07/06/21 第8回医療施設体系のあり方に関する検討会の議事録について 第8回 医療施設体系のあり方に関する検討会 日時 平成19年6月21日(木)17:00〜 場所 ホテルはあといん乃木坂213号室 ○企画官(中村) 定刻になりましたので、第8回「医療施設体系のあり方 に関する検討会」を開催させていただきます。  委員の皆様方におかれしてはご多忙中のところ、当検討会にご出席いただ き、誠にありがとうございます。はじめに本日の委員の出欠状況についてご 報告いたします。本日は、五十里明委員、太田謙司委員、鈴木満委員からご 欠席とのご連絡をいただいております。  次にお手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第、座 席表及び委員名簿の他に、資料1「これまでの議論を踏まえた整理」、資料2 「緊急医師確保対策について」を用意しております。参考資料として、これ までの検討項目に関する各制度の概要等をまとめた資料をお手元にお配りし ています。  それから、先週公表しました「医療法第25条に基づく立入検査結果(平成 17年度)」を参考としてお手元にお配りしています。島村委員からご提出いた だいた資料「これからの医療提供体制と健保組合の役割」提言というペーパ ーをお配りしています。ご確認をお願いいただければと思います。  それでは、以下の進行については田中座長によろしくお願いいたします。 ○座長(田中) 遅くからの会議ですが、よろしくお願いいたします。お集 まりいただきまして、どうもありがとうございました。議事に入ります前に、 いつものようにこの検討会では委員欠席の際に、代わりに出席される方に関 して、ここで承認することによって参考人として参加し、発言を認めること になっております。本日の会議については、五十里明委員の代理として茨城 県保健福祉部長泉陽子様にご出席いただいております。また太田謙司委員の 代理として、日本歯科医師会専務理事村上恵一参考人のご出席をいただいて おります。この2人に参考人として出席し、発言いただくことについて承認 を求めたいと思いますが、よろしゅうございますか。 (異議なし) ○座長 前回に引き続き文部科学省からは三浦公嗣医学教育課長にオブザー バーとして参加いただく予定でしたが、所用により、文部科学省赤塚義英大 学病院支援室長に代理としてご参加いただいております。ご紹介申し上げま す。もし何かありましたらご発言ください。  それでは、議事に入らせていただきます。前回、前々回と2回に渡って、 これまでの議論を踏まえた資料に基づき、議論をさらに進めてきました。だ いぶこれらの問題についての理解が進んできたと私も感じますし、皆さんも 同じだと思います。今日は何回かの会合における議論を踏まえて、全体を整 理した最終的な資料を改めて事務局に用意してもらっています。目標として は、本日この資料についてご議論いただき、当検討会としてのこれまでの議 論の整理としてまとめたいと考えておりますので、協力をよろしくお願いい たします。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○企画官 それでは資料の説明をさせていただきます。資料1は、これまで の議論の整理ということで用意しました。前回と前々回で2巡目の議論をお 願いしたところです。したがって前回、前々回の資料を基に、さまざまなご 指摘をいただいた内容について、さらに付け加える形で資料の整理をしてお ります。また、内容の面でかなり重複のあったところ、表現の不適切だった ところを、事務局としても整理をした形で本日用意しております。  タイトルは「これまでの議論を踏まえた整理(案)」で、日付と検討会のク レジットを付けております。3行にわたって「はじめに」の言葉を書いていま すが、昨年7月にこの検討会を立ち上げ、これまでほぼ1年間にわたって、 多岐にわたる検討項目について議論をいただいてきました。今般、これまで の議論について以下のとおり整理を行うという形でまとめました。  まず、地域医療支援病院についてです。最初の○については、従前から示 している部分ですが、まず地域医療支援病院が果たしている役割について、 地域医療支援病院にふさわしい新しい姿、要件を考えることが必要であると いうことで、その役割をもう少し考えていくことが必要であるという基本的 な認識を書いています。その上で、その姿、要件を考えていくに当たって、 地域の医療連携体制を構築していく中で、果たすべき機能・役割の多様性、 地域の特性・実情を踏まえたあり方について検討していく必要があるという ことを書いています。「例えば」ということで、ご指摘をいただいた点を書い ておりますが、地域連携をする医療の拠点、連携に関する情報提供のセンタ ー機能、在宅医療のバックアップ機能などを果たすべきではないかというこ とで指摘があって、検討していく必要があると書いています。  2頁です。地域医療支援病院は二次医療圏単位で整備を図っていくという考 え方でやってきたわけですが、既に何度かご議論いただきましたように、ま だかなり未整備の地域があります。一方で、二次医療圏に複数の地域医療支 援病院がある地域もあるということで、そうした発想について、改めて、今 後対応していくべきではないかということで、そうした考え方を書いている 部分です。  それから(地域医療支援病院の承認要件のあり方)と書いてありますが、 地域医療支援病院の承認要件の中に位置づけたり、取り組みの強化を求めて はどうかということで、さまざまなご指摘をいただき、そこを(1)〜(6) という形で書いて、検討が必要であると書いています。  紹介率のあり方、門前クリニックについてもご議論いただきました。そう した点も含めて見直しが必要との指摘があり、さらに具体的な検討が必要で あるという点、地域医療支援病院を評価するための指標について検討が必要 であるという点を書いています。  特定機能病院についても、まず特定機能病院の役割として、高度医療の提 供等3つの機能があるわけですが、今後医療機関間の機能分化と連携を進め ていく中で、求められる役割をもっと明確にしていく必要があるという基本 的な認識をまず掲げています。  特に特定機能病院が提供する高度医療の内容については、もっと明確化を 図る必要があるというご指摘をいただいており、今後はデータ等も踏まえて 検討していく必要があります。特定機能病院が高度医療の提供等に専念でき るように外来機能を含めて、一般的な医療への対応は縮小していくべきでは ないかという指摘があります。一方で、医療従事者の教育機能、入院患者の 退院後の対応等を考えれば、一定の外来機能は必要ではないかという指摘も あります。こうしたことを踏まえて、特定機能病院の役割を踏まえた検討が 必要だということです。  「なお」のところに書いていますが、そうした検討に当たって、患者の受 療行動に対する経済的誘導策について、その是非及び有効性を議論してはど うか、という意見があったと書いており、選定療養等作用の議論もあったこ とをここに触れさせていただいています。  特定機能病院と大学病院の関係についても、さまざまなご議論をいただき ました。特定機能病院のほとんどが今は大学病院であるという現状に照らせ ば、特定機能病院という制度なり名称そのものが、非常にわかりづらいので はないかということで、見直しが必要ではないかという指摘がありました。  また、大学病院が必ず特定機能病院である必要はないのではないかという 指摘もいただいており、検討が必要であると書いてあります。  特定機能病院の承認要件のあり方についてですが、まず高度医療を特定の 疾患に対して行っている病院があるわけで、そうした機能を持っている医療 機関であれば、その規模にかかわらず特定機能病院として承認しても構わな いのではないか、という指摘があります。  こうした指摘に対しては、特定機能病院としては総合性が欠かせないので はないかということで、合併症併発や、複合的な疾患への対応能力が大事だ、 という指摘をいただいており、引き続き検討が必要である、という形で議論 を整理しております。  特定機能病院の承認を受けられている場合についても、すべての診療科で 高度な医療が行われているわけではないということを前提に、診療科別に評 価を行い、病院の一部について承認を行っていくことも可能にしてはどうか、 という指摘があります。  これに対しては、やはり総合的な対応能力を発揮するためには総体として 高度である必要があるのではないか。どの診療科も一定の水準を確保する必 要があるという指摘をいただいており、引き続き検討が必要ということで書 いています。  承認要件の関係ですが、例えばということで、以下の項目について承認要 件の中に位置づけたり、取り組みの強化を求めてはどうかということで(1) 〜(7)にこれまでご指摘をいただいている項目を掲げています。以上が特定 機能病院についてです。  3つ目のテーマは「医療連携体制・かかりつけ医、医師確保との関係につい て」です。まず医療連携体制の構築に関しては、医療連携体制の構築につい て、患者が可能な限り早期に居宅等での生活に復帰し、退院後においても継 続的に適切な医療を受けることを可能とする。さらには居宅等における医療 の充実による生活の質の向上を目指すものである、ということですが、そう した趣旨について国民に対して、その趣旨・方向性等をきちんと情報を提供 することが重要である、という基本的な考え方をまず掲げています。  その上で、医療計画の中で、今後医療機関の機能分化・連携を進めていく わけですが、地域において求められている医療機能に対応して、各医療機関 が自らの医療機能やそれに応じた体制をどのようなものとすべきか判断して いくことが必要である、と書いています。  「更に」のところは、そうした地域のいろいろな連携を考えるに当たって、 訪問看護について体制の整備・充実を進めていくことが必要ではないかとい う点。医薬品の供給体制についてはしっかり考えていくことが必要ではない かということで、薬局の役割あるいはそうした医薬品の供給面での休日・夜 間の対応等々について考えることが大事だということを書いています。  大病院における外来診療のあり方です。