07/06/25 第3回国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議議事録           第3回国立高度専門医療センターの         今後のあり方についての有識者会議 開催日時:平成19年6月25日(月)13:30〜15:00 開催場所:厚生労働省 省議室 ○ 高久座長  予定の1時半になりましたので、ただ今から第3回目の国立高度専門医療センターの今 後のあり方についての有識者会議を開催いたします。委員の皆様方にはご多忙のところ、 お集まりいただきまして、ありがとうございました。今日はお手元の資料1に「国立高 度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議 報告書(案)」というのが ありますけども、この案について事務局からご説明をしていただいた後に、委員の皆様 方から意見をお伺いする予定であります。できるだけ今日で何とかまとめたいというふ うなことを事務局が希望しているようでありますので、皆様方の協力よろしくお願いし たいと思います。それでは関山課長から出欠状況並びに資料の説明をよろしくお願いし ます。 ○ 関山国立病院課長  まず出欠状況でございますが、本日は辻本委員が欠席との連絡を受けております。ま た、長寿医療センターの大島総長についても欠席とさせていただいております。なお、 事務次官におきましても所用のため欠席とさせていただいております。続きまして資料 の確認でございますが、資料1ということで先ほど座長からもご紹介いただきました 「国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議 報告書(案)」を 配布させていただいております。高久座長のご指示に従い、第1回・第2回のご議論を踏 まえ、報告書の案として事務局より提示させていただいたところであります。資料2で ございますが、「主な意見の整理」でございます。前回お出ししたものに第2回のご議 論も追加させていただいております。また、委員の皆様方には既に確認をいただいてお りますが、前回の議事録案をお配りしておりますので、第1回議事録同様、今週中にも 第3回資料とともにホームページに掲載する予定でございますのでご確認いただければ ということでございます。なお、第1回・第2回の資料につきましてはファイリングした ものを前回同様ご用意しております。なお、本日欠席の辻本委員から手書きでございま すが「追加資料:辻本委員からの意見」ということで6月25日付けでこの資料1の「報告 書」についてご意見がございましたので机上に配布させていただいております。以上で ございます。 ○ 高久座長  皆様方のお手元にあると思います。これ見ますと資料3からずっとありますけどこれ はいいんですね。資料の3、4、5。 ○ 関山国立病院課長  それは国立がんセンターの資料でございますので、後ほどご参考にしていただければ と思います。 ○ 高久座長  それでは資料1の「報告書」ですね、これについて事務局の方から説明、これは堀江 室長さんからよろしく説明お願いします。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  それでは説明させていただきます。先程来出てますように、高久座長より報告書案の 準備をするようにとのご指示に従いまして前2回の議論を踏まえ、また、今回の会議に 向けての各委員の意見などもちょうだいして今回報告書案を準備しておりますので、ご 紹介させていただきます。まず1ぺージでございますけども、これまでありませんでし た「はじめに」という項を付けまして、これまでのNCが果たしてきた役割、今般行政改 革の一環として行政改革推進法やその後の閣議決定等において平成22年度から独立行政 法人へ移行することが決定されたこと、本有識者会議においてNCが独法化後において国 民医療にどのように貢献できるか、果たすべき役割について何かということを検討を行 ってきたこと、NCが今後独立行政法人化された後も政策医療の牽引車としての役割を継 続的に担えるように幅広い視点に立って議論をしてきたということ、それに加えまして 今、医療制度が大きな環境の変化に直面していること、とりわけ医療提供面において主 要な医療分野にかかる医療連携体制、地域医療ネットワークを盛り込むこと、急性期か ら回復期・慢性期を経て在宅期まで切れ目のない医療の流れを作ることなどを2ページ にわたって書かせていただいておりまして、一方で4疾病5事業といわれる国民の健康に 大きな影響を与え、医療費にも一定程度を占めますがん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病な どの疾病分野について各分野の推進が政策として定められ、関係各法に国の責務が位置 付けられていて、都道府県単位の医療施策の展開に対して国の責務を的確に果たしてい くことが求められるということ、こうしたことにおいて「このような国が果たすべき責 務に的確に対応できるよう、NCの役割の明確化と持てる資源の選択と集中を図りつつ、 NCにおいて効果的・効率的に政策課題を達成できる仕組みを構築することが求められる」 ということで、前回まで行ってきた論点の柱に立って3回にわたって議論を重ねてきま したということで、報告としてまとめさせていただく「はじめに」とさせていただいて おります。3ページをおめくりいただきます。3ページに「今後の医療政策におけるNCの 役割等」ということで、まず1として「今後の医療政策におけるNCの役割」ということ でここのところでございますが、基本的には第1回目の資料でお出ししました「論点」 のところで「・・・ではないか」というふうに書いてあったものをその後、内容を修正 し、あるいは加筆しながら「・・・ではないか」という疑問形ではなく一定の方向性が 出るような形に書き直させていただいているということでございます。最初の「視点」 のところでございますけども、「NCは平成22年度に独立行政法人化されるが、NCの今後 の役割を検討するに当たっては、医療政策におけるNCの位置付けや官民の役割を踏まえ、 NCの強み・弱みとその特性を整理し、産学等との連携強化を含め、患者の視点に立った 総合的な観点から検討を深める必要がある」ということでございまして、ここの次に 「我が国の政策医療は」ということで「世界に例を見ないスピードで少子高齢化が進行 するという大きなうねりの中で、国民本位の総合的かつ戦略的な展開が求められている」 という中で、「国の責務が果たせるよう、NCは我が国の医療水準の向上につながる政策 医療の牽引車となることが必要である」、「『政策医療』はこの報告書においては、国 民の健康に著しく影響を及ぼす疾病分野について、その時代において国として政策的に 取り組むべきものをいう」と整理させていただいておりまして、NCの持てる資源の有効 活用ということで次に進めさせていただきますと、「基本的方向性」ということで「NC が国の負っている政策医療に対する課題を解決するための組織である」ということを踏 まえて3つの役割というふうに整理しまして、「臨床研究の推進。臨床研究の推進のた めの『統括・調整者』の役割を担う。政策医療の牽引車として中核機能の強化を図るた め、NCの施設全体の研究機能を高めるとともに、基礎研究の成果を臨床の実用化へつな げられるよう臨床研究及びトランスレーショナルリサーチの強化を図る」ということで ございます。(2)として「医療の均てん化等の推進」、(3)として「政策医療の総合的かつ 戦略的な展開」ということを位置付けております。4ページをおめくりいただきまして、 「牽引車となるための主な仕組みは以下のとおり」ということで、2つの必要なことと いうものを整理しておりまして、「NCは、効果的・効率的に政策課題を達成できるよう、 平成22年度に独立行政法人化することをも踏まえれば、自己完結的でなく、産学等と連 携し、持てる資源の選択と集中を図り、国の医療政策と一体となって都道府県における 地域医療ネットワークの中核的な医療機関等を支援する仕組みを構築する」、「成果を 継続的に生み出していくNCの基盤としては、研究所と病院とが高度専門性を有した上で、 その連携が図られることが重要である。さらに、一層牽引力を高めるために、研究機能 を中核とした、『医療研究センター的機能』の確立を図る」というふうに整理させてい ただいております。「その際、研究機能を継続的に維持することができるよう、研究資 金の獲得や民間資金の導入等の仕組みについても整理する」ということです。(3)とし まして「今後NCが求められる主要な役割」としまして「具体的な方向性」というところ で整理をさせていただいておりますが、「(1)研究の推進に関しては、各NCだけで完結す る仕組みでない形として、非公務員型独法化する利点も活かし、民間等外部資金の積極 的受け入れや人材の交流、産業界、学会等との連携を強化し、高度先駆的な治療技術や 医療システム等医療の研究開発につなげる新たな仕組みを作る必要がある」ということ で、「具体的には、NCが有する研究機能と豊富な症例蓄積の実績を活かし、特に、医薬 品、医療機器の分野等において、ベンチャー等の産業界、大学等の研究機関、国立病院 機構等の大規模治験拠点との自発的・戦略的な連携を深めて『医療クラスター』を形成 し、高度先駆的な医療の開発・実用化につなげられるようにする」。