07/06/26 第10回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 第10回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 1 日時  平成19年6月26日(火)10:00〜12:00 2 場所  経済産業省別館 1028号会議室(10階) (東京都千代田区霞ヶ関1-3-1)   3 出席者 ・参集者(50音順)   石井委員、小川委員、佐藤委員、志賀委員、高井委員、武田委員、時任委員、   中井委員、原委員、原田委員、東馬場委員、弘中委員、松為委員、松井委員、   松矢座長、村上委員、森委員、山岡委員、輪島委員 ・オブザーバー   職業能力開発局能力開発課 三富主任職業能力開発指導官   社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 矢田企画官   文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 水野専門官 ・事務局   岡崎高齢・障害者雇用対策部長、土屋障害者雇用対策課長、浜島調査官、   白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐 4 議題  (1)研究会報告のとりまとめに向けて  (2)その他 5 資料   資料1 「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」       報告書骨子(案) 6 議事 ○座長  ただ今から、第10回「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する 研究会」を開催したいと思います。本日の委員の出席状況についてですが、本日は全員 御出席でございます。  それでは、早速本日の議事に入ります。前回は報告書のとりまとめに向けた基本的な 考え方について議論をいただきました。本日は、研究会報告のとりまとめに向けてとい うことで、研究会報告書骨子(案)について議論したいと思います。  本日の資料として、事務局が研究会報告書骨子(案)を作成してくださっております ので、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは、事務局から骨子(案)につきまして御説明いたします。お手元の資料NO.1 でございます。前回、お示ししました基本的な考え方をベースに、報告書のイメージで 柱を立てております。  最初に、「I はじめに」と「IV おわりに」をつけた形にしております。2つ目とし て、これまでの研究会で参集者から御報告をいただいたもの、関係者からヒアリングを いただいたものを、簡単にまとめていく予定でございます。IIIにつきましては、前回の 研究会でお示しした基本的な考え方の部分でございます。今回の報告書骨子(案)につ きましては、IIIの部分を中心に御説明をいたしますが、前回お示しした基本的な考え方 に関して、いろいろ御意見をいただきましたので、そういった意見を盛り込んでござい ます。これまでの議論でいただいた意見につきましても盛り込んでございます。  では、1ページめくっていただきますと、まず、骨子(案)IIIの1の部分でございます。 総論の部分でございまして、ネットワークの意義・目的等についてでございます。  最初の、ネットワークの意義・目的につきまして、冒頭で、就労支援を行うために、 と書いてあったものですが、障害者に対する支援の視点で少し書きぶりを修正してござ います。それから、○の4つ目が、今回新たに追加したものでございまして、一般雇用 といっても多様な就業形態があるということと、それから、再チャレンジを希望する者、 加齢に伴いソフトランディングを希望する者など、就労支援に対するニーズが様々であ るということを加えてございます。そういったニーズをネットワークで把握して、適切 な支援に繋ぐことが必要ということを追加してございます。  それから、2つ目の、就労支援のネットワークを構築するためにというところで、ネ ットワークの機関はどんなレベルか、例えば、圏域であるとか、都道府県レベルである とか、どんなレベルでどんな機関が必要なのか、どんな役割を果たすべきなのか、それ らについてとりまとめているところでございますが、追加した部分は、2つ目の○の、 いろいろな就労ニーズをもつ障害者、例えば、デイケアを利用している精神の方、それ から、障害者専門機関ではない、例えば若年の支援機関を利用している発達障害の方、 それから、一般病院を利用していらっしゃる難病の方、こういった従来から障害者の支 援機関を利用していない方で、就労ニーズをもっている方がいらっしゃるということを 的確に捉えて、支援に繋げていくことが必要だということで、少し書き加えてございま す。それから、最後の○の部分でございますけれども、ここは、都道府県レベルにおい て、どういった機関がどういう役割を果たすのかというところで、具体的に圏域レベル の支援機関に対する支援を行う等、ということで、都道府県レベルの機関がその役割を 果たすということは、何を行うことなのかということを、少し例示として加えてござい ます。  3でございますが、地域において就労支援のネットワークを効果的に機能させるため にというところでは、ネットワークのいろいろな支援機関が連携して支援を行うために は、ソフト面からどんな機能であるとか、どんな役割が必要なのかというのをまとめた 部分でございます。主に追加しておりますのは、3つ目以下の○でございまして、3つ目 の○につきましては、障害者の方のライフステージごとに、ニーズに応じた支援が、ネ ットワークの中で一貫して支援が途切れないように、支援全体の調整をすることが重要 だということを加えてございます。次の○につきましては、そういうネットワークのな かで、適切な支援を繋ぐことができるように、一括して相談のできるワンストップ的な 機能が必要ということを追加してございます。次の○でございますが、自治体の役割と してどんな役割が必要なのかを加えた部分でございまして、就労支援機関の量や質には 地域間格差が大きいことから、都道府県や市町村においては、国の施策と相まって、創 意工夫による必要な施策を講ずることが必要としております。  次の4つ目の、連携による就労支援の共通理解の促進でございますが、各分野で横断 的に共通理解を進めることが必要であるといった部分でございますが、追加してござい ますのが、2つ目の○と3つ目でございます。2つ目の○につきましては、ネットワーク の中で各機関が役割を果たすためには、例えば、地域における障害福祉計画に盛り込ま れているような、いろいろな支援策について、地域のなかで果たすべき目標というもの を共有することが必要であるということを加えています。次の○ですけれども、そうい ったネットワークをうまく機能させるためには、例えば自立支援協議会等を活用して、 あるいは、ハローワークや就業・生活支援センターの会議等、いろいろな機関が召集す る会議がありますので、そういった会議を効果的に開催して、各機関同士の相互理解や 情報の共有化を図ることが必要であるということを加えてございます。  それから、第2の部分でございます。第2の部分は、各分野の支援機関の役割と今後の 在り方ということで、各就労支援機関が今後果たすべき役割等を整理したものでござい ます。  まず、1つ目のハローワークでございますが、ハローワークの役割であるとか、ハロ ーワークが求められることなどをまとめてございますが、3ページ目の2つ目の○でござ いまして、ハローワークにおいてチーム支援を行うためには、コーディネート力を高め ることが必要としてございます。では、どういったコーディネート力なのかについて、 少し詳しく書き加えてございまして、地域の各支援機関の機能に応じた役割の調整を行 い、一貫した効果的な支援となるためのコーディネート力を高めることが必要としてお ります。それから、ハローワークの最後の○の部分でございますが、ハローワークが果 たすマッチング機能の充実・強化を図るためには、例えば、トライアル雇用や委託訓練 等の雇用支援策の充実を図ることが重要であるとしております。  それから、2つ目の地域障害者職業センターでございますが、職業センターが今後果 たすべき役割ということで、専門性やノウハウを活かして、地域の就労支援を担う専門 的な人材の育成や、それから支援機関に対する助言・指導を行うとともに、地域の就労 支援機関との役割分担という観点から、専門性を活かして、就職等の困難性の高い障害 者に対する支援を自ら実施するべきであることとしておりますが、さらに、「また」以 下を追加してございます。例えば、地域センターが医療機関のサポートを受けながら行 う支援であるとか、地域の支援機関と連携して協同して行う支援であるとか、そういっ たいろいろな連携方法で支援を行っていくべきとしてまとめてございます。  それから、3つ目の、障害者就業・生活支援センターでございますが、就業・生活支 援センターの役割、現状につきまして、1つ目の○で少し現状を書き加えてございます。 次の○でございますけれども、就労移行支援事業が就労移行支援に取り組むようになっ ても、就業・生活支援センターの就労支援に関して果たす役割のウェイトが小さくなる わけではないということで、就労移行支援サービス中の支援が途切れるわけではなく、 就業・生活支援センターとしては一貫した支援である必要があるということを加えてご ざいます。最後の○でございますけれども、就業・生活支援センターにおいて一般雇用 への移行の促進であるとか、雇用継続、再チャレンジ等、様々なニーズに対応できるよ うに、就業・生活支援センターを運営する法人においては、例えば、就労移行支援事業 の実施であるとか、委託訓練の受託、それから、1号ジョブコーチの配置などの就労支 援に関するいろいろな取組を進めることが重要であるとしております。  4つ目の雇用支援センターでございますが、1つ目の○に、雇用支援センターのこれま で果たしてきた役割であるとか、現状を少し書いてございます。  5つ目の就労移行支援事業者でございますが、1つ目の○に、就労移行支援事業者が現 状で求められていることをまとめてございます。就労移行支援事業者というのは、作業 訓練や実習を通じて一般雇用に向けたいろいろな知識の習得、能力の向上を計画的に行 い、企業に送り出す役割が求められているということでまとめております。そのページ の一番下の3つ目の○でございますけれども、就労移行支援に取り組む事業者が就職に 結びつく良質なサービスを提供することが必要であるということを具体的に、追加して ございます。就労移行支援事業においても、例えば、サービス管理責任者や就労支援員 の資質の向上であるとか、企業OBの方の企業マインドの活用、支援内容や支援実績に関 して自らの情報を公開していくような取組、さらには、就労移行支援事業者が行う就労 支援に対する助言・援助機能の整備などを進めること、就労移行支援事業そのものにお いて、いろいろな取組を行う必要があるということをまとめてございます。それから、 こういった就労移行支援事業を行う法人においては、例えば、1号ジョブコーチの配置 等により訓練から定着支援に至る複合的な取組というものを積極的に進めることが重要 であるということでまとめております。