病院は主として入院機能を担うべ きであるが、一方で外来診療を行わなければ経営的に成り立たないという指 摘もいただいています。病院が入院機能だけで成り立つ形作りが必要ではな いかと考えられるわけですが、どのように対応すべきか、引き続き検討する 必要があるということで書いています。  患者の立場からすると、大病院で診断を受けたいという気持は強く、また 待ち時間等を考えても病院の受診に傾きがちではないかということで、大病 院志向にも一定の理由がある、という指摘もいただいています。  情報の非対照性というか、医学的な知識が必ずしも十分ではない患者にと って医療機関選択は難しい面があるわけですが、そうした点を踏まえて、一 方では病院に患者が非常に集中するという状態は、医療従事者のおかれた労 働環境、勤務状況にも過大な負荷がかかるという面もありますので、そうし た点にも配慮して、今後対応していくことが必要ではないかということで書 いています。  この点に関連して、地域の医療連携を確実に形づくっていくことが、患者 の大病院志向にも良い影響を与えるのではないかという指摘をいただいてい ます。併せて、休日・夜間等の病院・診療所の診療時間を、もう少し地域全 体で考えることができれば、患者の受療行動にも良い影響を与えることがで きるのではないかというご指摘をいただいており、それをここに記載してい ます。  次は、医療連携の体制の中でのプライマリケア及びそれを支える医師の位 置づけ・役割です。まずかかりつけ医について、かなりご議論いただきまし たが、その機能・役割について、もう少し明確にする必要があるということ で、基本的な認識を掲げています。したがって、機能・役割についてどうい うことが期待されるかということで、次の○に「例えば」として、これまで ご指摘をいただいた点について掲げております。それについて検討していく 必要があるということで(1)〜(5)に書いているようなことを指摘いただ き、整理をしています。  6頁です。その中で診療時間外の連絡体制のことに関して、まず一定の時間 までは携帯電話で連絡がとれる体制の確保、あるいは開業医によるグループ 対応を進める必要があるという基本的な考え方を書いています。その際に、 連絡体制の確保はともかくとして、救急対応や診療まで、かかりつけの医師 に求めることはなかなか難しいのではないか、という指摘をいただいていま す。当然、在宅療養支援診療所のように、そうした24時間対応が前提になっ ているような場合は別にして、かかりつけ医の診療時間外の役割としては、 相談に応じ、適切なアドバイスを行う機能が主として求められるのではない かということで書いています。  (4)に関連して書いてありますが、病院から戻ってくる患者等の術後管理 あるいは日常的な保健予防活動等に関連して、来年度から医療保険者に特定 健康診査の実施が義務づけられるということで、それに対する開業医への期 待を記載すべきではないかということを、前々回ご指摘いただいており、こ こに掲げております。  次のパラグラフは、人間全体を診る総合的な診療を担う医師に関する記載 です。内容がかなり重複している点がありましたので、事務局で表現を整理 しています。まず、そうした総合的な診療を担う医師の医学的・社会的位置 づけを明確化することが必要であるという基本的な考え方を掲げています。  その上で、領域の問題とレベルの問題を含めた医療連携体制の中での位置 づけ、専門性をどう考えるかといった点。プライマリケア、地域医療の実地 研修等を通じ、専門医として育成していく観点から、関係学会等の取り組み を踏まえた具体的な育成のあり方をどう考えていくか。そうした修練を積ん でいない医師が開業される段階で、一定の研修プログラムを経るようなシス テムを考えてはどうかとの指摘について、どう考えるかといった点について 検討していく必要があると書いています。  「また」のところで、こうした医師の育成については、大学における医学 教育でどう取り組んでいくかが重要な課題である、という指摘を書いていま す。併せて、こうした総合的な診療に対応できる医師を育成していくために は、例えば、能力を発揮できる勤務場所の普及を図るなど、キャリアパス形 成への配慮が欠かせないということに留意すべきであるということで書いて います。  医師確保対策です。後ほど資料もご覧いただきますが、5月31日に政府・ 与党として緊急医師確保対策をまとめています。そうしたことに少し触れた 上で、迅速にその具体化を図り、喫緊の課題として医師不足問題への対応、 病院勤務医の労働環境の改善等を、さらに総合的に進めるべきである。助産 師等看護職員の確保についても、さらに推進すべきであるということを掲げ ています。  7頁です。女性医師・看護職員等、女性の医療従事者が働きやすい職場環境 の整備が必要だという点。それから医療関係職種の業務の見直し、役割分担 等を検討していくことが必要だという点は従来から掲げている分です。  4番目のテーマは専門医についてです。専門医についてもさまざまご議論い ただきました。まず専門医制度を考える際に、領域の問題とレベルの問題と 分けて考えることが必要であるということをまず書いています。その上で専 門医に関して、現在、各学会の取り組みとして位置づけられており、各学会 で統一基準のようなものを設けて、第三者的に認定を行っていくといったこ とを含めて、学会主導による迅速で、自律的な取り組みが期待されるという ことを多く指摘をいただいています。  それに対して一方で、国民・患者の視点からは、そもそも専門医をどのよ うに位置づけるべきかという観点から、その役割の明確化や必要数をどう考 えるか、あるいは技術的な側面の評価をどうすべきかといったことの検討が 必要だという指摘をいただいており、学会の今後の取り組み状況、専門医に 対する国民の意識を踏まえながら、引き続き議論していく必要があるという ことで整理をしているところです。  各学会によって専門医の認定率に差があるという点についても、あまり極 端な差異については問題ではないか、という指摘をいただいているところで す。  それに対しては学会によって、その広さ、取り扱う領域の広さ、深さに差 があるということで、必ずしもそこのバランスが問題だということにはなら ないのではないか、という指摘もいただいており、引き続き議論していく必 要があるということで書いています。  次は、若干医政局の所掌から離れますが、専門医制度と診療報酬との関係 に関して、もっと診療報酬上での評価を行うべきではないか、という指摘を いただいたところです。それに対しては、一方で評価を行えば、それに伴っ て行政の関与が伴うことに留意が必要だという指摘をいただいています。  8頁は、専門医に対する国民の意識で、専門医に診てほしいとの気持が国 民・患者の立場からするとあるということですが、医師が専門医を強く志向 するという点、一方で患者が専門医による診療にこだわるという点、過度の 専門医志向については、今後軌道修正を図っていく必要があるのではないか ということで、指摘をいただいた点をここに書いております。  最後の検討項目は、医療法に基づく人員配置標準についてです。人員配置 標準については、そもそもの必要性について指摘をいただいているところで、 大変古い制度で、質の担保について診療報酬上の評価も行われているという ことで廃止すべきではないか、という指摘があります。  一方で疾病構造の変化等に対応して見直すことは必要だろうが、廃止につ いては医療機能の分化・連携あるいは情報提供という点では、まだ不十分な 現状においては、これを廃止することは困難ではないかという指摘をいただ いており、引き続き検討が必要であるということで整理をしております。ま た外来患者に関する配置標準についても実態に合わなくなっているのではな いかということで検討が必要だと書いています。  さらに人員配置標準の性格について縷々指摘をいただいております。法的 にはこれまで説明したように、最低基準ということにはなっていませんが、 実質的にはその遵守を行政指導の上でも行っておりますし、診療報酬上の評 価とも結びついており、その法的な位置づけ・性格について整理が必要では ないかという指摘をいただいています。  それから、人員配置に関する情報提供を行うに当たっては、ただ単に情報 提供を行うということではなく、それが適正な数であるかどうか、国民にわ かるように行うことが必要であるということでまとめております。  以上、これまで1年間にわたって、さまざまご指摘をいただいた点を整理 をすると、こういう感じかということで用意をしているところですので、ご 議論をお願いしたいと思います。  簡単に資料2についてご説明、ご報告をしたいと思います。「緊急医師確保 対策について」というクレジットのペーパーです。5月31日に政府・与党と してまとめたもので、政府・与党の協議会のメンバーについては、2枚目に政 府側、与党側という形で名簿を付けております。  1頁ですが、地域に必要な医師を確保していくために、さらに緊急対策を講 じるということで1〜6にまとめています。1がいちばん短期的な緊急の対応 をするということで、都道府県からの求めに応じて国レベルで臨時・緊急的 な医師の派遣を考えていこうというもので、現在具体的にどのようなシステ ムで行っていくかもご議論いただいて、既に医師の公募等も始めている状態 です。  2〜5については、少し中期的な対応になりますが、来年度予算等で具体化 を図ってまいりたいと考えているところです。2が病院勤務医の過重労働を解 消するための勤務環境の整備で、交代勤務制などをもう少し普及していって はどうだろうかというものです。業務分担の見直し、助産師や医療補助者等 の活用を図っていくといった点もあります。  3は女性医師が非常に増えている状況に対応して、院内保育所の整備など、 女性が働きやすい職場環境の整備を進めていく。復職のための研修や、女性 医師バンクの体制の充実を図っていくということを書いています。  4は臨床研修制度の見直し等の部分ですが、都市部への集中を是正するため に臨床研修制度のあり方や、定員の見直し等を考えていくなどということを 書いています。  