07/06/29 第2回薬剤師需給の将来動向に関する検討会議事録            第2回薬剤師需給の将来動向に関する検討会 日時 平成19年6月29日(金)10:00〜 場所 東海大学校友会館「望星の間」                       (霞が関ビル33階) ○座長 ただいまから「第2回薬剤師需給の将来動向に関する検討会」を始めます。議事 に入ります前に、出欠状況について、事務局からご報告をお願いいたします。 ○事務局 関野でございます。本日、委員12名のうち、長野委員が少し遅れておりますが、 全員出席の予定です。以上です。 ○座長 配付資料の確認を、引き続きお願いします。 ○事務局 お手元の資料を確認させていただきます。まず、座席表の下に議事次第があり ます。資料1としまして、「薬剤師需給に関する主な意見(案)」ということで、1回目の 検討会で出された主だった意見をまとめたものです。資料2としまして、ちょうど中ほど の左から2つ目のカラムに「『粗い試算』の具体的方法」と書いたものです。資料3としま して、「薬剤師需給の予測について(粗い試算)」ということで、今日の日付の入った資料 があります。資料4はA3のシートになっていまして、左上に「薬剤師需給に関する『粗い 試算』」と書いた数字がたくさん並んでいる資料です。資料5としまして、A4のサイズで1 枚紙ですが、「今後の需給動向に影響すると考えられる項目(案)」です。ここまでが資料 で、あとは参考資料としまして、本検討会の構成員名簿、検討会の設置要綱、第1回検討 会の資料を委員のみに席上配付させていただいております。 ○座長 それでは議事に入りますが、事務局から連絡事項はございますか。 ○事務局 傍聴されている方々にご連絡いたしますが、カメラ撮りはここまでとさせてい ただきます。どうかご理解いただければと思います。 ○座長 それでは議題1の「薬剤師需給に関する粗い試算について」の検討をしたいと思 います。「粗い試算」につきましては、前回の検討会において皆様方にご議論をいただいた 方法に基づきまして、事務局が実際の試算を行っております。本日は、資料3がその「試 算の結果」、資料2が「試算の具体的な方法」、資料4に「試算の過程がわかるデータシー ト」というものが用意されております。そのほか、「その概要」が資料に入っています。事 務局から、これらの資料につきましてご説明をいただきたいと存じます。 ○事務局 お手元の資料1、資料2、資料3、資料4を使って説明させていただきます。か なり細かい計算方法のところもありますので、少しゆっくり目にお話をさせていただきた いと思いますし、これだけの資料ですので、20分か30分ぐらいお時間をいただくことに なると思いますが、ご了承いただければと思います。  資料1ですが、こちらは「薬剤師需給に関する主な意見(案)」を示していまして、1回 目の検討会で出されました意見の主立ったものを、こちらのほうで書き起こしてみました。 この資料に関しましては、前回のおさらいも兼ねまして用意させていただいたものですが、 内容について多少ニュアンスが違う等がありましたら、ご意見、ご指摘をいただければと 思います。また、これからの議論を行っていく上で、さらに意見を肉付けし、充実させて いくということも、継続的に行おうと考えております。1回目の検討会で出された意見を、 大きく「供給」と「需要」の部分で分けて書いています。  「供給」の部分ですが、大学数・定員数の推移を見る限り、減少する傾向にはないとい う意見もありました。一方で、薬剤師の質、入学者の質が低下するということを憂う部分 も含めて意見があったかと思います。ただ、6年間で学ぶ間に共用試験、第三者評価をし っかり行っていくといったご意見もあったかと思います。さらに共用試験のOSCEに関して は、現在の定員では多すぎて成り立たないというご意見もありました。いずれにしまして も、質の低下の部分も含めて、大学側における真剣な協議が必要になるという意見もあり ました。また、入試が選抜の意味を成さなくなってしまっているのではないかということ を踏まえて、その次の○にあるような、何らかの形で対応をとらなければいけないという ご指摘もありました。さらに、高校生にとって魅力のある学部であるべきだという意見も あったかと思います。ほかに追加等ありましたら、その都度ご指摘いただければと思いま す。  「需要」の面ですが、1頁の下にありますとおり、社会的ニーズの高まりや薬剤師自ら が活躍の場を拡大することを通じて、需要が今後増加する可能性があるというご指摘もあ りました。  2頁にそれぞれの職種ごとに書いていますが、薬局に関しては、需要の予測にあたって は、処方せん枚数の伸びが鈍化していくことに配慮すべきだろうという意見もありました。 病院・診療所に関しては、病院の統廃合により減少する可能性があることが懸念されると ともに、リスクマネージメントをはじめとして、臨床に強い薬剤師のニーズがあるという ご意見もありました。さらに病院・診療所の薬剤師の関係で言いますと、地方と都市部の 違いがあるというご意見もありました。製薬企業に関しては、適材適所で配置されている ということで、特に大きな製造販売業においては、増加あるいは一定の雇用数を保ってい るということが示されました。また、医薬情報担当者(MR)ですが、そういった領域、研 究職に関する意見もここに示しています。医薬品一般販売業に関しては、薬事法改正に基 づく登録販売者制度も考慮する必要があるという意見もありました。一方、卸売販売業に 関しては減少傾向にあり、今後も同様の傾向が続くと予想されるという意見がありました。 最後に、行政に関しては、人数としては、全体としてあまり変化はないと思われるが、活 躍する領域がでてくるのではないかというご意見がありました。主だったものですが、前 回のおさらいの意味も含めましてご紹介させていただきました。  次に、資料2から4を使いまして、「粗い試算」に関しての説明をさせていただきます。 細かい計算方法や資料の見方等を説明するよりも、先にポイントのご紹介を行ったほうが いいと思いますので、資料3をご覧ください。「薬剤師需給の予測について(粗い試算)」 です。1頁に書いてあるのは、前回の検討会でもご説明しました、粗い試算をこういう方 法でやってみてはどうかということで書いた資料の内容です。  「試算方法」ですが、総薬剤師数に関しては、23歳で薬剤師国家試験に合格すると仮定 しまして、計算の便宜上、70歳までの薬剤師数を総薬剤師数としてはどうかということで、 具体的には、ちょうど2005年の段階で70歳と考えますと、遡りまして1958年から48年 間の合格者数を調べ、1年を経るごとに死亡率によって人数を補正し、そのトータルで23 歳から70歳の薬剤師数を個々に求め、それを合算して総薬剤師数としています。  2005年以降からが予測ですが、総薬剤師数に対する増加要因としまして、今後の国家試 験合格者が考えられるわけですが、これに関しては、直近10年間の新卒の合格率の平均を 求め、それに合格率は卒業段階での年次になりますので、遡りまして、相対する定員数、 これは合格した段階から4年前の定員数を掛けることにより人数を計算する。これを総薬 剤師数に上乗せするという形をとっています。合格率に関しては、新卒の合格者における 合格率が、約85%という計算結果になっています。それに対して、この辺りは見込みがで きないということもありまして、プラス10ポイント、95%程度の合格率になった場合から、 下のほうは30ポイント、55%の合格率だった場合といった5種類の幅をもたせて試算を行 っています。  一方、減少分に関しては、1年ごと2005年以降推移する中で、その間の死亡率による補 正とともに、毎年70歳を超える方が出てまいりますので、便宜上、その方に該当する数字 を除外するという形で計算してあります。  一方、「需要側」に関しては、これまでの実績を踏まえて、直近10年間の平均値を求め て、その傾向を、さらに将来推計のところでグラフを右に延長しているという計算の仕方 をしています。ただ、薬局に関しては、分業率との関係で試算をしていまして、分業の伸 び1ポイントあたりに対して、薬剤師がどのぐらい変化しているかを直近のデータをもと に計算して、今後の伸びも過去の4年間の変化をベースにしまして、薬剤師数がどのよう に変わっていくかという計算をしています。後ほどまた数字でご覧いただければと思いま す。  2頁は、そういった方法をとりまして試算をした結果のうち、主立ったデータを簡単な 表にまとめました。総薬剤師ですが、平成17年(2005年)で、先ほど申し上げたような 方法で計算しますと、313,530という数字が出てきました。  これに対して、その後の合格率の平均を使い、(1)から(5)を基本として、新卒の合格率の 幅をもたせた形で、それぞれ数字の推移を表の右に向けまして入力しています。平成23 年(2011年)においては、新卒者が出ない、ちょうど4年と6年の間の2年間のうちの2 年目になりますので、この時期に関して参考までに数字を書いておきました。太字で囲ん である327,314が、新卒の国家試験合格率の純粋な平均、85%程度で計算した場合の値で す。平成40年まで、今回試算をするということでしたので、2028年まで、この表ができ ています。平均合格率で見ますと、407,561という数字になっています。合格率の違いに よって上下で、(1)から(5)の間で数字をご覧いただければと思います。  