(2)として「医療の 均てん化に関しては、各医療政策における都道府県の中核的な医療機関等との連携を図 り、先駆的医療や標準的医療等の普及を図る。とりわけ、社会の高齢化を踏まえ、高齢 者の在宅医療システムの構築とその均てん化は重要な課題であり、NCがこれの主導的な 役割を担う必要がある」。(3)として「人材育成に関しては、政策医療の牽引車としての 役割を継続的に担えるよう医療・研究の専門家の育成を行うとともに、医療の均てん化 を推進するため地域医療の指導的役割を担う人材の育成を担う必要がある」。「国内外 の有為な人材のネットワークの拠点となる必要がある」。(4)として「情報発信に関して は、診断・治療法等の国民向け・医療機関向けの広報を行うとともに、EBM情報等、国 内外の知見の収集・評価とその公表を担う必要がある。(5)、次のページですが、「政策 提言に関しては、我が国の政策医療が国民本位の総合的かつ戦略的な展開が図られるよ う、NCから国に対して、政策提言ができる仕組みを整備する必要がある」。(6)として 「国際医療協力については、国際医療センターが中核的役割を担うことになるが、各NC でも担当する領域の特性に応じて対応する必要がある」。我々は前回まで病院機能につ きましては○として位置付けてございましたが、今回は特出しいたしまして、「病院機 能に関しては、NCの強みの根源であり、それを基盤として研究機能を強化するとともに、 研究所における研究成果をこれまで以上に臨床に反映する『研究重視型病院』を構築す る」と。「このため、病院の役割が単に医療提供の『実践者』ではなく国の負っている 医療課題を解決するための『政策医療の牽引車』としての機能を発揮できるよう資源の 重点化を図りつつ、求められる臨床研究、医療の均てん化、人材育成及び情報発信に必 要な一定規模の病床及び機能を確保する」と整理してございます。「なお、倫理性、透 明性を確保しつつ、EBMに基づき良質かつ安全な医療の提供に努める必要がある」。な お、(4)としまして「NCが具体的に担う主な分野」ということで、「NCの活動分野、役 割を果たす分野は、時代の要請に応じて見直す必要はあるものの、医療の均てん化は、 それに伴う人材育成や情報発信と併せて、NCが率先して果たしていく必要がある。また、 研究に関しては、大学や企業との相互の強みを活かしながら」、以下の分野を中心にと いうことで、「疾病のメカニズムの解明」以降前回までの論点を整理させていただいて おります。6ページをおめくりいただきまして、「成果を継続的に生み出せる研究と人 材育成のあり方」ということでございまして、(1)として「視点」、「NCとして、成果 を国際レベルの研究競争に互して継続的に生み出していけるよう機能強化を図り、NCの 強みやNCとして担う必要のある分野を整理した上で、研究及び人材育成のあり方を構築 していく必要がある」、「人材育成の構築と合わせて、成果を継続して生み出せる組織 についても検討していく必要がある」ということで、(2)の「目標」といたしまして、 まず「研究」については、「臨床研究等の推進を図るため、産学等との連携を図った研 究開発を進める仕組みとして医療クラスターを形成するなど、特定分野の患者集積性が 高く、また、専門家集団としての強みを活かして、研究開発の『主導的役割』を担う。 臨床研究等を推進し、新規の医療技術や医薬品等を実用化する『調整的な役割』を果た す」、「人材育成」の「目標」につきましては、「政策医療の牽引車、国内外の人材ネ ットワークの拠点となるよう、指導的な研究者や臨床家を指導する者(いわゆる指導者 の中の指導者)の育成を行う。医療の均てん化に必要となる地域医療の指導的役割を担 う人材の育成を行う」、具体的な策といたしまして、(1)の「研究」としては、「臨床研 究の統括・調整機能の構築。医療クラスターに必要な体制の整備と多施設共同臨床研究 の活用。その際、特色ある医療クラスターが形成されるように、各NCにおいて機能付与 するに当たっては、その強みや疾病の違い、医薬品と医療機器の違い等に留意しながら 整備する必要がある。また、医療クラスターの形成に当たっては、研究活動の状況に留 意しながら企業に情報発信する仕組みについて検討する必要がある。さらに、今後医療 クラスターの形成に当たっては、関係産業界等との協議の場を設け進めていく必要があ る」。次のページにわたりますが、「プロジェクト方式等を活用し、産学等と連携した 組織横断的取組みなど柔軟な体制を導入する。治験中核病院として必要な体制の整備。 診療ガイドラインやクリティカルパス等による標準的医療やモデル医療など、医療の均 てん化手法の開発の推進。病院内及び地域コホートによる臨床データバンクや検体バン ク等、臨床疫学的研究基盤の整備。優秀な人材を持続的に確保する観点から、人材の流 動性を有した組織の構築や、優秀な外国人幹部の登用など、人材のグローバル化にも対 応。とりわけ、病院及び研究所の管理職において任期付任用を導入するとともに、公募 制を基本とする必要がある」というふうに整理させていただいております。「国や独立 行政法人等と円滑な人事交流が促進されるよう必要な仕組みの整備。NCの職員によるベ ンチャー等私企業への経営参加や、NCによるベンチャー等立ち上げの支援のあり方につ いて検討。連携大学院制度の活用や海外の研究機関等との共同研究等、外部機関との交 流の推進。NCにおいて研究開発が継続的・安定的に行われるよう、運営費交付金等の確 保、民間等外部資金の導入、知的財産管理等に関する仕組みの整備」が必要であろうと いうことでございます。(2)としての「人材育成」については、「臨床研究・TRを除く研 究、臨床研究・TR、臨床の各領域において、指導者の中の指導者等を輩出できるキャリ アパスの構築」ということで、「特に臨床研究・TRに必要となる、研究及び臨床領域に 精通した人材育成システムの構築。医療の均てん化の人材育成に当たっては、関係学会 や都道府県等と連携を図りながら必要となる指導者の育成。各種人材育成については、 その量より質に着目し、養成規模に関しては大学等他の関係機関の養成状況等に留意し つつ、また、世界レベルの人材を輩出できるよう、戦略的に精鋭の養成。その際、アジ ア等の優秀な人材も受け入れ、養成に努める。輩出した人材を通じて、都道府県の中核 的な医療機関や大学等、国内外の人材ネットワークを形成。モデル研修・講習を開発し、 有効な研修等については都道府県の中核的な医療機関等を通じ普及」するということで ございます。8ページをおめくりいただきまして、「地域医療との連携など医療の均てん 化と情報発信のあり方」ということで、(1)「視点」といたしまして、「国民が適切かつ 良質な医療が受けられるよう、先駆的医療や標準的医療等について、医療の均てん化を 進める必要がある。国民が適切な医療の選択が可能となるよう、また、医療従事者に対 しても適切な医療が提供できるよう、診断・治療法等に関する情報発信の役割を担う必 要がある」。(2)として「目標」でございますけども、「医療の均てん化を進めるため、 NCと都道府県の中核的な医療機関等とのネットワークを構築し、医療の均てん化のため の情報発信を中心に、NCが都道府県の中核的な医療機関等に対して『調整・支援・指導 的な役割』を担う。こうしたネットワークを活用しつつ、情報発信機能を整備する」。 (3)「主な具体策」といたしまして、「国とNCが一体となって、都道府県の中核的な医 療機関等を通じた先駆的医療や標準的医療等の普及。医療の均てん化の評価手法を開発 し、必要な情報の収集・分析を行い、その評価を実施。都道府県の中核的な医療機関等 からの求めに応じての技術的助言や指導の実施。医療の均てん化を推進していくための NC内の体制整備。NCの行った研究成果等や収集した国内外の最新知見について、NCの 業績を明らかにする観点からも、迅速かつわかりやすく、広報・周知を図る」というこ とをあげています。「都道府県の中核的な医療機関等に対しては、診断・治療技術等に 係る最良の情報発信を行う。国民や医療従事者に対しても、インターネット等による特 定の疾病についての幅広い情報発信を行う。なお、現時点においては、NCと都道府県の 中核的な医療機関等とのネットワークは、がん、エイズ等限定的な疾病にのみ設けられ ているが、今後、医療の均てん化を推進する観点から、厚生労働省において優先的疾病 分野を特定しつつ、都道府県等との連携体制を構築していくことが求められる」という ふうに整理させていただいております。9ページでございますが、「独立行政法人化し たNCに対する国の関与等のあり方」ということで、ここは前回と基本的には議論をして いただきまして変わってございませんで、(1)の「視点」といたしまして、「独立行政 法人制度においては、法人の自律性・自主性を重視する観点から、大臣の当該法人に対 する指示監督は原則的に排し、大臣の法人への関与は必要最小限のものとして個別に法 令に規定されることとなっている。