5は医療リスクに対する支援体制の整備で、産科補償制度の早期実現、別途 検討会でご議論いただいておりますが、診療行為に係る死因究明制度の構築 といった形で、非常に訴訟リスク等のプレッシャーがある現場の医療従事者 の方々の負担を少しでも軽減できないかということで、今後そうした支援体 制を整備していくことを謳っているところです。  6は医師不足地域や診療科で勤務する医師の養成の推進ですが、奨学金など も活用して都道府県が定める地域や診療科で卒業後に働いていただくという ことを期待して医学部の医師の養成数を緊急臨時的に増加を行ってはどうか ということで書いている部分です。そのほか医学部における地域枠の拡充、 医師養成総数が少ない県においては、医師の養成数を増加させるなどといっ た、いくつかの項目をまとめて書いています。  長くなりましたが、私からの説明は以上です。参考資料はこれまで提出し た資料を議論の参考までに、改めてお配りしておりますので、ご覧いただけ ればと思います。以上です。 ○座長 ありがとうございました。先ほど申しましたように、1年前から議論 を始めて、それぞれの5つのテーマについて、何が問題であるかを皆様方の おかげでかなり掘り下げることができました。合意しているところもあるし、 ほとんどのところでは引き続き検討すると書いてありますが、何を検討しな ければいけないかが明らかになったし、それについて両論があるのも、両論 の中身がクリアに整理できていると思います。何か諮問を受けた委員会では ないので、議論を整理したという形で1つまとめるということだと思います。  一応原案ですので、これに対して皆様方のご質問、ご意見、ここは修正し たほうがよいという点について、今日は議論をお願いします。いきなり各論 に入るより、全体構成、論理立てについて何かご意見おありでしょうか。今 までも何回か1、2、3、4、5と地域医療支援病院に始まって、医療法の人員 配置に至るまで順番に議論を重ねては深めてきたわけですが、この形でよろ しいですか。 ○内田委員 これは最初の段階で申し上げることだったのかもしれませんが、 第5次医療法改正を踏まえて、第6次の医療法改正に向けての検討会という 認識でおります。その中でどうしても申し上げなければいけないのは、現状 について、日本の医療は平均寿命であれ、健康寿命であれ、あるいは入院死 亡率であれ、これだけの高い水準の医療を提供していながら、医療費につい ては非常に安いレベルであると言われています。これは周知の事実であると 思います。  そういう中で、現状を変えるべき点は変えていかなければいけないという のはもちろんですが、現状でどこが問題であるかが、医療費適正化という名 前の医療費削減につながるような検討は問題があると思います。その辺を最 初に触れていただきたいというのが1つです。  それで申し上げますと、地域医療支援病院では、承認要件のあり方のとこ ろで、平均在院日数の短縮がありますが、一方で医療施設体系のあり方の中 では、医療安全対策が非常に重要視されて、それが国民の要望でもあり、医 療提供者のほうでもそういう願望があると思います。  平均在院日数の短縮だけを言いますと、端的には業務が非常に過重になっ て医療安全対策をその中でも両立して求めることが非常に困難な状況になっ てきているのは、誰が見ても明らかだと思います。この辺については財源的 な問題ですね、ここがいちばん根本の問題であるということに行き着くかと 思いますので、先に財源ありきで、財政中立、財源の付け回しという形での 政策課題の検討は今の時点ではあり得ない。そこの課題が積み残しのままで いくら問題点を列挙したところで何の解決にもならないということは、どう しても最初の段階で触れていただかなければいけないと思います。 ○座長 中身の前に医療の現状を評価する文章を少し入れようということで すね。あとで事務局とも相談いたします。何かほかにございますか。いつも のように順番にいきます。「地域医療支援病院について」1〜2頁に書かれてい ます。これで欠けている点、修正したい点、あるいは単なる質問でも結構で すので、何かありましたらお願いします。 ○島崎委員 地域医療支援病院の問題については2回目と前々回に議論した のではないかと思います。前々回は私は欠席したので、詳細にどういう議論 があって、どういう結論になったかは承知していませんが、2回目の議論では、 そもそも地域医療支援病院のコンセプトが本当に必要なのかという議論をし たのではないかと思います。つまり、紹介、研修、救急、共同利用といった 機能を別々に個別に評価するのではなく、3つないしは4つの機能をワンセッ トで持つことによって、座長の言葉をお借りすれば、単なる足し算ではなく、 相乗効果がある。したがって地域医療支援病院という旗を立てることが医療 政策上、有用であると本当に言えるのかという、そこの議論もしたのではな いかと思います。  整理の案のペーパーを読みますと、地域医療支援病院、先にありきという か、目的の明確化に制度普及という観点も踏まえつつということも入ってく るわけですが、そもそも議論の整理というのであれば、地域医療支援病院を 医療法上の施設類型として立てることが必要なのか、その意義、必要性につ いても賛否両論があったというように書くのが適当ではないかと思います。 具体的な書き方は事務局にお任せするにしても、実際そういう議論があった わけですから、そういう議論があったことを紹介することは、「議論の整理」 としては正当ではないかと思います。もう1箇所ありますが、まずはその点 だけを申し上げておきます。 ○武藤委員 地域支援病院に関して、検討課題にもありますように、医療連 携体制の構築を各地で行うこととしたいうのを、医療計画に位置づけていく こととの関係において地域医療支援病院の制度についてどう考えているかと いうクエスチョンがあるのですが、それに対応して、こちらの整理の中では、 それが抜けているというか、私の考えでは、今回、新たな医療計画4疾患5 事業の中で地域医療支援病院を機能づけていくといった文言が必要ではない かと思います。つまり、医療計画との関係で。 ○座長 地域医療支援病院がそもそも必要であるかどうかという議論をした はずだから、それは入れてはいかがかというご指摘と、医療計画との関係に ついては触れてないではないかという2つのご指摘ありがとうございます。 ○島村委員 このたび健保連では、お手元の資料の最後に、先ほど事務局か らご説明がありましたように、これからの医療提供体制のあり方と、健保組 合の役割についてという提言を発表しました。内容は平成18年度の制度改正 の実効性を高めるためにどのような方法があるのか。また健保組合がどのよ うに関与ないしは、きめ細かくしていくかということをまとめたものです。 この検討会にも関係するところがありますので、是非1度目通ししていただ ければと思います。  それから、今の島崎委員の発言と関連して、この提言の中で、地域医療支 援病院と特定機能病院のあり方ですが、我々の提言では、「廃止すべき」と記 載されています。これはあくまでもそれぞれの備える機能を明確にして、そ れを評価していこうということで、現状の法律上の類型は見直す必要がある のではないかという趣旨ですので、是非整理案の中に、そういう意見もあっ たということを織り込んでいただければというお願いです。 ○座長 機能は大切ですが、施設類型としては意味がないということですね。 果たしている4つの機能は大切であると。私もあとで丁寧に読ませていただ きます。 ○山崎委員 承認要件のあり方についてですが、6番目に「地域の精神科の医 療の支援」と書かれていますが、精神科救急輪番への参加や、合併症対応を 行うというように、もう少し具体的な記載の仕方をしていただきたいと思い ますが、いかがでしょうか。 ○座長 具体的に何か提案が事務局に対してございますか。 ○山崎委員 文言についてです。 ○座長 ここだけやたらに細かくすることもできませんが、10文字程度足り ない、もう少し多くしろという感じですか。 ○山崎委員 協会のほうでこれの検討をしていると、地域医療支援病院で前 回も資料にあったと思いますが、精神科の病床をもって、外来もしている病 院は3分の1ぐらいしかないのです。精神科を持っていない病棟に精神科を新 設して外来をしろということではないのですが、精神科を持っている病院に ついては、少なくとも地域の精神科輪番の救急には参画をしてほしいのです。  精神科を持っていない所については、精神科の単科の病院で起こる合併症 を引き受けていただける病院を探すのが大変なのです。したがって、地域医 療支援病院については、精神科の単科病院で発生した合併症については、そ の地域で対応をしていただきたいと思います。 ○座長 (1)〜(6)、(1)〜(5)の文字数との関係もあるので、(6)が右 のほうに少し長くすることは可能だと思います。1つ何か例示を入れることで 対応しましょうか。 ○島崎委員 特定機能病院の承認要件の問題ともかかわるのですが、ここで 述べられている(1)〜(6)の具体的中身が、地域医療支援病院あるいは特 定機能病院として求められている固有の機能・役割なのか、あるいはおよそ 急性期の病院であれば、当然あるべき姿なのかということが混在してしまっ ているのではないかという印象を受けます。  例えば、後ろのほうがわかりやすいのだとすれば、先ほど内田委員が言わ れた医療安全体制の構築や、診療記録の整備状況などは特定機能病院だから ということではなく、およそ病院であればすべきことです。  それから地域医療支援病院でいえば、連携退院調整機能を退院時支援機能 の構築でいえば、第5の医療法の改正の際に、機能分化が進んでいくと、ど うしても次の病院に橋渡しをするときに、その療養が継続されるようにガイ ドしなければいけないという訓示規定かもしれませんが、義務規定が入って いるわけです。という中で、あえてそこの部分を地域医療の支援病院だから といって特定するのはどうかなと私は思います。ただ、こういう議論があっ たことも事実ですので、削除してくださいということまで申し上げるつもり はありませんが、そういう印象がいたします。  