医療 薬の中に入っています。それの問題として考えるのならば、基礎と臨床というところで 分ければいい。  要するに、いちばん上の必須項目としてあるのがたぶん必須問題という、医学部で言 う必須は医師としての必須の内容。言うなれば、薬剤師として必須なものは最高層にあ って、それに対応する実際にやっていくために必要な項目により近くなってきているの が総論的な内容になるのではないかと思います。医療と衛生と製剤化ですか、そういう ところで捉えたらそれは総論で、いちばん下に基礎を支えるものとして基礎科目がある、 そのような形を概念にすればよろしいのか、と私は思ったのです。 ○井上座長 ここは図に書いていただかないとなかなか。混乱してくるからあれですけ れども。 ○工藤委員 基礎をなすそれぞれの学問と応用というか、展開のようなところをいま市 川委員が総論と呼んだと。 ○市川委員 医学部で見ると、人に関することがいちばん上の概念にあると思います。 それが実際に治療とか、臨床とか、何かになってくると各論に入ってきます。ですから、 人の代わりに何をおくべきかと、そこは薬剤師云々です。 ○木津委員 だんだんクリアになってくるようでうれしいのですが、実際に臨床という か応用というか、例えば薬剤師業務というのは、本当にその基礎の部分がないとつまら ない問題しかできないのです。例えば、次のものはどれとどれが配合変化か、などと単 に覚えてもしょうがないのです。それの裏には本当に大事な基礎のいろいろなものが入 っているし、用法・用量にしても、その動態学的なものとか、そういう臨床の現場で。 私、薬剤師になってわからないことだらけで必死に勉強したのは、病棟に出ていくよう になってからです。いま病棟に行っている若い薬剤師さんは、すごく勉強しないと患者 の所にも行けない、お医者さんとも話せない。そういうものを国家試験で出して、それ をやっていけば、少し自信を持って薬剤師になれるというような。私たちが現場でわか らないことを現場の先生、基礎の先生に投げかけると問題がすごく。ここはどうしてこ うなのですかというような問題を作って、回答は基礎の先生と。先ほど柴崎先生が言っ てくださったように、臨床から基礎へ、基礎から臨床へという、全部をカテゴリーして その中で作りなさいと言うとまた心配なので、そこを合わせる作業を是非たくさん入れ ていただけたらうれしいと思います。まとまらなくてすみません。 ○山元委員 さっきの赤池委員のお話で私は医療薬学を全然違うように解釈していたか なと思って、非常によくわかりました。ですからいろいろな話、木津委員の話もそうな のですが、工藤委員の話も市川委員の話もそうなのですが、基礎とか医療とか、医療薬 学と臨床薬学の捉え方がみんな違っているような気がするのです。もう少しそのコンセ ンサスを得ないと、どうしても行き違いがあるような気がします。医療薬学でも臨床薬 学でも呼び方はどちらでもいいのですが、何かの機会に、こういうものをこのように考 えましょうというような1つの案を出していただいたほうが、それをベースに問題を考 えていかないと混乱するような気がするのです。 ○樋口委員 私も、何かたまたま病院にいた人間がやるというからそういう範疇に入っ たのではないかと思っているのです。ただ、いまのような時代になったら、薬理も動態 も、結局基礎ですよね。みんなが国家試験を受けるわけです。そこに実習がオンしたわ けですから。これは、いまの新しい教育体系に替わる前の遺物としてこう分かれたので はないかと思っています、個人的には。たぶん皆さんもそうではないかと思うのです。 赤池委員も、何で私がと思ってずっとやられていたのではないかと思うのです。やはり 国家試験を受ける際の基礎としてはっきりした学問がありますよね、いま言ったような。 そういうものは一括りにして、ここで医療も基礎も衛生も分けるような必要はあまりな いような気がするのです、今度の新しい国家試験の場合も。そちらのほうが、先ほど皆 さんが議論していたことも何かスムーズにいくような気がするのです、問題作りにして も何にしても。実際に臨床現場で発生する問題はやはりいま医学部がやっているような 形で括って、そこにすべてのいまの学問、基礎学問もしていますが、後押しをしていく わけでしょう。そちらのほうが何かすっきりしているような気もするのですが。 ○山元委員 私は、そこまでやるべきではないと思うのです。これまでの学問体系とい うものがあって、そこに乗っかってやっているわけですから、自分たちがどういうとこ ろに位置づけされているかということを全部白紙にして問題を作りましょうでは、やは り混乱すると思うのです。遺物であろうが何であろうが、残すべきものは少し残してお かないと。 ○樋口委員 ちょっと言い過ぎでした。 ○山元委員 ええ。 ○赤池委員 たぶん樋口委員はお考えになっている根本から少し口が言い過ぎたのかな と思って伺っていました。ただ、少なくとも、基礎と医療という分け方がそのように非 常にいろいろな考え方が入って、その言葉を使う限り難しくなっているというのは、私 は事実だと思うのです。ただ、別に学問体系を崩す必要もないです。ただ、やはり薬剤 師国家試験ですから、学問体系がそのまま乗っかる必要もないのです。厳然としてある のは、たぶん薬局や病院の医療現場で実際に実習も行うわけですし、そこで働くという ことを考えたときにそこで要求される内容、それは知識も含めて、総合力も含めてとい うことと、実際に働く上でその背景としてどうしても知識なり考え方として持っておか なければいけないというものとにたぶん分かれるのではないかと思います。それを何か うまい言葉で分けてカテゴリー分けをすればいいのかなと思います。  極端な言い方をすると、技術と言いますか、本当の職能として絶えず行うようなこと と、なぜそういうことをやらなければいけないか、そういったことも含めた知識と言い ますか、学問的な素養ということになると思うのです。そういう意味で、それを基礎と 医療と分けてしまうと、結局元に戻ってしまうので、そのやり方がいいのかどうかわか らないのですが、医学部のものを見ていると、一般問題と臨床実地問題に分けています が、ある程度それに倣って、例えば一般と実地とか、薬学の場合は臨床という言葉はあ まり合わないように思いますので、何かそういう分け方でまず大きく2つを考えるとい うことをしたらいかがなのでしょうか。 ○大和田委員 いまの赤池委員の考え方には比較的賛成なのです。要するに、基礎薬学 と医療薬学というのは何のちゃんとした概念もないままに、あとからうるさく言われた から臨床とか医療とかという感じでとってつけたようなあれですから、それを学問領域 などで区分けすることは難しいと思うのです。ですからNAPLEXのような形で、例えば薬 物治療学を何パーセント、製剤調剤学を何パーセントなどのようにやったほうがいいの ではないかと思っているわけです。  薬学が応用化学だとすると、その中の基礎がたぶん薬剤学、薬品化学、医薬品化学、 薬理学、そのようなものが基礎になるのだと思うのです。それ以前の有機化学や生命科 学は薬学ではないのです。それらを支える基礎化学なのです。したがって、これらは国 家試験の対象にならないともう吹き込まれてしまっているから、その上に。  ですから、医療というのが薬理学とか医薬品化学とか薬剤学とかそういうものを背景 にした、例えば調剤という言葉を使うとすごく狭く捉えられますが、調製剤学や薬剤学 を背景にした、それから薬理学、医薬品化学等を背景とした薬物治療学、このぐらいの カテゴリーで、あとは衛生や薬事法などは別途になりますが、それに入らない、薬剤師 としてこのぐらいのことは一般的な常識として覚えておかなくてはいけないということ を、例えばどうしても基礎的なことを聞きたいというようなものや倫理、そういうもの が一括されて基礎薬学と。  ですから、市川委員の考えとちょっと逆のことになりますが、そう考えたほうが本当 はやりやすいのです。例えばこういう発想で全部構成しろと言ったら、学校の先生はた ぶんできないですよね。ですから、いちばん最初の日に提案したように、本来だったら 職能団体の実際に仕事をやっている人たちがデザインしないと駄目だと。大学関係の教 員は、学問的な立場からそれに協力するというようなことが職能テストとしては一般的 です。医学部は個々の大学の教員のほとんどが実務家の医者ですから、そこは何も問題 なく進むわけですが、大学の事情は、ご存じのとおり、文部科学省がとてもなっとらん から実務家教員を入れろと義務づけたぐらいですから、中身にいま私が言ったようなカ テゴリーのものを出題できるような先生はほとんどいないと思うのです。