独立行政法人化された後のNCは、基本的には、厚生 労働大臣に認可を受けた中期計画に沿いつつ自主的な運営を行うものであるが、中期計 画に規定される通常業務より優先してでも対応すべき必要性がある場合の厚生労働大臣 要求の対象とすべき内容を検討し、もって、NCに対する国民の期待に応えることが必要 である」ということであります。(2)の「目標」としては、「厚生労働大臣からNCに対し て業務の実施を要求すべき緊急の事態を検討し、各NCの機能に適合するように、法律上 規定を整備する対象を明確にする」ということでございまして、(3)「主な具体策」とい たしましては、「厚生労働大臣からNCに対して業務の実施を要求する規定を設ける必要 がある」ということでございまして、「緊急かつ一時的」な場合の本来業務外の場合に どういうものが想定されるかということを個別法に位置付けていくのでしょうというこ とでございます。10ページをおめくりいただきまして、「医療政策に対するNCの提言機 能のあり方」ということでございますが、(1)「視点」といたしまして、「各NCが担当す る対象疾病は、国民の健康に著しい影響を及ぼす疾病であるため国の医療政策と一体と なって推進していくことが求められる。そのため、我が国の政策医療が国民本位の総合 的かつ戦略的な展開が図られるよう、NCから国に対して、政策提言ができる仕組みを整 備する必要がある」。(2)「目標」といたしまして、「NCが、研究、医療の均てん化等 に取り組む中で明らかになった課題や我が国の政策医療の展開等について、国に政策の 提言を行うなど、我が国の医療水準の向上につながる仕組みを構築する」ということで、 (3)「具体策」といたしまして、「NCの医療政策に対する提言機能が確実に実施されるよ う、NCの提言機能を法令上位置付けるとともに、NCの医療政策における位置付けを踏ま え、政策医療をいかに戦略的に進めていくかという観点に立って議論をするため、各NC の代表を主たる構成員として、審議会に部会を設ける」ということを記載させていただ いております。6.「課題達成に相応しいNCのあり方等」ということでございまして、 「各NCが上記の研究、医療の均てん化等について『政策医療の牽引車』としての役割を 十分に果たせるように、既存の体制を抜本的に見直し、各NCが担う疾病分野において的 確に機能が発揮できる組織と効果的・効率的な運営管理体制を構築する必要がある」と いうことで、前回までの議論を踏まえまして、法人の形態について、今回の案にも盛り 込ませていただきまして、「法人の形態については、今後、厚生労働省において、関係 部門と調整することになるが、政策課題を効果的かつ効率的に達成できるようにするた めには、各NCごとに法人化する必要がある」というふうに整理させていただいておりま す。「各NCの活動成果に関して的確に評価するために評価指標を開発するなど、評価手 法について検討する仕組みを設ける必要がある。NCが政策医療の牽引車として的確に役 割が果たせるよう、患者等からの声を運営等に活かせる仕組みをNCの中に設ける必要が ある。新たな政策医療については、現在NCが担当している領域から見て、どこにも属さ ないような分野に関しては、国立国際医療センターが国際医療協力を目的とし、総合診 療機能を有していることにかんがみれば、基本的には国立国際医療センターに担わせる 必要がある」。11ページでございますが、これは新しく追加したところでございまして、 「終わりに」というページでございます。「本有識者会議においては、3回にわたって、 平成22年度に独立行政法人化後のNCの果たすべき役割等について、幅広い観点から検討 を行った。独立行政法人制度は、中央省庁等改革の柱の一つとして、行政改革会議の最 終報告において提言され、これをもとに創設されたものであるが、平成13年4月に53の 法人が発足して以来、すでに6年余りの歳月が経過した。この制度は、法人に自律性・ 自主性を付与する反面、その業務の実績については、中期目標に照らし厳しく評価する 仕組みとなっており、また、今後、独立行政法人を取り巻く環境はますます厳しくなる ものと考えられる。こうした中、独立行政法人化された後も、各NCが我が国の医療水準 を向上させるための牽引車となり、その役割を実効性のある形で担っていくためには、 持てる強みを活かしつつ、資源の選択と集中を行い、成果を生み続けられる仕組みとす ることが必要である。その際、NCが期待される役割を十分に果たせるよう、各NCの名称 に「国立」の文言を継続的かつ独占的に使用できることが求められる。厚生労働省にお いて、NCに係る独立行政法人の具体的な制度設計に当たっては、独立行政法人の先行例 について十分研究を重ね、国民医療の進展に十分貢献できるセンターとして発展できる よう、所要の体制整備を期待する。とりわけ、NCの担う研究、医療の均てん化、人材育 成、情報発信は、国の医療政策の推進の根幹となる役割であり、国民からの期待に十分 応える必要があるものの、いずれも採算性の取れない分野であることから、期待される 役割が十分に発揮できるよう、運営費交付金や施設整備費補助金の仕組み等について検 討を進めるとともに、人件費についても、労働集約型事業の特性に留意して確保するよ う期待する。また、外部の資金等の導入によって運営費交付金等が削減されるといった、 NCの経営努力が阻害されることなく、経営努力が活かされる仕組みや、地方公共団体か らの資金の受入の仕組みについても併せて検討することを期待する。各NCの独立行政法 人の名称や中期目標等の制度については、その企画・設計が肝心であるとの認識を十分 に持って、本有識者会議の議論を踏まえ、今後の検討を進められたい。また、NCは国の 責務を果たすために政策医療の牽引車であり続けることが必要であるが、求められる役 割等が時代の要請に適応するよう必要に応じて見直すべきである。併せて、患者・国民 に向けては、NCが国の担うべき臨床研究及び医療の均てん化等の推進といった政策課題 の達成を中心目的とすることについて、明確に発信していくことが求められる。最後に、 独立行政法人化後のNCの果たす役割が、我が国の国民医療の進展のみならず、国際保健 の向上に寄与することを期待したい」というふうに整理させていただいております。資 料につきましては、だいたいこれまでの資料、一部バージョンアップをしている部分も ございますけども、説明につきましては省略させていただきます。以上でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。ただ今の報告書の案についてどなたでもご自由に結 構ですので、ご意見等どなたかおありでしょうか。どうぞ、矢崎委員。 ○ 矢崎委員  前回まではナショナルセンターの法人後のあり方について議論があったと思うのです が、10ページに今回、「法人の形態」についてという項目が新たに記されました。翻っ てみますと国立病院・療養所が独法化した時に154施設ありましたが、これはすべて病 院であって医療を提供する現場を持っているということと、全国に存在してあらゆる医 療分野をカバーすることで、そこにネットワークを活用した調査とかあるいは医療の実 態などのデータを集積してそれを医療政策に資するということで、1つの法人として発 足したわけでございますけども、ナショナルセンターは研究主体の施設でありまして、 それに病院が付随しているということを考えますと国立大学がそれぞれ個別に法人化し ましたように、やはり今までのナショナルセンターの機能と実績を活かすにはそれぞれ 独立した形態をとった方がいいと私も思いますので、ぜひそういうことを強調していた だきたいと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。ですから終わりのところにですね、「国立」という 名前を残してもいいんですけど、独立した法人ということをもう一回念押しして書いて おかなければいけないですよね。やっぱり終わりというのは重要ですから。私も矢崎委 員に賛成ですので、しつこいようだけどもそこは書いた方がいいと思うんですね。 ○ 関山国立病院課長  わかりました。そのようにいたします。 ○ 和地委員  前回も発言しましたが、医療機器の実用化にはいくつかの壁があるわけですが、その 中の多くの壁が審査の壁でございます。それが今回まったく触れられていないというの はちょっと心外でございます。医療クラスターにつきまして、共同開発した医療機器に ついて国民医療の水準の観点からも迅速に医療の第一線に提供されていち早く国民に提 供されるというのが大事だと思います。したがって生み出された成果につきまして医療 上のニーズが特に高いものについて優先的に迅速審査する、こういう仕組みを構築して いただきたい、これをぜひ挿入したいと思います。 ○ 高久座長  それはナショナルセンターの仕事になるんですかね。むしろ厚労省、あるいは審査セ ンターの仕事じゃないんですか。