山崎委員のご指摘に関していうと、確かに地域の中で精神科医療の問題は 大きな問題になっていることはそのとおりだと思いますし、そういうことは 必要だということを否定するつもりは全然ないのですが、逆にいえば、あえ てなぜ精神科医療だけを書くのだということで、例えば地域の中で難病の患 者さんや、精神以外の障害者の方の医療あるいは小児の医療にしても、地域 の中で必要な医療機能はさまざまあるわけで、これは1つの例示だという読 み方をするのかもしれませんが、バランスとしてはどうかなという気がいた します。 ○座長 基本的にはこの検討会の中で出てきたことがありますが、出ていな い場合には載っていないものもたくさんあります。今まで出たいくつかのご 指摘について、出だしの前に3行ではなく、もう少し増やしたらどうか、日 本の医療の描写をせよということと、地域医療支援病院については調査も必 要かをめぐる議論があった点、地域医療計画との関係とは何か。承認要件は 急性期医療一般ですべきことが書いてあるような感じがしてしまうので、地 域医療支援病院もしくは特定機能では、もう少しこれらの、例えば、ほかよ り強いことがわかるようにしたらいかがか等々の意見がありましたが、事務 局としては対応可能性についてはいかがですか。 ○企画官 まず、柱書きのところについては、もう少し書き足すような形で 工夫をしてみたいと思います。地域医療支援病院の位置づけについては、ご 指摘があったように、地域医療支援病院のあり方を考えていくところから入 ってしまっておりますので、もう少し広い議論、そもそもの議論があったと いうことがわかるような形で書き足すことにさせていただければと思います。  1頁の2つ目の○で、果たすべき機能・役割の多様性や地域の特性・実情を 踏まえたあり方というところで、事務局としては読み込んでいたつもりです が、もう少し明確に出るようにしたいと思っています。  2頁の2つ目の○の承認要件の部分ですが、これまで地域医療支援病院に関 して、委員の先生からさまざまなご要望なり、ご指摘をいただいたところを、 半ば整理の都合上、こういった形で「例えば」ということでまとめたもので すから、性格的にもいろいろな距離感のあるものが入ってしまっているとい うのはご指摘のとおりだろうと思っています。  そうしたことでまさに承認要件そのものの中に位置づける部分と、いま既 に地域医療支援病院が期待されて取り組みをしてもらっているのだが、そう いったところをさらに強化しなければいけない。そういうところで両方の含 みを合わせてここで書いているつもりでしたが、その辺の趣旨がもう少しわ かるようにさせていただければと思います。 ○武藤委員 地域医療支援病院は、我々医療マネージメント学会でアンケー ト調査をしたときに思ったのですが、特にかかりつけ医からの救急要請を受 け止める機能も地域医療支援病院の医師の機能が非常に重要ではないかとい うことが浮かび上がったので、是非ともかかりつけ医の先生方を支援すると いう意味で。特に救急支援を入れていただきたいと思います。 ○座長 ありがとうございます。発表いただいた点ですし、網羅ではないが、 例えばで1に付け加わってもいいかもしれません。 ○古橋委員 議論は繰り返す、私の発言も似たようなことをまた申し上げる ことになると思いますが、現行の医療法に謳われている地域医療支援病院と いう機能から、ここでの議論は地域連携の重要性などが大変出てきたように 思います。したがって、資料の35頁に新しい医療計画をどう動かしていくか ということも一方で議論が出てきております。35頁の図柄の中などですと、 国民がこういうものを見たときに、地域医療支援病院というのはどこに位置 づくのだろう、いろいろな要素もあるなとは受け止めると思います。私は思 い切って地域医療支援ということよりは、地域連携推進病院という形で法律 的な位置づけがあってもいいのではないかと。  もう1つは、医療計画の中で、実践や拡大は諸々困難はあるとしても、在 宅医療の推進ということも大きな柱になっています。今回のこの整理(案) にもその手のことが書かれておりますが、1頁の最後の(2)は、まさにそう いう点を指摘されていると思います。在宅医療の推進の視点から、こういう 機能を現行の地域医療支援病院に拠点的に担ってもらうことを、もう少し強 調できないかと思っていますが、いかがでしょうか。要は地域連携を推進し ていく病院、地域連携推進病院というような位置づけにしていけないかと思 います。 ○座長 1頁の下は1が地域連携の拠点で、2が在宅医療のバックアップです ので。 ○古橋委員 医療支援という言葉から、言葉を変えて。なかなか地域連携と いうのは、点数も付いているのですが、広がっていないのです。そういうと ころは病院が地域連携推進病院という形になって、拠点的に積極的に広げて いく。  もう1つは、ヒアリングのときに、沖縄の浦添病院の理事長から参考人発 言で、この病院は指定を受けたら定期的に評価をしていくべきだという発言 がありました。そういう点では、私は連携率、連携状況、連携パス、実施率 などは評価をする、あるいは報告をするという体制があってもいいのではな いかと思います。 ○座長 評価については最後の○で、いま言われたことは入っているのです ね。1つぐらい例を言っていただいて、名前の変更は議事録ベースの話で、今 日いきなり名前の変更案があったから入れるわけにはいかないと思いますが、 委員の言われた地域連携、在宅医療は大体入っていると思います。最後の評 価のための指標については必須であると、もう少し強く書いてもいいかもし れないし、1、2 例示を入れることで対応できるのではないかと思います。○ 座長 地域医療支援病院はこれでよろしいですか。 ○島崎委員 先ほどの武藤委員の発言に関していうと、そもそも第5次医療 法の改正というのは、4疾患5事業の地域医療計画の構想の中にみられるとお り、機能を重視しているわけで、今までのようなヒエラルヒー型の構想を否 定的に捉えている。多少言いすぎかもしれませんが、例えば基幹病院構想と いったことに対してネガティブな評価をしているということだと思います。 そうしたときに、あえて地域医療支援病院という旗を立てる必要があるかと いう議論があるのだろうか、それは第5次医療計画の改正の考え方とどのよ うに整合するのかという問題がそもそもあるのだろうという気がするのです。  それと2回目のときに西澤委員やほかの方もおっしゃっていたと思います が、連携をしなくていい病院があるかといったら、正直言って考えられませ ん。それから在宅医療を支援するという意味も、そこはいろいろなレベルが あると思いますが、率直にいえば、日本の場合には中小病院が在宅医療のバ ックアップ機能を果たしている所があるわけだし、急性期病院も在宅患者が 急性増悪したときに受入れ先として必要なわけです。そうすると、地域医療 支援病院をもっとたくさんつくって、およそ連携をしている所はそういう旗 を立てるのだということならともかく、少なくとも、それは今までの地域医 療支援病院の機能とはちょっと違う。地域医療を支えるというのと支援の違 いということかもしれませんが、支援というのは立場が1つ上のものとして 統括するというのはそういうイメージだったわけです。逆にいうと、そうい う位置づけをしていく目的とは何なのかということ自体が曖昧だからという のが施設体系のあり方の検討会の地域医療支援病院をめぐる議論の要約だっ たのではないかという気がいたします。 ○座長 ありがとうございます。西澤先生が在宅医療を支援する医療機関を 支援する病院だという言い方をされていたのは、確かに施設体系からいうと、 地域の個別の診療所なり、在宅医療を支援する機能とそれらをさらに支える 機能は違うという議論をしたのは確かです。それらをまとめると、たぶんこ ういう書き方になっているのだと思います。 ○座長 また戻っていただいても結構ですが、特定機能病院について梁井委 員どうぞ。 ○梁井委員 このたびの資料1は、これまでの議論の整理ということで、こ ういう形での整理をするのであれば、ある程度のまとまったものにする必要 があろうということになります。  特定機能病院について申し上げると、特定機能病院というのは、もともと ある定義があって、それからある程度の承認要件がある。したがって、それ を今後議論していく際に、これを資料にまとめるときに、現在のあるいは元 来の定義はこうだった、こういう定義の下に承認をしてきたという形のもの がないと、次に何を変えるか。定義が変わったのか、承認要件を変える必要 があるのか、その辺のところが明らかにならないと、それはちょっと難しい。 たぶんこれは最初の特定機能病院の定義の下でいろいろやってみたら、大学 病院も入ってしまった、すべて入ったのだということです。それから国循や 大阪の病院なども、その定義に則ってやってみると、やはり承認する。しか し、時代が変わって5年、10年、20年というある程度時間が経って、そうい う定義を満たせない病院が出てきたので変えるというのなら、それはそれで いいのです。満たさないが、やはり特定機能病院として満たさなければいけ ないので定義を変えるというのもあると思います。  要は現在の定義と、承認要件を明らかにして、それに基づいてどうする、 あるいはそれを変えるということを明らかにする必要があると思います。そ れは特定機能病院、大学病院と3頁に書いてありますが、特定機能病院と大 学病院との関係、特定機能病院の承認要件のあり方というところは基本にな るところですので、それははっきり書いていただいたほうがいいだろうと思 います。  4頁に大病院における外来診療のあり方というのがありますが、これは必ず しも特定機能病院に限ったことではないと思います。この中には病院は主と して入院機能を担うべきであるが、一方で外来診療を行わなければ経営的に 成り立たないとの指摘があるというのは、特定機能病院について必ずしも言 っているわけではないと思います。特定機能病院の中には大きな病院で、外 来患者がたくさんいるところもあります。決して外来診療を行わなければ経 営的に成り立たないのではなく、それだけの入院の患者を診るためには、入 院のためのインディケーションを決めるというところから、どうしても患者 が増えるのです。これは現在の医療提供体制の中では、患者が集まるからや っているのです。  