07/06/28 審議参加と寄付金等に関する基準策定ワーキンググループ平成19年6月28日議事録について 審議参加と寄附金等に関する基準策定ワーキンググループ  議事録 1.日時及び場所   平成19年6月28日(木) 14:00〜   明治記念館 「紅梅の間」 2.出席委員(8名)五十音順     岩 田   太、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 永 井 良 三、    西 島 正 弘、 樋 口 範 雄、 日比野 守 男、◎望 月 正 隆 (注) ◎座長 他 参考人1名 3.行政機関出席者   高 橋 直 人(医薬食品局長)   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   中 澤 一 隆(総務課長)   中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備  考   本ワーキンググループは、公開で開催された。 ○総務課課長補佐 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお 配りしております注意事項をお守りいただきますようお願い申し上げます。  また、本日はクールビズということですので、事務局は軽装で失礼しております。上 着をお召しになっておられる方も適宜脱いでいただくなど、よろしくお願いいたします。  それでは、ただ今から、第1回「審議参加と寄附金等に関する基準策定ワーキンググ ループ」を開催させていただきます。本日は、先生方におかれましては、御多忙のとこ ろ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  まず初めに、高橋医薬食品局長からごあいさつ申し上げます。 ○医薬食品局長 委員の皆様方におかれましては、日ごろより薬事行政の推進につきま して、多大な御理解と御努力をいただきまして、ありがとうございます。また、今回は このワーキンググループの委員をお引き受けいただきまして、本当にありがとうござい ました。  さて、御承知かと思いますが、3月までの抗インフルエンザ薬をめぐる一連の経緯に かんがみまして、私ども省全体として、メーカーなどから研究費を受けている場合にお いて、同時に国の方の研究を進める際の中立性の問題、あるいはそれと同時に私ども医 薬品関係の承認に当たっての審議会における審議参画と、そこに入っていらっしゃる方 が別途メーカーなどから寄附金等を受けている際の関係についてどうするかということ が、抗インフルエンザ薬をめぐる問題の中で課題として出てきたわけです。  私ども役所の方では厚生労働科学研究費を出しておりまして、その研究成果を出す際 に民間サイドからの寄附金等、あるいはその研究との関係で成果を別途出すような研究 の内容に関して何らかの利害関係を有している場合の民間企業からの寄附金等の問題に ついて、別途検討会を立ち上げまして、現在検討を進めております。  このグループでは薬事・食品衛生関係の問題について、特に、医薬品の承認あるいは 安全対策などにかかわる審議をする際に、審議参画の問題として、企業から寄附金等を 受けていらっしゃる場合にどうするか、このワーキンググループで御検討をお願いしよ うかと考えています。  現在は4月23日の薬事分科会において決めました暫定ルールで運営しているわけで すが、年末までをめどに正式なルールを策定することで作業を進めていこうと考えてお ります。このワーキンググループにおいては、その線で御検討をよろしくお願いいたし たいということでございます。  外国の状況を見ますと、各国とも似たような状況でして、アメリカのFDAは、過去 に非常に複雑なルールがあったようですが、それをシンプルなものにするということで、 現在作業途上にあるということでございます。ヨーロッパも似たような基準が策定され たと聞いております。  背景を考えますと、審議参画される方の中で、特に国立大学関係、地方もそうでござ いますが、以前の国立大学から平成16年に大学法人制度に変わりました。行政機関もか なりのものが、今までの国直轄から独立行政法人という格好で外部へ出ております。そ ういった大学法人あるいは独立行政法人に関して、財源あるいは研究費などの問題につ いてはできるだけ民間支援の受入れも円滑にできるようにする、産学の連携も深まると いうことも、先の大学法人化あるいは独立行政法人の設定を行う際の行政関係の議論の 中では言われているわけです。  既に独立行政法人、大学法人制度として動き出しているところで、そのような背景を 考慮に入れていただきまして、この検討会で実態に即した実効性のあるルールの策定を お願いいたしたいということでございます。  もとよりこれは審議に参画される方お一人お一人の内心の問題ではございますが、公 益に絡む判断形成について参画される方御自身の外形的なあり方を記述しなければいけ ないものですから、やはり実効性なり、実態をよく考えていかなければいけないであろ うと私どもも考えています。  私どもは議論のための様々な材料などもどんどん提供するつもりですし、先生方には 忌憚のない御意見をお願いいたしたいと思います。簡単ではございますが、私のあいさ つとさせていただきます。 ○総務課課長補佐 それでは、本日は第1回目の会議でございますので、私の方から本 日御出席の委員を五十音順で御紹介申し上げます。岩田太委員でございます。笠貫宏委 員でございます。神山美智子委員でございます。永井良三委員でございます。西島正弘 委員でございます。樋口範雄委員でございます。日比野守男委員でございます。望月正 隆委員でございます。なお、本日は、議題の関係で、参考人として、国立大学法人東京 大学医学部附属病院の瀧田忠彦管理課長にも御出席いただいております。  引き続き事務局の紹介をさせていただきます。先ほどごあいさつ申し上げました医薬 食品局長の高橋でございます。大臣官房審議官医薬担当の黒川でございます。医薬食品 局総務課長の中澤でございます。同じく審査管理課長の中垣でございます。以上よろし くお願いいたします。なお、高橋医薬食品局長は、本日は国会用務の関係で、途中退席 させていただくことでよろしくお願いいたします。  さて、本ワーキンググループの座長でございますが、4月23日に開催されました薬事 分科会の場において、既に、薬事分科会長である望月正隆委員にお願いすることとなっ ておりますので、望月先生にこれからの進行をお願いしたく存じます。 ○望月座長 それでは、これから本日の第1回ワーキンググループを進行させていただ きたいと思います。先ほど高橋局長が言われましたように、このワーキンググループの 目的の一つは、より良い薬を世の中に早く送るための公正な審査をどうするかというた めのルール作りであります。良い薬を造るというところにはもう一つ、医療科学のます ますの進展のために必要な研究の費用の面をどのように考えるかという問題が必ず付い てくるわけです。その中で、国民からの信頼を今まで以上に保つためにはどのようなこ とをすべきかというのが、このワーキンググループの使命かと思います。微妙な点もい ろいろあると思いますが、お互いに納得できるような方向を見付けていただけたらと思 いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、議事に入りたいと思いますが、その前に配付資料の確認をお願いいたしま す。 ○総務課課長補佐 配付資料の御説明をさせていただきます。お手元に座席表、議事次 第をお配りしております。議事次第に基づいて説明させていただきます。資料1は「審 議参加と寄附金等に関する基準策定ワーキンググループの設置について」。資料2は「審 議参加と寄附金等に関する基準策定ワーキンググループ名簿」。資料3は「研究者が受 け取れる競争的資金(研究費)について」。資料4は「大学法人等における寄附金・契約 金等について」。資料5は「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における利益相反問題へ の対応について」で、4月23日の薬事分科会の資料。資料6は「臨床研究の利益相反ポ リシー策定に関するガイドライン」で、文部科学省の検討班が作成したガイドライン。 資料7-1は「欧米における審議会委員等と利益相反規定について」で、ヨーロッパ、ア メリカにおける利益相反規定の内容についてのサマリー。資料7-2は「EMEA及びF DAにおける利益相反規定」で、それぞれの国の利益相反関連規定と、それらの和訳。 