それから、最後の○でございますが、ここは職 場定着についての役割分担という観点から、6カ月以上行うこととされている就労移行 支援事業者の職場定着支援というのは、役割分担の観点から就業・生活支援センターに 引き継ぐことも重要ではないかということにしております。  それから、6の特別支援学校でございますけれども、特別支援学校の役割として、障 害者本人にとって最初のガイダンス機関であるということと、卒業後の成人期における 職業生活の充実に向けては、その基礎となる職業教育が大変重要だということで、進路 指導担当の教員の専門性の向上や進路指導体制を充実することが必要だということにし ておりますが、そのために、以下で具体的に書き加えてございます。進路担当教員の就 労支援に関する知識やノウハウの機会の提供であるとか、就労支援を担当する専任教員 の配置、それから、経験豊富な企業の人材を活用するなどの、いろいろな取組を進める 必要があるということを加えてございます。特別支援学校の最後の○でございますが、 普通校や一般校においても発達障害の方がそういったところに多いということも踏まえ て、特別支援学校のノウハウを活用して、職業教育や進路指導の充実を図ることが必要 であるということを加えてございます。  それから、第3の人材育成の部分でございます。人材育成の部分は、1で就労支援を担 う人材の育成・確保、2つ目にジョブコーチということでまとめてございます。  最初の、就労支援を担う人材の育成・確保でございますが、5ページ目の一番下の○ というところで、就労支援に必要な人材のレベルは概ね次のように整理できるのではな いかということで、求められる人材の階層を重層的に少しまとめて、書き加えてござい ます。6ページを見ていただきますと、まず、初級レベルということで、中級レベルや 上級レベルを想定しておりますが、上級者の指示の下、また、上級者の策定する支援計 画に基づいて、基本的な就労支援業務を行う。中級レベルとしては、アセスメントや支 援計画の策定、関係機関との調整を行うレベル。上級レベルということでは、専門知識 や実践経験に基づいて中級レベルや初級レベルの担当者を指導するとともに、地域全体 の就労支援業務をマネジメントできる人材ということを想定してございます。それから、 次の○も加えた部分でございますが、こうした質の高い人材を確保するには、キャリア 形成に配慮した育成が必要であり、例えば、将来的には専門職として社会に認知される ような資格制度や認証制度、そういった制度を検討することが必要であるとしておりま す。それから、こうした人材を育成するためには、全国的なネットワークと豊富なノウ ハウを有する高齢・障害者雇用支援機構が率先して専門的な人材の育成に取り組むべき であるということを加えてございます。  それから、2つ目のジョブコーチでございますが、ジョブコーチにつきましては、最 初の○で、ジョブコーチの現状や、求められている役割というものを少し整理してまと めてございます。ジョブコーチの5つ目の○でございますが、特に1号ジョブコーチと 配置型ジョブコーチの役割分担という視点から少し加えてございまして、1号ジョブコ ーチを広く育成していく中で、配置型ジョブコーチについては、ペア支援を通じた1号 ジョブコーチへの支援のスキルアップや、就職等の困難性の高い障害者に対する専門的 な支援というものを今後担っていくべきではないかということを加えてございます。そ れから、最後の○の部分については、こうした実践経験の豊富な高いスキルを要するジ ョブコーチを今後配置・活用するためには、職場適用援助者助成金制度の在り方と絡め て検討することが必要であるということを加えてございます。  最後の柱の第4でございますが、連携による就労支援を効果的に実施するためのツー ルの整備ということで、今回は少し項目毎に分けて具体的に記述してございます。1つ 目の社会資源情報の提供でございますが、こうした地域の就労支援の情報であるとか、 社会資源の情報というものをハローワークや自治体が連携して、広く地域の住民等に提 供する仕組みが必要であるということを加えてございます。それから、2つ目の、支援 に当たっての情報の共有という観点で、こうした各機関が保有する情報については、ネ ットワークで共有化を図ることが不可欠であるということで、個人情報の観点も加えな がら、調査研究を行って、その成果を踏まえて、今後はガイドラインを具体的に示すこ とも必要であるということを加えてございます。情報共有の在り方については、支援者 同士で共有・伝達する方法、それから、障害者本人が自身の支援記録として保有する方 法の二とおりを想定しまして、それぞれについて、今後具体的に研究を深めていくこと が重要であるとしております。最後の支援ツールの整備でございますが、支援ツールに つきましては、雇用、福祉、教育の各分野で、さらには企業で共有できるように、今後 開発・整備することが重要であるというふうにしておりましたが、例えば、チェックリ ストについては、これまで福祉だけで利用してきておりましたが、企業や教育等の現場 でも使えるようなものを開発し、標準化していくことが必要であるとしています。それ から、ツールの整備・開発に当たっては、本来の目的に反して、ツールのみが一人歩き することがないように、目的や使い方、活用場面、それから、ツールを使う人材のスキ ルについて、今後十分検討していくことが重要であるというふうにしております。最後 に、個別の支援計画についても、例えば、ハローワークが立てる支援計画であるとか、 福祉サイドの個別支援計画、教育サイドの個別の教育支援計画等がございますけれども、 各分野のこういった計画の作成状況の実態を踏まえながら、今後、支援計画に盛り込む 事項の標準化も含めて、調査研究が必要であるというふうにしております。  骨子(案)については、以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。ただ今御説明をいただきました報告書骨子(案)について、 これから御意見をいただきたいと思います。これに基づきまして次回、報告書(案)が 出されてきます。4つの項目の柱建てで骨子ができております。第1から第4まで、大体 25分程度ずつ時間をとって進めたいと思います。基本的には、ここに出てきます骨子の 内容の確認とか、あるいは補強すべきところとか、そういったところを各委員から出し ていただければ有り難いと思います。  それでは、第1の関係機関の役割の明確化とネットワークの構築から入りたいと思い ます。いかがでしょうか。 ○中井委員  中井でございます。よろしくお願いします。2点お話させていただきたいと思います。  1点目は、前回の研究会で、輪島委員がおっしゃったことに関連するのですが、企業 の位置づけといいますか、企業というのをこの就労支援の中で、どのように考えるのか という話でございます。ちょっと脱線しますけれども、先日、山岡委員の主宰されてお られます特別支援教育に関する研修会というのが大阪で開催されまして、勉強させてい ただきました。学校における、障害のある生徒さん、学生さんに対して、どのように支 援するのかというお話で、具体的には、特別支援教育のキーパーソンは特別支援教育コ ーディネーターであるというお話だったと理解いたしました。このコーディネーターは 学校の先生から選ばれます。そして、その資質は何といっても、普通の授業の上手な先 生から選ぶのだということでした。その先生に障害に関する専門性を付与しようとする 政策が、教育行政で備えているということでございます。実際の困難とディスアビリテ ィーというようなものは、学校の中にあるのですから、学校のプロに任せようというの が、しごく自然な話だと、私は理解いたしました。  そういう学校現場と同様、企業での雇用におけるお話も、障害のある従業員への支援 というのは、それぞれの企業で上手に労務管理ができて、教育・指導ができる企業の管 理職というのが、一番自然なのではないでしょうか。そして、その管理職に、その障害 に関する専門性を付与しようというのが自然ではないかと思うのですが、現在、レポー トの案でいただいているのでは、少し違うのかなという気がします。企業外の方が中心 になっているのかなというニュアンスで理解いたしましたので、その辺がどうなのかな と思っております。  それで、実際には、ナチュラルサポート論というのがございまして、企業の中で、そ ういうサポートの力をつけていこうということなのですが、障害のある従業員の方とい うのは、状態は常に変化しますし、職場の人間関係も変化するわけです。職場の環境は 常に変化します。ですから、やはり一時的なジョブコーチではなくて、恒常的なそうい うサポートする力を企業につける支援ということでないと、障害者雇用に関する問題と いうのは、解決しないのではないでしようか。  それで、例えば、雇用率未達成の企業に対して、今、行政指導を強められておられま すが、1.52以下とか、10人以上未達とかいうところについては、安全管理者、衛生管理 者でないですけれども、そういう障害者雇用に関する専門性をもった人を配置するよう なことを義務づける。56人には1人ぐらい、そういう専門性を付与するというようなこ とが必要なのではないかと思っております。  昨日のNHKのテレビでも、うつ病対策というのが10時から放送されましたが、結局は 企業のなかで、どのようにその人を支援するのか、支えていくのかというところが解決 しないと、本質的な解決には繋がらないのかなと思っております。  そういうことで、具体的な骨子(案)で頂戴しているネットワークの意義・目的の上 から、最初の2行目のところを、雇用、福祉、教育の各分野の連携が不可欠であると、雇 用を入れていただいているのですが、できましたら、その前に、「雇用の場における就 労支援力」といいますか、「サポート力の充実を前提に」ぐらいの言葉を入れていただ ければと思っております。  2点目は、同じページの○の上から3つ目で、雇用から福祉への流れを確立するという、 前回、松為先生にちょっとおしかりを受けたところなのですが、やはりどうしてもちょ っとこだわっておりまして、ここの部分と、それから、4ページ目の上から9行目ぐらい でしょうか、離職を予防する、要は定着支援をするという、この2つの関係というのが どうなるのかなというのがあります。ですから、逆のベクトルに働いているのではない かなという気がいたしますので、ちょっとお話させていただきたいと思います。  具体的には、現在、この就労支援策というのを強化して、より多くの重い方、あるい は質的に高い就労支援を必要とする障害者の人を、一般就労のところへ送り込もうとい うのは、それは非常に正しい政策だと思うのですが、そういうベクトルと、この1ペー ジ目の3のところの、雇用から福祉への流れを確立するというのが逆行するのではない かという気がいたします。  それで、実際には、働いている障害者の人は、やはり自己決定で、自分から望んで福 祉の世界へ戻りたいという人は、私が少なくともいろいろな企業で聞いてみた限りでは、 おられないと思うのです。みんな、やっぱり遅刻するとか、あるいは、仕事でミスした ときに、会社に来られなくなりますよと言ったら、それだけは困る、是非とも働き続け たいというふうに思っておられるということなので、そういう障害者の方のお気持ちを 考えるとともに、やはり、基本的には労働者としての保護を受けるべきだと思います。 