それから 教育上、研修医、医学生たちの教育と診断のためには、外来診 療も必要ですので、外来診療を行わなければ経営的に成り立たないから云々 というのは、当たらないと思います。患者が病院を決めているわけですから、 この辺は表現が適切ではないのではないかと思います。以上です。 ○武谷委員 3頁の上から4行目で、いろいろな表現があって、少なくともタ ーミノロジーとしては皆さんの合意がないとこういうものはいくらまとめて もあとで解釈の相違だと言われるとまた議論が紛糾すると思います。「特定機 能病院は外来機能を含む一般的な医療」と書いてありますが、一般的という のは、例えばGP(ゼネラルフィジシャン)あるいはファミリードクターが担 当する医療という意味なのか、あるいは5頁にプライマリケアという言葉も 出てきていますし、地域医療とか、かかりつけ医が担当する医療という言葉 が出てきていますが、この辺はその定義をきちんとする必要があるでしょう。 例えば、プライマリケアと言っても、救急医療なども入ることもありますし、 非常に多義的に使われていますので、その辺りを意識して使っていただけれ ばと思います。  4頁の上段で、特定機能病院の承認条件として、医療の安全性、在院日数、 診療記録の整備状況となっていますが、これらはすべての病院に一般的に要 求されることなので、逆に特定機能の条件とすると、ほかの病院はこういう 要件を満たしていないのではないかということにもなります。一方で疾患に よって、当然治療に要する日数は変わるわけですから、病院のポジションに 応じて平均在院日数なども入院期間と診療費の関連なども考慮していただく 必要もあるのではないか。一律に標準的な病院の承認要件で平均在院日数と やると、一般的な治療以外はできなくなり、一体何をやったらいいのかとい うことにもなろうかと思います。これは特定機能病院だけにかかわる問題で はないと思います。  4頁の最後は梁井委員が言われたところで、外来をやらないと経営的には成 り立たないというよりは、むしろ本来の医療を完遂できないという表現が的 確で、ここは理念を語るので、あまりお金の話はしないほうがよろしいので はないかという気がします。 ○座長 2人の特定機能病院の先生方からご意見がありました。事務局に答え ていただきましょうか。もともとの経緯、定義などを書いておいたほうがあ とで読むときに起承転結がはっきりする。経営が成り立たないでは品がよろ しくないだけではなくて、医療は完遂しないとお二人ともおっしゃいました。  それから質問に当たるわけですが、一般的医療とは何を指しているのか、 プライマリケアとは何を指しているのか。一般の急性期病院に要求される要 件と、特定機能病院の要件が同じに見えてしまっては良くない。これは先ほ どの議論ですので、今すぐ答えられること、あるいは検討しますでも結構で すが、言っていただけますか。 ○企画官 今いただいたご指摘の中で、かなりの部分がまさにこの検討会で の指摘を踏まえて記載をしているところです。例えば、先ほどの一般的な医 療の対応というところを、必ずしも特定の定義を基に事務局として書いてい る部分ではありません。ただ、私が議論を整理するときに念頭に置いたのは、 ここでご指摘いただいた委員のご発言の趣旨は、高度医療との対比でおっし ゃっているものだと受け止めて、本来の高度医療の提供を行うのが特定機能 病院の役割となっていると。その対比でおっしゃっているのだろうという理 解の下に、このように書いているところがあります。  承認要件の件で、先ほど地域医療支援病院でも同じように申し上げました が、おっしゃるように、およそすべての病院であればこういった取り組みを されている部分、さらには特定機能病院の中でも、すでに私どものほうが承 認要件なり、さらにそれを踏まえた通知の中で求めている部分がかなり入っ ています。したがって、そうしたものはそうしたものを前提としつつ、さら にそうした部分についてもっとしっかり取り組んでいただく必要があるとい う趣旨での委員のご指摘だと理解をして、ここに掲げています。特定機能病 院に関しては、3頁のいちばん下で、地域医療支援病院のところでも同じよう な件がありましたが、承認要件の中に位置づけたり、取り組みの強化を求め てはどうかとの指摘があったという形で、いまもやっていただいている分に ついて、さらにしっかり取り組んでいただくことの念押しなのだろうという ことで、書いている部分もあります。  併せて、大病院における外来診療も、これまでここの文言で何度かお出し した経緯もありますが、これだと少し、ということであれば表現を工夫でき るのではないかと思います。 ○内田委員 武谷委員のご発言に反論するわけではないのですが、私の意見 を言わせていただきます。1つは、特定機能病院にしても地域医療支援病院に しても、金をつけて評価するということだと思うのです。その要件をどうす るかをここで議論しているわけで、その指定を受けるからには診療報酬上の 手当てがあって、特別な扱いが受けられるのです。なおかつ、特定機能病院 に関しては人にも物にも手厚くして、それだけの高度の医療を提供してもら いたいということがあるわけです。  もう1つは、今回の医療計画の中では、施設による完結型の医療ではなく、 地域による連携の完結型の医療を謳っています。私は、これは非常にリーズ ナブルな発想だと思っています。ですから、医療が完遂しないのではなく、 特定機能病院では特定機能病院の果たすべき役割があって、それから一般的 な医療、あるいはリハビリや回復期、慢性期といったものにつなげていくと いうところを提供していただければと感じております。  外来機能に関しても、これは金の話ではないと、医療が完遂しないという ことです。確かに、大病院の外来は、ほとんどが実際のコスト計算をすると 赤字であることは多く耳にしますが、特定機能病院が果たさなければいけな い外来機能は絶対にあって、そこは例えば専門外来や紹介外来特定機能病院 でなければ対応できない部分があるので、そういう外来、救急外来にはしっ かり対応していただかなくてはいけないし、コストもしっかりつけることが 必要だと思います。 ○武谷委員 私の表現が悪かったのですが、いま委員がおっしゃったとおり です。私は、入院機能がないと治療が「完結しない」と申し上げているので はなく、「完遂度が低下する」ので、当然いろいろな病院と協力して、最終的 に患者にとってベストな医療を提供するということであって、「完結する」と いう表現ではないことを付け加えます。 ○梁井委員 4頁目に(1)〜(7)までありますが、いま内田委員がおっしゃ った、病院ごとに連携して特定病院もその中の一部としての役割を果たすと いうのは、確かにそのとおりだと思います。ただ、ご存じのとおり重症の患 者はいろいろな複合疾患を持っております。そのような場合には、大学病院 の中での連携体制が必要です。いまのところ、38分の10という診療科目がど のぐらいあるかの承認要件の定義がありますが、実際には(7)(8)に複合疾 患に対する連携体制を取れる診療科目の充実を入れていただきたいと思いま す。  先ほど武谷委員がおっしゃった平均在院日数の件なのですが、血液疾患や 脳神経疾患は、退院するまでリハビリや外来で通院する、あるいは連携先の 病院にお返しする場合に相当時間がかかるのです。平均在院日数を短縮する ためには、軽症の患者が入院するのはいいのですが、本来の大学病院あるい は特定機能病院のあり方からすると、平均在院日数を短縮するのを条件にす るのはおかしい。いろいろな面で、結果的にどうしても大学病院でなければ いけない患者さんが希望されて、お断りできない方はある程度入院日数が短 くなるのはやむを得ないのですが、平均在院日数を短縮しなければいけない 医療を特定機能病院でやるのは本末転倒になるということで、削っていただ くのがいいと思います。 ○藤川委員 いまご指摘のあった平均在院日数の短縮ですが、今回の各種の テーマについて、医療計画の中でということですが、それだけではなく、医 療費適正化計画も十分踏まえて論議すべきだと考えております。その1つは、 平均在院日数の短縮に現れていると理解しておりますので、医療計画だけで はなく、是非医療費適正化計画を十分踏まえた論議と考えていきたいと思い ます。  また、特定機能病院や地域医療支援病院については、限られた医療資源を いかに最大限効率的に使い分けるかといった視点で、特定機能病院の本来の 目的、役割、機能、あるいは支援病院の機能、役割等を踏まえた上での論議 を進めていきたいと思います。この文書に書くかどうかはわかりませんが、 是非そういった議論の進め方をしていきたいと思っております。 ○梁井委員 いまのご意見は、そのとおりだと思います。ただ、医療提供体 制が整ってから初めてそういうことが言えるのであって、患者の医療の質を 考えたときに、重症や難治性の患者の平均在院日数を下げる努力をすること より、むしろ連携先の病院に送れるように、いろいろな病院の体制が整うこ とのほうが先なのです。特定機能病院の要件として、平均在院日数を短縮す るのはあとの話なのではないでしょうか。 ○座長 努力すべき項目であるという点と、承認要件は違うということです ね。 ○武藤委員 地域医療計画等の中で、4疾患5事業で特定機能病院をどう扱っ ていくかの議論が必要だと思うのです。例えば、ナショナルセンターのがん センターや循センは疾患に特化しているので非常にわかりやすいのですが、 その他の特定機能病院もおそらくいくつかの疾患特性は持っているはずだと 思うのです。それを、4疾患5事業の中で特定機能病院がどのような位置づけ になるか、あるいは地域の中でどう連携をするかを議論すべきではないかと 思うのです。 ○西澤委員 この検討会が始まって、今回整理が出て、どう考えたらいいか と思って発言しなかったのですが、最初は検討課題ということで、地域支援 病院にしろ特定機能病院にしろ、こうすべきだということをある程度出すの かなと思っていたのですが、今回の整理はあくまでもいろいろな意見を併記 しただけで、これで止まるのかなと思います。長くやっていると、医療計画 が始まったらそれがどうなるのかとこれが医療が完結するということでは、 医療計画が見えない段階ではものを言いづらい。とすれば、これ以上の議論 は無理なのかなという面もあります。