資料8は「今後検討すべき主な論点(案)」。資料9は薬害オンブズパースンから提出さ れている「「審議参加と寄附金等に関する基準策定ワーキンググループ」の審議に関す る要望書」で、要望事項1〜6の内容があります。最後に、参考資料として「法人化後 の会計制度について」で、国立大学法人東京大学に関する資料です。資料については以 上です。過不足等がございましたらお申し付けいただければと思います。 ○望月座長 委員の皆様、よろしいでしょうか。それでは、議事に入る前に神山委員か らコメントがあります。 ○神山委員 資料9の薬害オンブズパースン会議から出された要望書の1に、「過去3 年間に年間50万円以上、製薬企業から金員を受領している者はワーキンググループのメ ンバーとしないこと及びワーキンググループのメンバーと製薬企業との経済的関係をす べて公表すること」と書かれています。欧州医薬品庁では、リスクレベル判断の方法の ところでリスクレベル3に該当する方は、ガイドライン作成等の一般審議にも参加でき ないことが決められています。ですから、こういう要望に対して、このメンバーでどう するのかを検討していただく必要があるのではないかということを申し上げたいと思い ます。 ○望月座長 議事に入る前に、ここにある1番の趣旨に基づいてどう考えるかというこ とですが。 ○総務課長 事務局から私どもとしての考え方を申し上げます。民間からの外部資金の 活用は、何ら否定されるべきものではなくて、むしろ推奨されるべきものではないかと 考えています。そうした中で、個別の医薬品などの承認などの取扱いについては、いさ さかなりとも疑念を与えることがあってはならないということで、一定額以上の寄附金 等を受け取られた委員の先生方は審議に参加しないというルール作りが必要ではないか と考え、今、先生方にお願いをしているところです。他方、本ワーキンググループは、 私が今申し上げました個別の医薬品などの取扱いとは違いまして、全体のルールを策定 するためのものです。したがって、このオンブズパースンからの御要望は直接的には事 情が違うのではないかと考えています。むしろ、できるだけ早くきちんとしたルールを お作りいただければということではなかろうかと考えています。 ○望月座長 神山委員いかがですか。 ○神山委員 個別の審議の問題と違うということは私もよく分かります。しかし、例え ば私がどこかの製薬会社の顧門弁護士をしていて、その会社の株をたくさん持っている と、そのようなことは全くないですが、仮にそういう事情があったとして、こういうワ ーキンググループに参加しているとなると、出た結論に対して一般の方から疑念を持た れないとも限らないと思いますので、少なくともどういう関係があるかないかというこ とくらいは薬事分科会で審議が始まる前に提出させられるような、そういう申出くらい は事務局で扱っておいた方がいいのではないかと思います。 ○望月座長 いかがでしょうか。委員の先生方から御意見があればお願いいたします。 事務局からございますか。 ○総務課長 繰り返しになるのですが、合議制で公開の場で御議論いただくことでもあ りますし、先ほど申し上げました、個々の品目ごとのということではなくて、全体のル ール作りでもありますし、局長からも申し上げました、それぞれの公益活動の立場での 御参画でもありますので、私ども事務局としてはそこまでの取扱いは必ずしも必要ない のではないかと考えております。 ○望月座長 このワーキンググループは新しいルールを作っていこうという考えのため のワーキンググループですので、実質的にそのような方はいらっしゃらないと信じてい ます。もしいらしたとしても、このワーキンググループ全員がそういう疑いを持たれる ような方向に進むと考えるのは私は無理であると思いますので、ここで議論をしていく 中で皆さんの考えを一つの方向に進めていけばいいような気がします。この段階で皆さ んにそういうところを明らかにしていただく必要はないのではないかという気がするの で、このままのメンバーでとりあえず進めさせていただき、問題が出ましたらそのとき に応じて考えていくということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○樋口委員 いきなり非常に難しい問題を突き付けられたような感じがします。私も神 山委員と同じように、ほとんど何の利害関係もないものですから、私自身はこのように 発言することに何ら障壁はありません。今の話は、もし私が何らかの形で寄附金等、受 託研究費でも何でもいいのですが、そういうものをもらっている場合に、そもそも今こ の場でこのように発言すること自体がどうなのかということにさかのぼる問題です。つ まり選任されてどうであったのかという話に戻りますので、非常に難しい重大な問題で あると思います。  資料の説明がこれからあると思いますが、私は東京大学で治験委員会に入っており、 治験のことについて少し勉強させていただいています。薬の承認その他のことについて は3極合意というものがかつてあり、今もそういう仕組みがあって、ヨーロッパとアメ リカと日本でできるだけ同じルールを適用していきましょうという話があります。その 3極合意の中に利益相反ルールはきっと含まれていなかったのであろうと思います。し かし、薬の承認にかかわるところであるとしたら、それはどのようにしても全然違った ルールでいいという話にはならないので、今日の資料はできていると思います。そうで あるとすると、今もしかしたらこの中でそもそも自分は発言できるかどうかという問題 を抱えている方もおられるのかもしれないので、ともかく座長がおっしゃるように新し いルール作りのところですから、例えばヨーロッパやアメリカではこのようなことで議 論されるときにも利益相反問題を非常に意識しているのかどうかということを、私自身 にとっては学ばせていただきたい。その上で今の問題について改めて考えてみたいと思 っています。 ○望月座長 このワーキンググループ全体の方向もそういう方向であると思いますの で、まずしっかりと欧米日のことを学んで、それでこのワーキンググループとしてどう いう方向を出すかを年末を目標にまとめていこうということです。そういう御理解の上 で皆様御発言いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、議題1の「ワーキンググループ設置の経緯と暫定ルールについて」、事務 局から御説明いただけますでしょうか。 ○総務課課長補佐 議題1について、資料3〜資料5に基づき御説明させていただきま す。局長からのあいさつにもありましたように、厚生労働科学研究費をめぐっての問題 から、今回のような審議会の委員と寄附金などの問題についてルール作りをしようとい うことに発展してきているわけです。そういうことを議論するときに、資料3ですが、 まず、寄附金等、あるいは大学の教授等をめぐる研究費がどうなのか、その実態を御説 明させていただきます。資料3は内閣府の総合科学技術会議がまとめた資料の抜粋です。 1ページと2ページに重複がございますが、競争的資金制度一覧(平成19年度)です。我 が国における各省庁8府省の競争的な研究資金としてどのようなものがあるかをまとめ た一覧です。我が厚生労働省の例を申し上げると、中ほどにありますが、厚生労働科学 研究費補助金のうち競争的資金のものだけを取り上げているので、こういう額となって います。その他のものも含めると、トータルで4,765億円が日本全体の競争的研究資金 となっています。  3ページです。その競争的資金の予算額・制度数がこれまでどのように推移してきて いるかのグラフです。平成12年度当時は7省22制度で、額的にも約3,000億円程度で あったわけですが、近年伸びてきている状況で、平成19年度においては8府省37制度 に基づき、先ほど申しました4,700億円余りの研究資金になっているということです。  しかしながら、4ページのアメリカと比べた表ですが、グラフを御覧いただいてもお 分かりになるかと思いますし、また右側の表を御覧いただいてもお分かりになるかと思 いますが、競争的資金は、2005年では日本が4,672億円程度、それに対してアメリカは 4兆と、1けた違っているのが現状です。対米国比は2002年も約10%、2005年も約10 %ということで、アメリカに比べると日本の競争的資金はそもそもそれほど多くないと いう現状があることをまず御紹介させていただきます。  資料4です。公的な研究費はこういう状況にあります。