さらに、総薬剤師数を(6)ということで、もう1つ太枠で囲っている部分がありますが、 これに関しては、新卒の合格率を使わずに、基礎部分も含めた合格率で求めた場合どうな るかということで、ここは平均値だけを用いまして、+10ポイントから−30ポイントの幅 は持たせていません。とりあえず、参考ということで新卒・既卒の合格率の平均で求める とこういうことになるということで書いています。これに関しては、定員に合格率を掛け るのではなく、前年度合格しなかった方を定員数に加えて、平均合格率を掛けて計算して います。これによりますと、平成40年(2028年)の段階では437,342という数字になり ます。  一方、その下にあるのが需要の部分ですが、薬局、病院・診療所、大学、その他、それ ぞれをもとに計算してありますが、その結果が示してあります。特に薬局のところですが、 平成26年(2014年)の段階が141,041となっていますが、その先、年を経ても数字は変 わっていません。これは前回ご指摘いただいた分業率の伸びが70で止まるということを仮 定した場合ということで、この後、分業率が1ポイント伸びるにあたり薬剤師がどれだけ 増えるかという計算方法を今回とっておりますので、分業率が70を超えた段階で打止めに していますので、それ以降の薬剤師数は変化していないという計算になります。  トータルがいちばん下の需要(1)(2)に書いてあります。計算上、小項目として無職の者と いうデータもありましたので、この予測も今回計算をしてみましたが、需要という意味で は無職者を除く形のものがあったほうがいいと思いましたので、それを需要(1)という形で 示しています。参考までに無職者を含む場合も需要(2)という形で示しています。平成17 年(2005年)の段階では、(1)で見ますと23万人ということです。そして、2028年では278,704 になっています。  これをグラフにしましたのが3頁です。いま申し上げました、いくつかのポイントにな る数字も矢印で示してあります。全体的に供給のカーブが上側に位置してあります。多少 見づらい点があるかもしれませんので、また後ほどご指摘いただければ、補足説明をさせ ていただきます。  概略は以上ですが、これに対して少し計算方法等を含めまして、残りの資料2と4を使 って補足の説明をさせていただきます。  まず資料2です。真ん中のカラムに書いてあるのが、試算の手順の具体的な方法です。 繰返しになる部分は省きますが、特に死亡率のデータが揃っていますのが、最新のもので 2005年でしたので、この時点を試算上の起点としています。  具体的に死亡率を使った補正の仕方ですが、これは資料の4をご覧いただければと思い ます。1頁ですが、左側に項目が書いてありまして、太い線が入っているところで見ると2 つ目のラインのところに、総薬剤師数があります。その中でいちばん上に書いてある「合 格者から算出(70歳以上減少)」という項目で、ここにおきます数字が0年目、起点とな る2005年の段階では、先ほど申し上げましたように、313,530という数字が入っています。 このあと、2006年、2007年と、最終的に2028年までたどり着く段階で、死亡率でどのよ うに補正しているかといったところをご説明したいと思います。具体的な細かい内容は、 先ほど説明しましたグラフと全く同じものを2頁に付けていますので、それは省略させて いただきます。  3頁です。これも細かい資料ですが、部分的にご紹介しますと、縦軸は、左側に年齢が 振ってあります。23から70まで振っています。横軸は、平成17年(2005年)から始まり まして、右に行くほど前年に遡るという形でこの表はできています。本来であれば、昭和 33年にあたるところからスタートするわけですが、資料の見方ということですので、3頁 を使って説明します。  左側の上のほうですが平成17年のデータとして、死亡率の男、女、単純平均、人数とい う項目がありまして、年齢が振っていない9,781という数字が、平成17年における新たな 合格者の数です。この方が23歳と仮定した場合、1つ下の行を見ていただきたいのですが、 男女それぞれの死亡率が書いてあります。最近の合格者のデータに関しては、男女別々に 出ていますので、この辺りは男女別々に死亡率を掛ける部分により、補正が利くのですが、 古いデータはそれが利きませんので、少し乱暴ではありますが、全体として男女に分けず に、トータルの合格者に対して、これも本来加重平均をとるべきですが、作業上、男女の 死亡率の単純平均をとって足して2で割るという形で、0.00048という数字を作りまして、 それに対して生存する人数を1から0.00048を引くことによりまして、それを9,781に掛 けるという計算をしまして、9,776という数字を導き出しております。  その下にある24歳の時点での8,645という数字は、いま申し上げた9,776の人数の方が 1年経つと8,645になるというように見るのではなくて、実は24歳の方は前年で23歳で すので、1つ右側のカラムですが、平成16年で合格された8,653という人数に対して、平 成16年の23歳の段階でお亡くなりになる確率ということで、0.00044という数字を用い て導き出した8,649。これがさらに24歳になるとどうなるかという数字が8,645というこ とになりますので、斜めに見ていただく形になります。  25歳の方は、平成15年の合格者が2年経った段階で何人残っているかということで、 平成17年の25歳のところに書いてある、8,790という数字になりますので、ちょうど左 下から右上に傾きを持つ、斜めにスライドさせて1つずつ読んでいただくということにな るかと思います。  こういう形で年々年を追うごとに、そのときの死亡率で補正をかけて導き出した数字が、 平成17年のいちばん下にあります数字、Cというところですが、313,530という数字にな ります。平成17年の段階では年齢構成で見ますと、23歳から70歳の間にそれぞれ人数と いう欄に書いてある人数が計算上いるということで、合算が313,530ということになりま す。  資料の2に戻っていただきます。1頁の全体が、いま申し上げた形で補正をかけて313,530 という数字を試算いたしました。  次に資料2の2頁です。3の「総薬剤師数の増減要因」ですが、まず、追加される合格 者に関しては、合格率の推移をもとに計算するということで、こちらも細かいデータシー トを資料の4に用意しています。いずれにしても、新卒合格者の合格率の平均を求め、そ の幅をプラス10ポイントからマイナス30ポイントにもたせる形で計算をしています。そ のあたりの手順を2頁に書いています。  3頁ですが、上にあるカというところで、新卒だけのデータではない合格率をもって数 字も用意したということが、ここに書いてあります。  減少分に関しては、毎年1年ごとに人数がスライドしますので、その段階でそれぞれが 1歳年をとったという形の計算で、70を超えた段階でその数字を除外して計算したという ことです。  具体的には資料4で少し説明をさせていただきます。14頁をご覧ください。先ほど追加 分ということで説明しました、合格者の計算のところで用いる合格率ですが、合格率だけ を計算した表があります。基本的に、この資料の構成は上の段が実際のデータ、実測値、 公表されているデータを網掛けにして、そこから導き出した数字をもとに、下の欄に2005 年から始まる将来の推計、試算を書いています。10年間の合格率をもとに導き出すと、上 の段のいちばん最後の数字として、2004年の数字ですが、86.83という数字がとりあえず 出てきます。一方で、下の段をご覧いただくと、平成17・18年の段階におきましては、実 際この時点での合格者は、遡れば4年前の定員というか入学者ですので、合格率を4年前 に遡った定員数に掛ける形で計算をしています。ただ、14頁に示したのは、その年ごとの 合格率をそのままプロットしてあります。ここに示した数字はすべてパーセントになりま すが、合格率ということです。途中3桁の数字がありますが、これは計算上足し算をした 部分ですので、計算上の数字ということで無視していただいて結構です。  資料4の1頁目に戻っていただきます。1頁の資料に(G)というのが、黒く塗られた近 辺にあります。単年度ごとに見た大学定員からの増加分ですが、平成18年におけるデータ は、新規合格者の(2)の平均値で見ると、6,898という数字です。これは計算上、平成18年 に試験を受けていますので、入学が平成14年と仮定すると、斜め左に下がっていただくと (H)というのがありますが、ここの合格率の(2)にある、平成14年の合格率85.16という 数字を用いて、平成14年の大学定員8,100と掛け合わせることによって、先ほどの6,898 という数字を導き出しています。したがってこの表の見方も合格率と定員を計算したもの が斜め右上に、4年間ずれたところに出てくることになります。  そして、(J)が00となっています。新規合格者で見ますと、ここは、ちょうど2年間の 新規合格者がいない時期ですので、追加分はないということになります。新規と既卒の合 格率を両方用いた場合ですと、2,427と521という数字が出てきます。  1年経つごとに70を超えた数字が抜けていくところの関係の資料ですが、13頁をご覧く ださい。13頁に(L)と振ってある資料があります。これも斜めに見ていただくことにな りますが、縦軸の年齢にあるような形で、それぞれ左から右へ将来推計が示されておりま す。それぞれ18年にある数字が1段1段下がっていきます。いちばん下の70にある数字 が19年に抜けまして、その次にまた1年ずつ抜けていくという形で、全体の合算数字は斜 めに下がってくるということです。