いま、和地委員のおっしゃることはですね、ナショナ ルセンターの仕事ではなくて、厚労省なり審査センターの仕事であるのではないでしょ うか。 ○ 和地委員  厚労省の仕事としてもですね、こういうナショナルセンターで取り扱ったものについ ての優先審査、特に重要なものについての審査ということに触れないとですね、今度の 医療クラスターの中に医療機器が入りましても、実体的に活用がやっぱりできない、あ るいは魅力がないということになると思いますので、ぜひこれは入れていただきたいな、 と思います。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ。 ○ 青木委員  11ページの「終わりに」の中ぐらいに、「期待される役割が十分に発揮できるよう、 運営費交付金や施設整備補助金の仕組み等について検討を進めるとともに、人件費につ いても」と書いてありますが、これはこれまで議論してきたように非常に大切なことだ と思います。運営費交付金等がだんだん先細りになるという現在の独立行政法人の運営 からは、NCはイグゼンプトであるということをもっと明快にしていただくとありがたい んですけども。 ○ 高久座長  紙に書いた方が。あまり露骨に書くと反発を買うかもしれませんけども。他にどなた か、どうぞ。 ○ 金澤委員  今、青木委員、高久座長のおっしゃったこととダブルのですけども、「検討を進める」 という表現はいかにも後ろ向き、下手をすると後ろ向きの検討だってあるわけですから、 「特別に配慮する」とか何かちょっと別の表現がほしいですね。 ○ 高久座長  配慮する必要がある。この文章には「必要がある」というのがやたらと出てくるんで すけども。ちょっと少し整理した方が、今のは私が自分で引いておかしいんですけども。 ○ 国立精神・神経センター総長  今のことに関連して私どもナショナルセンターにおります者の立場からも非常に大事 なポイントだというふうに認識しておりまして、先ほど高久座長は終わりは非常に大事 だとおっしゃいました。終わりに書かれる書かれ方は、いま金澤先生からもご指摘のあ ったような積極的な表現にしていただくのが一つですし、これについては前のところに あまり表現されている箇所がはっきりした形ではないように思うんですね。断片的には 書いてあるんです、それぞれ。だけれども、もし可能であるならば一つ項目を立ててい ただいて、ちょっと具体的なことを申して恐縮なんですが、例えばの話なんですが、終 わりの前のところの6番目まで「課題達成にふさわしいNCのあり方等」というまとめが あるので、その後に例えば7番目として「必要な財政的措置及び制度的措置」というよ うな項目でもう一度ここのところで今の内容を触れていただいて、それを受けた形で終 わりの中にまとめがあるというふうな格好であると非常に関連が強調され、はっきりし てくるのかなというふうに思ってちょっと発言させていただきました。 ○ 高久座長  これは5ページのところですね。 ○ 国立精神・神経センター総長  7番目、9ページ。一つ前でございます。終わりの前のところで。 ○ 高久座長  わかりました。他にどなたか。どうぞ。 ○ 国立国際医療センター総長  各論的なことでもよろしゅうございますか。3ページのですね、(2)の「基本的方向性」、 その中に政策医療の牽引車として3つの役割がある。臨床研究の推進、医療の均てん化、 それから政策医療の総合的な展開。私いつも思うのは医療の均てん化ということは言葉 としてたびたび出てくるんですけども、均てん化すべき医療が何かというと、それは当 然先駆的医療、それからもう一つは標準化医療のこの二つだと思うんですね。ですから (1)の臨床研究の推進、臨床研究というのは結局先駆的医療法の開発、それから標準化医 療の確立。この二つのための臨床研究だと思いますので、この(1)の最初のポツ、臨床研 究の前に先駆的医療の開発及び標準化医療の確立のための臨床研究、というふうにする とより明確になると思いますし、その臨床研究を単に「統括・調整」するだけでなく、 臨床研究を実践するとともにその「統括・調整者」の役割を担う。NCが自ら実践すると いうことを明確に記載するのがいいんじゃないかと思います。そうすると(2)で均てん化 すべき医療がどうやって手に入るかが(1)のところで明確になると思います。 ○ 関山国立病院課長  今のお話ですとちょっと文章が複雑になってしまいますので、(1)の2つ目のポツがあ るんですが、これにより高度先駆的医療等という「等」の中に実はそういうさまざまな モデル医療の実施とか高度先駆的とは言わないまでも先駆的医療といったものを含んで おりましたので、ここのところをより明確化させていただきたいと思いますがよろしい でしょうか。あと実践についてはですね、こういった3つの役割というものはやはり実 践を踏まえてこその話になりますので、したがってそこは実はどういう構成かといいま すと4ページ目をお開きいただくと、牽引車となるための仕組みは以下の通りというこ とで、成果を継続的に生み出していくNCの基盤は研究所と病院とが高度専門性を有した 上で、と高度専門性をきちっと持った上でやっていくんです、と。そしてその際、資金 投入も必要ですと、こういったところを書いておりますのでご趣旨のところは十分踏ま えた文章になっていると思いますけどよろしいでしょうか。 ○ 国立精神・神経センター総長  3ページに戻っていただくと、(1)のポツの2つ目ですね、今おっしゃった「高度先駆的 医療等」というところを、その「高度先駆的医療及び標準化医療の確立のための臨床研 究」と入れていただいた方が明確になりますね。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ。 ○ 国立成育医療センター総長  成育医療センターですが、小さなことで申し訳ないんですけども、4ページの下の(2) のところにいわゆる高齢化、社会的な問題として高齢化ということが書かれておりまし て、それよりも前の方には現在超少子高齢化ということが書かれてまして、全体を読ん でみますと、いま日本は少子化に悩んでいるところでございますけども、確か辻次官が 前々回おっしゃった通り、「少子化の中で安心して子どもを生み育てることが大切であ る」というご発言をされたように僕は覚えていますけども、報告書案を通してみますと、 少子化についての対策はどこにも書いていないので、前回私は申し上げなかったので大 変申し訳ないんですが、ぜひ4番目の(2)の「医療の均てん化に関して云々」、「高齢者 の在宅医療システム云々」のところで、「少子化の中で安心して子どもを生み育てるた めの施策」というような言葉を入れていただきませんと、今の日本としてはこういう会 を開いて少子化に対する対策を何も語られていなかったということになりますので、ぜ ひこの辺をご理解いただきたいと思います。 ○ 高久座長  ありがとうございました。どうぞ、廣橋先生。 ○ 国立がんセンター総長  先ほど国立病院課長の方からですね、政策医療の牽引車として果たす役割である以下 の3点、臨床研究の推進、均てん化等の推進、政策医療の総合的かつ戦略的な展開につ いては、NCでの実施は具体的に推進する上で当然やるべきことと次に整理してあると説 明され安心した。5ページの、病院機能に関する説明のところの4行目にですね、「この ため、病院の役割が単に医療提供の『実践者』ではなく国の負っている・・・」という 文章がありますね。この部はすでに「医療の実践者から」というのを取っていただいた んだと思うんですけども、さらに明確に「『実践者』ではなく」というのを「『実践者』 としてだけではなく」と、実践者の部分もあるわけですから、そこを明確にしていただ けるとありがたいと思います。 ○ 高久座長  ではここに「単に」と書いているのを。 ○ 国立がんセンター総長  そこをさらに明確にという意味なんですが。 ○ 高久座長  そうじゃないかと思いましたが、これはまた検討してみてください。 ○ 国立がんセンター総長  それからもう一つ続けてよろしいでしょうか。臨床研究の実施はもちろんのこと、 「統括・調整者」としての役割を果たす。3ページのところもそうですし、研究につい て具体的に書いてある6ページのところも関連するんですけども、「統括・調整」機能 を果たす上で、あるいはネットワークを実際に組んでいろいろな施策を進めていく上で、 研究費を配分していくという機能は非常に重要なんです。非常に大きな活力になります。 ファンディング・エージェンシー、研究費配分機能についていろいろと検討されている ことは存じ上げておりますので、今後検討しなければならない課題であるということな らば、そういうふうに書き込んで進めていただくことが必要ではないでしょ うか。 ○ 高久座長  その問題はこの会ではあまり議論してこなかったですね。どうですか。 ○ 関山国立病院課長  ファンディング・エージェンシーについては、まさにこの事案は内閣府の方でどのよ うにあるべき姿に整理するかという議論が今なされておりまして、一方、厚生科学審議 会の中でもそういう審議をしている最中です。したがってどういう書きぶりにするかは また座長ともご相談させていただいて整理させていただければと思います。