先ほどの局長のあいさつにあ りましたように、大学法人などにおいてはまさに民間の外的資金なども積極的に活用し ていくというのが一つの流れですが、これは特に国立大学法人のものを中心として、大 学の教授・準教授などの教員がどういう経済的な関係があるかを、特に民間の製薬メー カーとの関係で考えた場合に、こういうものがイメージとして考えられるのではないか という概念図です。  左側にある大学法人等というくくりの中のものが、主に組織に対して申し込まれて、 組織で管理されるお金です。左が寄附金、真ん中が治験、右が共同研究・受託研究とい う流れになっています。寄附金であれば組織として部局等で受付をして、使途・配分決 定。共同研究・受託研究であれば部局等で受付をした後、教授会等で審査されて受入れ 決定される。それから、寄附金については、例えば学生向けの奨学金などであれば大学 法人に直接入る形になりますし、教育研究的な寄附金であれば各研究室の教授あるいは 準教授等のところに流れていく形になります。共同研究・受託研究については、それぞ れの教職員が指定されている形になっているので、受入れ決定した後は、その指定に基 づいて、各研究室に費用が流れていくということです。  個人的関係でどのようなものがあるかは右に書いてあります。例えば顧問・相談、講 演・原稿執筆、裁判における専門家の証人になる場合、あるいは有価証券として株を持 っている場合の配当や売却収入などが考えられます。いずれにしても大学法人等につい ては、真ん中に書いてありますが、平成16年の法人化以降、人事・会計等における規制 も大幅に緩和されており、産学官連携が推進されていく方向で、外部の民間資金をどん どん活用していこうという方向と理解しています。  1枚めくっていただいて、今申しました寄附金・契約金等についてどういう性格のも のかを整理したものが、この表です。切り口として個人経理なのか機関経理なのかです が、機関経理のものは、共同研究、治験も含めての受託研究、奨学寄附金も含めた寄附 金です。奨学寄附金については右下に吹き出しで注釈を加えていますが、教育研究に要 する経費など、教育研究の奨励を目的とする経費で、使途としては、研究、学生支援、 大学の記念事業という形になっています。期末残高はバランスシート、当該年度の受入 総件数・総額については附属明細書上で公表されています。個人経理のものは、製薬メ ーカーとの関係で生じるものとして、先ほど申し上げたものと同じですが、そういうも のがあるということです。  本ワーキンググループでは審議会の委員と寄附金等の関係で御議論いただく必要があ りますので、機関経理について概念整理したものが、2.寄附金・契約金等と実質的な名 宛人との関係です。大きく二つ考えられるかと思いますが、(1)は、研究室の教員あてに 奨学寄附金が配分される場合で、教授等が実質的な名宛人で、かつ、その当該教授等が 使途決定の実質的な権利もあるという一般的なケースです。(2)は、例えば学部長の立場 にある方に対して学部へ寄附がされている場合で、実質的な名宛人ではあるのかもしれ ませんが、当該教授等にはそれほど使途決定権はないというケースです。もちろんそれ 以外のケースもあるのかもしれませんが、大学法人等においてはこのような形に整理さ れるのではないかというのが資料4です。  実態としては今申し上げた資料3、資料4のような形になるかと思いますが、そのよ うな中、4月23日の薬事分科会の場において、薬事分科会委員と、いわゆる利益相反の 問題についての対応を整理したペーパーが資料5です。大きな方向性としては、1ペー ジの1.にあるように、基本的には年内を目途に分科会としてのルールを作るということ で、本ワーキンググループが設置されています。もう一つの流れとしては、年末までに 策定されるまでの間にも審議会は進めていく必要があるので、暫定ルールを作ろうとい うことです。暫定ルールの適用範囲については「なお」書きにあるように、個別の医薬 品等の承認審査や安全対策に係る審議を行う分科会・部会・調査会に対して暫定ルール を適用するという形で整理しています。  具体的な暫定ルールは3ページです。申合せ事項として、ここにあるような事項が了 解されています。審議に当たっての取扱いとしては、1.は、過去3年間にさかのぼって 個別品目の承認の可否や個別品目の安全対策措置に係る個別の審議品目の製造販売業者 からの寄附金等の受取実績があり、その額が、過去3年間で年間500万円を超える年が ある場合には、その審議会場から退室していただくというルールです。2.は、受取実績 があり、500万円以下の場合には、出席して、意見を述べることはできるのですが、最 終的な議決には加われないというルールです。ただ、寄附金等の内訳として、講演や原 稿執筆その他これに類する行為による報酬のみで、かつ、その額が50万円以下の場合は、 議決にも加わることができる扱いにしようということです。  その場合の寄附金等をどの範囲まで含めるかについては、「具体的取扱」の1.に書い てあるように、先ほど資料4の中で説明したものがほとんど入っているわけですが、コ ンサルタント料・指導料、特許権・特許権使用料・商標権による報酬、講演・原稿執筆 その他これに類する行為による報酬、委員が実質的な受取人として使途を決定し得る研 究契約金・寄附金を含むということで整理をしています。特許などについては、先ほど の資料4の中には入っていませんが、個人的に特許を持っている場合にはこの扱いの中 に入れようという形にしています。株式については、株を持っている場合には当該企業 の株式の株式価値も金額の計算に含めましょうという形にしています。2.は、名宛人で はあるが、当該使途決定権が実際にはない場合にはその計算から除外する扱いにしてい ます。3.報告対象期間は、先ほど申しましたように過去3年間で、自己申告の扱いです。 4.その取扱いとしては、事務局から、参加の可否について報告させていただくとともに、 議事録にそれを残す扱いにしようということです。この内容が暫定ルールということで、 御了解いただいています。 ○望月座長 どうもありがとうございました。本ワーキンググループ設置の経緯及び今 後の作業について、ただ今事務局から説明がありました。さて、今後、この議論を深め ていくためには、我が国の大学等における寄附金・契約金等の実態について委員全員が 正確に理解することが重要だと考えます。そういう意味で、本日は、参考人といたしま して、国立大学法人東京大学医学部附属病院の瀧田忠彦管理課長にも御出席いただいて おります。ここで、主に東京大学における寄附金、研究費等の経理や事務処理、使途等 について御説明いただきたいと思います。瀧田様、どうぞよろしくお願いいたします。 ○瀧田参考人 参考資料として4枚用意させていただきました。まず「法人化後の会計 制度について」というものと、「寄附金の取扱いについて」というものがあります。そ ちらについては私が個人的に制度等を見た上で作成したものです。特に内容に関して大 学で検証等を受けたものではないので、御了承いただきたいと思います。3枚目、4枚 目については実際に東大病院で使用している書類を添付させていただきました。  それでは、1枚目の法人化後の会計制度について、概要的に御説明いたします。寄附 金と受託研究について整理しました。寄附金についてですが、法人化後において大きく 変わったところは、受入れの際に、今までは大学に総長あての小切手が交付され、歳入 歳出外現金という、別途、委任経理金という名称で経理していました。それが、法人化 して寄附者から直接現金を受け入れることが可能になっていますので、受入決定は総長 が行いますが、寄附金はすべて東京大学の収入として取り扱っています。現金の管理に ついては、寄附金だけに限らず他の運営費交付金、受託研究費など、大学の収入となる ものすべてを一つの取引銀行に預託しています。その中の一部として経理させていただ いています。寄附金の特徴としては、経理上については以上です。税法上の取扱いにつ いては、国の時代も法人化後も損金算入又は寄附金控除の適用は引き続き行われること となっています。  受託研究についてですが、寄附金との大きな違いは、受託研究の場合には必ず契約行 為が発生しています。その契約者は、国の時代は事務方の長である事務局長が契約担当 官という名称で契約していました。法人化後は、すべて大学の収入という取扱いをする 関係から、総長が契約の名義人になっています。先ほどの寄附金と同じように、受託研 究収入という名称で大学の収入として取り扱っています。受託研究については間接経費 が契約の際に必ず発生しますが、国の時代は30%頂いていました。法人化後も、契約の 相手方によって異なるケースもありますが、通常は直接経費の約30%を計上し、間接経 費を頂いています。