当然、トータルのほうが下がってくるという数字にな っています。これに先ほどの新規の合格者の数を加えることにより、それぞれの年の総薬 剤師数を求めているということです。  以上が供給の面での数字の作り方です。  もう一度資料2に戻ってください。次は需要側ですが、計算方法は先ほど概略をご説明 したとおり、薬局に関しては、分業率の伸びをもとにして、薬剤師の数がどうなっていく かという計算方法をとっています。それが3頁の4の(1)に書いてあります。  4頁ですが、(2)として「薬局以外の従事者数」に関しては、過去10年の人数の平均増減 率をもとに計算をしています。このあたりも少しかいつまんで、データシートのほうで紹 介をさせていただきます。  まず薬局ですが、資料4の15頁に(M)(N)(O)(P)(Q)と書いてありますが、上の段 の網掛けがこれまで公表されているデータで、従事者数の増減数が(M)に書いてあります。 過去10年分ということで、5回分のデータがあります。さらに分業率は(N)に書いてあ りますが、10年間で、人数と照らし合わせるために2年ごとの伸び率ということで、例え ば1998年のデータであれば、2年分の30.5%の分業率ですが、2年遡って22.5%というこ とですので、この差は8ポイントということです。それをもとに、伸び率8%に対して、 増減数である(M)の11,350というところに対して割るということで、分業の伸び1ポイ ントに対してどれだけ薬剤師が増えるかという数字が(O)のところです。1,419という数 字です。これを4回計算しまして、平均すると、(O)の欄のいちばん右側ですが、16年の ところに、1,527という数字が出てきます。  一方、分業率の伸びは、直近のところで、4.3%、2.8%、2.2%とありますが、この部分 を使いまして、平均伸び率を作っております。将来、分業がどのように推移するかという ことを、下の欄のいちばん下に書いてありまして、伸び率が0.3ポイント、2.4ポイント、 1.9ポイントで、ちょうど2014年と2015年の間で1ポイントから0.0ポイントというこ とになり、この部分が70%に達した時点ということになります。(P)のところに分業率が 書いてありますが、70.0という数字がこの段階で出てきます。  こういったものを基礎データとして、1頁の表の中で計算をして、分業率が何ポイント 伸びるかによって、薬剤師の数が何人増加するかといったところで計算をしています。  16頁に、病院・診療所のケースが出ています。これに関しては純粋に過去10年の、上 の欄の網掛けの数字を使って、将来どのように推移していくかということでプロットした ものが下の表になっています。2005年の段階で48,363に対して、平成40年(2028年)で は48,817ということで、計算上はほぼ横這いという形になっています。  17頁は大学の従業者です。これも計算方法は同じで、ここは最近の10年間の伸びが大 きい部分ですので、(T)の実際の人数は、起点となります2005年の段階では8,421という 数字が、2028年の段階では25,343という数字になっています。  18頁は医薬品製造業の従事者数です。こちらも数字だけ申し上げますと、2005年の段階 で30,228という数字が、2028年には34,798という数字です。  19頁が医薬品販売業の従事者です。ここはデータがわからないので、医薬品一般販売業 と卸売販売業が一緒になったデータです。下の段の数字ですと、15,513という数字が、 14,261となっています。これは数字が減っているという状況です。  20頁が衛生行政機関で、ここに関しては2005年の段階で5,918という数字が、7,328 という数字になっています。  こういう形で計算し、年ごとに合算したものをグラフとしてプロットしたものが資料3 の3頁、先ほど説明しましたグラフで示しています。複雑でわかりにくい点もあったかと 思いますが、説明は以上です。 ○座長 どうもありがとうございました。前回、皆様方からいただいた主なご意見のおさ らいのような格好で、詳細にご説明をいただきました。それに加えて、どんな計算方法で やったかという、かなり複雑な感じもいたしますが、ちょっとまとめてみますと、まず供 給のほうですが、過去の国家試験の合格者をもとにして試算した、2005年を開始点とした 総薬剤師数というのは約31万人。この2005年時点の薬剤師数が31万人というのは、5年 前に研究班がまとめた結果と、そのときに予測された結果と、あまり違わないということ が、まず第1点です。  それから、新卒者がいない2年間がございます。その2年間の減少傾向は当然のことだ と思いますが、それでも最初の2005年の水準は下回らないという結果になっています。そ の後は、現在の定員数をベースに、国家試験の合格率に沿って計算すると、定員が伸びて いる分、毎年増加していくような格好になっています。  需要については、これまで把握されている統計データに基づいて、予測されたとおりの 推移を示しているように見えます。  資料1に示されている前回の意見をまとめたもの、それから、いまご説明がありました 試算方法、そういう細かい点も含めて、今後の需給の動向について意見の交換をしてみた いと思います。前回同様、皆様方におかれましては、どのようにお考えになっているか、 思うところを率直に遠慮なく発言していただいて、活発に意見を交換したいと思います。 いまのうちに、できるだけ需給に影響するようなファクターというのを洗い出しておきた いと考えていますので、ぜひ活発なご議論をお願いします。もちろん、いま説明がありま した計算方法というのはちょっと複雑ですので、そういったことについてのご質問でもよ ろしいですし、このように解釈したけれどこれでいいか、というご確認でも結構ですので、 どうぞご発言ください。いかがでしょうか。 ○小田委員 薬局の部分ですが、処方せんの枚数がベースになっているのですが、処方せ んの発行枚数そのものに関してのことは、どのように考えられているのでしょうか。 ○事務局 とりあえず分業率で見ますと、分子と分母、両方が枚数、あるいは処方件数と いう形で出てくると思いますので、その辺りは分業率で見るという将来を予測するよりは、 枚数のほうをもって将来を予測したほうがいいということであれば、そういう取り方をせ ざるを得ないと思いますし、推計の仕方としては両方あるのだと思います。 ○座長 他にいかがですか。 ○望月委員 大学という所で、私の立場から考えて、ここだけが20何年間で3倍になって いるということですが、過去5年間の資料をもとにして計算されたということです。過去 5年間に教員として大学に行っている薬剤師の数というのは、私は異常な数だと思います。 なぜかというと、異常な数の大学が出来て、その学生に合わせるために教員をどんどん増 やしているということです。こういう事態がこれから20何年間も続くとしたら、これは大 変なことになるということで、この試算というのは、やはりちょっと別のことを考えなけ ればいけない。学生数に沿って、いくつかということを考えていかないと、やたら大きく 取ってしまうような気がするのですが、いかがでしょうか。 ○事務局 そうですね。一応、まずは機械的に事務局が弾いてみましたので、その弾いた 結果をもってさまざまな、いまいただいたような分析をしていただいて、方法というもの をアップデイト、モディファイしていくといいましょうか、より良いものにしていくこと が必要かと思いますので、それぞれきめ細かい適切な計算方法があれば、それはそれで個々 に対応していくということで、大学の場合はもう少し更に遡るのか、あるいは別の方法で トレンドを予測するのか、また具体的な方法に結び付くような意見交換、助言がいただけ ればと思います。 ○伊賀委員 同じ箇所ですが、私もこれは異常だと思います。このとき試算されたのは、 毎年2年ごとですか。ここに出ているのは、届け出たときに出てくる、大学に従事すると いう、その数字ですよね。いま望月委員がおっしゃったのは、臨床教授や実務家教員とし て最近採用された、あくまでも大学にいても薬剤師の免許を持っている方ということで、 省にいる方でも免許を持っている方はカウントされていると私は理解するのですが、それ でよろしいのですか。これは届出のほうから来た数字ですよね。 ○事務局 薬剤師の届出調査の結果ですので、当然、教員で免許を持っている方もこの中 に入りますし、また、大学院に行かれて免許を既に持たれている方も両方入っていると思 います。 ○藤田委員 確認ですが、平成17年度現在で31万の薬剤師さんがおられるということで、 従事されている方も24万ほどいる。その差については、免許はお持ちでも、仕事はされて いない、無職という考えでいいのでしょうか。 ○事務局 そこは届出調査で、とりあえず平成16年の段階で24万という数字のとらえ方 ですが、これは2年に1回取っていますが、毎回、多少ばらつくといいますか、全員が届 け出た結果というものではなくて、実際に免許を持たれている方が、いつも届出調査の結 果よりも多いだろうということでとらえていますので、届出をきちんと全員の方がされた ら、実際は24万よりも多い数字になるのではないかと思います。むしろ全てが無職という ことではなくて、働いていても、場合によっては届出をしないケースがあるということは、 ちょっと念頭に置いておいたほうがいいと思っています。 ○藤田委員 たぶん、薬剤師の免許を持ちながら、別の職種で活躍されている方もおられ て、そういう方がここに出てこない。