やはり、わが国の解雇法制というのは労働者保護になっていますから、いわゆる限界的 な事例については、そういう就労の場から離脱されるというのはあり得るのでしょうけ れども、あんまり安易に書かれると、そういう法律的な考え方と矛盾するのではないか、 あるいは、障害者の方は、労働者としての権利がないのかなというふうにも思いますの で、これにつきましては、具体的には、例えば、「必要な就労継続支援を受けた上でも 就労継続が困難な場合には、福祉の受け皿を用意する。」というような表現にしていた だければどうかなと、思っております。以上、2点でございます。 ○座長  全体としては、このネットワークにおける企業の位置づけというようなところですね。 また、その企業における管理職等の専門性、そういったものをネットワークの中に位置 づけるということと、それから、ネットワークの意義のところで、やはりその当事者の 立場に立った、そういう関係機関全体の流れというけれども、基本的には、そこで労働 者として働くというところの、当事者のあり方というか、気持ちというようなことを、 しっかり位置づけたような表現法をというような御意見ということで、よろしいでしょ うか。 ○中井委員  はい。 ○座長  ありがとうございました。それでは、松井委員、どうぞ。 ○松井委員  2回ぐらい出ておりませんので、あるいは重複するか分かりませんが、総論部分とい うか、最初の部分で是非触れていただきたいのは、ネットワークをする場合、やはり同 じような力をもって協力し合うというか、それが必要です。だから、特定のところが非 常に能力があっても、全体として支えるという意味では、それぞれのところが、やっぱ り力をつけるということが必要だと思うのです。そういう意味で、前回、佐藤委員から も出ていましたけれども、一番弱いところは就労移行支援の部分というか、今朝の新聞 にも出ていましたけれども、やはり新たに自立支援法ができて、結局、単価が安くなっ たために、なかなか人材が定着しない、ということがあります。だから、そこのレベル をきちんとした仕事をしていただくためにやはり然るべき人材が確保されて、定着して 仕事をしていけるというふうな条件整備をしないと、なかなか全体のチームとしてやっ ていけない。だから、それはここには書けないわけでしょうけれども、そこも問題意識 としては、触れる必要があるのではないかと思っております。  それから、これも総論ですけれども、ネットワークを組織する機関だけですべてを支 えるわけでなくて、やはり広く国民一般、あるいは市民一般の支援があってはじめて、 それぞれの機関がそれぞれの役割を果たし得るということだと思います。そういう意味 では、もちろん、様々な啓発事業は展開されてはいますけれども、より一人ひとりにそ ういう障害をもつ方々の能力なり、貢献なり、いわゆる積極的な意義をきちんと理解し ていただくことが必要です。だから、福祉の立場から、何か上からサポートするという ことでなくて、当然、もっている力を十分発揮していただけるような、そういう理解を 推進するということが、併せて触れられて然るべきではないかと思います。  それから、もう1つは、これもなかなか書くのは難しいか分かりませんが、十分機能 しているかどうかというモニタリングというか、そこは、どこがモニタリングをするの か。それは、おそらくチームワークというか、あるいは、会議のなかで、お互いにそこ は確認し合ってということなのかも分かりませんけれども、でも、やはりそういうモニ タリングをきちんとすることで、よりよいサービスに繋がっていくわけでしょうから、 そこも触れるということにしていただければと思います。 ○座長  モニタリングの点は、新しい提案だったように思うので、どこかにきちんと位置づけ るということと、やっぱり総論部分で、少し、必ず入れなければならない点ということ で、御指摘だったと思います。  他にどうでしょうか。ページでいくと、1ページと2ページの部分に相当する、総論的 な位置づけのところなのですが。原田委員、どうぞ。 ○原田委員  それでは、2ページの3番と4番の項目についてになりますが、3番の地域において就労 支援のネットワークを効果的に機能させるために、これに関連して、まず述べさせてい ただきます。  特に、4つ目の○の、本人の希望やニーズに応じた支援に繋ぐことができるように、 という部分に関係しますが、これは、私の場合には、学齢期の子どもがいる立場からの 発想になるとは思うのですが、何かこうした現状を解決していくために、保護者が動く ときに、やはりワンストップ的な相談窓口というのは、とても魅力的な部分でありまし て、今、学齢期の子どもをもつ親御さんたちにとってみれば、それが学校であったり、 あるいは、残念ながら特別支援学校というのは点在しているというか、必ずしも、地域 に根ざした学校になっていない場合もありますから、市町村の、いってみれば、市役所 が一番身近な窓口であったりするわけでして、そういうところについて、私もちょっと 記憶が曖昧ですけれども、自民党辺りの特別支援教育委員会のなかでも、例えば、子ど も課という言葉が使われていたような記憶があるのですが、そういう何か具体的なもの が、ちょっと私もお休みをしたときがあったので、ここで話題になった部分をすべて把 握していない部分もあるのですが、もうちょっと具体的なイメージがあるのであれば、 この中に盛り込んでいただけるといいなと思いました。  あとは、4つ目ですけれども、4つ目の連携による就労支援のための共通理解の促進に 関連して、私も2回ほどお話をさせていただいたかと思うのですが、下から2つ目の○の ところに、保護者等に対して積極的に働きかけ、共通理解をという部分があります。 これは、ここにいらっしゃる皆さんもお感じになる場面も多々あるかとは思うのですが、 新しい制度ができたときに、実は、その制度を活用するときに、保護者である当事者と して私自身が言うわけですけれども、保護者が一番壁になってしまっている場面もある わけでして、その意味では、かつての知的障害養護学校のPTAの研修会でも再三支援 者としての保護者になるためには、私たちは何をしなければならないのかという課題を、 自分自身、お互いに突きつけ合って、研鑽しているわけです。だから、この部分という のは、少し遠慮された文言になっているかなという気もするので、ちょっと厳しい表現 でもいいぐらいかもしれません。ですから、それぐらい私たち保護者も、今、変わって いかなければならないと自覚しているつもりでいますので、少し意見として述べさせて いただきました。以上です。 ○座長  ありがとうございました。一方では、ちょっとキーワードが見えないのですが、この ワンストップの相談ですね。学齢期であれば、特別支援学校がそういう役割を果たすべ きだけれども、一方、それを補完するというか、十分相談を受けられるそういう機能を、 本当は市町村障害者計画レベルで位置づけていくというような、そんなようなことも、 この中に盛り込んでいく必要があるのではないかというふうにお聞きしました。それと、 やっぱり当事者とか、当事者団体、支援団体の協力というようなことは、きちっと入れ ていくべきかなとお聞きしました。どうもありがとうございます。  他にどうでしょうか。原委員、どうぞ。 ○原委員  今のことに関連してなんですが、市区町村の自立支援協議会と広域の就労支援のネッ トワークを明確に繋いでいくような文言を是非、入れていただければと思います。今の 原田委員の意見に私も賛成でして、特に、特別支援学校等に在籍する場合に、市区町村 から離れて通うというような状況が出てきますので、学校在学中から、市区町村の福祉 計画の中に位置づけられて、成人期になったときにどういう就労支援、生活支援が見込 まれるのか。それがきちっと入っていくことが、とても重要だと思っています。あわせ て、先ほど中井委員の方から、特別支援教育コーディネーターの話が出ましたけれども、 特別支援学校から自立支援協議会等へ学齢期の情報提供がしっかりできるような、学校 と市区町村が繋がるような仕組みも是非検討してもらえたらと思います。それが成人期 になったときに、就職したい、就労したい人がどこにいるのか、明確に掴めていけるき っかけになるのではないかとも思うものですから。 ○座長  ありがとうございました。特別支援学校は、やはり広域なので、基本的には市町村の 地域に住んでいて通ったり、寄宿舎に入っている方もいらっしゃいますけれども、特別 支援学校で、今後そういう複籍とか、市町村にも籍を置くという動きもおそらく強まっ ていくと思いますので、今、原委員のおっしゃるような点、また、原田委員のおっしゃ る点については、内容的にきちんと位置づけていくということになるかと思います。  それでは、高井委員と、武田委員。高井委員から先にお願いします。 ○高井委員  高井です。さっき中井委員から、雇用から福祉の流れ、それから、もう一方では、離 職防止についてというお話の中で、逆行しているというようなお話があったと思います が、これは、それぞれの立場にとって、とても両方が大切なことであると考えています。 それと、こういう公的なまとめのなかで、雇用から福祉への流れということを文章化さ れているというものというのは、あんまりないのですね。1回、企業が雇用をしてしま ったら、雇用側の責任としてずうっと支えなければならないという状況があったと思う のですけれども、こういった文章を総論の中で書いていただくことによって、本人が精 いっぱい企業の中にいて、一労働者として働く中で、本人の力がやはりソフトランディ ングした方がいい場合も結構あると思うのですね。そのことを、うまく地域のネットワ ークのなかで、双方向の移動ということを確立することは、とても重要だと思いますの で、離職防止のための定着支援はとても重要ですし、また、雇用から福祉側に移行する というような支援の在り方もとても重要だと思いますので、決して逆行しているとは思 わないので、このまま残していただきたいと思っております。 ○座長  では、武田委員、どうぞ。 ○武田委員  先ほどの原田委員、原委員と同じことなのですけれども、精神障害者の場合も、これ までが都道府県と市町村がなかなか結びつかなかったことがありまして、昨年度、ネッ トワークを構築のところで、市町村レベルで障害福祉計画策定のところに、保健所、病 院のワーカーが入って、そこに特別支援学校も入ってという、そういう市町村レベルで、 いろいろな機関の関係者が集まって、就労の問題を話すというのが、私にとってはとて も新鮮でした。また、そのことが本当に市町村レベルでのいろんな協議に繋がっていく ということを体験してきましたので、やはりそこの市町村とか、自立支援協議会、そこ ら辺りのところももう少し強調していただければと思います。 ○座長  ありがとうございます。もうお一人ぐらい可能です。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  地方自治体の話が障害福祉計画絡みで出てまいりましたけれども、それとややダブる ところもあると思うのですけれども、地方自治体の就労支援事業、神奈川県の就労支援 センター、それから、東京都の市区町村就労支援事業、それから、静岡県も県単独の事 業をもっておりますし、政令指定都市では福岡市、それから仙台市が、それぞれ非常に 活発な就労支援事業をもっておりますので、このネットワークの大きな2の、就労支援 のネットワークの、就労支援機関の中で、文面的にどこまで正確に表せるか難しいかも しれませんが、地方自治体の就労支援事業との連携ということも押さえていただきたい というふうに思います。 ○座長  私も同感です。  それでは、また後で、時間がありましたら、全体を見回す中で、また1に戻っていた だくということがあるかと思いますが、それでは、次の2の、地域における各分野の支 援機関の役割と今後の在り方に移りたいと思います。3ページから5ページにわたりま す。どうぞ、御意見をお願いいたします。  では、松井委員、お願いします。 ○松井委員  最初のハローワークと職業センターのことで発言させていただきたいのですけれども、 ハローワークのところで、3ページの冒頭で指導というふうに入っています。行政から いえば指導ということになるでしょうけれども、実際には、用率未達成の場合、どうい うところに問題があって、問題を解決するためにはどういう支援が必要であるかという ことで、もちろん、雇用率制度との関連では、指導という含みはあると思いますけれど も、要は達成できるようにノウハウを提供していくというか、そういうニュアンスを少 し出していただいた方がいいのではないかと思います。それと同じことは、下から2つ 目のところで、質の高い職業紹介や企業指導というふうに、ここにも指導という言葉が 出てまいりますけれども、同じことを申し上げたいと思います。  それから、職業センターについては、新しい役割ということで、地域において就労支 援をする専門家の人材育成、それから、地域の支援機関に対する助言・援助ということ は、極めて大事なことだと思います。地域センターにおいては、他では対応できない困 難性の高い障害者に対して対応するということも当然だと思いますが、まず、地域セン ターをどういうイメージで捉えるかによりますけれども、どこにより重点をおいてやる のかです。すべてのことをやれということだと思いますけれども、しかし、例えば、島 根県の地域センターを考えれば、そこでどこまでのことが今の体制の中で可能なのかと いうことです。だから、今後体制をどう強化していくのかということが前提になると思 いますけれども、そことのセットで、いわゆるどこまでのことを期待するか。あるいは、 もし、現体制でやるとすれば、プライオリティーはどこにあるのかということが検討さ れて然るべきではないかと思います。  それから、地域において専門的な人材の育成というふうになっていますけれども、別 のところで、高障機構は、いわゆる人材養成という表現が出ておりますが、いわゆる全 国レベルの人材養成の部分と、地域センターで担う部分はどう違うのか。そこも明確に するということが必要です。  それから、その最後のところで、職業カウンセラーの資質の一層の向上というふうに なっていますけれども、ご承知のように、現在、職業カウンセラーの多くのバックグラ ンドというのは、福祉ないし教育、あるいは心理というような、いわゆるヒューマンサ ービスの分野の専門家を採っていると思いますけれども、企業への対応等を考えれば、 あるいは、特にそういう経営面でのサポートも考えれば、もっとその専門領域というの は幅広くていいのではないかと思います。だから、かなり幅広い分野から人材を採用し て、そして、1年間の研修をしているわけですから、そこで十分、他分野の方でも育て て、専門家として働けるような、そういうことも併せて検討する必要があるのではない かと思います。  それから、ここには全く触れられてはいませんけれども、総合センターは研究機能を もっているわけですから、その研究機能をいかに活かすかということです。もちろん、 実践的な研究というか、あるいは、様々な形で研究成果の普及をしていますけれども、 さらに強調すれば、その成果を十分活かせるような形で、研修なり、あるいはノウハウ について、他の支援機関に対して、そのノウハウを提供していくというようなことも触 れられていいのではないか。  勝手なことを申し上げましたが、以上です。 ○座長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。ここは、それぞれの機関の在り方 について、かなり議論してきたところでもございますけれども、ブラッシュアップをし ていくということになりますが、どうでしょうか。学校教育でも、就学指導委員会とい う、指導という言葉を考えても、指導というのは強いものですから、就学相談というふ うに変えているところも出てきているというようなこともあります。日本語の難しさだ と思います。ノウハウの提供とか、そういう噛み砕くやり方もあるだろうというような お話しでございます。  あと、地域障害者職業センターについては、前の議論では、ブロック的なものも考え ていいのではないかということもありました。人材養成とか、定着といいますか、その 地域の支援力を高めていくという意味での蓄積というような、そういうような意見も前 に出ておりました。  小川委員、どうぞ。 ○小川委員  ちょっと御質問なのですけれども、地域障害者職業センターのところの、大きな○の 2つ目の1、2のところで、人材の育成と、それから援助、助言です。この行も、「新 たに実施し」ということになっていますけれども、新たにというのは、これまで、これ らの業務というのは、位置づけとしてはなかったところに、新たにこれを位置づけると いうような考え方なのでしょうか。 ○座長  どうぞ、お願いします。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用対策課長の土屋でございます。今、御質問のあった点ですが、地域センタ ーにおきましては、小川委員もお気づきのように、例えば、就労支援基礎講座というよ うな形で、地域の就労支援を具体的にやっている方々向けのメニューがないわけではな いという状況で、一定程度、そういう取組をやっております。ですが、この地域センタ ーの役割というのは、障害者雇用促進法に法律上規定されておりまして、その規定では、 障害者に対する支援、それから、事業主に対する支援、それと、ジョブコーチの養成と いう3点が掲げられております。その他、これらに附帯する業務を行うというような形 になっておりますので、現在、先ほど申し上げたような、既に取り組んでいるメニュー というのは、いわば、今申し上げたような業務の附帯業務として行われているという面 がありますので、そういった意味では、地域センターの本格的な業務として位置づけら れていないという点がございます。そういった点を考慮しますと、ここに記載しており ますように、専門的な人材の育成とか、あるいは、地域の支援機関に対する助言、援助 とか、こういったものに本格的に取り組んでいくためには、一定の地域センターの位置 づけの見直しが必要でございまして、そのことを、ここでは、新たな業務を実施すると いうような形で表現させていただいているところでございます。 ○小川委員  分かりました。どうもありがとうございました。 ○座長  他にどうでしょうか。武田委員、どうぞ。 ○武田委員  新たにそこに盛り込んでいただけるということであれば、ここの総論には書くところ ではないとは思うのですけれども、実際、サービス管理責任者の養成研修であったりと か、ジョブコーチの研修をしているときに、そこの参加者に、ハローワークに行ったこ とがありますか、地域障害者職業センターに行ったことがありますかと、手を挙げても らったときに、本当に恥ずかしい話ですが、驚くことに、3分の1も手が挙がらないとい うことが、福祉サービスの職員には見られるということがありますので、こういった教 育等をやっていただけるときには、どういう書き方がいいか分からないのですが、座学 だけではなくて、そういったことも含めて、教育の中に入れていただけるようにという ことを、ちょっと要望みたいなことになってしまいましたが、お願いしたいと思います。 ○座長  分かりました。他にどうでしょうか。佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  障害者就業・生活支援センターの役割でございますが、これはこのとおりだと思いま すけれども、この表現だけでは、どうも就労移行支援事業者との役割が今1つよく見え ない部分があります。この表現でいきますと、5の一番後のところに、就職後6カ月以上 経った人については、継続の支援が必要な場合には、就業・生活支援センターが担うと いうようなことが書いてございますので、そういうことからいきますと、障害者就業・ 生活支援センターと就労支援移行事業者との違いは、就業・生活支援センターの方は、 長期的、継続的なアフターケアやフォローアップができる機能に重点を置いていて、そ の辺りで棲み分けをすることになるのかなと受け取ったのですが、理解そのものが間違 っているかもしれません。そういう意味では、何れにしても、3と5の事業の違いという ものが、これを読んだ限りでは、今1つ私にははっきりしなかったものですから、どの 辺で機能分担を行うのか、もう少し何か明確にできないかなと思います。これは、むし ろ当事者委員や関係の方の御意見をお聞きできたらと思います。 ○座長  では、事務局の方からお願いできますか。就業・生活支援センターにおける移行支援 事業の実施のところと、5の就労移行支援事業者との位置づけですね。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあった点ですが、就業・生活支援センターにつきましては、障害者雇用 促進法上は、就業とこれに伴う日常的な生活の面で相談・支援が必要な方々への支援を していただくということで、そういう機能をもっていると位置づけられております。一 方、就労移行支援事業者は、自立支援法の中で、期限をもっていて、原則2年の間に一 般雇用への移行を目指す必要な知識の習得や能力の向上といったものを、一種の訓練の 形で実施していただくという機能を、それぞれ位置づけられていると考えております。 もうちょっと具体的に申し上げますと、就業・生活支援センターにつきましては、先ほ ど佐藤委員がおっしゃったように、要するに、期間を特に決める形ではなくて、全体に わたって、就職に向けての準備段階の支援、それから、就職活動をするときの支援、そ の後の職場定着に当たっての支援といったことを、一貫してやっていくという機能をも っているのに対しまして、就労移行支援事業者の方は、先ほど申し上げましたように、 就職準備段階での一種の訓練を有期限で受け持つという形で、機能が違うということで はないかと思います。そこの、訓練と就業・生活支援センターとの関係でいえば、就業・ 生活支援センターは地域にあるそういう移行支援事業者とかに訓練の場を斡旋するとか、 そういう機能をもっているという形ではないかと思っています。 ○佐藤委員  要するに、5の方は期間が限られていて、3の方はそういう制約がないというような理 解になるのでしょうか。 ○座長  おそらくここのところは、今、現実的に、圏域全部に就業・生活支援センターがない のですよね。そういうことを想定すれば、地域障害者職業センターとの関係も、今いっ た移行支援事業者との関係も、割合すっきりとなるのですけれども、今は、割と力のあ る社会福祉法人が授産等をやっていて、そこで就業・生活支援センターを委嘱されてい るというような形です。