契約を取り交わしている関係から、研究の内容に応じた繰越しがで きるかどうかということでは、国の時代同様、法人化後も繰越しの手続が可能となって います。1枚目の法人化後の会計制度についての説明は以上です。  2枚目の寄附金の取扱いについて、東京大学での手続の説明をいたします。「手続き のフロー図」を御覧ください。番号を振ってフローを示しています。寄附者は必ず申込 書を作成し、総長あてに提出していただいています。その後、それを受けた総長として 取り扱われるセクションで、不動産に関連した寄附については役員会で審査を行ってい ます。寄附の内容が部局に関係するものについては、部局の教授会等で受入れについて の審査を実施しています。その内容を審議していただいた後、受入決定を行いますが、 動産について、特に部局に関係しているものについては、受入決定はすべて部局長が行 っています。今の説明は(3)のところです。  受入決定の際には、その寄附金をどのように使うのか、必ず使途を明確にする手続を (3)と同じタイミングで行っています。受入決定が行われた後は、部局単位に事務方に置 いている経理責任者から寄附者に対して振込依頼書を送付させていただき、寄附者には 東京大学の取引銀行に振り込んでいただいています。取引銀行の入金確認を経理責任者 が行った後は、会計記録として受払簿に各寄附金別に記帳しています。その記帳が終わ った後、総長名義で寄附者に対する礼状、領収書を送付する手続が実施されています。  下の方でフロー図の補足説明をさせていただきます。(1)で、申込書を寄附者から頂く 際には、必ず本学所定の様式でお願いしています。(2)で、受入条件の審査を役員会、教 授会等で行っていますが、寄附者の適格性、目的等の適正性を主に審査しています。不 動産に関する寄附があった場合については、本部が受入窓口になっている関係上、部局 では手続ができない状況です。  (3)の受入決定についての補足説明です。受入決定は、すべて総長が行います。しかし、 先ほども申し上げましたとおり、動産については部局長に委任しているので、部局長が 受入決定を行った後、報告を総長に行っています。  寄附者には、寄附申込書に「目的及び条件」として次の例示のように記載していただ いています。「学術研究の経費」、「教育・研究その他の事業の奨励・支援」、「学生 に給付・貸与する学資等」と、三つ例示を挙げさせていただきました。資料の3ページ、 東京大学寄附申込書の記載例を御覧ください。「寄附目的及び条件」のところに例示を 挙げています。この例示のように記載してくださいというお願いを申し込む際に行って います。ちなみに東大病院の場合、この3種類の言葉にマッチングしないケースが発生 しますので、通常ですと医学研究のためということで、目的及び条件のところに記載し ていただくようにしています。  寄附金の場合、研究助成金を研究者が企業等から直接受け入れる可能性があります。 その際には公募の手続を研究者個人が行うケースがある関係で、東京大学機関としてそ の手続が実際に行われているかどうかの確認ができないケースがあります。研究助成金 を研究者が直接受けた際には、その後、研究という目的で受け入れている関係で、すべ て大学に対する寄附として手続を研究者からしていただいています。  しかし、そこに掲げています三つの研究助成金については、大学に対する寄附としな い取扱いということが、大学全体の寄附取扱規則の解釈で整理されています。一つ目は 教職員の研究業績に対する顕彰金、二つ目は教職員の海外渡航の援助を目的とする助成 金、三つ目は教職員が本学以外の団体等と主催又は共催するシンポジウム等を開催する ため受け入れる助成金、この三つについては、大学に対する寄附としないという取扱い をしています。受入れの決定についての補足説明は以上です。  (8)で、礼状、領収書を寄附者に対して総長名義で送付していますが、その際には必ず、 寄附者が所得税法上の寄附金控除又は法人税法上の全額損金算入の措置を受けられるこ とを証明しています。  4枚目は、寄附者に振込依頼書を直接送っていますが、その様式を参考までに付けさ せていただきました。金額が参考として記載されていますが、これは実際に使用されて いるもののサンプルです。参考人としての説明は以上です。よろしくお願いいたします。 ○望月座長 どうもありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思いま すが、配付資料の内容、あるいは先ほどの事務局からの説明、ただ今の瀧田参考人から の説明について、御質問等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。 ○樋口委員 一つは質問で、一つはコメントですが、資料5の別紙2で、暫定ルールが こういう形でできていて、今回このワーキンググループでは何をするかというと、その 暫定ルールを踏まえて、どういうルール作りをしたらよいかを検討するというお話です。 申合せが別紙2にあって、これを読むと幾つかのことが分かります。私は何も知らない でとりあえず発言していますので、もし間違っていたら訂正していただきたいのですが、 一つは、この暫定ルールの中に、先ほど神山委員がおっしゃったような一般的な審議事 項についてどうこうというルールはないのです。そういう意味では、暫定ルールがない ところでこれをどうするのかという話なのだということが一つ。もう一つは、薬事分科 会でこの暫定ルールを作った上で、もう少し恒久的なルールをワーキンググループで作 りましょうといったその場面で、そのメンバーについて利益相反をどうするかについて は、この暫定ルールの適用もないわけですし、話し合われなかったのか、あるいは何か 話し合われたのかもしれませんが、先ほどのような議論が大勢を占めるには至っていな いという経緯と考えてよろしいでしょうか。そうであるとすると、このメンバーが我々 に資格はあるのかどうかを議論するのは、やはりおかしいです。その上のワーキンググ ループを設定したところで話し合っていただかなくてはいけないような話であったので はないかと、今思い至ったところです。そのように考えていいかどうかが一点です。  もう一点は、この暫定ルールの中身について説明がありましたが、どういうものを参 考に、どのような趣旨で作ったのか、もう少し補足していただけると有り難いです。 ○総務課長 まず一つ目のお話に対して、事実関係を申し上げます。審議会が独自に申 合せを作るという整理の下で、最終的には取扱いのルールを決めていただくということ です。そうすると、審議会の外の人にではなく、審議会の中で御議論いただいて作成す るということです。その下に専門の方に入っていただいてワーキンググループというこ とで、審議会のメンバーからは5名の先生方にお願いし、かつ、先生を始め3名の方に 部外から入っていただいたということです。  二つ目の点は吉田から説明したいと思います。 ○総務課課長補佐 この暫定ルールを作るときの考え方ですが、メンバーについては課 長からお話がありました。適用範囲をどうするかですが、先生が御指摘のように、一般 的なものについては適用しておりません。資料5の1ページの2番、「なお」書きです が、暫定ルールなので、基本的には利益相反の問題がより顕著に出る部分、ここだけは 絶対に押さえなければいけないという部分を中心に作るべきであろうということで、個 別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る個別の審議を行う部分に対して暫定的にルー ルを作ったということです。  作ったときの考え方、先ほどの内容になぜ至ったかについては、後ほど説明させてい ただきますが、基本的にはヨーロッパのEMEAのガイドライン、アメリカのFDAの ガイドライン、FDAのガイドラインについては今見直しをしている最中で、その見直 しをしている内容も含め、整合性を考慮しながらこういう案をまとめさせていただいた ということです。 ○望月座長 よろしいですか。 ○樋口委員 はい。 ○望月座長 ほかにどなたかございますか。 ○神山委員 競争的資金の競争の意味が分からないので教えてほしいのですが。 ○総務課課長補佐 研究費について一般的に公募する、誰でも応募をしてもよいですよ というものを競争的資金と申し上げています。そのほかにも、研究費の中には、あらか じめこの人に研究をお願いするという、特定して行うプロジェクト型の研究もあります が、そういうものではなくて、どなたでも応募できますということで、一般に公募する ようなものを競争的な研究資金と便宜上申し上げています。 ○望月座長 ほかにどなたかございますか。 ○日比野委員 東大のケースについて、使途で、学術研究の経費など、三つ挙げられま した。このような抽象的な書き方をするものなのですか。 ○瀧田参考人 はい。 ○日比野委員 もっと具体的に、蛋白の何々の解析など、そのような感じではないので すか。 ○瀧田参考人 はい。 ○日比野委員 この書き方であると、言葉は悪いのですが、ほとんど使い道は自由とい うことですね。 ○瀧田参考人 そうですね。国のときからそこについては変わっておりません。法人化 したからそのようにしているのではなくて、すべての国立大学は同じような取扱いを今 までしてきました。法人化後も同じように経費の執行ができるような扱いをしていると 思います。 ○永井委員 確かにそうなっています。委託研究などでは、この研究のためと、目的を はっきり書いていると思うのです。恐らく寄附というのは、見返りを求めないというこ とで、かなりフリーに書いていると思います。ただ、もちろん飲食費などには使えない わけで、事務方でかなり使い方を管理していると理解しています。 ○日比野委員 もう一つ、資料4の大学法人等における寄附金・契約金等の整理という ことで、機関経理で(1)と(2)があるのですが、東大の場合でいくと、どういうところで(1) を付けると、使途がある特定の教授に決まるのですか。 ○瀧田参考人 寄附金の場合、個人経理の取扱いは行っていません。すべて機関経理の 取扱いになります。 ○日比野委員 そういう意味ですか。分かりました。 ○望月座長 岩田委員、お願いします。 ○岩田委員 今のことに関連してですが、実際に機関経理にしても、頂いた名宛人の教 授がどのくらい決定権があるかというと、多くの場合は教授が何に使うかを決定できる 形になっているという理解でよろしいですか。 ○瀧田参考人 使うときには担当の教員が最終的に判断しています。 ○永井委員 助教以上は委任経理の口座を持つ資格があります。大学によって違うかも しれませんが、東大の場合には助教以上は全員が持てます。口座の管理は各人に任され ることになっています。ただ、全学も各部局もオーバーヘッドを取ります。科の中でも 少しオーバーヘッドを取ってみんなで分配することもあります。しかし、口座の管理は 教授だけでなく准教授、講師、助教も持つことができます。大学によっては、例えば助 教は持てないということもあるのかもしれませんが、東大では全く対等です。持てない ところもあったようです。 ○日比野委員 持っている場合は、例えば助教でも教授でも対等なのですか。 ○永井委員 各教員に任されています。 ○望月座長 瀧田参考人に伺いたいのですが、文科省から総長に交付というのはなくな って、すべて決定は総長ということでした。そうすると、お金が入る、あるいはそれを 何に使うということは、今の国立大学法人は大学内だけですべて終わってしまうという ことですか。終わっているというのは変ですが、ほかからは知り得ないということです か。前は文科省が全部つかんでいたけれども、今は文科省はそれに対して一切関知しな いということですね。国公立大学はみんなそうなのですか。 ○瀧田参考人 そうですね、使うことに対する権限はすべて大学の中で管理できていま すので。 ○望月座長 私立大学と非常に近くなっているということなのですかね。 ○瀧田参考人 そうですね。 ○望月座長 公立大学もそうなのでしょうか。それは分からないですか。これまでのこ とで、ほかに何かございますか。西島委員、お願いします。 ○西島委員 樋口先生の質問とも関連するのですが、現在これはこの審議会の薬事分科 会の中での取決めということですが、審議会は食品衛生分科会もありますし、そのほか にも厚労省では幾つかあります。質問としては、このような動きが厚労省としては最初 の取組みということですか。もう一つは、これが母体になって更に膨らませていくとい うことになりますか。 ○総務課長 こういう意思決定を伴いますような審議会の取扱ルールとしては、私ども のこれが私の知っている限りでは恐らく最初のものになるであろうと考えていまして、 ほかに追随するところがあるのかないのかは、詳細を承知していない状態です。  なお、先ほど局長のあいさつの中でも申し上げましたが、厚生科学研究費の使い方に ついては、通常の臨床研究の場でどういう透明性を確保するかという意味でのルール作 りが別途あるということです。審議会ということで言いますと、私どもが恐らく最初に なるのであろうと考えています。 ○樋口委員 私も東京大学にいるのですが、委任経理金というシステムがあることは私 も知っています。この表で言うと、これはそちらで準備したものではないのですが、東 京大学の場合は、寄附金等であれ受託研究であれ何であれ、とにかく機関経理というこ となので、個人の経理になっていません。しかも独立法人化して総長のところで一括管 理ということなので、東京大学の例で言うと、全学部ですから医学関係以外でもいろい ろな会社があると思いますが、どこの会社からどこの先生のところを名宛人としてとい うことは、総長のところ、あるいは瀧田参考人のところで全部把握していると考えてよ ろしいのでしょうね。 ○瀧田参考人 今の御質問は、あて名がすべて総長になっているので、その経理区分が 何かされているかどうか、そのお話が私の方ができていなかったと思います。「寄附目 的及び条件」のところで、寄附者に寄附される相手方となる教員の所属、個人を指定さ れる場合にはお名前を記入していただいています。それによってプロジェクト管理、受 払簿を個別にしているのですが、それらの帳簿の区分をすべて個別に管理しています。 ○樋口委員 東京大学はそうなっています。しかし、ほかの大学で、大学の本部等で、 あるいは学部単位ということもあるかもしれませんが、このようにすべて機関経理でど こかできちんとそういう情報を把握しているかどうかは何とも。 ○瀧田参考人 それは、国立大学法人はどこも同じように、会計基準で整理することが 規則上定められています。 ○樋口委員 そうすると、大学であればどこでも、情報自体は把握しようと思えば把握 できるのですね。 ○瀧田参考人 大学の収入になっているということです。今までは個別に寄附金だけが 管理されていたのですが、今はほかの収入も合わせて大学の収入という位置付けで、東 京大学の収入という管理をすることが求められています。これは東大に限らず、ほかの 国立大学も同じように、収入としての管理をプロジェクトごとに行っていると思います。 ○望月座長 私ども私立の薬科大学でも必ず、いまだに判子を押していますが、学長の 判子なしではこれは受入れができない、使うこともできないことになっています。ほか にこれらの点についてはよろしいでしょうか。  それでは、次に、議題2「今後検討すべき主な論点について」、事務局から説明をお 願いします。 ○総務課課長補佐 議題2について、資料6〜資料8に基づきまして順次御説明させて いただきます。最終的には資料8で主な論点を御議論いただきたいわけですが、その参 考とする情報としまして資料6、資料7を御紹介するというものです。  まず、資料6です。これは、文部科学省の検討班が作りました、臨床研究を行う場合 の利益相反ポリシーのガイドラインです。各国立大学法人が、特に医学部を中心にだと 思いますが、臨床研究を行う場合には、これに基づいて利益相反ポリシーを作っている 状況と理解しています。  6ページを御覧ください。「臨床研究に係る利益相反への対応の特性と利益相反ポリ シー」です。いろいろな研究を行うときに利益相反の問題は当然あるわけですが、臨床 研究では更にこういう特徴、考慮すべき点があることを書いています。  臨床研究の特性として、上の枠囲みですが、(1)人権の擁護、生命に係る安全性の確保 が何よりも求められる、(2)臨床研究データは、その後の薬事法による審査の基礎になる ので、信頼性の確保が強く求められる、(3)インフォームドコンセントが重要である、と いうことが特に求められています。  一方、利益相反の観点からいけば、下の枠囲みにありますような特徴があるというこ とです。(1)として、最先端の医療研究分野では、研究自体が疾病の治療法開発を目的と することが多いことから、その臨床研究を安全に実施できる最適な人物はその研究者自 身であるケースが多い。(2)として、創薬等の場合は事業化までの期間が長く、リスクも 高いため、既存の企業への技術移転という手法のみでは社会還元が難しいことから、研 究者自身が関与するベンチャー企業の役割が大きい。