潜在的な薬剤師さんがこれだけおられる、というこ とが1つあるかと思います。 ○座長 そのとおりだと思います。他にいかがですか。 ○小山委員 この試算の中には「その他業務」という項目があります。この中には、様々 な仕事の従事している人が含まれているのでしょうけれど、最近の状況として臨床開発分 野に従事される薬剤師が、かなり増えていると思います。いまCROに勤めている人は、全 企業の社員トータルとして見ると、大体9,000人ぐらいらしいのですが、そのうち半分程 度、ですから5,000人近くが薬剤師だといわれます。  日本CRO協会から伺った話では、社員数が毎年15%ぐらいずつ増えているということで すから、その他業務の大半がCROでも不思議でないようにも思えます。臨床開発関係に従 事する薬剤師はその他業務に入っているのか、あるいは別の部分に含まれているのか、こ の分野は神谷委員がお詳しいので、もしおわかりでしたら補足をお願いします。 ○神谷委員 たぶん、ほとんど入っていない。先ほどの藤田委員のお話と同じように、薬 剤師免許が必要な人は届け出ていますが、もし製薬会社に勤めていても、研究所にいたら 薬剤師免許は必要ないとなれば、届けていない可能性が非常に大きい。だからCROあるい はSMOの方々は、薬剤師の免許が必要な方は非常に少ないので、届けている方は少ないと 思います。だから、それが無職の人を除いた23万という数と、薬剤師免許を有する人の 31万という数の差、約8万何千かになっているだろうと思います。これはCRO、SMOに就 職する人が、もうちょっと増える可能性が大いにあると考えています。 ○座長 事務局はいかがですか。その部分を把握する方法というのは、やはりこれから考 えなければいけないかと思うのですが。 ○事務局 人によっては必要としていなくても、真面目にその他の所で届け出ている場合 もあると思いますが、必ずしも全体を網羅した数ということで、個別でCROの部分という のは、なかなか現時点では、届出調査からは無理ではないかと思いますので、他の実際の 関係の業界といいますか、当事者にいろいろ聞いてみるなど、情報を集める方法は他にも 考えておいたほうがいいのではないかと思います。 ○座長 ありがとうございました。他にいかがですか。 ○神谷委員 その点で、この差というのもあらかじめ計算の中に入れておくということは、 いかがでしょうか。 ○座長 どういう意味ですか。 ○神谷委員 31万と23万の差、これが薬剤師免許を持っているけれど届け出ていない、 何かの場合は薬剤師免許を使うという人たち。 ○座長 使えるということですね。 ○神谷委員 はい。そういう人たちが実際にいるというのを、かなりの数になるので、8 万ですから3対1ぐらいの数がいるということも前提にして、何か積算する方法を考えな いと、結局、医師の場合の試算と同じように、ギチギチの数の試算になってしまう可能性 があるのではないかと思いますので、ぜひとも、そこも一度考えていただきたいと思いま す。 ○座長 事務局、いまの話はいかがですか。 ○事務局 確かに資料3のグラフで少し触れますと、ここでいう需要の予測のカーブの所 に、なかなかいまご指摘いただいているようなCROほかの関係の人が上積みされていない という可能性があると思いますので、このグラフに、要は需要側のものとしての上積み要 因ということで、いまの要素、あるいは職域といいましょうか、そういったところをとら えて、どの程度の予測をしていくかということで見ていくのが、1つの方法だと思います。  また一方で、薬剤師免許を持っていたとしても、何らかの形でアクティブでない場合も 当然何パーセントかはあると思いますので、その場合は供給カーブに対して下向きに働く 要因として、ある程度のものは見込んでおくということも含めて、きめ細かい両者のバラ ンスというものをとらえていくことが必要ではないかと思います。 ○座長 ありがとうございます。いまの話はもっともですが、しかし、その数も変化しま すからね。ですから、それを予測するのは非常に難しいだろうと思いますが、神谷委員が おっしゃるように、そういう要素を含んでいるというつもりで眺めていくことは、当然必 要なことだと思います。それ以外にいかがでしょうか。 ○中西委員 分業が今後もずっと伸び続けていくということは、ちょっと考えられないで すよね。現段階でも地域によっては、対前年比で処方せん枚数がマイナスになっている所 が出てきています。これは長期処方の影響がかなり大きいと思います。また、今後も長期 処方は更に増えるだろうと考えていますので、今までのように、1ポイント増えるごとに 薬剤師数も従来のように増えていくのかどうかということも、見直す必要があるのかもし れないと思います。  もう1点は、人口減少時代に差し掛かっていまして、そのことを加味しなくてもよいの かと、思います。 ○座長 それもファクターとしてあると思いますが、事務局は何かございますか。 ○事務局 確かに今回は分業率の変化、置き換えれば、場合によっては処方せん枚数での 変化ということにも繋がるのかもしれませんが、いずれにしても、いま中西委員が言われ たように、1回あたりの投薬量といいますか、長期処方が進めば進むほど、枚数は当然減 る。ただ、実際の薬剤の使用量は変わらない、あるいは増えている場合もあるかもしれま せん。その辺りがなかなか、今後は長期処方が進めば進むほど、分業率や処方せん枚数を もってとらえていくのは難しくなってくるかと思います。 ○座長 それ以外にいかがですか。 ○神谷委員 病院・診療所の従事者の所です。これは予測がマイナスだったりプラスだっ たりするのですが、その要因というのはどういうものを入れているのですか。ある増加傾 向、あるいは減少傾向というのだったらわかるのですが、将来予測にプラスとマイナスが 混在しているというのは。 ○事務局 この辺りは、大きなA3の資料16頁をもとに、少し説明させていただきます。 病院・診療所の従事者数の表ですが、まず直近の増減率、データでいうと増減数、それを もとに増減率を求めて、1年あたりの増減率というものを、まず10年分そろえます。これ が上の段です。そして弾いた数字をもとに、下の段の1年あたりの増減率、まず0.56とい う数字が扱われていますが、これを使って計算をし始めています。その翌年になると、こ の0.56を一応使う形をとっています。ですので、上の段で取った10年のデータを、その まま平成14年まで使うというものではなくて、毎年毎年、過去10年の平均を取る対象に なるデータをスライドさせていますので、平成18年の所にある0.24という数字は、下の 段の、1年あたり増減率の平成18年の所に書いてある数字ですが、0.24という数字は、0.56 も含めて上の段に戻っていただいて、10年遡った増減率の平均ということになります。し たがって、上の段の最初のほうの古い年の部分、平成7年とか平成8年における3.77とか 3.63の辺りの増加率の部分が、年を追うごとに10年の平均をとるときの対象から外れて しまっておりますので、おのずと、年を追うごとに10年平均の値が少し小さくなっていき ます。平成11年や平成12年辺りに-0.91というデータがありますので、この辺りが中心 になってくると、一時期、平成20年とか平成21年辺りが平均で見るとマイナスの平均値 になっているということで、求めた平均値をまたさらにスライドさせて10年平均で使って いるので、こういう形になるということです。 ○座長 計算上そうなってしまうということで。 ○神谷委員 だから、現実の届出の数字だけで、ここの中には、言われている増加要因は 含んでいないと理解していいわけですね。今後増えるであろうということで、直近で、例 えばいまリスクマネージメントの部分に薬剤師を充てている病院は非常に多くなってきて いるわけですが、将来予想にはそういう所は一切含んでいない。過去と現在までの数字を もとに、繰り返しをしていくということですね。わかりました。 ○藤田委員 これから薬剤師の調剤権というものをきちんと確立していけば、病院薬剤師 がもっと活躍する場が出てくると思うのです。病棟などで、薬を看護師さんが調整してい るような病院もあるのですが、そこへ薬剤師がどう入っていくかを確立していけば、相当 数、病院薬剤師の活躍の場が出てくると思うのです。 ○座長 伊賀委員、その辺はいかがですか。 ○伊賀委員 いまご指摘のように、既にこの過去5年間ぐらいを見ても、病棟業務を中心 に展開を見れば、数の上では増えていませんが、内容的にはかなり広範な業務展開をして います。もう1つは、神谷委員がおっしゃったリスクマネージメントのみならず、もっと チーム医療の中での活躍すべき内容はたくさんあります。ただし、これは財政的な裏付け も必要なので、定員の問題等のために、その場がまだ十分に確保されていない。そういっ た要因がプラスに働けば、もっと需要は増える。たぶんこの数字は、これからのプラス要 因はすべて入ってはいないと思うのです。マイナス要因は前回もお話したように、病院の 統廃合等々いろいろな形で病床が削減されてくれば、活躍の場そのものも消えてしまうこ ともあるということも入ってまいります。その辺りは、ただ数字的に予測するのは現時点 では極めて難しいと私自身は感じます。 ○木俣委員 一般販売業の需要は、先日申し上げたように、合併や支店の統廃合等で、こ ういう形で減っていくというのは大変納得性の高いデータだと思います。ただし、現在、 現場の薬剤師業務の実態を聞いてみると、医薬分業の進展と後発品、ジェネリックのメー カーの製品が大変多くなってきたということで、保険薬局からの問合せというか、DI業務 が大変増えているということがあります。