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ、唐澤先生。 ○ 唐澤委員  全体に賛成なんですが、5ページの(4)のポツ4つ目なんですが、ここは何かいくつかの ことを含んでいるようですので、もう少し整理してみてはどうでしょうか。それから 「とりわけ希少性疾患又は市場規模の小さい」という記述がありますが、これが大変に 重要な課題でもあるでしょうから、これは別にまた出せませんでしょうか。「医薬品及 び医療機器の開発」、「高い開発リスクを有する新規市場分野を中心に対応」とありま すが、これと先の「希少性疾患」と両方くっついていますので、私、これを直していた だいた上で、この最後の「終わりに」で金澤委員がおっしゃったですね、真ん中の段の 「期待される役割が十分に発揮できるよう・・・仕組み等について検討を進めるととも に」とあってですね、検討を進めるも弱いし、それからその後の「併せて検討すること を期待する」などという非常に腰が引けた表現になってますが、ここを少し明確な記述 に直していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。 ○ 高久座長  ありがとうございました。どうぞ、北村先生。 ○ 国立循環器病センター総長  7ページをご覧いただけますでしょうか。7ページの上の方の4つ目のところ、病院及 び研究所の管理職において任期付任用、あるいは公募制を基本とする。この官職という のは非常に曖昧で、理事長等も含むことになるのかどうか、といったこと。それから 「人材育成」のところの「各種人材育成については、その量より質に着目」すると書い てありますが、今まで質が悪かったと言わんばかりですので、その「量より質に着目」 は不要ではないかと思っております。それから10ページの(3)の一番最後の行の「主な 具体策」も決まったようなんですが、「各NCの代表を主たる構成員として、審議会に部 会を設ける必要がある」とありますが、これはやはり既存の審議会に部会をくっつける のであれば、多くのナショナルセンターの総長もそれに参加することが適切であります し、また審議会というものを新たに作る必要があるのじゃないかという気もするんで、 この審議会という言葉が意味するところが不明確なような気がいたします。いずれにし ても先ほどからの議論にもありましたように、昨年の閣議決定の必要な制度的・財政的 な措置を講じた上で独法化させるというその観点をやはり私も、いくつかに個々にわか れて書いてあるんですけども、明確に強調していただくことができればと思います。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 関山国立病院課長  7ページの管理職でございますが、これは病院及び研究所ということでありますから、 総長は含んでおりません。 ○ 高久座長  院長は。 ○ 関山国立病院課長  基本的にはということですが、場合によっては入る場合もありましょう。それから7 ページでありますが、ここは今も質を重視しているということであれば、「より一層質 に着目した」というようなことでいかがでしょうか。それと「指導者の中の指導者」と 言ってますので、そういったこともお汲みいただければと思います。それから10ページ の審議会ですが、審議会については平成11年ですが、「中央省庁等改革の推進に関する 方針」ということで新たな審議会を設けるということについては「原則新設しないこと とする」ということになっておりますので、したがって既存の審議会の中で新しい部会 というものを設けて、ナショナルセンターの総長が一同に介して委員となって出席して いただくということであります。 ○ 高久座長  他にどなたか。 ○ 国立循環器病センター総長  部会が新しい。審議会は既存である。部会としては委員が入るということですね。 ○ 高久座長  廣橋先生、それでは。 ○ 国立がんセンター総長  ただ今議論されたことにも関連するのですけれども、このことはいろんなことにつな がってるんですね。国への政策提言をどのように担保される形にするのか。NCが国と一 体となって政策医療を推進する上でどういう所管と仕事をしていくべきか。そしてNCが 6つの独立した法人となる。そういったもの全体をまとめて制度をどういうものにした らよいか考える必要があると思います。独立行政法人化したNCに対する国の関与等のあ り方、9ページの問題に関しましても「緊急かつ一時的」な本来業務外の場合は当然の ことだと思うんです。むしろそれよりも「緊急かつ一時的」でなく本来業務内の場合で あっても、急にアスベストの問題が起こるとか、対策を講じなくてはいけない問題につ いて、本省とわれわれが一体となって対応すると、そういった仕組みをどう作るかとい うことに方針を出すことが非常に大事で、この問題をぜひ議論いただければと思います。 ○ 関山国立病院課長  今お話しなされたのはおそらくこの文書の中でも十分整理ができていると思いますが、 アスベストが出た場合、これは、まずどの省庁で対応するんだろうということで関係す る環境省なり、あるいは厚生労働省なりがまず役割分担を決めて速やかに危機管理をや っていくということだろうと思います。その上で厚生労働省としてどのように対応する かということでありますので、したがってアスベストの中でも厚生労働省としての取組 みをどのようにするかということで公衆衛生上の重大な危害が生じる場合ということで 整理されますと、そういう要求が発動されるということになろうかと思います。一般的 にはそのような流れになるんだろうと思っております。 ○ 国立がんセンター総長  本来業務内のものでも、さらに追加的に対応が必要になったものについてですね、5 年間とか一定期間の中期目標の見直しまで待ってやるようなことではなくて、迅速に本 省と一体になって対応することができるような本省とNCの関係の構築が必要なのではな いでしょうか。 ○ 関山国立病院課長  今のお話ですと、既にここの本来業務内、「緊急かつ一時的」な場合で大臣が実施要 求しつつ必要に応じて中期目標等を見直すというところに入ってきます。本来業務外で すとさきほど申し上げた実施要求のみということになりますが、本来業務内ですとこれ は場合によっては恒久的に対応しなければいけないということで中期目標を期半ばであ っても見直していくということになるかと思います。そういった問題については危機管 理でございますので、速やかに対応していくと、そういう態勢作りになっていくと思い ます。 ○ 矢崎委員  「終わりに」、でよろしいでしょうか。また。この中でですね、病院の位置づけが何 も書かれていないので、独法化で何が一番問題になるかというと病院の運営が極めて難 しくなるんではないか。いま国立大学の附属病院が存亡の危機になっているのは運営費 交付金が効率化指数で、比率で減額されると同時に、病院経費が改善指数ということで 両方から言うなれば雪隠詰めみたいな状況になっているんですね。おそらく独法化のと きにそういう議論があまりなかったんではないかと思うんですね。ですから、ぜひこれ は独法化後の病院運営が課題になると思いますので、単に運営費交付金とか検討すると いう以上に、もう少し病院の機能が特に臨床研究を主体としていくということを強調し て、診療報酬とか改善指数とかそういう影響から外に置いた病院運営が大事なんではな いかとここに書き込んでもらえれば大変ありがたいと思います。 ○ 高久座長  最終だけでなく、中でも言っておく必要があるんじゃないですかね。どこがふさわし いのか。 ○ 関山国立病院課長  4ページの「牽引車となるための主な仕組みは以下のとおり」の2つ目のポツで「その 際、研究機能を継続的に維持することができるよう」にというように書いてありますが、 これをもう少し受けた形で終わりにということで研究に着目した事項についての運営費 交付金のあり方であります。そういうことで整理してみたいと思います。 ○ 高久座長  関連することについてどうぞ。青木委員ですか、どうぞ。 ○ 青木委員  9ページの「独立行政法人化したNCに対する国の関与等のあり方」の「視点」ですけ ども、「厚生労働大臣に認可を受けた中期計画に沿いつつ」とあります。我々のような 企業ですと、中期計画は実行計画と予算で成り立っており、両方が承認されないと動き がとれません。この中期計画の中には予算も含まれてると捉えてよろしいんでしょうか。 通常は予算の裏付けが実行計画を進めていく上で必須になると思うんですが。 ○ 関山国立病院課長  中期計画の中においては予算の収入・支出の見込みというのを5年間の状況について 書くことになっておりまして、国立病院機構においてもそういうようなやり方をやって おりますので、当然入ってくるんではないでしょうか。 ○ 青木委員  それはいったん承認されれば5年間は保証されるということですか。 ○ 関山国立病院課長  保証というか、そういった予算の範囲の中で運営を見込んでいこうではないかという ことです。 ○ 青木委員  運営費交付金等についてもそういう予算の中で5年間保証していただけるとよろしい んですが。 ○ 関山国立病院課長  保証というか、5年間そういう予算を立て、毎年度毎年度、厚生労働省独立行政法人 評価委員会の中でチェックしてまいりますので、そのチェックしたご意見を踏まえなが ら運営をしていくということで、その状況状況によって若干推移はあるものの、そうし た財政的な整理というものはなされております。 ○ 国立成育医療センター総長  今お話になった5年間の経営状況ということですけども、これは機構側で書かれてあ る5年ごとに見た経常支出を100とすることを目標とすると、そういう意味のお話だと考 えてよろしいんでしょうか。 ○ 関山国立病院課長  国立病院機構においては病院経営においては収支相償というようなことで整理されて おります。そういったどのように病院運営を収支上していくというランニングコストの 部分、それから収入についてはストックの施設整備補助金というもの、運営費交付金と 施設整備補助金、それから長期借入金等の状況についてどのように収入を確保し、そし てその5年間で支出はどのように出て行くのかということについて計画を立ててまいり ますので、支出についても業務経費とか施設整備とか借入金償還、支払利息等、したが ってそういう今ご指摘の内容も出てくると思います。 ○ 国立成育医療センター総長  すると予算の中の収入というものの中に運営費交付金は含まれないんですか。それを 混ぜた上での比較。 ○ 関山国立病院課長  運営費交付金は含まれます。 ○ 金澤委員  ちょっと蒸し返すようで恐縮なんですが、さきほど矢崎先生がおっしゃったことが非 常に大事だと思いまして、もう一度関山課長に聞きたいと思います。さきほど矢崎先生 おっしゃったのは100パーセント賛成なんですが、川崎前大臣がおっしゃったようにNC の持つ機能をきちっと明確化した上でそれが可能なように措置をして独立行政法人化と いうことをおっしゃっていたわけです。それを具体化するにはいま矢崎先生おっしゃっ たように相当いろいろなことを特別に考えないとなかなか技術的に難しいのではないか と思っておりました。ですから、高久先生もそれをご支持なさったので非常にありがた いと思っています。それを関山課長はなにか表現されたんだけど、僕はちょっとフォロ ーできなかったのでどこをどういうふうに表現してそういうニュアンスをお出しなんで すか。ちょっと具体的にもう一度言っていただけますか、すいません。 ○ 関山国立病院課長  したがって今のようなお話ですと、4ページの「牽引車となるための主な仕組みは以 下のとおり」の2つ目のポツがありますが、「その際」というところであります。ここ に運営費交付金を導入する。それから11ページについてはさきほど矢崎委員からご指摘 のあった文言を入れるということではいかがでしょうかと。「研究主体とした特性に鑑 み」というようなことを11ページの運営費交付金のところに。 ○ 高久座長  この11ページのところの「確保するよう期待する」ではなくて、「確保する必要があ る」という表現でいいと思います。また、「検討を進める」のではなくて、「十分に配 慮する」という表現でいいと思います。勝手な言い分ですけども。それから細かいこと ですけども、人材養成というのが、人材育成ですか、7ページにありますね。今まで人 材育成というと均てん化ということでずっと人材育成を結びつけてきたから、アジア等 の優秀な人材も受け入れるという場合に、「国際医療協力の観点から」ということも入 れておかないと少し混乱するのかなと思います。それからもう一つは4ページにですね、 「医療研究センター」という言葉が出てくるのですけども、あまり医療研究ということ を聞いたことがないのですが、臨床研究センターにするか、研究センターでもいいです けども医療研究というのはあるのですか。どうぞ。 ○ 本田委員  私も高久会長がおっしゃったところがちょっと気になっていまして、「医療研究セン ター的機能」、これ全部を読むと意味はわかるんですけども、これだけ聞くと研究を推 進する、その研究も日本人的にいうと、一般的に研究というとどうしても基礎研究のイ メージがついてしまっていて、もっと臨床研究をきっちりやっていくんだということを 明確に表すために言葉を作っていただけないかなと、例えば5ページの「研究重視型病 院」というのがありますけども、その前に「臨床に反映する」と書いてあるのでわかる んですけども、「臨床研究重視型病院」とかですね、臨床研究をやっていく病院なんだ っていうことを明確にしていただけると国民にもわかりやすいのではないかと思います。 さらに、そういうことがこれからの医療の発展、医療の水準を高めるんだということへ の理解がないと、先ほど皆さんが議論をされていた、とても大事だと思うんですけども 費用の問題、交付金等の予算の問題にもやはり国民の理解というものがそこにないと、 何でだという話になりかねないので、そのへんを明確にしていただけたらと思います。 もう一つだけ意見したいのが、10ページの6の4つめの○で「NCが政策医療の牽引車とし て役割が果たせるよう」にというところなんですけども、「患者等からの声を運営等に 活かせる仕組みをつくる」というふうに明記していただいたことにありがたく思います。 そういうこともないと、国民のニーズ、患者のニーズを直接対話の中で議論して、反映 していく、そういう形で医療政策になっていくんだということがあれば、もっと理解が 深まるのではないかと思いますので、これをぜひ各NCでやっていただきたいと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。他にどなたかご意見おありでしょうか。どうぞ、矢 崎委員。 ○ 矢崎委員  ちょっと、事務局の意向に反するかもしれませんが、医療の均てん化というのが少し 気になるんですが、というのはNCとしては、臨床研究を推進して、先駆的な医療を広め るという意味の均てん化だと思うのですが、後で出てきますが、医療の均てん化という のは標準的な医療の推進ということですね。これについては、最近、がんとかエイズの 治療で、にわかに注目された課題であって、政策医療としては確かに重要ですが、やは り標準的な医療の確立、どの分野でどのようなレベルが基準になるのかというちょっと 曖昧なところがありますね。一方、指導的な役割を担う人材育成とか牽引車として実践 の一部を担うとなると大変なエネルギーと時間が必要となって、その本来の「基本的方 向性」の(1)の臨床研究の推進、先駆的な医療の開発と政策提言という機能がですね、後 でいろいろ過大な負荷が加わってしまって、本来の使命が果たせなくなるという危惧も あるのではないかということで、少し留意していただければと思ったのですが。 ○ 高久座長  どうですかね。どうぞ。 ○ 国立国際医療センター総長  今おっしゃったように、均てん化の場合、一つには先駆的医療の開発とその均てん化 だと思うのですが、もう一つはやはり糖尿病なら糖尿病、学会が定めたガイドラインと かですね、標準医療があるんですが、あるいは学会がまだ作っていない例えば肝炎に関 する標準的な医療、モデル医療となるとなかなか学会でもまだコンセンサスが得られて いない、そうなるとやはり、その拠点病院としてのNCが国際的にあるいは国内的ないろ んな情報を収集し、それを評価し、あるいはダイジェストして、そしてモデル医療とな るようなものを作り上げ、それを情報発信、均てん化するという役割が大事なことなん ではないかと思います。 ○ 矢崎委員  笹月先生の言われることはよくわかるんですが、実際に均てん化する時にですね、日 本全国にいろいろな病院が、レベルが違ってて格差がありますね、その均てん化を実現 するために、先生のおっしゃる情報発信、確立まではいいのですが、実践まで担うとな ると、人材確保とかそういうのには膨大なエネルギーが必要じゃないかと、ですからま ったく均てん化については笹月先生の言われる範囲内でやって、実際に地方に行ってい ろいろ指導するとか、そういうことになるとものすごく大変な負担になりますので、そ うならないようにということでNCとしての役割の部分を明確にしといた方がいいのでは ないかという趣旨なんです。 ○ 国立国際医療センター総長  例えば、私どもの場合の例で申しますとACC、エイズの新しい標準的な治療法の確立、 それの均てん化という場合に、エイズのネットワークでは、全国にブロック拠点病院と いうのが8つありまして、その下に各都道府県一個の拠点病院がある。ですから我々と しては、ブロック拠点病院までは、人を集め指導したりしますが、その先はブロック拠 点病院がさらに自分たちが担当する拠点病院を指導し、あるいは情報を発信するという ことで、先生がおっしゃるその仕掛けの中で、一番末端まで出向いてということはもち ろんキャパシティとしても出来ないと思います。最初のところ、確立しそれを情報発信 する、そうするとネットワークがきちんと出来ていれば、それが本当に有効に働くとい うそういうスキームを考えています。 ○ 高久座長  どなたか、どうぞ廣橋総長。 ○ 国立がんセンター総長  同じようなことですけれども、均てん化というのはある意味では拠点化でもあるわけ です。