(3)として、新薬や新しい医療機器 の開発・承認のためには臨床研究、治験を含めた臨床試験が必須で、研究者自身が一切 それにかかわらないということは現実的には困難である。そういう臨床研究の特徴があ ることを踏まえて、利益相反に関するポリシーを各大学ごとに作りなさいということを 求めているわけです。  どういうマネージメントをするかにつきましては、13ページの図3を御覧ください。 基本的には図3の評価手順を踏むことを求めています。すなわち、実施研究者は、その 研究をしたいということを所属機関の長に申請し、自己申告書と実施計画書を臨床研究 利益相反委員会で別途評価していただく。治験の場合あるいは臨床研究の場合には、治 験審査委員会あるいは臨床研究倫理審査委員会で実施計画書そのものの妥当性、倫理性 は評価いただくわけですが、今申し上げた利益相反の関係については、臨床研究利益相 反委員会を別途作って、そちらで評価するべきではないかということを求めているわけ です。  自己申告書にどういう申告内容があるのかということですが、10、11ページの自己申 告書(例)を御覧いただければ一目瞭然かと思います。1.評価を受ける者の立場というこ とで、申告研究者、要するに研究者そのものと、その一親等までの家族は、その企業と の役割関係、それから収入がどうか、報酬をどれくらい得ているかとか、ロイヤリティ、 原稿料、講演謝礼などがどうかを個別に申告する。その中で、収入の有無につきまして は、例として年間の合計収入が同一外郭組織から100万円を超える場合に○ということ で、ある場合、ない場合の一つの基準として100万円が挙げられています。その他の情 報としては、2.申告研究者の産学連携活動に係る受入額ということで、共同研究、受託 研究、ポスドクの関係、奨学寄附金などの受入額がどうかも申告する。その場合の産学 連携活動の有無の一つの基準としては、200万円を超える場合に○をする形になってい ます。3.産学連携活動の相手先のエクイティということで、株式、出資金、ストックオ プションなどについての有無。4.インフォームドコンセントへの記載は、臨床研究特有 のものです。経済的な関係という意味では、今申し上げた項目を申告して、臨床研究利 益相反委員会で評価をし、その実施の有無について検討しているというのが、大学臨床 研究における利益相反のガイドラインです。  資料7です。資料7-1がサマリーで、資料7-2がヨーロッパのEMEA、アメリカの FDAのガイドライン等の原文及び翻訳となっています。資料7-1に基づきまして簡単 に御紹介します。「欧米における審議会委員等と利益相反規定について」です。  欧州医薬品庁(EMEA)ですが、各委員が利害関係について申出を行って、その申出 に基づいて、利害関係の幾つかの基準に従い、3段階のリスクレベルの判定を行うのが 基本的な考え方です。  1ページの1の(2)申出の方法及び内容です。方法としては、個人的利害、それから 委員の所属する組織としてどういう関係があるかという組織的利害について、欧州医薬 品庁に任命される前に申し出て、その内容を登録する形をとっています。その内容が変 化することについては年次報告を行うとか、あるいはその内容が変化した都度に速やか に申し出るということを行っています。この資料では「判定委員会(DIAG)」、資料 7-2の訳の中では「利害申告評価部会」と書いていますが、その申告の内容を評価する 部会が設けられていまして、評価部会、判定委員会がそのリスクレベルを判定していま す。  (3)リスクレベル判断の方法として、(1)、(2)、(3)ということで、3段階を踏んでいま す。最初の段階は、一般スクリーニングです。リスクレベルは1、2、3で、3がリス クレベルが高い、利害の衝突が起こる可能性が高いという形になるわけですが、まず委 員の出身母体が企業関係者か、大学などの関係者か、あるいは行政官かということに応 じて、機械的にリスクレベルが割り振られます。すなわち、民間企業関係者であれば即 3になるわけです。  その後、再分類ということで、リスクレベル2の場合については、これから申し上げ る方法で再分類を行います。すなわち、リスクレベル2の人でも、その後、経済的利害 があるかどうかに応じて、高度の利害レベル(C)があればレベルが3に上がる、低度(A) であればリスクレベルは1に下がるなど、そういう再分類を行います。  そのレベルを判定するための(A)、(B)、(C)の基準が1、2ページにあります。簡 単に申し上げると、製薬企業又はその競合企業から50,000ユーロを超える経済的利害が あれば、高度の利害関係レベル(C)があるということで、レベルが3に上がっていくと いうことです。その他、コンサルタントをしているとか、治験の責任医師をしている、 あるいは特許を持っているなどの場合には、利害関係レベル(C)ということで、レベル が3に上がっていくということです。50,000ユーロ以下の場合は、中程度の(B)である ということです。コンサルタントや治験責任医師をしていたのが1年以上5年以内であ れば、レベルは(B)であるということです。コンサルタントなどを行っていても、過去 5年以上前にしかやっていないということであれば、リスクレベルは低度の利害関係レ ベル(A)ということで再分類をするということです。  そういう形で再分類を行った後、更に微調整が行われ、最終的なレベル1、2、3が 決定されることになっています。  リスクレベル3になった場合には、原則、そういう評価の活動には参加できないとい うことです。ただし、他に適切な代替の専門家がいないような非常に特殊な場合には、 適用除外も当然あるということです。リスクレベル2の場合には、個別の案件を審議す る場合、あるいは先ほどから問題になっているガイドライン作りなどの一般審議の場合、 それぞれに応じてそれぞれの役割ごとに参加できる、参加できないというレベルが変わ っていくということです。リスクレベル1であれば、すべての活動に参加できるという ことです。ヨーロッパのルールはそういう形になっています。  アメリカは4ページからです。4〜6ページは、現在のFDAのガイドラインの内容 です。7ページは、今見直しを行っているガイドラインの案です。  現在のガイドラインですが、4ページです。基本的には、委員からの申出に基づいて FDAが決定するということです。(2)に書いてありますが、「委員は、審議品目及び その競合品目に関する利害について以下の内容をFDAに申し出る」という形になって います。(3)にありますように、その内容に基づきまして、一般的な審議事項か個別の 審議事項かに応じまして、審議に参加できるか否かについて基準を作っているというこ とです。  具体的には5ページからです。現行のガイドラインにつきましては、株、雇用の関係、 コンサルタント料、契約金・補助金があるかどうか、特許、専門家の証人など、それぞ れごとに細かいテーブルを作っていまして、それごとに基準が設けられています。  資料7-2の83ページ以降を御覧ください。これがFDAの現在のガイダンスの中でま さに利益相反の基準となるテーブルです。83ページにありますのは、株式と投資という ことで、利益相反レベルが低いのか、中程度なのか、高いのかということが、それぞれ の株価の総額に応じて措置が変わっていく。こういうものが雇用形態、勤務先の関係、 コンサルタントの場合はどうか、特許の場合はどうかという形で、それぞれの基準をこ ういうテーブルごとに示しています。個別にテーブルに基づいて判断をしているのが現 状です。そういう方法が煩雑で分かりにくいという批判がアメリカであるようでして、 今ガイドラインの見直しをしている状況です。  資料7-1に戻っていただきまして、7ページを御覧ください。見直しをしているガイ ドラインの案の概要をここに書いています。資料7-2で申し上げると、123ページです。 基本的には、フローチャートで単純化していく。今示されているガイドラインの案では、 決定プロセスを非常に単純化・合理化して評価しようということです。今のアメリカの ガイダンスのように、株なら幾ら、コンサルタントなら幾らなど、そういうものをすべ てまとめて経済的利益が50,000ドルを超えるかどうかで、参加の可否などを評価しよう ということです。  資料7-2の123ページのフローチャートを御覧ください。4bというのが右の中ごろ にあります。その枠の中に、「参加不適格となる経済的利益の合計が、一定の規制例外 適用後50,000ドル以下であるか」とあります。以下であればその先に行けるわけですが、 超えれば即、通常参加不可の形になっています。