ですから、単純に将来これが増えていけば、1 人あたりの仕事量が増えますので、1人で済まないということがまたできてくる可能性も あるかと。  いまPMSと申しまして、メーカーと新薬について市販直後調査ということで、私どもMS は毎日、医療機関に行っていますので、患者にどういう副作用が起こったかを集計して、 契約したメーカーに報告をさせていただく、そういう業務が大変増えております。やはり これからそういったものも増えることが予想されますので、需要ということからしたら、 非常に納得性の高いデータですが、逆にそういったものも加味すれば、また加えていかな ければいけないものもあるかと感じました。 ○座長 皆様方、最初からおわかりのとおり、今回の試算は、最初にタイトルがあるよう に「粗い試算」ですので、細かいそういうデータについては全く考慮されていません。一 旦ここで意見の交換をとどめて、この粗い試算より、さらに精度の高い計算をしていくた めには、いったいどんなデータが必要なのか。もう既に皆様方からたくさんご意見が出て きておりますので、これからさらにそれに加えていくデータはどんなものが必要なのか、 どんなものがあったらいいのか、将来動向を考える上で、いまもさんざんご意見が出てき たように、どういう点に注目したらいいのか、これから論点に加えていくものはどんなも のがあるのかということについて、さらにご意見をいただきたいと思います。事務局から、 用意している資料もあると思いますので、まずそれをご説明いただけますでしょうか。 ○事務局 これまでの意見交換をまた続けることにもなると思いますが、とりあえずここ で追加の話として、資料5で示している内容を説明します。タイトルに「今後の需給動向 に影響すると考えられる項目(案)」と書いてありますが、1、2、3ということで、「需要 予測に関する項目」、さらに「供給予測に関する項目」、「その他」となっています。具体的 に書いてある内容は、今回の粗い試算で使ったデータがほとんどで、あまり知恵のないと ころで、いま我々が知り得るデータ的なものを並べてみたものです。  ただ、違いが2カ所ありまして、需要の予測の部分の(4)に、具体的ではありませんが、 「新たな需要に関する現状と今後の動向」ということを入れております。この資料のタイ トルは、「今後の需給動向を考える上で必要となるデータ」という書き方をしていないのは、 すべての事柄をデータとして用意するのは難しい部分もあるのではないかと思っておりま すので、むしろ、ある程度ファクトデータに基づいてすべて計算させることにとどまらず、 いろいろな今後の可能性も含めて、何かしら需給の動向に影響を及ぼすような要因がある のであれば、どういった点がそういったものに当たるかというところを全部洗い出して、 その上で、その点についてデータが繙いていけるのか、繙いていけないのであれば、今回 の粗い試算で言うと、合格率のところは幅を持たせてプロットしておりますので、ある程 度データが取れないものは何パーセントだった場合、あるいはどのぐらいだった場合とい う、いくつかの場合分けをして、それぞれ仮定を置いた上で予測を立てていくこともでき るかと思います。そういった要素も含めて、データにとどまらず、新たな需要に関する現 状と今後について、いろいろな要素を盛り込んでいく必要があると思いますので、この辺 りを中心に肉付けといいますか、具体的なものをご教授いただければと思っております。  さらに、供給面のほうでは、(3)の所で、今回の試算ではデータがわからないので使え ないのですが、前回の議論では、薬学が魅力のあるものかどうかという話も出ましたので、 志願者数、実際の定員ではない入学者数がどうなっているかということも必要あらばとい うことで、とりあえず書いております。  それ以外に「その他」ということで、ここの部分が非常に多く挙がってくることを期待 するわけですが、どの程度調べられるか、どの程度のものが用意できるかわかりませんが、 可能な限り前広な意見をいただき、今後の検討に注入していきたいと思っておりますので、 具体的な内容も考えられる点について、いろいろご意見をいただければと思っております。 以上です。 ○座長 ということですので、いままでご議論いただいている中に出てきたような、これ から考えていかなければならないファクターについても、さらに追加をしていただければ 非常にありがたいと思っております。いまの点も含めて、続けて意見交換をしたいと思い ます。 ○望月委員 いまの1の(4)の「新たな需要に関する現状」に関連するのですが、資料1 でまとめていただいた2の「薬剤師の需要について」の最初の○です。先ほど伊賀委員が、 病院薬剤師でリスクマネージメントが増えるだろうと言うけど、予測がつかないというお 話をされましたが、1頁のいちばん下に関しても、在宅医療への参画、受診勧奨、健康づ くりという方向は、厚生労働省としてもある程度、薬剤師の将来像の中に含まれていたよ うな気がするのです。ですから、そういうのを実質的に数字として思い切って表すことは、 やはり必要かと思うのです。先がわからないから出せないとすると、それこそ予想という のは全部出せなくなってしまうので、一本太いものをポンと出していただくとありがたい ような気がするのですが、いかがでしょうか。 ○事務局 難しい注文をいただいたような感じもしますが、一方で、ある程度目の子でこ のぐらいはやってほしいということを1つの数値として、形として示すというやり方もあ るという捉え方もできるかと思いますので、今後の道標といいましょうか、例えば在宅で あればこのぐらいの需要があってもいいのではないかという観点で、今回の検討にインプ ットしていくということはあるのかもしれません。この辺りは、また議論を深めていけれ ばと思っております。 ○小山委員 いまの望月委員の発言の関連なのですが、やはり変動要因ですから、当然、 上位推計、下位推計があってもいいと思うのです。例えば、需要の最初に挙げられている 項目は、「健康づくり(保健指導)」ですが、医療制度改革の中でつくられた特定保健指導 といった仕組みに、果たして薬剤師が関与していけるのか、現在は認められていないよう ですが、これが今後どうなるかで、需要の見通しにだいぶ変化が出てくるのではないかと 思うのです。推計に当たっては、制度的に認められたら需要がこの程度増える、認められ なければこのくらいに止まる、といった手法を採らざるを得ないという気がします。特定 保健指導への関与については、中西会長がいらっしゃるので、できれば会長のご意見も伺 っていただきたいと思います。 ○座長 中西会長、いかがですか。 ○中西委員 これは難しいことだとは思いますが、特定保健指導に薬剤師が関与していけ れば、需要も増えると思いますし、そうあってほしいと願っています。 ○座長 小山委員、それでご満足ですか。よろしいですか。 ○小山委員 厚生労働省に頑張っていただければと思います。 ○座長 当然、頑張りたいと思っていただいているだろうと思うのです。 ○小田委員 関連することで、いま話題になっていることは、前回私のほうからちょっと 触れた部分なので、補足をさせていただきたいのです。私も現場でやっている1人なので すが、OTCの部分と調剤の部分と、両面にわたって申し上げるということと、前回のまと めの中にあった高校生が魅力ある学部として、要するに社会的に薬剤師の仕事を認知して いただくことによって、日本の医療に貢献していただくという部分がありますので、現状 はどうなのか。  いまの調剤の業務に関しては、患者をなるべく待たさないということと、来た処方せん を、とにかく薬剤を揃えて渡すことがほとんどの業務といいますか、薬剤師はこのことで 時間と頭を悩ませていると思います。ご存じのとおり、いまジェネリックというものにな りましたが、薬剤を揃えるという業務、労力と時間も、なかなか大変なものがあります。  それから、これは薬剤師の専門業務で、薬歴を書くという素晴らしい業務なのですが、 時間と労力に関して、これも相当とられるように思います。それをどうしていけばいいか ということだと思うのです。例えば服薬指導であるとか、薬学的見地から、薬剤師の立場 から、患者の立場に立っていろいろアドバイスしたり、それをドクターにフィードバック すると、言葉で言うことは簡単なのですが、いまの仕事内容からすると、これもなかなか 難しいのです。  例えば先立っても私の所で、その方はもう2回眼科にかかっておられるのですが、「この 辺で良い眼科さん、ありませんか」と。これが医療の実態でもあります。これは患者にし てみれば、そういったことを医療の側面から、薬剤師として何か踏み込んだ業務がそこに あるのではないかという、そうした応接というもの。応接の中身を濃くするためには、や はりそれなりの研修と、今回の医療法の改正、薬局が医療施設になったことに伴う業務改 善の中で、各自治体と連携して継続的な研修をしていくということになる、いままで以上 にこうした研修や、それの連絡などということに時間がとられる。それが医療の質を高め ることになっていくと思いますが、そういったことをしていけば、当然、薬剤師の姿が見 えてくるし、質も高まるし、また、薬剤師としての数も必要になってくるのではないかと 現場から思います。  もう1つ、OTCの部分から、一般薬のほうから言っても、いま盛んに基準も出ておりま すが、OTCのことであるとか、セルフメディケーションなどのことを、本当に将来、国と しても考えていくのであるならば、そこにおける薬剤師の役割は深くかかわってくるので はないかと思っております。 ○神谷委員 需要予測ですが、先ほど申しました届出していない人たちというのは、過去 のデータと突き合わせていくと、大体どのぐらいの割合でそういう人たちがいるのか、常 にわかってくると思うので、是非その辺も推計の中に入れておいていただきたいというの が、地方で探しても薬剤師がまるっきり集まらないところからの切実な願いです。それの 部分がなくなってしまうと、薬剤師を見つけようにも見つけようがない、というのがまず 第1点です。  もう1つは、薬剤師がいない、足りないと言われている所のデータを、何とか集めてい ただきたい。山口県だったら100人以上の単位、あるいはもっとの単位で現状は足りない。 ですから、業務拡大云々をしようと思ったら、もっと不足している。というのは、いま地 方で薬科大学がない所では、これは切実な問題になっています。そういう部分も需要の中 に入れていただきたいというのが2つ目です。  もう1点は、先ほど申しましたリスクマネージメントのところですが、入院患者の服薬 指導、持参薬管理など、いろいろなものを含めていくと、これらのリスクマネージメント に果たす役割は、薬剤師の役割が非常に大きい。しかも、それは井村座長も日本病院薬剤 師会のデータで示されていますが、薬剤師が充実している施設ほど、きちんとそれが行わ れている。我々自身、がん診療連携拠点病院で調査してみても、ついこの間出たデータな のですが、やはりきめ細かなサポートをしているのは、病院の薬剤師が十分いる所です。 逆に言えば、それをやるために病院側は薬剤師を雇っているということなので、やはりそ ういうものを需要の中に見込んでいく必要があるだろう。これは、いままでいろいろな職 種の人がやってきましたが、薬剤師がかなりそれに適しているというのは、病院の中で議 論として出てきておりますので、その部分も是非とも試算の中へ組み込んでいっていただ きたい。ある程度の数字の背景は、我々もサポートしたいと思っていますので、是非その 辺を入れていただければありがたいと思っています。 ○座長 事務局から、何かコメントはありますか。 ○事務局 いまの後半のご意見に関しては、いろいろな形で考えてみたいと思いますが、 試算という中で取り入れるのか、予測という意味で、数字ではないところで何か増加要因 ということで考慮していくのかという、両方でデータが取れればいちばんいいのですが、 取れなくとも何らかの形で増加要因ということで、上乗せ部分としての考慮も、予測を立 てる意味ではあり得ると思っています。  参考までに山口県の例が出ましたが、一応、統計データとしては人口10万人あたりの薬 剤師数というものが取られており、山口で言うと10万人あたり193名です。全国のアベレ ージが189名ですので、平均よりはちょっと上のほうにあるようです。 ○神谷委員 存じ上げております。ただし、それを上回る高齢化率がありますので、病気 の住民が多いのも事実だというところは、もう1つ考慮しなければいけない問題だろうと 思っています。東京のように平均年齢がずっと低い所とは、やはり明らかな違いがあるだ ろうと思っています。 ○座長 それは、むしろ有病率を考慮に入れて考えたいということですね。わかりました。 最初の薬剤師が足りないというお話は、いわゆる地域偏在という格好になっていますが、 それを正確に捉えるのは極めて難しいかという気もしております。もしそれを捉えるとし たら、やはりどこかで調査をしないといけないのかという気がしております。ただ、大学 のない所では非常に大きな問題だとおっしゃいましたが、大学があるなしにかかわらず、 地域偏在はあるのではないでしょうか。 ○神谷委員 はい。例えば福岡県だったら、福岡市はむしろ余り気味ですが、それ以外の 都市になるともう足りないという騒ぎになっていますので、同じようなことはどこでもあ るとは思っています。 ○座長 できるだけたくさん出していただきたいと思っておりますので、ほかにご意見は いかがでしょうか。 ○小田委員 先ほどちょっと言い忘れたことがあって、1つは患者のほうから持ち込まれ る仕事として、検査データを持ってこられて、説明を求められることがよくあります。こ れは悩ましい問題なのですが、要するに病院や先生の所では忙しくて、なかなか説明して くれないし、わからないということで、身近な相談場所として、私たちの所に持ってこら れることが多いのです。先ほどの保健指導との絡みもありますが、薬剤師専業でなくても 結構ですが、こういったことも学校側も教育するし、制度的にも認めていただけたりとい う形になれば、スムーズに入れるのではないかと思います。  もう1つ、私のほうの地区で半年ほどかけてやってみようかと思っているのは、私たち のほうはとにかく来た物を揃えるということに、いまは主軸が置かれているのですが、リ スクとも絡みますが、面分業でのリスクということに関しては、きちんとした疑義照会を していくと。この疑義照会の内容と件数も、次回までには間に合いませんが、ちょっと時 間をいただければ、こういった内容の仕事が薬剤師として潜在的にあるのだと。ところが、 なかなかそれが行われていないということも含めて、これは私のほうが宿題として持ち帰 りたいと思っています。 ○座長 是非、そういうデータがあればお出しいただきたいと思います。 ○高柳委員 需要ということですが、需要のところのいちばん最初にある薬剤師のこれか らの幅広い役割、いわゆる保健指導や在宅などいろいろなものは、やはりどんどん広がっ ていくと思うのです。これだけ医師が足りないという状況で、医師が全部をカバーできな いわけですから、当然、薬局等がどんどん積極的にかかわっていけばできるでしょう。そ れと、医療安全の観点から、リスクマネージメント等も含めて、病院・診療所における薬 剤師の役割も広がっている。私はもともと医師だったものですから、今の医師は昔と違っ て、薬剤師に積極的に医療にかかわってほしいという意向を持っているだろうと思うので す。大抵のところはチーム医療が確立されてきていますので、ますます薬剤師が必要にな ってくるでしょう。医師というのは、患者を診て診断して、診断するところまでの労力で 実はかなり疲れてしまっているのです。そこの段階で、もう疲れてしまっていますので、 できれば治療のところで薬剤師に積極的にかかわってほしいと、ほとんどの医師はそう思 っていると思います。ですから、そういうチーム医療をもう少し積極的にあらゆる所で広 げていけば、薬剤師の需要も増えてくるだろうし、また、いろいろな医療安全の面からも 貢献できるだろうと思っているのですが。 ○伊賀委員 いま高柳委員からのお話もありましたように、私ども病院薬剤師会としては、 チーム医療の中でのそういったさまざまな業務、医療安全にかかわらず、薬物療法の質の 向上と、そういうものに貢献すべく人員の確保に関して、現在、別途の検討会で要望させ ていただくためにも、データを取らせていただいて、その中でもいま神谷委員がおっしゃ ったように、薬剤師が充実している所は、それだけの内容でちゃんと医療の安全も確保さ れ、また薬物治療の向上も図れるといったいろいろなデータもあります。  もう1点、魅力ある学部という話もあったのですが、すべての大学かどうかは別にして、 大学の1年生にアンケートを取った結果を見ると、いちばんなりたい職業は病院薬剤師な のです。そういうところは、やはり本当は入学されたときの希望をかなえてあげたい。た だし、現実には前回ありましたように、たぶん1,300人前後で今日のデータでも横這いし かない。私どもとしては、やはりこれが倍増して、大学の従事者ぐらいの増え方で将来増 えていけば、入学される学生にとっても、少なくとも1年時でのお話にしても、将来的に はそういった職場として、是非活躍したいという希望をかなえてあげられるということで す。  ただし、このときに、先ほど予測が難しいとお話したのは、あくまでも裏付けとなる診 療報酬上の問題が解決しない限りは、残念ながらこれは困難です。先般の別途の検討会で も、病院団体の方々も、病院薬剤師の現在の業務内容、あるいは活躍内容、それらのある 程度のアウトカムに関するものは認めていただけて。ただし、単純にそのまま増やすとい うことだけはいけない。診療報酬上のきちんとした裏付けがあれば、それを確保すること が可能になってくるといった点もありますので、要因として、もしそういうものが我々に とってプラスにいくのだったら、先ほどの予測のほうに上乗せして、数を確保して、需要 を増やす方向にはいけると思います。そういうのは予測と言うかどうかわかりませんが、 非常に大きなポイントです。これはたぶん地域医療のほうでも同じなのです。裏付けとな るものがきちんと担保されれば、必要な所に薬剤師をきちんと確保することは可能になる と私どもは考えておりますし、それを要望しておりますので、是非、学生の希望をかなえ るためにも、また、医療の安全を確保するためにも、そういった点についてはご理解等を いただきたいと思います。 ○高柳委員 供給の所の最後で、いま伊賀委員がちょっとおっしゃられたのですが、薬科 大学・薬学部に対して、高校生が魅力ある学部と感じていないということで、これは前回 そういった言葉を私が言ったかもしれませんが、いま新設がどんどんできて、志願者が急 激に減じているということを表現したわけで、多少誤解があろうかと思うのです。今の高 校生は、実際には薬剤師に対して、やはり大いに魅力を感じている。ただ、急激に新設が 増加して、高校の先生方も、将来大丈夫かな、就職は大丈夫かなということをいろいろ言 うわけです。そういうことで、ますますこの志願者が減っていく、ますます薬学部全体の 魅力が何となく薄れつつある。