おそらく、そこの交通整理が全体の議論のなかで必要になって、 かなりずれていると思うのですね。ですから、そういう意味では、現状を少し反映して、 3と5というような書き方が必要だったのかなと推測をしているのです。  はい、武田委員。 ○武田委員  今の議論なのですが、私はやっぱりこういうふうに書いていただいたことが整理に繋 がるのではないかと考えております。私が勤務していた法人も、元々授産があって、就 業・生活支援センターを運営しているのですけれども、就労移行とセットでやることの 良さというのは、アセスメント機関として使えることと、これまで通所授産ではできな かったことが、就労移行ですと、就業・生活支援センターですぐハローワークと連携を とって雇用に繋げる方はいいのですが、すぐそのまま見えないときに、職場が実習を受 け入れてくれるところがあれば、そこを捜していけば、就労移行の実習型としても使っ ていけるということもありまして、もちろん、就業・生活支援センターは広域をみてい かなければいけないという性質の方が大きいですから、一法人の利用者だけということ ではなくて、みていかなければいけないという側面が大きいのですけれども、むしろ就 業・生活支援センターのアセスメント機関という位置づけという点では、この就労移行 支援というのが大きな役割を果たすと思っています。下の5番目の就労移行支援事業者 というのは、それはそれで、きちんとそこの機能強化という点であげていただければと 考えています。 ○座長  ありがとうございます。他にどうでしょうか。  志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  これまでも何度か出てきたところで、意見を言えずにきた部分なのですが、職業セン ターの部分の就職等の困難性が高い発達障害者、精神障害者、難病者等のところについ てです。一番初めに中井委員からありましたように、障害者の就労支援といえば、やは り企業で雇用している企業の雇用担当者の役割というのが、時間的にも一番長い歴史が あり、非常に重要だと思います。その雇用中の生活を支える就業・生活支援センターを 中心とした日常生活を支える部分は、非常に長い部分です。逆に、求職や職業前訓練等 を行う機関というのは、就労移行支援事業も含めて、最長2年ぐらいが公の目安という ことですから、そこの範囲で、ある程度の就労の可能性がありそうだと認められる人、 あるいは、相談であったりとか、訓練の場であったり、約束とおり通ってこられる人と か、ある程度の準備性のある方を対象として、比較的短期間の間に就労に結びつけてい く。逆に、先ほどちょっと話が出ましたが、雇用から離職の部分についても、既に雇用 されている方で、何らかの問題が解決できるのであれば、再就職というのは、比較的短 期間の間ということでとなると、やはり就職が困難な方というのは、その短いスパンの 求職活動は、なかなか訓練期間に合わない方という印象だと思いますので、イメージと しては、障害種別というよりも、何となく、医療であったりとか、日常生活の生活習慣 を支える環境の不備であったりとか、そういったものが非常に大きな理由だと思われま す。これまで制度の隙間になっていた、今は皆そこは一緒になりましたが、精神障害の 方、あるいは、まだそういった制度に入っていなかった障害の方、難病等その他障害に 入っている人たちというイメージでここに書かれておりますけれども、ちょっと趣旨が 違うのかなという気がします。そうすると、職業センターの役割として、そういった医 療に非常近い部分、日常生活に近い部分をこれから訓練の内容としてやるのかなという と、果たしてこれでいいのかというのが、ちょっと疑問が残ります。以上です。 ○座長  ありがとうございます。この研究会は雇用・就業にかなり特化していて、例えば、移 行支援事業、継続支援事業、それから、その次の自立訓練というような、そういう関係 性を議論はしないわけですね。でも、実際には、福祉で移行支援事業をやっていて、ま た、継続支援事業もやっていて、自立支援事業も組み込んでいるというような、そうい う法人は出てくるわけですから、ここでいう困難さということの整理からいえば、今、 志賀委員のおっしゃったような理解の仕方を一応ベースにおいて考えていくというか、 ですから、そういう意味では、だんだん力をつけていくというように、事業体系は一応 設計されているわけですね。ですから、そのことは一応踏まえていく。そして、職業セ ンターの役割の雇用の困難というのは、そういう意味で、新しい課題で出てきているわ けですね。それを、やはりその専門性が高いわけですから、そこを担っていくという関 係ではないかというふうには理解しますので、今、志賀委員のおっしゃった点は、非常 に大切だと思います。では、まだ時間がありますので、あと1人か2人は。  山岡委員、どうぞ。 ○山岡委員  山岡でございます。特別支援学校のところですけれども、原先生に今御意見をお聞き した方がいいと思うのですが、下から2つ目の○ですけれども、卒業後も継続して必要 な支援を受けられるよう個別の教育支援計画の策定を核として、とあります。おそらく 今、特別支援学校の方は、卒業後となると、個別の移行計画を策定されているというこ とと、多分、この「核として」というのがちょっと違和感があるのだろうと思うのです が、個別の教育支援計画をつくるときは、地域の教育や福祉、労働との連携をしながら とうたわれておりまして、これをつくることが核ではなくて、おそらくここを通じて関 係機関と連携をするということをいわれようとしていると思うので、この「核として」 がちょっと違和感があるのと、それから、個別の移行計画のところに触れておくのがい いのかなとところです。  それから、もう1つ、最後のところですけれども、高校に在籍するというところで発 達障害のことに触れていただいて、ありがとうございます。ここは、何か、主語といい ますか、表現として、誰が活用するのか、よく分からないというところがあります。こ れは、文科省さんの管轄なので御遠慮があるのかも知れませんが、特別支援学校は文科 省的にいうと、地域のセンター的機能を発揮していくことというふうにいわれておりま す。ここは、多分、主に、何となく小中学校を相手として考えているところだと思うの ですが、高校においても、これは一般高校に対してですから、地域において、地域のセ ンター的機能を発揮することが必要とか、重要と、これは主語が特別支援学校のことに なりますので、はっきりするのかなと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございます。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  就業・生活支援センターと移行支援事業の性格の整理ということで佐藤委員から御発 言がありましたけれども、私はやはり就業・生活支援センターの一番の特徴で、今回こ こに明記していただいた、相談から就職準備、職場定着に至るまで個々の障害者に必要 な支援をコーディネートする役割が求められるとあります。ここのところが、就労移行 支援事業とかなり役割が違うところで、さらに、一番下のところで、(1)から(3)まで、こ ういう機能を就業・生活支援センターそのものがもつことによって、こういう機能を活 用しながら、コーディネート、それから、支援を進めていき、さらに、地域のこのよう な機能をもつ社会資源を活用して就労支援を進めていくというのが、就業・支援センタ ーの特徴というか性格なのだと理解しています。ということで、就業・生活支援センタ ーのところは、かなり性格がクリアになってきたかなと思うのですが、一方で、5の就 労移行支援事業者のところで、ちょっと、これは私自身もずっと考えながら整理できな いのですけれども、5ページ目の、「また」以降のところで、就労移行支援事業を行う 法人において、第1号ジョブコーチの配置等によりとありますが、ここは、就労移行支 援事業者というのは、やはり送り出していく機能として、第1号ジョブコーチを配置す ることは必要だと思うのですが、相談・定着支援に至る複合的な取組を積極的に進める ことも重要となると、これは結局、就業・生活支援センターになっていくということで、 両者の性格分けというのがちょっと難しくなってくるかなと思えます。就労移行支援事 業を単独で行うところについては、相談、それから、定着支援、場合によっては、コー ディネートも含む複合的な機能を求めると、逆に混乱をしてしまうのではないかと思い ます。  それから、その下の、就職6カ月以上に行うとされている定着支援の問題ですけれど も、これは役割分担の観点から、就業・生活支援センター等に引き継ぐことも重要とあ りますが、これはフォローアップについて、随分この委員会でも議論されましたけれど も、果たして6カ月以上になると、それは移行支援事業がやるのではなくて、就業・生 活支援センターの方にパスしていくという方向性を出すほど、フォローアップの役割分 担について議論が煮詰まったかというと、ちょっとそこは難しいような気がします。や はり、フォローアップは、いろいろ地域のなかで即応して、役割分担をして、協力をし て行っていくというぐらいの整理がいいのではないかなと感じました。まだ、ちょっと 文面等まで私の中で整理されていないのですけれども、問題提起として挙げさせていた だきました。 ○座長  ありがとうございました。その点、少し表現を工夫していただくということで考えて みたいと思います。ここも、理論的に、そういうことを置くとなっても、現実的にはそ うなっていないというところが、いろいろあるのだろうと思います。  どうぞ、輪島委員。 ○輪島委員  今の小川委員のおっしゃる点、よく分かるつもりです。しかも、整理として、3と5、 就業・生活支援センターと就労移行支援事業者の機能をきちっと機能として分けるので あれば、文言の整理も必要だと思うのですが、とはいいつつ、例えば高井委員のところ の兵庫と、例えば、武田委員の島根のところで、実際のところでどういうふうに就業・ 生活支援センターと就労移行支援事業者が、どういうふうにクロスしていくかというこ とになると、頭の整理のなかで綺麗に書き分けることと、実態とが、どうもずれがあっ て、実際にはその地域で力のあるところが就労移行支援もやっていくし、それがうまく いっていくと、就業・生活支援センターになっていくという実態になっていくという実 態もあるような気もするので、書き分けることは重要なのですけれども、それがクリア カットになるのかどうかというのは、実態としてどうなのかなという気がしないわけで はありません。 ○座長  では、一応時間がきていますので、次の柱に移って、時間にゆとりができれば、その 辺りをまた議論ができればと思います。それでは、3の柱に移ります。  3は、就労支援を担う人材の分野横断的な育成及び確保でございます。6ページから7 ページにかけてということになりますが、いかがでしょうか。人材につきましては、今 回、連携を担う人材ということで、かなり意見が出てまいりましたけれども、補強すべ き点がありましたら、お願いいたします。  