基本的には、今アメリカで示されてい るガイドラインの案も、過去1年以内に50,000ドルを超える不適格な経済的利益を受け ているかどうかというところでその判断をする形になっているわけです。  ここで、先ほど樋口先生から御指摘のありましたことに対してのお答えとしては、我 が国で暫定ルールの500万円という線引きを考えるときには、ヨーロッパが50,000ユー ロ、アメリカが、今示されているガイドラインの案で50,000ドルになっていましたので、 若干レートは違うかもしれませんが、とりあえず500万円を基準にしたらどうかという ことで暫定ルールを作らせていただいたわけです。今までが日本の文部科学省研究班の ガイドライン、それからアメリカ、ヨーロッパのガイドラインの概要です。  それを踏まえまして、資料8です。今後、正式な基準を作っていくに当たって、どう いうことが論点になるかを、大きく1〜8にまとめています。1.は、考慮対象とする寄 附金あるいは契約金等の対象範囲をどこまで含めるかです。暫定ルールの対象はここに あるような内容になっていますが、どこまで含めるかが一つの論点かと思います。株式 については、例えば薬の承認がされることによって株価は変動する可能性があるわけで すが、その変動の可能性を考慮して株も対象とすべきかどうか、対象とする場合に、そ の評価方法はどうすべきかということです。暫定ルールでは当該年度に保有している株 式の価値をその額に組み込む形にしていますが、果たしてそれでいいかどうかというこ とです。  2.は、先ほどの資料4の言わば名宛人の関係と使途決定権があるかないかの整理で す。資料4の(1)、(2)、どちらの場合にどういう形で金額を考慮するかが次の論点かと思 います。  3.は、金額水準です。暫定ルールでは一括して500万円という形にしていますが、そ のように全体を合計して一律の水準を設けるべきかどうか、あるいは今のアメリカのよ うに個別の事項ごとに水準を設けるべきかどうかが次の論点かと思います。それから、 受入額(収入ベース)で考えるのか、あるいは、例えば受託研究や共同研究の場合には当 然必要なコストがあるわけですので、実収入(所得ベース)で考えるのかが次の論点とし てあるのではないかと思います。  4.は、競合企業の扱いです。競合会社からの寄附金なども対象とするのかどうか、そ の場合に、競合会社とはどの範囲かということです。入れるとした場合には、同一薬効 群の競合品目まで対象とすると、日本の状況においては専門家の選定が難しくなるので はないかという問題点があると思います。  5.は、考慮対象期間です。暫定ルールでは過去3年で行っていますが、どこまでさか のぼるかということがあろうかと思います。  6.は、家族の取扱いです。アメリカにおきましては、本人以外の妻、子供などについ ても寄附金等の報告対象としていますが、どの範囲まで入れるかということです。一方 で、親族の株や個人の報酬などはなかなか把握が難しいという問題が当然あるわけです。  7.は、審議不参加の具体的取扱いと特例扱いです。今は程度に応じて、退席する、あ るいは議決に加わらないという扱いにしていますが、この扱いでいいかどうか。  8.は、公表の扱いです。今は、審議会議事録そのものについては、発言者を直ちに公 表すると公正な審議が阻害されることも考えられなくもありませんので、それを防ぐ観 点から、2年間は委員名を伏せた形で議事録を公表しています。利益相反のことにつき ましても、参加の可否については議事録に残しますが、議事録全体の取扱いと同様、委 員名については2年間は伏せる形になっています。この取扱いでいいかどうかというの が論点かと思います。  以上、長くなりましたが、考えられる主な論点はそういうことでして、これについて 御議論いただければと思います。 ○望月座長 ありがとうございました。それでは、まず、配付資料の6、7について、 ただ今の事務局からの説明に対して御質問がありましたらお願いします。 ○神山委員 アメリカの新しいガイドライン案ですが、先ほどお読みになった資料7-2 の123ページの真ん中くらいの「参加不適格となる経済的利益の合計が、一定の規制例 外適用後50,000ドル以下であるか」と、資料7-1の7ページの「50,000ドル以上の不 適格な経済的利益を受けている場合」は、同じことですね。「不適格」という言葉と「一 定の規制例外適用後50,000ドル」という言葉は、具体的にはどういうことを意味してい るかお分かりでしょうか。 ○総務課課長補佐 資料7-2の119ページです。50,000ドルを超えるかどうかを計算す るときに、単純にいろいろなものがある中で、これはカウントしなくてもいいという除 外の部分があるわけです。その内容として、真ん中に「以下に記す項目は不適格となる 経済的利益の計算に加える必要がない」と、1〜7の項目が書いてあります。例えば投 資信託ファンドの関係などについては除外していいということでして、これらについて 計算から除いた額が50,000ドルを超えるかどうかで判断することになっていると理解 しています。 ○神山委員 利益相反というのは、例えば製薬会社と審議会委員との利益相反ですね。 アメリカもそうであると思うのですが、連邦政府の雇用者、社会保障、若しくは退役軍 人手当は何のために入ってくるのですかね。これを企業から受けることがあるのでしょ うか。 ○総務課課長補佐 御指摘はごもっともです。調べまして、分かればまたお答えします。 ○日比野委員 資料6ですが、実際に利益相反委員会のようなものを作って動かしてい る大学などもあるのですか。 ○総務課課長補佐 東北大学ではしっかりとそういうものを作ってやっていると聞いて いますし、ほかでもそういう形で対応している所はあると聞いています。具体的にどこ とどこがというのは承知していませんが、少なくとも東北大学などは聞いています。 ○日比野委員 まだほんの一部ですか。 ○総務課課長補佐 現在詳細なデータを持ち合わせていませんので、よく分かりません。 ○日比野委員 例えば厚労省管轄のナショナルセンターなどはこういうのはないです ね。IRBなどはどこでもありますね。 ○総務課課長補佐 そこについては研究費のことを扱っている厚生科学課や厚生科学審 議会で御議論いただく部分かと思いますので、私どもでその辺のことは現在情報を持ち 合わせていません。 ○望月座長 ほかにはよろしいですか。それでは、資料8「今後検討すべき主な論点(案)」 についての御意見はいかがでしょうか。 ○笠貫委員 欧州医薬品庁(EMEA)の判定委員会(DIAG)と、FDAでの各委員か らの届出に対する委員会のシステムについて、例えば35ページでDIAGでの審査業務 は全員一致でなければいけないなど、いろいろな細かい規約があると思うのですが、届 出の問題と線引きの問題と判定する委員会、そこも含めてこれから検討していくという ことでよろしいのでしょうか。 ○総務課課長補佐 そうです。判定委員会につきましては、それも御議論いただければ と思っていますが、基本的には別途そういう委員会を設ける必要はなく、例えば、今で あれば薬事審議会係に届出いただいて機械的に判断していまして、そういう形でのルー ルにできれば有り難いかと思います。そこが難しければ別途判定委員会を作ることも一 つの選択肢であるのかもしれませんが、できるだけ簡単なルールにしてはどうかと思っ ています。 ○笠貫委員 ヨーロッパの方ですと、データベースを作るところまで書いてあります。 ルールの基本としてデータベースができていますと、先ほども出ましたが、これから産 学共同も一方では大事であって、委員になるような人がいなくなるかもしれないという 先ほど問題指摘があったと思います。そういうときに、きちんと登録をしておく、ある いは届けを出しておく、その中でデータベースを作っておくと、現実的に一番公平性、 透明性が保たれて、どこで線引きをしたらいいかをそちらからも日本の現状としては出 しやすいのかという感じもしたのです。先ほどの競争的資金等、あるいはほかの研究の 日本の現実として、どうしても産学共同の研究が大きなウエイトを占めている可能性は 高いのです。そうすると、現在の日本ではどのようにその透明性、公平性を維持して国 民が納得いく現実的なシステムを構築できるかはかなりデリケートな問題なので、きち んと実態を把握することが必要かと思います。ヨーロッパがデータベースを作っていて、 しかもこのような判定委員会を作っているとすると、ヨーロッパの現状をもう少し知り たいと思うのですが。 ○総務課課長補佐 ヨーロッパのデータベースの状況などについては今は情報を持ち合 わせていませんので、必要であれば調査したいと思います。  