そういう意味で前回お話したのであって、まだまだ高校生 にとって薬剤師は非常に魅力ある仕事だろうと思いますし、医師との協力で、先ほど言い ましたが、いろいろな需要は増えていくだろう。本当に医療現場で医師・看護師・薬剤師 にもっと活躍してほしいという声はいろいろなところから聞きますし、これからますます いろいろな分野で伸びるのではないかと私は思っています。 ○木俣委員 需要の件ですが、私どもの同業の中にも、中国の流通業者と提携して、中国 に進出というか、グローバル化が進む中で、海外への1つの貢献というか、ある病薬の先 生の講演会を聞いたら、エイズ専門の薬剤師などということもあって、そういう国際貢献 などといった面での需要の増加というのもあるのではないかとちょっと感じたものですか ら、意見です。 ○中西委員 需要と、供給の両方を含めてお願いをしたいのですが、先ほど在宅医療への 参画などの話がありました。ただ、私どもが参画したくても、制度上なかなかできないと いう面があります。薬剤師は医師の指示がなければ訪問薬剤管理指導を行うことができま せん。また今後、非常に大きな問題となってきそうなのが後発品です。それも小田委員が おっしゃるように、業務も非常に煩雑になりつつあります。そういった問題も含めて、我々 としても考えなければいけませんが、厚生労働省にもその辺はしっかりご指導いただきた い。  それから、供給の部分ですが、前回私は共用試験のことについて申し上げました。高柳 委員のお話にもありましたように、質の低下が心配だと。そういったところから、共用試 験を全大学一律のような格好をとってもらわないと、不公平が生じてしまいますよという ことを、あえてまたお願いを申し上げたいと思います。そして共用試験の結果は、できる だけ早めに私どもにお伝えいただきたいと思います。実務実習を受ける薬学生のレベルが どの辺にあるのかも、知っておきたいので、この辺はまた改めてお願いをするかもわかり ませんが、ひとつ十分お考えをいただきたいと思います。 ○座長 2つありましたね。在宅も含めて、薬剤師が実際に何かするときに障害になって いるようなものがあるとしたら、それをできるだけ除くことができないかという点が1つ です。それから、質に絡めて、共用試験のやり方についてご要望がありました。共用試験 について、望月委員からコメントをいただけたらありがたいのですが。 ○望月委員 共用試験で全大学一律の基準点ということかと思うのですが、まだ決定はし ていないのです。共用試験センターで考えて、これから各大学にお諮りしなければいけな いのは、基準点は設けますが、それは全大学がその点で守るのではなくて、それが最低の 基準点で、ある大学はそのとおりにするし、ある大学はそれより更に10点高い点にするか もしれない。その何点にしたかを公表するという方向でいきたいと思います。  それから、各個人の点数を薬局あるいは病院にお知らせするというのは、たぶんできな いかと思うのです。個人情報ということなのか、別の問題かは知りませんが、個々のデー タについて、病院薬局にお知らせすることはできないだろうというのが私の感じです。で すから、結局、大学として、ある薬科大学は基準点がこの程度の学生を輩出する、ある大 学は基準点がそれより20点高い学生を輩出する、いかがでしょう、ということになるかと 思うのです。それが第三者評価と絡んで、大学の評価にもつながると考えているわけです。 ○伊賀委員 同じく実習を受ける側の立場での発言なのですが、いまの望月委員のお話で すと、共用試験の基準は、高く設定する大学とそうでない大学があると。基準を最初に示 されるのですか。それに対して、より高いのをとられるとか。ただ、それであれば、やは り若干心配するのが、学生を受ける側からすると、いろいろな大学から入るわけです。そ のときに、基本的には一定のレベルの共用試験をクリアしていればいいわけで、それが低 ければ困るわけで、高いほうはいいわけです。その辺りは、それぞれの大学が設定すると いうより、基本的には大体これだけのレベルは必ずクリアしているということが公表され ればいいと思うのです。個々のデータが必要かどうかは別として、大学ごとに設定されて、 ここをクリアしていますということを担保するものを、例えば共用試験センターのホーム ページ等に、終わり次第すぐに大学別にきちんと出していただければ、我々としては大学 間の学生の質がばらつかないというのが1つです。一定の知識と技能等をクリアしている。 それが患者のいる場での実習に対する保証ですから、もし大学で差があるようなことがあ れば、そこはきちんとしていただかないと、やはりまずいと思います。 ○望月委員 私が申し上げたのは、あるとしても最低の基準は患者さんなり、病院、薬局 という機関にとって、この学生が出せるという、その最低の基準は共用試験で決めて、そ れ以下の者は不合格として出さないということだったのです。それ以上については、やは り各大学の考えで、例えばOSCEとCBTをどういう割合で考えるかということも入ってくる と思うのです。だけど、最低基準は、OSCEにはこれ、CBTにはこれ、というのは全体とし て決まりますので。最低と言うと、言い方がおかしいのですね。基準点と言わないといけ ないのです。 ○座長 そうですね。最低という言い方はちょっとまずい。 ○望月委員 最低と言うと、何か学生が最低みたいに聞こえてしまいますが、そうではあ りません。十分な点数ということです。 ○長野委員 製造業の立場から、若干考えていたことをお話したいと思います。ご承知の ように製造業の場合は、薬剤師資格を必須要件とする業務は、ごく限られております。管 理薬剤師、あるいは改正薬事法施行以降の総括製造販売責任者ということで、ごく限られ ております。例えば私どもの場合、薬剤師が約2,100人いて、いわゆる薬剤師資格を必須 とする業務に就いている者が大体その10%以下ということで、90%以上が必須要件ではな いわけです。ただし、6年制で卒業され、そして薬剤師資格を持たれた方に大いに期待し ているということは、前回も申し上げました。例えばそれは臨床薬学ということです。し たがって、いわゆる必須要件でなくても、製造業において薬剤師の資格を持っている方に 期待できる専門性というのが、これから製造業の場合でも大きく広がってくるだろうと思 います。  いままでもお話が出ていますが、いわゆる臨床開発での臨床試験で、いま多くの企業が 外部に委託をしている、例えばモニターという業務ですが、これは一般論として申し上げ るのですが、やはりそろそろ社内、あるいはグループ内で、そういう業務を完結したほう が、スピードや質などいろいろな面でよろしいのではないかという、一般論としての反省 期に入りつつあるのではないかと思います。  それがどのように需要に影響するかと申し上げますと、一方で、とりわけ国内の臨床開 発というのは、厚生労働省や総合機構で今後かなりスピードアップを図っていただけるわ けですし、また、臨床試験を受託していただける各医療機関のほうでも、そこは充実して いくわけですから。一方で、迅速化のためのメーカー責任の1つに、そこのモニターの役 割というのが非常に大きくあって、より高い質の方を、いまよりも多くグループ内あるい は自社内に保有することにより、そこを何とか改善していきたいという思いが強くありま す。また、そういう動きが出てきているのではないかと思います。  先ほどお話にありましたが、市販直後調査も当然ですし、その後の安全性のフォローア ップは長い間続くわけですから、ここは、とりわけ6年制で薬剤師の資格を持たれ、期待 できる専門性を発揮していただく方をベースとして、大いに採用の機会を増やしていく企 業が当然増えていくだろう。例えばMRですと、かなり薬剤師のウエイトが減ってきている ということもそうなのです。  それは結果として確かにそうなのですが、一方で大規模製造業の中で、急速に日本国内 で営業活動を強化しようという意思を持った会社が、新卒を含めてかなり短期間にMRを募 集された。そうすると、薬剤師資格を持たれている方に来ていただきたくても、受験され る方も少ない。しかし、もう100人、200人、300人、予定しなければいけない。そうする と、多く受験をされるその他の学部卒業の方、あるいは経験者の中途採用の方、それも薬 剤師以外の方がどうしてもベースになって、そういうことが繰り返し行われて、結果的に 薬剤師資格を持っている方のMRのウエイトがだんだんと下がってきて、今は20%ぐらい になっているのではないかと思います。そういう状況で、実はほしい、あるいはそういう 方に是非来てほしいというのは、一層高まってきていると思いますので、需要側の製造セ クターとしては、本業の薬剤師免許は多くの方は使いませんが、そういう資格を持った方、 専門性が高い方に是非来ていただきたい、あるいは受けていただきたいと思います。  最後に、これは大学の先生方にお願いです。私どもの就職の採用担当にも責任はありま すが、学部在学中の日常の教職員の方々が学生に対して、「メーカーはいいよ」というとこ ろまで言っていただかなくて結構なのですが、「こういう仕事が製造業にもあるぞ」などと いうことを、薬剤師の広い選択の視野の中に大いに入れていただいて、私どもも何か協力 できることがあればさせていただきますし、学部学生のときから、そういう場を是非増や していただければというのがお願いです。 ○座長 ありがとうございます。貴重なご意見をいただきました。 ○高柳委員 いまのは大変心強いご意見で、「MRを希望する薬剤師が少ないためと思われ る」と需要のほうで書いてありますが、確かに一時、希望者がだいぶ減りました。