そういう意味では、具体的なことをだ んだん言いづらくなってきたと思います。  事務局にお聞きしたいのですが、これをまとめて、今後どのようなスケジ ュールの中で進めていくのでしょうか。 ○企画官 今回は、1年間この検討会でご議論いただいたことを形としておま とめいただくことを目標に、このような資料を用意しております。このあと については、現段階では私どももはっきりした道筋を持っているわけではあ りませんが、いずれ医療制度改革、次の医療法の改正に向けての医療部会で のご議論を、どこかのタイミングでお願いすることになるであろうと考えて おります。そのタイミングなり状況を見定めながら、今回整理をしていただ いた検討の上で、十分留意すべき視点や見直しの課題などをベースに議論を お願いしたいと考えております。 ○西澤委員 ということは、最初に検討課題と出ていて、どうあるべきかを ある程度結論づけるものを出すかと思ったのですが、今回はそこまでは出さ ないということですね。 ○総務課長 もちろん、昨年始まった段階では、委員の皆さんの総意でこの ような方向でいくべきだと、こういう方向で次の改革をすべきだと一致する 項目があればいいわけです。今日で8回目になりますが、これまでいろいろ やってみると、必ずしもこういう方向だということではなく、むしろこうい う点が問題であると、しかし反対の指摘もあったと、そういったものをいた だいて、我々としてはさらにこういう前提でどういったところの資料分析を 進めて、今後の議論に供していけばいいかなど、一応1年ぐらいに来ている ので、このまま2巡目の議論が3巡目、4巡目となっていくよりも、こんなと ころで整理をしたほうがよいのかなと、こういった形でお願いしています。 ○内田委員 先ほどの話に戻るのですが、特定機能病院について平均在院日 数が出ています。この点も含めて、それぞれの特性が必ずありますから、評 価の指標を挙げて、地域医療支援病院だけではなく、特定機能病院の場合に も再評価が必要ではないかと思います。 ○座長 地域医療支援病院のほうは最後に評価のことが書いてありますが、 こちらには書いていないから、同じような評価をつけろということですね。 ○内田委員 在院日数に関しては、おっしゃるとおり特性がありますから、 そこをきちんと評価することが必要だと思います。 ○座長 それは、たぶん可能だと思います。 ○山崎委員 特定機能病院について、診療の機能に関してはいろいろなご意 見があったのですが、一方で大学病院の教育機能について考えたときに、現 在のスタッフで診療も対応して教育も対応していくのは、非常に難しいので はないかと思うのです。したがって、教育機能を特定機能病院にくっつける のか、特定機能病院から教育機能を分離するのかも含めて考えなければいけ ないと思います。  精神科に関しては、いま特定機能病院の中で精神療養病床をやったり、デ イケアをやったり、訪問看護ステーションをやったりする所があるわけです。 一方では、経営の効率性を担保するということで、精神科の診療は合わない ということで、精神科医療の部分を閉鎖し始めている特定機能病院も出てき ていて、時代に逆行する一連の動きがあるのです。教育機能をどう考えるか も、ここできちんと検討をすべきだと思うのです。 ○座長 検討というか、最後にそういうことも言ってほしいということです ね。 ○武谷委員 従来の特定機能病院のクライテリアには、たしか研修も入って いたのではないかと思いますが、特定機能は高度先進医療なので、高度とい うのは5年経てば先進ではなくなるわけです。日本は、世界に伍して最高の 医療水準を保つ上で、常に最先端の医療をプロデュースするところがなけれ ばいけないと思うのです。そのためには、教育研究は不可欠なので、その機 能なくして高度先進医療を長期にわたり実践することはできません。特に、 いまはエビデンスがないと、世界的にもその医療が普及しないので、エビデ ンスを作り出す機関も本来はそれの条件に入れていかないといけないと、ど こかの施設がその役割を果たさなければいけないのではないかと思います。 ○島崎委員 これは前回申し上げたのですが、特定機能病院についても、理 屈上の話としては高度の医療の提供と研究と研修を別々に評価してはなぜい けないのかという、先ほど地域医療支援病院のところで申し上げたことと同 じ議論があります。ただし、一体性・総合性がなければ高度な医療の推進が 図れないとの議論があることもわかります。それについては否定しません。  ところが、現実には、大学病院の多くが一般医療を広範に担っていたり、 大学病院の医育機能との関係が未整理になってしまっているので、話がわか りづらくなっているのだと思うのです。例えば、専門的な外来、あるいは高 度な医療の受皿としての外来を否定する人はいないでしょうが、ティーチン グホスピタルなのだから、コモンディジーズの外来患者も必要だという話に なると、これは特定機能病院の議論ではなく、医育機関としての必要性から 出てきている話になります。さらに、ティーチングホスピタルだとしても、 何も自らの病院で一般外来機能を持たなければいけないわけではなく、どこ かほかの病院と提携してティーチングすればよいのではないかという議論も 生じます。いずれにせよ、特定機能病院と医育機関との関係の議論が混在し てしまっており、その整理が必要であることは、表現はともかくとしてどこ かに書いておいたほうがいいのではないかというのが1つです。  先ほどの大病院における外来診療のあり方について、病院が本来外来をど う持つかについてはいろいろな議論があってしかるべきなのですが、日本の 場合には中小病院が現実にプライマリケアを担ってきた歴史、実態がありま す。また、病院と診療所に機能が未分離であり、特定機能病院や大学病院の 外来も多くの外来患者を持っている実態があります。  また、病院ごとにどれだけの差があるか、患者がどうして大病院を選択す るのか、そこで言っている専門科志向の意味合いも、意外にわかったようで わかっていないのです。しかも、専門の中身がさらに細分化していけば、専 門科と称しているけれど、患者が思っている専門とその先生が持っている本 当の専門の中身が食い違っている可能性もあるわけです。そういう実態は意 外によくわかっていないので、それを含めてよく再検討をする必要があるの ではないか。これらは、特定機能病院や大学の外来機能に関する議論の1つ の内容だったのではないかと思います。 ○武谷委員 委員のおっしゃることは、まさに我が国の特定機能病院の多く は大学病院なのですが、これの特殊性を反映しているのではないかと思いま す。特定機能病院の外来機能を縮小せよというのは、おそらくアメリカの実 情を見ておっしゃったのではないかと思います。ヨーロッパは両者は一体と なってやっていることです。アメリカは、ご存じのようにオープンシステム で、大学病院は大きな建物と中央部門、臨床検査や薬剤部、手術室を提供し、 医師は個人でプライベートオフィスを持っていて、そこでずっと診ている患 者を、入院、手術が必要なときだけ大学病院と契約を結んで連れていくわけ です。終わると、ご自身がケアするのです。そういう意味では、特定の医師 が一貫してケアをしているのです。  ですから、大学病院のシステムが全く違うのです。日本の大学病院は職員 が固定されているので、アメリカで行われている融通の利いたシステムが発 揮できないのです。そういうインフラがあれば、思い切って大学病院の機能 を改変することはあると思うのですが、いまの日本の状況が、いま議論され ている問題を生じさせているのではないかという気がします。 ○梁井委員 先ほど、教育の話がありましたが、山崎委員のおっしゃるとお りだと思います。大学病院における教育は、大学教育、臨床教育などいろい ろありますが、是非文科省と厚労省が連携して、十分に話し合ってもらいた いと思います。特定機能病院としてと言うと話がぼけてしまいますので、大 学病院として教育がどうあるべきかを考えることが必要だと思います。大学 病院においては、臨床・教育・研究・管理が求められます。管理というのは 最近医療安全や財政面での財政基盤の確立では大事で、臨床面では高度の医 療、教育面では研修医の教育、研究面では新技術の開発や治験などが必要で、 これらは特定機能病院の必要要件だと思います。  教育に関しては、特定機能病院だからではなく、大学病院ですから卒前教 育も含まれるのです。卒前・卒後・生涯教育になります。卒前教育を考える と、幅広く多くの臨床の基礎知識を身につける、オン・ザ・デスクではなく オン・ザ・ジョブでなければいけない。したがって、患者がいなければ話に ならないわけです。私の所では、現在26科のうちの26全てを満たしており ます。精神科はペイしないと言っても教育の基本です。大学病院としては基 本的な疾患を網羅しなければいけないものですから、26分の26とまでは言わ ないまでも教育体制を十分に敷いておかないといけないと考えます。そのあ たりについても、それなりのコスト的なインセンティブになるように考えて もらいたいと思います。  先ほど在院日数のことを申し上げたので、一言付け加えますと、我々の所 の在院日数はあまり長くなくて、14.5日ぐらいとなっております。 ○座長 ありがとうございました。大学病院と特定機能病院の関係について、 だいぶ整理していただいたと思います。  次に進みます。3「医療連携体制・かかりつけ医、医師確保等との関係につ いて」、ご意見はありますか。 ○山本委員 医療連携体制の中でという議論で、こうした議論を進めていく うちに、薬局や薬剤師は埋没してしまうのですが、今回3の○の3つ目で薬 局、薬剤師、薬がきちんと位置づけられて大変ありがたいと思っています。 特に、今回の医療施設体系の議論で、論点の1つが地域医療体制をどうする かの問題ですから、そういった点では私ども薬を扱う者としては、この中に 明確に医薬品の安全使用、服薬指導が書き加えられたことは大変ありがたい と思っております。  ただ、先ほど来から出ているように、医療計画、適正化計画を考えると、 いずれ地域の中での医療提供体制を考える基本になるのはその計画なので、 そうした中でうまく連携できる体制を組んでいく意味では、医療計画は4頁 ○の2番目に出てくるだけで、あとはほとんど出てこないのです。