それから、ルール作りをする上で実態を把握しないとなかなか難しいというのは、御 指摘のとおりと思いますので、どういう形でどこまで把握できるかという部分について は、方法を検討したいと思います。ルール作りをする上で必要となるデータは、できる だけ集めるようには努力していきたいと思います。 ○樋口委員 可能な限りでということですが、資料8で今後検討すべき主な論点はたく さんあって、どれもなかなか難しいと私も思いました。その上に申し訳ないですが、そ れぞれの問いに対して、先ほど紹介されたヨーロッパのルールとアメリカのルール、新 しい単純な方でもいいのですが、それぞれについてこうなっているという表ができて、 3国比較というか、こちらの問題意識と向こうの考え方とは全然違っていることがある ので、簡単に表ができるかというと、やってみるとそうではないかもしれないですから、 できる範囲でいいのですが、お願いできないかというのが一点です。  資料の関係では、ヨーロッパのルールが、例えば私であれば大学等の研究者を考えま すと、基礎が個人的利害はレベル2になって、プラスアルファがあると3になって、ヨ ーロッパでは一番権威のある機関でしょうが、そこの活動に一切参加できないという話 になっています。これであると大学関係者はヨーロッパでは参加できないのではないか と思うくらいですが、どうなっているのかというので一つ気になるのは、経済的利害の 意味です。例えば、私のところへある企業から頂いた研究費500万円を、私にも経済的 利益が500万円あるという計算をして向こうの人はやっているのか、それとも、そうい う形の産学連携ではなくて、別の形の産学連携をやっているので、ヨーロッパでは余り 問題にならなくて、私も委員になれるということか、あるいは、そもそも大学関係者は 委員になっていないのか、あるいは、ルールはそうであるが、どうしても樋口には入っ てもらいたいということで、例外条項をたくさん使って、結局入れているのか。これも 一層難しい話かもしれないのですが、経済的利益の意味とその実態のような話です。  三点目は、アメリカの今度のガイドライン案は特定の事項に関するところをこのよう に単純化したりしているという話の、特定の事項はどういう意味かというのが問題です。 特定の医薬品について何かの決定をするときにはこういうことであって、一般的な審議 等のところではどうなっているのか、あるいはそちらはディスクロージャーだけあって、 ヨーロッパとは少し違う話になっているのか、今でなくても結構ですので、分かった限 りで教えていただければと思います。 ○望月座長 次回以降の資料に特定の企業あるいは特定の医薬品との関連を含めていた だいて、ほかにこの論点に関して御意見はありませんか。 ○神山委員 そもそも欧州医薬品庁の役割と薬事分科会の役割は同じと考えてよろしい のですか。 ○総務課課長補佐 ここで言う欧州医薬品庁の中の外部委員が、薬事審議会と同じ位置 付けと御理解いただければよろしいかと思います。 ○日比野委員 こういう規程は、FDAと欧州医薬品庁、どちらが先にできたのですか。 ○総務課課長補佐 FDAの今あるガイドラインは2000年です。EMEAは2006年で す。FDAが今意見を聞いている新しいガイダンスの案は、2007年3月にドラフトの案 を示しています。そういう前後関係になりますから、FDAの2000年が一番古いという ことかと思います。 ○日比野委員 欧州の方はFDAを下敷きにしているということは考えられるのです か。 ○総務課課長補佐 当然参考にはしていると思います。 ○日比野委員 それで、50,000ドルや50,000ユーロなど、似たような数字になるので すか。 ○総務課課長補佐 これは私の推察になりますが、2007年にFDAが示した50,000ド ルというガイダンスの案は、ヨーロッパが2006年に示したガイダンスの50,000ユーロ と並べているのではないかと類推できます。 ○岩田委員 検討課題について、細かい点を幾つかお伺いしたいと思います。先ほど株 式の話があって、FDAでは投資信託などは除いているという話がありましたが、簡単 ではないと思うのです。ここでもそういうものを含めるかどうかの議論はきっと必要か と思います。私はそういうものについて余り分からないのですが、すり抜けて実際には そこの株を持っているなどの問題があり得ますね。それが一点目です。  二点目と三点目はほとんど重なるのですが、どういうものを対象として扱うかという ことで、「今後検討すべき主な論点」の2.です。私自身、医学部ではないものですから、 実際にどういう形で研究費の影響のようなものが出てくるのか、今日の説明でもまだ十 分に分かっていないところがあります。一つは、2.の(2)で、自分は名宛人であるが、実 際はコントロールがない。こういう場合があるかどうかは分からないのですが、例えば 割と小さな大学で実質上大きな寄附金が来ている、もちろん自分はコントロールはない が、それがなくなることによって組織の利益相反のようなことがあり得るのかどうかで す。ただ思い付きで言っているので全然現実味はないかもしれませんが、そういうこと があるのかないのかも含めて教えていただけると有り難いと思っています。  もう一つは、研究費の名宛人がしっかりしていて、どこかの教授のところに来ている のは対象になるのは分かるのですが、例えば研究室の中の教授、准教授、講師、助教な ど、先ほど永井先生から助教ももしかすると研究費を名宛人でもらえるという場合に、 そういうものはどういう関係になるのか。例えば助教がもらっているときに、教授が審 議会の委員になることはいいことかどうか、その関係がよく分からないものですから、 機会があればそういうことも含めて教えていただけると有り難いと思っています。 ○永井委員 大学によって随分事情は違うと思うのです。東京大学の場合には教授も口 を出すことはできません。しかし、大学によっては一体として運営している場合があり ます。助教の方に研究費が行ったときの教授の利益をどう考えるか。多分、論文は一緒 に出すわけです。したがって、学術的メリットは少なくとも受けると言えます。 ○望月座長 講座に来たお金はみんなのお金という考えは、私ども古い講座制の大学は 持っているかもしれないです。 ○永井委員 昔はそれをイーブンに分けて、誰が名宛人であろうとみんなで使うものと いう時代もあったようです。それは大学紛争後には大分変わってきていると思います。 ただ、いまだにオーバーヘッドは、例えば10%、15%、これから35%、50%の時代にな ってきますと、誰かがそういう外部資金を獲得することは全員にとっての経済的利益に はなりますね。 ○望月座長 そういうことで、組織としての利益相反はあり得るかというのは、また新 しい問題かと思います。ほかにこの論点について御意見はございますか。大分時間が過 ぎてしまいましたので、議題3「今後の進め方について」に移りたいと思います。事務 局から、何か御提案はございますか。 ○総務課課長補佐 特に資料は用意していません。今後の進め方ですが、今いろいろな 御意見、あるいはこのような資料をという御提案もいただきましたので、必要な情報の 収集、場合によっては調査を行った上で、本ワーキンググループに議論の題材を提供し たいと思います。予定としては、年末までのルールの取りまとめに向けまして、今後数 回のワーキングを開催したいと考えています。そういうことでよろしくお願いしたいと 思います。 ○望月座長 どうもありがとうございました。ただ今の御説明、御提案に対して、御意 見はございますか。 ○神山委員 今後の予定で加えたいのですが、薬害オンブズパースン会議から出ている ような、パブリックコメントを求めるべきだということについては、どのようにお考え でしょうか。 ○総務課長 それはまた委員の皆さんとも御相談しながらということになりますが、こ の後そういうことも十分考慮に入れながら御議論いただければと考えています。ワーキ ンググループのレベルでの案でやるのか分科会でやるのか、いろいろなやり方があると 思いますが、いずれにしても審議会、ワーキンググループの皆さんと御相談しながら進 めていきたいと考えています。 ○望月座長 そのほかに何かありますか。大体質問等は出尽くしたと思います。それで は、本日の議事はこれにて終了します。なお、次回の日程及び場所等につきましては、 調整の上、改めて事務局を通じまして文書等で御連絡申し上げますので、どうぞよろし くお願いします。本日はどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)      - 1 -