新しく雇った 実務家教員の先生たちにあれするぐらいしかないのですが、それだったら、やはり実務 をやっている職能団体の人たちが大幅に考えるべきではないかと。こういうことを言っ てしまうと、みんな、またぶち壊しになるのであまり言いたくないのですが、せめて、 いま赤池委員が言ったようなことで、あまり従来の学問分野で分けないという。できれ ば基礎薬学のカテゴリーも変えてほしいということです。従来、基礎薬学だと思ってい るようなものは出題してはいけない、ということをこれっぽっちも言っていないのです。 出題すべきだと思っています。それを知らなければできないというのは、化学を知らな い薬剤師などというものはいちばん困るわけですから。ただ、要するにカテゴリーの中 にそういう形で入れないということを主張したいと思います。 ○山本委員 手短に言います。1つは、資料2の医師の一般問題と臨床実地問題という 分け方に書いてありますが、実は一般問題というのは1点問題で、臨床実地問題は3点 問題という意味で薬剤師は捉えるべきだと思います。医師はすべてベクトルが揃ってい ますので、これは一般問題と言っても、一般常識ではないですね。一般問題は1点問題、 臨床実地問題は3点問題と解くべきだと思います。  それから、実は大和田委員をはじめ、いままである構造はどちらかと言うと否定すべ きであるというのが大勢を占めているような気がするのでちょっと気になるのです。や はり、薬を物として扱うとか、医療だけではないというところを忘れないで、いままで のところはすべて駄目なのだという自虐的なことはあまり尖鋭化しないほうがいいかな という気がしています。ここで止めますが。 ○井上座長 もう3時半ぎりぎりの時間ですので。 ○大和田委員 いや、自虐的に言っているわけではないのです。いちばん最初の議論の ときにあったのですが、6年制になってこの薬剤師に特化したプログラムで、そして、 その結果として国家試験を受けるということですからやはり何か違いがなければ、とい うことがあって、ちょうどいいチャンスだからやはり世界的な視野で見直して、従来の 延長でないということを示したいということです。  ただ、中身的にはそれほど変わらないと思いますよ。医薬品の合成などはあまり出さ ないかもしれませんが、一般的に有機化学の問題が背景にないような薬物治療学や調剤 などはないと思うのです。  いまいる薬剤師、現業をイメージして言うからそういうことになるので、やはり我々 がこれからつくろうと思っている薬剤師はさっきから柴崎先生が言っているような薬剤 師ですから。 ○井上座長 だとすると、先生がおっしゃるように、いまの現業の方々を中心に問題を 作っていただくのは無理だと思うのですよ、そう言ってはあれですが。ですから、やは り両方が協力してやっていくしかないではないですか。 ○大和田委員 現実的な問題はあることはあるのですが。 ○赤池委員 私もこうなると何か言いたくなるのです、すみません。もう1つ議論から 抜けているのは、やはりヒューマニティやコミュニケーションの部分がこれから入るべ きだろうと思うのです。そういう意味で、それがたぶん教養になると思うのです。  私は、薬剤師国家試験の中でどのような出し方をするかは別にして、カテゴリーとし てはサイエンスの部分は完全に取るべきではない、やはり独立してきちっとあったほう がいいと思うのです。そういう意味で、何か 教養や薬科学を1つの括りにして、従来の例えば薬理学、薬剤学、場合によっては衛生 も含めたような形のいわゆる薬剤師として臨床なり薬局で働かれるという前に修得すべ きことが1つのカテゴリーで、さらに実際の薬剤師職能に関わる病院薬学、薬局での薬 学といったようなものが1つの括りと、そのぐらいに分けると非常に考えやすいかなと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○市川委員 一言だけ。大和田委員はそれほど私と違わないと思うのです。私が言いた かったのは、要は、薬剤師といういちばん上のゴールを主体に考えた場合に医学部の考 え方は非常にいいと言ったのは、そこに必要なものは必須問題という格好で必須項目に なっているわけです。その下の論として総論があって各論があるという感じで。