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  6ページの下から3つ目の○ですが、全国的なネットワークと豊富な支援実績に基づく ノウハウを有する機構ということで、非常に形容詞が長くて、しかも、非常に立派な形 容詞なものですから、こんなに要るのかなという気がしますが、それは形容詞なのでい いですが、機構が率先して専門的な人材育成を取り組むべきとありますが、ここもあま り規定するべきではないと思いますし、方向だと思います。一方で、民間でも、ジョブ コーチの育成だとかというようなこともしているわけなので、並列的に、機構のするこ とと、それから、民間も実際にやっている人材育成・確保のことを併せて書いておいて いただきたいと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございます。他にどうでしょうか。  小川委員、どうぞ。 ○小川委員  輪島委員と同様な意見です。ここで、先ほどの地方自治体との連携というところとも かぶるのですけれども、地方自治体がかなり就労支援の人材育成に取り組んでおります。 名称は様々ですけれども、一部の都道府県で就労支援の人材育成というのを始めており ますので、例えば、そういうところとの連携であるのか、民間の社会福祉法人等も人材 育成をしております。それで、やはり人材育成となると、プログラムの立案と、それか ら、セミナー等の実施の事務、そこを要するにどこが主体になってやるかという具体的 な問題になってきますので、私は、それを必ずしも高齢・障害者雇用支援機構がやるべ きか。率先してやる必要がある地域もありますし、そうではなく、他のところがやると きに、ノウハウや人材を提供して、一緒に共同してやっていく方がロスが少ない地域も ありますので、そのようなことがうまく表される表現にしていただけるとよいと思いま す。 ○座長  ありがとうございます。他にどうでしょうか。  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  これは、意見というより、質問のレベルに近いのですが、3番目のところで、必要なス キルということで、3段階に分けてございますね。これは必要だと思いますし、私も考え あぐねている部分ですけれども、こういう、初級、中級、上級というレベルとは別に、 例えば、精神障害者の方と知的障害者の方、あるいはまた身体障害者の方、それぞれ専 門的な知識を必要とする分野があると思います。そういう意味で、3段階の例えば上級の 方でマルチであらゆる障害に対応できる人を養成するという考え方がいいのか、そうは いっても、やはりそれぞれ専門分野といいますか、内容が必ずしも同じに扱えない部分 があるとすれば、そういった意味の、例えば精神障害者に関する専門的な知識のもった カウンセラーを養成するとか、何かそういう特定の専門分野に関しては、それだけで独 立性の高いレベルのものを必要とするような、そういう資格制度を考えた方がいいのか。 要するに、一般的なマルチ対応の人を養成する方向で考えるのか。もちろん、全員、万 能な人を養成できれば良いのですが、そうでないとすると、多少専門分野みたいなもの も考慮に入れた人材養成というものが、ひょっとしたら必要なのではないかなと思いま す。この辺は方向性としてどうするかということはあるのではないか。万能のマルチ的 な能力、スキルをもった人を養成するのか。あるいは、専門分野毎に養成するのか。ど ちらがいいかというのは、なかなか簡単にいえない部分があると思いますけれども、ち ょっと検討を要する部分ではないかなという気がいたします。 ○座長  その辺のところは、やっぱり地域の実態があって、三障害にいろいろな事業が対応し ていくのだけれども、歴史的な経過とか、発展経過では、やはり精神障害の方に強い支 援ができるところと、知的障害に、あるいは身体障害に強いということはあるわけです ね。ですから、その地域で、今度は市町村が中心になっていくときに、そのなかで、ど ういうふうに、そのサービスを専門的に高度化するかという課題が出てきて、こういう 横断的に、初級から上級というのと、その地域レベルではそれぞれの実態に合った専門 性を高めようということもあると思うので、その辺のところなのですね。ありがとうご ざいます。  松井委員、どうぞ。 ○松井委員  今の佐藤委員のこととも関連するのですけれども、こういう初級、中級、上級という 分け方は分かりますけれども、この考え方は、ちょっと議論を聞いていなかったのでち んぷんかんぷんかも分かりませんが、おそらくそういう3つのレベルの職員を配置する という前提で考えられているのかですね。例えば、本当に小さな施設を考えると、例え ば、就業・生活支援センターでも本当に1人か2人しかいなくて、3人も配置できないよう な実態が一般的ではないかと思うのです。そういうなかで、初級、中級、上級というよ うな言い方が出てくるのは、将来的には、もっと充実した配置をするという前提があっ て、そのなかで、そういう、いわゆる階層化するということなのか。ちょっとそこが分 からないので、お聞きしたいと思います。 ○座長  ここは、一応、現段階の考え方を事務局の方からお願いできますか。 ○障害者雇用対策課長  今のお話について、前提かということは、なかなかお答えはしにくいのですが、少な くとも現行の制度では、例えば、ジョブコーチについても、それから、今御指摘があっ た就業・生活支援センターの配置についても、こういった階層分けを想定していない制 度のつくりになっているという意味では、現状のままで、こういうことをやってうまく いくかというか、意味が出てくるかというところについては、確かにおっしゃるような 問題点はあると思います。したがって、こういった階層分けをしていくことを通じて、 制度の見直しもセットで考えていくということが必要なのではないかと考えております。 ○座長  ありがとうございました。おそらく、ここはかなり連携の中で人材養成の必要が出て きたので、この研究会だけでなく、将来的にはそういう人材についての研究会で検討し てもいいと思います。次のそういうものに繋いでいくような意味では、議論では、確か にこういうのが出てきているということですね。例えばの話ですけれども。  武田委員、どうぞ。 ○武田委員  今のところなのですが、むしろ、○のその次の、質の高い人材を確保するためにキャ リア形成に配慮した云々とありますが、ここをどうするかというところを、先ほども、 地域障害者職業センターの方に座学ではなくというお話を申し上げましたが、なかなか これまでの福祉の人材のところは、それぞれの専門性であったりとか、障害をどうサポ ートしていくかという視点に重視を置いていて、就労支援というところが、一部の事業 者がたくさんやってはいたのですけれども、もっと就労支援をする福祉事業者を増やし ていこうとしたときに、まだまだその現場レベルでは、我々がちゃんと育ててこなかっ たという反省も踏まえて、丁寧な人材育成をしていただきたいというお願いをして、こ ういう書き方になった部分もあるやに思います。福祉教育のなかでも、もちろん盛り込 んでいただきたいのですけれども、卒後の教育としてこういった本当にステップアップ のあるところから教育していただかないと、なかなかすぐジョブコーチ研修といっても、 着いていけない部分もあるように感じておりますので、こういった盛り込み方をしてい ただけると有り難いなと感じております。 ○座長  ありがとうございます。  志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  今の初級、中級、上級レベルに関連してなんですが、○の下から2番目に、特例子会 社の障害者雇用の経験の豊富などございますが、中井委員からもお話があったとおり、 障害者の雇用を考えてきた場合、やはり企業のなかでの雇用管理、採用の段階で逆にど ういった人材を採用するのが自社に合っているか、あるいは、離職に至る可能性がある 場合の、その間の手続きとして、丁寧にどこまでやるべきか、あるいは、雇用期間中、 ずっとどのように雇用管理をしていくかというような、そういうアドバイスができるよ うな、そういった、いわゆる企業にはいなくて、そういう相談が受けられる専門家とい うのは非常に重要だと思います。ここに、初級、中級、上級とあるのは、本当に今言わ れたように、福祉系のいわゆる専門家のレベルを合わせている。先ほど、障害者種別と いうのもありましたが、そうではなくて、やはり障害者雇用をしている企業に対しても 適切なアドバイスができる、その支えができるというような、もちろん、そういった人 材は福祉系からはなかなか育っていくというのはないと思いますが、今後、そういった 人材の育成については、それぞれの地域単位にあった方が、やはりずっと素晴らしいと 思いますので、できれば、その辺の文言を、「現場の特例子会社との協働により」だけ ではなくて、1つの人材として、優秀な人材としてというのを盛り込んでいただければと 思っております。 ○座長  ありがとうございます。議論の中では、社会福祉のカリキュラムもここでは議論が出 たところですね。ですから、就業、企業、雇用・就労というところの専門家というよう な観点から、かなり議論されてきました。  よろしいですか。では、次にいって、残りましたら、また出していただくということ にしたいと思います。  それでは、4番目の柱の、連携による就労支援を効果的に実施するためのツールの整 備に移ります。よろしくお願いします。7ページです。3項目になっております。よろし くお願いします。  では、山岡委員、どうぞ。 ○山岡委員  このツールのところでございますが、最後に支援ツールとして、個別の支援計画とい うのが出てきています。ちょっと、その順序立てのことも含めてなんですが、おそらく ネットワークというか、連携を図るときに、共通言語としてここに書かれているように、 支援記録とか支援方法の情報が共有化されることが非常に必要だと私も思っています。 でも、障害者基本計画の中でうたわれている個別支援計画というのが、実際に具体化さ れていないというところが問題なのか。あるいは、非常に難しいということがあるのか もしれませんけれども、おそらくこの支援記録とか、支援方法とかだけではなくて、お 一人の方を支援していくためには、その生活面とか、医療面とか、いろいろな情報がな いと、おそらく支援が成り立たないだろうと思っています。かつ、ネットワークといい ましても、個々の障害のある方に対する支援がきちっとできていくためのネットワーク なので、おそらく、そのときに共通言語としてこういうものが必要だというふうに思っ ています。ですから、1つは、情報の共有のところに、おそらく個別の支援計画との関 係を、そっちの方に持ってきていただく方がいいのかなと思います。まず、そこのとこ ろを1つ言いたいと思います。 ○座長  情報の共有化ということと、ツールというのは、非常に密接に結びついているところ で、そこの書き分けの工夫をもう少しということでよろしいですか。 ○山岡委員  それで結構です。 ○座長  この個別の支援計画につきましては、日本障害者リハビリテーション協会の研究誌「 リハビリテーション研究」でも取り上げられています。直近では、日本発達障害学会の 最新の紀要が個別の支援計画で、学校教育、福祉、それから職リハは関さんがお書きに なっています。なかなか豊富な議論が展開されていまして、役に立つのではないかと思 います。ようやくツールということが重要視されてきたといえます。連携にはツールが 必要だということなのですが、どうでしょうか。