ところ が、ここ5、6年以上、また希望者がグッと戻っておりますので、全国的にだいぶ増えてき ていると思います。よろしくお願いします。 ○座長 要するに薬学教育の中で、企業が望むようなクオリティの薬剤師を、あるいは薬 学卒業生を必死に増やしていけば、おのずと需要は広がるだろうというご意見だったよう に思います。 ○望月委員 そういう面で、私ども薬学部の薬科学科というところ、これは薬剤師を目指 さない学生ですが、1年生のアーリーエクスポージャーという形で企業の見学として、例 えば、第一三共に行かせていただいていますが、必須にしております。これは薬学科の必 須ではなくて選択として見学があるのですが、それも相当数の学生が企業に行きたいとい うことです。それから、薬化学科の学生も病院薬局に行くというのがありますから、薬学 全体として考えたときに、将来自分が働き得る薬学人といいますか、薬学人の活躍する場 所を早い段階から見せて、ずっとその先も、自分の特性あるいは興味に応じて活かせると いうのは可能だと思いますし、各大学が新しいモデル・コアカリキュラム環境の中ではそ の方向でいっていると思いますので、是非、卒業生が出た段階で、企業にも広い就職する 場所があるということになっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○横沢委員 いまの製造業のお話ですが、国公立の場合は、現状では修士を出てからです が、非常に企業を希望しているわけです。ですから、そういう心強いお話をありがとうご ざいます。  それから、新たな需要に関する現状ということで思うのですが、先ほどのお話の制度上 の制限などいろいろありますが、供給と需要がアンバランスという意味は、言ってしまう と、薬剤師免許を持って活躍する職種が少ないということになるのでしょうか。これは厚 生労働省が行政的にそれを拡大する方向を考えなければいけないということを意味してい るのでしょうか。その辺がちょっとわからない部分がありますので。 ○座長 先生は、資料5の1の(4)の話をなさっているわけですか。 ○横沢委員 予測は予測ですが、今後アンバランスという意味は、需要を拡大しないとア ンバランスになってしまいますので、制度上の制限はあるかもしれませんが、それを突破 して、更に需要を拡大するということを目指しているという意味になるのでしょうか。 ○座長 事務局、いかがですか。 ○事務局 いま横沢委員が言われたのは、どちらかというと鶏・卵が逆かなというところ もあるのですが、とりあえず今回書いたグラフを見て、グラフは供給側が上を走っている わけで、であるから新たな需要を探さないとまずいぞという意味ではなくて、薬剤師その ものが本来、社会的にどういったところで貢献すべきかというところを捉えた場合、純粋 に見て、需要がどういったところにあるかを捉えていただき、また一方で、教育現場も含 めた形で、国家試験もそうなのですが、薬剤師という免許を持った方がどれだけ出てくる かを純粋に捉えた上で、その両者がどういう関係にあるかを考えていくということです。 いまの見た目、供給過多になっている状態をもってして、需要を何とかしなければならな いということではないのではないかとは思っております。 ○神谷委員 それのお答えの1つは、先ほど言った、実際に届け出ている8万人の中には、 CRO、SMOという医薬品開発の新たな業種、そこに勤めている薬剤師の数は非常にたくさん います。専門性としても、非常に強く発揮しています。ただ、新たな業種ですから、当然 そこには資格云々の話は何もないということになります。ですので、これから薬剤師が力 を発揮していって、実際そこで世間の認知を得ていくという、これは常に努力です。新た な職業の中でいい地位を築いていくのは努力ですから、そういう人たちが今後出てくるだ ろう。その意味で、先ほど言ったように、差というのは決して遊んでいる人でも何でもな いだろう、何かの職は持っているだろう。そういう人たちが、今後ともある程度の数存在 することになるだろうということを、常に考えておかなければいけないと思っています。 ○座長 これからもこの検討会は回を重ねていくことになると思うのですが、検討を進め ていく上で、今日お話に出てきたように、利用できそうないろいろな考え方、あるいは資 料・データといったものは、できるだけたくさんあったほうがいいだろうと考えます。し たがって、先生方におかれましては、そういうデータあるいは考え方等も含めて、もし資 料がありましたら、是非ご提供いただきたいと考えております。事務局のほうもかなり努 力をして、いま神谷委員がおっしゃったような点についても、おそらくこれからサーチを していただけるものと思います。そういうことについて、先生のほうで何かデータでもあ りましたら、是非出していただきたいと思います。  ほかにご意見、特に付け加えたいということはありますか。事務局のほうから、何か連 絡事項はありますか。 ○事務局 事務連絡の前に、いくつかご議論いただいた際、私が少しコメントすべきとこ ろもあったのかもしれませんが、共用試験の関係は、またいろいろな関係者の場で議論し ていって、標準の問題も含めて、実施に向けてより具体化していくということだと思いま すので、その辺りはこちらとしてもいろいろ考えていきたいと思います。  それから、在宅医療等をはじめとして、今後の新たな需要の部分に関して、制度的な部 分とそれ以外の部分、それから先ほど点数の話も出たかと思いますが、そういったところ をどう捉えていくかということです。いろいろ対応ができるところはとっていく必要性が あると思いますが、その際、最近ではある程度の実績というか、いまこういうことをやっ ているということを示していかないと制度が付いていかない部分がありますし、また制度 によってそういった方向に導くという捉え方もありますので、個別の案件ごとにどういう やり方がいちばん適切かを考えていくということだと思います。まず、検討会で議論する 際に貴重な情報としては、どの程度の確立度といいますか、制度があるかどうかは別にし て、観測・臆測でも構いませんので、こういったところにも需要があるのではないかとい うところを幅広に出していただいて、それについて検証していくという方法で、まずは進 めていくのかと思っています。  1つ注意事項ですが、今日お示しした「粗い試算」における特に需要のほうなのですが、 これはあくまで過去のトレンドをそのまま引っ張って延長しておりますので、今日ご議論 いただいたような新たな需要の部分を加味したものではありません。その点、傍聴されて いる方も十分ご注意いただいて、将来、薬剤師の需給がこのぐらいでいいということで導 き出されたデータではないというところは、念を押して注意をしておきたいと思います。  事務連絡ですが、第3回目以降に関しては、また日程調整をしてご案内させていただき ます。今日ご議論いただいたようないろいろな項目といいましょうか、材料を集める必要 性もあるかと思いますので、先月・今月と2回続けて1カ月間隔で行ってきたものよりは、 少しペースが落ちる形で間隔が開くと思います。また改めてご都合を伺って、秋以降にセ ットしていきたいと考えております。 ○座長 時間があるということでもありますので、是非いろいろなお考えやデータ・資料 等をお寄せいただきたいと思います。重ねてお願いしておきたいと思います。よろしくお 願いします。  最後になってしまって申し訳ないのですが、今日は供給のほうに深くかかわっておられ る文部科学省の医学教育課の松谷課長補佐が見えておりますが、何かご意見はありますか。 ○文部科学省(松谷課長補佐) 特別な意見というわけではないのですが、少し感想にな るかもしれません。1つは需要の方ですが、先ほど、先生方からいろいろなご意見があり ましたが、薬剤師の養成は、平成18年度から6年制になっております。当然、薬剤師の質 を高めるということで、各大学がいま必死にいろいろな取組みを行っているところですが、 入学する学生にとって、将来いろいろな形で就職先がしっかり確保され、将来がはっきり 見えるということは非常に重要だと思っています。その点については、この検討の中でし っかりお願いしたいと思います。  もう1つ、供給の面で私の理解が不十分な部分があるかもしれませんが、この予測で言 いますと、国家試験の合格者をベースに予測されており、その中で70歳以上の方と死亡予 測で補正されております。先ほど神谷先生がおっしゃったことにも関係していると思いま すが、実際に薬剤師の資格を取って、薬剤師関係の職に就いていない方、あるいはもう完 全に仕事を辞められた方もいるのではないかと思うのです。その点について、試算するの は難しいとは思いますが、供給の検討の中でその観点もご議論いただければと考えており ます。 ○座長 最後の点に関しては、先ほどから話に出ておりますように、なかなか難しいとは 思うのですが、厚生労働省はできるだけのことはしてくださるのだろうと思うのです。こ れで今日の検討会を終わらせていただきますが、いろいろな意見が出てきました。中には 大変心強いご意見もありましたが、ネガティブな意見も非常に重要ですので、もしありま したら是非お寄せいただきたいと思います。どうもありがとうございました。 (了) (連絡先)  厚生労働省医薬食品局総務課  代表   03(5253)1111                             直通   03(3595)2377  FAX  03(3591)9044  担当者:長谷川(内線2710)