標準的医療の確立の研究というのは今現時点で一番これが良いと思われているも のに対して、もっと良いかもしれないというアームを比較することで新しい医療を提供 していくことで、これこそ医療のゴールドスタンダードを提供していく方法だと思いま す。これに関しても拠点病院の方に一緒に参画していただいて、多施設の共同研究をす るという形で広げていって、さらに拠点病院の方々とも一緒に専門家を育成するような 形で均てんを進める。こういう形で均てん化と拠点化を合わせて、効率的に進めるのだ ろうと考えています。 ○ 高久座長  わかりました。他にどなたか。どうぞ、唐澤委員。 ○ 唐澤委員  均てん化のことでございますけれども、各地域的に、先ほど医療的な格差といいます か、かなり違いがあるということですけれども、やはり各地域ではですね、均てん化し てもらうというのを待つのではなくてですね、自らが進んで求める責任があると思いま すので、それに応じて情報を発信し、体制をつくっていただくということで私は十分だ と思いますね。人的に誰かが出向いて何かしなくちゃいけないというのは非常に限られ ますので、それはそこでどこかの拠点にお出かけになるということで十分だと思います。 その上で各地域でですね、どの程度均てん化してるかということだけは確認していただ ければということかなというふうに思いますけども、どうでしょうか。 ○ 高久座長  むしろ派遣よりは、地域の人が短期間でもNCに行って技術を学んで帰るという方がは るかにインタラクティブだと思いますが、他にどなたか。どうぞ。 ○ 国立国際医療センター総長  言葉の問題なんですが、気になるので、4ページですね。(3)の最初の○の(1)のところ の最後の方にカギ括弧で「医療クラスター」というのが出てきて、その後しばしば「医 療クラスター」という言葉が出てくるんですけれども、「医療クラスター」というのを 一般の人が聞くと何か専門のことをやる病院があって、その周りにまた総合病院があっ て、あるいは診療所があってというような、要するに診療機関のクラスターというイメ ージだと思うんです。ここでいう「医療クラスター」というのは、おそらく臨床研究の 開発、研究のためのクラスターということだと思いますので、「開発研究クラスター」 という言葉の方が現実的で誤解を招かないのではないかと思うのですがいかがでしょう。 ○ 高久座長  前に説明はしてますね。具体的には云々ということで、ずっと、前に書いてあること が医療クラスターの説明ですね。そうじゃなかったですかね。 ○ 国立国際医療センター総長  そういうふうに出てきますけども、何か一般的に医療クラスターというと医療機関の 集合体、ファンクションの違った医療機関の集合体というようなイメージを得るんじゃ ないかと思ったので申し上げました。 ○ 高久座長  どうでしょう。 ○ 金澤委員  先ほどの話を伺っていて気がついたんですが、4ページあたりですね、「今後NCが求 められる主要な役割」の中に、今までやっていたのではないかと思ったんですが、研修 というものはですね、その言葉を使って位置付けられていないのですね。人材育成の中 かなと思っていたんですが、もうちょっと人材育成というのは長い時間にわたっておい でいただいて一緒に仕事をしてということかなと思うのですが。必ずしもそうじゃない? 研修という言葉を使わない理由は何ですか。今、実際にかなりいろいろな研修をやって いるんですね。例えば、前におりましたところでは。その辺はどうなんでしょうか。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 関山国立病院課長  研修については、高度専門医療センターの4として整理されております。今回につい ては、まさにNCの組織を活用してキャリアパスを作って、そしてその中で、きちっとし た研修も抱き合わせながら作っていくという一つの方式と、それと地域医療を担う医療 の均てん化に資するような指導的な役割の人材育成の方々を育成していくという二点が ございましたので研修という言葉よりは若干広いかもしれませんが、人材育成というこ とで今回は整理させていただきました。 ○ 金澤委員  両方やるという意味ですか。研修という言葉を使わないけれども。 ○ 関山国立病院課長  はい。 ○ 金澤委員  わかりました。わかったことにしましょう。 ○ 高久座長  「医療クラスター」というのは、笹月先生は何クラスターとおっしゃられましたか。 ○ 国立国際医療センター総長  「研究開発クラスター」。 ○ 松谷医政局長  この「医療クラスター」という言葉が妥当かどうかということを今、笹月総長の話が ございました。確かに病院を中心にしたようなイメージになってしまっており、若干適 切ではないのかもしれませんが、実はクラスターという言葉はここ数年、5年くらいで すかね、はやりで多分、研究開発クラスターというのはもう少し工学的なものその他も 含めて経産省、あるいは文科省が既に政策として出しているものが確かあるような気が します。それから地域クラスターというのが別途あったりですね、ここはむしろ病院が 必須のものとしての、臨床研究を中心とした、それに関わるいろいろな機関、施設、機 構が集まって行うということで、ここに定義があります。それを「医療クラスター」と 言います。実は先般、厚生労働省で「5ヶ年戦略」というのを作った時に「医療クラスタ ー」という言葉をもう既に使って、公のものになっておりますので、申し訳ございませ んけども、定義はここに書いてあるとおりで「医療クラスター」という言葉は現時点で は変えられないということだと思います。 ○ 高久座長  という、局長さんのご発言ですけども。他にどなたか。 ○ 和地委員  4ページの一番下の(4)で広報の必要性を言っておられますね。いわゆる国民向けの、 医療機関向けの広報を行うというようになっていますが、5ページの「具体的に担う主な 分野」で、「患者への医療に対する理解を支援する手法の開発」ということなんですが、 もうちょっと幅広くですね、「国民への医療に対する」ということを入れてかなくてよ ろしいのかなと、今、やはり国民の支持がないとなかなかですね、難しくなってきてい ることからしますと、患者さんだけということよりもうちょっと広くならないのかなと 思うのですがいかがでしょうか。 ○ 高久座長  これはどうですか。 ○ 関山国立病院課長  そういったことでわかりやすければ、入れさせていただきたいと思います。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ青木委員。 ○ 青木委員  「医療クラスター」の話に戻りますが、言葉以外のことで一点申し上げます。「医療 クラスター」と言いますと、ここにあるようにベンチャー、関連する産業界、いろいろ な医薬品、医療機器も含めての活動になると思いますが、こういうことをやるためには、 当然のことながらまず土地の手当、建物の手当、地域行政との話し合いとか、そういっ たことが必要になると思います。こういうこともNCの責任の中に入れるということなん でしょうか。「医療の均てん」などはNCの責任範囲の中においてやれることなんですが、 「医療クラスター」というものの全般的な運営を、NCの責任の中においていいことなの かなという問題意識を持ちます。NC以外にいろいろなところが絡んできて、それぞれの 責任範囲を明確にする必要があるんじゃないでしょうか。 ○ 高久座長  これは入ってくると思うのですが、私の理解では、NCがコーディネーター的な役割を 果たすというふうに理解していましたがそうでもないですか。 ○ 関山国立病院課長  16ページの資料5、「クラスターの形成(イメージ)」のところですが、NC自体は特 定疾患の患者さんの集積性が高くて、そこにおいて専門集団を有するという臨床面にお いては強みをもっていると、こういう強みを活用して、より一層研究開発を推進してい くという枠組みとして「医療クラスター」をやる。従って、責任というような文字で置 き換えられるかというと、そういう役割を担っていこうということを考えております。 従って、それに対する所要の手当というのも今後検討していかなければならないと思い ます。 ○ 青木委員  お話はよく理解できますが、NCというのはこれからは自立的な組織である、政府の干 渉なり援助というのは最小限にする、という動きの中で、地域との関わりを含めて非常 に大きな活動をNCの責任だけでやっていただくのか、それとも地域の行政なり国の方か らいろいろな面での援助もあって協働作業としてやるのか、という根本的な問題につい てどっちなのかなという疑問を持ったわけです。 ○ 高久座長  どうですか。 ○ 関山国立病院課長  まさにそういった「医療クラスター」はNCだけがやろうと思ってもできるものでもな いということで、この報告書の中においても産業界等々、「医療クラスター」を進める に当たって協議会を設置して、協議会を設置しながら具体的に進めていきましょうとい うことになれば、場合によっては地元行政の自治体も入ってくる可能性も無くはないと 考えていますが、やはり産業界とか医療機関とか、そういったメンバーが対象となって このクラスターを形成していくと考えます。 ○ 金澤委員  別件でよろしいでしょうか。先ほど、私が質問をした研修については資料9を拝見し ますとここにちゃんと出ておりますので、質問を撤回いたします。ここにちゃんと書い てあって、両方出来るようになっているようですから、失礼いたしました。それが一つ。 それからもう一つはですね、言葉の問題なんですが、医療機関という問題です。8ペー ジの(2)に「目標」というのがございまして、均てん化を進めるためにということです けども、それに続いて、「NCと都道府県の中核的な医療機関等とのネットワーク」を構 築し、確かに大事なところだと思うのですが、この医療機関というものの中に大学など のような医育機関も入っているのですか。それがちょっとわかりにくい。これ、資料の 8,9にかなり関係してくるので聞きたいのですが。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 関山国立病院課長  都道府県の医療機関あまたありますが、そこの中で例えばエイズですと中核拠点病院 という都道府県の中で一つ選べることになってきてまして、その中には県立病院の場合 もあるでしょうし、大学も入ってますでしょうし、そういった行政が指定してくるとい う枠組みはあるのではないかと思います。また、等のところはですね、何も医療機関だ けではなくて、自殺対策の場合、自殺対策センターがございますので、そういった場合 については、都道府県の精神保健センターといったようなところも地域の中核となって 連携の先になっていくのではないかというように思います。 ○ 金澤委員  そうなると資料8でですね、一番下に「大学等」というのと「医療機関」が分けてあ るのが何か妙な感じがするのですが。今の話はわかりましたけれど、資料8は、一番下 の二つ。 ○ 関山国立病院課長  ここはですね、人的交流でありますから、大学との人的交流もあるでしょうと。従っ て、場合によっては、NCの部長で大学から人的交流で来られる場合もあるでしょうし、 研究員として来られる場合もあるでしょう。そこは、今後は独法化になりますので、在 籍出向とかそういったものの仕組みというのも今後考えて行く必要があるのかなと思っ ておりました。 ○ 高久座長  よろしいでしょうか、どうぞ本田委員。 ○ 本田委員  5ページあたりの「病院機能に関しては」のあたりに関係することだと思うのですが、 患者・国民の方から新しいNCの役割を考えてみますと、もちろん臨床研究を重視して、 ここに書いてあるような政策提言に結びつけていく、医療の均てん化に結びつけていく ということはとても大事なのでそれを強めていっていただくことはいいことだと私は感 じているんですけれども、一方で、例えば、NCでの臨床研究に参加する患者という立場 になってみますと、紹介で行くのか、もしくは臨床研究に参加したいからと思って行く のか、いろいろなパターンがあるのかもしれませんが、一方で、今までの病院というイ メージだとそこでずっと診てもらえると思って患者はいるわけですよね。そうした場合 に、臨床研究重視型病院なので、ずっと最後まで診てもらえる病院という形でなくなっ た場合、例えば、NC本体でも病院機能を持って、臨床研究開発をやっていくということ は、これまでの議論の中で重要なんだ、だからベッドも重要なんだということをある程 度、私も理解してますけども、そういうことに参加した患者さんがずっとそこで診ても らう形ではない病院になっていくというなかで、NCでの臨床研究に参加した患者は、逆 に後、どうなるのかということが明確でないと、患者としてはちょっと不安だなという 見方もあるんですね、そういう病院なんだというのを明確にしていく一方で、ちゃんと NC自体もそういう研究に参加してもらった患者さんにはちゃんとした連携病院を紹介し ていくなりですね、そういう連携を持っているんだということを、もしくは、連携をち ゃんと持つんだというようなことを病院機能のところに書いていただかないと、患者側 としてはちょっと不安に感じて、NCでの臨床研究に参加するよりは違うところに行こう とかですね、変な敬遠の仕方になってはいけないと思いますので、そういう視点のこと をどこに書いていただければいいのかと考えていたんですけども、「病院機能に関して は」の、一番最後の「なお」みたいなところで、こういう「医療の提供に努める必要が ある」のあたりに、「患者さんの連携にもきっちり努めるようにする」とかですね、そ ういうことをちょっと書き加えていただいて留意していただければなと感じました。 ○ 高久座長  はい、他にどうぞ、廣橋先生。 ○ 国立がんセンター総長  ただいまの本田委員のご指摘は非常に大事なことです。医療としてだけではなくて、 新しい研究分野、モデル医療を作るという視点でも非常に大事な取り組みだと思います。 ぜひ進めたいと思います。それから前の発言の時のものなのですが、病院の方を臨床研 究重視の病院と整理するのは適当だと私も思います。もう一方で4ページのですね、 「牽引車となるための主な仕組み」のところの2つ目の「医療研究センター的機能」と いうところですけれども、これを「臨床」に変えるのには反対です。これは研究所も病 院も合わせて全体の機能を示しているんですね。そうすると、予防や検診を含め、全体 のことがありますので、それらを全部包括するものとして、医療という言葉を残された 方がいいのではないかと私は考えます。 ○ 高久座長  これは「医療」を全部抜いて「研究センター」でもいいかなと思ったんですが。 ○ 本田委員  質問なんですが、名称については「国立」を残すとか、それだけは書いてありました けど、「医療研究センター」という名称になるという意味でここに書いてあるんですか。 そういうわけではなくて、こういうものだというイメージを書いてあるだけのことなん ですか。 ○ 高久座長  これはイメージでしょう。そうじゃないのですか。はい、どうぞ。 ○ 関山国立病院課長  今後、NCとしての研究機能を中核とした、「医療研究センター」として機能を確立し ていこうということがまず一つあって、今後、名称については、最後の「終わりに」と いうところに書いてありますけども、今後私どもがこういった報告書を受けて、各NCの 独立行政法人の名称等の制度化については参考にさせていただきながら検討していくと いうことでございます。 ○ 高久座長  よろしいでしょうか。いろいろとご議論、ご意見をいただきましてどうもありがとう ございました。非常にたくさんのご意見が出ましたので、事務局の方でそのご意見をど のように今度の最終の報告書に入れ込んでいくかということは、少しご苦労されると思 いますが、事務局と私の方でもう一回よく見直しまして、私の方も気になる表現がいく つかありますので、今日のご意見を十分に活かした形で報告書の取り纏めを行いたいと 思いますけどもよろしいでしょうか。どうぞ。 ○ 関山国立病院課長  もう一点、恐縮でございます。先ほど、冒頭でご説明させていただきましたが、辻本 委員からの意見というのがございましたので、これについても5点ほどご意見ございま した、これらについてはそれぞれ取り入れるなりして何らかの対応をする方向で座長と ご相談させていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○ 高久座長  そのようにさせていただきたいと思いますので、よろしくご了承いただきたいと思い ます。よろしいでしょうか。それでは、最後に今日は次官が公務のためにご出席できま せんで、松谷局長さんの方から一言よろしくお願いします。 ○ 松谷医政局長  先生方には大変活発なご議論を3回にわたりまして、お願いをいたしまして本当にあ りがとうございました。国立高度専門医療センター、NCにつきましては、独法化という 非常に大きなインパクトのある節目がやってくるわけでございまして、これをぜひ良い 機会として前向きに乗り越えていきたいと私どもも考えておる次第でございまして、そ れに向けた大変良いご議論をいただいたのではないかと思っております。本来でしたら 辻次官参って御礼を申し上げなければならないところではございますが、所用がござい まして参れませんので、私から御礼を申し上げる次第でございます。今日もご議論活発 にいただきまして、また辻本委員からもご意見をいただいておりますので、これらを踏 まえまして最終バージョンの報告書を作成をしていきたいと思っております。皆様方の 目を通して、最終のものに、高久座長と相談して原案を作らせていただきたいと思って おりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは、これで第3回目の有識者会議を終わらせ ていただきたいと思います。第3回目といいましても多分これが最後になると思います ので、委員の皆様方、それから各NCの総長の皆様方どうもありがとうございました。  照会先:  厚生労働省医政局国立病院課  TEL 03-5253-1111(内線2633、2676)  担当 岩下、岩城