それぞれの現場で必要とされている、 必要とされてくる情報の共有化、そして、そのためのツールということで、もう少し書 き込んだ方がいいというところがありましたら、どうぞ。原委員。 ○原委員  さきほどちょっと話題になりました、山岡委員からもありましたけれども、個別の教 育支援計画のなかに、学校在学から卒業後にかけて支援をする個別の移行支援計画も含 まれているということと、それから、特別支援学校だけではなくて、今年度から小中学 校、それから高等学校等に在籍する障害のある生徒への個別の支援計画の策定に取り組 み始めています。それらも含めて、ハローワークと特別支援学校又は高等学校等が連携 した、一人ひとりの支援計画の策定というのが、可能性が出てきていますので、そうし た状況や背景も含めて少し書き込んでいただけると、もう少し特別支援学校だけでなく て、支援を必要とする青年期へのツールとなり得るということが見えてくるかと思いま す。そんなふうに幅広く捉えてもらえたらと思います。 ○座長  そうですね。福祉の方でいくと、自立支援法ではサービス利用計画という用語が出て きていますし、もちろん、地域センターは職業リハビリテーション計画があるというよ うなことで、さらに、この移行支援事業でも、個別の支援計画を入れていただく。関先 生はそこを書いておられるのですが、やっぱり、そういうツールですよね。それが、要 するに支援会議などで共有されるわけです。言葉は違うのだけれども、支援会議では、 個別の支援計画なので、そこの、そういった理解ですよね。ですから、そこをもう少し 書き込んでいくというかですね。 ○原委員  そうですね。現在は、用語というか、言葉がそれぞれ異なっていますけれども、しか し、共通するところは、一人ひとりの就労支援又は生活支援を合わせたところで、どう いう関係機関にネットワークを張るかという部分では、イメージや理念は一致していま すので、そうした方向で、書き加えていってもらうと、今後の展望が見えてくるかと思 います。 ○座長  ありがとうございます。他にどうでしょうか。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  感想になるか分かりませんけれども、ここに書かれている就労移行支援のためのチェ ックリストを使えば、すべての関係機関が、この人は雇用に行けるのだというふうな、 そういう理解ができるようなものというか、コンセンサスに達するようなツールが本当 にでき得るのだろうかということが、一番の問題だと思うのですね。あるところに行け ば、これは雇用に繋がるし、あるところに行けば、これは繋がらないというか。そこの ところは、どういうふうにしてそのコンセンサスをつくるようなツールを今後つくり得 るのかということは、今後の大きな課題でしょうし、それはおそらく簡単ではないと思 います。その点は、少し議論が必要かと思います。 ○座長  どうでしょうか。では、松為委員、どうぞ。 ○松為委員  私もこの支援ツールのところで、このチェックリストだけを特別にあげていても、実 は本当のところ、本当のツールでやるときには、もっといろんな条件が入るはずなので すね。チェックリストという1冊の、ああいう形だけでは、私はすごく難しいと思いま す。長い間ずっとやってきて分かりますけれども、例えば、いろいろな配慮の条件とか、 事業主側の受入れの条件だけやってみても、実は、それが個別の企業の中でできるかど うかとか、そういった非常に個別性をきちんとしておかないと、就労可能性云々という のは難しいような気がします。例えば、アメリカでいきますと、いうまでもなく、カス タマイズド雇用という格好で盛んにいわれていますね。ああいう形までいかないとなか なか難しいので、ここで、確かに、今まで研究会等々をやりまして、高齢・障害者雇用 支援機構もこれをつくられて、強調したいのは分かりますけれども、でも、ここだけを 取り上げて、これを元に企業も使える共通のツールとしてという格好でというのは・・・、 個人的な感想です。 ○座長  これから、案をつくる段階では、ある意味では、機構はもっと新しい研究会ができて いくということを展望してもいいので、そういう意味の書き方というのはあると思うの です。ここは、とにかく連携をする上で必要があるということをたくさん出していただ くところなので、そういう意味では、松為委員の今の御提案は、そういうふうに、もう 少し深めていくという意味の必要性があるのではないか。そういう考え方とか、キーワ ードがあるということで、ありがとうございます。そういう取扱を成文化するときに考 えていきたいと思います。他にどうでしょうか。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  チェックリストですけれども、難しいことは鼻から分かっている話で、しかし、ここ に書いてあるように、雇用、福祉、教育等の各分野の支援機関のもっている情報と、そ こから何をすべきなのかというものの、情報の共有というのは全くないわけで、そこを ブレイクスルーするためには、個々の支援計画はそれぞれつくるのでしょうけれども、 それが、その次のところに橋渡しをされていかなければ、結局、この連携をしていくと いうことになり得ないので、そのためのツールは、やっぱり非常に意欲的な課題なのか もしれません。でも、それはやらないとできません。なので、やるべきだと思いますし、 それをどうやって使うのかということも、非常に個々の事情によって難しいこともある かもしれませんけれども、少なくても共有していくという形のなかで、連携をしていく ための1つのツールというような意味合いでの開発の意義というのは、少なからずある のではないかと思っておりますので、非常に重要な点だと思います。私たち企業の側は、 少なくともハローワークで提供される情報に齟齬があったり、例えば、身体障害の方で 雇用をしたけれども、精神の重複があったとか、個別の情報が与えられなかったとか、 そういうことが実際には起こるわけです。その場合に、そういうことが、要はチェック リストにのっかってきて、この人はどういうような支援を、これまでどういうように受 けてきたのか。どこで、どういうアセスメントが入っていたのかということのものが、 一人ひとりの方に、首尾一貫するかどうかは分かりませんが、局面、局面でこういう支 援があったという事実関係だけでも分かると、大分違うのではないかということで、期 待をするという趣旨です。 ○座長  ありがとうございます。今、輪島委員がおっしゃっていたような、一歩々々積み上げ てきたのではないかと思います。ですから、そういう意味の、書けるものはきちんと書 いていくということだと思います。他にどうでしょうか。東馬場委員、どうぞ。 ○東馬場委員  私はちょっと感想的なことですが、よろしいでしょうか。支援ツールの整備というこ とで、教育、雇用、福祉という部分で、ネットワーク的にはやってきているのですけれ ども、共通の言語をもたないといけないなと思っています。皆さんは難しいというふう におっしゃっていましたので、同じなのかと思いますけれども、例えば、就業と就労、 ツールという言葉はパソコンの言葉ですけれども、変換次第によっては、関西と関東は 全然違っていたり、町によっても違っていたりということは、十分あり得るのだと思う のですね。ですから、そこで先入観というものが出てしまったり、不信感ということも 生まれているのではないかなと思います。今回のいろんな法の改正のなかで、本当は、 いったんご破算にして、共通の日本語は難しいとさっき座長がおっしゃっていましたけ れども、やはり同じ共有の辞書みたいなものをつくっていただいて、そこからまた、関 東バージョン、関西バージョン、北海道バージョンみたいな形で、変化していくものは 進化だと思いますけれども、その辺りを整理していくという方向性は出していただきた いと思っています。 ○座長  そうですね。就業と使う場合と、就労という場合と、要するに、就業支援と就労支援 というように、おそらく雇用と福祉の両方で働くということについてできたことで、そ の用語もいろいろあるし、就業というのを、企業就労というように使ったり、そこは確 かに、なるべく統一した方がいいと思います。この委員会のスタートでは、用語の統一 を初めにやらなかったところもありまして、最終的には、次回、その辺のところも少し 議論して、統一できるものは統一していったらどうかと思います。ありがとうございま す。他にどうですか。石井委員、どうぞ。 ○石井委員  ガイドラインを具体的に示すべきだということで出ておりますけれども、本当に情報 の共有ということを考えたときに、このガイドラインをできるだけ早くつくってほしい と思うのです。日常的に、企業に紹介をするときに、その人の個人情報をどこまで出し ていいものかどうかということです。今、現に困っているのですね。個人情報の保護は 盛んに言われている中で、どこまで企業に伝えるべきなのか。全然今はラインがないの ですね。それから、例えば、精神障害者の場合、一番重要なのは、再発の予兆なのです ね。こういう傾向が出てきたら、この人は危ないのだから、すぐこちらに教えてくださ いとか。そういうことを予め企業にどこまで言ったらいいのかというのが、今、日常的 に、毎日、非常に迷っているところなので、是非このガイドラインは早急につくってほ しいと思います。 ○座長  時任委員、どうぞ。 ○時任委員  チェックリストが必要なことについては、よく理解しておりますが、ちょっと不安を もっております。正しく障害者の状況を反映できるのかどうか。かなり綿密な計画を立 てていかないと危ないと感じます。というのは、今回の自立支援法の施行に当たって、 障害程度区分認定というのをやりました。この調査項目が非常に偏っています。例えば、 視覚障害の場合には、ほとんど軽度に出てしまって、障害程度が非常に軽いというふう な判定になります。つまり、チェックリストの組み立て方、項目の選び方を相当工夫し ていかないと、障害者の実態を正しく反映していくことにはなりません。この点につい ては、今後の課題として、是非注意をして進めていただきたい。以上です。 ○座長  ありがとうございます。障害区分については、いろいろ議論が出て、おそらくここの 場ではなくて、もっときちっと取り扱われていくと思いますが、このチェックリストと か、情報の共有化のところで、やはり正しい理解を促進するというところの共通的なも のは、今後、我々はツールとしては考えていく必要があるだろうと思いますけれども、 その点、非常に慎重にやっていかなければならないというのは、まさに同感でございま す。他にどうでしょうか。志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  情報の共有化についてです。実は、私たちの今の職場では、就労移行支援事業でやは り今年から大きな課題になっていることの1つでして、今、石井委員からもお話があり ましたとおり、これまで知的障害者を中心でやっていた就労移行支援事業で、精神障害 の方を何名か実習をしていただいて、実際に、本格的に利用していただいております。 私たち、一番初めに知的障害ではなしに、精神障害の情報が何を得られるかということ では、福祉施設ですら全く手がつきませんでした。結局、初日で私たちが得られた情報 は、履歴書を書いてもらうだけでした。