要する に私が言ったのは、総論というのは薬剤師のその職能、薬剤師として働く場合もあるし、 薬剤師として出て、衛生などはそうなるかもしれませんが、でも、そういう職能があり ますね。それを支えるべきもの、学問体系とそれに必要なものはそこに入りましょうと。 ゆえに医療も入りますし、衛生も入りますし、云々であると。製剤も入るという、製薬 企業に行く人もいるであろうと。それを支える本来のサイエンスの体系というものは基 礎にあると。  要するに、ここで言うと各論にある。医学部は人を体系にしていますから、いちばん 下にいろいろな臓器の疾患、病気があってという各論になっていきますよね。総論のと ころで人があって、ヒューマニズムがあって、それに必要な技術、議論がいろいろある と。それで、その上に医師が成り立つための必須項目がある。そのような階層構造を言 いたかったわけです。大和田委員のおっしゃっていることは確かにそうだと思うのです が、いまの時代には、まだそこまでマチュレートしていないカリキュラムを使ってやっ ている段階においてはなかなか難しい、最終ゴールはよくわかりますけれども、という 私の意見です。 ○井上座長 3時半でぎりぎりの時間になってきていますので、事務局からのご意向と しても、時間的に余裕がないわけではないのですが、しかし、あとでご説明いただくよ うに、実際は時間的にいつまでもこの議論を繰り返しているわけにはなかなかいかない ということで、場合によりましては事務局で必要に応じて、この議論を踏まえた上で、 このメンバーではとても作業が進まないような資料を作成していただいて、それをここ に持ってきて、その上でさらに議論を進めるようなやり方もあるかなと思うのですが、 いかがでしょうか。もしご異論がなければそのようなことで少し考えさせていただくと。 そうしませんと、これはたぶんなかなか進まないと思うのです。ではそういうことで、 事務局からよろしくお願いします。 ○薬事企画官 今日の議論を聞いていますと、現行で言うところの4分野をどうするか というところはおそらく議論が尽きないと思います。ただ、それぞれの中身と言いまし ょうか、各領域に関しては、いま薬学で幅広く教えていただいている内容が網羅される べきだと思いますので、そのパーツ、パーツを一通り並べてみるところは我々でも、い まの段階でもできるのではないかと思っております。あとはそれをどのように組み合わ せて、例えば先ほど出た話であれば、薬理をどこの範疇にカテゴライズするかといった ところはまたいろいろな区分の仕方が出てくるかと思いますが、個々のアイテムと言い ましょうか、パーツについては一通り並べて広げてみることまでは準備できるのではな いかと思いますので、そのような作業をさせていただきたいと思います。 ○井上座長 それでは資料7を。 ○薬事企画官 一応今後の予定を示しております。前回も最後のところで口頭で申し上 げましたが、しっかり紙に落したほうがいいだろうと思いましてこの資料7を用意しま した。本日は2回目の検討会ですが、いま申し上げたような、ある程度実務的な作業と 言いましょうか、こちらからまたご提示するような資料ですとか、あと、もう少しほか の医師などのやり方も含めて勉強しながらご提供できるものを用意しまして、年内に1 回か2回、またご議論いただければと思っております。  そして年明けになりますと、一応我々が考えていますのは、来年の6月を目処に一定 の方向性を出してまとめたいと思っておりますので、その前に4月、年度が替わったこ ろまでには、これはあくまでも予定ですが、すべての大学に対しての何らかの説明、あ るいは意見を聴取するような時間も必要かと思っております。  そうしますと、年度内には素案と言いましょうか骨格、検討の方向性や素案などにつ いて整理する必要があると思っております。また年が明けた段階では、1月から3月の 間に1回ないし2回、場合によってはそれ以上かもしれませんが、検討会を開催して議 論をしていきたいと思っております。大体ここに書いたようなスケジュールで、また引 き続き検討会の中で意見をいただければと思っております。 ○井上座長 ありがとうございました。議論は尽きないわけですが、本日の検討会は、 一応これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。 連絡先: 医薬食品局 総務課 薬剤業務指導官 長谷川(内線2710)