先ほど武 藤委員がおっしゃったように、医療計画等の関係も、どこかにきちんと書き 込んでおく必要があるのではないかと思います。  併せて、瑣末な議論なのですが、7頁の女性医師・看護職員等のところで働 きやすい環境を作ることが謳われているのですが、薬剤師の世界は女性が7 割ぐらいおり、現場では女性が大変多いのです。実際、自分の店を見ても私 以外は全部女性ですので、「等」の中には書きにくいかもしれませんが、視点 としてはそうしたことも十分に含まれていると理解しているのですが、それ でよろしいでしょうか。 ○企画官 ここは、先ほど申し上げたように、医療従事者全般を念頭におい ています。 ○和田委員 医療の受け手の立場からすると、3のかかりつけ医の部分がいち ばん関心のある所だと思うので、まとめて発言します。いままでの特定機能 病院、地域医療支援病院に関しては、細かいことはよくわからないのですが、 細かいことよりもどこが何をしているのかがわからないので、どこが何をし ているか、どういう機能をどこが担っているかをわかりやすく示してほしい と、この委員会の中で何度か申し上げておりました。そのことが記載されて いたので、国民の立場からは、私はこの件に関しては異存はありません。  医療連携体制・かかりつけ医に関しては、内田委員が前文に財政のことも 書いてほしいとおっしゃっていたのですが、医療を受ける立場でそのあり方 検討会なので、医療施設体系がどうあるかも非常に大事なのですが、どうあ るかの一方で医療体制をどう使うかも、国民はこれから考えていかなければ いけないということで、医療費の負担をどうするかや限られた資源を、医療 を受ける側もどう使うかをきちんと意識しなければいけないと思います。そ ういった点もどこかに書かなければいけないのかなと思います。  5頁ですが、1つ目の○で、患者の立場からすると、大病院で診断を受けた いという気持ちだけではなく、大病院で治療を受けたいという気持ちもある のかなと感じました。診断と言うと少し狭すぎる表現だと感じました。  2つ目の○ですが、「地域の医療連携を確実に形作ることが、患者の大病院 志向にもよい影響を与えるのではないか」という文言はいいと思うのですが、 3行下の「夜間・休日等の病院・診療所の診療時間をもう少し地域全体で考え ていくことによって、患者の受療行動によい影響を与えることができる」と 言うと、患者の受療行動が管理されているようなイメージを受けます。そう することによって、患者が安心して受診ができるなど の表現に変えたほうが、これを読んで医療の受け手が違和感を覚えずに済む のではないかと感じました。  もう1点は6頁目のいちばん上の○ですが、「上記(2)に関し」というの は、診療時間外においても患者の病態に応じ、患者またはその家族との連絡 がとれるようにするということで、一定の時間までは携帯電話で連絡がとれ る体制の確保と書かれているのですが、私がこの検討会で申し上げたのは、 一定の時間といった表現ではなく、人はいつ病気になるかがわからないので、 365日、24時間安心して医療と接点が持てる環境を整えてほしいと申し上げ たと記憶しています。なので、一定の時間ということではないことを申し上 げます。また、365日、24時間、いつでも「携帯電話」で連絡がとりたいと 手段を限定したわけではないので、その辺りはもう1度議事録を整理してい ただいて、表現を見直していただければと思います。 ○座長 いくつかご指摘があったので、お答えいただきます。国民の側にも 医療の使い方をどこかで触れたらどうか、私も文章が変だと思うのですが、 患者の大病院志向によい影響を与えるとは、どちらに与える影響なのか。あ とから気づいたのですが、そういう感じがします。その4行下の「よい影響」 というのも、ややわからない。最後の連絡のとり方については、事務局から 説明可能だったら説明してください。 ○企画官 まず、診断・治療のところは修正可能だと思っております。受療 行動によい影響を与えるというのは、特に小児科などを念頭に、休日や夜間 に軽症の患者が殺到している状態を改善できるとの趣旨でのご発言を踏まえ ての記載ですが、表現をもう少し工夫することは可能だろうと思います。  6頁の2ですが、携帯電話に限る必要がないというのは、そのとおりかと思 います。連絡がとれるというときに、携帯電話を念頭に置いていたのでこう いう書き方になっておりますが、常に連絡がとれる形でというご趣旨だとす れば、そのような修正は可能だと思います。 ○山崎委員 携帯電話で連絡可能と言っても、主治医に365日、24時間連絡 をとれるようにしろと言っても、それは無理です。少なくとも、ウィークデ ーの準夜帯については主治医に連絡がつくと、休日や深夜帯は中心、つまり どこかのセンターに連絡がつく形でいい気がするのです。 ○座長 特定の主治医への対応の話と医療システムの対応の話と区別してほ しい、区別すべきだということですね。和田委員が言っているのは、特定の1 人でなくてもいいわけですね。 ○和田委員 特定の1人というのは、私も否定していたように記憶していま す。山崎委員がおっしゃっていることと同じです。 ○山崎委員 追加ですが、たぶん私が発言した部分だと思うのですが、発言 の要旨は、最近非常に9時5時のクリニックが増えて、5時以降は準夜帯に替 わっているのに、昼間受診した先生に連絡がつかないというのはおかしいの ではないかと、少なくともその先生については準夜帯は携帯電話で連絡がつ くように、義務づけたらどうかという話をしたかと思います。 ○企画官 補足します。6頁の最初の○は、いま山崎委員からもご指摘があっ たように、もともとかかりつけの医師の役割として期待される機能を書いて いる所なので、1人の医師を前提に考えれば、一定の時間までは携帯電話で連 絡がとれる体制の確保となります。それが365日、24時間というわけにはい かないことを前提に、開業によるグループ対応、複数の医師で対応するケー スがあるであろうということで書いておりました。  私が先ほどの和田委員のご指摘を受けて申し上げたのは、医療へのアクセ スの意味で365日、24時間というご趣旨だとすれば修正は可能だと申し上げ たのです。ここは、よく考えればかかりつけの医師の役割を書いている所な ので、複数での対応の所と1人での対応の所を原案を活かすとすれば、元の 案のほうが、携帯電話でというところは修正するにしても、よりイメージは 湧くのではないかと思います。 ○西澤委員 いまの6頁目の最初の○で表現の仕方なのですが、「在宅療養支 援診療所のように24時間応診できる云々」と、これは別にしてかかりつけの 医師と書いているのですが、私は、在宅療養支援診療所はまさしくかかりつ け医の基本ではないかと思っているのです。これを見ると、在宅療養支援診 療所はかかりつけでないように見えてしまうので、この書き方を工夫してい ただければありがたいと思います。  もう1つ、先ほどのグループ対応について、これは大事なのですが、その ためには当然情報の共有化が必要です。それは、その前の頁に○で「診療情 報のIT化」とサラッと書いてはいるのですが、もう少し情報の共有化とIT 化の推進を強調して書いていただいたほうがありがたいと思います。 ○内田委員 これは書き込んでいただきたいという話ではないのですが、先 ほどの24時間対応の件です。かかりつけ医と考えると、24時間対応を365日 は非常に厳しいところはありました。医療の提供を24時間、365日し、それ に対して患者が安心を得ることは非常に必要だと思います。  これを病院に振り返ると、主治医制度が同じことなのです。これまでは、 主治医が病院で24時間、365日対応で、少し重症化すると泊り込むというこ とが常態だったわけで、それが勤務医の先生方を非常に疲弊させる状況にあ ったわけです。そこも、今後は少し考えなければいけないのではないかと強 く感じます。 ○島崎委員 6頁の真ん中の表現なのですが、「人間全体を見る総合的な診療 を担う医師の医学的・社会的位置づけを明確化することが必要である」とあ ります。この「医学的・社会的位置づけ」というのは、どういう意味合いな のですか。素直に考えれば、医療政策上の位置づけを明確にすると言えばい いのに、特に社会的位置づけとはどういう意味合いで使っているのでしょう か。 ○企画官 事務局としては、特にこだわりがあるわけではないのですが。 ○島崎委員 併せて、最初の5頁の真ん中に「かかりつけ医」と出てきます。 いわゆるかかりつけ医の意味なのでしょうが、そのあとから皆「かかりつけ の医師が」になっていて、途中で人間全体を見る総合的な診療を担う医師と いう概念が出てくるのです。概念の整理をするとかえってややこしくなるか もしれませんが、そこはどういう使い分けをされているのですか。 ○座長 学問ほど概念を厳密にできないと思うのです。厳密にすると、かえ って1個1個が限定されて、少しでも違うと別の言葉を作ることになると、 医師の種類が何十種類にもなってしまう可能性があるので、そこまで厳密性 は求めないと思うのですが、いま簡単に説明するとどのようにしますか。 ○企画官 文書を作ったときには、かかりつけ医はこれまでの医療部会の報 告でも使われていた概念としてそのまま使った上で、非常にわかりづらいと のご指摘をいただいたことを踏まえて、もう少し明確にする必要があるとい うことから始まっております。その上で、かかりつけ医と言わずにかかりつ けの医師という形で、いま現実に行われている個別の診療科で、普段行きつ けになっている医師にどのような役割を期待されるかということで、そうい う医師のこととしてかかりつけの医師と書いております。  そうした医師に求められる機能の1つとして、総合的な診療を担える医師 という位置づけをより明確にしていく必要があるのではないかと、そのよう な流れで総合的な診療を担う医師の件を続けて書いております。それが、事 務局としてこれまでの議論を整理するときの考え方です。座長がおっしゃっ たように、そもそもそれぞれに定義があるものでもないし、人によって思い 描いているイメージも違いがあるのも実情だろうと思いますが、これをかっ ちりと定義するとなると、定義を行うだけでもかなりのご議論があるのでは ないかと思います。 ○内田委員 いまの島崎委員のご意見に追加なのですが、6頁の真ん中の医学 的・社会的位置づけの明確化の点は、素直に取ると厚生労働省による総合医 あるいは総合診療医の新設認定、総合認定を思わせるので、この文言は単に 削って、そういう医師の養成が必要である等の形に書き替えていただいたほ うがありがたいと思います。これは、まだ医道審議会で検討中の課題ですか ら。 ○武谷委員 6頁の3つ目の○です。いま何人かの委員からご指摘のあった箇 所なのですが、「地域医療を支え、人間全体を見る総合的な診療を担う医師」 と、私どもは医育者として必ず患者の心身全体を診るべきであって、病気の みに目をやるなと、これは医師としてすべてに要求されることです。これで 明確化されていない医師は、人間全体を診ていないのかという誤解も招きか ねないので、「人間全体を診る」を削除するか、全身を観察しとか、そういう 表現にしたほうがいいのではないかと思います。 ○座長 先ほどの病院としての機能と特定機能病院としての機能の間に、医 師一般に要求される機能であると。 ○武谷委員 特定の医師に要求される条件と、異論のある方はおられないと 思いますが。 ○座長 そこは表現を工夫していただきます。 ○武藤委員 いつも同じことを言っているのですが、かかりつけ医の問題で は地域医療計画の4疾患の中でどのように位置づけるかが問題になると思う のです。総合医の議論とはまた別の方向ですが、実態としてかなり専門性の 高い開業医がいます。そうした開業医が、病院との間のネットワークの中で、 自分は糖尿病が専門であるとか、消化器、がん専門とか、そうしたフラッグ を立てることも、国民の側から見てもわかりやすいやり方ではないかと思う のです。もう1つの実態としての専門性の高い開業医も位置づけていくこと が必要ではないかと思います。 ○座長 先ほど西澤委員が言われたように、地域医療計画が具体的になって いないので、都道府県における進展を見ながら検討すべきであるということ でしょうね。  残りの2つはそれぞれ短いので、どちらについてでも結構です。専門医に ついて、医療法に基づく人員配置標準について、この書き方に関してご意見、 ご質問がありましたらお願いします。 ○山崎委員 専門医についてですが、現在各学会の認定で専門医を作ってい ると思うのです。そうすると、学会に入っていない開業医の先生方は、専門 医としての標榜ができないという矛盾があるのです。したがって、学会認定 でするのか、第三者的な機関で専門医を認定していくのかを考えていただき たいというのが1点です。  もう1点は、学会の専門医の数が科目別にかなりばらつきがあるのです。 例えば、皮膚科の専門医は日本では何人必要かとか、眼科の専門医は何人必 要なのかなど、ある程度の数を決めて、国として必要以上の専門医を粗放に 投入しないで、ほかの不足している診療科に誘導していく。アメリカは、学 会がその点数をきちんと管理して専門医を養成していますね。だから、あの ように学会で自律的な形でできればいいのですが、いま見ていると、学会員 が増えて、受験料を取って専門医の更新をやってと、お金を集めるために専 門医を作っている傾向がなくもないのです。その辺は、もう少しきちんと整 理をしていただきたいという気がします。 ○座長 学会のあり方について意見が出ました。そこまでは我々は言えない かもしれませんが、ほかによろしいですか。 ○武谷委員 専門医がどのくらい必要かは、専門医とは一体どういうものか を抜きには語れないのです。アメリカでは専門医はそれなりに、初診料から 治療費など、ドクターフィーが非常に高くなっていて、2倍から5倍です。誰 もがアクセスできないわけです。ですから、国民が専門医に診てほしいと言 うことと、専門医にインセンティブを与えるというのは相容れないことにな ってしまうのです。個人的には医療の均一性、公平性を損なうことにもなり かねないと考えます。医療の供給に差別化を生ずることになるので、その辺 りを考慮して、専門医がどのくらい必要かの議論をしていかないと、かかり つけ医のように誰もが専門医が隣にいて、いつでもかかれるものでは決して ないのです。必ずしも治療の技術だけでは、専門医と非専門医を区別するこ とは現実にはできないことになるので、その辺りの議論をあえてここで提起 するのか、それはまた別の機会に議論するのか。どのくらい専門医がほしい かというのは、いまの問題を避けて通れないのではないかと思います。 ○座長 学会のあり方までは、ここではなかなかはっきりした言い方はでき ないと思うので、この程度かもしれません。 ○山崎委員 8頁の「人員配置標準」についてですが、2つ目の○で病院にお ける外来患者数に基づく医師数の配置標準規定の必要性については、外来診 療部門の分離が進む中で実態に合わなくなっているのではないかという指摘 があり、この点について検討が必要である、という表現になっているのです が、この「検討」という言葉を「見直し」に変えていただきたいと思います。  もう1点は、私がこれにどうしてこだわるかというと、今日の参考資料で 平成17年度の医療法第25条に基づく立入り検査結果がついています。この3 頁に、地域別の医師数の充足状況がついているのですが、平成17年の北海道・ 東北の充足率は63%なのです。北陸・甲信越が78.8%です。  一方、精神科は14頁にありますが、北海道・東北で74.9%、北陸・甲信越 で85.3%と、医師の充足率が低いのです。これが、病床数が多いから医師の 標欠が多いのだと、先ほどの健康保険組合の提言に触れてあったのですが、 そうすると北海道・東北で74.9%の充足率ならば、精神科病院の病床数を単 純に4分の1に減らせば足りるだろうという話にはならないと思うのです。 勤務する立場からすると、北海道・東北あるいは北陸・甲信越の地理的な問 題や気候的な問題、子どもの教育の問題など、いろいろな問題があって医師 が偏在していると思うのです。したがって、それを含めて全国一律同じスケ ールで図るのが、そもそもおかしいのではないかというのが1点です。  もう1つは、前回の検討会で出したのですが、一般科については、標欠し ても30%までの標欠にペナルティがついていないのです。ところが、精神科 の場合は0.1%でも標欠してあると、1万900円が5,500円になってしまう のです。このように、ものすごい診療報酬上のペナルティがついているわけ です。それは診療報酬上の問題だからと言われてしまえばしようがないので すが、そのような診療報酬の仕組みがおかしいのだということも、事務局の 方から医療課によく言ってほしいと思います。1日5,400円も入院料が下がっ てしまうような、ばかな制度がまかり通っているのです。その辺りを含めて 検討していただきたいと思います。 ○座長 報告書ではなく、伝えてほしいとの意見です。 ○武藤委員 言葉の点ですが、8頁でいまご指摘になった外来診療部門の分離 が進むのでというのは、外来分離のことを言っているのですか。外来診療の 機能分化の話ではないかと思うのですが。 ○企画官 ここの議論は、検討会でのご議論はまさに門前クリニックの問題 と絡めてのご議論であったと思います。 ○武藤委員 外来分離の話ですね。 ○企画官 そのように理解しています。 ○武藤委員 でも、実態としてそんなに進んでいるのですか。 ○企画官 進むという表現が適切かどうかはあるかと思いますが、外来分離 をした結果として、外来部分が分離する前の病院の外来の医師のカウントが、 当然診療所になることによって1人で済むとのご指摘があったことを踏まえ ての表現です。 ○座長 マクロではそんなに多くないから、進むという日本中で進んでいる みたいですね。そうではなくて、一部そういうこともあると、例外をどう処 理するかの話ですね。 ○島村委員 今日の検討会の最初に、内田委員からはじめに3行では足りな いとの意見が出されました。現状について記載すべきだと、それは日本の医 療費が安いのだと思います。私自身、公的・私的な会議に出席するたびに、 いつも医療提供側の方からの意見としてそういう話は聞きます。もう少し厳 格に言えば、医師会の先生方からです。その中身は、たぶんOECDの8%とい うのはいままで聞いた気がします。もし、初めにの部分に内田委員の言われ たことを追記するのであれば、是非お願いしたいことがあります。  それは、限られた医療財源、それも公費であり、保険料であり、本人負担 もあり、ましてや保険料については事業主負担もあるわけで、もしくは高齢 化も進む中で、患者なり国民がどういう医療を提供してほしいかが大事であ って、充足するために限られた資源を配分する観点も中身に入れてくれない のであれば、私は問題だと感じます。是非、事務局に医療費の総額が足りな い所だけ書き足すのはやめていただきたいと思います。自己負担する患者や 保険者のいろいろな意見があることを、併せて記載していただきたいと思い ます。 ○座長 そこは、多くの審議会の報告書で手慣れた表現があると思うので、 お任せします。  時間になりました。大変活発に改めて理論的な整理をしていただきました し、それぞれの立場からの意見も伺いました。今日でまとめるのは不可能だ と判断します。さらに議論が必要ではないかと感じますので、改めて整理案 バージョンIIに基づいて、あるいは皆様からの意見に基づいたバージョンII で整理した上で、最終案としたいと思います。予備日を設けておりますので、 事務局で今日のご意見を踏まえて整理をしていただきましょう。ご足労です が、もう1回せざるを得ないと思います。  それでは、事務局から今後の説明をお願いします。 ○企画官 いまも座長からお話がありましたように、今日いただいたご指摘 をできる限り整理ペーパーに反映する努力をしたいと思います。予備日をい ただいていまして、7月18日16時から18時ですので、よろしくお願いしま す。場所についてはこれから確保して、改めてご連絡いたします。ありがと うございました。 ○座長 遅い時間にもかかわらず、活発にご議論いただきましてありがとう ございました。本日はこれにて閉会したいと存じます。 照会先 医政局総務課 高島、柳田 連絡先:03−5253−1111(内線2519)