なおかつ、本人に書いてもらっていますから、 何人か書いていただいた中で、半分以上の方は年が書けませんでした。ですから、学歴 がどこまでで、例えば、中退であるか、卒業であるか、どういう職歴があるか、ある程 度は追えるのですけれども、正確な年代までは書けませんでした。という面で、私たち は、本人と話をしたり、担当のケースワーカーの方とお話をしたりしながら、大体想像 で、このぐらいのところに、多分、入院された経験があるだろうが、どれぐらいの期間 かも良く分からない。現在の治療歴とか、その辺については、もちろん本人が知ってお りますので、簡単に分かりますし、服薬の状況等も分かりますけれども、そういった本 当に基本的な、要するに履歴書の情報すらも、そこを埋めていくことに、やはり非常に 苦労をしております。そういう経験からすると、やはり情報の共有化の問題というのは、 そういうチェックリストとか、障害程度区分等ではなくて、やはり企業の方にとっても、 私たちのところの前にはどちらの病院に通っていますかとか、服薬はどうされています かというような情報を、スタートから得られるというのは、非常になかなか難しい。も っともっと基本的な、もっともっと低い、本当に単純なものを、しっかりとどこまで得 られるか。逆にこれを持って面接に行く、あるいは、そういった相談に行くという、最 低ラインのものというのを、もっともっと真剣に考えた方がいいのかなと、つくづく思 いました。 ○座長  ありがとうございます。実際には、そういう新しい領域である精神障害者について、 これから移行支援事業をするときに、やはり健康の管理の問題もあって、基本的な情報 をどういうふうに得られるか。そこには、本人の方々の協力がないと難しいということ になります。そういう当事者の方々の御協力というようなことも、非常に大きい領域だ と思いますね。しかし、難しいけれども、進めるためには、一歩々々そういう情報の共 有化とか、そのための共通に使うツールということの必要性が出てくることだと思いま すので、ここはきちっと書き分けていきたいと思います。どうぞ、輪島委員。 ○輪島委員  今、志賀委員がおっしゃった点で、言葉も大事なのでいいますが、チェックリストな のかということですね。プロフィールシートとかですね。アセスメントが入ると、チェ ックリストなのかもしれません。でも、チェックシートなのかもしれませんが、その人 の状態を基本的に説明をする。支援をしている人の共通認識として分かるものという意 味合いですから、チェックではないのではないかという気がするのですが、表現の問題 は別にしても、そういう意識でつくるものが必要なのではないかと思います。そういう 意味で、前回、発言をさせていただいて、議事録が手元にあって、そのまま同じことを 申し上げますけれども、成長力底上げ戦略の中のジョブカード構想です。ジョブカード 構想のなかにも、どうやって位置づけるのかということも、この中に書けないので書い ていないのかもしれませんが、うまく検討いただきたいなと思います。 ○座長  ありがとうございます。チェックリストは職業センターの方々の研究が出たというこ とで、そういう流れで使われてきたようにも思いますが、その情報の共有化で必要なツ ールということでは、今、輪島委員が御指摘になったような、そういう全体が使いやす いものを、案の段階では考えた方がいいのかもしれません。他にどうでしょうか。よろ しいでしょうか。大体意見としては出たでしょうか。はい、小川委員。 ○小川委員  私も前回支援ツールについては、目的や性格、そこを整理しないと、一人歩きをして しまうということを申し上げました。ここで支援ツールの整備ということで、様々な必 要性は議論されているのですけれども、やはり必要性の視点が、企業の方と、それから、 比較的手前のところで支援計画をつくって支援をしていく学校教育の段階と、それから、 就労移行支援事業のような最後のいわゆる仕上げの段階、それぞれ必要性がやや違うよ うな気がしています。  その違う必要性を全部1つのコンパクトなものに合わせてつくり上げるということは 難しいような気がしています。最終的に、現在あるチェックリストというのは、プロフ ィールをつくっていくときに、かなり細かい視点で、どういう視点で見たらいいかとい うように、そのためのものですよということが、多分表紙にも書いてあります。これを 元に支援計画をつくってください、ただ、就労の可能性について、いろいろ参考にする ものではありませんよということが書いてあります。その段階のものはできているので すけれども、あれを企業の方にお渡ししても、その人の得意、不得意、それから、雇用 上の配慮、それから、うちの職場環境のなかでどういうことが起こるかの予測ができな い。おそらく企業さんが必要としているのは、どういう仕事ができるのか。どういう仕 事ができないのか。雇用上の配慮は最低限何が必要なのか。そこのコンパクトな情報だ と思います。それぞれ一体何を必要としているのか。1つのものをつくり上げるのでは なくて、少し分けた、目的別に分けたものをつくるということの整理がツールに関して は必要なのかなと思います。それに応じて、名前も変わってくるのかなと思っています。 ○座長  原委員、どうぞ。 ○原委員  私も同感でして、多分、就職を目指す方にとっては、それぞれの段階でどこまで支援 を受けるか。又は、体験する中でどういう支援が必要かというのが分かると思います。 今の小川委員のお話の部分をもう少し詰めていただいて、どういうことで共通に持ち合 うものが必要なのか、検討してもらえる機会があればと思っています。  それから、先程から出ている個人情報の範囲という部分ですが、それはやはり御本人 が第一に望む事が必要になりますので、就労又は就職するときに、どこまでの情報をと いうのを、本人自身も検討できて、学ぶ機会がないと、なかなかそこは難しいと思いま す。ですから、それをどういう形にするか。成人期になったときに、それをどこで当事 者本人が検討できるのか。それがなかなかまだないように思います。それぞれの支援機 関に乗っかればいいのですけれども、乗っかる前の段階で、ガイダンスを受けられるよ うな機会が必要だと思います。 ○座長  そうですね。山岡委員、どうぞ。 ○山岡委員  ちょっと原委員と重複するかもしれませんが、おそらくこの情報の共有ということで、 ガイドラインですね。ガイドラインはおそらく国が示すミニマムスタンダードでありま して、おそらく使うときには、それを使うところで、あるいは、自治体でそれを加工し て、又は細かく決めていくことになると思います。実は、私は企業で法務にいて、個人 情報の取扱についてかなりやったことがありますので、ちょっと申し上げるのですが、 おそらく今、原委員がおっしゃったとおり、この個人の情報の中には、基本的に、みん なが共通して欲しい基本情報と、おそらく支援の記録だとか、医療のものだとか、機微 情報といいますけれども、そういうものとか、いくつか、3段階とか4段階とかに分かれ ると思うのですね。おそらく、それと本人の同意というのが、関係ないところに開示す るときには必要になりますけれども、そのときに、おそらく開示する先だとか、それか ら、どこまでとかということを、本人あるいは御本人が意思表示できなければ、保護者 の同意のようなものを、その範囲を決めるということになり、それを緩やかなガイドラ インの中で示しておいて、御本人の相談があるものは、出してやる。例えば、就職する 企業には、ここは出したくないというのがあるかもしれませんが、それについては、御 本人の同意が必要というふうに思います。ですから、何か全体の中で、こんなにたくさ んの情報があって、誰でもどこへでも出してしまうというのは、多分駄目なのだろうと 思います。ですから、おそらくそのガイドラインの中に今おっしゃっていますように、 いろいろなチェックリストとか、あるいは、場合によっては、個別の支援計画みたいな ものでもかまわないのですが、そういったものについて、標準例というか、いろんな例 をぶち込んでいくというか、入れていって、それを加工して使いなさいというのがいい のかなという感じがします。 ○座長  ありがとうございます。情報の共通化、共有化、支援ツール、これは三障害といいま すけれども、もっと個別的に、障害特性でいきますと、先ほど時任委員のお話もありま したけれども、これから、連携を深めるために、きちっとそうした共通のツールをつく っていく。そこの前提が、我々がまず確認ができたというところで、やっぱりその在り 方を、それぞれの支援機関の実績というか、経験を積む中でできていく部分と、それか ら今、一般的にこういうアプローチで詰めた方がいいというところもあろうかと思いま す。その辺の現状に即した書き方を、ここではしていただくということで、案ができた 段階で、少し文章上の表現になるかと思いますが、これからの課題というところでは、 よろしくお願いいたします。  どうぞ。まだ時間がありますので。 ○村上委員  村上です。申し訳ありません。第1のところで発言しそびれてしまいましたので、申 し上げたいと思います。先ほど、中井委員と高井委員でやりとりがありまして、1ペー ジのネットワークの意義、目的の○の3つ目の、雇用から福祉への流れの確立というと ころです。やはり、私もこの文章表現が何を言わんとしているのかということが、よく よく理解できるものの、このような表現のままであると、やはり中井委員のおっしゃっ たような懸念というのはあると思っております。現実の実雇用率の動きが企業の全体の 景気変動だとか、あるいは経営状況だとか、あるいは、全体の雇用情勢の動きよりも厳 しく触れているということだとか、障害者になって解雇があったとか、そういう事例な どを考えると、ここで雇用から福祉への流れを確立するという表現だけではなくて、も う少し丁寧に説明していただいた方がよいのではないかと思います。 ○座長  わかりました。ここは、前文等がありませんので、そういう大前提のところは是非書 き込まなければならないと思いますので、そういう了解で進めたいと思います。ありが とうございました。  それでは、次回研究会では、最終的な報告書全体の案について、御議論していただき たいと思います。報告書の案につきましては、本日の報告書の骨子(案)について、各 委員から御意見がありましたので、これを踏まえて、事務局において報告書案全体につ いてとりまとめ作業をしていただきたいと思います。  最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  次回は、8月6日、月曜日の14時から16時で、場所は厚生労働省内の会議室を予定して おります。  それから、今お手元に、山岡委員から、各委員の方々へ資料配布の御依頼がございま したので、配布をさせていただいております。以上です。 ○座長  ありがとうございます。それでは、最後になりますが、次回研究会の会議の公開につ きましては、公開としても特に差し支えない議題だと思いますので、公開の取り扱いを したいと思います。また、本日の議事につきましても、議事録を公開しても差し支えな いと考えますが、いかがでしょうか。 (「異議なし。」の声。) ○座長  ありがとうございます。それでは、これをもちまして、本日の研究会は終了いたしま す。本日はお忙しいなか、どうもありがとうございました。  照会先 職業安定局障害者雇用対策課雇用対策係 (内線5854)